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1969-06-05 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第34号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十四年六月五日(木曜日) 午前十一時二十三分
開議
出席委員
委員長
丹羽
兵助君
理事
安倍晋太郎
君
理事
仮谷 忠男君
理事
藤本 孝雄君
理事
三ツ林弥太郎
君
理事
湊 徹郎君
理事
兒玉 末男君
理事
森 義視君
理事
稲富
稜人君
大石 武一君 大野 市郎君 金子 岩三君
佐々木秀世
君 菅波 茂君
瀬戸山三男
君 田澤 吉郎君 中尾 栄一君 中垣 國男君 中山 榮一君 野原 正勝君 八田 貞義君 藤波 孝生君 松野 幸泰君 伊賀 定盛君
石田
宥全君
角屋堅次郎
君 工藤 良平君
佐々栄三郎
君 實川 清之君 柴田 健治君
永井勝次郎
君
芳賀
貢君 美濃 政市君
米内山義一郎
君 神田 大作君
小平
忠君 斎藤 実君 樋上 新一君
出席国務大臣
農 林 大 臣
長谷川四郎
君
出席政府委員
農林政務次官
小沢 辰男君
農林大臣官房長
大和田啓気
君
食糧庁長官
桧垣徳太郎
君
委員外
の
出席者
専 門 員
松任谷健太郎
君
—————————————
六月五日
委員石田宥全君
及び
永江一夫
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
角屋堅次郎
君及び
小平忠
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員角屋堅次郎
君及び
小平忠
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
石田宥全君
及び
永江一夫
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
委員派遣承認申請
に関する件
農林水産業
の
振興
に関する件(
米価
問題) ————◇—————
丹羽兵助
1
○
丹羽委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
委員派遣承認申請
に関する件についておはかりいたします。
農地法
の一部を
改正
する
法律案
及び
国有林野
の活用に関する
法律案
、両
案審査
のため各地に
委員
を派遣いたしたいと存じます。つきましては、
衆議院規則
第五十五条により、
議長
に
承認
を求めたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
丹羽兵助
2
○
丹羽委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、
派遣委員
の氏名、人数、
派遣期間
、
派遣地
及びその
承認手続等
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
丹羽兵助
3
○
丹羽委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、
航空機利用
の必要があります場合には、あわせて
承認
を求めたいと存じますが、これにつきましても
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
丹羽兵助
4
○
丹羽委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
丹羽兵助
5
○
丹羽委員長
農林水産業
の
振興
に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
芳賀貢
君。
芳賀貢
6
○
芳賀委員
農林大臣
にお尋ねしますが、昨日
米価審議会
において、
食糧管理法
に基づき、
農林大臣
は
審議会
に、
昭和
四十四
年産
の
米穀
に関する
政府
の
買い入れ価格
についての
諮問
を発せられたわけであります。 この
諮問
の
主文
を私ども検討しました結果、この
諮問
の
内容
は、明らかに
現行
の
食糧管理法
に
違反
する
内容
を持っておりますので、これは違法の
諮問
であるということを判断いたしまして、実は
作目九段南
の
米価審議会
の会場において、社会党といたしまして
農林大臣
にこの点をつぶさに指摘して、かかる違法の
諮問
は直ちに撤回されて、
食管法
に基づく正しい
諮問
を発せらるべきであるということを要求したわけであります。本日は、当
委員会
においてこの点を、
政府
を代表して
農林大臣
から明確にしていただきたいと思うわけでございます。 われわれが指摘しました点は、従来、毎年行なわれる
農林大臣
の
審議会
に対する
諮問
の
趣旨
は、その年度における
米穀
の
買い入れ価格
を
決定
するために、
食管法
第三条特に第二項に
規定
されておる
法律
に基づいて、
生産費
及び
所得補償方式
による
米価
の
決定
をするために
審議会
の
意見
を求める、こういう
内容
でありましたが、ことしはそれに加えて、「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
することにつき、
米価審議会
の
意見
を求める。」こういう
内容
になっておるわけであります。この「
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
することにつき、」というこの点は、明らかに
現行
の
食管法
に抵触する点でありますので、何のためにこのような違法の
諮問
をつくられたかという点について、明確にしてもらいたいのであります。
長谷川四郎
7
○
長谷川国務大臣
諮問
の
内容
は、ただいま
質問者
が読み上げたとおりでございまして、
生産費
及び
所得補償方式
を
基本
として、
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
することにつき、
米価審議会
に
意見
を求めたのでございまして、いわゆる
所得補償方式
を
基本
として
経済事情
、要するに
需給
というものも考え合わせて御
決定
を願いたい、こういうことを御
諮問
申し上げたのでございまして、何ら
違反
だとは考えておりません。
芳賀貢
8
○
芳賀委員
委員会
において
大臣
が直接、違法の
諮問
をしましたということはなかなか言いがたいと思いますが、
食管法
第三条の
規定
は、
大臣
も御
承知
と思いますが、「
米穀
ノ
生産者ハ命令
ノ定
ムル所
ニ依
リ共
ノ
生産シタル米穀ニシテ命令
ヲ
以テ
定
ムルモノヲ政府
二
売渡スベシ
」その第二項は、「
前項
ノ場合二
於ケル政府
ノ買入ノ
価格ハ政令
ノ定
ムル所
ニ依
リ生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」これが
生産者米価決定
にあたって、
農林大臣
が
米価審議会
に
諮問
すべき
内容
でなければならぬわけであります。 したがって、過去の長い
米審
における
諮問
の
内容
を検討いたしましても、
需給事情
を
勘案
してことしの
米価
を
決定
するが、それについての
意見
を求めるというような、こういう異例な
諮問
というものは、いままで発せられたことがないわけであります。 しかも、いま私が指摘しましたとおり、
食管法
三条二項においても、
価格
を
決定
する場合に、
経済事情参酌
の
事項
はありますけれども、
需給事情
を
勘案
して、再
生産確保
のために
米価
を定めるということは、これは全然
食管法
の
法律そのもの
はもちろん、これに付随する
食管法
の
施行令等
においても、
需給事情
の
勘案
ということは何らうたわれていないわけであります。これが
食糧管理法
に基づいて、
政府
が
買い入れ米価
、
消費者
に対する
売り渡し米価
をきめる特徴的のものであるということは、
農林大臣
御
承知
のとおりであります。 ですから、単にことばの上だけで違法の
諮問
ではありませんというようなことを、
国会
の中の
委員会
で発言されても、そうですかということにはならないわけであります。何の
目的
をもってかかる違法の
諮問
をされたか、その
目的
、
趣旨
を明確にしてもらいたいわけです。
長谷川四郎
9
○
長谷川国務大臣
もちろん、
目的
はもう何ら
他意
もございませんで、
現実
を
現実
として御
諮問
申し上げたのでございまして、かつて
昭和
二十年には、
買い入れ価格
というものを二回にわたって、
需給
の
実情
において変えたこともございます。何といっても、
経済
の
実情
というものは
需給
によって行なわれるものでございますので、その
実情
を申し上げたのでございます。 ただいま
食管法
第三条第二項との
お話
がございますが、
食管法施行令
第二条第二項は、
経済事情
を参酌して、
米価
を一たん定めた後に
経済事情
の変動が著しい場合には、その一たん定めた
米価
を
改定
することができる旨までも定めてあるのでございまして、かつてそういう例があったか、ないかという
お話
でございますから、ただいま、
昭和
二十年には
買い入れ米価
を二度にわたって変更したことがあるという事実を申し上げる次第でございます。
芳賀貢
10
○
芳賀委員
昭和
二十年ごろには、まだ
農林大臣
は
衆議院議員
にはなっていないわけです。ですから、そういう直接
立法府
に参加していない、あなたが生まれてすぐ
あと
のころのことを言っても、それは
議論
にならないわけです。ですから、今回の
諮問
の中に、特に
需給事情
を
勘案
するということは何のためにうたったかという点であります。 これは私から指摘いたしますが、たとえば、ことしの一月の六十一
通常国会
の
休会明け堅頭
において、
佐藤内閣総理大臣
の行なった
施政方針演説
の中にも、物価問題に関連して、今年度は
生産者米価
並びに
消費者米価
は、
政府
の
基本方針
として据え置きするということを明らかにしておるわけであります。その
あと
で
長谷川農林大臣
は、当
委員会
において、
昭和
四十四年度における
農林省
の施策の
内容
について、
農林大臣
の
所信表明
の形で
委員会
における
表明
をされたわけでありますが、
米価
問題については、ことしは
消費者米価据え置き
を前提として、
生産者米価
についても据え置きする
方針
であるということを、
農林大臣
はその
所信
の中で
表明
しておるわけであります。 この
国会
における
佐藤総理
の
生産者米価据え置き
の
方針
、
農林大臣
の
方針
というものを、
米審
の
諮問
を通じて実現するために、
食管法
に
違反
してでも
需給事情
を
勘案
する、いわゆる
需給均衡価格
を導入することを
米価審議会
に同調を求める形の
諮問
をこれは出しているわけです。ですからその意図は、明らかにことしの
生産者米価
を昨年同様に据え置くための
米価審議会
の
意見
を求めるということをねらいとして、このような違法の
諮問
を発せられたわけでありますので、これはむしろ
米価審議会
の立場においても、
審議会
の公正な
審議権
を拘束して特定の結論を出させるような
諮問
というものは、
法律
上から見ても、
米価審議会
の存在から見ても大きな間違いであるということは、あなたも否定はできないと思うわけです。 この点、こういう
目的
のために、違法とは知りながら
需給事情勘案
の
諮問
をやりましたということを、率直にここで明らかにしてもらいたいわけです。
長谷川四郎
11
○
長谷川国務大臣
私が
昭和
二十年の例をとりましたら、おまえはまだ
国会
へ出ておらぬとおっしゃる。私は
昭和
二十四年一月二十六日に登院いたしました。
食管法
は
昭和
十七年二月にできております。
昭和
十七年ですから、
イモ
のつるを食ったようなときももう
食管法
はできておるのです。そういう時代からの
食管法
についてのあなたの御
意見
じゃございませんでしょうか。とするなら、私が、たとえば
昭和
二十四年一月に
衆議院議員
となって席を持つことに何ら
ふしぎ
はないはずでありまして、かつての例を、あるかと言うから申し上げたのでありまして、それならば、あなたの御
質問
をお取り消しを願いたいと存じます。 したがいまして、私がその
所信
の
方針
を述べたということは、ぜひそうありたい、けれども、これは私がきめるわけにはまいらない。
米価審議会
がありまして、
審議会
の
答申
を受けまして、その
答申
によって初めて
米価
というものが
決定
されるのでございまして、私がかってに
米価
をきめるというわけにはまいらないのでございます。御
承知
のとおりです。それは
専門家
のあなただからよくその点はわかると思うのです。でありますから、
答申
を受けてその
答申
に基づいて私は
米価
を
決定
する考えでございますということを、必ずつけ加えてあるだろうと考えます。その点
十分速記録
のほうをよく読んでいただきたいと存じます。
芳賀貢
12
○
芳賀委員
きょうは、
食糧庁長官
やあるいは
官房長
に鞭撻されて、だいぶ張り切っておるようですが、それではお尋ねします。 もとより
食管法
ができたのは
昭和
十七年であります。しかし、現在の
食管法
が
昭和
十七年に成立制定されて、そのままの形で今日に至っておるというふうに
大臣
は考えておられるようでありますが、
現行
の
食管制度
は十七年の制定以来何回
国会
において
改正
の
措置
が講ぜられて今日に至っておるか。しかも、現在の
食管法
の
内容
というものは、
昭和
何年の
改正
を通じて今日に至っておるかということは、これは
大臣
よくおわかりのようですから、その点を明らかにしてもらいたいわけです。今日まで何回
国会
において
改正
が行なわれて今日に至っておるか、あるいは、最終的な
改正
が何年に行なわれて今日に至っておるか、相当古い
経過
を御
承知
のようですから、その点をこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
長谷川四郎
13
○
長谷川国務大臣
昭和
十八年三月十二日、
昭和
十九年二月十日、
昭和
二十一年十一月十一日、
昭和
二十二年十二月三十日、
昭和
二十三年七月七日、
昭和
二十三年十二月二十七日、
昭和
二十四年三月三十日、
昭和
二十四年五月三十一日、
昭和
二十四年六月二十五日、
昭和
二十五年三月三十一日、
昭和
二十五年三月三十一日、
昭和
二十六年の四月の十日、
昭和
二十七年の三月三十一日、
昭和
二十七年五月の二十九日、
昭和
二十七年七月三十一日、
昭和
三十七年五月の十六日、
昭和
三十七年九月の十五日、いずれも
基本
となることは、その
需給
というものが
基礎
となって、そして
生産
を高めようというその考え方の上に立っていろいろ変えられているようでございます。
芳賀貢
14
○
芳賀委員
それは
大臣
、いままで十五回の
改正
が行なわれておるわけです。
長谷川四郎
15
○
長谷川国務大臣
十七回です。
芳賀貢
16
○
芳賀委員
そこで、現在の
食管法
の
最終改正
が何年に行なわれ、その
改正
というものはどういう
経緯
を経て今日に至ったかという、これが大切なんですよ。特に
食管法
の第三条一項、二項、
食管法
第四条の一項、二項の
改正
というものがいつ行なわれて、それが今日まで運営されているかということが、これが明確にならぬと、何回
改正
したという年月だけ続み上げてもこれは意味がないからして、まともに私と
議論
をする御意思がもしあるならば、現在の
食管法
の一番大事な点がどういう形で
改正
されたか、
政府提案
のとおりに両院で成立したものであるか、あるいは
国会
において大事な点が修正されて、そうして成立して今日に至っておるものであるか、この
経緯
というものを
大臣
がわからなければ、いかなる答弁を行なっても核心を突かぬということになるわけです。
長谷川四郎
17
○
長谷川国務大臣
その
経緯
は、ただいま申し上げたとおり、
食糧
の
確保
をいかにするかという、こういう点が
基礎
となって、
需給
という面が表に出て、そうして
改定
をされていることは事実でございます。
芳賀貢
18
○
芳賀委員
ちょっと意地の悪いことになるかもしれぬが、現在の第三条の一項、二項、特に二項の「
政府
ノ買入ノ
価格ハ政令
ノ定
ムル所
ニ依
リ生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」それから
消費者米価
に関する第四条第二項の、「
政府
ノ
売渡
ノ
価格ハ政令
ノ定
ムル所
二依
リ家計費及物価其
ノ他の
経済事情
ヲ
参酌シ消費者
ノ
家計
ヲ
安定セシムルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」この
改正
の行なわれた
経過
について、
あと
のむずかしいことは御
質問
いたしませんが、この点が、今回の
米審
に
関係
した重要な点ですからして、この
改正
が行なわれた
国会
における
審議
の
経過
あるいはその結果というものについて、
委員会
を通じて明らかにしてもらいたいと思うのです。これは
農林大臣
から答弁してください。
長谷川四郎
19
○
長谷川国務大臣
買い入れ価格
、
生産費
・
所得補償方式
というものは、その中にもいま
お話
しの
経済事情
、
経済事情
というものは、先ほども申し上げましたとおり……(
芳賀委員
「そうじゃない。
法律
の
改正
の
経過
ということだよ」と呼ぶ)その
経過
のこまかい点については、
食糧庁長官
をもって答弁させます。
桧垣徳太郎
20
○
桧垣政府委員
農林大臣
からお答えいたしましたように、十数次にわたる
改正
でございますので、それをすべてここで明らかにせよということは、容易なわざではないわけでございますが、
食管法
第三条第二項の
改正
が御
質問
のような
趣旨
で行なわれましたのは、
昭和
二十七年の五月二十九日の
改正
の
法律
第百五十八号によっておるのでございまして、これは当時の
食糧需給事情
の
変化
に伴いまして、いわゆる
麦類
が、従来
政府
の直接
管理食糧
でございましたものを
間接統制
に移行をする
措置
をとりました際、第三条の一項の中から「大麦、裸麦、小麦又
ハ雑穀
」というのを削除いたし、「其ノ
生産シタル米麦等
」というのを「其ノ
生産シタル米穀
」に改め、二項で、「
生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シテ
」
価格
を
決定
するという
趣旨
でございましたものを、以上の点を「
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
」ということに改めたということでございます。 なお、
四条関係
では、同じく二項で、「
消費者
ノ
家計
ヲ
安定セシムルコトヲ旨トシテ
」ということに改めたというのが重要な点でございます。
芳賀貢
21
○
芳賀委員
私がこの点を特に指摘するのは、いま
食糧庁長官
の
説明
した
昭和
二十七年における
食管法
の大幅な
改正
が行なわれた際、この
食管法
第三条、第
四条関係
の当時の
改正
というものは、
政府提案
のとおり成立してはいないのです。特に第三条、第四条のそれぞれ二項の
規定
は、これは現在の
法律
の
内容
のごとく修正をして、これが成立した
経過
があるわけです。だから、
政府提案
がそのまま通って今日に至っておる場合は、これは
政府
が
国会
に出して成立をはかった法案だから、立法の
趣旨
あるいはその条文の
目的等
については、
政府
のほうがわかっていますという逃げ口上があるかもしれぬが、この一番大事な点は、幸いにして当時われわれが、
政府原案
の
改正
では、これは
農民
の
生産費
あるいは
所得
を補償して、
国民
の食生活を安定させるための根幹である
食管法
の完全な運営はできないということで、第三条の第二項については今日のごとく、「
生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
」
買い入れ価格
をきめる、
消費者米価
については、「
消費者
ノ
家計
ヲ
安定セシムルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」というふうに、これはわれわれが
国会
で、
政府
の
改正案
を修正して制定してあるわけです。だから
政府
の皆さんよりも、修正成立さしたわれわれのほうが、現在の
食管法
については、
法律
の
精神
、
目的
というものが、あなた方よりも数段われわれのほうが正確に把握しておるわけです。 それに照らしてみた場合に、昨日
諮問
をされました
農林大臣
の
諮問
の
主文
というものは、明らかにこれは
食管法
に抵触する違法の
諮問
であるということを指摘したのは、これは当然なことなんです。いいですか、
農林大臣
、
昭和
二十年に何があるとか、十五回
改正
があったなんということを聞いておるのじゃないのですよ。あなたが
諮問
を発せられたその根拠である
食管法
第三条第二項の
精神
、
目的
というものは、二十七年にわれわれが
国会
の中で、
政府
の
改正案
を修正して通して今日に至っておるわけですからして、われわれ
立法府
の者が、これが間違いだということを指摘すればそのとおりのことなんですよ。いいですか、もう少し何か
説明
とか言いわけがあればおやりなさい。
長谷川四郎
22
○
長谷川国務大臣
言いわけでも何でもございません。あなたが私に
質問
するからお答えをしているだけでございまして、何も
他意
はございません。ですからただいまのように、「
前項
ノ場合」とこうあるのは、そういう面はそのときの
精神
というものが十分この中に盛り込まれておる。その盛り込まれておるとおりに今度も
諮問
をいたしましたので、何も
ふしぎ
はないと私は考えているわけでございます。
芳賀貢
23
○
芳賀委員
それでは、何のために
法律
あるいは
政令
にない
需給事情
の
勘案
というものを、特にことさらに
諮問
の
主文
の中に入れられたか、この点を率直に答えてもらいたい。
長谷川四郎
24
○
長谷川国務大臣
生産費
及び
所得方式
を
基本
として、そして
経済
の中にある
需給事情
というものを考慮して
決定
することをお願いしたい、こういうことでございまして、あなたのおっしゃっていることと何ら違いはないと思います。
芳賀貢
25
○
芳賀委員
それが間違いなんですよ。いいですか、
法律
には「
経済事情
ヲ
参酌シ
」ということはありますが、何も
需給事情
を参酌してきめるということはないでしょう。あなたの言われた
施行令
の第二条第二項も、最初にきめた
生産者米価
が、その後の
経済事情
の大きな
変化
によって、当然年度内に引き上げる必要のある場合には、
農林大臣
は
米審
を開いてそこに
諮問
をして、値上げの
改定
をすることができるということが、これは第三条の
規定
に基づいて
施行令
でうたってあるわけです。値下げをするために、
米審
を開いてきめるというようなことではないのですよ。どこにもないでしょう。
需給事情
を
勘案
して、足りないときには
米価
を上げる、多いときには
米価
を下げるというような、
食管法
というものはそういうものじゃないでしょう。 参考までに、一昨年、
倉石農林大臣
のときに
政府
が
諮問
をされたその
説明
の中で、この点が明らかになっていますから申し上げる。これは、同じ自民党の
農林大臣
が
諮問
したときの
諮問
の
内容
です。
主文
については、「
生産費
および
所得補償方式
により算定することおよびこれに関し留意すべき
事項
について、
米価審議会
の
意見
を求める。」ということで、これはいままで毎年こういうことになっておるわけです。その
説明
の中に、いいですか、これはよく聞いておかぬとまた間違いを繰り返しますよ。「
諮問
についての
説明
」として、「
米穀
の
政府買
入
価格
は、
食糧管理法
第三条第二項の
規定
により、
生産費
および物価その他の
経済事情
を参酌し、
米穀
の再
生産
を
確保
することを旨として定めることになっており、
米価審議会
のご
答申
に基づき、
昭和
三十五
年産
の
米穀
から
生産費
および
所得補償方式
によって算定いたしております。」これからが大事ですよ。「
米穀
が
農業生産
および
国民生活
に重要な地位を占めており、
食糧管理法
により直接
統制
を行なっている
主要食糧
であることにかんがみまして、本年におきましても、
生産費
および
所得補償方式
により
米穀
の
政府買
入
価格
を算定してはどうかということであります。」このように、一昨年の
倉石農林大臣
が
米審
に
諮問
をされたときの
大臣
の
諮問
についての
説明
が、非常に明確になっておるわけです。 ですから、
政府
が
米穀
については、直接国の権力をもって
管理
をしておる。直接
統制
を行なっておる。
農民
の
生産
した米については、
政府
以外に売り渡してはならぬという、こういう
強権規定
に基づいて、
食糧管理法
の第三条第一項というものは明確になっておるわけです。ですから他の
農産物
のごとく、
政府
に売ってもよろしいし、他に売ってもよろしいというような、第四条二の
規定
による麦のような
間接統制
とは違う。あるいはまた、
農産物価格安定法
による
イモでん粉等
の
価格支持
の場合とも違う。あるいはまた
加工原料乳
の
保証価格
のように、間接的に
政府
が
価格
を維持する場合とこれは違うのです。とにかくとれてもとれなくても、
農民
の
生産
した米は
政府
以外他に売ってはならぬということを、これは国の
管理
、直接
統制
をもって縛っておるわけですからして、
需給事情
がどうかということは、これは国は考慮しないわけですよ。
農林省
として、あるいは
政府
としては、物の
値段
をきめる場合には、
自由経済
の原則に基づいて、
需要
に対して
供給
が多い場合には、これは
値段
を下げるのがあたりまえである、
需要
に対して
供給
が少ない場合には、
価格
が上がるのは当然であるというような、
自由経済
の一つの法則に照らして、
法律
を
改正
しないで
食管法
の中に
需給均衡方式
を導入しようという、そういう魂胆のもとに今度の
諮問
をしておるわけですが、こういう
完全統制
、
完全国家管理
の中で、そういうような違法の
諮問
をするということは、もう明らかに
食管法
の大きな
違反
であるということは、これは疑う余地がないわけです。それをみずから戒めて、一昨年
倉石農林大臣
は
米価審議会
に対して、
食管法どおり
の
諮問
をすると同時に、
説明
の中においても、
米価
については
食管法
に基づいて、全面的に国が直接
統制
を行なっておるからして、
生産費
・
所得補償方式
によってこれはきめなければならぬので、これに関連して留意すべき
事項
について
米価
、
審議会
の公正な御
意見
を承りたいという、こういう
諮問
の
内容
になっておることは御
承知
のとおりであります。 しかも、
農林大臣
は
昭和
二十年からの
食管法
のことを知っておると言われましたが、それでは戦時中、戦後の長い間、一体
需給関係
というものが、
食管法
による
生産者米価
の中に反映されたことがありますか。
食糧
不足のときに、もしいまの
政府
の考えるような均衡方式を導入しようとすれば、
政府
の
買い入れ米価
は、五割あるいは倍の
価格
で
政府
が買い入れしなければならぬということにこれはなるわけですよ。むしろ
食管法
というものが、
食糧
不足の時代、
食糧
窮迫の時代に、
生産者米価
については、それを抑制する役割りを果たしてきておるのですよ。
需給
均衡の原則からいえば、これは当時数倍に高く買わなければならぬものを、
食管法
の権力発動によって
政府
以外には売ってはならぬ、
政府
のきめた
価格
で全部
政府
に売り渡せということで
生産
者を拘束した。これは決して
需給
均衡の法則によって
価格
をきめたわけではないわけです。むしろ
食管法
を悪用して、当然上げなければならぬ
米価
というものを、
法律
の力で押えてきたというのが、
食管法
における
買い入れ米価
形成の
経過
であるということは、
大臣
も桧垣
食糧
長官も、そのころはまだ若かったろうけれども、やはり当時から優秀な官僚の卵であるとするならば、
食糧管理法
がどういう作用を
需給関係
に果たしてきたかということは、これはもう論ずるまでもないことじゃないですか。 そういうことを全くほおかぶりして、しゃあしゃ
あと
委員会
に出て、
昭和
二十年がどうでありましたとか、二十一年がどうでありましたとか言うことは、これは全く僭越しごくだと思うのですよ。いいですか、当時相当非難されたはずの倉石君さえも、こういうまともな
諮問
を行なっておるわけです。しかるに、人情
大臣
だとか話がわかるといわれておる
長谷川農林大臣
が、いかに自分の意思ではないといいながら、桧垣
食糧庁長官
と大和田
官房長
、もう一人大口事務次官等、三人の
農林省
のいわゆる指導的な役人にあやつられて、これが正しい
諮問
であるというような形できのう
諮問
を出されたということは、同じ
国会
議員の仲間として、われわれは党派を超越してまことに残念にたえない次第です。もう少し謙虚に、
法律
に基づいた答弁をしてもらいたいと思う。
長谷川四郎
26
○
長谷川国務大臣
お話
がたくさんございますが、たとえば再
生産
ということばは、もちろん再
生産
というものをあくまで旨として
米価
の
決定
はいたすのでありまして、再
生産
は、
価格
だけの問題で再
生産
を行なうのではないのでございまして、再
生産
をしてもらうためには、他の方法がたくさんあるだろうと考えております。それらの施策が、かつてずっと続けられてきておることは御
承知
のとおりでございます。 他の面につきまして、
需給
均衡ですか、この点については、
食糧庁長官
から答弁をさせます。
桧垣徳太郎
27
○
桧垣政府委員
……(
芳賀委員
「いいですよ。要求もないのに、何もあなたが答える必要はない。ちゃんとあなたが
農林大臣
に答えさせなさい」と呼ぶ)
委員長
から御
指名
をいただきましたので、ちょっと補足させていただきますが……。
芳賀貢
28
○
芳賀委員
要求がないのにいいですよ。
委員
の要求があって初めて
政府
から答弁するのであって、われわれは
政府
を代表する
農林大臣
から責任のある答弁を求めておるわけです。答弁の
内容
がよくても悪くても、とにかく内閣の一員として
農林大臣
がおるわけだから、その
大臣
から直接責任のある答弁をするのが当然じゃないですか。
丹羽兵助
29
○
丹羽委員長
桧垣
食糧庁長官
の発言許可を取り消し、
農林大臣
の発言を求めます。
長谷川四郎
30
○
長谷川国務大臣
私はただいま答弁をいたしましたけれども、新たなる
質問
が出ればさらにお答え申し上げます。
芳賀貢
31
○
芳賀委員
それでは具体的にお尋ねしますが、
農林大臣
が従前同様の
諮問
をされて
米価審議会
から
答申
を得られる場合と、今回のごとき違法な
諮問
を発せられて
米審
から
答申
をとる場合と、
農林大臣
がきめる
買い入れ価格
決定
上相当大きな開きが出ると思うわけです。しかも、今回の
諮問
で従来と違っておる点は、従来は、これこれの方式によって算定することにしたいので、これに関連して留意すべき
事項
について御
意見
を承りたい、こういうことになっておるわけですね。今度は、これこれの方式によって
決定
するので、
意見
があれば述べてもらいたい、こういうことになっているのですよ。いままでは、こういう方式で算定したいと思うがいかがでしょうかというのですが、今度の場合は、こういう方式で
決定
しようとしておるが——
決定
ですよ。いままでは算定といっているが、今度は、きめるが、皆さんに
意見
があれば述べてくれ、こういうことになっておるわけですよ。だから居直り強盗みたいに、これに対しておまえら何か言えということなんですね。だから、いままでと同じような
生産費
・
所得補償方式
による算定上の
意見
を承りたいという場合に、それを受けて算定される
価格
と、
需給
均衡を導入して
価格
をきめるという場合においては、
政府
としても、相当大きな
価格
上の開きがあることを期待してこういう
諮問
を出しておるわけです。 その証拠に、これに付随しておる算定資料を見ると、
需給
均衡を導入することによって、少なくとも石、百五十キロ当たり二千円、当然上げなければならぬ
価格
が上がらぬということになるわけです。一俵については八百円以上当然上げなければならぬ
価格
が、
需給事情
の
勘案
ということで昨年同様におさまるような、こういう計算を、
米価審議会
に同時に資料として出しておるわけですね。これはたいへんなことじゃないですか。
農林省
の統計調査部の発表によっても、十アール当たり、一反歩当たりの四十三年度の米の
生産費
は、前年に比べて一〇・五%上昇するということを発表しておるわけです。百五十キロ、一石当たりについては、前年よりも一一・五%
生産費
は上がりますということを、同じ
農林省
の統計調査部は天下に公表しておるわけです。これでいけば、一石当たりにして二千円以上、一俵当たり八百円以上、当然従来どおりの
生産費
・
所得補償方式
で
諮問
をすれば上がる。 二十五人の
委員
の中には、
大臣
が選任されたわけですから、大部分は
政府
の御用をつとめると思われる
委員
が多いわけですが、そういう
諮問
であれば、これはけしからぬということにはならぬわけです。それを上げないために、総理
大臣
の施政
方針
やあるいは
農林大臣
の
所信表明
のごとく上げないということのために、
需給均衡方式
を導入して、上がるべきものが上がらぬようにするための
諮問
を行なっておるわけですから、これを可とする
意見
、あるいは否とする
意見
が二本立てで出たとしても、
政府
の思いどおりに、
答申
の中には
政府
の考えを可とする者もおるので、
政府
の責任において据え置きにしますということをやるでしょう。 ですから、従来同様の
諮問
をした場合と、今回のような違法の
諮問
をした場合と、私は大体を判断して
価格
上の指摘をしたわけでありますが、これは
農林大臣
から、どういう
価格
上の差が出るかということについて、率直な
説明
をしてもらいたいと思うわけです。
長谷川四郎
32
○
長谷川国務大臣
お説のように、四日に開かれる
米審
に前もって、統計の調査によりますと、ただいま
お話
しのような数字になりますということを、最も明らかに、新聞発表までして公開をしておるのでございます。また、
審議会
委員
にも十分その意が伝わるように、資料として提出してあるのでありますが、いま最後におっしゃる
需給事情
、その
経済
の実態はかくのごとくでございますということも、参考資料に入れることは当然だと私は考えるのであります。 ですから、あなたのおっしゃるように、物価というものと
生産費
というものがかくのごとくなっておりますということを、われわれは全日本に公表しております。さらに、
審議会
の資料としてりっぱにそれを整えて提出してあるのでございますから、それによって、おそらく
委員
の方々はこれを十分御
審議
なさることだと考えております。
芳賀貢
33
○
芳賀委員
審議会
としては、この
諮問
は違法な
諮問
であるといって、
諮問
を返上すれば別でございますけれども、とにかく
農林大臣
から
諮問
されたのだから、
審議会
では
審議
をしなければならぬということになれば、この
諮問
の
主文
に書いてある、
生産費
・
所得補償方式
を
基本
とし、
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
することについて
審議会
の
意見
を求めるということになれば、最終的に予測される
答申
というものは、そのとおりでよろしいという
意見
と、これは断じて違法の
諮問
であるし、こういう算定方式というものは
食管法
に
違反
するから不可である、こういう声が当然出てくるわけでしょう。だから、この
諮問
どおりの計算をやって、百五十キロ当たりについては去年よりも三十二円
価格
が下がります、六十キロ当たりについては去年よりも十二円
値段
が下がります、こういう計算一本にしぼってやっておるんじゃないですか。しかも、一〇%以上
生産費
が上がっておるということを
農林省
の統計調査部は公表しておるわけです。その値上がり分を下げるために、いわゆる
需給均衡方式
の導入というものをわざわざ
米審
に
諮問
しておるわけでしょう。 そのやり方というものは、従来限界反収農家というものを一シグマの形で標準偏差をとって、そうして販売農家にすれば、一番目から百番目のうちの八十四番目までの農家が、いままでの
生産費
・
所得補償方式
の
買い入れ価格
の中においては包容されるという配慮を、いわゆる反当収量の
勘案
の中で行なってきたわけです。それを今度は二分の一シグマ、そういう計算を使っておる。これがいわゆる
需給
均衡の導入による計算上のあらわれということになるわけです。従来同様に一シグマをとれば、
政府
のいままでどおりの計算によっても、百五十キロ、一石当たりで当然二千円以上の値上げをしなければならぬ、一俵当たり八百円以上の値上げをすることになるのを、
需給均衡方式
で計算すれば去年よりも上がりません、こういうことじゃないですか。
需給
均衡を導入するということは、これは非常に大きな意味を持っておるわけですよ。しかも、
食管法
をそのままにして権力的に
生産
者を縛りながら、今度は値上げをしないという形でさらにこれを抑圧するというようなやり方は、断じてわれわれとしては了承できません。何回でも繰り返して
質問
しますけれども、この点は、もう
農林大臣
だけじゃなくて総理
大臣
の
方針
だから、
農林大臣
としては忠実にやっておるということなのか、そこらまで明らかにしてもらいたいと思います。
長谷川四郎
34
○
長谷川国務大臣
どうも話が少しおかしいので、
需給均衡方式
をとるのではないのでございまして、私のほうは、
需給事情
を考慮に入れてと、こう言うのです。ですから、
需給均衡方式
をとるということはちっとも言ってないのです。 ですから、あなたが先ほどからおっしゃるように、物が上がってきておる、賃金も上がった、それは必ずこの中で十分に、
生産費
及び
所得方式
というものを
基本
としてお考えいただきたい、こういうことを御
諮問
申し上げておるのです。しかし、参考として
需給事情
というものも当然入れることは、ちっとも
ふしぎ
じゃないと思うのですが、どうも話を聞いていると、それがえらい
違反
のような話ですけれども、やはり何といっても参考資料として全部そろえるのです。もし
国会
でも、じゃ
需給
はどうなっているんだ、資料が出てこないじゃないか、
国会
であってもきっと要求するだろうと私は考える。 だから、そういうものを参考資料としてそろえて出し、御
諮問
の中にも、
基本
としては
生産費
・
所得補償方式
というものを
基本
としておやりください、ただし、
需給事情
も考慮に入れて考えてもらわなければならぬ、こういうことでございます。おかしいでしょうかね。
芳賀貢
35
○
芳賀委員
食管法
が指示していないことを、あなたは無理にやる気になっておるのですよ。
食管法
のどこにも、
需給事情
を
勘案
してきめるということはないでしょう。
経済事情
を
勘案
してということはある。それでは、
経済事情
をどうして
勘案
しないのですか。
法律
に書いてあるとおり、
需給事情
よりむしろ
経済事情
を
勘案
して、再
生産
の
確保
をはからなければならぬのじゃないですか。それを落としているのはどういうわけなんですか。
長谷川四郎
36
○
長谷川国務大臣
経済
の
基本
となるべきものは、やはり何といっても
需給
というものが考えられなければ
経済
だって成り立っていかない。でありまするから、その
経済事情
の
基本
となるべき、つまり、その
需給
というものの
現実
をお知らせ申し上げた、こういうことなんです。
芳賀貢
37
○
芳賀委員
それじゃ、どういうわけで
食管法
に
需給事情
というものを全然うたわないで、
経済事情
と書いたのですか。その辺はどうなっているのですか。(「
自由経済
の理論からそうなっているんだ」と呼ぶ者あり)
長谷川四郎
38
○
長谷川国務大臣
いや、
自由経済
というのはそちらが言っているんで、私のほうは言ってないのです。私のほうは、均衡方式をとると言っているんじゃないです。両市給事情を考慮に入れていただきたいと、こういうことを言っているんです。均衡方式をとるということを言ってないのです。均衡方式でやるとも、やれとも言ってないのです。それを
芳賀
さんのほうは、あたかもそれはそうだそうだと言うから、そうじゃないですと、こういう話なんです。
芳賀貢
39
○
芳賀委員
大臣
、少しまじめに、
国会
の神聖な場所ですから……。いいですか、
需給事情
というのは
食管法
のどこにもうたってないでしょう。これはおわかりですね。
需給事情
とはうたっていないが、しかし、「物価其ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ
」ということは、これは
法律
にはっきりあるわけです。
法律
にある
経済事情
を使わないで、
法律
にない
需給事情
を使わなければならぬという点がわからないのですよ。何のために
経済事情
というものは
勘案
する必要がないのですか。
長谷川四郎
40
○
長谷川国務大臣
経済事情
はりっぱに入っていると私は考えておるのです。物価も
経済
の中に入るだろう。しかしながら
所得方式
、要するに
生産費
・
所得補償方式
、これも当然中に加えるのであって、別に
経済事情
——
需給
というものを離れた
経済
というものは成り立たないのですから、私は少しも
ふしぎ
はないんだ、こういうふうに考えております。
芳賀貢
41
○
芳賀委員
それじゃ、
ふしぎ
でないことがどうして
昭和
十七年からいままで
食管法
の中に——あなた大事だと言うんでしょう。その大事な
需給事情
というのはどこにもないじゃないか。しかし、
経済事情
を
勘案
してということはありますよ。物価その他の
経済事情
を
勘案
して、
米穀
の再
生産
を
確保
することを旨として
政府
の
買い入れ価格
をきめますというのは、
食管法
第三条第二項の
規定
ですからね。
需給事情
を特に
勘案
してきめますということは何もないじゃないか。
法律
にないことをやれるだけの権限は、あなたに何もないんじゃないですか。
長谷川四郎
42
○
長谷川国務大臣
食管法
にしても何にしても、
需給
という面が
基礎
となっていろいろな法案がつくられたということは、もう
議論
の余地のないところでございまして、これなくして
食管法
というものが——
食管法
というものは、今日になって
消費者
方面から、
食管法
をなくせとかいろいろなことをいわれておりますけれども、私たちは、
食管法
をなくするなんという考え方は毛頭持っておりませんし、
食管法
はあくまでも続けなければ相ならぬと考えておる。それはなぜかというと、あの苦しいときに
食管法
によっていかに
需給
のバランスをとるか、少ない
生産
の上に立った
需給
のバランスをとるか、そして安定をさせるかという、こういう
基礎
の上に立ってすべてが今日まで行なわれてきたことは、私が申し上げるまでもございません。 でありますけれども、その
経済
の実態である
需給
はかくのごとく今日このごろはなりましたということを申し上げただけでございまして、それが
違反
になるとは私は考えておりません。
芳賀貢
43
○
芳賀委員
いま、
需給事情
というのはもう
議論
の余地がない。どこで
議論
の余地がないのですか。これは
法律
にないから
議論
の余地がないと言うのか。それなら話はわかりますよ。
法律
のどこにも書いてないから、そういうものは
議論
の対象にはならぬ、
議論
の余地がないと言うなら話はわかるが、あなたの言うのはそういう意味ですか。
長谷川四郎
44
○
長谷川国務大臣
需給
という面は、申し上げるまでもなく、少ないとき、いかに平等にそれを分配をするかという、その
需給
です。それも
需給
です。そういう面からこの法案ができてきたのですから、その
法律
に基づいて今回も
需給
の
現実
をお知らせ申し上げた、こういうことでございます。
芳賀貢
45
○
芳賀委員
だから、
法律
のどこに根拠があるのですか、あなたのお知らせ申し上げるという根拠ですね。
法律
には明定されておるわけですから、根拠がないことを言ってもしょうがないですよ。
長谷川四郎
46
○
長谷川国務大臣
同じことでございますけれども、
経済事情
、
経済
という中の
需給
を申し上げただけでございます。
芳賀貢
47
○
芳賀委員
それじゃ、
食管法
第三条第二項にうたってある
経済事情
というものは、どういうものなんですか。
長谷川四郎
48
○
長谷川国務大臣
第二項、「
前項
ノ場合ニ
於ケル政府
ノ買入ノ
価格ハ政令
ノ定
ムル所
ニ依
リ生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」。同じことでございます。
芳賀貢
49
○
芳賀委員
その
経済事情
というものはどういうものですか。
長谷川四郎
50
○
長谷川国務大臣
もちろん、
経済事情
の中にはその
需給
が入っておる、こういう解釈でございますから……。
芳賀貢
51
○
芳賀委員
農産物価格安定法
その他の
価格支持
の
法律
には、いいですか、物価事情その他
経済事情
を
勘案
してという
法律
もありますよ。あなたの言うのは、
経済事情
即
需給事情
ということですか。
長谷川四郎
52
○
長谷川国務大臣
経済
そのものが全部が
需給
だと申し上げているのではないのでございまして、その最も
基礎
となる要素であるということを申し上げたのでございまして、それをお知らせ申し上げた、こういうことでございます。
芳賀貢
53
○
芳賀委員
経済事情
の中に
需給事情
も入っておる。それは全部じゃないというと、そのほかの事情は何ですか、
経済事情
の
あと
の事情というのは。
長谷川四郎
54
○
長谷川国務大臣
法律
の中にある物価事情というような面も、全部その中に加わっております。
芳賀貢
55
○
芳賀委員
ところが、その
経済事情
の前のほうに、「物価其ノ他ノ
経済事情
」ということになっておるのだが、これは物価は入ってないんじゃないですか。「物価其ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ
」ということになっておるが、それがもう一つ入っておるのですか。
長谷川四郎
56
○
長谷川国務大臣
私の今回
諮問
申し上げた中には、
経済
という中には
需給事情
というものが大いに含まれておる、最も重要な要素であるから、
需給事情
というものを
価格
決定
の参考として、そのようにお願い申し上げたいと、こう
諮問
したのです。同じようなことで私はかりではなんでしたら、長官から御
説明
申し上げさせます。
芳賀貢
57
○
芳賀委員
長官からはいいですよ、長官が
大臣
に
説明
してから答弁してもらえばいいわけですから。
経済事情
というのは、全部
需給事情
ではないということはようやくわかったが、それじゃ、全部でなければ
あと
の要素もあるわけですから、
需給事情
とそのほか何の事情ですか、
法律
の
経済事情
というのは。 それからもう一つは、他の
法律
には、
需給事情
と
経済事情
と並べた
農産物価格安定法
のような
法律
がある。二つ並べたのもある。その辺も、あなたは非常に勉強家だから、あわせて明らかにしてください。
長谷川四郎
58
○
長谷川国務大臣
経済事情
、もちろん申し上げた
需給
そのほかで、その中をいろいろ分けていけば、賃金の問題も出てくるし、いろいろ出てくるでしょう、
経済事情
でございますから。しかし、最も大きな要素を持っておるのはすなわち
需給事情
だと、こう申し上げたのですよ。
芳賀貢
59
○
芳賀委員
賃金の事情とかその他
価格
算定上の重要な要素を
経済事情
の中からはずしてしまって、その一部と
大臣
は言っておるわけですが、
需給事情
だけを取り上げて、
需給
が緩和されたんだから
値段
を下げますという材料だけに使うというのは変じゃないですか。むしろあわせて書くのであれば、
法律
どおり
生産費
・
所得補償方式
を
基本
として、
経済事情
を十分考慮して、
価格
算定上留意すべき点を
答申
してもらいたい、このほうが筋が通るんじゃないですか。
長谷川四郎
60
○
長谷川国務大臣
賃金及びその他というものは
生産費
、この中に入るわけですから、
所得補償方式
の中に全部加わるのでございますから、あえてこの中に別にあらためてうたう必要はないわけです。
芳賀貢
61
○
芳賀委員
先ほどあなたは、
経済事情
の中には
需給事情
が大半入っておる、そのほかの事情の中には賃金も入っておるということを言ったんですね。今度は賃金は別ですか。
経済事情
に入らないんですか。あなたがそういったじゃないですか。
長谷川四郎
62
○
長谷川国務大臣
もちろん入ります。それも重要な要素を含んでおりますから、それは別に
生産費
及び
所得補償方式
の中に加わるのでございます、こう言っているのです。おわかりでしょうか。
芳賀貢
63
○
芳賀委員
それじゃ賃金は、この
法律
では
経済事情
の中に入らぬわけですね。物価も入らぬわけですね。
長谷川四郎
64
○
長谷川国務大臣
もちろんその中には入りますけれども、その中に最もウエートがある
需給事情
も入るわけでございますから、それをこの
諮問
の中に加えた、こういうことでございます。
芳賀貢
65
○
芳賀委員
それでは歴代の自民党内閣が、一番大事な
需給事情
を、いままで
米価
算定上加えなかったのはどういうわけですか。
長谷川四郎
66
○
長谷川国務大臣
本年度の現在と、かつて、過去
昭和
十七年から今日までの
需給
の実態の相違のあることは、御
承知
のとおりでありますからであります。
芳賀貢
67
○
芳賀委員
それは
需給
が緩和したときだけ加えるというのですか。
需給
が逼迫したときはいままで加えなかったわけですね。
長谷川四郎
68
○
長谷川国務大臣
需要
と
生産
のバランスをいかに合わせるか、そうしていかに
生産
に励んでもらうかということにつきましては、
法律
自体、そのものまでも変えて、そして
生産
を高めていっておるわけでございますから、あらためてこの
諮問
の中に入れる必要はなかったと考えられます。
芳賀貢
69
○
芳賀委員
それでは
法律
を
改正
してからということですか。
長谷川四郎
70
○
長谷川国務大臣
改正
してからとは、どういうことかわかりません。
芳賀貢
71
○
芳賀委員
昭和
十七年の戦中から二十年の戦後以来、米の
需給事情
というものは今日のごとき状態ではなかったわけでしょう。幸いにして全国の
生産
農民
のたゆまざる努力によって、ようやく国内の
生産
で間に合うところまで来たから、これは喜ばなければならぬわけです。 しかし、
食管法
全体を通ずると、その大部分の時代は、
需給関係
はどうかということになれば、国内の
生産
だけでは
供給
が十分行なわれなかったわけです。
需要
と
供給
の
関係
から見れば、いままで二十七年の間、去年、おととしは別にして、二十五年間というものは常に
食糧
が足りない、米が足りないというような状態の中で、
食管法
で縛られて
政府
以外には売れない、
政府
のきめた
値段
以外には売れないということで、むしろ
需給事情
というものは全然無視して、米の足らぬときにはことさら
需給事情
を無視して、安い
政府
の
買い入れ米価
が
決定
されてきたわけです。いまになって
需給事情
を
勘案
しなければならぬなんということは、歴代の自民党内閣がそういうことをやってきて、いまごろ一体何を言うのですか。
需給事情
が大事であれば、米の足らぬときにそれを強調して、そうして正当な
米価
を
決定
してきておるのであれば、
需給
が緩和した場合にもやはりそれを反映しなければなりませんということは一応筋道としてわかるが、いままで全然
需給事情
というものを取り上げないで
生産者米価
を
決定
してきておりながら、しかも同じ自民党の内閣がやってきた行政でしょう。去年まで米をつくれつくれと言って
農民
のけつをたたいて、そのけつをたたいてきた
政府
が、今度は
需給事情
を
勘案
して去年同様の
米価
に据え置くというようなそのねらいのもとに、ことしはそれを実現するために、
米価審議会
にあのような違法な
諮問
をしたわけですから、どうしていままで、
需給事情
というものを毎年の
米価
決定
の場合に用いなかったか。それはどうなんですか。
長谷川四郎
72
○
長谷川国務大臣
今日まで再
生産
を
確保
するために、与党、野党を問わずしてどんなに大きく努力をしてきたかということは、別に書かなくてもわかることでございます。そのお互いが努力してきた結果が、今日
需給
というものがかくのごとくになりましたということをつけ加えることに、何ら
ふしぎ
はないじゃないですか。どうなんでしょう。皆さん方が今日までおっしゃるとおりでございまして、それは野党ばかりやったのじゃありません、与党も野党も一体となって今日の
生産
が高まるようになった。その結果
需給事情
はこうなりましたということを報告するのに、何ら
ふしぎ
はないと思うのです。私はないと確信をもって申し上げております。
芳賀貢
73
○
芳賀委員
長谷川さん、あなたは何か居直り強盗みたいな調子で答弁をしているが、これは神聖な
国会
の場でわれわれは
食糧管理法
というこの権威を持った
法律
を
基礎
にしていま質疑を行なっておるのですよ。それを理屈に詰まってまともな答弁ができないで、けつをまくって居直るような態度というのは、これは
国会
の品位を傷つけるものじゃないですかね。だからいま初めて、
経済事情
というものは大部分は
需給事情
だから、ことしの算定上これを取り入れるということであれば、いままでどうして米の
需給
が逼迫した時代、米の
供給
が不足しておる時代に、
需給事情
というものを十分取り入れて反映させなかったかということを明快にしてもらいたいのですよ。
長谷川四郎
74
○
長谷川国務大臣
需給事情
が逼迫していたからこそ、
答申
が出ても、お互い話し合って
答申
より以上の
米価
を算定してあげた。決して
需給事情
を今日まで無視したとは、どこにも私は考えられないと思うのです。 しかし、そうなった結果が今日にはかくのごとくなりましたということを、
経済
の実態の上に立って
需給
のほうがこうなりましたということを
諮問
文の中に入れるということは、私は当然のことだと考えられます。ですから、私は今回の
諮問
文は何ら
違反
をしているとは思えませんし、これが皆さんのおっしゃるような違法行為だとか、
違反
だとかいうことにはさらさら考えてはおりません。
芳賀貢
75
○
芳賀委員
どうもわからぬでがんばるのは一番困るのですよ。十分質疑を通じ
議論
をしてどっちが正しいということがわかるのであればいいが、あなたの場合は、何かよく私の
質問
がわからぬせいか、
食糧庁長官
の教え方が悪いせいか、一番肝心なことがわからないのですね。 ちょうどいま
米審
会長の小倉君が事務次官をやっておった時代に「農林水産制度事典」、厚さにすればこのくらいの厚さですかね、その中で
食管制度
の問題を
農林省
が明らかにしておるわけです。小倉君が事務次官の時代にこれは編さんしたのであって、その中で
需給事情
の問題についてはこういうことを明らかにしておりますよ。
食管法
の第三条の
規定
からいって、
需給
が逼迫した場合に、
需給事情
を反映させて
政府
の
買い入れ価格
を上げたということはない。むしろ
食管法
というものは、
需給
が逼迫して当然
経済
の面から見れば
価格
が上がらなければならぬのを、それを抑制する役割りを
需給関係
の面では果たしてきたということを、これは詳しく明らかにしてあるわけです。それを後輩の桧垣君が、それと異説を唱えるわけではないと思うのですよ。
農林大臣
くらいになれば忙しいかもしれぬが、そういう大事な農林水産
関係
の制度の変遷とか、その制度の
内容
がどうなっているかというようなことは、やはりかたわらに置いて、必要なときによく研究されたほうがいいのじゃないかと思うのですよ。だから、もし必要であれば、
米審
会長をやっておるが、それを編さんした前の事務次官の小倉君に
委員会
に参考人としてでも来てもらって、一体
食管制度
の歴史的な
経緯
というものは、
需給事情
というものをどう扱ったというような点についても、
政府
の立場、行政を担当した歴史的な
経過
の中で明らかにする必要もあると思うのですよ。 もう少し責任のある答弁をしてもらいたいし、できなければ、
政府
の最高責任者である
佐藤総理
に出席を求めて、施政
方針
の中で、
米審
にも何にもはからぬうちに、一月に、もうことしの
生産者米価
は据え置くということを言っておるわけだから、御本人にも来てもらって、要求はしてありますけれども、これ以上
大臣
にお聞きしてもなかなか無理なような点もあるので、総理
大臣
の出席を
委員長
から慫慂してもらって、お願いしたいと思います。それまでの間は
農林大臣
に
質問
しますけれども、もう少しはっきりしてください。
長谷川四郎
76
○
長谷川国務大臣
昭和
十七年から今日まで、
需給事情
というものを
勘案
しないで
米価
を
決定
したことは、おそらく一回もないと私は思う。したがって今回も、その結果がこのような
需給事情
になりましたということを
諮問
文の中に入れた、こういうことでございますので、何ら変わっていないのだ、いまあなたがおっしゃるとおりのことをやっておると私は考えます。 今日まで
需給事情
というものがいつでも
基礎
となって、
米価
というものがいずれにしても
決定
もされておるだろうし、
米価
というものばかりじゃなくて、
生産
という面もこれによってされておったのだ。いままでの間当然でなかったでしょうか。しかし、今日あらためて別に私が、
経済
の中に
需給事情
が結果がこういうふうな
現実
でございますということをつけ加えたからといって全く
ふしぎ
でない。参考でございますから、私が
決定
するのじゃないのでございますから、参考の中に御報告申し上げたということは何ら
ふしぎ
じゃない、このように考えております。
芳賀貢
77
○
芳賀委員
それでは
農林大臣
、ここに
食糧
庁が出しました「
米価審議会
諮問
、
答申
および
政府
決定
」これは戦後いままでに至る毎年の
生産者米価
、
消費者米価
決定
についての
農林大臣
の
諮問
、
審議会
の
答申
、
価格
算定の
内容
が全部一冊になっておるわけです。これは
農林省
の
食糧
庁が出してわれわれに配付した資料ですが、
現実
にこの資料に基づいて、それでは
昭和
二十何年あるいは三十何年に、いま
農林大臣
の言われた
需給事情
を、この年にはこのように
価格
算定の中に
勘案
してきめたという実例があれば
説明
してもらいたいのです。なければお貸ししますよ。この何ページに
昭和
何年のやつがあるが、この年には
需給事情
を
勘案
したと、これははっきりしてください。ちゃんとあるのですよ。
食糧
庁で出したのですよ。
長谷川四郎
78
○
長谷川国務大臣
それではその点については、長官から御
説明
申し上げましょう。
桧垣徳太郎
79
○
桧垣政府委員
大臣
のお答え申し上げましたことは、要するに、従来
需給
の窮屈な歴史の中で
食管制度
が運用され、この
食管制度
の運用の中で
生産者米価
の
決定
がされてきた。その際
政府
としては、米の
需給事情
というものを念頭に置いた
米価
のきめ方をしてきたのであるということを申し上げたのでございます。 具体的には、
需給事情
は窮屈であり、かつ、他の
経済事情
等を考えましても、一定の算定方式に基づきます算定のほかに、
需給事情
に基づいた配慮をした加算を行なったという事例は、過去にもあったというふうに私は考えております。
芳賀貢
80
○
芳賀委員
だから形式的な答弁でなくて、これはあなたのほうの
食糧
庁ですよ。いいですか桧垣君、この中に、この二十何年に及ぶ毎年の
農林大臣
の
米価審議会
に対する
諮問
、その
説明
、それに対する
米価審議会
の
答申
の
内容
、それから
米価
決定
の
経過
、それは全部この算定の要素がはっきりしているわけだから、これの中で、何ページの
昭和
何年に、
需給事情
というものを
勘案
してきめましたという点があれば明確にしてもらいたいと思います。
桧垣徳太郎
81
○
桧垣政府委員
私は
基本
的には、先ほども
大臣
からるる
お話
がありましたように、
食糧需給事情
が窮屈だという前提のもとに
決定
されました
米価
は、そういう
需給事情
というものを念頭に置いて
決定
されたというふうに理解をするのでございますが、何といいますか、一定の方式に基づいて算定されたもののほかに、
需給事情
を
勘案
して加算をされたというようなものにつきまして、手元の資料によってうかがいますと、
昭和
三十年から三十八年までの間、申し込み加算というようなものの加算をされておりますし、また、臨時特別加算が三十九年に加算されておる。四十年には予約奨励金というようなものが加算をされておりますけれども、これは
需給事情
を考慮した上でのことであるというふうに理解をいたしております。
芳賀貢
82
○
芳賀委員
それは桧垣君、そういうばかばかしいことを言うのは変ですよ。いいですか、正式な
米価
を
決定
する
経過
の中で
農林大臣
がどのような
諮問
を行ない、それを受けて
米価審議会
がどのような
答申
をして、そうして、あるいは
国会
等の
意見
を尊重して一定の算定方式に基づいて
米価
というものが
決定
されておるわけですよ。
決定
の算定の要素の中に
需給事情
を取り上げたということは、いままで全然ないんですよ。いいですか、この予約加算とか奨励金なんというのは、これは特別の補助的な、補完的な制度であって、
需給事情
が逼迫しているから、減税をやるとか奨励金を出すなんというものじゃないんですよ。それはわかっているんでしょう。 それと、あなたの先輩である小倉君が事務次官の時代に編さんをした「農林水産制度事典」の中には、いままでの
食管法
は、
需給
不足の場合には、むしろ
価格
を抑制する役割りを
食管法
の中で果たしてきたということを明確にしておるわけですが、これは間違いですか。
桧垣徳太郎
83
○
桧垣政府委員
食糧
管理
制度というものが
国民
食糧
の
確保
、
国民
経済
の安定のために
米穀
の
需給
価格
の調整をはかるということをいっております限り、また、それが
目的
でございます限り、
需給事情
が窮屈な際に、
自由経済
のもとで形成されるであろう
価格
よりは抑制的な
米価
、いわば暴騰を抑止する作用を果たしてきたということは、これは私はどなたがお書きになったのか知りませんが、そういう
趣旨
においては、ただいまの先生の御指摘の点は理解ができるのでございます。 また、今後
供給
過剰の状態におきましても、
食糧
管理
制度のたてまえに立ちます限り、
自由経済
を前提とする
価格
現象というようなものから遮断をして、
米価
の安定性を保持するということは、当然なことであるというふうに私は思います。
芳賀貢
84
○
芳賀委員
どなたが書いたかわからぬと言うが、あなたの名前もそれに載っておるんですよ。それは参考書を取り寄せてもいいんですよ、これはあまりにも膨大なものですからね。しかし、その責任者は小倉武一君ですから、ただいま
米審
の会長です。昨日われわれと小倉会長が会った場合におきましても、
需給事情
を
米価
算定上取り入れるということは重要問題だ、
米審
の論議もこれが一番中心課題になるということを彼も言っておりましたし、けさの新聞にも、小倉
米審
会長談話でそれは載っているわけです。これはもう全く前例のないことです。
食管法
をそのままにした状態の中で
需給事情
を取り入れて導入するということで、それを算定上使うわけですからね。使わないならこれは何も影響がないが……。 一体、
需給
の
供給
量と
需要
量というものを、分子と分母の形成の場合にどういうふうにして使うのですか。やる場合にはどっちを分母にしてやるつもりにしておりますか。
農林大臣
からたまには答弁してください。
桧垣徳太郎
85
○
桧垣政府委員
御
質問
の御
趣旨
が必ずしも私は明確でないのでございますが、
諮問
文でいっております
生産費
及び
所得補償方式
ということは、投下されました物財費なりあるいは雇用労賃については
米価
によって回収されるような計算をし、また、家族労働につきましては他産業従事者の賃金をもって評価をするというやり方をやるわけでございまして、いわゆる評価がえ
生産費
でございますから、これが分子になる。分母は十アール当たり
生産費
というものを反収で除しましてキログラム当たりのコスト
価格
というものを求めるわけでございますから、したがって、反収が分母になるということでございます。
芳賀貢
86
○
芳賀委員
そういうことを聞いておるんじゃないんですよ。あなたが考えている
需給事情
の
勘案
というものを算定上用いるとすれば、米の
供給
数量と
需要
見込み数量というものを分子、分母の
関係
で使わなければならぬでしょう。その中で上がったり下がったりするわけですからね。いいですか、
米審
がこれでいいといえばどうやって使うつもりですか。労賃や何かではないんですよ。
需給事情
というものを算式の中で使いたいでしょう。
桧垣徳太郎
87
○
桧垣政府委員
お話
しの点は、
需給事情
というものを計数的にどう表示するかという御
質問
かと思うのでございますが、元来、自由市場というものを認めません米につきまして、計数的に
価格
に対する
供給
の弾性値というものを求められるはずがないのでございます。
諮問
で申し上げておりますのは、現在のような
需給事情
というものは、もう大かたの理解を得ているところでもあるわけでございますが、そういう
供給
の構造的な過剰状態のもとで、その事情を考慮して
生産費
及び
所得補償方式
を
基本
とする算定を行なってはどらかということでございますので、計数的な算式というものは求めることはきわめて困難であるし、現段階においてはほとんど不可能であるというふうに思います。
芳賀貢
88
○
芳賀委員
それでは、不可能で意味のないものを、どうして
需給事情
を導入するというのですか。何かの役割りを果たすのであれば書き上げてもいいが、何も意味がない、現在の
法律
を
改正
しない限り役割りは果たさないということであれば、こういう違法性のある
諮問
文をつくる必要はないじゃないですか。従来同様でやっても当然算定はできるわけでしょう。何ら作用を果たさぬ、意味がないというなら、はっきりそう言ってください。
桧垣徳太郎
89
○
桧垣政府委員
もちろん、意味のないことを私どもは
諮問
文に述べたつもりはないのでございまして、今日米の問題につきまして、
需給事情
が急激な緩和をもたらしており、このことがいろいろな
食糧
管理
の面からも、農政推進の上からも問題であるということを指摘されておるのでございまして、その点について
政府
の意識が統一をされておるのでございますから、そういう
政府
の問題意識というものを申し述べまして、
米価審議会
における御論議をいただきたいという
趣旨
の
諮問
の考慮
事項
でございます。
芳賀貢
90
○
芳賀委員
もう少し歯切れのいい答弁を願います。
桧垣徳太郎
91
○
桧垣政府委員
現在までの
米価
の算定は、御案内のように、評価がえ平均
生産費
というものを平均反収以下の反収で除する、いわゆる適正限界反収方式をとっておるのでございますが、これは本質的に私どもとしては
需給事情
の窮屈な事情、つまり、さらに
生産
を刺激して
需給
の緩和を求めるべきであるという事情のもとでとられた方策であるというふうに理解をいたしております。 この点を、現在のような
需給事情
のもとでそのまま容認することがよろしいかどうか。むしろこれを平均
生産費
に近づけるということによって、現在の
需給事情
に即した
価格
の形成というものを考えることについての可否という問題を、御
審議
をいただきたいというのが
趣旨
でございます。
芳賀貢
92
○
芳賀委員
それでは、今回試算しようとする一番大事な十アール当たりの平均反収を、従来と違った方式を採用して反収を上げようとする場合に、「
需給事情
を考慮して」と、これと関連を持たしてやりたいという意味ですね。
桧垣徳太郎
93
○
桧垣政府委員
私どもとしましては、現在の
需給事情
のもとでは、これを反映した算定をいたしてはどうかという考え方を持っておりまして、その一つの考え方として、
米価審議会
における御
審議
の参考に、限界反収を求める場合、平均反収から二分の一シグマ分を差し引いた反収を用いるということでやってはどうかということで、参考資料として提出をいたした次第でございます。
芳賀貢
94
○
芳賀委員
つまり、いまの
食管法
のもとでは、直接的に
需給事情
というものを算式上反映させることはできないので、
需給事情
と反収を関連さして、
需給事情
の緩和が
価格
に反映するようにするためには、いままでのたとえば限界反収方式は、百戸の
生産
農家のうち
生産
性の高い農家から八十四番目までの、つまり八四%まで再
生産
を補償する限界反収というものをいままで採用してきているわけです。計数的には、標準偏差一シグマを平均反収から差し引いて反収を調整してきたが、今度は間接的に米の
需給事情
の緩和ということを理由にして、反収をいままで以上に引き上げて
米価
を上げないようにする、あるいは下げる、そういう役割りを果たさせるために、
諮問
文の中に
需給事情
の考慮ということを入れたということですね。それで間違いないですか。
桧垣徳太郎
95
○
桧垣政府委員
諮問
文につきましては、
生産費
・
所得補償方式
を
基本
として
米価
の算定を
決定
することにするが、その際、現在のような
米穀
の
需給事情
を考慮してきめるということについての可否、あるいはそれに関連する御
意見
を承りたいということでございますが、私どもはそういう
諮問
を申し上げました際に、私どもなりの考え方で一つの試算をつくってみますとこういう姿のものが算定されます、これを
審議
の御参考にしていただいたらいかがかということでございまして、
諮問
文にあります「
需給事情
を考慮して」ということが、即試算の
内容
そのものであるというふうには考えていないのでございます。
芳賀貢
96
○
芳賀委員
この点は大事ですから、もう少し明快にやってください。あなたはいつも明快な答弁ができるじゃないですか。こういう大事な点を、何か歯切れの悪い不明確な答弁で濁すというのは、これは変ですよ。あなたはいま
農林省
のホープ的な役割りでしょう。
米価
を下げる、
農民
を苦しめる、農政を後退させる、その主要な役割りを果たしているあなたは立て役者でしょう。そうであればもう少し悪党らしく、重要な点については堂々と
委員会
において
説明
すべきじゃないでしょうか。
農民
を敵にする決意があるのでしょう。もう少しはっきりさしてください。
桧垣徳太郎
97
○
桧垣政府委員
私どもは、今日のような段階で
米価
の
決定
をいたしますについて、
需給事情
を考慮をした上で
生産費
・
所得補償方式
というものによる
米価
を求めることが、
食糧
管理
制度を今後円滑に運用していく上にも必要なことであり、またそのこととあわせて、農政の総合的な推進をはかっていく上にきわめて重要な事柄ではないだろうかという場立で考えておるのでございまして、私どもとしては、農業についての愛情が減退をしておるというふうには、全く意識をいたしておらないのでございます。
芳賀貢
98
○
芳賀委員
委員長
に申し上げますが、要求してある総理
大臣
の出席がまだないわけです。いままでの質疑を通じましても、これは結局
佐藤総理
大臣
の施政
方針
に基づいて、ことしの
生産者米価
は、
食管法
よりもむしろ総理
大臣
の政治
方針
として、何が何でも据え置きにするということになっておるわけですから、その
方針
を受けて、
農林大臣
にしてもまた
食糧庁長官
にしても後生大事に、据え置き据え置きということで頭が一ぱいですからして、一番大事な
法律
上の解釈の問題、違法性の問題等については、われわれ
委員
を納得させるだけの答弁が当然行なわれていないわけです。 そこで、そうなる以上は総理
大臣
に直ちに出席していただいて、これこそ一番
基本
になる
食糧管理法
の根幹ですから、
法律
の精髄ですから、これを
政府
の最高責任者の総理
大臣
から直接明らかにしてもらいたいと思うわけですので、すみやかに総理の出席を要求してもらいたいと思うのです。総理が出席されるまでの間それを保留しておきますので、
委員長
においては議事の進行を願いたいと思います。
丹羽兵助
99
○
丹羽委員長
先ほどの
理事
会のおりに総理の出席要求がございましたので、私のほうはさっそく総理の出席要求の手続はとってあります。まだ返事は来ておりません。さっそくもう一度返答を請求いたします。(
芳賀委員
「
理事
で相談してください」と呼ぶ(
委員長
から申し上げます。午前の
理事
会におきまして、
芳賀
さんの要請により総理の出席を求めております。連絡をとっておりまするがまだ返答がございませんので、重ねて出席の要求をし、早く返答の来るように一要求いたします。しかし、その間工藤さんに御
質問
願うことにいたしまして、総理に対する
芳賀
さんの
質問
の分は一応保留にしておきたい。いずれ返答が参りまするから、その後はまた
理事
会において御相談をする、かようにして、工藤君の質疑に入りたいと思います。 工藤良平君。
工藤良平
100
○工藤
委員
私は、ただいまの
芳賀委員
の
質問
に関連をいたしまして、少し具体的に、このたびの
諮問
の
法律
違反
の問題についてただしてまいりたいと思います。 まず
大臣
にお伺いをいたしますが、このたびの
諮問
にあたりまして、
政府
買い入れ価格
の試算が出されているわけでありますが、これを見ますと、これは明らかに据え置きということでございますが、なぜこのような
措置
をとらなければならなかったのか、具体的に御
説明
をいただきたいと思います。
長谷川四郎
101
○
長谷川国務大臣
諮問
をいたしました分、それから資料の提出に対しましてのこまかい点については、長官からこまかに、納得のいくような
説明
をいたさせます。
桧垣徳太郎
102
○
桧垣政府委員
先ほどもお答えを申し上げましたが、私どもといたしましては、
諮問
につきまして、
生産費
・
所得補償方式
を
基本
とし、
需給事情
を考慮して
米価
を算定し
決定
してはいかがであるかということを
諮問
を申し上げたわけでございます。 そこで、そういうような
諮問
に際しまして、現在の
需給事情
を考慮いたしますと、私どもとしては、本来
需給事情
が均衡をし、あるいは
供給
に余力があるという場合には、一つの考え方としては、平均評価がえ
生産費
というものを平均反収によって除して求めるというのも、一つの
議論
としてあり得るであろうけれども、そのことは農家
経済
あるいは農業者の心理に対する影響の問題もございますので、当面二分の一シグマというものを差っ引いた限界反収で算定してはどうかという考え方をとりまして算定をいたしますと、ウルチ一—四等平均、包装込みの農家手取り
価格
は、若干前年度を下回るような数字が出るのでございますが、少なくとも
食糧
管理
制度運用のもとでの
価格
で、前年度
価格
を下回るような
価格
の算定ということは穏当ではない。そこで、これに対する若干の補整をいたしまして、具体的な
価格
、個別
価格
の
決定
の
基礎
になります軟質三等裸の
価格
というものを調整をしました上で、ウルチの一−四等平均手取り
価格
というものが昨年より下回らないようにすることが、少なくとも妥当ではなかろうかという
趣旨
の試算を提出して、
審議
の御参考にいたしておるということでございます。
工藤良平
103
○工藤
委員
この点は
大臣
に明らかにお答えをいただきたいと思いますが、この
生産費
・
所得補償方式
の中で、昨年もたいへん問題になったわけでありますが、それは標準偏差の問題であります。いま長官の
お話
によりますと、平均反収に近づけるためにこういうような
措置
をした、これは、いわゆる
需給
の調整をはかるという意味が含まれておるというような御答弁であったわけでありますが、
大臣
、これは昨年一シグマから〇・九シグマに変えた、そういう過程の中で
米審
に
答申
を求め、
農林省
の二・九という当初の案が、最終的には、
政府
決定
の段階におきましては大幅に修正せざるを得なかった、こういう結果を招いているわけでありますが、
大臣
は、このような標準偏差を大きく変更するということについて、昨年のような自民党内部、
政府
内部における抵抗というものをどのように理解しながらこの原案というものを出されたのか、この点に対する
大臣
の明らかな答弁をいただきたいと思います。
長谷川四郎
104
○
長谷川国務大臣
本年度のその偏差は、私たちは最も妥当であるというような考え方を持って資料として出しました。 したがって、御
質問
の党においてどうかというような
お話
でございますが、党の御
意見
はまだ伺っておりません。でありますから、党の御
意見
に対しては私の答弁の限りではないと考えられます。
工藤良平
105
○工藤
委員
大臣
、そのようなことをおっしゃいますけれども、いま長官は、この算定資料の中のウルチ軟質三等裸
価格
の中で、調整額三百五十六円というものの
説明
をなされたわけでありますけれども、これは平均反収に近づけるということで二分の一シグマをとった。ところが、それでは昨年よりも下がり過ぎるから三百五十六円という、これはどのような根拠かわかりませんけれども、自主流通米に回るモチ米を除いた昨年の
価格
と同じ数字に持っていくために、この調整額というものをくっつけたんじゃないかという理解をするわけですけれども、そのような理論のないものを、事務レベルでこのような試算というものができますか。この点について
大臣
、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
長谷川四郎
106
○
長谷川国務大臣
事務レベルとしては、試算でありますから、このような計算をすればかくのごとくなりますというものを資料として提出するのでございますから、それで
決定
をするとは考えておりません。
工藤良平
107
○工藤
委員
それではさらに私はお伺いいたしますが、この試算は、先ほど御
説明
のありましたように、二分の一シグマをとった結果というものが出されているわけでありますが、それでは、これを標準偏差の一シグマで、昨年並みの計算をした場合に一体幾らの額になりますか。昨年の数字をそのまま使った場合に、ことしの現在作付をしているものの
米価
というもので
農民
は一体どの程度の損害をこうむるのか、この
委員会
で明らかにしていただきたいと思います。
桧垣徳太郎
108
○
桧垣政府委員
ただいまの御
質問
の数字でございますが、
米価審議会
へ提出をいたしました試算は、私どもとしては少なくとも計算上の責任は負って出したものでございますので、これは計算過程等に誤りはないと確信をいたしておりますけれども、ただいまの御
質問
の数字につきましては、正式に検証を終わったものでございませんが、あるいはそういう御
質問
があるかと思いまして、この場で試算をいたしたもので一応お答えをさせていただきます。 従来どおり、平均反収から一シグマを引きまして、それから予約概算金の金利控除をせず、
生産
性のメリットの還元を昨年どおりやるという前提で計算をいたしてみますと、いま
米審
に試算として提出しておりますものに比べ、一−四等の平均、包装込みの
生産
者手取りの予定
価格
は二万二千四百二十円ということになりまして、その差は千七百八十円ということになるのでございます。 なお、概算金の金利控除を行ない、メリットの還元はしないということで一シグマ引いた限界反収で出しました場合には、百五十キロ当たり二万二千百六十五円ということで、千五百二十五円というものがその差になるのでございます。
工藤良平
109
○工藤
委員
まだ回答が全部出ておりませんけれども、この
米審
に出されました試算と比較をいたしますと、一シグマで計算をした場合には、いま長官が言いましたように、百五十キロ当たり千七百八十円という格差が出るようでございます。これは
政府
の数字をそのまま使って計算をした場合であります。 そういたしますと、たとえば四十三
年産
米の買い入れ数量が約一千万トンでありますが、
大臣
、一千万トンという
政府
の買い入れ量にこの千七百八十円をかけますと一体幾らの金額になりますか。これはことし農家の手取りが少なくなるわけであります。どういうことになりますか。
桧垣徳太郎
110
○
桧垣政府委員
一千万トンということは、ことしの買い入れ数量としては考えておりませんが、かりに一千万トンといたしました場合、現在の試算で出しておりますものと、それから、現在の試算の二分の一シグマと一シグマとの置きかえで計算しましたものは、先ほど申し上げましたように、百五十キロ当たり約千五百円強の差があるわけでございますから、したがって、トン当たりは約一万円ということに相なるわけでございまして、その計算からいたしますれば、一千万トンということは約一千億ということになるかと思います。——ただいまの計算は、暗算にちょっと間違いがあるようでございますので、あらためてお答えをいたします。
工藤良平
111
○工藤
委員
その点については、その算式に基づいてきちんと計算をして、八百万トン、一千万トンの場合を資料として提出をしていただきたい。 いずれにいたしましても、いま長官が言いますように、約一千億程度の手取りが農家の場合に少なくなるということになるわけであります。重大な問題でございます。
大臣
、このように手取りが少なくなる。あなたは新しい総合農政だ、選択的拡大だ、こう言いますけれども、農家の手取りが少なくなるという現状の中で、次の再
生産
が保障されますか、どうですか。物価は上がっているのですよ。
長谷川四郎
112
○
長谷川国務大臣
再
生産
は、
価格
そのものでのみ考えてはおりません。ほかの方法によっても再
生産
の方法は考えられると思います。
工藤良平
113
○工藤
委員
そこで、問題になりますのが
食糧管理法
の第三条二項であります。これは先ほど
芳賀委員
が
質問
をいたしましたように、「
生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」こうなっているわけでありまして、少なくとも
農林省
はいろいろな政治的な配慮をすることなく、これは事務的な問題として計数を投げ出して、その中で政治的な判断が出てきたということであれば、これはまた話は違いますけれども、すでにこの数字が出てくる過程の中でそれがゆがめられてくるということになりますと、これは一体どうなりますか。たいへんな問題であります。ここに
食糧管理法
違反
としての大きな疑問が出てくるわけであります。
大臣
、なぜこのことをそういう工作をすることなく率直に出さなかったのですか、明らかにしていただきたい。
長谷川四郎
114
○
長谷川国務大臣
米価
は
決定
したわけではございませんで、私のほうは御
諮問
を申し上げただけでございまして、まだ
米価
の
決定
をしておらないのであります。
工藤良平
115
○工藤
委員
そういうことになりますと、たとえば
諮問
の問題につきましても、先ほど同じく
芳賀委員
からこの資料を提起しておりましたが、私も「
米価審議会
諮問
、
答申
および
政府
決定
」というものを持っております。二十四年からずっと統計をとっておりますが、この
答申
を見ますと、ほとんど、
政府
の
諮問
については非常に遺憾である、こういうことが出されているわけであります。特に
昭和
二十六年におきましては、計算のしかたに誤りがあるということで、
米価審議会
は、これを適当なものでないということできちんと位置づけをしているわけであります。 今回の場合も、先ほどから再三指摘がありますように、前文におきまして「
米穀
の
需給事情
を考慮して」ということを
諮問
として入れたということは、私は明らかに
法律
違反
というように言わざるを得ないわけであります。これは後ほど総理
大臣
が来る過程の中で、
芳賀委員
のほうから明らかにされるようでありますから、これ以上は追及いたしませんけれども、
農林省
自体としても、このような
法律
違反
をしてなぜ出さなければならないのか、私はここに大きな疑問を持つわけであります。もう少しこの点を
大臣
、明らかにしていただきたいと思います。
長谷川四郎
116
○
長谷川国務大臣
私のほうは
法律
違反
だと考えておらないのでございますから、皆さんのほうの側と見解の相違だと考えられます。私のほうでは
法律
違反
だと毛頭考えておりません。
工藤良平
117
○工藤
委員
この点については、先ほどの一時間半の
議論
で平行線をたどっておりますから、これ以上は追及をしませんけれども、いずれこれは明らかになると思います。先般の
国会
におきましても、
食糧管理法
の解釈の問題をめぐって、
政府
側は一方的に、現在の
食糧管理法
というものは、農家のつくった米を全量買うという義務
規定
ではないということまでもあなた方はおっしゃいました。もちろんそのような解釈をしてまいりますと、このような適当なことはやれると思いますけれども、しかし、私たちは
立法府
でございますから、
法律
は
法律
としてきちんと解釈をして、その解釈の上に基づいて
諮問
を出すというのがたてまえだと思うのです。そういうことで、これは後ほどの総理と
芳賀委員
との討論にゆだねたいと思います。 そこで、私はさらに
大臣
にお伺いをいたしたいわけでありますが、一千億の手取りが少なくなるということ、これは一体どういうことになるのか。特に一シグマから二分の一シグマに変えたということ、これは多くの農家が
生産費
を補償されないという事実が起こってくるわけであります。この点について
農林大臣
、それではあなたは具体的に、そのような補償されない農家が
現実
に出てまいるわけでありますから、これに対してはどのような
措置
を講じますか。
長谷川四郎
118
○
長谷川国務大臣
米価
の
決定
をまだ見ておりません。したがって、その
決定
によって、さらに私のほうはなすべきことがあるならば、十分に再
生産
を
確保
するような方法を切り開いていかなければならぬ、このように考えております。
工藤良平
119
○工藤
委員
あなたは先ほどから
決定
していない、
決定
していないと言われる。もちろん
決定
はまだしておりませんけれども、
大臣
として
諮問
をする以上は、きちんとした
農林省
の考え方というものがあるわけでしょう。それは据え置きという形で出てきておるわけでしょう。
決定
はしていないけれども、あなたは据え置きという案を出してきた。これがいかがでありましょうかということもありますけれども、これは一応の
農林省
の考え方と私どもは理解せざるを得ないわけです。 そういたしますと、先ほどから私が指摘をしておりますように、限界以下の農家は
生産費
を補償されないわけです。その補償されない農家が、今度は昨年よりももっとふえるということが事実上明らかになってきているわけでしょう、この試算では。そういうことになりますと、
大臣
がその補償されない人たちに対して一体どのような
措置
を考えておられるのか。それはことし考えましょう、来年考えましょうでは話にならぬわけであります。出す以上は、それに伴った裏づけというものが並行的に出てこなければいかぬと思いますが、あなたはそれに対する考え方は何もお持ちでないわけですか。
長谷川四郎
120
○
長谷川国務大臣
ただいま申し上げましたとおり、
米価
は
決定
しておりませんので、
答申
を見、さらにその
決定
を見た上に立って、考慮すべき問題は十分考慮をする考えでございます。
工藤良平
121
○工藤
委員
私どもはそういうことではごまかされないわけであります。一昨年の
米価
を
決定
をする際に、
政府
は新しい構造
方針
ということを、
米価
を引き下げる一つの口実として打ち出しました。昨年は、同じく
米価
を大幅に下げなければならないという状況の中で、総合農政というものを西村
農林大臣
が打ち出したわけであります。あなたはまだ何もないと言う。これはきわめて正直者であります。確かに正直であります。何もないということは確かにそのとおりだと思いますけれども、けさの新聞あたりによりますと、何か新しい農業の長期計画を出すということで
米価
の据え置きとすりかえようとしている。こういうことではごまかされないわけです。具体的にどうするか、あなたここではっきりと
農民
の前に意思表示をしていただきたいと思うのです。どういたしますか。
長谷川四郎
122
○
長谷川国務大臣
何回
お話
し申し上げても同じでありまして、
答申
を見、さらにその
決定
をいたしまして、その
決定
をいたすおりに際しまして、考慮すべき点は十分考慮いたさなければならぬと考えております。
工藤良平
123
○工藤
委員
あなたは
農林大臣
じゃないのですか。この前私は
農地法
の論議の際にも、ここでいろいろ申し上げました。そのときあなたは、非常に前向きにいたしましょうという御答弁をいただいたわけであります。あのときは
農地法
ということであなたは御答弁をしたかもわかりませんけれども、
農林大臣
としては、
農地法
であろうと、
食管法
であろうと、
米価
の問題であろうと、あなたの考え方というものは一貫して
農民
の立場を守るということで、具体的な施策というものが伴ってこなければならないと思うのです。
生産
農家の
生産費
が補償されないような状態をつくりながら、それにかわるべき裏づけがまだ何もございません、白紙でございますということで、
農民
の方々はどうして納得できますか。あなたはそれを納得できるだけの政策というものを当然準備しなければならないと思うのです。すでに田植えは始まっているじゃないですか。もう
あと
三カ月後には、東北や北陸では稲刈りが始まるわけですよ。何もございませんじゃ私はどうしても納得することができません。考え方だけ、姿勢だけでも明らかにしていただきたいと思うのです。
長谷川四郎
124
○
長谷川国務大臣
どうもお答えは同じことでございまして、
答申
を得て、また
答申
どおりに
米価
が
決定
されたことも数が少ないようでございます。その
米価
が
答申
どおりでなくて——また私たちが御
諮問
申し上げたとおりに御
決定
になるかどうかそれもわかりませんし、ですから、参考資料としていろいろなものをつけて出してありますから、
米価
が
答申
を受けその
決定
を見るときには、御指摘のような点は十分考慮すべきときには考慮しなければならぬ、また考慮するのが当然だろう、このように考えます。
工藤良平
125
○工藤
委員
あなたが先ほどから再三何もないということをおっしゃっているように、四十三、四十四年の予算を分析してみましても、
農林省
なり現在の
政府
が、ほんとうに
農民
のためを考えているという政策がないからこそ、私はこのことをいま指摘しているわけです。ないとするならば、いま一千億円損をする
農民
に対してどういう形で還元をしてやるか。それは
生産者米価
を昨年どおりの指数で計算をして、一千億円損をしないような試算をきちんとして再
諮問
するのが当然ではないか。それが
農林大臣
の仕事だと私は思うのです。一千億といえば、あなたのポケットマネーでは解決できないのですよ。
大臣
、どうですか、私はそのことを指摘をしているのです。何もないからこそ、ことしは
米価
を上げざるを得ないという結論になるじゃないですか。どうですか。
長谷川四郎
126
○
長谷川国務大臣
私のほうは、ただいま申し上げましたように御
諮問
をまだ申し上げたばかりでございまして、まだ
答申
もいただいておりませんから、その
答申
が出、また
米価
が新たに
決定
をされたそのときには、私は私としての立場に立って、十分これらの手当てといいましょうか、前向きにこれらの解決をつけなければならぬ、このように考えておるわけでございます。
工藤良平
127
○工藤
委員
さっぱりわからぬわけでありますが、そういたしますと、
大臣
はこの
諮問
は一応据え置きということでするが、今後
変化
が起こってくれば、これは値上げの見通しもある、このように理解をしていいわけですか。
長谷川四郎
128
○
長谷川国務大臣
私は資料を提出して御
諮問
申し上げたのでございますから、その結果がどうなるかということは、私には想像できません。
工藤良平
129
○工藤
委員
どういう話をしてもわからない、わからないということでたいへん私は遺憾ですが、わからないじゃ済まされないのです。
現実
に田植えが始まっているのですよ。植えつけが始まっているのですよ。
大臣
、話がそれますけれども、それじゃあなたがことし
決定
をいたしました一万町歩の作付転換だって、具体的に進んでおりますか。どのように把握していますか。
長谷川四郎
130
○
長谷川国務大臣
ぜひとも一万町歩を御協力願いたいというような考え方をもってお願いをいたしましたけれども、結局結論としては、その半数に満ちるか満ちないかぐらいだろうと考えます。したがって、本年度の壊廃や開田するところをプラスマイナスと申しますか、それらを差し引きまして、結局結論としては、作付反別は二千ヘクタールの上ふえるだろう、こういうような予想でございます。
工藤良平
131
○工藤
委員
あなたはいまそういうことをおっしゃいましたけれども、
農林省
は作付転換、作付転換ということをしきりにおっしゃいますけれども、一万町歩のそれだって容易なことじゃないじゃないですか。これはおそらく二十億の金が日銀に眠るでしょう。そういうことを考えてみると、私がさっきから指摘しておりますように、
大臣
、この際思い切ってことしの
米価
を上げる、そうして並行的に農林政策というものを抜本的に出すとするならば、私は考える余地があると思いますよ。しかし、現在のように白紙だ、白紙だ、何もありませんということで、どうして日本の
農民
が納得できますか。そうでしょう。納得させるだけの度胸があるならば、あなたは
佐藤総理
の前でひとつ横になってみてください。あなたの首が飛んだときには、日本の
農民
があなたを救うでしょう。それくらいの度胸がなくて、この非常にむずかしい状態の中で、あなた
農林大臣
がつとまりますか。据え置きだ、政策もありません、こういうことでは話にならないのですよ。
米価
を上げるか再
諮問
をするか、どういう形をとるか、私は
大臣
にその答弁を迫りたいと思うのです。
長谷川四郎
132
○
長谷川国務大臣
再
諮問
はいたしませんし、
米価
は私が最終的には
決定
でございますけれども、まだ
答申
もいただいておりませんし、その
意見
も伺っておりません。
工藤良平
133
○工藤
委員
そうすると、日本の
農民
はどうすればいいのですか。あなたは道を示してください。
長谷川四郎
134
○
長谷川国務大臣
価格
の
決定
を見て、ただいま御指摘のような部分があるとする分は、十分これらは考えなければならないと考えます。
工藤良平
135
○工藤
委員
農業政策というものは、ことしの
米価
がきまらなければできないということでもないでしょう。あなたはこの行き詰まった農業問題をどう解決するかということで、再三にわたって答弁しているじゃないですか。なぜ明らかにできないのですか。その姿勢だけだって私は
農民
の前にはっきり明らかにしていただきたいと思います。
長谷川四郎
136
○
長谷川国務大臣
農業政策全般ということになると、いろいろ今日まで御質疑が行なわれておりまして、農業政策全般という問題だとまた話が違ってくるのでございまして、ただあなたのおっしゃるのは、
米価
という点についての御
質問
でございますから、それに対しての御回答を申し上げておるのでございます。
工藤良平
137
○工藤
委員
全く
内容
のない
大臣
の答弁で、私はまことに不満であります。この点については後ほどまた機会をあらためて御
質問
をいたしたいと思いますが、本
会議
の時間の
関係
もありますから、一応これで保留にいたしたいと思います。後ほど
芳賀
議員が総理
大臣
を呼びまして
内容
を聞くようでありますから、機会が与えられれば、さらに私も追及をしたいと思いますが、これは後日
大臣
との間に、本
委員会
を通じて私はその
内容
を明らかにしていきたい。 ただ問題は、過去の
農林省
が犯したような罪を犯さないように、この際は
農民
のための指針がきちんと出るように、そしてまた
米価
につきましても、
農民
の納得できるような再
諮問
というものを当然すべきであるということを要求いたしまして、一応これで
質問
を打ち切りまして保留いたしたいと思います。
丹羽兵助
138
○
丹羽委員長
この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十五分休憩 ————◇————— 午後五時六分
開議
丹羽兵助
139
○
丹羽委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前の
会議
に引き続き質疑を続行いたします。神田大作君。
神田大作
140
○神田(大)
委員
私は、民社党を代表いたしまして、
昭和
四十四
年産
の
米穀
の
政府
買い入れ価格
につきまして、若干
大臣
にお尋ね申し上げます。 まず、第一に御
質問
申し上げますが、本
年産
米価
につきまして、
政府
は
米価
を据え置くというようなそういう
基本
的態度に立ちまして、今回の
諮問
には
米価
を据え置くような、去年と同じような
価格
を
諮問
いたしましたが、その根拠をお示し願いたいと思います。
長谷川四郎
141
○
長谷川国務大臣
私のほうの
諮問
を申し上げた点は、まさにお説のとおりでございます。 いずれにいたしましても
価格
の
決定
は、
答申
を得まして、その後に
決定
するわけでございますが、昨年と同様というような点につきましては、
需給事情
等が今日のような異常であるというような点、これらもその中の考慮に当然入れてもらいたい、こういうような考え方の上に立って、昨日
諮問
を申し上げたわけでございます。
神田大作
142
○神田(大)
委員
今日のこの
需給
状況を
勘案
いたしまして、昨年と同じような
価格
の
諮問
をしたと申しますが、それでは
食糧管理法
の第三条第二項にあるところの
生産費
、
所得
補償によるところの
米価
の
決定
をするということに、それは反することではなかろうかと思いますが、その点につきましてどう考えますか。
長谷川四郎
143
○
長谷川国務大臣
その点につきましては、十分にこちらからも、
生産費
及び
所得方式
を
基本
として、そしておきめを願いたいということは、強く私のほうからも
諮問
文の中に記載をいたしまして、申し入れをしてあるのでございます。 〔
委員長
退席、安倍
委員長
代理着席〕
神田大作
144
○神田(大)
委員
実際問題といたしますると、この
諮問
案のこまかい点は、時間がありませんから御
質問
はできませんが、しかしながら、この
内容
等を見ますると、まず第一に、収量の点を、昨年が三百八十八キログラムでしたか、それを本年度の収量を四百四十四キログラムというように、非常に反当たり収量を多くしておりますが、これはいかなる
関係
でございます。
桧垣徳太郎
145
○
桧垣政府委員
午前中にもお答えで触れたのでございますが、今回の試算では平均反収から二分の一シグマ、標準偏差の二分の一を差っ引いた収量をもって評価がえ
生産費
を割るということにいたしたのでございますが、その際、お手元に資料を御配付申し上げておるかと思いますが、ございますればその九ページに、
昭和
四十一年から四十三年までの十アール当たりの調査による平均収量が出ておるわけでございます。四十一年が四百五十六キロ、五百二キロ、四百九十八キロとそれぞれ三年間が出ておりまして、これが
現実
の平均反収でございます。その平均反収から各年の標準偏差の二分の一、四十一年については四十キロ、四十二年は四十二キロ、四十三年は四十三キロという標準偏差の二分の一だけを控除いたしまして、平均反収より低い反収で割るというやり方をやるわけでございますが、その平均が四百四十四キログラムということになるわけでございます。
神田大作
146
○神田(大)
委員
これは数字の魔術であって、私たちから言いますれば、昨年と同額の
価格
にするためにこういうような
食糧
庁としては計算をいたしまして、昨年の
価格
に合わせるための一つの技術的なあれにすぎない。実際問題といたしますというと、こういうようなことでこれはごまかせるものではないと私は思うのです。
食管法
に基づきますというと、これは
需給事情
というようなことを
勘案
してこれをきめるべきではなしに、あくまでもこれは
生産費
・
所得補償方式
に基づくところのこまかい計算に基づいた計算をするべきであって、このようなことは、われわれ
農民
をごまかす一つの方法として技術的に編み出したものであるとわれわれ考えますが、
大臣
はどう思います。
長谷川四郎
147
○
長谷川国務大臣
ごまかしでも何でもないのでありまして、シグマのとり方というものは、一シグマをとっていたのを〇・五に今度は変えたということでありまして、そういたしますと、そのようなことになるのでありまして、要するに、それがごまかしだとかなんとかという意味ではなくて、算定をするとそのようになるということを明示したものでございます。
神田大作
148
○神田(大)
委員
政府
のほうで幾らにするということになりますというと、シグマを二分の一にするとか、あるいは一%にするとか五%にするとかということで、これは幾らでも動かせる問題で、このことはわれわれはもう長い間、いわゆる限界反収でもってこれをやってきたこの
基本
をくずすものであって、これがすなわち私の言う、
政府
の技術的な作業によって
米価
を低くするための一つの手段にすぎない。 われわれは
食管法
のある限りにおいては、
生産費
を償う、再
生産
をするという、そういう観点に立ってこれをやるべきであると思う。
食管法
が
改正
された場合においては、
需給
調整に基づくところの自由な
価格
ということはできるかもしれません。しかしながら、現に
食管法
が現存しておる今日において、そのような
需給
調整というような立場に立ってこれは計算すべきものではないと私は考える。これが非常に大事な問題であるし、われわれとしては、これがいわゆる
食管法
に
違反
する
事項
であると思うのでありますが、
大臣
はどう思います。
桧垣徳太郎
149
○
桧垣政府委員
大臣
から大局的な御答弁がございましょうから、その前に事務的にお答えを申し上げますが、
食糧管理法
第三条第二項の
規定
で、「
生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」とあり、そうしてこの
規定
に基づきまして、
政府
は
生産費
・
所得補償方式
を
基本
としてとっていくということでございますから、私は、平均
生産費
を平均的な農家に償うことができないという状態は、この
規定
で私は許されないことであるというふうに考えるのでございます。標準偏差をどの程度考慮するかという問題は、私どもとしては、
需給
の事情を反映して考慮してしかるべきではなかろうかという考え方をこの中に持ち込みまして試算をいたしたということでございまして、自由流通のもとにおける、午前中にも
お話
がございましたが、いわゆる
需給均衡価格
というようなものを、
食管法
第三条第二項の
規定
に基づく
価格
として持ち込む余地は、私はあり得ないというふうに考えておるのでございます。
長谷川四郎
150
○
長谷川国務大臣
おことばにもございましたように、再
生産
の
確保
、こういう点につきましては、
食管法
第三条第二項の
米穀
の再
生産
の
確保
と、
国民
の
食糧
の
確保
をはかるという立場に立って、つまり
需給
の
実情
に照らして、
国民
経済
的に見て必要な
米穀
の再
生産
を
確保
することを旨として
米価
を
決定
するということでありまして、米の再
生産
ということはこのような観点から理解さるべきものでありますので、決してそれは、現在の
需給
の上に立って、再
生産
という点については御無理な点ではないだろうと考えておるのでございます。
稲富稜人
151
○稲富
委員
ただいまの神田
委員
の
質問
に関連いたしまして、本年度
政府
が
米審
に
諮問
されました、その
諮問
の
基本
的なことについてお尋ねしたいと思います。 ただいま神田
委員
からも御
質問
ありましたように、
食管法
の第三条第二項の「
生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ米穀
ノ再
生産
ヲ
確保スルコトヲ旨トシテ
之ヲ定ム」ということは、これは先刻から御
説明
があっております。ただ、この
諮問
の中に、「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
することにつき、」という、この
需給事情
というものをここに限定されたという理由はどこにあるか。きょう午前中からの
質問
応答を聞いておりますと、これは
経済事情
の一半である、こう言われております。もちろん、
経済事情
を参酌するという中には
需給事情
も入るかわかりませんが、その事情を参酌する中の、特に
需給事情
というこの限定されたものを考慮して
決定
するという考え方というものは、非常にこれが狭められた
基本
的な考え方になるわけなんです。ここに非常に問題があると思いますが、これをどうお考えになるのか、ちょっとお聞きしたい。
長谷川四郎
152
○
長谷川国務大臣
これは稲富さんにおしかりを受けるかもしれませんけれども、おしかりなくお聞き願いたいと思いますのは、第三条には
所得補償方式
というようなものは、この中には書き入れてはないのでございますけれども、当然これをとっております。またこれを
基本
としてとっておる。したがって、
経済
ということになれば、もちろん
需給
という面にも大きくウエートを置く。 こういうような考え方によって、今日まで皆さん方のいろいろな御苦労によりまして、皆さん方の御
意見
を尊重しながら
生産
面の奨励をいたした結果が、今日のような
需給
状態になっておるのでございますから、やはりこの
現実
を知ってもらうということ、その上に立って
米価
というものは
決定
してもらうということが、最も妥当であるというような点も考えられますし、一方には
需給
状態というものはかくのごとくになっておりますということも御
説明
をすることが、やはり正しい
諮問
のしかたであろう、こういうように考えたからでございます。
稲富稜人
153
○稲富
委員
これは
審議
の
内容
において、そういう事情を参考とされることはやむを得ないかもわからない。しかしながら、本年は
需給事情
というものを特にこの
諮問
の
主文
に書かれたということは、今日米がだぶついているといわれているそういうような
需給関係
にあるから、できるだけ本年度の
米価
決定
は安くするような
答申
をしてもらいたい、こういう
政府
の意図がこの中にあるのじゃなかろうか。すなわち、「
経済事情
ヲ
参酌シ
」という幅の広いこの
食管法
の
内容
の中で、特に「
需給事情
を考慮して
決定
する」こういう限定をされたということは、そこに
政府
の
諮問
に対する意図があるんじゃないか、こういうことをわれわれは言わざるを得ないのであります。 こういうことは、
諮問
に対して
政府
がとるべき問題じゃない。参考に
説明
されることは別だけれども、この問題を
主文
にされるということは、すでにこれはできるだけ安くしなければならないという希望の上に立っての
諮問
の
主文
である、こういうふうに考える。私はこの点は非常に不十分な表現であると思うのです。不当な表現というか、どうもおもしろくない表現だと思うが、これはどうお考えになっておるか伺いたい。
長谷川四郎
154
○
長谷川国務大臣
私も
お話
を十分に承っておきますが、いずれにしても「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし」ということが、この中で大きな題目となっておるのでございまして、別にこの
需給
という面についてウエートをかけているというようには考えられないのでございます。 いずれにしても、くどいようでございますが、一応
需給
状態というものはこうでございますということを、やはり
諮問
の
主文
の中に入れるのが当然だ、このような考え方をもってこの中に加えたのでございますから、御了承賜わりたいと存じます。
稲富稜人
155
○稲富
委員
いま
大臣
は、「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし」ということにウエートを置いているんだとおっしゃるのですが、「
需給事情
を考慮して
決定
することにつき、」というこの文章を見るときに、どうも
需給事情
を考慮することにウエートを置いてあるような感さえも私たち深くする。 こういう点からいうと、すなわち、ここにウエートを置くことによって、今年度の
米価
決定
というものは、いわゆる
所得補償方式
を
基本
とするけれども、
需給事情
を考慮することによって
決定
するんだ、こういうように、いかにもできるだけ安く
答申
をしてもらいたいというような意図があると解釈せざるを得ない。これに対して
大臣
は、そうじゃないとおっしゃるけれども、この
主文
から見ますと、そういうような点があるということは、非常におもしろくないと私は思うのですが、これに対してどういう解釈をなさっているか。
長谷川四郎
156
○
長谷川国務大臣
すでに申し上げてございますけれども、他の資料といたしまして、
生産費
というものがいかに高くなっておるかというような点につきましては、別途提出をしてございます。そういうような点から考えますならば、いまも申し上げたように、
主文
に
生産費
及び
所得補償方式
というものが十分に加わっておりますから、別にこれでセーブしようというような考え方は、私たちは毛頭持っておらないのです。しかしながら、現在の
需給
の状態というものだけは知っておいてもらわなければならぬということを、はっきりとこの中につけ加えたわけでございます。
稲富稜人
157
○稲富
委員
米審
に対して、いずれ
内容
の御
説明
等が
大臣
からなされると思うのでございますが、この
主文
は、
生産費
及び
所得補償方式
を
基本
として本年度の
米価
の
答申
をしてもらいたいというのが大体主であって、
需給事情
を考慮するということは、現在の
需給関係
がこういう状態にあるという補足
説明
である、こういうふうに
大臣
から、機会を見て御
説明
を願うことができるのでありましょうか、この点をお伺いしたい。
長谷川四郎
158
○
長谷川国務大臣
明日はいよいよ私も出席をしなければなりませんので、その点につきましては十分に納得のいくような、皆さんの御理解が得られるような御
説明
をいたす考えでございます。
神田大作
159
○神田(大)
委員
いま
大臣
の答弁を聞きますと、米が余ったから安く買うという考えがあるようでありますが、米が余ったから安く買うとか、米が足らないから高く買うとかいうのは、これは
食糧管理法
に触れる問題であります。 〔安倍
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 われわれは戦争中あるいは戦後におきまして
食管法
を守って、当時米が非常に足らなかったけれども、やはり
政府
の
決定
したところの
米価
によって、損をしながらもこれを売り渡しをしたわけです。しかしながら、いまの
大臣
の考えを通しますと、その当時は米が足らないのでありますから、
需給事情
を
勘案
するならば相当高い
価格
で買い入れなくちゃならなかった。しかしながら、
食管法
でもってこれを押えておったわけであります。 今日米が余ったからといって、これをシグマのやりくりによって、いわゆる去年から比較いたしますと、五十六キログラムでございますから、約一俵増収ということによりましてこの
価格
を引き下げておるわけです。私は先ほども申しましたとおり、
食管法
がくずれた、あるいは
食管法
を皆さんが撤廃したというならばその話はわかります。その場合、米が余ったら安くなる、米が足らなくなったら高くなる、これは
需給
によって操作されましょう。しかしながら、厳然として
食管法
がある以上においては、そのような理屈は通らぬ。余ろうがあるいは足らなかろうが、これはもう一つのワクでもってきめなくちゃならぬ問題であると思うのでありますからして、この辺が、私は
政府
の考えが間違っておるのじゃなかろうかと思いますが、その点どう思いますか。
長谷川四郎
160
○
長谷川国務大臣
お説のとおりにやるつもりでございます。
神田大作
161
○神田(大)
委員
それはたいへんなことだと思う。私は、
政府
の出した
諮問
案が、私がいま言ったことに反する
諮問
案を出したのではなかろうかと思う。
大臣
は私の言うとおりにやるというなら、
諮問
案を撤回しますか。それをお尋ねします。
長谷川四郎
162
○
長谷川国務大臣
諮問
案は撤回はいたしませんけれども、従来からも
米価
の
決定
にあたっては、
需給事情
というものを十分考慮に入れたはずでございまして、年によってはいろいろな形で、たとえば、加算金だとか奨励金だとかいろいろな面でこれらが加えられたということは、
需給事情
というものが十分に考慮されて、そういうような
価格
形成を行なっておられるのだということは、御了承賜わりたいと思うのでございます。
神田大作
163
○神田(大)
委員
それは重大な問題を
農林大臣
は答弁しましたね。私の言うのは、米が余ろうとあるいは足らなかろうと、
食管制度
に基づいて、
生産費
を補償する
価格
でもってこれをきめなければならぬということを申したわけでありますが、
大臣
はそのとおりだと言われる。しかしながら
諮問
案はこれと違う、
需給事情
を
勘案
してきめる
諮問
案を出しておる。いままでもそういう
需給事情
を
勘案
したと申されますが、いままではそういうことをやっておりますが、これは平均反収じゃなしに限界反収でもってこれをほとんどきめておったわけでございますから、そういうことから申しますと
大臣
の答弁はちぐはぐで、
諮問
をした案と
大臣
の答弁とは違うことでございますが、こういうことになりますと、これは責任重大だと思いますが、
大臣
はどう思います。
長谷川四郎
164
○
長谷川国務大臣
御
承知
のように、かつて
昭和
十七年にさかのぼっていろいろな点を考えてみて、要は、何ゆえに
食糧管理法
が誕生したのかというような点からも考えてみるときに、またこれらに対して、いま
お話
しのような限界反収云々とございますけれども、やはりこれらも
需給
と再
生産
を
確保
するために、したがって限界反収というものもとっておるのでございまして、決して私たちは
農民
を苦しめようなどという考え方も持っておりませんし、
生産
者を痛めようという考え方も持っておらない。 いずれにしても、さらに
生産
はやってもらわなければなりませんので、これらについてはただ
価格
の面——
諮問
に対して
答申
が出たら、それでやるという意味でもございませんし、
答申
即そのまま云々というような例は今日までもございませんので、それらの点、十分に皆さん方の御
意見
等を
勘案
しながら
米価
の
決定
はなすべきものだ、このように考えておる次第でございます。
神田大作
165
○神田(大)
委員
大臣
は、そういう無責任な答弁をしておりますというと、これはそれこそ抜き差しならないことになりますよ。それは、
大臣
も私の
質問
であるから気やすくお答えになったと思うけれども、
諮問
案を出した以上は
政府
は責任があるわけです。
大臣
は責任をもって
諮問
案を出したわけですから、
諮問
案がどうなろうと、これはどうも私はわからぬというような答弁をしますというと、
大臣
としての責任は重大だと思う。あなた、自信を持ってこの
諮問
案を出したのでしょう。 しかしながら、この
諮問
案の
精神
とそれから
大臣
の答弁とが違っておるから、それでは
諮問
案は取り消して、
大臣
のいま答弁したお考えのとおりに出したらいいだろうと私は言うのです。ところが、
大臣
の言うように
諮問
案はどうでもいいのだというならば、いま一回考え直して、これを出し直したらいかがですか。
長谷川四郎
166
○
長谷川国務大臣
ちっとも変わっておらないので、要するに
諮問
案の中には、「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし」とはっきりとうたってあるのでございますから、これによって、つまり今日の、
現実
の
需給事情
というものも、十分知ってもらうことは当然だと考えて
諮問
をいたしたのでございますから、もちろん
諮問
に対しましては、私のほうは自信を持って
諮問
をしてあるのでございます。
小平忠
167
○
小平
(忠)
委員
神田
委員
の
質問
に関連しまして、若干
質問
したいと思うのであります。 ただいまの
大臣
の答弁を聞いておりますと、一体
食管法
を守るのか守らぬのか。
政府
みずからがこの
食管法
を守らない、
違反
をするという重大な責任をおかしておる、私はこう思うのであります。先刻も稲富
委員
の関連で明らかになったように、この
諮問
の
主文
にわざわざ「
米穀
の
需給事情
を考慮して」と入れたことは、いかに弁明されようとも、それは今日の米のだぶつきを理由に、この補足の試算あるいは
諮問
についての
説明
の中身をもってしても明らかなように、いわゆる
米価
を据え置きにしようという以外の何ものでもないわけであります。 そこで、私は非常に重要な問題ですからはっきり
大臣
にお伺いしますが、一体
農林大臣
はこの
主文
に、「
米穀
の
需給事情
を考慮して」と入れたということは、従来の
諮問
は、
食管法
第三条第二項の
経済事情
を考慮してというのを今度は変えたわけですね。これはまさに
食管法
第三条第二項の
精神
に
違反
しておりませんか。私はこの点、重ねて
大臣
に伺います。
長谷川四郎
168
○
長谷川国務大臣
違反
をしておりません。
小平忠
169
○
小平
(忠)
委員
それならば、私は米の
需給
に関して
大臣
にお伺いします。米の
管理
はだれがやっているのですか。
長谷川四郎
170
○
長谷川国務大臣
政府
が
管理
をしております。
小平忠
171
○
小平
(忠)
委員
そうでしょう。今日の米の
管理
は、
食管法
によって
政府
、国が
管理
している。この
諮問
の
説明
にも明確になされているように、「米の
需給
は大幅な緩和を示しており、当面平年作を前提としても
生産
が
需要
を百万トン以上上回る状況にありますが、これを
政府
管理
米についてみると、
需給
の大幅な緩和により過剰在庫は著しく増大し、」そしてその結果、「主食用配給量の約十カ月分に相当する約五百六十万玄米トンにも達すると見込まれ」ておる、こういう
説明
をしている。結局、本
米穀
年度末に五百六十万トンの在庫、よくもこうぬけぬけこんなものを
主文
に出したものですね。一体これはだれの責任なんですか。
長谷川四郎
172
○
長谷川国務大臣
いかに
政府
管理
といっても、
需給
がどういうふうになってもよろしいということはないのでございまして、
政府
は一億の
国民
の
経済
をあずかっておるのでございます。したがって、幾ら米が余ろうとも、いかに
需給
のアンバランスをかかえようとも、幾ら古米で腐っていこうとも、そんなことはおかまいなし、こんな無責任なことはできません。 したがいまして、いまある
現実
はこうでございますということをお伝えすることは、当然
政府
の義務だと私は考えております。
小平忠
173
○
小平
(忠)
委員
それはあなたは、この
食管法
ができてからの長い間、二十年も三十年も
農林大臣
をやっておるわけではないので、結局、最近
農林大臣
になったから過去のことは知らぬというようなことは言うべきでないし、またあなたもそうおっしゃってない。少なくとも現在の自民党の内閣、自民党の
政府
として、やはり米の
管理
については責任がある。戦後の混乱の中で米の増産のために、米
生産
農民
はどういう努力をしたのです。
現実
に
農林省
がそれの先頭に立って基盤の整備をやり、あらゆる品種の改良をやり、技術の改善をやって増産をやったでしょう。そういう結果昨年、一昨年、二年の豊作で米がだぶつく、あたりまえの話じゃないですか。そのだぶつく場合に、古米がだぶつかないように
管理
するのが
政府
の責任じゃないですか。 具体的に、
政府
はこの昨年、一昨年の豊作に対して、
需給関係
を考慮して過剰米、過剰在庫にならないようなどういう努力をされたのですか。そういう点がほんとうに全国の
生産
農民
、
消費者
が納得できる体制なら、このようないわゆる
説明
を加えて
諮問
してもいいと私は思うのです。どういう努力をしているのです。
長谷川四郎
174
○
長谷川国務大臣
私が申し上げるまでもなく、開田要求というのはたくさん出てきております。しかしながら現在、今日を見ましても、あなたがお読みになったような米の
需給
状態でございます。ですから、開田を今後どしどし要求どおりにさせ、基盤整備をし、土地改良をして、そして米つくりをさらに拡大していくということになるならば、これこそその結果はどうなるであろうか。 こういうような考え方の上に立って、本年まで認可をしておったそういう点についてはそのままおやりなさい、新しく開田をすることだけは認めるわけにはまいりません、こういうような手段をとって、そして
需給
の調整をはかろうといたしておるわけでございまして、ですからそれに対していままでの、われわれがおやりなさいといったようなところに対しましては、従前どおりこれには助成もするし、お手伝いもいたしまして、そしてそのような
生産
を高めていこうということは考えておるのでございます。
小平忠
175
○
小平
(忠)
委員
それは
大臣
、そのような答弁では納得できないのです。
食糧
庁から出されたこの資料にもありますように、四十二年の米の
需要
供給
関係
の具体的な表があります。これによって米の
需要
——主食は米と麦ですね。米と麦の
需要
量は千九百十九万トンです。これに対してどれだけの
生産
があるのです。昨年、一昨年の豊作でさえも、この米麦の
需要
に対して
生産
量は四百六十万トンも不足しているじゃありませんか。足らないのですよ。豊作でない過去十カ年の平均を見ましても、二百五十万トンもいわゆる主食である米麦が足らないのです、日本の
食糧
事情というものは。その足らないところを、輸入
食糧
によって補っているのが現状なんです。ですから、その平年作の場合に四百万トン以上の輸入
食糧
で、豊作になっても平年作と同じように四百万トンも輸入すれば、二百万トンから二百五十万トンの米がだいぶつくのはあたりまえじゃありませんか。 これに対して何らの
措置
もしていない。終戦直後の、米が不足で粉食奨励をしたあの終戦直後の惰性そのままにきておるじゃありませんか。したがって、米の消費拡大とか
需要
拡大について具体的に何ら努力もしないで、それ作付転換だの、あるいは買い上げ制限だの、自主流通米だのと、こういうことをやって、それは
生産
農民
が納得できる問題じゃないと思うのです。だから私が申し上げたように、この
需給関係
ということを今度は大きな理由にして、
生産者米価
のいわゆる据え置き、値上げを抑制しようというこの考え方が間違っておる。 ここは神聖なる
国会
の、農林水産
委員会
の
審議
であります。私は最後にあなたから、全
国民
が納得できる
米価
を——何のために据え置きしなければならぬか。物価は上がる、賃金は上がる、
生産費
も上がっておる。それにもかかわらず、
需給関係
を理由にして
米価
を据え置きにするというこの理由がわからない。わかるような
説明
をしてください。
長谷川四郎
176
○
長谷川国務大臣
ただいまの数字の点につきましては、長官から
説明
をさせます。その
あと
は私がまた御答弁を申し上げます。
桧垣徳太郎
177
○
桧垣政府委員
御指摘にございましたように、確かにわが国の
米穀
の
需給事情
は、少なくとも
昭和
四十一年までは
供給
不足の状態であったのでございます。したがいまして、不足の場合には、
国民
食糧
の
確保
という観点から、外国米の輸入をしてその不足を補うということは、これは当然
食糧
管理
の一つの役割りであったわけでございます。 四十一
年産
米でようやく国内の
需給
状態は均衡をいたしたといってよろしいかと思うのでございます。四十二年、四十三年と、御案内のように千四百四十五万トン台あるいはそれに近い連年の豊作がございまして、一方この表にもございますように、
昭和
三十七年までは一人当たりの
需要
量が逐年ふえてまいりまして、三十八年からやや減少に転じたのでございますが、三十八年にナショナルベースで千三百四十一万トンという消費のピークを築いたのでございます。その後
昭和
四十二年になりますと、千二百四十八万三千トンというのが全
国民
消費量でございまして、約百万トンの消費の減がある。したがいまして、千四百四十五万トンというような収量に対し
需要
量が千二百四十八万トンであれば、これは当然過剰の結果が出るということに相なるわけでございます。 現段階におきます米の平年作の収量は、作付面積に変動なかりせば大体千三百六十五万トン程度の
生産
量と見込まれるのでございますが、
昭和
四十三年の総消費量はまだ試算中でございますけれども、おおむね千二百二十五万トン程度になっておる模様でございます。でございますから、
諮問
文の
説明
にもございますように、平年作としても年々百万トン以上の過剰
供給
になるということは、これは
食糧
管理
の面のみならず農政の面からも、私はゆるがせにできない問題であるというふうに思うのでございます。 先ほど、輸入が在庫の圧力になっておるという
お話
がございましたが、
昭和
四十年までの輸入は、これは完全に国内の
需要
量に充てられたものでございまして、四十一年度のものも国内
需要
に充てられましたが、その後半からの分が今日の米の在庫に影響をしてないとは申し上げません。しかし、それは総体の量としては大きなものではないわけでございまして、大量の輸入をいたしましたときには大量の不足があった時代でございますから、その点については御了承いただきたいというふうに思います。
長谷川四郎
178
○
長谷川国務大臣
したがって、いままでは砕米などを輸入した。これを輸入いたさないで、しょうちゅうに回すとか、あるいは米菓に回すとか、みそのほうへ回すとかいうふうにして、輸入は一切今年はやっておらないはずでございまして、そうして国内産の米をなるべく利用するようにやっております。したがって、
買い入れ価格
とは大いなる差額をもって、まさに、半値だとは申しませんけれども、それに近い
価格
をもってこれらは払い下げをして、そのような
需要
のほうに回しているような次第でございます。
神田大作
179
○神田(大)
委員
先ほど私が
質問
したとおり、
食管法
に基づけば、米の過剰とか不足とかにかかわらず、
食管法
の
精神
にのっとって
米価
というものはきめる、
大臣
もそのとおりだ、こういう答弁がありましたね。そうなりますと、米が余ったからといって今度去年の
価格
と同じだというようなやり方は、これはいまの
大臣
の答弁からいたしますと、われわれとしては納得のできないことであります。 しかも、今日賃金は一五%からの値上がり、国鉄運賃も十五%の値上がり、その他あらゆる物価も五・六%の値上がりをしておるというような
現実
において、米だけを据え置くというようなそういうことで、
食管法
に基づく
精神
によって
米価
が
決定
されたと考えられますか。その点どうお考えになります。
長谷川四郎
180
○
長谷川国務大臣
諮問
を申し上げたばかりでございまして、
答申
が出ておりませんので、その
価格
の
決定
云々は、いまここで私が申し上げるべきでないと考えております。
神田大作
181
○神田(大)
委員
最後にどのような
決定
になるかは、それはまだわからぬでしまう。しかしながら、
政府
は
諮問
案を出したのです。昨年と同じ
価格
の
諮問
案を出したわけです。そういうことは間違いではないかということを私は追及しておるわけです。間違いじゃないですか。これが正しいと思いますか、お尋ねします。
桧垣徳太郎
182
○
桧垣政府委員
農林大臣
から
米価審議会
に対して
諮問
をいたしましたものは、先ほど来御
議論
になっておりますように、四十四
年産
米の
生産者米価
の
決定
については、
生産費
・
所得補償方式
を
基本
とし、
需給事情
を考慮して
決定
することについて
審議会
の
意見
を求めるというのが、これが
諮問
でございまして、
審議
の参考のために配付いたしました試算は、現在の
需給事情
というものを念頭に置きまして、私どもとして限界反収というものをマイナス二分の一シグマでやるとこういうような姿に相なりますということを、
審議
の御参考として供しておるという意味合いのものでございます。
神田大作
183
○神田(大)
委員
しかし
諮問
を出した以上は、これは
政府
の考えが、
佐藤総理
大臣
が再々言明しておるとおり、本年度
米価
は上げないというそういう圧力によって——
農林大臣
は
農民
の生活をよくわかっているわけでございますから、
大臣
としては、物価がどんどん上がる、賃金もどんどん上がっておる、そういうときに、去年と米の
価格
は同じだということは、心の中では、これはとてもそんなわけにはいかぬと
大臣
は考えておったと私は思うのですが、そういうような内閣の圧力によって、あなたはやむを得ず、しかたなしに出したのか、またこういうことは、今日の
食管法
に照らしても正しいものであると思って出したのか、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
長谷川四郎
184
○
長谷川国務大臣
諮問
案と同時に、先ほども申し上げましたとおり、物価、賃金、これらの上昇率が幾らになっておりますというのは、別途資料をもって提出をしてございますので、十分それらは
勘案
をされるであろうというふうに考えられます。したがって私は、一応私から
諮問
をいたしたのでございますから、
諮問
が間違っているとは考えておりません。
神田大作
185
○神田(大)
委員
それでは、この
食管法
第三条二項にあるところの「
米穀
ノ再
生産
ヲ
確保
スル」ということは、いまの据え置きの
米価
でもって、
米穀
の再
生産
が
確保
されると
大臣
はお考えでございますか。
長谷川四郎
186
○
長谷川国務大臣
再
生産
は、
価格
そのものばかりではなくて、他の方法、いろいろたくさんございますので、再
生産
の方法は十分に考えなければならない問題が残されているだろうと私は考えております。
神田大作
187
○神田(大)
委員
私は、約五十六キログラムも増産したことにして、去年よりもシグマをつけ加えて、そしてこのような算定をした、去年と同じ
価格
の
米価
でもって再
生産
が
確保
されるわけはないと思うのです。一体、一年たっても据え置きになっておる
価格
が何がありますか。特に労力が非常に要るこの米の場合において、一銭も去年よりも上がらぬというようなそういう
諮問
をして、
大臣
はこれでも農業者の生活を守っていけると言い切れますか。その点良心的にどうお考えになります。
長谷川四郎
188
○
長谷川国務大臣
ただいまも申し上げたとおり、
価格
のみによって再
生産
を
確保
するばかりではございませんので、他の方法によって十分
確保
ができるような手段をとる考え方でございます。
神田大作
189
○神田(大)
委員
大臣
は、そういう他の方法によって
勘案
すると申しますが、われわれはやはり一番問題は
価格
なのです。
価格
によって補償されなければ、あなたたちは畜産を
振興
するといいながら、今日酪農はだんだんと衰微しつつあるでしょう。あべこべでしょう。
振興
しないでしょう。あるいはまたこれらのことはどういうことであるかというと、乳の
価格
が、
生産
者においては一合十円そこそこであるが、
消費者
に渡るときはそれが三倍にもなって渡っているというようなことで、
需給関係
の改善に努力をしないでそのまま見過ごしておる。大企業の圧力に屈してこれを見過しておる。乳の
価格
が停滞しておるために、今日酪農の
振興
はできないのです。あるいはまた、消費量の増大をはかるといいながらそれをやらない。一番手っ取り早いのは学校給食でしょう。学校給食の問題などは、パンのかわりに米を食べさせたらどうか。もしそれをたく設備がなければ、うちからたいて弁当にして持ってきて、おかずだけをつくるというようなことでこれは解決する問題です。ところが、
大臣
があるいは内閣がそういう気持ちになればそれを解決できる問題も、これをやらぬ。あるいはまた総合農政をやるといいながら、今日総合農政の効果がほとんど上がってないでしょう。 そういうことをさておいて、米が余ったのは
農民
の責任であるかのごとく、あるいはまた食管の赤字が、これも米の
価格
が上がるからだというようなそういう認識のもとにおいて、このような
諮問
案を出すことに対しまして、われわれは断じてこれは許せない。それは皆さんが
食管法
をなくして、そして自由にした場合においてなら、
価格
の問題はそれは自由でけっこうでしょう。しかしながら、一応
食管制度
によって米の
価格
というものはきめられておる以上は、こういうシグマというようなものを取り出して、そして適当に去年と同じ
価格
に押えていくということは、これは
生産
者にとりましては何とも納得できないことであります。 先ほど
大臣
が言いましたとおり、今日においてはもう米は余るほどできるのです。しかし、できるやつを安く買いたたくというようなそういう冷たい農政は、これはやるべきではない。われわれも米がたくさん余ること、これは困ると思います。しかしながら、これは今後やはり総合農政を徹底的に遂行することによって
勘案
していくべきものであって、できた米を安く買いたたくというのは、
農民
といたしましてはこれはがまんのできないことでございますので、その点どうお考えになりますか。ことしのできた米はやはりそれ相応の値上げをして買い取るべきではないかと思いますが、その点はっきりとお答え願います。
長谷川四郎
190
○
長谷川国務大臣
消費の拡大につきましても、十分意を用いていろいろなことを考えておりますが、きのうまで粉食の奨励をやっていたものが、急にこれが米の事情がこうなったのだからすぐ米に切りかえろ、こういうような点につきましてもなかなか、お宅の御家庭はどうか知りませんけれども、家庭の子供さんたちに聞いてみてもそう簡単なものではないだろう。米づくりがこれだけ定着しているものを、急にどうこういってもできるものではないので、本年度は新規開田は抑制するようにいたしましても、結論としては二千ヘクタール以上のものが結局作付が多くなっていくのと同じことでございまして、消費の拡大は十分はからなければならないし、それは当然われわれの義務だと考えて、大いにこれらの面につきましてはわれわれは意を用いておるところであります。 さらにまた、もう一方は食管の赤字でございますけれども、食管の赤字が出るので、それがいやでこうだろう、そういうような考え方は毛頭持っておらないことだけは明らかにいたしておきます。
神田大作
191
○神田(大)
委員
私は、この
諮問
案に出ておることと
農林大臣
の答弁の食い違いは、
あと
で速記録を見て追及したいと思いますが、これは重大な問題であります。このような
食管法
に反するような
諮問
案に対しましては、われわれは納得できないのであります。 次に、時間がありませんから先へ進みますが、モチ米加算金の問題につきまして
食糧庁長官
にお尋ねしますが、モチ米につきましてはどのような考えを持っておりますか、お尋ね申し上げます。
桧垣徳太郎
192
○
桧垣政府委員
あるいは、私どもが
米審
の
審議
の御参考にと思って提出いたしました試算の中で、モチ米の加算が、最後の一−四等平均、包装込み
生産
者手取り予定
価格
の中に入ってないということの御指摘と関連するのかと思いますが、本年度からは、かねて申し上げておりますとおり、自主流通米の制度が発足するのでございまして、モチ米は、御案内のとおり、
政府
としても従来からコスト
価格
で売り渡しをいたしておるのでありまして、自主流通米に最もなじみやすいと見ておりますが、はたしてどれだけのものが自主流通に向けられ、どれだけ
政府
に入るかが明確でないのでございます。 そこで、昨年度のようにモチ米の
政府買
い入れ数量の予測がつきますときには、その予測数量をもってモチ米の加算額の加重ウエートによる石当たり加算額というものを出して計算することは可能でございますが、そういう本年度の産米については画然たることができませんので、ここで表示いたしておりますのは、ウルチ一—四等の手取り予定
価格
を少なくとも昨年より引き下げることのないようなことにする、それからモチ米につきましても、加算額は昨年と同様のモチ米加算をやることによって、昨年より下回ることのないようにする、そういう考え方で臨んでおるのでございまして、ただいまのような
政府買
い入れの事情の変更のために、モチ米を加えた手取り
価格
の算定をしておらないというだけのことでございます。
神田大作
193
○神田(大)
委員
このモチ米の加算というものは、従来あったわけであります。モチ米というのは、皆さんも御存じのとおり収量が、普通の水稲に比較いたしまして低いわけでございますから、それでモチ米の
生産費
を補償する計算からいいますと、当然モチ米というものは加算金をつけなければならぬ。それを、自主流通米になるであろうというようなことでこのモチ米の加算金を削除するということは、これも
生産費
・
所得補償方式
に反する重大な問題であると思いますが、それはどうお考えになりますか。 〔
委員長
退席、藤本
委員長
代理着席〕
桧垣徳太郎
194
○
桧垣政府委員
何かお聞き違いをなさったかと思いますので、あえてお答えを申し上げますが、モチ米の
政府買
い入れに対しましては、昨年度と同様、水陸稲別、等級別のモチ米加算を加えて
政府買
い入れをするという考え方でございます。
神田大作
195
○神田(大)
委員
いまモチ米が自主流通米になると言いますが、モチ米が自主流通米になるであろうというようなことの見通しは、私はそういうことを軽々に
食糧庁長官
というような責任ある者が言うべきじゃないと思うのです。大体自主流通米ということそれ自体においてわれわれは反対をしておるので、このものが
食管法
違反
であるとわれわれは考えておるのであります。 今日この自主流通米制度ができるというようなことを見越して、業者はすでに庭先へ行って、金を前渡しして取引をしておる。こういう問題は明らかに
食管法
の
違反
であると思う。あるいはまた、某料亭でもって業者が集まって取引をやっておる、こういうことが堂々と五大新聞のうちの一つに写真版とともに載っておる。こういうことをあなたたちが見のがしておるということは、やがて
食管法
を改悪するなりあるいは解消して、そうして自由制度にしようというもくろみがあるからこれを見のがしておるのではないかと思いますが、この点について長官はどう考えますか。
桧垣徳太郎
196
○
桧垣政府委員
モチ米につきましては、自主流通米を実施いたしません昨年度の産米まで、
需要
者と
生産
者側がもち米
需給
協議会というようなものをつくりまして、モチ米加算の額について協議を遂げた上で、その結果を私どもは
勘案
してモチ米加算というものを定めて、
政府
の所要経費を加算いたしまして、さらにモチ米加算をいたしまして売り渡しをいたしておるのでございます。したがいまして、実質的には
需要
者と
生産
者の側で一種の
需給関係
についての話し合いが行なわれておるという事情がございますから、私は、自主流通米に最もなじみやすいものであるということを申し上げたのでございます。 それから、一部といいますか、報道されたところによりますと、小規模な正米取引市場まがいのものがあるようでございます。私どもは、それらの動きというのはまだほんの萌芽といいますか、ほんのささやかな存在にすぎないと見ております。また、転々と居を変えて取引しているというのはなかなか捕捉しがたいのでございますが、これが目に余るような違法な取引をやるということでございますれば、私どもも、それを見のがすことのないように規制を加えたいというふうに思っております。
神田大作
197
○神田(大)
委員
そういうようなやみの取引がささやかなものであるという考えが非常に間違いであります。われわれは
食管法
のない戦前から正米取引所の状態をよく知っておりますが、こういう取引というものは今後増大してくる、またさらに大規模なものになってくるということは、火を見るよりも明らかであります。これが今日小さいからといって取り締まらないでおくというようなことそれ自体が、私は大きな間違いであろうと思う。今日この自由な流通米にからんでたくさんな問題がありますけれども、私は、時間がありませんから
あと
の機会に申し上げたいと思います。 〔藤本
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 私は重ねて
大臣
に、今度の
諮問
案というようなものは
食管法
に
違反
し、しかも、この安い据え置きの
価格
でもってこれを
諮問
していくということに対しまして、そのようなことをやる
大臣
の責任、並びに今日このような状態に追い込んだ
政府
の農政の失敗、これをやはり明らかにしていただきたい、このように思いますので、
大臣
に御答弁を願います。
長谷川四郎
198
○
長谷川国務大臣
米の
生産
につきましては、
政府
はもちろんでございますけれども、与党、野党を問わず米の
生産
をすべく、大いにわれわれはともに努力をいたしたつもりでございまして、皆さん方野党の方々も、米の
生産
を差し控えろといったのではなくて、大いにやろうとお互いに協力し合って、今日の
生産
を高めることができたのでございます。 したがいまして、できたからといって、それを簡単に片づけるわけにはいかないということは
お話
のとおりでございますので、十分これらの点には考慮を加えながら、
生産
の調整、
需給
のバランスをとっていくような方法をとって、そして再
生産
が
確保
できるような方途を開いていくのが、当然私に課せられたところの義務であろうと考えて、痛感をしております。
神田大作
199
○神田(大)
委員
これは、大体
政府
の農政が、おととしまでは増産増産といって増産をさせ、ことしになったらば米が余ったから、今度はおまえらの米の
価格
は去年と同じだぞというようなやり方、しかも一方においては適地適作をやるといいながら、十年たっても今日これができなかったというような責任は、私は
政府
にあると思うのです。それを野党にまでなすりつけて、野党の責任であるかのごときそういう言いわけをすることは、はなはだもってけしからぬ。この点、どう考えますか。
長谷川四郎
200
○
長谷川国務大臣
なすりつけるんではなくて、皆さん方と相ともに、与野党を問わず米の
生産
にはお互いが邁進したという事実だけはお認めになれませんか。私は
質問
しているのではございません。そういうような点について
政府
に責任なしと申し上げておるのでもございませんので、その結果でございます。当然
政府
の責任も、
食糧
をあずかるところの
農林省
の責任も、大なるものあることを十分了承しております。
神田大作
201
○神田(大)
委員
それは
大臣
、たいへんなことを言われましたね。あなたは
農林省
の責任者でありますし、内閣の一員といたしまして
政府
の行政をつかさどっているわけですよ。一体われわれはいつ当局者になって政治の責任をとりましたか。あなた方はそういうことを言って、今日のこのような農政の失敗を他になすりつけたりあるいは
農民
の責任にしたりするから、これは紛糾するのであります。 今日、もちろん増産することはけっこうでしょう。しかし、その
需給
バランスを考えて、当局はそれに基づいた行政を指導するのではありませんか。その指導を誤ったことをたなに上げて、あなたたちは一緒にやったじゃないかという、そんな話を私は聞いていない。そんなばかな話がありますか。皆さんは農政の責任者として誤った、そういう意味合いにおいて日本の農政が失敗したのではないか。しかも、外国からたくさんの
農産物
を輸入いたしておりまして、それらに対する調整をしないで、今日そのしわ寄せを
農民
にしようとするのであるからしてわれわれは追及するのであります。
政府
の責任者としてもっとはっきりした態度をとらなければ、いまの言動に対しては承服できません。
長谷川四郎
202
○
長谷川国務大臣
どうも神田さんのおっしゃることはさっぱり、神田さんは増産奨励をおやりにならなかったと言うのですか。私はおやりになったと考えているから申し上げたのであって、われわれはお互いともに手を携えて増産の奨励をしてきました。だから
政府
に責任なしとは申しませんので、責任のあることは十分
承知
しております、こう申し上げておるのであります。 したがって、このような異常な事態になってきたのでありますから、そういう認識の上に立って、今後は
生産
と
需要
という面も十分考慮に入れて、そうして再
生産
がりっぱに
確保
でき、農業がりっぱに都市勤労者並みになるような方向に、今後さらに進めていかなければならないということを申し上げておるのでありまして、神田さんがおやりにならなかったからというならばそのとおりでけっこうでありますが、神田さんも、今日までずいぶん農業のために御努力なさったと私は認めておるつもりであります。
神田大作
203
○神田(大)
委員
そういう無責任なことを言うんなら私は言いますが、いままで
政府
は政権をとっておって、そうして農政の責任者としての指導をやっていて、あるいは牛を飼え、豚を飼え、鶏を飼え、あるいは米をつくれ、あるいは果樹、野菜を奨励し、それに対する見通しというものを発表して、それに基づいてあなたたちは農政の指導をやっているんですよ。われわれがそれに反対したとかあるいは賛成したとかというのは、これは行政のやり方に対して、間違いを何回かわれわれも指摘してきたつもりであります。これはここにいる野党の議員の皆さんもそうだ。
政府
の農政の指導は間違っているんじゃないか、こういうことでは日本の農政がたいへんなことになるぞということは再々指摘しております。 それに耳をかさずに、
政府
の責任者が、このような今日の農政の重大な失態の状態になってきて、
政府
に責任は幾らかあるかもしれないけれどもお前らにもあるだろう、そんな話がありますか。そういう話は私は絶対聞けませんよ。
長谷川四郎
204
○
長谷川国務大臣
私は、失敗した責任が皆さんにあると申し上げておるのではありません。責任は
政府
にあるということは、当然私は痛感をしておるということを申し上げておるのでございます。
神田大作
205
○神田(大)
委員
もう時間がありませんからやめますが、そういう言動に対しまして、私は取り消しを
委員長
に申し込みます。いまの
大臣
の発言はこれを取り消すべきものである、これを取り消さなければ、近い機会に
大臣
への
質問
を許してもらって、徹底的に究明しましょう。そのことを申し上げまして私の
質問
を終わります。
丹羽兵助
206
○
丹羽委員長
斎藤実君。
斎藤実
207
○斎藤(実)
委員
農林大臣
にお尋ねしますが、まず私は、
農林大臣
の日本の農政に対しての
基本
的な考え方を、具体的な
質問
に入る前にお尋ねをしたいと思います。 ことしは大量の過剰米の在庫、さらにまた食べられなくなった古米の処理、あるいは食管赤字の増大、さらに
政府
の
米価
据え置きの
方針
、さらに自主流通米制度の発足、米から他の作物への作付転換、それにまた
食糧
自給の低下、輸入
農産物
の増大、さらに加えて諸物価の高騰、こういうこれまでにない環境、情勢の中で
米価
の
決定
の時期を迎えているわけであります。ですから、去年までのあり方とはかなり事情が異なってきているわけです。 こういう状況を考えますと、この日本の農業の現状、将来というものに対して、非常に重大な転換期にきているのではないか、このように考えるわけです。日本の
国民
食糧
確保
、あるいは農業の将来について、佐藤内閣の責任者である
長谷川農林大臣
が、日本農政を将来どういう方向に持っていくのか、こういう
基本
的な姿勢をまず最初にお尋ねいたします。
長谷川四郎
208
○
長谷川国務大臣
いままでのやり方と申しましょうか、いつも申し上げているように、農業
基本
法というものがありまして、それによって今日まで農業を進めたわけではございますけれども、何にいたしましても今日の日本の農業の技術というものが非常に向上をしておりまして、米がよろしいということになりますと、全く米の見込みのなかったようなところまで、たとえば地方で言うならば、北海道から九州までが米一色になりつつあるような状態。あるいはまた他の
農産物
の中でミカンがいいということになると、ミカンばっかりつくられていくというような状態。したがって、今日では
経済事情
が非常に向上を伴っておりますものですから、すでにナツミカンというようなものになりますと、食ぜんにのぼせないというような実態、事実まであらわれてきておりますし、リンゴを見ましても、今日までのようにリンゴというものは食べなくなってしまったという、こういうような
食糧
全体にわたって、
経済
の実態とあわせまして大きく
変化
を来たしておるのでございます。 こういう中に立っておりますから、私は、何といっても今後の日本の農業というものは、主産地主義というか、こういうようなものをどうしてももり立てていかなければ相ならぬだろう。したがって、米をつくられるところ、見込みのあるところ、たとえば米一毛作であって、米でなければほかの作物がつくれないというようなところ、こういうような地がたくさんあるわけでございますから、そういうようなところはなるべくお米をつくってもらうように、その
生産
を高めてもらうように、それにはなるべく省力、人間の力のあまり必要のない省力化をして、そして
生産
を高めていくように、思い切ったこれらの施策を加えなければ相ならぬだろうし、反面また、畜産なら畜産のうちの養豚なら養豚地帯というものもここに当然きめて、あるいは養鶏地帯だとか、果樹なら果樹のうちのミカンだとか、カキだとか、あるいはリンゴだとか、みなこれらを別々にいたしまして主産地形成を行なって、そうして思い切った施策を農業面においてかけていかなければ相ならぬ。こういうような考え方でいくことができるならば、すなわち、おのずから
需要
と
生産
というもののバランスもとれるであろうし、いろいろ先ほどからおことばがありましたけれども、今日は、日本の国内の農業は、日本だけの考え方によっての農業ではなくなってもきておることも考え直さなければ相ならぬだろうと考えます。 こういうような点において、すでに米につきましても、主産地形成をとるべきだというような考え方の上に立って、今年も八カ所を指定しておる。これらは大規模でありまして、二千ヘクタールから三千ヘクタール、こういうような地を指定いたしまして、そうして良質な米を省力化して最も
生産
を高めてもらうような方法をとっていこう。それでそういうような主産地ということの指定を受けたところには、
政府
は思い切った投資を行なうようにやっていきたい、そうして国内の
農産物
の
需給
のバランスをとっていきたい、こういうような考え方をもって、目下いろいろ試案を進めておりまして、これらの試案につきましては、われわれ
農林省
だけでおきめすべきものではないのであって、要は、皆さん方とともにどうやったらばより高い農業の形成をすることができ得るかというような点につきまして、お互いがここで一体となった姿によってこれらはつくり上げていくべきだ、こういうふうに考えておるのでございます。 長くなりますからこまかいことは申し上げませんけれども、そういうような将来の考え方をもって、今日の農政は今後進めるべきだというように考えておるのでございます。
斎藤実
209
○斎藤(実)
委員
時間がありませんから次へ進みます。 今回の
米審
に対する
政府
の
諮問
の
主文
の問題について、私は若干申し上げますけれども、この中で「
米穀
の
需給事情
を考慮して」こういうふうにあります。 〔
委員長
退席、仮谷
委員長
代理着席〕 これは
食管法
第三条第二項に、「
政府
ノ買入ノ
価格ハ政令
ノ定
ムル所
ニ依
リ生産費及物価其
ノ他ノ
経済事情
ヲ
参酌シ
」こう明示されています。なぜこの
主文
に「
米穀
の
需給事情
を考慮して」こういうふうに入れたのか、
農林大臣
から御答弁をお願いしたい。
長谷川四郎
210
○
長谷川国務大臣
食管法施行令
第二条第二項は、
経済事情
を参酌して、
米価
を一たん定めた後に、
経済事情
の変動が著しい場合には、その一たん定めた
米価
を
改定
することができる旨を定めたものでございまして、しかしそうだからといって、逆に
食管法
第三条第二項の
経済事情
を参酌してこれを定むというのは、一たん定めた
米価
を
改定
する場合だけに限られることにはならない、このように解釈をしておるのでございます。 〔「答弁が違いますよ」と呼び、その他発言する者あり〕
仮谷忠男
211
○仮谷
委員長
代理 静粛にしてください。
長谷川四郎
212
○
長谷川国務大臣
答弁が間違いのようでございますから、再び申し上げます。
需給事情
が
経済事情
の中に含まれることは当然であり、したがって、
食管法
に基づき
米価
を
決定
する場合に参酌する
経済事情
として
需給事情
を考慮することは、
食管法
に
違反
するものではないと考えますし、さらに、なお本
年産
の
米価
は、
生産費
及び
所得補償方式
を
基本
として
決定
する考えであることは言うまでもないと思います。
斎藤実
213
○斎藤(実)
委員
私は、明らかに
食管法
第三条第二項に「
経済事情
ヲ
参酌シ
」と、こういうふうにうたわれておりますから、この
諮問
の
主文
の中に「
経済事情
を参酌して」というふうに入るのが当然である。どういうわけでこの「
米穀
の
需給事情
を考慮して」とこれを入れたか、ちょっと私はいまの
農林大臣
の答弁では納得できないのですが、再度答弁願います。
長谷川四郎
214
○
長谷川国務大臣
「
生産費
および
所得補償方式
を
基本
とし
米穀
の
需給事情
を考慮して
決定
する」というようなことは、つまり、
経済
の中に
需給
というものは大きいウエートを持っておる、こういうことを表現したのであって、要は、現在の
現実
という上に立った
需給
というものを十分御認識賜わりたいという点もあわせ考えまして、このように
諮問
文の中に入れたわけでございます。
斎藤実
215
○斎藤(実)
委員
では、この「
米穀
の
需給事情
」ということは米が余っている、こういう判断でよろしいですか。
長谷川四郎
216
○
長谷川国務大臣
食糧庁長官
から答弁をいたさせます。
桧垣徳太郎
217
○
桧垣政府委員
諮問
文に「
需給事情
を考慮して」ということを入れましたのは、
農林大臣
がお答えしたとおりでございますが、ここでいっております
需給事情
というのは、先ほどもお答えを申し上げましたように、現段階におきまして
政府
の
管理
米が大量に過剰在庫の状態になっており、また、平年作を前提にいたしましても今後百万トン以上の
供給
過剰という、構造的な
供給
過剰状態にあるという、その
需給事情
という意味でございます。
斎藤実
218
○斎藤(実)
委員
いまの
食糧庁長官
の答弁を聞きますと、先ほど私が
質問
をしましたように、いまの
米穀
需給事情
というのは米が余っているんだ、こういうふうに判断してよろしいですか、
農林大臣
。
長谷川四郎
219
○
長谷川国務大臣
御判断のとおりでございます。
斎藤実
220
○斎藤(実)
委員
そうしますと、
米審
に対する
生産者米価
の
諮問
は、この
主文
にありますように、
米穀
の
需給事情
というものは米が余っているんだ、米が余っているから、
生産者米価
は据え置きなんだ、こういうふうに判断をしてよろしいでしょうか。
長谷川四郎
221
○
長谷川国務大臣
余っているから据え置きでよろしいんだというのではなくて、
現実
はこのように
需給
がアンバランスになっておりますということをつけ加えたことであって、
価格
は
審議会
委員
の
決定
するところでございまして、それに対して私のほうは、これでなければならないという
価格
を申し上げておるのではございません。
斎藤実
222
○斎藤(実)
委員
そうであれば、わざわざこの
諮問
の
主文
に、「
米穀
の
需給事情
を考慮して」というふうに入れる必要はないじゃないですか。いま私が
質問
しましたように、
農林大臣
から米が余っているんだ、こうとってもよろしいという答弁がありました。それから
諮問
についての
説明
にも、明らかに米の
需給
は大幅な緩和を示しているというふうにうたっておりますから、先ほどから再三各
委員
が
質問
されましたように、この
政府
の意図は、米が余っているから
昭和
四十四年度の
生産者米価
は昨年同様に据え置くんだ、こういうふうに考えざるを得ません。そうでなければ、この
諮問
の中に「
米穀
の
需給事情
を考慮して」というふうに入れる必要はないわけだ。先ほどの
農林大臣
の答弁によりますと、そういうふうにわれわれは判断せざるを得ない。
農林大臣
、いかがでございますか。
長谷川四郎
223
○
長谷川国務大臣
諮問
をいたすのでございまして、
答申
は
委員
がおきめいただくのであって、私のほうがきめるのではございませんから、
答申
が出るまでは、私のほうは何とも申し上げるわけにはまいりません。
斎藤実
224
○斎藤(実)
委員
佐藤内閣総理大臣
並びに
長谷川農林大臣
が、本
会議
並びに
委員会
等でたびたび、
昭和
四十四年度の
生産者米価
は据え置く、こういうふうに発言をされました。ですから、
農林大臣
は
諮問
したばかりでいまのところはわからぬ、こういうふうに答弁されましたけれども、 〔仮谷
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 当然これは最初から、この
生産者米価
は据え置くんだ、米が余っているから据え置くんだ、こういうふうに最初から腹の中できめておられた。もしそういう判断であれば、これは重大なる問題である。
農林大臣
、いかがでございますか。
長谷川四郎
225
○
長谷川国務大臣
速記録を見てもらうとおわかりなんでございますけれども、私は
米価
を据え置くとは言っておらないのでございます。しかしながら
米価審議会
の議を経てその
答申
を尊重いたしますということを、必ずつけ加えてあるわけでございます。 ですから、したがって
生産
者に対しましても、ことしはなかなかむ、ずかしい状態でございますよというような点をまず知ってもらいたいということも、その意の中にあるので申し上げたのでございます。
斎藤実
226
○斎藤(実)
委員
先ほど来の
農林大臣
の御答弁で、
政府
は、米が過剰になってきたから——その裏には、食管赤字の増大という問題も含まれましょうが、
生産者米価
の据え置きということは、
食管制度
そのものをはずそうとしているのです。ことばをかえていえば、これは完全なる
食管制度
を無視している問題である。
法律
違反
である。この
米価
の据え置きということは、長年にわたって苦労して築き上げてきた米作農家を不当に圧迫し、さらに、農家を苦境におとしいれようとするものである、われわれはこのように判断をしております。 なぜ私はこのように申し上げるかというと、
生産費
も上がっております。もちろん物価も上昇している。また毎年賃金も上昇しておる。こういう状態の中で
生産者米価
を据え置くことは、米をつくり過ぎた農家が悪いんだ、ことばをかえていえばこういうことにもなろうかと私は思う。ですから、
経済事情
その他を
勘案
して
生産者米価
を据え置くということは、
政府
みずからの失敗を
農民
にしわ寄せをしようとしていることにも通ずる。これは全国の米作
農民
が非常に不安に思っておるし、また非常な動揺を来たしておる。したがって、一国の農政をあずかる
農林大臣
として、これは何らかの方法を考えなければならないというふうにわれわれは判断をしているのですが、この
生産者米価
に対する据え置きの考え方をもう一度考え直す考えはありませんか、再度御答弁をお願いします。
長谷川四郎
227
○
長谷川国務大臣
まだ
米価
の
決定
を見ておりませんから、私から申し上げるわけにはまいりませんけれども、
米価
の
決定
によって再
生産
が
確保
でき、そしてより高い生活ができ得るような施策は、これに伴ってまた当然考えていかなければ相ならぬ、こう考えております。
斎藤実
228
○斎藤(実)
委員
この
諮問
の
説明
の中に、米の
需給
は大幅な緩和を示しているというふうに書いてある。先ほどの答弁も、
農林大臣
は米が余っているからだ、こういうふうに答弁されました。じゃ一体、今日このような状態、米が余ってきた状態、古米も非常にふえておる、しかも古米が
食糧
には供されないような事態にもなってきている、このように米が今日まで余ってきた責任は、一体どこにあるのですか。
農林大臣
、御答弁をお願いします。
長谷川四郎
229
○
長谷川国務大臣
だれの責任だということも——私たちは
政府
にも責任か十分あることを認識して、先ほどから御答弁を申し上げておるのでございます。 今後におきましても、このまま
生産
がますます増大し、毎年毎年消費は減る、逆に作付反別は、申し上げたように毎年増加していくということになるならば、これこそほんとうの異常な状態が継続されることになります。これは決して
農民
の利益になることではないだろう、このようにも考えますので、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、
農民
の
生産
者自身も、この点は十分考慮に入れておいてもらわなければならない問題だと考えるのでございます。
斎藤実
230
○斎藤(実)
委員
先ほど
農林大臣
から、
米価
の据え置きの問題あるいは
生産者米価
をどうするかという問題は、
答申
が出てから考えるという答弁がございました。かりに
米価
が据え置きだ、じゃ一体これからの
農民
はどういうふうにして生きていけばいいのか。それでは米以外に
価格
が保証されて、収入が保障されるというものがあるかどうか。米が一番手っとり早くて、今日まで米をつくれ、つくれといって奨励をしてきて、今日米は増産になっているわけでしょう。しかも
米価
は据え置きだ。それじゃほかに何をつくっていけばいいのですか。何を農家がつくっていけば、これからの
農民
の
所得
が向上し、
家計
が安定するのか。そういう方策があれば、ひとつ
農林大臣
から明らかにしてもらいたいと思う。
長谷川四郎
231
○
長谷川国務大臣
申し上げるまでもなく、ただいまも申し上げましたけれども、それだからといって米が
需給
のバランスを欠いて毎年毎年たくさん余って、買い上げたお米が、たとえば十四万円で買ったものがえさになっていくというようなことが何年も続くというようなことがあったときに、世論がそれを許すでございましょうか。それでもそれを続けなければ相ならぬということは、皆さん方でもなかなか言いにくい事態が来るのではなかろうか。そういうような点もすでにいまからわれわれは考慮をしなければならぬ。したがって、そういうような事態がまさに来ているのに、政治は何をやっておるのだというその責任も当然追及されるであろう。 こういうような点につきまして、いま斎藤さんは何をつくればいいかと言うけれども、これは一つのものを何をつくればいいというわけにはいかないのでありまして、土地、土地によってみな違うのでございますから、適地適産がありますから、それによった
生産
をやってもらうようにして、それには思い切った施策をやり、先ほど申し上げたように、その施策に対しては
政府
としては大いに責任をもって援助をしていきたい、そうしてりっぱに
生産
ができるような方向に持っていきたい、こういうふうにやっておるわけでございます。 ただ本年も、たとえば富山だとか秋田とかいうような米の一毛作地帯はなかなか困難ではございましょうけれども、転換できる地区内においては、一万ヘクタールではございますけれども、これに対しては二万円を出しましょう。そのほかに、たとえば農機具というようなものに対しましても、大体一万七千円ぐらいのものを見ましょう。合計いたしますと三万七千円ぐらいかかる予定でございますけれども、農業というものはそれが定着するまでというものは、一年こっきりというわけにはまいりませんので、これらは少なくとも三年間ぐらいの間はそれを児なければならないだろう、こういうような考え方をもって、われわれはこの施策を通じてお願いを申し上げたのでございましたけれども、なかなか思うようにはいっておりません。そういうように、結論を申し上げますならば、何をつくればいいんだと言われましても、適地適作がありますので、その土地に合った
生産
というものをなるべくやっていただきたい、こういうように考えるのでございます。
斎藤実
232
○斎藤(実)
委員
農民
は非常に敏感でありまして、日本の農政がどういう方向に進んでいるかということはちゃんと敏感に知っています。米が余ったからといって総合農政を打ち出しました。作付転換、これも打ち出した。しかし、
政府
のいうように作付転換は実際に行なわれていないじゃないですか。
農民
は非常に不信感を持っています。ですから、
政府
が鳴りもの入りで発表した総合農政も何ら見るべきものがない。こういうことであっては
農民
は納得できない。ですから、将来
農民
が納得し、安心して
生産
に励めるような政策を、
農林大臣
もお考えになっているんじゃないかと思う。そういう政策があれば、お考えがあれば、この
委員会
の席上で明らかにしていただきたいと思う。
長谷川四郎
233
○
長谷川国務大臣
冒頭に申し上げましたように、私は適地適産主義を何とかこの際つくって、そうしてこれを貫きたい、こういうような考え方を持っております。
斎藤実
234
○斎藤(実)
委員
大体時間も来ましたから、私は
農林大臣
の答弁には承服できませんが、この問題はまたあらためて御
質問
申し上げたいと思います。 なお、同僚議員の樋上さんが関連
質問
がありますので、私の
質問
は以上で終わります。
樋上新一
235
○樋上
委員
いま
大臣
が答弁になりました中で、作付転換もこうやってやるんだ、こうやっていくんだという計画はありますけれども、現在まで作付転換したものはわずか四割しか出ておらない。そして作付転換しても
政府
の指導が、どの方面でどうしたらいいかという確実な指導がないもんですから、過去にやったことが全部損をこうむっておる。ですから、
政府
の言うことと反対のことをやったらもうかるんだろうか、こういうような状態まで不安を持ち、また疑いを持ってきているということは、
政府
の総合農政に対する信頼感というか、そういうことが非常に欠けている、こう私は思うのでございます。 ですから、過剰米を誇大に宣伝しているが、端境期の
需給
操作に必要な繰り越し在庫や凶作、そういったものに備えた備蓄米も考慮しなければならないはずです。それを過剰米を非常に宣伝をして、こんなに米が余ったのだから、余ったのだからというようなことを言って、何かお米をたくさんつくれば、
農民
が罪悪を犯しているような感じを起こすような宣伝になっておる。私はこういうこと自身が、
政府
の農政に対する信頼感がないのだと思う。 あなたはいま
米審
の
答申
、がなければ言えないのだとおっしゃいますけれども、もうすでに
政府
は本年度は据え置きである、据え置きであると主張しております。だったら農家の
所得
向上はいかにしてやっていくのか、その対策はどんなことを考えておるのか、それを明示していないではないですか。全く無責任である。生活水準の向上の方向を示して、それを保障していくのが政治であり、これまで
国民
食糧
の
確保
に苦労してきた米作農家に対する唯一の道であると私は思うのですが、この点はどうです。
長谷川四郎
236
○
長谷川国務大臣
私たちに対する信頼感がないかあるか、あなたの御判断は別でございます。したがって、先ほども斎藤さんにもお答え申し上げましたとおり、われわれは総合農政といいましてもまだほんとに緒についたばかりでございますので、あれがあのままで満足をしているものではなくって、特に今後はこういうように日本の農業技術が向上している以上は、十分これらを生かすような方法をもって今後やっていかなければならぬ。それは、私の考え方は先ほど申し述べたとおりでございます。
樋上新一
237
○樋上
委員
物価が上昇いたしまして、勤労者の賃金も非常に上昇してきた。その上昇率は一六・五%である。また、物価指数は四・九%と上昇しておる。この中で米作農家は、もしここに
米価
を据え置くというような結果になるならば、これは賃金の固定価でがまんせよということで不平等であり、また不当である。もし据え置きになれば、米作農家は米作収入の絶対額で一千億円、物価上昇による実質価値減で一千億円、計二千億円の減収となる。そしてこれは、とりもなおさず生活水準の切り下げである。
政府
は、昨年から総合農政を打ち出しておるのですが、その中身は米作抑制のみである。米以外の作物でも、
価格
も安定して
所得
も
確保
をされ、そして向上をしていくならば、何も米作に執着する必要はないのであります。ところが、いま米以外の作物では何ら安心してつくれるものはない。 食管の財政負担は、米作農家のためにだけあるわけではない。米の再
生産
の
確保
と
消費者
の
家計
安定のためのものであって、これを一方的に農業予算とすること自体当を得ていない。しかも、二千九百七十億の財政負担のうち半分以上が
政府
管理
経費である。 また、
政府
は構造政策の推進を主張しておりますけれども、その過程やその間の農業
所得
の向上はどうするのか明示していないのであります。その具体的方策を示さずして構造改善のみを主張するのは、これは無責任であると私は思う。
長谷川四郎
238
○
長谷川国務大臣
賃金の上昇も物価の高くなったことも、全部資料として
審議会
には提出してございますので、当然、
委員
はこれらを十分
勘案
して
答申
を出してくださるものだと確信をしております。
丹羽兵助
239
○
丹羽委員長
この際、
委員長
から
農林大臣
に一言申し上げます。 本日の
委員会
における
審議
の状況を、
米価審議会
に伝えていただくよう要望しておきます。 次回は来たる十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十三分散会