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塩谷委員 機密漏洩についてはひとつ厳重に監督をしていただきたいと思います。
そこで、
最初に私は
防衛論争について非常に仮定の上で行なわれていることが多いということを申し上げたんでありますが、事実、これはもう真剣な
論争であり、あってはならないことに対する対策でありますから、いかに仮定とはいえ、徹底的にこれは追求すべきであると思う。しかしおのずからわかるように、第一次大戦の
あとも同様でありましたが、第二次大戦の起こるまでの間に、戦史を見ても大小いずれともない戦いがかなり起こっておる。そして結局第二次大戦に突入しておるその動機たるやきわめて簡単な動機で第二次大戦が起こった。同じようにここ二十年の間においてもいろいろの局地あるいは
限定戦争が行なわれておるわけであります。そういう中にあって、私
どもが——そろそろ
日本自体が
経済力もつき、それから
国民も敗戦から立ち上がって、
国家意識というものも十分備わってまいっております。こうした中にあって、いよいよ安保を前にいたしまして、
日本の置かれている位置というものがおのずから
アメリカにおいてもかなり論議せられ、それから私
ども日本人自体の中でもかなり大きな
論争になっていることは明らかであります。そこで、私は、この辺でいままでの
米ソの二つの間にあった冷戦の
状態から、世界自体がかなり大きく
変化をしてきておるのではないかと思うのであります。はからずも
ベトナム戦争が機会でありますが、
ベトナム戦争を終えて、そうしてしかもこの終え方は、突如として北爆停止をしたジョンソン大統領のあの声明以来、パリ会談が行なわれて、そして
アメリカ自体においても、かなり政府間において、
国防省と国務省との間においてはきびしい論議がなされておる。それから後にニクソンが大統領になって、そしてニクソン政権というものはこの事態にあたって、非常に世界政策上
アメリカがどうあるべきかということには慎重に配慮し始めているととは御
承知のとおりだと思うのであります。第一に、欧州に対してはどうあるべきか。そしてアジアに対してはどうあるべきかということで、これは政治的にも、軍事的にも両々相まって深刻な事態に直面しているというのであります。そうしたときに、ドゴールの後退があり、後退というか一種の退席といいますか、そういう
状態になり、そしてヨーロッパと
アメリカとの
関係も非常に複雑しかも多岐にわたってきておると思います。したがって、
米ソの二大勢力ということだけではなくて、今後は
国際間というものが非常に多局性を帯びてくるというわけであります。そういう中で潜在的な力を持ち始めた
日本が、おのずから一つの柱ということにならぬとも限らないし、一つの仮定の論議の上ではかなり
日本人自体が知らないぐらい
日本の力というものを評価している。そうして、あるいは再軍備をおそれたり、あるいはまた
日本を東西いずれの陣営にするかということについて論議されたり、政策面で
アメリカ自体がこれから対処するのにどうすべきかということを、まさにいまや沖繩問題を中心にいたしますけれ
ども、全般的なアジア政策の中における
日本、また、
日本自体に対する旧来の安保
体制に対してもきびしい考え方を持ち始めてきていると思うのであります。
そうした中で、われわれがどういうふうに
自主防衛をつくり上げていくか。それから、
わが国国内においては
自主防衛そのものもナンセンスであるという論もありましょうし、また、先ほど
長官おっしゃったように
国防意識というものも確かに世論の上で出てきておると思います。そういう点からの非常な重大関頭に立って、私は
防衛庁長官として、また、
国防会議の一員として、当然これは総理
大臣の政治姿勢になるわけでありますが、そういう面でここで、
日本の
自主防衛というものに対する考え方をしっかりと固めていただく必要があるというのであります。そういう固め方がきわめて不鮮明で、まだまだ
アメリカとの交渉過程でありますから、来年を控えた安保の問題もありますから、非常にむずかしいとは思いますけれ
ども、
防衛庁長官は事態がどうあろうとも、とにかく
国防の
必要性というものをもう少し簡明に訴える必要がある。というのは、いま申し上げましたように、非常に重大な関頭に立っていますが、いままでの
論争自体が、たとえばチェコの問題を、平和勢力と称する政党の諸君も予想した人はありません。それからもちろん平和を願う人
たちの予想どおりベトナムは
アメリカにとってはきわめて不利な
状態で終えんしようとしておる。これは当然だといわれてもしかたがないような原因がずいぶんあるというようなことも、これはそれぞれ言い分があって
論争の材料にはなりますが、しかし、しからばといって
日本が全然非武装でいいかということは、これはもう私
どもの考え方とすればナンセンスに近い。それからさりとて私個人も
戦争してまいりましたけれ
ども、兵隊に行ってまいったのでありますが、二度と
戦争する気はないのでありますから、
戦争する気がなくて軍備をどうするかということは、まことに不幸な事実であることは間違いない。しかし、
国際間の緊張、それから
国際間の現状、いかに平和、平和と叫んでも事実の上において
戦争が絶えないという現状にあっては、これはやはり武装せざるを得ない。そういう場合に、もう少しわれわれは
国民あるいは民族として、
防衛意識というものを確立していく必要がある。
そこで、事例を上げればきりのないことでありますが、いつどこで何が起こるかもわからない現状の中で、
日本の
防衛が率直に言っていまのような
状態で頼みになるというようなことは
国民は全然考えておりません。だから、やはり三次防、四次防もあるでありましょうが、先ほど
長官は白書をつくられるということでありますが、どうかそういう点については、なるべく早急に、しかもきわめて明快に、はっきりしたものをつくっていただきたいと思います。きょういま現在、もう少し
防衛意識を高めるという点についての
長官としての所信を、それから、具体的にどうあったらいいかということについての御意見を承りたいと思います。