○
池田政府委員 私
ども、従来の農政の
あとを振り返ってみますと、その点が非常に欠けていたんじゃないかという気がいたしますのは、実は
地域との結びつき、これは現実には
市町村なりの
段階に入りますと、
地域と結びつかない農政というのはあり得ないので、当然そこで結びつくわけでございますけれ
ども、何と申しますか、もう少し上の
段階で
考えました場合には、どうも
地域と結びつけていろんな施策を
考えるということは、どっちかと申しますと、非常に妙な言い方でございますけれ
ども、ある
意味では避けていたというような感じもあると思います。これは率直なところを言いまして、いろんな政治上の問題もございますしいろんな問題がありますので、むしろそういうようなニュアンスもあったんじゃないか。
ただ、これはいま申し上げましたように、下に行けば行くほどその
地域と離れた
行政というのはあり得ないわけでございますので、当然これは結びつかざるを得ない。特に、この前
農林省としては、需要と
生産の長期見通しを発表したわけでございますけれ
ども、需要と
生産とのある
意味ではギャップというようなものが、たとえば主要作物である米についてもあらわれてきているというような
現状では、やはりそういうことでは済まないわけでございまして、私
どもはもうはっきり、この
地域については、
農業の
生産の中でもこういうような分担
関係でものごとを
考えていくというような方向を明らかにすべきであろう、こういうところにまで実は踏み切ってきたわけでございます。
それで、そういう前提でこの
制度も
考えてまいりたいと思うわけでございますが、この
制度によりまして
農業振興地域というものが、先ほど申し上げましたような観点から確定をされました場合におきましては、私
どもは、これはたびたび申し上げておるわけでございますが、従来行なっておりますいろんな施策、まず
土地基盤
整備から始まりまして、その上にいろんな機械でございますとか、施設でございますとかというものを、各原局がいろんな
事業の名前で、構造改善
事業もその
一つでございますけれ
ども、実施をしておるわけでございます。これはわりあいに広域的な施設、たとえば果樹の濃密団地というものにつきましては、国自体が
地域というものを
考えて、そこではっきりした方向を打ち出しておるわけでございますけれ
ども、必ずしもそうでないものもたくさんあるわけでございます。そこで私
どもは、そういうようなもろもろの
事業というものの投下の目標というものをこの
制度できめていただきたい。この
制度できめましたものに対しては、国が責任を持ってそこを中心に
事業の促進をはかっていく、こういうようにいたしたいと
考えておるわけでございまして、この点につきましては、どうもこの
制度に固有の財源がないということから不安を持たれる向きもあるわけでございますけれ
ども、私
どもはその点については、
相当まじめに従来の
事業をそこに集約していく、今後の新しい
事業もそこに集中的に実施をしていく、そういうことによって
土地の高度利用というようなことを実現していく。
その反面からいたしますと、その
振興地域にはずれましたところは、どうも
農業施策の上から取り残されるのではないかという不安も一面ではあるわけでございますけれ
ども、私
どもは実は全くそういうふうにも
考えてないので、これはいろんな営農
指導なり、あるいはまた事情の許す限りの
農業施策も、その
地域において必要なものはやっていきたいとは
考えておりますけれ
ども、やはりあくまでも基本は、
農業振興地域を中心に公共投資その他の
事業を集中的に実施して、そこの
生産性を高めていく。もちろん自立経営の育成というようなことも重要な目標でございますが、同時にそれだけではなしに、協業経営あるいは協業組織というようなものも助長していく。こういうふうに実は
考えておるわけでございまして、これは私
どもの局が実は直接主管をしておるわけでございますが、第二次の構造改善
事業等はまさにそれとうらはらの
関係で実施していきたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。