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1969-03-05 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月五日(水曜日)    午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 湊  徹郎君    理事 兒玉 末男君 理事 森  義視君    理事 稻富 稜人君       大野 市郎君    小山 長規君       菅波  茂君    田澤 吉郎君       中尾 栄一君    中山 榮一君       藤本 孝雄君    伊賀 定盛君       石田 宥全君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    永井勝次郎君       芳賀  貢君   米内山義一郎君       永江 一夫君    樋上 新一君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君  委員外出席者         農林省農地局管         理部長     小山 義夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月四日  委員田澤吉郎辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  田澤吉郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月四日  農山村住民及び林業労働者の生活安定に関する  請願外三件(芳賀貢紹介)(第一四二二号)  鹿児島県牧園町の保安林宅地造成反対に関す  る請願村山喜一紹介)(第一四一八号)  農林年金制度改正に関する請願外八件(遠藤三  郎君紹介)(第一五四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業振興地域の整備に関する法律案内閣提出、  第五十八回国会閣法第一〇一号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 委員長にはたいへん御迷惑をかけたようになりますけれどもお許しをいただきたいと思うのです。  先般、二十六日の大臣所信表明に対して、総合農政という問題点の中で、特に食糧の輸入政策食管の問題、こういうことで私、御質問申し上げたのですが、その質問の中で資料要求をいたしました。その資料提出を首を長くして待っておったのですが、昨日の資料——当局資料という考えを持っておられたかどうかわかりませんが、私は、資料でも明確に、実施要綱という名前を使ってお願い申し上げたつもりであります。ところが、きのう出された資料を見ると、実施要綱という基本的な考えに立っての資料ではない。これはどういう意味を持っておるのか。いままでの質疑応答の中での答えを、半ば集約をして出しただけではないか、こういう気がいたします。  私は資料というものは、これは一党一派でなしに、国会審議の中で、国会議員がそれぞれの委員会要求したものについては、権威あるものが出てくるものであろうという受けとめ方をしてまいりました。単に部落などでちょっと配布するような文書ではなく、あくまでも権威のある資料だ。それが討議資料であり、特に、日本農業政策の全体に影響するような重要な問題を論議している中でありますから、それに関連する資料はもっと権威のあるものだ、こういう解釈をしておったのですが、きのうもらってこれを読んでみますと、まことに、はなはだ遺憾だといわざるを得ない。権威もなければ何にもない。こういうことで、国会議員をひとつ手玉にとってやろうという気はなかったか知りませんけれども、あまりにも人を食ったような資料だ、こういう気持ちがいたしますので、先ほど理事会でいろいろ論議をしていただきまして、委員長にたいへん御迷惑をかけるようなことになったのですが、しばらくの間お許しをいただいて、この点についてひとつお尋ねしたい、こう思います。  この資料は、ほんとう国会に出す完全なものであるかどうか、官房長、ひとつお答え願いたい。
  4. 大和田啓気

    大和田政府委員 先日、この委員会での御審議の際に、昨日出しました資料要求についてお話がございました。私ども通常の場合は、国会に対して、まだ案のうちに資料をお出しすることはないのが普通でございますけれども、今回、特に国会の御審議を促進していただく意味で、まだ案のうちでございますけれども、大体の考え方資料として出したわけでございます。  それで、まだきまってないではないかというお話でございますが、たとえば、稲作転換対策について申し上げましても、予算は現在国会で御審議中でございまして、それを待たないで実施要領という形で、役所がぴっちりきめて流すということは、通常の場合ございません。  ただ、私どもこの作付転換について申し上げますれば、現在ここにお出しした案を土台にして、県庁あるいは農業団体相談をしているわけでございます。そしてその相談の結果を待って、できるだけ早い機会に、実施要領という形で県に正式に流したいということで作業をやっている段階で、現在まで私ども考えましたことの大体の筋を、ここに資料としてお出ししたわけで、これ以上のものは現在のところ、私どもの手元にもまだ固まっておらないわけでございます。  以上、実施要領という形で詳細はございませんけれども、米の自主流通にしろ、あるいは稲の作付転換対策にしろ、第二次農業構造改善事業にしろ、それぞれ事業の中身と考え方のおおよその筋等は、私どもこれで十分出ているのではないか、それによっていろいろ御審議をわずらわすことができるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  5. 柴田健治

    柴田委員 私は、官房長のその答えがどうも理解できないのですね。たとえば、一つの例を申し上げますと、農民一つ事業をやるのに融資の申し込みをする場合、金を貸してくれたら計画を出しますよと言うて貸してくれますかね。役人というものは、そういう考えを持つのでしょうか。  いま私たちがこの問題をなぜ重点的に取り上げて論議しなければならないかということは、これば農林省の責任ですよ。日本は瑞穂の国といわれて、農民は今日まで米をつくってきたのです。それが、ことしになって急に作付転換だ、もう米は余ったから総合農政だということになると、農民気持ちというものはどんなものになってくるか、農民気持ちをもっとすなおにくんでもらいたい。いま全国の農民——これは一党一派の問題じゃないですよ。農民は何をつくったらいいのか、これからどうしたら百姓が生きていけるのか迷っている。結局、農民の社会的、経済的な基盤根底からくずされようとしていることに対する一つの不安、希望もなければ夢もないという立場に追い込まれているという農民の受けとめ方なのですよ。農民は、たとえば作付転換にしても、どういう方法でやってくれるのだ、われわれはどうやったらいいのだろうか、こういう一つの不安と心配があるから、われわれは、そういう農民立場に立ってお尋ねを申し上げておる。いままでのような、ただ予算をふやした、減らした——私は金の問題を言うのではないんですよ。金というものは、単年年予算で、ことし少なかったら来年度はふやすことができる。制度というものは、そういうものではないんですよ。金と制度とは違うのです。予算というものは、その年によってふやすこともできれば減らすこともできるけれども制度というものを変えることはたいへんなことだ。これは慎重な態度をとらなければならぬ。予算をつけるのと制度を新たにつくるのとは、また別の考え方に立ってもらわなければ困るのです。そういう立場でわれわれはきびしく皆さん方お願いをし、農民気持ちをくんでお尋ねをしているのです。それを、こんな書類は、去年の十二月初めに農民団体に出した資料と一緒じゃないですか。去年は、農民団体相談する意味でそれを流したのかどうか知りませんが、その資料をいまごろ——いまは国会予算審議なんですよ。予算が通らないから出さないという、そんな言い方がありますか。私が先ほど言ったように、融資を申し込んで、金を出してくれたら事業計画を出しますよ、そんなことを貸すほうが認めますか。そんなばかなことがありますか。それが官僚の独善的な考え方だと言わざるを得ない。それはもう議員皆さんが何党であろうとも、そういう言い方をすれば、それにもろ手をあげて賛成する議員はおそらくないと思う。そういう考え方では困る。だから、われわれが資料要求したら、やはり権威のある資料を出してもらいたい。予算に伴う制度改革というなら、その制度をつくるには、これこれこうこうですと具体的に出してくる、それがほんとうに一致協力して日本農業を守り、また、日本農業転換をはかることだ、こう言えると思う。これは思いつき農政だと言わざるを得ない。  たとえば、自主流通のこの資料を見て一番問題になるのは、いま政府考えておる案の考え方は、食管法根底から破壊するような方向を歩むのではないか。食管法は堅持いたします、根幹は堅持しますとあなた方は言う。これは、正直に言ったらのれん腕押しなのです。のれん腕押しではいけないから、実施要綱を出してきなさい、それによって新たに論争をやりましょう、こういうことになっている。それで出してきたものが、これでは一つ論争に入れない。農林省のほうは、食管法根幹は堅持いたします、こういう構想で自主流通制度を設けます、こう言うが、そんなばかなことはあり得ない、こう言って論争している。今日まで予算委員会でもやり、当委員会でもやり、本会議でも代表質問の中でやっておる。あらゆる場で論議してきたのですよ。それが、いつも水かけ論になっているから、それから一歩掘り下げて、ほんとう食管根幹が守れるのか守れないのか、この実施要綱を出してきたら、われわれは新たな立場で検討して論争をいたしたい、こういう気持ち実施要綱要求したのです。これだったら同じことになってしまう。水かけ論になってしまう。  それで、私たちが聞きたい点を、今度は新たに権威ある資料要求したいという立場で、問題点だけを提起したいと思う。皆さん方食管根幹を堅持するという立場だが、われわれはそうではない。この制度を設けると、間接統制というよりもう完全に食管制度が破壊される、こういう立場をとっておりますから、ひとつ論争問題点を浮き彫りにしていきたい。そうしないと、水かけ論では、われわれは農民に対して申しわけない、こう私は考えておるからお願いを申し上げるわけであります。  官房長、この食管法ができたのは昭和十七年二月二十一日ですね。それから施行令ができたのが二十二年十二月三十日で、施行規則も同じです。このように、今日までいろいろ改正はありましたけれども制度ができ、政令規則ができたのはそういうことです。それから、政府に売り渡すべき米穀に関する政令というのが三十年七月二十二日にできた。これは、食管法だけではだめだから、施行令なり施行規則なり、こういう政令ができたのだとわれわれは理解をして今日まできた。われわれは、食管法根幹を完全に守っていくためにこういう施行令ができたものと、その法の運用を解釈し、理解してきた。  ところが、その施行令施行規則を変えるということになったら、ほんとう食管法根幹が守れるのかどうか、どちらが法の主たるものなのか、この点をわれわれははっきりしていきたい。われわれは、この前も工藤君がちょっと触れましたけれども法制局長官に来てもらって、これも論議を深めなければならぬ、こういう点があるわけであります。そういうことで、この施行令を変える自主流通の仕組みの中で、「第五条の五および第六条の改正」これではほんとうはわからないですよ。どういう明文に直すのか、どういう文章にするのか、この文章を明確にしてもらわなければ論争はできぬではないか。  たとえば、買い入れ制限は一切いたしませんと言うけれども、この施行令や何かを改正したら、自動的に買い入れ制限ができるのじゃないですかわれわれはそういう立場をとらざるを得ない。買い入れ制限ば一切いたしません、こう言っているけれども、この文章改正のしかたによっては、自動的に買い入れ制限ができるようになるのではないか、こういう解釈も出てまいりますから、ただ改正というのではなしに、どういう文章にいたしますという、そういうものを出してこないと論争ができない、こう私たち考える。それから、政府に売り渡すべき米穀に関する政令改正、この点もどこを改正するのか。一条か二条か、どこをどう変えるのか。ただこれだけで農民が理解しますか。  農民は、この問題について重大な心配をしているんですよ。官房長、もっと農村へ行って農民の声を聞いてごらんなさい。いま農民団体は騒いでいる。いままでは、自由販売とこう言うたら、それはすぐ気がつくのだけれども農民の脳の回転というものは純情なものだから、法律を知らないから、自主流通というたらどんなものかなということで、その前に皆さんのほうが、知恵がいいからさあっと言ってしまうが、いまごろ気がついて農協中央会——農協中央会はとう言っているかというと、これはもう閣議決定をしたから承認しろと言われたから、政府の方針に従います、こう言っている。自民党の根本政調会長農民団体が会ったら、それは農協中央会の連中が、自主流通をやってもいいと認めたからこの案を出した、こう言った。それだけにいま農民団体は、農協中央会が安易に考えていたのじゃないかということで、農協中央会の幹部が地方ごとに突き上げを食っている。そういう情勢を判断してわれわれが考えた場合に、こういう米の改正なら改正について、どういう方法改正をいたしますというこのくらいのことができなければ、思いつき農政だ、思いつき制度だ、こう私は言わざるを得ない。  それから、私はこんな試案を出せと言っているのではない。実施要綱を出してくださいと言って、先般も委員長さんにお願いして確認をしているところであります。実施要綱を出してもらわなければどうにもならぬじゃないか。たとえば、一つの例を見ても、酒米自由販売する。いまでも酒米は高い。これをまた高くしたら、酒の価格を上げるのじゃないかという心配です。これは大蔵省と話し合いがついておるのか。モチ米自由販売でも、昔は生活保護家庭にはモチ米代は安くしておった。こういう生活保護世帯に対してモチ米代をどうするのか、パーにしてしまうのか、そのことは具体的なことは一つもきめていない。また、今度自主流通ができたら、自主流通米価格政府管理米価格やみ価格と三通りになるのです。このやみ価格価格調整をどうするのか。  たとえば価格の問題でも、政府は、国鉄運賃はのけても、あとはほとんど政策的に、政治的に五%以内に物価上昇率を押える、こういう答弁を、本会議でも佐藤さんはやられたし、菅野経済企画庁長官もやられた。ところが、この自主流通米をやると、逆ざやの中間経費は全部消費者負担だ、こうなった場合に、何%米の消費者価格は上がるのですか。これらの点に重大な関心を持って、要するに生産者立場考え消費者立場考えて、われわれは論議を深めていかなければならぬ国会議員としての任務がある。これは当然の任務なんですよ、義務なんですよ。その義務農林省が制約をするような権限はどこにあるのですか、こんな資料を出して。私たちはそういう点で、たとえば基準価格調整でも、どこに強制力を持つだろうか、価格の暴騰があったら、どういう方法でやるのだろうか、この辺が一つも明確になっていない。これからもはっきり出してもらいたい。  たとえば、ことしはどうです。政府はかってなんだと私は思うのですが、結局、業者マージンを来年度は七百十四円六十銭見ておる。今年より五十四円値上げを見ておる。勘定してみると〇・八%上げることになる。何の基準これだけ先に上げて示してこなければならないか。これが示せるくらいならほかにも出せるわけでしょう。業者マージンを先にちゃんときめて出すくらいな、そういう検討を終わっておるのなら。業者マージンを五十四円上げた理由は、物価上昇率をどう、人件費をどう、ちゃんと基礎を見て出してきたのだと私は解釈する。こういうものが出てきて、ほかのものが出ないとは何ごとだ。われわれはこういう点も明確にしていきたい。  それで小売り段階価格調整をやる、どういう方法調整をやるのか。これは良質米自由販売、これは管理米、これはやみ米と袋を変えるのだと言った。この間児玉先生質問の中で、食糧庁長官容器を変えるのだと言った。実質的に百万トンの容器ができるのかできないのか、実際はできもせぬことを、この間食糧庁長官は言うておる。これはできる問題じゃないのです。それをいかにもできるように答弁する。何にも経験のない人は言えるでしょう、机の上で計算している者は。実際面としてやれるものじゃないのです。業者の意見を聞いてごらんなさい、やれるかどうか。こういう点についても、われわれは明確にしていかなければならない。それが全然やっていない。  それから今度は、自主流通について集荷登録をやり、金融登録をやる。そうすると、集荷業者卸売り業者販売業者との関係はどうなるのか、この自主流通政府管理米との関係はどうなるのか、こういうことをわれわれはもっと堀り下げて検討したい。農民立場消費者立場に立って考えた場合には、当然これは考えなければならない重要な点だと思うのです。たとえば価格調整でも、価格がうんと高騰したら食管法の十条でやれる。十条でやれるというのは、どういう方法でやるのだろうか、これが問題です。現行制度で取り締まりができるのにもかかわらず、一つもやってないじゃないか。やってないのに。今度は食管法の十条だけ残して、物価統制令の適用ははずすと言われるが、食管法の十条でできるものなら、現行やみを押えたら、政府管理米というものはもっと在庫は減るはずです。それをやらないという考え——これは考え方の違いもあるでしょうけれども、こういう価格調整はどこでやれるのだということをもっと具体的に示してもらいたい。そうでないと論争ができぬじゃないか。  いろいろ申し上げましたけれども、一の自主流通の問題で、私は農民立場考えてこれだけお願いを申し上げておく。それが資料として、去年の十二月の初めに農業団体に配った資料をそのまま国会に出すというのは、あまりにも国会を軽視しておるのもはなはだしい、こういう気持ちです。新たに先ほど指摘した事項を明快に、できる限り資料として実施要綱を出してもらいたい。  重ねてお願いしておきますが、食管法施行令の第五条の五及び六条の改正はいつごろまでに、どういう方法でできるのか。それから、政府に売り渡すべき米穀に関する政令改正点もいつごろまでにできるのか。これをしないと、もう登録の期日が来ておるのですよ。農民は、ことしはどこに米を売るか、農業協同組合に売るか、一般の業者に売るか、登録をしなければならぬ時期にいま来ておるのですよ。三年の期限が終わっておるのですよ。大体法理論からいうと、二月の末に登録しなければならぬことになっておる。それを延ばした。もう登録を目の前に控えておるのですよ。農業協同組合も困っておるのですよ、ほんとうは。これをはっきりしてくれないと、農民に呼びかけるわけにいかない。  皆さんは、もう商社が動いておることを御存じですか。商社が、丸紅にしても何にしても、農業団体根底から破壊するのです。一方では農業団体農業団体と言うて都合のいいときだけは利用して、悪いときになったら、商社がそこでかきまぜておっても知らぬ顔しておる。農業団体基盤をひっくり返すようなことを平気で見のがすのですか。そういう重要な登録がえの時期が来ておるのに、これが出てこないというのはおかしいじゃないですか。これをはっきり資料として出してもらいたい。  それから構造改善でもそうですが、構造改善のこんな資料、私はこんな資料要求したのじゃないのです。実施は四十五年からされて、四十四年度は要するに計画調査ということになっておりますけれども、これは将来の日本農政転換の重要な問題点であるから、せめて採択基準ぐらいは——いままで第一次の構造改善採択基準というものはあった。今度の第二次構造改善事業の中には、米を何%ぐらいで押えるのか、作付品種をどれとどれとを加えていくのか、こういう点は農民が重大な関心を持たなければならぬのです。私はこの間も言うたのですが、一つ法律改正するのですら何日かかるのですか。一つ法律をつくるのに、役所は三年ぐらいはかかるのでしょう。この間も公害の問題で、企業家には十年の猶予を与えたのです。十年間で公害防止の施設をやりなさい。農民には猶予も与えずに、どろぼうをつかまえてなわをなう式で、そらやれ、やれとやられるのですが、これが農民立場に立って、農民気持ちをくんでの農政か、私たちは疑問を持たざるを得ない。早く基本を示して、将来はこういう方法でやるのだ、それが思いやりのある、血も涙もある農政だと私たちは言えると思うわけです。いつまでもほったらかしていて、それで都合のいいときだけ採択基準をきめて、これに合わなけりゃもう採択しない。こんなことをして、結局農民自由裁量にするのじゃないか。いままでそういう傾向があるから、われわれはこの際、長い歴史を持ってきた日本農業を大きく転換させるという気持ちなら、もっと思いやりのある考え方を持ってもらいたい。こういう点で、もっときめのこまかい実施要綱を出してもらいたい。  それから稲作作付転換ですが、この作付転換、これまたおかしい。実施基準においても、この作付転換というものは、米をつくるのをやめさして、そのかわりに米で収益を一反当たり、十アール当たり七万円平均あげておるものなら、七万円より下がらないような作物をつくらしていくというのでなければ、これは作付転換の成功はないと思う。どうですか農林省は、要するに平均反収五百キロとして、いまの米価でいえば七万円ほどになる。その七万円が四万円になろうと、三万円になろうと、農家所得一つ考えずにこんな基準をきめたのか。どういう地方にはどういう作物を植えたら、米をつくるだけの所得になりますぞと、こういう基準を示されなきゃならぬと思う。  たとえば、いま和牛一頭一日何ぼもうかっておると思うか。中国地方は純利益が一日百円です。十頭飼って千円ですよ。二十頭飼って二千円。乳牛なら一日二百円前後で、利益が多いのですよ。十頭飼って二千円です。和牛を飼うのと乳牛を飼うのとでは、労力というものはたいへん違うのです。また、十頭の素牛を買うのには何ぼ資本がかかると思いますか。そういう和牛にしろ乳牛にしろ、やはり米をつくるだけの所得——日本の農産物のコストが高いとかいうけれども、それは政府通貨政策が悪いからこんなことになっていると思うのですが、通貨政策は、ここは大蔵委員会でも何でもないから私ばやりませんけれども、とにかく何をつくったら米をつくるに匹敵するだけの所得があるのだ、それで作付転換しなさい、こういう基準をまず示さなきゃだめだと私は思う。それがないと、一反二万円やろう、あと機械購入補助金をやろう、こういうことだけじゃだめです。  いままでの機械購入だってそうだと思う。補助金で、要らぬ機械までセット方式でいって、これも買え、これも買えと、農機具屋のお先棒をかついでいる。これからこの農機具補助については、セット方式をとるのか、単一方式をとるのか、農民は重大な関心を持っている。農機具補助、そういうこともきめのこまかいことをきめてもらいたい。要するに、収益性の問題も出してもらわなきゃならぬ。  たとえば、制度資金を受ける場合は、果樹と桑と野菜を植えて五百ヘクタール以上は採択。野菜と果樹と桑で、ほかに価格政策一つとらずに、米をつくるだけの所得があがると思っておられるのか。山の造林計画も入っているが、これもこんなことでは農民作付転換しようと思ってもできないですよ。この作付転換については、いまから審議を始めようとする農業振興地域の整備に関する法律案関係がをる。こういう問題に関連する構造改善です。だから、この作付転換というのは大きな農政転換の出発なのだ、こういうことになるわけです。こういう点をはっきりしてもらいたい。  この点で私たちが一番疑問を持つのは、たとえば農地の転用です。いままでの水田を畑に切りかえる。畑に切りかえたら、要するに今度ば地目変換で固定資産税の評価が違うのです。作付転換をした場合にはすぐ地目変換ができて、その年から固定資産税が安くなるのか、地方公共団体と話し合いでできるのかどうか。米をつくらずに転換したら、その一年間はどうしようもない。水田として固定資産税を取られるのかどうか、こういう点も考えなければならぬ。  もう一つ、私たちが重点に考えなければならないのは、これはつまみの補助金ではないと思う。財政法の三十四条によって、公共事業等の支出負担行為の実施計画というものは、大蔵省の認定を受けなければならぬと思う。そうすると、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に適用されるとするならば農民のほうは重大だ。これで、いままで罰則規定で罰金を食った農民もおるのです。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、そういう補助制度なら、もっときめこまかいことを考えてもらわぬと、われわれはもっと論議を深めなければ、作付転換などというものはそう簡単にのめぬのじゃないか、こういう気がするわけであります。  それで、いま私が具体的に申し上げた点を、実施要綱の中にどう入れて出されるのか。それから、その実施要綱を出してもらいたい。それで私は資料要求したのです。私は一応かいつまんでみな言いましたが、その実施要綱をいつ出せるのか。これを出してもらわぬ限りわれわれはどうにもならぬ。ひとつ政務次官なり官房長答えを願いたい。
  6. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 柴田先生が、この資料をめぐる問題につきましてるるおっしゃいましたことを、私もよく理解できます。ただ、この資料の提出につきましては、私ども実は先生方を、何かいいか、げんなものを出しておいてはぐらかすという気持ちは毛頭ありません。従来でございますと、制度が新しく出てきたときに、その制度の必要な資料については、実施要綱というものを資料としてお出しをいたす、さらに、行政上のそれぞれの下部機関あるいは県市町村等に、その実施要綱をこまかく流すような、そういう資料はそれぞれ実はあるわけでございます。  いまお話を承っておりますと、どうもお前たちのものは大綱ではない、大綱なら、この話が出たときにすでに各団体なりにそれぞれ出しおるじゃないか、そんなものをいまさら出してくるから、何かわれわれをなめているように思うのだ、実際役所がそういう制度を運用する際の、地方の県庁なりあるいは農政局なりに、ずっとこまかく指示をするような実施要綱というものを出さなければ、いろいろの点で疑問がたくさん起こるじゃないか、こうおっしゃる意味はわかるのでございますが、御承知のとおり、この二次構造につきましても、それから稲作転換実施要綱につきましても、それぞれ実施にあたりましては、まだこまかい実施要綱を作成するまでには、大蔵財政当局その他政府・与党とのいろいろな調整もございますので、実はまだそこまでいっておりませんし、ほんとうにこれは、私ども政府・与党として与党の部会にお出しして、こういうような基本方針でいきたいということを固めて、それから実は具体的な問題に入るわけでございますので、現在までのところ、私どものところで案として一応要綱をきめましたのは、そのまま実は二の資料、三の資料としてお出ししているわけでございます。一の自主流通につきましては、先生のおっしゃいましたように、もう少し具体的な点の資料が出ないと、どうもいろいろ疑問が解明できないじゃないかということは、私もよくわかるわけでございます。  総じて、柴田先生のお話を聞いておりまして、とにかく質疑応答の形で微妙な点をどんどん明らかにしていくような問題と、それから、私どもがこれを地方に通牒を流して、実施をしていく際のいわば実施要綱といいますか、そういうこまかい点についての資料といいますか、そういうものと、何か先生のおことばを聞いておりますと、二つに分かれるような気がするのでございまして、後段の実施にあたりましてのいろいろな、いまおっしゃいました問題点について、今日までに私どもが内部で検討を終わりましたことにつきましてはできるだけ——しかし、今度お出ししましてまた誤解を生んでもいけませんので、よく食糧庁なりそれぞれの担当のところと先生のほうと打ち合わせをしまして必要な資料調整に当たって、できるだけ早く提出をさしていただきたい、こういうように考えます。
  7. 柴田健治

    柴田委員 問題は、いままでの継続の事業なら、まあどこか型を変える、こういうことなら、われわれが要求していくのもどうかと思う。それは、ある程度事務当局の自由裁量とかいろいろのことがありましょうから、とやかく言わない。けれども作付転換という農民も非常な心配をし、関心を持ち、そうしてとうなるのかという——結局、作付転換というといつから、四十五年度からやるのかね。そうじゃないでしょう。四十四年度でしょう。四十四年度というたら、いつ苗しろこさえをするのか、常識的にもう農林省はわかっておるはずだと思う。そういうことを考えた場合に、やはりその地方地方の市町村の考え方、県の考え方というものを早うまとめて下へおろさないと、受け入れる側の農民もこれはもう心配をする。秋ごろ植えるような農作物とは違うのですよ。たとえば単年作物、永年作物どちらにしても、その地方の特殊事情なり、気象条件なり、土質なり基礎的な、基本的な問題を調査しなければできぬ場合もあるわけです。調査も何もできないというやり方というのは、私はおかしいと思う。だから早く、われわれが地方に帰って、作付転換というのはどういう方法でやるのか、さあわからぬ、そんなことは、国会議員で農林委員をして審議の場におる者がわからぬという答弁は——農林委員の中にはわかっておる人があるかもしれぬけれども、私はわからぬ。だから、この点について資料をもっと出してもらいたい。  それから自主流通については、これはもう長い歴史を持ってきた、三十年の歴史を持っておるこの食糧の管理制度が根本的に変わろうとするのです。変わらないという立場をとっておる人と、変わるという立場をとっておる者との論争を深めておかぬと、将来これは国会の責任ですよ。審議した者の責任ですよ。われわれは堀り下げて検討するという任務を持っておるし、義務も持っておる。しかも、いま登録を目前に控えておる。そういうことを考えた場合には、消費者価格の問題もあり、生産者農民の問題もある。それから、集荷業者との関係販売業者との関係、そういう価格の問題を含めてもっと掘り下げて検討しなければならぬので、実施要綱を早く出してもらいたい。これを出さなければ、私たちほんとうに困るのですよ。きのう農林部会で、何をしているのだとしかられた。おまえたち審議しておるのに一つも明確にならぬとは何ごとだ、こうなんです。この実施要綱資料を至急に提出してもらいたい。これをしなければ、われわれは今度のこの問題、農政全体のいろいろな案件についても、二十六日に申し上げたように審議はできない、こういう強い意思表示をせざるを得ない。もう一ぺん政務次官お答えを願いたい。
  8. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 まず、第一点の作付転換の要綱の問題ですが、お配りしました資料でも御承知のように、私ども、実は基本方針として作付転換については強行するものでもありませんし、一万町歩についての目標をつくって、そこへできるだけ御協力を願って誘導をしようということでございますので、それを個々のそれぞれの農家でやるか、あるいはある程度やはりまとまって、しかもどういうときに二万円の奨励金を出すのかというような点についての実施要綱としてこういうものを、きめたままのものをお出ししているわけでございます。  なお詳しい点については、ただいま御疑問等ございましたので、先生のまた誤解を生んでもいけませんから、係の者をやって御意向を十分承りました上で、必要な補足すべき資料があればお出しを申し上げて御討議をいただきたいと考えますので、できるだけひとつ急いでやるつもりでおります。
  9. 柴田健治

    柴田委員 多く言うておったってなんでございますから、委員長、これでは私は納得できないので、この資料の取り扱い、今後の提出その他については、理事会でひとつどう取り扱うか御相談願って処理してもらいたい。これをお願いしたいのですが、どうですか。
  10. 丹羽兵助

    丹羽委員長 後刻また理事の方々と御相談することにいたします。
  11. 工藤良平

    工藤委員 関連して、一つだけ資料要求を兼ねまして申し上げます。  いま、柴田委員のほうから資料要求がありましたが、この自主流通米の問題について、特に自主流通の仕組みの中の第一、政府買い入れのところですね。「生産者の生産した米穀をその保有限度をこえる数量の範囲内で無制限に買い入れる。」こういうことになっているわけでありますが、食糧管理法の第三条の解釈については、従来からもいろいろと論議をしてまいりまして、これについては長官のほうから、政府は一定の量を、結局必要な量を命令でもって買うのだ、したがって、政府が農家の生産した米を全部買うという義務規定ではない、こういうことを統一見解として出されてこられました。その関連の中において、今度施行令の五条の五を変えられるということがうたわれているわけでございますけれども、どのように変えるのか、その点をひとつ法的に明らかにしていただきたいということが一つです。  それともう一つは、麦のほうは第四条の二に、「生産者又ハ其ノ生産者ヨリ委託ヲ受ケタル者ノ売渡ノ申込ニ応ジテ無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」こういうことで、麦のほうはわざわざ本法の中に第四条の二として、無制限に買い入れるということをうたっているわけでありますけれども、米の場合には義務規定がない、こうおっしゃる。それは、いまのところは施行令の五条の五できめてきた。むしろ無制限買い入れについては麦のほうが強くて、これからは米のほうが弱くなるという実は印象を非常に受けるわけでありますけれども、その辺の法的の解釈、これをぜひ資料として——これは資料の頭にくっつくものと思いますから、基本的な理解のしかたとしてその関連を明らかにしていただいて要綱を出してもらうように、これは文章としていま言った法の関係を明らかにしていただきたい。それに基づいて、私どもはこの自主流通米の問題を基本的に論議をしたい、こういうように思いますから、その点ぜひお願いしたいと思います。  以上です。
  12. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 ただいまの点は、早急にひとつ作成いたします。先ほどの柴田先生の御意見なりあるいは御要求の点もございますので、自主流通につきましてできるだけ現在考えておる詳しい、いろいろな点にわたる、いまお話もるる承りましたので、至急作成をいたしまして提出をいたします。
  13. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 いま政務次官からお答え申し上げましたので、私どももできるだけ御審議資料として役立つようなものを出すように努力をいたします。  ただ、政省令につきましては、法制技術上の問題もございまして、食糧庁だけでこれで最終的にこういう表現をするというわけにもまいりませんので、考え方としてこういう考え方改正するのであるという点は、お出しすべきであろうというふうに思いますので、その点、御了解をいただきたいと思います。
  14. 工藤良平

    工藤委員 それは、食糧庁の言い分はそういうことで出してけっこうです。できれば私は、それでは法制局の見解はこうだということも、あわせて資料として提出をしていただきたい、こういうぐあいに思います。     —————————————
  15. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次に、農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湊徹郎君。
  16. 湊徹郎

    ○湊委員 ただいまから、農業振興地域の整備に関する法律案の主要な点についておただしをし、あるいは提案をしてみたいというふうに考えるわけであります。過般、五十八通常国会におきまして、工藤委員のほうからいろいろと質疑がございましたので、それとの重複を極力避けて申し上げてみたいと思います。  最近における情勢の変化、それからこの法律案を出すに至った背景等については、この前の質疑の中で明らかにされておるわけでありますが、特にこの法案が出ました背景の中では、御承知のように、都市計画法が国会審議をされ、どちらかというと受け身の形で、都市計画に対応するような形でこの法案が出た経過もあるために、ともすると消極的な、農地を保全する、防衛するというふうな性格が強くて、これから将来の農業振興の入れものとして、積極的に農用地の開発をはかるのだという側面が、やや消極的になっているのではなかろうか、こういう質問がございまして、それに対して政府のほうから、いやそうじゃないのだ、これはむしろ積極的に、これからの農業振興をはかるための具体的な問題が、この中に幾つも含まれておるということで説明があったのでありますが、基本的には、御承知のように総合農政が叫ばれておりますように、農業そのものが大きな転換の時期にあるわけでございまして、この法案に対する基本的な姿勢と申しますか、かまえということが一番大事だろうと思います。その点について重ねて政府のほうの考え方、態度、基本的なかまえというものを明らかにしていただきたいと思います。
  17. 池田俊也

    ○池田政府委員 御審議いただきますこの法案につきます考え方でございますけれども、これにつきましてはいろいろな点があると思います。  現状において一番問題になりますことは、やはり都市化が進展いたしまして、その関係で宅地とか工場用地とか、そういう目的に農地が無秩序なかっこうで転用される。そのこと自体は決して否定すべきではございませんけれども、やはり今後農業施策というものを計画的に進めていく、どういう点に重点を置いて進めていくというような点から見ますと、はなはだ遺憾な点があるわけであります。それで私どもといたしましても、この法案におきましては、やはり今後国土の総合的な利用という観点から、農業を中心にして振興をはかっていくべき地域が相当あるわけでございますので、こういう地域につきましては、やはり優良な農地として十分に確保していきたい、それが一点でございます。  それから、今後やはり生産あるいは構造改善、いろいろな面で政策を進めていかなければならないわけでございますが、その場合に、おのずから重点が置かれるべき点が明らかにされなければいけないんではなかろうか。もちろんその政策の中身によりますけれども、やはり私どもは、今後農業を中心にしてその土地の振興をはかっていく地域につきましては、具体的な農業施策の面でやはり相当そこに重点を置いてやっていく、こういう体制が必要であろうという感じを持っているわけでございます。  それから、今後やはり食糧の需要構造というものがいろいろ変わってまいりますが、そういうものに即した生産を進めるという方向に極力誘導をしていく。そういう場合におきまして、やはりそういう地域的な農業生産の方向というものが、地域住民の自由な意思に基づいてきめられるべきでございますけれども、それを明らかにしていく、こういうようなことが必要なのではなかろうか。そういうような観点で農業振興地域というものをきめまして、それに即した政策を進めていく、こういうふうにいたしたいという考え方であります。
  18. 湊徹郎

    ○湊委員 この法案を内部で固める過程において、都市行政、あるいは生活環境行政、あるいは地方自治行政、いろいろな側面を担当している関係各省との間に調整が行なわれた経過があるわけであります。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕  その調整の過程で特に問題になった点、それから今後に問題を残しておるような点もあろうかと思うのでありますが、そのポイントを御説明願いたいと思います。
  19. 池田俊也

    ○池田政府委員 私、具体的に折衝の過程にタッチしたわけじゃございませんけれども、やはり一番問題になりました点の一つは、新都市計画法との関係であったと思います。新都市計画法におきましては、比較的規模の大きな都市について、御承知のように市街化区域あるいは市街化調整区域というものをきめることになっておりますけれども、その具体的な地域の線を引きます場合に、農地との関係農業施策との関係をどうするかという点が一番の具体的な問題であったと思います。これにつきましては、もちろん調整をいたしまして法案をお出し申し上げているわけでございますけれども、それが一つ問題点だったと思います。  さらに、ただいま先生がおっしゃいましたことでございますが、これは農業振興地域ということで農業振興地域の整備計画というものを市町村が定める、こういうことになっているわけでございますが、その場合におきまして、いわゆる農村計画と申しますか、具体的には生活環境の整備というような点の扱いを一体どういうふうにするか、あるいは、考え方としては農業振興地域の整備計画でございますけれども、むしろ生活環境整備というものを正面から取り上げたほうがいいのじゃないかという考え方、それはやはり他のいろいろな制度との関係がございますので、十分そういうものとの関連を配慮するというかつこうでいいのじゃないか、こういうようないろいろな考え方があったのでございまして、結果といたしましては、後者のよう考え方に落ちついたわけでもございますけれども、そういうような点がいろいろ問題になったわけでございます。
  20. 湊徹郎

    ○湊委員 それで、この前の工藤委員に対するお答えの中で、大体都市計画における市街化調整区域、これは農業振興地域にほとんどおおむね含まれる、まあイコールと考えてもいいんじゃないかというふうに受け取れるような答弁があったのですが、その点は間違いございませんか。
  21. 池田俊也

    ○池田政府委員 御承知のように、市街化調整区域は市街化を抑制する区域と、こういうふうに一応規定されておりますので、私どもはやはりその地域におきましては、将来とも農業というのは産業としては非常に中心的な地位を占めるのではないか、こういう考え方を持っているわけでございます。  ただ、これもやはり都市計画の一部でございまして、市街化区域とのいろいろ複雑な関係があるわけです。したがいまして、その地域のすべてが将来農業振興地域として指定をされるべきものかどうかについては、若干問題があるわけでございます。したがいまして、相当大きな部分が農業振興地域に該当するとは思いますけれども、すべてがそうなるわけでは必ずしもなかろうと考えているわけでございます。
  22. 湊徹郎

    ○湊委員 それで、いまの市街化区域、市街化調整区域、農業振興地域と、それぞれ部分的にはダブりながらつながっていく。それで、複雑にからんでくるいろいろな問題があろうというお話でございましたが、その一つに地価の問題、これは当然考えられるわけであります。で、市街化区域については、特に最近地価の高騰というのが相当なスピードで進行しております。あらゆる物価の中で地価が一番上がっておる。当然それは調整区域ないし農業振興地域にも波及してくる。お互いに将来関連を持ってくるという場合に、片や転用規制等で農業プロパーの土地としてなわ張りを固めていこうということでありますから、これは土地の資産的ないし財産的な保有という観点を抜きにして、農用地は農用地としてこれは一つの生産手段であって、使用価値、利用価値、そういう点に比重を置いてこの法律をきめるわけですね。そうすると一方は上がる、一方は押さえるということで、価格全体に対する基本的なかまえというのがやはりこの手段の上にございませんというと、実際上なかなか問題が起きはせぬか、こう思うのでありますが、これはいま直ちに答えを求めても無理なことではあるのだけれども農林省として農業サイドから考えた場合に、今後地価対策に対してどういうふうなかまえで対処していくのか、お考えがございましたら明らかにしていただきたいと思います。
  23. 池田俊也

    ○池田政府委員 地価の問題というのは、先生もおっしゃいましたが、特に農業サイドから見ました場合に、現在の農業にいろいろなひずみと申しますか、影響を与えていると存じます。今後この農業振興地域の法案が成立をいたしましてこれが実施されました場合には、そういう地域におきましては、当然農業振興地域の中で農用地計画というものが定められる。これにつきましては、土地の使用につきましてある程度の規制が行なわれるわけでございますので、そういう地域につきましては、やはり農業の実態に即した地価が形成をされるという可能性があると存ずるわけでございます。  ただ、地価の問題は、いまさら申し上げるまでもございませんけれども、当然都市化の進展なりあるいは一般的な経済の伸展に伴う所得の向上というようなことに関連しての地価の上昇ということがあるわけでございますので、やはりこれは全般の問題として対策を考えませんと、農業だけの面でそれに対して何がしかの規制をしようというのは、これはなかなかむずかしいことだと思います。  なお、私、土地の問題についてはあまり専門家でございませんので、農地局のほうからお答えいたしたいと思います。
  24. 小山義夫

    小山説明員 地価が上昇をすることは、いろいろな意味農業経営にとっては負担になりますので、農業の近代化をはかるあるいは規模の拡大をしようというときには、マイナスの要因になるわけでございます。農林省の担当しております仕事の分野で、それがどこまで手当てができるかということはむずかしい問題でございますが、従来、農地の価格農業経営の採算ベースをはずれて不当に高くなります原因といいますか理由、いろいろございますが、一つは、先ほど先生のおっしゃいました都市における転用価格がはね返っているということが一つございます。これにつきましては新都市計画法なりあるいはただいま御審議をいただいております農業振興地域整備法等によりまして、土地の利用が総合的に計画的に行なわれるようになるということで、今後この二つの制度実施をされますと、非常に無秩序な転用価格が農地にはね返るということはだいぶ解消されていくのではなかろうかというふうに考えております。  それからもう一つ、農地価格がはね上がります原因は、投機的な取引に農地が使われるおそれがあるということでございます。これにつきましては、一番のきめ手は、農地法のいろいろな許可制度がございますが、これの運用をきびしくしていくということであろうと思います。従来土地の利用計画がはっきりしておりませんので、なかなかその運用もむずかしかったという面もなきにしもあらずでございますが、今後、ここは長く農地として使われるところなんだということが客観的にも明らかになってまいりますと、私どもの農地法の運用についても、非常にやりやすくなるという面がございます。  さらに、今回の国会で御審議を願うことにしております農地法の改正案におきまして、農地の転用の規制につきましては、さらにきびしい規定を設けることとしておりますので、この辺の手当てと相まって、できるだけ農地の価格が不当に高くならないように気をつけてまいりたいと思っております。
  25. 湊徹郎

    ○湊委員 地価の問題は、いずれ農地法のときにこまかくお聞きをすることにします。  次に、この法律で予定をしておる指定予定地区でございますが、四十四年度の予算の中では、四百地区とりあえず調査をして、二百地区は計画に持っていきたい、その中で九十三地区だけは、国、県をあげて濃密指導をやっていきたいという中身と承知をしているわけでありますが、この点で、去年提案されたときとは内容が若干変わっておる。と同時に、先ほどから問題になっております第二次構造改善事業が発足するわけでございまして、これについては、とりあえず二百の地区を計画地区としてことしから調査計画を進めていきたい。  こういうことになりますと、両方とも一つの地域政策、地域農政として当然ダブってくるし、またダブらしていくことのほうが、実際の効果をあげるにはいいことだというふうに思うのでありますが、本来ならば、この農業振興地域がきまって、そこでもって基礎調査が済んで、ある程度プランができたところに構造改善をのせる、こういうことが本来の筋だろうと思うのでありますが、実際の進行はまさに逆になっておる。これは時間をかけて調整するしかないということなんだろうと思いますが、この両方の関連についてひとつ考え方をお示し願いたいと思います。
  26. 池田俊也

    ○池田政府委員 御指摘のとおりでありまして、一応理想的なかっこうといたしましては、農業振興地域というのが全国的にきまる、そして第二次構造改善事業の地域がきまるというのが一番いいかっこうだと思うわけでございます。ただ、新都市計画法等との関係もございますし、まあ私どもといたしましては、来年度第二次構造改善事業計画を発足させるということにいたしておりますので、当初はこの振興地域と構造改善とが同時に進んでいくというようなかっこうになるわけでございます。それで、やはり私どもといたしましては、当然第二次構造改善事業というものは、振興地域に指定されましたところにおいてなされるというのがたてまえである、こういう考え方を持っておるわけでございます。  来年度におきましては、一応現在予定しておりますのは、振興地域の地域指定としましては、四百地域くらい、そしてその中で二百地域ぐらいについては計画を樹立するまで持っていきたい。振興地域の全部がきまりましたときの数といたしましては、大体三千ぐらいということを予定しているわけでございますけれども、五カ年間くらいにそれをきめていきたい、こういう感じでおりますわけでございますが、最初の年度でもございますので、若干スピードが落ちるわけでございますけれども、そういうものの二百地域の計画ができる。これにつきましては、それに第二次の構造改善事業というものを上のせと申しますか、そういうかっこうにしていきたい、こういう考えでございます。
  27. 湊徹郎

    ○湊委員 そこで、これからの実施に当たって、一、二お聞きをしておきたいと思うのでありますが、ともすると計画倒れと申しますか、そういうことになる。そしてまた、非常にこまかい負担を現地の市町村はじめ各団体、農民にかけるというふうなことが、今日までもしばしばございました。  たとえて申しますというと、市町村が整備計画をつくる場合には、その前提として、市町村の建設に関する計画、あるいは建設構想というのですか、そういうものが前提にあって、それからこの整備計画をつくる。そこへ構造改善事業が始まるというと、また構造改善事業計画というのが当然できる。たまたまそこが酪農地帯でありますというと、酪振法に基づくところの酪農振興計画というものがあるわけですね。また果樹地帯でありますと、果樹振興法に基づく果樹振興計画というのもございますね。そのほかにも、今日ほとんど全国の府県というものは、その独自の農業振興長期何カ年計画と称するような計画というものを持っていない府県というものはなかろうと思うのであります。そうすると、その県プロパーの計画を下くおろして、町村ごとにまた農業の地域振興計画みたいなものを、たいていの町村は、ぼくの承知している限り持っておる。そうすると、一つの町村で、極端な場合になると五つないし六つくらいそういう地域計画めいたものが、雑然と言うと語弊がありますけれども、並行してくる。ところがこっちのほうから、農業振興地域という一つの角度から基準をきめておろしますというと、末端のほうはてんやわんや、たいへんな計画をつくって、それを県庁から農政局、農政局から農林省、こういうことになってはこれはかなわぬ。そこら辺の調整をよほどしっかりやってもらいませんと、この計画というものは生きてこないんじゃないか。そこら辺は政務次官、どうお考えになっておりますか。
  28. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 おっしゃるとおりだと思います。したがって私ども、この振興地域の指定が終わりましたあと、整備計画をつくる場合には、それぞれ市町村の自主的な計画というものを一番主眼にいたしまして、それにできるだけ府県なり農林省というものが指導的な役割りを果たしてやっていこうと思います。  したがって、いま酪農振興法、あるいは果樹振興法、あるいはその他のいろいろな問題が一つの町村にからみあってくるという場合に、ひとつ十分調整をとって、総合的な計画にしてもらわなければいけないと思いますので、それらの点については、県及び国のほうでも当該市町村の計画をよく検討して、総合的な、調和のとれた整備計画に持っていくようにしたい、こう考えております。
  29. 湊徹郎

    ○湊委員 ただいまの問題について、これを実際に具体化して実施に移す段階で、従来のものと調整をはかるような一つ基準というか、そういうものを何かお考えになっておりますか。
  30. 池田俊也

    ○池田政府委員 特に基準というものを考えているわけではございませんけれども、今回のこの農業振興地域整備計画というものは、その地域の農業上の有効利用ということを中心にして計画を立てる。そのためには、当然その前提といたしまして、今後農業生産の方向をどう持っていくかという計画が先になければならないわけでございます。そういうものは、先ほど先生に御指摘いただいた果振法でございますとか、あるいは酪振法でございますとか、あるいは市町村が独自に立てております計画でありますとか、そういうものが一応調整されましたものが、生産の方向として当然出てくるわけでございますので、これは形はいろいろありましても、終局的には、この農業振興地域整備計画の面では、そこに一体化すると申しますか、矛盾なくその方向が明らかにされるべきものであろうと私ども考えているわけでございます。でございますから、特にいますぐこれをどうこうするということはございませんけれども実施におきましては、そう問題はないのではなかろうかと考えております。
  31. 湊徹郎

    ○湊委員 その点は、特に実施段階で、慎重にひとつお考えをいただきたいと思います。  その前提になります基本的な考え方といいますか、基本方向、それと総合農政の関連について若干お尋ねをしてみたいと思うのですが、この前の工藤委員質問は、自給度の向上という観点からなされたわけなんでありますが、いまのような時代で、特に過般、「農産物の需要と生産の長期見通し」を立てて、十年後は大体こういう目安でいくのだという荒っぽい青写真が出されたわけでございますが、過般の委員会におきまして、一体何をものさしにして知事は基本方針を立てるのか、あるいはそういう県ごとに特性を生かしてやっていく場合の全国的な指導調整というものは、一体何によって、何を尺度にしてやるのだというふうな質問に対して、これは目下農林省で鋭意検討中の、先ほど申しました長期需給見通し、これによって指導してまいりたい、かように考えるわけでございますと太田さんは答弁している。しかし、あれはものさしにならぬと私は思うのであります。  それで、知事が基本方針を立てる前に、それを全国的に指導ないし誘導するような基本的なものを農林省自体が、政府自体が持っていなければ、これはもう話にならぬじゃないか、こういうふうに私は考えておる一人なんでございますが、それについては、たてまえから言えば、基本方針は当然国が立てる、それに従って府県におろしていくというのが筋だろうと思うが、しかし、需給見通し程度の荒っぽいものでは、これは一応の方向は示されても、実際の事業実施するための基準にはならぬであろう、こう思うのでございますが、その辺、何を基準にして政府は指導ないし誘導をなさらんとするのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  32. 池田俊也

    ○池田政府委員 今回のこの農業振興地域法の考え方は、もちろん、その地域住民と申しますか、市町村なりあるいは県なりそれぞれの地域の地方公共団体というようなものを中心にいたしまして計画をきめ、推進をはかっていく、こういうたてまえにいたしているわけでございます。そういう性格のものでございますから、国が一つの基本方針を立てまして、その線に沿って強い指導をすることにつきましては、若干問題があるのではなかろうか。私どもは、やはり昨年公表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」というものが、今後の農業の大体の需要なり、あるいはそれに即応した生産の姿というものを描いているので、その姿の上でそれぞれ関係の方の御判断をいただく、あるいは必要に応じまして政府が協力をする、あるいは必要な指導をする、こういうかっこうが基本的にはいいのではなかろうか。  ただ、あれは全体的な国の姿でございますので、地域的に見ますとそれがどういうかっこうになるのか、あまりはっきりしないのではないかという御指摘は確かにあるわけでございます。それで私どもといたしましては、実はこれは主要な農産物につきましては、やはりそういう地域別の姿ということを明らかにするのが好ましいだろうということで、実は、現在部内でいろいろ作業をいたしておるわけでございまして、その結論がまとまりました暁には、それぞれの地域に応じた生産の見通しと申しますか、そういうものを明らかにしたい。そういうことを実は考えているわけでございまして、そういう線に沿いまして、必要な指導なりあるいは御協力なりをしたい、こういう考え方でいるわけでございます。
  33. 湊徹郎

    ○湊委員 この点は、これはいままでの体験で、知事が基本方針をつくる、それに従って町村が整備計画を立てる、それに対して、農林大臣はその基本方針の承認をする。しかし、一ぺんできてしまったものは、これはなかなか既成事実というのは強うございまして、一ぺん出てきたものを修正するとか、こういうことは事実問題としてなかなかできにくい。字句の修正をちょっちょっとやるのが関の山になってしまう。  こういうことになりますと、極言すると、静岡以西のほうは、みんな県がミカンの計画を立てて、ミカンだらけになってしまう、東北から北のほうほ、北海道に至るまで米だらけになってしまう、こういうふうになりかねない様相もあるものですから、計画を立てる場合も、過般も言われたように、下からの自主的な判断、創意、そういうものを積み上げていこうという行き方をとっておるのであります、こういうことを言いましても、また、適地適産ということを従来からよく言われたが、しかし、ただ言いっ放しになりますと、適産ということは、政府は責任を持ちませんということと同義語になってしまう面もありますので、そこら辺ば、たとえば生産の長期見通しで十年後になったならば、牛乳、乳製品は一・九倍になります、肉は二・二倍になります、あるいは野菜は二割ふえます、果実は六割ふえます、卵も六割ふえますというふうな、どこでふえるのだかわからないものは、これは具体的な政策のめどにならないのです。  そこで、これは多少勇敢に、日本地図の農業的塗りかえをこの際やってやろう、だから米の主産地としては、東北地方に対しては全国の必要量の三割くらいを期待するとか、北陸に対しては一割くらい期待するとか、それから肉ないし酪農の基地としては、大体阿蘇、九重に対してこのくらい期待するとか、北海道の十勝に対してこのくらい期待するとか、あるいは北上丘陵にはこうするんだというような、広域的なやはりいろいろな考え方がどうしても必要です。それから、野菜なんかでも最近やっていますが、主産地の指定をやって、東京の需要の七割くらいはカバーする、この地区でキュウリならばこの程度、ハクサイならばこの程度というふうに、具体的にある程度出す必要がある。  ただ、そういうものを勇敢におもてに出すことが、今度は実際問題としていいか悪いかということになると、別に問題もあります。しかし、そういうものを持っていないと、かりに県や市町村の指導や誘導行政と申しても、誘導できないのではないか。せっかく地方農政局があるのでありますから、地方農政局に、もっぱらそういう長期需給の見通しを地域的におろしてやらすような作業を一生懸命させて、そうしてそういう具体的なものさしを並行してやっていくことが、どうしても必要だと思うのでありますが、その点について、政務次官はどうお考えになりますか。
  34. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 御意見、私どもごもっともだと思っておりまして、過般の所信表明に関する二日間の質疑の際に、農林大臣から繰り返し、いわゆるそうした農業生産の地域的な分担のあり方というものを、やはりきめていかなければならぬではないかということを強く答弁いたしておったわけでございますが、それは御承知だと思います。したがって、どうしても農林省としては十年間の全体の農産物の長期見通し、あるいは酪農振興法に基づくなま乳生産の地域的な見通し、あるいは野菜の生産出荷安定法に基づく対象地域における需要の見通し、あるいは果樹農業振興特別措置法に基づく果樹の需要の長期見通し、これらのいろいろの見通しをも関連させながら、そうした地域的な農業生産の分担のあり方というものをやはり持たなければいかぬではないか、これは湊委員おっしゃるとおりのつもりを持っているわけであります。  ただ、最後に湊先生も言われましたように、それをずばり、何かそれ以外はもうだめだというような仕組みで国がやっていくことは、やはり地域の経済的、社会的、必然的な条件に合わぬ場合もございますので、そういう基本的な考え方は一緒でございますけれども、それを内に置きながら、できるだけ地方農政局の意見も聞き、県の意見も聞き、また農林省としてもそれぞれの検討をしまして指導をしていく。やはり何といいますか、ものさしは十分持ちながらやっていくようにしたい、こう考えておるわけでございます。
  35. 湊徹郎

    ○湊委員 次に、全総計画、全国総合開発計画とこの計画との関連でありますが、いままでいろいろ地域立法がたくさん出ております。しかしながら土地利用に関連して、これが基本になるのだというふうなものはございません。  そこで、都市計画のほうは都市計画でいく、通産省のほうは工業立地の適正化という観点からきめていく、自治省は土地利用計画という観点からきめていく、農林省はこれでもってなわ張りをきめていく。それを一体何によって、だれがどういうふうにして調整をしていくのか、そこら辺の考え方をお聞きしたい。
  36. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 御承知だと思いますが、いま経済企画庁で全国の国土総合開発計画というものを第一次案、第二次案、第三次案、第四次案ということで、いろいろ詳細に各省と調整をとりながら検討を進めております。農林省との関係におきましても、農林省当局としては、この農業地域振興整備に関する法律考え方は頭に入れながら、企画庁とも十分事務的な調整をはかっていこう、こういうことで企画庁当局と十分意見の調整をはかりつつありますので、この点は、全総計画とは十分調和のとれたものに持っていけるというふうに思っております。
  37. 湊徹郎

    ○湊委員 実はただいまの政務次官のお話では、全総計画と十分調和のとれたようなかっこうで、その他の地域立法等とも——もちろんこれはこの法案の中でもそういうことはあるのでありますが、そういうかっこうで持っていきたいと言われましたが、これは今後の運用の問題でありますので、さらに別な機会に、いろいろとこまかく御注文を申し上げてみたいと思っております。  とりあえず基本的な点だけお聞きをいたしまして、細部の法案の点については、機会をあらためてまた御質問をいたしたいと思いますので、以上で質問を終わります。
  38. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次回は明六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十分散会