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1969-02-12 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月十二日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 白浜 仁吉君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君       大石 武一君    大野 市郎君       小山 長規君    菅波  茂君       瀬戸山三男君    田澤 吉郎君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中山 榮一君    藤波 孝生君       松野 幸泰君    伊賀 定盛君       石田 宥全君    佐々栄三郎君       實川 清之君    永井勝次郎君       神田 大作君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林大臣官房予         算課長     大場 敏彦君         農林大臣官房経         理課長     樋貝  勇君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         農林水産技術会         議事務局長   横尾 正之君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君         水産庁次長   森沢 基吉君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月五日  ブリ資源保護に関する請願角屋堅次郎君紹  介)(第二五九号)  農林漁業団体職員共済組合法の一部改正に関す  る請願中澤茂一紹介)(第二六〇号)  同(工藤良平紹介)(第三八八号)  農林年金制度改正に関する請願竹下登君紹  介)(第二六一号)  同外二十九件(中垣國男紹介)(第二六二  号)  同(中山榮一紹介)(第二六三号)  同外二十四件(海部俊樹紹介)(第二八五  号)  同(徳安實藏君外二名紹介)(第二八六号)  同外十五件(久野忠治紹介)(第三三四号)  同(佐々木義武紹介)(第三三五号)  同外二件(野田卯一紹介)(第三三六号)  同(渡辺芳男紹介)(第三八九号)  同外四件(足立篤郎紹介)(第四三八号)  同外十七件(高田富之紹介)(第四三九号)  同外十一件(高見三郎紹介)(第四四〇号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第四四一号)  卵価安定基金加入に関する請願八木徹雄君紹  介)(第四三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、農林水産業基本施策について、長谷川農林大臣から説明を聴取いたします。長谷川農林大臣
  3. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 農林大臣に就任いたしましてから約二カ月を経過いたしましたが、農業及びこれをめぐる内外の諸情勢がまことに容易でない時期でもあり、その職責のきわめて重大であることを痛感いたし、全力をあげてこの重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の御理解ある御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  本日、この機会をかりまして、農林水産業に対する施策について所信一端を申し述べ、今国会に提出いたします農林省関係予算案及び法律案につき、委員各位の御協力を得て御審議をいただく御参考に供したいと存じます。  まず、農政推進についての私の基本的考え方について申し上げます。  申すまでもなく、農政は、国民に対しその必要とする食糧を安定的に供給するとともに、農業従事者所得生活水準向上をはかることを目的といたすものであります。このため、政府といたしましては、従来、農業基本法に定めるところにより、各般施策を講じてまいったところであります。  しかしながら、近年、国民経済高度成長その他農業をめぐる諸情勢変化には著しいものがあり、米の問題をはじめ各般の面でいろいろと困難な問題を生じております。また、加えて、わが国農業を取り巻く国際環境は一段ときびしくなってまいりました。  このような諸情勢に対処するためには、農政も新たな飛躍をはかるべき時期に来ていると考えられるのであります。  このような観点に立って、政府といたしましては、農業基本法に定める方向に従いまして、農業を取り巻く諸情勢の推移を十分に織り込みながら、国民食生活多様化高度化動向に即応して、米ばかりでなく畜産物野菜果実など総合食糧の安定的な供給をはかること、生産価格流通構造等各般施策を均衡のとれた形で総合的に推進すること、農政農業生産の場だけでなく、流通消費の場まで広げて施策充実することをねらいとして、総合農政推進をはかることといたしておるのであります。  このような総合農政推進のため、去年の夏以降施策具体化につきまして鋭意検討を続けてまいりました。今後さらに、各方面の御意見を十分に伺い、施策の一そうの充実強化をはかってまいる所存でありますが、当面、昭和四十四年度におきましては、次の点に重点を置いて所要施策推進をはかってまいる考えであります。  まず第一に、農業生産基盤整備及び開発であります。  今後の農政展開に即応して末端圃場条件整備、その前提となる基幹かんがい排水施設整備農道整備及び農用地開発等、各種の農業基盤整備事業を強力に推進する考えであります。特に、水田について、適地における稲作経営合理化をはかる方向土地改良推進につとめるほか、水田に比べて立ちおくれている畑地基盤総合的整備草地改良拡充に、特段の配慮を加えることとしております。  第二は、米対策であります。最近の米の需給につきましては、国民食生活変化により米の需要が減退しているのに対し、米の生産増加しているため大幅に緩和し、今後とも基調としてこの傾向変化はないものと見込まれます。  このように米の需給が大幅に緩和する反面、かなりの農産物については、需要増大に対し生産がこれに伴わないおそれのあるものがあります。  このような、米をはじめとする農産物需給動向に対処するためには、農産物需要生産長期的見通しに立って、需要に即応した農業生産を進めることが肝要であります。このため、畜産園芸等今後需要増大が期待される作目について生産増強をはかる一方、米の生産については、米の主産地域中心として生産性向上品質改善重点を置いて施策を進めるとともに、米の生産調整をはかることが、当面、農政に課された緊急の課題であると考えられるのであります。  したがいまして、昭和四十四年度におきましては、米の生産調整をはかるため、新規開田を極力抑制するとともに、稲から今後生産を伸ばすべき飼料作物園芸作物等への作付転換の問題に取り組むことといたしております。  また、これら米の生産対策と関連して重要な問題は米の管理の問題であります。米の管理につきましては、最近における米の需給大幅緩和の実情、米穀管理の現状に対処いたしまして、米の輸出等の米の需要の増進につとめますとともに、管理制度の根幹を維持しつつ、米の買い入れ、売り渡し等制度運営の各面にわたって事態に即応して所要改善につとめてまいるほか、米価については、生産者米価及び消費者米価を据え置くことといたしたいと考えております。  申すまでもなく、わが国農業は伝統的に米中心であり、農家生産意欲政府施策と相まって米の生産が今日のように増加したところであり、政府といたしましても、農家方々努力に対しまして心から敬意を表するものであります。したがって、以上申し述べましたような米対策を進めるにあたっては、農家方々にいたずらに不安を与えることがないよう特に留意し、農家方々をはじめ農業関係者理解と納得を得て、その円滑な推進につとめる所存であります。  第三に、畜産園芸等振興対策であります。  畜産物野菜果実などの需要は、国民食生活高度化に伴い増大しており、短期的には需給にやや問題があるものも出ておりますが、今後とも引き続き需要増大が見込まれるのであります。  そこで、需要増大に即応して安定的な供給確保するため、畜産園芸につきまして、生産性向上を主眼に各般施策充実強化し、これらの振興をはかる考えであります。  畜産につきましては、国内産生乳による学校給食供給量拡大加工乳生産者補給金制度の円滑な実施をはかるとともに、畜産関連試験研究拡充飼料基盤整備家畜導入をはじめとして、各般施策拡充強化する考えであります。  また、園芸等畑作農業につきましては、畑地基盤総合的整備畑作関連試験研究拡充をはかるとともに、これらと相まって生産流通近代化に必要な施策充実強化し、地域作目に適応した主産地形成推進する考えであります。  これらの部面におきまして、今後ますます海外農産者との競争は激化してまいることが予想されますが、農産物輸入自由化の問題については、国内の農業生産に悪い影響を与えないよう慎重な配慮をしてまいるつもりであります。  第四に、構造政策であります。  農業近代化を進めるためには、自立経営育成、協業の助長など農業構造改善をはかることが基本的に重要でありますが、特に、最近の農業動向を見ますと、価格政策生産政策とともに、構造政策推進がますます重要となってきていると考えられるのであります。  このような観点から、農地法改正をはじめとする一連の構造政策関連法案の成立について、特に御理解と御協力を得たいと存じます。第二次農業構造改善事業昭和四十四年度から発足させることとし、農業者年金についても昭和四十五年度実施目途所要調査検討を行なう等、構造政策については今後一そうの推進をはかる考えであります。  第五に、消費流通対策であります。  近年、生鮮食料品価格が高騰し、国民生活充実消費者家計の安定の面から見てゆるがせにできない問題となっております。そのため、生産対策強化価格政策の適切な運用にあわせて、農水産物消費者に円滑に供給されるよう、流通合理化加工流通関係企業近代化、さらに消費者保護対策充実並びにこれらに関連する試験研究拡充等につきまして、施策強化をはかる考えであります。  第六に、農業金融強化であります。  以上の施策拡充に対応いたしまして資金需要増大にこたえるため、農林漁業金融公庫資金農業近代化資金の一そうの拡充をはかることとしております。  次に、林業について申し上げます。  近年、木材需要は著しく増大しております。これに対し、国産材供給は十分でなく、伐採造林等林業生産活動は停滞する傾向を示しており、外材の輸入年ごと増加しております。  このような動向に対処いたしまして、林業政策の当面する課題は、林業生産増大林業生産性向上をはかり、あわせて林業従事者の福祉の向上に資することにあると思いますが、同時に国土を保全し、国民保健休養の場を提供するなどの森林の持つ公益的な機能を活用する重要性もますます多くなってきているのであります。  このため、林道造林等林業生産基盤整備拡充し、また、新たに里山の再開発推進して森林資源有効利用をはかるとともに、資本装備高度化森林施業計画化を進めて林業経営近代化促進するほか、林業従事者の就労の安定等をはかり、あわせて治山事業拡充する等、これら施策を総合的かつ強力に推進してまいる所存であります。  さらに、水産業について申し上げます。  水産物に対する需要は、国民食生活向上にささえられて堅調に推移しておりますが、他方漁業生産は、国際規制強化資源上の制約等のためこれに十分対応することができず、水産物価格は上昇し、水産物輸入増加しております。また、漁業経営につきましても、その所得水準は近年上昇しておりますものの、なお多くの問題をかかえております。  このような動向に対処して、水産政策の当面する課題は、水産資源維持増大漁業経営近代化を進めて、水産物を安定的に供給するとともに、漁業従事者地位向上をはかることにあると考えられます。  このため、漁業情勢進展に即応した新しい整備計画のもとに、漁港重点的な整備をはかる等漁業生産基盤整備を強力に推進するとともに、水産資源保護培養対策推進、新漁場開発調査拡充等水産資源維持増大につとめる考えであります。さらに、沿岸漁業構造改善事業推進漁業近代化資金融通制度創設中小漁業振興対策推進等漁業経営近代化等をはかってまいる所存であります。  以上申し述べました農林水産業に対する施策推進をはかるため、昭和四十四年度予算編成にあたりましては、所要の財源の確保につとめ、主要な施策推進するために必要な経費につきましては、重点的にこれを計上いたしたつもりであります。  また、これらの施策実施に必要な法制の整備につきましては、鋭意法案の作成を取り進めているところであります。  以上、所信一端を申し述べましたが、最後にあたりまして、近代的な農林漁業経営育成をはかり、明るく将来に希望の持てるような農山漁村をつくり上げるために最善の努力を尽くす所存でありますので、今後とも、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第であります。  何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 丹羽兵助

    丹羽委員長 以上で長谷川農林大臣説明は終わりました。
  5. 丹羽兵助

    丹羽委員長 次に、昭和四十四年度農林省関係予算について説明を聴取いたします。小沢農林政務次官
  6. 小沢辰男

    ○小沢(辰)政府委員 非常に長くなりますので、大臣にかわりまして私から説明をさせていただきたいと思います。  昭和四十四年度農林関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十四年度の一般会計における農林関係予算の総体につきましては、農林省所管合計は七千百二億円でございまして、これに総理府、文部省、労働省及び建設省の各省所管農林関係予算を加えた農林関係予算の総額は七千六百八十八億円となり、これを昭和四十三年度予算と比較いたしますと千百四十六億円の増加となっております。  この予算編成にあたりましては、国民食糧の安定的な供給を確保し、農林漁業生産性農林漁業従事者の所得の向上をはかるという農林漁業政策基本的目標に沿い、農林漁業生産基盤整備農林漁業生産対策拡充生鮮食料品価格安定並びに流通加工近代化及び消費者保護対策充実農林漁業構造改善推進農山漁村対策充実農林漁業金融改善等主要施策推進するための経費を重点的に計上することといたしております。  以下、この農林関係予算重点事項について御説明をいたします。  第一に、農林漁業生産基盤整備に関する予算について申し上げます。  農業に関しましては、農業生産性向上農業生産選択的拡大及び農業構造改善をはかるため、農業生産基盤整備開発を積極的に行なうこととし、このため、農政の新たな展開に即応して末端圃場条件整備、その前提となる基幹かんがい排水施設体系的整備、農道の整備農用地開発等各般事業を計画的に推進することとしております。特に、水田に関する基盤整備事業については、米の需給事情、水田の壊廃の動向等を考慮して新規開田を極力抑制する一方、適地における生産性の高い稲作経営育成に資する方向で推進するとともに、畑作及び畜産等振興に資するため、所要基盤整備積極的推進をはかることとし、総額千六百二十三億二千三百万円を計上しております。  林業に関しましては、林道事業について百十九億四千七百万円、造林事業について七十七億三百万円を計上し、その推進をはかることとしております。  また、治山事業につきましては、四十三年度を始期とする新治山事業五カ年計画の第二年目として総額二百六十億四千五百万円を計上し、民有林及び重要流域国有林治山事業推進することとしております。  漁業に関しましては、最近における漁業情勢の進展に即応して、新たに昭和四十四年度から五カ年にわたる第四次漁港整備計画を策定することとし、この新計画に基づいて漁港修築事業等推進するとともに、大型魚礁設置事業浅海漁場開発事業調査等拡充をはかることとして、総額百九十一億二百万円を計上いたしております。  第二に、農林漁業生産対策に関する予算について申し上げます。  まず、米生産対策につきましては、米の主産地域を中心として生産性の高い稲作経営の確立を期するとともに、米の品質改善に重点を置いて必要な施策推進することとし、このため、高度集団栽培促進事業等を引き続き実施するほか、今後の米の生産対策について新たな展開をはかるため、米の主産地域において広域的な米の生産流通の抜本的な合理化等その総合的改善方策の確立、普及をはかるためのパイロット事業を行なうこととしております。  また、麦生産対策につきましては、表裏作を通ずる一貫した機械化作業体系化品質改善をはかること等により、生産性向上しつつ主産地育成推進することとし、このため、新たに麦作団地育成対策事業を実施する等麦生産対策拡充強化することとしております。  このほか、農作物種子対策地力保全事業植物防疫事業等推進することとしており、以上を合わせ米麦生産対策に要する経費として二十二億七千三百万円を計上しております。  ところで、米の生産対策基本方向は、ただいま申し上げましたとおり、生産性向上と品質の改善に重点を置いた施策強化でありますが、最近における米の需給事情は、周知のとおり大幅に緩和しておりますので、これに即応して米の生産調整をはかる必要が生じております。  そこで、昭和四十四年度においては、新たに稲の作付を今後生産を伸ばすべき飼料作物園芸作物等に転換することを誘導することとし、転換奨励金、転換に必要な機械施設導入助成等のため三十億二千四百万円を計上しております。  次に、畜産生産振興対策について申し上げます。  まず、飼料自給度向上をはかるため、草地改良事業を計画的かつ強力に推進することとし、その一環として既耕地とその周辺部の未利用地を一体として畜産的利用に供するため、新たに飼料基盤整備特別対策事業を実施するほか、既耕地に対する飼料作物積極的導入のための飼料作物総合増産対策を引き続き推進することとしております。  さらに、乳牛及び肉牛の安定的供給等をはかるための生産性の高い大規模牧場創設事業、酪農及び肉用牛経営経営技術改善をはかるための指導的施設設置事業等を新たに実施するほか、家畜導入事業強化乳用牛集団育成事業拡充里山利用肉用牛増殖育成事業拡充家畜改良増殖推進家畜衛生対策強化等の諸施策推進することとし、以上を合わせ畜産生産振興対策として百十四億四千七百万円を計上しております。  次に、蚕糸園芸生産振興対策について申し上げます。  まず、養蚕生産対策につきましては、新たに山地における養蚕合理化施設導入を加え、繭生産改善推進施設設置事業拡充強化することとしております。  野菜生産対策につきましては、指定野菜の拡大、指定消費地域の追加、野菜指定産地の増加、生産出荷近代化事業拡充等野菜指定産地計画的育成をはかることとし、果実につきましては、引き続き広域の主産地の形成につとめるとともに、新たに高度な省力栽培技術改良普及を目ざす果樹栽培省力化促進事業を実施することとし、特産農産物及び甘味資源作物につきましては、それぞれ引き続き地域特産農業推進対策及び甘味資源生産合理化推進地区設置等生産性向上をはかるための施策拡充することとし、さらにこれらに加え、畑地の生産力増強近代的作付体系確立等を目途に畑作経営総合改善をはかる施策を新たに講ずる等、以上を合わせ蚕糸園芸生産振興対策として四十一億二千五百万円を計上しております。  林業生産対策につきましては、引き続き優良種苗確保事業森林病害虫等防除事業等を実施することとし、これらに要する経費六億六千万円を計上するほか、最近における木材需給動向にかんがみ、里山を中心とする低位利用広葉樹林合理的利用の促進とあと地高度利用をはかるため、新たに簡易林道の開設、集団的な伐採、造林等を総合的に推進する里山再開発事業をパイロット的に実施することとし、所要予算を計上しております。  漁業生産対策につきましては、動物たん白質自給度向上国際漁場におけるわが国漁業の地位の確保に資するため、遠洋の未開発漁場について大規模な開発調査拡充実施するとともに、新たに外国沿岸漁場におけるわが国漁船の操業の確保と円滑な進出をはかるに必要な調査を実施するほか、引き続き沿岸漁場等における水産資源保護培養対策強化、内水面における地域振興対策拡充等をはかることとし、これらに要する経費十三億六千二百万円を計上しております。  第三に、生鮮食料品等価格の安定並びに流通加工近代化及び消費者保護対策充実に関する予算について申し上げます。  まず、畜産物価格安定及び流通改善対策につきましては、引き続き加工原料乳に対する不足払い制度に必要な交付金及び学校給食用牛乳供給に必要な交付金畜産振興事業団に交付するとともに、同事業団の行なう価格安定業務の円滑な実施をはかるため追加出資を行なうこととし、さらに、生乳流通改善施設食肉センター設置等推進するほか、食鶏処理加工合理化施設鶏卵出荷合理化モデル施設設置につき新たに助成することとし、これらに要する経費百七十三億九千七百万円を計上しております。  次に、野菜価格安定及び青果物流通改善対策につきましては、青果物出荷調整対策等推進するとともに、野菜生産出荷安定資金協会が行なう野菜価格補てん事業拡充強化することとし、これらに要する経費二億二百万円を計上しております。  水産物価格安定及び流通改善対策につきましては、引き続き産地流通加工施設建設事業等推進するほか、新たな角度から冷凍魚流通改善推進するための事業を実験的に行なうとともに、わが国漁業生産構造の変化に即応し、拠点的な産地流通加工センターの形式についての調査検討を行なうこととし、これらに要する経費三億四千九百万円を計上しております。また、真珠養殖事業の不況に対処するため、真珠の調整保管等について助成措置を講ずることとし、二億一千三百万円を計上いたしております。  生鮮食料品等流通及び加工近代化につきましては、中央卸売市場、拠点的な公設の地方卸売市場整備を促進するとともに、公設小売市場大型米穀搗精施設等整備推進するほか、小売り業者に対する指導、中小企業近代化促進食品工業に対する内外技術提供等事業を実施することとし、これらに要する経費二十三億八千六百万円を計上しております。  なお、以上の措置に加えて、農林漁業金融公庫に設けられた卸売市場近代化資金及び国民金融公庫に設けられた生鮮食料品等小売業近代化貸付制度拡充をはかることといたしております。  次に、消費者保護対策につきましては、農林物資規格等設定普及消費者向け情報提供等事業を拡大実施するとともに、新たに都道府県に設けられる生活センター食品テスト施設の整備等の事業を実施することとし、これらに要する経費一億五百万円を計上いたしております。  第四に、農林漁業の構造改善推進に関する予算について申し上げます。  まず、経営規模が大きく生産性の高い自立経営と効率の高い集団的生産組織の育成助長を推進するため、農地の流動化が促進されるよう所要の措置を講ずることとし、八千二百万円を計上しております。  農業構造改善事業につきましては、現行事業について当初計画どおり四十五年度終了を目標として、継続地域及び新規地域における事業推進することとしておりますが、最近における農業をめぐる諸情勢の推移に対処して、地域の条件に応じ、規模の大きく生産性の高い農業経営が地域農業の中核的地位を占める農業構造の実現をはかることを目標として、第二次農業構造改善事業を全国二千二百五十地区につき四十四年度以降十年間に計画を樹立して実施することとし、四十四年度においては二百地区につき計画を樹立することとするほか、引き続き農業経済圏における広域の農業近代化施設等の整備を進めることとして、総額二百五十四億八千九百万円を計上しております。  また、土地の農業上の有効利用、農地保有の合理化農業経営の近代化及び生産基盤の整備に関する措置を総合的、計画的に推進するため、農業振興地域制度を発足させることとし、このために必要な経費一億五千八百万円を計上するとともに、引き続き集団的生産組織育成対策を推進することとしております。  さらに、農業者年金制度については、現在検討されております国民年金の改善との関連を考慮しつつ、四十五年度実施を目途に調査検討を行なうこととし、このため一千万円の調査費を計上しております。  以上のほか、農業経営の上向発展を志向する農業者の資金需要を包括的に充足するため、前年度から発足した総合資金制度を一そう拡充することとしております。  林業構造改善事業につきましては四十五億二千一百万円を計上し、事業の計画的推進をはかることとしております。  沿岸漁業構造改善事業につきましては十五億六千四百万円を計上し、経営近代化促進事業、同補促整備事業及び漁場造成改良事業を引き続き実施するほか、新たに沿岸漁業対策の問題点と今後の施策のあり方を検討するための調査を行なうこととしております。  第五に、農山漁村対策拡充するための予算について申し上げます。  まず、農林漁業の後継者対策につきましては、農業後継者育成資金の貸し付けワクの拡大をはかるとともに、引き続き将来の林業のにない手となる山村青年の育成をはかるため、実践活動の場として青年の山の造成を促進するほか、農業者大学校(仮称)をはじめ各種の教育研修施設の整備、農村青少年育成対策等を拡充実施することとし、これらに要する経費六億一千五百万円を計上しております。  また、最近の農業労働力をめぐる諸情勢に対処して農業就業の近代化をはかるため、新たに農業就業近代化対策事業を実施することとして、一億二千二百万円を計上しております。  次に、農山漁村の環境整備につきましては、農林漁業用道路の整備拡充実施するとともに、農家生活改善資金の貸し付けワクの拡大、生活改善特別事業拡充、住宅金融公庫の農山漁村住宅資金の活用、僻地農山漁村電気導入事業等を引き続き行なうこととし、さきに述べましたものを含め、これらに要する経費として総額百四十五億一千三百万円を計上しております。  山村振興対策につきましては、振興山村における農道及び林道等の整備について特に配慮するとともに、二十億三千九百万円を計上して引き続き振興山村農林漁業特別開発事業を計画的に実施することとしております。  第六に、農林漁業近代化推進に必要な農林金融の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、農林漁業の経営構造改善基盤整備及び卸売市場近代化等に必要な資金を拡充するため、新規貸し付けワクを二千二十億円に拡大し、この原資として財政投融資一千四百五十六億円を予定するとともに、一般会計から同公庫に対し補給金百一億四千万円を交付することとしております。  次に、農業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを三千億円に拡大することとし、所要の利子補給補助等を行なうとともに、同資金にかかる債務保証制度を拡充強化するため、農業信用基金協会に対する都道府県の出資について助成するに必要な経費六十七億三千万円を計上しております。  また、農業改良資金制度につきましては、技術導入資金について、前年度に引き続き集団的生産組織の育成をはかるための集団的技術共同導入資金の貸し付けを行なうとともに、農業後継者育成資金及び農家生活改善資金を含めて貸し付けワクを百十七億円に拡大し、これに要する経費三十七億四千二百万円を計上しております。  また、林業信用基金の債務保証業務の円滑化をはかるため、同基金に対し一億円の出資を行なうこととしております。  さらに、漁業者等の資本装備高度化をはかり、その経営の近代化を促進するため、新たに漁協系統資金を活用した漁業近代化資金融通制度を創設して、漁船、漁具等の整備拡充に必要な資金の融通をはかることとし、四十四年度においては貸し付け資金ワク百億円を予定するとともに、利子補給補助等に要する経費として二千四百万円を計上しております。  なお、遠洋漁業について国際的漁場における国際競争力の強化等をはかるため、その漁船の建造等に対し新たに日本開発銀行からの特利、特ワクによる資金融通の道を開くこととしております。  以上のほか、農林漁業施策推進のために重要な予算について申し上げます。  まず、農林水産業試験研究につきましては、試験研究費の増額、試験研究体制の整備、都道府県に対する助成の充実等により試験研究拡充強化をはかるとともに、新たにたん白質の高度利用技術及び資源開発に関する総合研究等を行なうほか、熱帯、特に東南アジア地域の農業協力の要請に対処し、かつ、わが国の農業研究の発展に資するため、農林省の付属機関として熱帯農業研究センター(仮称)を設置することとし、これらに要する経費百四十二億九千一百万円を計上しております。  次に、農林水産業改良普及事業につきましては、農業関係について新たに現地技術確定事業畜産専門改良普及員の緊急養成研修を行なうほか、引き続き普及体制の整備、機動力の強化、職員設置費の補助単価の是正等を行なうこととし、農業改良普及事業に六十九億五千七百万円、生活改善普及事業に十五億二千二百万円、畜産経営技術指導事業に二億四千一百万円、蚕糸技術改良事業に十億三千一百万円、林業普及指導事業に十三億一百万円、水産業改良普及事業に二億三千三百万円をそれぞれ計上しております。  農業災害補償制度につきましては、掛け金国庫負担金を増額するほか、家畜共済損害防止事業強化、果樹保険事業の試験実施の推進農業共済団体職員給与の改善等を行なうこととし、これらに要する経費四百十五億二千六百万円を計上しております。  また、わが国の農林業の基本構造と動向及び農山村の生産、生活環境を明らかにし、農林業施策推進に必要な基本資料を整備するとともに、農業の国際比較に必要な統計を作成するため、一九七〇年世界農林業センサスを行なうこととし、これに要する経費十七億五千三百万円を計上しております。  このほか、農業関係につきましては、開拓者の営農振興対策として二十四億六千六百万円、農産物の輸出振興対策として十二億七千四百万円、農業資材の価格流通対策として三十五億六千万円、農業団体の整備強化対策として三十六億七千二百万円をそれぞれ計上しております。  林業関係につきましては、さきに述べましたもののほか、森林計画制度及び保安林の整備について七億三千四百万円、入り会い林野等の整備促進対策を含む森林組合の育成対策として五千七百万円をそれぞれ計上しております。  水産業関係につきましては、すでに述べましたもののほか、漁船損害補償制度の実施費として十四億四千三百万円、漁業災害補償制度の実施費として十億七百万円、水産業協同組合の育成指導対策として四千七百万円をそれぞれ計上しております。  農林水産関係の災害対策公共事業につきましては、海岸事業及び農地、農業用施設、治山施設、林道、漁港等の災害復旧等の事業推進をはかることとし、総額二百七十八億七千七百万円を計上しております。  次に、昭和四十四年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧の管理について、予算補正を当初から予定しない考え方のもとに、政府を通さない米穀の流通を認めるなど管理制度の適切な運営をはかることとしております。このため所要予算を計上するとともに、一般会計から調整勘定へ二千九百七十億円を繰り入れることとしております。  また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため必要な予算を計上し、輸入飼料勘定へは一般会計から三十一億円を繰り入れることとしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額三百一億五千二百万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林事業特別会計につきましては、国有林事業勘定において、国有林事業の一そう合理的な実施運営をはかるとともに、治山勘定において民有林治山事業及び国有林野内臨時治山事業を実施することとし、必要な予算を計上しております。  第四に、漁船再保険及漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から総額二十三億三千二百万円を繰り入れることとしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要予算を計上しております。  なお、糸価安定特別会計につきましては、その業務を日本蚕糸事業団の業務に統合し、より合理的な繭糸価係の安定をはかることとして、四十四年度からこれを廃止することとしております。  最後に、昭和四十四年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。  財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫ほか三機関及び二特別会計を合わせて、総額千六百七十一億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。  これをもちまして、昭和四十四年度農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。(拍手)
  7. 丹羽兵助

    丹羽委員長 以上で小沢農林政務次官説明は終わりました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会