運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-03-20 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君    理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君       井出一太郎君    小渕 恵三君       菊池 義郎君    野呂 恭一君       葉梨 信行君    松澤 雄藏君       三池  信君   三ツ林弥太郎君       木原  実君    華山 親義君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         行政管理政務次         官       熊谷 義雄君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 三月十九日  委員鈴切康雄辞任につき、その補欠として山  田太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員山田太郎辞任につき、その補欠として鈴  切康雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機関職員定員に関する法律案内閣提  出第一号)  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六号)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  行政機関職員定員に関する法律案及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案、両案を議題とし、審査を進めます。     ―――――――――――――
  3. 藤田義光

    藤田委員長 まず、趣旨説明を求めます。荒木行政管理庁長官
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいま議題となりました行政機関職員定員に関する法律案得案理由及び概要を御説明申し上げます。  行政簡素化能率化を推進し、必要最少限度の人員で行政を遂行するためには、行政需要の消長に伴う定員配置転換を各省庁内はもとより、各省庁間を通じて強力に行なう必要がありますが、このほうには各省庁別定員を法定している現行の法制を改め、弾力的、合理的な定員管理制度を実現することがぜひとも必要でありますので、この法律案を提出した次第であります。  法律案概要について御説明申し上げますと、まず、公務員数の抑制をはかるため、内閣機関並びにに総理及び各省を通ずる定員総数最高限度を法定いたしますとともに、これらの機関別定員政令で定めることとし、定員配置を合理的、弾力的に行なおうとするものであります。なお、大臣政務次官等及び自衛官定員は、現行どおり別途法律で明らかにすることとし、また、五現業の定員現行どおり政令で定めることとして、いずれも定員総数最高限度の対象には含めないこととしております。  以上の制度改正に伴い、各省庁設置法等につき所要の改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。  続きまして、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府は、アジア諸国の要請に応じて同地域諸国における統計改善発達をはかるため、かねてより国際連合及び関係諸国協力して統計に関する研修機関日本国設置するための準備を進めてまいりましたが、本年一月に至り、国際連合開発計画においてこの事業に援助することを決定し、近く同研修機関設置が実現する運びとなりました。つましては、同研修機関において行なわれる研修実施に関する協力事務行政管理庁所掌事務とする必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。  法律案概要を御説明申し上げますと、右の研修機関において行なわれる研修実施に関する協力を行なうことを行政管理庁所掌事務に追加しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 藤田義光

    藤田委員長 質疑の申し出がありますので、この際これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 たいへんお忙しいところを保利官房長官以下お集まりいただきましてまことに恐縮なんですが、たいへん時間がないというお話ばかりでございますから、要点をとりあえず幾つか承りたいのですけれども、昨年のこの委員会におきまして、当時の木村長官から何回か発言がございました。私は、人事院勧告というものはその代償機関的性格からいいまして完全実施をすることがあたりまえだと考えているのでありますけれども木村さんが答弁をされております何回かの御発言は、一貫して公務員給与考える場合にそのうらはら関係としてどうしても政府行政機構改善なり定員なりということを考えざるを得ないのだということを、つまりうらはら関係なんだということを再三強調され続けてきているわけです。この筋はいまでも変わっていないと私は思うのでありますが、保利官房長官からひとつ――かって私が保利さんにお目かかったときに、頭と金とは一緒だよとおっしゃっておられましたが、そこのところをどうお考えか、伺っておきたいわけです。
  7. 保利茂

    保利国務大臣 木村長官がどういうお話をされておりますか、私はつまびらかに承知いたしておりませんけれども、いまお話しのような趣意であるとするならばそれはそういう考え方も十分値聴に値する、またそう考えていくべきであろうと思いますけれども、しかし職員処遇については人事院制度が持たれ、勧告制度が持たれております。それによってとにかく公務員処遇というものを、いろいろ別の関連はそうやかましく言わないでも、それはそれなりでやっぱり処置していくべきであろう、私はそう考えます。
  8. 大出俊

    大出委員 どうも保利官房長官、第一回目の官房長官をおやりになったのが昭和二十七年ごろですけれども、私が当時官公労の事務局長で、何を言ってもあなたは一言もものを言わない。最近はよく話をするようになったという定評があるのですけれども、なかなかいまの答弁なるものは、二十七年ごろに振り返ってみてまことにみごとなことをおっしゃると思っているのですけれども定員法を何とか通さなければとお考えのときは給与定員というのはうらはらだ、金を出せといえば定員だとおっしゃのですけれども、今度は逆にこの席では金の話が出てきそうだというお考えで前に言っていることと少し別なことをおっしゃる。だとすれば、人事院勧告というのは二十七年ごろから大きな問題で、完全実施と言ってきたのですけれども、まだ完全実施されてないのですから、いまの長官お話からすれば、当然もう完全実施されておらなければならぬと思うのですけれどもそこらはどうですか。
  9. 保利茂

    保利国務大臣 人事院勧告扱い方につきましては今日までの事例のあと、これはもう賢明な大出さんに何をか申さんやでありますけれども、いかに努力をしてきているかというあとが、ずっと一覧しましてゼロから始まってそしてとにかく完全実施へいま一息というところまでやってきておる。とにかく歴代政府が非常に困難な中にも人事院勧告を大事に扱ってきておるという証拠である、私はそういう評価をしております。
  10. 大出俊

    大出委員 昨年長官は私に、とは言いながらも昭和二十七、八年ごろから見れば大出君ずいぶんよくなったじゃないか、こうおっしゃるから、さっぱりよくはならぬと言ったら、何でそんなひどいことを言うのだと言うから、相変わらず完全実施完全実施と言って、大体完全実施闘争なんというものはあるべきじゃない、あたりまえのことなんだから、一つもそこのところは変わらないじゃないかと私申し上げたのですが、いま長官のおっしゃる一つの点、つまりいま一歩のところに来ておるという点は全く同感なんです。だからそのあと一歩をここで片をつけなければならぬ。  そこで、本日私ここで質問を申し上げる趣旨を明らかにしておきたいのでありますが、理事懇談会理事会等を通じまして定員法提案理由説明を承るということについての前提条件として基本的な問題を明らかにしておく必要があるということで質問を申し上げておるわけなんですが、そこで定員法の問題をめぐっていろいろこの委員会理事会でやってまいりましたけれども、昨年この国会が七月修正をやったというそのいきさつの中で、来年はどうするんだという問題が何回かやりとりされておりますが、私どもは、つまり来年は完全実施をすべきもの、こういう理解でいろいろやってきておるのですが、どうも四十四年度予算をながめてみますと、そうではない。しらばくれていると言っては悪いが、何で一体七月という予算をお組みになったか、その辺の理由が私はわからぬのですが、官房長官どうお考えですか。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 昨年四党の間でいろいろ話が持たれ、そして完全実施趣旨を尊重して国会修正して、一ヵ月繰り上げて七月実施をしている。あなたのおっしゃるように、それは何の文句なしの一円の値引きなしに完全実施だということで大体四党の間でそう了解があったとは私は聞いておらぬのです。大体それとはむしろ逆に聞いておりますが、しかしとにかく昨年の間に取りかわされた趣旨等も十分考えて、そうして関係大臣に御相談になって、とにかく政府基本方針であります完全実施への方向をもって最善努力を払われたというように私は了解をいたしております。
  12. 大出俊

    大出委員 率直なところを言っていただけばいいのです。長官がどうお答えになっても、それが真意であればかまいません。それなりに私ども考えているのです。  そこで念のために申し上げておきますが、田中さんここにお見えになっておりませんが、前総務長官田中龍夫さんはいま内閣委員会委員をやっておられますが、その前で申し上げたいのですがきょうおいでになっていない。本来なら、いなければいけない。田中総務長官が昨年つまり四十三年十一月十二日にこの委員会お答えになっておる議事録がここにあります。私が田中総務長官に、人事院勧告完全実施をするのだということについては七人委員会意見が一致したということで新聞発表が行なわれておる、この十二日というのは閣議が終わって七人委員会をおやりになって、そうして長官はここにおいでになった。そこで七人委員会はそこのところはどうなんだということで私念を押した。新聞には、給与に関する七人委員会で来年は完全実施をするということを申し合わせた、こう新聞に載っておった。そこの真意を私は尋ねた。ところがこれに対しては、田中総務長官の答えは、そのまま読みますが、これは七人委員会で、この開会の冒頭に私から、この関係閣僚でまずもって完全実施ということをきめていかなければ話が進まないじゃないか、それが前提になって初めてあとは技術的にどう解決するかという問題になるのだから、大前提としてこのことだけはお互いがひとつはっきりしようということできめてまいりました、こういう答弁をしているわけです。大前提として来年は完全実施をするということをきめてきた、こういうふうに田中総務長官はここで答弁をされている。私は議事録どおり読んだ。これは昨年の十一月十二日のことでございます。内閣改造後に七人委員会では来年の人事院勧告扱いをきめてしまうということで進められていたわけでありますから、これは新聞にも発表されている。そこで、これを前提にして、さて完全実施は申し合わせたのだから制度的にこれをどういうふうに進めていくかということがその後の論議になって今日に致っているわけです。  ここで、このあと論議の中で、これは人事院総裁にも承っておかなければなりませんが、七人委員会大前提として来年完全実施をするということをきめた。だから人事院にも予備勧告制度その他について協力を求めたい。ここまできめたのだから乗ってくれてもいいじゃないかという話が人事院にあった。そこで、人事院も持ち帰っていろいろ御相談をなさって、これは総裁に私は当時質問申し上げましたが、政府が来年は七人委員会完全実施をするのだということをきめた、そして人事院に制度的に改正をしたいので予備勧告制度に乗れとおっしゃる、そこまで御配慮をいただいたのだからということで、しからば乗りましょうという態度に人事院はなったのだ、こうお答えになっている。まず人事院総裁のほうから、この経緯について、私は総裁に御質問申し上げてそういう答弁をいただいている、しかと間違いがないかどうかを承っておきたい。
  13. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまお述べになった段階では私はそのとおりだと思います。
  14. 大出俊

    大出委員 保利長官どうですか。こういう経過が明確にあるので、この筋を離れて昨年末の七月云々をめぐるやりとりの中で論議していたのじゃない。  一つひっかかりますのは、これはたいしたことではありませんが、あなたは四党国対委員長会談お話し合いというのはむしろ逆ではないかとさえ思っているということをおっしゃった。その逆ではないかというのは、この経緯がありますだけにいささか受け取りにくいのですけれども、この経緯の上に立ってものを考えれば逆になることはない。もっと前に進めろという話はあっても、うしろに戻れという話はないはずだ。そこのところを含めてもう一ぺん、この経緯が明確なんですから、先ほどの御答弁とどうもいささか食い違いがある、明らかにしていただきたい。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 いま、人事院総裁も大体あなたのおっしゃるようなことを了解されておるようであります。私も考えてみますとそうだろうと思うのであります。それで大体十一月の十二日といいますると予算編成期も目前にしておる。したがって、四十四年度の予算編成に臨む給与担当関係者としてどうすべきであるかということを相談されたと思います。したがって、前総務長官がそういう御発言をされておることはもっともだと思います。そういうことで予算編成ではみなそれに目標を置いて努力を払われたということでございましょうと思います。その点はそう御理解いただいてよかろうと思います。
  16. 大出俊

    大出委員 よく考えてみるとという前提があっていま御発言になりましたが、さっきもああいうふうに簡単に言ったけれども経緯を振り返ってみるとそういうふうに思う、こう肯定をされておりますので、それはそれでよろしいわけでございますが、となりますと、予算編成に当たっていろいろな努力をされたが現在四十四年度予算に計上されている給与に関する予算しか結果的に組めなっかた、こういうことになるのか、やがてまた人事院勧告が出てくるわけでありますけれども、そこでいささかの配慮がおありの上での予算内容になっているのか、そこらのところを多少言いにくい点もございましょうけれどもお聞かせいただきたい。
  17. 保利茂

    保利国務大臣 これは主として、主管者であられる総務長官財政を預かる大蔵大臣との間で非常に熱心に取り組まれておったことはよく承知いたしておるわけであります。したがって、両大臣に非常に苦労されて積み上げられたものだと思っておるわけでから、その辺のところはひとつ両大臣からお聞き取りをいただきたいと思います。
  18. 大出俊

    大出委員 保利長官理事会等では、そう総理もお忙しいのに出てこいというわけにもまいらぬ。この委員会総理府所管委員会でございますから、会期のうちに大体一回ないし二回おいでいただいておりますけれども、まだその段階でない。定員法実質審議に入りました場合にはお出かけいただくつもりでおりますが、そういうわけできょうはひとつ総理のかわりにお出かけいただいておるという認識をいたしておりますから、お忙しいのはわかっておりますが、少し時間をいただいて聞いておいていただきたい。  そういうことで大蔵省並びに総務長官に承りたいのですが、まずもって総務長官に、この四十四年度予算、いま審議中でございますが、この中身、一体完全実施という、さっき私が議事録を読み上げましたことと対比をいたしましてどういうことになっておるというふうにお考えでございますか。
  19. 床次徳二

    床次国務大臣 昨年の臨時国会におきまして給与の問題が処理せられました。その際におきましても人事院勧告完全実施につきましていろいろと御意見を承ったのでありまして、あのときの経過につきましては申すまでもないのであります一が、特に給与の問題の採決の際におきましては、委員会附帯決議でありまして完全実施をするように努力しろという御意見が出ました。私もその将来の完全実施に対しまして最善努力をするという御答弁を申し上げておる次第でございます。その方針を貫きまして予算編成に当たっておるわけであります。したがって今度の予算編成におきましても――従来の予算編成に対しましてはある意味改善を加えた。四十三年度におきましては予備費にある程度までの財源を組み込んでおりましたのを、四十四年度におきましては給与費におきまして五%分、七月からという形になっておりますが、これは四十三年度分と同じ形において計上し、なお残余分予備費でもって計上しておるわけであります。したがって、しかしそれだからといって七月から実施するという意味においての予算ではないと私は考えておるのでありまして、四十四年度の実施につきましては、いずれ人事院勧告が出てまいると思うのでありますが、その人事院勧告が出ました際におきまして最善努力をいたしたい、かような意味において私どもは処理いたしたいという考えであります。
  20. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁の中で一点ポイントがございますが、それは七月実施という予算ではないというお話がいまございました。私も実はそう思っておる一人であります。この点はまさに意見は一致であります。ただその際完全実施ができるのかどうかという、つまりこれは人事院勧告の幅にもよりましょう、よりましょうが、政府予算委員会等におきまして物価上昇等について五%という一つのめどをお持ちになっておる。昨年は四・八%でございましたが、まあげたをはいて昨年来きておるのだというようなことで、だいぶ苦しい答弁ではありましたが、結果的には昨年は五・四%になっておる。そうするとことし五%、こういうお話なんですが、げたばき論等もいろいろ検討した結果でして、どうも国鉄運賃を上げなければいいのですけれども、向こうのほうはがちやんというのが出てくるという話でございまして、どうしても皆さんはこれを上げちゃおうということです。だから、ここで物価をほんとうに押えようということになるとすれば、あるいは五%というのは苦しかろうということになるかもしれぬ。しかしどうも、中山伊知郎さんが物価安定推進会議責任者の立場で、ついこの間、もう小理屈は言わぬ、当面物価についてやらなければならぬことは二つしかない、一つ国鉄運賃を上げないこと、一つは両米価を据え置くこと、この二つだけだ、ほかにない、こう言い切っておられるやさきに皆さんのほうは上げようというわけです。そうでしょう。そうすると五%ではおさまらない。ということになると、人事院勧告は間違いなく出てくる、見当はおおむねつく。そこらを頭に置きながら、しかし確定数字はもちろんない。そこでこの今回お組みになっておる給与問題の予算が、そういう態定人事院勧告というものをながめて――これから先のことになりますが、ながめてみて、完全実施に足がかかるのか、完全実施ができるのか。そこら総務長官どういうふうにお考えになりますか。
  21. 床次徳二

    床次国務大臣 五%組みましたのは、五%をこえれば人事院勧告が当然あるということが予想されますので、その数字であるわけであります。  なお、七月からというふうに言われておりますが、これは先ほど申し上げましたように、四十年度がさような実施の状態でありましたので、その数字でもって合わしたわけであります。  今後の問題は、人事院勧告がはたしてどの程度になるか。その場合におきまして、いまの給与費に組んであります五%並びに予備費をもって十分間に合うかどうかというとこにかかっておる。これは将来問題でありますので、やはり勧告のありました時期におきまして十分検討する、しかし私どもといたしまして、従来の政府基本方針は、先ほども官房長官からお答えがありましたが、完全実施をするという基本方針、これはあえて基本方針ということばをずっと使っておりますが、その方針に対しましては、私どもは依然としてこれは堅持してまいりたい。その際におきまして善処をいたしたいというのでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 そこで、人事院総裁にもう一つ承っておきたいのですが、総裁たいへん時間がないのに恐縮ですけれども、もうちょっとお待ちいただきたい。  総裁が四十四年度予算をごらんになって、一体これは、人事院勧告を将来に向かってしなければならぬのだけれども、いつもたっぷりというおことばをお使いになるのですが、完全実施ということを前提にして、たっぷり組んである、そうお思いになりますか。
  23. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 大体いま総務長官お答えされたところと基本的には私は同じ気持ちを持っておるわけです。ただ、いまのたっぷりから申しますと、七月の七という数字をなぜ五にしていただけなかったか。私は率直にそこのところは気になる。しかしそんなことは末の問題で、これは技術的な問題でございますから、われわれはそこ広のところにかかわりなく、従来どおり官民格差か調べて、完全実施をいえばいいんで、ただ今度の予算組み方は、かねがね私の主張していたところがだんだんと実現されてきた。形として非常に満足しているわけです。何とならば、最初は補正予算だけをたよりにしておった。ところがその次に去年は進んで、予備費補正と二段がまえになった。ことしは給与費予備費補正と三段がま身になったのですから、これでたっぷりいかないことはなかろうと思って期待しております。
  24. 大出俊

    大出委員 人事院総裁は、昨年は国会修正でなかなか感無量であるというおことばでありましたが、たいへん情熱をお持ちで、それに今度は総裁におなりになりましてから十回目の勧告になるんじゃないかと思いますけれども、まさにちょうど切りのいい十という数字でございますので、十のときに完全に実施ができたということにならなければいかぬと私は思うのです。  そこで、実はばくとして申し上げてもしょうがない。私はどうしても保利官房長官に五月実施をするということを言っていただきたい、こう思っておりますので、数字について大蔵省海堀さんにおいでいただきましたので、海堀さんはまだ給与担当の次長をおやりになっておられると思いますので、そこで、この予算説明書がございますね。説明書を読んでみますと、五%アップで七月実施というふうに説明書に書いてあるのですね。ここが問題なんです。総務長官は七月という予算ではないと思うということをさっきおっしゃておられる。総裁のほうも、どうも今度は逆に七月というのが気に食わぬ、何で五と書いてくれなかったかとおっしゃる。なぜかといいますと、単なる七の検討ならいいのです。説明書を読みますと、五%アップで七月実施と書いてある。そうでしょう。だから保利官房長官、先ほどよく考えてみて、大出君、君の言うとおりであるとおっしゃっておられる。完全実施をお認めになっておる。ところが大蔵省予算説明書のほうには、五%アップ、七月実施と書いてある。私は、数字よりも実施が気に食わぬ。そこのところを、そういうお考えでお組みになったものと理解したいのだが、いかがですか。
  25. 海堀洋平

    海堀政府委員 先生のお尋ねの件は、この予算説明給与改善費のものだと思いますが、先生のおっしゃったようには書いてございませんので、本文を読んで見ます。「公務員給与改善に備えて、公務員給与を七月から五%引き上げるための所要額を当該各項の給与費に計上している。」そう書いてあります。
  26. 大出俊

    大出委員 たいへんありがとうございます。七月実施とは書いてないとおっしゃるのですか。この予算は、一応七月というめどはつくったけれども、七月実施と書いたんじやないのだ。七月実施ではないのだ。そうなってくると、七月ではないという総務長官の御発言と一致する。七月でなければ六月か五月しかない。せっかく国会修正したものを、また八月に後退しますなんということは、これはあり得ないことだ。いま総務長官も七月ではないと言われる。海堀さんも、私はわざわざ七月ではないかと念を押しているのに、あなたは七月実施と書いていないと言う。そうするとこれは七月ではない。人事院総裁は、三段がまえに今度組んでおるから、形の上では満足だと言われたが、これは形の上では何月からということは言えない。  そこで、ぼつぼつこの辺で保利官房長官に結論的に伺いたいのだが、その前にもう一つある。さて、海堀さん、組んでおる予算の中身を見ますと見ますというよりは、どのくらいになっておるかまず言っていただけばいいので、言ってくれませんか。どのぐらいになっておりますか。
  27. 海堀洋平

    海堀政府委員 予算説明の話のほうは、こう書いてあるとおっしゃいましたので、こういうふうに書いてありますと申し上げただけで、そこには私の意見は何も言っておりません。  それから要するに、給与改善費として各項に計上いたしました一般会計予算の金額は、約四百四十三億円でございます。
  28. 大出俊

    大出委員 給与改善費ということで、その説明書によりますと、四百四十三億一千百万円が組んでありますね。問違いありませんね。これは五%アップ、七月からということになっているわけですね。七月からという計算でこう組んであるわけです。さて、このいまの予算大蔵省海堀さん担当でお組みになっている給与予算を逆算していって、一%アップで一体幾らになるのかということをずっと逆算しますと、五%、六%、七%、八%、九%、一〇%ということで大蔵省数字で逆算をすると、数字が出てくる。そこで計算をしていきますと、五月実施で五%というならば五百六十八億、端数を切ります。六%なら六百八十二億、七%なら七百九十六億、八%なら九百九億、九%なら千二十三億、一〇%なら千百三十七億という数字が出てくる。これは五月実施ということにいたしまして、五%、六%、七%、八%、九%、一〇%。そこで予備費のほうにこれまた組んであるわけですが、予備費は一体何億お組みになりましたか。
  29. 海堀洋平

    海堀政府委員 一般会計予算予備費は九百億計上しております。
  30. 大出俊

    大出委員 昨年は千二百億予備費をお組みになった。この千二百億は、もう総務長官も肯定されておるのですから、それじゃこの際、その中に給与費は一体幾らあるのだと言ったら、新聞はしきりに五%で千五百億なんだという。そうなると、純然たる予備費は七百億という数字になる、と私はこの席でずいぶん海堀さんに執拗なまでに質問をしたのですが、当事津吉給与課長がいわく、上乗せか押え込みかという名言を吐かれましたが、結局かきねはないといいながらも、結果的に最後の詰めになりましたら、実は給与費は見当として五百億であって、予備費は七百億であった。前年度の予備費がまた七百億になっている、そうでしょう、組みかえましたから。だから九百億という数字になると、旧来の予備費の観念からいけば七百億ということだったわけですから、総裁は三段階という予備費の中にということで言っておられますが、そこらの計算をしていきますと、予備費の中でも余裕財源を多少考えておるということになるのですけれども、そこのところはいかがですか。
  31. 海堀洋平

    海堀政府委員 給与改善費といたしまして、給与の各項に四百四十三億円を計上いたしております。人事院勧告がこれをこえる場合におきましては、予備費の範囲内で、他の政策との均衡もはかりまして、できるだけの努力をする考えでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 ちょっといまのところ聞こえなかったのですけれども、つまり予備費の中に余裕財源はあるということですか、幾らということは申し上げぬけれども
  33. 海堀洋平

    海堀政府委員 予備費は、予見できない財政需要に備えて計上いたしておりますので、余裕があるとか、ないとかいうのを現在において判断することはできないわけでございますが、私の申し上げましたのは、給与費の各項に計上いたしております金額は四百四十三億円でございまして、人事院勧告が出ましてこの金額で処理し得ないような場合には、予備費の範囲内におきまして、他の諸施策との均衡を十分考えまして、できるだけ努力をいたしたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 あらかじめ予見し得ざるものを組んだわけですけれども、そこのところはあまり強調されると、昨年、じゃ、なんで通常七百億の予備費に五百億を入れておいたのだということになりますから、そこらをなかなかうおくいまお答えになりまして、出た時点で予備費というものをあわせ考えるということですから、だということになると、そこのところは総裁のおっしゃていることに一歩近づくということになる。ただ数字の上で、何%勧告出るかわかりませんから、そこのところはしたがっていまのところ断言いたしかねるわけであります。勘どころとしてはその点はわかります。  そこで、総裁にひとつ承っておきたいのですけれども、この間の新聞に、ことし何か実施時期レついて四月を検討中のようなことを書いてあり津した。四月調査、四月実施ということは旧来か広言われていることであり、特に五月にしなけれげならない理由もない。ところが、新聞にはそう載っておりましたので、総裁お話しになった成触は、来年、つまり四十四年度は完全実施ができるということになると、そろそろ五月というのか四月に考えたらどうかということに気持ちの上で進んだんじやないかと思うのですけれども、そこのところはいかがですか。
  35. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お察しのとおり、私ども、これは役所の性格上、政治性というものが全然ない役所でございまして、そういう完全実施になったらどうしようという意味のことではなしに、そのものずばり、合理性から考えて四月説が正しいかどうかという意味の検討は、これはかねがねここでも御指摘がありましたし、続けておる、そういう程度でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 まああの時点であえて四月ということが新聞に載るということは、そこに意味があるというふうに思いますが、とりあえずいまの答弁を聞いておきます。  そこでもう一つ、どうもことしは、去年載っておりませんが、期末手当、これについて去年の民間の状況等、私どもなりに調べてみますと、民間もだいぶ期末手当がふえております。そうすると、昨年勧告に出ておりませんから、筋道としてもこれが出てこなければならぬ筋合いです。これは精査してみて、サンプリング調査してみてとおっしゃらぬでも、わかる。大体期末手当というものは考えられそうか、そうでないか。どのくらいふえるかふえないかは別問題。勘ぐれば、これは期末手当のかっこうをおたくは変えたわけですね。そうでしょう。つまり期末、勤勉に分けまして、期末のほうを三月ゼロのものを〇・五にされて、六月一・一のものを〇・九にされて、十二月二・二のものを一・九にされた。そうして勤勉手当のほうは、三月〇・五のものをゼロにされて、六月〇・三を〇・五にされて、十二月〇・三を〇・六にされた。期末、勤勉のこの比率を変えたのですね。これは御存知だと思いますが、そうすると、まことに都合よく、これは期末手当のほうで〇・九なんということは、これは一にしたらどうだなんという数字にうまくはまっていきそうな感じがする。人事院というのは、その意味でなかなか頭がいいんだという気がするわけですけれども、これは予算計算上困るので、期末手当は民間はだいぶふえている、こうお考えでございますか。
  37. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これはもうたびたび大出委員質問に乗せられてお答えしたことが大きく新聞に出て、予測を何か漏らしたような形に出るので、もう大いに警戒を強めておるという前提で申し上げますが、申し上げるまでもなく、わがほうは厳密なる民間調査の結果出た数字を厳密に勘案いたしまして処置いたします。ただ新聞などを見ますと、やはりおも立ったところの去年の暮れの期末の手当ですか、それが相当あるなという感想は持っております。それ以上のことは、もう予測がましいことは絶対申し上げません。
  38. 大出俊

    大出委員 絶対申し上げないが、少しはお話しになったということになるわけですか。なぜ私こんなところまで――官房長官、ちょっとこれは聞いておいていただきたいのですが、この五月完全実施ということになりますと、そのまん中に六月がありますが、この六月というのは期末手当の月なんですね。今日まで七月というのは期末手当を含んでいない。したがいまして、六月という月を含む、こういうことになりますと、期末手当とのからみ合いが予算上出てくる。そこらのことまで含めて、たとえばいま私が例にあげたのですけれども、〇・九を一にするとこれは〇・一ふえる。〇・一でやはり七十億ちょっとくらいの金になるというふうなことが出てくるわけですが、そこらのことを計算すると、予算上は、いろいろおっしゃているけれども、どうも完全実施という形の予算ではない、こう言わざるを得ない。そうなると、そこで私は方向としては官房長官もさっきお答えになりましたが、完全実施ということで全力をあげてやるのだということで、ずいぶん大蔵大臣なり総務長官なり御苦労されてお話し合いになったようですと言っておられる。だが、それがいま私があげた予算数字人事院勧告のおおむねの形、これは考えるとどうも足りない。そこでそういう場合もあり得ると思いますが、官房長官にひとつこの辺で、来年、つまり四十四年度は政府としてはこの際ケリをつける。完全実施ということで、ひとつ全力をあげてやる。再三再四この委員会完全実施決議をしております。予算上あるいは足らぬとすれば努力をして、とにかく人事院勧告を完全に実施をするという昨年の申し合わせの趣旨に従ってやる。このあたりを、詰めですけれども、ひとつお答えおきをいただきたい。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 これはもう大出さん、裏の裏までよく御承知の上のことでございますので、ずばりそうだと言えればたいへんけっこうなことですけれども、まあ財政当局も給与担当責任者も非常な熱意をささげておられますけれども、これは人事院勧告の出方にもよるわけでございましょうから、どうも私から、もう何にも曇りなしにそのものずばりということをお答えすることはちょっと差し控えねばなるまいと思っております。
  40. 大出俊

    大出委員 何にも曇りなしにずばり完全実施ということは差し控えねばならぬというのですから、少しは曇っているというわけでしょう。少しは曇っているが五月実施、こういうことなんですか。何の曇りもなしに五月実施ということは言えないという。ちょっと曇っているぐらいですな、それでは。
  41. 保利茂

    保利国務大臣 これはとにかく勧告が出ましたその時点において、それぞれの関係大臣が御相談をしていただく。しかし総理の基本姿勢としても、できるだけ早く完全実施を実現したいというこの熱意は強いものがありますから、その線に沿うて努力を払われると期待をいたしております。
  42. 大出俊

    大出委員 人事院総裁は何かどうしても会見予定か何かおありのようでございますから、あらためてまた御質問申し上げることにいたしまして、たいへんどうもありがとうございました。それから官房長官もたいへんお忙しいようでございますが、ひとつ済みませんが十五分前までになっておりますので、中心点をあともう少しがまんをして聞いていただきたいと思います。  いまのお話は、私はこう受け取りたいのです。全く曇りなしにどうも完全実施ということは申し上げかねる。その気持ちも現時点でわかります。現時点で多少曇りがある程度であれば、これはひとつ話していただかねばならぬわけですけれども、重ねて総理ができるだけ早くひとつ完全実施をしたいということをお考えだとおっしゃっておるので、当面その辺でひとつ御努力をいただくということにさせていただきたいと思うのでありますが、あわせてひとつ、非常に大きな問題なんですが、もう一つ党国対委員長会談のときに約束があるのです。それは何かといいますと、私ども非常に、公営企業関係職員の方々の給与を心配をしておったわけでございます。昨年の臨時国会の時点でも。そこで私どもの党の柳田国対委員長に対しまして、四党国対委員長会談をやるにあたって、また国対の副委員長さんの段階におきましてもそこをずいぶん考えて、自民党の園田国対委員長さんにどういうふうにお話をするかという点で相談をしたのですけれども、その結果として給与の七月という国会修正、これは国家公務員、地方公務員並びにこれに関係をするその他の機関についても実施をするものであるという点を提起をして、そうだということになればそれでいい、こういうことで柳田国対委員長から園田国対委員長に対しまして――文書をつくったわけではありません。つまりやりとりをしてメモをしたというのが四党国対委員長会談の中身でございます。そういう提起をいたしまして、園田さんから、それはそのとおりだ、こういう答弁があったというので、それをメモして帰ってまいりまして、そのときすぐに私どもに報告をいたした経緯があります。その他の機関というのは、これは副委員長レベルその他でやっておりますのでよくわかっておることでありますが、国家公務員、地方公務員並びにその他の機関、つまり公営企業、これをさしているわけであります。病院であるとか水道であるとか交通であるとかいうところであります。したがって私どもは、政党政治でございますから、政党間のその約束を政府を通じて実施をすベきもの、また当然しなければならぬものという理解を今日までいたしてきているのであります。そこで四党国対委員長会談の、誠意をもって審議するという総定員法扱いについて、これが各党に生きておるから誠意をもって審議をしてもらいたいという与党の皆さんのお申し出があった。私ども審議の都合上今日まで延びてはまいりましたが、国会である限り、私ども議員である限り、誠意をもって審議するのは当然でありまして、その意思を変えてはおりません。したがって、趣旨の御説明をいただくにあたって、しからば一体昨年のこのやりとり、この取りきめというものについては、今日できていないのでございますから、どうしていただけるかという点をやはり基本的問題、前提条件として承らなければならぬというふうに私ども考えるわけでございます。この点について、三月の十五日にこの関係職員の諸君がストライキをおやりになった。また四月の十五日におやりになるという。どうもたいへんたくさんの人の足を奪われることになりますし、今度は東京なんかの場合には相当思い切ったことを計画しているようでありますしするので、せっかく私ども政党の立揚で昨年取りきめているのですから、そういうことにならぬようにこれは解決をいただきたいものだという気がするのでございます。この点ひとつ官房長官から、お耳に入っているだろうと思いますのでお答えおきをいただきたいのでございます。
  43. 保利茂

    保利国務大臣 私は、四党間でお話し合いが持たれて、そして八月実施を一ヵ月繰り上げる、それについては総定員法審議と関連して話が持たれたというだけしか実は伺っていないわけであります。ただいまお話しようなことが議題になったかどうか、どういうふうに扱われたかということは私は承知いたしておりませんので、何ともお答えをいたしかねます。
  44. 大出俊

    大出委員 率直なお答えをいただきたかったのでございますから、御存じなければそれでよろしゅうございます。ただ、これは私理事会でも何回かお話を申し上げ、理事懇談会でも何回かお話を申し上げておりまして、他の党の方々の中でもその点を肯定されている方もおいでになる。こういうわけでございますから、したがって私は、この総定員法をめぐる四党国対委員長会談でございまして、この総定員法提案理由説明を承る、さてこれから実質審議という段階がやがてくるわけでございますけれども、そうだとすると、やはりその前に、実質審議の御主張が四党国対委員長会談に基づく誠意をもって審議するということに中心が置かれているとすれば、その席で同じく取りきめられている公営企業についてどうしてくれるのだということを私のほうから言うことは当然だと思っております。ですから、きょうというふうには申し上げません、御存じないのですから。やがて審議の始まりますまでに、長官のほうでそこのところはどうするのかという点の結論をひとつ出しておいていただきたい。この点長官に申し上げておきたいと思います。  そこで、あわせて自治大臣に承りたいのですけれども給与その他に関しましては、かつて総務長官をおやりになっておられまして、私も何べんかお伺いしたこともあり、御質問を申し上げたこともあるのでございますが、重々御承知の野田自治大臣でございます。かつまた公営企業関係につきましても十分御存じのことでもございますので承りたいのですけれども、今日振り返って三十九年、つまり地方公営企業制度調査会というものを設置したいというので内閣委員会に法案が出てまいりました。私も審議に参画した一人でございます。いま当時のことを思い起こしてみますと、ちょうどこの三十八年、さらに九年というところが、それまでそれほど波が大きくなかった地方公営企業全般が片っ端から赤字に転化をしていくという状態になったのですね。ですからその経緯からすると、もうこの点ではほんとうはおそ過ぎたわけでありますが、それにしてもそこから今日に至る苦しい公営企業の経営状態が続いている、こういうわけなんですが、その最大の原因は一体何かという点をこの席でお述べいただきたいのです。
  45. 藤田義光

    藤田委員長 ちょっと大出委員に申し上げますが、官房長官お急ぎなので……。
  46. 大出俊

    大出委員 もうちょっと、すみません。十五分前までというので、あと何分くらいですか。(塚田委員あと六分ばかり」と呼ぶ)その六分間でポイントをひとつ聞きたいので……。
  47. 野田武夫

    ○野田国務大臣 大出さんの御指摘のとおり、ほとんど地方公営企業の経営は赤字、その原因は幾つもあげられますが、少なくとも公営企業の運営といいますか、諸条件が、日本の経済社会の発展に同じ線でいこうとするには建設、改良その他必要な設備も非常に増大しておる。それから同時に給与がだいぶ上がってきておる。そういう意味でそれに対する資金が伴わない。あげますとこれはほとんど常識的なことでございまして特別なことではございません。大体考えられることでございますが、やはり御指摘いただいたように各公営企業ことごとくといっていいほど財政に非常に困難を来たしております。
  48. 大出俊

    大出委員 永山さんが自治大臣のときに私の質問に答えまして、ここに議事録がありますけれども、公営企業の今日的危機という、その一番根本原因は何ですかと聞いたら、一言にして申し上げれば高度経済成長政策のひずみでございますとお答えになっておる。じゃその責任はどこにございますかといったら明確に国だといっておるのですね。これは今日の公営企業というものはそう考えるよりしかたがないですね。合理化もやり、たとえば四十八時間を四十四時間に切ったり、電車にしてもワンマンにした。ワンマン電車というものはあぶないのですよ。しかも、一台改造すれば七十万から金がかかる。それでもワンマン電車にしたり、今度はバスもワンマンバスにしたり、軌道を取ってしまえというので路線廃止をやったり、軌道撤去を早めるというので軌道を早く取ってしまう。またそれを早めろというので早める。次から次へとそういうことをやってきまして、もうそれこそ経営側にしてもあるいは自治体にしても、やり得ることはみんなやっている。賃金にしても今日は手当という面でずいぶん落ちてきている。しかもこれは地方労働委員会その他が調停なり裁定なりを出してきめたものなんですが、それが押えられてきているという今日的事情で、なおかつますます苦しくなる。といたしますと、これは保利さんが建設大臣のときに社会基本の欠除というようなことを言っておられて、訓示の中にありますけれども、間接的な社会資本だといわれる公営企業そのものについて資本が足りない。つまり、じゃそれはどこでどうするんだといえば、国、府県あるいは市等の負担区分もありましょうが、国というものが相当大きな責任を負ってくれなければ片づかぬ段階にきている、これだけは問違いない、という意味保利官房長官に承りたいのですけれども、今日国の責任というものに非常に大きなウエートがある。そこに働く人たちだけを幾ら責めてみてもそれだけではなかなか片づかない。しかもそこには法律的に団体交渉が行なわれるようになっているのですから。だとすると、各理事者がこれだけ努力している現実にあるので、その意味では、細郷さんうしろおいでになるけれども、再建計画、再建方式というものは成功しているかもしらぬ。できるだけの努力をしたのだから、またやっているのだから。そうすると、それでもなおかつ――法律のたてまえはいろいろありますが、同じ市なら市、自治体なら自治体、一般職の方々はみんな上がるのだけれども、片方は上がらない。これは放任できない。それほど給与が高いとおっしゃらないで――最近の若いやつはそうではない。ほっぽっておくわけにいかない。その意味で四党国対委員長会談で話をした。御存じないならそれでいいけれども、四党国対委員長会談でその一端を表に出して、与党の責任者の方から回答をいただいて、それで終わっているわけでございます。つまり国の責任という点で、官房長官、公営企業も、昨年の国会の七月修正に基づく賃金というふうなものに、かつまた一般職のほうとあわせて実施をすべきものだ、こう私は考えておるのでありますが、このあたりのところはいかがでございましょう。
  49. 保利茂

    保利国務大臣 これはまあ非常にむずかしい、割り切った答弁はなかなかだれでも簡単にできないのじゃないかと思います。たとえば交通機関にしましても、ある自治体においてはあるいは路面電車で十分間に合う、またそれが市民のために一番有効だというようなところは路面電車がやっぱり強化されていくことが必要だろう。ところが自動車がはんらんして電車の稼働率がさっぱりあがらないというような地帯に路面電車の企業を維持していこうといっても、それはなかなか容易じゃない。問題は公営企業それ自体ではなしに、都民なり市民なりの利便をどういうふうに自治体としてはかっていくかということが私は考えるところだろうと思う。実際企業上成り立たないようなものがあるわけもなかろうと思うのですけれども、それぞれつくられたときにはそれだけの公共的な意義があってつくられておるわけで、これはやっぱり時の移りというか情勢の変化といいますか、変わってきておる。しかし市民あるいは都民の交通需要というものは非常に大きい。これは何とかしなければいかぬ。じゃ、自治体だけじゃとてもできない。国が相当のめんどうを見る。しかしそれだけで国の責任だ、自治体の責任だということは、私はそう割り切れないのじゃないか。自治体もやらなければならない、国もやらなければならない、そこを勘案してやっていくべきじゃないだろうかと思うのでございますけれども、どうも割り切った御答弁は私はいたしかねる。ただ今日の、特に過密地帯に見られますが、国土全体について言えますけれども、とにかく国民生活を充実していくための社会資本の立ちおくれというものは、これはもういなみがたい事実だろう、そういうことからひとつ判断して対処していくべきであろうと私は考えます。
  50. 大出俊

    大出委員 官房長官が建設大臣当時に「建設月報」などによく訓辞などが載っておりますが、交通政策という面に触れられて社会資本の立ちおくれ、不足ということを相当強調されておるのですね。だから建設省という立場から早くやらなければいかぬという。いまそういう御答弁がありましたけれども、これは一貫してそういうふうにお考えでございますから、私もそう思っておるのですけれども……。  そこで、私がきょうわざわざ総理にかわって保利官房長官にお出かけをいただいたのは、ほかならぬこの総定員法もそうでございますが、一つの政治問題なんですね。昨年の四党国対委員長会談というのも政党間の話し合いでございますから、したがって私は、担当の野田自治大臣だけではちょっと御迷惑をかけるということになるので、きょうお出かけをいただいた。私も何べん質問したか忘れたくらいでございますので、そう知らないつもりもない。外国の例等からいきましても、学者の説によりましてもおおむね二百万くらいの都市になりますと、地下鉄というものは思い切って国が相当な負担区分を考えてやっていかなければならぬということになっている。あるいはまた三十万くらいの都市だということになれば、路面電車で十分間に合う、これをもっと広げていく必要があるということになる。あるいは十万くらいの都市だとバスでいいじやないかということになる、短距離のバスをうんとつくる必要があるということになるというふうな国際常識もあるわけでございますから、いまの御答弁もその限りよくわかる。だが、私がいま申し上げているのは、差し迫っている公営企業の諸君の賃金の改定という問題をめぐっての問題でございまして、これは何年となくいままで国会でも問題になっておりまして、抜本的な対策をというので、ここに昨年四十三年九月十日の議事録がございますが、閣議で総理もものを言っておられるのですね。これは長官よく御存じのことと思いますけれども、「総理からも御発言があったわけでございまして、」ということで、「この問題はもう現状で放置するのにはすでに限界がきておる。だから大蔵大臣に対する一つの要求として、やはり特別の措置を考えなければいかぬのではないかということをきょう総理からも御発言があったわけでございまして、」こういう答弁を赤澤さんが閣議のあとここへお見えになってそのとおりお答えになっておる。これは四十三年九月十日の内閣委員会議事録でございますが、いまそのとおり読み上げたわけでございます。そこで「やはり内容は、賃金の問題もありますけれども、資本費が増高いたしますために、その金利なども相当重圧がありまするので、まずそういった方面から前向きに検討していかなければならぬという考え方があるわけでありまして、」ということで赤澤自治大臣は当時お答えになっている。これはたいへん御努力をいただいて、昨年末ストライキだなんて騒ぎが起こるときに、私は赤澤さんに私的にもお目にかかって相談をいたしましたけれども、総評の岩井事務局長もわずらわしまして当時解決をはかったわけでございますが、片づけたわけであります。したがって、これまた当面の問題は政治的にお考えをいただかなければならぬ。だから私は総定員法実質審議に入れといわれても、誠意を持って審議するという前提になっている、つまり七月というふうに国会手直しをしたのは公営企業に及ぶ、この点が明らかになった上でのお話でありますから、これをなにしていただかぬと、どうもそう簡単に審議とおっしゃられてもできない。したがって、ここで私はこういうものの言い方をしておるわけでありますから、ちょっとそこのところを――四月十八日に大騒ぎが起こって、あとで東京、横浜、神戸、大阪でもということになったのでは困るので、その時点までに詰めようとすればいまからやらなければ詰まらない。そこで、実は総理にかわっておいでいただいた保利官房長官に政治的にこの問題をどうお考えになるかということをお尋ねした。四党の国対委員長間の申し合わせはしかと知らないとおっしゃる。知らなくてもよろしゅうございます。あとでお調べいただけばけっこうです。しかしいま私が提起している問題をどうおとりになるかという点をお聞かせいただきたい。
  51. 保利茂

    保利国務大臣 大出さんのお話しのようであれば、昨年末の四党会談でかなりお話があったように伺えますし、そうでありますれば、それを承わらぬで私が見当違いなお答えを申し上げてもかえって失礼でありますから、御遠慮させていただきたいと思います。  ただとにかく、先ほど来のお話もそうでございますが、来年度の予算編成にあたって、自治大臣大蔵大臣が手を合わせて六百九十億というような財源までお願いをして予算編成をやっていることからいたしまして、中央の財政もそう楽でない。そこからすべてものが出てくるわけでございます。  それからまた、そんなことを言うと自治大臣におこられるかもしれませんけれども、とにかく三税の増徴で交付税は相当大きなものになっていきますし、それぞれ中央、地方の財政状態から、そういうところからもにらみ合わせて、関連していく問題でございますので、これは大出さんの御趣意は私も感づいておるわけでございますから、その点よく了承してまいりたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 私の言い分、感づいておられるということでございますから、政治的にはそれで足りるのですけれども、これは念のため申し上げておきたい。長官にはこれでおしまいにいたしますが、あと野田さんにお見えいただきましたので自治大臣にお伺いいたします。例をあげて申し上げますが、これは横浜市の例で、私の住んでおります横浜市から直接聞いたわけではないのでありますが、新聞に出ておりまして、つまりいま財政お話がございました。大蔵大臣が自治大臣にという、これは予算委員会でも出まして、国が金のあるときには一例の四十年前後におけるメリットシステムという形でたな上げ部分、料金ストップのときであります。赤澤さんが早川さんにかわって自治大臣のときに、私も何べんもこまかい質問をいたしましたが、国が援助をして自治体の公営企業問題を解決した、こういう時期がある。そういう例も大蔵大臣はこの間予算委員会でおあげになって、当時は国に幾らか余裕財源があった、自治体はまさに地方財政の困窮期にあった、だから国がめんどうを見た。今回はそうではない、地方財政が豊かになっている。ところが、国がだいぶ苦しい。だから、そういうときには自治体側のほうでめんどうを見てくれと言ったということを福田さんが予算委員会お答えになっておりますから、私もよくわかっております。  そこで、横浜市は、神奈川新聞なる新聞に書いてあるところによりますと、これは十分ではありませんが、意外に税収その他がいいのですね。  まず税収見込みでいきますと、前年度当初予算から比較をいたしますと、当初予算の二百九十七億というのが税収見込みだったのですけれども、本年これは二一六%の伸びですね、横浜市の場合。これは新聞が書いておるのです。四十三年度の決算額と比較をいたしますと、一五%弱の伸びですね。横浜市の伸びというのは、これは自治体始まって以来かもしれませんよ、これが新聞の書いておるとおりであれば。それから石油ガス譲与税などを調べてみますと、これは一億二千七百万、前年度これは六千八百万なのですね。それから自動車取得税など見ましても、前年は七月からですから二億しかないのですけれども、本年は十億六千万、昨年と比べれば八億からの増収なのですね。それから交付税の面で、これは細郷さんも大臣おいでになりますけれども、交付税の面で昨年の二十五億から四十億くらいに上がってきておるわけであります。特別とん譲与税なんかもそうであります。また地方道路税、これなんかも減ってはいない、多少はふえている。これが一般財源でございますが、それから特定財源なんかでいきましても、国庫支出金の八十九億六千万という予測は、昨年の七十三億から見ればだいぶふえてきている。あるいは県支出金の十五億五千万というのも、昨年の九億から見ればこれもふえてきている。つまり山のように人が入ってきている都市でありますから、やらなければならぬことは山のようにあります。ありますけれども、一般財源の側から、つまり交通との関係に少しこの道をつけていただければ、当面の問題の解決をというならばやってできないことはない、こういう気がするのであります。昨年末から本年一月にかけて各都市、六大都市、ほとんど片づきましたときに、今度は路線撤廃後の土地などを一般会計で買うというような形なども中には出てきているところもありました。これは率直に申し上げて、結果的には一般会計が持ったということなのですね。ただ、なまでそうしたくないという自治省の配慮があって、そういう一つのクッションを置いたということにしか受け取れないですね。そうすると、大蔵大臣も言っておられますように、地方財源の面で多少昨年に比べては余裕がある。もちろん自治体ですから、市民に対してやらなければならぬことはたくさんありますけれども、だがしかし、政治的にものを見ればこのあたりで自治省の皆さんのほうで少しお考えいただければ、かつまた官房長官に政治的な御配慮をいただければ、やって片づけられない筋合いのものではない、こういうふうに私は考えておりますので、御参考までにそこのところを提起いたしまして、大臣に後ほどいろいろこまかい点を承りますが、官房長官という立揚でひとつこの問題の、さっき申し上げた感づいておるという意図がありますので、そこを含めて前向きの御検討をいただきたい。いかがですか。
  53. 保利茂

    保利国務大臣 地方財政が幾らかゆとりがというようなことでございましょうけれども、自治大臣としてはなかなかそうは見ておられないようですが、しかしあまりに中央の財源捻出に苦しんだ結果、あそこにお願いをされたようなことでございます。ただいまの問題につきましては自治大臣が十分御研究されることだと思いますから、私も御協力を申し上げます。
  54. 大出俊

    大出委員 もちろん国の責任ということが明確にならなければならぬということが大前提なんですけれども、当面の問題の解決ということも、これまた日にちが限られますので、いまのようなことをつけ加えたわけでありますから、どうかそういう趣旨で御尽力を賜わりたいと思います。たいへんありがとうございました。  自治大臣に重ねて承りたいのでありますが、できるだけ要点を並べてまいりますので、お答えおきいただきたいと思います。  この公営交通、病院あるいは水道というふうなものをながめまして、昨年の七月実施なる公務員給与、これが今日実施できていないところというのは全国でどのくらいありますか。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 再建団体が百五十五ございますが、そのうち現在九賃をやろうとし、またやる見込みもあろうというものがほとんどでございまして、非常に財源的その他の理由でむずかしそうだというのは、六大都市交通その他二、三の事業、こういうふうに見ております。
  56. 大出俊

    大出委員 昨年の例からいきますと、特に困るというところが十二くらいありまして、たとえばあのときは病院が二つぐらいありました。それから鹿児島交通なんかも問題があったようでありますし、海南市の水道なんかも問題があったようであります。そこらのところを含めて、六大市だけという認識でいいのですか。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、六大都市交通のほかに若干むずかしいところがあろうかと思います。
  58. 大出俊

    大出委員 そこで、先ほど原因を野田大臣に承ったのでございますけれども、また閣議で総理の提起された問題もいま触れて申し上げたのでございますけれども、前大臣の赤澤さんのお話で一は、公営交通それ自体ということもさることながら、それよりも大きなウエートは、この際交通政策という意味でこれは抜本的に考えなければならぬ。で、私は国家公安委員長なども兼ねておるということをお話しになって、さてこの都内交通というものをとらえて、蛮勇をふるって、交通法規にも触れて、大量輸送優先ということをひとつ生かしながら、かつまた国の責任、つまり大蔵大臣総理が金を出せということをお話しになっていることを踏まえて結論を求めなければならぬ、蛮勇をふるわなければならぬというふうに思うということをおっしゃっているのですが、そうして交通関係の閣僚会議なり懇談会なりで詰めたいということをおっしゃっておられるのですけれども、これは昨年の九月のことでありますが、以来今日までどんなふうにこれが推移されておりますのか、自治大臣に承りたい。
  59. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま御指摘の金の面は別として、いわゆる環境の整備と申しますか、交通規制その他についてその後のこと、これは前からの計画がございますから、政府委員お答えいたさせます。
  60. 細郷道一

    細郷政府委員 交通規制と申しますか、大量輸送の優先通行、この問題につきましては関係閣僚間で相談をいたしまして、事柄が非常に現地的な問題でございますので、各都市におろしまして、各都市で交通関係者の協議会のようなものをつくりまして、そこで一本一本の路線について、実は検討いたしておるのでございます。その際に通勤のラッシュ時にはトラックを入れないような規制をするとかあるいは現に東京でもやっておりますように、ある街道では朝晩、通行帯のセンターラインを動かすとか、あるいは交差点におきます右折禁止をバスだけには解除をするとか、あるいは新しくできます道路にはバスペイをつくるとか、もうすでに御承知のことでございますが、そういうのをいま着々と現地において実施をする、こういうことでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 こまかいようですが、現地というのをもう少し具体的にどんなふうにお進めかという点に触れていただきたいのです。
  62. 細郷道一

    細郷政府委員 東京におきましては交通関係関係者の集まり、たとえば警察の関係だとか、あるいは道路の関係だとか、それから交通事業の関係であるとか、そういう人の集まりの場をつくっておるのであります。大阪等におきましても、知事が中心になってそういうのをつくっておる、こういうわけでございます。
  63. 大出俊

    大出委員 大臣、交通関係の閣僚会議のようなことを再三お開きになって進めるというようなこともやられておるわけでございますか。
  64. 野田武夫

    ○野田国務大臣 再三やっておるわけではございません。やはりその時点におきまして、関係閣僚間で協議をいたしております。その結果に基づきまして、政府委員お答えしたような案が次々に出ております。再三、しょっちゅうやっておるわけではございません。
  65. 大出俊

    大出委員 そこで、国という立場で公営交通というものについてこれを助成するという点は、現在検討は全くされていない、こういうことですか。
  66. 野田武夫

    ○野田国務大臣 公営企業の経営の悪化といいますか、非常な困難、これはできるだけたてまえは独立採算であることは御承知のとおりでありますが、それはたてまえでありまして、そういうことを言っておっても公営企業というものはうまくいくはずはないのであります。そこで、たとえば資金の確保なんかもそうですが、例を上げますと、四十四年の予算編成期にあたりまして、先ほど御指摘がありましたが、路面電車がだめなところは地下鉄にする。これはあたりまえのことです。地下鉄建設というものはたいへんな金がかかる。そこでだんだん調べてみますると、いまの運輸省でやっておられます補助がありますが、とてもこんなことでは地下鉄の建設はできない、こう思いまして、この四十四年度予算編成期におきましても相当の補助率のアップをしようというので、大蔵一省と折衝していますごれはあなたもよく御存じだから詳しくは御説明いたしませんが、四十四年度はあきらめるが四十五年度以降はあきらめないというので、その意味におきまして、大蔵大臣と運輸大臣と自治大臣の覚え書きまでつくったのは、問題は地下鉄の問題でございます。それからもう一つ考えておりますのは、これはやはり資金の問題でございますから、これに対してできるだけ公営企業金融公庫の金を使いたい。これはたいしたことでございませんけれども、しかしこの資金というものは相当そういうものを使いたいが、地下鉄は対象になっていない。これを改めようということ。もう一つは、金利が、これも御承知のとおり大体七分何厘とかということですから、こんなことではとてもいけないというんで、思い切って  どのくらいまで下げるかということはなかなかむずかしいのですが、少なくとも五%ぐらいに引き上げようということで、いまギャンブルの金を使ってけしからぬとかなんか非常に問題になっておりますけれども、これは別です。その金は別として、その施策は私は積極的にひとつ考えなければいかぬ。それからその他の資金操りも経営に対してはできるだけひとつめんどうみるということばは当たらぬかもしれませんが、ひとつ協力していこうという考え方を持っております。
  67. 大出俊

    大出委員 たまたまいまお話が出ましたからですが、地下鉄はそこに藤田委員長おいでになるけれども、当時企業の危機ということで地方行政なんかでも公営企業小委員会をつくったことがありましたが、藤田さんはたまたま当時の小委員長さんでございまして、私も当時の議事録を読んでおりますが、あのときにようやくスズメの涙ぐらい国が出そうじゃないかということになった。以来、逐年少しはふえておりますが、しかしいまの政府の姿勢で、公営企業金融公庫のお話が出ましたが、それはやはりいまの姿勢ではとてもじゃないが都市交通政策というものは欧州あるいはアメリカに比べて何十年かおくれてしまっている。これはもうとても取り返しがつかないと思う。アメリカでさえ車と道路のけんかは道路が負けたといわれているぐらいである。道路というものはちょうど有閑マダムのたんすの引き出しと一緒だというのですね、開けば開くほど入ってきてしまう、ほんとうですよ、これは。だから、アメリカでさえ負けた。だとすると、日本の都市交通政策を論ずるにあたって、いまのような金額でいいとか悪いとか言っていること自体ナンセンスだという気がする。  そこでまず考えなければならぬのは、かって大阪市の交通局長の今岡さんなんかがここへ参考人で来てしゃべっておられますが、もう路面電車というものもどうにもならぬ。どっちしたってもうからない。どうにもならぬということを言っておられる。バスにしたってそうです。バスにしても、ここまでくるとどんなに苦労してもこの交通渋滞の中から抜けていけない。はっきり言い切っているのですね。そうすると、社会資本ということばもありますが、国が思い切ってそれを充足をするという姿勢がまず前提になければならぬ。そこで計画が立てられなければ何ごとも解決をしない。だから、いまお話の筋書きで申し上げる前に、つまり都市バスについてどうお考えですか。公営交通の中におけるバスは、特に六大都市のような場合に、どういうふうにされたらいいかということを具体的にお聞きしたい。
  68. 細郷道一

    細郷政府委員 バスのあり方についてはいろいろ議論がございます。特に、都市の形態によっても違うと思います。相当他の交通機関があるような都市、そういうところではおのずとバスは交通機関につなぐ道、他の交通機関に出る道、そういうようなところに非常に重点が置かれるだろうと存じます。そうではないようなところにありましては、町のまん中まで郊外から入るような直通バスというものも必要だ。そういうようなことで、都市の形態による他の交通機関との関係等によって、必ずしも一元的に言えないと私は思います。それぞれの都市におきまして、この再建計画を通じてバス路線の再編成というようなことを考えておるわけでございます。その具体化にあたりまして、都市の立地条件等に応じてそれぞれやっていきたい、こういうことでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 この問題も外国の例なども最近ありますが、あまり突っ込んでしまう時間もないと思うのですが、私いまでも印象に残っておるので、きのうちょっと思い出してあけてみたのですが、議事録もここにありますが、これは三十九年の九月の十五日でございます。この中で大阪市交通局長の今岡さんは公営企業調査会の公述でこう言っております。「大阪市のバスは昨年度時速十二キロしか走れなかったのであります。毎年速度が低下しておりますが、これもかりに時速を十四キロ、十六キロ、十八キロ、二十キロまで上昇させますとどうでしょう。全く民営と変わるところがないのです。この速度低下を無視した車キロ当たりの人件費比較は、はなはだしい誤りであります。どのように合理化しても最近の速度低下、これに伴う経費増には追いつけません。」こう言っているわけですね。これはまさに苦悩のあらわれなんですね。どんなに自治省が再建計画をたてにとられて合理化せよ云々といっても限度がある。どんどん速度低下をする。これも事実です。そうすると、その車キロ当たりを民営と比較してみても、よく皆さんのほうでは、公務員に準ずるというのは法律上最近はないのだ、だから民間の同種企業になんということをおっしゃるのだけれども、実際にやりようがないのですね。また市内に入ってきて、クローズド・ドア・システムで人間が入ってくるというところとそれができないところもあります。そうなると、ますます混線になる。ここらあたりをやはり根本的に  財政局のほうで金の話のほうで締めるだけでなしに、こちらのほうに、ひとつ大臣、どういう計画で進めるかという具体的なもの、何年度までにこうするという内容が早くほしい。検討しているのだ、こう言われてみても待ってはいられない、とにかく物価はどんどん上がるのですから。物価が上がれば賃金が上がる。そうなると、これは公務員だって民間比較なんですから上がらざるを得ない。となればどうしても公営企業の賃金の問題が出てくる。そのたびに財政の面からだけ締められたのでは、これはたまったものではないのですから、その点何とかもう少し具体的計画、何年までに何をどうする、これがほしいのですが、これはどうしてもできないですか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 その計画の一つが再建計画だろうと思います。再建計画は財政の面でとらえておりますが、何ごともやはり事業は御承知のように金の出し入れをどうやっていくかということによって表現されるものでございますから、特に私ども再建計画で財政面を見ておるわけでございます。そこで、いまお話のございましたように、公営企業は独立採算がたてまえであるし、またそれを私は厳守しなければならないと思います。ただ厳守できるような環境の変化というものには応じていかなければならない。それがいわゆる外部条件でございます。いろいろお話の出ております地下鉄に対する国の援助でありますとか、あるいはバスの優先通行でありますとか、あるいはバス路線の変更であるとかといったようなことが必要だろうと思います。しかし、それができなければ何も企業自体の合理化努力はないのかというと、やはりそうではないのではないか。やはり大都市交通というものはかなり長い間、俗に言われる親方日の丸的運営、こういうことをいわれておった。その結果が積もり積もって実は赤字になっわけでございます。先ほどお話しになりましたように、会社条件の変化以前にもうすでに赤字の状態が出ておったわけであります。したがいまして、どうせ再建というような状態になりますれば、企業としては一種の病人状態でございますので、健康な人と違ってやはり病人の状態の企業がどう立ち直っていくかというのには、病人自信のまず努力ということも必要でございましょう。それからまたいま申し上げましたような社会経済が年々動いていくのに外部的条件をやっていくということも必要だろうと思います。そこで先ほどお話の出ておりました給与の高い低いの問題、これは給与の高い低いを一義的にあらわすのは私は少ないと思います。少ないと思いますけれども、いろいろな角度で見ても私はいろいろ疑問の生ずることが多いのでございます。車キロの問題にいたしましても、私鉄は郊外の長いところを走っているからキロ単位にすれば小さく出るというような問題もございますので、一義的には私はきめられないと思いますが、その辺は私どもも十分総合的な判断ができますように材料を整えて指導してまいりたい、かように思います。
  71. 大出俊

    大出委員 いまの点でひとつ細郷さん、私は実はこの間の三月十五日の日に、横浜の交通の委員長さんの話を立って聞いておったことがあるのです。その前に自治省にあらわれて、各交通の組合の側の方々がいろいろなことを言ったら、細郷さんがお見えになっていきなり、おまえさんたちはそう言ったって賃金が高いのだ、おまけに地方自治体の一般会計も含めて賃金は上がっちゃった、君たちがどんどん賃金を上げて引っぱるから賃金が上がったのだということから始まって、つまり賃金を下げろという意味の話をされたという。演説なんで多少オーバーな話が口に出ているかもしれませんけれども、なかなか賃金比較というのはむずかしいので、私も専門屋の一人だけれども、そう端的に、これは年齢構成もありますし、歴史もありますし、また地方の労働委員会の裁定云々をめぐる問題もありますし、そう簡単にこれはいかない。だからそこにいまさらものを言ってみたって、労働組合との間には団交権があってやっているのですから、そう簡単にはいかない。やはりいまいみじくもおっしゃったように、再建計画というものを法律的に取り入れて、再建団体の形で大臣が認可をされてこうやってきた。この過程でどうなったのか、いまにして思えばどうなったのか、効果があったのかなっかたのか。つまり病人なら病人はまずみずからからだをなおす努力をすべきであるといまおっしゃたけれども、やってないと見るのか、やってきたと見るのか、どちらですか。
  72. 細郷道一

    細郷政府委員 私は率直に言って企業の合理化は努力してきたと思います。いま再建計画をつくりまして、私は、三つの要素が、組み合わさってできていると思います。一つはやはり経営者の経営努力一つは組合の合理化努力でございます。給与も含めました。もう一つはやはり市民にも御協力を仰いでいると思うのです。市電を撤去してバスにかえるといったようなこともございます。路線を変えたり廃止したということもございます。私はやはりその三つの要素で再建計画ができていると思います。したがいまして、給与改定のような際に、その三つの要素の上に再建計画り乗っているという認識をお持ちいただきたいということが私の基本でございまして、給与だけを何とかしろ、こういうことでは私は再建の趣旨に沿わない、市民に迷惑をかけて市電をはずしておるということを忘れられては困ると思うのであります。そこへもってきて、じゃどの程度の給与かということになりますと、いろいろ指標は一義的にきめるのはむずかしいが、いろいろな指標をとってみるとどれをとっても公営交通のほうがまだいいのでございます。まあ年齢の問題でありますとか、どの辺に層が多いかとかいろいろの問題がございますから、その辺は、企業の実態によってよく見なければいけませんけれども、少なくともそういう指標は出る。そういうようなことから、先ほど申し上げたような外部条件等も合わせながらそういう点もなお研究の余地がある、そういう意味であります。
  73. 大出俊

    大出委員 そういうお話ならばそれなりにわかるのですけれども、まあ給与給与と言われると、私も給与を長くやっているほうだけに、これは地方行政へ出かけて行って、いまの柴田次官と、財政局長時代に一戦やったことがありますけれども、東京都の例も全部とり、バスを中心にいたしましてここに資料を全部念のために持ってきましたが、そこは少しうしろのほうにお下がりの感じだからあえて数字をあげてやりとりはいたしませんけれども、もうここまでくると、まず第一点は、私がいる横浜みたいに社会党の市長がおって、片方は組合で、もうそれはたいへんな苦労なんですな、いままでここまでたどりつくには。もう正直言って血の出るような苦労。それをもう泣く泣く、路線が撤廃をされる。軌道も取ってしまえと言われる。四十八時間を四十四時間に直せと言われる。ワンマン電車を走らせろと言われる。ワンマンバスをやれと言われる。その間に交通局は苦情が殺到ですよ。路面電車がなくなった、その沿線の人にとっては長い間足だったんだから、いま細郷さんおっしゃるとおり、これはわいわいと苦情が出てくる。それはまあしかしいたし方たい。四十四時間にすれば上と下切るわけですから、そうすると間引き運転から始まって、時間帯が狭くなるわけですから、その時間の方々からへやたら文句がくる。それは至るところからの文句を聞きながら、しかもそう簡単にストライキとも言えぬというので、ずいぶんそれは苦労してきた。だからその間に市民の皆さんにもずいぶんな御協力をいただいている。しかも、たいへんな企業努力をやっている。組合側ものめないところをのんでもきている。だからそんなわけのわからぬようなことを言っている市長ならあんなものはやめさせてしまえということを言っているのが、交通の組合の中でも一ぱいいる。それでもまあ待てと言っている。しかも、最近は区役所に行けば、やあおっさんこんにちはと言えば、ついこの間まで交通局で運転していた人がいる。衛生局に行ってもそう、清掃へ行ってもそう、これは致るところですよ。そういうふうにたいへんな努力をやってきておりますから、もうこれ以上この時点で給与給与といわれることについては、何といわれても納得いかぬ。それよりも、さっきおっしゃったように、公営企業が独立採算で成り立つ環境といみじくもおっしゃったが、私は理論的にはいろいろ意見がありますけれども段階的にいえば、どういうふうにすれば成り立つ環境ができるのかというと、ばく然とではなくて、横浜なら横浜という実情がわかっている、大阪なら大阪という実情がわかっている、東京なら東京、京都、神戸みんなわかっているんだから、その実情に合わせて、この都市はこうする、この都市はこうするというところまでいかなければ、議論がかみ合わないでしょう。くどいようだけれども大臣、そこを、下におろしました、交通関係の人に集まってもらってやっておりますだけではなくて、そこまでいえば国が責任を負わなければならぬということにかるだろうと思うけれども、金についても国が責任を負っていただきたい。閣議の中で、総理まで大蔵大臣にものを言っているのですから。だから、国が一つの計画を持って六大都市におろす。それは各党も交通政策はありますよ。社会党だって小営企業の三十五条を含めて改正案を提起しているわけですから、皆さんがわかっているわけです。だからその時点に立って、いまイザナギといわれる中で、何が赤字か、何が困っているかといつから、交通関係、どこにいったって間違いはない。これは公営交通に限ったことではない。だとすれば、そこのところを大臣もっと具体的に、公営交通はかくかくしかじか、民営交通はかくかくしかじか、経営内容はわかっているから、そこのところを明確にして、大量輸送の優先なら優先、交通法規を変えるなら変える。先ほど細郷さんお答えになったが、織り込んで都市別に見たらこうなんだという形のものをお出しにならぬでおいて、ただ単に抽象的に独立採算で成り立つ環境を整備することが必要だということだけでは、いただきかねるということになる。ここのところ大臣いかがですか。
  74. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私は、大出さんの御意見を非常に傾聴いたしました。実際六大都市、これはほかに二、三給与問題も残っているところがありますけれども、特に大都市交通は非常に大きな問題であります。ただ単に地方財政というようなことでなくて――これもあります。もちろんこれは財政上の措置を講ずべきですが、これは大きな社会問題だと思うのです。そこで、いま各都市の再建計画をやっておりますが、その計画の内容について、ただ一括して再建計画をやっているじゃないか、再建団体じゃないかという、これは現実はそのとおりだから、別に無視しませんが、それに対する分析をして対案をつくるべきじゃないか。私は非常に傾聴いたしました。これは私がやるかやらぬか別として、政府全体としてどうやっていくかわかりませんけれども、交通規制の問題その他、ここにも公安委員長お見えになっておりますが、また総理府総務長官なんか関係あると思いますから、私はかってなことを申し上げません。しかし自治大臣としても、地域住民の方にできるだけの便宜を与える、これが目的ですから、そこでいまやっておりますことは、私は決してこれで満足してないということは前提で申し上げましたし、特に都市交通は、バスの問題も先ほど出ましたが、路面電車については横浜にしても困っておられることを知っております。横浜も地下鉄に相当切りかえていかれるようですが、その地下鉄の建設というものは――全般的にありますけれども、具体的に一つあげますと、いまお示しのように、地下鉄の建設というものは、地方の問題とかどこの問題ということでなくて、国全体で考えるべき問題だと思っております。  そこで、先ほど私がちょっと触れましたが、大蔵省に対しても思い切って建設の金を出すように――私ども考え方はこうなんです。これはおそらくあなた方のいままでの御意見の集計と思いますが、地下鉄というものは路面電車からかわっていくが、地下の道路だと思っていい。ただ地下鉄をやると交通政策でやっているから、それで独立採算制というからなんだけれども、少なくとも道路を地下に一つつくる。道路ということになりますと、これは国が相当なにする。そういう考え方でいこうじゃないかというのが、実は細郷君なんかもその非常に熱心な主張者なんであります。細郷君なんか薄情だとか組合はお考えのようだけれども、そうじやない、非常に熱意を持っている。だから地下鉄の線路というものは道路をつくるのと同じだ。そういう考え方で国がこれを補助すべきじゃないか。地上の道路になると国がやっているじゃないか。こういう考え方で、私は四十四年度の予算折衝で大蔵省にも言いました。そういうことでございます。  それからまた、先ほども出ましたけれども、公営企業の資金量をふやして利子を下げるとか、これにはいままでなかった地下鉄を入れるとか、いろいろなことをやっておりますけれども、その都市によって具体的にいろいろ対案を出すべきだという御意見は、私は非常に傾聴いたしました。これは十分私も考えることにいたします。
  75. 大出俊

    大出委員 具体的なことでちょっと細郷さんに承りたいのですが、大臣にもあわせてお答えいただきたいと思いますが、私は横浜にいるから、すぐ横浜の例になって恐縮ですけれども、どこでも一緒でございますが、一番早く、第一号で建設大臣のところに再建案をつくって出したのが横浜なんです。これは四十年の段階で不良債務ということで自治省との間で話が煮詰まったのが六十六億八千万円あった。このうち軌道電車の赤字が四十億八百万円、バスの赤字が二十六億七千二百万円あった。バスのほうは三十円に料金を値上げした。運輸省はそのときに、この料金値上げというのは、黒字になっても軌道を埋めてはいけませんよという条件がついて、それで三十円になった。だから黒字になっても埋められない。それ以降バスのほうはしばらくよかったけれども、トロリーバスなんかは四百万くらい黒字になったようだけれどもあとのバスはとんとんなんです。これから速度が低下すると赤字になっていく。こういうのが横浜市内のバスの状態なんです。軌道のほうはどうかというと、これは手の打ちようがない。この四十億八百万円というのを含めて利子補給をしていただいておるわけですけれども、十四年間で返す。年据え置きですから、毎年おおむね十億近い金を償還していくが、償還し終わったらどうなるかというと、極端なことをいうと、六十六億八千万円だけ償還はしたんだが、借金は別に残るということで、再建にはつながらない。だから細郷さん、軌道のほうの赤字はどうにもしようがない赤字なんですから、これまでいまの再建をしようという自治体の公営企業にぶつけないで、この四十億八百万円くらいのことはたな上げしてもらいたいというふうに思っている。率直にいえば利子ば全部持っていただきたい。そういう意味でたな上げ。そしてバス路線を整備しながら、いま野田さんが言うようにバスをこれ以上赤字にしないで市民の足を確保していく。そのための助成措置というものを、助成しないでもいいというなら環境整備のほうを、公安委員長おいでになりますから、具体的にお考えいただく。こういうふうに進めていただかないと、これは何と言われても無理は無理なんですから、できないものはできない。そこらのところはどういうふうにお考えになりますか。
  76. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、公営交通が一種類ずつの交通機関をやるよりは、やはり幾つかの交通機関をあわせて総合的に市民の足を確保する、そういうことがいいんじゃないかと思います。そういう意味で横浜市でも地下鉄をおやりになっているわけです。地下鉄につきましてはいま再建計画に入れておりません。私どもはやはり再建が一再建といってはあれですが、経営がうまくいけるような環境をつくった上でしたいというので、実ははずしてあるわけです。もしそういった地下鉄を入れていくというようなことになりますと、私は横浜市の交通は、地下鉄と電車とバス、これをうまく組み合わせて、先ほど申し上げましたように、他の交通機関と協調をしていかなければならない。さらに、長い目で見ますれば、これは私個人の見解でありますが、横浜市の立地条件が非常に東京に従属しておるというところから、横浜だけの独立の公営企業経営がいいのかどうか。むしろ東京とくっついて地下鉄でも何でもやるべきじやないか、これはまだ私個人の見解でございますが、そういう気持ちを持っております。各都市についてもそれぞれそういう考えを持っておりますが、そういったようなものを、再建計画の協議を受けます際に一つ一つ入れていきたい、こういう気持ちでおります。
  77. 大出俊

    大出委員 地下鉄の話が出ましたから、一言つけ加えておきたいのですが、横浜はことし地下鉄百三十一億予算を組んで、起債云々という形ですけれども、あるのですね。ところが、これはどこの地下鉄を見ましても、前に一ぺん例にあげたことがありますが、東京の地下鉄一号線、ここに全部数字がありますが、この数字を見ますと、これは車キロ一キロ当たりの建設費というのが、山手線は貨物線が入っておりますが、それを含めて計算をしましても、東京の地下鉄の一号線が建設費六倍かかっているのです。車キロ一キロ当たり六倍。だからそれを金に換算すれば、国会議事堂前から霞ケ関まで三十円ですけれども、乗車料金で採算をとって埋めるなら、国会議事堂から霞ケ関まで六倍にしなければならない。これは間違いない事実です。そんなことをしたら、逆に人が乗らないです。ところがこれを見ると、藤田さんのかつての御努力で地下鉄に幾らか補助金を出すことになった。地下鉄一号線、このときに補助金が五千万出ております。ところが、それで広告収入その他を全部入れましても、年間収入九億九千三百五十四万。年間の広告収入、政府の補助五千万円、東京都の補助、それに乗車収入、全部入れて総収入が九億九千三百五十四万円、こういうわけです。ところが、この年度における支払い利子が十五億あるのですよ。一年間の支払い利子十五億。国の補助、東京都の補助をもらって、広告収入まで入れて、乗車収入を入れて九億九千万、利子を払い切れないですね。利子だけで六億残っている。現実にこういうことになっている。ここに都市交通の皆さんの長期政策委員会がお出しになったのを最近私読んでみましたが、ここに大阪の地下鉄が書いてある。これを見ると、大阪の地下鉄もひどいものです。時間がないから読み上げませんが、大阪の地下鉄も同様です。そうなると、地下鉄はいずれどっかで何かしなければならないのは間違いない。いま細郷さん、いみじくも  おっしゃるように、横浜は、地下鉄と、バスと、残っている採算をとれていくような路面電車と合わせて、どう伸ばしていくかということなんですが、地下鉄はいまはいい。しかし、地下鉄のいま例にあげた一号線の例で言うと、「危機に立つ都市交通」というのを読んで、さすがに専門家の方々が集まっているせいで、長期政策委員会意見、都市交通の国の方々、学者も入っているのでしょう、大阪の例まで克明に載っておりますが、一つ間違うと、地下鉄〕号線よりさらに悪いかもしれない。しかし、そうなると、さっきのお話のように、小委員長時代に御苦労されて予算をつけてきました。年々ふやしてきました。数字言ったってしかたがないですが、外国の例から言うと、六割から国が持っているところがたくさんある。ところが、どうもたかだか特定路線で二四%くらいの比率になっているのが日本の場合は一番高い。そうなると、とてもじゃないが、これはできません。  だから、そういう意味からいきまして、最後に私は一つ承りたいのですが、外国の例がここにあります。これは「日本の都市政策」ということで、三井田一男、高田康治さんという二人の方が編集しておられる。これは比較的新しい。これによりますと、ここに欧州なりアメリカのものなんかが全部、シカゴの例も載っております。全部載っております。載っておりますが、やはり国と自治体との負担区分、明確にすべきものは明確にしなければだめだということですね。それから英国流に言えば、ボンドとかビルとかいうことばを使って、長期債券と短期債券に分けている。ビルというのは短期債券、ボンドというのは長期債券ですね。九十九年債まであるのですから、永久債です。利子というのはみな三分ぐらいに切っている。いま七分三厘だ、これを六分にしようかなんというような計算をやっているが、これではとてもじゃないが社会資本は充足できない。これは明確に国の責任です。だから、そういうところを、先ほど申し上げた都市別にこまかく見ていただいて計画を立てること、そうして国の責任、自治体の責任、負担区分というものはどうするかという、間接的に社会資本をどう充実するかということ、これが必要だということになる。それがつまり環境の整備であり、資本たるべきものは国なり自治体なりが持って、その上で公営企業というものが運営に当たるという形にしなければならぬということですよ。パリなんかの場合には、民営の時代から公共団体が金を出しているわけですから、そこまで考えなければできないということです。だから、その意味では、どうしてもまじめに働いている方には報いてやらなければならない。たとえば、横浜が関東大震災で全部やられた。焼け焦げになったバスを一生懸命たたいて塗り直して、技術整備工場で職員の方々が塗り直してやっと走らせる。国は一銭も金を出さない。アメリカ債が入ってきているだけ。東京はたしかフランス債だったと思いますけれども。戦後の復興だってそうですよ。空襲でみんな焼けちやったやつをまた一生懸命直して走らせているわけです。そういう状態で今日まできているのに、そういうところに携わっている従業員の方々が相当な御年齢でおられるのに、おれたちはこれだけ自分たちの電車を、バスを苦労して走らしてきたのに、いまおまえたちは給料高くてむだめしを食っているんじゃないかと言われたら立つ瀬がないといわれるけれども、実感だと思う。だからもうこのあたりまできたら、自治省の皆さんもさっき幾らかお下がりになった答弁だからいいですけれども給与給与とおっしやらないで、早くひとつ抜本的な施策というものを立てていただきたい。これはお願いです。これをお答えいただきたいのと、最後に国家公安委員長としての荒木さんお見えになっておりますので、一部始終をお聞きになっていたと思うので、赤澤さんが先般やはり国家公安委員長のお立場で蛮勇をふるわなければならぬと言っておられたのですが、そこらの感触のほどを最後にお聞かせいただきたいのです。
  78. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私はただいまの大出さんの御意見、十分理解できます。またそうすべきだと思う。そういう方向に持っていくべきだということは、深く私自身も腹におさめてまいります。先ほどちょっと触れましたけれども、決して自治省としては冷淡ではございません。給与の問題ということではないのです。これはやはり大都市交通をどうするか、どうして地域住民に不便をかけないようにするか。そうかといって、料金を上げるということは、これは物価に影響します。ここに非常に苦しみがございますから、私はいまの大出さんの御意見は非常に傾聴いたします。われわれとしても十分検討いたしたいと思います。
  79. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来の質疑応答を拝聴させていただきまして、自治大臣のおっしゃるとおり、私も知らないことをいろいろ教えていただいたような気もしますし、言われること一々ごもっともな点がたくさんあったと理解いたしております。警察の立場は、国全体としての、あるいは地域的な交通政策そのものが合理的に、利用者に対するサービスが合理的かつ効率的に行なわれることを期待するのは、国民の一人として当然ですが、それがいかに合理化されつつある過程を経過いたしましょうとも、その場その場で、交通戦争といわれる現象ができておる。過密、過疎の問題が大きく扱われますが、それとの関連におきましても、万々御承知のとおりな警察の担当すべき交通取り締まり、もしくは事故の防止あるいは運転者の訓育から、ことごとくが関係してまいりますけれども、そういうことで中央の国としての立場からも、地方の公共団体の担当警察とも密着連絡しながら、いままでも一生懸命やってきたわけですけれども、今後に対しましても懸命の努力をしなければならない。特別立法を考えているかというお話がどこかで出ましたけれども、それは具体的にいま御提案できるような段階にはむろんございませんが、必要とあらばそういうことも関係省庁よく連絡をして、交通戦争に対処しなければならぬ、かように思っておる次第であります。
  80. 大出俊

    大出委員 たいへん前向きなお答えをいただきましてありがとう存じます。私は実は自治大臣にとくとお願いを申し上げたいのですが、定員法審議にあたりまして四党国対委員長会談の中身を持ち出しましたのは、くどいようでありますが、政治的意図があって申し上げているのですから、そこらをひとつおくみ取りいただきまして、四月十五日という時点が働く皆さんの側からは問題の焦点に時期的になっているように思いますが、また一般の同じ自治体の中のほかの方々が上がっておるのに交通会計だけ年を越すなどということがあり得べきではないという気が私はするわけでございまして、先ほど細郷さんが九賃ということばを使いましたから昨年のことを八賃といいますが、八賃の解決も昨年の暮れ十二月、しかも前自治大臣の赤澤さんにだいぶ御無理を申し上げて、細郷さんも御同席の席上でだいぶ苦心の策を出していただいてまとめたといういきさつもありますので、私はできればことしは、そういう暮れまで引っぱらないで四月段階ぐらいでせめて問題の決着をつけたいというふうに思いますから、政治的意図があってと申し上げているのでありますので、どうかひとつ御相談をしていただいて、前向きで解決に当たっていただきたい、この点をお願い申し上げておきたいと思います。
  81. 藤田義光

    藤田委員長 関連して浜田君。
  82. 浜田光人

    ○浜田委員 私は、大出委員質問に関連して総務長官に聞くのですが、たしか五十八国会、さらに臨時国会を通じていろいろ本委員会の討議から見ましても、完全実施ということが、行政機構改革――一局削減とかその他いろいろの問題と表裏一体だ、したがって、それらをまず前向きで完全実施の方向でやっていっておるのです。こういう答弁をしばしば聞いておるわけですよ。昨年の勧告は五月であったわけですね。内容もたくさん問題点があります。一般公務員諸君ひいては関連する地方公務員からも、すでに人事院ができて何回も勧告されながら、いまだに完全実施をやっていただけぬが、この時期くらいは完全に実施して、  それから政府当局がなんだかんだというのなら言うべきだ、あまりに筋が通らないじゃないかということを、地方へ行きますと、しばしば聞きます。したがって、まず昨年の勧告の、五月の完全実施をやって、さらに今年度の勧告が出たときはそれをどうするのか、そういう議論にならなければならぬと思うのです。昨年から下がった  時期的にもそうですが、まして五%以内なら勧告はないとするならば、まずその勧告の時期的なものを予算的にも今年度は措置して、それからいろいろな問題を提起すべきだと思うのですが、その点どうですか。
  83. 床次徳二

    床次国務大臣 人事院勧告完全実施すべき基本方針を持つ、これは当然でありまするが、御承知のごとく人事院勧告がありましたときから今日までかなりの時間がたっておるわけでありますが、当初は勧告を受けまして翌年実施というところから出たと思います。そのような状態から漸次努力してまいりまして、そうしてこれが八月実施になり七月実施になってきたという沿革があるわけであります。他面予算の計上と勧告の時期との関係、これはいろいろと問題もあったわけでありまして、この点に関しましても先般来努力をいたしました。昨年中いろいろと相談いたしました結果、今後の予算編成方針におきましても新しい改善を加えたい。先ほども話がありましたが、単なる補正で行なうのではなしに、昨年度は予備費で行ない、本年度におきましては給与費プラス予備費という形でもって予算の編成方針自体も改善をしてまいったわけであります。こういう今日までの政府努力というものが重なり合いまして、勧告のありました時期におきましては、完全実施ができるように努力いたしたいという積極的な考え方で、それぞれ十分ではないかもしれませんが、実績があがってきている、今後もやはり引き続きいてこの方針で一日も早く完全実施ができるようにいたしたいと考えているわけであります。
  84. 浜田光人

    ○浜田委員 あたかも十一月から十月、十月から九月、九月から八月、さらに、どうしてもやられないから、最後に国会が一ヵ月間を修正した。国会始まって以来の修正ですが、それだって自主的にやられたのじゃない、国会修正したからしかたなしにやられた。それをあたかも前向きでやってきたかのごとく言われるけれども総務長官が言われるようなことは、公務員諸君はみんなうなずいちゃおらぬですよ。国会でも本内閣委員会附帯決議を三回やっておりますね。この附帯決議をどのように受けとめておられますか。
  85. 床次徳二

    床次国務大臣 たびたび附帯決議を付して政府に御鞭撻をいただいておりますが、政府におきましてもこの附帯決議の御趣旨というものを尊重して予算編成に当たるし、なお今後におきまして勧告のありました際におきましては、その御趣旨を体して実施いたしたいと考えておるわけであります。
  86. 浜田光人

    ○浜田委員 昨年も政府当局はやはりそのように、附帯決議は尊重いたします。こうなんです。ほんとうに尊重されるなら、五月の時期に勧告されているのだから五月に予算を組んで、さらに四月調査で四月実施ということも論議されておるのだから、それを予備費なり補正なりでやっていくというのなら、まこと政府勧告を尊重され、国会の決議というものを尊重されておるのだということになるけれども、そうじゃない。これはもうほんとうにこの勧告問題をめっぐてはイロハのイの字なんですね。それがやられないんだ。そうして勧告が出ればああでもない、こうでもないといっておられる。公務員諸公はたまらないから、何とか集会をやったりすると、けしからぬというては、解職までいかぬでも、減俸したりされる。これは本来逆なんですね。自分たちがやるべきことはやって、そしてさらに公務員諸公がそれに従わないのならこうする、こう言われるのなら、世間も一般社会もまことだと思うのです。あまりにあなたたちが勧告実施されぬものだから、今日見てみなさい、三、四年前にはまこと公務員が公僕としてどうかなと思ったのですが、今日はもうこれは政府がむちゃだ、毎年毎年勧告実施せぬ、これは政府が悪いわいという声が出ておるでしょう。しかも三回もやり、さらに臨時国会では四党のお互いの申し合わせ事項がある。こういうときにこそ、政府は前向きで五月実施予算をちゃんと組むべきです。それでもなおまだ内容的にもたくさん問題があるんです。公務員は、それはまだ言う段階に来ておらぬ。せめて実施時期ぐらいはと、まだまだ公務員諸公というものは実にほんとうにへりくだった要求というよりも要望なんだ。それをやられずにおっていろいろ文句言われるというのはどうしても納得いかない。官房長官もおられないし、大蔵大臣もおられぬから金のことは申しませんが、ほんとうに皆さん国会の議決を尊重されるならば、仏の顔も三度といわれますが、今度は四度目ですよ。人事院勧告総裁がおられますが、総裁は十回目だ。まず皆さんのほうから誠意を具体的に示してできることをこうする、ああすると、こうなければならぬ。その点どうしても納得いかないのです。総務長官、ずばりお答え願いたい。
  87. 床次徳二

    床次国務大臣 まことにごもっともなお話でございまするが、御承知のごとく、人事院勧告が毎年五月のべースでもって勧告されました。しかも勧告の時期がおくれておるという点、この点におきまして予算の編成とだいぶ食い違いがあるわけであります。だからこの食い違いを順番に地ならしをすることが必要だと思うのです。この点は予算そのものの組み方と、同時に勧告のあり方との間に調整をする必要があるのではないか、かように考えまして、昨年もいろいろと人事院のほうとも相談いたしたわけでございます。この結果、さしあたり最善といたしますることは、先ほども申し上げましたように、予算の計上のしかたにおきまして給与費組みながらなお予備費に組むというようなところまで話を進めてまいったのであります。その段階のあり方を今年度は実施して、そうして新年度におけるところの人事院勧告を待って予算と照らし合わせまして最善を尽くして御趣旨の実現をはかりたいと考えておるわけでございます。この点は毎年毎年積極的にだんだんと進んできておる。私どももいつまでもそのような状態を続けようとは思っておりません。一日も早く人事院勧告というものを完全実施して、公務員給与のあり方というものが勧告どおり行なえる状態にいたしたい、かような目標でもって努力している次第でございます。今回におきましても、来たるべき人事院勧告の内容を見まして御趣旨に沿って努力いたしたいと思っているわけであります。
  88. 藤田義光

    藤田委員長 それでは浜田委員の関連質問、まだあると思いますが、受田委員の質疑の準備ができたようでありますから、関連はこの程度にしていただいて、次の機会にお願いしたいと思います。  それでは次に、受田新吉君。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 ひとつ重要にして基本に関する質問を試みますのでよろしく御答弁願いたいと思います。きょうは大体話し合いが総定員法前提となる給与その他の問題ということでございました。そこでそれに忠実な立場で質問を試みようと思います。  まず第一に、国家公務員法という法律は、戦後、人事院を構成して民主的な運営によって公務員の擁護をするという形で生まれた役所を中心に掲げた法律であります。ところが、その人事院が国家公務員法の第一条に基づくところの、すなわち「国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」と、こう書いてある。それを受けて人事院がその任務を遂行しつつあるのでありまして、人事院がこの法律の第二十八条によるところの「情勢適応の原則」に基づいて勧告権を行使することになっておる。さらに、その勧告の基準となる俸給表はこの法律六十四条に定められて、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」こう書いてある。それに基づいて人事院勧告をしている。その勧告案の五月実施という規定を忠実に守っていないということは、立法国日本の政府としてはまことにけしからぬやり方であり、法律の精神無視の措置といっていいかどうか御答弁願いたい。
  90. 床次徳二

    床次国務大臣 政府人事院勧告完全実施しないのは法律に違反するのではないかという御意見だと思うのです。しかし、すでに人事院勧告といわれておりますごとく、これはあくまで人事院勧告でございまして、政府はこれを尊重すべきでありますが、法律的にはやはり勧告にとどまるのでありまして、政府におきましては、この勧告の精神を十分に実現する積極的な努力をいたしておるわけであります。今後におきましても、人事院勧告を完全に実施するという基本的態度におきましては、これは当然確保してまいる、これが法律の精神に従う所存だと考えておる次第であります。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだ不愉快な御答弁でありますが、人事院勧告はただ単に勧告にとどまるものであって、これを採択するのは政府であり、また国会である、こういうはなはだ逃避的な御答弁は、私、たいへん不愉快という一言に尽きると思います。この法律の精神、それは人事院勧告に織り込まれるその案をそのまま忠実に行なうのが法律を尊重するということではないのでございますか、御答弁願いたい。
  92. 床次徳二

    床次国務大臣 人事院勧告をそのまま実行いたしますことが、これも確かに尊重でございますが、しかし政府におきましてもいろいろ事情があるわけであります。必ずしも勧告が一〇〇%実現できないことがあり得ると思うのであります。したがって、その場合にはやはり勧告勧告として受け取りまして、できないものはできないという形になり得ることもあるわけであります。しかし、それだからといって政府公務員法の精神をじゅうりんしているのではないのでありまして、政府といたしましてもその法律趣旨というものを十分に尊重いたしまして、最善努力をいたしまして勧告を実現しようというわけでありますから、この努力に対しましては、私は法律違反であるというおことばだけでは実は解せられないと思うのであります。十分その点におきましては法律の精神を尊重している、また尊重せんと政府努力しておることをお認めいただきたいと思います。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 十分尊重しておる、または尊重せんと努力しておる、どちらでございますか。
  94. 床次徳二

    床次国務大臣 今後におきましては積極的にこれを尊重しようという努力を今日もいたしておるわけであります。過去におきましても力の限り尊重してまいった、実現いたしたところは不十分だったかと思いまするが、しかし、最善を尽くしてまいったと思っております。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 私は尊重論議をもっとまじめに尊重してやらなければならぬと思うのです。これはすなおに人事院勧告を受けとめるのが最も尊重したという結論になるのでありま世んか。御答弁を願いたい。
  96. 床次徳二

    床次国務大臣 一〇〇%実現することが尊重したこと、もちろんさようなことだと存じまするが、しかし今日の人事院勧告のあり方と申しますか、公務員制度のあり方から申しまして、必ずしも一〇〇%実現できないこともあり得るということは予想されますので、私は勧告という字でこれがあらわされておるのだと思います。そうしてこれを尊重するということを申し上げておるわけであります。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 人事院制度もしくは人事院勧告制度に何か欠陥があるというようなにおいのあるお話があったのでございまするが、ちょっと具体的にお示しを願いたい。
  98. 床次徳二

    床次国務大臣 欠陥と申しまするか、あえて欠陥とは申し上げませんが、ただ人事院は独立の機関であります。政府政府としての立場がありますので、そのおのおの立場において多少ずつ現実において食い違いができることもやむを得ないものと思うのであります。政府人事院とほんとうに話し合ってうまくできるような方法はないか、実は先ほどもお答え申し上げたのでありまするが、勧告の時期、方法等において調節いたしましたならば、あるいは予算編成にももっと便利になるのじゃないか、かような考え方を持ちまして検討いたした次第でございますが、まだ最終的な結論は得ません。しかし、かなり努力してまいりました結果といたしましては、先ほど申し上げましたように、予算におきまして給与費予備費と二本立てで計上するということは、従来から比べるとよほどの進歩じゃないかというわけでもってこの制度を採用いたしました。そうして勧告を待って実行に当たろうというわけでございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 基本的な問題ですけれども、公労法の適用を受ける職員に対しては調停機関、裁定機関なるものがあり、最終的には仲裁裁定を完全に尊重した処遇がされていることは御存じのとおりです。しかし団体交渉権のない一般公務員は、そうした仲裁裁定を完全に実施する形の政府の措置と比較して、依然として完全実施に踏み切っていただいていない現状を心から嘆いている。この点についての比較検討の上の御答弁を願いたい。
  100. 床次徳二

    床次国務大臣 政府のあり方と公共企業体のあり方におきましては、おのずからその内容において差があるわけであります。したがって、今日におきましても、給与の取り扱いにおきましては、公務員と企業体の職員との間に差ができておる、かように私は承知しております。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 その差というものはどこに差があるか明示を願いたい。
  102. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま申し上げましたところによりまして大体おわかりをいただけたかと思うのでありまするが、三公社五現業は独立採算性の企業体でありまして、一般公務員とはその所要財源の調達方法並びに給与決定方式を異にいたしておる結果、両者は必ずしも同じように取り扱われていないのが現状であります。しかし人事院勧告はこの趣旨にかんがみて、政府はこれをできるだけ尊重すべく最善努力を払うべきだ。これは先ほどお話しになりました法の精神を尊重するゆえんでありますので、できるだけ今後ともこの人事院勧告というものを完全実施できまするように尊重いたしまして、完全実施できるように努力している、かように申し上げる次第であります。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 公労法の適用を受ける職員のほうは、団体交渉権に基づいて交渉の道が開かれており、同時に仲裁裁定は完全実施をされている。独立採算制のもとにおいてすら完全実施されておる。ところが一般会計の国家公務員の場合は、非常にゆとりのある国家予算の中で、わずかに一月か二月かのことをよう完全実施に踏み切れないなどというような、こんな膨大な組織の中のほんの一点にすぎない少額の予算措置すらできないなどということは、これはどうも私解せないのであって、戦後二十数年たった今日、一般公務員の士気を高揚し、国家公務員法の精神に基づいて忠実に職務を遂行するという基礎をつくるためには、もう公労法の適用を受ける職員よりは、もっと前進した形で基本的な措置がさるべきだと私は思うのです。もう戦後二十数年たっている、時期はもうりっぱに来ている。独立採算制のもとにおいてすらできている問題が、この膨大な予算の中でなし得ないということは、これは決して政府がそれに理由をつけるような余裕はない問題だと思っております。御答弁を願います。
  104. 床次徳二

    床次国務大臣 政府といたしまして、この人事院勧告に対する取り扱いに対して十分な努力を尽くさなかったというわけではなくして、今日までの経過をごらんになりますとおわかりだと思うのであります。数回にわたりまして改善を行なってまいりました。むしろ私どもから申しますと、あと一息でもって完全実施ができる状態になっているのじゃないか。最後の努力を今後において講ずべきときになっている。それだけ、何と申しますか、過去において努力し、改善につとめてきておる実績はおわかりをいただけると思うのでありまして、私は今後の努力に待ちたいと思います。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 新年度予算には、依然として七月からの給与措置が計上されてあります。総務長官はこれを五月完全実施に踏み初る措置を残しておるとお考えであるかどうか。――これでこの問題の質問を終わります。
  106. 床次徳二

    床次国務大臣 予算におきましては七月分からの数字が計上されておるわけでありますが、七月から実施するかいなかということは今日申し上げておるわけではないのでありまして、私ども人事院勧告を受けました機会におきまして、最善を尽くしまして勧告の実現に当たりたいと考えておるわけであります。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、五月完全実施ということもお考えの中に一つあると了解してよろしゅうございますか。
  108. 床次徳二

    床次国務大臣 今日なお完全実施したいという積極的な気持ちでもって今後の勧告を受けたいと思っておるわけです。勧告の内容等を拝見いたしまして、その時期において私ども努力いたした  いと思います。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 その問題はこれでおきますが、次に、公務員給与が民間と比較してなお完全実施に踏み初っていないという理由どもあって、公務員に汚職事件が頻発しておる。官紀、綱紀は弛廃しておる。この現状は国民がひとしく嘆いているところである。最近における公務員の綱紀、官紀の弛緩に関する具体的な汚職事例、その数の進行状況、御答弁を願いたいと思います。
  110. 床次徳二

    床次国務大臣 公務員の汚職の御指摘がありました。最近になりまして公務員の汚職がありましたことにつきましては、まことに遺憾と考えておる次第であります。しかし、その汚職の理由公務員給与が低いために起こったのであるかどうかということにつきましては、十分私ども検討いたす余地があるのではないかと思うのでありまして、むしろどっちかといえば、最近の事例におきましては、ある程度までのレジャーのためと申しますか、それが原因になって汚職の起こっておるものもあるかと思うのであります。  なお、公務員給与の高い、低いにつきましては、これは人事院勧告を私どもは中心として考えておりますので、公務員の生活安定その他退職後の身分等につきましては、今後ともさらに一そうの努力をいたしてまいりたいと思うのであります。  最近起こりました――長い統計は持っておりませんが、本年度に入りまして起訴になりましたのは二件でございます。厚生省の薬務局の事件と農林省の農政局の事件、この二件が起訴になっております。その他もう一件は新聞紙上に出ておったのでありますが、通産省の関係の問題でございます。政府はこれに対してどうしておるかという御意見でありまするが、従来から数次にわたりまして、官庁綱紀の問題につきまして政府といたしましては、それぞれ注意を喚起しておったわけでございまするが、今回特に過般の閣議におきまして、その点を厳重に実施し、実効をあげることを話し合った次第でございます。総務長官の依命通達といたしまして通牒を出しましてその実現を期しておる次第でありますが、  その内容といたしましては、第一に汚職等の不祥事件発生を未然に防止する適切なる行政的措置をとるということ。監督者の責任体制の確立について、これを行なうということであります。なおあわせて官庁のいわゆる秘密漏洩も関連しておりますので、そのことに対しましても注意を促したわけでありまするが、具体的にはこれらの不祥事の発生原因、それから職場の実態等に対しまして再検討する必要があるのではないか。これを未然一に防止するための具体的な措置をひとつ具体的に検討いたしたいと思うのであります。たとえば、職務権限を一人の者が握っておって、だからこれを監督する余地がなかった。一人が判を押せばそれでもって一切きまるというようなことにも問題があったと思います。したがって、そういった職務配分あるいはチェック機能の問題、また人事の配置等の問題に対しましても検討いたしたいと思っておるのであります。  それから第二に平素から監督者としての部下の指導にあたります場合におきまして、やはり公私の別を明らかにするような指導を徹底させる。特に国民から誤解を招くような特定の民間業者との折触等に関しましては一そうの注意を払うように喚起をいたしておるのであります。なお、もう一つ指摘いたしましたことは、不祥事故の発生いたしました際における監督者の責任の問題であります。本人自体が処分を受けることは当然でありまするが、監督指導者の責任ということに対しましても、明確にする必要があるのであります。この点に対しましても、具体的な措置を講じたいと考えておるのであります。  ただ、かように申し上げますと、従来の通牒通達とほとんど変わったことがないではないかという御意見もあるかと思いまするが、今回におきましては、特にただいま申し上げましたような趣旨に対しまして、具体的の措置をそれぞれ各省庁において検討してもらって、そうしてその対策等に対しましても、意見を申し出てもらうというわけであります。どういう周知徹底の方法を講じてきたかまたその状況の点検方法、また綱紀粛正の実効をあげるためにとられました措置等につきまして意見を聞きました。そうして各省庁の実際の意見というものをもとにさらに十分の検討を加えました。今後の綱紀粛正に関して根本的な処置をとりたいかように考えておる次第でございます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 いまお話の中にあった部下の監督不行き届きということに対する責任はいかなる法規に基づいてされることになっておるか。この点につきまして、人事院総裁は国家公務員法の懲戒規定の中にある条項の適用をこれに振り当てることが可能かどうかということを含めて御答弁を願いたい。  総裁おられるからもう一つお話が前後しますが、私は、いまの公務員給与が安いということも一つ理由があると思っているんです。いま、給
  112. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 あとのほうから先にお答え申し上げます。おそらくこれも予測にとどまることではありますけれども、客観情勢上おそらくことしも勧告は免れないであろうという観測を持っておるわけであります。その暁においては、先ほど来の実施時期のお話がいろいろ大出委員からございましたけれども、今日の段階では従来どおり五月ということで勧告申し上げることになりはしないかと考えております。  それから、監督者の責任の問題は、これはもう当然懲戒処分の対象になることと思います。この処分についての公務員法の規定は非常に広くなっておりますが、「この法律又はこの法律に基づく命令に違反した場合」とか「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、これは職務上の義務だと思います。上司たる者は部下の監督を常に密にやっておかなければいかぬわけですから、その監督に怠りがあったとすれば、上司としての職務上の義務にまさに違反したということになりますが、まあ三つか四つぐらい載っておりますけれども、これは懲戒処分の対象になることは間違いないと私ども考えております。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 私はいま総務長官がおっしゃった部下の監督責任を追及するにあたって、直上の上司だけでなくて、政府の中にも、二階級上位の者にも責任を及ぼそうということをお話し合いしておられるようでもありますが、この監督責任というものは非常に重大であって、事件の発生をつまびらかに探ってみると、同じ職場におりながら、上司がその部下のどこかに欠陥があるそれを十分監督しないで、ついに犯罪に追い込んだという責任は免れ得ないものがあると思う。だから階級をどこまで持っていこうとするのか、責任の地位にある者の監督不行き届きの責任追及は、どの階級まで持っていこうとされているのか、一応の御答弁を願いたい。
  114. 床次徳二

    床次国務大臣 いわゆる監督者たる上司の責任追及の限度でございますが、あるいは二階級上まで及ぼしているという実例もございますけれども、それは結局いわゆる汚職と申しますか、その種類によってどこまでにするかということを考えなければならないと思うのでありまして、さようなこともございますので、先ほどの通牒等におきましてはそういう実例等につきましてもよく調べまして、そうして今後の取り扱いの参考にいたしたいと思っておる次第であります。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 大平通産大臣の部下にもそういう事件が発生しておる。あなたはそれに対して大臣としての責任は、いま二階級上の者までというような話も出ているわけですが、大臣としての責任はどう感じておられるか御答弁願いたい。――責任なしですか。
  116. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私、通産行政をあずかる者といたしまして、こういう不祥事件を起こしたことに対していたく心を痛めております。そこで、こういう事案が発生いたしました原因の究明、その対策にいち早く乗り出しまして、再発を防止する措置を早急に講ずることによって私の責任を果たしてまいりたいと考えております。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 責任を果たしてまいりたい。――通産省というように利権につながりの多い役所は、もっとこの問題について厳正に、公務員たる者の任務を果たしていかなければならぬところだと思うのです。油断をしているといろいろなところに誘惑がある、そう考えていいかどうか御答弁願いたい。
  118. 大平正芳

    ○大平国務大臣 就任いたしましてからくまなく省内の空気を点検したのでございますけれども、私が予想いたしておったよりは明るく仕事に精を出していただいているので、実は安心しておったのでございます。しかし、御指摘のように、私どものほうは経済官庁でございまするし、毎日多数の経済人が利害に直接関連したお仕事で私の部下と折衝を持っておるわけでございまするから、十分戒めてかからなければならぬことは仰せのとおりでございます。この間起きました事案につきましても、考えてみますと、二十年余り同じポストに同一人がおったというようなことも一つの原因であろう。したがって、私のほうではもう三年以内に配置転換をすることによって、そういった情実的な関係ができないような環境をつくらなければいかぬということと、一人に権限が集中するというようなこともまた一つの原因であろうと思いまするので、何人かの合議の上で最終の判断は下すというような仕組みをいち早く整えつつあるわけでございまして、御懸念の点につきましては、私も全く憂いをともにするわけでございまして、十分配慮していきたいと思います。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 いま具体的な事例で示されたような方法は、汚職を未然に防止する一つの方法であろうと思います。お説の経済官庁、最も誘惑が多い類似の役所がほかにも幾つかある、この点を含めて、経済閣僚としてこの問題をりっぱにやってのけてくれるだけでも、もう国民の信頼を回復できると思う。  国家公安委員長に最後に伺いたいが、こういう事件の捜査に当たって、たとえば郵政省であるならば郵政省の監察官がある、国鉄であるならば公安職の職員がある、防衛庁であるならば警務官がある。各省に独特のいろいろ警察官の任務とよく似通ったような職務を遂行する職種がある。そういうものをひっくるめて、国家公安委員長として、犯罪の予防、そして残念ながら発生した場合には、これを仮借なく摘発して、あとに累を及ぼさないようにする。国家の権威において、少なくとも国民全体の奉仕者としての公務員に忌まわしい事件が起こらないようなき然たる態度をもって、刑事事件を担当する部門も含めた大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  120. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 治安当局の立場で申し上げます。  刑法をはじめとします刑罰法令に反するような案件につきましては、暴力であろうと汚職であろうと、ありとあらゆるものにつきまして、いまおっしゃったとおりのき然たる態度で臨んでおるし、今後も臨むことは当然だと心得えております。御案内のとおり、警察官の国民に対する職青は、警察法ないしは刑事訴訟法あるいは警警官職務執行法で明記しておりますように、あくまでも民主的に不偏不党の立場に立って、法の命ずるところに従い、法の範囲内において厳正に、公平に扱わねばならぬということに明定されておりまして、これに逸脱する警察権の行使というのは許されないと同時に、いま申し上げた基本線に立って全国民に厳粛に奉仕するという責任を持っておるどいうようなことでございますから、御指摘のような態度で臨むことは、当然のことと心得ております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 この問題に関して総務長官、やはり現在の公務執行体制にも欠陥がある。陣頭指揮をする上司、特に局長、次官クラスは、午前九時にはきちっと役所へ出てもらいたい。もう勤務時間にはぴしっと上司がそこにおるということで、勤務時間も厳正になる。局長、次官は十時を過ぎてそっと職場へすべり込みをされる。局長、次官も、願わくばあのラッシュアワーの電車に乗って御苦労をされるくらいのこともちょいちょいやってみていただきたい。そういうことによって、勤務の厳正というところを上司から範を示す。高給をおはみになっておられる方々が陣頭へ立って、下僚に対して大いに垂範に垂範をするという形をとることが、私は大事だと思うんです。出勤時間がおくれ、また上司みずからがゴルフにこりというようなことがもしありとするならば、下これになろうて、国家治安の乱れはおのずから発生するという懸念があるのですが、そういうことについて公務執行上の上司陣頭指揮に対する通達、その他はどういうふうにされておるか。あるいは各省に督励をされておるか。人事院も同様な責任があると思いまするが、それに対しての、政府を代表する答弁をお願いして、質問を終わります。
  122. 床次徳二

    床次国務大臣 綱紀の粛正に関しましては、御意見のごとく、公務員全体が姿勢を正すことが必要かと思いまするが、特に上司の、監督の責任にある者につきましては、その責めが重大であることを考えておるのであります。むしろ率先垂範をするということ、これに対しましては、今後の公務員としてのあり方につきまして、十二分に努力すべきことであると思います。もとより従来から、そういう責任のある地位にあります者に対しまして、いろいろな注意も喚起され、また現実において上司たる者が努力してまいったと思っておりまするけれども、今後とも一そうひとつ、今回の不祥事件等の発生にかんがみまして遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。      ――――◇―――――
  124. 藤田義光

    藤田委員長 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  したがって、その法案に関連以外の閣僚、政府委員説明員はお引き取りをお願いします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  125. 木原実

    ○木原(実)委員 大臣の時間があまりないので、次回に主たる質問はまたすることにいたしますが、審議に御協力を申し上げる意味で、若干の質問を申し上げたいと思います。  出されております問題は、通産省に職員研修所をつくる、こういうことでございまして、この  ことから若干お伺いをしてみたいと思います。この研修所をあらためてつくられるわけでありますけれども研修生を選ぶ基準は、やはり従来のとおり、あまり変わらないのでございますか。
  126. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省におきましては、従来とも新入省者の研修、語学研修あるいは技術研修をそれぞれ行なってまいった次第でございますが、御承知のように、昨今の行政事情はたいへん複雑多岐に相なりまして、職員の資質の向上、また能力再開発ということは一そう幅広く、かつ深く行なっていくという要請が出てまいっておることを承知いたしております。かような時代の要請にこたえまして、より組織的に、かつ体系的に幅広く職員研修を行なって、総合的な研修体制の確立を期したい、かような趣旨から、今回研修所の設置をお願いするわけであります。
  127. 木原実

    ○木原(実)委員 この研修の程度は、一体どの程度のものなんでございますか。たとえば電子計算機の研修であるとか、システム分析の研修とか、いろいろな新しい技術的な分野のことを課されておるわけでありますけれども、これは要するに通産省の中で事務を遂行する範囲の中で必要な技能の研修をする、こういう程度のものですか。
  128. 両角良彦

    ○両角政府委員 研修の程度は、ただいま御指摘いただきましたような専門的な分野につきましての理論的な研修、あるいは実際的な研修というものを一つの大きな柱にいたしておりまするが、そのほか、先ほど申しました新入省者に対する当省業務の概要に関する研修あるいは現在つとめておりまする管理者に対しまする能力再開発のための研修等々、研修の内容に応じまして異なった程度もしくは中身を持っておるわけでございます。
  129. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、たとえば最近いろんな面での事務改善が問題になっておるわけですけれども、もっとコンピューターを取り入れていく、こういうような前提研修を進める、こういう計画もお組みでありますか。
  130. 両角良彦

    ○両角政府委員 コンピューター関係の専門技術の研修につきましては特に重点を置いて進めてまいりたいと考えます。
  131. 木原実

    ○木原(実)委員 あわせてお尋ねしておきますが、海外研修のようなものはどうなっているのでございますか。
  132. 両角良彦

    ○両角政府委員 海外派遣者に対しまする研修は、当省におきましては、主として語学研修という形でやっておりまして、現実に派遣されまする前段階研修は外務省においてこれをお願いいたしておる次第であります。
  133. 木原実

    ○木原(実)委員 研修の講師はどういうぐあいでございますか。
  134. 両角良彦

    ○両角政府委員 それぞれの研修に応じまして、大学の教授あるいは外国人講師等々、研修の内容に即して、最も権威ある方をお願いいたしております。
  135. 木原実

    ○木原(実)委員 泊まり込みでやるのだ、こういうことでたいへん勇ましいのですが、これはある意味では、かなり長期のものもあるようですけれども、どう言ったらいいのですか、少しかん詰めが過ぎて、詰め込みはいいわけですけれども、その間に何か非常に労働過重になる、そういう弊害のことはお考えはございませんか。
  136. 両角良彦

    ○両角政府委員 確かに研修の計画によりましては、三ヵ月等の長期にわたるものもございますので、内容的には過重なものもあろうかと思いますが、まさにさような研修に対応いたしまして、より快適な環境において研修が受けられまするように、宿舎制度の完備をはかりまして、負担のかからないと申しますか、より合理的な研修の推進体制をはかってまいりたい、かように存じます。
  137. 木原実

    ○木原(実)委員 わかりました。先ほども問題になっておりましたけれども、たまたま通産省の中で、最近、課長補佐の汚職事件がありまして、大臣答弁もお伺いしたいわけでありますけれども、この問題はいろいろ事務のシステム上の問題その他もありますが、どうも一つには、世間で構造的汚職なんということがいわれまして、あまり言いたくないわけでありますけれども大臣がおっしゃいましたように、たいへん膨大な経済官庁であって、経済人との接触も多い。しかも、その中でやはり大臣考えていただきたいことは、通産省が行政指導に熱心のあまり、ややもすればいろんな問題について企業のサイドに寄り過ぎるのではないのか、こういう感じも受けるわけであります。そうしますと、行政を執行していく立場とそれから関係をする業界あるいはその企業の発展あるいは産業の発展を願うあまり、どうも企業のサイドの中に深入りをしていく、そこに言ってみればけじめがつかないという側面が出てくるのではないのか、こういう感じがするわけであります。さらに大きくいえば、これは産業政策の中に承そういうけじめのつかない分野が広がっているのではないだろうか。つまり通産行政を遂行していく上での姿勢に、国民の目から見れば、ややもすれば企業のサイドに踏み込んでいく側面が特に通産省には強いのではないのか、こういう批判を持つわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  138. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は就任の日に幹部の皆さんに御相談したのは、まさにその点でございます。役所も経済界との接触が仕事でございまして、これと孤立しては仕事の実効があがるわけじやございませんから、孤立してはいかぬ。そしてまたそこにおけるいろいろな経験、インフォメーションを十分吸収するだけの用意がなければ経済行政はできないわけでございますから、その点は十分心得てやっていただかなければならぬと思いますけれども、おのずから公務員といたしましての限界というものがございます。これは社交上の限界もございますが、それにプラスいたしまして公務員といたしましての品位保持の限界がございまして、これは私どもの役所の諸君も十分心得ていただいておると私は確信いたしておるのでございますが、この構造的な、御指摘でございましたけれども、根本は何といいましても一人一人の職員のそういった限界を賢明に守っていただく知恵と申しますか、注意力といいますかそういうものにかかると思うのでありまして、事あるごとにその注意を喚起しておるところでございます。
  139. 木原実

    ○木原(実)委員 私は問題にしたいと思いますのは、個々のこともそうでありますけれども、たとえば公害の問題について、あるいはまた最近ずっと問題になっております企業の合併の問題について、いずれも通産省が公式にないしは非公式に態度を明らかにしておる問題を点検をいたしますと、ややもすれば企業のサイドにつき過ぎるのではないか、こういう印象をぬぐいがたいわけなんです。そこでそれは帰するところはやはり政策の立場という問題もありましょうし、それからまた従来の通産行政のいわば惰性の延長線上にそういう態度があるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、いずれも企業サイドに深入りをする。たとえば、逐次質問したいわけでありますけれども、今度の八幡、富士の合併の問題につきましても、通産省ないし通産省筋というようなことで合併の過程に表明された通産省の態度というのは、はっきりいえば合併推進という立場をとっておられる。最終的に合併が望ましいものであり、あるいはその合併に落ちつくということになりましても、おのずから過程というものがある。しかも、その過程の中には、公正取引委員会という独禁法に基づく役所の存在もある。そういうものに対して、通産省がいわば当初からこれを歓迎する、ないしはこれを推進する、こういう立場に変わられるような態度表明があったということはこれはいかがなものであろうか、こういうふうに私はいまも考えておるわけでありますけれども、それらの点についてお考えございませんか。
  140. 大平正芳

    ○大平国務大臣 通産省の産業政策の一つの柱は産業の体制強化ということでございます。国際的な開放経済に入りまして、苛烈な競争下にさらされておるわが国の産業でございますから、そのにない手である企業が十分国際的に競争にたえるだけの体質を持ち、競争力を持ち、技術開発力を持ち、あるいは金融力、投資力、そういったものを持っていただくことはいいことなんでございまして、それからまた通産省がお願いいたしておりまする産業構造審議会の答申もまたそういう方向でうたわれておるわけでございますから、私どもははばかることなく企業の体質強化には賛成である、それを推進するのが私どもの役目であると思っております。しかしながら、私がたびたび本院におきましても申し上げておりますように、これは何も野方図にやっていいというはずのものでは決してないわけでございまして、独占禁止法という経済秩序の基本的な法律があるわけでございますから、その許された範囲内におきましてわれわれの政策を推進するのに何らちゅうちょしてはいかぬと思うのでございます。  そういう点を御理解いただいた上で、今度の八幡、富士の合併問題でございますが、仰せのように、通産省が当事者の一方の側に立ってこれを援護射撃するというようなことは私はよくないことだと思いまして、私をはじめ、全省員に対しまして、この問題については、公式であろうと非公式であろうと、通産省としての見解は、公取の審査にかかった以上は差し控えようじゃないかということで、むしろ神経質に過ぎるくらい注意をいたしたつもりでございます。したがいまして、ただ世上の新聞とかあるいは雑誌等で、通産省ということをメンションした上で、通産省が何か一つの初めから一方の当事者側に立っての動きをしておるのではないかというような憶測が流れまして、私どもはたいへん迷惑をいたしておるのでございます。これはそこまでなかなか私も責任がとれないのでございまして、もう戦々恐々として非常に慎んでおるつもりでございますけれども、その点御了解いただきたいと思います。
  141. 木原実

    ○木原(実)委員 大臣のおっしゃることはよくわかります。一般的な政策ないし方針として合併推進というお立場をおとりになることは、これは議論はあるにしましても、一つ方針だと思うのです。しかし、個別的な企業の問題が問題になったときに、おっしゃるように一方の側に立って云々するということはやはり厳に慎んでもらいたいと思うのです。  大臣の御方針はわかりましたけれども、この過程の中では、通産省から出しておられる雑誌その他の中においても、責任者の局長さんと当該会社の責任者の方が対談その他の形で、あたかも合併をあらかじめ容認をするような意味での対談が載っておるというようなことも従来あったわけであります。したがいまして、世上の新聞その他が、ひっくるめて、通産省の態度として、八幡、富士という個別企業の合併について、これを非常に推進しておるのだ、あるいは援護しておるのだという印象を持ったとしても、これはやむを得なかった側面があると思うのです。ですから、これは大臣の御注意にもかかわらず、そういう問題がやはりあったと思うのですね。だから、これは相次いできょうあたりも紡績関係の企業の合併の問題が出ておりますし、おそらくこういう趨勢が続くと思うのです。したがって、これらの選別その他については当然公取が関与をしていく問題でございましょうし、それからまた厳正に是非を論ずる場があってしかるべきだと思うのです。ですから、一般的な行政方針と、それから個別企業に対する態度については厳正に区別して進んでもらいたい。もっとやはり謙虚に、政府機関はもちろんでありますけれども、世論の声に耳をかしながら検討を加える、こういう態度が望ましいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  142. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ですから、いろいろ新聞や雑誌等に出まして、通産省がこうじゃなかろうかということを憶測するに足る根拠は、非常に失礼でございますけれども、もう一度検討しまして、それで独禁法の解釈問題として実質的に競争力を制限するものかどうかというような、一私人として議論することは私はあり得ることだと思いますけれども、いやしくも政府機関としての通産省あるいは公の機関を預かっておるわれわれが、おっしゃるように軽率に公取の審査にかかった案件の具体的なケースについてとやかく申し上げることは、マナーとしてもよくないかもしれませんが、公取に対しても非礼でありますし、またわれわれとしても行き過ぎであるということをよく心得ているつもりでございます。したがって、その点は今後とも十分留意していくことにいたします。
  143. 木原実

    ○木原(実)委員 大臣の時間がないようでございますからこれで終わりますけれども、次回に持ち越させていただきたいと思いますが、ただ一つ、公取の関係が出ましたけれども、従来、やはり通産省と公取の関係はかなり密接でございまして、たいへんきれいごとの話以外に、いろいろな問題があったにわれわれも聞いておるわけであります。特にこれからは合併の問題がメジロ押しに相次いでおるという情報がございます。ある意味では、独禁法自体が存在を問われるというようなたいへん大きな政策上の転機を迎えておるのじゃないかと思うのです。そういう際であるだけに、やはり特に通産省が、表面上はもちろんでございますけれども、内面的はたとえば公取に対して圧力をかける、公取に対して何らかの工作をする、こういうようなことがかりにもないように慎んでもらいたい。具体的なことをあげなくてそういうことを申し上げるのは失礼でありますけれども、従来われわれが耳にしました事例の中ではそういうことがあったわけでありますから、特に独禁法それ自体の問題がたいへん大きな存在を問われる段階にきておるだけに、十分な配慮をしていただきたい、このように考えるわけであります。  それでは終ります。
  144. 藤田義光

    藤田委員長 次回は来たる二十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十六分散会