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1969-07-22 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月二十二日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    赤城 宗徳君       井出一太郎君    菊池 義郎君       坂本三十次君    田中 龍夫君       野呂 恭一君    古内 広雄君       三池  信君    山口 敏夫君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君  出席政府委員         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         経済企画政務次         官       登坂重次郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         林野庁林政部長 大山 一生君         通商産業省重工         業局重工業品輸         出課長     土谷 直敏君         労働省労政局労         働法規課長   大塚 達一君         労働省労働基準         局監督課長   細野  正君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 七月二十二日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として坂  本三十次君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂本三十次君辞任につき、その補欠として  葉梨信行君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月十一日  靖国神社国家護持に関する請願外八件(荒舩清  十郎君紹介)(第一〇一〇八号)  同外四十五件(一萬田尚登紹介)(第一〇一  〇九号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇一一〇号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇一一一号)  同(海部俊樹紹介)(第一〇一一二号)  同外八件(鴨田宗一紹介)(第一〇一一三  号)  同外十件(木野晴夫紹介)(第一〇一一四  号)  同外十六件(長谷川峻紹介)(第一〇一一五  号)  同外八件(船田中紹介)(第一〇一一六号)  同外五件(村上信二郎紹介)(第一〇一一七  号)  同外五件(八木徹雄紹介)(第一〇一一八  号)  同外百八十二件(荒舩清十郎紹介)(第一〇  一四二号)  同外六件(小川平二紹介)(第一〇一四三  号)  同(小宮山重四郎紹介)(第一〇一四四号)  同外一件(山口敏夫紹介)(第一〇一四五  号)  同外二件(上村千一郎紹介)(第一〇二七七  号)  同外六件(大坪保雄紹介)(第一〇二七八  号)  同外八件(大橋武夫紹介)(第一〇二七九  号)  同外十一件(加藤常太郎紹介)(第一〇二八  〇号)  同外七件(海部俊樹紹介)(第一〇二八一  号)  同外四件(齋藤邦吉紹介)(第一〇二八二  号)  同外二件(菅波茂紹介)(第一〇二八三号)  同外八件(田中龍夫紹介)(第一〇二八四  号)  同外一件(中川俊思君紹介)(第一〇二八五  号)  同外三件(永田亮一紹介)(第一〇二八六  号)  同外二件(中山榮一紹介)(第一〇二八七  号)  同(葉梨信行紹介)(第一〇二八八号)  同外十三件(早川崇紹介)(第一〇二八九  号)  同外十六件(福家俊一紹介)(第一〇二九〇  号)  同外三件(保利茂紹介)(第一〇二九一号)  同外十二件(粟山秀紹介)(第一〇二九二  号)  同(渡辺肇紹介)(第一〇二九三号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外二十五  件(麻生良方紹介)(第一〇一三二号)  同外三十二件(池田禎治紹介)(第一〇一三  三号)  同外二十一件(小沢貞孝紹介)(第一〇一三  四号)  同外三十三件(折小野良一紹介)(第一〇一  三五号)  同外四十一件(春日一幸紹介)(第一〇一三  六号)  同外十三件(河村勝紹介)(第一〇一三七  号)  同外二十六件(鈴木一紹介)(第一〇一三八  号)  同外九件(竹本孫一紹介)(第一〇一三九  号)  同外十七件(玉置一徳紹介)(第一〇一四〇  号)  同外二十二件(和田耕作紹介)(第一〇一四  一号)  同外十二件(麻生良方紹介)(第一〇二六九  号)  同外十二件(小沢貞孝紹介)(第一〇二七〇  号)  同外十二件(春日一幸紹介)(第一〇二七一  号)  同外二十九件(河村勝紹介)(第一〇二七二  号)  同外十二件(鈴木一紹介)(第一〇二七三  号)  同外十九件(曽祢益紹介)(第一〇二七四  号)  同外七件(門司亮紹介)(第一〇二七五号)  同外二十五件(和田耕作紹介)(第一〇二七  六号)  同外二件(池田禎治紹介)(第一〇四二三  号)  同外一件(河村勝紹介)(第一〇四二四号)  同外二件(和田耕作紹介)(第一〇四二五  号)  靖国神社国家管理反対に関する請願赤路友藏  君紹介)(第一〇二九四号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一〇二九五号)  同(井手以誠君紹介)(第一〇二九六号)  同(猪俣浩三紹介)(第一〇二九七号)  同(石川次夫紹介)(第一〇二九八号)  同(石野久男紹介)(第一〇二九九号)  同(太田一夫紹介)(第一〇三〇〇号)  同(岡田利春紹介)(第一〇三〇一号)  同(岡田春夫紹介)(第一〇三〇二号)  同(勝間田清一紹介)(第一〇三〇三号)  同(唐橋東紹介)(第一〇三〇四号)  同(川村継義紹介)(第一〇三〇五号)  同外二件(河上民雄紹介)(第一〇三〇六  号)  同(黒田寿男紹介)(第一〇三〇七号)  同(小林信一紹介)(第一〇三〇八号)  同(河野密紹介)(第一〇三〇九号)  同(佐々栄三郎紹介)(第一〇三一〇号)  同(佐々木更三君紹介)(第一〇三一一号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第一〇三一二号)  同(島本虎三紹介)(第一〇三一三号)  同(下平正一紹介)(第一〇三一四号)  同外一件(田邊誠紹介)(第一〇三一五号)  同(田原春次紹介)(第一〇三一六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一〇三一七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第一〇三一八号)  同(戸叶里子紹介)(第一〇三一九号)  同(中澤茂一紹介)(第一〇三二〇号)  同(成田知巳紹介)(第一〇三二一号)  同(浜田光人紹介)(第一〇三二二号)  同(原茂紹介)(第一〇三二三号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第一〇三二四  号)  同外八件(帆足計紹介)(第一〇三二五号)  同外一件(穗積七郎紹介)(第一〇三二六  号)  同(松本七郎紹介)(第一〇三二七号)  同(三宅正一紹介)(第一〇三二八号)  同(美濃政市紹介)(第一〇三二九号)  同(八百板正紹介)(第一〇三三〇号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第一〇三三一号)  同(柳田秀一紹介)(第一〇三三二号)  同(山口鶴男紹介)(第一〇三三三号)  同(山花秀雄紹介)(第一〇三三四号)  同(山本幸一紹介)(第一〇三三五号)  同(山本政弘紹介)(第一〇三三六号)  同(山本弥之助紹介)(第一〇三三七号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第一〇三三八号) 同月十四日  靖国神社国家護持に関する請願外二件(稻葉修  君紹介)(第一〇四二六号)  同外五件(上村千一郎紹介)(第一〇四二七  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇四二八号)  同外一件(小川平二紹介)(第一〇四二九  号)  同外十五件(亀山孝一紹介)(第一〇四三〇  号)  同外十二件(仮谷忠男紹介)(第一〇四三一  号)  同(登坂重次郎紹介)(第一〇四三二号)  同外一件(中山榮一紹介)(第一〇四三三  号)  同外四件(永田亮一紹介)(第一〇四三四  号)  同外一件(葉梨信行紹介)(第一〇四三五  号)  同(毛利松平紹介)(第一〇四三六号)  同外二十六件(大橋武夫紹介)(第一〇四九  九号)  同外二件(葉梨信行紹介)(第一〇五〇〇  号)  同(渡辺肇紹介)(第一〇五〇一号)  同外四十一件(稻葉修紹介)(第一〇五一五  号)  同外二件(上村千一郎紹介)(第一〇五一六  号)  同外十一件(植木庚子郎君紹介)(第一〇五一  七号)  同外二十三件(大竹太郎紹介)(第一〇五一  八号)  同(久保田藤麿紹介)(第一〇五一九号)  同外十二件(砂田重民紹介)(第一〇五二〇  号)  同外三十四件(谷垣專一君紹介)(第一〇五二  一号)  同外二十七件(塚田徹紹介)(第一〇五二二  号)  同外五件(辻寛一紹介)(第一〇五二三号)  同(永山忠則紹介)(第一〇五二四号)  同外十五件(橋本龍太郎紹介)(第一〇五二  五号)  同外二十九件(坊秀男紹介)(第一〇五二六  号)  同外四件(三池信紹介)(第一〇五二七号)  同外二件(八木徹雄紹介)(第一〇五二八  号)  同外二件(相川勝六紹介)(第一〇六二六  号)  同外二十六件(阿部喜元紹介)(第一〇六二  七号)  同外十件(浦野幸男紹介)(第一〇六二八  号)  同外一件(江崎真澄紹介)(第一〇六二九  号)  同外二件(大坪保雄紹介)(第一〇六三〇  号)  同外十二件(大村襄治紹介)(第一〇六三一  号)  同外十一件(木野晴夫紹介)(第一〇六三二  号)  同外三十五件(谷垣專一君紹介)(第一〇六三  三号)  同外十六件(辻寛一紹介)(第一〇六三四  号)  同外十件(永田亮一紹介)(第一〇六三五  号)  同外十件(八田貞義紹介)(第一〇六三六  号)  同外十件(原健三郎紹介)(第一〇六三七  号)  同外三件(福井勇紹介)(第一〇六三八号)  同外十五件(藤本孝雄紹介)(第一〇六三九  号)  同外四十二件(渡辺肇紹介)(第一〇六四〇  号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外三件(  池田禎治紹介)(第一〇四三七号)  同外二件(小沢貞孝紹介)(第一〇四三八  号)  同外二件(和田耕作紹介)(第一〇四三九  号)  同外五件(和田耕作紹介)(第一〇五〇八  号)  同外二十件(小沢貞孝紹介)(第一〇五〇九  号)  同外二十二件(河村勝紹介)(第一〇六一九  号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外一件(大  出俊君紹介)(第一〇四四〇号)  同(河上民雄紹介)(第一〇四四一号)  同(林百郎君紹介)(第一〇五〇二号)  同(松本善明紹介)(第一〇五〇三号)  同(田代文久紹介)(第一〇五一〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第一〇五一一号)  同(林百郎君紹介)(第一〇五一二号)  同(松本善明紹介)(第一〇五一三号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第一〇五一四号)  同(河上民雄紹介)(第一〇六二〇号)  同(田代文久紹介)(第一〇六二一号)  同(谷口善太郎紹介)(第一〇六二二号)  同(林百郎君紹介)(第一〇六二三号)  同(松本善明紹介)(第一〇六二四号)  恩給改善に関する請願外一件(池田清志君紹  介)(第一〇四四二号)  靖国神社国家護持立法化反対に関する請願(  野間千代三君紹介)(第一〇六二五号) 同月十九日  靖国神社国家護持に関する請願外九十六件(池  田清志紹介)(第一〇六八四号)  同外六件(大竹太郎紹介)(第一〇六八五  号)  同外十三件(木野晴夫紹介)(第一〇六八六  号)  同外七件(藤井勝志紹介)(第一〇六八七  号)  同外十九件(堀川恭平紹介)(第一〇六八八  号)  同外一件(赤城宗徳紹介)(第一〇七八四  号)  同外二十五件(有田喜一紹介)(第一〇七八  五号)  同外十三件(井原岸高紹介)(第一〇七八六  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇七八七号)  同外三十五件(小川半次紹介)(第一〇七八  八号)  同(外四件大坪保雄紹介)(第一〇七八九  号)  同外二十三件(鍛冶良作紹介)(第一〇七九  〇号)  同外四件(川野芳滿紹介)(第一〇七九一  号)  同外十二件(田村良平紹介)(第一〇七九二  号)  同(塚田徹紹介)(第一〇七九三号)  同外二件(中馬辰猪紹介)(第一〇七九四  号)  同外十件(西岡武夫紹介)(第一〇七九五  号)  同外六件(保利茂紹介)(第一〇七九六号)  同外十七件(細田吉藏紹介)(第一〇七九七  号)  同外二件(八木徹雄紹介)(第一〇七九八  号)  同(渡辺肇紹介)(第一〇七九九号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇八七九号)  同外四件(小澤太郎紹介)(第一〇八八〇  号)  同外二件(大坪保雄紹介)(第一〇八八一  号)  同外十件(金子岩三紹介)(第一〇八八二  号)  同外八十二件(草野一郎平紹介)(第一〇八  八三号)  同外十一件(倉成正紹介)(第一〇八八四  号)  同外四百八十一件(高橋清一郎紹介)(第一  〇八八五号)  同外三件(渡海元三郎紹介)(第一〇八八六  号)  同外一件(橋本登美三郎紹介)(第一〇八八  七号)  同外八件(早稻田柳右エ門紹介)(第一〇八  八八号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外十六件  (池田禎治紹介)(第一〇六八九号)  同外八件(塚本三郎紹介)(第一〇八〇〇  号)  同外二件(小沢貞孝紹介)(第一〇八八九  号)  同外三件(河村勝紹介)(第一〇八九〇号)  同外六件(和田耕作紹介)(第一〇八九一  号)  靖国神社国家護持立法化反対に関する請願(  中嶋英夫紹介)(第一〇六九〇号)  同(帆足計紹介)(第一〇六九一号)  同(柳田秀一紹介)(第一〇六九二号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第一〇六九三号)  靖国神社国家管理反対に関する請願阿部昭吾  君紹介)(第一〇六九四号)  同(井上普方紹介)(第一〇六九五号)  同(石川次夫紹介)(第一〇六九六号)  同(小川三男紹介)(第一〇六九七号)  同(太田一夫紹介)(第一〇六九八号)  同(加藤万吉紹介)(第一〇六九九号)  同(勝間田清一紹介)(第一〇七〇〇号)  同(川崎寛治紹介)(第一〇七〇一号)  同(河上民雄紹介)(第一〇七〇二号)  同(木原津與志君紹介)(第一〇七〇三号)  同(北山愛郎紹介)(第一〇七〇四号)  同(工藤良平紹介)(第一〇七〇五号)  同(黒田寿男紹介)(第一〇七〇六号)  同(佐々木更三君紹介)(第一〇七〇七号)  同(島上善五郎紹介)(第一〇七〇八号)  同外一件(田代文久紹介)(第一〇七〇九  号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第一〇七一〇  号)  同(千葉佳男紹介)(第一〇七一一号)  同(永井勝次郎紹介)(第一〇七一二号)  同(成田知巳紹介)(第一〇七一三号)  同(西風勲紹介)(第一〇七一四号)  同(野口忠夫紹介)(第一〇七一五号)  同外一件(林百郎君紹介)(第一〇七一六号)  同(松本七郎紹介)(第一〇七一七号)  同外一件(松本善明紹介)(第一〇七一八  号)  同(八百板正紹介)(第一〇七一九号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第一〇七二〇号)  同(山本幸一紹介)(第一〇七二一号)  同(渡辺芳男紹介)(第一〇七二二号)  同(猪俣浩三紹介)(第一〇八〇一号)  同(岡田春夫紹介)(第一〇八〇二号)  同(河上民雄紹介)(第一〇八〇三号)  同(島本虎三紹介)(第一〇八〇四号)  同外一件(田代文久紹介)(第一〇八〇五  号)  同(田邊誠紹介)(第一〇八〇六号)  同(田原春次紹介)(第一〇八〇七号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第一〇八〇八  号)  同(戸叶里子紹介)(第一〇八〇九号)  同外一件(林百郎君紹介)(第一〇八一〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一〇八一一号)  同(穗積七郎紹介)(第一〇八一二号)  同外一件(松本善明紹介)(第一〇八一三  号)  同(山内広紹介)(第一〇八一四号)  同(山崎始男紹介)(第一〇八一五号)  同(山花秀雄紹介)(第一〇八一六号)  同(山本政弘紹介)(第一〇八一七号)  同外一件(田代文久紹介)(第一〇九一六  号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第一〇九一七  号)  同外一件(林百郎君紹介)(第一〇九一八号)  同外一件(松本善明紹介)(第一〇九一九  号)  恩給改善に関する請願外一件(池田清志君紹  介)(第一〇七二三号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願長谷川  峻君紹介)(第一〇九〇四号)  旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する  法律の一部改正に関する請願長谷川峻君紹  介)(第一〇九〇五号)  旧勲章年金受給者に関する特別措置法の一部改  正に関する請願長谷川峻紹介)(第一〇九  〇六号)  戦傷病者に対する叙位、叙勲に関する請願(長  谷川峻紹介)(第一〇九〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第七号)  国の防衛に関する件  行政機構並びにその運営に関する件      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  この際、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  自衛隊及び基地実情調査のため、各地に委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、衆議院規則第五十五条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣地派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田義光

    藤田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  5. 藤田義光

    藤田委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
  6. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁のほうにちょっとお聞きしたいのですが、この間、天ケ森の射爆場についていろいろ質問しました。その後また射爆場へ行く途中で実弾を落としたという事件が起こっておるようですね。これは県内ではありません。どこか別なほうから天ケ森に行く途中で落とした事件が起こりました。ひとつ詳しく御報告願いたいと思います。
  7. 山上信重

    山上政府委員 実はただいまこまかい資料を手元に持ってまいりませんので、あるいは事実について多少間違いがあるかもしれませんがお許し願って、概略だけ御説明をいたしたいと思います。  去る金曜日、先週の金曜日でございますが、金曜日の午前十時過ぎであったと思いますが、岩国基地所属F4ファントム機岩国から三沢方向に向けて飛しょう中に、岐阜県の上空におきましてスパロー、いわゆるスパロー型のミサイルを一個誤って落としたということが同日の夕方に連絡がございました。  これは、落とした場所につきましては、当初予想されたところと若干その後において変化がございまして、風速等からいって少し変わったところに落ちたようでございますが、現在では東経百三十七度十二分、北緯三十五度四十五分の地点と推定されておりますが、これは岐阜県の益田郡下呂町、金山町、馬瀬村を結ぶ線内の山林と推定されておりますが、そこに落としました。  この飛行機は直ちに、事故岩国基地に戻しまして、目下事故原因を究明中でございますが、一応関係者から得た情報では、現在のところ電気系統の故障に基因して発生したものではないかというふうに考えられております。  ミサイルにつきましては、落下いたしましても、たまの性質上発進せしめたものでないものでございますので、爆発の危険性はまずないであろうというふうに推定されておるのでございますが、なお地元民の方々がいろいろまた御不安を持たれてもいけないということで、米軍が自身もヘリコプター等を飛ばして捜査に当たっておりますが、警察におきましても種々方法を講じて、地元の消防団その他の協力も得て捜査に当たっておるのでございます。ただ、何せ落としたものが小さなたま一個でございますので、しかも落とした地域が非常な山林の山奥であるというような実情から捜査して早急に見つけるということは非常に困難のようでございます。そこで、防衛庁長官も特に御心配をなさいまして、自衛隊をこの捜査協力をさせようということで日曜日から引き続き現在レインジャー部隊等を派遣いたしまして捜査に当たっておるのでございますが、現在までの報告ではまだたまを発見するには至っていないというのが実情でございます。
  8. 淡谷悠藏

    淡谷委員 有田長官お見えになりましたので、お忙しいようですから端的にお尋ねします。  この間この委員会で例の水戸爆場の移転について新島を考慮中で三沢については考えていないということを二度ほど確言されております。その翌日か翌々日あたり新聞新島はもうだめなんだ、また三沢に持っていくのだということが大きく報道されております。さらにまた硫黄島その他のことも出てきたようですけれども、まさか答弁された長官がすぐそれをくつがえしてああいう発言をしたとは私は考えられませんが、もしああいう発言をされたのであれば、これは容易ならない食言だと思っております。その点をはっきり確かめておきたいと思います。
  9. 有田喜一

    有田国務大臣 新聞には憶測記事でしょうがいろいろなことが書いてあります。実は私のほうも迷惑しておるわけなんですが、私は水戸爆場というものを何とか早く移転しなくちゃならぬ、この気持ちはただいまも持っております。といって、ここで申したように、いま三沢にそれを持っていくというようなことは毛頭考えておりません。また新島につきましてはこれはいままでの距離の関係なんかいろいろな制約がありまして、とりあえず新島ということに一応はなっておったのでございますけれども、これは方向その他の関係でなかなかむずかしい問題がある。それでそういう条件なんかをひとつ緩和しなくちゃあの工事は進まぬということを、この間の安保協議会におきましても私は主張をいたしました。それはアメリカ側も了解いたしました。そういうようなことで、いま三沢に持っていくなんということは全然考えておりません。
  10. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一問だけお願いしておきます。  天ケ森の射爆場を中心に非常に不安な状態が起こっておる。きょうはその質問をしようと思っておるのですけれども、そのときにあたかもまた水戸爆場が移るといったようなことが誤報にせよ報道されたものですから、現地の受けたショックは非常に大きい。知事は、自民党の知事ですが、その知事でさえも、これはたまらぬといって先頭に立って、全県あげての反対運動をやろうという声が起こっておるのです。これはけっこうなことですが、ついでに天ケ森の射爆場も運動が起こってくればいいと思っておりますが、このような大きな不安を与えるような大臣のことばが報道されたので、やはりこの委員会でははっきり三沢には持っていかないのだということを大臣の口から最終的にひとつ御答弁願いたいと思います。
  11. 有田喜一

    有田国務大臣 実は青森県の知事も先般私のところへやってまいりました。そのときにもやはり新聞報道のことを言われておりましたけれども、これは私は新聞記者の諸君にもあまり罪なことを書くじゃないよ、こちらが考えているんならともかくも考えてもいないようなことを、というようなことも言うたのでありますが、これは全く新聞記者の憶測記事でありまして、私からそういうことは全然申しておりませんから、この点はひとつはっきりしておきます。
  12. 淡谷悠藏

    淡谷委員 わかりました。  なお天ケ森の射爆場についても質問をしておりますが、大臣が時間の許す限りお聞き願っておればけっこうでございます。他にきまった御予定がございますれば、私は大臣を拘束いたしません。  それからもう一つ、施設庁長官に聞いておきますが、ことしの三月、また現地で誤爆か誤投かの事件が起こっておるようでございますが、これはお聞きになっておりますか。
  13. 山上信重

    山上政府委員 ちょっと、私ただいま記憶にございませんので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  14. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、ぜひお調べおきを願いたいと思うのです。  実は、この間現地へ行ってみまして、最近また非常にその誤射、誤投その他のことが起こっているやに聞いてきたのですが、これはまあ現地を一ぺんごらんになるとはっきりいたしますがね。この前、お答えがあった自衛隊機の誤射事件なども、あれは危険区域の中ですか外ですか。
  15. 山上信重

    山上政府委員 自衛隊の誤射事件でございまするので、私がいろいろお答え申し上げるのは責でないと存じますが、あれは地域の外であったのではないかと思いまするが、その辺しかといたしたところは正確ではございませんが、たしか外であったのではないかと存じております。
  16. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのとおりです。外なんです。これは施設庁のほうの担当ですから、はっきりお答え願えると思うのですが、提供をしている危険区域というのは、どういう形になっておるか、正確なお示しを願いたいと思います。
  17. 山上信重

    山上政府委員 提供している施設の範囲でございましょうか。
  18. 淡谷悠藏

    淡谷委員 危険区域として指定されている地域であります。
  19. 山上信重

    山上政府委員 三沢対地射爆撃場の提供施設といたしましては、土地が約七百五十九万平方メートル、そのうち国有地が約六百六十万平方メートル、民公有地が九十六万平方メートルということに相なっておるのでございます。その位置の詳細については、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、お許し願いたいと思います。
  20. 淡谷悠藏

    淡谷委員 扇形に大体立ち入り禁止の区域が設定されています。その扇のかなめに当たる部分は大体陸地になっております。海面にずっと開いておる。飛行機の進入路は海のほうから入ってくるといったようなこの前の説明もありましたけれども、できるだけ危険を避けるという話があったんだが、最近は海岸沿いにずっと入ってくるのです、危険区域外の。したがって、危険区域の中というのはごく狭められていまして、入るまでの区間がたいへん長い。これは部落もあります。そこに誤投、誤爆がひんぴんと起こっていることは事実なんですね。この間も現地ではたま拾いがまだだいぶ出ておりまして、いろいろたまを拾っているのですが、信管がついたままのたまがやっぱり落ちている。子供たちが拾うのですね。ですから、一体、そういう危険な実弾を持った飛行機が、一定の進入経路を経ないで海岸沿いにずっと部落の上を飛ぶということは、許されているかどうかというような問題です。ことに米軍のほうでもそこで実験をする。自衛隊機も集まってくる。岩国からも飛ぶということになると、相当長い距離を実弾を搭載したまま飛ぶように思われますが、これに対する危険予防の措置が講ぜられておるかどうか。誤投、誤爆がなければこれはいいとしても、ひんぴんと起こるようであれば、このままでは済まぬような気がするのですが、長官のお考えをお聞きしたい。
  21. 山上信重

    山上政府委員 三沢天ケ森射爆撃場におきましては、いろいろ弾種によって方法等は異なりますが、模擬弾その他を射撃する場合の進入方法等、それぞれ大体の方向というものを危険のないようにいたすということでは、かねてから双方一致しておるのでございまして、したがいまして、いまの三月の事故ということは、私、詳細に存じませんが、特にそれによって被害があるような事故は起きなかったように私ども思っておるのでございます。事故防止についてつとめるのは、もう当然でございまするから、われわれとしても、このような方向では非常に危険だというような場合があれば、それらについて十分米軍にもまた注意を喚起し、今後とも万全を期してまいるというつもりでおる次第でございます。
  22. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ナパーム弾の実弾演習をやっておるのでしょう。ロケット弾も実弾演習をやっていますね。それから模擬爆弾というのも落ちておるのを見てきましたが、あれは模擬爆弾でも容易じゃないのですね、誤投したら。大体三キロでしょう、自衛隊が使っておるのは。そうして羽のついた相当重いものです。あれが、事件が起こらぬうちはいいけれども、万が一にでも民家へ落ちたらたいへんな被害が起こります。ですから、進入経路も海岸沿いに入ることを許されておれば取り返しがつかぬことになると思うのですね。これは大体聞いてきました。粗末な見取り図ですが、これが海面とすれば、この扇の中で飛行機が飛ぶようになっております。海岸沿いにこう入ってくるのです。誤投、誤爆がこの海岸で起こっておる。このような進入の形をさせたら、ほんの少しだけ危険区域があって、あとは自由に立ち入れるということなんです。ここに部落があります。これは天ケ森という射爆場、これは地元に与える影響もたいへん大きいし、それから地元で見ると、また非常な危険感を感じますから、これは防衛庁のほうからぜひ一ぺん見てもらいたいし、当委員会としても国政調査の一つとしてぜひお取り上げを願いたいと思うのですが、委員長、いかがでございましょうか。
  23. 藤田義光

    藤田委員長 ただいまの御発言の点は、閉会中の国政調査で善処したいと思います。
  24. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで施設庁長官、さっきの御答弁では、弾種によっては進入経路はいろいろ違うと言っておられましたが、海岸から入る飛行機は、どういうたまを積んでおるのですか。危険じゃないたまというのはないと思うのです、あれを見ていると。爆音なんかもたいへんなものです、射撃音とまじって。もう地元は実際にまいっちゃっておるのですよ。特にこういうふうな誤爆、誤投によって危険にさらされたのじゃ、実戦さながらという感じですからね。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  25. 山上信重

    山上政府委員 これにつきましては、前回お答え申し上げたのでは、ナパーム弾の投下については、海岸線と平行に入ってくるあの地域の関係上、海岸線に沿って進入方向に向かって発射されるのでそういう方向をとっておりますが、その他については必ずしもそういう方向をとっておらない。むしろ逆に海岸線から直角の方向から入ってきて海岸線に向かって撃つという射撃方法を原則としてとっておるというふうに承知しております。
  26. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ナパーム弾の実弾が使われておったらたいへん危険なんですがね。この海岸沿いに入ってきた場合、立ち入り禁止区域というのは何メートルくらいあるか。何メートルもないでしょう、地上の。
  27. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ナパーム弾を投下訓練します場合には、海岸線に沿って南北の方向で射爆場に進入するわけでございますが、この場合は、その天ケ森部落に誤投下等の起こらないように海岸線から約百メートルの距離の線を引いて、それで射爆撃場の中で投下しますと海のほうに反転するということで、米側としても十分この天ケ森部落に事故等で被害を与えないようにこのコースについては厳密に注意してやっておるというふうに聞いております。
  28. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのほうは聞いているが、私は見てきましたから、だいぶ聞くと見るとでは違ってますよ。その射爆場の広さは一体何メートルと聞いているんです。それから危険防止の処置は全然とられておりません。射爆場には射爆目的の自動車なんかたくさん並べてある。子供たちがそれを見たくて自由に入っている。親たちがついてなければあぶないというくらい。さく一つないですよ。何らそういうふうな方法をとってないでしょう。  それから入ってくる飛行機の速度はどれくらいなんですか。走っている飛行機から撃った場合、あの射爆場からそれるのはあたりまえです。走りながらバンバン撃つんですから、現在もうそれがしょっちゅうありますから、射爆場外へたまが落ちたのはたくさんある。だから、むしろ誤射、誤爆というよりは、あれが普通の形じゃないかと思うのです。距離とたまの性格あるいは方向などで、射爆場内に落ちる率は幾らもないんじゃないですか。これはもう聞いている程度じゃしょうがないと思うのですがね、根本的に考え直さなければ。
  29. 山上信重

    山上政府委員 米軍の射爆撃場の使用につきましては、前回申し上げたような弾種とそれから特にナパーム弾については、そういった方向についての協定をいたしております。その他のものにつきましては、ただいま申し上げたように、陸上から海上に向けての方向で射撃されるのが普通の経路となっておるということでございまして、これが一番危険性を少なくする方法であるというふうにわれわれ考えて同意いたしておるわけでございます。  なお、さく等を設けないということにつきましては、これは射爆撃場に対して、土地によっては地元の農民の方の立ち入りということも許す必要もございますので、そういったようなことも考慮されておりますし、地域が広うございますし、事の性質上そういったさくを設けるよりは、そういった射爆撃を行なうような場合におきましては、危険防止のためにいろいろ旗を立てるとか、監視兵を置くとかいうようなことをいたしておることと思います。  それからなお先ほどの、ありました事故につきましては、その地域につきましては米軍関係だけでなく自衛隊も共同使用で使っておりますので、これの関係のあるいはそういった問題が起きたかもしれませんが、それについては私ども詳しく承知いたしておりませんが、米軍につきましては少なくともそういったようなことで、きわめて厳正な安全を保つように努力いたしておるということを申し上げておきたいと思います。
  30. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは技術的に海岸沿いにナパーム弾を撃ち込んだ場合に、あの射爆場だけで限定されるかどうか、ひとつ検討してみたらどうですか。これは私はそういうことは知りませんけれども、行ってみるとほとんど射爆場外に落ちるたまが多いと言ってもいいくらい落ちているのですね。あまり距離はないでしょう、射爆場は、海岸沿いに行った場合は。何メートルありますか。
  31. 山上信重

    山上政府委員 ちょっと長さについて正確な資料を持ち合わせませんのですが、面積につきましては、先ほど私がお答え申し上げましたとおりでございまして、全体で七百六十万平米程度ございますので、そう狭い射爆場とも言えないと思うのでございます。この地域につきましては、先生すでに十分御承知のとおり、比較的海岸沿いに長くなっております。したがって、南北に長く東西は非常に短いということで、ナパーム弾を東西に向かってもし発射いたしますと、たまが前進方向に向かって発射されますので、長いところの方向に向かって、しかも低い距離で、二百フィート以内という低高度で、かつ低い速度で飛んでまいるということによって、危険性を防止するというふうにいたしておるということでございます。
  32. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはここで幾ら論じ合っても、危険だ危険じゃないというのはから論議になりますから、いま委員長も休会中の国政調査で要求されるというふうにお答えがありましたから、これはぜひ施設庁のほうでも現地をごらんになって、そこの実感でやはりこの対策を立ててもらわなければ困ると思うのです。なるほど狭くはない地面ですけれども、アメリカの飛行機の飛び方、速度、たまの撃ち方を見ていますと、はらはらして見ておられぬ。むしろ調査のときは、アメリカ軍のほうに演習をやってもらって、演習の実際の形をごらん願って直すべきは直しませんと、撤去するのが一番いいのですけれども、いろいろその点で問題が起こると思います。それから旗を立てたとか、立ち入り禁止の札を立てたくらいでは子供はわかりませんからね、もぐり込んでいくのですよ、おもしろがって。そんなこともありますから、やはりよほど現地に即した対策を立てませんと、これは思わない事件が起こると私は考えられまして、毎日気になっている。その点は十分に御考慮を願えないでしょうか。
  33. 山上信重

    山上政府委員 危険防止につきまして、先生の御意見まことにごもっともだと存じます。  われわれといたしましても、今後十分現地の検討をし調査もし、危険の防止措置について可能な限りの方途を講じてまいりたい、かように考えます。
  34. 淡谷悠藏

    淡谷委員 できるならば、危険の実態で、あすこはもう撤去されたほうがいいと思いますがね。適当な土地ではありません。  それから、自衛隊の共同使用につきましても、御答弁でもわかるとおり、施設庁のほうでは、もうこれは答弁できないわけですな、共同使用というのはアメリカ軍のほうに責任がありますから。自衛隊にないでしょう、最終的には。したがって、そういう点なども、提供する場合はかなり自衛隊との間にも取りきめをしておきませんと、非常にルーズな形になります。これも各地に起こっております。これは自衛隊がやったんだ、米軍がやったんだということに、ついなってしまう。そういうこともありますから、やはり射爆場については根本的にお考え願いたいと思います。御所見を伺っておきます。
  35. 山上信重

    山上政府委員 先ほど申し上げましたとおり、危険防止につきましては今後とも努力してまいりたいと存ずるのでございます。  なお、自衛隊の使用につきましては、もちろん米軍の使用条件というものがございますが、その範囲内、それを越えていいかげんな方法でやるということは、これは当然認められないものであると私ども考えております。その範囲内において共同使用をやっていくという前提に立って、さらに今後ともに危険防止の方法につきましては最善を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長沼のミサイル施設の問題でお聞きしたいのですが、農林省見えておりますか。
  37. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 農林省からは、大山林部長、松本指導部長、澤辺林政課長がおります。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、ここの委員会の質疑応答の中で、例の聴聞会のことが問題になりました。その聴聞会の速記録ができてからここへ提示し、さらに慎重な考慮を加えて保安林の解除をするという長官の言明があったのですが、もう解除しましたね、保安林は。
  39. 大山一生

    ○大山説明員 本年の七月七日の日に、農林省告示をもって解除しました。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうしてここで答弁されたとおりされなかったのですか。あの聴聞会について一ぺんも審議していないじゃないですか。ここに配付されたときは、もう解除するかしないかのせとぎわだったのですよ。
  41. 大山一生

    ○大山説明員 保安林解除の従前からの基準に照らしまして、いわゆる公益上の理由に該当するかどうか、それから本施設の設置の目的からいって、ほかに適地があるかどうか、それから必要最小限度であるかどうか、それから保安林解除をした場合の、十分代替施設というものができるかどうか、またその実行が確実にされるかどうか、こういった従前からの運用してまいりました解除の基準に照らしまして、適当と認められましたので、農林大臣の権限として解除の措置に踏み切ったわけでございます。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それが問題になっておったのでしょう。解除する前に聴聞会を開く。この聴聞会というものが、ほとんど聴聞会の実体をなしていなかったというので、それでこの委員会で取り上げられまして、聴聞会の速記録の要求があった。提出したあと、これに考慮を加えてから解除するという約束があったのですよ。その手続上の問題が起こったのです。それが完全に解決されないままで解除が起こったということは、どうしても私は納得できないのです。
  43. 大山一生

    ○大山説明員 二回にわたりまして聴聞会を開きまして、それでわれわれといたしましては最善の努力を尽くして意見の開陳を求めたわけでございまして、意見と見られるものも相当出ております。しかし一般的には大体統一行動のもとにおきまして意見の開陳をする意思なきものと認めざるを得なかったわけでございまして、二回にわたりますそういった聴聞会を開くことによりまして、保安林解除に伴います手続的保障の趣旨は十分に果たし得たものというふうに考えて、解除いたしたのでございます。
  44. 淡谷悠藏

    淡谷委員 聴聞会が体をなしておらなくても、手続は十分済んだという見解ですか。最近どうも法律よりも優先してどんどん省令などやりますがね。現にここの委員会ではっきり、聴聞会は形をなしていないから、これをもう一ぺん十分に慎重に審議をして、それから解除するという約束を取りつけてあるのですよ。それがやはり全然この国会の審議の形などは無視をしてやってしまったということは、少し穏当を欠くと思いませんか。これでよろしいのですか。
  45. 大山一生

    ○大山説明員 保安林の解除につきまして、意見書の提出があった場合に聴聞を行なう、これは聴聞を受ける機会を与えるべきことを保障しているという趣旨でございまして、その趣旨に基づきまして二回にわたり聴聞会を開いた。しかし、その聴聞会の結果につきましては、先ほども申し上げましたようなことで、統一的な行動のもとにおいて意見の開陳の権利を放棄したと見ざるを得ないような情勢であったわけでございます。そこで手続的な保障に関する措置も十分に果たし得た、こういうふうに考えて解除いたしたわけでございます。
  46. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは答弁をした長官がおりませんから、あなたと議論してもしようがないと思うのだけれども、そういうような傾向が非常な紛乱を招くことになるのですよ。これから質問しようとしている成田の飛行場の問題もそうです。一体聴聞会が不可能になるほど混乱したということは、地元に強い反対があったからです。非常な反対があったために聴聞会が混乱しているのでしょう。したがって、聴聞会の形ができたのかできなかったのかということも一つの要件ですけれども、そういうふうな聴聞会の状態を呈するに至ったその背景というのも十分に考慮して処置すべきが、これは国民の役所ならば当然じゃないですか。特に国会の中においてもそういうふうな意見が出た場合、それを無視してただ事務的にもう尽くしたのだからそれでいいというのでは、これは官僚主義というものじゃないですか。強引なやり方は国会に似ていますが、どうも最近は、国会にまねるのかどうか知りませんけれども、役所がわがままをして何でもやるという形が出てきているのは、非常に将来危険な現象じゃないですかな。反省する気持ちはありませんか。
  47. 大山一生

    ○大山説明員 保安林の解除におきまして、当然地元の多数の意思がどうであるかということはわれわれとしても判断せざるを得ないわけでございます。それで、解除の申請が出てまいりました際におきましても、町の議会における全員協議会においても、多数をもって解除に賛成であるという意思が出ております。それから、たしかあれは、保安林解除の反対の申請が町議会に出ておりますけれども、これは否決されている。それから道議会におきましてもこの問題についての議論があり、知事の意向として、公益上必要なものであり代替施設が行なわれる限りにおいては賛成である、こういうふうな趣旨の発言がなされておるわけでございまして、われわれといたしましては、地元の大多数の意思はむしろ賛成であった、こう  いうふうに考えたわけでございます。
  48. 淡谷悠藏

    淡谷委員 国会に対する責任はどう果たします。ここでは聴聞会の内容を十分調べた上で解除するという長官の言明があったのですが、これに対する食言は一体どう始末をつけます。
  49. 大山一生

    ○大山説明員 今回の聴聞会の議事録を提出いたしますということ、そして十分御検討いただきますということ、こういうことは申し上げたわけでございますけれども、審議をいただきました後において解除を決定しなければならない事案だとは考えておりません。
  50. 淡谷悠藏

    淡谷委員 事案でなかったら、なぜそういう答弁をしたのですか。それが前提でああいうふうな質問になったのでしょう。ことを誤れば、たいへん混乱するから、聴聞会の速記録ができた上で、ここで十分慎重に考慮するという答弁が出ているのでしょう。これはあなたに責任を求めてもしようがない話ですけれども、そういうふうな、国会に対する答弁の責任は一体どう取られるのですか。
  51. 大山一生

    ○大山説明員 先般も衆議院の内閣委員会で、確かに議事録を提出する、それから十分御検討いただきますということは申し上げておりますけれども、御検討の結果を待ってから解除を決定いたしますという答弁はしていなかったように、われわれは理解しております。
  52. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは林野庁長官の答弁ですから、出席を求めてありますので、長官が見えてからもう一ぺん聞きます。  別な一つの事例ですけれども、これは運輸大臣にひとつお聞き願いたいと思います。  青森県に十和田という私鉄がありますが、ここで非常に困難な争議が起こっております。これはさまざまな、労働基準法の上から、あるいは不当労働行為だという問題もありますが、運輸省関係でちょっと受け取れないのは、路線の廃止とか、あるいは運行の本数を減らすとか、時間を変えるとかということは運輸省の許可が要るんじゃないですか。
  53. 町田直

    ○町田政府委員 私、鉄道監督局長でございまして、鉄道関係につきましては、地方鉄道法に基づきまして、事業計画を変更する場合には認可をいたすということになっております。バスのほうは私ちょっと把握しておりませんので、はっきりお答えいたしかねます。
  54. 淡谷悠藏

    淡谷委員 だれか答弁できる人はいませんか。——労働省の方は見えておりますか。十和田の私鉄の争議というのは何かお聞きになっておりますか。
  55. 大塚達一

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  十和田観光電鉄労働組合の問題につきましては、私どものほうで聞いておりますのは、当該労働組合は比較的最近において結成された組合でございます。と申しますのは、この十和田観光電鉄株式会社には従来から組合はあったわけでございますが、三十二、三年ごろの大争議で組合が分裂いたしまして、当時の組合がいわば第二組合一本に変わってしまった。その後、本年の六月に新しく、第三組合といいますか、新しい組合が結成されたわけでございますが、そのころからこの会社の労使関係、特にその新しく結成された組合との関係で問題が出てきておるというふうに聞いておるわけでございます。すなわち、組合側の不当労働行為の救済申し立てが六月三十日に地方労働委員会に対して行なわれ、また六月二十八日に団体交渉拒否につきましてのあっせん申請が青森の地方労働委員会に対して行なわれておるわけでございます。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 その申し立てによりますと、組合が六月四日に結成されておるわけでございますが、この五日あるいは八日、つまり結成直後におきまして、当該組合の委員長、副委員長、書記長、その他主たる幹部が配置転換を命ぜられ、あるいはそれを拒否した者について解雇が行なわれておる。また、その問題のみならず、賃上げあるいは夏期手当問題を含め、団交申し入れを当該組合が行なったのに対しまして、会社側が団体交渉を拒否しておるということでいま申し上げましたように、六月二十八日に地方労働委員会にあっせん申請が行なわれ、三十日には団交拒否の不当労働行為の救済申し立てが行なわれておるわけでございますが、その後七月五日、七日と地方労働委員会があっせんに入ったわけでございますが、これは不調に終わり、七月八日から組合がストライキに入った。そのスト予告は、組合側は六月七日に、会社側は六月十日にロックアウト予告を行なっておるわけでございますが、現実に七月八日から組合はストライキに入り、それに対し、会社は直ちにロックアウトをするという形で、紛争が白熱化してくるという状態でありまして、特に七月十日からは、労働組合は指名ストを行なっておるわけでございます。  これに対しまして、地方労働委員会は、七月十二日に団交拒否問題につきまして職権あっせんを再度行ないまして、同日の午後三時から労使間で団体交渉を行なうべき旨、またその際、両当事者は十名ずつ団交に臨むというようなあっせん案を示しまして、これを両方が受諾をいたしまして、同日、つまり七月十二日の午後、団体交渉を行なったわけでございます。  これによって団交拒否問題は一応七月十二日の団交でいわば解消する形になってきたわけですが、その十二日には、労働組合側から十五項目、主としてたとえば賃金を二万八千円から三万五千円に引き上げろ、あるいは夏期手当八万円要求、あるいは解雇の撤回、ロックアウトの解除、あるいは労働協約の締結というような諸問題等、十五項目の問題について説明をしたにとどまったわけでございますが、七月十四日に第二回を行ない、また同日の午後、さらに場所を変えて第三回の団体交渉を行ない、第三回の団体交渉で会社側がこの組合要求に対する回答を行なっております。主たる回答としましては、賃上げについては四十五年三月までに行なう、ただし内容については労使で協議する。あるいは夏期手当は、賞与としては支給する、ただ金額は別途協議する。それから、ロックアウトの解除については、ストライキをまず解除することが前提だ、こういうような形で回答が行なわれ、さらに小委員会を設けまして、七月十六日から小委員会で内容の交渉が行なわれているというふうに聞いているわけでございますが、十八日に県の労政課長から、両当事者に対しまして、公益事業でもございますので、早期解決方要望をしておるというような事情を、私ども地方からの報告で聞いておるわけでございます。
  56. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この会社は、終戦後かなり大きな労働組合があった会社なんです。徹底した弾圧を加えましてこれをほとんど壊滅させた。第二組合というのはほとんど御用組合です。あってもなきにひとしいものです。それがひどい社長のやり方で、どうにもがまんできなくなって立ったのが今度なんです。さっき許可なしに路線変更をやったり削減したりするということを言いましたけれども、これは常習者なんですね。たとえば観光施設と称して、何かレジャーセンターみたいなものをつくるのでも、許可なしにつくってみたり、それから労働組合をこしらえると片っ端から首にしてしまっている。今度もそれをやっているでしょう。不当労働行為なんかもひんぴんとしてやっているのですね。そして七月五日に不当労働行為の何かあっせん委員会が開かれたのですが、これには使用者側は欠席しているのですね。大体お聞きになっているでしょう。それで、七月七日にやっと応じてきて、団体交渉が始まった形ですね。法無視もはなはだしいことをやっている会社なんです。これはやはり労働法規、基準法などもありますから、こういう点にこそ法はきびしくすべきじゃないですかな。さっきの農林省の答弁にありましたけれども、きびしいところはおそろしくきびしいのだが、こういう資本家側の不当労働行為なり基準法違反に対してはどうもスロー、延ばしているという形があるんですね。  それから運輸省のほうでも仙台の陸運事務所で六月の十二日に会社から路線変更した事情を聞いていますね。これなどはどう処置されているのですか。三十八本削減していますね。それから八十本、これはまた認可なしに間引き運転をやっている。  それから労働管理でもかなりひどいのがありまして、貸し切り運転もやっているのですが、この運転を三カ月継続しているのがありますよ。その間うちに帰さない。交代もさせない。三年間全然休日をとれなかったという例さえあるのです。全く今日考えられないくらい——私のほうでは相当労働運動は激しいのですが、この会社だけは何とも立ち上がれなかったというくらいひどい弾圧を加えた会社なんですね。その点は運輸省としてもあるいは労働省としてもかなり使用者側にはっきりした法的態度をとられたほうが、この争議解決のためには私は有益だと思うのですが、いかがでございますか。
  57. 町田直

    ○町田政府委員 先ほど申し上げましたように、自動車関係につきましてはいまおそらく自動車局長が来ると思いますので、自動車局長から御答弁申し上げます。  鉄道関係につきましては実はまだ事業計画の変更とか欠航とか欠便というものがございませんので、そういう事態に至っておりません。
  58. 大塚達一

    ○大塚説明員 いま先生のお話の不当労働行為あるいは基準法違反等労働問題につきましての、いわば不適当な事例がかなりあるという御指摘でございます。当該企業は公益事業でもございますので、いわゆる労使関係が安定して十分なサービスが行なわれるということがいわば法の期待するところでございます。そのような企業においてそういういわば違法な状態が契機となって労使間に紛争が生ずるというようなことは非常に好ましくないというふうに考えますので、いろいろそういう事実がございますれば、事実によりまして、たとえば基準法違反でございますれば基準監督署においてこれを是正していく、あるいは労働関係についての不当労働行為等は申請を待って処理をするというふうにいたしたいと思っております。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは自動車関係のほうはあとでお聞きしますが、最後の質問として長い間当委員会でも質問をしました成田空港の問題で大臣に二、三質問をしておきたいと思うのですが、詳しいことはずいぶんやりましたからきょうは触れませんが、土地買収に関していろいろな線が出てきていますね、成田空港の問題では。あの敷地の取得は一体どういうふうなところでなされているか、お聞きしたいのですがね。
  60. 原田憲

    ○原田国務大臣 たいへん具体的な問題でございますので、政府委員から答弁をさせます。
  61. 手塚良成

    ○手塚政府委員 政府におきましては空港の位置をきめまして、その具体的な土地の買収につきましてはこれを一切新東京国際空港公団にまかせておりまして、公団においてその買収を実施する、こういうたてまえで現在実施中でございます。
  62. 淡谷悠藏

    淡谷委員 公団だけじゃないんじゃないですか。県のほうで買っているのもあるでしょう。そういう事例はたくさんありますよ。間違いじゃないですか、公団だけというのは。
  63. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私がいま申し上げましたのは、空港の敷地そのものにつきましての公団の買収についてのことを申し上げたわけでございます。お尋ねの御趣旨かどうかちょっとわかりませんが、空港の周辺等におきまして関連公共事業等が行なわれております。こういう関連公共事業におきましてはそれぞれの実施官庁においてそれぞれ行なわれている。特に道路等につきましては建設省がただいま鋭意やっております。なおまた、敷地内と非常に関連の深うございます代替地の買収につきましては、これは県が実施をいたしておる次第でございます。
  64. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大体私の調べたところでは、農林省、建設省、水資源公団、道路公団、空港公団、千葉県、これくらいがその空港用地のまわりに付属施設の用地を買っているわけですね。しかし、これはそれぞれ地価の点もありますからどこかで方針が一本にならないとどうにもならぬと思うのですが、これは最終的な責任は運輸大臣にあるのじゃないですか、国際空港建設については。これは公団の総裁を幾ら責めてもしようがないので、やはり大臣のところで一本にまとめてこれを見てやらないといかぬのじゃないですかね。いかがですか。
  65. 原田憲

    ○原田国務大臣 工事に関するところの責任というものは私が担当をいたしておるわけでございます。したがって、その工事に必要なもとである土地の問題も私が全責任を持ってやっていくという筋道は、お話のような趣旨であろうと思いますが、実際問題といたしましては、用地買収という問題につきましてはこれはそれぞれの関係者にお願いをしなければなかなか仕事がむずかしいということになりますので、いま局長から申し上げましたようなことで実際にタッチをいたしておるのでございます。そのほかの、たとえばいま地方行政委員会でお願いをいたしました関係各省にまたがるところの関連事業に対する施策にいたしましても、飛行場の関係の担当大臣は私でございますけれども、そういう面になりますと、まことに御迷惑ながら自治大臣に担当していただいてやっていくことが一番具体的にやりやすい、こういうことになりますので、お話しの御趣旨はよく私が腹に入れて今後とも運営をいたしていくようにつとめたいと思います。
  66. 淡谷悠藏

    淡谷委員 成田空港の工事の推進本部長は運輸大臣になっていますね。これ何か法的な根拠があるのですかな。たとえば、各省のさまざまな事業を推進本部長がこれを統括するといったような、何か法規的なものがありますか。
  67. 手塚良成

    ○手塚政府委員 新空港を実施してまいりますについての政府内部の体制といたしましては、臨時新東京国際空港閣僚協議会というのが一つございます。これは昭和四十一年三月四日に閣議決定をされておりまして、メンバーといたしましては関係の大臣、そのほかに総理府の長官あるいは首都圏整備委員長その他官房長官等の方々が主になっておられまして、次官クラスの方が幹事になっているというのが一つございます。これは空港建設に関する重要な問題を協議する、こういうたてまえの協議会でございます。  で、この下といいますか、具体的な施策の実施を推進するという目的、それから関係行政機関等の相互の緊密な連絡をはかる、そしていまの新空港建設の実施を推進する、こういうたてまえのもとに、新東京国際空港建設実施本部というのが一つございます。これは四十二年の七月二十一日にやはり閣議決定でもって設置をされておる機関でございます。この本部長は新東京国際空港建設担当大臣ということになっておりまして、運輸大臣がこの本部長になっております。あと副本部長あるいは本部員というのがございまして、副本部長には運輸政務次官及び内閣官房副長官、運輸事務次官、こういう三人の方が副本部長で、あと本部員といたしまして、先ほどの閣僚協議会の各省の関係局長、こういうので本部員を構成いたしまして、実施本部というのがこれに当たっております。
  68. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いわば閣僚会議できめたのであれば、運輸大臣が当面所管大臣として指定されましたけれども、最終的には政府全体が責任をとるという機構ということになりますね、そう理解してよろしいですか。これは大事業ですから、最終的な責任というものをはっきりしませんと、空港公団の総裁などはどうせ空港公団の総裁で、政府の言いつけるままに何でもいたしますといって責任は全然とらないですわね。成田空港の問題は今後ともさまざまな問題が起こってきますよ。そのときに最終的な責任者はだれかという問題をはっきりつかまえておきませんとまるで影法師みたいなことになりますから、その点はっきりしておきたいと思います。
  69. 原田憲

    ○原田国務大臣 いまお話しのように、私が担当いたしておりますのは、総理から本部長担当大臣ということを就任の際に命じられて引き受けておるわけであります。これはいま局長からお話を申し上げましたように、閣議で決定をしておるということでございます。新国際空港公団法という法律によりまして、総裁が任命をされてこの工事に対しますところの責任を持っておる。特殊法人でございますから、国鉄の経営について国鉄総裁がその責任を持っておる、こういうことと法的にはちょうど同じことであろうと私は思います。ただし、いまお話しのように、これは政府の事業であるということから、この最終的な責任は担当大臣が持っておるのだろう、こういう筋道論に対しましては、そのとおりであろう、こういうふうに私は了解をいたしております。
  70. 淡谷悠藏

    淡谷委員 自動車局長が見えたようですから、さっきの路線廃止あるいは削減の問題について、十和田観光鉄道株式会社ですか、ここでやった措置について、六月の十二日に仙台の陸運局で会社から事情を聞いておるはずですが、何か報告ありましたか。
  71. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 仙台陸運局で事情を聴取いたしまして、当該会社がダイヤを変更しておるというふうな事実を発見いたしましたので、六月の二十三日に口頭をもちまして陸運局から会社に対して、認可なしでダイヤを変更することはやめろという警告をいたしております。
  72. 淡谷悠藏

    淡谷委員 七月七日に八十本間引き運転をしておりますが、これもまた認可なしでやっておるようですが、これは道路運送法違反じゃないですか。
  73. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 労使の紛争的なものが始まりまして、労働組合から十五項目にわたります要求が参りまして、七月十二日から団交に入ったわけでございますが、ストに入ります前におきましては、事業計画に定める業務をしなければならぬという道路運送法の規定がございますので、この規定に基づきまして警告を発したわけでございますけれども、紛争が逐次進んでまいりまして、現在団交を行ない、その後戦術としてのストが行なわれまして続行しておるわけでございます。われわれとしては、ストに入りました場合におきましては、事業計画に定める業務の確保ということのどちらに有利、不利という問題がありますから、措置いたしておりません。その以前におきましては、会社といたしましてはやはりダイヤどおりに運行することが必要でございますので、その点を警告し、監視いたした次第でございまして、御指摘のように、そのストの前におきますそれらにつきましては、会社といたしましては業務を遂行するように努力する必要があるから警告いたした次第でございます。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷委員 七月七日というのはあっせん委員会が開かれて団交にやつと使用主が応じたという段階で、その場合に認可なしに八十本も間引き運転をやるということは、これは幾ら強弁したってやはり違反は違反だと私は考える。この会社はそういうふうな違反行為をしょっちゅうやる会社ですから、さっきも労働省のほうからもお答え願っておきましたけれども、地方としては大きな会社ですが、かってに法律違反をやったり認可なしにやったりなんかすることは厳重に取り締まる必要があると思うのです。取り締まっておりますか。
  75. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 この会社は道路運送事業をやっておるわけでございまして、当然法律に基づいて運営をする義務があるわけでございまして、それらにつきましては十分監視をし、また今後もそういたしたいと思っております。ただ、ストに入りました場合におきましては事情を異にいたしておりまして、これは道路運送法の業務の確保という規定を適用しないで、なるべくストを早く解決して円満にやれというふうな指導はいたしておりますけれども、ストの場合におきますのとそうでない場合におきましては事情が違いますので、そうでない場合におきましては事業計画の確保につきまして十分強く勧告をいたしてまいりたいと思います。
  76. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いつか福島県でも似たような事例が起こったように思いますがね。この会社は、さっきも言っておりましたが、女子の深夜労働は平気でやらせるし、タクシーの運転手には二十四時間勤務を強制するような会社ですから、ちょっとやそっとの措置なんかではびくともするような会社ではない。あの事情をよく知っておりますと、労働者がよく立ち上がったと思うくらい締めつけもきびしかったのです。そういう点も、やはり行なうべき法的な措置はひとつ十分行なっていただきたい、これを要望しておきます。  それからあと二、三問運輸省のほうにお聞きしたいのですが、航空局長がアメリカに行っていらっしゃるというので、この間ちょっと保留しておったのですが、四千メートルの滑走路をこのマスタープランによりますと第一期工事として四十六年三月までに竣工させるというような計画があるのですが、この間、この四千メートルの滑走路ができ上がればすぐ就航させるのだという御答弁があったのですが、これは事実上できますか。
  77. 手塚良成

    ○手塚政府委員 一応羽田の滑走路が現在御承知のとおりの混雑状態でございますし、私どもの需要予測によりますと大体四十五年一ぱいでこれが満ぱいになる、かような実情であるわけでございます。したがいまして、新東京国際空港もこういった羽田の満ぱいを受け入れるということがその使命になっておるわけでございます。そのただいま申し上げました事実的な関係から申しまして、四十六年の四月からは何とかこの新空港で羽田でまかない切れない機数の離発着をこちらでカバーする、それは国際線の飛行機である、かように考えるわけでございますので、新空港の工事計画といたしまして、第一期工事ということでこの四千メートル滑走路とこれに付帯いたしますところの必要な陸上諸施設をつくる、あとの二千五百ないし三千二百の滑走路とそれに必要な施設を四十八年までにつくる、かような工事計画をつくっておるわけでございまして、この四十六年の四月の実情といいますのがいま申し上げましたようなことでございますので、第一期工事が完成し次第こちらのほうで国際線の羽田からあふれてきます一部を受け入れて供用の開始をする、かように考えております。
  78. 淡谷悠藏

    淡谷委員 問題になりましたのは、どこの空港を見ましても、あらゆる風の方向に対応できるような滑走路のとり方をしておる。この新国際空港もそういう意味で三本予定しておるのですが、横風用の滑走路ができる前に四千メートル一本で使用したら、着陸離陸ができないようなことが間々起こるんじゃないか。そういう場合の措置をどうするのか。これに対しては、飛んできたところに帰るんだというようなことを言っておる、あるいは板付まで行くんですと言っているのですね。そうすると、あすこで着陸ができなくて、板付もしくは、国際空港ですからアメリカまで帰るということもこれはどうかと思うのですが、こういう点は一体どうなさるつもりですか。
  79. 手塚良成

    ○手塚政府委員 確かに、国際空港といたしましては、横風用も整っておる空港というのが普通の姿ですし、望ましい姿だと考えるわけでございます。ただこれは、やはりいま一期と二期に考えた工事計画、工程で進めてまいりますし、一期工事ができ上がればこれを使わざるを得ないという実情にあるわけでございます。したがって、その際、横風用滑走路ができておりません点は、これをやはり何らか別途の方法で安全上のカバーをしなければならない、かようになると思います。  前半、お答えを申し上げました点で、飛んできたところへ戻るという意味で、ハワイから出てきたからまたハワイに戻る、これは非常に極端でございまして、まずそういったことは事実上はほとんど考えられないと考えます。その際は、いま申し上げられますのは、羽田がやはり三千メートル滑走路、それから軍用飛行場ではございますが横田の飛行場が三千三百メートル、あるいは名古屋が三千メートル、かような滑走路を持った空港が周辺にあるわけでございますので、こういった滑走路を着陸あるいは離陸をしていく代替として使う。特に羽田は、いま申し上げましたような混雑状態ではございますけれども、やはり横風が問題である場合はこの羽田というのを極力供用、活用し、そして新空港の足りない第一期期間をカバーせざるを得ない、かように考えておるわけでございます。しかし、これは安全上の問題ですので、非常に慎重の上にも慎重に扱わなければなりません。しかし事実上横風用滑走路ができない間というのは、やはりそういったことでカバーして、羽田の現状をまた緩和するということも必要であろうかと思いますので、さような使い方をいたしたい、ただいまかように考えております。
  80. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまのお答えで横田の飛行場などもお使いになるような御答弁でしたけれども、羽田が狭いという理由の中には、官報にも出ておりますけれども、例のブルー14、青の14、あすこがじゃまになるのですが、実際に横田の飛行場なんか使えますか。あの滑走路など、あれが使えれば羽田の狭い理由もなくなるのですがね。私しょっちゅう言うのは、成田周辺の農民の反対に機動隊を向けるよりは、むしろ何とか外交交渉であのブルー14をどこかへ移すなり、願わくは撤去するような方法はとれないものか。これは航空局長としては、むしろあれがないほうが羽田の使用上非常に便利でしょう。西のほうの空がすっかりつかえていますから空中転回できない。いろいろな事情を抜きにして考えれば、あの米軍の専用空路というものは取り去られたほうが将来航空上はいいのじゃないですか、いかがです。
  81. 手塚良成

    ○手塚政府委員 横田が使用できるかということでただいま代替空港の一つにあげましたが、これはいわゆるエマージェンシー、緊急着陸を必要とするような場合のことで申し上げたので、過去にもそういう実例がございますが、横田を使うまでもなく、ただいま申し上げた民間専用の国際空港が別途にあるわけでございますから、まずそちらを優先的に使った上でなお必要があればという意味で横田ということを申し上げたつもりでございます。  それからブルー14という問題は、ブルー14がなければ羽田がなおベターである、なお使いやすいという点につきましては、これは偽らざるところそのとおりでございます。しかし、この青の14という航空路は、単に空の上で航空路としてあるというだけで、簡単にこれを取りのけるのだ、あるいは変更ができるかということになりますとそうではございませんので、これは先生も十分御承知のことだと思いますが、要するに関東平野の西のほうに四つの軍用の飛行場があるわけです。立川、横田、入間、厚木とございまして、これが全部ほとんど一直線上に並ぶような状態にありまして、この四飛行場に出入いたします飛行機のためにどうしても必要だという航空路になっておる。航空路からいうならば出入りをするといいますか、そういうようなことで、この四飛行場があります限りはこの航空路がどうしても必要である、こういうことになります。したがって、このブルー14を取り除くということは、要するにこの四飛行場を廃止するということにつながることになると思います。そういった関係で、実はそれは民航の、特に羽田空港自体といたしましてはこれがないほうがよいことはもう繰り返すまでもございませんが、そういった青の14の関係にございますので、これを廃止、変更ということが現実問題といたしまして非常にむずかしいというのが現状であると考えております。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もうすぐ終わりますが、もう一つ自衛隊の百里の基地がありますね。これがまた空との関係で、新しくできる新国際空港がたいへんに窮届なんです。思ったよりも国際空港の空というものが狭められておる。しかも、軍用上の使用のために狭められておるのですが、この百里との競合は一体どうなさるつもりですか。もうすでに空の面で、管理部長がこの間答弁しておりましたけれども、非常に窮屈ですよ。この点はどうお考えになります。
  83. 手塚良成

    ○手塚政府委員 確かに、関東平野の空というのが思ったよりは非常に窮屈であるということは実情でございます。この新空港の位置を選定いたします場合にも、したがいまして私どもが最も慎重に考慮をいたしましたのは、こういった空の関係が現存いたします空港のそれぞれ支障にならないような場所ということを一つの重要なファクターとして考慮をいたしたわけでございます。そういった関係で、残された空域とそれから地上の関係とで新空港という要件に合致するというふうに考えましたのが、ただいまの三里塚の成田の新空港の位置でございます。この位置が、おっしゃいますように百里の飛行場の真南にございますので、これとの空域の問題が一部あるかと思います。現在この新空港がない関係上、百里の飛行場に離発着しております自衛隊の戦闘機は相当広範に空域を使用いたしております。ただこれは、新空港ができました暁には両者の空域の整合調整ということは当然しなければなりませんし、また可能であると考えております。具体的には、ただいま私のほうで防衛庁と相談をいたしましてできております案としては、銚子と土浦との一線をもって両者の空域を分けるということで、銚子にVORTACという機械、土浦にVOR/DMEという保安施設を設置いたしまして電波でもってこの調整を可能にする。いま言いますように、もともと百里の空域は自由自在でございましたので、非常に広範に、むしろ奔放に使っておったわけで、こういった新しい境界線をつくりましてやることについて、自衛隊の飛行機として支障はほとんどございません。新空港のほうにおきましてもこの境界を設ける、そしてまた羽田との間に一部の調整をとりますことによって、現在当初から計画いたしております新空港の機能を十分果たし得る、かように考えておる次第でございます。
  84. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最後に運輸大臣にひとつ要望を申し上げておきたいのです。  これは大臣が何回もかわりまして、新進気鋭の原田運輸大臣が出現したわけですから、政府は今度は一挙にやってしまおうと思っておるのかもしれませんけれども、成田空港の計画というものは地元に相当やみ討ち的に計画されたもので、仕事をしている間に思いがけない故障が方々に出ないとは限らないのです。土質の問題もこのとおりです。工事の問題もあるでしょう。特に大きいのは用地問題の困難さなんですね。用地問題は、この官報の資料版によりますと、「四十三年度中に終わらせる必要があり、」とはっきり書いてある。「用地買収、家屋移転等を四十三年度中に終わらせる必要があり、公団は、現在、用地買収に全力を注いでいる。」というのが四十三年三月二十七日の官報の資料版です。それがだいぶおくれています。これがおくれるのは地元が反対しているからおくれるのだということは公団の総裁の言い分で、反対している者には打ちてしやまんと思っているかもしれませんが、反対者には反対するだけの理由があるのですね。それを変に強引にやりますともっと障害が大きくなります。したがって、本部長である原田運輸大臣に、私切にお願いしておきたいのは、無理をなさらぬように。やはり計画に無理があったら計画の無理は直さなければならないし、特に関東の空というのはいま御答弁があったとおりおそろしく狭い。そこへもうあらゆる事情を無視してできたとしても、できたとたんにまた障害が起こって、日本の空はまさに航空機としては難所だということになれば、形はできても使用上にたいへんな障害を起こして意味ないと思うのですね。多大な国費を使い、多くの人を泣かせてつくった飛行場が使えないとなれば、これはやはり大きな問題になる。運輸大臣今度は総理大臣になられるかもしれませんけれどもね。やはり代々またかわって運輸大臣も出てくるでしょう、何年もかかるわけですからね。したがって、最終的に政府がその責任を負うということを考えると、さまざまな障害については意地にならぬで、片っ方はおれは反対だ、片っ方は賛成だというふうに意地にならぬでひざを割ってこれは話し合って、誤ったことは誤ったようにはっきりお認めになったほうがいいと思うのですが、すでに四十四年の半ばを過ぎましてなお四十三年度の用地計画さえ完全にできていないとなってくれば、やはりその理由としても大きなものがあると思いますので、この問題はくれぐれも慎重にお取り扱いになっていただきたいということを強く要望申し上げまして、一言御所見を伺いたいと思います。
  85. 原田憲

    ○原田国務大臣 この成田空港の建設に関しましては、いまお話しのように私が就任する前から、国際的な問題まで考えてどうしても要るというところから、いろいろな経緯を経過いたしまして、結局現在位置に設けるということで決定を見ておる事態であります。したがいまして、これを円満に行なうためにできるだけの配慮をいたしまして、政府といたしましても各種の法律をつくって、その地元の要請に応ずるようにつとめておるわけでございます。私といたしましては、ただいま淡谷さんのお話にあった十分注意をしてやれという御要望は胸に深く刻み込みまして、今後とも万全を期して対処していきたいということを最後に申し上げておきたいと思います。      ————◇—————
  86. 藤田義光

    藤田委員長 次に、運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、すべに質疑は終了いたしております。  ただいま委員長の手元に、伊能繁次郎君外二名より本案に対する修正案が提出されております。
  87. 藤田義光

    藤田委員長 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。伊能繁次郎君。
  88. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま議題となりました運輸省設置法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党、民主社会党、公明党三党共同提案にかかる修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はすでにお手元に配付してありますので、朗読を省略いたして、その要旨を申し上げますと、本改正案は、昭和四十四年四月一日から施行することとしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。  何とぞよろしく御賛成くださるようお願いいたします。     —————————————
  89. 藤田義光

    藤田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、伊能繁次郎君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  90. 藤田義光

    藤田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  91. 藤田義光

    藤田委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  93. 藤田義光

    藤田委員長 ただいま修正議決いたしました運輸省設置法等の一部を改正する法律案の議決に関しまして、原田運輸大臣より発言を求められております。これを許します。原田運輸大臣。
  94. 原田憲

    ○原田国務大臣 ただいま運輸省設置法等の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  95. 藤田義光

    藤田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 藤田義光

    藤田委員長 速記を始めて。  国の防衛に関する件及び行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。浜田光人君。
  97. 浜田光人

    浜田委員 せっかくいま設置法が可決されましたが、大臣並びに担当者にお願いいたしておきますが、法案が通過したからといって軽々しい御答弁をなさらないように、一つ注文をつけて質問いたします。  さらに、委員長にお願いしておきますが、定数が欠けたら質問はやめます、われわれは順法闘争だから。だから採決前に質問をさせなさいというのに、採決後でなければさせぬと言われるからがまんしておったのです。  前段はその程度にいたしまして、過日来若干質問も申し上げたのですが、これまた自民党のほうから関連質問で三人も四人も質問して私の質問時間がなくなってしまったので、きょうはあらためて質問いたします。  実は広島県の宇品港におきまして国府の台湾政府の海軍からの注文で給油船の建造を行なっております。地元の各新聞を見ますといろいろな取り上げ方がされております。しかし一致しておるのは、やはり給油艦は一つの軍艦ではないか、紛争中の当事国に対してそういうものを建造輸出するということは三原則にも反するのじゃないか、こういうことがけんけんがくがく論じておられるところであります。  私も、地元のことでございますし、いろいろ調査なり聞いています。さらに今月に入りましても、いろいろ新聞の投書等を見ましても、むちゃだというような投書もしばしば見受けられます。給油艦は明らかに軍艦である、そういう点から、大臣、運輸省はこれの建造は許可されたわけですが、どういう根拠に基づいてこの建造の許可をされたのですか。
  98. 原田憲

    ○原田国務大臣 給油艦が軍艦であるかどうかという根拠の問題でございますが、これは法律的な問題その他具体的な問題もございますので、船舶局長から答弁をさせます。
  99. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 お答えいたします。  運輸省で建造許可をしておりますのは、臨時船舶建造調整法という法律がございまして、この法律は一応日本の造船所でつくる船が、わが国の商船隊の質的な低下をもたらさないように、それからこのできた船を配船する場合にその航路及び船腹の需給状況に影響を及ぼさない、そういうようなことを考えまして許可をするということになっておるわけでございます。
  100. 浜田光人

    浜田委員 ただいまの答弁によりますと、法律に基づいて許可したのだ、こう言われますが、この船はいわゆる船舶法なり船舶安全法あるいは測度法、こういう法律の適用を受けるのですかどうですか。
  101. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 船舶安全法におきまして日本商船と同じように外国商船に対しても適用するということでございます。
  102. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、確かに装備等から見て、構造等から見て軍艦でないから、こういう談話も発表しておられますが、この申請書はどういう内容を含んだ申請書になっているのか、それについて、長ければ資料として提出していただきたいのですが、そうでなくして内容が全部短時間で読み上げられるなら読み上げていただきたい。
  103. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 先ほど申し上げました法律の施行規則に申請書の様式が書いてございます。それを一応ここで読めばいいわけですが……。
  104. 浜田光人

    浜田委員 法律のほうはいいんだ。国府から出て造船所がその申請書を出しておる、その申請書を読みなさい、こういうのです。
  105. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 ただいま申請書を持ってきておりませんので要点だけ申し上げますと、本船の主要要目は用途が油送船ということになっております。  それから総トン数が千八百九十トン、主要寸法、長さが八十メートル、幅十二・六メートル、深さが六・三メートル、喫水が五・五メートル、機関がディーゼルエンジンの二千百馬力、速力十二ノット。船舶の資格は、日本海事協会の検査を受けてこれの資格を受けております。  なお工程は、起工が四十四年の五月、進水が同じく八月、竣工が十月、こういうことになっております。
  106. 浜田光人

    浜田委員 申請書の写しを後日でもいいですから資料として提出を願いたい。  そこで、いまお読みになった程度だと、確かにいろいろ軍艦としての構造といいますか、そういうものは装備しておらない、こういう観点に立っておられるんだろうと思うのです。  ところが、実際、日本のかつての海軍でもそうです、給油艦、輸送艦、これは作戦上みんな洋上給油をしたりするのです。したがって、軍艦といいましても戦闘艦というのは戦艦、その下には巡洋艦、巡洋艦にも軽巡それから重巡おのおのまたトン数で区別しておる、さらにその下には駆逐艦、潜水艦、そうして特務艦、こうなっているわけです。それがみんな連合艦隊の中に一艦隊、二艦隊、三艦隊、四艦隊、こうなっておる、おのおのそれはみな編成の中に入ってそれを総称して艦隊編成、こうなっているのです。少なくとも海軍武官が造船所で監督してつくるということは、直接海軍が使うということです。したがって、当然実際、監督はやはり日本の海運局の検査官が立ち会ってやられるのですか、まずそれを先に伺います。
  107. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 先ほど申し上げましたように、日本海事協会がその構造について検査をするということになっております。日本海事協会は船舶安全法によりまして政府からその検査をまかされておる団体でございます。
  108. 浜田光人

    浜田委員 いま運輸省はやはり監督をされるのだ、こういうことを聞いておるのですが、どうですか、この造船にあたって。
  109. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 監督はいたします。
  110. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、この給油艦が船首甲板に砲座をつくったりあるいは船尾に軌条をつくったり、これは爆雷を落とす軌条だが、そういうものをやりつつあるというような現状があるかないか。
  111. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 船首と船尾に約二・三メートルくらいの高さの台がございます。これは海上保安庁で乗せておるような軽火器、ああいう種類のものが上げられるようなそういう程度のものがつけてあるわけです。
  112. 浜田光人

    浜田委員 したがって砲座——かつて日本でもいろいろ輸送艦にもみなやっておりましたが、今日の兵器ですからだいぶ違いますけれども、たとえば爆雷投下で、昔は軌条だけでさっと落としていただけですが、今日は噴射する装置になっておりますが、国府の給油艦ですからそこまでいかぬかもしれませんけれども、昔のような軌条なんかのそういう艤装、そうして船首甲板には砲座、小さい砲座ですが、そういうものをやりつつありはしないか、監督されるのなら書類上のことでなくてどうですか、こう聞いておる。
  113. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 一応申請書の図面には確かにそういう砲座がございましたが、これはいわゆる戦闘用でないという判断のもとに、また一般的な構造といたしましては、もし戦闘に従事するとすれば、鋼材の厚さとか、いろいろな砲座がございますが、そういうことが全然ございませんし、一般のタンカーと全く同じでございますので、一般のタンカーということで、商船として建造調整法の許可の対象にしたわけでございます。なおこれが軍艦であれば、その法律の対象になりませんので、私のほうで許可する限りではないわけでございます。
  114. 浜田光人

    浜田委員 砲座なんかがあるというのに、それは解釈上軍艦の対象じゃない。そうせぬと許可がおろされぬから、こう言われる。さっきから申し上げますように、そういう砲座なんぞは、これはもう海軍武官が来て監督するということは、それらがあるから当然やる。その性格を持っておることなのですよ。それを一方的な解釈でこれはこうだからというようなことをそれでなくても——これは通産省にあとで聞きますが、できるだけわれわれとしては平和憲法下におる日本が疑われるようなことは、やるべきじゃない。たとえば、YS11というのは今日では幾らでも輸送機で民間使っておるのですよ。それでも今日はフィリピンへ輸出するのに、これは疑問があるということで中止しておるでしょう。ましてや給油鑑で砲座もつける、監督官が来てそして軍機保護みたいなことで機密を保持して造船する、こういうことは私はいとも簡単にそういう解釈をしたというて許可するということには問題がある。大臣特にこれは気をつけてもらわなければ、今日瀬戸内海の各船台というものは、造船企業を守るだけでなくして、海運業者としての船を持っておる人たちが、そういう船台で船をつくろうとしたら、一年も二年も前から注文をとっておるから困っておる状態なんですよ。無理にそういう疑わしい、あるいは国際関係を紛糾さすような、そういうことをやらなくても実際日本の海運業者は困っておるのです。それをなぜこんなものを許可するかということになるのです。そこまで踏み切らなければならないのか、それでなくてもいまは国民が非常に神経過敏です。死の商人だといわれておる。兵器をどんどん輸出したりしておるんじゃあるまいか。平和憲法の中で日本がほんとうに平和を愛好するのである。非常に心配しておる中で、国民の投書読んでみられましたか。十三日の投書です。「給油艦は明らかに軍艦」その中にたくさん指摘しておるが、「軍事力の増強をたすけることが戦争放棄を高く掲げた憲法の精神に反することぐらい、小学生でもわきまえているはずである。」国民はこういうようにいっておるのですよ。それに砲座もつける、こういう船をつくって造船業者だけを少しでも金をもうけさす。それがために逆に海運業者にしわ寄せがきておる。一方を助けるだけで海運業者が注文しても、やはり造船所は仕事するんだから、それを注文すれば二年も三年もかかる。そういうように船台が詰まておるから、高い造船単価につく。逆でしょうが。国府のそういう疑わしい給油艦をつくるために、日本は逆に二重のしわ寄せになることになるのですよ。そういう点から考えてみても、いとも簡単にこういうものを私は許可すべきじゃないと思うのだ。  そこで、いまの資料は提出してもらうことにしまして、通産省来ておりますね。さっきからの質問の関連で軍艦の定義、いろいろあるだろうけれども、防衛年鑑でも、これは民間でつくったというかもしれぬけれども、はっきりと特務艦の中に、練習艦、訓練支援艦、海洋観測艦、砕氷艦、潜水艦救難艦、給油艦、特務艇、こういうようにはっきり給油艦は編成の中に入っておるんだ。どうお思いになりますか。きょう防衛庁を呼ぼうと思ったが、参議院のあれで引っぱり出されてこっちへ来れないというから、防衛庁はまた後日にしますが、どう思われますか。
  115. 土谷直敏

    ○土谷説明員 お答えいたします。私どもは、先ほど運輸省から御答弁もございましたように、国際紛争を助長するようなことは厳に避けるべきであるという考えております。ただ、いまお話しの給油艦が軍隊の編成に入っておるかどうかというのは、私実はそのほう詳しくございませんので、ただいまお答えはいたせないのでございます。
  116. 浜田光人

    浜田委員 通産省は新聞発表しておるんだ、重工業局長が……。これは軍艦じゃないから、紛争国の兵器輸出には入らぬとか、そういうことを談話発表しておるんだ。これは重工業局としては伺か根拠に基づいてそういう談話を発表しておるんでしょう。どうなんですか。
  117. 土谷直敏

    ○土谷説明員 通産省の内規といたしまして、先ほどお話がございましたように、武器輸出の三原則というものがございます。国際紛争の助長は厳に避けるということで、ケース・バイ・ケースに慎重に処理してまいっておるわけでございます。軍隊の直接戦闘の用に供せられる武器の輸出については、三原則に抵触する場合は、原則として輸出の許可をしないということになっております。
  118. 浜田光人

    浜田委員 どうもかみ合わぬことばかりあなたは答弁されるが、さっきから運輸省の局長と議論しておるように、日本の特務艦編成の七つの中に給油艦は入っておるんじゃないか。これが国府の海軍武官等が来ずして、国内の船舶業者が来て注文して、日本の船舶安全法の適用を受けて、きちっとそれで検査してそしてこれを営業用に使うならば別ですよ。はっきりと海軍武官が来て監督してやって、そういうような装備もすでにしよう、あなたらが幾らこじつけても、それが戦闘行為に参加するんじゃないから、一般船舶並みに扱うのだといって、あなたが幾ら一方的に解釈したって、事実をさっと突き詰めてみると、給油艦というものは、こういう艦隊編成の中に入らざるを得ないんだよ。入らなければならぬ。また戦争でなくても、たとえば艦隊がみんな演習するでしょう。昔からちゃんと入っておるんだ。入らなければならない。このごろは洋上でみんな給油するんですよ。それをこれは一般の何だから許可します、三原則の対象にはなりませんと言ったって、それはあなたらがかってに言うだけで、国民も納得せぬし、私たち国会議員も納得せぬですよ。きちっとしたものがなければね。それでなくてもいまの政府は、平和憲法を踏みにじるのではないかと心配しているときにこういうことをやったんでは、それこそアリの一穴ということであって、むしろ、これは、そうでない場合であっても、あるいは疑わしいから、国際環境を悪くしてはいかぬ、あるいは平和憲法の精神からこうだという立場で、許すべきじゃないんだ。ずっと調べてみると、明瞭にこれは入る。それを、ことさらにこじつけた解釈をしてこうだと言ったんでは、みんなが納得せない。これでは議論にならぬから、委員長、やめますよ。何もそんなに時間の制約はこれはないと思うのだけれども、よく検討してもらって、政府として統一見解をきちっとしたものを出してもらいたい。そうしなければだめだよ、こういうことじゃ。  そういうことできょうは終わりますが、最後に通産省へ要望しておきますが、そういういままで兵器をいろいろ輸出をしておるそのリストを資料として提出してください。  それじゃ、本日は以上で終わります。
  119. 藤田義光

    藤田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十九分開議
  120. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。大出俊君。
  121. 大出俊

    ○大出委員 委員会理事会で、先般ハイヤー、タクシー問題について、理事の皆さんからお話がありまして、一ぺんひとつこの委員会でハイヤー、タクシー関係の問題を掘り下げてみようじゃないかということで、各党間でそういう話し合になっておりました関係もございますので、本来ならば関係法案である設置法のありますときにやりたかったわけでありますが、会期末でもありまして法案もどうしても通さなければいかぬという趣旨がございましたから通ったあとでたいへん大臣お骨折りいただきまして恐縮なんですけれども、その意味でごかんべんをいただきたいと思います。  ところでハイヤー、タクシー関係につきまして、いま累進歩合であるとかあるいは積算歩合であるとか一律歩合であるとかいわれる歩合制度になったのはいつごろからでございましょう。
  122. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いわゆるハイ・タクというものは戦前からあるわけでございますが、固定給と歩合給という制度はずっと前からあるように聞いております。特に神風タクシーという問題が起きましたときにいわゆる累進歩合というものがきついので、その当時最高限度をきめることと、それから極端な刺激的な歩合給をやめるということがありました。で、運輸省としましては省令の改正等をいたしまして対処いたした次第でございまして、その前からそういう姿が顕著になってきているというように考えております。
  123. 大出俊

    ○大出委員 実は単にいま乗車拒否で云々ということで新聞をにぎわしておりましたり、総合誌にいろいろ関係の方々がものを書いておられますが、どうも、そのいずれを見ましても、警察、取り締まり当局を含めましてどこからながめましても、いま言われているようなことだけで根本的な問題は片づく筋合いでないというふうに見なければならぬと思うのでありまして、そういう意味で実は少し歴史的な点を振り返ってみる必要がある、こう思いましていま質問したのです。  私のところで抜粋したのからいきますと、昭和三十三年の四月一日に内閣交通事故防止対策委員会なるところで立案をして、いまお話しの神風タクシーの追放という問題が世上やかましくなりましたから、その世論にこたえてという意味で通達を出された。この通達で、ここで実は料金体系が大きく変わるのでありますが、まず一つは、基本給を一万円程度を基準として、これに適切な額の固定的諸手当を加えたものを固定給とする、これが第一点であります。  第二点が、固定給に歩合給を加算した最低保証制度を確立するよう指導する、これが二点。  三点が、歩合率については、可及的に定率にすることとし、——このときにすでに定率という問題が、つまりこういう制度にするときに可及的すみやかに定率にせよということになっているのです。定率にすることとし、やむを得ず累進制を採用する場合にも、累進率を低率にとどめるものとする。だからこれは原則は定率なんです。三十三年のこの通達、神風追放の、ここでもって料金体系をいじろうとされたのですけれども、このときにすでにこうなっているのが今日なお直っていないわけであります。  それから四番目が、その他事故発生の要因となるような刺激的な給与制度を廃止するものとする。これも、このときに、すでにもう十年以上も前にこういう通達の出し方をしている。  しかも、さらに、勤務年限に応ずる昇給制度を採用するほか、退職手当その他運転者が安定して長期に勤務し得る体制の確立につとめること。このときに通達は、その他最高走行キロの制限なりあるいは下車勤務の制限など、こまかく書いてあります。そしてたとえば、横浜の例——私横浜ですからとりますと、三百七十キロが最高走行キロだというふうに定めているわけです。したがって、最高キロ制限というものも十一年前にきめたのです。実はこれが戦後の新しい体制というものの一つの出発点になりますので、冒頭にこれを持ち出してみたわけなんでありますが、神風追放のときにたしかそうなったはずだというお話がありましたが、その限りそれでいいわけでありますが、ここで、明治の三十四年に乗用車というものが日本に初めて輸入をされたわけなんです。このときの運転者の賃金というものは一体どのくらいだったかといいますと、ずいぶん古い記録からガリ版印刷でとりましてみんなで研究をする資料につくったわけなんであります。これによりますと、当時乗用車が輸入されたわけでありますから、明治三十四年です、非常に高給だったわけです。このときの一般の会社のサラリーマンの月給というのはどのくらいだったかといいますと、まず平均給与でいって十四円です。そしてサラリーマンの月給の最高が三十五円です。ところがこの当時の運転手さんの給料というのは高給技術者でございまして、サラリーマンの月給が平均十四円、最高三十五円の時代に、何と運転者の場合には最低保障が四十五円だったのです。たいへんだことなんですね。いま考えてみると夢のような話でして、最近は、もうとてもじゃないが、にっちもさっちもいかない。奥さん、家族が待っておるからというので乗車拒否もやらざるを得ない。何とか走れるところをさがして走らなければいかぬ、信号が青になる瞬間に飛び出す、夜は乗車拒否をやりながら一発勝負はないかと水揚げが足らぬからさがして歩く、こういうところにきておるわけなんで、今昔の感がするわけであります。  時間を節約する意味で以後こまかいことはあまり申し上げませんが、この時代から大正三年ないし七年戦役が終わったあとの大恐慌の時代に、失業資本といったらおかしいのですが、まともな企業がつぶれていく。そこでそういった意味の資本がここでハイヤー、タクシーのほうに多く流れて花柳界等を中心にした、ある意味では新しいタクシー経営、タクシー業者というものができてきているわけでありますけれども、これが非常な過当競争の形をとって、このあたりから実はいまの、つまり妙な歩合給に至るタクシーの料金制度の変遷が出てくるわけであります。逆に運転者の側にとってはたたかれて走り回るという形に変わってくるわけでありますけれども、特徴的なものは名義貸し制度というのがあるんですね。オイル、石油等は自分持ちで名義貸しの形で飛んで歩いて会社に納めるという、これが実は歩合給に移る過程ですね。いま記録をながめてみてもそういうことです。  私がここで承りたいのは、それから戦後に入るのですけれども、朝鮮戦争のころから急激に実はハイヤー、タクシー業というのは伸びてきたわけであります、歴史的な過程がはっきりわかっておるわけでありますから。そうすると、そこらを踏まえて、もうここまでくると、所管の省である運輸省が中心になって、あるいは労働省が、ハイヤー、タクシー関係の料金制度というもの、これは一体どうあらねばならぬかという、このあたりのことがもう少しはっきりしてもいいのじゃないか、こういうように思うわけであります。  そこで、労働省に承りたいのですが、二・九通達なんというのをお出しになっていますね。そこらのところをめぐりまして、何かハイヤー、タクシーの経営あるいは運転者という分野をながめまして、労働環境あるいは労働時間あるいは賃金、こういうふうなものについて、何か意欲的な、抜本的な改正を考えるという時代に来ているような気がするのですけれども、まず二・九通達というのはどういう性格のものであって、かつまたどの程度実施をされておると御判断でございますか。
  124. 細野正

    ○細野説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました二・九通達は労働基準法の、たとえば労働時間で申しますと、基準法自体の中には、労使の協定によって労働時間について時間外労働ができるという仕組みになっておるわけであります。その仕組みの最高限を協定によって押え、それを越えた場合には法に戻って違法になる、こういう仕組みになっておるわけであります。三六協定の最高限を指導通達の形で規定をしておる。そういう形で、先ほど先生から御指摘がございました、一応労働時間というものを漸次克服していこうという性質のものとして二・九通達が出されておるわけでございます。  その浸透状況というお尋ねがございましたが、当初は労使双方からいろいろと反撃がございましていろいろ苦労いたしたわけでございますが、最近逐次労使双方に御理解をいただいて浸透しつつあるというふうには見ております。ただし、後ほどまた御指摘があるかと思うのでございますが、基準法に立ち返っての違反状況というのは必ずしも減っていない状況でございます。そういう意味では、毎年毎年の監督指導をかなり強力にやっておるにもかかわらず、実効の面でまだ十分でないという点はございます。しかし、あの二・九通達の中で規定されている事項についての改善点は逐次出てきているというふうに見ているわけでございます。
  125. 大出俊

    ○大出委員 ずいぶんいいかげんな通達を出したものだと思って私もあきれた一人なんですけれども、おまけに港湾労働なんかもそうです。有馬さんが職業安定局長時代に、基準局長さんにも、港湾労働に関する基準法違反事項が山ほどあるんだけれども、労働省からながめてどのくらいあるか資料を出してもらいたいと言ったら、さあ、なかなかお出しにならぬで、やっと最後に二部つくってきて、表に出さぬでくれというような話があったのですけれども、今日このハイヤー、タクシー関係を調べてみまして、至るところ基準法違反だらけで、会社別に見ても正常なものがない。こういう世の中になっていて麗々と二・九通達なんというものをよく書けたものだという気がするのですよ。  そこで、一つずつ承りたいのですけれども、まず運輸省、黒住さんおいでになりますが、ハイヤー、タクシーというのは法律的にいうと道路運送法だろうと思うのですが、大体どのような条項で運輸省は監督権その他をお持ちになっているのか、一体どういう権限が運輸省にあるのか、そこらのところを承りたいと思います。条文によってあげておいていただきたいと思います。
  126. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 ハイヤー、タクシー事業は道路運送法に規定いたします一般乗用自動車運送事業でございまして、この事業を行ないますためには免許申請をいたしまして免許をされる必要があるわけでございます。免許申請は法律の第五条にございますが、第六条に免許の基準がございまして、それには資格要件、それから一定地域におきますところの需給の面、それから事業計画の内容等を審査いたしまして、免許、却下をきめます。免許されました事業者の運賃、料金につきましては、道路運送法の第八条で認可を受けますが、タクシー、ハイヤー事業のように一定地域に数業者がおります場合、区域事業といっておりますが、これの運賃は路線バスとは違いまして、地域的に同じ額の運賃を収受していることは御承知のとおりでございます。それから運送約款を定めるというふうな規定が道路運送法十二条にございます。それから事業計画を定めなければならぬわけでございますが、事業を経営いたします間に事業計画を変更する、たとえば車をふやすとか営業所の位置を変えるというふうな事業計画変更の場合におきましては、第十八条に事業計画の変更に関します認可を受けるというふうになっております。それから事業者のサービスの面、それから保安の面等も含みますけれども、こういうふうなことはしていけないとか、あるいは事業計画を確保しなければならないというふうな規定があるわけでございまして、要するに道路運送法上は、主としてサービスの面とそれから後に保安の面につきましても規定が挿入されまして、現在では、道路運送法に基づきます自動車運送事業等運輸規則という省令でもって、具体的に先ほど御指摘がございました最高限度の問題とか、運転手の雇用の問題とか、そういうふうな問題につきまして規定をいたしておるわけでございます。要するにハイヤー、タクシーにつきましては、免許からその経営のやり方、運賃等につきまして、道路運送法でもって規定をして、監督をしておる次第でございます。
  127. 大出俊

    ○大出委員 労働省に承りたいのですが、運転者の環境あるいは労働条件、こういう面で労働省としては大体どの程度の行政指導なり権限なりというものをお持ちでございますか。
  128. 細野正

    ○細野説明員 直接的には、労働基準法に基づきまして、先ほど申しました労働時間の問題あるいは賃金の支払いの問題あるいは健康診断の問題その他につきましての直接の監督権限は持っておるわけでございます。そのほかに、先ほどちょっと申しましたけれども、三六協定のように労使双方の協定による限度というものが実は十分に履行されずに、実態的に法律違反の形のままでの時間外労働というものが行なわれておるものでございますので、そこで先ほど申し上げましたように指導通達を、労使とも御相談しながら設定いたしまして、その線での指導をいたしておるというのが現状でございます。
  129. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、仮眠施設その他ふとんの消毒だ何だというようなことまで含めまして、とてもじゃないが見ていられぬ点だらけなんですが、そういう労働環境という面では、労働省、何か法的な権限はございませんですか。
  130. 細野正

    ○細野説明員 業種別に作業環境についてのいろいろな権限がございますが、自動車関係につきましては、具体的な権限は比較的少ないように思います。
  131. 大出俊

    ○大出委員 そこで二、三点承っておきたいのですが、いまの運転者の勤務時間は大体のところ、これは長い答弁は要りませんけれども、全体をながめてみてどういう勤務体系がとられていると御判断ですか。
  132. 細野正

    ○細野説明員 たてまえとしては一日交代の勤務体制が多いように思いますけれども、実際上には連勤もかなりございます。続けて勤務することがかなり行なわれているように思います。
  133. 大出俊

    ○大出委員 妙な答弁ですが、二十四時間拘束の十六時間勤務というような形のものがずいぶんたくさんあるように見受けるのですがね。数々の通達だ何だと歴史的にはいろいろ出ております。ですから、本来言うならば、夜中の二時過ぎから朝の六時あたりまでは、これは一割くらい別ワクがありますけれども、その他はハイヤー、タクシーはほとんど走っていないことになっているのじゃないかと思うのですがね。この勤務時間、かつ法律的に御説明いただけませんか。
  134. 細野正

    ○細野説明員 先ほど申しましたように、法律的には協定を締結していけば、時間については、未成年の人を除きますと、制限がなくても直ちに違法ではないという状況でございます。いま申し上げたのは基準法との関係でございます。ただし、先ほど申しましたように、その勤務時間そのものについて協定をするように指導をしまして、その協定を結ばずに先ほどおっしゃいました勤務状態に入りますと、これは違法ということになるわけでございます。
  135. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと承りたいのですが、勤務時間を把握できない業種、二十四条でしたか、私、条文を忘れましたが、いまのお話は何条に基づくのですか。基準法の条文をあげてください。
  136. 細野正

    ○細野説明員 基準法の三十六条に……。
  137. 大出俊

    ○大出委員 それはわかっておる。どういう種類の勤務時間、勤務体系に入るのですか。法律的にいうと、関連は三十六条だけですか。
  138. 細野正

    ○細野説明員 一般的には三十二条におきまして、御承知のように八時間労働というたてまえをとっておるわけでございますが、先ほど申しましたように、三十六条によりまして時間外協定を結べば時間を延長できる、こういうたてまえになっておるわけであります。
  139. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、時間外労働は、三六協定を結べば、何時間やってもかまわぬということになっておるのですか。
  140. 細野正

    ○細野説明員 ぎりぎりの法律論としてはそういうことでございます。
  141. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、三十六条協定を結べば、全然寝ないで何時間やっておってもかまわない、こういうことですか。
  142. 細野正

    ○細野説明員 各国とも労働時間の規定方法には二種類ございます。法律でぴしゃっと最高限を押えるやり方と、もう一つは法律で一応最高限を押えながら、労使の協定があればそれが延長できるというやり方と両方あるわけであります。日本の基準法はその場合の後者のやり方をとっておるわけでございますので、極端な場合は、先生おっしゃったような形も可能になるわけでございます。
  143. 大出俊

    ○大出委員 妙な答弁をされるのですけれども、もう少し詳しく説明してください。三十六条のどこにそう書いてありますか。
  144. 細野正

    ○細野説明員 三十六条では、そこにだいぶ長く書いてありますが、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条若しくは第四十条の労働時間又は前条の休日」ということで、三十二条の八時間労働の原則あるいは三十五条に定めております休日においても、時間外の労働なり休日労働を行なわせることができる、こういうふうに書いてあるわけでございます。
  145. 大出俊

    ○大出委員 時間外労働というのは何ですか。所定勤務時間をこえるという解釈ですか。
  146. 細野正

    ○細野説明員 ここでいっておりますのは、三十二条に書いてある時間、こういう意味でございますので、三十二条で書いてある八時間労働よりも内側に所定労働時間をきめた場合には、その所定労働時間と三十二条の時間との間についてはこの規定の適用はないわけであります。したがいまして、三十二条そのものをオーバーする場合にこの規定の適用がある、こういうことでございます。
  147. 大出俊

    ○大出委員 だから、その間は、内輪にきめた場合には労働基準法にいうところの法内時間だからというわけですね。法律の中の時間だからというわけでしょう。そうすると、この四十八時間との関係はどうなるのですか。
  148. 細野正

    ○細野説明員 したがいまして、三十六条は、法内時間をこえる時間外労働をする場合には、この協定が要る、こういう意味でございます。
  149. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまのお話は、三十二条の「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間、一週間について四十八時間を超えて、労働させてはならない。」という規定がありますね。これをこえる場合、こういうわけですね、いまのお話は。それは三十六条である。だから、そこから先は、労使間の協定があれば、届け出があれば無制限である、こういうわけですな。そうすると、労働組合なら組合の側、あるいは過半数をこえるという場合は、皆さんの合意による時間規制の申し出があった場合はどうなるのですか。
  150. 細野正

    ○細野説明員 この規定は、時間外労働する場合には協定がなければいかぬ、こういうことでございますので、したがいまして、時間外労働についての協定がなされた場合には、その限度で時間外労働を命ずることができる、こういうことになります。
  151. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、それは無制限であるという解釈をとるわけですな。
  152. 細野正

    ○細野説明員 現実の場合には、その無制限というのは少ないわけでございますけれども、理論的には無制限の場合もあり得るわけでございます。ただし、先ほど来申しておりますように、それでは困るということから、二・九通達におきまして、この時間外労働の限度を制限しよう、こういう形で指導をしておるという実態でございます。
  153. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、二・九通達ではこの法解釈との関係はどういうふうにお考えになっておるのですか。
  154. 細野正

    ○細野説明員 しばしば御指摘がございましたように、労働時間の長いということが事故の原因に非常につながっておるという実態にございましたので、そこで先ほどちょっと申しましたけれども、労働者側あるいは経営者側双方に御相談いたしまして、そこで三六協定の限度についての基準をきめたものが二・九通達でございます。そういう性格のものでございます。
  155. 大出俊

    ○大出委員 この時間外労働の協定が行なわれた場合は、三十二条の規定にかかわらず時間外労働を行なうことができるという解釈だから、その限りでは無制限である、ただし、運転者の健康状態その他からいって、事故その他の関係があるから二・九通達を出した、こういう解釈ですな。二・九通達では一体どのくらいの時間が適当だとお考えなんですか。
  156. 細野正

    ○細野説明員 二・九通達におきましては、二週平均して四十八時間という考え方を原則的にとっておるわけでございます。したがいまして、一応基準法そのものでいっております週平均四十八時間、こういう考え方を原則的には貫いたということでございます。
  157. 大出俊

    ○大出委員 なるほど二週平均して四十八時間。そうすると、二週平均してとなりますと、一応平均ですから、平均勤務になりますけれども、三十二条にいう四十八時間をこえないというのを一応たてまえとしてとった、こういうことになりますか。
  158. 細野正

    ○細野説明員 そのとおりでございます。
  159. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、その二・九通達は、これは本通達、基本通達ですね。各県の監督署その他が、それから先いろいろな書類を出しておりますね。実施状況をお調べになっていますか。
  160. 細野正

    ○細野説明員 監督状況あるいは三六協定の届け出状況等については、調べております。
  161. 大出俊

    ○大出委員 私のところに、神奈川で出している、昭和四十二年六月十六日神基発第四七三号、神奈川労働基準局長、これはこの基本通達に基づいて、乗用旅客自動車業界における監督指導上の問題点についてということで具体的に流しております。ところでもう一つ、神奈川新聞で取り上げているんですけれども、中身も調べてみましたが、労働基準監督署が四十四年二月二十六日に調査許可した、つまり二・九通達その他出ておりまして、基準法との関係はどうなっているかというのを調べたんですね。この調べたのを見ますと、横浜と川崎を中心にして、県下のタクシー会社二百三十一社を調べておりますね。中身は、労働基準法が正しく守られているかどうかということで。その結果、対象会社のうち八四・八%に当たる百九十六社が労働基準法違反だという結論です。私は、どうも、基準法の番人である監督署が調べて八四・八%なんということになると一〇〇%違反じゃないかという気がするんですが、それでもこの数字を一応信用するとして、中身——これは、悪質なものを五社書類送検しておりますが、その前の年の同様実施結果に比べて、違反率が逆に三・五%上がっているんですね。基準法というたてまえで通達をお出しになっているのに、前年に比べて三・五%も、実態調査の結果は違反率が高くなっているという現実、これは御存じですか。
  162. 細野正

    ○細野説明員 事実は承知いたしております。全国的に見ましても、約八割程度の違反率で、これがここ数年、ほぼ動いていないという状況でございます。したがいまして、そういう意味では違反が非常に多いというのは御指摘のとおりでございます。ただし、私どもは、普通の抽出調査的なものではなくて、これはほんとうの監督した結果でございます。私ども、事業所の選定にあたりましては、できるだけ悪いところを監督するというたてまえでやっておりますので、その関係もあって違反率が下がってないという点もかなりあると思います。同時に、休日労働とかあるいは時間外労働とか割り増し賃金関係とか、そういうような非常に重要な事項についての違反率は、わずかずつではありますが、ここ数年、若干ずつ下がっております。そういう意味では、監督の効果はある程度上がってきているのではないかというふうに見ているわけでございます。
  163. 大出俊

    ○大出委員 先ほど基準法のやりとりをしましたが、どうも、私も長年労働組合の親方ですから、知り過ぎていて、あまり過ぎないように質問しているんですが、労働基準法というものは、基準法ができるときまでのいきさつがあるのですけれども、最低基準なんですね。だから、就業規則その他というものが最低基準を上回らなければならぬという法意が本来あるのですね。したがって三十二条、三十六条の関係でも、三十二条はあくまでもたてまえなんですね。これはメーデーの起源じゃありませんが、シカゴのマコーミック農具場の八時間労働の歴史があるのですが、ドイツの労働法典でようやく八時間労働が表に出たわけですけれども、だからこれはあくまでも四十八時間がたてまえです。官庁執務時間でいけば四十四時間ですから、残り四時間が法内時間だという論争が常にある。つまり四十四時間は基準法がきめておる最低である。官庁の執務時間を四十四時間ときめたら、その間四時間の差がある。だからそれは法内四時間だということになって、官執四十四時間だけれども、その四時間は、たとえば超勤を命令しても違法ではないということ。つまり違法性を免れるという形ですね。だから本来いうならば、解釈上は三十六時間というものは無制限であるという解釈が一応成り立つとしても、無制限であるという法意でつくった基準法ではないことだけは明らかですね。そこらまで本来答えていただかないと、二・九通達というのは——あなたはいま笑っておられるけれども、私は、そうあなたが答えるのを待って質問しておるのにいつまでたってもあなたはああいうことをおっしゃるので、念のためにこれは御注意を申し上げなければいかぬと思うのです。もしあなたが解釈されているさっきの答弁のとおりなら、二・九通達を出す必要はない。しかも山のように基準法違反があるのにほっておくのはどういうわけだということになる、逆からいえば。そういう点を申し上げておきたい。  それで中身を申し上げますと、違反の内容は、労働時間無視というのが百五社あるのですね。休日無視というのは七十四社ある。残業や休日勤で割り増し賃金を支払わないものが二百三十一社のうちで八十六社ある。会社施設に違反があるもの、仮眠所がない、これが百三十三社あるのですね。それから労働基準局側の指示、警告にかかわらず、違反が減らないで逆にふえているということを、新聞もだいぶ義憤を感じた書き方をここでしているのですね。それから四週平均で一週間に四十八時間労働になればよいという特例が適用されているというわけですね。これはなぜかというと、隔日出勤という形になっていますからね、大体十三乗務ですから。  ところでいまのお話は二週平均の四十八時間という通達の趣旨ですね。これは、こういう実情から見ると、通達自体がずいぶんなまぬるい。これだけ違反が山ほどあって、その意味ではこれは何もする意思がないにひとしい通達だという気がする。基準法違反がこれだけあるという現実を直す気はないですか。法律があって、違反がこれだけあって、三・五%ふえたと申し上げたら、悪い個所、悪い個所と調べるからそういうことになるのでしょうと言ってすましているという筋合いはないでしょう。そうなると、これは何のために通達を出したか。通達自体が気に食わぬ通達だけれども、それでも何かやる意思があるかと思って、私はいま聞いているのだけれども、そうなると、まるきり基準法というものがあるんですというだけになってしまう。八四・八%違反だと言うので、三・五%ふえたじゃないかと言ったら、そういう悪いところ、悪いところを調べるからそうなるのでしょうと言う。そうなると、労働省というのは一体どういう役所なんですか。
  164. 細野正

    ○細野説明員 先ほど申しましたように、監省をいたしまして違反を見つけますれば、これはそのつど是正措置はとっておるわけでございます。したがいまして、お話のように違反をしっぱなしで見のがしているという意味ではございません。しかし同時にいま申しましたように、そのつど是正をしていても、やはりあと戻りするものもございますし、いろいろな面がございますので、全部が全部継続的に直っているということはちょっと申し上げられない点もございますが、しかしそのつど直している点はいま申し上げたとおりでございます。
  165. 大出俊

    ○大出委員 労使協定の実態は御存じですか。先ほどしきりに三十六条とおっしゃるけれども、私の手元にも資料がたくさんありますからあとから申し上げますが、一般的に申し上げますと、一日二十四時間拘束の十六時間勤務なんです。どこの社でもほとんど同じです、労働組合もできていますからね。二十四時間拘束の十六時間勤務、これが隔日に行なわれるというのが勤務態様です。それ以外のところはほとんどないです、これは個人タクシーは違いますけれどもね。  そこで横浜でいうならば、神自交という組合の組織でこれは全国では全自交ですね。それからハイヤー、タクシーの神奈川ハイタクという労働組合がありますね。そのほか神交運などいろいろありますが、ほとんど二十四時間拘束の十六時間勤務が隔日に行なわれる。だから十三乗務というのです。こういうことになっている。労使協定の実態は、時間外労働というのはそれプラス二時間なんですね。そうすると大体十八時間になる。こわが限度なんです。ただその場合に、仮眠所云々が問題になるのは、これはほんとうはあなたのほうが答えの中で言わなければいかぬのです。これは基準法に基づいて休憩、休息というものがあるわけでしょう。特定するかどうかという問題はこれはある。あなたのほうで特定するかどうかは理論的に争いになる。だがしなければならぬのでしょう。そうすると、仮眠施設がないということは、これも明確に違反です。これはここに書いてありますように、そういう意味の建物違反もありますけれども、あたりまえのことですが、まあともかく隔日勤務の二十四時間拘束の十六時間プラス二時間が限度というのが大体時間外労働です。ほとんど一律といっていい状態です。したがって、それが基準に違反であるかないかということになってくる。割り増し賃金を払ったか払わなかったかということになってくる。そうでしょう。だから、そこのところをきちっと押えていっていただければ、それだけでもこれはずいぶん違うのですね。そうならばやたらこんなに違反が出てこない。そこで、労使——労使とおっしゃるのは運転者の側もふところ勘定というものがある。確かにあります。だから、そこらからいくと、どうも時間オーバーというものが出てくる。一ぺん二時前に帰ってまた出ていく、そういう場合がある。朝まで張っちゃったということがたくさんあるのです。そこに違反事実が出てくるわけですね。あなたのほうが、これだけたくさん違反事実があって、そのつど処理しているとおっしゃるなら、それでもなおかつあと戻りをする、なくならないということは、一体どこに原因があるとお考えですか。そこが問題なんですよ。
  166. 細野正

    ○細野説明員 一つには運転手不足という問題も響いておりますが、それから経営の内容の問題等もこれはあると思います。その他いろんな事情があると思いますが、私ども気がついているのはそういうことでございます。
  167. 大出俊

    ○大出委員 いま話は二つ出てまいりましたが、運転者不足である、これが一つ。経営内容も問題があるとおっしゃる。経営内容に問題があるという答弁はまことにばくとしていますが、経営者が悪いということになるのですか、どうなんですか。労働者と一応雇用契約を結んで、その相手方で管理監督しているのが経営者でしょう。あなたは経営者が悪いとはおっしゃらぬけれども、経営者が悪いということになりませんか。
  168. 細野正

    ○細野説明員 労働基準法のたてまえからいきますと違反がある場合は経営者の責任でございますので、そういう意味では経営者の責任ということでございます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 だんだんあとから出てくるので困るのですが、私は何も悪いからどうと言っているんじゃない。直さなければいかぬ、乗車拒否一つつかまえたって抜本解決しないので、例をあげて申し上げているのですから。  そこで、あなたがおっしゃるように休日出勤なんかもやってちゃんと届け出ている正直な会社もある。ところがおたくのほうの監督署というのは、まことに正直に届けているところに勧告を出してみたり、また基準法違反でやってみたり、ところが、やみからやみにかってにやっているところは、タコメーターのかぎまで渡して、二時までやってこい、二時までのやつはちゃんと会社に納めろ、そのかわり日曜出勤であとのやつはおまえにやるから、そういう調子なんでしょう。そんなことは地元の監督官は百も承知です。百も承知だが、全然あがってこない。たまたままともにガラス張りでいい経営をやろうと思って努力しているところが前向きにそういうことをやろうと思っていると、それを取り上げて罰金を取る。ずいぶん私はふざけた話だと思う。妙なことをおっしゃると困るぞという話を私自身がある会社にしてやる。そうすると、日曜なら日曜日に七台なら七台の車が余っている。さてそこで従業員側はふところ勘定があるから、乗せてくれよ社長、とこういう話になる。そうなると、いやそれは困ると言う。そうすると、社長がいないときの監督者に乗っけてくれよと言う。それじゃ困るというので、今度は従業員側の労働組合のほうで個々に違反をさせるわけにいかぬということで、組合の役員がその七台を埋める、採算もあろうからというので。   〔委員長退席、三原委員長代理着席〕 それをたまたまやっていたら——ここに私、書いたものがありますが、こういうばかなこともある。おたくの監督官が行って全部書類を持ってきた。上申書がちゃんと会社から正式に届けられて出ている。何も会社の意思じゃないんだ。これはいま世の中は休車現象も激しいですから。おまけに日曜日で余っている。乗せてくれとみんなが言う。個々に違反をさせたくないという気持ちもある。しかし会社の経営も苦しい。料金も上がってないという面もある。だから組合の役員が交代で乗る。そうしたところが、これが去年の十一月に一しかしそうかといって会社のほうはやみをやっているんじゃないですよ。しかたがないから届け出ている。届けないわけにいかぬ。そうしたら監督署から御注意が出た。そこでそのあと、こうだから困ると言ったけれども、やはり車が余っているから、休車になっているんだから何とかしてくれと言う。乗りたい。それは困るというので、また組合の役員が乗った。それを届け出ている。ところがしばらくたって、去年の十一月からことしの先月までですから、半年間監督署はそのまま何も言わない。届け出ているけれども、注意もしない。しないでおいて、たまたま気がついた。そうしたらとたんに出かけていって書類押収ですね。皆さん方が台帳からみな一ぱい持ってきちゃった。ところが今度これに対しておたくのほうはつい最近、何か罰金取るんだそうですね。ずいぶんばかな話で、この会社というのはそんなずさんな会社じゃない。比較的よくやっていますよ。正直に従業員にも中身を公開をして。ところがそういう非常にまじめにやっているところをおたくのほうは一生懸命取り締まって、通達がありますから、これは勧告を一ぺんして二回目なんですからということで五千円以下の罰金でしょう。これは四人ありますから、そうすると合計二万円ですよ。会社にいくのか本人にいくのかわかりません。あるいは皆さんの調書の結果両方に割り振るのかもわかりませんが、そういうことになりかねない。会社のほうは乗せようとしたんじゃない、全く。ところがそういう妙なわけのわからぬことばかりやっていて、片っ端から基準法違反なんですね。目に見えない。あなた方調査されてわかっているとおりなんですけれども、片っ端から違反だらけなんですね。それで違反したその他悪質業者をびしびしとやっているかというと、そうじゃない。だから一体何を考えているのか、そこらがおかしい。経営者が悪いとおっしゃるならば悪いと言っていただいていい。悪くなければ悪くないで、これは経営者に考えていただくよりしかたがない。従業員だって春闘で賃上げをやって、日通にしたって通運料金の値上げがからんでいるからなかなか片づかないで、第三者機関まで行ったわけですよ。公労協の国鉄だって最後まで自主回答しないのは、国鉄運賃が国会に上がったからですよ。ハイヤー、タクシー関係のことしの春闘がこんなに長引いたのも、タクシー料金の値上げがからんでいるからですよ。経営のほうにしてみれば、出血で無理して出してもいい。上がったら払えるんだからというので。しかし上がらなかったら困るということで、どんどん伸びちゃう。そういうばかなことばかりやっているんですね。片や、もう至るところ違反だらけ、こういう中で運転者のみを責められぬですよ、実際問題として。  だから、そのほうの労働時間なりあるいは労働環境なりというものを法的に番をしている側の労働省というのは、一体どう考えているのかということをこの際はっきりしていただこうと思って実は質問しているので、あまりいいからかげんに言われちゃ、恐縮だけれども、何も悪意があって質問しているんじゃない、せっかく私どもの委員会理事会で何とかこの際掘り下げてタクシー問題というのを、乗車拒否一つつかまえてもたいへんなことだという意欲があってやろうという気になっているわけですから、もう少しこうすべきであるとかこうあらにやならぬとか、何が原因でどうなんだとか、少し専門的にそのほうから見ているあなたのほうで答えていただいても悪くはなかろうと思うんですが、いかがですか。
  170. 細野正

    ○細野説明員 おっしゃる話ごもっともな面が非常に多いわけでございますが、同時に若干誤解がございますので御説明させていただきたいと思います。  いまお話に出ております八割の違反率というのは、たとえば冷房の備えつけがないとかいうふうな実体的な違反でないものも全部ひっくるめて事業所の数が八割だ、こういう意味でありまして、いま問題になっておりますような労働時間なり休日なり割り増し賃金の違反、これになりますと四割ぐらいから、あるいは二割台ぐらいまでいろいろありますけれども、いずれにしても八割というふうな違反率になっているわけではございません。そうでなくても、先ほどお話しございましたように、非常に違反のものがあるのに、非常にまじめにやっている人だけが罰せられるというのはおかしいじゃないかという御指摘でございました。  その点について若干御説明申し上げますと、私どもといたしましては先生御指摘のような不公平な状態が出ることが基準法の誠実な施行という面から非常に問題でございます。たとえば、重要な事項について違反があった場合には初犯はとにかく警告をしてすぐに罰するというような処置をとることを避ける、これはまあよほど悪質ならば別でございますけれども。それから二度目のときには、同じ問題について二度やった場合には原則としてむしろ処罰の方針で臨む、これは重要事項についてでございますが、というようなことでございます。したがいまして、ごく実体に影響の少ない違反につきましては二度目であっても司法処分等をとらない場合も、これは確かにございます。しかし先ほど申しましたように、重要事項について二度同じことを監督に行った場合に違反があった場合には法的な処分をとらしていただく、こういう方針でいるわけでございます。したがいまして、逆に先生御指摘のように非常にまじめな方であっても、二度目である場合には処罰せざるを得ないという面も実は出てまいりまして、個々の実態を見たときに何といいますか多少気の毒というふうな面が出てきても、個々の監督官がそれぞれの判断でそこで情状をすることに非常に危険性がございますので、そういう厳格な形でそれを実施いたしておるというふうなことから、先生御指摘のような問題が起きたのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  171. 大出俊

    ○大出委員 この新聞にも書いてありますように、やたら違反で、職場に調査に行ってもみんな隠してしまってわからない、届け出もしないというのが大半だとこの新聞に書いてある。たまたま表に出たやつだけでこんなにあるので、たいへんなことだと書いてある。これは神奈川の新聞ですからね。記者は現におるのですから。そういう意味ではどうも私は労働省のやっていることがさっぱりわけがわからぬという気がする。私の聞きたいのは、そのことよりも、それ以上に何が一体根本的な原因なのかという、経営の中身というお話がありましたが、確かにこれは経営者の側にも大きな責任がある。それから賃金体系そのものにも長時間労働をやらざるを得なくなる非常に大きな問題点がある。そういう点を少しこの際私は承っておきたいのです。  私がいまここに持っておりますのは現行賃金体系です。横浜、川崎等の神奈川県内のタクシーのほとんど各社のものです。ここに浦島から小田急、コミタス、横浜共同、京急横自、サンタク、サントス、第二コミタス、川崎共同、第一運輸、葉山交通、ずっと並んでおりまして、神奈川交通、富士タクシー、Yキャブ交友会、これは労働組合のほうですが、国際、こうずっとあるのです。これを見ますと、まずどのくらいの歩合給とそれから固定給——賃金総額ですね、これはとうなっているかといいますとほとんどのところが、まず種類からいきますと、固定給部門の中に初任基本給というのがありまして、これが大体三万円から——二万三千七百円というのがありますが、これが一番低いところですが、あとは大体三万円台がずっと並んでおります。これとそれから勤続給、それから精勤手当、勤続給は大体四、五百円、体系が違う枢車——霊柩車をやっているところですと何か二千円くらいのところがありますが、精勤手当が三千円前後ですね。五千円のところもあります。千五百円くらいのところもあります。それからあと乗務手当の出ているところ、出てないところもあります。三千円とか五千円とかありますが、それから無事故手当、家族手当、交通費それから小型手当というのが入っているところがあります。  これで大体小計をいたしますと、固定給部門というのが三万二千円くらいから——大体三万二千円が最低くらいですね。それから三万一千五百円、葉山交通みたいのがありますが、あと三万七千、四万二千、四万四千とあって、四万四千というのが一番高いです。四万四千四百二十円これはサントスですね。それからその下のコミタスあたりが四万二千百円、第二コミタスが四万一千六百円、こういうわけですね。大体この辺のところに固定給部門というようなものは落ちついているわけですね。  歩合給がどのくらいになっているかといいますと、十三乗務あって一乗務大体一万円、こういう計算をいたしまして、これも大体いまの常識ですが、したがって十三万ですね。これで歩合給を計算いたしますと、一番少ないところで七千百円というのがありますね。これは鎌江交通ですね。あとは大体七千五百円、八千円、九千六百円というところがありますが、大体固定給と関係いたしますので少ないところがあるのでありますけれども、大体一万二千円くらいから一万四千円、一万七千円、一万八千円とあって、二万九百円というのが最高です、歩合給は。これは国際です。これは十三乗務、一乗務一万円という金額です。それに深夜勤が入りまして、深夜勤が大体二千七百円から三千三百円くらい。そういたしますと、つまり賃金総額でいきますと、浦島が五万五千三十二円、小田急が五万五千五百十九円、コミタスが五万七千七百五円、横浜共同が五万五千九百六十七円、京急が五万三千二百二十七円、サンタスが五万八千九百十六円、サントスが五万五千六百七十円、こうずっと続きます。ほとんど五万円台です。葉山交通、鎌江交通が一乗務一万円、十三乗務とすると四万八千三百四十六円、四万七千四百三円ですからここらが低いということになりますけれども、神奈川交通あたりでは五万九千三百十七円、国際が五万九千五百二十八円、大体こういうことですね。六万円に乗るところがないのですね、一乗務一万円、十三乗務として計算をいたしますと。  そうすると、この方々は人の寝るときに働いているのです。しかもこれだけの交通渋滞の中で、それこそ信号が青になるとたんに飛び出すということをやっても走れない、こういう状態にある。しかもあらゆる給与——これは税込みですから、全部ひっくるめても六万円に達する者がない。一乗務一万円といったって普通なんです。いま横浜なんか。それ以上やろうということになりますと、たいへんなことをしなければならないわけですから、そういたしますと、とてもじゃないがいまの賃金体系、しかもこの中の歩合そのものが、二・九通達との関係がありますから申し上げるのですが、一律歩合というものじゃなしに累進性を何がしか積算のほうに、という形になっている程度で、さっき十一年前のお話を申し上げましたが、十一年前から問題になって通達が出ているにもかかわらず、なおかつ累進歩合から積算歩合までようやくきかかっているという、累進性がどうしても出てしまうという、だからどうしてもやたらむしょうに飛び歩かなければ、とにかく歩合、歩率の関係からいって、どうしても女房子供を食わしていけぬというところになってくるから、承知で本人も基準法違反をやろうとする。会社のほうは逆に、そこまでいけばこれこれあげますよというふうに歩率でつっているわけですから、そこまでいかなければがしゃんと落とすわけですから、だからこういう歩合制度、こういうふうな形にしているところに——固定給六割なんて二・九通達に書いてありますけれども、六割なんていったら固定給を下げなければならぬということが出てきます。現に横浜の場合全部調べてみましたが、二・九通達のようなものになったら高いところがあるのですから、高いところは下げろ下げろということになりかねない。こういう実態というものをとらえて、一体どうすればよいのかということをここまでくるとみんなで考えるよりしょうがないのです。こんなむちゃくちゃな、いまどき大の男が朝から晩まで、それこそ夜中まで飛んで歩いて、さっきあなたがおっしゃったように、三六協定を締結すれば無制限でございなんておっしゃる。そうだとすると、これはそれこそ労働者以前の状態ですよ。全体的にながめて私の申し上げていることは違いますか。
  172. 細野正

    ○細野説明員 全体として、先生おっしゃっている御趣旨については非常に同感する点が多いと思います。
  173. 大出俊

    ○大出委員 これは大臣、たいへんどうも退屈そうで恐縮なんですけれども、いましきりに乗車拒否だ云々とあるのですけれども、これは十三乗務、一乗務一万円の計算でいって、現状で六万円に達するところがないというのですね。相当年配の方もやっているわけですから、家族はそんなに少ない人ばかりじゃないですから、いまどき税込みで六万円足らず、しかも労働の量、質からいってたいへんな労働をやっているというタクシー運転者の現実、これをながめたときに、一般製造業その他と比べまして、あまりにもどうも低いとお思いになりませんか。
  174. 原田憲

    ○原田国務大臣 これはもっとあとでお答えしたほうがいいと思うのですが、私は決して退屈していません。一生懸命聞いています。  私は、先般のお尋ねの中でも申し上げましたように、事務当局に対して、これは専門家の集まりでありますから、制度上考えるべき問題がありはせぬかということで、指示いたしておるというのは、いまあなたがおっしゃっておるように、法律があってもそれを守られないということ、それはいい悪いは別にして、その法律の意味がない、こういうことになる。そのときには、その制度そのものに一ぺんメスを入れてみなければならぬ、こういうのが政治というものだろうと私は考えております。  したがって、タクシーというものは、いまあなたがおっしゃったように沿革はあるわけですが、一番最近の状態で、この間までは花形だったですね。一台の自動車が何百万円というような権利があって、花形であったものが、いまは労働者の賃金問題を取り上げられてあなたは指摘をされておられますが、これは若い人が、一人身の人が歩合で働いて、これはいい商売だという投書をやっておるのを私新聞で読んだことがあります。しかし、全般的に見て、労働者の賃金としての一時間当たりの賃金が安いということが、タクシー問題とかが出てくるときにいつもよく議論をされます。確かに安いですね。だから、こういう面からとらえてどう合理的なものにしていくかということを——あなたはいま、みんな寄って考えなければしようがないとおっしゃった。そのとおりだ、こういうような気持ちで私はおります。したがって、その中に賃金問題も当然含まれてくるというふうに私は考えております。
  175. 大出俊

    ○大出委員 そこで、関係がありますからあわせて申し上げておきたいのでありますが、退職金ですけれども、どのくらいになっているとお思いになりますか。  私のほうで申し上げましょう。労働省おいでになってお答えにならぬから私のほうで申し上げますが、これはまたずいぶんひどいですね。四十一年九月の労働省の賃金制度調査による定年退職金の表があるのですね。これに書いてありますのは、従業員が千人から四千九百九十九人までの会社の場合、大学卒が四百五十二万円、高卒が三百九十四万八千円。中学卒が三百十万九千円、これが適正額となっている。だから、中学卒業で三百十万九千円、ここまでが適正額ということになりますが、さて、そのタクシー労働者のほうの勤続年数に問題があるのですが、平均大体四、五年です。そこで大体勤続年数の平均をとりますというと、四、五年というところが普通です。ここで十年ならば十年、あるいは定年退職、そういう規定が会社側にはたしてあるのかどうかという点がまずあるわけでありますけれども、大体平均しますと、これは千歳というのですが、二十年勤続の例でいきまして——京王三労組、東京のここが百万円が最高ですね。退職金最高二十年勤続で百万円、千歳というのが三十万五千円、これが最低。だから三十万五千円から百万の間でおさまる。これが二十年勤続の場合。それから定年の場合、朝日自交というのがこの退職金率の三割増し、これが一社だけですね。それからあとは、定年退職の場合には一割増しというのが伊達交通、東京ヤサカ、鐘冨士これは三社、それから二割というところが少しあります。   〔三原委員長代理退席佐藤(文)委員長代理着席〕 いずれにしても、退職金を平均しますと大体七十一万円ですね。東京の大手四社の筆頭の日本交通、これは定年制二割増しです。定年の場合二割増し、そして九十六万円、こういうわけですね。そうすると、いま申し上げた中学卒業でも三百十万九千円というのが労働省調査の結果の適正額ですね。そうなると、中卒で三百十万九千円が適正だと言っている世の中に、ハイヤー、タクシーの関係から言うと、二十年勤続しても百万になるなんていうものはほとんどない。最低は三十万五千円だという。こういうことになっているということになると、労働省、これはどうなんですかね。いまのハイヤー、タクシー企業の経営者の側に少しものを言わなければならぬということになると思うのです。労働省だって適正額を出しているのに、あまりといえばどうもあまりだという感じがするのだけれども、そこらどうですか。
  176. 細野正

    ○細野説明員 労働省の調査で適正額というのは、私も初めて伺うので意味をよく承知しておらないわけでございますが、ただ一般に比べて低い感じがすることは、おっしゃるとおりでございます。
  177. 大出俊

    ○大出委員 労働省が出しておりますのからいきますと、従業員比率が——もっともいま私が例にあげましたのは千人以上、こう言いましたから、もう少し下げて申し上げますと、従業員が三十人から九十九人までの会社の場合、労働省のさっき申し上げました賃金制度調査、これは四十一年九月です。その中の三十人から九十九人までの小さいところをとりますと、大学卒の二百四十二万九千円、高卒が二百六万二千円、中卒が百五十一万五千円、これが適正額と書いてありますよ。あなたお調べになればわかりますよ。  そうなると、どこからいってみても、お話にならぬくらい安いというのがタクシー業界、大手四社を含む東京の場合の各社の定年退職金制度ということになるわけですね。そうすると、さっき言った賃金六万、一乗務一万で十三乗務十三万という計算をして、税込みで六万に達しないということ、そこへもってきて日ごろ歩合制度で高い賃金をとっているんだというなら別ですけれども、そうでなくて、退職金制度がまたこんなに低いということになると、これは若い人が、さっきどなたかおっしゃいましたが、最初ぽっとつとめてかせげるからというので興味を持ってやってみたが、一年やってみると、とてもじゃないが、こんなにばかばかしいことはないというので、みんなやめてしまう。だから腰かけのつもりくらいで入ってくることになってしまうのですよ。それに休車現象が起これば、フリーの方を呼んでくるしいうことになる。これは運輸省のほうは運輸規則改正をしたりしていますが、こういう現状を放任をしておいたのでは、幾ら片一方で警視庁を引っばってきて取り締まりを強化するといっても、抜本的な問題が片づかぬ限りはどうしようもないと思うのです。もっともこれは所管違いだと思うけれども、どうですか。
  178. 細野正

    ○細野説明員 御指摘のように労働条件がかなり職務の内容から見ても、いい条件にあるとはいえないというのは、おっしゃるとおりでございます。  同時に、そういう労働条件の問題そのものが、高い、低いということを、直ちに労働省の立場からこれを勧告するとかなんとか、そういうふうな立場には、先ほど先生も触れられたようにないわけであります。ただおっしゃるとおり、確かに感じとして低いことは、いなみがたいと思います。
  179. 大出俊

    ○大出委員 あなたはそんなことを言うけれども、まことに困ったことをおっしゃるのですけれども、そんなことを言うなら「港湾労働の現状と問題点」を、昨年の八月におたく出したでしょう。私は原文をもらったから読んでみたけれども、労働省はそういうことを言う役所じゃないとあなたおっしゃるけれども、そうじゃないでしょう。現に「港湾労働の現状と問題点」おたくのつくったやつ、その中身からいきますと、コストがずっと書いてあって、船内なり沿岸なり、はしけ回漕なりのコストが八割をこしてしまうような船内もある。労働環境が悪過ぎる。労働者が入ってくる環境にないという問題点を労働省は指摘されて、これの解決点をいろいろ検討したけれども、料金を値上げする以外にない。収入はそれ以外にないんだから、港湾運送の料金を値上げして、港湾業のほうに金がよけい入るようにして、そして労働環境を直さなければならぬ、賃金を改定しなければならぬ、そういうかっこうにしなければ、新規労働者に魅力のある港湾労働環境にはできないと書いてある。そうでしょう。そうすると、あなたのほうはタクシーをお調べになって、これだけ違反だらけである。では、なぜそういう違反が起こるのかという点を聞いてみたら、人不足であると言う。人不足というのだったら、港湾だって人不足でしょう。労働環境は悪い、賃金は安過ぎる、退職手当が出てこない。だから東京の経営者は、げたの鼻緒だ——けしからぬと思うけれども、労働者はげたの鼻緒だという。切れたら、すげかえればいい。だから累進歩合、積算歩合ということでしばって、欠勤があったら思い切って欠勤で引いて、賃金ダウンさせておいて、それで切れたら捨てればよろしいという方式、そういうところに人が集まらぬ原因があるんだという指摘をされることが必要なんですよ、あなた方が調査されていくならば。こんなたいへんな労働をやっていて、こういう交通繁雑の中で、それで六万円足らずにしかならない。しかも退職金もない、そういう状態であってはいけないのだという、そういう現状と問題点というものを指摘する責任がある。これは港湾でやっているじゃないですか、そうでしょう。  もう一つは、まことに困ったことなんだけれども、そういう状態の中で、だれが悪いのかといえば、経営だとおっしゃるのだけれども、経営者の方々のほうというのは、いままでもうけ過ぎているのですよ。副業なんというものを見てごらんなさい。ここにあるけれども、経営者の社長さんなどというのは、りっぱな家を建てて、まあ御殿ですな、どこへ行ったって。そこへ持ってきて、これは東京の例ですが、経営者の方々が副業でやっておられるのがここに細かく書いてあります。これを見ると、まず自動車教習所、ガソリンスタンド、不動産、トルコぶろ、レストラン、ホテル、これは累進歩合でハンドルを持つ方々をたぶらかして、たいへんな水揚げをあげてきて、これを労働環境の改善に使うのではなしに、施設でもりっぱなものができない状態に置いていて、一方で兼業、副業に投資して、どんどんもうけたという歴史があるでしょう。これは累進歩合でつくったようなものですよ、還元しないのですから。それで今日はここまできてしまったのは、明らかに経営者の責任もあるのです。そこらのところを「港湾労働の現状と問題点」ではないけれども、皆さんが的確に指摘をして、そこが直っていかないと、労働者に対して経営側が、賃金にしても、あるいは退職手当にしても、労働環境にしても、いままでそれをやってきていなかったのです。港湾でもそうです。だから、こんな労働環境になっちゃう、賃金体系になっちゃって、新規労働者が入ってこない。   〔佐藤(文)委員長代理退席、委員長着席〕 だから休車現象が続く。新免を取ったってほこりをかぶって寝ざるを得ない。それを改善するにはどうしたらいいんだというときになって、新しい労働者が入ってくるように勤務時間も二・九通達をお出しになった。そうして二十四時間勤務というようなものも、十六時間勤務なら十六時間勤務で、とりあえずぴしゃっと押える。できるだけ時間外も労働時間プラス二時間というものをやらすというような一つの側面と、会社として施設その他をちゃんとつくれということ、さらに累進歩合なんというのは、ほんとうにやめろ、これは一律歩合にできないところは、過渡的にやむを得ないから、積算歩合でいいんだということを考えずに、一律歩合でいくのだという指摘をしなければ、この点は調査をしたって意味ないでしょう。労働省のほうは監督責任者なんだから、もう取り上げるべき時期にきている。そうしないと運輸省だってやりにくいですよ。やはり全体として考えて、環境もよくして新規労働者がハイタク企業に入ってくるように、そうして基準法で押えられても日常生活ができるようにということは、賃金を上げろということですから、そうするとその財源はどこにあるかというと、私は物価が上がるから料金値上げに反対の立場できたんだけれども、しかし港湾労働者と同じ状態で、港湾労働者には賃金が低いから上げろということで上げたのでしょう。今度の場合だって賃金コストが五〇%に押えられてきたのですよ。ハイタク業界はいま賃金コストが七割くらいありますけれども、料金収入しかないんだからということになると、それだってしかたがないですよ。やはりそこらあたりが労働省の側から見て、ハイクタ企業というものの労働環境というものを、かくかく整備しなければならぬ。新規労働者は入りません。財源はない。ないんだとすれば、料金収入にたよらざるを得ないんだから料金を上げざるを得ない。上げざるを得ないんだが、それを副業のトルコぶろだのレストランだの宿屋などにしちゃこれは困るのだ。やはり労働環境に還元をさせるという前提条件をひとつ置いてものを考えるというふうにつとめていただかぬと困る。そのぐらいのところまではやってくださいよ労働省、これだけわれわれが騒いでいるんだから。どうですか。
  180. 細野正

    ○細野説明員 先ほど申し上げましたのは、ことばが足りなくて申しわけないんですが、そういうことを申し上げる立場にないということを申し上げたんでございます。問題点としてそういう点にいろいろ問題があるということは、御指摘のとおりでございまして、私どもとしてもその点よく詰めまして問題点として検討してみたいというふうに考えます。
  181. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 どうも細野監督課長に全部のことをお答え願うのは非常に恐縮ですが、しかし、運転手の労働という面から、大出氏が一時間数十分にわたって鋭意御指摘をし、大臣はよく聞いてくださった。そういう面で、港湾労働については私にも言い分があるんだが、陸上の荷役労働と、海上のいわゆる荷役関係でははるかに海上のほうが高いですよ。同じ倉庫でも通運倉庫の取り扱いと、一般倉庫の取り扱いでは、一般倉庫のほうが高い。非常にバランスがとれてない。これは運輸省としてお考えを願わなければいかぬのですが、こういう状態において、経企庁の政務次官に私はお尋ねをしたいんですが、ここまでいろいろ労働の面で詰めて、何としても給与が出せないという現状にまでタクシー会社としては来ているわけですよ。たとえば大出委員は、十六時間労働で二時間の超過、これ以上はいけないんだというようなことになっているけれども、現実の毎日の運転手の実働は二十時間もしくはもっとこえているものもあるんですよ。ということは、運輸省ではかつて神風タクシーのときに、一日三百六十キロ、毎日の場合には百八十キロ、個人タクシーの場合には、それがいま四百五十キロぐらい突っ走っているのですよ。それでなければ食えぬ。それでも食えないというような現状があるんですよ。これはもう労働時間も、労働基準法もあったものじゃないんです。したがって、こういうものをただ公共料金、公共料金という立場で政府が押えて、かってに法律違反をさせる。われわれは立法府として法律をつくる立場です。その法律を守らせないような状態に置いておいて、それで公共料金は上げないんだ、しかも道路運送法には、あらゆる陸上交通機関について、適正利潤を与えなければいかぬ、こういっておる。ところが、適正利潤は与えるどころか赤字にならなければいけないという経済企画庁の基本的方針がある。私はどうも理屈に合わないと思うのですよ。ですから、こういう実態について、運輸省を中心に、主管省である運輸省が無理だ、上げなければいかぬ、こういっているものについてまで押えるといういまの物価主管省の考え方——社会党出身の大出委員が、詰めてみれば運賃値上げ以外にない、そういう結論になるじゃないかというところまできたんですが、私は、登坂政務次官に、ぜひこの点について明快な御答弁がいただきたい、こういうように思います。
  182. 藤田義光

    藤田委員長 登坂君に申し上げますが、大臣がやむを得ない公務で、出席できませんので、本委員会の論議をひとつ即時大臣に御伝達願いたい。
  183. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 ただいま伊能先生からあるいは大出委員からるる現況並びに苦況についていろいろ承りました。しかし私どものほうの役所としては、国民全体の生活を何とか守りたいという悲願のもとに、今日公共料金についてとかくの批判もありますが、甘んじて私のほうもそれを受けておるつもりであります。国民全体の生活という立場から、われわれとしてこの公共料金については、政府の主導型の物価上昇をなるべく押えたいという一般的な議論に立って、今日まで方針といたしておるのであります。過日うちの大臣がこの問題については、当委員会におきましてすでに言明しているとおりであります。私のほうとしては全体的な問題でありますけれども、しかし、主管省は運輸大臣の所管事項でございますし、また、物価閣僚懇談会におきましての結論もこれは尊重しなければならぬ問題であります。今日だんだん経済が成長しており、完全雇用の状態になって物価はどうしても上昇ぎみにあるということを前提としてわれわれ考えますと、なるべく国民の生活を安定づけたいというのがわれわれの悲願であります。そういうわけでありまするけれども、いつまでもそうあるべきか、そうあっていいのか、そういうことについては今後また検討しなければならぬし、われわれも中小企業という問題点を取り上げますと、これもまた中小企業の全体的な経営が苦しいということになりますれば、それはそれなりにまた考えなければいけない。タクシー業に関しましても、どれもこれもみんな押えるという方針ではないのでありまして、比較的影響力の少ないようなところあるいは企業の苦しいようなところ、そういうところは事務的段階において処理されておるし、また運輸省との協調もとっておるという現状であります。しかしながら、伊能先生も御案内のとおり、佐藤内閣におきましては、物価安定を第一主義に打ち出しておるたてまえ上、主管省とは申しませんが、財政、経済の基本的運営について御相談を受けるわれわれといたしましては、終始ただいままで内閣の方針にのっとったそういう考え方をいたしております。  なお、先ほど申し上げましたとおり、公共料金全体については、物価安定閣僚会議もございますので、そういう方面において、議題となりあるいは改定についてどういう結論が出るか、あるいは物価安定推進会議という私のほうにも委員会もございますので、そういう総合的なものの意見がまとまれば幸いでありますし、われわれとしても何もやみくもにこれをあくまで、たとえば中小企業を圧迫する、そういう考え方は持っていないつもりでありますが、現状においては、そういうことで御了承いただいて、苦しいこともよくわかります。また、運輸当局もいろいろ事務的な検討をいたしておられることはわれわれも承知いたしております。しかし、現状においていますぐいつからという答えについてはなお慎重に考慮さしていただきたい、こう思うのでございます。
  184. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 せんだってわれわれ三回にわたって経済企画庁長官に本席でわれわれと同僚が御質問した。本質的には政務次官の御答弁と大臣の御答弁は違わないようですが、しかし、やや緩和されたようなお答えですが、ただ、私どもが訴えることは押えるだけで、ほかにどういう方法があるのかというようなことについては、全然触れられない。ただ押えるだけという行政は私はおかしい、こうしてやるからしばらくがまんをしろということであれば、たとえば財政の面、税制の面、その他行政指導の面、いろいろあるわけです。ところが、その方面は数年間一切手をつけない。非常に残念です。物価主管省であれば、物価全体の抑制の上にいろいろな面で行政措置が当然考えられていいと思うのですが、少なくとも陸上交通関係の事業についてはほとんど顧みられない。そうしてただ押えるだけ、ここに逆に物価全体のひずみが出てくるわけです。物価というものは全体がバランスがとれなければ私はほんとうの物価抑制にならぬと思う。一部のものだけを極端に押える。ことに公共料金公共料金というのですが、物価以外についてどういう公共料金を押えておられるのかということを私は重ねて伺いたいと思います。
  185. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私どものほうで物価につきまして物価主管省として各省といろいろ御相談を申し上げるときには、実はいま伊能先生が御指摘になりましたように、単にその価格さえ押えればいいという態度でお話し申し上げておるつもりではなくて、むしろ、少しハイカラなことばでございますがいわゆるパッケージディールと申しますか、全体の構造をどうするという見通しのもとでこうしようじゃないか、あるいはそれに対する対策としてどういうことを政府なりあるいは企業のほうで対応していけばいいだろうというようなことをお話し申し上げてそして価格についての態度をきめる。考えようによりますと、ある意味では少し価格から立ち入った姿勢で申し上げることがあるわけでありますが、あるいはそのほうが合理的な物価論であろうということで従来でもやってまいったわけであります。  ただ、いま御指摘になりました具体的な陸上交通についてどうであろうというようなことでございますが、もちろんこれは運輸当局あるいは財政当局がいろいろ考えたことでもありますけれども、たとえば今回の国鉄運賃の値上げに際しましても、われわれ企画庁といたしましてはやはりそれなりに御示唆を申し上げあるいはその方向での援助を申し上げたというような気もいたしておるのであります。そういう意味におきまして、今後いまのような問題を考えます場合にも、やはり全体としていろいろな角度からの議論、いろいろな角度からの対応策との中で考えて価格ないし料金というものを考えていくべきであろうというふうに考えております。  公共料金はたいへん多いわけでありますが、最近におきまして最も大きいものといたしましては、料金ではございませんけれども政府がきめる価格としての米価等について、これは従来の流れからいいますとかなり大きな変更であったと思うわけでありますが、据え置きというようなことも、これまた、もちろん企画庁だけでやったわけではございませんが、われわれといたしましてもその点について一つの役割りを果たしたというふうに考えております。  それ以外に、いろいろなものにつきまして話がございますが、しかし先生もお話しになりましたように、全体の公共料金なるがゆえに禍根を残すようなひずみを与えるところまでただやみくもに押えるということではもちろんございませんので、あまり大きな心理的影響、いわゆる政府主導型というような影響をあるいはそしりを受けないというものについては、運輸省と逐次御相談を申し上げて影響を考えながらある程度バルブをゆるめていくというようなこともやっているわけでございます。しかし大きなものにつきましてはやはりかなり高度の判断ということが物価政策上必要であろうということで、物価政策の観点からはいわば渋い態度をとっているというのが現状でございます。
  186. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 どうも話が抽象的でわからないのですがね。それではいま大出委員から質問しておるタクシーの問題だけに限定してお尋ねをしたいと思うのですが、タクシーについて皆さんが一部はやっておる、これはわれわれも知っております。けれども大都市についてはがんとして押えておる。それにかわるべき施策というものを運輸省とも相談をしたりいろいろアドバイスもしておるというのですが、具体的にしばらくしんぼうさせるにはこうすればいいというアドバイスをされた事実があるならその内容をお漏らし願いたい。
  187. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ちょっと私のことばが足りませんでしたが、ただいま問題になっております大都市のタクシーについて、いまのところ積極的に私どものほうからこういうことはどうだろうということをあまり申し上げておりません。先ほど冒頭にるる申し上げましたのは、従来私どもが公共料金その他の価格を扱います一般的な態度でございます。先ほど来大出先生の御質問あるいはただいまの伊能先生のお話、のみならず従来いろいろな角度からその点について御指摘もあり、私ども勉強させていただいております。確かにタクシーの問題は、公共料金としてのものあるいは都市交通の一般的な料金体系の問題等々を含めまして、きわめて多方面の問題を含んでおります。そういう意味におきましては今後運輸省当局もいろいろお考えをおまとめになると思います。私どものほうももしそういう時期に至りますならば、単なる価格という狭い範囲に限定しない、そういう多くの視野からの問題の一つとして考えてまいりたい。もちろん物価というものの中に占める地位等については、これは私どもも生来最も神経質にならざるを得ないわけでありますが、ただその時期がまいりますときにはそういう心がけでやりたいというふうに考えております。
  188. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 その時期がまいりますって、もう来ちゃっておるんですよ。みんな悲鳴をあげちゃっておるのです。その点での見解が常にわれわれと政府当局とは違うわけで、たとえば、タクシーの問題をさらに具体的に取り上げても、すでに自賠責保険等については別に審議会を設けて二倍半の保険料を取ろうとか、あるいはまたLPガスについても道路を整備しようというような別の角度から値上げをしようとか、バランスはとれないですよ。これほど困っておる陸上交通の関係においても、そういうようなものは野放しでどんどん上げようという、その負担のかかってくる料金はここ数年間、運輸省にもいろいろお考えがあるだろうなんてのんきなことを言っておるけれども、もう何年もたっておる。ことにタクシーについては五年も七年もたっておるんですよ。それをほったらかしておくから、さいぜん大出委員が労働基準法を守ろうと言ったって守れない。それは守れっこないですよ。現に私が指摘したように十六時間が十八時間、二十時間、三百六十キロというものが四百キロをこえ、四百五十キロも走らなければ、とても私は食っていけませんというのが運転手諸君の実情ですよ。そういうような状態をほっておいて、具体的な対策も運輸省にアドバイスもしない。相談があったらどうのこうの、それじゃおかしいです。これはあくまで物価の責任官庁としては、物価を押えるためには明確な対策をお出しになる必要がある。そうでなければ政府として非常に無責任であると私どもは考えるわけです。そうして、どうしてもだめなら、全体のバランスからいって当然上げるべきものは上げていただかなければならない。こうならなければ平仄は合わないでしょう。どうも皆さんの話はただ押えるだけで、抽象的に考える考える、それはいつになったら考えがまとまるのか。このままではもう政府を信頼しなくなるのです。皆さんが信頼されるような明確な行政措置を——上げるだけが能じゃない、こうおっしゃるのだから、上げないで済むように対策をひとつ御明確に願いたい。
  189. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 物価の問題は私のほうだけで守れるものではなくて、国民全体の御協力を願わなきゃならぬ問題であります。交通、タクシー関係は、今日都民の足でありあるいは国民の足であると思うのであります。でありまするから、運輸省の御当局でいろいろ運賃体系というものをつくっておいていただき、われわれ行政官庁といたしましては、それぞれの権限と立場が分かれまするから、われわれのほうから物価対策上云々ということはございますけれども、われわれとしてはその物価の面をただ押えるというだけでなくて、もちろん政府の全体の総合機関でありまするから、中小企業対策なりあるいはほんとうにその企業が立ち行かないという場合には、それぞれの諸官庁の行政能力を発揮してそうして総体的な意見をまとめるべきである、かように私どもは考えておるわけでございます。
  190. 大出俊

    ○大出委員 これは私と伊能さんとは所属する政党が違うので出発点が違いますけれども、私も何とか上げなくて済めば上げないほうがいいということで値上げ反対の論理を展開してきたのです。ところが、こまかく調べれば調べるほど、これは何とか財源を考えなければならぬというところにきたというのが私の到達点なのです。ハイヤー、タクシーが東京で運んでおる人の数、さっきちょっとお話が出ましたが、統計を見ると三百万人ですね。三百万人といいますとこれは国電の通勤通学を除いた輸送人員とほぼ同じですね。そこへもってきて、都電なんかに比べると、まるきり比較にならぬほどハイヤー、タクシーのほうが多いですね、輸送量は。ここまでくるとこれはもうなみなみならぬことですね。公共性も非常に強くなっているのです。そういう意味で、確かに公共料金という意味での影響のあることは私もわかっている。わかっているんだが、しかし一方、いままで申し上げたように、解決しなければならぬ運転者の状況というところをとらえると、いまのままでさて経営者にこれ以上出せと言ってみても——過去において累進歩合その他で水揚げの中から得た利益をいろいろなほうに使っている事実はある。あるが、現実にいまそれじゃどのくらい人件費コストが高くなっているかという点、七割近いものを調べてみると、これはとても現状解決にはならぬということになる。そこのところで私は先ほどからものを申し上げているのですけれども、経済企画庁というのは妙なところで、藤山さんが企画庁長官のときに、私はこの種の問題でここで長い論争をしたことがあるのですけれども、どうも寄せ集め世帯でどうにもならぬということを最後に藤山さん言っておられた。各省から引っぱってくるものだから、自分の省に関係のあるものは一生懸命やるけれども、当時は物価について中西さんがこほしていた。こういういいかげんなインチキな庁はないという。どうもたいへんな論議になってしまったことが実はある。とんでもないところに一生懸命力を入れて、肝心なところはみんな抜けちゃっているんですね、経済企画庁というのは。そんなに物価物価とおっしゃるなら、いままで経済企画庁はもうちょっと物価を押えてきたらいい。反対だなんといってみたって、国民に反対だと言っていれば経済企画庁の役目は果たせるということでやっていて、適当なところになるとぽんとおりてしまう。初めからしまいまで一貫して押し通したことなんか一ぺんもない。何でも最初は反対だと言ってみなきゃならぬ役所だろうということなんですね。権限なんか全くない。これは総理大臣が表に出てきてやるよりしようがないことですから、企画庁長官に権限ないのですから。だから菅野さんの言っているごとき、何を言っているのかさっぱりわけがわからぬ。何でもかんでも公共料金だから困りますと言っておけばいいという調子の話で、理屈も何もない。私はこの間だっていろいろやりとりしたけれども、しまいには例の名古屋と豊橋間の国鉄運賃と私鉄運賃の違いを申し上げた。それは確かにそうです。片方は、名鉄は二百六十円、片方は今度上がって三百十円、急行料金が二百円ついているから五百十円、名鉄は二百六十円で十五分おきに急行が走っているのですから、こんなばかにしておいて、私鉄運賃を上げると言われれば上げざるを得ないじゃないかと私はこの間話をしたのですけれども、さっぱり話が通らぬ。経済企画庁というのは確かに政府のシステムの中では物価にからむ問題は関係閣僚が集まって相談をするということになっているので、そうすると経済企画庁は物価は何とか一応やっていかなければならぬということになっているわけだから、とにかく反対らしいことをいつもおっしゃる。国鉄の旅客運賃値上げのときにだって、経済企画庁は反対だとおっしゃった。反対だとおっしゃったならばしまいまで反対で押し通してくれれば、国鉄を押えたんだからしかたがない私鉄もがまんする、通運料金もがまんする、ハイヤー、タクシーも苦しいけれどもがまんする、こうなるのだけれども、まん中の一番大きいやつを——経済企画庁長官もこの間ここで、言いにくい、答弁しにくい、まことに答弁にならぬ答弁をしました。もはや国鉄はもたないから私は認めたんだと言う。ところが途中になって詰まってしまって、私も当時は大出さんと同じように考えたんだと言う。考えてなぜそう変わったのだと言ったら、いたし方なかったんだと言う。それじゃ答弁としてはまことにいたし方ない答弁なんで、困る。いまの答弁聞いていてもさっぱりわけがわからぬ答弁なので、もう少し筋道を通した話をしてほしいんですよ。港湾、通運料金は早く上げてしまっている、国鉄運賃は上げてしまっている、労働省の側からすれば、港湾という職場だって人は入ってこない、新規労働者はさっぱり来ない、だからもっと魅力ある労働環境に変えなければならぬ、そうして港湾労働に関する賃金というものも、船内にしても沿岸にしてもはしけ回漕にしても上げなければならぬ、そうしなければ新規労働者は入ってこない、そんな金はどこから出てくるかといったら料金しかない、人件費コストを調べてみると非常に上がっている、だから料金値上げしがなかろうというのが、労働省の昨年八月の「港湾労働の現状と問題点」です。その意味ではこれはハイヤー、タクシーだって同じことなんですよ。だから押えるというのなら、これは国鉄なんというのは一番押えやすいのです。そうでしょう、年間政府その他から二兆円から借りているのだから、借金の支払い利子が九百七十一億、一五%上げて、増収で九百十億なんだから、そうなると政府が取らなければならぬ国鉄の利息を長期返済なりあるいはたな上げなりすればやっていけるのだということを中山伊知郎さんだって指摘している。そういうところを上げておいて片方押え切れるというふうに考えるのなら、やはりそれなりの物価との関係その他を明らかにして、国鉄がどのくらいそれじゃ一般物価に響くのか、ハイヤー、タクシーというものを上げたらどれだけ一般物価に響くのか、そこらを全部明らかにして、それなりの事情を、納得し得る解説を与えて、かくて、押えるなら押えるのだと明確にしてもらいたいのです。基準法違反のほうについても、現状、経営状態はどうなって、労働環境条件、賃金はどうなっていて、だからこれはこうするのだという方針を出してもらいたいですね。そこらが総合的に行なわれていないで、財源はそこしかないのがお互いに明らかになっておってということになると、やはり問題解決をしない、こういうことなんです。  さっきの点少しつけ加えて申し上げて結論に持っていきますけれども、先ほど私が申し上げている中で志村タクシーの——これはあとで警視庁の関係にも承りたいのですが、新聞を見ると、道路運送法違反、乗車拒否というので摘発という記事があります。ここに東京の志村交通の一欠勤の控除額、一日休むと、十三乗務で一乗務休むとどのくらい引かれるかということが書いてある。いま志村交通は本給二万円です。これは日割り計算で、無事故手当が三千円、一欠五百円引きということになっている。精勤手当が三千円、一欠千円引き、生産手当が千五百円、これは十三万円以上に支給、深夜手当が五千円、これも日割り計算、歩合給が十万円以下はゼロ、十万円以上が積算歩合で五〇%、家族手当、妻六百円、二子まで四百円、こういう給与ですね。ここで一ぺん欠勤して休みますとどうなりますかというと、一欠勤の控除額、本給で千五百四十円、無事故手当が五百円、精勤手当が千円、生産手当が千五百円、深夜手当が三百八十円、歩合給が五千円引かれる。計九千九百二十円引かれてしまうわけですね、一日休むと。これは労働省の課長、こういう賃金体系をつくっておったら、背骨が痛くったって、しりが痛くったって、女房、子供のために出てこなければならぬということになる。こういう形の賃金体系を組ましておくということは、二・九通達を出した趣旨に反するでしょう、一欠で九千九百二十円引かれたんでは。この間、私は志村タクシーに乗りましたときに、若い運転手さんだったが、聞いてみた。あなたは一体どのくらいもらうんだと言ったら、私を全くのしろうとだと思ったんでしょう、いろいろ説明してくれた。実は女房と結婚したときに、女房と一緒になったんだから、切られちゃかなわないというので——一生懸命働くから一緒になろうと言って一緒になった。それで七万円持っていった。そうしたら、おとうさん、七万円も働くのかということになった。あなた七万円働くんですか。それ以来何としても七万円にいくまでがんばらなければいかぬと思ってやっている。どのくらいの距離かと言ったら、四百二十キロは軽いと言うんだな。冗談じゃないですよ。横浜だって、十一年も前を見たって、三百七十。四百二十キロは軽い、それができないときには、公休出勤だ。公休出勤二日やる。そうすると、さっき私が例にあげました志村交通さんが、ちゃんと報告すれば、これは明確に基準法違反でしょう。横浜あるいは私がさっき例にあげたところでは、報告すれば罰金を取られる。報告しないから、基準法違反に問われないということで、ばかな話ですよ、ずいぶんむちゃくちゃな。報告すれば指導のしょうがあるでしょう。報告しないでやみからやみにいっているものはどうにもしようがないでしょう。そうでしょう。聞いてみると、全く涙ぐむような話ですよ。その人の話を聞いていると。若いときですからできるんですけどと本人が言っておる。十七万円どうしてもあげないと七万にならぬと言うのですよ。十七万円あげるとなったら、それはたいへんですよ。四百二十キロこさなければできないでしょう。公休出勤、休みの日に二日くらい出なければできないでしょう。そういう苦労をしておる世の中ですからね。そこで一つ例をあげて申し上げますが、この辺でいまの労働条件のほうの問題は締めくくります、実はまだこまかい点がたくさんあるんですけれどもね。  そこで、現状営業という形での、つまりハイヤー、タクシーの状況と安全運転、これは神奈川の組合なんかでもやってみたこともありますけれども、これを調べてみますと、タコメーターによるデータで見ても、現状営業の場合、実働時間を十八時間五分として、走行キロが三百七十七キロ、最高速度が八十二キロ、乗車回数五十五回。この五十五回というのは常識ですから、五十五回。それから、営業収入が一万三千三百二十円、こういうことなんですね。タコメーターのデータによると、こう出ておる。これを安全運転という形にいたしますと、実働時間で走行キロが二百六十三キロ。これはそうです。どんなに走っても三百キロが限度です、二百六十三キロ、最高速度が七十四キロ、乗車回数が二十九回、営業収入が九千七百二十円、いまの現状営業とそれから安全運転の賃金を調べますと、現状営業でいって七万四千四百四十九円、安全運転の場合ですと五万三千七百七十八円、こういう数字が出ております。その差は二万六百七十一円、こうなると、安全運転をやれといったってやれっこないですよ。現実に食えないですからね。だから、やはりこのあたりは、労働省の課長、申し上げておきますが、よく各組合がいろいろなものを出しておりますけれども、モテル賃金といわれるようなもの——ここに神奈川県のハイヤー、タクシーの皆さんが賃金討論をずっとやって、最後に要求額というものをを出して、これをみんなで大衆討議をしておりますけれども、ずいぶんささやかな要求なんです。それから、ある人が一番いま何が、ハイヤー、タクシーで事故その他を含めて重要かというと、累進歩合は全部やめてしまえ、積算歩合も全部やめてしまえ、一律歩合にしてしまえという人がいますが、私もこれは賛成ですね。いささか極端ですから、その手前でものを言った場合に、大体二十六日ということに計算をして、十三出番、そうして労働基準法三十二条の規定による、さっきの話の十六時間を必ず守る。そうして平均速度は二十キロなら二十キロ、最高速度は七十五キロなら七十五キロ、こういう押え方をして、走行キロは三百キロ以内というふうに押えて計算をして二百九十六キロ、乗車回数四十九回、こういう計算をしていきまして、そうして給料が七万円台になる。そのくらいのことを考えれば現状はおさまるかもしれません。三百キロぐらいを限度にして、そうして営収だって、業者の皆さんのために考えなければいかぬから、営収が一万八百十円、このくらいのところを押えて、何とかしなければならぬという案を出しておる人がある。私は、これはある程度わかる。やはりそういう営業をやっておる経営者側の営収はどのくらいになるか、そうして運転者のほうにはどのくらいいくか、そうして三百キロで押えて——いま十年、十一年前の基準で三百七十キロ、六十キロ台やったって、これは走れやしないですから、それ以上やろうと思えば、さっき言った志村タクシーさんの若い人の例のように、死ぬ苦しみです。だから、そういうところを一ぺん一つの基準として出して、そうしてタクシー料金というものを、営収というものと、労働者の賃金というものと、労働環境というものと、基準法とのにらみ合いというものとをあわせて考えてみて、どうすべきだという見解をやはり運輸省と労働省は相談して出すぐらいなことを……。(「経済企画庁」と呼ぶ者あり)経済企画庁というのはどうも少し場違いみたいなことをやっておるけれども、ほんとうに企画を立ててもらわなければ困る。そういうふうにして、やはり抜本的に、いま乗車拒否だ、乗車拒否だと言われてたたかれつぱなしの運転手、刑法改正までやったのだから、そういうところまで突っ込んでみていただきたい、こう思うのですよ。  そこでここにハンドルを持つ人たちの、三百十二名のタクシーの運転手さん、それから二十九名のハイヤーの運転手さん、教習所の教官十五名、これらの方々、合計三百五十六名です。この方々の一人々々を当たって、病気、健康状態その他を調べた書類がここにある。これによりますと、場所は職場別に見ると、横浜が十六、川崎が一、横須賀が一、湘南が一、相模原が三、小田原が一、こういうところで、平均年齢が三十三歳、勤続年数が平均四年、ここで職場の健康管理その他を全部調べた。そうしたところが、健康診断について定期的に行なわれていると答えた人が、このうちの二百八十九名、八一%、定期的に行なわれていないと答えた人が四十七名、一三%。健康診断の回数が、年に一回というのが百三十二名、三七%、一年間に二回というのが百六十七名、四六・九%、二年に一回が十五名、四・二%、一年に四回というのが五名、一・四%。そこでずっと病気その他を当たっていきますと、非常に多いのですね。腰椎症、つまり腰痛ですね、これが百六人おるのですよ、二九・八%あるのですね。御本人たちに、タクシー営業運転をやっておるのでそうなったのかという質問をして、ほとんどはそういう答えをしておる。痔が九十二名、二五・八%、それから胃下垂が八十四名、二三・六%、それから神経痛が七十名、一九・七%、高血圧が三十六名、そのほか、じん臓病だとか糖尿病だとかリューマチだとかいろいろあるのですが、これは非常に少ない。腰痛と痔。胃下垂、神経痛、ここまでが圧倒的に多いのですね。私のところは、うしろが横浜の火葬場なんですが、妙なことを言うようで恐縮ですけれども、私、前に調査に行ったときに、火葬場の方々が仏さまを扱っていて、職業がわかる。長年運転をやっている方というのは、みんな骨が原形をとどめずくずれてしまう、そういう話まで実際にしております。長年やっている方というのはたいへんな労働なんですね。どこかが必ず悪い。これは職業病云々ということで腰椎症なんということは非常に大きな問題になっております。また、追突その他に基づくむち打ちもたくさんあります。そういう問題だって組合が自主的に集まっていろいろなことを考えてやっているのであって、国という立場に立って一体どこまでこういう職業の人たちに対して骨を折っておるかというと、これまたほんとうにさびしい話ですね。私はやはりそこらのところを、厚生省との関係もありましょうが、労働省あたりがもう少し前に出てくれないと、気の毒過ぎて私どもは見ておられませんよ。そして、仮眠所その他を見たって、消毒もしないようなふとんが積んであるということになっているでしょう。経営者の方にも責任があります。何でそういうところに還元をしてあげぬのかという気になる。しかも、なおその上に経営によって性格が違うのですね。私鉄資本なんというのは私鉄の駅々でおりる乗客を運ぶのです。タクシーなんというのは最大のガソリン消費なんです。ところが、そこの中には韓国資本もあればその他の資本もある。資本の性格によっても違う。違うけれども、少なくとも結論的にいって、同じことを同じようにやっているのですから、同じことを同じようにやっているのに、最低の会社と最高の会社とでこんなに差がついてしまうなんということをなぜほうっておくかという問題、そこまで労働省としても運輸省としても考えてくれないと困ると私は思うのです。これらは同じことをやっているのでしょう。にもかかわらず、歩合その他の違いによってたいへんな開きになっているという現実、ここらのところを皆さん一緒に考えなければいかぬですよということを私は冒頭に申し上げたと思うのです。これは何党がどうじゃなくて、やはりみんなで考えなければならぬ時期に来ていると私は思うのですけれども、そういう意味で何か皆さんに少し御意見がないですか。
  191. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほどから経済企画庁その他にお尋ねでありますが、経済企画庁が私のほうにこうしたらどうだという指導は私はしてもらいたくはございません。私のほうで責任を持ってこうしたい、これが私の責任でございます。したがいまして、先般もお話を申し上げましたし、きょうもまたお答えをいたしましたが、このタクシーというものの行政について基本的な問題として取り上げなければならない。法律というものが守られないということになると、これはそのよしあしということをさておいても、その制度というものに一ぺんメスを入れる必要がある。こういうことを先ほども申し上げたのでありますが、この委員会で乗車拒否の問題で、一番新しくはライオンズのお客さんを乗車拒否をしておった、見かねて五百円ずつタクシーの運転手にチップをやって運んだという奇特な方がありまして、それをとらまえて、一体乗車拒否をどうするつもりだ、こういうお尋ねがあったのでございます。こういうことは非常に技術的な問題になりますけれども、伊能さんもお尋ねになりました、私も申し上げたのですが、外国から一万人も人が来るというときには、その主催者がよくホテルその他と連絡をとって、そういうことがないように自動車会社とも連絡をとっておいていただいたならば、おそらくもう少しスムーズにやれたのじゃないか。ホテル自体が余裕がなしに、あのライオンズの大会は困ったという新聞記事も読みましたが、そういうしりまで持ち込まれてもという感じもいたしますというようなことも申し上げたのであります。  また、たびたび申し上げますように、私は、夜おそく自分が酒を飲んで、そして女の子と遊びに行くのに車がなかった、これは乗車拒否だといわれるものまで乗車拒否というべきであろうかどうかということもお答えをしてきました。しかし、少なくとも安心をして乗れるものでなければならない。いまいみじくも、先ほどの私の話に答えるように、大出さんが、若い人が七万円もあなたかせぐのかと言われて困ったということですが、若い人はそれでもまだいいほうなんです。ところが年寄りになると、賃金の面でも働きの面でもとてもむずかしくなっておる。しかし、それはむずかしいとしても、運転手としてあるいは経営者としてサービスを売っておるのですから、当然これだけは果たさなければならぬという問題がある。たとえば、地理も知らぬ者が運転手としての資格があるだろうか。お客さんが乗って、お客さんからあそこへ行けと言われたとき、そこ私は知りませんというようなことで、運転手の免許証は現在持っておっても、はたしてタクシーの運転手の資格があるだろうか。こういうことが乗車拒否の問題ともからんでおらないだろうか。こういう問題も考えますときに、私は法律のしろうとでございますから、この問題はどこが管轄するのだ、これは道路交通法でございます、それで荒木さんに、そのことだけを言ったのではございませんが、あなたがいまおっしゃたように、みんな寄って考えなければだめだ、こういうことからひとつ知恵をしぼって——現在三千万人が免許証を持っておる日本の国であります。まだ自動車はその半分に達しておりませんけれども、必ず年々自動車ができてきて、オーナードライバーがふえてくる。その中でなおタクシーがどういう役割りを果たすのかという基本的な問題、それからバスとか地下鉄とかほかの輸送機関がありながらタクシーにあくまでやらさなければならないのかというような問題、たとえば夜のおそいときの交通はタクシーが一番便利であるというのでタクシーが受け持っておりますが、それの拒否から問題が生じてきて乗車拒否だという問題があるのですけれども、前の大臣が営団地下鉄を一時間延ばしましたね。しかしこれは一時間くらいで解決していません。しかし、同じ東京都民であるというのなら、タクシーだけがそれを引き受けなければならぬのか。引き受けるとするならば、あなたのおっしゃるとおりに人が寝ている時間に働いて、一ぱい飲んでおるお客さんを夜運んで差し上げるのに同じ料金で運ばなければならぬのかというような問題、あるいはいま走れないという話がございましたが、その走れない中でもタクシーを利用しようとするならば、それは安く乗らなければならぬのか、それに相応するところの適正な運賃を払わなければならぬのか、どちらがほんとうなのかというような問題、問題を一つ一つ取り上げてまいりますと、非常にたくさんあるわけであります。  したがって、それらの問題について私は事務当局に対しまして、もちろん労働省にも相談し、経済企画庁にも相談し、各省に相談をして、わが担当しておる省としてこういう方法で今後いくべきであるということをできるだけ早い機会に作業しなさいということは命令をいたしております。しかし、国会中は何しろ国会中心で呼ばれておりまして、あなたがこの間うちの官房長あるいは自動車局長に聞いたら、だいぶ案ができておるらしいという話でしたよとおっしゃいました。私、さっそく聞いてみました。どうだ、おれの言ったことはできているのか。まだ完全に私のところに持ってくるところまでいっておりませんけれども、作業はいたしております。こういうことでありますから、できるだけこれらの問題について、御指摘がありました点なども勘案いたしまして、運輸省としてこれからのタクシー行政はどうしたらよいか、特にいま物価問題として、地方ではケース・バイ・ケースでいこう、しかし六大都市の問題については絶対に上げないとは言わぬ、極力上げないという表現であるけれども、強い決意を持っておるということを菅野大臣は言われておるわけであります。私も国務大臣としてこれに同意はいたしておりますけれども、私の責任としてどうあるべきかということをまとめたら、当然これらの問題について私が担当大臣として議論しなければならぬ問題である、このように把握しております。
  192. 大出俊

    ○大出委員 大臣そこまでお答えになりましたから時間をかけませんが、実はILO条約の六十七号の問題もあるのですね。一番大きな問題で、労働省の方御存じですけれども、これは「路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する条約」というのですか、日本は批准していませんね。この条約の第五条その他を見てみますと、これは週四十八時間をこえてはならないという六十七号の明確な条文があるのですね。先ほどあなたは時間外労働協約、三六協定を結べば法律では無制限、こうおっしゃったが、法意ではそうではないと私は申し上げたのだが、国際労働基準の中でもとにかく「路面運送における労働時間及び休息時間の規律に関する条約」の明確なものが、これは四十八時間をこえてはならないという規定があるのですね。そうしなければ事故が起きるということですね。時間外労働協約を結んでやたらにやらしたということになると、どうしても事故が起こる。起こりかねないということになる。  そこで、いま大臣からお話がありましたが、資料をいろいろ集めてみましたが、比較的わかりやすくここに書いてあるのを見ますと、お話がさっきから出ますから、銀座へ行くと、銀座の夜十一時過ぎという時間。この時間にタクシーに乗ろうとする銀座の客というのは、推定でいきましておおむね八千人近いというのですよ。多いときには一万人ある。八千人から一万人、これが夜の大体十一時の銀座の状態だというのですね。そうすると、一万人の人を運ぶためにタクシーが何台要るかというと、六千七百台です。六千七百台のタクシーが必要。ところが夜の十一時に銀座に入ってくるタクシーの数というのは、統計に出ておりますのは毎晩二千数百台です。これに自家用車が入ってくる、こういう状態ですね。だから、二千数百台だというと、六千七百台から見ると四千七、八百台足りない。四千七、八百台のタクシーを、時間制料金その他を編み出しても銀座に入れるようにかりに努力した場合に、いま二千数百台だからいいんだけれども、これに四千八百台も加わわって、タクシーが銀座の一万人前後の客を完全に運ぶようにした場合には、それこそ銀座はタクシーの洪水で、逆に今度は走りようもない状態ができ上がる。これは縦に三列並べるとすると、前後の間隔をゼロにして、四千台で七キロの長さになるというのですね。そうなると、銀座の一万人の客を十一時に完全に運び切るように六千七、八百台のタクシーを入れるとしたら、これは四千台足りない。四千台だけで前後の間隔をゼロにして縦に三列並べてえんえん七キロに及ぶとなったら、これは人は歩けないのですよ。そうすると、しょせん銀座の客をタクシーで運び切ることはできぬということになるのです。間違いないでしょう。そうすると、大臣がいまいみじくも言ったように、それは別の手段方法を考えなければどこからいっても解消しませんよ。だから総合的にものを考る必要があるということになる。  そこで外国の例をずっととりますと、西ドイツのボンなんかは電車、これは終夜運転ですね。そうしないとタクシーだけで運び切れませんから。ニュヨークはタクシーの数を規制していますからね。ニューヨークなんかでも地下鉄が明け方まで走っているのですね。ストックホルムの場合にはタクシーが千二百台なんですね。これは私も何べんか行きましたが、全部個人営業です。ところがこれは全部深夜運転なんですね。ですからここはこれでやれる。やれればいいのですからね。これはタクシーの運転手の資格をとるのに組合の学校で三週間訓練するのですね。あと市内の地理、タクシーの構造、接客のエチケットを覚える。市内の地理、これを完全に知らなければ免許はくれない。それから筆記試験、そうして合格すると警察からまず仮免許が出てくるんですね。本免許まではさらに四カ月かかるのです。だからさっき大臣も言っていましたが、乗っけたはいいがどこへ持っていっていいか地理のわからぬ人には免許をくれない。ところが欧米の場合には拒否権があるのです。乗車拒否の権限を与えているのです。ロンドンが一番きびしい。ロンドンの都心部約十キロ四方の町の名称、道筋、おもな建物それらを結ぶ最短距離、それを全部知らなければ、試験がありまして、タシクー学校でこれを教える。二十八日ごとに警視庁の試験を受ける。合格までには一年から一年二カ月かかる。この間はタクシー運転手になれませんから、訓練期間中は毎週政府から八千円から一万円四千円ないし五千円の手当をくれる。それで養成するのですね。それで生徒には勉強のために土曜、日曜返上で自転車やバイクを貸して町を歩かして、地理、名称、建物、道路をみんな知るように便宜を与えてやらせるのですね。こういう規制をして、資格を与えるためにはこれだけの努力を国がしているのですね。これだけの努力を国がする反面、乗車拒否の権利を与えているわけですね。パリの場合なんかでいいますと、深夜の遠距離客、たとえばブーローニュの森がありますが、あれから向こうへ運んでくれというのは一切乗車拒否してもいいということになっている。それからさっきのロンドンの場合には、十キロ以上遠方に行く客には乗車拒否してもいいということになっている。さっきのストックホルムでは、酔っぱらい、三十キロ以上遠方の客は一切拒否ができる。それからイタリアの場合、イタリアの各都市、それからパリでもそうですしあるいはアメリカでももちろんそうですが、どんなに込んでもタクシーとバスだけは待たずに走れるような専用車線を、いま案をつくって確保を始めている。ハイヤー、タクシーだけの専用線をつくるというので計画を全部立てて、いま着手を始めているという状況ですね。  それからお昼になって、タクシーの運転手さんが——横浜なんか特にそうなんですが、駐車する場所がありませんから、空腹をかかえてなお走るということになるわけですけれども、ロンドンなんかは、市内二十カ所で歩道の一部を国と自治体が提携をして、緑色の小屋をつくって、運転手さんの運転手食を食べさせる食堂があって、タクシーの運転手さんがその近所に車がとめられるようなあき地を全部整えておる、こういうことなんです。そうすると、東京に入ってくる運転手さんがまことに困るのは、昼飯を食おうと思っても回りに駐車場がないのですから、昼飯になったら行きたがらないはずですよ。やはりここまでの、運転手食というようなものまであるのですからね。運転者に一番いい食事がある。いま日本の各経営なんというのは、栄養士の一人もいない、そこらの食堂から弁当を持ってくるのが関の山でしょう。やはりそこまでのことを行政指導もし、国の責任でつくってみせ、地域も与えて、しかも手当を与えて訓練までして、その上で拒否権を与えていて、だから公共輸送という責任を負え、こういっているわけですね。ところが日本の国というものはそういうことを何ら一切しないで、ただ単に乗車拒否を取り締まれといってみたって、警視庁の年間送検件数二百六十件しか昨年はたしかなかったと思いますが、そういうことを言っても片づくものじゃないと思う。  それからもう一つ、個人タクシーを最近私調べてみましたが、これは一日大体水揚げ五千円ぐらいですよ。通しじゃありませんし、からだは自由ですから無理をしない。そのかわり三十日ぐらいほとんど働くわけですね。一日の水揚げ五千円で三十日働きますと十五万円ですね。ところが十五万円で個人タクシーがやっていけるかといいますと、とてもじゃないがたいへんなんです。ガソリンが、プロパンとガソリンの差が一日三百円くらいしか違いませんから、ほとんどガソリンを使う。ガソリン代が三万円、それから車の三年償却でいきまして四万円、それから税金が自動車税を含めて十二カ月分の一カ月分くらいに当たります。これをずっと計算して、おまけにタイヤ一本四千八百円で四本あるわけですから、半年しかもちませんから、これをどう償却するかという問題、それから三級整備士がいるところで検査をして警視庁に届け出なければなりませんから、大体これは料金八百円ですけれども、やらなくても届け出だけはしなければならぬ。しかし、現実にそうなると、どうしても多少修理をしなければならぬということになるので、やはり修理費は多少取られるということをずっと入れていきますと、十五万円あげたのではこれは六万円くらいにしかならぬですね。そうすると、個人タクシーというものも決して楽なものじゃない。幾らかからだが楽であるということで、奥さんが店でもやっておるくらいでないとなかなか個人タクシーをやっても楽ではないという現実ですね。そうすると、ここまで詰まってまいりますと、経営そのものをながめてみても、前と違って人件費率が七〇%前後に近づいているということになると、五年間据え置きになっておるわけですから、そうなると、確かにそんなに前のようにぬれ手でアワでございますなんということじゃない。過去のことはさておいて、現状をどうするかということになるとすれば、やはりこのあたりで料金のあり方というものを考え直してみなければならぬときにきているということだけは事実だと私は思う。  そこで最後に、いまのやつは言いっぱなしでおきますが、この新聞によりますと、だいぶこまかいのがあるのです。これだけ聞いておきたいのですが、数字でこまかいですから、大臣でなくて自動車局長さんでけっこうございます。  この新聞を見ますと、これはことしの二月二十二日の新聞です。「東京、大阪、名古屋など六大都市のタクシー業者はさる四十年から四十一年にかけて、平均三五%前後の増収を目ざす値上げを各陸運局に申請している。」というのです。「たとえば東京二十三区の場合、いま二キロまで百円の基本料金を」——これはいま二キロ百円ですね。世界で一番安いモスクワが百メートル四円ですから、モスクワの場合には二キロで八十円ですから、その次に日本が安い。東京が二番目になると思うのですけれども、これでいきますと、「二キロまで百円の基本料金を百四十円に、四百五十メートルごとに二十円の加算金を四百メートルごとに二十円へ、と上げるとともに、二割増しの深夜早朝(午後十時から午前五時まで)料金制を設けようというもの。名古屋市の場合は一・八キロまで九十円の基本料金を百二十円に、四百十メートルごとに二十円の加算金を三百十メートルごとに二十円へ、上げようとしている。これに対し運輸省は、大都市のタクシー料金を上げれば物価に響くし、業者のふところ具合も、大都市は地方に比べるとまだ余裕があるはず、との見方から、認可を押えてきた。しかし、ここへきて業者側は一、いまの料金は五年以上据置きになっており、ほかの物価に比べて安すぎる、二、申請当時コストの五〇%程度だった人件費が、いま七〇%近くになっており、経営が成立たない業者も出ている、三、タクシー一台一年五万円の自動車損害賠償責任保険の保険料が近く値上げされようとしている」ということで認可してくれと言っている、こういう前提を置きまして、この自主運賃——これはさっき伊能さんがおっしゃった点ですが、自主運賃を、三月一日までに運輸省がきめてくれなければ、東京の場合東旅協がかってにやろうとした。これは運輸省は非常にあわてて、同情的に「検討のうえ妥当なものなら値上げを認める方向で、経企庁とかけ合う」こういうことを運輸省の方が言って説得をして、そういう三月一日から自主運賃なんかやめてもらうということで業界にやめてもらった。そうして「原田運輸相も『タクシー料金は安い』ともらしているが、私鉄運賃値上げとのかね合いもあって頭の痛いところだ。」こう書いてある、これを見ると。そこで中身がずいぶんこまかくこういうふうに書いてあるわけなんですが、検討を一応しておられる、あるいはされたというわけでありますから、これは黒住さん、自動車局として大体どういうところを重点に、——いま申し上げたようなことなのですが、割増し運賃の問題、いまは下のほう読まずにやりますけれども、距離メーターだけになっておるのはどうもこれを見ると日本くらいのものだというのですね。だから時間制兼用メーター、それから人数制、二人以上あるいは三人以上という人数制というふうなことを運輸省は検討する方向だということが書いてあるのですけれども、具体的に申し上げたのですが、ここらはどんなふうに検討されたのですか。
  193. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま先生の御指摘のように、東京はじめ六大都市につきましては、申請がおおむね四十年の終わりごろから四十一年にかけまして提出されております。その内容はいま御指摘のとおりでございます。われわれといたしましては、これは陸運局長の元来権限でございますから、申請を受け付けました当該陸運局でもって調査するのが第一次的でございます。したがいまして、各陸運局で内容につきまして精査いたしております。その調査いたします順序といたしましては、各年度、たとえば四十二年度におきますところの収支状態がどうかということ、それからいまや四十三年度も終了いたしておりますので、四十二年度から三年度にどういうふうな収支の推移になっているかというふうな点等収支の内容を原価的に陸運局で調査をしあるいは調査を終わっておるところもございます。  それから同時に、いま御指摘の運賃制度の問題でございますが、基本運賃なり爾後運賃につきましては、そのアップ率等は簡単に出るわけでございますが、それと同時に、時間、距離併用の問題、それから人数割り増しの問題等検討いたしております。  人数割り増しの点につきましては、いろいろ実施上問題点もございまして、意見としてはむずかしいという意見が多いのではないかと思います。  時間、距離併用メーターというものは、欧米におきましてはほとんど実施されているわけでございますし、大都市におきますところの交通の状況も、非常にスピードが落ちてまいっておりますので、混雑のところに行かないということが一つの乗車拒否の原因にもなっておるような現状でございますから、時間、距離併用メーターはしばらく例等を見まして、検討いたしております。その場合に現行の待ち料金の運賃制度をそのままとりまして、限界速度以内の場合には、それは待ち料金が働くというふうにいたしますと、メーターの改造も簡単でございます。それで待ち料金が現在都市によって若干違っておりますので、待ち料金と限界速度の点等を計算いたして、検討をいたしております。  それから深夜の割り増し運賃でございますが、これは地方におきましてはすでに実施いたしておりまして、県庁所在地のような都市と、そうでないところにおきましては若干時間が、たとえば、夜の十時というところと十一時のところとありますが、それらをかりに実施するとすれば、どういうふうな実収率になるかというふうな点につきまして、各陸運局、あるいは統一的のものにつきましては事務的に本省で検討いたしておるような次第でございまして、これらの検討を事務的に終わりますれば、御報告その他申し上げまして、御指示を得たい、こういうことになっております。
  194. 大出俊

    ○大出委員 終わりますが、時間の関係でどうしても——実は問題が問題だけに、一ぺん理事会で問題になったことでもありますので、少しこまかく申し上げようと思って取り上げたわけなんですけれども、それにしても、時間を気にいたしましてずいぶんかけ足でまことに大ざっぱな質問に実はなってしまったわけでありますが、ここで、経済企画庁にお出かけいただきましたので、私もわが家がわが家でございますから、もう料金値上げなんということは何とかしたくないという気持ちなんです。だからその意味では、企画庁が上げたくないという気持ちは私もわからぬわけではない。だから、以上申し上げたような労働環境あるいは運転者の賃金、世の中乗車拒否はけしからぬという、ダンプカーの運転手さんでも七万円くらいもらっているのに旅客運送の運転手さんは五万円くらいしかもらえないとなると、人間が砂利以下に運ばれてもしようがないじゃないかというような話まで出て、いろいろなことになっておりますよ。だからそこらの問題が解決をするならいいのです。そういう意味で、さっきからしきりに伊能さんの質問に反論めいた答弁をされておりますが、私も上げないで済めば上げたくない。あたりまえです。したがって、上げないでも、幾つか私は基準法違反の問題なり、低賃金過ぎる問題なり、退職手当が比較にならぬほど安過ぎる問題なり、業者のほうでこの運転手というのはげたの鼻緒で切れたら取りかえればいいんだというので、四、五年使ってほうり出していくというようなことになってしまう問題なりいろいろあげておりますが、そういう点も含めて現状やっていける、政府の力で解決を見出していけるというなら、そういう点についてまで、せっかくの企画庁ですから詳細な企画、計画を含めてこれはお示しいただきたい。  それから警察の皆さんにお出かけをいただいておりますので、先般世上新聞その他がだいぶ取り上げてから乗車拒否について相当きびしく取り締まるということが載っておりまして、さっき私がいみじくも取り上げた志村タクシーも乗車拒否で手入れを受けている。これは六件かなんか違反に違反が重なったというのですね。「乗車拒否追放作戦を展開している警視庁交通部」ですね。「東京都北区滝野川二の二二、志村興業会社」ここが道路運送法違反の疑いで捜査を受けた、こう書いてありますね。「七月十五日まで行なった乗車拒否一斉取り締まり期間中、書類送検などの処分を受けた悪質運転手は二百九十人、百九十二社。このうち、二回以上の乗車拒否をしたのは二十六社だが、なかでも志村興業は六件と最高で、この日の捜索となった。」というのです。ところがこの中に、下井草までといって声をかけられて、メーター料金のほかに五百円出せば乗せてやるというので、これがパトロール中の私服警官に見つかったというようなことが書いてある。  この辺でひとつ警視庁は、乗車拒否というのを一体どのくらいの人数でどうやって取り締まりをしようというのか、またそういった警察の取り締まり面で乗車拒否というものはなくなるというお考えでやっておられるのか。年間百六十何件しか送検しておられませんようですけれども、昨年の例でいきますと。運転手さんの数からいきますと宝くじに当たるよりももっと確率は低いのですよ、送検件数からいきますと。宝くじだって買ったってめったに当たらぬのだけれども、それよりもなお低い率になりますよ。そうすると、ほんの偶然にそこに私服の方がいたとかなんとかでほんとやっておるというだけの話で、一つ間違えば、一人の運転手さんが一日に必ず三回以上乗車拒否をやっているといわれている世の中に、これまたやるとすればずいぶん片手落ちですね。だから私に言わせれば、世の中がうるさくてしょうがないから、やっておるのだというところだけ見せておけというふうにしかとれぬですね。だからそういう意味で、これはほんとうに乗車拒否がなくなるというところまで取り締まれると思ってやっておるのか、それともまあ少しはやらなければかっこうがつかぬからやっておるというのか、そこらをお答えおきいただきたいわけです。
  195. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 大出委員からいろいろ専門的な御意見を承りました。私どものほうとしては、あくまで物価全体、国民の消費生活を守るという基本的姿勢に立って今日まで日本の経済運営に当たっておる。そういう範囲において交通料金はいかにあるべきか、その中の都市交通、六大都市を含めた交通は国民生活にどういう影響があるであろうかということをわれわれは考えておるわけでございます。  乗車拒否の問題については、私どもはそれは全体の運転手のごく一部のものである、それはやむにやまれぬ事情があることもあるであろうし、また実質そういう人もあるかもしれません。しかし、私としては、そういうものが運転手の共通な観念であるということについては問題があると思いますが、いずれにいたしましても、先ほど運輸大臣が強い決意でこの面を検討しておるというのでありますから、これは閣僚懇談会の議題になり、そういうことになりますれば、経企庁としても、ただすべてを押えるというような物価政策はわれわれもとっておりませんから、経企庁としても運輸省から御相談があればこれも事務的に検討いたしまして、そうした方向にいくかどうか、これはまた慎重に考えさせていただいて、今後のタクシー料金の問題を検討させていただきたい、こう思うわけであります。
  196. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 現在の警察力で乗車拒否が根絶できるとは毛頭思っておりません。しかも現在の乗車拒否を警察が取り締まりますのには、これは通常一一〇番に申し込んでくる、あるいは近くの交番に申し込んでくる。これは酔客が多いわけです。それで現場に行ってみたら車がいない、あるいはその酔客の方が十分こちらの捜査協力しないというようなことが非常に多いわけです。現実に現行犯で検挙しようと思いますならば、たとえば先ほどの志村の例でもそうですが、われわれのほうが少ない交通係の中から、しかも交通係というのは普通は事故処理あるいは交通整理、日勤勤務を深夜に出勤して私服で立てなければ実行できないということになりますと、とても長続きはできません。現在警視庁は、おっしゃるとおり世論が非常にきびしいわけです。これを取り締まるのは警察しかないということでございます。あるいは陸運事務所もあるかもしれませんが、警察しかございません。それで警察庁は五月七日から七月十五日までぎりぎり一ぱいだと思いますけれども、世論が強いのでやったわけです。おっしゃるとおり百九十二社、二百九十件、この中に個人タクシーはございません。百九十二社、二百九十件やったわけですけれども、私はこれが精一ぱいで、この取り締まり体制がそのまま続くとは思いません。また続けるとするとこれは警察官がたまりません。ときどき取り締まり月間というようなことでやらざるを得ないという状況でございますので、御了承願います。
  197. 大出俊

    ○大出委員 これは原田運輸大臣お聞きのとおりで、これは二百何件くらいですと、それはほんとうに星の数ほどある。目で見える星の数というのは四千七百幾つしかないそうですけれども、星の数ほどある乗車拒否を取り締まり当局が幾らさか立ちしても取り締まれるものではない、ギャンブルで、出動した警察の皆さんがやめてくれ、ほかにやることが一ぱいあるのだということと同じですね。だから、これはまさに政治の問題だということになる。抜本的にどうしたら片づけられるかということはみんなで考えなければならぬ問題だと私は思うのです。したがって、私は所属する政党の性格からも値上げなんということを口に出すべき筋合いでないのだけれども、しかしここまでくるとそこまで言わざるを得ないという気持ちでものを言っておるわけなんですが、にもかかわらず企画庁どうも何かわかったようなわからぬようなことをしきりに言う。全く何を言っておるのか、これは政務次官も、だいぶんむずかしいんで困っておられるのだろうと思うのですけれども、ますます手なしでいて手がない、手がないのが困ると言って、しまいには困るともいえないというようなことを言って、押えるだけが物価政策ではないと言って、相談をもちかけられれば、そういうふうになるのかならないのか、検討しますなんて妙なことを言ったりされておるわけです。したがって私は、原田運輸大臣に最後に、黒住さんからもお話がありましたが、そこから先はまだ相談をされていないということなのかどうかということを明らかにしておいていただきたいのと、いずれにしてもさっきお答えをいただきましたが、となると、これはやっぱり運輸省が各般の問題をながめて見て、どうすればこれらの問題にメスを入れて片づけていけるかという点等々をとらえて結論を求めなければならぬ問題だと私は思うので、時間、距離あるいは待ちメーター兼用メーター等をつくっても値上げにつながるのだろうと私は思いますけれども、それにしても抜本解決に向かってひとつ足を進めるということにしていただきたいものだ。  労働大臣がおいでになっておりませんから、労働省の方にはさっきから幾つか申し上げましたが、港湾労働法をつくったときだって運輸省と労働省と確執があったようでございますね。私も知らずに言っているわけじゃありませんで、なかなかこれはむずかしいところでしょうが、やはり基準法の門番をされておる所管の省でございますから、そういう意味でひとつ料金値上げ——先般の例なんかからいきますと、政治資金を使っておれたちが上げたんだからと、上がったとたんに逆に歩合いを下げるなんというような経営者の方々がおった現実もありますので、そんなことになったんじゃますますもって狭い職場になってしまいます、新規労働者が来ませんから。そういう点なども含めてこれは御努力願いたいんです。大臣ひとつ、最後に決断を下されるときには、はっきり、経済企画庁がどっちを向こうと、冒頭に承ったように、法律的に所管事項をかかえておられるわけですから、ぴちっとやっていただきたいのと、できるだけ労働省あたりにもものを言っていただいて、あわせて全体が前に進むようにお考えをいただきたいとお願い申し上げたいんですが、何かございますでしょうか。
  198. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほども申し上げました。繰り返すようでございますが、私は、タクシー問題について、ただ単なる料金問題として取り上げるのではなしに、総合交通対策としてどうしていくべきかというときが来ておる、このように判断をしておるわけでありまして、このことについての施策というものを政府の責任でやるのはわが省であり、これについて指示をいたしておりまして、これが料金の問題にからんでくるといたしますと、これは当然今日の物価抑制上から、極力抑制するという態度を持っておりますけれども、これは私といたしましては主張せざるを得ないということになってくるわけでございますが、いま私が指示をいたしておりますのは、根本策についていま警視庁の説明員から、これ以上のことはやれないと言っておることは、これは相当なことだろうと私は聞いておるわけでございます。私どもは、法律を守るために警察も一生懸命やってもらうということで、当然違反は取り締まるという立場に立っておる当局が、いまが精一ぱいであるということを言っておるのは、これは相当なものだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、先ほど言いましたように乗車拒否というものをどうとらえるかという問題も含んで、私は、根本的のことをやらなければ解決しないと思っております。いま大出さんは新規労働者も来ないと言われました。タクシー業界だけでなしに、各地方で各業界が、これはもう基本的に、労働人口が四十八年には激減するということと関係がありますから、これはもういたし方がない。事実と取り組んでいかなければならない。それのために省力化ということを一生懸命やっていますが、タクシーというものはどうしても一人の運転手が要ることだけは確かである。しかも運転手だからといって安い賃金で酷使できるものではない。そういたしますと、どういう形にしていったらほんとうの企業としてなるのか、需要があるからといって、人もないのに、ただ車を持って伸ばして、そして欠損がいった、これは経営者が無能であると私は思う。それを、百万円も二百万円も出して権利を買って、そして困り抜いていっているということは、私は、経営者の能がないのだというふうに見なければならぬと思う。しかしこれらの問題について、実は料金問題、運賃問題について——話か少し脱線しますが、私鉄問題について私鉄振興法というものを前の大臣は出そうと考えた。どういうものだということを私が聞いてみたら、まだ弐まっておりません。というのは、私企業のほうはそういう恩典をもらうよりも運賃を値上げしてもらったほうがそれでカバーできます、こういうわけですね。私はしかしそうだろうかということをいま考えておる。具体的に言いますと、大阪でニュータウンをつくった。このときに、いまの既存の会社にこれを経営せぬかといったってできない。それはなぜかというと、いまの私鉄に対して金利が高いのですね。安い金利で出そうとすれば、国の税金ですから法律でやっていくと、当然国の税金でまかなった分については監査しなければならぬ。それはいやだ、結局やめだ、それでは足をどうするか、そこで今度は半官半民といいますか、公社的な性格を持っておる大阪府が出資をしているところの会社に免許を与える、そういうことなら大阪府の金も出せる、いわゆる安い金利の金を使える、何とか経営ができるということでこれをやっておるというような実例があるわけですね。こういうことを考えていきますときに、これは根本的に総合交通対策の中でタクシーというものはどうあるべきかということで進めなければならぬ。いま大出さんの言われた中で、私が特に業界の人たちに聞いておいてもらいたかったのは、自分たちはほかへ投資をしてもうけるだけもうけておいて、そして困ったときだけいろいろ言う。こういうものじゃだめだという御指摘があった。そのとおりだと思う。いま話に港湾のことが出ましたけれども、この日本の海運が困り抜いて、結局国のほうから助成を受けた。そのかわりにその会社に対しましては、ほかへ一千万円以上の出資をすることはまかりならぬぞというところまできびしくやって、そうして今日世界一といわれるところまでこぎつけてきておるということを考えますときに、タクシー業界の経営というものを、ただあなたが言われたように一台五千円かせいでこい、五千円あったらいい、あとは全部おまえらのもうけだ、そんな企業では国民の命を預かっていく企業ではない。こういうことまで含んで、私は微力でございますけれども、ひとつ全力をあげていきたいと考えておりますので、これは何とぞ御協力を賜わりたい。
  199. 大出俊

    ○大出委員 ありがとうございました。労働省のほうも基準法をかかえて手がないという面がありますし、とにかくいまも私、御答弁を聞いていて、そう言い切られますと、全くまさにそうなれば政治の問題だということなんです。私もきょうは単なる料金値上げという取り上げ方をしたつもりはないので、全体的にどうすればこれらの溢路に入ってしまったものが片づくだろうかという点からものを申し上げたつもりなんです。大臣からいま前向きの御答弁をいただきましたので、ぜひひとつ御努力を賜りたいということをつけ加えまして、終わりたいと思います。
  200. 藤田義光

    藤田委員長 次回は来たる二十四日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十分散会