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1969-04-16 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十六日(水曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君       大野 市郎君    金子 岩三君       小山 長規君    佐々木秀世君       白浜 仁吉君    菅波  茂君       瀬戸山三男君    田澤 吉郎君       中垣 國男君    野原 正勝君       福永 一臣君    藤波 孝生君       松野 幸泰君    阿部 昭吾君       石田 宥全君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    芳賀  貢君      米内山義一郎君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月十六日  委員美濃政市辞任につき、その補欠として阿  部昭吾君が議長指名委員選任された。 同日  委員阿部昭吾辞任につき、その補欠として美  濃政市君が議長指名委員に選出された。     ————————————— 四月十五日  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願大野市郎紹介)(第四〇三〇号)  同(金丸信紹介)(第四〇三一号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第四〇三二  号)  同外一件(中川一郎紹介)(第四〇三三号)  同外七件(松浦周太郎紹介)(第四〇三四  号)  同外三件(宮澤喜一紹介)(第四〇三五号)  同(稻村左近四郎紹介)(第四一四五号)  同外一件(臼井莊一君紹介)(第四一四六号)  同(大野市郎紹介)(第四一四七号)  同外一件(倉成正紹介)(第四一四八号)  同(佐々木秀世紹介)(第四一四九号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第四一五〇  号)  同外一件(白浜仁吉紹介)(第四一五一号)  同外三件(鈴木一紹介)(第四一五二号)  同(西岡武夫紹介)(第四一五三号)  同外四件(水野清紹介)(第四一五四号)  同(本名武紹介)(第四一五五号)  農林年金制度改正に関する請願外二百三十九件  (鹿野彦吉君紹介)(第四〇三六号)  社団法人のり協会の機構及び運営の改革に関す  る請願中垣國男紹介)(第四〇三七号)  国有林野の活用に関する法律案成立促進に関  する請願本名武紹介)(第四一五一号)  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願帆足計  君紹介)(第四一五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業振興地域の整備に関する法律案内閣提出、  第五十八回国会閣法第一〇一号)  漁業近代化資金助成法案内閣提出第四三号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出、第五十八回国会閣法第八九号)  農地法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四号)  農林水産業振興に関する件(米価審議会等に  関する問題)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は、米価審議委員任名の問題について、緊急の問題として質問をしたいと思うのであります。  十四日の午前十時から、農林大臣保利官房長官との間に、米審構成について会談が行なわれまして、米審構成生産者消費者学識経験者の三者構成を復活する、二番目には、ただし与野党の国会議員及び革新系の全日農、総評代表は除外する、発足は五月半ばと見て人選を急ぐ、このように決定をされたと伝えられておるのでありますが、その真偽のほどを承りたいと思います。
  4. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 米価審議会委員についての選任は、まだ官房長官と私でお話し合いをする段階まで入っておりません。したがって、これからいろいろの構成をいたしまし七、そして、こういうような構成になりましたから御了承を願いますといってお話を持っていくのが順序だろうと考えられます。したがって、官房長官の命によってわれわれが構成するというのは逆であろう、こういうふうに考えます。まだ官房長官とそれだけの話し合いをしておりません。  いまお話しのあった点は、実は田中幹事長のお嬢さんが結婚をすることになりまして、昨日結婚式を行ないまして、その結婚式のお祝いを、どういうふうにしましょうかという話に行ったのであって、何ら無関係でございます。  ただ、そのときに、米審はどうだいと言うから、なるべく早目に、今月一ぱいくらいできめて来月あたりやりたいと思っておりますという話はしましたけれども、そこまでの話し合いはしておりませんことを、はっきりとお答え申し上げておきます。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 はっきりした答弁でありますが、これは、この前に私が質問を申し上げる際に申し上げておったわけでありますが、ずっと以前から、革新系の全日農と総評代表は除外するということが伝わっておるので、その事柄についての質問を前に申し上げておったわけでありますが、いまの答弁では、保利官房長官との間に話し合いが行なわれて、三点について確認されたということは否定されておりますけれども、それならば伺いますが、全日農と総評代表はお入れになるおつもりでありますか、どうですか。
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 まだ本日のところそこまでいっておらないのです。大体生産者団体消費者団体学識経験者、これらの人たちに加わってもらって、そうして米価決定をしてもらいたいという考え方はございますけれども、どなたをどう任命するかという、まだそこまで決定しておらないのでございます。  ですから、きょうここで、入れるか入れないかということの御質問でございますけれども、それを入れるとか、ノー、イエスをここで申し上げる段階にまでまだいっておりませんことを申し上げておきます。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 すでに五月の中旬に発足するということまで決定したと報ぜられておるわけであります。農林大臣がそういう重要な問題について、しかも昨年は一年間国会で論議されまして、長谷川農林大臣はその衝に当たって、各党間の調整に当たってこられた大臣でありますから、昨年のいきさつはよく御承知なんでありますが、長い間すでに論議されてきた問題を、まだここではっきりしたことは言えないということでは、これは私どもはそうですかと言って引き下がるわけにはまいりません。もう五月半ばに発足するという状態のものを、いまだにはっきりしたことは言えない、これでは私どもは本委員会における審議に応ずるわけにはまいりません。  あわせて……(発言する者あり)聞きなさいよ。あわせて、こういう問題がある。食管法施行令五条の五並びに六条、この施行令改正によって、本法である食管法を拘束しようとする準備が進められておる。一体、施行令というような行政府がかってにつくることのできるものによって本法を拘束するというようなことは、これは国会審議権を無視するものであって、稲富委員が数回にわたって論及されましたが、この点は非常に重要だと思うのです。私せんだっても触れたのでありますけれども生産費をはるかに下回る米価決定して、再生産を確保することを旨として定めた米価とはいえないわけでありますが、本法政省令で拘束するというようなことが行なわれるとすれば、国会における審議権というものを無視するものであって、行政府がかってに法律を拘束することができるということは、これは許しがたいことである。  私は、単に米価審議委員選任の問題、団体代表の問題だけで審議はできないと言うのではありません。いやしくも国会審議権行政が拘束するというようなことは許しがたいことであって、この問題は当然議院運営委員会の問題であり、国会対策上の問題でありますから、したがって、この問題が明確にならない限り、私は本委員会審議を続けるわけにはいかないと考える。これは当然でしょう。いつでもそんなことをやっておったら、国会は要らないことになる。国会法律をつくっても、政省令でどんどんそれを拘束するということが行なわれるに至れば、委員会審議というものは全くナンセンスといわざるを得ないのでありまして、この点については、やはりどうしても明確にしなければならない問題であると考えるのでありまして、これは委員長のほうでしかるべく処理をしてもらいたい。手続をとっていただきたい。私が申し上げるように、委員会審議しましても、本会議審議しましても、法律政省令で拘束するというようなことは、これは許さるべきことではないでしょう。そうなるとすれば委員会審議というものはできない、こう私は考えます。これはひとつ理事会等でしかるべく処理をされるように要望いたしまして、私は、それが明らかになるまで、質疑を続行するわけにまいりません。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 お答えを申し上げて御参考に供したいと思うのでございますけれども……。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 答弁は要らない。聞いていない。議員質問のないのに何も答弁する必要はない。
  10. 丹羽兵助

    丹羽委員長 答弁してください。
  11. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 委員長のお許しを得て、お答えを申し上げたいと思います。  御指摘の点は、食管法第三条の第一項の、米穀生産者政府へ米を売り渡します場合の規定についてで、私どもは第三条の第一項の規定は、何度も申し上げておりますように、食管法第一条の目的を達成するために、米穀生産者から強制的に米の買い入れを命ずることができるという権限を政府に与えた規定であるというふうに理解をいたしておるのであります。  その際、いかなるものをいかなる手続政府に売り渡さなければならないようになるかということは、命令の定めるところにより、命令で定めるものを政府に売り渡すべしというふうになっておりますから、その関係を、従来も施行令五条の五もしくは施行令の六条等で規定をいたしておるのでございます。  でございますので、食管法一条、三条の基本的な目的に全く反するような命令規定することはもちろんできませんけれども、現在の米の需給関係のもとで、食管制度運営上必要な規定命令で書くことは、これは政府に授権をされておる範囲内のことであると理解せざるを得ないのでございます。でございますから、政省令をもって法律を規制するというような、そういう考え方では毛頭ないということを申し上げておきたいと思います。
  12. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この場合暫時休憩いたします。  理事会をこの場で開きますから、お集まりを願います。    午前十一時十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  13. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農地法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。樋上新一君。
  14. 樋上新一

    樋上委員 大臣にお伺いするのですが、昭和三十七年における農協法改正により、農協組合員委託により、農地等貸し付け運用信託及び売り渡し信託ができるようになったわけですが、農地等貸し付け運用信託制度と、今回の農業経営受託とはどのような目的なり、またその性格の相違があるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  15. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その点については、こまかくいま局長から説明をいたさせます。
  16. 池田俊也

    池田政府委員 今回、農業経営委託農協が受けることができるという改正法案内容を御審議願っておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、三十七年だったかと思いますが、農協法改正が行なわれまして、農地信託を受けることができる、こういう規定が入ったわけでございます。この目的がやや似ている点が、率直のところを申し上げますとあるわけでございます。要するに、それぞれの農家農地を持っておりまして、それを自分の力で経営するということがなかなかできないような事情がある場合に、それを農協委託をするというような形で農地の効率的な運用をはかる、こういうような趣旨から申しますと、共通している部分がかなりあるわけでございます。  ただ、違います点は、今回のは経営委託でございまして、農地所有権は依然として委託者の手元にあるわけでございますけれども農地信託の場合におきましては、所有権農協に移転をする、こういう形式的な違いがあるわけでございます。
  17. 樋上新一

    樋上委員 農協等農業経営受託をするにあたって、受託料等受託契約内容、これがどのようなものか。また、この受託行為及び受託料高低等のいかんによっては、農家等にとって大きな影響を与えることが予想される。そこで、この点はどのような調整及び指導を行なおうとするのか。また、農協受託経営を行なう場合の形態は、どのような方向に持っていこうとされるんですか。
  18. 池田俊也

    池田政府委員 農業経営委託を行ないます場合に、当然組合員農協との間で委託契約が締結されるわけでございますが、私どもはその契約内容というものは、当然その両者の話し合いできまるものではございますけれども、これは非常に重要な問題でございますので、一つのなるべく望ましい方向に実は指導をしたい、こういう気持ちを持っているわけでございます。  それで、大体の方向をごくかいつまんで申し上げますと、それをやる場合には、農協としてははっきり特別の部門計算と申しますか、独立の会計みたいなものを設けまして、その収支内容を明らかにする、これは当然組合としては必要である、それからさらに、組合員との関係におきましては、農協が一定の委託料の支払いを受けるわけでございますけれども、これにつきましては、最も好ましい形というのは、やはり定額受託料を受ける。その受託料の金額というのは、先ほど申し上げましたように、そういう部門計算をいたしましたものを基礎にしてきめるということになるわけでございますけれども定額のとにかくそういう受託料を受けるというようなかっこうで、非常にはっきりした委託関係を取り結ぶということが必要であろうというふうに考えておりますので、そういう線で指導をいたしたいと考えておるわけでございます。
  19. 樋上新一

    樋上委員 では、今後農協による農業経営受託を積極的に推進される方針であるのか。また、経営受託に際しての基準等はどのようなものなのか。また、特に農業基本法にいう自立経営農家育成及び協業助長等の諸施策を遂行するにあたって、農業における受託経営が、これら施策との関係においていかなる位置づけをするのか。また、農協受託する農地はどのくらいを見込んでおられるのか、これらの点をお伺いしたい。
  20. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、今回の農協法改正による農業経営受託というものにつきましては、これはもちろん一つの新しい方向でございますが、現在のいろんな農業事情のもとにおきまして、そういう制度を活用することによって、農地有効利用をはかるということの適当な農家がかなり多数あるわけでございますので、そういうものを足がかりにいたしまして、極力広く利用していただくように指導したいという考えでございますが、同時に、私どもの今後の運用方針といたしましては、いわゆる協業と申しますか、集団的生産組織というようなものを助長していくという線とつなげながら運用をしていくというふうにしたいという考えを持っているわけでございます。これは当然、農業基本法でうたっております自立経営育成あるいは協業助長ということの線に沿ったものであると私ども考えておるわけでございますが、そういうような心組みで、極力そういうものを足がかりに今後協業助長をしていきたい、こういう考え方でいるわけでございます。  こういう経営受託というものによりまして、どの程度の農地対象になるかということでございますけれども、これは何ぶんにも新しい事例でございますので、的確に今後このくらいの農地がこの対象になり得るということは、実はいまの段階では申し上げかねるわけでございまして、まだそれにつきまして、具体的にどうこうということを申し上げる見通しは、実は持っていないわけでございます。
  21. 樋上新一

    樋上委員 農協経営委託した組合員で、農業経営の全部を委託した場合、これら組合員農協に対する関係、特に組合員資格はどのようになるのか、この点を伺いたい。
  22. 池田俊也

    池田政府委員 特定の組合員が、かりに五反なら五反の水田の経営を従来していた、それを全部農協委託をしたということになりますと、これは農協法組合資格規定から申しまして、実は正組合員としての資格がなくなるわけでございます。そういうようなことでございますので、私どもはやはり準組合員として扱われることになるというふうに考えているわけでございます。
  23. 樋上新一

    樋上委員 今回の改正で、組合員世帯員または地方公共団体以外の営利目的としない法人に対し、貯金または定期積み金を担保として貸し付ける、こういう場合、これを員外利用分量計算組合員とみなすことにしている。そして、今回貸し付け事業についてもこれを対象としているが、改正案にいう地方公共団体以外の営利目的としない法人とは、具体的にいかなる法人対象とするのか伺いたい。
  24. 池田俊也

    池田政府委員 これは別段政令等で指定をするということではございませんけれども、私どもが念頭に置いて考えておりますのは、やはりそれぞれの町村等におきまして、たとえば土地改良区というような団体、あるいは農業共済組合といったような団体がございますので、そういうようなものがやはりこれの対象になるであろうというふうに考えているわけでございます。
  25. 樋上新一

    樋上委員 農協目的は定款第一条に規定されており、事業計画基本方針なり事業方針として具体化するわけですが、はたしてその方針を実践しているのか。事業報告においては出てこないで、事業量収支財務等報告しか行なわれない。また、年度途中の理事会においても、基本方針実施状況目的実現の検討はほとんどなく、また、経営層としての機能を発揮していないように思うのですね。今日の農協事業量損益が問題であって、目的はどうでもよいというように見られる。行政検査中央監査もこのことはあまり問題にしていないと思うのですが、これはどうですか。
  26. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、事業計画を立てますときには、これは総会議決事項でございますから、当然総会で相当検討した上で事業計画決定を見るという性質のものでございますので、そういうものにつきましては、総会において十分組合員の納得を得られるように説明し、あるいは必要に応じて討議をするということが望ましいわけでございます。  ただ、いま御指摘がございましたように、組合事業規模等が相当大きかったりいたしまして、必ずしもそういう点について組合員十分討議をするというような形にならないで、機械的にきまってしまうというような事例が間々あるわけでございまして、これは非常に遺憾なことであるというふうに従来考えているわけでございます。私どもなりあるいは県当局が、農協検査等を通じまして、そういうようなことについて適切に行なわれてない場合には、当然指摘もし、その改善も指示しているわけでございますけれども、確かに一部御指摘のように非常に機械的に流れて、組合員が十分理解しないでそれが行なわれているというような事例があることは事実でございますので、私どもも、そういう点はさらに指導を徹底する必要があると考えておるわけでございます。
  27. 樋上新一

    樋上委員 農協経営分析による農協部門別損益を見ますと、黒字部門信用共済のみであります。反面、販売部門赤字は毎年続いておる。この販売部門赤字原因が、特に青果畜産部門における価格の不安定、また集荷費施設費の増大にあるということは従来から指摘されているとおりでありますが、この原因解決のためにどう努力してきたか、またこのほかにも原因があるのではなかろうか、こう思うのですが、この点はどうでしょう。
  28. 池田俊也

    池田政府委員 農協損益状態は、確かに御指摘のとおりでございます。信用事業というものはわりあいにかっちりしたものでございますから、確実に事業計画のとおりいくわけでありますが、その他の青果でございますとか畜産等部門では、なかなか予定どおりいかないというような点がございますし、それから、やはり農協としては比較的おくれて発展をしている部門でございますので、そういう点で、確かに十分でない点があるというふうに考えるわけでございます。  ただ、これも当然組合員利益のためにやっているわけでございますので、農協自体が収益をあげるということが目的ではございませんので、ときとしてそういうふうな状態になるというふうに私ども理解しているわけでございます。
  29. 樋上新一

    樋上委員 私は、農協販売体制に問題があるのではなかろうか。というのは、流通段階において、現実の事業に対する機能は、大量販売がしばしば不利な結果をもたらしたり、また中央市場から地方都市に逆送される出荷物の割合も非常に高い。東京都の場合は三〇から四〇%にも達するようだ。この点は改善すべき点が多いのではなかろうか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  30. 池田俊也

    池田政府委員 御指摘のような事例は、当然組合といたしましては組合員利益になるような販売をするということで、中央市場出荷をしたところが、その中央市場において荷が相当たまりまして価格が下がるというようなことで、さらに地方に転送するというような事態があるわけでございますが、これは本来からいえば、当然最初からそういうことを計画に入れて出荷をするのが望ましいわけでございますので、私どももそういうふうに指導をしたいというふうに考えておるわけでございます。ある部面ではやむを得ない現象ではないかという感じもいたします。
  31. 樋上新一

    樋上委員 現在の系統農協は、特に販売事業を、組合員から全国連まで各段階とも黒字部門として確立するにはどうするのか。すなわち、販売事業というものを満足に取り扱うことのできる系統組織となれるかどうかに、農協の最大の問題がかかっていると思うのです。そこで、この解決のために政府はどのような対策を持っておるのか。また、この販売部門を今後どのような方向に持っていこうとされるのか、この点をお伺いしたい。
  32. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは農産物の出荷販売事業につきましては、これは極力計画的にやる必要がある。ただ従来の習慣で、機械的に荷物を送るということではなしに、最も有利な販売をするにはどういうようなやり方がよろしいかということを十分検討いたしまして、計画的な販売をすることが最も必要でございますので、従来もそういう線で指導しているわけでございます。  なお、農協には普通三段階あるわけでございますけれども、これは何も機械的に三段階を経るというのがいいというわけではございませんので、それぞれの事業なりあるいは県の実態等に応じまして、最も有効適切に動くルートを経て販売するというようなことを、農協のほうでも考えておりますが、私どももそういう線で指導したいと考えております。
  33. 樋上新一

    樋上委員 購買部門は一年置きに赤字になっているのです。しかも、黒字の年においてもわずかである。農村の消費生活の変化や飼料消費量増加等によって、農協購買事業の成長は近年目ざましいものがありますが、しかし、収支動向に見られる購買事業の実情は、量的成長とともに困難性も増大したことを示しています。これについては、どう対処しようとしておられますか。
  34. 池田俊也

    池田政府委員 農協購買事業のあり方でございますが、私どもは、やはり農協事業というものは、当然組合員利益を第一にして運営されるべきものでございますので、まず適確に組合員の需要と申しますか、意向と申しますか、それを把握して、その上に立って事業計画をきめるべきである、こういう考えを持っておるわけでございまして、無理に品物を押しつけたりするようなことは極力避けなければならないということで、これも、計画的にそういう計画をきめまして実施をするという線を実は指導しているわけでございますが、最近、逐次そういうふうになりつつあるように考えているわけでございます。
  35. 樋上新一

    樋上委員 購買事業において、十分な市場調査もしないで、購買店舗の増設をはかる傾向があるのですね。そこで、そのために赤字の増大となるケースも多いのです、また、生産資材の分野において大規模化による在庫の増加、荷渡しの不円滑、経費増などが採算悪化の原因となっている例も各地に見られる。このような新規事業の決裁は一体どこで行なうのか、また、この指導監督は一体どうなっておるのか、お伺いしたいのです。
  36. 池田俊也

    池田政府委員 最近、農協購買事業その他も同じでございますが、かなり事業量がふえておるわけでございます。これは組合員の需要がふえたということによるわけでございますけれども、私どもは、やはり農協としては極力事業量が多いほうが、確かに価格も安く入手できるということがございますので、そういう意味ではプラス面として理解をしておるわけでございます。  ただ、むしろそういうことを急ぐあまりに、必要以上に事業量を拡大する、それが最後に、なかなか購買事業としてさばけませんで、組合のほうに重荷になってかかってくるというような事例がございますので、そういうことは極力ないように、むしろ非常に計画的に購買事業を進めるという必要があるというふうに指導しているわけでございます。そういう個々の場合にいろいろ問題があるものについて、その事態、事態に応じ直これは適切な指導が要ると思うわけでございます。
  37. 樋上新一

    樋上委員 農協の設備投資は、農協事業との関連において、当面事業量の伴わない先行投資が、農協収支悪化の一原因となっているようですが、この点はどうでしょうか。
  38. 池田俊也

    池田政府委員 農協の固定資産投資、事務所あるいは販売店舗というようなものが、かなり最近増大をしておるのは事実でございます。それに対しまして、農協の自己資本が比較的少ないということで、これは財務処理基準令というものに必ずしも合致しない例が間々あるわけでございますので、私どもは、これについてはさらに検討したいという気持ちを持っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、固定資産投資というものはだんだんふえることは当然でございますけれども、それに見合った自己資本の充実ということが、やはりまず必要であるわけでございます。そういう点については、従来も指導しているわけでございますけれども、さらにその点、もう少し強力に指導をする必要があろうというふうに考えているわけでございます。
  39. 樋上新一

    樋上委員 強力に指導を行なってもらいたい。私もいろいろ調べてみましたのですけれども、納得のいかない点がたくさん出てくる。  信用事業黒字だ、こういっていますけれども、ここにも問題がある。最近、膨大な資金量をかかえて大きなビルを建てて、農協が官僚化し、そして、民間の保険会社に負けるなと、生命共済等の保険業務にやっきとなっている点もある。また、農協本来の指導性が失われていることもある。  これは昨年の新聞に報道された例ですが、埼玉県の寄居町の農協ですが、組合員の二、三万円の生活資金貸し付けのときにはなかなか貸さないで、高圧的に、そして恩着せがましく扱いながら、町の有力者や組合の実力者の口ききにあうと、貸し付け限度額のワクを越えても貸し出した。また、農協の保険の勧誘にしても、半強制的に加入させられている等、多くの問題が明るみに出ておるのであります。このような事実は至るところにあると思うのですが、農民に喜ばれる農協にするのにはどうしたらよいかという点を、もっともっと指導監督してもらわなければならない、こう思うのです。  最近、農協に対する批判を組合員の中よりよく聞くのです。一例でありますが、農協職員が、県連から農協に対して車の割り当てがあった、だからこれを買ってくれ。その前には電気冷蔵庫を売りに来たといったように、最近の農協は売り込むことばかりで、セールスマンか保険屋みたいだというぐあいに嘆いている組合員があるというのですが、このような姿ではたしてよいのか。  また、あるところでは、農協事業収入のあがる信用共済事業購買事業ばかりやりたがっている、これでは農協農家の支出を多くする運動をやっているとしかいえない、こういうぐあいに漏らしているのですが、これらは全国的傾向のようでありますが、このような事実を今後どういうぐあいに指導されていくのですか、この点について大臣にもお伺いしたいと思うのです。
  40. 池田俊也

    池田政府委員 御指摘のような批判を、私どももしばしば耳にするわけでございます。これはまあ農協側の事情といたしましては、御承知のように非常に経済も発展しておりまして、取引もかなり大量取引が行なわれるというような一般の事情にあるわけでございますので、農協としてもやはり有利に組合員に、たとえば購買品の供給をしようということになると、大量取引をしたほうがいいということで大量取引をする、そうするとそれをさばくためにかなり無理をする、こういうようなことがあると思うわけでございます。  しかし、それはやはりあくまでも組合員利益のために事業をやるのが農協でございますので、そういう行き過ぎというのは決して許されるべきことではございませんので、私どもはそういうことのないように、やはり適確に需要量をつかんで、その上でそういう事業を実施するという指導をしているわけでございます。  農協の内部にもそういう反省は非常にございまして、最近、購買事業なり販売事業につきましても具体的な三カ年計画というようなものをきめまして、そういうことに対する反省の上に立って事業をやろうということになっておるわけでございます。私どもも、もちろんそういう線で極力指導いたしたいと考えているわけでございます。
  41. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お尋ねのような、このごろたくさんあっちこっちからいろいろなお話を承っております。したがいまして、制度あるいはまた内部の管理の問題、これらとあわせまして理事者の自覚を促さなければならない、こういうような考え方に立ちまして、近ごろ農林省としては、そういうような考え方のもとに、各県にも通達をいたしておるようなわけでございます。
  42. 樋上新一

    樋上委員 まあ、上のほうからそういうぐあいに指導されているんですけれども、これは農協の職員のことばでありますが、私たちはノルマ、ノルマで、個人別推進グラフが宿直室に張ってあると言うんですね。そして追い立てられる、どうだどうだと。そして少し売れなかったら、給与やボーナスにつながる。こういうことを考えると、やむを得ず実績をあげなければならぬ。実績をあげなかったら、無能者のらく印を押されてしまう。このような営利第一主義に走った農業者不在の農協の姿勢に対し、私は非常にそこに問題が出てくると思うんです。この点を十分考えられて指導監督していただきたい、こう思うのでございます。  次に、加工利用その他の部門も、従来から赤字部門でありまして、三十八年以降特に赤字額の増加傾向が見られてきている。これら部門は、一面では販売部門の付帯事業の性格を持っていて、ここでの赤字の問題は、販売事業と同一の基盤にあるといえましょう。しかし他面では、近年増加する傾向にある農協のサービス部門が含まれ、これに関連した施設費の増大も見のがすことはできないように思う。政府は、これら毎年起こる一連の赤字部門をどうするのか、その具体策をお伺いしたい。
  43. 池田俊也

    池田政府委員 農協経営全般の問題といたしましては、実はかなり赤字組合というのが減少しておりまして、大体全体の五%程度というふうに私どもいま承知しているわけでございます。これは逐年減少をしております。  ただ、中に入りますと、先ほど来御指摘のようないろいろな問題がございます。いまお話しの加工——むしろ共同利用関係事業のお話だというふうに承知するわけでございますが、これにつきましては、私どもはやはり事業の性格からいいまして、当然そう利益をあげるべき部門ではないので、組合員利益組合員の利用に役立つように運営するというのが一番ねらいでございます。  最近、農協等もこういう農業生産につながるような利用事業に、かなり熱を入しているわけでありまして、私どもは、こういう傾向というのは非常にけっこうなんでありまして、助長したいと考えておるわけでございますが、やはり赤字を出すということは、これはあまり好ましくございませんので、そういう赤字を出さないように、また、むしろあまり利益の出ない、組合員の利用に便利のような利用料なりなんなりをきめるというのが、一番いいのではないかというふうに考えているのでございます。
  44. 樋上新一

    樋上委員 農協の今日の姿はそういうふうになっておらない。農協の今日の姿は、組合員の意思を離れてしまっておる。そして農協経営のために貯金を集め、農協のために購買事業を営むといったぐあいに、生活必需品や生産資材等を組合員に買わせ、消費拡大を助長し、組合員を機械化貧乏に追い込むといったようなことも起きておる。これではだれのための農協か、こういうぐあいに私たちは思うのですが、こういった問題に対して政府はいかなる指導、またいかなる方針考えておられますか、重ねてお伺いしたい。
  45. 池田俊也

    池田政府委員 まあ、組合の組織なり事業がある程度発展いたしてまいりますと、本来の目的を忘れまして、事業のための事業というような感じになる場面が往々にしてあるわけでございます。確かに現在の農協事業を振り返ってみますと、そういう点があるわけでございまして、私どもはそういう批判に対しては率直に反省をして、そういう批判を受けないような事業をすべきであるというふうに考えておるわけでございます。もちろん大多数の組合におきましては、本来組合員利益に合致するような事業方式がとられているというふうには思うわけでございますけれども、そういういま御指摘のようなこともかなりあるわけでございます。  私どもはやはりこの際、さっき大臣からの御答弁もありましたが、組合の役職員がもう少し自覚を新たにしまして、農協ができた当初あるいは産業組合の当時の精神に立ち戻って、本来の趣旨に即した事業活動をやるべきものでございますので、そういう線につきまして、従来も努力しているつもりではございますが、なお欠けているところもあると思いますので、さらに農協中央会ともよく話し合いをいたしまして、努力をしたいと考えております。
  46. 樋上新一

    樋上委員 農業関係融資の残高は、およそ二兆円近くになっておる。その一部はすでに返済期に入り、農協窓口では返済さるべきものが借りかえ、すなわち制度金融の返済を農協融資に肩がわりされたり、また返済のための出かせぎ、財産処分等が出ているといわれているのです。このように農業生産過程に投入された資本が、その生産合理化の成果によって回収されないとするならば、組合員及び組合経営は行き詰まるといった大きな問題が出てくる。このことを認識しておられるでしょうか。また、この原因はどこにあると考えられますか。
  47. 池田俊也

    池田政府委員 これは地方によりましてかなり事情が違うようでございますが、確かに一部の地方におきましては、御指摘のようなことがあるわけでございます。  原因といたしましては、いろいろな災害等が原因になりまして、そういうような事態を生ずる場合が比較的多いようにも考えるわけでございますが、私どもは、たとえばいまの災害等でなかなか償還ができないというような場合には、制度資金の貸し付け等については、その事情事情に応じまして適宜猶予をするというようなことも実はやっておるわけでございまして、やはりそういうものを通じて、極力農協組合員、農民の実態、それから組合信用事業の実態に応じまして適切な手を打ちたい。従来もそうしているつもりでございます。
  48. 樋上新一

    樋上委員 この問題は、生産過程のみ資本装備を進め、つまり、流通過程の資本装備が進まないところに一因があるのではないかと思います。政府は、この問題に対する解決策を考えていられるのか、あるならば、それを具体的にここに示していただきたい。
  49. 池田俊也

    池田政府委員 私ども、いまの農業の実態からいたしまして、生産面における資本装備というものも、必ずしも十分ではないように思うわけでございます。もちろん機械等につきましては、最近かなり投資額もふえておりまして、非常に機械化は進んでおるように思うわけでございますが、今後さらにその点考えなければならない点があるように思うわけでございます。  いま御指摘のように、流通面におきましては、なお一そうその点の手当てがおくれているというのが事実でございます。いろいろな農産物の価格等でも、流通段階がうまくいっていないために、農民の手取りが少ないというような事例が非常に多くあるわけでございますので、従来もいろいろな流通改善施策ということで知恵は出しているわけでございますが、なかなか問題がむずかしいので、一ぺんに成果をあげるというところまでは至っておりませんが、私どもは、今回の総合農政の中でも、やはり流通面の対策というのを非常に重視しているわけでございます。
  50. 樋上新一

    樋上委員 改正案では、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、金融機関等に対する資金の貸し付けを、員外利用分量計算対象外としてできることとしている。これはコールローン等をさすと思うのですが、これは現在において相当多額にのぼっている。農協本来の目的からいえば、農協預金等は、組合員の必要とする資金等に還元するのが本来の姿なんです。この組合員のためにする事業を圧迫しない限度とはいかなるものか、また、農林省はどのように指導する予定なのか、この点お伺いしたい。
  51. 池田俊也

    池田政府委員 金融機関等に対する貸し付けでございますが、これは性格的には、私どもは貸し付けというよりは、むしろ余裕金の運用であるというふうに考えているわけでございます。余裕金の運用でありますから、当然組合員の貸し付けに支障を生じない範囲内においてやるわけでございます。趣旨はそういうことでございますが、やはり私どもは、具体的な基準を設けて指導したほうがよろしい、こういう考えでございます。  たとえば、金融機関貸し付けでございますならば、貯金残高の二割以内というような、はっきりした基準を設けて指導したいと考えているわけであります。
  52. 樋上新一

    樋上委員 昨年の三月十三日、農林省は農業経営に関する意識調査の結果を発表しましたが、この中で、農協に対する農業者の意識があげられていたのですが、ここで再び私は発表してほしいのです。また、この農業意識調査の結果に対して、政府はどのような見解をお持ちなのか。
  53. 池田俊也

    池田政府委員 いま手元に私、資料を持ってまいらなかったのでございますが、私の記憶では、農協事業に対する組合員の意識としては、かなり適切に事業が行なわれているというふうに考える者、あるいは、どうも組合員利益という点からいうと非常に不十分というふうに考える者、あるいは、農協事業に対して特にあまり関心を持っていないというような者、それぞれ大体似たような数字であったように私、思うわけでございます。確かに、これはある意味で農協のいまの実態をあらわしているのじゃないかというふうに感じているわけでございます。
  54. 樋上新一

    樋上委員 農業経営をよくするために、総合農協は積極的に取り組んでいるかとの問いに対しては、積極的がわずか三三%であった。本来農業者のための農協であるべきなのに、農協に対する支持層が非常に少ない。この原因は、農協経営者の積極性の不足、また、農協職員の不適格が圧倒的に占められていると思うのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
  55. 池田俊也

    池田政府委員 これは、先ほど先生から御指摘のございましたような、たとえば購買品等で、組合員の要望というより、むしろ組合事業の都合で、相当無理な押しつけ方をするというような事例が間々あるわけでございまして、そういうような点から見ると、どうも組合員としては、農協がほんとうに自分たちのために事業をやっているかどうか、非常に疑わしいというような疑問を持つ場合があるわけでございます。  しかし私どもは、やはり大部分の場合においては、組合というものは当然組合員利益のために事業が行なわれているわけでございまして、もし組合がなかったという事態で考えますならば、さらに高い品物を買わなければならない、あるいは自分たちの生産品をもっと安く売らざるを得ないという事態があるわけでございますが、現に日本の場合には、協同組合組織というものが非常に発達しておるものですから、それを振り返ってみると、かなり不満が多いというのが、いまのような数字が出てくる事情であろうと思うわけでございます。そうであるからといって、それでいいんだというわけではもちろんございませんので、今後大いに努力する必要があるというふうに考えているわけでございます。
  56. 樋上新一

    樋上委員 この調査において、特に農協に対して望んでいるものは、生産技術の指導が多い。そういうのを望んでおる。そして、現在の農協の仕事の大部分を占めている営農資金の貸し付け、農産物の販売農業資材のあっせん等は一割にも満たない。このような農民の意識をくみ取っていないのが農協であるとするならば、これは大きな問題であると思う。農民に対する生産技術の指導は、一体どのようにされているのか。
  57. 池田俊也

    池田政府委員 農業技術の指導につきましては、御存じのとおり、農業改良助長法によります普及制度がございまして、主としてその組織によりまして技術指導をやっているわけでございますが、農協農協として、やはり組合員の営農に密着をしているわけでございますので、当然また別の観点からの指導が要るわけでございます。  私どもは、以前でもそうでございましたが、どうも組合というのは経済面に重点が置かれて、生産面に対する力の入し方が足りないではないかという御批判があるわけで、事実ある意味ではそうだったと思うわけでございますが、最近その点、農協側でもかなり反省といいますか、今後積極的にそういう事業を進めようという機運があるわけでございます。たとえば営農指導員の数だけで見ましても、かなり増加をしてきております。現在一万二千人くらいいると思いますが、そういう点に力を入れてきておる。  それから、最近営農団地構想というのがございまして、これは生産面から消費までをつなげまして計画的な生産出荷をやる、こういうことですが、私どもは、これは非常にけっこうな考え方で、大いに援助をしたいということで、今般、農業近代化資金等でもその辺のめんどうを見ようということになっておるわけでございます。
  58. 樋上新一

    樋上委員 近年、農協に対していろいろな批判を聞くのですが、それは食管制にあぐらをかく農協、いわゆる農協の官僚化、さらに行政への過度の依存による従属、その結果、農協の自主性が実質的にそこなわれている、こういったぐあいではなかろうか。政府はこのような批判に対し、今後農協をどのように育てていくのが正しいと思うか。また、農協の本来あるべき姿について明確にお答え願いたい。
  59. 池田俊也

    池田政府委員 農協が、最近自主性がないのではないかという御批判でございますが、私どもは一面においてはそういう点はあると思いますが、また一面においては非常に自主性があるというふうに、いろいろな事態で実は感じている点もございます。  ただ、米の扱いの問題等で、農協が従来の制度の中で、かなり安定的な保護を受けているというような点はございます。そういうことからそういう批判が出てくるのだと思うわけでございますが、やはり農協というのは新しい農業の情勢に応じて、本来あるべき方向にかじをとって事業をしていくのが本来の趣旨でございますので、そういう点につきましては、それぞれの事態に応じて十分検討の上、正しい方向をとってほしいと念願しておるわけでございます。
  60. 樋上新一

    樋上委員 農協本来の職能であるところの、広い意味での経済活動の面であるが、近来の農協は、企業的な傾斜が著しいといわれておる。いわゆる農協農協であるという本質からいえば、いかなる場合でも組合員の立場において事業は行なわねばならない。その根本がややもすると忘れ去られ、ひたすら農協経営的な利益追求に進むという傾向が現出しておる。これは容易ならぬ問題でありまして、農協のこういう姿勢や考え方は改革していかねばならぬと思うのですが、どうでしょう。
  61. 池田俊也

    池田政府委員 確かに、御指摘のような傾向がございまして、私どももこれにつきましては十分反省しも、そしを是正して正しい方向にいくべきであるというふうに考えているわけでございます。  そういうようなことは、農協の内部でもそういう反省がございまして、いろいろな検討会、たとえば農協の系統事業の研究会というものをつくりまして、これに対する今後のあり方というようなものを検討し、結論も出すというようなことをやっておりますので、私どももそういう方向を通じまして必要な御指導は申し上げたい、こういう考えでございます。
  62. 樋上新一

    樋上委員 先ほどちょっとお伺いしたのですが、購買事業において、十分な市場調査もしないで購買店舗の増設をはかる傾向があります。そのために赤字の増大となるといったケースが多い。また、生産資材の分野において、大規模化による在庫の増加、荷渡しの不円滑、経費の増などが採算悪化の原因となっている例が各地に見られるのですが、このような新規事業は一切農協にまかせているのか、また、農協組合員に相談もせずにやってもいいのか、指導監督機関はどうなっているのか、お伺いしたい。
  63. 池田俊也

    池田政府委員 そういうような新しい事業を始めます場合には、当然これは事業計画の中ではっきりするわけでございまして、事業計画というのは総会の決議事項でございますから、組合の全体の承認を得た上でやるというたてまえのものでございます。そういうことなしにやられているということは、私はおそらくそういうことはないというふうに考えているわけでございます。  先ほども指摘がありましたように、総会運営というものが非常に形式に流れまして、ほとんど素通りみたいなかっこうでいくために、そういうものに対する組合員の理解が十分でない、あるいは検討が十分なされていないという場合があるのではないかという気がいたします。特定の農協等で、確かにいささかどうかと思われるような事例もございますので、私どもはそういう点については今後大いに反省をし、また、そういうことのないように指導したいと考えておるわけでございます。
  64. 樋上新一

    樋上委員 農協について、年一同県、中央会によって経営監査が行なわれているようですが、これはどのように行なっているのか、また、なぜ二本立てで行なわねばならないのか。さらに、農協経営調査は、全農協に対して行なわれていないようですが、いかなる理由でこうなっておるのですか。
  65. 池田俊也

    池田政府委員 現在の農協に対する検査等の体制でございますが、これは行政庁による検査と、農協中央会によります監査と、二本立てになっているわけでございます。これは大体似たようなものではございますが、若干観点が違うわけでございまして、どちらかというと役所のほうは、業務が本来の法律なりあるいは定款に定められた方向に沿って、適確に行なわれているかどうかという点が主眼でございます。それから農協の監査というのは、農協事業をよりよくするための見地が主になるということで、若干ニュアンスの違いがあるように思います。  現在はそういうことでやっているわけでございますが、いずれも人員あるいは予算等に制約がございまして、なかなか本来あるべきとおりの検査が行なわれていないのが率直なところでございまして、たとえば総合農協でございますと、行政庁によります検査は年間四割程度行なっております。それから、中央会の監査は一年に大体四分の一ぐらいはやっている、こういうような実態になっているわけでございます。
  66. 樋上新一

    樋上委員 昨日資料をいただきましたが、不正の問題ですね。県及び農協中央会によって指摘された件数が非常に多い。この内容については、前委員会でわが党の石田議員がいろんな不正を指摘いたしまして、全貌はまだ言うておりませんけれども、これは農協に対し会計監査のずさん、場当たりの融資等経営のずさんさがあげられておるのですが、こういった点は農林省は具体的に掌握されているのか。ただ報告のみをとられておって、監督ということに対してもう一つ積極的でないのではないか。  これはこの前、二月二十五日の分科会で、わが同僚議員の田中委員がお伺いしたのですが、福岡県仲原農協の不正融資の事件で、これは農協が二億円を黒瀬観光株式会社に貸した。これはゴルフ場の土地ですが、その黒瀬観光が倒産してしまった。そこへいろいろなブローカー、または代議士等が入り込んで、この問題に紛糾を来たしておる。これは大臣が一応調査をしますとおっしゃっていましたが、その後どうなっていますか。
  67. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 この問題につきましては、二月中だったと記憶しておりますが、御質問がございまして、その後本問題については、いろいろ県を督励いたしまして調査をいたしました。  結論として申し上げますが、仲原農協の不正事件については、その善処方につきまして、県当局指導してきましたけれども、最近に至りまして、農協及び組合員に被害が及ばないように処置ができました、こういうふうな御通知をいただきました。したがって、今後かような事件が再び起こらないように、十分指導監督をしてまいるつもりでございます。  さらにもう一つの件でございますが、名前は別に申し上げませんけれども、この件につきましては、県からいまだ確たる通知を受け取ってはおりません。
  68. 樋上新一

    樋上委員 もう一つあるのです。福岡県の農協では、四十三年十二月末の一千五百億円の貯蓄運動に際して、達成が不能になったために、各農協に対して二重の試算表を作成させて、そして二百億余りの数字を粉飾させ、しかも、県連の会長の指導のもとにこれを実施しておる。もしそういうことがないとおっしゃるならば、県信用農協連合会が提出の試算表と、農協の試算表を調査したらはっきり出ている。これは御存じございませんか。
  69. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま御指摘の件については、まだ報告を受けておりません。
  70. 池田俊也

    池田政府委員 仲原農協の問題は、先ほど大臣から御答弁がありましたようなことでございますが、いまの後段のお話は、実は私ども事務当局も全くいま初耳でございます。これにつきましては、さっそく調査をいたしたいと考えております。
  71. 樋上新一

    樋上委員 これは、こういう試算表の粉飾ということはもちろん一つじゃなしに、ほかにもあると私は思うのですよ。こういう問題は徹底的に調査をしてもらわなければならぬと思うのです。また、いま大臣お答えになりました調査結果では、組合員に被害を及ぼさないようにするというけれども、どうしたかという結果報告をあとでとっていただきたい、こう思います。あとどうしたか、どういう結論になったか、後日組合員に対してどうしたかということを報告してもらいたい。これで藏内代議士が五千万円の約手をこの農協へ出しておるのですよ。これは御存じですか。この代議士が約手をここに出して、この倒産した農協に対して出している。どういう関係でこういうぐあいに約手を出したり、これを押えようとしておるのか、この点がどうもすっきりしないものがあると思うのです。だんだん掘り下げてみますと……。
  72. 池田俊也

    池田政府委員 仲原農協の問題でございますが、いまの約手云々の話は、私ども県から何ら報告を受けていないわけでございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたことをもうちょっと補足して申し上げますと、こういう結論になっておるわけでございます。  二億、若干端数がございますけれども、仲原農協が黒瀬関係の会社に限度超過の貸し付け、その他成規のものも一部ございますが、大部分は限度超過の貸し付けでございますが、その貸し付けを行ないまして、その金がこげつき状態になっていたわけでございますが、その後農協がその投資対象になっておりました土地の取得をいたしまして、その土地の譲渡をしたわけでございます。その譲渡をいたしました結果、その代金の回収ができまして、農協の貸し付け金の返済が大部分できたわけでございます。ご三部、若干不足額がございましたが、これにつきましては当然役員の責任でございますので、役員が補てんしまして、そういうことで全部回収ができたということで、組合員には迷惑をかけないで済んだわけでございます。大体そういう結論になっておるわけでございます。
  73. 樋上新一

    樋上委員 このような数多くの検査指摘の結果に対して、政府が迅速に解決をはかろうとしていない。いままでとってきた対策は全部時期が過ぎてしまって、それからやっとその対策に乗り出す。この問題に対して組合員は不安がっておる。  過日の委員会においても、農林省は、単位農協の場合は都道府県の責任である、農林省の責任でないというようなことを言っておられたように思いますが、農林省農協課の役目は一体どういう役目であろうか。
  74. 池田俊也

    池田政府委員 前回お答え申し上げましたのは、直接的には、単位農協の監督は県知事の所管でございますので、第一次的には県当局の責任である、こういうことを申し上げたわけでございまして、したがって、農林省としては何ら責任はない、こういうふうに言っておるわけではないわけでございます。当然農林省といたしましては、農協運営が適法に行なわれるように指導するという責任はあるわけでございますし、また県当局が、適確な検査なり指導監督を行なうのをさらに指導する、こういう責任はあるわけでございますので、私どもはそういう意味では、全く責任がない、何らの責任がないというふうには毛頭感じておらないのでございます。  そういうようなことで、私どもは、たとえば農協の不正事件につきましても、先般御質問がございました後でございますが、従来もしばしばやっておりますが、さらにそういう不正事件が起きないように、ひとつ特段の留意をしてほしい、どういう点について留意をするかということは、従来しばしば通達を出しておりまして、その事件のおおむねの原因というものがわかっておりますので、そういうものについてさらに特段の留意をした上でひとつ指導してほしい、それからそういう事例がありましたときには、直ちに本省のほうに報告をするようにという指令をまた再び出しまして、私どもは今後そういうことに対する不祥事が起きませんようにさらに努力をしたい、こういう強い考え方をしているわけでございます。
  75. 樋上新一

    樋上委員 じゃ最後に、こういういろいろな会計面の不正、またいろいろな問題は、県信連の監督のずさんさからきていると考えられるのですけれども、やはり責任は当然農林省に最後はあると私は考える。もし責任が農林省にないとするならば、この主管行政庁に対する農協法改正する考えはないか、これはどうですか。
  76. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま、先ほど御答弁申し上げましたような考え方を私どもは持っているわけでございます。農林省としては、農協事業が適確に、適法に行なわれるということを指導する責任を持っているわけでございます。  ただ、現在の段階で直接的に、たとえば単協の検査等を直接農林省がやるというのは、これはやはり実態に合わないという感じでございますので、その体制につきましては従来どおりいきたい、こういう考え方でございます。
  77. 樋上新一

    樋上委員 じゃ、十分監督の点についてお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 丹羽兵助

    丹羽委員長 芳賀貢君。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農協法質疑の際、昨日保留いたしました点について、公正取引委員会にきょうは若干の質問をいたしたいと思います。  まず、公取にお尋ねしたい点は、公正取引委員会政府機関の一環をなしておるわけでありますから、内閣農業協同組合法改正に着手したその過程においては、政府部内において十分検討、論議を尽くしておると思うわけでございます。したがって、農林省が昨年の一月あるいは二月にかけて農協法改正の案を作成した内容なるものは、農林省の草案に基づきますと、第一の改正点は農協による農業経営受託、第二の改正点は信用事業に関する規定の整備、第三の改正点が連合会の会員の議決権及び選挙権の数の特例に関する改正、第四の改正点は専属利用契約に関する規制の緩和、第五の改正点は組合の第二会社に対する出資等の適正化、第六の改正点は総代会の権限の拡大、第七の改正点は農事組合法人制度の整備、その他所要の事務上の改正ということになっておるわけであります。   〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 この七項目に及ぶ改正点の中には、私ども社会党として以前から、農協法改正を通じてこれらの点は、時代の進展に農協が合致し対応した仕事をやるためには、改正が必要であるということを指摘しておるところであります。  ところが、今回の改正内容を見ますと、われわれがむしろ改正すべきであるということを指摘し、また七項目に及ぶ改正点の中で、これはすみやかに改正するのが適当であるという点については、今回の改正案の中には盛られていないわけです。  その経過をいろいろ検討しました結果、政府部内において、特に農林当局と公正取引委員会の間においていろいろ論議検討をした結果、たとえば、第四の改正点である専属利用契約に関する規制の緩和、これの当時の改正案の構想は、「農産物の流通改善と共同利用施設の効率的利用を図る見地から、専属利用契約がより積極的に活用されるようにするため、専属利用契約契約期間に関する制限を現行一年以内から五年以内とするとともに、組合は、専属利用契約の締結を拒んだ組合員に対しては、その施設の利用を拒むことができることとする。」これは現行法の第十九条一項、二項の規定を、このように改正するという当初農林省の考えであったわけであります。これを政府部内において検討された結果、公取の強い意思がありまして、ついにこれは今回の改正からは見送るという結果になったわけです。  政府部内のことでありますから、法案提出の形が内閣提出として提出された案件を、われわれは立法府の立場で審議するわけでありますが、これは従来から、農協の性格づけあるいは運用の原則的な問題として非常に重要視された問題でありますので、政府内部の農林省は、この点を改正すべきであるという考えを持ち、また政府機関であるところの公取においては、独禁法の見地からと思いますけれども、これは改正すべきでない、こういう見解の不一致で、改正案をこの項については提出できなかったということになっておると思うので、この際公取の立場で、率直な見解を当委員会において披瀝してもらいたいわけです。
  80. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 昨年農協法改正案につきまして、農林省から私ども協議を受けまして、私どもは私的独占禁止法の立場からこれを検討いたしまして、二つの点について問題点があるといたしまして、農林当局と話し合いをいたしたわけでございます。  その一つの点は、議決権に関する問題でございまして、これはある程度調整した案が、現在の法案に盛り込まれておるところでございます。それからもう一つの点は、ただいま御指摘のございました組合施設の専属利用契約についての条項でございます。  私ども独占禁止法の立場から、公正かつ自由な競争を促進する観点で本問題を見ておるわけでございますけれども、ただ、協同組合目的から見まして、当然ある程度独占禁止法と調整を要しなければならない問題があることは、私ども十分承知しておるつもりでございます。それで、ある部分につきましては、協同組合法は適用除外の条項を持っておるわけでございますけれども、本条項が、やはり公正かつ自由な競争の促進という観点から見ますと、独占禁止法と抵触いたします点は、独占禁止法といたしましては、長期にわたって組合員事業活動を拘束するような排他約款をつけた取引をすることは、やはり好ましくないという基本的考え方があるわけでございまして、現在の農協法第十九条は、そういった独禁法の考え方との調整された点に立っておるというふうに私ども考えておるわけでございます。  この事態を変えるような新しい事例の提示がありました場合には、私どもといたしましても、そういった実情に応じて再検討する余地は持っておるつもりでございますけれども、昨年お話し合いをいたしました段階におきましては、この条項を変えることは不適当なんではないかという見解を示しまして、御了解を得たということでございます。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、立法上の事例だけできようは議論をしたいと思いますが、たとえば現行法の場合は、一年の期間の範囲内ということに十九条の第一項はなっておるわけですね。農林省は五年以内ということに改正しようとしたわけですが、この期限の範囲ということになれば、それでは一年以内であればいいが、五年以内ということであれば、これは長期にわたるから差しつかえがある、あるいは三年以内であればよろしいとか、この一定期間の範囲ということに対して、一年以上は絶対だめだという論拠はないと思うのです。五年であれば現行の一年の五倍の期間になるから、これは長過ぎるとか、二年あるいは三年の範囲内であれば、これは法律運用上あるいは効果的の期間になるかもしれぬとか、いろいろの判断があると思うのですよ。  だから、そこで一年をこえる期間ということは絶対独禁法上から見て同意できないということか、あるいは三年以内というような期間であれば同意できるというものか、その点はどうなんですか。
  82. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 これは独禁法の立場から申しますと、排他約款をつけた取引は望ましくないというのが基本的な立場でございますが、おそらく農協法立法当時いろいろ話し合って、当時の事態をもととして現在の条項ができておるのだと思います。  それで、実際の契約を行ないます場合には、契約自体はこの条項には拘束されるわけではございません。排他約款をつけるのが一年ということで制限されておるわけでございますけれども、それが一年でなければいけないか、二年でなければいけないかという問題につきましては、実際現在の法律改正する必要が出てまいりますれば、それの実情に応じまして、私どもといたしまして、相談に乗っていきたいというふうに考えております。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、内閣として改正の必要を感じて、現行一年を五年にしようとしたわけですが、必要がないのにただみだりに法律改正をするなんということは、これは政府内部においても避けられると思うのです。必要最小限度に現行の改正をはかるというのが、内閣提出の場合の態度だと思うわけですね。だから、これは期間に関することですから、一年以内であれば現行法があるのだから、いいとか悪いということは公取としても言えないわけですね。だから、五年は長期にわたるからいけないということであれば、一年と五年の範囲内の、たとえば三年以内であればいいというような判断を、公取としては持っておるかどうかという点ですよ。
  84. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 現在でも排他約款つき取引は、政府の定めました——政府のと申しますか、国会の御制定になりました独占禁止法の不公正な取引方法には抵触する規定であるわけでございます。あくまでも例外として現在の規定ができておるわけでございます。  その例外を延ばす場合には、農協法のたてまえといたしますると、それを延ばすことの必要性があっての御主張であることは私もわかるわけでございますけれども、独禁法で定める不公正な取引方法の例外になるわけでございますので、はっきりした根拠を見せていただきたいということで話し合いをいたした次第でございます。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、私は期間の問題だけに限定して質問しておるのですよ。だから現行の一年というのは、これは公取といえども批判も否定もできないわけですね。だから五年の改正が長過ぎるということであれば、この一年をこえる期間ということが絶対いけないという判断でこの改正に不同意を示したのか、五年では長過ぎるが、あるいは農林省と調整をはかって、二年とか三年の範囲内であればよろしいという弾力的な見解を持っておったかどうかなんですよ。一年以上はだめだという見解とすれば、そうはっきり言ってもらえればいいのですよ。政府部内のことをわれわれあまり容喙したくないですけれども、事は重大な問題ですからね。大臣よく聞いておいてくださいよ、たいへんな問題ですから。
  86. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 期限を幾らということでは、話し合いはいたしませんでした。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 おかしいじゃないですか。まず第一の改正が、十九条本文の一年以内の期限というを、五年以内の期限に改正するというわけだから、期限上の問題で話し合いをしないで、ただ抽象的に、農協運用はこれ以上強化するのはどうも感情的におもしろくない、だからだめだということになったわけですか。公取というのは、そういうものじゃないと思うのですがね。
  88. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 五年という御提案があったわけでございます。それで現在の独占禁止法のたてまえから申しますと、不公正な取引方法に該当する形の取引に相当する条項を認めようということでございますから、特にそういうことを必要とする根拠について、いろいろ伺ったわけでございますけれども、十分委員会を納得させるだけの説明が得られませんでしたので、承認いたさなかったということでございます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは十九条二項の改正点。これは現行法では、組合員組合との間において専属利用契約の締結を拒んだ場合、組合はその組合員が拒んだことを理由にして、農協の施設を利用することを拒んではならないということが、十九条二項の現行の規定のわけですよ。この規定が強く働いておるわけですからして、たとえば専属利用契約を締結する意義、目的というのは、これは帳消しになっておるわけですね。だから、この二項の作用というものを、われわれは、たとえば昭和三十七年の農協法改正のときにも政府と論議をして、これは未解決に終わって今日に至った問題であります。  今度の改正は、現行二項を削除して、それにかわって今度は、組合員農協との間において専属利用契約の締結を拒んだ場合は、農協はその組合員に対して、組合の施設の利用を拒むことがでるということになるわけだからして——今度の改正に出ておるのじゃないですよ、最初の農林省の案ですよ。その案が改正案になって出てくれば、今度はいままでと逆に、第二項というものが第一項をさらに強化する役割りを演ずるというようなことに変わってくるわけですね。この点については、公取としてはどういう見解を示したわけですか。
  90. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 その条項が、非常に構成員である利用者を拘束するという意味を持った条項であろうと思われました。したがいまして、私どもといたしましては、そういった改正は好ましくないという見解であったわけでございます。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、これとあわして、農林省は私の言うような提起はしなかったと思いますが、現行法の一項はそのままにして、第二項を削除するという改正を行なおうという提起を農林省がした場合には、公取としてはどういう見解を示す予定ですか。
  92. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 そういう形で委員会にははかってございませんけれども、その場合には、だいぶ感触は違ってまいると思います。ただ、五カ年間必要とするというような実情については、私どもも具体的な事例について御説明をお願いしたのでありますけれども委員会を納得させるだけの資料が得られなかったような状況であったわけでございます。  なお、その点についての資料がいただければ、事情は若干違ってくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、これは国会の立場で公取に尋ねておるわけですし、公取の皆さんとしては、この農協法をはじめ、独禁法二十四条の規定から適用除外行為として示されている組合というものは、何と何ということはわかっているわけですね。だから、その適用除外組合の場合には、これを放任しておけば、どういうところに独禁法上の問題が起きるということは、あらかじめ予見して研究されておると思うのですよ。だから、単に農林省が五カ年以内にしたいとか、拒むことができるようにするという改正を示したほかにも、現行法について、この第二項が一項の目的を抹殺するような働きを実はしておるわけですからして、その作用をなくさせるためには、第二項の削除の改正ということも当然有効な措置になるわけですね。  だから、農林省がそういうような意思を示した場合——これはあくまで仮定の問題ですけれども、そのときにも、第二項を削除するということは、公取の立場からいってあくまでも同意できないという見解を示すかどうか、この点をこの際明快にしてもらいたいと思います。   〔湊委員長代理退席、三ツ林委員長代理着席〕
  94. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 具体的に期限を変える必要があるという事態につきましては、私どもも今般協議を受けましたときに、私どもとしての立場でもって相当調査をいたしたわけでございます。それで、それを必要とするような新しい事態は、私どもとしても確認できなかったわけでございます。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、あなた、私の質問の趣旨がわからぬわけじゃないでしょう。答弁をそらしておるだけですけれども、現行法の中で、十九条の第二項だけの削除を行なう改正を農林省がかりに行なおうとした場合には、公取はそれを受けて同意するか不同意かということを、念のために聞いておるわけですよ。見解いかんということを聞いておるわけです。
  96. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 独占禁止法のほうの立場から申しますと、現行法は、これを削除いたしましても、実情はあまり変わりないと思います。独禁法のほうからは、違反の事例があれば、独禁法違反の事態が生じてくるものというふうに考えておりますから、その削除自体については、委員会としては特に意見はないのじゃないかというふうに考えております。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 意見がないということは、そういう場合には不同意ということにはならぬというわけですね。同意できないというだけのときに限って——公取の意見というのは、やはり政府部内でも重きをなすわけですからね。賛成できない、同意できないという以外の場合には、これは沈黙しておってもいいし、能動的にそれは同意しますと言ってもいいが、不賛成、不同意のときに限って、政府部内でこれらの問題を取り扱う場合には、やはり公取の見解というものを相当重視するので、公取としても重要事項については、正式の委員会を開いて、この点に対してはどうするかという見解を明らかにするとか、あるいはまた政府においても次官会議等を開いて、方針をきめるということになっておるわけですから、いま事務局長が、この点については問題点と考えておらぬと言われたことは、これは、別にこの削除を行なっても差しつかえはない、反対、不同意はしないということと同じ意味の答弁だと思うのですが、どうですか。
  98. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 私は、たぶんいま御質問のとおりだというふうに考えております。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではこの点はわかりました。  そこで、むしろこちらから参考けでに申し上げますが、実は農協事業年度というのは一年なんですね。事業の開始と終わる時期というものは、農協の定款によって一致しておりませんが、特に事業年度というものは、一年ということになっておるわけなんです。だから農協が適正な事業を進めるということになれば、やはり毎年毎年の事業年度内における事業をいかにして円滑適正に進めるかということが一番大事なことであるので、事業年度の一年ということが尊重されれば、無理に五年とか七年とかいうことでなければならぬというふうには、私も実は考えていないのです。考えていないということは、それほど重きをなすと考えていないわけですが、公取のほうはえらく五年とか三年にこだわっているという点が、私と公取との間におけるこの問題に対する判断が非常に違っておる点です。  私どもとしては、毎年毎年の事業年度内の事業というものは、順調に組合員利益を守って伸展していくという条件が満たされればそれでいい。しかし、長期にわたるほうが連続性があるし、持続性がありますから、運営する農協としては、それに越したことはないというふうに考えられるわけであります。  それでは農林大臣にお尋ねしますが、どうも農林省と公取の問題点の詰めが未熟で終わったのじゃないかと思うのですよ。三十七年の当委員会改正点に対する議論のときも、この十九条二項が非常は第一項を弱める作用をするので、せめてこの第二項を削除する改正というものは——われわれの判断では、別に独禁法上この第二項がなければ第一項は不当であるということにはならぬじゃないか、この点すみやかに善処すべきであるというようなことを——当時は坂村吉正君が経済局長だったのですよ。いまのように農政局が農協を担当するのじゃなくて、経済局がやっておった時代ですからね。その坂村君がもう国会議員になって、だいぶ頭を薄くしておるわけですが、これは多年の懸案ですよ、七年間の。だから年限だけにこだわって、それで肝心な専属利用契約に関する改善措置を実のあるものにできなかったということは、どうも遺憾にたえないわけですね。これ一つだけでもやれば、あとの改正なんかしなくてもいいのですよ。そういう点は大臣としてどうお考えですか。
  100. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 専属利用契約についてのお話でございますが、私がお聞きしていた公正取引委員会の意見と、ただいまの局長の意見とは、私の聞いているのとはだいぶ相違しております。ただいまの局長の御意見がそれでよろしいというのならば、また考えは別だろうと考えられます。したがって、その詰めに入った初めを私は知るわけではないのですけれども、そういうふうに私は伺っております。ですから、それについての意見は、ただいまの局長の判断によった御答弁が、それでよろしいというならば、またその考え方は別だろうと思います。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、柿沼局長にお尋ねしますが、先ほど言われた第二の点の議決権に関する事項については、農林省といろいろ協議した結果、これは調整ができたと言われたわけですが、どういうところに問題があったわけですか。その議決権に関する改正の点については……。
  102. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 議決権につきましては、二点問題点の提起がございまして、一つは、組合員事業利用分量の額に基づいて、二個以上の議決権を与える問題でございます。それからもう一つは、組合員の数に基づいて二個以上の議決権を与える問題でございます。  このうち、事業利用分量の額に基づいて二個以上の議決権を与える問題につきましては、農林省と話し合いの途中で、これは入れないことに決定になった次第でございます。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはどういうことですか。何か資本重点的なことになるからということですか。人権尊重で頭数だけで議決権の差をつけるということにしぼって、実際の経済事業を行なう団体——これは連合会以上の法人に限ってですからね。個人では、農協法規定によるいわゆる正組合員資格者である農民、みずからが耕作に従事する農民に対しては、今回の改正も一人一票の原則を守っておるわけですね。ただ、地方の連合会、中央の連合会に限って、その会員である協同組合地方の連合会に対して議決権を不同にするということですから、その場合、その事業利用分量という点も、これは全く軽視するわけにはいかぬではないかと思うのです。われわれはこの点はもう絶対に認めないという態度を持っておるわけですから、どうしたらいいというわけではないですが、しかし、会員の頭数とそれから事業利用分量と、両面から議決権の基準をつくるという農林省の申し出に対して、事業利用分量のほうだけ削ってしまって、会員数だけでいいというその根拠をもう少し明らかにしてもらいたい。
  104. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 協同組合制度を、独占禁止法の適用除外を認めております趣旨は、やはりこれが民主主義のたてまえなり、それから個々の零細な事業者を保護するというたてまえから適用除外が認められておるのだと思います。したがいまして、一般の経済的な事業者と競争できるような立場が出てまいってくるに従いまして、やはりその適用除外の程度を制限していかなくちゃならないことになるのじゃないかというたてまえから、その点につきまして御協議申し上げた次第でございます。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、この独禁法に基づいてどうかという点を局長が言われたわけですが、第二十四条、この法律規定を適用しない行為、第二十四条一項の一、二、三、四の各号に規定されておるわけですが、その一は、「小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること」この事業者というのは、これはいわゆる農協法でいえば、これは組合員ということになると思うのです。連合会の場合には会員とみなせると思うわけです。それから第二の規定は、「任意に設立され、且つ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること」三は、「各種組合員が平等の議決権を有すること」四は、「組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること」この一、二、三、四の各号の規定が、これがいまの農業協同組合法内容に合致しているわけですね。一の場合には、これは利益を、営利目的としないということが組合法第八条に明記されておるわけです。それから第二の場合には、これは任意設立制ですから、加入、脱退の自由の原則というものは、農協法二十条、二十一条で明確になっているわけですね。これも問題がない。第三の一人一票の平等の議決権あるいは選挙権の規定も、これも明らかになっておる。それから第四の利益分配の場合にも、これは法令で明らかに八%以内ということが規定されておるのです。現行法によると、一、二、三、四のそれぞれが全く独占禁止法の適用除外の組合員ということになるわけですね。  そこで、いま局長が言われた点は、第三の「各組合員が平等の議決権を有すること」これが連合会段階においては変わってくるわけですね。単協の場合には、従来同様平等の議決権が維持されるが、地方の連合会の場合には、会員である農協が一個の議決権の場合もあるし、あるいは三個の議決権も持つことができる。中央連合会においてもそういうことが言えると思うのですね。都道府県及び中央連合会の中で、特に独禁法と関係のあるものは、経済行為を行なう、販売事業を行なう販売農業協同組合、あるいは購買事業を行なう購買農業協同組合信用協同組合もありますが、この販売、購買の事業を行なう連合会が、今度は会員の議決権が平等のものでないというふうに、今回の改正案が通ればそういうことになるわけですね。そういうことをわかっておりながら、それを問題がないとして認めたということはおかしいじゃないですか。四つのうち一つぐらいは狂ってもかまわないという考えであれば別ですが、公取としてはやはり独禁法に準拠して、明確な厳格な規定づけを行なった上で見解とか行動をさるべきだと思うのですよ
  106. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 現在の規定についての御指摘は、ただいまの御質問のとおりであろうかと思われます。  ただ、現在のわが国の同様の法制の中で、生活協同組合法におきましては、人数につきましては、今般の改正案のような除外法もできておりまして、その範囲でありますと、独禁法の一条に示している精神を逸脱しているということは言えないのじゃないかということで、そこのところまで承認したということであります。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第十九条の一年を五年なんてことにばかにこだわってがんばって、そこは押えて、大事な適用除外の中で、特に会員、組合員の平等の権利というものは、公正取引委員会ではあまり重要視して守らないでもいいと考えているのですか。取引部面だけ公正に行なわれれば、組合員や会員の権利というものは、独禁法上は第二義的なものとして扱うということなんですか。
  108. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 これは第二義的に扱うということではございませんで、独禁法の精神というのがございますし、それから現行法は、わが国全体の法律体系というものがあろうかと思います。そういう観点を総合いたしまして、この程度まではいいのじゃないかという判断をいたしたわけでございます。  それから、一年と五年は違うか違わないかということでございますけれども、経済の見通しといたしまして、一年と五年の間には、やはり相当大きな違いがあるというふうに考えております。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、たとえば将来、そういうことは絶対あり得ないと思いますが、単位農協段階で、一番基礎をなす組合員に対して議決権を不平等にするというようなことをかりに農林省が考えた場合、これも二十四条一項三号の規定はどうでもいいというような、同じ態度で、それも公取としては同意するということなんですね。
  110. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 その辺のところも、やはり相当きびしい態度で委員会としては臨まなければならないわけですが、ただいま御提案のような問題につきまして、委員会でどういう判断をするかということについては、現在、私はここで御返事は申しかねます。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたは事務局長だから、これ以上深く追及はしないが、独禁法の厳密な規定からいうと、この二十四条一項三号は、これはもう今回の農協法改正に同意を与えたことで死文化したと同じですよね。法律が通らなければいいが、一たん法律が通ってしまえば、この規定に対抗して、いや、農協法はもう議決権を不平等にしてあるのだからということで、これは死文化するということはわかっているのでしょうね。
  112. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 協同組合に関する独禁法の規定の精神をできるだけ生かす範囲内で、実際の実情に応ずる結論を下したということだと思いますので、直ちに、死文化するというおことばには従えないのじゃないかというふうに考えております。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、あわせてお尋ねしておきますが、一体公正取引委員会は、この農業協同組合法における組合員の権利規定と義務規定というものをどういうふうに考えておるのですか。農協というのは、非常に組合員に対して権利擁護に偏重しているような立場で法律はできておるわけですね。  しかし、農協という組合法人あるいは社団法人が正常に運営されるということになれば、やはり加入、脱退の原則の上に立って、加入した組合員に対して、農協運営方針に基づいて一定の忠実義務を課するということは当然のことじゃないですか。それが経済面の農協組合員の取引行為であるというふうに認めた場合には、いろいろな組合員の立場から見た義務の履行というものに対しても、それを要求し、あるいは拘束することが、直ちに独占法の規定に抵触するというような判断がもしあるとすれば、それは誤りだと思うのですよ。農協の何たるかを知らない者の見解だと思いますが、その点はどう考えておるのですか。
  114. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 協同組合団体として行動いたします場合に、個々の構成員についてある程度の拘束をしていくということは、私は、これは団体行動として必要だろうと思います。  ただ、その拘束が行き過ぎまして、農協全体の利益を追求するのに急であるあまり、協同組合組合員の立場について行き過ぎた拘束がなされることは、また協同組合の精神を没却するものであるというふうに考えるわけでございまして、その辺は、やはり協同組合全体の精神を生かしていくという線で、公正取引委員会農協法に対して対処していかなければならないと考えております。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうもそういう点はまだ考えが未熟だと思うのです。たとえば、農協事業の中で販売事業とか購買事業というのがあるでしょう。これは普通に考えれば、販売事業というのは、農協が取り扱う物資を組合員に対して販売する行為が販売事業というように、常識的には考えられやすいのですね。それで購買事業というのは、組合員生産した農産物あるいは畜産物を、組合員から農協が購入する、それがいわゆる購買事業というふうに世間一般では理解しやすいのですよ。ところがそうじゃないですからね。それは農協の主体をなすものは組合員ですから、組合員が主体になって事業は行なうわけですから、あくまでもこれは組合員本位に事業というものを規定するわけでしょう。  だから、組合員生産した農産物を農協という組合員の組織を通じてこれを他に売却処分する、その行為を販売事業というわけですね。それから購買関係についても、組合員が主体となって、自分のつくった農協の組織というものを活用して、必要な生産資料や生活物資を他から購入して、そうして組合員がそれを消費する、生産に利用するということが、これが購買事業ということになっておるわけですよ。  だから、農協組合員という人格を対等に設定して、組合側は横暴だからけしからぬとか、独禁法に抵触する行為であるとか、組合員を拘束するというような間違った判断が往々にしてまかり通っておるわけです。こういう点は、農林省のPRが足らぬというか、いまの政府内部においても、農協とはどういうものであるということを、農林大臣として、はっきり閣議の席上でも何でも堂々と言って聞かすぐらいの自信を持ってもらわなければ困ると思うのです。  だから、加入、脱退の問題もそうでしょう。それからリコール権の問題にしても、あるいは総会招集の場合は、正組合員のうちの一割の組合員の連署で総会を要求した場合には、これはどうしても総会を開かなければならぬということになっておるわけですね。また役員リコール権の場合にも、十分の一の組合員が役員改選の請求をした場合には、これはその手続が適法であれば、役員改選の総会を開かなければならぬということになっておるわけですよ。だから、少数の組合員に対しても、農協法ぐらい少数の組合員の立場、権利を尊重しておる法律規定はないのですね。  その反面、義務規定というものは非常に弱いわけですね。たとえば、出資の払い込みであるとか、賦課金の支払いであるとか、あるいは農協の施設を一定期間利用しない場合、そういう場合には総会の特別議決で除名することもできるとなっておるが、とにかく加入、脱退の原則の上に立った農協が、みだりに仲間の組合員に対して、おまえさんは農協を利用せぬから除名するとか、出資の払い込みを怠っておるとかいうことで、そうみだりに除名措置なんかできるものでもないのですよ。  だから、そういうようなことを考えた場合、組合員が全体の意思で定款をつくって、その中にこの専属利用契約規定も、これは定款上明らかにするわけですから、それは定款をつくった全体の組合員が、その事項の利用とか実施の義務に進んで当たるということは当然だと思うのですよ。それを効果的にしようとすれば、いや、それは独禁法上の問題に抵触する、けしからぬというようなことを政府部内で言うようですが、この点は今後十分注意してもらいたいと思うわけです。  最後に、こんなことは聞くまでもないですが、内閣提出の場合には、政府部内で各省と公取との間においても意見の調整をはかって、調整できない場合には、その改正は見合わせるということになる。これはあり得ることですが、しかし、それはあくまでも政府内閣提出という形で法律案を出したときだけの問題であって、本来の立法府において、われわれが立法府の権威の上に立って法律をつくり現行法律改正するという場合には、公取といえどもそれをとどめるとか、同意しないなんという筋合いのものではないわけですね。これはあなたも御承知だと思うのですよ。公取委員長は総理大臣を経て国会に意見を具申する機会もあるし、あるいは内閣に対して報告をする義務もあるが、立法府が法律の制定をするとか改正するという場合、これがいいとか悪いとか、そういう権能は公取委員会にはないわけですね。  それはなぜかというと、あなた方が仕事をやっておる独禁法それ自身が、立法府において制定されたわけですからね。こういうことを聞く必要もないが、やはりけじめをつけておく必要がありますからね。ややともすると、政府が近ごろはみだりに国会を軽視しておるわけですから、法律を無視して政省令だけで何でもやれるような横暴がまかり通っておるときですから、厳正な立場の公取のこれに対する所見を参考までに聞かしておいてもらいたい。
  116. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 政府部内におきましても、公正取引委員会は、現在の立場におきましては、委員長が直接閣議に出て各省との間に意見を調整するという立場にはないわけでございますけれども、総理府総務長官ないしは総理大臣を通じまして、閣議においては意見調整をいたしておるわけでございます。  それから、国会国会の権限といたしまして立法をいたします場合に、これは当然国会の権限としてなさることだと思いますが、現在の私的独占禁止法は、国会の皆さま方が制定いたしました法律でございまして、その精神に反するような立法は、当然国会がされないと私どもは確信いたしております。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないですよ。いいですか、あとでできた法律が優先するわけですから、農協法改正が適法に行なわれたその場合、いまの独禁法上に若干の矛盾とか欠点が生じておるということを認められれば、その欠点を是正する改正を独禁法上に加えれば、それで問題はなくなるわけですね。そうじゃないですか。独禁法というのは永遠に手を加えてはならぬという、憲法より優位にあるようなものじゃないですからね。
  118. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で公正取引委員会に対する私の質問は終わったわけですが、最後に、専属利用契約の問題にもう一度戻るわけですが、先ほどの事務局長答弁によると、現行法の十九条の一項はそのままにしておいた場合、二項の規定がこの一項の目的を相当減殺するような作用を持っておるが、そのために、この二項の削除という形で法律改正を行なう場合、その場合に公正取引委員会として特別の異議とする点があるかどうかを私が尋ねた結果、その点に対しては、別に公取として特別の意見はありません。ということは、その点の改正については、公取の立場としては別に支障はないと思うというような柿沼局長答弁だったと思うわけです。  ただ、念のためでありますが、そうすると第二項のない第十九条の専属利用契約規定ということになるわけですからして、この規定に基づいて農協組合員との間において適法な契約を締結するということになるのですね。その場合加入、脱退の原則の上に立って、農協に加入しておる組合員が理由なしにこれを拒むということは、ほんとうはこれはあり得ないのです。十分農協法を理解して、農協に加入しておることがその組合員利益につながるという判断で組合員になっておるわけですからして、農協利益目的としない第八条の規定組合であることは、もう言うまでもないわけですから、結局、組合員利益に奉仕する事業活動をやっておるので、その事業を順調に効率的に進めるために専属利用契約規定、これは日本においても初めてできた法律規定ですね。  アメリカの農協法なんかによると、販売事業等については十年間の専属利用規定を設けて、組合員がその専属利用の契約を拒んだ場合には、設備の利用をさせないというだけでなくて、違約についての罰則を適用するというような、いまの日本の農協法から見れば格段の差のある、そういう協同組合法も、これは文献によると現存しておるわけですから、結局第二項をはずした場合、現行法の十九条が期待した作用をするということはわれわれ判断できるわけですからして、そうなった場合、公取としてはさあたいへんだということでまたあわてて、独禁法の規定からどうだこうだというようなことになると、問題がまたそこから生ずるわけですから、そういう点については、やはり厳格な態度で対処してもらいたいと思うのです。ということは、もう一度これについて、公取を代表した立場で事務局長の見解を再確認さしてもらいたい。
  120. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 農協法の十九条の二項が削除された場合に、ある意味で現在と違った状態が出てくるのは御指摘のとおりだと思います。  その場合に、私どもといたしましては、やはり独禁法に違反するような事態が出てまいりますと、今度は私的独占禁止法のほうの第十九条違反の問題が、そこに生ずるケースがあるかもしれません。しかし、これはあくまでも現在の公正取引委員会が、積極的にそれを発動する必要を認めたときに発動するという点で、現状とは若干の違いが出てくるのじゃないかというふうに考えております。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは大事な点ですが、もう質問をやめるつもりだったのだけれども、あなたがまた駄弁を弄するので……。そういう場合は、この不公正な取引方法という一から十二の規定がありますね。これは昭和二十八年九月一日にできた規定ですが、こういう規定を、たとえば一の規定とかあるいは七の規定等を見ても、みだりに公取委員会が伝家の宝刀を抜いて農協に挑戦するなんというようなことは、農協の仕事が適正に行なわれておれば、絶対にそういうことにはならぬわけなんですよ。だから、むしろ第二項がなくなったことをいいことにして、何でもかんでもこれを独禁法違反として指摘できる、そういう別の意図があって、第二項を削ることは問題ではありませんなんてことをあなたが言うとすれば、これはより以上問題ですよ。これは国会の記録に残っているんですからね。だから、その点はもう一回はっきりしてください。
  122. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 独占禁止法の第十九条が発動になります場合には、一般指定の第七号といたしまして、正当な理由がないのにそういうことになった場合に、これは適用になるわけでございます。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、正当な理由というのがあるでしょう。農協法第十九条に基づいて、組合は、組合員との間において専属利用契約を締結することができるというのが、今度は二項がなくなった場合の十九条ですからね。その正当な法的な理由に基づいて適法に、農協組合員との間において共同施設の専属利用契約、あるいはまた販売事業等に対する専属利用の契約、そういうことは適法に農協運営するわけですからね。運営しない場合は、公取の指摘を待つまでもなく、農林省がそれを適正に指導する任務を持っておるわけですからね。これはあくまでも仮定の問題だし、農林省が自信を持って改正するなんていうことには、踏み切れぬと私は思っているわけですがね。しかし、これは将来また非常な問題になる点でもあるし、先ほど農林大臣も、当委員会における現在の柿沼事務局長の発言と、この改正法案を出す前の農林省と公取委員会とにおける、これらの問題の協議の経過と相当隔たりがあるというふうに私は考える、もしいまの事務局長の発言どおりであれば、この十九条の問題についても、農林大臣としてはさらに考え直さなければならぬということを先ほど述べられたことは、あなたも聞いておるでしょう。そういう点は十分銘記しておいてもらいたいと思います。
  124. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 石田宥全君
  125. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は、農協法改正問題について、要点だけを簡潔に質問をしたいと思いますから、答弁のほうも、あまりわかりきったようなことはひとつ答弁されないように、前もって要望を申し上げておきます。  最初に、農協の大型化の問題でありますが、合併については、今後もこれを進めていきたいということを局長答弁をしておられます。農協というものは、特にその親睦性と連帯感というものが非常に重要であって、それは、農村における社会的、経済的な農民の地位の向上の上にとって欠くことのできない要件だと思うのです。同時に、しかしながら、やはり今日の経済社会の中においては、経済合理主義というものも無視するわけにはいかない。経済合理的に考えれば、大型化していくことのほうが有利なように考えられる。しかしながら、前段に申し上げたような親睦性と連帯感というものになると、大型化しますると、これは官僚化しまして、ややもすると、農民の意見がすなおに実行に移されないといううらみがあるわけです。  そういう点で、資料もいただいておりますけれども、大体どの程度に大型化することを理想的として、今後の指導監督をおやりになる意向であるか。私は、大型化必ずしも賛成するものではございません。しかし、先ほど申し上げたような両面がございますから、この点についての局長の見解を明らかにしていただきたい。
  126. 池田俊也

    池田政府委員 農協の規模につきましての観点といいますか、二つおあげになりましたわけでございますが、私ども全く同感でございます。  そういうような点を勘案いたしますと、これはいろいろ農村の事情によって違うと思うわけでございますけれども、心ずしもこれは全部に当てはまらないと思いますが、一般的な基準と申しますか、考え方としては、私どもは、やはり組合員の数にいたしますと、大体千人以上ぐらいが、組合としての基盤を確保するというような点からはよろしいのではなかろうか、こういうような感じを一般的には持っております。
  127. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点は、私もいろいろな角度から、もうずっと前の委員会からこれを議論しておるわけでありますが、何といっても、やはり地域性、地帯性の著しいものでございますから、同じ農村といっても画一的でございませんので、そう画一的に議論を進めるわけにはまいりませんが、一千名以上と局長は言われるけれども、私は一千前後ということで、その地方性、地帯性を勘案して標準を考えていいのじゃないか、こう考えておるわけです。これは私の意見になりますから、ひとつ参考に聞いておいていただきたいと思うのでございます。  次に、大型化しますと、大型になるほど農民に対する、いわゆる組合員に対するサービスが低下するわけですね。私、実はある単位農協に参りまして、こういう話を聞いておるのです。なま脱穀が奨励されてまいった段階で、なま脱を経済連から買おうか、商人から買おうかという話になった。経済連のセールスが来たので、一体君たちの仕入れ原価は幾らなんだと言って聞いたら、仕入れ原価はわからない、おそらく担当の課長もわからないでしょう、こういう話だった。ところが、商人のほうのセールスが来たので聞いたら、同じメーカーの同じ品物が、経済連の仕入れ価格よりも二〇%程度安く売れるということになって、そこで十何台かその単位農協が購入の契約をしたわけです。  ところが、翌日になってその商社からキャンセルの申し入れが来た。電話でキャンセルしてきたが、十六台か七台買ったうち三台だけにしてもらいたいということになった。そのときにはよくわからなかったのだが、そのあとでどういう事情でキャンセルになったのかということを尋ねてみたら、実はそういう話がすぐ経済連のほうに伝わって、経済連のほうから商社のほうに向かって、君のほうがそんなに安売りをするようなら、経済連としては一切おまえのところの品物は扱わないぞと言っておどかされたので、やむを得ないから、これはひとつ解約してほしい、こういう話であった。  その話を聞いて、すぐまた隣の郡のある単協へ行ったら、そこの農協青年部の諸君が、これはいまビニールハウスをやっておるところでありますが、ビニールハウスの資材のセールスが経済連から来た。いろいろ聞いたら、どうも商人よりも非常に高い、そこで、たったいま経済連の諸君とけんか別れをしてきたところだ、経済連なんというところは、農民のための経済連ではなくて、搾取連だと言っていまけんかをして別れたところだというところへ行き合わせたのです。  そういうふうに、大型化すればするほど官僚化して、農民に対する、組合員に対するサービスが低下をしておるのが現実の姿なんですね。大型化した場合におけるサービスの低下を、一体どうやって防ぐことができるのか。さっき樋上委員指摘されたようでありますが、売らんかな主義で、これも私のすぐ隣の農家の話ですが、その農家はわずか一ヘクタールの水田をやっておるのに、そこへ自動耕うん機を売りにきておる。経済性が合わないことは明らかなんです。そういう経済性を無視して、ただ売りさえすればいいという、そういう姿勢を一体どう正させるように指導をされるのか。指導性がないのではないか。この点は私は具体的にはだ身に感じておる問題でありますから、これに対する今後の方針を承っておきたいと思うのです。
  128. 池田俊也

    池田政府委員 御指摘のような事例があるいはあるということは、私どもも否定をするつもりはございませんが、やはり農協事業としては安定性ということが非常に重要でございますから、一時的に非常に安く手に入っても、それが長続きしないということでは非常に困るわけでございます。そういうような観点も、あわせて考えなければならぬのじゃなかろうかと思うわけでございます。  それから、なお大きくなりました場合に、組合員との親密感といいますか、つながりをより強化する方策というのは、これは相当私どもくふうをしていかなければいかぬのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。現在、そういう点で農協の内部でもいろいろ努力が行なわれているというように考えるわけでございます。たとえば、これは最近のことでございますから、まだしっかりしていない場合もございますけれども、いろんな作目ごとに部会というようなものをつくりまして、いろいろ営農面等の指導をしたり、あるいは購買事業のよりどころにしたりしておりますので、私どもは、やはりそういう農協の下部組織みたいなものを極力充実をする。もちろん、農協によりましては営農指導員等も相当かかえておるわけでございますから、そういうものをよりどころにしながら、やはり農協組合員との密接な関係をつくり出すように努力をする、こういうことが非常に大事であろうと考えておるわけでございます。
  129. 石田宥全

    石田(宥)委員 ぜひその点は行政面と中央会の指導の力の入れ方というか、そういうもので、そういう方向を明らかにしていただきたいと思うのです。  次に、いま農協という団体は自主的な運営をはかっておるわけでありますが、各府県の各連合会の理事選任に、かなり問題があるのではないかと思うわけであります。現状では、各連合会の理事選任というものはどういう方法で行なわれておるか、ひとつ一般論でけっこうですから承りたいと思うのです。
  130. 池田俊也

    池田政府委員 これは、農協法の上で御承知のとおり、いろんな役員の選び方があるわけでございます。これは、それぞれの実情に合うような方式を採用するようにという趣旨でございますが、私ども理解しておりますのでは、やはり連合会の役員ということになりますと、総会において選任をするという方式が一般的には非常に多いように思うわけでございます。それで総会において選任されました役員が、今度は互選によりまして会長等を選んでいく、こういう方式が多いように承知いたしております。
  131. 石田宥全

    石田(宥)委員 中央会については、法律がその選任の方法を示しておりますから、その法律に基づいて行なわれるわけでありますが、その他の各連合会というものも、おおよそそれに準じておるようであります。ただ、しかしながら、これは各県ともそのようでありますが、理事の選出区域というようなものをきめておる。大部分は郡市単位で決定をする。大きな郡も小さな郡もあまり変わらない。郡市単位で理事を一人あるいは二郡で一人というような選出方法が行なわれるわけでありますが、その際に、郡市単位で選出される理事というものが、その選出区域内の組合長の互選によることが多いわけであります。  そういたしますと、小さな郡では、幾つも組合を持っておらない郡があるわけです。そういうところでは、一度理事になりますと、ごく限られた数名の人たちをじょうずに獲得をすれば、これは公職選挙法が適用されるわけではございませんから、一年に二、三回どっかでごちそうをする、ちょいと手みやげくらいを出すというようなことで、十年でも二十年でも居すわっておることができる。組合員の中から相当不平不満が出ても、ずっとその地位を確保することができる。そういうことが、やはり農協運営の上においていろいろな弊害を生んでおることもお認めになるだろうと思うのであります。  そこで、私はかねてから実はこれを考えておるのでありますが、たとえば、新潟とか長野とかいうような大きな農業地帯の県の連合会における理事選任というものは、単に組合長のみに選出させるということには、いろいろ前段申し上げるような弊害があるので、これをひとつ二段がまえにしてはどうだろうか。農民が直接選挙人をまず選挙する、そうしてその選挙人が今度は理事選任する、こういうことでいけば、かなりその弊害は是正されるのではないかということを私、考えておるのです。おそらく農協法改正にあたっては、それらの点についても御検討になったことであろうと思うのであります。  なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、たとえば、せんだって農林省がおやりになろうとした自主流通米の問題で、新潟県では内山会長はまっ先にこれに賛成だ、こう言っておる。ところが、NHKでこの間アンケートを出して調査した結果、賛成は一〇%しかない。はっきり反対が六三%も出ておる。ところが、その連合会の中央会の会長であり、信連の会長であり、同時にそのほかの連合会の会長をも兼ねておる内山君が賛成をしておる。一人賛成ということになると、新潟県全体が賛成したことになるのです。  こういうふうに、農民の意思が反映しないような運営というものが行なわれるということは好ましくないのではないか。もっと農民の意見が反映できるような役員構成にならなければならない。その選出において民主的であり、構成が民主的であって初めて農協の民主化というものが行なわれるのであって、全く農民の意思というものが顧みられないような選出の方法と構成であっては、これは今後農協にいろいろ問題を持ち込むのではないか、こう思うので、私は慎重にこの点は検討をしているわけでありますが、改正の立案の過程において論議がございましたならば、ひとつ承りたいと思う。また、局長考えも承っておきたいと思います。
  132. 池田俊也

    池田政府委員 先生のただいまのお話は、新しい観点からの一つの方法であろうというふうに考えるわけでありますが、やはり農協なり連合会の役員というものは、当然末端の組合員の意向によって選ばれるということがもちろん大前提でございますけれども、同時に、その組合なり連合会なりの管理運営に最も適した人であるということが大事な点だと思うわけでございます。  そういうような点からいたしまして、やはり非常に民主的な方法で選びました者が、ぴったりそれにはまるかどうかという点につきましては、やはり無条件でそういうふうに考えるわけにもいかない点が若干あるんじゃなかろうか。むしろそういうのはある程度、かりにある連合会をとりました場合には、そこに常時いろいろ関係の深い人が判断をするほうが、むしろ適格な人を選べるという点もございます、これはすべてではないと思いますけれども。  そういうような観点からいたしますと、現在の制度は、組合員が単協の役員を選ぶ、それがまた連合会の役員に選ばれるということになりますので、ある意味では、先生のおっしゃいましたような間接選挙みたいな形にも実はなっているわけでもございますので、そういうような新しい一つの御提案ではございますが、私どもは現状でも、運用さえよければかなりいけるんではないか。ただ、いま農村の実態がなかなか古い点がございますので、さっきおっしゃいましたような、いろいろな選挙区制みたいなものが行なわれていても、必ずしも十分な成果をあげてないという点はございます。そういう点については、私どもも大いに努力する余地があろうというふうには感じているわけでございます。
  133. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、大型化した場合に、なお従来のようないわゆる三段階制を堅持しなければならないかどうか。どうもこれは、単位農協がかなり大型になって、千人または千五百人というような場合に、なお三段階を存続しなければならないという理由が非常に薄弱になるのではないか。ものによっては、もう二段階にしていいのではないか。  購買事業などは、ただ伝票を通すだけで、単位農協はただ三%のマージンしか取っていないのに、県の経済連が五%のマージンを取る。品物は直接倉庫から単位農協に入っているのに、県連合会というところを通しただけで、購買品の価格がそれだけ高くなる。こういうことは、今後やはり農協運営の上においてかなり問題になるのではないかと思うので、これらについても、相当真剣に取り組む必要があると私は考えておる。この点については、農林省としては一体どう対処しようとお考えになるのか。ことに局長は、千人以上くらいがよかろうというお考えだとすれば、この表にもありますように、かなり大きなものがもうたくさんできておるわけであります。千人以上千九百九十九人というのが、四十三年では一三・七%という状態になっておるわけでありますから、これとの関連で、三段階制を固執するということには問題があろうと思うので、これは一体どういう方向指導をされようとしておるのか、承りたいと思うのです。
  134. 池田俊也

    池田政府委員 これは、確かに非常に問題の点だと私ども考えておるわけでございます。ただ、やはりこれは産業組合以来の一つの日本の農協の歴史があるわけでございますけれども、従来三段階になっておる。これは、ある部面におきましては確かに二段階でもよろしい部面が、私どももあると思うわけでございます。  ただ、やはり従来歴史的にこういうふうにでき上がりました一つのシステムというのは、またそれなりに非常にいい点もあると思うわけでございまして、私どもはこれは事業の実態に応じまして、あるものについては二段階でよろしいものについては二段階運用をする。二段階もいろいろあると思います。単協から県連でもよろしいというものもございますし、あるいは県連を通さないで単協から全国連につながるという場合もあろうと思います。要するにそういうような事業の実態に応じて、あまり硬直的でなく、それぞれの団体が自分の役割りというものについて十分反省をしまして、それに合うような運営をしていくということが、必要であろうと考えているわけでございます。  農協の中でも、そういう意見はかなりあるわけでございまして、過般いろいろ中央会その他で検討いたしました結果、そういう結論も実は出ておるように私ども承知をしておるわけでございます。問題は今後の実行いかん、こういうふうに考えておるわけでございます。
  135. 石田宥全

    石田(宥)委員 実際上これはいろいろ問題がございまして、農協の内部でも検討しておることは私も承知しておりますが、農協の内部でいろいろ検討を加えられて、その方向について結論が出たといたしましても、やはりだれか呼び水をしてやる、手を引っぱってやるという人がないと、そのほうがいいんだということはわかっておっても、なかなかふん切りがつかないという、要するに内部の機構の整備というような問題もからんできますと、いいことはわかっておるけれども、実行はできないといううらみがあるわけでございますから、そういう点で政府考え方というものを、そう考えておるだけではなくて、農協内部で検討もしておるというようなことを、この際にもっと方向を明示して、積極的にそういう方向へリードする、これは私は農林省の責任だと思うのです。  ですから、これ以上は別に議論をするわけではありませんが、これは私は非常に重要な点だと思う。農民の中に、おれはもう百姓で生きるんだ、こういう意欲的な若い青年が、数少ないけれどもかなり出てきておる。そうしていろいろなことを検討しておる中で、この農協の悪さというものの壁にぶつかって、悩んでおる青年が非常に多いわけです。農民の中のそういう要素というものに十分対応できる農協でなかったならば、青年諸君がせっかく専業農家として生きようという希望に胸をふくらませて、そういう方向に発足した、ところが農協のその運営の悪さ、機構の悪さというものの壁で、挫折感を持っておる青年が数多く見られるわけです。そういう点でこの問題についてはもっと、いままでのようなことでなくてひとつ指導性を発揮してもらいたい。これはひとつ要望を申し上げておきます。  それから、その次でありますが、これはかなり大きな問題なんでありますけれども、数年前に全購連がえさ工場の株式会社移行をやりましたね。一体、全購連のえさ工場、ゴム工場全部で五つの工場を株式会社に移行をする、こういうことは、農協法の第八条の営利目的として事業をやってはならないということとどういう関係があるとお考えになるのか。私は、少なくとも全購連として運営されれば、曲がりなりにも農民の意見というものが反映できると——必ずしも反映できるとは私、考えておりませんけれども、まあ機構的にはそういう考え方もできる。ところが、株式会社として別の営利団体となってしまえば、やはり農民の要望なりをよく代表した、農民の意見に基づいての運営というものができなくなるんじゃないか。株式会社となれば営利追求の性格が明らかになるのであって、これははなはだ遺憾千万であったと私は考えておるわけです。  また、最近では全購連が、新潟の新しくできる東港のほうで、営利会社と合弁のような形で、大きなコンビナートをつくることになっておるようでありますが、第八条の営利目的として事業をやってはならないというこの条文を変えるなら別でありますけれども、それを変えないでそういう事業を行なうということは、私は一人の農民としてどうも納得ができません。はっきり言ってできません。農林省はこれに対してどうお考えになりますか、今後もあることでありますので承っておきたい。
  136. 池田俊也

    池田政府委員 いわゆる第二会社の問題でありますが、私どもは、一般論といたしましては、第八条に農協目的が書いてあるわけでございますが、要するに、組合員のために最大の奉仕をする非営利目的営利目的にしないということでございますが、これに合致する限りにおきましては、第二会社というものも当然存在が認められるべきものであろうと思います。しかしながら、組合がそういう第二会社をつくりました目的が、組合員利益になるようにということではなしに、むしろ営利的な観点からなされるものであれば、これは法律のたてまえから許されない、こういうふうに考えるわけでございます。  全購連等のお話があったわけでございますが、飼料なりあるいは肥料なりにつきまして、そういう第二会社をつくる場合に、いろいろな観点があると思います。一つは、たとえば直接そういうものに手を出しまして、安い資材を組合員に供給しようということが大前提だと思うわけでございますが、農協だけでやりませんで、たとえば他の企業と合弁でやるのは、あるいは特許その他の関係もいろいろあるかと思いますし、また、そういうところと合弁でやらないと、なかなかそういう事業をやることが困難であるという場合は、あるいは責任体制をはっきりさせまして、組合に損失を及ぼさないようにするというような観点、そういうような観点があろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、そういう八条の目的に合致する限りにおいては、認められるべきものと思うわけでございますが、最近、やや乱立のきらいがあることも事実でございます。  そこで、私どもといたしましては、これに対してはやはり相当厳重に、組合員がそれに対して十分な知識を持ち得るような厳重な指導をする必要があろう。たとえば、第二会社の決算の内容等は、これは総会等に報告をするということで、組合員がそれを常時はっきり把握できるような状態にすることが必要で、一部のものだけがそれに参画するというようなことは好ましくない、こういう考えを持つわけでございまして、そういう面については、従来も行政指導としてやっておるわけでございますが、さらに努力をしたい、こういう考えでございます。
  137. 石田宥全

    石田(宥)委員 組合員に対して、安い物資を供給することができるという面がないとは私は申しません。けれども、株式会社という性格は、何といっても事実は営利追求が目的になってしまうのです。そういう本質的な性格を見失ったならば、これは農協本来の使命が達成できなくなる。現にそういうきざしが出ておる、私は別に一々そのこまかな点をさらけ出そうとは考えておりませんけれども。まあ局長のお考えでは、その点はやはりちゃんとけじめをつけてやらなければならぬという答弁ですから、この点一そう意にとどめられて、今後十分やれるようにしていただきたいと思うのです。  それからその次に、これも資料が配られ、さっき樋上委員も触れたようでありますけれども農協の不正事件の問題であります。私、実は農村をずっと回っておりまして、不正事件として表面化してくるまでの間に、実は自主監査並びに行政監査で、すでに何年も前から指摘をされておるものが、四年も五年もたって表面化するという事案が非常に多いのです。これは一体どういうことだろうかということを、私は非常に疑問に思うのですね。県の監査なりあるいは中央会の監査なりでちゃんと指摘されておるということを聞いてから、四、五年たってようやくそれが表面化してきて初めて問題になる。  どこに欠陥があるのかということをいろいろ私、実は検討してみたのでありますが、これはこういうところにあるのではないか。組合長または専務理事などに対しては、監査の結果あなたのところにはこういう欠陥とこういう欠陥とがあるし、ここにどうも不明瞭な点があるぞという指摘をするのですね。ところが、それは組合員にはわからないわけですよ。だから組合長が握りつぶしてしまえば、専務が握りつぶしてしまえば、組合員には知らされない。こういうことで何年かたって、さらにその弊害が大きくなった後に表面化してくる、こういう事例がきわめて多いというのが事実です。これは、私はたくさんの事例をずっと洗っての話ですから、事実認識の問題があるいはあるかもしれぬし、また、あなたのほうにはそういうふうにあがってきていないかもしれぬけれども、ある組合長のごときは、県の監査で、おまえのところにはこういう不正な事実がある、おまえのところにはこういう欠陥があると指摘をされると、県庁へ行って、係の課長のところへ行って、おれの農協はおれの農協だ、県あたりで何を文句を言うか、よけいなことを言うなといって文句を言っておった組合長があった。ところがついにその後やはりその不正事実が公になって、組合員が大騒ぎをした。なぜ、一体この自主監査なり行政監査というものが、もっと組合員にわからせるような手段、方法を講ぜられないのであろうかということを実は考えておるわけです。  それから同時に、さっきもちょっと局長は、予算なり人員等の関係でどうも十分監査ができないということをお答えになっておりますけれども、これは私は、予算なり人員なりというものももちろんありましょうが、それならそれでひとつあとで農林大臣にも伺いたいと思うのでありますが、やはり農協はいま非常に重要な段階にありますから、これについては相当予算措置もしなければならぬ。それから、自主監査に対する指導というか、そういう点にも手ぬかりがあるのではないかと思う。この点について伺いたいのであります。  前段申し上げるように、ただ組合長に警告をするというだけでなしに、農民一般にわかるような監査の結果の報告の方法をひとつ考える必要があるということと、いまの後段の問題について伺いたいと思います。
  138. 池田俊也

    池田政府委員 前段のお話でございますが、非常に実態に触れた御意見で私ども傾聴したわけでございますが、私どもも若干そういうような経験がございます。いろいろ問題が出てきまして、過去の検査の結果等を見てみますと、氷山の一角みたいなやつをしばしば指摘をしている。それが非常に大ごとになったということがございます。私ども今後そういう点について、さらにそういう監査の結果の利用といいますか、それをいいほうに持っていくための方策について、くふうをいろいろする必要があるのじゃないかということを感じたわけでございます。  従来の考え方は、一応監査をいたしました結果は、当然理事者に指摘をいたします。理事者というのは、当然これは組合運営について相当な識見を持ち、責任を持っておる人である。だから、理事者に示せば当然それは直されるという前提で実は考えておるわけでございます。なかなかそれが理屈どおりにいかない場合があると思うわけでございますが、また一面あまりそれを総会等で公にすると、いろいろ組合内部の紛争ということにもなりかねないので、そこいらは私ども非常に慎重にくふうをしてまいる必要があろうと感ずるわけでございます。  それから、あとの自治監査の問題でございますが、これは御存じのように、現在中央会が監査士を置いて監査をやる、それから組合におきます監事の監査ということがございまして、私どもそれに対してはある程度の助成はいたしておりますし、それからまた監事の監査につきましても、研修等を行なっておるわけでございますが、必ずしもどうも十分でない点が、御指摘のようにあろうかと思うわけでございます。いままでのかつての古い制度でも、いろいろそこらについて、たとえば監査連合会というような制度もあったわけでございますが、現状必ずしも十分でないと思いますので、私どもも、さらにそこいらの改善につきまして、いろいろ検討、努力をしたいという考えでございます。
  139. 石田宥全

    石田(宥)委員 私、実はお互いにわかっておる問題でありますから、繰り返して繰り言を言いませんが、これはひとつ今後、先ほども指摘したように重要な段階にありますので、行政監査についても自主監査についても、やはりいま局長答弁のように、なかなか単位農協にしても連合会にしも、いろいろな内部対立だとか地位の争奪戦とかいうようなものもないことはないので、といってそういうことをあまり考え過ぎると監査の効用はなくなるわけですよ。この点は、その不正を正すにはやはり峻厳なる態度が必要だ。そしてそれは行政監査における農林省なり県庁なりの監査の態度であることはもちろんであるけれども、中央会の自主監査についても、やはりそれをきつく指示してやらせる必要がある。この二重監査というものがどっちつかずになるおそれがありまして、まあ行政監査があるのだから、いや自主監査があるのだからとなると、お互いに責任のなすり合いのようなことになって、不正はますます増大するという傾向なきにしもあらずでありますから、この点については、重ねてひとつ厳重に指導監査をしていただきたい、監査をやっていただきたい。  最後に、農林大臣に伺いたいのでありますが、いま申し上げたような状況でありまして、不正の件数より、今度は金額のほうが非常に多くなってきておるのですね。これは、やはり大型化や事業分量が非常に大きくなったということの結果だと思うのでありますが、やはり農林大臣の監査権、知事の監査権というものに対する人員の関係、予算の関係には——私はあれもこれもとは言いませんが、きょうは農協法関係でありますから、農協の監査については、十分ひとつ対応できるようにお願いしなければなりません。ぜひひとつお願いをしたいと思うのです。
  140. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 きょうは、いままでの御体験から生み出した点、いろいろな御注意を承って、傾聴しておったのでございますが、いろいろお話しの中から総合してみますと、やはり農協自体が、国内の経済力というものが急速に発展をしていっておる、したがって消費者の嗜好そのものが大きな相違を来たしてきておる、これについていけないというか、反面農民の不満があるというような点も、これらは生産面に対するところの指導力というものに欠陥があるのではないだろうか、こういうようにも考えられるのでございます。したがって、ただいまの御指摘のあったような大型、小型の問題は、これはその土地土地によって相違があって、必ずしも大型でなければならぬ、小型でなければならぬと限定するわけにはまいらないだろうと考えられます。  以上、いろいろ伺いました点につきましては、今後十分注意を払いつつ、その目的を達するように進めてまいりたいと存じます。
  141. 石田宥全

    石田(宥)委員 もう一問農林大臣に伺いたいのでありますが、先ほど農政局長からは、農協の自主性の問題について、樋上委員質問に対してデリケートな答弁があったわけでありますが、農協というものが、いわゆるマンモス農協といわれるように大きな経済力を持つようになりまして、昔軍隊今農協などという批判も出ているくらいであります。自主性を持つのはけっこうでありますけれども経営第一主義になったり営利主義になったりしたのでは、これは好ましい自主性とは言えないと思うのであります。  農林省もどうも一面農協に頭の上がらない点があるようにうかがえるわけであります。農協の諸君は、ときにはやはり農林省の言うこと、大臣の言うことに従わないと損だと思うときには従うけれども、そうでない場合には、対立的な感覚で対応するというようなところもあるようであります。私は、やはり零細な農民の利益が擁護されないような運営が行なわれてはならないと思うので、そういう点については、やはり農林大臣に相当な権限が与えられておるのであるから、単に農協理事者本位、経営第一主議、営利第一主議的な傾向に対しては、きびしい態度でこれを規制する責任があるのではないか、また、すべきであろうと私は考えるのです。これはどうも農協が非常に経済力も持っており、政治力も持っておるということで、歴代農林大臣がいささか遠慮をされておるようでありますけれども、私は、日本の農民のために正すべきは正し、そうして農民の経済的、社会的地位の向上を旨とした農協法の趣旨を体して、今後指導監査に当たられるように御要望を申し上げたいと思いますが、所感を承って質問を終わりたいと思います。
  142. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまおことばの中にもございましたように、農協誕生の目的、すなわち零細な農民に手が届き、そしてこの農民の生活の向上をはかる、それが目的となって農協そのものが誕生しておるのでございまして、御指摘のあったような点については、今後内部の管理を十分にしなければなりませんし、理事者の自覚等をさらに促さなければならない諸点があろうと考えられますので、先日来省内におきましても、これらの問題に関連いたしまして、いろいろな不正事件等々が頻発しておりますので、これらに対しましては今後厳重に監督をしてまいりたい、このような話し合いを申し上げたばかりでございます。  以上、所見を申し上げます。
  143. 石田宥全

    石田(宥)委員 以上で質問を終わります。
  144. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 米内山義一郎君。
  145. 米内山義一郎

    ○米内山委員 農林大臣にお伺いいたします。  先般の質問の際、大臣おられませんでしたので、少しばかり大臣の御所信を伺わなければ納得がいなかい点があってきょうに延ばしておるわけでありますが、これは端的に申し上げますと、今度の農協法の一部改正法律案の提案理由の説明の中にこう書いてあるのです。「近年における経済の高度成長を背景として、農業生産の選択的拡大や機械化の進展など農業近代化の動きが見られる反面、兼業化が進み、経営規模はなお零細であり、農業生産面の一部には楽観を許さないきざしもあらわれております。」こうしてみると、零細でありかつ兼業化が進むということは、わが国の農業の現状から見て単に一部楽観を許さないという程度のものじゃないと実はわれわれは考えるのであります。  特に、農業全般に対して農林省の考えている、対応している感覚というものは、われわれから見ると実に楽観主義に過ぎるじゃないか。たとえば、今度農林省が発表した長期にわたる農産物の生産と需要関係を見ましても、数年後には食糧の自給度というものは七〇%に低下するというような事情なんです。そうしますと、一億の国民から見ると三千万人分がゼロだということになる。人口三千万というと、いまの百数十カ国ある中で中並み以上の国です。世界じゅうに三千万人分の食糧がゼロだという国がないと同じように、高度成長の中で一つの独立した国家が、このような大量の自給度を失うということは、単に農業の問題ではなく経済全般の重大問題だ。これに対して、一部楽観を許さないというようなことは、私は、先ほど言われた、どこかの農協が試算表を粉飾したというけれども、農林官僚が自分たちの責任を隠すために、国民に対して事態を粉飾している、われわれはこう理解せざるを得ない。  しかも、今度の農協法改正をしさいに見ますと、何が目的であるかはっきりしない。たとえば三十七年の改正にあたって、農協農地信託を受けるというような法律をつくった。そのために、全国の数千という農協がそれぞれ総会を開き、定款改正をした。今日その結果はどうかというと、ほとんどものの数にならない。政府が考ていることと農地の実情というものは別であるということ、これは明らかな証拠なんです。特に、今度農協委託を受けて農業経営をやるということは、全く実情に合わぬ。先般質問しましたそれに対する回答というものは、われわれは全く納得ができない。  と申しますのは、農業基本法によって国の方針というものは、自立経営農を拡大するということ、さらに協業を促進するということになったはずだ。今度は三本の道をこれによって開こうとしている。今度の改正は、農協農地委託を受けて経営委託を受ける、こういう道なんです。そこで、これを聞きましたら、何ら積極的な理想を持ってこれをやろうとするのじゃないということは明らかなんです。事務当局はそういうふうに答弁しました。  と申しますのは、いかにして零細化する農業を近代化しようかという場合には、やはり大型化する以外にない。大型化することによって初めて機械化が可能だし、生産性が高まるのであります。ところが、今度のは虫食い状態、あちこちに離農者が放置するような農地農協が引き受けてこれを経営するというような、農業の実情を知らない人たち考えるような構想だとわれわれは承ったわけであります。こういうふうな虫食い状態に、点々とした農地に、どうしてこの提案説明にあるように、農協が機械も持っておるから近代的な生産性の高い農業ができると思いますか。この点について、具体的な所見を聞きたいのです。  さらに、農業というものは単にたんぼと稲作だけではない。一人一人の農家が豚三頭、乳牛一頭というふうに、もしかりに農協にこの委託を頼んだときに、農協はどうして畜産経営受託できるか。片一方にはたんぼ、片一方には畜産というものがあって経営というものがある。これが農業の実情なんです。  そこで一歩譲って、こういうたくさんのばらばらにある畜産経営というものを一カ所に集めるならば、どこかに大きな畜産団地のようなものをつくり、共同による畜舎があれば可能だが、先般の私の質問に対しては、国はそういうふうな近代化の方針について、これに関する限り助成する腹がないと言う。すでにこれまでの助成方法によって、農協には機械が充実しておるはずだという前提に立っておる。これではどこから考えても、積極的な姿勢というものはない。農地信託で成果があがらないから、今度は農協経営で何とかほおかぶりをしようというひきょうな態度だと言う以外に考えられない。こういう無責任な法案を出して——出すことは政府の権限かもしれないが、立法府というものは、出された以上はこれを真剣に検討しなければならぬ。およそものの役にも立たない法案を次々と出されるが、もっと農業には根本的な立法をしなければならないものがあるはずだ。こういうふうな農林省の考え方では、農民はこれを信頼できなくなるはずなんです。大臣、私はこの点の大臣の所信を伺いたいのです。  そうして、この農業の危機を打開していくために大事なのは農協という組織です。ところがその農協は、いまのままでいくと農民との間に不信感が高まる一方だと思う。第一は不正の問題、この不正の問題を徹底的に管理するような方式が立たないならば、農協はますますその経理の面からも不信感を招く。さらに、農協の変な形の政治行動です。自主流通米に賛成したのは農協の上層部だけで、それは新潟県に限ったものではない。青森県だって、稲作農民の大部分は自主流通米に反対の意向を持っておる。ただ、これは初めてのことだから、うまくいくか悪くなるかが未知数だ。もしこの結果が悪くいって、うまくいかなくて、そうしてそれが端緒になって食管制度の根幹がくずれるようなことになったならば、農協中央会を中心とする農協に対する政治的な農民の不信は高まる一方だ。そうして農民と農協との連帯性というものは弛緩し、農協は大きな危機におちいらざるを得ないことが心配される状態であります。  こういう重要な観点に対して、農林大臣は、農協不正に対しては現行法でできないならば、何か立法措置が必要だ。知事に権限があっても、地方に財源がないならば国はその財源措置を講ずべきだ。いまの法律にはどうあるか知らないが、私は戦前の産業組合運動をやり、今日なお農協組合長をやっておるが、戦前の産業組合法には、不正をやった理事を、裁判を待たずして行政命令で解任する条項があったのです。私は実は昭和八年ごろ、明治三十三年にできたこの法律で、行政命令で首を切られた一人です。農林省から出向した当時の主事というのが、私にこの法律を適用した。解任は受けたが、次の総会で私は満場一致で組合長になったことがあるが、今日、いかに民主化だか知らないが、不正をやったら、裁判の判決を待たなければ、組合理事から引き落とすことはできない。それはリコールでできることだが、これは、明らかに今日の民主主義の浸透した現在では、あってもいい条文だと思う。明らかに不正をなしたものに対しては、行政命令で職務の執行を停止するとか、その権限を取り上げるということはあってもしかるべきことだと思う。このような、もっと強い対策を講ずる必要があると思うが、農林省はこれに対してどのようにお考えになるか。
  146. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘のように、農協に対する不信の声がある。また、不正事件が頻発をしておる。こういうような点を十分われわれは理解もし、いろいろなお話しを承ってきております。  ただいまのお話の中に、委託経営なんというものはさせるべきではないとの御意見でございます。さらに、協業等を行なってというお話しでございますけれども、青森県のような大きな農業地帯になりますと、いろいろな角度も違うかもしれませんけれども、各県を見まするに、そう大きな農業経営ばかりがあるわけではない。したがって、日本の現在の兼業農家の実態というものも御承知の上だろうと考えられます。したがって、その方々が協業をしたいけれども協業するよりもこれを農協委託をして、そしてその経営をまかす、こういうような点のほうがかえって有利であろうというような考え方の上に立ったときに、委託経営をさせるわけであります。  私が申し上げたいのは、農協自体が、なぜいまの御指摘のように不信の声が出るのだろうということです。これは、やはり何といっても、生産面への指導という面に欠陥があるからだ。もっと農民と農協が密着をしなければならないはずなのに、そこに何らかの懸隔があるというような点が、その原因の最も大きいものではないだろうか。それが農業者の希望を満たすことができないのではないだろうか。  先ほど石田さんにもお話し申し上げたように、農協はそういう面の指導も直接やっていたかもしれないけれども、現在の日本の経済力にマッチして国民の食生活の構造自体というものが、急速の変わり方を毎日してきておる。こういうようになってまいっておりますので、消費者の嗜好そのものに生産面がついていかれない点にもあるやに考えられるのでありまして、こういう面の指導、たとえば、今度こういうような面を消費者が要求するであろうから、まず農協が、農民にかくなるものを生産すべしというような指導の面の徹底等、こういうところに錯誤があるやにも考えられるのでありまして、こういう面の調整指導が最も必要であり、これが農協に課せられたところの大いなる使命でなければならないと私は考えるのであります。   〔三ツ林委員長代理退席、安倍委員長代理着席〕  したがいまして、こういうような点等につきましては、特に受託経営の点についての御指摘等は、私はこれらの方法をとることによって、その農業者自体の直接の指導なり、農協の方々が直接これに携わることによって、直接土に入ることによって、さらに一段と日本農業の進歩をはかることができ得るのだというようにも考えるのでございます。  そういうような点について、欠陥があることはよくわかります。それらの欠陥につきましては、今後はさらに農協機能の強化をはかり、そうしたような見地から大いにこれらの指導に当たってまいりたい、こういうように考えるわけでございます。
  147. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私の質問に、一部誤解を含むようですから申し上げますが、私は、何も農協委託を受けるなり、みずから農業経営をやるということを否定するわけではないのです。ただ、一定の条件が備わらない限り、成功する可能性がないという意味を強調しているわけです。  というのは、確かに日本の農業の将来にとって、経営規模払大というのは、個人の自立経営の払大もありましょうが、共同による最も大きい経営規模の拡大をしない限り近代化ができない、機械化ができない。そうするとそれなりの、いわゆる進んだ技術の確立という絶対的な条件が必要である。今日の日本の農業には、そういう技術的な確立があるという根拠がないのです。  私は、明日八郎潟へ行って見てきますが、国があれだけ力を入れて、コンバインからカントリーエレベーターまでやったあの経営が、今日非常な困難におちいっている。希望を持って入植した人から、どうなるか来て見てくれという要請があってわれわれは行くのですが、あの経営でさえ困難だという今日、しかも、政府みずからが数年間のうちに数十万町歩の水田の作付転換をはかろうとするときに——あらゆる作目の中で稲作が一番安定している。それ以外のものはもっと不安定なんです。  こういうふうに一つ一つの作目が不安定な今日、何人分集めたって、これはプラスにならないのです。なるわけがないのです。ある程度価格の安定性があれば、多くやることによってそこにメリットが生まれるが、やればやるだけ損する。〇・九九はかければかけるほど小さくなるのです。一・一なら大きくなる可能性もあるが、農業のそういう根底的な問題、前提条件を考えないで、零細農家が離農をしたい、そうして点々と虫食い状態に放置する農業経営農協が引き受けてみても、どのような近代的、合理的な経営ができるか、子供でもわかる。これがわからないとすれば、農林官僚というのは何を研究しているのかわからぬということです。これは失敗するにきまっています。成功しないことは明らかだ。  関西にいかに小さな農家がたくさんあるといったって、至るところでメロンがつくられるわけじゃないし、温室ブドウがつくられるわけじゃない。おそらくこういうふうな高度な装置農業をやる人は、こういう委託経営をすることはまれだと思うのです。条件の悪いところ、そうして離農が進んでいるところがやる。そういうところほど労力が極端に不足している。  現在の農村の状態というものは、米の出荷の最盛期には、精米所で働く人夫も不足で、組合の参事も専務も倉庫で米のはいつけをしている。こういうふうなことも農業の実情なんです。法律を一ぺん改正すれば、そういうものが解決され、それがまた農業近代化のパイロットになるなんという、これは、ぼくはおそらく常識じゃなかろうと思うのです。これにほんとうに確信があるならば、私はその点だけ、この法律をわれわれが検討する間に明らかにしておいてもらいたい、何年か後には必ずこの回答が出ると思いますから。大臣、この点についての確信のほどを御披露願いたいと思います。
  148. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまのお話の中にあるような、虫食い状態にしておくという考え方ではなくて、そういう虫食い状態にならないように、ひとつ協業化するように、持っていくというか、それを受託していこう、こういうようなことでございますから、何も虫食い状態になるということを奨励する意味でも何でもないんでございます。  そこで、今後の問題に関しましても、つまり、おっしゃるように規模をなるべく大きく持って、そうして営農に携わる、そうした指導面に農協が中心となって当たらしていきたい、こういうような考え方でございます。
  149. 米内山義一郎

    ○米内山委員 では、最後に一つだけお聞きしておきますが、委託を受ける者は、何かしらぬ委託料というか、地代にあてはまる分を取らない限り委託する人はなかろうと思う。この部分を適当に指導するというような御答弁があったように聞いておりますが、これは反面農地法改正において、小作料の制限というものを緩和して、条件を適当なところまでやる、こういうんですが、そうなると、受託料の問題がきわめて微妙になるんです。何との関係になるかというと、いわゆる自立経営の拡大と関係がある。こういう離農者の、放棄じゃない委託しようという土地が、周辺の自立農家に流れていってこそ自立経営の拡大というものはできる。今日それさえ困難なときに、農協がまた新たな路線でこれをやるといったら、政府農業基本法で定めた、明らかにうたっている自立経営の拡大を阻害する。阻害関係が出てくる。競合関係が出ないとは限らぬと思うのです。協業経営においてもまた同じだろうと思うのです。この点についてはどのような配慮があるのか。特に受託者と委託者関係における地代にあてはまる部分と申しますか、端的に申し上げるならば、小作料というのは不適当かもわからぬが、それにあてはまる部分をどのように想定されているのか伺いたい。
  150. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その点につきましては、ただいま局長から答弁をいたさせます。
  151. 池田俊也

    池田政府委員 それにつきましては、先般もお尋ねがあったわけでございますが、私ども制度といたしましては、これは委託者農協との間の委託契約によってきまるわけでございます。  そういうことでございますけれども、ただいま御指摘になりましたような問題がいろいろあるわけでございますので、私どもは、その関係が当然適正なものでなければいけない。ただ、それをあまり画一的にするということは実態に合わない面もございますので、実態に合うように、それぞれの事情に応じまして適切な指導を加えたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  152. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わります。      ————◇—————
  153. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 引き続き農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は一応終了いたしておりますが、他に質疑はございませんか。——別にないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  154. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 引き続き討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  155. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  156. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 この際、本案に対し、兒玉末男君外三名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。兒玉末男君。
  157. 兒玉末男

    ○兒玉委員 自由民主党、民主社会党、公明党、日本社会党、四派共同提案による附帯決議案を朗読いたしまして、提案の説明にかえ、各位の御賛同をいただきたいと存じます。  それでは、まず附帯決議案を朗読いたします。     農業振興地域の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当り、国民食糧の安定的供給確保を使命とする農業振興がはかられるよう、左記各項の実現に十分留意して、その適正な運用を期すべきである。          記  一、本年度の運用に当っては、全国的視野から、その指針となるべき「農業生産の地域分担のあり方」を明らかにすること。  二、農業振興地域の指定および同地域整備計画の策定については、特に地域の実情に即応して未利用地、水資源の活用が図られるよう積極的に指導すること。  三、指定地域に対しては、国の農業施策を総合的に集中実施し、特に農業の近代化、機械化に即応する生産基盤の整備を一段と促進するため、これに対する国の高率補助について検討すること。   なお、指定地域以外の地域における農業の在り方については、慎重な配慮のもとに指導すること。  四、本年度の目的達成上、特に左の諸点の実現に努めること。   イ 農村における道路、住宅、通信、保健衛生施設等都市に比して立遅れの著しい生活環境施設の促進を図ること。   ロ 農業委員会のあつせん等による土地の取得については、税制上、金融上特別の措置を講ずること。   ハ 新都市計画法に基づく市街化区域、市街化調整区域と農業振興地域との関係を明らかにして農用地の保全、利用に支障なからしめるとともに、地価対策について特に配慮すること。   右決議する。  以上であります。よろしくお願いいたします。
  158. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  兒玉末男君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  159. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。長谷川農林大臣
  160. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、指導運営に万全を期してまいりたいと存じます。     —————————————
  161. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  163. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 漁業近代化資金助成法案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。長谷川農林大臣
  164. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 漁業近代化資金助成法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国の漁業は、国民生活に不可欠な動物たん白食料の供給上重要な役割りを果たしておりますが、最近の漁業情勢の進展に即応してその近代化を強力に推進し、生産性の高い漁業経営育成するとともに、水産物の安定的な供給をはかることが強く要請されております。これに対処して、漁港等の生産基盤の整備、水産資源の維持増大等をはかるとともに、漁船、漁具をはじめ漁業者等の施設の整備拡充を促進することが特に重要と考えるのであります。このためには、漁業者等に対する長期低利資金の融通を一そう円滑にする必要があることは申すまでもないところであり、漁村におけるこれら資金の需要はますます増加する傾向にあります。  このような情勢の中で、漁業金融において重要な地位を占める漁業協同組合等の系統機関におきましては、最近次第に資金量が充実してまいりましたが、資金コストがなお高く、長期低利融資の要請にこたえることが困難な状況にあります。そこでこの際、政府といたしましては、これら組合系統資金を活用して、漁業者等に対し長期かつ低利の施設資金の円滑な融通をはかるために利子補給の措置を講ずる漁業近代化資金融通制度を設けることとし、ここに本法案を提出する次第であります。  以下、本法案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず、本法案による漁業近代化資金の内容は、漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化に資するため、漁業協同組合等の融資機関が貸し付ける施設資金のうち、貸し付け限度額、償還期限及び利率等が一定の要件に該当するものといたしております。  次に、本資金にかかる利子補給の措置といたしましては、融資機関が貸し付ける漁業近代化資金につき、通常の場合には、都道府県が行なう利子補給の措置に対して国が助成することとし、農林中央金庫が全国段階の連合会等に本資金を貸し付ける場合には、政府が同金庫に直接利子補給を行なう道を開くことといたしております。  以上が、本法案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  165. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  次回は明十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会