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淡谷委員 あとで資料を出されるならば、そのときでもいいのですが、とてもこれじゃ
審議できない。
下総牧場についてはいろいろな話があるんです。かつて明治
政府が大農法を取り入れようとしたときに試験
牧場にしたのはあそこなんです。そして初めて外国の牧草を取り入れましてあそこでは失敗している。アルファルファという草をやりましたので地下茎が六尺くらいはえるのです。二メートル近くはえます。
牧場の地下水が高かったことが
調査されなかったために、これは外国の牧草はだめだという非常な軽率な判断がその当時の専門家によってなされている。したがって、今後やはり
牧場地として
決定するためには、地上の土質の
調査だけじゃなくて、地下水その他万般にわたるような
調査が完了しませんと、これでりっぱに
代替地ができたとはいえない。特に
空港公団の
総裁をはじめとして農業の専門家じゃないでしょう。それが、ただ
土地をほしいばかりにあちこちに
代替地をつけて、あそこへ移れ、ここへ移れという。
宮内庁も気の毒です。まして同じ二十二億の金を使う、一般
代替地へ入れられる農民の気持ちを
考えてごらんなさい。百姓というものは金をやればそれでもう
土地を投げてどこへでも行くのだという、この発想は誤りですよ。あなたは何と答えているか。
土地を追われた農民たちがどういう
空港関係の職業につくのかという質問があった場合に、こんなことを言っているじゃないですか。何か有利な近代的な
仕事にはつけない。みんな草刈りだとか掃除だとかというものに農民はいくであろうとあなたは言っているのですね。言っていませんか。じゃ聞きましょうか。山村
委員の質問に対する
答弁です。あなたが言っていないというなら、ひとつ記憶を呼び返してもらいたい。「構内の営業につきましては、いろいろなものがあると思います。たとえば、国際線における旅客を対象とする高級なレストランであるとか、あるいはまた、商品の陳列、宣伝を目的とする
空港のロビーにおける真珠であるとか、あるいはまた光学機械であるとか、あるいはまたトランジスタ
関係のテレビ、ラジオその他等、そういうふうなものについては、これは
地元の方々がそういうことをおやりになることは、私は必ずしも適当ではないと思います。あるいはまた、外国の旅客を対象にしますインフォーメーションというふうな
仕事も、これは相当な経験と、語学その他につきましてのたんのうな人たち等を集めなければならぬというふうな問題等もございますが、しかし、それ以外に
地元の方々のおやりになる
仕事としては、運輸
関係をはじめ、あるいはまた、ガソリンスタンドであるとか、ハイヤーであるとか、タクシーであるとか、あるいはまたクリーニングであるとか、あるいはまた印刷の
仕事であるとか、あるいは、みやげ物の売店であるとか、あるいはまた一般の方々を対象とする、あるいはまた従事員を対象とする食堂であるとか、いろいろな
仕事があるはずでございます。もちろん、飛行場の清掃の問題であるとか、あるいは除草の問題であるとか、」ということをちゃんと言っているでしょう。大体百姓が
土地を離れてやる
仕事というのは、おそらくこんなものでしょう。しかも
土地というものは、新しいところに移ったからといって、長い間やってきた
土地のはだ身に感ずるあたたかさというものは、感じられるものじゃないです。それが現在のあの開拓地の人々をはじめ、農民が、七十歳をこえた老人までが決死隊を組織して、どうにもならないといってやっている心情じゃないですか。あまりに
土地闘争としての成り立ちを、この問題に対して
総裁はお知りにならない。この間、宇佐美
長官お留守の場合に、この農民がどうしても陳情申し上げたいというので、次長の方にお目にかかりました。
宮内庁でお通しくださって、中へ参りました。ほんとうに純真な農民たちの持っていったものは何だと思われますか。昔の佐倉宗五郎が持っていったような「上」というあの陳情書ですよ。それで次長から、いまの
請願法によると、これはもうだめですからこれはお伝えできませんが、口頭で機会のあるときに陛下に申し上げておきますという
答弁を聞いて、何ぶんお願い申しますといって下がってきた。こういうふうな農民の心情というものに対して、
幾ら近代的な
空港をつくるのかもしれませんけれ
ども、もう少し血の通った、あたたかいやり方があると私は思う。このままでいくならば、農民自体が黙っていませんよ。しかも今度のこの
牧場の問題は、第一期
工事の半分を占める重要な
牧場でしょう。なお第二期
工事、第三期
工事に対しては大きな
抵抗がある。もしもこれらが、
宮内庁でこれを提供したからわれわれの
土地も取り上げられるのだというふうにいったら、一体どうなさいます。私はこの問題は慎重の上にも慎重を期しませんと、まさに
千葉県の農民の血の上に
国際空港をつくらざるを得ないというような、国家としてまことに憂うべき
状況になると思います。単なる反対ではありません。
運輸省の資料を見ればわかりますが、あの
空港が
完成したあとには、百里の基地と競合するということもはっきり書いているじゃないですか。これはもう
総裁も知らないはずがない。その点は、
農地法の問題もあるし、
運輸省の問題もございます。
防衛庁の問題もあるのです。ブルー14がいつまで存続するのか、どのように変化するのか、これを見なければ羽田
空港の将来もやはりはっきり判断するわけにいかない。
米軍のチャーター機の問題、自衛隊機の
使用回数な
どもはっきり出されておりませんし、これ以上
審議を進めましても水かけ論になりますから、きょうは保留しておきたいと思う。あらためて運輸大臣、農林大臣も御
出席の上この問題を根本的に
審議できるように、ぜひ
委員長において慎重にお取り計らいを願いたいと思う。