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1969-03-25 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十五日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 白浜 仁吉君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君       大野 市郎君    金子 岩三君       小山 長規君    佐々木秀世君       菅波  茂君    中尾 栄一君       中垣 國男君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    松野 幸泰君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       芳賀  貢君    美濃 政市君      米内山義一郎君    神田 大作君       樋上 新一君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省畜産局長 太田 康二君  委員外出席者         農林省農地局計         画部長     加賀山國雄君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月二十日  松本市入山辺に営林局肉牛生産実験牧場開設に  関する請願増田甲子七君紹介)(第二三五四  号)  農地法の一部を改正する法律案成立促進に関  する請願外三件(三木武夫紹介)(第二四二  〇号)  同外十五件(仮谷忠男紹介)(第二五〇〇  号)  同外三件(早川崇紹介)(第二五〇一号)  同(松澤雄藏紹介)(第二五〇二号)  同(森山欽司紹介)(第二五〇三号)  同外一件(渡辺美智雄紹介)(第二五〇四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業振興地域整備に関する法律案内閣提出、  第五十八回国会閣法第一〇一号)  農林水産業振興に関する件(加工原料乳の不  足払限度数量に関する問題)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農業振興地域整備に関する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 先般、農振法案に関連して御質問を申し上げて、保留しておる点がございました。その保留の点で御質問を申し上げたいと思うのです。  先般、農振法案に関連する、今後これを実施する過程で、政令及び省令等規定をつくるという、それに関連して資料要求をいたしまして、資料提出を願いましたのでお尋ねを申し上げたいと思うわけですが、この第一という中で、四条の一項の政令のおもなる内容というものは、この整備基本方針を定めようとする場合には、農業に関して学識経験を有する者等意見を聞くという、要するに決定手続規定するということになっておるわけですが、この農業に関しての学識経験を有する者というのは、どういう範囲の者を学識経験者として見るのか。これは市町村でなしに都道府県に限るのか、あるいは市町村都道府県ともにこういう学識経験を有する方の意見を聞く、こういう構想であるのか、この点を一つ明確にしてもらいたいと思います。
  4. 池田俊也

    池田政府委員 この規定は、農業振興地域整備基本方針の策定に関する規定でございまして、そういうような関係で、知事基本方針をきめます場合には、農業関係専門家の御意見を聞いてきめる、こういう規定でございます。  そういうような関係から、私ども考えておりますのは、要するに農業関係の、たとえば農業団体関係の方でございますとか、あるいは単に農業関係団体でなくて、一般的に、たとえば全くの学識経験者、いわゆる学校の教授、そういうような方でございますとか、特に限定をいたしませんで、そういう農業関係学識経験を持っている方の意見を広く聞く、こういう趣旨でございます。  したがいまして、市町村整備計画をきめますときにも、やはり同じような、これは八条でございますけれども、やはり「政令で定めるところにより、」という規定がございまして、これにつきましては、また別途関係団体等意見を聞くということを政令できめる予定でございますけれども、この場合は、一応県段階基本方針でございまして、したがいまして、そういう関係では、やはり県の農業連合会でございますとか、あるいは中央会でございますとか、そういう方が大体中心になるのではないかと思います。
  5. 柴田健治

    柴田委員 こういう手続規定する場合には、ただ単なる学識経験者として、あとはしかるべくやれ、こういうことでは、行政指導の面でわざわざこれを入れなくてもいいんじゃないかという気がするわけですね。これだけの文章を入れるということになれば、やはりその都道府県が、どういう者を学識経験者として認定するかということぐらいの基準というものがあってしかるべきではないか。いまの御答弁を聞いておると、しかるべくやれ、およそこの程度のものだ、こういうかいつまんだ考え方というものでは、どうも私はおかしいと思うのです。もっと何か具体的に、こういうものを含めたらどうかと思っておるんだ、こういう程度お答えを願わぬと、ただ中央会だとかその他の農業団体だとかいうもの——そういうことならば、その他の農業団体、こうしておけばいいのであって、わざわざ学識経験者という明文を入れる限りにおいては、何か定義があるはずだと思う。その点をひとつお答えを願いたい。
  6. 池田俊也

    池田政府委員 これは、もちろん法律が成立いたしました段階におきましては、私ども法律施行に関する行政指導を行なうわけでございます。具体的には、たとえば事務次官名等通達を出しまして、こういうようなやり方でやるのが好ましいというような指導をいたす予定でございます。当然その通達の中には、たとえば、こういうような方を一応考えるのが好ましいという指導をいたすわけでございまして、その場合におきまして、まだこまかい点まできめているわけじゃございませんけれども、大体の考え方といたしましては、やはりさっき申し上げましたように、たとえば、当該県の農協の連合会会長でございますとか、あるいは中央会会長でございますとか、あるいは県の農業会議会長でございますとか、あるいはその他の必要な学識経験者、こういうような具体的な指導をいたす予定でおります。
  7. 柴田健治

    柴田委員 いずれあと質問者がこまかいことをお尋ねされると思いますから、次に移りたいと思います。  法の第四条第五項に基づいての政令は、これは書類添付の問題だと思うのです。「申請書添付書類を添えて」これは書類の分類を明確にするものではないか、こう思うのですね。この場合、添付書類まで明確にして手続をさせるとするならば、これはよほど権威がなければならぬ。ところが、この農振法案内容は、事業実施ということは抜きにして、ただ計画だけが重点になっておる計画だけに、登記をするときのような、それほど添付書類を明確にしなければならぬ必要があるのだろうか。この点の見解を聞いておきたいのですが、どうですか。
  8. 池田俊也

    池田政府委員 これは、特に非常に重要な意味を持っているものではないと私は思います。しかしながら、この基本方針におきましては、第二項にございますように四項目ほどの事項をきめる、こういうことになっているわけでございまして、それにつきましては、いろんなその地域におきます現状でございますとか、そういうことについての資料が、これはいわなくても当然添付されると私は思います。思いますが、念のためというような趣旨で、たとえば、現状作目構成はどうなっているとか、あるいは農家の状況はどうであるとか、あるいは土地状況はどうなっておるかといったような書類が当然添付されると思いますけれども、念のために、必要があればそういうものを添付させるようにいたしたい、こんなふうなつもりでおりまして、特に非常に重要な意味を持っているものだとは、必ずしも思わないのでございます。
  9. 柴田健治

    柴田委員 わざわざ政令でこういうことをきめられることになれば、必ず添付する書類の規格、様式というものを示されるのだろう、こう解釈せざるを得ないのですよ。いま局長の御答弁を聞くと、重要視するようなものではないというお答えなんですが、ところが文で出てくると、やはり法治国家として法の権威を守るという立場から、きちっとしなければならぬのではないか。たとえば、金の借り入れをする場合、農林漁業金融公庫で金を借りる場合には、こういうことを政令できめられると、相当のきびしい書類をつけなければならぬというような考え方に立たざるを得ないのです。ところが、お答えを聞くとさほどきびしいものではない、重要視してないということでありますから、わざわざ政令できめられることについて、あなたのほうは軽い考え方でこういうものをきめられても、末端における受けとめ方というものは、非常にきびしいのではないかという受けとめ方で、これは計画手続が手間取るのではないかという気持ちを与える、こういう考え方に立ちますので、お尋ねを申し上げたわけです。  それから第三点、法の第六条第五項で、これも農林省令できめるというのですが、「都道府県公報に掲載して行なう」とあるけれども、この公報に載せるということになれば、これもまた期間をどうするのか。期間的なことは何か考えておられるのですか。およそ何日間ぐらいは公報に載せるのか。ただ公報に載せっぱなしでいいというのか。手続が済んだら公報にどういう方法で、どういう時点で載せるのか、その点をどうするか。
  10. 池田俊也

    池田政府委員 これは、御承知のとおり県に大体公報があるわけでございますけれども知事農業振興地域指定をいたしますときにはその公報に掲載していく、こういうことでございまして、これは公報に一回載ればもちろんいいわけであります。
  11. 柴田健治

    柴田委員 いや、それは農林大臣が承認をしてから公報に載せるのか、承認しない前に、農林省にあげると同時に公報に載せるのか、その点はどうなんですか。
  12. 池田俊也

    池田政府委員 これは、法律にきめてあります手続が終わりまして知事指定をするわけでございますが、その知事指定をいたします場合には、当然関係市町村協議をするということがあるわけですけれども、それが終わりました段階公報に載せて指定をする。そしてその後におきまして、六項には、知事指定をしたときには、その旨を農林大臣報告するということになっておりますから、公報に載せた後に報告すればいいわけでございます。
  13. 柴田健治

    柴田委員 それから第八条第一項の政令で、「市町村農業振興地域整備計画を定めようとするときは、農業協同組合土地改良区その他関係農業団体等意見をきく」ということになっているのですね。農業協同組合ということになれば限定されていますから、これは理解できるのですが、土地改良区というのはその地域内に数がたくさんあるわけですね。三つ四つあるところもあれば、十ぐらいあるところもある。この土地改良区ということになると、規模の大小を問わず全部入れるのですか、どうするのですか。土地改良区の連合組織というのは市町村にはないのですね。県段階には、法的に土地改良区の連合会ができているが、市町村ばらばらなんです。何やら土地改良区、何やら土地改良区とたくさんあるわけです。この土地改良区に全部意見を聞くのかどうか、どういう組織形態にするのか、この点はどうですか。
  14. 池田俊也

    池田政府委員 これも、具体的には行政指導段階でさらに明らかにしたいと考えておるわけでございますが、私ども考えでは、必ずしも関係がございますすべての土地改良区の意見を聞かなければならないというふうに、かたく考える必要はないのではなかろうかというふうに考えております。
  15. 柴田健治

    柴田委員 全部の土地改良区の意見を聞く必要はないと言われるが、それならどういう方法で聞かれるのか。片手落ちをしても困るので、農業振興地域整備計画については、たとえば、市町村内にある土地改良区の何か協議会的なものをこしらえて、協議会で統一的な意見を出してもらうとかなんとか指導面でやらないと、それこそばらばら意思統一というものははかりにくいと私は思うのですね。その点についての何か具体的な考え方があるか。
  16. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、やはりこういうものについて個別に意見を聞くということは、必ずしも適当でないのではなかろうか。むしろそういう関係代表者に集まっていただいて、たとえば、協議会というようなものを市町村構成しまして、そこにおはかりをするというようなことで、統一した結論を伺うというような形が一番いいのではないかという考え方を持っているわけでありまして、大体そういうようなことでやったらどうかと考えております。
  17. 柴田健治

    柴田委員 一番最初、第四条第一項で学識経験者というのを聞いたのですが、この法の第九条第一項の政令では、これもまた都道府県振興整備計画を定めようとする場合には、「都道府県農業会議都道府県農業協同組合中央会都道府県土地改良事業団体連合会その他関係農業団体等意見をきく」というのですが、こういう団体ごと意見ばらばらに聞くのか、都道府県においては何か審査委員会等を設けてやるのか、この点を伺いたい。各団体に来ていただいて、こういう整備計画がこの市町村からあがってまいりました、県としてはこれを承認したいと思いますが、どうでしょうかというのでなくして、やはり審査委員会というものをこしらえて、計画があがってまいりますと、その計画をつぶさに内容を検討して、適当な計画であるかどうか審査をするというのか。県の事務当局にまかしてしまって、ただ意見を聞くだけにしてしまうのか、この点の取り扱いはどうするのです。
  18. 池田俊也

    池田政府委員 これも、先ほど申し上げました市町村の場合と大体同じようなことで、ただいま先生がおっしゃいました審査委員会といいますか、あるいは審議会といいますか協議会といいますか、そういうような関係の各団体の方々あるいはその他の学識経験者をメンバーにしましたような会合をつくりまして、そこにおはかりをするというような形が、一番いいんじゃなかろうかと考えているわけでございます。
  19. 柴田健治

    柴田委員 そういう考え方になれば、これは各都道府県ごとの任意にまかせるのですか。
  20. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま申し上げましたような考え方で、行政指導をいたしたいという考えでございます。
  21. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  22. 丹羽兵助

    丹羽委員長 速記を始めてください。      ————◇—————
  23. 丹羽兵助

    丹羽委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十三年度加工原料乳限度数量に関し、政府よりその交渉経過等について説明を聴取いたします。太田畜産局長
  24. 太田康二

    太田政府委員 前々から当委員会等におきまして、限度数量をこえたので、一体どう措置するかというお話がございましたわけでございますが、御承知のとおり、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法制度は、すべての加工原料乳に対しまして不足払いをいたす制度にはなっておらないわけでございまして、限度数量というものが設けられておるのは御承知のとおりでございます。  そこで本年度は、実は生産が非常に伸びましたわりに飲用乳の消費が伸びませんので、加工原料乳が非常に発生いたしまして、まさに限度数量をこえるという事態が起こってまいったのでございます。最終的には三月末の集計を見ないとわからぬわけでございますが、相当の県におきまして、いま各県別に割り当てておる限度数量をこえるという事態が出ておることは明らかでございます。  そこで、われわれといたしましては、まず一時的には府県間の調整をいたしまして対処する。こえたものはどうするか、こういう問題になるわけでございますが、実は昨日来大蔵省とも折衝をいたしておるのでございます。ただ、実際の問題といたしまして、明年度限度数量決定等もこれにからんでおるわけでございまして、保証価格の問題、あるいは基準取引価格の問題、安定指標価格問題等々含めまして、全部最終的に事務当局の間で話をきめる段階におきまして、その際の処理一環として、この限度数量の問題にも対処するということになっておるのでございまして、実は本日までには、具体的にここでこういうふうに措置いたしますと御報告を申し上げることのできないのがはなはだ残念でございますが、実情はそういったことに相なっておるのでございます。
  25. 丹羽兵助

    丹羽委員長 質疑申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま太田畜産局長から、昭和四十三年度限度数量改定に関する説明がありましたが、実は先週の木曜日、三月二十日の当委員会において、農林大臣並びに畜産局長出席ができなかったわけですが、そのかわり小沢政務次官並びに牛乳乳製品課長松浦君が出席されまして、いまの局長答弁内容よりももう少し前へ進んだ質疑がすでに行なわれておるわけです。それで前回の委員会においては、この質疑内容あるいは私の発言の本旨については、政務次官並びに松浦課長から農林大臣並びに畜産局長にその旨をよく伝えてもらって、そしていま畜産審議会が開催中であるし、特に二十八日には、この関係を扱う酪農部会が開かれるわけですからして、法律のたてまえ上四十三年度限度数量改定する場合においても、当然審議会に、これは酪農部会で用は足りるわけですけれども審議会にはかって増額の改定をしなければならぬ手続上の問題があるので、それ以前に当委員会に対して、誠意のある農林省としての方針を今日明らかにしてもらいたい、こういうところまで話が進んでおるわけです。  それは改定ができるかできぬかというような問題とか、財政上の見地から困難性が伴うかどうかというような問題については、これはもう議論が終わって、限度数量の算出の基礎、あるいは四十三年度のなま乳の需要量の計算並びに需給表と今年度末における実績等比較論についても十分やりまして、私の指摘に対しは、政務次官はまだしろうとだといっては失礼ですけれども経過をよく御存じないが、担当松浦課長十分話のわかる人物でして、私の指摘に反論あるいは否定が何ら行なわれなくして審議が進んでおるわけですから、きょうはせっかく局長が来て、中間報告にもならぬようなことでは、これは非常に誠意がないと見受けられる。  ですから、きょうどうするということのまだ結論が出ないとすれば、たとえば明朝までにでも、局長で十分問題を詰めることができなければ、農林大臣を先頭に立ててやってもらいたい。この問題はやはり明快に、政治論としてではなくて制度論の上に立って、限度数量というものが、年当初の計画年度末の実績等相当食い違いがあって、実態に沿わぬような点が発見された場合には、改定するにやぶさかでない、それはできるのだということを、この際実証する必要があると思うのです。  今度の場合には、数量的に見ても、飲用の面についてもあるいは加工の面についても、供給面需給計画を大きく上回って、過剰傾向を現出したということには何らなっていないのですよ。これは局長おわかりだと思うわけです。ですから先日も指摘したように、畜産審議会の総会へ行ってあいさつの中でわざわざ、限度数量改定はむずかしいなんてあいさつまでする必要はないんですよ、実際を言うと。そういう点もありますので、あすはぜひ数歩前進した形で方針をはっきりして、当委員会報告してもらいたいと思います。もう一日猶予を置きますが、どうですか。
  27. 太田康二

    太田政府委員 先ほども答弁申し上げたのでございますが、明年度保証価格、あるいは基準取引価格、さらに限度数量、それから安定指標価格等を、実は二十八日の酪農部会を控えまして、現在大蔵省と話を詰めておる段階でございます。  そこで、実はその一環として処理されるということは、先生のほうから見られますと、非常に話がおかしいじゃないかというような議論もあろうかと思いますが、実はそれをからめて、限度数量処理の問題が議論をされておるのでございまして、これらを全部一体的にきめたいということで、せっかく努力をいたしておるのでございまして、なお今日も引き続き大蔵省と話し合いを続けて、できる限り先生の御期待に沿うように努力を続けたい、 かように考えております。      ————◇—————
  28. 丹羽兵助

    丹羽委員長 引き続き農業振興地域整備に関する法律案質疑を続行いたします。柴田健治君。
  29. 柴田健治

    柴田委員 引き続いてお尋ね申し上げますが、十二条の二項に基づく省令では、縦覧方式をはっきりするというのですが、この縦覧あり方というのは、どういう方法で具体的にやられるのですか。
  30. 池田俊也

    池田政府委員 これにつきましては、通常行なわれております公告あるいは縦覧方法によるという考えでございまして、特に特別な方法考えているわけではございませんけれども、たとえば、ここに書いてございますように、県あるいは市町村事務所において必要な図面添付して行なうというようなことで、たいてい県なり市町村事務所に掲示をいたすような場所があるわけでございますので、そういうところに、必要な図面添付いたしまして一定期間縦覚をする、こういうようなことを農林省令できめたい、こういう考えでございます。
  31. 柴田健治

    柴田委員 市町村の場合は、何カ所か告示をする掲示板があるわけですね。県の場合はない。案外ないんです。県の場合はどこに告示をするか。選挙なら、ポスターを張る掲示板がたくさんできるんです。たとえば県の場合、税の滞納で物件の差し押えをして競売に付する場合の告示なんていうのは、やっぱり県の公報に載せる程度だ。縦覧告示板というのはない。市町村の場合はある。市町村の場合の縦覧方式というのはわかる、いままでいろんな告示をやっておりますから。町村の場合は公報という制度があんまりない。機関紙等はあります、町村広報活動の中で。そういう町村広報活動機関紙を利用して告示をさせるのか。それも一つ方法であるし、県のほうは、やはり告示というたって、関係市町村のないところに告示したってそれはどうにもならない。整備計画を立てていない市町村告示したってどうにもならない。この点の縦覧方法というものを、やはり県なら県、市町村なら市町村あり方を変えるべきじゃないか。ただ一律に省令できめると、都道府県は困ると私は思うのです。市町村のほうはどうなるのか。市町村でも、機関紙を県の公報のように使ってもいいじゃないか。やはり住民に十分知らせていく、広報活動機関紙に載せていくということも一つ方法だから、行政指導でやったらどうか、市町村の場合は。こういう気がするのですが、どうですか。
  32. 池田俊也

    池田政府委員 まあいずれにいたしましても、これは関係の方に広く内容を知っていただくという趣旨でございますので、単に形式的にやったというだけでは十分でございませんので、私どもは、実態をもう少し調べまして、うまく一般に周知ができるような方法をとりたい。たとえば、県の場合でございますと、私は、関心のあります方は、これはこの事業をやっております主管課におそらく行かれるということだと思います。たとえば、農政課というようなところでこの仕事をやることになると思いますけれども、そういう場合には、農政課担当者のところに必ずそれがございますから、十分この内容を知ることができるというようなことになると思いますので、まあそういうような、とにかく最も周知ができるような方法をさらに検討いたしまして、それが実際に実行できるような指導をいたしたい。具体的に通達等指導をいたすつもりでございます。
  33. 柴田健治

    柴田委員 まあいろいろこの法の運用をはかるために、政省令できめこまかいことをきめられるという構想だけは示してもらったのですが、これだけのことを県にやらせるということは、県の人的構成、いまの機構の中ではたして消化できるのかどうか。特別に職員の一名か二名か三名か増員するということになるのか。都道府県のほうは、そういう受け入れ体制、これを実施する過程の中で職員構成をどうするのか。そういうことは、各都道府県とは十分連絡をとっておるのかどうか。見解はどうですか。
  34. 池田俊也

    池田政府委員 まあこの法案を作成いたします段階では、当然県の関係の方等の御意見をいろいろ伺っておるわけでございますが、確かに新しい仕事でございますので、この仕事を相当本気になってやるということになると、事務がある程度ふえるのは、これは確かに御指摘のとおりだと思います。しかしながら、この関係で特に県なり市町村の人員をふやすということも、実際問題としてはなかなかむずかしいわけでございますので、私どもは、県なり市町村の中の人員配置等にひとつごくふうを願いまして、この仕事を的確にやっていただきたい、そういう希望を実は持っておるわけでございます。
  35. 柴田健治

    柴田委員 金もあまりやらないわ、人の問題も考えないわという、これはいよいよ血も涙もない押しつけ法律だ。政務次官お尋ねするのですが、そういうことでいいのですか。
  36. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 確かに、一般論から言いまして、国がいろいろな法案考え、国全体のいろいろな面から方針をきめていきます場合に、新しい制度あるいは新しい事業計画というものがどんどん毎年つくられていく。それについて地方庁が、これを受け入れるだけの人的構成あるいは事務費その他の面で、十分体制が整っておるかどうかという点では、基本的には先生が御心配のような点も、いろんな面に出てくるかと思います。しかし、これは御承知のとおり、前通常国会からの問題で、昨年から私どもこの法案についても、また今後の農業問題を考える際に、どうしても農業振興すべき地域を確定し、整備計画をつくらして、安定した農業の関発発展というものを考えなければいかぬというので、十分主管部長を通じまして、それぞれの県とも打ち合わせをとってございますので、現在の予算では事務費の交付しかありませんけれども、既定の人員の中で、県のほうがそれぞれ受け持ってくれましてこれを消化し、また協力していただける、こういう自信を持ちましたので御提案申し上げたわけでございます。  今後なお、御協賛をいただいた上で、一そうひとつ地方庁ともよく連絡をして、事務の点についても十分合理化をはかりながら消化していってもらう、そういうつもりでございますから、私どもは県との打ち合わせにおいても、その点は十分消化できる、こういう確信を持ってお願いしているわけでございます。
  37. 柴田健治

    柴田委員 次官の答弁を聞いておると、まあ何とかやってくれるだろう、結論的にいえばそういう答えになっておるようですが、これだけの法律をつくり、政省令をつくってきめこまかいやつを出すということになると、これは市町村においても県においても、たいへん事務量というものがふえてくる。それは何も考えないで、ただよく話し合いをしてやっていく、こういう答えでは、これはもうあわててやらなければならぬ法律かどうか、そういう制度かどうか、そういう疑問も出てくるわけですね。事務的な予算、人的な増員も考えられない。そんなら、もう地方は何を押しつけても受け入れるだけの人が余っているのか、都道府県なり、市町村職員はそれだけ余っているのか、そういうことを一般に印象を与えるということです。それでは地方公務員の皆さんは、地方公共団体職員の皆さんは、国は何でも押しつけてくる、一つも人をふやしてくれないし経費も見てくれない、もうとにかく袋と思っているんだ、袋なら何でも入るんだ、とっととみんな詰め込み主義で、地方公共団体を袋みたいに思っているんじゃないか、こういう考え方になってくると思うのですが、そういう考え方に立つと、将来いろいろな制度をつくっても、かえって反発というか、心から協力し、心から地方開発に取り組んでいこうという気持ちが非常に薄らいでくるんじゃないかという心配がありますからお尋ねを申し上げたのであります。  この同じ十三条の中ですが、三項の政令では、地域の変更等の手続をすることになっている。地域の変更等に、同じ地方公共団体行政区域内だけにおける地域指定、要するに整備計画の認可をする町村がまたがった場合、ほかの町村行政区域内に入った場合、そういう場合、あくまで原則としては市町村のその行政区域内だけをやっていくが、都道府県知事が認めた場合には、他町村にまたがって大きく広がった整備計画、そして区域指定、こういうことになるのではないかと思うのです。  この地域変更というのは、こまかいことは省略をするようになっておりますけれども、これまでも明記するということになると、地方では常にいろいろな情勢の変化というものが行なわれる。常にこれはもうこの計画の変更手続をしなければならぬ。年に一回も二回もしなければならぬ。まあしなくてもいい年もありましょうけれども、常に変更の手続をして承認を求めなければならぬというやり方、これはますます事務的には複雑になってくるんではないか。地域の変更は大幅に地方にまかしたらどうか。一々その変更の手続をとらなければならぬというのはどういう意味を持つのか。事業費を相当つけるんだから、変更は常に確認をしておかなければならぬということなら、これは別であります。どの程度その事業費がつくのかつかないのか、それさえわれわれにはわからない。だが、変更手続だけは常にしなければならぬ。こういうことを農林省考えること自体が、私は地方の公共団体の主体性、自主性というものを重く見てないのじゃないか、こういう気がいたすのですが、考え方はどうですか。
  38. 池田俊也

    池田政府委員 これは、私ども考えでは、農業振興地域整備計画というのは大体十年程度まで先を見まして、その間における一つの条件の上に乗っかった計画であるというふうに考えているわけでございまして、したがいまして、経済情勢が変わるというようなことになりますと、当然計画内容を変更しなければならないというような事態が出てくるわけでございます。そういうようなことで、やはり現実問題としては相当程度変更する場合があり得るとは思っているわけでございますけれども、またあまりそこのところをルーズにいたしますと、こういうような制度をつくった意味が非常に失われるというようなことにもなりますので、そこのところの調整をどうするのかというのが、確かにこの制度の一番現実の問題点だというような感じは強く持っているわけでございます。  それでここには、「政令で定める軽微な変更を除く。」ということになっておりまして、そこである程度実際の運用をやっていく、こういうことがあるわけでございますけれども、この軽微な変更とはどの程度が軽微な変更であるかということになりますと、これは実はなかなかむずかしい判断が要るわけでございまして、たとえば、農用地区域というものをきめますが、これはこの制度趣旨からいたしまして、いわば農業振興地域の基本になる部分である。これにつきましては、農地の転用等も制限をするということでございますので、こういうものについて変更があります場合は、これはどうしても正式の手続をとっていただかざるを得ないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  ただ、それが非常な小さな面積であったというような場合には、そこまで一々変更手続に引っかけるのはいささか煩瑣であるということもございますので、軽微な変更、縮小面積が小さい場合には一応変更手続は要らない、こういうふうにしようと思っているわけでございますが、それが、たとえば十アール以上でございますとか、相当程度の面積になれば、これはやはり手続をとっていただかないと、この制度趣旨が失われるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。具体的にその線をどこに引くかというのは、実はいろんな考え方があるわけでございまして、私どもも実情に合うように考えていきたいと思っているわけでございます。
  39. 柴田健治

    柴田委員 数字を例にあげられたのですが、十アールというその程度の規模で変更手続をしなければならぬということになると、これは局長、一年に何回となくしなければならなくなる、こういう気がするわけです。それは今後の運用面ですから、もっと実態を把握していただいてうまくやっていただかないと、もう十アール前後で、ちょっと十アールこしたらすぐ手続をしなければならぬ、これはたいへんなことなんですね。第一線で事務をやっておる市町村なり県の職員というものは、役所ですから、局長も御承知のように、一字一句違っても役所というものはなかなかむずかしいのです。時間的にもまた経費的にも、事務的の手続を変更するだけでたいへんなことになってくると思うのですね。この点は将来考えてもらいたい、こう思うわけです。  それから、今度の農振法で指定を受ける区域と区域外、区域の内外で結局農地の交換というものができるのか。買いかえというか、その買いかえができるのかどうか。買いかえ制度は認めないのかどうか、この点は局長どうお考えですか。
  40. 池田俊也

    池田政府委員 いまのお尋ねは税金の問題だと思うのでございますが、これは毎々申し上げておりますように、この法案が成立をいたしましたならば、当然租税特別措置法によりまして税の軽減をする、こういう予定をいたしておるわけでございまして、実はいまお尋ねの点も、私どもといたしましては、たとえば農業振興地域内で買いかえをする、あるいは外の地域から農業振興地域に入ってくるような場合、そういう買いかえの場合には租税の特別措置を講じたい、こういう考えでおるわけでございます。  これにつきましては、なお税務当局とも具体的な打ち合わせをいたさなければならないわけでございます。もちろん従来もいたしておりますが、そのときに、大体そういう線でやりたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。
  41. 柴田健治

    柴田委員 地域指定を受けて、その指定内で市町村がいろんな形で、今度また新しい町づくりをするんだ。たとえば、農業振興地域指定は受けておるけれども、別な角度で新しく文教地域をつくりたい、小学校、中学校、高等学校も含めて文教地域をつくりたい、環境もいいところだ、こういうことで市町村長が計画を変更する。そうしたら農民のほうは、これは農業としてやらなければならぬ地域指定を受けているんだから、そんなことをかってに市町村長が考えてくれちゃ困る。それでも法的には、この法案でいけば、土地収用法の適用を受ける公共事業については、指定はあろうとなかろうと、遠慮をせずに収用委員会にかけてもやる、土地収用法にかけてもやる、こう市町村長が言うた場合にはどうなるのですか。
  42. 池田俊也

    池田政府委員 これは、農業振興地域がきめられますと、その中に農用地区域というものが一応あるわけでございます。農用地区域と、農業振興地域内でも農用地区域に入らないのと、二つあるわけでございます。したがいまして、農用地区域でないところにそういう学校をつくるということでございますならば、これは別段問題はないわけです。  しかし、農用地区域に入っているところについて、たとえば、いまお話しのようなことで学校をつくるその場合に、土地収用法の適用がかりにあるといたしますならば、これは当然そういう手続によりまして土地の収用が行なわれるわけでございます。その限りにおいては、計画が変更されるということになるわけでございます。
  43. 柴田健治

    柴田委員 いま、都市問題の中で教育施設が、御承知のように非常に問題になっているのですね。学校の統合ということを含めて、整理統合ということでこの際場所を移転したらどうか。文部省がきめた小学校にしろ中学校にしろ、その児童数一人当たりの運動場の面積、建坪、そういうものを含めたら、いまの場所ではいけない、どうしても農地の多い広っぱのところに持っていきたい、こういうことでたまたま学校を移された。そうしたら、農用地として計画を立てているのが、学校が来るために計画がくずれた。そういう場合、そういう指定を受けておる地域を全面解除する。もう解除せざるを得いじゃないか、農業振興地域としては用をなさないではないか、一番肝心なところを取られたらどうにもならぬではないか、こういうことが、いまある地方では問題になっているし、あり得るかもしれない。  そういう場合には、公共施設であるから、この農振法で指定をしておっても、ほんとうの農業振興をこれからもうやろうというところが、根底からくずれてしまうというようなことがある。農業というものは、公共施設を持ってこられたら、どんな法で指定しておいてもくずれてしまうのだ。それはもう公共施設だからしようがありません、こういうことで農業そのものが、公共事業ということで追っ払われてしまう、そういう心配があるわけですが、その食いとめはどうするか。事前にこの法の地域指定を受けておるところは、市町村長なり知事がかってにそういうことは、たとえ公共施設でもそう簡単にしては困る。農林大臣協議をするとかなんとかいう方法はないのか。その点はどうですか。
  44. 池田俊也

    池田政府委員 これは、御指摘のようなことで、かりに農業振興地域の非常に中心になっているような部分が、たとえば土地収用法が適用されまして収用されるというようなことで、実体的に農業振興地域としての存立価値がない、こういうような事態になりますならば、やはりこれは七条に規定がございますけれども知事指定の解除をする、こういうことにならざるを得ないのではなかろうかと思います。  ただ、いまお話しのようなことで、まあ公共用施設で土地収用が行なわれるという場合は、そう申してはなんでございますが、非常に例外的な事態でございますし、またそれは、そういうやむにやまれない必要から行なわれるわけでございますので、私はそういうような事例が全くないとは思いませんけれども、実際問題としてはきわめてまれな事例ではなかろうか。もちろん、そういう土地収用をいたします場合には、その地域の条件を十分考えまして、どうしても他に代替の場所がないような場合に行なう、こういうことでございますので、現に農業振興地域として指定されておりまして、その中心になるような農用地になっておりますようなところに対して行なわれるというのは、これは行政庁の判断としてほんとうにやむを得ない場合ということで、どうしてもそういう事態になれば、いま申し上げたように、指定の解除という事態もあり得ますけれども、実際問題としては、そういうことはあまりないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  45. 柴田健治

    柴田委員 他の法律との関係一つ一つこれをかみ合わして検討してみると、他の法律のほうが優先権がある。農振法をつくって指定をしても、常に不安であるということが出てくる。どこまでこの法律権威をもって守られるのか。他の法律のほうが優先権のあるものがある。それから、農林省が本気になってこの法案をつくって、それで政令を含めて運用をやろうとしても、地方公共団体に事務的なことを全部やらせるのだから、結局、事業が伴わないのだから弱いということになってくるわけです。  他のいろいろな事業をやっていく、予算がついているのは別の法律でやっていく、関連は持たせます、こう言っておられるのですけれども、ただ地域指定だけというような法案というものは非常に弱い。局長がどんな答弁をされても、予算をつけない法律というものは弱いのです。これから考えると、この法案がどこまで生かされるのか、この法律をつくってもどこまで権威が保たれるのか、こういう心配があるのですが、そういう心配はないのですか。われわれはそういう一方的な心配をいたしておるのですが、自信がありますか、局長
  46. 池田俊也

    池田政府委員 率直なところを申し上げますと、この法律による制度を生かすかどうかは、これは、たとえば関係の地方公共団体、あるいは関係の方々、それからまた政府考え方いかんである。単に地域指定だけをして、もうそれであとはそれほど熱を入れないということでございますならば、確かに先生のおっしゃいましたように、あまり意味がないというような面もあろうかと思います。ただ、私は前の御質問のときにも申し上げたわけでございますが、これは特別な予算というものはそのためにはついておりませんけれども、むしろいままでの土地基盤整備でございますとか、あるいは近代化施設でございますとか、そういう農林省が従来握っております予算、あるいは今後新しく追加される予算が原則としてこういう地域に投下される、こういうことでございますから、そういう意味では、むしろ小さなまとまった予算がついているよりか、やり方によりますればはるかにこれは強い、実効のある制度であろうということでございます。  実は私どもは、この法案を御審議いただいておりますことと相呼応いたしまして、内部的に、農林省の中の各局ともいろいろ相談をしているわけでございます。一体こういう予算については、将来どうするのかというようなことでいろいろ相談をしておりまして、大体その考え方によりますならば、各局とも、今後は原則として農業振興地域にそういう予算を重点的に配分していく、こういう考え方は、かなり思想としてもう統一をされているわけでございまして、私どもは、そういう点からいいますならば、これはそういう意味でかなり実効のある制度である、こういう感じを強く持っているわけでございまして、これが実行に移されました段階で、またいろいろ御批判をいただくのがよかろうかと思いますが、その点につきましては、私どもは非常な熱意を持っているわけでございます。
  47. 柴田健治

    柴田委員 私は、この法案で末端の市町村における重要な役割りを果たすのは、農業委員会もしくは農業協同組合というものが中心になると思うのです。農業委員会の果たす役割り、それからどういう任務を負わせていくのか。都道府県段階になると農業会議、中央では農業会議所になってくるのですが、末端では農業委員会です。農業委員会法で、農業委員会は任務を持っております。それとこの法律とはどういう役割りを果たしていくのか、その点をひとつ明確にしてもらいたい。
  48. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、やはりこの制度が実行に入りました段階では、農業委員会の果たすべき役割りというのは非常に大きいという考えを実は持っているわけでございます。具体的には、この整備計画の中にもございますけれども、農地保有の合理化というような観点から、権利取得の円滑化に関する事項というような項目がございますが、こういうような面では、特に農業委員会の活動に実は期待をしているわけでございまして、今後農業構造改善を進めていく段階で、農地委員会が、そういう規模拡大のための農地の移動というようなことについて、あっせん等の仕事をするということについては、これはまさに農業委員会の仕事でございますので、そういうものを生かしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、もちろん計画をいろいろ立てます段階におきましても、農業委員会というのは実は市町村の機関でございますので、特に制度的に、農業団体と同じように農業委員会意見市町村長が聞くというようなことは、実はできないわけでございますけれども、これは市町村の中の一つの機関でございますので、実質的には市町村長が、農業委員会と十分に密接な連絡をとって、そして計画の樹立をやっていく、こういうようにやっていただきたいということで、実はこの点につきましても、私ども行政指導段階でその点をはっきり御指導申し上げたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  49. 柴田健治

    柴田委員 農業委員会ができた当時の農林省考え方というのは、当時農業調整委員会があり、農地委員会があり、農業改良委員会があり、この三つの制度のあったことは御承知のとおりであります。この三つを一本にして、その市町村の中における農業振興をやらせる、それから振興計画も立てるがいろいろな事業実施もやる、こういう趣旨のもとにあれを一本にして、農業委員会というものができたことを十分御理解願っておると思う。ところが、今日の農業委員会地域的に、全部とは言いませんけれども農業という名前が忘れられておるのではないか、農地の移動委員会になっておるのではないか、こういう気もすることもあるわけです。それから、農業委員会法ができた当時の国会答弁を見ると、まことに適切な表現を使われておる。それが今日、農業委員会の運用の面にどれだけ国が指導をしてきたのか、さかのぼってこういう論議をする必要はございませんけれども、もとの姿に返して、農業委員会のあの制度をつくった時点をもっと農林省は振り返って、農業委員会の果たす役割りというものをもう一ぺん思い直してもらいたいと私は思う。  それから、その当時三つの委員会に出しておった予算ですが、当時三つを合併するときの大臣の答弁を見ますと、予算は削らない、農業調整委員会、農地委員会農業改良委員会で使っておった金は農業委員会にそのまま、予算をふやしても削るようなことはいたしませんという答弁をした。それが、今日農業委員会にどれだけ国がめんどうを見ておるのか。四十三年度の自治省が調べておるのを御承知だろうと思いますが、地方公共団体が持ち出し分、超過負担分として負担をしておる金が幾らあると思いますか。四十三年度では、農業委員会に国が出しておる補助が二十一億五千三百十一万円で、実際使っておるのは七十五億六千九百余万円も市町村は使っておる。これは自治省が調べたものですが、国の補助団体としての地方公共団体の超過負担が膨大に多い。その他たくさんございますけれども、きょうは農業委員会だけしか申し上げておらぬのですが、農業委員会に四十三年度五十四億一千六百万円も市町村がかぶっておる。国からの補助が二十一億五千三百十一万円くらいではどうにもならない。活動できない。こういう実態の中で、四十四年度は二十六億二千六百八十六万円農業委員会に予算が組んである。ところがいまの貨幣価値からいって、この程度農業委員会が、先ほどこういう方法で役割りを果たしてもらいたい、こういう局長答弁でありますが、予算上の措置から見て、この農振法で農業振興地域地域指定をやって計画を立てる、これはたいへんなことなんですよ。これはどうもつじつまが合わないと私は思う。政務次官、この農業委員会に出しておる予算、そしてこの農振法が通ってこの制度を活用する場合の農業委員会が果たす役割り、これを考えたら、町村の超過負担をますます負わしていって、農業委員会は進退ここにきわまったといわざるを得ないと私は思う。上からはこの法律でやれ、予算はない、これでどう措置せられるのか。これは政治的な問題ですから、局長でなしに、大臣おられぬからひとつ次官お答えを願いたい。
  50. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 先生おっしゃるように、農業委員会が農地転用委員会みたいになっておる、本来のもっと広範囲な、農業振興に必要な充実した機能を果たしていないという御指摘がございましたが、私どもは、この法案を御協賛いただいて、農業振興地域整備に関する仕事をほんとうにまっ正面から、市町村とともに農業委員会が取り扱っていただくことが、本来の農業委員会として果たすべき農業振興の、あるいは土地利用区分の、何といいますか、プロパーな、当初出発したときに先生方の御議論があったような、十分なる農業委員会が機能を果たすことになるので、むしろそういう意味では、先生方から積極的にこの法案を大いにひとつ推進をしていただいて、この法案によって農業委員会が本来の使命をほんとうに発揮できるようにしていただいて、そういう機能がやはり農業委員会に出てきて、客観性が出てきて、初めて農業委員会に対する国の予算なりその他のものが全部ついていくのだというふうに、むしろお考えをいただきたいと思うのでございます。  現実の四十三年度あるいは四十四年度、また従来の予算を見ますと、先生おっしゃるように、超過負担が市町村が非常に多いじゃないか。これは一つには、農業委員会市町村の機構であるという点ではそういうこともあろうかと思いますが、この超過負担につきましては、私どもはほんとうに先生おっしゃるように、どうしても解消していかなければならぬと思いますので、今後三カ年計画でこの超過負担の解消に励んでいく。その一環として、若干ではありますが、来年は四十三年よりも予算を増額したわけでございます。今後とも超過負担の解消につきましては、おっしゃるようにほんとうに真剣に国のほうで努力をしていきたい、かように考えております。
  51. 柴田健治

    柴田委員 やれやれと言うて制度をつくって押しつけるのも、ありがたい面と迷惑する面と両方出て、結果はありがた迷惑だ、こういうことになってはいけないので、やる限りにおいてはチームワークがとれるような、財政的な面も人的な面もすべて法をうまく運用できるような方向で、総合的に判断をして措置をとってもらわないと困る。先ほど局長は、何とかやってくれるでしょうとささやかな願いを込めての答弁をされておったのですが、何とかやってくれるではなしに、この法律をつくる限りは、責任を持って生かしていくような、その機構なり予算なりというものが出てこなければならぬ。これをしないから、農林省の言うているのは何やらかにやらわからぬ、こういう一つの不安と疑問が出てくるわけです。  政務次官、三カ年で超過負担解消するように今後十分努力する、こういう見解を述べられたのですけれども、あなたが言うたのではなしに、農林省答弁としてよく記憶しておきますから、間違いのないようにお願いしたいと思います。去年よりも四十四年度はまあ五億ほど、少しふえておりますけれども、超過負担というものはたいへんなんです。これだけは十分腹に含めてやってもらいたいと思う。  それから、この法案と、たとえば総合農政とどうかみ合うのか。先般私が御質問申し上げたときにも御答弁がございましたが、総合農政ということばの中に、農振法が果たす役割りというものはどういうものか、どういう位置を占めているのか、そういう点、もう一ぺんひとつ見解をお聞きしたい。
  52. 池田俊也

    池田政府委員 まあ総合農政といってもいろいろな面がございまして、一番この法案関係が出てまいりますのは生産体制といいますか、そういう面であろうかと思います。要するに、各作目の需要に応じました生産を極力促進をしていく、そういう観点から申しまして、私どもは県が基本方針をきめます場合、あるいはそれに即しまして町村計画をきめていきます場合に、当然これは農業の今後の見通し、あるいは各作目の需要なり生産の見通し、あるいはそれの地域分担の姿、そういうものがまず前提としてございまして、それに即して県が基本方針をきめていく、こういうかっこうになろうかと思います。  そういう意味で申し上げますならば、やはり総合農政を現地におきまして、地域ごとの条件に応じてそれを具体化していくのがこの法案である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 柴田健治

    柴田委員 総合農政の中で果たすこの法案の位置づけというものを、輪郭だけは答弁されたのですが、それなら、私たちが考えさせられる点は、まず市町村の財政の問題だと思う。今度四十四年度の地方財政計画が出されまして、その計画と本年度計画、これを比較検討してどの部門が伸びておるのか。大蔵省と自治省とが合議の上でああいう計画を出したのか、その真意はよくわかりませんが、予算上こちらが主観的に判断した場合には、産業経済の中で特に農業面においては、林業、漁業含めてではございますけれども、公共事業としては伸びておるけれども、一般の面についてはあまり伸びてない。ただ形式的に何%伸び率という程度である。  これから見て、市町村の財政問題をどう農林省は踏まえて取り組んでいくのか。全国の各市町村の財政支出というものをどうつかんでおるのか。裕福市町村として交付税を一銭ももらわない市町村は、それはいいですよ。けれども、固有財源が指数の上で二〇%以内、要するに過疎地域として特に山村地帯、この法案で特に指定をしなければならぬ地帯、ただ都市計画法に基づく都市付近の農業振興でなしに、どうしても好むと好まざるにかかわらず農林業でやらなければならない地域を、現行のいろいろな法律がございますけれども、それとかみ合わせてこの振興法でやるとするならば、町村の財政支出というものを私たちは無視するわけにはいかない。人口の流出に伴って固有財源がどんどん減ってくる町村、固有財源二〇%以内の財政力指数を持っておる町村をどうするのか、三〇%以内はどうするのか、五〇%以内はどうするのか。そういう問題が、今後の農業振興をはかるいろいろな事業を進める中で、補助率を一律に取り扱うことになったら、絵にかいたもちになってしまうじゃないか。この法で指定をして、他の法律と、また総合農政という形の中でどれだけ事業ができるのか、どれだけ事業を消化するのか、そういう消化する財政能力があるのかないのか、町村の財政力指数をどう踏まえておるのか、それを局長お答え願いたい。
  54. 池田俊也

    池田政府委員 確かに御指摘のように、市町村の財政状態がいろいろ違いがございますけれども、一般論として申し上げますと、確かに、必ずしも財政力が十分でない、こういう点は御指摘のとおりだと思います。ただ、従来でも基準財政需要額の中の農林業の振興関係の経費というのは、毎年増加をしてきているとは思うわけでございますが、この制度考える場合に、何か特別の財源というようなものの調達ができないだろうかということは、実は内部的にはいろいろ検討したわけでございます。  ただ、結論といたしましては、やはりこの農業振興地域というものはかなり広範に設定されるわけで、まあ一応、先般の質疑の際にも申し上げたわけでございますが、もし地方の住民の方がそれを希望されるならば、現在三千二、三百市町村ございますけれども、その中で三千市町村ぐらいは一応指定される要件を備えている。ただそれも、もう農業ではないのだ、ほかの産業でやっていくのだという地域もあるいは出るかと思いますので、もうちょっと減るかと思いますが、相当広範に各市町村が、この農業振興地域になるというふうに私どもは実は考えているわけです。  そういうことでございますと、ほとんど大部分の地域農業振興地域関係してくる。大部分の市町村関係してくるという場合に、特別そのための地方財源を設定するというのが、実はなかなかむずかしいわけでございまして、先ほど国の補助事業というような面で、特別の事業費がないじゃないかという御指摘がございましたけれども、これは私どもは、従来ございますいろいろな事業を重点的にやっていくのだということ申し上げたわけでございますが、それと同じように、やはり、各市町村も国のそういう施策と歩調を合わせて、財源の効率的な利用をはかっていただくようにしてもらいたいと思っております。そういうようなことは、私ども従来伺っておりますいろいろな御意見でも、市町村としてもかなり熱意を持っておられるようでございますので、私どもは、そういうような面でまたいろいろ御相談をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  55. 柴田健治

    柴田委員 政務次官お尋ねしたいのですが、この問題は、御承知のように重要な問題なんですね。あなたもこの問題で、自分の出身県の関係市町村のそれぞれ農業をやられる団体の皆さん、また個人の農家から御相談されても、問題は、法で地域指定を受けても、そして現行ある法規、たとえば山村振興法であろうと離島振興法であろうと、また近代化事業その他今度また第二次構造改善をやるにしても、問題は財政が伴わなければならぬ。ただ地域指定計画だけでは計画倒れになってしまう。昭和二十八年に町村合併の促進法ができて、町村合併しなさい、それで新市町村の建設計画を立てなさい、こういうことで計画を立てたけれども、それが生かされた面というのはごくわずかです。合併はしてみたけれども、いままで辺地のほうは依然としておかげをこうむっていない。何のために町村合併したのだろうかという疑問を持っている地域すらあるわけであります。結局、計画というものは絵にかいたもちで、計画倒れになり財政力が伴わない。これが全国どこの市町村の悩みでもある。  その悩みを政治的に解決していくのが、われわれの任務ではないかと思う。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 特に、次官は政府・与党の幹部でもありますから、この問題をどう解決するのか。固有財源の少ない町村を——これは質問しているのじゃない。どうしたらいいのか相談しているのだ。われわれみんなが知恵を出し合わなければ解決しない問題だろうと思う。知恵を出し合って相談して、意思統一をはかって取り組まなければならない問題だと思う。そういう場合に、結局いまの町村の固有財源がどんどん減っておる、人口がものすごく激減しておる町村のごときはどういう方法で解決するのか。たとえば、資金の融資ワクを特別に認めるのか、財政力指数の低い町村には、金利を下げる手段を講じたほうがいいのか、補助率は特別の補助率を上げる、差をつけるというのはおかしいけれども、差をつけてでも開発してやるという、そういう姿勢でもって取り組んだほうがいいのか、いろいろあろうと思いますが、政務次官、あなたのその見解を聞きたいのです。
  56. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 先生は地方行政の第一線の経験も豊かに持っておられますので、どうも実態をよく御存じの先生から、そういう欠陥なりあるいは悩みなりを言われますとまことにそのとおりで、私どもの県全体としても、相当山村、離島を持っているわけでございますが、ただいま農業振興地域整備に関する法律そのもので考えてみますと、この法律は、先ほど局長から話がありましたけれども、私はむしろ農業振興する、あるいは総合農政を今後展開してまいります基本条件を整える法律ではないかというふうにも考えられるわけでございます。法律にはやはりそれぞれ機能がございますから、法律市町村財政と、ことに過疎地帯の市町村の財政とからみ合わせての議論は、なかなか困難ではないかと思うのでございます。それはやはり離島振興法なり山村振興法等の過疎地帯を対象にするいろいろな事業費の考え方振興していこうという中で、補助率の引き上げとかあるいは融資率、あるいはまた金利の問題とかを考えていくほうがいいのじゃないか。この法律は、何としても農業土地利用区分の非常に無秩序な状況なり、あるいは労働力の流出に伴ってくる利用度の低下なり、そういうようなものをいろいろ考えて、農業振興すべき地域をひとつしっかり計画的に確定していこうという基本的な法律でございますので、この法律では、市町村の財政需要と何かからみ合ってくるようなことは、私どもちょっと理解できないのです。  ただ。農業振興すべき地域指定し、そこに整備計画ができてまいりますと、それぞれの法律の適用にあたって、先生のおっしゃるようにその地域地域によって考えていかなければならない。いま、一体どうしたらいいのかというお尋ねでございますが、やはり一つには、私はそういうような地帯に補助率の引き上げの方法考えていかなければならぬのではないのだろうか。四十四年度の予算編成に際しましても、私ども土地改良の問題にいたしましても、少しこの点の考慮を払いたいという気持ちで、若干検討もしたり折衝もしてみたんですが、その機熟せずというようなことで、まあことしはそのままになりましたけれども、まず第一点としては、やはりあらゆる農業振興するいろいろな法律上の措置として、そういう僻地に対する補助率の引き上げの問題それから金融制度考えます際に、いまは、むしろ地域的な区分というよりも、事業区分によって融資の金利をいろいろきめているのは御承知のとおりでございますので、これらについては、もう少しいま言った過疎地帯、離島、山村等についての配慮を、ひとつ農業金融全般の面で加えていくような考え方、こういうようなことで、おっしゃる点は非常に大きな問題点でもございますので、十分ひとつ御意見を承りまして、なお今後私ども努力してまいりたい。いまのところはもうそれしかちょっと申し上げるあれがございません。
  57. 柴田健治

    柴田委員 一つ制度をやるのに、ただそれだけの問題でとらえては、指導というものはなかなか前進しないと私は思うのです。たとえば五年先、十年先というものを考えてこの農振法の制度ができて、それで地域指定を受ける。それまでには整備計画というものを立てて、その計画都道府県なり国が認める。承認した地域において、今度は事業実施を、現行ある制度法律も重点的にそれに持っていく、こうお答えになっているんですから、やはりこの法案を通したことによって、将来十年先には、君たちの町村の固有財源の少ないところには補助率も考える、また融資のワクを増額する、金利も下がるんだ、思い切って農村に残って若い諸君やれ、こういう何か夢と希望を与えなければならぬ。ただ計画だけ立てるための農振法では、われわれはどうしても納得ができないわけであります。やはり夢と希望を与えるために、この一つ法律をつくるということについては、やはり説得するわれわれの任務もある。そういうことで、きょう直ちに結論を出すというのは無理だし、これは御相談申し上げた質問でございますから、ひとつこれは重要課題として、あらゆる機会に、農林省は自治省なり大蔵省と話し合いを十分してもらいたい。地方財政を無視した事業推進というものは考えられない、こういう立場で、この点だけは十分配慮を強くお願いしておきたいと思うのです。  それからもう一つ、先般もお尋ね申し上げたんですが、環境整備です。農村は、特に環境整備というものにいま関心を持っているわけです。この環境整備の明示が、先般も弱いと私は申し上げたんですが、これからの農村の環境整備については、し尿処理も下水道も上水道も、じんあい処理もそれに含めて、やはり蚊もおらない、ハエもおらないという世の中をつくってやる必要がある。毒ガが発生をするわ、いろいろな病気が出てくるわ、こういうことで、いま厚生省でも問題になっているあのスモン病においてもそうですが、農村地域においていろいろな病気が発生しておる。それはまあ即席の食品加工物というか、食料の加工物が即席的なものが多い。それからいろいろな色素を使う。毒素を使っておるような色素もあるのではないか。その影響があるのではないか。つまり、食べものからくるものと、その地方地方の生活環境というものからくるものがある。それから、農業というものは非常な筋肉労働で、農業を年間あのまま続けたらからだがもたないのですよ。普通五十年生きるところを、一年三百六十五日あの農業という労働を続けてごらんなさいよ、ほかの人の半分しかおそらく寿命がないんじゃないか、こういう気がするのです。短期間に区切られてある程度の調整ができるからあれですが、労働そのものはたいへんな労働なんですよ。そういう地域の産業、要するに農林業については、環境整備というものをもっと考えなければならぬ。  ところが、この法案では非常に弱い。何とかならないのか。もう少し環境整備計画については絵をかくんでなしに、それの実施計画については、厚生省との関係もありましょうし、いろいろ他省との関係もあるでしょうが、この環境整備についての取り組み方というものを、どういう方法でやろうとしているのか。いまの時点ではこうだけれども、将来こういう方向で内容のある、実のあるものにしていきたいんだ、こういう何か考え方を明らかにしてもらいたいと思うのです。政務次官どうですか。——何なら局長でよろしいです。
  58. 池田俊也

    池田政府委員 これは、どうもこの整備計画内容等から見て、生活環境施設の整備というものは入っていないし、まあ計画内容としてでなしに、やはり国なり地方公共団体がそういう面の努力をしろという規定があるわけでございまして、そういう点からごらんになりますと、確かにその点の配慮が少し弱いのじゃないかという御意見は、これは一つの御意見としてあり得ると思います。  ただ、この生活環境整備という事業は、ただいまも御指摘ございましたように、非常に包括的な事業でございまして、関係各省がそれぞれ都市及び農村のそういう生活環境施設の整備事業をやっているわけでございますので、これだけ一つ切り離したかっこうで事業を進めるというのは、非常にむずかしいわけでございます。要は、やはり私どもがそのための努力をしなければならないと思いますが、政府各省の間、あるいは農林省も一部はそういう生活環境施設の整備予算なりあるいは融資なりの措置を持っているわけでございますので、そういうものをいかにこの地域努力して持ってくるか、こういうひとつの熱意の問題だと思うわけでございます。  そういうことでございますので、今後私どもはやはり相当これを計画的に、この地域についてはこういう生活環境施設の整備をしなければならぬということをはっきりさせまして、そしてそれに合うような事業の実施なり融資なりが行なわれるように努力をいたしたいということを、いまの段階では申し上げる以外に、実はちょっとほかのお答え方法がないわけでございますが、これにつきましては最善の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  59. 柴田健治

    柴田委員 政務次官、この農村、特にこの農業振興地域法案指定する町村については、環境整備については農林省が一手に握ったらどうか、こう私は思うのです。環境整備というのは何か農業とは別なんだという、いままで何か別な方向で考えられておる。これは大きな誤りがあると私は思う。農村地帯の環境整備農林省が握るべきではないか、私はそう思うのです。そうしないと、ただ農業振興するといったって、農業に携わるのは人なんですよ。人のことはもうほったらかしにして、ただ基盤整備をしたらいいのだとか、構造改善で圃場整備をしたらいいのだとか、そういうことだけが農林省の役割りじゃない。農業に携わる一番の基本は人間なんです。その人間は別に考えてほかの事業だけやるというのは、これは大きな誤りがあると私は思うのですよ。農林省農業関係するもの、それが原材料であろうと、土地基盤整備であろうと、人間であろうと、全部ひっくるめて考えるべきではないかと私は思う。政務次官、その見解はどうですか。
  60. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 一つ意見だろうと思うのです。農業関係し、しかも農業振興地域というものを指定して、そこに重点的にいろいろ農業の総合的な振興をはかろうという法案審議でございますから、先生のそういう意見が出るのももっともだと思うのですが、ただ、水道の施設なり、あるいはし尿処理なり、あるいは下水なりごみの始末なりというような点になりますと、御承知のとおり、いま環境衛生関係全体の五カ年計画を、主管している厚生省が鋭意国民を対象にしてやっているわけでございますので、そういうようなことで、国はそれぞれ行政機能に応じて分化しております。また、そういう近代的な国家になりますと、よけい機能の分化というものが行なわれていくわけでございまして、専門的な立場もございますので、どうもいま直ちに私は賛意を表するわけになかなかいかないのでございます。  確かに、二十一条では整備を促進するようにつとめるという、つとめるだけの規定じゃないか、こう言われますけれども、環境衛生なりあるいは他のいろいろな生活環境の整備関係事業も、要は、こういうものは国の段階ではそれぞれ分かれておりますけれども、県に行けば知事の統率下にあるわけでありますし、末端では市町村本来の固有の事務でございます。したがって、この農業振興地域整備計画をつくる主体が市町村でございますから、そういうものをおやりになる同じ市町村長の立場で、そうした生活環境の整備も含めた意味での強い計画考えて、農業整備計画というものを達成するために必要な生活環境の整備については、それぞれ責任ある市町村長の立場ですから、私ども農林省としてもこれを強く、都道府県なりあるいは厚生省なりその他の関係の役所にひとつ働きかけをいたしまして、この整備計画の達成のために必要な国及び都道府県の援助を強力に進めてまいる、こういうことでいまのところは御了解願いたいと思います。  先生の言うように、農村はすべて総合的に農林省でやったらどうだという御意見もありますが、同じ政府でございますので、政府の中でそれぞれ分担をきめてやっていることでございますから、しかも、末端では市町村長が全部それをやるようになっておるわけでございますので、十分意思疎通をはかり、それからお互いの協力体制をしいて、政府としてひとつ強力にこの事業を進めていく、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  61. 柴田健治

    柴田委員 あと質問者がおられますから、いろいろまた角度を変えて質問をされると思いますけれども政務次官の答えを聞いておると逃げの一手なんだ。ただ政府というワクの中に逃げてしまう。私は、農林省の果たす役割りを、何も地方公共団体のほうに逃げたり、政府のワクの中に逃げてくれというわけではないので、逃げの答弁ではなしに、やはりあなたならあなたの政務次官としての立場から答弁してもらいたい。いままでの長い役所の習慣なり惰性なりにあなたは酔うてしまったんではないかと思うのです。あなたは、いままでの日本の官僚機構の中に次官として入ったら、酔うてしまって、もうそれでいいんだというようなことでは、それでは一つも発展も進歩もない。やはり農業に関するいろんな問題は農林省が握るんだ、こういう強い考え方、やはりそういう考えがないと、大蔵省に話をする、厚生省に話をする、自治省に話をするんだって、そういう姿勢なら弱いですよ。  たとえば、四十四年度で問題になると思うが、豪雪センター一つつくるのに、経済企画庁に行っちゃった。豪雪センターなんて山村地帯ですよ。結局、全部ほかの省が肝心なところを握ってしまって、林農省は何をしているかといえば、ただ農林省は農民をかかえて、米が足らぬならつくらせ、余ったらほったらかして、悪いところを農林省がかぶって、いいところはみんなほかの省が握ってしまう。ちっとはいいところを農林省は握ったらどうですか。そのくらいの姿勢がなくては困る。私は、次官の答弁というのは逃げの答弁だと思うのです。  今後いろいろな法案審議する中で、いろいろ問題はあるでしょうけれども、日本の農業をほんとうに振興させるためには、問題は人の問題です。将来の日本の農業を発展させるためには、農業の就労労働力をどうするかということです。農業に魅力を持たせるというのには、施策も必要だが人間の養成も必要だ。問題は人間なんですよ。次官の答弁を聞いていると、何か局長の補佐役みたいなことをしている。補佐役か保母さんか知らないけれども農業振興をさせるためのこの法案を通すためには、あなたは副大臣だから当面の代表なんだ、それくらい強い考え方で推進してもらいたいと私は思うのです。  私の質問はこれで終わります。
  62. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 工藤良平君。
  63. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、先般の国会でこの問題をいろいろ取り上げて質問をいたしておりますから、できればもう少し小まめに掘り下げてみたい、こういうように思っているわけです。  ただ、先般もこの点はずいぶん議論をしたところでございますが、この農業振興地域法律を制定しようとする目的が、都市との競合という問題について、必要に迫られてこの法律が出されるのではないかということを、ずいぶんこの前議論したわけでありますが、そうではなくて、やはり農業全体の大きな視野に立って、農業振興地域整備という問題が論議されなければならない時点に来ている、こういう議論も先般ずいぶんかわしたわけでありますが、その点について、ひとつ具体的に掘り下げてみたいと思います。  まず第一番は、目的の中に「農業の健全な発展を図る」ということがうたわれているわけでありますが、これはどのような意味を持つのか、ひとつ基本的にまずお伺いをいたしたい、こういうように思っているわけであります。
  64. 池田俊也

    池田政府委員 「農業の健全な発展を図る」ということばは、非常に包括的とことばでございますので、見方によりましていろいろな内容があり得ると思います。私どもは、いまの日本の農業の置かれている条件を考えますと、基本的には、一つ農業の総生産の増大をはかる。これは貿易制度等との関係もございますので、なかなか問題はございますけれども、やはり農業生産の増大をはかって、主要な農作物につきましては自給度の向上をはかっていくということが一つございます。  さらに、農業生産という面よりかむしろ農業経営というような面に着目をいたしますならば、やはり現在の農業経営というものは、どうも農業だけではなかなか他産業と均衡のとれた所得が得られない。兼業所得に依存するというようなことに現状はなっておりますので、やはりそれでは農業としての意味が非常に乏しい。産業政策としての農業政策あるいは農政というようなことからいきますならば、やはり農業をやることによって他産業と均衡のとれた所得が得られるという形にすべきではないか。そういう点からいきますならば、やはり今後は農業経営規模の拡大ということが、農政の非常に重要な目標になるのではないだろうか。そういうような点から、「農業の健全な発展を図る」ということの一面は、やはり経営規模の拡大をはかっていく、それによって他産業と均衡のとれた所得の確保をはかる、こういうようなことがやはり重要な側面になるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  その他にもいろいろな見方があると思いますが、私どもは、やはり主としていま申し上げましたような観点から、そういうような目的に沿った、今後農業地域に着目した農政を進めていく必要があろうと考えているわけでございます。
  65. 工藤良平

    ○工藤委員 この「農業の健全な発展」という問題については、いま局長がお話しのような広い意味のことが確かに含まれているし、またそうなければならない、こう私は思っているわけであります。  しかし、この全体をながめてみますときに、それでは「農業の健全な発展」ということの大きな意義の中に、いわゆる自給度の向上というものが農業生産の増大という意味で含まれている、それが主要な大きな目的である、このように考えられるとするならば、この第二条以下に出てまいりますように、いわゆる農地保全ということと、それから全体的な土地の高度利用という意味において農業の新たな形成、こういうものがやはり相当積極的に出てこなければならないのではないか、全体的に法案を流れる筋として。こういうように考えるわけでありまして、その点については、これから具体的な政策の実施の中であらわれてくると思いますけれども、その点が、どうも農地の保全という意味に終始をしているのではないかのような感じを受けるわけでありまして、この点は、この前も私ずいぶん論議をしたのですけれども、どうもまだその点が釈然としないわけです。やはりこの際、農業振興地域の問題を打ち出すとすれば、農業がいま新たな時点に直面をしているだけに、そのことが必要になってくるのではないか。このことを、できればもう少し基本的に明らかにしていただきたい、こういうふうに思っております。
  66. 池田俊也

    池田政府委員 私も実は、前通常国会におきます工藤先生と、当時この法案を所管しておりました官房長とのいろいろな論議を拝見いたしまして、勉強させていただいたわけでございますが、やはりこの法律が、ちょうどたまたま新都市計画法と時期が同じような時期に出てまいったということで、農地の領土宣言であるというようなことをよく言われるわけでございますが、確かに農業と他用途との調整をはかるという点からいいますと、そういうニュアンスもあるわけでございます。  それはまたそれとして必要であろうと思うわけでございますが、それだけではなしに、農業現状を見ますと、やはりいろいろ問題も起きてきている。それは労働力問題が基本だと思いますが、土地の利用度が、ある地域においては非常に落ちるとか、これは地価問題も影響していると思いますけれども、農地の効率的な利用にあまり資さないような保有が行なわれているという現象があるわけでございます。  それで今後は、やはり私どもが言っております構造政策という観点からそういうものを立て直していかないと、日本の農業としては非常に行き詰まるのじゃなかろうか、こういう感じを持っておるわけでございまして、実は、これは構造政策関連法案ということで、振興地域のほかにも、農地法とかあるいは農協法の改正法案が出ているわけでございますが、私どもは、やはりそういうものを通じて農業地域というものを明らかにして、そういうものを中心にして土地利用の高度化をはかっていく、それとともに農業経営の構造改善をやっていくというような点に着目をいたしまして、整備計画というものをはっきりさせまして、これはいろいろ御批判があるわけでございますけれども、いろいろな施策を通じて、それを政府なりあるいは関係団体が推進をしていく、実はこういう形にいたしたい。  これだけでは、その点がはなはだ十分でございませんことは、これはたびたび御指摘にもありますとおりでございまして、私どもは、この制度だけではなしに、当然そのほかの各事業の実質的な裏づけ、たとえば、来年度から第二次の構造改善事業の発足があるわけでございますけれども、こういうものも当然この振興地域を中心にいたしまして実施をしていく、それによってほんとうの意味農業構造の改善をはかっていく、こういうことを考えているわけでございまして、こういうものを総合して、いま申し上げましたような目的を達成してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  67. 工藤良平

    ○工藤委員 この目的の中の大まかな趣旨についてはわかるわけでありますが、さらにその問題で私が非常に気になりますのは、「農業の健全な発展」というものが、ずっといまの状態を見てみると、個々の農家、言いかえますと自立農家の育成という形の中で、特に農業基本法以来の農政というものが進められてきた。これは、目的の中にもそのことはうたわれているわけでありますが、その一つ方法として、構造改善というものが前面に出てまいりました。それは近代化をはかるという形で推し進められてきたわけでありますが、私は、この「農業の健全な発展」ということは、個々の農家の健全な発展、いわゆる自立できる農家、農業で食べられる、生活できる農家ということが、もちろん前提条件でなければならないと思います。  しかし、それと同時に、さっきも申し上げましたように、農業生産の増大という表現になっておりますけれども、これは自給度の向上、こういうことだとさっきおっしゃったわけですけれども、この前のやりとりの中でも、この自給度の向上ということが、どうも前面に文言として出てこないという点が、私は実は非常に残念であったわけであります。議論をしております過程の中においては、なるほどそのとおりでございます、こう言うのですけれども、それが出ていない。この点は、これから農業振興地域整備を行なう一つの方策を打ち出していこうとするならば、個々の農家の健全な発展ということはもちろんでありますけれども、国全体のいわゆる農業の総生産を増大するということ、それは言いかえると、いまの食糧自給度を高めるということが一つの基本にならなければならない。そのことによって、これからの農業のやり方というものがずいぶん変わってくるだろう、政策にしても、予算の使い方にしても変わってくるだろうと思うのであります。  その点について、この目的の中に、「農業の健全な発展」というきわめて抽象的なことではなくて、私は、個々の農家の健全な発展と同時に、総合的に日本の食糧自給度を高めていくという二つの目的が一緒になって出てこなければいけないのではないだろうか、こういうふうに思うわけでありまして、その点を先般の委員会でも、何とかしてこれを今度の振興地域の目的の中に入れていただきたいということを申し上げましたが、意見は一致するのですけれども、文章としては出てこないわけであります。その点、できればひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  68. 池田俊也

    池田政府委員 実は私も、先国会におきます御議論を詳細に拝見いたしまして、論点は私よくわかっているつもりでございます。ただ、その当時官房長も答えておったと思いますが、この法律の主たるねらいが、やはり地域に着目した一つ農業に関する制度である、こういうことで、これは基本法にもその点がはっきりしておりますので、特にこの法律の中に自給度の向上ということをうたわなくても、当然そういう前提の上に乗っかった一つのものの考え方なんだということを、たしか答えたと思うのでございます。  確かに、その後のいろいろな農業情勢の変化等もございまして、いまごらんいただきますと、もっと自給度の観点に触れておいていただきたいというお気持ちも実はわかるわけでございますけれども、私どもは、直接書いておりませんけれども、当然制度としては農業基本法のいわば一つの実施の法律でございますので、そういう前提の上に乗っかったものである。どうもこれだけをごらんいただくと、その点がはっきりしない、こういうお気持ちもわかりますけれども結論としては、私もやはり官房長と同じように、考え方一つも変わっていない、こういうように考えるわけでございます。
  69. 工藤良平

    ○工藤委員 そういうことでもいいのですけれども法律というものは非常に拡大解釈される場合がたいへん多いわけであります。もちろん、そういう拡大解釈ができるようにしてあるのが一つ法律の姿かもしれませんけれども、これは食管の問題を申し上げるまでもなく、たとえば第三条は、政府が買わなければならないという義務規定ではないということを現時点で言い出す。こういうふうに、法律というものは非常に幅のあるものだということになっているわけでありますから、したがって、「農業の健全な発展」ということは、基本的にそういった二つの意味を持っていると、そのことを明らかにしておかなければ、自給度がだんだんだんだん下がっていくという現在の状態というものを考えてみますと、これからの農業を憂慮するがゆえに、私は非常に大切な問題ではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。  もちろん、国会のこの委員会のやりとりというものが、今後きちんとやはり形の中には残っていきましょうけれども、できることならば法律の中に明らかにしておく、こういうことが、私たちが今後の問題を考えた場合に非常に親切な法律の制定のしかたではないだろうか、こういうふうに思うわけでありまして、この問題は、まだ期間もあるようでありますから、私は、十分に委員会の中でも審議をしていただいて措置していただきたいと思いますけどれも、農林省としても、この点についてぜひひとつ明らかにしておいていただきたい。そのことによって私は次の問題に入っていきたい、こういうように思っているわけであります。
  70. 池田俊也

    池田政府委員 繰り返して申し上げるようなことになるわけでございますが、この法律の一条の目的のところには、確かにその点が必ずしもはっきりしたかっこうでは入っていないわけでございますけれども法律全体を通じまして、たとえば第二条のところにもございますように、農業地域を保全する、あるいはさらに方針なり整備計画内容にもなるわけでございますけれども、今後必要な農地の開発を一応前提にした計画等になるわけでございまして、そういう点では、これは現状あります農地をそのまま守っていくというだけではないので、もう少し積極的な内容も実は持っているわけでございまして、全体を総括してごらんいただくならば、やはり当然主要作目についての自給度の向上という、いわば農政の基本的な宿題でございますけれども、そういうものは、当然前提にした制度の仕組みになっていると私ども考えるわけでございます。
  71. 工藤良平

    ○工藤委員 この第二条の中にありますように、「国土資源の合理的な利用の見地からする土地農業上の利用と他の利用との調整に留意して、」こういうように書いてありますのは、特に土地の高度利用という意味でこれからの農業を見直していこう、私はこのように実は理解いたしているわけであります。したがって、そういう意味では、いま言うように農業の総生産を高めていくという自給度の向上というものが、もちろん読みとれることは事実であります。しかし、やはり「国土資源の合理的な利用」ということは、特に第二次産業との関連の中での調整というものが、ややもいたしますと中心になってこようとするわけで、そこに一つの大きな問題点があるのではないか、私はこういうように思うわけであります。これは後ほどさらに踏み込んでみたいと思いますが、農業基本法の中にもありますように、やはりこれからの農業というものは、兼業収入の増大ということではなくて、農業の総生産を高めることによって、農家の生活というものと都市の生活の均衡をはかっていくということが目的になっているだろう、私はこういうように理解をしているわけであります。そういった意味から、この問題については特に農林省としてその点を明らかにしていただきたい。  もちろん、この第二次産業を中心とした、たとえば工業用地とかあるいは宅地の造成、そういったものが、いまの農業を非常に大きく侵食しておるので、それに対する保全という意味から問題をとらえる場合も非常に大切だと思いますけれども、しかし、農業の総生産を増大をするという意味からすると、むしろこの農業振興地域法律のこれから向かわなければならない方向というものは、奥地の土地の高度利用という視点に立った考え方というものが相当出てこなければ、せっかくつくった法律が、死んでしまうというような心配を私は実はたいへんするわけです。その点に対するこれからの方向というものを、この際ひとつ明らかにしていただきたい、こういうように思うわけです。
  72. 池田俊也

    池田政府委員 これは、「国土資源の合理的な利用」という、一言で申し上げますとそういう目的に沿った制度でございますが、もちろんその内容、問題の把握としては、一つは、さっきも先生おっしゃいましたような都市計画との調整、そこが現実的には非常に大きな問題があるわけです。もう一つは、必ずしもそういう都市近郊農業だけではなしに、国土の全体的な利用としまして、現在過疎地域といわれているような地域がかなり出てきて、一つの問題になっているわけでございますけれども、私どもはそういうような地域について、これは一体産業政策としてどういうような産業を中心にしてその地域振興をはかっていくのがいいか考えなければならぬので、当然それは農業というような産業を中心にして振興をはかっていくというようなこともありましょうし、あるいは林業が中心になるところもございましょう。またある地域におきましては、農林業を振興するよりもむしろ、たとえば観光産業というようなものを中心にして地域振興をはかっていくのが好ましいというような地域もあると思います。私どもはそういうようなものは、この制度においても十分検討いたしまして、特にこれは県知事さんが農業振興地域基本方針というものを作成いたします段階で、農業振興地域の位置及び規模というものを明らかにしていただくということを実は考えておるわけです。  でございますから、たとえばいまお話しのございました奥地につきましても、今後農業振興地域として農業を中心にして国土の総合利用をはかっていくということがいいという地域は、積極的にそういう地域指定をしていただきたい。また、必ずしもそういう農業ではなしに、むしろ別の見地から土地の利用振興をはかるほうがいいものについては、それはまたそういう位置づけをしていただきたい。そういうことをはっきり洗いませんと、どうもそこいらの境がはっきりしませんで、何となく農業にも関係があるようなないようなというような変な関係になりますので、そこいらの位置づけをはっきりした上で、農業としてやっていくものについては、国土の総合利用的な見地から、これは農業として農業を中心に振興していくのがいいのだという位置づけをはっきりいたしまして、それに対する施策を進めていく、こういうことを実はこの制度では考えているわけでございまして、奥地が全部が全部農林業で振興するということには必ずしもならないかと思いますけれども、そういう部分が非常に多いと思いますので、そういう前提の上で考えていきたいと思っておるわけでございます。
  73. 工藤良平

    ○工藤委員 それでは次に話を進めたいと思うのですが、この農業基本法は、さっき私もちょっと申し上げましたけれども、主として家族農業経営というものによって自立をはかるということが目的として行なわれてきたと思うわけであります。したがって、その具体的な政策というものは、たとえば農業構造改善という形の中でほとんど進められてきたのではないか。ところが、現実に農業構造改善という形の中で進めてきたこの農業基本法の政策というものが、残念ながら農外所得に農家が所得を求めて増大をはかるという形にならざるを得なかった。もちろん、この構造改善に指定された地域の状態を見ますと、平たん地が主としてその地域になっているわけでありますが、たいへん近代化され、そして省力化されたその余った労力をどこへ持っていくか、これがほとんど都市労働者にその余力を転化していって農家所得を上げる、こういう形に変わっているようであります。  したがって、私はこの農業振興地域法律が、いわゆるどのような形で計画的に日本の農業土地利用というものを進めていこうとするのか、たいへん重要な問題があろうと思うわけであります。したがって、たとえば農業技術の高度化とか、あるいは資本装備の増大、いわゆる農業生産の調整、こういったものは、全体的にどこの機関でどの法律でやるのか。この農業振興地域という法律の中で、土地の高度利用という視点に立って計画的に進めるとするならば、そこら辺の調整というものまでも含めて今後考えられていくのか、私は、これはたいへん重要な問題だと思いますので、基本的に伺っておきたいと思います。
  74. 池田俊也

    池田政府委員 私ども、従来の農政のあとを振り返ってみますと、その点が非常に欠けていたんじゃないかという気がいたしますのは、実は地域との結びつき、これは現実には市町村なりの段階に入りますと、地域と結びつかない農政というのはあり得ないので、当然そこで結びつくわけでございますけれども、何と申しますか、もう少し上の段階考えました場合には、どうも地域と結びつけていろんな施策を考えるということは、どっちかと申しますと、非常に妙な言い方でございますけれども、ある意味では避けていたというような感じもあると思います。これは率直なところを言いまして、いろんな政治上の問題もございますしいろんな問題がありますので、むしろそういうようなニュアンスもあったんじゃないか。  ただ、これはいま申し上げましたように、下に行けば行くほどその地域と離れた行政というのはあり得ないわけでございますので、当然これは結びつかざるを得ない。特に、この前農林省としては、需要と生産の長期見通しを発表したわけでございますけれども、需要と生産とのある意味ではギャップというようなものが、たとえば主要作物である米についてもあらわれてきているというような現状では、やはりそういうことでは済まないわけでございまして、私どもはもうはっきり、この地域については、農業生産の中でもこういうような分担関係でものごとを考えていくというような方向を明らかにすべきであろう、こういうところにまで実は踏み切ってきたわけでございます。  それで、そういう前提でこの制度考えてまいりたいと思うわけでございますが、この制度によりまして農業振興地域というものが、先ほど申し上げましたような観点から確定をされました場合におきましては、私どもは、これはたびたび申し上げておるわけでございますが、従来行なっておりますいろんな施策、まず土地基盤整備から始まりまして、その上にいろんな機械でございますとか、施設でございますとかというものを、各原局がいろんな事業の名前で、構造改善事業もその一つでございますけれども、実施をしておるわけでございます。これはわりあいに広域的な施設、たとえば果樹の濃密団地というものにつきましては、国自体が地域というものを考えて、そこではっきりした方向を打ち出しておるわけでございますけれども、必ずしもそうでないものもたくさんあるわけでございます。そこで私どもは、そういうようなもろもろの事業というものの投下の目標というものをこの制度できめていただきたい。この制度できめましたものに対しては、国が責任を持ってそこを中心に事業の促進をはかっていく、こういうようにいたしたいと考えておるわけでございまして、この点につきましては、どうもこの制度に固有の財源がないということから不安を持たれる向きもあるわけでございますけれども、私どもはその点については、相当まじめに従来の事業をそこに集約していく、今後の新しい事業もそこに集中的に実施をしていく、そういうことによって土地の高度利用というようなことを実現していく。  その反面からいたしますと、その振興地域にはずれましたところは、どうも農業施策の上から取り残されるのではないかという不安も一面ではあるわけでございますけれども、私どもは実は全くそういうふうにも考えてないので、これはいろんな営農指導なり、あるいはまた事情の許す限りの農業施策も、その地域において必要なものはやっていきたいとは考えておりますけれども、やはりあくまでも基本は、農業振興地域を中心に公共投資その他の事業を集中的に実施して、そこの生産性を高めていく。もちろん自立経営の育成というようなことも重要な目標でございますが、同時にそれだけではなしに、協業経営あるいは協業組織というようなものも助長していく。こういうふうに実は考えておるわけでございまして、これは私どもの局が実は直接主管をしておるわけでございますが、第二次の構造改善事業等はまさにそれとうらはらの関係で実施していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  75. 工藤良平

    ○工藤委員 いま構造改善事業の問題も出てまいりましたけれども、第二次構造改善事業内容が来年度の予算にも出ておりまして、二千二百五十地区をこれからの十年間ですか、実施をしたいというような計画も出ておりますし、この農業振興地域法律指定地域につきましても、さっきの発言にもありましたように約三千カ所、こういうようなことがいわれているわけであります。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、私も現在まで農林省が行なっておりますいろいろな事業について、どのような農林行政というものが行なわれているのだろうかということを検討してみつつあるわけでありまして、これははっきりとした結論がなかなかまだ出ないわけでありますが、たとえば構造改善事業とか、普通のかん排事業、あるいは農免、牧野改良とさまざまな各局に分かれた農林行政というものがございます。それをこの際やはり全体的に洗ってみる必要があるのではないか。非常にむずかしい問題でしょう。問題でしょうけれども農林省がこのような法律までつくって、そこに重点的に施策を行なうとするならば、この際それを思い切って徹底的に洗ってみる。そして、これをどこで計画的な土地利用というもので調整をしていくのか。私は、もうその時点にきているような気がするわけであります。  たとえば、いまお話しのように、第二次構造改善事業が二千二百五十地区を計画して実施する。農業振興地域は大体三千地区ぐらいになるだろう。同じ十年であります。もちろん、現在までの過程の中においても、構造改善事業をはじめといたしまして相当大量の社会資本が投入をされているわけでありますが、二つ並べて見た場合、一方じゃ三千の地域指定をする、一方じゃ二千二百五十を計画実施するという。ぽっと見た場合には、一方は三千指定をする、一方は二千二百五十であれば、各市町村に一カ所構造改善事業はいかぬではないか。一見した限りではそういう感じも起きるわけでありますから、このような関連は一体どのようにこの農業振興地域計画的に進めるのか、私は疑問を持たざるを得ないわけであります。ですから、この地域指定したものに対して重点的にやる、それがまた総花的になるのか、徹底的にやるのか、そこら辺の姿勢というものを私はぜひお聞かせをしていただきたい。むずかしい問題です。むずかしい問題ですけれども、しかし、農業というものを振興さしていこうとするためには、思い切ってそういうものをこの際洗いざらい出してみる必要があるのではないか。そこで、これこれの金が要るだろうということが出てくれば、やはり思い切った施策というものをこの際打ち出して国民に明らかにする。そうしなければ、農業というものはどんな美辞麗句を並べてみたところで、しょせんは農業では生活できないということで離れざるを得ない、こういう結果になると思うのです。これは非常に基本的な問題でむずかしいと思いますけれども、やはり私たちが長い青写真を示していくためにも必要ではないだろうか、こういうふうに思いますから、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 池田俊也

    池田政府委員 確かに非常にむずかしい問題だと思います。実は、確かに三千と二千二百五十でギャップがあるというかっこうに見えるわけでございますが、私どもが二千二百五十というものを出しました考え方は、そう厳密な根拠に基づいているわけではございませんけれども、実は第一次の構造改善事業を実施いたしましたときに、これはやはり原則的には、かなり都市化されている地域を除きまして、一カ所ぐらいは各市町村にいくというような一応前提で、たしか三千百だったかと思いますが、当初考えていたわけでございます。  ところが、その後いろいろ各地方の御要望等伺い、また現実に構造改善事業を実施するという体制が整ったところということになりますと、結局たしか二千二百十六市町村だったと思います。これはやはりいろんな関係で、その後構造改善事業の実施に至らなかった地域相当落ちましたので、結局二千二百十六市町村くらい、地区数はもっと多いわけでございますけれども市町村の数はそういうところでございます。それを考えますと、その後さらに市街化が進んでおる、こういうような事情がございますので、私どもがやはり今回の第二次事業でやります場合も、本来からいえば三千市町村くらいが実施できるのが好ましいという考えはあったわけでございますけれども、どうも従来の実績からいうと、かなり思い切って見込みましても、従来の市町村数を大幅に上回るというのはなかなかむずかしいんではなかろうか、こういうことに実はなったわけでございます。  それから、一方振興地域のほうの指定でございますが、これは前の御質疑の中でも出ましたけれども、大体三千三百市町村くらいございますけれども、都市化がかなり進んでいる市町村もございますので、そういう市町村は明らかに除外されるということで、三千あるいは三千百というような数字も申し上げたかと思いますが、その程度が一応資格がある。もし地域の住民が、そういう農業を中心にして今後地域振興をはかっていこうということで結束ができますならば、そのくらいの地域指定される可能性がある、こういう意味で実は申し上げたわけでございまして、私どもは、実際にはやはりそれを若干下回ってくるんじゃなかろうか、実はこういう気がいたすわけでございます。  要するに発想は、現在の市町村を前提にいたしまして、市街化されるような地域を一応除外し、それからまたそういう構造改善事業というようなものは、特に今度の場合は、従来の事業規模に比べますと三倍以上に規模がふえますので、地元の負担との関係もございますから、ある程度下回らざるを得ないだろうということで、振興地域の数と構造改善事業実施市町村の数とが非常にたくさん開きまして、希望がありながら構造改善事業が実施できないという地域は、必ずしもその表面上の差だけではないんじゃなかろうか、もう少し少ないんじゃないだろうかという気がいたします。もちろんそういう地域につきましても、いろいろな事業がございますので、そういう事業を集中的に実施いたしてまいりますことは当然でございますけれども、私どもは、その経過は慎重に見守ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  77. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、この農業振興地域指定というものは、いろいろな条件が示されていますが、これはできるだろうと思うのですね。問題は、この指定をされた地域が、今後一体どのような施策が重点的に行なわれるのかということが、私はむしろたいへん大きな問題になるだろうと思うのですね。非常に総花的にこれからその指定地域にしてやるのか。しかも、三千市町村ということになりますると、ほとんどの市町村になるでしょう。それにさらに総花的な行政をやるとするならば、いままでと一向に変わらないじゃないか、こういうことになるわけで、そうするとそんな法律は必要ないじゃないか。  私は、むしろそうじゃなくて、これをつくる以上は、やはり何か特徴のある重点的な施策というものが出てこなければならないと思う。それには何をやるのか。構造改善は農業基本法の中心であったけれども、これもきわめて局地的な問題になってしまっておる。農民の求めているものは何か。構造改善も、もちろんこれを全体的に広げてくれればいいわけですけれども、なかなかそこまでいかないわけです。そうすると、いま緊急に全体的な問題としてこのような調整、そしてしかも長期的な計画をつくっていくための重点施策は何か、そこを私はやはりこの法律の大きな問題として取り上げていかなければならぬと思う。  私は、それは何かということをいつも考えてみるわけです。どこに入りましても、いま非常に重要な問題はやはり農道の問題、水の開発、この二つを重点的に、たとえば地域指定いたしまして、全体的にやるならやるというような大きな方針が出てくれば、私はこの法律も生きてくるのではないだろうかという気がするわけでありまして、もちろん、いま農免道路を中心として非常に拡大をされつつありますから、この恩典に浴した農家というものはたいへんあらわれております。むしろ局地的に構造改善に四億入れるよりも、この四億で奥地の農道開発をすることによって、全体の農民にどのように生かされてくるかということを考えていくと、その効率において非常に大きな違いが出るのではないか。そこら辺を農林省はどのように把握をして、この法律の次に来るものを想定するのか、そのこともやはりこの際考えてみる必要があるんではないか、このように私は思いますから、局長考え方もひとつ聞かしていただきたい。
  78. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま先生がおっしゃいました御意見、私は実は全く同感でございます。構造改善事業というのは、これはすべての地域にやるわけにはいきませんで、振興地域の中の一部の地域に行なわれるわけでございます。構造改善事業ということの意味は、やはりそれをモデルにいたしまして、他の地域がそれを見習っていくというふうになるところに、特に意味があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この振興地域指定され、そこにおいて事業が行なわれます場合の基本というのは、私は農業生産基盤の整備、いまおっしゃいましたような問題であろうと思います。  それで、実はこの第十条をごらんいただきますと、若干そのニュアンスが出ておるわけでありますが、農業振興地域の中で農用地というものをきめまして、農用地計画というものをそこについて定める、こういうことになっておるわけです。その農用地においては区分をいたすわけでありますけれども、そういうものは「農業生産の基盤の保全、整備及び開発の見地から必要な限度において区分する農業上の用途を指定して、定める」こういうことに実はなっておるわけでございまして、そういうところにも、やはり農業振興地域の中心になります農用地の農用地計画をきめる意味というものが、一番農業生産基盤の整備というところに重点が置かれてきめられる、こういうことになってくるわけでありまして、当然その上にもろもろの機械でございますとか、その他の近代化施設というものが上のせされるわけでございますけれども、やはり何といっても農業の場合でございますからそれが一番の中心になる、こういうことはおっしゃるとおりだと思うのでございます。
  79. 工藤良平

    ○工藤委員 そこで、少し掘り下げてみたいと思うのですが、たとえば、昨年の十一月に出されました「農産物の需要と生産の長期見通し」これを私はいろいろ検討してみているわけですが、たとえば「土地利用の方向」が出ております。五十二年の見通しというのが出ておるようでございますが、これを見てみましても、三十六年に六百九万ヘクタールの耕地面積があった、それが四十三年には五百九十万ヘクタールに減少した、これが五十二年の見通しでは五百七十五万ヘクタールとさらに減少するであろうということが、実は予測をされているわけであります。私は農業の健全な発展ということから考えてみますと、これは健全な発展の方向ではないわけであります。ですから、そういうような方向に現在の土地利用の方向がいっているとするならば、それをどのように改善をするか、その一つの方策として今度のこの法律が出てきたというように、私は実は理解をいたしたいわけであります。  あるいはまた作付の延べ面積、耕地の利用率、いわゆる裏作等の利用率から申しましても年々減少している、こういっているわけでありますね。これは国家的な見地から見てたいへん大きな損失でありますから、それをどのようにやるのか。それでは、農業が健全な発展を遂げていくために、いわゆる農業の経営規模の拡大を中心にして総生産を拡大する障害になっているものは一体何なのかということも、この際突き詰めてみる必要があるんじゃないだろうか。もちろん農地法の改正というものは出てきておりますけれども、そうでなくて、もう少し大きな意味でその辺をきっちりとらえる必要があるのではないか、こういうように思うのです。その点について、一体この法律をつくった背景として、いま言ったような拡大の方向をどこに求めていくのか。その最も主要な障害になっている原因は何か。端的に明らかにする必要があるのじゃないかと思いますから、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  80. 池田俊也

    池田政府委員 この見通しにおきましては、耕地面積が若干減少をし、また作付率も若干低下をする、こういうことに実はなっておるわけでございますが、これは従来の傾向を一応前提にいたしましてそういう見通しを立てているわけでございます。そういう耕地面積の減少ということは、これはもう御存じのとおりでございますが、都市近郊におきます宅地等の用途に相当壊廃が行なわれている。それに対して、一方農用地の造成も行なわれているわけでございますけれども、やはり傾向としてはそういう面からの減少のほうがより大きい。それから耕地利用率の低下というのは、これも御存じのとおりでございますが、要するに高度成長に伴う労働人口の移動、こういうようなことで農業労働人口がかなり現在減少しておるわけでございます。減少の程度は今後若干低下をいたすのではないかと思いますけれども、それにいたしましても、比較的採算に合わないような農作物については作付の放棄が行なわれる。特に、冬作等におきましては作付の放棄が行なわれるというようなことで、こういうような傾向をある程度否定できない、こういうことかと思うわけでございます。  農業生産の増大なりあるいは自給度の向上という点からいえば、はなはだ好ましくない現象ではないか、こういうふうな考え方もあり得るわけでございますが、私どもはやはり現実問題としては、自給度の向上ということは、国の農業の、国民食糧の基幹になるようなものについて、あるいは今後農業として特に戦略部門になるようなものについては、これは当然自給度の向上に相当努力をしなければならない。このための努力相当強化する必要があると思っておるわけでございますが、一方では輸入農産物とのいろいろなコストの比較等からいって、国内で生産をするのはなかなかむずかしいという作物も逐次出てまいっておるわけであります。そういうようなところを総合して考えますと、やはりこういうような現象になるのもこれはやむを得ないのではなかろうか。  全体としては、農業生産はかなり増大をするわけでございます。この見通しでも、年率にいたしまして三%弱くらい増大をするという見通しを立てておるわけでございまして、そういう点では決して総生産の増大にならないわけではございませんけれども、ある作物について見ると、自給度が若干減少するというものも出てまいるわけでございます。これはある面では私どもはやむを得ないのではなかろうか。そういう点からいろいろ作物のいわば仕分けをいたしまして、今後農業のいわば戦略部門になるようなものについては、そこに最大の力を注いでいく。そのかわりある程度減少するのがやむを得ないものについては、これは事実として認めざるを得ない、こういうふうに実は考えておるわけでございまして、この耕地面積なりあるいは利用率の低下傾向というのが、農政として後退であるというふうに私ども必ずしも考えていないわけでございます。
  81. 工藤良平

    ○工藤委員 もちろん、この耕地面積の減少というものは、いまおっしゃるように必ずしも農政の後退ということにはならないだろう。全体的に土地生産性が高まっていけば、その部分は十分カバーできるという要素は確かにあるだろうと私も思っております。しかし、さっき申し上げましたように、農業の健全の発展ということを一つの大きな基本にして考えてみると、私たちは、この法律をつくる趣旨というものは、いかに農家の経営を拡大してやるかということだと思う。拡大をしていこうとする意欲を持った農民もいるわけでありますから、それはただ単に農地法の改正によって、農地の流動化をすることだけによって規模の拡大をはかるということであってはいけないと思うのです。もちろん、それも一つの部分ではあるだろうけれども、しかし、もう少し大きな意味でとらえていかなければならない。  したがって、現在のこの拡大の困難性というものは一体どこに原因があるのかということを、私どもなりにまた現実を分析してみるわけであります。もちろん、現在の農業政策が全体的に波及するということは、予算的な問題もありますし、なかなか困難でありましょう。しかし私は、たとえばいまの農業を見てみると、地域的にやはりどうしても農業が偏在をしていくという要素があります。都市近郊がどんどんつぶれていくという要素もあります。したがって、農業の対象地がだんだんと奥地に入らざるを得ない、こういう問題もあります。あるいはまた非常に地価が高騰することによって、土地の権利関係というものがややこしくなってなかなか手放さない。あるいは畜産振興をはかろうとしても、入り会い権というような非常にむずかしい問題も入ってくる。こういうような問題は拾い上げればたくさんあるわけであります。それを、このようにしてこの法律の背景の中で解決をしていこうというものがなければ、私がさっき申し上げましたように、従来の形と一つも変わらないじゃないか。いわゆる役人的な考え方で、何か法律をつくらなければいかぬというかっこうでつくってみる。つくってみたけれども、さっぱり前と変わらないということでは意味がなくなる。  したがって、この法律をつくる以上は、どういうところに特徴を生かすのか、やはりそれがなければいけないと思うのです。整備計画を出させる、そしてそれでいろいろな構造改善もやろう、あるいは道路も入れよう、近代化した施設もつくろうということはいいのですけれども、それが非常に局地的な問題になるから、全体的にいま農民が求めているものは何かということで、集中的にできる政策はないのか。たとえば、道路なら道路の問題について農道を僻地までつくってくれ、そうすれば私たちは畜産を振興するために非常に有利だという要請があるわけであります。ですから、そういうものにこたえていくための長期的な展望というものがこの背景にあって、それに基づいて初めて計画的な土地利用というものが、農業振興地域のこの法律によって私は実行できるのではないかという気がするわけでありまして、その点もう少し掘り下げて局長から答弁をしていただきたい、こういうように思うわけです。
  82. 池田俊也

    池田政府委員 私どもはこの制度は、非常に端的に申しますならば二つの意味がある。一つは、いろいろなことをいわれますが、他用途との調整をはかる、こういうことであろうと思います。それからもう一つは、これも先ほど来いろいろ御議論がございました、土地の基盤整備というようなものが一番のあれだと思いますが、事業を集中的に実施することによって農業のいろいろな面の振興をはかる、こういうことであろうと思います。  前者につきましては、これはやはりいろいろ問題はあると私、思うのでございますけれども、今度の新都市計画法の実施と、それからこれが成立いたしました場合におきましては、これによって地域が非常にはっきりして、そこに対する、たとえば農地の転用についての考え方というものが非常に整理されるわけでございます。御承知のように、市街化区域におきましては農地の転用の規制というのがなくなる。一方、こちらの場合におきましては、農用地計画の対象になっておりますところでは農地の転用は一応規制される、こういうようなことでございまして、そこいらの秩序が非常にはっきりしてくる。  いま非常に問題になっております農地の地価問題、これは私どもは、経済の高度成長ということは農業に全体として好影響を与えているのだろうとは思いますけれども、やはり一番問題になるのは、それに伴う地価の上昇が農業の姿というものを非常にゆがめている面があるわけでございます。そういうようなことに対して、これは抜本的な解決策ではございませんけれども、そういうものに対する秩序づけが行なわれ、一方では宅地の供給が円滑になるというようなことになれば、その間、農地の無秩序な壊廃というものもある程度秩序化されますし、あるいは地価の上昇というものもある程度制約をされる、こういうことになろうと思うわけでございます。  結局、そういう他用途との調整ということと、それから農業施策の重点的な実施、この二つがやはり一般的にいいまして、この制度一つのねらいであろうと思うわけでございます。  なお農道の問題、これは非常に重要な問題でございますが、私、専門家でございませんので、農地局のほうからお答え願いたいと思います。
  83. 工藤良平

    ○工藤委員 農地局のほうもあとでお話を聞きたいと思うのですけれども、私さっきから言っておりますのは、確かにこの法律ができてまいりますと、その地域指定をされまして、総合的にそこに予算を投入していくということが一貫して書かれておりますし、私はそのことも否定はしません。そのとおりだと思います。いいと思います。ただ私は、この法律をつくる以上は、何か特徴を出さなければいけないということですね。ですから、農道なら農道をつくるということが、全体的に従来の政策に大きくプラスして出てこなければいけない。水の開発なら水の開発、農業用水の開発ということによって、日本の農業がまだまだ大きく発展をしていくという要素があるとするならば、そこにやはり視点を合わせて、従来のものにプラスアルファが、どこに重点が置かれていこうとするのか、その点が明らかになってこなければ、どんなりっぱな作文をしてみても、結局結果的には従来と変わらないということになる。それではいけないと私は思っているわけです。  ですから、いまほんとうに農業をやろうとしている者が求めているものは何か、そのことにこたえていくためにこの農業振興地域法律が必要であるとするならば、それをつくって重点的にやる。それは従来のような、いろいろな幾つかの国の助成措置を通じての農業改善の方法もありましょう。しかし、それにプラスするものは一体何なのかということ、私はそれがほしいわけであります。それは、これから具体的に計画を出して検討してやりますということでもいいのですけれども、それでは、やはり五年なり十年先の問題でありますから、なかなか農民自身が、こういう法律をつくって計画を出してみたところで、さて何をやるのかということで迷うわけでありますから、農道なら農道という問題について、国が徹底的にやろうということになれば、いま農業をどうしようかと迷っている人たちが、よし、そういうことをやるのなら、おれたちも本腰を据えて農業を継続していこうかということが出てくるのですね。そういうものを求めているわけです。そこにやっぱりこの農業振興地域法律をつくる大きな目的というものがあるだろうと私は思う。総合的な施策をやるということだけでは、なかなかわからないのです。納得できないのです。新しいものは何かということ、それをやっぱり明確に出していく。これは農林省側が大蔵省と折衝する過程の中においては、たとえば道路の問題については、これは建設省との関係もありましょうけれども、奥地まで農道が入るとするならば、私は農業の大きな飛躍的な発展というものは期待できるのじゃないかと思う。そこに何か特徴のあるものに視点を合わせてこの法律が出てくれば、私もすぐ賛成をして通したいと思うのです。そこら辺をひとつぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  84. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいま道路のお話が出ましたので、私のほうから補足をいたします。  農政局長からるる御説明がございましたのですが、道路につきましては、私どもは二つの試みを現在考えておりまして、一つは、今年度と四十四年度で全国の農道関係を全部総洗いいたしまして、調査をいまやっております。これは大体平場が中心になると思います。  もう一つは、四十四年度の予算で現在御審議いただいておりますけれども、広域未開発地域の開発計画につきまして、先ほど工藤委員からも御指摘がございましたように、規模拡大とも関連いたしまして、広域の未開発の地帯をどのように開発いたすかということを、全国で北海道一つと内地三カ所で調査を開始するように現在考えておりまして、この中では当然開発道路的なもの、そういったものが一つ大きくクローズアップされるであろう、そう思います。  ただ、これにつきましては、先ほど御指摘がございましたように、建設省で現在奥産道路というものの制度がございます。この奥産道路とわれわれ農業側で考えます道路とがどのような関係になりますか、建設省側ともいろいろ折衝いたす必要があると思いますが、そういう意味で、二つの試みの中から道路問題を考えてまいりたい。当然これは、現在御審議いただいております地域整備の立法の中で、今後いろいろと施策を進める場合に密接な関連が出てまいる、こういうふうに考えております。
  85. 工藤良平

    ○工藤委員 いま御答弁をいただきましたように、私は、そういう視点からぜひ問題をとらえていただいて、それは非常に困難なことかもわからないけれども、やはりそういったビジョンをきちんと出していただく、そのことによって農民自身は一つの希望をつなぐわけであります。それを待ち望んでいるわけであります。私は、そのことをこの法律にも実は期待をしたいと思っているわけです。もちろん、この法律そのものが非常に抽象的なものになっておりますから、それから全体的なものを引き出すということは困難かもわからないけれども、しかし、何らかの形でそういう希望を引き出してやりたい、そのことによって農民自身が足をとめてやろうという意欲が燃えてくるわけであります。ぜひひとつそういう意味で、この法律については、これからの具体的な施策の中でより積極的なものがほしいと思う。私、この前太田参事官との間でもやりとりをいたしました。たとえば、さっき申し上げましたように、これはどうも農地の保全という形に終始をしているような感じを受けるがどうかという議論をいたしましたけれども、もう少し前向きにその点は踏み出していただいて、ぜひ最大限にこれを生かすように進められるべきではないだろうか、こういうように私は思っているわけであります。  そこで、代議士会も一時半からありますから、この問題についてはさらに機会を見て私は論議をしたいと思うのですが、その機会を与えていただきます一つの素材として、これは先般もちょっと最後に触れたのですが、時間がなくて中断をしたようなかっこうになっている水の問題であります。水資源の開発という問題について、もちろんこれとは直接的な関係はないかもわかりませんけれども、この問題をどう農林省は扱うのか。たとえば、水資源開発促進法なりあるいはいろいろありますけれども、この中で、いま経済企画庁なり建設省で総合的な水開発というものが行なわれているわけでありますが、農業用水というものがいま非常に深刻な問題になってきているわけであります。水開発をすれば、もっともっと日本の農業は変わるだろうということがいわれておる地帯がたくさんあるわけであります。したがって、基本的に農林省は一体水の問題をどうするのか、この点もぜひ聞かせていただきたいと私は思います。
  86. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいまの水の問題、農地局のほうからお答えさせていただきます。  ただいま御指摘のように、水全体の問題でございますと、経済企画庁が中心になりまして、水資源の開発のために基本計画というものを立てながらやっております。しかし、現在やっておりますのは、主要河川ということでございますので、やはり主要河川だけではなくて、だんだんとその河川をふやしていく必要があろうかとわれわれは考えております。  それから、水問題でございますけれども、われわれは農業として持っております現在の既得水利権というものは、できる限り守っていきたいというふうに考えておりますけれども、しかし、上水なり工水なり、いろいろと他部門の他種水利等もふえてまいりまして、国土全体の水をどのように確保し、それをどのように合理的に配分して利用するかということでございます。その中で、農林側といたしましては、われわれの言うべきことを十分に経済企画庁なりに申し述べるし、また建設省の河川局とも十分に打ち合わせをいたしております。決してわれわれのほうが不利になるようなことはないと考えております。また、新しい水の開発につきましても、われわれのほうで現在水系調査のため特別に調査事務所を設置しております。主要な、利根川であるとか筑後川であるとか、そういうものにつきましては、水のバランスの徹底的な調査をいたしておりますので、必要なことを十分に申し述べるだけの材料を持っておるわけでありますが、その方向で対処してまいりたい、かように考えております。
  87. 工藤良平

    ○工藤委員 水の問題で私もたいへん具体的に、いろいろ事実を扱っているわけでありますが、たとえば筑後川の上流に、いま、例のたいへん問題になりました下筌、松原ダムができておるわけであります。これはもちろん特定多目的ダムということで、治水、それから発電も兼ねましたダムができておるわけでありますが、この前、私はちょっとしたことからその地帯に入ったわけであります。目の前に、合計一億数千トンというたいへん大きなダムができるわけでありますけれども、そのダムのごく近郊では、これから農業開発をやろうというのに、現在ある水田でさえも非常に水がない。小学校がありますけれども、その小学校に飲み水がなくて、子供が毎日水筒に水を入れてきておるというような状態が実はあるわけであります。しかし、残念ながらその特定多目的ダムは農業用水を確保できるような状態になっていないわけであります。私は、そこで非常に矛盾を感ずるわけであります。水をとられていく、いわゆる水源地域といわれるところの開発はどうするのか。ダムができることによって水は目の前にあるけれども、その水をとることができない。それがとれれば相当大きな農業開発ができるという地帯があるわけでありますけれども、そういうときに、いまおっしゃるように、いわゆる既得水利権というものの関連、新しくできたそういうダムに対する農業用水の確保の条件は一体どうなるのか。そこら辺は、やはり農林省としてももちろんやっていると思いますけれども、その点、どうも私は、農林省農業用水というものを二義的に考えるようなかっこうに、特に大きな水系の場合にはなるのではないか。  これから、大きな意味で水の開発というものを考えていきますと、たとえば、農業用水だけを目的としたダムではなくて、広い意味の多目的ダムというものができていくのではないだろうか。そうすると、その際に、ややもすれば工業用水やあるいは上水道とか、あるいは発電とか、そういったものが主とした目的になって使用されて、農業用水というのは第二義的に考えられるということが、効率の面からいっても、いろいろな面からもいえるのじゃないか。したがって、いまおっしゃるように、既得水利権という問題を私たちがどう扱うかという問題と同時に、また新しい視点に立っても、農業用水確保というようなことが、やはり大きく入ってこなければならない。そのことについて、農林省自身としてももっと考える必要があるのではないか。そういった意味から、農業振興地域の中にも、水の問題について何かやはりきちんと位置づけが必要ではないか。もちろん、これは農地局なりそういうところでやっておるとは思いますけれども、どうも近ごろその点に対する考え方というものが、農林省自身としても遠慮がちじゃないだろうかという気がしますので、そこら辺もひとつ明らかにしておいていただきたい。なお、これらの問題についてはさらに機会を改めて具体的に踏み込んでみたいと思っておるわけですけれども、そういう点を基本的に伺いまして、きょうの場合は時間もないようでありますから、一応ここら辺で終わりたいと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。
  88. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいまの工藤委員のお話は、非常にわれわれのために、ためになったのでありますが、たとえば筑後水系にいたしましても、今回四十四年度予算で国東のほうに水を持っていく計画がございまして、そのために、筑後水系の調査事務所の支所を大分県に置くように現在考えておりますが、そういうことによってできるだけ、そういう既得水利権はどのようなものがあるかということを、やはり何らか明らかにしておかなければなりませんし、それから水源地帯の、たとえばあそこでございますと日田でございましょうか、あそこらの地帯の開発をどういうふうに考えるかというのは、非常に大きな問題でございますので、今後その方面で努力いたしたいと考えております。
  89. 工藤良平

    ○工藤委員 その点私は具体的に申し上げましたけれども、たとえば多目的ダムをつくるということで基本調査が始まる。ところが、基本調査だからいいだろうということで簡単に許していくわけですね。本調査になりまして、そのうちにダムができる。ところが、地域の人たちには、そのうちダムができれば水ももらえるだろうという安易な考え方があるわけです。ですから、たとえば下筌、松原のダムの問題だって、私が四、五年前に行ったときに、あそこの村長さんは、私のほうは高台に水をもらえるのですからたいへんけっこうでございますということを言っておったわけです。ところが、昨年参りましたところ、どうもそれがあやしくなっておるわけです。今度調査してみましたところ、そういう条件は何もありません、そういう陳情もございませんということで、簡単に片づけられておる。やはり私たちは、基本調査の段階農業用水はどうなるのか、このダムをつくることによってこの地域がどのような発展の過程というものをたどるのか、そういうことが具体的にできるのかということも、やはり明らかにしておく必要があるのではないか。そうしなければ、これから畜産をやるにしても何をやるにしても、やはり水というものが非常に重要な問題になってまいりますから、そういう意味で、農林省はたいへんな仕事でありましょうけれども、ぜひひとつ全体的にこまめな水の調査等をしていただきまして、この総合的な水の開発というものに対する施策というものを十分にやっていただきたい。そのことによって、私はまだまだ日本の農業というものも大きく発展をしていく要素が出てくるのではないか、こういうふうに思いますので、その点、先ほどから申し上げておりますように、また機会を改めていろいろと教えていただきたいと思います。  きょうは、あとの日程があるようでありますから、一応この程度で終わりたいと思います。
  90. 丹羽兵助

    丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。   午後一時二十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕