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1969-05-09 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月九日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       内海 英男君    菊池 義郎君       野呂 恭一君    葉梨 信行君       古内 広雄君    三池  信君       山口 敏夫君    淡谷 悠藏君       角屋堅次郎君    木原  実君       楢崎弥之助君    華山 親義君       安井 吉典君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         農林水産技術会         議事務局長   横尾 正之君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         林野庁長官   片山 正英君         水産庁次長   森沢 基吉君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  平井  進君         農林省農林経済         局統計調査部長 岩本 道夫君         農林省農政局普         及部長     田所  萌君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月九日  委員足立篤郎君、岡田春夫君、平岡忠次郎君、  安井吉典君及び伊藤惣助丸君辞任につき、その  補欠として古内広雄君、角屋堅次郎君、楢崎弥  之助君、河上民雄君及び渡部一郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員古内広雄君、角屋堅次郎君、河上民雄君、  楢崎弥之助君及び渡部一郎辞任につき、その  補欠として足立篤郎君、岡田春夫君、安井吉典  君、平岡忠次郎君及び伊藤惣助丸君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、本日は大臣の御出席を得て、所要の点について御質問申し上げたいと思います。  大臣、少しおくれるようでありますが、それを了解の上で少しく大臣出席の前にお伺いをいたしたい。  今度の農林省設置法の一部改正法案は、過去幾たびか出して法案としてはつぶれた内容のものをおおむね今回も出してきたというふうに理解をしておりますが、その中で、最初に淡谷委員も御質問になったかと思いますが、農業者大学校について、少しく冒頭にお伺いをいたしたいと思います。  行政管理庁からもおいででございましょうか。——農林省のほうから、農業者大学校を設けることにした趣旨について、簡潔にまずお答え願いたい。
  4. 田所萠

    田所説明員 では、ただいまの御質問に対しまして、お答え申し上げます。  最近のわが国におきます農業の非常な変革に伴いまして、農村事情も非常にいろいろ動いているわけでございますが、これに対しまして農業後継者というものを養わなければならない。特に学校卒業生その他就業する人員も年々非常に減ってきておるという状況がございます。そういうことで、特に農業のそういう地域におきます中核になるようなりっぱな農業後継者を養成しまして、それぞれの地域におきます農業指導的役割りを果たしてもらうというような意味合いにおきまして農業者大学校を設立して、そういう優秀な後継者を養成することにいたしたわけでございます。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省から出されております農業者大学関係資料を見ますと、学生定員は一学年五十八程度、当分の間は男子だけ。資格としては高等学校を卒業あるいはそれと同等以上の学力を有する者で、都道府県知事の推薦した者、しかもこれは学校を終わりましてからおおむね二年以上農業経営の実務に従事をして、引き続き自営の見込みが確実な者というふうなことで学生定員及び入学資格をきめておるようでございますが、農林省が大学校政府部内に設ける場合に、特に、林業とか水産業とかということでなくて、農業者だけに限定をして農業者大学校というものを設けた趣旨、それをひとつお答えを願いたい。そういう意味は、水産庁あるいは林野庁からもおいででありますが、同じような趣旨のものについてそれぞれどういうふうにやっておるのか、あるいはどういうふうにやろうとしておるのかということも含めて簡潔に御答弁願いたいと思います。
  6. 田所萠

    田所説明員 農業者大学校につきましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、卒業して自営をするという農家の子弟を教育することにいたしております。特に農業につきましては、先ほど申し上げましたように、農村におきます農業就業者というものが非常に少なくなってきておるということとか、それから農業に対します環境が非常に変わってきたというようなことで、特に中核になるような農業者を養成せざるを得ないというようなことで、農業に関しまして特に大学校をつくったわけでございます。それで農業者大学校の中では、一般の教養なり畜産なり園芸なり、いろいろな部門につきましてそれぞれの希望によりまして教育をいたすことにしておるわけであります。
  7. 森沢基吉

    森沢政府委員 水産関係におきましては先生承知のとおり下関に水産庁直属水産大学校がございます。ここで沿岸のみならず遠洋沖合いの乗り組み員のいろいろ実技を教えまして後継者を育成するというほかに、国立大学として約六部門につきまして水産学部、それから全国に高等学校程度の、県単位のものでございますが、約六十の水産高等学校がございます。水産庁といたしましては、直属水産大学校のほか、こういう文部省系統職業教育学校十分連絡をして、沿岸漁村後継者の育成、おもに沖合い遠洋漁業の乗り組み員の養成をやっていくという方針でやっております。
  8. 片山正英

    片山政府委員 林業につきましては、先生承知のように民有林につきましては二百七十万戸くらいございますけれども、そのほとんど大部分は零細な就業者でございます。したがって自立する大所有、五百ヘクタール以上のものにつきましては数は非常に少ない、そういう形でございます。したがいまして、そういう零細所有人たち対象といたしまして、林業としましては、大学というような形でなしに林業教室というような形でそれぞれ当面の問題、林業の問題、林業技術、そういうものを普及活動としてやっておるという姿でございます。それから国有林につきましては、先生承知のように林業講習所というものを設けまして、新しい技術開発等を含めまして林業研修をやっておるという形であります。
  9. 藤田義光

    藤田委員長 角屋委員に申し上げますが、行政管理庁から平井管理官出席をいたしました。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業水産とは同じところで教育するという点についてはちょとどうかという点もあるかと思います。いま森沢次長のほうから御説明のように、水産大学校等別のルートでやるということに相なるわけでありますが、農林関係は比較的密接でございまして、いま長官は比較的零細なものが多いという、しかしそれにしても、農林漁業基本問題調査会の答申でもいっているように、家族的林業というふうなうたい方でこれからそういうものを育てるというようなこともいっておった経緯から見ましても、単に農業経営だけでなしに、今後の問題としてはやはりそういうものを含めたこの種大学校農林省自身教育するということも十分検討されていいことじゃないかというふうに思うわけですが、同時に当面一学年五十名といっておりますが、これは一県一人頭くらいにしかならない。今後の教育充実に伴ってこの人員というものは将来拡充をしていくという構想はお持ちなんですか。大体この程度で今後ともやっていくということなんですか、農林省の考えを聞きたい。
  11. 田所萠

    田所説明員 現在農業後継者教育といたしましてはいろいろの機関があるわけでございます。特に農業者大学校というものをつくりますのは、先ほど申し上げましたように、現在あります機関は、どちらかといいますと中学卒だとか高校卒というような非常にレベルの低いものをやっておるわけでございます。それに対しまして、非常に高いレベルのそういう指導者といいますか後継者を養成していくということでございます。そういうようなことで、教育そのものは非常に重点的に濃密な指導教育をしたいというようなことで現在五十名の採用にいたしておるわけであります。実際からいいますと、もちろんもう少し多数の後継者を養成するということのほうが必要なわけでございますけれども、現状まだ発足いたしまして間もございませんし、経費その他施設の関係もありますので、当分の間五十名でいきたいというふうに考えております。   〔委員長退席伊能委員長代理着席
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 実際に農業者大学校に入った場合の講習生経費その他についてはどういう処理をするのですか。
  13. 田所萠

    田所説明員 農業者大学校の生徒経費でございますが、これは国と県で負担することにしております。あと小づかいと申しますか、そういう自弁的なものは自己負担でございますが、県と国と二分の一ずつ持ちまして、学資それから合宿の経費、そういうものを負担することにしております。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで三カ年の教育を受けて、そして地方に帰る、これは将来とも自立ということが考えられるものを教育しているわけですが、これは、自立経営の道を選ばずに、いわば農業関係の農協であるとかあるいはその他の関係のところに行くというケースが起こり得ると思うのですけれども、そういうことは必ずしも拘束しておらない。希望としてはやはり将来とも自立経営地域における指導的な役割りを果たしてもらいたいということであるけれども、それは必ずしも拘束できないし拘束してないということなんでしょう。
  15. 田所萠

    田所説明員 大体農業者大学校に生徒を募集する場合におきまして、そういうことをやるという人を知事の承認をとりまして推薦をいただいておるわけでございまして、そういう農業者大学に行っておる者はすべて自宅におきまして相当な経営規模をやって、農業をやるという人でございまして、すでに二カ年間自分でも農業をやってきておるというようなことで、農業にそういう意欲と申しますか、そういうものを持った人が集まっておるというようなことで、先生の御心配のように、そういうほかの職業につくというようなことはほぼないのではないかというふうに考えております。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 政府機関の中にいわゆる大学校という名のつくものは、たとえば大蔵省の税務大学校、あるいは防衛庁の防衛大学校をはじめ、海技学校航空大学校海上保安大学校、気象大学校、郵政大学校、建設大学校自治学校というふうに、それぞれの省に大学校を設けられておるところが相当数あるわけですが、行政管理庁平井さんのほうにお伺いしたいのですけれども、いわゆるそういう行政機関内部の者をいわば対象にして大学校教育をするというものと、そうじゃなくて、農業者大学校というのは、まさに農林省職員教育をする研究機関でもありますので、それはいまお話しのようなことであるのですが、いま私があげましたようなものの中に、農林省農業者大学校のような形の大学校と、そうでない大学校と区別して御説明願いたい。
  17. 平井進

    平井説明員 お答えいたします。  各省に置かれております大学校の中には、御指摘のとおり、たとえば運輸省で申しますと、航空大学校民間の人を集めまして教育をする機関でございますし、同じ運輸省にございます海上保安大学校は、公務員として採用いたしました者を職員として教育する大学校でございます。その二種類があるわけでございますが、それぞれいろいろ経過的な理由もございまして、整然と分かれていないことは御承知のとおりでございます。しかし、こういう大学校を今後どういうように——民間人を養成する大学校と、それから公務員として採用いたしました職員教育をする大学校と、この二種類を今後どういうふうに整備をしていくかということは確かに問題でございますので、検討を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省でいえば、農林省部内のほうは、農林研修所という形で研修をやっておる。いま自立農家を目ざす後継者のためには農業者大学校でやる。各省見てみますというと、研修所方式のところもあるし、部内教育について大学校方式をとっておるところもある。いまお話しのように、それはまあ行政全体の統一的な運営として、必ずしも統一されておるとはいえないという現状があると思うのです。もちろん後継者確保のための農業者大学校を設けて、一学年五十名というスケールで発足するのはりょうりょうたるものでありますけれども、そういうことを考えていくということ自身に問題はないと思いますが、同時に、農政全体を指導していくという立場からいえば、これは別に研修所と大学校名称どおり各省があるという意味で言っているのではなしに、やはりそういう意味の点では、他省では税務、司法、あるいは郵政、建設、自治、これは主として部内のほうからだと思いますが、そういう者をとっておる。農林省の場合は研修所方式、これは他意があったわけじゃないのですか。実際問題として、農林省研修所方式と、他省でとっておる、部内研修のための大学校というのでは差異が現実にあるわけですか。
  19. 平井進

    平井説明員 ただいま御指摘のとおりいろいろなものがございまして、統一をされておりません。一般的に申し上げますれば、比較的修業年限の長いものにつきましては、部内研修機関でも大学校にしたいという気持ちがございますし、また、各省学校にしたほうが士気が高揚するという、いろいろな理由がございまして、必ずしも理論的に整備をされた形になっておりませんが、そのときそのときの御要請に従いまして具体的な判断をしているわけでございますが、結果といたしましては非常に整備をされていないかっこうになっていることは事実でございます。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 ちょっと委員長代理にお伺いしたいのですが、農林大臣は開会後約十分でおいでになるというお話でございましたので、私は大臣の御見解を伺うまでということで、あるいはまた政務次官をわずらわさなくても、事務当局でおおむね見解を聞いて、この基本的な見解があれば政務次官でもと思ったのですけれども、このままでいきますと、大臣がお見えにならぬままに話をしていかなければならぬということになると、やはり質問の筋道というものがありますから、その点どういう段取りでございますか。
  21. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 いまお尋ねがありましたから、お答えいたしますが、理事間で農林水産委員会といろいろ折衝をいただきましたが、はなはだ残念でございますが、十一時半から農林大臣が参るということで御了承いただきたいと思います。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 それでは、農業者大学校の問題については今後の問題として、農業経営後継者という対象に加えて——これは農林というのは一体の経営の実体もあるわけですから、そういうものを含めた今後の運営についても、前向きにひとつ検討をしてもらいたい、こういうふうに希望を申し上げておきたいと思います。  次に、熱帯農業研究センターの問題について二、三お伺いをいたします。  これは過般も淡谷委員のほうからも若干御質問があったわけでございますが、国内農林漁業の問題について試験研究充実しなければならぬ。その点について必ずしも十分な体制にあるとはいえない。こういう時点の中で、熱帯農業研究にまで手を伸ばす、これもやはりどうしてもやりたい、あるいはやらなければならぬという根本的な根拠は何にあるのですか。
  23. 横尾正之

    横尾政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、国内試験研究充実いたさなければならないことは当然でございまして、私どもといたしましても、そのような観点から、特に畜産園芸等、今後重点を指向すべき方面に、試験研究におきましてもできるだけ重点を置きまして、その推進をはかりたいということで、昨年度、試験研究推進方策といったようなものもあらためてきめまして、今後地域別にどのような試験研究充実してまいるかというようなことを目下具体的に推進の手順をきめつつある段階でございます。そのようなことで、国内試験研究につきましても、御指摘のように、できるだけこれを充実してまいらなければならぬということは当然でございますが、一方におきまして、御承知のような熱帯または亜熱帯地域に属します開発途上国におきまする農業問題につきまして、経済振興をはかってまいるという観点からいたしましても、きわめて重要な位置を占めておるということはいまさら申し上げるまでもないかと思うのであります。  そこで、そのような開発途上国におきます農業振興をはかってまいるということになりますと、これまた申し上げる必要もないかと存じますけれども、技術振興がきわめて重要でございます。そこで、技術振興をはかるために必要な試験研究、特に具体的に申しますと、稲作でございますとか、あるいはこれから諸国におきます重要食糧でございますトウモロコシマイロ等々につきまして、その試験研究充実してほしい、そのためにわが国研究蓄積研究人員を活用し得るようにしてほしいということは、従来とも強く望まれておったわけでございます。   〔伊能委員長代理退席委員長着席〕 そのような情勢を背景にいたしまして、わが国のこれら諸国に対します国際上の地位から申しましても、その推進をはかる必要があるということで、従来とも、在外研究員派遣というようなことを通じて進めてまいったわけでございますが、国内研究の片手間というような点がございまして、十分に要請にこたえ、その推進をはかってまいるということができにくいというような状況にもございましたので、今回あらためまして熱帯農業研究を積極的に推進するための中核組織ということで熱帯農業研究センターを設けた、こういうように考えておるのでございます。
  24. 角屋堅次郎

    角屋委員 熱帯農業研究センター関係業務内容としては、国内における試験研究あるいは在外研究員派遣による試験研究あるいはシンポジウムの開催等海外調査、委託による調査研究資料、情報の収集等、そういうことを通じてこの熱帯農業研究センター運営をやるということのようでありますが、これは本来開発輸入対象になるような、日本が輸入するのに適するような、そういう技術指導ウエートがあるわけですか。あるいはそうではなくて、いわば南北問題なり後進国技術援助なりの全体的な一環として、こういう熱帯農業研究センターというものを、日本が応分に力に相応してやっていこうという一般的なところに基本があるわけですか。先ほど言ったような開発輸入対象になるようなものを日本に向くようにやるというところに一つの大きなウエートがあって、それと同時に、後半申し上げるようなことも含めてやっていこうというのですか。どこにねらいがあるのですか。
  25. 横尾正之

    横尾政府委員 熱帯農業研究中心になりますねらいは、先ほど申し上げましたように、開発途上国におきます農業問題、食糧問題を含めまして、農業問題の解決に資したい、技術振興をはかることを通じてその解決に資したいというところに重点、主たる趣旨がございます。ただ、そのような方向で進めてまいります場合、たとえばトウモロコシあるいはマイロといったような、わが国におきましても今後相当長期を考えましても必要な作目振興に資する面が出てまいります。したがいまして、そのことを通じて間接的にわが国で不足するものについてのそれらの国の輸出の振興に資する効果が間接的にあるかと存じます。反面におきまして、わが国でいろいろ問題になりましたような、わが国の農産物と競合いたしますようなものについての技術振興については、わが国における諸事情を考慮して、わが国農業に支障のあることのないように十分その辺は慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えます。
  26. 角屋堅次郎

    角屋委員 こういう熱帯農業研究センターというものを設置する場合に、関連をして他省でこういうたとえば、海外技術協力事業団とか、そうい式の既設のものがあるわけですね。これとの相互関係あるいは協力関係というものは運営上はどういうふうにやられるのですか。
  27. 横尾正之

    横尾政府委員 いまお話がございました海外技術協力事業団によります海外技術協力、それを効果的積極的に進めてまいりますためには、その基礎になります試験研究の領域を拡充し、試験研究の水準を高めていかなければならぬというふうに考えます。したがいまして、海外技術協力事業団の行なう海外技術協力のための、その意味では基礎を提供するという役割り熱帯農業研究センターは持つかと存じます。そうしてそのような意味合いを十分に達成いたしますために、運用上必要に応じて海外技術協力事業団の行なう事業とも密接に連携をはかることを進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 角屋堅次郎

    角屋委員 先ほど冒頭に、熱帯農業研究センターの問題と関連をして農林関係試験研究のこれからのあり方というのを種々検討したというお話がございましたが、中身について詳細に触れて質問することは避けますけれども、農林省設置法の一部改正が、現在地方農林局というものを中心にした一部改正が出されてきて、後ほど議論しようと思いますが、今後本省の機構の問題の中で、いわゆる農業技術会議というものについて、農業研究管理局、そういう局式な変更をやっていこうということも一部伝えられておるわけです。技術会議の問題は現在までの運営でおおむね間違いはない、これで十分である、将来ともにそういうふうにやっていくつもりだということなのか、あるいは局方式に切りかえる、あるいはその傘下の試験研究機関についても、場合によっては統廃合等が行なわれるというふうなことが考えられておるわけですか。その辺のところはむしろ官房長の答弁になるかもしれぬが、政務次官でもどちらでもけっこうです。
  29. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 いろいろ内部検討していることはございますけれども、いまさしあたって局に改組するようなつもりはございません。ただ試験研究技術開発の問題は非常に大事な面でございますので、今後一そうその内容充実することにつきましては、大臣も非常な熱意を持って取り組んでおりますので、今後とも一そう予算その他の面で充実を期してまいりたい、かように考えております。
  30. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまの問題と関連をするわけですけれども、今度設置法の一部改正の中で高知種畜牧場を廃止する。これは予算委員会分科会高知出身森本議員も取り上げて議論しておったわけでありますが、これは大体どういう段取りをいま進めておるわけでしょうか。事務当局からでけっこうですけれども。
  31. 太田康二

    太田政府委員 牧場につきましてはかねてからその整理統合をはかってまいったのでありますが、高知牧場の場合には実は非常に牧場自体規模が小さいというようなこともございまして、今回廃止することにいたしたのでありまして、一応十月に廃止というたてまえになっておりますが、現在定員は二十九人、実員は二十七人ということに相なっておりまして、原則はそれぞれ希望牧場に配置がえをするということで、現在組合の要望も十分聞き入れましてその希望に沿ってまいりたい。一部国の試験研究機関に残りたい、あるいは県がこの施設をあとで畜産センターとして利用するというようなこともありまして、そこに残りたいというようなことも申しておりますので、これらの具体的な処理につきましては個別にそれぞれ解決するように努力いたしておる段階でございます。
  32. 角屋堅次郎

    角屋委員 畜産関係といいますか農林省関係の各種牧場の配置というものを見てまいりますと、おおむね四国以外のところはブロック別に、重要なところは北海道の場合には三つの牧場がございますけれども、四国の場合といえども、畜産関係については前々から農林省全体としては成長するということで指導をしておる。しかも定員は二十九名が実際の人員は二十七名、これを他の牧場にというお話でありますが、なぜ四国の牧場をさらに強化するという方向でやらずに、これを廃止して、四国からは種畜牧場、そういう中央の畜産指導的な機関が姿を消すということでもよろしいということに考えておるわけですか。
  33. 太田康二

    太田政府委員 先ほども申し上げましたように、種畜牧場のあり方につきましては、従来畜産局で検討してまいりまして、できる限りその内容整備するということでいままで整備充実をはかってまいったのでございます。その際、各畜種別に中心牧場をきめまして、順次整理統合をいたしてまいったのでございますが、種畜牧場整備計画の一環といたしまして、やはり一方で内容充実するとともに、現在施設が十分でないというようなものにつきましては、整備の反面廃止をいたすということに予定をいたしておりまして、そのような事態もございました際に、たまたま高知種畜牧場は、先ほども申し上げましたように現在やっております仕事の内容それ自体が、現在牧場整備の仕事として取り組んでまいります事業の中では比較的十分でなかったということもございまして、これらを他の牧場に移しまして、そこで重点的にやってまいる。なおかつ高知県がたまたまそこを県の畜産センターとして活用したいというようなこともありましたので、この際、従来の経緯もございまして高知種畜牧場を廃止いたすということにいたしたのでございます。
  34. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣がお見えになりましたので質問を切りかえます。  長谷川農林大臣大臣就任以来だいぶたちまして相当手なれたかと思います。農林省設置法の一部改正関連をして、重要なポイントについて大臣にお伺いをいたしたいと思います。  戦後の農林省の機構の変遷というのを、資料によってずっと今日まで各局別に見ますと、相当な変遷があるわけであります。昭和二十年八月現在の終戦直後の組織を見ますと、大臣官房、総務局、農政局、蚕糸局、食品局、食糧管理局、山林局、水産局、資材局及び馬政局、こういうところから戦後の農政のスタートが始まりまして、いわゆる食糧増産のための緊急開拓事業というのに呼応して開拓局ができ、あるいは畜産局が新設をされる、さらに昭和二十二年の四月には統計調査局が新設をされ、山林局が林野局に改組される、二十三年の七月には水産局が外局の水産庁として改組されるというようなことからずっと変遷がございまして、二十四年の六月には食品局が食糧庁、あるいは林野局が林野庁というふうな形で、今日の食糧庁、林野庁水産庁の外局がそれぞれ運営される段階になるということでずっと変わってきておるわけでありますが、農林大臣は、この農林省設置法の一部改正というのは、いわばバトンを継いだ形でありまして、農林省に入られて、最高責任者として農政を新しい目でずっと指導され、見てこられて、農林省のたとえば本省の機構の場合、いろいろ検討してみてどういうふうに持っていくべきか、本省関係についてはおおむねこれでよろしいというふうにお考えなのか、あるいは今後こういう点については、成案を得てないけれども、総合農政その他最近のキャッチフレーズの問題を推進していく立場から考えていく必要があるということのお考えがあれば、これからの農林省の機構のあり方という点についてまず御見解を承りたいと思います。
  35. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 きわめて広範囲の御質問でございますが、ただいまのところは部内を縮小したり拡大したり、またこれを動かすような考え方は毛頭持っておりません。したがって、いまお話にもあったように、総合農政という、これらをフルに活用して立場立場の考え方を十分浸透させていかなければならない大きな問題を控えておりますので、これを統合するとかあるいは部局を改革するというような考え方は現在のところ持っておりません。
  36. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業技術会議について、これを局に変えるというふうな点の部内検討が一部に伝えられておるわけで、先ほどお聞きをいたしましたが、政務次官からはいまの段階ではそういうことは考えてないというお話でございましたので、大臣にあらためてお伺いすることはやめたいと思います。  私は古い時代に農林省にもおりましたが、本省の機構の中を見てまいりまして、たとえば農地局に管理部、計画部、建設部というのがございまして、計画部の関係経済課、資源課、技術課というふうな形をとっておるわけですが、これは今後の全体的な農政の中で、農地局の中の計画部という形であるのか、あるいはもっと総合的な局の中の計画という形で考えるべきものなのかどうなのか。もちろん議論としてはございますけれども、土地改良の長期計画というふうなものを考えてみましても、ことしじゅうに改定して来年度の予算要求に間に合わせるという意味で、土地改良の長期計画の改定をやろうという今日段階だと思います。それは議論はあるわけですけれども、米の生産の問題と関連をして、開田の抑制あるいは米の作付転換、あるいは従来水田に土地改良のウエートが高かったのをむしろ——水田はもちろんやっていかなければなりませんが、畑の土地改良にウエートを移すべきものはある程度移していく、こういう問題等とも関連をして、いわゆる総合的な農政基本になる基盤整備の進め方、あるいは農業林業水産の構造改善というものを進めていく立場、さらには振興地域整備に関する法律がいずれ成立をするということになれば、新しい都市計画法との関連における市街化区域あるいは市街化調整区域あるいは農業振興地域というものを踏まえた、そういう意味農政のグラウンドをどうするかということに相なるであろうと思いますし、そういうことを考えてまいりますと、各局別に私は問題を申し上げようとは思いませんが、運営上こういうふうにすることが考えられるのじゃないかという問題は、私は幾つかあろうと思うわけであります。こういう面の検討は今後やられるわけですか、まあまあここ数年の間は部内の弾力的運営でやればよかろうということでいかれるわけですか、その辺の基本的な心がまえといいますか、それをちょっとお伺いしたい。
  37. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいまのところは、ただいま御指摘になったようなたくさんの問題が控えておりまして、まだこれらも国会を通過したわけでもございませんし、そういうような通過したものも中にはありますし、いよいよこれからその事業にかからなければならない点等もございます。したがって、それらが一応の安定を見、これからいよいよ仕事の推進に入るという事態になれば、幾らか御指摘のような点については内部の改革もやらなければならぬと考えておりますが、いま当分の間は、そのような考え方は、持っておりません。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 数年来の悲願のように、地方農林局ということで、林野の関係民有林を入れる、あるいは統計の関係のブロック以下のところの組織を改変をするとかいうことを、廃案になってもまた出し、廃案になってもまた出しして、御執念のようですね。基本的な考え方からいえば、本省があり、それから地域におけるブロック的な組織があり、末端組織がある。それを今後長期展望に立って、どういうふうに機構を動かしていくか、十万なら十万の人員と、六千億をこえる予算とを引き受けて、そして第一線の農林漁業者のためにどう機構、人員を動かしていくかという立場で考えるということが、農林事務当局の立場だと思いますけれども、この中二階のところを御執念になっているんですけれども、私はこの中二階のとり方に異論があるのですけれども、上もこういうふうに考えておる、それに即応して中二階もこうなることが望ましい、末端についてもこういう姿がこれからのあり方である、こういうことに基づいて、そして第一段としてこれを出してきた、全体的には、将来のビジョンとしては、中央、地方を通じての機構というものはこういうふうになるんだと考えているんでしょう。私は農林省の今日持っておる陣容あるいは予算というものが、保守党の場合でも農村は票田でございますから、これは十分念頭に置きながらやられるというふうに判断をするわけです。その場合に、いかに陣容、予算を最高度に動かすか、動かし方いかんによっては、また違った面も出てくると思うのですね。そういう点で、私は中二階に御執念になっておる農林当局の考え方にはむしろ異論があって、全体をどうするかという中で、そして当面これから始めるというのであれば、またそういうことについて検討の余地があると思いますけれども、そもそもその中二階について御執念になっておる基本的な意味はどうなんですか。
  39. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、私ども地方農政局とか、あるいは農林局の充実ということだけを考えて機構の問題をやっておるわけじゃございません。最近も一局削減という問題が一つの衝撃としてありましたけれども、蚕糸園芸局をつくるとき、国際農業問題がだんだん深刻になるということで国際部をつくり、また農林省でも流通改善あるいは食品工業、中小企業の充実ということにもっと熱意を持つべきだということから企業流通部をつくりましたし、先ほど御指摘になりましたように戦後ずいぶん農林省の機構というものは、本省においても変わっておるわけでございます。今後も、大臣から申されましたように、今日の段階で大きく手直しをするつもりはございませんけれども、農政を進めていくに従って、やはり本省機構も相当弾力的に考えませんと、新しい需要に応じがたいという問題がございますから、私ども、本省の機構についての検討は、今後ともやはり怠らないつもりでございます。  それと同時に、地方農林局の問題につきましては、六年前に地方農政局をつくりましたときに、私どもの率直な感じといたしましては、二重行政という御批判もあるであろうけれども、これだけ地方的に農業が分化して、四十六県を霞が関でながめて、何か通牒なりで全国をうまく動かすということが今後ますますむずかしくなるであろう、したがって、これだけ地方的に分化した日本農業に対してできるだけ指導を密に、こまかくする機構をつくることがどうしても必要でないかということが地方農政局の発想でございまして、御批判としては、二重行政であるとかあるいは中二階が煩わしいとかいうこともありますけれども、現実の姿といたしましては、たとえば、農業構造改善事業をとりましても、あれは本省ではほとんどタッチしておりませんで、地方農政関係で片づけておるわけでございます。あるいはもっと卑近な例で申しますと、災害が起こりました場合の手当てというのは、確かに地方農政局ができましてから、私どもはある意味ではかゆいところに手が届くようになったというふうに思います。それで何といいましても二重行政ということの批判は、私ども心をむなしゅうしてと申しますか、謙虚に聞かなければなりませんが、単に権限を形式的におろしましても、実質的に中央で糸を引くということもあり得るわけで、それがありますとやはり二重行政の非難が起こる。それで実質的にも形式的にもできるだけ権限をおろして、六年前に地方農政局をつくりましたときの気持ちで地方農政局の改善をしていきたい。同時に、そういう地域農政に従ってきめのこまかい行政をしようといたしますと、一つは統計調査関係地方農林局に取り込むことがやはり地方農林局運営にとってプラスであるばかりでなしに、これは統計調査事務所系統自体の問題として、そのほうが、農林省の統計調査自体についてもいろいろな批判も外からあるわけでありますから、それを安定させるのに役立つし、それから農村、あるいは山村において民有林行政農業行政と切り離しがたい面もあるわけでございますから、そこのところを地方農林局であわせてやるというこの二つのことから、今回地方農政局を地方農林局に改組して充実をさせたい、そういう気持ちでございます。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 新しい地方農林局構想の問題について若干入りたいと思います。  地方農林局内部は、先ほど来お話しのように、林野の民有林関係あるいは統計調査事務所の段階を農林局の中に入れまして、これを統計調査部と、そして所在地以外のところは統計調査事務所、第一線は出張所という形でやろうということですけれども、総務部、農政経済部、構造改善部、開発計画部、建設部、林務部、統計調査部、いわば小型農林省的なものがそれぞれの地域地方農林局としてでき上がるという考え方をとっておるわけでありますが、この民有林関係の問題を地方農林局の中に入れて林務部に入れる、これは農林省の中でも地方農政局があると同時に、林野庁関係は第一線に営林局、営林署というものをやはり持っておる。これは全然ないという場合ならば議論としても考えられることですけれども、農政局があると同時に農林省は営林局、営林署を持っておる。従来、国有林事業の全体的な推進ということに林野庁なり第一線はウエートがあって、民有林関係指導あるいは育成という点については不十分ではないかという御批判は、農林水産委員会その他でも議論としては出ておったわけでありますけれども、やろうとすれば、中央、地方を通じての機構をやはり厳然として持っておる。しかも民有林といえども、林業政策全般から見るならば、これは国有林と同じく山の問題である。そういうときに、従来民有林について不十分であるという欠陥があるならば、中央、地方を通じて、それを林野庁の機構を通じて強化をするということも十分できる。それをなぜそれだけを切り離して民有林を新しい地方農林局に切りかえたのか、これは思想としては、臨時行政調査会でいっておる行政事業の分離というものに即応してやったのか、あるいは末端機構はあるけれどもどうしてもこちらでやったほうがよろしいという重要な焦点があるのか、それをひとつ御答弁願いたいと思います。
  41. 片山正英

    片山政府委員 民有林行政国有林、営林局署の中でもできるじゃないかというようなことを中心にしての御質問だと思いますが、御承知のように国有林経営をつかさどっておりますのは、確かに営林局署でございます。御承知のように国有林の所在というのは非常に偏在いたしております。偏在はいたしておりますが、そういう国有林を効率的に運営するための組織としては営林局三百五十によってやっておるわけでございます。ところで、民有林に関しましては従来とも営林局署を通ずることなく、府県と直接のつながりにおいて指導し、また推進しておるのが現状でございます。したがいまして、その民有林の仕事につきまして、先ほど官房長が御説明になりましたように、林業を取り巻く諸情勢が非常に急激に変わってきております。その変わってきておるのに対処いたしまして、現地できめのこまかい実態に即した姿でこれを推進するということとともに、農業関係と一緒の形でこれを判断するということのほうがよりうまくいくのじゃないかということから、従来直接県との関係でやっておりました行政地方農林局を通してやる、先ほど官房長説明したような形で推進するわけでございますので、従来の営林局署との関係がことさら変わるということではないわけでございます。
  42. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは私こまごましたことまで触れようとは思いませんが、たとえば民有林は営林局、営林署に関係なく、林野庁と第一線の地方自治体との関係でやっておるのだと言われるけれども、旧来の、前に出された条文からいうと、営林署の点では第七十条で、「民有林野の造林及び営林を指導すること。」、新しく今度出してきておる法律の第七十条のところでは、「民有林野の造林及び営林についての技術相談に関すること。」ということで、条文上でも必ずしも民有林林野庁地方自治体とのタイアップでやってきたということでもなかろう。また従来のあれからいくならば、せっかく営林局、営林署があるわけだから、しかも森林法による全国森林計画その他全体的な運営のためには林野庁だけでこなせるという問題ではなくて、地方自治体の協力も得なければなりませんが、第一線の営林局、営林署というものが相呼応して総合計画の推進をはかっていくということであろうかと思うのでありまして、いままででも営林局、営林署というものがそういう点では全然関係がなかったのだ、したがって今度そういうところへ持っていっても問題がないのだというのは、条文上からいって少しく実態に即しないのじゃないですか。
  43. 片山正英

    片山政府委員 御指摘のとおり、民有林の造林及び営林を指導するというふうに従来の条文はなっております。しかし現状は、その指導内容と申しましても、技術指導をやっておったわけでございます。山間僻地でこうやるのはどうなのだということに対して技術指導をやっておるというのが現状でございまして、その意味で実際技術指導という面を明確にしたのでございます。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 そういうことからいくと、林野庁の御見解では、いわゆる中二階である地方農林局民有林関係を持っていかずに、むしろ従来多くのケースとして林野庁地方自治体との関係において民有林関係はやられてきた、従来の方式でむしろけっこうであって、新しい中二階の中にそういうものを入れていくということになればワンクッション置くわけですが、そういうことについて林野庁としては、従来どおりのほうが業務指導としても運営上からもやりやすいという見解になるわけじゃないですか、従来もそういうやり方について欠陥があったということですか、どういうふうな御見解ですか。
  45. 片山正英

    片山政府委員 これは答弁が重複するようになりましたけれども、従来県と直接のつながりでやっておりましたが、先ほど申しました二つの点よりきめのこまかい実態に即した実情を把握しながら進めることが必要であろうということと、農業との関連、たとえば林業構造改善でございましても、あるいは農業構造改善でございましても、あるいは山村振興法でございましても、これはやはり相関連してくるものでございます。そういう場合に、林業構造改善だけは従来の農政局とは離れて別個の県でやる、あるいはいまの山村振興法は農政局を通してやる、こういうようなばらばらのことじゃなく、やはり総合してやっていくことが必要じゃないだろうかということを判断してこの改正案を出したわけでございます。
  46. 角屋堅次郎

    角屋委員 新しい農林省設置法の一部改正関係では、三十六条の地方農林局の所掌事務の中に「十九民有林野の立地計画及び経営計画に関すること。二十民有林野の造林、営林及び治水に関すること。(国営に係る森林治水事業の実施に関することを除く。)二十一民有林野に係る保安林に関すること。二十二民有林野に係る林道に関すること。二十三民有林野に係る森林病害虫等の駆除予防に関すること。二十四林野の保全に係る地すべり及びぼた山の崩壊の防止に関する事業の監督及び助成に関すること。二十五野生鳥獣の保護繁殖及び狩猟の取締りに関すること。」とあります。これは従来林野庁地方自治体の関係でやっておったことで、特に支障があって中二階の地方農林局がそういうことをやったほうがよりベターであるという理由は何かあるのですか。たとえば保安林問題、林道問題、病害虫問題並びに地すべりの関係、山の崩壊防止のための監督あるいは助成という問題については、大体行政というのは、末端の第一線から見れば中の節は少ないほうがよろしいということが仕事の迅速上は望まれておるわけですね。従来そういう形でやっておったのを、地方農林局の中に民有林を持ってきて、いま申した十九から二十五までのうちで、特に地方農林局に持ってきたほうが実際によりためになるという問題が、この条項を読んだだけではピンとこない。これは国の農林省林野庁地方自治体の県、市町村との間で十分できておっただろうし、できることじゃないですか。まあ農業構造改善事業をやる、林業構造改善事業をやる地方農林局としては、農政の構造改善事業をやりたいという一つの考え方はあるのかもしれませんけれども、保安林問題とか林道問題とか病害虫等の問題とかいろいろなものを考えてくると、これは長年手なれてきたことを特にまた中二階を置いてやるという特別の理由が何かあるのですか。こういう林務部というのを設けまして、そして林務部の中に林務課と指導課を置く、七局のうちで二局について林務課程度のようですけれども、いずれにしてもそういう林務部というものを特に置かなければならぬ、そういう点はやはり臨時行政調査会の行政事業の分離というものを営林局あるいは営林署にまで農林省はおおむね——仕事のウエートは別として、包括的に含まれている民有林はこういうふうに事業行政とを分離いたしましたというところは、前々から議論になっているような国有林事業の公社化路線ということで、そういうふうにすっきり民有林を割り切ってしまえば、国有林関係については公社化への道も進みやすくなるのだ、ここまで考えてこういう中二階へ民有林を特に入れようとしたのですか。
  47. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 地方農林局の構想は、別に林野行政として経営行政とを分離するという趣旨のものではございません。  それから、ただいまお読み上げになりました地方農林局の林務部関係の所掌事項、これは地方農林局でなければやれないとか、現在のように林野庁と県とでやっては絶対にうまくいかないとか、そういう趣旨のものではございません。これは地方農政局でやっております事柄が地方農政局でなければ絶対にやれないことかといいますと、従来農林省が本省でやり、また県でやりということでやっておりましたのを、地方農林局をつくってきめのこまかい行政を行なおうということで地方農林局にまかしたわけでございますから、林野関係の仕事もそういう趣旨で御了承いただきたいと思います。
  48. 角屋堅次郎

    角屋委員 いずれにしても、いまの官房長あるいは林野庁長官の御答弁で、新しく地方農政局を地方農林局というふうに看板を塗りかえて、民有林関係を特に中二階の一つに当てはめ込むということは、これはなるほどというふうに見分けがたいですね。特に農林省の出先として営林局とか営林署という林野関係のものがないというなら、これはまた考えようがあるかもしれません。厳然たる組織が第一線まである。むしろ民有林に対する指導、育成が十分でないというなら、従来の長官の言をもってすれば、営林局、営林署はほとんどそういうことには関与せずに林野庁地方自治体との間でやっておった、必要があるのならむしろ営林局や営林署を使ってやられればいいのじゃないか、こういうふうにも思うわけでありまして、この点はこういう中二階に民有林関係を持ってくるということは、われわれとしてはいまの説明だけで了承するわけにはいかない。元来全国知事会等からもこういう中二階の組織については常に激しい異論が出てきておるわけであります。なるほどそれはそこへ行ったほうがよろしいという了解があるのなら別だけれども、いままで林野庁地方自治体との間でやっておったことを地方農林局の中に入れて、そしてそれが地方自治体あるいは第一線にまでサービスになるというのには、いまの説明では十分受け取るわけにはいかない。そういうことではこれは入れる理由にはならないと私は思うのであります。  時間の関係もありますので、統計を入れる問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  最初に統計調査部長にお伺いしたいのですが、農林統計のいままで進んできた苦難の道というのは、これは私も農林省に籍を置いておりましたから十分承知をしておるつもりであります。したがって、統計調査機構の部内においても、現在及び将来にわたる統計機構のあり方というものについては非常に熱心な研究、議論が行なわれてきた。また初代の局長である近藤論文というものも意見として出ておったり、あるいはつい最近まで統計調査部長をやっておられた久我さんからも今後の統計のあり方についての見解も出ておる。私どもも十分その内容については承知をしておりますが、そういうことについてこまかく触れようとは思いませんけれども、本来この統計調査局というものが発足したときは、それは何も日本における農林省の統計調査の問題に限らず、統計そのものはどういう機構、陣容でやるにいたしましても、行政からの独立あるは行政からの中立という立場でやられるということが望ましいということが基本的にはいわれておるわけですね。そういうことで、かつては局の立場をとり、そして局が廃止になるに従って農林経済局の統計調査部という形に今日なっておりますけれども、省内の取り扱いとしては、これは局並みの気持ちで運営をやっていくというふうに今日やられておると思うのであります。それはやはり統計の中立あるいは行政からの独立ということを考えに入れて部内運営としてやっておられるということだと思うのでありますが、今度いわば行政を実際にやっていく地方農林局の中に第一線の機構をもろに入れる。かつては農政局所在の統計調査事務所だけを入れるということを出して流れたわけでありますが、今度は全国的にもろに入れる。そしていわば行政と統計がこん然一体になってやるというのか、どういうふうに御説明になるのかわかりませんけれども、いわゆる行政に応ずる統計という形で、きめこまかい地域農政の一環として、農林局に入って新しい農政の統計の活路にプラスアルファしていくのだというお考えであるのかどうか。農林局に統計を入れていくという点について私は異論がある。これができたときのそういう伝統的な考え方のみならず、統計本来の基本的なあり方として私には異論があるのですが、このほうがよろしいという御見解だと思うので、その御見解に立たざるを得ないことだと思うのですが、その説明を願いたい。
  49. 岩本道夫

    ○岩本説明員 話をわかりやすくしますために、苦干比喩的な表現を用いて答弁させていただきたいと存じます。  私は農林統計は農政の羅針盤である、かつ農民、農家へのともしびでなければならないとかねてより確信をいたしております。農政の羅針盤であるという意味は、農政の進展、運営に対しまして、科学的、客観的な統計データを提供することによりまして、農政の進路を誤らしめないという意味でございます。しかし、農政も中央政府のやる段階から都道府県、市町村、集落、いろいろな段階がございまして、それぞれの段階に応じたデータが必要なことは言うまでもないところでございます。しかしながら、先生承知のとおり、私どもの農林統計組織は、発足以来の経緯がございまして全国の統計をつくる、農林省農政運営するために必要な統計をつくるというところに主眼がありましたために全国統計という設計になっておりまして、船で申しますと巨大船舶のための羅針盤を設計することになっておりまして、小船舶向きの羅針盤にはなっておりません。大船舶向きの羅針盤を小船舶に乗っけましても必ずしも十分な運航はできないわけでございまして、これを小船舶向きにしたいというのが今回の改正趣旨の一つでございます。  申すまでもなく、最近の高度経済成長に伴います日本列島の変貌は非常に激しいものがございまして、都市化の進展、過疎問題の発生等、地域は非常に変貌しております。それらの変貌に即応してこの統計をとり、農政をその変貌に即応させる義務が私どもにはあるわけでございますが、いまの統計のやり方ではその責めを十分果たし得ないというところに欠陥がありますので、その欠陥を是正しますための方策として今回の改正案を考えた次第でございます。  それから第二に、農家へのともしびであるという意味でございますが、私は統計は単に行政のために使うだけでなしに、一般、民間も使うという趣旨のものであろうと思います。利用者あっての統計でございまして、官庁統計でございますから農林省が使うことを意図してとっておりますけれども、とられました結果は、先生指摘のとおり、客観的、科学的な、行政の恣意に惑わされないものができておるわけでございまして、当然農家でもお使いになる性格のものでございますが、その使い方が十分でない。と申しますのは、私どもでたとえば作物統計をとっておったり、経済調査をやったり、生産費調査をやったりいたしまして、これは価格政策や構造政策の資料になっておるわけでございますが、そういうデータを使って農家経営をどうするか、たとえば農家経済調査や生産費調査をいかように農家経営改善に役立てるかといったような指導は、いまの統計組織のあり方では十分行ないがたいという欠陥がございますので、この欠陥を是正しますためにも、より地域農政に密着しております地方農林局に入れることによって、いささかなりともその欠陥が是正されて、農民へのともしびとしての使命に貢献することがあれば幸いであるという考えで、この改正案を提案しておるわけでございまして、決してこういう案を出すからといって、統計の客観性、科学性、行政からの独立性を否定する趣旨ではごうもございません。
  50. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林統計は国内における農政のいわば羅針盤という使命のみならず、いま統計調査部長お話しのように、末端の地方自治体あるいは第一線の農民の要請にもこたえていかなければならぬ、それを全部網羅して消化をしていくということはこれは至難のわざである。しかしいずれにしても、中央における農政全般の羅針盤的役割りをつとめるのが統計の使命である。それから地域地方自治体あるいは第一線の農民というものにいわば統計をおろしてこれが活用される。両々相まって統計の本来の存在があるということは私も否定いたしません。しかしそれは、農林局に入れれば、地方自治体あるいは末端に対するところのサービスがより強化をされる、いまのような統計調査部、そして第一線の統計調査事務所という段階では、それは機構上はなかなかむずかしいということでは、その理由には必ずしもならないのじゃないかと私は思うのです。その辺のところはどうお考えですか。
  51. 岩本道夫

    ○岩本説明員 非常にむずかしい問題でございますが、私考えますに、先生十分御承知のように戦後あのような経緯で私どもの農林統計組織ができました事情もありまして、なるべく行政からの独立というスローガンのもとに行政には近づかない、また農民とは直接対話しないという指導方針が確立され、今日までそういう方針で指導されてきたと思います。と申しますのは、戦後の食糧不足に対処して、供出制度に対応するためにこの組織ができました関係上、戦後農林省がとっておりましたセンサス方式、二月と八月の二回、冬期調査、夏期調査として農家の自計申告に基づいて統計をとる方式では、米の収量が過小に出てどうにもならぬ、したがってそれに対処するために農林省直轄の組織をつくるのだ、つくった以上は自分自身が目で判断して、農家に聞いたり市町村に聞いたりするのでなしに、みずから圃場に足を運んで作物の顔を見て、天候と作物と土壌とをにらみ合わせてその収量を判定する、そういう技術を開発し今日まできた関係上、私どもの活動の体制というのはなるべく行政には近寄らないという指導方針が出ておりまして、それはそれなりに任務を果たしておりますし、また非常に高い成果をあげておると思いますけれども、反面、現状においてはその欠陥が出てきたと思います。たとえば、先ほどちょっと例に引きました農家経済調査や生産費調査を活用して農家経営改善をする、あるいは作物統計を活用して農家技術改善に資するというような点は、やはり私どもの組織だけでやるよりも地方農林局に入って地方農林局指導のもとに普及組織を結びつけて普及員の力を借りてやったほうがやりやすいという面がございますので、そういう活動がしやすくなるようにこの改正案が考えられております。したがってこの改正をやることによってそういう活動は一そう円滑に展開されるものと確信をいたします。
  52. 角屋堅次郎

    角屋委員 統計の場合は国際機関との関係がFAOをはじめ多いわけでありますが、ことしは世界農業センサスを実施するという年にもなっておるわけでありますので、この機会に統計調査部長のほうから国際的に統計が要請されておる協力関係の問題について御説明を願いたいと思います。
  53. 岩本道夫

    ○岩本説明員 統計に関する国際的な協力はすでに戦前からいろいろ要請されておる問題でございましたが、諸般の関係で円滑にいかない面もございまして、戦後初めてその関係が非常にスムーズになったと承知をいたしております。特にただいま御指摘のございました農業センサスの問題につきましては、経済協力の観点から経済統計に関する国際条約というものがございまして、この条章によってFAOにセンサスの結果を通報し、またFAOが設計するセンサス要綱を基礎として、それを各国の実情に合うようにそしゃくをしてセンサスをやって統計をつくるというような活動をやっております。そのほか国際連合食糧農業機構の憲章やあるいは経済協力開発機構、エカフェ等の国際連合関係のいろいろな機関の憲章に、それぞれ加盟各国が情報を提供したり統計を提供しようという規定がございまして、それらの条約の規定に沿って各般の統計情報を国連関係機関に提供しておりまして、これはひとり農林省だけでなしに、日本政府の各省庁みなやっておる状況でございます。
  54. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまお話のように、国際機関に提出する統計は、国連統計局へのレポートあるいはFAOへのレポートあるいはエカフェへのレポート、OECDへのレポートというふうな形で、国際連合食糧農業機構憲章第十一条に基づくものあるいは経済協力開発機構条約第三条に基づくもの、その他国際条約関係に基づいてのいわゆる国際協力というものが今日なされておるわけでありますが、FAOその他で日本農林統計は体制あるいは制度その他全般の点から見て国際的にも非常にすぐれておるという評価を受けておることは私どもも承知しておるわけですが、しかし同時にいま統計調査部長もお話しのように、従来はいわば中央統計偏重主義である、末端との関係で見るならば、十分地方自治体の要請にこたえるような形にいかない。いわゆる市町村別統計とかあるいは部落別統計とかいうような要請等の議論も出てくるわけでありますけれども、そういうこと等も含めて第一線の農民の問題のサービスにも十分こたえないというところにやはり従来の欠陥があったことは事実だと思います。  私はFAO論文の中で非常に示唆に富んでおると思うのは、いま第一線の統計の関係は統計調査事務所といっておるわけですけれども、これは本来調査統計事務所、あるいは統計調査部といっておるけれども調査統計部と、これは意味は同じようで実は違うのだということに触れておるわけであります。つまり統計を調査するという趣旨ではなしに、調査をして統計をつくる。第一線もこれは単なる調査マンではなしにいわゆる統計家としてのプライドを持ち、統計家としての指導性を持つというところまでいくことが望ましい。単に上に行って、そして中央段階で数字ができるのではなしに、下部段階で相当程度の数字ができるということが望ましい。それはアメリカの場合でも州が非常に力を持っておるけれども、しかし国自身行政からの独立あるいは行政からの中立として非常に整備した機構を持つ。第一線はいわゆる統計家としてのプライドを持ちまたそれだけの待遇を受け、それだけの仕事をし、そうして第一線の地方自治体やあるいは農民諸君の期待にこたえるという形になっておることが指摘されておるわけであります。そういう点から見ると、今日統計調査事務所あるいは第一線の出張所というのは統計をつくる調査に非常に追われて、みずからがそういうものを調査して統計を解析し分析し、そして第一線にそれをおろすというだけの力と陣容を持たないというのが実態であります。しからばそういう点から見てそれだけに専念するというわけにはいきません。中央の要請、国際的な要請というものを頭に考えながら、しかもこれらのそういう要請にもどうこたえるかということであろうと思うのですが、そういう展望から見て、いま地方農政局に入るのと、いわゆる独立機構として統計調査部第一線という形で結びついてやっていくのとには、どういうふうに違いがくるのか。
  55. 岩本道夫

    ○岩本説明員 最大の違いは職員の考え方の問題、端的に申しますと、職員の士気の問題であると思います。先生指摘のとおり統計調査部発足以来統計をつくるための機構であったのですけれども、その前提として調査をするということになっておりまして、調査をして統計をつくるという本来の趣旨が逆転をしまして、統計のための調査にあらずして調査のための調査に堕しておるのが現状であろうかと思います。これは非常な欠陥でございまして、組織発足の趣旨にも沿っていないと思います。それにはどうしたらいいか。統計というのはエスチメートでございまして、いろいろな情報を収集して一つの正しい結論を出すという知能の操作でございまして、単に調査をすればそれから自動的に出る性格のものではございません。ところが全国統計をとるという立場で、そういう頭を働かして設計をする段階は全部本省の統計調査部でこなして、末端の統計調査事務所及び出張所の職員に対しては中央で設計した、すでにこまかくきめられた表を配って、そこに書き込んで数字を上げるだけの作業しかさせておりませんために、ほんとうに頭で考えてその数字をこなし統計をつくる、つくった統計を関係機関に伝達をしまたそれによって農民を指導するといったような活動はおろそかになってきているのが実情でございますので、その欠陥を是正するためにはもう少し現場で行政に近いところの傘下に入って、行政の動き、農村の変貌を踏まえた上でそういう統計の設計をし、また統計の数字をとるにしても、そういう情勢を踏まえて活動するということをする必要があろうかと存じます。今回改正案が成立すればそういう活動はやりやすくなるのじゃないかというふうに期待をしておるわけでございます。
  56. 角屋堅次郎

    角屋委員 結局いまの統計調査部長の説明から判断をすると、いままでは統計調査部で一〇〇%企画をして、これを統計調査事務所、第一線の出張所におろしておった。今度は地方農林局に入るということによって本省が総合的な全体的な統一的な企画はやるけれども、しかし地方農林局のローカルカラーに基づくところの地域的な要請に即応した統計需要というものは、それぞれの地域の主体的、自主的条件が織り込まれる、あるいはプランがつくられていくということを取り入れて、いわば長い展望の中で、従来一〇〇%やっておったのを、中央から統計としておろしてくるのを七〇なら七〇とするならば、地方農林局は三〇%についてはローカルカラー的なプランメーカーができるという構想を言おうとしているのですか、どういうことなんですか。
  57. 岩本道夫

    ○岩本説明員 現在でも二割程度地域の統計をとるほうに労力をさいておると思います。これはなぜかと申しますと、私ども本省で設計しました統計調査のとり方は、何と申しましても全国各地の情報を積み上げなければなりませんから、積み上げる段階である程度地域の情報がとれるわけでございますから、本省に報告するかたわら、地域的な情報を集めて地域統計としてサービスをするということは、現にやらしておりますし、またやっておるわけでございますが、それが画一的と申しますか、まあ霞が関から言われたとおりしかやらぬものですから、地域の変貌の実情に合わない、地域の変貌を自分の頭で判断してそれに即応するという知恵が欠けておる状況でございますから、その知恵を働かせる余地を与えますために、もう少し地域でとる統計の幅を広げ、そしてまたその地域の統計のとり方も、はしの上げおろしをするように逐一こまかいところまで本省から指示するのではなしに、大綱を示して、その具体化は地域にまかせるといったようなことをしまして、全国的な統計の統一性をそこなうことなしに創意くふうが働かせる余地を広げていきたい。したがいまして、いま二割ぐらいやっているのを三割にし、行く行くはもう少しふやすことも考えてよかろうかと思いますが、どの程度にするかということにつきましては、本省の必要とする全国統計の精度なりその範囲ということとも関連しますので、いまにわかにここで幾らということは申し上げるわけにいきませんが、いま申し上げましたような趣旨に沿って、できるだけそういう余地をふやしていこうというふうに考えております。
  58. 角屋堅次郎

    角屋委員 統計は、一つは非常に迅速をとうとぶ場合があると思います。これはたとえば生産統計にしても、あるいは場合によっては米審に合わせるための生産費調査の問題にいたしましても、これはやはり迅速をとうとぶという性質があります。地方農林局という中二階が入ることによって、書類が第一線におりるのは四段階を通って第一線の出張所にまで行く。そしておそらく通常の場合には、報告としてもこの四段階のルートを通じて本省に上がっていく。従来は中二階が一つ欠けておったわけであります。運営の問題としては、上からおりるときは四段階でおりてくるのだけれども、上へ上がっていくときには地方農林局に報告すると同時に、その事務所から統計調査部にも報告するんだ、こういう運用をやろうとしておるように承るわけですけれども、いずれにしても、この中二階を置くことによって、一方ではそういうブロック別の地域要請にこたえようとするのだという説明をされようとしておるわけですけれども、統計の本来ねらっておる迅速性とかいろいろな点から見ると、非常に煩瑣になるという点がどうしても出てくる。しかも、統計が発足してから二十年以上たった今日、この地方農林局に入るということを、やはり統計調査部長、大臣の前で説明をしなければならぬものだから、二割を下部にまかしているんだけれどもなかなかうまいぐあいにやってくれないというけれども、これはいささか強弁じゃないかと思うのですね。一つの一貫的な機構をもって二十年もその道でやっておれば相当に習熟もしてくるし、末端の事情については、第一線で仕事をしておるのだから実態は十分把握しておる。何をその地域は要求しておるか、あるいは地域の構造改善でも第一線が農民から何を要請されておるかは、全然わからずにいける問題ではない。したがって、そういう点は統計調査部が地方農林局にできて、そしてそれが四つなり五つなりの事務所を総合的にやっていくということによってより効果的になるのか、あるいは中央が全国所長会議その他支部の担当課長会議等を通じて、あるいは第一線に出かけていって指導することによって、そういうことがより迅速に適切にできるのかということについて、一がいに私は言い切ることはできないと思います。  何が地方農林局にいこうとする理由になっておるのかという点は部長からいろいろ言われたけれども、やはり私をして率直に言わしむるならば、その理屈は全然筋道が通ってないとは申しませんけれども、農林省の林野を除いた五万人くらいの世帯のうちで統計が一万人以上の人員を持っておる、この人員をもう少し全体的に有効に使いたいという農林当局や政府のお考えがあって、そしてそれをやるためには統計調査部、第一線の統計調査事務所、出張所という段階よりも、末端のやつは地方農林局に入れれば、他の部への異動やあるいは他の局に向けるのも、より配置転換その他が円滑にいくだろう、こういう理由というのはちょっと隠しておいて、そして先ほど来の御説明のように、いや実は従来やってきたについては、こうこうこういう、反省をしなければならぬ、したがって、それに即応するためには地方農林局に入れるといかにもうまくいくような形で言われるけれども、入れる入れぬの問題にしても、これは運営をしてみなければわからないということもひとつ言えるかもしれませんが、私は基本的には統計調査部と第一線の統計調査事務所、出張所の段階の中で、二十数年の長年の経験を経てきた中で、そういうことはできないということはあり得ない。これは地域統計の問題にしても市町村別の統計作成の問題にしても、あるいは必要に応じてブロック別統計をつくる問題にしても、これはそういう周辺調査をするにしろ悉皆調査でやるにしろ、どういうプランでやるか精度はどの程度のものが要請されておるかというような形の中で、十分中央、地方を通じてこなせる問題である。そのことだけではやはり末端の要請にこたえる統計調査が地方農林局に入らなければできないという理由にならない。むしろ私をして言わしむるならば、人員としては食糧庁に次いでのあるいは林野庁に次いでの人員を持っておる統計調査部の人員というものを全体的に必要なところにまいていきながら、そして農政をやっていく、そういうほうに振り向けたい、そうは言えないから、地方農林局に入れるということを何とかかんとかいって説明しなければならぬというのが、ざっくばらんに見た私の裁断である、こう思うわけですが、いかがですか。
  59. 岩本道夫

    ○岩本説明員 統計調査事務所及び出張所の職員は、農林省職員でありますとともにその地域に住んでいる住民でございます。したがって、生活態度としましては農林省の命令されたところに従って統計をとると同時に、その仕事を通じていささかでも地域の開発なり地域農政の伸展に貢献をしたいと念願するのは人情のしからしめるところであろうと思います。ところが従来、農林統計組織は行政からの独立というたががはまっておりまして、そのたががありますために、なるべく地域行政機関や農民には近寄らない、圃場に行って作物の顔を見ても農民とは対話をしないという風習が確立をしてきたわけでございます。それは幾ら何でもひどすぎはしないかという感じがするわけでございまして、そこを是正するのがこの今回の改正の重大な眼目でございます。そういうふうに本省からこまかい統計のすみずみまで指示をされて、指示されたとおりにしか動けない、自分がそこで発案し創意くふうする余地が少ないということは、職員の生きがい、地域住民としての生きがいを喪失させる原因になっておりますので、そこのところにメスを入れるのが今回の改正の最大の眼目でございます。もちろん一万人以上も職員がおりますから、待遇の問題だとか配置転換の問題だとか、いろいろ問題があることは十分承知しておるのでございまして、それを解決する上におきましても、この改正案が貢献するところが大きいと確信するものでありますが、それは二の次と申しますか、ほんとうのねらいは、やはりこの職員の活動が地域住民に奉仕することによって、職員農林省に奉職する生きがいを見つけさせようというところにあると思います。
  60. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣には一々の点についてはお伺いしなかったのですが、農政推進上のこれからの統計機構のもっていき方について、従来十数年農林水産で議論してみますと、かつて赤城元農林大臣等は、この点では非常に深い御理解を持っておられた御答弁を経験をしておったわけです。長谷川農林大臣も、そういう点では非常に理解が深いと思うが、私は率直に言って、第一線の統計調査の職員の諸君は、こういう機構の改変を通じて、統計の籍におる者がどういうふうになるのだろうという身分不安という点が非常に強い。これは、かつて私が農林省におった時分に、幾たびか激しいあらしを農林省全体としても経験をしたし、その中で統計もその大きなうねりの中にあふりを受けたわけですけれども、そういうことを幾たびか経験をしておるだけに、今度の組織改変を通じて、ほんとうのねらいは何か、一体われわれはどういうふうになるのかという点で、率直に言って大きな不安を持っておるといわなければならぬ。私は何も農林省の第一線の各事務所を通じてどこが一番忙しいか、あるいは忙しかったかということについて触れようとは思いませんけれども、しかし統計の関係というものは案外世にも評価をされぬ、認められざる待遇の中で、仕事としては農林省の中ではトップクラスで忙しい中で、とにかく一年じゅういろいろなことをやらなければならぬのが実態である。しかも先ほど来言うように、地域要請にこたえようとすれば、事務所段階あるいは特に第一線段階というものの陣容の整備というものは十分配慮しなければならぬということを考えてまいりますと、地方農林局にいくことによって、そういう下部段階に、いわゆる整備強化その他でウエートがくるのかあるいは薄くなっていくのか、こういう点も含めて大臣の率直な御見解を聞いておきたいと思います。
  61. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私が申し上げるまでもなく、現在の日本農業を、小なりとも営もうという人が、海外、たとえば東南アジアだけでなく、海外の農産物がどのような収穫とどのような需給を高めているか、このくらいのことは農民自身が知らなければ、日本農業を営むわけにまいりません。特に今日、ただいま御指摘のあったような、農業という、その統計におられる人が隠密主義をとっているようなことで、どうして日本農業の繁栄というものを見出すことができるでしょうか。私はもう今後は農民自身が統計の方々に伺って、そうしてそれを自分の頭の中に入れて日本農業生産に当たっていく、これが日本農業の使命でなければならないと考えております。  そういうような、最も農業の方針を基礎づけるところの大きな役割りを持っておるところの統計であります。その統計が、今度は民間の方、農民と直接はだを触れ合って、こういう国々ではこういうふうなものがこういう状況のようだとか、あるいは日本農業全体の上に立って、これが過剰だとか、今度はこういうような作付をするほうが有利ではなかろうかというような話し合いとまでなって、今後の農業指導に当たってもらうということが、これがその目的を達する大きなゆえんだろうと考えます。こういうような点から考えまして、統計の仕事がきわめて大きな役割りである、こういうふうに考えます。でありますから、身分保障が云々だとか、それは首切りをするのが目的であろうとか、そういうような考え方は毛頭持っておりませんし、中央から出した、たとえば農林省でまとめたものが配布される、それをきめこまかに農民に伝え、農民の今後の指導に当たっていくという、これすなわちまた大きな役割りがございますし、また中央は中央として、どういうようなもがどのように生産されてくるか、この統計をとって今後の指針にもしなければならない相当大きな役割りを持っておる統計でありますので、われわれはこれを無にしようなどという考え方は毛頭持っておりませんし、これが今後中心となった日本農業振興基礎づけでならなければならぬ、このように考えておるわけでございます。
  62. 角屋堅次郎

    角屋委員 楢崎委員関連質問がありますが、大臣のここにおられるお時間の関係もありまして、この機会に私から、関連質問の前に口火を切っておきたいと思うのです。  大臣も御承知の、衆議院の予算委員会分科会でもかつて社会党の岡田議員のほうからも取り上げました北海道長沼の国有林水源涵養保安林の解除をやって、そうして、ミサイルの基地を設置しようという問題で、昨年の九月の聴聞会も紛糾がありましたし、数日来、再度聴聞会を持とうという点についても現地側に紛糾がございまして、逮捕者も出ておるという事態に今日なっているように承知をしておるわけであります。この点のまず現地の実態について、事務当局からでもけっこうでありますが、それに基づく大臣の御見解等については、楢崎委員のほうから御質問を願うということにいたしたいと思います。
  63. 片山正英

    片山政府委員 今回長沼の保安林解除に伴いまして異議意見者の発言がございましたので、それに対しまして昨年九月に三日間いたしたわけであります。われわれはその段階におきましていろいろ議事録等を調査したわけでございます。私どもはその公聴会が一応成立したのではないかというふうに判断をいたしておりますけれども、なお異議意見者が発言ができなかったという声も聞かれるわけでございますが、今回さらに念のため、五月八日から十日の三日間公聴会を開くということで告示をいたしたとともに、本人に御通知を申し上げたわけであります。  なお、昨日から公聴会が始まっておるわけでありますけれども、その後の六日夜以降、端的に申しまして非常に混乱をいたしております。何とか異議意見者が意見の言えるよう御協力をいただきたいということで、現在折衝をいたしておる段階でございます。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 緊急事態でありますので、主として大臣長官にお伺いをいたしておきたいと思います。  それで、おとといは長官と約一時間半、昨日昼は大臣とお会いをしまして、私はある程度の約束ができたと思って、直ちに現地にその旨を連絡して善処方を待っておったわけですが、信義の問題もありますので、ちょっとこまかい点にも触れたいと思います。  そこで、きのう大臣はおとといからきのうにかけて、どういう事態になっておるかという報告を受けられましたか。
  65. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 長沼の問題をあなたからおききいたしまして、そうしてさらに長官にも、その情勢とはどんなものですかというようなことを聞きまして、楢崎君からお話があって、なるべく慎重に取り扱うようにやってもらいたいということだけは伝えておきました。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはきのう何時ごろそういう話をされましたか。
  67. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 はっきり時間の覚えがないんですけれども、いずれにしてもきのうは御承知のように農林委員会が二つ開かれておりましたので、帰ってくる早々両方の農林委員会に出ておりましたのですが、午後三時か四時ごろではないかと思います。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、その時間のことは後ほど関連するから信義の問題上明確にしておきたい。  昨日のことですからたいへんお疲れの模様であったことは私もわかります。しかし重要な問題ですから、けが人も出、逮捕者も出ておるというような事件ですから、何時ごろであったかどうか。三時ごろか四時ごろかというふうなあいまいな話ですが、それでいいですか。非常に関係がありますから、私はそれは明確にしておきたいのです。——いやあなたにじゃない。あなたたちは虚偽のことをやっているから、私はこれをはっきりしたい。やってないんじゃないですか。長官とそういうお話してないんじゃないですか、大臣
  69. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 長官には、楢崎君からそのようなお話がありましたから、なるべく慎重に取り扱うようにという話はしております。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それが何時ごろですかと聞いておるのです。
  71. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 それが、いま言ったように三時か四時ごろだと思っております。
  72. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこでそういうお話しかなさってないわけですね。それは示達ということになるのですか。私はよく知らないけれども大臣の示達というんですか。
  73. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 役所のことばでございますから、示達といったり指示といったりいろいろな言い方はございます。とにかく大臣の御意思として聴聞会は予定どおり続けてほしいということと、できるだけ円満に処理するようにしてほしいという御趣旨のことを私どもは伺っております。
  74. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたつけ加わえられちゃいけませんよ。前段のことは何ですか。あくまでもやってほしい、しかし円満にやってほしい。大臣のお答えは、円満にやってほしいという答弁しかないんですよ。あなた何でつけ加えるんですか。あくまでもやってほしいというのは、そういうことを大臣おっしゃったのですか。おっしゃったならおっしゃったとはっきりしてください。大事なことですからね。
  75. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 この経緯から見ましても、前回の聴聞会があったそのときにも、先ほどお話しの北海道出身の方からあの聴聞会は無効じゃないかというようなお話がございまして、私は、話を聞いてみたけれども無効ではないような話だというような話を申し上げておきました。ただし念のためにもう一回開けというのならば開いてもいいじゃないですか、ですからそのような方向に向かってそれでは話だけしておきましょう、こういうようなことを伝えておいたわけでございまして、もう一回開くということで今回開くことになりましたということでございますから、そこでなるべく円満に事が進むように、ひとつ慎重にやってもらいたいということを長官にもきのう申し上げておいたわけでございます。
  76. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はその話ならわかるのですよ。きのう大臣とお会いした中身からも私はそういうことであろうと思うのですね。ところがそれが非常に別の印象を与える強い示達ということで現地にいっております。順次やりますけれども……。  そこできのうの事態はどういう事態になっておるかということ、これは重要ですからはっきりいたしておかぬといかぬのです。それはなぜかというと、私はおととい、こういう事態になりますよということは長官にも言ったのですよね。どういう事態になっておるかというと、重軽傷者含めて数十人、五十人以上です。逮捕者がやはり五十名近く出ておる。そしてきょうは朝から機動隊並びに警官隊が千人ほど動員されて、異議を唱えておる農家のおも立った家を十重二十重に取り巻いて家宅捜索を行なっておる。いまです。それは公務執行妨害、凶器準備集合罪の疑いでです。そして今度は——いままではこの種の聴聞会では申請者の代理人の入ってくることを許しておる。傍聴人も許しておる。それがきょうは代理人も一切認めないという形で、そしてその会場に入るには横になってこうして行かないと入れないぐらいにいま警官隊がやっているんです。いまですよ。そういう中でいま現在強行されようとしている。  そこで、私は昨日昼、大臣とお会いしまして、大臣も慎重にやる、告示の疑問の点についても善処したい、こういうお話であったから、それを昨日現地に伝えた。そこで、ではそれがほんとうかどうか、私が連絡したことがほんとうかどうか確かめるということで、午後七時に約三十分間休憩をして、議長をしておった指導部長は農林大臣に連絡をした。そして再開をされた。再開をされて文書を読み上げた。農林大臣の示達がきております。いいですか。本日の聴聞会は完全に遂行せよ、あくまでもやれ。そういう示達を出したのですか。どうしてそういうふうになってきたのですか。これは私がうそを言ったか、大臣がうそを言ったかあるいは適当にほかの方がそういうふうなことをやったか、三つに一つです。私どもこうして国会でいろいろ審議をやっておりますが、やはり底に信頼性というか信義と申しますか、そういうものがなくてはやれませんですよ。これははっきりしていただきたいと思う。ただいまの現地の状況はいま申したとおりですから。そしてきのうの大臣と私のやりとりあるいはきょうこういうふうにやっていることをすぐ連絡してくださいと現地では待っておるのです。明確にしてもらいたい。
  77. 片山正英

    片山政府委員 少し前の話に戻りますが……。
  78. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 前はいいです。その三つだけはっきりしてください。大臣がいつまでもおっていいんだったらゆっくり話しますがね。
  79. 片山正英

    片山政府委員 二、三分ちょっと。楢崎先生から私確かに一時間余にわたりまして申し込みを受けました。要点は中止をしなさいということと、第二点は平穏にやるべきだ、こういうことでございました。(楢崎委員「延期をしなさいということも言いました」と呼ぶ)ええ。したがって、私は延期という問題につきましては、すでに関係各省御了解のもとに開催しておるから、いまこの段階では延期は困難でございますと申し上げました。それから平穏の問題につきましては、意見の申し入れをやりたいという人が百数十名おられた。その人を中心にして意見を開陳されるのであれば混乱は起さないんじゃないでしょうか。しかし万一想定しまして外部の人がそれに入ってくると、混乱というものが確かに想定できますので、その点は御協力できないでしょうか。私はそう申し上げたわけでございます。  ところが、七日の現状を見ますと、その後の経過を見ますと、六日の夜全学連を中心とする約六十名の学生が会場を占拠いたしまして開かれないような形になりましたので、再三御注意を申し上げたのですが出られなかったということから、警官を動員いたしまして排除をした。これは確かにございます。それから七日の朝七時半ごろから午後にわたって数百人に及ぶ人たちが出まして、したがってこれらとの関係で警察の機動隊と若干衝突いたしまして、投石やらあるいは火炎びんやらがございまして、護衛車が焼き払われたということも実は伝わってきておるわけでございます。そういうことから人数は私のほうは正確ではございませんが、三十数名……
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことをいま私は聞いてないのです。何を言っているのですか。
  81. 片山正英

    片山政府委員 経過をちょっと……。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 経過は私はあとでやります。私の質問の点をまず答えてください。
  83. 片山正英

    片山政府委員 ということで三十数名、人数は正確ではございませんが、逮捕されたということも伺っております。したがって、こういう異常な空気の中におきまして、公民館におきましては本人の出席は一人でございます。あとは全部代理人という形でございましたことと、さらに代理人の委任状が一人に対して二十枚も出ておる。一人の人が二十枚も発行しておるというようなこともございまして、確かにその辺の入る、入らぬでトラブルが起きていることも事実でございます。そういうようなことでございますが、意見の開陳を求めておる人もございます。ただ代理人のグループは、説明が不十分であるから意見の開陳はできないというようなこと、それから出席していて意見を言いたいという人が意見を言おうとしましたところが、結局暴力をもってこれが阻害されて、意見が言えなくなったということの実態も実は伝わってきておるわけでございます。こうした空気の中にございましたので、昨日午後九時過ぎに議長団としては一応初日の公聴会は終了したということで閉会しておるのが現状でございます。  そこで私のほうといたしましては、大臣お話もございますし、官房とも相談をいたしまして、公聴会をぜひそういう意味で開いてもらいたい、ただそういう異常なものに対しては、できるだけそうならないように注意をして進めることが望ましいのだから、そういうことでやってもらいたいということで通達をしたわけでございます。要は、そういう外部の人が入ることに対して、ぜひそういうことがないように御協力いただきたいというのが本席をかりましてもお願いするところでございます。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何を言っているのです。経過をいま私は聞いたですか。三つのうちどれかというのを聞いておる。質問に答えないで何を言っておるのですか。いまあなたが言った経過については私はあとでやりますよ。私の質問に答えてください。都合の悪いのは全然答えないで何を言っておるのですか。もう一ぺん言いますよ。きのうの午後七時から三十分間休憩に落として大臣と連絡をした結果、大臣からこういう示達がきましたという知らせがあった、そうして文書まで読み上げておるのだ。そういう事実はないんでしょうが。午後七時から七時半までの間に大臣に連絡した、こういう示達がきましたと現地では報告をしているんですよ。大臣はきのう午後七時から七時半までの間はそういうことはないんだから。それを私は聞いておるんだ。
  85. 片山正英

    片山政府委員 お答え申し上げます。  時間は確かにそのころの時間に御指示を得まして、公聴会は開く、ただし、それはほんとうに円満に開くようにすることが望ましいから、そういうことを注意しておやりなさいということを私は通達しました。電報を打っております。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから私はさっき時間のことを言ったんですよ。大臣は午後三時か四時ごろそういう話をしたということをおっしゃったじゃないですか。午後七時の段階で、事態がこういうふうになりました、一体どうしましょうかと相談して大臣がそういう返事をしたのなら、またそれでいいです。ところがそういう事実はないんだから。こういう重大な段階でそんなごまかしをやってはいけませんよ。かってにやっておるんでしょうが。
  87. 片山正英

    片山政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、大臣の指示を受けましてそういうような電文を打ったわけでございます。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは違うじゃないか。休憩にしておいて、その三十分の間に大臣に連絡します、そして、再開して、大臣からこういう連絡が来ました、つまり示達が来ましたといっていま言ったことを読み上げた。事実と違うじゃないですか。
  89. 片山正英

    片山政府委員 示達ということばの問題でございますが、電報を打ったわけでございます。それをいま先生が示達とおっしゃって……。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が示達と言っておるんじゃないですよ。あなたのところの指導部長が現地に行って聴聞会の議長をしておって、その人が大臣からの示達として重々しくやった。つけ加えれば、あくまでもやれといって大臣は激励されましたと、つけ加えておるんですよ。これは信義上の問題だ。
  91. 片山正英

    片山政府委員 ことばの問題を論じて恐縮でございますが、電報を出した。その電文を称して、現地においては示達という表現をとったと思います。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いいです。だから事実はそういうことですね。はっきりしておきますよ。三時ごろ大臣が円満にいくようにしなさいという話をした。それが午後七時の段階で、その事態というのは——もういろいろな事態が進行しておるんですからね。そういう事態のもとで指示を仰いだ。そうしたら大臣からこういう示達が来ました、だいぶん違いますよ。いいですか。だから事実と違うことだけはっきりしておけばいい。そこであなたは協力してくださいと言われました。おとといです。こういう事態を想像しておったから、私は現地のことを知っておるから、だからわれわれもそういう事態で開かれることはよくないから、なるだけわれわれも円満にしたい、あなたに話したじゃないですか。おとといですよ。円満にするにはどうするか、なぜそういう事態が予想されるか、昨年の九月十六日に聴聞会が開かれて、そのときにいろいろ問題を提起した。たとえば告示の場合の解除理由が虚偽ではないか。それで昨年九月十六日からの聴聞会は窓口だけでもせめてパアになったのです。だからそれと同じことを繰り返せば当然同じ事態が起こります。だからわれわれは疑問を提出した。告示の内容を変えるんなら簡単に変えられますから、それはあるいは聴聞会は一カ月ぐらいおくれるかもしれない、しかしそういうきちんとした手続で行なわれるならばわれわれは聴聞会を開かれることを阻止しようとは思いません、聴聞会が開かれて、その中で反対の人は意見を言ってもらうようにわれわれは指導します、それはあなたにおととい言ったんです。だから、こういう事態が予想されるから、一カ月ぐらいおくれるかもしれないが、告示の訂正ぐらいは簡単だからそうしませんかといって、一時間私ども言ったんです。そういう経過があったんです。何も、聴聞会を何でもかんでも阻止しようなんで思ってないんです。手続上疑義があるからそれをりっぱにしなさいと言ったんです。なぜ手続上に疑義があるかというと、いまさらこういうことを言うのも何ですけれども、保安林を解除するには相当の理由があるのは御承知のとおりですね。だから解除の理由が解除手続の場合の一番大事なところですよ。これは森林法の示すとおりです。したがって、その解除の理由について、書面上は高射教育訓練施設になっておる。しかし、防衛庁は、国会における審議でも明らかなように、教育訓練施設じゃないんです。長沼のものは第三高射群なんです。教育訓練は、ミサイルの場合は米国でやっているんです。たいそうなお金をかけて、何百人も自衛隊員を米国に派遣して、帰ってきたら浜松に集結さして浜松でまた訓練をやる。そして実戦部隊を配置しておるんです。その実戦部隊の一つとして第三高射群、ナイキハーキュリーズJを長沼に置くのです。これが防衛庁の業務計画の中において明らかになっておる。だから、その解除の理由が違うからそれを直しなさい、実態のとおり第三高射群の設置だとすれば、それはそれなりに手続がりっぱにいきますから、そうすれば聴聞会が開かれる。だから訂正しなさいということを昨年の九月十六日の問題以降ずっと言い続けたじゃないですか。なぜそれができないのです。そしてそういう問題が前段としてあるのに、混乱が起こって、やれパトカーに火がついたとか、やれ学生がやっているからけしからぬとか、どうしてそういうふうに問題をすりかえられのですか、はっきりしていただきたいと思う。
  93. 片山正英

    片山政府委員 先生の御指摘、それは確かにわれわれと見解の相違といったら申しわけございませんが、そういう点であろうと思います。われわれは保安林指定解除の理由の一つとしまして、高射教育訓練施設敷地及び高射教育訓練施設連絡道路敷地とするため、これが理由でございます。そこでその内容でございますが、これは先生指摘のとおりの内容が入っていると思います。しかし、これらのものは、こういう表現で防衛庁によっても行なわれておるということが実態でございますので、そしてこれが普通使われていることばでございます。国林財産台帳によってもこれが使われているわけでございます。したがいまして、それを使ったわけでございます。たとえば、ほかの保安林解除の問題でも、道路を開設する場合、その道路は、たとえばどこどこの基地に行く道路であるとか、あるいはどこどこの何々号の道路であるとか、こういう表現はとりませんで、道路敷地、そういう表現で解除をいたしておるわけでございます。そういう意味で、一般に使われているこの名前によって防衛庁の申請もございます。したがいまして、それによってわれわれは解除の理由といたしたわけでございます。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁来ておられますか。どうして高射訓練教育施設になるのですか。もしそうならば、その予算が組んであればまた問題にします。それが通常のやり方ですか、防衛庁
  95. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 確かに先生指摘のように、防衛庁の部隊の名称はそれぞれ国民になじまないような名称があることは事実でございます。第一次のナイキ大隊を編成いたします際に、一体どういう名称にするかということをいろいろ検討いたしたわけでございます。しかも欧米におきますような地下式、固定式なものでなくて、当時はナイキアジャックスでございますが、比較的機動性もある。そこで、平時は主としてこれは教育訓練を行なうところである。しかもその際、さらに実際に射撃訓練を実施するのは、現在アメリカで行なっておりますが、やがては日本国内にも実際に実弾を射撃する訓練場の選定もしなければならないわけでございます。そのときの新たにつける名称というのは、やはり高射訓練場であろうというようなことも考えまして、平時の実際の内容は、そこで実弾を撃つわけではなくして、主として教育訓練を行なう。それで実射は別のまた新たに設置される日本国内の訓練場で行なうというようなことも考えまして、当初国有財産台帳に登載する名前としまして、高射教育訓練施設というようなことばを使用いたしたのでございます。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで、いまの点も私は問題だと思うのです。将来実射をやる予定である。そういう場合のために、名称としても教育訓練施設としたほうが適切である。それはほんとうですか。それで長沼を予定するのですか。もし長沼を予定するのだったらそういう名前でもいいですよ。そうじゃないのでしょう。第三高射群の設置の場合に、そういうほかの場合の名称を、ナイキの場合あるいはホークの場合に実戦部隊でそういう名称を使ったことがあるのですか、教育訓練施設だという……。
  97. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 先生も御承知のように、第一高射群は東京周辺に配備されまして、第二高射群は……。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは知っておりますよ。
  99. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 その場合に使います名称は、高射教育訓練施設ということになっておりまして、実際に実弾を射撃して訓練をする場所は、この高射群の配備する部隊の場所ではございません。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 練兵場をやるのと違うのですよ。だから、教育訓練施設だったら、そういうことが連想されるからまだこれくらいならいいのだという感じも受けるけれども、実戦部隊が来るということになりますと、性質が違うのですよ。だから、名称をはっきりしなさい、解除の理由はそうだとはっきりしなさい、私どもはそう言っておる。しかし、時間の関係がありますから協力したいと思います。  そこで、大臣、こういう状態の中で、ただ形式だけ聴聞会を開くというものではないでしょう。やはりみんなの納得づくでなければならぬ。基地の場合というのはそうですよ。納得づくで、われわれも反対だけれども、手続を踏んできちんとやられれば、それは多数に従いますよ。しかし、手続上疑義があるからこういう問題が起こる。こういう問題が起こってもやむを得ないと思いますよ。われわれの立場からいえば、無効の聴聞会を開いておるということになる。そうして強行しよう、何が何でも形式だけ整えようという、そういうことを黙って見ておられますか。そうなるから、現実の解決としては、大臣、いまの段階でもそういう事態ですから、好ましい事態ではないのです。新島の射爆場の問題もまだ決着を見ないのは、やはり漁民の立場なりあるいは国定公園としての立場なりあるいは民間航空の立場から、運輸省農林省水産庁自治省も反対をしておるのです、抵抗しておるのです。林野庁に限っていつから防衛庁の下請をしなければいかぬのですか。何をそんなに急いでしなければいかぬのですか。一月ぐらい延びたっていいではないですか、円満にいくのだったら。私はそれが実際の解決だと思うのです。  それで大臣にお願いしたいのは、聴聞会が有効とか無効とか言ったら議論になるから、そういうことはたな上げしてもけっこうだから、いまの事態を何とか中断して、そして冷却期間を置いて、われわれが言っておる所定の手続をきちんとする。そうして聴聞会を開かれれば、われわれは聴聞会を阻止しません。聴聞会の中に入って、意見のある人は意見を言ってもらう、そういうことになろうかと思いますので、大臣の最後の、この事態の収拾について決意をお伺いしたい。
  101. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 中身の云々は、申請者があって、申請の上に立って判断すべきものであって、内容云々というのは、これは私のほうの関係ではないだろうと思います。ですから、申請人があって、それはこういうように使うのですという申請があって、その申請に基づいてこちらのほうが判断をしていくわけですから、内容の云々については私は何ら申し上げることはできない。それは別個のところでやることである。したがって、昨日もお話しを申し上げましたとおり、前回にもそういうようなことがあったというから、いま一度とにかく開いてみたらどうなんだ。そうしていろいろの連絡をして慎重にやるべきではないか、こういうことを申し上げて、今回開いた、こういうことであります。そうしたところが、きのうもお話があったような話がありましたから、長官を呼びまして、慎重になるべく円満にいくように遂行をいたしなさい、こういうことをお話し申し上げておいたわけでございます。したがって、今日いまここに来て情報を見ましたが、情報はそれほど昨日と違っているというふうには——ここにありますから見たのですけれども、それは別といたしましても、なるべく円満にいくように、そうして慎重な取り扱いをすべきであるということは、ここにおいて判断をいたすべきでない。現地におる人たちによって、その判断の上に立って事を進めていただかなければならぬだろうと思います。ここにいていろいろお話を承って、それではたいへんだというわけにもなかなかまいらないので、現地におる方もなかなか慎重におそらくやっておるだろうと考えます。なるべく慎重に円満にいけるような方法をとりつつあるというふうな情報も、いま見たのですけれども、ここに書いてございますので、その点は御了承を賜わりたいと思います。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ最後に、どういう報告か知りませんが、私が先ほどお話ししたような状況の中にあるわけです。それで大臣、幾ら大臣がそういうふうに慎重に円満にいくようにおっしゃっても、それが現地にいく場合には大臣の示達で、あくまでも完全に遂行せよと大臣は激励された、こうなるのですから、大臣の思惑と違うのです。だからいまおっしゃった円満に慎重にやれということからくる現地の取り扱いとしては、無理はしない、こうなります。むちゃはしない、こうなります。そういうことになるのじゃないでしょうか、実際問題として。
  103. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 どうも私がここにおってでございますから、ただ情報を伺うだけでございまして、お話をいま伺うだけですから、慎重に円満に聴聞会を済ませなさい、これよりどうも言いようがないので、おそらくここのお話でもって通知々出せば現地の方もやはり慎重にそれを遂行するだろう、こういうふうに感じるよりほかしようがないです。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではどうしてもやるというわけですか。何が何でもやるというわけですか。きのうの指導部長が読み上げた示達のとおり、大臣の意思ではないようであるけれども、どうしてもやられますか。どんな大混乱が起こってもやられますか。
  105. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 それは何が何でもどんな大混乱が起こってもやれというわけではない。慎重に円満にいずれにしてもこの委員会だけは遂行をいたしなさいという……。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは指導になりませんよ、そういうあなた抽象的なあれでは。
  107. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 それより私は言いようがないですな。慎重になるべく円満に遂行いたしなさいというほかに私の言いようはございません。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、大臣のそういう最高方針に基づいて、林野庁長官はどうですか。
  109. 片山正英

    片山政府委員 電文が最近に入りましたので、御報告申し上げますが、混乱の一つは、委任状を一人の人が非常にたくさん出したということがあります。その点は、打ち合わせまして大体解決ついたようでございます。したがいまして、現地においてもやはりそういうことで一歩一歩やっていこうという姿が、いまの電文ではうかがえるわけでございます。したがって、私はやはり大臣の御趣旨もございますし、私自身も当局として当然現地として円満にやることが望ましい、そうあるべきだと存じます。したがってそういうことに努力いたします。しかし相手が公聴会——公聴会以外の人が言うことに対してはできるだけ意見を言いたいという人もいるのですから、ぜひ公聴会を開けるように御努力を願いたい、私はかように考えます。私どもはほんとうに大臣の御指示のとおり円満にやることに全く努力したいと思っております。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそういう抽象的なことばでは納得しません。納得しませんが、少なくともいまの大臣のおことばは、きのうの午後七時以降の再開で言われた大臣の示達とは印象が違いますね。だから少なくともいま大臣のおっしゃった点は、もう一ぺんそのとおり示達としてやってください、少なくともそれだけ。いいですか。
  111. 片山正英

    片山政府委員 私は再度申し上げることになりますが、公聴会を進行して慎重におやりなさいということを伝えます。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたどうして変えるのですか。大臣は円満に慎重にやりなさいとしか言わないのに、何で進行とか何とかつけ加えるのですか。そういうことをつけ加えるから印象が変わってくる。いいですか。すぐ連絡してください。
  113. 片山正英

    片山政府委員 私からも大臣の御趣旨を体して連絡いたします。
  114. 藤田義光

    藤田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ————◇—————    午後四時八分開議
  115. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます角屋堅次郎君。
  116. 角屋堅次郎

    角屋委員 午前、楢崎委員関連質問がありまして質問を中断いたしましたが、引き続き若干時間をいただきまして質疑を続行いたしたいと思います。統計の問題から入りたいと思います。  御承知農林統計審議会のほうで、昨年十二月二十七日に統計機構の問題について建議が農林大臣にございました。その内容は二項目に分かれておるわけですけれども、結論するところ、今回の行政機構の改革といいますか農林省設置法の一部改正関連いたしまして、農林統計調査の事務について、今後とも農林統計の使命達成のために農林省が直接責任をとる体制を堅持するという第一項の趣旨と、第二項においては、地方農林局に統合する場合においては、地方農林局地域農政を実質的に推進をする機関として確立されるのと並行して、統計を入れるかどうかということを考慮して実施すべきだ。この場合においても、農林統計の全国的統一性をそこなうことのないよう、また作成手続を複雑化しないよう措置することというような趣旨の建議が、御承知のようになされたわけですが、たとえば、いわゆる農林統計の全国的統一性、あるいは農林省が中央から直接統計調査についての責任体制をとるという点については、農林局に入る場合において、具体的にどういう方法をもってこの趣旨に沿うように統計調査部としては考えるのか、これらの点についてまずお伺いしたいと思います。
  117. 岩本道夫

    ○岩本説明員 昨年の十二月二十七日に農林統計審議会から農林大臣に対して建議が行なわれましたことは、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、その内容は二項目ございます。  一つは、地方公共団体へその業務を移譲することなく農林省が直接責任をとれ、つまり農林省直轄の統計調査部隊を確保して、農林省の責任のもとに農林統計を作成し、公表しろ、こういう趣旨が第一点でございます。  第二点は、この農林統計組織を地方農林局に統合いたします際に、地方農林局地域農政と実質的に推進する機関として確立されるように努力をしろという御激励を賜わりましたことと、その場合におきましても、農林統計の全国的統一性をそこなわないようにやれということと、作成手続をいたずらに複雑化しないように措置せよという二点の建議をいだいております。  後段の農林統計の全国的統一性の確保につきましては、午前中も若干答弁申し上げましたように、統計の中で全国的にとるべき分野につきましては、従来どおり私どもの本省の統計調査部におきまして企画、設計をいたしまして、その内容地方農林局長を通じまして現場に流しまして統計を作成するわけでございますが、企画、設計を一元的に統一的に本省で握ることによりまして、この点、全国的統一性がそこなわれることはないと存じます。ただ問題は、統計をおろす段階あるいは地方から調査の結果をあげてくる段階がふえるのじゃないか、一段階ふえることによっていたずらに段階を増して複雑化することでは、統計の迅速性の確保ということで問題があろう、その点で配慮せよという統計審議会の御注意でございまして、私どももその意を体しまして、統計の企画を流す段階では、地方農林局長にその企画に基づいて実施をする場合の活動の指導上それをそしゃくいたしますように地方局に流しますけれども、その結果の数字をあげる段階におきましては、一方において地方局に報告をしますと同時に、本省にも報告するという段階省略の手法をとることによりまして、迅速性をそこなわないようにしたいと思います。そのメリットは、本省にあげる場合の迅速性をそこなわないのみにとどまらず、地方局で統計数字を入手して判断する時期が早くなるということでございます。従来の地方局に入らない段階におきましては、各地方の事務所から数字が本省に参りまして、本省で全国集計をする。と同時に、ブロック別の集計等もしまして、それを官房地方課あるいは農政局、畜産局、蚕糸園芸局等の原局の局長を通しまして現地の地方農政局におろすということで、地方農政局が数字を握る時間は非常に迂回をしておりました結果、時間がかかったわけでございますが、今回の改正によりまして本省と大体同時にブロック別の数字が得られるという統計の迅速性の確保には貢献する面もあろうと存じます。
  118. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、冒頭に申し上げましたように、地方農政局を改組いたしまして地方農林局をつくって統計あるいは林野の民有林を入れるということには異論を持っておるわけでありますが、政府案の前提に立ちまして、さらに統計の問題で御質問申し上げたいのは、第一線の統計調査事務所が農政局所在のところでは新しい地方農林局に入る。それからその他の事務所についても地方農林局の傘下に入る、こういう場合に、地方農林局に入った統計調査事務所自体について考えてみましても、旧来の地方農政局の職員と新しく入ってくる統計調査事務所の職員については、超勤、旅費あるいはその他の給与等におきましてアンバラが現実に出ておるというふうなことを承っておるわけでありまして、具体的にどういう点において現実に差が起こっておるのか、あるいはそういう差を、同じ職場の中に入った場合には、今後どういうふうに是正をしていくという方針であるのかという点について、具体的に御説明を願いたいと思います。
  119. 岩本道夫

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  統計調査組織は非常にたくさんの人員をかかえておりますのみならず、戦後組織発足当初に非常に人をたくさん採用せざるを得なかったわけでございまして、大体同一年齢幅の人たちを一つの時期に多量に採用しました歴史的な事情がございまして、年齢構成、職員構成で他の機関と比べまして特殊な事情があることは申すまでもない点でございます。したがいまして、職員の年齢構成等につきましても、地方農政局の職員と比べて若干高いわけでございまして、また各関係機関との間の人事交流という点につきましても立ちおくれておる面がございまして、そういう面でも交流の関係で昇進の機会に恵まれないという問題がございます。さらに職場の中におきまして、上位ポストと申しますか、上位等級の占める割合も地方農政局などのほうが多いわけでございまして、そういう意味では昇進のチャンスも少ない。いろいろなことで立ちおくれておる現状でございます。したがいまして、今後地方農林局に入りましたならば、これらの立ちおくれた職員状況をできるだけ改善をするように努力をするのが私どもに課せられた任務であると思います。その方向に沿って努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  120. 角屋堅次郎

    角屋委員 新しい改正案の場合、農林省設置法第三十六条第七号のところに、統計の組織が入ることについて、その業務について、「農林省の所掌事務に係る統計の作成及びこれに必要な調査に関すること。」こういう文章になっておりますが、従来統計調査事務所の段階の場合には、「統計調査事務所は、本省の所掌事務のうち、耕地面積及び農林水産物の収穫高の調査並びに農山漁村における統計的経済調査に関する事務を分掌する。」こういうふうになっておったわけですね。北海道は開発庁の関係で今回の改正においても別個の取り扱いで、北海道統計調査事務所という形になっておりますが、その場合においても、四十二条において、先ほど読んだと同じように、「北海道統計調査事務所は、本省の所掌事務のうち、農林省の所掌事務に係る統計の作成及びこれに必要な調査に関する事務を分掌する。」こういうふうに文章が書きかえられたという意味は、午前来議論をしておったような、要するに統計調査部、第一線の統計調査事務所、出張所というような段階における統計の作成というものと、新しく組織の改編に伴っての地方農林局に入る段階における統計の作成、あるいは北海道は独立しておりますけれども、北海道の場合においても同じ趣旨で北海道の統計調査事務所における統計の作成というものは、少しく内容的にも変えたいという意味で文章を変えたのか、あるいはそうではなくて、単なる文章上の表現として変えてあるのか、こういう点については文章の内容について表現が変わっておるわけですけれども、お話を承りたい。
  121. 岩本道夫

    ○岩本説明員 北海道におきますと内地におきますとを問わず、統計調査事務所及びその出張所の所掌する事務の内容について異同はございません。したがって、北海道も内地も所掌事務の書き方は軌を一にすべきでございます。たまたま昨年この法律案が国会で流産しました関係上、その辺現行法におきましては書き方がばらばらになっておるわけでございますが、今回の改正案におきましてはそこの書き方を合わせるようにしたいと考えております。昔、耕地面積、収穫高の調査、農山漁村における統計的経済調査云々ということで、具体的に調査の内容を限定して書いておりましたものを「農林省の所掌事務に係る統計の作成及びこれに必要な調査」とばく然と書きました趣旨は、統計調査の内容も時代とともに変遷をしておりまして、新しくつけ加えるものもございますし、たとえば流通関係の調査等時世の要望に応じてやらなければならぬ仕事もございますので、あまりきちきち限定をいたしておきますと新しい調査をやろうとしてもやれないことになりますので、その辺弾力性を残したいと考えた次第でございます。
  122. 角屋堅次郎

    角屋委員 地方農林局所在の統計の場合は、統計調査部の形で農林局の中に入る。北海道の場合には、開発庁の関係もあって、従来どおりの北海道統計調査事務所の性格をそのままとる。そこでいわゆる地方農林局に入るという趣旨説明をしておられます。地域要請にこたえる統計の作成というものをプラスアルファしていきたいということでありますが、地方農林局に入らない北海道の場合においては、これの実際の運営というのは結局第一線の北海道の統計調査事務所において地方農林局に入っておると同じような考え方で、そういう北海道の要請にこたえるという考えであるのか。北海道の場合には、本省が地方農林局で本来考えるようなことをある程度北海道については考えて、そしてやろうというのか。実際運営の問題としてはどういうふうに考えておられるか。
  123. 岩本道夫

    ○岩本説明員 北海道は内地と農業の成立事情農村の置かれました自然的社会経済的条件が非常に異なっておりますので、内地と相当異なった考え方をしていかざるを得ないと思っております。それからもう一点、行政機構の面で北海道は戦前に長らく内務省直轄でございましたとか、北海道長官が特別の地位に置かれておったということもありまして、行政機構の面でも北海道開発庁という役所が別にできております。その関係で特殊な配慮をしていかざるを得ない。要するに地方農林局というようなものがございませんので、それはそれなりの配慮をしていかなければならぬという二点の違った面がございます。  したがいまして、それに即応しますように、北海道は本省の直轄、できるだけこの地域統計についても北海道の歴史的な事情あるいは自然経済的なその特殊事情を考慮しつつ、本省が直接この北海道の四事務所を指導したいと考えております。ただし距離的に遠隔の地でございますし、また面積も広うございまして、本省の職員が一々現地に出ていくこともコストバールでございますので、できるだけ札幌の統計調査事務所を連絡事務所に使いまして、ここである程度道全体の数字が集約されて私どもとの連絡がよくなるように配慮したいというように考えて、人事の面それから業務遂行の面でもそういう配慮を加える所存でございます。
  124. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま本省の統計でやっておる国際的な要請に基づく統計の作成、あるいは中央の農政全体の指針としての統計の作成あるいは地域統計の要請にこたえる統計の作成という、そういう従来伝統的にやってきた統計の内容、統計調査部長のことばで言っている時代の要請にこたえて統計の問題を対処させる、その場合にいわゆる統計調査部長としては、中央で企画立案をし指導する統計というものは、従来の戦後の統計の変遷の中でこれからどういうものにウエートを置いて統計作成をやっていこうというのか。あるいは地域統計の要請にこたえる地方農林局の統計のプラスアルファというのは、本来どういうものが含まれると予定しておるか。その二点についてひとつお考えを聞きたいと思います。
  125. 岩本道夫

    ○岩本説明員 まあ中央で直接企画、立案しまして全国的にとるべき統計は、おおむね四つの範畴に分かれると思います。第一は、生産物の生産量あるいは生産の基盤となります耕地面積、あるいはそれに従事しております農家の数、農業就業人口の数、これらは全国的に統一的に把握した上でこれを国際機関にも報告せざるを得ませんので、これはあくまでも統一的な処理が必要だと思います。  第二の範疇は、経済調査といわれるたぐいのものでございまして、特にこの米価算定の基礎となります米の生産費調査あるいは麦の生産費調査、その他牛乳、てん菜、繭等の生産費調査は、各政策に直接農林省が使いまして国会でもいろいろ御審議をいただく関係もございまして、農林省が直接これはやる必要があるだろうと思います。  ただ先ほどの第一の範疇に入ります作目調査につきましても、第二の範疇に入ります生産費調査につきましても、地方的な雑多な作目、昔は全国的に重要であったかもしれませんけれども、その後の生産状況の変化によりまして地方作目に堕しておるものにつきましては、何も全国統一的にやる必要もないじゃないか。たとえばコウゾとかミツマタだとかあるいはハッカ、そういったものをなぜ全国的にやる必要があるのか、疑問も出るものもございます。これらのものにつきましては、やはり地方地方の実情に応じて地域統計としておとりになって、それを私どもが結果としていただく。そして全国統計に乗っけるということで済むのではないか。したがって作目統計におきましても、生産費の調査におきましてもそういう地方作目については経済調査、作目調査両方について地方的にまかせていいのじゃないかという気持ちを持っております。  それから第三の範疇に入ります調査は、いわゆる構造統計と称するもので、これはセンサスが中心でございまして、センサスは統計事務所というよりもむしろ都道府県、市町村、調査員というルートでやっておりますのでこれはどうしても他省との関係もありますので、私どものところでやらざるを得ません。  第四が流通統計調査でございますが、特に最近始めました流通情報サービスは、モビリティが非常に激しい、流動性が非常に激しい調査でございまして、日々の市価の変動、入荷量の変動をチェックをして、これを市場の業者あるいは生産地の農民に知らせる義務がありますから、これは直接本省で掌握せざるを得ないと思います。ただ、この地方的な作目については、これも地方で処理してしかるべきものも多かろうと存じます。
  126. 角屋堅次郎

    角屋委員 従来からやってきたアウトルックサービスというのはどれだけ関係者に効用を持ってきたか、あるいはそのアウトルックサービスというものをこれから開放経済体制の中で、日本農業のいろいろな諸運営をやっていく場合に、価値判断としてはどういうふうに統計調査部としては考えておられるのか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  127. 岩本道夫

    ○岩本説明員 アウトルックサービスと申しますのは農業観測というふうに日本では訳されておりまして、これはたしか昭和二十四、五年ごろから始まった調査であろうかと思います。昔、始めました当時は農林省大臣官房の調査課でやっておりましたものを、その後統計調査部に吸収したものでございますが、農業基本法ができまして地域農政をやるということになりまして、農産物の需給見通し等を地域的に押えていこう、そして地域農政を進める過程で地方農政局をつくろうという段階になりまして、統計調査部が持っておりましたアウトルックサービスの仕事と、それからもう一つ農業の社会勘定の仕事は官房の調査課のほうへまたお戻しをしまして、そちらで処理されております。そういう農業の各産品ごとの長期の見通しと、私どもが日々情報流通サービス事業によってとっております各農産物の日々の出荷量なり価格の動向、それからもう一つ中期の情報として、生産地情報と称して季節もしくは月別、週別の生産の予測なりあるいは出荷の動向というものを産地情報として別にとっておりますが、この三つは三位一体的に運用して初めて効果が出るものであると考えております。その辺の運用のしかたについて午前中も御説明申し上げましたようにいろいろ問題がありまして、官房のおやりになっておるアウトルックサービスと私どもの流通情報サービスが三位一体的に十分利用されておるかというと、その点問題がありますので、今後この法案が成立して地方農林局に入ることを契機に、もう少しその辺の運用にくふうを加えたい。なお、その動きを農政局所管の普及組織におろしまして普及員がそれらの長期、中期、短期の情報をもって農民の生産活動を指導する、農民がその情報をもとにして生産の計画化、出荷の計画化に資するようにしたいと念願をしておる次第でございます。
  128. 角屋堅次郎

    角屋委員 アウトルックサービスの問題、従来統計でやっておったのを官房のほうに譲ったこと自身に私疑問を持っておるわけです。要するに、統計をダイナミックに活用していく、ことに統計調査部あるいは第一線の統計の組織を通じて最近は流通統計というものの整備充実が相当進んでおるわけですけれども、先ほども御説明のような点と関連をいたしまして、これからの運営の問題としては、そういう同じ農林省内部ではたして分けたほうがいいのか、あるいは統計の関係で従来どおり総合的にやったほうがいいのかという点については議論の存するところだ、こういうふうに私は存じておるわけでございます。いずれにしても、この統計をダイナミックに活用するという観点からしますと、それらの問題も含めてやはりさらに議論を詰めてみなければならぬというふうに思うわけでございます。  そこでさらに、今度の場合に、地方農林局に第一線の統計調査事務所がもろに入るということを通じて、第一線でやはり非常に懸念をしておるのは、地方農林局所在地以外の統計調査事務所というのは、むしろこれから相当に縮小をしていくのではないか、いわば大支所的な性格になるのじゃないかという懸念をする向きがあるわけです。一体その点については、やはり従来どおり、そう基本的には変わらない役割りでやっていくということであるのか、あるいは地方農林局にブロック別に入ったことによって従来の県段階の統計調査事務所はいわば県下の出張所の総合的な連絡出張所あるいは大支所制的な性格というものを、長期展望の中で考えておるのかどうかという点はいかがです。
  129. 岩本道夫

    ○岩本説明員 地方農林局案が成立しましても、都道府県の事務所の存在というものは重要性は変わることはないと考えております。ただ、今後農林局に入ることに伴いまして、地域統計の充実を考えます場合に、統計調査事務所のになう役割りというものはだんだん変わっていくのじゃないかというふうに考えております。従来は全国統計一本でございましたから、本省の指示をこなして末端に伝達をする、それから末端でとりましたデータを審査をして、疑問の点は末端に返してまたやり直してもらって、それをまとめて本省に上げるという一種の伝達機関的の存在でございましたけれども、今度農林局に入って、地域農政に参画した形で統計をとるということになりますと、もう少し企画面のウエートが高まってくる、またそれとともに、末端の出張所の諸君に対する都道府県の事務所の職員のになう指導的役割りというものはだんだんに重要になるのではなかろうか、その意味で任務が重くなりこそすれこれが軽くなるということはごうもないというふうに考えます。
  130. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは政務次官もしくは官房長のほうにお伺いをいたしたいのですが、農林省の中央、地方を通じての機構の問題で、私は中央の問題については今日の時点ではそう深く論議して触れませんでしたけれども、第一線の場合、県段階の場合、いわば縦割り的な出先機関として統計があり、あるいは食糧があり、あるいはまた営林局の下に営林署がありますけれども、営林署があり、あるいは農地の現場の事務所がある、こういう形になっておるわけですね。総合農政あるいは構造改善なりいろいろな諸施策を進める場合に、県以下の地方自治体が、あるいは県段階以下の農政関係の外郭の諸団体がという場合に、統計にいけば統計調査の仕事が主である、食糧にいけばこれは検査が主である、結局いろいろな中央からおりてくる農政上の問題は、たとえば東海でいうならば名古屋まで行かなければならぬ。地方農林局にもし統計を入れるということを皆さん方が新しいこれからの展望の中で考えられることだということであるならば、第一線のいわゆる統計を含めたその組織というものは、単に統計の調査をやる、あるいは食糧の検査をやる、あるいは農地の土地改良事業をやるという形ではなくて、第一線の県段階の農林省の出先に行けば、農林省が考えている農業政策上のいろいろな政策指導の面というものはわかる、あるいはそこが窓口になるというふうなことは考えられないのかどうかということは、これは一つの問題点だと思う。もちろん、これは国と地方自治団体を通じての行政配分をどうするのかという問題と基本的にはからみますけれども、しかし少なくとも県段階の農業諸団体あるいは農民諸君の心理からいえば、農林省の出先に行って何でもわかるというわけにいかないという悩みがあるだろうと思うのですね。それがやはり第一線の農民との密着点といっても、それは一つのプロパーの仕事は結びつくけれども、農林省の出先として総合的に結びつく形にならない。そういう点は、統計を地方農林局に入れて、地域にマッチした統計をつくるのだ、あるいは地域農政に即応するのだ、もしそういうことを皆さん方でおっしゃるならば、統計の独立性あるいは行政からの中立性というものは堅持しながらも、第一線の県段階においてもそういうふうな形というものは将来展望としては描かれておるのかどうか、そうでなくて、将来展望としてもそれは統計を農林局に入れる、あるいは民有林農林局に入れるという段階までであって、県段階の出先というものは旧態依然として従来どおりである、またそれでやむを得ないという御見解に立っておるのかどうかという点がやはり一つの問題点であると思うのですね。私は国の行政機関といいあるいは地方自治体の行政機関といい、国民の末端に密着した点においてできるだけサービスをしていく。できるだけ地域住民の要請にこたえるという接点が必要である。それはあらゆる面で接点が持てるかどうかは別として、できるだけ持つということは必要である。しかし、地方自治体が本来持っておる自主性というものにまで深く介入するということは許されぬけれども、少なくとも国が国家行政組織機関として末端機構を持つとするならば、それは単に縦割りだけではいけないのではないか。もう少し総合的な機関を持つかどうかという点の検討は必要じゃないかという感じがするのですけれども、それらの点についてはどう考えておりますか。
  131. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 御趣旨のように、農業の動きあるいは農家が何を考えているかということを農林省としては的確につかんで、また農林省は何を考えているかということを農家に的確に伝えるということがきわめて大事だということは、私ども最近もいろいろな事情で痛感しておるわけでございます。したがって、いまのような御提案も議論としてはあり得るわけでございますけれども、しかし、たとえば農業土木関係事業所は地域的に当然制約がございますし、統計あるいは食糧事務所等を通じて、一丸として、いわば県単位農林事務所を設けるというようなことになりますと、都道府県の行政農林省行政と県段階においても重なるという事態にもなりまして、現在都道府県のほうから地方行政と国家行政との調整ということで、地方農政局あるいは地方農林局に対してもいろいろな批判もあるときでございまして、気持ちとしては、私どもそういう御指摘のような行政機構をつくらなくて、もっと農林省農家が相互に心の通じ合うような体制というものをどういうふうにしてこれからつくるかということが私どもの問題でございますが、そういう機構によってこの問題に迫るということは、いまの時点においてなかなかむずかしいのではないか。実態として農林省農家との相互交流ということが大事であることは全く御指摘のとおりでございますけれども、それを県段階まで農林省が出張っていって機構としてそれを果たすということはなかなかむずかしい問題があるというふうに現在考えておるわけでございます。
  132. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、土地改良等の農地局の第一線の組織というものは、事業が終われば他にまた行かなければならぬ、こういうものを一緒にせいということを言っているのではない。少なくとも、農林省の県段階の出先に行けば、農政上のアンテナがあって、そこではすべて聞ける、あるいはそういうことの窓口を通じて、いろいろな書類も出せるという形が可能なのかどうか。だから検査の問題で、食糧事務所を統計と一緒にせよということまで飛躍して議論をしているのではない。皆さんが執念のように、統計を農林局にどうしても入れなければならぬ、その理由は、もっと地域に対してサービスするんだ、こういうことを言うんなら、第一線にある統計というものの中で、そういうものも生かした形というのは考えられないかどうかという問題提起として私は言っているのです。それは地方農林局の段階でよろしいというふうにお考えなら別です。いずれにしても、私ども農政の議論をしたりあるいは第一線の接触の多い立場から見ると、おのずから、いま官房長が言われるように、中央と地方との行政分野の点、基本的なあり方の問題はあるけれども、出先を置くというからにはもう少し考えようもあるんじゃないかという感じを率直に私は持っておるわけです。  次に、私はこれは意見としてそういうことを今後御検討してもらいたいという程度にとどめたいと思いますが、食糧の問題について、食糧庁長官もたばこばかりふかしていますから、若干尋ねたいと思うのです。大臣もおられませんが、あす、あさってぐらいに任命されるという米価審議会の問題ということまで私はここで触れようと思いません。大臣、御出席でもありませんし、最高方針に関することでございますから、小沢政務次官に御質問申し上げるのは控えておきたいと思うわけでございます。ただ、自主流通を新しく発足させよう、あるいはそういうことを通じて検査の問題については銘柄検査を導入しよう、こういう食管の改変を今日打ち出してきておるわけでありますが、そういう食管の検査その他の新しい変貌というものが、食糧庁の中央では大きく変わりはないと思いますけれども、特に第一線の食糧事務所の段階における機構なり人員なりの面という点では特別配慮しなくてもいいのか、あるいはこれから若干そういう新しい政策変更に伴って考えていかなければならぬというふうに食糧庁自身が思っておられるのか、その辺の御見解を承っておきたい。
  133. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもかねて御説明申し上げてまいりましたとおり、本年産米からいわゆる自主流通米の制度を実施いたしたいと考えておりますが、かりに自主流通米の発足がございましても、食糧事務所の機構の中で最も大きな部分を占めるのは検査機構でございますが、検査機構については、これは新たに産地銘柄検査を導入するという点で、いうならば若干の事業量の増という問題が起こってまいります。ただ検査の量はその問題だけじゃなくて、その年その年の豊凶の問題等もございますので、達観いたしまして、私ども、自主流通米の制度の発足によって食糧事務所ないしその出先の機構について何らかの変更を加えるというようなことは考えておりません。むしろ、私どもこの際検討を進めてまいりたいと思いますのは、現在の食糧事務所の末端機構につきましては、いろいろ時代に即応するように努力はしてきておりますけれども、交通事情の変化でございますとかあるいは米麦の生産事情の変化その他の経済事情等の変化で、現在の布陣がそのまま最も合理的な布陣になっておるかどうかということをもっと大局的な面で検討を加えました上で、職員の勤務の条件等も念頭に置きつつ、合理的な配置、機構というものを考えていくようにいたしたい。現在、それについての特段の結論を持っておるわけではございませんが、すでにそういう見地からの検討には入っておるのでございます。
  134. 角屋堅次郎

    角屋委員 食糧事務所のこれからの人員あるいは機構の問題については変更はない。私は、自主流通米という新しいものの導入によって、検査の問題でも、これは政府の買い入れ米になるんだ、これは自主流通のほうに回すんだ。検査一つにしても倉庫に入れるにしても、いろんな問題で従来よりは少しく複雑になる、煩瑣になるという点が出ましょうし、一方は検査料は取らなくてよろしい、一方は検査料ももらわなければならぬ。あるいは金を払うにいたしましても、自主流通米のほうは別個になる。こちらのほうは食糧証券なりいろいろのことの業務がある、それを仕分けしなければならぬ。そういうこまかい点まで入ってお聞きしようとは思いませんけれども、自主流通米の段取りというか準備というか、それはどういう時点まで進んでいますか。あるいはそれの受けいれ体制の点はどの段階まで来ておるというお考えですか。
  135. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 自主流通米の制度が発足いたしますためには、少なくとも食糧管理法の施行令の改正、それに伴います省令の整備を要するのでございますが、現在、食糧管理法施行令の改正につきましては農林省内の検討は終わりまして、内閣法制局と農林省との間で合同で検討、審査を進めておる段階でございます。相当の程度まで煮詰まっておりますが、何しろ流通の実態というものが二十数年絶えてなかった政府を通さない流通ということでございますので、ある意味で十分慎重な法令の整備をはじめとする、またある意味ではいたずらに煩瑣に規制することも避けるという必要がございますので、それらの観点からただいま政令並びに省令の整備について鋭意努力をいたしておるという段階でございます。私どもの希望といたしましては、今月半ばごろまでには政令の制定ということにこぎつけたいという目標で努力をいたしておるのでございます。  なお、この自主流通は、言うまでもなく集荷団体並びに配給機構を通じての流通でございますから、それぞれ関係団体においても、農林省が構想いたしております事柄でほぼ明確になっておりますような方向に沿ってそれぞれ準備をとり進めておるようでございます。農業団体、全販連におきましても、御案内のことと存じますが、そのための機構の整備もいたしたようでございます。また全糧連等の配給業界の団体も、末端における自主流通米の需要の動向というようなものの調査に入っておるようでございます。それぞれ発足に備えて準備が進んでおるという段階でございます。
  136. 角屋堅次郎

    角屋委員 後ほどの木原さんの質問との関連がありますので、集約を催促されましたので、あとまだ重要な問題、若干残っておりますけれども、まとめてまいりたいと思います。  自主流通米の新しい発足と関連をして、いわゆる集荷面では農業団体の諸君が非常に一生懸命にやって、全量集荷をするのだ、おおむね九四・四%くらいですか、団体自身はそういうことでことしはやっておるようです。この自主流通米というのは、団体は基本的には反対である、こういいながら、受け入れ体制についてはやはり進めざるを得ないということで、機構の新設もし、進めておる。私はそういう問題の矛盾について深く触れようと思いませんけれども、ただ配給というか、卸等の段階で大手が大きくこれに着目をして進出しようとしてきておる。これはもう北海道や東北やいろんな地域において、丸紅飯田にしろ伊藤忠にしろ、その他のところも、これはいずれ直接統制が間接統制に切り変っていくのだ、自主流通米はその突破口として打ち出されてきたのだ、したがって、当面こういうものに着手をしてそう大きな得はなくても、長い目で見て、やはり市場を独占をしていくというためには、いまから体制整備をしなければならぬということで乗り出してきておる。数日来の報道の中でも、丸紅飯田がすでに卸売り業者の権利を買収をして、来月くらいからすべり出そうとしているのだという報道も伝えられておる。いわゆる食糧管理法に基づいて国民の食糧の安定的供給とかあるいは経済の安定とか、諸般のことを今日までやってきた中で、いわば基本的には利潤を追求するような大手の商業資本あるいはもっと大きなスケールの資本というものがこういうものに乗り出してくるということは歓迎すべきことであるというふうに考えておられるのか、これはやはり食糧管理法の法そのもの、あるいは政令、省令を通じて、それらの点についてはある程度チェックをしながら正常な運営をやらなければならぬ、こういう基本的な立場に立っておるのかということが一つの問題点だと私は思うのです。そういう点について一体どういうふうにこれから対処しようとしておるのか、これはずばり政務次官というふうに言ってもいいわけなんですが、お答えができればひとつお願いしたいと思います。
  137. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 私から申し上げれば、先生のおっしゃった後段でございます。
  138. 角屋堅次郎

    角屋委員 もう少し丁寧に。重要な問題ですから……。
  139. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 先生は前段においては、大いにこういう資本家の進出を望ましいと思うかどうか、後段においてはそうじゃなくて、そういう点については法律上あるいはいままでの制度上の運用の面でもっとチェックをしていくべきと考えるのか、どちらか、こういうお尋ねですから、私は後段だと申し上げたわけでございます。
  140. 角屋堅次郎

    角屋委員 これはむしろ食糧庁長官との間に、条文に基づいて若干議論したいという気持ちもありましたが、本日はやめます。農林省設置法の一部改正については議論を尽くしませんが、それぞれベテランがおられますので、一応きょうの段階では質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  141. 藤田義光

    藤田委員長 木原実君。
  142. 木原実

    ○木原(実)委員 大臣の御出席がないので、簡潔にやります。また簡潔に御答弁を願います。  設置法の中で、熱帯農業研究センターの新しい設置というものが、提案されておるわけなんですが、資料によりますと、四十四年度で二十五名の研究員を派遣する、こういうことに相なっているわけですが、相手国側の受け入ればどうなっているのですか。
  143. 横尾正之

    横尾政府委員 在外研究員派遣先の問題でございますが、四十三年度まででセイロン、マレーシア、タイ、フィリピン等六カ国に及んでおります。四十四年度の在外研究員につきましては、いま御指摘がございましたように五名ふえますが、その五名につきましては、今後、いま申し上げましたような地域、東南アジアを中心にいたします熱帯または亜熱帯地域関係諸国と協議をした上で具体的にきめたい、こういうふうに考えております。
  144. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、従来も派遣をされていたわけなんですが、受け入れは向こうの政府機関との契約というか、話し合いでございますか。
  145. 横尾正之

    横尾政府委員 具体的には先ほど申し上げましたような諸国関係研究機関と実質的に協議をいたしまして、その上で、具体的に派遣いたします段階では、外務省から相手国の政府には連絡をいたしまして、協力方を要請いたしまして、そのような手続を経た上で現実に派遣をする、こういう処置をいたしております。
  146. 木原実

    ○木原(実)委員 そういたしますと、向こうの場合には、たとえば大学もあるし、向こうの研究機関、試験機関民間の場合もある、こういうことでございますか。
  147. 横尾正之

    横尾政府委員 派遣先の機関につきましては、御指摘のようにいろいろございますが、従来の例を申し上げますならば、各国におきますやはり国立の試験研究機関がございますので、こういうものが中心でございます。
  148. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、在外の研究とか試験とかの業務内容というものは、おおむねどういうものですか。
  149. 横尾正之

    横尾政府委員 従来ともやってまいり、また今後も重点を置きたいというふうに考えておりますのは、稲作とそれから畑作のうち、トウモロコシマイロといった重点作目でございますが、この重点作目につきましてどのような業務ないし試験研究中心にいたしますかと申し上げますと、育種の問題が一つの重点でございます。それから第二には栽培法でございます。その栽培法にも関連をいたしますが、土壌、肥料ないしは病害虫こういったものが重点になってまいります。  さらに、もう一つつけくわえさせていただきますと、御承知のように東南アジア諸国では家畜の伝染病が多いわけでございます。したがいまして、家畜衛生に関する試験研究といったものも取り上げてまいっておりますし、今後とも取り上げてまいりたい、こういうように考えます。
  150. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、これは、率直にいいまして日本技術が向こうで学ぶべきものは間接にあるでしょうけれども、一種の技術輸出みたいなものでしょうね。どうですか。
  151. 横尾正之

    横尾政府委員 おことばとしては技術輸出という意味合いにとれる筋もあるかと存じます。とにかく日本研究蓄積というものを活用いたしまして、そして先ほど来申し上げておりますような諸国におきます技術の水準を高からしめる、こういうことでございますから、おことばのような意味にとってよろしいのじゃないかというふうに存じますが、同時にあわせてこの際申し上げたいのは、そのような試験研究を通じまして、わが国研究領域を広める、研究水準を高からしめるという効果もございますので、その点をあわせて申しあげたいと思います。
  152. 木原実

    ○木原(実)委員 よけいなことかもわかりませんけれども、確かに技術的な交流があるということは、それ自体は決して悪いはずはないと思うのです。ただ、御案内のように対象になる国々の中は、それぞれ発展途上国であるし、いろいろな意味でデリケートな問題があると思うのです。ことに政府の研究試験機関が進出をする、こういうことでありますから、進出のしかたによりましては、やはり不測の政治的な逆効果といいますか、いろいろな機関がデリケートに介在をすると思うのです。ですから、はっきりしてもらいたいことは、表面いろいろ今朝来御説明もありましたけれども、実際何をやろうとしておるのか、何をわれわれが得るのか、こういう問題なんですけれども、ことばを改めますと、一体何を与えて、日本が何を得ようとしておるのか、この辺はどうですか。
  153. 横尾正之

    横尾政府委員 まず最初に御指摘がございました政治的な面でのトラブル、こういう点については十分配慮をしなければいけないということで、従来ともそうやってまいっておりますし、幸いにいたしましてそういうことはございません。今後もその点については十分留意をいたしたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つの、何を得、何を与えようとしておるのかという意味でございます。まず基本的には東南アジア等開発途上国の、農業を通じての経済発展に対しまして、これら諸国技術水準を高からしむることを通じて経済発展に資するということは、わが国の国際的立場からして必要であろうということでございますし、そのことがひいて、先ほども申し上げましたが、わが国自身研究水準、研究領域の拡充に資するという点もあります。というような両面からいたしまして、先ほど来申し上げておりますようなテーマを重点にいたしつつやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  154. 木原実

    ○木原(実)委員 それはわかるわけでございますが、具体的にお伺いいたしたいと思うのですけれども、たとえばトウモロコシ、これは、技術改良をやって畑作の改良で、ということは、具体的には将来たとえば栽培法その他が改良されたトウモロコシわが国が輸入し得るような、そういう条件もつくりたい、こういうこともあるわけですか。
  155. 横尾正之

    横尾政府委員 トウモロコシを例に引かれまして開発輸入のことを申されましたけれども、トウモロコシ技術についての改善をはかり、増産になるということが、ひいてわが国が需給上必要とするところのトウモロコシの輸入に資するという点は期待し得ます。したがいまして、間接的でございますけれども、わが国に不足する物資については、その意味も含めて生かしてまいりたいという気持ちもございます。
  156. 木原実

    ○木原(実)委員 これは端的にお伺いしますけれども、そういうことになりますと、向こう側の貿易政策なり何なりと、やはりかなりかみ合っていくということになりますね。つまり、技術的な段階はともかくといたしまして、将来さらにセンターの活動が広がっていくというような段階では、たとえば畑作なら畑作を改良して、そこからわれわれが輸入をし得るものを見つけ出していく、こういうことになりますと、向こう側のやはり農業政策その他ともかなり密接にかみ合っていく、こういう側面は当然予想してよろしいわけですね。
  157. 横尾正之

    横尾政府委員 御指摘のございました向こう側の農業政策のあり方というものは、やはり一つの問題として頭に置かなければならない場合があるかと存じます。ただ、開発輸入を直接的に目的にして熱帯農業研究をするというふうに、直接的に結びついているという趣旨ではございませんで、技術向上を通じてそのような効果を期待し得るという意味のことを申し上げたのでございます。その辺御了解をいただきたいと思います。
  158. 木原実

    ○木原(実)委員 たとえばトウモロコシは一例なんですけれども、トウモロコシのほかにどういう作物を将来考えていくのか。あるいはまた加工技術という面もございましたね、そういう面は一体どういう部面なのか。構想がありましたらお示しを願いたい。
  159. 横尾正之

    横尾政府委員 畑作につきましては、トウモロコシのほかマイロ——コウリャン、それから自給食糧として相当重要な意味を持っております、国によって違いますが、豆類、これは自給食糧という意味での技術向上に資するようにしてまいりたいということを考えておるわけであります。  それから加工の問題でございますが、御承知のように、向こうにおきましては、おおむね加工貯蔵技術というものが十分でございません。そこでさしあたりまして、たとえば穀類の貯蔵あるいは穀類の貯蔵に関連をいたしますが、貯穀害虫と申しますか、害虫の問題、そういうような問題から手をつけて入ってまいりたいというふうに考えております。
  160. 木原実

    ○木原(実)委員 しかしそれにしましても、私は問題は二つあると思うのです。一つは、当面は技術的な問題ですから、技術センターの仕事としましてはかなり限定された仕事ですね。しかしわが国の将来の食糧政策なり農政全体とのかみ合いというものがなくちゃならぬわけですね。これは官房長にでもお伺いしたいわけですけれども、一つは将来の東南アジア諸国とのいろいろな意味での食糧の交流の問題、こういうものの構想がやはり前提にないと何か中途はんぱだ、こういう問題が一つあるわけです。それにしましても発足ですからあれなんですが、しかし計画としてはこれは多少みみっちいですね。何か中途はんぱだという惑じがするわけです。ですから、将来の国の食糧の交易といいますか、貿易といいますか、そういうものの発展の度合いをどのように踏まえてどの程度に大きくしていくのか、こういう問題があると思うのです。そういうものがあいまいであるならば、やはり二十五人くらいを六カ国か七カ国にやるというのでは、基礎的な調査という話も先ほどございましたけれども、何か中途はんぱな感じがするわけです。将来の計画と、この研究体制をささえる前提になる東南アジア諸国との食糧面での交流の展望、こういう点はどうですか。
  161. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私は、東南アジアと日本との農産物の交流で、日本農業に対してマイナスという形で影響がないということが一つの条件であろうと思います。  それからもう一つは、東南アジアでも相当食糧の自給が進んでおりますけれども、なお食糧が不足している国があるわけでございます。そういうところの食糧を増産するような形で、いわば技術援助を行なうということがございます。  それから、しかしその日本と東南アジアとの貿易のバランスは、大体向こうは逆ざやでございますから、できるだけ農産物を東南アジアから日本に入れるという要望が東南アジアから強くなることは御承知のとおりでございます。その場合は、日本は現在たとえばトウモロコシでありますとかマイロでありますとか、そういうものはとにかくアメリカから相当たくさん入れておるわけでございますが、東南アジアの技術改良、生産条件の整備を行なって、東南アジアではたとえばマイロが相当できる。現にトウモロコシはタイから六、七十万トン現在輸入されておるわけでありますから、そういう形で日本がどうしても輸入しなければならないものがあるわけでございますが、それは輸入の市場を多元化するといいますか、あまり一カ所に集中して輸入するということはいろいろな意味で危険でございますから、輸入のソースを多元化するという意味でも、貿易バランスを調整するという意味でも、私どもはやはり開発輸入は進めなければならない。条件といたしましては、国内農業との関連、それから国内農業として必要なものは輸入ソースを多元化するという意味でも大いに開発させる、輸入とは無関係に、とにかく向こうで食糧が非常に不足して困っている場合は食糧増産に協力する、そういうことがこれからのプリンシプルであろうと思います。
  162. 木原実

    ○木原(実)委員 いみじくも大和田さんがマイナス面はないと考えてほしい、こういうことを言われた。いまの段階ではそうだと思いますね。確かに向こうの食糧自給度を高めていく、そのために協力をする、こういう面もよろしいと思うのです。ただ、ものによりましては、これからの将来の国内農業の発展方向とかなり部分的にかみ合ってくる作物が当然あろうと思うのです。だから、それはかなり綿密な計画なり計算なりその上に立たないと、そこに当然競合してくるものが出てきてしかるべきだと思います。たとえば、果樹の側面についてもそうでしょうし、あるいはある種の雑穀類についてもそうでしょうし、だからその辺が私は気になるわけなんです。  それにつけても一つお伺いしておきたいのは、東南アジアとの他の分野の貿易であります。これは年々盛んになってきているわけですが、ただ一般的な貿易面での見返りでそれを横からささえていくのだと、こういうことだけでやるような面もいままであったわけですね、向こうから持ってくるものがないから。その辺についてのきちんとした計算なり何なりというものをお持ちかどうかということをお伺いしておきたいと思うのです。
  163. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 実は数年前までは、農林省は東南アジアの農業技術協力に対して、はっきり申し上げましてわりあい冷淡であったわけです。それは東南アジアに対する農業協力としてすぐ問題になりますのは米であります。米を大いに増産して日本に持ってきてはどうかという、そういう御議論が絶えず背景にあるわけでございますが、米は何といっても日本で完全自給をするということが望ましい作物でございますから、日本に対する米の輸入を前提としての対外協力には私どもとしてはなかなか踏み切れない。ところが最近におきましては、日本に米を増産して持ってくるという構想は決して死んだわけではございません。むしろ国内における食糧自給を進めるということと、それから先ほどもタイのトウモロコシを申し上げましたけれども、日本の必要とする農産物の開発輸入を進めるということでわりあい問題がはっきりしてまいりましたので、今回の熱帯農業研究センターでありますとか、あるいはこの前にもいろいろな形で農林省から技術者を派遣をいたしておるわけでございますが、そういうことでいわばたてまえとして、農林省はわりあいはっきりした目標と安心感をもって技術協力に乗り出しているというのが現状でございます。
  164. 木原実

    ○木原(実)委員 先ほどのもう一点のことですが、いまの規模では、発足時ですからあれなんですが、どうも中途はんぱだという感じがするわけです。基礎的な調査ということにいたしましても、一国当たり二人や三人調査員が行きまして試験研究といいましてもどれだけのことができるか、こういうことがあるわけです。ですから、実際問題としまして、一体発足の時点でほんとうに何をやろうとしているのか、何ができるのか。それから、いま大和田さんのお話がありましたけれども、将来はどれぐらいの規模にしていくのか、当分このままでいくのか、その辺のメリットはどうですか。
  165. 横尾正之

    横尾政府委員 御指摘のように、現在の規模はまことに、十分でない点がございます。したがいまして、私どもの構想といたしましては、将来は最小限試験研究の範囲を拡充することとあわせまして要員の充実をはかってまいりたいというふうに考えております。ただ、まことに恐縮でございますけれども、これにつきましては、当然のことながら予算措置その他の措置が伴いますので、今後関係方面とも十分協議をして具体的な姿をきめてまいらなければならないということでございますので、具体的に何名程度で、どの程度試験研究をやるということでやるのかという点につきましては、将来相当規模に拡充してまいりたいということを考えておるという程度で御了承をいただければありがたいと思います。
  166. 木原実

    ○木原(実)委員 先ほど大和田さんもおっしゃいましたように、東南アジア諸国に対して少し農政の目が向きかけたその一つの象徴だ、この程度には受け取っておきたいと思うのです。ただ将来計画につきましてはいろいろな意味で慎重にやってもらいたいという点が一点と、それからその中には日本国内農業のある部分と、それから東南アジア諸国の、これからセンターがタッチしていくであろういろいろな分野においての競合関係について、これまた慎重な配慮を要求しておきたいと思います。  それから話が少しそれるわけですけれども、関連をしてこの際伺っておきたいのですが、いま中国から、たとえば大豆であるとかアズキであるとか、こういうようなものが輸入されておりますね。ビルマからもバタービーンズというものが輸入されておるわけなんですが、この穀物取引の国内の相場がいまかなり堅調なんですね、この数カ月来。そうなりますと、私もきのう別のところでお伺いをしたわけですけれども、アズキあるいは大手亡といわれるようなものの輸入の現況は一体どうなっておるのか。これは経済局長からひとつお話を願いたいと思います。
  167. 亀長友義

    亀長政府委員 現在豆類は御承知のように自由化をいたしておりません。現在全部外貨割り当て制度のもとにございます。最近の輸入量を申し上げますと、インゲンマメにつきましては、三十九年当時は三万六千トンでござましたが、四十三年度では三万九千トン程度でございます。それからアズキにつきましては、三十九年は約二万三千トン程度でございます。四十二年には大体二万七千トン程度、これが通常の輸入量でございます。
  168. 木原実

    ○木原(実)委員 今年度の見通しはどうですか。
  169. 小暮光美

    ○小暮政府委員 本年度の雑豆の輸入につきましては、二月に約八百五十万ドル弱の外貨を割り当ててございますが、これには物別のワクがございませんので、この輸入がある程度進行いたしませんと、小豆で幾らあるいは手亡で幾らというようなことはわからないのでございます。
  170. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと七月分が残っておるわけですね。
  171. 小暮光美

    ○小暮政府委員 二月の次は、ただいまのところ七月の外貨割り当てを予定いたしております。
  172. 木原実

    ○木原(実)委員 御承知のように、穀取ですか、取引所の相場がどう考えましても堅調に過ぎると思うのです。けさの新聞によりますと、手亡で八千五百円ですか、アズキは一万円をこえておる、こういうことになっているのですが、これはやはり需給について多少先行き不安があるからじゃないですか。
  173. 小暮光美

    ○小暮政府委員 雑豆は、ただいまこれからの作柄が全く未確定のものでございますが、御承知のようにかなり気象の影響を受けやすいものでございます。したがいまして若干、最近の長期予報等の動向を取り入れまして、相場の面でそういうことを一つの根拠にしておるような空気があるというふうには私ども感じておりますけれども、現在の物としての需給につきましては、先ほど申しましたように二月に八百五十万ドルの外貨を割り当ててございます。早いものは三月から次第に入着いたしております。これからがむしろ物としては到着の最盛期でございますので、当面物としての需給にはそれほどの問題はないのじゃないかというふうに私どもは思っております。
  174. 木原実

    ○木原(実)委員 それにしても手亡が毎日百円近くも値上がりしておる、こういうのはやはり若干問題があるのじゃないかと思うのです。そうしますと、いまの相場にあらわれている値段というのはそれほど実勢から離れたものではない、こういう御判断ですか。
  175. 亀長友義

    亀長政府委員 確かにアズキ及び大手亡につきまして近時堅調を維持しておりますけれども、農林省の判断といたしましては、現在の段階では現物の価格等から見まして著しく需給の実勢を離れたというふうには考えておりません。
  176. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、やはり何か別に相場を動かしておる要因があるのじゃないかという感じがするのです。もうそろそろ例年なら下がっていっていい時期じゃないのですか。どうでしょう。
  177. 亀長友義

    亀長政府委員 特別の要因と申しますか、これはやはり豆類でございましていつも需給の見通しということが非常に変動的である。それから四十三年産は御承知のように平年作よりやや下回っておるという作柄もございまして、今後非常に需給上不安を持っておるという要素は多分にあると思います。ただ発券されたものも三月下旬からだんだん到着しておるような事情でございますので、需給と非常に離れておるかどうかということは非常にむずかしい問題でございますけれども、われわれとしてはいま特別そう著しいものではない。もう少し若干輸入の到着状況を見て差しつかえないのじゃないかというふうに考えております。
  178. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、当面七月の発券分を早目に発券をするとかあるいは緊急輸入をやるとか、こういうあれはまだ考えていませんね。
  179. 小暮光美

    ○小暮政府委員 現在のところ緊急輸入というようなことは考えておりません。
  180. 木原実

    ○木原(実)委員 一体このアズキだとか手亡といわれるような豆の輸入権というのは、先ほどちょっとお話がありましたけれども、これはどういうことになっているのですか。一括割り当てということになっておりますけれども、輸入の権利を受ける……。
  181. 小暮光美

    ○小暮政府委員 雑豆の輸入は現在商割りといわれる形の割り当てになっております。輸入実績を持っている商社が実績に応じて先ほどの金額を持っております。
  182. 木原実

    ○木原(実)委員 それはわかるんですがね。きのうちょっとお伺いしたのですけれども、実需者に輸入権を与えるというような、これはあとの問題とも関連をするのですけれども、そういうことをそろそろ考える時期じゃないんですか。御説明によりますと、実際に豆を使用するものといってもたいへん捕捉しがたい、あるいは利権というものが無限に拡散をする、こういうようなお話もございましたけれども、たとえば協同組合を実需者たちがつくるとか何らかのやはり措置があるわけですが、実際にこの豆を使用するものがこの輸入の権利を持って商いをする、そういうストレートな道というものは考えられないものですかね。
  183. 小暮光美

    ○小暮政府委員 豆の消費の実態が御承知のようにきわめて多岐にわたっております。製あん業者というのが量としては一番多いと思いますが、そのほかに豆そのもので豆菓子をつくる仕事もございます。あるいは煮豆といったような形での消費もございます。いずれもそれほど巨額の設備投資を必要とするものではございません。やはりこれらの非常に種々雑多な業種に分かれますものにつきましてこれを実需者割り当てという方式を用いますことは行政上もきわめて困難が多いのではないかというふうに私どもは考えます。
  184. 木原実

    ○木原(実)委員 私は、これは問題にしたいのは、たとえばこの輸入の価格と到着価格と実際にやはり消費者が買う値段との値開きがあり過ぎると思うのですよ。ですから、農林省も少しずつ方針が変わりまして生産者の擁護と消費者の擁護、こういうふうな二つの側面が並行して行政の爼上にのぼる段階にきておる。たとえばこの中共産のアズキについて言うと、三千四百円程度くらいで入っておるものがその三倍近い値段で取引されておる。あるいはライマなんというものが二千円近くで入るものが五千円近くで売られておるというようなことで、その間に関税その他いろいろな問題もありますけれども、せっかく農林省が消費者行政にも力を入れよう、こういうならば、従来いろいろな行きがかりや実績主義その他の問題がありますけれども、やはりその差を縮めるための努力というものはこの辺でそろそろ踏き切っていいんじゃないですかね、どうでしょう。
  185. 小暮光美

    ○小暮政府委員 御指摘のように雑豆、特にアズキのように、日本だけが特にアズキに執着するという特殊な事業形態がございまして、一応割り当てはグローバルにいたしておりますが、供給源が比較的限られておるというものについて、国内で不作の年に間々かなり大きな輸入の利益が生じておるという事実は私ども承知いたしております。行政上まことに憂慮いたしておるのでございますが、しかし雑豆全体としては必ずしもアズキだけの需給でなしに、豆全体として相互に代替関係がある。北海道畑作を中心といたしました寒冷地畑作農業の安定という角度から、私ども雑豆の自由化に対しては現段階では強く反対をいたしておりますが、しかし北海道農業への影響も十分顧慮しながら外貨の割り当て量を逐次増加するという方針で臨んでおります。現に先ほど申し上げました約八百五十万ドルの半期での割り当て額が、前年に比べますと約二百万ドル多い割り当てをいたしております。全体として割り当て量を逐次増加をして需要にこたえる、しかし基本的には北海道を中心とした豆作の振興をはかって国内の自給度を高めてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  186. 木原実

    ○木原(実)委員 そろそろ集約をしろということですが、政務次官、少し政治的なことですからお伺いしておきたいのですけれども、いまお聞きのようなことでいろいろな問題があると思うのです。輸入権の問題にしましても、従来の慣行や制度や実績、そういうものがありまして、なかなか動かすというのはむずかしいと思うのです。ただ、行政上のやはりこれからの進め方としても、考え方としても、国内の生産者を保護するというたてまえが一つあるわけですが、これは一方に置きながらもう少し行政を消費者に近づけていくという観点から、豆なんかの輸入のあり方、そういう問題については何かやはりこの辺で一くふうあってもいいのじゃないか、こういう考えを持っているのですが、その辺の御見解を少し政治的におっしゃっていただけませんか。
  187. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 需要者割り当てを行なう場合に先ほど局長説明をしましたように、なかなか需要者の範囲が明確でないという点がございます。そういうような点もありまして、また新たなるこういう制度をつくりまして無用の混乱を与えてはいかぬという、実は行政当局には非常に慎重に過ぎるかもしれませんが不安があるわけでありますが、いろいろ先生の御意見等も十分その御趣旨はわかるような気がいたしますので、私どもなおひとつ検討をさせていただきたいと思います。
  188. 木原実

    ○木原(実)委員 これは豆だけじゃないのです。数の子においてしかり、あまりにも輸入権が片寄っているといいますか、たてまえはわかるのですけれども、私どもから見ると、少しある部分は独占をさせているし、ある部分はやはり片寄っているような感じがするのです。もともと私は、これも見解を聞いておきたいのですが、豆のようなものを現在のような取引所の形態に上場をして相場をつけるようなやり方が根本的にいいのかどうかという問題もあるわけです。その辺のことを抜本的にひとつ考えてもらいたいと思うのです。ともかく生産者も実際の需要者も実際は抜きにして、そうして中間に入る商社が相場をつけるという前提があるわけですけれども、これは昔からの習慣だとはいえ、非常に何か時代の流れからも離れているような感じがするわけですね。その辺の考え方はどうですか。
  189. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 なかなかめんどうな問題でございまして、ここで御満足のいくような答弁はなかなかできませんけれども、しかしこのいまの相場形成といいますか、そういうような価格形成の機能というものがはたしてこれでいいかどうか、相当検討を要する面もあろうかと思います。要は、適切な予防措置があるかどうかという点、それからさらにこれ以外の適当な価格形成の方法があるかどうか。自由主義経済のもとにおいて、この両面から私ども十分検討しているところでございますが、いま直ちにどうも名案がございませんで、たいへん恐縮でございますが、なお十分検討さしていただきたいと思います。
  190. 木原実

    ○木原(実)委員 これはもう追及すべき問題でもないので申し上げませんけれども、今度の相場の裏にでも、ずいぶんいろいろなことが、私どものところへ投書がきているわけなんです。とにかく、たいへん抽象的な形で行なわれる値づけという行為が、どうもやはりことばは悪いかもしれませんけれども、ともかくやっぱり悪の温床みたいなものですね。品物が少ないものだけに、非常に遺憾な点が多いと思うのです。これは現在の行政指導は一定のワクがあるでしょうけれども、そのワクを越えて、もう少し流通あるいは値動きを合理化するために、自由主義経済本来の筋道に返すような道を見出してもらいたいと思うのです。  それから、これは食管長官おいでになりませんけれども、ベテランの大和田さんにお伺いしておきますけれども、将来自主流通米の問題が出てくるわけなんですね。ところが、御案内のようにもう東京の深川でも、川崎でも、大阪でも、やみ米の取引所が公然と出ているわけです。それの値動きが日報の形で配られるというようなことがあるわけです。そういう既成事実がある上に、自主流通米を乗せるわけでしょう。これはもう食管長官御存じなのかどうか。公式には知らぬということなのでしょうけれども、知らなければこれはたいへんな怠慢であるし、知っておって黙認をしておるということならば、法の軽視もはなはだしいということになると思うのです。そればかりではなくて、そういう基盤がある上に自主流通米が、政府を通じない流通形態が行なわれるということになれば、これは先行きが見えておりますね。先ほども角屋さんの一部商社の農村への進出はどうかという質問に対して、小沢さんはあまり好ましくない、こういう意味の御答弁がありましたけれども、商社どころか、町のやみ商人たちがすでにそういうことをやっているわけですね。そういうことも関連しますし、私どもがやはり一番心配しますのは、米が、将来自主流通米というような形で、食管の一部がくずされていくということになると、投機の対象になるのではないか。これが最大な心配な点なんです。それが、事実問題として投機の対象になるような形のものができていて、毎日、産地米ごとに、銘柄米ごとに相場が立つというようなことが行なわれているわけです。少なくとも、自主流通米が制度化される前にそういうやみ的なものを一掃する、そういう意味で食管法を堅持するのだ、こういう御決意の表明をいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  191. 小沢辰男

    小沢(辰)政府委員 おっしゃるように、私どもはあくまでも食管法の根幹は堅持していくつもりでございますから、私ども全然そういうようなものを関知しませんとは、これはやはり申し上げられない。しからば、知っておって放任とは何事だと言われますけれども、それは決して放置しているわけではありませんで、結局、取り締まりの能力なりの問題。また、いま、米の需給を反映してのそうした実情について、以前のような強い国家権力をもって取り締まるのではなかなか客観的にできがたいという事情等もあるわけでございます。ただ、しかし、そういうものを放置するつもりは毛頭ございません。  それから、自主流通米の制度が今日の現状において行なわれて、それが若干米の商社の進出等ももちろんありますけれども、それが何か投機に、いわゆる相場的なものにつながっていくようなことになっては私ども根幹を維持できませんので、この前もいろいろな機会にるる申し上げておりますように、自主流通米も、全般的に私ども政府の目が届いて管理をしている行政上の措置の対象の一つとは考えておるわけでございますから、私は、自主流通米の制度をやったから直ちにそういうような心配があるようには考えておりませんし、また、今後食管制度の根幹をあくまでも維持していくについては、現在のところ私どもの考えは変わっておりませんので、そうした弊害の起こらないように今後もひとつ十分気をつけて、食管法を守っていくつもりでございます。
  192. 藤田義光

    藤田委員長 次回は、来たる十三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十六分散会