○美濃
委員 どうも
国内で
自給を確保したいというか、
国内の
生産力をふやすには、もちろん
生産対策と総合の
関係が生じてくることは当然ですけれ
ども、ことし
決定しようとする
価格は、これはもう
生産改善といっても、農業というものはそう単年度で顕著な
生産改善をするなどということは、これは不可能なことでありますから、当面、この本年度
決定しようとする
価格は、
生産事情あるいは
生産価格から大きく下回っておる。
たとえば、手元に配付された資料を見ても、
決定しようとする
価格と、この資料にあります
生産費とでは、
決定しようとする
価格がかなり下回っておる。その結果、特に——これは農業経営ですから、ここにあります
生産費用というものは、家族労働費用を除いた費用は、私はこれを
検討してみて、大体適正に
当局は捕捉しておると見ていますが、そうすると、下回った分はいずれも家族労働費にしわ寄せされるわけです。そうすると、実際に麦をつくる
農民の所得というものは、大体
昭和三十五年から四十二年までの推移を見ても、三十五年当時から今日まで、都市均衡労賃から見ると約五〇%である。
例を申し上げますと、三十五年の麦の
価格から実際に
計算された一日当たり労賃は、他の裏作と畑作と平均しまして、
小麦が三百十二円、大麦が二百六十八円、
裸麦が百七十二円です。これは一日の労賃です。一時間当たりじゃないのですよ。これは三十五年ですけれ
ども、それが四十二年まで推移しても、四十二年度において、裏作と畑作を平均いたしまして、
小麦が六百七十二円、大麦が七百六十六円、
裸麦が三百四十一円という、全く都市均衡労賃から比較すると五〇%を割っておるという
状況、こういう
状況で、
生産を伸ばすといっても伸びるかどうか。私は伸びないと思うのですね。将来大きく
生産条件が改善されたときは別ですが、いま改善されていないのでありますから、改善されていないのに、改善するということを展望に描いて、こういうことで
価格決定をしたのでは、つくりたくてもつくれない。
私は、内地
事情にはちょっとうといのでありますけれ
ども、このことは、一面裏作の
関係にも出てきているのではないかと思うのです。たとえば、こういう
状況で麦をつくるよりも、裏作をつくらないで遊ばしておって、二作つくると地力が減退いたしますから、米作一本にかけて、三十キロでも五十キロでも、裏作をつくらないで表作一本で収量を上げたほうが、
生産経費の
関係から所得の
内容はよくなるというところに、裏作がずっと減退しておると私は見ておるわけです。当該
農家の所得
内容も裏作をつくるよりもよくなる。こういう
状況でつくっても所得が出ないのでありますから、一日働いて三百円ぐらいの所得だったら、これは働かぬほうがいいような
状況になってまいりますから、それよりも裏作を遊ばしておいて、地力を回復さして、三十キロ、五十キロ表作一本で収量を上げたほうが、現実に労働は軽減されて所得
内容はよくなるという面が出てくると思うのです。
そういうことで麦が二百万トンくらい裏作で全部つくられておったときから見ると、この
関係が、ある
程度最近の米の収量増加に影響してきておるのではないか、こういうふうに私は見ておるわけです。そういういろいろ相関
関係がありまして、こういう
価格決定をするということは、最近米作の転換をやるとか、米が少し
生産量が多過ぎるというておるが、麦は、いま御説明のように足らぬのでありますから、そういう相関
関係の調節ということにも、政策的な意図を用いる必要があるんじゃないか、こう
考えるが、そういう点はどう
考えるか。