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1969-03-11 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十一日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君       大野 市郎君    金子 岩三君       小山 長規君    菅波  茂君       瀬戸山三男君    中垣 國男君       中山 榮一君    野原 正勝君       福永 一臣君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    松野 幸泰君       伊賀 定盛君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       芳賀  貢君    美濃 政市君       樋上 新一君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農政局長 池田 俊也君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君  委員外出席者         農林省農地局管         理部長     小山 義夫君         建設省都市局参         事官      山下  武君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 三月七日  委員田澤吉郎辞任につき、その補欠として菅  太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員菅太郎辞任につき、その補欠として田澤  吉郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第七一号)  真珠養殖等調整暫定措置法案内閣提出第七二  号) 同日  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(勝間田  清一君紹介)(第一七五六号)  同(北山愛郎紹介)(第一七五七号)  同(佐々木更三君紹介)(第一七五八号)  同(永井勝次郎紹介)(第一七五九号)  同(成田知巳紹介)(第一七六〇号)  同(穗積七郎紹介)(第一七六一号)  同外一件(帆足計紹介)(第一七六二号)  同(松本七郎紹介)(第一七六三号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第一七六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月六日  食糧管理制度堅持に関する陳情書外三十三件  (第一  四四号)  同外二件  (第二一  一号)  食糧管理制度堅持等に関する陳情書外二件  (第一四五号)  同外一件  (第二一〇号)  農業振興地域整備に関する法律案成立促進  に関する陳情書  (第一四六号)  農業改良普及事業整備拡充に関する陳情書  (第一四七号)  薪炭雑木林樹種転換補助に関する陳情書  (第一四八号)  緑化事業推進に関する陳情書  (第一四九号)  屋久島原始林保護に関する陳情書  (第一五〇号)  国有林野事業に従事する日給制職員処遇改善  に関する陳情書(第  一五一号)  長崎干拓事業促進に関する陳情書  (第一五二号)  ミカンの流通機構改革に関する陳情書  (第一五三号)  ブリ資源保護に関する陳情書外三件  (第一五四号)  パインアップルかん詰自由化反対に関する陳  情書外一件  (第一五六号)  農山村住民及び林業労働者の生活安定に関する  陳情書外二十七件  (第二〇八号)  果樹農業振興に関する陳情書  (第二  〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業振興地域整備に関する法律案内閣提出、  第五十八回国会閣法第一〇一号)      ――――◇―――――
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農業振興域地整備に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々栄三郎君。
  3. 佐々栄三郎

    佐々委員 農業振興地域整備法案前回から継続審議になっておりますが、審議の冒頭にあたりまして、簡単でよろしゅうございますから、この立法趣旨外国における立法例につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  4. 池田俊也

    池田政府委員 農業振興地域整備に関する法案趣旨でございますが、これはいまさら申し上げるまでもございませんが、最近におきます都市化の進展というようなことに関連いたしまして、農地がかなり無秩序にこわされていく、あるいはつぶされていく、あるいは土地利用度が低下する、あるいは労働力の流出に伴いまして農業経営が粗放化している、こういうような事態があるわけでございます。こういう事態に対しまして、従来、農業政策地域に応じて推進をしていくという点で、地域的な観点がやや欠けていたのではないかという感じが私どもするわけでございます。それで今回の法案におきましては、国土資源有効利用というような観点の中で、農業がどういう地位を占めるか、あるいは他用途との調整をどうはかるかという点が一つポイントでございます。  さらに、農業生産性向上でございますとか、あるいは農業生産の増大、あるいは農業構造改善というような観点から、必要な条件を備えた農業地域というものを保全する必要があるのではないか、そういう保全のための任務もこの法案考えてまいりたい、こういうことが第二点でございます。  それからさらに、今後農政というものを進めていく場合に、やはり限られた資源でございますから、これを有効に使っていくという必要があるのではないか。そういうような観点から、今後とも農業中心にしまして地域振興をはかっていくというようなところに対しまして、重点的なそういう農政推進をはかる、こういうような観点がございまして、そういうような点から、今後農業中心にしてその地域振興をはかっていくような地域をはっきりさせたい、こういうようなねらいがございます。そういうような観点から、今回の法案を御審議願っておるわけでございます。  それから、外国制度といたしまして、どういうような形があるかというお尋ねでございますが、実は、私どもも十分に外国のいろいろな制度をこまかく勉強ができていない点がございますけれども、私ども承知をしておりますヨーロッパ等におきますこの種の制度といたしましては、今回御提案申し上げております農業振興地域整備というような観点からの、単独法というのはどうもあまり多くないようでございます。やはり都市計画との関連等から、都市計画及び農村計画と申しますか、そういうものを含めた土地利用計画を立て、それを規制するというような観点法律が多いようでございます。  たとえば、イギリスとかあるいは西ドイツ等もそのようでございますが、イギリスの例を申し上げますと、都市及び地方計画法というようなものがございまして、日本の場合に当てはめて考えてまいりますと、いわゆる都市計画法と今回の農業振興地域法案、これとを包括したようなかっこうができておるわけでございます。内容といたしましては、やはり土地計画を立てるということと、それから、その土地開発につきましては、行政庁許可が要るというような制度中心になっているようでございます。
  5. 佐々栄三郎

    佐々委員 前の通常国会都市計画法成立をいたしましたが、私は、この種の地域立法を見て感じますことは、非常にこういう種類の法律が多いわけであります。いま言った都市計画法、それから今度の農振法、それからまた通産省のほうでは工業立地適正化法案、あるいは自治省では土地利用計画法案、こういうようなものが続々と出てこようとしているわけでございます。また、現に成立をしておるようなわけであります。その上に首都圏整備計画とか、中部圏近畿圏、北海道、東北、四国開発に関する計画、さらにその上には新全国総合開発計画ども中間発表せられておるわけでありまするが、こういうような一連の、上下の関係はありますが、とにかくこういうような法律が多いわけであります。  問題は、こういうふうにたくさん出てくる地域立法というものが、非常に錯雑しておりまするので、これをやはり何らかの目安をもって、何らかの権限をもって調整をする必要があるのではないかと私は考えるわけでありますが、どういうような方針でこれを今後調整して、きちっとした形で運営をしていく方針であるか。さらに一歩進めまして、そういうような調整をしていくところの総合的な、一番最上位立法というものが必要なのではないかというふうにも思うのでありますけれども、これについての御見解を承りたいと思うわけです。
  6. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま先生御指摘のように、確かにわが国の場合には、いろいろな地域開発関連いたします法律が非常に多いわけでございます。ただ、私どもいろいろな体系を考えてみますと、一つ全国総合開発計画が頂点になると思いますけれども、いわば国土地域開発方向づけをするもの、これは、あるいは首都圏なり、近畿圏なり、あるいは各地方開発促進法というものがございますけれども、これもやや似たような観点法律であると思います。それに対しまして、今度は地域計画というものを具体的に進めていくというための法律といたしましては、御承知のような都市計画法、あるいは今回御提案申し上げております農業振興地域整備に関する法案、これは全体の地域開発方向づけをするというよりか、むしろ特定な地域開発なり、あるいは都市計画なりを進めていく場合の具体的な手法に関する、いわば制度であるという感じを私、持っておるわけであります。  もちろん、私どもの今回の農業振興地域整備に関する法案でございましても、現在、企画庁において検討されております新しい全国総合開発計画、これができました場合には、これの方向に沿ってそういう振興地域整備が進められるということになるわけでございまして、確かに系統としては非常に錯綜いたしておりますけれども、おのずからその間にいろいろな任務の分担がございますし、また、当然この実施段階では、各省大臣が相互に協議をするというような制度がとられておりますので、そういうようなものを通じまして、私どもは、それぞれの制度が目的とする分野、それについてはしかるべき運営が行なわれるというふうに考えているわけでございます。  もちろん、そういうものがある程度、外国のいろいろな例のように包括的なかっこうでできるというのも一つの理想的な形かと思いますが、現実にはもうすでにそういうものが先行しておりますので、私どもはその中で適当な調整をはかりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  7. 佐々栄三郎

    佐々委員 これらの各種の法律の最上位にこれを統一し、総合し、調整をするところの立法というものは必要でないかどうか。
  8. 池田俊也

    池田政府委員 ただいま申し上げましたように、それぞれ地域関連した諸制度でございますけれども任務においてそれぞれ若干ずつの違いがございますので、私どもは全体を総括して調整するということは、現状においてはなかなかむずかしいのではないかという感じを持っているわけでございます。  ただ、一番問題になりますのは、私ども立場らいたしますと都市計画との関連、これが一番現実的な問題で、具体的には、都市計画地域の線を引きます場合、あるいは農業振興地域の線を引きます場合、それぞれ非常に関連が出てくるということで、これにつきましては、もちろん建設省あるいは農林省の間で、それぞれの地域指定いたします場合には、十分連絡協議をするという体制をとっておりますけれども、全般を総括して調整をはかるような制度というのは、現状ではなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  9. 佐々栄三郎

    佐々委員 建設省お尋ねをいたしますが、三月六日の朝日新聞に、「都市計画申請殺到」という見出しで、本年の六月に新都市計画法実施をせられる前に、旧法によって早く都市計画をやろうというようなことから、現在、建設省申請が殺到してきておるという記事が出ておるわけです。これはどういうようなわけでこういう事態が起こってまいってきたかということと、これをどういうふうに処理をせられる方針かということにつきましてお尋ねをしたいと思います。  それから、あわせて、もし現在出ておる旧法による申請を受理してこれを処理せられた場合、新法施行後もこれが有効なのかどうかということについて、御見解を承りたいと思います。
  10. 山下武

    山下説明員 ただいまの三点についてお答えいたします。  現在、新法施行の六月を控えまして、現行法による手続をできるだけ早く進めて、そうして都市計画事業推進を円滑にしたいというのが、現在の都道府県気持ちであるわけでございます。私どもとしましては、できるだけ六月の施行までに、事務的に処理できるものはできるだけ早く処理をいたしまして、新法施行都市計画の仕事がそごを来たすようなことがないようにということで、大体四月の十日ごろまでに必要な手続はするようにということの示達をいたしておるわけでございます。非常に内容的に軽易なような事務につきましては、できるだけ私どもでは早く処理いたしまして、六月の施行支障のないような形で準備を進めたいということで事務を進めておるわけでございます。私どもとしましては、各都道府県にできるだけ迷惑のかからぬように、事務処理をとり進めたいと思っておるわけであります。それから、特に内容的に見まして非常に重要な問題で、新法施行後に処理しなければならぬような問題もございますので、そういう問題につきましては、新法施行後においてできるだけ支障のないような形で、当該県協議を進めておるわけでございます。  そのようなことで、現在相当殺到はいたしておりますけれども、十分その内容等を吟味いたしまして、施行の前後を通して円滑な業務処理に持っていきたいという考えで、業務を進めておるわけでございます。
  11. 佐々栄三郎

    佐々委員 いま御答弁が漏れておるように思いましたが、御答弁の筋合いから申しますと、新法施行後も有効というように理解していいんだろうと思います。  そこで私は、この問題につきましてお尋ねをしたいのでありますが、新法によりますと、計画案に対して住民の意思を聞くために公聴会を開くとか、意見書を提出させるとか、いろいろな方法が尽くされております。そういう点から申しまして、新法旧法に比べて民主的だと私は思っておりますが、いまたくさん出てきておる旧法による申請は、言うならばそういう市民、民衆の意見を聞くと、また非常にわずらわしい問題が起こるから、とにかくどろなわ式ではあるけれども旧法のもとで、上のほうの建設省だけでひとつやっつけてしまおうというようなところから出てきておると思うのですが、そういうような点からいって、これを旧法処理するということがはたして妥当かどうかという点が、私は若干問題としてあるように思うのです。この点についての御見解を聞きたいと思います。
  12. 山下武

    山下説明員 ただいまの御質問の点でございますが、決してどろなわ式でやるというようなことではなくて、内容的に見ましてかなり軽易な設計変更であるとか、あるいは現行法でできるだけ早く処理していくことによって事業推進が非常に促進される、こういうような問題につきましてはどんどん処理していくわけでございますが、ただいま、新法施行後においてもなおかつ重要な問題だというように見られる場合におきましては、新法施行後に十分その内容を検討して処理するという方向で進めております。この点につきましては、私どもとしましては、新法施行との関連考えまして、十分慎重に処理したいと考えております。  特に、新しい法律におきましては、できるだけ民意を尊重するというたてまえでございますので、特に民意を尊重しなければならぬと思われる内容につきましては、できるだけ新法施行後に処理するような方向で進めたいと考えております。   〔委員長退席安倍委員長代理着席
  13. 佐々栄三郎

    佐々委員 都市計画法農業振興地域整備法案との関係につきまして、以下若干お尋ねをしたいと思います。  今度のこのいわゆる農振法は、農業領土宣言と一般にはいわれておるわけであります。ところが、農振法ができまする前に都市計画法ができまして、都市の側からの領土宣言が先に行なわれたというような形になってきておるように私は思うわけです。都市のほうで一定の領土を取ってしまって、そのあとから農業のほうが残りをもらっていく、そういうような印象が非常に強いのであります。都市計画法建設委員会審議せられる段階におきまして、農林水産委員会との連合審査会どもいろいろ開かれまして、農村側からの都市計画法に対する意向がかなり述べられたことは御承知のとおりでありますが、しかしこれが、われわれの目からすると、やはり十分にはくみ取られておらないように思われるので、そういうようなところから、都市側に先に領土を占領されたという気持ちが私はしておるわけなんです。  問題点といたしましてはいろいろありますが、たとえば、市街化区域をできるだけ狭くすべきだというような意見も出てまいりました。それから、市街化区域内のいわゆる篤農であるとかあるいは集団的な農地の形態をなしておる地域、こういうところは都市に対する野菜の供給源として、重要な農業地帯としてこれを一律に市街化区域として扱うべきではない、これを何とか維持培養しなくちゃならぬという意見も出てまいりましたし、それから、こういう市街化がすぐにできるわけではありません、相当長くかかる。そうすると、その間もやはり農地があるわけですから、市街化区域指定されたからといって、すぐに宅地並み税金をかけるというようなことはしないようにしてもらいたいとか、こういうようないろいろな意見が出てまいったわけです。また市街化調整区域につきましても、この地域は、むしろこういうような調整区域というものをやめて、これは農振地域にすべきだという意見も出てまいったように私、承っておるわけなんです。そういうような意見都市計画法の中へくみ取られておらないように私は思います。  しかし、これから六月に実施になりまして、それから市街化区域指定とか調整区域指定が行なわれるわけなんですが、そのときには都計法二十三条で建設大臣農林大臣協議をするということになっておりまするので、今後実施段階におきましても、農業側意見をこの都計区域決定段階において反映をさせる機会があり得る、こう思うわけなんです。希望として、そのときに前回都計審議あるいは連合審査会審議段階で出てまいりました農業側意向をくんで、これを反映させていただきたいということを、私は強く要望したいと思うのでありますが、それについてのお考えをお聞きしたい。つまり、区域を狭くせよという問題あるいは宅地並み税金をかけるなとか、あるいは集団的な、篤農的な農業地帯保護せよというようなことについて、そういう段階においてどういう方針で臨まれるかということを、この際、承っておきたいと思うわけです。
  14. 山下武

    山下説明員 ただいまの点は、新法施行上におきますきわめて重要な問題でございます。特に市街化区域設定市街化調整区域設定という問題は、新法施行におきます最も重要な、都市における今後の都市計画のあり方をきめる大事なポイントであるわけでございます。特に市街化区域決定の際におきましては、その内外がともに農地である場合が非常に多うございますし、市街化区域になります際には、その区域内の農地転用許可は要らなくて届け出をもって足りるという、重要な区域決定になるわけでございますので、この点は、農林省ともいまの段階から十分打ち合わせを遂げ、具体的な区域決定そごのないようにいたしたいと準備を進めておるところでございます。  特に、先ほど御指摘いたしましたように、市街化区域内になるようなところでありましても、農業地域として存置しなければならぬ非常に優秀な農地等がある場合におきましては、これも農林省十分打ち合わせをいたしまして、これを市街化区域から除くことにするかどうかという点についても、検討を進めておるわけでございます。  農業との関係におきまして一番問題の起きる問題は、市街化調整区域等の問題であろうかと思いますが、この点につきましては、私どもの扱いといたしましては、いずれも都市計画施策実施する区域としてきめるわけでございますが、なおかつ農業施策も行なう余地の十分ある地域でございますので、こういった地域における農林省のほうの施策をどのように進めていただくか、こういう点につきましても農林省十分打ち合わせを遂げてまいりたい、こういうことで、目下施行前に農林省とも打ち合わせを進めておるところでございます。
  15. 佐々栄三郎

    佐々委員 もうすでに都計法が成立して、実施を目前に控えておりますので、この法律自体は、これはいかんともすることができません。しかし、先ほど申し上げましたように、この実施段階におきましては、農林省として発言機会があるわけでありますので、農業側立場十分建設省に対して発言をして、農業を守るという姿勢でやっていただきたいと思うわけです。農政局長いかがでございますか。
  16. 池田俊也

    池田政府委員 市街化区域あるいは市街化調整区域線引きは、四十四年度に大体行なわれるということに承知しているわけでございますが、特に市街化調整区域の中では、私どもが伺っております予定地の中で、大体四割以上が農地であるというふうに聞いておるわけでございます。そういうようなことでございますので、今後市街化調整区域相当部分農業振興地域になるのではないかというふうに想定いたしておりますので、市街化区域あるいは市街化調整区域の線を引きます場合には、建設省のほうと密接に御相談を申し上げて、農政という立場からも適正な区域がきめられるというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。  若干時間的に都市計画のほうが先行しておりますので、その点若干問題があるわけでございますけれども、私どものほうは、この振興地域法案成立をいたしましたならば、なるべく早い時期に、具体的な計画の樹立は若干おくれるかと思いますけれども、知事がきめます基本方針は、できるだけ早い時期にきめていただいて、そしてその中には、農業振興地域として指定するのを相当とする地域というものは、大体きめる予定になっております。でございますので、そこでなるべくそれを明らかにして、そして新都市計画法によります地域線引きとの調整を、現実的に問題のないようなかっこうにしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  17. 佐々栄三郎

    佐々委員 次に、農振法と食糧自給との関係について、若干お尋ねをしたいと思います。  まず第一番には、この法律案は、食糧自給確保という積極政策か、あるいはスプロール化への防衛的な消極的な政策かということについて、御意見を聞きたいと思います。
  18. 池田俊也

    池田政府委員 この法案趣旨といたしますところにつきましては、最初にお答え申し上げたとおりでございまして、私どもは、これは単に防衛的な制度であるとは考えていないわけでございます。むしろ、今後農業政策というものを積極的に進めていくというための地域的なよりどころとしたい、こういう考え方があるわけでございまして、直接食糧自給関連をするというわけではございませんけれども、やはり全般的なねらいとしては、農業生産の拡大ということをねらいにしておるわけでございます。  そういうような観点らいえば、今後わが国において相当生産をふやして、自給度向上をはかる必要がある主要な作物があるわけでございますけれども、そういうような方向にうまくマッチするような運用をしてまいりたい。直接ではございませんが、そういう含みも十分持たして運営してまいりたいと考えております。
  19. 佐々栄三郎

    佐々委員 農基法八条によりまして、「農産物の需要と生産長期見通し」というのが先般策定、発表せられたわけです。これは、今度の農振法を想定してこういうようなものがつくられたのか、あるいはこういうような法律成立しましたならば、この「農産物の需要と生産長期見通し」というものも、また変わってくるのかということについてお聞きしたいと思います。
  20. 池田俊也

    池田政府委員 これは、直接第八条の規定と関連をしているわけではないと思いますけれども、当然この八条におきましても、需要及び生産長期見通しを立てるということと、それから、必要に応じて主要な生産地域についてやはり長期見通しを立てる、こういう規定があるわけでございまして、農政推進をはかっていきます場合に、単に国全体の自給を頭に置いてやるだけでは十分でない、主要な農産物につきましては地域的な見通しを一応立てて、それに基づいて施策を進めていくというのが、この基本法八条の趣旨であると思いますが、そういうような観点らいたしますと、この八条と今回の法案とは、関係は非常に密接であるというふうに考えるわけでございます。  それで、現在まだ地域別の見通しというのは、実は公表されていないわけでございますが、部内におきましては、地域別の見通しを現在検討中でございまして、そういうものを近い将来に明らかにしたい、こういう考えでおるわけでございます。
  21. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、食糧自給という見地から、都計法とそれから今度の農振法の実施について特に主張したいと思うのです。その中で特に、先ほど建設省からまた農政局長のほうからも御答弁のありました市街化区域それから市街化調整区域、この区域に対する態度が、食糧自給という点からやはり相当の関係があると思うのです。というのは、これらの地域は、調整区域につきましてはもちろんでありますけれども市街化区域は、都市圏に対する生鮮食料品の供給という点で非常に大きな役割りを果たしておりますし、それから調整区域におきましては、単にそういう生鮮食料品のみならず、一般の農業生産物の生産に非常に大きな役割りを果たしておるところの膨大な農業地域であります。でありますから、この地域建設省側に押されて、農林省側が後退をするという形でこの範囲を縮小されるということになりますと、これは食糧自給という点から申しまして、非常に影響するところが大きいと私は思います。そういう点からも、いわゆる線引きという問題については、十分ひとつ真剣に建設省と取り組んでいただきたいということを御注文したいわけです。  それからもう一つは、調整区域につきまして、この区域は、何か建設省側から申しますと、都市化のいわゆる予備軍だというような印象を一般に与えておりますし、それから農業側から申しますと、いずれこれは市街地になるのだからというので、これに対する農業投資、公共投資、さらに自分自身の経営改善というようなことが手控えられるというようなところから、いわばこれは農政の谷間になろうとしておるというようにも受け取れるのです。そういう点から、調整区域につきましては、ここは農振地域だということを確認せられて、今後の農業政策を強力に進めていくということが、食糧自給政策のたてまえから申しまして、非常に大切なことだと私は考えておるわけであります。こういうことについて、先ほどのと若干重複するきらいがありますが、食糧自給という観点から、この問題についての御見解を承っておきたいと思います。
  22. 池田俊也

    池田政府委員 市街化区域あるいは市街化調整区域の線を引きます場合の態度と申しますか、それにつきましては、先生おっしゃいましたように私ども考えておりまして、農業側から見ましても、こういうような今後農業生産を維持する、あるいは優良な農地を確保するというような観点からは、これは市街化区域に入れるべきではない、あるいは市街化調整区域の中にも入れるべきではない、むしろその外にすべきであるというようなものにつきましては、建設省と御相談の際にも、十分そういうようなことで対処してまいりたいと考えております。  それから、現実問題といたしましては、市街化調整区域の中の農地農業生産をどういうふうにするか、こういう問題が一番問題だと思うわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この市街化調整区域の中には、非常にたくさんの農地が入るということが想定されるわけでございます。市街化調整区域の性格というのは、私ども承知しておりますところでは、これは市街化を抑制する区域である、こういうふうに承知をしておるわけでございます。将来、その地域がさらに市街化区域に編入されるということも、あるいは十年後というようなときにはあるかと存じますけれども、当面は市街化を抑制する区域ということでございますので、当然そこにおきます農政推進といいますか、そういうようなことにつきましては、これは他の区域と全く同じ考え方でいくべきであり、もちろん、農業振興地域として指定されるものも多数あるわけでございます。  ただ、市街化調整区域のすべてが農業振興地域になるかといいますと、それは必ずしもそうも言えない点がございまして、これは、もちろん地元地域意向にもよるわけでございますけれども、近い将来に、農業を継続することが非常にしにくくなっているというような地域も中にはあるわけでございますので、そういうような地域は、あるいは農業振興地域指定をされないというところもあるわけでございますが、これに対する態度といたしましては、私どもは、他の地域と全く同じように考えているわけでございます。  もちろん、市街化区域の中に、若干の農地が残ることもあるわけでございますが、これにつきまして、今後、たとえば土地の基盤整備というような観点で公共投資をやっていくということは、これはむずかしいと思いますけれども、必要な農業施策を全くやらないというわけではないわけでございますので、そこらにつきましては、十分実地に応じて考えていきたいということでございます。
  23. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、都市計画法はこれは過密対策だと思うのです。今度問題になっておりまする農振法というのは、もちろんこれは過疎対策ではないわけです。むしろ過疎地帯を黙殺したというか、無視した政策なんですね。そういうことを考えた場合に、一体農振地域から除外される地帯、過疎地帯を含めて農振地帯以外の地帯に対して、農林省は一体どういうような農業政策をしようとしておるのか。  これをお伺いしますのは、農振地帯に対して重点的な農業政策が一方で講じられる、だが、その他のこれに含まれない地帯に対して冷淡な態度がとられるということになりますと、これは食糧自給という方針から申しますとマイナス要因になると私は思う。でありますので、この機会に過疎地帯、それから過疎地帯を含んだ農振地帯以外の地帯に対して、どういう姿勢で政府が臨んでいこうと考えておるのかということをお伺いをしたいと思います。  それとあわぜて、過疎地帯を含んだ農振地帯以外の地帯の、全耕地面積に対する割合、どのくらいこういう地帯が生じてくるのか、おそらくこれはまだはっきりとした数字は出ぬのは当然と思いますけれども、大体の予想はあると思いますので、その点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  24. 池田俊也

    池田政府委員 過疎地帯に対しまして、この農業振興地域というものがはたして指定をされ得るのかどうかという問題が一つあるわけでございます。この法案の第六条に、こういう要件を備えている地域について、農業振興地域指定をするのだという規定がございまして、三つほどの条件を掲げているわけでございます。要するに、その土地のいろいろな条件から見て、今後も農業振興地域として相当農業を盛んにやっていく要件を備えているかどうか、具体的には、相当規模の農用地があるかどうか、あるいは、今後人口の見通しとかその他から見て、農業として相当生産性が上がるような見込みがあるかどうか、あるいは、国土の利用開発という見地から見て妥当かどうかというような点からの判断によりまして、地域指定をいたすわけでございまして、山合いの地帯につきましても、もちろんこれは除外をしているわけではございませんで、このくらいの農用地があるということが要件であるということになっておりますけれども、そういう山がかったような土地については、あるいはその基準というようなものは、若干緩和して考えてもいいんじゃなかろうかと思っているわけでございます。しかしながら、ほんとうに過疎といわれるような地帯で、人口も非常に減少してくるというようなところについては、なかなか指定がむずかしい、こういうようなことになるかと思うわけであります。  そういうような振興地域以外の地域に対します農政といいますか、いろいろな面の施策をどう扱うのかという御質問だと思いますが、これにつきましては、従来から農林省がやっておりますいろいろな指導、あるいは病虫害の防除でございますとか、あるいは家畜衛生でございますとか、あるいは農産物の出荷なり流通なりのいろいろな施設でございますとか、そういうものは当然考えていかなければならない。しかしながら、やはり土地改良といったようないわば公共投資、あるいは基盤整備と申しますか、そういったようなものにつきまして、こういうような地域について相当力を入れてやっていくというようなことは、これはたてまえとしては非常にむずかしいというふうに私ども考えるわけでございます。やはりそういうようなものは、今後農業振興地域中心にして、そこに重点的な投資をやっていくというたてまえにならざるを得ないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、そうかと申しまして、これは全く農政の対象外になるということではないのでございまして、その事業の性格によると思いますが、その事業の性格の許す範囲内におきましては極力やっていく、こういう考え方でいるわけでございます。  なお、この農業振興地域にならないような地域というのは、どのくらいあるだろうかという御質問でございますが、これにつきましては、正直のところを申し上げますと、多少はっきりいたさないのでございますが、私ども考えております農業振興地域の、いわば候補地というようなものの面積というのは、当然市街化されるような地域を除くということになりますので、大体そういうようなことから考えますと、一応五百七十万ヘクタールくらいはそういう資格を備えているのではなかろうかというふうに、一応は想定しているわけでございますけれども、あるいはその中で一部、やはり農地の面積がその地域としては非常に小さいというようなことで、なかなか農業振興地域指定がされないというようなところもあるかと思いますけれども、まあ大部分は一応指定されることになるのではなかろうか、現在あります農地の大部分はそうなるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  25. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうしますと島嶼部、こういうところもほとんど農振地帯に指定されますか。
  26. 池田俊也

    池田政府委員 島も、原則的な考え方は同じでございます。ただ、非常に面積の小さい島で、農地が、たとえば十ヘクタールぐらいしかないとか、そういったようなところは、これは先ほど申し上げました基準からいっても、どうも十分でないと思いますので、そういうのはむずかしい。しかし、相当な広さがありまして、その中に相当な農地があるというようなところは、やはり指定される可能性はあるわけでございます。
  27. 佐々栄三郎

    佐々委員 過疎地帯が農政の対象から除外される、されないまでも軽んじられるということになってまいりますと、過疎地帯というものは、ますます過疎地帯になっていくというように私は思うわけです。やはりこういうような農振法が制定をせられるという段階におきましては、過疎地帯に対して、一体どういうような政策をこれから農林省として講じていくかということを、やはりこの際はっきりときめておく必要があると思うのです。これについて農林省、どういうふうにお考えになっておられるか。
  28. 池田俊也

    池田政府委員 過疎地帯に対する対策というのは、これは非常に多面的と申しますか、農林省だけの守備範囲でなしに、各省がそれぞれの所管事項に応じまして、たとえば、生活環境の整備でございますとか、あるいは労働力の活用のための職業訓練のいろいろな事業でございますとか、あるいは地域によりましては、観光開発をやるというようないろいろな面がございますので、ちょっと私だけのところでは、お答えしにくい問題なのでございます。  農林省の守備範囲から申しますと、農業振興地域としては指定が非常にむずかしいけれども、現在やっております、たとえば山村振興というような施策の面には、もちろん十分乗るわけでございまして、指定されました山村につきましては、現在も振興山村農林漁業特別開発事業というようなもので、毎年農林漁業につきましてのいろいろな振興のための事業、あるいは場合によっては、生活環境整備のための事業というようなものをやっているわけでございます。さらに、御承知の林業構造改善事業というようなものも、相当そういう面には適用はされている、こういうふうに考えるわけでございまして、農林省の守備範囲からいいますと、そういうような事業の対処のしかたになるのではないかと思いますが、やはりこういう地帯につきましては、もう少し包括的な見地から、今後どういうふうにそういう地域を扱っていくかということが十分検討されなければならないのではないだろうかということで、私どもも、そういう方向では従来も努力をしてまいっているわけでございます。
  29. 佐々栄三郎

    佐々委員 食糧自給論のたてまえから申しまして、もう一点私が申し上げたいと思いますのは、農振法が対象としておりますのは、農地の効率的な使用という問題点だろうと思うのです。しかし、同時にやはり外延的に農地を拡大していくということが、私は食糧自給というたてまえから申しまして必要だろうと思います。今日現在の日本の農地の状況は、国民一人当たりにしてわずか七アールぐらいしかないといわれておりまして、外国と比べると、日本に近いところで三倍ぐらい、さらに広大な農地を持っておるところは、一人当たりが日本の十倍あるいは二十倍というような状況であります。今後人口の増加などを考えてみました場合に、外国から食糧を輸入し、外国に依存するということには、私は賛成できないのでありますから、それを前提として言っておるのですが、そういう点から申しまして、何といっても人口の増加に対応する耕地面積の増大ということが、私は必要だと思うのです。この農地の外延的な拡大という問題について、これもまた農振法の審議にあわせて、この制定にあわせて、先ほどの過疎化対策と同じでありますが、この際、農林省として考えなくてはならぬ点だと思うのです。これについて、どういうようなお考えを持っておられるかということをお聞きしたいと思います。
  30. 池田俊也

    池田政府委員 食糧自給度を高めるということは、これは、当然農政といたしましては非常に大きな一つの柱でございまして、私どもも、すべての農作物についてというわけにはまいりませんけれども、主要な農作物につきましては、そういうような政策を進めるべきであるという考え方をとっているわけでございます。  この法案におきましても、直接的ではございませんが、この農業振興地域整備計画をきめます場合には、現在あります農地の利用区分を明らかにするということのほかに、今後農用地として開発すべきものについても、その計画を明らかにするということを実は含んでいるわけでございまして、そういうようなそれぞれの地域の実情によって若干ずつ違うとは思いますけれども、やはり今後、特に畜産等との関係で、草地の造成等は非常に必要でございますので、そういうもので今後農用地として開発するのが適当であるもの、そういうものにつきましては、この振興地域整備計画でそれをはっきりさせまして、それに対しましては重点的な投資をしていく、こういうような体制に一応考えているわけでございます。
  31. 佐々栄三郎

    佐々委員 政務次官にいままで申し述べましたことの総括的な立場からお伺いをいたしたいわけです。  先ほど申し上げましたように、食糧自給というたてまえから申しましても、また現在の農業経営者を保護するという点から申しましても、市街化区域及び市街化調整区域決定ということにつきましては、農林省として十分農業立場に立って、建設省に対して強く発言をしてもらわなくてはならぬということを申したのですが、これについての政務次官の御決意を、この際承りたい。
  32. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、この振興法は、農地領土区分を宣言するんだというようなお話もございましたが、新都市計画法が先に施行されるといいましても、私どものこの法律がおくれるから、だんだんおまえのほうの取り分がなくなってくるんじゃないか、市街化区域なり調整区域にみんなひっくるめて、都市計画区域にどんどんなってしまうのじゃないか、都市近郊についても、生鮮食料品の供給基地としての大事な農業振興というものを考えるべきじゃないかというお話は、私ども同感でございます。六月から施行されますけれども、その意味においてはできるだけ先生方にお願いして、早くこの農振法を一緒にスタートさせていただかなければならぬわけでございます。  私ども農林省としては、建設省の所管である新都市計画法指定にあたりまして、都市近郊でありましても、長期的に見て農用地としてこれを高度に利用できるというようなもの、あるいは食糧全体の供給の面から見て大事なところについては、積極的にひとつ農林省考え方を建設省に申し入れをいたしまして、先生おっしゃるように、十分なる農地の保全と開発ということについては、万遺憾なきを期すように努力をいたしたい、かように考えております。
  33. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、日本の食糧自給という点から申しまして、またこれが、非常に大きな問題であることは言うまでもありませんけれども、この農振法というような法律だけが独走して目的が達成せられるかというと、これは非常に困難だと思うのです。  現在の農業の状況を見ますと、ずいぶんアメリカの貿易自由化の要求がきびしゅうございまして、政府が当面目標としておる、いわゆる総合農政の対象作物なんかにつきましても、アメリカその他の外国農産物によって圧迫をせられ、その価格がたたかれるというような形になっております。そういうような点をいろいろ考えてみた場合に、やはり外国農産物から国内農産物を保護するという、そういう気がまえが必要だろうと思います。  それから、また農産物の価格の問題につきましても、外国の農産物と日本の農産物の価格等を、単に形式的に比較をして外国のほうが安い、こういう議論が行なわれておりますが、しかし私は、国民の中の一人としての農民の生活というもの、その生活が維持できるかどうか、それを基準にして農産物の価格というものを考えなくてはならぬのであって、外国との比較論で農産物の価格を云々いたしておりましたのでは、これは日本の農業なり日本の農民の生活というものが、破壊されることになると思うのです。そういうようなところで、私はいろいろ日本の農業が当面している問題は、実に多いと思います。ですから、そういうような現在当面しておる農政の諸問題を、的確に強力にこれに対応していく姿勢が、この農振法の制定にあわせて必要だろうと思うのです。こういう点について、これまた政務次官からひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  34. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 とうとうたる自由化の波に対処して、いかに日本の農業の競争力を高めていくか、また、それまでの間はできるだけ農業及び農産物というものを保護していくという点については、非常に苦心をいたしておるところでございます。  私ども、過般の十二月の対米折衝におきましても、ほとんど必要な農産物についての自由化を断わるということに成功したわけでございますが、今後もそのつもりで一そう努力をいたします。しかし、将来の方向として、いつまでもこれを防衛できるかといいますと、国際的ないろいろな環境から考えまして、なかなか手放しには楽観できない面がございますので、一そうひとつ近代化を進め、あるいは生産性の向上をはかりまして、何とか国際的な競争力にうちかっていくような農業を進めてまいりたい。価格政策のみならず構造政策におきましても、十分意を用いていきたいと考えておるところでございます。
  35. 佐々栄三郎

    佐々委員 この農振法に関連をして、この問題についての財政的な考え方をこれから少しお伺いしたいと思います。  本年度の予算に、農振法の予算として一億五千八百万円というのが計上されておりますが、これはどういう意味の経費でございますか。
  36. 池田俊也

    池田政府委員 私どもの今後の手順といたしましては、法律成立をいたしましたならばなるべく早い時期に地域指定をいたしたい、こういう考えでいるわけでございます。大体いろんな準備が今後ございますので、一ぺんにそういうわけにもまいりませんが、まあおそくも五年以内ぐらいには、全部の地域が一応指定され、計画が立てられるというようなことに運びたいと考えているわけでございますが、最初の年度でございますので、いろんな準備が十分でないという点もございますので、初年度といたしましては、実は四百の地域指定と、それからその四百のうちの二百の地域につきまして計画の樹立をする、こういうことを実は考えているわけでございます。  ただいま四十四年度予算といたしましてお願いしておりますものは、そういうような、今後法律成立いたしましたならば、この趣旨地方に十分普及をいたしまして、自分のところは今後農業振興地域としてやっていくかどうかというようなことの理解が、各地方の方々に行き渡るようにするためのいろいろなPRと申しますか、そういうような経費と、それからあとは、そういうような計画の樹立というようなことに対するいろいろ必要な経費がございますので、そういうものを一応予算として組んでいるわけでございます。
  37. 佐々栄三郎

    佐々委員 大体、この一億五千八百万円というのは事務的な経費、普及宣伝とか調査とか、そういうふうに理解していいと思いますが、そうすると、農振地域指定された地域に対する事業、これをどういうふうに考えておられるか。それに対して、いわゆる事業費でありますが、事業費は一体どれぐらい出すつもりでおるのかということについてお聞きしたい。
  38. 池田俊也

    池田政府委員 今後私どもは、農林省が従来やっておりますいろいろな事業がございますけれども、そういう柱になりますような事業につきましては、農業振興地域中心にして実施をしてまいりたいという考えを持っているわけでございます。  したがいまして、たとえば山村振興というようなことでございますと、これは山村振興のための特別事業というものがございまして、そこで事業費というものを組んでおるわけでございますけれども、この農業振興地域につきましては、そういう考え方をとりませんで、各種の事業農業振興地域中心にして実施をするということでやってまいるわけでございます。したがいまして、特別の事業費のワクというものは、実は考えてないわけでございます。  今後この地域がきまりましたならば、農林省の中で申しますと、たとえば具体的には、農地土地基盤整備というようなことにつきましては、農地局がそういう農業振興地域中心にした計画の樹立なり推進なりをはかっていく、あるいは機械等のいろいろな近代化の施設というようなことになりますと、これは、たとえば畜産局とか蚕糸園芸局が、そういう地域中心にして事業をやっていくという形にあるわけであります。
  39. 佐々栄三郎

    佐々委員 要するに、こういうようなお考えのように聞いたんです。地域指定する、その指定した地域には、従来行なわれております構造改善事業とかあるいは土地改良事業、こういう事業をその地域へ重点的にこれから持っていくんだ、こういうように理解していいのですか。つまり、この指定地域そのものとしての事業費というのはない、従来行なわれてきたいろいろな農業政策、これから行なおうとする農業政策を、この地域に集約するんだというふうに理解していいわけですか。
  40. 池田俊也

    池田政府委員 そのとおりでございます。
  41. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうすると、これは先ほどもお尋ねをしたわけなんですが、この地域以外にもいろいろ事業が行なわれておりますが、それらの地域、この指定地域にならない地域ですね、そういうところで従来行なわれておったところの事業というものは、やはりこの地域のほうへ集約されてくるので手薄になってくるということは、これは当然あり得るのでしょうね。
  42. 池田俊也

    池田政府委員 事業の種類によりまして、一がいには実は申せないと思うわけでございます。たとえば、一例をあげて申し上げますと、植物防疫という事業がございます。これは、かりに農業振興地域指定されましても、指定が一巡いたしましても、農業振興地域以外にはやらないというわけにはまいらない。もしそういうふうにして農業振興地域以外に手をつけないということになりますと、そこから病害というものがよそのほうに広がるということがございますので、そういうことはできないわけでございます。それから、たとえば農業改良事業というのがございますけれども、これも事業の性格からいたしまして、農業振興地域以外のものについても、これは当然いろいろ営農の指導等はあるわけでございますので、こういうものは、もちろん農業振興地域以外でも実施をするということになるわけでございます。  ただ、一番問題になるかと思いますのは、土地の基盤整備というような事業だと思うわけでございますけれども、こういうようなものは、やはり農業振興地域に重点を置いて、それを中心にしてやっていくということにならざるを得ないのではなかろうか。一例をあげて申し上げますと、たとえば、市街化区域の中にもある程度の農地はあるわけでございます。もちろん、これは相当まとまった農地市街化区域には入れないという方針ではおりますけれども、散在している農地で、たとえば現在近郊野菜といいますか、そういう蔬菜なんかをつくっているところがございますけれども、そういうものにつきましても、たとえば土地改良等の事業をやっていくかと申しますと、これはそういうわけにはちょっとまいらない。やはりそれは近い将来に市街化される予定地域でございますので、そういうようなものについては基盤整備事業はやらない、こういうことになるわけでございます。  事業の性格によって若干ずつニュアンスは違いますが、やはり私どもは、将来日本の農地の大部分のものは農業振興地域になるであろうという実は想定をいたしているわけでございます。したがいまして、事業実施については、そういうような態度をとりたい、こういう考えでおるのでございます。
  43. 佐々栄三郎

    佐々委員 ちょっといまのお答えの中で、一番最後に言われた、大部分の農地がこの地域指定に入るだろうというようなことなんですが、どうもそういうことになりますと、一体農振地域指定するということの意味がちょっと私わかりにくくなってきたんですが、いかがでしょう。
  44. 池田俊也

    池田政府委員 これは、その地元の住民の方々の気持ちといいますか、それが非常に実際には影響すると思います。たとえば、かなり都市近郊等で現在は市街化調整区域である、しかし、先行きどうも宅地としての価値が相当出てきそうだというようなところは、これは農業振興地域のほうに入るのがいいのか、あるいは入らないほうがいいのか、そこいらはいわゆる実際の住民の方のいろいろな考え方が影響すると思いますけれども、私どもは、先ほども申し上げましたように、現在あります農地の中で、いわゆる市街化されているような地域で、当然農業振興地域にはなりがたいものが一体どのぐらいあるだろうかという検討をいたしてみますと、それは、実は比較的少ないわけでございます。大体町村数で申し上げますと、現在三千三百市町村あるわけでございますけれども、もう明らかに今後宅地等になるというようなかなり市街化された地域と、それから農用地面積が非常に少なくて、この振興地域の基準には当てはまらないというような町村もございます。そういうものを除いてみますと、概算でございますけれども、三千百町村ぐらいは一応農業振興地域になり得る資格を持っているのではなかろうか。したがいまして、農地面積から申しましても、大体現在の農地面積が約五百九十万ヘクタールでございますけれども、そういう町村を除くと五百七十万ヘクタールぐらいの勘定になる。ただ、その五百七十万ヘクタールのすべてが農業振興地域になるかどうかは、これは地元の住民の方の御意向にもよるわけでございまして、全部がなるとは申せないわけでございますけれども、資格を持っている地域としては、かなり多数の地域がございまして、そういう意味で、大部分と実は申し上げたわけでございます。
  45. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまの御答弁にこだわるようですが、もう一つこの点について私はお尋ねしたいことがあるのですが、ともかく非常に大部分の農地指定地域になる、言うならば、市街化地域指定された地域以外は、ほとんどこれは農振地域だというふうにもしあなたの御答弁を理解するといたしますと、それならば、なぜ事あらためていま農振法というものを制定する必要があるのか。というのは、従来とも土地改良にしても構造改善にしましても、やはりそういう事業を行なうときには、効率のあがるところに事業を持ってきたわけなんですね。そういたしますと、そういうことを考えてみますと、いま農振地域指定するということが、どういう意味があるのかということについて、若干疑問を抱かざるを得ない。  うがった言い方をしますと、この法律を通すことによって、いわゆる農地の移動ですね。凍結されておるといわれる農地法の四条と五条、これを、この法律実施することを一つのチャンスにして、この地域農地の移動を厳正に規制していくのだという、そういうところにむしろ重点を置いておるのじゃないかというような気持ちがするのですが、いかがですか。
  46. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、この法律一つのよりどころにしまして、農地の移動を一般的に規制するという考えは、実はないわけでございます。ただ、一つございますことは、この振興地域整備計画の中で農用地区域というものをきめるわけでございまして、これにつきましては、一応そこでその農用地区域としてきまったものにつきましては、たとえば、他用途への転用はこれは原則的には認めない、こういうようなことで必要な農地を確保する、こういう考え方はあるわけでございます。  ただ、その農用地区域の中では、特定の農業をやっている方が土地の権利の移動をするということは、これは何ら押えるつもりはないのでございまして、むしろ今後農業経営の規模の拡大をやっていくためには、そういうような線で農業委員会等が、そういう移動についていろいろなあっせんをするというようなことは、むしろ促進をしたいという気持ちは持っているわけでございまして、農業の中ではそういうことでございますが、外に対しましては、それは確かにその転用を規制する、こういう働きはあるわけでございます。  先生の御疑問は、そういう大部分の農地振興地域になるならば、あまり農業政策計画的に、重点的に進めていくという意味がないではないか、こういう御疑問かと思うわけでございますが、私どもは、やはりそういう最近の都市化の進展に応じて、農地がはなはだ無秩序に壊廃されていくということは極力防ぎたい。そうして、将来も農用地として確保しておくようなものについてははっきりそれをさせまして、そして他用途への転用は押えていく。それと同時に、農業施策の面ではそれを重点的にやっていくわけでありますけれども、もし各地域住民の方が、あくまでもこの地域農業中心にして地域振興をはかっていくという決意であるならば、それに応じて農業施策は重点的に進めていくということになるわけでございます。  ただ一つ、あるいは少しこまかい話になりますが、この際申し上げておきますと、農業振興地域というものが指定をされましたその中のすべてが農用地区域になるわけでは必ずしもないわけでございまして、農業振興地域の中でも、農用地区域にならない部分もございます。これがどの程度になるかということは、多少現実に線を引いてみないとはっきりいたしませんけれども、そういう問題はあります。
  47. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまの問題は、農振法を制定するという意義について非常に重要な問題点だろうと思うのです。しかし、これはあとからまたたくさんの方の御質問があると思いますので、これ以上深く入ることを控えたいと思います。ただ、何かいまの御答弁を聞いておりますと、都市計画法というものができたので、農業側からもこれに対応していくという形で、そういう意味で農振法というものを制定するというようなことで、それならば、農振法を制定して従来と変わったものができてくるのかということになってくると、どうもいまの御答弁では納得できない点が私にはあるのです。しかし、この問題はこれだけにしておきます。  次に、この農振法の二十条にこういうことが規定されております。「国及び都道府県は、農業振興地域整備計画の作成及びその達成のために必要な助言、指導、資金の融通のあつせんその他の援助を行なうように努めるものとする。」とあるわけです。この中で、「資金の融通のあつせん」というのは一体どういうことか、お伺いしたいと思うわけです。
  48. 池田俊也

    池田政府委員 これは先ほど、事業実施の面で特別なこのための事業というものを考えているわけではなくて、従来いろいろやっております事業を、重点的に実施をするということであるということをお答え申し上げたわけでございまして、それとも関連をいたすわけでございますけれども、私どもは、そういう補助事業のほかに、当然、従来いろいろ制度金融というようなことで、たとえば、農林漁業金融公庫資金というようなものとかあるいは近代化資金とか、そういったいわゆる政策金融で資金のワクの確保につとめているわけでございますけれども、そういうようなものを十分確保する、そうしてその金が、十分こういう農業振興地域に円滑に流れるような指導なりその他の援助をする、こういうような趣旨でございます。  個別の件につきまして、たとえば、どこどこの農業振興地域というものについてこれだけの金が要る、それでその金を一体どこから調達をしてくるのかということを、国が直接やるということは、実際問題としては非常にむずかしいと思いますけれども、当然、県等は振興地域指定をいたしまして、そうしてそのあとの事業実施につきましても、いろいろめんどうを見るわけでございます。そういう一連の指導その他の援助の中で、そういう資金面についても、できるだけ十分円滑に流れるようなあっせんをする、こう考えておるわけでございます。
  49. 佐々栄三郎

    佐々委員 ちょっと私、聞き漏らした点があるのですが、もう一度ごめんどうでもお答えをいただきたいのです。先ほどもお話がありましたように、一定の地域指定します。そうすると、土地改良とかあるいは構造改善とかその他いろいろほかの方面からの資金が、この制度のほかから来ますね。その資金もあっせんするというような意味ですか。ちょっと私、聞き漏らしたので、その点伺います。
  50. 池田俊也

    池田政府委員 端的に申し上げればそういうようなことでございまして、そのための特別ワクというようなものは、現状では考えておりませんけれども、従来、たとえば農地の取得というようなことについては、公庫で農地取得資金というものがありまして、そういうもので必要なワクは十分考えておりますので、たとえばワク取りその他につきましても、十分農業振興地域の需要に応ずるようなものを考えていきたい、こういうことでございます。
  51. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまのところで大体半分ぐらい質問したのです。だから、あとの質問は午後にしていただきたいと思います。ちょっとここで切りがいいところですから。
  52. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  53. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。佐々栄三郎君。
  54. 佐々栄三郎

    佐々委員 引き続いてお尋ねをいたしますが、次にお尋ねをしたいのは、この農振地域指定整備計画についてであります。  まず初めに、この農業振興地域指定は今後何年間に行なうつもりか、また、当面の指定計画が別にあるならば、それをお聞かせをいただきたいと思います。これは市町村数それから農地面積、農家戸数について、その実数とパーセンテージでお答えをいただきたいと思うわけです。
  55. 池田俊也

    池田政府委員 農業振興地域指定につきましては、四十四年度から始まるわけでございますが、私ども計画といたしましては、五年以内にすべての指定を終わるようにいたしたいという考えでございます。  それから、農業振興地域指定されることが予想されます地区でございますけれども、これは、当然市街化区域に入ると見られている地域あるいはそれに準ずるような地域を除きまして、大体ごく概算で申し上げますと、三千ないし三千百町村ぐらいが、一応農業振興地域になり得る資格を持っていると申しますか、これはもちろん最終的には地域意向にもよるわけでございますので、一がいには申せませんが、そういうように考えているわけでございます。  そこにおきます農地の面積は、先ほども申し上げたわけでございますが、全部がかりに農業振興地域指定されますと、五百七十万ヘクタールぐらいになるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。ただこの中で、先ほども御質問のありました、たとえば過疎の地域でありますとかあるいは島でございますとか、必ずしもまとまりとして農地のまとまりがそれほどないというようなところもございますので、これから落ちるところもあるわけでございますけれども、一応明らかに農業振興地域にはなり得ないというものを除いて考えますと、その程度ではなかろうかと思うわけでございます。そういたしますと、現在の農地面積が五百九十万ヘクタールということから見ますと、約二十万ヘクタールぐらいを除きまして、大部分が一応資格があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから町村の数から申しますと、御存じのように、現在の市町村数が三千三百ございますので、それの九割ないしそれ以上が一応対象になり得るというふうに考えるわけでございます。
  56. 佐々栄三郎

    佐々委員 この農業振興地域市街化調整区域が、どの程度に重複するかということを、ちょっとお聞きしたいのです。
  57. 池田俊也

    池田政府委員 私ども建設省から伺っております数字で申し上げますと、市街化調整区域として指定をされました地域の広さでございますけれども建設省の見通しでは三百五十万ヘクタールぐらい予定しておられるようでございます。三百五十万ヘクタールの中で農地面積がどのくらいあるかということでございますが、大体百五十万ヘクタール弱ぐらいではないか。そういたしますと、市街化調整区域の中の農地と全体の農地の比率を見ますと、大体四分の一ぐらい市街化調整区域の中に入る、こういう計算になるわけでございます。
  58. 佐々栄三郎

    佐々委員 農業振興地域整備計画で定められる事項、これは農振法の八条に規定がありますが、その中で、「土地農業上の用途区分」というのがありますが、これはどういうことでございますか。
  59. 池田俊也

    池田政府委員 具体的な分け方といたしましては、私どもは、たとえば田、畑、樹園地、草地あるいは混牧林地というような分け方を考えておるわけでございまして、これを「農業上の用途区分」と一応ここで呼んでいるわけでございます。  こういう用途区分をなぜするかと申しますと、これは、その八条二項の整備計画の項目の第二といたしまして、「農業生産の基盤の整備及び開発に関する事項」というのがございます。こういうものを今後進めていく場合に、やはりそういう農業上の用途区分を明らかにすることが先決であるというような観点から、そういうようなきめ方をいたそうという考え方でございます。
  60. 佐々栄三郎

    佐々委員 現在、酪農近代化基本方針それから果樹農業振興基本方針によって、この樹園地なり酪農地帯が事業を進められていると思うのですが、こういう既存の事業とただいまの用途区分というものとの関連、従来の事業とどういうふうに調整して、新たに指定していくつもりかということについて伺います。
  61. 池田俊也

    池田政府委員 酪振法あるいは果振法等によりまして計画が定められ、またそれに基づきまして、たとえば集約酪農地域でございますとか、そういったようないろいろな地域が定められているわけでございますけれども、これは私ども考えでは、やはり酪農なりあるいは果樹農業というものを一応中心にしまして、今後振興をはかっていく地域であります。したがいまして、そういう地域は、地域住民さえそういう方針でいこうということになりますならば、これは当然農業振興地域指定されるべき地域であろう。したがいまして、そういうものはいわばダブると申しますか、そういうかっこうになるというふうに考えておるわけでございます。
  62. 佐々栄三郎

    佐々委員 同じく八条の二項の中に、「農業の近代化のための施設」というのがありますが、具体的に申しますと、これはどういうことかということをお伺いしたい。
  63. 池田俊也

    池田政府委員 これは格別に限定をいたしておりませんが、近代化のための施設と申しますと、通常は生産それから流通、加工等の施設ということで、生産面で申しますと大農具、たとえばトラクターといったような機械とか、あるいは施設、たとえば畜舎でございますとかあるいは共同利用的なもの、たとえば養蚕の場合でいいますと、いろんな共同飼育所というものがございますけれども、そういうものでございますとか、あるいは流通面の施設ということで、たとえば果実の選果場であるとか集出荷の施設であるとか、そういうものが一応全部含まれるというふうに考えております。
  64. 佐々栄三郎

    佐々委員 単にそういう計画だけですか。それとも予算的な裏づけをして、こういう近代化の事業をこの法案に基づいてやっていくというわけですか。
  65. 池田俊也

    池田政府委員 これは午前中の質問でもお答え申し上げましたが、この農振法によります特別の事業というものは、格別考えておらないわけでございますが、従来各局で行なわれております生産対策あるいは流通対策のためのいろいろな事業があるわけでございますので、そういうものの一応の目安になるような施設整備計画、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう補助事業の対象になるものもその中ではあると思いますし、あるいはまたその地域自体で独自の、たとえば制度資金等を借りまして建設をするあるいは整備をするというような事業もあるわけでございまして、格別の限定はいたしておらないわけでございます。
  66. 佐々栄三郎

    佐々委員 この八条二項の各号を見ますると、予算的な裏づけというものが全くない。これはいわゆる紙の上にかいた指導方針というか、そういうことのように私、印象を受けるのです。事業は全部ほかのところでやっていくという、こういうような印象を受けるのですが、それにしてもこの書いてあることを見ますると、生産と直接結びついたことだけ書かれておる。  しかし、今日の農村を見ますると、いわゆる農業振興ないしは農村の振興という問題になりますと、単に生産関係の問題だけではないと私は思うのです。やはり農家のあと継ぎが農村を見捨てていくという条件の中には、農業経営がおもしろくないということもありますが、農村が、青年が求める文化的な欲求に対してこたえるものを持っておらないというような点も私はあると思うのです。ほんとうに農業振興という名に値する政策であるならば、この中にやはり農家のあと継ぎである青年が、農村にとどまって十分生活を楽しんでいけるというような、そういう施策がこの振興法の中に盛り込まれなくてはならぬと私は思う。これは単に農村青年、あと継ぎという問題だけではなしに、農家一般にしましても、あるいは上下水道であるとか、あるいはその他道路、娯楽施設というような幅の広い、そういうような農村が欲求するものに対してこたえるところがなければならぬと思うのですが、そういうものがないように私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  67. 池田俊也

    池田政府委員 御指摘のように、私どももそういう意味の環境整備と申しますか、農村にいわば若い人たちが住みいいようないろんな社会資本の充実といったようなことは、これは非常に必要なことであろうというふうに考えているわけでございます。  それで、実はこの農業振興地域に関する法案と他の法律との諸制度関係等がございまして、この計画自体の中には実は取り入れなかったのでございますけれども、やはりそういう面の促進をはかるというような趣旨から、実は二十一条に一つの規定がございまして、国なり地方公共団体は、この法律によりますそういう整備計画がうまく達成されるように、その地帯の良好な生活環境を確保するための施設の整備を促進するという一項がございます。そういうことによりまして農林省——農林省だけではございません。建設省なりあるいは厚生省なり文部省なり、そういうところの施策と非常に関係が深いと申しますか、むしろそういう役所で主としてやっていただかなければならない事業がたくさんございますので、そういうような面から、国あるいは地方公共団体が、そういう生活環境の整備について努力をずるというふうな一項を置いているわけでございます。  計画の中に入っていないという点で、多少十分じゃないという御指摘があるいはあるかと存じますけれども現状では、いろいろ各省との所管等の関係がございまして、こういうようなかっこうになったわけでございます。私どもとしましては、こういう規定については、ただこれは宣言だけではなしに、実際こういう措置が十分にいくように、アフターケアというとちょっとことばがおかしいわけですけれども振興地域指定されました後にも、こういう事業が他の地域よりか十分いくように、関係各省との連絡をとりながらやってまいりたい、こういう考えでいるわけでございます。
  68. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、どうも非常に作文的な感じを、この農振法全体を通じて受けるわけなんです。ただいま局長が、農振地域全般についてこういうような生活環境の改善とかいうようなことをやっていくと言われるが、しかし、先ほどからのお話のように、農村のほとんどが、九〇%以上がこの地域指定される、そして、これは従来からの施策というものを踏襲していくということになりますと、特別にこの地域に重点的にこれをやるんだというものが、農村の生活改善というものの中にも私は見出すことができない。非常に作文的な気がするのです。私は、こういうような地域指定してそうして重点的にやるならば、地域についてももっと限定して、そうしてそこに重点的な政策をやるなら意味があるけれども、そういう点から考えて、先ほどから繰り返して言うようでありますが、非常に紙の上にかいた絵のような感じがしてならないのです。ですが、これはこの程度にしておきましょう。  そこで、私はもう一つここで申し上げたいのは、ほんとうに農業に精を出して力を入れてやってもらいたい、食糧自給の大きな使命を農家は持っておるのだということを、ほんとうに政府が考えてこういう施策を進めるというのであれば、もっと実体的なものを農民に与えるということが私は必要だと思う。特に、あとから申し上げますように、この地域指定されますと、農地の移動というものが非常にきびしく規制されるのですね。そうなってまいりますと、この地域指定されますと、農業振興という点については絵にかいたもちであるが、農地を移動することが非常にきびしくなるという点で、非常に受ける影響が多いんですね。そういう犠牲を農家にしいるのであれば、もっと実のあるものを与えるべきだと私は思う。  たとえば、今日農村でいろいろ問題になります税金の問題、固定資産税の問題、それから、私たちもよく相談を受ける問題として相続税の問題、こういう制度実施するならば、そういう問題についてもっと農家が喜ぶような、精を出して百姓がやれるような、政府はこういうことをしてくれたというような実体のある政策をすべきだと思うのですが、具体的にいま言った税制なんかについて、農家の立場からもっと改めようという気があるのですか、あるいはそういうことについてはないというふうにお答えになるのか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  69. 池田俊也

    池田政府委員 私どもは、やはり極力この農業振興地域を盛り立てていこう、こういうことで、特別そのための事業費というようなのは計上いたしておりませんけれども、従来ある事業あるいは今後新しくいろいろな事業実施する場合には、農業振興地域中心にやっていくということで、もちろんこれは若干の犠牲を伴うわけでございますけれども、同時に、農業面から見れば相当なプラスが今後あるというふうに考えているわけでございます。  しかしながら、そういう関係とまた別の面で、特にいま御指摘の税制等の面で、優遇措置と申しますか、そういうものについて、特に今後農業構造改善をはかっていくというような見地から優遇措置を講ずるように、財政当局とも従来からいろいろ折衝しているわけでございますけれども、実は率直なところ申しますと、現在租税特別措置法の改正が国会に提案されておるわけですけれども農業振興地域法案がまだ成立するということが、実は未確定なものでございますから、租税特別措置法の中にうたい込むのは非常にむずかしい、こういう技術的な問題があったわけでございます。  それで、これが実施されますと、四十四年度に地域指定が行なわれ、計画の樹立が行なわれるということになりますと、実際に事業が始まるのは四十五年度ということにもなりますので、次の四十五年度の事業実施には間に合うような優遇措置を講ずるような法律改正を、これは財政当局にも実はお願いをしておるわけでございまして、当然そういうことになるというふうに考えているわけでございます。
  70. 佐々栄三郎

    佐々委員 次に、地価対策の問題につきまして、若干お伺いをしたいと思うわけです。  都市計画法審議で、これが実施をされたら、地価がどういうふうになるかという問題を中心にしまして、いろいろ論議が行なわれたように私、承っておるわけです。私は、この市街化区域指定になりましたならば、政府の方々は否定をせられておりますけれども、かなりその地域内の地価というものは上がるのじゃないかというような気持ちがしておるのです。これについて詳しく言うことは、きょうの農林水産委員会の本論でもありませんから、私は申しませんけれども、市街地で地価が上がると一応仮定いたしますと、やはりその市街化区域以外に、スプロール化というものが脱法的に行なわれる可能性はないものだろうかというような気が私はしておるのですが、そういうことがないと保証ができるかどうか。
  71. 小山義夫

    小山説明員 市街化区域で地価がもし上がりますと、調整区域のほうに入ってくるということは、経済の面からだけ考えますと、そういう傾向が確かにあろうかと思います。  そこで、そういう傾向を防ぎますために、調整区域は、都市計画法に規定がございますように、市街化を抑制すべき区域だということで、その制度趣旨に沿って、農地法の転用の許可は非常に厳重にやっていくというような措置で、その弊害を防ぎたいというふうに考えております。
  72. 佐々栄三郎

    佐々委員 あなたが言われるように、そういうふうに理想的にまいったといたしますと、ここに一つの問題が起こってくるのは、つまり、市街化の地区に対して、それ以外の地区の地価というものが低落していくということになると思うのですね。しかも、その断層が非常に大きくなるのじゃないかというような気がするのですが、いかがでございますか。
  73. 小山義夫

    小山説明員 これは、結局市街化区域の取り方、広さの問題になると思いますが、市街化区域を非常に狭く——狭くと申しますのは、それぞれの都市の人口の伸び率が一番中心になると思いますが、その見通しを立て、面積当たり何人というような考え方で、これからの都市のために必要な面積を確定してまいります。そういった作業が行なわれるわけでありますが、そういう場合に、当然想定される市街地に必要な面積よりも狭くとっていきますと、いま御指摘のように市街化区域の中の地価が非常に上がる、逆に調整区域との間の地価にギャップができるということになると思いますが、市街化区域が適正にとられた場合には、そこの中での転用の許可もはずしますししますから、不当に市街化区域の中の地価が上がって、きわめて不自然な地価のギャップができるということは、ないのではないかと考えております。
  74. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうしますと、市街化区域をかなり広くとれば、そういう地価の断層というものは起こらない、こう言われるわけですね。私たちは先ほど来申しておりますように、市街化区域というものはなるべく狭くとってもらいたいという要求を、農業立場からしておるわけですね。われわれ農業のほうが譲歩しない限りは、市街化区域の地価と、それ以外の農村地区との断層というものが生じてくるということになるのですか。
  75. 小山義夫

    小山説明員 市街化区域の広さを考えますときに、一番問題になりますのは、工場の敷地にどれだけ必要であるか、あるいは住宅の敷地にどれだけ必要であるかという、当該施設のほんとうに必要な敷地部分だけを計算いたしますと、必要な農地面積を確保する上で支障があるような、そんな大面積にはならないのであります。問題が非常にむずかしいのは、いわゆるスプロールということばでいわれておりますように、必要な面積だけが他用途に転用されていくというのじゃなくて、非常にあちらこちらに無秩序に転用が行なわれるために、ほんとうに必要な実面積以上のものが付帯してつぶされていくということのために、農業以外の敷地面積が非常に大きくなってくるということが問題なわけであります。  そこで、これは私ども建設省のほうに強く要望しておることでありますが、今度の新都市計画法成立機会に、市街区域の中を計画的に、農地がつぶされて、それが宅地としても利用されないでほったらかされるというふうなことがないように、市街化区域の中が十分効率的に利用されるようにという制度の運用、仕事の進め方を要求しておるわけであります。そういうふうに行なわれますと、市街化区域そのものは、農地面積が削られ、農業のほうで大幅に譲らなければならないような面積にはならないというふうに考えます。
  76. 佐々栄三郎

    佐々委員 それはその程度にしておきまして、もう一つ、いわゆる農業振興地域指定された地域以外の地域、非農振地帯とでも申しますか、この地帯に対する農地法の運用というものは、従来と同じような運用が行なわれるのか。すなわち、農振地帯に対しては他への転用が非常にきびしい。ところが、現在の状況を見ますると、先ほども申したように、農地法が凍結されているというような形になって、いろいろ脱法的に転用が行なわれております。ここに農振地域というものが指定され、それから別に、これは範囲が非常に狭いようなお話でありましたが、たとえ狭くても、指定地以外の非農振地帯が生まれる。これに対して、農地法の適用が従来と変わってくるのか、従来と同じようなやり方をせられるのかということについて、お聞きをしておきたいと思うのです。
  77. 小山義夫

    小山説明員 農地転用の運用は、制度といたしましては、市街化調整区域とこの法律指定されます振興地域との間に、制度としては差はございません。  ただ、この振興地域法律の十七条の規定にもございますように、農用地の利用計画が明確になってまいりますので、転用の運用にあたりましては、それに即して行なわれるということで、運用の基準が非常にはっきりしてまいる。内容としては、転用が非常にきびしくなるという運用の結果になると思います。ただ、制度といたしましては、この計画地域の内、外について差はございません。
  78. 佐々栄三郎

    佐々委員 制度としてはそういう差はないわけですね、同じ農地法のもとですから。しかし、もう一つ私、例をあげて申したいと思うのですが、たとえば、農振地域指定を大体五カ年間のうちに行なうとしますと、第一年目に行なった指定地域というものと、あとへ残されている、これから指定される地域というものがあるわけなんですね。  その場合に、指定された地域とこれから指定される地域とでは、農地法の運用の場合、指定された地域については利用計画に従って非常にきびしい規制が加えられておるわけですね。そうでない地域は、そういうような規制は加えられていない、ただ普通の農地法のもとに置かれておる、こういう状況になると思うのです。そういうようなことになると私は思うのですが、あなたは、農地法一般からいえば、同じ農地法のもとだからというような解釈をせられるが、実際問題として、やはり指定された地域と、そうでないこれから指定される地域、あるいは今後とも農振地帯にならない地域というものは、農地法という問題を考えてみますとそこにやはり適用の強弱という問題について開きが出てくるような気がするのですが、これはいかがでしょう。
  79. 小山義夫

    小山説明員 振興地域が一巡をするまでの間は、御指摘のような問題がございまして、私どももその運用をする場合に、非常にむずかしい点が出てくるということは考えておるわけであります。  ただ、都市計画法の側からまいりますと、市街化区域設定が行なわれ、調整区域が残されていくというふうになりますと、この農業振興地域法律は別にいたしましても、新都市計画法のもとでは、調整区域は原則として転用の許可はしない。新都市計画法の中に、例外的に許可する場合が限定的に列挙されておりますけれども、それ以外の場合にはしないというたてまえになっておりますので、そちらのほうでそんなに転用がゆるく行なわれる、すなわち今後、来年なり再来年なりに振興地域指定されるであろうと予定される地域について、転用がゆるめられていくというふうなことはないと考えております。
  80. 佐々栄三郎

    佐々委員 調整区域のことでなしに、私、先ほど言うたのはこれから指定される農振地帯、それから今後も指定されない非農振地帯、これと指定された農振地帯というものとの、農地法の規制のしかたということについてお尋ねしておるのです。そこに、やはりきびしいのと、それからいままでのような農地法の運用という二つの姿があらわれてくるような気がするので、これをお尋ねしておるのです。
  81. 小山義夫

    小山説明員 都市計画法の話を別にいたしました場合、すなわち、人口十万よりも未満のところについては線引きが行なわれませんので、それを別にいたして考えますと、転用は転用の許可基準がありまして、御承知のように一種農地、二種農地、三種農地という、農地の性格によって許可のしかたをきめてあるわけです。その考え方は、振興地域の内であろうと外であろうと変わらない。ただ、振興地域の中でありますときには、利用計画がはっきりしておりますので、何といいますか、判断の余地がないといいますか、利用計画に即してものごとをさばいていけばよい。ところが、振興地域の外でありますときには、決して許可基準がゆるやかなことはないわけで、一種農地であれば原則として許可しない、二種農地であればその中間で、三種農地はできるだけ許可するという、その仕組みは内、外にかかわらず共通であります。  ただ、振興地域の中のように利用計画がはっきりしておりませんので、あとはそういう許可基準を具体的なケースについて当てはめるときに判断が出てくる。その判断を、そういう利用計画がありませんから、結局地元の、たとえば市町村なりあるいは農業委員会なりが考えておりますこれからの見通しをできるだけ聴取し、それから上位計画関係からも判断をしていくというところに裁量の余地が出てくるという意味で、先生御質問なんだろうと思いますけれども、そういう違いは確かにございますが、許可基準が片一方でゆるやかなわけでもないのですから、その判断を適正にやっていくようにつとめるということで、内、外のきびしさの差はないというふうに考えるべきだと思います。
  82. 佐々栄三郎

    佐々委員 大体、私どもの農村におきましても、地価という問題が非常に大きな問題になっておるのです。そこで、たとえば道路ばたなんか反当二百万、三百万する。それから道路ばたでない奥に入った土地になってくると三十万、四十万というように価格の開きが出てきてその差が非常に大きいのですね。農振地域指定されるということになってくると、ここは相当規制される、それに入らぬところは規制されないというので、この規定のとおり土地利用計画に即したものでなければ転用許可しないということがきびしく行なわれるということになってくると、いままで二百万、三百万しておったところが、一ぺんにがたっと値段が下がるという事態がおそらくはんとうに起こってくると思う。それからはずれたところの値段が、また上がっていくということが起こってくると思うのですね。こういうような事態が、この施行を契機として私は起こってくると思います。これはあえて、いわゆる市街化区域あるいは調整区域と農振地域との境目だけでなしに、農村の内部において、そういう事態が今後起こってくる可能性が非常に濃厚だと私は思うのです。そういうところから、末端の町村長がこの指定をやるという段階になってまいりますと、非常な混乱が起こってくると思うのですね。反対運動も起こってくるでしょう。  なぜなら、私が申し上げるまでもありませんけれども、現在、地価の値上がりを待っておる農家が多い。農業経営そのものはもう投げておるけれども、地価が値上がりしておるから土地は手放さぬという人たちが多いのですね。そういう人たちの希望を一ぺんに粉砕することになる。これは農業政策の罪だと思うのです。そういう事態が起こってくると思うのですが、これを具体化しようという段階において、こういうような障害をどういうふうにして克服していくつもりかということについて、もしお考えになっておることがあったら、お聞かせいただきたいと思うのです。
  83. 池田俊也

    池田政府委員 確かに、先生御指摘のような事態がある程度想定されるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、農業振興地域指定がされますと、その地域そのものが、すべていま御指摘のように転用等が規制されるというわけではありませんで、その中の農用地計画といいますか、その対象になっている地域がそういうことになるわけで、農業振興地域の中でも、当然集落の用地でございますとか、その他中心になります市街地でございますとか、そういうところはあるわけでございます。でございますから、確かにそういうような懸念も一部にはございますけれども、そこいらはやはり現地の実情に応じまして、この地区は近い将来に宅地等になるというものは、あらかじめ農用地計画の中から除いておくということもある場合には必要であろう。農用地計画の中に入りますのは、少なくとも十年間くらいは農用地として利用していくという地域を農用地計画に入れる、こういうことにおそらくなるだろうと思います。  一方、先ほど農地局のほうからお答え申し上げましたわけですが、市街化区域というようなところについては農地の転用を自由にするというようなことから、宅地への供給が円滑に行なわれまして、むしろ不当な地価の上昇が押えられる。一方、これも理屈どおりにいくかどうか多少問題があるかと思いますけれども、農用地計画の対象になっている農用地としては、基盤整備なり何なりが積極的に行なわれるということになれば、当然土地の価値としては上がっていくということなんで、従来、非常に無秩序に行なわておりました土地利用というものが、ある程度線を引いて、ある秩序のもとに行なわれるということになれば、一部では確かに値下がりするところもあるかと思いますが、また逆に値上がりするところもあるはずです。そこいらはかなりモデレートなかっこうになるのではないか。これは理想的な姿でございますので、実際に始めました場合には、確かにいろいろ問題のあるところもあると思いますけれども、一応そういうかっこうになるのではなかろうか。  ただ、地域住民としては、将来その土地を処分するというようなことの期待を中心考えるか、そうじゃなくて、やはり自分の農業経営の資本としての農地としてその価値を高めていこうというふうに考えるか、その一つの選択の問題だと思うわけでございます。
  84. 佐々栄三郎

    佐々委員 局長の言うこともわかるのです。農業というのは、結局そこで生産物をあげるということが目的ですから、地価の問題は基本的な問題でないといえぱそれまでなんですが、しかし、現実の問題として、やはり指定地域の中にも兼業農家もおりますし、将来は百姓をやめて俸給生活者、勤務労働一本でやろうという人がおる。そういう人が、いざ土地を手放すというときに、やはり値段が下がっておるより上がっておるほうがいい。しかも、この振興地域に入りましたら、いまの農業というものを考えてくると、農業目的以外に使えぬというように規制されたら、これらの土地は上がらないということは、私は確実だと思うのですね。そういう点から、やはりこの線を引こうとするときに、かなり問題が起こるということを私は申しておるのです。私が望んだような答弁ではなかったわけですが、私は、こういうことも考えられるのではないかと思っているのです。  それで、イギリスでは、地価が増大した場合に、それに対して課徴金をかけている。地価の増大というような、自己の労力によらずに価格が上がったような場合には、それに税をかけて公共に還元するんだ、こういう制度が行なわれておるように私は聞いておるのです。そうすると、市街化区域指定されますと、やはりそこでかなり地価が上がってくるということがあり得るとするならば、それに対して課徴金をとって、農振法の制度によって地価が低落するとか、くぎづけになるとか、これは他の値上がりに対して相対的には下がったということになりますが、そうした農地に対する減価補償というものを、価格が下がったことに対する補償を、いま言った課徴金を財源として、何らかの形でこれを農村のほうへ還元していくということは考えられないものか、お尋ねしてみたいと思うのです。
  85. 池田俊也

    池田政府委員 私ども、実はあまり専門家でございませんので、的確なお答えができないのでございますが、これは単に農地だけの問題ではなしに、一般の土地の問題として、従来もいろいろ議論があるところのように伺っております。建設省等でも、いろいろそういうことを検討されているという話も、実は伺っているわけでございますが、一体そういうようなことにした場合に、どういうような手段が一応考えられるか。あるいは税制の面で考えるという考え方もございましょうし、お話しのような方向もあるいはあろうかと思います。  ただ、それが現実問題といたしましてどういう——またそれに伴ういろいろな副作用みたいな問題があるのではないかという気もいたしますので、私どもといたしましては、いまちょっと的確なお答えがしにくいわけでございますが、十分検討してみたいと思います。
  86. 佐々栄三郎

    佐々委員 ぜひこの点は検討していただきたいと思うのです。いわゆる課徴金というものを財源にすれば、あるいは先ほどの農村の税金の問題とかいろいろな問題にそれを還元することも、不可能ではないと思うのです。社会的に見て、一つ制度によってある地域は地価が上がり、ある地域はくぎづけにされるとか下がるとかいうことは、大きな問題だと思うのです。だから、不当利得を得る者が一方にあって、一方がまた不当に利得を奪われるというようなことがないようにすることが、私は政治として大切だと思いますので、この点はひとつ御検討をしていただきたいと思います。  それから、私の質問の最後の段階でありますが、農地利用計画に対する法の規制の問題について、若干お尋ねをいたしたいと思うわけです。  この農振法の第十七条に、農地利用計画決定の効果としてこういうことが規定されております。この地域で、農地法に基づく転用許可に関する処分を行なう場合、利用計画決定された時点から指定された用途以外に供されないようにしなければならない。これは、私が先ほど来申し上げてきたところでありますが、こういう規定がありまして、さらに十一条でございますが、こういうようになっております。農用地利用計画決定に対し、土地の所有権者等が市町村長及び知事に対し異議の申し立てをすることができるだけで、最終的にはその決定裁決に服さざるを得ない、法文の趣旨をいうとこういうふうになっておるわけです。その決定裁決に対しては、行政不服審査法による不服申し立てもすることができない。要するに、その決定裁決というものが非常に大きな力を持っておる。市町村長なりあるいは県知事に対して異議の申し立てをすることができるが、それが決定され裁決が下りますと、もうそれで終わりでありまして、それ以上不服は言えない。行政不服審査法による不服申し立てもすることができない。一つ計画がつくられると、その計画のワクの中へ押し込まれてしまって身動きができなくなるわけです。これは、私は非常な私権の制限だと思うのですが、そういうような私権の制限が行なわれる法的な根拠というものが、どこにあるかということを承りたいと思います。
  87. 池田俊也

    池田政府委員 ここに行政不服審査法の適用を排除しているわけでございますが、これは実はこの法の趣旨らいたしまして、確かに農用地利用計画の対象になりましたところの土地の権利を持っている方については、かなりいろいろな影響があるわけです。そういう方の利害というものは十分に考えなければいけないということで、この十一条で、かなり、それに対して異議の申し立て、あるいはそれに対する審査、それから知事が裁決をするというようなことで、具体的なこまかい規定を設けているわけでございます。  行政不服審査法の適用を排除いたしましたのは、実はここにこういうようなこまかい規定を置いておりますので、行政不服審査法とはむしろダブる関係になるので、その適用を排除したということで、別段そこのところを軽く扱ったということではないわけでございます。むしろそれよりか重く見まして、この法律で非常に具体的な手続を書いた、実はこういう考え方でございます。  なお、この知事の裁決が最終になるのではないかということでございますが、これは行政処分としてはそういうことでございますけれども、もしこれに対してもなお異議があるという場合には、裁判所に訴えることができるわけでございます。行政事件訴訟法によります訴訟の対象になるわけでございます。そして裁判所が、確かに訴えのほうが理由がある、知事の裁決が適当でないというときには、裁決の取り消しをしなければならない、こういうことになるわけでございまして、そこの最終的な権利は、一応確保されているというように考えるわけでございます。  ただ、それにいたしましても、個人から見るとかなりきついというあれはあるかと思いますが、これは一般の農地の場合にも大体同様ではないか。むしろ農地というものについては、現在の農地法にもかなり私権が制限されているというようなかっこうがございますので、特にこれについて非常にきつい制限を課したということではないので、単にその農地の転用許可等の処分をいたします場合の一つの基準を設けて、いわば裁量の余地のない処分というかっこうになる、こういう違いかと思うわけでございまして、特にこの法案の場合に、非常に私権を制限したということではないと、私どもは実は考えているわけでございます。
  88. 佐々栄三郎

    佐々委員 裁判の道があると言われますけれども、農民というのは裁判所に親しまぬもので、それならすぐ訴えてというようなものではありません。そういうような点から、私の感じとしては、市町村長あるいは知事の裁決あるいは決定ということで一審で終結するというようなかっこうは、ちょっとファッション的なのじゃないかという気がしておるわけです。この点は、ひとつお考えいただきたいと思うわけです。  それから、その次にお尋ねをいたしたいのは、同じような関連した問題でありますが、第五章の「土地利用に関する措置」という章の中で、土地が農用地利用計画において指定した用途に供されていない場合において、所有権者等に市町村長の勧告、これは十四条に規定されております。知事の調停、これは十五条に規定されております。これが行なわれることになっておりますが、その勧告とか調停が功を奏しなかったときには、一体どういうふうなことになるのか。これは前の質問とはやや対照的な逆の立場からの質問と思いますけれども、よく考えると、これはしり切れトンボのような形になっておるのですね。これはどういうふうにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
  89. 池田俊也

    池田政府委員 この規定は、整備計画土地利用についての一つ考え方をきめるわけでございますので、極力その趣旨に合った土地利用が行なわれるのが望ましい、こういう見地から、いわば行政的な一つの役割りとして、市町村長なり都道府県知事がそういう線に沿った利用が行なわれるようにということで、勧告なり調停なりをやる、こういう仕組みのものでございますので、実は、これに従わなかった場合にどうなるかという疑問でございますけれども、これは強制力はない。それにしても、市町村長なり知事がそういう法律行為をするということになりますと、事実上はある程度の力はあると思いますけれども制度的には強制力はないわけでございます。
  90. 佐々栄三郎

    佐々委員 次に、農振法の十八条に次のような規定があります。「農業委員会は、農業委員会等に関する法律第六条第二項の規定に基づき、農用地区域内にある同条第一項の農地等について、所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転のあっせんを行なうに当たっては、農業振興地域整備計画に基づき、これらの土地に関する権利の取得が農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるようにしなければならない。」こういうふうに規定してあるのです。農業委員会を、この農振法に指定された地域利用計画に協力をさせようという規定だろうと思います。そしてさらに二十三条で、この十八条とそれから十四条の二項、これは市町村長の勧告による協議、それから十五条一項の知事の調停、この三つの場合に、土地を譲り渡した者と譲り受けた者に対して税法上の特別な恩典を与える、こういうことになっておるわけです。これは二十三条ですね。  そこで、私はお聞きをしたいのですが、この条文にまいりまして、私は何か以前にこれに似たような法律が一ぺん出たような気がしたのです。それは、例の農地管理事業法案なんです。農業委員会をあの管理事業団に代位して、そういうような役割りを果たさせようというような意図が私には感じとれたわけなんですが、いかがでしょうか。そういうようなものでしょうか。
  91. 池田俊也

    池田政府委員 私ども、必ずしも農地管理事業団を、何か少し形を変えたというつもりはないのでございます。ただ、やはり今後日本農業の姿を考えました場合に一番必要なことは、いわゆる構造の改善、また別のことばで申し上げますと、農業の経営規模の拡大ということがどうしても必要であろう。外国からのいろいろな農産物の圧力もございますし、そういうものに対処していくためには、やはり経営規模を拡大し、生産性を上げあるいは生産費を下げることが必要であるという感じを強く持っているわけでございますが、そういう経営規模の拡大をやはり極力やっていきたい。そのたに、強制力を持って広々ということは毛頭考えておりませんで、ただ、農業委員会等が、そういう目的に従って農地の移動等をあっせんする、それに対しては極力援助をしたい、こういうことでございます。  それから、第二次の構造改善事業、これは現在詳細な内容はさらに詰めている段階でございますけれども、構造改善事業もおそらくこの農業振興地域とダブる場合が非常に多いわけでありますけれども、この農業構造改善事業の中におきましても、極力そういう経営規模の拡大に結びつくような事業をやっていきたい、そのために必要な若干の資金の裏づけなりはいたしたい、こういう感じを持っているわけでございまして、それと同じような考え方で、こういう規模の拡大に資するような事業に対しましては、税制上の優遇措置というようなことも考えたい。これは、現在もある程度あるわけでございますが、さらに、先ほど申し上げましたように、次の租税特別措置法の改正の際には、そういうようなことも織り込んでいきたい、こういう考え方を持っているわけでございます。
  92. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、この法案全体を通じて感じるのですが、農振地域指定された——ほとんど全部だと言われるが、しかし、そうでない地域もやはりあるわけですけれども、そういう地域がこういう形で農地の移動が規制される、またその他のいろいろな制限がある、その中における兼業農家の運命が一体どういうものだろうかということです。兼業農家は、先ほども申しましたが、ある時期には土地を売って離農するという意図を持っておる人もありましょうが、そういう期待は地価の抑制で押えられる。それから、自分の持っている土地で何かほかに工場でもつくりたいと思っても、それもいけないということになる。純粋な農家ならいいのですよ。そうして農業のほうはどうかというと、農業のほうでは、他の専業農家と、土地改良とかあるいは構造改善というような事業で歩調を合わせていくことができないわけですね。そうなってくると、マイナス面が多く、プラス面は非常に少なく、非常に孤立した感じにこの地帯の中ではなっていくのじゃないか。  しかも、兼業農家の数が少なければこれはまた別ですが、最近の傾向を見ると、ますます兼業農家がふえていっているのですね。そういうことを考えると、この法律実施された場合に、一体兼業農家はどういう立場に置かれるのか、私は、非常にみじめなものになるのじゃないかという気がするのですが、いかがでしょう。
  93. 池田俊也

    池田政府委員 この法案関連いたしまして、専業農家であるとかあるいは兼業農家であるとかいうことに、特に着目いたしまして扱いを変えるという考え方は、私どもには全然ないわけでございます。ただ、実際にこの法律実施されましたときに、それぞれの立場で受ける反応が若干違うという点は、確かに御指摘のようにあるわけでございます。  したがいまして、その兼業農家の立場からすると、あまり利益がなくてむしろ損害がある、こういうような感じを一部持たれる向きもあるかという気もいたすわけでございますけれども、ただ、兼業農家というものが日本農業の中で占めている地位というものは、御指摘のように非常に大きいわけでございまして、これは将来といえどもそう変わらない。もちろん、私どもは自立経営農家を極力育成したいということでいるわけでございます。しかし、実際問題としては、兼業農家も非常に大きなウエートを占めるということになりますので、これを無視して農政を進めるなんということは、とうてい考えられないわけでございます。この法案の上では、格別そこのところを特に区別をして考えてはいないわけでございますけれども、これは一般論になりますが、私どもは自立経営農家の育成と同時に、集団的生産組織といいますか、協業経営、協業組織というようなものも、これは助長していかなければならないというようなことで、従来十分ではございませんけれども、そういう施策も進めているわけなんで、そういうような施策と相まちながら、一方では農地の流動化を促進しまして、そして片方では経営規模の拡大をはかるというようなことが必要である。こういうことで、御質問の趣旨に多少ぴったりしないと思いますが、この法案の上では格別の、特にその問題に着目して、扱いを云々という考えはないわけでございます。
  94. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、先ほど申しました十八条の農業委員会についての規定、それから二十三条の税の上の取得者及び譲渡者に対する減免措置、こういうようなものと、それからいまの兼業農家というものとを結びつけて考えた場合に、農地管理事業法案的な構想が底流としてあるのではないかという気がしきりにするのです。つまりそういうような形で、直接ではないが間接的に小農が農村からいびり出されていくのではないか。あなた方はどういうふうに考えておられるか知らぬが、そういうような役割りを、結果として果たすことになるのではないかという気持ちが私はしておるわけです。でございますが、あとから質問せられる方本ありますから、私はこの問題については、これ以上申し上げません。  最後に、政務次官に総体として結論的に私はお考えを聞きたいのでありますけれども、とにかくこの農振地域指定されますと、土地の規制が非常にきびしいということになります。それから、地価もしたがって抑制される。市街地なんかに比べて非常な差が、地価の上でもできてくると思う。  こうなってまいりますと、よほどこの地域に対する農業政策を本腰を据えてやらぬことには、これは農民としては全くプラスのない、犠牲だけしいられる法案になってくるような気がしておるわけなんです。したがって、私はまだこの法案については疑問を残しておるので、もちろん賛成とも反対とも意思表示をすることはできないわけなんですけれども、以上のようなことについて、政務次官としては一体どういうふうにお考えになっておられるか。もしこれを実施した場合に、どういうふうな考え方でこれを実施しようとなさるのかというようなことにつきまして、結論的に次官のお考えを承って、私の質問を終わりたいと思うわけです。
  95. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 言うまでもなく、農政の主たる目的は、農産物の需要の動向に即応しまして、安定的な供給をはかることが第一点でございます。同時に、他産業従事者並みの所得にできるだけ農業従事者を近づけていくということが、これはまた第二の大きな目標だと思います。これらの目標の実現を期するためには、先ほど来この法案の制定の目標として申し上げましたように、また、その現実の必要性がどこから出てきたかということについて申し上げましたように、非常に、土地の利用等につきまして、現在の情勢がいろいろ混乱といいますか、無秩序な点がございますので、したがって、どうしても各省の土地利用の考え方と調整をはかりながら、農業振興をはかるべき地域というものを明らかにいたしまして、その地域において土地農業上の有効利用等、農業の近代化のための措置というものを、従来よりは一そう計面的に進めていかなければいかぬのじゃないか、こういうような意味から、この振興法をお願いをいたしておるわけでございます。  先生の先ほど来の御質問を聞いておりますと、農業振興をすべき地域指定を受けた、そうしてそこに農用地利用の指示を与えられる、そうするとその中の農地、その地域における農地というものは転用その他いろいろな制限を受ける、そうすれば地価は下がるじゃないか、したがって、あまりそういう面ではいいことはない。ですから、この農用地指定を受けて振興地域指定になったところの農業政策については、よほど思い切った措置をして、基盤整備なり、あるいはまた構造改善なりについて、国が積極的な、非常に大幅な何かここにてこ入れをしていかなければ、この法律の意味はあまりないぞ、こういう御意見だろうと思うのでございますが、やはり土地の値段が下がるということにつきましては、必ずしも私どもそうは考えていない。といいますのは、要するに、振興地域として指定しますのは、相当長期にわたって農地として利用すべきところ、しかも、それは個人のいろいろ見解も聞き、市町村長が十分下から積み上げて計画をしながら、知事またわれわれのほうの指導と相まって指定をされていくわけでございますから、したがって、相当長期にわたって、高度に農地として利用するようなところを振興地域として私ども考えているということであります。  その辺のところは、特別これの指定によって、農業としてその地域に応じた農産物を、専業あるいは兼業としてずっとやっていくところを考えているわけでございますので、この辺は、先生のおっしゃることも確かにあるいは起こってくるかもしれませんけれども農業政策の面からは、受けるほうもするほうも両方目的は同じ方向で進むのだということで、まず御理解をいただきたいと思います。  また、先ほど来局長が言いましたように、この振興地域指定を受けたところにつきましては、特別に基盤整備なりあるいはまた、ことに第二次構造改善事業等については、ほかの地域は、そういうことについて高度の利用計画整備を促進するという考えを持ちませんから、ここに重点を置いてできるだけ手厚い対策をとっていきたい。この法律そのものが予算がありませんので、畜産の振興なりあるいは園芸の振興なり、そういう面で持っております予算、あるいはまた土地基盤整備の予算等、必要の予算をこの振興地域にはできるだけつぎ込んで、特に今後のあり方として、農林大臣も申し上げてありますように、農業地域的な分担といいますか、そういうものを相当真剣に考慮いたしまして、そこに重点的にひとつ思い切った施策を展開していこう、こういう決意でございますから、御了承をいただきまして、ぜひ御協力をいただきたいと思うのでございます。
  96. 佐々栄三郎

    佐々委員 終わります。
  97. 丹羽兵助

    丹羽委員長 柴田健治君。
  98. 柴田健治

    ○柴田委員 わが党の佐々君から、きめこまかい質問がされたわけでありますが、私は第二陣として、私は私なりの立場から、この農業振興地域整備に関する法律案に対して、角度を変えていろいろと御質問を申し上げてみたいと思うのであります。  この法律の目的を読んでみますと、なかなか名文でありまして、これについてはうなずける点があるわけであります。こういう目的を判断して、今日の日本農業の実態という点を当局はどう把握しておるのかという、この点から質問に入ってみたいと思います。  まず、この法案が出た動機です。昨年の国会でこれは継続審査になったわけですが、ことしの六月から実施される、もう議決された新都市計画法、この新都市計画法関連をして、半ば領土宣言的な法案だということも一時耳にしましたし、なお、それぞれの党で建設部会と農林部会で合同協議もしたように記憶をいたしております。そういう関係でもって、都市計画法が一方では進んでまいりました。それにおくれてはいけないという農林当局の考え方から、この法案が出てきたように私は解釈するわけです。  ところが、いろいろ答弁を聞いておりますと、それが広範囲にわたって、この法案を適用するのは多々ある。一方都市計画法によって、そういう市街化区域のほかにまた調整区域というようなことばも出たということは、要するに、都市計画法にもある程度盛られておるのではないか、こういう気持ちがいたしますので、そういう点から、日本の都市化というものについてどう理解をし、どう分析をしておるのか、その把握のしかたを、これからひとつお尋ねをしてみたいと思うのであります。  まず、都市化の定義なんですが、これはいろいろ地方地方において違うわけです。法的に基づく市なら市、町なら町を認定する場合には、連櫓戸数がどうだとか、公的機関がどうであるとか、金融機関がどうであるとか、町制を施行する場合、市制を施行する場合には、結局そういう基準があるわけであります。そういうことで、町村合併の促進法に基づいて、今日日本の市町村合併をしている。要するに、広域行政ということばで進めてきておる面が強いわけです。そういうことから、今日までその都市化という問題についてはいろいろと地方において解釈の違うところがある。ところが、農林省は全国一律に、机上論で一本の解釈を出しておる。ところが、末端の実態からいうと、同じ都市といっても都市の実態が違う。そういうことから、都市の定義というものが、多少農林省と私たちは違うかもわからないけれども、私は、要するに都市の実態というのは三つに分類されるのではないかと思う。  一つ都市化。これは市街地化され、また通勤圏の形成等いろいろな条件から見ての都市化。それから都市圏の拡大という場合の都市、これが第二。それから都会化。これは都市でなくて、いろいろ変わった解釈があると思うのですが、要するに、生活様式が都会的な生活様式、都市的な社会関係、要するに都会的な指向というものも含めてそういうような都会化、こういう定義になる。この三つが大体都市化ということで、要するに農村の都市化という面も含まりますけれども、そういう面で、われわれは一応社会通念上都市化というものを頭に置いて、やはり都市政策なり、都市付近の農業政策というものを考えなければならぬのではないか。要するに人口の密集地、居住者人口の集積数、こういうもののとらえ方というのは、たとえばDIDのあの三十五年に押えたときには、それ以前には大体全国で八百十九の市町村ということだったのが、三十五年には七百六十市町村になった。これは人口集中地区として半ば都市であろう、こういう解釈で押えておると思うのですが、こういう点から、やはり地域の分化現象というものがあらわれてきた。  こういう点で、やはり人口増の都市、人口減の都市というものが順次差がついてきた。都市化都市というのは人口がどんどんふえてくる。たとえば、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫というところはどんどん人口がふえておるわけです。この付近の都市というものは、完全に都市化されてくる。それから同じ都市であっても、農村というような中途はんぱなところは、都市という定義の中に入るけれども、人口がどんどん減っておる。こういうものを数字的に拾い上げると、高度経済成長政策というようなこの政策遂行の中で、五カ年に相当の差が出てきておる。三十五年には七百六十市町村という都市的な市町村が、五カ年後ではこれが三百町村くらい減って、実質的には四百六十くらいになっておると思うのですが、これらがほんとうの都市化して成長してきておる。  この四百六十ほどの、人口増で完全な都市として成長してきた都市のその市街化区域、または調整区域、それにこの農振法で地域指定をするとなると、この四百六十の完全都市化したところの取り上げ方はどうするのか。同じ都市であっても、人口がどんどん減っておるところの、半ば農村都市といわれるところについての、この農振法の適用のとらえ方、採択方法というか、そういう点について二つの考え方というものがなければならない。この点について御答弁を願いたいと思うのです。
  99. 池田俊也

    池田政府委員 この問題は、実は私どもあまり専門ではございませんで、むしろ建設省でないと、いまの先生の御質問に対して的確なお答えがむずかしいのじゃないかと思いますが、私ども考え方を申し上げますと、ただいま先生がおっしゃいました都市化といいますか、いろいろなタイプがある。最近の大都市のように、非常にどんどん人口もふえ、あるいは都市機能もさらに拡大される。それとの関係で、たとえばベッドタウンといいますか、通勤圏が非常に拡大をして、そうして農村が蚕食されるということもございますし、あるいは地方都市で相当の都市であっても、人口増というものがあまりなくて、むしろ一部では減るという、そういうような地域とかいろいろあるわけです。  それで、私どもとして一番農業という面から問題になるのは、最近の大都市——今回の新都市計画法では、人口十万以上の都市について、市街化区域市街化調整区域の線を引こうということになっておりますけれども、なかんずくそういう大都市なりあるいは今後さらに人口増が期待されるような都市、そこにおきます農業との関係をどう線を引くかということが、一番当面の問題だと思います。建設省がこういう線を引かれる場合には、農林省に御相談があるということに実はなっておりますので、私どもは、建設省の具体的な計画を伺ったときに、それに対して判断をしたいと思いますが、一般論として申し上げますと、これは当然のことと思うけれども、人口の増加がそう顕著ではない、あるいはむしろ減退をしているような地域におきましては、たとえ人口十万以上の相当な都市でありましても、市街化区域というのは相当限定をしていいのではなかろうか。しかしながら、非常に発展をしている地域、東京とかあるいはその他今後相当発展をするような地域におきましては、おのずから市街化区域の線を引く場合も、今後十年間ぐらいの情勢を見て線を引くという考え方になっておりますので、市街化区域の線の引き方は、やや幅広く引かれるという可能性があるように考えられるのであります。私どもとしては、やはり将来国が必要とする、国民が必要とする食糧の供給を確保するというような観点らいいましても、農業生産の増大ということを一つのねらいとしているわけでございますけれども、やはり都市化が非常に進んできているような地域において、農地を無理に確保しようとしても、それはいたずらに地価の暴騰を招くことになるだけで、むしろ農業に悪影響になるということにもなりますので、そういう地域につきましては、やはり市街化区域というものが、ある程度幅広くとられるということは、やむを得ないのではなかろうかと思います。  要するに、私どもといたしましては、一がいに都市イコール全部市街化区域という考えではございませんで、それぞれの実態に応じてそれぞれの調整をはかってまいりたい、こういう考え方でございます。
  100. 柴田健治

    ○柴田委員 都市計画法を急いでつくった建設省考え方は、やはりどんどん人口がふえるので、いまの交通体系なり上下水道、公共施設を含めて、全体の都市の美観の問題もありましょうけれど、早い都市の再開発という考え方の都市政策と、新しい都市づくりという考えの広域の都市化である都市政策、この二つが、いまの建設省の新都市計画というものは、両々調整できるような考え方に立っているけれども、実際は、どんどん人口のふえる都市都市政策というものを、新しい都市計画法である程度規制をしていきたい、こういう考え方が強く出ていると私は思うのですよ。要するに、今度の都市計画法というものは、都市の再開発のほうが強いのではないか。  そういうことになりますと、つまり都市の再開発ということになれば、人口増の都市のほうが重点に置かれるのじゃないか。減少を来たしておる都市というものは、そうあわてて都市政策を進めなくてもいいじゃないか。要するに、人口密度の極端な膨張率のところの都市政策というものを進めなければ、防災地域指定にしてもたいへんなことになる。こういうことから、急いで都市計画法をつくられた。それに合わせてこの農振法をつくろうとするなら、やはり人口増の都市の付近の農業振興というものは、それは面積にもよりますけれども、そういう点の考え方をある程度明らかにしていかないと、都市計画法との関連性というものが、私たちからいうとちょっと疑問になってくる。この点の解釈のしかたですが、この点ひとつ明確にお答え願いたい。
  101. 池田俊也

    池田政府委員 従来、都市計画区域というものは、御承知のように非常に広いわけでございます。現行では、ヘクタールで申し上げますと千百万ヘクタールくらいということで、その中に農地が大体六割くらいあるといわれておるわけでございます。今回の新都市計画法は、そこのところはかなり現実的といいますか、実際、今後都市計画を実体的に進めていくべき地域、あるいは言い方をかえますと、都市計画の対象として考えていきます地域というものは、かなりしぼられてくるわけでございまして、六百二十万ヘクタールくらいというふうに私ども承知しているわけでございますが、そういうような地域におきます農業との調整といたしましては、市街化調整区域というのは、これは明らかに市街化を抑制すべき区域ということになっておりますので、これについては、農業振興するということは原則的に問題がない。ただ、やはり都市的な施設が一部入ってくることはありますけれども、原則的にはそう問題はない。  問題がありますのは市街化区域でございますが、市街化区域に線を引いた内側のものは、それは農地でありましても、すべて市街化区域に入れるかというと、私どもは必ずしもそうとは考えていないので、ある程度まとまった優良な農地がある場合には、それは除外して考えるべきである。あるいは農業基盤整備なり構造改善事業なりがそこで相当行なわれているというようなところは、やはり農地として確保すべきである、こういう考え方をとっておるわけでございまして、そういうようなことにつきましては、現実に個々の市街化区域の線を引きます際に、建設省とも十分協議をしていく、こういう考え方でいるわけでございます。
  102. 柴田健治

    ○柴田委員 いずれ建設省に来ていただけると思いますが、人口集中地区、DIDの設定基準を置いた都市から見ると、七百六十の市町村の中で、同じ都市という名前の中でも、三百は人口が減ってきている、四百六十はどんどんふえている。  それでこの法律でいくと、先ほど佐々君が言った「農地等の転用の制限」という十七条の問題は、この人口増にどんどんなっておる四百六十の都市付近が、これはやはり個人の私有財産権等の問題で、行政訴訟ができるなんて先ほど答弁されておりましたけれども、この四百六十の人口増の、都市化されていくその付近の農地転用の制限については、これはたいへんな問題になってくるのではないか。どんどん人口が減っている町村は、その点は問題というものが少なくて、問題が多いのは、やはり四百六十の人口増の市町村ではないか。この点をどう取り扱っていくか、法の適用というもの、この解釈が非常にむずかしくなってくる、こういう気持ちが私はいたしますから、この都市化の分類のしかた、それから実態の把握というものを十分やっていかないと、法の運用の面で、農林省は行き詰まったら、これは国会できめたんだからといってわれわれにどろをかぶせられたのではかなわぬので、要するに、この都市化の実態というものを十分把握して、法の運用なり条文というものを定めていかなければならぬのじゃないか、こういう考え方をいたしますから、この点についての解釈を強くお願い申し上げたのですが、どうも私は十分理解ができないのです。建設省見えましたか。——まだ見えていない。それならちょっと保留しておきます。  要するに、今度は都市でなしに、純農村地帯の人口減に伴って農振法を適用する考え方、この点については、先ほど政務次官は最後の締めくくりの答弁で、農家所得でなしに農業所得と明確に言われたのです。それから食糧の増産——食糧といっても、それは米じゃないでしょうけれども、そういう食糧政策問題点、同時にまた土地生産性を高めていくなんて言われましたけれども、結局、この農振法を適用する場合の考え方というものは、やはり農業者の所得を上げていくというのが基本なのか、生活水準を上げるために、要するに生活様式を含めてですが、こういうものを並行して考えていくのか、要するに均衡化していく農村政策、こういう形のどちらに重点を置かれるのかというのが、一つのわれわれの関心のあるところなんです。  この点からいくと地域格差、これは職業的格差という問題がよく論じられるのですが、この格差是正をするのに、この農振法の精神ではどこに重点を置かれるのか、この点、私ちょっと理解できかねるので、お答えを願いたい。
  103. 池田俊也

    池田政府委員 農業所得の上昇が直接の目的か、あるいは生活水準の上昇が直接の目的か、こういう御質問でございますが、これは、一応農業振興地域におきまして整備計画を立てるということの主たるねらいは、農業生産の増大でございますとか、あるいは生産性の向上でございますとか、あるいは農業構造改善とかいろいろあるわけでございますけれども、やはりどちらかというと農業経営という面に着目をいたしまして、そして生産性の向上あるいは農業所得の増加ということを、直接一番のねらいにしているということは申し上げられると思います。  ただ、それならば農業面だけ見まして、あとはもう全部何も考えないのかというと、そうではございませんで、これは二十一条にもございますように、やはり、農村の生活環境をよくしていかないとなかなか人も定着をしないということもございますので、生活環境をよくするための努力を、国なり地方公共団体がつとめるという規定がございますが、これは農林省だけではなしに、関係各省が全部協力をして、そのための事業をやるということになっているわけでございます。  ただ、どちらかというと、農業振興地域整備に関する法律案という題名が示しますように、やはり農業経営なりあるいは農業所得なりの面にウエートがかかっている、こういうことは申せるかと思います。確かに御指摘のように、現在の農村の環境というものは十分ではございません。これはいろいろな面、教育なんかの面では都市とそう差はないというふうにいわれておりますけれども、道路でございますとか、あるいは環境衛生施設でありますとか、そういったような面では、農村は都市に比べてだいぶ立ちおくれておるのは事実でございますので、私どもとしては、今回の法案との関係ももちろんございますけれども、また別途そういうものについてはぜひ力を入れてまいりたい。  農林省がやっておりますことの中では、たとえば、御存じのように普及事業というものがございますけれども、これは単に農業の技術あるいは経営の指導だけではなしに、御存じのように、農家の生活改善ということにも正面から取り組んでいるというわけでございまして、そういう面の努力は、今後相当しなければならないと思いますが、いまの御質問に対しましては、どちらかといえば、農業面が中心である、こうお答えができょうかと思います。
  104. 柴田健治

    ○柴田委員 いまの答弁を聞いておりましても、法案を見ても、肝心なところはまことに抽象論的に書いてある。それであなたのほうの都合のいいところは、政令だとか省令で別に定めるようになっている。しかし二十一条を見てください。「生活環境施設の整備」ということで文章は短いのです。この二十一条を完全にするためには、たとえば、別に政令で定めるとかいうような字句が入っておれば、いずれきめのこまかいそういうものが出てくるだろう、こういう解釈もできるわけです。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 都合のいいときには政令で定める、省令できめる、こう書いてあるけれども、肝心なところはそういうことは一つも書いてない。  だから、私たちは、この農振法というのは所得が中心か、そうした生活水準その他生活様式の向上という点が中心か、どちらに重点を置くのかという疑問がそこに出てくるわけです。その点について、関係行政機関といろいろ相談して、こう言われますけれども、どういう相談をするのか。政令か何か別にきめられるなら、それはある程度希望が持てると思うのです。ところが、「国及び地方公共団体は、農業振興地域整備計画の達成に資するため、当該農業振興地域における良好な生活環境を確保するための施設の整備を促進するように努めるものとする。」これだけの文章です。それなら、この施設に対するどういう補助措置というか、優遇措置をするのか。こういう点はどこできめるのですか。
  105. 池田俊也

    池田政府委員 生活環境の関係の施設といいますのは、御存じのように、非常に範囲が広いわけでございまして、役所の所管で申しますと、建設、厚生、文部その他たくさんあるわけでございます。それで、当然それらの役所におきましては、都市と農村を包括いたしましてそういう事業をやっているわけでございます。  たとえば、学校でございますならば、学校の施設は都市と農村とに格別分けないで、全体として文部省が管轄をしている、こういうかっこうになっておりますが、具体的にどういう事業をここでやるかということは、これはなかなか一がいにはきめられませんので、農業振興地域整備計画というものが一応できまして、そこで今後のその地域におきます振興の方法がきまれば、当然それに合うように、国なり地方公共団体がその地域における必要な施設の整備をやる、こういう形になるわけでございまして、具体的にここでこういうようなかっこうでこういう形の事業をやるということは、これは整備計画が終えませんと、なかなか具体的には申し上げられないわけでございます。
  106. 柴田健治

    ○柴田委員 それなら、何のためにこの整備計画というものをつくるのか。この間自民党の湊先生が質問されて、どうも国が果たす役割りというものがおかしい、地方公共団体の任務というものももっと十分考えておかなければならぬのに、要するにこれは地方公共団体の事務手続論だ、こういうことをきびしく追及されておられましたが、全くそういう考え方がこの法律の中には出てくる。別にそういう生活環境の整備とかの、たとえば農村の環境整備法でもつくる考えがあるのか。そういう考え方がないと、この法律計画だけ出さしたって何にもならない。絵にかいたもちだ。それなら、国がえらくあわててこんな整備計画なんてつくらせても、一々現地のことまでわかるはずがないのだ。それを、なぜ五カ年なら五カ年で計画を出させるのかということです。実施ができないそんな計画を出さしたって、その取り扱いをどうするのか。結局、日本という法治国家の中で、国民というか農民の不信感を買うだけですよ。いままではそうですよ、それは農政局長の罪ではないけれども。  たとえば、町村合併の促進法によって新市町村の建設計画を出さした。これが合併をしたら直ちにできるのだと言うて、盛んに笛や太鼓で宣伝をした。合併さぜんがためにそういう計画を出さしたが一つもやれないというように、計画だけは出させるけれども、あとは知らぬ半兵衛。これでは住民は、その政府のやることに対して不信感を持つ。絵にかいたもちならこんなものは要らない。実行できないのなら、あわててこんなことを書かなくてもいいじゃないか、こういう気がする。この点について、農村環境整備法なりあるいは別に制度をつくられるのかどうか、この計画に基づいて関連的な法案をつくられる意思があるかどうか、それをお尋ねします。
  107. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 先生が、第二十一条に「生活環境を確保するための施設の整備を促進するように努めるものとする。」と書いてあるが、どうも手ぬるいじゃないか、ほんとうにこれをやるつもりなら、もっと具体的に、その詳細は政令で定めるとかなんとか、あるいはまた一定の計画をもって臨むべきじゃないかといわれることもわかるのですけれども、私ども農林省所管の法律をやります場合に、各省にそれぞれ非常にウエートがある。生活環境の施設関係は、各省それぞれ非常に大きなウエートをもって権限が分散をしている。そういうことでございますが、しかし、せっかく振興地域というものを指定して、そこに総合的な整備計画をつくってもらって、そうして農業政策をできるだけそこで重点的に振興していこうという場合に、たとえ各省の所管にたくさん分かれて——生活改善指導というものは農林省にありますけれども、その他実際の施設をやるようないろいろな面は、文部省なり、あるいは厚生省なり、建設省なり、自治省なり、労働省なり、郵政省なり方々へ分かれておるのを、農林省所管の法律で、それを具体的に政令でどうするのだということはどうもいえない。さりとてこれをはずしては、せっかく振興地域整備計画というものをつくって——生活環境の整備は、これはやはり大きな問題でありますので、これも国が促進するのだぞ、そうしてここの中へ入れることによって、各省の計画をひとつわれわれのほうでしりをたたいて促進していくのだという、そういう意思だけはぜひ御理解を願いたいので、ほかにまたがるたくさんのことをよく前向きに書いたなと、実はむしろほめていただきたいと思うのでございます。  ただ、今度のこの法案は、先ほど私がちょっと最後に、農業政策の全体的な目標として、農業生産物の安定的な供給という問題と、それから農家の所得の向上ということを申しましたのは、この法律の目的として申し上げたのではないので、むしろ農政全体の究極の目標がその二つにある。それを実現するためには、いまのようにいろいろ各局別に分かれてそれぞれの政策をやっておりますけれども、受けとめる側の地域というものが、非常に乱雑に農地の壊廃が行なわれましたり、その他どうも思うように計画的にいっていないから、ここで十万以上の都市については、市街化区域とそれから調整区域というものを設けて、そしてはっきりとこの都市計画というものを新しい考え方のもとにやろうというような機会に、こちらのほうもひとつ農業振興地域というものをはっきりと指定していって、そこに必要な整備計画をつくらせて、それには私どものほうも指導して、農用地の確保をやるとか、あるいはさらに保全をし開発も進めるとか、あるいはその中に近代的な施設なりあるいは土地基盤整備なり、そういうものを十分総合的な計画を立ててもらおう、そして農業生産地域的な分担の姿というものもはっきりさせながら、農業の一そうの振興をはかろうというのがこの法案のねらいでございますので、そういう意味で、ひとつ御理解をいただいてお進め願えればと思っております。
  108. 柴田健治

    ○柴田委員 次官のことばを聞いていると、前は農業所得だ、今度は農家所得と言うたり、どうも日本語であやつられたらかなわぬですよ。何かそうつけたりに二十一条はつけなければいかぬのだというような気がする。たとえば、手紙をやるのに拝啓を入れなければならぬようなもので、要件だけ書けばいいようなものを拝啓と書いた、そういうようなものの考え方では私はおかしいと思うのです。  要するに、農業基本法との関連があるという先ほど答弁があったし、私たちは、この農振法がほかの法律関連が全然ないとは解釈してない。ほとんど関連を持っておる。今度新しくできようとする全国総合開発にも関連があるかもしれぬ。農業基本法その他いろいろの現行の法律にも関係がある。しかし、いやしくも一つ制度をつくる場合には、自信がなければだめだと思うのですね。一つきめて出すのでも、農林大臣がかってに出したのじゃないと思うのです。閣議で決定をして、ちゃんとして出されたんだから、これを出す限りは、政府全体の責任で出しておるのでしょう。農林省だけじゃないと私は思うのです。あなたたちは、たまたま農林省にいま籍を置いておられるから、ただ農林省立場だけで言うけれども、われわれ国民の側から言えば、政府が出した、閣議で決定した法案は、どれにも全部関係があると解釈せざるを得ないし、また、当然そう解釈するのがあたりまえだと私は思うのです。そういうことからいうと、この二十一条ではあまりにも弱い。ただつけたりのような解釈、われわれの受けとめ方はそういう受けとめ方をぜざるを得ない。こういう気がするから御質問申し上げたんですが、今後十分反省をしてもらいたい点だと私は思います。  建設省山下事官がお見えになったから前に戻します。先ほど農林省のほうにお尋ね申し上げたんですが、今度の新しい都市計画法は、いままでの都市計画法では十分な都市政策はできない、こういう立場で新しい都市計画法を制定されて、これを重点的に適用し、直ちに都市政策に取り組むというのは、どういう地帯、どういう都市を重点的に取り上げられるのか、見解お尋ねしたいのです。
  109. 山下武

    山下説明員 ただいまの区域指定内容でございますが、私どもとしましては大体三つのグループに分けまして、新しい都市計画法の附則三項によります指定をしたいということで準備を進めております。  第一番目のグループでございますが、首都圏の既成市街地もしくは近郊整備地帯であるとか、あるいは近畿圏の既成都市区域もしくは近郊整備地帯、または中部圏都市整備区域にかかりますものを都市計画区域として指定をしていきたい。  それから第二番目のグループでございますが、新産業都市区域でありますとか、あるいは工業整備特別地域、または首都圏近畿圏もしくは中部圏都市開発区域にかかる都市計画区域でありまして人口の増加の著しいもの、及び都市開発の進展の度合いから見まして、近い将来に急激な人口の増加が見込まれるようなものを第二のグループとして指定していきたい。  それから第三番目のグループといたしまして、人口十万以上の都市で人口の増加が著しいなどの要件に該当するもの、そういうものに関係した都市計画区域、そういった三つのグループを、逐次附則三項に基づいた市街化区域あるいは市街化調整区域を区別して設定していくような都市としてきめてまいりたいというふうに考えております。
  110. 柴田健治

    ○柴田委員 輪郭だけはわかっておりますし、いまも具体的に御答弁をいただいたんですが、要するに現行法規の中で、またこの法案にもたくさん書いてありますが、結局三つに分類をしておっても、著しく人口がふえておる都市についての対策だ、今度の新しい都市計画法は、そういう点に半ば力点を置いて取り組んでいくというお答えですが、私たちもその考え方は一応はうなずけるのですが、この農振法の考え方というものは、そういう人口がどんどん膨張してくる都市の付近で、要するに市街化調整区域、そこで農振法の地域指定をしても、実際問題としてやれるのだろうか。  たとえば、先ほども申し上げたように、四百六十ほどの市町村が人口がどんどんふえておるわけです。この四百六十以外の都市は、たとえ人口五万であろうと十万であろうと減っておる都市があるわけですね。人口は伸びていない、一つも移動がないというところもあるし、同じ適用するにしても、急激に増加を示しておる、上昇を示しておる都市に対するこの都市計画法の適用というのが急がれるのではないか。  そうすると。そのほかの都市について調整区域をどうするとか、農振法の地域指定をどうするとかいっても、事実上やれるかどうかという一つの不安と心配がある。それから十七条の適用というか、そういう点で問題が出てきた場合に、個人の所有権をどうとかということで問題が起きてくる。市町村が実際の計画を立てるのですが、市町村が本気で、この農振法の地域指定を受けるためにこういう整備計画を立てて出すだろうか、こういう気がするのです。建設省が実際都市計画法によって指定をしても、それだけの余裕がある、人口が上昇している都市というものがほかに実際あるのかどうか、実態をどう把握しておられるのか、それを聞きたいのです。
  111. 山下武

    山下説明員 ちょっと具体的に申し上げさしていただきますが、現在都市計画区域として区域指定しております区域は、大体十一万方キロぐらいになっております。それから、新法によりまして新しく都市計画区域を再検討いたしまして、具体的な都市計画区域をきめられるであろうという広さは、大体六万二千方キロぐらい予定しております。  そこで、附則第三項によります市街化区域あるいは市街化調整区域をきめるべき都市計画の面積がどのくらいになるかと申しますと、大体四万三千方キロぐらいになるわけでございます。その区域数が、全体でどのくらいになるかと申しますと、現在の都市計画できめております区域数が千三百十九あるわけでございます。それから新法によります都市計画区域が大体どのくらいになるかと申しますと、およそ九百六十区域らいになるわけでございます。それから、附則三項によります区域が、その中で百七十六くらい区域になるだろうということを前提といたしまして、いろいろ市街化区域市街化調整区域の策定の準備を進めておる次第でございます。  そこで、私どものほうとしましては、農林省のほうとも十分連携を保ちつつ、現在、各都道府県都市計画関係の担当者を集め、あるいは土木部長等も集まっていただきまして、具体的な準備を進めることを指示いたしております。  こういうふうに準備を進めて、いよいよ六月に施行されます法律に基づいてどのような仕事を進めていくかと申しますと、先ほど申し上げました大都市地域関係は、少なくとも九月ごろまでには具体的な案を出してもらいまして指定をする。それから、第二番目の新産都市等の関係につきましては、十二月ころまでにはぜひ指定をしていきたい。それから、人口十万以上の都市のグループ等につきましては来年の三月いっぱい、要するに四十四年度じゅうにはぜひ指定段階にまで持っていきたいということで準備を進めておりますので、ただいまの市街化区域市街化調整区域等設定につきましては、農林省とも十分連携をとりつつ設定をしていく考え方で進めております。
  112. 柴田健治

    ○柴田委員 政務次官、都市計画法指定を受けると、いろいろな財政上の優遇措置があるわけですよ、御承知のように。ところが、この農振法でやった場合、いまのこの案でいけば、財政的な優遇措置というものがあまりない。いま市町村は、九月までに都市計画法区域指定を受けるという作業をどんどんやっておると思うのですが、六月に施行されても、末端では、いまの古い都市計画法でなしに、新たな観点で作成をやっておるわけですが、おれのところの市は農振法の区域指定を受けなくてもいい、農業振興といったって、農業だけを守っておったら固有財源はふえる様子はないし、それよりは工場誘致をしたほうがいい、それから土地はそのまま置いておいたほうがいい、こんな農振法を通してもらっても整備計画を出す考えはありません、こういう市町村があったら、そういう市町村にはどういう指導をするのか。出さ  ぬでもいいのか。  ことしの計画を見ると、これが通るか通らぬかわからぬが、この法案が通った場合、大体将来の考え方は、五カ年間で二千八百から三千を一応目途として地域指定をする、こういう考えがあるようです。四十四年度においては四百地域という。当面、都市計画法区域指定をするところをやらなきゃ効果がない、こういいながら、そういう該当市町村が、もう農業なんというものはどうでもいいんだ、米をつくらぬでもいいし、結局、企業誘致をどんどんやって、そんな整備計画は一切立てませんし、地域指定を受ける意思もございませんといった場合にはどうするのですか。
  113. 池田俊也

    池田政府委員 この農業振興地域指定は知事がいたすわけでございますが、当然、これは地元の意向を十分に反映して、農業振興地域として将来も農業振興をはかっていく、こういう意向を確めた上で知事は指定をする、こういうことになるわけでございますので、指定をした後において計画が出てこないということは、あまりなかろうと考えるわけでございます。  その地域としては、農業もあるけれども、将来は、むしろ工場の誘致なりあるいは大都市のベッドタウンとして考えたほうがいいというようなところも、これはあるわけでございます。そういう地域におきましては、私どもは、それを無理に農業振興地域として指定をするような指導をする必要は、心ずしもないのではなかろうか。それは、やはりその地域住民意向ポイントになるわけでございますから、そういう地域については農業振興地域としては指定をしない、こういうことになろうかと思います。
  114. 柴田健治

    ○柴田委員 それなら、都市計画法とは半ば関係がないといってもいいのですか、どうですか。
  115. 池田俊也

    池田政府委員 直接に関係はないと申し上げてよかろうかと思います。問題は、要するに市街化調整区域というものが、これは市街化を抑制すべき区域というふうに規定されているわけですが、今後十年間ぐらいは必ずしも市街化されない、それで今度は農業振興地域になるかというと、農業振興地域にもなりたくない、こういうことでございますと、いわば中間的な、灰色みたいな地域ということになるかと思いますけれども、そういう地域が一部出ることは、実際問題としてはやむを得ないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  ただ、こういう誤解がありますならば、私どもは十分PRしなければならぬと思いますけれども、それは、農業振興地域指定をされました場合には、一切もう農地の転用等が認められないかといいますと、そうではないので、これは、その農業振興地域の中で農用地として確保する必要のある土地を農用地区ということで、そこについて計画を立てまして農地の転用等を規制する、そういうことになるので、農業振興地域の中でも、住宅に使われる土地とかあるいはその他あるわけでございまして、そういう地域につきましては、何ら転用等の規制はないわけです。だから、農業振興地域指定されますと全部が非常に窮屈になる、こういうわけでは必ずしもございませんので、そこらは十分にPRをいたしまして、農業振興地域指定されるような要件を備えている地域については、われわれはやはり極力農業振興地域指定してまいりたい。しかし、どうしてもそれは農業はやらないのだ、本格的にはしないのだというところにおきましては、やむを得ないのではなかろうか、そういうふうに考えるわけでございます。
  116. 柴田健治

    ○柴田委員 新国総のほうの考え方は、昭和六十年までにいまの人口一億がもう二千万くらいはふえるだろう、この二千万のふえた人々がどこに大体居住するであろうか、どういう産業に就労するだろうか、こういうことの見通しは、おおむね太平洋ベルト地帯に住むのがふえるだろう、こういう考え方を明らかにしているのです。二千万がこの太平洋ベルト地帯に住むということになった場合に、今日の道路整備というか、交通網の体系も、今後昭和六十年までに、たとえば新幹線にしても、新しく今度将来の計画としては第二新幹線をつくる。そういう道路整備、交通網の体系ができて、おそらく将来は労働時間の短縮の問題も出てくるだろうし、通勤の距離等の問題も出てくるだろうと思う。  実際問題として、先ほどの答弁を聞いておると、佐々君に対しての答弁は、第二次構造改善もこの農振法の区域指定をしたところに重点的にやられる、その他の現行法、山村振興法であろうと何であろうと現行法規とかみ合わせてやる、こういう答弁をしておられましたが、第二次構造改善事業の構想を、四億の中で大体規模は二百ヘクタールくらいを基礎にするというのだが、実際問題として、今後六十年までに二千万の人口が太平洋ベルト地帯に住むと、農村の区域指定をして構造改善事業をやっても、はたして農業振興に結びつくか。いままでも、農林予算で干拓もした、土地造成も農用地の造成をやってきたけれども、工場用地に取られ、宅地用地に取られ、その他公共用地に取られて、農林予算で太平洋ベルト地帯に投資したその財政効果、投資効果というものが、ある程度失われておる地域がたくさん出ている。過去のそういう歴史的な背景というか、経過を見てわれわれが判断するところによると、この農振法の地域指定をして、第二次構造改善をそこへ持っていっても、やはりまたもとのもくあみで、農業振興に結びつかない。今度の新国総による人口増の将来の分布状態、これから見ると、この農振法の役割りというものが非常に狭められてくる。   〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕  この点、長期の見通しに立っての太平洋ベルト地帯における人口増——現在ある市町村の区域というものは一つの行政区域なんです。人口の増加は、行政区域なんというものはもう考えてないのです。おれは何市に住むんだ、おれは何市に住むんだという考えはほとんどないのです。東京でも、御承知のように三鷹市に住んでおる人もあれば、日野市に住んでおる人もあり、千葉のほうから通っている人もあれば方々から通っている。居住権というものは、行政区域にとらわれていないという考え方。そういう点を考えた場合に、行政区域内における市街化区域調整区域だ、農振法の整備計画区域指定だなんていうたって、効果は出てこないじゃないか。こういう問題についてわれわれは考えざるを得ない。その点、どういう解釈をしておられますか。
  117. 池田俊也

    池田政府委員 確かに、御指摘のようなことがあるわけでございます。私どもといたしましては、振興地域指定をいたします場合の考え方としては、六条に規定があるわけでございますけれども、「自然的経済的社会的諸条件を考慮して一体として農業振興を図ることが相当であると認められる地域」と、こう限定をいたしておるわけでございまして、そういうような自然的、経済的、社会的な観点から見て、非常につながっているような地域というのは、必ずしも行政的な区域に限定されないで指定をする、こういう考え方でございます。  ただ、あとのいろいろな計画を立てまして、今後事業推進をはかっていくというようなことになりますと、これはどうしても市町村との関連が相当出てまいりますので、そういうかりに数カ町村にまたがる場合におきましても、市町村ごとに整備計画というものを定めておく必要があっても、都道府県がさらに広い整備計画をきめる、こういうような仕組みにもいたしておるわけでございまして、原則的には市町村の区域には限定されない、こういう考えでございます。
  118. 柴田健治

    ○柴田委員 どうもこの法案は抜け道がたくさんあって、強制力もなければ、どこにほんとうにポイントがあって、バッグボーンがあって、ここだけはどうしてもやらなきゃならぬというようなことが、全部逃げられるようなことになっている。佐々先生言うように、整備計画は五カ年ですよ。大体全国的に一応整備計画を終わらして、都道府県の知事にお願いをして市町村の計画を認定させても、こういうことでは、五カ年間の計画がいつでもくずれるようになっている。私は、この法案については非常に疑問を持っておるのです、どれだけの効果があるのだろうか。  問題は、とにかく都市計画なんですが、新しい都市計画法にこだわらずに、新たな観点で、たとえば、日本経済の中で日本の農業というものをどう位置づけていくかという、そういう観点に立っての農業振興をはかっていく、こういう考え方に立たなければ、この法というものは生きてこない、こう思っておるわけです。これは、私は私なりの解釈ですが、問題は、五百ほどの市が都市計画法区域指定を受け、これは、先ほど申し上げたように太平洋ベルト地帯に多いのです。ところか残りの——約三千三百四、五十市町村ですかいま日本にあると思うのですが、その三千三百四、五十市町村の中で、好むと好まざるとにかかわらず、それは農業、林業、果樹全体を含めて農業としてやらなきゃならぬ市町村というものが当然ある。それも二千七百市町村ぐらいあるのじゃないか。これに重点を振り向ける農振法でなければならぬ、こう私は考えるが、あまりにもこの法案の出し方が、動機そのものが私には理解できない。都市計画法にくわえて振られ、踏んづけられてもついていきさえすればいいという考え方では、この法の精神というものは生きてこない。あくまでも二千七百の市町村の、どうしても農業としてやらなきやならぬ地帯を、これをどうするかということが中心にならなきゃならぬ、こう私は思う。その点の見解はどうですか。
  119. 池田俊也

    池田政府委員 その点は、全く先生と意見は同じでございまして、ただ私どものほうは、当面いろいろな考え方があり得ると思いますが、土地利用計画といいますか、要するに、国土の利用について計画的にまず利用計画考えて、それからそれぞれの地域に応じた施策を進めていくというような観点らいたしました場合に、いろんな外国の例で見ましても、都市と農村とを包括したような計画もございますし、そうでないものもあるわけでございます。日本の場合には、御存じのように、都市計画というものはかなり古くから行なわれておりまして、そういう体制がかなり従来整備されている。今回それを新しく、新都市計画法ということで若干の衣がえをしたわけでございますが、それに対しまして農業地域につきましての計画というものが従来なかったわけで、これは、単に都市計画のまねをするとか、あるいは都市計画に対抗して農地を保全するとかいうことだけではなしに、今後農業施策というものを地域の実情に合わして計画的に推進していくためには、やはりこういう制度が必要であるということから出てきたわけでございまして、私どもは、単に都市計画のまねをしたとか、あるいはそれに対抗するとかいうことではないわけでございます。  それで、どうもその効果がはっきりしないではないかという御指摘があるわけでございますが、確かにこの事業に、固有の財源なりあるいは事業というものを考えておりませんので、そういう感じをお受けになるのはやむを得ないと思うのでございますが、ただ、むしろそういうふうに小さくまとまるよりか、われわれは、今後農業施策については農業振興地域を重点に置いてやっていくので、第二次構造改善事業等もいずれ来年から計画に入るわけですけれども、これも農業振興地域というものの上に行なっていく。こういう考え方でございますので、従来ある事業のほかに、今後新たにそういう事業農業振興地域については実施をされるわけでございますので、そういうものを含めますと、これはかなりの投資額にもなりますし、また、地域住民としてもかなりのメリットがあるというふうに考えておるわけでございまして、そこらについては、抽象的であるからあまり意味がないということではなかろうと考えているわけでございます。
  120. 柴田健治

    ○柴田委員 どうもそういう考え方では、私は、あわててこの農振法をつくらなければならぬという理由が、非常に薄弱になってきたように解釈せざるを得ない。たとえば、私が先ほど申し上げたように、好むと好まざるとにかかわらず農業としてやっていかなければならぬ地域が、日本の国土の中で、町村数からいえば、先ほど申し上げたように二千七百ほどある。これらの町村は人口減になっている。要するに人口減なり労働力の減少を来たしている。その中で、結局二〇%というものは完全な過疎地帯です。この過疎地帯の対策というものを、先ほど佐々君も言うておりましたけれども、過疎地帯における農村の対策をどうするのか。  いま第一次構造改善事業が終わり、四十四年度で調査をして四十五年度から第二次構造改善をやる。この第一次構造改善と第二次構造改善との関連ですが、第二次構造改善はまだ実施要綱が出てこないからわからないのですけれども、第一次構造改善は三十七年度から実施して、要するに三千百市町村の計画に対して三千二十五実施して、その中にはパイロット地区七十二を含む。そして三十七年度から四十二年度までの実施地区の基幹作目の延べ数は三千八百七十一になっておるようですが、作目の選定の割合を見ると、米が四二%、かんきつ類が二五%、牛乳が二一%、繭が一七%、肉豚が八%、鶏卵が八%、肉牛が六%、リンゴが六%、こういう作目選定の割合になっておる。これが第一次構造改善。また、この補助事業の中で土地改良、土地基盤整備が五八%、経営近代化施設が四二%で、二つ合わせて一〇〇%の事業になっておるわけです。それから事業種目を見ると、圃場整備三〇%、農道一〇%、農地造成、要するに改良なんですが一一%、それから集荷所八%、トラクター七%。融資事業については八〇%が畜舎、温室で個人施設になっておる。こういう第一次構造改善事業から見て、今度の第二次構造改善というものはどうするのだろうか。農地利用計画土地基盤の整備、資本装備、経営技術、農業の後継者養成、農産物の流通、こういうものを考えて農振法との関係を深めるためには、第二次構造改善の四億というのは、実際におくれた完全な過疎地帯に適用されるだろうか。  日本の場合は、分類すれば大体三つになる。都市化地帯における農業、この問題、それから要するに中間地帯の農業、人口がふえもせぬ減りもせぬ、やや安定をしておる、多少やや人口減を来たしておるところ、それから特に人口が減る、過疎ということばが使われておる地帯、要するに山村地帯、遠隔地、この三つの地域をどう開発するのか。第一次構造改善の規模は九千万と三千万で一億二千万であったが、第二次の分は三億と一億で四億。後進地域というか、農業としてやらなければならぬ地帯に対して、第二次構造改善のその四億という規模で、はたして実際にやれるのだろうか。先ほど言った都市地帯の農業、中間地帯の農業、山村地帯の農業、この三つの分類の農業振興開発というものはどういう方法でやるのか。一山何ぼという考え方でなしに、やはり日本の気象条件、地理的条件というものを考えて、そういう三つに分類をして開発計画を立てるべきではないか。この点について見解を聞きたいのです。
  121. 池田俊也

    池田政府委員 確かに、御指摘のようにいろいろな農業地帯があるわけでございますが、この農振法との関係から申しますと、私どもは、都市近郊あるいは中間地帯、山村というものについて、特別取り扱いを変えるという考えは原則的にはないわけです。ただ、市街化区域に入ってまいりますような都市近郊については当然農業振興地域にはならない。それから山村につきましては、農業振興地域としての要件というものを私ども考えておりますので、その要件に該当する限りにおいては、もちろん山村といえども積極的に取り上げてまいりたい。しかし、いわゆる過疎地帯等で、人口も非常に減少してくる、あるいは農地の面積も非常に少ないというようなことになりますと、これは農業振興地域として指定をするのはむずかしくなってまいるわけで、むしろ山村振興法の指定山村としての取り扱いのほうが、妥当だということになる場合もあろうかというふうに考えるわけでございます。  もちろん、こういう三地域によりまして、もしかりに農業振興地域指定がなされて計画を立てる、あるいは、場合によれば農業振興地域にはならなくても、今後農業施策の面でどう考えていくか、あるいは営農指導の面でどう考えていくかということになりますと、それは当然地域の実情に応じた作目があるわけでございます。たとえば都市近郊であれば、現在でも大体そうでございますし、将来もそうだと思いますが、蔬菜類、特に都市に近いあたりではかなり高級な蔬菜類であるとかあるいは花卉、花のたぐいであるとか、そういうようなものがかなり中心になる。それから畜産面では、またそれに応じた畜産の形があるわけでございます。そういう地域に応じました営農の指導なりをいたすということは当然でございますけれども農業振興地域指定という面についていえば、必ずしも特に積極的に取り扱いを変えて、この地域を重点にやっていくとか、この地域は極力のけていくとか、そういう考えは原則的にはないわけでございます。
  122. 柴田健治

    ○柴田委員 郷に入ったら郷に従えということばがあるのですが、やはり地域地域の特殊性という地理的条件を考えて、それぞれの振興開発、要するに土地生産性を高めるような開発をしなければならない。現行ある法規、たとえば山村振興法、いま山村振興法ができて相当な期間たって、予算も年々増加しておる。御承知のとおりに、現在国会議員の中で与野党問わず、山村振興をはかるために議員連盟までつくって予算獲得をやっておる。この農振法ができることによって、それが足を引っぱられるようなことがあるのではないかという心配がある。  一方では山振法を十分生かすために、ほんとうに後進性の強い過疎地帯の山村開発をやるのに予算をとる。ところが、これがただ区域指定がしてあるかないか、整備計画があるかないかだけによって足を引っぱられる。結局現在ある、農民にやや親しまれてきた離島振興法にしても山村振興法にしても、これからこの法律を十分生かしていこうと、正直いうて国会議員の中でも考えておるのですよ。それが、この農振法が出たために足を引っぱられるというような傾向が出てくる心配がある。この点の関連性はどうですか。
  123. 池田俊也

    池田政府委員 この法律施行されましてどの程度、いわゆる山村が農業振興地域指定を受けることになるか、そういうことも関連するかと思うのでございますが、私ども原則としては、そういう御心配は要らないんではなかろうかという気がいたします。山村振興法につきましては、御存じのように林道でございますとか農道でございますとか、そういうようなことで一方では事業実施するという形がございますし、それからまた農林漁業の特別開発事業というものが、これは山村振興のための事業ということで、予算の確保を毎年やっているという経緯がございまして、この金額も着実に増加をしてきているわけでございます。農業振興地域のほうは、先ほど来御説明を申し上げておりますように、それに固有の事業費というものは別ワクとしては組んでない。一般の事業を集中的にやる、こういうことでございますので、私どもは、この法律施行されました場合に、山村について、従来の山村振興関係の予算の足を引っぱるということは、まず考えなくてもいいんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  124. 柴田健治

    ○柴田委員 いろんな現行法規の中で、特に山村振興、離島振興、そういうものとこの法律との調和を保たなければならないとある。調和というのはどういう方法か。たとえば、山村振興法で指定しておる町村は、自動的にこれを指定するんですか。離島振興法で指定している町村も自動的に指定するのですか。直ちに話し合いをして、山村振興法で指定しておる区域についてはこの法律指定する、そういう含みがあるのですか、どうですか。
  125. 池田俊也

    池田政府委員 山村振興法の対象地域あるいは離島振興法の対象地域というものにつきましても、この第六条に掲げてありますような要件を備えておるところは、積極的に農業振興地域指定をしてまいるという指導方針でまいりたいと考えております。  その場合におきまして、当該地域が両方の網をかぶる、こういう場合があるわけでございます。そういう場合におきましては、たとえば山村については、山村振興計画でその地域振興方向をきめている、今度は農業振興地域指定されました場合に、その整備計画というものがまた別の違う方向をきめたということになりますと、これは何のことかわからないので、そういう場合には当然その両方をにらんで、両方が一致するような方向をきめなければならない。こういうような趣旨で調和を保つ、こういうことをいっているわけでございまして、これは、地域はダブる場合もございますし、むしろ実際には、ダブらない場合のほうが多いんじゃなかろうかという気がいたしますけれども、その地域指定について、特にその調和を保つというようなことは、あまり考えていないわけでございます。
  126. 柴田健治

    ○柴田委員 予算もあまりつけないで、ただ整備計画だけ立てるのに、なぜこんなものをつくる必要があるか。現行法規がやや農山村の人々に親しまれて、これから大いにやろうというときに、またわざわざこういう予算もつけない、事業費もつけない法律制度をつくって、それで調和だ何だという文句が入っていますけれども、なぜこんなものが必要なのですか。これは農民からふしぎがられますよ。国はいまある現行法規をある程度整備をして、こういう計画都道府県地方公共団体が果たす役割りだ、われわれはこう思う。こういう計画については、地方自治法の第二条に基づいて計画を立てるべきだ。その財政措置については、地方交付税の算定基準で農業振興費を十分見ていく、そのくらいのことは考えるべきであって、なぜ中央集権で中央が何でもみな入れなければならないか。どういう理由か私にはわからない。その点、ひとつ明確にしてもらいたい。
  127. 池田俊也

    池田政府委員 予算もつけないでとおっしゃいますが、私は先ほどから、予算は固有の予算としてはつけてないけれども、むしろそういう変なワクをきめないで、今後の農業施策というものは、重点的に振興地域中心にやっていくということは、ある意味では非常に大きな予算がつく、こういうことでございますので、その地域住民としては、かなり魅力のあるものではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  そういたしますと、従来山村振興法なりあるいは離島振興法なりによって指定をされました地域でも、農業振興地域の要件に該当するようなところを全く排除するというのは、これは、やはり地域の人たちの立場から考えて適当でないのではなかろうかということで、私どもは、実際の方針はダブることもあり得るというふうに考えているわけであります。
  128. 柴田健治

    ○柴田委員 私が先ほどからお尋ね申し上げておる中で、新しい都市計画法とは多少関連があるにしても、主たる関連はあまりないというお答えをいただいたから、それなら、無理に都市計画法関連するような印象を農林省は受けなくても、やはり農業として当然開発しなければならぬし、農業として日本の国土利用計画をしなければならぬそういう純農村地帯は、現行法規の中でも十分生かされるのではないか。だから、なぜこういうものをあわてて急がなければならぬのかということをお尋ね申し上げたので、この点の法の運用について、まだまだ私は疑問がとれない。しかし先に進みます。  要するに、都市近郊の、先ほど佐々君がちょっと触れましたが、兼業農家がどんどんふえている。これは御承知のように、山村地帯でも兼業農家の出かせぎがふえて、農業の規模拡大というものを何ぼ叫んでも、規模拡大はあまりできていない。局部的にはなされておるけれども、実際その規模拡大はできていない。事業農家として、要するに農家ではあるけれども、農家所得の中では他の所得のほうがどんどん伸びてきている。農業所得でないのだ。農業所得の上昇率よりかほかの所得のほうがふえて、農家所得としては全国的には伸びているけれども農業所得としては、一部には伸びているけれども地域的に見れば停滞している地域もある。そういう点から見て、この兼業農家の取り扱いというものは、この農振法ではどうするのかという一つの解釈の問題なんですが、もう一ぺんひとつ聞かしてもらいたいのです。農村地帯と純山村地帯の兼業農家、この兼業農家に対する考え方、また、この農振法との関係はどうですか。
  129. 池田俊也

    池田政府委員 この農業振興地域法律観点から、兼業農家をどう見るかということにつきましては、実は兼業農家と専業農家というようなことで区別はしていないわけでございます。  ただ私どもが、これはこういう法律を離れましても、今後の日本の農業の姿としては、やはり経営規模の拡大を極力はかることが基本的に必要である、こういう感じをかなり強く持っているわけでございます。そういうふうな観点から、今回のこの整備計画の中でも、「土地に関する権利の取得の円滑化に関する事項」ということが、農地の保有の合理化をはかりたいということでございまして、農業委員会等が、そういうあっせんをするということも期待をしているわけでございます。  そういうようなことで、今後十年ぐらい考えてみましても、兼業農家のウエートというものは非常に大きいとは思いますけれども、やはり将来の理想的な姿としては、経営規模の拡大に結びつくようなかっこう農業がなるのが望ましい、こういう感じで、そういう面のいろんな施策をやってまいりたい。でございますから、一方では自立経営というようなものの育成を助長すると同時に、他面では、特に兼業農家等が多く対象になると思いますが、協業等いろんなかっこうがありますけれども、集団的生産組織といいますか、そういうものを助長していくというようなことを、この農業振興地域整備計画実施面においては、極力そういうような関係を取り入れていきたい。  それから、先ほど先生ちょっとお話がございました第二次の構造改善事業におきましても、同じような観点から、従来は基盤整備と近代化施設が事業内容になっておりましたけれども、それ以外に、やはりそういうような経営の整備といいますか、それに結びつくような事業考えていきたい。こういうようなことで、方向としては、極力そういうようなものを育成するようなことに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 柴田健治

    ○柴田委員 自立農家の育成だと、農業基本法が八年前にできた時分から盛んにいわれたのですが、結局、自立農家の育成といいながら兼業農家がどんどんふえている。自立農家というよりか、兼業農家を育成したようなものです。兼業農家で、先ほどお答えの中で、第二次構造改善だ、規模拡大だ、自立農家の育成だ、協業だなんと言われましたけれども、結局、兼業農家の取り扱いというか、この点が一つのガンでもあろうし、問題点だと思うのです。この点の取り組み方を明確にしていかないと、ほんとうの農業というものは開発できぬのじゃないか。要するに農業所得をふやす、これがねらいで、並行して生活水準、生活様式というものを考える、こういうお答えがございましたけれども、何としても農業所得をふやすということが前提ならば、その兼業農家の取り扱いというものを考えなければいけないのではないか、こういう考え方をいたしますからお尋ねを申し上げたのであります。  とにかく、生産性の改造というか、そういうものから考えて、土地生産性をどう高めていくか、労働生産性をどう高めていくか、それから固定資本の生産性、経営費の生産性、こういう一つの改造の調和というか、こういうものを考えないと、この農振法の整備計画地域指定をしておるこれは、ほんとうの効果があがってこない、こういう気もいたすわけであります。要するに、所得性というか純収益性というか、そういう二つの面を両々考えていかないと、ただ農業所得ということばだけでは、その農業生産性というものは上がってこない。こういう総合的な判断が、この整備計画でどう生かされてくるのか、こういう点なんです。  要するに、今度の資料を見ると、鉱工業生産指数が、四十二年度では一四〇・七%、四十三年度は一六六・〇、四十四年度の見通しでは一九一・七という上昇率になるだろう、こういう見方。それから農林漁業生産指数は、四十二年度一一〇・四、四十三年度一一三・〇、四十四年度では一一三・五です。これは開きがものすごい。四十四年度の見通しからいうと、一方では鉱工業生産は一九一・七、要するに九一・七、農林は一三・五。こういう開きのある中で、今度は卸売り物価指数を見ると、四十四年度では一〇六・五%、消費者物価指数を見ると一二二・五%伸びておる。農林漁業生産の指数と消費者物価指数、こういう関連を見ると、農林漁業に携わる者は伸び率が非常に低いが、消費者物価指数というものは逆な面でふえる。所得が少々ふえたところで、消費者物価指数のほうが伸びがひどい。こういう実態の中で農業をやる者が出てくるのだろうか。どうも伸び率を見ると、これだったら農業という産業に対して魅力が出てくるだろうか。日本の通貨政策に誤りがあるからこういうことになると思います。  結局、いまの農家は、米なら米をつくるだけで加工はやらない。農産物の食品加工というものは一つもやらない。いま、農業団体もしかりでありますが、農業資本の蓄積をしておる農業団体が、農産物加工にも重点を置けばいいのだけれども、それをやらない。生産のほうはやるけれども、加工はやらない。各家庭でもそうです。昔の農家は、みそでもしょうゆでもほとんどつくっておった。自家消費のものは全部つくっておった。いまは全部つくらないような方向になってしまった。だから、農産物は生産するけれども、生活物資というものは全部消費者として購入しなければならぬ、こういうことです。要するに、消費者物価指数と生産者のほうの指数が逆な形になってくると、農業というものに魅力を感じてこない。この点、いまの指数から見て、農業にどれだけ魅力を持たせるような整備計画ができるのか。これは局長では答弁できかねるから、次官でもいい、ひとつお答え願いたい。   〔委員長退席安倍委員長代理着席
  131. 池田俊也

    池田政府委員 確かに、御指摘のような問題があるわけでございます。私ども振り返ってみまして、従来の農業政策というのは、最近はちょっと違ってまいりましたけれども、かつては、土地生産性の向上というものに最大の力を注いだということで、米をとりましても、その他の農作物をとりましても、土地生産性の向上というのがかなり顕著にあらわれておると思います。大体平均してみますと、主要な農産物では、十年間にほとんど土地生産性としては倍増しているというようなものがあるわけでございます。しかし反面——倍増というのはちょっと多過ぎましたけれども、かなり顕著な増加を示しておる。しかし、労働生産性の面では、比較的最近になりまして、この労働生産性の上昇というのが、農業政策一つの当面の目標というようなことになってまいりました。私どもも、やはり将来の農業考えた場合には、他の産業の従事者とのバランスをとる、比較生産性と申しますか、そういうようなバランスがある程度とれるようなかっこう農業でないと、農業に従事する人たちをつなぎとめておく魅力がない。そういうような見地から、労働生産性の向上ということに最大の力を注いでいるわけでございますが、必ずしも十分ではないわけでございます。  私どもは、今後の方向としては、やはりそのためには、先ほども申し上げましたが、経営規模の拡大というようなことをどうしても実現しなければならない。現在、自立経営農家というのは、御存じのように一三%くらいのウエートしか占めておりませんけれども、しかし、総生産の面で見れば、大体三分の一くらいが自立経営農家が生産している。こういうかっこうになっておるわけで、やはりこういう自立経営農家の戸数を極力ふやしていく、経営規模の拡大をはかる、あるいはそれに至りませんものにつきましては、協業等の方式でそれにやや近いようなかっこうに持っていく、こういうことが基本的に必要であろう。そういうようなことで、従来いろいろ生産面の指導をいたしておりますし、先ほども申し上げましたが、第二次の構造改善事業等でもそういうものと正面から取り組みたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。  なお、従来農業資本が、生産面あるいはぜいぜい流通面くらいに重点が置かれまして、なかなか加工面にまでは手が伸びなかった、こういうことも確かに御指摘のとおりでございまして、そういう点についても、今後相当努力をする必要があるんじゃないかということで、これは果実なり、あるいはその他畜産なり、あるいは米等においてもそういう方向で、従来もある程度はやってまいったわけでございますが、さらに将来推進してまいる必要があるのではないかと私ども考えておるわけでございます。  一例でございますけれども、たとえば、私どものほうでやっております米の生産改善パイロット事業というようなものも、来年度から事業をやるわけでございますが、これは、そういう生産団地の育成だけではなしに、さらにそれを包括したような形で、出荷までの体制を大規模に、一元的に実施をするというような形も実は考えておるわけで、方向としては、ただいま先生おっしゃいましたような方向に逐次まいっておりますし、また、今後も大いに努力しなければならぬという考え方をしております。
  132. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 先生おっしゃいましたように、鉱工業生産が非常な伸びを示して、農業生産がそれと比較して非常に伸びが悪いという点は、現実の統計上の数字に出ておるわけでございますが、鉱工業生産がなぜ伸びているかというと、いろいろな理由がありますけれども、結局、設備投資によって規模を拡大し、それから近代化、合理化、機械化をはかって、一人当たりの生産性の向上をはかっているということが、やはり一番大きな理由になっていると思います。したがって、農業のほうでもやはり経営規模の拡大と近代化、機械化の線で、できるだけ農業生産性を上げていかなければいけない。そのために私どもは、いまのような乱脈な土地利用計画でなくて、土地農業上の利用計画というものをしっかりつくらせて、そして一方においては、規模拡大の要素がその中に取り入れられるような仕組みを考えていかなければいけない。  したがって、この法案は新都市計画法と直接関連はありませんけれども、その施行を契機に、他の地域、その市街化区域外の地域については、私どもとして農業振興地域というものを考えまして、そして総合的な計画をそこに進めていったほうがいいんじゃないか、こういう前向きの方向でひとつ御検討願えれば、この法案の、私どもがお願いしていることがおわかりいただけるんじゃないかと思うので、どうぞひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
  133. 柴田健治

    ○柴田委員 政務次官の懇願的答弁をいただくつもりはなかったのですが、結局、兼業農家をどんどんふやしたというのは、やはり日本の通貨政策というものに誤りがある、こういう解釈を私はしているのです。たとえば、北海道は三町歩経営、内地の場合は一町から一町五反の経営なら、四人家族、五人家族で自立農家として経営ができる、こうだったのが、いま一町や一町五反では食べていけない。結局、出かせぎをするかどこか別の所得を求めていかなければならぬという、そういう一町でも兼業農家、一町五反でも兼業農家に転落をせざるを得ない、こういう方向なんですね。一方では兼業農家をたくさんつくるような経済政策をとっておいて、それで一方では自立農家をつくって規模拡大をしますなんというのは、どうも頭隠してしり隠さぬ、こういう政策だから、これはもうここであなたと私と論争をしてみたところで解決できないので、いずれ時期を見て、総理大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官に来ていただいて、通貨政策と日本農業という問題点でこれは論戦する必要がある、私はそう思っておる。農業という産業の立場に立って論戦する必要がある。  それは別として、いまの答弁は私はあまり答弁らしくない、こう思っております。問題はこの条文なんですが、たとえば八条で、「市町村の定める農業振興地域整備計画」というもので、要するにこの整備計画は別に政令で定める、こうなっておるんですね。「政令で定めるところにより、」こうなっておるが、どういう政令を出されるのかわかりませんが、結局、この中で関心を持つのは、今日、市町村に農業委員会農業協同組合、土地改良組合、こういういろいろな農業団体があるわけです。現行制度であるので、そういう慣習というものを考えなければならぬ。慣習というとおかしな言い方なんですが、やはり厳然として農業団体がある。この農業団体とのかみ合わせ、関連というものは、明確にこの政令で定めてくるのかどうか。農業団体が果たす役割り、この整備計画に参画をしてどういう役割りを果たしていくのか、この八条の点について考え方を明らかにしておいていただきたい。
  134. 池田俊也

    池田政府委員 この八条の政令で予定しておりますことは、ただいま先生おっしゃいましたようなことでございまして、市町村が計画を定めようとするときは、農協でございますとか、土地改良区であるとか、そういったような農業団体等の意見を聞いた上でそういう計画を定めなさいといったような、手続につきまして実は規定をする予定でございまして、そういう地域内の関係団体の意見を十分聞いて計画をつくる、こういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
  135. 柴田健治

    ○柴田委員 この第十六条なんですが、私ふしぎに思うことは、「国及び地方公共団体の責務」と書いてあるこの「責務」は、要するに農用地の利用計画というものを尊重しようということです。ところが、財政的な援助ということは雑則に入っておるんですね。第二十条にある。「国及び都道府県は、農業振興地域整備計画の作成及びその達成のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんその他の援助を行なうように努めるものとする。」とあるが、国、地方公共団体の役割りと責務、この十六条になぜこの財政的な問題を持ってこなかったか。雑則に援助を入れるような考え方では、末端の地方公共団体がどういう受けとめ方をするか。これはどういう考えか。
  136. 池田俊也

    池田政府委員 十六条のところは、その前後の関係をごらんいただくとおわかりいただけると思うのでございますが、この五章のところは「土地利用に関する措置」ということで、整備計画の中で農用地利用計画というものが定められるわけでございますが、その農用地利用計画において定められた計画にうまく合わない場合には、それに極力合うような勧告なり調停なりをする、あるいは農地等の転用等の制限をする、こういうような規定を一括して実は書いているわけでございまして、その農用地利用計画との関係で「国及び地方公共団体の責務」を書いたということでございます。  ところで、二十条の国なり県なりの援助の問題でございますが、これは農用地利用計面だけではなしに、農業振興地域整備計面の全体の問題、早い話が、計画の樹立の段階からのいろいろな指導等の援助措置について書いているわけでございまして、第六章の雑則といいますと、何かいかにもウエートが小さいような感じがあるかと思いますが、それはそういう意味ではございませんで、そういうようなまとまり全体に関係をするということで、その他、いわば雑則というのはその他でございますが、そこのところに書いた、こういうことで、別段の意味はないわけでございます。
  137. 柴田健治

    ○柴田委員 第六章の雑則以降は、具体的に政令とか省令とか一つも明記していない。十九条までは、大体政令だとか省令でやるというのである程度権威を持たしてあるが、雑則以下はほんとうに雑則で、こういう考え方で財政援助計画というものはつけたりなものじゃないか、私はこう思っている。もう少し権威のある条文にすべきではないか。これは、われわれが地方でこの法の適用を受ける立場に立って考えた場合ですよ。私は役所に立っておるんじゃないのだから。そういう考え方でお尋ねを申し上げておるわけです。  十八条の関係で、先ほど佐々君からちょっと触れられたが、結局、農地としてもう固定してしまう。転用も認めないし、制限も受ける。それで「農地等についての権利の取得のあっせん」という「取得のあっせん」ということからすると、不動産取得税という税法上の考え方を先ほど言われましたが、結局、地方公共団体の財政、固有財源というものの考え方をどうつかんでおるのか。地方公共団体の固有財源の考え方に、この制度をつくることによって変化があるのかないか。もう全然ないと割り切っておられるのか。この点の、地方公共団体の固有財源に与える影響があるかないかということをお答え願いたい。
  138. 池田俊也

    池田政府委員 これは、端的に申し上げますと、特にこの法案関連いたしまして、地方財政面でこういう措置をとるということはないわけでございます。と申しますのは、これは地方交付税の問題になるかと思いますけれども、各地方公共団体におきます財政需要につきましては、これは農業面の観点からの経費も、当然織り込まれているというふうに私どもは実は考えているわけでございまして、そういうような面から、特に別段の規定を置かなかったわけでございます。  しかしながら、補助事業等が多くなりますと、それに応じまして当然地方の負担もふえる、こういうことはありますので、たとえば、第二次構造改善事業等では、従来の事業でもそうでございますけれども土地基盤整備については五割が国の補助、そのほかに二割の上乗せというような措置がとられておりますけれども、こういうような制度、もちろん今後、事業量が増大をいたしますと金もよけい要るわけでございますので、私どもは、そういうような線はさらに極力実現をしたい、こういう考えでおります。
  139. 柴田健治

    ○柴田委員 融資のあっせんということは、起債の増額等も考えておられるのですか。町村に対するこの起債というやつはどうなんですか。
  140. 池田俊也

    池田政府委員 この法案関係で、特に起債を認めるというような措置は考えてないわけでございます。
  141. 柴田健治

    ○柴田委員 全然考えてないのですか、財政的の援助というのは。たとえば農地の利用制限をすると、農地というのは固有財源が一つもふえない、減るくらいだから、先ほど私が申し上げたように、住宅団地をつくる、工場誘致をする、こうして固有財源をふやしていこうとする。農地土地利用でなしに、他の商業資本的、金融資本的な土地利用計画、こういうことで固有財源をふやしていこうとする。国の地方財政計画でもきびしく押えられるのだから。こういうことで、市町村の固有財源に与える影響というものの考え方を伺いたい。起債の増額もあまり認めない、それから税の優遇措置をするというだけでなくして、具体的に、たとえば現行制度の中で百万までは所得税の減免がある。これを三百万なら三百万にするとか、四百万なら四百万にするとか、こういう具体的な考え方があるか、ちょっとお尋ねいたします。
  142. 池田俊也

    池田政府委員 税の問題につきましては、先ほども佐々先生の御質問にお答えしたわけでございますが、この二十三条では軽減をするということだけがうたってありまして、具体的な内容は、「租税特別措置法の定めるところにより、」こういうことに実はなっているわけでございます。それで、私どもは実は税務当局ともいろいろ折衝を従来いたしておりまして、現在もいたしておるわけでございますが、原則的にそういう優遇措置をとることについては、税務当局も異論はないわけでございます。  ただ、実はこの法案が現在国会で審議段階でございますので、必ず成立するとはいえない。そうなりますと、かりに租税特別措置法で何がしかの規定を置いたといたしまして、そうすると、租税のほうだけが何かできまして、肝心の本体のほうが通らないということになると、まことに税制の形としてぐあいが悪い、こういう話がございまして、事業実施は四十五年度からということに実際はなりますので、この法案成立をいたしましたならば、次の国会にはそういう線で必ず考える、実はこういう含みになっているわけであります。まだ、百万円に対してどこまでそれを増額するかというところまでは、実はきまっておりませんが、優遇措置は必ずなされるというふうに、われわれは理解いたしているわけでございます。
  143. 柴田健治

    ○柴田委員 この間、予約減税でさえ租税特別措置についてあれだけマスコミにたたかれた。たかだか国税が十四億程度です。いま、マスコミはあげて、農業保護し過ぎるとか、優遇措置が過ぎるとか、日経連か経団連かどこが火をつけているか知らないが、農業を優遇しておると盛んにたたかれておる中で——これは農林委員会じゃない、税法の改正は大蔵委員会なんですね。大蔵委員会、党の財政部会で、予約減税ですらあれだけすったもんだしたんですよ。はたしてこれがスムーズに通るという自信があるのか、私は疑問だと思う。それは結局、土地の売買の百万円でおさまってしまうのじゃないか。それなら、ただ優遇措置をするだけではこれは信用できぬではないか。大蔵省と内々どの程度話し合いができておるか。法案が通る通らぬは別として、これだけの考え方で局長が答弁する限りは、大蔵省とはこの税の減免の優遇措置について、どういう話し合いを今日までしてきているのか。
  144. 池田俊也

    池田政府委員 長期に持っていた土地の譲渡所得につきましては、百万まで基礎控除をする、こういうのが現在の租税特別措置法の改正の内容でございますけれども、昨年この法案が国会に提案されておりましたときには、実はそこまでいってなかったのでございます。  それで私どもは、農業観点から見て、さらに基礎控除の額を若干引き上げるべきである。こういう話をいたしまして、実はある数字のところまでは了解ができていたわけでございます。ところが、その後いろいろ税務当局のほうで検討をした結果、百万円に引き上げる、こういうところまでまいりましたので、私どもはこの二十三条の規定の趣旨は、一般的に百万円に引き上げられるということでは、必ずしもこの法律の条文の規定からいって十分ではないので、やはりそれにさらにプラスをする、そういうことが必要である、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、それを具体的に幾らの金額にまで上げたらいいかということになりますと、まだ結論が実は出ておらないわけで、私どもはいろいろの希望を申し上げてはおりますけれども、まだ結論に至っておりませんので、これは、現在ではちょっと申し上げられないのでございます。いずれにいたしましても、そういうような線でやりたいと考えているわけでございます。
  145. 柴田健治

    ○柴田委員 もう時間がないので、保留をする点は保留して次に譲りたいのですが、一方では転用の制限を加え、それに対する行政訴訟ができるようにしてあるけれども、訴訟の経費等は、弱いものがみなかぶらなければならぬということが、昔から法治国家の日本の原則なんですね。地方公共団体が負けたことはめったにないのですよ、こういう訴訟は。  いろいろ法の運用の弾力性が各条にわたって違っておりますけれども、問題は十八条の、「農地等についての権利の取得のあつせん」という農業委員会等が果たす役割り、その中で一番関心を持っているのは、やはり二十三条の「土地の譲渡しに係る所得税等の軽減」という問題が重大な関心になってくる。これは全部関連がある。これについて、ただ農政局長だけの答弁では私は納得できないので、その点については大蔵省に来てもらって、この委員会で確かめていかなければならぬ。これは重要な問題だと思うのです。必要経費については、たとえば、この整備計画を立てる要するに調査費、計画樹立費だとか、また農地のあっせんだとか、そういう事務的経費、それを二分の一にするものを三分の二にしろというようなことはここでも言えます。二分の一では少ないじゃないか、それは三分の二にしろ、こう私が言うて、あなたがここで答弁したら、事務費の問題についてはそれで済むということです。税の軽減措置については、これはあなたが何ぼ答弁したって信用できないものだ。それは大蔵省に来ていただいて確認をしたい。これはもう保留しておきます。  次に、この計画の政令の問題なんですが、政令、省令というものはおよそいつごろ出されるのです。もう用意しておられるのですか。
  146. 池田俊也

    池田政府委員 政令の非常に詳細なものまでは、まだできておりませんけれども考え方は、こういう内容のものを規定する見込みであるということは用意ができております。
  147. 柴田健治

    ○柴田委員 委員長、その案文を資料要求としてお願いをして、きょうは五時がきましたからこれで打ち切らせていただく。いずれ次の時期に、明日でも時間があればやる、なければその次にやらしてもらうことにして、きょうは資料要求で打ちとどめておきたいと思います。
  148. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 明日までにお出しいたします。
  149. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長代理 次回は明十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会