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1969-04-08 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月八日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 小沢 貞孝君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       内海 英男君    加藤 六月君       桂木 鉄夫君    木村 武雄君       菊池 義郎君    田澤 吉郎君       田中 龍夫君    野呂 恭一君       葉梨 信行君    松澤 雄藏君      三ツ林弥太郎君    山口 敏夫君       淡谷 悠藏君    角屋堅次郎君       川崎 寛治君    木原  実君       華山 親義君    山中 吾郎君       永末 英一君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣官房長官 木村 俊夫君         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    岡田 勝二君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         行政管理政務次         官       熊谷 義雄君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         法務省民事局長 新谷 正夫君         大蔵省理財局次         長       谷川 寛三君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         農林省農地局長 中野 和仁君         通商産業政務次         官       藤尾 正行君         特許庁長官   荒玉 義人君  委員外出席者         宮内庁長官官房         参事官     野本 松彦君         日本専売公社総         務部長     福永 公一君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 四月八日  委員赤城宗徳君、井出一太郎君、松澤雄藏君、  三池信君及び吉田之久君辞任につき、その補欠  として桂木鉄夫君、加藤六月君、田澤吉郎君、  木村武雄君及び永末英一君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員加藤六月君、桂木鉄夫君、木村武雄君、田  澤吉郎君及び永末英一辞任につき、その補欠  として井出一太郎君、赤城宗徳君、三池信君、  松澤雄藏君及び吉田之久君が議長指名委員  に選任された。     ――――――――――――― 四月七日  中小企業省設置法案中村重光君外十九名提出、  衆法第二六号) 同月四日  靖国神社国家護持に関する請願外十二件(熊谷  義雄紹介)(第二九九八号)  同(中野四郎紹介)(第二九九九号)  同(相川勝六紹介)(第三〇九五号)  同外十八件(亀山孝一紹介)(第三〇九六  号)  同外一件(吉川久衛紹介)(第三〇九七号)  同(倉成正紹介)(第三〇九八号)  同外十七件(田澤吉郎紹介)(第三〇九九  号)  同外三件(中山榮一紹介)(第三一〇〇号)  同外一件(丹羽喬四郎紹介)(第三一〇一  号)  同外三十三件(長谷川峻紹介)(第三一〇二  号)  同(堀川恭平紹介)(第三一〇三号)  同(三池信紹介)(第三一〇四号)  同(相川勝六紹介)(第三一七三号)  同外十件(荒木萬壽夫紹介)(第三一七四  号)  同外五件(稻葉修君紹介)(第三一七五号)  同外八件(上村千一郎紹介)(第三一七六  号)  同外三件(浦野幸男紹介)(第三一七七号)  同外四件(大竹太郎紹介)(第三一七八号)  同外二十五件(岡本茂紹介)(第三一七九  号)  同外七件(海部俊樹紹介)(第三一八〇号)  同外七件(倉石忠雄紹介)(第三一八一号)  同外三件(坂村吉正紹介)(第三一八二号)  同外七件(周東英雄紹介)(第三一八三号)  同外三件(砂田重民紹介)(第三一八四号)  同外六件(田中龍夫紹介)(第三一八五号)  同外七件(千葉三郎紹介)(第三一八六号)  同外十二件(中尾栄一紹介)(第三一八七  号)  同外一件(永田亮一紹介)(第三一八八号)  同外三件(長谷川峻紹介)(第三一八九号)  同(福家俊一紹介)(第三一九〇号)  同外一件(福井勇紹介)(第三一九一号)  同外四件(塚田徹紹介)(第三一九二号)  靖国神社法制定反対に関する請願帆足計君紹  介)(第三〇〇〇号)  一世一元制法制化に関する請願相川勝六君  紹介)(第三一〇五号)  行政機関職員定員に関する法律案反対等に  関する請願谷口善太郎紹介)(第三一〇六号)  同(田代文久紹介)(第三一九七号)  同(林百郎君紹介)(第三一九八号)  同(松本善明紹介)(第三一九九号)  靖国神社国家管理反対に関する請願田代文久  君紹介)(第三一〇七号)  同(谷口善太郎紹介)(第三一〇八号)  同(林百郎君紹介)(第三一〇九号)  同(松本善明紹介)(第三一一〇号)  同(田代文久紹介)(第三一九三号)  同(谷口善太郎紹介)(第三一九四号)  同(林百郎君紹介)(第三一九五号)  同(松本善明紹介)(第三一九六号)  退職教職員恩給年金スライド制実現等に  関する請願倉成正紹介)(第三一一一号)  婦人少年室廃止反対等に関する請願浜田光人  君紹介)(第三一一二号)  同(永田亮一紹介)(第三一一三号)  同(平林剛紹介)(第三一一四号)  同(浜田光人紹介)(第三二〇〇号) 同月七日  靖国神社国家護持に関する請願外三件(小川平  二君紹介)(第三二六四号)  同(大平正芳紹介)(第三二六五号)  同外二十八件(奧野誠亮紹介)(第三二六六  号)  同外一件(久野忠治紹介)(第三二六七号)  同外八十八件(塩川正十郎紹介)(第三二六  八号)  同外四件(田中龍夫紹介)(第三二六九号)  同外四件(高橋清一郎紹介)(第三二七〇  号)  同外二件(中野四郎紹介)(第三二七一号)  同外四件(丹羽久章紹介)(第三二七二号)  同外二十三件(西村英一紹介)(第三二七三  号)  同外十四件(橋本龍太郎紹介)(第三二七四  号)  同外八十三件(古川丈吉紹介)(第三二七五  号)  同外十八件(塩川正十郎紹介)(第三二七六  号)  同外三十八件(武藤嘉文紹介)(第三二七七  号)  同外四件(村山達雄紹介)(第三二七八号)  同(加藤常太郎紹介)(第三三〇三号)  同(渡海元三郎紹介)(第三三〇四号)  同外十九件(西岡武夫紹介)(第三三〇五  号)  同(藤本孝雄紹介)(第三三〇六号)  同外二十四件(小川半次紹介)(第三三三八  号)  同(大坪保雄紹介)(第三三三九号)  同外二件(金丸信紹介)(第三三四〇号)  同(木野晴夫紹介)(第三三四一号)  同(佐藤洋之助紹介)(第三三四二号)  同外二件(瀬戸山三男紹介)(第三三四三  号)  同外四件(田中龍夫紹介)(第三三四四号)  同(田中正巳紹介)(第三三四五号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第三三四六号)  同外十一件(中曽根康弘紹介)(第三三四七  号)  同外四十四件(古内広雄紹介)(第三三四八  号)  同外六件(水田三喜男紹介)(第三三四九  号)  同外十二件(森田重次郎紹介)(第三三五〇  号)  退職教職員恩給年金スライド制実現等に  関する請願金子一平紹介)(第三二七九  号)  同外一件(塩川正十郎紹介)(第三二八〇  号)  同(細田吉藏紹介)(第三三五七号)  行政機関職員定員に関する法律案反対等に  関する請願外二件(井手以誠君紹介)(第三三  〇七号)  同(枝村要作紹介)(第三三〇八号)  同(太田一夫紹介)(第三三〇九号)  同外二件(川村継義紹介)(第三三一〇号)  同(佐野憲治紹介)(第三三一一号)  同(古川喜一紹介)(第三三一二号)  同(八木一男紹介)(第三三一三号)  婦人少年室廃止反対等に関する請願外二件(板  川正吾紹介)(第三三一四号)  同(只松祐治紹介)(第三三一五号)  同(畑和紹介)(第三三一六号)  同(平岡忠次郎紹介)(第三三一七号)  同(倉成正紹介)(第三三五五号)  同(山本幸一紹介)(第三三五六号)  靖国神社国家管理反対に関する請願田代文久  君紹介)(第三三五一号)  同(谷口善太郎紹介)(第三三五二号)  同(林百郎君紹介)(第三三五三号)  同(松本善明紹介)(第三三五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月七日  行政機関職員定員に関する法律案等反対に  関する陳情書  (第二一八号)  靖国神社国家管理反対に関する陳情書外五件  (第二一九号)  同外十九件  (第三一九号)  靖国神社国家護持立法化反対に関する陳情書  外二件  (第二二〇号)  同(  第三一八号)  同和対策審議会答申完全実施等に関する陳情  書(第二七七  号)  行政改革の推進に関する陳情書  (第二七八  号)  婦人少年室廃止反対に関する陳情書外二十一件  (第三一五号)  自衛隊機墜落事故による被災者補償等に関す  る陳情書  (第三一六号)  靖国神社国家護持に関する陳情書  (第三一七号)  同和対策特別措置法早期制定に関する陳情書  (第三  二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機関職員定員に関する法律案内閣提  出第一号)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  行政機関職員定員に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 総理にお出かけいただいたわけでありますが、長い懸案である総定員法関係でございますので、時間もございませんしいたしますから、できるだけ端的に承りたいし、また端的にお答えをいただきたい、こう思うわけです。  昨年、総理みずからの御発議である一省一局削限問題等と関連をいたしまして機構定員の問題の論議をしたことがございますが、そこで私、冒頭に昨年申し上げたことを繰り返しておきますけれども、機構並びに定員管理という問題について学者の論説を当時あげまして、人を減らすというものの考え方をおとりになるならば、まずやらなければならぬことは、仕事配分というのは一体どうなるんだ、人事院なんかも職階制その他で職制という扱いをやっておりますけれども、単位は係でございまして、その係の守備範囲、そこの人をどけてみると仕事はここからここまでということがきまる、そこに恒常的な職というものの考え方が生まれて仕事配分が明らかになる、隣と職との関係が出てくる、まず、これが大前提だ、これは行政理論一つの筋道であります。  さてその次に問題になるのが、行政機構全体の機構というものは一体どう合理的にあるべきかという問題、それが次にきまってくる、その上で行政の規模に見合う人の配置定員管理というのは一体どうなるかという順序があり、段階があるということです。だから、その趣旨に沿ってひとつこれを御検討いただいて末端職場から積み上げていただいて、機構というものはこうなる、その中の職というポストは恒常的な職という意味で何人の人が要るのか、それが仕事繁閑度合いに応じた国民への行政サービスが合理的になっていくという理屈になるのだが、そういう意味行政改革というものが先に出ないで、人の話が先にくるのは困るじゃないか。一省一局削減というのはショック療法であることはわかるけれども、去年きめたばかりの、早川さんが一生懸命力説した労働省の安全衛生局がなくなったり、総理みずからが御発議になっておる中央青少年局がなくなったり、選挙の問題がやかましくなっておるのに選挙局がなくなったのでは、ショック療法という意味はわかりますけれども、合理的ではないのじゃないか。理屈がないとおっしゃったからその意味で申し上げる。  今回の総定員法というものをながめてみますと機構というものには触れてない。要するに、定員管理の面でいままで各省別設置法できめておったのを、一括して総定員五十万六千五百七十一名というものをぽんときめて、その範囲政令各省きめていくという、つまりそれは背景の三カ年五%というものがあるからという理屈になっておる。これは本末転倒になっておると私は思っておるが、その筋について私は去年論議をしたが、総理は同感だとおっしゃった。その点についてどうお考えか、その点をまず承りたい。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは大出君もずいぶん勉強していらっしゃるので、むしろ私のほうがしろうとかわからぬが、今回提案して御審議をいただいておるのは、これは確かに政府とすれば画期的な法律で、ひとつ思い切って行政簡素化をしよう、それには仕事のほうからくる場合もあるんだ、どうもなかなか理屈が多くて仕事の面からなかなか片づかない。この前ショック療法したその経験からも、相当われわれが思い切って定員を減らすんだ、仕事簡素化をやるんだ、これは両々相まってやらざるを得ないのじゃないか。それが国民も期待するところだろう。  そこで、いま言われた点については私も全く理論的にはお説のとおりだと思う。しかし、これはやはり実施していく。それから日本の場合に、どうも政府の責任、政府の悪口はずいぶん言っておりますが、国民からもやはり政府をたよるというものが相当多い。ことに目につくのはいろいろな届け出事項というものがある。一体それはどれだけあとで利用されておるのか。民間ではずいぶん苦労して届け出書類をつくっておる。しかし、それがあとで使われてないとすればこれはずいぶんむだだ。さらに認可事項あるいは許可事項、本来民間にまかせていいことではないか。そういう仕事があるからどうしてもそれを処理する人が要る、国民が高い税を払う、こういうことになる。本末の前後から言えば、仕事を整理して、そしてひまができて、それからいまのように機構簡素化される、これが筋だろうと思う。しかし、ある程度ショック療法をやらないと、いままでのような考え方ではなかなか思い切った改革はできないのではないか。これはずいぶん議論のあるところだと思います。思いますが、それを実は承知してぜひ御協力を得てこれに乗り出さなければならなくなっておるのではないか、それが一つ考え方であります。  ただ、そういう場合に一番問題になりますのは、あとでお尋ねがあるだろうと思うのだが、出血整理になる、そういうことはいまは避けなければならない。また配置転換も、本人の意思を聞かないでどんどん強制配置していく、そういうわけにもいかない。そういうことを考えると、最初まず一つの余裕を持って、そしてそのたまりをつくっておいて、実際に必要なほうにそれを分けていく。また人員補充で新規採用しないことによって、やむを得ず新しくつなぐという意味では新しい人を採用しなければなりませんが、なるべく不補充の原則でやっていきたい。それをするためには一とおりプールが要る。そのプールをいま考えよう、こういうことでその定員法、それから先の定員の割り振りは政令でやろう、こういうことなんです。これは理屈をいえばまさしくお説のとおりでございます。しかしながら私はどうもこの際に思い切ってやらなければならない事柄があるだろう、その目的のためにはいままでの慣習を破って、そして弊害を生じないような方法で目的を達したい、これがいま御審議をいただいておる現状でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 いま最後に総理がおっしゃったのは、弊害を生じないようにということをおっしゃった。それから総理みずからがやろうとなさっておることが理論的にいうと筋ではないということを御存じである。この二点について、その結果どういうことが起こるかという点を立証しておきたいのです。  機構というものが変わらないままで人だけが減った場合にどうなるかというと、依然として仕事はあるのですから、職場に何が起こるかというと労働強化が起こる。もちろん仕事繁閑度合いというのは一律ではありません。ありませんけれども、ひまのところだけ人がやめていくのではない。欠員補充になるのではない。仕事の忙しいところでもやめれば欠員補充なんだ。そうなるとどうしてもそこには大きな労働強化が出てくるわけでありまして、現に起こっている。それから三カ年五%というのはすでに計画が立てられて、四十四年、五年、六年ということで進んでいる。つまり仕事のほうを考えないで人だけ減らそうとするから、いきなりかんなをかけて忙しくても何でも減らしてしまおうというふうに各省がおやりになる。これは行政管理庁にはおわかりにならぬと思う。まかしているのですから。大ワクを協議をしてきめてあと各省にまかしている。  そこで出てきている現状を申し上げます。たくさん申し上げているひまがありませんから幾つか申し上げますが、まず一つは、運輸省関係に起こっている。これは総理、お答えいただきにくい面もありましょうから後刻運輸大臣においでをいただいて――前に運輸次官でおやりになっても、現在おわかりにならぬと思う。  そこでまず一つは、海運局関係出張所が至るところにございます。ここにあるだけでも二十二の出張所、これが一人局、一人官署ですから、三カ年五%の関係でなくなる。これは何をやっているところだといいますと、つまり漁船の船員であるとかこういう方々船員手帳をもらったり何かを記載をする、この方々船員の雇い入れとか、雇いどめといって雇うのをやめる。それからその届け出の受け付け、船員手帳への記入、これはみんな僻地にあるわけです。たとえば小樽本局がある。ところが浦河に出張所がある。漁港ですから。本局までわざわざ行かなければならぬからというのでそこに出張所を置いてあるわけですから、こういうところを切るべきじゃないのです。ところが市町村を指定いたしまして、その市町村にやらせるからということで今度やめさせてしまう。二十二カ所の出張所がなくなる。そうするとさあこの人は市町村に行く、届け出る、しろうとですから間違う、間違うと本局小樽では照会をし直して全部やり直さなければならぬ。また届け出に行くほうもしろうとに届けたってわからぬということですから、わざわざ小樽まで出かけていかなければならぬ。現にあります。こういうところにかんなをかけちゃ困るのですよ。幾ら五%削減といっても、一番末端の一番必要なところをなぜこういうことをするかという点。機構のほうをそのままにしておいて人を減らそうと声がかかるからこういうことになる。これは私は非常に困ったことだと思う。あるべきではないですよ、これは。  もう一つ申し上げます。地方自治法の附則八条に基づく定員地方事務官でございますが、これは行管ワクに入ってないとおっしゃっておったが、各省段階で調べてみると、みなワクに入って五%削減になっておる。これは私どもやかましく言ってまいりまして、年々人がふえつつある。ところがいままで欠員補充ですから、たとえば四十一年に百五名増員した。これは陸運事務所でございます。ところがこの中でも実数は九十三しかふえてない。何だと思って聞いてみたら欠員補充分だけ落ちておる。これが四十二年百三。やはり欠員補充で落ちておるから九十三。四十三年が九十ふえて欠員補充関係で七十三。本年四十四年の計画は六十五名ふえておりますけれども、三年五%の減、四十四年度分ということで六十五名定員上ふえるはずですが三十名しかふえてない。ここに明確に四十四年度は五%削減と書いてある。そういうことになるとただでさえたいへんな陸運事務所、これはもうここで申し上げるまでもない。そこへもってきて、いま陸運事務所関係がどうなっておるかというと、一言言いますが、私はここに表を持っておりますが、部外の運輸業界業者団体から定員外職員と称する者に陸運事務所に来てもらって、そこに机を置いておる。車検登録に行きますと机がある。女の事務員事務をとっておる。その人の給料は何とか号俸をもらっておるのです。政府が払っておるのではない。そこへ机を置いておる。山のようにあります。これは私が求めた資料だから神奈川県だけは書いてないのかもしれません。神奈川県だけはありませんが、ほかにないところはない。大阪なんかたいへんです。これをやりますと、幾ら忙しいからといって官庁人間じゃない人間官庁の中に入れておいて――私が行ってみればすぐわかる、服装が違うのだから。これは外郭団体でもない、民間業者団体です。そうすると、新免交付の場合でも、陸運汚職じゃないけれども、業者団体にくれといわれればやむを得ぬ、そのかわり幾ら幾ら持ってこいということができ上がる。年じゅう事務員を借りて使っておるのですからこれはしようがないです。そういうことになっておるのに三年五%といってかんなをかけて、六十五名せっかくそろばん上はじかれてふえるというのに三十人、こういうばかなことが、総理、あるべきではないのです。これは、ここから私は運輸大臣にお聞きしなければいかぬだろうと思いますが、例をあげておる。間違いない例です。  もう一つ、二つ申し上げます。大阪の気象台、ここの気象観測をやっておるところで観測課員という測候所で調べておる人は四人しかいない。東京は二人ですが、実情は違う。部屋の関係でいまここで二人落とすというのです。そうなりますと、天気予報を出すためにやっておりますのは、二十四時間勤務で、二十四時間の交代制でやっておりますのは一時間おきにやっておるのです。だから二十四回。ところがこれを落としますから何と八回しかできない。三、八、二十四、つまり三時間おきになる。いまただでさえ天気予報は当たらぬといって大騒ぎをしておる世の中に、こういうところにかんなをかけちゃって五%削減だからといって減らす。だから一時間ごとの観測が三時間おきになる。気象学者に聞いてみると三十分おきにやらなければだめだと言っておる。それを現に一時間のものを五%削減かんなをかけて三時間おきになったということになると、当たらぬ天気予報がますます当たらぬ。レーダー観測その他でもそうなのです。みなそういうところにしわが寄ってしまう。これは放任できませんよ。時間がありませんからあまりあげられませんが、これは私は、あとから御出席をいただくのに都合のいいように、委員長、いま運輸省に限ってものを言った。あまり方々の省を出しますと、大臣全部並べなければいけませんから。運輸省だけを申し上げてもこういうことになる。これは総理捨てておけないですよ。だから理論的にいって、私の理論をお認めになっておられる。やむを得ないから逆だとおっしゃる。人員のほうからやるのだとおっしゃる。機構のほうはそのままで人のほうを減らす。それが末端にいくと弱いほうにしわが寄せられる。企画部門はふえておるところがある。法務省みたいに一般の行政職はどんどん減って、検事さんはわんさとふやしておるのが四十四年度。検察官をふやしておるわけです。これもやはり一般の行政事務国民への行政サービスの面からいえば逆ですよ。そこに労働強化が起こる。国民への行政サービスの低下が起こる。この現実をどうお考えになるか、それもショック療法の過程でやむを得ぬとおっしゃるのかどうかを承りたいのです。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、いま最初言われた労働強化の問題、またひまなところに過剰人員ができる、これが問題なんですね。いまの定員法なら、省内においての繁閑を見まして、そして各局の間にそういう問題が起こらないようにすることはできる。どうもしかし、一省内の局部等の間の定員の融通でなくて、ただいま問題になりますのは、政府全体としてやはり人員の融通をつけるということが必要である。それは非常にひまな役所――ひまな役所があろうはずはないのですが、しかし仕事の変化によりましてずいぶんできてくるのですね。だから、そういうところと、また非常に仕事の量がふえる、そういうところが、やはり本人も了承して納得づくで転勤する、こういうことができると、国民にあまり迷惑をかけなくて済むのじゃないか。いま運輸省関係でお話しになった――私が運輸省にいたのが戦前、ちょうど戦争とともによした、その時分の仕事のしぶりといまの仕事のしぶりは同じなんです。これほど官庁というところはおかしいところなんです。そういう進歩のないところに問題があるのです。そして定員を五%ずつ拠出しようという、何でもかんでも、忙しかろうが、新しいところで力を入れなければならぬと考えながらも、そんなことにおかまいなしに平均して五%拠出だ、そういう間違ったことを直そう、今度政令でひとつあんばいしていこうというのであります。気象観測などはこれから最も大事なことで、そういうところで人を減らしていいわけはないのです。海運局のまた下の事務所、そういうところで定員のわずかなものはもうそれより以上減らしようがない、そういうようなところまで無理やり――これは少し管轄範囲を拡大するということでできるなら、それはどの程度できるか知りませんけれども、末端の現場を減らす、そういうわけのものじゃないのですね。ただ、いまの車検の事務になると、これは思い切って車検というものをもう民間に移したらいいじゃないか、こうまでいわれている。これあたりはむしろ役所としてもそういう意味で新しい方向に仕事を持っていくというのが一つの方法じゃないかと思うのですね。これも無理やりに地方事務官までもうける、そうじゃなく、本省から出かけていって、そうして地方事務所に――そんな仕事をしている、こういうところにこそ改革が要るのじゃなかろうかと私は思います。私の古い経験が今日も役立つような、そんな状態ではないか。大出君は、もう古いことだから、たぶん知らぬだろうけれども、そうでない、同じことをいまもやられておる。それほど官庁仕事というものは融通がきかない、固定化している。硬直化している。そういうところに私はメスを入れたいのです。  いま言われるとおりに、それじゃ最初から機構をそのままにしてと言われるが、まず理屈からいえば、仕事を整理して、仕事ひまになって、そうして定員化していくのが筋だと思います。しかし、やはりそういうことをいっていると、二十年も三十年も同じような機構が続くだろう。やはり仕事のしぶりを考えてもらいたい。それにはやはりショック療法で、これから三年のうちに五%減らすのだ、その目標でひとつくふうしようじゃないか、ひとつ考えてこい、そういう課題を出すほうが早いのですね。もちろんそうなってくると、いままでも行政管理庁で一局削減の際にも、これは局を減らすのが目標じゃないのだ、仕事を減らさなければだめなんです、こういって指図したのです。仕事を減らして初めて国民官庁になるのだ。国民がしあわせになるように仕事を減らす。どうもしかし仕事を減らすときに役所の連中が自分たちの都合のいいような仕事を減らしたってだめなんで、目的はどこまでも国民のお世話をするのだ、これを減らしたら国民が幸いする。利用しないような届け出事項などはひとつ整理する。もう自由営業でいいじゃないか、そんなもの免許事業にする必要はない。こうなってくるように、国民がしあわせになる方向で事務を整理しよう、ここに目的、ねらいをつけて、そして整理しよう。だから一時的にはずいぶん強化になる、あるいはひまなところに人間がだぶついていると言われますが、ひまなところに人間がだぶついていれば、それこそ拠出するのもイの一番に出ていく。あそこは多いから、非常に忙しいほうにひとつ定員を振り向けようじゃないか、こういうように頭をしょっちゅう働かしてもらって――こんなものを一様に定員を減らす、そこまでは私も考えていないのです。またショック療法だと申しましても、ひとつその辺は御理解願いたいと思います。
  7. 大出俊

    大出委員 これはしかし車検や何かの問題、私はそれをここで質問しておりますから、あらためてここで論じますが、私が例をあげているのは、現に総理が提起しているこの三年間五%、これを実行しようという意味で出している総定員法、この関連において現場で何が起こっているかという例をあげまして、そこまではとおっしゃるのだから、これは明らかに行き過ぎだということになる。こういうことが起こってはいけない。これは間違いない。これはそういうことを言えばきりがない、至るところにあるのだから。たとえば運輸省の一これは昔総理運輸大臣をおやりになったものだから、そういう気になったのかもしれません。  もう一つ例をあげますが、三種という飛行場があります。これは北海道なんかにはたくさんあります。地方の三種の飛行場、これはセスナ機とか、ああいう飛行機が年中飛んでいる。冬のうちはなかなかお客さんを運んでいけないから、ビラまきや農薬の散布、観光だとか遊覧飛行をやっている。そういう三種の飛行場の管制官、これをかんなかけてはじからなくしてしまっている。これは何をやっているかといえば、セスナみたいな飛行機だから、風速とか風がどっちから吹いているか知らしてやらないとあぶないですよ。大きな飛行場の滑走路は十本くらいできておりますから、風向きによってあらかじめ滑走路を使えばいいけれども、三種の飛行場の滑走路というものは一本しかなくて、片一方から片一方にしか走れない、そうなると風向きいかんによってはたいへんなことになる。そういう人命にかかわることをやらなければならぬところの管制官は要らない、勘でおりろといわれる、こういうところにかんなをかけてしまうようなことをすべきではないと私は思う。至るところにそれがある。だから企画部門であるとか、省内の力の強いところはさておいて、末端のそういういま一番困っているところになおしわが寄る、こういうかっこうになりがちなんですね、逆の方向でおいでになると。  だから私はここで総理に言いたいのは、私はこの総定員法に幾つかの理屈があって反対なんです、総理がいま答弁されたことに。それによって起こるいろいろな問題については逆にいくのだから山ほど起こるのはあたりまえだ。いま申し上げたとおり、それによる責任をとことんまで負ってもらわなければ困る。そのことによって起こる一切の責任を行政官庁の最高責任者である総理が責任を負う。それが公務員諸君に説得力となってあらわれるようなところまであなたが考えを提起しなければ、問題は解決しません。そう考えなければならぬのです。臨調の答申でいきますと、まずいっていることは、過員が生じたからといってそれが出血人員整理につながることはいけないといっている。臨調の答申は私も内閣委員会にいますから尊重したいが、これも机上プランで、間違いもたくさんあるから、それを指摘しながら、この趣旨を尊重したいと思って、私はこの六年間内閣委員会委員をやっている。そこでいっていることは、あくまでも人員整理に結びつけてはいけないということを前提にしている。だからこの点は、いまも総理が明確にされているけれども、当然だろうと思う。  もう一つは、配置転換とここでいま口にされましたが、配置転換ということについて公務員は身分保障されておりますから、保障されている公務員がほんとうに安心をして――自分の仕事がなくなってしまったらどこかにいかざるを得ないのだ、そういう極端なことも含めて、ほんとうに奥さんや子供さんのことを考えても安心していける、一生かけて自分がやっていくという意味において不遇にならない、そういう前提で安心ができる、だから公務員がそんなに騒がない、そういう体制をいままでにつくっておかなければいけなかったといっているのですね。臨時行政調査会は、長期にわたる人員計画配置計画、これがなければいけなかったのだといっているわけですね。それに伴ういろいろのことを解決しておかなければいけなかったといっている。しかもあらかじめ公務員諸君とともに十分協議し、話し合いをして納得し合える形のものを制度化しておかなければいけなかったんだといっている。全電通の皆さんだって電電公社の皆さんだって、あれだけ自動改式がどんどんふえるというときに事前協議制というものをおつくりになった。協議がととのわなければやらないというところまで最初におきめになった。そこまでやはり公務員の身分保障というものを考えて、それを先に出して自動化というものを提起している。ですから本来、この総定員法をお出しになるんなら、その前に長期にわたる要員計画定員配置計画はどうあるべきかということをお出しになって、そこで起こるもろもろの、いま例にあげたような事象についてはどう対処なさるかという政府の責任ある立場を先に出して、職員との関係はどうなるかということをあわせて出して協議をするならする。団交権の問題、理屈を言えば切りがありませんが、そういうことは抜いて、長期の展望に立つんだからじっくり話し合って合意を取りつける、そのためにどんな努力も各行政官庁理事者にさせるという、そういう責任ある立場が最初に出て、その上で、この法案を、逆だけれども論議してくれとおっしゃるなら、私も論議するにやぶさかでない。そういう親切気が総理ないんじゃ、やはり世の中じゅうが心配して、いろいろな問題が職場で起こっていますが、不安、動揺があるのは無理からぬことだと私は思う。もうさっき口にされたことだけれども、もう一ぺん簡単にいまのところをお答えおきただきたい。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの仕事のしぶり、私は、先ほど来お答えしたこと、最高責任者としてもちろん責任ある答弁である、またさような意味でお聞き取りをいただいたと思います。  そこでせっかくの総定員法、また三年間五%削減、その趣旨がよく徹底しておらないようです。有能な公務員、次官がいる。さらに次官が帰って局長会議を開く、かように思いますが、もっとそれを徹底させなければならない。ただいまの、総定員法には反対だが、実施にあたってこういうことを気をつけろ、たいへんこまかく御注意をいただいたこと、私はそのとおりだと思う。よくこの趣旨が徹底してそれが一どうせ定員削減するのですから、それぞれのものは進んでやるということはなかなか困難でしょう。それはいまのような定員をかかえて、そうして整理もしないで涼しい顔をしてものをやる、そのほうが仕事は楽でしょう。しかし国民に対する公務員の責任というものを考えると、やはりできるだけ国費はむだにしないように、十分行政効果があがるように努力するのがわれわれの仕事だと思います。そういう意味各省の次官、さらにまた省では幹部会を開きますから、その幹部会を通じて政府の意向をよく徹底さし、同時にまたその省の職員の期待にこたえるという、そういうような意味でも下級職員の気持ち、意見もよく相談する。もちろん実施にあたってはそういう処置はとられるだろうと思います。  机上プランでただ五%だけ減る。毎年一%ちょっとだといったそんな簡単なもので計画されたらとんでもないことだ、かように思います。ただいま御注意を受けましたので、そういう点も十分注意していく。そのときに大事なのは、いまも言われますように本人の意思に反して強制配置転換、これはやらない。実は私、この点も最近私自身が教わったのですが、どうも人、公務員の配置転換を、本人の意向はまだ聞いておりませんから、それは無理なんです、こういって私自身が注意された。なるほどいまはそこまできておるのか、それほど気をつけているのだな。本人の意思に反してということはまずないだろう。今度は、もう一つ出血整理、これはもう、この時代にこんなものは容易に私はできようとは思いませんし、またそれこそ、従業員と対決の姿勢で仕事をするとしたら、そんな非能率なことはないのですから、それは効果があがらない。だからその二つはこの際にはっきり明言できるんじゃないかと思う。いま私が各省大臣と話をいたしましても、ただいま出血整理をする、そういうことにはみんな反対であります。さようなことは全然ございません。
  9. 大出俊

    大出委員 この際、人事院の総裁に一言お答えいただきたいのですが、これは総理にお聞きいただきたいので、総裁にわざわざお出かけいただいたのですが、この三年五%といいますが、実際に予算がきまる。今度は総定員法に基づく――これは私どもは反対だが、こは意図は、政令各省人員をきめようという、そうですね。そうすると予算がきまる、政令が出されて何省が何名、こうなる。さてそこから先は、この大ワク行管との相談できめるにしても、何等級は何名、何等級は何名という級別定数は標準職務表に基づいている。これは人事院のほうなんでしょう。そうすると、いまでも国家公務員の平均年齢四十ですよ、どんどん欠員補充しないのですから。そうでしょう。最低在級年数というのがある。この級に何年いたら上の級に上がれるという資格がある。あるけれども、公務員試験の上級甲なんか受かった人はどんどん上がっていってしまうけれども、普通の人は課長補佐になるのに二十年、上級甲をとった人は六年でいってしまう。だからみんなここにたまってしまう。せいぜい一般の人は課長補佐がてっぺんですよ。だから通産の汚職の問題などが起こる、人事管理の面で。そこで問題は、級別定数のきめ方を、人事院の給与二課――これは大蔵省からおいでになった課長さんが人事院においでになりますが、これは人事院のほうに立ってやっておるのだとぼくは思う。しかし定数配算は、各省から出されたものを承認する、承認権がある。承認権がある限りは承認しなければ減ることになる、極端なことを言えば。大体各省が出したものの一割くらいのものをやっと認めるくらいで済んできている。全体から見れば数パーセントです。だから、ことしは何と四等級というふうなところの係長さんまでできようというわけですよ。勤続年数が長いから上げざるを得ない、役付にならぬでも、そこまでいかなくとも。今度はその場合に、五等級だの四等級に手をつけたらたいへんなことになりますよ。五%削減といってもひっくり返るような騒ぎになる。六等級、七等級一緒に使っているけれども、そういうところが落ちてくるなら、いわく実害というものは少ないでしょう。しかし、もしそこのところをやりそこなうと、幾ら総理がそう言ったって、現実にはそうは動かない。それが、昭和二十四年に法律定員法というものをこしらえて、成田知巳委員長が第一号の質問をしております。昭和二十四年です。ここで定員法行政整理のためにつくったという提案理由をしておられる。齋藤隆夫さんが内閣委員長、そういう時代があった。それでも人は減らない。三十六年に各省設置法に移した。石橋君が質問しております。これで減りますか、減らない。なぜかというと、この法律のたてまえにかかわらず、片や級別定数その他の規制があるからですよ。予算がある。そこを誤ると、幾らここで出血整理はしないと総理が言ってもえらいことが職場で起こる。そこのところはしかと、そういうことは総理の趣旨に従って十分気をつけるということをやはりおっしゃっておいていただかぬと、せっかく角屋さんの質問にもあったが、そこがかみ合っていないと思いますので、お答えいただきたい。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまのお尋ねは実は以前にも実績があるわけで、これをお話しすれば御了解いただけると思いますけれども、御承知のように給与法の八条では、級別定数について、行政組織に関する法令の趣旨に従うこと、それからもう一つは「予算の範囲内で」ということをうたっておるわけです。したがいまして、予算なりあるいは行政定員に異動があれば級別定数もその関係では異動を受ける、これは当然のことでありますけれども、昨年から御承知のように予算上減ってきておるわけです。で、その場合にどういう処置をしたかと申しますと、いま御心配の七等級、八等級というようなところについて、実はこれは定員の縮減、欠員補充ということは要するに新規採用を控えるということにおのずから重点がかかってきますから、理屈として七等級、八等級というような若いところで数を減らすのが筋であろうということで、四十三年度の場合を申しますと、七等級が五百二、八等級が二千百八十八減っておるわけです。そして六等級がわずかに九、それから上はありません。そういうことで今後もまいりたいという気持ちでおるわけであります。
  11. 大出俊

    大出委員 あと十分しかありませんが、筋を二つばかり申し上げますが、一つは三十七年の十月十二日の閣議で一%の、つまり欠員補充おきめになった。これは総理、前の池田さんのときです。それから、人事院勧告の一カ月繰り上げ実施を三十九年におやりになっている。そのとき十月が九月になった。このときはILOのモース事務局長が来たときです。そこらの政治的関連もあって、このときに一カ月前進をさした。お笑いになっても、中身はこういうことなんです。そのときに閣議が何をきめたかというと、給与が一カ月繰り上がったんだから、ここで人員を押えましょうということを閣議できめた。行政管理年報にちゃんと載っている。そこで、このときは池田さんが病院に入院されて、鈴木さんが官房長官でやったんですからはっきりしている。このときに、一般行政職については五〇%まで不補充ただし五十歳をこえた人については二〇%が不補充、新陳代謝するから、給与単価が下がるからということで。それからそのほかの医療、技術、研究職とかいうのは、人が要るんだから不補充率は一〇%だときめたんですね。これは三十九年です。以来四十二年の総定員法の提案のときまで続いたんですから、欠員補充の形で欠員をたくさん持っておったわけですよ。だから、三年五%というけれども、ほんとうは三十九年からの五年なんです。これはうしろで担当者の方がうなずいておられるけれども、言いかえればそうなんです。そうだとすると、四十二年で閣議の不補充原則というものは切ったんです。切って総定員法に乗りかえた。してみると、三年五%でなま首が切れる道理がない。切らぬでいい。これは別なんです。ただし運用を間違えると、各省におりていってからいろいろなことが出てきてしまうわけなんです。そこのところだけ申し上げておきたい。  通産省の例でございますが、これは一例です。高齢者の方に、肩をたたいておやめくださいという退職勧奨をやっておりますが、行き過ぎもはなはだしい。今月中にあなたば辞表をお出し願いたいということを課長が言う。就職のあっせんはいたしますからと言う。行ってみたら半年で切れておしまいになる仕事です。御本人は憤然としている。庶務課長と組合が交渉すれば、庶務課長は、そういうことを言った覚えはない。ないというが、担当課長はそう言う。しかも部長がやめるときに、退職する年齢の方へ、私はあしたやめるんだから言うんだが、君はもう長くないんだから、やめなければ降格されるぞという話をする。そこまでおどかしてはいけませんよ、まじめに働いた人なんだから。かと思うと、あなたは向こうの課の班長にかわることになりましたというので、向こうの課の課長にあいさつに行った。そうしたら、班長さんはちゃんと席に着いている。君が班長でおれの課へ来ることは話に聞いていないと言う。かんかんになって課長のところへ行くと、課長は、君がおれの課から出ることはわかっているけれども、そこだったかどこだったかはしかと記憶はないと言う。これはいやがらせですよ、総理。こういうふうなことが職場の中でたくさん起こっているということをお考えいただかなければ困る。  そこへもってきて、通産というのはむずかしい職場ですが、私は妙なものを入手した。大平会報というのですよ。大平さんか通産大臣になったから、これは、人格、識見私も尊敬している方ですから、それを慕って大平会ができたのかと思って読んでみたら、何のことはない。箱根の大平ゴルフ場のことです。通産官僚の皆さんが民間へ行かれて、みんな名簿をつくっておられる。だれがハンデ幾つになったとか、第三十三回大平会成績表というのがある。池口勝巳はアウト三九、ここにこうある。たくさんあるんです。決して大平正芳さんの大平会じゃない。これをしかも、事もあろうにことしは賛助会員が何名入りましたなんて、現職の方も入っておられる。先輩、OBがほとんど。みんな民間のいいところにある。これを、事もあろうに忙しい職場職員に、これを印刷しておれのところへ持ってこいということを言う。そんなことをするから私の手元に入るんです。そうでしょう。こんなにあるものをやらせるのですから。そういうことを片ややっていたんでは職場の公務員諸君は信用しませんよ。そうでしょう。だから、幾ら口先で強制配置転換はしない、本人の意思は聞きますとかいってみたって、はいそうですかと言えた義理じゃないでしょう。そこへ持ってきて、国会が始まるといえば、マイクで庁内へばんと放送して、あしたから国会が始まるからお残りくださいと言う。何のたれ兵衛と言わないから、命令されたされないという権限は出てこない。いなければ課長がいやな顔をするというのでいる。課長は二年以内にかわる。かわるから、国会答弁の仕事は全部、二十年かかって課長補佐になった人がやる。そうでしょう。上級甲の人は名簿が全部別扱いです。これは全くの直近上位へぼんぼんと上がってしまう。六年で課長補佐になる。優秀な人で二十年も営々としてやって、やっと課長補佐になるのですよ。上級甲の試験を受けたときは、わずかこのくらいの差で落ちた人だってそうなんです。それはあたりまえなんですよ、年々試験を受ける人が多いのだから。こんな運営しているから、そういうところに例の関税官の汚職が起こるのです。幾ら仕事ができてまじめにやったって、おれは二十年で課長補佐になったのだがこれ以上はいけないということになれば、そういうところに課長が来て国会答弁を全部書かしておいて、その課長は二年たったらいなくなる。そういうところに呻吟している方の気になってもごらんなさい。補佐で上級甲を通っていない人が幾ら一生懸命やったって、それ以上はいけない。夜、官庁やめたら銀座のバーに行ってバーテンをやっている。一つの課で七割もあるところがある。冗談じゃないですよ。こういうところを捨てておいて、総定員法ワクをはずして政令ということでお出しになっても、職場の公務員諸君は納得しませんよ。だからその点をしかと総理に、いろんなことが起こるが責任をとっていただけるかと言っている。私は、できればこういう法律は出してもらいたくない。  荒木さんが四日の日に答弁されておったけれども、私はずいぶん調べてよくわかっている。いままで内閣委員会で六年間、設置法を扱ってきた。増員が出てくるばかりだとおっしゃる。それがここで停滞するなら、増員を押えるのだからいいのですよ。逆なんだ。減員が出てこないという。減員が出てこないのは行管の責任なんですよ。かつ総理の責任なんです。内閣法上、行管には主任の大臣がない。総理大臣が主任の大臣なんだ。だとすると、総理がそういうところは、各省の増員の設置法が出ないように押えなければならない。そうでしょう、ふえた人を減らせば出血になるのだから。しかも行管だって、ときには逆のことをやることもある。郵政省の監察局を二つ減らすといったときに、行管行管の監察システムと一致しているものが減っていけば自分のほうの関係もある、断固反対ということで最後まで反対された。総理が最後に松平行管長官と小林郵政大臣の間に立って、金沢監察局に愛媛県の松山の監察局を一つふやして、総理裁断でこの委員会に提案してきた。そうでしょう。だからやはり基本となるべきものは、積み上げ方式で機構というものを考え、仕事を考えて、そうして公務員の数のワクというものを合理的に処理していくということにならなければ無理がくるということなんです。  しかし、いまさら言ったってあなたの意見と一致しやしませんが、こういう現状を御認識いただいて、総理このあたりのところでひとつほんとうに腹をきめて、公務員諸君がたいへんなことになってしまうということになるのだから、この点は私どもは最後まで反対しますが、いまの現状についてどうお感じになったか、ひとつ御答弁いただきたい。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私の知らないことも教えていただきました。ただいまのような実態、これはもう不信を買うゆえんだと思います。  また、いまの汚職があるという点については、何とあろうと私はどうも理解できない。それはどうしても汚職者の責任において処理されねばならぬ、かように思いますが、しかしとにかく制度そのものについて私どもの目が届いていない、そういうおしかりについては、この上とも勉強することにしたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 これで終わります。三点質問しますが、これはだめ押しですけれども、昭和三十八年の閣議ですでに総定員法というものの方式をきめておられる。これも行政管理年報に載っておる。四日の川崎君の質問で、時勢が変わったのだという。三十六年に設置法に入れたのだから、四十四年までだから八年たっているという伊能さんのおことばが出た。そうじゃない。三十六年に設置法に分かれたのだが、翌々年、一年半足らずの間の三十八年の閣議で総定員方式を進めるということをきめておられる。にもかかわらず今日まで用意しなかったのはなぜか。六年間も十分時間があったはずです。ならば、今日ここまできて総理がこう考えますという御答弁をなさる前に、事前に組合と話をする、合意を取りつける方法はどういう計画でどうするとか、全部この六年間に立っていなければいけなかったはずです。この点が一つ。だから、将来ともに立てなかったことについてとやかくよりも、そこの責任という問題はやはりつかまえて、そうあるべき姿というものを慎重にお考えいただきたい。  そこで二つだけ申し上げますが、人事院勧告の取り扱いの問題です。これは保利官房長官の一言をもってすれば、四十四年度は七月実施という予算ではありません、ここまでははっきりした。じゃ一体、七月でなければ六月か五月でしかないが、六月、五月ということよりもなぜ完全実施をしないかと言ったら、それに対しては一点の曇りもなく完全実施とはこの席で申し上げない、一点の曇りとは何だというところで笑い話になりましたが、一点の曇りがあっては困る。完全実施をなぜおやりにならぬですか。やっていただきたい。この点が一つ。  それから昨年の四党国対委員長会談の席上で一つ条件がついている。何かというと、七月に国会修正をした公務員給与の実施は、国家公務員、地方公務員並びにこれに関係するその他の機関ということが申し合わせになっている。そうすると、これに関連するその他の機関とは公営企業をさしているのです。これはあらかじめそういう打ち合わせをしておったわけです。病院、水道、交通、特に今日六大都市の交通はまだ昨年の給与が実施されていない。かくてストライキを二回目を打つという。これは筋が通らぬ。せっかく政党政治をやっているのですから、四党間でそうなっているとすれば、やれ四月の十七日にストライキをやるというような計画があるようだけれども、政治的にこの際公営企業、公営交通についても、理屈はもう自治大臣と保利官房長官に先般二十日の日に十分お話ししてあります。その席で取り上げてありますので、何としても政治的に御配慮を賜わりたい。官房長官は私に、あなたの政治的発言の政治的趣旨は感づいておりますから、慎重に関係者と相談いたします。こう答えておられますので、御発言いただきたい。以上です。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 事前に組合と十分に話し合わなかった、そのことはまことに遺憾だ、こういうお話でございます。いままでも私が直接組合の役員諸君と会った機会はございます。しかし、その多くがあまりこの種の事柄については話をしない。一般的情勢を転換さす、その程度の役割りであった。これはしかし、もっと今日の状況のもとにおいては、それぞれの公務員にしても、公務員の組合の諸君と話が楽にできるというような状態が望ましいことは、これは私もわかります。その他の政府の諮問機関等には組合の役員も参加していただいた。しかしどうも審議会その他においてしばしばそれが労使双方の対決の場、対立の場――対決とまでは申しませんが、相当意見が食い違っておる。そのためにまとめることもなかなか困難だ、こういうことですが、しかし本来お互いに提携して国民のためのとうとい仕事をする、こういう立場でなければならないと思いますので、この関係はさらに日にちをかけてでもやはり改善する方向に努力すべきものだ、かように思います。これはわれわれのほうがその地位にありますから、むしろ積極的にこちらから組合の諸君にも呼びかける、そういう態度が望ましいだろう。そういう場合に、組合の諸君もいままでの事柄にあまりこだわらないで、その辺は虚心たんかいに話し合ったらいいだろう。  ところでその次に人事院の勧告の問題であります。人事院の勧告の問題は、いまたいへんうまいことを官房長官は言われた。(大出委員「うま過ぎたんですよ」と呼ぶ)少しうま過ぎた……。私にもわからぬが、しかししばしば申し上げますように、人事院の勧告はもう最大に尊重しなければならないと思います。ことしはそういう意味で、月は違いますが、一応予算にもある程度盛ってある。問題はこれから一体賃金アップがどんなことできまるかという、そこに一つの問題があると思います。官房長官が言ったのは、おそらくそんなことで一点の曇りが残っているというのではないかしらと思います。私が心配しているのも実はその点であります。もう長いこと、この完全実施をやれといわれながらそれができてない。私自身扱った人事院勧告にいたしましても、もう四回、五回にもなるでしょう。そうすると、ほんとうに完全実施をする、そういうことでないと、皆さん方もなかなか御しんぼうができないんだろうと思っております。  そこで、この春闘相場がどういうことになるのか、実はたいへん気をもんでおる。私、一つの心にかかっておる問題である。もちろん、そういう意味からも私どもは物価の問題と取り組む。また事業の繁栄への努力が行なわれる。これは各会社とも非常に利益が上がっておりますから、そういう状態から見ると、全然利益のない役所とはちょっと違うだろうと思うが、どうしても高い春闘相場になるんじゃないか。大出君のほうがよくその辺は見通しをされるだろうが、実はそこまで非常に心配をしております。しかし、この際はっきり申しますが、とにかく人事院勧告、これはどんなにしても尊重しなければならぬ。政府は一そうの努力をしろ、まあ御鞭撻を受けた。また官房長官行政管理庁長官等々とも、人事院勧告が出た際にとくと相談するつもりでおります。  そこで、またその他の問題、ただいまここにメモをいただいておりますが、この問題については私十分いきさつを明らかにしておりません。しかし、四党の国対が申し合わせをしたことだし、またそういう立場に立ってこの問題について善処する、これは党の当然の責任だと思います。各種の公営事業におきましてもそれぞれの責任、それぞれの立っている地位についてはよく理解もしていただきたいと思うが、公益事業をやられるがゆえに遠慮される、こういうようなことがあってはならない。そういう意味で、待遇も改善しない、責任だけ負わすということでもいかぬと思います。だから、その辺はこれから私ども善処いたしますし、またそれこそ与野党ともに申し合わせをしたのでありますから、これは共同の責任で十分善処するということをお約束します。
  15. 大出俊

    大出委員 総理、いまの最後の点まずいんであれなんですけれども、省と省との間の配置転換というものは、これはおやりいただきたくないのです。たとえば、今度の中には防衛庁のせびろの方々が入っておりますね。そういうふうなところまで影響してきますから、したがって各省間の配置転換というのは、これは厳におやりいただきたくないのです。いかがですか。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 具体的な問題でいま防衛庁のせびろという話がありました。これは最初から、防衛庁のせびろというのはまだあまりたくさんはいない。各役所から供出もしております。ここらの連中が行ったり来たりする、この辺は認めていただく。ただ四級職、五級職、その辺のところについて言われたかと思いますが、そういうことについては誤解のないようにひとつ努力する、よく気をつけていくということにいたしたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 では終わります。
  18. 藤田義光

    藤田委員長 浜田光人君から関連質問の申し出があります。これを許します。浜田光人君。
  19. 浜田光人

    浜田委員 時間がありませんから、総理にずばり質問いたします。  前回以来、本委員会でいろいろ議論いたしまして問題点がございますので、総理に聞きたい。行政の需要または消長によってこれこれするんだということをしばしば言われますね。それはだれがどこでどのように判断するのか、きめるのか。
  20. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまのちょっとお尋ねをつかみがねたのですが、各省人員配置する、そういうのの厚薄というか、そういうものをだれが見るか。これは一つは、予算編成のときに一番先にひっかかってくるのです。これはもう大蔵省は横に見ておりますから、それでその定員が不公平に――バランスの問題、それについて行管の意見を徴したり、あるいはまた、私自身のところまでもくることがある、こういうのがあります。やっぱり一番先に問題になるのは大蔵だと思います。
  21. 浜田光人

    浜田委員 そうでなくして、各省人員を何ぼにする、したがって、最初御答弁なさったように、仕事量をまずどうするかということになるのだが、当面とりあえずここでショック療法としてこれこれをやるのだ、こういうように言われる。たとえそれがショック療法にしても何にしても、各省でこのように仕事量があるから、この仕事配置、ポストをどうするか、したがって定員をどうするか、こうなると思うのです。それは少なくとも各省大臣かあるいは局長なり官房長なり、その辺でやるのではありませんか。どうですか、その点。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 最初のお尋ね、ちょっと私聞き間違えたかと思いますが、各省の官房で各局の人員の適否を考えるわけです。
  23. 浜田光人

    浜田委員 そうなりますと、先日の委員会で出ましたが、大臣は渡り鳥だと言われているのですよ。その渡り鳥の大臣が官房長や局長をぱっと掌握しようと思うてもなかなかできない。しかもまた、その高級官僚というものが、さっきも大出委員の質問があったように、かわられる。そうすると、実際実情を把握しておらぬ。おらないから、一局削減でも総理が考えられたような方向へいっておらないのですよ。一年前には、どうしても必要なんだ、これは日本経済を救う唯一の方法なんだということだった。労働省の安全衛生局でもしかり、ところが、一年たったら、その局を廃止するというのですよ。こういうむちゃなことはないでしょう、総理。そういう状態だから、いろいろ各省の高級官僚は、極端に言うなら、もう自分の定年がきた場合の行く先を考えて、ほんとうに部下のことを考えておらぬ。したがって、時間がないからこまかく言いませんが、盛んに高級官僚が天下りしていく、こういう問題が今日大きな課題になっている。私が地方へ帰っていろいろ演説会、座談会をやっても、住民の方が、浜田先生、ああいうことでいいのですか、われわれは何もかにも信用できませんよ。高級官僚がこちらで二千万円、あちらで二千万円というように、渡り歩いて退職金をもらったりするようなことをやっておる。ああいうことは何とかできないのですか、こういって国民から指摘を受ける。これをどうお思いになりますか、総理
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大臣が渡り鳥だ、高級官僚が白ネズミだということで、言うことを聞かない、こういうお話のようですが、しかし、やっぱりいまの政党政治というのは、だんだん地についてまいりました。昔の藩閥政治とはよほど違っております。藩閥政治のときだって大臣はどんどんかわっている。しかし、このごろは、個人の力というよりも、そのうしろだてにある政党というものがしつかりしているかどうかで大臣仕事ができるのです。大臣はなるほど一年でかわる、しかしながら与党としてがんばっておるので、やっぱり大臣も安閑としてはおれない。これは社会党が天下を取られたときも、初め、それはいままでそういう経験のない方が来られても、やっぱり官僚というものはよくできているのです。私も長い官僚生活をしましたから、ことに社会党内閣のときに、私も官僚であった。やっぱり社会党の大臣の言うことはよく聞いた。だから、やっぱり官僚というものは大臣にはつとめるようになっているのです。だから、その関係で――いまとにかく渡り鳥だという表現、これはやっぱり慎んでいただいたほうがいいのじゃないか。(浜田委員「いや、あなたが任命した大臣がそう言うのだ、渡り鳥だと言うて」と呼ぶ)それはけしからぬですな。とにかくお互い政党政治をやり、また議会政治をやる、その立場において、私はやっぱりそういうことばはどうも不適当だと思う。まあ季節になったら帰っていくから渡り鳥かもわからないのですが、それはそれでいいのですが。  そこで高級官僚が何度も退職金を取る。いわゆる役所からできた特殊会社がある、そういうところの役員になっていく。なるべくその役員を一つだけで、一定の期間経過したらやめていただくというのを普通のたてまえにしている。特別なできのいい人、そういう者が甲の公団から乙の公団に行くとか、こういうようなことはございますけれども、なるべくそういうのは避けたい、これがいまの実際の運用でございます。そういう意味でいろいろ制限をつけた、しかし、制限どおりなかなか守られておらないというのが現状でありますから、いま言われるような事態が次々と起こることがないようにして、できるだけ広い範囲で人材が登用されることを私は願っておるわけであります。
  25. 藤田義光

    藤田委員長 浜田委員に申し上げますが、ほかの質疑者の関係もありますから、ここで締めくくってください。
  26. 浜田光人

    浜田委員 いまの総理の答弁は、昨年三月十二日の本会議での総定員法の私の質問で、天下りはやらさないと声を高くして言っておきます、こういう答弁をしておられるのです。ところが、今年でも、すでに二十名から人事院へお伺いを立ててやっておるのです。だから、口で言われても実際実行させなければだめですよ、総理。  これはもう時間がありませんから、あと一点。本委員会で議論された中で、政令定員の問題がございます。この政令定員は、いろいろ議論してみると、この総定員法が通ればいいのです、早く通してくださればいいのです、こういう答弁です。そうすると、総理、いま公職選挙法で戸別訪問をしてもいいような改正案を出そうかと、こういわれておる。ということで、この改正案が国会に出ておったら、地方でも選挙をやったりする、そのときに戸別訪問したら、警察はやっぱりぱくりますよ。選挙法違反だといってやります。ところが、これは政令定員でやっておる。四月一日から違法行為になっておる。幽霊定員になっておるんだから、これは十六日に給料でも払えば、完全に――この違法行為は法案が審議されておるその中でやってもいいという、こういう考え方なんですよ。国民法律を守らなくなりますよ。どうですか、この点。
  27. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま与党並びに政府として一番困っているのは、政令定員の処置をどうするかということです。ただいまの総定員法審議がなかなか難航している、こういうところを実は私どもも非常に心配をしておるのです。総定員法を何とか早く通していただきたい、成立さしていただきたいということを頼んでおりますけれども、それについては政府が抜かった結果じゃないか、あるいはこういうおしかりを受けるかもわかりません。おしかりを受けましても、ただいまの状態は、とにかく政令定員というものの根拠がなくなる、これはたいへんなことだ、これは何とかひとつ通過さしてやる、成立さしてやる、こういう御協力を皆さん方にも願いたい、そういう意味のほんとうに困った実情を正直に訴えたんだ、かように私は思います。  なお、これは別なことですが、いまの選挙法について云々のお話がありましたが、私は戸別訪問絶対反対だ、こう申しておるのでございますが、そういうことを党の意見として最終的な決定はまだしておりませんし、いま研究の段階だ、かように御了承いただきたいと思います。
  28. 藤田義光

    藤田委員長 あまり時間をとると、公明党がやれなくなりますから……。
  29. 浜田光人

    浜田委員 わかってます。  選挙法の戸別訪問がいいか悪いかという質問じゃないのですよ。そういう法案が出ておって、その間にやったら――あなたかいま総定員法が通ればいいのだ、こう言われる。そういうときに国民が違反行為をしたらやはり取り締まるでしょう、それと同じじゃないですか。だから総定員法については、臨時国会に設置法で出し直してきなさいとわが党の国対の委員長とあなたのほうの国対の委員が話し合いをしておる。それを怠って、今日はいつまでに通してくれなければ困るのだと国会審議にブレーキをかけたりワクをはめたりする、こういうことが総理、総裁として許されますか。
  30. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いや、いま申しますように、たいへん正直な言い方だ、だからそれは違うかもわからぬ、かような答弁もいたしたわけです。十分の準備もしておらない、そういうことが責められることは当然だ。しかしながら、いまの状態で政令定員、これがほんとうに根拠を失っておる、そこに私どもの悩みがあるということを正直に申し上げておるのです。御協力願いたいと思います。
  31. 藤田義光

    藤田委員長 小沢貞孝君。
  32. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この総定員法に関連して、この際総理から行政改革に対する基本的な考え方と、今後の推進の具体的な方針、こういうものについてまず第一にお尋ねしたいと思うわけです。  たいへんな費用と歳月を要して、例の佐藤さんの臨時行政調査会、これが答申をしてあるはしがきの冒頭にこういうことを書いているわけです。「調査会の専門委員で経理にくわしいN君が推算したところによると、約一兆円がムダに使われているということである。余剰人員に払っている賃金、無意味な補助金、ムダな陳情行政などに要する費用、許認可などで民間の受ける損害、時間のロスなど、これらいっさいを合計すると一兆円になるというのだ。私と同じ臨調委員のO氏も約五千億円と推定していた。私は一兆円と五千億円の間が実際の数字だとみる。」つまりこれは七千五百億ぐらいは損害をしているだろうと、このはしがきの冒頭に書いているわけです。私もこまかい一時間当たり幾らの賃金に相当するかというようなことや、むだな賃金や、いろいろ合計をするとこういう推定もあながち当たらないとはいえない、こういうように考えます。最近は社会経済構造がたいへん変わってきました。技術革新も進んで、お月さまに来々月ごろ着陸しようという時期になったり、それからまた国際化が激しくなったり、産業構造も激しく変わっている。こういう中において、お役所の仕事がむしろどうも民間の産業経済の発展にブレーキをかけているような面があるんではなかろうか、こういうように私はいつも考えているわけです。昔は確かに政治家や高級官僚がリードする社会でありました。いま私は、高度産業社会になったら民間の産業人、これがいろいろの推進役になっている、こういうぐあいに見れるわけであります。それをむだな、非能率九行政をやっておれば、産業社会の発展にブレーキをかける、こういう理解の上に立つので、やはり無理や何かのない行政改革というものは積極的に進めなきゃいけない、こういうように考えますので、この総定員法もその中の一つであろうという理解に立って、行政改革にどういうように積極的に竜頭蛇尾にならないように取り組んでいくか、こういうことをまず冒頭に総理にお尋ねしておきたいと思います。
  33. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 とにかく政府は一体何をするところなのか、これは申すまでもなく国民のためにそのつとめをする、奉公する、いわゆる国民の利益のためにものごとを考えていく、それが産業の発展であろうが個人の生活の向上であろうが、いずれにしても国民中心に行動しなければいけない。実は私、前の木村君に行政機構改革あるいは行政改革上どういうことを考えたらいいのか、それぞれの役所にはそれぞれの主張があるだろう、しかし国民の立場ということになってものごとを考えると、各省の権限争いなどおのずから解決する問題だ、共通の目的はそこにある、そういう立場に立っていまの行政のあり方を考えてみようじゃないか、こう言って木村君と相談したのです。ところが、日本の場合には特別に他と別なところのもの、いわゆる口に民主主義を唱え、そうしてどこまでも主権は在民だ、かように言いながらも、どうもいままでのしきたりから役所にたよる。役所は一体どう考えてくれるのか、まず国民がおれはこう考えるということよりも、役所はどう考えるだろうか、こういうところにいわゆる役所の持つ一つのインフルエンス、非常な隠れた力がある、かように思いますが、これを打破してかからないと、真のわれわれが期待するような構造改善はできないのだと思っております。また行政改革もできないのだと思っております。  ただいま、佐藤さんやさらに行政調査会委員方々が一兆円だとかあるいは五千億だとか言われているそうですが、一体それはどういうところから出されたものか知りません。私はそんなむだがあろうとは思いません。しかし、ものの考え方を変えてかかれば確かにむだだとして出せる。もういま一番問題になります許認可事項あるいは届け出、先ほどもちょっと触れましたが、十分使われもしないような届け出書類民間は困っておる。また許可、認可事項、何でもかんでも許認可にかかる。そういう意味で行動の自由がない、制約されている、これはもうたいへんなことだと思いますが、そういうことは整理しなければならないと思います。しかし、一方で民間の事業を計画するほうからいえば、やはりお役所で金融をあっせんしてくれる、そういうようなサービス的なことはどうも必要だ、それはいきめにいく。ただ民間の力だけの関係で金融ができるということでなしに、役所が公平にものごとを見て判断をしていく、ここに民間もたよれる政府だ、こうなるんだろうと思うのです。  まあいろいろむずかしいことはございますが、問題はどこまでも国民中心、民間中心に役所の仕事を果たしていく、そこへ効果を持っていくようにこれからどうしたらいいのか、それを注意すべきだ、かように思います。  そういう意味から、どうも日本の場合はお役所の人が多過ぎる、これはみんなに指摘されるところであります。だけれども、それではひまな者がいるか、先ほど大出君が言ったように、あまりひまな者は実際にいない。なぜひまな者はいないかというと、とにかくよけいな仕事をしてやる、それをみな国民からも要望されておる、かように私は思いますので、そこらを私は実は新しいもの――もう民間では新しいコンピューター時代になっている。いま役所では、まあコンピューターをそろばんがわりに使うぐらいのことはするかもしれませんが、どうもあの高いものをそろばんがわりに使うのはいかにももったいない、もっと情報産業というものが確立されてしかるべきだ、それほど世の中が進んできているときに、いまの役所のしぶりはいかにもおそい。これは私は冗談を言うわけではありませんが、占領中にアメリカの占領軍が来て仕事をした、わずかな人間でほとんどわれわれがやっておるような仕事をした、しかもそれが非常に早い。これあたりを考えなければならない。  どうもお役所には、先ほども実際に仕事をするのはだれか御存じかというお話がございました。いわゆる課長や局長にならない人、そういうところの人が実際の仕事をしているという、こういうのがあらゆる面から批判を受ける。実際に仕事をする人ならどんどんそれを課長にし、局長になぜ上げないのか、またその人をそのままにしておくがゆえにものごとがそこでとまっている、そのために非常に能率が悪い、こういう批判もある。民間の進歩や発達に伴って、役所も変わっていかなければならぬ面は非常にある。ものの考え方をとにかく変えないことには、在来どおりのことを考えていてはこれはうまくいかない。私がやめてから三十年たったいまでも同じような行政が行なわれている。これではおくれているといわれてもしかたがない、かように思います。
  34. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 具体的に御答弁なかったのですが、国民中心に積極的にやろう、こういう受けとめ方をいたします。しかし、行政改革については古来たいへんな問題だったと思いますから、佐藤総理がこれをやれというぐあいに英断をもってやらなければなかなか推進できない、総理の決意いかんにかかっている、こういうように考えるわけです。そういうことを要望しておきたいと思います。  そこで、総定員法に関連をして、具体的に御質問をいたしたいと思いますが、私は各省ごとに法律でもって定員をきめておく、各省設置法でやっておくということは、やはりそれなりの意義があったと思います。改革というものはそういう古いものをやめて、新しいものに変えていく、こういうことが改革だと思いますから、そういう古いものに意義があったというその意義はなるべく生かしていくようなぐあいにして、新しい改革に進んでいかなければいけない、こういうふうに考えます。  そこで、私の総定員法に関する第一の危惧は、役人のセクト主義は排除される、こういう積極的な面があると思いますが、一面、総理に大きな権限が与えられてしまいはしないかという危惧、それが第一点であります。第二点は、先ほど来御質問のあるように、弱い者いじめになりはしないかという危惧だと思います。したがって、こういうものを全然なくしてしまう、そして新しいものに変わっていく、こういうことばなかなか困難だと思いますが、その弊害というものを極力少なくしてやっていかなければいけない、こういうふうに考えますが、実際この法律が通ったあとの運営は、直接関係するところは行政管理庁、あるいは大蔵省、総理府、人事院、たぶんこの四つが法律の具体的な執行に関連があるであろう、こういうように考えます。その四つの省庁が具体的にこれを執行するのにどういうような方法で実施するか、こういうことです。大蔵省で予算を策定してしまって、それによって自動的に定員をきめてしまう、政令を出せばいい、これでは事務的なことだけになってしまうから、いま言った二つの弊害というものをカバーをするためには、関係あるこの四つの省庁というものがどういうふうに連絡をつけてやっていくか、この辺がポイントではなかろうか、こう思いますが、どうですか。
  35. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。私は各省設置法各省設置法としてのそれなりの意義を持っている、かように思います。しかし今度はもうちょっと変えて、各省間の融通も考えたい、こういうことになってきておる。いわゆる総定員法、総定員という言い方をしているわけです。各省間の人員の交代も交流も考えるということであります。そこで今度は、そうなると総理は弱い者いじめしないか、あるいは権限が拡大しないか、そういうことであります。しかしこれは総理によるのですが、私はそれほど信用がないのかと思って、実は意外に思っておりますが、総理の責任は責任として必ず皆さんからも、国民からも追及されます。総理が暴力をふるったり、あるいは独断専行したりすれば、こういう民主主義の時代に、国民は許しておかない。このことは私はよく知っておりますので、そういう心配はしないように願いたい。それよりも、総理にある立場において、総理国民に果たすべき役割りを十二分に果たしたかどうか。どうしたら果たせるか、これを考えていただきたい。私はずいぶん独断専行のように見えるか知りませんが、そうじゃなくて、なかなか民主的なんですから御理解をいただきたい。これはそういう意味で十分考えます。  そこで、関係の役所、これは四つばかりあげられました。全部がそうだと言えますが、何といっても今度この法律が通れば、各省定員は予算で御審議をいただくことになります。大蔵省はそういう意味一つの十分気をつけるところであります。また行政管理庁が本来の職分としてこれをやります。また、人事院人事院として、これはやはり公平な立場から見ている、こういうことでなかなか政府といったからといって、そうかってにできないような仕組みになっております。  そこで、そういう関係省庁がお互いに集まって話し合いをすること、これはただいまでも数回行なわれております。大きな改革の場合には、こういうことを抜きに、一人だけで考えるようなものではございません。しかしこれは、常置する委員会が適当なのかどうか、その点はもう少しよく研究させてもらいたい。これはひとつ慎重に扱ってみる、かように御了承いただきたい。どうもいままでは責任のがれから審議会が設置される、こういうことが非常に多いのであります。責任のがれはしたくない、また、いろいろやることによってどうも責任転嫁される、能率が非常にあがらない、こういうこともございますから、そういう点はひとつおまかせをいただきたい。
  36. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 総理あれですか、大蔵と行政管理庁人事院総理府と、この四つが直接関係があると思うのです。いまの御答弁は、運営にあたっては関係省庁のそれなりの機関を常置するかどうかは慎重に検討したい、こういう御答弁であったと思います。これは政令でやるとか、えらいむずかしいことはやらぬと思うのです。執行についてはこの四省庁が十分協力してやれという閣議決定ぐらいいただいて、民主的に運営をする、こういうことはいいですな。
  37. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただ、たとえば農林省の定員がどうなるかというような場合に、肝心の農林省の意見を聞かないで、ほかできめるということになりますといろいろ問題を起こしますので、やはりいまのようなところで基本的な問題は考えるが、それから先の実施の段階になれば、やはりそこらの担当も入れないといけないだろう、そこらはうまくやるようにくふうします、こういうことです。
  38. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間がないので……。私、予算委員会の一般質問でもお尋ねしましたが、これから民間の意向を大いに反映して、能率の悪い役所の事務というものを変えていくためには、民間から専任大臣を起用してはどうだろうか、荒木長官がここにいらっしゃるが、総理の答弁は、有能な大臣だからまあ荒木さんでいいだろう、こういうような御答弁であったが、積極的に受け入れるがごとく受け入れざるがごとき答弁であったと思うのです。しかし、民間的発想で役所の事務を見るということは非常に大切なことで、能率のいいアメリカ等は、各国へ派遣する大使さえ民間から採用してやっている、こういうことですから、特にこれからは事務能率を向上する、あるいはコンピューターだ、情報産業だという時代になれば、将来はそういうものを起用してこういう問題に対処をするというような、前向きの考え方はいかがでしょう。
  39. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろんいまの大臣選考は、民間からとっても差しつかえないし、数には制限があるが、ある程度採用はできるのです。吉田内閣時分には、また岸内閣でもそういうことをしたことがあります。しかし、いま限られた大臣を、党内にもたくさん有能な人がいますので、まず党内のほうに先に目をつけるというのが実際であります。そこで、いま言われますように、民間の方を除外する、こういうような考え方ではもちろんございません。有能な方があり、また適材適所に使う、それが国のためになるのだ、かように思います。それは広い範囲で選考する。しかし、いまのところでは党内に、これはもう俊秀雲のごとくなのです。
  40. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その問題にかかわっておるわけにいきませんから……。先ほどの質問の答弁で、あまりはっきりしませんでしたが、各省間の配置転換ということはあり得るのかあり得ないのか、そういうことを御答弁いただきたい。これは、私は役所というのはどうしてもみな保守的だと思います。民間においては北海道で作業しておった者が今度千葉県へ来てやるということは自由自在にやっておることなんですが、なかなか役所の中はたいへん保守的ですから、将来そういうような場合にこの職員団体と事前に協議する、こういうことはよろしゅうございますか。その前に私は、公務員法の百八条の五によって、給与、勤務時間というようなものについては職員団体は交渉できる、こうなっているのだが、その中に「その他の勤務条件」とこういうのがあるわけです。ところが将来食糧庁がどうにかなってしまいそうだというような大きなことがあれば、大量の人が他の省庁に行かなければならない、こういうことが起こり得るかもしれませんが、これは仮定の問題です。そういうことについてそのことは交渉できるかどうかということについては、なかなか法的なことがあると思うのです。それは後ほどひとつ人事院なりあるいは法制局に聞きますが、少なくとも事前にその職員団体について協議する。これは協議というのは、相談して協議がまとまるもの、単に御相談をする、情報を流す、いろいろの種類があると思いますが、事前の協議、これはよろしゅうございますね。先ほどそういう御答弁があったように思うがどうもはっきりしなかったのだけれども……。
  41. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 各省間にやはり人事異動はある、かように御了承いただきます。いままでのところは一省内の局、部等の間で相互に人事異動はあったけれども、省をまたがるということはなかったが、今度は省を越えて定員配置はある、かように御了承いただきたい。  それからたびたび申したのですが、本人の意に反して強制転勤はさせない、また出血整理はしない、この二つがあります。いまの組合の問題についてはいろいろの議論があると思います。しかしそういう事柄がいわゆる人事関与、ここまでいかない範囲における程度の了承をつけることは円満にいくゆえんじゃないか、私はこのように思いますので、これは理屈を言うとなかなかむずかしい問題だ。しかし特殊な、大きな役所の改廃、こういうような問題になれば必ず相談するだろうと思います。しかし、あまり個々の問題については一々やかましく組合側からもあまりタッチされないほうがいいだろう。しかし全然無視して人事異動をやる、本人に相談するというそこで御了承いただけばおわかりができやしないか、大体の方向はわかるのじゃないか、かように思います。
  42. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 先ほどの質問にちょっと答弁があいまいであったわけですが、いままでわれわれが理解しているのも大部分の人が理解しているのも、おそくとも四十五年には人事院勧告を完全実施をする。これはみんな常識になっているが、四十五年度に完全実施するということは、四十四年度に完全実施を否定する意味ではもちろんありませんが、四十五年にはおそくとも完全実施をする、こういうようにみんな理解しているが、その理解のしかたがまずいかいいか、どうでしょう、一言……。
  43. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは私は先ほども申すように、とにかく完全実施はしたい、こういう気持ちは多分にあるのだ。ただ、いま双方が一体どうなるのか、そこらに非常に無理がかかっている。この辺に一点の曇りがあるのだというのはそこらだろうと先ほども言ったのですが、私はこの春闘はむしろ民社の方や社会党の方がよく御存じだろう、この辺のところもひとつ全体をにらんで適当なところへおさまるようにしてもらえば、私どもが完全実施がしやすくなるわけです。しかし問題からいえば、これは高いときに完全実施をするほうが本来の姿だと必ず理屈を言われるだろうと思うのです。それほど物価その他が上がっているときに、どうして一部だけ公務員だけがしんぼうしなければならぬか、こういう問題がございますので、そこらに悩みがあるのですよ。悩みがあるだけを申し上げて、直接のお答えにならないと思います。それは私も知っておりますがひとつ御了承いただきたいと思います。
  44. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは要望だけして終わります。  能率を大いにあげてもらい、あるいは事務量を減らして労働強化にならぬように、あるいは税金を納めている国民の要望にこたえるように行政改革は進めてもらわなければならぬと思います。その中において各省設置法、こういうものを廃止して総定員法に新しく変わっていくということになれば、過去の法律においてはそれなりの意義があった点があると思います。そういう欠点をできるだけ補いつつ新しいものに進んでいく、こういう方向が正しいと思います。それが一点。  いま一つは、もっともっと大胆に、事務屋を減らすとかそういうことについては積極的に、これは首相の英断にかかっておると思いますから、改革を進めていただくことを要望して終わりたいと思います。
  45. 藤田義光

    藤田委員長 鈴切康雄君。
  46. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間の関係上、端的に質問をいたしますので、総理も答弁は簡明にお願いをしたいと思います。  まず総定員法の三年五%削減方式は全体の公務員数をふやさずに行政需要の消長に対処するためのものである、そのようにいわれておりますけれども、これが各省設置法ではできないとする理由について、総理からその考え方をお伺いいたします。
  47. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほども小澤君にお答えいたしましたように、総定員法をつくった、各省間にやはり定員の再配置ができる、そういうことをねらっておる、かように御了承いただきたいと思います。
  48. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現行の各省設置法方式では減員は行なわれずに増員のみが行なわれ、結局公務員の数はふえる一方だといわれておるけれども、それは政府行政上の責任を一方的に国会に押しつけることになると思うが、総理考え方をお伺いします。
  49. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 鈴切君のただいまの端的な御説明で、そのとおりでございますと私もお答えいたします。私も長い官吏生活をやってきておりますが、新しい仕事をやれば必ず定員幾ら幾らふやしてくれ、法律一つ出れば必ずそれを言う。しかし、法律が廃止になったりあるいは仕事の量が変っても、そのほうでは幾ら減らすというようなことは二度も言ったことがない。だから実際は新しいことをやればだんだんふえていく。同時に、実際に国民のほうからいえば、仕事の量が変わっておるのだから減らすものもあるだろう。ふえるものもあるが減らすものもあるはずだ。ここに目をつけるのがあたりまえだ。総定員法を設けて政令でこれからはその辺をあんばいしよう、こういうのであります。それが実際に合うゆえんだ、かように実は私は思っておるのであります。
  50. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現行方式になってから国会ではむしろ増員に反対したケースのほうが多かったように思うのですが、政府が提案された減員の法案はきわめて少なかった。それが現実であります。今回でも陸上の自衛隊員の六千人増員法案が防衛庁設置法の改正案として出されているわけでありますが、つまり公務員数がどんどん増加するに至った根本的な原因というものは、政府が増員をはかってきたからであって、実際には国会が増員をはかってきたのではありません。その気であれば十分現行法の方式でも定員管理ができる、私はそのように思うのですが、その点について。
  51. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 現行法でももちろんできないことはないのですが、どうも隔靴掻痒の感がする。もっと人事の配置について適切な処置をとりたい。これは中央から直ちに各省に命じ得るということにしたいのです。  そこでいま自衛官の話が出ておりますが、このほうでは増員をしております。これは明らかに増員しております。これは国防の問題だし、すでに御承知のようにいまの防衛整備計画等から一つの目標がございますので、それまでの定員はふやしていく。これは大事なことですし、そうしてまたそれについては各政党からの御意見もうんと聞きたい、こういうので、それは総定員法からはずして、別途に御意見を聞く、こういうことにしてありますので、私は、自衛隊がふえたから定員もみな右へならえでふやしていいんじゃないか、この話は鈴切君のせっかくのお尋ねですが、やや筋が違う、かように思います。
  52. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五%の削減の方式は、出血整理をしないための人員削減の方式であると先ほどから説明をされております。それはつまり、比較的不必要になった人員を新たに必要になったところに配置転換をさせるための、行政需要の消長に対処する苦肉の策といわれておりますけれども、なぜそれが現行設置法ではできないのだろうか。つまり政令で行なおうとしている省別の人員配分の内容をそのまま設置法に盛り込んでくればよいのじゃないか、私はそのように思うのです。今回の方式では個々の省の増員をチェックすることができなくなってしまうわけですが、これではまさに国会の審議権を制約する結果となると思うのですが、その点について総理のお考えを……。
  53. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 一番の問題は、国会の審議権、これが今回の措置で狭められたかどうか、大体予算でこういう点を十分見ていく、これが本来の姿ではないかと思う。そうして予算の審議については、今後も従前同様であります。ただ定員を、いままでは一省の中で、局部の間で配置大臣のできることでした。しかし、ある省から他の省へという、そういう問題はきわめてやり方がむずかしいというか、困難になっている。今度はこれが、権限として総理政令でやれる権限が付与される、こういうことでありますから、その点は改善されると思います。今日でも、役所によりましてやはり人員に過不足がございますから、あるところではたいへん忙しい、あるところではそれほど忙しくないというようなところもありますから、その辺のところを勘案する。そこで積極的に首切りのできないこと、整理のできないこと、これもわかっておりますから、そういう意味である一つプール各省で持つようにする、そのプールから今度は拠出していく、そういうことになれば各省間の人員配置はまず公平になりはしないか、これがねらいであります。
  54. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理はいま、予算で審議されるからそれでいいんだ、国会で審議するのは、四分の一は予算によって定員審議が行なわれるから、それは決して国会軽視ではないというような、そういうニュアンスでありますけれども、予算の積算根拠としての定員を国会で明示するのと、定員を国会で審議するのとは別問題だと私は思う。そこで予算に幾ら定員を示されても、現在の審議の状況から見て個々の定員の妥当性は実際には不可能ではないか、このように私は思うのです。  それからもう一つは、法律できめることと政令できめることは単に手続だけの問題ではないと私は思う。法律は国会であり、立法府に属するものである。それから政令は内閣で行政府に属するもの、法律は手続が繁雑であるから政令行政を行なおうとすれば、それは主権は国民に存する、すなわち国会は国権の最高機関と規定した憲法の精神をじゅうりんするものとなる、私はそのように思うのですが、その点について……。
  55. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、法律は国会の権限、政令政府のやることだ、こういうことですが、われわれが政令でするにしても、根拠的な法律がなければ政令だけでやるわけにはいきません。これは申すまでもなく総定員法というものがある、その範囲において政令でやる、これは国会の審議あるいはその扱い方を単純にした、こういうものではございません。ただ法律、また立法府がタッチする範囲は一体どの程度が適当なのか、こういう問題は一つあろうと思います。いまのたてまえなら、一人定員をふやしてもそれが立法事項になる、そういうことはちょっと考えられない。これはこういう話をすると、それは極端な例をとって言うからだとすぐおしかりを受けるかもしれませんが、極端なことを言えば一人でも二人でもふやせばこれは立法事項だ、そういうことは今日の実情には合わない。しかし総ワクはやはり法律できめてもらう。国会を無視して、政府政令でそれを越してやるわけにはいかない。その点はちゃんと制限があるから、国会軽視にはならない、私はさように思います。
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま総理が一人増員云々ということを言われたが、実際にはこちらのほうが増員になってこちらのほうが減員と、こういうふうにずっとなってきて一人増員ということになるのであって、そういうふうに極端なことはまず考えられないと思うのです。  それから今回の提案理由の説明によりますと、行政簡素化、能率化を推進し、必要最少限の人員行政を遂行するためには、行政需要の消長に伴う定員配置転換各省庁内・各省庁間を通じて強力に行なう必要があるのでこの総定員法を出したということになっております。一番重要なことは、この行政需要の消長に伴う定員配置転換ということにあると思うのです。総理は、定員管理の基礎となる行政需要の消長について、それが真に国民の要望にこたえるものであるかいなかの論議をする場所、すなわち少なくとも当委員会に関する限りでは狭める結果になると思うのですが、その点についてはいかがですか。
  57. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはしかし、皆さん方が審査したいといえば審査を免れるわけにはまいりません。政令でつくったものだろうが、これは政令ですからあなた方の審査は受けません、さような乱暴なことは言えない。ことに行政庁の仕事が円滑にできるかできないかは、それこそ皆さん方の関心事だと思うし、国民も関心事でございます。そういう意味から、もちろん審査は御自由だと思います。ただ政府がきめるのが、法律できめなければならないのか、法律でなしに、そのとき総体は法律できまった、その範囲内において適当にあんばいするか、これを政府にまかしていく、こういうのでございまして、私は審査は当然受ける、そのように思っております。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調答申では配置転換制度の拡充をうたっておりますが、制度としてはどのようなことを考えておられるのか。真に行政改革を行なおうとするならば、臨調答申もしくは行政監理委員会が指摘しておりますところの内閣調整機能の強化方策を何ゆえ本案よりもっと前に提案をしなかったか、その点についてお伺いします。
  59. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 臨調からいろいろ出たものがございます。それを一つ一つ実施に移しておるわけであります。いまこれをやりますと、先ほどもお答えしたのでありますが、当然各省の権限というものにタッチいたしますので、これは臨調で出してきた意見にも沿うと思います。いま役所の仕事を、もう少し官庁万能というようなたてまえでなしに、民間の自主的な処理に大部分譲ってしかるべきじゃないかと私は思います。そういう意味で、やはり早く一つの方向を示して、そうして各官庁を指導する必要もあります。そういう意味から申しますと、各官庁でいま許認可、届け出あるいは各省の共管、ことに共管事項、協議事項、そういうものが一番能率を阻害しておりますから、そういうものにやはり手を染めることになります。むしろそのほうを皆さん方からも鞭撻をしていただいて、そういうことをしっかりやれと声をかけていただきたいと思います。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その場合、必要な部分と不必要な部分の的確な判断が、私はどこでその調整をはかっていくかということは非常に問題になるのじゃないかと思うのですね。同じ省庁間であれば確かにそれは大臣の責任においてなさるでありましょう。しかし省が変わった場合において、その必要である、不必要であるという判断はどこで行なうかということ、これは結局私が申し上げますとおり内閣の調整機能というものが早く提案をされていかなければ、そういうものに対しては結局力関係によって国民へのサービスが阻害をされてしまうようなきめ方になるということはもう明らかだと私は思うのですが、その点について…-・。
  61. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そこでいろいろ批判が行なわれる。弱い省は権限を失う。ところがどうも弱い省ほど権限にこだわりまして、話がつかないのです。なかなかそういうところのほうが、むしろ強い省のほうが話がよくわかって、もうそいつはまけよう、こういうふうにもなるようです。だから、そこらのところは実際の問題として、必ずしも皆さんがお考えになるようなことではない、かように思います。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 弱い省、強い省といま言われましたけれども、国民の側から言うならば、私は弱い省も強い省もないと思う。そういうふうな総理のものの考え方でやっているから、だから強い省にそういうようにへんぱなことが行なわれるのではないか。まず、そういう総理考え方は違っておると私は指摘したい。  それから、強制の配置転換はしない。つまり本人が納得しなければ配置転換はしないと行管長官は答弁をしておりますが、それは総理の方針であるかどうか。
  63. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来、配置転換について、私何度もお答えしたとおりであります。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本人の意思に反して配置転換はしない、こういうことですが、つまり本人がいやだ、こう言えば強制はしない、こういうことですか。
  65. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間がありませんので最後に、退職は、不必要なところにのみ発生するとは限らないと私は思う。そこで必要な部門に離職が発生したときにはどうしてもこれは補充しなければならないのではないかと思う。たとえば、医者が必要であるとすれば、そこのところはほかから持ってくることができないわけでありますから、そういうふうにしなくちゃならない。としますと、数の上では年々の離職者数の推計はできるだろうけれども、それだけでは割り当ての削減数を満たすことができるかどうかわからないと私は思う。それでもあなたは、首切りはしない、そのようにはっきりと確約されるかどうか。
  67. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの特殊職について、これはいろいろ考えなければならない問題があるだろうと思います。一般職の場合に原則がある。原則どおり、全部に例外なし、こういうわけのものじゃない。その点は御了承いただきたいと思います。
  68. 藤田義光

    藤田委員長 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  次に、小澤貞孝君。
  69. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 先に事務的なことを人事院にお尋ねをいたします。  国家公務員法第百八条の五の項ですが、「当局は、翌録された職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し」云々と、こうあります。「その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」交渉の申し入れに応ずべき立場に立つものとすると、こうあります。つまりこれは、交渉を受けろ、交渉をしろ、こういう義務づけだと思います。その中に明記してあるのは、「給与」とか「勤務時間」、そのあとに持っていって「その他の勤務条件」、こういうのが入っておるわけです。この総定員法に基づいて、先ほど来御答弁のあるように、首切りはいたしません、強制配転はいたしません、そういうようにはなっておりますから、私がここで心配するようなことはないと思いますけれども、先般もこの委員会で荒木長官から御答弁がありましたが、もし万が一、将来そういうようなことがあっても、本人の意向を十分尊更してやります、総理も本日そういう御答弁がありました。ただ、これが産業構造が急速に変化してくる中で、大幅に、たとえば、何々省の何々庁の事務が用事がなくなった、こういう場合が起こり得るわけです。それは具体的な例、たとえば食管法はやめちゃ困りますけれども、もしやめた、こういうことになりますと、さて検査員の人はどこへ行くかということが必ず出てくると思います。そういうときになると、食糧庁なら食糧庁、農林省なら農林省の者が、ほかの省へ大幅に行かなければいけないという事態が出てくるわけです。そうなってくると、ここでいう「勤務時間その他の勤務条件に関し」という「その他の勤務条件」に該当するような労働条件の変化だ、こういうように理解ができると思いますので、このことについては交渉に応じなければならないかどうか。こういうことの法的なこと、人事院としての見解、それをお聞かせいただきたいと思います。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  70. 島四男雄

    ○島政府委員 公務員法上、勤務条件とは何ぞやというお尋ねでございますが、一般的には給与であるとか勤務時間であるとか、そういう職員が国に対して勤務を提供するについていろいろの条件がございますが、その中で職員が自分の勤務を提供するかしないかについて決心するにあたり、当然考慮の対象となるべき事項がここにいう勤務条件かと思います。  具体的にはどういうものをさすのか。代表的な例としては、国家公務員法に給与であるとか勤務時間、そういうものが書いてあるわけでございますが、その他もろもろの事項がここに入ると思います。御承知と思いますが、公労法の第八条に団体交渉の対象事項として幾つかの事項が掲げられておりますが、おおむねこの内容が、国家公務員法にいう勤務条件の内容と合致するものと考える次第でございます。
  71. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私が仮定で申し上げたことについては、交渉の対象になるかどうか。イエスかノーだけでけっこうです。
  72. 島四男雄

    ○島政府委員 先ほどお尋ねの件が、はたしてここにいう交渉事項になるかどうかということでございますが、たとえば、配置がえなら配置がえそのものの具体的な処分、AならAというものをどこそこに配置するについて、そのことについて交渉したい。そういう場合に、そのこと自体は交渉事項にはなりませんが、配置がえの基準といいますか、一般的な配置がえの基準について交渉したいということであれば、それは交渉対象事項になる、このように申し上げてしかるべきかと思います。
  73. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 きわめて明確にわかりました。配置がえ等が行なわれた場合に、その人そのものでなくて、たとえば採用年齢の若い人から先にやるとか住宅事情のいい人とか、そういう基準については交渉の対象になる。明確になったわけです。法制局のほう、よろしゅうございますか。
  74. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま人事院からお答え申し上げたとおりと私も考えております。その配置転換の処分そのものは対象にはなりませんけれども、その処分の前提である基準の決定でありますとかそういうようなものにつきましては交渉の対象になる。それが勤務条件に関係してくる部分について対象になる、こういうことでございます。
  75. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。  荒木長官、そういうことでございます。そこで私は、それよりはさらに法的な根拠もありませんし、これは労使の信頼関係でもあるならば十分機能を発揮すると思いますが、そういう問題について事前に協議する。佐藤総理にも先ほどお尋ねしました。こういうものは当然これは交渉の対象にさえなるのですから、事前の協議、こういう問題については当然行なわれてしかるべきだ、こういうように理解するわけです。よろしゅうございますね。
  76. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そのとおりに考えます。
  77. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。私たちが非常に重要な問題だと考えるのは、その交渉に基準は該当する、これが一点。それからそういう問題が起こったときには、そこの職員団体なり何なりと事前に協議をする、こういうことは非常に重要なことだと考えておりましたが、いまの御答弁で明確になりましたので、一歩前進をいたしたいと思います。  木村長官、お急ぎのようですから、先に木村長官にお尋ねをいたします。  先ほども浜田委員から公務員の天下り等についていろいろ御質問があって、私も昭和四十二年と四十三年度のを見ると、四十三年度になればまた一割だか二割くらい、どうも高級公務員の天下り、こういうものがふえているようであります。この点については、人事院にチェックする機能があって、それでも不十分か十分かしれませんが、チェックをしておるわけです。ところが、まるで野放しになっている分野があるわけです。このことについては、昨年の予算委員会等で長官であった当時お尋ねをしたわけですけれども、今日においても依然としてそれが続いておるわけです。たとえば、これは決算委員会に出された資料であまり資料がなさそうなんですが、特殊法人役員名簿一覧表、これはずいぶん分厚いもので、月給、前歴まで書いてあるわけです。これをだんだん拾っていってみると、ずいぶん高級公務員がこの特殊法人に天下っておる。それはどこもだれもチェックすることなく天下っておる、こういう実態だと思います。そこで、その一つの具体的な例として、専売公社について、たくさんあります中でお尋ねして、これは資料をいただいてありますので、こういう状況であるという御回答さえいただけばいいわけですが、昨年私が質問したときには十六人、昭和四十一年九月に新井喜一さんが本社総務理事からネオフィルター工業株式会社社長に行くまで約十五、六人、二、三年間の間にいずれも専売公社と関係あるところへ天下っておるわけです。たとえば最後に申し上げました、どういう人か知りませんが、新井喜一、当時専売公社の本社総務理事からネオフィルター工業株式会社社長、それは「わかば」というたばこの紙フィルターを一〇〇%、つくったものを全部専売公社へ納めているところの会社の社長になっていった。こういうようなことで、当時の水田大蔵大臣か何か、弊害があるがごときことを御答弁いただいて、そのとき木村長官は、これは国家公務員にはちゃんとした法律があって、国家公務員法百三条だったと思いますが、あるが、こういう法人からよそへ行くのには何もないから、これも検討しなければいけない、こういう御答弁だったと思います。その後幾らか前進したかと思って調べてみると、全然前進していない。たった一年間の間に、きのう出していただいた専売公社からの資料によると――これはひとつ専売公社でお答えいただきたいと思います。  まず、武樋という人、これは本社総務理事から電源開発株式会社、四十二年五月、安房理事が四十二年六月に三条機械製作所へ、それから同じく四十二年六月に劔持監事が財団法人専売弘済会理事長に、それから飯塚英夫という人が四十三年一月、これは本社総務理事から日本製箔株式会社に、それから三代川理事、これは大日本セロファン株式会社常務取締役、瀧本忠男、これは四十三年二月、専売公社の監事から国家公務員共済組合連合会理事に、山口龍夫、これは本社の総務理事から四十三年八月、大阪フィルター工業株式会社取締役社長に、それから本社総務理事の星子大、四十三年十一月米星たばこ貿易株式会社専務取締役、それから杉二郎、四十四年三月ですからつい先月、本社総務理事から東京大学教授に。一年間の間に九人ということで、前の私の調査よりはピッチが上がって、専売公社から関係の諸会社に天下っているというケースが逆にふえてきているわけです。先ほど浜田委員が国家公務員か何かのやつもふえているじゃないかと言われたけれども、こういう公社から民間への天下りがまたふえている、こういう実態であります。  そこで、まずいま私が申し上げたのについては、専売公社、いいでしょうね。
  78. 福永公一

    ○福永説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘ありました数につきましてはそのとおりでございますが、公社の業務に直接関係ございますところへいわゆる天下りと申しますか、行かれました方は、そのうち五名でございまして、たとえば電源開発なり、あるいは東京大学の教授になられた方は、もとからそういうことをやっておいでになったのであります。必ずしも公社の天下りが業界に対してふえたというふうには考えておりません。またフィルター会社とかあるいは貿易会社につきましては、前回あるいはお答えしたかと思いますけれども、公社だけが買っておるたばこの先へつけるフィルターあるいは葉たばこでございまして、それに対する技術、経験を買われて行かれた方で、この前御指摘のありましたように慎重に配慮してやったわけでございます。
  79. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ついでですから、専売公社にこれだけ聞いておきます。三条機械製作所は公社へ五〇%納入している。その三条機械製作所のつくったものが五〇%納入されている、そこの常務取締役工場長に行っているわけです。あるいは日本製箔、これはそこでつくったものの三割は専売公社へ納入している。それから日本セロファンは、これは少ないようで、一割か二割のようです。ところが大阪フィルター、これは九割が専売公社へ納入をしておる。米星たばこ貿易株式会社に至っては一〇〇%。こういうところへ専売公社の役員がそれぞれ常務あるいは社長、こういうようにして就任をしているわけです。こういう形で専売公社の資材発注なり何なりというものが公正にでき得るとは、われわれは客観的に考えないわけです。去年も一覧表でずいぶん質問したわけですが、またことしはピッチを上げて多くなっているわけです。だから、いまの納入の状況はそれでいいですか。それだけひとつ……。
  80. 福永公一

    ○福永説明員 ただいま御指摘のありましたフィルター会社あるいは葉たばこにつきましては、現在ほかの会社でやるというわけにもまいりませんので、そこでやっておるわけでございますが、フィルター会社につきましては、前に社長さんが急におなくなりになったために、適当な方がおられなくてそうなったわけでございます。またほかの会社につきましては、五〇%あるいは三〇%という納入率でございますが、これはだんだん競争会社もできつつあるわけです。将来そういう心配あるいは現在そのために公社の事業上マイナスにならないように十分配慮いたしておるつもりでございます。
  81. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 また事務的にお尋ねします。専売公社の就業規則、専売公社の何とか法にはこういうものを規制する何ものもない。昔はあったのだけれども、なくなった、こういうように理解していますが、それでよろしゅうございますか。
  82. 福永公一

    ○福永説明員 規則上はございません。
  83. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで木村官房副長官にお尋ねいたします。  いま専売公社の役員のちょっと一覧表を拝見すると、東海林総裁は旭電化工業株式会社の会長から来た方、兼任しているのか知りませんが、その人が民間人であって、あとは一人もなし。副総裁が大蔵省関税局長から始まって、さっき言った武樋さんは大蔵省の東京国税局長云々というぐあいに、あとはおそらく、よくは調べてませんが、ほとんど全部の者が高級役人が専売公社へ行っているというように理解できるわけです。その専売公社から民間へはまた何の就業規則の制約もなく行っているわけです。つまりこのことは、国家公務員は、直接行く場合には人事院規則の百三条によって人事院で審査してやっているけれども、こっちの法人のほう、公社、公団、こういう方面については無審査で出かけていって、そして二年か何かの制約期間を過ぎれば、それと密接な関係がある民間へこれまた就業規則の何の制約もなく行っている。それだから、要するに国家公務員法百三条というものはまるで全然抜け穴の大きなパイプがあいてしまっている、こういうかっこうだと思います。どうでしょう。昨年の質問のときも、これはもう電電公社から何から山のごとくある、そういう状況になっているわけです。昨年の質問のとき、当時の長官は、これについては規制を加える、基準をつくらなければいけない、こういうように御答弁になっているはずです。時間の関係で議事録全部を読みませんけれども、「部内的にある基準を設けて、そういう弊害を除去するのが適切であろう、こう考えております。」木村国務大臣の答弁はこういうふうになっております。これはどうでしょう。これは私は非常に重要な問題だと思うのです。電電公社を昨年例に取り上げましたけれども、電電公社が発注しているところの工事あるいは資材、そういうところに非常に大ぜいの人が行っているわけです。あるいはその他の法人、一々あげませんが、みんなそういう状態になっているわけです。ここの逃げ道といいますか抜け穴というものを、国家公務員が直接民間へ行くのを人事院で審査するのと同じ方途を講じなければいけない。これはもうゆるがせにできない問題だ、こういうように考えるわけです。
  84. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 いまおあげになりました政府関係機関、これはもちろん国家公務員法は適用されませんので、したがって人事院規則による私企業との隔離規制は行なわれておりません。これは事実そのとおりでございます。しかしながら、一方考えまして、公団、公社、事業団いずれも政府関係機関としての性格を持っております。またその役員、職員は、収賄罪その他刑事罰を受けることになっておりますから、そういう公務員に準ずる立場ということで規定されております点から見ましても、やはり全然これを野放しにしていい、無承認のままでやっていいかどうかということは一つの問題点ではあろうかと思います。したがいまして、昨年の予算委員会で小澤委員にお答えしましたときは、この点について何らか部内で、そういう政府関係機関の部内で一定の基準を設けてある規制をするのが適当ではないか、これはひとつ今後政府部内で慎重に検討しますというお答えをいたしております。その後いろいろその公社、公団の監督をいたします各省庁の次官あるいは人事課長とも相談をいたしまして、政府からこれを強制する、あるいは法令上の措置をすることは考えないが、ただ部内でそういう基準を設けて、弊害を起こさないようにやるべきではないかという行政指導をするように人事課長会議でも指示しております。そういう点で、いま仰せのとおり全然これは野放しであることがはたして適当かどうかということは、また立法論として将来検討を要する問題であろうかと考えます。
  85. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 専売公社の総務部長さんに聞くが、大蔵省から何かそういうことについての注意、いま木村長官の言われたような行政指導なり注意なりありましたか、具体的に。
  86. 福永公一

    ○福永説明員 前回の国会のときにも御質問があり、また大蔵省のほうからも言われておりますので、われわれそういう話がありました場合には、個々についてそのほうが適当かどうかという点につきましては十分部内で協議いたしましてきめております。別に規則というものをつくっておりませんけれども、個々にはやっております。
  87. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 副長官の言われるのは、ある程度基準を設けるということで、つまり就業規則なり何なり昔は専売公社にあったわけです。直接関係するところには何年間か行ってはいけないような、ちょうど国家公務員法と同じようなそういうものをつくらせるように、就業規則を直させるように指導する、これが正しいことだと私は思うのです。ところがいまの専売当局の御答弁だと、一人一人の例についてこの人はどうだろうかという相談を受けたって、時の大蔵大臣なり何なりが、それはまずいわなあとは言えっこないと思うのです。やはり規則をきちっとつくるということが必要だと思うのですが、どうでしょう。
  88. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 今後はそこまで指導すべきだと思いますが、現在のところまだそこまで至っておりません。
  89. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ、副長官の御答弁がありましたので終わりたいと思いますけれども、この何十だか何百だかある特殊法人、これは一つもそういう規制はないわけです。それで膨大な資材、工事量の発注をやっている。そういうところに平気で行っているわけです。  この鉄道建設公団なんというところも、ちょっと拾い上げてみるとやはり同じです。自分のところで発注しているところの土建会社へ、たとえば三井共同建設コンサルタントの副社長、清水建設の常務取締役、ブルドーザー工事の顧問、こういうぐあいに日本鉄道建設公団、ここから行っているわけです。ここには国鉄から行っているわけです。そこにはまた運輸省から行っているわけです。うまくするすると、先ほどだれか言ったように、回っていくようにちゃんとできておるわけです。だから、そういうところの就業規則にちゃんと基準を設けて、国家公務員と同じようにやめてから二年、五年間、その前に就業していたところと直接関係のあったところに行ってはいけない、こういう基準を具体的につくらせて指導すべきだ。そういうようにいま副長官から御答弁ありましたから、それでよろしゅうございますね。
  90. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 ただ、一般の公務員がいわゆる天下りする場合ともちろん性格が違っております。ことに一般公務員とすれば、その監督行政の立場で監督と被監督者という立場にありますが、この公社、公団、事業団になりますと、いわば現業的な仕事を行なっておりまして、そこに一般的な行政監督の関係はございません。そういう意味において多少性格が違っておりますので、一般公務員と同じような規制のしかたがはたして適当かどうかということは検討を要することであろうと思いますが、何らかの自主的な規制を設けていくということは、これは今後大いに検討すべき問題であろうと思います。
  91. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 自主的な規制ということだけでは、実施できなかったから一年経過後にまた再び木村長官に来ていただいてこういう質問をしているわけです。昨年は電電公社から国鉄から例を一人一人あげて、公社、公団の天下り弊害がある、何らかの基準を設けなければいけない、こう答弁されたが、その後はさらにピッチを上げて――どうもどこを見てもそうのようです。ピッチを上げて、特殊法人から直接関係のある民間へ天下っている例が多いので、これが指導だけでだめならば法律を単独立法つくってもよろしい、何とか方法は講じられる、こう考えるから、もっと積極的な御答弁をいただかないと、さっきいいと思ったらまたどうも副長官の答弁はあと戻りしちゃいそうなので、どうでしょう。
  92. 木村俊夫

    木村(俊)政府委員 これを法令その他で規制することの適、不適ということはまだ検討を要する問題であると思いますが、単なる部内の自主的規制のみならず、政府においては一定の基準と申しますかそういうものを与え、それに基づいての自主規制ということ、その点は必要だと思います。
  93. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。ひとつさように御指導をお願いしたいと思います。  お尋ねします。木村長官にお願いします。この法律が通った場合に、ことし政令できめる各省庁機関別の定員の総合計は幾らになるか。この法律は五十万六千五百七十一人とこうなっておりますが、この法律が通ったあと直ちに政令が出ると思いますが、各省各機関別の政令できめられた定員の総合計、これは幾らになるかということです。
  94. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お尋ねの点は私から申し上げさせていただきますが、この法律案を御決定いただきましたあとに出るであろう政令、その定員の総数は、予算で御審議ただいておる予算定員そのものでございます。
  95. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは、事務当局、長官の答弁はちょっと違っているのじゃないかと思うわけです。五十万六千何がしの、政令でトータルそうなりますか、各省庁。
  96. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 先ほど抽象的に申し上げましたか、定員の実数を申し上げますと五十万四千百四十六人ということになります。
  97. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ことし定員を五十万六千五百七十一人、この法律が通った直後に出される政令はトータルで五十万四千百四十六人、こういうことになって、その間約二千人ばかりの差があるわけです。これは私、どういうことでこうなるかということがちょっと疑問なんです。しかしこういうことを積み重ねていくと、法律できめた五十万六千五百七十一人、来年の政令はさらに五十万ちょうどになるかもしれない、再来年の政令は四十九万何がしになるかもしれないというようなぐあいに、これは推定されるわけです。ことし法律ができたとたんに二千四百人ばかり少ない政令が出る、こういうわけなんですね。そうすると、来年になるとまたさらにこれが二千人なり五千人なり少なくなると、五十万を割るというようなことになっていくわけです。そういうぐあいにこの政令というものは想定されているわけでしょうか。できたとたんに出すものがそうだというのですから。
  98. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そうではございませんで、御審議中の法案が五十万六千何がしという数字が出ておりますのは総ワクでございまして、それ以上に国会の御審議を経ないでかってにふやすことは許さないぞという歯どめでございます、法律案に書いてあります実数は。ところで、先刻申し上げた五十万四千何がし、二千名余りの誤差があるのだがそれは一体何だ、そういう調子でいけば五十万六千何がしの法律案そのものに具体的に書いてあるものが、かってに変動するであろうような御懸念でございますけれども、それはあくまでも許されない。最高限は五十万六千何がし以上に出てはいけない。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 実数は、御決定いただいた予算定員そのままが当面政令定員に相なるわけでございまして、もし本年度内に各省庁それ自身に配置転換を行ないましたり、あるいは各省庁間の配置転換等を行ないます場合、プラス、マイナスがそこに出ましょうけれども、その取捨をして有効適切な運用をするというのは、あくまでも予算でおきめ願った予算定員以内でやることが原則でございまして、もし万一特に緊急を要する重要なものが、配置転換ではまかなえない、保留定員ではまかなえない、予算定員でまかなえぬとしますれば、いま御指摘になりました二千名何がしの範囲内においては、実員としてそれを活用することを許してやるという国会の御決定をいただ意味合いでございまして、最高限度五十万六千以上は絶対まかりならぬという歯どめのその範囲内で、予算定員と歯どめとの間の二千名の範囲内においては、予備費もしくは相互流用費目として予算上国会で御決定いただいた範囲内で、緊急のところには増員することがある。来年度、四十五年度予算には、そういう年度内で取捨いたしましたものが予算折衝である程度の変動はあり得るとは思いますが、そのことを考慮しましたものが国会で御決定いただく。それにしましても、五十万六千以内でなければ法律違反である、そういう運用に相なるわけでございます。
  99. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。そうすると、この法律の五十万六千何がしで通ったその最初の年が五十万四千二千何百人足りないわけです。こういう考え方でいくと、二年か三年後には四十万何がしになるかもしれないと思います。そうすると、われわれは国会で五十万六千というものが上限かもしれませんけれども、法律ではきめた、そういうことは了承しておる。しかし二、三年たってみたら何だ十万も違っていたじゃないかということになると、これはきめた人員というものは法律の精神と違うようなことが政令で行なわれていた、こういうように理解できるわけです。これは人員が非常に食い逢ってきて、それ以下またはそれ以上――五十万六千以下がおびただしくなった。以上にならなければならない必然性ができた、こういう場合には当然この法律は改正提案をする、そのめどはどこにあるのでしょうか。一割とか五%とか何を基準にして、その次のときに特に少なくなってきた場合――多い場合には一名たりとも法律改正をしなければならないと思いますが、少なくなった場合には、法律できめた精神と違う状況になっていくと思うのです。一体どこにそういう運営のめどというものがあるのでしょうか。
  100. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 それはあくまでも、先ほど来総理に対する質疑応答を通じて御理解いただいておりますように、あくまでもできる限り定員を有効に活用して、行政サービスを落とさない、むしろ同上させるというのが願わしい国民的立場からの御要望であろう。だとすれば、最高限は具体的には四十二年度末の予算定員で押えましたのが、五十万六千何がしの最高限度と法案に書いております数字でございますが、そこでこの法律を御決定いただいた後の運用からいきますと、いまのお答えで冒頭に申し上げましたような趣旨に沿う意味においては、首を切らないで、配置転換その他のやり方で現在員を活用していくという意味おきましては、ある程度の保留定員というものが現にあり、国会を通じて御了解をいただいたそのものがあって、初めて出血整理しないで有効活用ができる、配置転換もできるということでございまして、もし事情が許します限りは、さらにそれが五十万四千が五十万三千五百でやれるものならばやりたいという努力をして、国民の御要望に沿いたいとい、うことはあり得るわけでございます。さりとて最高限度は押えているが、最低限度は具体的に法律上押えていないから、もう減りに減って労働強化になりはせぬか、いろいろな御懸念が概念的にはあり得ると思いますけれども、それはおのずから行政サービスそのものが国民の目に触れるわけですから、また国会の行政御監督の過程におきましてもはっきりするわけですから、そういう際にはむろん必要以上の減員というものはやるべきじゃないし、やりませんという御信頼をいただいて最高限度を押えていただく、こういう運営が適切じゃなかろうかという構想になっておるわけでございます。さしより三年間に五%の保留定員を持ちたいというのは、各省庁の責任者が自分の省庁内においてはこれくらいの保留定員をいわば補充差しとめしないでも労働強化にならないでやっていけるということを考え合わせて、四十三、四十四、四十五の三年度間に五%を――省庁別に違いますけれども、目標は五%に持っていきながら、順次保留定員を留保していくという運営のしかたで本法律の執行に当たりたい、こういう構想でありますことを申し添えます。
  101. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これはわかるのです。そういうことだと思います。だけれども、これはオーバーした場合には一名たりとも法律を改正する、しかし極端に減っていって、法律はこうなっているということになると、立法の精神と異なる。ところが政令だけでそれができる可能性を持っているわけです。そのことを私は言っているわけだ。五十万六千ときめた、三年ばかりたったら、何だびっくりしちゃった、四十万になっちゃったということになると、立法の精神に反するのではないか、それをどうやるかと言っておる。
  102. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のとおりだと思います。最高限度の歯どめというものと現実とが常識的に考えて相当差があり過ぎるというふうなことが定着していくとするならば、もちろん最高限度を引き下げていただ法律改正の御提案を申し上げるという機会も当然あり得ると思います。ただ、実際問題といたしますと、ともかく総理との質問応答でも出ましたように、理屈を別にいたしまして、減員というものはない、増員ばかりだというのが残念ながら実情でございます。したがって、最高限度を押えていただくところに、当面としては一番関心が集中する課題であろう。そこで五十万六千と四十二年度末の予算定員で押えておいていただいて、政府がかってにそれ以上ふやすことはむろんいかぬぞということをやっていただく、そしてこの法案の適正な運用の年次がだんだんと進んでいきまして、結果がどうなるか予測はむろんできませんけれども、御指摘のような事態が起きましたときは、繰り返しになりますが、最高限度そのものを御改定いただくということはあり得る、かように考えております。
  103. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは事務当局でいいですが、五十万六千五百七十一人というものは各省設置法の四十二年の定員をもってきめた、こういうように理解をいたします。そこで、この法律が通ったあと直ちに出されるであろう政令は五十万四千百四十六人、いま長官の答弁のとおりです。そうすると、各省間に非常にふえたり減ったりがあるわけですが、代表的なふえた二、三省庁、代表的な減った二、三省庁というものをあげて、その理由をひとつ簡単でいいですから説明していただきたい。
  104. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 具体的に政府委員または説明員からお答えさしていただきます。
  105. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  具体的にふえております例を申し上げますと、たとえば文部省は、国立学校の教職員の増加によりまして大幅な増加を見ております。また厚生省は、看護婦の増加によりまして大幅にふえております。また減ったほうの例を申しますと、農林省あるいは建設省等でございますが、これは五%削減及び欠員補充によりまして、各省庁内で各省庁の御判断によりまして、行政需要の消長に応じてその欠員を保留していただくということによりましてこれは減少いたしております。
  106. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこを私は聞きたいわけです。今度は政令を出すプロセスを聞きたいわけです。つまり、これは大蔵省の主計局で予算を編成して、定員はきまってしまった、あと行管かどこか知りませんが、それに従ってただ政令を出す。こういうプロセスで政令が出されることは、われわれは先ほどの総理の質問にも言っているのだけれども、問題であろうと思います。いま聞いていると、ことしはとにかくこういう予算でこれだけの人員がきまりました、そのきまった量は五十万四千百四十六人です、特にふえたのは文部省、厚生省、特に減ったのは建設省とか農林省、これは予算の査定でそうなったから減りましたということで、それを追っかけてただ担当の行管なり何なりで政令を出す、こういう過程でもって政令が出ていきはしないかというように考えるわけです。  そこでお尋ねをしたいことは、一体この政令人員をきめるのに、予算編成前にきめるのか、予算がきまってから自動的にきめるのか、予算の編成のときにどういう形で参加するのか、その辺はどうなんです。そこで私は先ほど総理にも、行管人事院あるいは総理府の人事局、大蔵省の主計局、こういうものが相互密接の関係がないと、予算がきまりました、大蔵省がきめたからそれによって政令を出しておけ、こういうことになれば、この政令というものは完全に大蔵省のイニシアチブで左右されてしまうという心配があるわけですね。それはどうでしょう。
  107. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 先ほどのお尋ねに、この法律を御決定いただいた直後法律の命ずるところに従って政令できめなければならぬわけですが、それはどうなるかというお尋ねに対してのみお答えを申し上げましたのが、御決定いただいた予算定員を差し向き政令で定めるということに相なります、こういうことでございます。  しからば、年度途中で配置転換等がかりに行なわれたとして、それが政令の変更となってあらわれる、それは一体どうするのか、大蔵省の主計官の言いなりほうだいか、そんなことではございません。これは総理がお答え申し上げたことで尽きておると思いますけれども、それはむろんお話が出ましたように、行管関係をいたしますが、むろん総務長官との関係も出てまいりますし、大蔵省とも無関係じゃございませず、人事院ともまた関係がございますから、総理がお答え申し上げましたように、十分それらの関係省庁等と相談をいたしました結論、そのときはむろんそれぞれの省庁もみずからの守備範囲について積極的な意見も出ましょうし、論議が沸騰することもあり得るであろう、そういうやり方で年度途中の政令の改正というものは行なわれることになるであろう。さらにまた、四十五年度予算案をつくりますときには従来どおりの予算折衝が行なわれると同時に、従来どおり行政管理庁定員機構につきまして行管の立場において名省庁の調整をはかりながら予算というものはきめられる。そのときの予算定員は、年度内でかりに政令の改正が一部でもありましたら、それプラス来年度予算の折衝を通じての予算的裏づけ定員そのものの緩急軽重、そういうものが閣議を通じて最終決定されまして予算として御審議願う、そういう運営が続いていくわけであります。
  108. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 一言で言うと、予算がきまったから定員がきまるのではなくて、予算がきまるときにこの政令というものをどういうようにきめようかということは有効に予算に反映されて機能してやっていく、これはこういうように理解をしていいわけですね。
  109. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そのとおりでございます。
  110. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。  先ほど総理は、抽象的に国民の立場から行政改革は推進する、こういうように言われておりますが、第一次行政改革というものが閣議決定をされておるわけです。その中で実施されたものもあれば、実施困難であろうか何かわかりませんが、実施していない分もある、こういうことだと思いますが、いまの状況は、未実施のものをどういうように実施しようとしているか、この具体的な予定をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 第一次の行政改革計画を定めました際に、今後の方針を明らかにした地方事務官制度、共管競合、事務民間委託等につきましては、目下それぞれの方針に沿って関係省庁及び行政改革本部におきましてできるだけすみやかに成案を得るように検討を進めておるところでございます。
  112. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 たとえば許認可事務については、すでにやったもの、いま提案されているもの等あるわけです。あるいは報告事務もそうなんです。だから、これは一体どれだけ許認可事務を減らそうとしておるか。その総ワク等現在まで減らした量、あるいは報告事務においてもそうです。
  113. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  許認可につきましては三十七件の整理を今国会に関係法律として御提案申し上げておるわけであります。補助金につきましては、第一次計画の方針に基づきまして、四十四年度に四百十七件、廃止、統合した金額は金額としてはわずかでございますが、約百五十四億円、電子計算機につきましては、昨年の八月三十日に利用促進についての閣議決定をいたしまして、それぞれ関係省庁が努力中でございます。
  114. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は仕事を減らしていかなければどうしてもいけないと思うのです。ところがいま許認可の量は一万一千八十八件あるそうです。それから報告が約七千五百件。だから許認可と報告でざっと二万件近いものがある。こういうものを具体的に減らしていかないと、いろいろ心配があるような量の増加というような問題が出てくるわけです。事務量を減らしていかなければいけない、こう思うのです。それでいま長官から答弁がないが、事務当局から聞くところによると、一割何分とか、減らすような予定になってまいりました、こう言うのですけれども、これはひとつ長官に私は積極的に提言をするわけですが、どうでしょう。各省ごとに、たとえば通産省なら通産省に許認可件数が千件あったとします。おまえのところはくふうしてひとつ二割来年までに減らす案を持ってこい。今度は厚生省なら厚生省に二千件そういう事務があったとします。それもまた三割なら三割減らしてこい、そういう案を持ってこい。これは何といいましょうか、総定員が五十万六千にきまったのだが、許認可の総数というもの、あるいは報告総数というものをひとつ頭下しにきめてしまって、一万一千もあるのですよ。それを何とかして七千なら七千にしよう、六千なら六千にしようと頭からきめてしまって、各省庁にそれを割り当てる、協力させる、こういうようなことでもしない限りは、いま何とか整理しますと言っているのを見ると、これは整理しても、遊んでいるのと同じようなものを整理しても事務量は具体的には減らぬと思う。ちょうど総定員法案をつくったのと同じように総認可量、総報告量、こういうものをひとつ行管できめて各省庁に割り当てる、そしてその実施を検討する、そういうようなぐあいに積極的にやらないと、なかなかその許認可事務、報告事務、これは削減されていかないと思う。どうでしょう。
  115. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御意見は私も同感でございます。その心意気をもって私以前から行管ではやってはおりますものの、現実はなかなか壁が厚くて成果が遅々としてあがらない。そういうことを嘆いておるのが率直な気持ちでございます。それは各省庁ごとに行政の必要性から法律でもって国会で御決定いただきました法の根拠に基づく許認可がすべてでございますから、その許認可それ自身がもう要らないのじゃないかという国民側からの要望と、行政担当側の各省庁の国民行政サービスをよくしようと思っておる、まじめな気持ちではございますが、なかなか硬直化したような主張が、相対立するわけでございます。それを行政管理庁おきまして、国民の側に立ちながら各関係省庁をいわば折伏せねばならないというところに手間どる原因がございます。  そこで、内輪話を申し上げ過ぎますけれどもお許しをいただきますが、伊能理事がいらっしゃいますけれども、与党におきましても、国民的要望を何とか関係省庁の法律改正ということに結びつけてもらえるようにというあっせん役をしてもらいながら、やっとこさ、今日、その数字を合わせましたけれども、遅々としておりますが、総計はある程度の成果をおさめつつあるという経過を実際上はとるわけでございます。だからめんどくさいからやめよというわけでは毛頭ありませんので、今後も総力をあげて国民的要望にこたえるべく全力を傾けたい、こう申し上げるほかにはございませんが、総定員法もある意味においてはこれと関係があろうかと思うのであります。と申しますのは、許認可事務法律を改正してやるとなれば、その許認可事務があるからということで予算成立しました定員が減少せざるを得ない。定員が減ることは所管大臣は不名誉と感ずる。事務次官も不名誉と感ずる。局長、課長もまたそうだ。軟弱外交のそしりを免れない。評判が悪くなるおそれがあるということでセクショナリズムの半面はたくましいですけれども、他の半面は国民の要望とぴったりしない。ほんとうの行政サービスあるいは行政需要という角度から冷静に見ました場合にぴったりしないという悩みがあるわけでございまして、総定員法を御決定いただきますれば、各省庁の大臣も、次官も、局長も、課長も、国民的な立場で最大能率をあげ、できれば一人でも、少ない員数ででもなおかつ行政サービスを落とさないでやっていこうという一般的な心がまえが凍結するはずでございますから、いままでの基本的な硬直した役人根性がいわゆる民主的に国民本位という気持ちに転向するよすがになる。その御利益は私は相当なものだと評価しております。
  116. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは私予算委員会の総括質問のときにもやりましたけれども、役所の仕事の一番非能率的な例として去年出ておりましたが、「くたびれる書類の旅」として、百万円の補助金をもらうのに判こが五百九個ついてありました。これは山梨県庁の例であります。これは日本生産性本部の倉橋経営指導部長のとにろで調べたのでありますが、それからその上の農林省は幾つついているか。県庁から市町村に行っているが、判こは幾つついてあるか。そういうことを調べてみたら、大体百万円の補助金をもらうのに、農林省からそのまた出先を通って県庁に行って、県庁の中を通って県庁の出先、市町村、そういうところを旅をした間に千五百個判をついて、百万円の補助金をもらった。民間だと、判こを一つつくのに十分間それを見てつくならば、一分間十円かかるとすれば、それは百円かかる。たばこを買いに、娘に行ってこいといって四十円か五十円やってピースを買いにやらせれば、往復で五分ばかりかかれば、一分間四円なら、四、五の二十円たばこ買いにかかっているのだ。こういう感覚で民間人は仕事をして能率をあげている。ところが千五百個のトのほうが高くなる、簡単に言ってそういうことだと思います。この最も悪いのはいわゆる稟議制度です。これは臨調の答申でも出ているわけです。判こをべたべた押すような稟議の制度はやめなさいということも一つの項目だと思います。これは私は法律を改正しなくても、何をしなくても、直ちに実施できて、国民に奉仕できて、能率があがって、事務量が減る。決定の様式とコミュニケーションを変えなさいと、こういうふうに出ているわけです。この稟議書というのは、おまえのところは見なさい、われのところは見せないというようにコミュニケーションの役に立って歩いていって、決定事務は減るのだといっている。だから決定の機能とコミュニケーションの機能を変えなさい、こういうふうに出ておりますから、そういう簡単なことはすぐできるのではないか、こう思います。どうでしょう。
  117. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 例示されました千何百件は驚くべきものでございますが、判この個数は少ないほどベターであると私も御同感申し上げます。ただ問題は、この判こを押すのが関所の役人みたいなかっこうになっておるがゆえに、いろいろな稟議書類をあたためておくなまけ者がいないとは限らない。そのことのために簡単に時間的には済むものが、数時間、数日、数十日もかかるというばかげたことにもつながる、そういうことだと思いますが、それは公務員一人一人が私は責任者でありますという意味の判こは、最小限度のものは要ると思います。それにしましても、心がまえが悪ければ能率はあがらないということでして、公務員自体の全体の奉仕者としての考え方仕事に対する心がまえの問題、それは私の守備範囲ではございませんが、床次大臣守備範囲かと存じますけれども、そういうことじゃなかろうかと私は思います。
  118. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 だんだん本会議の時間も参りましたし、まだたくさんありますけれども、最後に一つだけ。  要は、やはり事務を機械化する、コンピューター化する、それはやらなければならない、つまり働く人一人当たりの資本装備率を高める、そして能率をあげる。もう一つは、片方においては仕事竜をどんどん減らしていく、そういうことをやっていかなければならないと思います。それには蛮勇をふるってやっていかなければならない、こう考えます。またそういうようにして進めていけば、職員の万にもそのことについては御理解いただけるのではないか、こういうように私は考えるわけです。ところが、私、きのうちょっと帰って見せていただいたのだけれども、こういう陳情書が私のところに来ておりました。一人件費をおさえて軍事費と独占資本のためにできるだけ多くの国家資金を引き出そうとするもの」とか「国家行政機構の軍国主義的反動的再編成を行うために、各省配置する定員は、今後は国会の審議と議決を得ることなく」やるとか、あるいは「総定員法は、首切り、強判配転、労働強化をもたらす」まあ全部読まないとよくわからないかもしれませんが、そういう文句が使われて、これは国家公務員労働組合共闘会議の名前で出ているのですが、これは実は荒木長官あるいは佐藤総理、みんなそういうところの配下の人だと思います。長官がここで声を大にして国民に訴えるより先に、自分の部下に、自分のところにつとめている職員になぜ理解を得ることができないか。自分のところの職員の理解を得られないようなものがどうして国民に理解を得られるか、私はその原因は二つあると思います。  一つは、各省庁の人事を担当する者あるいはそういうことに当たる者、それが課長を集めあるいは課長補佐を集め、総定員法というものはこういうものだ、そういう説明というものが行なわれていますか、縦のコミュニケーションというものはできていますか。そういうことができないで、一億の国民に理解しろ理解しろといったって理解できぬです。皆さん方の使っている部下においては、これは首切りのものだ、軍国主義のものだ、こう思い込んでいる、五十万近い人がそう思い込んでいる。どうでしょう。そういうことはだれが悪いかというと、やはり管理職が悪いのです。これを直さない限りは、国民に理解しろ理解しろといったってだめなことだと思う。人事管理について、これはもうあたたかい、血の通った、ちゃんとコミュニケーションを通して、さっきから労使協議ということを私が強調するのはそのことなのです。労使協議というものは、お互いに信頼関係か確立する中で機能を発揮すると思います。だからそれには管理者側が、政府側が積極的に話し合いをする、理解を求める、こういう努力が末端管理者まで浸透していない、こういうことだと思います。これは長官にえらいしかっても、どうも長官だけの責任じゃないかもしれませんが、これはどうでしょう。
  119. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私もある程度しかられる立場にはあろうかとは思います。ただ私は、一般的に申し上げれば、実は私のところにもいまお読み上げになったものはたくさん来ております。来ておりますが、それに一つ一つはがきでも出して回答したいという気持ちはございますけれども、とてもじゃない、印刷して出したのでは真意が伝わらぬ、自分で書くには時間がないものですから、なまけてほったらかしていますけれども、恐縮はしております。  ただ私は、そのこともあり得るとは思うのですが、国会を通じて、先刻来与野党の皆さん方から、公の場で、公の御質問に対して総理以下お答え申し上げているように、首切りなんか絶対いたしません、本人の意思に反した強制配置転換などはいたしません、ともにできるだけ能率をあげて行政サービスの向上をはかり、合理的に国民の要望にこたえたいということでいこうじゃありませんか、そのことをやるについては、定員制度としてはこの考え方のほうがなま首を切らないで合理化するという唯一といってもいい内容を持っておるのだということが、国会を通じて、手紙やはがきをくださった方にもわかるはずです。初めてそれが正式な考えとしておわかりいただけるはずだという意味において、私は国会の御審議こそが何よりも雄弁に、何よりも有力にPRをしていただく効果があるんではないか、それをもってお答えにすることのほうが早道だ、こういうふうに考えて実は返事を出さぬでおるような次第でございます。
  120. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 終わろうと思ったのですが、荒木長官がそういうお考えでは、これは私、直らぬと思うのです。長官政府が直接公務員を使っているわけでしょう。その間は労使関係があるわけです。労使関係という関係にあるわけです。使う者、使われる者、そうして使われる人に直接、間接関係のあることについて、何で理解を求める努力をしないか、こういうことなんです。国会を通じて言うことは、直接の公務員でなくとも国民全般がわかっている、それはいいのです。しかし働きましょう、金を払いましょう、そういうとにかく賃金をやります、私はそれで働きます、そういう関係の中にあるわけです。私は労使は鏡だとしょっちゅう思っています。労働組合の姿勢というものは、経営者の姿勢をそのまま反映していると思います。また経営者も組合の考え方によって考え方が変わる。その意味においては労使は鏡だと思います。だから、その鏡である双方に反映し合わなければならぬ。長官以下が使っている公務員がこういう感覚しか持たないということは、これはマスコミュニケーション――一つのコミュニケーションに支配されて、いろいろのコミュニケーションによってそれを理解するという立場にないからで、やはり使っている人々に、各省庁の局長であろうと課長であろうと、これがどういうものであるかぐらいは、自分の使っている部下に説明できるむ体制、つまり人事管理管理体制――この行政改革の中にも、公務員制度の中にそのことをよくよくうたっておるわけです。人事に対する管理体制ができていないために、こういうような不信感を持つ労使関係になっているのではないか、こういうように考えるわけです。これは私の意見ですが、それについてさっきの長官の答弁は、これはそういう感覚で労使関係を律したのでは、とうていいつまでたってもこういう悪循環は直らぬと思うのです。もっと自分の部下と話し合う、局長に指示する、それを局長は課長に、課長は課長補佐なり何なりに、幾らでも役所の中でコミュニケーションをはかる必要があるわけですが、そういうルートが詰まっている、こういうように私は考えるのですが、どうでしょう。
  121. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 まあ政府部内の労使関係という課題についての心がまえをおさとしいただいた意味においてはわかります。わかりますが、この法案それ自身を自分の部下にあるいは職員団体に、行管行管長官が、各省庁は各省庁の長官がというがごとく、PRする立場でここに法律を御決定いただく前にかれこれ言いますことはいかがであろうかと思いましたから申し上げたので、御決定いただいた後に運用上職員団体の考えもあるいは個人個人の意見も、先ほど来法制局ないしは人事院からお答え申し上げたような人間的な気持ちをもって具体的に対処していくということは、これは当然のことであり、法律をまだ御審議中に、きまっていないときにあれだこれだと役所の立場で公の立場におきまして言いますことは御遠慮申し上げることがエチケットにかなうのじゃなかろうか。ただ、個人的にはがきをもらったりなんかしますものには、先刻申し上げたようにできるならば実はこういう趣旨ですよと返事を出したかったが、出してはいけませんけれども、それとこれとは、御質問とはちょっと別問題だと思ってお答えしたにすぎないことを、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  122. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは時間ですから、私質問を終わりたいと思います。長官のそう言うのも一理あろうかと思いますが、私は、労使間の問題というものを、もう少しやはり課長なり管理職に当たる者が積極的に取り組んで、労使の間のバイブというものがつながるようなことを、特に政府関係管理者と職員との間というものは十分に果たさなければならない、こういうように思いますから、それだけは希望しておいて、質問を終わります
  123. 藤田義光

    藤田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ――――◇―――――    午後四時三十一分開議
  124. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  行政機関職員定員に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 きょうは初め行管長官のほうに質問を申し上げてから、それから総括に入りたいと、そのように実は思っておったのでありますけれども、総理大臣の御都合等がありまして、先に総括に入ってしまったわけであります。そこで総理大臣からいろいろ答弁をお聞きいたしましたけれども、非常に時間的に制約をされたということで、きめのこまかい点まで話がいっていないわけでありますが、そういう点について行管長官は担当大臣でありますので、総定員法審議するにあたって、きょうは慎重審議、時間は無制限でございますので、ひとつそういうことできめのこまかい御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず、本案の要旨は、公務員数の抑制をはかるため、各省を通ずる定員の総数の最高限度を法定し、各省別定員政令で定めることとし、定員配置を合理的、弾力的に行ない得るようにしようとするのだというわけでありますが、現行制度ではなぜこれができないのか。先ほどは、総理大臣は前に言ったからということで略されたわけでありますが、あらためてここで行管長官にそのことをお伺いいたします。
  126. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  御案内のように、極端に申せば、事務官、技官たった一人の増員を御審議願うにしましても、それぞれの省庁設置法の改正という形でまいるわけでございますが、このこと自体、省庁ごとの国会の御審議のお立場からはそれなりの意味がむろんあったと思いますけれども、実際は、御案内のとおり、各法律ともそれぞれの省庁の担当で立案をし、関係機関ともむろん相談をいたしますものの、そうして閣議決定を経まして御提案を申し上げるということでございまして、とかくその省本位のものの考え方がそのままなまでとは申し上げませんけれども、とかく片寄りがちである。さらに言いかえれば、増員にしましても、減員はほとんどございませんけれども、現在の公務員数から申せば、午前中も総理からもお話が出ましたように、この前の御質疑にもお答え申しましたように、全体としては比較的閑散なところがある。あるところは一人でも増員しなければならぬということで御提案申し上げますけれども、もし他のところにたまたま自然減耗の定員があったとしますれば、それを活用することによって全体的には合理的な、さらに言いかえれば、より少ない経費で行政目的にかなう措置がとり得るわけでございますが、理論上は別といたしまして、実際問題としてはなかなかそれが容易でない、そういうことから、国会の御審議ということといささか矛盾するようではございますけれども、国会が総括的に予算を通じて御審議願うと同時に、その途中におきましても、行政調査権の作用としての御監督も願い得るであろう、そのことが結果的には全体としての時に応じての弾力的な合理的な運営、定員の活用ができるであろうという意味合いでございます。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政の体質改善の第一歩であるということについて、各省別定員政令で定めることにすれば、法律の改正の手続を要しないだけは確かに弾力的だといえば言えると思うのですが、しかし、その場合でも前提となるものは、やはり何といっても必要な部門とそれから必要でなくなった部門との的確な判断であるわけですが、その的確な判断というのはどのように調整して判断をされるか、その点についてお伺いします。
  128. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 それは、一つには法律に基づきまして、そのときどきに応じての弾力的な行政需要に応ずる立法がなされることが通例だと存じます。ですから、それに応じまして人員が必要であれば、それ相応の人員配置するということが一般的な課題であろうとは思いますけれども、年度内におきましても、緊急の必要のために増員を必要とするという場合が起きようかと思います。その場合に、単に一、二の法律を御審議願うために臨時国会を開くということも実際問題として困難な事態もあろうかと想像しますが、そういう場合に、この法律を御決定いただけば、政令でもって全体としての余裕定員を、留保定員を活用して応急的に措置ができるということもございましょうし、そういう意味において、合理的に弾力的に行政需要に応じるという対処策として、まずこれが一種のスタートラインとも申してもいいような一つの課題であろう。同時に、午前中もたいへん妙なことを申し上げましたけれども、セクショナリズムはいいことではございませんけれども、人間的な、本能的な、あるいは明治以来の一種の定着した公務員、役人の通性とされるくらいに硬直的な考えがあることは事実でございまして、そういう局部的な立場でなしに、総合的に常に判断しながら定員の合理的配置をするという意味合いにおいて、いわばセクショナリズムの一面は、商売熱心と申しますか、おれのところでやってみせるというふうな考えがなければなりませんけれども、ただ、それが硬直的に作用しますれば、総合判断のもとにおける国民的な行政需要に応ずる合理的な行政サービスというものは困難であるということも指摘し得るかと思います。そういう意味で、いわばやむを得ざる必要悪的なセクショナリズム、これを通じまして打開していくという効果も相当高く評価していただけるのじゃないか。かようなことを総合判断いたしますれば、行政改革一つの大前提としての一つの課題、そういうことで有意義であろうかと存ずる次第でございます。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、政令で弾力的な配置をするということでありますけれども、その定員について各省庁におけるところのそのコントロールする場所、これははたしてどこで行なわれるか。先ほど、何かチェックするところは、結局は大蔵省がチェックをするようなことをお話しになっておったわけでありますけれども、大蔵省だけにそれをまかして、はたして適正な弾力的な配置、しかも国民のサービスに寄与するところの定員管理ができるかどうか、その点についてお伺いします。
  130. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 チェックする機関としては、いま御指摘の大蔵省も、国民の税金をいかに合理的に配分するかという意味合いにおいてチェック機関の作用をいたすと思う。また行政管理庁も、先ほど来申し上げるような考え方に立ちまして、お金の面では満足できるとかりにいたしましても、全体的に見て定員配置あるいは仕事繁閑などというものが、それだけでいいかどうかという立場に立ってチェックをすべき責任を負うものと存ずるのであります。同時にまた人事管理の面から申し上げますならば、総理府の床次大臣の担当分野といたしましての歯どめ的な考慮も払われるのが当然でございますし、さらに人事院の、中立的な考え方に立っての意見等もあり得るかと思います。それらを十分に勘案たしまして、最後には閣議で行政府としての、国会を通じて、国民に対する責任を負うということでもって国会に御提案申し上げ、予算を通じてまた十分に御審議願う、そういう段取りでチェックと申しますか、何が緩急軽重、何がそうであるかという点は、以上申し上げたような段階を通じまして国民には責任が果たせるものと存じます。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調答申並びに行政監理委員会の指摘等によりますと、こういうふうな定員管理等についてはやはりそれを、内閣の調整機能を強化することによってそういうことが果たされるのではないかという答申が出ておるわけであります。いま行管長官がいろいろの各省をおあげになりましたけれども、各省各省なりのやはり仕事を持っているわけでありまして、いざこういう定員管理等の問題になりますと、やはりそれなりの臨調答申の線に沿った内閣の調整機能の場所ができなければならないんじゃないかと思いますが、その点について行管長官はどのようにお考えになりますか。
  132. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 臨調の答申には、内閣制度それ自身も御指摘のような角度から再検討を加えて、もっとしっかりした体制にすべきではないかと申し上げ得るような答申もございます。内閣総理大臣は、各省大臣、国務大臣は、理由を付することなく大根の葉っぱのごとく首をちょん切る権限まで与えられておる。それくらいの権限は憲法上与えられてはいるけれども、そのスタッフとして何かしら補佐官とでもいうべきものを置いたらどうだということも、御指摘のいまの総定員法に基づくところの定員の調整、緩急軽重の判断につきましても、専門的なものがもしおって補佐するならば、現在よりもベターであろうという意味の勧告も御承知のとおりあるわけでありまして、できることならば、そういう制度も整備しつつこの法案が運営されることがむろん望ましいと存じますけれども、実際上これが容易なことでないものですから、今後の検討にまたざるを得ないことは遺憾に存じます。しかしながら、行政府全体といたしまして国会を通じて総理大臣が最終的には責任を負う、内閣全体で責任を負うという課題として受けとめざるを得ない、また受けとめねばならない問題だと思うのであります。ですから、むろんいままでも予算審議等を通じ、あるいは法案そのものも各省設置法として閣議で決定して御提案は申し上げておりますものの、先刻御披露しましたような実際上の、何と申しますか、思うにまかせない事由もございますので、なかなかあきたらぬ点があるわけでして、そのことが解消できるであろうそういう手段をお与えいただきまして、さらに一そうの国民に対する責任感に立ちまして判断に誤りなきを期するということが、閣議を通じての総理大臣を頂点とする政府側の責任であろうか、そのような厳粛な気持ちで、あくまでも国会を通じて責任を負うという考えに立ってこの運営に当たるべきである。新しい制度を付加してやったらどうだという御説はごもっともとは思いますが、現実それが間に合いませんので、またこの必要性も行政改革上はぜひ必要な課題でもございますので、御審議をお願いしておる、こういう段階でございます。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もちろん内閣総理大臣が最高の責任を負うことは、これはあたりまえのことでありますけれども、先ほど申された各省大臣、すなわち国務大臣各省大臣までやはり兼務しておるという方が多いわけであります。そうしますと、結局そこでいろいろ考えられた定員のコントロールというものは、やはりどうしても自分の田に水を引くというような傾向にもおちいりやすいということは目に見えて明らかであります。しかも、内閣の調整機能の強化ということを臨調は非常に強く言っているわけであります。当然、そういう観点からいうならば、総定員法が出る前に、そういうふうな機能を強化した上においていろいろやはり検討されていかなければならない筋合いのものではないか、私はこういうふうに思うのですが、その点について大臣……。
  134. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 筋合いと申しますか、願わくばそうあってほしいという意味においては私も同感でございます。ただ問題は、臨調の答申を全部一挙に消化できる課題ばかりでもございませんので、いわば戸口から攻め落とすようなやり方で徐々にいままで前進してまいりました。さらにそれを竿頭一歩を進める意味においても、何としても役所の、再々申して恐縮ですけれども、セクショナリズムの弊害というか不便さ、そのことを少なくとも解消していただく、そうして公務員がただ自分のところだけを中心に馬車馬のごとく考えるという見解をもう少し開いて、全体を考えながら協力すべきは協力するというふうな気持ちになってもらうためにこれを御決定いただいて、また並行的に臨調の答申等も、そういうやりやすさを加えていただくことによってより一そう推進でき、御期待にこたえる方向へ一歩一歩前進できるかと思う次第であります。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やりやすさを云々というわけでありますけれども、そうではなくて、私は筋道がそういう状態でなくちゃならぬのじゃないかと思うのです。政府みずから国民生活上どうしても増員が必要な部門、そのように政府が主張しておりましたところの国立病院の看護婦の定員はどのようになっておりましょうか。その点について厚生省の方、どういうふうな状態ですか。どれくらい要求をされて、そしてどれだけの状態になったか。現在の状況はどういう状態であるかということ。
  136. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 看護婦につきましては、国立病院、療養所についてはいわゆる夜勤体制の改善、こういう目的のために約七百名の増員を要求いたしました。四十四年度におきましては二百六十一名がその目的のために認められております。そのほかに前年から引き続いていわゆる新生児の看護、赤ちゃんでございますが、この看護のための増員が七十人、それから重症心身障害児あるいは筋ジストロフィー患者という手のかかる病棟の子供さんの看護というための増員が百十ということでございます。合計いたしまして、新年度におきます国立病院、療養所の増員の数は四百四十一名というふうに相なっております。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国立病院並びに療養所は全国で約三百カ所、この看護婦の増員はいまお聞きしましたとおりわずか二百六十一名、厚生省の要求は七百名でその約三七%で、考えてみますと一病院一人にも満たないという状態であります。昭和四十年の五月、人事院が、看護婦の一人深夜勤務をやめて、一カ月間の夜勤は八日以内に制限するという判定を下された。厚生省はこの判定に基づいて向こう三カ年で約二千百名の増員方針を立て、初年度として七百名の増員をされたと思うのであります。厚生省当局の方針は、私どもの考え方からいうならば不十分であるけれども、それよりもなお大幅に削られている。医療上の、しかも人命にも影響する重大な問題に対して、なぜこのような人員配分をされたのか、この点についてお伺いいたします。
  138. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 私どもとしましては、そういう年次計画によって夜勤の八日制を実施したい、こう考えてまいったわけでございますが、結果は、いま御指摘があったような結果に終わっております。私どもといたしましては、これで必ずしもその目的が十分に達成できるとは考えておりませんが、この目標に対して具体的に第一歩をことしから踏み出してきたということ、それから今後やはり病棟整備その他の中で、できるだけ判定を実行上尊重するような努力は引き続き続けてまいりたい、こういう気持ちで、結果としてはあの線になったわけであります。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行管長官よろしゅうございますか。いまお聞きになったとおり、国民の生活には非常に必要欠くべからざる看護婦等の増員に対して、むざんにもずばずばと削られておる状態であります。そういうふうに削られたという状態は、どこでその考え方が生まれ、どのようにしてそういうふうな状態になったかということについてお伺いをいたします。
  140. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 これは大蔵省の考えもむろんあると思いますけれども、行管といたしましては、いま厚生省からお答え申したようなその趣旨が、これこそ国民的立場に立って必要な行政であることの理解は人並みに持っております。要求をある程度削減いたしました結果にはなっておりますが、その理由は、必要がないということでなしに、実際上定員を増加いたしましても、看護婦の養成能力がこれに間に合わないという現実の面をとらえまして、必要なときには、本法を御決定いただけば、るる申し上げておりましたようなやり方で、留保定員の活用によってその目的を果たせるように協力する心組みでおるわけであります。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま行管長官は、そのようにして前向きに今後考えていきたいというお話しでありますけれども、結局そこで削減されたのは、大蔵省のチェックのもとに削減をされてしまったということです。すなわち大蔵省だけにその問題をまかしておれば全部、国民にサービスされる、すなわち大衆福祉に関する問題等は非常に削減が行なわれるということであります。そういう点について私はいま行管長官に、大蔵省だけにそういうもののチェックをまかせるというのでなくして、内閣の機能をさらに強大にして、そしてそこで定員管理というものに対してあらゆる点から検討をしてなされなければならないではないか、そのように申し上げたわけでございます。  で、問題は直接法律政令委任かにあるのではなくして、私は必要な部門の増員と不必要になった部門との原因の妥当な判断が、いまも申し上げましたように、どこでできるかということだと思います。たとえて言うならば、公害についてはますます人命尊重の上から重要度を増しておる現在でありますけれども、厚生省所管の公害担当官の増員はどのようになっていましょうか、その点について……。
  142. 武藤き一郎

    ○武藤(琦)政府委員 今年度十二名の要求がございましたけれども、それにつきましては一名の増員も見られなかったのでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま公害担当官十二名の増員もけられてしまった。わずか十数名ほどの公害担当職員が、どうしてこれはふやせないのか。公害対策予算がわずか七億四千万円。厚生省全予算の〇・〇八%。公害対策の軽視というのは、しょせんは人命尊重の政治とは逆行するものである、行政需要に即応できない国民不在の行政だと私は思うのでありますが、そういう点について行管長官、全部切られてしまったということでありますが、どうしてこういうことがあえてなされるか。それをコントロールするという意味において、私は行管長官ももっと目を通すべきではなかったかと思うのですが、その点について……。
  144. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 予算上あるいは定員上の増加という形はとっておりませんが、内部のこれこそ配置転換によりまして十六名を転用するということで、十六名だけが認められておる実情でございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十六名増員された――いまあなたはこの公害担当官は全部切られてしまったというお話だったのですが、その点について……。
  146. 武藤き一郎

    ○武藤(琦)政府委員 私が申し上げましたのは本年度の新規の増員の分でありまして、ただいま行管長官がお話しになりましたのは、現在私どもでは十八名の定員がございますが、そのほかに省内のやりくりで十六人の応援を求めております。その事実をお述べになったと思います。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法務省の法務局関係の登記関係事務の実態と増員についてはどのようになっていましょうか。その点について……。
  148. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 法務局につきましては登記事件が非常に増加いたしておりまして、これに対処します人員の増加について最も重点的に要求いたしてきたわけでございます。その間のアンバランスを是正する方法といたしましては、人員が必要であることはもちろんでございますけれども、登記所の制度の改善と機械化ということも並行をいたしまして考えておるのでございます。増員分としましては、七百九十一名の要求に対しまして、登記関係で百八十五名の増員が認められております。そのほか、制度の改善あるいは機械化等につきましてもかなりの増額を認められました。これらの問題をあわせ遂行することによりまして登記所の現状を打開していきたい、このように考えている次第でございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 登記関係事務の増大ということについては先ほど言われたとおりでありますが、その内容については今後いろいろ改善しなければならない点がある、これはよくわかるわけです。しかし、現実の場合、非常に労働強化になっている。少なくとも昨年十二月に組まれた超勤計画が六十時間から七十時間、支給予定の超勤予算は十時間から十二時間分という実態にもかかわらず、それだけの超勤がなされる、労働強化されている、こういう状態でありますが、要するに法務省の登記関係事務の、すなわち一人庁といわれる職員一人の登記所は全国に何カ所ありますか。
  150. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 約三百五十庁くらいあります。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 通産省の特許事務を処理するための増員についてはどのようになっているのか。
  152. 荒玉義人

    荒玉政府委員 特許庁長官でありますが、お答えいたします。  御承知のように特許事務が停滞しておる。出願と処理のアンバランスがございますが、それに対しまして、人員の要求は二百三名、仕上がりが百一名でございます。われわれといたしましては、政府全体の人員その他窮屈な面がございますので、できるだけわれわれの内部の事務を改善いたしますと同時に。それだけではどうしてもやはり審査のおくれというものがございますので、現在本国会に提案しております特許法等の一部改正というものを含めまして事務の改善をはかってまいりたいと存じます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特許業務を処即するために、通産省ではいま言われたとおりに二百三名の増員要求をしたが、百一名しか認められなかった。ところが、その未処理件数は、何と約七十万件に近い未処理数があるわけであります。それで、しかも審査部においては三年間に四人の自殺者を出している。そういう労働強化になって、強度のノイローゼ等にあえいでいる公務員もいるわけであります。こういうふうに非常に国民に密着した部門の増員について、非常にそういうものが大蔵省の時点において削られているという状態において、今後総定員法であるならばどのような状態に変わってくるか、その点について行政管理庁長官にお伺いいたします。
  154. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 定員に関しましては、大蔵省がお金の面で考えます調整機能もございますけれども、定員に関する限りは、行政管理庁と大蔵省の意見が合致しないものは大蔵省も予算をつけない、つけてはいけないという閣議了解の線に立って、行政管理庁として定員の調整に当たっておるわけでございます。  特許関係につきましての実情、行管としてよく承知をいたしておるのでございますけれども、いま御提案の法案は、もっと簡明に、しかも特許権申請者の利益を害しないやり方で能率をあげる、こういう制度と申しますか、詳しくは存じませんけれども、そういう制度をあわせ行なうことによって能率をあげてもらう。したがって、百名ちょっとの増員でしかるべきものであるという判断のもとに増員を決定したと承知いたしております。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省がチェックするばかりでなしに、行政管理庁でもそれを一応見た上において、恵見が合致しなければこういう増員については賛成をしないということであるならば、なおさら問題が大きくなってくるわけであります、そういう観点から、やはりこういうふうな国民に密着した定員管理というものに対しては、私はやはり実情に合った定員というものにしていかなくちゃならないじゃないかと思うわけであります。そういう点について、行政管理庁長官はさらにその点十分留意をして定員管理に対して当たるという必要があるのではないか、その点についての御所信をお伺いします。
  156. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 もちろん御指摘のとおりの考え方に立って、今後より一そうの細心の注意を払って善処すべきものと存ずるのであります。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 欠員補充方式は首切りをしない前提で、いわば減員による一種の内部反省を求める手段であるわけですが、三年間五%の定員削減処置は、現行法のもとでははたしてできないのであるかどうか、その点についてお伺いします。
  158. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 定員削減とおっしゃいますとびたっとお答えが困難でございますが、三年間五%の各省庁の留保定員を出してもらうというのは、自然減耗を補充しないでいくというのが中心の課題となっておるのでございまして、法律で強制的に、あるいは行政措置として強制的にどうするという課題でなしに、各省庁内部の繁閑度合いを省庁の責任者の判断におきまして三年間に五%を目標に、年度ごとに省庁別に比率は違いますけれども、三年間には五%だけ何とか補充差しとめ、留保定員を持ちたいという行政指導、内閣の閣議了解の線に立って各省庁が自発的に協力しておる、そのいわば第一年度とでも申し上げるものがいま二千名余りということに相なっておる、こういうことでございます。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 首切りをしない前提というならば、欠員補充方式によるほかはないと思うのです。これは現行法でやっているわけであります。現行法でも必要な部門への増減は私は可能だ、そのように思うのですが、その点について。
  160. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 欠員の不補充だけは可能であることはいま吊し上げたとおり、御指摘のとおりでございます。ただ、それをどこへ持っていくか、増員したり減員したりして全体的な調整をとるという課題になりますと、各省庁ごとの持ち分は固定しておる定員でございますので、何ともその調整が事実上非常に困難でございます。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 絶対不可能とは申し上げかねますけれども、これこそ総理大臣が絶大な権力をフルに使われるならばいざ知らず、やみくもにやるわけにはいきません意味合いから御推察がつくと思いますが、そういうことで事実上不可能に近い。そこで政令で総括的に、閣議ではそれは大論議になるでございましょうけれども、それぞれの立場を主張しながらの切磋琢磨の場において最終決定をするというやり方、それが先ほども御要望になりました国民本位の定員配置というのを流動的に、適正に、弾力性を持って運用できるということにつながろうかと思うのであります。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各省内におけるところの要するに定員管理というのは、それは私は大臣の責任のもとにできるのではないかと思う。だが、今度各省間におけるところの要するに定員管理ということになると、これは話が別になってくると思うのです。相当むずかしい問題が行なわれたならば、やはり総定員法ではあってもそんなに弾力的だというようなことは言えないのじゃないか。その点はどのように思いますか。
  162. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 それは、ものの考え方が硬直化し過ぎて理解が困難なせいもあろうかとは思いますが、各省庁別の法律による定員の定め方によりますと、さっきも申し上げましたように、自分のなわ張りという意識過剰になりまして、一たんもらった定員はてこでも放さないというふうな意識過剰が明治以来続いておると思います。そのことが、増員はあり得ましても減員というものは事実上出てこないということにもつながるわけでございまして、これは国会の御審議のゆえにどうこうでなしに、午前中も申し上げましたが、必要悪と申しますかこれは世界的に指摘されているところですけれども、一たん公務員が増員されますと減ることはない、ふえる一方だといわれること自体が、国民の立場に立って望ましいことでないことは明らかでありまして、そのことを、国会を通じての政策関係法律からも流れ出ましょうし、また当面不補充定員がありますことによって応急措置が講じられるというやり方で対処するほかにございませんわけですが、これはやはり政令で定めるという制度をお許しいただきましたほうが、より円滑に遂行できるということを申し上げたいのであります。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままでは、非常に定員についてはふえる一方であるということをあなたはおっしゃったわけでありますが、現行方式になってから国会がむしろ増員に反対したケースが非常に多かったわけです。要するに政府が提案された減員の法案がきわめて少ないというところに大きな問題があるのではないか、私はこう思うのです。つまり公務員数がどんどん増加するに至った根本的な原因は、政府が増員をはかってきたところに大きな問題がある、そのように私は思うのです。実際には国会が増員をはかってきたのではないわけであって、その気があれば現行法でも定員管理は十分にできる、そのように私は思うのですが、その点についてお伺いいたします。
  164. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 それは概念論としては、お説は私は肯定いたします。ただ実際問題といたしまして、先ほど来申し上げますような事実上の厚い壁があるものでございますから、なかなかそれができないということを率直かつ露骨に申し上げておるわけでありまして、これはむろん国会のせいではございません。政府側がなぜ減らすべきものはぴしっと減らすというやり方でやらぬかという御指摘かと思いますが、そのことに政府内部で、セクショナリズムを持ち出さざるを得ませんけれども、そのことから事実上なかなか容易でないということを申し上げているのでございまして、何も国会にその責めをおっつける、あるいはうるさいからどうだということから発したものではむろんございません。事実上の問題といたしましてほとんど不可能に近い。それを可能にする制度をおつくりいただきまして、国会を通じて国民にも御納得を得たい、こういう真意にほかなりません。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま非常に厚い壁がある、そのように言われたわけですが、その厚い壁というのはすなわちセクショナリズムの壁であると私は思う。そういう考え方であるならば、これは現行法であっても、政令できめようが、しょせんは一切このセクショナリズムによって閉ざされてしまうのではないか。政府政令によって弾力的な定員管理ができる、そのように発案をされても、実際にはそのセクショナリズムによってついには現行法と何ら変わりない、しかもそれ以下になってしまうというような状態になってしまったのでは、これは事は問題であると思うのですが、このセクショナリズムを打開する、頭の硬直化を変えていくには、行管長官どういうふうなことをしたらいいと思いますか。
  166. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 その点が一番問題の実際上の焦点かと思うのでございますが、通称総定員法を御決定いただきますれば、各省庁も自分の省庁内の緩急軽重はもちろんのこと、また自分のところに増員を必要とするという考えを持ちました場合に、他の省庁の留保定員に発しますところの定員を有効に活用してもらえるし、したがってまた自分のほうの関係において留保定員が出ましたものも、よその省庁に活用させるべく協力すべき性格を与えられるわけでございますから、総合的にものを判断して、一たんちょうだいに及んだ定員はてこでも放さないという硬直したけちな考えじゃなしに、総合的な判断のもとに、政府全体として行政サービスが適正に、弾力的に、合理的に運営されることに協力しなければならないという趣旨を、この法案を通じまして公務員全体にいわば訓示していただくような作用が期待されると私は思うのでありまして、そういうことを含めて、この法律によって先ほど来申し上げるような行政改革の方向にも推進役となって作用してくるでもございましょうし、またその時点、時点において、少なくともいままでよりは効果的な、効率的な、弾力的な、合理的な、行政需要にマッチした線に近づけていける手段としてはまことに有効である、かように存ずるわけであります。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現行法によっても、運用によってはそういうことはできるわけであります。あなたがおっしゃる、要するにセクショナリズムという問題が一番厚い壁であるとするならば、それをもう少しはっきりしなければこういう問題については解決はできないのではないか、私はそのように思います。行管長官は、総定員は弾力的であり、また運用面においても非常にしやすいというようなことは、これは裏の解釈であって、ほんとうの姿というものは、やはりどうしてもそのセクショナリズムによってこれが閉ざされてしまう、そういうおそれは多分にあると思うのですが、それに対して行管長官はどのような決意でそのセクショナリズムを排除して、そしてこの運用に当たるか、お伺いいたします。
  168. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 最終的には行政サービスの緩急軽重は、先ほども申し上げましたように、政府側としては閣議で最終的に結論が出る。閣議にまでたどりつくにつきましては、各省庁ごとにむろんいままでと同じような我田引水的な考えが出ることもございましょうけれども、しかしそれが先ほど申し上げましたように、お互いかれこれ融通し合って、困るときはよその定員をもらえるというふうな相互関係が、総理大臣の指導力のもとに行政府全体として調整ができます限り、またしなければなりませんけれども、それによって行なわれますことが硬直化を防ぐゆえんであり、現行法でもできるはずだとおっしゃる、概念的理論的には私は何ら否定申し上げる意思はございませんけれども、実際問題が、これが残念なことには百年間ずっと定着したような実情でございますために、容易でないということを率直に告白申し上げておるような次第でありまして、そういう線にともかくこの法律を御決定いただきまして、もっと硬直化を柔軟性を持って、ほんとうに必要なところには看護婦さんでも何でも持っていけるというふうな下地をおつくりいただきたい、かように思うわけであります。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十一年の七月、国公共闘代表と賃上げ問題で政府交渉をやった際に、当時の安井総務長官は、人員整理に協力をすれば賃上げも考えると発言をされたが、定員管理の具体策とは、財政硬直化打開と人件費負担を軽くするという意図と思われるが、その点どのように思われるか。
  170. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 これは大蔵大臣からお答えすべきことでございましょう。責任を持っては申し上げかねますけれども、大蔵省は、一面国民の税金を有効に使いたい、なるべく出し惜しみをしたいという商売でもあろうかと思います。これがすべてではございませんでも、そういう角度からの予算査定というものが一つの基準であろうかと推察しますが、行政管理庁としましては、そういうお金の問題もさることながら、それは大蔵省まかせでございまして、定員というものがもっと柔軟性を持って、かつまた緩急軽重に応じて配分されるということを中心に調整機能を果たす責任官庁かと思うのでございますが、そういう考え方に立って行管行管なりの考えで主張もいたします。価値判断に誤りなきを期する勉強、努力をむろん全員が負わされる責任は重大であることも思いますが、同時に、先刻も申し上げました、総理からも申し上げましたように、総理府なりあるいは人事院なりあるいは大蔵省も、いま申した意味において関連は持ちますけれども、ほんとうに客観、妥当性のあるように、政府の全力を尽くしまして、国会はもちろんのこと、国民も、なるほどいままでよりは緩急をわきまえ、軽重を間違わないでぼちぼちではあるがやってくれるわいと評価してくれるように持っていく責任がある。そのことが、この総定員法の運用上の責任かと私ども心得ておるわけであります。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど、一人の増員といえども法律改正が必要だと言う。現行制度では、このようなきめのこまかい定員管理はできないと言っておられますけれども、たしか一人でもそういうことで現行制度では必要でありますが、欠員と新規増員との差が一人増員というような例は、三年間五%の削減計画遂行中にはたしてあるとお思いになるかどうか、その点について。
  172. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 三年間五%、五十万の五%といえば、三年間で二万五千人の留保定員に積算されていくことと思いますが、それをその範囲でプラス、マイナスを考えながら運営していけばこと足れり、絶対それからはみ出さないなんということは申し上げかねると思います。予算の範囲内において運用され、しかも年度途中におきましても予算をはみ出ざるを得ない緊急の増員がある場合は、五十万六千対、今度予算御決定いただきました線で一応きまる線が、午前中も申し上げましたように、二千人ばかり少ない五十万四千と相なるわけですが、四十四年度だけを申し上げれば、二千人の保留定員を活用することによって、緩急軽重を考えながら定員配置政令で行なわれる可能性が出てくるというわけですけれども、その二千人だけですべてこと足りるかということは、場合によっては断言できない。それは最高限度をこえる二千名以上を実際上必要とすることが出てきますれば、最高限度を次の国会で引き上げていただくという御決定なしには、それはやれない。しかし、なるたけ五%の削減範囲内の活用によって、先刻来るる申し上げておりますような、国民的立場からの御納得のいくような線に活用して近づけていくという努力が本則であり、増減一切しないで硬直化していこうということではむろんございません。  どうも話がくどくなりまして、かえってお答えになってないかと思うのですけれども、そういう考えでございます。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ずいぶん脱線をしているような御答弁でありましたけれども、一名の増員ということでぽんと、要するに切り文句で一名というふうに言われると、国民は非常にそれについての判断を誤るわけであります。すなわち、各省間において増員と減員とあるわけです。その増員、減員、増員、減員ということでずっと繰り返してきて、初めてその差が一名ということであって、一名ぽっきりと、そういうふうな増員ということは、もうほとんど私は考えられないのじゃないか。その点について、そう切り文句だけを出して一名だけだと、こういうふうなことを言われると、そこに非常に誤解を招く点があるので、その点について御答弁を願いたい。
  174. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お尋ねを正確に受けとめないような気持ちもいたしましたが、従来の各省ごとの設置法で定めるという現行法のもとにおきましては、事務官、技官の一名といえども法律で御審議願わざるを得ない。今後は、総定員を御決定いただけば、いま例示的におっしゃったことがそれだと思うのですが、あるところはふえ、あるところは減員するというようなことで調整されて、全体としてはバランスがとれるということを目ざしておるわけですから、たった一名のために政令を改正してどうだというふうなことに必ずなると申し上げているんじゃむろんございませんので、かれこれ融通し合いながら、全体としては国会でおきめ願った最高限度の以内で行政需要にこたえていきたい、こういうことを申しておるつもりでございます。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このような例は、かつては外務省のアタッシェ増員にある。過去において自治省一名減員の法案提出があったことを記憶しておりますが、しかし現在では、機構の改正がない場合には附則の改正で処理されているから、現実には一名減ということは具体的にはないではないか、このように思うのですが、その点について。
  176. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 現行の法のもとで一名はおろか、定員を減ずるという事例はきわめてまれでしかない、なかったということを先ほど来るる申し上げておるわけでございますが、そのことでございますと、いま一名だけのお話はどういうふうにお答えしたらいいか、いままでは減というものはほとんどない。定まりました定員はそのままにして、実際上はひまがありましても、定員が実質的には非常にオーバーしておるとおぼしきときでも、それはそれなりにして上積み、上積みと来たことは事実でございます。そういうことはなかなか現行法のもとでは、これこそまた同じことを申し上げておそれ入りますが、お許しをいただきますが、セクショナリズムの不幸にして定着したような状態のもとでは、行政需要に応じた増減、特に減というものは事実上期待できないというのが現状でございます。それとても、総理大臣がなぜほんとうに減らさなければいかぬときには減らせと指導しないかということは、概念的には言えますけれども、実際上はさようにまいらないというふうなことをるる申し上げているわけでございまして、要は、この法律によりまして、繰り返しお願いだけで申しわけありませんけれども、ほんとうの意味おきまして国民のための弾力的運用、臨調の答申の線に沿い得る、かように思います。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政需要にマッチした定員配置、きめのこまかい定員管理は現在の法律ではできないというようなニュアンスを先ほど言われたのですが、現在の各省設置法によって各省の所掌事項を明確にすると同時に、それに必要な人員として規定されている。したがってこの各省設置法を改正することによって幾らでもできるのではないか、私はこのように思います。政府総定員法でなければ必要な部門への増員や不必要な部門への減員はできないというのは、どうしても私はその点が納得できない問題点ですが、この点についてもう一度。
  178. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 理論的にはおしかりを受けようかと思いますが、お許しをいただいて申し上げますけれども、各省設置法というのは、その省庁の固有の法律みたいに理解され、その中にある定員は、一たんきまった以上は減員するなどということは断じて許さない。またそんなことをしたらば、所管大臣事務次官も局長なども、部下の職員から、なってないと評価されるというのが、情けないかな実情でございまして、そういうことのために硬直して、内外の諸事情が変転していっておる際に、その現実即応の、国全体、国民全体から見て妥当な定員配分というものがなかなか容易でないということが、先ほど来申し上げていることでありまして、そんな悪いくせがあったら直したらいいじゃないかという御指摘もむろんあろうかと思いますけれども、それが何と申しますか大まじめで、百年間定着していることなものですから、容易なことではないということだけは御理解いただいておると思いますか、そのことに対応する意味において、特にこの総定員法という構想が臨調でも一応想定されたこととも推察いたしまするし、同時にいままでどおりのことでまいりますれば、ほんとうにはっきりやったら増員、減員やれるじゃないかとおっしゃいますけれども、減員などをかりにやりますれば、減員のしつばなしで、それを活用することは困難でございまして、勢い出血整理をしなければ減員することが困難だということに事実問題として結びつくおそれが多分にある。おそらくは、ほっておきますれば近い将来においてそういうことに追い込まれるような、積み重ね、積み重ねのムードを一応ストップしまして、そんなことにならないようにするという意味合いにおいて評価していただきたいとお願い申し上げておる次第であります。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 定員については、従来どおり予算で審議ができるから、定員法律でなく政令で定めることは国会軽視ではないという判断に立っておられるようでありますけれども、たとえて言うならば、自衛官の場合を考えれば、予算成立、法案は不成立、そこで増員がだめになるというような可能性かあることをどう考えたらよいか。もちろん総定員法では自衛官は現行方式でありますけれども、自衛官以外の防衛庁職員総定員法の対象となるわけであります。また各省について防衛庁と同じことが言えるのではないか。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、予算審議だけでは増員阻止の方法はなくなるということ、その意味では国会の統制を免れることになるのではないか。その点についてお伺いいたします。
  180. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 防衛庁の制服でないせびろは、これは防衛問題そのものとでもいうべき本質的な定員ではないと理解いたしまして、総定員法の対象といたしておりますことは御指摘のとおりであります。防衛庁のせびろがあやまってふえることかあるじゃないかという御懸念は、あらしめちゃならないという内閣全体の国会に対する責任の課題として、御非難がないように運用していくということを御信頼いただくほかにないと思いますが、あやまってそういうことがありますれば、政令を変えろという国会からの御命令に従って変えざるを得ないということもあり得るでございましょうし、そういうことにおまかせいただくということでひとつ御理解をいただきたいと思います。これはひとり防衛庁のせびろに限りません。看護婦さんにしても何にいたしましても、それが不当である場合の行政調査上の国会の御指摘、これはあやまっておりまするときには是正すべきことは当然だという考え方に立って運営されていくべきだと心得ております。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそれを一つの例をとって申し上げたわけであります。そういうことで、予算審議だけでは増員阻止の方法がなくなるということ、その意味においては国会の統制を免れることになるのではないか。先ほど申しましたことの意味を何かはき違えておられるように思うので、この点についてもう一度。
  182. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 一応の最高限度、頭打ちの数字は、午前中申し上げましたように昭和四十二年度末の予算定員、それが、五十万六千でございます。その後この法案の御提案を申し上げまして以来、実施上の準備体制に事実上入ったわけでありまして、そういうことから四十三年度約二十名ぐらいの留保定員がございますことは何度も申し上げました。いかに増員するといたしましても、国会でおきめいただいた最高限慶の五十万六千は絶対にこゆべからず。同時に、今年度の予算で御決定いただいた線でスタートラインの政令はきめられるものと推定をいたしますが、それにプラスアルファの増員をするといたしましても、極端に申し上げて二千名以上の増員なんというものは、これは国会で御決定いただいたこの法律に反するわけですから、それ以上の増員はあり得ない。むしろそれ以内で、できるだけかれこれ融通いたしまして、予算の御決定の線五十万四千の範囲内で年度内も緩急、軽重かれこれ総合いたしまして運営していきたい。そういうことでございますから、総括的に国会の御決定の線を厳粛に守って、それを最も有効に運営していくという責任が本法律の御決定によって政府に新たに生ずる、そういう考え方でやっていきたいと存じておるのであります。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうもいまのお話がよくわからないんですが、私はこういうことをいま聞いているのです。たとえば自衛官の場合を考えれば、予算は成立するわけですね。それで法案は不成立という場合が、現行法によるとあるわけです。それで増員がだめになるというような可能性もいままではありました。ところが今度は政令になると、予算審議だけでできますので、そういう点において増員の阻止の方法がなくなるんじゃないか、その意味においては国会におけるところの統制を免れるということになるのではないか、こういう質問をしているのですよ。どうもその点について行管長官の言われていることはちょっと的が違っているように思いますが、もう一度。
  184. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ちょっと御質問の点をはき違えた傾向がありまして恐縮しました。  制服のほうは、むろん予算が成立しましても、執行のための法律を御決定いただかなければ執行できない、せびろのほうはそうではないじゃないか、そての点が、たとえ最大限度今年度内二千名としても、その中でやりくりして増員することがありゃせぬだろうかという懸念があるというお尋ねかと思います。それはあり得ると思います。あり得ると思いますけれども、それとても二千名の範囲内で全省庁をまかなう、五十万六千の対象をまかなうわけでございますから、かりにそうであったといたしましても程度の問題で、それとても政府全体の良識ある判断によってしかやり得ない。その結果が国会において御批判が出るようなことはやるべきじゃないし、万一やったらばおしかりを受けて訂正をしなければならぬという課題として、他の省庁と同じ考え方に立っての善処に御期待をいただくという課題かと思います。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 定員法律で定める制度は、最初は終戦後の首切り整理のためでありました。しかし現行の制度になってから、以前のような整理が行なわれることはなかった。しかし本案のように各省別定員政令で定めることになるとするならば、いままでよりは首切り整理がはるかに簡単にできるような制度になると考えられるわけであります。その意味では、各省別定員法律でなくして政令で定めるということにするということは、国会の統制をゆるめるという意味において、やはり国会軽視の因をなすものではないか、その点について。
  186. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 結論から先に午前中のように申し上げます。  首切りはいたしませんし、出血整理をやらないためにこそこれが必要である。総定員法の運営はすべて留保定員範囲内でやっていく。増員のときこそ、先刻申し上げましたように二千名の留保定員をその増員に振り当てる。プラス、マイナスの調整でまかなえないときに、絶対に必要ならば二千名の留保定員範囲内で増員はあり得る。しかし首を切るということは、法案それ自体の実体から申しまして絶対にあり得ない。それをチェックする意味においてこの総定員法意味があろうかと思うのであります。繰り返し申しておそれ入りますが、現行法でございまするならば、硬直化あるいはセクショナリズムを引き合いに出さなければいけませんので少しいかがかと思いますけれども、現行法でいくとしますれば、これはどうにも人件費増大で何ともならないというときに、いきなり減員しなければならぬという課題が出てきますれば、なま首を切るほかに整理のしようがないということに結びつく意味において、いまの出血整理関係だけを申し上げれば、この総定員法案こそがなま首を切らない歯どめである、こう私どもは理解し、御審議を願っておるつもりでございます。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五%削減の閣議決定のときに当時の木村行管長官は、今回の三年計画欠員補充によって実現をはかり、人員整理は行なわないが、将来第二次削減計画を検討する際には人員整理についても慎重に考慮をしなければならないだろうと言っているが、これはどういう意味なんですか。
  188. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 まあどういう意味か、木村さんここにいらしゃいますけれども、お尋ねしなければわかりませんが、将来にわたりましても可能な限り、留保定員五%というものを食い尽くしたというふうなときにどうするかということは、物理的に絶対に起こらないとは断言できないかもしれませんけれども、その法案の趣旨をふえんいたしていきます限りにおいては、当初三年間五%の留保定員でなるべく長くまかなっていく。もしそれが困難であるならば、さらに一%か二%か知りませんけれども、三年か五年、いろいろ年次割りはございましょうが、留保定員というものを生み出すことによって出血整理をやらなくて済むように運営していくということこそが本法案の基本の趣旨である。その基本の線を逸脱することは政府側としては許されないくらいの趣旨のものだと心得ております。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど総理大臣に、最後にちょっと気になることを聞いたわけですが、私が質問したときはこういうふうに質問しました。退職は不必要なところのみに発生するとは限りません。で、必要な部門に離職が発生したときはどうしても補充をしなければならないとすると、数の上では年々の離職者の推計はできるだろうが、それだけでは割り当ての削減数を満たすことはできるかどうかわからないのではないか。それでも首切りはしないとほんとうに約束できるかと、こういうふうに私が質問したら、総理大臣は、全部に例外なしとは言えないと、そういうふうに言われたわけであります。そうなると、割り当ての削減数を満たすことはできないというならば、やはり首切りはあり得るということになるわけです。その点についてもう一度。
  190. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 極端な場合を積み重ねれば、物理的な問題として、算術的な問題としてこんなこともあり得るじゃないかという想定は不可能ではないと思います。ただし、そういうふうなことになるおそれがあるならば、最高限度の定員を国会を通じて御審議で御決定をいただいて、そして留保定員の幅を上のほうに設定することをお願いすることによって、なま首を切らないでやっていくように行なわるべきだと思います、その段階においては。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま行管長官は重ね重ね、もう首切りは絶対やらない、そういう結論でお話しになりましたので、その点は了解をいたします。  ところが、国会軽視の問題でありますけれども、法律できめることと政令できめることは、私は単に手続だけの問題ではないと思います。法律は国会すなわち立法府に属するし、政令は内閣、行政府。政府が、法律は手続が繁雑だから、政令行政を行なうのだとすれば、それは主権は国民に存するわけでありますから、結局は国権の最高機関と規定している憲法をじゅうりんすることになるのではないか、そのように思いますが、その点について。
  192. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 まあこれはちょっと減らず口めいておそれ入りますが、本法案は御承知のとおり三公社五現業には適用しない。従来どおりだ。従来どおりということは政令で定めるということでありますが、憲法論議から申せば、まあ同じような理屈ではないか、こう思います。ただ各省庁で、各設置法できめておりました現行制度のもとの国会との関連を形式論議で御指摘であるとするならば、法律としての御審議願う機会が遠のくということだけは、そう言えると思います。ですけれども、各省設置法といい、あるいは総定員法といい、すべてこれ役人のために法律があるわけでなくて、役人が全体の奉仕者として国民にいかに奉仕するか、奉仕しやすいか、国民の税金でまかなわれた役人ができれば一人でも少なくて済むものなら少なく、しかも能率をあげてサービスをするということこそが、各省設置法で現行法どおりにやっておりますことも趣旨はそこにあると思います。その趣旨が、目的がそうであるならば、よりよく国民に奉仕できるやり方、税金もちょっとでも少なく使えるなり、しかも行政サービスを落とさないやり方が期待される法律であるならば、その趣旨がそうである限りにおいて、むしろ憲法の趣旨にかなう最高限度をおきめ願ったやり方のほうがベターじゃなかろうか、私はそう思います。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 予算によって審議されるから決して国会軽視ではないのだと、先ほどから何回も言われておるわけですが、予算の積算根拠としての定員を国会で論ずるのと、定員を国会で審議するのとは別問題だ、私はこのように思います。予算書に幾ら定員が示されても、現在の審議の状況から見て、個々の定員の妥当性というのは実際には不可能に近い、そういうふうになっているわけですけれども、その点について行管長官はどう思いますか。
  194. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 国権の最高機関としての国会の機能、国民に対する限りにおきましては、予算も法律にまさるとも劣らない重大な議案であると思います。ところでいままでのやり方、現行法のままで予算に提案されました予算定員、その予算定員と表裏一体をなして予算関係法案として各省設置法がつじつまを合わせて御提案申し上げたものを御審議願っておるというわけでございまして、法律が否決されれば予算はあっても使えないという意味はございますけれども、しかしながら政府側から申し上げれば、御提案申した各省設置法の改正案というのは、定員に関します限り予算定員そのままと表裏をなしておるということでございまして、国会の審議権を実質的に軽く見る、もしくは審議権を侵害するなどという課題ではないのじゃなかろうか、私はかように思う意味において先般来御答弁を申し上げているところでございます。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法律は要するに国会、立法府に属するのですね。それから政令は内閣、行政府に属するし、政府がたとえ法律が手続が繁雑であるからといって、政令行政を行なうということは、これは主権は国民にあるという憲法の精神から言うならば国会軽視になる、こういうふうに私は判断する。その点についてもう一度。
  196. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 どう申し上げたらいいかと思いますが、三公社五現業の例を先ほど申し上げました。三公社五現業を対象外にしましたのは、従来からそうであるからそのとおりにしたということと同時に、三公社五現業のように行政需要が非常に変転きわまりない、極端に申せば。それに善処するためには政令でやったほうが国民本位の行政サービスを提供するのにかなうであろう、そういう考え方からの制度かと思います。  それと同じではございませんけれども、先ほど来くどく申し上げておりますように、現行法よりもたとえば三公社五現業に扱い的にいささかでも近づける考え方に立ってこの法律を御決定いただきますことが行政需要に応ずるゆえんなのだ、こういうことを申し上げたほうが適切かと思います。国会の審議をうるさがるとか、国会審議を軽く見るとか、そういう意図はもういささかもございません。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧奨退職というのは、法律上の根拠はどこにありますか。
  198. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ちょっと私の守備範囲では受けとめかねますけれども、勧奨というのは法律の根拠という課題ではなかろうと思います。事実上の問題かと思います。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、政府が五%定員削減方式と相まって、特に婦人層とか高齢者層に退職勧奨を非常にしいるような方向になってきておると思います。建設省は、ことしの一月、勧奨退職の統一基準をつくりたいという基準の提案を示してきた。年齢は、役付五十八歳、一般職員は六十歳までに退職してほしい。これを受け入れた者に限り退職金五割増しを適用する。断わるのは自由であるけれども、その後やめても五割増しは適用しない。役付は平になってもらう。断わった人は、体力、能力ともに若い人と一緒にやれる自信があるということになるから、同じようにやってもらう、年度内にきめて、四十四年から二、三年でやりたい。明らかに、私は、定年制の先行であって、法律上の根拠がないことをすることは、これは違反ではないかと思うのですが、その点について。
  200. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 総務長官からお答えしたほうが適切かと思うのですけれども、いま申し上げましたように、事実上の必要性に基づいて、相談づくで勇退をお願いしておるケースじゃなかろうか、こう申し上げるほかに、ちょっと申し上げようがございません。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど、政府は不当配転を考えない、こういうふうに言われたわけでありますけれども、総理は、すなわち、本人がいやと言うならば絶対にしない、こういうようにはっきり言われましたが、そのとおりでございますか。
  202. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私も、そのとおりに理解をいたしております。これとても、人事院総裁ないしは総務長官から申し上げることが、人事そのものでございますから適切かと思いますが、総理の発言どおりと心得ております。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 定員法が成立しないと行政改革に重大な支障があるようなことを言われておりますけれども、この改正ができないようでは、すべての行政改革は進まないという意味が私はちょっとわからないのです。事務の整理合理化三カ年計画のほうが先行すべきであると私は思いますけれども、行政改革の実態についてはどのようになっておるか、その点についてお伺いします。
  204. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 行政改革簡素化事務の複雑さを簡略にするということで手数を省くということは、国民側からも望ましいことであると同時に、国家公務員の立場からも、そういうふうに制度が改善されることによって仕事量が不当に多くならないように、あるいはセーブできるようにということがまず行なわれて、しかる上で、行政改革なりあるいはその手段としての作用も期待しておりますところの総定員法を事後にやるべきじゃないかという御指摘は、理論的には順序はそうだと思います。ただ、いままでやっておりますが、遅々としてなかなか進みませんけれども、歴代の行管長官がいささかの努力は積み重ねて、ある程度の成果はあげておりますが、十全であるとはむろん申し上げられません。それをさらに推進するにつきまして、この法律を御決定いただくことによって行政改革、能率向上、簡略化、仕事の負担を軽くするという方向へもっと持っていけようかと思うのでありまして、なぜそれを先にやらなかったかという御指摘は、おしかりは甘んじて受けなければならぬ。全然努力していないわけではございませんけれども、誇りを持って申し上げるような成果があがっていないことはおしかりを受けます。今後さらに努力をすることによって埋め合わせをしたいと思います。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十三年の二月二日に、行政改革三カ年計画に関する閣議決定がなされているわけでありますが、その中に、各省庁にその所管行政についての総点検を行なわしめるにあたって、その基準があらかじめ明らかとされていなければならないと思われるということで、いろいろ各省庁の改革計画案の作成要領が出されたようでありますけれども、はたしてそれが実のあるものが出たかどうか、その点についてお伺いいたします。
  206. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 具体的に政府委員から一応申し上げます。
  207. 河合三良

    ○河合政府委員 ただいま御質問の点につきまして、各省庁の改革計画案作成要領というものを作成いたしまして、これによりまして各省庁から総点検をいただきました結果を六月三十日末現在いただいております。こまかな点につきましては省きますが、たとえば許認可等につきましては、一万一千八十八件の許認可が現在ございまして、そのうち千三百八十三件、約一三%の整理を各省庁で計画をいただいております。また、報告類につきましては七千四百九十四件の現在量の報告をいただきまして、そのうちの千五百七十一件の報告類の整理統合、簡素化についての各省庁の計画をいただいております。その他、行政事務の委任、移譲につきましても、各省庁から四百二十七件の委任、移譲の計画をいただいております。また、人事、会計事務簡素化等につきましても計画をいただいておりますが、補助金等の整理につきましては、今回四十四年度予算におきまして、廃止、統合につきまして四百十七件の廃止、統合が行なわれまして、金額にいたしますと、廃止につきましては百二十八億円、減額は二十六億円の整理をいたしております。  特に数量的に把握できます点につきまして、以上のように御報告申し上げます。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま数量的にあなたのほうから申されたわけでありますけれども、それと同時に、各省庁の改革計画案が、すなわち各省レベルの案の作成と並行して、内閣自身の側においても内閣レベルの改革計画案が作成されなければならない。すなわち各省庁の改革案が内閣に提出された後の段階において、それを調整して、政府としての改革計画案を作成するものとされているというが、その点について、すでにその計画案はできて、それに対して各省庁から出た案と比較をしてみたときに、私は、はたして各省庁から出されたその計画案というのが、ただ数字の上でなくして実のあるものであるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  209. 河合三良

    ○河合政府委員 お答えいたします。  ただいま数量的に把握できるものにつきまして御報告申し上げましたが、そのほかに、行政機構の簡素、能率化、あるいは共管競合事務の整理統合、地方事務官制度の廃止、あるいは電子計算機の利用の促進、また事務民間委託等につきましての各省庁案をいただいておりまして、その結果につきまして、第一次行政改革案を昨年の十月に閣議決定をいたしております。これによりまして、ただいま、先ほど申し上げました数量的に把握できますものにつきましては、第一次計画案におきまして実施案として決定いたしまして、その他の機構、あるいは地方事務官、あるいは電子計算機、あるいは補助金の今後のものにつきましては、方針といたしまして今後の方針を定めております。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、いまお聞きしているのは、要するに各省庁からいろいろの計画案が出ておる、それは数字的にはわかりました。しかし内容的にはまだあなたが私には話しておりません。ところがそれに伴って今度内閣のレベル、すなわち行政管理庁のほうで作成をしなければならない計画案というものがあるわけです。それと比べてみた場合に、はたして各省における計画案というものは非常に実のあるものであったかどうか、これは対照してみればわかると思うのです。先ほど行管長官がセクショナリズムの点において言われたわけでありますけれども、決して計画案が出されたものはさほど実のあるものではない、そのように私は判断するわけでありますが、その点についてお伺いします。
  211. 河合三良

    ○河合政府委員 各省庁それぞれ総点検をされまして、私どもの見ますところでは、もちろん十分とは申せませんが、いろいろと御苦心をいただいていると思っております。また臨時行政調査会の答申、その他いろいろ従来行政改革に関するりっぱな案ができておりますが、なかなか重大問題が多うございまして、それがすぐ一挙に解決できるということではもちろんございませんと思いますので、各省庁から御提出いただきました御苦心の案を中心にいたしまして、これを行政改革本部において調整いたしまして、第一次の行政改革計画を樹立しております。また第二次につきましても現在検討中でございます。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁にお伺いします。  人事管理について、国家公務員の上級職の試験合格者の採用方法について、その実情について説明をお願いいたします。  まず第一に、提示された採用者名簿からどのように採用しているのか、すなわち提示の方法は現在どう行なっているのか、採用はどういうふうに行なうのか、その点についてお伺いをいたします。
  213. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいまの点は制度的に定められておるわけでございますが、いまの試験合格者がいかようにして各省に採用されるかという順序を申しますと、人事院としては上級試験の合格者について名簿をつくるわけであります。もちろん成績順に名簿をつくるわけであります。そしてその高点順に一人の採用について五人の割合、これで本人の志願する各省庁に候補者を提示する、すなわち各省庁に対して希望の合格候補者を高点順で一人に対する五人という割合で提示をする。そうすると各省庁は、その提示された五人の中から選ばなければならぬ。もちろん各省ではまたあらためて面接試験などをやっていらっしゃいますが、その結果によってその中から一人選ぶ、それ以外から選ぶことは許されないというのが制度のたてまえでございます。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、たとえば五人採用しようという場合にはどのような提示がなされるわけですか。
  215. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 五人の場合は五、五、二十五人、簡単に申し上げれば、そういうことでございます。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昔、昭和二十七年、二十八年ごろとだいぶその状況が変わってきているように思うのですが、その提示を変えたものの考え方はどこにあるのか、それについてお伺いいたします。
  217. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 お答えいたします。  だいぶ前でございますが、採用する予定者一人について一プラス四という考え方、したがって五という考え方をとっておりましたが、その後実際に運用いたしまして、各省計画採用でございますので、大体採用時期が同じ、したがって採用内定時期が同じということでございますので、希望する省庁を厳密に一つに限るということは事実上困難でございます。この意味で、若干の選択の余地を持たせるということで第一順位の希望省庁を三つということにいたしたわけでございます。そういたしますと、一プラス四ではとても運用できませんので、その時点から、先ほど総裁がお答え申し上げましたように、一かける五という運用に切りかえたわけでございます。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 採用候補者名簿による採用方法としては、公務員法第五十六条には「採用候補者名簿による職員の採用は、当該採用候補者名簿に記載された者の中、採用すべき者一人につき、試験における高点順の志望者五人の中から、これを行うものとする。」こうなっておりますね。採用すべき者一人につき、高点順の志望者五人の中から行なうというのであるが、ここで明確に答弁をお願いしたいのは、たとえば採用すべき者が五人いる場合にはどのように行なうのか、具体的に説明を願いたい。
  219. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 ただいま申し上げましたように、五人の採用予定でありますれば、五、五、二十五の提示をいたしますので、成績順に提示してございますから、端的に言いますれば、一番から五番の中から一人は必ず採らなければいかぬというふうにして、以下五人を、五人に一人、五人に一人ということで採用していかなければならぬということがただいまお読みになりました五十六条に書いてあるわけでございまして、そのように現実にやっておるわけでございます。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家公務員上級職試験合格者中、昭和四十二年度及び昭和四十三年度分の採用者数について、その実態をお答え願いたい。
  221. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 まず昭和四十三年度の試験について申し上げますと、申し込み者総数が一万八千六百五十でございます。これにつきましての合格者が千二百十。これから採用された者の数が五百九十四ということになっております。それから四十二年の試験でございますが、申し込み者総数一万九千九百十九、合格者数千三百三十六、採用者数は六百三、こういう状況でございます。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それを昭和四十二年と四十三年と国立、公立、私立別に分けて大体どれくらいのパーセントになりますか、その点をちょっとお知らせ願いたい。
  223. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 まず四十三年から申し上げます。四十三年の国立大学九千百二十八の申し込みに対して合格者一千八十三、採用者は五百四でございますから、合格者数に対する採用者数は約五〇%、ちょっと五〇%を切ります。次に公立大学でございます。これは申し込み者数が八百八十九人、合格者数が六十、その中からの採用者数は二十一。次に私立は申し込み者数が八千六百三十三、合格者数が百四十七、採用者数が六十九、こういう状況でございます。  それから四十二年の試験でございますが、国立大学が申し込み者数が九千七百六、合格者数は千百三十八、採用者数が五百九。それから公立大学でございます。申し込み者数が一千八十二、合格者数が六十四、採用者数が三十三。次に私立でございます。申し込み者数は九千百三十一、合格者数が百三十四、採用者数が六十一、こういう状況でございます。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十三年度の国立大学出身の採用者五百四名について、これらの受け入れ省庁は通産省、農林省をはじめとして二十一省庁に及ぶのでありますけれども、第一に、国立大学出身者のみ一〇〇%採用している省庁は、総理府、公正取引委員会行政管理庁、北海道開発庁、経企庁、自治省など六省庁。二十一省庁中十四省庁が国立大学出身者でその八〇%を占めている状態であります。  なお第二に、国立大学別にその採用状況を見ると、東京大学は二百四名、北海道大学が二十六名、東北大学が二十一名、東京教育大学が二十二名、東京農工大学が六名、名古屋大学が十一名、京都大学が五十四名、大阪大学が十二名、九州大学が二十四名、合計三百八十余名で、国立大学出身採用者五百四名中、七五・四%を占め、かつ昭和四十三年度全採用者五百九十四名中六三・九%を示しております。ここでは四十三年度についてその数字の実態を取り上げたのでありますけれども、四十三年度とほとんど同様に前年の四十二年度も、また過去の年々における採用状況は大差ない傾向を持っているものと考えられますけれども、その点についてどう考えますか。
  225. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おそらく国立大学を偏重し過ぎておるのではないかという前提のお尋ねだろうと思いますが、その点についてぴったりしたお答えをしたいと思いますけれども、大体問題は受験の希望者数がどういう比率になっておるか、これはあとで表で詳しく申し上げてもよろしいのですけれども、たとえば東京大学というものは千何百人という圧倒的多数の受験者を持っておるというようなアンバランスが、すでに私立、国立の場合において顕著なものがございます。私どもは、そこが大事なところだと思いますから、私立のほうからもぜひ優秀な人を受験をさせてくださいということで八方努力をしておるわけでありますけれども、まだその努力が十分結ばれません。いま言ったようなアンバランスを生じております。そこで、今度は試験の採点をやります。採点は御承知のようにほとんど機械でやっておりますから、本人の名前も出身大学のことも全然わからないままで採点をするわけです。そうして、その採点の結果どういう合格の比率になっているかというと、国立の場合の競争率が八・四人に一人、公立の場合が十四・八人に一人、それから私立が五十八・七人に一人という合格率になっております。  そこで今度は、先ほどの名簿から各省がお選びになるわけであります。そうすると、五人のうちの一人ですから、かりに五人が全部国立大学の人ばかりであれば、それをやめて私立のほうを採ろうとしてもそれは許されない。そこに制度上大きな壁がある。それでは今度私立ばかりがかたまっておったら、その中から一人を採らなければならぬということで、そこに一つワクがございますけれども、幸いにして、今度は合格者、すなわち名簿の中から各省が御採用になったそのパーセンテージを見ますと、四十三年の場合は、国立卒業の合格者の中から四六・五四%御採用になっている。公立大学卒業者の中からは三五%も御採用している。それから私立大学の合格者の中からは四六・九四%御採用になっておるわけであります。その点からはわれわれとしてはあまりへんぱな、ほとんどへんぱな措置はないというふうに立証できると思います。
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは確かに人事院総裁も言われた点もあると思いますけれども、さらに私が克明にそれを調べてみますと、昭和四十二年度及び四十三年度の国立大学の二、三の大学を例にここに取り上げて、採用された省庁別について見ますと、東京大学においては、昭和四十二年度においては、自治省は十二名、四十三年度は十九名、建設省は二十一名、四十三年度は二十名、労働省は四名、同じく四十三年度四名、郵政省は七名、四十三年度は十名、運輸省は十四名、四十三年度十七名、通産省は三十五名、同じく四十三年度三十五名、農林省十七名、四十三年度三十一名、厚生省十四名、四十三年度十二名、文部省四名、四十三年度五名、大蔵省二十一名、四十三年度二十四名、法務省四名、四十三年度は一名、科学技術庁が四名、四十三年度七名、経済企画庁は二名、四十三年度三名、行管庁はゼロで四十三年度一名、警察庁は九名、四十三年度十一名、総理府が四十二年度が四名、四十三年度が四名、人事院は四十二年度一名、四十三年度ゼロです。会計検査院は四十二年度が一名の四十三年度がゼロ、こういうふうな傾向になっております。  それから京都大学は、自治省が四十二年度四名で四十三年度は一名、建設省は四十二年度九名で四十三年度七名、労働省が四十二年度五名、四十三年度二名、郵政省は四十二年度一名が三名、運輸省が四名の三名、通商産業省が三名の九名、農林省は十四名の五名、厚生省は一名の三名、文部省が五名の四名、大蔵省は三名の六名、法務省がゼロの一、科学技術庁が一の二、経済企画庁が一の二、北海道庁がゼロの一、行政管理庁は一の二、警察庁は一の二、公正取引委員会はゼロの一、こうなっているのですが、その点について間違っているかどうか。
  227. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 大体間違っていないように拝聴いたしました。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大体では困るのです。少なくともあなたの資料から私は抽出したわけでありますから、これは間違いない、そのように言っていただかなければ困るのです。
  229. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おそらくこれと同じものをお持ちでおやりになったのだろうと思いますが、これを見間違いさえしなければ間違いないと思います。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのような資料によると、昭和四十二年度に採用された省庁には、引き続き昭和四十三年度も同じ出身校から同じ省庁へ採用になっている状況が明確にあらわれてきているわけです。同じ学校から同じ官庁へ、ほとんど前年と変わらない数で採用されている点については、私は学閥を形成しているのじゃないか、そう思うのですが、その点について一番初めの、要するにこのまず第一に提示された採用者候補名簿からどのように採用するかについての、私はここに暗にその学閥を形成するような状態が含まれている採用のしかたをしている、こら思うのですが、その点についていかがですか。
  231. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それは先ほど申し上げましたように、五人の中から一人選ばなければなりませんから、五人が全部同じ大学の人であるかもしれません。その場合においては、そこから採らないと、今度は法律違反になるというきびしいワクがありますから、わがままなことはできないたてまえになっております。と同時に、先ほど御披露いたしましたように、今度は合格者の中から何人採用しているかというパーセンテージから申しますと、国立大学よりも私立大学の合格者のほうが〇・四%多いわけであります。少なくとも多いのです。したがって、大体の観察としては御信頼いただいてよろしいと思います。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、たとえば五人選ぶときには、いわゆる二十五名の候補者名簿の中から選ぶわけであります。それば各省庁にまかせられているわけですね。そうなりますと、結局私がいま申しましたとおり、倍に各省庁においては前伸度と同じような比率で、しかも同じような大学卒業者が採られているということは、あながちこれは偶然だなんという、そういう数字ではないのではないか、私はそういうように思います。そこで、私はそれは納得いかないのです、どうも人事院総裁がそのように言われますが、そこで私は人事院総裁にその点の資料をひとつ提出してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 いま資料のお話でございますが、具体的にどういう資料でございましょうか。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、採用者をそういうふうに選んだ根拠となるものがあると思うのです。その資料を提出してもらいたい。
  235. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 そういたしますと、たとえば大蔵省から十名とりたいといってきた場合、五十名を提出いたしますが、その提出書のことでございましょうか。そういう意味でございましょうか。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 点の順にずっと候補者名簿が出てくるわけですね。その中から選ばれてくるわけですけれども、その選ばれる中で、自然と学閥的な状態で選ばれている。そういうものが私のいまの資料の中からは少なくとも出てきているわけですから、それについて、その資料をひとつ提出していただいて、みっちりとこれは見させていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  237. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 どうも違法のことが行なわれているという前提ですと、これはたいへんなことになりますが、われわれはいやしくも違法なことがあってはならないと終始監視しております。そこで、いまの五十人の場合をお考えになっていただくと、先ほど局長から答えましたように、たとえば五、五、二十五と申しましても、五人グループから一人、次の五人グループから一人ですから、二十五のびりっこのやつを五人ひっさらって採用するということはできなくなっているというわけです。したがって、その点はわれわれも十分監視しておりますし、御信頼いただいてけっこうであると思います。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえていうならば、それでは五人をとるのに五つのグループがあるわけであります。その五つのグループから高位順にもし二十五名の名簿の提出者が出たとしても、その中から五人を先にとってしまった場合には、あとはとれなくなってしまうわけです。そういうことでしょう。そうなりますと、結局はそこで、たとえていうならば東大なら東大がそっくりとその五名に入っている場合には、完全にその省庁のとり方いかんによっては東大の学閥ができる、こういうふうになると私は思うのですね。そういう点の懸念等もあるわけですから、その点について。
  239. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 結局問題は、各大学の卒業生語君も大いに奮起していただいて、そしてトップを占める、たとえば私立大学の方がずっとトップを占めていただければ問題は解消するわけです。そういう面での御奮起もお願いしたいということは、われわれそっちのほうにはかねがね申しております。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは確かに勉強してこいというのはわかるわけでありますけれども、たとえばとり万によっては一組をとりあるいは二組をとり、三組をとり、四組をとり、五組をとるという方法も許されておるわけであります。そうなりますと、各省庁間においての選択というものは自由であるわけですから、結局そういうことで、いま申し上げたような状態の実績本位のとり方になっていくような傾向は、いま私が申し上げた数字の中にあらわれてきているのじゃないかということで、非常に学閥というものが私は懸念をされるわけであって、人事院総裁においてはやはりそういう点についてもっと厳重にそういうことをこまかく分析した上においてものを考えていかなければならぬと思うのですが、最後に所信をお伺いいたします。
  241. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それは一応ごもっともな御指摘ではありますけれども、さて今度は御指摘に応じてそういうことでないように制度を考えようとなりますと、逆にたいへん大きな弊害が出てくる。したがいまして、いま申しましたように、結論は国立大学の人も入り、公立の人もトップクラスに入り、私立の方もトップクラスに入るという前提がひとつできるように、これは皆さんの御勉弧にまつほかはない。制度は五人の中からといっておる以上は、この五人が全部一つの大学の人で占められていれば、それは何ともしようがない。それを許さないという制度を考えれば、これはまたたいへんな情実の問題に入ってくる。いまの制度は、私はその両面から考えて、まず妥当な制度であろうと考えております。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに一組において同じ大学の者が入っている。しかし二組には別の者が入っている。三組、四組、五組と、その選択が各省庁間にまかしてあるわけですから、そういう点について、これは確かに高位順でとっていくということは法のたてまえではあるにしても、その省庁間においては、二組からとる、三組からとる、四組からとる、一組からとるという、こういうことも許されているということにおいては、自然といま申し上げた、実績の間にいつの間にか学閥ができているということに対して、もっともっと人事院としては分析しながら、そしてその点に留意しなければいけない、その点を私はお伺いしているのです。
  243. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはもうまことにごもっともなことでありまして、かねがね留意もしておりますし、今後も十分留意をいたします。
  244. 藤田義光

    藤田委員長 淡谷悠藏君。
  245. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 総務長官と農林大臣出席を要求してありますが……。  非常に重大な法案の審議でございますので、私も終始この論議の過程を聞いておりましたが、ぜひ床次総務長官及び荒木行政管理庁長官にお聞きを願いたいことがあるのであります。  何か総理の答弁でも、行政簡素化のためにこの法案は出すのだということをおっしゃっている。簡素化はけっこうですけれども、どういうふうに簡素化するかが根本の問題だと思うのであります。ただ簡素化簡素化でいいならば、ムッソリーニのように、あるいは東条軍閥総理のように、佐藤総理各省を全部兼任したほうが簡素化でありますけれども、これはおそらくいまの政治では許すべからざることであり、またやってはならぬことだと思います。その意味で、この法律政令関係。従来われわれ設置法としてやってまいりました定員の問題を政令でやるというふうにしておるのが今度のこの法案の骨子になっておるのでありますけれども、法律で扱う面を制限して政令で扱う面を拡大するということは、その裏に国会の審議の面を狭めて、官庁審議をし決定する面を広げるということがはっきりうかがわれるのであります。  そうしますと、明らかに国会における立法の権利というものが行政の権利にずっと食われていく。この姿はやはりこの法案の将来にとって非常に心配すべき動向を示していると思うのであります。さっき荒木長官は、理論的にあるいは概念的には納得はできるけれども、実際問題としてはそういうふうにいかぬということを言われておりますので、実は本日は少し実際的な例をあげて、大臣にこの法案に対する再考を促したいと思うのであります。それで農林大臣には、この実例には最もいい案件がございますので、就任早々でまことにお気の毒ではございますけれども、ぜひきょうはしっかりお答えを願いたいと思うのであります。  一つは食管法に関する例の自主流通米の問題、これなども食管法という法にはあえて触れないで、施行令の改正を打ち出されているのでありますけれども、これはまたどこか別なところで審議されることになっておりましょうから、あるいはきょうは触れないかもしれませんけれども――場合によっては触れたいと思っておりますが、施行令くらいはいいですけれども、私非常に気になりますのは、農地法の施行規則の改正であります。御承知のとおり農地法の施行規則は、農地法ができてからかなり改正したのが多いのでございますけれども、そのおもなる改正した条項を、大臣からお聞きしたいと思うのであります。
  246. 中野和仁

    中野政府委員 農地法が施行されましたのが昭和二十七年でございます。それからあと農業の事情が変わる等いろいろなことがございまして、順次改正しておりますけれども、そのおもなものを申し上げますと、たとえばこの農地の権利移動の制限をしております第三条に基づく施行規則といたしましては、たとえば施行規則第三条の第一号、第二号が当初ありましたもので、それに対しまして第三号は昭和三十七年、それから第四号は昭和三十八年、第五号は昭和三十九年、第六号は昭和四十一年、第七号は四十二年というふうに、たとえば第三条につきましては改正してございます。
  247. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 第六号ですね、放牧地その他の取得に関する条文の中の第六号、これはどういう事情でできたか。
  248. 中野和仁

    中野政府委員 第六号は、研究学園都市を茨城県の筑波地方につくるということが、昭和三十六年九月に閣議決定になりまして、昭和三十八年の九月に場所が筑波地方というふうにきまったわけでございます。その内容につきましては、研究学園を、国の試験研究機関あるいは学校等をそこに計画的に移転させるということでできましたものに対応いたしまして、関係各省から御要請がありまして、この条文をここに入れまして農地の移転の許可除外をいたしたわけでございます。
  249. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その施行規則は施行令から出ていると思うのですが、施行令の何条の適用によって、この施行規則を改正されたのか。
  250. 中野和仁

    中野政府委員 これは法律の第三条の第一項の第九号によりまして――農地法の第三条によりますと、農地の移動につきましては知事の許可を要するわけでございますけれども、それの例外といたしまして、一号から八号までございまして、その次の九号に「その他省令で定める場合」、これによってやったわけでございます。
  251. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣お聞きのとおりで、農地法というのは本来耕作する者に土地を持たせるということをたてまえにできておることは、これは農林大臣御承知だと思います。それが前から問題になっているのですけれども、「その他省令で定める場合」というような簡単な一項を適用して、大体七号にわたって施行規則が改正されている。「その他省令で定める場合」というこの一項があれば、今後幾らでもこの施行規則は改正できて、農地の取得ができるということになりますが、これはほとんど歯どめがない。これは大臣からお聞きしたいのです。
  252. 中野和仁

    中野政府委員 いま御指摘でございますが……。(「大臣に答弁を求めておる」と呼び、その他発言する者あり)ちょっと大臣がお答えになる前に、事務的に御説明いたしたいと思います。  いま申し上げました追加したものにつきましては、法律の趣旨が、農地法で先ほど先生が御指摘のように、農民の農地の移動を守っていくという趣旨でございますから、そういうものに背反するようなものについて、省令でそういうものを入れるということはやっておりませんで、たとえばどの条項をとりましても、その行為が別のところで適正な判断をされておる、あるいは監督ができるというものにつきまして、こういう例外的に許可を除外したわけでございます。
  253. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この第三条は、「(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)」というところにありまして、八号にわたって相当こまかに規定がしてあるのです。この八号のこまかい規定に入らぬものというので、「その他省令で定める場合」という一項がございまして、これは農地法をつくる場合にも相当論議を呼んだのです。この「その他省令で定める場合」というのは、はっきりした基準がある。あくまでも農地法の精神にのっとった、耕作者を主とした移動だというふうに確言をされているのですが、その後の状態を見ますと、この一項をたてにして、どこまでも拡張しようという形があるらしい。こういうことは一体許されますか。これは大臣の御所見をひとつ伺いたい。
  254. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 お説のように、おそらくどこまでも拡大をしていくという意味ではなくて、この法に許された範囲内においてのみ、これが有効であろうと考えられます。
  255. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、この法においては農地法をさすと思いますけれども、農地法の根本的な精神は、あくまでも耕作者に農地を保障するたてまえなんだ。これが六号を見ますと、住宅公団、これが筑波学園都市を建設するためにやったものだと思いますけれども、この施行規則の六号をつくる場合に、よった基準となる法律というのは何ですか。明確にお答え願います。
  256. 中野和仁

    中野政府委員 先ほどの御答弁で申し上げましたように、政府が閣議で筑波地方に研究学園都市をつくるということを決定いたしましたものに基づいておるわけであります。ただ現実にこれに入れましたのは、住宅公団が国の学校の施設その他をまとめて区画整理その他をつくっていくということで、一体化した計画をなすということでございましたので、特例を設けたということであります。
  257. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 閣議で決定しただけでは法律にならぬのですがね。はっきりした法律に依存しないで、どんどん除外例を適用してよろしいのですか。これでは閣議決定したものは全部やってよろしい、こういうことですか。
  258. 中野和仁

    中野政府委員 閣議決定したら全部いいというわけではございませんで、この場合は場所がきまり、そうして総合的な計画を住宅公団でつくりまして、施設をつくる場所、それから圃場にするところ、そういうところをやります関係上、たとえば現在の農地を公団が一応取得しまして、それを国の試験場にまた売り渡すという計画が立っておりますから、そして結果におきましては国の試験場になって、国の試験場がそこで使います圃場になるということでありますので、そういうことをやったわけであります。
  259. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現在その試験場の構想は進んでいるのですか、学園都市の建設はどの程度進んでいるのですか。
  260. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私のほうの所管ではございませんけれども、お話を承ると、ある程度進行しているというふうに思います。
  261. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、これは非常にあぶないのですがね。あなたのほうの所管でやっている仕事でも、農地の所管は農林大臣、だれに頼まれたのか知りませんけれども、閣議で決定したものだからといって、こんな例外規定までどんどんつくられたのでは、農地法の精神が死ぬじゃありませんか。どうお考えになりますか。「その他省令で定める」――省令は、これは大臣はやはり責任を負わなければならない。省令で定めれば、住宅公団であろうが、空港公団であろうが、どこへでも農地を移動さしてかまわぬというのが、一体農地法の精神でしょうか。これはあくまでも農政に関する問題ですから、大臣のしっかりとした御答弁を願いたい。
  262. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどもお話を申し上げましたとおり、どこでもかってにという意味ではございませんので、場所がどこで、こういう理由でこうだというような理由が付せられておりますし、その範囲内においてのみこれらを許可して、省令で定めて許可をしたということでございますので、どこでもこれから今後もかってに広げていくという解釈は、持っておらないわけでございます。
  263. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっとそれでは係のほうからお答えくだすってけっこうですが、この第三条の一から七まであるうち、農地法制定当時できていたものはございますか。
  264. 中野和仁

    中野政府委員 一号と二号でございます。
  265. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 第三号は、「法第八十条第一項の規定による売払いに係る農地又は採草放牧地についてその売払いを受けた者がその売払いに係る目的に供するため法第三条第一項の権利を設定し、又は移転する場合」この例外規定を設けたのは、どういう動機だったのですか。
  266. 中野和仁

    中野政府委員 昭和三十七年の改正でございますが、第八十条は、国が農地を自作農創設のために買収したわけでございますけれども、自作農創設に使えなくなった場合に、旧所有者に返すという規定でございます。その場合に、旧所有者そのものが引き取る場合と、それから旧所有者は買わないけれども、具体的な第三者が公用、公共用あるいは国民生活の安定上使うという場合に、その第三者にその農地が動いていく――現状は農地でありますが、いずれは転用するわけであります。その土地が動いていくために、ぜひ必要だということで入れたわけでございます。
  267. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 非常にむずかしい日本の農政の将来を担当しなければならない長谷川農林大臣ですから、この問題はじっくりひとつ親身になってお聞き願いたいし、またお答え願いたいと思うのです。  三の例外規定は、やや農地法の精神に近いものがありますが、四はどうですか。「農林漁業金融公庫が、公庫のための抵当権の目的となっている農地又は採草放牧地を競売法による競売手続により競落し、又は国税徴収法による滞納処分(その他の法令により同法の滞納処分の例による場合を含む。)による公売によって買い受ける場合」――農林漁業金融公庫です。これは、かつて自作農創設維持規則が自作農創設特別措置法に変わったとき、それで取得した土地を担保に入れるという一項があったのを、もしも担保に入れて返さない場合に競売ができるかできないかということが、本会議論議になったのです。法的には非常にむずかしい。むずかしいものですから、いろいろ委員会審議をした結果、担保に入れる条項は削ってあるのです。ところが、見ますと、農林省は、担保を削ったにもかかわらず、政令で、担保を取り、または取らずしてという、全然法の精神を無視したものを入れて、その後問題になり、それが農林漁業金融公庫の場合は、競売で落としたのを取得することができるといったような点に、かなりな農地法の歪曲が始まっておる。農林大臣、どうお考えになりますか。
  268. 中野和仁

    中野政府委員 この問題は、いま先生が御指摘のとおりの経過があったわけでございます。ただ、この問題につきましては、当時の農地担保金融のものの考え方としては、こういう公庫に農地を取得させる場合が競落の場合あり得るということにいたしてこれを入れたわけでございますが、当時国会でも問題になりまして、非常に慎重に扱うということで、その後これはほとんど動いておりません。わずか一件か二件の例しかございません。
  269. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは総務長官行政管理庁長官お聞き願いたいのですが、すでに国会で問題になり、法律を直したものさえ、そっと政令には入るようなのが政令の性質なんであります。法律とは全然かけ離れたものであっても、政令には盛れる。しかも、その政令よりも、私に言わせますと、さらに軽く扱われているような施行規則の一項に、国会で問題になって法律でも削り、しばしば農政上の問題になっている競落の権利を公庫に与えているということが、一体許されるでしょうか。もし、そういうことが政令で扱えるとするならば、まさに政令の域というものを逸脱した行き過ぎにほかならないと思う。これはむしろ国会の権利というものを極端に制限をした、行政府の独走を思わせるようなものだと思うのです。しかも、これは施行規則ですよ。施行令でもないんですよ。施行令のその他省令で定めるものといったような例外規定をたてにして、こういう重大な変更まで農地法そのものに加えるとしたならば、一体これは許されるでしょうか。お答えを願いたい。
  270. 中野和仁

    中野政府委員 ただいま申し上げましたように、当時、農地担保金融を進めるという場合に、国が買収いたしますのが非常にむずかしい。公庫が取得資金を貸しまして、それの担保にたんほを取った場合、やはり落すときはむしろ公庫のほうがいいのではないか。公庫ではそれを悪用するということは、政府機関でございますし、また農林大臣の監督もございますので、ないということら、こういうふうになったわけでございます。
  271. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それは、一体どこできめたのですか。その当時の農林大臣はそのことは知っておるのですか。施行規則なんていうものは、あなた方がつくって、あと大臣にのませるものではないのですか。もしそういうことがあるならば、農林大臣、あなたは許しますか、省令の責任者として。農地法の精神を逸脱している、自作農創設維持法でさえやらなかったものを、施行規則でこれを破るなんていうことは、許されますか。これは農林大臣のお考えを聞きたい。
  272. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 どうも、ずっと以前のことであったと思いますけれども、その当時は、おそらく農林省内においては、相当これらの議論があって、その結果、これならば無理ではないとか、あるいはこれでいくというような結論の上に立って、かような仕組みができたものだと私は推察をいたします。
  273. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣、この放牧地の担保措置に対する歯どめというものを全然きかないということが、しばしば農林委員会でも問題になっている。おそらく、今度の農地法の問題では問題になりますよ。そんなのんきなものではないのです。公団は悪いことをしないだろうから、これには競落を許してもいいなんというような簡単な考えでやってよろしいと思いますか。これは施行規則でも、施行令でも、省令でも、その他の政令でもはっきり法規に準拠しなければ存在の意味がないのです。  さらにお聞きしますが、その次はどうですか。だんだん今度はいい気になって、別のものになってきているんですよ。この「包括遺贈により法第三条第一項の権利が取得される場合」これをつくった動機をお答え願いたい。
  274. 中野和仁

    中野政府委員 この改正規定は、三十九年に改正したわけでございますが、これは法律の第三条の一項七号によりまして「遺産の分割によりこれらの権利が取得される場合」は、許可は要らないということになっているわけであります。遺産の分割ということが法律にありますのに準じまして、包括遺贈の場合もやはり許可が要らないと、同じように扱っていいのではないかという判断をいたしまして、改正をしたわけでございます。
  275. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これらの規則は、国会の審議を経ていますか、これは経なくてもいい、だろうけれども。この本法と相当にかけ離れたものがあるのですけれども、これをつくる場合は、どういう手続をとっているのですか。
  276. 中野和仁

    中野政府委員 農林大臣の決裁を経て農林省令は出しているわけです。
  277. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 六の筑波学園都市、これは「日本住宅公団が国又は試験研究若しくは教育を行なうことを目的として設立された法人で営利を目的としないものの試験研究又は教育に必要な施設の造成及び譲渡を行なうため当該施設の用に供する農地又は採草放牧地を取得する場合」これは、日本住宅公団がこの施行規則の変更によって取得した農地の反別は、どれくらいありますか。
  278. 中野和仁

    中野政府委員 ちょっといまここに正確な数字を持ち合わせておりませんが、たしか千ヘクタール以内程度だと思っております。
  279. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、この間この委員会で問題になっているのです。大出委員からかなり詳しい質疑がなされていますが、その答弁によりますと二千七百八十ヘクタール、完成したときは四千ヘクタールになる、だろう。施行規則の一項の改正によって何千ヘクタールでも公団が取得できるといったようなことは、一体これは許されますか、農林大臣。あなたの時代ではないだろうけれども、これはだれの時代ですか。場合によっては参考人に来てもらってもいいと思う。
  280. 中野和仁

    中野政府委員 数字を的確に申し上げられませんで申しわけないわけでございますが、この地域につきましては、国全体としまして、先ほどからも申し上げておりますように、国立の学校なりあるいは農林省の試験場というのがそこに移っていく、それの全体の計画が立っております。その地域もきまっておりますので、一括してこの計画が適正であるということによりまして、ここではずしたわけでございます。
  281. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 荒木行政管理庁女官にお聞きしますが、この学国都市ができた場合に、ここに移っていく官庁はどこどこですか。これはあなたの所管だろうと思う。
  282. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 直接には関係を持たないかと思いますが……。
  283. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 総務長官、いかがです。
  284. 床次徳二

    ○床次国務大臣 これは、首都圏整備委員会管理しております。
  285. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは閣議決定をしていますね。そればそれぞれ所得の人があるだろうけれども、それでは首都圏整備委員会ですか。それはどこの所管なんですか。
  286. 谷川寛三

    ○谷川政府委員 かわってお答えいたします。移転いたします機関でございますが、具体的にどういう学校という名前は、私資料を持ってまいっておりませんが、何省の関係がどれくらいあるということだけ申し上げ、御参考に供したいと思います。  移転をいたしますこととしての閣議決定を終わりましたものは、三十六機関でございます。その内訳でございますが、文部省関係が三機関、科学技術庁関係が三機関、農林省関係が十三機関、厚生省が四機関、通産省が十機関、建設省が三機関でございます。都合三十六。具体的な施設の名前は、私資料を持っておりません。
  287. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いま総定員法と称する法案の審議ですからかっこうの場所でございますが、各省の移転について、各省から何か意見が出ているのですか。これは総務長官でもけっこう、行政管理庁長官でもけっこうですが、一体移るのですか、移らぬのですか。いつごろそれができるのですか。一般の民間人が移っていくのじゃないのですよ。官庁が移っていくのです。学校が移っていくのです。それに対して、総務長官も知らず、行政管理庁長官も知らぬというのでは、一体この筑波学園都市ば何なんです。
  288. 床次徳二

    ○床次国務大臣 先ほど申し上げたように首都圏整備委員会が直接担当しておりまして、これは建設大臣がもっぱら中心となっておる次第であります。これは年次計画をつくりまして、前半年度におきまして半分くらいを移転するという計画にななっております。昨日、建設大臣が現地を見てまいりまして、その下準備、受け入れ体制の促進に当たってまいりました。現に移っておるのは、三機関でございます。  なお、その状態の進捗しなかったゆえんは、住宅、道路、下水等の施設がおくれておるためになかなか境実に移りにくいという問題もあったようでありますが、今後積極的にそういう職員の施設というものをまず最初にして、そうして研究所あるいは学校等の移転がしやすいように配意しておるというように承っております。
  289. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはいろいろ係が違うという一つの逃げ口上もありますけれども、とにかく四千ヘクタールの土地が農林大臣の省令に基づく施行規則の改革で従来とれなかった公団がとれるのですから、一つ間違ったらたいへんな事件が起こると思う。一体これらの地価はどれくらいになっているのですか。農林省は、この施行規則さえつくっておけばあとは野となれ山となれ、全然かまわぬということは、私は許されないと思う。そういうことがあるために農地法がある。一体公団はどれだけで農地を取得しているのですか。
  290. 中野和仁

    中野政府委員 住宅公団がどれくらいの値段で取得したかということは、農林省としては把握いたしておりません。
  291. 谷川寛三

    ○谷川政府委員 かわってお答えいたします。  たいへん私も不確かでございますけれども、手元にある資料によりますと、平均買収価格は坪当たり約千五百三十四円、この程度になっておるようでございます。これは農業の補償費も含んでおるように伺っております。
  292. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは学園都市ができたときは、住宅公団との関係はどうなります。いつまでも住宅公団に持たしておくのですか。それともまた移った官庁なり学校なりにこの土地は委譲するのですか。
  293. 中野和仁

    中野政府委員 ちょっと私からお答え申し上げるのもどうかという気もいたしますけれども、われわれこの省令の段階でいろいろ議論しましたときに、住宅公団はその農地を取得し、そこへ施設をつくり、そしてそれぞれの研究機関に売るというふうに聞いております。
  294. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それぞれの研究機関に売るのでしょう。この規定の中には「営利を目的としないもの」ということがはっきり書いてある。取得した価格がわからず、それから売る場合の値段で営利があったかなかったかということは、ほっておいたのじゃわかりませんよ。少なくともこれだけの規定をした以上は、営利を目的としない公団だということは、立証しなければならない。それに対しては、大蔵省も農林省もあまりにルーズじゃないですか。これがもし法律であるならば、われわれは問題にしますよ。省令でかってにやって――かってと言っては悪いが、省令でやれば、こういう抜け道があるのです。そうじゃないですか。閣議決定だけじゃ国会の問題にならない。それがいつの間にか、農地法では非常に制約したのが、施行規則の一項を改正して四千ヘクタールの土地を住宅公団に買わせて、それをまた売らせるのでしょう。営利というものは買ったり売ったりする中に生ずるものであって、それがなければ営利にならない。その場合に、明らかにこの取得する価格、あるいは売るときの価格を押えておかなければ、この改正の精神は死ぬじゃないですか。農林大臣いかがです、あなたの責任です。
  295. 中野和仁

    中野政府委員 ただいまの営利を目的としない法人というのは、われわれが聞いておりますのは学校法人でございます。したがいまして、農家から公団が買いまして学校法人に売る。公団は営利はもちろん目的としないわけでございますから、もうけて売るということはありませんし、ここでのいま先生の御指摘の問題は、買うほうの学校法人という意味で、そういうふうに書いたわけでございます。
  296. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それじゃ学校法人をさすものならば、日本住宅公団がどうしてこれを取得できるのですか。もしも学園都市がこの計画に失敗してだめになった場合には、日本住宅公団が取得した土地はどこへいきますか。
  297. 中野和仁

    中野政府委員 先ほど申し上げましたように、この地域の研究学園都市の建設は、住宅公団が一元的に全部やるというふうになっております。したがいまして、いまお話しのように、これがもしうまくいかなかったというところまでは、当時農林省としては判断をいたさなかったわけでございます。
  298. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは行政管理庁長官、各省間にいろいろ定員の中から移る場合があるということは、しばしばここで答弁されたのですが、これは配転する場合でも、本人の意思に沿わないことはやらぬという言明もございますが、この筑波学園都市に行けということをちゃんと言っても、行かない場合はやっぱりやれないでしょう。そういう場合もあり得るのですが、そうした場合に、一たん取得した日本住宅公団は、いつまでも土地を持っているわけにいかぬでしょう。そうじゃないですか。どうなるんですか、一体。
  299. 中野和仁

    中野政府委員 いま御指摘のように、この事業がかりに途中で挫折するといった場合に、住宅公団が永久に農地を持つということは、問題かと思います。したがいまして、その段階ではどうするかということは、そのときによく検討しなければならないことだと思います。
  300. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そのときに検討するのじゃなくて、このときに検討しなければならぬ。施行規則をつくるときは、それくらいの配慮があってしかるべきなんです。法律論なら、われわれは考えますよ。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 あなた方が幾ら頭がいいか知らぬけれども、省令なんかにあぐらをかいておって、施行規則の一つを変えるのですから、言いなりになるのです。それが出てきた。この危険なんです。困るでしょう。そのときは、実際この規則の改正をしましたときの法律といいますか、基準をもっとはっきりしてもらいたいのですがね。閣議決定といいますけれども、 いつの閣議決定で、どういう根拠に立ってこういう省令改正をやったか。
  301. 中野和仁

    中野政府委員 先ほど申し上げたかと思いますが、三十六年九月一日に筑波学園都市を建設するという基本方針がきまりまして、具体的な場所としましては、三十八年の九月十日に閣議できめているわけであります。そういう決定がございましたあと関係各省からいろいろお話がございまして、住宅公団に一括造成をさせるということでございましたので、こういう例外規定を設けたわけでございますが、ただ、お話のいかなる基準でそういうことをやっておるかという問題でございますが、われわれといたしましては、農地法の精神を逸脱しないといいましょうか、この許可制度にあらためて個々の農地をかけなくてもだいじょうぶだという判断をしたものにつきまして、特別の例外ということで省令で例外をつくっておるわけでございます。法律の一号から八号まで書いてありますような、ああいう条項と全然違いますというようなものにつきましてまでやるということは、省令では許されないことだというふうに思います。
  302. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはまだ問題は残りますが、もう一つ、七に移りましょう。七は「新東京国際空法公団が国の牧畜及びその附帯事業の用に供する施設で新東京国際空港の建設に伴い廃止されるものに代わるべきものの造成及び譲渡を行なうため当該施設の用に供する農地又は採草放牧地を取得する場合」これは最後の七のところですが、これができたいきさつを御答弁願いたい。
  303. 中野和仁

    中野政府委員 昭和四十一年に新国際空港ができるという法律が通りまして、それに基づきます政令で、四十一年十二月十二日に運輸大臣が基本計画を指示されております。空港をつくるということを指示されておるわけであります。それと同時に、その空港の敷地内に三里塚の宮内庁の牧場がございますので、それを移転させる必要がある。その代替地としてどこにつくるかということについて、運輸省なり宮内庁でいろいろ候補地をさがされたようでありますが、それが四十二年の三月ごろに大体きまったようでございます。そういうふうになってきましたと同時に、予算的な面からしますと、四十二年の国の予算の中の国庫債務負担行為で三里塚牧場の代替地、代替牧場をつくるというあの予算が承認されております。それに基づきまして、空港公団の予算の中に代替地牧場の建設というのがあるわけでございますが、そういうことが順次進んでまいりました段階おきまして、運輸省から農林省に、ぜひこの代替地の取得につきましては、空港公団が建設をして、国にといいますか、宮内庁に譲渡をするのだから、農地の許可の除外にしてもらいたいという申し出がございまして、われわれといたしましては、場所が栃木県の高根沢という土地にきまっていることでありますし、大体具体的な場所はきまっておりますので、こういう規定を設けまして許可の除外としたわけであります。
  304. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこに政令、省令というものの危険性があるんです。閣議決定をして運輸大臣にやらせれば変わるでしょう。変わるのが、やはり農地法の内容と相当大きな開きができていますよ。これをいまやってかりにできたとする。栃木県の高根沢の新牧場ができたとする。それはいまのままで、運輸省の命令なりあるいは農林省の意向なりで完成した暁には、新牧場になり得ますか。もうすっかりでき上がっておるんですよ。ちゃんと移りますか、どうですか。
  305. 床次徳二

    ○床次国務大臣 これは宮内庁の御料牧場の移転の件でありまして、大体のことだけ私が知っていることについて申し上げますが、成田新空港ができますときに、先ほど御説明申し上げましたように、三里塚の御料牧場の敷地が新空港に必要だということになったわけであります。代替地が必要でありますために、いろいろさがしたのでありますが、栃木県に代替地として適当なところがあるということになりましたので、ただいまの問題になった三里塚の宮内庁の御料地を国有財産に移しまして、そうしてその国有財産を空港公団に譲りまして、そのかわりに、いわゆる建築交換と申しますか、同じ価値のありますものでもって栃木県に必要な施設をいたしまして、そうしてこれを宮内庁に譲渡するという形であります。すでにその手続を了承しまして、予算的には先ほど申しましたように債務負担行為の二十二億というものができておりますが、工事が進捗いたしまして、そうして現在ほとんどできかかっていると私は見ておりますが、ことしの八月にはこれが完成するわけであります。そうして完成の際におきまして所有権を移すわけでありますが、その契約は、この年度三月三十一日に譲渡契約を締結いたしまして、いよいよ完成した暁におきましては、所有権の移転を行なうという形になっている次第であります。ただいまのお話の農地法の処置は、この新しい栃木県の土地を取得するにつきましての措置でございまして、特に規定を設けまして、いわゆる御料地からさらに新しい御料地を取得するための手続になっておる。品目から申しますと、やはり農耕地、山林を取得いたしまして、そして新しく草牧地並びに圃場をつくっておる次第であります。
  306. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 まだ私の質問の答えにはならないのですが、これは荒木長官、特にお聞き願いたいのです。省令によって――省令の改正を行なった、新しい第七号をつけ加えた、約二十二億の予算もつけて新牧場の工事を始めた。いつの間にか旧牧場は、いま総務長官のお話では、大蔵省に移ったそうでございますが、完成した暁に、省令だけでこれは移れますか。省令だけで交換できますか。できないでしょう。どうですか。
  307. 床次徳二

    ○床次国務大臣 これは別途御審議をいただいております宮内庁設置法で御料牧場に関する設置法の改正がありまして、それによりまして新しく設置がきまってくる。同時に所有権のほうも、先ほど申しましたように、契約をいたしましたので、完成の時期に所有権を移管するという形になります。
  308. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこなんです。最初にやはり法律ができなければだめなんです。法律が通る前に予算もつけて、施行規則まで改正して、そして事実を先行させていって、しゃにむに法律を押し通そうというようなことは、これは一体民主主義ですか。議会政治ですか。明らかに議会軽視じゃないですか。本委員会でやっている宮内庁設置法は、まだ上がっておりません。上がるものときめてしまってかかるところに、このやり方の間違いがある。もしこれをわれわれが上げなかったならば、この土地は宙に迷うんですよ。どうです。
  309. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいまの問題は、すでに二十二億の債務負担行為を国会においてお認めいただいておる。したがって、今後そういう措置でもって、いわゆる宮内庁が持っております三里塚から新しいところに移るということは、御了承いただいておる。方針につきましては、すでに国会においても十分御審議ただいておる。今日におきましては、その手続的のものを完成するに従いまして実施いたしておるわけであります。今回の宮内庁の設置法の改正によりまして、はっきりとした受け入れ態勢ができ上がる、かように考えられます。
  310. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは総務長官のことばとも思えないですな。宮内庁設置法案の審議をする権限は、本委員会にあるのですよ。あとの支度は全部でき上がったから、これを無理やり通せとおっしゃるのですか。省令もちゃんとこのとおり改正をした。予算もつけたし、土地もでき上がったから、法案の審議に対してどういう異議があろうが、こういう事実先行の前にこの法案はぜひ通せとおっしゃるのですか。
  311. 床次徳二

    ○床次国務大臣 すでに申し上げましたように、この御料牧場の移転につきましては、二十二億の債務負担行為をいたしますときにおはかりをして、こういう経過でもって動くということにつきましては、すでに御審議願っておるわけであります。その方針に従いまして、今日手続を進行しておるわけであります。もとより国会の御権限ではありますが、しかし、その内容であります方針は、あらかじめすでに御了承になっておる。その御了承いただきました方針に従って、手続を進めておるというふうに考えております。
  312. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは予算を御承認し、債務負担行為を承認したとしても、関係法律一つでも上がらない限りは、できないのが法治国の常識じゃないですか。予算が通ったって、法律ができなければ予算の執行もできない。それは、農場はできるでしょう、新牧場はできるでしょう。これを宮内庁に移すわけにいかぬのじゃないですか。もしそれができるならば、われわれはこの法案の審議はやめますよ。宮内庁設置法案の審議をやめてよろしいか。
  313. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ちょっと議論が食い違っておるようでありますが、私は、宮内庁の関係といたしましては、宮内庁設置法を今日御審議をいただいておりますので、この御審議をお進め願えますならば、予定どおりこれは全部が完了する。ただ、先ほど来御意見がありましたことは、農地法の問題であると思っております。この点は、別個の問題として、私の申し上げる範囲ではないと思います。宮内庁関係のものにつきましては、先ほどの手続によりまして、全部農地その他の権利の移転等につきましては、手続上終わりまして、進行しておるわけであります。
  314. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 宮内庁設置法案に出てくる問題は、農地の問題なんです。しかもその農地の問題は、「その他省令で定める場合」という短い一号をてこにして、七つまでこういう重大な問題を施行規則の改正でやっているのですよ。あと幾つつくっておしまいだという歯どめはないでしょう。いろいろなことができるたびごとに「その他省令で定める場合」といったら、百も二百もできるじゃありませんか。現に法律よりも長い施行規則ができますよ。どこが一体歯どめになりますか。省令というものはこういうものなんです。それならば、われわれは一体宮内庁設置法案をここで審議をしなかったならば、あなたのおっしゃるように、すでにきまっておりますと言っておるのですが、このできた新牧場はどうなりますか。これはさっきの学園都市と同じことになりますね。空港公団がいつまでもこれを所有しておるのですか。
  315. 谷川寛三

    ○谷川政府委員 取得いたしました新牧場予定地は、これは国会で成立をさせていただきました特別会計の所有に属しております。
  316. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そんなことを聞いておるのじゃないのですよ。新空港をつくる公団ですね。この公団が施行規則の改正第七号によって、あそこの農地を取得しておるわけでしょう。公団のものなんでしょう。これを宮内庁の新牧場にするという制限があって、持っておる。その宮内庁の新牧場にするためには、宮内庁設置法案を通さなければだめなんです。通る通らないをちゃんと見定めてしまって、どうせ通るものと甘く見て、さっさと仕事をなさった、予算をつけた。もしも法律が通らなかった場合は、この処置はどうなるかという問題です。通るものときめてかかることは、国会軽視なんです。通るか通らぬかわからないから、法律の成立を待ってやるのがほんとうじゃないですか。
  317. 床次徳二

    ○床次国務大臣 設置法によりまして、宮内庁といたしましては、正式に御料牧場が決定するわけでございます。したがって、ただいまの諸手続は全部済んでおりますので、最後的に申しまして、やはり宮内庁設置法を御審議ただく。したがって、御審議に対して、ひとつ皆さま方の御協力をいただいて、なるべく早く進行してもらいたいと思っておる次第でございます。あとは、所有権移転につきましては、先ほど来申し上げましたように、契約をいたしておりまして、それが完成いたしましたならば、所有権を移転するということになっております。あと設置法だけの問題であります。まことに恐縮でございますが、お急ぎをいただいて、円満にそれが実現されますようにお願いいたしたいと思います。
  318. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 「だけ」とは一体何ですか。設置法案が基礎になってやった仕事なんでしょう。そのために、農地法の施行規則を改正したのでしょう。仕事も進んでおるのでしょう。仕事をやってしまえば、法律などはどうにでもなるといった甘い考えがあなたにある。これは総務長官、怠慢です。そういう精神があるから、今度の総定員法の国会の審議権を奪って、成立に移そうというのです。これがそもそも政治姿勢として正しくない。あくまでも関係法律案を全部整えて、その上で着手し、予算をつけるのが、ほんとうじゃないですか。もしくは予算をつけても、関係法律案が通るまでは、着工、施工は手をつけないのが正しい常識じゃないですか。どんどん進行させてしまって、あと法律一つです、こんなばかな審議がありますか。
  319. 野本松彦

    ○野本説明員 宮内庁法のことについて、事務的に御説明いたします。(「あなたはだれだ」と呼ぶ者あり)宮内庁の参事官の野本でございます。(「宮内庁が何を言う」と呼び、その他発言する者あり)お答えする前に……。
  320. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 静粛に願います。
  321. 野本松彦

    ○野本説明員 宮内庁の牧場は、付属機関ということで、法律に、宮内庁法にその名称、所在地を定めるということになっておりまして、新牧場の建設については、これは先ほど大臣その他の方々から御説明いたしましたように、予算を御承認願って、空港公団法等の規定によって準備行為をしておるのでありまして、宮内庁法の改正は、そのすべてが準備ができましたときに、その宮内庁法の改正の御審議を願って、正式に移るということについてお願いするということでございます。
  322. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もしそういう考え方でなされたならば、私は根本的に間違いだと思うのです。形式的に移るのだ。形式的に移らなければならないのですよ。そのための法律案なんです。その形式のうしろには、国会の審議がちゃんと予定されてある。ですから、これがもしどうでもいいならば、ほんとうに私たちの審議をやめますよ、宮内庁のこの法案が通っても通らなくても、既成事実ですからどんどん移ってしまうということならば、これはもう憲政はおしまいですね。やめます。もしこれが通らなかった場合は、公団が持っているその土地はどう始末をするかという問題です、通らない場合は。
  323. 野本松彦

    ○野本説明員 法律が通らなければ、もちろん御料牧場を移転することはできない問題でございます。これは宮内庁としては申し上げ得ますが、そのあとの御質問については、ちょっと私から申し上げるのもそぐわないと思いますので、前段だけお答えいたします。
  324. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 完成した暁には宮内庁設置法の一部改正が必要であることはわかっているのですから、完成する前にこの法案を出すべきなんです。これを出しておって、この法律案を通さして、形式的に整えた上で仕事を進行するのがほんとうです。この法案が通る前に、ちゃんと牧場はできているじゃないですか。建物もできているじゃないですか。公団は、これをどう始末をするのです。
  325. 野本松彦

    ○野本説明員 法律に名称、場所等を明記するということにつきましては、従来各省とも宮内庁法の場合と同じようなことで、でき上がって移るというときに、公に周知させるために法律改正を最後に審議していただくということでございます。   〔発言する者多し〕
  326. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 御静粛に願います。
  327. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現実に宮内庁設置法の一部改正は通ってないのですよ。通ってないのですよ。現実に。これが通るものと頭からきめてかかるのがおかしいじゃないか。まだろくに審議してない。これだけ質問やったばかりです。
  328. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいまの問題は、先ほど申し上げましたが、この移転計画を実行いたしました場合に、計画の大綱というものにつきまして御説明を申し上げて、そういう結果、二十二億の債務負担行為が御決議をいただいておるわけであります。そのときに御了承いただいてきたもの、その順序に従って手続を踏んでまいった。最後的には、それができ上がりますものですから、いよいよ手続的に正式に宮内庁の御料牧場としてこれを認めるという段階になっておるのであります。したがって、皆さま方の御審議をお願いしている。できるだけすみやかに御審議をくださらんことを宮内庁としてはお願いを申し上げる次第であります。
  329. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 事実を先行さしておいて、あとこの法律一つだから、これも早く通してくれということは、これは総務長官の言うことですか。判こだったらどうしますか。九十九まで判こがそろったから、おまえ一人、いやでも押せということ、一体そんなことができますか。最後の一つの判こをとって、初めて契約が成り立つでしょう。これは総務長官の言うこととも聞こえない。あなたがそういう考えならば、私はさらに総理でも来てもらうよりしようがない。
  330. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいま申し上げましたように、この問題はすでに債務負担行為を四十二年にいたしましたときに御承認をいただいた結果で、今日のように毎年毎年予算を組みながら進行しておったわけでありまして、今日まで、建物の建築交換ということばを使っておりますが、こういう種類の取り扱いは全部この方式によって行なっておるわけでありまして、いまの最後の設置法段階になって実は違うのだということになりましては、これはなかなか困るわけでありますから、この点はいままでの事情を十分御存じをいただき、御検討いただきまして、そうしてこの設置法をきめていただきますならば、予定どおり進むわけでありまして、この点は皆さま方の御審議にまつわけであります。
  331. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いままでにこういうことが大手を振って通っていたことが、間違っているのです。法案の審議が終わる前に、さっさと予算をつけてしまって、あとはもう形式的に法律を通せばいいのだ、宮内庁設置法だけに、そういう態度は私は許されないと思う。現実に、この法案が通らなければ、これは移転できないでしょう。できるならばやってごらんなさい。できなかった場合に、いままでやった仕事はどうなるのです。空港公団が、いつまでもあの御料牧場の敷地を持っておれますか。農地局どうです。
  332. 中野和仁

    中野政府委員 農地局にお尋ねでありますが、これは先ほど研究学園のときにも私は申し上げましたように、もしそういうことがかりにありますれば、そのときに、空港公団というのは本来耕作者でございませんので、農地を持つことはよろしくないと思います。そのときに考えなければならぬことだと思います。
  333. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 持つことが悪かったら、どこへやるのですか。そのときなんという考えではしようがないですよ。そんなことをやるから、こんな改正をやるのですよ。だから、こんなかってな省令改正をやるのです。今度、政令とはそういうようなあぶないものを持っているから、私は言うのです。具体的な例はこうなんです。一体どうなさる。   〔「いいことをやるのだったら、どっちが先行したってかまわない」「そんなことはない」と呼び、その他発言する者多し〕
  334. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 静粛に願います。
  335. 床次徳二

    ○床次国務大臣 今日の土地の問題につきまして、すでに申し上げましたように、三里塚の代替地としての栃木県の土地を買っておるわけで、その手続につきましては、すでに農地法の規定によりましてこれが行なわれておる。いま先生方のほうにおきまして、この農地法によりますところの取得かどうかという御疑念のようでありますが、私どもは、この農地の取得は法律として適法な処置ができてまいったと考えておるわけであります。しかし、最後の設置法ができないという場合におきましては、これはやはり宮内庁といたしましては御料牧場を改正することができなくなります。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、今日までの経過ということを御了解いただきまして、ひとつ円満にこの新しい宮内庁御料牧場ができますように、設置法の御審議を願いたいと思うわけであります。しかし、審議ができなければ、それまでの間やはり途中で仕事がとまっておるということになるわけです。そういう過去の事情がずっとありますので、設置法の御審議をいただきたいということでありまして、むしろ問題は農地法の適用いかんという問題にあったのではないかと思いますが、その事情はひとつよろしくおわかりをいただきたいものと思います。
  336. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうもわからぬですな、総務長官の言うことは。私は、その設置法案だけ言うのじゃないのですよ。その前の六号の項目が、すでに学園都市で同じ失敗を繰り返しているのです。もし、あなた方の計画したとおり、学校、役所が移らなければ、これまた日本住宅公団がもてあますことになっちゃう。省令が先行するとこうなるということを、私は言っているのです。単に日本住宅公団あるいは空港公団ばかりじゃない。つまり国会の審議というものを軽視した場合は、こういうふうな欠点が生じ、こういうふうな誤りが生ずるのだということを言っておるのです。われわれは、何も宮内庁設置法案を審議しないとは言っていませんよ。あなた方が、審議してもしなくても、これは当然通るもんだという態度をとるから言うのだ。法律案が通らなければ、あとのことはできないでしょう。詰まってしまうでしょう。詰まってしまうことを予想しないで、それじゃこの省令の改正をやったのですか。省令を先につくるということは、明らかに誤りじゃないですか。どんどん国家の金を動かしておる。最後になると、やはり法律が隘路になって動きがとれないじゃないですか。そんなことは一体どうなるのです。これは農地法からいって、空港公団がどうしますか、日本住宅公団がどうしますか。
  337. 床次徳二

    ○床次国務大臣 宮内庁の御料牧場に関する限りは、今日までの農地法の手続等によりまして、すでにごらんをいただいた方もおありかと思いますが、ほとんどもう完成しておりまして、少なくとも八月十五日と予定しておりますが、この際におきましては全部完成して、秋までにおきましては大体完全な完成を見るという状態であります。この点は、他の研究都市その他と違っておりまして、宮内庁関係の御料牧場は、関係各方面の非常な御協力によりまして、円満に今日までの仕事を進めてまいっておる次第でございます。したがって、あと設置法の御審議を願うという状態になっておるということを申し上げます。これは他の場合とは著しくその実績において違っておるということを、あらためて申し上げて、お願いしたいと思います。
  338. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、宮内庁の関係はそうでしょうけれども、三里塚の下総牧場をこわしてしまうのは、国際空港をつくるためでしょう。これには大きな抵抗があることは、御承知でしょう。どっちがいいとか悪いとか言いませんよ。したがって、あの空港ができるかできないかは、まだ非常にペンディングな要素が多い。その場合に、一方ではどんどん進んでしまったんだ。宮内庁のほうにも、この間宇佐美さんの言うことを聞きましたら、いやでいやでしようがない゜のですがと言っておる。私も現地を見てきましたけれども、決して完全な牧場じゃありません。機会があったら申し上げます。ただ、そういうことを、国会の審議も尽くさず、法案もつくらないで、どんどん省令で先行させることが、私は間違いだと思っている。これは間違いですか、間違いでないですか。いまになったらどうにもしようがないでしょう。これはどうですか。――宮内庁の問題じゃないですよ。農地法の問題であり、省令の問題なんですよ。私の言っているのは、宮内庁の問題に固定しているのではないのです。
  339. 中野和仁

    中野政府委員 農地法といまの問題との関連につきましては、先ほど申し上げましたように、あるいは総務長官のほうからお答えがございましたように、国の予算としてきめ、公団の予算として代替地を造成する予算を組みまして決定をいたし、そういうことを決定いたしました段階で、空港公団が農地を取得することはできませんので、その例外として農地法の省令を直してもらいたいという申し出もございましたし、それに基づきまして、こういうことをやりましても農地法の三条の運用としては間違いでないというふうにわれわれ判断いたしまして、そういう例外を設けたわけであります。
  340. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこが悪いのです。政令ではそういうことになるから、私たち悪いと言っておるのです。そのために総定員法にも反対しておるのです。それができたために、こういう間違いになっておるのです。この施行規則の改正が間違いなんです。しかも歯どめがないから幾つできるかわからぬですよ。どこかから頼まれれば、すぐできるでしょう。例外規定を幾つつくるつもりですか。全部その他その他でやってしまうのですか。だから、農地法はざる法だと言っておるのです。施行規則のこの例外規定でざるになってしまっておるのです。それを認めますか、認めませんか。
  341. 中野和仁

    中野政府委員 ただいまも申し上げましたように、また総務長官からお答えのように、こういう予算措置その他で現在事業が進んでおるわけでございます。その段階で、空港公団が農地の取得ができませんので、それをできるようにいたしましたけれども、それはいま先生御指摘のように、省令が法律を逸脱しておるのではないかというようなお話でございますけれども、少なくとも農地法の三条の一号から八号に準ずるような、農地法の根本にもとらないような省令改正だと、われわれ判断いたしましてやったわけでございます。
  342. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 われわれとしては、これは間違いだと思う。省令というものは、国会の審議は必要としないでしょう。国会の審議を必要としない省令が、かってに先行してはこうなるということをわれわれ言っておるのですよ。それはあなたの判断だから、われわれはそういうことは納得できない。それでは万一宮内庁設置法案が通らなかった場合に、農地法からいって、空港公団の持っている土地はどう処分されます。新しい省令をまたつくりますか。
  343. 中野和仁

    中野政府委員 本件につきましては、先ほども私お答え申し上げましたように、現在まだ政府のほうでは、空港公団が代替牧場をつくっているわけでございます。いま直ちに、もし万一そんなときにどうするかというところまで具体的なことについては、農林省としては考えられないと思います。その牧場が有効に利用される方向というものも考えなければならないと思いますけれども、具体案としてはいま持っておりません。
  344. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたは答弁の責任者らしいからお聞きしますけれども、この第七号を改正した場合、将来これを生かすためには宮内庁設置法案が国会を通ることが必要だということを考えておりましたか。これは考えてやった規定ですか。
  345. 中野和仁

    中野政府委員 先ほども申し上げましたように、最終的には宮内庁の設置法でそこに代替地である高根沢の牧場ができるということを考えておりました。
  346. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一体、法案の審議というのは、どこで審議するのです。あなた方が審議するのじゃないでしょう。法律が通るだろうという仮定のもとに、これはやったのですな。自分たちが審議もしない法案が、あらかじめ通ることを予想して、そうしてこの省令の改正までやるというのは、少し行き過ぎじゃないですか。そんな調子でいくならば、とても今度の法案はこのままじゃ通りません。みんなやりますよ。現実にはまだこのとおり通っていない。通っていないのに、もう新牧場は一できる。万一通らなかったら、一体これはあなた、どうするのです。法律があることを知っておってこんな改正をやった、その責任は、一体どうなるのです。
  347. 中野和仁

    中野政府委員 繰り返すようで恐縮でございますけれども、この省令を改正いたしましたのは、四十二年九月でございます。そのときまでに予算措置その他ができておりましたので、そういう方向で国の方針としてやっておりましたので、この省令を改正したわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、万一という場合どうするかといわれました場合には、やはりそのときの段階で、空港公団が牧場を持つことは好ましいことではございませんので、その牧場が有効に使われるかどうか、これは農地局の判断としてよりも、国としての判断ではないかと思います。
  348. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いまのように、この省令の改正には、非常に大きな不安もあるし、間違いもある。今後一体その他の条項の改正はどういう手続を踏まれますか。やはり省令でどんどん変えていきますか。
  349. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 予算というものが先行して設置法あとになったから、それは先に設置法を通しておいて、後に予算というものをつけるべきだという御意見ですか。
  350. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうです。
  351. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 いままでの国の私が携わってきた例からいきましても、予算審議というものが先行して、その予算というものが皆さん方の審議によって通過した場合に、初めてそれが実施をするという、それが今日までのあり方のように考えられます。毎年そのように実はやってきております。しかし、御指摘の点につきましては、もしこの設置法が通らなかったというような事態があるとするならば、その時点において良識のある判断の上に立った処置をするよりやむを得ないと思います。
  352. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣……
  353. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 委員長……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)
  354. 藤田義光

    藤田委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)……ます。   〔議場騒然〕
  355. 藤田義光

    藤田委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)  本日は、これにて散会します。    午後七時四十二分散会      ――――◇―――――