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1969-10-09 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年十月九日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 安倍晋太郎君   理事 仮谷 忠男君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 森  義視君    理事 稲富 稜人君       大石 武一君    大野 市郎君       金子 岩三君    佐々木秀世君       白濱 仁吉君    瀬戸山三男君       松野 幸泰君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       芳賀  貢君    美濃 政市君      米内山義一郎君    神田 大作君       斎藤  実君  委員外出席者         外務省欧亜局外         務参事官    中尾 賢次君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社総         務理事     黒田  実君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  小委員長からの報告聴取  昭和四十四年産しょ及び馬鈴しょ原料基準  価格並びにでん粉及び甘しょ切干政府買入  価格等に関する件     —————————————
  2. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十四年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにでん粉及びカンショ生切り干し政府買い入れ価格等に関する件について、いもでん粉等価格対策に関する小委員長より報告を聴取いたします。大野市郎君。
  3. 大野市郎

    大野(市)委員 いもでん粉等価格対策に関する小委員会の御報告を申し上げます。  いもでん粉等価格対策に関する小委員会は、去る九月十日本委員会においてその設置が決定され、同月十一日、委員長より小委員及び小委員長が指名されました。  本小委員会は、翌十月六日及び八日の二日間にわたって調査を行ない、政府からいもでん粉需給事情価格算定等について説明を聴取し、質疑を行ないました。  審査の過程を通じ問題となりましたおもな事項としましては  一、国内産いもでん粉生産状況中心需給計画を明確にすること  二、コーンスターチ生産規制国内産でん粉優先消化をはかり、いもでん粉生産加工流通対策について必要な施策を講ずること  三、原料いも及びでん粉価格算定について適正化をはかることなどであります。  これらの質疑の詳細は会議録に譲ることといたしますが、本小委員会結論として次のとおり決定いたしましたので御報告申し上げます。  なお、昨年も小委員会において今回とほぼ同趣旨事項が決定されたのでありますが、遺憾ながらその後の政府の本件に対する施策を見ますと、必ずしも十分であったとは思われませんので、今回は特に、以下御報告申し上げる結論について、政府が十分な施策を講ぜられんことを強く期待するものであります。  まず、本小委員会結論案文を朗読いたします。     昭和四十四年産しょ及び馬鈴しょ原料基準価格並びにでん粉及び甘しょ切干政府買入価格等に関する件(案)   わが国におけるいもでん粉生産は、近年、競合輸入農産物の増大と価格による圧迫及びその後進性等により減退し、逐年いも作農家等経営を不安ならしめている。   このため政府は、農産物価格安定法に基づく甘しょ及び馬鈴しょ原料基準価格並びに甘しょ切干及びでん粉の買入価格の決定に当たっては、左記諸事項に十分留意し、いも作農家でん粉生産者及びでん粉実需者等経営の安定に資するよう努めるべきである。         記  一、いも原料基準価格については、生産費、諸物価、労賃の上昇、原料いも生産事情等を十分に勘案し、再生産の確保が図られるよう決定すること。  二、でん粉及び甘しょ切干の買入基準価格については、原料運賃加工に要する費用等実情に即して加算し決定すること。  三、いも作地帯農家経営の安定に資するため、いも生産地域別生産目標を明確にするとともに、土地基盤整備事業の実施、農業機械化の促進及び高でん粉質収穫品種改良普及等生産対策をさらに強化すること。  四、地域実情に応じた再編整備等でん粉工場合理化を促進するとともに、でん粉工場経営安定のため必要な融資措置を講ずること。  五、国内産でん粉と競合するコーンスターチ生産規制措置及び現行関税割当制度の継続、販売調整措置の推進等適切な措置を講じ、国内産でん粉優先消化を図ること。  六、国内産いもでん粉並びに甘しょ切干価格政府買入基準価格を下廻り又そのおそれが生じた場合には、政府は速かに生産者団体の申込に応じ政府買入れを行なうこと。  七、国内産いもでん粉並びに甘しょ切干需給並びに価格安定のため、不足払制度又は原料輸入課徴金制度その他必要な抜本的対策を講ずるよう速かに検討すること。 以上でありますが、本小委員会のこれらの結論を当委員会決議とされるよう提案いたします。
  4. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 以上で報告は終わりました。  おはかりいたします。ただいまの小委員長から提案のありました案文のとおり決議することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいまの決議に対し政府の所信を求めます。小沢農林政務次官
  6. 小沢辰男

    小沢説明員 当委員会決議趣旨に沿いまして努力をいたします。
  7. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 なお、ただいまの決議関係当局への参考送付等手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 引き続き、農林水産業振興に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 北海道における五月から十月にかけての低温並びに多雨、日照不足等異常天候のために、生産農家は最大の努力をして農業生産に携わってきたわけでありますが、十月になっていよいよ水稲並びにバレイショ豆類等収穫期に入ったわけでありますが、北海道における五月以降の低温等農作物に与えた影響等については、農林省としてどういう作況上の判断をされておるか、この点については農林省災害担当責任者である荒勝参事官からまずお尋ねいたします。
  11. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  北海道冷害だけでございませんで、内地のほうにつきましても同様の冷害が出ておりまして、農林省で調べました九月十五日現在の時点での中間報告で一その後なお冷害北海道中心に一部進捗しておりますので、私たちといたしましては十月十五日現在の時点での冷害状況を把握したいということで考えておりますが、一応中間報告でございますが、ただいま御指摘のように北海道におきましても低温によりまして冷害がただいま出ておる。その大きな原因といたしましては、五、六月の植えつけ期前後の低温、それから七月中旬の前後が原因になっていると思います。なお、さらに九月下旬に北海道で相当な霜害があったわけでございますが、この九月下旬の被害につきましては、まだ十分に数量的に私たちのほうで把握していない。現在、水陸稲被害の全国的な面積といたしましては約三十八万ヘクタール、被害量としまして約三十三万トン、被害見込み金額といたしましては四百四十八億円というふうに大体推定している次第でございます。  なお北海道について申し上げますと、北海道につきましては、大体被害面積が十九万二千二百ヘクタール、被害量といたしましては十六万七千トンでございます。これは先ほど申し上げましたように九月十五日現在の時点でございまして、なお北海道の一部におきましてはさらに被害が発生しておりますとともに、また一部の地区では、きのう確認いたしましたところでは、最近、この二、三日温度が高いものですから、比較的順調にまた回復しているものもあるようでありますが、なお今後収穫までにまだだいぶ時間がありますので、今後の低温がきますと被害状況がどうなるかわからないというのが実情でございます。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの説明のうち、まず水稲関係につきましては九月十五日現在の作柄概況統計調査部から出されておるわけでございます。これによりますと、平年作に比べて、九月十五日の時点においては作況指数が九〇ということになっておるわけです。これはもちろん北海道全体の平均でありますけれども、九月十五日以降、特にことしは気象庁の長期予報等によっても降霜の時期が早いということを最初から予報されておったわけでありまして、五月以降の低温による生育遅延とあわせて、九月の中旬ごろからは強い降霜があるような場合には農作物に甚大な影響を与えるので、ことしは特に霜害防止対策については地元市町村あるいは農協、共済組合等においても、いまだかってないような強力な体制を整え、また農家の場合も、私としても経験のないほど真剣な態度で霜害防止に当たったわけであります。たとえば私どもの旭川市を中心とする上川支庁管内においては、九月八日にまず霜の予報が出まして、それから若干の日にちをおいて、九月十七日以降は連続的に降霜警報が発令されたようなわけです。詳しく言いますと、降霜警報発令がされた日は九月の八日、十七日、十九日、二十日、二十二日、二十三日、二十四日、二十六日、二十七日、二十八日、二十九日、三十日、十月に入ってから、一日、二日、三日、四日、五日、これは連続であります。この間、気温の急激な低下に備えて薫煙等によって防止につとめたわけでありますけれども、最終的には十月の三日から四日にかけて非常に気温が低下して結氷するような状態になったわけですから、大体十月四日の時点で、水稲あるいは畑作農産物等生育はこれによって停止したと見ても差しつかえないんではないかと思うのであります。そういう異常な天候の中でいま収穫期に入っておるわけでありますから、水稲関係についても、十月十五日に第二回の収穫予想農林省から発表されるわけでありますけれども、それに備えて、五月以降の不良天候の中でどういう状態北海道農産物収穫が行なわれるかという実態については、これは農林省の中においても、それぞれ関係の部局において早期に的確な現地調査をやってもらう必要があると思うのですが、この点はいかがですか。
  13. 荒勝巖

    荒勝説明員 北海道冷害につきましては、この夏場以来しばしば現地からも報告をいただいておりまして、農林省といたしましても、その点につきましては十分注意を払いまして、特に水稲生産を担当いたしております農政局農産課長が、九月の上旬だったと思いますが北海道へわざわざ参りまして、北海道水稲生育状況等をその当時の時点においては十分に承知して帰ってきている、こういうふうに理解しております。  なお、共済保険のほうからも担当者が参り、それから現在は、技術会議事務局長北海道農業事情を、冷害のみではございませんが、十分に承知するために出向いているんじゃなかろうか、こういうふうに理解しております。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 私から詳しく言う必要もないと思いますが、過去の三十九年、四十年、四十一年の場合は障害型といいまして、これは七月中旬から八月上旬にかけて幼穂形成期並び開花期に異常な低温によって障害を受けて、そして大きな冷害を招いたということになっておるわけですが、ことしの冷害実態というものは総体に生育遅延で、最終的には強度の霜によって被害を受けたということになるわけです。  この際、食糧庁長官も来ておられるので私から言っておきますが、北海道水稲は、五月の植えつけ期に五月一ぱい天候が非常に不良でして、温床から移植した水稲が活着しないで途中で枯死の状態になったわけです。ですから、被害が二割ないし三割程度のものについてはさらに苗を仕立てて補植を行なったわけです。はなはだしいのはもう全面的にまた植えつけをし直すというような地域も実はあったわけです。そういうことで、最初から異常天候のもとに置かれたということ、戦後二十数年の間に五月における異常な状態というものは私も経験したことがないわけです。しかし幸いに、七月に北海道が非常に高温に恵まれて相当挽回したわけですが、収穫期になってみると、五月に補植した分がやはり十日あるいは二週間、最初に移植した分よりおくれておるわけですから、それが依然として回復をしない状態収穫に入るわけです。ですから、それによって収穫された、たとえば米の場合はどうしても未成熟の米が混入するということになるわけですから、これを完全に選別して、食糧庁買い上げ規格内の等級に当てはめるということはなかなか困難な場合もあると思うわけです。従来も冷害等の場合におては規格外とかあるいは水分過多青米混入等に特別の等級を設けて買い上げを行なったことは御承知のとおりです。昨年から食糧庁規格外の米については買い上げしないことを原則にして実行しておるわけですが、たまたま昨年は災害特別委員会等において、私もちょうど委員長をやっておりましたが、被害県については規格外玄米についても買い上げを行なうということで、たしか十三県にわたって規格外買い上げが行なわれたことは記憶しておるところであります。そういうことで、北海道収穫される玄米の中には、結局補植によって生ずる青米混入ということは避けることができないと思うのですね。ですから、そういう春以降の異常天候のもとに収穫された米について食糧庁としてはどういう判断でこれを扱うかという点についても、長官から説明を願いたいと思います。
  15. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 四十四年産米買い入れにつきましては、昨年と同様に原則として買い入れ規格農産物検査法による五等以上の等級づけされた品位のものに限るという考え方でございますが、災害の著しい県でございまして、災害指定を受けました道府県等規格外の米の発生量が大量であって、農家経済に甚大な影響を及ぼすというふうに判断をされるものにつきましては、例外的に買い入れを行なうということで進めたいというふうに思っておるのでございます。  北海道は、お話のように、ことしの植えつけ期からの異常な天候のために成熟不十分な米が出そうであるということは、私ども予想をいたしておるのでございますが、まだその実情は十分に把握されておりません。今後災害程度等農林省として把握をいたしまして、災害指定が行なわれるかどうかというような事態に照応いたしまして、私ども北海道等災害県における規格外米買い入れについての検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお水分過多甲乙につきましては昨年と同様買い入れをすることをすでにきめております。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 経済局の保険業務課長来ていますか。——いま食糧庁長官からもお話がありましたとおり、収穫された玄米が従来と同様に規格外青米混入等の、そういう特別等級が設定されて買い上げ措置が講ぜられれば、特に農災関係との問題は起きないわけですが、いま北海道においては損害評価をやっておるわけです。その場合、結局収穫量損害額の認定は一・七ミリのふるいを用いて、そのふるいの上に残ったものは玄米と認めて、これは収穫に入る。それからふるいの下に落ちたものは、これは被害ということになるわけですね。ですから、収穫損害との区分は結局一・七ミリのふるいによってその上下に分かれるという区分しかできないわけですね。それで先ほど言ったとおり、この五月の異常天候によって植えつけした苗が地域によっては二割、三割あるいは五割も枯死して、そして補植を行なっておるわけですから、この補植した分の未熟米というものは、乾燥してもやはりふるいの上に混入されて残るということは、これは避けがたいわけです。これを選別して整粒だけを区分するということは、いまの技術ではなかなかできないわけですね。ですから現地心配は、農災法に基づく損害評価をやった場合には、一・七ミリのふるいの上に残った分は、これは収穫ということに当然なるが、その玄米が直ちに政府買い上げ米として従来同様に扱われるかどうかということに対して、非常に現地で不安があるわけです。いま食糧庁長官説明によって、大体そういう不安がないということを私は理解しておるわけですが、もしかりに非常に買い入れ等級をしぼって、そういう災害によって生じた、生産者努力によってはどうすることもできない不可抗力な収穫物に対して、これを冷酷に扱うということになれば、結局いまの農災制度のもとにおいてはそれは救済することができない。一方また政府買い上げ対象にもならぬというようなことになると、その中間的な収穫物に対しては、農家の一方的な犠牲でこれを処理しなければならぬというまことに不可解な問題が残るわけです。ですからいま現地で一番望んでおることは、この損害評価にあたって一・七ミリのふるいの上に残る、従来はこれは買い上げ対象になった玄米ですが、これを共済制度のもとにおいても責任をもってその分は、これは国の買い上げだから損害にはならぬということで、完全に処理できるかどうかということを非常に懸念しておるわけです。ですからこの点は、経済局としても明確にしておいてもらいたいと思うんです。
  17. 松永正隆

    松永説明員 お答え申し上げます。  共済制度並びに農林統計調査上におきまして米の収量と申しますのは、先生指摘のとおり縦目をふるいの選別によりまして、目の大きさが一・七、ミリ以上のものを上玄米収量、それより下の段におっこったものは、これはくず米ということで収量の中に見込んでおりません。末端の共済組合段階におきましては、損害評価はこれは原則としまして検見方法によっておりますので、一応基準はいま申し上げたような一・七ミリ以上にとまった上玄米収量とみなすという、その基準においてどれぐらいとれるかということを検見で把握いたしておるわけでございますが、冷害等によりまして非常に青未熟米等が多量に混入いたしまして政府買い上げ対象にならない、こういう場合におきましては、従来は食糧庁におきましてそのつど等外上あるいは規格外甲乙等規格を明示されまして、それによって特別買い入れ措置を講じておられるわけですが、共済制度におきまして、その場合には一応等外上なりあるいは規格外甲に該当する場合には、それはそのまま収量というふうにみなしまして、いまの縦目ふるいで選別いたしましても、等外上なりあるいは規格外甲にも該当しない、こういうようなものにつきましては特別搗精試験を行ないまして、それによって、等外上あるいは規格外甲の搗精歩合いを標準にいたしまして、それに比較をしてつき減りした分、搗精歩合いの減じた部分を減収としてみなす、こういうような特別の損害評価上の措置も講じてまいっておるわけでございます。したがいまして、こういうような結果に基づきまして、過去の収量なり被害なりが把握されまして、共済における基準収量基準反収あるいは掛け金率被害率、こういうものが過去のこの取り扱いによりまして算定をされてまいっておる。この基礎によって引き受けあるいは損害評価の契約といいますか、ルールが成り立っておるわけでございます。そういう事情でございますので、本年度食糧庁におきましてかりに特別の規格外あるいは等外上というようなものを設けないで五等以上だというような取り扱いになりますれば、その五等にも該当しないものはいわゆる政府買い入れ対象外になりますので、五等に相当する搗精歩合いを標準といたしまして、買い入れ対象外になったものの搗精歩合いの減少した部分搗精試験によって見込む、こういうような扱いをいたす予定でございます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 いま私の聞いているのはそういう消極的な方法でなくて、先ほど食糧庁長官が言ったとおり、災害指定を受けた地域における規格外米等については十分配慮をして買い上げ対象にする努力をするということを言っておるわけだから、わざわざあなたのほうで五等米以外は全部砕米に落とすということをここで言ってもらう必要はないのですよ。そういうことはわれわれとして希望するものではないわけですから。ただ問題は、現地組合員共済法に基づく野帳をもう提出しているわけですからね。ですから、共済共済金支払いを受ける場合は、農災法の九十八条の規定によると、組合員通知をしなければならぬという義務が課せられておるわけですね。組合員通知をしない場合は、野帳提出しない場合には、実態損害があっても共済組合としてはそのことによって免責事由が成り立つわけですからして、共済金を支払う必要がないということになるわけですね。それで、現地共済組合は従来同様のまじめな損害評価とか事務手続をやっておるわけです。北海道は御承知のとおり全国一、共済事業については農林省で折り紙がついているほどまじめにやっているわけですから、だからたとえば野帳提出をしないという場合、しない各筆についてはあと損害対象にして共済金を支払うというわけにいかないでしょう。ですから、農家のほうは野帳提出しないということは、結局従来同様、収穫された米は政府食管法に基づいて全量買い上げするという信頼の上に立って野帳提出しないわけですから、いまあなたの言うような心配があるということになれば、その分だけ被害がふえるということで、この野帳をさっそく追加して一応提出させておかなければ、あと扱いがどうなろうともこの共済金支払い対象にならぬということになる問題があるわけですね。この点はそれではどういうふうに指導されるわけですか。心配の者は野帳をすぐ出しておけというのか。
  19. 松永正隆

    松永説明員 先生の御指摘のとおり、被害を受けた農家が申告をするというたてまえになっておりまするので、当該農家が三割以上の被害を受けたという判断のもとに提出をしていただく。提出がなければ、これは被害がそれまでに該当しないという取り扱いでやっておるわけです。ことしの場合は特に異常な冷害でございまするが、御承知のとおり、三十九年、四十年、四十一年と三カ年にわたって冷害経験もありますので、まず組合の指導その他によって野帳提出しないで対象外になったというようなことはあまり問題になるまいというふうに推定いたしておるわけでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの点、もう一度はっきりしてもらいたいのですよ。それでは野帳提出していなくても、政府買い入れ措置いかんによっては、それによって損害が増大した場合には制度対象にするという意味ですか。
  21. 松永正隆

    松永説明員 私の申し上げましたのは、野帳提出したその農家、その耕地につきまして、検見で十分に把握できない部分を実測の結果によって補整をして増加分を加算をする、こういうことでございまして、初めから提出されていないものについては、これは対象になりません。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、そこを聞いているのですよ。だから、食糧庁長官が先ほど言ったとおり、被害の発生した都道府県においては、結局災害指定をするわけですね。指定が行なわれなければだめだということになる意味だと思うのですが、そういう場合には従来同様の取り扱いをするということになれば、いま北海道農家提出している野帳というものはそのままでいいわけなんですよ。しかし、従来と違った買い入れが行なわれるということになれば、その点については心配がある場合にはあらかじめ野帳だけ出しておかぬと救済されぬということになるわけですね。その点を経済局としてはいかなる善意な指導をされるかということを聞いているわけなんですよ。従来同様にちゃんとやっておけというのか。食糧庁は油断ならぬからことしは被害額というものに弾力をつけて、心配のある向きは野帳をあらかじめ出しなさい、そういう指導をするか。これは当然食糧庁経済局長の間でよく相談をして、もちろん官房の災害担当官も加わることは言うまでもないが、これは農林省内部の扱いですから、そういう点を統一して的確な指導をしてもらいたいと思うのですよ。われわれ決して被害を誇大に持ち出してどうこうするというわけじゃないですからね。一方には食糧管理制度がある。一方には農業災害補償制度があって、政府施策のいかんによってそれからはみ出されるようなものが出れば、これは国としても責任重大なことになるわけですから、この点、荒勝さんからでもいいですから、内部の見解を統一して誤りのないような方針を出してもらいたいと思うのです。
  23. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま桧垣食糧庁長官から述べられました災害指定の件につきましては、芳賀先生のほうが十分御承知のように、まず農林省といたしましては被害実態をつかまえるということをいたしまして、それに基づきましていわゆる天災融資法の発動要件になるかならぬかということの結論を出すわけでございます。その天災融資法の発動要件を受けまして、食糧庁といたしましては、規格外の米につきまして買い入れ対象にするかしないか。天災融資法の発動もない県につきましては、従来あまりそういう規格外の米は買わない、こういう姿勢になっておるわけでございます。しかし、私たちといたしましては、先ほどちょっと御説明いたしましたが、十月十五日現在の時点予想収穫高を出しますので、それがたぶん公表されるのが十月の末かあるいは十一月の初めになると思います。その数字に基づきまして、天災融資法を発動するかいなかを検討いたしまして、そして食糧庁に当然その分については連絡いたしますし、それとともに保険のほうとも連絡いたしまして、そこで食糧庁買い入れ対象になる数字あるいは買い入れしない数字というものがほぼ明らかになりますめで、その辺から保険のほうが判断いたしまして、おそらく保険の支払いは来年を越したところで精算が行なわれることになるんではなかろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そうじやないんですよ。いま農災法のほうは、食糧庁も締め切り時期になっておるわけです。だからあとで十月末に判明したらというわけにはいかないんですよ。農災法の九十八条というのは、組合員である本人が私の水稲損害が生じましたという通知をする義務があるわけだから、通知を怠った場合には共済組合としては共済金支払い免責事由になるんですよ。通知をしないから災害あとで判明しても共済金を払うわけにはいきませんよということを法律で書いてあるわけですから、いま一番大事な時期なんです。従来同様に買い入れ対象になるということであれば、共済のほうも従来同様、損害評価とか野帳提出でいいわけですよ。その点は先ほどの食糧庁長官説明によって大体了解できるわけですからね。しかし、一般の農家はその点が非常に不安とするところなので農林省として食糧庁経済局等において十分協議をして統一見解をまとめて、それによって的確な指導を迅速に行なうべきではないかということをいっておるわけです。そのあと災害対策じゃないんです。いま事前措置としてこの問題がいままで前例がないわけですから、五月に移植した苗が二割も五割も枯れて、それから半月もあとで苗を仕立てて補植をしておるわけですから、その分は最後まで生育が追いつかないわけですね。そういうような場合には、どうしてもこの収穫米の中に未成熟米混入するということは避けがたいわけだから、従来の災害にはこういう問題は前例がないんですよ。そうでなければ、きょうわざわざここで何も取り上げる必要ないんですよ。前例のないような冷害による減少がいま出ておるわけですから、それに対して十分な対応をやってもらいたいということでこちらから提起しておるわけですからね。だから各関係部局で合同の調査をやって確認するとか、そういうような場合には絶対に心配ないようにするとか、何らかの方針をここで打ち出してもらいたいと思うのですよ。いままでは農林省はそういう場合積極的に、たとえば食糧庁とか経済局とか官房とか統計調査部とか、みんな言わなくてもいち早く出かけたものですけれども、食管の問題がこういう事態ですから、出かけるのも足が重いし、現地ももう冷害を受けておるということがわかっても、そういうことを強調すれば、だから北海道は米をつくってもらいたくないから、この際生産縮小を自発的にやりなさいなんということをいわれると困るから、まだ北海道知事も何もいってこないでしょう。農協等の農業団体もこれはまだそう積極的にいってこないと思うんですよ。それはもう食管改悪のショックにおびえて萎縮しているからそういうことになっておるんですね。この際、やはり農林省というものが歴史的な農政に対する、農業に対する熱意があれば、やはり進んでそういう問題は現地へ出かけて十分調査研究して、明確な対策を立てるということでしかるべきじゃないかと思うのですがね。
  25. 松永正隆

    松永説明員 保険関係といたしましては、今週早々係官を北海道冷害地域に派遣をいたしまして、目下実態を詳細に調査中でございます。その結果に基づきまして、大体先ほど申し上げましたような損害評価上の特例措置につきまして通達を出す方針でございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 荒勝参事官に申しておきますが、北海道のことしの作付面積水稲で二十六万六千町歩、平年作は十アール当たり四百八キロということになっております。平年作に比較してことしは九月十五日の作柄概況は九〇という指数になっているわけですね。ですから平年作でいくと、北海道全体の収穫量は百八万六千トンということになるわけです。平年に対して一〇%の減収ということになれば、その減収額は約十一万トンということになるので、先ほど参事官が言われた十六万トンの減収ということは、これはまあそう狂ってはいないと思うんですよ。ですから、金額にすれば、平年作から見た一割の減収金額というものは約百五十億円くらいに及ぶわけです。ただ、これはあくまでも平年ですから統計調査部作柄概況によっても北海道全体が平均的に九〇ということはうたっていないわけですね。たとえば、北海道における作柄は、道北、道南、道東はやや良であるが、作付面積の多い道央が不良となっている。だから一番中心的な生産地帯である北海道の道央地域が私の指摘した冷害を受けているわけですからして、こういう点から推測しても、たとえば天災融資法に基づくところの災害指定というものは、もう当然行なわれるというふうに考えておるわけなんです。そのほか豆類にしても、水稲作況が悪い場合には同様の運命をたどるわけですからね。  それからバレイショの問題等についても、きょう実収高の発表があるわけですからして、この中には、やはりことしの不良天候によって大きな減収を受けた地域も当然出てくるわけですから、水稲並びに畑作等を総合しますと、北海道における五月から十月における低温による冷害被害は、過去の三十九年、四十年、四十一年とは様相も違い、深度も異なるが、いずれにしても冷害の範疇に入ることは間違いないと思う。ですから、こういう点についてはやはり積極的な調査、それから適切な対応策というものは農林省自身において立ててもらいたいと思うわけであります。
  27. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘のように、北海道冷害につきましては、現在なお一部の地区につきましては進行中でございますので、農林省といたしましても、統計調査部中心といたしまして被害実情掌握には今後とも全力をあげてまいりたいと思っております。  先ほどからの議論がありました水稲のほかにも、いわゆる畑作物につきましても、降霜によりまして相当被害も出ておるというふうに判断しておりますので、それらをあわせまして、特に水稲被害が一番大きいと思いますので、十月十五日の時点被害の把握に全力をあげて、それに基づきまして今後の諸施策は検討してまいりたいと思っております。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 大体わかりましたが、最後に政府買い入れ米と共済制度損害区分、この接点が明確になればそれでいいわけなんですが、その点は従来同様の現地取り扱いでよろしいかどうか、はっきりしておいてもらいたいと思うのです。  それと、やはり食糧庁経済局とか、官房や統計調査部等の調査団を速急に出してもらいたいと思うのですね。いままでは迅速にやっておったわけですから、私は必要があると思うので、この程度のことは政務次官がいなくても、事務当局で方針はきめられると思うのですが、どうですか。
  29. 荒勝巖

    荒勝説明員 御要望のありましたことにつきましては、帰りましてよく内局とも相談いたしまして結論を出したいと思っております。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 荒勝さん、一番大事な共済買い上げ関係なんですよ。これは先ほどの食糧庁長官の答弁と保険業務課長の説明程度でよければそれでいいですよ。
  31. 荒勝巖

    荒勝説明員 同じ農林省の仕事でございますので、食糧庁と保険との間にそごを来たさないように、その辺の整理は十分に統一してまいりたいと思っております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、あとはもう実行が残っておるだけですから、きょうの当委員会における皆さんの発言にあとで狂いのないようにひとつ努力してもらいたいと思います。
  33. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 柴田健治君。
  34. 柴田健治

    ○柴田委員 時間がございませんから要点だけ簡単にお尋ね申し上げて、答弁もひとつ明快にお願いしたいと思います。  今度の専売公社の第一次の中期経営計画案を見ますと、今度低ニコチン政策をとるのだ、こういうことから、わが国の葉たばこ耕作についての考え方をある程度明らかにしておる。要するに、いままで奨励してまいりました葉たばこの中で黄色葉を減反をさせていくという考え方が出ておるようですが、この点について専売公社のほうは間違いのない考え方か、明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 黒田実

    ○黒田説明員 たばこの嗜好がいろいろと変わってまいりまして、軽いたばこ、ニコチンの少ないたばこ、こういうことに全体の嗜好が移っております。そういうこともございまして、御承知のように最近フィルターたばこが全体の八五%というようなシェアを占めておるわけでございまして、私どもといたしましても、そういう観点から今後の製品の品質につきましては、ニコチンが少なくて軽くてうま味のあるもの、こういうことで製造計画を立てております。そういうようなことからいきますと、今後の原料の配合の割合を、従来よりも黄色種を若干減らしまして在来種、バーレー種の系統をよけい配合していく、こういう製造の計画を将来考えておりますために、黄色種の相対的な使用割合が従来よりも減ってくる、在来、バーレーがふえてくる、こういうことになりますために黄色、在来、バーレーの比率が若干変わってくる、こういうような計画を持っております。
  36. 柴田健治

    ○柴田委員 どういう比率に変えるのですか。
  37. 黒田実

    ○黒田説明員 ごく大ざっぱに申しますと、これまで黄色種の使用割合が六で、在来、バーレーが四であったものが、大体五対五ぐらいの比率に将来はなるであろうと予想いたしております。
  38. 柴田健治

    ○柴田委員 比率を六対四から五対五に変えるという考えのようですが、在来種は御承知のように収納数量、価格、労働時間、こういうものを考えると、黄色葉からいうと、耕作農民の立場からいって、そういう経済性、労働力という面から見て農民がはたして生産意欲を出すであろうか、いままで黄色葉をつくりなさいといって奨励をしてきて、共同育苗場をつくらして、何千万という借金をつくらした、それで乾燥室も借金をしてやっておる。そういう意味からいままでやってきた専売公社の方針を、公社の一方的な判断で、ただ安全性だ、嗜好性だ、経済性だなんという変な理屈をつけて、猶予期間も何も与えずにそういう考え方を出して、農民ははたしてほんとうにつくるのだろうか、収入の少ない、労働時間のたくさんかかる在来種をつくるだろうか、これは常識の問題だと思うのですが、この点の考え方はどうですか。
  39. 黒田実

    ○黒田説明員 御指摘のように、黄色種と在来種との耕作ということを考えてみますと、在来種につきましては十アール当たりの植えつけ本数が多いとか、あるいは収穫の葉数も多いというようなことで、黄色種よりも非常に手間がかかるというような点がございます。あるいはまた乾燥等につきましても、黄色種につきましては火力乾燥で人為的にコントロールできるわけでございますが、在来、バーレーにつきましてはどうしても自然の気象条件にたよっての乾燥を行なう、こういう点がございまして、耕作者の方の希望もあまり強くない、これは実際そういうことでございます。私どもといたしましては、これらの点につきましてはやはり何かいろいろな点を改めぬとなかなかつくっていただけないのじゃないかということを考えておりまして、最近試験機関でもいろいろ新しい、つくりやすい、収量の多い在来種の品種を育成しましてこういうものを普及するということ、それから乾燥等につきましてもことしも試験をやったわけでございますが、従来の電気にたよる乾燥でなくて、黄色種と同じような火力乾燥で在来種も仕上げるというような試験も本年実施いたしておるわけでございますけれども、そういうような種類の面、耕作、乾燥法の面から詰めまして、もう少し手間のかからぬ、楽にできる在来種耕作ということで今後ものごとを考えていきたいというふうに考えております。また価格の面につきましても、黄色種と在来種の価格の均衡というような点につきまして十二分に検討したい、かように考えておるわけでございます。
  40. 柴田健治

    ○柴田委員 とにかく省力化を農林省や何か唱えて、労働時間の短縮を考えてやれ、こういう指導をいま強く出しておる。そういう中で、たばこだけは労働時間のたくさんかかるようなたばこに切りかえるなんというのは、いまの時点では私は非常におかしいと思うことと、それから要するに低ニコチン政策——ニコチンの増減というものは加工技術の段階で多少あるということと、ニコチンの多い少ないというのは、日本の葉たばこにおいては気象条件なり湿度の関係だ。耕作農民にどろをかぶせる筋合いのものじゃない。これは地球上の位置が悪い。日本列島、この湿度の関係によって、これは麦も一緒ですが、そうなる。農民にどろをかぶせるという考え方でなく、同じ日本人なら、日本人をかわいがっていくという考え方、そして同じような気象条件の中で住んでおるのですから、その中で第一次産業で苦労しておる農民にそういう点もっと思いやりがあってしかるべきだ、こう私は思うのですよ。そういうことから、労働時間のたくさんかかるような葉たばこに転換さして、はたして農民が——これは自然淘汰してやめてしまう。出かせぎしたほうがいいじゃないか。やめろといったら、補償金をくれというから、専売公社が心配して、自然にやめさせる方向にやっていくのじゃないか。意地の悪い考え方かどうか知らぬけれども、とにかくやめさせるように、日本の葉たばこを減反させるように、自動的にそういう政策をとるのではないか。そして、外国から葉たばこをたくさん輸入するのじゃないか、こういう考え方に立つ。なぜならば、現在八万一千七百四十九町歩、これは在来種を含めて黄色を五万三千か四千植えておるのです。これをどんとん減らしていくということは——現時点でも一五%を輸入しているでしょうが。中期計画を見ると、五年先には本数にして二千六百億本製造する、こういう計画ですよ。現在二千億本程度生産されておる。それで、八万二千町歩足らず植えておる。一五%からいうと、大体一万町歩、二百億本程度とれるじゃないか。そうすると、二千六百億本のたばこの製造本数をつくるとするならば、国内自給体制をとるとすれば、十三万町歩くらい葉たばこを植えさしてもいいじゃないかという勘定をわれわれは一方的に判断しているのですが、そういう長期の見通しの中で、喫煙者がふえてくる、たばこの消費量が伸びてくる、こういうことの中で、葉たばこだけを減反政策の方向で、そして労働時間がたくさんかかるように、自然にやめていくような方向で出してくるというのは、私は日本の専売公社といえない、どこの国の専売公社か、こういう気がするのですが、総裁の考え方を明らかにしてもらいたい。
  41. 東海林武雄

    ○東海林説明員 お答えいたします。  現在、たばこの原料といたしましては、御承知のように国産葉が八五%、外国の葉が一五%でございます。これが年々伸びていきますと、いま御指摘のような数字が出るかと思いますけれども、私どもの考えといたしましては、国産葉でまかなえないものを外国葉にたよる、つまり、国産葉中心の考え方というものは現在も変わっておりませんし、今後もそういうことは変わらない、こういうことなんであります。したがいまして、いま品種の改良とか低ニコ、低タールのものとか、そういうもののことに非常な努力を払っておりますし、また、ただいま御指摘がありましたような、加工技術の面で低ニコのものができないか、これは技術的にはできるんでございますけれども、現在の段階では非常にイールドが悪い。こういうような問題がございまして、早急にこれを扱うことはできない。しかし、今後は、そういうような国産葉でわれわれの希望するような葉が出てきますれば、あるいは将来の問題としましては、またふやしていくというような時代がくるかもしれませんし、いまのところでは、五年先を見た場合に、現在の在庫の量からいきますと、その点ははっきり申し上げられないというような状態でございます。
  42. 柴田健治

    ○柴田委員 一にも二にも輸入政策に重点を置くような感じを強く持つわけです。  次に、主産地形成ということばが入っていて、東北、北陸の一部、山陰、中国、瀬戸内、南九州という具体的な地域名をあげておるのですが、これらの主産地形成は具体的にどういうような調査をせられておるのですか。今年度中に調査をして明確にしていく、こういう考え方のようですが、この主産地形式の考え方を少し明らかにしてもらいたと思います。
  43. 黒田実

    ○黒田説明員 実は主産地形成ということで中期計画等に書いてございますが、いろいろ誤解を生ずるようなことばづかいでもございますので、最近私ども、内部に対しましては、将来の安定した集団産地の育成、こういうことばで言い直しております。御承知のように、将来の安定した集団産地というようなことを考えます場合、やはり農業振興地域というようなものを対象にしまして、全国の国土計画なりあるいは地方の農業計画なり、そういうものと密接に関連して将来の産地を考えていくべきではないか、かようなことで、私ども現在の全国の各産地につきまして、いろいろそういう地域の問題、それからたばこが生産性の面で、また品質の面で、あるいは農家経営の面で一体どういう状態にあるか、こういうものを調査しまして、将来どの地帯を集団産地として育成したほうがいいのか、この辺の調査を現実にやっておるわけでございまして、どの地方をどういうように持っていくというところまでは、まだ全然きめていないわけでございます。
  44. 柴田健治

    ○柴田委員 それは調査はやっておるということなんですか。
  45. 黒田実

    ○黒田説明員 はい。
  46. 柴田健治

    ○柴田委員 調査をやっておる。それで農林省のほうの、たとえば今度新総合農政なんということばが出てくるのですが、この農林省との話し合いというものはしなくても、専売公社はかってにそういう主産地育成のような方向でやるのですか。   〔安倍委員長代理退席、湊委員長代理着席〕
  47. 黒田実

    ○黒田説明員 やはりこれまでもいろんなことにつきましては農林省に御相談いたしましてやっております。たとえば第一次の構造改善事業をはじめといたしまして、いろいろな農政の対象の中にはやはりたばこも入れていただいておりまして、そういうことで、すべての点で農林省とは密接に御連絡申し上げてこれまで仕事をしてまいっておりますので、たばこの立場だけで一方的にいろんなことをきめていこう、こういうことは考えておりません。
  48. 柴田健治

    ○柴田委員 第一次構造改善の地域で、三十七年から四十三年まで、大体作付品目の中で百二十一個所全国で葉たばこ耕作を認めているわけですが、今度第二次構造改善の段階に入って、第二次構造改善と今度の葉たばこ耕作についての作付面積、この点について農林省のほうは——園芸局長見えておると思うのですが、第二次構造改善の中でどういう考え方で葉たばこ耕作を取り上げていくのか、公社とどういう話し合いをしているのか、それを局長からお願いしたいと思います。
  49. 池田俊也

    ○池田説明員 私どもは、現在第二次構造改善事業の候補地区の選定を実はいたしておるわけでございます。初年度二百地域指定をしたいということで、いろいろ県と御相談をしておるわけでございます。その中でも当然たばこをその中に取り入れようという候補地区があるわけでございまして、現在これはいろいろ県と相談している段階でございますが、私どもは当然、生産方面の指導をしておられる専売公社といろいろ御相談をする必要がありますので、実はそれぞれの地区につきまして具体的に御相談を申し上げたいと思っておるわけでございます。
  50. 柴田健治

    ○柴田委員 それじゃ、第二次構造改善、この間の考え方の中では、まだ葉たばこについての考え方は十分でないということですか。
  51. 池田俊也

    ○池田説明員 構造改善の地区を選定いたしまして、その地区の中でどういう作目を基幹にして地域振興をはかっていくかということは、これは地域農業者の意向を基礎にして考えなければならないというふうに私どもは考えているわけでございます。したがいまして、たとえば二千二百五十地区の中で米を主にするものが幾ら、畜産を主にするものが幾らということを画一的に初めからきめるのはよくないのではなかろうか。むしろ地域の御希望を十分伺いまして、その上で全体の方向と調整をしたい、こういう気持ちでございますので、初めからたばこを何地区くらい選ぶということは実はぎめておらないわけでございます。
  52. 柴田健治

    ○柴田委員 今後の話し合いを十分してもらいたいと思うのですが、専売公社のほうで、先ほど価格の問題を考えたい。在来を伸ばすためには、いままでのような平地であるとか山地であるとか、山間地、畑地、いろいろ収穫なり検査方式その他、いまの専売法からいうとそういういろいろなむずかしい規定があるわけですが、これらの現行法規の制度的な検討、今度の価格の問題すべて含めて改正をするのだ、こういう考え方ですか。
  53. 黒田実

    ○黒田説明員 制度的ということではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、在来種につきましては非常に耕作の面で非近代的な面がございますので、これを極力近代的な方法でやるように、技術面でも改良していく。種類の面からもそういうような近代的な耕作法が適用できるような新しい種類に持っていくというようなこと。価格の面につきましては、各種類ごとの特性によりまして、毎年各種類の均衡ということを考えて種類別の価格をきめているわけでございますが、在来種をかなり力を入れて今後維持していくということになりますと、そういう価格の検討の際も、在来バーレ一種につきましては従来以上に非常に重視する考え方を持たぬと、うまく振興できないのじゃないかというようなことを申し上げたわけでございます。
  54. 柴田健治

    ○柴田委員 いま外国葉たばこの輸入で、韓国だけが日本よりも少し安い。あとはどこの国も高いのを買っているということですが、そうすると、この低ニコチン政策で在来種のほうを奨励するなら、せめて外国並みの価格まで引き上げる必要がある。そうしないとどうもおかしいという気がするのですが、そういう点は、将来農民にもっと生産意欲が出るように、自然にやめていくような印象を与えないように、そういう政策にならないように十分な配慮をしてもらいたい。こういうわれわれの考え方なんですが、そういうこととあわせて、いままで黄色葉を奨励してきたので共同育苗場や共同乾燥場は相当の負債を持っておるのですが、こういう負債の問題についてどう解決してやるのか、こういう点についてお考えを聞いておきたいのです。
  55. 黒田実

    ○黒田説明員 乾燥室の償却の問題でございますけれども、私どもわずかではございますが耕作者の方が乾燥室を新築されました場合には補助金は出しておるわけでございます。これは直接にそれの負債をどうするのだというお尋ねでございますけれども、私どもはたばこの耕作につきましては、耕作者の方がどうしてもいろいろな事情でおやめになる場合は別としまして、そうでない場合に公社のほうからやめていただくというようなことはいままでやってないわけでございます。したがいまして、つくりたいのに無理にたばこの耕作をやめていただく、こういう措置はやっておりませんので、そういう意味でおつくりになりたい方は、償却の済む年限は少なくともたばこの耕作を継続耕作していただく、かような形になっているかと思います。
  56. 柴田健治

    ○柴田委員 やめろと言わないけれども、そういう言い方をするから、われわれおかしいと思うのですね。とにかくたばこをつくれば、出かせぎに行かなくても安定してやれるのだという、そういう安定性のことを考えてもらわないと、もうやめる人はしょうがないのだ、つくっていただく人はこうやってもらう、そういう考え方自体が、先ほど私が申し上げたように、もうやめろ、やるなというような、やめる人はやめてもらってけっこうです、とにかく外国たばこ入れます、こういう考え方に結びつく可能性があるから、われわれはあくまでも日本の農民を守っていくという、そういう立場で一あなたらも日本人だ。やはり日本の国民から月給もらって、要するに日本人同士なんだから、筋の通る、愛情のある、そういう方向で政策を進めてもらいたい。これはお願いしておきます。  次に食糧庁長官に聞きたいのです。時間がもうありませんが、ことしの自主流通米は成功しておるのかどうか、現状をひとつ自信をもってお答え願いたいのです。
  57. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 自主流通米制度は本年産米から初めて実施に入ったわけでございまして、七、八月に数量としては七千トン程度でございましたが、超早場米の自主流通が行なわれた。九月には、いまはっきりした数字が把握できておりませんけれども、取引の成立高が約五万トン程度というような事情でございます。当初当委員会でも御説明申し上げましたとおり、政府としては酒米、モチ米等で約七十万トン、一般の配給米としてウルチ約百万トンを、自主流通の量として見込んでおったのでございますが、現段階での自主流通の流通量は、正直に申し上げまして私は満足できる量ではないというふうに思っております。ただ本格的な自主流通はこれからの問題でございまして、十月以降どういうふうに流れるであろうかということでございますが、実施をいたしてまいりますと、なかなかむずかしい点がいろいろとあるということを感じておるのであります。どういうことが問題であるかと考えますと、第一は、御案内のように政府の配給米につきまして、政府買い入れ価格政府売り渡し価格に相当大きな逆ざやがあるということ、これはやはり自主流通米について価格の面での一つの壁になっているということが一つ。それから三十年近い政府を通しての米の流通が行なわれてまいったのでございまして、関係者が民間流通ということに全くふなれな状態であるということが一つあるかと思います。また本年の事情といたしまして、当初出回りました超早場米の中で一部消費者の段階でも不評を買ったというようなことが、自主流通の発足にやや人気を落としたというような事情もあろうかと思うのであります。  今後の問題としましては、いまの段階ではっきり予測することは困難でございますが、私どもとしては、いろいろな問題点もございますけれども関係者の関心もようやく高まってまいっておりますので、できる限り自主流通の円滑な定着というものにつとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  58. 柴田健治

    ○柴田委員 われわれは自主流通米に反対してきましたが、それは、いまの配給行政機構の中で混乱こそ起きても、消費者と生産者の大きな迷惑、こういう考え方で反対してきたのですが、これが成功するとはわれわれは信じておりません。しかし今日ほど農民に希望と夢を失わせた農政を行なってきたことには、政府もそうですが、農林省当局の思いつきが非常に災いをしておる。ただ農業基本法をこしらえて、選択的拡大だ、自立農家の育成だといったが、自立農家はどんどん減って、自立でなしに自滅だ。この責任は非常に大きいと私は思うのですが、こういう中でまた農政審議会が出したこの答申、八つほど大筋が答申されておりますが、その中でわれわれが非常に関心を持っておるのは、米の生産抑制策、こういう点で今後どうなるのか。それから食管法の改正もしくは特別立法をつくれという指摘がある。要するに答申の内容にある。こういうことでまた明年の米価が上がらないし、また買い入れ制限ということばも使われている中で、これは農民の中でけんかさせるようになってしまう。たとえば農協が役員報酬を上げることもできないし、職員の給料も上げられないということになってくる。農協の総会を開いて役員の報酬を上げる、職員の給与を上げようとしたら、農民はどういうか、私たちは毎年米価は上がりやしない、農業経営は苦しくなってくる。生活も苦しくなってくる。今度は最低の生活に戻さなければならぬ。やや多少よくなってきたときにまたもとに戻さなければならぬ、そういう危機感というか、生活不安からくる意見というものは、農協の職員や役員にだけ給料を上げるとは許せぬと、結局今度は農民同士でけんかをさせるような分裂政策だ。そうすると、役場の職員にも影響してくる。農村地帯に混乱を与えるようなこういう価格政策というか、そういうものを−われわれが考えた場合に、将来そういう問題が起きるであろう。そういう予測をいまから考えて、もっと農民に希望と夢を与えるような農政を打ち出さなければならないと私は思うのですが、食糧庁長官、この前、農政審議会にかけたその案がいずれ出てくるでしょう、それを参考にして大いにやりますという答弁をしたんですが、農政審議会の答申を見ると、いまわれわれが期待しておったようなところとたいへんかけ離れておる。最終的には貿易政策に協力する農業政策をやれ、貿易政策に協力するような農業というものはどういうものなんだろうか、こういうわれわれが非常に心配をする点が多いわけですが、いま私たちは、たとえば老後の保障で農民年金の問題が出ておる。これらでも四十五年度を目途として取り組んでおるという程度のことだし、それから問題は、日本人の食べる食糧の基本的なものがないじゃないか。栄養計画というものは国が立てるべきでないか。いまたとえば二千三百カロリーから二千四百カロリー食べておるものを、たとえば二千九百に上げるとか、その二千九百の中で穀物、イモ澱粉、肉、魚介類、蔬菜、果樹というものをどう食べさせていくか。こういう栄養計画を立てて、これは国の責任でやるべきだ、こう私は思うのです。その栄養計画を立てて需給計画を立てる、そうして生産計画を立てていくというそういうものがないと、ああでもない、こうでもない。いまの農政の中心という問題は何かというと、いま米が余っておる。米が余っておるのだからこれをどうするか。しょうがないじゃないか、余っておるのはどうするのだと、けつをまくるような言い方をしておる。余らしたのはだれが余らしたか。そういう責任も感じない、反省もしないというところに私は前進はないと思うのです。食糧庁長官はもう少し反省をすべきじゃないか、こういう気がするのです。政府の備蓄米を国において責任をもってどれだけ備蓄をしなければならぬかということも国民の前に明らかにしない。ただ必要だという程度であって、ただ百万トンじゃ、百五十万トンじゃ、いいかげんなことを言っておる。そういう数字もちらほらと出ておる。そういうことでなしに、一億の人口の食糧を何ヵ月分、六ヵ月分なら六ヵ月分を備蓄米で国の責任で、腐ろうと、どうなろうと、食管会計が赤字になろうと、備蓄米は当然国が責任を持つべきです。いま米が五百七十万トン余ったからといって、備蓄米の四百万トン取ったら、残りは百七十万トンしかないじゃないかということも出てくるわけです。だから、そういう基本的なものが何もなくして、余っておるからどうするかというこういう点、この点について、また明年も米価は据え置くのか、こういう関係は、食糧庁長官、農政審議会が出した答申をもう検討されておるのですから、あなたも立ち会われておるのですから、その見解を聞いておきたいと思う。
  59. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 お話にございましたように、先ほど農政審議会の答申が出されたのでございまして、一年近い間農政審議会の委員あるいは専門委員の方々の慎重な検討の結果がまとめられたものと私どもは理解をいたしております。農政審議会の答申は、ある意味でわれわれ農政に当たる者あるいは農政に関係する者にきびしい一面もございますけれども、私どもとしては、日本の農業を新しい近代的な農業へ持っていき、また農業が社会的に果たすべき役割りについての指摘は、私どもとして傾聴に値するものが多いと思うのでございます。ただこれを受けまして政府としてどのような政策の展開をやるかということは今後の問題でございまして、私ども農林省内部、政府内部でも検討いたしますと同時に、関係方面との意見の調整というようなものをはかって最終的に政策の実現をはかっていくということになると思うのでございます。  私の所掌以外の問題で農政全般の問題についてのお答えは私では適当ではございませんで、官房長も見えていますからお答えがあるかと思います。  米価の問題につきましては、現段階で四十五年産米の米価をどうするかということを私どもはここではっきり申し上げられる段階でないことは御理解いただけるかと思うのでございますが、現在の困難な食糧管理の現状というものを踏まえつつ、また農家の経済の事情というようなものも念頭に置きつつ、慎重な検討の上で、最終の結論を出すようにすべきであろうというふうに思っております。
  60. 柴田健治

    ○柴田委員 官房長、六月十日に四十四年産米の米価据え置きがきまったそのとき、二つの意見が出ておった。要するに、経済の法則に従って、物が余ったら安くするのがあたりまえだという考え方が一つと、もう一つは、物価対策から見て、米価を上げると物価が上がる、そのために、物価対策から米価は上げるべきでない、この二つの意見が国会の中でも出てきたわけですが、ところが、米価を押えたけれども物価は上がってきた。理由は何ですか、官房長。これは農民が非常に不審を持っておるのですよ。疑問を持っておるのですよ。米価は押えたけれども物価は十三年ぶりの上昇を見ておる、卸売り物価、消費者物価。この点は、農民だけにどろをかぶせるような押え方をすると、農民は非常に反発する。官房長、米価を押えたが物価は上がる理由は何ですか。
  61. 大和田啓気

    ○大和田説明員 米価あるいは農産物価格と一般物価の動向との関係についてはいろいろお説がございます。農産物価格あるいは米価が上がったから物価を押し上げたという意見もございますし、最近のように、米価は据え置いたにもかかわらず物価が上がったんだから、物価と米価との関係はないではないかという御議論もあるわけでございます。これはむしろ理論的な問題よりも実証的な問題でございまして、昨年からことしにかけまして、特にことし生産者米価の据え置き、それから消費者米価の据え置きということがございましたにもかかわらず物価が上がりましたことにつきましては、それは経済全体の問題がございますから、現在の段階においては、米価が物価を押し上げた原因ではなかろうというふうに、私は当然いえるだろうと思います。しかし、過去において米価ないし農産物価格の値上がりが物価に全然影響がなかったかというと、これはまた必ずしもそういうふうにいうわけにはいかない。これはむしろ理論の問題よりも実証的な問題でございますから、過去においてそういうこともあったであろうし、しかし現段階においては今日の物価の上昇の原因は、米価を現実に据え置いているわけでございますから、米価によって物価が動かされたということではない、これも事実であろうと思います。
  62. 柴田健治

    ○柴田委員 私たちは前から言っているのですよ。生産者米価を上げたからといって物価の問題はない。日本の通貨政策の大きな誤りがある。いまの国内の負債総額は百六十五兆円くらいある。先行投資だ、設備投資だ、何だ、いいかげんな名前をつけていますけれども、このいまのインフレ的な膨張の通貨政策をとられるからこんなことになってくる。もう一つは、流通の改善を一つもしない。これは政府責任ですよ、通貨政策、流通の改善をしないという姿勢は。それを生産農民にどろをかぶせるようなやり方は、今後十分反省していただいて、農林省の中でももっと明確に、農民の罪じゃありません、これは政府全体の責任です、政府・自民党の責任ですと、このくらいのことは官房長や大臣以下言うべきだと思う、食糧庁長官。今度の四十四年産米の米価の据え置きのときの、余ったら物を安くするのがあたりまえだという経済の法則論と、もう一つは物価の面から米価を押えるんだ、この二つで国民をごまかしたということは大きな誤りがある。この点だけ指摘して、終わります。
  63. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 次に、美濃政市君。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、まず最初に、昭和四十一年五月八日と本年八月十一日にソ連の監視船の接舷によって船体が破壊されて沈没、十七名の死亡事故を起こしておりますが、これに対する水産庁の見解をひとつまず先に承りたいと思います。この事故に対してどういう見解を持って処理してきておるか。
  65. 森本修

    ○森本説明員 第十一進洋丸と第十三福寿丸事件についてのお尋ねでございますが、いずれも北方の水域におきましてソ連の官憲の追跡、それから拿捕あるいは連行の際におきまして、船体が沈没をして多数の乗り組み員の行くえ不明ないしは死亡の事故を起こした事件でございますが、私どもとしてもたいへん遺憾に思っております。  やってまいりましたことは、一つはソ連側に対しましてそのつど口上書をもってソ連の官憲による不当な行為に対しまして厳重に抗議をしてまいりました。またそのときに起こりました人的あるいは物的の損害に対しまして、ソ連側に損害賠償の請求権を留保をするというような対外的なことをやってまいりました。それから、第十一進洋丸につきましては、それぞれ漁船に対する保険金の支払いあるいは乗り組み員の給与に関する保険がございます。あるいは遺族に対する交付金等々の支払いが行なわれてまいりました。今回の第十三福寿丸の事件につきましては、そういった国内的な措置はまだ発生後日にちがそれほどたっておりません関係から手続が済んでおりません。  以上概略を御報告申し上げます。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 いまお話しがございました中で、物的損害は大体的確に把握できると思うのですが、人的損害はどのように見ておるか。人的な損害というものは、たとえば交通事故による自賠責などというのもありますが、この起きておる事象は交通事故とは違っておりますけれども、国から見た人的損害というものはどういうふうに評価をしておるか。
  67. 森本修

    ○森本説明員 実は一応たてまえ論を申し上げまして非常に恐縮でございますが、損害賠償の要求はやはり原則としては当事者のほうから提起をされまして、私どものほうでそれを対外的にバックアップするといいますか、そういったことになります。まだ第十一進洋丸の事件につきましてはその手順がなされておりませんので、私どものほうでどの程度という金額的な損害賠償の額を御説明するところまでは至っておりません。
  68. 美濃政市

    ○美濃委員 行政指導としてはどうですか。十一進洋丸についても十三福寿丸についても、そのまま放置してあるということですか、それとも行政指導としてそういう損害請求をしなさいということを指導しておりますか。
  69. 森本修

    ○森本説明員 実はこういった事件は、対ソ連、北方海域におけるもの、あるいは従来韓国との関係等もございまして、たいへんざっくばらんにいいますと、私どものほうでも指導上むずかしい問題がございます。今回の事件におきましても、こういつた事故を起こしました原因等につきましては、先ほど申し上げましたように私どものほうからソ連側にかなり厳重な抗議をいたしておりますが、ソ連側もまた向こう側の持っております材料によって見解を述べておりまして、必ずしもそういった事故発生原因についても一致をしないというふうな状況になっております。したがいまして、損害賠償の請求を現実にいたしましても、はたしてそういった問題が解決をされて、最終的に損害賠償が行なわれるかどうかといったようなことがさだかに現段階においては見通しがっきにくいというところでございます。そういう段階におきまして、役所側で出しなさいというふうな指導をやるのがいいかどうかという点におきまして、私ども行政庁としてもかなりむずかしい問題がございますので、従来はざっくばらんにいいますと、損害賠償の請求をしなさいという指導をあまりはかばかしくはいたしていないという事情にございます。
  70. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、それぞれ当該被害者がこれは出さなければいけないと思うのですが、当該被害者の意思でその損害要請を行なうということになった場合の日本政府としての取り扱う窓口、これはどういうふうに考えておりますか。どこが窓口になりますか。そのまま指導はできないにしても、放置しておくということは、これはいけないことだと思うんです。どういうふうに考えておりますか、また具体的にどうなりますか、どこが窓口になってそれを受け付けるか。
  71. 森本修

    ○森本説明員 形式的には窓口といわれますとあれですが、いずれにいたしましても、私ども水産庁としても漁民に非常に関係の深いことでございますから、そういったことが起こりますれば、私どもと外務省がよく相談をして、対外的にしかるべき措置を役所としてもとっていきたいというふうに思います。
  72. 美濃政市

    ○美濃委員 その損害のあて先はどういうふうに考えておりますか、ソ連あてになりますか、日本政府あてになりますか。
  73. 中尾賢次

    ○中尾説明員 損害の賠償の請求は、船主あるいはその遺族の方々、当事者からソ連に対して行なうということになります。それをどういう経路を通じてやるかという問題は、あるいは北海道庁あるいは水産庁、こういうところを通じて外務省に来ると思います。
  74. 美濃政市

    ○美濃委員 ちょっと聞き取りづらかったのですが、手続はそういう順序でいいですが、そのあて先は農林大臣になるのか、総理大臣になるのか、それともソ連あての損害賠償請求になるのか。書類提出のあて先です。
  75. 中尾賢次

    ○中尾説明員 それやこれやの事件についてこのような損害賠償の請求をしたいというソ連あてのものであります。それを政府を通じて出すということでありますから、北海道の知事あてであってもそれが外務省のほうに来る、こういうことでございます。むろん外務省、外務大臣あてでもけっこうであります。
  76. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、あて先は外務大臣あてでも知事あてでもあるいは農林大臣あてでもよろしいということですか。そういうふうに解釈して間違いないですか。
  77. 中尾賢次

    ○中尾説明員 私が申しましたのは、損害賠償のあて先はソ連であります。
  78. 美濃政市

    ○美濃委員 ソ連のあて先の名前をはっきりしてください。
  79. 中尾賢次

    ○中尾説明員 ソ連政府です。
  80. 美濃政市

    ○美濃委員 ソ連政府という書き方でいいんですか。ソ連政府という抽象的な書き方でいいんですか。たとえばソ連圏首相コスイギン何それ殿というふうに書かなくてもいいんですか。ソ連政府でいいんですか。それをはっきりしてください。
  81. 中尾賢次

    ○中尾説明員 ソ連政府でいいです。
  82. 美濃政市

    ○美濃委員 ソ連政府あて、政府という表示でいいですか。間違いないですか。書類のあて先として。
  83. 中尾賢次

    ○中尾説明員 間違いありません。
  84. 美濃政市

    ○美濃委員 これは外務省から抗議をしておりますが、どういう内容で抗議をしたか、そのてんまつをお聞かせ願いたいと思います。ソ連政府に対して具体的にどういう抗議をしたか、外務省から答弁を願いたいと思います。
  85. 中尾賢次

    ○中尾説明員 ソ連政府に対しましては、日本政府調査いたしました事情を口上書にいたしまして、これをモスクワにおいてわがほうの日本の大使館からソ連の外務省あてに口上書で抗議をいたしました。その内容は公表をしております。
  86. 美濃政市

    ○美濃委員 その口上書の概要ですね、損害額などは記入してあったかどうか。概要でいいです。どういう概要で口上書をつくって出したか。その中に損害額は記入して出したかどうか。
  87. 中尾賢次

    ○中尾説明員 事件のこちらの調査の模様を書きまして、そしてそれに対する損害賠償の権利を留保する、こういうふうに書いてあります。
  88. 美濃政市

    ○美濃委員 口上書は文書で出したわけですね。その文書は資料としてあとからいただきたいと思いますが……。
  89. 中尾賢次

    ○中尾説明員 口上書は新聞発表しておりますが、同じものを資料としてお届けいたします。
  90. 美濃政市

    ○美濃委員 その口上書の中に損害賠償の権利を留保するということを書いておるといま言われたのですが、その損害額は具体的に明示したかどうか。
  91. 中尾賢次

    ○中尾説明員 損害額は明示してございません。
  92. 美濃政市

    ○美濃委員 なぜ明示しなかったのか。どういう理由で明示しなかったのか。
  93. 中尾賢次

    ○中尾説明員 先ほど申しましたとおり、当事者から幾らという損害賠償の請求が参りまして、それを政府はソ連政府に取り次ぐ、こういうことになります。幾らの損害賠償を請求するかということは、第一次的には当事者が決定をするわけでありまして、政府としましては、その内容を見まして、しかるべきものと認めましたときにそれを向こうに出すわけであります。
  94. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、外務省としてはいま言われたようなことを当事者に通知をしましたか。損害額を提示したいから希望する損害額を出しなさいという行政指導をしておりますか。
  95. 中尾賢次

    ○中尾説明員 北海道の漁業の関係の方々に対して、非公式ではありますけれども、その損害額の請求をすべきかどうか、するとすればその内容はどういうものにするかということについて御検討願いたいということを申してあります。
  96. 美濃政市

    ○美濃委員 非公式というが、それはどこへやりましたか。はっきりしてください。道庁のどこですか。役職名をひとつ……。ここは公開の席上ですから申せると思うのです。文書でなくてもいいですが、非公式なら非公式で、北海道庁のどういう機関の何という者に連絡したか。
  97. 中尾賢次

    ○中尾説明員 北海道庁ではございませんで、今度の第十三福寿丸の事件につきまして、外務省に遺族の方その他北海道の漁業代表者の方々が見えたことがあるわけであります。そのときに申し上げました。
  98. 美濃政市

    ○美濃委員 十一進洋丸はどうですか。
  99. 中尾賢次

    ○中尾説明員 十一進洋丸につきましてはそういうことはございません。
  100. 美濃政市

    ○美濃委員 十一進洋丸についてはそういう指導をしていないのですか。
  101. 中尾賢次

    ○中尾説明員 だいぶ前のことでございますので、私いま存じておりませんので、そういうことがあったかどうかは私がいま申し上げることはできませんです。
  102. 美濃政市

    ○美濃委員 日本政府としてソ連に抗議をした以上、非はソ連にあるという解釈をとって差しつかえないわけですね。そういうふうに解釈して間違いないか。
  103. 中尾賢次

    ○中尾説明員 先ほど水産庁長官から御説明がありましたように、こちらの抗議と向こうのソ連政府の言い分は食い違った点があるわけでありますが、これは両方とも公表してありますが、この公表した文書を見ましても、ソ連側の主張が正しいとはわれわれは考えられないのでありまして、したがって、抗議をする十分な理由があると思います。抗議をし、損害賠償を請求する理由があると考えております。
  104. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、事件の経過から見て、日本側としてはソ連側に非がある、こう解釈して抗議をしたというお話なんですが、こういう事件に対して、この解決の見通しはどうですか。たとえば遺族から損害賠償の請求が出れば、それをすぐソ連側に提示して早期に解決する見通し、解決期間等の見通しはどういうことになりますか。
  105. 中尾賢次

    ○中尾説明員 ソ連側の立場は領海を侵犯して不法な漁労をしたということでありまして、なお衝突の原因については、ソ連の警備艇が衝突したのではなくて、むしろ日本の漁船が安全航行の規則に違反をして無理な航法をしたために沈没したのだ、こういうふうに言っておるわけであります。ところがわれわれ日本側はそうは見ておらないのでありまして、拿捕を免れるために逃げることはありましても、木造船が鉄製の警備艇に追いかけられてこれがみずから鉄船にぶつかるというようなことは、状況として常識上考えられないわけであります。したがいまして、この立証は非常にむずかしいと思いますけれども、十分に主張はできると思います。ただ、いま申し上げましたとおりに、双方の主張が原則的に異なっておりますので、この損害賠償の請求を出しましても、すぐにソ連がこれに応ずるという見通しはございません。
  106. 美濃政市

    ○美濃委員 これは調査が不十分でありまして、もう徹底した証拠になる調査を厳格にしておるかどうか、そういうあいまいな根拠に基づいて抗議をしたのか、追跡調査ははっきりできておるかどうか、あるいは手元に水産庁からもらった資料があるのですが、私が現地で見てきた資料とは、この十一進洋丸あたりでもだいぶ違いますね。船を引き船するのに手間どったと書いてあるけれども、実際起きた現象は、ロープで引っぱったんだけれども、ロープが切れて、そしてロープが切れたものだから、そのショックで引き船しておった監視船から一回離れて、またそのロープでもう一回引き船する段取りに向かう間に沈没しておるという状況を、私は現地の資料では確認してきておるのですが、これは引き船するために手間どって沈没したと書いてある。ロープが切れてそういう現象が起きたという具体的なことは書いてないのだが、これは省略して書いたのか、現地実情と違う。この程度の資料しかないのか。
  107. 森本修

    ○森本説明員 こういう概要をサムアップして書いたものですから、多少舌足らずといいますか、全体を圧縮したような形になっておりますから、詳細な点については省略をしておるようなところもございます。しかし私どもとしては、日本側で確認し得ることはできるだけ確認しておるつもりでございます。
  108. 美濃政市

    ○美濃委員 大体前後を考えてみて、日本政府としてはソ連側にそういう非があるという考えに立った以上、外交的に長引くと思うのです。そこで日本政府が当該当事者から、——これは損害請求は出さなければならぬと私は思うのです。本人が出すか出さぬかは別であります。これは私は出させなければならぬと思います。私どもの立場からは、きょうのこの審議の経過から見て、私どもは出しなさいということを言わなければならぬと思うのです、国民に不親切でありますから。あなた方はそれをあまり積極的にやっていないわけであります。出てきた場合、日本政府が、適否を考えて、いわゆるソ連側に要求する金額はきめますね。出てきた場合の措置はどうですか。
  109. 森本修

    ○森本説明員 そういった損害賠償の要求が出てまいりますならば、当然金額も入ったものが出てくるものと私どもは想定をいたしております。そういうものを拝見をいたしまして、外務省とよく打ち合わせをして、ソ連側に伝えるといいますか、外交的なチャンネルを通じて向こう側に送りつけるというふうなことになろうかと思います。
  110. 美濃政市

    ○美濃委員 これは十六名からの死亡者が出て、遺族も経済的に非常に困っておるわけですが、いま政府措置は、何か特別交付金として七万五千円を交付して、ソ連側から損害賠償がとれた場合は控除するという文書をつけて七万五千円を交付しておるようでありますが、こういう措置では私は不十分だと思うのです。これは当該本人から損害請求が起き、その損害請求を日本政府で煮詰めてソ連に提示する額は、日本政府は一時立てかえをすべきである、こう思うのですが、そういうことについては今後どう考えていこうとするか。
  111. 森本修

    ○森本説明員 こういった事件が起こりましたときの措置といたしましては、御案内のように船体につきましては漁船の保険、それから生存者なりあるいは死亡者につきましては、それぞれ先ほど言いました所要の措置がきめられて今日まできております。また死亡の際におきましては、これまた御説明を要しないと思いますが、労災保険によりまして事件、相手によりまして年金あるいは一時金といったような形でそれぞれ金額が渡ることになっております。そういう関係で私どもとしましてはそういった全体の被害者に対する援護の状況というふうなものを見て、こういった問題については対処しなければならぬだろうという感じでおります。
  112. 美濃政市

    ○美濃委員 もちろんそういう措置は本人が生存して働いておるという所得から見ると何割かの措置であります。ですから、こういう死亡災害を起こしておるのですから、いわゆる死亡災害に伴う一時金の措置というものは、当然それをソ連に要求するわけですから、それは日本政府がある程度全額肩がわりをするか、そういう損害を請求する額から日本政府がそういう制度的な措置済みの金額を差し引くかは今後のあれがあると思いますけれども、七万五千円というのは私は了解できぬわけです。ですからソ連側に提示する要求額の全額にするか、その損害要求の全額から制度的に措置したものを除くかは今後検討の必要があると思いますけれども、単に七万五千円の交付金で打ち切っておいて、それも単に見舞い金で日本政府あとから十分な措置をするというならわかりますけれども、ソ連から取った場合七万五千円も差し引くぞということでありますから、本気になって取る気があるかというと何もやっていないということでありますから、こういう措置で放置するということは私は国民に対していけない、こう思うわけです。これは政務次官にお尋ねします。今後これを検討する必要があると思うのですが、いかがですか。いまは即答ができないと思いますけれども、このままで放置するということはいけない。今後十分検討をしてもらわなければいかぬと思うのです。
  113. 小沢辰男

    小沢説明員 先生から前々そういうお話を聞いて、また被害の家族の方々とも、一回先生と向こうの漁連の会長ともお会いしたことがございます。私は非常に心から御同情申し上げておるわけでございますが、御要旨は、ソ連に対する損害の請求をするなら、それをひとつ一部内金としてでももっと増額してやったらいいじゃないか、しかも七万五千円についてはそういうようなソ連側からの損害賠償があれば返すのだというようなことを言っているとすれば、当然そういうことを前提あるいは予想しているんじゃないかというお考えだと思います。したがって、もし損害賠償の請求というものを考えておるとすれば、おそらくそれは七万五千円やそこらの問題ではないだろう、したがってその点をもっと、いま現実に困っているのだから差額について何がしか、相当あるはずだから、それを内払いのような意味で日本政府がひとつ立てかえて何とか救済に回しておいたらどうだ、こういう御趣旨だろうと思うのです。私それは非常にもっともだと思いますけれども、ただいろいろ検討してみますと、例の領海三海里説と十二海里説の問題がありましたり、はたしてソ連に賠償の問題が成り立つのかどうかという検討をまず外務省や——私のほうももちろんですけれどもしてみますと、そういう点について政府として——外務省といろいろ質疑応答があったかもしれませんけれども、私いなかったものですから、何かその損害賠償というものについて、いわゆる一般的に加害者が明確になり、それに対する損害賠償という観念の明確なところまでまだ煮詰まっていないというような印象を受けているわけでございます。したがってこういう点を考えてみますと非常に困難な問題だと思いますし、また一方七万五千円というものだけを取り上げておっしゃっておりますが、労災関係の問題だとかあるいは船員保険の問題だとかいろいろなことの点を考えまして、ひとつ全般的に見ていただきたいという話を事務当局からも何べんも申し上、げているとおりでございますが、しかし要は先生のお気持ちなりあるいは私は被害を受けた漁船員のことを考えてみますと、一方において日韓条約成立後のああいう問題もございますので、この点はひとつ事務的な問題を離れて政治的な検討をしなければいかぬじゃないか、こう思っておるわけでございます。ただ、何ぶん今日の現状で、ここで明確に御意見のとおりだからひとつ何とかするように善処いたしましょうというだけの確信を実はまだ持てないわけでございます。したがって慎重な答弁でまことに申しわけないのですけれども、私どもとしてもあの不幸な事例、遭難された、損害を受けられた方々に対する気持ちを十分ひとつ考えまして、今後これは事務ベースを離れた検討を続けていきたい、かように思いますので、御了解を願いたいと思います。
  114. 美濃政市

    ○美濃委員 いま政務次官のお話を聞いておって、ちょっと私は不可解に思うのですが、これはこういうふうに考えなければならぬと思うのです。日本政府はソ連側に非ありと見て抗議をしておるのでしょう。被害を受けたのは日本人です。ですから、当該関係者から損害手続が日本政府に起きてきた場合、これは日本政府としてはソ連からもらえる、もらえぬという判断は私は除いてもらいたいと思うのです。日本政府の立場でこれだけはソ連側に要求する。要求しなければならぬ。もらえる、もらえぬという判断はおかしいと思うのです。被害をこうむっているのは日本人です。ソ連側が被害をこうむっておるのじゃないのですから、もらえる、もらえぬという判断がおかしいと思うのです。これだけは取って渡さなければならぬという方針を日本政府はきめて、そうして当該被災者の家族はかわいそうだから、そのうち全額なりあるいは八割なりを日本政府が立てかえて内渡ししてやるのが日本政府がとるべき措置だと思うのです。もらえる、もらえぬの判断をするということは私はおかしいと思います。
  115. 小沢辰男

    小沢説明員 私の申し上げ方が足りなかったと思いますが、私どもは、主張すべきものは主張するということは決してやめているわけではありません。ただ主張の対立がございますので、そういう点から見て、いま補償額の一部の前渡しというようなことまでの措置がとれるかどうかという点に慎重な検討を要する点があるということを申し上げたわけです。もちろん先生のおっしゃるように、私どもとしては現実に損害を受けて問題が発生して、われわれはわれわれの考え方で要求すべきものは要求して、主張すべきものは主張しておるわけでございます。
  116. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 稲富稜人君
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんので、園芸局の問題に限りまして二、三お尋ねしたいと思うのでございます。  まずお尋ねいたしたいと思いますのは、ただいま開催されております日米残存輸入制限協議において、グレープフルーツ及びレモンジュースの自由化を日本は余儀なくされて、さらにトマト加工品の輸入拡大にも同意したということが伝えられておるのであります。特にこの問題につきましては、巷間伝えられるところによると、沖縄返還問題とも関係があってそういうようなことに同意させられたんだ、こういうようなことも伝えられておるのでございますが、この機会にその経過並びにそういうような経緯をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。これは大きな問題でございますので、本来からいうと大臣にお尋ねしたいと思っておるのでございますけれども、大臣の出席がありませんので、あるいは次官なり局長なりでわかっておる範囲の御答弁がありますれば、それによりましてさらにまた機会を見てこの問題はお尋ねして検討しなければいけない問題であると思いますので、その点わかる範囲においての御答弁を願いたいと思うのでございます。
  118. 小沢辰男

    小沢説明員 実は結論を申し上げますと、何も沖縄問題にからんでこれを妥協したというようなことはございません。御承知のとおり、これは前からの問題でございます。昨年の十二月にもございましたときに、強く要請されたものを私どもとしてはあくまでも断わってまいったわけでございます。その後ことしに入りまして、御承知と思いますが、閣議で全般的に残存輸入制限品目の逐次撤廃をやり、昭和四十六年末をめどにしてできるだけ自由化の方向にやるんだという決定等もございます。したがいまして、そういう線で、しかし私ども農林省のサイドから見ますと、現在の農業事情がございますので、できるだけ最後までがんばってきた。そこで一般的な方針としての四十六年末というものを、それではぎりぎりということで若干妥協をはかりつつある、こういう事態でございます。
  119. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんのでまとめてお尋ねいたします。  さらにこの問題につきましては、グレープフルーツの季節関税をつける、こういうような御趣旨もあるようでございます。この問題が昨日から今日まで何か停滞しておるようにも聞いておるのでございますが、これに対してどういう具体的な考えを持っておられるか、あるいは季節関税をかけるとするならば、どの程度の関税をかけようとしておられるか。  さらにまた残存輸入制限品目は、農林省関係だけでも七十数品目残っていると思うのでございます。こういう問題に対する将来の見通し等は、いまこのグレープフルーツの問題を先べんに、いま次官の御答弁のありましたように、やられるようでございますが、今後の見通しはどういうような考えを持っておられるか、この機会に承りたい。
  120. 小沢辰男

    小沢説明員 グレープフルーツの問題については、私どもから条件を二つつけたわけでございます。一つはわがほうの温州ミカン、これは現在五十種のうち四種輸入を向こうでは許しているといいますか、それじゃあまりひどいじゃないか、ひとっこれは輸入の解禁止を一ぺんに全部とは言わぬけれども、実質的にどんどん拡大していけ、こういう条件をおまえのほうでのむならば、四十六年をめどに自由化に踏み切ってもいいぞという条件が一つと、それからもう一つは、先生おっしゃった季節関税、夏かんとの競合があるから季節関税を、特別な高率の関税を考えるぞ、これをのめと、こういうことで条件をつけてきた。この点については向こうからも、先生おっしゃったように、具体的に示せ、それじゃ幾らのあれなんだ、こういうのがございますけれども、私どもとしていまから季節関税を四割にするんだ、三割にするんだ、五割にするんだということは、いまそういう基本的な条件をおまえのほうでのめば、これからひとつ具体的に——一方において国内のいろいろな体制を整備しながら、それとの見合いもあるから、いますぐ言えと言ったってそれは無理だというので、いろいろすったもんだやっておって、まだ交渉中でございまして、きょうまたやらなきゃいかぬという実情でございます。
  121. 稲富稜人

    ○稲富委員 まだ質疑したいことがありますけれども、最後に締めくくりとして申し上げたいと思いますことは、こういうような残存輸入制限の問題が、自由化の問題が進んでまいってくると、好むと好まざるとを問わず、そういうような方向に行く、こういうことになりますと、おのずから起こってくるものは、今後におけるわが国内の果樹振興対策を、これに対抗していかなる方法をとっていくかということも具体的に進められていかなくちゃいけないと思う。そうしなければ、果樹園芸に携わっておる諸君というものは、生産しながら非常な不安を生ずると思うのでございますから、好むと好まざるとを問わず、こういうような自由化の方向に向かっていくとするならば、わが国の果樹振興対策をいかにしてこれに対抗しくいくか、守っていくか、こういうことに対する政府としての試算があらなければいけないと思うのでございますが、これに対してはどういうような具体策を持っていらっしゃるか、この点承っておきたいと思います。
  122. 小暮光美

    ○小暮説明員 御指摘のように、国際経済との関連を次第に重視しなければならないという問題もございます。国内にも物価問題その他各般の角度からの問題がございますので、くだものの生産性の向上ということは必ずしもグレープフルーツの問題を発端としてではなくて、基本的な果樹振興施策の大きな柱として、かねて心がけてまいったところでございます。これがために、御承知のように広域主産地の形成というようなことを通じまして、理想的な果樹園芸地帯の設定等にも助成措置等を講じつつあります。これらの施策は今後も強くこれを推進する考えでございます。そうした省力化を中心とした日本の果樹の体質の強化ということを第一義といたしまして、さらに内外を通じての需要の拡大ということに積極的に取り組みたいというように考えております。ただいま政務次官からお触れになりました、対米なまミカンの輸出もその一つの問題点でございます。そのほかにも、従来の太平洋岸のみに局限されておりました、カナダ向けのなまミカンの輸出につきましても、今後大西洋岸諸州への販路の拡大というようなことを具体的に研究したいということで、来年度予算の構想としても持っております。そのほか国内で純正なる食品を普及するという運動の一環として、天然のなまの果汁の消費拡大をするというような問題につきましても、これを具体的な施策として、明年度考えたいというようなことを研究しております。その他こまかく申し上げますと長くなりますが、内外を通じての需要の拡大ということに、今後特に努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  123. 小沢辰男

    小沢説明員 ちょっと二点つけ加えますが、私どもとしては、先生のおっしゃるように、ほんとうにかんきつ類や夏かん対策については特別な開発事業、対策事業というようなものをひとつ考えまして、特に力を入れていきたいと思います。しかも先ほど局長言いました産地に直結しました加工の問題、いままでは当然そういうようなことなら融資じゃないかというような観念でございますけれども、何とかひとつ補助事業ということにいたしまして、守って振興するようなことも考えてみたいというので、来年度予算でいませっかく大蔵省と戦争をやっておるところでございますが、できるだけひとつ力を入れて、対抗できる要件をつくり上げたい、こういうように考えます。
  124. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここで特に局長に申し上げたいと思いますことは、今後の対策として、生産向上を大いにやらなくてはいけないとおっしゃる。もちろん生産向上をやらなくてはいけませんが、いまの需要の拡大であるとか、あるいは真の食品の、いわゆる果汁の生産にかかるという、消費面を生かすということは当然でございますけれども、御承知のとおり、いたずらに生産向上ばかりやることは、農民の所得の増大にはならないのですよ。現に昨年のごときも、非常にミカンが多くなって価格が下がったといって、かんきつ類の生産をやっておるところの生産者は泣いておる。常に価格対策というものを政府が指導し、考えてやらなければ、ただ生産性の向上だけに取り組むことでは、農民の所得増大にはならないんだから、やはりわれわれが果樹の振興策をやるというならば、生産者の所得を増大するということも考えてやらなければいけないので、従来農林省のおやりになった農業対策は、価格対策が非常に弱いと思うのですよ。今日米が非常に余ったといって皆さん方が右往左往されておる。農業基本法を制定したときに、われわれは主要農産物価格対策をやれと強く主張した。ところがそれをやらないで米だけに依存して、価格責任体制をとられたということが、非常に米が生産過剰になった原因もあると私は思う。こういう点から考えるときでも、私たちがほんとうに総合農政ということを主張する以上は、米以外の農産物に対しても総合的に、農民が生産して引き合うような、安心して生産されるようなこういう指導と、こういうような施策が私は必要じゃないかと思う。そういう点から生産性の向上もけっこうでございますが、これに対する価格対策というものをどういうようなことでやろうと思われておるのか。この需要関係において安定を期する、需給関係だけで安定を期していこうというような、非常に消極的な考えで対処していかれようとしておるのか、この点もひとつこの機会に承っておきたいと思うのでございます。
  125. 小暮光美

    ○小暮説明員 くだものの価格の安定につきましては、生鮮の食品でございますので、直接これに価格の支持、あるいは価格の調整を行なう手段は、なかなか見出しがたいのでございます。やはり需要に見合った生産、供給を行なうということが根本ではないかというふうに考えますので、明年特に温州ミカン等につきまして、生産者組織による出荷の調整の場合、倉庫の施設あるいは情報伝達の施設といったものを、物的にできるだけ整備いたしまして、こうしたものをてこといたしまして、組織の強化をはかるということにつきましても、新しく施策を仕組んでみたいということで、目下鋭意検討中でございます。
  126. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで生産調節と出荷調節とをやるということになりますと、おのずからいまお言いになったような倉庫施設等ができますが、こういうことに対しましては、国が積極的な助成措置をおやりになる、こういうような考えであるかということが一つ。  さらにまた、先刻お話がありました果汁いわゆるジュース、このジュースなんかの製造に対しても、もっと政府が積極的な助成措置あるいは補助措置をやるべきじゃないか。しかもこれに対しては今日食品衛生法の中で取り締まりの対象になっておりません。食品衛生法というのは、御承知のとおり人間のからだに害を与えなければ取り締まりの対象にならないそうでございますが、くだものが入ってないものがジュースと称せられてちまたにはんらんしている状態、こういうことに対してもっと農林省として厚生省あたりに強く要望して、食品衛生法の改正等もおのずから行なって、そして純粋の果汁を販売する、こういうようなことに積極的に働くべきじゃないか、かように考えるのです。こうしますと、今日清涼飲料水としては何かコカコーラが一番売れているそうでございますが、ほんとうの果汁が出れば、果汁なんか相当に反応があると思う。あるいはまた、これに対するかん詰め加工、その他の加工、こういうものに対してもやっぱり需要を多くするためには、何とか国が積極的な手を差し伸ばしてやる必要があるのじゃないかと思うのでございますが、これに対してどういう考えを持っていらっしゃいますか。
  127. 小暮光美

    ○小暮説明員 倉庫あるいは果汁の製造設備というようなものが農業生産そのものではございませんで、生産されました農産物の販売にかかわる部分でございますので、従来の施策の一つの仕組みといたしましては、おおむね融資でこれを助成するというのが一般のたてまえでございます。しかし、ただいま温州ミカンの生産、消費の状況等を見まして早急に出荷の体制を整備する、あるいは天然果汁の消費の拡大をはかるということの緊要性があると考えられますので、そうした面に着目して、単に融資だけでなしに、国の助成措置を講ずることができないかどうかということについて目下鋭意検討中でございます。なお食品の問題につきましてのだんだんの御指摘につきましては、園芸局といたしましては全く同じように考えておりますので、今後極力努力いたしたいというように考えております。
  128. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題につきましては時間がありませんので、いずれまた次の機会にいたしまして、次にお尋ねいたしたいと思いますことは、最近、御承知のとおり、排気ガスその他の公害等の問題で、樹木というもの、いわゆる庭木、こういうものが非常に需要が多くなっております。たとえば道路ができますと道路の緑化であり、工場ができますと工場の緑化である、あるいは団地ができますと団地の緑化というような植木の需要というものが非常に多くなっているのでございますが、これに対しては、実は非常に行政面で弱いんです。どこがこれを所管するか、農林省としては園芸局の所管になっておるそうでございますが、地方においては園芸課がやってくるところもあるし、あるいは林務課がやっておるところもあるという状態なんです。国全体がこの対策に非常に弱いんですね。私は数年前にイランに行きました。イランの総理大臣と会いましたところが、イランの総理大臣が日本のような公園あるいは庭園をつくりたいということで、イランの大使を通じて何かそういうような技術者をイランによこしてもらいたい、もう何年か前から要望するけれども、何ら日本政府はこれに応じてくれない。聞いてみると、日本の外務省あたりでは、これは建設省の所管であるか、農林省の所管であるかわからぬという状態で置かれているというようなことも聞くのです。こういう点で、国際的な信用までなくしておる状態なんです。これに対しては何とかもっと所管——それは造園は、所管は建設省か知りませんけれども、供給する供給源は農村に間違いないのですから、農林省としてももっと積極的にこれは取り組むべき問題じゃないか、かように考えますが、どう考えていらっしゃるか。農林省としての所見を承りたいと思うのです。
  129. 小暮光美

    ○小暮説明員 農業者が行ないます植木あるいは苗木の育成というのは、畑作の一つの部門でございますので、蚕糸園芸局で生産の改善の側面からこれに行政的な施策を講ずべきであるというふうに考えております。ただ御指摘のように、造園あるいは街路樹その他木をめぐりまして具体的に行なわれます事柄自身はきわめて多岐にわたりますし、また苗木の育成は林野行政のほうとも直接の関連を持ちます。したがいまして、若干所管が分かれることは、事柄の性質上やむを得ない面もあろうかと思うのであります。できるだけ担当の部局の間でも相互の連絡を密にいたしまして、今後の一つの成長部門としてこれをもり育ててまいりたいというふうに念願いたしております。
  130. 稲富稜人

    ○稲富委員 この点はどうも局長さん十分認識をしていらっしゃらないようでございますが、もちろんこういう山林苗木等は、これは林野庁の所管であることは承知いたしております。ところが街路樹でもあるいは工場樹木でも、これは山からすぐ持ってきて植えたのではっかないのですよ。やはり畑地に持ってきて、畑地で育てて、その後に街路樹その他に持っていかなければいけないということは十分御承知であろうと思うのであります。まあそういうことで、これも園芸局の所管であるということになっておるらしいのでございますが、園芸局ではどうも花とかなんとかは自分の所管であるけれども、こういう手の届かぬような大きな木は園芸局ではまま子扱いにされておるような状態です。これではいけないと思う。これは将来庭木その他街路樹あるいは工場樹木、こういうものが非常に必要であることは、今日一般に要請されております。そうしますると、どういうものが街路樹に適する木であるか、どういうものが排気ガスその他の公害を防ぐ樹木であるかということは、おのずから検討もし、指導もする必要があると思うのでございますが、この点非常に欠けておると私は思うのです。そういう点から、もっと、園芸局の所管としてお扱いになるならば、この問題は積極的にひとつ扱う。単なる、一つの花とか花木とかそういうものではなくして、もっとこういうものに積極的に取り組まなければ現在の状態では、率直に申し上げまして、非常に園芸局では弱くいらっしゃるということをはっきり申し上げたい。それだから、今後どういうようべ考えで取り組み方をしようとされるのか。ほんとうにこの問題に対して真剣に取り組まれるのであるか。この点を承りたい。
  131. 小暮光美

    ○小暮説明員 御指摘の点につきまして十分検討いたしたいと思います。
  132. 稲富稜人

    ○稲富委員 検討の段階じゃないと思うのですよ、これはやるかやらぬかの問題ですから。やるかやらぬかということを検討するということでは、これはわれわれは納得いかない。もうそういう時期じゃございません。工場ができましても工場樹木がふえてくる。団地もそうなんです。街路樹もそうなんです。こういうような状態でございますから、検討とかなんとかいう、そういうようななまぬるいことではなくして、やるかやらぬか。私が言いたいのは、園芸局でやられぬならば所管をどこかへ移してもらいたい。そっちで取り組んでいただきたい。いまから検討するのじゃ納得いきませんので、この点いま少し責任のある答弁をお願いしたい。
  133. 小暮光美

    ○小暮説明員 関連いたしますことがきわめて多岐にわたりますことを率直に申し上げざるを得ないと思います。したがいまして、ただいま蚕糸園芸局で御指摘の問題全部についてここで請け負いますということを申し上げると、かえって適切でないと思います。しかしながら検討を申し上げますというのは、施策の拡充について検討するという気持ちを込めて申し上げておりますので、その点は御了解をいただきたいと思います。
  134. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、この点を強く局長に要望したいと思いますことは、農林漁業金融公庫法の内容を見ましても、御承知のとおり「業務の範囲」というものがある。この「業務の範囲」の中に山林種苗、そういうものがありますけれども、いま申しましたように、需要が非常に迫っておる植木業に対しては業務の対象になっていないのですよ。これは工場その他の要求が非常にあるから生産をしなければできないという問題が起こる。そうしますと公庫資金を借りなければいけないという問題がありますけれども、農林漁業金融公庫の対象にならないという問題がある。それだから私は、これを積極的に取り扱うならば、当然農林漁業金融公庫法の改正をやって、この業務の一端として行なうような方向に持っていくことが妥当ではないかと考えます。こういう意味から、一とこが積極的に取り組むか、これをまずきめてもらわなければ、どこがやるかやらないかわからないような状態であるから、公庫法の改正にも——前からわれわれ要望しておりますけれども、手をつけてないという状態になる。主管がないからこういうことになる。これは何年も前から要望しておるのです。林野庁であるかあるいは園芸局であるかわからない。所管がわからないから腰を入れてやらない。そういう点から、園芸局がおやりになるならばもっと積極的におやりにならなければいけない、園芸局がやれないならば林野庁でやるか、この点をはっきりする必要があるんじゃないかということを私は申し上げておるのであるから、こういう点を十分考えて——これは大臣に聞きたいと思うけれども大臣がおらぬが、その点、こういう法の改正までも園芸局で取り組む考えがあるかどうか承りたい。
  135. 小暮光美

    ○小暮説明員 御趣旨を上司にも十分お伝えしまして、省内において検討いたします。
  136. 稲富稜人

    ○稲富委員 いまから検討されるそうでありますが、ただいま申しましたように、これは事実のほうが非常に進んでおり、行政のほうがおくれておるというような現状でございますので、その点を十分検討されて、結論を早急に出していただきたい。ひとつ検討で終わらないようにしていただきたいということを強く要望して、さらに、いま申しました公庫法の改正にまでいかないといけないんじゃないか。たとえばいま局長の果樹の問題もありましたが、この果樹の問題等も、公庫資金を借りるとすれば、やはり当然公庫法の改正をやらなければ融資の対象にならないという問題がありますので、この問題もあわせて取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  137. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 次に、米内山義一郎君。
  138. 米内山義一郎

    ○米内山委員 政務次官はちょっと退席のようですから、まず食糧庁長官からお尋ねしたいと思います。  四十四年産米の買い付けに対していろいろな制限が行なわれるのじゃないか、こういう感じがするわけなんです。と申しますのは、北海道作況指数八〇という不作だそうでありますが、東北の青森県のようなところは、おそらく史上最大の豊作だと思うのです。反収も上がっているし、開田もふえています。   〔湊委員長代理退席、三ツ林委員長代理着   席〕  そこで、もう政府買い上げをしなければならない、農民は売り渡ししなければならないという期間だが、倉庫にはかなり大量の古米が在庫している。いつもならこんなたくさんはない。そこにいつもより多い米が殺到する。倉庫に入らない。結局どういうことが出てくるかというと、倉庫へ入らないものは政府は買うわけにまいりますまい。買い付け時期が制限される、延長されてくる。だが農家としては金がほしい。利子がかかるということが出るわけですが、こういう事実に対してどういうふうに対応なさる御方針かを承りたいのであります。
  139. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 四十四年産米買い入れと倉庫事情との関係でございますが、御指摘にもございましたように、この十月末の四十二年産米、四十三年産米の倉越し総量は五百六十万トンという大量のものでございまして、これが一部、営業倉庫にもございますが、大部分のものは農業倉庫に保管をされておるわけでございます。そういうことから、本来産米の買い入れにあたって倉庫事情は昨年に比べて一そう窮屈になっておることは認めざるを得ないのでございます。昨年からことしにかけまして倉庫の新築も相当に行なわれておりまして、十二月末の倉庫の最大収容力は千七百四十六万トンというふうに私どものほうでは推定をいたしておるのでございます。これに対しまして四十四年産米買い入れとそれから従来の在庫とを合わせたピーク時の量は約千六百二万トンということで、全国を通じての倉庫の収容力はことしの買い入れに支障がない数字になっておるわけでございますが、実は問題があるわけでございまして、市町村別に積み上げますと約百二十万トンばかり、十二月のピーク時にどうしても倉庫に入らないというような数字になっておるわけでございます。これにつきましては私どもも経費的には多少金もかかるのでございますが、営業倉庫は近ごろ長く米を預かってやるとなかなか言わないのでございますけれども、営業倉庫の利用をもっとできるだけつとめる。また収容余力のある倉庫へは政府運送で米の運送をやるというようなことをやって、できる限りこの問題の解消につとめる。と同時にどうしても何ともならないという事態もあり得ると思います。それについては農協等の協力を得て出荷の調整をしていただく。一定時期以降の売り渡しについては、昨年から予算化いたしております出荷調整金を支払う。金利、倉庫料に相当いたします出荷調整金を支払うということでこの事態を切り抜けていきたいというふうに考えているのでございます。
  140. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、その他本年度産米の買い入れについては制限をしない、農民、生産者側が不利になるような措置はしないということのように承るわけですが、念のために、陸稲はこれまでどおり買い上げるかどうか、お答えを願いたい。
  141. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 本年産水稲につきましては、農産物検査法の五等適格以上の品位のもとにつきましては水稲と区別することなく無制限に買い入れをいたします。
  142. 米内山義一郎

    ○米内山委員 農地局長おられますね。  次に開田抑制の問題でありますが、いまの総合農政の答申にも、現在あるたんぼを転換するあるいは休耕するというようなことが一つの重大な問題になっているのでありますが、現在進んでいる開田あるいは計画中のものに対してはどういう措置を講ぜられるか。たとえば先般霞ケ浦の高浜寄りの国営による干拓事業を見にいってきましたが、すでにかなりな部分は着工されているが、今後かなりな年数と相当な金がかかるわけです。こういう種類のものは、中国、山陰には宍道湖あるいは中海のものもあるし、八郎干拓だってこれから開田される面積のほうが多いわけです。そのほかに、北海道、東北等には国営によるパイロット事業で、すでに着工中のものあるいは自主設計の段階に入っているもの、さらには国が採択して調査費をつけているものが相当多いと思うのです。これは単に国がつけたというだけじゃなく、地域農家ないしは農民ば開田を期待して草地にすべきかということをやめているし、あるいは樹木を伐採した、そしてあと地は開田待ちというような事態のものがあるわけです。特に青森県のような場合は二万町歩開田というのが県の農業政策上の主要な柱でもあり、県経済全体の主要な柱として打ち立てられておるわけですが、この開田抑制というものをどういうことでこのまま進めていいのか、農民はある場合にはすでに同意書までつけているが着工されていない段階もあるし、これを明確にしていただかないと非常な迷惑が生ずる。この点をいまの段階で農林省はどういうふうに処理しようとなさっておるのか。青森県を言うならば、八戸平原とか、あるいは南部中央パイロットとか屏風山などという非常に大規模な、長い年数と相当巨額の投資を必要とする開田が現在そういう段階に入っているわけです。これに対して、全国的にどういう措置をなさるか、こういうことをお尋ねしておきたいと思います。
  143. 中野和仁

    ○中野説明員 開田抑制の問題につきましては、すでにこの委員会でもしばしば御質問があったわけでございます。われわれといたしましては、昨年から本年の初めにかけての状況、昨年需給見通しを出しましたあと、開田はこれ以上は抑制しなければならないということで、新規に調査をして開田を進めるということは一切しない、それから融資につきましてもいたしません、それから、なおいまお話がございました着工中のもの、あるいは設計中のもの、調査中のものにつきましてはそれぞれの地域実態に応じまして、平均しまして大体三割の削減をいたしましてやろうというふうに一応当時の段階ではきめたわけでございます。そういうことで現在進めておるわけでございますけれども、いま先生指摘のように、農政審議会のほうから、開田につきましては緊急に米の生産調整を必要とするという事態の一環といたしまして、一そうの抑制措置を講ぜられなければならないという御答申もあったわけでございます。そういう事情を踏まえまして米の生産調整施策全般を、答申をいただいたあと農林省でも目下検討中でございますので、その一環として早急に検討を加えて、あまり農家が不安がるということがないようにいたしたいと考えております。
  144. 米内山義一郎

    ○米内山委員 同じ開田の中にもたとえば例外としてこういうものがあるわけです。農林省が国策としてわれわれの地方、青森県、北東北にビートの栽培を奨励した。これは大失敗、事志と違ったといえばそれまででありますが、このビートの転換策として開田をせざるを得ないということで開田を進める計画もあるし、すでに一部工事中のものもあるが、こういう種類のものまで開田抑制、禁止的な抑制になると思うのですが、含めるつもりですか。
  145. 中野和仁

    ○中野説明員 御指摘の南部中央におきましてはビートの転換——その地域だけではございませんけれども、それも含めましてあの地域の相当な面積の開田という計画を立てたわけでございます。それにつきましても地元と話し合いをいたしまして、若干面積を削減するということで現在のところきております。それを、それでは開田抑制、一切やめたかということになりますと、政策としてはあるいはそのほうがすっきりするかもし求ませんけれども、地元との過去のいきさつがありますので、その辺を地区ごとに一体どういうふうに詰めていくかということが、われわれのこれから検討する段階における問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  146. 米内山義一郎

    ○米内山委員 先ほど柴田委員が自主流通米のことについて質問しましたが、これはいわば政府公認やみ米と通称いわれておるが、消費者にもきらわれたし、直接自主流通米に乗った人たちも膨大な損害をこうむる可能性が現在あるといわれておる。さっきの長官の答弁にもありましが、百万トン計画したものが今日五万数千トンにしか及んでいない。今後十月、十一月ずっとあるわけですが、もうすでにおいしい新米が自由米として流通している。高い自主流通米が今後政府の計画どおり、思惑どおり伸びる可能性がない。そうすると、これをいま直ちにやめない限り、取り扱った団体なりが金利や倉敷その他で膨大な損害をこうむる可能性がもう出てきております。正直に政府の線に乗って百万トン自主流通米として買ったとしたならば、おそらく百億以上の損害が出るのではないか、こうもいわれておる。政府が奨励してやらせることだから、そういう損害が出た場合に政府としてはこの損害を補償する御意思がありますか。
  147. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 自主流通米は消費者の選考に応じた政府を通さない米の流通ということで、今日のような需給事情のもとで食糧の円滑な供給をはかっていく、米の円滑な供給をはかるという上で重要な意義を持つということで発足をいたしたものでございます。九月の自主流通米の契約高約五方トンということを申し上げたわけでありますが、自主流通の本番は十月以降の問題でございますので、私どもとしては、現段階でどの程度の年間流通量になるかという推測はちょっとむずかしいというふうに思いますが、少なくとも十月以降は関係者も本格的に自主流通の問題に取り組む姿勢に相なっておりますので、当初予想どおりにいくかどうかは私も明言をする自信がございませんけれども、われわれを含め関係者が自主流通の定着に努力をいたしますれば、新しい米の流通の形が創設されるというふうに私は信じておるので、ございます。確かに販売の受託量の合計はいままでを見ましてもこれはおそらく百万トン近い、あるいは百万トンをこえるような受託量は出ると思われます。これは確かに関係の団体等が、民間流通のことでございますから金利、倉敷等の経費の負担者になるわけでございます。それを見込みました価格によって流通をするということになるのが正常でございますが、一部見込みほどはどうも売れないというようなことが起こるかもしれないと私も思います。その場合はかねて申し上げておりますように、政府では自主流通米としての受託を受けたものでも政府売り渡しに切りかえることは自由にできるということにいたしておりますから、膨大な損失を伴うというようなことは、私はあり得ないというふうに思うわけでございます。ただ、年間流通を期待するということになりますと、たとえば早い地域では十二月以降、あるいはおそ場のところでは一月、二月以降まではたして金利、倉敷を負担して自主流通に対応できるかどうかということは、私はちょっと問題があるというふうに思うのでございまして、政府内部には自主流通の本質からいってかなり強い異論もございますが、現在食糧庁としては早場地帯、あるいはおそ場の地帯それぞれの地域についてある時期からの金利、倉敷相応の政府の援助というようなことを考える必要があるのではないかということでただいま検討をしておる段階でございます。
  148. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これは官房長から御答弁願うのですが、ことし一万町歩の水田の作付転換を国が進めたわけでありますが、これはきわめて成績が悪い。自民党案によると、今後百二十万町歩の作付転換ということがいわれたりするわけですが、少なくとも数十万トンの作付転換をしようと考えているときに、ためしでやったといえばそれまでだが、わずか一万町歩の水田の転換ができなかった。この実態はいまどういうように——いわれているとおり、なぜそういうように実績があがらぬのか。たとえば秋田県のごときは転換に応じたのはわずか十ヘクタールで、出しい網田が二千ヘクタールだ、こういわれている。青森県にもほほこれに近い状態がある。なぜ農民が作付転換に応じなかったのか、この点を農林省としてどのように認識されているかを承りたいと思います。
  149. 大和田啓気

    ○大和田説明員 今年度の新しい事業といたしまして一万ヘクタールの稲作の転換ということを進めましたけれども、結果といたしましては、まだ最終的に集計はできておりませんが、全国で大体五千二、三百ヘクター−ル、そういう状態でございます。これは米の作付転換というようなことが農林行政としても全く初めての経験でございますし、これを進める県庁、市町村あるいは農業団体等々につきましても、事態の認識において、米をめぐるたいへんな事態であるということについてまだいろいろな見解の相違もございますし、また、いまの米価あるいはその他の事情からいって、米からにわかに他の作物に容易に変えられないという農家の心境もございますし、私ども、今回の一万ヘクタールの作付転換につきましては、行政としてこれをいささかも強制することなしに完全に農家個々の自由な意思に基づいて進めましたという関係もございまして、まず一万ヘクタールの予定がその半分を少し越える程度に終わったというふうに考えておるわけでございます。
  150. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これは今後の総合農政の結論から出たいわゆる稲の生産抑制という面について一番重要なかなめどころになるものだから、十分検討してもらわなければならぬのです。この点をしくじると総合農政というものはあり得ないのです。  そこで出発点に戻るが、米の長期にわたった需給見込みであります。なるほどいまは数百万トンの米が余っているのは事実でしょう。だが、これは現在の条件のもとに余っている。そうしてそれが確かに財政を圧迫させている。古々米が出る。こういう一つの現象が起きていることはわれわれも否定しません。だが、今後条件の変化によって、必ずしも長期的に日本の米はいつまでも過剰だとは言えるものじゃなかろうと思うのです。たとえば米の生産者価格をくぎづけする、物価が上がる、インフレが高進する、相対的に米価というものが安くなった場合には、これは別問題です。条件の変化が起こる。いま米がとれたのは総合農政じゃなくて米偏重農政の結果でしょう。あなた方が総合農政をやっていけばそこからも条件の変化が起きる。なかなか変化の多いものです。だからばく然と、いまが余っているから、財政上負担だからということで、いまの過剰と長期にわたって過剰だということを混同されるならばたいへんな迷惑です。日本の国家経済の上からも重大な農政の上からも大混乱が生ずるおそれがある。そうしてこういうことをいいか、げんに言われたのでは農民は信頼できないのです。米の生産抑制というものも総合農政というものも農民の協力を得なければできないということは言っております。この出発点においてあなた方は説明が十分になければならないし、その分析も正確でなければならぬと思うのです。たとえば自民党のごときは、百二十万町歩減反する、こう言うた。そうすると、そのときは百二十万トンの米が必要であって、反収は六百キロ、何日もたたないうちに三十万町歩に減らす。九十万町歩も減る。そうすると反収が四百五十キロに減る。数字は合うけれども、こんなことで米作農民をほんろうするような出発点に立っているならば重大な結果が生ずる。そこで私は現在の米が長期的にさらに農業構造が変わって、二戸が十町歩、十ヘクタールとか二十ヘクタール、直まきをやる、機械まきをする、コンバインで刈り取る。今日の農民が手作業で一株一株つめを減らして一本一本の草を取っているようなことでは、わりあいに米はとれるものじゃない。いまの機械化農業にはそういう技術はあり得ない。こういうことを想定した場合に、当分は余るかもしれないが、あなた方の考えている構造改革と申しますか構造政策が進んでいった場合には、米の生産関係というものには大きな変化が生ずる。この点の長期的な問題についてどのような検討をされ、どういう分析の結果、そういう何十万町歩の田を減らさなければならぬという結論が出たのか承りたい。これがはっきりしないと、その説明が明確でないと、農民はこれを信用しない。信用のないところに相互の話し合いは進むものじゃありません。これは非常に重要な問題点であるから、その点を正確に、明確にお答えを願いたいと思います。
  151. 大和田啓気

    ○大和田説明員 四十五年産米以降の具体的な問題として、どれだけの生産調整を必要とするかということにつきましては、現在農林省においてせっかく検討中でございますから、これを別といたしまして、私どもが昨年の十一月に出しました農産物の需要と生産の長期見通しによりますと、三百十七万ヘクタールという水稲作付面積を一定として考えますと、昭和五十二年における水稲の反収は四百四十五キロというふうに見込んだわけでございます。昭和四十一年が長期見通しの基準でございますが、そのときが四百キロ、今年の平年作が四百二十五キロ、四十二年、四十三年産米水稲の反収がそれぞれ四百五十三あるいは四百四十八でございますから、昭和五十二年におきまして四百四十五キロといいますのは、相当労力が減るということを前提として考えました反収としてむしろ低きに過ぎるという御議論はあると思いますけれども、まずまず高く見過ぎるということはないのではないか。四百四十五キロというのが現実に四十二年、四十三年において実現しておる反収でございます。そして三百十七万ヘクタールの作付面積といたしまして、四百四十五キロという反収をつけて、若干の陸稲がございますから、生産は約千四百二十万トンと見込まれるわけでございます。四十一年、四十二年の米の消費は大体千二百四十万トン程度でございまして、四十二年の一人当たりの食糧の消費は百三キロでございます。それが、食生活の変化がございますし、でん粉質の摂取量がだんだん減るわけでございますから、昭和五十二年におきまして、これを一人当たり九十六キロと置きまして、人口が毎年約一%ふえるわけでございますから、人口増を加えまして、昭和五十二年における米の消費量は千二百四十万トンというふうに推定をいたしたわけでございます。生産千四百二十万トン、消費千二百四十万トン、その差が百八十万トンということから昭和五十二年におきまして米の生産と需要とを調和させようとすれば、三百十七万ヘクタールの水稲は二百七十七万ヘクタールにならないと恒常的な過剰が続くであろうというのが長期見通しのたてまえでございます。米の生産及び消費につきましては、これは当然十年先の見通しでございますからいろいろな御議論はあるわけでございますけれども、私ども非常に心配をいたしておりますことは、私どもの立てた見通しは、生産においては最下限、消費においては最高限ということになっているのであろうかということを、現在私ども作業をいたしながら痛感をいたしておるわけでございます。これは、ことし米の生産の見通しが、九月十五日現在の作況によりますと千四百十七万トンでございますし、米の消費のほうは、四十四年はさだかでございませんけれども、四十三年の実績を集計いたしますと、千二百四十万トンからむしろかなり低目に出ておるわけで、その低目に出ております傾向は四十四年においても相当持ち越されておるわけでございますから、この趨勢がかりに続くといたしますと、昭和五十二年において一人当たりの食糧消費九十六キロということがはたして維持されるかどうかということを非常に心配をいたしておるわけでございます。私どもの昨年十一月に出しました見通しと、それからその後の動きとを申し上げまして、私どもが米の生産調整ということを言っておりますことは、決して単に目先の問題にのみ執着をして言っておるのではないということの御了承を得たいと考えるわけでございます。
  152. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あとは政務次官が来てから聞こうと思っておりますが、その前に、それではそういう考えに基づいて、昭和四十五年は総合農政なるものの出発点なわけであります。そして、その中で一番重大なものは稲の作付調整といいますか制限といいますか、転換、これのためには、審議会は、休耕あるいは転換の中には植林も含むと書いてある。これは大体いまのところで、昭和四十五年度からどのくらいの計画で、一年に五万町歩規模でいくか、十万町歩規模で作付転換ないしは休耕を進めるつもりか、そしてその転換あとには何を——ことし程度、五千ヘクタール前後ならば何をやってもいいかもしれないが、少なくとも日本の農耕地の中で最も加工し尽くされた、最も生産力の高い農地に対して、いまの農家の暮らしの現状から見てどういう種類のものを作付奨励するのか、そのやり方等についてひとつ現在言える範囲で御答弁を願いたいと思います。
  153. 大和田啓気

    ○大和田説明員 農政審議会の答申の中にもどれだけの規模の生産調整をすべきだということはないわけでございます。これは役所といいますか行政で判断をしてほしいという趣旨であろうと思いますが、いまの段階で申し上げられますことは、いまの米の事情から申し上げて相当程度生産の調整が必要であろうということだけでございまして、どの程度の規模のものをどういうテンポで、あるいはどういう方法を用いて行なうかということは、現在農林省の内部においてせっかく検討中でございます。まだその方向ないし内容の詳細について申し上げられる段階にはないわけでございます。
  154. 米内山義一郎

    ○米内山委員 しかし、農政審議会は、具体的に何町歩転換せいということは言わないが、明確に言っていることはたったこれだけでしょう。米の生産制限のことでしょう。やり方は三つある。一は自主調整、二は米価の積極的な引き下げ、三は政府買い入れ制限、これは数字はないけれども、こんな明確なものはない。あとの対策については抽象的で、あなたが言えばそれまでの話だ。それでは、政府としてはこの答申の一番重要な問題にはどの項目で対応しようとしておりますか。いわゆる自主調整の道なのか、米価引き下げの道なのか、買い入れ制限の道なのか、これだけは特に明確に答申がなされておりますのでお聞きするわけであります。
  155. 大和田啓気

    ○大和田説明員 答申の中でも三つの方法をあげまして、その三つを比較勘案して、総合的に方策を早急にきめるべきであるという趣旨のことが書いてあるわけでございまして、私ども、その答申に基づきまして、現在慎重に検討中でございます。
  156. 米内山義一郎

    ○米内山委員 検討といえば検討だが、それじゃいずれその検討の結果が明らかになったらまた議論も質問も展開するだろうと思うから、その点はそれまでにとどめておきましょう。  そこで、こういう日本農政の重大な段階に際会して、日本の農民は全く肝をつぶすような気持ちでいるのです。それに対するあなた方のお答えというものは、まるで千年一日のごとく検討中とかなんとかと言う。長谷川大臣は、農民とはだの触れ合う農政をと言うけれども、あなた方官僚の態度というものは、農民から見るとまことに不信にたえない。人間味というものを感じない、感じないばかりか非常に気にかかることがある。人間味を感じないというと、まるでわれわれは電子計算機と論議をしているような感じしかしないのです。どこにはだの触れ合う——しかも、日本の農業の運命を変えていく総合農政の答申直後のいまのわれわれ国民を代表する者の質問に対して、態度が変わらなければいかぬとわれわれは期待するわけだが、依然として変わらない。非常に気にかかるのです。農民の心情というものをあなた方はどう理解しているか。あなた方は、それは経済合理主義とかなんとかに立脚した、近ごろはやりの官僚かもしれない、か、そんなものじゃない。あなた方は農業を知っているかもしれないが、農民というものと農村の暮らしというものはまるきり無視なんです。電子計算機と話をしているようなものです。心の通うものは一つもない。この国会の論議を通して、何かしら農民にあたたかいもの、希望を持てるもの、ほのぼのとしたものをあなた方は解説する任務があるはずなんです。われわれの若いころ、赤坂小梅という芸者が歌った歌がありましたが、「あなたにもらったハンカチのだるまの模様がちょいと気にかかる」これも赤坂に行って、小梅さんに会って聞けば色気も感ずるし、ウイットもあるんだよ。日本の農民は、特にいま矢面に立たされている、攻撃の正面に立っている。米作農民は、いままでどうしてきたか。戦後のインフレを押えるときは強権発動を背景にして、何の物価とも比較にならない値段で取り上げたでしょう。ドル不足のときは増産のためにしりをたたかれたでしょう。高度成長段階になって初めて、昭和三十年の後期から生産費と所得が補償されるという段階に至ったんだ。この段階から日本の稲作が発展したのだ。それもっかの間でしょう。日本人が食い余すほど米をつくることに成功した農民が、今日農業だけでめし食えない。出かせぎしている。次三男だけじゃないのだ。経営主からあととりむすこからだ。あとに残っている仕事というものを、重い苦しい仕事は年寄りと主婦の肩にかかっている。出かせぎ先では事故、大けが、命を失っている。農村へ献血のために県庁の衛生課の車が行くんだ。健康に自信のあるというおかあちゃんたちが——けがした人、病人のために自分の血をあげようというのは健康に自信のあるおかあちゃんだ。血をとってみると十人のうち七人までが血が薄いんだよ。栄養だけの問題じゃないのだ。過労の問題なんだ。これが農民の実態なんだよ。  あなた方はこういうことを考えたことがあるか。しかも金をくれればあとついてくるだろうという奨励金や、貧乏させれば出ていくだろうという残酷な農政というものは成立するものじゃないですよ。日本の農民は数百年、数千年の風雪に耐えてどんな残忍な政治にも耐えてきたんだ。こういう本質を持っている。諸君がほんとうに国家のために総合的に——農民だけよければいいという農政なんというのはあり得ないのだよ。同時に資本家だけよければいいという政治もあり得ないのだよ。ほんとうに総合的な農政があるなら農民は命をかけても協力するだろう。確かに表面から見る農村というのは必ずしも一体に見えないけれども、あの一つの小さい開けない村に出たなら、狭い道路に稲を積んで歩くいまの農村の状態を見なさい。お互いによけ合わないとどの車も通れないからよけて通るのだよ、東京のように、都市のように、開けた地域のように、ダンプが人を押しのけていくようなものじゃないのだ。完全な生活優先なんだ。人間優先の生活をしているのだ。決してものと金が優先していない。そういう意味で農民の心情というものを——あなた方と違うんだよ。はだ触れ合う政治を求めているのです。電子計算機と話をするようなことには納得できない。一つの生活共同体ですよ、農村というものは。同時に村人の暮らしというものは、小学校を一緒に終えて墓場も一緒なんだよ。運命共同体なんだよ。この村の実態というものを知らず、単に経済合理主義からだけ、世界の大勢はこうだとか、日本の経済は重化学工業の輸出でいかなければならぬという題目だけでは、今後の農政は進展するものじゃない。  したがって、農政というものは人を対象にしなさい。人間には生きる権利がある。もはやここまで、表向きは所得がふえたといってみたところで、兼業所得で農家がやっと生きているんだよ。そうして民族の苗しろというべき農村の出生率の低下を、君たちは国家の将来のためにどう思うのか。田植えのときは出産は困る、除草時期も出産は困る、稲刈りのときは困るといったら、正月の近所しか出産の機会がないじゃないか。子供をつくる自由もないじゃないか。ここまでおとしいれてさんざん苦労してころばして、そしてあきたらぽんと投げるなんという赤坂小梅の歌のような農政ではだめなんだよ。公約というものを誠実に守りなさい。去年の参議院選挙のとき、佐藤総理は秋田で何と演説した。食管制度を守ると言ったけれども、その次の日からこれをくずすための工作をやってきておる。それは政府を代表する政務次官、これはやはり総理以下閣僚によく伝えなさい。総合農政というものは今後日本の国政上の非常な問題なんだ。これは農民の心情なんだよ。これを無視して諸君の農政というものは一歩も半歩も前進するものじゃない。農民というものは反応はおそい。いまはやりの鉄砲のように引き金を引けばすぐ雷管へいってばんとはねるようなものじゃないんだよ。火縄銃を撃つようなものだ。必ず抵抗が爆発する時期がくる。それはもう歴史的なものなんだ。こういうふうに農業というものを農村というものを農民というものを歴史的に考えながら電子計算機から出た結論を合理的に進めれば、総合農政というものにあるいは農民も信頼を寄せ成功の可能性もあるかもしれないが、部分的な議論だけでこの問題は片づかないと思う。政府を代表する政務次官のこのことに対する感想をひとつお聞きしたい。
  157. 小沢辰男

    小沢説明員 私は過去八十年の歴史を通じて、農林省の役人は先生のおっしゃるように農民を愛さない役人ではないと思います。むしろ農林省の伝統に基づきましてとにかく農民のために真剣に取り組んできたと信じておりますし、またその成果が少なくとも昭和四十二年までの五万以上の都市の所得に均衡し始めた、この例を見ましても私は必ずしも先生の御意見に賛同できないのでございます。しかしその後いろいろ米の過剰問題から、あるいはまた、とうとうたる世界の自由化のいろいろな環境から、いま新しい総合的な視野に立って農政というものをやらなければいかぬという時期であることは間違いない。そのために検討検討というようなことをいうかもしれませんけれども、何とかひとつここで明るい農村に対する一つの希望をつくり上げようじゃないかというので、ほんとうに農林省の事務次官以下真剣に取り組んでいると私も信じております。その点だけは先生もひとつ誤解のないようにしていただきたいと思うのでございます。  おっしゃるように私どもは食管をくずしておりません。今後この問題については、食管を守るために内部崩壊を来たすような要因をできるだけ取り除いていかなければいかぬことは、これはもう当然のことでございます。ほっておいたら自然にそういうようなことになって、まいります。そこでいろいろ苦労をしているわけでございまして、佐藤総理が選挙のときに言われたことが、その終わった直後からくずれているとは私考えておらないのでございます。今日農政審議会で相当勇ましい案が出てまいった二とは質実でございます.これを受け取りまして私どもが今後どういうような農政の基本方針をつくり上、げるか、いま鋭意慎重にこれを検討しつつ、近く予算要求に間に合うような時期までにその方針をきめたいと考えているわけでございますから、個々の点についてまた御意見があれば承りますけれども、少なくとも農林省ほんとうにいま省をあげて真剣に取り組んでいることだけは、これはひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  158. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは最後に一つお聞きしますが、いま日米経済会議というものが進行中なわけです。これについてこれも結果としてですが、いまの段階で農産物の自由化はどうなるような状態であるか、お答えできる範囲内でお聞きしておきたい。  もう一つは、あなた腹が立たないかということだ。いまこっちではグレープフルーツだジュースだなんということを攻撃加えておるときに、太平洋を越えてワシントンで何とかいうアメリカの高級役人が、日本人は最悪のやつだと、あっちから大砲撃っている。まるで後進国並みの農業保護政策をやっているというような攻撃を加えている。そうしてこれが沖縄問題とからんで、佐藤がアメリカに行くために有利になるだろうというようなことも言ったりして、一つの独立国の神聖な人格を持った国民として腹立たないわけはないんだ。これに便乗して金をもうける連中は別かもしれないが、これをささえてきた日本の農民ないしは勤労人民から見ると、こんな屈辱ばない。政府はこれをいかにはねのけてわが国の生産人民を激励する意思があるか、この点を言明していただきたい。
  159. 小沢辰男

    小沢説明員 アメリカの商務長官がそういうようなことを言ったという記事が新聞に出ておりました。向こうは自分の国のために交渉にきているわけですからかってなことを言うだろうと思いますが、私どもはそれだからといってそういうことに一々おびえてこの交渉に当たっているような態度は一つもとっておりません。昨年の十二月以来、長谷川農林大臣を中心にしまして私ども農林省では、とにかく農政あるいは農民のために極力、この大事なものの自由化についてはほんとうに極力防戦をしてまいりました。しかし、世界的に見て、御承知のとおり日本は圧倒的に残存輸入制限品目が多いわけでございます。そういう点は逐次世界のそうした貿易自由化の線にある程度はやはり沿った動きをしていかなければいかぬことは、これはもう当然のことでございます。しかし私ども、大事な農産物については、国内の態勢等も考慮いたしまして、たとえばグレープフルーツにいたしましても、去年あるいはまた数年前から非常な要望がありましたけれども昭和四十六年という条件で、先ほども申し上、げたのですが、アメリカで買うものはひとつ買いなさいということで輸入解禁止を実質的に拡大するという条件がなければだめだというので、私どもとしてばそれと引きかえにひとつやろうじゃないかということも日本の国益のために主張をいたして、ほぼその点はのましているわけでございます。また季節的に夏かん等もございますから、季節関税を当然設けて一定のチェックをするぞということも条件として出しておるわけでございます。牛肉問題あるいはその他の肉の問題も出ましたが、これはもう高級の国際観光ホテルという一つの限定された資格を持った大きなホテル用の特別ワクだけを若干ひとつ設けようじゃないかということで、一切他のものは断わっておるわけでございます。あるいは雑豆にいたしましてもはっきり断わりまして、ただ若干のこちらに支障を与えない程度のほんのわずかでございますがワクの増加を考える、ただしこちらに非常な影響のあるニンドウ等については既存のワク以上には増額しないということで、これまた相手にのましているような現状でございます。ですから、私ども十分先生のおっしゃるようにいろいろの——特に今回の総合農政で先生のおっしゃるような趣旨でひとつ総合的に農政の推進をはかりたいという見地から十分検討して、日本のそういう支障のあるようなものはできるだけ国益を尊重しながらこの今回の三日間の交渉には対処いたしておるつもりでございますし、またその成果も、そういうような意味で若干の譲るべきものを譲ったことはございますけれども、その点からいいますと御批判はあろうかと思いますが、しかし、いまの大勢から見て、この程度であれば、いまのこうした国際環境のもとでよく農林大臣はがんばっていただいたと私は思う次第でございます。
  160. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わりました。
  161. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 斎藤実君。
  162. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は食糧庁長官に米の配給並びに流通の問題について若干お尋をしたい。と申しますのは、新潟の米穀会社が政府米を大量に東京、大阪方面へやみ米として横流しをしたという事件がありました。   〔三ツ林委員長代理退席、安倍委員長代理着   席〕 県でも行政処分その他いろいろ検討しているようでありますが、この問題は一新潟の問題ではなくして全国的に潜在をしているのではないかというふうに考えられているわけであります。非常に悪質な態度でありますし、食管法を崩壊させるという意味にもなりますし、また政府の配給流通面についても大きな支障を来たしているわけでありまして、この問題について農林省はどういうふうにいま処置をされておりますか、まずその点からお伺いしたい。
  163. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御指摘の事件は、新潟県の一登録卸売り業者、新潟県米穀株式会社の長岡の営業所が昭和四十三年四月ごろから約一年間ばかり政府払い下げ米を東京、大阪のやみ業者等に横流しをしたという事件と、それから同じく新潟県の一登録小売り業者であります佐藤主食寝具販売会社というのが政府からの配給米の一部を東京都内に輸送いたしまして東京都内の団地等にやみ売りをしたという事件でございます。この事件は私どもとしては非常に遺憾な事件で、またけしからぬ事件であるというふうに考えておるのでございまして、実は東京都内に政府の検査をいたしました検査米が流入をしておるといううわさを以前から私ども聞いておったのでございますが、新潟県の県庁にも機会を見まして私のほうからもひそかに少し調査をしてほしいということを言っておったのでございます。この件につきましては、私どもとしても、政府のれっきとした登録卸売り業者あるいは小売り業者が、財政負担を伴ってできるだけ消費者の負担を軽減するという意味で配給いたしております米を不正規の流通に回したということはこれはきわめて悪質である。したがって、措置といたしましては、流通業界一般の自粛の実があがるような措置を考えてもらいたいということを新潟県庁と連絡をいたしてまいったのでございます。いろいろこの会社の関係につきましては、事情もございまして、結局新潟県庁としては両会社の社長、それから卸売り会社についてはその他の責任ある重役、それから長岡の営業所長、そういう人たちの退陣の勧告をするということで、先月それぞれ知事から文書をもって退陣勧告をいたしておるのでございます。もし、そういう勧告について無視するというようなことがあれば、別途行政当局としては決意せざるを得ないことがあるかもしれないということを付言をいたして通告をいたしたのでございます。これについてそれぞれの会社におきまして役員会を開きまして、県知事の意のあるところは了とするという態度であるようでございますが、いろいろの手続等もございましょうから、最終的に役員の交代が行なわれるのはなお若干の日にちがかかろうかと思います。そういう事情でございます。
  164. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官からの経過は一応了承しましたけれども、この新潟の現在の政府米の横流しの事件は非常に私は根が深いのではないかと思う。と申しますのは、そういう事件がなぜ起きたか。やはり流通あるいは配給制度あるいは取り締まりあるいは行政指導いろいろからみ合っていると思うのですけれども、私はこの新潟の事件を通して積極的にこの根本原因というものを突きとめて、全国的に大きな影響がありますから、政府としてもここでなぜそういう事件が起きたのかという原因をはっきり把握すべきではないかというように考えるのですが、長官、この起きた原因はどこにあると思われますか。お尋ねしたい。
  165. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私はこういうような事件が起きました原因といいますか、理由というものは非常に広範ないろいろな事情があると思うのでございます。第一は、米の需給事情が今日のような状態になってまいりますと、食糧管理ということに対する一般の認識もそれほど社会的なきびしい受け取り方がされなくなってきておるということが一つ私は一般的にあると思うのであります。それから、いま一つは、こういう需給事情のもとで消費者の中には、たとえば何々県産のどういう銘柄の米がほしいというようなそういう要望が依然出てきておるのでございまして、したがって、自主流通米の制度が広がります前にはそういうような要望や需要というものが一方にありますと、ともすれば、不成規な流通が起こるという条件がそこに一つあったと思うのでございます。それからいま一つは、だんだん消費が減退をしていく傾向にあるわけでございますけれども、これは政府が売り渡しましたものが結果において売れたとか売れないとかいうことで、結果としてつかまえてこざるを得なかったのでございますが、そこに政府売り渡しの量の適正化という問題が非常にむずかしくなっているということが一つ私はあったと思うのでございます。この問題は、私どもも非常に重大な問題であるというふうに考えまして、この事件の発生以後でございますが、配給人口に対して相対的に売り渡し量の多い県の卸については、県当局、食糧事務所、場合によりましては本庁の担当者も派遣をいたしまして業務監査を励行する、場合によってはしばしばやるということで、不正の原因になる問題の一つを取り除きたいというふうに考えておるのでございます。
  166. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、とりあえず新潟のこの米穀会社に対する行政措置としては経営陣の総入れかえということで、この会社それ自体に対しては登録業者の取り消しということはしない、こういうことですか。
  167. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 法的な措置として登録の取り消しということはあるわけでございますが、実は新潟米穀株式会社というのは新潟の配給米の七五%程度を扱っておる会社でございまして、これだけの配給の組織というものは一朝一夕には引き継ぎあるいは会社の新設によってカバーするということは困難でございまして、それに結びつきます小売り業者あるいは最終的には消費者に対する配給に支障を来たすというようなことは避けたいということでございまして、担当責任者責任を追及することによって自粛を求めるということが妥当であろうということで私ども知事の措置に了承を与えたのでございます。
  168. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この問題は非常に国民生活、食生活にも影響のある大きな問題でもありますし、それから食管法を無視したというやり方は、消費者の面から見まして政府の態度に対して非常にきびしい批判があるわけですから、いま長官がおっしゃったように、経営者の責任を追及してやめてもらう、それではたしてスムーズに今度の卸売り業者が政府の指導どおりにやれるかどうかということを私は不安に思うのですが、はたして経営陣の総入れかえで健全なる業務が遂行できると考えておられるのかどうか、再度お尋ねしておきます。
  169. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 新潟米穀株式会社につきましては、先ほど申し上げましたように、本年の三月ごろに確かにそういう非違行為をやっておったことが判明をいたしておるのでございますが、それ以後は会社としても——会社といいますか、長岡の営業所につきましても不成規の販売をやめておるのでございまして、私どもも引き続き誠実な業務の運営ということを指導し、監督をしていくつもりでございます。重ねての違法行為がありますれば、そのときにはさらに厳重な措置を考えたいというふうに思っておるのでございます。
  170. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この政府米が相当大量に都会に横流しされているという事実、これは自主流通米の計画が当初よりなかなか進んでいない、大体二〇%どまりではないかというように考えておるのですが、こういったことが大きな原因ではないかと私は思うのですが、この対策についてどうお考えですか。
  171. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私どもも事実が判明いたしましたものについては、引き続き厳重に措置をするつもりでおりますが、どの程度の量がそういう非違行為の対象として流れておるかということは、ちょっと判明をいたしかねるのでございますが、もしそういう量があるとすれば、それは確かに自主流通の定着にも非常に障害になるものでございます。そのことはともかくといたしまして、政府の行政機関に登録した卸なり小売りというものがそれをささえる法律に違反するということは、見のがすわけにまいりませんので、私どもも警察当局にも、悪質大口の違反行為については、司法的な取り締まりについて配慮をしてもらいたいという申し入れをいたしておるのでございまして、指導と相まちましてそういう事態の根絶に努力をいたしたいというふうに思っております。
  172. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官、ことしの三月までは、一人大体十キロの配給量でありました。四月から政令が変わって、十五キロになったようです。それで、この新潟県のいまの米穀会社の場合、追加割り当て申請が相当あった、こういうことを聞いておるわけです。ですからほんとうに小売り業者が、実際にこれだけの需要があるのかどうかということをチェックしなければ、非常に多量の追加申請に対して何らかのチェックをしなければ、そのまま流れていきますと当然米ば余るわけですね。  それで、配給米は、一、二、三、四等米を混米して消費者に渡すようになっているわけです。ところが実際に、これはある一部の業者と思いますけれども、一、二等米というものはやっぱり特定の業者のほうに売って、そして三、四等米というものを配給に渡すということが起きて、非常に消費者からもいろいろ問題が出ているわけです。こういつたことを考え合わせますと、この新潟県の場合、追加割り当て申請に対して簡単に許可したということがあったのではないか、これが大きな原因ではないかというふうに考えるのですが、この点はどうでしょう。
  173. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 本年の八月以降、実は追加申請について県当局とも十分協議して、きびしくその事情調査をいたした上で、やむを得ないものだけを認めるということにいたしておるのでございますが、実は私どももその点について、過去におきましては、できるだけ配給米の消費促進ということで、業界にも努力せよということを要請をいたしておったのでございまして、まさかそれが横流れの対象になるというふうには実は予想しなかった、そういうような事情があったのでございますが、やはり常識から見まして、消費の動向というものとかけ離れた売り渡しの申し込みということは、これは私どもは厳重に考えなければ非違の温床を残すことになるというふうに思いますので、今後ともその点を十分に慎重に扱っていきたいというふうに思っております。
  174. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま長官からいろいろお話しがありましたけれども、新潟のいまの政府米の横流し事件を通して、やはり全国的に食糧事務所あるいは県に対して、しかるべくこういう問題が起きないように、何らかの行政指導をすべきじゃないかと思うのですがどうでしょうか。
  175. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 米配給担当者会議におきまして、食糧庁からいまの点についての、県としても指導監督に遺漏のないように要請をいたしておるのでございますが、四半期ごとに食糧関係担当者と配給量の打ち合わせをする機会がございますので、そのつどある意味で具体的に疑問点が持たれる点を指摘して、私は指導してまいりたいというふうに思っております。
  176. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それから古々米の問題について若干お尋ねしますけれども、大蔵省筋等では古々米については家畜の飼料にしたほうがいいのではないかという意見もあるようですけれども、この問題は非常に重大な問題でありますので、この古古米対策についてどうされるのか、長官にお尋ねしたい。
  177. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 古々米の対策は、ある意味で総合農政の考え方とも関連をする問題でございますので、私ども庁内に委員会を設けまして、処理の基本的な考え方を検討し、固めつつある段階でございます。基本的には、古々米というよりも過剰米に対する対策としては、主食としての活用、つまり主食としての消費の増進ということにまずもって努力すべきである。次には、従来輸入砕米、あるいは粉砕をいたしましたコーングリットというのですが、コーングリットのようなもので食品製造等をやっておりますものを米に代替をさせる、内地米に代替をさせるというようなことを考えたい。なお、そういたしましても、現にこの十月末には四十二年産米、つまり古々米が約百三十万トンばかり繰り越されるのでございまして、この量をいま申し上げましたような方法で消化することはとうてい不可能でございます。新しい用途開発を考えざるを得ない。その場合考えられますことは、アルコール原料あるいは米でん粉の原料、ライスターチの原料等があります。そうして一番大きな消化能力がありますものは、配合飼料原料であるということでございまして、私どもとしては、最終的な結論は出しておりませんが、やはり飼料に回すことも考えざるを得ないのではないかということで、ただいま飼料としての試験も実施をいたしておるところでございまして、具体的にはもう少し関係業界あるいは関係行政機関等と議論を詰めなければいけないというふうに考えております。
  178. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いまの政府米の横流し問題、それから古米等についても十分ひとつ事態を直視せられて、適正な運用をされるように要望して私の質問を終わります。
  179. 安倍晋太郎

    安倍委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会