○八藤
参考人 たいへん御激励を受けまして恐縮でございます。
国際電電の過去十五年間の
設備投資
状況を年度ごとにこまかく申し上げることは、私、手元に資料を持っておりません。過去三、四年間でもって過去十年間に投資したものを一ぺんに投資しております。
申し上げるまでもなく、
技術革新が非常に鋭うございます。私が十年前この
会社に入りましたときは海底電線はなかったんでございます。百年前に引いたウラジオしかなかったのです。ところが、五年前
太平洋ケーブルを引きました。いまだにそのときの借金が五十億残っておりまして、毎年返しております。それで、五年たったときには宇宙
通信の宇の字もなかった、ところが五年たったとき暫定協定ができまして、宇宙
通信を始めました。それから、五年たってみると、今度恒久協定あるいは地域
衛星、いろんな問題が出てまいりました。今後いかなる
技術革新があるかわからない、一方におきまして、先生御
指摘のとおり
需要はどんどん上がってまいります。そのために、新宿においても思い切った投資をいたしまして、土地を確保する、土地はできたが、一体入れるものはできるのか、建物はできるのか、建物ができたところで、どういう機械を入れるか、今後
技術革新をして、
需要の増大に伴う
施設が今後どうなっていくかということはなかなかむずかしい見立てでございます。それはぜひとも先生のいろいろな御示唆の中にもつけ加えていただきたい、こういうふうに思います。
第二番目に申し上げますことは、コモンウエルス・テレコミュニケーションズ・ボード、英連邦の諸国が集まってつくった一種のこういうふうな
海外通信に関する
委員会みたいなものがございます。一兆円の現金は絶えず持っておる、何が起こるかわからない、それでやはりどんどんとやっております。それから、たとえば、先ほどちょっと地域
衛星の
お話が出ましたが、インドネシア、フィリピン、タイあるいは韓国、その他だんだんできております。こういうところはみんなアメリカの
通信会社が一局二十億円、三十億円金を出しまして
地球局を置いてやっておる、そういうことは私
どもの五十億や六十億の積み立て金ではとうてい及びもつかない、そうしておいて地域
衛星をやる云々ということは、やはり国際政治においても、政治理念のみならず、それを裏づけるところの経済の実態、実力がずいぶん影響するということです。これは私
どもちっぽけな六十億の
会社でございまして、うちの
会社の年間売り上げは電電弘済会の年間売り上げより低い金額でございます。率だけいいますと、とんでもないといいますけれ
ども、こんな小さな
収入をあげている
会社でそういうふうな大きな海外政策をかまえてやろうと思っても、必ずしもできないのでございまして、この点は、先生もひとつ、今後そういう金が要るときはぜひとも御尽力をお願いしたいと思います。
それから、
国際通信というのは、各国を見ますと、KDDの利益率は、ATTやITTのそれより低いのでございます。
御承知のように、
国際通信というのは、前世紀から漸進的に発達してまいりまして、いわば
通信租界的な政策がイギリスを中心として行なわれてきたのでございます。したがいまして、
国際通信料金というものは、そういうような一種の経済外的な強さをもって制定された因縁がございまして、各国ともそれに従っているのでございます。したがいまして、この
国際通信の扱っておる各国の官営の場合においても、
国際通信だけ切り離すと利益は非常に高い、しかしそれが、現代は断絶の時代ということをよくいわれておりますけれ
ども一、ある一つの
技術革新に基づきましてぐんと大きな投資をする、しない国は立ちおくれてしまう、よその国にぶら下がってよそのを使わせてもらうというみじめな目にあうわけでございます。そういう例は、日本がかつて
国際通信を外国に押えられたときに、大事な国際
会議において日本の外交団が送ってくる大事な
電話が二週間もおくらされておるというひどい目にあってきたことが過去においてあったのでございます。われわれとしては、将来どういうふうなことができるかということは
考えていかなければならぬことでございます。
それから、いま
会社の当面の見積もりのことを御
指摘になりましたが、私
どもは、先生方にそうおっしゃられると非常に恥ずかしいのでございまして、この見積もりというものは非常にむずかしゅうございます。大体、予測というのは当たらないから予測であって、当たった予測は何ほ
どもないのでございます。日本の経済企画庁もそうでございまして、それをもってしても、こうなるだろうということもちょっと申し上げかねるのでございます。それからまた、今後の投資
計画につきましても、東南アジアのケーブルの問題も残っております。いろいろあるわけでございまして、もうけを隠すということが決してできないのは、大臣の認可になっておりまして、よく民間の
会社ではそういうことがときたまあるそうでございますが、私
どもの
会社は大臣の認可がございまして、さようなことは決して隠せませんから、この点、はっきり申し上げる次第でございます。
なお、最後に申し上げますことは、先ほど中井先生からも
お話がございましたが、
技術の革新、
設備の
近代化に従って
料金が逓減いたされていく、それからまた、
国際通信というものは、たとえばある一国の、いやなことばでございますが、帝国資本主義なら帝国資本主義の支配下にいる時代から国際化されてくる時代になってきます。その二つからいいまして、国際
料金はますます逓減の
方向になっております。逓減の
方向になっていく一方においては
需要がふえていく、そうなってくると、各国とも、将来国際
料金をどういうふうにしてより逓減化していくかということに対してはいま必死に取り組んでいるところでございまして、現にそういう問題がたくさん起こっております。したがいまして私
どもは、投資に対してそれに見合う
収入が現在の
料金で維持していけるのかいけないのか、これはたいへんむずかしい問題でございまして、この点につきましても、先生の将来の御
指導をお願いいたしたい次第であります。
以上、いろいろなことを申し上げましたが、決してもうけ過ぎておる
会社でもなし、もうかって困っておることもなし、隠しておることもないということは自信を持って申し上げる次第でございます。