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1969-05-15 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月十五日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君       大石 武一君    大野 市郎君       金子 岩三君    小山 長規君       菅波  茂君    瀬戸山三男君       中尾 栄一君    中山 榮一君       野原 正勝君    八田 貞義君       福永 一臣君    松野 幸泰君       石田 宥全君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       芳賀  貢君   米内山義一郎君       小沢 貞孝君    樋上 新一君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君  委員外出席者         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局国際部長   内村 良英君         農林省農政局参         事官      中澤 三郎君         農林省畜産局参         事官      平松甲子雄君         食糧庁総務部長 松元 威雄君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月十五日  委員永江一夫辞任につき、その補欠として小  沢貞孝君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として永  江一夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬戸山三男君。
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 きょうはたいへん貴重な時間を拝借しまして、まことに恐縮であります。  経済企画庁長官、見えておらぬですね。
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 瀬戸山委員に私から申し上げて、もし御了承を願えたらと思いますが、瀬戸山委員のほうから経済企画庁長官に本日出席を要求されておりまするので、こちらから出席の要求をいたしました。しかし、十時四十五分から十二時まではケニア国開発大臣と会見、十二時三十分から十三時三十分までは万博推進会議総理官邸でありますので何とか御了承を願いたいと、こういう通知がただいま来ております。まことに手落ちで申しわけございませんが、総合開発局長が来ておりますので御了承願えたら……。もし大臣でなければならぬということなら、次回とかあるいは大臣出席できるときに大臣の質問は願うようにお進めを願いたい、こう思います。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大臣もお忙しいのでしょうから、きょうのところは委員長のお取り計らいにおまかせいたします。  実は、私はこまかいことはよう知らぬのですから、きょうは、ちょっと大げさかもしれませんけれども政治の姿勢に関連して二、三の点をお伺いしておきたい、こういうことであったわけですが、農林大臣も見えておりませんから、それぞれの方からお伝え願えばよろしいと思います。でありますから、場合によっては総理大臣ということも通告には書き加えておったわけです。まあそこまでいかぬでも、各省大臣でもけっこうだと思っておったのですけれども……。  それでは、私はきょうは、専門的なこまかいことはよう知りませんし、そういうことをお尋ねしようと思いません。国民と申しますか、一般国民専門家じゃありませんから、一般国民の姿でちょっとお尋ねしてみたい。したがって、非常な幼稚な子供っぽいことをお尋ねしますから、そういう者にもわかるようにひとつ御答弁を願いたい、こういうことであります。  農林大臣あるいは経済企画庁長官にまず聞いておきたいと思ったのですが、隅田川政治というようなことを御理解願っておるかどうか、いかがですか。非常に妙なことばを使いましたが、むずかしいことじゃないのです。
  6. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 たいへん恐縮ですが、私、寡聞にしてまだ存じ上げません。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 最初に申し上げたように、非常に幼稚な子供っぽい、そういう者にもわかるように政治をしてもらいたいという意味でこういうことを申し上げているのです。おわかりになっておるのですよ。おわかりになっておるのですが、隅田川政治なんということばは、私が突然いまここで使ったので、世間ではやっていることばじゃありませんから、それはお答えくださいと言うのも無理なんですけれども、きょうはそういうことを事こまかに申し上げるわけじゃないのです。  見ておりまして、特に農林行政の部面にそういう問題が多いと私は平素考えておりますから、こういうことを申し上げるのですが、政府なりあるいは国会で、いろいろ国民のための政策といいますか、問題をいろいろ審議をして方針を決定し、それを各行政組織行政機関、お役人さんで末端国民にそれが及んでいく、こういうことでありますけれども政府のきめた方針なり国会審議されて決定した方針なりというものが、いよいよ国民の面前といいますか、からだに触れるときになりますと、政府なり国会がきめたような姿で必ずしも国民の間に浸透していかない。これは、私は全部が全部とは申しませんけれども、大体日本の従来の政治と申しますか、行政あり方を見ておりますと、そういう感を深くしております。  したがって、国民は非常に期待しておりますが、いよいよそれが国民の間に浸透していくときになると、期待はずれといいますか、こういうことじゃなかったはずだと、政治の信頼を失うということがしばしば私はあるように思うのです。そういう長ったらしいことを言わぬでも、隅田川といえばすぐわかるんじゃないか、こう思ったのです。  隅田川源流は、非常にきれいな水が流れておるのですが、いつの間にか途中からごみや下水やいろいろなものが流れ込んで、いよいよ東京近くになってくると、見るもむざんな姿になってきているのが隅田川だ。これも非常に大きな欠陥がたまりたまってああなっておると思うのです。あれはほんとうの姿じゃないと思います。でありますから、きょう突然私が隅田川政治について聞いたところで、それをお答えにならぬのはわかるのですけれども政治隅田川のようになるということは、これはたいへんなことじゃないかと思うのです。そういうことを常日ごろ考えております。  きょうは、そういうことで、農林行政について全部そんなことを申し上げるわけじゃないのですが、ここでもいろいろ熱心にそれぞれ専門の方々が審議をされている。ところが、これを国民の側にだんだん実行に移される場合には、非常に違った姿で農政が進んでいく、これは従来もあったわけです。そういうことは非常に気をつけなければならぬことじゃないか、特にそう思っております。  それに関連して一、二お尋ねしてみたいことがあるので、きょうは失礼でありますけれども、私は各省大臣の方においでを願っておきたいと思って申し上げたわけであります。源流からだんだん末端に至るに従って違ってくるということは、何も意識的に、あるいは故意にやられるわけでもない。場合によっては非常に仕事熱心のために、場合によっては役所のセクショナリズムのためにだんだんひん曲げられていった形になる。これは悪気ではないと私は思います。あるいは、特に農林行政のようにたくさん仕事がある場合には、国の予算に制約されて、非常に愛情の薄い農林行政末端に及んでいく、こういうことになると思いまするが、そういう点を、せっかくこういう農政の転換期といわれております場合には気をつけて、というと恐縮でありますけれども、注意をすべき段階ではないか、こういうことを私は考えておるわけであります。  そこで、非常にとっぴなことを聞きますが、食糧庁皆さんでもいいです。いわゆる自主流通米という、この自主というのはどういう意味自主というふうに言われておるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  8. 松元威雄

    松元説明員 自主流通と申しますのは、これは法律用語ではございませんが、このことばを用いますのは、現在の米の流通政府を通して売買をいたすわけでございます。つまり、原則として生産者は全部政府に売り渡す、それから販売業者政府から買うというように、政府を通ずるようになっております。  それに対しまして今回考えておりますのは、政府売買する道を開く。ただ、開きます場合には、それは自由かってに流通せしめるという意味ではございませんで、生産者のいわば組織的な売り方、あるいは販売業者と申しますか、需要者と申しますか、そういう者のいわば組織的な買い方と申しますか、そういう秩序立った流通を行なわせるという意味で、自主流通ということばを一般的に用いたわけでございます。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 自主流通米については、専門的に法律的にいろいろ、特に野党の委員皆さんから長い間議論がありました。私どもしろうとにもわかったようなわからぬような気持ちでおるわけです。現在の米の需給あるいは農業全体の問題からすると、おやりになることはけっこうだ。私はこれを悪いと言うのじゃないのですよ。しかし、先ほど申し上げましたように、一般国民からいうとなかなかわかりにくいことばで、自主とはだれを主体にして考えておるのかということです。自由と違った使い方をされておりますから……。ことばは悪いかもしれませんが、私どもそういうのが言いやすいから言うのですが、百姓主体にした自主か何かということを、もう少し詳しく伺いたい。
  10. 松元威雄

    松元説明員 御指摘のように、自主という基本は、生産者自主的な意思でございます。すなわち、生産者は自己の自主的な意思によりまして、政府に売るもよろしい、あるいはまた政府以外でもよろしい、その判断は生産者自主的な意思に基づく、そういう意味自主ということばを使っておるわけでございます。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そういたしますと、現在やっておる自由でない米の流通を一部認めるというのは、前からここで言われておりますから、おおむねわかっておるような気がいたしますが、それは国政全般のためか、あるいは百姓といわれるときらう人があるかもしれませんが、生産者のためか、あるいは消費者のためか、その特定のだれのためということはないでしょうけれども、それとの関係はどういうふうに考えておられるのか、ひとつ聞かしていただきたい。
  12. 松元威雄

    松元説明員 現在の米の売買は、食糧管理法によりまして、第三条で政府に売るべき義務数量があるわけでございます。さらにそれの履行を担保します趣旨から、政令で政府以外に売ってはならないという強制をいたしておるわけでございます。その強制を、一定の要件に該当をした場合に解除する、そして政府以外に売ってよろしいという道を開くわけでございます。  そのねらいは、生産者の利益ということもございますし、それからまた消費者自分の、いわば嗜好に即応した米を買い得る道を開くというねらいもございます。  そういたしますと、全体としての背景としましては、現在の米の需給事情というか、その事情背景にあるわけでございまして、そういう意味からは、国民経済的な意義と申しますか、そういうものを認めてこの道を開こうということでございます。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 いままでここで議論されておりますのを聞きますと、いまお答えになったようなことであろうと想像しておりました。その中で、生産者がいままでよりもよくなるのか——だれかがよくならなければ改める必要はないのですし、よくするということでしょうから、生産者がよくなるのか、消費者がよくなるのか、あるいは、ここでもいろいろただされておりますように、赤字解消のために妙なことをするのだろうという議論もありましたけれども、どこが一番よくなるのか。みんな同じですか、どうなんですか。どこをできるだけよくしてやろうというねらいか、それはどうですか。
  14. 松元威雄

    松元説明員 これまでここで御議論ございましたとおり、いまの食糧管理制度の持っている機能と申しますか、その根幹は維持してまいるわけでございますが、現在の食糧管理制度で抜けているものとしまして、一番大きな要素は品質問題にあるわけでございます。いわば直接の管理でございますれば、品質という問題をきめこまかく入れることはなかなかむずかしいわけでございます。そのために、米が品質を無視して一律の価格で売ったり買ったりされる。  それに対しまして、生産者側がいい品質のもの、あるいは消費者需要に即応するものをつくれば高く売れるというめどがあるわけでございます。片や消費者側も、数量もさることながら品質に対する要望があるわけでございます。そういったことを考えまして、こういった道を開けば、それは品質というものを背景にいたしまして、生産者にとってもプラスになり、消費者にとってもプラスになる。そういうことを可能にする背景と申しますものは、いまの米の需給事情が、従前のように数量に重点があったときと違いまして、いわば需給が緩和してまいったという背景がありますので、そういうことを申し上げたわけであります。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 俗なことばで言うと、三方一両損とかいうことばがありますが、これは三方益ということですね。どの程度かなかなかパーセンテージはわからぬでしょうけれども消費者もうまい米を食える、農家も自由じゃないけれども、やや自由に近いやり方ができる、国の農政全般からいっても、赤字解消の点からいっても非常に都合がいい。三方益ということですね。  そこで、これもしろうとでなかなかわかりにくいのですが、いまのやり方で米を生産して、生産者からだんだんどこか回っていって、そうして消費者の口に入るまでのいろいろな段階手続、それと今度の自主流通段階手続と、どこか違うところがあったら、それをひとつお教え願いたい。
  16. 松元威雄

    松元説明員 現在の米の流通は、これは原則としまして政府が買うわけでございますから、生産者指定集荷業者委託をいたしまして政府に売ることになっているわけでございます。そうしまして、政府配給計画に従いまして、それを卸売り販売業者に販売する、それから卸売り販売業者小売り販売業者消費者、こういうルートになっているわけでございます。  それに対しまして、今回開きまする自主流通でございますが、これは私、先ほど申しましたとおり、基本生産者の自由なる意思でございますが、いわば自由かってな売買を認める趣旨ではございません。一定の秩序を立てて、食糧管理の立場から必要な規制を行なって、そのもとで行なわせるわけでございます。したがいまして、生産者自主流通をいたそうという場合でも、指定集荷業者売り渡し委託をし、さらに指定集荷業者は、その組織する団体がございまして、具体例で申しますと、指定集荷業者の大部分農業協同組合でございます。その上に県の経済連がございますし、さらにその上に全販連という全国団体があるわけでございまして、そのルートを通じまして売り渡し委託をして売る。片や需要者のほうは、代表的なものは卸売り販売業者でございます。したがいまして、生産者からそういう全販連等のルートを通じまして卸売り販売に売られていき、それ以降は小売り消費者というかっこう流通をするという流通経路をとっていくというふうに考えている次第でございます。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そういう場合に、政府関係するところはどこですか。
  18. 松元威雄

    松元説明員 ただいま申し上げました自主流通の場合には、政府買い入れるというわけではございませんから、その意味で、従来のように政府買い入れ主体になるわけではございません。しからば、政府は何らその流通に関与しないかと申しますと、いま申しました流通経路を規制するというようなことと、さらにその場合に一定契約のもとに流通を認めるわけであります。いわば自主流通契約と申しますか、その契約のもとに認めるのであります。一方政府は、大部分の米は従来どおり政府買い入れとして配給するわけでございますから、それとの関連を見ながら、その自主流通が適正かどうかということを判断いたしまして、いわば認可をする。  そういうように政府が関与するわけでございまして、売買そのものには関与いたしませんが、そういういわば秩序立った流通をすることについて政府が関与するということでございます。
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 自主流通が適当かどうかということを政府がどうかなさると言うのですが、そうすると、個々生産農家がこれを政府以外に売りたいというときには、どういう手続をしてどういうふうにやるのですか。
  20. 松元威雄

    松元説明員 生産者政府に売るかあるいは自主に回すかという基本的な意思は、生産者にあるわけでございます。  ただ私、先ほど自主流通契約と申しましたのは、その場合生産者個々ばらばらに、私は自主に売りたい、私は政府に売りたいというようなことをするわけではございませんで、先ほど申し上げましたとおり、指定集荷業者、その上の県の経済連あるいは全販連というルートを通じて流通せしめる。その場合に自主流通は、全体で見た数量を考えまして、この数量ならば——現在政府予定では、自主流通米数量約百七十万トンという予定をいたしておりまして、そのうち酒米とかモチ米等の原材料を除きますと、一般ウルチ米は約百万トンという数字を見込んでいるわけでございますが、そういった全体の数量政府の買っている数量との関係でどうだろうか、そういうようなチェックをしながら政府認可をするということを申し上げたわけでございまして、したがって、生産者としますと全体の承認を受けた数量でございまして、それに今度は全販連扱い数量がきまり、それから県の経済連数量、それからまた指定業者数量、そういうかっこう数量めどがございまして、その中で自主流通に回すということになるわけでございます。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そうしますと、個々生産農家が、自分はこっちのほうに売りたいのだけれどもという考えはあっても、全体の予定数量その他から、君のその分はもうその範囲以外なんだということがあり得るということですね。そういう場合に、私が聞きたいのは、先ほどから申し上げておるように、なかなかいなかの人はわからぬですから、わからぬようなかっこうでそういうことを……。
  22. 松元威雄

    松元説明員 どうも私の答弁がちょっとまずうございまして、あるいは誤解を招いたかと思いますが、私が申し上げましたのは、自主流通と申しましても全く自由かってではないということを申し上げるために、少しむずかしいことを申し上げたきらいがあるのでございまして、全く自由ではございませんで、そういった流通経路を通すということと、それから政府が、政府管理との関係でそういう意味の関与をすることがあるということを申し上げたわけでございます。  しからば、生産者自由意思が抑圧されるのかと申しますと、そういうことではございませんが、ただ問題はございまして、生産者がかりに自主流通に売りたいと考えましても、これは需要がなければだめなんであります。高く売りたいと申しましても、需要と見合わせましていま言った数字がきまっているということを申し上げたわけでございまして、いわば政府意思生産者意思を抑圧するという意味で申し上げたわけではないのでございます。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そうすると、そのルートはいいのですが、ある特定生産者が、これはいい米だからどこかほかに売りたいという場合に、それはもう予定数量よりか多いから、そうはいかぬのだということはないということですね。多少よけいであってもかまわない、売れさえすれば。——わかりました。  そこで、私が先ほど政府が関与するところはどういうところですかと聞いたのですが、米の検査はいつ、どこでやるのですか。
  24. 松元威雄

    松元説明員 米の検査は、政府に売る場合でございましょうと、自主流通に回す場合でございましょうと、農産物検査法に従いまして検査をするわけでございます。したがって検査は、出来秋になりまして農家現物を持ってまいりましたら、その段階で、政府に売るものと自主流通に回すものとを検査請求によって仕分けをいたしまして、同じような検査をいたすわけでございます。
  25. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 どこでだれが、どういうお役人さんがするのかということを聞いておるのです。
  26. 松元威雄

    松元説明員 米の検査は、現在と同じ農産物検査法に基づきまして、国の農産物検査官検査をいたすわけでございます。  場所は、これも現在と同じように、現在米の検査政府指定倉庫の庫前で検査をいたしておりますから、同じように政府指定倉庫の庫前で農産物検査官検査をいたすわけでございます。
  27. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そうすると生産農家は、よく見ておりますと倉庫にみんなかついでいって、そこでたいへん時間を待たされて検査を受ける。そしてその倉庫の中で、このほうは自主のほうですと生産者が持ってきて言うと、区別して保管されるわけですか。
  28. 松元威雄

    松元説明員 先ほどから申しましたとおり、自主流通に回す場合には、あらかじめいわば自主流通めどがございまして、それに従ってやるわけでございますから、農家が実際に現物を持ってまいりましたときには、これは自主流通に売れるという見込みのあるものでございます。したがいまして、政府買い入れのものは直ちに政府買い入れまして、政府のものとして保管いたします。自主流通に回しますものは、農協が自主流通に回すものとして、別に保管をいたすわけでございます。
  29. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 えらいこまかいことを聞いて恐縮ですけれども、私も米をつくっておるから、どこへどう持っていっていいかわからぬものですから聞いているのですが、そうすると、農業倉庫へ持っていって検査をしてもらって、これは自主流通にしてもらうんだからということで、またどこかほかへ持っていくわけですか。どういうふうになるのですか。
  30. 松元威雄

    松元説明員 先ほどのように、検査政府指定倉庫、普通はこれは農業倉庫でございます。農業倉庫の庫前で検査をいたします。その場合自主流通に回すものは、自主流通の一つの符牒をつけまして、農業倉庫の中で場所を変えて保管をいたします。そうしまして、実際卸が買いたいという希望の時期にそれを卸に引き渡す、こういう扱いになるわけでございます。
  31. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 その場合に、いま生産者がやや疑問に思って——ややというよりも非常に不満といいますか、政治あり方について理解に苦しんでおる問題は、自主流通にすると検査手数料を取るとかいう。まだきまっているかどうか知りませんけれども、そういうことでいろいろいわれております。一方のほうは取らないのだけれども自主になると取るのだ、こういうことで生産者、いわゆる農業者からいうと、政治というものはそういうものかなという感じを持っておるのですが、それはどういうことなんですか。
  32. 松元威雄

    松元説明員 検査手数料は、農産物検査法に基づきまして取るのがたてまえであるわけでございます。それを現在は、政府が買います場合は取らないと申しますことは、政府が買う場合には、かりに取りましても価格にいわばプラスする。麦の場合はそうでございますが、麦は間接統制にいたしました場合に検査手数料を取る。しかし、政府が買う場合には価格プラスをする扱いになっている。したがいまして、いわば相殺されますから、米の場合は政府が買うのが原則でございますから、政府が買う場合には手数料を取らぬというように法律できめているわけでございまして、したがいまして、逆に政府に売らないものにつきましては、検査手数料を徴収するということになるわけでございます。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 まあ法律できまっておるのだからしかたがないというのが、お役所としてはこれはあたりまえなんでしょうが、生産者から見ますと、同じ場所に持っていって検査をしてもらって——まあ手数料を取るとすれば、販売価格にそれを入れなければならぬからと言われる。計算上はそうでしょうけれども、同じ場所に持っていって、一方はただで一方は手数料を納める。理屈がないわけではないでしょうが、そこに生産者は不満を持っている。そこで私が最初聞いたように、自主のほうはだれのためにやるのか、こう聞いたわけです。  そうすると、その手数料を加えて消費者に売るとして、その手数料生産者が払うのですか、どっちが払うのですか。
  34. 松元威雄

    松元説明員 検査手数料は、第一次的には生産者が払うわけでございます。そこで、先生御指摘のとおり、自主流通米はそれ以外にいろいろ流通経費がかかるわけでございます。そういった流通経費を加えたもので価格が形成される。それで、いわば需要があるという場合に自主流通が成立するわけでありますから、その意味で、第一次的には生産者が支払いますが、第二次的には経費として加算をされる性質のものであります。
  35. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私が経済企画庁にもこの話を聞いておいてもらいたいというのは、それはもちろん検査をすれば人手が要ることですから、手数料が要るでしょう。しかし、それは販売価格に込みになっているとおっしゃられればそれまでですけれども、同じ場所で一方は手数料を取り、一方はただだという。私もずっとここで議論を長く聞いておったのですけれども自主流通米は食管制度のワク外ではないのだ、それをしきりに、つとめて説明されます。食管制度をくずすんじゃないので、その範囲内で、食管制度の一つのあり方としてやるのだという御説明がいままであったわけです。いまの手数料の論理的なお話はわからぬわけじゃないのです。わからぬわけじゃないけれども生産者が受ける印象はそうじゃない。さっき三方ともによくなるように、どちらもみんなが利益になるのだ、こうおっしゃったが、これでは三方損になってしまう。  それで、いま物価の問題が一番やかましいのですけれども、そのくらいのことはみんなにおかしいなと思わせぬでもやれる方法がないかどうかということなんです。経済企画庁長官がおられたら、あなたどう思いますかと聞こうと思ったのですけれども、きょうおられぬからやむを得ないのですが、そういうことで私は最初妙なお話をしたのです、もうちょっと味わいのある政治はできないものかと。いま法律があるから、それはお役所流に答えれば、法律でちゃんと手数料を取れと書いてありますからとおっしゃるが、せっかくあれほど問題になったものを改革される場合に、ここで同じ検査をしたものを、おまえ自主でやってみなさいというならば、そこまで高利貸しみたいなことをせぬでもいいじゃないかと私は思っておるのですが、そういう味わいのある政治をする気におなりなさらないかということなんです。政務次官、いかがですか。
  36. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 実は、自主流通米の実施要綱を近くきめたいと思っておりますのですが、政治的な御配慮あるいは御要望等が、いま先生のおっしゃいました手数料の問題と、予約をいたしまして自主流通米に回す場合の予約解除の場合、概算金返還をする金利の問題、この二点にいまいろいろ政治論がございまして、実は実施要綱をまだきめ得ないという実情でございます。  ただいまおっしゃいました手数料の免除の問題につきましては、高度の政治判断を要する問題だと思いまして、いろいろ関係方面とも鋭意協議をいたしておるところでございますので、先生の御意見も御意見として私、承りまして、大臣にも十分よくお伝えをし、協議をしてまいりたいと考えております。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 法律にもあることだし、一応論理からいいますと、さっきお役所からお答えになったとおりであろうと思います。しかし、これほど大問題になりまして、総合農政をやって米作転換をやらなければどうかなるというときに、それで物価の問題もあるし、生産者の利益にもなる、消費者の利益にもなる、国全体の財政あるいは農政の上からも利益になるためにこういうことをやるとおっしゃるようなときには、それは考えの違った人もあると思いますが、一緒に持ってきたのを、こっちはおまえが、かってじゃないけれども自主で売るのだから手数料を取るというような政治が、一体いいものかどうかをひとつよくお考え願いたいと思うのです。農家は、買う人がなければ、さっきお話しのとおり売れないのですから、また政府に持ってくる。また持ってきても、おまえ自主といったのだから買わぬということになると私は思うのですが、そのときに手数料は返すということになるのかどうか知りませんけれども、あまりにしゃくし定木じゃないかという気がいたしております。  そこで、かりに百七十万トンおっしゃるとおりに検査をして自主流通米があったとしたら、どのくらい手数料が入るのですか。
  38. 松元威雄

    松元説明員 米の検査手数料は一俵二十円でございます。ちょっと私、百七十万トンについて計算をただいましておりませんが、一俵二十円でございます。
  39. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 少しくどいようで恐縮でありますが、一俵二十円で計算すればすぐわかる。たいした金じゃないと思うのですが、そういうことで農村からこんな手数料を取る。これは取られるのは理屈には合うのですよ。理屈に合わぬというわけじゃないのですけれども、まだまだ日本の農村政治は非常におくれております。いま格差がどうのこうの、消費者物価がどうのこうのいっておるときに、そういう規則一点ばりの政治——もし規則があるからやるというのなら、その規則を改めてでも、妙な感じを起こさせないような政治をしたらどうかと私は思うのです。そこで、きょうは場合によっては総理大臣に来てもらったらどうかという通告をしておいたのですが、経済企画庁長官もおられませんから、この問題はこれ以上議論はいたしません。考えてもできないものなら、こういうわけでできないと農民によく理解をさせていただきたいと思う。政治というものに信頼を置けないような政治は、理屈が合ってもできるだけひとつやられないことを希望して、この問題はこれで終わります。  さっきちょっと触れられました、予約をしてあった米を、それを自主流通にすると、その分だけは前渡し金の利息を返せというお話があるそうです。これも理屈はそのとおりですが、妙なものだ。あの貧乏な百姓からまた利子を取るのかという声が農民の間にありますが、それは政務次官がおっしゃったように、よく御検討願いたいと思います。  それから、この自主流通をいつから実施するか御検討中だと思います。これは具体的に申し上げますと、高知県とか宮崎県とか、いわゆる二期作をやって、早場米はあちこちやっておりますが、非常に早いのがある。しかも、米の早くとれるときには自主流通がしやすいのです。そういう地域では早く自主流通をやっていただくとありがたいがと、こういう強い希望と申しますか、意見がありますが、私はやはりこういう制度を改めてやるときには、みんなが喜んで、勇んでやるようにしてやったほうがいいんじゃないか。いろいろ御準備もありましょうから、そう簡単にいくのかどうか私はこまかいことは知りませんが、何か七月の二十日ごろからでもやってもらうと、もうその時分は米ができるわけです。しかも、新米ということで自主流通がやりいいのでしょう、買う人があるかどうか知りませんが。こういう希望もあるのですが、いつごろからどういうふうに実施されるのか、これをひとつもしわかりましたら聞かしていただきたい。
  40. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 ただいまおっしゃったような時期に間に合わすように、必ずいたしたいと考えております。
  41. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一点ですけれども、これはやはり米に関係がありますから、この際聞いておきますが、政府は米作転換をしなければいかぬ。これは今度の自主流通米制度もその一環だと思うのですけれども、予算もある程度取っておられます。やはり同じく高知県とか宮崎県とかいうところは、御承知のように二期作をやっておるわけなんです。同じたんぼに二度、簡単にいうと二倍の面積に米をつくっておる。これはいまの政府の考え方から、食管制度のあり方からいうと、困ったものだということじゃないかと思うのです。しかし、地方の農家はそれだけのことぐらいしなければ生活に困るから、苦心惨たんしてやっておるのですが、何かほかのほうにでも転換できれば転換したい。ちょっと考えますと、同じたんぼだからおかしいという気もするのですが、しかし、それは二倍に使うことが、ちょっといまの米の政策からいうと何とかならぬかということになる。二期作の一期だけを、ああいうあたたかいところですから、ほかに転換ができないわけじゃない。しかも、これを集団的にやっております。こういうものは個々別々にやれない地帯ですから、集団的にやっておるので、集団的な転換がおっしゃるとおりにできる。これにも転換の取り扱いに幾らか政府が補償される、こういうことをやっていただきたいという希望も非常に強いのです。これについてどう考えておられるかも承っておきたいと思います。
  42. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 二期作目の転換、これに転換奨励金を出すか、こういう問題だろうと思うのでございますが、事務当局がいろいろ検討をいたしておりますが、なかなかこれも、実は先生のおっしゃる政治判断でなければきまらない問題だろうと思います。  私どもは、将来の米の需給ということを考えてまいりますと、やはり転換奨励金の何らかの支出を考えても、二期作目は他の作物に転換を願うほうが、より国家的に見ていいのではないだろうか、こういう考えを持っておりますので、何とかこの事務的な隘路を打開するようにいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいという方針で、いまいろいろと折衝をいたしております。
  43. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 おっしゃるとおりだと思いますが、その際に重点は、やはり苦しみながらやっておる農家を愛するという気持ちで政治判断をしてもらいたい。これをお願いしておきます。  それから、今度はまた変わったことを聞きますが、たばこ耕作、あれは農業ですか。どなたからでもけっこうです。
  44. 小暮光美

    ○小暮政府委員 たばこ耕作は、畑作の一部門であるというふうに考えております。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 これは所管は大蔵省で、きょう専売公社総裁は見えておりませんのでなんですが、作付面積、これの今後の収買、あるいはその他の操作、これは総合開発計画にも関係があると思って、きょうは企画庁にも来てもらっておるのですが、農林省としてはどの程度タッチしておられるのか。
  46. 小暮光美

    ○小暮政府委員 たばこ作の生産性の向上と申しますか、そういった角度からの改善の仕事につきましては、専売公社と十分協議いたしながら、農林省が助成いたした例がたくさんございます。
  47. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 たばこ耕作も私はこまかく知りませんが、これは地域的に集団的にやる従来からの作物になっておると思います。いま総合農政がいわれて、果樹園芸だとかあるいは畜産だとかいわれておりますが、やはりたばこはたばこで、これも全国的というわけにいきませんけれども、地域的に集団的にいわゆる多角経営と申しますか、総合農政の一つの柱とまではいかぬでしょうけれども、そういう観点からおやりになるものであろうと思う。そこで、私は農業ですかと伺った。私どもしろうとが見ておると、これは専売公社だけのもので、農林省なんかはあまり関係しておらぬのじゃないかという感じを持っておりましたから承ったのですが、非常に関心を持って大いに協議しておられるそうでありますから、ありがとうございます。  そこで、専売公社から見えておりますから、まことに御苦労さまですが、たばこ耕作、これは大体集団的にやっておるのだと思うのです。また、やったほうがいいんじゃないかと思いますが、特に日本では、畑作問題ではなかなか困難している地方がたくさんあります。おかげさまで最近は、たばこの耕作が他の農作物よりもめんどうはめんどうですけれども、比較的有利な営農ができるといことで、あれは非常に励んでおるようでありますが、たばこ耕作については専売公社はどういうふうに考えておられるのか、それをまずお聞かせ願いたいと思うのです。
  48. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 たいへん広範な御質問でございますので、御趣旨にぴたり合っておるかどうかわかりませんけれども、現在私どもが売っておる商品でありますたばこの質をきめますもののもとは、葉たばこであると考えておりまして、たいへん重要なものと考えておる次第でございます。  ただ、現実の問題といたしまして、現在葉たばこの過剰在庫問題というものをかかえておる次第でございます。したがいまして、たばこの耕作を拡大するということがかなりむずかしい局面にきておりますので、その点におきまして、耕作者の皆さまにいろいろごめんどうをかけなければならぬような事態になっておると考えておる次第でございます。
  49. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そうすると、これは輸出も多少あるのじゃないかと思いますが、輸出がどういうふうになっておっておるか。また、原料もだいぶ輸入されておる、詳しく知りませんが、これもやはり米と同じように過剰生産、こういうことですか。
  50. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 平均的に見ますと、葉たばこ八カ月ぐらいの過剰在庫をかかえておると考えておるものでございます。大まかに申しまして、たばこは寝かせて熟成をするという期間が必要なものでございますから、平均二年分をかかえていくということがたばこ産業では国際的に通例行なわれいるわけでございますけれども、その二年分に対しまして、二年分よりも八カ月分くらい多いというかっこうになっているわけでございます。  これらの問題を解決いたしますのに、輸出もドライブをかけるべきではないかという御指摘を受けておるのでございますけれども、種類別に見ますと、先生御存じのバーレー種、在米種というふうなものにつきましては、ヨーロッパあたりからかなりの需要がございます。しかしながら、片方いろいろな経済問題、社会問題等の関係から、これらを耕作しておいでになります耕作者の方々が廃作をされます、ないしは作付面積を減らされますような傾向が非常に——非常にと申しますと強くなりますが、あらわれてまいっておりまして、外国から需要のあるものにつきましては、どうも国内生産のほうが落ちていくという傾向を持っております。  国内生産のほうで、農村の方々が非常に生産意欲をお持ちになっております黄色種につきましては、種類別に見まして過剰率が一番多い上に、これの輸出に努力をいたしておりますけれども品質問題と価格問題等、価格問題については私どもも操作のしようを考えなければならぬと思っている次第でございますけれども、国外の需要はなかなかつきにくいという状況にありまして、非常に苦慮している次第でございます。
  51. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 この際、子供っぽい質問ばかりして恐縮でありますが、国民もわからぬから聞くのですけれども、地方の都市にはあまりありませんが、大都市のたばこ屋に行くと洋もくがたくさん並んでおるのですが、日本国民性として舶来製がいいという感情かどうか知りませんけれども、たばこの輸出と輸入はどういうふうな関係になっておるのでしょうか。輸出が多くて輸入が少ないのか、どっちがどうなっているのか。  それとあわせて申し上げておきますが、いま品質がどうのというお話でありましたが、日本は品種改良なんか非常にうまい国なんですけれども、農林省はそういう問題はいままで研究されて、たばこの品種改良なんかやられたかどうか、それもあわせてあとで農林省から聞かせていただきたいと思います。
  52. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 お話のありました輸入たばこ、私ども輸入製造たばこと申しております製品のほうでございますが、私どもがいままで計画しております輸入量といたしましては、八億本程度と考えてまいったわけでございます。輸出のほうは、四十二年度の実績で四億本強でございます。
  53. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 農林省は残念ながら、これは所管がはっきりと大蔵省、専売公社でございますので、品質改良については大蔵省、専売公社で担当をいたしておりますので、われわれのほうで研究開発はやっておりません。
  54. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そこで、私は妙な質問でしたけれども、これは農業でしょうかと聞いたのです。どうも百姓がやっておるのだけれども農業だろうか。私もたばこは吸いますが、そんな品質のことなんかわかりませんので、別に皮肉に聞いておるんじゃないのですよ。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 輸出の二倍も輸入しておって、生産過剰で、しかもいまいろいろな地域、地域によって農政の転換をやりますについても、さっきも申し上げたように、たばこは一つの有力な転換作物だと私は思うのですが、いまのように実際問題としては減反をしいられておる。百姓からいうとしいられておるという状況であります。しかも品質改良は、これは所管の専売公社が苦心しておられると思いますが、農政上これをどう考えておられるかということを聞くために、あれは農業ですかと聞いたのでありまして、いや農業でいろいろやっておりますということですから、ありがとうございますとさっきお礼を申し上げたのです。  だから、私は最初に政治の姿勢についてということを申し上げたのですが、所管で一生懸命やられるのは当然でありまして、行政組織それぞれ担当がありますが、しかし、いまや総合農政をやろうというときであります。いま企画庁にも来てもらっておるのですが、国土総合開発計画でどうだこうだといっているのを見ると、まことにりっぱなことを書いてあると思うけれども、実際にそれを行なわれるときには、これはどっかのお経だという考えで、私の認識不足か知りませんけれども、それを着実に行なおうという各行政官庁の姿が残念ながら見えぬのです。  それはたばこが大蔵省所管で、しかも大蔵本省は何も知らぬでしょう。収益が上がることだけしか知らぬでしょう。たばこをどう耕作して、それがいかに日本農政関係があるか。米の生産とたばこの関係はどうなるのだ、そして全国の農村にどの程度たばこをつくらして、輸出を減らしてというような——たばこは吸わないほうが害にならぬそうですけれども、しかし、これは習慣ですからね。現に吸っておるのです。そういうふうな総合農政といいますか、日本政府ですから全部をまとめて——まとめてといってもそれは簡単にいきませんけれども、いまや日本農政転換は国をあげての大問題である。米作転換などといっても、それを何にするかということも非常にむずかしい問題であります。しかしそういうものを、ここに養蚕なら養蚕の適地があるからこれを集中的にやるとか、ここはたばこの適産地であるからたばこを集中的に営農を高めてやらせようかということを、専売公社とか、農林省とか、企画庁とか相談されたことありますか。三者一人ずつお答えを願います。
  55. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のとおり、今度の全国総合開発計画の作業を通じまして、ただいま御指摘のように農業の問題につきましては、需要構造の非常な変化に対応して、国内の生産体制をどういうふうにするかということが最も大きな課題でございます。そういう観点から、私どもいま作業中の計画におきましては、地域的にそれぞれ特色を持った農業展開をやることがいいのではないかという提案をいたしております。  具体的には、大家畜畜産であるとか耕種というようなものについては北海道、東北、九州というふうなところを重点的に考えていく。また都市近郊については、それに相当した小家畜の畜産でありますとか蔬菜というふうなことを考えていくというようなことを、こういった基本計画でございますから、ごく大まかに出しております。  そういった作業の過程を通じまして、もちろん農林省ともいろいろお打ち合わせをいたしておるわけでございまして、具体的に地域的な農業生産のあり方について、農林省のほうでこれから後なるべく早く具体的な構想を固めていただきたいということを、私どものほうは希望をいたしておるような次第でございます。
  56. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 御承知のとおり、御協賛を得ました農業振興地域の整備法案が通過いたしましたので、そのそれぞれの農業振興すべき地域の整備計画をつくるにあたって、先生おっしゃるように、それぞれの地域における特産、特にたばこの畑作については、たばこが適地と考えられるところについて、私どもも今年度から実施いたします第二次の構造改善事業あるいは地域特産農業の推進事業等の立案にあたりまして、それを十分考慮に入れた上で、大蔵省、専売公社にいろいろと申し上げたい、強く申し入れをいたしたい、かように考えております。
  57. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先生の御指摘のありましたように、たばこ耕作はやや独立な動きをいままで示しておったということを反省しておる次第でございます。  たばこの品質の改善等は、私どもが売ります商品の問題でございますから、これは私どもとしてやらざるを得ない問題として遂行をいたしておる次第でございますが、たばこ作につきましても転換というものが問題になるようなこういう時期になりますと、総体としての農林省がおやりになります仕事のうちで、われわれのたばこ耕作もまた考慮していただかなければ、問題の解決が非常にむずかしいという事態になりつつありますことを反省いたしまして、農林省に御連絡をし、御協力をお願いするようなことに進めておる次第でございます。  なお、はなはだ恐縮でございますが、先ほど輸入八億本を目標にしておりますと申し上げました数字は、半期八億本で、年間十六億本になりますので、訂正させていただきます。
  58. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 きょうは別にお役所の皆さんに御迷惑をかけるつもりで言っておるのではないのですけれども、どうも私の経験では、最初に申し上げましたように、政治を受ける国民の側から見ますると、日本の役所はどういうふうに考えてやっているのかなという一つの疑問と申しますか、理解しがたい点があると思うのです。しかも繰り返して申し上げて恐縮ですが、いまは特に産業の発展と農業との関係で、農政の内部においていろいろ再開発をしなければならない、こういう時期ですから、たばこも農業の一つでありますれば——だからそれを最初確かめたのですが、農業の一つでありますれば、どうかそういうものも含めて今後の近代農業の、しかもさっき政務次官がお話しになりましたように、農業地域を特に指定して、そしてそれを整備していこうというのですから、そういうものをよくかみ合わせてやっていただきたいということをお願いしておきます。  それから、これは具体的な問題でまことに恐縮ですが、専売公社ではいまたばこの——まあ世の中が変化し科学技術が進んできますから、それに対応して専売公社関係のたばこ工場と申しますか、たばこの再乾工場の整理統合をお考えなさっておると承っております。具体的にどうのこうのとここで聞こうとは思いません。思いませんが、それも国民の受ける率直な印象からいいますと、特にまた私もそうですが、ものごとを総合的に考えなければならない、また考える段階になっておるのにかかわらず、どうもそういうのとは無関係に、専売公社は専売公社の御都合でおやりになっておるのではないかという気がしてならないものですからきょうお尋ねしておきますが、たとえば、たばこ耕作以外にはできない、しかも農業地帯であって、しかも希望があってそういう集約的にたばこを耕作している地帯にある工場を廃止して、そしてそれをどこかに統合しようというような御計画もあるやに伺っております。  そこで私は、いま第二次といいますか、新総合開発計画もせっかく政府で経済企画庁が中心になって練っておられますが、それを読みますと、各地に生産の集中化と流通機構の整備をして、合理的な国全体の産業経済を運営しなければならぬということを各所にうたっておられます。当然なことであります。農政についても、いままでのようなばらばらしたようなことではだめだということを、この委員会でもしばしば議論をされておりますが、どうもそういう議論を一方ではしながら、一方ではそういうのは馬耳東風といいますか、そういうことはつまらぬ議論のような行政が次々に行なわれておる。そこで私は、さっき隅田川政治ということに考えを及ぼす、これは国家のリーダーが考えを及ぼすべきものであると申し上げたが、失礼でありますけれども、閣僚の皆さんはゴルフには熱中し、料亭には通われるけれども、実際そういう国民の側にわれわれが行なう行政が、そういうふうに源流の清い水のように末端にまで行き渡っておるかどうかということに注意される閣僚は何人おられるでしょうか。きょうは来ておりませんけれども、それできょうは総理に来てもらいたいと言ったのですが、どうもこれは得てして法律をつくり国会議論をしましたあとは、もちろん各行政庁の皆さんにお願いをしなければならないのだが、それが末端に行きますと、それはすべてごみが入ったり、濁流が入ったりして、その清い水といいますか、その政策、政治方針というものが、国民が期待しておるにかかわらず、末端に行くとだいぶ姿が違っておる。むしろ変わったものが及ぼされておる。  一々申し上げませんけれども農政には特にそれが多うございます。だから農政については、全国の農村が非常に信頼感を失って不満をかもしておる。これはこの委員会でもしばしば皆さんから言われておりますが、そういうところを、非常にむずかしいことはわかりますが、一度でも日本政治を担当される閣僚の皆さんが、水戸黄門式に、実際その政治がそういうふうに行なわれておるか、悪代官がおって違ったことになっておりはせぬか、ほおかむりをして見て歩いた人というのはあまり聞かない。私はそうまでしなさいと言うのじゃない、いまの時代は違いますから、あまりうろうろすると自動車にひかれて死んでしまいますから。そういうことじゃなくて、そういう心がけが必要ではないか。いまは非常に大事な時期であります。それを痛感したから言うのです。  これは一例でありますけれども、いまの佐々木副総裁何とお答えなさるか知りませんが、たばこの生産の中心地のほとんどに再乾工場がある。それを整理統合してほかへ持っていこうということがあれば、それは政府のおやりなさることでありますからけっこうでありますけれども、国土総合開発計画を立てたり、総合農政をしたり、それから合理化をはかったり、そしてコストダウンをしようとかいう議論が横行している中に、そういうことでよろしいのかということです。生産者がまた別なところにそれを運ばなければならない。百姓は非常に単純ですから、ああわれわれの工場があるからということで一生懸命やるが、工場がなくなったらたばこはもう軽視されたのだ、端的にそう思うでありましょう。そうして、いま過疎地帯とか過密地帯とかいわれておりますが、農村地帯には、どんな小さな働き場所でも一カ所でも多く必要なんです。それに数十人の人が働いておる。それもできなくなる。いま、過密、過疎の問題を取り上げて、そして今度の総合開発計画なんかを練り直しておるわけですが、それとはうらはらなことが各省の権限によって無関係に行なわれていくということでありますと、それは国民政治に信頼を置かない。何と政府や政党がりっぱなことを並べても、それはもううわのそらで国民は聞いておるというのがいまは大半であります。そういうことを改める時期である。私から言うと、おかしな行ないをなされておる。そういうことでいいのか、どうか。具体的な問題は申し上げませんが、専売公社に御意見がありましたら承っておきたい。
  59. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 御指摘のありました原料工場につきましては、全国二十三ぐらいあります工場のうち、八工場を整理しなければならぬと考えておるものでございます。  原料工場の整理が必要になってまいりましたのは、たばこのつくり方が変わってくるという問題に関係するわけでございますが、最近のたばこの製造方法のうちには、葉たばこのうちの葉脈と葉肉を分離して処理するという形式がとられるように進んでまいりました。その結果、従来の束のまま原料工場において再乾燥を行なうということは必要でなくなってきたわけでございます。そのために、そのような束乾燥を行なっておりました工場につきましては、これを整理せざるを得ない状況になった次第でございます。  原料工場の立地問題自体といたしましては、それはたばこの主産地を離れることのできないものであろうと考えておる次第でございますが、そのウエートの濃淡もありますし、現実の現在の工場の配置が、濃いところよりもやや淡いところにあるというような場合もあることは御指摘のとおりでございますけれども、私ども、たばこの製造方法の変化に伴ってやらざるを得ない合理化でございますので、その点はひとつ御了解をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  原料工場そのものといたしましては、輸入するものの処理は別といたしまして、たばこの主産地を離れて立地をきめるわけにはいかぬものと考えておりますので、御趣旨のところとあまり違うような配置ということには、今後ともならないように考えていくべきだと思う次第でございます。
  60. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 日進月歩の時代ですから、私は機械のことは何も知りませんけれども、こういうように、相当科学技術の進歩に応じた体制をとる、これも当然なことであります。しかし、合理化をしてコストを安くするということは、能率をあげるということは、だれしも異存がありません。  ただ、私が問題にしておるのは、ひいきの引き倒しをしているのじゃないので、どうおやりなさるかこれはわかりませんが、おやりになったことが、国民にもなるほどと思われればそれはけっこうなんです。しかし、政治の全体からいいますと、南九州は今度の総合開発でもそうでありますけれども農業基地あるいは食糧基地です。しかも畑作地帯ですから、農林省は数年前から、特に農林省の畑作研究部を置いて、相当なスタッフを置いてその畑作の振興改善のためにいろいろ国がやっておる。そして、最近はその地帯を農業経済圏としておる。そして、いろいろ国費を投じて農業経済圏の振興をやる。今度の国土総合開発計画では、この地帯は日本の有数の農業基地、食糧基地とするという想定で計画をやっておられます。しかも、畑作地帯で広大な畑作がありますから、今年度から政府、といっても農林省が所管ですけれども、あの地帯を、広大な地域を、農業基地の基本調査をいたしまして、特に畑作を中心とする水利等の研究をして、ここに近代的なそういう農業基地をつくるということで国営でやろうということですが、調査は数年かかるでしょう。ことしから予算もつけておる。  そういうところにある、しかも過疎地帯で農業を中心にしてやらなければならぬところにある、しかも農業関連のそういう仕事場を、現在あるのを——合理化するのは当然であります。合理化するのは当然でありますが、それをそういうほかの施策が総合的に行なわれているときに——たばこも農業ですかと聞いたのは、そういうためなんです。農業の一環のそういうものが、ことにこれは専売公社の専管であるということで移されるということになりますと、一体政府というのは統一された政治をしておるのかどうか、そういうことに国民は疑問を持つだろうと思うのです。私の考えが間違っておると思われたら、間違っておるところを明確にひとつ御答弁願って、私はこれで終わりたいと思います。
  61. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 やはり政治なり行政末端の住民の実感と、あるいははだで感ずるものと違う方向に行ってはいかぬということは、これはもう私ども十分考えなければいけないことだと思います。  まことに遺憾でございますが、いまの専売公社の一つの生産技術面からくる生産工場の整理統合案につきまして、私ども畑作を振興する立場のもの、あるいは農村のそれぞれの生活の向上を目ざさなければならない農林省として、従来あまり強い発言権がなかったわけでございまして、これらの点も十分反省をいたしまして、今後農民並びに農業振興の立場から、所管はそれぞれ違いましても、十分ひとつ関心を持って、今後とも実態に遊離しないように、しかも、合理的なそういうひとつの改革の方向と調和のとれるように努力をしていきたいと考えております。
  62. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 これで終わります。(拍手)
  63. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 樋上新一君。
  64. 樋上新一

    ○樋上委員 本日の新聞に報ぜられておりますが、「本土米の供与プラン足踏み 加州米輸入続けよ アメリカ要請に大弱り」というのが出ておるのですが、「本土産米を沖繩へ供与する日本政府の計画が、アメリカ側の強い抵抗で暗礁に乗り上げた。この計画は、ダブついた本土米を沖繩で安く売り、その代金を地元に保留して産業開発に当てるもので、復帰を前に本土政府が打ち出した一体化計画の大きな公約。地元も計画実現を強く望んでいるが、最近「本土米の代わりにアメリカ米を買うように」という要請が直接アメリカ本国から琉球政府へなされ、地元はびっくり。」しておるというような問題について、これは事実はどうなんですか。
  65. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 本日の新聞記事につきましては、私どもは関知いたしておりません。
  66. 樋上新一

    ○樋上委員 これは、いままでに自民党政府の現職大臣がした公約があるということなんですが、この問題については、いま初めて起こった問題でないと思うのです。報じられておりますのは、「沖繩の米食需要は、いま年間約九万トン。島内産米は、わずか一万トン。残りをアメリカとオーストラリアからの輸入米でまかなっている。昨秋の主席公選直前にやってきた西村前農相が、本土米の八万トンを供与する構想を初めて打ち出した。輸入米全部を本土米に肩代わりし、それで地元開発という一石二鳥の名案というふれ込みだった。当時、革新系の一部では「祖国復帰は、ダブつき古米からか」と黙殺されたが、屋良政権は、自民党の現職大臣がした公約を見のがさなかった。」こう伝えているのですが、これは事実でしょうか。
  67. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 琉球政府から、実は正式に私どものほうへ申し入れがありまして、年間八万トンの消費でございますけれども、四万トンずつ三カ年間ぜひひとつ内地米をもらいたい。ただし、これは当然住民に売ることになりますので、いろいろこの決済の方法等について、御承知の特連局という担当部局がございます。私ども農林省は差しつかえないわけでございますけれども、特連局でいま具体的な方法について、沖繩側の希望と、どういうふうに食管会計、財政法の調和をとっていくかということを御検討中でございまして、承りますと、琉球政府のほうでは、その販売代金を農業振興基金のような形で、沖繩の農業の今後の構造改善その他いろいろ地域農業振興のために使っていきたいのだというような希望のように承っておりますが、特連局のほうで、この前からいろいろ打ち合わせをいたしているようでございますが、その条件等については、私どもはいまのところ正確に決定をいたしておりませんで、今後の問題になろうかと思います。
  68. 樋上新一

    ○樋上委員 では、この問題はまだ検討中であるということですので、この辺にいたしておきます。こういう問題があるということについて、屋良さんは上京のたびに政府に陳情を続けておるということでございます。ところが、「ランバート高等弁務官、カーペンター民政官、国務省フィン日本部長らにもくどいほど頼んだが「外交上の問題だから」と即答を避けるばかり。」こういう状態です。これを留意しておいていただきたい。  そこで私はお伺いいたしたいのですが、農林省は総合農政を柱として、米の作付転換を今年度より推進しているが、このことについて二、三お伺いしたいのです。  農林省の五十二年までの構想として、四十万ヘクタールの作付面積を減らす予定のようですが、年次計画がどういうぐあいになっているのか、あるならばその計画をお伺いしたい。
  69. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答え申し上げます。  さしあたり二十万ヘクタールという全体計画がございますが、ことし、初年度の四十四年度から実施ということにいたしまして、年次別の計画はただいまのところ具体的には持ち合わせておりませんが、さしあたり四十四年度について一万ヘクタールを、ある意味では実験的な形で米作転換をやってみたいというととで、一万ヘクタールの予算を今回計上している次第でございます。
  70. 樋上新一

    ○樋上委員 現在一万ヘクタールを計画されておりますが、どの程度進行しているのか、またこれはどこに基準を置いて、どのような考えの中からこれを行なっておられるか。
  71. 荒勝巖

    荒勝説明員 一万ヘクタールの実施につきましては、予算成立早々、四月の、日付はちょっと忘れましたが、四月に地方農政局長を招集いたしまして、各ブロック別に各県の実施見通しといいますか、ことしの一万ヘクタールの消化についての実施状況を検討いたしました結果、四月の段階では、四千ヘクタール強というふうな数字が出てきた次第でございます。  これも、まだ当時は十分に末端まで浸透しておりませんでしたので、なおさらに推進を強く依頼しまして、四月はそれで終わりまして、最近の時点では、その後の転換の推進が多少進みまして、五千ヘクタール以上にはなるのではなかろうか、こういうふうに判断している次第でございます。
  72. 樋上新一

    ○樋上委員 地方農政局長会議において、稲作農家の転換希望状況が報告されているのだけれども、希望者があまりない、予定したより少ないのじゃないか。北海道、東北地方は全くといっていいほど希望農家がない、他の多くの地方も積極的でないというふうに聞いておるのです。作付転換も予定の半分以下ではないかといわれているのですが、この問題は食管赤字の解消を理由に作付転換を行なっているが、当初の計画に狂いが生じて、今年度の食管会計にひびが入るのではないか、こういうことを思うのですが、その点はどうですか。
  73. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、ことし一万ヘクタールということでさしあたりただいまの段階では進めておりますが、なお今後とも、いわゆる作付終了までの間われわれといたしましては大いに努力いたしたいと思います。  先ほど多少御指摘もございましたが、この作付転換を各ブロック別に割り振りましたが、割り振り方につきましても、強制的なものではなしに、ある程度地方農政局と話し合いできめたわけでございますが、おおむね北海道、東北あるいは北日本のほうでは、やはり転換すべき対象作物に乏しいということであまり希望がない。それに反しまして九州を中心とする西日本、九州あるいは中・四国の方面では、農林省が当初考えておりましたよりも転換の希望がわりあいに強いということで、われわれといたしましては、なおこの西南方面に対する今後の働きかけを強く期待している次第でございます。  それで、一万ヘクタールが完全に消化できますかどうかにつきましては、まだここの段階では十分御返事いたしかねるのでございますが、その分だけ転換がおくれますと、今後政府買い入れ対象も、あるいはふえてくることになるかとも思いますけれども、その点につきましては、今後の推移を見守って善処いたしたい、こういうように思っております。
  74. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 ちょっと誤解があると悪いので申し上げておきたいのでありますが、一万ヘクタールの転換を一応見込んだのでございますけれども、この転換を見込んだところで、食管会計の赤字をその分だけ実は減に計上したり、そういうようなことを考えておりません。食管会計の赤字が、これがたとえば一万ヘクタールが五千ヘクタールになったので、したがって赤字がそれだけふえるのだというような直接的なつながりを、私どもは全然考えておりませんので、この点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 その赤字のことは考えておらないとおっしゃいますけれども、当初の予定が大幅に下回っている。この作付転換の問題でも、いま望んでおらないところがあるのは、常に政府が適切な指導、徹底が末端までいっていないというきらいがあるのです。  もう一つ望んでいない理由に、米にかわる転換作物がないという声が多いのではないか。政府は何に転換させようとしているのか、具体的にそれを示していかなければならないと思うのです。総合農政という立場から、ブロック別に分けた場合、この地方は何に転換さすべきか、またこの地方はどうなるべきかというこまかい計画がない。これは、明らかに政府のいままでの農業政策のひずみが如実に証拠としてあらわれたのではないか、こういうぐあいに私は思うのです。  農家が米作以外をきらう最大の理由は、他の作物では生産価格が安定していないということにある。米以外の他作物に対する価格保証の点をもっともっと強力に打ち出して、農家が転換作物をつくって、もしそれが損をするようなこと、生産者価格を下回るようことがあったら、そこに政府価格保証をしていかなければならない、またするのだということが肝心ではないかと私は思いますし、また、転換の条件がきびしいという声を聞くのですが、この点はどうでしょうか。
  76. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘がありましたように、われわれ農林省といたしましては、米作から転換すべき対象といたしましては、さしあたり、昨年末に農林省で公表いたしました農産物の今後における長期需給見通しに基づきまして、今後さらに長期にわたって需要が期待される農産物に特に重点を置いて、米から他作物への転換を今回打ち出したような次第でございます。  それで農林省といたしまして、ただいま転換を期待しているというか、希望しております大きな作物といたしましては、さしあたりいわゆる牧野への転換で、これによりまして酪農あるいは肉牛の振興を大いにはかっていきたい。  それから第二点が果樹で、今後くだものに対する需要も、短期的には、この一、二年は多少だぶつきぎみというふうにもいわれておりますが、今後長期にわたっては、国民の消費水準の向上に伴いまして、少なくともヨーロッパ並みぐらいの消費水準には果樹が伸びるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  これとともに、さらに野菜等につきましても、最近の野菜に対する国民需要も非常に強いものですから、そういうふうに指導してまいりたい。そのほか、いわゆる養蚕等につきましても、多少価格のフラクチュエーションが最近あるようでありますが、やはり国民の生糸に対する需要がわりあいに強いものですから、養蚕の振興もはかってまいりたい。なおそのほか、いわゆる甘味資源特別措置法に基づきます、あるいは北海道におけるビート作物等につきましては、今後北海道の寒冷地農業の地域ローテーションの関係もからみまして、農林省といたしましては、今後やはり北海道ではビート生産を大いに強化してまいりたい。そのほか、いわゆる山林等につきましても米作から転換してまいったらいかがか、こういうふうに考えておる次第であります。  以上のように、非常に需要が強い作物を中心に置きまして今後奨励してまいりますが、それぞれのいま申し上げました作物あるいは畜産物等につきましても、現在農林省におきましては、何らかの形で価格安定政策はそれぞれとっておりますが、従来ともすれば、この作物別に、価格政策のあり方が多少それぞれ単独にきめられまして、総合的に検討される余地が少なかった。それが今日のような、ある作物は非常に伸びて、過剰在庫をもたらすようなかっこうになるかと思いますと、非常に逼迫してなかなか国民需要にも追いつけないようなかっこうにもなっておりますので、この価格政策につきましては、農林省といたしまして今後反省をしてみたいということになっておりまして、今回開かれました農政審議会のほうにもお願いいたしまして、価格政策の再検討ということについては、農林省といたしましても今後十分反省を加えて、いわゆる安定的な供給ができるような方途を総合的に再検討いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 いまおっしゃいましたように、政府の施策を見ると机上の論理のみになって、農業者の心をつかんでおらないというところに、農家では、もうけようと思えば政府の奨励と反対のことをやればもうかるんだ、こういうぐあいにいわれておる。そこで、農林省が農民の心をつかんでおらない机上の空論をやっておったのでは、いつまでたっても農民そのものはその指導どおり、あなた方のおっしゃるとおり安心してやっていけるかということをなかなかつかめない。ですから、いま大いにここは反省してもらって、今後の農政あり方というものはこうやるんだ、だから地域ブロック別に分けたところなら安心してやっていってもらいたい、そこに価格保証をするから——まあ今後のあり方というものはコンピューターがあるのですから、どの辺でどれを何ぼやったらいいかというふうなことは、電子計算機で検討する時代に入ったんじゃないか。農家が安心して政府のいうとおりに、これはどれだけやったらいいのか、これではでき過ぎて、それをもうほうってしまうということになるんじゃなかろうか、というような心配がないようにやっていただきたい、こういうぐあいに私は思うのです。  次に、これに関連いたしまして、このたび国土総合開発審議会より新全国総合開発計画の答申が行なわれました。この中に農林関係のことも述べていますので、農林省の考えを伺いたいと思うのですが、この計画はいままでの考え方を脱皮した斬新的なものを感じさせるのですが、実現性という点においては疑いを持つのです。この計画と農林省の進めている総合農政との関係はどうなっているのか、お伺いしたい。
  78. 荒勝巖

    荒勝説明員 経済企画庁のほうでお立てになりましたこの新全国総合開発計画は、一応目安が二十年後のいわゆる日本の国土の全国的な計画でありまして、私たち政府の間でも、一応のこれは目安といいますかビジョンとして、どういう方向に今後日本経済、特に農林省といたしましては日本農業を持っていくかというビジョンとして受け取っている次第でございます。  それに対しまして農林省が、いわゆる総合農政として昨年来打ち立てて、今後さらに農政審議会の議を経まして新しく考えております農政のあるべき姿は、一応十年くらいを目安といたしまして、二十年のうちの中間的な十年を目安に置きまして、十年くらいならばある程度具体的な施策が伴うのではなかろうかということで、十年計画を立てている次第でございます。  それで、大体現在の時点で求められまするいろいろな基礎的な、過去十年あるいは五年来の伸び率とか、国民所得とか、あるいは輸出等とか、こういったいろいろな共通の基礎データを使っておりますので、経済企画庁と農林省の間に矛盾というものはありませんが、ただし、直に結びつくものではないということは御理解願いたい、こう思います。
  79. 樋上新一

    ○樋上委員 それを見ますと、いまおっしゃったように、六十年の就業者一人当たりの所得水準を二百万円としている。稲作の場合は労働力一・五人の世帯で、九ヘクタールが必要と企画庁は試算しておる。これについては二百万ヘクタールを重点的に整備していこうとしている。一世帯当たり九ヘクタールといえば、現在の耕地面積から見るとほど遠い面積である。こうした企画庁の考えに対して、これは一つのビジョンのみで、それは企画庁の新全国総合開発のほうでやっておるので、農林省のものとはほど遠いものであるというならば、私はこれも問題があると思うのです。同じ佐藤内閣のもとで、これほど違うのはどういうわけか。打ち合わせが全然できていないのか。農家をいたずらに不安におとしいれるだけではないか。この点農林省の確信ある答弁と、そしてまたその総合開発計画との打ち合わせを緊密にしていかなければ、一つのビジョンだけに終わってしまって、農林省は関知したものでないというようなことであるならば、またこれも農民を迷わすことであり、どちらを信用していいかわからないし、そういうことがはたしてできるかできないか、ここに問題があるのではないか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  80. 荒勝巖

    荒勝説明員 経済企画庁のほうでは、確かに経営規模の拡大を前提にいたしまして、非常に大きなスケールを立てておられるようであります。農林省といたしましても、今後の日本農業が、国際的にもまた国内的にも体質を改善して、なお合理化された日本農業が今後展開していくためには、農地の流動化によります経営規模の拡大はある程度必要ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。  ただし、それが急激にあるいは摩擦的に行なわれると、いろいろ社会的にも大きな問題を起こしますので、さしあたり農林省といたしましても、具体的にどう進めるかということにつきまして、今後この一年あるいは二年かかりまして、農政審議会等各方面とも十分に御相談申し上げまして、この日本農業のあるべき姿を十分に検討していきたい。経済企画庁のほうは、なるほど直ちにああいう形で数字を示されましたが、農林省といたしまして直ちにあれに類するような数字は、現在のところまだ何も出しておりませんで、今後の検討課題として進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  81. 樋上新一

    ○樋上委員 その中で一つだけ伺います。向こうがそういう計画をしておるのですが、あなた先ほど乳用牛のことをおっしゃいましたのですけれども、ここにこういうことをいっておるのです。新全国総合開発計画においては、昭和六十年に乳用牛と肉牛を合わせて一千万頭飼育することを目途として、百四十万ヘクタールの草地を開発するとうたっています。この一千万頭飼育に対してどう考えられますか。この算出は需要面から逆算したように思うのですが、農林省で発表した生産の長期見通し、また現在の草地面積二十万程度を十五年足らずに百四十万ヘクタールにふやす計画をしているのですが、農林省はこの点についてはどうお考えになっておるか。
  82. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま先生御指摘のように、新全国総合開発計画の中では草地面積百四十万ヘクタール、牛一千万頭の飼育ということが出されておるわけでございますが、これは今後におきますところの牛乳なり牛肉なりの需要増大との対応におきまして、家畜の飼養なりあるいは草地開発の必要量を示したものと私どもは理解しておるわけでございます。  これを達成するにつきましては、国際経済の動向も見きわめながら、従来の家畜導入なりあるいは草地開発なりという政策を進めてまいらなければならないと思いますけれども、何ぶん相当大きな量でございますので、従来どおりの施策ではなかなかできがたいという面もあろうかと思いますので、家畜飼養の形式といたしましては多頭飼育というようなことも考えておりまして、そういう面における技術の開発でございますとか、あるいは土地改良長期計画の改定を目途いたしまして、計画改定のための総合調査を実施する予定にいたしておりますので、その調査におきまして、どういうことを開発地域において要求しておるかということがわかると思いますから、そういう要求に対応しながら新しい開発形式なり、あるいは育成牧場の創設、運営のしかたなり、あるいは集落経営のあり方なりというものについて検討した上で、需要の動向に対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  84. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 石田宥全君。
  85. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農政局長にまずお尋ねいたしたいと思うのであります。  先般の本委員会におきまして、吉田農協が、組合員の中で、米の予約をほかの業者に取りつけをした組合員に対して、施設の使用禁止、金融の禁止など除名に値するような措置をとったことに対してお伺いをしたのでありますが、当日局長答弁では、私どもの考える筋と同じように、そういう取り扱いは不当であるという趣旨答弁があったわけでございますが、その後いかようにお取り扱いになったかということを伺いたい。  さらに、引き続いて北蒲原郡の豊浦農協で、同じように予約業者に取りつけをした数名の組合員を除名処分にいたしておるのであります。しかも、これは理事会の決定に基づく除名ということになりますと、農協法並びに農協の定款にも反するのではないかということで、社会問題になっておるようであります。県ではさっそく係官を派遣しておるようでありますが、聞くところによると、山形県や青森県などにもこれに類する行為があったようであります。  そこで私は、こんな問題を委員会でわざわざ取り上げるのはどうかと考えるのでありますけれども、農協法審議の際に、最近農協というものはマンモス化して経営第一主義になって、大きくなればなるほど官僚化して、いろいろの弊害が出ておるのではないかということを特に指摘をしたわけであります。局長は私どもが考えておるよりはさらに大型化することをお考えのようでありますが、いま問題になっておる二つの農協とも、合併をした大型な農協であります。どうも大型化してマンモス化したところに、当然起こるべくして起こった事件のように思われるのでありますが、先般お伺いした吉田農協に対してはどういう措置をなさったか。また、今度の新しく起こった除名処分というようなものに対しては、どういう対策をお考えになっておるか伺いたいと思います。
  86. 池田俊也

    ○池田政府委員 先般御質問のありました吉田農協の事件につきます基本的な考え方は、この前お答え申し上げたとおりでございまして、私どもは、さらにその後県庁にその趣旨を徹底いたしまして勧告状を出したわけでございますが、勧告状にありますようなことはこれは実施すべきでない、こういう指導をいたしたわけでございます。  その後の状況を確かめたわけでございますが、県といたしても全く同じ方針で従来とも指導いたしておるわけでございます。その後の状況につきましては、本日承知をいたしておりますところでは、明日さらに現地に行きまして、その実行の状態を確認したい。県が指導しておりますとおりに実行されてておるということを期待しておるわけでございますけれども、そのとおりになっておるかどうか確認をする、こういうことでございます。  それから次に、豊浦農協の件につきまして、そういうことがあるということを私ども承知をいたしまして、これは電話で実は内容を聴取したのでございますが、今回の登録がえに際しまして六十六人ほどが商人系に移った。その中で、七人ほどの者に対しまして組合のほうから文書を発送いたしまして、従来貸し付けをしております貸し付け金については返済をしてほしい、こういう連絡をしたようでございます。先生のいまのお話で、除名をしたというようなお話でございましたが、そこのところは、除名をいたす以上は総会でやる必要がございますし、これは総会で議決されたことでありませんから、除名ではないわけでございます。理事会で除名をするなんということは、農協法のたてまえからできないわけでございますので、当然除名ではございませんが、そういうようなことをやったようでございます。  県当局のこれに対する態度でございますが、近代化資金等につきましてそういうようなことをするのは、制度資金の趣旨からいいましても非常に適切でない、行き過ぎであるということで、そういうような返済をせよということは取りやめにするようにという指導をいたしているように承知をいたしております。この実態につきまして、私どもまだその程度の連絡でございますので、さらに県当局から報告をとりまして、具体的にどういうような理由でどういうような状況になっているかということを、さらに確かめたいと思っているわけでございます。  それから、新潟県で二件ほどそういうお話があったわけでございますが、さらに秋田県等におきましても、やり方はいろいろ若干ずつ違っておりますが、実は同じようなケースがございまして、私ども、従来農協事業の本来のあり方というのは、当然徹底しているはずであると思っていたのでございますが、どうもこういうようなことがあるということになりますと、これはやはりこの際十分農協事業の本来のあり方を、さらにあらためて徹底させる必要があるということを痛感している次第でございます。特に食糧の集荷につきましては、従来から農協系と商人との間で、事業の分野の問題でいろいろ摩擦があるわけでございますので、本来の農協のあるべき姿については、あらためてさらに徹底した指導をいたしたいと考えておるわけでございます。
  87. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 具体的な問題が出たから、それに関連してなんですが、どうも農林省の中央会、いわゆる全中に対する指導、監査あるいは県中等に対する指導、監査というものは、ほとんど有名無実に近いのではないか。農協法審議のときにも私はこれを指摘しておったのでありますが、実は全く農林省は実態を把握していないのじゃないかという気がするのです。そういう点で、たまたま登録がえという関係で表面化して、方々に起こっているわけでありますけれども、その点について一体積極的に今後も監査や指導がやれる自信があるのであろうかどうであろうか、はなはだ疑わしいので、ここらあたりでちょっと姿勢を改めてもらわなければ困ると思うのです。  なお、この点については食糧庁も、登録がえについては特に農協などに圧力をかけたというか、あるいは要請をしたというか、何かあったのじゃないかというふうにも思われるのですが、その点はひとつ食糧庁のほうから伺いたいと思うのであります。これはたまたま具体的な事例が出たからお伺いをするのですが、いままで全くルーズであって、法律がありながら無視されておる。検査も手が届いておらない。指導もほとんど行なわれておらない。こういうことでは困るのじゃないか。  ことに近代化資金については、これはどういう場合に一時償還をしなければならないかということは、制度金融でありまして業務方法書に明示されてあるわけです。ところが、農協以外に登録をしたから近代化資金を一時償還すべしなどといえるものではないと思うのですが、一体どういう状況のときに一時償還を命ずることができることになっておるのですか、伺っておきたいと思うのです。
  88. 松元威雄

    松元説明員 前段の御質問でございますが、食糧庁が集荷登録に関連をいたしまして農協に圧力云々とかなんとか、ちょっと意味がわかりかねたわけでございますが、従来集荷登録に関しましての食糧庁の一貫した態度は、本来ならば登録変更は生産者自由意思でございます。それが基本でございまして、生産者自分意思でもってどちらかに登録変更をする、それが基本であるわけでございます。  ただその場合に、農協は農協、商人は商人、それぞれ指定集荷業者としての立場から少しでも登録を獲得しようというような、いわば登録合戦が事実上行なわれがちになったわけでございます。そこで、従前は毎年一ぺん登録変更をすることになっておったわけでございますが、その毎年一ぺんの登録変更におきましてもいろいろなトラブルがある。その場合それぞれの立場から、商人は商人らしいと申しましょうか、農協は農協らしいと申しましょうか、そういったいわば登録獲得の手段と申しますか、方法と申しますか、いろいろ態様があるわけでございます。  そこで私たちは、従来の指導態度といたしますと、毎年登録変更にあたりまして、公正な、いわばフェアプレーをすべきである、それぞれ商人と農協とは体質が違いますから、手段方法はございましょうけれども、フェアプレーでなければならない、いわばどろ仕合いのような事例がままあることでありますから、そういうことがあっては相ならぬぞと言って、常時両方の全国団体を通じまして指導をしてまいった次第でございます。  さらに、毎年一ぺんというのは、かえってお互いに紛争がひどくなっては相ならぬということで、両者の全国団体とも話をいたしまして、現在は三年に一ぺん登録変更をするということに改めたわけでございまして、本年はたまたま登録変更期に当たったわけでございます。  そこで、基本的にはそれぞれ生産者自由意思基本である。しかしながら、それぞれの集荷業者が、商人は商人らしく、農協は農協らしくということで、登録を獲得したいという意欲を持つということはあたりまえでございますが、それのやり方がフェアプレー、あるいはルールというものに違反してやっては相ならぬぞということを厳に注意いたしてやっておりまして、どちらかに片寄ってどうこうということは毫もありません。
  89. 池田俊也

    ○池田政府委員 近代化資金の場合、どういう場合に一時償還をさせるかというようなことでございますが、私どもの理解では、これは目的外の使用をしたというような場合には、当然利子補給の対象からはずされるということがあるわけでございます。そうなりました場合に、資金は組合の資金でございますが、返済をさせるということがあり得るわけでございます。  今回の場合は、おそらくそういうようなケースではございませんので、さっき申し上げましたように、近代化資金の融資を受けている者に償還をさせるということは、適切でないというふうに考えておるわけでございます。
  90. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう一つの監査、指導について、自信があるのかないのか、どうですか。
  91. 池田俊也

    ○池田政府委員 これは、先般の農協法の審議の際にも、いろいろその点についての御指摘があったわけでございますが、率直なところを申し上げまして、従来の結果を振り返ってみますと、やはり検査人員の問題、あるいは検査経費の問題等がございまして、行政庁によります検査と、農協の中央会によります監査合わせましても、一年に一回というところまでいってない現状でございます。両方合わせましてたしか六十数%だったと思いますが、それまでいってないわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、さらにこれはそういう予算面の充実をはかりまして、少なくとも現状では非常に不十分でございますので、さらにもう少し検査の回数をふやすという必要があるということで、本年度、四十四年度におきましては、かなり率といたしましては経費の増額を行なったわけでございます。そういうことでございますので、従来より充実した検査をやり得るというふうに思っておるわけでございます。  これは検査の面と同時に、やはり一般の組合の業務の指導の面で、従来かなり農協の歴史も古いわけでございますので、徹底しておるように私どもは思っているのでございますけれども、やはり一部こういうような事例が出てくるということでございますので、これは組合の本来のあり方がわかっておれば、そういうのは当然出てこないはずでございますので、さらにそういう点で、検査と合わせまして業務指導の面でも、もう一段あらためてひとつ徹底を期したいと考えておるわけでございます。
  92. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 御承知のように、農協の監査、指導は、行政面と全中による自主監査、指導と両建てになっているわけですね。両建てになっているだけに、お互いに責任のがれをするような傾向がないわけではないのです。ことに自主監査は、中央会が各連合会から金をもらって成り立っておる。中央会だから負担金をもらっておる。その中央会が監査をするのだから、非常に弱いわけですね。だから、独自の財源によって独自の監査や指導をやるならば、これはかなりすっきりしたものが出せると思うのです。ところが、各連合会の負担金によって維持されておる中央会なるがゆえに、各連に対しても、あるいは単位組織に対しても、十分な監査、指導が行なわれないといううらみがあると思うのです。  これらの点について、私はそう機械的にものを考えているわけではありませんけれども、農林省と中央会の間で話し合われて、実際上あまり遠慮しなくても全中なり地方の中央会なりがやれる、あるいはまた農林省が思い切ってやれる、むしろそこらの関係を、どっちか一本にしぼれというわけではないけれども、その間それぞれかってにてんでんばらばらにやっておるのが、いまでは災いをなしておるようにも思えるのですが、それらについて、農協法改正が行なわれた際に、全中との間でもっと緊密に連絡をとって、新たな監査や指導について検討をされるべきであったろうと思うのでありますが、どうですか。
  93. 池田俊也

    ○池田政府委員 私どもが直接担当しております県の連合会、あるいは県が検査を担当しております単協等の検査をいたします場合に、中央会の監査に遠慮をしているということはございません。これはおのずからそれぞれの性格が違う点もございますし、私どもは、最重点としてやはりこういうものをやる必要があるということをまずきめまして、そうしてそれに基づいてやっておるわけでございましてそういう遠慮はしておらないわけでございます。  中央会が実際に監査計画を立てましてやる場合には、当然これは私どもなりあるいは県の当局とも十分連絡をいたしまして、不必要にダブッたりというようなことはないように、いろいろ調整はいたしておるわけでございます。やはりいまいろいろ御指摘がありましたような事件でございますと、これは中央会としてもそういうことについては、当然監査をいたしました場合に是正をさせるべきことでございますけれども、私どもなりあるいは県当局の行政庁がやる検査がやはり中心にならなければ、そういう点でどうしても徹底を期することができませんので、私どもは、もちろん中央会とも十分連絡はいたしますが、私どもなり県当局がやはり中心になって検査の計画は進めていきたい。中央会が幾ぶんやるからわれわれは全部やらなくてもいいのだというような、そういうような気持ちは毛頭ないわけでございます。
  94. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 食糧庁の総務部長にちょっとお尋ねしますが、先ほど瀬戸山委員の質問に対して、検査手数料の問題でお答えになりまして、一たん検査をして収納するが、その米が自主流通に回った際には、検査手数料食糧庁のほうで徴収するのだ、こういうお答えがあったようですが、これはそれで明らかですからよろしいです。  それで伺いたいのは、昨年は等外の上米が米として扱われなかったわけですね。先般、私あるところに行きましたら、農協の倉庫で日通のトラックと民間のトラックが並んで、同じ倉庫から米を積み出しておるという話を聞いたので、いろいろ調べてみたところが、その民間のトラックで積み出したのは、いわゆる米でないところの等外の上米であったようです。そこで伺いたいのでありますが、倉庫は農協の倉庫でありますけれども食糧庁がこれを借り上げておるわけです。今後、自主流通米に回る倉庫料はどういうお取り扱いになりますか。
  95. 松元威雄

    松元説明員 まず、前段の検査手数料でございますが、先ほどの私の説明は若干不十分だったか存じませんが、検査手数料は、検査請求の際に証書を張って納付するわけであります。したがって検査される前に、その意味で証書を張るわけでございまして、私が申し上げましたのは、そうやって検査を受けまして、しかる後に、政府買い入れなるものは、直ちに政府が支払い票を切って政府買い入れを行ない、自主流通に回すものはそのまま農協が保管をする、そして現実に卸と契約ができたときに現物を運び出すということが、申し上げた趣旨であったわけでございます。  第二段の保管の問題でございますが、したがいまして、検査請求段階から両者は分かれるわけでございまして、そうして検査を受ける。そういたしますと、政府買い入れ米は所有権が直ちに政府に移りますから、当然政府保管料を支払うわけでございますが、自主流通米は農協が、いわば生産者のものをかりに保管するものでありますから、保管料の負担は農協の負担に相なるわけでございます。
  96. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 従来の倉庫の取り扱いは、食糧庁がこれを借り上げて、そして一定期間は基礎的な借り賃を出し、その後は流残留期間によって定まるわけですね。今度の自主通米の場合は、保管料は一体どう扱われるのか。それから等外の上米で、いわゆる米でないという取り扱いをされる米を、その倉庫に入れた場合の保管料をどう扱われるつもりか、これを伺っておるのです。
  97. 松元威雄

    松元説明員 保管料につきましては、一俵当たり幾らということで支払っているわけでございます。したがいまして、本来ならば同じ倉庫の中に両者があるということは、管理としては確かに望ましくないケースもあるわけでございます。したがいまして、倉庫に余裕がございますれば、先生御指摘のように、政府保管する政府指定倉庫にはまるまる政府のものを入れ、それから自主流通のものは、同じ農協倉庫であっても別立てにするのが望ましいわけでございますが、現在の倉庫の状況から、なかなかそういったゆとりがない。したがいまして、同一の倉庫の中に両者がいわば同居するという形態も起こってくるわけでございまして、その場合におきましても、保管料は一俵当たり幾らということで支払うわけでございますから、そういう意味の混同はないかと存じている次第でございます。
  98. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、自主流通米についての保管料は、だれが負担することになりますかということを聞いておるのです。
  99. 松元威雄

    松元説明員 したがいまして、自主流通米保管料は支払うわけではないわけでございます。ただ、農協がそれを保管しておりますからコストがかかる。その分をコストとして、売り渡し価格プラスをして売るということになるわけでございます。
  100. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 わかりました。  それから、くどいようでありますけれども、さっき私が説明を申し上げたように、同じ倉庫から、政府の米と政府の米でないものとをトラックを並べて積み出すというようなことがあったわけですが、等外の上米というものは米ではない、こういうふうに今後扱われることになると思うのですが、どうでしょう。
  101. 松元威雄

    松元説明員 御指摘のように、昨年からの取り扱いと同様の扱いをする考えでございます。
  102. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 わかりました。  そこで、もう一点だけ伺っておきますが、先ほど作付転換の問題で、農政会議を開いて検討されたという御答弁があったのでありますが、この自主流通米について一定数字が出ておるわけでありますから、これはやはり農政局なりあるいは県単位なり、末端では町村単位などで一応の目標をお示しになるお考えなのかどうか。これは酒米とモチ米は別としまして、その他の百万トンというものは、どういうふうに割り当ての目標なり基準なりをおきめになるのか、これを伺っておきたい。
  103. 松元威雄

    松元説明員 作付転換とからめての御質問がございましたが、作付転換とは趣旨が違いまして、あくまで自主流通生産者意思基本になるわけでございます。したがって、上からの割り当て云々ということは考えられないわけでございます。  ただ、私、先ほど申し上げましたのは、自主流通と申しましても、生産者が個別にばらばらで売るわけでありません。全体としての流通めどを立てる必要があるので、そういう意味生産者から指定業者あるいはその上部団体ルートを通ずるのだ、そういうようなことを申し上げたわけでございます。しかし、これは筋を正しくやるということでありまして、上からの、ノルマでございますとか、あるいは割り当てとかいう性質のものではないわけでございます。ただ、取引のめどを立てました場合に、下からいえば希望を聞いてみる。その場合に、生産者の希望としてあるいは政府に売るも自主流通に回すもおまかせしますという委託もあり得ると思います。いわゆる包括委託と申しますか、無条件委託と申しますかですね。そうしますれば、それを受けました集荷業者の団体なり需要者の要望を見まして、これならばこの程度売れるだろうというめどをつける、そうしてそのめどに基づきまして県別あるいは指定業者別にめどを示すということはあるわけでございますが、強制的な割り当てとかノルマという趣旨ではないわけでございます。いわば実行計画を合理的に達成するために、そういった流通めどを時々必要に応じて立てますという趣旨であるわけでございます。  なお、申し上げたいことは、百万トンと申しますことは、これは目下のめどでございまして、これをこえてはならぬということではもちろんないわけでございますし、それから、絶対に下回ってはならぬという性質のものでもないわけでございます。一応めどはその程度である、あとはいわば生産者の希望と需要あり方ということによりまして、全体の数字はきまってくる性質のものであるわけであります。
  104. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 全販と卸売り業者の間でいろいろ話し合いが行なわれてきめられるであろうと考えられるのですが、その際に、食糧庁で何らかの助言なり指導なりをおやりになるのかどうか。
  105. 松元威雄

    松元説明員 自主流通はあくまでも需要者側と生産者側の両者の合意のもとに成り立つものでございますから、原則的には、いわば生産者側の代表といたしまして全販連、あるいは一部全集連もあるわけでございます。それからまた需要者側の代表としては、卸売り販売業者がございまして、それ以外に実需者もございますが、そういうものを組織する全国的な団体もあるわけでございます。したがいまして、両者が話し合いしまして大筋のルート、取引の数量でございますとか、品質でございますとか、そういった流通めどを立てるわけでございます。  したがいまして、それが基本でございますから、食糧庁といたしましては取引そのものにタッチする考えはございませんが、先ほど私が申しましたとおり、一方政府は、大部分のものを買い入れてそれを配給いたすわけでございまして、それとの調整をとる必要があるわけでございます。端的に申しますと、自主流通数量が非常に膨大になると政府の配給が困るわけでございます。そういうことは全国ベースにも、県ベースにもあるわけでございます。そういう意味から、政府自主流通契約に対しまして認可を与える場合に調整をしなければならぬ。そうすると、契約ができましてから調整といってもおそうございますから、事前に両者が話し合いする、取引のめばを立てる場合に、政府が所要の調整をするということもあり得るわけでございます。
  106. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう一点だけ。等外の上米は、米でないという扱いを当局のほうがやっている。そこで、いわゆる無検査米ですね、どうも検査を受けに行けば等外の上米になりそうだということで検査しない、こういう米はどういうことになりますか。検査強制するという権限はあるのですか、ないのですか。
  107. 松元威雄

    松元説明員 米は農産物検査法によりまして、これは強制検査になっておるわけでございます。無検査がございますれば、いわばこれは農検法違反でございまして、その取引はやみ行為になるわけでございます。法律は、全部米は政府検査を受けなければならぬという規定になっておるわけでございます。
  108. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう一つ。一たん検査を受けた米が三等米か四等米であるというときに、検査の票箋を全部取っちゃえば、これはわからなくなりますね。そういう行為は処罰の対象になりますか。検査を受けないで売買するということは、これは処罰の対象になりますか、どうですか。
  109. 松元威雄

    松元説明員 検査を受けない売買は、法律上禁止されております。
  110. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 票箋を取った場合処罰しますか。
  111. 松元威雄

    松元説明員 同様に票箋に対して、いわば票箋の記載事項を変更するような行為をすることも禁止されております。
  112. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 終わります。
  113. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 小沢貞孝君。
  114. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、残存輸入制限の撤廃等の問題について、先般アメリカのスタンズ商務長官が来られて、農林大臣等と折衝が持たれたようでありますが、そのことについて若干お尋ねをしたいと思います。  総合農政等でこれから大いに転換をしていこうという場合、成長農作物、これは国際間においても、やはり自由化のあらしにいつもさらされているわけです。だから私は、自由化の方向というのは前向きの方向だと思うのですが、しかし、そこへ行く過程というものは、長い年月をかけて、しかも、節度がある過程でなければならない。国際競争に耐えるように生産性をあげて、それだけの政府で応援をして、そしてできるような状態になって、節度ある自由化をやっていかなければならない、こういうように基本的に考えるわけです。  農作物の中で、残存輸入制限で約八十品目ぐらいある、こういうように聞いておりますが、新聞の伝えるところによれば、去年の暮れにも一回交渉が持たれ、今度スタンズ商務長官が来られて、そのうち特に十品目等について強い要請があった、そういうように報道されているわけです。具体的にこの報道のとおりに、十品目について強い要請があったかどうか、そういうことを含めて、ひとつ経過をお聞きしたいと思うわけです。
  115. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、スタンズ商務長官は農林大臣と約一時間にわたって会談したわけでございます。その際、実は農林省といたしましては、この残存輸入制限の問題が大きな議題になるのではないかと思っていたわけでございますが、スタンズ長官は最後にこの問題にちょっと触れましたけれども、一般的に、たとえばアメリカの小麦とか、トウモロコシとか、牛肉とか、大麦を大いに買ってくれというような話が主となりまして、残存輸入制限の問題については、最後に、自由化というのは世界の大勢だから、日本も大いにやってほしいというようなことで、十品目について触れたというようなことは全然ございませんでした。
  116. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ある新聞によれば、グレープフルーツの自由化とか、あるいはブロイラー、豚牛などの食肉の輸入増大、大豆の輸入関税の撤廃、そういうぐあいに具体的に載っている新聞もあるわけです。そういう場合に、具体的に載っているのは全然話がなくて、いま答弁があったような抽象的なことだけですか。
  117. 内村良英

    ○内村説明員 ただいまのいろいろな品目は、たとえばということで出たわけでございます。たとえばグレープフルーツにつきましては、自由化は世界の大勢だから、日本の農林省も大いに努力してほしい、たとえばグレープフルーツなんかについては、アメリカ側も関心があるからお願いしたいというようなことで、グレープフルーツ等の自由化を非常に要請するということでなしに、たとえばというような形で出たわけでございます。大豆の関税についても、日本は大豆をたくさん買ってくれて非常にありがたく思っておる、しかし、ソ連のヒマワリに比べると関税上の不利益があるから、大豆の関税について考慮してくれないか、こういうことで、その主たる目的は、大豆をもっと買ってほしいという一例としてあげまして、大豆の関税を下げてくれというような形では要求があったわけではございません。
  118. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうするとそれと関連をして、昨年の暮れの二十七、八日ごろだったと思いますが、残存輸入制限を撤廃しろという交渉で、十分な満足を得ないでアメリカは帰っていった。将来これはまた交渉をするんだというので、日本の大使館等を窓口としてその後折衝をしておるかどうか知りませんが、そういうような経過をたどっているやに私の記憶には残っておるわけです。  ところが、政権がかわってここにあらためてスタンズ商務長官が来たけれども、いまの程度とするならば、去年の十二月の交渉はこれによって一応ピリオドが打たれた、当面そういうように理解してよろしゅうございますか。
  119. 内村良英

    ○内村説明員 昨年の交渉の際に、農産物につきましては、現在日本政府の中におきまして、いわゆる総合農政の展開ということで、農政自体を再検討する段階になっておる。そこで、この輸入制限の問題は、国内農政と緊密な関係があるので、そうした総合農政の展開を見きわめなければ、輸入制限の問題だけを取り出してやることはできないという態度をわれわれはとったわけであります。その結果、通産物資につきましてはかなりの解決と申しますか、合意に達した点もあるわけでございますが、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、農産物については、向こう側も日本事情はわかった、したがって、それでは機会をあらためてやろうじゃないかということになっております。その結果、いつやるかというようなことはまだきまっておりません。  したがいまして、昨年の暮れの交渉があれで終わったというわけではなしに、農産物についてはなお問題を残しておる。しかし、話し合いをいつやるかというような点については、まだ日どりその他全くきまっておりません。
  120. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大筋はわかりました。それであらためてやろうということで、まだ時期その他についてはきまっておらない。ただ、日本の大使館かあるいは向こうの大使館か知りませんが、窓口で折衝をして進んでおるということはないのですね。
  121. 内村良英

    ○内村説明員 先生も御承知のとおり、近く、いわゆる日米の経済閣僚のレベルの会議予定されておりますので、あるいはその席上で、いつごろやろうという話が出るかもしれませんが、まだそこまで具体的に話は詰まっておるわけではございません。
  122. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大体経過はわかりました。  そこで私、冒頭に申し上げたように、総合農政の展開で、これから成長作物というものは自由化のあらしの中にどうしてもさらされるわけです。どの品目も私はそうだと思います。そこで、先ほど私は農林省の基本方針というものをお聞きしたが、これは総合農政の見通しをつけて、私は常に申し上げておりますけれども、やはりステップ・バイ・ステップで国内の生産性を上げて、コストを下げて、そして国際競争に耐え得るようなぐあいにした後に、これらを一歩一歩自由化をしていく、こういう前向きの姿勢でなければならない、こういうように考えます。したがって、近い将来に行なわれる日米経済閣僚会議の席等においても強くその要請をしていただく、こういうことをきょうは要望をして、この問題は終わりたいと思います。  そこで次は、先ほど委員も若干質問があったわけですが、沖繩の援助に米を供与しよう、こういうことで前の西村大臣が現地へ行って、八万トンぐらいやろうじゃないか、こういう話から始まって、きょうの新聞によれば、アメリカ側の強い要請で不可能になりそうだ。これは、私は非常に重要な問題だと思いますので、この点をさらにお尋ねをしたいと思うわけです。  その前に、二月八日だと思いましたが、党代表の予算委員会の総括質問のときにも申し上げましたが、食管の根幹を維持しようという政府方針、それはしかし、国内に古米、古々米がもうだぶついちゃってどうしようもないような状態にしておきながら、なおかつ食管の根幹を維持しようということは、木に登って魚を求めるがごときもので、私は不可能だ、こう思います。したがって、食管の根幹を維持しようというからには、やはり需要と生産とがバランスのとれるような状態、そういう状態をつくり上げていかなければできようはずがない、こう思います。  したがって、その対策としては、昨今とられておるところの稲作転換、それもいいでしょう。開田の抑制、これもいいでしょう。米の消費拡大、そういうこともやらなければいけない。それからまた、私は米だって、将来生産性を上げれば輸出産業になると思いますが、そういうこともやらなければいけない。あるいはまた備蓄米もやらなければいけない、こう思いますが、とにかく、国外へこの余って困る米を何とかして出す方法、このことを真剣に取り上げなければいけない、こういうことから二つ、三つ申し上げたはずだと思います。  一つは、韓国とは三十三万三千トンの契約か何かできて、これは向こうへいったらたいへん品物が悪いといって文句が出たみたいな新聞記事を見ましたが、まあとにかく、韓国にもほしいというならば大いに出そう、それも一つだと思います。いま一つは、日本は沖繩に援助をしているのですから、その援助の一環として米を大いに使ってもらう、これも一つだと思います。もう一つは、これは私自身もびっくりしたんですが、国際穀物協定で、インドネシア等へ年千四百六十万ドル以上のグレーン粒を無償で援助をする、こうなっておるにもかかわらず、これを担当しておるのは外務省なんです。外務省は、タイへ行ってその米を買い付けてきてインドネシアへ援助をしていく、こういう予算のようであります。これは、量は別問題として、千四百六十万ドル以上というのですから、何万ドルやってもかまわないのだけれども、そういうことを外務省はやっておって、日本で米が余ってどうしようもないという事情を、まるで外務省はよその国のことみたいに知らないでおって、タイへ行って買い付けてきてインドネシアへ援助をしよう、こういうことをやらんとしておるようです。そういうことと関連して、予算委員会等では、その三つなど大いに外国へ米を持っていくということが、これは食管の根幹を維持する、こういう上から必要ではないかというように私は申し上げ、政府もそういう決意を表明されたわけなんです。  そこで、私は二つお尋ねをしたいことは、まず、手近な沖繩へ年間何百億という援助をしているにもかかわらず、現地へ昨年行ってみると、十万トンの消費のうち、九万トンは韓国から持ってきて日本の米を買わない、こういうばかなこと、われわれから考えればばかなことが行なわれているわけです。それで、西村前農林大臣は現地へ行って八万トンぐらい出しましょうということだったが、最近になったら四万トンずつ三年間出しましょう、こういうことなんです。それでも私の意見等も大いにいれていただいて、そういう運びになったことはたいへんいいことだ、こういうように考えておるわけなんです。しかるに、きょうの新聞によれば、加州米その他でアメリカ当局の圧力がかかってきて、それの実現が不可能になる、こういう事態になってきたわけです。  私は、これは食糧庁よく聞いておいていただきたいが、自主流通米もけっこうです。国内でどういう形で米が流通しようと、財政制度審議会では、もうこういうように米が余ってくるんだから、家畜のえさにするか、徳用米で払い下げるか、海外に持っていって半値以下で売りさばくとか、そういうことをすることが一番大切だという深刻な答申をしておる。その深刻な事態というものをもっと真剣に考えなければ、国内の中で、小さなワクの中でどうやって流通しようかということより以上に、外国へどんどん持っていってバランスのとれるような方向にしなければ、これは食管制度なんてとてもじゃないが維持できないと思うのです。私の計算によれば、来年三月三十一日の会計年度の変わるときに、四十二年、四十三年度並みの作柄であるならば、千二百五十万トンから千三百万トンも繰り越すというような事態になりそうで、これは一年間分のものなんです。だから、もっと外国に持っていくということを真剣に取り組まなければいけないじゃないか、こう思います。  まず、そういう前提に立って、この沖繩との四万トンのその交渉、それには食糧庁は事務的にどういう経過をたどってきたか、そのことをまずお尋ねしたいと思うのです。
  123. 松元威雄

    松元説明員 先生御指摘のように、いまの米の需給状況から考えれば、需要の拡大、その一環としまして海外への輸出問題を含めて、積極的施策を推進しなければならぬということは、まさにそのとおりと考えておるわけでございます。したがいまして、その線に沿いまして、韓国への米の貸し付けをはじめといたしまして、沖繩の問題も取り組んでいるわけでございます。  そこで、沖繩の問題につきましては、いわば食糧庁は米を供給する立場、目的は沖繩援助であるわけでございます。沖繩援助という目的のために、その手段として、通常なら金でございますが、せっかくある米でございますので、米を活用してほしいということで、そこで米の余剰米の活用ということと沖繩援助ということが、両者が目的が合致をいたしまして進めておるわけでございまして、大目的が沖繩援助でございますから、政府におきまして、目下総理府の特連局が中心になりまして、そのための所要の法案を準備している、そういう段階にございまして、食糧庁も早くそれがまとまるようにということでせっついているという段階にあるわけでございます。
  124. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの答弁の中で、私はひっかかるところがあるのです。これは援助だから、それは総理府だか外務省だかそっちのことで、私のほうが主管ではないみたいなように聞こえる答弁です。私は、この余った米を何とか処理しなければいけないというイニシアチブというか、発言というか、もっと積極性がまず食糧庁、農林省になければいけない、そう思います。ひとつそういうつもりになってやってもらわないと、なかなかこの問題は解決しない。援助が主体だからそれはどっかでやることだ、こういうことじゃ解決しないから、もっと積極的に取り組んでもらいたい、そう思います。  それから、いま法案の準備中だと聞きましたが、それはどういう法案になるのですか、これは財政法上の問題とかいろいろありますか、大綱だけでけっこうです。
  125. 松元威雄

    松元説明員 ただいま私、申し上げましたのは、沖繩援助のため米を使うことは、食糧庁としましては極力米を使ってほしいわけでありますが、その大目的は援助でありますから、法律体系はおのずからそうなるということで、総理府中心ということを申し上げたわけでございます。  したがいまして、米を援助に使いますためには、一つは、援助の目的に使うんだということ、第二には、食糧庁は米を提供いたしますが、これを沖繩、琉球政府として受け取った場合に、その対価をどのような支払い方法にするか、これは財政法上の特例になるわけです。目下は、無利子で長期の延納措置を講じたいというふうに考えているわけでありますが、これは財政法の特例をなすものでございますから、立法措置が要るわけでございます。
  126. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、政務次官に具体的にお尋ねしたいのですが、具体的に法案を準備してまで沖繩へ米を出そう、こういうところまで進んできているわけです。ところが、きょうの新聞によれば、それがまるで御破算になりかねまじき報道なのです。しかもその中を見ると、これはたしか加州米ですが、「もし来年度も六万トン買うなら、うち二万トンは十八年払いの供与借款してもよいというおみやげつき。」こういうようなことまで向こうはやってきているわけです。だから私は、国内において古米、古々米になっていけば、トン十三万何がしの米が、一年間二万円あるいは二万五千円の保管料がかかる。こういうことを考えれば、それだけの金を使わないで済むのだから、もっとどしどしいい条件で出してやる、こういうことを積極的に考えなければならないし、もう一つは、この問題は直ちに対処をしなければならない問題だ、こういうように考えるのですが、政務次官、どうでしょう。
  127. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 十分それらを頭に置いてうまく処理するつもりでございます。
  128. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、私はこういうように理解していいですか。この新聞の報道については、先ほど答弁では関知せずというような答弁があったようですから、まだこまかいことについてはわかっておらない、こういうことに私は理解をするわけなのですが、しかし、政府がもう法案まで用意をして出そうというやさきですから、所期の目的は必ず——これはどこに障害があるかわからぬが、琉球政府は要望を持っている、そういいうことになるとアメリカとの話し合い、こういうことになると思うが、この計画した四万トンずつ三年という伝えられることは、必ず所期の目的を達する、こういう強い決意で臨むのだ、こういうように理解してよろしいですか。
  129. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 よろしゅうございます。
  130. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 沖繩は、そのように強い決意でやっていただくということでけっこうだと思います。所期の目的を達するようにしていただきたいと思います。  いま一つ、国際穀物協定による後進国援助については、これは外務省がやっているから、食糧庁や農林省は知らぬというようにどうも聞こえてしようがない。日本政府は二つあるみたいでしようがない。米が余って深刻になっているときなんだから、ひとつどうやって後進国援助に——千四百六十万ドル以上なんだから、どれくらい持っていったって差しつかえない。味の問題とか、品質の問題とか、いろいろ障害はあるだろうけれども、それを克服する方法として具体的にどういうことをやっているか、それをまず伺いたい。事務当局からでけっこうです。
  131. 松元威雄

    松元説明員 先生御指摘のように、国際穀物協定によりまして援助をする。その場合に、米もその一部に使えるわけでございます。そこで、第一年度たる四十三年度でございますか、その実行につきましては、先ほど先生お話しのように、インドネシアに対してタイ米が充てられた事実があるわけでございます。これは援助でございますから、相手の要望もございますし、その場合、品質価格の問題があるわけでございます。  端的に申しまして、特に価格につきましては、現在の国際価格の水準と、わが内地米の価格水準とは非常な開きがあるわけでございます。したがいまして、こちらの国内の価格水準をもってしては、相手が受け入れないということは当然でございますから、国内米を充てます場合には、価格水準につきまして、国際価格並みということまで決意をしなければならぬわけでございます。  そこで、第一段階はそこまでまだ十分検討が済みませんものでございましたから、相手側の要望もございまして、品質の問題と価格問題とを考慮して、一部タイ米が充てられたわけでございますが、このような米の需給状態になってまいりますと、御指摘のように、極力わが国の米を活用しなければならぬという考えでございます。  そこで、次の年度につきましては、先般インドネシアに対しまして、援助の意図表明といたしまして、国内米をもって充てるという意図表明をいたしまして、その基本線に従いましてインドネシアと交渉するということは、同時にそのためには財政措置、立法措置が必要でございますから、それにつきましても検討を進めるという段階で、いま検討しておる過程でございます。
  132. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次の年度というのは、四十四年度ですか、五年度ですか。
  133. 松元威雄

    松元説明員 これは国内の会計年度と必ずしも合わないわけでございますが、実行上わが国の年度にいたしますと、四十五会計年度になるというふうに考えます。
  134. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 インドネシアにそういうような積極的な意図表明をして、そうしてこれは価格の問題その他がある。それから予算上の問題もあろうと思います、トン十六万のものを向こうへは七万か八万で持っていかなければならないから。この国際殻物協定によるものは、量は幾らやってもいいというように私はなっておると思うのです。その最低だけが条約上きめられておるだけですから、量は幾らやってもよろしい、こういうことになると思いますし、この出したものが使われる場合についても、日本の国益には必ずしも反しない、それに合致する、こういうように考えますので、いま事務当局が進めようとしておるこの方針を、もう少し政治的に大きく、農林大臣なり政務次官が現地へ出かけていってもっと量をふやし、向こうの受け入れ体制を整え、そして海外に大いに米を出してもらう、こういうようにひとつ農林政務次官から積極的な姿勢を御答弁をいただきたい、こう考えるわけです。
  135. 松元威雄

    松元説明員 その前に、先ほどの私の答弁に関連しまして、若干事務的でございますが、私、先ほど次年度と申しましたのは、援助の年度とわが国の国内年度にギャップがございまして、したがいまして、わが国の会計年度に当てはめますれば、ただいまの内地米をそれに充当すれば、四十五会計年度になるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、それについて財政措置、立法措置が必要でございますから、それに間に合うように今後検討するということでございます。  なお、その場合に、国際穀物協定では最低かも存じませんが、しかしながら、それはわが国の国の予算を伴うものでございます。国内的には無制限ということにはまいりかねるわけでございます。国際協定のミニマムということと、それをわが国の負担、支出をもって処する場合は、これはまた別個の問題がございます。
  136. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 政務次官の答弁の前にちょっと……。国内的には予算上の問題があると思います、トン十六万もしておるものを七万か八万ぐらいの価格にしてやるということですから。ただ、これは政務次官よく聞いておいてもらいたいのです。この事態が続いていけば、財政制度審議会がえさだとか徳用米として払い下げるとか、海外へ半値で持っていけという以外に、かつてブラジルでコーヒーを海の中へ捨てたように、保管費を払うくらいなら海の中へ持っていって捨てちゃったほうがいいぞ、こういう深刻な事態にもなりかねまいと私は考える。だから、早くこのことはやらなければいけない、こう考えるわけです。そういうことも考慮して、政務次官からひとつ積極的な御答弁をいただきたいと思うわけです。
  137. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 先生よりもっと心配をしておりますのがわれわれでございます。私どもは、政府として与党と十分いまその辺のところを積極的に打ち合わせ中でございますので、先生のおっしゃるような決意以上の決意でやりたいと考えておるわけでごいます。
  138. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう決意の表明がありましたので、私はこの問題はまた後日あれするとして、次に農政局長にお尋ねをしたいと思います。  これは農村にとってたいへん重要な、農林省でいえば農事放送、われわれのいう有線放送の問題についてお尋ねをしたいわけです。言わんとすることは、農林省はもっと積極的にならぬか、こういうことです。時間もありませんから、私は結論だけを先に言うと、この所管は郵政省なんです。この間有線放送の何とかいう法律の一部を改正するあれが出たわけですけれども、この所管は郵政省で、何とか有線放送というものをあまり伸ばしていかないように、いかないように、つまり規制をしようという意図が、これは郵政省の立場上通信を妨げないように、こういう意図からいろいろ規制をする立法が出ておるわけなんです。  そこへ持ってきて農村集団自動電話、いわゆる農集、こういうものが、たとえば過疎地帯のある村で一千戸なら一千戸有線をみんな引きました、農協で。ところが電電公社が、その中で一番市街地に近いようなところだけ虫が食ったように農集、農村集団自動電話を引くわけです。ところがその値段が、有線に挑戦するかのごとくきわめて安く引くわけです。電話を一本引くのに三十万くらいかかるのを、設備料たった一万円。一般の民間の人が電話を引くのは、単独電話で設備料一万円から三万円に上げたにもかかわらず、農村集団自動電話だけは設備料を、三十万かかるのですが、それを一万円でやる。そして、その上に持っていって放送設備までおつけいたします、こういうふれ込みでやっているわけです。  どうしてそれが問題になるかというと、農林省のほうが新農村、それから合併市町村か何かで援助したのは自治省、そういうことで、かつては過疎地帯の村にたいへん有線が普及した。これも十年たつと、いまは更新期にきておるわけです。その更新期へつけ込んでそういうことをやっておるわけです。だから、ひどいところになると、村の中で有線放送をつけたり、あんまりすすめられたので電電公社の農村集団自動電話をつけたり、両方つけている。これは二重投資みたいなことなんです。  そこで、いま問題になるのはどういうことかというと、五年、十年たって更新する時期に、低利の資金さえあれば、農協なりあるいは事業主体が町村である場合もあるわけですが、そういうところで更新できて——この有線放送というものは、村内の一体化や、災害救助や、営農振興のためにきわめて役立っているわけです。私、この間ある村へ行って村会議長さんの名刺を見たら、有線放送電話何本と村長さんの名刺にもあれば、食堂のこういうマッチにも有線放送とある。もはやこの村にとっては、特に過疎地帯の村にとっては、有線放送というのは生活あるいは産業政策上欠かせないものなんだ。ところが、その更新期に電電公社がなぐり込んできて、市街地に近いようないいところだけ、虫食ったように持っていってしまう。それは赤字を覚悟でやっているわけです。それで、全国の有線放送協会その他の団体は、何とかこの設備更新のときに、安い利子でもって設備が更新できるように、こういうことを非常に強く要望しているわけです。  そこで、事務当局にお尋ねしたいのは、いま資金は、公庫、近代化資金、あるいは自治省、あるいは山村振興と、これがまた各省にまたがっていることが有線放送事業の発展を妨げている理由だと思いますけれども、各省庁からどういうぐあいに予算が出て、金利は幾らか、まずそれを先にお尋ねをしたいと思います。時間がないから、ひとつはしょってけっこうです。
  139. 中澤三郎

    ○中澤説明員 端的にお答え申し上げます。  有線放送関係で、農林省関係の施策として行なわれますものといたしまして、農林漁業金融公庫資金がございますが、これは七分五厘の金利でございます。それから中金の自主的にやっております同種の資金につきまして七分五厘。それから農業近代化資金が七分でございまして、このほか山村振興の農林漁業特別開発といたしまして二分の一以内の補助をする、以上が農林省関係の施策でございます。  自治省関係等につきまして、これは私のほうで承知している範囲でお答え申し上げるわけでございますので、あるいは違っておりましたらあとで訂正することをお許しいただきたいのでございますが、市町村でございます場合の起債につきまして、政府資金が原資の場合には六分五厘だというふうに聞いておりまして、これが農業協同組合とかあるいは信用組合の縁故資金といいますか、縁故募集の場合には七分から七分五厘くらいまでの間の金利である、こういうふうに承知しておるわけでございます。
  140. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないから、二つの点だけ端的に要望しておきます。  一つは、この有線放送は一体所管はどこなのか。だれが推進をするのか。これはないわけなんです。市町村営の場合は、これは自治省だろうが、一億も更新にかかるときに、三百万か五百万の起債をやっておる。農林省のほうは公庫だ、近代化資金だ、あるいは山村振興だ、こういうことで、さらに経済企画庁もタッチするというぐあいで、要するにこれは主体がないのです。この有線放送は、特に最近やかましくいわれる過疎問題等の対策の上からもたいへん必要な問題だと思うが、主体がない。これは逓信委員会で郵政省に、ひとつ農林省や自治省とよく相談してやれ、有線放送というものをなくそうというような気持ちでもって推進をしておってはいかぬ、こう言うと、農林省や自治省と相談をして大いにやります、こういうように言っているのだけれども、農林省なら農林省がもう少し力を入れて、もっと積極的に連格をとって推進をする、そういうことをやっていただかなければならない。それが一点であります。  もう一点は、七分五厘や七分やそういう金利では、この山村における有線というものが、料金収入等でペイしていくのはなかなか困難ではなかろうか、こう思います。だから、更新期に虫が食ったように電電公社に一部をとられてしまって、あとは有線が成り立たぬ、こういうことが出てくるわけですから、この金利について何らかの積極的な方策をひとつ講じていただきたい。  この二つを要望しておきたいと思いますが、政務次官、どうです。
  141. 中澤三郎

    ○中澤説明員 農林省はもっと力を入れろというお話でございますが、これは先生御承知のように、所管は郵政省でございます。ただ、一昨年郵政審議会で、有線放送のあり方に関する答申が行なわれております。先生御承知だと思いますが、この趣旨に沿いまして、農林省といたしましても地元で希望がある場合は、これに応じ得る施策を用意していきたい、こういうように考えております。  なお、その場合の金利につきまして、更新期が来ているので特別の措置をしないかということでございますけれども、共同利用施設の金利体系全般との関連もございますので、なかなかむずかしいというふうに現在は考えている次第でございます。
  142. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 むずかしいことがわかっているから、もっと高い見地に立って、この有線放送を育成するために更新期に対処してもらいたい。金利体系をもう少し変えるとかほかの方法で——山村振興でも補助金がついているのですよ。しかし、それはスズメの涙みたいな山村振興ということで、これは項目だけでものの役に立ち得べしとも思われない。これは項目だけを羅列しているだけなんです。今度は過疎の法律を出そうというような状況にあるので、その一環としてこの金利体系についてもう少し、どういう方法でもいいわけですが、積極的に取り組んでいただきたい。要望だけしておきます。  いま一点、時間がおそくなってたいへん恐縮ですが、昨年も災害対策特別委員会で蚕糸園芸局長にお尋ねしたが、地域的なものですが非常に重要なもので、これはわが長野県しかないわけです。僻地でワサビをつくっていて、昔四億も収入をあげていまだめになってしまった。そういうものを地域特産に指定してもらいたいという要望が、県当局からも長い間続けられているわけです。これも要望だけしかほとんどできないと思いますけれども、蚕糸園芸局長にひとつ御答弁をいただきたいと思うわけです。
  143. 小暮光美

    ○小暮政府委員 時間がございませんので、簡潔にお答えします。  別にワサビが重要でないから地域特産に指定しないとか、そんなことを私たちは考えているわけではございませんので、長野が当面しておりますワサビの問題は、問題の所在も私、担当者から十分聞いております。地元でよく御研究の上、病気と夏季の高温障害、この二つをどういうふうに克服するかということで、地元でも技術的な論拠は確立しておるようであります。これをどういう手段で実現するかということを、県御当局と十分御相談したいと考えております。
  144. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ終わります。
  145. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次回は来たる二十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会