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1969-05-07 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君       大石 武一君    亀岡 高夫君       小山 長規君    佐々木秀世君       菅波  茂君    田澤 吉郎君       竹下  登君    中垣 國男君       中山 榮一君    野原 正勝君       八田 貞義君    藤波 孝生君       古屋  亨君    松野 幸泰君       山口 敏夫君    伊賀 定盛君       石田 宥全君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    永井勝次郎君       芳賀  貢君    美濃 政市君       神田 大作君    斎藤  実君  出席国務大臣         農林大臣臨時代         理         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   檜垣徳太郎君         林野庁長官   片山 正英君  委員外出席者         消防庁調査官  川島  巌君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二十五日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として橋口  隆君が議長指名委員に選任された。 同日  委員橋口隆辞任につき、その補欠として菅波  茂君が議長指名委員に選任された。 五月七日  委員大石武一君、大野市郎君、金子岩三君及び  中尾栄一辞任につき、その補欠として竹下登  君、亀岡高夫君古屋亨君及び山口敏夫君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員亀岡高夫君竹下登君、古屋亨君及び山  口敏夫辞任につき、その補欠として大野市郎  君、大石武一君、金子岩三君及び中尾栄一君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十五日  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願外五件(井出一太郎紹介)(第五三  一八号)  同(上村千一郎紹介)(第五三一九号)  同外一件(吉川久衛紹介)(第五三二〇号)  同外四件(熊谷義雄紹介)(第五三二一号)  同(笹山茂太郎紹介)(第五三二二号)  同外三件(大竹太郎紹介)(第五四三八号)  同(大野市郎紹介)(第五四三九号)  同外三件(内田常雄紹介)(第五四四〇号)  同外五件(竹内黎一君紹介)(第五四四一号)  同(中野四郎紹介)(第五四四二号)  同(福井勇紹介)(第五四四三号)  同外八件(森田重次郎紹介)(第五四四四  号)  国有林野事業に従事する作業員処遇改善に関  する請願加藤万吉紹介)(第五三二三号)  同(勝間田清一紹介)(第五三二四号)  同(斉藤正男紹介)(第五三二五号)  同外一件(下平正一紹介)(第五三二六号)  同外一件(堂森芳夫紹介)(第五三二七号)  同(中澤茂一紹介)(第五三二八号)  同外四件(永井勝次郎紹介)(第五三二九  号)  同(野口忠夫紹介)(第五三三〇号)  同外一件(村山喜一紹介)(第五三三一号)  同外一件(森本靖紹介)(第五三三二号)  同外十九件(芳賀貢紹介)(第五三三三号)  同外十一件(安井吉典紹介)(第五三三四  号)  同外三件(山本弥之助紹介)(第五三三五  号)  同外五件(淡谷悠藏紹介)(第五四四五号)  同(井上普方紹介)(第五四四六号)  同(伊賀定盛紹介)(第五四四七号)  同外一件(唐橋東紹介)(第五四四八号)  同(川崎寛治紹介)(第五四四九号)  同(工藤良平紹介)(第五四五〇号)  同(高田富之紹介)(第五四五一号)  同(武部文紹介)(第五四五二号)  同外三件(楯兼次郎君紹介)(第五四五三号)  同(平等文成紹介)(第五四五四号)  同(村山喜一紹介)(第五四五五号)  同外四件(渡辺惣蔵紹介)(第五四五六号)  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願外三件(赤城宗徳紹介)(第五三三  六号)  同(井出一太郎紹介)(第五三三七号)  同外一件(鴨田宗一紹介)(第五三三八号)  同外一件(北澤直吉紹介)(第五三三九号)  同外四件(吉川久衛紹介)(第五三四〇号)  同外一件(小宮山重四郎紹介)(第五三四一  号)  同外十八件(河野洋平紹介)(第五三四二  号)  同外二件(坂村吉正紹介)(第五三四三号)  同(坂本三十次君紹介)(第五三四四号)  同(篠田弘作紹介)(第五三四五号)  同外四件(千葉三郎紹介)(第五三四六号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第五三四七  号)  同外一件(八田貞義紹介)(第五三四八号)  同外三件(葉梨信行紹介)(第五三四九号)  同(藤本孝雄紹介)(第五三五〇号)  同(松浦周太郎紹介)(第五三五一号)  同(渡辺肇紹介)(第五三五二号)  同外三件(伊藤宗一郎紹介)(第五四五七  号)  同外一件(受田新吉紹介)(第五四五八号)  同(内田常雄紹介)(第五四五九号)  同外一件(大野市郎紹介)(第五四六〇号)  同外四件(金子岩三紹介)(第五四六一号)  同外二件(倉成正紹介)(第五四六二号)  同外三件(河野洋平紹介)(第五四六三号)  同外二件(齋藤憲三紹介)(第五四六四号)  同外三件(坂村吉正紹介)(第五四六五号)  同(竹内黎一君紹介)(第五四六六号)  同外一件(中曽根康弘紹介)(第五四六七  号)  同外六件(中山榮一紹介)(第五四六八号)  同外三件(丹羽久章紹介)(第五四六九号)  同外五件(葉梨信行紹介)(第五四七〇号)  同外一件(古井喜實紹介)(第五四七一号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第五四七二  号)  同(山口敏夫紹介)(第五四七三号)  中国食肉輸入禁止解除に関する請願外一件  (帆足計紹介)(第五四三七号) 同月二十八日  食管制度及び農地法改悪反対に関する請願  (武藤山治紹介)(第五五七六号)  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願外一件(熊谷義雄紹介)(第五五七  七号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第五五七八  号)  同(菅波茂紹介)(第五五七九号)  同(船田中君紹介)(第五五八〇号)  同外六件(増田甲子七君紹介)(第五五八一  号)  同外十件(松澤雄藏紹介)(第五五八二号)  同(粟山ひで紹介)(第五五八三号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第五五八四  号)  同(渡辺美智雄紹介)(第五五八五号)  同(浦野幸男紹介)(第五六四八号)  同外三件(鹿野彦吉君紹介)(第五六四九号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第五六五〇号)  同(鈴木一紹介)(第五六五一号)  同(野原正勝紹介)(第五七八九号)  同(森山欽司紹介)(第五七九〇号)  同(渡辺美智雄紹介)(第五七九一号)  中国食肉輸入禁止解除に関する請願外一件  (帆足計紹介)(第五五八六号)  同(山本幸一紹介)(第五五八七号)  同外一件(帆足計紹介)(第五七八八号)  国有林野事業に従事する作業員処遇改善に関  する請願石川次夫紹介)(第五五八八号)  同外一件(大原亨紹介)(第五五八九号)  同(工藤良平紹介)(第五五九〇号)  同(栗林三郎紹介)(第五五九一号)  同(柴田健治紹介)(第五五九二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五五九三号)  同(山本幸一紹介)(第五五九四号)  同外三件(米内山義一郎紹介)(第五五九五  号)  同(永井勝次郎紹介)(第五六五二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五七九二号)  同(工藤良平紹介)(第五七九三号)  同(永井勝次郎紹介)(第五七九四号)  同(福岡義登紹介)(第五七九五号)  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願大石武一紹介)(第五五九六号)  同外二件(奥野誠亮紹介)(第五五九七号)  同外三件(鴨田宗一紹介)(第五五九八号)  同(正示啓次郎紹介)(第五五九九号)  同外一件(中曽根康弘紹介)(第五六〇〇  号)  同外三件(中村庸一郎紹介)(第五六〇一  号)  同外一件(原健三郎紹介)(第五六〇二号)  同(藤本孝雄紹介)(第五六〇三号)  同(保利茂紹介)(第五六〇四号)  同外一件(本名武紹介)(第五六〇五号)  同外三件(山中貞則紹介)(第五六〇六号)  同外一件(受田新吉紹介)(第五六五三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第五六五四号)  同(久保田円次紹介)(第五六五五号)  同外一件(小宮山重四郎紹介)(第五六五六  号)  同外十一件(椎名悦三郎紹介)(第五六五七  号)  同外四件(中山榮一紹介)(第五六五八号)  同(箕輪登紹介)(第五六五九号)  同外一件(稻村左近四郎紹介)(第五七九六  号)  同(大野市郎紹介)(第五七九七号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第五七九八  号)  同(橋本登美三郎紹介)(第五七九九号)  同外三件(山口敏夫紹介)(第五八〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出、第五十八回国会閣法第八九号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 まず、農政局長にお尋ねしますが、先般農協法改正の審議にあたりまして、中央会指導性の問題や農民の意思がどの程度反映されるかということについて触れておきましたが、きょうはきわめて具体的な問題について若干お尋ねを申し上げたいと思うのであります。  新潟県の吉田町の農協で起こった問題であります。これは食糧庁長官にも聞いておいていただきたいと思うのでありますが、米の予約について農協商人側で激しいせり合いが各地で行なわれたわけであります。この吉田町においても同様にせり合ったわけでありますが、この農協の中で六十五戸だけが農協に予約しなかった。こういう事実に基づいて吉田農協では、四つのいわゆる勧告文なる文書でありますけれども文書を出しております。第一は、営農指導は行なわない。二番目には、農協金融利用を禁止する。三は、生産資材生活用品などの購買利用を禁止する。四番目は、農協設備利用を禁止する。この四つ事項が禁止されると、農協のあらゆる利用関係が禁止されるということになり、これは農協組合員を除名したと同様なものになるのではないかということで、新潟県内ではかなり大きな波紋を呼んでおるわけであります。ここで、これに対する局長見解を伺い、今後いかなる措置をされようとしておるか承りたい。  特に私が指摘いたしたいことは、ここの組合長新潟中央会の副会長である。したがって、新潟中央会姿勢そのもののように受け取る向きが多いので、影響は大きいと考えられるからであります。以上に対する見解と、今後の措置を伺いたいと思います。
  4. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま御指摘のありました事実があったわけでございます。私どもも、県当局連絡をいたしまして調査をいたしたわけでございますが、大体お話しのようなことでございまして、私ども調査によりますと、五十五人ほどが商人のほうに登録したということで、これに対して、理事会で制裁をすべきではないか、こういう意見が出まして、その五十五人に対しまして勧告文発送いたしたわけでございます。その内容は、大体いま先生がおっしゃいましたような内容でございます。  それで、これにつきましては、一体いまの農協法のたてまえからどうだろうかということでございますが、これは明文は、はっきりしたものはございませんけれども組合事業利用するのは、当然組合員の基本的な権利でございます。もちろん、長期間にわたりまして組合事業利用しない場合には除名をすることができるわけでございますけれども、今回の場合はそういうことではございませんので、当然これは農業協同組合法趣旨からいいまして行き過ぎである、こういうふうに考えているわけでございます。  それで、県当局とも連絡をいたしているわけでございますが、県当局といたしましても同様な見解でございまして、これに対しては、こういうような勧告文内容にありますようなことは、実行しないように指導しておるわけでございます。私どもも当然そうあるべきだと考えているわけでございまして、そういうふうにさらに指導をいたしたいと考えております。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 いまの局長の答弁のとおりだと思うので、これの趣旨を十分徹底させるようにいたしませんと、農協そのものに不安や動揺が起こってはならないと思いますので、ぜひきびしくやっていただきたいと思います。それでは、この問題はこれでよろしいと思います。  次に、食糧庁長官に伺いますが、先月の十四日に亘新潟県知事食糧庁長官を訪問いたしまして、幾つかの質問事項を出したはずでありますが、その回答あと文書をもってすると言われておって、いまだに回答が出ておらないようでありますが、質問内容はどういうことであったのか、回答が出されたのか出されないのか、ひとつ伺いたいと思います。
  6. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 御質問にございましたように、四月の十四日に亘新潟県知事が私を訪問せられまして、政府がいま考えております自主流通米制度のことについて、若干の御質問があったのでございます。  その御質問につきましては、私から——これは知事から口頭で御質問がございましたあとメモを残していかれました。こういう紙、これがメモでございます。こういうものを置かれていきましたが、口頭で御質問ございましたから口頭お答えいたしたわけでございます。口頭説明につきましては、わかりましたということでございましたが、重要な問題も含まれておるので、そのうち数項目については、メモの形でいいから紙に書いたものでほしいという御要請がございまして、私も、公文の照会に対する公文回答ではもちろんございませんが、やはりそういう御希望であれば、メモにいたしましてお送りをするように処置をいたしますというお約束をいたしたわけでございます。担当課のほうにメモをつくるように指示をいたしまして、現在発送ができるような状態になっておるのでございますが、現在の状態では、まだ知事メモお送りいたしておりません。早々にお送りを申し上げたいというふうに思います。  その御質問で、口頭でお聞き願いました分はいろいろありまして、私もしかと覚えておりませんが、当委員会で御質問になった事項と重複しておるものが大部分であったように記憶をいたしております。  メモとして残していかれましたのは、自主流通米制度は、生産者米価を据え置く口実になるのではないかという不安が農家にあるがどうか、それから米づくりというのが相場に左右されるようになるのではないか、米が買いたたかれる心配があるのではないか、配給米がまずい米ばかりになるのではないか、食管会計赤字減少することが目的ではないかというような、そういう不安あるいは疑念があるようであるから、それについては、口頭での私の説明はわかったがメモにしてほしいという、そういうことであったのでございます。まだ発送まで至っておりませんことは、私どもとしては、ちょうどいろいろな形で多忙でありましたことはともかくとして、知事にも申しわけないと思って、至急お送りするつもりでおります。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 せっかくきょうここへ出席願って、また内容的には、ほとんど送るばかりになっておるということでありますから、ここでひとつ回答の要旨を明らかにしていただきたいと思います。
  8. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 先ほど申し上げましたように、知事に対するお答え口頭をもってやってあるわけでございますが、それに対するメモでございますから、要領だけをお示ししたいというふうに思っておりますけれども、御質問でございますから、御質問に対するお答えとしてお答えをいたします。  生産者米価というものは、これは食糧管理法第三条第二項の規定に基づきまして、成規の手続を経た上で決定をするものでございますから、自主流通米制度というものができましても、それは生産者米価決定ということとは無関係の事柄であるということで、生産者米価据え置き口実になるという性質のものではないということをお答えしたわけでございます。  それから、米づくり相場に左右されるようになるという意味がよくわからないのでございますけれども、毎回お答えを申しておりますように、自主流通米は自由に米の流通することを認めるというものではございませんで、食糧管理という制度の中で、行政的な規制のもとに秩序正しく消費者の求める米が流通されるようにしようということでございますから、いわゆる自由取引市場における相場形成一つのメカニズム、そういうものを認める気持ちはございません。したがって、相場によって米づくりが左右されるということはあり得ない。ただ、現在の需給事情のもとでは消費者の求める米、つまり需要動向に即した生産が行なわれることが好ましいということは、これは間違いのないことでございますから、自主流通米流通によって消費者需要動向が反映されていくことはあるであろうということをお答えいたしました。  それから、米が買いたたかれるのではないかという心配につきましては、これも申し上げるまでもないことでございますが、政府食糧管理法規定に基づきまして決定いたしました米価によって、生産者売り渡し申し込みは無制限に受け付けて買い入れますということでございますから、米の買いたたきがあるというようなことは、あり得ないということをお答えいたしたのでございます。  それから、配給米がまずい米ばかりになるのではないかという御質問でございますが、元来消費者需要動向というのは、非常に複雑な性格を持っておるものでございまして、ある人にとっては硬質米が望ましいということもあれば、ある人は軟質米のほうが望ましいのだということもございます。また、自主流通に乗り得る米としては、市場条件あるいは季節的な問題等もからんでまいりますので、私は、現在考えられておる程度の自主流通米の量が流れるために、配給米がまずい米ばかりになる、日本の大宗を占めております米が、いわゆるまずい米ばかりであるというふうには考えられないのでございます。ことに、私ども察知いたしますところでは、各地ですでに消費者需要動向に応じた品種の選択をしつつあるということでございますので、配給米がまずい米ばかりになるということは、私どもとしては考えられないということを申し上げたのでございます。  それから、食管会計赤字減少目的ではないかというような疑念に対しましては、自主流通米の本来のねらいは、消費者需要動向に即した米の流通を、政府を通さないで流通する道を認める、そのことによって米の品質問題の前進をはかろうということであるから、食管特別会計赤字を減らすことを直接の目的にするものでは絶対にないということをお答えいたしたのであります。  大体、おも立った御質問に対する私ども見解は、以上のようなことでございます。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、私はここで内容についてはかれこれ申し上げませんが、一両日中に文書でもって回答できるというふうに理解してよろしいですか。
  10. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 承りますと、知事会の所用で明日知事が出てくるというふうに聞いておりますし、またメモだけで、こちらの手違いがありましてちょっとおくれたものですから、もしメモ理解等が十分でない場合は困りますので、知事上京の際に私のほうから文書回答を差し上げまして、それについてなお疑念があれば補足説明をしながら回答いたしたい、かように考えております。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、あす上京されるそうですから、いまのように一応文書でお渡し願いたい。いろいろ御懇談なさることはけっこうですけれども文書で出していただきたいと思います。確認をしておきたいと思います。
  12. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 文書をもちまして問い合わせの項目についてはお答えをし、知事からもし質問があれば、内容についてさらに説明をしてやるつもりでございます。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 食糧庁長官にもう一つだけ伺っておきたいと思うのですが、去年新潟県の検査で非常な社会問題を起こした。小さな農家で百俵も積んでおかなければならないような状況で、お葬式も出せないというようなことで、社会問題になって、特に代表が長官にいろいろと要請を申し上げて、まあ暫定措置的な対策を講じていただいたわけでありますが、聞くところによりますと、昨年の新潟県の検査員八百六十名に対して、本年は七百四十四名になって百十六名の減になっております。パーセンテージでいえば八六・五%に減少になる、こういうことが伝わっておりまして、生産農民の中ではいまからたいへん心配を始めておるわけであります。去年のような事態が起こらないように、いまからあらかじめ万全の措置を講じておかなければならないと思うのでありますが、御意見を承っておきたいと思います。
  14. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 いま御指摘になりました検査官の定数の問題は、実は私もここでそらんじておりませんので、はっきりそれが事実である、あるいは事実でないというお答えをいたしかねるのでございますが、食糧庁につきましても、総定員三年間五%削減という問題は、これは一定のルールのもとに私どもも受けざるを得ないという形でございますけれども、一挙に大きな人数を削減するということはあり得ないと私は思っておるのでございますが、なお、調査をいたしてみます。  昨年、検査開始当初において、新潟県はたいへんな米どころでございます関係もあって、検査の遅滞がありまして御迷惑をかけましたことは申しわけないと思っております。また、その際石田委員からもいろいろ御周旋をいただきましたことについて、お礼を申し上げたいと思います。本年につきましては、倉庫の事情等は昨年以上に窮屈になるのではないかというふうに私は思っておりますので、農協等関係集荷機関との連携も十分いたし、また検査の時期的な事業量の配分その他検査体制につきましても、現段階でできることにつきましてはあらかじめ十分用意をして、昨年のような混乱を避けるように努力いたしたいと思っております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 以上で、私の予定の質問を終わります。
  16. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止
  17. 丹羽兵助

    丹羽委員長 どうぞ速記を始めて。  柴田健治君。
  18. 柴田健治

    柴田委員 食糧庁長官に、この前しり切れトンボのような質問をしてまことに失礼したのですが、この前御質問申し上げてお答えをいただいた中で、集荷登録の業者の実態を至急に報告するという約束をしていただいたのですが、その後、中に連休がございましたけれども、何ら音さたがないのですが、この点ひとつ報告を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  19. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 三月の二十七、八日に、施行規則の十条に基づきます三年に一回の登録がえを行なったことは御指摘のとおりでございます。その結果につきましては各食糧事務所から報告を求めまして、ごく最近、今週に入りましてやっと集計が終わったのでございます。その集計結果につきましては、前回お約束いたしましたように資料として提出いたしますが、口頭で概要だけを一応申し上げてみたいと思います。  新規の扱い集荷業者の増は、農協について全国的に一業者、それから商人で六十六人増、それから生産者が業者別にどういうふうに変わったかといいますと、農協から商人のほうに登録がえをいたしましたのが全国で一万六千七百五十四人、それから、従来商人で登録しておったものが農協に変わりましたのが一万九千百二十七人ということで、農協への登録の増が差し引き二千三百七十三人、その数だけ商人系が減ったということでございます。  それから、取り扱い見込み数量の増減でございますが、これは見込みでございまして、結果は実績がないのでわからないわけでありますが、私どもの試算では三十一万六千八百九俵、約三十二万俵ばかりが農協の扱いの増ということでございます。それだけ商人系がへこんだということであります。これは、その際も申し上げましたように、結果から見ますと、従来の農協商人系のシェアはわずかに農協系がふえているが、大勢にはそう変動はないということでございます。
  20. 柴田健治

    柴田委員 いずれ文書で各委員にお配りを願いたいと思います。  今度自主流通という問題が提起されて、その反面、うまい米をつくれという宣伝が盛んになされておるわけですが、うまい米をつくるために農民は、いまどちらかというと打つ手がないという一つの不安がある。それは土質の関係と気象条件等によって、その年の作柄で多少味のいい、悪いもあるわけですけれども、そもそも品質を変えるということは種子を変えなければならぬ。要するに種もみなんですが、種もみを変えなければならぬ。いままでは、味よりか量に重点を置いてきた食糧増産の形の中で、量的増産という立場で、質よりはそういう面を重んずるという慣例というか、惰性がついている。それから種もみを保存するのにも、そういういままでの惰性における種もみの保存である。ところが、いま地域によっては種もみをまこうとしている地域もあるわけですが、結局、いい種もみをあっせんをするのは、県においても、市町村においてもあまり熱心でない。農民は非常に不満を持っている。食糧庁、農林省はどういうあっせんをしたのか。質の改善だ、いい米をつくってもらうのだ、こう言って一方では宣伝してから今日まで相当期間が過ぎているが、その間に農林省はどれだけ品質のいい種もみをあっせんしたのか、数量をひとつ明らかにしてもらいたい。
  21. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 食糧行政を担当いたしております者としては、今日のような需給事情に相なりますれば、消費者需要動向に沿うような米の生産が望ましいということでございます。少なくとも食糧庁の立場からは、同一品種の米でございましても、刈り取りの時期あるいは脱穀調製、乾燥等の米の収穫管理についても十分な注意を払って、良質の米を供給するようにしてほしいという希望を持って、その点の指導は私のほうもいたしておるのでございますが、生産指導は、はなはだ逃げ口上のようで申しわけないのでございますけれども食糧庁において所管をいたしておりません関係上、種もみのあっせん等は私のほうではやっていないのでございます。ちょうど担当の局もおりませんのでお答えいたしかねるのでございますが、政府として種もみのあっせんをしたということはないのではないだろうか。むしろ、各県ごとに奨励品種がきまっておるのでございます。奨励品種の伸ばし方については、各都道府県における計画に基づいて推進がされておるのでありますから、種もみのあっせん等につきましては、都道府県段階でなされておるというふうに私は理解をいたしております。
  22. 柴田健治

    柴田委員 長官、あなた、責任のないことを先先言われぬほうがいいと思うのです。食糧庁は品種の改良のことまで先々あなたのほうが言うからややこしゅうなるのです。責任のないことまで、やらぬことまで言うから。あなた、人のなわ張りまで横取りして、品種改良なんと言うから。言う限りは、あなたのほうが担当ではないでしょうけれども、要するに連絡くらいはしたらどうかという気がするのです。自分の責任のないことまで先々に言うて、品種改良をいたします、うまい米をつくってもらうのだということをあなた盛んに言われた。何回も言われた。私も知っておりますよ。しかし、農林省は品種改良のための種もみのあっせんということはやってない。今日まであまりやってない。やってないものをあなたが先に先に言うから、私はどれだけやったかとお尋ねした。そういう逃げ口上ばかり言うからこういうことになるのです。それなら、各都道府県でどれだけ指示を出して、どれだけのあっせんをやらしたのか、実態の報告を聞いておられますか、報告だけでも。
  23. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 食糧庁といいますか、農林省としましては、省議の席上で、今後の米作の方向は、消費の動向に即応した米の生産をするという方向をとるという点は、省として決定をいたしておるのでございますが、本年度いかなる指導をし、また、それについていかなる種子の手当てをしたかということについては、私はまだ報告を聞いておりません。
  24. 柴田健治

    柴田委員 まことに食糧庁長官、無責任なことだと私たちは言わざるを得ないので、先ほどは肥培管理のことまであなた言われました。りっぱな米をつくってもらうためには、肥培管理に至るまでとあなた言われたのですが、肥培管理についても、これは技術的な問題なんですよ。それからいまの末端における技術屋も、正直にいったら困っているのですよ。実際それぞれの県には、いままでの長い歴史を持った品種がある。農事試験場等で新しい品種改良等もしてこられた点もありますけれども、いままでの品種改良というものは、どちらかといえば食糧増産の立場で、量的増産というので、量がいかによけいとれるかという品種改良なんです。米の味というものはあまり重点に置いてなかった。そういう弊害もいま出ているわけですよ。そういういままで、長い間試験機関を動員してまで量的増産だけの試験を重点にやってきた。今度は量的でなしに中身の、味のある米づくりという品種改良をするためには、相当期間もかかるわけです。そういう期間をかけずに直ちに品種改良ができるような、そういう言い方をするところに、農民がある程度反発するのですよ、農林省何を言っているかと。食糧庁長官が言おうと、農林大臣が言おうと、農林省が言うたということになるわけですよ。そういう点から、今後言うことについては慎んでもらいたいと思うのです。農民から反発を受けるような言い方はやめてもらいたいと思う。  それから、要するに品質改善をするためには、地域的にブロック別というか、そういう構想が将来行なわれるのかどうか。と同時に、また試験機関のいままでのあり方、こういうものについて今度はどう変えていくのか。これは政務次官からひとつお答え願いたい。
  25. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 地域地域におけるそれぞれの特性に合った米づくりをやるということは、これはやはり当然考えられると思います。  試験研究機関の今後のあり方ということですが、私どもは、ことしの予算で御承認をいただきましたように、米の関係では、さらに生産性をより高度にするためのいろいろな施策を続けてまいりますが、試験研究機関の問題について、新しく転換をやるような考えはありません。従来ともやってまいりました品種の改良は、量、質ともにそれぞれの観点から研究を続けてきているわけでございますから。もちろん、これからのいろいろ米の需給問題、あるいは消費の増大等をはかるためのいろいろな点を考えますと、質に重点を置いていくというような考えがあるということは、これはもう当然出てくると思いますけれども、従来も量、質両方の面からいろいろ検討、研究をして進めてまいっておりますので、格別変更する考えはございません。
  26. 柴田健治

    柴田委員 どうも予算面から見て、私はいま次官のお答えを聞いておると、先ほど石田委員が言われたように、もう食管会計赤字が出るから財政面だけに頭を痛めて、あとは何にも考えてないんじゃないかと思う。ほかのことはもう一切いままでどおり、従前どおりである、一つも新しい方向を出そうとしない、そういう気持ちがするわけですが、それでは、やはり米をつくる側の農民からいうと非常に不安を持ち、また疑問も持つ。と同時に、もう信頼というものが出てこない。農林省の言うのはどこまでがほんとうやらわからぬ、こういう不信感がわいてくる。一つの政策を変えて出す場合は、全体が大きく変わっていくような方向で出していかないと、ほかのことは何にも考えてないのだ、変化もしないのだ、いまある予算の範囲内でやっていくのだ、それぞれの地域でかってに思うようにやったらよろしい、こういうような言い方では、われわれは納得がしにくいのです。やはりうまい米をつくらせるのだ、こういう立場なら、うまい米がつくれるような方向で政策を打ち出し、予算もそれに伴ってつけていく、こういう方向でないとわれわれは理解ができないと思うわけです。  自主流通米のことで農民がますます心配しておることは、農林省はああ言っているが、はたして成功するのだろうか。価格の問題、容器の問題全体を含めて、一つ一つ分析してみると成功するとは思えない、こういう意見が強いのであります。われわれ農村をめぐってみて、自主流通米というのはほんとうに成功するんですか、こういうことを尋ねられるけれども、それについてはわれわれ自信がないのだ。国会議員をしていれば、自信があるかないかわかるでしょうと言われても、自信がないのだと言わざるを得ない。食糧庁長官どうですか、この自主流通米にほんとうに自信がありますか。
  27. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私どもは、現在考えております自主流通米制度は順調に発足ができ、かつ、現在考えておりますような目的の達成については、十分自信を持っておるつもりでございます。
  28. 柴田健治

    柴田委員 容器の問題をこの間少しお尋ねしたのですが、容器は、ポリエチレンの袋というのはもうきまったんですか。十キロなら十キロ、十五キロなら十五キロの分量を入れるその型というものは、食糧庁はもうきめたんですか。
  29. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 前回も申し上げましたように、私どもとしては、自主流通米というのは消費者の信用の問題が非常に重要でございますから、小袋詰めで年産、産地、銘柄を明記したもので配給させることが望ましいというふうに考えておりまして、その方向で検討を進め、また指導もしていきたいと思っておりますが、受けて立ちます業界の施設能力等の問題もございますので、最終的にこれでいくというふうにきめる段階までいっておりませんが、方向としては、業界との協議も十分詰めました上で、そういう方向でやっていきたいというふうに思っております。
  30. 柴田健治

    柴田委員 いつごろきまるのかわかりませんが、大体長官としては腹のうちはきまっておると思うのですが、その地方地方で銘柄を明記するということになると、その地方地方でちゃんと袋にそういうものを印刷をしてはっきりさせるのかどうか、その点はどうですか。判を押していくということになると、それぞれの業者が判をかってに押して、政府の管理米をこれは自主流通米ですと売られる可能性もあるのですが、容器の極印の問題についてはっきりしておかぬと、途中でごまかされる——ごまかされるという言い方はおかしいのですが、いままでは商売人というものはなかなか抜け目のないやり方なんで、日本の場合は案外信用できない面もある。そういうことで、その袋については政府が指示して、その地方地方の銘柄を入れるにしても、初めから印刷なら印刷をぴしゃっと、途中で手が加えられぬような、そういうやり方を食糧庁は考えておられるのかどうか、その点を……。
  31. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 御指摘の方向は、いわゆる産地精米方式をとれば可能であると思います。また、そういうものも私は出てくると思いますけれども、百万トンというような数量のものを産地精米でこなすということは、私は、現状では直ちに無理でできないことだと思います。大消費地を中心に、大型精米工場で小袋詰めにしたものを配給するという方向を私のほうとしては考えたい。その際、これも業界との協議が要るのでございますが、何らかの第三者機関が検定をするというようなことも、いまあわせ検討をいたしておるところでございます。
  32. 柴田健治

    柴田委員 たとえば、農業協同組合が集荷業者として集荷をする。そしてこれを小売りまで流通させる。まあ農業協同組合は、その事業面からいうと生産から販売という、生産者消費者のつながりという面もその役割りとして持っておるわけですから、やれないことはないのですが、そういうことでそれぞれの府県別にその銘柄を、たとえば何々村の何々だというように、農協で名前をちゃんと入れさせて消費者に売っていく、そういうやり方も一つの方法として流通の改善にもなるし、また消費者生産者の信頼の度合いというか、そういうことも可能ではないかと思うのです。農業協同組合に集荷から消費者の手に渡すまで流通を全部まかしたらという意見があるのですが、その点はどうですか。
  33. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 ただいまのような御意見のあることも承知をいたしております。ただ、自主流通米ということになりましても、ずっと申し上げておりますように、現在の集荷、配給の機構のもとで流通をさせようということでございますので、現在卸売り販売業者の資格を持ち、あるいは小売り販売業者の資格を持っておる農協が系統的に販売をしていくということは、これはもちろん差しつかえのないことでございますけれども、新たに消費地に、産地の農協を小売りとして参入させるという問題は、これは私、別途の問題として非常に困難であるというふうに思うのでございます。
  34. 柴田健治

    柴田委員 それでは長官、いま大阪や東京でやみをやっておる業者はどうするのですか。こういうやみの業者を放任しておいて、成規の登録業者として、小売り業者までちゃんとはっきりして税金まで納めておる業者があるにかかわらず、現在、ほんとは米屋でないのにやみで、ないしょでどんどん米を売っておる業者はどうするのですか。これはほかの品物を売っているのですよ。ほかのいろいろな品物を売っているのだけれども、米の小売り登録を受けないでないしょで売っている商売人がある。そういうのを一つも取り締まらずして、農協が新しい消費地に向けて売るのはおかしいと言うのは筋が通らぬ。いま、そういうやみがあるのを全部取り締まりができますか。
  35. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 御指摘のように、成規流通経路以外の米の流通があるということは、私も遺憾ながら認めざるを得ないと思います。しかし、これは法律制度に違反する流通でございまして、元来、そういうことを是認した上での行政をやるわけにはいかないというふうに私は思うのでございまして、やはり私どもが行政を進めます場合には、制度に合致をした、制度に違反をしない流通の経路というものは確保していくという考え方で臨まざるを得ないと思っております。
  36. 柴田健治

    柴田委員 私は、どうもあなたは農業協同組合の本質を知らぬのじゃないかという気がするのですがね。農業協同組合というのは、消費生活協同組合じゃないのですよ。生産協同組合ですよ。生産者組合なんだから、生産したものを売ってやるというのは基本じゃないですか。消費生活協同組合ならこれは別ですよ。いまの農業協同組合が半ば消費生活協同組合のような運営をしているから、あなたはそういう誤解をしておるか知らないけれども、いまの運営は正しいと私は思ってない。やはり生産協同体であるのだから、生産協同体なら、生産した農産物を商品として販売する役割りは持っていい、私はそういう考えを持っておる。それを、協同組合がやるのはおかしいという言い方は、長官としては農業協同組合の本質をどうわきまえておるのか、その点ひとつお答え願いたい。
  37. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 申すまでもなく、農業協同組合生産、販売、加工、生活物資の購入、生産資材の購入等を共同的に行なうことによって農民の社会的地位の向上、経済的な利益の確保ということをはかるのが任務でございます。でございますから、生産物について共販体制を拡充し、農民の利益を守るということは、私は当然農協の本質であると思います。  ただ、米につきましては、自由商品ならいざ知らず、食糧管理の体制のもとで流通をするということになりますれば、食糧管理制度の体制に応じた流通しか認めないということはやむを得ないことである。したがって、農協が共販的な性格を持ちましたら、自主流通米についても、農民が集荷機関であります農協に販売の委託をし、さらにそれを県の段階に委託をし、さらに中央の段階に委託をして、卸売り業者あるいは実需者に販売をする、そこまで実体的に共同行為としてやることは、私は望ましいことであり、また、そのことが農協本来の使命にも沿うゆえんであるというふうに思いますけれども農家生産したものであるからといいましても、米について消費地における小売りとして農協が進出していくことを認めるということは、配給機構というものに対する非常な社会的混乱を起こすことに相なりますので、私は、そこまでは踏み切れないということを申し上げておるのでございます。
  38. 柴田健治

    柴田委員 この問題については、いずれ現実的に問題が提起されてくると思いますから、これはいずれ次の機会に保留します。ただ、私はいまのあなたの答弁を聞いておると、米の場合は、あくまでも管理米だという前提に立って答弁している。そこが私はおかしいので、政府の管理米というのは、いままで法の精神からいうと、やはり政府が一応買い取って、食糧管理会計を通したものはあくまでも政府の管理米であるけれども、会計を通らぬものは政府に所有権がないでしょう。要するに、買わないものは所有権がない。全量買い上げます、自主流通が失敗しても御心配なく、全量買い上げるということは、会計を通すわけですから、そうなったら、政府の管理米として所有権というものが発生するわけです。  戦後の時分には、農業会がまだ政府に売り渡してない米を、海外から引き揚げてきた住民に、配給じゃ足らないから私は米を配った。配ったら、当時どういう解釈を政府がしておったかというと、政府はこういった。まだ政府に米を売ってないのは政府の管理米じゃないけれども、倉庫に入って、事務的にこれだけだというので政府の会計へ入るようになったら政府の管理米だから、管理米を横領したということは許せない、こういう意見を聞いたのです。農業会が集荷したけれども、協同組合から政府に売ってないものは管理米とはいえないという、その当時からわれわれは法的にそういう説明も受けたし、そういう解釈もしてきた。会計に入らぬものは所有権が発生しないのに、なぜ政府の管理米といえるのか。それなら自主流通米ということばをやめたらいいじゃないですか。所有権がないのに、法的にはどうなるのですか。あなたは法律専門家かどうか知らないが、だいぶ内閣法制局で勉強せられたと思うのですが、所有権がないのに、政府の管理米といえるかどうか。法的に、行政指導として一つの行政管理はできるということは、法のたてまえからそれはできるでしょう。けれども、所有権がないものは、管理米とは私は本質的に違うと思う。あなたが本質的に同じだということになれば、これはもっと論争しなければならぬと思う。これは法律学者を引っぱってこなければならぬ。その点どうですか。
  39. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 当委員会でもお答え申し上げたと思いますが、政府管理米と通常いわれます場合には、これは、政府が買い入れをいたしまして所有権を取得し、保管をし、配給をする米のことをいうのだと私は思うのであります。ただ、自主流通米も、いわゆる自由な米の流通を認めるものではなくて、食糧管理法第一条にいう「食糧ヲ管理シ」という抽象的な管理の対象である。したがって、これはいまの柴田委員のおことばを拝借すれば、法に基づく行政管理の対象の米であるということでございます。
  40. 柴田健治

    柴田委員 私は、行政的に管理するものは政府の管理米とはいえないと思う。ほかの品物を政府がいろいろな法律によっていろいろやっておられますが、私はそういう解釈はこじつけの解釈だと思う。それなら、法律学者に相談してごらんなさい。それはごもっともだと言う法律学者が日本に何人おるか、私は疑問だと思うのです。やはり食管会計というものがあればこそ、あの会計制度があればこそ、食管法というものができておる。食管会計がなければ、食糧管理法というものがいままで続くはずはない。会計のない食管法というものは何だということになる。あの食糧管理法食管会計というものは、表裏一体で切っても切れない、同じなんです。同一なんです。それで、会計を通さなくても法律だけは通る、そんなものが管理米などというのはおかしい論理だと思うのです。この問題は、いずれ法律学者を呼んで徹底的に検討したいと思いますので、打ち切って保留しておきます。  次に、林野庁、消防庁来ておりますね。——昨日から山林火災が起きておるが、山林火災は年じゅう起きておるわけですが、特に岩手県の山林火災、また青森県でも、宮城県でも燃えておるようでありますが、岩手県の山林火災については民家が二十二戸とかいわれ、二十六戸とかいわれておるが、それぞれ新聞の報道で十分まだ把握しておりませんが、岩手県、青森県、宮城県を含めて、昨日から燃えておる総面積五千町歩といわれておるのですが、実際に五千町歩焼けたのか、その内容はどうなのか、被害額はどうなのか、その発生当時の気象条件、風速が何メートルくらいあったのか、消火作業に携わった人員が何名なのか、こういう現状を林野庁、消防庁ともに報告願いたい。
  41. 片山正英

    ○片山政府委員 火災期を控えまして、林野庁といたしましても、通達をいたしまして、関係局長関係知事あるいは関係団体にポスターを含めまして、火災期を控えての予防を通達いたしておったわけでございますけれども、残念ながら今回大きな火災が発生いたしまして、まことに申しわけないことと思っております。  状況につきまして簡単に御説明申し上げますが、五月六日の朝七時十五分、岩手県九戸郡山形村関国有林というところから発生いたしまして、当時非常に雨が降らないで異常乾燥期でございました。なおかつ、われわれの調査によりますと、二十五メートルの風速の強風があったために非常に燃え広がりまして、六日の夕方には自衛隊の御出動もいただきまして消火につとめたわけでございますけれども、きょうの早朝の被害は、われわれなりに判断いたしますと、約三千ヘクタールというふうに一応調査いたしております。その中で国有林が二千ヘクタール、民有林が一千ヘクタールという大きな数字でございますが、大体そのような被害であろうと思います。なおまだ延焼中でございます。  それに対する対策も、いま打ち合わせておりまして、ヘリコプターによる消火ということを、いま計画中でございます。  なおまた民家につきましても、これはわれわれなりの調査でございますけれども、十九戸全焼をいたしました。まことに残念でございますが、以上のような状況でございます。
  42. 柴田健治

    柴田委員 消防庁の川島調査官、その山形村の山林面積は、国有林、民有林含めてどのくらい持っておるか、それで戸数は幾らで団員数は何名か、答弁してください。
  43. 川島巌

    ○川島説明員 いま御質問の件につきましては、実は速報を受けておりますところでは、国有林、民有林の面積は、まことに申しわけございませんが、現在把握しておりません。  それから、消防団員の総数は現在調査中でございますが、出動団員は二百二十九名で消火作業に従事いたしております。  なお、可搬式動力ポンプ十一台、それから、現在自衛隊へ応援要請をいたして、隊員四百九十二名の応援を受けております。
  44. 柴田健治

    柴田委員 それは消防庁怠慢だと思う。山形村の山林面積が幾らあって、戸数が幾ら、消防団員がどのくらいおる、そうして応援体制はどうするかというぐらいのことは、こっちにおってもすぐわかるはずですよ。三千町歩の山林火災を起こして、風速何メートル、そうした場合に、山形村の消防団員が何名しかおらない、それではだめだ、どういう手配をして応援体制をとらせるかというぐらいのことはできるはずですよ。いま数字がわからないというのはおかしいじゃないですか。その程度のことは、これは常識の問題ですよ。これは生活の知恵ですよ。そういうことがわからないで、応援体制なんかとれるはずがないじゃないですか、基本的なものがわからなくて。  それから、私はこの前にも、山林火災についての基本的な対策は、消防庁も林野庁もともにやれと言うて強い要求をして、対策を講じますと答弁をいただいたことをよく記憶しておるのですよ。それが、この火災が起きて民家まで焼くような大火になって、この責任はだれが持つのですか。焼けたら焼けっぱなしであとは知らないというのですか。林野庁長官、どうですか、この罹災者に対する対策をどうするか、この点についてお答え願いたい。
  45. 片山正英

    ○片山政府委員 森林火災の現状に対しましては、ほんとうに申しわけないと思うわけでございます。ただ、原因がどうであったかというようなことも、現在調査中でまだ明確でございません。そういう点も調査いたしまして、被害を受けられた民家の方々等につきましてはおわびを申し上げるほかございませんが、その対策等につきましても、関係省とも打ち合わせしまして検討してまいりたい、かように思っております。
  46. 柴田健治

    柴田委員 日本の場合は、国土の六八%を持っておる山林原野ですから、火災が起きるたびに申しわけない、申しわけないと言うたのでは切りがない。起こさないことが大事なことなんです。特に日本列島は長くて、フェーン現象で異常乾燥が起きる、そういうことで毎日気象予報が出されておるが、そのときにおけるその地方の営林局の管内の国有林、民有林を含めて——国有林だけ気をつけたってだめなんで、民有林を含めて、全体がそれぞれの責任の分野で警戒をしなければならぬし、啓蒙活動もしなければならぬ。要するに、予防活動をしなければならぬことは当然のことなんです。それから、異常乾燥の出た場合にはどういうことをやるのか、それぞれの機関にどう呼びかけておるのか、そういう具体的なことは、毎年同じことばかりやったって——これは毎年同じことをやっておるから火災が絶えないので、火災の絶える方法、防止する対策についての考え方というものを、ひとつ明らかにしてもらいたいのです。
  47. 片山正英

    ○片山政府委員 異常乾燥期あるいは強風等につきましては、いろいろ火を扱う場合の注意ということは、実は再三それぞれの人に指導しておるわけでございますけれども、やはり各人が注意を願うということが、一つの大きな問題だと思っております。しかし、それらを含めて今後どういう形で防止するかということにつきましては、昨年の五月に消防庁とお打ち合わせいたしまして、林野火災対策研究会ということで、林野庁の担当課長、消防庁の担当課長等々の研究会をつくりまして、それらの問題を解明し防止するということで、いまいろいろ検討しておる段階でございます。  今回の問題はまことに申しわけございませんけれども、さらにこれらの問題に真剣に取り組んでいきたいと思いますが、要は、やはりそれぞれの人が注意していただくということを、いかに徹底するかということだと思います。今後とも努力してまいりたい、かように考えます。
  48. 柴田健治

    柴田委員 林野庁長官にお願いしておきたいのですが、消防庁の川島調査官もお見えになっておりますが、私たちがいつも不満に思いますことは、消防力の基準なんですね。町村の消防力の基準について、民家の戸数、それからポンプの台数、大型、小型、たとえば可搬動力については七名という基準、大型なら九名だという、そういうポンプの基準だけで団員数を設けるという運営基準を示すところに、私は大きな誤りがあると思う。山林面積をたくさん持っておる町村は、財政需要額の中でもう少し団員数を大幅に認めるべきだ。実際問題として山林を持っておる町村は困っておるのですよ。山林面積を一つも消防力の基準の中に入れてない、そもそもそこに不合理がある。これを何回言うても国は直そうとしない。たとえば民有林、国有林を含めて一千町歩の山林を持っておる町村は、民家の戸数なり住民数において、また消防の機械器具によって団員数をきめていく基準を出すということは非常に大きな誤りがある。この点について、林野庁や消防庁は今後この問題をどう改善するのか、ひとつ考え方を明らかにしてもらいたいのです。
  49. 川島巌

    ○川島政府委員 ただいまの件でございますが、消防力の基準は、ただいま先生のおっしゃるとおり、機械器具の一台当たりの定員数でもって消防団員数をきめておるわけでございます。従前消防団につきましては、消防団運営基準というものがございましたが、これが、現在の消防力基準に統合されました際廃止されまして、現在そのままになっております。消防力の基準につきましては、当庁の通達によりまして、本基準は一般の市街地について最小限度の消防力をきめるべきである、なお林野あるいは水害、こういうものにつきましては、それぞれの市町村の実情に応じて適宜団員の整備充実に当たってくれ、こういうような指導で現在やっておるわけです。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕  これにつきまして、現在消防団員が過疎地域におきましては逐次減少しておる、こういうような状況とからみ合わせまして、消防団の運営基準というものを設定いたしまして、そうして、ただいまおっしゃるような面を含めましてはっきりした線を打ち出すという点の検討を、現在行なっておる段階でございます。
  50. 柴田健治

    柴田委員 やや前進するようなお答えを聞いたのですが、われわれはもう長年、特に過疎地域における消防団員の確保について、それぞれ悩みを持っておる。同時にまた、山林を持っておるところはたいへんな心配をしておる。それは風速がないときにはよろしいが、風速があった時分には、山林火災はどこへ飛び火するかわからない。そうすると、やはり人が要るのです。そういうことを考えた場合に、いままで長い間の消防力の整備充実に伴って、団員数は機械器具のみにこだわってきたところに、私は山林火災が——これはもうポスター張ってどんなに宣伝したってだめです。山林をたくさん持っている地域については、それぞれの消防団員が異常乾燥期、要するに春先といわれる非常に火災が発生する時期においては、山林でも予防査察ができるように、そういう体制をつくるべきじゃないか、こう私は思っているわけです。私も消防団員を三十八年やってきているのだから、経験して知っているから申し上げる。これを何回国に申し上げても、一つも考え方を変えてくれないから、私たちはやかましく言っているわけです。  今度の火災を見ていると、もう最小限度に食いとめるときがあるはずです。食いとめる限界がきておるのに、風速だとか何とかいってもう手おくれになっているのです、現実には。この手おくれの責任というのは、国の重大な責任だと私は思う。  林野庁長官、この中で天然林が何町歩あるのか、植林をしておるのが何町歩あるのか。
  51. 片山正英

    ○片山政府委員 実は、詳細な調査がまだできておりませんけれども、感じで申し上げては失礼かとは存じますが、大体天然林が中心であろうか、かように思っております。
  52. 柴田健治

    柴田委員 林野庁長官、一応火災がおさまって、実態調査されて、被害額その他含めてその内容と、それから処置をしたことについて、ひとつ報告を願いたい。これをお願いをして、あまりやかましく言っても気の毒だから、これで終わりたいと思います。
  53. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 美濃政市君。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 美濃政市

    ○美濃委員 最初にお尋ねしたいことは、農業のパリティ指数の上昇は、農林省当局としては、一体何に原因があると考えておりますか、これをお尋ねいたします。
  55. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 主管の統計調査部長が来ておりませんので、すぐこちらに呼びますから、それまでちょっとお待ち願いたいと思います。
  56. 美濃政市

    ○美濃委員 それではその問題はあとに残します。  次に、これから各般の、麦類、でん粉、あるいは八月には米価、こういう政府の買い入れ価格あるいは支持価格、こういうものが決定されていくわけですが、その段階で、過般てん菜の価格決定にあたって資料が出ておるわけです。これはてん菜に限らぬわけですが、この間出た資料の例を申し上げますが、価格決定の参酌事項にある四十三年度トン当たり生産費五千六百十二円、こういう資料が、これは蚕糸園芸局から出まして私どもの手元に来たわけです。ところが、家族労働費四十五・八時間に対して六千六百十九円という、統調が調べました集計戸数百戸当たりの生産調査の中で計算されて、これが生産費だという一応の資料が出ておるわけです。これはけしからぬということで調べてみたところでは、本省のほうから、その地域の雇用労賃で計算をして出せ、こういう指示が行っているわけですね。しかも、こういうことがたびたびあるのですが、どうしてこういう指示をしておるのか。  たとえば、てん菜についてこれを申し上げますならば、六千六百十九円、しかも四十五・八時間ということになれば、大体一週間の労働ですね、十アール当たり。それが六千六百十九円ということになると、これは雇用労賃というけれども、現実には北海道地域では、この単価ではいわゆる臨時雇用も雇えないわけです。現実の雇用労賃というものは、この単価をかなり上回っておるわけです。それが生産費だ、こういう全く農業を無視したところの——これが雇用労賃であれば、これは即生計所得ですから、一ヘクタールつくって六万六千百九十円。米はどうですか。いろいろのとり方もあるけれども、十アール当たり四万以上の家族労賃は米価では一応見られておる。一ヘクタールで六万六千百九十円、十ヘクタールつくっても六十六万で、標準世帯の生計費にはまだ足らぬです。生活保護基準ぐらいなものです。どうしてこういうでたらめな計算をやらすのか、これをわれわれは了解できないのです。こういう生産費を、いやしくも資料として出すということは断じて了解できない。
  57. 小暮光美

    ○小暮政府委員 御承知のように、統計調査部が生産調査といたします場合には、労賃の評価を農村賃金の調査に基づいていたしておるのが、これまでの統計の仕組みでございます。それに従ってやっておるのでございます。
  58. 美濃政市

    ○美濃委員 しかしそれは、従来それでやっておる方式というものが正しいと考えておるのですか。これははっきりしていただかぬと、これからも問題になってくるわけです。そういう評価のとり方が正しいのかどうか。少なくともそれを資料として提示するということは、今後農業経営上、農家経済上、しかも農林省の正式資料ですから、私ども許されないと思うのですがね。
  59. 小暮光美

    ○小暮政府委員 ただいま統計調査部の行なっております生産調査の方式は、いま御指摘のような形でございます。これは、確立した一つ生産費の調査方式であるというふうに考えております。
  60. 美濃政市

    ○美濃委員 これは政務次官にお尋ねしたいのです。確立した方式を言いますが、農家が生計所得を得られないような、そういう実情に合わない方式をどうしていつまでも採用しておるのか。
  61. 小暮光美

    ○小暮政府委員 農産物の生産調査に、農村における賃金水準を使用するということは、生産費の算定の方法として一つの確立した方式であるというふうに考えております。  ただ、価格政策を実際に行なうにあたりまして、この生産調査をどのように読むかという段階には、御承知のように、当該価格政策の意図するところ、政策の目的に照らしまして、別途これを米価の場合のように置きかえて読むというようなことはございますが、生産調査のあり方として、農村賃金を生産調査に用いるということは、一つの確立した方式であるというふうに考えております。
  62. 美濃政市

    ○美濃委員 これは確立した調査方式であり、間違いないとあなた方は考えておるのですか。それはむだになるのですね。それできめられた生産費は、これで十分だといって価格がきまったわけではないですね。そういういわゆる修正しなければならないような調査を、なぜ指令を出してやらしておるかというところに私は問題があると思うのです。そういうことで農業経営ができるものでもなし、なぜそういう実際にそれが即資料として使われないものを正しいと考えて調査するか。正しくない根拠をもって調査をして、この調査はいつも修正され、その修正をめぐって論議がかわされる。こういう調査のあり方が正しいかどうか。
  63. 小暮光美

    ○小暮政府委員 繰り返しになりますが、価格政策の意図するところが、それぞれ政策ごとに異なりますから、どのような判断で価格をきめるかということは、それぞれの政策目的に即して判断すべきことであると思います。  ただ、かりに生産調査そのままの数字で価格が決定されない場合であっても、やはりある約束ごとで、年々調査いたします生産調査を時系列で比較して、前年に比べてどれだけ生産費が増高したか、あるいは生産費の増高の度合いが、前年との対比で多いか少ないかということは明らかに看取できるわけでございます。統計の作成の仕組みとしては、先ほど来申し上げておりますことが、近年確立した一つの方法であるというふうに考えておるわけでございます。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 約束の時間ですから、ちょっと中断いたします。      ————◇—————
  65. 丹羽兵助

    丹羽委員長 農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑はすでに終了いたしております。  これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。森義視君。
  66. 森義視

    ○森委員 私は日本社会党を代表いたしまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なおうとするものであります。  現在、わが国の農業と農政は大きな転換期を迎えております。それだけに、わが国農村の中核的団体である農業協同組合の持つ使命と責任は、まことに重大なものであります。  しかるに、最近の農協の運営状況を見ますと、農協本来の使命と遊離し、もうかることなら何にでも触手を伸ばすという方針で、安易な仕事のみと取り組む営利追求団体であるとの批判が各地に高まっております。また、役員の選挙にあたっては、供応、買収は公然化しており、さらに零細農民から集めた農協資金にかかわる不正事件は、農林省が把握したものだけでも、昭和四十二年度において百一件、その金額は四十億円にのぼり、これが昭和三十四年以降の数字は、不正件数が実に千八百七十九件、その金額は約百億となっており、この種事件はなおそのあとを断たない実情にあります。  このような農協の現状に対し、内外からきびしい批判がなされるのは当然であり、特に農村の青年層は、農協の現状に大きな不満と失望を抱いているのであります。端的にいって、現在の農協組合員の意思が十分に反映される運営がなされていないと指摘せざるを得ないのであります。  また、政府が食管法を無視して、いわゆる自主流通米制度の発足に踏み切ったことに対して、農民食管制度がなしくずしに崩壊するのではないかと大きな不安と動揺を来たしているのでありますが、中央農協幹部の一部が、このような農民の意向を無視して自主流通米制度の発足を容認したことなどは、まさに、組合員の意思を無視した幹部の独断的な行為といわざるを得ません。これらのことは、法改正以前の問題として、政府において指導を行ない、適切な措置がなされるべきものであると思うのであります。  われわれも、最近の農業や農村の変貌に対応して、農協法の改正を行なう必要性を認めているわけでありますが、今回の改正案は、われわれの期待するものとは大きな差異があり、質疑の過程で明らかになったように、農村、農民の要望とかけ離れた御都合主義的な法案であります。  具体的には、まず、農業協同組合連合会の会員に対して、一会員一票制の原則に対して特例を設けようとしていますが、たとえそれが例外的措置であるといたしましても、特定の会員に議決権等が過度に集中するなどの事態を招き、はたして連合会の民主的管理運営が確保されるかいなかについて、危惧の念を抱かざるを得ないのであります。  またこの改正案は、今後の組合運営に関して、総会にかわる総代会の権限を大幅に拡大しようとしておりますが、このことはまことに重大な問題でありまして、農協運営と組合員の意向が遊離しつつある現状にますます拍車をかけることになり、その運用を誤ると、農協は一部有力者のための団体となり、農民から孤立化することが懸念されるところであります。したがって、このような農協の基本的理念に毛とるような改正には、断じて同意することができないのであります。  また、改正案の中でさらに検討の余地があると考えられるのは、農業経営委託の点であります。  現在の農協に、はたして農業経営受託能力があるかどうかが問題であります。農協に大型機械施設が整備されず、農地の基盤整備等が不十分なまま、ただ政府のかけ声だけで無理に推し進めようとすれば、これは農業経営を混乱におとしいれるだけで、受託経営による農業生産力増大等はとうてい及びもつかないところであります。  政府は昭和三十七年に農協法の改正を行ない、農協の農地信託制度を創設したのでありますが、この結果について見れば、実施以降、約六百ヘクタール程度が信託されたにすぎず、当初政府が意図した経営規模の拡大等には一向結びつかず、ただ単に農林省の机上の作文に終わっている現状であります。  このことは、政府が農業経営並びに農協等の実態を十分把握することなく、またこの事業に対する見通しが甘く、積極的な助成を行なわなかった結果によるものでありまして、今回の農業経営の受託事業につきましても、農林省の確固たる指導と助成措置がなされない限り、単なる画餅に終わる可能性が非常に強いのであります。われわれはこの点を質疑の過程で政府に強くただしたのでありますが、建設的な回答が得られず、単に農協請負耕作の追認措置でしかないことが明確になったのであります。  次に、現在、農協の弱点とされている販売事業体制等の強化については、政府は、当初この点に対し、専属利用契約の強化をはかることによって問題の解決をはかる姿勢を示したのでありますが、法案作成の過程において、公取等の反対意見があったために、何ら措置がされ得なかったのであります。  専属利用契約の強化について、社会党は、事あるごとに政府にその改善策を要望し、今面の法改正でも最も強く期待してきたのでありますが、農林省が公取等関係機関に対し十分納得させることができなかったことは、われわれはもとより、農協関係者の期待を全く裏切ったものであり、農林省の熱意を疑わざるを得ないのであります。  以上見てきたように、今回の政府改正案は、農協の組織管理、事業運営の強化に何ら改善が加えるものではなく、われわれの期待に全く反したものであることが明白であります。政府がもしこのような改正措置で最近の混乱した農協の改善策としてこと足りると考えるならば、これは全く農協の実態を知らないとしかいえず、今後ますます農協農民から遊離した官僚的組織となり、不祥事件等もひんぱんに起こることは明らかなところであります。  政府が当面行なわなければならないことは、まず農協の実態を十分把握すること、農協をして農民に対する最大の奉仕機関たるべき本来の姿に返るよう指導することにあります。  このように見てきますと、法改正の基礎ともいうべき農協の実態の把握と、必要な指導を行なう政府の責任は放置されたままであり、このままで法改正を行なうことは、地盤の弱い土地の建物の上に、基礎づくりしないまま、さらに建て増しをするのにも似て、利少くして弊害のみ多く、所期の目的を達成し得られるとは考えられないのであります。  かかる観点から、この法改正については、日本社会党としては断じて賛成し得ないものであります。  ここに、政府の猛省を促して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  67. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  68. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  69. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この際、本案に対し稲富稜人君外二名より、自由民主党、民主社会党及び公明党の三派共同提案にかかる附帯決議を付べしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。稲富稜人君
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、ただいま議決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案につき、自由民主党、民主社会党及び公明党の三党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年農業協同組合をめぐる諸情勢は厳しさを加え、その役割に期待するところ誠に大なるものがあるので、農業協同組合の組織管理、事業運営等については従来の「協同組合原則」を尊重し、これに準拠してさらに改善を要する面が少なくない。   よって、政府は、左記事項に留意して法律の施行に当たるべきである。      記  一、農業協同組合連合会の「会員一票制」に対する特例については、当該連合会の民主的管理運営を確保することに特に留意すること。  二、農業協同組合が総代会制を採用し、あるいはその権限を拡大する場合には、特に慎重を期し全組合員の意思が十分反映されるよう指導すること。  三、農業協同組合事業運営に当っては農業生産面に重点をおき、これが充実強化について適切な指導援助を行なうこと。  四、農業協同組合の適正な事業運営を確保するため、役員がその使命を自覚し、責任体制を確立するとともに、特に農業協同組合本来の目的を逸脱するような営利的行為をなさないよう指導監督を強化すること。  五、農業協同組合関係不正事件の多発している実情にかんがみ、今後農業協同組合の組織管理、事業運営の改善につき指導体制の強化に努めるとともに、特に行政庁による検査体制の強化拡充を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議をされておりますので、御承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願いいたします。
  71. 丹羽兵助

    丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  稲富稜人君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  72. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。保利農林大臣臨時代理。
  73. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、指導運営に誤りなきよう万全を期してまいりたいと存じます。     —————————————
  74. 丹羽兵助

    丹羽委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  76. 丹羽兵助

    丹羽委員長 引き続き農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。美濃政市君。
  77. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは次に、畜産の問題について若干質問いたします。  さきに「農産物の需要生産の長期見通し」これを出しておりますが、牛乳の総需要につきまして、どういう考え方でこれから対策を進めようとするのか、その展望をお聞かせを願いたいと思います。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
  78. 太田康二

    ○太田政府委員 先般発表いたしました需要生産の長期見通しにおきましては、たしか五十二年度で二倍近く伸びるという想定をいたしておるのでございまして、現在の消費それ自体が非常に低うございますので、まだまだ需要は相当大幅に伸びるというふうに考えるわけでございます。  そこで、実際問題といたしまして現在の実情を見てまいりますと、昨年来の短期的な問題とは考えておりますが、やや需要が頭打ちになっておるというような傾向もございますので、今後は飲用乳化の促進ということに特に力を入れまして需要の増進をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 美濃政市

    ○美濃委員 飲用乳の消費増大対策だけで、私は八百万トンの需要になるかどうかちょっと疑問を持つわけです。乳製品関係に対する今後の見通しと対策、それから片や国内の生産体制の振興はどういうふうに持っていくか、これをあわせて伺いたい。
  80. 太田康二

    ○太田政府委員 乳製品につきましては、飲用乳と違いまして需要の伸びがやや低いわけでございますが、これも着実に伸びておるのでございまして、そういったものを含めまして、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年度におきましては一・九ないし二・一ぐらい伸びるであろうという想定をいたしたのでございます。ただ、乳製品につきましては、いろいろこれと競合するものも出てきておるのでございまして、これらとの関係をどう調整してまいるかというのが、今後の問題であろうかと思うのでございます。  それから生産の問題でございますが、昭和四十三年度の生産調査でも明らかなように、酪農につきましては、乳量の増大あるいは乳価の上昇等に伴いまして非常に所得が上昇いたしております。なお多頭化も進んでおるというような実情でございまして、今後そういった意味での構造政策、この点に特に力を入れまして、生産性の向上をはかるような方向で酪農の振興をはかるべきである、かように考えております。
  81. 美濃政市

    ○美濃委員 振興対策はあとから申し上げますが、その見通しを立てた総需要に対して国内生産をどこまで持っていこうとするのか。いわゆる八百九万九千トンというこの需要見通しについて、あくまで五十二年までに生産をここまで振興するという政策を持つのかどうか。
  82. 太田康二

    ○太田政府委員 われわれといたしましては、当然この生産を達成するように、今後酪農政策を進めてまいるという所存でございます。
  83. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、これは私の考えですが、先ほどお話しのありましたいわゆる飲用乳の伸びというのは、だんだんとこれから十年間伸びていくものを率で見ることはどうかと思うのです。大体飲用乳が年量三十万トン伸びるという推定を立てますと、五十二年差での九年間で大体二百七十万トン。昨年は四百十二万トンの生産で、いろいろ原因もありましたけれども、とにかく過剰になりました。事業団が買い入れをして、消費を繰り越しておるというのが現状だと思うのです。そうすると、四百万トンプラス二百七十万トンは六百七十万トン。私の推定ですが、飲用乳の伸びだけで六百七十万トンです。乳製品関係は、先ほど局長のお話にありましたように、代替物の需要が非常に伸びてきておる。この関係を輸入量の規制とあわせてやらなければ——確かに総需要量は、そういうものを含めれば八百九万九千トンになる。私は大体この推定量でよろしいと思うのですけれども、ただ、国内の酪農生産を八百九万九千トンに振興する、それを総需要量として消化するということになれば、今後も起こるであろう輸入乳製品に対する規制の問題、代替乳製品の規制の問題、この二つをやらなければ、いまの政策そのままで国内産乳に対する牛乳、乳製品の需要が八百九万九千トンになるとは考えられないのです。この点どうお考えになるか。
  84. 太田康二

    ○太田政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる酪農振興のために異種脂肪を規制したらどうかというお話、御意見としてはしごく御趣旨ごもっともだと思うのでございますが、さればとてこれを全部規制すると申しましても、それぞれの固有用途もあるわけでございますので、規制もなかなか困難であろう。もちろん家庭用のマーガリンとか業務用のマーガリンの一部が、価格差の関係でバターに置きかわるという傾向は明らかにあるわけでございまして、世界的にもこの問題が大きな問題となって、EEC等で取り上げられていることも承知いたしておるのでございますが、いずれにいたしましてもわが国の場合におきまして、マーガリン、ショートニングの原材料の輸入が自由化されておるという現状でございまして、これをいまにわかに規制するということは、国際的に毛なかなかむずかしい問題であろうというふうに考えるのでございます。  それでは、一体そういったことを規制しないままで乳製品の需要が達成されるかというようなお話でございますが、この点につきましては、いろいろ困難な問題はあろうかと思いますが、いま申し上げたような事情も一方にあるわけでございますので、今後生乳を含めましての消費の拡大という点につきまして特段の努力を払ってまいりたい、かように考えております。
  85. 美濃政市

    ○美濃委員 私の考えは先ほどちょっと申し上げたのですが、生乳用途の拡大では限度があると申し上げた私の見方に対してはどうですか。代替乳製品や輸入に押されて国内産乳製品は現状のままと推定した場合、本年度の需要量に対して、生乳用途の拡大だけで伸びる総需要量は七百四十万トンくらいじゃないか、こう申し上げておるわけです。いわゆる六百七十万トン、ですから百三十万トンくらいの量については、かなり多くのショートニングあるいはマーガリンが出ておるわけですから、これは固有用途があるということも承知しております。それはもう衛生試験所でやっておる乳脂肪換算というものは適確ではないですけれども需要としてはバター並みという原則で、バター並みで乳量換算なんかしてみると、かなりの量のものがいま出ておるわけですが、それを全面的に規制するのでなくても、たとえば、四十三年度におけるチーズあるいは学校給食その他乳製品と乳糖関係、これだけでも約七十万トン近い輸入になっておるわけですから、そういうものを全然規制しないで、ただ飲用乳の消費拡大だけでは、これから九年後の五十二年に八百万トンをこえる需要にはならないと私は思うのです。どうしてもこの関係を整理しなければならぬ。国内産乳が伸びてくれば、まず当面の輸入は、たとえばチーズから始まって、輸入品に対する規制措置はどうしていくのか。これをしなければ、酪農振興、酪農振興といっても、酪農振興はそういう措置をしないではできない。  たとえば、米作の転換に牧草を植えるとして、牧草を植えれば、これは酪農振興につながるわけですから、そういう政策はとっていかなければならぬと私は思うのです。この八百万トンの総需要需要はこうなると思いますから、その需要に対する国内産乳が順調に消費されていく体制ですね、そのためには、まず当面、輸入乳製品や乳糖をもっと規制していく。国内産乳の伸びと並行して、供給が不足するような規制はせなくてもいいのですが、伸び率に対する規制措置を適確にしていく。そういうことが行なえれば、そうして八百九万九千トンになるであろう需要に対して、国内産乳でそれを調達していくという政策が確立すれば、農家が納得する一部地域では、米作転換が酪農にかわる面が、十万ヘクタールやそこら牧草地になっても、それだけの需要拡大は大体推定できます。その裏づけ措置をきちんとしていくならば、一部の米作転換を、その立地的条件から希望する地域があれば、ある程度牧草を植えて酪農にかわる政策をとってもいいのではないか、こう思うのですね。その点をどうお考えになっておるか。きちんとしておかなければ、これは過剰生産を起こす危険性が出てくるわけです、このままで推移していくと。  さしあたり本年度をどう考えておるか。去年の実績並みでいけば、本年も事業団でかなり乳製品を買い上げなければいかぬのです、去年の消費が実績どおりと推定すれば。限度数量は百三十五万トンときめたわけです。去年はアウトサイダーを入れて百二十万トンちょっと切れる処理で、御存じのような事業団買い入れをして消費を繰り延べしておるのですから、去年よりもさらに十五万トン以上指定乳製品を確保していけば、去年と同じ状態で推移するということになると、これはかなりの乳製品をことしもまた買い上げなければならぬ。そうすると、これは需給関係はおかしくなってくるわけですね。先の見通しと、さしあたり四十四年度の需給対策は、行政指導としてどうするのか。私は、できるだけ余らないようにしなければならぬと思うのです。事業団の買い入れは避けるべきである。事業団が買い入れしなければならぬような需給操作の行政指導ではまずいと思うのです。買い上げしなくてもいいように行政指導をやらなければならぬ。乳製品は、御存じのように、貯蔵経費も穀物より高いのです。たとえば、農安法によってでん粉を買い上げたような貯蔵経費では、乳製品は貯蔵できないわけです。この点をどうお考えになるか。
  86. 太田康二

    ○太田政府委員 四十四年度の需給の見通しにつきましては、先般の畜産振興審議会でも御説明を申し上げたのでございますが、先生の推定された数字も、私、実は手元に持っておりまして、先生の見方だと、われわれの考えておりますより、生乳の生産量で約十万トン余分にお考えになっておられるようでございますし、指定乳製品につきましては、消費が伸びないというか、昨年度の数字をもとにされて、過剰が出るというようにおっしゃっておられるようであります。われわれ、昭和四十三年度におきましては、指定乳製品の消費が百二十一万トンというように見ております。先生の場合はたしか百十万トンだから、ここに十万トンの差がございますし、生産で十万トンの差があるというようなことで、そこらあたりが数字の食い違いということになろうかと思うのでございます。  そこで、われわれといたしましては、先ほど来御意見にもございましたように、乳糖等の規制をどうするかという問題もあるわけでございまして、乳糖につきましては、御承知のとおり昨年の八月から、従来AAであったものをAIQというふうに変え、そうして、各関係官庁で用途の確認を行なうということを実施いたしております。これらの効果もございまして輸入量は減じておりますし、一方、国内の生産が非常に伸びたというようなこともございまして、いま申し上げたような動きも出てきておるのでございます。  なお、チーズ等につきましても、やはり将来国産化の方向を当然検討しなければならないだろう。現在のように、ほとんどが輸入のナチュラルチーズに依存するというようなことのないような方向に持ってまいらなければならないだろうというふうに考えておるわけでございまして、特に四十四年度におきましては、昨年の経験にもかんがみまして、生産者、乳業メーカー、それと末端の小売り、三者合わせまして、やはり消費の拡大ということに真剣に取り組んでまいりまして、ただいま先生のおっしゃったような、買い上げというような措置が起こらないように指導してまいりたい、かように考えております。
  87. 美濃政市

    ○美濃委員 ここで確認しておきますが、それは自信がございますか。見よう見方ということもあるから、私の言っておるのと十万トンの差は、私の見方を固執はいたしません。だが、局長みずからのいまの御答弁でも、指定乳製品の消費見込みは百二十万トン。百三十五万トンの限度数量が製造された場合には、生乳にして十五万トンの乳製品が余るという問題が出てくるわけです。これは絶対余らせないという確信ある答弁がここであれば、それで一応了解したいと思います。
  88. 太田康二

    ○太田政府委員 私が、百二十一万トンと申し上げましたのは四十三年度の数字でございまして、四十四年度は百三十三万トンくらいの指定乳製品の需要があるであろうというふうに考えているのでございまして、現段階におきましては、われわれは最善の努力を尽くしまして、少なくとも需給が緩和されてだぶつくというようなことのないように消費の拡大につとめてまいりたい、かように考えております。
  89. 美濃政市

    ○美濃委員 どうも時間がありませんので、いずれまたその推移を見て、追ってお尋ねしたい時期が出てくるだろうと思います。  次に、単純にお答えを願いたいと思いますが、牛肉が非常に下がっております。これも「農産物の需要生産の長期見通し」の上に立って、牛肉の生産はかなり継続して振興させていかなければならぬのですが、ここで、価格安定制度に牛肉を追加するという方法をとるべきだと思うのですが、これに対するいまの見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  90. 太田康二

    ○太田政府委員 確かに、最近におきまして牛肉の卸売り価格が下がっておるということがあることは事実でございます。ただ、御承知のとおり、従来牛肉につきましては非常に値段が騰貴いたしまして、むしろ抑制をしなければならないだろうということが強うございまして、政策的要素といたしましては、むしろ価格支持政策の必要性ということが、比較的薄かったのではないかというふうに考えておったのでございますが、確かに、最近事態がやや変わってきておることは事実であります。  しかし、牛肉につきましては、先生も御承知のとおり、豚肉と違いまして典型的な周期変動があるというわけでもございませんし、それから、各個体別に非常に差がありまして、豚肉におけるような価格安定制度の対象にするということは、実際問題としてはなかなか困難ではないかというふうに考えております。  そこで、現在進めておりますことは、やはり繁殖育成部門に政策の重点を置くべきであるということで、繁殖育成部門に対するいろいろな助成をいたしておるのでございますが、さらにそれに加えまして、子牛の価格の安定をはかることが必要であるということでございますので、主要生産県におきましては、約十県ほどでございますが、現在畜産振興事業団が出資いたしまして、子牛の価格の安定基金制度を設けておりまして、いわゆる繁殖農家が安心して生産に励めるような措置も講じておるのでございまして、これらを通じまして現在生産振興をはかっておるのでございまして、いま直ちに価格の支持政策をとるということは、なお検討を要するのではないかというふうに考えております。
  91. 美濃政市

    ○美濃委員 これは生産量が増加して、検討すべき時期が来れば検討するという考え方ですか。全然これはもう検討に値しないと考えておりますか。
  92. 太田康二

    ○太田政府委員 実は、肉牛の振興対策というのは最も困難な問題でございまして、世界的に見ましても、肉牛が不足するという傾向があるわけでございますので、われわれは、あくまで基本は国内の自給でいきたい。  そこで、いま先生から具体的な中身をお伺いできなかったのでございますが、価格支持制度をとるのか、あるいはほんとうに将来振興していくためには生産費の補助をするのか、いろいろな方法があろうかと思います。いま、現在の段階におきましては繁殖育成部門に最も力を入れていろいろなことをやっておりますが、その政府効果も出まして、四十三年の二月現在では、前年度の百五十七万から百六十六万七千頭にふえたということで、また、近く発表になります四十四年二月一日現在の飼養頭数もふえておると思います。これらの傾向を見つつ、さらに政策を強化する必要があればまた考えたい、かように考えております。
  93. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、乳牛、肉牛を含めて、まだ基盤なり、あるいは飼育条件なり、それから草の質なり、こういうものに、大型酪農地帯は別といたしまして、北欧と比較してもかなりの後進性があるわけです。これはやはり、たとえば草地あるいは草の品種——牧草も品種改良が必要だと思うのです。日本の立地条件、気候、風土に適応した、こういう試験研究というものが、他の農作物の面はかなり進んでおるけれども、やはり依然として、特に草の改良に対する試験研究というものが非常におくれておる、こう思うのです。こういう関係をどういうふうにこれから進めていくか。  たとえば、そういう条件からくる乾乳牛あたりも、先進酪農国に比較すると、そういう関係から乾乳牛の頭数も多い。乾乳牛の頭数の多い原因は、やはり技術の低劣さもあるでしょうけれども、飼料関係にも大きな影響がある。こういう点を改善しませんと、乳価からいうならば、いま北欧地帯、あるいは最近調査をしてみますと、加工原料乳価の本年きまった保証乳価とアメリカの乳価を比較してみても、アメリカもそうコストは安くないようですね。それから西欧諸国も、デンマークはちょっと安いようですが、その他の国というと、大体本年度の保証乳価と同じくらいの価格で推移している。しかし、その中で生産基盤や何かが非常に進んでおりますから、経営そのものは日本の酪農と違ってずいぶん安定しておる。乳価は同じで安定しておるということは、生産体制が非常に進んでおると私は思うのです。これはやはりこれからの政策で、それを同じ条件にしなければならぬのですが、もうそろそろ来年の予算の編成期に入ると思うのですが、こういう面に対する政策の強化をどう考えておるか。
  94. 太田康二

    ○太田政府委員 畜産関係の試験研究につきましては、先生が御指摘のとおり、確かに歴史が浅いというようなこともございまして、他の耕種部門に比べますと非常におくれておるということは、残念ながら事実でございますので、われわれは、今後におきまして農林水産技術会議ともよく連絡を密にいたしまして、現実の行政需要に応じた試験研究の拡充強化という点につきましては、特に力を入れてまいりたい。  牧草につきましては、私のほうの種畜牧場で、それぞれ十勝、長野それと熊本の牧場を整備いたしまして、将来それぞれの地域に適合した原々種、原種の育成ということに力を入れてまいりたいと考えております。  それから、来年度の予算の問題のお尋ねでございますが、まだ具体的な作業には入っておらないのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、やはり生産、加工、流通、構造、各般にわたった政策を強化してまいるということが基本であろうかと思いますが、いずれにいたしましても構造的な改善が、肉牛を除きましてはかなり進んでおりますので、これらを一そう助長いたしまして、生産性の高い畜産経営ができるように、そこに重点を置きまして施策を進めてまいりたい、かようなことを基本的な態度として明年度の予算に取り組みたいというふうに考えております。
  95. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に申し上げておきますが、これから各段階の支持価格の決定その他が行なわれるわけですが、生産性の向上も全然ないわけではありませんけれども、先ほどから申しましたように、これは蚕糸園芸局所管の問題でも同じですが、パリティ指数の上昇原因を聞いたわけですが、これは答弁がないわけです。この原因は農民の責任ではないと私は思うのです。農業のパリティが上昇していくというのは、単に農業をやっておる者の責任ではないので、政策上からくる問題であります。確かに、たとえば牛乳価格でいえば、保証価格で不足払いも出しております。補給金も出しておりますけれども、これは先ほど言ったように、いまだそれで完全に経営が安定していない。同じ価格であっても、先進酪農国から見ればかなりの生産条件の格差がある。飼育技術の低劣もあるのでしょう、歴史も短いですから。  そういうことでありますから、どうしてもこれから行なわれる各段階の価格支持政策は、パリティだけはやはりアップをしなければならぬと思います。  そのためにどういうことが起きておるかというと、これはひとつあとからでも私は調査要求をしたいと思っておりますが、北海道の畑作地帯を一回調査してもらいたい。私の言っておることは間違いないのですが、北海道の畑作地帯の専業農家は、ことし大体一割の離農です。私の地元の全部の村とは言いませんが、一、二の村はもう荒廃してきました。大体百五十ヘクタール、二百ヘクタール集団離農してしまって、土地を買う者もなければ耕作する者もない。農民は経営拡大なんか意欲を喪失してしまいました。こんなことでは全然政策についていけない。だから、こんなことを言っておるうちに、北海道の畑作農業の一部は崩壊してしまってきたわけです。  これはひとつ政務次官に言っておきますが、農政局でもどこでもいいですから、現実にことし荒廃しますから、そこで一ぺん調査に出してくれませんか。私はないことを言っておりません。現実に農業が崩壊し出したということです。やる者がいなくなってきた。片や基盤整備だとかなんとか、大規模草地づくりとかなんとかいっておりますけれども、りっぱな農地を今度つくり手がなくなってきたのですから、ひどい現象が起きてきたわけですから、農業を取り巻く客観的な変化とかなんとか、そんなことをいってもこれはだめですよ、根本的にやらなければ。それでいいのだ、それが日本の農政なんだ、北海道の畑作なんかもう原野に返ってしまったほうがいいのだというのならはっきり言ってください。そうでないなら、そうならないようにしなければならぬと思うのです。しかし、現実に起きてきましたからね。  きょうは、何か竣工式があるとかいうことですから、これで終わります。あと準備した問題があるのですけれども、いずれ一般事項質問の日にお願いいたします。
  96. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 次回は明八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会