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1969-02-20 第61回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君    理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君    理事 大出  俊君 理事 浜田 光人君    理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       内海 英男君    菊池 義郎君       野呂 恭一君    葉梨 信行君       古内 広雄君    三池  信君      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       淡谷 悠藏君    木原  実君       華山 親義君    平岡忠次郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         防衛施設庁長官 山上 信重君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         外務政務次官  田中 六助君         外務大臣官房長 齋藤 鎭男君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         通商産業政務次         官       藤尾 正行君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 二月十九日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として山  中吾郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山中吾郎辞任につぎ、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十九日  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号) 同月十八日  靖国神社国家護持立法化反対に関する請願(  阿部哉君紹介)(第六五四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六五五号)  同(岡本隆一紹介)(第六五六号)  同(神近市子紹介)(第六五七号)  同(唐橋東紹介)(第六五八号)  同(河野正紹介)(第六五九号)  同(小松幹紹介)(第六六〇号)  同(斉藤正男紹介)(第六六一号)  同(中井徳次郎紹介)(第六六二号)  同(横山利秋紹介)(第六六三号)  同(阿部哉君紹介)(第七〇五号)  同(石橋政嗣君紹介)(第七〇六号)  同(岡本隆一紹介)(第七〇七号)  同(神近市子紹介)(第七〇八号)  同(唐橋東紹介)(第七〇九号)  同(河野正紹介)(第七一〇号)  同(小松幹紹介)(第七一一号)  同(中井徳次郎紹介)(第七一二号)  同(横山利秋紹介)(第七一三号)  同(阿部哉君紹介)(第七二九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第七三〇号)  同(岡本隆一紹介)(第七三一号)  同(神近市子紹介)(第七三二号)  同(唐橋東紹介)(第七三三号)  同(河野正紹介)(第七三四号)  同(小松幹紹介)(第七三五号)  同(中井徳次郎紹介)(第七三六号)  同(横山利秋紹介)(第七三七号)  同(阿部哉君紹介)(第七六八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第七六九号)  同(岡本隆一紹介)(第七七〇号)  同(神近市子紹介)(第七七一号)  同(唐橋東紹介)(第七七二号)  同(河野正紹介)(第七七三号)  同外一件(小林信一紹介)(第七七四号)  同(小松幹紹介)(第七七五号)  同(中井徳次郎紹介)(第七七六号)  同外一件(古川喜一紹介)(第七七七号)  同(横山利秋紹介)(第七七八号)  同(阿部哉君紹介)(第七九九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第八〇〇号)  同(岡本隆一紹介)(第八〇一号)  同(神近市子紹介)(第八〇二号)  同(唐橋東紹介)(第八〇三号)  同(河野正紹介)(第八〇四号)  同(小松幹紹介)(第八〇五号)  同(中井徳次郎紹介)(第八〇六号)  同(横山利秋紹介)(第八〇七号)  靖国神社国家護持法制定に関する請願(大久保  武雄君紹介)(第六六四号)  同(青木正久紹介)(第七一四号)  支那事変における金鵄勲章受章者特別措置に  関する請願池田清志紹介)(第六六五号)  同外一件(上林山榮吉君紹介)(第六六六号)  同外三件(金子岩三紹介)(第七〇四号)  同外二十一件(細田吉藏紹介)(第七八〇  号)  同(渡海元三郎紹介)(第八一〇号)  同(久野忠治紹介)(第八四五号)  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願外三件(川村継義紹介)(第六六七  号)  同外四件(浜田光人紹介)(第六六八号)  自主憲法確立等に関する請願外一件(金子岩  三君紹介)(第七〇三号)  一世一元制法制化に関する請願外四件(進藤  一馬君紹介)(第七八一号)  同外九十二件(内田常雄紹介)(第八四四  号)  婦人少年室廃止反対等に関する請願外一件(戸  叶里子紹介)(第七八二号)  同(山下榮二紹介)(第八一一号)  靖国神社国家管理反対に関する請願谷口善太  郎君紹介)(第八〇八号)  同(松本善明紹介)(第八〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第二〇  号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 藤田義光

    藤田委員長 まず、趣旨の説明を求めます。長谷川農林大臣
  4. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由改正内容を御説明申し上げます。  第一は、農林省本省付属機関として熱帯農業研究センターを新設することであります。  熱帯農業に関する試験研究は、アジアの農業先進国であるわが国立場より見て、熱帯、亜熱帯開発途上にある国々農業の発展を助けるため、より一そう推進するよう、内外から強く求められております。このことはまた、稲作をはじめとして、多くの面でこれら地域農業共通の問題をかかえているわが国農業研究分野の拡大と研究水準の向上に役立つものと考えられるのであります。政府は、従来からこれら地域への研究者の派遣などの方法により、研究推進をはかってまいりました。このたび、さらにこれを一そう充実するため、熱帯農業に関する試験研究を効果的に進めるための中心的な組織として熱帯農業研究センターを設置することにしたのであります。なお、熱帯農業研究センターは、沖繩に支所を置くことにしております。  第二は、同じく農林省本省付属機関として農業者学校を新設することであります。  わが国農業及び農村を近代化していくためには、次代の農業をになう優秀な農業後継者を育成し、確保することが重要であります。政府は、従来から農業に関する教育研修施策を充実するようつとめてまいりました。しかしながら、若い農村青少年の流出は依然として続いており、農業後継者対策は今後一そう強化する必要があると考えられます。このため、農林省みずから、専門の教育機関として農業者学校を設け、現在農業に従事している青年に対し、将来自立経営のにない手として、地域農業の振興に役立つことができるような、程度の高い教育を施すこととしたのであります。  第三は、農林省本省地方支分部局である地方農政局地方農林局に改組するとともに、あわせて統計調査事務所機構を整備することであります。  最近の民有林行政には、林業構造改善事業入り会い林野整備促進などの施策に見られますように、地域的なきめのこまかい林野行政と総合的な地域農林行政推進が強く求められております。このため、従来もっぱら林野本庁で処理してきました民有林野に関する事務を大幅に地方農政局に移すこととし、これに伴い、地方農政局名称地方農林局に改めることといたしました。  また、統計調査事務所は、その作成する統計を今後より一そう総合的な地域農林行政に活用できるようその機構を整備することといたしました。すなわち、地方農林局のある都府県にあります統計調査事務所は、その地方農林局に統合し、その他の府県にあります統計調査事務所は、その府県を管轄する地方農林局に所属させることにしたのであります。  以上の措置に伴って、北海道にあります統計調査事務所は、これを独立の地方支分部局としますほか、営林局などの機構及び所掌事務の一部を改めることといたしております。  このほか、この法律案におきましては、効率的な業務運営を行なうため、種畜牧場整備の一環として高知種畜牧場を廃止することとしております。また、輸出品検査所事務日本農林規格に関する事務を追加すること、神戸肥飼料検査所の大阪市への移転により名称などを変更すること、南西海水産研究所の位置を変更することなどのため、必要な改正をすることといたしております。  なお、この法律案内容のうち、熱帯農業研究センター高知種畜牧場に関する部分のほかは、昨年の第五十八回通常国会に提出し、参議院において審議未了となりました農林省設置法の一部を改正する法律案内容と同じものであります。  以上が、この法律案提案理由とその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。      ————◇—————
  5. 藤田義光

    藤田委員長 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古内広雄君。
  6. 古内広雄

    古内委員 ただいま議題になっております外務省設置法の一部を改正する法律案在勤法の一部を改正する法律案で若干質問をさしていただきます。  まず第一に外務省設置法の問題でございますが、儀典長を新設する理由として、外国要人国賓公賓等としての接遇とか在京大公使の接受等事務が非常に増加しているということで儀典長を新設せられる。そうして外交上の儀札に関する事務を総括整理するために、儀典上の面で外務大臣の代理をなし得る格の高い職として儀典長を新設するということでございますが、もう少し具体的に、たとえば昨年一ぱい、四十三年度一年くらいをとってみて、一体どのくらいの回数で国賓とか公賓が来日しているか、その人数、おおよそのところでよろしゅうございます。それからまた来賓の地位、たとえば皇族であるとかあるいは総理大臣であるとかというようなことを、ひとつごく簡単でよろしゅうございますが教えていただきたい。  第二点は、一体そのような場合に、これらの国賓公賓というものは平均して何日くらい日本滞在することが例なのか。またその場合に、儀典側として一体どの程度のめんどうを見なければならないのかということでございますね。要するに、おそらく日本に来られる連中は公式の滞在とそれから非公式なプライベートな滞在とあるんだろうと思いますが、そういうようなことで一体どの程度まで儀典側のほうで世話をなさることになっているのか。  それから第三点は、ことしの四十四年度の国賓あるいは公賓の来日される予定。この三点に関してまず簡単でよろしゅうございますが、お答え願います。
  7. 田中六助

    田中(六)政府委員 第一点の格は、大体現在設置されております外務審議官と同格の大使級を当てる予定でございまして、四十四年度で国賓の来日する予定は現在のところアフガニスタンの国王とそれからインドのネール首相が来られる予定でございます。  それからこれらの人々国賓滞在の日程でございますが、そう長くおるということはほとんどなく、約一週間から長くて十日間程度でございます。  第三点につきましては、ちょっと他の政府委員のほうから答弁させます。
  8. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 お尋ねの最後の点についてお答え申し上げますが、この接遇内容につきましては、国賓公賓いろいろ種類がございまして、国賓の第一、国賓の第二、それから公賓の第一、第二がございます。国賓の第一は御承知元首でございます。国賓第二は、総理またはこれに準ずるものということであります。さらに公賓のほうにつきましては、第一は皇室ないしは王室の方、公賓の第二のほうは閣僚でございます。これらの基準に従って接遇内容を変えておりますが、原則といたしまして日本皇室が御関係になるかどうかということによってその内容がだいぶ変わってまいります。両方共通の点につきましては、空港の送迎それから宮中または総理による御接待及び関西旅行あるいは工場見学あるいは日本の文化、これは観劇も含めまして、そういったものを行ないます。またその場合に政治経済ないしは文化的な協議が行なわれることがございます。それから差別につきましては、ただいま申し上げましたように宮中関係が主でございまして、その他の点については大体同じようなことをやっております。
  9. 古内広雄

    古内委員 その差別のことでございますが、要するに宮中に参内するかどうかが差別だというわけでございますか。
  10. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 元首及び総理の場合及び先方の王室皇室の場合には宮中行事があるということでございまして、こまかいことになりますが、特に国賓の場合には陛下のお出迎え、お見送りがあるということが違ってまいるわけでございます。
  11. 古内広雄

    古内委員 先ほどちょっと述べられたと思うのでございますが、格の高い職ということを言っておられますけれども、一体どの程度地位の人を考えておられるのか。  またそれと関連して、ごく数カ国でよろしゅうございますが、おもなる外国の例、たとえばヨーロッパ二つ三つアメリカ等の例をひとつ伺いたいと思います。
  12. 田中六助

    田中(六)政府委員 古内委員も御承知のように、いままでは儀典長といいますと政令職によるものでございまして、格が非常に低い。日本はこのごろ近代化してどんどん外国の使臣が来られる、元首が来られるというのに、大臣が繁忙でございますし、それに見合う人がどうしてもほしいということが改正趣旨でございましたが、いずれにしてもそういうことで設置法をお願いしているわけでございます。そういう意味の格上げということで、大使クラスのあるいは大使を卒業した人、そういうような人を格づけしておるわけでございます。  それから主要国十五カ国ぐらいを例にとりますと、——十五カ国と申しますとアメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、タイ、中華民国、パキスタンなどを見ますと、十五カ国のうち十四カ国が、すでにちょうどわが国でいま私どもが皆さまにお願いしております儀典長の格を持っておる国でございます。やや下回るものがスウェーデン一国で、ほとんど主要国法律職による儀典長という状態でございます。
  13. 古内広雄

    古内委員 そうすると、今度はそういう地位の方が儀典長になられましたら、たとえば国賓とか公賓とかおいでになるときの送迎などはもう全部儀典長で間に合うのか、あるいはまたどの程度外務大臣のいまの負担を軽減することになるか。ごくかいつまんででよろしゅうございますがお答え願います。
  14. 田中六助

    田中(六)政府委員 国賓あるいは公賓が来日した場合は、首席接伴員あるいは接伴員として実質上接伴事務全般を主管するのが儀典長の大きな目的でございまして、そういう趣旨で実行し、大臣はまた国賓——結局大臣を十分補い得るという立場にわれわれは考えておるわけでございます。  特に来年は万博がございまして、いま参加国が七十カ国予定されております。そうなりますと、やはりそういう国々の代表、普通ならば国賓に当然値するような人々の来日も予定されておりますし、それも十分勘案の上今回の措置をお願いしておるわけでございます。
  15. 古内広雄

    古内委員 関連してもう一つ御質問したいのは、国賓公賓などを日本に接待した場合は、費用はどの程度日本側が負担するのですか。
  16. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 接遇内容につきましては、閣議決定外務大臣の発議で行なわれます。それから公賓につきましては、閣議了解できめられますが、家族を含めまして賓客及び十五名をこえない随員の招待期間中の接遇に要する経費日本側が負担する。  それから次に掲げるような経費については日本側が負担しない。第一は、賓客一行の本邦外旅行に要する経費、それから賓客一行の本邦外との通信に要する経費、第三に、賓客側の主催する行事に要する経費、これは賓客側日本側を招待するというような場合の経費は負担しない。それから賓客国の在本邦外交官賓客接遇に要する経費、わがほうで提供する以外の自動車を雇ったり何かするというような場合にはこれを負担しない、大体そういうことが国賓の場合の要領でございます。
  17. 古内広雄

    古内委員 それでは次に、新しい出先を新設することになったのでございますが、そのうちのアンカレッジ領事館を新設する、これは、国会議員を含めて、いまアンカレッジを通過してヨーロッパへ往復する日本人の数も非常にふえておりますので、ここに実館を置くということはよくわかるのでございますが、そのほかにも、近年あの辺へ日本企業が相当進出しつつあるということを聞くのでございますが、一体どの程度日本企業が現時点において進出しているのか、まあおもにどのような企業が進出しておりますのか、また将来に対する見通しなどございますれば、ひとつお答え願いたいと思うのでございます。そして、それに関連して、もし日本企業の進出というような観点からも非常に重要な領事館であるということであれば、その領事館に派遣する人員なども、大いに経済に明るい人などを考えるつもりなのかどうか。そういうことをひとつ伺いたいと思います。
  18. 田中六助

    田中(六)政府委員 アラスカ日本から非常に近いところにございますし、その上天然資源と申しますか、そういうものに恵まれておる州でございます。特に森林関係、それから石油、天然ガス、水産物もそうでございますが、これらが日本に非常に密接な関係がございまして、四十三年暦年で見ますと、アラスカ州の輸出の四分の三は日本、それから日本からアラスカが輸入しているのが四四%、約半分近いわけでございます。そういう非常に密接した経済関係にございまして、したがってわが国商社もかなり出ておりますと同時に、各会社、在留邦人、学生なども含めまして百二、三十名の日本人がすでに滞在しておりますし、そういう貿易、経済関係から、すでに三年前にアラスカ東京事務所というのがございまして、向こうもアラスカの州の事情を日本に説明し、PRし、それと並行して日本もそういう経済体制日本にない資源——ほとんど日本資源はないのでございますが、そういう面から切っても切れない関係がますます深まりつつあるという現実でございます。  それから第二番目の、総領事館にどういう人間を持っていくかということは、第一段目経済の交流が非常に深いし、これを深めていかなければならぬという観点からしますと、当然こういう経済問題に造詣の深い人をぜひとも私どもは選ばなければならないと思っております。したがって、そういう方針のもとに人選を進めております。
  19. 古内広雄

    古内委員 それでは次に、南イエメン大使館設置、これは実館ではなくて兼館であると聞いておりますが、この南イエメンというような国が一体日本にどの程度重要性があるのか。それで一体在留日本人とか商社というのは、多少いまでも行っておりますのかどうかということと、それから南イエメン政情など、簡単でよろしゅうございますがお答え願います。
  20. 田中六助

    田中(六)政府委員 南イエメンアラビア半島の南端でございまして、私も実は昨夜地図を見て、ああこういうところにあるのかというような国でございまして、人口が百五十万、私の選挙区の北九州市が百万でございますから、それにちょっと毛のはえたような国で、在留邦人は全くいないのです。こういうところにどうして認めたか、こういうようにするのかということが考えられますが、ただ水産資源が非常に豊富で、日本の船、そういうものが漁業のために出かけておりますし、そういう関係でぜひとも漁業資源を確保し、これから先も密接な関係を持っていかなくちゃいかぬ。  国情そのもの政情はどうかというお尋ねでございますが、政情は、これは非マルキスト社会主義を唱えております。民族開放戦線という、一応非常に社会主義的な国のようでございますが、国際的には非同盟政策を標榜しておりまして、非常に安定した政情のようでございます。
  21. 古内広雄

    古内委員 次にもう一点外務省設置法についてお尋ねしたいことは、国際関係は今後ますます複雑化してまいりましょうし、そこでその複雑化に応じて、いま外務省としてまた機構を変えていく必要を感じておられるかどうか。特に私ども感ずることは、いまでも軍縮関係とかあるいは科学技術関係などを考えてみますと、いままでよりもどんどん仕事内容が複雑になっていくんじゃないかと思うのでございますが、そういうようなことで、特にいまの軍縮関係とか科学技術関係にしぼってけっこうでございますが、現在の機構と、将来そういうものを外務省希望としてはこういうふうに持っていきたいということがあれば、ひとつ簡単に言っていただきたいのです。
  22. 田中六助

    田中(六)政府委員 外務省そのもの希望でございますが、この点につきましては官房長のほうがより以上に切実な問題だと思いますので、官房長にちょっと答えさせます。
  23. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 お答え申し上げます。  第一点は、ただいま外務省には九局三部ございまして、その局と部は大体地域的な局と機能的な局とに分かれておりますが、外交機能というものが最近御承知のように複雑になりまして、ある地域だけの事務あるいはある機能だけの事務というものがなくて、むしろ相互に関連し合ってきている事務が多くなってきております。そこでこれから統合して一つのまとまった政策として持っていくという意味におきまして、いわば企画機能と申しますか、あるいは総合調整機能と申しますか、あるいはもっと高く申し上げますと総合政務的な仕事が非常に大切になってまいったわけでございます。こういう機能につきましては、従来外務省としては事実上いろいろの形でこれを行なっておりますけれども、何か機構としてこれをまとめる必要があるのではないか、これが第一点でございます。  第二点は、先般すでに実行いたしましたけれども政治経済というものを切り離して事務をとるのではなくして、これを一体的に進めたいということで、一応この問題は解決いたしましたけれども、いまやっております方法でいいかどうかということを今後とも見ながら進めてまいりたいというように考えております。  それから第三点は、いま御指摘の問題でございまして、いわば軍縮問題と科学問題というようにいえるとも思います。軍縮につきましては、この十八カ国軍縮委員会日本がはいれるかもしれないという事態でございまして、わが国としても、世界の平和のためにこの委員会にぜひ入りたいということで折衝を進めております。もしそれが実現することになりますれば、軍縮関係機構、ただいま軍縮室という一つの室がございますけれども、これをさらに大きなものにする必要が出てくると思います。軍縮とうらはらでございますが、科学技術につきましては、現在国連局科学課というものがございまして、主として国際関係国際会議の面から科学問題を取り扱っておりますけれども、最近の新しい傾向として経済、技術というものが非常に進んでまいりまして、OECD等の国際会議においても、各国の科学技術を一体どういう機構でやるかということを問題にしております。わが国としても早晩そういう問題を取り上げなければならないようになると思います。  最後は、国際関係の一般に対する理解の問題でございますが、現在は長期の理解を促進する措置と、毎日のいわゆるスポークスマン的な仕事というものが一緒になっておりますので、これを変えていくということも、今後外交政策を国民の皆さんによく理解していただくために必要なのではないか、大体いまそういう四点ぐらいのことを考えております。
  24. 古内広雄

    古内委員 いま官房長が触れられた最後の点ですけれども、私なども非常に感じている点なんですが、現在の情報局は主として日々のニュースを中心として内外の記者と接触しておられるという、それがいまの情報局のおもなる任務だと思うのだけれども、またそうでない、日々のニュースに関係のない根本的な問題で、日本のたとえば安保問題であるとか、あるいは沖繩の問題であるとか、その他いろいろな問題で日々のニュースにとらわれない根本的な日本の問題について、ことにそれが外国と非常に関係のあるものについて、特にそういう問題を国内に啓発するというような仕事は、現在外務省のとの局で——やはり情報局だと思いますが、どの課で行なわれておるのか、あるいはそういう課がないのか、ないとすれば今後どういうことを希望されるのか、簡単にひとつ伺いたい。
  25. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 ただいまお話しのような点は情報文化局の国内広報課というところでやっております。それと報道課というのがございまして、報道課が薄日の仕事の、国民への普及ということをやっておりまして、おのおの一つずつの課でやっております。これが一つの局の中で一緒にやっているということでやはりものの考え方が混淆しているおそれがあるのではないかというふうに考えております。
  26. 古内広雄

    古内委員 それでは次に、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について若干の御質問をいたします。  まず住宅手当を別にされたということが今度の改正の要点のようにうかがうのですが、これによってどの程度に在外職員の住宅問題が改善されるのであるかということ。それからこの住宅手当というのは、原則として実費を支給するということであると了解しますが、まあ世界じゅう見渡して非常に高い家賃のところもあろうと思うのです。特に安いところは問題ないとして、非常に家賃の高いようなところでも、今度の住宅手当ができたことによって、皆さま方外交官が体面を維持できるような住宅に住めることになったのかどうか、その点をちょっとお答え願いたい。
  27. 田中六助

    田中(六)政府委員 古内議員も体験上から十分御承知だと思いますが、いままでわが国の在外の公務員の、手当というものじゃなくて一つの俸給ということでありましたが、国会の御審議を通じてこれを手当にしろということで、その趣旨に沿いまして今回手当としたわけでございます。  先刻御案内のように、住宅手当はいろいろ外国によって違います。特に在外公館あるいは外の公務員が住む場合は、その国でも、日本でもそうですが、非常に家賃が違ってくる。そういう点も勘案しまして、どうしても住宅というものが外交活動の本拠になるという趣旨から、いままでは、日本もそうですし、諸外国においても、住宅は官給の場合とあるいは実費補償等の特別の処置をとっておるわけでございます。特に外国人住宅費は、物価の値上がりとは違った——先ほど申しますように違った角度から取られるというような点で、それも勘案いたしまして今回の措置をとったわけございますが、それによってどの程度の増額になるかといいますと、約三二%程度を見込んでおるわけでございます。
  28. 古内広雄

    古内委員 それでは非常に家賃の高い国、アメリカなどはそうだと思いますが、そういうところでも、この手当の支給によって、今度は相当体面を維持するだけの住宅に住み得ることになったと了解していいのですか。
  29. 田中六助

    田中(六)政府委員 そういう趣旨でございます。
  30. 古内広雄

    古内委員 それでは次に、住宅手当のことはそれでよろしゅうございますけれども、やはり住宅問題の非常に窮屈な国もあるわけでございまして、そういうような、ことに私は後進国でそういうことがあろうと思うのでございますが、そういうところでは、要するに政府の手によって館員の宿舎を確保するとか買い上げるとか、あるいは日本政府の手によって住宅を建設してやるとか、そういうことを促進すべきじゃないかと思いますが、現にある程度やっておられるかどうかということでございます。  それからまた、ちょっと関連いたしますが、日本の国威がもう非常に上がってきた、したがって、日本の外に出ている大使など、やはり国威を傷つけないような公邸に住まわなくちゃならない、その観点から、多くの場合相当多額の家賃を払って借家しているという現状でございましょうが、こういうものは逐次政府の手によって日本政府が買うなりつくるなりしてりっぱな公邸をつくっていったほうが経済的じゃないかと思いますが、その点どうお考えになりますか。
  31. 田中六助

    田中(六)政府委員 仰せの御趣旨のとおりに、経費の節減という点から見ましても、当然わが国の国の予算によって建設し、あるいは借りて、恒久的な契約で借りたほうが得でございますので、そういう観点から従来この住宅については進めております。  先ほどの第一のお尋ねの点でございますが、現在各地に計二十七戸の館員宿舎がございまして、目下九戸を建設または購入の予定でございます。今回、昭和四十四年度の予算では十二戸の館員宿舎の建設費を要求しております。  現在、政府の所有になっている公邸が二十六戸でございまして、四十四年度予算におきまして公邸の建設が二つ、中華民国と象牙海岸、それから購入が三件、アフガニスタン、ケニア、タンザニアを要求しております。  三番目の趣旨は、われわれそれをモットーとしてやっております。
  32. 古内広雄

    古内委員 それから、今度の在勤法改正で、一体この移転料というものはどういうふうに扱われているのか。従来の例によりますと、たとえば外務省の役人として方々移転する場合に支給される旅費の中の移転料はきわめて少ない。場所によっては非常に不利な場所がある。たとえば欧州にしても、大陸のまん中の館から移動する場合と港から移動する場合では移転料が非常に違うが、大体において大陸のまん中から移動する場合には、支給される移転料の倍かかるというようなところもあると思うのですけれども、この点は今度の改正で触れたのか、あるいは今後触れようとなさるのか、ひとつ伺います。
  33. 田中六助

    田中(六)政府委員 移転料の問題でございますが、これは今回触れようとしておったわけでございますが、実は予算の関係上うまくいかなかったわけでございまして、現行の旅費は昭和四十二年に改正されたわけでございますが、おもな費用である日当と宿泊料については一五%、移転料については基本額の五〇%の増額がそのときに実施されておりますが、それからちょうど二年にたった現在、もちろん諸物価の関係から、移転料について改善すべき必要が生じてきております。しかし、先ほど申しましたように、一度にすべてを改善するということが予算上のワクで不可能な状態でございます。しかし、私どもはこの移転料の不合理につきましても、鋭意次の年度からでもぜひとも実施してもらいたいという気持ちでございます。
  34. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 ちょっと補足します。ただいま御説明されたとおりでございますが、御承知のように、在勤法の問題と旅費法の問題、これは別の問題でございますが、御承知のような点がございますので、本年度両方を考えたのでございますが、ことしは、在勤法にとどめまして来年度旅費法のことを検討したい、このように考えております。
  35. 古内広雄

    古内委員 最後にもう一つ在勤法に関連して、在勤法自体の問題じゃないと思いますけれども、海外に出ておられて、外務省ばかりの問題じゃないのですが、子女の教育というものに非常に苦労しておられると思うのです。したがって、日本と違ってそれにも非常に金がかかるというようなことで、子女教育の手当などということも問題はあるだろうと思いますけれども、それと関連して、日本人教育をするのに日本人学校などが戦前は重要なところに方々にあったのだけれども、現在日本人学校というようなものを海外に持っているところが一体あるのかどうか。また在留邦人が非常に多いところで、今後そういうものを持とうとなさろうとしておるのか、最後に伺いたいと思います。
  36. 田中六助

    田中(六)政府委員 御案内のとおり婦女子の海外の教育は、外務の公務員以外にも商社その他在留邦人が頭を痛めている問題でございまして、私どもも今回この婦女子の子弟の教育の補助金につきまして十分考え、予算に計上をお願いしようという考えをもって、鋭意折衝したわけでございますが、予算のワクというものに縛られまして、婦女子の子弟の予算は葬られたわけでございますが、これは私どもとしては望みを捨てているわけではございません。来年度予算にはぜひこの点の予算を計上してもらいたいと思います。  それから日本人学校の実態でございますが、小学校、中学校に準じた教育を、昭和四十二年度現在を見ますと、世界に十九校が設立されておりまして、その在外子弟は約千三百名、教師が百十三名にのぼっております。しかしこれとてもまだまだ足らない状況でございまして、最近は家族を同伴して諸外国に在留する者がふえておりますので、子弟教育の充実強化という点は、ぜひとも必要であるという段階でございます。
  37. 古内広雄

    古内委員 相当の数の日本人学校が世界にあるようですが、大体重点にどこの地区に多いのですか。
  38. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 主として発展途上国でございます。もっと具体的に申し上げますと、アジア地域が一番多いわけでございます。  なお、中南米におきましてもそういう希望が非常に多く出てまいりましたので、四十四年度におきましては、ジャカルタ、リマ、サンパウロ、シドニー、この四校を考えております。
  39. 古内広雄

    古内委員 関連して、共産国におられる方々の教育はどうしておられますか、もちろんそこの都市の学校には入れないと思いますが。
  40. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 実は子女教育手当というものを考えましたのは、主としてそういう地域のための考慮でございますが、現状を申し上げますと、いわゆる西欧の諸国に子弟を送っておるかあるいは内地にとどめておるわけでございます。外交活動を万全に行なわしめるためにどうしても婦女子を同伴する必要がございますので、子女手当でも考えて西欧のほかの諸国に留学できるような措置を考えるということがやはり一番大切ではないかというように考えております。
  41. 古内広雄

    古内委員 どうもありがとうございました。
  42. 藤田義光

    藤田委員長 大出俊君。
  43. 大出俊

    ○大出委員 本来ならば国政調査という形で理事会にお願いをして、一日日にちを取っていただこうと実は思ったのでありますけれども審議の停滞という点も考えなければなりませんので、設置法と関連をいたしまして、二、三点お聞きしておきたいのであります。  私、実は横浜の出身でございますので、横須賀の隣におりまして事あるごとに横須賀にひっぱり出されまして、基地内の状況につきましてあるいは湾内の状況につきましても、あるいはモニタリングポストなりポイントなりの問題につきましても、あるいはモニタリングボート等の状況につきましても私は何回となく実は見てきておるわけでございます。ところが最近の状況をながめてみますと、あまりといえばでたらめさかげんに腹が立つ状態にありまして、連日のように異常放射能が報告をされる、こういうわけなんであります。  そこで、実は外務大臣に少し突っ込んで御回答をいただいておきたいのでありますが、今回、海中で二回、地上で十四回ぐらい一昨日までに異常放射能が記録されております。これについての米側への申し入れというのは、これは科学技術庁と御相談の上で外務省を通じてという形になると思いますけれども、具体的にいってどういうふうに米側にお話しになったのか、また口頭なのか文書なのかですな。項目等についても率直のところどうなんだというふうに、ひとつまずお知らせをいただきたいのであります。
  44. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 科学技術庁長官からもいろいろ御説明があることと思いますけれども、お求めによりまして私どものほうでいたしておりますことを御報告申し上げたいと思います。  まず一月十三日から十六日の間にプランジャーが横須賀に寄港しました際に、レーダーによる異常が記録されたわけでございます。さっそく科学技術庁からの御要望がありましたので、外務省といたしましては一月下旬、原潜の寄港中は測定器に異常を及ぼすような強力なレーダーを使わないように米国大使館に申し入れをいたしました。具体的にどのようなレーダーということにつきましては、現地で科学技術庁と米海軍が話し合うことになりました。  それから二月十日、ハドック寄港に際しまして、レーダーによる平常と異なる値が記録されまして、このときも科学技術庁からのさっそくの御要望がございましたので、重ねてさっそく米国大使館に協力を求めました。米側といたしましてもわれわれの心配が十分理解されたと思うのでありますが、全面的に協力を約束いたしまして、具体的には現地のレベルで問題点を調整をすることにしたいという回答でございました。それから翌二月十一日、横須賀におきまして科学技術庁と米側の話し合いが行なわれたはずでございます。  それからイリジウムの使用について、二月十四日の午後でございますが、米艦プレイリー号で使用されておりましたイリジウムによって測定器に平常と異なる値が測定されたわけでございます。十四日の夜、科学技術庁から米側に対し、測定器に影響を与えないように協力方の申し入れがございましたので、同日夜のうちに、東郷アメリカ局長からウイルキンソン在日米軍参謀長に対しまして、科学技術庁からの申し入れを伝えたわけでございます。  それから翌十五日に、外務省から重ねて米大使館にこの件を念のために伝えました。米側はこれに対しまして、できるだけ協力を惜しまない、それから具体的の問題点につきましては、当方の希望に応じまして現地で十分相談をしたい、会談も持ちたい、こういう回答でございました。  それから翌十六日は、たまたま日曜日ではございましたけれども、米側から、通常は日曜ですからやらないのだけれども緊急を要すると思うので、プレイリー号でイリジウム使用検査を行なうので特別に協力をしてくれ、これは米側の回答でございました。さっそくこれは行なわれたはずでございます。  それからプレイリー号の停泊の場所を移動せられたいということを当方から申し入れましたが、これは米側として困難である、こういう回答でございました。  もう一つは、イリジウムを使用する時間はあらかじめ日本側に伝える、こういうことになりました。  それから十七日月曜日は、横須賀におきまして、午後二時三十分から、科学技術庁、外務省担当官が米側海軍当局と会談いたしまして、レーダーそれからイリジウムなどによって測定器に影響を与えないように、レーダー、イリジウムなどの技術的な問題点について話し合いが行なわれました。  それから、ところが十八日火曜日に再びレーダーが測定器に影響を与える事例が生じましたので、外務省は、いま前に申しましたような点につきまして、レーダーに関する部分についての話し合いを再確認をいたしたわけでございます。  十八日現在までの米側との接触の状況は以上のとおりでございます。  それからなお、アイソトープについては現在使用する予定がないということが、これらの会談において確認をされておる次第でございます。
  45. 大出俊

    ○大出委員 愛知大臣は声があまり大きいほうじゃございませんで、だいぶ聞き取れない点がございましたが、本来これは、原潜が初めて日本に入るときに愛知さんがいみじくも科学技術庁長官をおやりになっておられるわけです。椎名さんがたしか外務大臣だったと思いますが、ちょうどきょうと同じ形で実はそこに御出席いただいて、石橋政嗣君と私とでずいぶんと長時間本席で御質問したことがございます。したがって、幸い、外務をおやりになっておられますけれども、特別に詳しいわけでございますので、そういう意味で、私は突っ込んだ御回答をいただきたいと思って質問しておりますので、あらかじめお含みをいただきたいと思います。  というのは、現地の状況と、いまのお話よく聞き取れない点がありましたが、だいぶ違うわけでございます。そこで先ほどこまかく質問したつもりなんですが、相手が一体だれとだれ、アメリカ大使館とこうおっしゃるのですが、たとえばオズボーン代理大使であるとか、こちら側は東郷さんが行かれたなら行かれたと、そこらのところをはっきりしていただきたいのと、科学技術庁が直接米大使館その他に一緒にだれが同行をして話し合いをおやりになったのか、そして具体的にレーダーについて、あるいはイリジウムについて、あるいはアイソトープについて、どういう知らせ方をこちら側にしようというふうに皆さんのほうからお話しになったのか、かつまた向こう側はどういうふうにそれに対して回答を与えたのか、はっきり聞きたい。  もう一つ、現地で打ち合わせをされたというお話なんですが、現地は一体相手はだれで、こちら側はどなたなのか、ここまで実は聞きたいのです。その理由は、県会でも昨日基地対策特別委員会などが開かれまして、神奈川県峰尾渉外部長が答えておりますが、言っておられることは科学技術庁から直接聞いて話しておられるのですけれども、現地とまるっきり違う。しかも昨日は、米軍の情報部長とローカル紙である神奈川新聞の横須賀支局長さんが直接会って確かめた。ここともまた非常に違う。このままほうっておきますと、二十何日までか停泊するのでありますから、現地がわいてしまいまして、どなたに聞いてみても、皆さんの言うととはひどいものだ、測定させないように妨害しているんだという意見がうんと出てくる。そういうことではどうにもならぬと私は思います。  そこで、きょうは私はここの質問で行かれませんので、党のほうから六、七人、科学技術関係、特別委員会関係の方々、また基地対の方々、国会議員等々が現地へいま調査に行っておりますが、この二十四日には県会もこの問題で臨時県会を開くわけですから、ますます食い違って混乱をするということになると、いろいろな意味で与える影響が大でございますので、いま申し上げた点をはっきりお答えいただいて、その上で食い違いは私も現地に出かけていって一つ一つただしたい。いまお話しのウイルキンソンにいたしましても現地の米海軍の方々にいたしましても、私はちょいちょいお目にかかっておりますから、ひとつ確かめて誤解を解いていただきたい、そして将来に向かってただすべきものはただしていただきたい、このことを私どもも言わなければいかぬと思っておりますので、ぜひひとつ——私のほうにも記録がございますのでお伝えをいただきい。
  46. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ごもっともなお尋ねと思いますが、先ほど申しましたように、問題はレーダーとイリジウム、それからアイソトープと、大きく分けると三つになるかと思います。  それから相手側はだれかということでございますが、これは米海軍の参謀長ウイルキンソン、しかし、これは何といいますか、アメリカ側に対する正式の接触でございますから、大使館側としては……(大出委員「正式ではないですね」と呼ぶ)はい、オズボーンに接触をいたしております。その形式は緊急を要する場合には電話の場合もございます。それから面接をして話した場合もございます。そして、それらを総合いたしまして、概略でございますけれども、先ほど申し上げたような経過を御報告いたしたわけでございます。  それから、よけいなことを申し上げるかもしれませんが、ただいま大出委員御指摘のとおり、私もそもそものときからの関係者でございますから、原潜の入港を認める以上は、これに対して関係の県民、市民の方々に御心配を与えてはいけない、的確に科学的な調査、その報告というものが十分御理解をいただかなければならない、こういう私の基本的な態度でおりますので、現地の方々からいえば御不満や御不審の点もあろうかと思いますが、私としても誠意を尽くしてこれからも事に当たりたいと思います。具体的な点で御要望や御不審の点がございましたら、私だけでお答えのできないことも多々あろうかとも思いますけれども、どうかひとつ御遠慮なくお尋ねいただきたいと思います。
  47. 大出俊

    ○大出委員 私も、実は愛知科学技術庁長官当時に安全性につきましてずいぶん念を押したつもりでございます。当時は私も現地に参りまして、市民の皆さんのお宅まで歩いていって御意見を聞いたり、また愛知さんなり椎名さんなりが私の質問にお答えになったことを伝えたり、私自身でかれこれ当時二百軒歩いております。実はそういう事情にありますので、誤解はあくまでも誤解として、明確にさせておきたい。それから、将来、どうしても直していただかなければならぬ点は、金がかかってもお直しいただきたい。その上で、イデオロギーの相違もありますから、賛否のあることはいたしかたありませんが、そこまではやりたい、そういう気持ちでございます。  そこで、現地のJ・L・クリーブランドという中佐、この方が在日日本海軍指令部報道部の部長さんでございます。J・L・クリーブランド中佐でございます。その方と、先ほど私の申し上げましたように、私の懇意な神奈川新聞の現地の支局長さんが一問一答をやっておられる。これは公式にやったのですからうそ偽りはございません。ところが、ここで現地の部長さんが明らかにされておりますのは、この事前報告などという、事前にチェックする、あるいは事前に通知をする、レーダーを使うとか、アイソトープを使うとか、あるいはイリジウムを使うとか、そんな約束をした覚えは毛頭ないとはっきり言うのですよ。その中で言っておりますのは、それじゃアイソトープについてはどうなんだと言うと、使用する三時間前に予告をすると約束したと言っている。これはやっておる。それからレーダーについては、この五百何十隻も船が入っているので、入ってくれば全部レーダーを使って、レーダーの試験をやるんだ。そんなものはチェックのしようがないじゃないか。しかも、試験をやらなければ出航はできないんだ。つまり、横須賀は基地なんだから、修理もしなければいかぬ。だから港に入ってくるときはレーダーを使う。停泊していてもレーダーを使う。レーダーの試験をやるんだ。そして悪ければ直すのだ。そういう軍としての任務を持っているんだ。だとすると、レーダーを使うといっても、事前に通知をしろといったって、そんなものはできるはずはない、だから、約束をしたと言うけれども、そんなことは一切ないと言う。そうなると、あれだけレーダーがやたらに使われたのでは、これはとてもじゃないが調査はできない、不可能だということです。そこらの食い違いが非常に大きゅうございますので、そこらは一体どうなっているんだ。科学技術庁長官を含めまして御答弁を願いたいと思います。
  48. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答え申し上げます。  この原潜が横須賀に寄りまして、横須賀の市民の方々にたいへん御心配をかけている。また神奈川県御出身の大出さんにも、たいへん御心配をかけておりますことは、たいへん恐縮いたしております。  御案内のように、原潜が過去においてたびたび入港してまいりました。そのつど皆さん方から御注意がありまして、検出の機器を整備したらいいじゃないかというお話がありました。まことにごもっともなことでございますので、私どものほうにおきましても、検出の機器の整備に努力をいたして今日まできておるわけなんですが、そこで、最近におきましては、この検出機器が非常に、自慢じゃありませんが、精密になってまいりまして、きわめてかすかな放射能の異動でもこれが検出されるというようなふうになってまいりました。そこで、今回ハドック号が十日に入港して以来の様子を見ますると、私どものほうのいままでの力で科学的に調べたところによりますと、原潜から放出した一次冷却水によったものでないということは、きわめて明らかになっておるわけであります。  しからば、なぜこの異常値が検出器にあらわれたかと申しますと、先ほど来お話になっておりまるようなアイソトープですね。イリジウム192のこのアイソトープのガンマー線によって——このごろはちょうど、御案内のように、人間の胸をレントゲン写真をとるように、鉄管でも何でもガンマー線で写真がとれる。すでにわが国の国内におきましても、あるいはボイラーの鉄管、あるいは日本航空の飛行機のプロペラのシャフトの検出、あるいは船の溶接、あるいはまた鋼管の溶接、各方面に使われておりまして、これにつきましては、御案内のように放射能障害防止の基準法をきめまして、一定の基準内でなければならぬということになっておるわけであります。  ところで、今回アメリカが基地の中において、駆逐艦の母艦においてイリジウムのガンマー線を使っての検査をする。英語で言えばノンデストラクティブテスト、非破壊検査ということで、探傷検査をする。これは、ある意味において、あそこへたくさんの船が入ってきておるからやむを得なかったろうと思われますが、その中で使ったのも、私どものほうで法律できめている基準の外に出ておらない。人体に対する安全性その他は十分考慮してやっておるようでありますが、これは御案内のようにアイソトープの放射能ですから、放射能の検出機器に直接響くのはしかたがない。とめようがない。  それから、それだけかと申しますと、そのほかにいまのレーダー、これは電池のノイズでありますが、放射能の測定器は、御案内のように放射能をそこで感ずるのですけれども、電気に変えて入るようになっておるのでありますから、そこにレーダーの電波が来るというと、これを防ぐわけにいかない。これはあとでもまたお話があるかもしらぬと思うのですが、この点については、レーダーの影響というものを遮断するような設備をしたらいいじゃないかということを過去においてたびたびおっしゃっておられる。科学技術庁におきましても、前長官時代からそういう御要望がありまして、非常に努力はしてきたのです。ところが、私どものほうでこの機器の製作を注文する際に、そういう条件を固くつけたのですけれども日本で一流のメーカーですけれども、これにはシャッポを脱いでしまったのです。これはいまではできないということでシャッポを脱がれてしまったものですから、今日では、機器におきまして、レーダーの電波を遮断する設備はできないわけです。これは非常に遺憾ですけれども、現在のわが国科学技術の水準と、こういう機器をつくる業者の水準からいって、これはしかたがないじゃないか。しかたがないからといってこれはほうっておくわけではありませんけれども、そういうことがありまして、私どもの機器に対する影響は、一次冷却水が出ればもちろんこれは響きますが、そうじゃないということはいろいろなことから明らかであります。ですから、残っているところの、いまのイリジウム192のアイソトープのガンマー線である、これが一つ、それからレーダーのものと、この二つが原因になったわけですね。  そこで、私どもは、人体にはあの程度のものならば全然影響はないと思っておりまするけれども、先ほど来お話しのように、横須賀の市民の方々が非常に不安に思っておられる。また、大出さんその他の方々が皆さん御心配になっておられる。これは無理からぬことですが、これは科学的に見ますと人体にほとんど影響はないものだが、不安は不安として何とかしなければならぬ。そこで、私どものほうは、外務省のほうにお願いいたしまして、先ほど愛知大臣から詳細にお述べになりましたように、原潜の入っている間はこの検査機器に影響があるような行動はとらないようにしてもらいたい、こういう申し入れを再三再四にわたって申し入れたことは外務大臣から御説明があったとおりであります。  ところで、しからば、現地においてどうしておるか、外務大臣がおっしゃったように、現地で交渉することにまかせるかという問題がございます。私どものほうからは、この班長である赤羽君という放射能課長がちょっとかぜを引いておったものですから、根岸君というのがかわりに行っておりました。それで、赤羽君がかぜがなおって、いま向こうへ行っておるのですが、現地におきましては、私どもの課長の程度ですから、向こうの交渉相手としては、さっきもお尋ねがありましたが、ピースという参謀と会っているようです。そこで、愛知大臣がおっしゃったように、原潜がいる間は、検査機器に影響のあるようなレーダーでも、あるいはアイソトープの問題でも、なるべくやらないようにしてもらいたい、こういう申し入れをやりました。ところが、私どものほうで聞いておりますところによりますと、それはイリジウム192を使うほうのことは事前にひとつ通告をすることにしよう、しかしいまもお話がありましたように、もう数十隻といいますか、私ども数はよくわかりませんが、たくさんの船が出たり入ったりしている。それでレーダーというものは、今日、船の航行にあたりましてはどうしてもこれを使わなければならぬあれになっているものですから、それをこれだけの数多くの船が使う。それを一々あらかじめ知らせるというようなことはできない、こういうことを言っておられるわけです。しかしそのほかの対空射撃のあれとかそういうものは、向こうでは言っておりません。それはこちらの言い分を聞いてくれると思いますが、航行用のレーダーというものは、あらかじめ知らせるといってみたって、たくさんの船がみな動くたびにそれを使うのだから、それをあらかじめ知らせることはできない、かような向こうの話であったと私は報告を受けております。そんなようなわけで、できるだけひとつ不安のないようにして、いずれにいたしましても、原潜の一次冷却水から出た放射能でないということだけは明らかになったわけであります。
  49. 大出俊

    ○大出委員 外務大臣の時間が少ないようでございますので、私も簡単に質問いたしますが、いま科学技術庁長官から原潜から出た一次冷却水ではないというお話がありましたが、これも調べてみるとまことに不明確なんですね。これは愛知さんがいにしえ科学技術庁長官のときに私は何べんもくどいように申し上げたが、とにかく相手が軍艦であるだけに立ち入り検査はできないのですね。どこから一体一次冷却水が出てくるかということも明らかでない。船のどこかということが明らかでない。全くわからない。そうなると水中シンチレーション等を使って調べていますけれども、的確にそこにいっているのかどうかもわからない。私は現地に行って担当者に一々聞いてみた。ほんとうにわからないというんですよ。しかも、いま電気ノイズのお話が出ましたけれども、行ってみますとおわかりだと思います。おそらくお二人とも行かれたことはないと思うのだけれども、私はこういうときにはやはりどなたか責任ある方が、科学技術庁長官なり外務大臣なり、一ぺん行って見ていただかなければならぬと思う。これだけ大きな、それこそ現地はひっくり返るような騒ぎです。ここにもあるのです。これは十八日の読売新聞の神奈川版です。「たび重なる“異常値”市民の不安高まる」「米軍に非難の声」こんなに大きな活字を使っている。「市議会、きょう対策協議」そうかと思いますと、けさの神奈川新聞ですけれども、第一面トップに「レーダー“事後届け出の約束”」約束違反である。おまけにもう一つの新聞では、米軍が約束したというけれども、それは全くうそだと書いてある。それが明らかになってきた。そこでここには「予告は特定艦」だけ、「全艦の事前チェック困難」一問一答の結果が全部出ている。たいへんな騒ぎになっているわけです。二十四日は臨時県会です。このために臨時県会を聞くわけですからね。そういう状況ですから、これはやはり皆さん、どなたか責任ある方が行ってみないと、私は現地をよく見て申し上げるのだけれども、かみ合わない、そうすると誤解も解けない、こういうふうになりかねないわけであります。いまあなたのほうで電気ノイズをしきりに言われるけれども、全部構造まで明らかになっているわけですよ。今度あなたのほうの科学技術庁が新しい機器を入れてというが、どこに何を入れてどうするかということを——これは米海軍基地です。問題が起こっておるのはこの六号ドック、ここにナンバーワンのモニタリングポストがまずある。ナンバースリーのモニタリングポストは六、七バースの、つまりここにハドックが着いているわけです。しかもプレイリーという船がその百メートル前に現にぼくらが行ったときはあったわけです。ここに空中から線をとっているわけです。地中からでないんですよ。地中からとったのではなく空中からとっていますから、それは当然電気ノイズがあるはずだ。ところがそれもいままでは月に二回程度しかなかったというんですよ。科学技術庁のお出しになっている方針書がございますね。原子力軍艦放射能調査指針大綱、おたくのほうは四十三年九月五日付で出しておられる。との大綱に基づきますと、通常でも調査をしておるわけですから、いま始まったのではない。通常やっていて、入ってきたらさらに回数をふやしたりしてやるわけですから、通常やっている形の中では月に二回ぐらいしかそういう振れはない。ところが今回ハドックが入ってきてから連日という。こんなばかな話はだれがどう考えてもない。おまけに、これはどういう構造で配線がしてあって——これが六号、これが七号バースですが、ここにあるのです。ここにボックスがありまして、これがいまの三号のモニタリングポスト。どういうふうに配線がしてあるか、全部入っている。ここの一番突端でやっているわけですからね。水中が一つありまして、橋の脚のところに空中のやつ、陸上のやつがある。ところが、これに通常一カ月に二回ぐらいしかそういうノイズがないにもかかわらず、今回立て続けに十四回、さらにきのうまた出てきている。こうなると普通の状態だとはどう考えても考えられない。ここらあたりをやはりあなたのほうも責任をもってお調べいただいてものを言っていただかぬと、こう言ったら向こうがこう言いましたというだけではこの疑問は解けない。市民の皆さんで原潜入港に賛成された方に聞いてみても、言っちゃぐあいが悪いからじゃましているんでしょう、こう言っているのです。それでは私はやはり事が済まぬと思うのです。そこらのところ、どういうふうに判断されていますか。いまのお話によると非常に抽象的で、つまりたくさん艦船が入ってきてレーダーを使うのだから、調査の機器のほうからいってもそれをカウンターする機器はできないのだからいたしかたない、こうもし科学技術庁長官がこの時点でおっしゃるのだとすれば、調査の方法はないという結論をあなたお出しになることになるのですが、そこのところはいかがですか。
  50. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えいたします。  いまのようにたびたびやっておるということにつきましては、これは向こうに特殊の事情があるかもしれません。私どもはよくわかりませんけれども、この機器のほうが十分間に合わなかった。これは私ども非常に遺憾に思っておるのですが、さればそれをほっておくかといいますと、そうじゃありません。それは平生からチャートのあらわれる図型を研究しておりまして、レーダーのものはこういう形になるというようなことを大体私のほうで研究いたしておりまするので、これはレーダーのものだなと大体判定がつくようになっております。その方法によりましてやっておりまするし、今後なおこの点につきましては私どもで一そうの研究をしまして、このハドックが出ていったあとにおきましてさらにいろいろの研究をして、資料を集めることにいたしたい、かように思っておる次第であります。
  51. 大出俊

    ○大出委員 ハドックが出ていったあとでとおっしゃるけれども、いま入っていてまだ二十何日までいるんですよ。いま入っていて毎日大騒ぎが起こっているわけですよ。新聞記者も毎日行っているんですよ。それをのんびり、出ていったあとでということで事が済みますか。いま臨時県会まで開いて、市民大会までやろうというので大騒ぎになっている。そんなゆうちょうなことを言っておって、いま長官は特殊な事情が向こうにあるかもしれぬと言うけれども、その特殊な事情とは一体何ですか。誠意がないですよ。
  52. 木内四郎

    ○木内国務大臣 私がいま申しましたのは、ことばが足らなくて誤解を生じられているようですが、いまどうもしないというのではありません。いままでも波の形などを調べましてそれに備えておりまするが、レーダーのものを鑑別する機器がいま不十分でありますから、そういう点について、あるいはその他の資料、どうやってこれを判定したらいいかということについて将来も引き続いて検討して準備をしてまいりたい、こういう意味で申し上げておるのでありまして、いまやらないという意味ではもちろんないのですから……。
  53. 大出俊

    ○大出委員 外務大臣、これは一定の時間、たとえば調査する時間がきまっているのですから、その時間については、このレーダーについては全部米軍管理なんですが、時間帯をきめてやれないことはない。やる気があるかないかが問題です。やって、そういうノイズが一切入ってこないようにしてやってみたらこうだというふうな形のものをやはり米軍との間で明確にする。往々にして、大使館にものを言ったやつが米軍に行くときには軍のいろいろな問題が優先することがよくある。現に私も何べんも経験をしておる。だからそこはやはり直接米軍に話すなり、あるいは外務省の皆さんが大使館の立ち会いで米軍に話すなり、科学技術庁長官もおいでになるなり、国民の前に政府は誠意を持ってここまでのことをやったのだ——これはいにしえの科学技術庁長官でおいでになったときに、あれだけ長い時間、絶対心配をかけないと当時外務大臣はおっしゃったわけですよ。やはりそこまでおやりになって、それを国民の諸君が見ておって、なるほど努力をしておるんだ、その結果としてこうこういう隘路がある。だとすれば、それをどうするかというふうにものごとを進めなければ、これは誠意ある政府措置だというふうには受け取れぬですよ。そこらのところをひとつおやりいただきたいのですが、やる意思はございますか。
  54. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 大いにやりたいと思っております。  従来も、先ほど報告がありましたように、本来なら外務省としては、現在はオズボーンを長とする大使館が交渉相手でございますけれども、しかし外務省からも直接に参謀長にも接触を持っているというのは、ただいまも御指摘がございましたように、えてして大使館と軍当局の連絡が悪い、あるいはこちらの本意が必ずしも十分に通らないこともあり得るというようなこともわきまえましてそういう措置をとっておりますし、先ほども声が小さくてお聞き取りいただけなかったかもしれませんが、一月以降連日にわたってやっております。しかし、いま木内長官からお話がございましたように、科学的に、たとえば機器などについてまだ十分な科学的にも用意ができないというものもあるようでございますが、しかし私は、たとえば木内長官の言われましたように、原潜が入っていないときの状況がどうであるかというようなことがはっきりわかれば入ったときの場合と比較して市民の方々にもおわかりをいただけるのではなかろうか、そういうふうなところにもわがほうとしてまたやれるところもまだ相当あるのじゃなかろうかと思います。アメリカとの関係はもちろん私どもの責任でございますから、今後も十分連携をとってまいりたい、申し入れもしたいと思います。また、その結果についてこちらの本意がそういうふうに現地の具体的な事項に反映するようにこの上とも努力してまいりたいと思います。
  55. 大出俊

    ○大出委員 くどいようですが、これは外交上の格の問題もありましょうから、それは当然大臣におまかせするわけですけれども、たとえば、オズボーン代理大使も事あるごとに出てきて外務省にも大臣にも言っているわけです。この際、こういう状態なんだからオズボーン臨時大使に出てきていただきたいというようなことで、やはり大臣が直接会って、国会でも問題になっているのだからということで、また、科学技術庁長官のほうからも外務省を通じての外交折衝でしょうけれども、やはり同席されるなり、何かそういうふうなことを考えていただいてきちっとそういうものを伝えていただいて、科学技術庁として何時から何時まで特にこうしたい、とにかく米軍の努力でレーダーをとめろ、そうしてその時間帯で調べたいなら調べたい。やはり何らかの具体的措置をオズボーン代理大使を呼ぶあるいはウイルキンソン氏かマッキー氏か、とにかく呼ぶという形、そういうふうなことを具体的におやりいただきたいと思うのですが、くどいようですが、いかがですか。
  56. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういう点、方法論等いろいろございますと思いますが、私としては、実効が上がって、少しでもすみやかに、一人でも多くの方々に御安心願えるように、私できるだけのことは誠意をもっていたしたいと思います。
  57. 大出俊

    ○大出委員 そういうこともお考えいただくということです。  そこで、科学技術庁長官に承りたいのでありますが、いま外務大臣から、つまり平常の場合の状況がどうかということを調べて比較をしてみてとおっしゃるのだけれども、皆さんが出しておられますこの「原子力軍艦放射能調査指針大綱」には、平常のものが全部書いてあるのですよ。書いてあって、その測定結果に対する無用の不安を持たせないための注意も十分に払わなければならないということから始まって、分担が全部きまって、平常の場合はどうすると全部書いてある。定期調査。いいですか。海水、海底土、放射能から海産物に至るまで四半期ごとに採取までして全部分析を行なうことになっているんですよ。これはきまっているのです。やっていなければやってないほうがおかしいので、きめたとおりやっておらぬということになる。そして非常時の場合にはどうする、寄港のときはどうするということを書いてある。だから定期調査と非寄港調査、来ていないときの調査。非寄港調査というものは軍艦入港の二十四時間前から出港までの期間をいう。だから皆さんのほうは平常の二十四時間を調査しておる。その平常、定期両方の調査の結果、その種のノイズはいままで一カ月に二回しかない。一カ月に二回しかないものが十日に入ってきて十八日現在、あるいはきょうまでの間に海中において十二回、陸上において十四回をこえてしまうなどということは、だれが考えたってあり得るはずがないでしょう。しかも、長官、あなたは一次冷却水でないとおっしゃる。ならば私はあなたに承りたい。一次冷却水というものはどういう場合に出てくるのですか、お答えください。
  58. 木内四郎

    ○木内国務大臣 私のほうは、報告として原潜から出ておるものでないという報告を受けて、またその旨を発表しておるのですが、いまの一次冷却水のことにつきましては専門的なことでありますから、政府委員からお答えいたさせます。
  59. 大出俊

    ○大出委員 長官御自身御存じなくてそういうことをお答えいただいては困るのです。私も専門家ではない。ないけれども、村田前原子力局長に時間をかけて何べんこの問題をやったか忘れたくらい質問しておる。しかも私はこの方面の専門の檜山さんとか服部さんだとかたくさん尋ねて聞いて、こまかい図解まで全部目を通しておる。どういう結果どう出てくるかということも全部わかっておる。あなたはそれを簡単に、専門的なことだから答えないというようなことでは困るじゃないですか、自信を持ってお答えいただけるようにならなければ。そういうことで冷却水じゃないというようなことを簡単におっしゃったって論議はかみ合わないでしょう。  時間がないから簡単に言いますけれども、冷却水というものは満タンにしておかなければいかぬのですよ。科学者に聞いてごらんなさい。冷却水という名のとおり、停止して炉が冷えてくると中に入っておるのは水なんですからどうしても収縮する。収縮するとこれは上があくわけですから、満タンにしなければならぬからまた水を入れる。そうするとエンジンが始動を始めて熱を持つと加熱をするわけですからまた容積が増大する。そうなると冷えたときに満タンになっておるから当然冷却水は出る。その場合、サバンナ号のような商船ならばボックスがつくってあって、ちゃんとそこに入れて外海まで持っていって出すということですから影響がない。ないけれども、軍鑑だからその装置があるはずがないということを前々から言っておる。そこを調査したかと前科学技術庁長官に聞いておる。それはできないというお答え。できない限りは冷却水が出ざるを得ない。エンジンの、つまり原子炉の加熱状態が起こった場合には物理的に冷却水は出るのですよ。だからアメリカから調査に来た諸君は、絶対冷却水を出さないということは言えないと言っておるでしょう。どの科学者が考えたってそんなことあたりまえのことなんだ。そうだとすると、炉が冷えてくれば当然満タンにするのでありますから、始動して熱くなれば出るに違いない。しかも、この原子炉を使って艦内の電気設備その他のエネルギーにしておれば停泊時であってもとめられない。ただし炉の回し方を変えるということしかできない、エネルギーとしてそれだけしか要らないのだから。そうなると、今度は温度が違う、多少出ざるを得ない。そこに佐世保のような場所、つまり斑点が散っていく形に海中シンチレーションを入れてみたらこういうふうになったという問題が出てくるのです。そこらのところまであなたのほうが責任ある立場で十分御検討いただかなければこれはどうにもならぬじゃないか。そこらのところを長官、あなたはどういうふうにお考えになりますか。
  60. 木内四郎

    ○木内国務大臣 そういう専門的なことは政府委員からお答えさせます。
  61. 大出俊

    ○大出委員 専門的なこととおっしゃるけれども、世の中このくらいは専門的でなくなってきておるのですよ。政府委員の方々からはこんなことは何べんも聞いておる。ただ、あなたがいまおっしゃるのは、えらい自信をお持ちになって冷却水でないとおっしゃるから私は質問しておる。  そこで——ちょっとその話し合いを待ってください、大臣、耳に入らないと困るから。いま六号、七号バースのところに、まん中のところに六本、七本になるかわかりませんが、今回に限り高圧線が入っておる。おいでになってください、ちゃんとありますから。作業しておる人からも私は聞いておる。行ってみれば一目りょう然でわかりますが、何でそんな高圧線なんというものを今回初めて引き込んだかという問題。どうせ長官は御存じないでしょうから私は言ってしまいますけれども、その作業をした方、あるいはそれを見ていた方あるいは横須賀の区役所の担当の方、これらの方々は何と言っているかというと、あれはつまり冷却水を流さないようにしているんだ、つまり温度が下がりますと炉はとめる。温度が下がるとどうしても満タンにしなければならぬ。そうすると一次冷却水は今度始動のときに出てしまう。非常に周辺がうるさいから、したがってそういう措置をとったのではないかというのが——軍艦だから行ってみるわけにはいかぬけれども、そんなところに高圧線を何本も引っぱるようなばかなことはない。だれが見てもそうだといっておるのですよ。市役所でその衝に当たっておる諸君はしろうとなんですよ。しろうとなんだが、皆さんが、国でおやりにならぬから市が人を差し繰ってやらしておる。月に定期、二回なら二回。しかしそこに配置できないからほかで仕事をしておる人を呼んできてやっておる。そういう方々さえそういう意見を言っておる。そんなことが事実だとすれば、冷却水でないというようなことは言い切れませんよ。そこのところをどういうふうにお答えになりますか。
  62. 木内四郎

    ○木内国務大臣 政府委員から説明いたさせます。
  63. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 一次冷却水につきましては、先生おっしゃいましたとおり、温度を下げると出ますので、よそから電源をとって自分でもって温度を下げないようにしておきまして、それで出さないというふうに技術的に考えられます。それでやっていると私は考えております。
  64. 大出俊

    ○大出委員 ところが、今日まではその六号、七号バースのところに高圧線の配置がなかったのです。今度ハドックが入ってくるに対して問題が起こったので高圧線を引き込んだ。いまちゃんと専門家がおっしゃるように温度を下げないような措置をとった。そうすると、この時点までは冷却水は放出していたことにならざるを得ない。そうでないといっても、現にそういう事実があらわれている限りはそうならざるを得ない。よしんばそれが想像であっても、そうかもしれないというところまでは皆さんが疑問を持っていただかなければ困る。そこのところはどうでしょうか。
  65. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま政府委員からお答えしたようなわけで、アメリカのほうも一次冷却水を出さない努力をしておると私は思います。アメリカからの外務大臣に対する回答によりましても、停泊中は一次冷却水を出さないようにするということを約束しているように聞いておりますし、今回高圧線を引き込んだのもそういう意味だろうと思います。
  66. 大出俊

    ○大出委員 今回高圧線を引き込む措置をとったというのは、いままでそういう措置をとってなかったのですから、そうなればいままで冷却水が出ておったということになる。つまり横須賀の海は汚染されていたということになります。そうすれば以前科学技術庁長官が言った古証文を引き出すわけではないけれども、あれだけお約束なさったのですから、そうするとかつておっしゃったことはうそになる。これはうそということばは使いたくないけれども、きわめて不十分だったということになるとお認めになりませんか、そこのところは。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 途中が抜けておりますので、その間の具体的なことは私の答弁の限りでないと思いますけれども、ただあの当時にお約束いたしましたことは、その後昨年も問題になりまして、当時の内閣といたしましてもアメリカ側に十分の交渉をして、そして第一次冷却水は出さないという確約といいますか、それに対してこちらは信を置いているわけでございますね。ところが、いまも御指摘のように、アメリカの専門家の間の報告では、絶対に出ないというものではないという趣旨の報告があった。これは日本側の原子力委員会の見解とはちょっと違う点もあるようでございます。しかし、アメリカとしては約束した以上、念には念を入れて第一次冷却水を出さないようにする、こういう努力のあらわれであって、おことばを返えすようですけれども、いままで出ておったから出ないようにするというふうには私は考えたくないんですけれども、しかし、こうやって日米協力しまして、まず第一に第一次冷却水が出ないということを、何といいますか、確立することが何より私は大切なことだと思いますので、そういう点はひとつ今後も科学技術庁に私も御協力をいたしまして、ほんとうに冒頭に申しましたように、数年前のことはいつも念頭にございますから、ひとつ御信頼いただきたいと思います。あと足らざるところは何でも御注意いただきたいと思います。
  68. 大出俊

    ○大出委員 これは予算委員会じゃございませんので、予算委員会ですとこれは事件が起こりますが、そういう気は毛頭ありませんから、とにかく万全を期していただきたいという気持ちのほうが先に立って質問しておりますから、その辺はそういうふうにおくみ取りいただきたい。  そこでふしぎなことだらけなんですけれども、海上保安庁が担当することになっておりますモニタリングボート、御存じでございますね。空中と水中の検査に検査機器を持って出かけて行く船でございますが、このモニタリングボートなるものは、まずどのくらいの大きさかといいますと、四・七トンぐらいです。私は浜育ちですから、そのぐらい言えば大きさがわかりますけれども、小さなもので、四・七トンですから三人ぐらいしか乗れない。その船ですから、新聞記者が何とか乗せてくれと言っても、定員上乗せられない。横須賀市の職員が乗せてくれと言っても乗せられない。そうなるとわずか二、三の限りある方が乗る以外にない。しかし少し波が高いと、湾内であってもこれは出て行けないのです。せめて十トンなければ出て行けませんよ。そうなりますと、ここにモニタリングボートなんというものを一隻置いておいて、はたして万全の調査ができるとお考えかどうかという点が私は非常に疑問なんです。使っておりますのはM803というボートです。一隻しかありません。失礼いたしました。四・九五トンでございます、正式に申し上げますと。乗れない。そういうことではどうにもならぬと思うのでございますけれども、そこらまで御存じでございますか。
  69. 木内四郎

    ○木内国務大臣 ただいまお話のありましたような点も、もちろん私はあるだろうと思うのでありますが、私のほうは横須賀の市役所と海上保安部と共同しまして、私のほうの課長が行って調査班長になっておりますので、ボートのほうのことは海上保安部にお願いをいたす、委託するといいますか、お願いする、ポストのほうのことは横須賀市のほうにお願いする、そうして私のほうは四名ばかり参りましてお手伝いをしているというようなわけでありまして、いまのような事情がもしあるとすれば、波が高くて回れないというようなことがあるとすれば、その点については将来大いに考えなければならぬと思います。
  70. 大出俊

    ○大出委員 それは長官、おたくのほうで出している資料に割り当て担当が全部書いてあるのですから、先刻わかっている。そんなことを聞いているのではない。端的にそのボートで調査ができますかと聞いている。これはできないのです。しかも新聞記者も乗せられなければ、担当の横須賀市の職員も乗せられないということになりますと、市議会に対してどう言うのです。市は一体何を見てきたのだと言われても、乗っておりません、どうして乗らないのだ、乗れないのですということになる。市民に対して、新聞記者自身が見てきたかと言われても、乗れない。そうでしょう。いまこれだけ必要な広報活動の世の中に、こういう時期に、新聞記者一人乗せて連れていくことができない。市議会に対して責任ある市の職員を連れていけない。それじゃ一体何をモニタリングボートはやっているのかということになるでしょう。これはやはりお考えいただかなければならぬ。それであなたは簡単にそれは一次冷却水がないなんということをおっしゃったって、これはとおりませんよ。  もう一つ申し上げましょう。ここにおたくのほうの機器が書いてありますね。モニタリングポイントがある。ポストがある。横須賀の場合にはポストが四カ所、ポイントが六カ所、こうなっている。そこでまず空間及び水中の放射能測定検査、これをやることになっている。そしてここにどういう機器を使うかということも書いてある。GMカウンター。そうすると水中シンチレーションから見まして、水の中は一体どうなっているかといいますと、測定範囲は二メートルしかない。やっている諸君に直接私は聞いている。そうなると、私が申し上げたように、原子力潜水艦から出てくるその排出口がわからない、排出口から二メートル離れたところに水中シンチレーションが働いておればわかる。ところが二メートル以上離れておったら測定能力なし。ゼロです。そうすると、正確に調べるのには、原潜の回りに二メートルおきに全部水中シンチレーションを入れておかなければわからぬことになる。事実そうでしょう。これはしろうとにやらしているのだけれども、訓練までしてやることになっているその訓練も重要なものだけれども、それにしても、その機器というものはそれしか測定能力がない。それで測定ができると思えば、これは非科学的な科学技術庁になる。いかがですか。
  71. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えしますが、確かに一そうの小さな船で完ぺきを期するということは、これは困難だと思います。その点は将来またいろいろ研究しなければならぬと思います。どの程度できるかということは政府委員のほうからお答えさせます。
  72. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ボートの小さいことは確かにおっしゃるとおりであります。ただボートが使えない場合、波の荒いときには保安部に別の船がありますから、一応それに移して調査をするということにきめております。  それから、二メートルで確かにやっておりますが、そこで引っかかりました場合にはすぐに水とどろを全部取る基準にしておりまして、それでもって、一度引っかかればすぐそこのところの水とどろを取って分析をして追跡をするということで、いまは進めております。
  73. 大出俊

    ○大出委員 それから空中の場合に、さっき申し上げましたように配線のしかたが上を通っているのですね。これは専門屋に聞いてみると、何で地下にしないかと言うのですね。そのくらいのことが科学技術庁はわからぬのかという言い方をする。やる気がないからこういうことをするのだという言い方をしておりますよ、専門家は。皆さん御存じのように、あそこのすぐそばにその方面の専門家がいるのですから、横須賀には武山に立教大学の研究所もあるのですから、だからそこらのところも皆さんやはり考えていただかぬと、あまりといえばおざなり、形式的であって、本来から原潜が入ってくるのはやむを得ないという前提に立ってものをお考えになるから、調査のかっこうだけとっておけばいいということになってしまう。それでは私は事済まぬと思うのですが、長官、新聞に科学技術庁長官の立場でこの計画みたいなことをお述べになっておりますが、今回のこの件についてもう一ぺんお答えいただきたいのですが、いまとりあえずどうしようということを考えておるのか、先々どういう体制をお考えになっているのか、お答えを願いたい。
  74. 木内四郎

    ○木内国務大臣 私が先般新聞にそういうことを話したことは事実であります。とにかく私どものほうとしましては、今日まではできるだけのことを前長官以来やってきておる、皆さんが要望されていることをやってきておると思いますが、今回いろいろな問題が起こってまいりましたので、そういうことを頭に置いて、今度はひとつ専門家を集めまして再検討して、皆さんに御心配をかけないようにできるだけの努力をいたしたい、こういう意味で申し上げたわけであります。
  75. 大出俊

    ○大出委員 それともう一つ、これに予算がございまして、どのくらいの金を使ってどのくらいのものを集めるかという、つまりここに収容備品類一覧表というのがございまして、これは愛知さんのときからこういうふうにおやりになっていたのじゃないかと思うのですが、これを見ますと、波高分析器、これは四百チャンネル、四百五十五万五千円、これが一番高いです。あとはGMS一〇一Cなんという検査器、これは物理測定器ですが、これが八万円だとか、あと科学実験室の中身の機器、みんな書いてありますが、全部で七百八十三万九千円しかかけていない、何からかにから全部入れて、例のいまおっしゃったどろだの波高調査なんかやる装置まで入れて。しかも波高調査なんかやっているところへ行ってみると、実際に山型が一ぱい出てきておりますよ。そうしてやっている方はどういう方がやっているかといいますと、保健所の所長さんの古手の方がやっているのです。それは保健所とこの種の科学技術とどう関係があるかぼくは知らぬけれども、あと二、三人いる人はみんな各課から寄せ集めた人だ。衛生局の人だとか——衛生局の人なんかちょっと放射能なんかわかりませんよ。だから、実験室の中に入ってみるとこんな高い波型が出ているから、あれは何だと聞いたら、ストロンチウムの山型だろうと思う、そこから話が、中国の核実験の影響がまだ少しあるんじゃないですかなんというほうにいく。そんなことではとてもじゃないが、こっちがあきれ返って返答ができないようなことを言うのですよ。そういう形で、あなたが幾ら何でも第一次冷却水、そんなものはございませんとぬけぬけとおっしゃったって、世の中は通りませんよ。そうでしょう。これだけの騒ぎになったら、あなたは一ぺんくらいお出かけになって、心配して科学技術庁のヘッドが出てきた、そうしてこれはいかぬならいかぬと、将来内閣で検討するなら検討すると、やはりそこで市民に向かってものを言う、そして米軍に向かってもものを言うという姿勢をちゃんとおとりいただかぬと、全くその辺のことはすべて原子力局の放射能課なんというのでは、これは問題にならぬじゃないですか。どうですかいまの点は、ちゃち過ぎるじゃないですか。
  76. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまお話のありましたのは七百万円ではなくて、私が聞いておるところによりますと、予備費まで入れれば千九百万円までは出しているようでございます。  それから、いまお話にありましたように、人員などに不備な点もあるでしょう。しかし、私どものほうはポストのほうのことは横須賀市に委託してやるということにしております。海上のほうは海上保安部に委託してやるということになっておりますが、私のほうから課長以下四名を出してお手伝いをさせております。横須賀市のほうとしては二十名近くの人を出しておるらしいのですが、これはやはり横須賀市の人員の都合がありまして、何か多少経験あるといいますか、何かそういうことのわかりそうな保健所の人とかを出しているのだろうと思いますが、そういう点についても不十分な点があることはお話しのとおりだと思います。そういう点もひとつ大いに今後改めていきたいと思います。
  77. 大出俊

    ○大出委員 どうも、きわめて非科学的な方が科学技術庁長官をおやりになっていたのでは困る。現地の方々に聞いてみれば、みんなしろうとで何もわからぬというのだからしようがない。専門的な人を集めて置いておいても、月二回しか通常の場合はやらない。市に払えといったってそんな人件費は実際には払えない、議会で断わってしまいますよ。ですから、そのつど各課から手すきの人を集めるのです。それでもいろいろ調査に行くのですから、人件費を払わなければいかぬ。横須賀市にとってみればばかにならぬのですよ。これは木村助役さん自身がちゃんと言っている。ですから、こうながめてみて、市の手に負えない、市ではどうにもならぬという頭です。だとすれば、方法は国、県という段階で責任を持っていただく以外にない。そこまでいけば、全国に何カ所もあるわけではないでしょう、横須賀と佐世保しかないのですから、そのくらいのことは国の責任において、市にこんな寄せ集めをさせないで、ちゃんと専門家を配置して、どこから見ても心配のない体制をおつくりになることが、原潜入港当初の約束であるはずですよ。そうでしょう。これは責任を持ってやっていただけますか。そこのところはどうですか。
  78. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまお話がいろいろありましたが、千九百万円の経費で大体これはまかない得るものだろうと思って、横須賀市等とも協議をしてこれをきめたのですが、いまお話のような点はもちろんこれを考慮しまして、将来におきましてはできる限りのことはいたしたいと思っております。
  79. 大出俊

    ○大出委員 金の話は、建物の改装工事費が百二十万とか、あるいは空気調節器が幾らとか、そういうようなものまで入れればそうかもしれませんけれども、私は機器の話だけしたわけですね。ですから、予算的にどうのこうのというのではなくて、こういうことこそ一つ間違ったら人命に影響があることですから、当然の措置としてやはりそれはおたくのほうでおやりになるのがあたりまえです。そうでなければものごとは片づいていきませんよ。これはやっている方々は反応バッジというものをつけているのです。ところが何か反応があってどうするかということになると、これをやっている人に緊急な場合にどうかといったら、非常に不安だということですよ。緊急に事故があった、強烈な反応があって海水に放射能が出た、人体にたいへんな影響があるという場合に、どうするという措置をきめておられますか。
  80. 木内四郎

    ○木内国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  81. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 万が一のときでありますと、私が本部のほうの元締めになっております。それで見ますと、たとえば佐世保の場合にはテレタイプを入れております。そこで、その状況によって緊急指令を発するという体制を全部とっております。そのために現在私のほうからは、放射能課というものがございますが、そこの半分——半分までは当たりませんが、四名が専門的なことを全部いたします。それからたまに、できるだけ放医研の専門家も入れておりまして、この体制をとっております。  それから先ほど金のことがございましたが、金につきましては実は確かに維持費と申しますか、市の金、維持費が足りないと思います。それにつきまして今度の予算で三百万ほどつけまして、いままで百六十万円でございましたが、今度は四百六十万円を計上したい、そういうふうに考えております。
  82. 大出俊

    ○大出委員 その場合佐世保のように、それは機械が間違っているのだろう、もう一ぺん調べろというような返事をしてはだめですよ。やはりこういう状態になってきますと、それらのことがぴんぴんはね返って、市民感情になってきますから、そういう点はひとつ慎重に科学的に推し進めていただかないと困ると思うのですよ。入港時の十日の午後三時から六時、三号ポスト、ここで異常放射能が記録されましてからずっと、これも全部ここに書いてありますけれども、これはほんとうに連日ですよ。ですから繰り返すようですけれども、ここで言質をとるとか云々ということではありませんけれども、ともかくだれが考えても異常放射能です。まさにこれは異常です。通常の場合に二回くらいしかないというのに、こんなにやたら入港時に集中してあるというようなことは、どこから考えても異常です。しかも高圧線が新しく入ってきている。そうすると、あれだけの佐世保の騒ぎがあってのことでございますから、今度何かあったらえらいことになる。しかも完全に冷却水が取り切れない。そうなると、皆さんのほうの機器もちゃちとはいいながら前よりはよくなっている、感度もよくなっている。そうなると、佐世保の二の舞いが起こったらたいへんなことになる、時期的に。ということになると、何が起こるかというと、五百何隻あるからしかたがありませんという。レーダーが出ている。おたくのほうは機器を買うときには、それを観測するということもできないという前提で買っている。それは観測できない。初めからわかっている、そんなことは。そうであったとすればこれはたいへんな事件ですよ。幾ら外務省がものを言ったって相手方は直さない。幾ら科学技術庁がものを言ったって相手方は直さない。なお続いている。だとすると、これはいま私が言ったように受け取らざるを得ないのです。調査をさせない、正確な数値が出せないようにしておく、こういうふうに勘ぐらざるを得ない。あなたのほうで、私がこれだけ疑問を持っているのですが、解明していただけますか。長官どうですか。
  83. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えいたしますが、その間の事情は私には了解できないのですが、特殊の事情があって今回やっておるものだろうと思います。今後、そこですから私は出たあともひとつよく調べておきます、こういうことを申し上げておるのであります。
  84. 大出俊

    ○大出委員 大臣の時間の関係もあるようでありますから、たまたま今回は、くどいようでございますが、その方面を手がけておいでになった外務大臣でございますので、先ほどすでに答弁いただいてしまっておりますから、それと科学技術庁の新長官に十分ひとつ、これは村田さんもおかわりなって新しい方のようでございますが、ひとつ当時のいきさつもございますので、これ以上になったらこれはえらいことになりますので、そこのところもひとつお考えいただいて、早急に打つべき手を打っていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  あと一点だけ承っておきたいのでありますけれども、山上さんおいでになりますね。外務大臣、この間予算委員会のほうでお出しをいただいた資料がここにございまして、これは安全保障協議委員会の昨年の会合の席上で、これは現外務大臣と有田防衛庁長官が御出席になっておる十二月の二十三日の会合で、約五十の施設、区域に関して返還、共同使用、移転に関する案が提出されておりますが、私は、この中身等からいたしますと、米軍基地が今後幾つかに分かれて返還あるいは移転という形に動きそうな感じが受け取られるのです。それとからんで、その前に一つ承っておきたいのは、いまの横須賀の異常放射能事件とからみまして、あそこの軍関係で働く方々の作業の態様につきまして、いままで施設庁と全駐労組合の方々との間で、直接作業はしないという約束事があったはずでございますが、ここにございますけれども、御記憶ございますか。
  85. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 詳細なことはちょっと承知いたしておりませんが、大体におきまして直接作業はしないというたてまえになっております。
  86. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、今度直接作業をやっておるのですが、これはどういうことになりますか。
  87. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 原子力関係に触れるような直接作業はしないということに私は承知いたしております。もしそういうふうなことがございますれば、あらためてまた米側と話し合いをいたしたいと思います。
  88. 大出俊

    ○大出委員 三十九年の九月に直接作業の拒否の申し入れがあって、これに対して、直接作業はしない、間接作業つまり制服の洗たくなどの管外の仕事、これが原則になっておる。御記憶ありますか。
  89. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、原子力装置に触れるような直接の作業はいたしませんということに承知いたしております。
  90. 大出俊

    ○大出委員 その約束の当時のいきさつ、だれか正確に言っていただけませんか。
  91. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 労務関係の者はきょう来ておりません。そういう御質問があるということを予想しておりませんものですから詳しいことについては何ですが、原則といたしましては直接な取り扱いはいたさない、しかし全然関係がないかというと間接的にあるいは触れるようなものがあるかもしれません。しかしながら、それはわれわれとしては直接にそういうものに関係する作業はいたさないというふうに承知いたしておりますから、さようなことをさせておるのであれば申し入れたい、かように考えております。
  92. 大出俊

    ○大出委員 労務関係の方がおいでにならないとおっしゃれば、ここでそれを追及してもしようがないのですけれども、前の約束からいくと約束違反です、明らかに。やっておる個所は、まずハドックについて申し上げますと、電気系統の修理、これを全駐労の職員がやっておる。電気系統と申しますと、さっき言いました冷却水がございますね、その回りに全部電気配線をする。どうしてもその周辺の作業になる、それが一つ。もう一つ司令塔、あの黒いやつのところに出ているやつ、あれにやぐらを組みまして全部日本人従業員が現に作業をやっておる。これは三十九年九月の防衛庁と組合側との約束に対して明確に違反である、こういうことです。これはいま担当の方がおいでにならないとおっしゃるところで詰めようがありません。ありませんが、三十九年のときの約束の中心は何かというと、制服の洗たくだとか主として管外の仕事が原則です。しかもこの電気配線まで手をつけるようになるとすれば、いま長官の答弁で言う直接それに触れる、まことに近い。そこまで仕事の中身がエスカレートしておるでしょう。したがってこれは日本人従業員の安全性という問題も考えなければいけませんから、早急に三十九年のいきさつをお調べいただいて、この点はひとつその当時の約束事と別な方向に行かないように引き戻しておいていただきたい、こういうふうに考える。いま即答と申し上げてもあなたのほうは資料がないのでしょう。
  93. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私の記憶しておるところでは、ただいま申し上げたように原子炉等のそういった原子力装置を直接作業はいたさないというので、当時例示的にそういう説明をしたことと私は了解しております。したがってこの関係は、ちょっと私専門でないから、ただいま急のお話でございますからわかりませんが、電気系統とか司令塔とかいいますと私には少し離れておるような感じがいたします。したがって、直接でないような印象でございますけれども、なおよく調べまして、またいずれ御報告いたします。
  94. 大出俊

    ○大出委員 それを直接おやりたなってない山上さんのことですからそれ以上詰めませんが、一つ間違いますと作業拒否にあいますから、一切作業しませんから、そうするとまた米軍との間、市民との間にいろいろな問題が起こりますから、早急にひとつ調査をいただいて、そういう不測の事態にならないように、世論がこれだけわいておるときですから、お気をつけいただきたい。そういう意味で慎重に御検討いただきたい。  それから、返ってくる基地五十ばかり表に出てまいりましが、第二次というのがまた出てくるわけですか。
  95. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実はこの点につきましては、御承知のようにそもそもの協定からいたしましても、不要不急と申しましょうか、そういうものについては、随時相談をして、米側から返させるといいますか、返してもらうことになっております。したがいまして、引き続きこれは継続して、またその数のふえることも期待しております。ただ、率直に申しまして、その五十ほどの中には、全面返還はこれはもう簡単でございますが、共用のものもございます。それから、一番むずかしいのは移転でございますね。こういうことで、せっかくここまで話が出ましたから、まずこの五十を早く始末することだということで、私どもはもちろんでありますが、関係各省でいまそこに重点を置いております。それが運ぶに従って、またさらに広げていく。実際の仕事のやり方はそういうことになっております。
  96. 大出俊

    ○大出委員 私、例をあげて申し上げますが、横浜市神奈川区千若町に米軍の輸送司令部の傘下にあるモータープールがございます。このモータープールが、相手方の言い分等も耳に入ってそうなっているんだと思うのでありますが、これは本来どうしてもなければならぬところだというふうには、私のおります横浜市の市長も前に内閣委員会におって、そのほうのなかなかの専門家の一人でありますけれども、そこら、あるいは私どもの耳に入ること等からいきまして、第二次対象地域ですか、それにどうもなりそうな感じの話がその筋等から耳に入るわけでありますが、具体的に、随時といまおっしゃいましたけれども、どういう形で話し合っておられるのか、実は防衛庁政府委員室の皆さんに伺いましたら、山上施設庁長官のほうは関係ない、こういうことなんですけれども関係が全くないのでは困るわけであります。そこら、一体どうなっておるのか。いま一例しかあげませんけれども、やはり具体的な折衝等が行なわれているというために、結論は出ていないにしてもいろいろなことがぼくらの耳に入る。そこらのところを承りたい。
  97. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いまの横浜市内のモータープールということに限定して申し上げますと、私もごく最近における経過をちょっとつまびらかにいたしておりませんけれども、考え方といたしましては、ずいぶんいま協議会のファンクションを機動的に有効に働かさなければいけないということで、合同委員会が直接所掌するわけですけれども、その下に小委員会その他の機構も設けまして、関係各省協力して、大いに推進していきたい、こういう意欲を持って着手いたしておるはずでございます。かまえ方はそういうことで、具体的な問題の折衝、話し合いも継続しております。
  98. 大出俊

    ○大出委員 いまファンクションということばをお使いになりましたが、確かにこの委員会の中ではたくさんの機能がございます。それを総合的に、かつまた機動的にやっていく、こういうことなんですが、山上さん時間がありませんから、簡単に一例申し上げたのです。いろいろ耳に入ってきますので……。
  99. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ノースドックのモータープールの問題でございますが、これにつきましては、過去におきましていろいろ問題がございました。特に横浜市におきましては、この地域に汚水処理場をつくりたいという希望も伺っております。私自身もこの地域に実は行ってみたこともございます。したがいまして、この状況については知っておりますが、米軍は現在モータープールを活用いたしておるというような実情でもございますので、この点について、われわれとしては地域希望はよくわかります。したがって、この話を、これは協議会の内容とは一応別でございますが、話し合いはいたしております。しかしながら、この問題については非常にむずかしい問題である。ただ、できるだけ前向きで処理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 大出俊

    ○大出委員 じゃ、大臣の時間がありませんから、最後の一問だけ申し上げておきたいと思うのです。  大臣は、アメリカに行かれて国務省の要路の方とお話になるのが、下田大使の国務省訪問の結果、おおむね明らかになったように思うのでありますが、六月二十二日からということでございますか。
  101. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 かねてアメリカ側と話し合っておりましたが、こちらといたしましては国会終了後でないと都合が悪いし、向こうの都合もございまして、結局六月の二、三、四の三日間、主としてロジャーズ国務長官と会談する。これは決定と申し上げてもよろしいと思います。
  102. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから理論的な質問は抜きにいたしまして、あらためての機会にいたしますけれども、向こうで主としてお話しになるというのは、幾つかの項目があがっておるようでございますが、大体新聞があげておるようなこと、特に沖繩問題が中心になる、こう理解してよろしゅうございますか。
  103. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういうことになろうと思います。
  104. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、予算委員会に、私もずっと委員に差しかわりで入りましたり、傍聴したりいたしましたが、その過程の御答弁等からいきますと、何も六月に行くのだからといって態度をきめなくてもいいと言わんばかりの話が、外務大臣の口から出てまいりましたが、アメリカ側がこの時点までにどうしても日本沖繩返還についての基地の態様なり、返還のあり方なり、明確なことを聞かせてもらいたいということを、下田さん等に強くその意向を漏らしておるということが明らかになっておりまして、外電その他でもそういうふうに入っておりますが、皆さんのほうは早急に態度をきめなければいかぬというので、たとえば返還後の沖繩の防衛体制を自衛隊中心にするとか、あるいは返還の態様についてであるとかいうふうな点をこれから詰めて、態度決定をしていかなければならぬというところにきたという、新たな事態のような感じがするのでありますが、そのように受け取っていいのでございますか。
  105. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 沖繩返還の問題は、実に大きな困難な問題だと思っております。したがいまして、私の考え方から申しますと、十一月あるいは末ごろになるかと思いますけれども、ニクソン大統領と佐藤総理が会談するというところが一番の山場だと思いますので、私はいま申しましたように六月に会談をいたしますが、その後ロジャーズ長官を含む主要な閣僚が東京に来ることを期待しておるわけですが、その後さらに国連総会というようなものもアメリカで行なわれるわけでございます。それから総理の渡米ということになろうと思いますので、私としては、この沖繩の問題につきましては、総理とニクソンの会談の結果、日本国民の輿望にこたえ得る結果がうまくできますように路線を敷いていくことが、さしむき六月初めの私の役割りではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、私といたしましても十二分に勉強をいたしまして、会談に入ってまいりたいと思いますので、まだいま私は、総理もよく言われますように、特に基地の態様等については非常に重大な焦点でございますので、いろいろの点から真剣に検討いたしておりますけれども、まだこういう考えでいくというところまでは申し上げておりません。この国会を通じましてもいろいろの角度から、私の気のつかぬような点に触れてまで、野党からもいろいろ貴重なる御意見を伺っておりますので、これらを十分踏まえまして、だんだんと構想を固めていく、こういうふうに考えております。
  106. 大出俊

    ○大出委員 それでは、たとえば国会を通じての核の扱いの問題であるとか、あるいは特に私も何回か質問を続けている事前協議の問題であるとか、直接戦闘作戦行動だとか、たくさんありますけれども、いまの大臣の答弁ですが、いまの気持ちはわかりますから、いずれ後ほど、また機会を得てということにいたしますが、つまりおいでになる前までには政府なら政府、あるいは政党政治ですから、与党も含むでしょうけれども、態度はきめていかざるを得ない、ここまでは御決意ございますね。
  107. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 何と申しますか、予備会談とでも申しましょうか、そういうような実質になろうかと思いますから、おおよその方向なりは何とかひとつ煮つめてまいるようにしたい、かようには考えておりますが、ただ先ほど申しましたように、六月から十一月までだいぶ日数もございますし、またその間いろいろの接触も公式にも予想できておりますので、あるいはある程度でその次の機会に持っていくというようなことも、あり得ると思っております。
  108. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。  時間のようですから、終わります。      ————◇—————
  109. 藤田義光

    藤田委員長 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。三ツ林弥太郎君。
  110. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 今回の通産省設置法改正は通商産業研修所を設置するということでありますが、研修所そのものについて質問する前に、今後の通商産業行政の重点は、どのような点に置くのかというようなことについてお尋ねしたいと思います。  最近のわが国経済は順調な発展を続けており、外貨準備も、二月末には三十億ドルに達することは確実だといわれるまでになっております。このように、経済が非常にうまくいっているということは、まことに喜ばしいことでありますが、しかし同時に、今後のわが国経済を考えますと、一つの大きな転換期に当面しているという感を深くするわけであります。たとえば、資本の自由化、残存輸入制限の撤廃、特恵関税制度の実施といった問題を見ましても、日本経済が急速に国際化しているということを痛感するわけであります。また国内の面におきましても、鉄鋼等の大型合併、労働力不足等、中小企業問題、公害問題、過密都市、物価問題といった新しい角度から検討しなければならない重要な問題が発生しているわけであります。  このようなわが国経済をめぐる内外の情勢の変化に、今後の通商産業行政はどう対処しようとしているのか、今後の行政の重点は何かという点について、まずお尋ねいたしたいと思います。
  111. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまのお尋ねの点につきましては、この間の所信表明におきまして、概略申し上げておいたのでございますが、仰せのように、一応わが国経済が順調な足取りで拡大を続けておりまするし、輸出も伸長の過程にありますこと、国際収支も改善を見ておる、一応順調に見えるのでございますけれども、内面に立ち至ってみますと、いま御指摘のように、内では労働力の逼迫がいよいよ顕著になってきておりまするし、外からの攻勢も苛烈を予想されまするし、国際通貨の情勢もこんとんとしております。したがって、そういう変に応じて誤りない経済の運営をやってまいりますために、私どもといたしましては、まず第一にそういう状況でございますけれども、引き続き貿易の拡大、経済協力の推進、これは第一の課題として積極的にやってまいらなければならぬと思っております。貿易の拡大につきましては、第一は国内の競争力の強化でございますが、これはあとの産業政策のところで申し上げたいと思います。  それから貿易金融につきましては、いま御審議をいただいております本年度の予算におきまして、輸出入銀行をはじめといたしまして、ある程度資金のワクを拡大いたしまして、これに対応する用意を整えたのでございまするけれども、今後の推移を見ながら不断の注意を怠らないように大蔵並びに日銀当局と緊密な連絡をとって対処していかなければならぬと思っております。  それから第二は、自由化の問題でございます。これは輸入の自由化ばかりでなく、資本の自由化につきまして、外国からの要請も強くなっておりまするし、わが国自体の産業の展望を考えてみましても、これを前向きに対処いたしてまいりますることが、日本の産業の利益のためでもあると存じまして、政府は四十六年度末までに、かなりの程度自由化をやるんだという基本の方針をきめまして、いま対処いたしております。この間は、資本の自由化の第二次の自由化を決定していただいたわけでございます。しかし、この自由化は、これに対応いたしまして、わが国の産業体制がよく外資の圧力に耐えるだけのものでなければなりませんので、これは通産行政の面におきまして、あるいは金融、あるいは税制その他の自由化対応策とあわせてそういうものを講じながら、前向きにやってまいるという方針でまいりたいと思います。  それから御指摘の発展途上国からの追い上げ、特恵関税等に対処する問題は、これは主として中小企業対策の一環になると思うのでございまするが、何としても中小企業がこれまでの姿でもって、こういうあらしに耐える力が十分でないことは御案内のとおりでございまするので、急いで中小企業自体の体質の強化、それから技術水準の向上ということを目ざして、あるいは無利子、あるいは低利の融資を大幅にふやさせていただきまして、これに対応する、あるいは割り増し特別償却制度を活用するとか、あるいは準備金制度を利用するとか、税制面からこれをバックアップするとかの方法を講じまして、中小企業の急速な体質改善に当たらなければならぬと考えております。  それから第四の問題といたしまして、技術力の強化の問題でございます。これにつきましては、民間におきましても、ようやくいま技術力を開発する機運が高まってまいりまして、先進国に追いつきかけた状況でございますけれども、依然としてまだ相当な格差があることは御案内のとおりでございますので、大型プロジェクト、非常に金のかかる、時間のかかる、そういったものは政府がやる。五つのプロジェクトを指定いたしまして、政府が牽引力になりまして実行にかかっておりますことは、御案内のとおりでございます。それからこれは体質改善と同じように融資面からも税制面からもこれをバックアッパする体制を整えつつあるわけでございます。  それからエネルギー対策でございますが、これは三ツ林委員も御承知のとおり、ほとんど個有のエネルギー資源が乏しいわが国としましては、年々需要が増大してまいる。したがって、海外に資源を長期にわたって確保する道を講じなければなりませんので、そういうことを各業界も努力いたしておりますけれども政府の手で事業団等に思い切った財政資金を出しまして、探鉱にいま鋭意努力をいたしておる次第でございまして、この面は、私はまだ非常に弱いと考えております。われわれが特にいまから意を用いなければならぬ課題であろうと思っております。  それから第五の問題は公害問題でございますが、ようやく公害の問題についての接近が、法制的にも行政的にも整いつつあるわけでございまして、この間は二硫化炭素に対する環境基準もでき上がったわけでございますけれども、何をおきましてもまず第一に私どもが心がけなければならぬのは、公害防止技術を政府が主動力になりまして、開発するということ。それから公害防止施設に対する投資を勧奨して、それに対して政府が金融上、税制上等のいろいろの便宜をはかりながら、これを促進充実していくということ。それへら第三は、これは地方公共団体、事業者、地方住民等々、協力体制をつくりまして、公害防止行政の浸透をはかる、そういったことがいままでにかつてなかったほどの幅におきまして、通商産業省の大きな任務になってまいると思っております。  それからその次の問題といたしましては、消費者行政の問題、それから情報産業の育成の問題、こういった問題は新しい時代の問題といたしまして、ようやくはしりが見えかけたのでございまして、これに対してどうするんだという確たる政府の方針がまだきまっておるわけじゃないわけでありまして、ようやく糸口にきたわけでございますから、これから私どもは十分勉強いたしまして、未来の展望に立ちまして、行政上遺憾なきを期さなければいかぬ。この面もまた新しい課題であろうと思います。いま御審議をいただいておりまする研修所の問題も、いま私が申し上げましたような、かつてわれわれが経験したことがないような新しい課題がどんどん出てきておる。在来の研修というようなことでなく、新しい光を当てた、新しい感覚を持った、方向性を持った研修をやってまいって、国の要請にこたえなければならぬという趣旨にほかならないのでございまして、そういう点十分御理解と御援助をお願いいたしたいと思います。
  112. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に設置法改正についてでありますが、ただいまの大臣の御答弁で通産省の行政の重点というのが述べられました。しかもそれらの政策を実現するために、通商産業省としてはりっぱな職員を必要とする、そのための研修を充実していかなければならないという、こういう考え方で設置法改正を当然求められているのであろう、かように考えておるのでありますが、通商産業省では従来も職員に対する研修を当然実施していたと思いますし、一体今後設置しようという研修所に、どういう役割りを果たすことを期待しているのか、その点ひとつお尋ねいたしておきます。
  113. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省といたしましては、ただいま大臣から申し上げましたように、きわめて広範多岐な課題を持っておる現状でございます。職員の資質の向上の要請が一そう高まっておると見られます。したがいまして、ただいまお話のございましたように、従来とも各種の研修は行なってきておるわけでございます。たとえば、新規の採用者に対しまする研修、あるいは語学研修、技術研修等はいたしてまいりました。今後も行政需要の高度化に対応いたしまして、一そう職員の資質を高めまする見地から、研修もより幅広く、かつ奥行きの深いものにいたしてまいりたいと存じております。さような趣旨から、今般研修所の設置をお願いをいたしておる次第でございます。この研修所をつくりますことによりまして、当省といたしましての研修実施の責任体制ということを内外ともに明らかにいたしまして、質量ともに高い研修を遂行してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  114. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 この研修所の機構と人員について、現在どういう形のものをお考えでありますか。また研修所長については、専任の所長を配置するかどうかもあわせてひとつお願いいたします。
  115. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省の研修所は、最終的なでき上がりは、なお今後に待ちたいと思いますが、とりあえず所長、主幹という幹部職制のもとに、庶務、教務の二課を置くことにいたしたいと考えております。このうちお尋ねのございました所長につきましては、官房長の兼任ということで対処してまいる予定でございます。なお人員につきましては、計十三名の定員増ということで対処してまいりたいと思います。
  116. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、この研修所は東京都に置かれるわけでありますが、研修所施設は全体としてどのようなものであるか。またその施設は、通商産業省の研修所だけでなく、通商産業省関係のどの研修機関もこれを共同で利用するという内容のようでありますが、どのような機関が共同で利用する予定なのか。さらにこの研修所運営のための予算として、四十四年度にあってはどの程度のものが計上されているのかお伺いいたしたいと思います。
  117. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省研修所の施設は、東村山に置く予定でございます。現在完成に近づいておる次第でございます。総工費三億三千万円という予算支出を、四十二年度及び四十二年度におきましてお願いをいたしまして、完成に近づいておる次第でございます。その建物は、研修そのものをいたしまする本館が三階建を一棟設けまして、さらに研修員のための合宿の宿舎を二棟設けております。これらの設備によりまして、二百九十六名が同町に研修ができるという仕組みに相なる予定でございます。  また、お尋ねの他の研修所との関係でございますが、御承知のように、当省はそのほか計量教習所、工業所有権研修所というものを別途持っております。これら両研修所とあわせまして、通商産業研修所を三つの共同利用ということで活用をしてまいりたいと存じております。  また第三点のお尋ねの四十四年度におきます運営予算は現在七千六百四十五万円をお願いをいたしておる次第でございます。
  118. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 次に、この研修所が四十四年度に予定している研修内容についてひとつお尋ねをいたします。  提案されております法律案によると、研修の対象は「通商産業省の所管行政に係る事務を担当する職員等」となっているが、これら通商産業省の職員以外のものについてもこの研修所で研修をすると予定しているのかどうか、ひとつ伺いたい。
  119. 両角良彦

    ○両角政府委員 四十四年度に予定をいたしております研修の概略でございますが、その第一は新規の採用職員に対します研修でございます。これは百十名ほど予定をいたしております。  その第二は職員の研修でございます。これは各クラスの階層別に研修計画を立てまして、それぞれ階層に適応いたしました研修を行ないたいと存じております。予定人員は二百六十五名ということになっております。  第三は外国関係の研修でございます。これは従来に引き続きまして八十名程度の実施をいたしたいと思います。  次に、経済関係の専門研修というものを百八十名以上で行ないたいと思います。  そのほか各種の電子計算機あるいは技術関係の専門研修を百九十名程度予定をいたして、四十四年度予算では総計八百二十九名という規模で研修を実施いたしたいと思っております。  また、当省の職員以外がこの研修所を利用できるかというお尋ねにつきましては、この法律案におきましては、当省以外の職員でございましても、権限の委任を地方庁に行なっております関係の火薬類の取り締まり並びに高圧ガスの保安に関しましては、これら担当の府県の職員を当研修所において研修の対象といたしてまいりたい、かように存じております。
  120. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 各省には従来からすでに相当多くの研修機関が設置されているわけですが、それらと比較して今度設置されるこの通商産業研修所の特色といったものを、どういうものか、ひとつお聞きしたいと思うのです。  さらに、各省には従来からすでにありますが、通産省もできてから二十年ぐらいたっておるのですが、いま研修所を設置するという考え方はちょっとおそいような気が実はいたしておるのでありますが、所見もひとつあわせて……。
  121. 両角良彦

    ○両角政府委員 今般設置されます通産省研修所の各省研修所に比較しての特色ということでございますが、当省の研修所は、先ほど御説明申し上げましたように、職員の資質向上、能力再開発ということを第一の目的といたしております。その意味で各省研修所ないしは講習所と共通の目標を持っておりますが、主としてそのような職員の資質向上という点に眼目が置かれておるという意味では、単なる技術を教えるだけのものではない、より幅の広い目標を立てておるという点が、一つの特色かと思っております。  第二に、当省の研修所は宿舎を設けまして合宿制をとってまいり、それによりまして、時間的にもまた内容的にもより充実をいたした研修を行なえるようにいたしたという点が、特色としてあげられるかと思います。  第三点に、先ほど御指摘をいただきましたように、これは当省関係各研修機関の共同利用施設ということで、効率的な運営がはかれるように配慮をいたしてまいりたいということでございます。  それから次は、四番目に研修の中身といたしまして、先ほど申し上げましたように、各階層別の研修というものを特に重視をいたしてまいりたいという点が、特色にあげられるかと思います。  なお都道府県の職員でも当省に関係のある事務に関連をしていただきまする方々をもこの研修所で研修をいたすようにいたしたいという点も新しい点ではなかろうかと存じます。  さらに、これらの研修内容に対応いたしましてつくられてまいりまする今般の研修所が、設立がおそきに失したのではないかという御指摘でございますが、率直に申しまして私どももさように存じております。ただ従来も事実上研修は各目的に応じて遂行いたしてまいった次第でございますが、たまたま施設の予算が認められまして今年の三月に完成を見るという時期を選びまして、正式に研修所としてお願いを申し上げる、かような運びになった次第でございます。
  122. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。ただいま同僚の三ツ林委員から最後の点について御質問があったのですが、私どももこうして法案を拝見してみますと、今回の通商産業省の研修所については、当然もう鉱山関係とかあるいは保安関係とか、計量の講習所、こういうものは当然の問題でありますが、その他さいぜん大臣から、現在の通産行政の実態並びに今後の方向について詳細なお話もあったわけでございますが、それらと照らし合わせたときには、これだけのものをやっておられて、なぜもっと早くはっきりした研修体制の組織ができていなかったかということを、私実態を拝見して少し驚いておる次第でございますが、それと同時に研修所の組織の実態がきわめて貧弱である。わずか十数名。他の研修所関係のものも資料の中に拝見させていただいておりますが、ところによっては非常に充実した形がすでに確立しておる。いま大臣の御指摘のように重要な通商産業行政、ことに資本の自由化その他今後の科学技術の進展に伴って日本の発展の将来は一に、通商産業省の仕事がいよいよりっぱな形で運営されるかいなかということにかかっておるというようにすら私も考えますので、この問題についてこの程度の人間で単なる庶務的なお世話だけでもこれだけの十数項目の研修内容にはたして対応し得るかどうかということを非常に心配をいたしますと同時に、官房長御指摘の、所長が官房長兼任であるというような点等も、私どもとしては非常に、何と申しますか、当面行政の合理化というような方面から人員等についてもいろいろ制約はあろうかと思いますが、この問題の今後の処理と、研修所を今後どういうように持っていくかということは、通商産業省にとってもきわめて重大な問題であろうと存じますので、これらの将来の問題等についても大臣からお考えがあれば伺っておきたい、かように思います。
  123. 大平正芳

    ○大平国務大臣 きわめて御理解と御同情ある御発言をちょうだいしてたいへん感銘にたえません。事実たいへん設立がおくれたことに対しまして残念に思うのでございますけれども、ようやく三億円をこえる施設をちょうだいいたしました機会にりっぱな研修所を責任を持ってつくり上げていかないと相済まぬと考えておる次第でございます。  人員の点につきましては、政府全体といたしましていま人員を一人ふやすことにつきましてもたいへん重い制約がありますことは伊能先生もよく御承知のとおりでございまして、ただ幸いにいたしましていま上程されております総定員法が国会で御承認を賜わりますならば、通商産業省全体といたしまして研修の計画運営につきまして省内の要員を動員できる姿勢がかないますので、御指摘の運営要員の充実につきましては、責任を持って私の手元で配慮いたしたいと考えております。  それからさらに、おくれましたけれどもせっかくできます以上は、冒頭で私が申し上げましたように、いまの時代は非常に大きな変化を見ておる時代でございまするし、通商産業行政も在来の手法ではいけなくなってきているということをしみじみ感じるのでございます。たとえば、産業政策でも、従来は、あるいは重工業とか、あるいは化学工業とか、あるいは繊維工業とかいうようなとらえ方をしておったのでございますけれども、そういうことでなくて、たとえばいま住宅産業というようなものが問題になってきておりますが、住宅産業というのは機能的にとらえた一つの産業の姿でございます。住宅産業とか、情報産業とか、原子力産業とか、あるいは海洋開発とか、あるいは宇宙開発とかいうような問題が非常にわれわれの意識にのぼってきたということは、従来のような産業政策のあり方ではなくて、一ぺん機能的に考え直せ、考え直してこれに対応した姿勢をとらないといけないぞという警告でもあろうと思いますので、そういう意味でいまから職員の頭をそういう時代に適応するような頭に切りかえていかなければならぬ、いい跳躍台にしなければならぬのじゃないかとも思いまするし、同時に、情報産業の面を考えてみましても、ソフトウエアの育成という問題は、これは容易ならぬ仕事だと思うのでございまして、政府が相当思い切っていまから力こぶを入れないといけない部面だと思うのでございます。そういったいまの時局が要請しておるものにこたえられるようなものを、せっかくいまつくるのでございますから、そういうものにしたいという一つの悲願というようなものを私は持っておるのでございまして、御理解と御支援をこの上ともお願いできればしあわせだと思います。
  124. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 この委員会では、かねて人員の合理化あるいは増員の問題等については特に超党派で、通産省については特許庁の審査事務、法務省については登記事務、運輸省の車検登録といったような特殊な仕事もしくは現業的な仕事は、野党各位も非常に御理解をいただいて、格別な協力を増員等についてはしてまいったのでございますが、ただいま大臣の御指摘のような通産行政の基本にかかる、こういう各般にわたった、しかも非常に技術的な問題をも含んだ複雑な通産行政について、これから気持ちを新たにして、根本的な通産行政の研修、行政向上のための措置をとられるということは、私どもとして非常に歓迎すべきもの、かように考えておるわけでございますので、どうぞいま大臣の言明なさったような趣旨で、私どもも今後この問題については、当委員会で十分検討して、できるだけの御協力はしたいと思いますが、これができた暁には、少ない人員ではございますが、これらの研修について万遺憾なきを期していただきたいということを希望して、質問を終わります。
  125. 浜田光人

    浜田委員 関連して。ただいま通産大臣の御答弁の中で、総定員法が通過するとこれこれだという御答弁がございました。確かに総定員法というのはいろいろ問題がございまして、すでに二回ばかり廃案になっておるわけでございます。まあいいことなら法案も通してやらなければならぬと思うのですが、常々問題になっているのは、この総定員法は三カ年間五%削減で、各省、特に行管に聞きましても、そういうものは実際のところまだプランも何もないのです、したがって首切りもしません、こういうことを言っておるのですがね。ただいま、大臣、あなたの答弁だと、通産省はすでに機構の案とか、そういうものを持っておられるように答弁なさったのですが、総定員法が通過後、確かに通産省ではさっと、研修所を何ぼふやして、定員を何ぼにするとか、そういうものを総定員法に関連して持っておられるのかどうか、その点をはっきり……。
  126. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そういう計画は全然持っておりません。ただ、いま十三名の要員ではいかにも少ないではないかという御指摘でございます。これは二年がかりでやっとちょうだいした定員でございますが、それではいま申し上げるような仕事に支障を来たしはしないかという御注意でございましたので、私もいまちょっと、はっと思いついたのは、もう少し省内の人員のやりくりが自由につくようになれば、もっと研修要員として確保できるのではないかという感じを申し上げたのでございまして、省内で、総定員法が成立した暁にはこのような配置にするのだとか、そういうもくろみは全然持っておりません。そういう僭越なことはいたしておりません。
  127. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 大臣から将来の研修所の役割りについてのお話があったわけですが、最後に、新しい研修所ができて通産省の職員が勉強される。経済の国際化といった新しい時代に即応した高度な行政を適確に実施できる見識と知識を身につける、非常に大事なことだと思います。ただ、日本経済の今後の発展を考えますと、通産省の職員あるいは政府の職員だけ研修してりっぱになっても、実際の経済の運営に当たっている民間企業のほうの研修をどういうふうに考えるかということであります。最近は民間企業もこのような面で熱心になっておりますが、いろいろお聞きしますと、セミナーなども行なわれていますが、三日だとか一週間だとか、そういう程度のものでは中途はんぱだろう。政府としては、このような民間人の本格的研修という面について、この研修所ができたものでありますから、実際的な対策を講じなければならない時期ではないか、かように考えておりますので、これらの考え方についてひとつお聞きいたしたいと思います。
  128. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、極端に申しますと、日本の産業の唯一の財産は人間だと思います。それで、われわれの頭脳と労働力の水準を高めていくということが日本の産業の将来を決定するものと思います。御指摘のとおりでございまして、政府の職員の再教育、研修ということばかりでなく、民間企業全体の研修に政府が十分の関心を持ち、応援をいたし、できればそれを指導してまいるということは、当然の役柄であると考えております。このような見地から、民間におきましても最近人材の養成にたいへん熱心でございまして、たとえば貿易界におきましては、従来から貿易振興推進本部の実務研修等が御指摘のように行なわれておりましたけれども、本格的な開放経済体制に移行いたしましたので、これに即応する国際経済人を養成するというような必要から申しまして、一昨年に第五十五回の国会で御承認を得ました貿易研修センター法に基づきまして、本年十月からこのセンターが開講することになっております。また中小企業におきまして、人材の養成につきまして従来から都道府県やあるいは中小企業振興事業団によりまして研修事業が実施されておりましたが、四十四年度におきましてはこれまでの研修制度を拡充いたしますとともに、新たに中小企業振興事業団に中小企業経営者の後継者養成講座、これは期間は三カ月を予定しておりますが、開設いたしまして、将来の有能な後継経営者の養成という面に当たらすことにいたしております。  なお、このほか、産業構造審議会では、経営管理に関する各種の問題点につきまして種々検討がなされておりますけれども、通産省といたしましては、民間の能率団体等々と協力いたしまして、その成果につきましては、鋭意これを普及しようということで努力をいたしておる次第でございまして、今後とも御指摘のように民間経営経済人の能力向上という点は、産業政策の第一の課題であることは変わりはないと考えております。
  129. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  130. 藤田義光

    藤田委員長 次回は来たる二十五日、午前十時理事会、十二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十三分散会