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1969-03-05 第61回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月五日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤 六月君    理事 亀岡 高夫君 理事 高橋清一郎君    理事 中井徳次郎君 理事 森本  靖君    理事 小沢 貞孝君       福永 健司君    古川 丈吉君       水野  清君    山口 敏夫君       武部  文君    三木 喜夫君       山花 秀雄君    中野  明君       田代 文久君  出席政府委員         郵政政務次官  木村 睦夫君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   黒川 広二君         日本電信電話公         社理事経理局長 中山 公平君         日本電信電話公         社技術局長   緒方 研二君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営 野村 忠夫君         主幹)         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として安  宅常彦君が議長指名委員に選任された。 三月一日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として阪  上安太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員阪上安太郎辞任につき、その補欠として  安宅常彦君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として阪  上安太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員阪上安太郎辞任につき、その補欠として  安宅常彦君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十七日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願外一  件(大平正芳紹介)(第一一〇五号)  同外一件(加藤六月紹介)(第一一〇六号)  同(久保田円次紹介)(第一一〇七号)  同外一件(中尾栄一紹介)(第一一〇八号)  同(八田貞義紹介)(第一一〇九号)  同(關谷勝利紹介)(第一一五五号)  同(浦野幸男紹介)(第一一八八号)  同外十一件(奧野誠亮紹介)(第一一八九  号)  同外一件(大村襄治紹介)(第一一九〇号)  同外二件(岡本茂紹介)(第一一九一号)  同(金子一平紹介)(第一一九二号)  同外二件(吉川久衛紹介)(第一一九三号)  同(内田常雄紹介)(第一二七二号)  同(大村襄治紹介)(第一二七三号)  同外五件(野田卯一紹介)(第一二七四号)  同(福田赳夫紹介)(第一二七五号)  同(藤枝泉介紹介)(第一二七六号)  同(毛利松平紹介)(第一二七七号)  同外四件(大野市郎紹介)(第一三五一号)  同(中川一郎紹介)(第一三五二号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一三五三号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一三五四号)  電信電話料金適正に関する請願(林百郎君紹  介)(第一二八八号) 三月四日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(阿  部喜元紹介)(第一四一五号)  同(大村襄治紹介)(第一四一六号)  同外一件(金子一平紹介)(第一四一七号)  同(井出一太郎紹介)(第一四三四号)  同外一件(吉田之久君紹介)(第一四八三号)  同外二十二件(池田清志紹介)(第一五四四  号)  同外二件(上村千一郎紹介)(第一五四五  号)  同(内海英男紹介)(第一五四六号)  同外五件(小笠公韶君紹介)(第一五四七号)  同外七件(奧野誠亮紹介)(第一五四八号)  同(加藤六月紹介)(第一五四九号)  同外九件(鍛冶良作紹介)(第一五五〇号)  同外二十八件(仮谷忠男紹介)(第一五五一  号)  同外二件(菅太郎紹介)(第一五五二号)  同外一件(吉川久衛紹介)(第一五五三号)  同外二十四件(田村良平紹介)(第一五五四  号)  同外三件(高見三郎紹介)(第一五五五号)  同外三件(中野四郎紹介)(第一五五六号)  同外二十六件(二階堂進紹介)(第一五五七  号)  同外九件(羽田武嗣郎紹介)(第一五五八  号)  同外一件(福井勇紹介)(第一五五九号)  同外一件(古川丈吉紹介)(第一五六〇号)  同外十三件(細田吉藏紹介)(第一五六一  号)  茨城藤代新川団地郵便局設置に関する請  願(久保三郎紹介)(第一四三五号)  茨城藤代新川に無集配特定郵便局設置に関  する請願久保三郎紹介)(第一四三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中井徳次郎君。
  3. 中井徳次郎

    中井委員 前回委員会に続きまして、大臣に対する質疑を続行するのが筋だと思うのですが、きょうは参議院の予算委員会の初日だそうでありまして、出てこられないので、それは後日に譲りますが、質問内容等についても、あらかじめ調査するように郵政省にも通知を済ましておるわけですが、そこで、質問のうちの一項目だけ、緊急のことでありますから、きょう政務次官以下、御出席の皆さんにお尋ねをいたしたいと思うのであります。それは通信衛星の問題であります。  いまインテルサット衛星の運行につきまして、アメリカにあります団体と、バックにアメリカ政府があるわけですが、日本暫定協定を結んでおるわけであります。この暫定協定は、法の性格からいって、あくまで条約だと私どもは心得ておる。前大臣小林大臣もそうですというふうなことであった。ところが、それを国会条約として批准を請求してない。国会軽視も、もう非常にはっきりとした具体的なことであり、したがって、前国会では、必ずこの次には出しますというふうな政府の意向でありました。しかるに、いまの国会になりましてもいまだに国会批准手続がなされておりません。そこで、先般予算委員会の席におきまして、同僚の森本委員から激しくこの点を追及したわけであります。それに対する政府回答は全くとんちんかんでありまして、いまだにその条約が、一国際電電向こう会社契約であるから国会批准を要しないのだというふうなとんちんかん返事をして、時間の関係で、そのまま懸案のような形で今日に至っておるのであります。  ところがその後、私も去年から調べておるわけですが、そんな一つ会社アメリカ一つ団体との私契約というようなものではありませんで、前回の場合も、日本政府代表として在米日本大使出席してサインしておる。今回、その暫定協定を本協定にしようというので、いま会議が行なわれておるわけでありまするが、その会議の中でも、首席代表下田駐米大使である。したがってこのことは、だれが何といっても条約であります。したがって、政府はその非を改めて、いまの国会中に批准手続をするべきものであるというふうに私は確信をいたすのであります。  その点について、実際この業務の指導的地位にあり、監督をいたしております郵政省といたしまして、一体どういうふうに考えておられるのか、くどいようでありますが、これをあらためて国会の権威のために私はお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  4. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 お答えします。  インテルサット協定につきましては、御承知かと思いますけれども、この中に二通りございまして、一つは、参加国政府相互間で署名する政府間の協定があるわけであります。それからもう一つは、企業者といいますか、事業体の資格で署名する特別協定、この二つからこの協定が成り立っておるのでございますが、ただいまワシントンで行なわれておりますこの国際会議では、この特別協定、つまり、事業体相互間の問題でございます。参加事業体相互間の権利義務の発生に関することを目的としたことが議題として開かれております関係上、これに政府が側面的に協力するという立場をとっております。政府間の協定ということではございません。そういうことでやっておりますが、なお詳細なことは、政府委員から答弁いたさせます。
  5. 浦川親直

    浦川政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、現在の協定は、いわゆる暫定協定、これは政府間協定でございますが、それと事業者間協定特別協定の二本立てとなっております。  この現在の協定は、国会承認を得なかったわけでございますが、それは前にも、たしか御質問がございましてお答え申し上げましたように、現在の協定は、政府として何らの財政的負担を負うものでもなく、また、国民に新たな権利義務を設定するものではないので、行政府限りで処理された次第でございますというふうにお答え申し上げておるわけでございますが、現在、二月二十三日からワシントンで開会されております会議におきましては、この暫定協定――政府間協定及び特別協定、これを両方含めまして、いかに恒久的制度協定にするかという会議でございます。したがいまして、これは、あるいは国民に新たな権利義務を設定するようなことになるかもしれません。そういうわけで、先般の予算委員会におきましても、外務大臣から、今回もし恒久協定が成立いたしますれば、当然国会の御審議を得る、こういうふうにお答えしておりますが、私どももさよう考えておる次第でございます。
  6. 中井徳次郎

    中井委員 いまの説明を聞きますると、あなた方が国会にかけなくてもいい理由として二つある。一つ暫定であるからということ、一つ国民権利義務関係ない、こういうことですね。それで間違いありませんか。
  7. 浦川親直

    浦川政府委員 暫定であるからということではございませんで、国民に新たな権利義務を設定するものではない、こういうことから御承認を得なかったように承知いたしております。
  8. 中井徳次郎

    中井委員 そんならなぜ暫定だからと言うのですか。暫定だからと言ったじゃないか。今度本協定になったらかける。本協定でかけるのなら、なぜ暫定でかけないんだ。ちっともかまわないじゃないか。これはもう世界各国も全部そうですよ。諸外国の判例を見ても――私はずっと調べた。暫定であろうが、本協定であろうが、本協定でかかるのなら、必ず暫定国会承認を得ています。世界各国もそういう慣例であります。どうなんです。
  9. 浦川親直

    浦川政府委員 私の申し上げましたのが、暫定であるから国会の御承認を得なかったというふうに先生がおとりになったといたしますならば、私の説明不足でございまして、暫定であるから国会の御承認を得なかったということではございませんで、やはり全国民の新たな権利義務を設定するものではなかったからということに御了解願いたい、かように存じます。
  10. 中井徳次郎

    中井委員 権利義務関係ない――関係ありますよ。それじゃ、この協定がありますにもかかわりませず、日本の、たとえば一民放から民放なりがソ連インテルサット契約をしてやるということはかまわぬのですか。いまの権利義務関係一ない、関係ないんだから義務も何も負いやしない、だから、一民間団体が、これは社会党でもよろしい、ソ連インテルサット契約をするとして、あなたのところは待ってくれと言えないんだね。権利義務関係ないんだから、それはできるのだね。
  11. 浦川親直

    浦川政府委員 現在の暫定協定では、何といいますか、日本にほかの国と契約してはいけない、そういうことを規定してはおりませんので、もしそういうことが可能であれば、できるというふうに考えます。
  12. 中井徳次郎

    中井委員 そうすると、いまの約束はそういうことをちっとも妨害をしてない、こういうことですか。どうです。
  13. 浦川親直

    浦川政府委員 さようでございます。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 これは、事実はそういうことは現実の問題としてできないような協定はなっております。その意味で、あくまでも私は、国民権利とか義務とかいうものに関連があると思う。もしそれが関係ないならば、今度本協定を結んだって何も国会にかけなくたっていいじゃないですか。何もかける必要ないじゃないですか。この点は私は、いい悪いじゃなくて、政府の怠慢だから言っているのです。本協定が来年の一月に結ばれるかどうか知りませんが、その間だけでも暫定協定、必ずこれをやらなければいかぬ。あなた方の説明では二つあると言う。これは、少なくとも二つのうちの一つをどうしてもやってもらわなければいかぬ。どうですか。権利義務関係ない。それでは、これから下田大使首席になって賛意をして帰ってきても、暫定協定と本質はちっとも変わらないのだから、だから、民間一つの商社なり団体が、おれのほうはひとつソ連とやると言っても、それを何も防ぐものはない。あなた方が結んだ契約にはそういうものが内容的にあっても国民権利義務関係ないというんだから、どうするんです。そういう牽強付会なことを言われることについてぼくは憤慨しておるわけだ。まことにどうもうかつでございました、早急に出さしていただきますと言うんならいいですよ。これで、もうほおむりしておるというものの考え方について、私はお尋ねしておるのです。どうです、その辺のところ。
  15. 浦川親直

    浦川政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の暫定協定、いわゆる政府間協定でございますが、これには、国民に新たな権利義務を設定するものではない、そういうものは含んでおらないということでございます。現在審議しておりますところのこれからつくろうといたしております協定は、どういうものになるかわかりませんけれども、こういう国民に新たな権利義務を設定するような内容が盛り込まれる可能性もあるわけでございます。したがってその場合に、当然国会の御審議を経なければならない、こういうふうに考える次第でございます。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 いまの話でいきますと、要するに、暫定協定の本質的なものは変わらないと思います。アメリカ各国と相談しまして一つ団体をつくりまして、その団体日本国際電電なんかも株主になっておるわけですし、それだけであるから国民の諸君の権利義務関係ない、条約でも何でもないからかけないというのならば、今後とも、北海道なら北海道一つ団体ができまして、そしてシベリアは非常に近い、ひとつソ連とやるといったときに、政府がちょっと待ったと言うことはできない。そういう権限はない。権利義務関係ないから、そういういま御回答でございましたから、それならそれでよろしいわけです。政府がそういう方針ならよろしゅうございます。社会党、別に反対しません。ただしかし、そういうものを制約する何かがあるというものの考え方で、そのことが問題になっておると思いますから、それならそれでけっこうでございまして、そんな簡単なことで返事をしてもらっては――ぼくらはあんたたちの助け船のようなつもりで質問を展開しておる。それならそれでよろしい。  次に移ります。きょう大臣がおりませんにもかかわらずお尋ねいたしたいのは、緊急のことでありますから……。きょうの朝日新聞によりますると、「国際商業衛星通信機構インテルサット恒久化のための政府間会議に参加している日本代表団は」とちゃんと書いてある。日本代表団は三日、第一委員会地域衛星打ち上げの権利を保留する、こういうことを言うたという。このことは、私ども反対ではありません。ヨーロッパ諸国も、フランスを筆頭にいたしまして、そういう権利を保留するというので、いまワシントン議論が行なわれておるのですが、大体、これは新聞報道でございますが、それで、ずっと説明がありますが、その中で一、二私はどうかなと思うところもありますので、これは新聞報道にすぎないですから、現在の会議進行模様を、わかっておる限り御説明願いたいと思います。
  17. 浦川親直

    浦川政府委員 新聞ワシントン三日発の記事が載っておりましたのを私も拝見いたしました。しかし、私どものほうに外務省からそのつど連絡が入っておりますけれども、現在は二十八日発のものまで受け取っております。これによりますと、いままで議長と、それから四つのコミッティー議長と副議長をきめたということが報告されております。また、コミッティー一の中におきまして、ICSCのリポートのパラグラフ百六十六―百六十九というのがございますが、これは、まあ目的と機能といいますか、こういうもの、要するに通信衛星、インターナショナルな通信をするという目的でございますが、こういうことについての賛成の演説が行なわれているというふうな報告がきておりまして、まだその後の実際に討議に入っておりますところの報告は手元にまいっておりません。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 この内容を見ますると、別にうそはなさそう、間違いはなさそうに思います。  それで、いま政府のお話だと、まだ正式の報告はないということであります。それでは、またこの次に報告がありましたらその点は聞きまするけれども出発前に政府として大体の基本方針はきめておられると私は思うのです。その基本方針からこういう問題が出ておると思うのですが、どういう方針出発をされたのか、それを伺っておきます。
  19. 浦川親直

    浦川政府委員 基本方針としましては、もちろん国際協力ということをベースにいたしまして、電気通信国際電気通信を円滑にいくようなこともベースにいたしましてこの会議に臨むということでございます。  問題の地域衛星あるいは国内衛星、こういうことが一番焦点になろうかと思いますが、これにつきましては、地域衛星というもの、国内衛星というものももちろんでございますが、それと、もう一つ、いろいろ特殊衛星、そういう通信衛星以外、電気通信に使う以外の、たとえば航空機の航法の衛星であるとか、あるいは測地衛星であるとか気象衛星であるとか、こういう特殊衛星、こういうものに対しましては、国としての国益から、こういうものを、それに拘束されないで、できるだけその権利を保留するという態度で臨むというふうにしております。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますると、地域衛星とか国内衛星――国内衛星は、今度のこの会議議題にはなっていないですね。国内通信衛星についてはどうですか、その辺は。
  21. 浦川親直

    浦川政府委員 国内衛星二つございますが、独自で打ち上げる国内衛星先生のいまおっしゃったものだろうと思うのです。そのほかに、このインテルサット系の星を、その一部を利用して国内に使うということもございます。また、全体の軌道なり周波数なり、いろいろな問題もございます。したがいまして、それらを含めて、一応討議対象にはなっております。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 今日問題になっておりまするのはいわゆる地域衛星で、日本は、ほかのことは知りませんが、少なくとも電気通信関係ではアジア先進国であろうと思います。そういう意味で、アジアの空の連絡通信連絡日本がひとつ主導権を持ってやりたい、そういう考えでこの発言はあったんだろうと思うし、そのことについて私は反対ではありません。賛成ですが、その辺のところはどうなんですか。どういうふうな打ち合わせで出発されたのか。
  23. 浦川親直

    浦川政府委員 国でロケットを開発しておりまして、通信衛星開発を第一番目の対象にしておることは、先生も先刻御承知のとおりでございますが、そういうことを踏まえましても、先ほど申し上げましたように、ある程度の地域的な衛星――もちろん国内衛星、これの権利を保留するといいますか、他に侵害されないというふうな態度で臨んでおるような次第でございます。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 この点については、いま国際電電がやって、代表団の中にも副社長の八藤君が加わっているように書いておるのですが、将来の構想を考えた場合に、これが国際電電だけにまかしておいていいのかどうか、政府としてそれでいいのかどうかというふうな、その奥にきわめて重要な問題を私は含んでおると思うのです。そういうことを既成事実としてどんどん進展をしていって、はたしていいのかどうか、政府はその点についてどういうふうな考えをしておられるか。これはあなたに聞いてもしようがないから、今度大臣が来たら聞きますが、しかし、その辺のところを事務当局としてはどんな判断をいたしておるのか。たとえば、打ち上げの能力はいま日本はない、ないからアメリカに頼んで打ち上げる、しかし、上がったものの運営管理は、国内通信であるならば電電会社がやるべきでありましょうし、あるいは、放送関係のものであるならばNHK関係が一役加わるべきものでありましょうし、非常に重要なものを含んでおって、いまその胎動期にあると私は思う。そういう点については、もっと開放的に、真剣に郵政省としてはもう議論をされておるべきであるし、また、必ずしておるように私は思う。それは、しておらぬならよほどぼんやりしておるので、これはしておると思うが、その辺のところはどうなんでしょうか。これは参考までに伺っておきたい。
  25. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま御指摘のようないろいろ問題がたくさんあると思います。今日のただいまの段階では、国際電電が一応代表の中にも参加いたして出席しておりますが、今回の協定がどういうふうな結果を生みますか、また将来、四十八年を目途に、わが国におきましても御承知のように通信衛星を打ち上げようということで開発も進めております。そういういろいろ問題がございます。また、それを利用する側に立ちます事業体がどうあるべきか、数多くの問題をかかえておりますので、今回のただいま行なわれております国際会議の結果をも待ちながら、今後の対策につきましては、十分ただいまのような御意見も参考にいたしまして、省内においても将来の考え方をまとめていきたい、かように考えております。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 これで質問を終わりますが、最後に、そういう地域衛星に対する権利を保留するというふうな発言日本代表はした――これは新聞記事にあります。そのことについて、実はアジアの他の諸国反対だと、こう書いてある。非常に手当て不足じゃないか、連絡不十分、PR不足じゃないか。そういう点について国として大きく取り上げていかないで、まあそれは下田君が向こうにおってやらしておく、それは国際電電だ、国会は、もう条約だけれどもこれはやめてくれまいか、これはできるだけほおかむりというふうなことが、私、今日こういう結果になっておるというふうなことを非常に心配をいたしておるし、政府の非力を私は残念に思う。こういう会議に出る前にフィリピンなり韓国なり、あんた方の好きな国がたくさんあるんだから、なぜそういうものと連絡をしないのか。そういう点についてどういうことでございますか。
  27. 浦川親直

    浦川政府委員 この通信衛星を利用します国際通信につきましては、東南アジア各国もつい最近フィリピン、タイに地上局ができまして、対アメリカとの通信もやっております。インドネシアもまだ建設中、台湾でも最近できかかっておるというような状況で、まだ緒についたばかりでございます。  それともう一つ一つの星につきまして一つの地上局がアクセスするということでございますから、二つ星が上がって、それを二つとも利用するということになりますと、地上局が二つ要る、一つ二十億もかかる地上局をそうたくさんつくるわけにもまいらないということで、東南アジア各国といたしましては、一つの地上局をできるだけ有効に使うということで、たとえば二つの星にアクセスすれば非常に金がかかって困るということで地域衛星というものについておそらく反対したのではないか、それからまた、ヨーロッパは、ヨーロッパ地域、アフリカを含みました地域衛星というものを主張しておるようでございますけれども、そこで、地域衛星向こうの部分だけで運営をするということになりますと、後進国としては非常に負担が重くなるということで反対をいたしておるというふうに聞いております。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 いま、その反対の理由の具体的な、経済的な面からのことは私もよくわかりました。わかりましたけれども、しかし、これは長い将来のことでありまするから――いま日本は、現実に東南アジアに向かっては、海底ケーブルをやろうとかあるいは地域の電信電話の施設についてもずいぶん協力をしておるはずであります。そのことは私も承知をいたしております。ですから、これはやはり地域衛星についてもすばやくやるのがもう当然のことだと私は思うのですが、にもかかわらず、あまりそういう点で積極的でなかったのじゃないかということを私は非常に憂えます。今後ともこの点は大いに私は努力をしてもらいたい。  それから、日本の権益の拡張とかいう前に、やはりアジア民族の文化の向上とか生活の向上とか、そういうものとの関連の中でぼくたちは考えていかなくてはならぬというふうな気持ちからお尋ねするわけでありますが、今後いかがですか、と九な政務次官ひとつ、政治的な問題でありますから、あなたの御意見等伺っておきたいと思います。
  29. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 実は、東南アジア諸国が、日本が地域的衛星を打ち上げたいという問題についてどういう態度に出るであろうか、また、将来それに協力をしてもらわなければいかぬというふうな議論は、代表出発する前に部内においていろいろしたわけでございます。ただ、まだ今日の時点でそういう問題についてそれらの各国と個別折衝をするというふうな状況でもなかったようでございます。したがいまして、けさの新聞を見ますと御承知のような記事が出ております。大体今日の段階におけるアジア各国の意向はそうだろうと思いますが、まだ会期も二十日を残しておるようでございますので、現地におきましても、おそらく日本代表は、こういった関係諸国とも将来に備えていろいろ個別に折衝もやるであろう、そういうことを期待しておりますが、お説は十分われわれよくわかりますので、今後大いに努力していきたい、かように考えております。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 これで終わります。
  31. 井原岸高

    井原委員長 田代文久君。
  32. 田代文久

    ○田代委員 まず、電電公社にお伺いしますが、例のTOW、JGCP関係の米軍滞納電話料の七十七億八千万円の未回収問題ですね。あれについてでありますが、米軍の電話については、料金を滞納しても通話を停止してはならないというような、そういう契約なり協定というものがあるかどうか。通話を停止をしてはならないという積極的な規定は何もないというふうに思うのでありますが、この点、どうですか。
  33. 武田輝雄

    ○武田説明員 ただいま御指摘のございました七十七億八千万円は、未収金というようなものでございませんで、紛争料金と称しておるものでございます。アメリカとのサービス契約につきましては、公衆電気通信法の特例法ができておりますけれども、公衆電気通信法に準じて行なうということにいたしております。そこで、アメリカとのサービス基本契約におきましては、料金その他につきまして、一般の国民に対するサービスと同じような契約を結んでおるようなわけでございます。そこで、そういうふうにちゃんと契約を結びましたものにつきましては、料金は全然滞納なくいただいております。ただ、いま御指摘のございましたTOW、JGCPでつくりました施設につきましては、もともとこれは日本政府の負担において、アメリカに負担をかけないでつくったものでございます。そして、平和条約発効以前は無料で米軍が使っておったものでございます。  そういうふうな経緯がございますので、平和条約発効後、向こうとサービス契約を結びます場合に紛争になりまして、この分については、米軍としては料金を払う必要はないということを申し入れ、公社は払ってほしいということを申し出ましたが、結局話し合いがつきませんで、暫定協定におきましては、公社は、それに相当する部分について一般料金で計算した計算書を向こうに提出する、向こうのほうは、一応計算書は受け取るけれども、削除する権利を有するというふうなとりきめのもとに現在サービスを提供しております。  したがいまして、そういうふうな形でございますので、この分については、未収金というわけではなく、紛争料金という形になっておりますので、収納されてはおりませんけれども、いまおっしゃいましたような通話停止その他の措置はとらない、こういうことにいたしておるわけでございます。
  34. 田代文久

    ○田代委員 では、次の質問をいたしますが、先日、いま御答弁になった公社の武田営業局長からこれは直接伺ったのですが、現在、在日米軍に対して、この七十七億八千万円のほかには、当然取るべき料金を取っておらないというような、そういうケースは全然ないということをおっしゃいましたが、念のために、総裁並びに郵政当局、次官もおられますから確認していただきたいと思います。総裁からひとつはっきり言ってください。
  35. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど営業局長がお答えいたしましたが、米軍との関係はTOW、JGCPの関係の紛争料金、この問題が懸案になっておりまして、その他の問題は解決いたしております。
  36. 田代文久

    ○田代委員 政府、どうですか。
  37. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま電電公社の総裁が申し上げたとおりでございます。
  38. 田代文久

    ○田代委員 解決しておるということでははっきりしないですね。私の質問の答弁に合わないのですけれども、つまり、この七十七億八千万円以外には、当然取るべき料金を取っておらないというふうなケースはないかどうかということなんです。もらうべきものは全部もらっておるかどうかということであります。
  39. 米澤滋

    ○米澤説明員 全部もらっておると解釈しております。
  40. 田代文久

    ○田代委員 では、次に伺いますが、先日、公社の営業局の特別営業課長の吉村さんに御足労願いまして教えていただいた点について、ここで総裁から確認していただきたいと思うのですが、それは、一つ、米軍が使用しておる電話は専用線と米軍名義の加入電話があるということ、これは二つあるということですね。次に、この米軍名義の加入電話は、基地管内の特別の電話局及び特定の公社一般局の米軍専用の交換機を通っておるということ。三、基地管内の特別電話局、いわゆる特電局には度数計がつけられており、この度数計によって度数計が計算されておるということ。四、先日公社からいただいた資料、それの説明を受けたのでありますが、「神奈川通信部の米軍の電話使用料について」というのに記載されておる昭和四十三年度の十一月分の度数料百二万一千円は、神奈川県下の基地管内にある特電局につけられておる度数計で計算された金額であるということ。  以上の四点について、公社から直接そういうことを聞いたのであらためて聞く必要もないことでありますけれども、重要な問題でありますので、総裁から、事実そのとおりであるという確認をいただきたいと思います。
  41. 米澤滋

    ○米澤説明員 私は、実はその資料を出したのを見ておりませんが、営業局長から答えさせます。
  42. 武田輝雄

    ○武田説明員 米軍から収納いたします料金といたしましては、いま御指摘のございました電話収入、その中には、電話の使用料とか市外通話料とかその他のものが入っております。それから、専用電話使用料がございます。そのほかに保全サービスで契約をいたしております雑収入がございます。  それから電話局でございますけれども、基地局内の特電局と一般局とあるというふうなお話でございましたが、平和条約発効以前は、確かに、基地内の電話交換設備につきましては一般の電話局というふうな扱いをいたしておりましたけれども、平和条約発効後は、いわば自営のPBXというような扱いをいたしております。したがいまして、度数計は一般局の中に設置されております。  それから、御指摘のございました資料として御提出いたしました四十三年十一月分として電話使用料百八万四千円、そのうち基本料が六万三千円、度数料が百二万一千円というのは事実でございます。
  43. 田代文久

    ○田代委員 答弁が非常にごたごたして、私は頭が悪いのかもしれませんが、さっき申しましたあなたのほうの課長さんが私に言われた四つの点、これを確認できるかどうかということでありますから、端的に、この点は確認できる、この点は確認できないということを私にはっきり言っていただきたいと思います。
  44. 武田輝雄

    ○武田説明員 総体として確認できます。ただし、いまおっしゃいました点で、少し私はっきりいたしました点がございますのは、特電局の中に度数計が設置されておるというふうにおっしゃいましたけれども、基地内の電話交換設備は、平和条約発効以前は一般の電話局、すなわち基地内における電話局、俗称特電局、こういうふうに申しておりましたけれども、平和条約発効後はPBXの扱いをいたしております。したがいまして度数計は一般局の中についておる、こういうことであります。
  45. 田代文久

    ○田代委員 吉村課長のこれとあなたのと食い違いはないわけですね。そうでしょう。
  46. 武田輝雄

    ○武田説明員 いま私が申し上げましたとおり御了解いただければ、吉村君の話と私の話はそのとおりでございます。
  47. 田代文久

    ○田代委員 もう一度お尋ねしますが、つまり専用線と米軍名義の加入電話、これがあるかどうかということなんです。これはどうですか。
  48. 武田輝雄

    ○武田説明員 そのとおりでございます。
  49. 田代文久

    ○田代委員 では、次に進みますが、この米軍名義の加入電話は、現在全国に何台あるのか、各特電局ごとに明らかにしていただきたい。また、この電話の料金体系はどうなっておるか、この御答弁を願いたいと思います。
  50. 武田輝雄

    ○武田説明員 電話の料金体系は、特例法がございますけれども、一般の料金体系と全く同じになっております。  それから施設等につきましては、私いま手元に持っておりませんので、ちょっと遠慮させていただきたいと思います。
  51. 田代文久

    ○田代委員 大体これは見当がつきませんか。私たちしろうとでも相当数あることは間違いないと思うのですが、大体どれくらいありますか。あなたたちは実際に事業をやっておられるから、おおよその見当、何百何十何台というようなことでなくても、わかるはずですが……。
  52. 武田輝雄

    ○武田説明員 本日資料を御提出いたしましたが、使用料として、四十四年度約一億八千万円ほど計上いたしております。したがいまして、非常に大ざっぱでございますけれども、加入電話として大体二千くらいじゃないかと思います。
  53. 田代文久

    ○田代委員 では、次にお伺いしますが、基地管内の特電局について確認しておきたいのですけれども、この特電局は大部分が米軍の施設であって、ごく一部が公社のものであると聞いておりますが、間違いございませんか。
  54. 武田輝雄

    ○武田説明員 特電局というお話がございましたけれども、基地内にあります交換設備はPBXと考えております。それを称して特電局というふうにおっしゃりますれば、米軍が使用しております交換局といいますか交換設備は、ほとんど米軍自営のものでございます。
  55. 田代文久

    ○田代委員 ごく一部はやはり公社のものであるというのはあるんでしょう。
  56. 武田輝雄

    ○武田説明員 ごく一部が公社のものであるということはございます。
  57. 田代文久

    ○田代委員 それでは伺いますが、先ほど確認されました基地内の特電局ですね、その度数計はいつ取りつけられたか。これはついておるはずでしょう。
  58. 武田輝雄

    ○武田説明員 先ほども申し上げましたように、基地内の従来特電局といわれておりましたものは、平和条約発効後はPBXというふうにして扱っております。したがいまして、局のほうに度数計がございます。それから、ごく一部の例外でございますけれども、公社の電話局を向こうの特電局的な扱いをさしているところがございますが、そこはそこに度数計をつけておる、それによって度数料をちょうだいする、こういうことにいたしおります。
  59. 田代文久

    ○田代委員 公社のほうに度数計があるといまおっしゃいましたね。その公社というのは、あなたのほうの、いわゆる基地外の局という意味ですか、どういう意味です。
  60. 武田輝雄

    ○武田説明員 そのとおりでございます。
  61. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、いままでの御答弁によりますと、おもに米軍の施設であるという特電局に度数計がつけられておるということになるわけですね。
  62. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまおっしゃいました特電局と申しますのは俗称でございまして、自営のPBXでございます。したがいまして、度数計はその自営のPBXが収容されている公社の電話局の中にございます。
  63. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、料金の問題ですけれども、この度数計の取りつけという問題については、公社と米軍関係の間に何か契約があるのですか。また、そういう経過を通じて取りつけられたのですか。
  64. 武田輝雄

    ○武田説明員 これをPBXとして扱うこと、それからPBXとしてどういう料金を取るかということは、一般加入電話の例に準じてやるという契約になっております。したがいまして、度数計を取りつけるか取りつけないかということについては契約はいたさないでも、公社の電話局の中に度数計を取りつけて、それによって度数料を積算するということは当然のことでございますので、そのことについて契約は結んでおりません。
  65. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、四十四年度米軍からの収入見込みの中で、度数料はいかほどの計算をやられておるか、全額幾らか、各通信部別に度数と度数料を説明していただきたい。
  66. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまの問題は、各電話局から上がってまいりますし、各電話局で計算をいたしておりますので、ここでお答えするだけの資料を持ち合わせておりません。
  67. 田代文久

    ○田代委員 そうだろうと思いますが、あとから出していただきたいと思います。  次に伺いますが、米軍の私設線、あるいは基地と基地を結ぶ専用線にこの米軍名義の加入電話はつながることがあるのかどうか。ダイヤルでつながるようになっておるのかおらないのか、答えていただきたいと思います。
  68. 武田輝雄

    ○武田説明員 米軍名義の加入電話と向こうの基地内のPBX、これとは接続するようにいたしております。ただし、それを通じまして他の基地ということになりますと、それは軍用に限って接続する、こういことにいたしております。
  69. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、いまの説明では、他の基地間の局とはつながるようにはなっておらない、こういうことですね。
  70. 武田輝雄

    ○武田説明員 従来は、二十七年までは、この特電局とおっしゃいますのは一般の電話局というふうに考えておりました。したがいまして、基地局と基地局の間でありましても、一般の電話局相互間といったようなことで自由に接続を認めておりました。しかしながら、平和条約発効後はこれをPBXというふうに観念をいたしましたから、PBXとPBXとの間に私設線あるいは公社の専用線を借りて内線相互間で話をすることは自由でございますけれども、一般との通話は禁止されております。ただ米軍に限って、米軍の家庭にある電話に限って接続を認めておる次第でございますけれども、その範囲もできるだけ手動台を通じてやるようにいたしたい、こういうように考えております。
  71. 田代文久

    ○田代委員 聞くところによりますと、たとえば座間の米軍名義の加入電話から03局でない局番で東京の一般加入電話に通話ができるという話があります。このような例は、座間ばかりではなく、横浜、横須賀、府中、立川、朝霞など、米軍の基地のある場所から同様に市外である東京に通話できますし、また日本全国の基地相互間においても同様に、一般に使われておらない別の局番で通話ができるものと聞いておりますが、このような事実はほんとうですか。
  72. 武田輝雄

    ○武田説明員 平和条約発効以前は、米軍基地内の電話交換設備は一般電話局というふうに考えておりましたから、全部自由に話ができるようになっておりました。しかしながら、平和条約発効後はこれをPBXとい5ふうに観念いたしましたので、いまおっしゃいましたようなことは逐次整理をしていくということになっておりまして、米軍との現在の話では、一般のほうからほ手動台を通じて、しかも米軍人に限って話をさせる、こういうふうにいたしております。
  73. 田代文久

    ○田代委員 逐次という話ですけれども、しかもそれは米軍関係に限ってと、こういうこともいまおっしゃいましたが、米軍以外のところにかけるというようなことは、これは事実としてはありはしませんか。
  74. 武田輝雄

    ○武田説明員 PHXでありますけれども、米軍の基地内には二、三、手動台の設置されていないPBXがございました。したがいまして、手動台のないところでございますと、自動的にいま御指摘のようなことができるわけでございますが、米軍と話し合いまして、すべて手動台を置くということにいたしまして、そして軍用に限って、軍人に限って市内に接続する、その他の基地に接続するということをやるように話し合いを進めましたので、今後は軍人以外の者がそういうことを行なうことはないようになる、こういうふうに考えます。
  75. 田代文久

    ○田代委員 今後は、ということですね。今後の前はどうですか。それから、米軍に限ってとおっしゃいますけれども、米軍に限ってといったって、米軍の家族、女房もおればメイドさんみたいな人もおりましょうし、米軍名義で使うということも可能じゃないですか。それはどういうことで説明されますか。
  76. 武田輝雄

    ○武田説明員 先ほども申し上げましたように、従来は一般電話局というふうに考えておりましたから、米軍であろうと一般人であろうと、自由に話ができたわけでございます。しかしながら、二十七年以降は、観念としてPBXということにいたしまして、PBXの料命をちょうだいする、しかし、通話をされました場合には、市外通話料とか度数料を払っていただくことにしておるわけでございます。しかしながら、PBXというふうに観念をいたしました関係上、PBXらしく扱うということに逐次持ってくることに努力をし、いま申し上げましたように、手動台のないところには手動台をつける、そして米軍人に限ってそういうことを認めるということにいたしておるわけでございます。
  77. 田代文久

    ○田代委員 そうしましたら、そこはわかったのですけれども、そういう場合の度数料というのは漏れなく取れるのですか、またそれは取っておられるわけですね。
  78. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまの話は、基地外の一般電話局に収容されている電話から基地への通話でございますから、基地外の電話局の中に度数計がございますから、料金はちゃんと取れます。
  79. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、逆に、基地内からかけて、それから先はずっと延びていますね、延びている場合のそれはどうして度数料を計算されますか。
  80. 武田輝雄

    ○武田説明員 基地内から基地外の加入者に行きます場合には、基地と電話局との間にPBX回線が設定されております。したがいまして、その分につきましては基地と一般電話局を結ぶ加入回線と考えていいわけでありますから、したがいまして一般電話局の度数計が動いて料金が取れる、こういうことでございます。
  81. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、こういうことはありませんか。丸ノ内管内の米軍名義の加入電話から府中に通話するというような場合に、度数計は市内通話の度数計しかこれは動かないですね。そうしますと、各官庁とか一般加入電話では大体三十秒で七円ずつの割合で支払う度数料が、米軍名義の加入電話ですと、たとえば一時間もかけっぱなしでも七円の料金で済むというようなことはあるのじゃないですか。
  82. 武田輝雄

    ○武田説明員 丸ノ内に加入しておる加入者から、かりに座間の基地にかけられた場合は――いまの場合、軍人に限って認めるようにしておりますが、その場合には丸ノ内の局の市内計が動くということでございます。したがいまして、丸ノ内-座間間は専用料金として取っているということでございます。  ところで、本来、公衆電気通信法におきましては、公衆通信系と専用線との接続は認められないことになっております。しかしながら、米軍との契約につきましては、地位協定に基づきます公衆電気通信法の特例法というのがございまして、この法律によって契約を結ぶということにしておるわけであります。そこで、従来は基地内の電話局も、特電局と称して一般電話局と同じように考えておりましたから一般加入電話との接続は自由であったわけでありますけれども、二十七年以降、いわゆる特電局は一般の電話局ではなく、PBXとして取り扱うようになりました。そうなりますと、特例法によりましてどういう契約を結んでもいいわけでございますけれども、われわれとしては、なるべく公衆電気通信法の本則に近い契約を結ぶということで逐次整備してまいって今日に至っておるわけでございます。
  83. 田代文久

    ○田代委員 こういうことを聞いておりますが、こういうととはどうなります。つまり、海外に出ている、たとえばLSTならLSTというような乗り組み員が電話を自宅にかけるというような場合に、米軍の基地を通じて自宅にかかる、それに対しては料金もほとんど払われておらないというようなことを聞いておりますが、そういうことはないですか。
  84. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまの話は米軍の私設設備、私設マイクロによる使用という形だと思いますが、米軍の私設設備の状況につきましては、私、あるいは公社としてつまびらかにしておりませんので、いまのようなことがあるかどうか、はっきりお答えできません。
  85. 田代文久

    ○田代委員 そういう場合、つまり、基地を通じて個人宅に行く場合がありますね、専用線から通ってまた。その間において、当然これは公社がその料金というものは取られなければならぬわけですね。
  86. 武田輝雄

    ○武田説明員 先ほども申し上げましたように、米軍に対しますサービスにつきましては、地位協定に基づきます公衆電気通信法の特例法がございますので、どういう契約でも結べるわけでございますが、しかし、公社といたしましては、できるだけ本則に戻していきたいという努力を重ねております。しかしながら、現在の状態あるいは従来の状態におきましても、少なくとも公社線を使う部分につきましての対価はちゃんといただいておるということでございます。
  87. 田代文久

    ○田代委員 なおまだ理解できない納得できない点がございますが、時間がないそうですから、きょうは一応これで終わります。      ――――◇―――――
  88. 井原岸高

    井原委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題として、審査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山口敏夫君。     〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
  89. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 私は、昭和四十四年度のNHK予算に関しまして、日本放送協会並びに担当官庁であります郵政省に対しまして若干の質疑を行ないたいと思います。  一千五十二億円というたいへん膨大な数字だと思いますが、いろいろ現在のわが国における放送事業、また、世界的な観点からのこれからの放送事業というものから考えますれば、決して大きな額じゃないというふうな見方もされるわけでありますが、いろいろ参考にいただいた資料に詳しくまた親切に出ておりますので、私なりに、その予算的な規模、また内容につきましては理解しつつあるわけでございますが、これはたまたま私が逓信委員会に入っておりまして興味深く見たから理解ができるのでありまして、これが一般国民といいますか、たいへん蒸し返しの話のようで恐縮でございますけれども、昨年のカラーテレビ料金改正等に伴う時期に、宮澤経済企画庁長官からNHKの経理はずさんであるというような問題がございました。これは、会計検査院からも不当な点はない、また前田会長さん御自身も、NHKの立場、見解を明らかにして、かえって雨降って地固まるというような形でこの問題の決着がついたわけでありますけれども、やはり一般的な感覚としては、マンモスNHKという形で、非常に大きな、あるいは非常にわからない点もたくさんあるというような考えを持っている国民が非常に多いんではないかというふうに思うわけでございます。そうしたNHKに対する認識、視聴率はじめ、料金を取られておるというような感じと同時に、毎日毎日電波を通じて、NHKに対しては国民自身も愛着を持っておる、いろいろな面を含んでおるわけでありますが、こうした点を考えてみましても、言えますことは、NHKは、国民共有の公共放送機関としての役割りとしては厳としたものがあるわけでございます。その公共放送の立場から、やはり昨年逓信委員会においても附帯決議で、国民に対する支持と理解を求めるようにという形の附帯決議もあったろうと思うのでありますが、その後どのような形で、このNHKが公共放送の立場から国民に対して具体的な努力をなされたか、その辺からお伺いをしていきたいと思います。
  90. 小野吉郎

    ○小野参考人 昨年の予算の審議にあたりまして、カラーテレビ、白黒テレビ、両建ての料金体系に変えました。このことにつきましては、国民の十分な御理解と御支援がなければ、円滑な契約の獲得、収納の万全を期することはできないことは当然でございます。そのような意味合いから、国会でもその点について特に注意をするように附帯決議をいただきました。当然のことでございまして、私どもといたしましては、できるだけ附帯決議の御趣旨に沿いまして具体的な措置をとってまいっておるわけであります。  まず第一点は、ラジオ、テレビの放送自体を通じまして、この料金体系が何がゆえに必要であるか、その料額はどうして決定されたかといったようなことを数回にわたりまして周知をいたしておる次第でございます。  その他、NHKの受信者の代表の方々、こういった方々とも、在来もやっておることでございますけれども、ひざを突き合わせた懇談会を開いておりまして、受信料制度の改定以後におきまして、約四百回にわたってそういうような催しを全国に行なっております。と同時に、そのほかに有識者関係を主体といたしまして、中央並びに各地方にNHK懇話会というものを設けまして、この辺の趣旨を十分に御理解いただき、御支援をいただくような努力をいたしてまいっております。  その他、パンフレットの配布でございますとか、特に、最初に御指摘になりました受信料の制度だけでなしに、NHKの合計自体について非常にずさんというような表現をとられましたかどうかは、私ははっきり記憶をいたしませんが、かりにそのような表現をとられたとすれば、これはむしろNHK予算の内容についての勉強の不足でそのような印象を持たれるのではないかと思います。ただし、NHKといたしましても、予算の内容を十分に国民の方々に知っていただくことは当然のつとめでございますので、そういう面についても平素努力をいたしておりますし、特に、そういう関係から、NHKの経理の全貌が明確にわかりますようなブルーレポートを発行いたしまして、このような趣旨に沿うような努力をいたしておる次第でございます。  そういうことでございますから、お尋ねの料金体系の変更後における契約の推移につきましては、当初予想いたしましたカラーテレビ百四十万件を年度内に達成するというそれは、多少二十万件余もっと伸びるのではないか、このように考えておりますし、いわんや、白黒テレビの関係につきましては、十五円の値下げの関係は大方の御理解と非常な賛同を得まして、契約の維持並びに収納の関係についてもきわめて円滑な推移を見て今日に至っておる次第でございます。
  91. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 規模が非常に大きくなりますと、国民の意思であるとか希望とかいったものがなかなか吸収しにくくなるという弊害があるわけでございますが、懇談会であるとか、いろいろな会合を通じて逐次国民の支持と協力を求めるという前向きな姿勢でやっていただいておる、たいへん私はけっこうだと思うのであります。しかし、客観的な立場から見て、やはり特定といいますか、その範囲というものがまだまだ十二分とは言い切れないような点もあるのじゃないかということから、ひとつ、さらに御努力をしていただきたいと思います。  放送法による国民の放送局ということを基本にしておるわけでありますから、と同時に、いろいろ資料を見ましても、昭和二十五年がラジオの契約が九百十九万世帯である、それから四十三年においては二千七十八万世帯という形に非常にふえておるわけであります。  そこで、いかにNHKの放送、電波による文化というものが社会的な影響が多いかという点か結ぶということで逐次整備してまいって今日に至っておるわけでございます。
  92. 田代文久

    ○田代委員 こういうことを聞いておりますが、こういうととはどうなります。つまり、海外に出ている、たとえばLSTならLSTというような乗り組み員が電話を自宅にかけるというような場合に、米軍の基地を通じて自宅にかかる、それに対しては料金もほとんど払われておらないというようなことを聞いておりますが、そういうことはないですか。
  93. 武田輝雄

    ○武田説明員 いまの話は米軍の私設設備、私設マイクロによる使用という形だと思いますが、米軍の私設設備の状況につきましては、私、あるいは公社としてつまびらかにしておりませんので、いまのようなことがあるかどうか、はっきりお答えできません。
  94. 田代文久

    ○田代委員 そういう場合、つまり、基地を通じて個人宅に行く場合がありますね、専用線から通ってまた。その間において、当然これは公社がその料金というものは取られなければならぬわけですね。
  95. 武田輝雄

    ○武田説明員 先ほども申し上げましたように、米軍に対しますサービスにつきましては、地位協定に基づきます公衆電気通信法の特例法がございますので、どういう契約でも結べるわけでございますが、しかし、公社といたしましては、できるだけ本則に戻していきたいという努力を重ねております。しかしながら、現在の状態あるいは従来の状態におきましても、少なくとも公社線を使う部分につきましての対価はちゃんといただいておるということでございます。
  96. 田代文久

    ○田代委員 なおまだ理解できない納得できない点がございますが、時間がないそうですから、きょうは一応これで終わります。      ――――◇―――――
  97. 井原岸高

    井原委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題として、審査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山口敏夫君。     〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
  98. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 私は、昭和四十四年度のNHK予算に関しまして、日本放送協会並びに担当官庁であります郵政省に対しまして若干の質疑を行ないたいと思います。  一千五十二億円というたいへん膨大な数字だと思いますが、いろいろ現在のわが国における放送事業、また、世界的な観点からのこれからの放送事業というものから考えますれば、決して大きな額じゃないというふうな見方もされるわけでありますが、いろいろ参考にいただいた資料に詳しくまた親切に出ておりますので、私なりに、その予算的な規模、また内容につきましては理解しつつあるわけでございますが、これはたまたま私が逓信委員会に入っておりまして興味深く見たから理解ができるのでありまして、これが一般国民といいますか、たいへん蒸し返しの話のようで恐縮でございますけれども、昨年のカラーテレビ料金改正等に伴う時期に、宮澤経済企画庁長官からNHKの経理はずさんであるというような問題がございました。これは、会計検査院からも不当な点はない、また前田会長さん御自身も、NHKの立場、見解を明らかにして、かえって雨降って地固まるというような形でこの問題の決着がついたわけでありますけれども、やはり一般的な感覚としては、マンモスNHKという形で、非常に大きな、あるいは非常にわからない点もたくさんあるというような考えを持っている国民が非常に多いんではないかというふうに思うわけでございます。そうしたNHKに対する認識、視聴率はじめ、料金を取られておるというような感じと同時に、毎日毎日電波を通じて、NHKに対しては国民自身も愛着を持っておる、いろいろな面を含んでおるわけでありますが、こうした点を考えてみましても、言えますことは、NHKは、国民共有の公共放送機関としての役割りとしては厳としたものがあるわけでございます。その公共放送の立場から、やはり昨年逓信委員会においても附帯決議で、国民に対する支持と理解を求めるようにという形の附帯決議もあったろうと思うのでありますが、その後どのような形で、このNHKが公共放送の立場から国民に対して具体的な努力をなされたか、その辺からお伺いをしていきたいと思います。
  99. 小野吉郎

    ○小野参考人 昨年の予算の審議にあたりまして、カラーテレビ、白黒テレビ、両建ての料金体系に変えました。このことにつきましては、国民の十分な御理解と御支援がなければ、円滑な契約の獲得、収納の万全を期することはできないことは当然でございます。そのような意味合いから、国会でもその点について特に注意をするように附帯決議をいただきました。当然のことでございまして、私どもといたしましては、できるだけ附帯決議の御趣旨に沿いまして具体的な措置をとってまいっておるわけであります。  まず第一点は、ラジオ、テレビの放送自体を通じまして、この料金体系が何がゆえに必要であるか、その料額はどうして決定されたかといったようなことを数回にわたりまして周知をいたしておる次第でございます。  その他、NHKの受信者の代表の方々、こういった方々とも、在来もやっておることでございますけれども、ひざを突き合わせた懇談会を開いておりまして、受信料制度の改定以後におきまして、約四百回にわたってそういうような催しを全国に行なっております。と同時に、そのほかに有識者関係を主体といたしまして、中央並びに各地方にNHK懇話会というものを設けまして、この辺の趣旨を十分に御理解いただき、御支援をいただくような努力をいたしてまいっております。  その他、パンフレットの配布でございますとか、特に、最初に御指摘になりました受信料の制度だけでなしに、NHKの合計自体について非常にずさんというような表現をとられましたかどうかは、私ははっきり記憶をいたしませんが、かりにそのような表現をとられたとすれば、これはむしろNHK予算の内容についての勉強の不足でそのような印象を持たれるのではないかと思います。ただし、NHKといたしましても、予算の内容を十分に国民の方々に知っていただくことは当然のつとめでございますので、そういう面についても平素努力をいたしておりますし、特に、そういう関係から、NHKの経理の全貌が明確にわかりますようなブルーレポートを発行いたしまして、このような趣旨に沿うような努力をいたしておる次第でございます。  そういうことでございますから、お尋ねの料金体系の変更後における契約の推移につきましては、当初予想いたしましたカラーテレビ百四十万件を年度内に達成するというそれは、多少二十万件余もっと伸びるのではないか、このように考えておりますし、いわんや、白黒テレビの関係につきましては、十五円の値下げの関係は大方の御理解と非常な賛同を得まして、契約の維持並びに収納の関係についてもきわめて円滑な推移を見て今日に至っておる次第でございます。
  100. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 規模が非常に大きくなりますと、国民の意思であるとか希望とかいったものがなかなか吸収しにくくなるという弊害があるわけでございますが、懇談会であるとか、いろいろな会合を通じて逐次国民の支持と協力を求めるという前向きな姿勢でやっていただいておる、たいへん私はけっこうだと思うのであります。しかし、客観的な立場から見て、やはり特定といいますか、その範囲というものがまだまだ十二分とは言い切れないような点もあるのじゃないかということから、ひとつ、さらに御努力をしていただきたいと思います。  放送法による国民の放送局ということを基本にしておるわけでありますから、と同時に、いろいろ資料を見ましても、昭和二十五年がラジオの契約が九百十九万世帯である、それから四十三年においては二千七十八万世帯という形に非常にふえておるわけであります。  そこで、いかにNHKの放送、電波による文化というものが社会的な影響が多いかという点かれども、一番大きな影響力を持っている、あるいは指導力というものを持っているその力のあるのはNHKであると思うのです。そのNHK、日本のマスコミ界というよりも世界のそういった放送業界においてもトップクラスにあるNHKが、やはりそういった番組編成の中において、もっと現在の社会の中における欠陥であるとか弱点ということを十二分に把握して、さて、どういう形で中立あるいは公共性というものを維持しつつ、できる限りの新しい試みというものをしていくか、それをしなければマンネリになるのではないか。ただ金をかけて、カラー番組のわりには意外に安かったとか、聴視料はむだ使いしておりませんという消極的なことでなくて、NHKは、財政の許す範囲において他社にはできないような大きな番組をつくってもらうことを期待するし、どんどん充実した番組を社会に送り出すということは大歓迎です。  ですから、やはりこの番組をつくる一つの基本的な面において、マル・バツ方式的な、単に視聴者が喜べばいいとか、あるいは批判――失礼な言い方をすれば、NHK的な甘みも辛みもないような、ただただ中庸をいくような点ばかりに神経を使っていないで、やはり公共性、中立性を維持するということは前提でありますけれども、その中において大胆な試みをどんどんやっていただいて、そしていわゆるNHKで補える一つの社会の弱点というものを是正していくのだというくらいの気持ちが反映された番組をつくってもいいんじゃないか、そういう一つの立体感といいますか、やはり青少年に対する影響のビジョンというものを、ひとつ会長自身の御姿勢の中から伺いたいというふうに思うわけです。
  101. 前田義徳

    ○前田参考人 ただいまの御意見に対しましては、私は全く同感、非常な共感を持って伺っておりました。  私どもの放送の波は、御承知のようにラジオにおいては三波、テレビにおいては二波でございます。そのうちで、特にテレビの一波、中波の一波はすべてそういう方向に投じているわけですが、しかし、そういうわれわれの事業のセクションという意味でなしに、私は、実は御質問にもありましたように、今日の日本の経済力あるいは文化、あるいは戦後の非常な自由な社会機構あるいは家族制度の根本的な改変という中で、私自身の立場から見ますと、NHKのテレビが二千百万に近い御世帯から支持されているということは、一方においては、ある意味ではかなり非しむべき現象ではないか、それは自由な個々の人々の社会生活が貧困であることの一つの反映ではないかということは、かねてから当委員会でも御質問いただく際に申し上げております。社会環境の中で、しかも二千百万世帯がNHKを支持してくださっているという事実を取り上げたときに、われわれの番組の編成の方針、あるいはまた事実上の番組の制作というものが、全般的にいってもいかに社会的責任と直結しているかということを痛感いたしております。特に私がわれわれの同僚に語っていることは、私は、過去を問うよりも、むしろ未来に日本の希望を発見しなければならないという点でございます。そういう点では、青少年、まあ幼稚園から青年に至るまでの日本国民として、自由国家の一員として、民主社会の一員としてどう生きていくかをやはり私どもは御協力してその道を開く資料を提供すべきではないかという考え方であります。  したがいまして、従来も、たとえば学校放送等においてはもちろんやっておりますけれども、一般番組の中でも、夏休みになりますと、一例でございますが、「中学生世界の旅」というようなものも計画いたしました。当時はそれぞれの関係方面から、ことに、中学生を海外に出すとは、という御意見もありましたけれども、私としては、やはりそこから民主的な日本人の目を開く方法を考えるべきだということを考えておりました。それからまた、同時にそれと関連して、私としては、たとえば五年前になるかと記憶いたしますが、皆さまの御支持をいただいて、全国どこにおっても働きながら高等学校の教育は受けられるという制度もつくったわけでございます。  そういう考え方のもとに、一般的な番組の方向は何か、また、具体的にどういう番組があるかという問題になりますと、私は幾つかの方法を実は具体的にとっております。  一つは、やはり家庭とか、あるいは住んでいる地域という問題を離れて、青少年に明るい生活を期待するという意味では、やはり私はスポーツ番組、ことにアマチュアのスポーツ番組が絶対に必要である。したがって、私どもはプロ野球もやっておりますけれども、年間を通じてスポーツ番組の経費の大部分はアマチュアスポーツに注いでいるというように申し上げられると思います。  それから、たとえばいろいろな芸術家の招聘その他がありました場合でも、若い人たちのために、特別の料金を取る場合でも一番安い料金を特別に設定しているというような行き方もいたしております。  また、具体的な番組で申しますと、教育番組以外の問題でございますが、子供のために、現在の民主社会と申しましても、何か共通の心のよりどころ、あるいは共通の生活の態度が非常に乱れているという現状において、たとえば「海からきた平太」というような、先生と生徒との関係、生徒同士の関係、上級生と下級生の関係、両親と子供との関係、これを明らかにしていく番組、あるいはまた「あねいもうと」というような番組もございますが、これは女のそういう年齢の方を中心として、家庭的にどのような方向にいくべきか、親の苦労と、それを取り巻く社会の苦労と本人との関係を明らかにするような番組を連続してテレビでやっております。それから、また、現在は教育そのものについても、私の考え方としては、たとえば環境がしいる教育が多過ぎはしないか、本人の素質とか、好みとかを無視したものが多過ぎはしないかというような意味でも、番組上、たとえばこの間ごらんいただいたかどうか、「生活の知恵」の中で、いまの小学生以下の、あるいは中学まででしたが、子供たちがおとなとの間にどのような感覚の差異を持っているか、これはおもちゃであるとか、あるいはそういうものを通じて明らかにする番組、それから先生とそういう義務教育期間の児童との関係、そこにギャップがないかというような問題を取り上げながらやっております。  私としては、同時に、この固定された社会の中から、それからまた、戦後非常に膨大化した経済機構の中でややもすれば失われていく人間性、この点を考えながら、ことに青少年に望みを与えていく方法は何かということを考えるわけです。これには教育の波ばかりでなしに、総合テレビにおきましても週何回か定期的に科学の世界、それから実際生活と科学との関係、それからまた、地域社会と個人との関係、それを、一つの新しい理想に向かっていく具体的な道筋、これらのことを総合して制作する番組をつくっております。もちろん、これらのことは一朝にしてその目的を達成するわけにはいきませんが、御指摘のとおり、NHKという公共的な性格から考えても、また、二千百万世帯が現実に支持してくださっているという点から考えても、あらゆる種類の番組にこの精神を浸透さしていくことこそ、私は、単に法律上の責任という意味でなしに、NHKの仕事をしている者の根本的な責任でもあり、またそれに努力すべきである、このように考えております。
  102. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 よくわかりました。そこで、働きながら学べるNHK高等学園であるとか、私、たいへん高くこらした活動に対して評価をしておるわけでありますが、スポーツにおけるアマチュアスポーツのほうを特に重点的にやるとか、その他芸術の問題、いろいろな形で御努力をいただいておるということが非常によくわかりました。特にその中でやはりそうした番組の背景をなすもの、それは会長自身もおっしゃられましたように、民主的な日本人というものの目を開くというこの一語にすべてつながっていくんではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、たいへんでまえみそな質問なんでありますけれども、ちょっとお伺いしておきたい点は、非常に解散風がこの国会で吹き荒れているわけでありますけれども、ラジオのような政権放送をテレビでも実施してもいいと私は思うのでありますけれども、その辺はどうお考えになっておられますか。いまだにやってないというのは非常に困難な事情があるのか。その点、私お伺いしたいと思うのであります。
  103. 前田義徳

    ○前田参考人 私は、結論的に申し上げますと、テレビも当然選挙放送を実施する、完全実施の方向に行くべきであるという考え方は持っております。ただ、実際問題として、選挙区制度を考えるときに、それはやはり全国カバーを――局で数県をカバーするということは事実上困難であります。また、選挙民に対しても非常な錯覚を起こさせる原因になると思います。そういう意味では、私ども考えている完全選挙放送のためには、選挙区の実情を考えてみても、少なくとも各府県ごとに局を持つべきである、これが実態に即する選挙放送の効果をあげ得る方法である、このように考えております。この点については、当局におかれてもかなり積極的にわれわれの意見を聞いてくださっており、そう遠からないうちに、私としてはお説のようなテレビによる完全選挙放送を実施することを強く期待しておりますし、また可能であるというように考えている次第でございます。
  104. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 政権放送がむずかしい、また、実行の段階について最大の御努力をいただいているということでありますけれども、そうすると、たとえば関東近県を一つの例にとってみましても、浦和であるとか、あれは前橋ですか、そういうような形でそれぞれ放送はしていないけれども、中継所的なものがある。しかし、こういった各県に一つずつテレビ局を置くというような点については、大体何年くらいをめどにして計画をされておるわけでありますか。
  105. 前田義徳

    ○前田参考人 今回のFM放送の本放送開始、これは今月の一日から御許可かを頂いたわけでありますが、FM放送に関する限りでは東京周辺もすべて置局することになっております。したがいまして、ラジオ放送を通じての選挙放送の完成は、いまや物理的な置局の時間との関係ということになっております。テレビに関しましては、まだ国策として未決定の部分がございますので、これが決定されることを私どもは期待するわけでありますが、しかし、私が申しましたのは、事実上、かつて各界から御希望をいただいておる選挙放送の完全な実施のしかたについてでございまして、一応の方法は現在もこれまでもとってきております。しかし、きわめて不完全なものでございます。そういう意味では、端的に申しまして、UHFの国策がなるべく早く決定されることを期待いたしたい、このように考えております。
  106. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 そうしますと、たとえば、次の総選挙や何かにおいては、テレビでの政権放送であるとか、あるいは技術的にむずかしい点もあろうかと思うのでありますが、立ち会い演説会の中継であるとか、こういった点については期待はできないわけでありますね。
  107. 前田義徳

    ○前田参考人 政治的なスピードと物理的なスピードとの間にはかなりの誤差が生じてくるおそれがあると思っております。したがいまして、その点について、できるできないということは実は申し上げられないのですが、常識的に考えると、まあ政治的スピードが早まれば、次回には残念ながら完全な放送はできないという結果になりますかもしれません。
  108. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 それでは、昨年の参議院選挙のときは多少テレビ中継の実施をやったというふうな話も聞いておるわけでありますけれども、その点、実施状況はどうですか。
  109. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKは昨年、自主放送というような形で、自治省、それから各県の公職選挙管理委員会の御協力を得まして各県に一回ずつ開催されております実況を放送いたしました。ただ、会長先ほど申し上げましたような東京と大阪のこの大電力圏内の各県は実施できませんで、あとは香川県が候補者の御承諾を得られなかったので、できておりません。そのほかの府県は全部実施いたしております。
  110. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 それでは、NHKとしてはかなりの努力をしつつ、一刻も早くそうした政権放送あるいはテレビによる立ち会い演説会等の実況中継ということも考えておるということでございますけれども、次の選挙に間に合うかどうか、これはわからない。  そこで、もし間に合うとするならば、これはやはり郵政省の立場で、たとえば民放とNHKとの組み合わせというような形でこれが技術的に可能かどうか、郵政当局からお伺いしておきたいと思います。
  111. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 NHKについてはいまNHKのほうから御答弁があったとおりでございますが、民間テレビにつきましても、実は現在数県にまたがっておるというふうな区域については、これを県単位にやっていこうという方針はすでにきまっております。ただ、現状では、その点は中京地区あるいは近畿、その付近五、六県できておりますが、遺憾ながら関東地区はまだそこまで至っておりません。したがいまして、民間テレビが全国的に県単位のテレビが誕生するという時期になりましたら、選挙についてテレビを利用するということは、一面非常にいいことだとわれわれも考えております。そういう状況が実現した場合に、選挙関係の問題もございますので郵政省だけの関係でもありませんが、技術的にはできるような体制に持っていきたい、かように考えております。
  112. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 そうした選挙のときにおける放送と同時に、やはり日ごろの国会を中心とした政治的な番組であるとか、あるいは委員会の中継ですね。これは予算委員会を一応重点的に取り上げておるわけでありますけれども、しばしば第三チャンネルの開放――国会開会中は各委員会に持ち込んで、その審議の模様を国民に知らせるということがたびたび意見として出されておるわけでありますけれども、その辺の状況はどうでございますか
  113. 前田義徳

    ○前田参考人 私ども国会からの直接中継という点ではいろいろな御意見もあるかと思いますが、世界的には一番進んだ中継でございます。これは国会各位の御協力、御賛同のもとにここまで行なわれている。これはイギリスでもアメリカでもまだそこまではいっていないというのが実情でございます。  私どもといたしましては、国会当局が、各政党が御希望になり、それからまた、その効果が国民と政治を直結させる上で役立つという限度においては、あらゆる犠牲を払ってやりたいと考えております。ただ、同時に、これから生ずる私どもの立場と聴視者の関係から私どもが感じ取り得る幾つかの問題点がやはりあると思いますので、その点等については、われわれもやはり慎重に検討していく問題が残されている、このように感じております。
  114. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 私が盛んに国会や何かのテレビ中継というものにこだわるのは――必ずしも私は予算委員会のテレビ中継の視聴率が高いとは思わないのです。むしろほかの番組に比べて、政治家及びその周辺の人たちの自己満足的なものであって、必ずしも高いとは、国民がチャンネルをそこに集中してくれるとは思ってない。思ってないし、テレビが放送になったために、あるいはわれわれのように落選するかもわからぬので、いろいろその辺の政治の中におけるマスコミの一つの技術的な介入というか、試みが、政治自体をも変えていくということは当然予測されるわけであります。  そこで、なぜ私がそうした問題に対しまして御質問をいたしましたかといいますと、先ほど会長が言われました民主的な日本人の目を開くということは、私はいまの日本にとって一番根本的な、そして大切な問題じゃなかろうかと思うわけであります。  現在、特に一つの例をあげますれば、二十代の青年層の選挙時における棄権率というものは約三七、八%なんです。四十人をこえんとしておる。これは、投票に行くよりは映画に行ったほうがいい、あるいはデートしたほうがいい、あるいはハイキングに行ったほうがいいという人たちが非常にふえているわけです。政治不信ということですと、これはやはり政治というものに対して多少前向きの姿勢がある。つまり、何となくかみついてみて、政治をかんでみたけれども非常にまずかった、すっぱかった、腐っておった、現在の政治はけしからぬ、政治家は堕落しておるということからくる棄権であるとか、あるいは横を向いておるということであれば、これはわれわれ自身の問題でもありますし、現在においても、そうした政党間における本質の改善であるとか、政治の近代化だとか、社会の進歩に対する一つの政治の姿勢、役割りというものを自覚して努力していくということがもちろん当然でありますけれども、その政治不信層よりもっとこわい状態にきておる。それは何かというと、政治無関心層の青少年が非常にふえてきているわけです。要するに、おれたちは関係ないのだ、政治とは関係なく自分たちの生活ができるのだということ、若い人たちがそういう感覚で一つの政治というものを見ておるということは、民主主義というものの危機だと私は判断せざるを得ないわけであります。自分たちの人間社会を営む上において最小限度何を守らなければいけないか、何をお互いが話し合っていかなければいけないかという問題が欠けておるところが、今日の大学紛争であるとか、あるいは社会的な問題というものの背景をなしておるのじゃないかというふうに私は思うわけです。大学問題一つ見ても、古い時代からの大学制度の改革というようなこともいわれておりますけれども、大学制度がかりに近代的になっても、なかなか学生運動の紛争というものは終わらないのじゃないか。いまから二、三千年前の古い洞窟のほら穴の壁画を考古学者が読んでみたら、何が書いてあったかというと、いまどきの若い者はけしからぬという、その原始時代における年寄りのぐちが書かれてあったというように、世代と世代の断層であるとか、親子の追っかけっこというのは、これは人類永遠のテーマであって、なかなか埋め合わせるものではない。言うことは簡単でありますけれども、その努力はああいう試みを行なってもなかなか埋め合わせるものではないと私は思うのです。けれども、だからといって、その世代間のみぞを埋めたり、日本人同士のコンセンサスを求め合う努力を放棄しておるということではなく、やはりその中で、埋め合わせできないままに、お互いが守らなければならない最小限度のルールというものがある、知っておかなければならない常識というものがある。それは何かといえば、私は、民主主義という話し合いの中に、みんなのより多くの人たちの意見を代弁をしていくのだ、代表をしていくのだということじゃないかと思うのです。  これは国会の中においてもいろいろ乱闘とか対決というものはありますけれども社会党はじめ野党の皆さんだって、話し合いを尊重するということは大いに理解をしておるところじゃないかと思うのです。ところが、その基本的な民主主義を守るという一つの訓練、民主的な日本人の目を開くという訓練が非常におくれておるというか、やはり置き去りにされておる。だから、私は政治の中においてもとんとんこれを――いまはもうテレビやラジオの影響力を無視して社会は成り立たないわけですよ。成り立たないとするならば、やはりこれを積極的に活用して有効に生かしていかなければならない。若い人たちが少しでも批判力を持って、あるいは政府与党が十年後にはなくなっておるかもしれない。なくなっておっても、私はそれは民主主義というもの自体の危機から比べればたいした問題ではないと思うのです。むしろ、この民主主義自体が国民の中から離反して、全く政治を傍観しておる人種、あるいは社会に対しても傍観しておる人たちがふえていくということは、幾ら経済的には、ハーマン・カーンが言うように、二十一世紀は日本の世紀であるというような日本がかりにできても、非常に空虚な、信頼感のない、むなしい生活を各個人が送らざるを得ないと思う。やはりこの影響力の強い放送のやにおいて民主主義というものをいかに育てるか、いかに大切にしていかなければいけないかという面の啓蒙、啓発というものが少ないのではないか。そういう意味で、もっと真剣に――真剣にというか、むしろ危機感さえ持つぐらいのつもりで積極的に取り組んでもらいたいと思いますし、そうした一つの例が、たとえば政治の中から政治の中においても、この問答を開放して、むしろ完全主義的なものではなくて、できるところからでもやっていく――私はそれに対して批判をする人は与野党を通じていないと思うのですよ。むしろできるところからだけでもどんどん実行に移していくというぐらいの認識と責任感と、やはり力もあるわけですから、自信を持って私は推し進めていっていただきたいぐらいに思うのです。その辺のところはどうですか。
  115. 前田義徳

    ○前田参考人 私としては、根本的には全く同感でございます。国会の中継という問題は、たとえば施政方針に対する代表質問であるとか、あるいは予算委員会質問というものは、これは政治全体に関連する質疑応答が行なわれて、その中で各分野を通じて、各問題点を通じての広範な、国民の聞きたいところあるいは政府説明というものがありますので、そういう意味でこれはやるべきものであるという考え方を私はとっております。ただ、それに対して、カメラに向かって質問するとか、カメラに向かって答えるというような風潮が一部には――まことに失礼な申し分で申しわけございませんが、そういう風潮もときには出てくるおそれがある、そういう点について一番悩むのは私どもでございます。しかし、そういう具体的な、あり得る例を想像しての問題でなく、お説のように、私は、若い人たちが政治に興味を持たなくなるという問題についてはかなり重大な関心を持っております。全国的に見ますと、大都会の中の若い人たち、その人たちに特にその傾向が強い。これは戦後急速に発展した日本の社会機構と申しますか経済機構、その中から出てきた生活そのものと直結した一つの現象であるということもいえるかと思いますが、ただ、日本人の場合は、世界のあらゆる国民に比べて一番知識の平均レベルの高い国民であります。その国民が、ことに大都会において、東京はもちろんでありますが、政治に無関心の若年層をつくりつつあるという問題は、私としてはこれは重大な問題であると考えておるわけであります。  そういう点で、どこに具体的な原因があるかということを私は常々考えているのでありますが、この平均知識レベルが非常に高いということ、とりわけ、これは戦後のみではありませんが、戦前戦後を通じて、いわゆるもの知りと申しますか、インテレクチュアルという部類に入る方々の日本人的性格は、批判にはきわめて積極的ではあっても、その批判の裏づけとなる行動には無関心であるという点にあるのではないかと私は考えるのであります。     〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味では大学の問題も同じくこの範疇に入っているのではないか。たとえば、大学が一つの設備になり、そして、その設備を利用して何年かたつと、社会的な職業にありつくパスポートをもらうというようないまの段階では、背景には、いま申し上げたように、いわゆるもの知りのグループの一つの精神的弱点があり、したがって、こういうことでは、私は日本全体の将来にかなりの危惧を感じている者の一人であります。したがいまして、やはり大学というのは、言い方が悪いですが、学問を通じてそれに接触したいという大衆個人の希望を強めるものがまず潜在しなければいけない。したがって、大都会の青年層あるいはインテレクチュアルが現実政治に無関心であるということの問題については、やはり関心を持たせる題目、関心を持たせる問題が現実にその人たちの生活の中で起きてこなければいけないというような感じ方を実は私は持っているわけです。  そういう意味では、放送法の原則的な公平性ということだけでなしに、先ほどの御質問にお答え申し上げましたように、新しい日本の民主社会、あるいは、より積極的な日本人をつくるためにはわれわれの任務はきわめて重大である、これにはあらゆる知恵をしぼり、あるゆる方々の御意見を伺いながら、非常な忍耐と長い時間をかけて、それに適した番組をやっていくべきであるという考え方を持っております。
  116. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 前田会長一つの前田理念といいますか、前田哲学といいますか、そうした会長の姿勢、私も非常に共感を覚えるわけであります。どうか、その会長自身の気概と意思というものが全NHKに十二分に浸透し、啓発されますように私は切にお願いしたいと思うわけであります。  時間もたいへんなくなってまいりましたので、まとめ的にはしょりたいと思うのでありますけれども、そうした一つの民主主義をいかなる形で確立していくか、そのための悩み、また一つのジレンマ、そういう壁を常にそれぞれあらゆる立場において真剣に考えてやっていかなければならない、われわれ自身もそう痛感をしておるわけでございます。  そこで、一つのいろいろな番組や何かにおいても、NHKから流れた放送を見ておりまして、スラッタリー・ピープルズというのですが、スラッタリー物語という何かアメリカの下院議員の活動をシリーズふうにやっていた。私がまだ選挙に出る前でありますけれども、非常にその番組に影響を受けたというか、やはり自分たちの使命というものをさらに認識させられたわけであります。私ばかりでなく、全国津々浦々にいるより多くの青年が、そうした一つの番組によって、大いに自分たちの社会的な位置であるとかあるいは役割りであるとか目的であるとかいうものに対して薫陶を受けたのではないかというふうに思うわけであります。そうしたいい番組は、必ず他の堕落的な、あるいは腐敗的な――具体的な例がどうということは言いませんけれども、番組を駆逐すると思いますので、大いに自信を持っていただいて、そしてこれからの番組編成あるいは運営にあたってもひとつ御奮闘をいただきたい、かように思うわけであります。  それと、話はちょっと変わりますけれども郵政省にちょっとお伺いしておきたい点が一、二点あるわけであります。  いまUHFのことでやっておりますけれども、関東近県におきましてはまだ免許が一つもおりていないわけです。他県に比べて、かえって文化的にもあるいは政治的にも非常に中心に近いための立ちおくれというものが見られるわけでありますけれども、その辺、どういう形であるか、実情ですが、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  117. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 関東地方は、先ほど政務次官からお答え申し上げましたとおり、広域圏と申しまして、東京の波が各県をおおう、こういうかっこうで電波を出しておるところが、関東地方と、それから近畿地方と、名古屋を中心としました中部の三県でございまして、そうして、いま各県におきまして民間放送をどうするかというのが多年の懸案でございます。それが一昨年のチャンネルプランの変更によりまして、先ほど政務次官からお答えいたしましたとおり、神戸、京都、それから岐阜と津に置いたわけでございまして、各県に今後置こうという方針で、こういった広域圏内の各県におけるテレビに対する要望だとか、あるいは、そこに置いた場合に経営が成り立つかどうかといったような点を前向きの姿勢で検討をしてまいりまして、逐次置いてまいる、こういう方針でございます。
  118. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 時期的な調整とか免許の許可というようなものは、具体的な点についてはまだなかなかむずかしい点が多いわけでございますか。
  119. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 ただいま申し上げましたように免許はチャンネルプランをつくって――どういう電力で、どこに何チャンネルを置くかということをきめた表がチャンネルプランでございますが、こういったチャンネルプランをきめまして、その上で申請書の審査にかかる、こういう順序でございます。
  120. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 それで、いま一つ別な点ですけれども、お伺いしたいのは、いわゆる航空基地だとか何かの一つの基地問題が非常に問題にもなっているわけですけれども、特に放送のほうの関係から逓信委員会考える場合には、やはり基地周辺の電波障害であるとか、そういったものに対する減免措置がいまやられておるわけでありますけれども、その実情と沿わないという点の要望や何か、ずいぶんわれわれのところにも来寄わけです。たとえば現在、二キロかける一キロの範囲内であるけれども、実際は周辺地区と同じような障害があるのだ、そういうものに対するいわゆる減免措置は考えておるのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
  121. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 ただいまお話がありましたとおり、たしか十六の基地だったと思いますが、基地の周囲一キロ、二キロ、滑走路に沿うた幅のほうは一キロ、縦のほうが二キロずつ、こういう矩形の中の世帯に対しては受信料を半減するという方針でまいっておりますが、この一キロ、二キロということをきめるにつきましては、関係者が相寄りましてそれぞれいろいろな調査をした上で実は一キロ、二キロときめたわけでございまして、それに対して、さらにこれを拡張したいという要望があることは聞いておりますが、そういうことで、相当科学的に私ども関係者が寄りまして調査した結果でございますので、さらに調査した上でありませんと結論は出ない、こういうふうに思います。
  122. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 事実は小説よりも奇なりで、科学において現実の実情に必ずしも合理的に割り切れる問題ではないと思うのであります。やはり数字的に割り出せる面だけでこうした問題をごらんいただかないで、実際は滑走路の延長上に位置して、ジェット機の離陸であるとか、あるいは基地周辺と全く同じ被害というものが実際出ておるわけですから、やはりこうした点で半額にせよとかなんとかというふうなこそく的な料金値下げの運動ではなく、やはり住民の意思というものを十二分に尊重して、一刻も早くその範囲を拡大するという形に持っていけないものかどうか、そういった具体的な検討の結論がいつごろ――考えておられるのかどうか、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
  123. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 この問題は、放送法にきめられておりますように、免除基準というのは、NHKできめまして、その上で郵政大臣が認可する、こういう方式をとっておりますので、私が先ほど申し上げたものは抽象的に、再調査しなければ結論が出ないだろうということをNHKにかわって申し上げたような次第です。
  124. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 それでは、NHKのほうからその話を伺いたいと思います。
  125. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいま電監局長がお答えいたしましたように、御承知のように、飛行場の周辺二キロ、一キロで半額免除の基準をとっております。これは三十七年に、それまでの国会等の御意見によりまして、先ほど申し上げたように、防衛庁、郵政省当局、地元地方自治団体の当局、NHK等が慎重に現地調査をいたしまして、まず適正なる基準として二キロ、一キロを設定いたしたわけでございます。  今日までの経過の中で、いま御質問がございましたように、二キロ、一キロでは狭いんだというような御異論がなくもないということは事実でございます。私どももしばしばそういう御意見なり陳情を受けたことがございます。  ただ、率直に申しまして、これはどこで切っても際限がないということも事実でございます。一番大きな理由は騒音、音なんでございます。いろいろ考えまして、この周辺におきまして、たとえば、昨年度は画面のくずれるフラッターを防止する特別なアンテナを考案して、これの周辺に取りつけを奨励する、あるいはイヤホーンといいますか、先ほど申しましたように、音がうるさいというのでイヤホーンの配付、特にそれに向くようなイヤホーンを考案するというようなこと、あるいは、受信機自身に自動音声装置といいますか、爆音が高くなれば受信機の音声も高まる爆音が消えれば音声が低下するというような自動音量装置というようなものを考案いたしまして、そういう受信機の普及等につとめておるわけであります。そういう努力をいたして、一部障害が発生しております受信者の御理解と御支持を得てまいりたいということでありまして、今日ではこの免除基準を変更いたしまして、二キロ、一キロを拡大するというようなところまでには立ち至ってないという判断で、一応この問題をながめておるということでございます。
  126. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 とにかく国民のNHKですからね。実際困っておるところもあるわけですから、いまそういうものを検討しておる区域は非常に少ないということはわかりましたけれども、それではひとつ、前向きにこうした問題に対しましても取り組んでいただきたい、再検討もいただきたいということを約束してもらいたいと思うのです。そういう意向で進んでいただきたいということです。  まだ質問したい点はあるのですけれども、そろそろ時間がまいりましたので、いま二点だけお伺いしたいのです。  受信者への利益還元というものに対して、附帯決議で出ておりましたけれども、それは具体的にどういう形で行なわれておるか、その点だけ。
  127. 志賀正信

    ○志賀参考人 私から御返答いたします。  昨年度の受信料改定の際にさような御意見がございまして、実行上も、いろいろ番組の面に受信料の分を振り当てまして、また、値下げにかわりまして置局等の促進に充てるというようなことを積極的に実施をいたしております。
  128. 山口敏夫

    ○山口(敏)委員 いろいろ放送の持つ公共性、またその影響というものの点から、民主主義社会を健全に育成するという上においても非常に大きな役割りを背負っていただきたいということをきょうの中心的な質問の材料にしたわけでありますけれども、最後に、いろいろ具体的なプログラムとして、ことしは安保前夜である、いよいよ来年は七〇年安保が非常に国民諸階層の政治的な関心を呼んで起こるであろうということが予想されておるわけであります。われわれ自身は、外部のそうした客観的な情勢判断とは別に、意外にスムーズに七〇年の問題は解決できるのではないか、国民的に合意しておるわれわれの立場においてできるのではないかと、私は個人的に解釈をしておるわけでありますけれども、この七〇年に対して、いわゆる民放をはじめ、特にNHKの中立あるいは公共性という面から偏向しないということははっきりわかっているわけでありますけれども、ただひとつ、放送する一つの基準の中において特に一点申しておきたい点は、たとえば、この間安田講堂における東大紛争の実況中継のような形、あれがニュースはニュースとして、真実は真実として放送する、しかし、その趣旨は、あくまで偏向しないで非常にいいわけでありますけれども、結果的には、あれの画面がどういう影響を与えたかというと、全部が全部ではもちろんありませんけれども、若い人たちの間に、覆面をして、安田講堂の黒々とそびえ立つ城に閉じこもって、放水を浴びようが催涙ガス弾を打ち込まれようが抵抗をしておる、昭和元禄の中におけるまさに英雄のごとき、かっこいいなというような意識を持って見ている人たちもいるわけですよ。そうすると、あの安田講堂の中における全学連の態度というか、機動隊の導入というものが、はたして実況中継を何時間も何時間もかけてやるほどのニュースであったかどうか。あるいは、あったとしても、それが、そのニュースをニュースとして提供するということが、国民の側に回ったときにおいては別な反応もまた生み出しておるわけです。そういうように、非常に複雑な面、むずかしい面がたくさんあるのは必然でありますけれども、しかし、その中において、それは偏向しないということを一つ言っても、一つ一つの例が出てくると、そういうふうに非常にむずかしい面もまたあるという点から、非常に基本的な判断力というものが、やはり放送当局においても七〇年においては特に慎重かつ必要にならざるを得ないのじゃないかというふうに思うわけです。て、もう時間がありませんから御答弁はけっこうでありますけれども、ひとつぜひ考慮して、慎重な判断力と総合的な観点から、ニュースの中立性というのですか、そういうものを持ってやっていただきたいというふうに思います。  それじゃ、私の質問はこれで終わります。
  129. 井原岸高

  130. 中井徳次郎

    中井委員 NHKの予算に関連をいたしまして、まだ十分研究もいたしておりませんので、他日、あらためて総括的にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、きょうは大臣も見えませんししますので、二点だけ、ごく技術的なことでありますが、お尋ねをいたしておきたいと思います。  その第一点でございますが、この間から収支予算を見せていただきましたが、昨年からことしにかけて何か規約か何か改められまして、全体の総合的な収支を事業収入と資本収入というふうに二つに分けておられますが、これでは全体のことがちょっとわからぬし、一体どういうことでこういうふうにお分けになったのか。わかりやすいようにということではありましょうが、全体の把握ができない、こう思うのですが、いかがですか。
  131. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 ただいまお話しのとおり、NHKの収支予算の仕組みにつきましては、第五十八国会におきまして、電電公社だとか国有鉄道などのように損益勘定と資本勘定を分けて、もう少しわかりやすくするように、こういう御意見がございまして、郵政省、NHKといろいろ検討をいたした結果、関係省令、放送法施行規則でございますが、これを改正いたしまして、四十四年度の収支予算から、従来はおっしゃるとおり総合収支でございましたのを、事業収支と資本収支の二つに分けてあらわすという二勘定方式に改めたわけでございます。  それで、この改正によりまして、従来不明確でありまして、事業収支の剰余金を資本収支へ繰り入れるという金額が表へ出ておりませんでしたのを表へあらわしたということが、従来の総合収支方式と今度の二勘定方式の違いの主な点でございまして、この両者、事業収入とそれから資本収入を加えたものから「事業収支から受入れ」という金額を引き、事業支出の中から「資本収支へ繰り入れ」という金額を引き算いたしますと従来の金額になるわけでございます。
  132. 中井徳次郎

    中井委員 研究なすって改められて、いわゆる一般の会社のように利益金というか剰余金というか、それを表に出したということは一つの進歩でありましょうけれども、総体的な判断ができない。団体として、一体財産が幾らあって、利益がどうであって、ことしの収入がどうだということは明らかでない。私はいつもここで主張するわけですが、貸借対照表だとか損益計算書とか財産目録とかいう一般の会社並みのことをどうしてやらないか。あれをやりますと、もう実に一目りょう然であって、NHKは当分値上げせぬでもいいとか、これはだいぶ赤字やなということがすぐわかる。こういう形で出されると、一般人にはわからない。この間も某新聞にこれの批判が出ておりましたが、総括がありませんから、業務収支だけをやって、そうして資本収支が出ておらぬというので、あとで問題になった。  それから、あなたのところから参考にもらいましたのを見ると、事業収支、資本収支合計と、こうあつて、大体NHKは八百三十七億五千万円の経理をやっておるのか、あるいは一千五十二億五千万円の経理をやっておるのか。そこでちょっと見ますと、この減価償却引当金なんというのは、一つには支出になり一つには収入になるわけだ。あなたの説明、間違うておる。そういうものがたくさんある。百二十七億、これは合うのがあたりまえだ。これを総合的に判断する形のものがあれば非常に明らかなんですが、なぜそれをおやりにならぬのか、これをちょっと伺います。
  133. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 お話しのございましたように、予算規模としては千五十二億円でございます。それが事業収支とそれから資本収支に分かれるわけでございまして、トータルは両者を総合的に足さなければいかぬわけでございますが、分析的に見ると、やはりほかの事業のように、事業収支と資本収支を分けたほうがわかりやすい、こういうことでやったわけでございます。  なお、お話しのございました貸借対照表だとかその他決算の三表でございますが、これと予算との関係の点につきましては、確かにお話しのような点があろうかと存じますが、いままでのところ、決算と予算とはそれぞれ別々に御審議をお願いしておるわけでございます。
  134. 中井徳次郎

    中井委員 そんなしろうとみたいなことを言われて……。これは決算に合わす予算であるべきだ。ことしの暮れにはどうなるか、それと決算と比較しなくちゃ……。予算案は別で決算はこっちだというふうな、そんなことでは問題にならぬ。ずいぶん前から言っておる。  それから、あなた方は事業収入と資本収入と分けたからと言うけれども、この資本収入の中に、ちょっといま見てやたら「固定資産売却収入」というのがあるんだ。これはわずか八千万円ですが、これなんかは、やはり入れるなら事業収入に入れたらどうなんですか。  それから、あなたは総計は一千五十二億と言うが、「減価償却引当金」が重複しておるでしょう。それも、「事業収支から受入れ」が重複しておるでしょう。そんなものは総計一千五十二億にも何にもなりはしない。せいぜい九百億――あなたはしろうとだが、志賀君どうですか。郵政省はもうだめだ。
  135. 志賀正信

    ○志賀参考人 先生からいろいろ御意見がございまして、昨年度これを改正いたすときにも郵政省からもいろいろ御相談がございましたが、全般的に予算の編成のしかたがもっと見やすくということで、まず建設費を中心にいたしましたものを資本勘定にいたしまして、これの資金の調達及び過去の資金の調達を要しましたものの返済、これを一括やるものが資本収支でございまして、受信料を中心にしまして、これをどう使うかということをあらわしましたものが事業収支でございます。この二つに大別したほうが――いわゆる公社等の三勘定方式と同じような形にしたほうがいいというような御意見もございまして、私どももそのつもりでいろいろいたしたわけでございますが、確かに、先生のただいまの御意見のように、全体としての把握は、従来の形でもやや不完全でございましたが、この二勘定方式でも、やはり全体といたしましては、一応これを足してみて、ただいまお話がございましたように一千五十二億円になりますが、その中から両勘定にまたがって二度に計上されておりますものは両勘定の出入りがございますので、減価償却の百二十七億円、それから九億五千万円の受信料からの繰り入れ、これは確かに重複をいたしております。
  136. 中井徳次郎

    中井委員 それから、利益金に相当する剰余金を計上するようになったことは一歩前進であるが、さらに今後それを進めて、いま私が言ったような形のものを出さないことには、これはNHKの予算は国会だけですからね。これは最初で最終のものですから、今後うんとこの点は研究してもらいたい。四、五年前にこの質問をしたら、上野博士がつくったものですからだいじょうぶだというようなことで、私も時間がなかったから、まあまあと思っておったら、またこんなものを出した。これはぜひ今後も研究を続けて、りっぱなものをつくってもらいたい。その辺の意見はどうですか。政務次官の意見もちょっと聞いておきたい。しろうとが見てわかりません。
  137. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 先ほど政府委員なりNHKのほうから答弁いたしたとおりでございます。現状はいまお話し申し上げたとおりでございます。  ただ、御指摘のように、総体を見るという立場から、非常に見にくいという点もあろうかと思います。しかし、これは一応昨年の五月に放送法の施行規則を改正いたしまして、一歩前進という段階に入ったわけでございますので、今後さらに御意見を十分尊重いたしまして、もっと見やすいものにできるように努力したいと思います。
  138. 中井徳次郎

    中井委員 規則を変えて、そうしてきちっとしたものにしてください。これは単にNHKだけじゃなくて、日本政府関係予算の三公社五現業だってさっぱりわからぬと思っておるのです。その一つの何としてお尋ねするのです。ですから、国鉄の値上げといい、電電公社の値上げといい、ほんとうにそういうものをつくったら、値上げなんか当分言い出せないというふうな経営のように私は思いますので、NHKはひとつ先べんをとって、これは一つ団体なんですから、りっぱなものをつくってもらいたい。私は強く希望をいたしておきます。  それから、そういう形でちょっと見ておりましたら、これは小さなことですが、資本収入の中でいまだに放送債券十億円というのがあるのです。こんなものはもう必要ないじゃないですか。そんなに余裕のないところでもないから、放送債券は必要なときはまた計上すればよろしいので、毎年やっているからことしも十億円あげておこうかというようなことで、相手のあることでもあるし、銀行とのつき合いもあるからというふうな安易なことであっては、やはり宮澤君等にひやかされるというふうに私は思うのですが、ことしも放送債券十億円なんていうものは、どういうことでございますか。経理の点では、私、以上の点だけお尋ねしたいのですが、放送債券、どうですか。
  139. 志賀正信

    ○志賀参考人 お手元の御提出申し上げました予算には、外部資金といたしまして、受信料でまかなえない部分といたしまして四十二億一千万円の借り入れ並びに発行をいたすことになっております。その中で十億円をただいまお説のとおりに放送債券でまかなうことにいたしております。ただいまの金融界の現状から申しますと、借り入れ金のほうが、金利から申しましても、若干債券を下回っておりますので、このほうが有利でございます。ただ、この借り入れ金は、NHKの場合には銀行からの借り入れを予定しておりますので、やはり金融界の事情によりましては非常に窮屈になったりすることもございますので、その場合には、建設費の財源といたしましては、放送債券という法律で与えられております制度をやはり活用することも必要になってまいります。  また、放送債券は、御承知のとおりに、地方の金融機関ないしは国民の方々がお買いくださるということで、特にNHKの放送債券の場合には、民間の消化、個人個人の方の消化が三割以上というような非常に高率を占めておるわけでございます。この債券を十億円だけいま計上いたしましたのは、この放送債券というものにつきましては、ただいまのところは十億円でございますが、また金融界の情勢によりましてはもっと多額に発行する必要も起きてくるかと思います。また、そういう場合に備えまして、この債券のイメージというか、そういうものを続けていく必要もあるという配慮もありまして一応十億円だけ発行を予定いたしたものでございます。
  140. 中井徳次郎

    中井委員 放送債券、わかりましたが、そういたしますと、余裕があれば、長期の借り入れ金よりも放送債券のほうが有利であるから、できれば、この三十二億円の借り入れ金を放送債券のほうにできるだけ回したい、そういう気持ちですか。
  141. 志賀正信

    ○志賀参考人 これは御審議いただいております予算総則で、そのときの金融情勢に応じまして債券から借り入れ金に、また借り入れ金から債券に予算を振りかえて、弾力性を持たして運用するようにということがございますので、お説のような形で実行してまいりたいと思います。
  142. 中井徳次郎

    中井委員 あとのとまかいことはこの次に譲りまして、きょうはもう一つちょっとお尋ねいたしたいのです。  減価償却のこととも関連があるわけでありますが、UHFの普及、カラーテレビの普及というふうなことと関連を持つわけですが、どうですか、いま政府におかれては、カラーテレビの普及等について、民放あるいはNHK、そういうものとの関連において何か一つのグループでもつくって研究しておられるとか、推進をはかられておるとかいうようなことはあるのですか、ないのですか、ちょっと承っておきます。
  143. 石川忠夫

    ○石川(忠)政府委員 UHFにつきましては、VHF帯のテレビからUHF帯のテレビに移行する方針を具体化するにつきましていろいろ問題がございますので、まずNHKその他の送信する側、放送事業者の方々とこれから打ち合わせをして具体的な策を立てていきたい、こういうふうにやっておりますが、カラーテレビについては、現在までのところ特別に打ち合わせをしているというような点はございません。
  144. 中井徳次郎

    中井委員 これは、郵政大臣はときどき放言をいたしまして、前の小林君も、十年以内にどうやる、こうやる、こう言いましたが、それをやるためには、少なくとも郵政省と通産省と、NHKと民放と、それから製造業者、この四者の話し合いがもっと積極的になされねばならぬ、これは絶対必要だと私は思うのです。今日までそういうことをやらないでおいたということは、非常な怠慢じゃないか。今日、私はテレビを見ておりますと、しょっちゅうカラーと出てまいります。カラーと出てまいると画面が少し薄くなる。みんなカラーは買いたい。買いたいけれども、たいへん高い。きょう、ここに松下が十五万五千円のやつを出すといったが、これじゃ私はよう買わぬな。せいぜい十万円くらい以下でないことには、幾らNHKが金をかけてカラーの時間を長くしても、実際の国民に対する効果はない。ソニーが十一万八千円、十三インチ型、トリニトロンテレビ、けっこうですよ。こういうことについて、もっと政府が一これは通産省も関係ありましょう。通産省と君たち郵政省がほんとうに協議会でもつくって――有名な話では、外国へ出すのはいまだに六万円のカラーテレビ、そういうむちゃくちゃなことについて、幾ら自由主義だといったって放置すべきでない。NHKがせっかくじょうずな増収策でカラーの料金を上げたけれども、これをうんとふやすためにはこれをやらなければしょうがない。そういうことについて石川君に聞くと、何も手を打っていない。そういうことは怠慢じゃないか。私は、君たちが積極的に推進すれば、これはたちまち十万円くらいに下がるという自信を持っているんだ。いまでも現金で買えば二割引という。これは常識だ。これはできるんだ。私に言わせれば、与党の怠慢だ。社会党はそこまでできないから黙っているが、少なくともやっていただかなければならぬ。ぼくらはうんとやかましく言わなければならぬと思うのですが、どうですか、会長さん。あなたも該博な知識とすばらしい実行力をお持ちの会長だから、ひとつ、民放や何かを集めて、君が音頭をとって、郵政省、通産省に働きかけてこれはやらなければならない。それで値段をうんと下げていただけるというふうに思いますが、いかがですか。伺っておきます。
  145. 前田義徳

    ○前田参考人 御趣旨には全く賛成でありますが、私自身も、自然人でなくて、やはり機構の中に入っておりますので、その御趣旨を私一人で実現するという可能性は非常にないと思います。ただ、私としては、先ほど御指摘がありましたが、やはりカラー時間をふやすということによって、メーカーは、将来の利益を計算するならば大量生産に移るであろう。はなはだ失礼な表現でございますが、そういう形において、私どもの可能な範囲ではコストダウンしていくべきであるという考え方をとっておるわけでございます。おそらく日本だけではなくて、世界全体がカラー時代に向かっておりますので、私はそういう考え方だけでも、せめて近い将来にかなりのコストダウンが行なわれるのではないかということを強く期待いたしております。
  146. 中井徳次郎

    中井委員 それはカラーだけではなくて、オールウエーブ、UHFの問題もありますし、これは私、NHKの予算審議の過程の中で、むしろ国会あたりでひとつ附帯決議のような形で推進をしたいと思いますが、これは社会党考えですが、どうぞ自民党の皆さんも私は賛成してもらいたい。どっとやらないことには、せっかく何だかんだと言ったって、わけのわからぬことになっておるのが現実ではなかろうか。やはり一つのあらゆる面からの運動として盛り上げないことにはなかなか値段が下がらないということを考えるわけであります。  以上のことを申し上げて、きょうは二点だけですが、簡単に質問を終わります。
  147. 井原岸高

    井原委員長 次回は明六日開会することとし、本日はこれで散会いたします。     午後一時十四分散会