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八木(一)
委員 私は、ただいま議題と相なりました
同和対策事業特別措置法案について、本日早期成立を期して審議の場をつくっていただいた
藤田委員長並びに各党
理事、
委員各位に心から感謝を申し上げます。
本法案の審議を始めるのにあたりまして、まことに感慨深いものがございます。
徳川時代幕府のつくった不当な身分制度によって多くの同胞が極端に人権をじゅうりんされ続けてまいりました。明治四年の太政官布告によって、それが解決されるかの期待もつかの間でございました。明治の民主主義改革停とんのため約百年、三百万と称せられる多くの同胞が、差別と貧困に苦しみ続けてまいりました。戦後、基本的人権尊重を約束された新憲法下においても、その状態は続いております。この解決のための行政を市町村、府県に求める熱心な運動が続けられ、さらに国策の樹立を求める運動に発展してまいりました。
この熱心な運動を受けて、不肖
八木一男の
質問を受けて、昭和三十三年三月十一日、当時の岸
内閣総理大臣より、同和問題の根本的解決のための公約が国会を通じて全国民になされ、それを受けて同和対策審議会の発足となり、昭和四十年八月十一日、同対審答申が出され、翌昭和四十一年二月、本院本
会議及び予算
委員会において同対審答申尊重及び特別措置法の提出が
佐藤内閣総理大臣より公約され、本年四月十一日、本法案が提出の運びと相なったものでございます。
徳川時代、身分制度がつくられましてから三百数十年、明治以後百年、水平社運動発足以後約五十年、国策樹立が約されてから十二年、同対審答申以後四年、その解決、推進の道程があまりにも長かったことを振り返り、その間、極端な人権侵害を受け、抜けやらぬ貧困に苦しみ続けた多くの同胞の苦悩を
考えて、政治の責任を痛感するものであります。
今回、同和問題の完全解決を進めるために、同対審答申を急速に実現するための大きな推進力となる本
同和対策事業特別措置法案が提出され、近く成立を期待できますことは、多くの国民の心からの
要望にこたえるものであり、本問題解決のために多くの先輩同僚とともに、微力ながらこの十八年間、懸命な努力を続けてまいりました私にとって心からの喜びであります。
本問題の解決のため生涯を捧げられた故松本治一郎氏をはじめ数多くの諸先輩、同対審答申までの土台をつくることに努力された岸元
内閣総理大臣、堀木元厚生
大臣はじめ
政府の各位、秋田大助氏、
田中織之進氏、湯山勇氏、田原春次氏、五島虎雄氏等国会の先輩同僚の各位、同和対策審議会の各位、さらに同対審答申以後、答申尊重と特別措置法制定を推進された
佐藤内閣総理大臣はじめ
政府の各位、昭和四十一年の
政府、各党協議会、四十三年四月の四党協議会、四十三年四月以降約八カ月にわたり精力的に推進された第二次四党協議会、同年十二月より推進された四党国対会談等において、私とともにこの問題の協議推進に当たられた自民党安井謙、秋田大助、
渡海元三郎、奧野誠亮、大石八治、
上村千一郎、
日本社会党河野密、湯山勇、
八木昇、
広沢賢一、民社党佐々木良作、吉川兼光、
玉置一徳、
吉田之久、公明党伏木和雄、
沖本泰幸、無所属
田中織之進等の各氏並びにその間、国会論議を通じて推進に当たられた多くの同僚国
会議員各位、同和対策協議会の各位、多くの
機会に問題推進に当たられた関係自治体及び同議会関係者の各位、部落解放同盟等各民間団体の各位はじめ問題推進に当たられたすべての方々に心から深い敬意を表しまして、これから自由民主党、
日本社会党、民主社会党、公明党の四党の意向を代表し、具体的な
質問に入らせていただきたいと存じます。
具体的な
質問は、本法案成立の際の運用等に関してでございます。どうか本法案の重要な意義にかんがみまして、その運用等について積極的な、かつ明確な御答弁によって確認をしていただくことを心から御期待を申し上げる次第でございます。
本法案の大きな特徴は、国庫負担または国庫補助並びに地方債及びその元利補給等の交付税交付等によって、この問題の
地域性から見て、致命的な障害になる地方財政圧迫等の悪要因を取り除き、同和対策事業の急速な推進をはかろうとすることにありますので、これらの点の関係事項より
質問に入ることにいたします。
まず国庫負担または国庫補助に関する三点について伺います。大蔵
大臣から御答弁をいただきたいと思います。
第一問といたしまして、同和対策事業の推進にあたって国の負担率及び補助率の引き上げと同様に重要な問題は、予算単価を実質単価としなければならない点でございます。今回、
同和対策事業特別措置法案においては、負担率及び補助率の引き上げについては、不十分ながらも前進のあとが見られることは評価いたしますが、この際、ぜひ同和対策事業の重要性にかんがみ、実質単価とせられたいと存じます。この点について、明確な御答弁を大蔵
大臣より求めます。