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1969-06-26 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月二十六日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    赤城 宗徳君       井出一太郎君    内海 英男君       菊池 義郎君    田中 龍夫君       野呂 恭一君    葉梨 信行君       古内 広雄君    三池  信君       山口 敏夫君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    岡田 春夫君       木原  実君    楢崎弥之助君       華山 親義君    平岡忠次郎君       永末 英一君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         防衛政務次官  坂村 吉正君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁総務         部会計課長   高橋 定夫君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         防衛施設庁労務         部長      長坂  強君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質調査         課長      田村 五郎君         水産庁漁政部長 安福 数夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二十五日  委員内海英男君、田中龍夫君、古内広雄君、山  口敏夫君及び華山親義辞任につき、その補欠  として早稻田柳右エ門君、齋藤憲三君、岡崎英  城君、宇都宮徳馬君及び河上民雄君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員宇都宮徳馬君、岡崎英城君、齋藤憲三君、  早稻田柳右エ門君及び河上民雄辞任につき、  その補欠として山口敏夫君、古内広雄君、田中  龍夫君、内海英男君及び華山親義君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十五日  恩給の改善に関する請願外四件(池田清志君紹  介)(第九三一七号)  同外二件(池田清志紹介)(第九四一九号)  一世一元制法制化に関する請願鹿野彦吉君  紹介)(第九三一八号)  靖国神社国家管理反対に関する請願田代文久  君紹介)(第九三一九号)  同(谷口善太郎紹介)(第九三二〇号)  同(林百郎君紹介)(第九三二一号)  同(松本善明紹介)(第九三二二号)  同(阿部昭吾紹介)(第九三八六号)  同(阿部哉君紹介)(第九三八七号)  同(井手以誠君紹介)(第九三八八号)  同(井上泉紹介)(第九三八九号)  同(井上普方紹介)(第九三九〇号)  同(石川次夫紹介)(第九三九一号)  同(石田宥全君紹介)(第九三九二号)  同(石野久男紹介)(第九三九三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第九三九四号)  同(稻村隆一紹介)(第九三九五号)  同(小川三男紹介)(第九三九六号)  同(太田一夫紹介)(第九三九七号)  同外一件(岡田利春紹介)(第九三九八号)  同(岡本隆一紹介)(第九三九九号)  同(加藤勘十君紹介)(第九四〇〇号)  同(加藤万吉紹介)(第九四〇一号)  同外一件(勝澤芳雄紹介)(第九四〇二号)  同外一件(金丸徳重紹介)(第九四〇三号)  同(神近市子紹介)(第九四〇四号)  同(唐橋東紹介)(第九四〇五号)  同(川崎寛治紹介)(第九四〇六号)  同(河上民雄紹介)(第九四〇七号)  同(河野正紹介)(第九四〇八号)  同(木原津與志君紹介)(第九四〇九号)  同(木原実紹介)(第九四一〇号)  同(北山愛郎紹介)(第九四一一号)  同(工藤良平紹介)(第九四一二号)  同(小林信一紹介)(第九四一三号)  同(小松幹紹介)(第九四一四号)  同(佐々栄三郎紹介)(第九四一五号)  同(阪上安太郎紹介)(第九四一六号)  同(實川清之紹介)(第九四一七号)  同(柴田健治紹介)(第九四一八号)  同(島上善五郎紹介)(第九四一九号)  同(島本虎三紹介)(第九四二〇号)  同(下平正一紹介)(第九四二一号)  同(田中武夫紹介)(第九四二二号)  同(田原春次紹介)(第九四二三号)  同(高田富之紹介)(第九四二四号)  同(楯兼次郎君紹介)(第九四二五号)  同(内藤良平紹介)(第九四二六号)  同(中井徳次郎紹介)(第九四二七号)  同(中澤茂一紹介)(第九四二八号)  同(中嶋英夫紹介)(第九四二九号)  同(中谷鉄也紹介)(第九四三〇号)  同(成田知巳紹介)(第九四三一号)  同(西風勲紹介)(第九四三二号)  同(野間千代三君紹介)(第九四三三号)  同(長谷川正三紹介)(第九四三四号)  同(浜田光人紹介)(第九四三五号)  同(原茂紹介)(第九四三六号)  同(平岡忠次郎紹介)(第九四三七号)  同外一件(平林剛紹介)(第九四三八号)  同(広瀬秀吉紹介)(第九四三九号)  同(古川喜一紹介)(第九四四〇号)  同(帆足計紹介)(第九四四一号)  同(穗積七郎紹介)(第九四四二号)  同(堀昌雄紹介)(第九四四三号)  同(松本七郎紹介)(第九四四四号)  同(森本靖紹介)(第九四四五号)  同(八木昇紹介)(第九四四六号)  同(柳田秀一紹介)(第九四四七号)  同(山崎始男紹介)(第九四四八号)  同(山田耻目君紹介)(第九四四九号)  同(山本幸一紹介)(第九四五〇号)  同(米田東吾紹介)(第九四五一号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第九四五二号)  同(渡辺芳男紹介)(第九四五三号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外十二件  (池田禎治紹介)(第九三七六号)  同外二十五件(小沢貞孝紹介)(第九三七七  号)  同外十二件(河村勝紹介)(第九三七八号)  同外二十五件(竹本孫一紹介)(第九三七九  号)  同外二十四件(塚本三郎紹介)(第九三八〇  号)  同外十二件(西尾末廣君紹介)(第九三八一  号)  同外十二件(和田耕作紹介)(第九三八二  号)  同外二十五件(麻生良方紹介)(第九四八六  号)  同外二十五件(内海清紹介)(第九四八七  号)  同外十二件(河村勝紹介)(第九四八八号)  同外二十五件(玉置一徳紹介)(第九四八九  号)  同外十二件(和田耕作紹介)(第九四九〇  号)  同外二十五件(池田禎治紹介)(第九五二三  号)  同外十二件(内海清紹介)(第九五二四号)  同外十二件(小沢貞孝紹介)(第九五二五  号)  同外二十五件(春日一幸紹介)(第九五二六  号)  同外十二件(河村勝紹介)(第九五二七号)  同外十二件(玉置一徳紹介)(第九五二八  号)  同外十二件(塚本三郎紹介)(第九五二九  号)  同外十二件(和田耕作紹介)(第九五三〇  号)  靖国神社国家護持立法化反対に関する請願(  江田三郎紹介)(第九三八三号)  同(川村継義紹介)(第九三八四号)  同(美濃政市紹介)(第九三八五号)  靖国神社国家護持に関する請願外四件(小坂善  太郎君紹介)(第九四九二号)  同外三件(山手滿男紹介)(第九四九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。浜田光人君。
  3. 浜田光人

    浜田委員 先日の総理質問の際に、当然私は、いまの安保の一番身近な問題としての国内基地問題を質問する予定でございましたが、時間の関係上、それらに触れることができなかったのであります。本日は基地問題一本にしぼって質問したいと思いますので、できるだけ簡明率直に、総理のように余分な答弁をして時間を食わないように御答弁をいただきたいことを前提にして質問に入ります。  私たちは、当然社会党の立場でございますから、文句なしに全面返還すべき、という立場でこの問題をとらえておるわけでございますが、かりに政府サイドから見ても、もっと勇敢に、決意をもってこのいろいろな基地返還要求あるいは基地公害の問題、これらに当たるべきだと思うのです。しかしそれをやるためには、その国内基地状態、特に遊休とか余分だとかの土地とか施設とか、こういうものはよく防衛施設庁はつかまえておかなければならぬと思うのですね。知っておかなければならない。それらを今日十二分にやっておられるかどうかということ、あるいはそれをやった結果、昨年十二月の二十三日の日米協議委員会において五十カ所のいろいろの問題点を出していったんだ、こういう御答弁をなさるかもしれませんが、それならば、この五十カ所の施設はその後どういうような経過をたどってきているのか。あるいは今日六カ所ばかり返ってきておるが、実際正直に申し上げまして、返還されたところはそう大きな、日本の国なり国民にとっても、これはありがたかった、ぜひ必要だというようなところは考えられないですね。あまりどうでもこうでもたまらぬというようなところじゃない。しかも絶対必要な、国民生活から見てすみやかに返還してもらわなければならないというようなところは依然として返ってきておらない。いろいろな条件がついて、その条件を満たさなければ返ってこない。うがった見方をいたしますると、日本政府にいろいろ条件をつけた、いわゆる代替施設をつくれとか代替地を出せとか提供せいとか、これをやっておけば、実際はその代替地なんというものはなかなか求めにくいから返さないで済むだろう、こういうことでアメリカのほうが条件をつけておるようにも見られるのだ。そういう点でもっと勇敢に、これだけはどうしても要るんだ、日本国民のため、国家のためだ、ぜひ返してもらわなければならぬ——またいろいろいまのアメリカ在日米軍状態を見ますると、確かに空軍はいろいろ極東の平和というようななにがあるかもしらぬけれども、その後見てみなさい。陸軍や海軍なんか、みな補給部隊ですね。ほんとう意味をなしておらないんだ、極東の平和で、ぜひ日本基地を提供し、使わなければならぬといっておるけれども。そういう意味で、もっともっとぼくはそういう突き詰めた基地把握をして、勇気を持って交渉されるべきだと思うのですが、まずそういう点について防衛庁長官の御所見を聞きたい。
  4. 有田喜一

    有田国務大臣 在日米軍基地、いわゆる基地、これにつきましては、私どもといたしましては、日本並び極東の安全のために必要なものだ、こういうやはり前提があるわけです。したがいまして、その基地機能を阻害しないようにということは一つ考えなければならぬ。しかしながら、その後の情勢変化によりまして比較的利用度の少ないものもあります。その他いろいろな原因がございまして、基地周辺の人々も非常にお困りのことはよくわかっておりますが、先ほど言いましたような、その基地日本並び極東の安全のために必要であるという、その機能を阻害しないようにという前提に立ちまして、いろいろと折衝を重ねておるのですが、御承知のとおり終戦当時から、米軍が初め基地を設けてから非常に面積といい数といい減っております。また最近の例としましては、御承知のとおり、先ほどもお話のありました昨年暮れには約五十カ所の基地につきまして政府も非常に熱心にアメリカ当局折衝を重ねまして、五十カ所ということを双方の間に大体の見当をつけて、その具体的処理日米合同委員会にゆだねる、こういうことできたのです。そして合同委員会におきましても熱心に討議をしまして、現段階におきましては、約五十カ所のものが今日まで十九カ所もうすでに合同委員会において決定を見たような次第でありまして、この上とも熱心に合同委員会におきましてこれを推進するつもりでありますが、私どもとしましては五十に限らず、その後のまた情勢変化によりまして、利用度も少なく、いわゆるおっしゃる遊休的なものにつきましてはこの上とも検討を重ねまして、そして力強くアメリカ側にも折衝を重ねまして、そして機能を減らさないという前提の上に立って、だんだんとそういうものを返還あるいは移転その他の措置をとって片づけたい、こういう考えであります。決してわれわれはまぎらしておるわけではない。この上とも一そう政治力を発揮して努力していきたい、かように考えております。
  5. 浜田光人

    浜田委員 口では長官確かに非常に熱意を持って、政治力もこれから発揮したい、こういう御答弁でありますが、実際昨年の十二月二十三日の日米協議委員会できまった。これが六月十何日まで六カ所くらい返って、さらにその後返ってきて十九カ所、こういわれますが、それはさっきも申し上げましたように観音崎の見張り所とか、われわれ国民日常生活から見たときに、そうぜひこれはという個所でないような、これは浜田の主観かもわかりませんが、私はそういうとり方をしておる。したがって絶対必要なような個所、こういうようなところというものはなかなか具体的に返還されてきておりません。そこで、これらがまだ具体的な返還の段取りになっておらないのは、大体日本サイドの何かの事情があるのか。   〔委員長退席伊能委員長代理着席〕 たとえば、あの射爆場新島に移そうとしたときには、新島のほうの受け入れ態勢ができない、あるいは航空問題が解決できないから移転できません。これは日本側理由ですね。そういうように日本側理由なのか、あるいはアメリカ側の何か理由によってなかなか具体的に話が進まないのか、そういう点、どちらなんです。
  6. 有田喜一

    有田国務大臣 これは日本側理由のある場合もありますし、またアメリカ側がいろいろの関係がありましてもう少し時期を延ばしてくれというようなものもありまして、いろいろな事情がありますが、その詳細については施設庁長官から答弁させます。
  7. 山上信重

    山上政府委員 昨年十二月に安保協議委員会におきまして協議せられました施設返還につきましては、合同委員会において鋭意協議するということで、合同委員会の下にあります施設委員会、これが実務をやっておるわけでございますが、そこに調整委員会という専門の人たちによるところの特別の機関をつくりまして、この推進をはかっておるわけでございます。  そこで、先ほど大臣からもお答えになりましたように、十九施設につきましては決定をいたしたわけでございますが、その他のものにつきましてはただいま鋭意双方検討中でございます。  これがそれじゃ今日までどうして一ぺんにいかないのかということでありますが、昨年十二月から今日まで約半年間でございます。われわれとしては最大の努力を払っておるわけでございますが、これは移転等のものにつきましては、移転に伴うところの移転先の問題であるとか、そういったようなものではかどらないものが相当ございます。そのほか、移転に至らない返還のものにつきましては、返還内容といたしましても、たとえば使用転換のものもございます。単純返還のものもございます。これらの中には、わが方におきましてもいろいろ使用転換についての話し合いの必要なもの、たとえば北富士等のごときは使用転換についての地元との話し合いが必要であるといったようなものもございますし、そかれらまた返還ということになりましても、米軍内部におきましてもいろいろ調整をいたしておる、そのためにおくれるというものもあるわけでございまして、いろいろ個々の施設ごと事情は違っておりまするが、いずれにいたしましてもわれわれといたしましては極力、双方ともにこの五十の施設のすみやかな返還使用転換あるいは移転等が実現できるように、双方誠意をもって努力をいたしておるという現状でございます。
  8. 浜田光人

    浜田委員 ただいまの山上長官の説明だと、具体的にどちらに原因があるかということがわからぬ。日本側の分は、たとえば移転条件が整わないとか、そういうことはわかりますね。さらに新島の射爆場もしかりですが、そういう条件が整備されない、こういうことになる。その問題はその程度にしますが、本来アメリカ軍側からいろいろ代替施設とか代替地を求められて、この条件をのんで日本サイド基地が返ってくるんだと思うことが本来間違いだと私は思うのだ。それは、たとえば弾薬を揚げる個所ですね。同じ行政区域内なら別です。それでも必ず問題が起きる。ところが異なった行政区域内にその施設を持っていこうとしたら、必ず問題が起きますよ。それは経験に照らしてもそうでしょう。そのときに、そういう代替のものをつくったら返還してやろうとか、そういうことになったら、国内基地はみんなきらうのだから、できっこはない、じゃ返ってこない、こういうことになるのですよ。そういうケースがこれの中にたくさんあるじゃありませんか。したがって、冒頭私が申し上げましたように、返ってくるのは見張り所であるとか、きわめて利用価値の少ないものしか返ってきておらぬ。太田の飛行場は別だよ。ああいうのもそれはたまにはあるが、概して五十カ所はそうなっておる。だから、ほんとう条件を整備できるもの——できないのを軍がこういっておることは、最初からもう返す意思はなくて、こういうようにいっておけば、まあ七〇年安保を控えて国民は、あああれだけ返してくれるというんだからと、少しはやわらかくなるのじゃなかろうかとか、こういうように勘ぐるのじゃなくして、事実なんですよ、具体的にずっと突き詰めてみると。だからこの五十カ所にいたしましても、ほんとう返還しようとする意思があって、日本サイドアメリカサイドか知らないけれども、どこに原因があるかということでずっと突き詰めれば、これは解決できることは早くできると思うのですよ。そういう意味で私は、どっちのサイドほんとう原因があるのか、煮詰めてやっていかなきゃならぬと思うのです。それは両方にあるんだといわれる。両方にあるのなら、具体的にどれとどれはこういうアメリカ側原因、これとこれが日本側条件整備ができぬから、いついつまでに整備してこうしますと、こうならなければいかぬのですよ。これだって問題があるのです。整備しようと思えばできるのです。あの条件が整って、やろうと思えばすぐできる。十何年間も地元が要求しておって、やっと昨年の十二月二十三日に問題が起きて、それで解決。日本側条件整備をしようと思えば、一億か二億出してすぐできることを、なかなかぐずぐずしておられる。口では自民党も、七〇年を控えて基地対策として基地には予算をうんと出してやるんだ、こういわれるけれども、実際進んでおらぬ。あんまり国民をごまかさぬように、やるんなら裏づけの予算をもってどんどん整備すべきなんです。そういうことをやらなきゃほんとう基地対策になりませんよ。  そこで、そういう日本サイドのいろいろな原因を除去するというか、そのためにいろいろな全国基地をきちっと施設庁が握っておらなければいかぬ。そういう中で私は、もっとこの全国の、現在返ってきて何ぼになりますか、百四十カ所くらいになりますか、その基地の態様、軍の使用内容使用目的、これがやはり防衛庁としてのつかみ方が足らない。  まず具体的に一つずつずっとぼくは提起して回答を得たいのですが、過日六月の十四日でしたか、立川基地で、楢崎議員のほうからも質問ございましたが、あのピストルたまの誤射事件ですね。あれは鑑定もなされたと思ったのですが、どういう結果になりましたか。
  9. 山上信重

    山上政府委員 防衛施設、いわゆる基地の実態の把握につきましては、われわれとしても、先ほど大臣の御答弁にありましたように、最大限の努力を払ってその実情の把握につとめておる次第でございます。  それから、ただいま最後の御質問にありました立川ピストル射撃場事件につきましては、この事故原因調査、それからその対策がはっきりするまで、米側に対してこのピストル射場使用を中止をいたしておるのでございます。なお現在警察当局においてこのピストル事故原因調査をいたしておりまするが、その報告をまだ伺っておりません。したがいまして、それがはっきりいたしましてから具体的な対策に入り得る、こういうふうに考えておる次第でございます。
  10. 浜田光人

    浜田委員 まだ、どういうたまであったとか、どういう状態で誤射かというようなことは出ておらぬ、こういうことですが、これはそうのんびりしておれないケースなんじゃないですか。すでに本日は六月の二十六日ですよ。いろいろ国会議員等がそれらに対しても成規の手続で出されておるのに、そうのんびりしておってよろしいのかどうか、そういう点どうでしょう。
  11. 山上信重

    山上政府委員 おっしゃるとおりのんびりしておるべきではないのであって、警察当局に対しましても、その調査結果をなるべくすみやかに出していただくように要望いたしておる次第でございます。  なお、最初、冒頭申し上げましたとおり、そういったことについての対策がとられないのに、調査のほうものんびりしていて、射撃のほうはどんどん行なわれていくということでは不都合でございますので、そのほうは、ピストル射撃というものは中止して、そういったものが明らかになるまで、対策を立てるまで中止させるということで進んでおります。なお警察調査につきましては、すみやかにやっていただくように今後とも努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 浜田光人

    浜田委員 当面それらがはっきりするまでは中止させておる、こういうことですがね。そうすると、はっきりさすと、そういう拳銃の射撃場に使っておるのか、あるいはどういうことで使っておるのか知りませんが、またそういう施設内で使わす、こういう意見ですか。
  13. 山上信重

    山上政府委員 原因がはっきりいたしまして、その射撃がどういうことで行なわれた、どういうわけでたまが飛んできたというようなことがはっきりいたしますれば、それに応じた、事故の起こらないような方法を講じた上でなければ始めさせないというふうな考えでございます。
  14. 浜田光人

    浜田委員 どういう原因で起きたかがわからない、こういうことですがね。それは強盗に入ってどんどんピストルを撃った、そのたまがきたとか、こういうのなら別ですがね。少なくとも基地内、施設内からそういうたまのくるおそれがあるというのはね、民間に。そういうことは私は、基地を提供しておるそういう協定で許されないと思うのだよ。いとも簡単にそこらへ飛んでくるようなことが。したがってこの立川のような状態が、これと全く同じとはいいませんよ。こういうピストル射撃、正規の射撃場はいいですよ、これは基地できちっと試射場であるとか、小銃射撃場とか、こういうものを提供しておるところは当然のことだ、その目的だからね。それでないところでこのピストルやあるいはライフル銃、あるいはクレー、こういう射撃をやったりしておるところが全国であるのかないのか、基地内でそういうことをやっておるところは。
  15. 山上信重

    山上政府委員 ピストルの射場はそれぞれ設置にあたりまして、正規でない射場というものが特にあるようにも思いませんが、そういうようなものとして現在ありますのは、全国に十九カ所あるというふうに承知いたしております。
  16. 浜田光人

    浜田委員 ただいま長官の答弁された十九カ所というのは、安保条約六条に基づく地位協定によって明確にそれらの使用目的をして提供をしておる個所が十九カ所、こういうことに理解していいわけですか。
  17. 山上信重

    山上政府委員 ピストル射場は多くの場合基地の中に設けられておるのでございます。たとえば、ただいまの立川飛行場の中のごとく、あるいは横田等の飛行場の中にもございましょう。そういったような意味合いでございまして、防衛施設は御承知のように日本の安全と平和を守るために提供いたしますところの米軍施設、その施設はそういった目的のために提供されておる。その中において、米軍の管理権に基づいてピストル射場を設置した、こういうふうな筋書きでつくったものと私は考えております。ただピストル射場をつくりますときには、その際に、そういった設置の基準等につきましては日本警察当局とも十分事前の連絡をとって、かような規格、かようなやり方というふうなものを了解の上でつくっておる、かように了解しております。
  18. 浜田光人

    浜田委員 再度の長官の答弁によりますと、さっき十九カ所と言われたのは、いわゆる長坂小銃射撃場であるとか、長浜小銃射撃場、これは同じ長でも広島と神奈川と違うのですよ。そういう正規なものでなくして、いわゆる施設といって提供しておる中で、ピストルであるとかライフルとか、そういうものを向こうの軍人が基地内で撃つ、こういうことで設置された個所が十九カ所と、こういう意味ですか。
  19. 山上信重

    山上政府委員 さようでございます。
  20. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、そういう十九カ所の基地の中に、たとえば一基地の中に何カ所かある場合がございますか。
  21. 山上信重

    山上政府委員 そういうものもございます。
  22. 浜田光人

    浜田委員 あなたはこれらが極東の平和と安全に寄与するから基地内でそういうことをやる施設を設置しているんだ、こういうように答弁なさっておるんだが、よくそういう実態を調査されておるのなら、どういうことをそういう射撃場でやっておるのか、それについて詳しく御説明いただきたい。
  23. 山上信重

    山上政府委員 ちょっと見当が違うかもしれませんが、私はただいまピストル射場について申し上げましたので、ピストル射撃をするためにつくったものと承知いたしております。
  24. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、いま十九カ所の基地の中で、一カ所でなしに、そのほかにもそういう施設があるだろう、こういう御答弁をなさったのですが、それはピストルだけだ、こういう御回答ですね。そうすると、クレー射撃やライフル射撃をやっておるような基地はございませんか。
  25. 山上信重

    山上政府委員 クレー射撃をやっておるところもございます。クレー射撃をあわせてやっておるところは八カ所ございます。
  26. 浜田光人

    浜田委員 そういうものが長官、ほんとう極東の平和に寄与する施設だと思っておられますか。
  27. 山上信重

    山上政府委員 この提供しております施設には、在日米軍がそれぞれの任務を持って、施設の中にいわば駐屯いたしておるわけでございますが、これらの将兵がピストル射撃訓練をするためにこういうものが設けられてあるのであって、したがいまして、ピストル射撃することが直接云々ということではないにいたしましても、そこにある施設の目的が安全の目的のためであり、そこにいる将兵がそういう目的のために存在しておる。そしてそれがピストルの練度を維持するためにそういう訓練場を設けてやっておるのでありますから、当然任務の範囲内である、かように考えておる次第でございます。
  28. 浜田光人

    浜田委員 あなたも御承知のように、クレー射撃なんていうものは、よく遊戯にみなやっているんですよ、慰安のために。それがほんとう極東の平和なり日本の安全を守るために必要なんですか、どうですかと私は聞いているんだよ。ピストルならこれは護身用もあるんだし、いろいろあるでしょう。そういう意味でお聞きしているんだから、明確に答弁していただきたい。
  29. 山上信重

    山上政府委員 ちょっとピストルと間違いまして失礼いたしました。クレー射撃につきましては、これは必ずしもピストルと同断ともいかないかと思います。したがいまして、これらは所在する将兵のいわば一種のレクリエーションに近い施設ではないか、かように考えております。
  30. 浜田光人

    浜田委員 そこで、こういうレクリエーション等に使うなら、日本射撃場もあるのですよ。民間にもあります。私たち基地のそばにもそういう例がたくさんあるのです。それをなぜ基地内でそういうことをかってにどんどんやるのか。そういうことが基地周辺に危険を及ぼすんだよ。ピストル射撃場でもそうですよ。本来射撃場というものは、やはりおのおのそういう試射場、射撃場といって、きちっと使用目的を明確にして基地の提供をしなければならない。それをあなたたちは、この基地極東の平和、日本の安全を守るために、ぼかっと基地を提供しているんだから、そこの中で何をされようがしかたないんだ、こういうことをやられるからいろいろなトラブルが起きているんだ。こういうことは一例にすぎないんですよ。  そこで、せっかく調査されて、それを御承知なら、軍に対してどのような対処のしかたを要求されてきているのか。
  31. 山上信重

    山上政府委員 クレー射場につきましては、基地内を利用してそういったクレー射撃の練習をするということは、他に危険を及ぼすというようなことがあればこれは非常に支障がございますので、まずは危険を及ぼさないようにしてほしいということを第一義としておるのでございます。なお、これらの施設米軍施設内におきますある種のレクリエーション施設等は、地位協定によっても認められておるものでございまするし、過度にそういうものを用いるということであればいかがかと思いますが、特にそれはいかぬというほどのこともないのではないかと思いまして、むしろ危険のないようにということが第一義というふうに考えておる次第でございます。
  32. 浜田光人

    浜田委員 有田長官、いまお聞きのとおりなんです。私が冒頭に言ったでしょう。勇気を持って基地折衝をいたされますかと言っている。かつて、ゴルフ場はけしからぬといって返還交渉をしたでしょう。こういう遊ぶために向こうの軍人が——一番危険でしょうが。そういう遊休施設があるのなら——まだゴルフ場はそう直ちに危害を及ぼしませんね。たまがよそに飛ぶということはないでしょう。こういうクレーなんかの射撃場やいろいろな試射場をかってに基地内につくらすような余分な土地や——特にこういうものをやるときにはたくさんとらなければいかぬのだ。こういう点、これからずっと質問をいたしますが、基地の個々の協定の問題から、具体的にこういう問題があったら、これこそ勇気を持ってやめさすべきですよ。やめさして、そこの施設なり土地が要らなきゃ返還さすんですよ。これが必要なんだ。日本政府として、これも基地提供としてこれこれになっておるから、危険な状態が起きたらこうするんです、これじゃいけないんだ。いつでも基地問題というものはそういう形になる。受け身になっている。これが国民はいま一番もの足りない。もっと政府はこうしてくれぬのかな、これが基地問題やら基地公害やら、こういうことで全国的に起きておるんですね。そうして問題が起きてやることが、日米の友好にこれこれと言われるが、起きてしまうから逆に日米間が悪くなるのですよ、長官。そういう意味で、こういう具体的なケースがあるのに、これはしかたないんだ、基地でそこを提供しておるから、こういうのでなくして、前向きで——ずばり言うて必要ないです。ほんとうに娯楽でやりたいなら幾らでもあるんだから。日本でもあるんですから、民間の人がそういうところをつくっておるのだから、射撃場というのを。また、たくさんこの射撃場を提供しておるじゃありませんか、日本政府が。そういうところを使うようにさせなきゃいけないんだ。こういうかってなことをやらすから、しばしば私は指摘いたしておるのですが、弾火薬庫のそばで試射場的な使い方をしてみるのですよ。これもしかたがありません、こう言っている。そうして日本の法規では、火薬取り締まりで火気厳禁ということをやっておるんですね。したがって、この具体的な問題について、有田長官、これからどう対処されますか。
  33. 有田喜一

    有田国務大臣 基地を提供するときは、たとえばこういう必要があってということになりますね。ところが、たまたまその施設の中において少しゆとりがある、そこをいろいろなことに利用する、これは私はある程度はしかたないと思う。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、向こうも人間ですから、多少のそういう慰安的なこともやる必要があると思うのですが、そういうのがだんだん多くなりまして、そこにいわゆる遊休施設ということになりますと、そういうときは政府は向こうに交渉しまして、それこそ断固としてこちらに返還、こういうことになりますが、大体において必要だという前提にあってたまたま空閑地を何かに利用するということは、一部こうあるからそれをすぐ返還せいというわけにもまいらない、そういう、程度によりましてわれわれの態度をきめていきたい、かように考えております。
  34. 浜田光人

    浜田委員 長官には具体的に、こういうピストルやクレーやらライフル銃を試射しておるのが基地で十九カ所、一つの基地内でも一カ所でないので、三十カ所ばかり全国であるんですよ。こういうことは直ちにやめさすように交渉しなきゃいかぬです。あなたらは口で日米間、日米間と言われるが、こういうことをほっておくから逆に悪くなるんですよ。危険を防止することと、そうしてやはりただ、たとえば娯楽の映写の小屋を立てるとか、そういうものじゃないですよ、これは。どうしても広い面積がいるのですよ。勢いそれは遊休につながるようになる。だれから見てもそう思うようになるのだ。だから具体的にこういう危険な遊び事に対しては直ちにやめさす、そうして必要でないのなら、不必要な個所ならそこを返還交渉をする、あたりまえですよ、これは。窓口として日本政府でやるのはあたりまえですよ、当然やらなければならぬことなんだ。だから具体的に、こういう個所についてはどうですか、こう言っているのだ、一般論でなくして。一般論としては、そうして膨大な遊んでおるところがあれば返還さすように要求します、しかし部分部分であるからすぐに返せということは言えません、こう言われますが、こういう具体的なケースについてどうされますかと聞いているんだ。
  35. 有田喜一

    有田国務大臣 さっきの、最初立川の問題からきたのですが、(浜田委員全国にたくさんある」と呼ぶ)まあ最初立川だ。立川ですが、あの中に試射場がある。これはピストルの訓練をやっておる。米兵が、やはり日本並び極東の安全を守るために、いざというときには役立つようにそういう訓練をやることは差しつかえないと思うのですよ。それがあなたがおっしゃるように娯楽的のものにだんだんだんだん使われて、そういうのが数多くなってきておる。立川にはそういうものないかもしれませんが、かりにあの地域の三分の一くらいはそういうことになっておるというようなことになりますと、それは私のほうも、これは遊休施設じゃないか、ひとつ返還したらどうか、こういうようなことになりますが、そういうように程度の差がありまして、たまたま多少余っておる土地をそういう娯楽的のものに使われても、私はすぐ、これはかなりの坪が余っておるからすぐというわけにもまいらぬじゃないか。そういうような比較的の問題と思っております。具体的のことについては施設庁長官から答弁させます。
  36. 山上信重

    山上政府委員 ただいま大臣が御答弁されたところで十分であるかと思いまするが、ピストル射場につきましては、先ほど申しましたとおり危険の防止という点を第一義に考えておるのでございまするが、ピストル射場そのものが、これはやはり将兵の練度を維持するために必要なものでもございまするので、これを直ちに遊休というふうに考えるわけにはまいらぬのではないかと思っておるのでございます。  なお、クレー射場につきましてはレクリエーション的なものと申しましたが、同時に一方において射撃の練度とも密接な関連もあるような性格でもございます。単なる娯楽とも必ずしも言い切れない性格も持っておりまするし、かつは、かりにそういった性格のものでありましても、ただいま大臣がおっしゃったように過度にそういうようなものばかりになっているということであれば、これはまた考えなければならぬけれども、適当な程度であれば、これを直ちにいけないというわけにはいかないというふうな考え方で善処してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  37. 浜田光人

    浜田委員 私は合点がいかぬ。それは極東の平和と日本の安全を守るために、たとえば兵員が慰安するのもみんなそれは関係がある、こうなると思うのです、あなたらの答弁からいけば。しかしこのライフルやクレーなんかの射撃場というものは、ほんとうにやる必要があるのなら、日本にも民間なり個々的にはいろいろな機関がある。たとえば、いまも言われるが、日本の自衛隊の習志野のライフルなどをやっているいろいろな射撃場地元のライフル協会なんかにもどんどん使わしておるのでしょう。どうでしょう長官、使わしておるかどうか。
  38. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 習志野の射場は、最近周辺に住宅団地ができまして非常に危険性がございますので、跳弾防止のために、その危険防止が十分にできるという見通しがつかない限り実際に使用させないということで、現在射撃を中止いたしております。
  39. 浜田光人

    浜田委員 この場合でも、協会等に使わして流れだまが出て危険になって、そうしていま言われるように中止になったんだよ。そうですよ、有田長官。立川事件でも、やはり鑑定してみなさい、そういうことになるだろう、おそらく。それを各基地全国で三十カ所もこういう娯楽だということでやらしておいて、危険が起きたときに、それは極東の平和と日本の安全のために兵員が娯楽でやっていったんだからしかたがないんだ、こういうように政府側として答弁できますか、娯楽でやったりしておるのに。だから、たくさん遊休、たとえば三分の一もそういうものに使えば返還要求するとか、そういうのんべんだらりとやさしく考えるようなケースじゃないですよ、これは、だから、具体的にこういうものにはどういたしますか——どういたしますかではなくして、私はずばりこういうものは、ほんとにあなたたちゃ自民党政府が日米間をなめらかにやろうとするなら、やめさすことですよ。事件が起きてみなさい、逆になるでしょうが。だから具体的にこういうケースはどうされるんですかと言っておるんです。何をそんななまやさしい答弁したりしておる、あたりまえのことだ。
  40. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来言いますように、そういうのが過度になりましたときは政府としてはやりますが、本来の目的があって、そこにたまたま遊休的なものがあって、そこで、そういう娯楽的なことを多少やるからといって、やはりいざというときには、日本を守るためにやってくれる人間ですから、そう極端なことは言えない。しかし、そういうのは、私は、そういうことでもし周囲に危険があるようなことになれば、それは危険の防止もしっかりやって、そういうことが過度になると、断固として返還という交渉に入るべきだ、かように考えております。
  41. 浜田光人

    浜田委員 危険が考えられるから、日本の自衛隊でもそうだ、立川でもそういう流れだまが出てきておる。だから、こういう事柄に対しては勇敢に米軍にやめてくれ、やめるべきである、こういう要求をするのはあたりまえだと言っているんですよ。私は。なぜしないのかと言いたいんだ、いままでにしておらぬのかと言いたいんだ。それを、そういう危険だったらこうしますとか言って——だから、私は前から言っておるんだ、国会へ出てから。個々の基地の、たとえば大きな飛行場が飛行機のこの目的に使っておるが、そのほかの個々の協定というものはやっておるんですか、こう言っておるんですよ。そうすると、大体この基地は何に使う、だから、こういう施設をやって、こうなるんだ、そういう取りきめがなければならぬはずですね、日米間で。そういうものはあるんですか、山上長官
  42. 山上信重

    山上政府委員 施設を提供いたしますときには、地位協定の二条一項によりまして、提供する施設ごとに提供の協定と申しますか、こういうものを結んでおります。ただ、従来から、講和発効時以来ございます提供施設につきましては、これは何と申しますか、陸上施設というような形で、一般目的に使用するというようなことに相なっておる次第でございます。
  43. 浜田光人

    浜田委員 かつて予算委員会の分科会で私は質問した。個々の協定があるならば——具体的に指摘しますよ。たとえば広島県の広弾火薬庫ですね。この弾火薬庫でどういう個々協定が結ばれておるのか。全部言ったら、百四十カ所を言うとたいへんだから、どうですかと言っておる。どういう個々協定を結ばれておるんですか。たとえば広弾火薬庫——黄幡弾火薬庫。
  44. 山上信重

    山上政府委員 広の弾薬庫につきましては、これは一般陸上施設ということで提供されておるのでございます。ただこの弾薬庫の使用にあたりまして、日米間で話し合いをいたして、これは川上弾薬庫との中継的な使用使用していくというふうに了解されておるのでございます。
  45. 浜田光人

    浜田委員 たびたび同じような答弁をしておられるが、個々協定があるなら、その個々協定をそのまま読み上げてくださいとこう言うんだよ、広の弾火薬庫の。
  46. 山上信重

    山上政府委員 施設提供の際の合同委員会決定は、これは合同委員会決定そのものが外部に出さないということになっておりますので、そのまま読み上げるというわけにはまいらぬと思います。要点につきましては、これは閣議決定を経て官報で告示いたしておりますその範囲でございます。その使用面積とか場所とか、そういうものは省略いたしまして、使用目的については陸上一般施設、こういうふうになっております。
  47. 浜田光人

    浜田委員 合同委員会でどうですか、その点。議事録で云々と言われたその点を、明確にもう一回答弁してください。個々協定の協定については、日米合同委員会でどうなっておるのか、その点を。
  48. 山上信重

    山上政府委員 個々協定につきましては、合同委員会決定をいたしております。その内容につきましては、合同委員会決定そのものが日米双方の同意がない限り外部に発表しないということになっておりまするので、発表いたしかねます。ただし、その概要につきましては、私がただいま申し上げたとおりでございまして、面積とか場所とかということは省略いたしまして、提供の内容は、陸上一般施設ということになっております。それは閣議決定を経て官報に告示になっておる、かように申し上げる次第でございます。
  49. 浜田光人

    浜田委員 前回からその資料を、分科会でも出しなさいとこう言っておるんだよ、私は。地位協定の二条の(a)項で「日本国内施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」とこうなっておるのだね。だからそれは合同委員会を通じてやったとこう言われる。そのように地位協定できちんとなったものが、なぜ国民の前に明らかにできないのですか。してもいいじゃない、しなければならないと言っておるのだよ。だから国民は、安保条約なり地位協定というものが、それらの条文に従ってこれこれになっておるのだ、われわれの平和なりそして国民生活の安定というものはこうだと、こうなっておる、それを知る権利が国民にあるでしょう。なぜ出せないのですか、そういうきちんときまっておることが。有田長官でもいいよ。そういうように地位協定できちんときまっておることが、国民の代表である国会のわれわれの審議の場になぜ出せないのかというのです。
  50. 山上信重

    山上政府委員 たびたび申し上げておりますとおり、日米合同委員会決定は、双方の合意がない限り外に発表しないということになっておりまするので、それを出すというわけにはまいりませんが、その要旨につきましては、閣議決定を経て官報で告示いたしております。かように申しております。その内容は私が先ほどから答弁したとおりでございます。
  51. 浜田光人

    浜田委員 いまあなたは、「合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」とこうなっておるのだが、それで合意しなければ発表するわけにはいかぬとこう言うのだ。そうすると、ずっと地位協定でいくと、合意しないのに施設の提供ができるのかどうか、有田長官。これは有田長官でもいい。合意せない事柄は発表してはいかぬ、これによって、二条の(a)項によって。そうすると、合意せないことは発表できないんだから、その施設の提供なんか許されぬことになるわけだ。こういう点どうでしょう。
  52. 山上信重

    山上政府委員 先ほどから私のことばが足らなかったかと思いますが、当然施設提供につきましては日米双方で合意いたしておるわけでございます。ただその発表については双方の合意がないとできないということを申し上げておる次第でございます。
  53. 浜田光人

    浜田委員 具体的に、たとえば横田基地でもそうですね。その飛行機がどういう種類でどういう性能を持っておるということを発表せいというんじゃないのですよ。日本国民が、その基地の形態なり使用目的が必要であるから、当然これは個々協定できめるようになっておるんだから、それらを国民の前に明らかにしなさい、これはあたりまえだから。たとえば飛行場なら飛行場の提供をしておるんだ、たとえばキャンプならキャンプあるいは弾火薬を格納するのに貸しているんだ、あるいは岸壁からものを揚げる荷揚げ場に貸しておるんだとか、提供しておるんだとか、こういう使用目的をはっきりせなければ、さっきも言う、使用目的は弾薬庫のこれこれだ、こういうところで試射をやるのですよ。こういうことは許されぬでしょうが、有田長官。それは個々協定がないからこういうでたらめやることになるんだから、その個々協定を明確に結んだら合意したことになるんだから、当然発表はしていいじゃないか。発表してはいかぬという、発表するかせぬかは合意に達せぬという。それは交渉の経過じゃないんだから、もうきちっと結ばれたんだから、個々協定は。その個々協定は地位協定の二条の(a)項によって、結ばれなければならぬ、こうなっておるんだから、そこらがおかしいだろう。おかしいだけじゃないんだよ。幾らあなたたちが御協力を願いますといっても、できないじゃないか国民は、そういうことじゃ。だからこの個々協定というものを発表して、それでこの基地、この施設はこういう目的でアメリカに提供しているんですから皆さん御理解してください、こうならなければいかぬでしょう。それが発表できぬと言って、発表できぬということは、逆にいつも日本側が守勢になって、どんな使い方されてもしかたありません、御自由に使ってください、こういうことになるんだよ。どう思う、これは。山上長官
  54. 山上信重

    山上政府委員 広の……
  55. 浜田光人

    浜田委員 広のだけじゃない、一般論でけっこう。
  56. 山上信重

    山上政府委員 いま、一般論の前に、広の場合につきましては、これは当時そういった提供についての合意がありました。これは二十七年であったと思いますが、その提供の目的は陸上一般施設ということでございますということを申し上げておるのでございまして、これこれの提供条件であって、それを隠しておるというようなことではございません。そこを御了承願いたいと存じます。  それから個々の協定そのものは発表いたしませんが、その要点につきましては国民にわかるように、閣議決定を経てこれを官報で告示いたしておりまするので、それによって国民の皆さん方には十分に知っていただけるというふうに理解しておる次第でございます。
  57. 浜田光人

    浜田委員 何回も同じようなことばかり言っておられるが、そうせないから、たとえばはしけ停泊地ということになっておる。そこから弾薬を揚げたりするのですよ、有田長官。こういうことがいけないんだ、個々協定というものをきちっとしておかぬから。だからさっきから言ったように、施設としてあるいはキャンプとして提供しても、そこでかってにライフル撃ってみたりピストル撃ってみたりするようになる。これらを防止するためにやはり個々協定というものはきちっと結んでおかなければいけないのですよ、使用目的をきちっと。まだ占領が終わった直後の当時ならば別ですよ。今日の時点でそのぐらいのことはきちっと結んで、日本側が守る立場じゃないのだ。逆に向こうに勇敢にものを言う立場にならなければいかぬですよ。それをやるためには、こういう個々協定というものはきちっとせなければいかぬのですよ。それを、合意されなければ発表できませんとか、そういう弱腰だからだめなんだよ。いつだって追随しておる。過去の基地なんか見てみなさい、全国の。時間がないですから——いまのライフルやらクレー射撃なんかというものは直ちにやめさすように、勇敢にひとつこれだけは軍のほうに申し入れしなさい。それから遊んでいる土地をどうするかということはあれだが、まずその点長官もう一回答弁。具体的な問題だから。
  58. 有田喜一

    有田国務大臣 そういう問題につきましては、先ほど来申しておるようですが、さらによく検討把握して、その上で対処したい、かように考えております。
  59. 浜田光人

    浜田委員 まあいい、それはもう、時間がないから、また後日の委員会で煮詰めることにしましょう。  もう一つ。今度は具体的な問題で、水産庁来ておりますな。——昨日、公害二法並びに水質保全法が修正の上委員会を通過をしました。本会議できょうきまるでしょうが、この点、基地公害の問題がしばしば出たわけですね。ところが、基地公害はむしろ基地周辺整備法なり特損法によって進んでこれは解決をやっていく、現在もやっておるし将来もそれでいくのです、こういう答弁だ、しばしば。ところが、実際の基地公害という中で漁業権の問題、特損法にしても基地周辺整備法にしても、現在あるいは過去に漁業をしておった、それをもとに漁業補償をやるわけですよ。軍が出入りするために海面制限したときの漁業補償、そういう制度になっておる。ところが、こういう海面を制限するから、地方自治体は区画漁業権設定のときに、そういう海面が制限されておるところに、その水質等から見ても、区画漁業権を設定してもいいところだけれども設定することができませんというケースがたくさん出てきておる。そうすると、いまの基地周辺整備法なりあるいは特損法によってこれが救えるのかどうかということに対して見解を聞きたい。
  60. 山上信重

    山上政府委員 整備法並びに特損法の趣旨といたしますところは、防衛施設によりまして、現在存しまする周辺のいろいろな農林漁業その他の経営者が事業経営上損失をこうむった場合、こういったものに対して補償する、その他の業態につきましても必要に応じて政令で指定していくというふうな範囲におきまして損失を補償していくというたてまえになっておるのでございます。したがいまして、現在漁業を営んでおりまする方々がこの施設によっていろいろ障害を受けるというような場合には、これに対しまして適切な補償をいたす、そういうたてまえになっておりまするが、ただいま御設問のありましたような、新たに区画漁業をこれから設けたいというような場合につきましては、これは現在漁業を営んでおるとかそういうものではございませんで、新しい特権を与えるということが公益のためにできなくなる場合があるということだと思いますが、これらは現在ある利益、現在ある権利というものが侵されるということとは事の性質を私は異にするのではないか、かように考えますので、この点につきましては直ちにこれを適用すべきかいなかにつきましては十分今後検討してまいりたい、かように考える次第  でございます。
  61. 安福数夫

    ○安福説明員 水産庁といたしましても、従来から漁業をやっておるという実態があったところに新しいそういう何らかの制限が加わって漁業が実態的に営めない、こういう事態を対象としまして補償の対象になる、基本的にはそういうふうに考えております。したがいまして、いま防衛施設庁長官のおっしゃったように、新しく全く白紙のところにそういう漁業権を免許するという場合、そこにすでに公益的な見地からの制約が加わっている、そういう場合には原則的にはおそらく補償の対象にはならないだろう、このように考えておりますけれども、現在の実態の問題を踏まえての問題がからむかと思いますので、そういう事実がありましたらまた慎重に検討いたしたい、こう考えます。
  62. 浜田光人

    浜田委員 何千メーターか海岸線があって、海面制限を百メーターずっとするわけですね。そうすると、今日では特に瀬戸内海あたりはとる漁業からつくる漁業に転換せいといって政府は強く指導しているわけです。むろんいろいろな汚染で勢い外に出ていく傾向が強いですね。大体基地を提供しているのはそういうところなんですよ。そうすると海岸線から百メーターは、これは制限海面ですからむろんそこの中へはできません。それより外です。それは市や県等もあるいは水産試験場あたりも非常に水質検査をして、ノリやカキの区画漁業には最適な水質だ、こうなる。したがって漁民はそこへこの区画漁業権の設定を申請する。ところがそういう区画漁業の漁労にはいいところだけれども、海面制限がその前にあるから、それをやったのでは船の出入りに困るから、これを設定することは許可することはできない、こうなるわけです。これはいまの特損法やらあるいは基地周辺整備法では救うことはできない。そうするとどうなるかという問題。こんな大きな基地公害はないでしょう、長官。それでも基地周辺整備法やらあるいは特損法によって公害三法よりかもっと進んだ対策がこれは講ぜられるのです、だから公害の中に入れなくてもけっこうやっていけるのです、こう言って答弁しておられるのですよ。具体的にどう救済しますか、こういうことを。
  63. 山上信重

    山上政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、漁業権という新たな免許を与えることが公益のために制限されるという事態に対しましては、これは整備法が不十分であるからできないというようなことよりも、事の性質上そういった新たな特権と申しますか、免許権と申しますか、そういう権利を付与することが公益のためにできない場合に補償する必要があるかどうかという一般の問題になるのではないかと思います。何も基地だけの問題でなく、私は、その点について本質的に現在受けておる利益が基地によって阻害される、障害を受けるということでありますれば、これは整備法をいかようにもいろいろ解釈し、また応用するということも考えなければならぬと思いまするが、そういったことで性質が違うのではないか。しかしながら、その免許ができない実態等につきまして具体的にはもう少しよく検討してまいりたいと思いますが、本質的に少し違う点があるのじゃないか、その辺はひとつ御了承願いたい、こういうことでございます。
  64. 浜田光人

    浜田委員 いま、山上長官考え方は本質的に違うのですよ。基地がなければ海面制限をせぬのだから。海面制限をせなければ、水質から見てここはいいところだということは、市も県もあるいは水産試験場も言っているのだから。一般論として他の公共の利益のために云々というのじゃないのだ。基地があるから海面制限する。海面制限するから、そこに出入りするのに支障を来たすだろうから区画漁業権の設定はできない、こうなる。これが一般論なんです。基地公害だ、何にもありゃせぬだろう。時間がないからこれも後日に譲る。長官、うんうん言うているが、あなたの考えが違うんだよ、見方が。  そこでもう一点、今度は有田長官。過日の新聞に、公害で日本国民の血税でつくった潜水艦に穴があくということが出ている。二十億も三十億も血税を投じた潜水艦が公害によって毎日さび落としをする、穴があく、こうなっている。総監部の総監も、困ったことだから直ちにやめてもらわなければ困る、こう言っている。具体的には呉の第一潜水艦隊群の係留地にですね。これは、呉湾の水質検査は前からきちっとやってくれと言っているけれども、なかなかやらぬ。その具体的な被害者がわが日本の自衛隊になってきておる。まずこれが事実かどうかということを確認せなければ——時間がないから一つずつ積み上げはしませんが、こういうときに、この企業に有田防衛庁長官は損害賠償されますか。
  65. 有田喜一

    有田国務大臣 実は呉の港内における潜水艦基地付近は、他の海面に比べまして汚濁液が多くございまして、船体もよごれやすいということは事実であります。しかし呉地方総監部においてよく調査しますと、ことに水質調査をやったのですが、よごれるのはよごれるけれども、穴があくようなそんな害はないということであります。したがいまして現段階におきましては、工場の廃液が船体腐食の原因となるようなこととは思われません。私もその新聞を見たのでございますが、また一部報道されておりましたので、現地に係の者から照会させまして調査を行わせましたところが、やはり先ほど言いましたように、船がよごれるのはよごれるけれども、腐食するようなことはない、こういう回答が呉地方総監部から参っております。
  66. 浜田光人

    浜田委員 これは二十倍から三十倍ぐらいの比重になっておる。その点について経済企画庁、水質について。
  67. 田村五郎

    ○田村説明員 お答えいたします。  経済企画庁は呉湾につきまして四十三年に水質調査をいたしておりますが、その調査によりますと、基地周辺は大体弱アルカリ性を呈しております。これは海水そのものが弱アルカリ性を呈しておりますので、いまのところ工場排水が原因というふうには私どもの数字ではほとんど考えられないような数字でございますが、呉湾周辺には大小約四百程度の工場がございまして、現在四十四年度、詳細調査中でございますので、その調査結果を待ちまして水質の規制をしていきたいというふうに考えております。
  68. 浜田光人

    浜田委員 これはもう市も県も調査しているのですよ、試験場で。一二二ぐらい出ているんだ。とてつもない、これは。だから実際潜水艦もさびちゃって困っている。総監談話も出ているじゃないですか、あなたそういうことを言うが。呉地方総監の談話が。総理がこの公害問題に取り組むときに、経済発展の調和ということをしばしば言うけれども、幾ら大企業を擁護せなければならぬといっても、少なくとも日本国民の血税でつくっている潜水艦の腐食なんかは客観的に把握さして、これも勇気をもって堂々と企業側に、事実そういうものは認定できるのだから、賠償の要求なんかしなさい。船体一つつくるにいま幾らかかりますか。こういうことを許してはいかぬですから、ひとつぜひ勇気をもって——私たちも実情調査に行きます。防衛庁側もさっとやって、企画庁もいまの答弁なんかおかしいよ。ちゃんともう何回も調査しているんだから。そういうことを両方かみ合わせるようなことはいましませんが、よく調査して客観的な基準、資料を出してもらいたい。山上長官問題点は残しておきます。個々協定の問題、これはきちっと残しておく。  以上で質問を終わります。
  69. 有田喜一

    有田国務大臣 いまの水質調査の問題ですが、私らの調査の結果は先ほど申したとおりであります。したがいまして、現段階においては、よごれはいたしますけれども、潜水艦が穴があくとか、腐食するということはいまの段階では考えられません。しかし、もし今後も調査の結果潜水艦が腐食するとか穴があくというなら、私は何も大企業だからどうのこうの、そんなことは少しも遠慮いたしません。断固として要求すべきものは要求する、こういう考えでおります。
  70. 藤田義光

  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 関連して一つだけ。おとといする予定でしたが、時間の関係でできませんでした。  去る十八日、小倉の山田弾薬庫から弾薬を積んで門司の笠石に運んで船積みする、その弾薬を運びました米軍のトレーラーが門司の造船所に突っ込みまして事故が起こったわけであります。幸い船積みをしたあとでしたから大事に至らなかったけれども、これは福岡の施設局としては発表していない。それが二十一日になって住民の間から問題が出て明るみに出たわけであります。簡単にその概略を説明いただきたい。
  72. 山上信重

    山上政府委員 去る六月十八日の午後二時十五分ごろ、北九州市門司区大字田ノ浦千三十三番地先道路におきまして、米軍山田弾薬庫所属の大型トレーラー、これは十トン積みでございます。米軍伍長が運転いたしておるものでございますが、笠石岸壁に弾薬輸送を終了したあと、空車で帰る途中、悪路のためトレーラーの連結器がはずれて車が動揺して、マルヨシ商事という会社、代表者邑本義一さんの雑品倉庫トタン屋根及び板べいを破損いたしておるのでございます。トタン屋根のひさし部分のトタン板五枚及び板べいは高さ一・五メートル、長さ九メートルというふうに承知いたしておりますが、破損いたしております。  そこで当方は、この件につきまして後刻連絡を受けましたので、さっそく被害者に対して連絡いたしまして、これに対して謝意を表し、また事故の再発防止を講ずるよう米軍側にも申し入れました。また二十日には米軍が被害部分の修理を了しまして、本人との間に話し合いが完了いたしておる、かように承知いたしております。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この種の米軍の弾薬輸送等は何の規制も国内法ではないわけであります。つまり地位協定によってそれが必要ないようになっておるのですか。
  74. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 米軍の弾薬輸送につきましては、貨車で輸送する場合はもちろん国鉄、それからトラックの場合には民間の業者が契約によって輸送しておるわけでございますが、その輸送に際しましては、危険性のないように、危険物取り扱い規則といったような国内法に準拠して、十分安全な措置をとって輸送しておるということになっております。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 地位協定との関係はないかと聞いておるのです。
  76. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 地位協定には、米軍日本国内法を尊重するという条項がございまして、したがいまして、ただいまのように日本国内法によって危険のないように措置をしておるということでございます。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 警察は知っておったのですか。警察に知らせる必要はないということになっておるのじゃないですか。
  78. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 こういう弾薬の輸送をします場合には、請け負っております業者が県の公安委員会等に一体いつ、どの程度の量のものを送るかというようなことは届け出をしてやるというふうに聞いております。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、この事件の場合を言っておるのです。警察は知らなかった。施設局はどうして発表しなかったのですか。十八日に起こった事件がひそかに処理されておる。もしこれが空車でなくて弾薬を積んでいた場合にはどういう事故になっておるですか。たまたまおろしたあとの事件であったから事なきを得たけれども
  80. 山上信重

    山上政府委員 これは警察からの通報に基づいて、私のほうは事故があった実情を知った次第でございます。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜ伏せられておったのですか。
  82. 山上信重

    山上政府委員 当方といたしましては、特に伏せたというような扱いはいたしておらないつもりでございます。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 要するに、事があまり大きな被害あるいは損害がなかったからそういうことで済んだかもしれませんけれども、しかしこれは起こり得る問題で、かねてから指摘をしておった。  そこで私は昨年の八月九日の予算委員会で弾薬庫の問題を取り上げた。そのときにはこういうことが明らかになっておりましたですね。いま米軍からいろいろなイーズメントの設定要求があっておる。つまり弾薬庫などの危険物貯蔵施設の周辺地域はこのごろはずっと民家が立て込む。そこで危険が生ずるおそれがあるので保安地帯の確保という問題が起こってきた。しかしこの弾薬庫の周辺の保安地帯設置について、それを規制する国内法はない。だから米軍から、さしあたって五つの弾薬庫に対し、周辺の一定区域において保安地帯設定のための建築物制限のイーズメントの要求が出ておる。池子弾薬庫は三十九年七月、秋月弾薬庫は三十八年八月、三沢飛行場は四十二年一月、横田飛行場は四十一年八月、厚木飛行場は四十二年二月にイーズメントが出ておる。イーズメントが出ておるということは、いまは危険な状態にあるということの裏返しの問題です。山田弾薬庫は含まれていないけれども、あなた山田弾薬庫へ行ってみてごらんなさい。このごろのあの周辺の建築の立て込みぐあいを。かつて昭和二十何年でしたか大事故が起こったことは御存じのとおりですね。何人という人がなくなった。私は、昨年の八月も指摘をしましたが、今後起こり得る問題ですから、十分この点は私は注意をする必要があろうと思うのです。特に密集地帯にある弾薬庫については、たとえば山田弾薬庫のごときはこれは廃止してもらいたいという要請をいたしております。昨年、このイーズメントの内容はどういうものであるかということを聞きましたが、そのとき資料がお手元にないので御説明がいただけなかった。この機会に、米軍から保安地帯設定のための建築物制限のイーズメントが出ておるというが、そのイーズメントの内容は一体どういうものであるか、それを明らかにしておいていただきたいと思います。
  84. 山上信重

    山上政府委員 ただいまお尋ねのありました弾薬庫の周辺の保安地帯につきましては、御指摘のありました五施設につきまして、それぞれに弾薬庫の周辺地域に対しまして保安地帯の要求が出ておるわけでございます。これは弾薬庫の安全を維持する上におきまして、近隣にいろいろ家がだんだん立て込んでくるということは好ましくないということで、そういったものの制限をしてほしいという意味合いの内容でございます。広さ等につきましては、それぞれの個々の施設によって違っておるということでございます。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は関連ですからあまり長くできませんが、ただいまの内容は、そういう抽象的なものでなくて、具体的にどういうイーズメントが出ておるか。かつて、いまも問題が継続しておりますけれども、電波緩衝地帯の設定のためのイーズメント、これも出ておるではありませんか。十二カ所ですね。その内容も大体具体的なものを出していただきました。したがって、この電波緩衝地帯の場合は上瀬谷のことを例にして資料を出されました。だから弾薬庫の場合もそのイーズメントの内容を、代表的なものをひとつ出していただきたい。昨年も例をあげましたとおり、たとえば二十トンの弾薬を貯蔵しておる場合には、その周辺四百四十メートル以内には家屋や工場を建てられないようになっておるのでしょう。もっともその弾薬庫の構造にも関係がありましょう。コンクリートの厚さ等も関係がありましょうが、一般的にいえばそういうことになっておるのです。十八日の事故の場合は三十一トン運んでおる。昨年問題が起こったときには、六百トンの弾薬輸送を山田弾薬庫はしていたのですね。だから、相当の量の弾薬が貯蔵されておる。とするならば、火薬類取締法等の基準からいっても、あるいはアメリカの基準からいっても、相当の距離の間は家屋やあるいは民間のいろいろな施設、工場等は建てられないようになっておるのです。これは周辺住民にとって重大な生活上の関連があります。生活に脅威を与える問題です。だからこのイーズメントの内容というものは私は明確にする必要があると思う。資料として出せますか。
  86. 山上信重

    山上政府委員 代表的なものを出してみろということでございますが、たとえば秋月の弾薬庫につきましては、周辺約一・二平方キロメートルにわたっての区域について家屋の新たなる建築をしないようなイーズメントというふうな内容でございます。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 というふうなというのじゃなしに、具体的なものを、いまじゃなくてけっこうですから、関連ですので時間がありませんから、ひとつ詳細に資料をつくって出してもらいたい。少なくとも弾薬庫でいまイーズメントの出ておるものは五つですから、その五つについて出されてもそう手間はかからないと思うのです。具体的なやつを出してください。いま出しなさいと言いませんから、おつくりになり次第……。
  88. 山上信重

    山上政府委員 米側要求の内容でございますので、発表につきましては米側とも相談してやらなければならぬと思いますが、ただいまの点につきましては御趣旨に沿えるように検討いたしてみたい、かように考えます。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 関連ですから、これで質問を終わります。
  90. 藤田義光

    藤田委員長 大出俊君。
  91. 大出俊

    ○大出委員 長官、非常に重大な問題が実はあるのですが、時間が非常に短くなっておりますので、御答弁いかんによりましては、きのうは理事会あるいは理事懇談会は目安をきめておるわけでありますから、多少時間がなくなるということになれば、あらためて私理事会を開いていただいて、さらに継続を願いたいと実は思っておるわけであります。  そこで、その前に、前の答弁の食い違いが出ておりますので、その点をはっきりさしておいていただきたいと思うのであります。  これは、私がこの席におきまして総理質問をいたしました際に、沖繩が日本に返ってくれば安保六条の基地になる。沖繩が日本返還されれば、沖繩の米軍基地は安全保障条約六条の基地になる。したがって、当然朝鮮の三十八度線あるいは台湾あるいは台湾海峡等において事が起こった場合に、事前協議の対象になる。したがって、もしそれを国家意思としてイエスと言った場合には、その結果爆撃あるいは戦闘に飛んでいくわけでありますから、相手国にとっては日本は敵国であるということになる。したがって攻撃をされるということもまたやむを得ぬという結果が出てくる。つまり国民にたいへんな脅威を与え、日本が戦争に巻き込まれる可能性を強める。だから、すべてノーと言っていただきたいということを申し上げたところが、総理は、確かにその点はイエスと言えば敵対関係になる、この点お認めになった。だから慎重にやりたい。では重ねて聞くけれども、三十八度線なり台湾においてということになったら、あなたはイエスと言うのかどうか、私はここでノーと言うと言ってもらいたい、こう言ったら、これに対して、慎重にやりたいのです。確かに国民にたいへんな脅威を与えるから慎重にやりたいのだ。しかしすべてがノートとは言えない。だから慎重にやるのです。こういうふうなお答えをいたしました。つまり三十八度線なり台湾海峡なりで問題が起こった場合であっても、敵対関係になるわけですから、イエスと言えば。だからこそすべてノートとは言えないけれども慎重にやりたいのだ。めったにイエスとは言わないのだ、ここまで総理は言った。ところが後に内閣委員会を向こうの部屋でやりましたときに、東郷アメリカ局長答弁の中に、これは朝日新聞等のトップ記事になっておりますが、私も速記も調べてみましたが、非常にはっきりしたものの言い方をされているわけでありまして、具体的に三十八度線で何かが起こった場合どうするか、台湾海峡で何かが起こった場合どうするか、事があった場合どうするか、こういう質問で詰まってまいりましたときに、ここに新聞に出ておりますのは速記と変わっておりません。「朝鮮半島における紛争は、わが国の安全に対する影響が一番大きいとの観点から、朝鮮半島が深刻な事態におちいった場合は、日本としても国内基地からの米軍の直接戦闘作戦行動に対して「イエス」といわざるをえない面が多いと推測できる」これが一つ。「次に考えられるのが台湾海峡だが、この場合は朝鮮半島よりも、かなり限定しなければならない、」こういう意味答弁をされている。そうなると、総理答弁は、めったにイエスとは言わないのだということになっている。すべてノーだとは言い切れない。慎重にやります、めったにイエスとは言わない、こういう趣旨の答弁になっている。にもかかわらず、外務省のアメリカ局長のほうからいまのような形の答弁を——だからこそ新聞はこんなに大きく書くわけですね。総理はこう答えたんだが、アメリカ局長はこう答えている。三十八度線というのは日本にとって生命線だから、三十八度線に事が起こったという場合はイエスなんだ、台湾海峡の場合には制限しなければならぬ、こういう言い方になっている。これは非常に大きな問題です、沖繩返還にからみまして。したがって、これは総理答弁、その重点は、めったにイエスとは言わないということなんだ。ここのところをひとつ、どういう意味でああいう答弁をされたのか、これは議事録が明確にあるわけですから、アメリカ局長にこれは明確にお答えおきをいただきたい。その結果で、総理並びに外務大臣にお出かけをいただいて、はっきりしていただきたい。
  92. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 先日の内閣委員会で、私の受田議員に対するお答えにつきまして、ただいま新聞から御引用になりましたけれども、私も翌日、実は、その新聞を見てたいへん驚いたようなわけで、私もよく何と申したか思い出しても見ましたが、御質問のほうに、朝鮮半島あるいは台湾ということばが出てまいりまして、事前協議の基準はどういうことかということも含めましての御質問で、私は、この事前協議の諾否の基準は、これはたびたび大臣もおっしゃっていらっしゃいますように、日本の国益、日本の安全という見地から諾否をきめるのだ、特に日本の周辺——まあ、私は至近の場所という字を申しましたので、これが金門、馬祖とかいろいろ、私の言語発音不良のためにいろいろと誤解を招きましたけれども、ともかく、そういう至近の場所において侵略が起こるというような事態は、まさしくそういう基準できめるべき場合であると考えますと、こういう答弁を申し上げたわけでございます。したがいまして、私といたしましては、総理ないしは外務大臣のお話を一歩も出ているとは思っておらぬわけでございます。
  93. 大出俊

    ○大出委員 私はここに聞いておりましたからね。あなたの答弁を、私はここにちゃんと書いてある、聞いておったんですから。確かに質問者が、それならばということで、三十八度線の問題と台湾海峡の問題を具体的に例にあげた。まさしくそれはそういうことに該当すると思いますと、ここであなたは答えている。そうなると、新聞がこう書くのはあたりまえですよ。これは、もしあなたがそういうことをおっしゃるんならば、時間をいただいて、ちゃんと議事録を持ってきて明らかにしていただきたい。ただ、いまあなたがここで答えたのは、総理、外務大臣答弁から一歩も出ていないと言うのですから、そうだとすると、総理なり外務大臣なりが私に答えたことを出ている部分は全部取り消す、速記録の面で取り消すということでよろしいですかな。
  94. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 速記録も見る必要があるかもしれませんけれども、ともかく、私の申し上げたのは、そういう場合こそ事前協議の諾否の基準に照らしてきめるべき場合であろう、こう申したわけで、私が朝鮮あるいは台湾海峡で何かの場合に、イエスと言うとかノーと言うとかいうことでなくて、本来の基準に照らしてきめるべき事態であると、こうお答えしたつもりでございます。
  95. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、念を押しておきますが、いまの答弁で、前の答弁との食い違いが出た場合には、前の食い違っている点のほうをあなたは否定をされた、こういうことですな。
  96. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 つい先日のことでございまして、まあ、私の考えもそのときと変わっておりませんけれども、もし速記録上、私が朝鮮の場合にはイエスと言うとかなんとか、そういういま申していることと違ったことがございましたら、今日のほうで御了解願います。
  97. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんのであまりこの問題に時間をかけたくはない。総理答弁のワク内でものを言ったつもりだ、こういうことですから、その点を念を押したわけでございます。  あわせて承っておきたいのでありますが、これはあとから総理に明らかにいたしますが、外務大臣アメリカに行かれて第一回日米会談をロジャーズとの間でおやりになった中で、安保の自動延長という問題が一つ出てきておりますが、これは具体的にかつ事務的に承っておきたいのでありますが、自動延長というのは具体的にどういうことをさして自動延長というのですか。
  98. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 これはどうも、外務大臣からお答えすべきかと存じますが、ともかく、安保条約第十条の規定は、十年経過後はいずれか一方が発棄を通告すればその後一年にして失効する。事務的に申しますれば、自動継続ということは何にもしないことだと私は考えます。
  99. 大出俊

    ○大出委員 佐藤条約局長御出席いただいておるわけでありますが、条約的に解釈をして、何の手続も要らないということになるのか、それとも、十年たった場合に何らかの意思表示を必要とすることになるのか、ひとつ条約の線に沿って具体的に解釈を明らかにしておいていただきたい。
  100. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 先生も御承知のとおり、この安保条約の十条「十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、」て、その通告があった場合には、これが一年で終了される、こういうことになっておりますものですから、そういう廃棄通告の権利が生ずるだけでございまして、純粋法律的に申しますれば、この通告をやりません場合には、自然に安保条約はそのまま適用されていく、法律的に申しますればそのとおりでございます。  ほかに何かそういうふうな政府意思決定するとかなんとかいうようなことがありますとすれば、それはむしろ政治的な問題だ。条約上の問題からいえば、その通告権がそこで発生するということになるだけでございます。
  101. 大出俊

    ○大出委員 「もっとも、」というところ以下が十条は後段になっているわけでありますが、そこで終了の意思の通告とこういう表現を使っているわけですね。いまのお話からすると、終了の意思の通告とこう書いてあるんだが、つまりその終了の意思を通告する権利があるということであって、その意思がない場合にはしないということである。そうすると、そのまま何らの意思表示をしない場合には継続されていく、こういう解釈ですな、もう一ぺんはっきりしてください。
  102. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 そのとおりでございます。
  103. 大出俊

    ○大出委員 重ねて承りたいのですが、そうすると、十年というのは一体何月何日までですか、来年の。
  104. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 この条約が発効いたしましたのは昭和三十五年六月二十三日でございますから、したがって、明年の六月二十三日の午前零時からその通告権が出るわけでございます。
  105. 大出俊

    ○大出委員 重ねて承りますが、そうすると、自動延長ということは、条約的には何らの意思表示をしないということである。そこで、来年の六月の二十三日の零時を過ぎた場合に、これ、十年ですね、十年と一分かあるいは三十秒かでも過ぎれば、そこから先は、これはもう十年を過ぎているわけでありますから、いついかなるときであっても国家意思決定あるいは議会できめれば、あるいは政府の権限でいついかなる場合でも終了の意思通告というものは行なえる。そうすれば、行なったときから一年間たてばこの条約は失効する。来年の六月二十三日の午前零時以後であればいつでもやれる、こうなりますな。
  106. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 法律的、条約的に申し上げますれば、そのとおりでございます。
  107. 大出俊

    ○大出委員 大臣、おいでになるから念のために承っておくのですが、愛知さんが行っていろいろおやりになる前に、二回ばかり打ち合わせをしておられますが、これは防衛に関することであろうとは思います。思いますが、外務大臣きょうおいでにならぬので、あとから総理がお見えになるようでありますが、自動延長というのを表に出されたわけですから、そうすると一体いついかなるときにどうきめるかということがあると思いますけれども、いまの条約の解釈のとおりにお考えなのか、あるいは何らかの、条約に関連なしに政治的にものを言う場面を、きまっていないにしてもお考えになっているのか、そういう検討なりあるいはそういうやりとりなりというふうなことはあるのかないのか。
  108. 有田喜一

    有田国務大臣 過般の外務大臣と、その他外務省の高官連もおりましたが、そのときの話では、私のほうは返還後の沖繩のわが国の防衛をどうしようかという問題と、それから日本の今後の防衛を全般的にどう考えるかというような方向的なことを話し合ったのですが、いまのいわゆる自動延長といいますか、自動継続といいますか、そういう問題については何らそのときには話が出ておりません。
  109. 大出俊

    ○大出委員 総理に聞きましょう。  ということになりますと、沖繩返還にからみまして東郷局長の東郷報告なんというのが当時新聞に出ておりましたが、相手方の言い分がそのときの新聞に載っておりました。その中身によりますと、政府が安全保障条約の自動延長をやるということになるとすると、つまり来年の六月二十三日以降はいついかなるときにいかなる政変があるか、これはわからぬ。政変があって、安保を破棄しようという意思を持つ政府ができ上がるということになるとすれば、終了の通告が行なわれれば、いつでも一年の猶予期間をもって失効するということになる。つまりたいへん不安定になる。さて、そこで沖繩が日本に返った場合には、安保条約六条に基づく米軍の沖繩基地になる、これは当然であります。だとすると、来年の六月二十三日以後にもしも安保条約が、終了の意思通告が行なわれて、一年をもって失効をするということになった場合に、アメリカ側にとってみれば沖繩基地もまた置くことができない。したがって、きわめて不安定になるので、安保条約にかかわりなしに沖繩基地が置けるという保障を求めるというものの言い方が相手方から出てきている。東郷レポートなるものとからんで当時そういう新聞記事がたくさん出ておったわけでありますが、外務省に承りたいのですが、アメリカ側のものの考え方として、安保条約が終了の意思通告が行なわれるという——法律的、条約的にはそうなる。その場合の沖繩基地に関する保障、こういう問題について今日どういうことになっておるのですか。また、当時新聞にあれだけ出たわけでありますけれども、当時のいきさつというのはどういうことなんですか。
  110. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 新聞の報道について私がとやかく申すのはいろいろ差しさわりもあるかと存じますが、私、四月にアメリカのワシントンに参りましたときに、ワシントンでも多数日本記者の方に会見をいたしまして、アメリカの論点を二、三紹介いたしましたが、アメリカのほうから、沖繩の基地安保条約自然継続の形で続けたのでは不安だからそれでは困るというような意見は向こうからもございませんでしたし、私もワシントンの記者団あるいは日本に帰っての会見において一ぺんも申したことはございません。これはアメリカのほうの考え方の問題もございますし、また返還交渉を控えた米国政府としてもいろいろ研究していると思います。また、アメリカの中にはいろいろな考え方が存在するとは思います。沖繩返還反対という人たちもこれはたくさんおるわけでございます。しかしながら、これは日本アメリカの間の交渉ごとでございまして、日本としては日本の利益ということを考えアメリカとしてはその立場からやはりとるべきリスクは、結果としてはどういう形に落ちつくにしろとるということになる、客観的にそういうことだと思いますが、そこで、現在アメリカのほうからわがほうに対して、安保条約の七〇年以後の問題と沖繩をからめて特に恒久的な取りきめをしようという考えは、私の知る限りは別に現在あらわれてないと申して差しつかえないと思います。
  111. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、立場立場検討はしているであろうし、また返すことに反対だという意見もあるが、しかし沖繩基地協定であるとかあるいは駐留協定であるとかいうふうな何らかの別な取りきめをという意見は直接は出ていない、こういうことですね。その点明らかにしておきたかったわけであります。  あわせて承りたいのですが、返還後の沖繩の基地機能を低下させない、この点はこの委員会有田長官が何べんも答弁をされたところでありますが、さて、基地機能を低下させない方法として、事前協議ということが問題の焦点になっている。核抜き、本土並みという返還話し合いが行なわれている。そこで核抜き、本土並みということで返還をされると想定した場合に、安保条約六条の基地になる。しかし基地機能は低下させない。愛知さんのやりとりの中に、実質的に基地機能を低下させない方法があるということを確信する、こういう言い方をしておられるようでありますけれども、低下させない方法というのは、事前協議というものの扱いを考えるという一点にしぼられているかどうか、ほかに愛知さんが確信すると言っている基地機能を低下させないという別な方法があるのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  112. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 この間、今月の初めに外務大臣アメリカ政府に対していまの点に関して話をされた趣旨は、返還後の沖繩の基地の態様は現行条約及び関連取りきめのワクの中でやりたい、こういうことでございました。沖繩の基地機能というものは、アメリカが関心を持つのみならず、やはり日本としても日本の安全という見地から重大な問題であると考えますが、現在の日米間の話し合いというのは、こちらが申し出た考えに沿ってさらに話を詰めていこう、こういう段階でございますので、御質問のように機能を低下させないために何がということは、私からこういう方法があるというようなことはちょっと申し上げかねます。これからわがほうの考え方に従って話を詰めていこうということで御了承願いたいと存じます。
  113. 大出俊

    ○大出委員 これは外務大臣が言った、あとから聞けばいいということになるけれども、それなら外務大臣に出ていただければなりませんが、重大な問題ですから、外務大臣愛知さん御自身が、沖繩を日本に返してもらっても実質的に基地機能を低下させない方法があると確信をする、こういう意味のことを言っておられる。だとすると、それから以後の状況というのは事前協議が焦点になってきている。だから、事前協議にしぼられているのかどうかということを聞いている、日本側として。確信しておられるのであるとすると、その確信というのは事前協議の扱い、これを合意すれば基地機能は低下させないで済むんだ、こういうように考えておられるのかどうかという点だけを聞いているのです。日本側考えを聞きたい、外務省の考えを聞きたい。
  114. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 ただいまの段階で私が申し上げられるのは、現行協定及び関連取りきめのワク内で基地の問題を詰めていこう、こういうことでございます。
  115. 大出俊

    ○大出委員 現行の取りきめのワク内ということになると、ほかに何も変えるところはないのですから、事前協議しかない。安保は先ほどのように終了の意思通告も何もしない、条約的には。だとすると、ワク内でいう限りは事前協議しか残っていないんじゃないですか、ほかにありますか。
  116. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 同じことを繰り返して恐縮でございますが、現行協定のワク内で日本側の政治的な問題を満たし、極東の安全保障の諸問題もここで差しつかえないというところまで話を持っていきたいと考えておる次第でございます。
  117. 大出俊

    ○大出委員 ワク内ということになればそれしかないんだが、ずばりお答えにならぬ。これはまた外務大臣に直接聞かなければならぬことになりましたが、時間がありませんからこの点は問題を残しておきます。  そこで有田防衛庁長官に承りたいのですが、きょうようやく「四四・六・一七 防衛庁」として「本文書作成の経緯」というのが最初につきまして、日米安全保障体制の必要性を論ずる資料としたいから、仮定の問題としてわが国の防衛を云々という形で憲法上の制約、国民感情等を考慮しないとすればということでの、つまりいわゆる自前防衛の構想あるいは試算、積算、こういうものをいただいたわけでありますが、ところがこれ非常に大きな問題がこの中にある。  そこで、冒頭に承っておきたいんだが、自主防衛力整備の長期構想、こういうものがあなたのほうにある。制服の皆さんが御検討の上でこしらえられたもの。私はずいぶん苦労して調べてみた。ある。その自主防衛整備の長期構想、これを長官あなたは制服の皆さん方と十分打ち合わせをして聞いて、その上で外務省との前後二回のこの打ち合わせに参画をされておる。したがって、出てくることばは、この自主防衛の長期構想、この中に書いてあることとあなたがおっしゃっておることはほとんど変わらない。私に、委員会であんなに長い時間あなたお答えになりましたが、この中にあることはほとんどすでに答えてしまっている。そこで私は、これはいま申し上げた自前防衛というのは、一つ前のほうに出ている。今日、国防の基本方針に基づく三次防まできている。そして防衛二法が出されている。この中間に、いま私が例に読み上げました自主防衛力整備の長期構想、これがまん中にはさまってくる、こういう勘定にならざるを得ぬ。私はあなたがいま十二日以来お答えになっている中身からして、ここで明確に自主防衛のもちろん長期構想がなければならぬはずだ、あたりまえ、当然なこと。このいまの、きょうやっとお出しになったこれもそうですけれども、世の中にたくさんの疑惑を招いたままではいけない、ここまでくると。産業サイドからも自主防衛構想がたくさん出ているのです。しかも自主防衛というものを、たくさんの角度からみんなが聞きますから、ずいぶんあなたは時間をかけて御苦心の上で答弁をされてきておられます。私もずいぶんこまかくメモをしてまいりました。つとめて席にすわる努力をしながらメモをしてまいりました。ずっと読んでおります。合わせてみるとほとんどもう出てしまっている、あなた答えてしまっている。ですから、やはりここで長期構想なるものを概括的にあなたのほうから明確にしていただきたい。そうしませんと、せっかくこれだけの論争をしてきて、自主防衛ということが中心になっている。したがって、やはりそこのところは、防衛庁が責任をもって自主防衛に関する長期構想というものはこう考えておるのだということをこれは明確にしていただかぬと困る。そこはどうですか。
  118. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほどの何か憲法とか核とか国民感情なんかを抜いたいわゆる自前防衛、これは私も最初は知らなかったのですが、この委員会でそれが発表されてそれからいろいろと聞いてみると、これはいつか政府委員、防衛局長のほうが話したと思いますが、防衛庁の見解でも何でもない、こういう仮定においてある議員が、こういうむちゃ——われわれからいえばむちゃな前提ですが、そういう前提においてちょっと試算してくれないかというので、これは大ざっぱな試算をやったというのであって、これは防衛庁の見解でも構想でも何でもありません。  もう一つの長期防衛構想というものが制服のほうにあるだろう、この際長官からはっきり言ったらどうかというお尋ねでございますが、実は外務省といろいろやります前に、正直申して私を中心として内局、制服と相寄っていろいろと構想といいますか何かをまとめたことは事実です。しかし、それはそのときの話でありまして、そのときの私の、今後の日本の防衛はどういうように持っていこうかといういわゆる方向といいますか方針ということは、それは私の考えがありまして、これはいつかこの内閣委員会で私が言うたと思います。しかし、制服のほうでそれ以上のそういうものがあるかということは私は存じません。したがいまして、たまたま私の言っておることがおっしゃる長期構想と似たような点があるということは、一緒になって私のほうで今後のわが国の防衛の方向、あり方ということについて検討しておりますからそれは一致点もありましょうが、そういうことでありまして、長期の構想というものは、少なくとも防衛庁としてはそういうものはまだ打ち立てるところまでまいっておりません。
  119. 大出俊

    ○大出委員 いま、長官の答弁で非常に重要なことをおっしゃっておる。私は立場は違いますけれども、何もすべて否定的にものを言っておるのじゃない。ここまでくればやはり論議すべきものは表に出して論議したほうがいいということを申し上げておる。いま長官のおっしゃったのは、外務省と打ち合わせるということになって、制服の皆さんと内局の皆さんと私と相寄って一つの構想をまとめた、一つの構想をおまとめになった。しかし、それはそのときのことであって、こういまお話が続いている。私もこれでけっこう何年か議席を持つようになりましたので、ずいぶん知っておる方が多いんですよ。ですから外務省のクラブの方々だって防衛庁のクラブの方々だって、私はその方面をやっておる人間ですから知った方々がずいぶんある。あなたが外務省と第一回の打ち合わせをされたあと、すぐ新聞に載りました。関係のクラブの方に私はいろいろすぐ聞いてみた。第二回目の打ち合わせをされた。私またいろいろ聞いてみた。記者の方は制服の方々のところを飛び回っておりますよ。内局の皆さんのところも飛び回っているんですよ。防衛庁のクラブにおいでになるのだからいろいろなことが耳に入るのはあたりまえでしょう。決して悪くはないでしょう。それでいいんですよ、シビリアンコントロールというたてまえでいっているのですから。ですから、その諸君から私がいろいろ承った限り——私は陰で皆さんの文書を持ってきてこれだというようなことをやったことはないが、しかし、私が全部聞いてみればやはり何をおやりになったかだけはわかる。わかりますよ。あなたがいまおっしゃったおまとめになったもの、それでいいんです。あなた自身が参画をしておまとめになっていればこそ、あなたがお答えになっているのは体系的に筋が通っている。そこで、私がいまここで見ているこの中身も、あなたがおっしゃっている体系と変わってはいない。あなたがおまとめになったものをお出しになれませんか、それじゃ。
  120. 有田喜一

    有田国務大臣 もうすでに私の考え方といいますか、これはもうこの内閣委員会でも申したのです。その至るまでのいろんな資料は、それぞれのところで持っておりましょう。けれども、それは一つの資料にすぎなくて、われわれとしては今後の方向、ことにそれを具体的にどの程度やるということは、しばしば申しておりますように、四次防にかかってくるわけですが、それはまだ積み上げ作業をやっておりませんから、私はここで言うたように、今後日本の防衛のあり方としていわゆる自主防衛としてはこういう方向で考えております、その結論を申し上げておるわけで、それに至るまでのいろんな資料はまだ外に発表なんという段階でもなし、いまから四次防にかかってそして積み上げて結論を出したい、こういう考えでございます。
  121. 大出俊

    ○大出委員 したがって、この制服なりあるいは内局なり、長官が入って打ち合わせをされた、つまり外務省との打ち合わせの前に、そして一つのものをまとめた。あなたが先ほどおっしゃった。お認めになっておる。まとめたものがある。ただ、お出しいただけぬかと言ったら、四次防とからむので出したくないということだけなんだ。そのまとめたものに至るいろんな資料は関係人たちが持っておる、あなたはいまこうおっしゃっている。  そこで私はやっぱり、そういうものは新聞等に抜かれて出てくるといろいろ疑惑を招くのです。それじゃ困るのですね。そのたびにいろいろなことが起こる。  で、私はここであなたに具体的に聞きたいのですが、あなたはいろいろな答弁をされておりますから忘れておるかもしらぬけれども、この中身によりますと、まずあなたが答えたことはほとんどあるのですよ。自主防衛力整備ということで、現在のわが国の防衛体制には挙国防衛態勢がない、もっともっと国民の皆さんががんばってやれといってやってくれないと、ほんとうに力が出ない、こう答えておるわけです。なぜかというと、現に挙国防衛態勢がないからです。北海道を守る陸戦想定というのが上、中、下ありますけれども、あの中を見たって、自衛隊のあの立案をした方々がそういうふうに考えて書いておられる。あなたはそれを答えておられる。それから、日米安保体制が積極的に利用できないということもここにある。これも、事前協議一つつかまえたっていろいろなものが出てくる。あなたの各種の答弁の中にこれも出てきている。それから、防衛力の底が浅い、これも旧来から防衛庁がいっていることです。だから予備自衛官など一生懸命ふやしておられるんですから。また、募集にも非常に苦労されておるわけですから。それから、情報収集機能ですね、これも非常に不足である。これは私はわざわざ実は一貫した質問をしようと思ったのですが、断片的になったんだが、宍戸局長もお答えになったけれども、決して満足な情報収集機能を持っていないことも事実。これが冒頭にうたわれている。これは何も違ったことじゃない。あなたが答えている。  それから一つは、沖繩返還がわが国の防衛体制整備の契機となる、こういうことが書いてありますが、これはあなたのこの外務省とお打ち合わせになっている記者会見のときの発表された文書等からいきますと、第一回目は別な打ち合わせでありますが、今回の第二回目は、今後における沖繩を含めての全般的な防衛力の整備、その方向についての打ち合わせをやったんですとあなたは言っておられる。沖繩を契機にして日本の防衛全般、これを打ち合わせた。そうすると、この長期構想の中に出てくる沖繩の防衛というものを契機にして今後の日本の全般的な防衛は一体どうなるかということ、これもすでに出てきている。そうして、自主防衛を主軸に安保体制を補完とするように転換すべきであるとこう書いてある。これもあなたが答えているんですよ。何と答えているかというと、これは私の委員会だ、自衛隊がもっと充実すれば、わが国の防衛は自衛隊が主として当たり、在日米軍は補完的なものになっていくんだということをあなたは木原君の質問に答えておられる。ここにそのとおり書いてある。そうすると、ここでも問題が出てくるのは、この点はあとから答えていただきたいんだが、いまの国防の基本方針からするとこれは逆になっている。これは重大な問題です。米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する、とこうなっている。基調たるべきものは今日は安保体制なんですね。ところがこちらの自主防衛の長期構想からいきますと、ここでいっておることはあなたが答弁しておるのと同じで、将来に向かって自衛隊が局地防衛の主になっていくんだ、そうして補完的に安保体制というものがあるんだ。そういうふうに主客転換していくんだということをいっておられる。これは防衛の基本構想の転換なんです。いま私が例にあげたように、木原実さんに対する答弁ですでにあなたは答えておられる。はっきりおっしゃっている。私はここに、メモにちゃんと全部書いてある。いまというんじゃないが将来の構想としては、自主防衛というふうにして強めていって、日本の自衛隊というものが主軸になっていって、補完的な役割りを安保条約というものが果たすようにするんだという構想をあなたは述べておられる。これは間違いじゃない。  さらに、そのあと、いろいろ問題があるんですけれども、つまりソビエトはいま何をやっているのか、中国は何やっているか。皆さんは中共とお書きになるんだけれども、珍しくこれは中国と書いている。さらに北朝鮮はどうなっているのか。これをあなたのほうはずっと述べておられて、ソビエトはいま海洋勢力、海のほうの勢力をどんどんふやしている。だから、当面はソビエトというものは相当注目して警戒しなければいかぬ、パトロールなんかどんどん行なわれて情報収集をいま一生懸命やっておるというふうに分析して、当面警戒しなければならぬというふうに書いている。中国というのは守る方向にいっている。そしてやがて核兵器の開発がどんどん進んでいくだろう、当面はそう脅威はないが、先行き脅威があるというふうに書いている。北朝鮮はプエブロ、EC121、これをおあげになっていて、この関係で非常に危険な様相を呈しているという意味のことが書いてある。あなたはそういうふうにずっと、この間木原氏の質問等をめぐってそう答えてきている。これらはお認めになるでしょう。
  122. 有田喜一

    有田国務大臣 私が当委員会において御答弁申し上げたことは、これはそのまま認めます。さればといって、そこにいわゆる制服とやらが長期防衛構想を持っておる、それはそのままじゃないかということに対しては、これは先ほど言いましたように、制服は私の助言者であります。私が将来の方向をきめるについていろんな助言があって、共通しておるものももちろんありましょう。けれども、さればといって、そういう長期構想がいま防衛庁のものとなってあるかと言われると、それは私のほうはそういうものは持っておりませんと、こういうことでございます。
  123. 大出俊

    ○大出委員 そこのところ、あっさりしましょう。あなたそこまで御答弁になったんだから。これは長官、制服が一つの構想を持っている、じゃ、それが私の構想かというとそうではない、一致したところもあるし、しないところもあるといまお答えになった。そうすると、やはり制服が持っているものがお手元に、いまゼロックスでとったやつが出てきましたが、そこに書いてあるのはやはり構想なんですね。  そこで、念のためにひとつここで大きな問題を聞きたい。この制服というものの中に「日本への直接侵略は、日米安保体制の間げきをぬって、」——よく聞いてください。「日本への直接侵略は、日米安保体制の間げきをぬって、間接侵略の過程で武力によって成果をまっとうする場合に生起する可能性が十分にある。」こういう表現で直接侵略の場合どうなるかということを書いている。そうして、あなたがかつて内閣委員会でお答えになったのと正反対な分析がここに一つある。どういうことかといいますと、「日米安保体制にあるかぎり、極東の共産国は米国との直接対決を避けて、」安保体制があるから「極東の共産国は米国との直接対決を避けて、主として間接的手段によって米戦略体制の弱体化およびわが国家体制の変革をはかろうとする。わが国の防衛に当たっては、間接侵略をもっとも重視すべきだ。とくに国内の様相をみると、間接侵略の機運が醸成されつつある。」こう書いてある。あなたは一致するところもあり、しないところもあるとおっしゃるけれども、この外務省との第二回打ち合わせの文章の中に、防衛努力を一そう積極的に推進し、間接侵略ないし直接侵略の事態に対し、間接侵略というものをまさに前面に取り出した。   〔委員長退席伊能委員長代理着席〕 あなたは、楢崎さんからこの質問が出た時点では、これはあなたはごまかされた。しかし、中身というものは体系的に分析されているのです。あなたはたくさんの方の質問に答えている。あなたの答弁というのをずっと継ぎ合わせるとほとんどこれなんです。違うところはあるかもしらぬ。あるかもしらぬが、ソビエトの出方、動き、中国の動き、北鮮の動き、それは分析するのはあたりまえですよ。情報収集ということについては、私はあれだけものを言ったんだから、ここにつなげようと思ってしゃべってきたんだけれども、残念ながら時間の関係でぽつんと切り離した言い方をしたのだが、どのくらい日本は間接侵略されていますかと、私はあのとき質問している。おたくのほうに分析がある。そうしてその分析に従うと、安保体制があるのだから直接米軍と対決はしない。したがって、間隙を縫って日本国家体制の変革というふうなことを含めての間接侵略が中心だということを分析されている。だから、ここに間接侵略が前面に出てきているのですよ。あなたはこれを全く否定されたけれども、そんなことはない。ここのところははっきりしてください。
  124. 有田喜一

    有田国務大臣 私が先ほど制服ということばで言いましたが、その制服というのは、私のほうは組織的の制服でございますが、いろいろございまして、個人的の見解もいろいろありましょう。個人的見解の場合と正式に私に助言したり、それから先ほど言いましたように、内局を含めてのいろいろの会合というときは、私は庁内では正式のものとして相談をするわけでございます。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 個人的見解はいろいろありましょうが、そこにいろいろ書いてあることは、おそらくは個人的見解じゃないかと私は思います。  で、間接侵略それから直接侵略、これはいろいろ見方がございます。私もこの委員会でこの間御答弁したように、間接侵略の事態が来ておるというようにも思わぬけれども、いろいろと人心を不安ならしめる様相、芽ばえが見えておる、私はこういう答弁をしました。したがいまして、間接侵略が全然ないとは、私は否定は、そういうことは言いませんけれども、そのおそれというものはやはりわれわれとしては現に直接侵略及び間接侵略に対するわがほうの備えというものがちゃんと法律によって明記されておりますから、そういうことの備えはやらなければならぬと思いますけれども、私が新聞記者会見で間接侵略ないし直接侵略ということばを使ったのは、そういう深い意味があって言ったわけではない。もちろん間接侵略、直接侵略に対する備えはしなければならぬが、その順序は直接侵略及び間接侵略と申しても差しつかえない、こういうことを私はこの委員会で御答弁申したわけでありまして、その考えはいまでも変わっておりません。
  125. 大出俊

    ○大出委員 総理がお見えになりましたから、私、時間がありませんでしたが締めくくりますが、あなたがいま答えたことを振り返って自分でお考えになればわかる、外務省と二回にわたる打ち合わせをやる前に、あなたはちゃんと制服とお答えになった、制服、内局、それから私、三者で相談をされてものをまとめた、しかし、それはそのときのものである。しかし、あなたおまとめになった以上は、何かそこら書き散らしてあと忘れてしまうようなものではない。あなたは外務省と打ち合わせをされておるときに体系的に書いておられるのだから、そうでしょう。まとめたものがある。あなたは先ほど制服は制服の意見がある、一致するものもあれば一致しないものもある。今度あなたは言い直されて、われわれが制服と言う場合には一つの組織だとおっしゃる、しかし、さっきはあなたはちゃんと制服と何べんも答えている、そう言いわけしてはいけませんよ。  そこで、私が内閣調査室長さんなり、公安調査庁の責任者の方なりお出かけをいただいたのは、この中身に、あなたが外務省と打ち合わせしたものも、いまだかつてなく間接侵略というものを前にお出しになって、間接侵略ないし直接侵略というふうに書き改められている、こうあなたはまとめているから、こう出しているのではないですか、印刷したものを出したのだから。この間、あなた印刷なんかしてない、うそばかり言っている。全部記者クラブに行って調べてきた。そうしたら、ちゃんとここに記者会見案と書いてある、この中に、発表案と書いてある。発表案というものをあなたつくっておられて、宍戸局長、うそ八百並べてはいけませんよ。あなた、あのとき何と答えたですか。長官が記者に発表されたものをあとで集約いたしました。冗談じゃない、ゼロックスでとったものを、薄くなっているけれども見たら発表案と書いてある。何をあなたは言っているのですか、書いてある、そういうことでは困る——いいですよ、どうせあなたはまたいいかげんなことを言うのだから。それはいけない、この中にちゃんと、念のためにもう一ぺん申し上げますが、「日米安保体制にあるかぎり、極東の共産国は米国との直接対決を避けて、主として間接的手段によって米戦略体制の弱体化およびわが国家体制の変革をはかろうとする。わが国の防衛に当たっては、間接侵略をもっとも重視すべきだ。とくに国内の様相をみると、間接侵略の機運が醸成されつつある。」と書いてある。否定できないでしょう、あなた方やっていることを見ると。二千二百時間の訓練時間の中で、第一師団練馬から始まって、四十五時間でいいはずのものが六百時間にもなっているところもあれば、あなたはこの間ここでお認めになったじゃないですか。そこまであなた方どんどん準備されておって、新聞記者の諸君が師団の責任者のところに聞きに行ったりいろいろすると、否定していないでしょう。それを白々しく、あなた、ちゃんとタイプに打って文章にしたものを出しておいて、その中に間接侵略を前に出しておられて、いまここまで来て、私がそこまで詰めているのに、なおかつどっちでもいいのだ、そんな無責任な長官がありますか。はっきり、いま安保体制という中で直接侵略ということは考えられぬ——られないでしょう、られますか、それをひとつお答えいただきたい。だとすると重点が間接侵略に移る。だから防衛庁傘下は至るところそれに対応するところの準備をしている、訓練をしている、この現実を認めなさい、あなた、いけませんよ。
  126. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来申しておりますように、わが自衛隊の任務は直接侵略に対するかまえ、それから間接侵略その他の治安ですね、そういうものに対する用意をしておかないとわれわれの責任は果たされぬ。かといって、すぐ、いま間接侵略があるからそれに出動するとかあるいは治安があぶないからいますぐ出動するかといえば、そういうことは間接侵略、いわゆるゲリラ戦なんかというときには備えていますけれども、間接侵略イコール治安出動ではないということも私申しましたが、したがいまして、治安出動はとにかく同じ同胞を相手の問題ですからあくまで慎重にやる、これは総理も言われるし、私もしばしば言っておるとおり。しかし、私に与えられておる責任でございますから、訓練はちゃんとやっておかないと、もし万一そういうことが起こったときに国民に対して申しわけがない、こういうことで訓練はやらせてもらう、しかし出動はきわめて慎重にやっていきたい、こういう態度であります。
  127. 大出俊

    ○大出委員 長官、最後ですから、はっきり答えてください。  いま、直接侵略の危険をあなた感じておりますか、防衛庁長官として、ソビエトなり、中国なり、北朝鮮なり、日本に直接侵略がある、危険をお考えになっておりますか。
  128. 有田喜一

    有田国務大臣 必ずしもそうばかり思っておりませんけれども、いついかなるときにそういうことが起こるかもしれませんので、わが自衛隊の任務としてはやはりそのかまえをもって備えておかなければならぬ、さように考えます。
  129. 大出俊

    ○大出委員 必ずしもそう思っていないとあなたは冒頭におっしゃった、つい出た。さてそこで、当面、来年七〇年ですよ。当面一番確定的に近いというのは、七〇年、来年です。そうでしょう。それに対して備えないのですか、備えているのでしょう。どうですか。
  130. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど言いましたように、七〇年にそういうことが起こらないことを私は期待しております。しかし、これも、そういうことがないとはいえない。したがいまして、わが自衛隊の任務として、それに対するかまえといいますか、訓練は十分しておかなければ国民に対して申しわけない。しかし、出動はあくまでも慎重な態度でいかなくてはならぬということはしばしば申しておるとおりであります。
  131. 大出俊

    ○大出委員 これで終わりですが、せっかくそこに総理お見えになりましたから、二つだけ申し上げておきますが、一つは事前協議の問題で、ずっと私詰めてまいりまして、総理にあれだけ御質問申し上げた。総理のお答えは、日本に沖繩が返ってきたその場合は、安保六条に基づく沖繩基地になる。したがって、朝鮮の三十八度線なり台湾海峡なりにおいて事があった場合に直接発進をする場合には、事前協議という問題になってくる。その場合には総理の御答弁は、慎重にいたします。私は、そういう場合はすべてノーと言っていただきたい、こう申し上げた。そうしたら、すべてノーと言うわけにはまいりません。だから慎重にと申し上げているのだというので、重ねて三十八度線なり、あるいは台湾海峡なりで問題が起こった場合には、国家意思でイエスと言えば敵対関係になる。国民は攻撃をされるかもしれないという不安を持たなければならぬ。だから重ねてノーと言っていただきたいと申し上げたら、だから慎重にと申し上げているので、めったにイエスと言うようなことは考えていないが、しかしすべてがノーだとは言えないのだ。つまり慎重にいたします。めったにイエスなんと言うことはないというところまであなたおっしゃっている。ところが事務当局の、外務省の東郷アメリカ局長が、その後の質問に対して、イエスと言う場合はということで、三十八度線なりあるいは台湾海峡なりということを例にあげた段階で、そういうようなのはまさしく事前協議の対象になって、朝鮮あるいは台湾というようなことになるとすれば、日本に非常に近距離にある。したがって、まさしくイエスと言う、そういうようなケースになると思います、という意味のことをお答えになった。新聞に大きく載っている。疑惑を招きますからね。重ねてひとつ総理、さっき私が申し上げた、すべてノーと言っていただきたい。あなたはそれに対して慎重にやる、めったにイエスなんと言うことはない。しかしすべてがノーだとは言い切れないのだ。慎重にやります、こう答えておられるのですが、そこらのところは重ねて新聞に出ておりますので、疑惑を招きますから、明らかにしていただきたい。  それからもう一つ、防衛庁がおまとめになった——これは防衛庁がつくらなくたって、防衛局がつくったのだからしようがないんだ、これは。つくったに間違いがない。どういう意図があったにしても、ある議員の質問に答えようと何しようと、内局がつくったことは宍戸局長が認めていられるんだから間違いない。これによると、自前構想ですね、安保条約のない場合の。憲法や国民感情を考えないという場合の……。これでいくと、まず核開発をやらなくちゃならないことになる、自主防衛というのは行きつく先はそこなんだから。しまいのほうにいきますと、徴兵から軍事訓練まで出てくる。こういうものを憲法が厳として存在するのに、どういう理由にせよ防衛庁の防衛局が、局の中でおつくりになるということは、たいへんなことになる、国民の側から見ると。徴兵そのものも、一昨日は高辻法制局長官が学者の通説は、徴兵そのものも憲法違反であるという趣旨のことをお話しになっている。にもかかわらず、こういう作業をするということは、何かの意図がなければならないことになる。こういう疑惑を招くようなことをなぜおやりになるかという点。  それから中間にある、つまり十年というようなことを想定しての中間の自主防衛構想、長期計画なんというものは、こういうものをお出しになるときには陰でやって、ぼっと表へ新聞に出るというようなことでなしに、あるものはちゃんと出していただかぬと間違いが起こります。  そこらのところを、総理がお見えになりましたので、これは新聞に出ておりますし、議論もされておりますから、総理も御存じだと思いますが、憲法が厳として存在するところで、そういうことを作業させること自体が、私はたいへんな間違いだと思いますが所見をいただきたいのです。二点だけ総理に……。
  132. 有田喜一

    有田国務大臣 二つの御質問の後半の問題ですね。これは先ほど私が申したように、某議員から安保を大いにやらなくちゃならぬ、堅持しなくちゃならぬ。したがいまして、もし安保がなかったら、日本の国の安全をはかるためにはどういうようなことになるだろうか。憲法も抜いて、核も、そういう国民感情も、そういう……(発言する者あり)防衛庁ではありません。そういう依頼を受けて、そうしてこれはやったものであって、これは防衛庁の見解でも何でもないということは、先ほど私、申したとおりでございますから、そういう事情から生まれたもので、決して防衛庁の見解ではありません。
  133. 大出俊

    ○大出委員 総理からお答え願いたい。  総理、これは憲法上の制約、国民感情等考慮しないなんて、そんなものを何で防衛庁が作業するのですか、とんでもないですよ。シビリアンコントロールの原則は国民です、最終的に。国民感情を考えてごらんなさい。一生懸命核の問題について日本国民感情を気にしていられる総理じゃないですか。憲法を抜いちゃってどうするのですか。あなた、こんなものを防衛庁の内局が作業するなんということがありますか。原文をもらったから私、言うのだけれども総理これははっきりさせてくださいよ。
  134. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まず第一に、この事前協議の問題について私が申しますように、イエスもノーもある。これは事前協議の性質上当然だ。これに対しまして、社会党——この代表として、イエスもノーもあるというような、そんないいかげんなことを言わないで、ノーと言え、戦争に巻き込まれる危険の絶対ないようにしろ、こういう強い御要望のあることも承知の上で、ただいまの事前協議というものはそういうものです、ということを申し上げております。したがいまして、私は国内に、絶対にノーと言って歯どめの役をしろという強い意見のあることも承知の上で、十分慎重に扱わなければならぬということを申しておるのであります。この考え方については、ただいま変える考えはございません。この点を御了承いただきたい。  第二の問題です。これはどんないきさつでただいまのようなことがきまったかと思いますが、この問題の基本、それこそは、総理自身が最高の責任を持っておると思います。したがいまして私は、どんな文書が出ておろうが、徴兵など考える、そんなことはございません。また非核三原則、これまた守ります、こういうことを実ははっきり申しております。  ただ、いままでの経過から申しまして、よし、そういうような文書が、どういうようなことから書かれようが、これはたいへん誤解を受ける問題だと思いますので、その誤解の点をうまく社会党がつかまえて、誤解を一そう大にするような表現をされるが、ただいま申しますように、私自身最高責任者として徴兵など考えておらない。同時にまた、核については非核三原則を守る。これをはっきり申し上げまして、誤解のないようにしていただきたい。
  135. 大出俊

    ○大出委員 これは最後ですから、あれですが、いま総理がお答えになったとおりの国の方針があるわけですね。これは議会も論議をしている、賛否ありますが。国民の皆さんもそれは知っている。だとすると、その方針と似ても似つかぬ。憲法を抜いちゃったり、国民感情を抜いちゃったり、しまいのほうにはフランスの核開発の金まで数字をあげて、そんな作業を、そういう方針をきめている国の——これは防衛庁の内局の皆さんだって公務員ですよ。国の方針と全然違うそんなものを、たとえ要請があったからといって、防衛庁内局が作業するという、ばかな話は許せませんよ。そういうことだけはさせないように、総理、責任をもっていただきたい。一言お答えをいただきたい。(発言する者あり)作業しなければ、できるはずないじゃないですか、ちゃんと正式でないものだから、なおいけない。
  136. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろいろ誤解を受けるようなことがあっては、公務員としていけないように思います。だから、公務員の言動はもちろん慎重でなければならない、かように思いますので、それらの点は十分注意して……。
  137. 大出俊

    ○大出委員 防衛庁と書いてあるから私は言うのです。「四四・六・一七 防衛庁」と書いてあるでしょう。
  138. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 よくわかりました。御注意のほどありがとうございます。
  139. 藤田義光

    藤田委員長 楢崎委員に申し上げますが、直ちに楢崎君から総理に対する質疑に入る申し合せがございますが、大出委員の質疑に関連して、三分以内受田委員から発言を……(楢崎委員「私のところでしてもらったらどうか」と呼ぶ)受田委員の発言は総理に対してでなくして防衛庁当局に対してでございますので、楢崎委員の御協力によりまして受田委員の関連質問を簡単に許したいと思います。受田君。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ね申し上げたいことは、大出委員のさっきの御質問の中に、私の質問事項に対する政府答弁が題材になって議論が展開された関係上、私の質問の趣旨がどこにあったのかこれを明らかにしておかなければならないと思いますので、一点だけお尋ねをいたします。  私が先般当委員会で、外務省に対する沖繩返還後の事前協議の扱い方についての質問に対する東郷アメリカ局長答弁のほうでございますが、私はいま大出委員質問されたことの中にちょっと触れていない点があったので、これを私がこういう趣旨で質問したということをここで披瀝しておきます。  安保条約の第六条にある日本の安全に寄与し並びに極東の平和と安全を云々というこの条項の中で、朝鮮とか台湾とかいう日本に最も近接した地域における戦乱というような状態が起こった場合は、火の紛が直接日本へ飛んでくる。これはこの第六条の日本の安全に寄与しという条項に該当するのではないか、こういう質問を私はしたわけです。したがって、極東条項を削除しようというわれわれの党の主張からも、日本の安全という線だけで米軍の駐留が認められておるという形をとるべきであると従来提唱し、またこれを駐留なき安保に切りかえようとしている立場からも、この日本の安全以外のものにはタッチすべきでないという趣旨からは、非常に大事な質問であったと私は思うのであります。したがって、この点につきましては、大出委員日本の安全という前提で私が質問したところをちょっと省略されておりました関係上、外務省の局長の御答弁もそういう朝鮮、台湾の限定された意味における日本の安全に関係する地域という意味答弁であったかどうかを確認をしたいし、またこのことについては楢崎さんも御質問があるそうでございまするが、当然総理も、これに関連する問題でありまするので、御答弁をいただきたいと思います。  なお、こういう問題が、ときどき政府でいろいろと見解が相違して国民に批判の種もまかれていることも考えまして、私は総理に対しましてもこの国の基本的な問題については、総理の偉大な方針をどうぞ堅持されまして、特に今度の、いまの防衛庁事件のような憲法無視、憲法をないがしろにする、これは憲法第九十九条の最も公務員の大事な任務をはずれておるようなことについても、常に基本線を憲法を擁護するという線でお守りをいただきたい。  そうしてもう一つ、いま私が願っているのは、日本の安全という立場日本の防衛を考うべきであって、できるならば防衛庁立場からも、来月の三日から行なわれる国連の軍縮委員会等においても、軍縮の本質を十分心得て、日本の安全の立場から防衛庁立場をそういう方向へも持っていっていただくという点を総理としても十分御検討を願うべきであると思います。  私がいまお尋ねしておる問題点、これは当然外務省の御意見と総理の御意見が一緒に御答弁として表示されてしかるべきであると思いまするので、以上大出委員質問に直接関連する事項、私に関連した事項でありまするので私から質問をいたしました。
  141. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 先日の受田委員の御質問に対してもう一度答えさせていただきます。  先日私お答え申し上げました趣旨は、わが国が憲法のたてまえを堅持して平和と繁栄をはかるためには、わが国の周辺、極東地域の安全ということが確保されなければならない。特に、日本に非常に近い場所において侵略が起こるというようなことは、これは重大な事態である。そういう場合こそ事前協議の問題については諾否の基準に照らしてきめるべき事態である。こういうお答えをしたわけでございます。
  142. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま受田君も大出君のそばにすわっていらしたから、大出君に私が答えたところをよく御承知のことだと思います。  事前協議の問題は、また重ねて申しますが、イエスもありノーもある、そうしてそれはケース・バイ・ケースできめるべきもので、その際にもちろん国内世論を踏んまえて政府はどこまでも慎重な態度でこの問題と取り組みます、かように答えましたが、この点を重ねて申し上げておきます。  もう一つ何かあったのですが……。(受田委員「憲法九十九条違反……」と呼ぶ)それからその次の問題、私によもやお尋ねがあろうと思わないものだから、つい他のことを考えておりましたが、国連の軍縮会議に出かける朝海大使と今朝も懇談をいたしまして、そうして私も国会へ参ったような次第でありまして、ただいま御指摘になりました点は、軍縮会議日本が加盟する最初会議でありますので、それらについてのいろいろな打ち合わせをいたしました。ただ単に事務当局だけの話し合いできまるような問題ではございません。やはり最高の問題だ、かように思って、私いろいろ話をしたような次第であります。平和憲法のもと、またわが国の平和主義、これはやはり軍縮の場でもよく話をしたい。ちょうど朝海君がけさのテレビでも対談をしておりました。自分は軍縮会議に出ていく、二度目だ。かつてのロンドン会議の軍縮、これは軍縮の場を通じてお互いの各国がそれぞれ優位に立とうとするような交渉をしたものだ。今度の軍縮会議はそれとは趣を異にしておる。とにかく頭から各国とも軍備をなくしていこう、そのほうの努力だ。だからジャイアンツの二大強国、ソ連とアメリカ、これらが軍縮に協力をするように、そういう意味の目的を十分達するようにしたい。さらにまた、地下核爆発等の問題につきましても、日本は幸いにして地震の権威も学者として持っておりますから、それらの点でもよく話し合って日本の果たすべき役割りを果たそうじゃないか、こういうことも申しております。  それからまたインドが、ちょうど幸いにしてガンジーさんが見えておりますが、昨日ガンジーさんとも、これらの点についても話し合ったような次第であります。その点は、御指摘になりましたような点で万遺漏なきを期するつもりであります。
  143. 藤田義光

  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総理は、この防衛二法が当委員会にかかりまして二度目の御出席であります。しかし、総理は国防会議議長として、言うならば防衛庁長官は、いま組織上は総理府の外局みたいになっておるのですから、主務大臣としてやはり二度も出ていただいたんだろうと私は思うのです。時間がありませんから、きょうは私に似合わず先に詳細なメモをやっておりますので、答弁も時間をとらないようにひとつお願いをいたします。  そこで、まず第一番に、ただいまお話のありました、来月軍縮委が開かれます。また十一月には総理も訪米されますが、そこで、軍縮委員会に参加するようになって、当然核防条約の問題がその決断を迫られる時期にきておるのじゃないか。そこで、十一月佐藤総理訪米をめどにして、調印の時期というものをどのように考えておられますか。
  145. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この点では外務大臣からもしばしばお答えしたと思います。この核拡散防止条約の原案、素案と申しますか、そういうのにつきましても日本は協力して、いろいろ日本の主張を織り込むようにいっていった、大部分織り込まれておる。そういうような意味で、これを拒否するという方向にはちょっとないように思っております。アメリカはとにかくこれに調印もしておりますが、その本来のソ連自身、まだこの問題についてはっきりした態度を示しておらない、こういうこともございますから、日本などは核を持っておらない国柄でございますから、やはりもう少し検討もしてみることが必要かなと思っておりますが、結局近いうちに調印すべきだろう、またその方向で検討は進んでおる、私はかように理解しております。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その近いうちというのは、私は総理の十一月訪米をめどにお尋ねをしておるのですが、その近いうちにというのはどういうことになるのでしょう。
  147. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうもこれは端的に申し上げるとたいへんけっこうなんだが、ちょっとまだそこまでは申しかねておりますから——ひとつまあ、私が楽にアメリカに行ければたいへんけっこうだと思いますが、新聞などを見ると、社会党が先頭になって訪米反対だという。これは困るので、とにかく私、アメリカに行って、これは沖繩返還問題と取り組むのでございますから、ぜひそうあってほしい。私は新聞、何かの間違いだろうと思いますが、どうかひとつよろしくお願いしておきます。  それで、いまの本来の筋から申せば、出かける際にこういうような問題についての見通しもつけなければならないと思いますけれども、いままだその時期までに必ずするということがいえないような状態であります。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一応やはり十一月の訪米時期が一つのめどになるであろうという印象をいま受けたわけであります。  なお、わが党の政策に対する、あるいは運動方針に対する批判がありましたが、これはこの場の問題ではないと思います。  そこで、沖繩返還の問題と関連をいたしまして、今日までいろいろ、総理はじめ外務大臣等から答弁がありました。わが党の大出委員も先ほど取り上げたところでありますが、沖繩が果たしておる軍事的な機能をそこなわない配慮が必要であるということは愛知さんがおっしゃる。総理の方針としては、核抜き、本土並み、そして事前協議は特別の取りきめをしないとおっしゃる。私はなかなか至難のわざであろうと思うのですね、むずかしい問題であろうと思う。この矛盾は当然出てくる。それはやはり沖繩返還の問題を軍事的な側面から、それを優先させてこの返還問題を取り上げておられる、その姿勢の矛盾であろうと思うのです。その議論はしばらくおきまして、そうすると、沖繩の急務ということは、核を中心とする現在の米軍のあの戦力並びに基地が自由使用される、それが内容であろうと思うのです。それをそこなわない配慮が必要である、しかも本土並み、核抜きというんですから、当然機能面をそこなわないものとして出てくる問題は、もう一つしかないのです。事前協議を特別取りきめしないというならば、実際の運用面で、これをゆるめるということ以外にないのですよ、機能面をそこなわないためには。  そこで、事前協議の問題ですが、三つある。その三つのうち核抜きということはもうおっしゃっているのだから、だからノーと言う。あと残るは配置の変更と戦闘作戦行動だけ、きょうは時間がありませんから、配置の変更の問題は抜いて、戦闘作戦行動の問題だけにしぼってお伺いをしたいと思います。  そこでケース・バイ・ケースによって国益に照らしながらその判断を持つというお答えであります。その場合の国益ということは、日本の安全という理解でよろしゅうございますか。
  149. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 基本的な問題ですから、少し時間を拝借し、また的をそれないようにお答えするつもりです。  いま、今日果たしておる米軍の沖繩の基地、これが返還後なくなる、そのときに防衛上の弱体化を来たさないように、これにはもう事前協議が唯一の問題だ、そこにしぼるのだ、こういういまの発想の考え方のようですが、私はその事前協議ももちろん運用上の問題がありましょうが、それよりもやはり最近の科学技術の進歩、これが沖繩の軍基地にやはりかわり得る一つのものがありはしないかと思います。だから、この点はいま何でもかんでもこの事前協議、それだけが弱体化を補う唯一の方法だ、こう考えることはないと思います。私出かけまして、特によく相談もしたいのはそれらの点がございます。この点をひとつ申し上げる。  それから、その次の事前協議の問題については、これは大出君に先ほど扱い方の問題を話をしました。それに結局尽きるのであります。吉田さんのような、仮定の問題には答えない、かようなことは私は申しません。だから、できるだけ具体的にお答えをしたいと思いますが、しかし、ただいま申し上げますように、基本的な考え方は先ほど来申したとおりでございますから、そこらに誤解のないようにお願いしたい。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いろいろおことばがありましたが、結局国益というのは日本の安全ということが中心になろうと思う。ケース・バイ・ケースとおっしゃいますから、私は端的に過去起こりましたケースをここに取り上げて、総理の御判断を示していただきたいと思います。  一番目はまず、現行安保がないときですが、かつての朝鮮事変のとき、二番目はかつての金門・馬祖の紛争のとき、三番目は現在のベトナム戦争、こういう三つの場合、過去あるいは現在の実際の実例をここに提示をいたしまして、そのようなことが、今後あの種の事件が起こったときにはどういう判断を下されるのか、そのお答えをお示しいただきたい。
  151. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 楢崎君からいま三つの場合を考えて、そしてこれにはどう対処するか、こういうことを言われます。  先ほど申しましたように、いずれも過去の事態、しかもそれは占領下において米軍司令官がとった処置、朝鮮事変がそうだと思います。私は、これはやはり具体的な問題をそのときになってきめる以外に方法はないと思います。わが国の国益を守るというのはそういうことじゃないか。したがって、いまのような過去の例そのものでも該当しないものがあるのだろうと思いますので、そういうことについてかえって誤解を招くのだろう、かように思いますから、フォーミュラをきめないこと、これが望ましいことであり、私どもが国益を守るゆえんでもあろうかと思います。したがって、そのフォーミュラをきめない政府考えだということをまた重ねて申し上げます。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛の問題はやはりいろいろな仮定をもってそしてそれに対処する、これ以外にないですよ。仮定をつくっちゃいかぬなんということを言ったら、防衛なんて成り立たない、装備も成り立ちません。しかも、この問題は各委員が指摘しておりますとおり、一番日本関係のない紛争に巻き込まれる可能性のある重要な問題ですから、国民もこの点については不安があろうと私は思う。一体どういう場合に、そういう戦闘作戦行動が直接発進するのを許すのかということは、国民も不安があろうと私は思うのです。だからこういう点は、たとえば、過去のこういう場合、朝鮮戦争のときには国連軍としてここから出ていったのですから、それからベトナム戦争は沖繩を基地に現在使って発進しておるのですから、だからそういうケースが起こったときには、イエスと言う可能性が強いということになるのじゃありませんか。
  153. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの、仮定といいますか、いろいろのことを想定して防衛体制をつくる、これは私もわかりますよ。いまの憲法が禁止しておるものは別として、私どもがこの国を守るために必要な兵器、装備、これなどはいろいろな場合を想定し、そうして国力の許す範囲でそれはやっていく、しかしいま言われるような出動というか出撃というか、そういう問題になると、これは仮定の状態で、そうしてあらゆる場合を想定して、この場合はどうするんだ、このときにはノーと言うのだ、このときにはどうするとか、そんなことを前もってきめるわけにいかぬというのが私の主張でございます。だからいまの、およそ仮定をつくってそれに対応できるものと、仮定をつくってそれに対して考えてはならないものと、まあ二つあるわけですね。それらをひとつ混同しないように、明晰な頭脳の持ち主楢崎君、よろしくお願いします。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 さっぱり答弁になっていない。私は仮定をつくっていないのです、過去の実例をここに引き合いに出しておるのですから。しかし、どうしてもこれはお答えにならない。お答えにならないというのは、三つあげます。どのためにお答えにならないのか、どのために基準がつくられないのか。いいですか。基準をきめにくいからか、二番目に、きめる必要がないからか、三番目にあらかじめきめておくと国益上あるいは戦略上不利な点があるから。その三つの場合のいずれですか、きめないということは。
  155. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも、分析すると三つともあるようですね。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 きょうは時間がありませんから、突き詰められなくてたいへん残念ですけれども、いずれ予算委員会等がありますから……。いまのような答弁ではとてもじゃありません。それでは、問題点だけ出しておきます。  それでは次に、自衛隊法の七十七条、これは防衛出動待機命令を出すときですが、これは総理の承諾を得て長官が出す、したがって総理も責任があります。この自衛隊法七十七条が発動されるような情勢のときにはイエスと言われるのですか、自衛隊法関係からお伺いします。
  157. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まあ日本の場合、いままで戦争、そういうケースがなくて幸いに今日まできている。しかし、いまのように掘り下げられればさらに考えなければならない問題だと思います。こういう七十七条になったときはどうなのか、これが先ほど来申すようなケース・バイ・ケースといいますか、私どもが慎重にこれと取り組むそういう問題だ。もちろん七十七条はわが自衛隊に対する規定ではございますけれども、同時にそれは関連を持つ問題だ、かように思いますので、そのときに具体的にきめる、こういうことにならざるを得ない。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この自衛隊法の七十六条あるいは七十七条は安保条約の第五条と連動をしておるわけです。密接不可分の関係にあるから私は聞いておるのです。だから、少なくとも七十七条によって自衛隊に出動待機命令を出すような情勢のときには、米軍の直接戦闘作戦行動への発進は、これはイエスと言わなくちゃならぬような状態のときではないかと聞いておるのです。
  159. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私もそこへ関係があると思いますから、そこで慎重ならざるを得ないということを申しておるのであります。これは答弁にならないことではなくて、場合によると、こちらのほうを気をつけておることによりまして、問題の事態がさらに拡大しないということもございますよ。そういうことは、その効果はいろいろございますから、ひとり私どもの態度ばかりではなく、逆に米軍に対する態度でもある、かように御了承をいただきたい。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、私は、重大な問題が以後続くのです。だから、問題点だけいま出しておきます。これは御研究をいただいておきたい。  七十六条が発動されるときには、当然イエスですね。自衛隊法七十六条が発動される——防衛出動です、このときには当然イエスですね。
  161. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これも当然というとちょっとひっかかるような気がしますが、比較的にそういう場合にイエスを言う可能性は多いということは言えるかと思います。しかし当然イエスと言うんだ、これはちょっとひっかかるように思います。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのちょっとひっかかる点をいまから詰めてみたいと思うのです。  そこで、自衛隊法第七十六条、これは総理が命令を出されるのですから総理の責任ですから、私は総理にお伺いしておるのです。七十六条による命令を出される、防衛出動命令を出される場合は、安保条約第五条の発動の場合に限られるかどうか。
  163. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 自衛隊法第七十六条が発動いたします場合は、外部からの武力攻撃が現存する場合、発生した場合のほかに、そのおそれのある場合を含んでおりますが、第五条の場合は直接武力攻撃の発生の場合でございますので、そこの範囲が若干違うということでございます。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで問題が出てくるわけです。なぜ私が問題にするかというと、事前協議は解釈しようによっては全然もう問題にならない、出てくるのです。どうしてかというと、あの第六条の実施に関する交換公文、戦闘作戦行動に出る場合に事前協議を要する、それが安保の第五条の場合は除くと書いてあるんですね。だからこの第五条の武力攻撃の発生の問題は、これは予算委員会等で私は続けてやりますけれども……。  そこで、いまおっしゃいました、結局自衛隊は出動しても安保第五条は発動しない場合があるんですね。いまの答弁によるとそうですね。そうしますと、では七十六条の「武力攻撃のおそれのある場合」というのは一体だれが判断するか。日本が自主的に判断するんですか、判断する機関は何です。あわせてお答えいただきたい。
  165. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 もちろんその場合にはわが国が自主的に判断をするわけでございまして、その責任者は内閣総理大臣考えます。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういう場合にその判断をするのかということを私は聞いたんですが、時間がありませんから先に進みます。  そうすると、自衛隊法七十六条、武力攻撃のおそれある場合に七十六条が発動されたときに、米軍はどういう対応をすることになりますか。第五条が発動されないとすると、どういう対応をするんですか。
  167. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その場合におきましては、当然安保条約の第四条に基づきます随時協議の対象になろうかと思いますが、米軍の場合におきましても何らかのたとえば待機の姿勢をとるとか、そういうふうな準備の態勢をとることはあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  168. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 したがって、武力攻撃が発生していないけれども、武力攻撃のおそれのあると判断したときには、自衛隊法七十六条によって防衛出動が行なわれる、そういう状態のときには、武力は発生しないでも、おそれある場合には、自衛隊は出動しておるんですから、そのときには米軍の戦闘作戦行動の直接発進ということは当然イエス、こうなるですね。今度こそ当然、そうなりますね。
  169. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その点につきましては、先ほど総理からお答えがあったとおりでございます。
  170. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういうふうにあったんですか。直接ということはひっかかる、しかし大体イエスと言う場合であろうと総理はおっしゃいました。ただいま私が出したのは、これはひっかかりも何にもない。当然、防衛出動命令が出されている。しかも、武力攻撃じゃなしに、おそれのある場合に、防衛出動命令が出されておるという状態のときには当然です、これこそ当然、米軍の直接作戦行動というものはイエスになるのでしょう。それを聞いているのです。今度はひっかかりなく当然と、こう……。
  171. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど総理から、そういう場合には当然事前協議の対象になるということではないというお答えがございましたが、そのとおりであろうと思います。
  172. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、イエスを言うことになるということを聞いているんです、当然ということ。事前協議の対象になるか、ならぬか聞いているんじゃないのですよ、何を言っているんです。
  173. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 当然、その場合にイエスと言うことになるとは限らないという考えでございます。
  174. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜですか。どうしてですか。
  175. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 防衛出動の発令の条件といたしまして、現実に武力攻撃がある場合、並びにそのおそれのある場合、この場合には防衛出動が発動できるわけでございます。しかしながら、その防衛出動が発動されます場合におきまして、直ちにそれが安保条約の五条の発動ということにはならないわけでございますので……。
  176. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんな質問してないですよ、いいですか。武力攻撃が行なわれないでも、攻撃のおそれある場合として防衛出動の命令ができるのだから、もしおそれのある場合として防衛出動の命令を七十六条によって総理がなされたときには、米軍のほうは直接作戦行動に出る、それは当然イエスになりますねと、事前協議にかかっても当然イエスになりますねと聞いているんです。
  177. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、おそれのある場合、私どもが防衛出動をする。しかし、これは自衛隊の場合は外へ出ていかないから、その次に、おそれがあったが侵略がなければ戦争にはならない、こういうことですね。そういう事態でございますから、日本にいる米軍自身が単独に話もしないで飛び出すこともないだろうし、事前協議の対象になるだろう。そういう場合に、これはよく私ども話し合っていきますから、当然、そのときにこちらがイエスとは言わない。それはおそれという程度がどの程度か、必ず侵略がくる、そういうことがはっきりしているという場合もありましょうし、とにかくいろいろ軍事情勢が動きつつある、やっぱり前もってこちらもそれに対する防衛出動しておく必要がある、こういう場合もあるだろうし、それが先ほど来言っているように、具体的な場合でないといかない、かように私は思います。
  178. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういう場合がおそれのあるかを言っておるんじゃないのです。もうおそれありとしたときにのみしか七十六条は発動しないのだから、当然おそれのあると判断して七十六条を発動するんだから、だから七十六条が発動されたときにはどうですかということを聞いておるのです。
  179. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 それでそのとおりを話したのです。おそれがあるからというので、日本のほうは準備をした。けれども、そのおそれ……
  180. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 待機命令じゃない、出動命令の場合です。七十六条を言っているのです。七十七条ならいまの答弁でわかりますけれども、待機命令ならわかるけれども……。
  181. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 待機命令……。とにかくこちらのほうはそれだけの準備だけはしなければならない。だから、侵略行為がなければ日本の自衛隊は働かない、外へは攻めていかないというたてまえですね。だから、日本がそこまでやったからといって、すぐ飛び立っていく、それこそ戦争を始めることになる。アメリカ軍はとにかく、私ども独自の態度で行動すると申しましても、国連憲章の精神において、それに基づいてやりますから、いわゆるみずから戦争を買って出るという、そんな危険はないという、ここに私たちが事前協議の余地があり、慎重に相談することのできるものだ、かように私は理解しておるのです。この辺はよろしくお願いしておきます。
  182. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はもうきょうは議論しませんよ。議論しないが、いま総理がおっしゃるとおり、日本の自衛隊はたての面です。米軍はやりの面を持ってもらう。日本に武力攻撃のおそれのあるときに、たての面の日本の自衛隊は出動命令を出しておって、やりの面を受け持つ米軍が連動しないということは、実際上あり得ない。  きょうはもうここまでにとめておきます。時間がないそうですから、あと私、ざらっと質問しますから御答弁だけしてください。  次に南方諸島に関する安保条約の合意議事録がありますね、岸・ハーター合意議事録です。その中にも、武力攻撃または武力攻撃の脅威がある場合というようになっておるんですね。それでいろいろなことをする、日米で話し合うとなっております。随時協議。その合意議事録の脅威ある場合という、この判定と、自衛隊法七十六条のおそれある場合の判定は、私は連動して一体のものであると思うが、どうですか。それがまず第一。  それから、竹島が攻撃されたときは、安保第五条の発動になりますか。及び、その場合、自衛隊法七十六条によって防衛出動が行なわれましょうが、自衛隊の竹島防衛方針について、お伺いしたい。それが二番目。  三番目に、事前協議の弾力的運用の場合に、これは防衛庁からも総理に意見が出されておるそうですが、事前協議の緊急性から、なかなかうまくいかぬであろう、随時協議を常に持つことのほうが必要であろうという意見を総理に出されておるそうですが、いま私が短い時間の間に出した問題でもいろいろと総理もおっしゃったとおり、アメリカとよく話し合わなければならぬ問題が起こってくる。特に、日米の間で判断が食い違うとたいへんなことになる。したがって、私は軍事面でも、いま言った防衛出動とかそういうものとの連動の場合は、これは軍事面ですから、軍事面においても、日米統合司令部のごとき組織をつくらなくてはならないようになるのではないか、これに対する総理のお考え、この三つだけお伺いして、一応きょうはこれでやめておきます。
  183. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 第一の御質問の、沖繩に関する安保条約の合意議事録の問題、これは御承知のとおり沖繩が返ってない状態でつくられたものでございます。したがって、沖繩に対して、南方諸島に対して、この武力攻撃の脅威がある場合と、たしかなっていたと思いますが、その場合にいわゆる四条協議と申しますか、随時協議をやるという条項でございます。したがって、いわゆる日本が攻められたという形ではなくて、いま現在は施政権下にない沖繩が攻められる脅威がある、こういう形でございますから、したがって、いまの自衛隊法と連動するという話にはならないと思います。同様な状態——ある一つの状態が、両方ともそういうふうに判断するということは当然考えられるだろうと思いますが……。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 おそれの認定について一体性があるか、おそれの認定ですよ。攻撃発生のおそれの認定については同じだ。
  185. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 これは御承知のとおり、一方は自衛隊法の面での武力攻撃のおそれのある場合といういわゆる国内法の解釈の問題、一方は合意議事録の、いわゆる日米間での取りきめの問題でございますから、これは必ずしも一致するかどうか、私ははっきりいたしません。  竹島の問題がお話にのぼりましたが、竹島が攻撃された場合に五条が発動するか、こういうお話だったと思いますが、御承知のとおり五条は日本の施政のもとにある地域という形になっております。いま竹島は御承知のとおり係争地域でございますが、残念ながら日本の施政のもとにない地域でございます。事実問題としてそういうことになっております。したがって、五条は発動しないというふうに私は考えております。
  186. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまのところ事前協議、それからその他は随時協議という、両国の間を緊密に連携するという、私は現状においては十分事足りている、かように思います。これは何と申しましても、日米安保条約の結果、ただいまの極東情勢は常時特殊な機関を設けて絶えず緊密に警戒を要するような、そういう状態でないこと、これはたいへんにしあわせだと思っております。したがって、いまのところはございません。(楢崎委員「緊争のとき」と呼ぶ)これから緊急な処置、これはそういうことがあるかどうかちょっとわかりかねますが、必要があればいまのような統合機関を設けること、これは必要があれば設ける、この程度に御了承いただきたいと思います。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では質問をこれでやめます。  ただいまの御答弁、一番最初のやつは、きょうは議論しませんけれども、日米共同作戦を進めるのですから一体のものであるのですよ、おそれのある場合の判定というのは。違うなんということはあり得ないですよ。  それから二番目、竹島の施政権はないのですか。潜在主権があるのですか。これは私はなぜこういうことを言うかというと、四十年の日韓のときに、竹島問題を早く片づけるといいながら、現実は韓国から占領されておるのでしょう。言うなら、もし施政権があったら、韓国から占領されておるならば、これは武力攻撃ですよ。兵隊が来て占領しておるのですから、当然第五条が、形式的にいうなら発動しますよ。だから、これを早く片づけないと、現在韓国が占領しておるのだから、もしかつての朝鮮戦争のようなことが起こった場合には、当然これは危険な一つの地域になります。だから、これは連動の問題が起こるから、早くこれは結論を出されないとたいへんなことになろうと思う。  それから三番目の点は、緊急時には当然そういう統合的な司令部的なものがつくられるであろう。これは現在もつくられておるのです。それは私ははっきりしたいけれども、時間がないからあれですけれども、まあそれでよろしゅうございます。
  188. 藤田義光

    藤田委員長 申し合わせの時間が経過し、かつ佐藤総理大臣が二時ちょっと前からやむを得ざる公務もあるようでございますから、発言者におきましてもその点を御考慮の上、ひとつ重点的に御発言をお願いしたいと思います。淡谷悠藏君。
  189. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 総理にぜひお伺いしたいのは、この防衛二法案の審議を通じて、従来の審議とはきわ立って違っている点が一点あるのであります。これは従来総理の御答弁の中には共同防衛あるいは集団防衛ということが非常に重要視されて答弁されたのに、今回は自主防衛ということがたいへん強調されたことであります。特に、有田長官はかなり強い姿勢でこの自主防衛の隘路になっておるものまでも指摘された。たまたま数日前に、総理は、銀行大会でやはり自主防衛の線を引くことをはっきりされたようであります。こういう点について端的に自主防衛に対する総理のお考えを伺いたい。
  190. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、かねてから自分の国は自分で守る、みずからの手で守るというその気概を持て、こういうことを申しております。国民の愛国的熱情、これはやはり自分の国は自分で守るという、そういう気概はあると思います。ところで、気概だけありましても、現実の問題として守れる能力は気概だけではつかないわけであります。国力、国情に応じた必要な自衛力を整備するという、これが日本の本来の態度であります。  ところで、いまやGNPは自由陣営第二といっている。これはもちろん第一と二との間にずいぶんの開きはあります。その開きは大きい開きでありますけれども、ここまで戦後回復してくると、やはりみずからの手による、われわれの国土はわれわれで守るという、その気概にふさわしい防衛力をやはり整備する、そういうことでいいと思う。また、それは憲法もその自衛力は否定しておらない、かように思っておりますので、その範囲のものはこれはやっぱり整備していこう、かように思う次第であります。
  191. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 有田長官は日本の自主防衛を完ぺきなものにするためには、二つの隘路があるということを言っておられる。一つは、経済力の規制、もう一つは、憲法のワクの中ということが十分なる自主防衛ができないということを言っておられる。総理もいま国力が非常に伸びておるので、その点ではこの自主防衛が前向きに進んでいくといえば、そういうふうに受け取れましたけれどもたまたまいま大出委員から提出されましたこの防衛庁の文書ですが、本文書作成の経緯というのはこれはあとでつけたものですね。四十四年の六月十七日ですから、いろいろ弁解されているようですけれども、これはあとでくっつけた下書きであって、内容がその当時出されたものである。これには自前の軍備というふうにとっておるわけなんですが、総理は一体この自主防衛と自前防衛とはどういうふうに違うのか。(発言する者あり)いや、これは冗談ではない。この前にもしばしば自主防衛と自力防衛あるいは自立防衛、自前防衛、さまざまに言いかえられているのです。一体、国会の場ですから、私はことばの使い方は非常に厳密にやる必要があると思う。  これは有田長官にもぜひ御訂正願いたいことが一つあるのですが、防衛庁には防衛大学はないでしょう。防衛大学校はありますけれども、防衛大学はないはずなのです。それをあなたは二度までも防衛大学ということばで言っておられる。所管が違っていますよ。そういうふうにその後の論議に非常に支障をきたしますから、まず自前軍備というものと自主軍備というものを、総理の観点では一体同じものか、違ったものなのか、お伺いしたい。どういうふうに違うのか。
  192. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、自主防衛ということは申しておりますが、自前防衛とは言ったことはないように思っております。だから、私の使っていることばで私は答弁します。  自主防衛、先ほど申したような気持ちで、われわれは憲法の許す範囲で、しかも国力、国情に応じたその範囲で自衛力を整備する。そうして、当然それでは足らないから、それは日米安全保障条約によって補われる、こういうことになっている。これは、社会党と私どもとの間で主張は違っておるわけです。この点ははっきりさせておく必要があるだろうと思います。その自前よりも自主、自主よりも自前とか、これはどうも私はわからないんで、社会党さんが自前防衛とでもおっしゃるならだいぶ議論の余地もあるかと思いますが、そうはおっしゃらないのだろうと思いますので、私が使っている自主防衛というその考えでひとつ御了承いただきたいと思います。
  193. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いや、私のほうで使っているんじゃなく、この文書が出る前に東京新聞の大見出しに、「自前防衛には核が必要」と書いてあるのです。だから、核というものはこれは非核三原則で、総理は明らかに持たず、持ち込ますというようなことを言っておりますけれども、自前軍備の場合にはこれは許されているわけですね。そうしますと、これなども非常にずるい抜け穴があると思うのです、防衛庁に。その点でやはり佐藤総理は、それでは自主防衛でいくんだ。自主防衛でいった場合に、いまの安保条約との関係はどうなるのか。共同防衛との関係はどうなるのか。あくまでも理想とするのが、自分の国は自分の力で守るという気概を持てと総理はおっしゃいますし、有田長官は、いつまでも人にすがるようなこじき根性はよせとまで言っているのです。その自主防衛の線を貫いた場合は、一体いまの安保条約は要らなくなるのか、共同防衛が要らなくなるのか。そして同時に、いま楢崎委員から質問ございましたが、日本が、現在さまざまな制約があって、たての防衛はできるけれども、やりの防衛はできない。自主防衛の場合に、このやりの防衛に関する攻撃力は一体必要なのか必要じゃないのか。また自主防衛の場合に、これも持とうとするのか持つまいとするのか、この点もはっきりしておきたいと思う。
  194. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 自主防衛と申しましても、これは制約があるということ、これはもう大出君に一貫してお答えしたとおりでございます。また楢崎君にもその点を申し上げております。そこで、いまも申しておりますように、私どもは国力、国情に応じた自衛力を持つという、それより以上のものを考えてない。しかも憲法を守る。憲法の制約は当然われわれは順守していく。そこに限度があるわけです。それでこの自衛、この国の安全を確保するのに現在の状態では不十分だ、かように思うから、いまの日米安全保障条約、それによって足らないところを補っておる。主体はどこまでも自主防衛が主体であり、補っておるのが日米安全保障条約だ、かように御理解をいただきたい。そこで、だんだんと国力が増すに従って自主防衛力も強まっていくだろう。その意味ではアメリカは後退していくだろう。しかしながら、アメリカ自身持っておる軍事力、私どもアメリカと同様のものが持てない状況にいまありますから、これはどんなことがありましても、自前であろうが自主であろうが、日本は核など持つような考えはございませんから、そういう点では核兵器は製造もしなければ持たない、これだけはもうはっきりしているわけですね。したがって、そういう点が、誤解はないだろうと思いますが、新聞に何と出ようが、自前だからそれを持つんだなどとは考えておらないということをはっきり申し上げておきます。私は、これも声を大にして徴兵制度はしかない、核兵器は持たない、これはもうはっきり実は申しております。  それから、たてとやりとの関係で、日米安保はやり、アメリカ軍にはやりがある。日本はたてだけだ。いわゆる直接侵略、間接侵略、そういうものに対して自衛するだけだ。そのとおりでありますが、これはもうそれが憲法の命ずるところなんで、幾らえらそうなことを申しましても、やりなどは持てないようになっているのがいまの日本の憲法ではないか、かように理解しているわけです。この点はおそらく社会党の皆さんと同様だ、私はかように思っております。
  195. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この自主防衛を突き進めた場合に、ぶち当たる一つの壁としては憲法がある。したがって、核は持たない。核は持たないんだから核戦争、核武装に関する点はアメリカの核抑止力にまつということは従来しばしば答弁されました。したがって、総理の持っておられる自主防衛構想というのは、その意味で最終までアメリカの核抑止力にたよる自主防衛、どんなに経済力が発展しましても共同防衛、集団防衛の点は抜くことのできない自主防衛、いわば有田長官に言わせれば不完全なる自主防衛にとどめざるを得ないというお考えかどうか。それとも力があればこれも突破して、日本がはっきりと自分の国は自分で守るというところまで進む自主防衛なのか、その点が非常にあいまいなんです。最後には一人で守るのか、最後までやはりアメリカの武力が必要なのか、こういう点をはっきりお答え願いたいと思う。
  196. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまも申しましたように、核武装はしない。核兵器がなければ安全は確保されない、こういうようにお考えになるのかどうなのか。私は、日本は核武装しなくとも日米安全保障条約があれば十分だ、戦争抑止力というかアメリカの持つ戦争抑止力によって平和は保てる、だから七〇年がきても日米安保体制は堅持する、こういうことをたびたび申し上げておるのです。その条約形式はどうするか、これはまた別であります。また先ほど来御質問もありました核拡散防止条約、これに賛成するかしないかということですが、われわれは核兵器は持たないのだから各国とも核の拡散はこれを防止すべきだ、かように思っておるということも申しました。  したがって、いわゆる核兵器のない状態は不完全自衛、こういう形になるのか。私は、一国だけがその国の安全を確保しようという考え方が現代においては通用しないのじゃないか。私は、多数国と日本が同時に条約を結ぶという、そういう多数条約はできませんが、わが国の安全を確保するために必要なことならば、自由主義陣営と行動がともになること、これは条約ではございませんが、そういうことはあり得るのじゃないかと思っております。私はそういう意味で、不完全と言われようがどうしようが核は持たない、しかしいまの状態日本の安全は確保できる、かように確信している次第であります。
  197. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この防衛論の場合に、戦争の問題が当然出てくるわけなんですが、憲法の解釈なども当初の解釈から見ますと相当内容も変わってきているようですし、いろいろな論争の間に憲法そのものの本質がどこにいったかわからなくなってきたようなこともしばしばある。まずこの辺でひとつ憲法の原則に返るべきじゃないかと思うのです。つまり「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という憲法九条の一項、これも論議の間に、こういう条文はあるけれども自衛権があるのか、こういう。自衛権の範囲と第二項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」この第二項との矛盾が、日本の防衛を武力にたよってやるのだという観念に立つ場合に永久に解けない矛盾だと思う。武力にたよって日本の防衛を完備しようとした場合に、この二つの項の矛盾を一体どうするのかという問題が残ってくると思う。これはやはり日本の防衛の、まあいわば大元帥である国防会議議長が、こまかいこともいろいろお世話を願わなければならぬかもしれませんけれども、こういう国防の本義について、もう少し憲法との関係をはっきり考え詰められたほうがいまの場合必要じゃないかと思うのです。この矛盾は一体どうするのか。  時間がございませんから重ねて言いますが、昨年の、これは私の保留した原因なんですが、十二月十四日、多賀谷委員質問答弁総理は、戦争には協力しない、戦争には参加しない、しかしながら平和への戦争はわれわれは積極的にこれに取り組む。この平和への戦争というのですがね、どういう意味があったのか知りませんが、少なくともこの憲法の条文を踏まえて平和への戦争という、戦争ということばを使われたのは一体どういう気持ちなのか、お伺いしたい。
  198. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 第一の問題ですが、憲法の問題、独立国家の自衛権というか、これは憲法が制定されたときから否定しているものではないという、これは当然のことだと思います。したがって、いまよほど憲法も中身はどんどん拡張解釈された、こういう淡谷君の御意見でありますけれども、これはもう憲法ができてから今日まで、その自衛権を否定している学者もなければ国民もないように思うし、政党人もちろんその自衛権あることを認めておると思います。ただ、その自衛権というものが、どこまでは自衛権であって、それをどこがどうなったらオーバーするとか、こういうような議論はいろいろあろうかと思います。しかし、幾ら非武装中立論をいわれましても、自衛権そのものは否定してはおられないと思う。私は、社会党の場合でもそういうように思います。したがって、この点ではもうナショナルコンセンサスができているのだ、かように考えていいのじゃないか。ただ、この自衛力、自衛権が一体どの辺まで、これはもう過剰自衛権だ、こういうような非難はあろうかと思いますけれども、そういう点で私どもが皆さん方としばしば議論する、かように思いますから、ここはあまり議論をしなくてもいいかと思います。  そこで、その次の平和への戦争という、これには大いに力を出すと言った。これはちょっと矛盾していることばです。これはおそらく表現を皆さんから実は教えていただいたように、何でも戦い取るというあの思想、これはやっぱり平和も戦い取る、さように考えると、平和への戦争とこうなるかと実は思うのですがね。だから、これはことば自身あまり気になさらないがいい。平和自身ですから、戦争をして、そうして講和条約で平和になるのだ、そういうような意味の平和への戦争ではございません。何でも戦い取る、その戦い取る形が戦争だという表現だ、かように御理解いただきたい。
  199. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、ことばは、また軽べつされますけれども、さっきも言ったとおり、ことばはやっぱり厳密に使わなければしようがない。戦争という以上は、やはり戦争ととらざるを得ないのです。  ただここに大きな問題になりますのは、日本の憲法によれば、日本の国をみずから守るということは戦力によるのか。戦力はこれを放棄する、そうしますと、武装以外に、戦力以外に国を守る防衛論がなければならない。憲法制定当時のことを引いてみますと、必ずしもいまの憲法改正の、憲法の制定みたいなことは言っておりませんよ。これは世界に宣言した敗戦日本の悲願なんですね。むしろ、この武装によらざる防衛の姿を世界に徹底させようという考えがあった。特に社会党がそう言うということを総理は言われますけれども日本を攻めたマッカーサーがこれを言っているのです。あの戦争に勝った経験の中からも、国際紛争の判定者として武力が無益であることを世界各国が認めるかどうか、力による脅迫、国境の侵犯、陰謀、公共道徳のじゅうりんなどから当然由来する猜疑、不信、憎悪を国際関係から除き去るかどうか、地上の各国民が支持しかつこれにたより得るより高い法によって、日本のような国が安心してその独立をこれにまかし得るような世界秩序ができるかどうかにかかっているということを、勝った国のマッカーサーが言っているのですね。さらに、世界は生き延びようと考えるならば、おそかれ早かれ戦争廃止の判断に到達しなければならない。これも言っている。社会党が言ったことじゃないのです。また、その当時、この憲法の制定にいろいろ骨を折った幣原喜重郎さんがやはりこんな意味のことを当時言っておる。むしろ日本の政治家が新しい形の防衛というものに対してあまりにも軽視し過ぎておるということを嘆いていられる。少なくとも私は、この憲法の自衛権と戦力の放棄、この矛盾を断ち切るためには、思い切ってここで武力によらざる日本の防衛というものを考える必要があると思う。その点はどうお考えですか。
  200. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私はいま武力だけでこの国を守るという考えは間違っておる、そのとおりだろうと思います。したがいまして、いまの自衛権で自衛力、かように申しましてもそれだけでこの国が守れるとは思いません。やはりあらゆる面、いわゆる国力、それがやはり戦争を回避し、戦争を防止する、そういう力があると思います。そういう意味でわれわれはやはりあらゆる面の国力、軍事力を含めての国力の強大さと申しますか、それを考えていかなければならない。幸いにして軍事力については平和憲法がその限度を示しておる。その限度を守っておる限り、ここでは非難を受けなくて済むと思います。そしていまの国際社会はあらゆる国があるのでございますから、日本だけがいまの国際紛争を軍事的に解決しないのだ、かように申しましても、日本以外のところではそういうような戦争がやはり繰り返されておる、これが現実でございます。だから、われわれの持つ一つの理想、それがやはり今回は軍縮会議のメンバーにもなる。われわれの考える思想、それをふえんするいい機会を与えられたのでありますから、そういう点でもこれからはわれわれの主張を各国に理解してもらうように努力したいと思いますし、またただいま淡谷君の言われることも私ども考え方と全然別の方向じゃないだろうと私は思います。いわゆる軍事力だけで紛争を解決するとか、あるいは日本の安全を確保しようとか、さような考えを持っておらない。  ことに最近はASPACという会議がございましたが、これなどもいい例でございます。一部では皆さん方のほうで、社会党のほうであれは軍事同盟だ、反共軍事同盟だという批判をなさいましたが、ASPACは軍事同盟では絶対にございません。お互いに協力し合い、そして独立を達成する。そういう意味でお互いに仲よくしていけば戦争に巻き込まれるようなことはない。こういうような気持ちから、やはり平和維持の観点に立って、お互いに干渉しない、また自分自身も自分自身が守っていく、よけいなくちばしは出さない、そういうような会議でございますから、そういう方向に各国がなれば戦争などなくて済むだろうと思います。私はこういうような人類の一つの高い理想はあらゆる機会にその点を宣明すべきだ、そして大いに開発すべきじゃないだろうか、かように思います。
  201. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 委員長のいろいろな御注意がございますので、もうこれ一問で終わりますが、最後に一つお聞きしておきたいのは、防衛庁が作成しましたこの文書ですね。これは機会があればもっと詰めてみたいのですが、これは非常に乱暴なものです。もし、これが自主防衛というならば、明らかに憲法違反、これはこの前の委員会でもこの内容は憲法違反だということは認めておられる。少なくとも、これまでの憲法の許す範囲ということがぼかされておりましたのが、この限度まできますと、明白な憲法違反という線がはっきり出てきた。これは自主防衛と自前防衛とは全然関係がないとの総理答弁ですから、私はこれ以上追及はいたしませんけれども有田防衛庁長官のお答えで非常に気になりますのは、日本の自主防衛を進めるにおいて、現在は経済の問題と憲法の問題があると言った。もし、自主防衛というものが、このまま進んでいって、憲法の制約点に達した場合、総理は一体憲法のほうを変えるのか、自主防衛のエスカレーションを変えるのか、この点を明確に御答弁願いたいと思うのです。
  202. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほども大出君にお答えしたとおりでございますし、またその書類も、私自身が防衛庁長官にも渡したところで、もうこういうような書類はこれからつくらさない、これは誤解を受けますから、そういう誤解のないようにしたいと思います。  私は申し上げるまでもなく徴兵制を指向するような考えは持っておらないし、核兵器を持つような考えもございませんから、自前だろうが自主だろうが、そういう誤解を受けるようなことのないように十分部内を注意するつもりでございます。矛の点ははっきり申し上げておきます。  またただいま私は憲法を改正するような考えも持っておりません。先ほど来申すように、憲法の制限内における自衛力の整備、これは国力、国情に応じていたしますが、それより以上に、ただいまの憲法を改正して、そうして軍事力によってどうこうする、そういうような考え方をただいま持っておらないことをはっきり申し上げておきます。
  203. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうもありがとうございました。
  204. 藤田義光

    藤田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  205. 藤田義光

    藤田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  206. 大出俊

    ○大出委員 簡単に読み上げて反対討論にかえます。  一、日米安保条約は二つの軍事ブロックのうちアメリカの側に立つという基本的な性格を持ち、極東における軍事緊張と、日本を再び戦争に巻き込む危険を常に内在させて今日に至っている。したがってすみやかにこれを廃棄すべきである。  二、自衛隊は本来憲法違反であり、今回の防衛二法による七千七百二名の自衛官の増員などはその意味で全く認めがたい。まして陸上において一万五千八百余人の欠員をかかえている現状から見て、国民の名において不当であるといわなければならない。  三、政府は沖繩返還にからみ陸上十八万体制の旧約を果たすといい、さらに自主防衛体制の確立と称しているが、これはアメリカのドル防衛、自衛隊との肩がわり方式に協力し、産業サイドの産軍依存、武器輸出等の強い要請に乗り、あわせてアジア安保体制へのエスカレートをねらうものでもあり、日本の安全と日本の民主主義を守るため何としても認めがたいところである。  四、特に沖繩返還について事前協議条項に弾力性を持たせるという考えは、日本の安全を犠牲にしてアメリカ極東戦略に協力させられる姿勢であり、これこそ国民の名において許しがたい態度といわなければならない。  五、治安出動との関連による陸上六千名増員は、日本の安全を守るという名において国民に銃口を向ける危険をも含むものであり、賛成いたしがたい。三十五年安保のときの苦い経験にかんがみ、国論を決定的に二分する治安出動は断じて行なうべきではない。  以上の立場、以上の観点に立ちまして本案に対しまして反対をいたします。
  207. 藤田義光

    藤田委員長 塚田徹君。
  208. 塚田徹

    ○塚田委員 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、賛成の意見を表明したいと思います。  本案は、自衛官、予備自衛官の増員をはかることをそのおもな内容とするものであります。特に陸上自衛隊については六千名の増員が提案されておりますが、これは昭和三十三年から三十五年にわたる第一次防衛力整備計画からの懸案である陸上自衛隊十八万体制確立のためのものであり、わが国防衛力の自主的整備の過程で重要な意義を持つものであり、わが党が全面的賛意を表するゆえんであります。  現在、国会で防衛問題が真剣に取り上げられ、与野党が正常な形において真剣に論議し、納得いくまで審議を尽くしたことは、防衛についての全国民的合意を形成するゆえんでまことに意義あることと思います。(拍手)そして、熱心で率直な国会審議を行なってこそ初めてシビリアンコントロールの実をあげることができると信じます。  最後に、防衛力を真に国民的基盤に立脚したものにするために、関連諸施策の推進を政府に強く要望して、ここに本法案に対して賛意を表するものであります。
  209. 藤田義光

    藤田委員長 受田新吉君。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま審議中の防衛二法案に、遺憾ながら反対せざるを得ない理由を申し述べたいと思います。  私たちの党は、憲法による防衛そして外交による防衛さらに専守、もっぱら守る防衛、そうして国民合意のもとに基づく防衛、そうして安保体制の現状におきましては、駐留なき安保という形で自主防衛を提唱している政党でございます。したがって、金がかからないで国民合意の上に立つ自衛力という形のものを、そして量よりも質というものを考え、そしてやがて世界連邦の一構成員たる理想を描きながら前進すべきだと考えております。  ところが、今回の政府提案を拝見いたし、その審議過程における政府の意図をただしましたところ、特に陸上自衛隊の六千名の増員計画というものが、まことに計画性を失った思いつきである印象を多量に私たちはお受けいたしました。一万五千人の欠員を持ち、特にその大量の士の階層の皆さんの募集が困難な段階で、なぜ一万五千の欠員を充足する手だてに全力を傾注しないか。形だけを整えて、量だけをふやしていくという、この改正の意図の了解に苦しむということ。また私たちは、同時に予備自衛官というものは、これは自衛隊を退職した人が民間にたくさん散らばっておる。これを生かす上において、現職の自衛官をふやすよりも、予備自衛官の連絡協調をはかるような方向に行くほうが、国民合意の上の自衛力を高める上に適切ではないかと考えております。  さらに、今回のこの改正措置が、沖繩返還という当面する問題に関連があるような印象を国民に与えておる。アメリカの追随外交のにおいをこの自衛官の増強に振り向ける印象を与えているというまずさがある。この点につきましてはなはだ遺憾な現象を論議の過程で拝見しました。私たちは、国民の理解の上に立つ自衛隊という形を政府がおやりになるならは、あえてこれに反対する筋合いではないと思っております。しかし、国民全体が愛する自衛隊という形に現状においてなし得ない自衛隊の内部の矛盾があり、陸海空三幕の間の連絡を事欠く点があり、そうして国民とともにある自衛隊としての意欲を欠く点が多分にある形で法案が出されたということはまことに残念でございます。しかし、この法案の扱いを、党派をこえて久しぶりに各党ができるだけ討議の場を通じて国民に自衛隊のあり方を理解させる方途が講ぜられたことははなはだ喜ぶべきことであって、反対をする立場のわれわれといたしましても、ここに話し合いによる政治のルールが、われわれの党の主張の方向に前進していることにつき、自民党、社会党、公明党の皆さんともどもに感謝を私いたしたいと思います。  最後に、アメリカと交渉に当たるところの佐藤総理を中心とされた自由民主党の皆さま方、どうか日本立場における自衛力というところを常に念頭に置かれながら、祖国日本を愛する自衛官がよく個人として優遇せられ、生命を賭して公務執行に当たっておられる皆さん方を人間として愛し、人間関係で豊かな自衛力がつちかわれるような方向にこれをお進めあらんことを希望いたしまして討論を終わります。(拍手)
  211. 藤田義光

    藤田委員長 鈴切康雄君。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、公明党を代表いたしまして、今回提案された防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論をするものであります。  一九六九年、本年は第二次世界大戦の戦火がやんで四分の一世紀を経過し、政治、経済、外交、教育、文化等、あらゆる分野において過去の権威が失墜して、新しい建設を迎えようとしており、まさに国内、国際情勢に一大転換を迎えようとしている年であります。  世界情勢を見ますと、ヨーロッパではNATO体制、ワルシャワ体制の再編成がもくろまれており、アジアにおいても英国の退潮、アメリカのアジア政策の失敗と太平洋国家への固執、中国の核武装、ソ連の極東への関心の増大と中ソ国境事件、プエブロ、EC121型偵察機の撃墜事件等を含む三十八度線の緊張など、依然として日本をめぐる国際環境は流動しつつ重大な変貌を呈しようとしております。  特にアジアでは、ベトナム戦争における北爆停止に続いてパリ会談が進行中であり、それに伴ってニクソン新大統領のアジア政策変更は日本に軍事的肩がかりを強制する方向となり、わが国においてもいつの間にか安保を補完的立場に置きつつ自主防衛構想の強化にと政策転換を余儀なくされておるのであります。  さらに国内では、一九七〇年六月の日米安保検討期を目前に、沖繩及び北方領土の早期返還基地撤去闘争、原潜寄港反対、大学紛争がからんで左右の激突の危険性がいよいよ増大しつつあるのであります。  このような歴史の転換期に立って、わが国は平和憲法の精神を宣揚して、アジアの緊張緩和、世界平和確立への大きな使命を自覚すべきであるにもかかわらず、政府・自民党は、一九七〇年以降においても日米安保体制を長期に堅持しつつ、対米依存外交の姿勢と軍事力のみの強化という形でこれに対処しようとしているのであります。  私たちは、日本の平和と安全を確保するためには、広く国民の国防に対する認識と理解の上に立って、経済、外交、貿易、軍事力等の諸条件からなる総合力をもって国民的合意を確立すべきものであって、ただ武力のみ拡大をはかることは、いたずらに近隣諸国に脅威を与えるばかりか、力の均衡に立っての安全保障政策はいつの間にか戦争への道を歩むことは過去の歴史の証明するところであり、まことに危険な要素が含まれているのであります。  そうした意味において今度提案された防衛二法案に対し、具体的な反対の理由を申しますと、第一に、何ゆえ本年度自衛官の大幅増員計画を必要とされるのか。さきに当委員会において各省庁等を通ずる定員の総数の最高限度を法定した総定員法の機構改革による定員削減に逆行し、定員ワクをなぜ広げなければならないのか。国際情勢の分析と軍事作戦の上に立った自衛力の増強計画を憲法の制約下にあってどの程度考えられているか。また定員を急増する必要がどこにあるのか。全然国民に納得するよう説明されていないのみならず、いきなり自衛官の定数を七千七百二人増加することが最大限度の必要な人員であるとすることには、どうしても理解に苦しむものであります。  第二には、一九七〇年安保改定の年にあたり、治安対策としての自衛隊増員計画でないかという点をも含み、しかも、来年は日米安保改定時ではとうてい増員は望めないということから、治安に対する対策ではないかという危惧を感じさせる点であります。  第三には、政府は強力な軍事力を背景とする対米追随外交一辺倒の姿勢から一歩も脱却しておらず、中国封じ込めを中心とする日米安保体制堅持という立場の自主防衛構想がエスカレートする非常に危険な要素をはらんでいるということであります。わが国の平和憲法の前文及び第九条の精神を無視し、自衛力の限界を明らかにせずして、憲法の拡大解釈をはかろうとしている自主防衛構想による増員計画には、納得できないのであります。  第四、陸上自衛隊においては九〇・九%の充足率であり、現在一万五千人に及ぶ欠員があるにもかかわらず、充足率を満たすほうに力を入れないで大幅定員のワクの拡大は、過去の充足状況から見ても全く理解できない点であります。  以上が私ども防衛二法案に対するわが党の反対の理由でありますが、最後にわが党が主張する絶対平和主義、中道主義の立場で分極化した世界的左右両陣営の対立を止揚し、きびしい国際情勢、特に極東の緊張緩和のためには、政府・自民党が中国敵視政策による対米追随のみに明け暮れるのでなくして、十年、二十年先を見越し、独立日本国がみずから地球上のあらゆる国々と平和友好条約を早急に結ぶためにも、第一に中華人民共和国と万難を排して取り組み、平和友好条約の締結を最優先にすべきであることを付言して反対討論といたします。
  213. 藤田義光

    藤田委員長 これにて討論は終局いたしました。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  214. 藤田義光

    藤田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、浜田光人君より発言を求められておりますので、これを許します。浜田光人君。
  215. 浜田光人

    浜田委員 本案につきましては、われわれの否決すべしとの意見は少数をもってただいま敗れたのでありますが、本法案を審議すれば審議するほど、幾多の疑問点が出てまいったわけであります。したがいまして、本会議において少数意見として報告したいと存じます。ここに意見を留保しておきます。     —————————————   〔少数意見報告書は附録に掲載〕     —————————————
  216. 藤田義光

    藤田委員長 なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕
  218. 藤田義光

    藤田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これには散会いたします。    午後二時十七分散会