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1969-06-12 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十二日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    井出一太郎君       菊池 義郎君    田中 龍夫君       野呂 恭一君    葉梨 信行君       古内 広雄君    三池  信君       山口 敏夫君    淡谷 悠藏君       岡田 春夫君    木原  実君       楢崎弥之助君    華山 親義君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君  出席政府委員         防衛政務次官  坂村 吉正君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         林野庁長官   片山 正英君         運輸省航空局長 手塚 良成君  委員外出席者         法務省刑事局公         安課長     豊島英次郎君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月十一日  委員葉梨信行君及び伊藤惣助丸君辞任につき、  その補欠として橋口隆君及び渡部一郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員橋口隆辞任につき、その補欠として葉梨  信行君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員稻村隆一君、安井吉典君及び渡部一郎君辞  任につき、その補欠として石橋政嗣君楢崎弥  之助君及び伊藤惣助丸君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 六月十一日  靖国神社国家護持に関する請願大橋武夫君紹  介)(第八五〇一号)  同(佐々木義武紹介)(第八五〇二号)  同(砂田重民紹介)(第八五〇三号)  同外二十六件(徳安實藏紹介)(第八五〇四  号)  同外九件(辻寛一紹介)(第八五〇五号)  同(小川半次紹介)(第八六七二号)  同外二件(登坂重次郎紹介)(第八六七三  号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外十二件  (麻生良方紹介)(第八六五九号)  同外二十五件(池田禎治紹介)(第八六六〇  号)  同外十二件(内海清紹介)(第八六六一号)  同外二十五件(河村勝紹介)(第八六六二  号)  同外十二件(曽祢益紹介)(第八六六三号)  同外十二件(玉置一徳紹介)(第八六六四  号)  同外二十五件(和田耕作紹介)(第八六六五  号)  同外二十四件(池田禎治紹介)(第八八〇八  号)  同外二十五件(小沢貞孝紹介)(第八八〇九  号)  同外十二件(春日一幸紹介)(第八八一〇  号)  同外二十五件(河村勝紹介)(第八八一一  号)  同外二十五件(小平忠紹介)(第八八一二  号)  同外十二件(門司亮紹介)(第八八一三号)  同外二十五件(和田耕作紹介)(第八八一四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。塩谷一夫君。
  3. 塩谷一夫

    塩谷委員 防衛庁長官にお願いいたしますが、待望の防衛論争が始まりますので、委員長はじめほんとうにきょう待っておったわけであります。私どもはやはり国民の立場に立ちまして、素朴な、ごく明快な御答弁を願いたいことがたくさんあるのであります。  第一に、いままでの国会論争というものは、確かにベテランがそろい、かつきびしい追及もあり、もちろん民族、国家の重大問題が防衛問題でありますから、当然高度の研究もしなければならぬ。また徹底的な追及もしなければならない。しかしながら問題はきわめて仮定の上に立った問題が多いわけであります。したがって、今回の国会に上程されましてからすでに数カ月たっておる。この間にも国際間の事情というものはかなり変わっておるのであります。したがって、そういう紛争あるいは国際上の事件、または戦争に近いような事態というものを当時だれ一人ぴたりと予言者のように当てた人はないのであります。もちろんそうあってはならないということのための議論が行なわれ、そういう論争があるわけでありますが、まさしくぴたっと事を当てたなんてことはあり得ないのであります。したがって、防衛論争に至っては何か原則的なものをもう少し明確にしておく必要があるというように考えまして、私は私なりに最初から今日の一番危機と思われている問題、特に核の問題、この点で世界あげて、青年にしましても、学生にしましても、反体制運動などをやっておりますが、これはすべて人類におおいかぶさっている核戦争の暗影というものがぬぐい切れないので、そういう点について人類破滅をもたらすであろう核戦争の危惧、そういう点を非常に多く持っておると思うのであります。そこで、当然国家防衛にあたって、私どもはいままで二十年来の平和を保ってはまいりましたけれども、やはり核の戦力というものを知る必要がある。  そこでまず第一に二大勢力であります米ソ核戦力のことについて、長官からきわめて国民にわかりやすい、はっきりとした態勢というものを伺いたいと思うのであります。米ソ核戦力動向です。
  4. 有田喜一

    有田国務大臣 米ソ核戦力動向はどういうものだ、こういうお尋ねのようでございますが、米ソはすでに大威力核兵器から、また持ち運びのできるような小型核兵器に至るまで使用目的に応じて各種の核兵器を持っております。またミサイル基地強化、かたく守ることですが、ミサイル基地堅固化、あるいはまた水中開発水中から発射するミサイル装備原子力潜水艦増強など、核の非脆弱性強化されております。米ソ核兵器開発は、今後相手方核攻撃に対する防御手段向上をはかりつつある。またその相手方防御網を突破してその目標を確実に破壊する能力の増大、こういうように互いに追いかけ合うような方向に努力なされておるもののように私は見受けるのであります。  各国核兵器保有状況につきましては、明確なことはこれは各国とも非常に極秘になっておりますので把握しにくいのでございますが、公表されたいろいろな資料から総合いたしますと、アメリカは一千基以上のICBM、約六百五十基のポラリス・ミサイルを保有しておるのに対しまして、ソ連ICBMを一九六七年ごろから急速に増加するとともに、質的にも改善しつつある模様であります。特に米国ICBM基地を破壊できる超大型ミサイル増強が注目されております。またミサイル搭載潜水艦増強も、ソ連も行なっておるようであります。最近アメリカレアード国防長官言明によりますと、ICBM千基以上、またIRBM六百基以上、潜水艦搭載ミサイル約二百基というように、数においては米国のそれを凌駕する勢いにあるとレアードが言っておるようであります。その他FOBS、いわゆる部分軌道兵器開発も進めている模様であります。
  5. 藤田義光

    藤田委員長 ちょっと長官うしろの席が全然聞こえないので、声を少し大きくしてやっていただきたい。
  6. 有田喜一

    有田国務大臣 はい。  また、モスクワ付近にはABMを展開しておるともいわれております。  アメリカといたしましては、いまのところ現有のICBMとかポラリス・ミサイル等の基数を増大させる計画はないようでありますけれども、これを十分な抑止力として維持するために、地下発射陣地強化をはかるとともに、複数の弾頭等による相手方ABM突破能力向上に努力しておるようであります。また最近ソ連核ミサイル戦力増強に対応して、ABM配備計画を再検討して、弾力性のある配備計画に改めたようであります。  かようにして、双方とも相手をしのぐべく非常に努力しつつある、こういうように看取されるのでございます。
  7. 塩谷一夫

    塩谷委員 大体米ソ核戦力の実情はそのとおりだと思います。  そこで、こういう核戦力に対して、さらにわれわれが一番近隣国として心配しております中国の同じく核戦力というものがよくいわれる、脅威とされておるわけであります。ASPACその他においてもそういう問題が出たかどうか知りませんけれども、とにかく中国核戦力は、これは一応アメリカ向けになっているか日本向けになっているか、いずれにしましても、これまたきわめて情報が薄いということをいわれておる。その点について中国核戦力をどの程度に把握しておられるか、それを伺いたい。
  8. 有田喜一

    有田国務大臣 中共核兵器についてもつまびらかにできない面が相当ございます。しかし詳細は明らかじゃないが、先ほど言いましたようにいろいろな公表された資料によりますと、第一、中共は御承知のとおり一九六四年十月の第一回の原爆実験以降昨年十二月の水爆実験に至るまで、合計八回の核実験を行なわれております。中共はすでに標準原爆、また強化原爆、これは威力が二百キロトン級といわれておりますもの、それから水爆、これは威力が三メガトン級といわれておりますが、こういう三種類を保有しておるのではないかと思われます。そのいずれも航空機による運搬が可能ではないかと思われますが、水爆についてはミサイルで運搬し得るほど軽量、小型化ができたかどうかということについては疑問がございます。中共は当面原爆ミサイル弾頭用小型、軽量化すること、及びミサイルの長射程化に努力しておるもののようであります。中共はすでに中距離ミサイル開発に成功しておるものと推定されますが、その数と軍事的展開については確認されておりません。また長距離ミサイル開発中と推定されまして、一九七〇年ごろにはそれが展開されるのじゃなかろうか。その可能性があると推定されるわけでございます。また近くこの最初実験を行なうものと見られるわけでございます。  なお、ミサイル搭載可能の潜水艦を少数保有しておるものと見られまして、将来この面でも研究開発が行なわれる可能性が十分あるように推測されるわけでございます。
  9. 塩谷一夫

    塩谷委員 米ソ中国核戦力が着々とそれぞれ覇を競うように進んでおる。そうした中にあってわが国は、絶対に核戦力は持たないということであります。そこでこの持たないといろ事実の中で、いままで行なわれた戦争というものは、たとえば限定戦争とかあるいは局地戦争という形で、核戦争でない形の戦争あるいは事変、事件はずっと引き続いて行なわれておる。ベトナム戦争はその最大のものであります。  そこで、ベトナム戦争がだんだん終えんに近づくというときにあたって、はからずも南北朝鮮危機ということがいわれております。この南北朝鮮危機ということについて防衛庁としてどのように把握しておられるか、この点について伺いたいと思います。
  10. 有田喜一

    有田国務大臣 朝鮮半島におきましては、北朝鮮は対外的に強硬な態度をとっておりまして、いわゆる祖国統一——朝鮮統一ですね、祖国統一政策に基づきまして対韓工作を積極化しまして、軍事境界線付近において紛争が絶えず起こっておる。また北朝鮮工作員韓国侵入あとを断たない。また昨年はプエブロ号事件やまた最近の米軍機撃墜事件というのが起きるなど、依然として緊張状態が続いておりまして、この情勢は今後もにわかに改まるものとも思われないのであります。  一方、韓国では御承知のとおり相互防衛条約に基づきまして、米韓安全保障体制のもとで軍備の充実に努力しております。また経済的にも最近は相当発展を続けまして、政情もまずまず安定しておるように思われます。このような韓国状況は、わが国安全保障上貴重なものである、かように考えるのですが、朝鮮半島情勢わが国に対して今日差し迫った侵略の脅威を与えておるとは考えませんけれども情勢推移いかんによってはわが国の平和と安全に対して直接的な影響を持つものと考えられますので、隣接地域であるだけに、われわれはその動静について重大な関心を持っておるわけでございます。わが国としましては、この流動する国際情勢の中で、わが国の平和と安全をはかるために、万一の不測の状態に備えて、国力国情に応じた防衛力整備をはかってまいりたい、かように考えております。
  11. 塩谷一夫

    塩谷委員 こうした中にあって、さらにこれから先の問題になりますが、一九七一年を目途としてイギリス極東から兵力を引くという言明をしておる。こういう点にかんがみまして、イギリス極東においていままで兵力を持っておった意義並びにこれを引いたあと極東における戦力が、わが自由主義陣営としてどんなふうな減退を来たすか、また日本にとってどのような影響を来たすか、その点について……。
  12. 有田喜一

    有田国務大臣 おっしゃるとおり、イギリスは、経済負担の軽減のために、一九七一年末までにスエズ以東英軍本土引き揚げということをきめまして、マレーシアシンガポール駐留英軍を全面的に撤退することになっておるようであります。英軍撤退後の防衛に関して、イギリスは、有事緊急展開等によって、防衛義務を全国放棄しないという旨の態度は表明しております。しかし、撤退することも事実でありまするので、オースリラリア、ニュージーランド、マレーシア等の、あの付近のいわゆる英連邦諸国をはじめ関係各国は、何らかの対策が必要である、かように考えられて防衛力整備等計画しておる模様であります。  一方、この地域に対するソ連中共の進出が積極化しつつえるともいわれておりますが、情勢変化がおっしゃるとおり非常に憂慮されるわけでございます。  わが国は、御承知のとおり、多量物資を海外に依存しておる。したがいまして、ことにエネルギーの源泉である石油はこの方面から参っておりまして、輸送に大きな依存をしております関係上、この方面情勢変化については今後十分注目する必要がある、かように考えております。万一この方面海域に、わが国船舶の航行の安全を確保するために何らかの措置を必要とする場合には、その情勢に応じていかなければなりませんが、きしむきはこの海域におけるアメリカ防衛力に期待せざるを得ない状況でございますが、しかしわが国といたしましては、先ほど言いましたように、多量物資をあの方面を通過する船舶が運んでおります関係上、国力国情に応じて必要な防衛力を逐次整備していかなきゃならぬ、かように考えております。
  13. 塩谷一夫

    塩谷委員 以上、大体、米ソ核戦力拡充、それから中共の同じく核戦力拡充、それから南北朝鮮危機、それから英国の撤退、そうした中にあってわが国がこれから国防上どういう危機に見舞われるか、あるいはそれに対応してどういう充実をしていくか、そうした面が当然起こってくると思うのであります。  そこで、前段の核戦力については、全然それをわが国自体で持つということはあり得ないことになっておりますから、そうすると、おのずから自主防衛体制というものを考えなければならぬということになるのですね。その自主防衛体制というのは、口では自主防衛と一口に言っても、実際にこれは非常にむずかしい問題であろうと思うのです。  第一に、自主防衛根本理念といいますか考え方が、はたして日本国民にそれだけの自覚とそうした雰囲気というものがあるかどうかというのが、非常に重大な段階だろうと思います。そこで、従来、事が起こったときに、よく事後にわれわれは報道によって知ることが多い。たとえば、いかなる事件でも、事前にはわかるということは戦争の場合ほとんど少ないのでありますが、特に国防問題として日本には国家の最高の国防会議というものがあるわけでありまして、この国防会議ほんとうにその機能をはっきり果たしているのかどうか。国防会議というものの性格はどういう状態になっておるのか、あるいは引き続いてその国防会議が今後も開かれるでありましょうけれども、従来の決定事項というものは、どういうことが大まかにいって決定事項になっておるのか、どの程度までのことを国防会議で論議しているのか、その点について伺いたいと思います。
  14. 有田喜一

    有田国務大臣 私は、国防というものは、おっしゃるとおり、やはり万一の場合に備えるということにあります。したがいまして、この日本の国を日本人みずからの手によって守っていく、との制体は必要なことだと思うのです。ことに、わが国における、自衛隊がございますが、自衛隊みずからも国民に信頼される自衛隊として士気旺盛に持っていかなきゃなりませんけれども、その自衛隊士気を一そう鼓舞するには、やはり国民方々自衛隊しっかりやれよという、その国防に対する理解が深いということが大きく自衛隊士気影響する。かような意味におきまして、私は、国民とともに歩む自衛隊国民に信頼される自衛隊、こういうことを標榜しながら懸命に努力しておるわけでございますが、何といいましても国民方々の御叱正が必要だと思っております。  最近いろいろとアンケートなどをとりますと、自衛隊に対する理解がだいぶ深まって、まず自衛隊日本のために必要だというような空気になりつつある。このことは非常に私は喜ばしいことでありますけれども、一そうそういう傾向に持っていかなくてはならぬ。ことに日本は、ここまで経済力が伸びてきたのですから、みずからの国は守るという、自主防衛ですね、この方向でしっかりいかなくてはならぬ。しかし、やはり日本は、いま憲法によって制約されておるし、また、さっきおっしゃるように、核というような問題は、日本は世界において唯一の、原爆によって被害を受けた国ですから、国民感情が核というものに対してはこれは理屈で割り切れないものがありますから、そういうものは日本としては持つこともできないし、また憲法上もいろいろな制約を受けております。したがいまして、日本自主防衛をやるのだが、それを補完するという意味において日米安保条約というものは、やはりこれは堅持する必要がある、こういう基本的の考えを持っておるわけであります。  そこで、先ほどの国防会議のことでございますが、国防会議は、御承知のとおりに、内閣総理大臣諮問機関として、国防基本方針防衛計画大綱防衛出動の可否というような、国防に関する重要事項を審議いたします。そのほかに必要に応じて内閣総理大臣国防に関する重要事項について意見を述べる機能を有しておるわけです。私たちもこの国防会議を十分活用して、国防に対するいろいろな問題を相談したりしてやっておるわけでありますが、ただ国防会議は多くの場合はものごと決定するときに国防会議を開く、その前にいろいろと相談し合う場合があります。国防会議メンバーでいわゆる懇談会、こう呼んでおりまして、いままでに国防会議を開いて正規の決定をしたものは十三件程度でありますが、いわゆる懇談会国防会議メンバーによる懇談会というものは四十三回にわたってやっております。しかし、なおこういう国防会議を活用しまして日本国力国情にふさわしい防衛体制をつくり上げていかなければならない、こういうふうに考えておりますが、その具体的な決定事項などについては、政府委員から答弁いたさせます。
  15. 宍戸基男

    宍戸政府委員 国防会議の従来の決定事項につきまして申し上げますと、国防会議最初にきめられましたのが「国防基本方針」でございまして、それは、昭和三十二年五月でございます。これが第一回の決定事項でございまして、その後現在まで正式な決定事項が十三件ございます。  ざっと申し上げますと、三十二年に「防衛力整備目標」がきめられております。これがいわゆる一次防でございます。さらに同じく三十二年にはP2V対潜哨戒機整備についての決定がございます。  それから三十三年には、当時の次期戦闘機の問題があったわけですが、いわゆるF11FlF、いわゆるグラマンの採用内定が三十三年四月に行なわれております。  次に、その内定白紙還元決定がありましたのが三十四年の六月でございます。さらに三十四年の十一月には、次期戦闘機の機種の承認及び生産機数生産年度決定が行なわれております。いわゆるロッキードの現在のF104の採用決定でございます。  次には三十六年度に次期防衛力整備計画の作成と陸上自衛隊の部隊の改編の決定が行なわれております。次には三十六年の七月にいわゆる二次防の計画決定されました。  近く四十年になりましてF104戦闘機追加生産が四十年一月に行なわれております。  それから四十一年に入りまして、三次防の計画大綱が四十一年十一月に決定されております。  それから四十二年の三月には三次防の主要項目決定が行なわれ、同じ三月でございますが、三次防計画所要経費決定についても行なわれております。  一番近くでは、ことしの一月にいわゆるファントムF4E戦闘機生産機数及び整備につきまして決定が行なわれました。  合計いたしまして十三件の正式決定がありました。  それ以外に、先ほど大臣からお答えがありましたように、議員懇談会ということでは四十数回開かれていろいろな問題が論議されておる、こういう状況であります。
  16. 塩谷一夫

    塩谷委員 国防会議そのものが存在しておることは国民全体にばく然とわかっておりますが、いまのお話しのように、大体経過を、決定事項について話し合う、その前に懇談会があって大体の基本は検討する。しかし一般的には国防会議というものが雲の上かベールの中にあるかして、本来のこの機能というものが有事のときに間に合うかどうかということが非常に懸念される。この点は大体いままでの体制が、アメリカとの関係がやはりありますから、おのずから日本独自の国防体制というものが国民にはっきり示されてもいないし、あるかどうかも——基本構想としてはつくられてはおっても、全体に今日の段階においての自主防衛ということばに値するようなものはないといってもいいと思う。そういう点でやはり国防会議において大々的にこの時点において検討する必要があるかどうか、その点を伺いたい。
  17. 有田喜一

    有田国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、私たち防衛に対する国民理解を少しでも深めていく必要がある、かように考えまして、また一方で国防会議をもっと活用したいという気持ちを持っております。まずその前提としていま私たちの考えていることは、ひとつ国防白書をつくって、そうしてこれを国民の前に明らかにしたらどうかというようなことで、まだいま検討中でありまして、ここで皆さんの前にお見せするところまではいっておりませんけれども、そういうこともやり、一方においては皆さんの御協力を得ながら国民に対して防衛必要性というものを理解してもらって、基本方針に合うようにやはり国力国情に応じてだんだんと進んでいく、こういうことで一挙にこれをこうやっていくのだという理想は持たなくちゃいけませんけれども、やはり現実問題としては一歩一歩とそういう線でいきたい。ただし先ほども言いますように、憲法上の制約があり、また日本特殊事情がありますから、日本防衛というものにはおのずから限度があるということは国民にもはっきりしていると思います。しかし、その範囲においては自分の国をわれわれは守るのだ、そういう考えでいわゆる自衛力、自主防衛についてできるだけ十全を期したい、かように考えております。
  18. 塩谷一夫

    塩谷委員 国防会議のそういう基本構想はやはりなるべく独自なものを立てていただきたいということを申し上げたいと思います。  そこで、従来とかくこの防衛問題に機密というものが、これは常識的につきまとうものだと思うのであります。この機密保持について一体日本の現状ではどういうことになっておるか。大体外国のことの情報も正確に入っておるかどうかわかりませんけれども日本のことは手にとるようにどこにもわかっておるようなうわさが流れ、またそういう事件が往々にしてあります。また庁内の相当な高官が過去においても機密漏洩というようなことで事件を起こしたり、あるいは国会内においても思わざる文書が出て、そうしてきびしく追及されるというような状態で、これまたわれわれ局外者から見るとまことにふしぎでならない。こういうことは国民にとっても、まず何をしておるかというような感じを受けるのではないかと思うのであります。機密漏洩については法的にも、あるいは事実その機密の保持のしかた、体制、そうしたものについて防衛庁としてはどういう考え方を持っておるか、お伺いいたします。
  19. 有田喜一

    有田国務大臣 防衛庁で取り扱っておるところの秘密は、第一には自衛隊の業務に関する秘密、もう一つはアメリカから供与ざれた装備品等に関するいわゆる防衛秘密、この二つがあるのでありまして、前段の自衛隊法は、自衛隊員が職務上知り得た秘密を漏らすことを禁じております。またいわゆる後段の防衛秘密についても日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法におきまして業務上知得、領有した秘密を漏らすことを禁じております。そこで防衛庁ではさらに自衛隊の業務に関する秘密及び防衛秘密の保全につきまして、それぞれ訓令を制定いたしまして、機密の指定、外部への伝達の許可などの手続を規定して保全の万全を期しておるような次第でございます。なお、おっしゃるように、かつて、過去におきまして、機密漏洩なんかがあったことがありますので、四十一年の三月から事務次官を長とする綱紀粛正及び機密保全に関する委員会というものをつくりまして、機密保全対策の強化をはかっておる、これがいまの現状でございます。
  20. 塩谷一夫

    塩谷委員 機密漏洩についてはひとつ厳重に監督をしていただきたいと思います。  そこで、最初に私は防衛論争について非常に仮定の上で行なわれていることが多いということを申し上げたんでありますが、事実、これはもう真剣な論争であり、あってはならないことに対する対策でありますから、いかに仮定とはいえ、徹底的にこれは追求すべきであると思う。しかしおのずからわかるように、第一次大戦のあとも同様でありましたが、第二次大戦の起こるまでの間に、戦史を見ても大小いずれともない戦いがかなり起こっておる。そして結局第二次大戦に突入しておるその動機たるやきわめて簡単な動機で第二次大戦が起こった。同じようにここ二十年の間においてもいろいろの局地あるいは限定戦争が行なわれておるわけであります。そういう中にあって、私どもが——そろそろ日本自体が経済力もつき、それから国民も敗戦から立ち上がって、国家意識というものも十分備わってまいっております。こうした中にあって、いよいよ安保を前にいたしまして、日本の置かれている位置というものがおのずからアメリカにおいてもかなり論議せられ、それから私ども日本人自体の中でもかなり大きな論争になっていることは明らかであります。そこで、私は、この辺でいままでの米ソの二つの間にあった冷戦の状態から、世界自体がかなり大きく変化をしてきておるのではないかと思うのであります。はからずもベトナム戦争が機会でありますが、ベトナム戦争を終えて、そうしてしかもこの終え方は、突如として北爆停止をしたジョンソン大統領のあの声明以来、パリ会談が行なわれて、そしてアメリカ自体においても、かなり政府間において、国防省と国務省との間においてはきびしい論議がなされておる。それから後にニクソンが大統領になって、そしてニクソン政権というものはこの事態にあたって、非常に世界政策上アメリカがどうあるべきかということには慎重に配慮し始めているととは御承知のとおりだと思うのであります。第一に、欧州に対してはどうあるべきか。そしてアジアに対してはどうあるべきかということで、これは政治的にも、軍事的にも両々相まって深刻な事態に直面しているというのであります。そうしたときに、ドゴールの後退があり、後退というか一種の退席といいますか、そういう状態になり、そしてヨーロッパとアメリカとの関係も非常に複雑しかも多岐にわたってきておると思います。したがって、米ソの二大勢力ということだけではなくて、今後は国際間というものが非常に多局性を帯びてくるというわけであります。そういう中で潜在的な力を持ち始めた日本が、おのずから一つの柱ということにならぬとも限らないし、一つの仮定の論議の上ではかなり日本人自体が知らないぐらい日本の力というものを評価している。そうして、あるいは再軍備をおそれたり、あるいはまた日本を東西いずれの陣営にするかということについて論議されたり、政策面でアメリカ自体がこれから対処するのにどうすべきかということを、まさにいまや沖繩問題を中心にいたしますけれども、全般的なアジア政策の中における日本、また、日本自体に対する旧来の安保体制に対してもきびしい考え方を持ち始めてきていると思うのであります。  そうした中で、われわれがどういうふうに自主防衛をつくり上げていくか。それから、わが国国内においては自主防衛そのものもナンセンスであるという論もありましょうし、また、先ほど長官おっしゃったように国防意識というものも確かに世論の上で出てきておると思います。そういう点からの非常な重大関頭に立って、私は防衛庁長官として、また、国防会議の一員として、当然これは総理大臣の政治姿勢になるわけでありますが、そういう面でここで、日本自主防衛というものに対する考え方をしっかりと固めていただく必要があるというのであります。そういう固め方がきわめて不鮮明で、まだまだアメリカとの交渉過程でありますから、来年を控えた安保の問題もありますから、非常にむずかしいとは思いますけれども防衛庁長官は事態がどうあろうとも、とにかく国防必要性というものをもう少し簡明に訴える必要がある。というのは、いま申し上げましたように、非常に重大な関頭に立っていますが、いままでの論争自体が、たとえばチェコの問題を、平和勢力と称する政党の諸君も予想した人はありません。それからもちろん平和を願う人たちの予想どおりベトナムはアメリカにとってはきわめて不利な状態で終えんしようとしておる。これは当然だといわれてもしかたがないような原因がずいぶんあるというようなことも、これはそれぞれ言い分があって論争の材料にはなりますが、しかし、しからばといって日本が全然非武装でいいかということは、これはもう私どもの考え方とすればナンセンスに近い。それからさりとて私個人も戦争してまいりましたけれども、兵隊に行ってまいったのでありますが、二度と戦争する気はないのでありますから、戦争する気がなくて軍備をどうするかということは、まことに不幸な事実であることは間違いない。しかし、国際間の緊張、それから国際間の現状、いかに平和、平和と叫んでも事実の上において戦争が絶えないという現状にあっては、これはやはり武装せざるを得ない。そういう場合に、もう少しわれわれは国民あるいは民族として、防衛意識というものを確立していく必要がある。  そこで、事例を上げればきりのないことでありますが、いつどこで何が起こるかもわからない現状の中で、日本防衛が率直に言っていまのような状態で頼みになるというようなことは国民は全然考えておりません。だから、やはり三次防、四次防もあるでありましょうが、先ほど長官は白書をつくられるということでありますが、どうかそういう点については、なるべく早急に、しかもきわめて明快に、はっきりしたものをつくっていただきたいと思います。きょういま現在、もう少し防衛意識を高めるという点についての長官としての所信を、それから、具体的にどうあったらいいかということについての御意見を承りたいと思います。
  21. 有田喜一

    有田国務大臣 今日の現実の国際情勢から見て日本防衛をしなくちゃならぬということは、これはもうお説のとおりでありまして、全く同感であります。そこで、私は常に考えておるのですが、日本防衛、また国際的な情勢を見ましても、最近の非常な兵器の進歩によりまして、一国だけで国の守りを固めるということはだんだん少なくなって、集団防衛ということに向かっております。そういう見地から、御承知のとおりいま日米安保条約があるのでありますが、日本防衛はあくまで平和に通ずるものだ。すなわちこちらからそういう戦争なんかしかけちゃ絶対いかぬ。しかし、いかにこちらが平和を考えましても万一ということがありますから、その万一の備えというものはやはり平素からできるだけのことはやっておかなければならぬ。日本防衛はあくまで平和を守るための防衛でなければならぬ。しかも憲法において制約を受けておりますから、おのずから限度がある。しかし、ここまで日本国力が伸びてきたのだから、このりっぱな日本は、日本人みずからの手によって、憲法で許容される範囲の、そして日本国民感情の許される範囲の防衛をしっかりやろう、これが私の基本的な考え方であります。いろいろと今後の広報宣伝その他、いろいろな機会をとらえて簡明率直に国防の必要を私は論じたいと思いますが、どうか皆さんにおかれましても、先ほど言いますように、自衛隊士気というものが、国民防衛意識をよく理解してくれて、しっかりやってくれというそれによって一そう大きな士気が上がって、その力が強くなってくるわけでございますから、形をだんだん整えるばかりでなく、国民防衛意識をしっかり持っていただいて、真の意味において国民とともに歩む自衛隊、こういう姿にするように今後懸命に努力をいたしますから、どうか一そうの御鞭撻をお願いしたい、かように思っております。
  22. 塩谷一夫

    塩谷委員 そこで私は、防衛庁防衛意識、国防意識、そうしたものの基本的な考え方の中にぜひ入れていただきたいと思うことは、結局防衛力というものは決して軍事力だけではない、おっしゃるとおりであります。同時にアメリカベトナム戦争で体験したように、極端にいえばほんとうに人民戦線に負けたのでありますから、そうした国民意識というものはよほど科学的に分析していく必要がある。いままでの防衛庁のPR、あるいはそういった発表のことばの表現の古さ、そうしたものはほんとうに学生諸君、青年からいうと受けつけない。ばく然たる国防意識はありましても、やはり科学的な分析と、それからおのずから政治姿勢というものをもう少し清潔にしっかりと持ちませんと、これは単なる防衛力あるいは軍事力ということではとうてい説得力がない。まして安保を前にして、私どもはこの問題を痛切に感ずるのであります。特に解放戦線というものが一応アジアにおいては共産国を中心にして、そうして民族解放という戦線で直接戦争でなくて間接侵略ということが、どっちにも言い分がありましょうけれども、行なわれていることは事実です。それを防ぐ場合に、政治姿勢というものがしつかりしておればそういうものは当然防ぎ得るし、そんなものは全然われわれ寄せつけないのであります。しかしこれは総理の問題になりましょうけれども、政治姿勢というものがほんとうに真の平和として徹しているということでないと、いたずらに防衛力を強調しても、あるいはまた軍事力の必要性を唱えましても、これはむしろ逆な方向になると思います。そういう点で、政治姿勢並びに科学的な分析、心理的な把握、そうしたものを十分考えていただいて、そうして事態というものは決して予断を許さない事態にあると思います。やはり民族意識というものは、いまのところ何だかんだ言いましても、いかに平和勢力がうまいことを言ったところで、中ソの争いをやっておるのでありますから、こんなものは幾らどっちの言い分を聞いても、私どもにはイデオロギー論争とは思われない。まして国境線のあの戦いを見ておると、これこそもう世紀のはるか前の戦いをやっておるようなことであります。これによって人が死に、これによって武力と称せられるのでは、こんなことをわれわれは目標にして軍事力を考えてはならないのでありますから、核兵器抑止力と同時に、ほんとうの平和というものに対してやはり防衛庁が何のためにあるかという意義をりっぱに、憲法にはっきりと規制もありますけれども、それ以上に現時点をよく把握されて、そうしてそれにマッチしたものをつくっていただきたい。とかく防衛庁国防白書とかあるいは防衛意識の高揚なんというと、非常に薄っぺらに感じる者が多い。そういうものを十分考えて、そして世界は非常な激動をしておると同時に、日本の力というものはアジアにおいてのみならず世界的にかなり大きく注目を浴びつつある。その中においての安保との取り組みでありますから、やはり真剣に私どもも考えていきたいと思いますが、どうか防衛庁防衛意識あるいは民族意識、国防意識というもののかまえ方を、徹底した高度のもので、しかもなおかつ大衆にわかるような平和に徹したものをつくっていただきたいということを要請をして、質問を終わります。
  23. 藤田義光

  24. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 冒頭に委員長にお願いをいたしたいことがあるわけですが、いよいよ本日から防衛二法の実質審議に入るわけであります。時あたかも沖繩の返還問題に関しまして、基地の態様等も含め、あるいは沖繩のわが国による防衛構想等も含めて、外務省と防衛庁はいろいろ打ち合わせをされ、愛知外務大臣は訪米をされたわけであります。そういう背景の中で、わが国自主防衛構想というものが大きく浮かび上がってきたわけであります。防衛二法の提案理由の中にもありましたとおり、わが国国力国情に応じて防衛力を漸増していくという方針。とするならば、われわれもまたこれを機会に、わが国安全保障問題なりあるいは防衛問題について慎重に、かつ積極的に審議に参加ずる方針をきめておるわけであります。したがって、これは一切を国民の前に明らかにしながら、これが国力国情に応ずるものかどうか、そういう判断をくだすためにも、慎重な審議をしたいわけです。したがって、その審議の途中でいろいろ資料要求をすることがあろうと思います。これは国力国情に応じた防衛力であるかどうかというような判断を持つ上にも重要でございますから、資料提出については迅速にかつ懇切丁寧なる資料提出をお願いをしたい、これが第一点であります。  二点目は、やはり沖繩の問題に関して外務大臣にいろいろ見解を聞きたい問題があるわけであります。しかし、公務の都合で本日出られないということでありますから、その点については私は保留をさせていただきたい。  以上、二点をまず委員長にお願いをいたしておきたいと思います。
  25. 藤田義光

    藤田委員長 ただいま楢崎委員の発言の、後半は全面的に賛成でございます。前半の資料問題に関しましては、ケース・バイ・ケース、迅速に慎重に処理したいと思っております。
  26. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、保利官房長官がまだお見えでありませんから、緊急を要する基地問題について先に進めたいと思います。  実は立川の基地の問題でありますが、御案内のとおり、当委員会におきましてもあるいは先般の衆議院予算委員会分科会においても問題になったところでありますが、去る二月九日には米軍機から発煙筒が二個投下されたというような事件あるいは二月十九日にはピストルが発射されたという事件等がすでに起こっておるのでありますが、五月十二日に、着陸をせんとしたC130ハーキュリーズですか、これが反対同盟の竹ざおに触れて、一部器物がこわれたというような事件があったように報道された。そこで翌十二日には機動隊が入りまして、その竹ざお等を押収し、その責任をいま追及しておるところだと聞いております。  そこでお伺いしたいのですが、この立川の飛行場は、日本の航空法との関係で警察は竹ざおを押収したとしておりますが、いかなる法的根拠に基づいてそのような強制措置に出られたか、まずこれをお伺いしたい。
  27. 手塚良成

    ○手塚政府委員 御案内のように、立川飛行場は民間空港ではございません。したがいまして、航空法との関係におきましては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律によりまして、航空法が大半適用除外ということになっております。これは米軍及び国連軍の目的から考慮いたしまして適当でないということから条文が適用除外されておるというように考えております。ただ航空法におきます第百三十八条におきまして——百三十八条、これは適用除外になっておりません。今回の先生御指摘のお話は、私ども理解では、この航空法百三十八条という条文に基づいてこの条文の違反における実際の犯罪捜査の一環ということから当該物件の証拠物件として押収された、こういうようなことではなかろうかと考える次第でございます。
  28. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法務省、見えておりますか。法務省どうです。
  29. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 お答えいたします。  先ほど航空局長から説明がありましたように、刑事罰則、つまり航空法の百三十八条、航空危険罪の適用につきましては、同じこの立川飛行場の場合も適用があるわけでございます。したがいまして、警察としては、航空法百三十八条の容疑によりまして、裁判所の令状を得、その令状に基づいて差し押えをしたものであるというふうにわれわれは報告を受けております。
  30. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではお尋ねをいたしますが、航空法の四十九条は、これは米軍基地に適用されますか。
  31. 手塚良成

    ○手塚政府委員 適用除外条文でありまして、適用はいたされません。
  32. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのとおりであろうというのですね。したがって、米軍の飛行場は、もともと除外されておるのですね。だから、この地位協定に基づくただいまおっしゃいました地位協定の実施に伴う航空法の特例法、これは米軍のやつにも適用するというものが出てくるわけです。しかし、この特例法とは関係なく、もともと米軍の基地は適用されないのです。だから、百三十八条が適用されるなんて、どこであなたきめられたのですか。適用されない飛行場の問題、どうして亘二十八条だけが適用になるのですか。
  33. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 ただいま委員の御指摘にありました四十九条でございますが、四十九条につきましては適用除外に相なっております。しかしながら、一般の航空安全保護ということで、立川の飛行場につきましても、いわゆる百三十八条の罰則というのは、適用除外ではないというのが、これがもう行政解釈上確立されておるものでございます。
  34. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなかってな解釈はありませんです。一般的な航空機の安全の問題なんというような抽象的な概念で、適用をあなた方が有権解釈されるというのは間違いです。もともと米軍基地は適用にならないのだ。だから、その飛行場に関する、米軍基地に関するいろんな問題、それだけが適用されるなんというはずはない。そういうでたらめな解釈をしてはいけませんよ。どこで有権解釈をしたのですか。
  35. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 適用除外になっております部分につきましては、もちろん委員御指摘のとおり適用の余地がないわけでございますけれども、全面的に適用排除になっておるということではない、理由といえばそういうことになろうと思うのです。
  36. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何の根拠で——あなた個人の解釈かと聞いておるのです。どこでそういうような有権解釈が行なわれましたか。
  37. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 これは従前にもまた運輸省から法務省に対しまして質疑もございまして、質疑に対する回答といたしまして、亘二十八条の適用があるという回答を法務省でいたしております。罰則の排除、罰則の適用につきましては法務省の権限に属しますので、そういう回答をいたしておるわけでございます。この点につきましても、運輸省当局とも論議をした過程がございますが、同意見でございます。
  38. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは全く法務省の独断的な解釈です。もともと米軍基地が治外法権的な扱いをされておるのに、それに上塗りするような航空法の適用をそこに無理に持ってくるということは、言語道断です。そのような有権解釈を法務省がかってにやるということは許されない。したがって、われわれの見解としては、この五月十三日の機動隊による竹ざお物件の押収は強盗行為である、そう法的にいわざるを得ないのです。私どもはそういう見解でただいま捜査を見守っておるところです。告訴されておる。  そこで、ついでに聞いておきますが、この案件については直ちに十三日に機動隊が出動してそういう強制措置をなさったが、衆議院の予算第二分科会で岡田委員が取り上げました二月九日あるいは二月十九日の、先ほど申しました事件、この事件については、捜査はどんなふうになっていますか。
  39. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 御指摘の件は、五月二十日に立川から基地をなくす市民の会代表者織田祐三朗氏外一名からなざれた告発事件であろうというふうに思うのです。この事件につきましては、東京地方検察庁が告訴を受理し、そして今後慎重な捜査を行なうという態勢のもとに、現在あります。
  40. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、それは受け付けられておるわけですね。
  41. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 受け付けております。
  42. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五月十二日の、いまの竹ざおに触れた事件ですが、これについて当日の午後九時三十分ごろ、やはり立川署の刑事官に告訴がなされておる、これは受け付けられたんですか。
  43. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 質問要旨を、もう一度おっしゃってください。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいま申し上げましたとおり、十二日の事件について、器物損壊罪ということで告訴がなされておる。だれがやったか、相手は不明ということでしたけれども、これは立川署の刑事官に告訴状が提出されておる。代表者もはっきりしておる。受け付けられておるですか。
  45. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 米軍パイロットに対する器物損壊の告訴という御趣旨かと思いますが、立川警察署に対しましてなざれた告訴が、現在東京地方検察庁に参いておるかどうかについては、現段階で私つまびらかにいたしておりません。ただ、東京地方検察庁に対してなされました警視庁公安部長及び立川署長を強盗罪、公務員職権乱用罪ということで告訴をされた事件は、これは直接検察庁に対するものでございまして、検察庁が受理しておるという経緯に相なっております。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 立川署に告発した件は、あとで調査なさって、私のほうに、どうなっておりますか、結果を御報告いただきたいと思います。
  47. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 了承しました。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に、同じく五月十四日に、立川の射撃場から銃弾が付近の家屋に飛び散った事件が起こっております。この件についてどのような措置を防衛庁としてはなさっておるか、この御報告をいただきたい。
  49. 山上信重

    ○山上政府委員 拳銃弾が誤って飛び散りました事件につきましては、さっそく米軍側に対して、この安全措置を十分にとるようにということの注意を喚起いたしました。その結果、米側におきましては、現在安全措置を検討中でございます。これが確定するまでは、この種射撃を中止いたしておるというのが現状でございます。  なお被害者に対しましては、話し合いをいたしましたところ。損害を要求する意思がないということでございますので、これまた解決いたしておる次第であります。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この射撃場は道路に面して、そばにあるわけですね。この種の事件が起こるのは当然予見されるというのです。これは射撃中止くらいでは済まないと思うのです。  念のために、ここに当時の写真がありますから、一応見ておいていただきたい。委員長に……。   〔楢崎委員委員長に写真を渡す〕 これは射撃場を廃止してもらわぬとならぬ問題だと思うのです。その点をぜひ米軍に強く要請をしてもらいたい。いかがでしょう。
  51. 山上信重

    ○山上政府委員 拳銃射撃場でございますので、安全の確保ということを第一義にいたしまして善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ああいうふうに射撃場が道路の近所にあれば、この種の事件というのは予見されるのです。したがって、これは安全を確保しようと思えば、あの射撃場も廃止する以外にない。その写真を見てごらんなさい。道路のすぐそばです。民家のそばです。重ねてこれを要望しておきます。  それから、これもまた基地問題ですから——官房長官、ちょっと待ってください。最初官房長官にお伺いしょうと思ったのですが、おそかったのでこれに入りましたので……。  実はせんだっての当委員会で、岡田委員あるいは淡谷委員が取り上げまして、私もやったわけですが、例の北海道の長沼の高射群基地の設置の問題であります。これについて、せんだって岡田、淡谷両委員から、五月八、九の聴聞会の議事録提出が要求されておりますが、いまだこれが行なわれていない。しかも聞くところによると、近々のうちに聴聞会を済んだものとして国有林解除の告示をやる、そういううわさを聞くのでありますが、その点はどうでございますか。林野庁長官お見えになっていますか。——あなた、だめですよ、呼ばれておって廊下におっては。二度言わにやならぬ。そんなに何回も言わしては困りますよ。  じゃ、しょうがないからもう一回言いますが、当委員会で長沼の問題について、私あるいは岡田、淡谷両委員から質問したのは御承知のとおりであります。そして五月八、九の聴聞会の議事録を提出願いたい、整理次第出そうということなんです。そういう段階であるのに、いまうわさとして聞くところによると、あの聴聞会は済んだものとして、国有林解除の告示をするやに聞き及んでおるのですが、どうなっておりましょうか。
  53. 片山正英

    ○片山政府委員 過日行ないました聴聞会の議事録を目下整理中でございます。まだ残念ながらできておりません。できた段階におきまして、解除その他を検討したい、かように思っております。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 できた段階というけれども、それは出されてまた審議をするのですよ。そのために出してくれという要求をしておるのです。どうです。
  55. 片山正英

    ○片山政府委員 議事録の提出につきまして、御要望がございますれば提出いたしたいと思います。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたはまじめにやらなくちゃいけませんよ。この前あれほど岡田委員や淡谷委員がそれを要請して、あなたは出すと言ったじゃないですか。何ですかいまのことばは。まじめにやらなくちゃだめですよ。
  57. 片山正英

    ○片山政府委員 議事録ができました段階で御提出申し上げます。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま、提出するという話でありますが、提出されて、われわれはまたそれを検討しなくちゃならぬ。この前論争のあったところ、そして一切の疑問が解明した後に問題の処理は進行するでしょう。だから、そういう処理が済まないで、審議が済まないで、よもや一方的に国有林解除の告示なんかなざるということはないでしょうね。
  59. 片山正英

    ○片山政府委員 議事録の整理を待ちまして、部内におきまして検討した段階におきまして判断をいたしたい、かように思っております。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 とにかく当委員会に出すということを約束しましたので、われわれとしては要望のとおりその議事録が出た段階で審議を再度要求したいと思います。  それでは官房長官、時間があるようでございますから、本論に入りたいと思います。  先ほど申しましたとおり、防衛二法が国会で本日から実質審議に入った。しかし、これは単に防衛二法、自衛官を七千何百人か増す、そういう問題で窓口を小ざくして審議するわけにいかない、したがって、そのバックグラウンドと申しますか、この際、日本安全保障なり防衛問題を基礎としてこの審議をやらなくちゃいけないと思うのです。そういう点で私はまずアジア情勢の問題について特徴的な点をピックアップしてやってみたいと思います。  せんだって、五月十五日に、ニクソン大統領はベトナムの平和解決について入項目の提案をした。これに対し解放戦線は、その前五月八日に同じように十項目の提案をいたしております。その中にこういう提案があるわけです。ニクソン提案のほうには、四項、五項、六項にわたって、国際監視機構が提案をされておる。そしてそのもとで、あるいは撤退なり、あるいは停戦、あるいは選挙、そういったものを国際監視機構の中でやる。これに対して、解放戦線のほうは十項目提案監視しておる。一番最後の十項目目に同じように国際というものを提案いたしておる。ただし、その目的あるいは機構については食い違っております。ところが、五月十五日にニクソン大統領の入項目の提案がなされて、そのうちの国際監視機構問題について、保利官房長官は十五日の正午の記者会見でこういうことを言われております。ベトナム和平成立後の平和監視機構は和平協定ができた上で設置されるものと思うが、その際日本米国からアプローチがあれば、国内法に抵触しないよう検討し前向きに考える、こういうことを言われておる。  さらに、おとといの六月十日ですが、ミッドウェーの会談に出ておりました南ベトナムのタン外相が、ASPACの参加するために川奈に参りまして、十日の正午にやはり記者会見をしました。その中でこういうことを言われております。日本は、パリ会談でベトナム解決方式がきまったとき、その実施を監視監督するための国際機構に参加することができる、私はこのことを滞日中に日本政府に伝えるつもりだ。また南ベトナム政府は、日本がポストベトナムの復興開発計画に積極的に参加することを強く希望しておる、こういうことを言われた。これは将来の話でありますけれども、一応問題が具体的に出されておるし、保利長官も見解を出されておるのです。この問題についてお伺いをしたいわけであります。そこで、保利長官が前向きに参加を検討したいと言われたその真意を、ひとつこの際明らかにしていただきたい。
  61. 保利茂

    ○保利国務大臣 このニクソン提案が行なわれたときに、私のほうから申し上げわけじゃ——申し上げたということは、結論を申し上げておるわけでが、進んでニクソン提案について日本政府の見解を申し述べたわけじゃなしに、記者団の御質問に答えて、大体そういう趣意のことを私はお答えしたように記憶をいたしております。と申しますのは、とにかく日本政府、佐藤総理の基本的な考え方が、ベトナムの戦争には日本としては協力するわけにはまいらない、しかし、ベトナムに平和が招来するということに対しては、あらゆる積極的な協力姿勢をとるということをるる国会でも申し述べてきておりますが、基本姿勢にあるわけです。したがって、和平パリ会談でありますとか、あるいはいろいろの場所において行なわれておる和平への機運が盛り上がって、そして一つの和平調停というものができ上がれば、その平和を維持していくためにそういう国際的な機構ができるというようなことであれば——これはアメリカが望むかどうか、それはわかりませんけれども、あるいは国連の機構の中でできる、いずれにいたしましても、そういう国際的な平和維持機構に対しては、求められれば、日本としても積極的に前向きでこれを検討していかなければならぬ。しかし日本の場合には、いろいろ憲法であるとか、あるいは自衛隊法とかというものがございますから、そういうものに抵触するような参加はできないということは申し上げてきておる、大体そういう趣意のことを申し上げたつもりであります。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま長官は、国内法の許す限りということで具体的な憲法あるいは自衛隊法とおっしゃいました。ということは、日本が積極的に参加するということは、いわゆる自衛隊の参加であろうと思うわけですね。この問題については、実は昭和四十一年の三月に、衆議院の予算委員会なり、あるいは参議院の予算委員会で非常に大問題になったんです、国連協力と関連をして。そうしてこれについては統一見解として結論が出ておるのです。その結論を長官は御存じですか。
  63. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうも楢崎さん、あなたのほうが詳しそうだから、あなたのほうから聞かしてくださいよ。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実はこれはそう簡単な問題じゃないんですよ。四十一年の三月段階で、同じ問題をしつこくやったのです。それで長官は、ただいま急に言ったから思い出されないかもしれないので、私のほうから念のために申し上げると、いろいろ問題が提起をされました。結局統一見解としては、これはわが党の穗積委員、あるいは議席はありませんが、野原委員の質問に対して政府側から答弁されたのでありますが、ちょっと説明しますと、ただいま長官がおっしゃったように、平和を維持するというような目的であれ、あるいは戦闘行為に巻き込まれるというおそれがある場合は、いかなる名称を問わず自衛隊の派遣は断わる、理事会ではこうなっておった。ところが、とうとうその条件とされる戦闘行為に巻き込まれるおそれのある場合は、という、それも削ってしまった。だから、平和の目的であろうと何の目的であろうと、統一見解は、いかなる名称を問わず自衛隊の派兵は断わる、派遣は断わる、こうなっておるのです、当時の佐藤内閣としては。したがって、保利長官が前向きにこれを積極的に検討するなんということは、この統一見解と著しく違うことになる。いま佐藤内閣はそういう方針に切りかえられたのでしょうか。保利長官佐藤内閣の大番頭ですから。そういうふうに理解していいでしょうか。
  65. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうもなんかあれですけれども、総理にしても、愛知外務大臣にしましても、しばしば国会で発言をされて、また、たしかこの国会の施政演説にあたりましても、外務大臣からその点に触れて言及いたしております。それは要するに、一日も早くベトナムに平和が到来することを願う、そしてその平和が維持されるように、もし国際的な機構でも持たれるということであれば、日本としても積極的な関心を寄せていくということは、これは国会でも申し上げてきておるところでございます。しかし、基本的には要するに戦争には協力せぬ、平和に向かっては協力するということがこの政府の基本姿勢であることは、これはもうるるいままで説明してきておるところで、御理解いただけるだろう、それ以上のことは考えていない。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その平和に対して協力をしたいということはいいのです。それの具体的な問題として、国際監視機構ということをニクソンも提案し、解放戦線のほうも言っておる。それに積極的に前向きで参加することを検討するということとはだいぶ違いますよ。これははっきりしておかぬといけませんです。違うのです。それでもう一度当時の四十一年段階佐藤内閣の方針をよく調べてみて、考え直すとおっしゃるなら、それでいいのですよ。お取り消しになりませんか。
  67. 保利茂

    ○保利国務大臣 四十一年といいますと、私は議席を持たなかったときだろうと思います。調べることは調べさしていただきたいと思いますが、そこで、私は豹変しておるわけではございませんので、ことしの一月二十七日の愛知外務大臣の外交演説でも申し上げております。それはどういうことを申し上げておるかといえば、政府としては、和平実現に至る過程においても、難民住宅建設等、人道的援助を行なうとともに、従来も明らかにしているとおり、今後の和平交渉の進展に応じて平和維持機構への参加、民政安定の戦後の復興等のための協力など、この地域に永続的平和を確保するため、可能な限り協力を行なう考えであります。これは外交演説でも明らかに政府の見解を申し述べておるところでございますが、ただいまの御注意の点につきましては、私は勉強が足りませんから十分勉強いたします。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの愛知さんのその演説内容は、国際監視機構への参加であるならば同じ問題だと思う。まだ、その段階では具体的な問題は出てきていなかった。ばく然と平和に協力するという概念の問題である。しかし、いまは具体的に国際監視機構なんですよ。これは四十一年段階で論議されましたから、いまさら詳しく言いませんけれども、国連軍の問題なり、あるいは国連監視団の問題なり、休戦監視団の問題なり、いろいろあります。それと関連して問題が提起されたのです。そうして、結局は国際監視委員会とか監視団とかいうものについて、いかなる名称を問わず、これは出さない、こういうことになったのです。したがって、これは当時椎名外務大臣と松野防衛庁長官が同じように答えておる。統一見解です。だから、この点ははっきりしてもらいたい。この問題については、愛知外務大臣が出席なさるときに、私は結末をつげてみたいと思います。  それで長官、もう一問だけお聞きしておきます。これはちょっと後ほどの問題と関連しますが、長官は忙しいからこれだけ聞いておきますが、七〇年が来年くるわけです。それで簡明にお伺いをしておきます。六〇年安保のときには、自衛隊の治安出動の問題についていろいろ問題が提起された。赤城防衛庁長官は、結局それを拒否した。佐藤内閣の官房長官として、いわゆる七〇年問題について、自衛隊の治安出動というものは絶対に考えられておらないかどうか。その一問だけ。仮定でいいんです。
  69. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほどからお話の国際平和機構という監視機構でございますが、まだどこからも日本政府にアプローチされてきているところはこざいませんのです。だから、いろいろ関係の、北は北、アメリカアメリカ、いろいろなものが持ち出されておるわけです。それじゃまとまって日本にもうひとつこういうふうで入ってくれぬかというようなことがきたときにこれは考えるべき問題である。いまはそういうことはございません。その点はおわかりのことでございますから、ひとつ……。(楢崎委員「前向きと言わなければいいのです。」と呼ぶ)したがって、これは、平和に対しては積極的協力だから、前向きである。  それから、七〇年問題と私は思いますけれども、とにかくこれだけの大国になっていることでございますから、どうかひとつそういったような自衛隊の治安出動を招くような事態が起こらないように、とにかく警察もあるわけでございますから、やはり本来の治安維持の機構というものは、やはり警察が主でございますから——しかし、どっちにしても、あまりばか騒ぎにならぬように期待をいたす。したがって、まだ、その自衛隊の出動をどろとかこうとかというようなことは今日は全然考えておりません。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官が忙しいから、ぽつんとぽつんとした質問になりますが、いずれあとで系統的にやりますから……。  そうすると、いまのお答えは、いまの段階ではわからない、こういうことですね。考えていないということですね。どっちですか。
  71. 保利茂

    ○保利国務大臣 そういう、いわば国家非常の事態を招くようなことのないように、そういうふうに思っております。
  72. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 考えていないかどうかと聞いているのです。
  73. 保利茂

    ○保利国務大臣 もし、事態が相当乱れるというようなことがあれば、本来の任務であります警察がありますから、警察でひとつ対処してまいりたい、こういうことであります。
  74. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの長官のおことばは、そういう治安問題については警察を前面に立てて、自衛隊の治安行動ということはただいま考えていない、こういうことですね。−それでは、先に進みたいと思います。  そこで、アジア情勢、ベトナムの問題をピックアップしたのですが、中国の問題については先ほど与党委員から質問がありましたので省きます。そこで、朝鮮の問題について一点だけお伺いをしておきたいと思います。防衛庁の見解としては、今後近い将来に朝鮮に大規模な紛争があると想定されておりますか、ないと想定されておりますか。
  75. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほども塩谷委員にお答えしましたように、朝鮮半島におきましてはあの境界線をめぐりまして相当緊急が増しておるように思います。しかし、それが大戦争になるかどうかというようなことは、これは予見のしょうもありませんけれども、私はいまの段階でそういうような大きなものが起こらないことを希望し、またさようなことはたぶん起こらないだろう。これは将来のことですから何とも言いかねますけれども、私はそういうような考えでおります。
  76. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも願望を含めて言われるので少しわからなくなるのですが、防衛庁の見解としては、近い将来に朝鮮に大規模な紛争は起こらないであろうと想定しておる、こういうことですね。
  77. 有田喜一

    有田国務大臣 一応そういうように私ども考えておるのですよ。しかし、これは将来のことですから、ほんとうに予見もできませんから、私は必ずそういうことは起こりませんとは断言しかねるが、しかしいまの考えとしてはそういうものは起こらないであろう、こういうことです。
  78. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは私はきらっと聞いておるから簡単にお答えのようですが、これは重大問題なんですよ。日本防衛あるいは安全保障、あなた方の立場で考えれば。だから、このような想定というものは、あなたのおっしゃった、いまのようなへらへら答弁するような問題ではないのです。では、いまのところ防衛庁としては大規模な紛争は起こらないと想定されておる、そういうことですね。——それでは、それを一応前提として私は次に進みます。  次に、日本防衛構想に移りたいと思います。防衛計画といってもよろしゅうございます。それで、五月十七日に長官は第二回の打ち合わせを外務省となさった。そこで沖繩の問題も含めて、今後の日本自主防衛構想に触れて見解を出されておるわけですね。その見解について御説明をいただきたい。
  79. 有田喜一

    有田国務大臣 外務大臣日本の今後の防衛のあり方といいますか、方針といいますか、そういう方向について話し合ったことは事実であります。その日本防衛方向は、先ほども塩谷委員にお答えしましたように、みずからの国はみずからの手で守る、こういろ基本方針で、わが国の独力でわが国を守れるような防衛力整備することが望ましい。しかしながら、日本には憲法上の制約もあるし、また核に対する特別の国内事情もあることであるから、おのずからそこに限界はあるし、だからその足らざるものは日米安保条約によってこれを補完していこう、こういう基本方針、将来の方針を言ったわけです。それと同時に、防衛力整備はやはり国力国情に応じて推進さるべきものでありますから、自主防衛だといったって、一挙にいくわけにいかない。そこでだんだんと漸増的に進めなければならぬ。すなわち、日本国力の発展にふさわしい方向整備をすべきだ、こういうゆうな考えであります。  そこで、いろいろと自衛隊の内部に対する考え方でありますが、まず、海上防衛に関しましては、やはり海洋国家であるわが日本の特性にかんがみまして、護衛艦とか潜水艦あるいは対潜航空機等の増強につとめて、海峡の防備、そうして海上護衛の能力向上していかなければならぬだろう、こういう方向です。また、万一の場合ですが、着上陸侵攻に対しましては、陸海空の防衛力を総合的に発揮して、特に侵攻してくるところの船舶に対する攻撃力あるいは陸上における機動攻撃力などを強化いたしまして、なるべく早い機会に、初動において侵略を排除する体制を整えなければならぬ。また航空に対しましては、航空侵攻に対して新戦闘機F4EJの整備あるいは地対空誘導弾の増強などによって防空能力強化して、相当の期間航空優勢を確保するような体制を整えたい、こういう方向を話し合ったわけでございます。大体の内容は以上のとおりであります。
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 十七日の記者会見のメモがここにあるのですが、これで、私は、今後の日本自主防衛構想についてたいへん特徴的な面が出ておると思いますね。まず説明一のところに、従前から漸進的な防衛力整備を進めてきたが、内外の情勢国力の伸長、国際的地位の向上等に伴って、今後は防衛努力を一そう積極的に推進し、間接侵略ないし直接侵略の事態に対し、有効かつ柔軟に対処し得る防衛力整備する——そのとおりですね。そこで、いままで防衛力というものは、国力国情に応じて漸進的に進めていく、これは三十二年五月の国防基本方針から始まって、そして一次防は、特徴的な文言を拾うと、「必要最小限度の自衛力」となっておる。二次防は、これが、戦略的とより具体化されて、「在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、有効に対処しうる防衛体制の基盤」の確立、こちなっておる。次に三次防においては今度は「局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なもの」——「最も」ということばがここに入っておる。それにしても漸進的にやっていくといろ姿勢はくずれていなかったと見られる。しかし、十七日のあなたの見解によると、漸進的に進めてきたものが、今後は一そう積極的に推進しということばになっておるのですね。ここにひっかかりがある。そこで問題は、つまり漸増の方針から積極的な増強の方針に変えられたのかどうか。つまり、これは四次防あるいは五次防段階では、いままでの一、二、三次防のテンポを一段と飛躍させる、漸進ではなしに。そういう構想なのか、これを伺いたい。
  81. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来言いましたように、みずからの国はみずからの手によって守っていきたいという、自主防衛をやりたいというそこが積極的なのです。もちろん日本の経済関係もありますから、日本国力国情にふさわしいということはその前提となっておりますが、ややもすると計画がそのとおりにならない場合がある。本年度のごときも、相当の予算が取れたと世間ではいわれております。事実絶対額はふえました。しかし総予算に対する比率はどうかというと、わずか七分二厘なんですね。去年よりも全体の割合は少なくなっている。そういうような関係から見ますと、よほど積極的に進まないと、漸増、国力にふさわしいといいながら国力の全体のふえ方から見ると防衛のほうがおくれをとっておるんじゃないか、かような関係から積極的にという姿勢を打ち出したのであります。積極的だからといって、先ほど来説明しているように、じゃいままでの二倍も三倍もぼんぼんいくんだ、こういうような非常識なことは考えていない。もちろん国力国情ということを考えながら進むのですが、いま申しました全体の予算の比率から申しましても、低下しておるということは国力にふさわしくないんじゃないか、かように申しまして積極的ということばを打ち出したのであります。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうことじゃないですよ、この文章は。従前から漸進的にやってきたけれども今後は積極的に推進する、こうなっているのですよ。だから国力国情に応じて漸進的に進めることを積極的にやるなんという、そういう説明にならぬのですよ。そういうごまかしを言っちゃいけませんよ。要するに、この自主防衛構想というものは、これで見る限りは漸進の方向が積極的増強方向に変えられている、とう見ざるを得ない。  次に、いままで国防基本方針なりあるいは自衛隊法でもそうですが、そのほかの防衛庁の方針、政策等には、直接侵略あるいは間接侵略、こうなっておりますね、文章全部。今回に限って間接侵略ないし直接侵略と逆転しております。(笑声)これは笑いごとじゃない。こういう文章が、いままで直接あるいは間接となっておったのがここで間接あるいは直接というのはこれは意味があるのですか、意味がないのですか。
  83. 有田喜一

    有田国務大臣 文章のことばでございますが、ここに、ないしということばでありますから、直接侵略ないし間接侵略というよりも間接侵略ないし直接侵略という、ことばのあやでありまして、そういうことまで注意をして書いたわけじゃないのでして、これは直接侵略または間接侵略でもけっこうでございます。しかし、私どもは間接侵略に対する備えもやらなくてはならないということは当然のことでありまして、そのことばじりの問題じゃないと私は思います。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これはことばじりじゃないのです。もしあなた方が何とはなしにいままでのスタイルを変えられたのなら、これは問題がありますよ。つまり、こういう防衛問題に関して字句を簡単に使ってもらっちゃ困ります。いままでは直接侵略ないし間接、つまりいわゆる脅威の実態というものが直接侵略のほうに重きを置かれている、こう見たわけです。ところがこの文章でいく限りは間接侵略のほうを直接侵略よりも脅威の実態としては重大視しているとわれわれは考えざるを得ない。そういうことはないのですか。あなた方の自主防衛構想なるものにそういう考え方の転換があるのではないか、ないですか。
  85. 有田喜一

    有田国務大臣 別にどこに重点があるわけでもございませんけれども、われわれとしては直接侵略の場合もまた間接侵略の場合にもそれに相応する体制を整えていくことが当然の責任であり、義務である、かように考えておる。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは私は後ほど触れてまいりますが、いまの自衛隊増強方向あるいは今度の防衛二法もそうです。特に陸上自衛隊は間接侵略に重点を置く方向に装備が整えられつつある。あとで証明します。したがって、この文章というものは今後の日本自主防衛構想の中で直接侵略を定義されたということは、私は実態から考えても非常に問題があると思います。単に気がつかずにその字句をいじるようなつもりで私は言っておるのじゃないんですよ。  宍戸さんどうですか、これは何の気もなしにこう書かれたんですか。だれがこれはお書きになっのいですか。
  87. 宍戸基男

    宍戸政府委員 文章の性格は、大臣が先ほどお話しの、外務大臣と会合されました後記者会見されましたときのおことばをメモしたものでございます。性格はそろいうことで、三次防、二次防等のように文章を正確に練ったという性格のものでないということをまず申し上げたいと思います。  それから、そういうことで長官からいろいろお話が出ますときに、それは直接侵略を先におっしゃることもあるでしょうし、間接侵略を先におっしゃることもあると思います。先ほど長官からお話しのように、ないしというおことばを使われたものですから、間接侵略ないし直接侵略というふうなことがメモとして残っている、こういうことでございます。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは局長違うんですね。長官が話されたものをメモされたのですか。これは記者会見のとき配られたんじゃないのですか。どうなんですか。
  89. 宍戸基男

    宍戸政府委員 長官の記者会見が終わりましたあとこのメモが記者諸君に配られていると思います。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官の記者会見が終わって、話されたことを速記をして、そうしてそれを印刷して直ちに回されたというわけですか。どうなんですか。そうじゃないでしょう。これは用意されておった。これに従って長官は見解を出した。そんなつまらぬところでうそ言っちゃだめですよ。だからこれはあらかじめ用意ざれた構想です。そんないいかげんな話がありますか。あなた、アメリカに愛知さんが行く、そのために二回にわたって協議をやっているのです。そうしてその十七日の協議で整ったやつを持って愛知さんは行っているのです。中途はんぱないいかげんな内容じゃないのです。だから不用意にこういうふうな文章をつくったようなことにならぬのです。そんなでたらめ言っちゃだめですよ、こういう審議のときに。
  91. 有田喜一

    有田国務大臣 私はこの見解を言うたのですが、何か楢崎さん誤解されておるのじゃないでしょろか。この間接侵略というのは何も治安出動とか、そういうものと違うのですよ。イコールでは少なくともないですね。間接侵略というのは他国がそそのかして武力的に内部でいろいろやることでしょう。そういうことを考えますと、私たちの任務としては直接侵略の場合もあるだろうし、万一間接侵略があったときはわれわれはこれに対する体制を整えていかなくてはならぬというのは、これは当然だと私は考えております。だからそうむきになって治安出動イコール間接侵略と言われると、それはいろいろ疑問が起こるだろう。イコールじゃないことは明らかなんですね。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまそういうことをおっしゃってもいいですがね、あとでだんだんやっていまますから、取り消さぬようにひとつ……。  では先に進みましょう。このメモで見る限り直接には出ておりませんけれども、私は防衛計画の質的な転換がここに含まれておるという気がするのですが、例をあげてみますと、日本自衛隊のほうの分担と申しますか、そういうものが一口でいうとアメリカ軍にだんだん肩がわりをしていく、そういろ方向機能面として持つことをねらっておられるのではないか、どうですか。
  93. 有田喜一

    有田国務大臣 先ほど来言いましたように、日本の国はわれわれ日本人みずからの手によって守るという、その姿勢でいきたいというのですよ。もちろん、しばしば言いますように、憲法上の制約とかあるいは日本の特別の関係における核の問題とかそういうものは私は持とうともしないし、また憲法上許されないことはやれない。しかし、日本の国をわれわれの手によって守る。しかも、日本国力はここまでできてきたんだから、アメリカの肩がわりといいますかどうかわかりませんけれども、われわれはいままでは、自衛隊ができる前の警察予備隊からきたんだが、それはどっちかというと、こじき根性ということばは悪いかもしれませんが、アメリカざん頼みます、頼みますというような調子でした。もうここまで日本国力ができた以上は、われわれの手によって守ろうというその気持ちはやはり持っていかなくちゃならぬ。ここが私どもの考え方なんですよ。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 かつて、これも四十一年の一二月ですが、沖繩が攻撃されたら日本自衛隊はどうするかというときに、佐藤さんが答弁されて、精神的な真情を吐露ざれた。それが大問題になった。だから、ことばの上で、もうアメリカざん頼みますということをだんだんなくしていって、自分の国は自分で守るということばですけれども、自分の国は自分で守るというのは防御の面と攻撃の面とあるわけです。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 いままで日米のいわゆる日本防衛の分担については、大きく分ければ、米軍のほうが言うならやり、日本のほうは、自衛隊のほうはたてだ、そういうことでおよそ分担されておった、過去の答弁を整理すると。私が言っているのは、米軍の肩がわりという意味は、米軍の持つ機能つまり攻撃面の肩がわりもだんだんしていくという方向をとるのではないか、それも日本の国を守るということでしょう、あなたのことばでいえば。そうではないかということを言っているのです。
  95. 有田喜一

    有田国務大臣 それは私がしばしば言っておりますように、憲法制約があるということを言っていますね。憲法制約は、私の解釈では、少なくとも外へ侵略なんということはできない。だから日本はあくまで守る。防衛をやる。その防衛憲法の許される範囲内において、日本はここまで国力が進んだのだから、みずからの手によって守るということはやろうじゃないかということを言っているのであります。おっしゃるように、そんなところまでエスカレートするということは絶対考えておりません。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、私が言っていることを立証するために、ひとつ資料を提出願いたい。「昭和四十年統合年度戦略見積もり」というのがあるでしょう。これは二次防の段階です。ありますか。
  97. 宍戸基男

    宍戸政府委員 毎年つくっておりますから、四十年度のも統合見積もりはあると思います。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あるなら出せますか。
  99. 宍戸基男

    宍戸政府委員 内容の性格上極秘のものでございます。一般にお出しする性質のものではないと了解しております。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは確実に極秘ですか。また、去年のような問題が起こりますよ。極秘ですか。機密ですか。秘ですか。
  101. 宍戸基男

    宍戸政府委員 秘密書類の一種で、機密書類でございます。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう大事な問題になると機密といって逃げるわけですね。だから、私が言っておるのが皆さんにわからない。その中にどういうことが書いてあるか御存じですか。わからぬ人があるから念のため披露しておきますけれども、こういうことがあるのです。  「方針」としては、「防衛の対象区域は、わが国の施政下にある全領域とし、自衛隊の行動区域は防衛目的達成のために必要な範囲とし、要すれば、外国領域を含むものとする。」、こういう方針のもとに、作戦の実施については、こう書いてある。「わが国周辺における航空輸送を確保するためには、積極的に敵の基地を攻撃し、航空戦力を撃破するとともに、侵入に対しては攻撃作戦を実施してこれを阻止することが必要である。特に攻撃作戦が本作戦全般に占める地位はきわめて大きい。わが能力上の限界から、攻撃は米海・空軍に期待し、自衛隊は防空作戦を実施することになるが、状況に応じては近接する地域に対して攻撃作戦を行なうことを考慮の要がある。」二次防の四十年の段階でこう書いてある。戦略見積もりにはこういうことが書いてある。出しなさいよ、これをあなた方否定するなら。二次防からすでに、こういうやりの面もやらなくちゃいかぬということがちゃんと出ておるのです。何を言うのですか。もし否定するなら出しなさい。これは四十年の見積もりがあるのですが、私がいま言ったことがほんとうかどうか、出してみなさい。(「それは攻撃じゃない、防御と書いてある。」「出しもせぬで何を言っている。」と呼び、その他発言する者あり)何も知らぬしろうとがやじを飛ばしてはいけない。海外派兵の問題が書いてあるじゃないか。これは憲法上違憲ですよ。それじゃもう一ぺん読もうか。「要すれば外国領域を含むものとする。」いいですか……。(「防御のためにはそういうこともあり得るが、自衛隊はせぬ。」と呼ぶ者あり)これは自衛隊の戦略見積もりです。できませんよ、こういうことでは。だめです。そんなことを言うなら出しなさい。私が言っているのがほんとうかどうか出しなざい。
  103. 宍戸基男

    宍戸政府委員 先ほど申し上げましたように、統幕で毎年、統合年度の戦略見積もりはやる任務がございますからやっておりますが、その内容は事柄の性格上、これはどの国もそうだと思いますけれどもわが国でいえば防衛上、通常の常識でいえば軍事上の機密でございます。したがって、一般にお出しする性格のものでない。これはわが国に限らず、どの独立国の防衛、軍事面でも同じことであろうと思います。したがって、ここに出せというおことばにつきましては、私としてはこれをお出しする性格のものでないと繰り返すしかないわけでございます。したがって、その内容につきましてどういういうで御承知になったのか私も存じませんけれども、そういう書類をいま手元に持っているわけではございませんので、それが正しいか正しくないか、ここでお答えするわけにもちろんまいりません。ただ一般論として申し上げますと、わがほうの防衛姿勢は先ほど長官がお答えになったとおりである、こういうことがいえるかと思います。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が言っていることといまの答弁はかみ合っていないわけですね。私が言っているのは、自衛隊がたての面を受け持つ、米軍は、やりの面を受け持つ、いままでの政府の答弁を整理するとそうなる。しかし、二次防段階ですらただいま申し上げたようなやりの面も日本自衛隊が受け持たなくちゃいけない。考慮の要がある。これは機密だから出せない、出せるの問題じゃない。明らかに違憲の問題です。憲法違反の問題です。だから、私はこの四十年の戦略見積もり、私が申し上げたことが真実かどうか。これはいまお持ちにならぬならこれは保留をしておって、明らかにしてもらいたい。いいですか。長官、どうですか。
  105. 有田喜一

    有田国務大臣 その書類のことは私は承知いたしませんけれども、少なくとも私がいま防衛庁長官としてやっておる以上は、憲法に違反するようなことは絶対に慎しまなければならぬ。あくまでもわれわれは、先ほど言いましたように……。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 見積もりがあるのです、そんなことをおっしゃっても。
  107. 有田喜一

    有田国務大臣 見積もりがあるかどうか知らぬけれども、いまはそういうことは絶対やってないし、やろうとはしてない。それだけはっきり申し上げます。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの私の質問に対して答弁になってませんよ。この防衛庁の四十年度の戦略見積もりの中にこういうものがある。私はそれを指摘しておる。これは違憲の問題だ。長官は責任をもって明らかにする責任がある、どうですかと聞いておる。
  109. 有田喜一

    有田国務大臣 それは機密文書ですから、文書のことは私はとやかく申しませんが、少なくとも私が長官として責任をとっておる以上は、憲法違反のようなことはやりもしないし、またやらせもしない。先ほど来説明しておるとおり、日本憲法に許される範囲、そうして日本国情というものを考えながら、そういう特別なことはやらないが、許される範囲のことはみずからの手によって日本の自衛力を増強してわれわれの手によって国を守るというその体制は私は尊重する、そういうことです。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ああいう答弁じゅ了承できません。私の問いに対して答弁してない。はっきりするかどうか聞いているのです。こういう私が言ったようなことが内容としてあるかどうか。
  111. 有田喜一

    有田国務大臣 その四十年云々の書類は、私の言っておるようにここには資料も持ってないし、私はそのことを知らない。だから、それは政府委員が言ったように、調べます、その上ではっきりしますということを言っておるのだから、それは調べなくちゃここで言えませんが、しかし私を信頼してくださいよ。いまの、現在の責任をとっておる以上は、そういうことをやらぬということを言明しておるのだから、それは信頼してください。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この問題は、今後の自衛隊機能なり性格についてこれは完全に影響するわけです。したがって、これを明確にするまで私は先へ進められない。そういうことがあいまいであっては、先へ進められない。委員長、休憩の上それをはっきりしてくれ。(━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   〔「委員長、休憩、休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
  113. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 静粛に願います。私語を禁じます。   〔「委員長、休憩、休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
  114. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕