○芳賀
委員 これは、統計
調査部長もあなたと同じような答弁をしなきゃならぬと思うのですよ。先輩が先にそう言っちまえば、そうじゃないですか。それで念のために、当時の質疑の問題になった要点だけをちょっと読んでみます、これは記録に残るわけですから。ここで議論になっておる点は、この
農林省の統計
調査の資料というものを、特に
価格政策上悪用しておるという点が一番問題なんですよ。それを何にも使わないということであれば、これは無害無益ですか、そういうことで終わると思うが、これを悪用する場合には有害の面だけが出てくるわけです。ここに問題があるのですよ。
これについては、当時の赤城
農林大臣は、「統計
調査部の機能というと、非常に広範囲にわたると思いますが、機能をどういうふうに
考えるかということ、独立的に
考えるか、こういうことかと思います。私はこれはあまり政治的な制約とか筋等でなく、ほんとうに純粋に統計というものは扱ってもらわなければ、これは大きな政策の間違いを起こします。他に影響も大きいので、公正に、干渉を受けず、統計事務を続けさせていきたい、」こういうことを言っておるわけですね。悪用をすると、これは政策上の間違いを起こすということを、赤城さんも私とのやりとりの中で言っておるわけです。
ところが、あなた方は悪用を毎年毎年続けているわけです。一円九十二銭上げなければならぬのに、これを悪用して上げないで済むように、統計の飼料作物の
生産費を使っているわけなんです。これは、歴代の
大臣の
考えと違うことを役人の皆さんはやっているが、これを長谷川
農林大臣が漫然と許容しているというところに、ちょっとニュアンスの違いが出てくるのではないかと私は心配しているわけです。
それから、当時の木田統計部長は、「私
ども統計
調査部での
生産費の
考え方は、先ほ
ども申し上げましたように、現に
生産費として投下されたものとして
考える家族
労賃は、何を基準にしたら適当であろうかということで、従来臨時雇用の
労賃をとっておるということを申し上げたわけであります。」その次に、もう一度こういうことを繰り返しております。「いまの
生産費の
考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、従来ともそういう
考え方で継続的にやっておりますので、同じ
考え方でもって
生産費の
考え方を継続しておるということでございます。」それからさらに、特別何か法令に根拠があるかということになると、特別の法令の根拠はありませんと言うわけです。だから根拠は付もないんですよ。こうやれば農民を圧迫することができるというような、そういう古い過去の封建的な
考えというものは、やはりいまの官僚制の中に残っておるんですね。これはやはり官僚制の弊害の最たるものの一つのあらわれであると思うんですよ。
だからもう少し真剣に
——一体いまの農村における臨時的な労働というものは、どういうような質と内容を持っておるかということは、皆さんよくわかると思うんですよ。だから、この四十二年度の生乳の
生産費の中にも
——酪
農家は、
生産農家は、臨時労働というのは雇用していないんですよ。雇用しておれば、それは実績として賃金を支払っておるわけですから、たとえば一日八百円なら八百円支払っておる、これは雇用
労賃で出てくるから問題がないんですよ。支払ったものがそのまま
生産費として統計の中に出てくることはいいんですよ。ただ、
農家は長年の労働の経験とか熟練度を持っておって、その直接
生産者の労働の成果である。これは農村の婦人たちが、いまは全国的に、
農家の田植えとか、稲刈りとか、除草のいわゆる労働力の給源になっておるんですよ。男子の臨時労働というのは、ほとんど農村にはないんですからね。全部出かせぎに行ってしまっておるからいないんですよ。婦人の下熟練な、質的に非常に能率の上がらぬ労働というものに対して、仕事の成果以上に農村ではやむを得ず、労力不足から支払わなければならぬ。
しかし、酪農の場合は、飼育
管理にしても飼料の
生産にしても、そういう労働では仕事にならないんですよ。自給飼料の
生産費というものが、時間的にも
生産費の面でもなぜ逓減しているかといえば、ほとんど機械化になっているでしょう。
太田局長は、この飼料の
生産というのは臨時雇用でできると言うが、そういうことにはならないですよ。
北海道をはじめ一道六県の主要な
生産地域における自給飼料とか草地の経営というのは、どういう形でやっているかということは、
太田局長もよくわかると思うのですね。ほとんど機械化してやっているんじゃないですか。牧草の刈り取りにしても、乾燥にしても、梱包にしても、サイロの切り込みにしても、ほとんど機械力を利用しておるから、生乳百キロ当たり二・三九時間で済むということになるわけです。それが、市街の給料取りのかあちゃんたちの、そういう不熟練労働で代替できるというような
考えで問題を片づけるわけにはいかぬですよ。もしできるんであれば、そういうことをやっている地帯というもの、これを統計のほうから示してもらいたいのですよ。たとえば、北海道のどの地域で、自給飼料の
生産は全部地元の市街地の給料取りのかあちゃんたちが来て、機械の作業も、サイロの切り込みも、全部やっているというような実例があれば示してもらいたいのです。
この統計の資料には、そういう役に立たない臨時雇用などは使っていないのですよ。使ってないということは、そういう労働力を雇い入れても仕事にならぬから雇い入れしないということなんですよ。何も飼育
管理と自給飼料の
生産において、飼料の
生産のほうが質的に劣って差しつかえないということにはならぬと思うのですが、どうですか。これは統計
調査部から言ってもらいたいと思います、これは四年、五年来の懸案ですから。これは統計に問題があるのですよ。使ってないものを、安い日雇い賃金で評価がえするなんというのはおかしいじゃないですか。