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1969-06-05 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       足立 篤郎君    井出一太郎君       内海 英男君    菊池 義郎君       田中 龍夫君    野呂 恭一君       三池  信君    山口 敏夫君       渡辺  肇君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    岡田 春夫君       木原  実君    華山 親義君       平岡忠次郎君    広沢 賢一君       八木 一男君    安井 吉典君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       沖本 泰幸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 西郷吉之助君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         法務大臣官房長 辻 辰三郎君         法務省矯正局長 勝尾 鐐三君         法務省保護局長 鹽野 宜慶君         法務省入国管理         局長      中川  進君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         農林水産技術会         議事務局長   横尾 正之君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局水資源課         長       松村 賢吉君         大蔵省理財局次         長       青鹿 明司君         農林省農政局植         物防疫課長   安尾  俊君         水産庁生産部長 三善 信二君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月二十八日  委員永末英一君及び伊藤惣助丸君辞任につき、  その補欠として内海清君及び渡部一郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員内海清辞任につき、その補欠として永末  英一君が議長指名委員に選任された。 六月四日  委員渡部一郎辞任につき、その補欠として伊  藤惣助丸君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員葉梨信行君、稻村隆一君、平岡忠次郎君、  永末英一君及び伊藤惣助丸君辞任につき、その  補欠として渡辺肇君、八木一男君、広沢賢一君、  吉田之久君及び沖本泰幸君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員渡辺肇君、広沢賢一君、八木一男君及び吉  田之久君辞任につき、その補欠として葉梨信行  君、平岡忠次郎君、稻村隆一君及び永末英一君  が議長指名委員に選任された。 同日  理事永末英一君五月二十八日委員辞任につき、  その補欠として受田新吉君が理事に当選した。     ————————————— 五月二十七日  靖国神社国家護持に関する請願外二十三件(小  澤太郎紹介)(第七五九八号)  同外三十二件(河野洋平紹介)(第七五九九  号)  同外二十九件(田中龍夫紹介)(第七六〇〇  号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第七六〇一  号)  同外十二件(丹羽兵助紹介)(第七六〇二  号)  同外一件(野原正勝紹介)(第七六〇三号)  同外一件(有田喜一紹介)(第七七一三号)  同(上村千一郎紹介)(第七七一四号)  同外十九件(小澤太郎紹介)(第七七一五  号)  同外十六件(大橋武夫紹介)(第七七一六  号)  同外八件(鍛冶良作紹介)(第七七一七号)  同外一件(賀屋興宣紹介)(第七七一八号)  同外四件(仮谷忠男紹介)(第七七一九号)  同外二件(吉川久衛紹介)(第七七二〇号)  同(小峯柳多君紹介)(第七七二一号)  同(小山省二紹介)(第七七二二号)  同外十四件(田中龍夫紹介)(第七七二三  号)  同外三件(田村良平紹介)(第七七二四号)  同(地崎宇三郎紹介)(第七七二五号)  同(渡海元三郎紹介)(第七七二六号)  同外七件(二階堂進紹介)(第七七二七号)  同(坊秀男紹介)(第七七二八号)  同外十件(細田吉藏紹介)(第七七二九号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第七七三〇号)  靖国神社国家管理反対に関する請願田代文久  君紹介)(第七六〇四号)  同(谷口善太郎紹介)(第七六〇五号)  同(林百郎君紹介)(第七六〇六号)  同(松本善明紹介)(第七六〇七号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外九件(  池田禎治紹介)(第七六〇八号)  同外五件(塚本三郎紹介)(第七六〇九号)  同外九件(河村勝者紹介)(第七六一〇号)  同外九件(和田耕作紹介)(第七六一一号)  同外九件(小沢貞孝紹介)(第七八〇二号)  同外二十六件(河村勝紹介)(第七八〇三  号)  同外三十九件(和田耕作紹介)(第七八〇四  号)  婦人少年室廃止反対等に関する請願遠藤三郎  君紹介)(第七六一二号)  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願佐々木義武紹介)(第七六一三  号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願三原朝  雄君紹介)(第七七九九号) 六月二日  一世一元制法制化に関する請願外百六十七件  (徳安實藏者紹介)(第七八〇五号)  同外一件(伊能繁次郎紹介)(第七九九八  号)  靖国神社国家護持に関する請願外四十一件(小  澤太郎紹介)(第七八〇六号)  同外一件(仮谷忠男紹介)(第七八〇七号)  同外十四件(田中龍夫紹介)(第七八〇八  号)  同外十八件(保利茂紹介)(第七八〇九号)  同外一件(臼井莊一君紹介)(第七八七三号)  同外八件(椎名悦三郎紹介)(第七八七四  号)  同(田村良平紹介)(第七八七五号)  同(中村梅吉紹介)(第七八七六号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第七八七七号)  同(坊秀男紹介)(第七八七八号)  同外五十二件(齋藤邦吉紹介)(第七九〇七  号)  同(田村良平紹介)(第七九〇八号)  同(橋本龍太郎紹介)(第七九〇九号)  同(有田喜一紹介)(第七九七二号)  同外八件(佐々木義武紹介)(第七九七三  号)  同(田中龍夫紹介)(第七九七四号)  同外一件(野原正勝紹介)(第七九七五号)  同外二十件(古内広雄紹介)(第七九七六  号)  同(三池信紹介)(第七九七七号)  同外四件(小川平二紹介)(第七九八八号)  同(始関伊平紹介)(第七九八九号)  同外二件(砂田重民紹介)(第七九九〇号)  同外二件(辻寛一紹介)(第七九九一号)  同外一件(渡海元三郎紹介)(第七九九二  号)  同(永田亮一紹介)(第七九九三号)  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願八百板正紹介)(第七八一〇号)  同外一件(八田貞義紹介)(第七八七九号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外四件(  池田禎治紹介)(第七八五四号)  同外十件(小沢貞孝紹介)(第七八五五号)  同外四件(春日一幸紹介)(第七八五六号)  同外九件(河村勝紹介)(第七八五七号)  同外四件(曽祢益紹介)(第七八五八号)  同外十三件(塚本三郎紹介)(第七八五九  号)  同外四件(門司亮紹介)(第七八六〇号)  同外十三件(和田耕作紹介)(第七八六一  号)  同外二十五件(池田禎治紹介)(第七八六二  号)  同外二十五件(小沢貞孝紹介)(第七八六三  号)  同外二十六件(岡沢完治紹介)(第七八六四  号)  同外二十五件(春日一幸紹介)(第七八六五  号)  同外三十八件(河村勝紹介)(第七八六六  号)  同外二十三件(曽祢益紹介)(第七八六七  号)  同外二十五件(塚本三郎紹介)(第七八六八  号)  同外二十五件(西尾末廣君紹介)(第七八六九  号)  同外十八件(門司亮紹介)(第七八七〇号)  同外二十五件(本島百合子紹介)(第七八七  一号)  同外四十七件(和田耕作紹介)(第七八七二  号)  同外十二件(麻生良方紹介)(第七九四一  号)  同外十二件(池田禎治紹介)(第七九四二  号)  同外十二件(小沢貞孝紹介)(第七九四三  号)  同外十二件(岡沢完治紹介)(第七九四四  号)  同外十二件(折小野良一紹介)(第七九四五  号)  同外十一件(春日一幸紹介)(第七九四六  号)  同外十一件(河村勝紹介)(第七九四七号)  同外十二件(曽祢益紹介)(第七九四八号)  同外十一件(永末英一紹介)(第七九四九  号)  同外十一件(西尾末廣君紹介)(第七九五〇  号)  同外十八件(西村榮一紹介)(第七九五一  号)  同外十一件(門司亮紹介)(第七九五二号)  同外二十四件(和田耕作紹介)(第七九五三  号)  同外二十五件(麻生良方紹介)(第七九五八  号)  同外二十四件(池田禎治紹介)(第七九五九  号)  同外二十五件(小沢貞孝紹介)(第七九六〇  号)  同外四十九件(岡沢完治紹介)(第七九六一  号)  同外二十三件(折小野良一紹介)(第七九六  二号)  同外二十四件(春日一幸紹介)(第七九六三  号)  同外二十四件(河村勝紹介)(第七九六四  号)  同外二十四件(小平忠紹介)(第七九六五  号)  同外二十四件(曽祢益紹介)(第七九六六  号)  同外二十四件(竹本孫一紹介)(第七九六  七号)  同外二十四件(西尾末廣君紹介)(第七九六  八号)  同外二十四件(門司亮紹介)(第七九六九  号)  同外二十五件(本島百合子紹介)(第七九七  〇号)  同外三十六件(和田耕作紹介)(第七九七一  号)  同外二十四件(麻生良方紹介)(第八〇二一  号)  同外二十五件(池田禎治紹介)(第八〇二二  号)  同外二十四件(内海清紹介)(第八〇二三  号)  同外二十五件(小沢貞孝紹介)(第八〇二四  号)  同外二十四件(岡沢完治紹介)(第八〇二五  号)  同外二十四件(折小野良一紹介)(第八〇二  六号)  同外二十四件(河村勝紹介)(第八〇二七  号)  同外二十四件(鈴木一紹介)(第八〇二八  号)  同外十一件(曽祢益紹介)(第八〇二九号)  同外二十四件(竹本孫一紹介)(第八〇三〇  号)  同外二十四件(玉置一徳紹介)(第八〇三一  号)  同外二十四件(本島百合子紹介)(第八〇三  二号)  同外二十五件(和田耕作紹介)(第八〇三三  号)  旧軍人恩給の改善に関する請願外二件(齋藤邦  吉君紹介)(第七九〇六号)  靖国神社国家管理反対に関する請願田代文久  君紹介)(第七九三七号)  同(谷口善太郎紹介)(第七九三八号)  同(林百郎君紹介)(第七九三九号)  同外一件(松本善明紹介)(第七九四〇号)  同(田代文久紹介)(第七九九四号)  同(谷口善太郎紹介)(第七九九五号)  同(林百郎君紹介)(第七九九六号)  同(松本善明紹介)(第七九九七号)  特高罷免等による警察退職者救済に関する請願  (伊能繁次郎紹介)(第七九九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  同和対策事業特別措置法案内閣提出第一〇〇  号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についておはかりいたします。  理事永末英一君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事受田新吉君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 藤田義光

    藤田委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、申し上げます。  去る五月十五日の委員会におきまして、休憩直前に私が発言いたしました点につきましては、ことばが足りず、委員各位、特に伊藤委員に誤解を与えまして、委員長としてまことに遺憾の意を表する次第であります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
  5. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 農林大臣北洋漁業問題につきまして、過日に引き続き、若干の質問を行ないます。  まず、その質問に入る前に、ただいま委員長から弁明がありましたが、過日のこの委員会におきまして、私は午前中から質疑をしておったわけでありますが、本会議のため一時中断いたしまして、本会議終了質問を続行することに了承しまして、本会議に出たわけであります。しかし、本会議が終了した後に、この委員会に参りましたところ、政府委員席には農林省関係ではなく、防衛庁長官及び政府委員がすわっておったわけであります。そして私が質問続行をしようとしたときに、突然、委員長は防衛二法の趣旨説明を強行した。このことにつきまして、私は、まさに議会民主主義を破壊する暴挙であって、許すことはできない、このように強く怒っておったわけでありますが、いままでにおける理事会等話し合いもありますので、私はこれ以上この場で追及しようとは思いませんが、このような暴挙は再び行なわない、こういうふうに委員長要望申し上げて、質問に入りたいと思います。  先日も農林大臣にお伺いいたしましたが、日ソ漁業交渉は、ことしで十三回目になります。いつも妥協後には同じようなことがいわれてきたわけでありますけれども、毎年その場しのぎ交渉をやってきておるわけです。そして年々漁業漁獲高が減少してきております。この北洋漁業については、非常に最近業者が採算がとれなくなっている、これではもう将来に見切りをつける以外にない、こういうふうにいっているわけでありますが、一つ魚源保護という点と交渉のきめ手となるような抜本策考える以外にないと思うわけでありますが、農林大臣はその抜本策についてどのような考えがあるか、まず伺いたいと思います。
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ごもっともなお説でございまして、われわれも毎年毎年繰り返して、同じような交渉をすることは、まことに残念でございます。したがいまして、こういうような点も考慮いたしまして、本年度初めて日ソの間に、ソ連の河川を利用しまして、日本ソ連との共同によって、サケマス人工ふ卵をさしてまいりたい。そして共同作業であり、共同出資であり、共同の責任において、資源保護をやっていきたい、こういうような考え方の上に立ちまして、本年から初めてその交渉が軌道に乗るようになってまいりました。やがてわが国からも、ソ連にこの交渉のために、技術者を派遣をする考えでございます。  こうなってまいりますと、ただいま御質問のございましたように、日本の権利というものも当然その中に永久に認められてくる、こういうことになりますので、ぜひともこれらの問題を早急に貫徹をさしていきたい、このような考え方で、抜本策といえば、いままでずいぶん苦労をいたしましたけれども、本年やっとそれが実り始めたという段階になったことを申し上げたいと思うのでございます。
  7. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 抜本策、何か口発表みたいに伺ったのですが、どうかそういう一つの国益の点からいっても、前向きで今後交渉に向かっていただきたい。一年一年じゃなくて、三年なり五年、あるいは十年間ぐらいの長期にわたる交渉、または安心して操業できるような、国としての保障といいますか、そういう点も考慮していただきたい。その点を大臣要望しておきます。  次に、この日ソ漁業交渉に関連して、またこの交渉に少なからず影響を持つものとして、日本アメリカカナダ日米加漁業協定がありますが、この協定は、一九五二年の五月九日に署名されておりまして、一応十年の期限が取りきめられております。ちょうどこれも安保条約と同じように、その後はいわば自動延長という形で今日まできておるわけです。取りきめの細部については、付属書という形で、三国できめたものがあるわけでありますけれども、その後サケマス等につきましては、西経百七十五度より東側は自発抑制地域となっておるわけですね。この点については、私は非常に疑問を持っておるわけですけれども日ソ交渉においても、トン数による制限はあるけれども漁獲を許しておるわけですね。しかし西経百七十五度という地球上の一つ経度線によって、自発抑制をするということは、自主的には操業できない地域がつくられておるわけです。これは非常に不平等じゃないか、こういうふうに思うわけです。しかも、ソ連なんかについてもしかたのないものだというふうに思っておるのかどうか。要するにそういう自発抑制地域というものをそのままにしておくのか。あるいはまた日本要求によって、そういう自動延長をやめて、そんな経度による抑制処置じゃなくて、それを改めるか、またはどんどんサケマスというものをとるためにその経度線を越えて漁業ができるように推進したほうがいいのではないかと思うわけですが、そういうことについて農林大臣見解を伺いたいのです。
  8. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その御指摘につきましては、過去数回にわたりまして再度交渉は進めておりますし、昨年もその問題について強い要求をこちらからもいたしておるのですが、改定の時期を待たずして、何とかこれらの解決をつけたいという考え方の上に立って、いませっかくこれらとその機会あるごとに努力を傾けておるところでございますので、御了承賜わりたいと存じます。
  9. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ちょっとばく然としておりますので、局長のほうからその経過と現状について簡単に御報告というか、伺いたいわけです。
  10. 三善信二

    三善説明員 ただいまの日米加漁業条約改定の問題でございますが、これは御承知のように三十八年に一応十年間の条約期限が切れております。その後は条約国が一方的に破棄しない限り自動的に延長をするということになっております。したがいまして、三十九年以降に実は三回政府間で改定交渉をやってまいりました。その後外交ルートあるいは日米あるいは日加閣僚会議経済合同委員会、そういう機会をとらえて私ども改定の強い意向を、ただいま大臣が言われましたように、アメリカカナダに対して申し込んでいるわけでございます。そういうことで、今後ともその改定の話は引き続きあらゆる機会をとらえまして、話を進めたいと思っております。
  11. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 農林大臣にその点の決意——そうしたいというのではなくて、これは日本が自発的にこうすると言えば幾らでもこれはできるわけですよ。農林大臣決意はどうなんですか。
  12. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 三国の取りきめでございまして、機会あるごとにそういう点にも話は触れておりますし、過日カナダ経済閣僚会議がございましたときにも、あれだけはやってくれ、賛成してくれなければ困る、こういうようなことを申し入れてございますので、これだけはわれわれも何とか早目にわが主張を通したい、こういうような考え方をもって、機会あるごとにその話を進めておるところでございます。
  13. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この日米加漁業協定というのは先ほどから言うようにずいぶん年月がたっておるわけですよ。この自発抑制地域についても調べていきますと、四十一年の会議米加から西経百七十五度以西で日本でとっているサケマスが、アメリカカナダの側で育ったものだという主張がなされて、制限区域をもっと広げるべきだということをいってきたといういきさつがあるわけですね。こうした点を考えてみますと、いろいろわが国サケマス漁業考えた場合に、最近は非常にとれなくなってきているわけです。非常に高いものをわれわれは買って食べておる。特に、北方問題等ソ連のいうあの十二海里の中に入れないためもあって、非常にその点は魚源が不足しているという点で、われわれは高いものを食べているわけです。ですから、私たちはこういったもので制限をされたためにサケマスがとれない。したがって高いものを食べなくちゃいけない。こういう一つ現状考えた場合に、当然この日米加漁業協定を再検討して、何も農林大臣が、カナダアメリカに対してこちらから話しをするのじゃなくて、自動延長という形でなければ当然日本の自主的な立場に立ってうちはやめたと言えばこれは簡単に通るわけなんですね。もしそれが国際法上拒否されたくないというならば、向こうからあらためて別な協定なりまた別な取りきめを——あれは三国間においてつくらなければできないわけですよ。ですから私が何回も言うように、あなたは向こうに言っているのだじゃなくて、日本にその決意があればそれはできるということですね。その決意があるかということを伺っているわけです。そうした点で、いま歴史的な背景を伺ったわけでありますけれども大臣見解をもう一回伺いたいわけです。
  14. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お気持ちを十分尊重しながらその交渉に十分なる考慮をもって当たる考えでございます。
  15. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 生産部長に聞きますが、日本の操業している漁業界においての実態ですね、そういう要望等あると思いますよ。ちょっとその点どんな声があるのか、何を要望しているのか、いま政府としてはそのことについて何を考えているのか、その点を伺いたいと思います。
  16. 三善信二

    三善説明員 御指摘のように、漁業界としてもそういう要望は前々からございます。したがいまして、私どもとしましても常にその要望を受けながら、先ほども申し上げましたように政府間で改定交渉をすでにやってきておるわけでございます。残念ながらまだ解決しておりません。ただ、この改定交渉をいたします場合に、過去において問題になりました点がいろいろございます。それは、私どもサケマス考えていきます場合に、その資源問題ということを一番前提として考えておるわけであります。その資源の問題をどういうふうに今後保存し、増殖し、あるいは規制していくかということは、やはり交渉の際にも基本的な考え方になっていくわけでございますが、そういう面で私ども西経百七十五度の線をなくして、もう少し資源的に共同で何かいい方法があるならそういうかっこうでこれを改定に、話し合いに持っていったらどうだろうかという要望をしております。  そういうことで、内容にわたっていろいろアメリカカナダとも考え方を披瀝しながらやっておりますけれども、何しろ相手もやはり事情がございますから、現在まで残念ながら解決しておりません。そういう交渉を今後とも全力を尽くして私どもやっていきたいと考えております。
  17. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 しつこいようですが、改定をいま考えておるわけですが、自動延長という立場から、いま三国間において新たな取りきめあるいは改定考えておるわけですか。
  18. 三善信二

    三善説明員 当然改定考えて申し上げているわけであります。
  19. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その考えておる期間がずいぶん長いように思うのです。私はそういう日本の外交折衝というものは非常にもどかしく思うわけです。常に突き上げがあってもなかなか腰を上げない。しかも当然国際法上何ら差しつかえないのに、いわば日本の外交の中にあっていつも私が思うことは、そのような自主性がない、また非常に消極的である。この点はいつも指摘しておる点でありますが、どうか農林大臣にあってはこの点も強く日本の国益のために強力な折衝を行なっていただきたい。さらにまた現在できるならばどんどん操業を許してもっともっとサケマスなどというものは安くわれわれの食ぜんに提供できるように、国民生活を守る立場からも考えていただきたい、このことを申し上げておきます。  さらに大臣に伺いたいのですが、この点に対する大臣の答弁と、また北洋漁業問題で聞きましたが、北方領土問題との関係があるわけです。現在北方領土が解決しないために、日ソ関係にあっては民間協定においてこちらが、たとえばコンブ操業だとかあるいはまた民間交渉による交渉をいま続行中であると思うわけです。その点について今後の見通し、どこまでも民間交渉をそのまま続けさせるのかあるいは国として何らかの形で領土問題をも考えながら漁業交渉を進めていくのか、その点について伺いたいと思います。
  20. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 領土問題になりますと、私のほうの範囲内ではございませんので、ここでお答えを申し上げるわけにはまいりませんが、安全操業という点につきますと、私のほうもこれに対しましては、いろいろな交渉を始めておりますので御承知でもありましょうが、本年に入りましてもソ連に駐在しておる大使もわざわざこちらへ呼びまして、その段取りをただいまつけておるところでございます。
  21. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それで、ことしもまたコンブ操業が行なわれていると思うのです。ああいうことは国際法上からいって一つの慣習となり、それが既成事実となって領土問題に対して、将来の領土問題を解決する上にあたって非常にマイナスになる、または、そういう既成事実が積み重なっていくと、領土の返還交渉に非常に影響がある、こう考えるのですが、その点どう思いますか。
  22. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 領土問題に関連をして現在のような漁業コンブ、たとえば定着性のものの採取についての交渉が行なわれている、それはまた別問題でございまして、領土問題が切り離して解決つきさえすれば、それとともに並行してその問題は解決がつくわけでございますから、その問題を切り離してこの問題の解決をするということは非常に困難なことにもなりますし、漁船を犠牲にするということもたいへんに不幸なことにもなりますので、その点は、お話はそうでもございましょうけれども、その中になかなかむずかしい面、複雑な面が備えられておることもぜひ御理解を賜わりたいと思うのでございまして、ごもっともなことなんですけれども、どうもそこまでのことが現在のわがほうにしてはちょっと困難性がございます。  しかしながら、コンブの問題につきましては、他の漁業問題は交渉が非常に困難でございましたけれども、そういうような点も十分加味されまして、コンブの採取につきましての交渉は、ほんとうにわずかの短時間において本年度も解決をつけておるところの事実もお認め願いたいと存ずるのでございます。
  23. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 現在、民間交渉による漁業協定といいますか、たとえばコンブをとるについて、一隻について一万円払うとかいうことがありますね。民間交渉によりそういうことが行なわれているのですが、国としては前に赤城試案であるとかあるいはいろんな試案がありましたね。その後政府としては何もやっていない、われわれはこう思うわけですよ。やったとすれば何をやったか、また考えておるとすれば何を考えておるか、その点を伺いたい。
  24. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 民間交渉といいましても、大国一国を相手にして民間でやり得るものではないのでございまして、一応表向きは民間交渉ではございますけれども、内面交渉というものはそれに備えて十分に整えてあるのでございまして、表向きはそうでありましても内容はその点は十分加味されていることを御了承賜わりたいと思います。
  25. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 大臣、私の質問に答えていないわけです。民間交渉は陰ながら応援している、それはよくわかりました。今後日本国としては、それに対して国対国との間におきまして、いわば日ソサケマス漁業について協定をやったわけですね。同じような形で北方領土付近に対する安全操業を確保するという面からも国として考えているかということです。その点について伺いたいわけです。前には赤城試案であるとかいろんな案があったわけです。しかしそれは領土問題との関係があって途中で挫折しているわけですね。また大臣もかわった関係で、その点が立ち消えになっているわけです。だからいまあなたが農林大臣になって、新たにそういった問題を考えたときに、あれじゃしようがない。じゃ国としてはこういうことを考えているのだ、今後はこうしたいということがあるかということなんです。
  26. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その点は交渉段階でございますから、表になかなか出すわけにはいかない面がございますけれども、私が就任して以来、もっぱら何といっても、たとえばこれは話が別でございますけれども、総合農政ということばを一つ唱えるにいたしましても、その中には漁業という面も十分にその中に加わっておりまして、日本漁業の実態というものが、現在いかなる地位に置かれておるかという、こういう点あわせまして、日本漁業をこのままでおくならばどういう結果になっていくか。衰微していくのをそのまま見のがすわけにはいきませんので、当然それらの問題は大きく、外務省を通じまして、本格的というほどにいろいろな交渉には当たっておるのでございますけれども、その内容について、残念ながらまだ交渉段階でございますので、御説明を詳細に申し上げるわけにはいきませんけれども、いまお説のような点については、十分に体制を整えて交渉に入っているのでございます。
  27. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 北洋漁業の拿捕事件について伺いたいと思うのですが、最近ではだいぶ少なくなってきておりますが、まだまだ六十数名の人たちが帰ってこない、これが現状ですね。こういう拿捕事件があるということは、ソ連において十二海里という一つの海里をきちっと守った中で、それを越えた者はつかまえている。しかし最近では国後島との間においては、ちょうど日本本土から六海里しかないわけですね。したがってその中間である三海里、これは話し合いができているとは思うのですが、あの本土寄りの三海里ぐらいのところでも拿捕されている事件が続いているわけです。したがってこういうことなんかから考えましても、地元の漁民は非常に恐怖におびえながらいわば操業しておる、これが現状だと聞いております印そういう点について、そのような中での安全操業について、具体策があれば伺いたいわけです。
  28. 三善信二

    三善説明員 北方の安全操業の問題につきましては、いま大臣から申し上げましたように、従来からずっと折衝を続けておりますし、今後とも一生懸命早く解決するように努力をしたいと思っております。  ただいま御指摘になりました拿捕事件の問題につきましては、これはやはりこの安全操業問題が本質的に解決しない限り、なかなかそう簡単にまいらないということもございます。やはり何と申しましても、本質的には安全操業の問題をできるだけ早く解決するということが一つの方向だと思います。もっともコンブ協定等、ああいうふうに話し合いが、民間でございますが、ついておるものについては、それはそれなりにスムーズに運営しておりますけれども、その他の拿捕事件の問題等については、基本的にはこの安全操業の問題が当然からんでおります。それをできるだけ早く解決するということがやはり先決問題であろうと考えております。
  29. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 さっきから何回も質問しているのですが、大臣もあなたも的をはずれているのです。私が聞きたいことは、具体的に聞いているのです。基本的な話は実によくわかっているのです。そんなことはちゃんと知っているのです。安全操業で大事なことは、国としてできる行政指導はどうするのかということですよ。たとえていうならば、領海を越えるとか越えないということについては巡視船が一隻いてそれを指導すれば解決する問題じゃないですか。さらにあの辺でいろんな海難問題があっても、そういう点をちゃんと整備すればそんな問題は解決する問題ですよ。私が言いたいことは、国でできる行政指導を強化すべきではないか。日本の漁民を守るという面からいっても、もっと積極的に前向きで安全操業については考えるべきじゃないかということだと思うのですよ。そういう点についてどうなんだと聞いているわけです。
  30. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 巡視船を一隻出して監視すればといっても、監視をしても違反のものは違反でございます。ですから、両者ともそういう点については、たとえば海域というものは三海里なら三海里というものが規定をされておるのですから、その点はやはり国際的なものは順守してもらわなければならないと思います。ですから、あなたのおっしゃる巡視船一隻おればとらわれないのじゃないかということはちょっとなんだと思いますので……。
  31. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 大臣、私が言うのは、あの辺は固まってやっているのですよ。それで四、五隻追われてくるわけです。みんな逃げるわけです。そのとき巡視船が一隻入れば当然守られるわけですから、そういう面で——私はこの目で見てきているわけです。ですから、もうちょっと巡視船をふやすなり国の行政指導なりまたは対外折衝の中で何とかやってもらえば、われわれもっと安心してできるのだということなんです。ですからそういう点を強化するかしないかということです。
  32. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 指導方針というものは、いろいろな点について海上保安庁とも十分連絡をとっておりますし、その指導方針はやっておりますが、なお指導方針、保護方針の強化、こういう点については、お説のような点がございましたならば十分その点には注意を与え、そうしてさらに強化をしてまいりたいと存じます。
  33. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 時間もありませんから、いろいろ聞きたいのですが、あと一、二問……。  過日のあの朝鮮沖におけるEC121偵察機の撃墜事件以来、日本海あるいはまたその周辺公海上において米軍の第七艦隊の分遣隊がいまでも遊よくしているわけです。御存じのように現在は漁期の最盛期でありまして、それらの艦艇がいるために日本海沿岸であるいは日本海の公海上で出漁をしておる日本漁船約三百隻くらいがことしは非常に大きな打撃を受けておるというふうに私は聞いております。向こうも公海上だから遊よくしてもいいのだけれども、しかし漁船といえども公海上で漁業をすることも自由であります。その点について、そういう中での操業における損害、これは国で責任は持てないでしょうけれども、それに対してどんな考えがあるのかという点についてまず簡単に伺いたいわけです。
  34. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 アメリカ及びソ連の両国の船が公海上において運航をいたしておる、これによって漁業者が非常に困難を来たしておる、これは公海でございますので、運航に対してとやかくわがほうとしては申し上げるわけにはまいりません。したがって、たとえば漁船において事故があったという場合は、事故のあり方によって初めてその後の補償というものは始まるわけでありますけれども、それに対する補償とか云々ということは前もって申し上げるわけにはいかないと思うのでございます。
  35. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 今回の米特別哨戒機の撃墜事件については、日本の外務省は無条件で、佐藤総理はじめ外務大臣も支持しているわけです。その理由は公海上の原則から、偵察も機動部隊の日本海進入もわれわれは何も言うことはできない、自由なんだということなんですね。それは農林大臣もよく御存じのことだと思うのです。しかしながら、われわれ日本人の漁業を営む漁業者の立場からいっても同じことが言えるわけです。公海上における操業も自由なわけです。したがって、日本の巡視艇が行って、軍艦が来たから逃げろとかあるいは操業をやめろ、こんな権限はないと思うわけです。その点についての考えをまず伺いたいと思います。
  36. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その点につきましては、日本漁業がたくさん行なわれるところでありますので、外務省を通じましてアメリカソ連には航行についても十分御注意を願いたいということを強く申し入れてあることを御了承賜わりたいと存じます。
  37. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 では最後に。  いままだ遊よく中でありますので、そういうような声も出ておりますから、さらに米国のほうに大臣のほうから申し入れていただきたい。このことをひとつ答弁願って私の質問を終わりたいと思うのです。
  38. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 必要あるとするならば、さらに申し入れを行ないたいと存じます。
  39. 藤田義光

  40. 受田新吉

    ○受田委員 政務次官、大臣にかわって副大臣として御答弁いただいてよろしゅうございますから……。  この農林省設置法の一部改正案につきまして、まず農林省の有名についてお尋ねしてみたいと思うのです。  農林省という省は大正十四年に農商務省が農林省と商工省に分離してスタートしたのではないかと思っています。ちょっと時期としてはずれているかもしれませんが。ところが農林という名称の中には水産、畜産というようなものが含まれることになってはおるけれども、水産関係者は、おれたちの省をつくってくれというぐらいの熱心な要望もあることでありますので、農林ということばの中に農業と林業だけを採択した印象を与える向きに対して、農林省はどういうお考えを持っているか。農林以外の産業についてはどう考えるか。また通商産業省というのが一つあるわけなんですが、これは四字あるわけで、各省通じてただ一つ長い名称の役所がある。この通商産業省の産業の中には農業というのが入ってないわけなんだが、農業というのは産業の一部であることもこれは御承知のとおりであります。そういうかねあいを含めて通商という特殊の任務、これは商工でよさそうなものが通商産業というような役所になっておる。これも私は異論がある。こういう省名は、名は体をあらわすものでありまするだけに、十分納得して国民に理解されなければいかぬ。長い間にこれがなれっこになって、その中身について検討しないままで、つい押しつけて農林省で片づけられるという懸念があるということを十分前提にして御答弁願いたいと思います。
  41. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 受田先生の御意見まことにごもっともではございますが、農林省と命名した経緯は必ずしも明らかではございませんけれども、今日、農林省が水産関係を所管をし、そのお世話をしているということは広く国民に行き渡っておりますので、私どもとしては、実はこの水産ということばを入れることについての必要性をあまり感じないで今日までにきておるわけでございます。先生の、水産もやっているのに農業と林業だけではおかしいじゃないかという御意見は、私もごもっともな御意見とは思いますけれども、まあひとつ名前の問題でございますので、特に水産については力を入れてやるつもりでございますが、現状今日、農林省が水産のめんどうを見ていることはほんとうによく徹底をしていると思いますので、現在のところは名前まで変える必要はないんじゃないか、かように考えております。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 農林水産省という名をつけてもいいわけです、通商産業省というのがあるのですから。通商ということばはインターナショナルトレードということばで代表しようとしているようであるが、そういうことばの使い方からいっても、通商産業省という名称と比較するならば、農林水産省ということばを用いてもいいわけなんです。ただ、長ったらしいから、私は二字にしなければならぬというのを通商産業省にも言うている。すかっともしやるのなら商工省にせよ、政府はそれを考えよ、そのほうが国民は理解しやすい。だから、そういう産業関係の役所の省名というのは国民に理解しやすいようにしなければならぬということで、各省を通じての名称の問題が起こってくるわけです。だから、農林省の場合は、農林という名称で水産をやるから御理解願いたいということであるから、検討をしてもらうことにしておいて、同時にもう一つ問題は、今度の法改正の中にあるところの、農林水産の本省に対して今度地方の出先機関のことです。  これは地方農政局を農林局に今度改められるわけです。そうすると、やっぱりここに問題が起こるのは、農林のほかに水産はどうなるかということです。水産はそれぞれの海区という制度があって、その海区制度なるものが、この地方農政局と従来一致しないところもある、瀬戸内海の海区というようなばく然としたものがある関係で、これは昭和三十八年ではなかったかと思うのですが、この水産関係をどうするかという問題は、実際はこの法改正の際に問題になってきた。ところが、農政局ということであって水産を含まないというはっきりした線が出たのですけれども、いずれこれは検討するという課題を残したままで、当時問題を残してある。しかし、今日の時点から見ると、林を入れて林務部というのがこの中に入ってくるということになると、営林局の地方の一部が入ってくるということになると、水産という問題を同時に付加しなければならぬと思うのです。三十八年当時懸案として残された水産関係をどう扱おうとされているのか、水産行政の地方における問題処理をどう扱われようとするのか、御答弁を願いたい。
  43. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 漁業問題につきましては、漁業の調整あるいは水産行政の区域等が、先ほど先生もおっしゃいましたように、今度予定をいたします地方農林局、あるいはまた従来の農政局の行政の区画区域の分割に分けていきますことにいろいろやっぱり問題が出てまいりますので、確かに検討はいたしておるわけでございますが、しかも、非常に国際的な問題も強く出てくる行政でもございますので、なおひとつ今後の課題として慎重に検討しようというので、今回は見送っておるわけでございまして、十分私どもも今後検討をしてまいりたい、かように考えます。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 これは副大臣の御答弁で私納得できない点が一つあるわけなんです。それは地方農政局が誕生をして、いま私が指摘したとおり、三十八年の五月でありますから、ちょうど満六歳、就学の年齢に達したわけなんです。そこで、人間関係もだいぶ円熟して、地方自治体すなわち地方公共団体の折衝等もなれなれしく手腕を発揮する段階にきておると思います。しかし、この機会に、いまのような漁業関係の特別の使命はありましても、その漁業調整の事務局関係を地方農林局で一括して、そこで農林行政の二重行政的な複雑さがあるというような批判も十分こなしながら、農林、水産を一括した地方出先機関の行政体系を樹立すべきじゃないか。昭和三十八年当時、この問題を十分検討せよという課題を残されておる問題でありますだけに、農林省としては、せっかく農政を農林にお変えになって林を入れられたこの機会に水産をあわせもっと積極的に検討されてよいはずである。水産がいかにもまま子扱いにされた印象を受けることを免れないと思うのです。農林、水産という大きな柱を持つ農林省といたしまして、水産を片手落ちにしておる懸念を私この機会にあらためて指摘しなければならぬと思いますので、これは小沢先生でなくてけっこう、事務当局は、これを三十八年当時と今日を比較して、三十八年当時に水産関係をあわせ検討するという公約をこの委員会でも発言しておられるのがどう扱われたか、歴史的ゆえんに基づくところの質問をいたします。
  45. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 三十八年に地方農政局が出発いたしましたときに、漁業の問題と地方農政局の関係を再検討するということを申し上げたわけで、自来私ども再検討を続けてまいりまして、特に今回地方農林局にいたしますときに、水産問題をどうするかということをもう一度真剣に検討いたしたわけであります。ただ水産関係は、御承知のように一つは海洋漁業の問題がございます。それは当然地方農林局あるいは農政局の仕事になじまないわけでございますが、沿岸漁業関係につきましても、水産行政の区域を地方農林局における区域と同じように分割して行政することの可否について、私ども積極的にイエスというふうな決断がまだつきかねるわけでございます。したがいまして、今後における沿岸漁業の行政の推移を見ながら、さらに検討を続けてまいりたい。この問題、私ども地方農林局で水産行政と取り組まないということでは決してございませんで、今後においてもこの問題は十分引き続いて検討いたしたいという気持ちでおるわけでございます。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 検討の期間が長過ぎると思うの下す。六年間検討されたわけなんです。そして、号の区域の調整は農林局が二つにまたがってもいいじゃないですか。そういう調整、事務局の任務というものは二つの農林局にまたがってもいいわけなんです。  この法改正につきましていろいろ意見が出ている中にもう一つ大事な問題は、都道府県の責任者たちが地方農政局、今度改められて農林局にお伺いをしても、補助金等の配分についての大半は決定権を地方がお持ちになるといたしましても、念のために本省へ行くという二重の行動をされるわけです。二重の行動をしなくても済む、地方農政局、今度改められた農林局が偉大な権能を持って、そして偉大な人材が地方公共団体の責任者たちにすかっと安心感を与えるような形で、事実上二重行政は解消するというのであるならば、私たちはこれに一応うなづくことでしょう。ところが現実には、念のために本省へ行かないと補助金の交付等にも差しつかえるぞという二重の行動をしなければならぬという現状をどう判断され、これにどう対処されようとするか、御所信を表明願いたい。
  47. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども、地方農政局をつくりましたときに、補助金その他の権限を相当地方農政局におろしてあるわけでございます。したがいまして、現在農村にとっては相当大きな事業であります農業構造改善事業のごときはほとんど本省に出してこないで、地方農政局限りで処置しておるわけでございます。ただ、相当重要な問題につきましては、念のため本省でないとなかなかきまらないということもございましょうし、また、県の方によっては、東京へ来るついでに本省に寄るということもございますから、完全に地方農政局限りでも、本省に県の人が絶対来ないようにしろというわけにはまいりませんが、いわゆる二重行政で、とにかく地方農政局だけでは片がつかないということをできるだけなくすように、私ども努力いたしておるわけでございます。これは、特に形式的に補助金の配付を地方農政局におろすということではいけませんわけで、事実上の指導につきましても、とにかく地方農政局を私どもとしても盛り立てて、地方農政局単位で大部分のことは処理できるようにいたすつもりでございます。これは本省全体としてそのつもりでございます。
  48. 受田新吉

    ○受田委員 農林省で、研究部門等につきましては本省で握らなければならぬような部門がたくさんあるわけです。また、各地方の農林局、今度、新しい立場の農林局で単独で決定をするのにはたいへんむずかしいような問題、たとえばこういう事業は東北に力を入れるか、あるいは関西に力を入れるかというような一つの問題の事業が起こってくる。そうすると、地方農政局の権限ではあるが、国全体から見たら、東北かあるいは中部か、あるいは中国、四国か、九州か、どこに力を入れるか、本省でなければ結論が出ぬと思う。そういう問題になると、地方農政局では片づかぬ、やはり本省で答えを出してもらわなければならぬということになってくる。そういう扱い方からいえば、明らかに二重行政というものがここに起こってくる。地方農政局では片づかぬ、所管事項であるが片づかぬという問題がありはしないか。
  49. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 御指摘のように、地方農政局だけでは片づかない問題がございます。ただ、いま御指摘になりました、東北では何が問題か、中国で何が問題かという場合でも、私どもは東京でそのことを議論する以外に、現在の段階では、とにかくそれぞれの地域の地方農政局長が二月に一回か三月に一回、少なくとも局長会議をやっておりますから、それぞれの地帯において現在一体何が問題であり、何をやるべきかということを相当念入りに討論いたしておるわけでございます。そういう点は、御指摘のように確かに地方農政局だけで処理しかねる問題はありますけれども、たいていのことは地方農政局で処理できるような、そういう体制にいたしたいというように考えております。
  50. 受田新吉

    ○受田委員 私、そういうことで問題が残される、懸念される法改正がここに出されておると思うのです。したがって、この運用については非常に心してやられないと、いま私が指摘しましたような弊害が発生する危険がある。最終的には農林省でなければ片づかぬじゃないかという問題が起こってくる。そうしてくれるなら、むしろ都道府県知事に権限を委譲したほうがいいじゃないか。大幅に権限を委譲してくれ、地方出先機関に権限を委譲するのでなくて、都道府県に委譲してくれ、こういう問題が出てくる。こういう問題をあわせて御検討になったかどうか、法改正案を作成される際に、権限委譲は地方農林局でなくて、都道府県に大幅に委譲する部門がないかを検討されたかどうか、お答え願いたい。
  51. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども農林省の行政機構を考えます場合に、当然地方からは行政権限を地方に委譲してくれという意見も出ておるわけでございますから、当然私ども検討いたしました。たとえば、統計調査関係の仕事を地方に委譲したらどうかという意見はあるわけでございますから、それについても慎重に検討いたしました結果が、現在御提案申し上げておるようなことであります。地方に委譲すればすぐ事態がよくなるというものは、遺憾ながら大きな項目ではないというふうに考えておるわけでございます。
  52. 受田新吉

    ○受田委員 質問は要約します。  この法改正案に直接触れていま質問を続けているわけですが、さらに、熱帯農業研究センター、これは非常にいい構想であると思います。アジアの農業先進国として、特に東南アジア等にも希望を与える、この道の先輩の国としての責任を果たす上において、熱帯関係の研究をされようとする態度はよろしい。ただ、このセンターそのものを、これは東京都に置くと書いてある。東京都に置いたって、これはしようがないわけです。実際そういう研究の実施、たとえば温室、保温装置をやらなければ熱帯植物というのは成り立たぬわけです。そういうものを東京の土地の狭いところにたくさんのスペースをとるわけにいかない。農林省はそれに対して筑波山の学園研究部門にひっつけて考えようとかいう御意見もあるようでございますが、私は、あわせてその具体的な実績をあげるための場所的な構想と、同時に沖繩——南西だけでなくて、小笠原諸島、これはわが国に返還されたんだ。この小笠原諸島が熱帯植物を十分植樹することができる地域になっている。東京都の中にも入っておるわけでございますから、身近なところで沖繩と同時に、東京に近いところにもひとつセンターの機関をあわせ置く必要はないかと思います。御答弁いただきたい。
  53. 横尾正之

    ○横尾政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、熱帯または亜熱帯地域に属します東南アジア等の食糧問題、農業問題の解決の一助にするということで、技術研究を中心に進めますわけでございますが、その進め方といたしましては、これまた申し上げるまでもないかと思いますけれども、既存の国内の試験研究機関の蓄積をできるだけ効果的に使うということが一つのポイントでございまして、そういたしますと、御承知のごとく活用されるべき蓄積を持っておる機関は、東京及びその周辺に所在をいたしますので、それとの連絡等を考えますと、東京に所在させるということが、最も現実的かつ効果的であるという観点を中心にいたしまして、東京都に本所を置く、こういう形にいたしておるのでございます。  さらにつけ加えますならば、一部大学等に委託研究をいたすということも、研究を効果的に進めてまいります関係上必要でございますが、そういったことからいたしましても、本所を東京都に置きますことが非常に便利である。さらに情報収集等につきましても、その利便を考えますと、東京都に置くことが現実的である等々の理由で、東京都に本所を置く、こういうことにいたしておるのでございますが、これまた先生の御指摘にもございますけれども、現地におきます研究、これはやはり必要でございます。したがいまして頭脳センターといたしまして東京都に本所を置きますが、現地、つまり東南アジア等の諸国に在外研究員を派遣いたしまして、そこで現地におきます研究機関の関係研究者と共同研究というような形を通じまして、現地研究できるようにする。一方、さらにつけ加えますならば、東京都におきましても可能である熱帯農業研究の分野がございます。具体的に申し上げますと、作物の成分分析でございますとか、あるいは病害虫の分類等でございます。これは現実的気象条件を必要といたしません。したがいまして、こういった分野につきましては、現地研究と対応いたしつつ、東京都でやることで足りますし、その使命を達成し得るというふうに考えておるのでございます。  ただ、さらにつけ加えて申し上げますならば、先生からも御指摘もございましたけれども、沖繩に支所を設けたいということで考えております。  これはどういう意味かという点、その目的を端的に申し上げますると、熱帯農業研究、さらに正確に申しますならば熱帯及び亜熱帯農業研究の一環といたしまして、たとえば熱帯から亜熱帯に作物を導入をいたしましてそれを馴化させて定着をさせるという仕事は重要でございます。そういった仕事は、熱帯から亜熱帯に植物を移すということはございますので、沖繩のような条件、さらに正確に申しますならば、亜熱帯の平均気温もしくはそれより若干、でき得べくんば高い程度のそういう気象条件等を備えたところに支所を置く、そうして圃場を持ってそれを進めるというようなことが必要でございますので、そのことがひきまして副次的には沖繩の農業にも資するというような観点で沖繩に支所を置く、こういうふうに考えております。ただいまの研究計画からいたしますと、それをもちまして私どもも目的といたします趣旨を相当程度果たし得るということでございますので、当面そういうことで出発をさせたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  54. 受田新吉

    ○受田委員 私が提案したいま一つの支所を小笠原諸島に置く提案についてはどうです。
  55. 横尾正之

    ○横尾政府委員 小笠原の気象条件は、具体的に申しますと、年平均気温が大体二十二・六程度で、亜熱帯の平均気温は大体二十三・一度程度でございますから、若干低いわけでございます。しかし、それはそれとして、その面から申しまするならば、先ほど申しましたような、研究に即応し得る一応の条件はあるかと思います。ただ、支所を設けて研究をいたす、しかもこの設置法が通過いたしますならば十月一日から発足をさせたいというようなことを考えますと、研究環境、生活環境、東京の本所との連絡その他のこともあわせ考えなければなりませんし、先ほども申し上げましたが、現地に相当の圃場を持つ必要がございます。そういうような研究環境、研究条件等々を総合的に勘案いたしますと沖繩がより適切である、しかも支所を一つ置けば、先ほども申し上げましたけれども、これによって目的を十分に達成し得るのではないかというふうに考えて、沖繩に支所を置くという判断をして、設置法の内容になっておるわけでございます。
  56. 受田新吉

    ○受田委員 私は、この亜熱帯地域としての小笠原の価値は相当高く評価すべきだと思うのです。そうして政策的な見地から見ても、小笠原が祖国に復帰した、そうして新しい東京都の一部としていま夜明けを迎えたんだ、こういうときに、せっかくこういう政府機関ができるとならば、熱帯植物の研究センターということであるならば、これはいまの一つだけということでなくして、少々の経費ぐらいのことはもう問題じゃない、小笠原へひとつこうした機関を設けてあげるという愛情があっていいんじゃないか。これは小沢大臣としてひとつ答弁を願いたい。
  57. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 事務局長から話しましたように、いろいろな問題点はあろうかと思いますが、先生の御意見も私も政治家として十分わかりますので、大臣とも御相談をいたしまして検討させていただきたいと思います。きょうここでつくるつくらぬのお答えはちょっとできませんが、検討さしていただきたいと思います。
  58. 受田新吉

    ○受田委員 さらに次の問題として、農業者大学校が今度またここで出てきたわけです。私は、去年この問題を指摘しまして政府側の御答弁が得られなかった現実がよみがえってくるわけなんです。  農業者大学校、この制度というものがいかにも各省の、最近雨後のタケノコのごとくつくられる大学校という名称にとらわれた、魅力ある名称だという、それにとらわれ過ぎた印象を免れない。農業者の大学校を卒業したんだということで、そこで研修する人が希望多き将来を持つかどうか。事実大学校という名称をつくるならば、学校教育法に規定する四年制の大学というものと同じ基準にすべきことは、水産大学校が四年制であるから、それと同じような基準であるなら私はうなずける。そういう意味でない三年制の農業者大学校というようなものは、いかにも大学という名称にとらわれた——まあ、大学校であるから学校教育法に規定されてないから農林省でこういうものをつくってもいいんだというような付属機関をおつくりになるということになるのですけれども、ちょっと便乗主義のような印象を受けるので、この名称にとらわれ過ぎる懸念があると判断をすることに対する御見解をひとつ。  それからもう一つは、昨年この大学校がお流れになった、そこでやむを得ずこれに準ずる研修機関を用意して、人的資源もすでに配備して、事実上農業者大学校がスタートをしたと同じようなことにこれをお進めになられたという、これに対する御弁解を御答弁として要求いたします。
  59. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 大学校という名前にこだわったかもしれませんけれども、農業の後継者の研修という重要な点を考えますと、むしろ御了解をぜひいただきまして、農村の優秀な青年が進んでここで研修を受け得るように、やはり国民もそういう期待を持っておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。  なお、事実上開校したようなことについては一体どういう理由かというお尋ねでございますが、優秀な、入りたいという青年がだいぶ自宅待機というようなかっこうでございましたので、とりあえず組織改正を要しない形で出発をさしていただくようにいたしましたわけでございますので、これもたいへん恐縮ではございますが、予算措置でやりましたことをあわせて御了解をいただきたいと思います。
  60. 受田新吉

    ○受田委員 これは法律が公布されない前にすでにおぜん立てができて、そうしてその法律ができなかったら法律に準じたような形で適当な便宜措置をとる、こういう悪弊が総定員法のときにも出ておるし、また今度も出ておる。これでは国会の意思というものが全然無視されて、行政措置ですべて片づけるという、そうして最後は法律で国会が追い詰められるというようなかっこうになってくるというような懸念が起こるのです。これは国権の最高機関である国会を軽視、いや無視することもはなはだしいものだと私は思うのです。法律ができてからお仕事を始められるべきである。去年いけなければことしはできるというめどをおつけになって、ことしおぜん立てができるような準備にされるべきである。法律が通らなかったら裏工作をさっそくやろうというようなずるい行政機関として、農林省がそのそしりをお受けになるということについて副大臣御答弁を願いたいです。
  61. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 実は法律が通らないから裏を、あるいはまた来年の促進のためにという気持ちは毛頭ございませんで、昨年法律の御審議を願っておったものでございますから、したがってその準備というような意味でやっておりました。不幸にして成立をいたしません事情よくわかっておったわけでございますけれども、そうした準備が整っておりまして、またそのために春の試験選考等も、やはり準備としてはやっておかなければならぬ事情もございましたので、そういたしますと結果的に、非常に熱望する優秀な農村の後継者の青年諸君が待望いたしておりましたものですから、ついやらしていただいたわけでございます。御了解をぜひひとついただきたいと思います。確かに先生の御指摘のような、結果的に国会の御意思を何かたいへん尊重しなかったような事態になりましたことは心からおわびを申し上げます。
  62. 受田新吉

    ○受田委員 これは農村の将来を背負う若人たちにとっても、法律を無視したかっこうの大学校に準じたようなところに行くのだという形ではさびしいことだと思うのです。やはり晴れて入学できる学校という形で堂々と門をくぐる、こういう形でなければ、青年に対しても何かそれで法を免れたような形である機関に学んだという釈然とせぬものを与えておると私は思う。将来を背負う農村青年たちに、別に大学という名称がなければおれは希望を失うのだというようなそういう量見の狭い青年はおらぬと思う。やはり農林省が計画され、そういう研修機関には進んで参加して——それも農林省の職員じゃない、部外者の農村の青年が行くので、農業者の幹部が行くのでございますから、できるだけ広くの地域にわたって多くの人を練成して、教育してあげるという愛情があってしかるべきだと私は思うのですがね。その運営についても十分今後私は注文がある。運営について時間をとる余裕がありません。今後適宜説明していただいて、都合によればわれわれが視察してどういうことをやっておられるか、大学校らしいか、農林省にある水産大学校との間でいいかげんな人選を——役人御自身が就業年限も知らぬようなとぼけたような農林省でないように実態を十分把握して、賢明なお役人によってこの問題が運営されるように、抜けたところがないように、しっかりと頭のよさをこういうところで示すような高級官僚でなければ、とぼけた、抜けた高級官僚では国民が信用できぬですから、特にこれは注意しておきます。これは代表して官房長から私の注意をどう受け取るか。とぼけた者がおらぬようにどういうように掌握されるのか、御答弁願いたい。
  63. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 まことにおっしゃるとおりで、全国から集まった一年、五十人の生徒は選考委員の先生方の言によりますと、男もほれぼれするような学生だそうでございます。私ども全力をあげてその育成につとめたいと考えております。
  64. 受田新吉

    ○受田委員 最後に、これは法律に直接関係がありません。しかし、大事な問題でありますからお尋ねさしていただきます。  いま農村は荒廃し、都市は繁栄するという農村過疎の時代がますます進行している。そして農地は過去十年間に二割、これが変転を繰り返しておる。そして都市周辺の農地は住宅、工場等に転用をされて、農地の実態というものは、都市計画法、今度の新都市計画法、いろいろありますし、それらをあわせてみても非常な都市化への形態に切りかわりつつある。こういうときに農地が減少するという嘆かわしい姿を農業国日本はいま現実の問題としてかかえている。ただ、東北とか北陸等では新しい水田が開拓され、四国とか九州とか、私の郷里の中国なども山地を開拓して、かんきつ園をたくさんつくっております。そういう地域では新しい農園ができておる。農地の造成をやっておるところがある。同時に農地を荒廃させ、あるいは転用さしておるという都市及び都市周辺がある。これに対していま新しい法律の準備もされておるわけでございますが、そういう調整関係の、整備関係の法律ができ上がることを待つまでもなく、たとえば神奈川県などで起こっている都市計画の中にある地域と都市計画の中をはずれた調整地域との関係等も考慮して、農地が個人の利益追求のためにたとえば工場とか、あるいは特別の不動産業者の意図する方向へ悪用されないような十分の指導運営を農林省としては用意されておると思う。この点について今後の農地のあり方についてどういう構想を持っておられるか、お伺いを申し上げたい。  同時に、時間の関係で引き続き関係局長から御答弁願っていいと思うのですが、かんきつ造園につきましてはこれは園芸局が蚕糸園芸局と一本になったいきさつも私よく承知しておりまして、たいへん御苦労が多いと思いますが、そうした園芸行政の中でかんきつがどんどんでき過ぎてかんきつの価が下がってきた。これが今後非常に暗い見通しになるのではないかという不安がある。こういうことはかんきつの輸出貿易政策をとるとか、あるいは夏でもなまのかんきつが食べられるようなおそまきのかんきつをつくる指導をするとか、いろいろかんきつ行政も考えておられると思います。これもあわせて御答弁願いたいし、また水田をどんどんつくることを奨励されたけれども、米価問題とのかね合わせから、安心して水田をつくり、そこで米を生産しようとする人々に対して、米価問題の将来の不安等からまたこれを元へ逆戻りさせるような懸念はないか、それらをあわせて農地を中心に農林省の政策をお答え願いたい。副大臣からまず御答弁、次は関係局長から御答弁をいただきたい。
  65. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 優良農地を確保することは私ども農業振興の基本だと思います。したがって、農業振興地域の整備に関する法律の施行を先生方の御協賛を得ました場合には、市街化調整区域内で農業を振興すべき地域をはっきり指定をいたしてまいりまして、農業を振興すべき地域に関する優良農地の確保については万遺憾なきを期してまいりたい、かような基本方針を持っておるわけでございます。  二点、三点につきましては関係局長から御答弁をさせていただきます。
  66. 小暮光美

    ○小暮政府委員 かんきつの問題につきましては御指摘のような問題が次第に明確になってまいっておりますので、かねて四十二年の三月に農林省が発表いたしました果樹農業振興基本方針の中に明示してございますようなテンポでの果樹の植栽を行なうように、一部にはそれ以上のテンポで植栽しているところもございますし、あの方針をこの際再確認して今後の計画に具体的な指針を与えたい。各関係県がそれぞれ県ごとに国の基本方針を頭に置いた県内の植栽の見通しをつくらしております。これらに即して植栽のテンポを需要の増大の方向へ合わせることが基本だと考えております。なお、そのほかにすでに植わりましたもの、その中には非常に樹齢の古い生産性の落ちてきているものもございます。そういう老朽したものを改植するという問題、さらにまだ老朽しておりませんけれども品質が最近の国民の嗜好に合わないというようなものにつきましては嗜好に合ったものに、また高過ぎるという声を体して、短期間に品質向上をさせる、そういった問題につきましても今後関係生産団体と十分協議しながら指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 中野和仁

    ○中野政府委員 先生のお話の第一点の都市近郊の農地の問題でございますが、その事情につきましては先ほど先生からお話がありましたとおりだと考えております。そこで、農林省といたしましても、都市構造の特殊性を生かしながらやっていかなければならない問題が多々あるわけでございます。そのためにはやはり相当長期にわたって農地として維持されなければならないと思います。そこで、今度都市計画法が近く施行になりますけれども、その際には市街化区域と調整区域と分けるわけであります。市街化区域は今後十年間に都市化するところでございます。調整区域はその間は市街化を抑制されるということになっておりますので、われわれとしましてはこの基本方針に沿いまして優良な集団的な農地、あるいは土地改良事業を実施しているような地帯につきましては、これを原則として市街化地域には入れないということで対処したいということで建設省とも大体打ち合わせが済みまして、今後具体的な地域区分ができてくるわけであります。その際は建設大臣農林大臣とが最終的に相談をして線を引くということになっておりますので、そういう線に沿いまして都市近郊農業の振興の面にも意を用いたいと考えております。  それから第二点の米作地帯等の開田の問題でございます。これにつきましては、本年あるいは昨年からの米の需給事情の緩和によりまして、このまま水田造成がむやみに進むということは、今後の米の需給状況から見ましても問題があるというようなことから、現にわれわれのほうで補助を出し、あるいは国営でやっております開田面積は今後の予定だけでも十万ヘクタールをこえているわけでございます。この中には、ものによりましては、そういう米の事情でございますからあるいは畑にかえたほうがいい、田畑転換をやったほうがいいというところもございますが、地区ごとに状況を見まして二割あるいは三割をそういう方向に転換する、あるいはやめるという措置をとることにいたしまして、地元といま相談をおおむね終わっておる段階でございますので、新しく開田をするということは押えますけれども、途中のものにつきましては、いま私が申し上げましたような方向で大体地元との調整もつけて、そういう不安のないような方向でやっておるわけでございます。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 たたみかけた質問はしません。そういう熱心な対策をしてもらうことで一応私はそれをおきますが、もう一つだけどうしてもお尋ねしておかなければならぬ問題がある。別な問題です。  植物検疫制度及び劇物毒物の扱いについて昨年も私この委員会指摘した問題があります。御存じのとおりです。その後も依然として危険が感ぜられるような問題が残されておるのでございますが、ごく簡単でよろしゅうございますから、劇物、毒物に対する対策、その後における当局の、関係者の危険感を払拭する扱い方を御答弁を願いたい。  それからもう一つ、農林水産の中の水産、一つだけ。領海十二海里説というものの扱い方。さっき伊藤さんからも質問された北方漁業関係の基本にもなる問題であったわけでございますが、十二海里説、国際海洋法会議の結論というものが、日本の扱いによって一票の差でこれが実を結んでいなかったという九年前の歴史もあるわけなんですから、それをもって日韓条約等で十二海里説というものを一応わがほうでも条約の中に織り込んでいるこの段階で、十二海里説なるものはいかように扱っていこうとするのか、水産関係の大事な原則でございますからこれを御答弁願いたい。  法律と直接関係のない最後の二つの問題の御答弁をいただけば、あとに質問者がお待ちのようでございますから、私は質問を終わります。
  69. 池田俊也

    池田政府委員 先生おっしゃいましたのは残留毒性の問題かと思うわけでございますが、残留毒性につきましては非常に問題が多うございますので、私どもといたしましては、なまで食べるようなものにつきましては特に注意する必要があるということで、実は厚生省と御相談いたしまして残留毒性の基準を厚生省できめていただく。それに応じまして私どものほうでそれにうまく合うような形で農薬を使用するということで、農薬の使用基準というものをきめまして、これはもうすでに実施をいたしておるわけでございます。  それからさらに、今後新しくいろいろ農薬が出てまいりますので、そういうものにつきましても従来よりさらに綿密に検討する必要がございますから、私どもは相当長期にわたりまして残留毒性の試験をやりまして、それに合格したものを登録をする、こういうような制度に実は踏み切っておるわけでございます。まだ完全とは申し上げられませんが、そういうような方向で逐次充実してまいりたいと考えておるわけでございます。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 去年提案したホストキシン。
  71. 安尾俊

    ○安尾説明員 先生御指摘のホストキシソの取り扱いでございますが、これにつきましては、殺虫力につきましてはやや問題がございますが、そのホストキシンのいい点を生かせる分野がありますので、そういう面で検討いたしておるわけでありまして、なおその面につきましては、今後実際使用する場合の被害防止の問題あるいは使用するときの施設の問題と、こういう問題をやはり十分区分をきめませんとあぶのうございますので、目下その問題につきまして鋭意検討いたしております。
  72. 三善信二

    三善説明員 ただいまの問題でございますが、十二海里の問題は二つございまして、領海とそれから漁業水域、いま先生言われたのは漁業水域の関係であろうと思います。現在われわれが主張しておりますのは、領海付近というのは三海里だ、これが国際法上確立された唯一の原則であるということを日本主張いたしてまいっております。そこで、この領海ないし漁業水域を広げますことにつきましては、現在までわれわれが主張してきました原則からは多少離れることになりますけれども、御承知のように最近のいろいろな事情、たとえば外国漁船の日本近海への進出、あるいは日本の漁船が海外の十二海里内に相当進出しておりますので、そういったいろいろな利害得失と申しますか、そういうのを考慮しながら私どもとしても今後真剣に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 これで終わります。
  74. 藤田義光

  75. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 私は、すでに並びにいずれ後刻同僚議員から当面の、今回の農林省設置法の改正法律案の内容についての質疑はなされることと存じますので、本法案に関連いたしまして、かねて政府の格段の御配慮をわずらわして二十数年かかってようやく去る三月二十一日に完成式の行なわれた印旛沼の干拓その他総合的整備計画の今後の問題についてお伺いをしてみたいと思います。  先般竣工式はなされたわけでありますが、なお若干の残工事等もあり、かたがた単に干拓のみならず土地改良その他水資源の確保等について、昭和三十八年から水資源公団をしてこの工事を施行せしめ、二百億に余る多額の金をもってようやく一応竣工した次第でございますが、千葉県の現に置かれている状況、ことに新東京国際空港のやがての建設あるいは北総ニュータウンの問題等、水の問題に関連をいたしまして農業用水、工業用水、上水等、今後非常に水の需要が激増する状況にありますときに、印旛沼を今後そういう角度からもどういうように総合的な整備をされるか、政府においても寄り寄り検討中と伺っておりますので、印旛沼の今後の総合的な利用の考え方について大和田官房長、政府で何か御研究の筋があればお伺いしておきます。
  76. 中野和仁

    ○中野政府委員 印旛沼周辺の総合開発事業につきましては、伊能先生御存じのように、私も実は竣工式に参りました。あの段階では事業として完了したわけでございますが、御指摘のように印旛沼の周辺に限りませず、利根川水系全体について、特に農業はもちろんのことでございますが、上水道、工業用水の需要は非常に強うございます。したがいまして、いつまでもあのままでは済まないのではないか。それに対応しましていろいろ地元の方あるいは学者の方にもあそこを再開発するような構想がございます。われわれもその辺これから勉強しなければならないというふうに考えておるわけでございます。特に具体的には、印旛沼をもう少し深く掘りまして、そして堤防を築いて貯水量をふやして、それを上工水に使うというような御構想のようでございます。これにつきましては利根川からどこに水を引っぱってくるか、いろいろな問題が技術的にもありましょうし、そういう構想が順次発展する中で農林省としても対応して検討を進めていきたいというふうに考えております。
  77. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま農地局長から、地域の農民また住民にとって非常にありがたいお考えで、検討中であるということでございますが、実は、もう十年近くなりますが、かつての印旛沼は、印旛沼周辺の洪水に対応して、印旛沼内の水を利根川へ放出するということだけを目標に水門ができたわけです。十年ほど前に農林省、建設省の格段の御配慮で現在の水門は上下式で排水、流水両方の機能を持つようになり、かたがたきわめて大規模な排水機場も設置をしていただいたわけですが、御指摘のように最近の千葉県の状況は上水、工業用水、農業用水等非常にこれから逼迫の状況、現に非常な水の不足を訴えておる状況で、経済企画庁の総合開発局のほうにおかれては昭和五十年度を目標に水の需給関係をどういうように算定しておられるか、その辺をまずお伺いしてみたいと思います。
  78. 松村賢吉

    ○松村説明員 経済企画庁といたしましては水資源開発を担当しておるわけでございますが、利根川水系の水資源開発基本計画、これが実は現在昭和四十五年度を目標として計画が進行中でございます。ところが御承知のようにいま千葉県地区と東京地区の水の需要が非常にふえておる。したがいまして、四十五年度の需要を、さらに延ばしまして五十年ないし五十五年、これはどちらになるかは現在検討中でございますが、こういうようなことで現在各県並びに担当の各省、こういうところからどういう水需要になるかということの報告をいただきまして、これをもとにいたしまして、また水源をどうするかというようなことも担当の各省等と協議をいたしまして、現在いろいろ検討しておる段階でございます。まだこの数字を幾らにするかという結論は出ておりませんが、これを早急に、四十五年度の計画のできます以前にこの需要想定をいたしまして、水資源開発の万全を期したいというふうに考えます。
  79. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 昭和五十年度における関東、ことに東京、茨城、千葉、神奈川等における利根川水系から取ろうとする水の需要等については、大体経済企画庁で調査が一応できておるように伺っておるのですが、その辺はどうですか。
  80. 松村賢吉

    ○松村説明員 これは企画庁自体と申しますか、各県並びに関係の農林省あるいは通産省、厚生省、こういうところからいろいろその実情を聞いておる段階でございますが、最終の数字と申しますか、そこが詰まるところまではまだいっておりません。
  81. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 現在まだ明確でないということであればやむを得ないわけですが、さいぜん農地局長からお話のあった点について実は私ども心配しておりますのは、現在の印旛沼は、御承知のように水深二メーター程度で、きわめて浅いわけでございます。しかし将来のことを考えますと、御指摘のようにあの中を掘って十分な水を貯水するということで、利根川の豊水期における水を大いに印旛沼に貯水をして、さらにそれを、地域周辺はもちろん、遠くは木更津、富津等の新しい京葉工業地帯の水需要に充てようという計画がいろいろ県当局においても検討をされておるわけでございますが、当面印旛沼の掘さくについて心配のところは、御承知のように今回の印旛沼の総合開発計画によりまして干拓された約千町歩近いものは、印旛沼の現在の堤防よりははるかに低い状況にあって、若干の雨が降りますと周辺の水田は湿田になるというような状況でございますから、われわれとしては、せっかくああして農林省にりっぱな千ヘクタール近い干拓をしていただいたので、それを他の地域の水田並みに高くしてやる。そのためには印旛沼の中を掘って、その土でまわりを高くしてやるということが一番適当だと思いますが、御承知のように印旛沼は何千年前からある沼で、現在のまわりの堤防の下は、陸地のほうと印旛沼の水とが相互に流れておる傾向にあるところがかなり多いと思います。したがってあれを掘る場合においても、いたずらに掘って土を高くするということであると、御承知のように水のバランスで、掘ればまた印旛沼へ土が中からふき上がってくる、こういうようなところも少なくないので、その辺については、きょうは水資源公団の方には来ていただかなかったのですが、水資源公団であれだけの工事をやって、中がどういうような地質状態また水質状態になっておるかということを十分検討していただいた上で掘ってもらう。できれば七、八メーターに掘っていただくと、おそらく一億トンぐらいの水がたまるのではないか。  一方、せっかくつくっていただいた印旛沼から幕張に至る疎水路、あの疎水路を利用して、千葉県としては幕張地先へ大きな貯水池を掘って、これはもう海ですから、その土でまわりの埋め立てをすることによって工業用地あるいは住宅用地が現在のように造成できるというようなことも考えておるわけでございますが、今日までの工事で印旛沼の中で干拓をした状況と、今後いま御指摘のように掘るという点についてのいままでの研究、あるいは将来あの印旛沼を円満な形で心配なく掘って十分まわりが埋められるかどうかというような点も非常に心配なんです。これらの点を至急検討していただき、あるいは調査をしていただくというようなことを周辺の住民、これは単に農民だけでなく全体として希望しているわけですが、その辺の点について、もし調査があればお伺いをしてみたいと思います。
  82. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまお話しのあそこを掘りましてやるという意味での調査は現在農林省としてはまだやっておりません。  ただ考えられることは、あの中が非常にヘドロでございますので、そこを掘りました場合に堤防にどういう影響があるかというような問題もございますので、そういう技術的な問題あるいは経済的に合うかどうかという問題も含めまして、今後研究をさしていただきたいというふうに思います。
  83. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 この点は経済企画庁の総合開発局におかれてもおそらく水資源公団等といろいろな連携をされて調査資料等もあるかと思いますので、ぜひ経済企画庁においてもこの辺の調査を進めていただきたい、かように希望をいたしておく次第でございます。  実は、私がかように申し上げるゆえんは、成田周辺の土地開発、北総ニュータウン等の三十数万の人口を近く迎えようというようなことで印旛沼に汚水が流れては、肝心の印旛沼に水をため、また今日工業用水、農業用水、上水にも使っておるものがこれから数十万の人口がふえるとどうしてもそういう心配がある。この点については、政府においてもこの問題を考慮されて、水質保全に関する法律を先般経済企画庁が出されたと思うのですが、これらの水の保全の問題についても、これは建設省にも関係ありますかどうか、われわれはこの問題を心配して、すでに昨年以来政府の格別な援助を得て成田を中心とした三市六カ町村の流域下水道の問題も政府で決定を得て、これから実施していこうというようなことで進められておりますが、印旛沼周辺の水質保全の問題について、政府としてはどういうお考えを持っておられるか、一応伺いたいと思います。
  84. 松村賢吉

    ○松村説明員 きょう、実は担当の方が来ておりません。私どもの仄聞しておりますところによると、印旛沼、手賀沼の水質保全の規制は、ちょっと日にちを覚えておりませんが、数カ月前に実施されておるはずでございます。  なお、その後のいろいろなアフターケア関係、こういうものについての指導も十分注意して進めていくつもりでございます。
  85. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 総理府総務長官も見えたようでございますから、私も直接法律改正に関連がないのでこれで質問を打ち切りたいと思いますが、ぜひ農地局長をはじめ経済企画庁にお願いしたいことは、当面千葉県としては、水の問題が今後の千葉県発展のかぎになっておるということは、私が申し上げるまでもないところであり、かたがた、五、六年後にはあの周辺に数十万の人口がふえるという状況にもありますので、せっかく印旛沼、あそこまで整備をしていただきましたので、第二次の総合的整備計画について至急研究調査を進められて、何らかの形でできるだけ結論が出れば早く出していただきたいことを希望して、その点だけお尋ねをしておきたいと思います。
  86. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 前々から京葉工業地帯並びに千葉県のいろいろ今後の発展に伴う水の需要という問題は、私どもも真剣に考えなければいかぬと考えておりますので、ただいまお説の印旛沼の第二次総合開発の推進につきましては、私ども大臣とも十分ひとつ事務当局を督励いたしまして、できるだけ早急に技術的経済的な検討をやるようにいたしたいと思います。
  87. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 質問を終わります。
  88. 藤田義光

    藤田委員長 これにて農林省設置法改正案関係の政府委員、説明員は御退席願います。      ————◇—————
  89. 藤田義光

    藤田委員長 次に、同和対策事業特別措置法案を議題といたします。
  90. 藤田義光

    藤田委員長 冒頭に委員長から質疑者に御了解を求めたいことがございます。  総務長官は終始おりますが、大蔵大臣はおおむね一時ごろ退席いたします。御要求のあります自治大臣は、おおむね一時ごろ参りまして、一時十五分には退席の必要がございます。佐藤総理大臣は一時前後に出席の予定であります。  したがいまして、発言が非常に繁雑になるかと存じますが、出席を求められております関係閣僚の、以上申し上げました出席予定に基づいてひとつ御発言をお願いしたいと思います。  趣旨の説明を求めます。床次総理府総務長官。
  91. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいま議題となりました同和対策事業特別措置法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  政府におきましては、さきの同和対策審議会の答申等の趣旨を尊重いたしまして、かねてより同和対策事業の積極的な実施につとめてまいったところでありますが、さらに、昭和四十四年度からは十カ年計画で同和対策長期計画を発足させ、これを一段と推進いたしたいと考えております。  しかしながら、この問題を一日も早く解決するためには、この際、各省庁が実施している同和対策事業についてその目標を明らかにし、この目標を達成するための財政上の特別措置を講ずることが緊要事と考え、ここに日本国憲法の精神にのっとり、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域を対象とし、当該地域における経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与することを目的として、同和対策事業特別措置法案を提案することといたした次第であります。  次に、この法律案のおもな内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一に、国及び地方公共団体が協力して行なう同和対策事業について、その目標と内容を明らかにしたことであります。  すなわち、対象地域における住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因の解消をはかることを同和対策事業の目標とし、そのため、生活環境の改善、社会福祉の増進、産業の振興、職業の安定、教育の充実、人権擁護活動の強化等必要な措置を講ずることとしたことであります。  第二に、同和対策事業の円滑なる実施をはかるため、国及び地方公共団体並びに国民の責務を定めるとともに、関係行政機関等の協力義務を定めたことであります。  第三に、同和対策事業に要する経費について、地方公共団体の財政負担を軽減するため特別の措置を講ずることとし、同和対策事業にかかる国の負担または補助の割合を引き上げるとともに、地方公共団体の起債についても特例を設け、その元利償還金を地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入することとしたことであります。  なお、この法律は、十年間の時限立法とし、問題の早急な解決をはかることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。     —————————————
  92. 藤田義光

    藤田委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
  93. 八木一男

    八木(一)委員 私は、ただいま議題と相なりました同和対策事業特別措置法案について、本日早期成立を期して審議の場をつくっていただいた藤田委員長並びに各党理事委員各位に心から感謝を申し上げます。  本法案の審議を始めるのにあたりまして、まことに感慨深いものがございます。  徳川時代幕府のつくった不当な身分制度によって多くの同胞が極端に人権をじゅうりんされ続けてまいりました。明治四年の太政官布告によって、それが解決されるかの期待もつかの間でございました。明治の民主主義改革停とんのため約百年、三百万と称せられる多くの同胞が、差別と貧困に苦しみ続けてまいりました。戦後、基本的人権尊重を約束された新憲法下においても、その状態は続いております。この解決のための行政を市町村、府県に求める熱心な運動が続けられ、さらに国策の樹立を求める運動に発展してまいりました。  この熱心な運動を受けて、不肖八木一男質問を受けて、昭和三十三年三月十一日、当時の岸内閣総理大臣より、同和問題の根本的解決のための公約が国会を通じて全国民になされ、それを受けて同和対策審議会の発足となり、昭和四十年八月十一日、同対審答申が出され、翌昭和四十一年二月、本院本会議及び予算委員会において同対審答申尊重及び特別措置法の提出が佐藤内閣総理大臣より公約され、本年四月十一日、本法案が提出の運びと相なったものでございます。  徳川時代、身分制度がつくられましてから三百数十年、明治以後百年、水平社運動発足以後約五十年、国策樹立が約されてから十二年、同対審答申以後四年、その解決、推進の道程があまりにも長かったことを振り返り、その間、極端な人権侵害を受け、抜けやらぬ貧困に苦しみ続けた多くの同胞の苦悩を考えて、政治の責任を痛感するものであります。  今回、同和問題の完全解決を進めるために、同対審答申を急速に実現するための大きな推進力となる本同和対策事業特別措置法案が提出され、近く成立を期待できますことは、多くの国民の心からの要望にこたえるものであり、本問題解決のために多くの先輩同僚とともに、微力ながらこの十八年間、懸命な努力を続けてまいりました私にとって心からの喜びであります。  本問題の解決のため生涯を捧げられた故松本治一郎氏をはじめ数多くの諸先輩、同対審答申までの土台をつくることに努力された岸元内閣総理大臣、堀木元厚生大臣はじめ政府の各位、秋田大助氏、田中織之進氏、湯山勇氏、田原春次氏、五島虎雄氏等国会の先輩同僚の各位、同和対策審議会の各位、さらに同対審答申以後、答申尊重と特別措置法制定を推進された佐藤内閣総理大臣はじめ政府の各位、昭和四十一年の政府、各党協議会、四十三年四月の四党協議会、四十三年四月以降約八カ月にわたり精力的に推進された第二次四党協議会、同年十二月より推進された四党国対会談等において、私とともにこの問題の協議推進に当たられた自民党安井謙、秋田大助、渡海元三郎、奧野誠亮、大石八治、上村千一郎日本社会党河野密、湯山勇、八木昇、広沢賢一、民社党佐々木良作、吉川兼光、玉置一徳吉田之久、公明党伏木和雄、沖本泰幸、無所属田中織之進等の各氏並びにその間、国会論議を通じて推進に当たられた多くの同僚国会議員各位、同和対策協議会の各位、多くの機会に問題推進に当たられた関係自治体及び同議会関係者の各位、部落解放同盟等各民間団体の各位はじめ問題推進に当たられたすべての方々に心から深い敬意を表しまして、これから自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党の四党の意向を代表し、具体的な質問に入らせていただきたいと存じます。  具体的な質問は、本法案成立の際の運用等に関してでございます。どうか本法案の重要な意義にかんがみまして、その運用等について積極的な、かつ明確な御答弁によって確認をしていただくことを心から御期待を申し上げる次第でございます。  本法案の大きな特徴は、国庫負担または国庫補助並びに地方債及びその元利補給等の交付税交付等によって、この問題の地域性から見て、致命的な障害になる地方財政圧迫等の悪要因を取り除き、同和対策事業の急速な推進をはかろうとすることにありますので、これらの点の関係事項より質問に入ることにいたします。  まず国庫負担または国庫補助に関する三点について伺います。大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。  第一問といたしまして、同和対策事業の推進にあたって国の負担率及び補助率の引き上げと同様に重要な問題は、予算単価を実質単価としなければならない点でございます。今回、同和対策事業特別措置法案においては、負担率及び補助率の引き上げについては、不十分ながらも前進のあとが見られることは評価いたしますが、この際、ぜひ同和対策事業の重要性にかんがみ、実質単価とせられたいと存じます。この点について、明確な御答弁を大蔵大臣より求めます。
  94. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま八木委員からお話のように、たいへん大事な歴史的な法案が、各党共同のもとに、このたび政府提案という運びになりましたことは、私も御同慶にたえません。財政当局といたしましても、この法案の趣旨が生かされるように、できる限りの御協力をしたいと思います。  ただいま、具体的な問題として取り上げられました単価の問題でありますが、そういう趣旨において、実態に即するように処置をいたしますから御安心願いたいと思います。
  95. 八木一男

    八木(一)委員 同和対策事業の重要性にかんがみまして、単価については実態に即するように決定いたすお気持ちだろうと存じますので、さらに、その点はっきりとお伺いいたしたいと思います。
  96. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま八木さんから言われたとおりに心得ております。
  97. 八木一男

    八木(一)委員 第二問といたしまして、次に同和対策事業の推進にあたって、重要な問題は、補助対象に土地買収費——これは先行取得を含みます。それと整地費を加えることであります。たとえば、建物の建築費だけの補助では実際に建物はでき上がらないのであり、同和対策事業の重要性を十分認識されて、ぜひ補助対象に先行取得を含めた土地買収費と整地費を含められたいと存じます。大蔵大臣の積極的な御答弁をお願いをいたします。
  98. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先行取得を含め土地買収費、整地費等の財源措置が必要であることはお話のとおりであります。これらの土地買収費、整地費等で国庫補助の対象とすることが適当でないというものにつきましては、同和対策事業の重要性にかんがみまして、起債の措置を講じ、事業の推進に支障のないように善処いたします。
  99. 八木一男

    八木(一)委員 第三番目の質問をいたします。  本法案第七条第一項の「政令で特別の定めをする場合」のうち、国庫負担または補助が三分の二を下回るものについては、同和対策事業の重要性にかんがみまして、極力少なくすべきであり、また将来拡大すべきものでないと考えます。この政令で特別の定めをする場合のうち、国庫負担または国庫補助が三分の二を下回るものについてはどのような場合があるのか伺っておきたいと存じます。質問の趣旨を御理解をされて、前向きな御答弁をお願いいたします。
  100. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 御質問の点につきまして、これは具体的ケースに応じまして検討いたしますが、できる限り配意をいたしたい、かように考えております。昭和四十四年度予算で取り上げている対象経費についていいますれば、政令で特別の定めをする場合として次のような場合を考えております。たとえば隣保館運営費、職業訓練所施設費、小規模事業指導費のごとき性格のものに対しましては、原則として二分の一の国庫負担または補助とし、特殊なものとして貸し付け金利を低利にするために行なわれている住宅改修資金の貸し付けに要する経費に対しては四分の一の補助をいたしたい、さように考えております。
  101. 八木一男

    八木(一)委員 次に私は、自治大臣に御質問を申し上げますので、しばらく他の委員に交代させていただきますが、大蔵大臣の、政府を代表しての前向きな御答弁に感謝を申し上げたいと思います。
  102. 藤田義光

    藤田委員長 吉田之久君。
  103. 吉田之久

    吉田(之)委員 私は多くの国民の心からの要望にこたえて提出されました本法案が成立し、有効に活用され、同和問題の解決が急速に進展することを心から期待するものでありまして、そうした意味で、本法案推進のため、格別の努力を払われました政府及び四党並びに多くの関係者各位に心からの敬意を表しつつ、自民、社会、民社、公明の各党の意向を代表し、総務長官に一点、御質問をいたします。  御承知のとおり、同和地区の多くは農林漁村に存在いたしておりますが、これらの地域において、農林漁業を生業としている同和地区の人たちはおしなべてはなはだ零細な経営を余儀なくされております。これは例を農業にとりましても、明治維新の際に農地の配分にあずからず、また、終戦後の農地改革の際も、きわめて少ない配分しか受けていなかったためであります。林業、漁業の場合も、事情は全く同様であります。したがって、このような状態のもとにある同和地区の農林漁業に対しては、この際政府は十二分の協力体制を確立しなければ、本法の趣旨達成は困難であると考えます。特に緊急の課題として、政府は、これら農林漁業者に対し、画期的な金融措置を講ぜられるべきであると存じますが、その点、政府はどのような思い切った対策を用意なさろうとしているのか、御答弁を承っておきたいと存ずる次第であります。
  104. 床次徳二

    ○床次国務大臣 同和地区におけるところの農林業振興の重要性につきましては、御意見のとおりでありまして、特に農林漁業に関する融資につきましては、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金等の制度資金におきまして所要の融資額を確保するほか、なお、融資の円滑化を極力はかるようにつとめてまいりたいと存じます。
  105. 藤田義光

  106. 沖本泰幸

    沖本委員 私はこの審議にあたり、質問機会を得ましたことを深く喜びとするものであります。さらに、本法案推進のために努力されました政府、四党はじめ関係者各位に心から敬意を表します。  自民、社会、民社、公明、四党の意向を代表いたしまして、具体的な質問をさしていただきます。  同和地区の産業は家内工業的な零細企業が多く、生産性がきわめて低い上に、その企業の形態、経営条件、需給、金融関係などに多くの問題があり、近代産業の発展から取り残されております。これら地区住民の貧困と差別がこの悪循環の原因となっております。したがいまして、同和地区の中小零細企業の近代化を国の責務において早急にはからなければならないと思うものであります。そのためには、基本方針を確立して、指導助成が急務でありますが、特に中小零細企業の金融措置について十分考慮されなければならないのでありますが、政府の対策をお伺いいたします。
  107. 床次徳二

    ○床次国務大臣 同和地区におけるところの中小商工業者に対する金融措置に対しての御質問でありまするが、生業的な零細企業が多い同和地区の中小企業に対しまする融資につきましては、同和地区産業振興班、商工会等の同和担当指導員によるところの調査指導を充実いたしますと同時に、これを通じての府県の中小企業設備近代化資金、中小三金融機関及び民間金融機関等の資金を活用することを極力はかりますと同時に、同和地区産業について融資を行なっているところの地方公共団体に対しましても、実情に応じまして十分配慮してまいりたいと存じます。
  108. 藤田義光

  109. 八木一男

    八木(一)委員 引き続きまして野田自治大臣に御質問を申し上げたいと思います。  いま地方行政委員会から野田自治大臣がおいでになったわけでございますが、総務長官から同和対策事業特別措置法についての提案説明がございました。各方面の御協力について質問者一同感謝を申し上げながら、いま質問を申し上げているところであります。  この同和事業を進める点において国庫負担、国庫補助、そして起債、元利補給等の内容を含めた交付税の交付ということが、地方財政の圧迫を取り除いて同和対策事業の進展をさせるために非常に大きな要因になります。この自治省関係の問題についてこれから御質問を申し上げたいと思いますので、ぜひ前向きの御答弁を願いたいと思います。  四番目の質問でございますが、同和対策事業債の元利償還費を地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入したといたしましても、不交付団体には普通交付税が交付されないのでございますから、不交付団体の起こした同和対策事業債の元利償還金については、交付団体と同様の特別の措置を講ずる必要があると存じますが、政府のお考えはいかがでございましょうか、伺っておきたいと存じます。
  110. 野田武夫

    ○野田国務大臣 不交付団体につきましては、財政状況を勘案いたしました上で、特別交付税により交付団体に準じて必要な措置を講ずる所存でございます。
  111. 八木一男

    八木(一)委員 交付することといたしますというお気持ちであろうと思いますが、もう一回そのとおりでありますか。
  112. 野田武夫

    ○野田国務大臣 八木さんのお尋ねのとおり、講ずることにいたします。
  113. 八木一男

    八木(一)委員 五番目の質問といたしまして、特別措置法の施行によって地方団体が実施する同和対策事業に対する財源措置は強化されることになりますが、その後においても従来どおり特別交付税による財源措置が行なわれるものと考えてよろしいか、政府のお考えを伺っておきます。
  114. 野田武夫

    ○野田国務大臣 必要とする一般財源につきましては、特別交付税においても措置していく考えであります。
  115. 八木一男

    八木(一)委員 六番目の質問といたしまして、現行の地方債の取り扱いについては、地方公共団体の規模に応じて起債の一件限度額を設け、これに満たない場合は起債を許可しないことといたしておりますが、同和対策事業については、各種の同和対策事業を一括して起債一件事業とし、一件限度額に満たない場合においても起債を認められたいと存じます。政府のお考えを伺いたいと存じます。
  116. 野田武夫

    ○野田国務大臣 同和対策事業の一件事業及び起債限度額につきましては、従来どおり各種の同和対策事業を一括して起債一件事業とするとともに、その限度額は八十万円といたしたいのであります。
  117. 八木一男

    八木(一)委員 七番目の質問でございますが、本法案の起債及び元利償還に対する交付税交付は、同和対策事業推進のため重要な役割りを果たすものであり、その起債については制限はなされるべきではないものでございます。起債の下限については、先ほどの御答弁で具体的に善処されることになりましたが、上限についても制約をしないようにせられたいと存じます。前向きの御答弁を期待申し上げます。
  118. 野田武夫

    ○野田国務大臣 御意見になるべく沿うように、あとう限りできるだけ措置したい、こう考えております。
  119. 八木一男

    八木(一)委員 八番目の御質問は大蔵省関係でございますので、同和事業を担当しておられる床次総務長官からお答えをいただきたいと思います。  法第九条第二項の「資金事情の許す限り、」とはどのようなことか、伺っておきたいと存じます。
  120. 床次徳二

    ○床次国務大臣 大蔵大臣にかわりましてお答えいたしますが、原資事情等に格別の問題が起きない限り、従来どおり政府資金を充当してまいることといたしたいと存じます。
  121. 八木一男

    八木(一)委員 再び自治大臣にお伺いをいたしたいと思います。  法第十条は、地方団体が起こした同和対策事業のための地方債で自治大臣が指定したものの元利償還費を基準財政需要額に算入することとしております。全部を指定すべきものと考えますが、自治大臣は指定についてどのようなお考えなのか、伺っておきたいと存じます。
  122. 野田武夫

    ○野田国務大臣 公営企業、準公営企業など、その事業の収入を当該地方債の元利償還金に充てることができる事業に対する地方債を除きまして、国庫負担金または補助金を得て行なった事業に対する地方債を指定する考えでございます。
  123. 八木一男

    八木(一)委員 特に御出席になりました総理大臣に心から敬意を表したいと思います。  締めくくりの御質問を総務長官にいたしたいと思います。この質問は非常に重要なものでございまして、どうか総務長官から非常に前向きの御答弁をいただきたいと思うわけであります。  質問に入ります。もちろんこれは四党の気持ちを代表しての質問でございます。  同和問題の早急かつ完全な解決は国の責務であり、国民的課題であります。政府により尊重が約束された同和対策審議会の答申の重要な柱として本法案が提出され、審議され、近く成立を待期できることは喜ばしいことでございます。  ところで、法律の条文においては、本法案提出の根底となりました同和対策審議会答申との関係の記述が困難であり、十二分に解明されておりません。したがって、本法案が成立し、告示の際の通達においてこれらのことを解明し、関係者の十二分の理解のもとに本法が有効に発動し、同対審答申が完全に実現されるようにしなければなりません。  そのために、まず第一に、その中の(イ)といたしまして、政府は同対審答申を尊重し、十カ年計画——これは前期五カ年、後期五カ年を合わせたものであります。前期五カ年、後期五カ年という両方の内容があるものでありますが、この十カ年計画を推進し、問題の解決に当たる決意であること。(ロ)といたしまして、本法律が同対審答申の結語の重要な柱の一つであることにかんがみまして、法律が絵にかいたもちにならないよう、国及び地方公共団体は具体的施策の推進を急速かつ強力に行なわなければならない、このことを通達に明記すること。  第二に、同和教育の推進が本問題解決の重要な柱であり、その推進とそのための指導者を養成することを通達に明記すること。  第三に、同対審答申及び本法活用の推進のために地方公共団体の機構の整備が緊要であり、その整備を促進すべきことを通達に明記することがなされるべきであります。これらの点について、政府の積極的な明確な御答弁をお願いをいたします。
  124. 床次徳二

    ○床次国務大臣 政府はただいま御指摘されましたところの御趣旨を尊重いたしまして、法律施行の際の通達によって、地方公共団体に対しましてもその趣旨の周知方をはかる所存でございますが、さらに政府は常に同対審答申を尊重し、本法案を積極的に活用し、同和問題の急速な解決のため国の行政の実施、地方行政の推進に当たる所存であります。  なお、本法案を提案するにあたりまして、各党関係者の方々に非常な御尽力をいただいたこと、また御審議をいただいたことに対しまして、この機会に感謝の意を表します。
  125. 八木一男

    八木(一)委員 ただいまの総務長官の御答弁に非常に満足をいたします。総務長官が提案について非常に御努力になった点について心から敬意を表します。  最後に、佐藤内閣総理大臣に、御質問申し上げるよりもいろいろお礼を込めたごあいさつを申し上げたいと思います。さらに、最後にひとつ前向きの御決意を国民に御披瀝いただきまして、問題推進に当たっていただきたいと思うわけであります。  私は、佐藤内閣及び自由民主党と幾多の政治的課題について見解を異にいたします日本社会党に所属をいたしておりますが、同和対策審議会の答申以後、答申尊重、特別措置法制定推進の問題に関しての佐藤内閣総理大臣の終始変わらない御誠意については、心から敬意を表する次第でございます。  同和対策審議会の答申後、本問題が最初に取り上げられた昭和四十一年二月の衆議院本会議及び予算委員会で即座に積極的に答申尊重と特別措置法の提出を約束されたのは、ほかならない佐藤内閣総理大臣でございました。特別措置法提案促進のために総理大臣が所管官庁でございます総理府を常に激励、督励をされてこられましたことは歴代の総務長官から私ども伺っているところでございます。昭和四十一年の春に、総理の御推進によりまして、政府と各党協議会が開かれました。四十一年の夏には、その当時の通常国会で法案提出が時期的に困難になったときに、第一委員室の部屋で総理がみずから私に、次の機会にできるだけ至急によいものをつくりたいという決意を表明していただいたことがございました。またこの昭和四十三年の四月に、第一回の四党協議会は与野党の意見が一致を見ませんで決裂をいたしました。第二次四党協議会をつくろうというときに、そのつくる条件でいろいろと意見が合わないため停滞をいたしておりましたが、そのときに佐藤内閣総理大臣が自由民主党の総裁といたされまして時の福田幹事長にそれをまとめるような指示、指導をされました。その結果第二次四党協議会がスムーズに発足をいたしまして、この八カ月の努力が本問題を推進することに非常に役立ったわけであります。この四十二年の本会議及び予算委員会の御答弁がありましてからいろいろ困難な事情がございましたために、約三年間この問題の法律の提出を見ませんでした。このために多くの関係国民が非常に心配をいたしましたし、関係者一同は非常に焦慮の念を禁じ得ない時代がございました。しかしながら、その中で終始総理大臣が、たとえば本会議及び予算委員会において私は何回も質問させていただきましたが、本会議における多賀谷、柳田質問やあるいは予算委員会における大原議員、あるいはまた横山議員の質問、あるいは各委員会における楢崎氏やいろいろな方々の質問に対して、総理大臣が常に非常に前向きの決意を示していただいたことが、本日この法案提出、審議を見る大きな原動力になったと私考えております。ほんとうに総理大臣の御熱意と御誠意に対しまして、心から感謝を申し上げ、心から敬意を表する次第でございます。  ただいままで私また吉田議員また沖本議員から、それぞれ自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党の意向を代表して、政府に、床次総務長官あるいは福田大蔵大臣、野田自治大臣に御質問申し上げまして、それぞれ非常に前向きな、満足な、明白な御答弁をいただき、関係者一同非常に喜んでおる次第でございます。  御答弁をいただいておりますが、特にこの問題は何百年の問題を解決する大きな糸口でございます。そして政府が岸内閣以来お約束をされた実を結ぶときでございますので、政府の最高責任者であり、常にこの問題について熱意を示し、御推進をいただきました佐藤内閣総理大臣から、各大臣のお約束されましたことを最高責任者として再確認をしていただきまして、将来ともに、今後ともに同和問題の完全な解決のために、政府が熱意を込めて御推進をされる御決意を表明していただければ非常にありがたいと思うわけでございます。どうか総理大臣の前向きな御答弁をお願い申し上げます。
  126. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま八木君からいろいろお話がございました。私、もちろんいままで各大臣がお約束したこと、これを忠実に履行するその責任がございます。その点はもういまさらあらためて確認されるまでもないことであり、必ずいたします。はっきり申し上げます。  ただ、私この際に、この事柄について、ずいぶん長くかかった問題だが、しかし各党の話し合いにより方向がきまった。自民、社会、民社、公明各党が、ほんとうに民族の非常に悲しむべき事柄について、これからどうしようかという、そこを腹を打ち割って話をした結果解決をした、このことが私は非常にうれしいのであります。ことにこれが解決したことにつきましては、一人、二人の問題ではないと思いますが、八木君あたりがその先頭に立ってこの問題を片づけられた。ことにこの内閣委員会では、幾つものむずかしい問題もかかえておりますが、お互いに腹を打ち明けて話し合えば必ず解決はできるのだ。そのいい例を一つここに示された。私は、その意味において、この事柄を実はたいへん喜んでおります。国会というものはそうあってほしい。別に私は、この問題で他を顧みて申すつもりではございません。ございませんが、皆さん方もこういう事柄が望ましいことだ。  実は、きょう私入ってまいりまして、珍しく社会党の方から拍手をされた。こんなことはまずないんです。もう楢崎さんはうしろのほうで先頭に立って拍手をされた。私はそういうことがたいへんうれしいのです。  しかし、これはまだ緒についたというだけでありますし、国民全体がこの法律のねらうところをよく理解してもらはないと、なかなかいい成果を結ばぬだろう。ことにこの中に、先ほど床次君にもお尋ねありましたが、教育の問題、大事な問題だからそこのところから取り上げていかなければならぬと思うのですね。そういうことについても、政府も前向きで取り組んでいきますし、また皆さん方も今日まで積極的に取り組まれたが、それぞれの立場の相違はあっても、大局に立つと必ず一致する。それを現実に示された。こういうことで私はほんとうにうれしいのです。政府もそういう意味で——これをあまり長く申しますと誤解を受けても困りますからこの程度でやめますが、とにかくこの法律ができ上がれば、ぜひりっぱな成果をあげるように、この上とも御協力のほどお願いしたい。また政府を鞭撻していただきたい、かように思います。  ありがとうございました。(拍手)
  127. 八木一男

    八木(一)委員 総理大臣の前向きな御答弁、熱意のある御答弁に感謝を申し上げます。  再度、内閣委員長、各理事、内閣委員の皆さま方に、その審議を進めていただいたことを御礼を申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
  128. 藤田義光

    藤田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  129. 藤田義光

    藤田委員長 これより本案に対して討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので直ちに採決いたします。  同和対策事業特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  130. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  132. 藤田義光

    藤田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議
  133. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 この法案で、毎年私が問題を提起しておりました出入国の関係でございますが、私どうもまだ釈然としない点が残っておりますので、お尋ねを繰り返します。  入国管理事務所の設置について、こうして改正案が出ておる。ところが、本省には入国管理局というのがある。これは独立国になって間もなくして法制意見局という局を法制局にし、また外務省にあった入国管理業務というものを法務省に持ってきたという歴史的な行きがかりがある。ところが、入国だけでなくして出国を扱っておるわけなんです。出国は外務省が旅券課を中心に手続はしておられますけれども、しかし入国管理局は出入国を総合的に扱っておられる役所である。そういう意味からいうならば、そういう歴史的な原因を探求し、そしてその伝統も尊重する意味からいうならば、外務省のほうから移ってきた行きがかり等をあわせ考えて、出入国管理局という本省の局名をつけるべきであり、また入国管理事務所だけでなく、出のほうも扱うという意味におきましては、出入国管理事務所というかっこうで、名称変更をさるべきではないかと思いますが、御答弁を願いたいと思います。
  135. 中川進

    ○中川(進)政府委員 受田先生御指摘の点は、かねて承っておりまして、部内におきましても検討を続けておるのでございますが、この前御説明いたしましたのと重複いたしますと思います。  まず、私どもの所管業務の全般を見ますと、まさに御指摘のとおり出入国でありまして、入国と出国と両方あるのでございます。しかしながら、業務の内容を考えますと、外国人の入国ということに関しましては、入れるべき者、入れざるべき者、入れるとすればどれくらいの期間どういう資格で入れるべきかということでたいへん検討を重ね、その結果許可をするあるいは場合によって入国をお断わりするという結論が出るのでございます。しかしながら、一度入った外国人が出国するという場合におきましては、私どもといたしましては、ほとんど無条件にこれを認める次第でございまして、ただ現場におきまして、たとえば羽田なら羽田の入国審査官が同時に出国審査もやっているというわけではございますが、事務内容から見まして、出国事務と入国事務の割合はたいへんな差があるのでございまして、入国事務に非常なウエートがあるということでございます。  それが一つと、それからもう一つは、何と申しましても日本人は非常に名前その他なるべく簡素なことをとうとぶといいますか喜ぶ国民性があると思います。いろいろなことに、世の中でもいわゆる略称と申しますか、本来長かるべき名前を簡略していう例がたくさんございますが、その意味からも、出入国管理局というよりは入国管理局といったほうが舌回りもいいというようなことがございまして、つい入国管理局ということになったのじゃないかと思います。ただし、正式には出入国管理局といったほうがいいということは、たとえば法案にいたしましても出入国管理法ということになっておりますし、現在行なっております令にいたしましても出入国管理令、こうなっておるわけでございますから、正式と申しますか、出入国といったほうがより論理的であることはもちろん先生のおっしゃるとおりでございますが、いろいろ検討しましても、名前をこの際長い間の入国管理局から出入国管理局に変えるほどのこともなかろうというような意見が部内におきまして強いのでございまして、いまだに改正には踏み切っておらない、こういう事情でございます。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 そこに問題があるのです。つまり役所というものは古い行きがかりにとらわれ過ぎる。中川局長さんにいたしましても、外務省の歴代の高級幹部の方がおいでになってくださる。つまり入国管理局長は外交官である。入国管理局長をされるその期間だけは外交官でなくして一般行政官のかっこうで勤務に服しておられる。その勤務に服しておられるお役所は出入国業務を扱うのであって、入国管理局の業務の中に、第一に明確に出入国管理業務が書いてありますね。そういうことになったら、出のほうが少し人数が少ないからというので、それをはずしているが、出のほうを入れて出国管理局とかいうのであれは——ちょっとごろがどうかな。とにかく上側にある出をはずしたというところに一つ問題があると思うのです。そして、国民の中には、入国管理局というと、入国者、よそからこっちへ来る人間、密入国する者を取り締まるくらいのことしか思わぬような印象を受けておる。こういう意味からも、出入国管理法案を今度お出しになるこの機会に、役所の名称も、局の名称もすかっと変えられる、地方の出先機関の管理事務所も出入国管理事務所、こういうふうに扱われていったほうが、内容をはっきり示すのにいいと思うのです。それがないのなら別ですけれども、ちゃんと出があるのですから。出のほうが上に書いてある。入出国と書いてない。これは大臣、たいへんむずかしい問題のように見えて非常に簡単です。字が一字多いと複雑になるというが、きょう私、役所の名称で、通商産業省という名称が四つあるのを取り上げた、それから農林省も農林水産省とやる、そうやるべきじゃないかということを言ったのですが、やっぱり名は体をあらわす関係からいうならば、出入国管理法を担当する役所なら出入国管理局が私はいいと思うのです。外務省の方々に御苦労していただく特殊のポストをお持ちの法務省としての行きがかりから見まして、出は外務省が扱うというほうがいいという立場でございますか。旅券課を中心にして出は外務省に力を入れさせる、入は法務省がやるという、そういう外務省との因縁故事来歴がおありなら、すかっと言っていただきたいと思います。
  137. 中川進

    ○中川(進)政府委員 最後の御質問になりました点でございますが、別に外務省が出国をつかさどり、法務省が入国をつかさどるということではございませんので、外務省はあくまで日本人が出国する場合の問題でございまして、旅券法の主管官庁でございます。外国人に関します限りは、出国、入国ともに入国管理局の所管になっておる次第でございまして、確かに論理的には入国だけにしぼるのはおかしいのでございまして、ただ入国だけにしておりますのは便宜の措置でございます。そこで、この便宜の措置と論理性を通すのとどちらがより大切であるかということに関しまして、せっかくの先生の御指摘でございますから、また役所に帰りまして、上司の御意見もよく拝聴いたしまして再検討させていただきたい、かように考えます。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことで、ひとつ再検討を要望申し上げておきます。こういう役所の名称と中身というものはぴしっとつながりがないと困る、私はさように考えます。今度の入国管理事務所の設置関係は、大体適当なところに適当な役所ができるという意味で、私賛成をいたします。  ただ、ここでちょっとお尋ねしておきたいのですけれども、最近における密入国というのはどういう傾向にあるのか、その密入国者の数及びその内容を端的に御説明願いたいのです。
  139. 中川進

    ○中川(進)政府委員 まず密入国者の数でございますが、ここ三年のことを申し上げますと、昭和四十一年が八百四名、四十二年が八百七十五名、四十三年が七百四十九名、かようになっております。  その内訳でございますが、四十三年だけをまず申し上げますと、七百十九名が朝鮮半島の出身者、それから十四名が中国からの人、十六名がその他の地区、こういうようになっております。  次は密入国の態様でございますが、やはり集団不法入国というのが多いわけでございます。しかし、それ以外にも個々にやってくるというケースも相当多いのでございまして、数から申しますと、やはり個々にやってきたケースが多いと思うのでございます。ただ、ただいま申し上げました数字は、実は四十三年なら四十三年に日本に入ってきたという数字はなかなかわかりませんので、つまり入ってきて、現在大阪なら大阪にまだかくまっておる、隠れておるという人がおるわけでございまして、四十三年に検挙した数でございますから、その点ひとつお含みを願います。  そして、先生御質問になられます、入ってくる場所の問題でございますが、やはりこれは朝鮮半島や中国のほうに近い方面、すなわち北九州でございますとか西中国でございますとか、その辺が多くなっておりますが、しかし瀬戸内海の宇野でございますとか大阪とかいうようなところにも相当入ってきておるようでございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 密入国する皆さんの中にはきわめてやむを得ない事情の者がおる。両親がこちらにおって、残された者が朝鮮半島におった、それが父母を慕うて切実な思いを寄せてやってくる、あるいは原爆で障害を受けた人がその治療を受けるために入国する、いろいろ事情があると思うのです。そういう特殊の事情、これはだれが見ても、人情的に見て、また道義的、人道的に見て、むしろ堂々と入国手続をして入れるべき性格のものについては的確な処置をとるという御用意があるかないか、これもひとつ伺いたい。
  141. 中川進

    ○中川(進)政府委員 その点は御指摘のとおりでございまして、人道上どうしてもこの者の入国は許さるべきであるというような場合には入国は認めております。  御承知のごとく、一昨年と昨年と、夏ごろに韓国のお役人と法務省の役人とが実務者会談というのをやりまして、そして例の日韓法的地位協定の運用に関する補充的な合意を遂げたのでございますが、その実施ぶりに関する補充合意におきましても、そういうふうな人道的配慮に基づく入国はできるだけ寛大に、好意的に認めるというようなことがございますのでやっておる次第でございます。また、場合によりましては、合法的でなぐて、やむにやまれず、いま先生御指摘の、形は不法入国という形でやってまいりました者でも、人道上こういう者を帰すのには忍びないという場合には置いておるのでありまして、先生御記憶に才だ新たかと思いますが、昨年の初夏でありまし方か、北九州に金良淑という十三歳ぐらいの女の子が大阪にいる日本名の豊田と称しておる母親をたよって来たということで、これは不法入国でありますからすぐに退去を命令すべきでありますが、現在大阪に仮放免しておるというようなこともございます。だからその点は法律は法律といたしまして、人情、道徳、そういうようなことを考えましてしかるべくやっておる、かように思っておるのでございます。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 今度は司法的な責任問題が起こるのですが、外国人で犯罪を犯して、特にそれが政治犯で日本に逃亡した場合に、その犯罪人引き渡し関係の国際的な約束は日本ではやや寛大に考えてきた傾向があると思う。この犯罪人引き渡し条約その他を通じての政治犯罪人、いわゆる亡命者に対する扱いは今後日本政府はどういう考えで対処されようとされるのか、法務大臣から——わからなければ局長から先にやってください。
  143. 中川進

    ○中川(進)政府委員 いわゆる政治亡命者を日本に入れるかどうかの問題でございますが、これは先生よく御承知のとおり、現在の出入国管理令には政治亡命者を日本に入れるということは書いてございません。ただ、日本に入国を認めることはできない欠格事由者というのがございまして、外国のどこかで一年以上の有期の懲役、禁錮を食らった者は日本に入国を認めないのでございますが、その下にただし書きがございまして、ただし政治犯罪によってそういう刑罰を受けた者は除くとなっておりますので、どこかの国で政治犯のゆえに一年以上の刑罰を食らった人でありましてもそれは日本に入る欠格事由にはならないということにおきまして、入管令によりましては政治犯には若干好意的考慮を払っておるということはいえるのでございますが、しかしそれ以外には書いてあるものはございません。しかしながら、それでは政治犯の日本入国を全然認めないか、日本に入国した後の滞在を許さないのかといいますとそうではないのでありまして、それはケース・バイ・ケースに、その事情によりまして、法務大臣の特別在留許可という制度を運用いたしまして、日本におきます入国はもとより、入国したあとの滞在を認めておるわけでございまして、今後もその同じ方法でやって何ら差しつかえない、かように考えまして、新しい法律には出ておらないわけでございます。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 今後国際間のいろいろなやっかいな状況によって、日本に政治亡命をする人たちがある程度ふえる危険もあると思っておるわけであります。この点は人間の生命を大事にするという意味から、一応日本へ入ってきた人に対してある程度寛大な扱いがされている。現行法及びその扱いに対しては一応了とするものも一つあるわけです。けれども、それを野方図にしていくとそれをたてにしてどんどん流れ込む危険があるということで、何かこの点では基準をはっきりしたほうがいいのじゃないか。犯罪人引き渡し条約というのですか、そういう条約関係からきたものはこれをひとつ日本でどう扱うかについてある程度はっきりしたものを日本的に組み立てる必要があるかと思います。  質問の時間はきょうは短くいたします。大臣、これはあなたにひとつお答えを願いたい。私は歴代の法務大臣に従来死刑の執行者について、そのあまりにも過酷な刑を行なわないようにという意味から、いまのような絞首刑は残酷刑であるという指摘をしてきたわけです。それから、大臣がサインをしないと死刑執行はできないのですが、歴代の大臣は人を殺すサインがいやなものですから相当ためておる。それで、これは大臣は比較的それを非常に自由なお気持ちでサインをされると見えて、私によく手紙をくれておった大阪の拘置所におった人物が、この間、ただいまより天国に参るという最後のたよりを私によこして刑の執行を受けた。長い間私と文書の交換をした羽山という青年でした。これは殺人犯として再審請求もしていて、これにはある程度私自身が疑義を抱いておった。死刑執行に該当させるのに疑義を抱いておった人物であるが、それがキリスト教信者になって、非常にきれいな気持ちで、私に一カ月に一ぺんずつたよりをよこした、歌まで書いてくれおった羽山富雄という男、それが三月七日に、ただいまより天国へ参ります、長い間お世話になりましたと、涙の出るような最後のたよりを私にくれて、この世を去っていっております。私はこの刑の執行について、できればひとつ残酷な刑罰にしないで、電気スイッチぐらいで、ぽっと電気ボタンを一つ押すことで生命が断たれるというふうに安楽死できる道はないか。十三段の階段を上がって、最後にがくんとつり下げられる首つりの方式というものは残酷である。静かにこの世を去っていくという扱い方をすべきであるということを提唱しておったのでありますが、大臣も私の提案には基本としては賛成されるかどうかです。
  145. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 私も同感に存じます。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 同感だそうでございますから、事務当局はこれの具体的な措置を直ちにおとりになることを要望しておきます。  それで最後に、大臣にもう一つ、私は、この法務省の所管の中に恩赦の扱い方をされている部門があるわけです。この点につきまして、昨年明治維新百年記念事業の一環として恩赦をやられたのですが、この恩赦というものは憲法第七条の規定に基づく特典ではありますけれども、明治維新百年記念事業としては適確な措置ではなかった。特に生活に困ってやむなく窃盗を働いた、そういうたとえば子供をかかえて女手一つではなかなか食ってはいけない、精一ぱい働いても所得は少ない、それで子供かわいさのあまりに年末にお正月のもち代をちょっと盗む、そういうものが初犯は免除されても繰り返すうちにはぴしゃっと実刑を言い渡されてくる、そういうものはいわゆる破廉恥罪というので恩赦の対象からはずされておる。ところが知能犯、いかに法律の網をくぐって、そして国民をごまかし、法律をごまかすかという知恵を働かせた知能犯、その最も優秀な知能犯というべきものの選挙違反者がこの恩赦の恩典に浴するというのは私は筋違いだと思うのです。しかも恩赦によって罪をのがれると、今度は青天白日の身になるという説が流れておる。青天白日というのは、無実の罪であった者が本然の姿のきれいな身に返るということであって、罪のあった者が恩赦で許されたのは青天白日ではないですよ。これに対しての大臣見解を承りたい。
  147. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 恩赦についてでございますが、御承知のとおり明治百年記念として百年記念恩赦を実行したのでございます。いまお話しのとおり、選挙違反は適当ではないというお話でございますが、私どももこの記念恩赦をやりました趣旨にかんがみまして、選挙違反を主眼としたものではございませんでしたけれども、恩赦の状況を見てまいりますと、選挙違反が非常にたくさん出てまいりました。そういう結果になったわけでございますが、これに主眼を置いたわけではなく、御指摘のようないろいろな基準を設けまして、ある程度の犯罪に限ってやったような次第でございまして、ことに復権令等におきましては約千九百万名の交通違反者を復権せしめたというようなところもございまして、そのうちの五万件くらいが他の罪によるものでございます。大部分は交通違反、こういうことでございまして、いろいろいま先生のお話がございましたが、こういう結果になりましたけれども、選挙を目当てにやったわけではないことを御了承賜わりたいと思います。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 恩赦の対象になった方の数があまりにも多い。数字をどなたか御用意されておりますか。自治省でないとわからないと思いますが、御用意されておれば、復権を含む恩赦の種類、そしてその恩赦の恩典に浴した特赦、復権の種類別数字をおあげ願いたいと思います。
  149. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ただいま御指摘の統計の詳細を用意しておりませんが、概略のところを御説明申し上げますと、明治百年記念の特別恩赦でただいままで、と申しますのは五月三十一日現在で申し上げますと、中央更生保護審査会が受理いたしました総件数は四千五百二十三名でございます。そのうち、現在まで処理されておりますのは、二千四百三十八名、約五四%くらいが処理された段階である、こういうふうに考えております。  それから罰種別でございます。これはただいま詳細な罪種別を用意しておりませんが、いま受田委員から御指摘のありました選挙違反とその他というものは手元に資料がございますので、その点だけ申し述べさしていただきます。受理につきましても処理につきましても、総数の約七六%が公職選挙法違反であるという結果になっております。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 その数たるや五万ないし六万の大量に及ぶと私は判断をします。つまり罪種別で見ると約八割に近いものは選挙違反で、その公選法違反をやったものを許しておる。明治維新記念事業としてはたいへんな罪悪を犯したことになる。西郷先生は、私は非常に敬意を表しておるのですが、おじいさまの西郷南州、明治維新の大業をなし遂げられた偉大な人材で、「幾たびか辛酸を経て志初めて堅し、丈夫玉砕して甎全を恥ず、我家の遺法人知るや否や、児孫の為に美田を買わず」、非常に清潔な政治家でした。私たちがほんとうに敬意を表するこの大先輩、偉大な政治家西郷南州先生のこの清潔感、名利にてんたんとした清らかな気持ちで、そして城山の露と消えられた後にも、明治天皇が罪を解かれ、正三位を贈られるという、後世においてなおかつ尊敬を一身に集められておるのがあなたのおじいさんです。そのおじいさんがつくられたのが明治維新であるが、その明治維新百年記念事業として、法務大臣としてそのお孫さんがはしなくも恩赦をやられる、たいへんな悲劇だと私は思うのです。私はこの点におきまして、この明治維新百年記念事業としてはまことに残念な事業をおやりになった。このことを大臣深く考えられて、しかも恩赦の恩典に浴した者が再び選挙に立候補し、また政党の側も買収、供応を大量にやられるのは日本の自民党であることは天下周知の事実であります。ところが今度は一部社会党にも選挙違反者が立候補されて、これをお認めになっているという事態も起こっている嘆かわしい現状である。ヨーロッパ先進諸国はきわめてきれいな選挙からきれいな政治をやっておる。きれいな政治はきれいな選挙をやることから始まる。皆さんが学ばれるアメリカはややそういう点があるが、ヨーロッパの先進諸国家は保守党もきれいな選挙をやっている。われわれはえりを正して国民の期待にこたえる意味において選挙を粛正する、政治の倫理化をはかり、そこからきれいな政治を生むというこの基本線はどうしても立てなければならない。その意味では法律の番人として大役をお引き受けの西郷先生、どうかきれいな政治はきれいな選挙からという悲願を果たすために、各党の選挙違反者は公務からはずすくらいの手きびしい自粛、自戒をはかって日本の政治を清める、法務大臣、国務大臣としてのお気持ちを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  151. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 親しく御高見を拝聴いたしまして同感でございますので、私もそういう点につきまして最善の努力を尽くしたいと考えます。
  152. 藤田義光

    藤田委員長 足立篤郎君。
  153. 足立篤郎

    ○足立委員 入国管理に関連して一点だけお伺いいたします。  韓国におけるいわゆる日本人妻の問題なんですが、私、昨年十一月に農林水産委員会から与野党の理事ともども韓国に見学に行きまして、帰りに釜山の総領事館で非常に熱心な陳情を受けまして、事情を聞いてみますと、終戦前後韓国にとどまったいわゆる日本人妻が今日食うに困っていわゆる橋の下の生活をしておる、貧民窟の生活をしておる。しかも総領事館に日参をして、何とか日本に帰してもらいたい、しかし旅費もない、とほうにくれておるというので、釜山の総領事館ではちょうど保安庁から出向しておった児玉という領事が非常に熱心にやっておられたのですが、困りましてどうしたらいいか、外務省にいろいろ折衝するが、そうした調査費さえもなかなかもらえないというので、何とか政治的に解決してほしいという、私ども農林水産委員会とは全く縁の遠い陳情を受けましたので、私帰りまして総理にも訴えるし、政府関係者に特別な御配慮をいただきまして、その後木村官房副長官が中心になって交渉をまとめてくださったようで予備費の支出などもきまったようで、ようやく軌道にいま乗ろうといたしております。これはまことにうれしいことだと思っておりますが、最近も私総領事館と連絡をとっておりますが、法務省がなかなか型にはまったやかましいことをおっしゃるのでうまく進まないといって総領事館は嘆いておるのです。  これはいろいろなケースがありまして、私も終戦当時満州におりましたので事情は若干わかるのですが、あの東辺道あたりの日本人が着のみ着のままで朝鮮に逃げ込んだ、食うに困って、たまたま当時は娘であった日本人の女性が韓国人の世話になるというようなケースが典型的なケースのように思います。なお、日本で結婚をして韓国人について、正妻のつもりで向うに行った、行ってみたら二号さんだった、色香もうせて捨てられて、子供だけは生まされて路頭に迷っておるという気の毒な婦人も相当おるようであります。なお、李承晩施政当時、日本人と見れば非常に迫害を受けたために、ひっそりと息をひそめて韓国人になりすませて住んできたというのは国籍がないわけですね。原則としては韓国籍になっておるわけでありますが、国籍がない日本人妻がいる。しかも日本の身寄りのほうは、中には親がおこって失跡宣告さえもしてしまったものがあるようであります。それでなくても勘当同様になってしまって親、きょうだいを頼っては帰れないという気の毒な者もあります。私も貧民窟に行って二、三の婦人に会いましたが、ほんとうに涙を流しまして、日本には一日も早く帰りたいが親、きょうだいには会いたくない、ところが法務省の入国管理のほうでは身元引き受け人がはっきりしておらなければ帰せないとおっしゃる。そこで総領事館が非常に困っておるようでございますが、日本人であることははっきりしておるのですが、いま申し上げたような籍の関係その他いろいろなケースがありますので、実情をひとつよくお調べいただいて、外務省、厚生省とも打ち合わせを願った上で、この気の毒な日本人妻を何とか救ってやっていただけるように特別なお計らいをいただきたい。質問というよりもこれはお願いなんですが、法を曲げてまでとは申しませんが、そこは運用でひとつ実態に即した運用をぜひやっていただきたいと心からお願いを申し上げます。このことはすでに法務省も御承知と思いますので、私のいまの発言についてお答えがあればぜひ伺いたいと思います。
  154. 中川進

    ○中川(進)政府委員 御指摘の点でございますが、問題は、その人が日本人であれば問題はないのでございまして、日本人の方は帰ると言った場合には入国を認めざるを得ないといいますか、無条件に帰れるわけでございます。この日本人であるかどうかの確認の手段といたしまして、原籍地に問い合わせたり戸籍を調べたりいろいろなことがあるわけでございまして、その過程におきましていま御指摘の会いたくもない親、きょうだいに身元保証云々という問題が起こるのかと思いますが、日本人であるということがはっきりいたしますれば、必ずしも身元保証云々ということは問題にならないのじゃないかと思います。あるいはその人の日本人国後の生活の保障というような観点から身元保証云々の問題があるかとも思いますが、そうでございますと、私どもの所管とちょっと違いますので、帰りまして外務、厚生その他関係諸官庁とよく相談いたしまして、先生の御要望まことにごもっともなことでございますので、できるだけ日本人の方があの悲惨なところへ——私も参りまして、児玉君に案内してもらってきましたが、ああいう生活を一日も早く免れて帰ってこられるようにしてあげたいと存じます。  私どものほうで実は困りますのが、それの連れ合いの夫でございまして、これが韓国人ということで法務省がやかましいことを言うて、言うことを聞かぬというのは、おそらくその問題だろうと思うのでございます。これはしかしなかなか問題が複雑といいますか簡単にはまいりませんので、いろいろ検討はしておりますが、日本人の妻があるがゆえに韓国籍をもったその夫ないし子供の入国を無条件に認めるというところまでは、まだ私どもとしましても結論を出し切っておらない、こういう状態でございます。
  155. 足立篤郎

    ○足立委員 いまの問題ですが、向こうでほとんど食うや食わずで気の毒な生活をしておるわけでして、しかも寒くなってきますと、一歩でも日本に近いところ、なるべくあたたかいところというので釜山に集まってくるらしいのです。いま四百世帯とか六百世帯とかいっておりますが、まだまだ大邱とかソウルのほうまでさがしますと相当数あるのじゃないか。幸いに調査費をつけていただきましたので、大使館でもいま熱心に各地の日本人会へ渡りをつけて調べております。  そこで、私は、特にお願いしたいと思いますのは、そういう状態で向こうにおりますとやはり日本の恥さらしにもなるわけなんですよ。本人が気の毒だけではない。そういう点を考えますと、やはりこの際、日本人ということがはっきりわかった者については、何らかの方法で一たん日本へ引き取って、たとえば韓国人を送還する場合に長崎の大村収容所を使っております、あれを逆に使って、一たん大村収容所へ入れて、日本政府でめんどうを見てあげて、そうしてその上で身元その他を調べまして、はっきりした者から出してあげるというような便法もお考え願いたい、こんなふうに思うのですが、その点をあわせてお願いをして、私の質問を終わります。どうかよろしくお願いします。
  156. 藤田義光

    藤田委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  157. 藤田義光

    藤田委員長 ただいま委員長の手元に、伊能繁次郎君外三名より本案に対する修正案が提出されております。
  158. 藤田義光

    藤田委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。伊能繁次郎君。
  159. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案に対する自民、社会、民社、公明四党共同提案にかかる修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、本改正案は、刑務所の設置等に関する改正規定を除き、昭和四十四年四月一日から施行することとしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださるようお願いいたします。     —————————————
  160. 藤田義光

    藤田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、伊能繁次郎君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  161. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  162. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  164. 藤田義光

    藤田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会