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1969-04-22 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十二日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君       大野 市郎君    金子 岩三君       小山 長規君    佐々木秀世君       菅波  茂君    瀬戸山三男君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中山 榮一君    野原 正勝君       福永 一臣君    藤波 孝生君       松野 幸泰君    石田 宥全君       工藤 良平君    佐々栄三郎君       柴田 健治君    芳賀  貢君       美濃 政市君   米内山義一郎君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君  委員外出席者         農林省農政局参         事官      中澤 三郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月十八日  委員田澤吉郎君及び藤波孝生辞任につき、そ  の補欠として吉川久衛君及び亀山孝一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員亀山孝一君及び吉川久衛辞任につき、そ  の補欠として藤波孝生君及び田澤吉郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  食管制度堅持に関する請願柴田健治紹介)  (第四五四二号)  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願伊能繁次郎紹介)(第四五四三  号)  同(石田博英紹介)(第四五四四号)  同外一件(小笠公韶君紹介)(第四五四五号)  同外五件(鍛冶良作紹介)(第四五四六号)  同(金子岩三紹介)(第四五四七号)  同外二件(始関伊平紹介)(第四五四八号)  同(砂田重民紹介)(第四五四九号)  同外一件(谷川和穗紹介)(第四五五〇号)  同外五件(内藤隆紹介)(第四五五一号)  同(中川一郎紹介)(第四五五二号)  同(西岡武夫紹介)(第四五五三号)  同外二件(八田貞義紹介)(第四五五四号)  同(山手滿男紹介)(第四五五五号)  同外三件(山村新治郎君紹介)(第四五五六  号)  同外二件(桂木鉄夫紹介)(第四七一五号)  同外二件(倉成正紹介)(第四七一六号)  同外五件(齋藤邦吉紹介)(第四七一七号)  同外四件(田中正巳紹介)(第四七一八号)  同外二件(渡海元三郎紹介)(第四七一九  号)  同(中川一郎紹介)(第四七二〇号)  同外一件(二階堂進紹介)(第四七二一号)  同(西岡武夫紹介)(第四七二二号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第四七二三  号)  同外二件(三木武夫紹介)(第四七二四号)  食管制度改悪反対に関する請願(林百郎君紹  介)(第四五七九号)  中国食肉輸入禁止解除に関する請願帆足計  君紹介)(第四七二五号) 同月二十一日  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願秋田大助紹介)(第四八八四号)  同外七件(井出一太郎紹介)(第四八八五  号)  同外二十五件(一萬田尚登紹介)(第四八八  六号)  同外一件(内海英男紹介)(第四八八七号)  同外一件(浦野幸男紹介)(第四八八八号)  同外一件(大野市郎紹介)(第四八八九号)  同外二件(岡本茂紹介)(第四八九〇号)  同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第四八九一号)  同外五件(海部俊樹紹介)(第四八九二号)  同(鴨田宗一紹介)(第四八九三号)  同(仮谷忠男紹介)(第四八九四号)  同外四件(高橋清一郎紹介)(第四八九五  号)  同(辻寛一紹介)(第四八九六号)  同外六件(中垣國男紹介)(第四八九七号)  同(中野四郎紹介)(第四八九八号)  同(八田貞義紹介)(第四八九九号)  同外一件(藤枝泉介紹介)(第四九〇〇号)  同(藤本孝雄紹介)(第四九〇一号)  同外六件(三ッ林弥太郎紹介)(第四九〇二  号)  同外三件(愛知揆一君紹介)(第四九五〇号)  同外五件(青木正久紹介)(第四九五一号)  同(秋田大助紹介)(第四九五二号)  同外一件(上村千一郎紹介)(第四九五三  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第四九五四号)  同外三件(内海英男紹介)(第四九五五号)  同(浦野幸男紹介)(第四九五六号)  同外一件(小渕恵三紹介)(第四九五七号)  同外三件(大竹太郎紹介)(第四九五八号)  同(大野市郎紹介)(第四九五九号)  同外二件(岡本茂紹介)(第四九六〇号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第四九六一号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第四九六二号)  同(鴨田宗一紹介)(第四九六三号)  同(熊谷義雄紹介)(第四九六四号)  同外三件(倉成正紹介)(第四九六五号)  同外二件(坂村吉正紹介)(第四九六六号)  同外二件(田中正巳紹介)(第四九六七号)  同外二件(高橋清一郎紹介)(第四九六八  号)  同(辻寛一紹介)(第四九六九号)  同外五件(徳安實藏紹介)(第四九七〇号)  同外一件(中野四郎紹介)(第四九七一号)  同外一件(西岡武夫紹介)(第四九七二号)  同外一件(八田貞義紹介)(第四九七三号)  同外四件(福井勇紹介)(第四九七四号)  同(福田一紹介)(第四九七五号)  同外二件(藤尾正行紹介)(第四九七六号)  同(藤本孝雄紹介)(第四九七七号)  同外十一件(増田甲子七君紹介)(第四九七八  号)  同外六件(三ッ林弥太郎紹介)(第四九七九  号)  中国食肉輸入禁止解除に関する請願外一件  (長谷川正三紹介)(第四九〇三号)  同(帆足計紹介)(第四九〇四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出、第五十八回国会閣法第八九号)  農地法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農地法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 この前、農協法改正法案について二、三点質問を申し上げた残りを、今度総括という立場で全部ひっくるめてお尋ねを申し上げたい、こう思うのでよろしくお願いしたいと思います。  まず、政務次官お尋ねしたいのですが、総合農政であるとか、構造政策であるとかいうことでそれを前面に押し出されて、その関係法一つとして、農業協同組合法構造政策の一環である、それを強く進めるために農協法の一部改正をしなければならない、こういうことを常に言われておるわけですが、総合農政論なり構造政策論で、今度の農協法改正要綱というか、改正点は四つあるように考えられるのですが、この四点の中で、請負耕作信用事業の問題については多少関連があるようにも考えられるのですが、投票権拡大、要するに連合会に対する一会員一票制を拡大する点と、総代会権限拡大するということが、構造政策総合農政の二つの観点から判断してどういう関係になるのか、まずその点をお伺いして、順次法案内容に入りたいと思うのですが、見解を聞いておきたいと思います。
  4. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 今度の農協法改正点のそれぞれが、総合農政とどういうような関係にあるかという点につきましては、私どもは総合して、農協というものが農業近代化農業の今後の規模拡大、あるいは生産流通面におけるいろいろな問題を解決していく際の重要なにない手であるという観点から、農協法の中でいろいろ改正すべき点をとらえまして、総合的にこの農協法改正というものを総合農政推進に役立たせたい、こういう意味で御提案を申し上げておるのでございますので、総代会の問題だけで、実はそれが総合農政との関連でどうかということにつきましての事務的な説明——いま言った総合的に私ども農協法自体改正することによって、そうした生産流通面の大事なにない手である存在として、農協役割りをもっと推し進めていこう、こういうところに今度の改正のねらいがございますので、いま御質問のさらに詳しい点につきましては、農政局のほうからお答えをさせていただきたいと思います。
  5. 中澤三郎

    中澤説明員 私から御質問に対しましてお答え申し上げます。  御質問にございましたように、改正点は四点ございますが、ただいま政務次官からお答えがございましたように、全体的には、まず農業協同組合総合農政をになう、生産から流通までの構能を果たすものといたしまして、その役割りが非常に重大でございますので、その管理運営というものがスムーズにいくことによって、総合農政の一端をになってもらうということを期待いたしておるわけでございます。特に、農業協同組合によりますところの組合員の委託を受けてするところの農業経営及び農事組合法人の要件の緩和ということは、直接的には構造政策との深い関連を持っておるというように考えております。  それから、総代会権限拡大及び連合会におきますところの一員一票制の特例、あるいは信用事業に対する改正等は、直接的に構造政策にすぐということではございませんけれども農業協同組合管理運営円滑化を通じて、総合政策の大きな柱、にない手となる農協機能の改善を通じまして役立てるように、こういうふうに考えております。
  6. 柴田健治

    柴田委員 どうも政務次官なり参事官答弁を聞くと——そんな抽象論的なお答えをいただくために私は具体的に問題点をしぼってお尋ねしたわけじゃないので、やはり連合会の一会員一票制の表決権拡大しなければならぬ、農業近代化のにない手にするために、そういう役員選挙方式を変えなければならぬという理由がどこにあるのか、それから総代会権限を、生産流通の面まで強く推し進めるために拡大しなければならぬという理由が私にはわからない。この点、もっと具体的にお答え願わなければ、これからお尋ね申し上げる点に大きな食い違いが出てくると私は思うので、この点をある程度はっきりして本論に入りたいと思うのです。その点、抽象論お答えでなしに、総代会権限拡大しなければ、農業近代化を進めるためのにない手になるとかならないとかいう論理がどこから生まれるのか、その点を明確にしてもらいたい。
  7. 中澤三郎

    中澤説明員 総代会権限拡大なり一員一票制の特例に関しまして先ほどお答え申し上げましたのは、先生お尋ねが、総合農政とどういう関連があるかという御質問でございましたので、その関連観点から申し上げたわけでございます。そういう意味におきましては、総合農政に間接的な効果を及ぼすであろう、こういうようにお答え申し上げたわけでございます。直接的には、現在の農業協同組合規模拡大なり事業複雑化というようなことに対処いたしましての農業協同組合自身管理運営円滑化、こういう観点からの改正であるというふうに理解しているわけでございます。
  8. 柴田健治

    柴田委員 その協同組合運営なり経営なり管理の面で、総代会権限を付与すると、いまよりどういう形でよくなるのか、そういうビジョンというか考え方があるのですか、それをお答え願いたい。
  9. 中澤三郎

    中澤説明員 総代会権限拡大は、御承知のように内容といたしましては、定款変更、それから役員選挙ということが中心でございます。先生承知のように、合併等が進みまして農業協同組合会員が非常に多くなってきておりまして、新しい事業推進なりあるいは事業計画を行なう場合に、総会議決事項としてのたとえば定款変更という手続を考えますと、総会議決を経なければならないということでございます。ところが、具体的に総会運営をいたす場合に、端的に申し上げますと、なかなか総会が開きにくいということもございますし、それから、やはり組合が大きくなりますと、組合組合員との関係が間接的になりがちなこともございまして、組合事業なり定款変更内容につきまして、組合員個々のすべての方々が、直接的に組合内容を十分検討し得るという機会が少なくなることもございます。  こういう事態に対しまして、やはり総代会という制度によりまして、総代が直接的に組合事業なり運営につきまして精緻な、熱心な検討をする方法によりまして、従来大ぜいの組合員全体が組合定款変更とか事業計画に参加するのと比べ、よりよい効果をあげ得る方向を考えたらどうか。現実におきましても、組合方々総代会に対する要望といたしまして、すべてを総会にまかすのではなくして、総代会権限拡大することによってよりよい組合運営がはかれるというような要望もかなりございますので、事態に対処するという意味で、そういう要望にこたえるために総代会権限拡大した、こういうことでございます。
  10. 柴田健治

    柴田委員 まあこじつけた、なかなかむずかしい立場に立って御答弁のようで、逐次関連の点が出ましたら、あらためてまた御質問申し上げます。  現在の農協あり方について、先般来同僚議員から角度を変えていろいろと御質問されてまいりました。たとえば、三段階制の問題も出たようでありますが、今日の農協官僚化したという声を、組合員からたびたびわれわれは聞くわけです。単協においても、連合会においても、中央段階においても官僚化しておるではないか、こういう声を聞く。要するにそういう声が出るところは、農業協同組合運営について非民主的な、独善的な、役員の一方的な構想というか計画で、組合員十分理解と認識を与えなくして運営をしておる面があるのではないか。そういう点で、組合に対する信頼感というものが組合員に薄れておるのではないか、こういう一つの不安と心配がわれわれにあるわけですね。  そういう立場から論議をしてまいりますと、現在の農業協同組合経営あり方運営あり方管理あり方について、抜本的に農林省はどの程度メスを入れられたか、どういう実態の分析のしかたをしているのか、この点がわれわれは非常に疑問を持つ点であります。要するに、なぜ官僚化したという声を聞くのかという点でありますが、私たちがいま単協においての機構の問題、それから連合会機構の問題、これらをじっと観察して機構内容を見てまいりますと、正直にいうてどうも役付が多過ぎるのですね。たとえば、連合会で見ると企画室をこしらえる。それは必要かもしれません。それから部制もたくさんつくっておるし、課制係制もたくさんつくっておるということなんですね。それで五人か六人の職員の上に課長制をどんどんしいていく。こういうところに官僚化したといわれる原因があるのではないか。こういう機構あり方については、農林省はいいと思っておられるのか、もう少し機構については再検討する余地があると思われておるのか、どちらでありますか。
  11. 中澤三郎

    中澤説明員 現在、農業協同組合官僚化されておるという非難を受けるケースがあるということも承知しております。この中心は、どちらかといえば単協よりも連合会段階において、そういう批評が当てはまるケースが多いのではないかというふうな感じを受けます。先生の御質問も、単協機構なり連合会機構におきまして役付が多過ぎるが、どういうふうに考えておるかという御質問でございますけれども、やはりどちらかといえば、連合会の場合にこういう観点反省が要るのではないかという感じがいたします。  しかし、御承知のように農業協同組合事業内容複雑多岐にわたっておりますし、それから事業遂行上、体制として擁しなければならない必要性からいいますと、ある意味におきまして機構複雑化するのはやむを得ないという感じもいたしますけれども連合会にとってみますと、連合会自身機能の果たし方そのものは、やはり手数料に依存する連合会でございますので、でき得る限り簡素なしかも強力な機構によって、単協、したがってまた組合員農家の負託にこたえられるような事業遂行が望ましいというふうに考えるわけでございます。先生も御承知のように、整促を経まして事業内容が一応安定化した農協及び連合会が、この高度成長過程におきまして、その事務量なり事業量が非常に複雑化してくる。そういう過程で御批判のような点もあると思いますが、どちらかというと、現在の段階はややそれに対する反省期なり再検討期にきているのではないか。たとえて申し上げますと、全購連なり全販連の新しい事業計画におきましても、かなりそういう面の具体的な反省も行なわれておるわけでございます。  したがいまして、私たちといたしましても、そういう空気も出てきておりますので、御指摘のような官僚化というようなことなく、ほんとうに単協なり連合会がその機能を簡素で強力な機構で果たしていくように指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  12. 柴田健治

    柴田委員 考え方がまだはっきりしておらぬようですが、単協にしても県段階連合会にしても、あまりにも他の行政機構団体と同じように、町村なら町村府県なら府県、そういう地方公共団体に合わしていくような機構をつくることは、私はどうも、農業を発展させていく、生産中心とする組合の主義からいうと疑問がある。そういうものを、官庁機構と同じような形で役付をたくさんつくって、それが、要するにはね返りは組合員負担になってくる。  いま三段階の中において、やはり手数料が主体になる。それから単協賦課金を取る方式をとっておるわけですが、要するに、総資本の中で自己資本というか、出資金というものの比重というものは、民間の会社と違って出資金というものはもうはっきりしておるわけですから、この出資金に合わして見合いの経営をしなければならぬし、同時にまたそれに合わして、運営費が足らない場合は賦課金を取るということになっておるのですね。それから簿記においても、商業簿記という方式を取り入れておる。一般の企業なら商業簿記という方式でバランスシートをつくっておるわけです。そういう簿記方式ですらも、大きく変わって採用されておるのに、まだ官庁と同じような考え方運営するところに私は問題がある、こういう気がするのです。その点を、今後指導面でもっと適切なる指導をすべきではないかという気がいたします。要するに手数料というものは、中央段階で何%、県段階で何%、単協で何%、それをひとつお示し願いたい。購買の場合、販売の場合です。
  13. 中澤三郎

    中澤説明員 販売品購買品に分けて申し上げますが、農協組合課で集計しております総合農協の、ちょっと古くて恐縮なんでありますが、四十事業年度の実績について申し上げますと……(柴田委員「何だ、そんな古いもの」と呼ぶ)率でありますので、そう大きな変化はないと思いますが、販売品で、総合農協単協で一・七%、県の連合会段階で〇・四%、それから全販連段階で〇・二八%というふうになっております。  それから購買品で、各品目の合計で言いますと、総合単協段階で八・五五%、それから経済連で三%、県の段階でございますね。それから全購連で〇・九五%というふうになっております。資料が古いという感じもいたしますが、手数料自体でございますので、品目の構成が大きく変わらない限り、ほぼこれに近い率を保っておるのではないかというふうに考えております。
  14. 柴田健治

    柴田委員 どうも四十年というたら、過去の歴史を引っぱり出されたように思う。率だけで言われたけれども、これだけの率の手数料を取って、その事業分量を調べてみたら、相当の利益というか、利潤を上げておる。その上、単協のごときは賦課金を取っておるのです。この賦課金はいまお答えなかったのですが、賦課金については全国平均、たとえば、畑、水田、そういう耕地の場合、十アール当たりどのくらい取っておるか。要するに、昔のことばでいえば一反当たりです。それから和牛乳牛、そういう畜産物に対して一頭当たり賦課金をどのくらい取っておるのか。それに対して、営農指導という立場指導事業に充当しておる組合がほとんどだと思うのですが、農業近代化をはかるためには、営農指導というものが大きな役割りを果たさなければならぬという形になるのですが、この営農指導費に回すために賦課金を取るという立場をとっておる。和牛の場合、乳牛の場合、その他養豚にしても養鶏にしても賦課金の率、そうして平均はどうなんです。その点をお答え願いたい。
  15. 中澤三郎

    中澤説明員 御質問は、各賦課金を賦課する場合に、反当は幾らか、あるいはまた和牛とか乳牛一頭当たり幾らか、それからまたそういう賦課金指導事業にどういうふうに充当をされているか、その場合のいわゆる賦課金負担平均額、率はどうかという御質問でございますが、総合農協統計表によりますと、いま御質問いただきました各内容的な事項にわたりましての数字がございませんでまことに恐縮でございますが、四十二年の一組合当たり平均賦課金が七十六万八千円、こういうふうになっております。指導事業自体収入平均が百三十二万円ほどでございますので、この差額の五十七万円ほどが、他の組合事業収入からの振りかえという形で指導事業の経費がまかなわれておる、こういうふうに考えます。  なお、一組合当たり賦課金総額は、ただいま申し上げましたように約七十六万、八十万円ほどでございますので、総合農協の一組合員、正組合員平均が約八百名でございますので、千円程度であろうかというふうに推定するわけでございます。
  16. 柴田健治

    柴田委員 総合農政だとか構造政策だとかいう立場農業近代化をはかる。要するに問題は、営農指導をどこまで軌道に乗せて充実さしていくかという、営農指導というものが今後の農協の大きな役割りを果たしていかなければならぬのではないか。それが、いまの数字を聞かしてもらっても、一組合八百名で、平均にして百三十万くらいの営農指導費をもって、農林省がこの法案を通してどれだけ営農の面に力が入るのか。それで今度、たとえば請負耕作をやられる。請負耕作でもいろいろ方法がある。とにかく耕作権を含めての農地法にかかるような請負耕作と、それから、もう農地法を適用しなくても請負耕作というものができるような方法もある。それは要するに分業作業請負作業ですが、部分作業を請け負うのに、何も法律改正しなくてもできる。  どちらにしても、農業協同組合の本質というものは営農指導中心にならなければならない。今日の単協が、どれだけ営農指導に力を入れておるか、その機構の問題ですが、たとえば果樹にしても、畜産にしても、普通農業にしても、どれだけ技術員の確保をしておるのか。ただ県の農業改良普及員を利用していくという、そういう人の力を藉っておる農協も中にはある。単協みずから営農指導体系を確立しておるというそういう組合が、予算的な面から見ても、私は非常に疑問を持たざるを得ないわけです。こういう実態の中で、総合農政をどこまで農協が受け入れてくれるのか。農林省が考えておるような、その考え方を受けとめてくれるという自信を持って、そういう判断に立って、今度の農協法改正を進めておられるのか。そういう自信があるのですか。
  17. 中澤三郎

    中澤説明員 御質問のように、確かに農業協同組合の大きな任務の中心といたしまして、組合員農業生産指導ということがあることは、まさに御指摘のとおりでございます。先生承知のように、農業協同組合事業の基礎というものが、戦前産業組合から引き継がれた事業が多うございまして、戦前産業組合生産指導事業を行なわなかったということがございまして、信用事業とか購買事業あるいは販売事業の歴史と比べると短うございまして、戦後の農業協同組合生産事業一つの大きな重点を置いて出発したにもかかわらず、やはり御指摘のように、他の流通部門の事業と比べますと劣っているということは、事実いなめないと思うわけでございます。  ただ、最近におきますところの農業の変革、農協をめぐるいろいろの農業事情の変化に応じまして、組合もかなり生産指導事業に重点を置いてきております。先ほど申し上げました生産指導事業費が、単協において非常に少な過ぎるということでございますが、これは指導事業自身につぎ込んだ金の問題でございまして、別に、たとえば生産指導事業部門の大きな部面を占めておりますところの共同利用施設に関する経費の出し方は、先ほど申し上げた数字の中には入っていないわけでございます。  農協が、どれだけ生産指導事業に力を入れているかということを端的にあらわす一つの指標といたしまして、総合農協なり単協に置かれますところの営農指導員の数を一つの指標としてとらえることができると思うのございますが、ここ十年間近い期間をとって考えてみますと、やはり倍ぐらいにはなっているわけでございます。これは平均数字でございますし、また農協の合併が行なわれたということも考えますと、必ずしも一組合当たり組合員営農指導員が非常に増加されたとういふうな指標にはなりませんが、また一方、農業生産指導面とは縁が遠くなるといいますか、いわゆる信用事業中心になるような都市農協が多くなっているというようなことを考えますと、十年近い年月でございますが、やはり人的な面におきましてかなり力を注いできているというふうに考えられます。  それからもう一つ、トラクターとかコンバインというような、現在の農業機械の大型なものの所有状況を見てみますと、大部分、かなりの部分が、ほとんど農協所有という形をとっているわけでございまして、今後ますますそういう面の農協の任務は大きくなりますし、また、そういった力を持つ農業団体といたしましては、農業協同組合以外考えられないわけでございます。もちろん農林省といたしましても、農協のそういう機能と資力に期待を持ちまして、構造改善事業とか各種の特別な事業を通じまして、農協等がそういう共同利用等の施設、機械を持つことに対する助成を行なっておりますし、今後ともそういう機能を期待しながら、特に農協が現在行なおうとしておりますところの、生産事業流通事業を密着した事業としての営農団地構想というようなものにつきましては、御承知のように、近代化資金制度で特別な措置を講ずるというようなことも考えておりますので、農協の体制がそういうふうに向いてくるとともに、私たち農林省といたしましても、助成なり金融の面におきまして、そういう営農に関するところの事業が充実されるようになっていくだろう、またなっていくというふうな確信を持って、今回の農業協同組合によるところの経営受託等の規定を考えた次第でございます。
  18. 柴田健治

    柴田委員 たびたび申すようだけれども農業協同組合の本質というものは、生産指導というのが重点にならなければならない。要するに営農指導なんですが、今度請負耕作をせられる。そこで単協の場合、どういう機構をつくるのかというところが問題なんですね。たとえば、臨時に人を集めて田植えなら田植えを請け負う、部分作業を請け負う、そういうことはできますね。ただ稲を脱穀するだけだとか、耕うん機で耕すという機械の作業だけ請け負うということはできる。  ところが、年間を通じて耕作委託というと、常時農協に人がおらなければならぬ。それなら生産法人にまた再委託をしてやるといっても、やはり人的の労働力の確保という面、それから農協にどれだけの生産指導体制というものをつくって、その職員は、臨時雇い的なものにしてしまうのか、永久的に身分保障してのそういう請負耕作ができるような職員構成をするのか、この点についてはどういう考えですか。身分保障のない臨時雇いだったら、やはり日雇いみたいなことになって、そんな不安定な雇用条件の中で、農協に雇われて請負耕作をやりますなんという者は出てこないと私は思うのです。身分が安定しないと、これはもう人が集まらないということになる。そういう点の考え方というものは、農林省はどう考えているのか。
  19. 中澤三郎

    中澤説明員 農業協同組合が、組合員から経営の委託を受けまして作業をどうするかという形には、二つあるというふうに考えられます。一つには、農業協同組合自身経営の主宰といいますか、管理をし、職員を持って労働をする、直接にその職員が機械を駆使するという形と、それからもう一つ農協経営の主宰に関する事項を持ちながら、それの作業を再委託する。専業的な農家なり、あるいは実際に農協の区域内にありますところのそういうグループとか、あるいはまたすでにありますところの、法人格はないにいたしましても集団的な作業をやっているようなところに再委託する場合が考えられると思います。その二つの形式に分けて考えられますが、実際にあります形は、いろいろ地域の実情なり、そういう事態が発生した経緯等によりまして、いろいろな形をとるだろうということでございます。  したがいまして、必ずしもすべて農協が専任の職員を持ち、専任の職員だけがその経営当たりきりで当たるというふうな形を考えることなく、やはり地域の実情に応じまして、農協経営の委託を受けたのでございますので、主宰権はあくまでも農協にありますけれども、その遂行のしかたにつきましては、それの実際の作業をつとめてくれる団体とか、あるいは農協の職員として専念してやってもらうことができる人が雇い入れできるかどうかとか、あるいはそういう人にどういう俸給を支払えるかとか、いろいろな技術なり人なり、それから実質的に作業の再委託を受けてくれる団体とか個人等のあり方、そういうようないろいろの事情を考慮して、最も適切な、経営遂行してもらえるような方向に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 柴田健治

    柴田委員 どうもわかったようなわからないような御答弁をいただいたけれども、二つの方法だけは言われた。一つは再委託という形ですね。農協が一応受けとめて、それを他の生産法人というか、個人なら個人でもよろしいが、再委託をして請負耕作をやらせるという形と、もう一つは、農協が直接請け負って直接耕作をするという方式。この二つの面にしても、要するに雇用関係、労働関係というものはどういうふうになるのか。特に、農協が請け負うて直接耕作する場合のその労働者の身分、雇用関係は、たとえば、年間働かない場合には失業保険を出すのか。農協に雇われたら、三百六十五日農業をやれないわけです。農閑期は作業はやらないわけです。作業をやらなかったら休業になるわけですが、休業補償、要するに失業保険を適用するのかどうか、この点の考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。
  21. 中澤三郎

    中澤説明員 農協が直接経営をする場合の雇用関係ということでありますけれども、やはり基幹的な労働、基幹的な管理運営に関する職員を農協が持っておることが適当だろうというふうに考えます、農協自身がみずから経営管理をする場合は。しかし、基幹的な職員だけで農業耕作というものはできがたいわけでございましょうから、そういう臨時的に、あるいは年間を通じて雇用する必要のない労働力につきましては、やはり他の作業能力のある組合方々にお願いするという方法をとることが妥当ではないか、こういうふうに考えております。
  22. 柴田健治

    柴田委員 その点を、ある程度はっきりした指導方針を出していかないといけない。いままでのようなただ部分的な請負耕作で、隣村から、たとえば田植えの早く済んだ地域から人を雇うてきて、田植えなら田植えだけやるという作業ならいまでもやっているのだから、何も法を改正しなくても簡単にできているのですね。今度は法の改正をして、ある程度その法の体系の中で、制度の中でやらせるというのですから、問題は人の管理というものを十分構想を練って、こういう形でやったらどうかという指導要綱的な方針というものを暗示を与えていかないと、単協は困ると私は思うのです。そういう点がまだいまの答弁では具体的にはっきりしていない。そういう点は、今年度もう作業を始めなければならぬというのに、法だけ改正したらもうあとはできるのだというような安易な考えでは成功しないと私は思うのです。この点もっと具体的に構想を練っておいてもらいたい、こう思います。  それから、いまの農協営農指導生産組合でありますから、あくまでも生産というものを中心にして営農指導を考えていかなければならぬのに、いまの農協はいろいろ各層から批判を受けておる。批判を受けておる最大の理由は、いま農協は、何でも売らんかなという主義になっておる。何でもつくらんかなでなくて、何でも売らんかなで、売ることだけが、購買事業だけが農協の使命のような印象を一般人に強く与えておる。これは組合員でもそう受け取っておる。農協は何でも押しつけてくるじゃないか、こういう購買事業を本来の事業のような、一般の組合員なり一般人にそういう印象を与える運営をしておるところに問題があると私は思う。  今日、いろいろ農協共済でやっておる観光ホテル経営なんか、これは一般の観光事業を圧迫するようなことを平気でやっておる。それで利用区分がある程度はっきりしているのですから、組合員だけの利用ということを考えるならば、もっと料金が下がってもいいのに、一部屋六千円も七千円も、一般の観光ホテルよりまだ高く取っておる。組合員が、農民がそういうところに行くかね。そこにいろいろの不平不満がある。農協というほんとうの経営主体が、一般の観光ホテル、観光事業より上回った宿泊料金を取っておる、こういうところに、指摘をされる問題が出てくると私は思う。  それからいま、たとえば結婚式場を経営しておる、葬式屋をやっておる、旅行あっせん所をつくる、自動車の販売事業もやっている、ガソリンスタンドもやっている、理容業も、美容業も、スーパーストアーも、土地売買事業もやっている、住宅あっせん業、ビルの建築事業もやっている。こういうことが全国至るところに順次行なわれておる。これは農協がやっているんですよ。一般の零細企業が、金を借りてやっているのとは違う。農協という一つの膨大な組織と資金力を持って何でもやれるというところに、農協の弊害がいまでも起きている。今後このまま放任したらどんなことになるのか。いま全国でこういう事業を何件経営しているのか、ちょっと答弁してください。
  23. 中澤三郎

    中澤説明員 いまの御質問の中でお答えすべき数字のうち、いま私の頭にあります第二会社的なものでございますが、全国で約百五十四でございます。  なお、御質問の中にございました床屋とか、浴場とか、各種のそういう事業につきましては、数字を調べますまでしばらくお待ちいただきたいと思いますが、ただお答えいたしたいことは、農協事業がそういうふうにいろいろ多様化しておることは事実でございますが、しかし、これもある意味におきましては農村の、農家の生活の都市化という現象に応ずる部面がかなり多いのではないかというふうに考えられます。前々から行なってまいりましたところの信用だとか、販売だとか、購買という事業のほかに、広い意味の、生産のみならず生活部面の共同利用に関するところの要望が、組合員の生活の多様化の中から当然出てまいるわけであります。したがいまして、組合といたしましては、やはりこれに有効にこたえ得るならばこたえたいということのあらわれが、そういう事業になっていると思うのでございます。  ただ、農業協同組合事業として、そういうものが何かそぐわないという一般の印象が、組合がそういう事業をやる場合の非難に当たるとしても、組合自身が、そういう事業能力もありますし、組合員のそういう要求等につきましても適切に応じ得るならば、これにこたえるのが妥当だというふうに考えます。ただ、そういう事業の行き過ぎによりまして、いろいろの御批判もあることもわかっておりますので、そういうことにつきましては、組合自身も十分注意していただかなければならぬことでありますが、私たちも、そういう度を越すことによるところのいたずらなる非難を受けることのないように指導していきたい、こういうふうに考えます。
  24. 柴田健治

    柴田委員 たいへんな、一億も二億もかけて、ホテルや何かをつくって、農林省が祝辞を言って、さあいいものができましたとほめて回らなきゃならぬ。それは別として、こういう事業役員がみんな自動的に重役、株主になっている。何もそういう事業に熱中させるために、役員権限拡大するとか、会員一票制の選挙権の方式を変えなきゃならぬという理由はないと私は思う。いまの資料は、みんな議員に配ってください、きょうじゅうにでも。どこの県にどういうものをつくっておるか。ガソリンスタンドでも、大体組合員の利用区分は何分の一以内ということがきまっているのですよ。それを確認せずに、ただガソリンスタンドや土地会社なんかをつくって、農協役員が自動的にその重役に入っている。これは、民法上ではこしらえてはいかぬというわけにはいかぬけれども農協役員がそんなところに入って、ほんとうに農協をまじめに運営しなければならぬ重要な段階に来ているのに、行き詰まった農業農業が曲がり角に来ているといわれながら、農業団体の幹部がみずからそういった間違った——私は言い方がえげつないんですけれども、とにかく方向を変えたそういうところにエネルギーを使うということが、農協の発展をはばんでいると私は思う。私が開会劈頭に申し上げた論理から言うと、こういう実態はつじつまが合わぬと思うんですね。こういうことを無制限に放任して許しておいて、役員の選出権を変えなければならぬ理由がどこにある。この点を参事官、もっと明快に答弁願いたいです。これで農協の本質を大きく変えようとしている。  この前の委員会では、協同組合法のその理念は守りますと官房長も答弁したんです。農政局長も答弁したんです。私の質問に、農業協同組合の根本理念だけは守っていきますと約束をしたのです。そういう理念から判断して、農村が多様化したからというて、こんなことを無制限に許していいかどうか。私も農協の共済に入って、生命共済、建物共済に一年間に五万も六万も払っているのです。組合員の加入して掛け金を払っておる者の立場を考えてごらんなさいよ。むやみやたらにホテルをどんどんつくって観光事業者を圧迫して、そんなことがいいと農林省が思って黙認するならば、われわれはこの法案に対してもっときびしく批判をしなければならぬ。これを直すというならまたあらためて考えざるを得ない。この点の見解を明らかにしてもらいたい。
  25. 中澤三郎

    中澤説明員 お答え申し上げます。  先ほど御質問ありましたいわゆる販売購買信用事業生産指導事業等の事業以外の各種の事業を、農協がどういうふうに行なっているかということの概要を申し上げたいと存じます。四十二年度の数字でございますが、いわゆる生活文化、保健医療というような広い範囲にわたる事業でございますが、その中で大きいものといたしましては、食生活改善に関する事業施設といたしまして千五十、それから健康診断に関する事業といたしまして八百三十、それから理容、美容所というようなものが五百ほどございます。それから結婚式場三百二十二、共同炊事二百六十七、浴場十六、冠婚葬祭具の設置というようなものが三百六十六、大体こんな状況でございます。  ただいま御質問のありました、例として並べました旅館経営、観光施設というようなことでございますが、これは共済事業として蓄積されましたる資金の財産運用という形で行なわれているわけでございます。ところが、共済事業を行なうことのできる農業協同組合が、財産運用といたしまして持ちますところの土地なり施設というようなものを、そのまま農協経営いたしますと、これは何のことはなく旅館なり観光施設を経営するという形になりますので、共済事業を行なうところの農協自体は、その事業そのものの経営を行なうことができないように当然解釈すべきであり、また、そういうふうに指導しておるわけでございます。したがいまして、その施設というようなものは、いわゆる他の別の人なり別の法人に管理を委託するというような形で行なっているのが、御指摘の施設に関することであろうというふうに考えるわけでございます。しかし、そういう趣旨でこれの運営が行なわれるといいましても、いわゆる農協の資金の財産運用として認められている範囲なり趣旨というものが、はたして十分に生かされておるかどうかと考えますと、確かに御指摘のような問題を含んでおるし、また、そういうことの御非難を受けるようなこともあり得ると思います。  ただ、私たちがここで注意して指導したいというふうに思っておりますのは、単に財産運用といいながら、農協の資金なり農協事業関連して起きたところの施設なり運営の問題でございますので、やはりそこの精神といたしましては、員外利用の制限というような精神が当然生きることのほうが妥当ではないかというふうに考えるわけでございます。先ほども前段にお尋ねのございましたように、各種の事業あり方というようなことに関しまして、いろいろ御批判なり御指摘もございますし、また、現にそういう事業が膨大化しておりましていろいろ問題を起こすことも考えまして、この点はできるだけはっきりした管理運営の基準を示しまして、行き過ぎによる誤解というようなことが起こらないように、しかも、なおかつ組合員の財産の運用なり、農業協同組合事業遂行のしかたとして適正な方向を確保するように指導してまいりたい、こういうように考えております。
  26. 柴田健治

    柴田委員 いま言っている管理運営に万全な指導をしたいということは、全く適切なことばですけれども、私は総合農政構造政策を進めるためにこの法案改正が必要だ、そういう前提に立って、判断をして審議を進めている。それから要するに曲がり角に来た日本の農業、それに関連して農業団体というものが非常に運営の面で困る、だから法の改正が必要だ、こうあなたらの説明を善意に聞いている。農協役員がこんな事業にどんどん力を注ぎ、エネルギーを消耗したら、農協運営なり、生産指導しなければならぬ農協役割りというものがくずれるではないかという心配がある。  それからもう一つは、いまインフレ時代だから投資した農民の金を、資金運用の面だけを取り上げて考えてうまく運用したいということはよくわかりますよ。けれども、これがデフレに切りかえられたときにどうなるか。とにかく組合員の利用ということでつくった施設が過剰投資になり、自己資本をオーバーした、要するに出資金をオーバーしたような無謀な投資のしかたをしたら、また農協は行き詰まりがくるのではないか。いつまでもいまのようなインフレ的な通貨対策が続くとは思われない。いま手放しで何でもやれる、資金運用で効率をはかっていきたい、それで組合員に間接的に利益を与えていきたいという論理はわかりますよ。けれども、デフレ的な通貨対策に切りかえられた場合にはだれが迷惑するか。戦後歩んできたあの道を考えてみたらわかると思うのですよ。  昭和二十五年にドッジのあの経済原則が出た時分に、どれだけ農協が苦境に立ったか。もう二度とああいう道を歩みたくない。全部組合員が犠牲を負う、法の改正で国も援助したが。再びこういう苦い経験を踏まなければならぬという心配が将来も出てくる。だから、いまの資金運用の面だけでこういう事業を手放しで許すべきじゃないと私は思う。農村が多様化した、それに合わせて何でもやるのだ、こういう考え方農林省が、いまの農業実態をどう立ち直らせていくかという大前提がある、その前提を考えなくして、ただ資金運用の面だけでどんどん施設をつくらしていく、要するにそういうことが、いいのかどうか、この点をもっと明確にお答え願いたいです。農協役員にそういう事業をやらして、ほんとうの農協運営なり生産指導がやれるかどうか。そういう自信があるのかどうか。
  27. 中澤三郎

    中澤説明員 共済事業などにおきまして、そういう資産の管理運営ということも、すべての資産についてそういうことを行なっていいというふうには考えておりません。先生も御存じと思いますけれども、一定の資金の限度内ということにいたしまして、その限度内という基準は、やはりほかの同種の事業を行なっている各種法人なり金融機関等が持っておる基準をできるだけ厳格に考えて、一定の範囲内ということで行っているわけでございます。  したがいまして、いまの経済の基調がデフレになるとかならないとかいうような事態に対しまして、農協理事者がどう対処するかというようなことは、いってみれば農協自身の管理運営能力という観点からくる問題でございますけれども、もしそういう事態があった場合にどうなるかということを考えますと、それは先生指摘のように、心配でないことはございません。しかしながら、やはり与えられた現在の経済環境の中におきまして、御指摘がございましたように、もとは組合員の財産でございますから、それが経済事情の変動によって大きなダメージを受けるような、基準としてその運用の幅を認めるというふうには現在考えておりませんけれども、御指摘の点もございますので、機会があればそういう過去の苦しかったことを顧みて、着実な運営を行なっていくような指導は十分にいたしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  28. 柴田健治

    柴田委員 自己資本との関係が、これは大きくものをいうわけですからね。自己資本というのはやはり出資金なんで、法の改正で財務処理基準令ができて、それによって国も県も指導して、いろいろ出資金の増額運動をやってまいりましたね。今日その出資金と見合う、要するに自己資本と見合う固定資産でなく、固定資産がオーバーしているというところはありませんか。
  29. 中澤三郎

    中澤説明員 御指摘のように、基準令で定められておりますところの自己資本と固定資産との比率関係は、はやりオーバーしたという部面がかなりございます。
  30. 柴田健治

    柴田委員 その自己資本との比率を破ってまで固定資産をふやしていくというところに、私は、農協の幹部諸君がいまの日本の経済的な観念において、非常に怠慢というか、放漫というか、そういう安易な考えで運営をしておる点があると思う。ですから、いま出資金の予約貯金制度を奨励していますが、出資金の予約貯金というものはどういう比重になっておりますか。
  31. 中澤三郎

    中澤説明員 いま御質問のございました予約貯金制度というものは、あまり活用してないように現在聞いております。
  32. 柴田健治

    柴田委員 それはおかしいと思う。一方ではそういうことを奨励して、いまだその実態を把握してないし、知らない。農協の末端の実態を十分知らずに、法を改正したら、また農村の構造政策が進み総合農政が進むなんと言われる。私は、農協内容というものを農林省はもう少し知る必要があると思う。何も知らずに屋上屋の論議をしておるように思う。そういう印象を深めていくと私は思うのですよ。その点をはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  33. 中澤三郎

    中澤説明員 先ほど、出資予約制度はあまり利用されてないというふうに申し上げましたのは、こういう数字感じを申し上げたわけでございます。いま総合農協自己資本平均は二千百万ほどでございますが、先生のお話しのございました出資予約貯金は、一組合当たり約百四十万ほどでございます。七%ということでございますので、その感じを率直に申し上げたわけでございますけれども、確かに御指摘のように、自己資本が、現在農協が持っておりますところの固定資産と比べると非常に少ないという事態は、やはりそのままにしておくわけにいかないというように考えております。できるだけ組合員出資の自己資本の増額をはかる必要があるわけでございます。そういう自己資本の増額というのは、組合員の出資を求めるということでございますので、なかなかむずかしい問題ではございますけれども、財務の健全化をはかる観点からいいますと、ぜひ進めていかなくちゃならないというふうに考えます。  ただ、御承知のように、貯金量の大きさに比べますと、貯金量の大きさそのものからいいますと、どうしても総合農協というたてまえを持っております関係もありまして、やはり組合員から大きな機械施設というようなものの設置についての要望が強いと、必ずこれが自己資本によって設置されなければならぬということの、いわば矛盾みたいなものを現実に解決する方法として、自己資本以外の資金を使って組合員要望にこたえるというような形をとりやすいだろう。しかしまた、それ自身は必ずしも絶対的にいけないとは申しませんけれども、やはりそれが一定のワクを越えると非常に危険な財務の状態になりますので、御指摘の趣旨は十分にわかりますし、従来からもそういう観点からの指導を加えておるわけでございますが、自己資本と固定資産のアンバランスの是正というようなことにつきましては、今後とも一そう強い指導を行なっていきたい、こういうふうに考えます。
  34. 柴田健治

    柴田委員 問題は、農協のほんとうの基盤は、自己資本と固定資産との調和を破ったらいけない、これは大原則なんですね。だから、いま固定資産の中で生産に直接関係のある施設ですね、たとえば農協倉庫、作業場、選果場、いろいろ直接関係のある固定資産と間接的な固定資産、たとえばガソリンスタンドだって間接資産ですね。間接的といえば間接的、関係ないといえば関係ないのです。そういう油会社と結託して——ある農協においては、農協はそんな固定資産をそこに費やしてもいいのかといったら、あれは油会社が投資したんだ。表面は、やっているのは農協のようなんだけれども、実は内容資本投下はある油会社が、場所を提供してくれたら施設をつくって、農協のガソリンスタンドのように使っていただいてもよろしい、こういうような、投資は民間会社だ出す、土地と販売や何かは農協運営する、こういうところもあるのですね。だから、一がいに固定資産がふえているともいえないところもあるけれども、直接固定資産と間接固定資産と分類した場合に、今日どちらがふえていますか。
  35. 中澤三郎

    中澤説明員 御質問の趣旨にぴたっとお答えする資料がないので申しわけないのでございますが、ただ、農協が持っておる固定資産で非生産的といいますか、非生産的ということばが適当ではございませんが、直接的に生産に役立つ施設以外の施設というと、主として事務所関係の固定資産だろうと思うのであります。したがいまして、最近貯金量の多い単協などの例によりますと、鉄筋コンクリートの事務所をつくる例もある程度見られるわけでございますが、そういう組合を除いて考えますと、やはり持っておりますところの固定資産は、倉庫とか共同利用施設とか、そういう生産関係関連のある固定資産が多いのではないかという感じがいたします。
  36. 柴田健治

    柴田委員 私たちがつかんでいる数字からいうと、そういう生産に直接必要な固定資産はあまりふえなくて、生産関連があるといえばいえるけれども、私たちの言い分からすれば、間接的な固定資産のほうが伸び率が多い。こういうことをこれまた手放しでほっておくと、自己資本のワクを破るようなことになりますね。だから、財務処理基準令を改正して、もう少し自己資本拡大をはかるという、その点の考え方はどうなんですか。
  37. 中澤三郎

    中澤説明員 現在の基準令によりますところの自己資本と固定資産の比率そのものは、現在の基準そのままでいいだろうというふうに考えます。ただ、これが実際に単協の現実におきまして、自己資本過少ということは直していく必要があるということは、先ほどお答え申し上げているとおりでございます。  ただ、これは弁護するわけではございませんが、先生も御承知のように、整促過程を見ましても、自己資本の重要性というものは非常に、いやというほど組合は経験しているはずでございます。ただ、その後貯金量の増加なり事業拡大というようなことに幻惑された形が、従来苦い経験をなめた自己資本の過小というものへの関心が、薄くなっているというような要因もあるのではないかという感じがいたします。しかし、何といたしましても財務の健全性という観点からいいますと、まさに基準令が示しておりますような点は当然守らるべきことでございますので、基準の変更ということでなくて、この実施につきまして、厳格にこの基準に到達するような現実をつくるように行政指導をしていきたい、こういうふうに考えます。
  38. 柴田健治

    柴田委員 もう一つ聞きたいのは、農協共済の契約高とそれに対する運用の面ですね。私は先ほどホテルのことだけ申し上げたけれども、この運用の面で、どういう品目にこれは運用されておるのか、その品目と契約高、この点をひとつ……。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  39. 中澤三郎

    中澤説明員 現在契約高は七兆でございますが、現在その十分の一の七千億ほどの資産を持っているわけであります。この資産の運用につきましては、いわゆる三つの運用方法ということでございまして、共済といたしましては、三分の一以上は系統預金、それから三分の一までは財産運用その他という形で指導をしておるわけであります。  その中身の運用でございますが、ほぼ七千億と申し上げました財産運用のうち、一番大きいものが有価証券の保有でございまして約三千億、それから預金が二千億、それから貸し付け金が八百六十億、大体こんな状況でございます。
  40. 柴田健治

    柴田委員 その約八百億という貸し付け金の内容の問題なのですが、どういう事業関連融資をしておるのか。
  41. 中澤三郎

    中澤説明員 貸し付け金は八百億ほどでございまして、その内訳といたしましては、そのうち百億ほどが約款貸し付けなり農村還元貸し付けということでございます。そのほかが一般貸し付けという形をとっているわけでございます。
  42. 柴田健治

    柴田委員 私は、一般貸し付けというのはどんな事業に貸し付けをしておるのか、その事業内容を聞きたいのですよ。
  43. 中澤三郎

    中澤説明員 いわゆる約款貸し付けなり農村還元貸し付け以外の貸し付けにつきましては、関連産業貸し付けを中心に貸すように指導しておりますが、関連産業貸し付け以外に有効、効率的な運用ということで、一般貸し付けの金額が相当含まれております。
  44. 柴田健治

    柴田委員 それは資料をひとつ提出願いたいと思います。八百億の金利と事業内容、それをはっきりしておいていただきたいと思います。  次に、農協運営についてなんですが、組合員の権利義務ということをこれから御質問申し上げたいと思うのですが、総会にはかる議決事項、要するに総会というものはどんな役割りを持つのか、どんな権威を持っておるのかということ。総会において組合員が果たす役割り、任務、この点について、ひとつ組合員総会との関係お答え願いたいと思います。
  45. 中澤三郎

    中澤説明員 総会は必ず置かなければならぬ組合の意思決定機関でございまして、その組合の意思決定は総会におきまして、その正組合員資格を有する者の出席による多数決によって行なわれる、こういうものと理解しております。
  46. 柴田健治

    柴田委員 総会というものは、組合員の意思決定ということが大前提だということをおっしゃった。われわれも全くそう理解しておるのですが、それと総代会権限ですね。法できめればどんなことでもできる、これは全くそのとおりだと思うのですが、総代会にどんな権限を持たしてみたところで、組合員の意思決定のあれは総会である。要するに、総代会権限をふやせば組合員の意思決定、その点がくずれるという気がするのですが、くずれませんか。
  47. 中澤三郎

    中澤説明員 御質問は、総会組合員による意思決定機関であり、組合員総会で意思決定をするのに、総代会権限拡大したのでは、組合員による組合の意思決定にならないのではないかという御趣旨だと思いますけれども、やはり組合なら組合の意思の決定の方法といたしましては、総代会による意思決定という方法によって、組合員の意思決定が原則的に阻害されるという性質のものじゃない。ただ、組合員の意思決定の方法につきまして、幾つかの考える方法があるということではなかろうかと思います。
  48. 柴田健治

    柴田委員 組合の所有者はだれかといったら、私は組合員だと思うのです。だから、何としても組合員中心にならなければならない。それを法で総代会権限を持たしたら、組合運営がうまくいくということは私は考えられない。総代会権限拡大することは、所有者の権限を剥奪するというおそれが出てくる。この点について、総代会権限を持たしたら組合員の意思は生きてくるのだ、こういう論理にはならないと思うのです。やはり組合員組合の所有者なんです。出資しておる限りは所有者なんです。その所有者の意思を無視するような総代会権限拡大というのは、筋が通らないと私は思うのですが、その点をひとつ……。
  49. 中澤三郎

    中澤説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、組合の意思決定の方法それ自身は、まさに先生の御質問のように、意思決定をすべき組合員の選択でございますので、そういう方法をとること自身が、すぐそのまま組合員の意思決定の方法の道が閉ざされたというふうには考えておらないわけでございます。  ただ、今回御審議いただいておりますような法律改正が行なわれました場合に、御指摘のような危惧が起こらないように、組合員自身がどういう意思決定の方法を選ぶかということを、十分組合の場におきまして論議を重ねた上で行なわれるならば、それはそれなりに組合が選んだ意思決定の方法ではないかというふうに考えております。組合総代会によって組合の意思を決定するというふうにきめましても、なおまだ組合自身に総会権限が残されておるので、その辺は御懸念になりますような事態が、数多くといいますか、安易に考えまして、組合員の意思決定にあたって妥当を欠くような方法がとられることのないように十分指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 柴田健治

    柴田委員 組合員組合に対する地位というものはきわめて高い、こういう解釈で、われわれは今日まで組合に対する組合員の権利義務というものの理解を求めてきたわけですね。総代会権限拡大しなければならぬという理由が、私は非常に薄弱だと思うのです。いままで協同組合法の精神、その理念から、組合員に対して理解を深めるために非常に教育してきたそういう手前からいうと、総代会権限拡大するということは、どうも私たちは納得ができかねる。また理由が非常に薄弱だ。なぜかというと、農協が合併をして規模が拡大された。総会がたびたび開けない。だから総代会権限拡大して、総代会組合運営をやらしたほうが総合農政構造政策がうまくスムーズにいくのだ、こういうお答えなんですが、たとえば、いま組合員五百名以下の組合は二千九百四十一組合。これはこの間あなたのほうから出された資料ですが、五百名から一千名以内が二千三百八十三組合。比率を出してみると、五百名以内が四二・二%、五百名から千名が三四・二%あるわけですね。合計七六・四%というものが規模が小さいのです。それから千人以上の組合が千九十二組合あって、これは一五・六%、二千名以上が三百十四組合で四・五%、三千名以上のが二百四十五組合で三・五%、この一千名以上の組合数が二三・六%で、まだまだ小規模のほうが七六・四%あるのです。現時点であわてて総代会権限拡大しなければならぬという理由は私はないと思う。  たとえば、思い切って農協を合併して、二年間なら二年間で思い切って大規模にするのだ。それで今度正組合員から準組合員に転落する組合員が出るかもしれない。そうすると、組合員数がこれからふえるという可能性は私はないと思う。正組合員から準組合員に転落する組合員は出るかもしれないが、正組合員数がこれからどんどんふえるということは、いまの農林省総合農政論の論理からいうと、ふえる要素はないと私は思う。正組合員がどんどんふえると思われますか。いまこの七六・四%の小規模の組合がまだ現在ある。総会が開けないという理由がどこにある。  昔ならなかなか千人も入るような施設がなかったが、いまどこの村だって体育館がある。学校の体育館を借りたら幾らでもできる。いまでも農協は一般の業者がやるように、何ぼ貯金をしたら旅行へ連れていく、何ぼ建物共済に入ったら旅行に連れていくという、一般の業者と変わらぬようなサービスをやっているのですよ。そういうサービスができるくらいなら、総会が開けないという理由はないと私は思う。年に一回の総会が開けないという理由は考えられない。現時点で総代会権限拡大しなければならぬという理由は非常に薄弱だと私は思う。この点について、考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  51. 中澤三郎

    中澤説明員 正組合員数別の組合の割合は、先生指摘のとおりでございます。ただ、私たち総代会権限拡大しようというふうに考えました理由は、御指摘にありました五百人未満の四二・二%に当たる組合についてまで、総代会をあえて設置したいという趣旨ではございません。確かにお話しのように、今後農業協同組合の正組合員数が、一般的に、つまり合併という方法以外で、正組合員の数がふえるということは考えられないわけでございますが、すでにこれらの組合で、千人以上というふうに大型化している組合の割合が非常に大きくなっておりますし、現に五百人以上の組合におきましても、総代会を設置いたしまして組合運営円滑化をはかっているところもあるわけでございまして、これらの組合は、単に総会が開けないという物理的な理由ということだけではなくて、その開かれた総会の場においていかなる討議、いかなる検討が行なわれるかということであろうかと思います。  したがいまして、そういう組合の重要な事項の意思決定をする参加のしかたといたしまして、やはり千人、三千人という方々が集まって組合の意思というふうなものをきめるよりは、組合が、組合の実情なりこれまでの組合の民主的な運営の成果というものの評価の上に立って総代を選び、そこできめるならば、やはりそれは組合の意思決定の方法として取り得る方法であり、また、そういうことが可能であるとするならば、大型組合管理運営上非常に有効に働き得るのではないかというふうに考えた次第であります。
  52. 柴田健治

    柴田委員 私は組合員の権利というものは、いままで私たち組合員に教宣活動をし、そういう教育活動をしてまいった経験からいうと組合員というものは、先ほど申し上げたように、非常に義務も重いが権利もあるのだ、こういう立場でやってきたわけですが、この組合員の権利というものは、従前どおりで変わらないのか、あくまでもその権利というものは持続するのか、この点の見解はどうか。組合員の権利とは何と何がいままでに付与されてきたのか、その点をはっきりしていただきたい。
  53. 中澤三郎

    中澤説明員 権限拡大されました総代会制がとられた場合の組合員の権利は、つまり直接自分が総会に参画しまして、組合の意思決定に直接的に参加するということでなくて、総代を選んで、選んだ総代総代会におきまして組合の意思を決定するという方法の違いを除きまして、すべて組合員の権利は同じものであるというふうに考えております。つまり組合の意思決定への参加という権限、あるいは組合事業を利用する権限、そういう権限には差がないというふうに考えております。
  54. 柴田健治

    柴田委員 私たちは、組合員の権利というものは実は総会での議決権、これをもう大前提に指導してきている。それから役員選挙権、役員として選挙、選任される権利がある、役員になる権利がある。それから総代として選挙される権利もある。総会の招集請求権もある。役員改選請求権もある。参事または会計主任の解任請求権もある。総会決議、選挙及び当選の取り消し請求権もある。書類閲覧の請求権、組合事業利用権、剰余金配当の請求権、持ち分の払い戻し請求権、除名に対する弁明権、こういう権利が組合員にあるということをわれわれは承知している。ところがこの中で、今度総代会権限拡大をすると、総会を招集する権限との関係はどうなるのですか。
  55. 中澤三郎

    中澤説明員 依然として総会を招集する権限は持つというふうに考えております。
  56. 柴田健治

    柴田委員 それでは、組合員総会を招集する請求権があるとするならば、総代会権限というものは相当縮小されるわけですね。
  57. 中澤三郎

    中澤説明員 総会は、申し上げるまでもなく組合の機関として必置の機関でございますから、総代会制度がとられましても、総会というものがなくし得るものとは考えておりません。それからまた、そういう意味総会を招集する権限組合員が持っておるわけでございます。
  58. 柴田健治

    柴田委員 いままでの権利というものは変化がない、このままの権利でいくということですね。
  59. 中澤三郎

    中澤説明員 そのとおりでございます。
  60. 柴田健治

    柴田委員 そういう権利は依然として続けながら、一方では総代会権限拡大をして、組合員との意思疎通を欠くような、たとえば年に何回か総代会を開かせるのですか。さっきからの理論からいうと、たびたび総会が開けない。しかし、所有者である組合員にいろいろな内容を明細に知らさなければならぬ義務が組合はある。総会が開けないから総代会権限拡大するのだ。そうすると、総代会を一年に何回開くことを義務づけるのか。総代会でやったほうがもっと運営がスムーズにいくのだという論理からいうと、総代会をどう義務づけるのか。いままで総代会は一年に何回開いていますか、実態を知っていますか。
  61. 中澤三郎

    中澤説明員 総会が従来年に何回開いてきたかということにつきましては、ほぼ二回は開かれてきた。つまり、決算総会と新しい事業年度事業計画総会というものが開かれてきただろうと思います。したがいまして、総代会制がとられました場合においても、当然少なくともその回数は開かれるべきものであるという考えを持っております。  ただ、総代会制度をとった場合のメリットといたしましては、最低二回は開く必要があった総会というものを、事態の推移に応じましてもっとしばしば開き得るというメリットは出てくるわけでありまして、事柄の軽重、緩急に応じまして、総会ではなく、いわゆる簡略化された手続で、総会と同じ権限を持つ総代会が開かれることによって、組合運営が円滑に機敏に行なわれる。ただ問題は、そういうふうにして行なわれる組合の意思決定が、具体的な個々の組合員の自主的な意思とどうかかわっているのかということでございますので、こういう面につきましての総代と、それから総代をいわば選挙したであろう組合員との結びつきにつきましては、十分意を用いてもらう必要があり、また、そういう面に特に注意するような指導は加えていきたい、こういうふうに考える次第であります。
  62. 柴田健治

    柴田委員 私は、組合員の権利をある程度制約するような総代会権限拡大というものは筋が通らないと思う。なぜかというと、先ほど申し上げたとおり、総会が開けないという理由だけでは理由にならないと思う。今日、不正事件が起きていること一つを取り上げてみても、この間不正事件の資料要求をしたのですが、年々不正事件がふえているのです。この不正事件が起きるということは、役員の怠慢というか、その指導管理体制、それから役員の責任観念、こういうものが少しゆるんでおるのではないか、たるんでおるのではないか、私はそういう見解を持つのです。  不正事件が起きるということは何を意味しているのか。ただ人の問題だというだけで片づけるものではないと私は思う。結局、組合員役員との密接な関連というものが薄らいでおるのではないか、組合員を忘れておるのではないか。この不正事件の起きる原因は、ただ人の問題だけではないと私は思うのです。それはたまたま役員が悪いのだ、ただ組合長だけがワンマンで横暴になったのだ、それがやったのだ、中にはそういうのがあるかもわかりません。けれども組合を所有している所有者を無視したそういう考え方が出ておるのではないか。中央会ができて、要するに管理体制を強化する。国も県もそれに補助を出している。中央会が自主的な指導、監査をし、そういう管理体制強化し、地方公共団体地方公共団体協同組合の行政監査をしておる。それでもなおかつ不正事件が起きる。これはだれの責任なんです。この不正事件が起きる理由、なぜ起きてきたか。  ここ一、二年またぐっと伸びている。四十二年度は被害金額にして四十億円ですよ。被害金額にして四十億円の不正事件が起きておる。この中で一番大きいのが信用事業で、三十九億二千五百七十万円ですよ。購買事業販売事業、こういう事業の不正事件も起きる。総代会権限拡大でこの不正がとまるのか。やはり所有者である組合員が常に組合に対して監視の目を強めていく、綿密な連携を保てるような組合運営をすべきではないか。そうすれば、こういう独善的な不正事件というものが起きる可能性が少なくなってくるのではないか、こういう気がするのですが、この不正事件はどういう形で出てきておるのか、何が原因か、どういう理由か、どういう分析をしておられるのか見解を聞きたいのです。
  63. 中澤三郎

    中澤説明員 確かに御指摘のように、四十二年度を例にとりますと、その前の二、三年よりも農協不正事件の件数もふえ、特に金額が大きくなっております。この大部分が信用事業部門の不正事件であるということも、充生おっしゃられるとおりでございます。  この原因はどこにあるのかということに関しまして、どういうふうに考えておるのかということでございますが、やはり金を取り扱う機関でございますので、大部分が、そういう不正の端緒となる事態が長期に放置されておって、それがふえてくる過程がだれにも気づかれないでいる状態が長く続いた結果ではなかろうか、こういうふうに考えております。そういう観点からいいますと、金を扱う者につきましては、内部牽制組織というものなりあるいは同一人が同じポストに、他の人の容喙を許さないというような形で金を扱う事務担当の地位に長くいるというようなことは避けなくちゃならないので、そういうことが一番大きな原因ではないかというふうに考えます。  しかし、経営管理者の立場から考えますと、そういうことはわかっておるべきはずでございまして、それにもかかわらずなおそういう内部管理組織なり人事異動の適時化をはかるというようなことが行なわれないというのは、やはりそれは理事者としての自覚の不足であり、その不足の要因として、ただいま先生が御指摘になりますように、組合員のために事業をやっておるのだという認識の不足要因があることも事実であろうというふうに考えるわけでございます。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、こういう不正を事前に防止する、あるいはこういう不正の起こるような状態におちいらないように、理事者の自覚ということにつきましては、できるだけ組合員との接触を多くすることによってそういうことがなし得るだろう、そういういい効果が出るだろうということは、まさに御指摘のとおりだと思います。しかしそれは総会権限総代会権限にゆだねるということによって直接的に影響を受けるということではなくて、むしろ総会制なり総代会制をとるにいたしましても、御指摘のような面からいえば、農業協同組合理事者が単なる事業遂行者じゃなくて、その事業が組織にのっとった事業であるべきであるということで、いわゆる組合員との意思疎通、組織面の活動というようなものが十分行なわれることによってよい結果をもたらし得るものであって、総会制なり総代会制いかんによるというふうには、ちょっと考えられないのではないかという感じがいたすわけでございます。
  64. 柴田健治

    柴田委員 いろいろお答えがあったのですが、私はぴんとこないのですね。私たちは、所有者が組合員であるから、その所有者の組合員のことを十分考えて農協運営をしなければならないと思う。役員理事会であろうと総代会であろうと、そういう最高決議機関の総会を減らして、総代会役員理事会で何もかも運営をする、こういう末端の組合員を無視したような考え方だと、やはり不正というものはなくならない。だから、先ほどお答えがあったが、総会を年二回もやっている組合が全国で何組合ありますか。予算、決算を出して、決算報告、事業報告をして、そして新しい予算なり事業計画を一日で済ましている。その一日も二時間か三時間である。総代会を年に二回も三回もやっているのはどこの県、どこの組合でやっているのか。あなたは先ほど二回も完全にやっていますと答弁しておられたが、そういうことはお答えにならなくても、これから末端の実態を十分知ってやってもらいたいと思うのです。  たとえば、いまの不正の問題でも役員が十六人ですよ。十六人で、一人平均の被害金額を見ると一億五千六百九十四万二千円ということです。職員のほうは、一人頭千四百九十二万円ですよ。大体信用事業に携わるのは職員がおもなんで、役員というのは総括的な運営なんですからね。職員が同じ職場で信用事業の事務担当を長くしている間に、そこに人間関係その他いろいろなことで、誘惑されて不正事件を起こしたというのはわかる。役員というのは任期があるにもかかわらず、一人頭一億五千六百九十四万二千円も被害金額を出すというのは、職員と役員との不正金額の率からいっても、役員権限というものはある程度制約していかないと、不正の金額というものは減ってこない、私はそう思うのですよ。その点についてどう考えておるのか。役員の不正金額をあなた手元に持っておるのだから、その不正金額をどう認識をしておるのか、お答え願いたい。大臣、これはもう重要な問題ですよ。
  65. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 柴田さんの御意見を十分拝聴いたしましたが、全く御指摘の面が非常に多くあると考えております。したがって、先ほどの御質問にさかのぼって、たとえば生産手段、これをどう考えてやっておるのか。このごろは財産の運用というもの、そういう事業に切りかわって、その分野のほうが最も多く意を注がれておるというような点、これらも私は見のがすことのできない問題だと考えます。したがって、先ほど御指摘のように不正事件が非常に多く発生をしてきておる。こういうことはまことに遺憾でありまして、この不正事件の発生の原因は、主として農協理事者の自覚の不足がその最ものあらわれであって、農協の内部管理というものに大きな欠陥があるということも、まさにそのとおりであろうと考えます。  さらに、お話しの中にあったように販売事業というものにも限度があって、この分野というものもおのずから確立していなければならぬ。  農協の使命というものは何かといえば、使命とは、組合員一人一人が農協を通じてお互いが協力し合って、これを中心とした繁栄が行なわれていかなければならない、それがその目的であろうと考えます。こういうような点については、まさに欠陥が多くあります。  私は、これらの問題に関しましては、五月に入りましたらば農協方々ともひざを交えて、今後の運営、これらの不正事件の発生をどういうふうに処置していく考え方であるか、十分話し合いたい。したがって、先ほどのいろいろな財産運用の点についても限度というものがあって、これより多くそれらの事業に手を出すというようなことがあるとするならば、それこそ農民の信頼が薄らいでいくであろうというふうに心配もしております。  申し上げれような点について、近く農協方々とも十分打ち合わせをし、今後かくのごときことのないような方向に進んでもらうように、私から厳重に申し入れを行なうつもりでございます。したがいまして、ただいまの件につきましても、いま参事官から答弁させますけれども、私はそのような考え方をもって今後進むことを明らかにしておきたいと思います。
  66. 中澤三郎

    中澤説明員 先ほどの御質問にございましたように、確かに役員なり職員一人当たりの不正金額というのは、役員の場合は職員の十倍に当たっております。これはやはり役員がその地位を利用してのゆえの不正でございまして、やはり理事者としての自覚に欠けることであるというふうに考えます。ただ、内部牽制組織と申しますのは、単に役員が職員に課する意味の内部牽制組織というものではなくて、やはり組合長なり理事なり相互間のそういう金の取り扱いに関するルールというものがつくられ、守られておるということが、少なくとも職員以上に役員の場合には必要ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。確かに、信用部門におきますところの不正事件は、御指摘のような状況にかんがみまして、農協におきましても昨年から自主的に、これの予防措置につきまして反省のための運動が行なわれております。私たちのほうといたしましても、これを援助いたしましてその成果を期待するとともに、県庁を督促しましてこれの協力といいますか、県庁の参加を求めたような次第でございまして、この運動を続けていくことによりまして、信用部門のこういった事件の発生を極力押えたい、こういうように思います。
  67. 柴田健治

    柴田委員 国が補助を出して全国の中央会、都道府県の中央会が指導管理体制ということで、そういう農協の財産運営なり管理の面について、きびしく自主的に指導するということになっておる。ところが、そういう任務を持っておる機関である中央会が、不正が起きたら、それは理事役員が悪いのだという程度で逃げてしまう。これはひきょうだと私は思う。一つのそういう不正事件が起きたら、中央会に至るまで責任を感ずべきではないかという感じがする。中央会というのは何の役目を持っておるのか、どういう役割りをするのが中央会の任務か、この点について、農林省は全国中央会や都道府県の中央会にどういう指示をしているのか。不正が出た組合だけを対象にやかましくいうのではなくして、農協全体の責任としてもう少しきびしく反省を求めるべきではないか、こういう気がするのです。国が補助を出し、法律に基づいて管理体制を強化する、こういう立場で自主監査指導もしておる。この不正事件を見ると、役職員で共同で不正事件を起こした件数は少ない。金額も一件当たりが三百六十万。役員と職員と結託するのはわりに少ない。別々にやる。役員なら役員だけやる、職員なら職員だけやる、このほうが被害が大きい。  ところが、総代会権限拡大することは役員権限拡大すること、自然そういうことになる。先ほど大臣は、一人一人の組合員がもっと深い理解と、そうして協力をしなければならぬという御答弁があったのですが、一人一人の組合員が、総代会権限拡大したらどういう形でそれをやっていくのか。その地方なら地方の総代会がどういう役割り——たとえば、農協青年部をどういう形で運用しておるのか、農協婦人部をどういう形でやるか。そういう外郭団体、たとえば家の光読書会がある、そういうものを通じて農協運営のいまのあり方をどう理解を求めていくかという、そういう農協をささえておる外部の団体の運用、たとえば部落座談会をどうするか、そういうものをこういう形で指導していく、そうして総代会をこうするのだということなら話はわかるが、そういう具体的なものは何も言わない。その点について、農協組合員との連携を深めるための方法というものはどういう形で将来やるのか、平素のそういう農民の社会的、経済的地位の向上をはかるための教宣活動というものはどういう方法でやるのか、そういう具体的なものがありますか。
  68. 中澤三郎

    中澤説明員 総代会制をとりまして、総代によりますところの意思決定方法をとっていくということになりますと、先生指摘のような問題が、特に従来にも増して重要になることだろうと思います。したがいまして総代の選任につきましては、やはり末端の組合員なり、あるいはその部落別なり、あるいはまた、御指摘のような農協を下からささえておりますところのいわば機能的な下部組織、あるいは地域的な下部組織というようなものの総意によりまして適切な人が選ばれ、また、その人たちがそういう総意を受けまして組合の意思決定に参加し、また、参加して決定せられました意思がどういう形で遂行されたか、その成果もまた、総代からそういったような下部組織なり、農協を内外からささえておるところのそれぞれの組織を通じて、末端の組合員との結びつきを強化していくというような方法は、やはり従来にも増して一そうとっていく必要があり、とることによって初めて実質的に、先生指摘のような組合員の権利平等性というものは確保されるというふうに考えますので、そういう面の指導につきましては、やはり中央会等とも十分連絡協議もとって指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  69. 柴田健治

    柴田委員 中央会に対してもう少し反省を求めて、今後の農協組合員との密接なつながりを深めるのはいいが、総代会権限拡大というのはあまり賛成しない。いまの時点ではもっとやらなければならない仕事がある、こういう気がする。たとえば、先ほど申し上げたんですが、農協婦人部のいい組織ができている。ところが、農協婦人部にどういうことをやらしているか、あなた知っているのですか。もうとにかく脱脂綿やちり紙や変なものばかり売るのが農協婦人部の役目になっている。マル協じるしというので組合マークをぺたぺた、業者に頼んで張ってもらうのでしょうか、安くもない品物——品物がいいのか悪いのか私はよう知りませんけれども、価格にしてもえろう安くない、こういう声を聞く。いなかの一般の零細企業を圧迫するような、あんなもの何で売らなければならぬ。それで、農協婦人部を動員して組合マーク入りが売れる。結局、無条件の委託販売、委託購買、この方式がどれだけ組合員のプラスになっているか。  要するに、農林省ら代金決済制度というものを認めた。この代金決済制度は、ねらいは固定資産の不良化防止だとか、購買代金の未収金の解消だとか、こういう美名で農林省が認めた一つ制度です。ところが、今日代金決済方式がどういう役割りを果たしているか。かえって組合員が迷惑している。たとえば、ことしの秋米ができて、その代金から農協が落とす。だから、いま各業者が農家を一軒一軒回って、これを買いなさいあれを買いなさい、農協から、秋米ができたら決済してもらいますということでやっている。農協の職員が売って回るならまだ話がわかるけれども、業者が売って回るというところも出ているわけです。  こういう代金決済方式は、購買代金の未収金を防止する、固定資産の不良化防止をするという美名が、かえって今度は逆用されて、この代金決済方式が無理に農民の貯金を阻害している。いまのような状態でいくと、貯金は減ってまいりますよ。農協に対する貯金高が減ってまいりますよ。物価高も影響しますけれども購買のほうへもう何でもこういう形で売る、それで業者が中にかんでいる、こういう方式農協のいまの実態なんですよ。こういう点についての運営が正しいのか、この点はどういう是正をせられるのか、指導方針というものをお聞かせ願いたい。
  70. 中澤三郎

    中澤説明員 御指摘のように、確かに代金決済制度なり、あるいはそういった業者が介在して、組合員の意思にかかわらず、組合員の家庭で使われるであろう物資を押しつけておるというふうなことは、やはり御指摘のようであれば、農協事業として非常にまずいということを感ずるわけでございます。  具体的な事例のことでありますし、またそれが具体的にどの程度の割合といいますか、頻度でそういうことが行なわれておりますか、末端の組合の実情に詳しい先生にそうおっしゃられますと、そういうことが全然ないということを申し上げる勇気は持ちませんし、たとえば代金決済制度におきまして、かつて、先生おっしゃいますように、売り掛け金が多額にのぼらないようにするためにとられた方式が形骸化されまして、そういう弊害を生んでいるということでありますならば、やはり本来の組合事業あり方に即した決済が行なわれる必要があるので、具体的に強い指導を行ないたい、こういうふうに考えております。
  71. 柴田健治

    柴田委員 この代金決済方式が、農民が、たとえば生産に必要な資材、農機具だとか農薬、肥料だとか、生産資材といわれるそういうものの代金決済ならわれわれはわかるのですよ。ところが、電気製品から、自動車から何でも生産に直接影響のない、たとえば人間生活に必要な部分——農村もそれは文化生活を営む権利があるんだから、それも必要なことだと思いますけれども、それまで代金決済方式拡大するのはよくない。代金決済をある程度生産資材ということに指導方針を変えないと、農協の貯金というものは減っていく。たとえば貯金を出しに行っても、何を買いなさるかと一々組合員考え方を聞いて、こういうものを買いたいのだ、それはうちにあるじゃないか、うちのを買いなさい。それは善意に解釈して指導しておるのかもしれないけれども組合員の気持ちからいえば農協の品物は高い、同じ品物でも、こちらの商売人で買ったほうが安いというものがあるかもしれない。それを、貯金を出しに行くとそういうことまで売らんがためにやる。また、一方では代金決済で、不要不急の農業に必要でないものを、特定の業者が、農協に承諾いただきましたから買うてください、代金はいずれ米ができてから農協のほうで払ってもらいます、こういうことで購入に対する伝票の判だけ押す。半年間も待ってくれることはありがたいけれども、その間の物価の変動なり金利なりいろいろ計算をすると、かえって安く売られてない。庭先まで持ってきてくれるからありがたいように思うけれども、かえってその品物は高く、安くはついていない。商売人は損してまでは売りませんよ。六カ月も七カ月もの金利を含んでいるでしょうし、いろいろ手数料も含んで、あまり安くは売ってない。代金決済方式はあまりワクを広げて手放しでゆるめると、農民の貯金というものはどんどん減っていきますぞと私は言っている。農民の貯金が減ってくると、今度の自主流通のあの米の代金決済にも結局影響しますよ、こう言うている。だから、購買事業の売り方の方法というものを、もっと適正に指導する必要があるんではないか。今後どういう方法指導されるのか、考え方を聞いておきたいと思います。
  72. 中澤三郎

    中澤説明員 御指摘のような弊害がある程度ある、また、そういう事態に対して農協自身がどういうふうに考えているかということの一つの例として申し上げますと、四十四年度の全購連事業計画を見ますと、その柱に、やはり先生が御指摘になられましたような点の反省がございまして、これが県連なり単協段階におきまして、具体的にどういう形になるかまだわかりませんが、生産とその生活に密着して組合員要望にこたえるということを、四十四年度事業一つのスローガンにしているわけでございます。こういうことも、やはり先生指摘のような批判が下からあがってきたこと、また、事業拡大に追われた上級機関が、その欠陥に関してみずから反省した結果であろうというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、私たちといたしましても、こういう上級の機関そのものはそういうような考え方になっておりますので、そういう御指摘のような欠陥を是正していくという機会としては、まことに絶好の機会だというふうに考えます。その具体的な実施方法、あるいはまた県の単協に対するところの指導方針というようなものを流す機会をとらえまして、そういう組合事業として非常に不適切だというようなことは絶対に避けるように今後指導をしてまいりたい、こういうように考える次第でございます。
  73. 柴田健治

    柴田委員 いままでの農林省の手落ちはすなおに認めてもらいたいと思うんですよ。今日農協がこういうあり方になったのは、農林省指導にミスがあったというか、非常に手落ちがあったというか、ある程度農林省の責任だ。いろいろ組合員から批判を受け、他のいろんな国民からも、いまの農協というものは、先ほど申し上げたように官僚化し、何でも売らんかな、何でもつくっていく、どこでもそこに不正が起きる、こういうことで、非常なもろもろの不評を買っておる。そういうものが出てきたということは、農林省のいまの現行制度法律による指導体制というものに欠陥があったのではないか、私たちはそう理解をしておるわけです。  私は、農林省が将来農協——総合農協単協、専門農協いろいろありますが、今後の営農あり方農業あり方というものを考える場合に、専門農協というものがどういう役割りを果たしていくのか。その専門農協の問題はちょっとあとにいたしまして、総合農協の場合、規模というものはどの程度のものが適正な規模になるか。それにはやはり大都市付近の農協と納農村地帯、これはまた違うと思うのですが、ただ大都市付近のいまの農協は、営農というのではなくして、何か信用事業だけに重点を置かれておる半ば専門農協になっているのではないか。たとえば東京なら東京、大阪なら大阪、そういうところは蔬菜を少しやっている。多少は畜産もやっている。けれども、総合的な農協機能というか、そういうものを果たしていない。大都市付近は総合農協というけれども、それは順次縮小されて、半ば専門農協の方向にいっているのではないか、こういう気がするわけです。そういう大都市付近の農協あり方というものを将来どうするのか。純農村地帯の総合農協の規模というのは、どの程度が適正な規模か。それに向かってたとえば合併を、ただ市町村が合併したから、町村の行政区域内だけで合併さしたらいいんだというのではなくして。適正な単協の規模というものはどの程度か。それによって総代会権限をふやす必要があるのだ、総会というものがややもすれば開催ができにくい、だから総代会権限拡大すると言われるなら、こういう適正な規模というものは、どの程度が日本の場合は必要なのか、それをひとり……。
  74. 中澤三郎

    中澤説明員 総合農協の適正規模ということは非常にむずかしい問題でございまして、頭からこういう規模が適正だということは、やはり地域の交通事情だとか、生活の環境だとか、あるいは農業生産内容、いろいろによりまして一がいに言えないだろうと思います。  ただ、総合農協全体の、これは合併した結果も含んでいることでありますが、合併以前の規模別組合の分布状況なりあるいは合併後の総合農協の一組合当たりの正組合員数ということを考えますと、やはりこの間も農政局長がお答え申し上げましたように、千人をこえる以上の単位ぐらいが一つのめどになるのじゃないのかという感じはいたすわけでございます。しかしこれもいろいろの事情——先生はそれによって総代会制度を考える一つの指標にするというような御趣旨の御質問でございますが、逆に申し上げますと、総代会権限いかんによってまたその規模というものも考えられるというような要素もございますが、現在のところでは、先ほどお答え申し上げましたように、千人をこえる程度がめどになるのではないか。しかもそのめどというのは、実際的には市町村の行政区域とのかね合いが、現実の問題を考える場合には制約する大きな一つのワクというふうに考えられますが、まあそんなことではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから、市街化区域のいわゆる専門農協、ことに信用専門農協というものをどういうふうに持っていくかということでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、やはりそういう事業分類なり事業の性格からいいますと、信用部門に非常に大きなウエートがかかりまして、一見何か信用組合に移行すればいいようなふうにも考えられますが、やはりスタートが農協としてスタートし、なおかつその組合の中にかなり農業経営に関する事業を行なっております農家の方が正組合員として、数は相対的に少なくなっているとはいいながら、なおかつ現状からいえば、ここ当分はそのままの形で総合農協というような方向を、名称が当たるか当たらぬかは別問題でございますが、農業協同組合という形で、こういうことがしばらくはまだ必要なのではないだろうかというふうな感じでおるわけでございます。積極的にどういう形がいいかといいますと、なかなか言い切るにはいろいろな条件がありまして、むずかしい問題でございますが、制度上のたてまえとしては、そんなことじゃなかろうかというふうな感じでおるわけでございます。
  75. 柴田健治

    柴田委員 いま二千名以上の組合のところを調べてみますと、どちらかというと大都市の中にあるわけです。この間農振法のときに、市街化区域論、調整区域論、農業振興地域論でいろいろ論議をしてまいったのですが、大体大都市の中にある農業協同組合というものは、総合農協から少しはずれてくる。要するに、総合農協というものは純農村地帯にもう重点が置かれてくるんではないか。将来の経済の動向を判断して考えた場合には、やはり総合農協というものは純農村地帯が重点にならざるを得ないだろう。そういう場合に千人くらいの規模が適正だ、全く私もそのとおりだと思うのですね。千人くらいの規模では総代会権限拡大しなくても、組合員が常時全員、理想としては年二回か三回寄れるくらいの、そういう形で農協運営したほうがより民主的である。将来は楽な道を歩まない、農業というものはますます困難な道を歩むだろう、こういう予測のもとで判断した場合には、組合員と幹部というものが一体となって運営に当たるほうが、結局正しい運営ではないか、こういう考えになるわけですね。だから私は、総代会権限拡大については、この時点においてもう少し情勢を見るべきではないか、こういう考えを持っておるのです。  とにかく今日、理事役割りなんですが、その役割りというものは前からあるわけですが、要するに理事というものは代表権を持っておる。この代表権というものは、理事会全体が代表権を持って、その代表権の代表はやはり組合長ということになっておるけれども、一般の民間法人の会社の社長、専務とはこれは違う。理事会全体が責任を持つことになっておるわけですね。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 これは要するに代表権の問題で、事務執行権と組合を代表する代表権の権限というものをごっちゃにして考えて運営したらいけない、こういう気もするわけですがね。やはり代表権という権限というものと事務執行権の権限というもの、それにおいては、やはり参事制というものにもっと重きがあるべきではないか。そうすると、今日農林省が参事制をある程度奨励してきた面もあるわけですが、この参事制を全国で何%くらい置いておるのか、ほとんどの農協が参事制を採用しておるのかどうか、この点をひとつ。……
  76. 中澤三郎

    中澤説明員 参事制をとる組合は、平均で申しますと一組合当たり〇・六でございますので、六割に相当する単協が参事を置いているというふうに考えてよかろうと思います。
  77. 柴田健治

    柴田委員 六〇%が参事制をしいておる。まだ四割が置いていないというのは、それは財政的な面ですか。要するに組合長、専務、常務という三人が常勤制をとっておる組合、それから組合長、専務が常勤制をとっている組合、それから組合長だけが常勤、組合長は非常勤で専務と常務だけと、こういうふうにいろいろあると思うのですね。どういう形の中に参事制というものが取り入れられておるのか。役員の常勤、非常勤で参事制の問題が変わってくるのではないか、こういう気がするのですが、その点はどういうふうに考えますか。
  78. 中澤三郎

    中澤説明員 確かに御指摘のように、参事の業務執行権は、事実上理事の場合と変わらない権限を付与されております、人事権を除きまして。したがいまして、御質問のように、参事が置かれている組合の専務なり組合長は常勤なのかどうかというこことが出てまいりますが、実は御質問お答えできるような状況の資料がございません。  ただ、連合会に参事が置かれておる状況とかあるいは組合実態から考えますと、六割の組合に参事が置かれておりますが、その参事が置かれておるゆえに組合長が常勤でなかったり、あるいは専務もいないというようなことはなくて、むしろ、感じでありますけれども、参事を置かれておるけれども、やはりだれか理事さんが常勤でおる状態が多いのではないかというふうに考えます。
  79. 柴田健治

    柴田委員 連合会は参事制をしいておるのがほとんどだと思うのです。ところが、単協の場合やはり参事制を強化していく、これはわれわれは正しいのではないかという見解を持っておるのですが、いま六〇%の参事制ということになれば、まだ十分でない。それから、参事制を置くのをきらう役員がおる。参事制を置くと、役員権限が何か剥奪されるような、こういう考えを持っておる役員がなきにしもあらずで、やはり参事制というものを強化して、事務執行権のこの線を明確にしていく。それから、役員の任務というもの、これについては、組合長、専務、常務という三人が常勤である、だから参事制は要らないというこの考え方は、農林省はどう受けとめておるのか。参事制はもう要らない。われわれでやるのだ、その点の見解ですが、あくまでも将来参事制を設けさせていくほうが、やはり組合運営については正しいのだ、こういう考えかどうか、お尋ねしたいと思います。
  80. 中澤三郎

    中澤説明員 参事制が設置されました趣旨は、先生の御質問の中でも明らかでございますように、現在の農協は、理事の中に非組合員が入ってくることを制限しておる関係もございまして、やはりそういう農家以外から、組合管理運営に適切な能力を発揮し得る人を選ぶという趣旨であると思います。農協法制定当時から、やはり従来の産業組合法にない関係もありまして、参事制の制度の趣旨とその設置につきまして、相当指導したことも事実でございますし、先生も御承知だと思うのでございますが、しかし、依然としてやはり六割程度の実施状況にとどまっておることは、何かの原因があるのだと思います。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 確かに御指摘のように、やはり支配人と同様の権限を持つ参事を置くことにつきまして、組合理事立場にある人が、何か自分の権限が小さくなるというような感じで、置きにくいという事情にあることは十分推測されることでございます。  しかし組合の業務も複雑化し規模も大きくなるということになりますと、やはりそういう管理運営経営という観点から、専門的な優秀な能力を発揮し得る人がほしい、それが組合組合長さんなり理事、専務理事ということで果たされ得る範囲ならばよろしゅうございますが、やはりそうでもない、そういうわけにいかない要素も含まれておるというふうに考えられますので、そういう場合には、やはり今後参事制の活用ははかっていくべきではないか、こういうように考える次第であります。
  81. 柴田健治

    柴田委員 先ほど不正の問題でも申し上げたのですが、役員というものがそういう組合に損害を与えた、不可抗力の損害というのではなしに、人為的における損害を組合に与えた場合には、役員は連帯責任があるということになっておるのですね。ところが、往々にして連帯責任を負う者は少ないですよ。うまく言って逃げちゃうんですよ。ところが、一方では参事制をしいてもっと事務能力、また組合員にわかりやすくという、そういう組合員の教育をする面においては、役員よりか参事のほうが説明はうまいんですよ。その参事制を拒否するというか、きらうという組合ほどどちらかといえば不正が多いのですよ、正直言うたら。役員だけが独占をしたがる。先ほど参事官答弁をされましたが、参事を置いたら自分の権限が薄くなるということできらう役員がおる。そのほうが、どちらかというと不正事件を起こしている率が多い。それはあなたが内容を知っておられるんだからよくわかる。やはり農協運営の問題については、非常に多様化、複雑化してくるから、それだけ役員に選ばれる者が重大な責任と、また生産協同組合としての法の精神の基本的理念を守り抜くためには、役員の心がまえというものがやはり必要だ。  役員を選ぶという方法は民主的にやっているのですけれども農協役員選挙方式なんですが、私は公職選挙法を適用すべきだと思う。公職選挙法を適用して選出を考える。いま農業委員は公職選挙法適用だ。ほかの選挙は全部公職選挙法の適用を受ける。土地改良区でもそうですよ。役員選挙は公職選挙法の適用を受けるのですよ。農協だけが手放しだ。農協役員だけは飲まして食わして何でもやれる。農協役員に立候補すると同時に、そこの町会議員の選挙にも使おうということなんですね。そういうことで農協役員の資格の問題それから選挙の問題というものを、もっと検討したらどうかと思うのです。この点について大臣どうですか、ちょっと見解を聞きたいのです。
  82. 中澤三郎

    中澤説明員 先生がいま御質問されたようなことにつきましては、やはり農協の性格からいって制度上いかがかという問題が残っております。一応現実におきましては、市町村会議員あるいは農業委員会委員選挙選挙法の適用を受けて行なわれるわけでございますが、実質的に市町村段階にあって同列に扱われる地位にあるからといって、農協役員につきまして公職選挙法の適用をすることには問題があろうかと思います。  ただ、念のためでございますが、御質問の中にありました土地改良区の場合も、公職選挙法の一部を手続上一応準用しているわけでございまして、いわゆる買収とかなんとかというふうなことにつきましては適用がないわけでございますので、そういう意味の手続だけならば、あえて公職選挙法の適用をしなくても、その手続に関する適正化は、農協の自主的な定款方式というようなことで適正化をはかり得るのではないかというふうに考えております。
  83. 柴田健治

    柴田委員 特にいまの農協役員の資格の問題がいろいろ問題になっておるわけですね。たとえば、特にいま正組合員と準組合員とのすれすれのところの者が農協役員にたくさん出てくる。農林省なり県がこれからの農業あり方、たとえばこの法で示される共同耕作だとかなんとかいってやろうとしても、農業実態を知らない人が役員に多い。大都市付近にほんとうに農業を知らない人が役員に多い。なぜこういう形になってきたかということは、やはり農協役員の立候補の資格の問題があると思うのです。だから、農業を知らない人が役員にたくさん出てくるところに、農協運営が方向を変えるようなそういう可能性が出てきておると思う。購買事業だけに重点を置いたり、旅行あっせん所をつくってやろうか、葬式屋、散髪屋をつくってやろうかということになる。だから、農業をほんとうに専門にやるような人が少なく、片方で参事制をしいて、事務についてだけ完ぺきにしていく。農協のほんとうの運営というものは、生産協同体として運営をやるんだというような基本的な理念というものが欠けておる。  この点が、地方では悩みの種にもなっておるし、いまのような役員の立候補の資格条件でこのまま許したら、農林省がどんなに指導しても、十分に受け入れてくれるとは私は思わない。農林省はどうですか、いまの役員構成の中で、農林省が今後総合農政——わけのわからぬ総合農政論だけれども総合農政だ、構造政策だ、こういっても受け入れてくれるかどうか。農協役員そのものに基本的な考えがないのだ。だから、結局観光ホテルをつくってやろうか、にぎやかにやってやろうかということになる。そういう役員の資格の問題、選出の方法、こういうものを参事官も掘り下げて検討したことと思うが、この点はどうですか。
  84. 中澤三郎

    中澤説明員 先生の御指摘の点の問題があるということは、私どももごもっともだという感じがいたします。確かに、従来農業者だった者が非農業者化して、農業のウエートが薄くなっておるということがかなり進行している地帯におきましては、御指摘のような問題があるわけでございます。ただ、そんな場合に、農協組合員なり役員になる者の資格を変えることによって、いわゆる農業協同組合としての自律性を持たせるということは、やはり協同組合の原理からいいますと、組合員になる資格と役員になる資格は同一であるべきである、また同一であることが望ましいというふうに考えられますので、それを区別することによって農業協同組合としての実質的な性格を守ろうとすることは、やはり制度上若干無理な問題があるのではないかという感じがいたします。  ただ、御指摘の問題性ということを考えますと、やはり農協におきましてだれがほんとうの農業者のめんどうを見るのかという問題になるのではないか、実質的に。その場合に制度的に考えられますことは、やはりほんとうに農業者らしい農業者が農業協同組合をつくりますのと、いわゆる農民という性格が非常に薄くなってきて、具体的にいいますと、組合員資格を非常に引き上げることによって、別につくられる協同組合というようなものと、いわゆる現在の日本の農村なり都市近郊というようなところに、この二つの組合協同組合として非常に安定的な状態で事業を行なっていき得るだろうか。いわば組合が分割されておる形ということを考えますと、まだなかなかそういう条件が整っていないのではないかという感じもするわけでございます。  しかし、やはり純農村地帯におきましては、まだ農業協同組合というものの農業のウエートといいますか、純粋性というものは残っておりますし、まさに農業者である方々が、理事として農業協同組合としての運営に努力しておられるのではないかというふうに考える次第であります。
  85. 柴田健治

    柴田委員 私は、いまの役員の構成というか、いまの選出方法を続ける限りは、次第に農業の経験のない者が役員にどんどん多く出てきて、組合員から農協に対する不信感と、精神的な面も物質的な面も両方離反する可能性が出てくると思う。そうすると、専門農協をどんどんこしらえたらいいじゃないかという声が出てくる。いま農協は何もしてくれない、ガソリンスタンドをつくることにのぼせたり、美容院をつくることにのぼせたりして、たとえばシイタケにしても、畜産物にしても、果樹にしても、私たち生産指導なり、販売、そういう流通の面まで含めて何もめんどうを見てくれない、だから、専門農協をわれわれは別につくろうじゃないか、こういうことに発展をしてくる可能性が出てくると思います。いまでもそういう声がある。総合農協というものは手数料を取るだけだ、ピストンで、売るときも買うときも取る、トンネルで、そこを通るたびごとに骨を削られるということになれば、かつおぶしも同じで、組合員はかなわぬですよ。農産物の販売手数料を取られる、買うときは購売手数料を取られる、そして借りるときにも金利を取られるということになると、どっちへいってみてもトンネルで、農協をくぐるたびにそういう手数料や金利を取られる、それだけにありがたくないじゃないか、専門農協をつくろうじゃないか、こういう声が出てくる。りっぱないい制度でありながら、役員の構成として、そういう営農に対する理解というものが少ない人が役員にたくさん出てくると、そういう方向に走ると思うのですが、その点の考え方はどうですか。
  86. 中澤三郎

    中澤説明員 確かに御指摘のような要因があるだろうと私どもも考えるわけでございますが、しかし、その要因というものが、ある程度やむを得ない面もございますけれども、ただ、そういう要因が出てきておりますことに対しまして、農協理事者として手をこまねいているかというと、必ずしもそうではないというようなことでございまして、先生もちろん御承知のことと存じますけれども、部会をつくるとかあるいはそれぞれ専門別の農家の組織をつくるというようなことでそれに対応さしていこうとしております。  そういう専門的な部会とかあるいは何かをつくるのならば、それをすぐに専門農協にすればいいのではないかというふうに——いまつくろうと思えば、制度上つくれるわけでございますが、しかし、日本の農村の実態からいいますと、先ほど申し上げましたように、そういうような、つまり組合を分割してやるような形ではたして組合側がやっていけるかどうかということを考えますと、これまたかなり不安があるわけでございます。したがいまして、そういう要因があることに対しまして、そういう事態に対応し得るような組織なり運営というものを理事方々に考えていただく必要があるのではないかというふうに感じておるわけでございます。
  87. 柴田健治

    柴田委員 総合農協というものが、農村のあり方から見て正しいと思って今日まできたのですけれども、いま農協役員の頭というか、考え方から、全部ではありませんで一部ですが、先ほど申し上げたように、専門農協をどんどんつくったほうがいい、正直にいってこういう県もあるのです。そうすると、りっぱな農協というものがくずれてくる。そうすれば、少々総代会権限拡大しても何もならぬじゃないか。総代会権限拡大する限りにおいては、もっと理事の資格問題というものをきびしく指導する必要があるじゃないか。もっと農業に理解のある人がたくさん出られるような方途を考えるべきじゃないか。  こういうことを考えると、専門農協がどんどんできることは、農村の組織の細分化というか、そういうものを招いてくる。しかしある県においては、専門農協をつくったほうがいいという声のほうが多いのですよ。そういう点の抑止策というか、どう食いとめで、いまの制度拡大し、守っていくか、この点はどういう考えを持っておられるのですか。
  88. 中澤三郎

    中澤説明員 どういう状況にあるかということに関しましては、端的に現在の単協総合農協役員が、どういう階層の、どういう農業経営に実際に従事しているかということをお答え申し上げる資料があればよろしいのでございますが、それがないので申しわけございませんけれども、確かに御指摘のような観点からものを考えますと、農業協同組合役員というものが、農業というとおかしいのですが、農業をどの程度やっているかという観点からいいます、非常に低いことは事実であります。また多くの総合農協は、そういう低いものを持っております。しかし、実際問題としてどういう人が理事に選ばれているか、また組合長になっているかということを考えますと、これは統計をもってお答えできないのが残念でございますけれども農業に縁の遠い人がなっているかというと、必ずしもそうではないのではないかというふうに考えられます。  ただ、御指摘のような傾向が今後多くなってくるだろうということは考えられますので、御注意もございますので、そういうことに関する実態の把握を十分にしながら、これに対処する指導方法検討して、それを打ち出していく必要があるのではなかろうかというように考える次第でございます。
  89. 柴田健治

    柴田委員 純農村地帯は、まだそういう弊害は出ていない。ところが、大都市付近の農協にはそういう声が非常に強い。総合農協という役割りをもう果たしていないのではないか、それぞれ専門農協になったほうがいい、畜産なら畜産をやっている人、果樹なら果樹をやっている人、こういうものを分離したほうが、もっと、生産販売流通の面が合理的に行なわれる、複雑にならないでいい、大都市付近の農協はそういう声が強く出ているんですよ。純農村のほうは、まだまだ組合員も純朴だし、そういうように農協方々もいままで指導してきたので、農協に対する考え方というものが、まだまだ純心な気持ちで組合を信頼している。だから、専門農協というところの声は十分出ていないけれども、それもいずれは波及してくる可能性がある。大都市付近の総合農協あり方というもの、この点については問題が出てくると私は心配するがゆえに、これに対する指導方法というものをどうするか伺いたい。細分化する方向へ走らせたほうがいいのか、やはり総合農協として運営をさせて、将来も持ち続けていくほうがいいのか、大都市付近の農協のこの点についての考え方を伺いたい。全国一律にものを考えるわけじゃないんですよ。とにかく大都市付近の農協というものが大きく変わってくるのではないか、こういう点の見解を聞いておきたい。
  90. 中澤三郎

    中澤説明員 確かに都市近郊におきましては、そういう要素がふえつつあって、そういう問題が出ているだろうというふうに考えられますが、それゆえに直ちにそういう専門農協をつくるというような形が、はたしていいのかどうかということになりますと、やはりまだそこまで条件が熟していないのではないかという感じがするわけでございます。  先生指摘になられましたような問題を持っているその地帯の農家の専門部門の規模なり、戸数なり、あるいは資力等の関係なりいろいろございますけれども、その専門化の程度からいいますと、そういうふうに分割した農協が、農業協同組合として専門的な分野においてきちっとしていける条件が全般的にあるかというと、ややまだ疑問があるのではないかというふうに感ずる次第でございます。
  91. 柴田健治

    柴田委員 員外利用の問題も、いまの制度の基準からいえば、それぞれ種目別の員外利用で、ただ単に単協が年間一億なら一億、十億なら十億のうちの五分の一というのではなくて、もういままでの現行制度のように、種目別に信用事業なら何ぼというその線はくずさないように将来もいかれるかどうか、その点について……。
  92. 中澤三郎

    中澤説明員 員外利用分量計算の場合の基準につきまして、現在のところこれを変えるつもりはございません。
  93. 柴田健治

    柴田委員 ところが、誤って解釈している組合もあるわけですね。総事業費の五分の一だ、こういう解釈ですね。集積すれば五分の一となるかもしれぬけれども、区分ごとに、たとえば信用事業購買事業、利用事業農業生産事業販売事業、農村工業、共済事業、医療事業というのは別に員外利用率を書いております。また教育、文化といういろいろの付帯事業ができるようになっておりますが、この区分を、総事業費の五分の一というのではなくして、信用事業なら信用事業でも五分の一というものを守らせていかないと、購買は五分の三も組合員以外に員外利用しておる。信用事業のほうは金がないから、五分の一あるけれども五分の一の員外利用はしていない。総合的にすれば五分の一になる。そこが、私は員外利用の問題というものがいろいろ不評を買う原因になっていると思うのですね。その点の今後の指導方針なんですが、これは誤りのないようにやってもらわないと、農村が多様化した、複雑化してきた、こういうだけで員外利用も大目に見ると、これは農協運営一つの欠点になってくる、こういう心配が出てくるわけですね。この点どうですか。
  94. 中澤三郎

    中澤説明員 確かに都市近郊の農協におきまして、そういう員外利用分量の計算上の問題につきまして、いろいろ農業協同組合以外の中小企業者との間に問題がある、その事柄の性質は、まさに先生指摘になられたような問題の場合がかなり多いようでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、私たちといたしましては、員外利用の計算の基準の考え方につきまして、全事業組合事業一本ということではございませんで、少なくとも十条の各号の事業の中でも、たとえば農業生産に関する事業と生活に関する事業というものは、区別すべきであるというふうに考えております。特に、今後そういう問題の起こるような要因が進んでいくというようなことを考えますと、御指摘のような不徹底なことによって、農業協同組合全体が批判されるというようなことは避けたいと思いますので、あらためて十分な指導を行ないたいというふうに考えます。
  95. 柴田健治

    柴田委員 私たちから指摘するまでもなく、こういう問題は農林省がみずから現行制度の中で、利用分量の計算方式というものをもっと指導すべきではなかったか。先ほど申し上げた中央会が、もっとそういう内部監査、監督という管理強化の面から、中央会の者が農林省の代行というのでなしに、組合みずから管理をしていく、自主管理というか自主監督をしていく、そういう役目を持っているのです。いままでそういう事例がたくさん出てきたというのは、農業団体は三段階ある、その三段階制が問題があると私は思うのです。将来二段階にすべきだ、こういう気がするのですよ。三段階のいま持っている役割りというものは、特にどこに真剣に取り組んでおるんだろうか。府県連合会役割りというものは、どういうものを役割りといえるのか。こういうことから、いまのような員外利用の問題一つ取り上げてみても、十分指導していないという欠陥が出てくると思うのです。この点については将来万全にひとつやってもらいたい、こう思うわけですが、大臣、この点は将来の農協運営に重要な問題なのですが、員外利用については現行法規の中でどういう方法指導されるか、ここで見解を聞いておきたいのです。
  96. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 今後、農協をめぐっての困難な状況はたくさんございますが、御指摘のような点につきましての指導は十分に行なっていく考え方でございますし、また、農協本来の趣旨に従って組合事業運営を刷新する、それに伴った生産面の指導を十分に行なうように強化をしていく考え方でございます。  御指摘の点につきましては、十分御意見を尊重しながら、先ほど申し上げたように、来月になりましたらば、農協末端にまで届くような方法をもって指導に当たるつもりでございます。
  97. 柴田健治

    柴田委員 大臣は非常にまじめな人で、すなおにお答え願って非常に感謝申し上げるのですが、そういう心がまえで今日までもやっていただけば、こういう論議は出てこないと思うのです。それから、いま農協総合農協県段階中央段階、この三段階制になっているが、現在農協の数からいって、まだまだ適正な合併というもの、これは必要だと思うのですが、どうもいまややもすれば合併をする機運というものがちょっとゆるんでおるのではないか。合併がある程度適正規模までになってきたら、県段階というものがどうかと思うので、三段階制に関する農林大臣の見解と、今後の農協の合併についてもっと力を入れるべきと思うかどうか、この二つの点について大臣の見解を聞いておきたい。
  98. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 三段階制そのもの自体云々という問題ではなくて、先ほども申し上げたように、その経営に当たっておるところの役員そのものの考え方にあり、人の運営方法にある。でありますから、何といっても現在のいろいろな事件の併発してくる原因というものは、私をしてはっきり言わせるならば、経営運営に当たっているその方々の気持ちがあまりにもゆるみ過ぎている結果がこうなってきているのだと考えるのでございまして、三段階の点について云々ということよりも、まず先にこれをはっきりとした方向づけをして、生産面の指導に当たらせるような方途を切り開いていくということが先決であろう、このように考えます。  申し上げましたとおり、三段階については、現在私はこの三段階制というものを変更する考えは持っておりませんけれども、やってみた結果において、三段階制でなくてどうしても二段階制がよろしいと皆さん方がおっしゃるならば、またそのときはそのときで別に考えるべきものだと考えます。
  99. 柴田健治

    柴田委員 もう一つの合併の問題……。
  100. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 合併の問題も、規模が小さいところといいましょうか、いろいろ町村合併等々が行なわれて、合併の問題が今日でもまだまだないとはいえない。ときどきまだあるようでございます。しかし、何が何でも大規模にしなければならないから、強制的にこの合併をやらしていこうというような考え方は持ってはおりませんけれども、なるべく農協本来の趣旨に従って、そうしてその組合運営のやりいいような方法において合併というものは行なっていくべきものだ、このように考えております。
  101. 柴田健治

    柴田委員 連合会役員選挙を、今度一会員一票制を拡大する、こういう考え方をこの法案で出してくれば、合併というものを並行して考えないと生きてこないと私は思うのです。いま、投票権がほしいのなら合併しなさい、いやならそのままという論議でなしに、ほんとうに単協の適正規模というものが、先ほど参事官が千名というような数字を出されたのですが、千名くらいの規模の構想なら、何も投票権をふやす必要はないと私は思うのです。ところが二千名、三千名、五千名ということになると大都市付近の農協ですが、大都市付近の農協の今後のあり方というものは大きく変わると予測している。組合数はたくさんあっても、これは大きく変わる。結局、千名程度なら純農村地帯の農協だという見方をしている。そういう点からいくと、何も千名程度の適正規模なら、連合会役員投票権をふやす必要はないと私は思うのです。  もう一つは、この構造政策総合農政を進めるために、生産流通、そういう面を合理的に将来うまく運営していくためにこの法案改正が必要だ、こういう御説明をされたのですが、そういう点からいっても、役員の選出方法を変えただけで、投票権拡大していくだけで、こういうことが流通の面でどういう役割りを果たすのか。  先般、政務次官答弁されておられましたが、たとえば米の自主流通の問題一つ取り上げてみても、生産から販売農業協同組合の本質だとわれわれは理解しておる。たまたまあれは食糧管理法という法律で、政府に全部売り渡すということになっているから、農協が集荷の役割りだけしておる。販売は政府が握っておるからやれない。今度は自主流通ですから、販売まで農協がやったらどうか、小売りまでやったらどうか。それをやると、政務次官の答えは、それは食管の根幹に触れるような問題になるというようなお答えをしておるのです。私はそれにびっくりしたのですが、生産から販売まで農協がやる役割りを持っておるのなら、米の自主流通の問題でも、農協が小売りまでできないことはないと思う。  今度生産から販売、そういうものまで含めて、流通の面の大きな役割りを果たすという意味農協法を変え、役員の選出方法も変えていくという、そこがどうも私は理解ができないのです。この間の政務次官お答えを聞いて、私はおかしいという気がしたのですが、農林省の統一見解としてそういう意思統一をしているのだろうか。今度の法の改正で、生産から販売流通の面まで、役員の選出を変えたらよくなるのだというのか、どういう方法でよくなるのか、大臣にひとつその見解を聞きたいのです。
  102. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 別に私たちは、これを変えたから即時流通の面まで、生産から消費まで一貫してすぐよくなるのだという意味でなくて、いま御指摘のあったような役員の問題、これらも、数が多くなってきているところと、少ないところといろいろある。それがあくまでも同じ一対一だということになってくると不平不満が出てくるから、数の多いところは数の多いような適当な措置をとるべきである、こういうことで役員の選出方法を変えたわけでございます。  したがって、いまのお話の中にあるように、それをやったならばどういう面がよくなるかということは、もちろん生産におきましても、流通面におきましても、消費面でも、最末端の消費というものを目標において生産というものが行なわれる。消費がなくては生産というものはあり得ないのですから、そういう面までも十分に調査し、そして適切な措置がとられるような役員さんを選び出してもらう。したがってこれに対しましては、その目的を達成するがために農林省といたしましては十分これらに対する監督指導を今後行なっていく。いままで、御指摘にあったように欠陥がだいぶ出過ぎている、こういう面に対して刷新をしなければならない。こういうような考え方の上に立っての今回の改正であろうと考えるのでございます。  われわれは、先ほどから柴田さんのお話を十分伺いまして、まことにごもっともな御指摘ばかりでございまして、これに対してそうではございませんと申し上げられる点は何点もなかったと私は考えます。それらの意見を十分伺いましたので、申し上げたように農協自体が、中央会から単協に至るまで意思を統一して、そしてここに大刷新し、さらに農協の本旨にもとらぬよう今後の運営をしてもらうようにやっていきたい、こういうような考え方でおります。
  103. 柴田健治

    柴田委員 今度の法の改正で四つの点が明らかになっておる。請負耕作関係の問題と、総代会関係、その中の権限信用事業の問題、この四つなのですが、この四つともほんとうは総合農政と全部関係があるとは思えない。要するにこれからの生産活動というものは、組合というよりか、組合員と一体とならなければこれはもう農業近代化というものはできてこないと思う。それから総代会権限拡大しただけでは、会議の持ち方だけで、農業構造政策がスムーズに推進されるとは思えない。会議の持ち方は会議の持ち方で別に考えればいいのだ。  結局、いまの日本の農業を立て直すための農業経営あり方、要するに規模の拡大、たとえば請負耕作では、先ほど大臣がお見えになる前にお尋ね申し上げたのですが、二通りの耕作方式がある。ところが、いま農協で機械設備を持ち、耕作権を含めての請負耕作のできるような農協というものは、全国的に見ておそらくごくわずかだと思う。機械を持っているところがあっても人がないところもある。要するに請負耕作をする場合において、機械も人も技術も、この三本立てが一致しなければうまくいかないと思う。これはどれが欠けてもいけない。この三つをどう組み合わせて完全にやらしていくかということが、いまの段階では重要な問題だと思う。労働力の問題と技術的な問題と機械の問題、この三つがちぐはぐになっては、この請負耕作というものは成功しないと思う。  それから、もう一つは点在耕地、たとえばあそこの部落に二ヘクタール、こちらの部落に五ヘクタール、こういう点在的な請負耕作というものをやる場合には、労力それから原価計算コストをはじき出してみると、農協は何のために請負耕作をしなければならぬか。いつでも赤字だ。料金の問題からいうとどの程度の料金が基準になるかわかりませんが、日本は北海道から鹿児島まであるのですから、その地理的条件から見て、料金の算定基礎というものはまちまちになっている。そういうことからいって、この料金算定と点在耕作が実際にやれるのかどうか。この点、参事官どういう考えを持っておられますか。  点在耕作の方式、それから三つの機械と労働力と技術、この体系は、いまの技術体系を見ても、農林省の管轄で農業改良普及所がある。これは、今年においては地方公共団体に委譲をしないで、交付金の関係もあったりして、あくまでも農林省の国庫補助職員として存置されましたけれども、将来の見通しからいうと、農業改良普及員が地方公務員という形になって、地方財源でまかなわれなければならぬ。国庫補助職員の制度から切り離された場合に、この農業改良普及員の果たす役割り、そういう点と今度の請負耕作との技術体系の結びつき、この点についての考え方。もう農業改良普及員は現行制度のままずっといくんだ、その中で営農指導、技術指導というものは、農業改良普及所なり農業団体が持っておる技術員をどう組み合わせるかという組み合わせの問題なんです。
  104. 中澤三郎

    中澤説明員 第一点の、農協経営の委託をばらばらにした場合どうするのか、あっちに二反、こっちに三反というような場合にはどうするのかという御質問でございますが、制度改正面をそのまま見ますと、そういうケースも考えられるわけでございますけれども制度改正の趣旨は、そういうばらばらのものをばらばらに引き受けるために農協法改正を行なうという考え方ではないわけでございます。むしろそういうものを含めまして、そういうばらばらに出す方がある場合に、そのばらばらに出すところを中心に、周辺のものも含めまして、そこでそういうことを契機にしながら、集団的な生産組織というようなことで、規模のメリットが出るような経営組織なり生産組織をつくっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから労働、機械、技術というような三つをどういうふうに組み合わせるかという御質問でございますが、これは先ほども説明いたしましたように、この三つがどんぴしゃりと農業協同組合の体制の中で、そのままで十分にすぐにどこの組合でもそろえられるものではないと思うわけでございます。地域の実情なり農協実態によって違うわけでございますが、委託の経営を受けたそのものにつきましては、農業協同組合が主宰権を持ちながら、農協の実情に応じまして、その三つをいかに組み合わせるか。技術者としましては、組合に適当な人がおればそういう方を中心にしまして、いない場合には、技術能力を持った専業的な農家に技術担当部門を依頼するとかいう方法によりまして、そういう組織をとっていくことのほうが、むしろ実情に合うのではないかというように考えておるわけであります。  それから第三番目の御質問は、いま、改良普及員が地方公務員になるということを農林省として考えておりませんので、お答えは御容赦いただきたいと思います。
  105. 柴田健治

    柴田委員 もう時間が参りましたから一応終わりたいと思うのですが、大臣に最後に見解を聞いておきたいのですが、この法案改正したら、いろいろの面で関連を持ってくるわけですが、要するに法だけ通したら、もうあとは農林省の考えどおりに末端でスムーズにいく、こう私たちは理解できない。やはり当面農業団体等の見解をいろいろ聞きたいと私は思うのですが、そういう機会が今日までなく、場合によったら、この法案を取り扱う以外においても農業団体の皆さんの意見を聞いていくということが、これは農林大臣だけが聞くのではなしに、われわれこの農林委員会においてこの法案を審議した者は、みんな農業団体の意向も聞いておくことが、将来の問題としても参考になるし、われわれが次の農業を語る面においても参考となるのではないか、こういう気がいたすわけですが、農業団体との話し合いの場というのは、ただ農林省が聞いて指示するのではなくて、われわれも立法府としてそういう機会を持つべきではないかと私は思うのですが、大臣にその見解だけ聞きたいのです。
  106. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、この法案が通過するしないは別といたしましても、農協そのもの自体の今日の不正事件等の頻発等により、また生産面に対するところの指導、こういう面に対しても一言申し上げておかなければならない立場にある、こういうようなことを考えまして、来月、五月にはぜひこの団体方々とも会いまして、そして今後の営農指導の体制の充実をしてもらいたい、こういうことをよくお話し申し上げて、そしてその実施に移していく考え方でございます。  したがって、また国会としての皆さん方がお聞きする場合は、これまた別個に国会の立場において十分それらの点をお聞き取りを賜わりたいと存じます。
  107. 柴田健治

    柴田委員 長時間でなしに、短時間でみな終わろうというのでなかなかむずかしいのですが、問題点はまだ残っておりますけれども、いずれあらためてやることとして、一応この法案に対して、私に与えられた時間だけで終わりたいと思います。
  108. 丹羽兵助

    丹羽委員長 兒玉末男君より資料要求に関し発言を求められておりますので、これを許します。兒玉末男君。
  109. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一応本案に対する審議は終了したわけでございますが、いままでの各議員の質疑を通じて痛切に感じますことは、第一点は、関係農業団体に不正事件が非常に多いということ。この点についての、やはり不正事件をなくするための監査的なもの、適正化など、これに対する具体的な対策についての資料を、第一点として要求したいと思います。  第二点は、いまも柴田委員から話がありましたが、特に現在の農協の、いわゆる本来の使命をやや逸脱したところの営利活動というものが起きておる。しかも、百八十にわたる業種がなされておるようでありますが、この内容について、各都道府県別の業種内容、さらにこの営利活動が非常に広範なために、全国各地におきまして、地域の中小企業等との間に相当の紛争が起きております。このような業種の実態と、この紛争に対する調停なり紛争解決の対策。  この二点についての資料を、私はこの際要求したいと思います。
  110. 丹羽兵助

    丹羽委員長 私からも役所に申し上げておきますが、法案審議とは別に、要求の参考資料を至急提出願いたいと思います。
  111. 中澤三郎

    中澤説明員 御要求がありました資料、できるだけ早く整えまして御提出申し上げることにいたします。
  112. 丹羽兵助

    丹羽委員長 両案のうち、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきましては、他に質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は明二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時散会