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芳賀委員 どうも
局長の話を聞いておると、失礼かもしれないが、農協問題についてはあまり苦労しておらぬですね。
農林省の中で、たとえば戦後でもいいですけれ
ども、
農協法ができてから今日まで二十数年の間の歴史的変遷に、身をもって当たった
農林省の役人の皆さんであれば、こういう安易な
考えで、
法律の
改正だけでやれば問題は解決できるというふうにはならぬと思うのですけれ
どもね。
たとえば、
昭和三十七年に
農協法の
改正をやったとき、これは
農地法の
改正も同じにやって、あのとき
農地信託の事業を農協がやれるという
改正をやり、あるいは
農業生産法人の規定を
農地法の中に入れるとか、相当大幅な農協の性格に及ぶような
改正を、
農地法とあわせて行なったことがあるわけです。あの
改正のときに総会の代理権を、従来は出席した正組合員は他の組合員の代理権を一票行使できるというふうになっておったのが、あのときの
改正で、本人を入れて五票、つまり本人を除いて四人の組合員の総会出席の代理権を持つことができるというふうに
改正したわけですね。このときも、社会党はそれは問題がある、一人で他の四人の総会の出席権を代表するというようなことは、これは当然弊害が起きるので、そういうのは避くべきであるということで議論をしたことがあるのです。
もう
一つは役員の選挙で、それまでは総会内における選挙あるいは総会外における選挙、とにかく総会においても総会外においても、組合員の投票をもって役員選挙をやるということになっておったのが、あのときの
改正で、今度は選任することができる。これはいずれも組合の定款によってそういう方法をとることができるというふうな法の
改正であるし、今回の場合にも、総代会をして全体の総会にかえる場合には、こういうこともできるということで――それはそれぞれの農協が、定款において規定すればいいわけで、
改正されたから必ずこうやりなさいということではないが、しかし、三十七年の
改正によって、今度は役員の選挙は投票によらないで、総会の
決定に基づいて、総会に出席した者の中から数名の選考委員をあげて、選考
委員会において役員を選任してもかまわぬというふうに
改正したわけですから、これは大きな改悪なわけですよ。他の
土地改良法にしても、共済組合法にしても、総会において選考
委員会を設けて役員の選任ができるというような規定は、いまの
農協法以外にはないのですね。
だから、総会の代理権を五票まで認めるとか、投票によらないで総会で数名の選考委員によって役員の大事な選任ができるというような改悪を、もうすでに行なって今日に来ておるわけなんですよ。これはもう
法律になっておるから否定することはできませんが、たとえば、大型化して全体総会ができないということであれば、いまの
法律規定によれば、五人までは代理できるということになれば、出席できない者は代理を委任するというような方法でも、これは十分そういう適正な総会というものは成り立つわけですね。われわれはそういうことを奨励し推奨するわけではないが、いまの
農協法の規定を合法的に使えば、実人員の出席はその五分の一でも、全部が出席したと同じような結果になると思うわけですよ。
それから一方においては、選考
委員会における選任制も残した中で、今度は総代会において役員の選任ができるということになれば、いま
局長はこのほうが民主的だと言うが、とにかく全組合員の
意思というものが、役員選挙の場合においても、組合の法人としての最後の
意思決定に、直接関与できないという弊害も出てくるわけですね。これを全部まともにやればいいが、なかなかそういうわけにはいかないのです。だから、今度の
改正というものは、そういう点にも大きな問題があるわけなんですよ。
だから、たとえば大型化に対応して総代会に権限を与えるとすれば、せめて総代は、これは組合員が選挙の形で選ぶわけでしょう。そうじゃないですか。総代は選挙でやるということであれば、役員の選挙は、組合員数が多いからできないということはないと思うのです。共済組合等においても、役員は、総代制をとっているところでも、全組合員が直接投票で選挙するわけです。
土地改良区においても、総代は選挙を通じて選出するということになっておるわけです。だから、一番民主的で
法律的にも
指導的な
役割りを
農政上果たしておる協同組合の議決のあり方とか、総会のあり方とか、役員選挙のあり方というものを、逆行させるような
改正というものは、慎重に取り扱ってもらいたいと思うのですよ。そう思わぬですか。