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1969-04-24 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十四日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君       大石 武一君    大野 市郎君       金子 岩三君    小山 長規君       佐々木秀世君    菅波  茂君       瀬戸山三男君    田澤 吉郎君       中尾 栄一君    中山 榮一君       野原 正勝君    八田 貞義君       福永 一臣君    藤波 孝生君       伊賀 定盛君    石田 宥全君       工藤 良平君    佐々栄三郎君       柴田 健治君    芳賀  貢君      米内山義一郎君    神田 大作君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君         海上保安庁次長 林  陽一君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  島村 忠男君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 野津  聖君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小高 愛親君         通商産業省通商         局農水課長  鈴木  久君         日本専売公社副         総裁      佐々木庸一君         日本専売公社総         務理事     黒田  実君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二十三日  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願石野久  男君紹介)(第五〇四五号)  同(帆足計紹介)(第五〇四六号)  同外十三件(広沢賢一紹介)(第五一五六  号)  同外一件(帆足計紹介)(第五一五七号)  同外一件(矢尾喜三郎紹介)(第五一五八  号)  国有林野の活用に関する法律案成立促進に関  する請願外三件(佐々木秀世紹介)(第五〇  四七号)  同外五件(田中正巳紹介)(第五〇四八号)  同外一件(中川一郎紹介)(第五〇四九号)  同外四件(松浦周太郎紹介)(第五〇五〇  号)  同外一件(中川一郎紹介)(第五一六〇号)  同外四件(本名武紹介)(第五一六一号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第五二一六号)  同外二件(地崎宇三郎紹介)(第五二一七  号)  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願外三件(上村千一郎紹介)(第五〇  五一号)  同外一件(門司亮紹介)(第五〇五二号)  同(吉田之久君紹介)(第五〇五三号)  同外三件(天野光晴紹介)(第五〇五四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五〇五五号)  同(大石武一紹介)(第五〇五六号)  同(大野市郎紹介)(第五〇五七号)  同外二件(金子岩三紹介)(第五〇五八号)  同(仮谷忠男紹介)(第五〇五九号)  同外一件(久野忠治紹介)(第五〇六〇号)  同(久保田円次紹介)(第五〇六一号)  同外一件(佐々木秀世紹介)(第五〇六二  号)  同(佐々木義武紹介)(第五〇六三号)  同外三件(菅波茂紹介)(第五〇六四号)  同(中川一郎紹介)(第五〇六五号)  同(西岡武夫紹介)(第五〇六六号)  同外三件(藤枝泉介紹介)(第五〇六七号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第五〇六八  号)  同(秋田大助紹介)(第五一四三号)  同(石田博英紹介)(第五一四四号)  同外一件(大石武一紹介)(第五一四五号)  同(大野市郎紹介)(第五一四六号)  同(加藤六月紹介)(第五一四七号)  同外二件(倉石忠雄紹介)(第五一四八号)  同外四件(始関伊平紹介)(第五一四九号)  同外四件(長谷川峻紹介)(第五一五〇号)  同(八田貞義紹介)(第五一五一号)  同(堀川恭平紹介)(第五一五二号)  同外一件(本名武紹介)(第五一五三号)  同外一件(門司亮紹介)(第五一五四号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第五一五  五号)  同外十件(荒舩清十郎紹介)(第五二三二  号)  同(大野市郎紹介)(第五二三三号)  同外一件(鴨田宗一紹介)(第五二三四号)  同外三件(倉成正紹介)(第五二三五号)  同外三件(小宮山重四郎紹介)(第五二三六  号)  同(佐々木秀世紹介)(第五二三七号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第五二三八  号)  同(坂田英一紹介)(第五二三九号)  同外二件(澁谷直藏紹介)(第五二四〇号)  同(世耕政隆紹介)(第五二四一号)  同外一件(田畑金光紹介)(第五二四二号)  同外三件(地崎宇三郎紹介)(第五二四三  号)  同外十件(坪川信三紹介)(第五二四四号)  同外一件(中川一郎紹介)(第五二四五号)  同(西岡武夫紹介)(第五二四六号)  同外十五件(西村英一紹介)(第五二四七  号)  同(橋口隆紹介)(第五二四八号)  同(藤本孝雄紹介)(第五二四九号)  同外九件(古内広雄紹介)(第五二五〇号)  同(保利茂紹介)(第五二五一号)  同(坊秀男紹介)(第五二五二号)  同(堀川恭平紹介)(第五二五三号)  同外六件(松澤雄藏紹介)(第五二五四号)  同外一件(門司亮紹介)(第五二五五号)  同外三件(渡辺肇紹介)(第五二五六号)  ブリ資源保護に関する請願遠藤三郎紹介)  (第五一五九号)  国有林野事業に従事する作業員処遇改善に関  する請願石橋政嗣君紹介)(第五二一八号)  同外五件(岡田利春紹介)(第五二一九号)  同(工藤良平紹介)(第五二二〇号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第五二二一号)  同(島本虎三紹介)(第五二二二号)  同(千葉佳男紹介)(第五二二三号)  同外五件(内藤良平紹介)(第五二二四号)  同(中井徳次郎紹介)(第五二二五号)  同(成田知巳紹介)(第五二二六号)  同(華山親義紹介)(第五二二七号)  同(原茂紹介)(第五二二八号)  同(村山喜一紹介)(第五二二九号)  同(森義視紹介)(第五二三〇号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第五二三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁業近代化資金助成法案内閣提出第四三号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  漁業近代化資金助成法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 漁業近代化資金助成法案について、同僚議員から融資対象なり金利の問題なり、また、その他関連していろいろ御質問があったわけでありますが、私は角度を変えて、これに関連してお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  まず、こうした制度をつくるという構想が出る前に、もっと日本漁業の実態、そして日本漁業をどういう方向で発展さしていくのかというビジョンというものが必要だ、私たちはそう理解するわけでありまして、そういう立場から考えてまいりますと、こういう融資制度をつくったから直ちに日本漁業がよくなるとは、水産庁のほうもまさかお考えではないと思うのであります。これも一つ方法としては、必要な制度であるとわれわれは認めております。けれども、先般の漁港整備五カ年計画国会承認、あの案件のときにも申し上げたのですが、漁業振興についてのビジョン、要するに振興計画というものが必要であると、私はその点を強くお願い申し上げたところであります。  そのときの御答弁は、早急に漁業振興計画を立ててお示しいたします、こういうお答えをいただいたのですが、その後のこの振興計画に対する取り組みの機構なり、またスケジュール、いつごろこれができるのか、そういう構想をひとつ明らかにしておいていただきたい、こう思うのです。
  4. 森本修

    森本政府委員 この前の漁港整備計画の御審議の際にもお答えを申し上げたのでありますが、漁業に限らず、一般的に施策を進めてまいりますには、長期的な観点に立って一定の見通しを持ちながら、施策を総合的に進めてまいるということの必要性は、私どもも決して否定しておりません。  ただ、若干事務的なことになって恐縮でございますが、そういった将来の展望を策定いたしますには、かなりいろいろな事務的な手続といいますか、そういったことが必要になってまいります。特に漁業関係におきましては、御案内のように漁場なり、あるいは資源なり、いまだ十分明確になっていないといったようなこともありますし、それから、最近特に重要になってまいりました栽培漁業といったようなことについても、技術的な一つ段階としては、まだ非常に流動的であるといったようなこともございます非常に末確定な要素が多いものでありますから、政府として正式にそういったものを確定してまいりますには、かなりな不確定要素、あるいは今後調査、検討しなければならぬファクターが存在するわけであります。そういう問題点を克服しながら、私ども意欲としては、先ほど申し上げましたような形の長期的な展望を持ちたいということには、変わりはございません。そういったものを完成してまいりますには、相当準備が要るというのが、現在の率直な心境であります。  先般もお話がございましたが、私ども庁内におきましてそういうものをやっていく際の方法論、どういう形でやっていくかということについて、もちろん検討はいたしました。そういうような検討を通じて、今後先生のおっしゃるような長期的なビジョンなりあるいは政策の方向なりというものを、打ち立てるように努力してまいりたいというふうに思っております。
  5. 柴田健治

    柴田委員 昨日も大臣からお答えになっておったのですが、海の土地改良をやりたい、基盤整備をしたい、こういう考え方を明らかにせられたのですが、そういう海の土地改良というか、基盤整備をやるという構想は、大臣が言われる限りにおいては、やはりそういうものを織り込んだ漁業振興計画というものを早くつくらなければ、大臣がどんなにそういう表現を使って意思表示をせられても、これは実現をしないのではないかという不安が出てくる。  それから、一方では経済企画庁が新国土総合開発計画を立てて、第四次、第五次、こういうきめのこまかい討議を深めて、もはや具体的にその構想が出ようとしておる。漁業としても、日本の産業の一部分であり、また長い歴史を持っており、そうして日本人の食生活の改善の中で、そういうたん白資源の供給をどういう形で役割りを果たさせていくかに、日本の全漁民に対して希望と夢を乗える一つビジョンというものが、早急に必要だということは万人が認めておる。今日までそういうものを放任したことは、水産庁ひいては農林省全体の責任だと私は思う。私たちが申し上げることの必要性感じておられますが、取り組み方としてはまだまだという感じを受けざるを得ないのであります。  たとえば、今年中にこういう計画を立てて、明年度予算措置については具体的に国会に示していく、こういう姿勢があってほしいと私は思うのです。やはり計画に伴う予算措置というものが必要なんです。そういうスケジュールというか考え方を、半ば具体的に意思表示を願いたいと思うのですが、長官どうですか。
  6. 森本修

    森本政府委員 私どもの気持ちは、先ほど申し上げたとおりであります。たとえば、生産なりあるいは需要の問題にいたしますれば、現在までやってまいりました段階は、水産物需要については、長期的な見通し作業としてはほぼできておる。それに対して生産がどうかということになりますと、従来の生産の推移を単純見通しといいますか、そういう形でやってまいりますと、そういった需要に対しては十分マッチしないといったような形になります。したがいまして、今後相当意欲を出して、どこまで生産を拡大できるかということを、目下内部検討をいたしておるということであります。  それからまた、先ほど漁場土地改良というお話がございましたが、すでに二、三年来の予算で、そういった漁場について土地改良的な操作をすればどういうふうなことになるかということを、予算を組みまして試験的にやっております。そういうことを経ますれば、実行としてどの程度可能になってくるかということがわかると思います。例示をいたしましたようなことで、それぞれの分野につきまして、必要な準備作業を進めておるというのが現在の段階であります。  めどはどうかというお尋ねでございますが、私ども感じとしては、少なくとも本年は沿岸漁業の問題についてできるだけ具体的な詰めを行ないまして、やや長期にわたる今後の沿岸漁業振興のあり方といったようなことについて作業を詰めていきたいというようなことで、いま急がしておるところでございます。
  7. 柴田健治

    柴田委員 せめて沿岸漁業だけでもと、具体的にお答えを願ったのですが、大きな期待を持っておりますから、ひとつ早急にやっていただきたいと思います。  次に、日本水産物生産目標というものが、ほんとうの目標がない。とれたらとれただけでいいんだという、半ば自由放任の形です。どんな統計数字を見ても、一つ生産目標というものがないために、その年度年次における諸条件によって増減はありますけれども、どうも日本水産物漁獲高が伸びていない。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席〕 そのために輸入をしておる。この輸入をする考え方というものが、私たちはどうも理解できない。海国日本、周囲は全部海で、そして漁獲技術なり漁獲高は世界的に相当有名な日本が、輸入水産物ということで、水産物輸入に依存するという度合いが順次ふえてきておる。この数字を見て私たち一つの奇異を感ずるわけです。長い歴史を持ってきた日本漁業は、今日のこの数字を見ましても、四十二年度は一億九千百五十七万三千ドルの輸入総額、四十三年度では二億ドルをこしている。こういう数字を見ますときに、この中には魚粉であるとか、ノリであるとか、エビであるとか、ささやかな数字のものもあります。けれども、順次こういうものの輸入量がふえてくるところに、日本漁業振興計画もないし、生産目標もなし。そういう漁業振興ということばでは使われますけれども、具体的なものがないからこういう矛盾が出てくるんではないか、こういう気がするのです。この輸入水産物がふえる原因、また、しなければならぬ理由、これは品目ごとにいえば時間も相当かかりますから、お答えもできにくいかと思いますけれども、なぜ毎年毎年ふやしていかなければならぬのか、こういう気がするわけです。  たとえば、奇異に感ずることは真珠なんですが、真珠は四十二年度二百二十万ドルの輸入が四十三年度には四百二万一千ドル、倍近くにふえておる。この国会真珠臨時措置法案を出そうとしておるが、輸入真珠は、日本人加工業者が外地に行って、いろいろ技術的操作加工操作ということで、中間段階においていろいろありましょうけれども、こういう数字が出ると一般の国民は、真珠が余って売れないという段階に、四百万ドルも輸入しなければならぬのはふしぎに思う。それはエビにおいてもそうですよ。エビは年々ふえておる。エビ養殖をもっとうんとやらしたらどうなんだ。八千万ドルもエビ輸入しなければならぬという。  これは通産省お尋ねしたいのですが、通産省農水課長が見えておると思うのですが、通産省がかってにこういうことをやるのか、農林省計画的に通産省と打ち合わせをしてこういう輸入計画を立てるのか、どっちなんですか。——通産省が見えていないようですから、あとからでもお答えを願いたいのですが、農林省は知らぬのに、通産省が特定の業者とやっているのか、農林省が主体性を持ってこの輸入をやっておるのか、こういう点を明らかにしてもらいたいと思う。
  8. 森本修

    森本政府委員 輸入についての数点のお尋ねがございましたが、全般的に御指摘がございましたように、最近、水産物輸入がふえておるわけであります。この要因といいますか、ふえてまいりました品物を大別いたしますと、一つとしては、いわゆる高級魚介類というものに属するエビ、マグロその他、それからもう一つ魚粉等飼料用水産物、そういうことになろうかと思います。いずれも国内では非常に需要が増大をしてきておるものでございまして、それに対して生産が必ずしも十分に対応できないというところから輸入がふえてきておる、一口にいえばそういうことであろうと思います。  真珠お話がございました。真珠のほうはちょっと事情が違いまして、現在真珠でもって海外投資をし、あるいは技術協力をする、合弁でやるというふうなものについては、全部一たん日本に持ち帰って日本から輸出をするんだ、そういう形でないと、海外に対する協力投資の許可はいたしておりません。そういうことでありますから、海外でとれたものは、全部日本輸入されるという結果になっております。ただ、国産のものと海外でできるものは、品物なり品質が非常に違いますので、必ずしも国産のものと外国のものと、そう競合するというような形にはならないかと思います。  それからエビにつきましては、確かに輸入の大宗はエビでございます。また、今後国内における増養殖可能性の強いものも、エビがその筆頭に数えられるような状況でございます。御案内のように、瀬戸内海の栽培センターにおいても、最近エビの放流をかなり急速度に始めておる。また養殖関係においても、エビかなり興りつつあるような状況で、私どもとしても、エビ国内生産については相当力を入れておるつもりであります。ただ、輸入ものと国産ものとが完全に品質が同じであるかどうか、そこいらは多少問題があろうかと思いますけれども、大勢としては、御指摘のようにできるだけ国内増養殖に力を入れて、むだな輸入むだなというとおかしいのですが、輸入についてはできるだけ節約してまいるという形で、施策をやっていくべきものであろうかと思います。  それから、手続のことについて御質問がございました、だれが計画するのか。たとえばエビについては、これは自由化品目になっておりますので、別段計画を立て、外貨計画的に割り当てるということではございませんので、先ほども申しました需要生産のギャップが、ある程度自動的に輸入に反映をする、こういう形になろうかと思います。
  9. 柴田健治

    柴田委員 その点、通産省が来てからまたあらためてお尋ねします。  次に、こういう融資制度漁船更新をはかるために、個人もしくは組合、そういうことで融資をする。今日、われわれが日常の新聞報道、そういうマスコミの報道を通じて、お互いに一番頭の痛いことは遭難事故であります。漁船遭難事故を聞くたびに、これは何とか予防措置を講ずべきではないかと思う。それは天災地変で不可抗力の面もございましょうが、この漁船海難事故に対して、事故が起こってからの措置ではなしに、事故が起きない前の予防措置というものをもっと具体的に考えたらどうか、こういう気がいたすわけであります。  たとえば、気象条件即時通報即時連絡ができるような無線機の増設、その辺までも融資対象にして考えるべきではないか。ただ船だけの融資でなしに、そういう備品に至るまで完全に全部融資対象になるのか、こういうこともあわせてお尋ねしたいのですが、とにかく三十九年、四十年、四十一年、四十二年、四十三年の事故件数を見ますと、自分で気をつけたら防げるという面のほうが多いような気がするわけですね。気象条件の急変のため不意打ちに事故にあう、予測しない事故発生も中にはあるようでありますが、この事故防止について、予防措置を具体的にどうするのか、これは将来大きな問題としてわれわれは取り上げなければならぬ点だと思います。四十三年度でも、一千百二十一件の中で個人所有漁船が幾らか、組合所有の船が幾らか、民間法人株式法人所有の船がどのくらいか、具体的にお聞きしたい。  そして、いまこれに対する海難救助基金制度もございますけれども、この制度だけでは万全とはいえない。今後融資のワクを拡大して、毎年年次を追うごとに船の更新をはかり、また漁業近代化のために、いろいろそういう施設の災害の問題を含めて、もっと災害予防措置というものを具体的に構想を練る必要があると思うのですが、そういう考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。
  10. 森本修

    森本政府委員 海難事故が年々相当件数にのぼっておりますことは、私どもも非常に残念に思っております。従来からもそういった観点から、海難事故防止のために、たとえば積み過ぎが一つ原因であるということで、乾舷マークといいますか、そういった載貨の一つ基準を強制的にこれに対して適用してまいるといったような措置とか、あるいは非常に機関の故障が多い。これがまた海難原因となるということで、特に小型船につきましては機関基準をつくるとか、また操船の誤りといったようなこともありますから、毎年乗り組み員に対して操船上の研修をするといったようなことで、かなり苦労もし努力はしておるのでありますけれども、残念ながら統計の示すところは、かなり海難事故が発生しておるということでございます。私どもとしましても、今後海難防止のために、たとえば乗り組み員の環境改善といいますか、そういうことも関係があるだろう、あるいは船の大型化といったようなことについても、一つの配慮をされなければいかぬだろう、各般の観点から、防止措置をできるだけ真剣にやってまいりたいというふうに思っております。  先ほどお尋ね漁船個人組合その他のはちょっといま統計がありませんので、この点は後ほど調べましてお答えをさしていただきます。
  11. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長代理 柴田君に申し上げますが、通産省鈴木農水産課長が参りました。
  12. 柴田健治

    柴田委員 それでは通産省鈴木農水産課長お尋ねしたいのですが、輸入について見解をお聞きいたしたいのです。  年々水産物輸入量がふえている。それに関連していまお尋ね申し上げたところ、長官のほうからお答えがあったのですが、水産庁長官お答えは、自由品目だからどうにもならぬというような意味の言い方です、自由品目になっても、日本手持ち外貨を使うわけです。結局通産省としても、そういう点については自由品目で商社に全部まかしておる、こう言われるかもわかりませんが、いやしくも日本漁業振興に影響するような、こういう輸入品目をどんどんふやすということは、漁民立場からいうと非常に理解ができない。そこで、通産省のほうがこういう計画を立て、自由品目だからみずから積極的に輸入に協力しているのか、この点の考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  13. 鈴木久

    鈴木説明員 ただいまの先生の御質問につきましては、エビ等高級魚は、昭和三十五年に自由化されたと記憶しておりますけれども、私ども自由化された魚の輸入につきましては、全然輸入行政上の権限はないわけでございますけれども、これが国内の需給上に与える影響等につきましては、ふだんから水産庁のほうと御協議申し上げまして、私のほうでできますことは、関係輸入業者に対しまして適切な指導をいたしている次第でございます。
  14. 柴田健治

    柴田委員 通産省のほうは農林省連絡をとって、たとえ自由品目といえども日本漁業振興に影響を与えるようなことについては慎重な態度をとっておる、こういう御意見ですが、そうすると水産庁は相談を受けて、その輸入数量については水産庁は黙認というか、積極的に輸入に協力しているのかどちらかわかりませんが、数量がふえることはこの数字でわかるわけですから、積極的に協力したと言われてもしかたがないですね。そうすると、水産庁日本漁民の保護でなしに、輸入商社の保護もしなければならぬということに、論理の飛躍があるかもしれませんが、そういう見方も出てくる。自由品目だから、どんどん商社が輸入するならしかたがないのだ、こういうことで、片一方では漁業振興融資をしてどんどんやりなさい、片一方ではどんどん輸入しますぞでは、どうもつじつまが合わないような感じを受けるのです。通産省が商社のお先棒をかつぐことは歴史的にある程度わかるのですが、農林省がお先棒をかついで、輸入に協力するなどというのはどうも理解に苦しむ。長官、どうですか。
  15. 森本修

    森本政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、具体的にエビを取り上げますれば、自由品目ということでございますから、私ども輸入について、協議を受けたことも別にございませんし、輸入に協力しているつもりはございませんが、ともかくもそういった輸入体制下のものでありますから、行政的にはあまりチェックをするというたてまえのものではありません。  ただ、それで一体いいのかどうかということになりますと、輸入制度については対外的な関係もあり、そう簡単に変更はできない。したがいまして、私どもとしてはできるだけ国内において、先ほど申し上げましたように増養殖に援助をする、行政的に力を尽くすということによって国内生産をふやして、間接的に輸入に対して影響を及ぼしていくということであろうかと思います。
  16. 柴田健治

    柴田委員 いま、大体どういう商社が入れているのですか。農林省はわかっているでしょう。エビならエビ真珠なら真珠魚粉なら魚粉、いろいろあるのですが、おもにどういう商社が入れているのですか。
  17. 鈴木久

    鈴木説明員 先生から具体的な商社というお話でございますが、これは先ほどから言われましたようにAA制でございますので、私どもは具体的に関知しておらないのでございますが、私、課長としまして聞いているところによりますと、水産物輸入協会、これは自由団体でございますが、そういう商社の団体が結成されておるようでございまして、そこには、大手の商社が大部分入っているように聞いております。
  18. 柴田健治

    柴田委員 のれんに腕押しになるからこの辺でやめておきますけれども長官、政務次官よく聞いておいていただきたいのですが、この輸入問題については、今後安易な考えで取り組んでもらわないように、こうした融資制度をつくって日本漁業を発展させようという熱意があるなら、心の底から日本漁民を守るという立場で、輸入問題については慎重を期してもらいたいということを、強く付言しておきたいと思います。  先ほども触れましたが、海難事故について、それぞれの漁業組合所有しておる船舶はもちろん、個人といえども漁業組合員で、一つの組織の中の組織人である。この組織人の中に被害者を出し、特に漁民も死んでおる。四十三年度には二百五十九人、三十九年からというと二千七十人もとうとい生命が失われておる。こういうことを考えた場合、そうした漁業に従事する場合の技術、それからいろいろ経験年数も要るでありましょうけれども漁船操作というものについても、国が全部見ようといったってなかなか見れるわけじゃないのですから、漁業組合にできる限り専門の技術員等を——水産の養殖技術も必要でありましょうけれども、捕獲の技術、またまた漁具の改善技術、また船の操作技術、各般にわたって技術専門家が要るのじゃないか。今日、各漁業組合の中にそうした専門技術員——各都道府県における生活改善普及員というようなものが漁村に常置されておりますけれども、水産事業全般にわたっての技術指導というものがなされる体系になっていない。この点について、各漁業組合にそういう専門的な技術員を養成するという考え方があってほしいし、またそれを実現させなければならぬ、私はそう思う。そういう見地から、水産庁漁業組合に対する専門技術員、そういう海難事故の起きないようなことを含めて全般にわたって技術指導、運営指導ができるような専門技術員を置く必要があると私は思うのですが、いま全国的に調べてみますと、あまり置いていない組合が多い。これらの考え方構想があれば聞かせてもらいたいと思う。長官どうですか。
  19. 森本修

    森本政府委員 全体の技術の指導の関係は、御承知のように県における改良普及員の活動に主として待っておるわけでありますが、末端におきますところの漁業協同組合で、そういった面においてその一端をになうのが望ましいというお話、私どももそういう感じはいたします。  ただ、御案内のように、現実問題としましては漁業協同組合は非常に規模が小さい、また経済力も弱いというのがいままでの姿でありまして、そういう中から技術員を置いてまいるということは、非常にむずかしい事情にありまして、御指摘のようにあまり置いていなのが実情である。したがいまして、先決問題としては、やはり漁業協同組合の経済力をもう少しつけていくということが必要であろう。現在やっております合併の奨励その他組合の育成といったようなものも、そういった観点から技術員を置いてまいる一つの素地をつくる意味におきまして役に立つのではないか。今回の近代化資金におきましても、一つのねらいとしては、漁協の事業の育成といったような観点を含めております。また事業内容にも、共同利用施設に対する融資といったようなものもかなり濃く入れておりますが、そういったいろんな協同組合に対する施策を通じて、いまお話しのような問題が解決される一つの基盤をつくっていきたいというのが、私ども考え方でございます。
  20. 柴田健治

    柴田委員 日本漁業は、自然的な諸条件ということよりか、他の産業のいろんな面でしわ寄せというか、公害等を含めて漁場が荒らされ、いろいろ養殖漁業等も非常に窮屈になっておる。要するに、いま日本漁業は全般にわたって非常におくれておる。第一次産業の中でも、漁業の面は非常におくれておる。組合の運営の面においても、他の農業協同組合のようにいけないという点、それから資金面、経済力も弱い、技術面も弱い。すべて弱い面があるのですが、この弱い面の中で、当面、私が先ほど言ったような技術面が非常におくれている。技術をどうそれぞれの組合に導入させていくかということは、一つ方法としては、貧弱な漁業組合は財政的に困るのなら、県と国が金を少し出してやって、水産大学に入る学生ぐらいは育英資金のめんどうを見てやったらどうなのか。そして水産大学に入った者には、その漁業協同組合も二分の一なら二分の一育英資金の金を出し、県も国も出して、もっと集中的にやってもらいたい。漁業に就労する労働力も必要な問題でありますけれども、当面、技術体系を確立するという面で人間を養成する、こういうことで育英制度をつくったらどうか。こういうことをわれわれは平素から考えておりますが、そういうことは検討してみていいことなら取り上げていくという、そういう考え方があるかどうかお答え願いたいと思う。
  21. 森本修

    森本政府委員 突然の御提案といいますか、御意見でございますので、私ども十分検討させていただきたいと思います。
  22. 柴田健治

    柴田委員 もう時間が参りましたから、最後にもう一つだけお尋ねしますが、今度漁船更新をやられる。いま日本の沿岸において、海をきれいにするとかいろいろの面でいわれておりますけれども、古い船、要するに廃船の処理というものができていない。沿岸に集積されておる地域もあるが、それを焼却するのに、たいへんな労働力と経費を使って処理しておるのです。この廃船の処理をしないと、半ばどこへでも捨てる。ごみは海へ捨てさえすればいいのだという、そういう観念が日本人には大体ある。川でも海でもどこでも捨てる、そういう癖がある。その上にまた漁船の廃船を捨てるところがもうほんとにないし、処理もできないということで、どこかへ引っぱっていってつないでほったらかしにしておる。こういうものがやはりいろんな面で海をよごしておるし事故原因をつくっておるということで、いろいろと問題があると私は思うのです。  この廃船の処理方式を、ある程度国と県とが責任を持って処理する、そういう方途を講じたらどうか、こう私は思うのです。この廃船の処理は、いままでのような放任主義でほっておいてもいいのかどうか、この点の見解を聞いておきたい。
  23. 森本修

    森本政府委員 廃船がかなりあちこちにありまして、それの処理でありますが、必ずしも私どもだけの一存でいくような範囲ばかりではないかと思います。いろんな川だとか、それから他の役所の所管の場所にもあるわけでありますから。ただ、漁船の古いのという意味で、私どものほうに関係を持つというようなこともあろうかと思います。  一番私どもで関心が深いのは、漁港の区域内で廃船がほうりっぱなしにされて、漁港の利用上非常に不便だという問題が、端的に問題になっておるわけであります。これはできるだけ私どもとしても廃船の処理について努力をいたしまして、最近の実例では、四十年から四十三年までに約千百隻くらい廃船の処理をしておりますが、なおかなりまだ残っておるということであります。  たてまえとしましては、これは漁港の管理者が、県なり市町村なりが処分するということになっておりまして、私どもとしては、しばしばその処理の督促をいたしております。なお今後とも十分県、市町村とも相談をいたしまして、そういった処理についてやってまいりたいと思います。
  24. 柴田健治

    柴田委員 国のほうは、けつをたたくだけで財政的な援助を一つもしない。県と市町村が、漁港管理者がやるのだ、こういうあなたのいまのお答えどおりで、末端にそうやるものだから、とばっちりはわれわれにくる。消防団にみな押しつけて、出て火をつけて焼け、処理せい、片づけい、こうくる。われわれは日当もろくろくもらわないし、一日の手当がもうほんとうに五十円か百円かもらってやる。そういうことで、これはもっと処理方式を近代的に合理的に、何かどこか集積して、国の一つの資本で焼却場というか、そういうものをつくって、そこに捨てていくようにすべきだ、近代国家をつくっていくためには。そこらじゅうの海から引っぱってきて、油をかけて、燃えにくいやつを二日も三日も夜番をして、交代で夜明かしをしてまで処理するなんというのは、まことに原始的なやり方なんで、もっと近代的なやり方の方法を考えたらどうか、近代的な考え方を。この廃船の処理の問題は、これは将来にも尾を引くし重大な問題だ。あなた千百と言うが、日本の海を回ってごらんなさい、どんな実態になっておるか。そんななまやさしいものじゃないと私は思うのです。  こういう点については、これは予算を伴うことだから、大臣はきょうはおられぬけれども、次官、この処理方式については、近代的な方法でこういう構想でやるとか、予算措置についてはこうやるとかなんとか、具体的にひとつお答え願いたいと思うのです。もうこの辺で質問を打ち切りますから、ひとつ具体的にお答え願いたい。
  25. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 直ちに具体的な案を、どうもお示しできないのでございますが、先生おっしゃるように、これはいろいろの点を考えますと、何らかの方策を検討しなければいかぬというふうに、ただいまお聞きしまして痛感をいたしました。十分によく検討いたします。
  26. 柴田健治

    柴田委員 それでは委員長、終わります。
  27. 三ツ林弥太郎

  28. 米内山義一郎

    ○米内山委員 近代化資金の需要状態についてお伺いしたいと思います。  百億というワクで、今度初めて制度が始まるわけです。しかし農業においては、すでに八、九年も前に似たような制度があるわけでして、その分だけでも水産に対する金融の問題が立ちおくれておるわけです。これは非常に沿岸漁民関係者が長らく望んでおったところでありますし、同時に、この法案が成立することを期待して、すでに各都道府県においては、これに対応する金利の補給分を当初予算に組んでおるのであります。これは集計するならば、おそらく国がいま予定しておる百億をかなり上回る金額になっていると思います。  したがいまして、現実に要求ある分量に対してはきわめて少な過ぎるじゃないか。まあ最初であるから、出発点であるから少ないといえばそれまでですが、要求に対してあまりにも低過ぎる場合は、これは、むしろやらないよりもましだということにもなりかねないわけですが、この点に対して、現在各都道府県がこれに期待している金額で、政府が現在把握している状態はどの程度であるかを、まず承りたいと思います。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  29. 森本修

    森本政府委員 私ども、現在こういった法案が成立いたしますれば、都道府県のほうにワクを割りつけるといったようなことになるわけですが、そういう関係で都道府県と接触しておりますところでは、都道府県ではまあ百四、五十億ぐらい、年度の途中で発足することでもあるしというような感じを持っておるようであります。  そういうことからいきますれば、今年度のワクは必ずしも十分でないということは私ども感じておりますが、何ぶんにも制度が初年度でありますし、今後、資金の需要の動向を見て努力していくべきものだということでやっております。
  30. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それには、まだこの制度が一般に普及、周知されていないということもあろうと思いますが、漁村の実態から見ますと、利子補給を受けましてもまだ金利が高過ぎるということであります。それで、一般金利よりは高くないとしても、漁業というものは非常に安定性を欠いておるものでありますし、漁場は必ずしも豊度の平均したものじゃありませんので、確かに金利の問題が今後ともあると思いますから、今後は金利をさらに引き下げるようにやることと、農林漁業資金という他の制度と混同がある場合がある。したがって、今度だって近代化資金をふやせば、その分農林漁業資金、国庫資金を減らされてもいいじゃないかという考え方もありまして、両者の関係を今後非常に調整をとっていきませんと、資金の関係の混同が起きることが予想されます。  同時に、信用力の低い漁村におきましては、いわゆる保証料を下げて、容易にだれても——どういう悪い条件でもとまで言いませんが、一定の条件があるならば、個人の信用力、担保力を軽く見て、団体の保証力を強く見て、この資金を将来大量に漁村に供給すべきであろうと思うが、これに対しての御見解を承りたいと思います。
  31. 森本修

    森本政府委員 まず金利の問題でございますが、こういった資金、ことに非常に収益力のない漁民に対する融資でありますから、私どもとしても、できるだけ末端金利は引き下げたほうがいいということでことでやってまいりました。現在のところは、同種の資金としては農業近代化資金、これは農業者に対するやはり同種の制度でありますので、その末端金利とほぼ均衡がとれるということでやってまいりました。しかし、これとてもおそらく、現在の借り受け者のお気持ちからいえば、なお下げてもらいたいということは、当然その方向であろうと思いますので、将来の問題として私ども考えております。  それから保証のお話しでありますが、昨日も佐佐先生からしばしば御指摘を受けまして、私どもとしても、できるだけ今後沿岸漁業者がこういった保証制度を十分利用できるように、保証料なりあるいは保証のやり方なりについて、今後改善すべき点はしなければならぬというように感じております。まあ保証料につきましては、今回政府の保険料を引き下げる、それに伴って保証料も引き下げていくというふうな指導を強力にいたしたわけであります。その他保証倍率等についても、改善すべき点は改善してまいって、沿岸漁業者が利用しやすいような保証制度改善していくようにつとめたいと思います。
  32. 米内山義一郎

    ○米内山委員 漁村の近代化と申しましても、この資金の対象になるものは主として生産手段、船とかそういういろいろな装置が対象になるのでありますが、今日漁村の問題は、単に船を近代化するというだけでは近代化にならないのであります。非常な資本主義の発展といいますか、今日の経済情勢と対比した場合に、一世紀以上の立ちおくれがあるというのが今日の漁村の実態であります。しかもその状態は、山村部よりもさらに漁村の場合は立ちおくれが著しい。それが、今日結果となって実はあらわれておるわけでございます。  十年ほど前に、日教組が生徒にアンケートをとりました際、おとうさんの職業をいやだという子供の数が漁村に一番多かったのであります。それが今日、一昨日も白書の際重要な問題点として申し上げたのでありますが、白書に書いてあるところによると、沿岸漁業に従事している人の中で、二十歳未満の若年層というものは実に四%を下るということであります。こういうふうなことであれば、すでに漁村の若い人はあと継ぎになる意思がなくなっている。これをこのまま推移していきますと、あとでは、金を貸すといっても借りる人もなくなる、魚がおってもとる人もなくなる、これははっきりしているわけであります。今日突如としてこういう現象があらわれたのではなく、長く漁業政策というものを投げやりにした結果が、こういうふうなことになってあらわれているのであります。  しかも、いま政府は新国土総合開発というものを発表しておるのでありますが、これによりますと、鉱工業の生産を中心にわが国民の所得は将来三倍になる、こういうふうなことがいわれているのでありますが、漁村に住んで働いている人から見ると、こういうことは夢にも思われないことであります。同じ国内にそういう成長をするものがあるとすれば、若い人がいなくなるのがこれは当然であります。しかも、この新国土総合開発計画の中においては、その段階になると農業の人口は現在の半分になるが、残った人の所得は年二百万になるだろう、こうは書いてあるが、漁村の問題は何も融れていない。こういうところにも、今日の政治、経済というものは、漁村、沿岸漁業というものを全く無視しているのであります。無視されている人々はどう対処すればいいか、全く虚無主義にならざるを得ないでありましょう。  そういうことから、技術的な発展も全く停滞しているし、ある者は、将来はどうあろうともいまさえよければいいというようなことから、みずからの資源を破壊する乱獲、漁場破壊が行なわれるようになっているのであります。  大臣は、海の再開墾をやる、土地改良をやるとおっしゃいますが、それもやらないよりはましでありましょうが、国がかなりな努力をしても、海を相手にして大型魚礁を入れてみたところで、全体から見るとなかなかはかどらぬ。それよりも、東京湾にしても、伊勢湾にしても、あるいは瀬戸内海にしましても、それよりも大きな力と大きい速度で漁場が破壊されている。二十万トンの船を入れる程度の掘り込み港湾というものは、何億円かでできるかもしれないが、東京湾をつくる、瀬戸内海をつくるといったって、これは金ではできないのであります。しかも、すでに諏訪湖のワカサギが油くさくて食われなくなった。あの大きい霞ケ浦でさえ、ワカサギがとれてもくさくて商品価値を失している。反面にこういう対策を講じないで手放しでおきながら、わずかな改良をもって今後の漁業政策だといっても、漁民はこれを信用できないのです。これに期待をかけて今日の困難な漁村でふんばる力は出ません。出ないのが当然でありましょう。  したがいまして、私どもは強く政府に要望したいのは、漁業の未来性というもの、ビジョンというものを早く明確にして、そうして、いま崩壊に瀕している漁村民にまず力を与えてもらいたい。それが先決問題です。しかる上に資源の問題をもっと重要視しなければならぬ。札があればそれは外国の魚も買えるでありましょうが、すでに生産の総量においては、わが国はペルーの下になっております。これは量の問題でありますが、その質、国民生活の関係から見ると、わが国は今日もまた将来も、依然として世界一の水産国にならなければならない地理的な条件がある、歴史的な条件がある。こういうことを軽視して、そうしてやらないよりもましだというような漁業政策で当面を糊塗するならば、問題は解決しないどころか、その結果として人間が漁村にいなくなる。漁村でなければ食えないというのはじいさん、ばあさんだけで、若い人たちがいなくなるのは当然です。ですから、事をやるならば、問題の解決のために前進するのでなければ意味がないのです。子供にせがまれて、とうちゃん、あの星をとってくれと言われて、屋根へ上がってほうきを振り回すおとうさんの話がある。星には近くなるかもしれないが、これは問題の解決にはならぬのです。  こういうふうな状態を今日までやってきたから、資源の問題も解決せないばかりか、ますます悪化している。そうして、国民の需要はますます増大するが、これにこたえることが、できない。魚価が上がる。現にけさのテレビでも、瀬戸内海で大きいタイが一キロ二千円だということを私は見た。一キロ二千円の魚は、それはたん白質であっても、もはや魚類じゃないのです。つけものにするキュウリは農産物ではあるが、さしみのつまになる小指大のものに花のついたものは、あれは農産物とはいえない。物が不足になると、こういう質的な変化が生じてきて、多少金では上がっても、国民の要求にこたえられないわけです。しかもわが国では、この不足な水産資源を陸上で解決しようったって、非常に技術的にも困難だし、経済的にも損なことであります。  私は、そういうことから、今後この漁村の近代化というものは、単に生産手段の近代化だけではなく、技術をも含め、生活環境も含めて、それに対して国が積極的な資金対策なり技術対策なり、あるいは資源破壊に対して厳重な措置を講ずるというような、総合的な対策をもって漁業の近代化をはからなければならぬと思うのです。この点において、今日まで長い間政府は欠くるところが非常に多過ぎたと私は思っておるのでありますが、御見解を承りたいのです。
  33. 森本修

    森本政府委員 きわめて広範な、かつまた重要な問題について御意見を拝聴いたしました。私どもとしましても、国民経済なりあるいは他産業が発展してまいります間におきまして、その影響を極力除去しながら、いかに漁業生産なり振興をはかっていくか、これはきわめて喫緊を要する、また重要な問題だというふうに思うのであります。したがいまして、従来からも各種の施策を講じておりますけれども、今後におきましても、かなり長期的な、また基本的な角度から種々検討をいたしまして、日本の水産業なり漁業振興の今後のあり方について、できるだけ真剣に取り組んでまいりたいと思います。  今回の国会におきましても、生産基盤の整備といったような観点から、漁港の長期計画をお願いしたのであります。また、大臣も申し上げておりますように、海の土地改良といったようなことで、すでに数カ所そういった着手のための調査をいたしており、浅海漁場開発といった名目で呼ばれております。それからまた資源の培養といったような観点、これは技術的にきわめて克服すべき多くの問題がございましたけれども、ともかくも瀬戸内海栽培センターということで着手をしよう、また構造改善事業におきまして、各種の種苗のセンターなり、あるいは漁場改良といったようなものもやっておるわけであります。遠洋漁業については、新漁場の開発といったようなことに着手をいたしております。しかし、なお十分緒についていないというような問題も、かなりあることは私どもも了承いたしております。今後そういう点については、十分根本的に努力してまいりたいと思います。
  34. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あとは具体的な問題を二、三申し上げて答弁を得たいと思いますし、かつ、参考にも供したいと思うのでございますが、権力の座にある人や官僚というようなものは、法律さえつくれば、それで事足れりという思想があるわけであります。たとえば、水産業法の中で、漁業法の第百二十七条及び第百二十八条ですが、こんな何の役にも立たない法律はなかろうと思う。しかも、これは非常に厳重な権利義務を明らかにしています。内水面漁業において、免許の条件というものに、免許するほうの責任をうたってあるし、第百二十八条には、免許を受けた者は、その漁場に対して水産動植物の増殖の義務を負わされている。これをやらない場合は免許してはならぬという規定があるにかかわらず、何らこれが行なわれていない。しかも今日、こういうふうな内水面の組合というもの、免許所有者は、ただ漁業権というものの上にあぐらをかいている。つり人口は一千三百万といわれる。こういう架空な権利を前にして、多数の国民と少数の漁業権免許者が対立して、どの問題も解決しないようになっています。  これは、私は免許した水産庁が悪いというのでもないし、免許を受けた漁業組合がふらちだという意味でもないのです。やればできることができない。どういうことかというと、河川や湖沼に増殖事業を行なうということは、一つの公益性の深い公共的な仕事なんです。これを、生産の低い河川や湖沼の漁業組合がみずからの力でやれる道理はないのです。法律では免許を与えたり条件を付しているが、その裏づけになる技術対策をやらないんだ。そうしてしかも、これは少量な技術では意味がない。これを大量にやってこそ、河川や湖沼に水産動植物の増殖が可能なのでありますが、都道府県にある小さな、自然界から見ると問題にならないような何百平方メートルくらいの養魚池には助成をするけれども、やる気であれば幾らでもできることを、今日まで政府は怠っておったのであります。  結果として、こういう河川、湖沼の資源が減退しておる。今日専門家によってよく検討してみますと、わが国の湖沼や河川には、高度にこれを活用するならば、百万トン近い潜在生産力があるものといわれております。わが国において、百万トンというものは決して少ないものじゃない。今日、内水面漁獲高は、貝類を入れて十万トンにすぎないのであります。これは国家的にも必ず採算の合うものであるし、そのために国土というものはさらに美しさを増すものである、国民にとってしあわせを増すものであります。今後こういうふうなことについても、政府としては思いを新たにして対処すべきであると私は強く主張するのでありますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  35. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、内水面、特に河川につきましても、資源の培養なりあるいはその漁業振興をはかる必要がある、私どももそういうつもりでやってまいっております。  たとえば、内水面漁業の最も大きな魚でありますアユにつきましても、国費でアユの人工ふ化の施設をつくって現在やりつつあるというふうなことで、御指摘のような方向に沿って、私どもも努力いたしておるつもりでありますが、なお魚種によっては、未開発の部面もかなりあろうと思います。そういう点につきましては、試験研究の段階に属するものもあれば、また実行上の段階に属するものもあろうかと思います。それぞれの段階に応じて、今後はできるだけひとつ力を入れてやってまいりたいと思います。
  36. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いろいろ試験研究の段階のものもありましょうが、わが国においては、かなり古い時代から養殖技術というものはあります。特に注目すべきものは、大阪府の河内地帯において、古い時代からため池養魚があるわけでありますが、これは主として下肥をつくってフナを養殖している。非常に簡単で原価の安いものであります。ところが、アユとかいう種苗の確保からして非常にむずかしいもの、あるいはウナギにしましても、ハマチにしましても、魚をつくるに魚を食わせている。しかも、一キロの魚をつくるに六キロの魚を食わせる。金の上では生産がプラスになっており、金額の上ではふえましょうが、こういうむずかしい金のかかるものだけを淡水魚の養殖事業として重要視しています。フナとかコイとか、日本の風土に密着したものをもっと大量に生産する技術を確立して、無料に近く供給するならば、まずそういう単純な魚類から復活することとわれわれは思うのであります。こういうふうな国民のための手近な技術を、どうしたならば、すでにあるものを近代的に量的に拡大できるかという研究をする必要がある。これは自然科学では決してむずかしいものじゃないのです。やる意思さえあれば、今日の能力で短期間に開発できるのであります。こういうところにも今日の技術研究体制の間違いがある。大衆から遊離して、もうけと金にだけ結合した研究というものは、無益なものではないが、結果として大衆性を持たなくなる。私はこの点について、今後水産増殖の上に大いに改革を加えていただきたい。  たとえば、これは私もはっきり申し上げてもいいのでありますか、明年度から青森県にある陸奥湾で、ホタテ貝が五万トンはとれます。もう生産者はどうして売ろうかということを実は心配している。ところが、これはだれが研究したかというと、中学の先生が最初に着眼したものを漁民が解決した。貝の子供というものは流れるものです。これを杉の葉とタマネギの古袋で、十億ほしければ十億の稚貝ができるようになっている。無料のようにできた稚貝を、海域にばらまくことによって五万トン程度の貝ができる。これは、決して高級な研究室の中から生まれたものじゃないのです。こういうふうな無数な大衆の苦労、経験というものを、国の研究機関がこれを集約し、総括して理論づけをやったならば、進歩がもっと早かったはずだ。こういう面が、特にこの自然を相手の産業には非常に多いのであります。農林水産技術会議というものは、自分たちの脳みそから出たものでなければ、これを一切否定するというようなきわめて独善的な、官僚的な、予算権を握って研究を統制しているとさえ極言してもいいと私は思う。  このことを大臣に特にお願いしたい。この面では陸上動物の関係、畜産面においても露骨になっております。どうか、この点をひとつ、もし私の言うことに一分の利があると考えたならば、その方向へ向かうかどうかをお尋ねしたいのであります。
  37. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 御指摘の点、十分尊重をいたしております。したがって、本年度予算面を見ていただいてもおわかりのように、日本の水産業というものはかく進まなければならない、あすにもなさなければならないせっぱ詰まっている大問題だということで、本年度から特にそれらに意を用いまして、今後の漁業振興を大いに進めなければ相ならぬ、このように考えて本年の予算を組んだわけでございます。  しかし、これで能事足れりとわれわれは考えておらないのであります。いよいよ皆さん方のお知恵を拝借しながら、国会のバックにおいて今後の日本の水産業の繁栄をはかってまいりたい、このように命じておるところでございます。
  38. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これで終わりますから、大臣の御答弁をいただきたいと思います。というのは、白書の質問でも申し上げましたし、それに対して大臣お答えになりましたが、例の魚たん白液化の問題であります。少なくともスケソウダラ一つで、人間の口に入る可食分が、五十万トンくらいは直接家畜の飼料になっている。これは大問題です。しかも、これに対して東海区の研究所が、数年前に一応のめどをつけておる。だが、これは政治の取り上ぐるところにならない、産業界もこれを注目していない。いつになったらあの研究が生きるかということに対して、私は時期を実は見ておったわけであります。  ところが、よく考えてみると、非常に理論的には正しいけれども、大量でなければ意味のない技術なのであります。原料は大量にあるが、現在北転船によるスケソウダラというものは、五年先までもてるか七年先までもてるかということの確信がない。ですから、こういうものには資本がなかなか手が出ないのが今日の実情であります。したがって、政府としては五万トン程度の豚肉の価格調整のために二十億、三十億近い金をかけていると思ったら、五十万トンのたん白のために十億や二十億の資本投下して当然であろうと思う。北洋のスケソウダラ資源というものは、将来とも安全だということであるならばこれは別問題です。水産資源の性質上そういう見通しがない。ただ口だけで魚たん白の液化を研究しましたというだけでは、これは自慢話にもならぬのです。こういうことを着実にやってこそ、国民の期待に沿えるものであると私は思うのであります。これに対して、大臣の御答弁をひとついただきたいと思います。
  39. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 御指摘のように多獲性の魚、この高度利用につきましてはいろいろやってはおります。たとえば、スケソウダラとかそれのすり身、あるいはサバとかアジ、これらの鮮度をいかに保持しながらこれを高度利用していくか。たとえば、コールドチェーンの問題もその一つではございますけれども、さらに、廃棄物をいかにまた利用するか、こういうような点について、フィッシュミールの点等に対しましても、従来のフィッシュミールというようなものではなく、ほんとうに新たなる高いところからの研究によって実施に移すべくやっておる。  さらにまた、たん白の問題でございますけれども、たん白を水性にしてどうやってその高度利用をしていくか、こういうような液化たん白の点については、研究がいよいよ実施すべきだという結論が出次第、われわれのほうはこれらに向かって、その実施を行なっていく考え方でございます。御指摘のように十分にわれわれは考えてもおりますし、一日も早くこれらの実施ができますように、いまもっぱら研究を進めさせておるところでございます。
  40. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あとは他の機会に譲りまして、きょうは私の質問はこれで終わります。
  41. 丹羽兵助

    丹羽委員長 他に質疑の申し出もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  42. 丹羽兵助

    丹羽委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  43. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  44. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この際、米内山義一郎君外三名より、本案に対し自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の各派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。米内山義一郎君。
  45. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議決されました漁業近代化資金助成法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     漁業近代化資金助成法案に対する附帯決議(案)   中小漁業等における資金需要の増大傾向および漁業経営の実情等にかんがみ、政府は、本法の施行に当り左記事項の実現を期すべきである。         記  一、漁業近代化資金の資金枠を拡充するとともに、貸付金利については、その引下げ特に沿岸漁業者に対する金利の引下げに努めること。  二、受信力の低い沿岸漁業者に対する融資の円滑化を図るため、これらの者が極力低い負担で融資保証制度を利用できるよう努めること。  三、漁業近代化資金と農林漁業金融公庫資金の融資分野の調整については、漁業者に対する円滑な融資が確保されるよう弾力的に運用すること。  右決議する。 以上でありますが、その趣旨につきましては、先般来からの委員各位の熱心なる質疑を通じまして明らかにされて、おりますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  46. 丹羽兵助

    丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  米内山義一郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  47. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。農林大臣
  48. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいまの御決定になりました附帯決議につきましては、決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。     —————————————
  49. 丹羽兵助

    丹羽委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  51. 丹羽兵助

    丹羽委員長 午後零時四十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ————◇—————    午後零時四十九分開議
  52. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋上新一君。
  53. 樋上新一

    ○樋上委員 水産庁長官にお伺いするのですが、四月十六日の北朝鮮戦闘機による米軍偵察機の撃墜事件により、米国は艦隊を日本海に集結し、緊迫の度を増してきているようでございますが、水産庁はどの程度現地の状況を掌握しておられるか、また漁船の動向及びその数、艦隊の動向について説明を願いたい。
  54. 森本修

    森本政府委員 日本海におきますところの操業の状況、これは厳密にいいますと、一日平均出てまいります船が、気候その他によってそれぞれ違ってまいりますが、四月には、操業の状況といたしましては、底びき網の漁船が約四百隻、これは主としてカレイとか、ホウボウとか、そういったものをとる船であります。それからまき網の船が約六十統、御承知のようにアジ、サバを漁獲するわけです。そのほかに沿岸漁業用の船といたしまして二千二百九十隻くらい、これは主としてタイとかトビウオとか、そういったような魚をとる漁船でありますが、そういったのが、例年の四月における出漁状況というふうに承知をいたしております。  ごく最近、昨日あたり海上保安庁が飛行機でもって現地の状況を見ておりますが、たとえば、見島周辺では二十隻あるいは福岡の沖ノ島付近では五十隻といったようなことで、日本海の各地にそれぞれ集団的な形で操業が行なわれておるという状況を確認いたしております。  そこで、こういった事件が起こりまして私どもとしてやっておりますことは、操業上の注意を各種の漁船に対して、あるいは漁業組合等に対してやっております。またアメリカに対しましては、従来から前もって、大体年間の日本海における漁船の操業状況というのはこういうことになっておる、したがって、何か事がありましたならば、よくその点を気をつけてやってもらいたいということを申し入れております。また、今回あらためて漁船の操業状況を添えまして、アメリカ側に対して、安全操業を確保してもらうように、外務省を通じて申し入れておるところであります。
  55. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、現在漁獲にあたり、支障や事故は起こっていないのかどうか。出漁している漁船は突然の事態で、ほんとうに乗り組み員はもちろんのこと、家族の人たちの心配は非常なものであります。これに対して、現在のところ、支障その他の事故はどういうことになっていますか。
  56. 森本修

    森本政府委員 現在までのところ、私どものところに来ておりますのは、操業上の支障があるという報告は来ておりません。また、漁具とか漁船とか、そういうものについて損害を受けたという報告も来ておりません。
  57. 樋上新一

    ○樋上委員 米ソ艦隊の日本海進出によって、わが国の漁船は操業にいつも危険が生じておる。これに対し政府が、漁民を守るという措置を敏速にとっていかなければならないと思うのです。米ソ両国に対して申し入れを行なったようだが、しかし、いままでに政府が申し入れを行なって、その効果がはたして出ておるのか、出ておらないのか。交渉が非常に軟弱といいますか、漁船が年じゅう不安におののいておらなければならぬ。今後、米ソに対してどういう対策を講じられるか、その点を重ねてお伺いします。
  58. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたような申し入れといいますか、協力方をアメリカにしておりまして、アメリカ側においても内部に、そういう事情を十分連絡をして注意をしていただけるものというふうに、私どもは期待をしております。何ぶん事態が起こりましてからまだ数日を出ないというような状況でありまして、漁船に対する影響の度合いは、先ほど申し上げたような状況でございます。  今後、操業なりあるいは日本海における事態の推移を見ながら、それに対応した措置をとりたいというふうに考えております。
  59. 樋上新一

    ○樋上委員 このたびはアメリカのみですけれども、過去においてソ連にはそういうことはなかったのですか。
  60. 森本修

    森本政府委員 ソ連に対しまして申し入れをいたしましたのは、前回といいますか、プエブロの事件のときに、ソ連の船も相当出動したというふうなことでございましたので、外務省を通じて申し入れをしました。  今回につきましては、私ども外務省と、ざっくばらんに言いますと協議をしておりますが、現地の情報では、それほどソ連艦艇が出動していないのではないかというような判断もございまして、外務省とは、いまそれらの対応策について協議中という段階であります。
  61. 樋上新一

    ○樋上委員 運輸省の海上保安庁にお伺いするのですが、巡視船を出動させているとおっしゃっておるのですが、何隻くらい出動しているのか。
  62. 林陽一

    ○林政府委員 十五日の米軍機墜落事件が起きてから、特に出動警戒させておりますのは二隻でございます。それ以外に、平常の巡視警戒体制に従事しております巡視船艇がございます。
  63. 樋上新一

    ○樋上委員 出漁しておるのが数百隻も出漁しておる。その漁船に対して、わずか二隻の巡視船で事足りるのでしょうか。また、今後こういう問題が起こりましたときには、もっと巡視船を平時よりも多く出すべきだと思うのですが、その点どうでしょう。
  64. 林陽一

    ○林政府委員 先ほど水産庁長官からも御説明がありましたように、現在までのところ、わが国の漁船の出漁海域と外国の艦艇の行動しておると思われます海域と分かれておりまして、東経百三十二度以東、北緯三十六度以南におきましてわが漁船が出漁しておりまして、米国艦艇はその反対側、すなわち東経百三十二度以西、北緯三十六度以北の海域におるような模様でございます。わがほうの漁船が多い対馬と隠岐を結びます線の付近に二隻常時遊よくさせ、それ以外にYS11、ビーチクラフト等の海上保安庁の航空機をもって絶えず状況を見ております。  現在までのところは、先ほど水産庁長官の御説明いたしましたように、別に危険な事態はございませんが、もし将来そのような事態が起こる可能性がありますときには、また当然勢力を増強するということも考えられます。
  65. 樋上新一

    ○樋上委員 対馬近海のタイ、カレイなどの漁場は、現在盛漁期である。ここのところ天候の都合が悪くて出漁は少ないのですが、天候がよくなれば、この辺には四百隻もの漁船が出漁をするのですが、この漁獲に対して影響ははたしてあるかないか、この点はどうでしょう。
  66. 森本修

    森本政府委員 御指摘漁業は、現在最盛期といいますか、これから最盛期に向かっていくということのようであります。したがいまして、影響の度合いは、もっぱらこれからどういうふうなことに外国の艦船がなり、わが国の漁船がなるかということにかかってくるかと思います。そういうことでありますので、私どもとしては、できるだけ今後漁船が安全に操業できるように、海上保安庁にもよくパトロールをお願いする、またアメリカ側に対しても、安全操業について協力をお願いをしておるということでございます。
  67. 樋上新一

    ○樋上委員 いつも事故が起こってから、すべてあとであとでと手が打たれていくのですが、絶対だいじょうぶですか。こういった突然のことが起こりまして、先ほど申しましたように、漁民や家族は心配しておる。巡視船も、距離が遠いんだからだいじょうぶという安心はならないと私は思うのですね。だから、絶えず漁民を守る立場でやってもらいたい。いまあの海上は、日本海大海戦みたいに、あれだけどんどん艦隊がふえてきますと、うかうかしていられぬ。  昨年一月のプエブロ事件で、エンタープライズ等の米艦隊が日本海に進出したときは、山陰沖の漁船が漁網を破られたり、また、軍艦に驚いて魚が逃げたりして、水揚げ高が非常に激減した、こういう例がある。今度も当然このような事態が起こり、漁民の生活に響いてくることは明らかであります。これに対して、政府はどのような対策を講ずる考えでありますか。  また、現在は昨年より艦隊もずっとふえておりますので、昨年の事態よりもますます被害が出るのではなかろうか。その被害を受けたときには、はたしてだれがその損害を補償するのか。日本政府は、そういう損害、被害を補償してやるのか、それともアメリカ側にこれを要求して出させるのか、この点はどうですか。
  68. 森本修

    森本政府委員 事柄の性質といたしましては、公海上におけるそういった操業の手控えといったようなことで収入が減るという問題に対して、これは必ずしも不法行為というわけにもまいりませんので、対外的に損害賠償を請求するということは、なかなかやりにくいと思うのです。ただ、漁船なり漁具なりがこわされた、しかもそれは海上の諸法規から見まして、向こうのほうが悪いというふうな場合におきましては、もちろん損害賠償の請求がなし得るということであろうと思います。  前回は、漁具が多少損傷したというふうな情報もございましたけれども、実際にそういった関係漁業者からは、損害賠償の請求がなされなかったというふうなこともございます。また、おそらく被害が必ずしも明確でなかったといったようなこともあるんだろうと思います。したがって、対外的に損害賠償を打ち出すといったような事態にはなっていなかった。  目下のところは、先ほど申し上げましたように、操業にそれほど大きな支障はないという報告を受けております。また、物的な損害があったという報告もございませんので、いま、現段階でどういうふうにするかということになりますと、必ずしも対象がありませんので、私どもどう対応するか、実は考えておりません。今後の事態につきましては、それの事態に応じて、私どもとしてはそれぞれ検討するというふうに考えております。
  69. 樋上新一

    ○樋上委員 そうおっしゃいますけれども、漁協ではそうではない、こう言っているのですがね。漁民はこういう問題があったときにはいつも泣き寝入りしておる。今度の問題でも、確実な情報が入ってこなくて、ほんとうに漁民のことを考えているのかと憤慨しているのです。  水産庁は二十一日に、日本海沿岸の西日本主要漁協に、緊急指示を出されたのですか、どうですか。
  70. 森本修

    森本政府委員 十九日に香住の漁業調整事務所、これは山陰等を所管しておりますが、そこを通じて各県に対して連絡をいたしました。それから二十一日に香住と福岡、これは九州を所管しておりますが、福岡も含めまして、そこを通じて各漁業組合連絡をするというふうなやり方をしております。
  71. 樋上新一

    ○樋上委員 それ以後の情報は、随時現地漁協と連絡を保っているのか、その点をお伺いしたいのです。また、今後現地に対して情報等はどのように通知するのか、その点ですね。
  72. 森本修

    森本政府委員 連絡のしかたとしましては、私どもの出先機関がそれぞれ、ただいま申し上げました香住と福岡にありますから、そこを通じて、私どもが得ておりますところの情報をそのつど連絡をしておる、また、今後もしていきたいということであります。
  73. 樋上新一

    ○樋上委員 昨年のプエブロ事件のときのように、艦隊により被害を受けた場合、これに対する補償はどうなるのですか。
  74. 森本修

    森本政府委員 先ほどお答えいたしましたことと同じになるかと思うのですが、昨年の場合におきましては、漁具等が被害があったという情報がありましたけれども、必ずしも的確にその実態がつかめない、本人からも損害賠償の請求がないというようなことで終わっておるようであります。  今回のことにつきましては、今後事態の推移を見て、私どもも、それに対する対応策を考えなければいかぬということだろうと思います。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 さらにもう一ぺん運輸省の海上保安庁にお伺いするのですが、この艦隊の出動により、漁船は非常に危険な状態となっている。軍艦の波を受けた漁船がひっくり返ったり、また衝突するおそれも十分あるのですが、この点はだいじょうぶなんでしょうか。   〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 また、もしそういうことが起こった場合には、どこで責任をとるのですか、お伺いしたいと思うのです。
  76. 林陽一

    ○林政府委員 ただいまのところは、別々の海域で、漁船が出漁し外国艦艇が出動しておるという状況でございますが、昨年のプエブロ事件のときのような切迫した事態が起きる可能性を予測いたしまして、海上保安庁からも直接、関係漁業協同組合及び現場の出漁船に対して指導をいたし、注意をいたしております。  その内容を簡単に申し上げますと、まず、外国の艦艇に不必要に接近しないようにということであります。それから、日本の国旗を掲揚して、夜間は、海上衝突予防法で定められました灯火を掲げる、あるいは形象物を掲げまして事故防止につとめているということでございます。さらに、もし何か変わった事態が起きましたときには、直ちに無線等の方法をもって、巡視船に連絡していただくように申しております。それから、もし外国の艦艇が日本漁船に非常に接近してきますような場合には、国際信号旗等をもちまして、外国の艦船の注意を喚起するように申しております。  以上のように、事前に事故防止いたします措置をとっておりますが、今回は、ただいまのところは、昨年のような漁網を破られたり何かするような事態の発生は避けられるのではないか、かように考えておるような次第でございます。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 そうしますと、艦隊がたくさん出てきて、その注意を怠って漁船がひっくり返ったり被害を受けたという場合には、何らこちらがアメリカ側に対して、その被害の交渉をする権利もなく、漁民は泣き寝入りですか。
  78. 林陽一

    ○林政府委員 公海上でございますから、外国の海軍が演習をするあるいは行動をしますことも権利があるわけでございますし、日本漁船が出漁しますことも、もちろん合法的なわけでございます。もし不幸にして事故が発生いたしました場合には、これは双方間の法律事件として処理されることになるのではないかと思います。事故の内容を、起きたあとで分析いたしまして、もし相手方に国際法に違反するようなことがありましたときには、当然これは損害賠償を請求するということにもなると思います。
  79. 樋上新一

    ○樋上委員 非常に日本海波穏やかならず、波高し。これは外交問題になりまして、事前協議の問題にも波及するのですが、それはまた外務委員会質問するといたしまして、この盛漁期にあたり、今度の問題で確かに非常に漁獲は減少しておる。また、減少すると消費者まで影響があるということは明らかであります。この点、水産庁長官また政府はどうお考えになっておりますか。
  80. 森本修

    森本政府委員 先ほどお話がございますように、公海上のことでありますから、法律的な形でもってこれに対して何らかの措置をとっていくといったようなことは、なかなかこれはむずかしいのでありますが、私どもとしましては、できるだけ漁船の操業が安全にいきますように、日本側としてもそういった巡視なり監視なりといったような措置を強化いたしまして、不測の事態が起こらないように期待をいたしますとともに、先ほど来申し上げておりますように、米国側に対しても善処方を、従来からも要望しておりますし、今回またあらためて申し入れをいたしたのでありますから、向こう側においても、そういう点は十分気をつけてもらえるものと期待いたしておるわけでございます。  そういうことで操業の安全が確保され、また、漁獲高に対してもそれほど大きな支障がないというふうなことで、事態が進んでいきますことを期待いたしておるわけでございます。
  81. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 昨年の事件の際といい、今度の事態、私どもは公海上の自由の問題とはいいながら、わが国の漁船に与える影響というものが非常に大きいものでございますので、海上保安庁やあるいは私ども農林省、水産関係のそれぞれの機関とほんとうに慎重に、しかも連絡を密にいたしまして、何とか事故の発生を防止するように努力をいたしまして、できるだけの措置をとっていきたいと思いますし、また、関係国については、外務省を通じまして強力に善処方を申し入れて、万全の措置をとるようにいたしたいと考えております。
  82. 樋上新一

    ○樋上委員 以上で、北朝鮮戦闘機による米軍偵察機撃墜事件に関する質問を終わります。  今度は、先般質問いたしましたトマトジュースの問題について、もう一度簡単にお伺いいたしたいと思う次第であります。  先日、かん詰めトマトジュースを飲んだ一家三人が食中毒を起こしたことがありましたが、その実態を御説明願いたい。また、中毒はいかなる症状を来たしたか、お伺いいたします。
  83. 野津聖

    ○野津説明員 先般報道されましたトマトジュースの中毒の問題でございますが、厚生省のほうに東京都から連絡がございましたのは三月二十八日で、一家三人がトマトジュースによると思われる食中毒を起こしましたということの連絡がございました。  その中毒の症状といたしましては、吐きけ、嘔吐、下痢、腹痛、こういうふうな典型的な症状が出ていたわけでございます。  厚生省といたしましては、遅滞なくこの調査を進めるようにということを、東京都に対しまして指示しますと同時に、その後行ないました措置といたしましては、当該トマトジュース製造業者及び販売業者に対しまして、製品の回収及び廃棄ということを指示いたしますと同時に、この工場に在庫しております品物につきましては、移動禁止の措置をとりました。現在、廃棄の方法あるいは行政処分というふうな問題につきまして検討いたしております。これが現在までの経緯でございます。
  84. 樋上新一

    ○樋上委員 都立衛生研究所で、この問題のかん詰めトマトジュースと同じ日につくられた製品を調べたところが、五百PPMのすずが検出されたと聞くが、これは事実ですか。もし事実であるならば、食品衛生法で規定されているすずの許容量が百五十PPMでありまして、その許容量の三倍以上のものが入っているということはおそるべき量であります。このように多量に含まれた根本的な原因はどこにあったのか、科学的根拠について説明願いたい。
  85. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘ございましたように、中毒を起こしましたと同じ日の同じロットの製品につきまして、都立衛生研究所において分析を行ないましたところ、最高五百PPM、そのほか二百三十、二百七十PPMというすずが検出されているわけでございます。  このかん入りの清涼飲料水におきますすずの溶出の問題でございますが、これは、かんのほうに原因がある場合と、それから中に入れます清涼飲料水に原因がある場合と、幾つかの組み合わせが考えられるわけでございますが、一般に、中に入れます清涼飲料水の側に硝酸基が多量に含まれました場合には、かん詰めの中のメッキしてございますすずが溶出してくるというふうな事態が非常に高いわけでございまして、できるだけその使われます清涼飲料水の硝酸基を減らしていくというようなことを、従来から指導を続けてきたわけでございますが、硝酸基等によりまして中のすずが溶出してくる、こういう状態があるわけでございます。
  86. 樋上新一

    ○樋上委員 すず入りかん詰めは、昨年、一昨年においてそれぞれ各一件ずつ摘発されていると聞いていますが、その場合はほかのかん詰めであったと思うのですが、四十三年十一月にオレンジジュースのかんのメーカーに製造中止命令が出ていると覚えておるのですが、そのようにいずれもトマトジュースであったことから判断すると、トマトジュース自体に含まれている成分がすずと化学反応して、ジュースの中に溶け込んできたのではないか。その点をもっと私は検査すべきではないかと思うのです。また、具体的にそういう場合にはどういう対策を講じられますか。
  87. 野津聖

    ○野津説明員 四十三年の十一月に、かんメーカーに対して製造中止の命令が出たというような事例につきましては、私ども実は聞いておらないわけでございます。ただ、一般的なかんに入りました清涼飲料水の場合に、先ほど申し上げましたように、清涼飲料水の中にあります硝酸基によりまして中のすずが溶出しやすい状態にあるという形でございまして、通常清涼飲料水を製造します際に、特にかんに詰めます清涼飲料水を製造します際に使われます水の中の硝酸基が問題になっておりまして、厚生省のほうといたしましては、昭和四十年に水の中の硝酸基を減らす、一PPM以下に下げるというふうな形で業界を指導してきたわけでございます。  ところが、御承知のように、このトマトジュースに関しましては、これは水を使わないというふうな実情がございまして、その際に、水を使わないものでどうしてすずが溶出するのかというような点、非常に問題があったわけでございます。一昨年同じような事例がございまして、十分国立の衛試あるいは農林省等と連絡をとりまして検討いただいたわけでございますが、結局、結果といたしましては、トマトの品種あるいは熟成度によりまして、トマトの中にございます硝酸基が作用しましてかんの中のすずを溶出する、こういうふうな傾向が判明いたしました。トマトからかん入りの清涼飲料水をつくります際に、トマトにつきましての硝酸基の量というものを調べて、ある一定の、一応三PPMということになっておりますけれども、それ以上の場合には、これはジュースには使用しないという、こういうふうな指導をトマト工業界を通じまして実施してきたところでございます。
  88. 樋上新一

    ○樋上委員 ほかのかん詰めにも危険はあると思うのですが、トマトジュースは特にそういう問題が多いのですから、多発するこういうトマトジュースに対しては、ビニールコーティング等の処置をしたらどうか。これはたいして金を使わないと思うのですが、この点どうでしょう。
  89. 野津聖

    ○野津説明員 内部にいろいろなコーティングをしまして、すずが直接内容と触れないような方法もいろいろ検討されておるわけでございますが、それがはたして十分な効果があるかどうかということにつきましては、十分検討を加えて、それが非常に効果があるものでございまして、それほど価格等に影響がないというふうなことが判明いたしました場合には、そういうふうな形で指導ができるのではないかというふうに考えております。
  90. 樋上新一

    ○樋上委員 この問題についてまだまだ、外国の例とかそういうようなことについて、いろいろとお伺いしたいのですけれども、時間の関係上、この点は略しまして、こういう事故が起こってくる責任は、私は政府にあると思うのです。やはりこの際かん詰め類の総点検をすべきではないか。単に三人が中毒症状を起こした、下痢を起こした、吐きけを起こしたというだけではなしに、このごろの食品というものは、いろいろな新しいものが出てきて、監督せなかったらあぶなくて食べられない。主婦なども、危険でしようがないといっている。一流メーカーは別として、ほかの群小のいろいろなものが出てきますからね。ですから、その点を十分監督すべきだと思うのです。かん詰めの点はその程度にしておきまして、今後政府の責任において、一ぺんかん詰めの総点検をするとか、措置をしていただきたい。これは要望しておきます。  それからもう一つは、グリンピースの問題についてお伺いするのですが、先日、着色したグリンピースをごはんに入れたところ、ごはんが全部まっさおになってしまった。豆のごはん全部、ごはんとも青くなってしまった。こういうような事件が起こったのですが、主婦の中には、こんな天然野菜に着色するというのはどうかと思うという声もありましたが、青いものをもっと青くして新鮮に見せようとするのですが、そういうことをする必要はないと思うのですが、厚生省はどういう見解を持っておられるのか。特にグリンピースの場合のように、鮮度をごまかすような色素の使い方は根本的に私はおかしいと思うのですが、この点どうでしょう。  さらにまた、サツマイモに食用赤百二号という赤い色素を着色してうまい金時に見せかけて、そういうのを売っておる。これもグリンピースと同様であって、こんなサツマイモに赤いものを着色したり、なまの農作物に着色するのは、消費者を欺瞞するのもはなはだしいし、また、人間に無害であるという保証もない。かかる有害な食品添加物は、即刻私は禁止すべきであると思うのですが、どうでしょう。
  91. 小高愛親

    ○小高説明員 御指摘のございましたように、グリンピースのような生鮮野菜あるいはサツマイモのようなものに、その品質を欺瞞する目的でそういった着色料を使うということは、衛生問題として消費者保護の見地から、好ましくないものだと思います。  それから、着色料は世界じゅうの国で使用を許しておりまして、現在、世界じゅうのいずれかの国で使用を許されておるという色素の種類の数は、七十種類以上になります。それから、これを欧米の先進国に限りましても、やはり五十種類くらいある。  このような現状で、食用色素というものは、現在のところ世界的に食品に使うことが許されておりますが、これは食品の加工の上から必要なものであって、しかも、その安全性が十分に確認されたものだけが使うことを許されております。したがって、このような場合、御指摘のようにそういうことは全く不必要であり、むしろかえって消費者にとってマイナスになるような使い方というものは、やめさせるべきであると考えます。
  92. 樋上新一

    ○樋上委員 わかりました。もうちょっとサツマイモとグリンピースは詳しくいろいろ聞きたいが、あとの質問がありますので飛ばします。  厚生省は二月二十七日に、なま野菜や乾物類などへの添加物の使用を禁止する方針を明らかにし、また食品衛生調査会にはかって、官報に告示するともいっておったと、こう新聞に出ていたのですが、これは事実ですか。
  93. 小高愛親

    ○小高説明員 私どものほうでは、その問題が新聞紙上に出まして、さっそく何らかの方法で、そういった生鮮野菜に対する着色というものを禁止する方向で、目下検討しておりまして、行く行くは御指摘のように、これを厚生省告示として官報に告示するという運びになると思いますが、現在検討中でございます。
  94. 樋上新一

    ○樋上委員 食品衛生調査会で審議検討されるということを聞いておるのですが、その調査会の構成メンバーはどうなっているのか。また、その構成メンバーには営業者が加わっているのではないか。こんなことはほかでは見られないことですね。利害の直接関係する者は除外して、初めて公正なる審議検討がなされるのに、営業者が食品衛生調査会の構成メンバーの中に入っておる。これは編成がえをすべきではないかと私は思うのです。  また、ドイツなどでは、食品添加物の申請をメーカーに申請させることを禁止し、すべて国の名によって開発していると聞いておりますが、わが国の場合もこういう点は改むべきではないか、こう思うのです。  あとチーズの問題もありますけれども、時間が来ましたので、いまの点についてお答え願いたいと思います。
  95. 小高愛親

    ○小高説明員 食品衛生調査会の構成といたしましては、学識経験者及び関係官庁から、それから法律には、確かに御指摘のように、業界と関係のある人を入れてもいいようになっておりますけれども、実質的には、現在業界の代表は入っておりませんです。  それから、食品添加物の指定と申しまして、厚生大臣がそういったものについて、これは食品の生産上必要であって、しかも安全であって、人の健康をそこねるおそれがない、こういうように認めたものを指定するというたてまえになっておりまして、製薬のような、申請とか許可というシステムにはなっておりません。  ただし、われわれのほうからこういうものを積極的に開発して、それを指定するというようなことは現在やっておりませんで、その指定に必要な資料というものは、関係者からの提出があったときに、これを審議するということになっております。
  96. 樋上新一

    ○樋上委員 じゃ最後に要望しておきますが、チーズでも、脂肪分が含まれていること自体は適切だと思うのですが、チーズでも、このごろは牛乳以外の植物質の脂肪分を使っておる。そして消費者を欺いておる。私はこういうチーズの問題でも、明らかに営利第一主義に走った製造メーカーが、原料の安上がりのこの植物質の脂肪分を使用したものと判断するのですが、チーズのような場合その辺から判断いたしますと、これも消費者、国民を欺瞞したことになると思うのです。  農林省畜産局では、ナチュラルチーズの種類だけで五百種類もあり、規格一つをつくるのもたいへんむずかしいといっておられるのですが、幾らたいへんむずかしいものであっても、消費者保護という立場から、積極的に規格化を進めるべきではなかろうか、こう思うのです。  アメリカでは、イミテーションチーズとかローファットチーズなど不純混合チーズは、それなりの明確な表示をして売っています。わが国においてもそのようなまぜもの入りのチーズは、消費者福祉の上から明確に表示すべきではないか、その点はどうか。  最後に、今回の調査で明らかになったような問題のメーカーに対しては、どのような方向で指導していくのかお伺いして、私の質問を終わります。
  97. 太田康二

    ○太田政府委員 いま御指摘の問題は、御承知のとおり、現在のわが国で市販されておりますチーズ、特にプロセスチーズでございまして、数種類のナチュラルチーズを原料といたしまして、乳化剤を用いまして溶融乳化いたしまして成形、包装したものでございまして、その場合均一な製品製造のためにプロセスチーズに脂肪を添加して組織を改善する、こういった技術が確立されたものとしてあるわけでございまして、その添加する脂肪につきまして、ちょうどバターとマーガリンと同じように、乳脂肪よりも植物性脂肪のほうが、たとえばからだがふとらないというようなことで、消費者の好みとして、そういった好みもあるという事実も実はあるわけでございます。  そこで、いま先生が御指摘になりましたように、そういったものが入っていることを、表示の面とかいろいろな形で明らかにすべきではないか。われわれも当然そう考えておりまして、実はこの問題につきましては、そういった植物性の油脂を添加いたしておるメーカーと、従来の乳脂肪の添加をいたしておるメーカーと両者呼びまして、少なくとも現状に即応いたしますような適正な規格の設定について指導すると同時に、いま申しました植物油脂等を混入いたしましたものについては、名称の表示あるいは成分の表示につきまして適正に行なわれる、そういったことを通じまして消費者保護をはかるということで、現在実は業界を指導いたしておる段階でございまして、近く結論が出る、そしてそれによりまして、いま申し上げたようなことが実行されるというふうに考えております。
  98. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  99. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 次に兒玉末男君。
  100. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あとたくさん一般質問者が控えておりますので、答弁者のほうでもひとつ明確に、そして簡潔に御答弁を願いたいと思います。  まず、専売公社のほうにお伺いしたいわけでございますけれども昭和三十六年度に設定されました長期計画が、ここで非常に見通しが誤ったために、今回再び長期計画が提起されております。この問題は、単に専売公社の労使間の問題でなくして、その背後に、長年専売公社に協力してきたたばこ耕作者の存在ということを無視できないと思います。この点について、先般も当委員会質問いたしましたが、特にたばこ耕作者が相当数これから、半ば強制的な減反が行なわれるのじゃないかという不安があるのですが、これに対して、今回の新長期計画の中でどういう対策をとろうとしているのかが第一点。  さらに第二点は、公社の責任体制というものが、単に企業性の追求ということだけでなくて、社会性、公共性、こういう多面性を持つ公社が、企業性のみに偏重した部分的な課題の提起でなくして、総合的な今後の長期計画というものを提示すべきだと思うのですが、それについてどういう考えを持っておるのか。  第三点としましては、今回収納形式を変えて、いままでの技術指導と鑑定の業務というものが一体であったのが、これが分離をされておる。しかも、収納にしましても、いままでは等級別の収納によって耕作農民の利益が守られたわけだが、新しい方式によって、ばらばらの収納によって、いわゆる価格のダウンを行なうことが十分予想されるし、これは、たばこ価格の引き下げを意図したものと判断されるわけでありますが、少なくともたばこ耕作の技術指導と等級の鑑定業務は不離一体のものであってしかるべきじゃないかと思うのですが、この点についてどういうようなお考えを持っているのか。  さらに、今回たばこ消費税制度の導入ということが見送りになったわけでございますけれども、一体公社としては、これをいつから導入しようと考えているのか。現行制度がなぜ悪いのか。たばこ消費税導入の内容というものを見ておりますと、明らかにこれは消費税または国税等のいわゆる税金の先取りではないか。その残りが、いわゆる公社経営における労働者への分配、あるいは手数料または耕作農民にしわ寄せが来る危険性が十分あると思うのですが、それに対してどういう見解をお持ちなのか。  さらに、今回専売公社の考えている長期計画の中におきまして、主産地形成ということがいわれておるようでありますが、今回制定されました農業振興地域整備促進法によりましても、特に平坦地帯におけるたばこの比重はきわめて重要な比重を占めているわけです。ところが、公社の今度発表されました主産地形成を見ますと、東北関係がバーレー、在来種等の補充原料、中国、裏日本、北陸の一部については新品種の開発による補充原料、それから四国、瀬戸内海、南九州ば現在までの品種。これによって結局関東、中部、近畿、四国等におきまして減反の方向をたどらざるを得ない、こういうことが指摘をされておりますが、これらの点について、公社としては、農林省の今回の振興地域整備促進法なり、あるいは現在まで二十年、三十年とたばこ耕作に従事してきました農民の犠牲において、そういうことを強要する危険性があるのじゃないかと思うのですが、その辺の関連はどういうことになっておるのか、これらの点についてまず御答弁を願いたいと思います。
  101. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 広範な御質問でございますが、最初に御指摘をいただきました長期計画における反別方針と申しますか、生産方針と申しますかをまず申し上げなければならぬと思うのでございますが、御指摘のとおり、四十四年度の耕作反別につきましては、種類別に平均をいたしまして、前年度公示面積に対しまして今年度公示面積は一〇・九%の減少になっておる次第でございます。  この減反を決定されますまでの間にはいろいろな経緯がございまして、私ども当初案といたしましては、もっと減反幅が多くなければ、適正在庫に近づく期間というものが長過ぎるのではないかというふうな見解を申し上げたりした経緯があるわけでございます。しかしながら、その後十アール当たり収量というものをなるべく適正化して、いまのように非常にとり過ぎるということでは、葉たばこの品質も落ちてまいりますので、総体の反別のほかに、収量についても適正化をはかって、過大な量をとらないようにという方針でもって臨んである次第でございます。長期計画で一律に減反を、何年度幾らというふうにやっていきますことは、事柄の性質上適当でないと私ども考えておる次第でございます。年々の作柄には豊凶もございましょうし、適正収量が得られる場合もありますれば、場合によっては、いままでの例によりますと、適正収量よりも多いものが収穫されることもあるかもしれないという問題が起こってきます。そこらの現実の推移を見ながら、耕作反別については決定をすべきものと考えておる次第でございます。  長期的に見ました場合に、日本の農業全体が経済の伸展の間にどのような推移をたどるかというような、非常に捕捉しがたいむずかしい問題を含んでおりまして、長期計画の中には、耕作農家の所得を安定しながら、世界の需要に適した良質の葉を生産しようというふうなことで、意欲的な計画を掲げましたけれども、具体的な肉づけにつきましては、その後検討をいたしておる段階でございまして、まだ数字的なものとしてお示しすることができないのを遺憾に存じておりますけれども、長期の問題として、五年以上かかりしてもやるべき問題として、現実の処理は長目に考えておる次第でございます。  第二番目に、公社の企業性発揮という問題は、公社のいろいろな施設が立地しております地域、私どものことばで申しますと対境関係と申しておる次第でございますけれども、そこらの地域社会の方々の利害との間にある調整を必要とするという御主張に対しましては、私ども指摘のとおりの面があると考えているものでございます。ただ、いままでのところ公社は、公社制度という特殊な経済的な企業体系をとっておりますために、それが十分な企業性を発揮してないという批判を受けることがはなはだ多い現状にありますこと、先生御承知のとおりであります。私ども政府機関であっても、私企業に劣ることのない、国際的な企業の能力に劣ることのない能率を発揮しなければならぬという意気込みで、いろいろな計画をやっておる次第でございまして、もちろん地域社会でございますとか、労働組合でございますとか、耕作組合でございますとか、耕作をされます関係の方々との利害の調整は、十分に考えなければならぬと思っておる次第でございますけれども、長期計画では、従来の批判にかんがみまして、企業性の十分の発揮ということを特に強調いたした次第でございます。御指摘のような点につきましては、私どもよく調整を考えてまいりたいと思う次第でございます。  無結束収納の問題につきましては、やや専門的なことになりますので、黒田総務理事からお答えさしていただきたいと思います。  消費税制度の問題につきましてお話があったのでございますが、私ども、公社制度というものを企業的に効率よく運用をいたしまして、経営の責任をはっきりさせるとともに、その経営の自主性というものもまた発揮できるようにしますためには、現在の納付金制度よりも消費税制度のほうが、より有効ではないかといまも考えておる次第でございまして、その実現をいたすべく今国会に法案を提出したいと考えておりましたところ、準備不足のために実現をいたしませんでした。さらに検討を進めまして、この次には御審議を願えるような法案の形で、お願いをしたいと考えている次第でございます。  質問がありましたうちの無結束、ルーズリーフ収納の問題につきましては、担当の黒田理事からお答えさしていただきたいと思います。
  102. 黒田実

    ○黒田説明員 指導と鑑定の分離の問題をまずお答え申し上げます。  鑑定と耕作指導との関係につきましては、従来からも一応分離という形をとっておるわけでございまして、御承知かとも思いますけれども生産部門を担当しております地方の支局出張所、ここには一般の生産技術員と、それから耕作指導を専門に担当して産地を巡回するセンター技術員、こういうふうな二つに分かれておるわけであります。一般の生産技術員と申しますのは、これは鑑定を担当いたしておりますほかに、一つの町とか村とかそういう大きい反別の耕作者の方を対象としまして、重要な季節に講演会をやるという程度の指導、いわゆる間接的な指導はやっておりますが、直接の指導はやっていないわけであります。直接の指導は、さっき申しました指導センターの技術員がやっております。こういうことで、これまでも分離してまいっております。  今後の耕作指導を、新しい方向に変えるということをやっておるわけでございますが、これは、最近の農家の技術というものが非常に進んできておりますし、また、農業技術かなり高度化してきておりますので、単に一人の人間でいろんな部門の知識を深く身につけることができない。したがいまして、指導センターの技術員をそれぞれ専門別に勉強させまして、ある者は病害虫とか、ある者は土壌肥料とか、ある者は機械、経営というような専門教育を受けさせまして、そういう者をセットにしまして一つの出張所を数人で分担して指導する、こういう体制を今後とりたいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、指導と鑑定の分離というのは、すでにこれまでもやってきておりますし、体制としましては、いま申しましたように指導を新しい体制に変えるわけでございますが、指導と鑑定は従来どおり分離していきたい、かように考えております。  それから、主産地形成の問題でございますが、先ほど先生の御指摘のような方向の主産地というものが考えられると思うのでございます。いま国内でつくっております種類が、大別しまして黄色種、在来種、バーレー種ということになるわけでございますが、在来種、バーレー種につきましては、産地の分布が関東以北が大部分でございます。これは、やはり現在もかなり密度の高い産地が各地にあるわけでございますが、問題はこの黄色種でございまして、黄色種産地は大体西日本が中心でございますが、私ども黄色種を使用上から分けまして、香味料、いわゆる味、においが中心になる葉っぱ、それから準香味料、緩和料、補充料、こういうような分け方をしまして、それぞれの産地をその特徴に応じまして、用途別の区分をしておるわけでございます。  これまで、一番りっぱな黄色種が耕作されておりました瀬戸内海の沿岸というものは、御承知のように、非常にいろいろな工業もどんどん盛んになってまいりますし、ほかの有利な作物もあの辺は幾らもあるというふうなことで、逐次あの辺の面積は減りまして、現在産地というものは、日本海のほうに移動しているというような状況でございます。  そういうことで、私どもといたしましては、主産地形成ということは、いろいろな意味で国の農業政策の線に沿ったものでございまするし、公社といたしましては、経済的に産地を経営するという立場からいいますと、やはり主産地形成というものがどうしても必要じゃないか。そういうようなことを考えているわけでございまして、そのために、先ほど御心配のように、つくりたい人をどんどんやめさせるというようなことは、現在考えておりません。  それから、ルーズリーフの収納でございますが、これは実は御承知のように、たばこ耕作というのは、十アール当たりの労働力というものが非常にたくさん要るわけでございまして、現在のところ、在来種、黄色種全部合わせまして、十アール当たり平均七十人くらいの人手が要っているわけでございます。このために、労働力がよけい要りますために、とてもまかない切れぬということで、廃作される方がかなりあるわけでございまして、これまで廃さくされた耕作者の方の理由をいろいろ調べておりますと、まず労働力不足というのが一番多いわけでございます。  そこで、生産費の中身を洗ってみますと、葉たばこを収穫、乾燥しましたあと、調理と申しまして、品質の同じものだけを一緒に集める作業がございますが、この作業に、総労働力の大体二五%というものが投入されているわけでございます。しかもその二五%のうち一〇%が、葉を二、三十枚一緒にしまして、たばねる時間に該当するわけでございまして、選別する純粋な作業は一五%、こういうことになっているわけであります。したがいまして、今後のたばこの十アール当たりの労働力を軽減するという一つの行き方としまして、結束作業をやめますと、そこで一割労働日数が減るということになりますので、私ども、これからの農村でたばこをもっと安定してつくっていただくためには、少しでも労働力が少なくて済むような、いわめる省力の体系を考えなければいかぬと思っております。  さようなことで、できれば黄色種につきましては、四十五年度から結束しないで収納する、こういう方向で考えたい。在来、バーレー等につきましては、その後において実施していきたい、かように現在のところ計画いたしております。
  103. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間がきわめて短いので、答弁の簡潔をお願いしますが、その無結束の状態であることによって、あるいはばらの状態であることによって、価格はむしろ値下げされるという危惧があるわけですが、その点はどうかということもお答えがなかったわけで、これはあとでまとめてお答え願いたい。  次に、農林省と経企庁にお伺いしたいのでございますが、いま公社のほうから説明があったように、主産地の形成が変わってくる。そういたしますと、やはりいままでの実情から見ましても、どうしても減少の方向にあるところの耕作農民というのは、公社の企業性というものに比重がかかる結果どうしても、現在でも束にしたのが三年分在庫にあるという現況等から考えましても、品種の選択、選別という点等から、やはり耕作農民にしわ寄せがくるということが十分予想されるわけでございますが、主産地形成については、これは当然農林省としても、また園芸局としても、非常に関心、関連が深いと思うのですが、これらの点について、公社当局とはどういうふうな連携をとってこれからやっていこうとするのか。  それから、経企庁にお伺いしたいのでございますけれども、今回の第四次試案による新全国総合開発計画によりましても、現在の拠点主義から、いわゆるブロック別の開発主義にその重点が置きかえられておるわけでございますけれども、たとえば、国鉄の合理化問題にしても、あるいは今回の専売公社の合理化問題にしましても、比較的後進地域の中小都市の原料工場等が統合廃止される。そうしますとますます大都市と地方都市との格差が拡大される傾向にあるわけでございますけれども、新総合開発計画との関連において、一体公社当局とはどのような連携をとっておるのか、あわせて御答弁願いたいと思います。
  104. 小暮光美

    ○小暮政府委員 たばこの生産改善の問題につきましては、これまでも農業構造改善事業を実施いたします場合にも、あるいは山村振興といったような事業を実施いたします場合にも、専売公社と私どものほうで十分の連携をとってやってまいっております。今後専売公社が、先ほど御説明のございましたような新しい産地の形成をやろうということになりますと、当然私どものほうと、従来以上に密接に連携をとって仕事を進めてまいることになろうかと考えております。
  105. 島村忠男

    ○島村説明員 お答えいたします。  過疎の問題につきましては、従前からも過疎対策の一環といたしまして、山村の振興であるとかあるいは離島の振興であるとか、豪雪地帯の振興、個別的にはさまざま行なってまいっております。かなりの成果はおさめつつあり、また、現在進行中の状況でございます。  ただいま全総計画案に関連してお尋ねがございましたので申し上げますと、今度の全総計画の試案におきましては、新しく広域生活圏というようなエリアを設定してまいりたいというふうに考えております。これは、従来の後進地域の個々の町村単位では、どうもうまくいかないということから、かなり広い地域を設けまして、それの中心をなす都市の整備、あるいはその都市に通ずる交通網の整備、さらにそういった生活条件整備だけでなくて、産業面の整備開発もあわせて、それぞれその地域に一体として推進する、そういうこともただいま考えております。これも、いずれ計画が決定いたしました暁には、これを精力的に推進してまいりたい。こういうことの中から、この過疎問題に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから次に、農林省やあるいは専売公社との連携をどうしているかという問題でございますが、企画庁といたしましても、一次産業というものには非常に大きな将来のウエートをかけておるつもりでございまして、特に農林省とは常時連携しながら、今回の計画も作成してまいっておるような状況でございます。
  106. 兒玉末男

    ○兒玉委員 公社当局にお伺いしたいわけでありますが、先ほど園芸局長は、公社とも緊密な連携をとるということを答弁されておりますが、公社側としても、その点十分耕作農民の立場を尊重してやってもらいたい。  次に、先ほど答弁がなかった、バラ収納による価格ダウンということを考えておるのじゃないかという点と、それから今回計画されている合理化、先般の黒田説明員の答弁によりますと、廃止予定工場として八カ所がその対象になっている。また、私の居住地である都城におきましても、この工場を設定する時点におきましては、地方自治体としても相当協力をし、しかも、この工場の下請工場のたるをつくっている工場等もあるわけでございますけれども、こういう工場等においても、相当積極的に協力をしておるわけでございます。同時にまた、ここに働く労働者のうち、相当数がたばこ耕作に従事しておるわけであります。そういうふうな地方自治体との協力関係に対して、公社側の一方的な理由によって、これがすげなく廃止されるというようなことについては納得できないわけでありますが、いままで自治体が協力してきたことに対して、どういうふうな対応策をしようとするのか。  また、経企庁からも話がありましたが、やはり公共性、社会性を持って、公社としては企業性のみに比重を置くことなくして、地域開発に貢献したその成果というものは、もう少し角度を変えた立場から評価をすべきではないか。それに対応する対策は、一体どう考えておるのか。  また、先般の私の質問に対する黒田氏の答弁では、いわゆる労使間の労働条件の安定なり、また社会性なりという問題等については、十分組合側と交渉するけれども、その経過によっては、まだどう判断していいかわからないような、きわめてあいまいな答弁しかなされていないわけですけれども、本日は最高の責任者である副総裁がおいででございますので、これらの点について明確な答弁をいただきますと同時に、何十年の間、少なくとも過去四、五年間の期間においては、三十六年設定されました長期計画に基づいて、たばこ耕作農民も相当の犠牲を払いながら、耕作には専売公社の指導に従って積極的な協力をしておるという歴史的過程を、私たちは無視するわけにはいかないと思うのですが、これらの点を含めて、副総裁の明確なる御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 初めに御指摘のありました無結束収納、ルーズリーフのままで収納をいたしますことを検討いたしておりますのは、労働力の不足するであろうということに対する対策、労働力を少なくしなければならぬということを目的とする対策でございます。しかしながら、そのような労働を必要とした時代と比べますというと、それはコストが下がってくるということは明らかでございます。しかしながら、私ども収入を奪うという見地からやっているつもりではございませんでして、労働力の窮迫した状態というものに対処をする措置として準備しなければならぬと思っておる次第でございます。  第二点は、先生の御指摘のありました都城と、特にその地域の方々からの御援助をいただきまして、公社のいままでの作業というものが行なわれてきましたことは、御指摘のとおりでございます。ただ、私どものいま遭遇しております問題は、いままでつくっていただきました束乾燥の葉というものが、今後製造工程の変化によりまして、必要でなくなってくるという問題に直面しておるのでございまして、私ども、いままで御協力いただきましたことにつきましては、土地の活用なり労働力の転用なりによりまして御協力を申し上げたいと思ってはおる次第でございますけれども、この束乾燥そのものをそのために残すということは、非常に無理でございますので、どうぞ御了解を願いたいと思う次第でございます。  いろいろ現地交渉等におきまして、あるいはなかなか煮詰まらない問題があるかもしれませんですけれども、しょせんは束乾燥工場としては廃止せざるを得ない情勢になっておりますので、先生の御理解をお願いしたいと思う次第でございます。
  108. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 佐々栄三郎君。
  109. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 葉たばこの問題についてお尋ねをいたします。  まず、初めにお伺いをしたいのは、香川県におきましては、昨年の七月に台風がありまして、その災害補償規定による申請者が三千八百三十五人、災害補償金を交付される人が九百五十五人、申請者は全耕作者の三〇%、被交付者は申請者の二〇%、金額は四千四百万円、こういう御報告を一応受けておるのでありますが、その後これに変更があったかどうか、お伺いしたいと思うのです。時間が制限されておりますので、お尋ねしたことだけ簡単にお願いいたしたいと思います。
  110. 黒田実

    ○黒田説明員 いまお示しくださいました数字のとおりでございます。
  111. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 実はこの問題につきましては、昨日、私の県では耕作者の間で非常に問題になりました。県会議員の諸君やあるいは耕作者の代表が高松の支局のほうにたびたび陳情をいたしたわけでございます。当時の新聞では、被害はもっと多かった、数億円の被害であるというふうに報告されておるのですが、実際この補償を受ける人間がわずか九百五十五人で、その金額も四千四百万円というのでは、地元としては少しく納得いたしかねるところでございます。  私は、この専売公社の災害補償規定というものをいろいろ研究させていただいたのですが、普通の農業共済と比べまして相当問題があるようです。一つは、大体平年度収納代金の十分の七に達しないときに補償の対象になるということ、それから第二番目には、損害の二分の一の範囲内で補償をするということ、それから第三番目には、全損の場合を除いて一筆ごとがその対象になるということで、これは農業共済と比べて非常に違う点だと思います。  それから、その補償金額の査定でありますが、農業共済の場合は評価委員が実際の損害を評価をいたすわけです。それによって補償金がもらえるわけなんですが、公社の規定によりますと、平年度の収納代金から災害を受けた年のその収納代金を差し引いたその差額が損害だという、言うならば、評価委員にかわるものは何かというと、専売公社の鑑定員が損害額を決定するということになっておるわけです。こういう点が農業共済制度と非常に違う点だと私は思うのであります。  こういう制度について、昨年でございましたか、農業共済一般の中で少しく私の考えを述べたことがあるんですが、この災害補償規定について、現在何かこういうふうに改めたいというようなお考えを持っておられるかどうか、お聞きをしたいと思うのです。
  112. 黒田実

    ○黒田説明員 たばこの災害補償制度につきましては、四十一年の三月に改正いたしまして、補償率を若干高めまして現在に至っております。その際、現行になります際に、今後五カ年間を目途として、共済制度に移行することを検討してほしいという条件がついておりますので、私どもは、耕作組合中央会のほうと何回か協議いたしまして、将来そういうような方向に進みたいということで協議をいたしておりますけれども、いろいろ問題がございまして、耕作者側といたしまして、そういうような共済制度に踏み切るというような熱意はまだ高まっていない、かような現状でございます。
  113. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 少なくとも被害の評価の問題について、鑑定員が評価をするという結果になっておるわけですね。これは私はどうかと思うのです。これはもうきわめて一方的な、官僚的なやり方だと思うのですね。普通の災害でしたら、農業共済でしたら、農民の側から評価委員が出ますが、こういう非常に一方的なやり方について、改善すべきじゃないかと私は思うのです。これは単に災害の場合だけに限らず、鑑定そのものについても、やはり耕作者側から代表者を出して等級をきめよという意見があるのですが、この点についてはいかがでございましょう。少なくとも災害の場合についてはいかがでしょう。
  114. 黒田実

    ○黒田説明員 たばこは、御承知のように葉の品質というものが非常に重要な要素になっておりますために、ほかの作物に比べまして、品質差による価格差が非常に多いわけでございます。現行の等級を見ましても、黄色種の場合でございますと、  一番上の等級が下の等級の大体七倍余りというような値段になっております。そういうふうに、品質差が非常にあるということでございますので、単に立ち毛を見ましても品質がわかりませんので、いまの時点で十アール当たり何万円ぐらいになるであろうという予測は、非常に立てがたいわけでございます。その上また、収穫しまして乾燥という作業があるわけでございますが、乾燥の操作が適当でございませんと、また品質が落ちるというようなことで、収穫前に、一体収量はどれぐらいであろうという見通しはつくわけでございますけれども、それに品質をかけまして、十アール当たりの代金が幾らになるであろうという、そういうことを推定しますのは非常にむずかしいわけで、むしろできないのじゃないか、かように感じております。  現在のたばこの災害補償は、先ほど先生の御指摘のように、過去三年の耕作者の方の実績をもとにしまして、それに対して、三割以上法定災害によって被害があった場合に補償しているわけでございますが、それらを結果的に見まして、葉たばこは全部公社が買うわけでございますので、個人のその年の実績というものが非常に正確にわかっているわけでございます。したがいまして、葉たばこの場合は、収穫の前にはっきりした収穫の推定がつかぬといたしますならば、やはり一番確実な収納実績をもとにしまして補償金をお払いしたほうが、最も公平なやり方ではないか、かように考えております。  それから、鑑定の問題でございますが、鑑定は御承知のように、現在公社の職員がやっておりますが、これは一つの標本というものを基準にしまして、二人の鑑定員がそれぞれ独自の立場で独立して等級を判断しまして、それが一致した場合に初めて等級が決定するということになっております。そういうことでございますが、私どもといたしましても、鑑定で何等に落ちるかということが、耕作者の方の収入にすぐ直結しているわけでございますので、鑑定自身は必ず公平でなければいかぬ、正確でなければいかぬということで、常に指導はやっているわけでございます。  民間から耕作者代表を鑑定に加えたらどうかというお話でございますが、現在のところ、耕作者の方は自分のたばこはよく御承知でございましょうけれども、いろんなタイプのたばこというようなものは、なかなか御承知になっておりません。私ども公社の鑑定員は、全国のあらゆるたばこにつきまして、また産地の違ういろんなタイプのたばこにつきまして、実地訓練をやっているわけでございます。   〔湊委員長代理退席、三ツ林委員長代理着席〕 そういう訓練を経て初めて鑑定が可能となっております。耕作者の代表の方を鑑定に加えるということは、あまりにも問題が大きいので、現在のところ考えておりません。
  115. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 この問題は、そういう耕作者を加えてもらいたいという要求があるわけです。だから、いま御答弁をいただきましたが、やはり今後検討していただきたいと思うのです。  それとあわせて、一ぺん等級がきめられたら、あとそれでもう最終決定になるのか、あるいは何らかの苦情処理的なものがあるのか、この点はいかがでしょう。
  116. 黒田実

    ○黒田説明員 再鑑定の制度があります。等級に不服がおありのときは申し出ていただいて、再鑑定の制度がございます。
  117. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 それを、やはり民主的に気やすく、そういう再鑑定の要求ができるように、ひとつ運営をしていただきたいと思うのです。  それから、この被害の問題についてもう一つ私が申し上げたいのは、実は昨年の七月に香川県は台風に襲われたのですが、ちょうどだばこの収穫直前で、耕作者としてはもうこれで収穫していいだろう、もう熟しているというのでやろうとしたところを、まだ早いから待てということを公社から通達をしてきた。その直後に台風が来たわけです。そのために非常な被害を受けたんです。そういうわけですから、耕作組合にしても、こういう特別な事情だから何とかしてくれというので、県の専売局のほうへ陳情したのですね。私はこういう場合には、公社側もこれは悪意でやったことではありませんけれども、農民が収穫しようとしたときにやっておったら、そういう被害を受けなかったという点があるのですから、やはり規定だけのことをするというのではなしに、何らかの見舞い金というものをそこに別につけるとか、等級の査定にあたって手心を加えるとかいうようなことが行なわれていいのじゃないかと私は思うのですが、そういうことが行なわれたかどうか、先ほどの金額なんかにつきまして、これをお伺いしたいと思うのです。
  118. 黒田実

    ○黒田説明員 特別のことは行なっておりません。ただ、現地からの報告によりますと、七月中旬に、未熟葉をとらずに完熟葉をとってほしいという指導を、宣伝車を出しまして各出張所で行なったわけでありますが、台風が参りましたのが二十八日でございまして、そういう未熟葉をとるなという指導が終ったのが十九日でございますから、約九日目に台風がやってきた。したがいまして、台風が来ることはその四、五日前からわかっておりましたために、公社といたしましては台風対策といたしまして、その直前に指導もしておるわけでございまして、とるなということがあった直後台風が来たわけでございませんので、その辺御了解願いたいと思います。
  119. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 その点、地元の話をあなたのほうの言い分とは食い違っております。おりますが、この問題は私も現地の実情をもう少し調べまして、後日またお伺いしたいと思います。ただ、あなたはさっき一週間余り後だ、こう言われたが、そうしたら、その直後にこういう事態が起こった場合だったら、あなたはどうするのですか。
  120. 黒田実

    ○黒田説明員 現在、台風の予報はずいぶん早くからわかっておりますので、直後ということはないと思います。もしそういう場合ですと、台風の対策ということをまっ先に指導いたします。
  121. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 台風の対策ということをやろうとしても、たとえばその直後、あなた方がそういうことを通達をした翌日でなくても、翌々日とかいうようなときに、こういう事態が起こった場合にどういうふうにしますか。やはり規定以外に、見舞い金を出すとかいうようなことをなさいますか。
  122. 黒田実

    ○黒田説明員 そういうことは、規則ではできないことになっております。
  123. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 あなた方のほうにも責任が、悪意でなく善意でやったにしろ、それが被害を受ける原因の一部をなしたということであっても、しないというわけですか。見舞い金を出さないというわけですか。
  124. 黒田実

    ○黒田説明員 非常にむずかしい問題でございますが、私どももやはり一番いいたばこをつくっていただきたいということで、香川県の水田産地は非常にいい産地でございますけれども、従来未熟葉を採取しまして、そのために公社としても原料としてあまり適当でない、また産地の方も、未熟なために等級が落ちまして収得金が減る、こういうことがございましたので、基本的には、とにかく収穫をできるだけおくらして完熟葉をとっていただきたい、こういう指導をしたわけでございます。基本的には、そういうのが葉たばこつくりとして適当だというふうに思っておりますので、指導として間違っているとは思いませんが、たまたまことしはそのあとに台風が来たということで、公社の指導が結局災いしたのじゃないか、こういうことがあるわけでございます。  私は、現実問題としまして、二、三日前にそういう指導をして、それから風が来た、そういうことは、先ほど申しましたように予報というものがございますので、起こらぬのじゃないかというふうに考えておりますが、かりにそういうことがありましても、これは農作物としまして、やはりお天気の影響というものを強く受けるものでございますので、私どもとしまして、そこまで補償を出すとか、そういうことは現在までやっていないわけでございます。
  125. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 この問題だけで時間をとるわけにはいきませんから、これはこれだけにしておきまして、次へ進みます。  先般、減反の問題につきましてわが党の兒玉委員、それから神田委員からの質問に対して、こういうような答弁を公社はしております。それは、バレー種については、四十三年度の検査面積を公示面積にする、それから黄色種については、四十三年度の検査面積の七・七%を公示面積にする、この七・七%は過去三年間の自然減反率である、こういう答弁をしておられますが、間違いありませんか。
  126. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 そのとおりでございます。ただ、最後の黄色種につきましては、自然に廃作される人と耕地面積を縮小される人との面積の合計のパーセンテージでございます。
  127. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 そこで、さらにこういう意味のことを答弁しておられるのです。したがって継続の意思のある人には迷惑はかけない、かからないはずだという御答弁をしておられますね。いかがですか。
  128. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 そういう方針で実施したわけでございます。
  129. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 そこで、私が特に重大に思いますのは、農民が自主的に減反したのであって、その自主的な減反の範囲であなた方は規制減反をやるのだから、農民には迷惑はかからぬ、こういうものの考え方について私はお尋ねをしたいと思うのです。  というのは、問題は、それならばなぜ農民が自主的に減反をするか、農民が減反に追い込まれて、おると私は思うのです。農民を減反に追い込みながら、しかも、農民が減反するのだから、その範囲で規制減反をやるのだから、農民に迷惑はかからぬ、こういう言い方というものは、私はどうも納得できないですね、公社のものの考え方が。あなたはそういう行き方であれば、農民には迷惑はかからぬというふうに思われるのですか。
  130. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 前に説明いたしましたことのことばづかいに問題があったかと思いますけれどもも、私どもが申し上げましたような思想で減反をやりましたのは、現実問題として葉たばこに過剰在庫があり、これを適正化しなければならぬという問題の解決に迫られておりますときに、最も摩擦の少ない方法として、従来の廃作なり減反なりの実績の数字を採用させていただきましたということでございます。説得も要りましたような経過もあったわけでございますから、私ども、全然迷惑はかからないというふうに楽観しておるわけではないわけであります。
  131. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 私は、農民が自主的に自分から減反をする、たばこ耕作をやめるという原因につきましては、二つの原因があると思うのです。一つは、やはりたばこの価格の問題、それからいま一つの問題は、労働力がだんだん不足していっている問題、しかも、その労働が非常に過酷な労働であるということですね。この二つのために、だんだん農民がたばこ耕作から離れていくというような形になっておると思うのです。  そういたしますと、これは迷惑をかけない、迷惑がかからないというふうに考えるべきものじゃない。やはり労働力の不足あるいはまた価格がおもしろくない、たばこをやるよりはほかにもっといいことがあるといって、たばこを捨てるわけなんですから、これは数十年の間たばこをつくっておる人にとっては、つくれるものならつくりたい。それを、そういうような条件のためにたばこから離れていくのですから、あなた方が規制減反をする前に、すでに農民に対して非常な迷惑をかけておるということを、公社としては考えてもらわなくちゃならぬと私は思うのです。  それで、なるほどたばこというものは、たとえば他の米なんかに比べますと、反当たり収益が非常によろしい。よろしいけれども、一日あたりの労働報酬なんかを見ますと、農林省の調査では米の三分の一、公社の調査ではこれは二分の一ということになっております。しかし、いずれにしても、これは二分の一ないし三分の一ぐらいしか労働報酬がないわけなんですね。これがすなわち低価格ということになるのですが、こういうような条件のもとで、たばこ農家というものは現在耕作をしておるわけです。  ことしのたばこの価格を見ますと、諮問案よりは上がりました。上がりましたが四・六%ですね。これは、言うなら現在の物価、労賃の値上がりより低い値上がり率なんですね。なぜこういうようなことにことしの値段がきまったかということです。私は、こういうようなことがたばこから離れざるを得ない原因だと思うので、まず第一に、この理由についてお聞きをしたいと思うのです。時間が非常に制限されておりますので、簡単にひとつお願いしたいと思います。
  132. 黒田実

    ○黒田説明員 現在の価格算定方式と申しますのは、一応生産費を補償するという形式をとっております。過去三年間の生産費をとりまして、それを価格決定年次の実態に即するように修正いたしまして、それを補償するという形でいまの価格算定方式がきまっておるわけでございまして、ことしの四・六%という引き上げ率も、大体その線に沿いまして計算をして、耕作審議会で答申を得た数字でございます。  物価、労賃がもっと上がっているのに、上がる率が低いじゃないかという御指摘でございますが、生産性の向上というようなものも一面にございますので、そういうものも差し引きいろいろ計算いたしまして、その結果が四・六、こういう数字でございます。
  133. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 あなたは、ことしの値上がり率がこの程度にとどまったという理由を言われたわけなんですけれども、私は、これはいろいろの点から言いたいことがあるのですが、全部言い尽くすということは、きょうはとても不可能ですから、簡単に私の意見を申してみたいのです。  家族労働の点ですね。家族労働の評価の問題ですが、現在たばこの場合は、調理のうちの選別と乾燥の一部、これだけを五人規模以上の製造工場の労働賃金として評価しているのですね。酪農の場合は、これは飼育労働全般について五人規模以上でやっておる。米の場合は、生産費・所得補償方式、これは言うまでもないことです。たばこの調理のうちの選別、乾燥の一部だけを五人規模以上で評価する、こういう評価のしかたをしたことによって、これは一、二年前にこういうことになったわけですけれども、大体どのくらい生産費の値上がりに寄与があったのですか、何%くらい上がっておりますか、こういうやり方をしたのについて。
  134. 黒田実

    ○黒田説明員 ちょっと正確な計算はできませんが、二%程度くらいは上がっておると思います。
  135. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 ごくわずかなんですね。私は、たばこ労働というのは、もうピンからキリまで、苗床へ植えてから乾燥して結束して、自分で等級まで選別して、それで公社のほうへ納めるというところまで、これは非常に熟練を要する労働なんですね。だから、これは全労働を少なくとも五人規模以上の製造工場の労賃で評価してしかるべきものだと私は考えておるのです。これが一点。  それから、先ほど生産性が向上したために労賃の値上がりにそれが影響した、すなわち、労働力が少なくて済むようになったから、こういうふうに言われたのですが、これもいつもよく言われることなんですけれども生産性が向上したから労賃が下がるということでは、農民の生産意欲を刺激することにはならぬと思うのです。いろいろな機械を買うのは、自分のお金で機械を買うのですね。自分のお金で機械を買って、そして生産性が上がる。機械に出すお金というのは、農家の負担としてはたいしたものなんですよ。政府が買ってくれるならいい。自分で買って機械を入れて、それで労働力が要らなくなったから、たばこの値段が下がるんだというようなことでは、これは私はやり方としてはずいぶんひどいと思うのです。そこで、こういうような機械などの償却とかいうような問題については、もちろんこれは償却費を見ておると思いますが、現在、買った機械がすぐむだになって、また新しい機械を買わされるというような場合がよくあるのですが、そういうようなときには、これは必要経費として計算しておりますか。
  136. 黒田実

    ○黒田説明員 機械の償却費は、当然生産費調査で見ております。それから生産性向上の分は、全部価格の引き下げに使うのでございませんで、ことしの価格をきめました場合は、生産性向上分の六〇%を生産者に環元しまして、四〇%の分だけ価格面に使った、こういうようなことになっております。  それから、いろいろな農機具等につきましては、便利なものがどんどん出てくるわけでございますけれども、公社といたしましては、便利なものができたからぜひ買え、こういうような指導はいたしていないわけでございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、未償却なままの農機具を捨てて、新しいものを使うというような場合には、これはやはり耕作農家として、そのほうが全体として得だという御判断の上で、そういうことをされていると思うのであります。公社として強制的に、こういうようなものを買えんというようなことは一切いたしておりません。
  137. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 公社としてはあるいはそうかもしれませんけれども、耕作組合とか何かが、機械、肥料、こういうようなもののあっせんをやっておりますから、やはり自然に古い機械から新しい機械へというような方向へ誘導される場合が非常に多いと思うのです。そういうようなむだがずいぶんできてきておるように私は見受けておるのです。これはやはりあなたのほうで、公社として今後見るべきだと思うのです。  それから、いまの合理化によって労賃が下がるという問題についての御回答が、私ちょっとはっきりしないのですが、やはりそれでいいというわけなんですか。合理化して機械化していって、そして労働力が少なくなったから値が下がるというのはやむを得ぬ、こういう考え方で貫かれるのですか。
  138. 黒田実

    ○黒田説明員 価格につきましては、やはりそういう合理化によりまして、毎年約六%ずつ労働時間が短くなっているわけでございますけれども、そういう減った時間につきましては、やはり生産性の向上になるわけでございますので、その場合は、先ほど申しましたように、過半を生産者側に還元し、半分以下を公社で値下げに使う、こういうようなことで耕作審議会の答申も出ておりまして、私ども、いまのところその算定方式をとっておるわけでございます。
  139. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 黄色種の価格についてちょっとお伺いしたいのですが、黄色種は全国的に六三%、私のほうの香川県では九三%で、その中で第一の黄色種が八五%なんです。ところが、この第一黄色種がわずか二・五三%しか値上がりになっておらぬのですね。これは平均が四・六%であるのに、一体なぜ黄色種、特に第一黄色種がこういうことになるのか、ちょっとお聞きしたいのです。これはもちろん平均ですがね。
  140. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 第一黄色種の前年度価格に対する値上がり率は二二%だと私、存じます。これは、黄色種全体といたしまして過剰在庫をかかえており、標準に対して約八カ月分多いことに現況なっておるかと存じます。かつまた、耕作農家の耕作意欲等を調べますというと、バーレー種や在来種につきましては、かなり耕作意欲が弱まっていることも見受けられますけれども、黄色種におきましては、そのままにしておきましたのでは、なお非常に耕作をしたいという意欲が強いように見受けられます。そこら辺を勘案いたしまして、適正在庫に近づけるために、価格上引き上げを抑制したわけでございます。
  141. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 私は、いまのあなたの答弁を聞いて非常に感ずるのですよ。あとからお尋ねしようと思ったのだが、時間がないのでここでお尋ねしますが、要するに、等級間の格差が非常に大きいところに問題があるのですね。優等と六等と比較すると六分の一か七分の一というのですね。そういうようなことになったり、あるいは黄色種の値が上がらぬということの理由は何かというと、結局、輸入状況であるとか生産状況であるとか、耕作者のそのたばこをつくりたがるかつくりたがらぬかというようなこととか、そういうことで値段がきめられ、あるいは等級間の格差をこういうふうに広げるという考え方で価格をきめておる。私は物の価格というものは、これは労働の価値によって、それをこしらえた労働力によって価値をきめられるのが当然だと思う。  ところが、あなた方は投ぜられた労働を見ずに、需要の側だけからきめる。それは需要供給によってきまるのは、専売品でないような普通の自由商品ならいい。少なくともたばこのような専売品で、よそに売ったら処罰されるというようなものについては、これはやはりその労働というものを中心にして、それを対象として価格をきめるという行き方でなくちゃいかぬと私は思うのですが、これはどうですか。あなた方の考え方というものは、まるでそうじゃないですね。あまりに官僚的で、これはつくってもらいたくないのだから値段を下げるのだというような、そういう行き方では、つくっておる人間、特に専売品をつくっておる人間というのはかなわぬですよ。よそに売れないのですからね。どうですか。
  142. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 生産費を償い得るような価格をきめなければならぬという意味におきましては、先生の御主張の趣旨も多分に反映しておると思う次第でありますけれども、専売制度下におきましても、需要の変動に基づきまして、在庫が適正量を越えたりいろいろなことが起こるわけでございます。そういうものを適正化するという必要を無視して、増産を刺激するような価格を定めるわけにも、またまいらぬ次第ではないかと考えて措置したわけでございます。
  143. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 納得できませんけれども、もう時間がありませんから言いません。私は、それはあまりに官僚的なやり方だと思います。やはり農民がその作物に投ずる労働力というものを、適正に評価して価格をきめなければならぬと思うのです。これは特に乱暴なやり方だと思います。これはつくらせてやるという考え方ですね。  それから輸入の問題。いろいろ聞きたいことがあるが、私は一点にしぼって聞きたいと思うのです。ここ数年間の輸入の実績と輸入見込みを見ますと、四十一年度二万六千トン、四十二年度二万七千トン、四十三年度見込みが三万一千トン、四十四年度が三万八千トン、これは計画です。こういうふうになっておるようですが、このとおりでありますか。
  144. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 いままでの輸入実績は、四十三年度は到着ベースにいたしまして約三万二千トン、正確には三万一千九百九十四トンでございます。四十二年度が二万七千トン、四十一年度が二万五千トンでございました。四十四年度予算計画しておりますのは、三万八千六百四十一トンでございます。
  145. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 ずいぶん輸入がふえるんですね。国内では減反政策をやりながら輸入をふやすという問題、これはあなた方の言わんとするところはわかっておりますけれども、その説明を聞いておるとまた時間がかかりますから聞きません。しかし、御説明に納得しておるというわけではないのです。  ただ、ここにあなたのほうが出した「長期経営計画会議検討状況について」というマル秘の資料を持っておる。この内容は実に穏やかでない内容だと思うのです。これを見たら農民は、たばこ耕作農家は憤激する。これについて二点ほどお聞きして終わりたいと思うのです。  この中の「原料対策」というところの初めに、こういうことを書いてある。「農業構造変化の長期的展望と国際競争力培養の見地から、国産葉に対する基本的態度を明らかにするとともに、農業依存からの脱却を目指して、合成たばこ等技術開発の体制をととのえる。」こういうふうに書いてあるのですが、「国産葉に対する基本的態度」というのは一体どういうことかということと。それから、「農業依存からの脱却を目指して、合成たばこ等技術開発」というのはどういうことかということをまず聞きたいと思うのです。あとでこれに関連してまだ聞きますけれども、これだけについてちょっと答えてください。
  146. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 長期経営計画におきましては、御指摘になりました国産葉たばこ生産に関する基本的態度といたしましては、日本の気象、土壌条件に適しましたものを、耕作農家の経営が、たばこ別による収入と均衡を失わないような形で収穫できる方法を追求しようと考えておる次第でございます。  第二番目につきましては、これは非常に先の問題でございまして、各国がまだ実験室、研究所で考えておるものでございますけれども、近来、ニコチンでありますとかタールでありますとかの含有量の多いものは、健康に非常に影響があるというふうに論じられておりますので、そういうふうな難点から脱却するために、新たな方法がないかという追求がいろいろなされております。その中に、たばこ以外のものを使用しました合成たばこみたいなものが出ておるわけでありますが、現実にありますものは、燃やしましてまだきなくさいと申しますか、とても使えるようなしろものではありませんけれども、将来のことを考えるならば、そのような世界的趨勢に対してもおくれないように、研究を続けていこうという体制でございます。
  147. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 この七ページに、五十三年度の外葉購買所要量は、原料総所要量の四割を輸入、そういうなことを書いてある。数量としては十一万一千トン。昭和四十二年度は二万七千トンですから、約五倍ですね。今後約五倍の外葉を輸入するという計画を持っておるのですか。これは、特に国内における減反政策と関連して聞いておきたい。この問題について、いままで質問した方がありますが、あなたのほうではいいかげんな答弁をなさっておった。私、個人的に聞いた場合、それは知らないというようなことも言っておりました。しかし、このあなた方が出した書類の中にはっきり書いてあるんですからね。明確な答弁をしていただきたい。
  148. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 去年の夏以来、公社企業をどう改革したらいいかということで、若い連中がたいへん勉強してくれまして、その中の資料をお持ちになっておるんだろうと思いますが、その出しました結論を私は不採用にいたしまして、それではだめだということにいたしましたので、それはひとつお忘れ願いたいと思います。
  149. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 しかし、マル秘という判まで押しているんですから、これは忘れるわけにはいかぬのですよ。この七ページにこう書いてある。「外葉購買による国産葉価格のけん制」という文字がある。「けん制」という文字は、外国葉を買うて国産葉を押えるということです。こういうようなもののいい方は、ずいぶん農民をばかにした、耕作農家をばかにしたいい方じゃないですか。こういう考え方を持っておるのですか。外葉で国内葉を押えるんだというような考え方を、これは書いてあるんです。
  150. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先生にもぜひ御了解願いたいのであります。外へ出すべきものでないという意味で、マル秘というふうにいたしたわけでございます。したがって、公表するようなものとして準備をしておりませんでして、上のほうの段階のスクリーンを得ていないものでございます。
  151. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 しかし、こういうような計画を持っておりますから、こういうものをつくったから、四割外葉輸入というようなことが一般に広がっておるのです。こういう証拠があるのです。火元はあなたのほうなんです。しかし、こういう考えを持っておるということは、私は問題だと思うんですよ。こういう考え方が、どうせ安い外葉を入れたらいいんだ、国内のたばこ生産農家というものは押えて、そうして減反させたらいいじゃないか、こういう考え方がこれにはっきりあらわれていると私は思うから問題にするんですよ。これは、こういう考え方ではいかないんですか。こういう考え方ではやりませんということを言うんですか。
  152. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 いろいろ検討グループから、そのような考え方が一時出ましたことは私は否定はいたしません。しかし、これは公社の考えとして採用したわけでないということをはっきり申し上げておきます。それで御了承を願いたいと思います。
  153. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 それなら、いまのいわゆるたばこの価格の問題、もっと農家がたばこの耕作を放棄しないような価格政策、それから、いまやっている減反政策というものについても反省を加えてほしい。あなた方は国内の葉たばこがだんだん減っても、耕作者が減っても、外国からこういうふうに四割も入ってくるという将来の計画を持っておる。そういうことはやらないで、もっと国内の葉たばこ生産者を保護すべきだと思うんですが、どうですか。
  154. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 私どもは、いま先生が持っておられます、そのような考え方に対する批判といたしましては、そんなに輸入を急増させて、ほんとうに現物の獲得ができるかどうかという問題がまずあるわけでございます。検討した連中は、現状における耕作状況から割り出した、こういう話でありましたけれども、これからの各国のたばこ耕作というものが、現状どおり続くと想定することはおかしくはないか。現にアメリカ等では、種類が少しずつ変わっていくような感じがいたしますし、値段がじりじり上がってまいります。そのような状況を見ますと、国産を急激に減らすということは、一体われわれが獲得する原料葉たばこの価格を下げることになるかという問題があるではないかという反省から、私ども、そのお持ちになっております資料では、何も特別の手を加えないで自然の推移にまかせておいた場合においては、かなり国産の減産が起きるのではないかという考えから出たものと解釈しておるのでございますけれども、そのようなことでは済まぬのではないか。農家所得というものを一方には考慮する、一方には国際的な競争というものを考えながらかなりの程度の国産の確保ということを考えていかなければならぬのではないかという感じを持ちましたので、先生は最終の長期計画をお持ちだろうと思いますけれども、それには、先生が御引用になりましたものを削ってしまったわけでございます。
  155. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 最後に、一問だけで終わりますが、これは政務次官にも御答弁をお願いしたいのですが、耕作面積が八万六千ヘクタール、農家戸数が二十九万戸、生産量里が二十一万トン、農家の収入が一千億円、これが現在の日本におけるたばこ農業の現況です。そして、これによる国家の財政収入というのが、自治治団体が収納しておるたばこ消費税が二千四百六十一億円、専売公社で納めておる専売納付金が二千三百四億円、合計しますと四千七百六十五億円という財政収入を政府はたばこから受けておる。米の場合は三千億円余りの食管赤字繰り入れをやっておるわけですね。そうすると、たばこと米とを比較しました場合に、たばこの場合は、農民がつくった生産物を対象として実に五千億近い収益をあげておるのですよ。そして農民の得るものは幾らかといったら一千億ですね。五分の一。五分の四を国、府県が取って、つくっておる農家に一千億しか、五分の一しか渡しておらないですね。こういうような実態を見ると、私は、たばこ耕作農家に対してもう少しあたたかいやり方をしていいのじゃないか。いまの公社のやり方を見ると、ただいまのこの書類に、はっきり露骨に公社の意図があらわれておると思います。どういう意図かというと、結局、たばこ耕作農家を徴税の手段としか考えておらない。農業としてのたばこ、そういう見方というものが全く希薄だと私は思うのです。これは、たばこ専売制度歴史を考えれば、徴税の手段として考えられたということはもう明らかですから、公社がそういう気持ちを持っておるということは言うまでもないと思うのです。  しかし、政務次官にお尋ねしたいのですが、こういうふうにたばこ農家というのはずいぶんたくさんおります。これがいま言うたように、減反政策をする、価格は物価の値上がり以下に押えておく、外国からは輸入する、やめたい者はやめろというような、こういう政策を講じていくということがはたして妥当かどうか。特に、総合農政というものをこれから始めようとするのでしょう。私は、政府のいう総合農政というものを信用しているわけじゃありません。ありませんけれども、しかし、これを表面から見ただけでも、総合農政は米以外のものに力を入れるということなんでしょう。そうすると、このたばこなんかは力を入れなければいかぬと思うのですよ。いままで私が公社の副総裁と論議したところについて、政務次官は一体どういうふうにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  156. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 総合農政の中で、たとえば、米以外の農作物をいろいろ振興するといいましても、やはり私どもは、長期の需要見通しというものを立てて、その需要というものから供給の問題をいろいろ考えながらいかなければならぬと思います。  その需要という点を、たばこの点で考えてみますと、これは、需要の数量というものは容易に算定はできますけれども、この中身といいますか、嗜好でございますものですから、それがどういうふうに変わっていくかということも、やはり織り込んで考えていかなければならないと思うわけでございます。また、衛生上のいろいろな問題が出ておる今日でございますし、そういう点を考えますと、私どもは他の農産物のような、単純なと言うとたいへん語弊がありますけれども、そういう他の農産物と同じような考え方だけで、先生がおっしゃるような気持ちはわかりますけれども、この増産とか確保とかいうことだけを考えていけない点があるのじゃないか。  しかし、価格の問題、また減反の問題も言われましたが、価格の問題も、御承知のとおり、生産者も含んだ公正な審議会でいろいろ議論をしても、やはり私どもは、そこに政治的なある程度配慮を常に加えていただいて、御承知のとおりのような価格の——ここ数年をとってみますと、非常に価格の配慮をしてまいったことは事実でございまして、この点は、農林省生産者を守る立場を専売公社で十分配慮をされ、あるいは党とのいろいろな交渉の過程で、党のほうの政治的配慮が加わってきているわけで、したがいまして、そのたばこの生産意欲というものは、私は決して減退をしていないと考えております。  一方、増減反の問題でございますけれども、やはりたばこの需要を刺激する、あるいは需要のいろいろな構造の点から考えてみますと、やはりこれだけでは、ただむやみに輸入を減らすというわけにもいかない。いろいろたばこの種類の高度化によって考えていかれる点も、やはり私どもはよくわかるような気がするわけであります。しかし、先生がおっしゃるように、たばこが重要な農産物であることは事実であり、今後私どもが総合農政を進めるにあたって、第二次構造改善事業というものも進めてまいりますときに、農業振興地域の整備に関する法律施行の立場から見ても、主産地形成につきましては十分ひとつ、この量を確保するような点もあわせて専売公社と協議をし、われわれの意思を専売公社に十分反映さす努力をいたしまして、耕作農民に不安を与えないように、たばこ耕作が安定的に成長していくように努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  157. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 ただいま次官が、たばこは他の作物と違うと、こう言われたですね。そうしたら、他の作物だったらあなたはまた違うやり方があるということでしょう。たばこは特別な作物だからという考えであったら、私がここで思うのは麦ですね。麦のことを私は思い出したのですよ。現在、裏作地帯が二百万町歩近く放棄されたまま、それで小麦と大麦まで、日本需要される麦のほとんど八割までは外国から入ってきているのですよ。そうすると、これは一体どうなるのですか。これはたばこと違う一般的な作物です。一般的な作物ですら、農民は耕作を放棄してつくらぬようにしてしまっているでしょう。それで、安いからといって外国から入れる。私は……(安倍委員「農林省と所管が違う」と呼ぶ)農林省と所管が違うと前政務次官が言うのだけれども、私はそれはいけないと思うのですよ。そういうことを考えたら、このたばこだろうが麦だろうが何だろうが、安ければ外国から入れる、国内の耕作放棄が起こってもかまわぬのだというやり方を現にやっておるのですよ。いままでやってきたのですよ。だから、私がいま言うた、政府の総合農政というものは信用しないというのはこのことなんです。それならいま総合農政で何をやったらいいのですか。たばこもそうだ、麦もそうだ、あらゆるものがそうなっていっておる。この中で一体農民は総合農政として何をやったらいいのですか。園芸局長、ひとつこの問題について答弁してもらいたい。
  158. 小暮光美

    ○小暮政府委員 たばこ対策の問題につきましては、御承知のように、専売公社が全責任を負う所管になっております。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、生産改善の面では、農林省が専売公社と十分の連絡をとりながら、従来も、地域の実情に即した対策をやってまいっております。今後もその線に即してできるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。  ただ、その他の園芸作物につきまして、それぞれ作物の流通の姿、あるいはこれに対する規制のあり方等の強弱がございまして、それに見合ってまた価格政策のあり方もさまざまになっておると思いますけれども、全体として考えますと、やめさせるような価格でやっておるというおことばもございますけれども、その問題よりは、実は日本の畑作が背負っております宿命的な一つの姿がございまして、日本全体としての労賃水準と申しますか、そういうものが、もちろん農村においても、御承知のように農村賃金の上昇というような形であらわれております。そういったものと対応しながら、こういう多雨多湿の日本の畑作、しかも経営規模が小さいというようなものを、どこまで生産を合理化できるか。しかも外国から参りますものは、何と申しましても比較的乾燥した地帯の、しかも非常に野広いところで、機械の力を十分駆使してつくるようなものでございます。これらのものも、やはり総合物価対策あるいは総合食糧対策という面からいえば、これは無視するわけにまいらぬと思いますが、そういったものとの競争の中で、日本の畑作がどこまでがんばっていけるか、そのために可能な限りの生産改善の努力を積み重ねてまいりたいというのが、私どもの念願でございます。
  159. 佐々栄三郎

    ○佐々委員 とにかく、外国から入れたら安いという考え方でやられたら、いまのようなインフレ政策のもとにおいては、すべて外国のものが安いのです。そういうような考え方では、総合農政といったってから念仏で、農民がやって何も引き合うものはありません。これはよほど、口先だけでなしに、根性を入れかえてやってもらわぬことには、日本の農民は全くこれはひどい目にあうという気持ちが、いまいたしておるということだけを最後に申し上げて、もっといろいろ言いたいことがありましたけれども、時間的な制約がありましたので、これで終わりたいと思います。
  160. 丹羽兵助

  161. 工藤良平

    工藤委員 私は、園芸局長にミカンの問題でお聞きをいたしたいと思います。  実は、特に昨年のミカンにつきまして、非常に価格の下落というものが起こっておりまして、農林省がいう選択的拡大の一つの大きな柱であります果樹、その中のミカンの栽培という問題が、非常に大きな問題として提起されております。したがって、このミカンの下落の原因といいますか、そういう面についてまずお伺いをいたしたい、こういうように考えます。
  162. 小暮光美

    ○小暮政府委員 四十三年産のミカンの価格が、従来になく総体として低かったことは、御指摘のとおりでございますが、中でも、昨年の十二月中旬の大消費地域の卸売市場における価格が、平均四十円台という近年にないものになりました。  全体として水準が低かったという点につきましては、何と申しましても比較されます前年である四十二年産のミカンが、比較的干ばつ等の自然災害を受けましてとれ高が少なかったということで、かなり価格も高騰しましたが、そういったものとの比較で見ますと、四十三年産のものは、何と全体として四割近い増になっておる。前の年が低かったということと比べて四割増でございまして、趨勢線の上にこれを一応落としてみるという形で見ますと、必ずしもそれほど極端な増ではございませんけれども、前年に比べて四割ふえたということが、全体の水準を下押ししたことは間違いないと思います。  しかし、その問題と十二月中旬の、それにしてもひどい四十円台の価格の問題とは、やや問題が別になると思いますが、出荷調整の努力において、残念ながら結果的にある程度足らざるところがあったのではないか。今後出荷調整の面に、さらに特段の努力をすべき一つの苦い経験になったというふうに思っております。一月、二月と逐次相場は上向きまして、むしろ二月の下旬から三月に参りますと、国内の加工用のミカンの原料が、地帯によってはむしろ枯渇する、かなり値段が高くなるというような状況がございまして、全体としては、しり上がりに相場は推移しましたけれども、なお現在、四十三年産全体としてどの程度のものになったかということについては、鋭意調査中でございます。
  163. 工藤良平

    工藤委員 特にその中で、具体的に、さしあたって改善できるいろいろな対策というものも確かにあろうと思います。御指摘のように、一昨年は干害でありまして非常に生産量が少なかった。したがって、昨年は急激に伸びたような形になりましたので、全体的な需要とそれから供給の関係が急激に伸びた、傾向としてはそんなに大幅には伸びていないということでありますけれども、そういう点が確かにあったと思うのです。  ただしかし、問題は、それではこの販売の部面等において、もっともっと改善することによって小売りの価格というものが押えられなかったかどうか。生産者価格は四十円に落ちておりますけれども、東京における卸価格それから小売り価格の傾向を見た場合に、一体それは生産者の価格のように下落しておるかどうか、その点について、農林省の把握している範囲で発表していただきたいと思います。
  164. 小暮光美

    ○小暮政府委員 ミカンに限りませず小売り段階には、御承知のように、別途大都市における交通事情あるいは労働力事情といったような、末端小売り価格を押し上げる要因が現実にございます。それらの要素が反映いたしまして、御指摘のように、必ずしも卸売り価格の下落と全く同じような形で小売りが下がるというふうになっておりませんことは事実でございます。しかし、ミカンの場合に、昨年の暮れからことしの一月にかけての姿は、かなり的確に小売り価格にも反映しております。
  165. 工藤良平

    工藤委員 特に、十二月における下落の段階で、なぜ対策を講ぜられなかったのか。特に、これは加工部門との関係において、そういう措置が当然考えられるべきものではなかっただろうかというように思うが、その点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  166. 小暮光美

    ○小暮政府委員 生鮮食品の問題でございますので、十二月の中旬の神田市場の価格、これは、もちろんきわめて迅速に役所として把握できるわけでございますが、これにつきまして、行政ぺースで直接十二月中に具体的な手を打つということは、残念ながらできません。しかし、ミカンの出荷を主たるねらいとしております生産者の組織がございまして、これらの組織と園芸当局と十分なる連絡のもとに、市場関係者とも打ち合わせながら、かなりの密度で、出荷調整の努力をいたした事実はあります。  それから加工原料の面で、先ほど私もちょっと触れましたけれども、かん詰め企業もやはり一つの企業でございまして、かなり前広に、原料の手配についての計画生産者の団体とやっておりますが、これまた一、二週間の間に、小回りのきくような形に実はならないのであります。しかし、この点は輸出ミカンかん詰めの原料供給体制のように、日ごろ地元とかなり密接な連絡をとって、話し合いの場のできておる組織もございまして、これらのものを活用して、一月以降できるだけ加工のほうに回すような努力はいたしました。
  167. 工藤良平

    工藤委員 これは後ほど、これからの具体的な対策の中でさらにお聞きをしたいと思うわけでありますけれども、確かにミカンにつきましては、気象条件とかいろいろな条件によりまして、昨年のように非常に腐敗が多かったというようなことから、たいへんな問題が発生しております。したがって、これは加工なりあるいは貯蔵といった非常に大きな見地からの問題としてとらえなければならないということは当然だと思いますし、その点については、後ほど具体的な、これからの政策をどう打ち出していくかという問題についてはお聞きをいたしたいと思います。  ただ問題は、そういう具体的な当面の幾つかの問題と同時に、私はもっと根本的な問題として、ミカンの生産需要関係について、農林省が現在まで進めてまいりました果樹農業振興特別措置法に基づいた年次計画を、すでに過去三回にわたって発表しておるようでありますが、この内容を見ますと、五年計画を出し、三年目にそれがこわれ、第二回目も同じく三年目でこわれて、次の五カ年計画を出し、それも三年目にくずれるというかっこうが出ておるようでありますが、その生産の飛躍的な、言いかえますと新植が非常に急激に伸びたということ。これは、農林省自身が選択的拡大の大きな柱として打ち出した、そのことに農民自身が非常に積極的に取り組んだということになると私は思いますが、その計画の違いというものについて、一体農林省はどう考えているのか、この点をひとつ基本的にお伺いをしたいと思います。
  168. 小暮光美

    ○小暮政府委員 果振法に基づきまして、果樹の植栽について一つの指針を示すということをやっております。しかし、自由経済のもとでございますので、いわゆる経済計画ではございません。その点は、ひとつあらかじめお含み願いたいと思います。  四十二年の三月に、果振法に基づきまして果樹農業振興基本方針を公表いたしました。その際、公表文につけました事務次官の依命通達でも、かなり詳細に、樹種ごとに考え方を明示いたしておったはずでございますが、問題の温州ミカンにつきましては、この四十二年三月の基本方針の策定当時の状況を申し上げますと、直近数年間の平均の植栽面積が年一万ヘクタールであったという事実をまず指摘いたしました。別途農林省が試算いたしました五十一年のミカンの需要、それに対応した望ましい植栽の姿というものから見ますと、年率一万ヘクタールの新植はやはり植え過ぎである。したがって、当初の五カ年間は年平均六千ヘクタールにするのが適切ではないか。しかも、その先の後期五年間は、これをさらに半減して、年三千ヘクタール程度にするのが適切ではないかということを実は申しておるわけです。ただ、この方針を公表いたしましたあとの二カ年の実績を見てまいりますと、新植の面積がやや減ったとはいえ、いずれもおおむね一万ヘクタールでございます。したがって、前期五年間に年に六千ヘクタールとして約三万ヘクタール程度の新植にするのが適当であろうと発表したわけですが、その最初の二カ年で、五年分の見込みの三分の二を植えてしまったというのが実態でございます。したがいまして、今後は後期五カ年で予定した年率三千ヘクタールというものを、むしろ本年からこれを念頭に置いてやらなければならぬだろうというふうに考えております。  この点につきましては、昨年の十二月に、新しい年の各地域での具体的な予算の配分あるいは事業計画の推進等を行なうにあたって、この問題を十分意識するようにということで、蚕糸園芸局長名で地方農政局並びに地方農政局を通じて関係各県に、私から通達いたしてございます。
  169. 工藤良平

    工藤委員 いまの御説明のように、一番新しい四十二年から始まりました計画によりましても、目標達成率が二年間ですでに全国平均七八%、極端な県ではすでに九二%あるいは八九%と、こういうような地帯が出ているわけでございます。もちろん、これは相当な新値面積でありますから、これが本格的な生産の軌道に乗る段階においては、たいへん重大な問題が起こってくるだろうと思うわけですが、いまお話しのように、前半の年度において六千ヘクタールというのが一万一千から一万二千という、大体倍以上の新値率が出てきているわけです。これから後半に一体どの程度押えていくのか。この率からいきますと、いま園芸局長が言っている三千ヘクタール程度に押えるということになると、これはたいへんな押え方になるわけでありますが、その点については、このべースをどういうように変えていかれるわけですか。
  170. 小暮光美

    ○小暮政府委員 冒頭申し上げましたように、これは県ごとに割り当てたりしておる計画ではございませんから、果振法に基づいて国が現状並びに見通しについて公表する、これに即してまた関係県がそれぞれの県としての見通しをつくるということになっておりまして、関係県もそれぞれ四十二年の三月の基本方針を受けて、県ごとの見通しを現に立てておるわけであります。そういうものを見て、また各市町村あるいは生産者の団体が仕事を考える、こういうたてまえになっております。  私どもといたしましても、先般の果樹農業振興審議会にも、この問題の実情を十分御説明いたしました。また近く六月ごろを内心予定いたしておりますが、再び審議会を開いて、四十三年のミカンの生産、出荷の実態等をもとにして十分の討議をし、また、その討議の経過と結論を、十分各組織に流したいと考えておりますが、蚕糸園芸局のほうから県ごとあるいは産地ごとに数字を示し、あるいはそれを削減するとかワクをつけるとか、そういうような仕事の運びには実はなっておりません。
  171. 工藤良平

    工藤委員 農林省の仕事としては、もちろん計画生産ではありませんから、そういう答弁でいいと思います。しかし、現実に農家にしてみれば、つくれつくれというから実際はつくったわけであります。ところが、それが野放しで、いわゆる無政府状態ですね、正直にいいますけれども。ある県は五〇%程度で、大体農林省のいう指導に基づいてやっているところもありますけれども、すでに二年間で九〇%をこえているというところもあるわけでありますから、そういう状態が続いたときにどうなるか。それは全体的に五十一年という見通しに立てば、まだ目標達成には至っていないかもわからないけれども、急激に新植がふえたという段階においては、やはり需要と供給の関係のアンバランスが起こって、そこには価格の下落という問題が起こってくるだろうと思います。  ですから、その調整は、もちろん農林省には責任がないかもわからないけれども、しかし、どこかでやらなければ無政府状態が続いていくわけでしょう。そのために、私はあとで御質問しますけれども、やはりミカンの栽培をやっていくためにいろいろ融資制度があるわけでありますから、そこら辺の調整というものを農林省のほうで若干やることによって、私は全体的な調整もある程度できるのではないだろうかと思うのですが、いま言うように、それは各県ごとにかってにやるんだから、農林省は知りませんということじゃなくて、その調整を積極的にやることによって、いま言う価格の下落の防止なり、これからの長期的な見通しが順調に進んでいくのではないかと思うのですが、その点について、もう一ぺんひとつ御答弁願いたいと思います。
  172. 小暮光美

    ○小暮政府委員 先ほども申し上げましたけれども、四十二年の三月の基本方針につけました非常に長文の次官通達には、今日読み返してみましても、実に懇切丁寧に、樹種ごとの実態と問題点指摘してございます。しかしながら、その当時において東京市場等にミカンを出荷しますと、実はかなり高い値段で売れたのが現実でございます。先ほど来いろいろ末端指導のむずかしさについて御指摘がございましたが、私どもも全く同感でございますけれども、しかし、これはやはり国、県並びに団体、生産者全部が一緒になってやってまいるべき問題でございまして、だれかがつくれといったからつくったという単純な話ではないと私は思います。  そこで、そういった角度から考えますと、ミカンの場合には、実はこれが永年性の作物であるという点で、一年性の、たとえば野菜の問題等々と問題の所在がかなり違いまして、これまでミカンが、相対的にかなり有利な値段で何年も売れてまいりましたために、通常の考え方からすれば当然淘汰されてしかるべき、たとえば七十年木あるいは六十五年といったようなものも、みなほとんど温存されておるというような実態も片方にございます。全体として最盛期が、反収の面で見ますと、樹令三十年から四十年くらいまで続くと思います。それから先は、どちらかというと反収もだんだん下がるわけです。しかし、そのときの需給状況によって、なお十分採算にたえられるという場合と、比較的早く見切りをつけるべきであるという段階が、経済でございますから当然あると思います。全体としての植栽面積の中で、樹齢別の構成というようなものも十分に念頭に置きまして、これから各地域ごとに、今後のミカンの新植のあり方について、十分討議を尽くすべきだというふうに私は考えます。
  173. 工藤良平

    工藤委員 その問題については、特にミカン栽培が非常に広域化して、しかも、生産量も面積も相当大きくなってきたという状況の中から、私は、農林省役割りがこれからますます比重が大きくなるだろう、こういうふうに理解をしているわけでございまして、いま局長がおっしゃるように、確かに五十年、六十年あるいは七十年という成園については、効率の問題からいいましても、新値のミカン園に比較をいたしますと、将来にわたって考えた場合においては、コストの問題等においても大きな問題があるだろうと私は思います。したがって、これらは逐次淘汰されていかなければならぬと思います。  そういたしますと、先ほど私が指摘をいたしましたように、一番近い五カ年計画に基づいた新値の計画というものは、そういう意味を含めながら、相当大幅なミカン園の改革がはかられながら推進をしていくのか。そうしますと、それは当然次の予算編成の中で出てこなければならないというふうに私は思っているわけでございますけれども、四十四年度農林予算の内容を見ても、それらの問題がはたして積極的に出ているかどうかという点については、若干疑問を持たざるを得ないわけで、私は、このような価格の下落が発生をしておる現在の時点で、相当積極的な踏み込んだ行政指導が必要ではないだろうか、こういうように思いますので、その点について、私は特にミカンの問題を考える場合に指摘をしておきたい、こういうように思うわけでございます。その点に対して、もう一ぺん局長から、これからの方向というものをはっきり出してもらいたい、こういうように思います。
  174. 小暮光美

    ○小暮政府委員 ごく最近の年次の新値は、少しテンポが早過ぎるということをさっき申し上げましたけれども、しかし、昨年の十二月のあのミカンの暴落のときに、何もおととし植えたミカンがこの戦線に参加したわけではございませんで、やはり五年くらいのタームでで植栽齢ごとに区分して、ある程度地帯ごとによくにらんでものを考えるべきだろうと、実は先ほど申し上げたつもりなんです。  それから、いまの御指摘で思い出したのですが、先ほどの御指摘に対してお答え漏れがございますけれども、植栽資金というものは、まだかなり予算上も織り込んでおります。ただ、四十四年からは前年よりも少し減らしたことは御記憶だと思います。あの資金のワクについては、一々説明をつけておりませんが、やはりいまのミカンの実態を十分反映しまして、昨年の貸し出しの実績を見ましても、実はすでに植えたものについての育成資金という形で資金を活用しておりますものが、率としては非常に多くなっております。新植の資金の相対的ウエートが低まってきております。  それから、これは行政の結果でございませんから、私、決していばって申し上げるわけではございませんが、全くの事実を申し上げますと、昨年来の相場の動きというものは、やはり的確に苗の需給等にも反映しておるようでございます。やや性急な新価に対しては、抑制しようという気分が各地に起こっておることは明らかに看取されます。今後園芸局といたしましては、この問題を機会あるごとに十分の議論をし、問題の所在を指摘し、そのことが末端まで浸透するように、努力を積み重ねたいというふうに考えております。
  175. 工藤良平

    工藤委員 私も、この点非常に心配しますのは、すでに県段階等におきまして、四十三年度末現在の成園、未成園の植栽状況というものを見てみますときに、大体四十三年度末における面積で、農林省がいう五十一年の生産量というものを確保できるのではないか。いま言われた淘汰していく面積というのは少ないわけでありまして、新植の面積は非常に大きい。こういうことからその生産量というものを推計してみるときに、大体四十三年度末の面積で、五十一年の見込みの生産量というものを確保できるのではないだろうかということが、大体の見通しとして出ているようであります。これは、農林省はどのように踏まえているかわかりませんけれども、実際に県段階でミカンの状態というものを分折してみると、そういう計算も出るようであります。  そういうことになりますと、私は需要と供給の全体的なバランスが、一体どうなるのかということを実は心配するわけです。もちろん、国内における需要というものを見てみますと、外国に比較するとまだ相当低いわけでありますから、伸びることは当然だろうと思いますけれども、急激にそれが伸びるかどうかということになると、なかなかそうはいかないということがありますので、ぜひその点については、指導方針で、より積極的な農林省の指導というものを私は期待いたしたい、こういうように思っておるわけであります。  ところで、当面ミカン農家の間で非常に問題になっております点について、私は二、三農林省のほうから御回答をいただきたいと思うのですが、ミカンの生産過程におきまして、いろいろな資金対策というものが講じられているわけであります。この中で、特に新植に要した資金、それから、それが具体にこれから生産が軌道に乗るという段階になってまいりますと、さらに設備資金を必要とするというようなことになる。一方新値に使いました資金の償還期限が来る、一方においては設備資金を必要とする状況になってくるわけで、おまけに価格は下落をした、こういうようなことから、償還期限の問題あるいはは据え置き期間の問題等が実は提起をされているわけであります。これらについて、特に近代化資金等の資金の運用については、できるだけ据え置き期間を長くするような運用が当面必要ではないだろうか、こういうように思っているわけでありますが、その点についての御回答をいただきたいと思います。
  176. 亀長友義

    亀長政府委員 お答え申し上げます。  現在、ミカンの資金といたしまして、公庫資金及び近代化資金を相当量貸し付けております。実際上経営が困難であるというような事態が起きました場合には、償還能力というものを十分判断いたしまして、その上で適切な措置をとりたいと考えております。具体的に、据え置き期間なり償還期限を原則的に変更するという考えは、いま持っておりませんが、具体的な個々の人に応じましては、償還を廷期するという形で実際上据え置き期間が伸びるというような結果になるように配慮をいたしたい、かように考えております。  具体的な個々の実情に応じましては、それぞれ公庫あるいは系統において措置をとるように、私ども従来とも指導をいたしておりまして、御指摘の点についても、十分個別に対応し得るように指導いたしてまいりたいと思います。
  177. 工藤良平

    工藤委員 特に資金的な面につきましては、生産農民の要求に、従来十分にこたえてきたかどうかという点については、資金のワク等がありまして、相当な制限があるのではないだろうかと考えるわけであります。したがって、農協のプロパー資金等を利用いたしましてやらざるを得ないという結果に、おそらくなっているだろうと私は思うわけであります。  この統計協会から出ている資料を見ましても、その集中している資金という部面については、ほぼ各年次とも一致しているようでございまして、したがって、本年度予算では、特に近代化資金等のごときは三倍、一千億が三千億に拡大されるということで、たいへん伸びているわけでありますけれども、従来そういった意味で、農協資金の非常に高い金利を利用してミカン栽培につぎ込まざるを得なかったという実態もずいぶんあるようでありまして、こういう点について、次の設備資金等については、これは万全の対策を講じてやらないと、負担が相当大きくなりますし、あるいは生産費の問題等につきましても、たいへんな問題になるわけでありまして、この設備資金を中心といたしまして、今後の対策について、ひとつ局長のほうから御意見をいただきたいと思います。
  178. 亀長友義

    亀長政府委員 資金量の点につきましては、あるいは昨年までは十分でないという面があったかと思います。公庫資金につきましては、果樹園経営改善資金はかなり余裕があったように思われますけれども、近代化資金等については、必ずしも昨年、県の御希望にも応じきれなかったという実情でございますが、今年度は、御承知のように、農林公庫の総ワクも非常にふえてきまして、二千二十億ということで、その中で果樹園経営改善資金も、昨年度に引き続き貸し付けることといたしております。さらに関連の総合施設資金であるとか、あるいは未墾地取得資金、そういうようなものも増ワクをいたしております。さらに近代化資金につきましては、御承知のように、昨年の三倍の資金量を用意いたしておりますので、量的な面で希望に応じきれないということは、今年度に関してはあり得ない、かように考えております。  金利の点あるいは償還期限の点につきましては、いろいろな御希望がございますけれども、全体の金利水準との関連もございまして、本年度におきましては、とりあえず昨年度の金利を踏襲いたしたいと考えております。しかし、御承知のように近代化資金につきましては、農協が営農団地というのを計画いたしておりまして、その中には、当然これは米作を能率的にやるという団地もあれば、あるいは畜産を能率的にやるという団地もあります。また、果樹園を能率的に経営するという団地もございます。こういうものにつきましては、今年度から一般の近代化資金の場合よりも、さらに一分下げて貸すという新しい制度を設けるということで、目下具体案を進めておるわけでございます。  私どもとしまして、農林公庫その他系統でも、金利水準あるいは公庫の中でも他の各種資金との関連ということもございまして、農林公庫につきましては、当面現在までの金利を踏襲いたしたいと思いますが、近代化資金につきましては、本年度からさような積極的な利率を取り入れる、かようなことで対処してまいりたいと思います。
  179. 工藤良平

    工藤委員 過去の実績というものを見てみましても、特にミカン産業の関係につきましては、非常に小さい、ある程度狭められた地域においてやられていた。しかも、相当自己資金等もあったわけでありますけれども、こういうように非常に広域性を帯びてまいりますと、全体的に資金をたいへん必要とする、こういうような状態でありますので、今後さらにいろいろな設備資金等についても、あるいは運営資金等につきましても、相当措置ということをやっていかなければならぬのじゃないだろうか、このように思います。特に、価格の面等につきましてもあとでお聞きをしたいと思いますが、輸出、輸入関係等からして、やはり生産費を下げていく、こういうことからいたしますと、できるだけ安い金利で資金調達をしてやるということが必要だろう、こういうふうに思いますので、この点については、今後一段の対策を講じていただきたい、こういうように思います。  そこで、これはあまり時間がありませんので、簡単に問題だけを提起をして、一応考え方だけを伺って、また後日ゆっくり時間をかけて質問をしたいと思いますが、特に価格対策として、さっきちょっとお話が出ましたが、市場、特に流通の問題について、今後相当改善をしていかなければならぬのじゃないだろうか、こういうように考えます。これは昨年ですか、市場に対する融資制度というものができましたけれども、実際問題として卸と小売りの間の価格というものが、統計を見ても、大体二倍程度になっているわけでありますから、この問題について、農林省として一体どう考えるかということが一つ。  それから、特に生産者の価格対策について、広域性、生産の拡大というものが行なわれてまいりましたので、この問題について、特に果樹の中における主要なリンゴあるいはミカン、こういったものに対する将来にわたっての価格対策というものを、たとえば畜産とかあるいは蔬菜の場合にはすでにできているわけでありますが、そういうことが考えられてしかるべきではないだろうか、こういうように思うわけでありますけれども、その点について、基本的な考え方だけでもけっこうですが、お伺いしておきたいと思います。
  180. 亀長友義

    亀長政府委員 初めのほうだけ私からお答え申し上げますが、卸、小売りの段階、非常に複雑な、あるいは非常に経費がかかるという批判がございます。果樹につきまして、私ども中央市場の整備あるいは公設小売り市場等を奨励するとか、  いろいろな施策を講じておりますが、これは自由営業と申しますか、そういう分野でございますので、なかなかわれわれ直接的に手を触れにくいという問題が非常に多うございまして、われわれも対策に非常に苦慮をいたしております。中央市場その他地方市場等の整備をはかって、間接的に集中的な取引が行なわれるようにするという促進策が一つございますほかに、私どもとしましては、やはり産地からの出荷の大型化、あるいは小売り店につきましてもできるだけ小売り店を大型化していくという方向、さらに品物の規格化ということを大いに奨励してまいりたいと思います。  御承知のように、青果の部分では品物の均一化、規格化ということが非常に進んでおりまして、生産者のほうから、あまり進み過ぎるという批判もあるくらいでありまして、中央市場をごらんになれば一目りょう然だと思いますが、包装の均一化、機械化ということで中間のロスというものをなるべく省いていく、かような政策を進めていきたいと思います。
  181. 小暮光美

    ○小暮政府委員 畜産物あるいは野菜等との関連で、ミカンに価格対策がないじゃないかという御指摘と思います。なまものにつきましては、端的に申し上げて、なまものの価格を直接何か政策的に、下ささえしたりあるいは上を押えたりということは、議論としてはずいぶん私どもいたしましたけれども、また外国の例でも一、二、たとえば生産のある状況のもとで破棄するという状況もオランダであるということも調べておりますけれども、率直に申し上げて、なまものそのものの値段を政策的にやるということは無理である。もう一つは野菜と違って——野菜の場合、かなり無理して交付金制度というのをやっております。これは、暴落の次の年には作付をやめて放棄する、また暴騰すると翌年は少しむちゃに作付をふやす、あの野菜特有の問題を何とか避けたい、そのために、生産団地での生産者の皆さんの共同行為と申しますか、そういうものを育てていきたい、そのためには、暴落の年にああいう基金から見舞い金を出すという仕組みが最も適切ではないかということで実はくふうしたものであって、御承知のように、あれ自身は市場の暴落を特に阻止する力を持っていない。また、ミカンなんかの場合は植えてしまっておるものですから、植えてしまったものが暴落したから、翌年切ってしまうというようなものではございませんので、くどいようでありますが、価格そのものは、需給を結合させるための努力をする以外にない。  そこで、産地におけるきわめて短期の出荷調整用の貯蔵の施設、それから情報伝達の近代化、あるいは国鉄等と連携しての列車の通し方のくふう、こういったようなじみでございますが、一つ一つ意味のある仕事をできるだけ精度を高めて、やはり需給を結合させるような努力をいたしたい。その根っこに、先ほど来御議論のあった植栽自身をある程度調整して、長期的な需給に合わせるという仕事が大前提にございます。  そのほかに、かん詰めとか果汁とか加工の面では、率直にいって、これまでミカンはなまでどんどん売れておりましたから、加工面での施策が未発達でございますが、今後力点を置くべきはその方向一つある。  それから、幸いにして昨年から北米五州になまのミカンの輸出が認められたというようなことで、米州大陸に対する温州ミカンの輸出にも特に曙光が出てきたというようなこともございます。リンゴの輸出等についても、いろいろフィリピン、台湾等とかけ合って着々と努力しております。なま果の輸出の問題についても今後できるだけ推進したい、このように考えております。
  182. 工藤良平

    工藤委員 もう時間が参りましたので、最後に締めくくりたいと思いますけれども、いまお話しのございましたように、ミカンそのものについて価格保証をやるということは、現実の問題として非常にむずかしいと私自身も考えているわけであります。ただ加工部門が、いま統計を見ますと、生産量の一八ないし二〇%程度のようでございまして、やはりミカンの価格下落の一つの対策として、加工というものが当然考えられてしかるべきじゃないか。そういたしますと、加工部門というものを、たとえば事業団なら事業団という、これは一つの私の考え方ですけれども、そういうものによって買い取るということが、現実の問題としてできないのかどうかということも、私どもとしては現時点で考えてみる必要があるのではないだろうかというふうに思っているわけであります。やるとすれば、そこら辺ではないだろうかというふうに思っているわけです。輸出の問題とあわせて加工、そして価格の支持制度といいますか、そういうような問題を、やはりこの際ぜひ検討してみる必要があろう、こういうように思います。これはまた機会をあらためてこまめに議論をしてみたいと思いますが、ぜひそういった立場を、この際農林省としても積極的に考えていただく必要があるのではないか、こういうように私は思いますので、この点は一応問題提起という形になりますけれども、後日あらためて詳細に検討してみたいと思います。  それから、いま輸出の問題が出ておりましたが、特に輸出の問題については、ミカンそのものの国際的な競争の問題もありますけれども、くだものの輸入の状態を見ますと、特に台湾のバナナが、やはり非常に国内における市場というものを圧迫してきているような傾向がありますから、そういった意味から、特に需要の代替関係というものをやはりわれわれとしても考えてみる必要があるんじゃなかろうか、こういうように思いますから、特に輸出の問題についても、また後日詳細に検討していきたい。ことに北半球の状態を見ますと、非常にミカンの生産というものが少ないようでありますから、そちらのほうに大きく輸出を伸ばしていく、こういう立場というものを考えてみなければならぬ。もちろん、その際に問題になるのは価格の問題だろう、こういうように思うわけです。その点については、先ほどから申し上げましたように、生産段階における省力栽培をどうするか、あるいは資金需要について、できるだけ安い資金を供給してやるというような問題もありましょうし、全体的にミカン経営そのものを拡大していくという問題もありましょうから、そういう点を総合的に考えて、これからのミカン産業というものをぜひ見直していく必要があろう。そういうことをやることによって、私は、この総合農政に対する農民の信頼というものが出てくるだろうと思いますけれども、やりかけたとたんに価格は下がった、新植もやめなければならぬ、こういうことでは農民は、さっきのたばこじゃありませんけれども、何をしていいかわからない、こういう形になります。  きょうは時間もありませんからこの程度にいたしまして、また日をあらためてこれらの問題については詳細に議論をしていきたい、こういうように思います。きょうはこの程度で終わりたいと思います。
  183. 丹羽兵助

  184. 柴田健治

    柴田委員 官房長も大臣も呼んでおったのですけれども、お見えにならぬので、食糧庁長官、時間がございませんから簡単にお尋ね申し上げて、ひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。  前回お尋ねを申し上げた途中でしり切れトンボになりまして、次回に繰り越してきょうまで参りましたが、自主流通の問題で、長官は、自主流通米は政府の管理米だという発言もございますし、また反面では管理米ではない、こういう発言をせられたときもあるわけですが、実際どちらが正しいのか、確認する意味で簡単にお答えを願いたいと思います。
  185. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 先日もお答え申し上げましたが、政府管理米という一般的な通念は、政府が米を物理的に管理する場合を含めていっておるのだと思います。そういう意味で、自主流通米は政府所有権を取得しない、食管特別会計で管理しないということでございますから、そういう意味での政府管理米ではない。  しかし、自主流通米といえども、だれがどこへ売ってもよろしいというようなことではなくて、食糧管理法に基づく行政上の規制をいたします。したがって、法的な管理あるいは行政的な管理の対象にはなるものでございます。したがって、食糧管理の対象の米でありますということを申し上げたわけでございます。
  186. 柴田健治

    柴田委員 言い回しをじょうずに言われたわけですが、実際は行政上の管理だ、要するに所有権のない管理だ、こういうことですね。  それで問題は、われわれが一番心配しているのは事故が起きたときです。この間も申し上げたように、盗難、水害、火災というような事故が起きた場合に、たとえば、市町村長が特定の業者に自主流通米の購入伝票を自分で切る。伝票を切る制度になるかどうかわかりませんが、たとえばそういうことで、途中において、輸送中であるとか、伝票を切ってもう自動的にある業者に渡したが、現物はまだ倉庫の中にある。ところが、たまたま水害があって被害をこうむる、火災にあう、そういう事故が起きた場合には、政府の行政的な管理米として、その事故米は責任を負われるのですか、この点をはっきりしてください。
  187. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 食糧庁が所有権を持って管理しておるのではございませんから、流通過程における事故について、政府が責任を負うというわけには私はまいらないと思います。  ただ現在でも、農協は政府からの預託米については、これは寄託を受けたものについて保管責任を負っておるわけでございますから、災害その他の事故がありました場合、特に火災等の場合には、これは組合の一種の共済、全国プールの一種の事故保険制度をとって、その点の危険分散をいたしておるのでございます。また、流通段階のいわゆる米屋さんの団体も保険に付し、あるいは共済的な救済措置を講じて危険分散をしておるということでございますので、これは、現在の各種の制度のもとで危険の分散ということは行なわれますが、政府がそういう事故に対して責任をとるということは、私はできないと思います。
  188. 柴田健治

    柴田委員 中間の流通過程で集荷業者として、たとえば農協なら農協が集荷して倉庫に入っている。それが——それはいろいろな自主的な共済制度災害の補償制度、そういうことでやったらいいのだ、政府はあくまでも責任がないのだ、こういうことば、農業団体に、今度の自主流通米については十分理解させているのですか。
  189. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 まだ、自主流通米の細部にわたっての団体との折衝が終わっておるわけではございませんが、農業団体はかねてから米の扱いをいたしておりますから、したがって、災害等の危険分散のことは当然私は念頭にあると思いますが、その点について、政府に責任を負ってもらいたいということは、これは私は、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、筋に乗らない話でございまして、農協等の団体からも、何らそういう点についての要請は受けておりません。
  190. 柴田健治

    柴田委員 この問題は、いずれ実施の過程で具体的になってくると思うので、私たちは非常に心配してお尋ね申し上げておるわけです。そういう点は、今後尾を引くと思うのですね。  先般、任期が終わって登録がえを行なわれたと思うのですが、新しくどういうものが集荷業者という登録をしてきたのか。従前どおりか、それとも新しい業者が、たとえば二十とか三十とか、新聞報道によれば三十ぐらいの新しいものが集荷業者として、たとえば飼料商人であるとか大手業者とか、こういうものが集荷業者として登録申請をした、こういうような報道をされておるのですが、その具体的な事実をひとつお答え願いたいと思います。
  191. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 三月末に集荷業者の登録がえが行なわれたわけでございますが、まだ全国の集計を私のほうで終わっておりませんので、具体的に申し上げることができないのですが、いずれあらためまして、集計ができましたら御報告をいたしたいと思います。  中間の連絡といいますか、情報的な連絡を総合いたしますと、集荷業者については、ほぼ従前どおりの形でおさまった。ただ、ある特定の県につきましては、御指摘のように、地元の飼料の販売業者等が、地元の商業者が、若干集荷業者としての条件を整えて申し出てきた、登録をしてきたというような事情がございますが、おそらく集荷業者総体としてのバランス等は全国的には、私はほとんど変動はなかったというふうな結果になるだろうと思っております。
  192. 柴田健治

    柴田委員 問題は、自主流通のいまの食糧庁が考えておる百七十万トンの数字の中で、百万トン、五十万トン、二十万トンと分類をされているうち、二十万トンのモチ米なんですが、このモチ米は日本の場合は足らない、こういうことをいわれておる。足らないものを自由米として販売をするというその根拠というか、そういうものがわれわれはふしぎに思う点です。この点について、あくまでもモチ米が足らない、足らないけれども、食管会計の赤字を解消するためには万やむを得ない、こういうことで自由販売にするのか。単純にすなおにお答え願いたいのです。  それからもう一つは、酒米の問題。実際、日本の業務用米のこの五十万トンのほとんどを酒米に回す考えだろうと私は思うのですが、この酒米は、実際問題として値よく売れるのかどうか。いま交通事故対策からいって、飲酒運転等は非常にきびしく規制されてまいりましたし、病気の関係等で、酒を飲まないで洋酒を飲む、こういう傾向が強くなって、外国からどんどん洋酒が入ってきておるようであります。そういうことからいって、いま日本の約三千八百軒の酒屋さんがつくっておる生産能力からいって、年々酒が売れなくなるんではないかという非常な心配があるようであります。事実かどうかわかりませんけれども、今年度、四十四年度では約百万石の酒が余るんではないか、売れないんではないか、こういう一つの不安があるようであります。これは、数字的に酒屋さんの業者が言うておる。そういう場合に、業務用米として酒米が、いままでの価格よりより一そう相場がよくて高く売れるのかどうか、そういう見通し、それからまたそういう点についての自信があるのかどうか、この二つの点、簡単にお答え願いたい。
  193. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 モチ米の需給は、御指摘のように最近窮屈でございます。かつては過剰で困ったときもあるのでございます。モチ米の需給というものは非常に微妙でございまして、総生産量が八十万トンないし八十五万トン程度の数量があるわけですが、そのうち二十二万トンないし二十三万トン程度が政府買い入れになっているのでございます。窮屈ではございますが、これは酒米も同様でございますけれども、モチ米については、政府の売り渡し価格は、政府のコスト価格で売っておったものでございますから、自主流通米の本質からいえば、最もなじみやすい性質のものでございます。  ただ、需給が窮屈なときに、政府が直接管理をする場合よりも需給の調整がむずかしいということがあり得ましょうから、私どもとしては、すそものといいますか、最も下等な需要に対応するための外国からのモチ米の輸入の手当てをいたしておるわけでございますが、需給に見合うような価格の形成を、モチ米について行政的に定めることはなかなかむずかしいと思います。従来、モチ米加算もしておったのですが、そういう手当てではなかなか需給調整はむずかしいので、実需者と生産者の間で需要量をつき合わせ、その生産を確保するような価格の形成をさせるということのほうが、はるかに需給を調和させることが容易である、そのことが米全体の生産のためによいことであるというふうなことで、モチ米についても自主流通の対象といたしたのでございます。  それから酒米につきまして、酒の需要量は最近は年々四、五%の伸びを示したのでございますけれども、確かに四十三年は、消費の伸びが鈍化をいたしておるようでございます。私もそのほうは専門でございませんが、国税庁の説明では消費の伸びが鈍化している。しかし、昨年の政府の酒米の売り渡し量は約五十三万トンでございますが、本年、四十四米穀年度中の酒米の需要量は、大体、五十六万トン程度になるであろうというのが国税庁の見方でございます。でございますので、これも政府はコスト価格で従来売ってまいり、また酒造好適米については酒米の加算をしておるのでございます。でございますので、そういう条件は自主流通には非常に移りやすい。  酒造量の調整の問題は国税庁の問題でございまして、研究をしておるようでございますが、私どもの見るところでは、各県の酒造関係組合とそれから集荷団体との調整を終えたものを、中央に持ち上げて最終調整をするという形で、五十万トンの酒米の処理については、私どもは十分実行できるという考え方を持っております。  それから、価格の面でございますが、先ほども申し上げましたように、モチ米、酒米ともにコスト価格で売っておりますから、政府生産者米価のほかに、政府経費を加えて売り渡しておるのでございます。でございますので、自主流通米の場合の経費がどの程度になるかというようないろいろな問題が、これは地域的にも問題がありますけれども、その観点からいいますれば、私は、酒造業者に新しい大きな負担を加えることなく、また、農協としても政府への売り渡しよりはより有利に売れるという関係は、十分成り立ち得るというふうに思っておるのでございます。  なお、ついででございますが、酒米、モチ米につきましては、自主流通米に回しましょうとも、あるいは政府買い入れをいたしましょうとも、財政的には負担の変動はほとんどないということでございまして、したがって、財政負担を免れるために無理やり七十万トンを自主流通米に回したということはございません。
  194. 柴田健治

    柴田委員 私たちは食糧庁が考えているような、そういう足して二で割るようになかなか簡単にいかないと理解しておるのです。たとえば、酒屋さんは自主的に五十四万トンの酒米を使う大体の実績があるが、何%プラスアルファをして考えておるか。けれども、酒屋さんが売れないと見て自主規制をして生産調整をやった場合、酒米が値よく売れるからということで、酒米のほうへ重点を置いて作付転換をした。結局売れない、もう買わないということになったら、結局、生産農民は酒米をつくったその生産目標というものが——これは手放しで置いておくとたいへんなことになってくる。やはりこれは国のほうがある程度調整していかないと、酒米をうんとつくった、値よく売れるのだという一方宣伝があってつくった、収穫が終わってから売れない、こういうことは、他の農産物についても今日までいろいろ出てきておるわけです。そういう過去の実績がある。そういう面から見て、値よく売れると思って酒米重点につくったところが、収穫が終わってから、もう値よく売れないのだ、酒屋さんもごめんだ、これ以上酒米を買うことは困る、こういうことになった場合に、だれがほんとうに責任を持ってくれるのか。また農民から非常な不評を買うという心配も出てくるわけです。だから、やる限りはよほど自信とその見通しをはっきりしてもらわないと、われわれ農民に対して弁明ができない、こう思うわけです。  モチ米でもそうですよ。足らないものを自由販売にする。結局、生産農民の価格というものはある程度調整される。販売業者の胸三寸で価格が変動される。消費者は案外高く買わされ、生産者はある程度の価格で押えられる、こういうことになる可能性があると私は思うのです。こういう点についてももっと検討を加える必要がある、こう私は思うわけです。この点について、食糧庁長官がただ安易な、数字的にそろばんをはじいて言うようなことには、現地ではそう簡単にいかないですよ。  それから、容器の問題はどうですか。もうきまったのでしょう。どういう容器で自主流通米と管理米の区別をつけるのですか。容器を何にもきめずにバラでやったら、これが管理米でございます、これが自主流通米でございますといっても区別がつかない。これは、この前も論議がだいぶなされたのですけれども、もう容器の問題はある程度具体的になっておる、こう思っておるのですが、この自主流通米に対する容器の問題等は、どういう構想を持っておられるのか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  195. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 酒米について、御指摘になる問題の最も中心点は、いわゆる酒造好適米だと思います。これは全量が大体十二、三万トンのものでございます。これを一種の契約栽培的な形で生産されたものが、酒屋で引き取らないということがないよう、私ども十分気をつけなければいけないと思っております。また、酒屋が引き取らない場合に、政府がきめました価格で無制限に買い入れることは、他の米と同様でございます。モチ米についても同様に考えております。  酒造好適米なりあるいはモチ米について、おそらく四十四年度に直ちに過剰状態になるというようなことはなかろうと思っておりますが、御指摘の点は、十分心していきたいと思っております。  容器の点でございますが、農林大臣も答弁しましたように、私どもとしては自主流通米については、自主流通米である旨を明示し、また年産、産地、銘柄等を表示した小袋で配給するという方向で指導をしていきたい。また、そのための集中精米所の設置等についての助成も考えてまいりたいというふうに思っておるのでございますが、なお、この問題は業界等との意見調整を十分にする必要がございますので、私どもの方針としては、ただいま申し上げたとおりだというふうに御理解いただきたいと思います。
  196. 柴田健治

    柴田委員 そういう点については、もっと具体的になったら明らかにしてもらいたい、こう思うのです。  それから、次に米価の問題なんですが、四十四年の生産者米価の問題で、もうこの月末に米価審議会の委員を任命をするという構想であるし、五月中旬には米価審議会の新しい委員会に諮問をして答申を受ける、大体こういうスケジュールがきまっておるようであります。  この四十四年の生産者米価の算定方法なんですが、聞くところによるといろいろ意見が出ておる。ことしは生産者米価も上げない、消費者米価も上げない、こういう言い方もあるし、ややニュアンスが違って、生産者米価は多少上げなければならぬだろう、こういう言い方もしておる。けれども、食糧管理法の根幹を守るという立場から判断していけば、食管法第三条の規定するように、生産者米価を上げるのが当然だ、われわれはそういう解釈を持っておるわけですが、そういう考え方から申し上げると、生産者米価の算定の方法は昨年同様の方法でいくのか。一方では平均反収、また限界反収というような二つのことばも出ておるわけですが、もうぼちぼち米価審議会の委員に諮問をする時期が来ているのですから、諮問の内容、積算の方法というものは、具体的にもうきまっておると私は思う。前年どおりの方法でやっていくのか、その点をひとつお考えを聞いておきたいと思う。
  197. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 現段階は、米価審議会の委員もまだ任命をされておらないという段階でございます。また、四十三年産米の生産費の統計資料もまだ食糧庁は受け取っておらないという段階でもございます。根本的には、米価の決定あるいは米価の決定の方法は、きわめて高度な政治配慮の上に立って判断さるべき行政上の問題でございますので、私どもがここでどうするんだというようなことを、事務当局として申し上げることは、私はできないと思うのでございます。  いずれにいたしましても、農林大臣お答え申し上げましたように、生産費・所得補償方式によって算定をするという基本方針は、変わらないものと私は理解をいたします。
  198. 柴田健治

    柴田委員 生産費・所得補償方式ということは、この前大臣も言われておったのですけれども、今度は限界と平均というここが大きな問題なんですね。事務当局とか、高度の政治性だなんと言ってあなた逃げられるけれども、実際は事務当局がみなやっちゃうのですよ。構想ぐらいはもう案ができておるのだと私は思うのですよ。この場で言えないというならしかたがないのですけれども、来週早々、連休明けにまた時間があればお尋ねしたいと思いますから、もっと誠意のある答弁を願いたいと思うのです。  そういう点について、私たちが地方に出ていろいろ意見を聞くと、うまくいけば、自民党の政権下ですから、自民党の先生各位は、わが党がやったのだという自慢をせられます。ところが、農政がへまになってきて農民から批判を受けると、あれは農林省の役人がやったのだ、こういうことでわりあい言いのがれをする面があるわけです。結局、あなたたちは公正にやらなければならぬ一つ立場であるし、米価についてはわれわれは重大な関心を持っておる。四十四年の生産者米価の決定については、私たちも今度は腹をくくってひとつ強く要求してまいりたい、こう思っております。  きょうは時間がございませんので、この程度で質問を終わっておきます。
  199. 丹羽兵助

    丹羽委員長 神田大作君。
  200. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間がないから、私はあとの時間で適当なときにやらせていただくことにしまして、簡単に御質問申し上げます。  まず第一に、先ほど質問がありましたが、たばこの減反につきまして、専売公社はいろいろと言いわけをしておるようでありますが、根本的には、内地の葉たばこを押えて外国から輸入をするというような基本方針をきめているようでありますが、このことは、政務次官もおるから申しますが、総合農政を推進する上において言うこととなすことが反対である。日本の農業を振興すると言いながら、片方においては、たばこにいたしましても、あるいはビール麦にいたしましても、一般麦にいたしましても減反をさせている。そういうことでは、まことにどうも政府施策をもう信用できないということであります。われわれはそう考えるのでありますが、特に葉たばこの場合の減反についての基本的な考え方を、明確に御答弁願います。
  201. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 四十四年度におきましては、公示面積比較で四十三年度と比較いたしまして、一〇・九%の減反ということにきめられておる次第でございますけれども、これは、現在の時点にかんがみまして、値上げ後のたばこの消費動向を見ますと、値上げの影響を受けまして、いままでの伸び率とかなり変わった情勢をあらわしてまいりますことが予想されましたので、出てまいります過剰在庫を調整いたしますためにとった措置でございます。  私ども、長期的に見ました場合に、減反というふうな措置を続けていくという考えを持っておるわけではございませんが、一般の農業人口の動向等の推測を、いろいろ立てられておりますものを拝見いたしますと、総体として農業人口は減るであろうという考えが多いように見受けられますけれども、その間におきましても、なるべく国産葉たばこの耕作を維持しつつ、たばこの政策をとってまいりたいと考えておる次第でございます。
  202. 神田大作

    ○神田(大)委員 しからば、ここ五年間にわたりましても、金額にいたしまして約三倍近くのたばこの輸入計画を立てられておるようでありますが、これは輸入量をふやすということでしょう。片方においては国産たばこを減らして、片方においては輸入を増大するということは、先ほども一言われましたが、長期経営計画会議の資料とかいうようなことも出して、これはあなた、こんなことはいま採用しておらないと言うが、基本的には、日本のたばこよりも外国のたばこに依存するというそういう考え方を持っておるから、そういう輸入計画というものを立てておるのじゃないか。その輸入五カ年計画というものは、一体どういうことであるか、お示しを願います。
  203. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 先の計画というものを、さしあたりは立てておるわけではございません。しかし、過去の推移をたどってまいりますと、先生の御指摘のとおり、輸入が漸次ふえてまいっておるような次第でございます。これは、私ども積極的に国内生産を押えるといいますよりも、消費の動向が、外国葉を混入しましたものがだんだんふえてまいっておりますものですから、消費の動向に合わせてたばこの製造をやるといたしますと、輸入をふやさざるを得ないということになるわけでございます。  公社といたしましても、それはそうといたしましても、なるべく国産葉たばこの使用率を上げますために、産地別にこまかく分類をいたしまして、輸入外葉とほぼ匹敵するような品質のものにつきましては、輸入外葉と同じような用途に充てる等の考慮をいたしまして措置をいたしておりますけれども先生御存じの、ハイライトが四七%を占めるというふうな非常に大きな銘柄になってきますような状況の中におきましては、外国葉を混入しましたたばこに対する需要がふえてまいりますので、嗜好にそう抵抗した製品を売るということもうまくまいりませんので、いままで申し上げましたような措置をとりながら対応してきておる次第でございます。
  204. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかし、一割増になるとか二割増になるとかいうことならわかりますが、倍にも三倍にも輸入量がふえるということは、これはそういう副総裁の弁明では納得できません。しかも、これはたばこ耕作審議会に公表した資料ですね。いまから三年後、五年後には五百億近く外国から輸入するというような計画を立てておるでしょう。一割、二割ふえるということなら、嗜好とかいろいろの香味の関係とかいうようなことはいえますが、私は、そういうような大量の輸入増加というものは、国内生産を圧迫するものであるので、これは納得できません。  それから、葉たばこの価格等につきましても、四・六%値上げをしたと言いますが、これは上級葉を値上げをしても下級葉は値上げしてない。それから、先ほど言った等級間の格差が非常に大きい。こういう問題は、今後われわれは審議会の前に公社の皆さんにおいでを願ってよく検討したいと思いますが、きょうは時間がありませんから、このことも申し上げませんけれども、そういうように、専売利潤をあげるために農民を不利に追い込むようなこういうやり方は、これは重大なことでありますから、この点について、われわれといたしましては、後の機会に質疑をしたいと思います。  次に、専売公社の工場を整理統合するというような案があるようでありますが、これについての概要をお聞かせ願いたいと思います。
  205. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 昨年、長期経営計画というものを立てまして、工場規模についての検討をいたしました。現在三十九の工場、数え方によっては三十八でありますが、それだけございまして、二千億くらいの数量のたばこを生産しておりますけれども、各国のたばこ事業を調べまして、最も効率の高い巻き上げ機なり、截刻機なり、包装機なりを連ねて理想的な工場をつくった場合においては、どのように効率が変わるものであろうかということを検討いたしました。現在、一億本つくりますと、公社は平均して十人くらいの人数がかかっておりますけれども、最近、公社が新鋭工場として誇っております高崎におきましては、それが四・四人くらいになっております。最新鋭の機械を集めました場合には、それは二人以下になるという計算はしておるわけでございます。  ただ、そういう理想図というものを描いてみましたけれども、現在、具体的にありますこれらの三十八ないし三十九と数えられます工場を、非常に効率高い理想的なものにやりますと、六百億本を一工場でつくるようなものにしたほうがいいという計算は出るのでありますけれども、そうしますと、今後消費本数がふえまして、たとえば、三千億本消費されるというような事態になりましても、全国で五工場くらいでいいという、きわめてドラスティックな計算になるわけでございます。理想図は、今後の目標として描いてはまいりましたけれども、現実にこれに達するには、かなり時間が要るだろうと考えております。  したがいまして、経過をどういうふうに踏んでいくかということにつきましては、現在、工場のあります地域とのいろいろな利害関係もあるわけでございますので、その道程につきましては、目下慎重に検討中でございます。  ただ、もう一つあります問題、二十幾つあります原料工場につきましては、先ほどもいろいろお話がございましたけれども、たばこの製造方法が変わってまいりまして、スレッシングした原料を使うほうが、品質の上からも効率の上からもいいという状況になりましたので、たばこ原料工場につきましては、八つばかりを廃止するという方針を打ち出しておる次第でございます。
  206. 神田大作

    ○神田(大)委員 合理化を推進するという点において、ある意味においてはこれはやむを得ない点があると思います。しかしながら、長い間その地方の振興のために役立ち、また地方としても、これに対しまして大きな貢献をしておる工場を、公社の都合によって、これら住民あるいは地域の開発というようなものを無視して、これを統廃合するということになりますと、これはたいへんな問題になると思います。  この点について、たとえば茂木工場がいま問題になって、町をあげての反対闘争をやっております。これは、もう専売公社の始まる前の民営たばこのころからのたばこの産地でもあるし、工場もあった。いろいろの関係でこの民営工場が官営に、専売公社の直営工場になったわけですが、これらは宇都宮に統合するというような話があるようでありますが、かえってそういう地方の発展のためには、宇都宮を廃止して、ああいう過密な都市から過疎地帯の工場へ持ってくるということがいいんじゃないか。人を集める上においても、これは容易であると思う。また、ほかの工場等につきましても、いろいろと合理化、統合等につきまして問題が起きておるようでありますが、これらを、専売公社が自分のそろばんでもってやるということになりますと、重大な問題が起きると思いますが、これについてどのように考えておりますか。
  207. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 工場のいろいろな配置を考えました場合に、茂木と宇都宮というきわめて近接した地域に二つあるということが、かなり不自然に映るということは確かでございます。ただ、現実の問題といたしまして、宇都宮工場でつくっております口つきたばこの需要がどういうふうに落ちていくか、そこらの問題をよく詰めなければならぬ状況にございますので、さしあたりのところ、具体的な案というものをまだつくるまでに至っておりません。もう少し時間をかしていただきたいと思う次第であります。  もし合併する場合には、茂木に移せという御議論もよく拝聴いたしておきます。ただ、輸送上の問題、水の問題等いろいろございますので、具体的にやります場合においてよく検討いたし、また、地元等の方からも御意見をいろいろ伺いたいと思う次第でございます。
  208. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、地方都市といたしまして死活問題でありますから、軽々にこうい問題を決定されては重大なことになりますから、この点はひとつ地元と十分話し合いの上、納得の上でこれはやるべきことであろうと思います。ここにおいては、昔からの産地であり、長い間たばこ耕作に貢献し、しかも、専売公社の工場があるために町ができたようなものでありますから、この点を十分考慮して、私が言ったように、産地振興と結びつけてこの茂木工場の存置を考えてもらいたいということを、強く要望いたします。  いま一つ、簡単に御質問しますが、たばこの小売りの認可、許可の問題です。最近、たばこの需要が伸び悩んだというようなことも聞いておりますけれども、これはやはりたばこ小売り店の許可、認可が非常に厳重である、むずかし過ぎるからではないか、こういうようにわれわれは考えますが、たばこ小売り店の基準というようなものが、一体いつ出されたものであるのか、どういう基準であるのか、簡単に御答弁願います。
  209. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 小売り許可の基準は、公社法が立てられましたときから、原則のところはあまり変わっていないと思いますけれども、最近の指定基準は、去年変えた次第であります。若干の手直しをいたしまして、少し指定がしやすくなるようにいたした次第でございます。
  210. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、ひとつ資料を出してもらいたい。いっそういう通達を出して、それをいつどういうふうに改正されたか。現在どんどんと人口も移動しておりますし、経済も発展しておりますときに、専売公社法は公布以来変わってない。そういうことをやっておるから、たばこの小売り店が偏在している場合もあって、売る利益にも影響しておるだろうと思う。こういう許可、認可に対して、批判の声等もいろいろ私は聞いております。そういう点において、もっと民主的な方法で、しかも、現実に即応した基準に改正すべきであると私は考えますが、その点どうお考えになりますか。
  211. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 基本が変っておりませんと申し上げましたのは、小売り人を設置いたします場合に、小売り人の間の距離を考慮するという問題と、等級別に一カ月平均どれくらいの売り上げがなければ指定はできませんということにしております。その標準取り扱い高及び距離をものさしにしておりますということについては、かなり長くそのままになっておりますけれども、距離の扱い方につきましては、順次これを短いものに変えてきているわけであります。扱い方につきまして、区分を変えましたり、標準を緩和する方向でやってまいった次第でございます。  しかしながら、先生指摘のように、最近公社部内自体におきまして、どうも指定のしかたというものは、本社が考えているとおりにいっていないではないかという反省をいたしておる次第でございます。私どもは、最近、申請を受けて小売り業の指定をするというのではなくて、公社の販売の観点からいたしますれば、ここに店がほしいという考えがあってしかるべきではないかということを考えまして、販売部は配置計画というものを、自分でもってやれということにいたしました。  ただ、先ごろ公社内で報告があったのでございますけれども、四十三年度の第二・四半期までの実積では、値上げの問題がありましたために、販売部が大部分の勢力をそこへとられました関係もありますけれども、半年経過して計画の半分というのが普通のところですが、二五%しかいってなかったということになっております点を、中で反省しておる次第でございます。今後も、十分な現場への浸透が行なわれていないということを反省いたしまして、小売り店の指定につきましてはあまり制限的でないように、いまの運用を改めることに努力いたしたいと思う次第でございます。
  212. 神田大作

    ○神田(大)委員 あとたばこの減反の問題、価格の問題、その他の問題等につきましては、時間がありませんから次の機会に質問することにいたしまして、私の質問を終わります。
  213. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次回は来たる五月六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会