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1969-08-28 第61回国会 衆議院 地方行政委員会消防に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十四年二月十八日(火曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月十八日  本小委員委員会において、次の通り選任され  た。       青木 正久君    大石 八治君       塩川正十郎君    古屋  亨君       保岡 武久君    山口シヅエ君       太田 一夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君 二月十八日  古屋亨君が委員会において、小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十四年八月二十八日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席小委員    小委員長 古屋  亨君       大石 八治君    塩川正十郎君       亀山 孝一君    保岡 武久君       細谷 治嘉君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君  小委員外出席者         消防庁長官   松島 五郎君         消防庁次長   山本  弘君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         消防庁予防課長 高田  勇君         専  門  員 川合  武君     ————————————— 八月二十八日  小委員山口シヅエ君四月一日委員辞任につき、  その補欠として亀山孝一君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員小濱新次君四月八日委員辞任につき、そ  の補欠として小濱新次君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員青木正久君四月二十四日委員辞任につき、  その補欠として青木正久君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員塩川正十郎君及び保岡武久君五月二十七  日委員辞任につき、その補欠として塩川正十郎  君及び保岡武久君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員太田一夫君六月二十七日委員辞任につき、  その補欠として細谷治嘉君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員依田圭五君七月四日委員辞任につき、そ  の補欠として依田圭五君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員門司亮君同月五日委員辞任につき、その  補欠として門司亮君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防に関する件      ————◇—————
  2. 古屋亨

    古屋委員長 ただいまから地方行政委員会消防に関する小委員会を開会いたします。  まず小委員会の運営の方針でございますが、審議懇談方式で進め、速記については必要に応じてこれをつけることにいたしたいと存じます。  傍聴その他につきましては、小委員長におまかせを願いたいと存じます。  なお、小委員以外の委員出席をして発言申し出がございました場合には、そのつど小委員会におはかりをして、これを認めていきたいと存じます。  これより消防に関する件について調査を進めます。  消防庁長官より発言を求められておりますので、この際、これを許します。松島消防庁長官
  3. 松島五郎

    松島説明員 消防行政の当面の問題について、ただいまのところ考えております諸点について申し上げたいと思います。  第一番目は消防体制の問題でございますが、消防体制確立いたしてまいりますために、従来から常備消防と申しますか、消防本部署設置しなければならない市町村の指定を逐次広げてまいってきております。最近は市の段階まではそういった体制も進んでまいりましたが、常備体制を一そう強化してまいりますためには、町村段階にまで及ばなければならない状態となってきております。町村がそれぞれ消防本部署を持つということは、財政的な面から申しましても、また組織の能率的な面から申しましても、いろいろ問題のあるところでございます。やはり消防一つの力でございますので、ある程度人員が確保されなければ十分な力を発揮できないわけでございまして、そういう意味で、小さな町村が独立で消防本部署を設けましても、十分な力を発揮するだけの体制を整えるということがなかなか困難であるという問題がございます。そこで、これらの点について、組合実施をするとか、あるいは相互応援方式実施をするとか、委託方式をとるとかいうことで、いわゆる共同処理方式をとることによって、できるだけ充実した常備消防という考え方で進めてきておるわけでございますが、今後これをさらにどの程度の規模で進めていくかということが一つの問題にはなろうかと思います。  一方において、広域市町村圏というような問題がいろいろ論議の対象になっておりますけれども、こういったものとの関連をどう考えて今後の消防体制整備していくかということが一つ問題点ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  第二点は、消防団の問題でございます。  消防団は、かつては百八十万人くらいの消防団員がございましたけれども、現在では百二十五万人程度まで減少してきてまいっておりまして、毎年度減少を続けておるというのが現状でございます。この原因につきましても、私どももいろんな調査をいたしておりますけれども一つは、町村合併が行なわれたということによって減ってきたという面がございます。特に昭和二十七、八年ごろから三十二、三年ごろまでの消防団員減少が著しいのは、結局市町村合併の結果ではなかろうかというふうに考えられます。  第二の減少原因と考えられますのは、消防設備近代化が進んできて、ある程度機動力が発揮されるようになってきたということに伴うものであろうと考えられます。消防団装備を見てまいりますと、昭和二十四年には腕用ポンプが五万三千台でございましたものが、昭和四十二年度は二千六百台というふうに減ってきておりますが、逆に小型動力ポンプが、昭和二十七年の統計でございますけれども、三千四百台程度でありましたものが、現在では五万二千台になってきておる。ちょうど腕用ポンプ小型動力ポンプとが反対の形になってきておる。こういうことでざごいますし、また消防ポンプ自動車について見ますと、昭和二十五年には五千四百台程度でございましたものが、現在では一万二千台程度になってきておりますが、これに対しまして手引き動力ポンプは、昭和二十四年には一万三千台でございましたものが、現在七千台程度に減ってきておる。すなわち、消防ポンプ自動車は二倍以上にふえておりますし、手引き動力ポンプは半分以下に減ってきておる、こういうような形があらわれてきております。これによりましても、消防団設備も、かなり近代化と申しますか、機械化が進んでまいりまして、機動力が増強されてきた。そういったことから消防団員減少というものの原因一つあるのではないかというふうに考えられます。  第三の原因といたしましては、消防本部署整備が進んできたということでございます。消防本部署整備されるに従いまして、消防団の受け持ちます役割りというものも、それだけ相対的には減少してくるわけでございますので、そういったことから消防団が減ってきたのではなかろうかというふうに考えられます。もちろん、これは逆の方向でも考えられるわけでございまして、消防団減少したので、消防力の低下を防ぐために消防本部署の増設が行なわれてきておるという面もあろうかと思いますが、それぞれ原因となり結果となって、こういうふうになってきたのではないかというふうに考えられます。  それから第四の原因として考えられますことは、よくいわれますように、農山村におきます人口減少に伴うものであろうと思います。人口の絶対数が減ってまいりますような町村では、やはり消防団になる要員そのものが不足してまいりますので、そういったことから消防団員減少ということが起こっておるのではないかというふうに考えられます。  第五の原因といたしましては、消防団に若い人たちがなるということを希望しないという空気と申しますか、そういったものが反映しているのではなかろうかというふうに考えられます。  こういったいろいろの原因が考えられますけれども、これらの原因のそれぞれについて今後どう対処していくかということは、その原因によってやはり対処のしかたも違ってくると考えられるのでありまして、一番最初に申し上げました町村合併による減少というのは、いわば町村合併の行なわれたときに起こった減少でありまして、今日も同じ原因で続いているというわけではございませんので、それについては格別の対策というものは必要がないというふうにも考えられます。しかし、消防力強化と申しますか、機動力強化ということによって人員減少というものが起こってき、またそれが可能であるとするならば、今後の消防団減少に対応していく対策としても、やはり機械化機動力化をもっと高めていくということは、一つ方向として考えていかなければならないのではないかというふうにも思われるわけでございます。  問題は、やはり消防団に若い方々がなることを希望しないというような問題について、どう対処していくかということが大きな問題であろうと思います。これは主として精神面の問題でございますので、なかなか対策もむずかしい面があろうと思いますけれども、やはり若い人を引きつけていくような消防団、それのためには、単に精神的な、訓示的な面を強調したからといって問題が解決するわけでもございませんので、やはりそこには消防そのものが魅力のあるものになるというような方策を講じていかなければならないのではないか、そのためには、やはり消防というものの装備近代化というようなものもはかって、何かどろくさい消防という感じでないものにしていくということが必要なのではないかというふうに考えているわけでございます。  また、消防団は、報酬を目当てにして消防団員に入られるわけではございませんけれども、せっかく公のために働いていただく方々に対します処遇という問題も、やはり考慮をしていくべきものであり、従来も公務災害補償制度の拡充でありますとか、あるいは退職報償金制度確立でありますとかいうような形を通じまして、消防団員処遇につきましては努力が続けられてきておりますけれども、引き続きこの方面充実ということをはかっていく必要があろうというふうに考えております。  第三番目は、消防施設の問題でございますけれども消防施設につきましては、消防施設補助金あるいは地方債等を通じまして、あるいは交付税等を通じまして、充実がはかられてきておりまして、消防団状況につきましては、先ほども申し上げましたように、ある程度進んできておりますけれども、しかし、世の中が進んでまいったと申しますが、変わってまいったと申しますか、それに伴いまして、火災態様というのもかなり変わった姿になってきておりますので、これからの新しい火災と申しますか、それに対応し得るような体制をやはり整えていく必要がある。たとえて申しますと、いままで建物といえばせいぜい木造二階建て程度建物しかなかったような中小都市においても、最近におきましては五階、六階、十階というふうな建物ができてくる。そういうものができれば、やはりそれに対応するような、たとえばはしご車でありますとか、そういったものが必要になってくるわけでありまして、そういう面で、時勢の進展と申しますか、そういうものにおくれないような消防施設整備していくというための、消防施設近代化のための補助金増額強化ということが、引き続き努力されていかなければならないというふうに考えております。  それから、救急体制の問題でございますけれども救急業務市町村消防の事務として法制化されましてから、人口十万程度の市から人口五万、さらに四万、三万というふうに、逐次救急隊設置しなければならない市を拡充してまいったのでございます。現在は、本年度政令改正によりまして、人口三万以上の市には救急隊を置かなければならないことにいたしております。  ここで今後の救急体制の問題についてどう考えていくかという考え方をやはりひとつ確立していかなければならない問題があるのではないかというふうに考えております。と申しますのは、現在救急出動件数は四十三年中に大体六十万件でございます。現在救急業務を行なっておりますのは、主として先ほども申し上げましたように市部でございますので、市部人口約六千万といたしますと、一年間に百人につき一件の割合出動をしているということになるわけでございます。現在人口三万程度のところまで救急隊整備することにいたしましたので、三万と申しますと、百人に一人でございますと一年間に大体三百件、全国平均というわけにもいきませんで、交通事故の多いところ、少ないところ、いろいろあろうと思いますけれども、平均いたしますと、人口三万程度ならば一年間に三百件程度出動、すなわち、毎日一件程度出動があるということになるわけでございます。ところが、人口三万まで救急隊整備を義務づけてまいりました次の段階として、あるいは人口二万、あるいは人口をもっと下げたらどうかということになりますと、救急出動件数というものと救急隊の維持の効率という問題とをあわせ考えていかなければならない段階が来ているのではなかろうかというふうに考えられるのであります。三日に一ぺん出動するための救急隊を持つとか、あるいは二日に一ぺんの出動のための救急隊を持つということが、はたして効率的であるかどうかという問題がございます。もちろん、人の命に関することでございますから、効率の面だけから問題を考えるということには検討の余地はあろうと思いますけれども、それにしても、もっと効率よく運営することができればそれに越したことはないわけでありまして、そういった意味から、やはり今後町村段階まで救急隊整備をしていくということであれば、組合あるいは相互委託というような共同処理方式によって救急隊を維持していくということを考えていかなければならないのではなかろうかというふうに考えるのでございます。  この問題は、先ほど消防本部署の問題とも関連いたしまして、今後の市町村広域消防体制というものをいかに整備していくかという問題として検討していかなければならないというふうに考えております。  次は、消防における予防行政の問題でございます。消防の任務は、火災があった場合に、それを最小限度に消火につとめるということは当然のことではございますけれども、同時に、災害が起こる、あるいは火災が起こるのを防ぐということに、より大きな重点を今後置いていかなければならないのではないか。と申しますことは、従来と申しますか、過去の火災においては、火災というのは、主として財産の焼失ということが中心でありましたけれども、最近の火災態様を見ますと、火災が起これば必ず人命損傷が伴いがちであるということでございます。しかも、その人命損傷が場合によっては非常に大量に生ずるということでございます。そういうことから申しますと、どうしても出た火事を消すというよりも、出さないようにしていくということがまず考えられなければなりません。これは何も今日に始まった問題ではございませんけれども、特に最近はそういう感を深くするわけでございます。そういった意味から、予防行政というものをもっと充実していかなければならないという考え方が生まれてくるわけでございます。このために、消防法関係法令改正によりまして、多数の人が集まられるところ、あるいは危険なものを置いたり取り扱ったりするところについては、火災を防止するため、あるいは一たん火災が起こったときには一刻も早くその状況を確知するため、さらには人命損傷をできるだけ避けるための施設についての設置を義務づけてまいっております。一応そういった方面の規定はかなり整備されてきておると思いますけれども、特に旅館、ホテルあるいは百貨店、劇場というようなところにおける消防用設備設置は、法令改正によってかなりきつく義務づけられてまいりましたが、それをどういうふうに機能を保持し、管理をしていくかという問題がこれから大きな問題でございます。火災報知機をつけていたけれども、たまたまそのときに鳴らなかった。よく調べてみたら、誤報がときどきあったので、めんどうくさいといって、電源を切ってあったというような事例もないわけではございません。そういったことでは、せっかくつけた装置施設も何の役にも立たないわけでございます。また、火災報知設備をつけました場合に、改造をやった、あるいは増築をやったときに、その線が途中でもって工事のために切断されていた、それを知らないでいた、ほうっておいたというような事例もないわけではございません。こういったことを考えますと、火災の防止あるいは早期発見というために、いろいろな装置の義務づけをしておりますけれども、それがはたして適正に管理され、機能が保持されているかどうかということについては、必ずしも十全でない面があるわけでございます。これは関係者の絶えざる努力と申しますか、注意を喚起していかなければならない問題でございます。そういった点から、今後この問題をどういうふうにしていくかということが、やはり火災予防行政を進めていきます場合の一つの大きな問題点であるというふうに考えておりまして、私どもも何らかの方策を講ずるように努力検討を続けておるわけでございます。  もう一つは、やはり危険物行政の問題でございます。今日の生活はたいへん便利になりましたけれども、その便利は危険と隣合わせだというふうにいわれております。このことは、もう私が申し上げるまでもなく、自動車普及ということは、たいへん便利になりましたけれども、それはここ数日来の新聞でも非常に問題になっておりますように、交通事故というものと隣合わせ——ということばは適当でないかもしれませんが、非常に密接な関連がある。あるいは家庭燃料としてのプロパンガスというものはたいへん便利なものであります。したがいまして、その普及というものはたいへんな勢いで普及しましたけれども、これまた新聞等でしばしば伝えられますように、爆発事故というものが絶えないという問題がございます。そのほか、石油類というようなものが非常にたくさん取り扱われるようになってまいりました。そこで、危険物の取り扱いというものを、もう少し新しい技術の進歩と申しますか、そういった面も考えあわせて規制を強化していくと申しますか、そういう必要があるのではないかということで、これはただいま消防審議会等にも専門的な見地からいろいろ御検討をいただいておるところでございます。それらの答申等もいただきまして、今後の行政体制確立をやっていきたいと考えております。  これらと関連する問題でございますけれども危険物そのものではないにいたしましても、今日の都市の構造あるいは建物の全体を通じまして、一たび災害が起きるならば非常に大きな損害が生ずるであろうと思われます高層建築でありますとか、地下街というようなものについての対策も、これからやはりもっとこまかく検討をしていく必要があるのではないかと考えております。  順序も必ずしもそろいませんで申し上げましたけれども、当面の問題として私どもが考え、かつ検討をいたしております点について御報告を申し上げる次第でございます。
  4. 古屋亨

    古屋委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小濱新次君。
  5. 小濱新次

    ○小濱小委員 ただいま長官からいろいろと基本的な問題の説明がございました。いろいろと申し上げたいのでございますが、私は問題を救急体制にしぼって御質問をしたいと思います。  きょうの新聞を拝見いたしますと、いよいよ交通事故死者が一万人をこえるという悲しい記録の発表がございました。昨日も、この問題について私は警察庁に若干質問したのでありますが、「警察庁の集計によると、ことしになってから二十八日午前零時現在までの交通事故死者は九千九百八十四人。一万人の悲しい記録にきょう二十八日中に残念ながらなりそうだ。昨年より一か月以上も早く、このままでいけば年末には一万七千人台に達し、史上最悪といわれた昨年の死者一万四千二百五十六人の記録が大きく書き改められそうだ。」こういう書き出しでいろいろと書いてございます。この内容については一々申し上げませんけれども、とうとい生命が一万人も失われていく、この問題については、非常に大きな関心を寄せなければならない責任が私どもにも大いにあると思います。  ただいまも長官の御説明の中に、救急体制効率をよくすること、これはいろいろ問題がある、はたしてどうかといって、この問題について若干触れておりましたけれども、その中で、もちろん人命の問題であるから、こういうことで最後は結んでおられましたけれども、いま長官の話の中にも、予算がないからやむを得ないのだ、私どもはこういう印象を受けました。そういうことで、ただいまもこまかく救急体制説明がございました。そして内容を大体知ることができましたけれども、やはり責任ある体制として、強力に政府にこれの呼びかけをして、この体制充実を一日も早くはかっていかなければならない、こういうふうに私どもは考えるわけでございます。  そこで、特にことしの五月に東名高速道路全線開通したわけでありますが、全線開通する以前からたびたび大きな事故が発生しておった。この東名の事故概要については、非常に事故件数が少ないように、事故内容がまことにそれほどでもないような印象をわれわれは受けるわけでありますけれども東京都内での高速道路を通ってみても、最近では高速ではなくなっているわけですよ。しょっちゅうストップ、渋滞をして、通れない高速になっている。私どもも、高速に乗るときには、どちらを通ったほうが早いかな、こう迷うくらい、高速高速でなくなっているわけです。  こういうこともありますので、私は質問に入る前に、消防庁としてこの事故概要がわかっておったならば、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  6. 松島五郎

    松島説明員 高速道路におきます事故状況でございますが、私どもの調べておりますのは、救急事件として出場した件数を調べておりますので、それを御報告申し上げます。  東名高速道路の四十三年中、これは一部開通でございますので、全部の地点ではございませんが、四十三年中の救急出場件数が百十五件でございます。搬送人員が百二十六人、それから四十四年の一月から四十四年の五月、すなわち本年の一月から五月、これまでの救急出場件数が百八十一件、搬送人員が二百五十一人でございます。したがいまして、開通区間も、この期間になりましたらほとんど全線に及んでおりますので、区間も長くなっておりますけれども、月数が、四十三年の一年間に対して、四十四年は五カ月間で四十三年中の事故件数を上回っておる、こういうことでございます。  それから中央高速道路につきましては、昭和四十三年中の出場件数が三十二件、搬送人員は三十一人となっております。四十四年の一月から五月までの五カ月間の出場件数は九十二件、搬送人員が百四十四人となっております。  それから名神の高速道路につきましては、四十三年中、ここは全部開通をいたしておりましたから、全区間でございますが、四十三年中の出場件数が三百十二件、搬送人員が五百四十九人でございます。また、本年の一月から五月までの出場件数は百三十八件、搬送人員二百五十四人となっております。
  7. 小濱新次

    ○小濱小委員 自動車一台の人の割合は何人ぐらいになっていますか、わかりませんか。
  8. 松島五郎

    松島説明員 平均乗車人員意味でお問いになったのだと思いますけれども、ちょっと私ども承知いたしておりません。
  9. 小濱新次

    ○小濱小委員 新聞を見ると、二・七人、こう出ているのですね。ですから、事故の車に平均して三人弱の人が乗って事件を起こしている、こういうことになるかと思うのですが、いまの長官説明によりますと、そうはなっていないようであります。これはどこかに食い違いがあるのだろうと思いますけれども、二・七というのは、警察庁でもそのように言っておったようですが、全体の車の人の割合をいったのだろうと思うのですけれども、そこで、いまの交通事故のために、町の負担が非常に多くなっているわけですね。そこで、いろいろとうわさをされておりますけれども、この高速道路は国のものだ、高速道路救急体制は公団でやるべきではないのか、救急体制については国の援助は全然ないじゃないかということで、財源がないという、その長官説明の裏づけとしても、どうしてもこういう問題を取り上げなければならないだろう、こういうふうにも私どもは考えているわけですが、この点については長官はどういうふうにお考えになっておられますか。
  10. 松島五郎

    松島説明員 高速道路の上であろうと、あるいは一般の道路の上であろうと、あるいは道路以外で、たとえば急に病気になられた方の搬送の問題にいたしましても、およそ市町村の区域に起こった救急事故というものについては、その市町村が同じように救急活動をしていくのだ、こういう考え方で現在まで進んできているわけでございます。したがいまして、もちろん、高速道路があることによって、関係市町村においては、そこへ出場するための経費等もあるとは思いますけれども、そのためにだけ市町村救急隊整備するわけでもございませんので、特にその分の経費が幾らであるというようなことを取り出して財政措置をいたしているというわけではございません。もちろん、救急車の整備等につきましては、公団からの援助もございますし、また補助金の交付というようなことも考えておりますし、さらには特に、高速道路ができたために救急隊を新たに設置するというような場合には、特別交付税による財政措置というようなこともいたしてはおりますけれども、ただ、高速道路の上だけの仕事を市町村がやっているわけではございませんので、その分だけ取り出して、その分が幾らになるかというようなことで財政措置をいたしているわけではございません。
  11. 小濱新次

    ○小濱小委員 事故件数も非常に多くなってまいりましたし、きのうの警察庁の報告ですと、けが人も百万人以上という推定を発表しておりましたけれども、こういうことで救急業務強化ということをどうしても私どもは取り上げなければならないわけですよ。そういう点で、この路線ごとの一体化、たとえば東名の横浜の保土ケ谷の地では、事件が起きた場合には、十六号線を横浜市内から通って救急車は急行するわけです。その場合に、三十分では行けない。一時間あるいはまた一時間半かかって行くような場合もできております。十六号線は一日三万台から三万五千台くらい車が通っている。こういうことで、どうしてもこの路線ごとの一体化をやはりつくっていかなければならない。この問題については何かお考えを持っておられますか。
  12. 松島五郎

    松島説明員 いま御指摘になりました問題でございますが、結局、救急業務というのは、できるだけ短い時間内に問題を処理しなければならないわけでございまして、事故があったらゆっくりどこかの病院に搬送すればいいのだというわけにはまいりません。短ければ短いほどいいわけでございます。そういう意味から申しますと、やはりどこがやるのが適当かというような問題の一つの判断の材料といたしましては、事故地点に早く到達するということを中心にしてものを考えなければならぬという面があろうと思います。そういったことから、市町村救急隊高速道路という特殊な構造の道路に入るまでに相当な時間がかかる、そのために救急がおくれるというようなことがあってはならないわけでございまして、そういう意味からは、現場に近いところに救急隊がいれば、それによって処理をするということが一番いいというふうに私は考えるわけでございます。そういったことから、高速道路というような特殊な道路については、公団がやったらいいのではないかという議論が出てきておるのであるというふうに考えております。
  13. 小濱新次

    ○小濱小委員 通過していく車に事故が起こった場合に、自治体で力を入れて対策を講じろ、こう言っても、なかなかそうはいかないであろう、こういうふうにわれわれは内容的に考えております。  そこで、車の台数も少ないし、けが人が多かった場合には処置がない。そういう点で非常に時間がかかる。そこでまた、ようやく車に収容できて、そうして病院に向かっていくんですけれども、この間も、小田原の高速道路事件があった場合に、車で飛んだけれども、落ちついた病院は三つ目の病院であった。真中という病院に入れてもらいました。その病院に入って、ようやく治療を受けることができた、こういうことです。私は思うのですが、頭なら頭、胸なら胸、骨折なら骨折という専門の病院との連携で、無線の活用等をする必要があるのじゃないかと思うのですが、そういうことの方策については、長官はどういうふうにお考えになっておられますか。
  14. 松島五郎

    松島説明員 その現場に到着いたしますまでは、はたしてどういう程度の負傷なり傷害であるかということがなかなかわからないわけでございますので、現場に到着した時点において、これはどういう病院へ運ぶべきかということが直ちに病院側との間に連絡がとれるような体制が必要であることは御指摘のとおりでございます。そこで、消防庁といたしましては、救急指令装置というものについて補助金を交付し、その整備をはかってきております。この救急指令装置は、一つ消防本部署、たとえば東京なら東京の消防本部と東京都内の救急指定病院とをつなぎまして、常にどこの病院がどういう状態にあるか、すなわち、満床であるという場合は、そこへ行っても収容できないわけでございますので、現在ベッドがあいているかあいていないか、あるいはお医者さんがいるかいないかということが明らかになるようにいたしておりまして、そしてその状況を常に把握した上で、出先の救急隊からこういう病人がいまこの地点に発生したということの無電連絡を受ければ、直ちにどこの病院に搬送するようにという指令をし、同時に、その病院に対して、ただいまからこういう症状の病人がそちらに行くということを連絡する装置がございまして、そういうものを普及させるべく補助金を交付して、整備を進めてきている段階でございます。
  15. 小濱新次

    ○小濱小委員 先ほど説明の中でも、常備体制町村にまで及ぼす必要がある、しかしながら財源がない、こういう結論のような説明でございました。人員確保ができないので十分な力を発揮することもなかなか困難である、こういうことですけれども、いろいろ交通事故内容検討してみても、人の命の問題でございますので、公団も警察も自治省も、あるいは消防署は当然でありますが、こういう各責任官庁がどうしても生命の尊厳ということを取り上げて、そしてこの状況をもっともっと具体的に綿密に調査をして、これが対策を講ずる必要があると思うわけですが、どうも何か場当たり的な対策——車も年内にもう千五百万台といわれ、年間百五十万台がふえておる。これから十年先はどういうふうになっていくのであろうか。年々事故死者も記録を更新している。こういうことですから、もっと積極的に実のある結果を出していかなければならないと私ども考えているわけです。まあ新しく消防庁長官になられたわけでありますから、どうかそういう点の長官の将来の見通しといいますか、抱負について聞いておきたいと思います。
  16. 松島五郎

    松島説明員 御指摘のように、交通事故のふえてきていることはそのとおりでございます。のみならず、救急隊設置されますと、交通事故の患者だけでなくて、一般の急病になられた方の利用率もかなり高くなってきておりまして、そういう意味では、たいへん住民の方々に感謝されているわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたように、消防庁といたしましては、人口十万程度のところに設置をするというところから始まりまして、現在では人口三万の市にまで設置をするというふうに進めてきておるわけでございます。今後もさらにその充実をはかっていかなければならないと思いますけれども先ほども申し上げましたように、町村について充実をするというその充実のしかたを研究する必要があるのではないか、かように申し上げておるわけでございます。
  17. 小濱新次

    ○小濱小委員 この問題についての交付税なんかはどういうふうになっておるのですか。
  18. 松島五郎

    松島説明員 防災救急課長から詳しいことをお答えいたします。
  19. 中沖豊

    ○中沖説明員 高速道路におきます救急体制につきましての地方交付税措置でございますが、現在、特別交付税で措置いたしております。——失礼いたしました。一般の問題につきましては、現在地方交付税におきまして、消防費の標準都市でございます十万都市につきまして、約六百五十万程度の基準財政需要が見込まれております。
  20. 小濱新次

    ○小濱小委員 公団側でこの救急業務を行なうという話も聞いておりますが、この点についてはどういう経過になっていますか。
  21. 松島五郎

    松島説明員 ことしの五月でございますか、東名高速道路開通をいたしましたが、その前日に、静岡県の三ケ日町の市内にてマイクロバスが横転をいたしまして、それに観光バスであったと思いますが、衝突をして事故者を出すということがございました。それ以来、高速道路の上の交通事故について、高速道路高速道路として一元的な救急体制確立する必要があるのではないかということがいろいろ議論になりました。これは考え方はいろいろあり得ると思うのでございまして、先ほど高速道路上の事故状況について申し上げましたが、一部開通のところは別にいたしまして、全通いたしております名神高速道路の二年間の出動件数を見ましても三百十二件でございますから、一日一件にならない程度でございます。それに対してインターチェンジの数は十三ございますから、一日一件の事故に対してかりに十三のインターチェンジ所在の市町村救急隊の活動から見ますと、平均して十三日に一回ずつ回ってくるという程度でございます。そういうことでございますから、これは関係市町村高速道路上の救急をすることでも十分やっていけるのではないか。特に先ほど来問題になっておりますように、救急ということは短時間内に行なわなければならぬわけでございますから、かりに公団がやるといたしましても、たとえば名神高速道路のどこか一地点、たとえば京都市なら京都市救急隊がいてあちらこちらに出動するというのでは、これは時間がかかって救急の目的を達せられない。どうしても分散配置をとっていなければならないということからいえば、公団がそういう仕事をやるといたしましても、たとえば現在市町村がやっておるのと同じ程度に、十三のインターチェンジに救急隊を配置するとしますと、十三日に一回——十三日に一回ということは極端といたしましても、十日に一ぺんなりあるいは一週間に一ぺんなりの出動のために救急隊を十三隊置いている、しかも出動するのはそのうちの一隊であるということでありますと、効率的に見れば、かなり問題があるのではないかというようなことがいろいろ議論になったわけでございます。しかし、今後高速道路が、単に名神あるいは東名というようなところのみならず、東北、中国、九州と延びるに従って、関係市町村から出動するとしても、かなり時間を要するような事態になってくるのではないかというようなことも考えられるわけでございまして、そうなれば、やはり一刻も早く救急活動をするためには、公団が一元的に実施するということのほうがいいのではないかという議論もあったわけでございます。いろいろ議論されましたけれども、結論といたしましては、公団が救急業務を一元的に実施するという体制を整えていくということに現在のところはなっておるわけでございます。
  22. 小濱新次

    ○小濱小委員 高速道路が発達すればするほど救急体制確立するという必要が生じてくるわけですが、アメリカ等においてはハイウエーパトロールというものが独立して行なわれているという話を聞いておりますが、日本もこのようなものをつくっていかなければならない、こういうふうに考えられます。いつまで自治体消防の世話になっているばかりでなくして、新たな方法も考えていかなければならない、そういう段階に来た、こういうふうに思っておりますが、この点については、長官どういうふうにお感じになっていますか。
  23. 松島五郎

    松島説明員 いま申し上げましたように、高速道路の救急問題につきましては、一応閣議等でも、将来の問題として、高速道路公団が高速道路上の救急体制を整えていくということになっております。私どもは、やはり大きな工場等があります場合は、自衛消防というようなことで消防隊の設置を義務づけているような問題もございますし、自衛救急ということばが当たるかどうかわかりませんが、道路公団それ自体もそういう体制を整えていくということは考えてしかるべきではなかろうかというふうに考えております。
  24. 小濱新次

    ○小濱小委員 それから次に移ります。これはいろいろと御調査になっているかと思いますが、ひとつお伺いしておきたいのです。  去る七月十日に、旭川で駅の地下街の三十一店が全焼した、こういう報道を聞きました。地下デパートの火事で全店が全滅したというこの被害状況について、あるいはそれが対策について、ひとつ知っているところをお知らせいただきたいと思います。
  25. 松島五郎

    松島説明員 旭川の駅の下の地下街の火災の問題でございますけれども、これは通常の地下街といいますよりは、一つ建物の地下に間仕切りなしにそれぞれの店舗が同居をしていたという形のものでございます。それが火事が出たために全焼いたしたわけでございますけれども、いま申し上げましたように、間仕切りなしでございますから、言ってみれば一つの階が焼けた、こういうことでございます。なぜそれは一つの階が全部焼けてしまったのかと申しますと、夜になりましたので、とびらを全部閉鎖しておりました。その中で火事が起きたということで、消防車がかけつけまして、鉄扉を切ってホースを入れて消火につとめたというようなことで、消火活動に時間がかかった。そのうちに、間仕切りも何もない一つの階でございますので、全体が焼失をした、こういうことでございます。
  26. 小濱新次

    ○小濱小委員 発見は早くできたんだけれども、噴煙が非常に蔓延しておって入れなかった、いわゆる煙を完全に押えることができなかったというところに、やはり消防力の問題とか消火力の問題が出てくると思うのですが、こういう施設についてはどういうふうに設備の指導をなさっておられますか。
  27. 高田勇

    ○高田説明員 お答え申し上げます。  地下街につきましては、防災上の観点から申しますと、最近多くの、消火活動もしにくい、煙もこもりやすい、パニックも起こりやすい、こういう対象物があるわけでありますので、消防の見地からも重大な関心を持って対処してまいっておるわけでございます。  それで、この点につきましては、ひとり消防のほうの設備、これのみを十全に行ないましても十分でなく、やはり建築構造の問題にも関連いたしますので、建設省との間において常に協議しながら、その対策を両面から措置を講じていくということを行なってまいっております。  そして、まず建築構造の問題あるいは建築設備の問題でございますけれども、この点につきましては、地下街として建築基準法の施行令のほうで規定いたしておりますが、いままでの措置いたしております程度では不十分な点もございましたので、私どものほうとも協議いたしまして、今回四十四年の五月一日から施行になりました建築基準法の施行令の中におきましては、かなりの部分について改正が行なわれ、強化が行なわれております。それは、ある部分につきましては、建築構造の内装の制限の問題、あるいは建築構造自体の耐火性の問題、あるいはその傾斜路の問題、排水設備とか排煙設備あるいは照明設備、そういうような点につきましての手当てがなされております。それから一方、私ども消防設備自体の問題につきましても、これは消防法自体では地下街建築物を用途ごとにとらえておりますので、なかなか地下街という形態においてつかまえるということは現在においてはやっておりません。建築物の地階としてこれをとらえておりまして、その分といたしましては、早期発見、通報、早期避難というような点で、装置いたしますものといたしましては、消火設備とかあるいは警報設備あるいは避難設備とか誘導灯等につきまして、地階としてその設置基準を今回も強化いたしております。それは今回といたしましても、昭和四十四年四月一日からそうなりました消防法の施行令の改正につきましても強化をいたしております。  それから今後の問題といたしましては、いま申し上げましたように、これを地下街としてはっきりとらえていく必要があるものについては、これを十分検討していかなければいけないというふうに考えております。しかし、今回の改正で、建築基準法あるいは消防法の基準面でも、相当部分については強化がなされたと考えております。
  28. 小濱新次

    ○小濱小委員 長官にお尋ねしたいのですが、「猛煙、消火手間どる」こういう見出しで旭川の話が詳しく出ておるのですが、化学消防車、いろいろと研究も重ねられて、だいぶ機械化も進んだようでありますけれども、私の感じているところでは、噴煙排除、そういう設備が非常におくれておる、少ないように感ずるわけです。この間、消防大学に見学に行かしてもらったときに聞いてみたならば、じゃ腹か知りませんけれども、一本ありました。現在はこういうものの設備しかない、こういうことでしたが、建物も高層化してまいりましたし、いろいろとその戸締まりもきちっと間隔を置いてできているようでありますし、こういう点での噴煙排除のためのそういう装備を、もっと強力な体制を整えていかなければならないであろう、こういうように考えておりますが、この点はどうでしょう。
  29. 松島五郎

    松島説明員 煙の対策ということは、これからの火事の消火につとめるにあたって非常に大事でございまして、消防庁といたしましても、いろいろ検討いたしておるわけでございますが、いま御指摘のありました排煙車というようなものも、その一環として整備をはかってきておりますけれども、ただ、これはどうも小さな間仕切られた部屋の煙を吸い出すという程度には、相当の効果はあると思いますけれども、大きなスペースが焼けているときに、このようなものを持ち出しまして排煙をするということは、さほど効果がないようでございます。特に排煙ということは、一方において火勢を強めるということにもなりますので、そういった面との関連で、どうしても排煙車だけでは、煙対策として十分なものをかりに何台備えつけましても、なかなかうまくいかぬという点があるように考えられます。したがいまして、問題は、やはり煙を出さないような建物、構造のものにしていく、あるいは換気設備というような建物、構造上の設備そのものを強化していくということ、あるいはさらに一歩進めますならば、商店街などでは煙を出すような品物を置いていただかないということが、一番望ましいわけでございますけれども、これは今日の経済の実態から申しまして、非常に無理のあるところもあろうと思いますので、私どものほうとしましては、したがいまして、建物そのものの構造上、排煙が可能なようにしていくということをもう少し進めていく必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。
  30. 小濱新次

    ○小濱小委員 最後にもう一点伺っておきたいのでございますが、先ほど予防対策説明をされましたときに、危険物の除去、これの説明がございましたけれども、破壊物処理については話がなかったようですが、この点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  31. 高田勇

    ○高田説明員 破壊物という概念がどういう概念か、ちょっとはっきりいたしませんのですが……。
  32. 小濱新次

    ○小濱小委員 危険物を除去するでしょう。その場合に、周辺に及ぼす影響がまた拡大されるときにはどうしても時間がかかるから、その建物あるいは構造物の破壊をしていかなくてはならないという問題が当然起こってくる。危険物だけ除去できればけっこうだが、除去できないときは、拡大を防ぐためにはどうすればいいのですか。山林の場合当然あるでしょう。それから建物の場合もそういうことが当然起こってこなければならないわけですね。これは将来の計画として、どうしてもこれから進んでいく火災対策上からも、こういう問題が起こってくるであろうと思うわけです。何かこの点についてはお考えがございますか。
  33. 高田勇

    ○高田説明員 ただいま先生御指摘の点につきましては、これは消防活動上の問題かと思います。それで、その活動中におきます緊急措置として、いろいろなものを破壊して、それ以上のものに対する延焼を防止していこう、こういう問題かと存じます。  この点につきましては、消防法の中で二十九条におきまして、これは必要なものについては緊急措置として、発生した対象物あるいはその周囲のものに対して、土地を使用したり、あるいはそのものを処分したり、使用を制限することが可能になっている規定があるのでございます。これを十分に使えば、ある程度先生のおっしゃった御趣旨は全うできるのではないだろうか、かように考えております。
  34. 小濱新次

    ○小濱小委員 その二十九条に規定されているということでけっこうでありますけれども、それに対する設備、何か備えはございますか。
  35. 高田勇

    ○高田説明員 先生の御指摘の点につきましては、確かに必要なことだろうと存じます。したがって、そういうものにつきましては、人命救助——足がはさまって抜けないというようなことも間々あるわけでございます。したがって、そういうときに対処するものといたしまして、救助工作車というものも必要だということも考えられておりますので、この点については来年度予算の要求をいたすことにいたしております。それは人命救助あるいは破壊活動に必要な器具を搭載したものであります。
  36. 小濱新次

    ○小濱小委員 最後に長官に一言。  いろいろと一つ一つ検討してまいりますと、強力に早期実現をはかっていかなくてはならないような内容がたくさんあると思うのです。どうかひとつ、私どももこれから大いに研究しながら当委員会を進めていきたいと思いますが、長官におかれても、なお一そうの研究と努力をはかられますことを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  37. 古屋亨

  38. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に小委員長にお尋ねしたいのであります。  ことし二百上十二日間の記録破りの長期国会があったわけでありますけれども、その間に磐梯ホテルの火災とか、あるいは石川県の温泉、観光地の火災とか、あるいは山林火災とか、たいへん大きな火災があったのでございますが、委員会はむろんのことでありますが、小委員会でもこういう問題を取り上げて早急に対策を講ずべきであったと私は思うのでありますけれども、残念ながらそういう機会がなかったように思うのであります。しかも、担当外と申しましては、いかがかと思うのでありますけれども、主管委員会ではない災害特別委員会で、やむを得ずこの問題を取り上げた、という経過がございます。これはたいへん問題があると私は思うのでございます。端的に申し上げますと、委員会としては、主管事項についての責務を全うしていない、こういう批判を受けてもやむを得ないのではないかと思うのであります。この点について、ひとつ小委員長の御見解を承っておきたいと思います。
  39. 古屋亨

    古屋委員長 ただいま細谷委員のお申し出、まことにごもっともでございます。私どもも実はできるだけ消防委員会を開会したいと思っておりましたが、地方行政のそれぞれの問題のために、主として消防委員を中心とする一部の視察等は行なったのでございますが、この点、私もぜひ今後におきましてはこの小委員会をできるだけ活用したいと思っております。  お話しの温泉、観光地等における火災、森林火災の問題につきまして、他の委員会が現地調査をしたというような点につきましても、私も地方行政あるいは消防委員として、今後そういう場合にはすみやかに対処していきたいと思い、その点はまた地方行政委員長にも連絡いたしまして、今後お申し出の点につきましては、前向きに対処いたしますことを申し上げまして、お答えといたします。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 小委員長からたいへん前向きのおことばがあったので、私はそれで了承いたしますが、要は、いろいろな都合があったのでありましょうけれども、どうしても主管委員会として、特に小委員会まで設けて取り組もうとしておる委員会でありますから、これは私端的に申し上げますと、責任を追及するわけじゃありませんけれども、小委員長の責任であったのではないか、こう思うので、今後おことばのとおり、ひとつ実行をしていただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。  そこで、長官に、先ほど当面する消防の諸問題ということについて、六点ほどあげられたのでありますけれども、私は、長官があげられた六点については、問題点でありますから、そのまま了承しますけれども、残念ながら、長官の全体の問題提起の印象というのは、きわめて平面的で、少しことばが適切じゃありませんけれども、常識的、薄っぺらであったんではないかという感じがいたすのであります。いってみますならば、現代に即応する消防体制ということをおっしゃっておりますけれども、どうもそこまで掘り下げた体制への意欲というものが、残念ながら見受けられなかったのであります。  そこで、私が感じましたそういう点について、若干質問をし、問題を提起しておきたいと思います。順番を追うて、長官説明どおり御質問したいのでありますけれども一つは、市の消防常備体制、いわゆる常備消防というのは、五百六十幾つかの市は全部政令で指定されたのですね。
  41. 松島五郎

    松島説明員 十二残っているそうでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 市は十二残っておる。それはどういう点で残っておるのか、さらに常設消防を持った町村は幾つか、これをお尋ねします。
  43. 松島五郎

    松島説明員 防災救急課長からお答えをさしていただきます。
  44. 中沖豊

    ○中沖説明員 現在市で政令指定してございませんのは、長官からいまお答え申し上げましたように、十二ございます。したがいまして、五百五十二の市が政令で指定済みでございます。町村につきましては、二百三十六町村政令で指定してございますので、政令指定済みの市町村は全部で七百八十八というふうになっております。  それから、残りました十二の市につきまして、政令指定していない理由でございますが、この政令指定は、市町村の申請によって実施いたしております。十二の市につきましては、申請がございませんので、政令指定してございませんけれども、私どもといたしましては、県を通じまして、できるだけ申請するように指導してまいりたい、このよに考えております。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 大体においてあなた方のほうでも、いろんな雑誌なり、あるいは全国消防長会議の議事録等を見ましても、全国おおよそ現状では九百程度市町村を指定しなければ一応のミニマムは確保できない、こういわれております。これについて考えてみますと、百十ばかりちょっと足らぬ、ミニマムから比べて。この辺どうなんですか。
  46. 山本弘

    山本説明員 長官から御答弁申し上げたと思いますが、要するに、現在の火災態様から考えまして、機動力を持った消防本部署をつくるということが、火災の即決主義からいって効率的であることは申すまでもないわけでございますが、どういったところが火災の危険度が高いか、そういったところにはぜひ消防本部署設置したい、かように考えております。火災の危険度を考えます場合においては、まず市街地の状況でございます。したがいまして、私たちは、一応人口三万以上で、市街地人口を一万以上持っておる、こういうところにはぜひ消防本部署を持たしたい。同時に、かりにその条件がいずれか満たされなくても、たとえば観光地でございますとか、あるいはまた現在はその条件はなくても、将来の発展の可能性、そういったところから考えて、消防本部署をつくることによってそれに備えていくといったところには、消防本部署をつくるように慫慂をいたしておるわけでございます。しかしながら、現実の問題といたしましては、先ほど長官なり防災救急課長が御答弁申し上げましたように、申請主義をとっております。と申しますのは、本部署を設けますと、最低限度二十八人以上の署員が要ります。また本部自動車にいたしましても、数台直ちに整備しなくてはなりません。したがって、町村の財政状況が現在直ちに設置し得るかどうかということは、それぞれの事情もございます。そういった意味で、ただいま先生が御質問の中に申されました理想とする数よりは、若干下回っておるのでございますけれども、そういった観点をもちまして、今後本部署の設置につきましては指導をし、万全を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 人口三万以上で、都市化されたところの市民が一万以上というのは、これは昔からの基準です。ところがいま市になっていない町ですら五万をこえておるところがあるわけです。今度の国会で、三万以上のところで、都市化された人口七割をこえるところは市にしようじゃないかという自治法の一部改正も、この委員会検討されて、一応参議院に送られたわけですけれども、これは廃案になったわけです。三万に一万といいますと三三%、そうしますと、私が一番おそれておるのは、いなかのほうの、これからだんだん人口があまりふえもせぬ、減っていくようなところは、大体において都市化しておるのです。町並みはできておる。問題は、大きな団地等が移って、都市化されておらないようなところに町があり、そういうところにビルが建っていっておりますから、私は消防体制上問題があろうと思うのです。そういう観点からいきますと、今日指定申請がないからということでありますけれども消防団との関係で、この消防の常備化というものはぜひともやり遂げなければならぬ問題、しかもミニマムを早く達成しなければいかぬことだ、こう私は思うのです。そこで、今後の消防団との関係を含めてことしの指定以降これからどうすべきかという方向については、私は長官がおっしゃった方向でよろしいと思うのです。五万から四万、四万から三万にした。そしてこれからどうするかといいますと、これはやはり一部事務組合的な方向で、二万とか一万というものに対応していく、こういうことはいいと思うのですが、その際に、例の広域市町村圏問題というものを持ち出されました。自治省の案にあります広域市町村圏ということになりますと、圏の中に中心的なところに常設消防を置く。これは十万ですよ。そうしますと、大体二次圏、広域市町村圏であなた方のいう二次圏あたりに常備消防の派出所くらい置くのでしょう。そういう案になっておりますね。この辺の関係が一体どうなんですか。これは時間がありませんので、詳しく聞きたいけれども、資料も持ってきておらないので、どういうかっこうになっていくのですか、ごく簡単に教えていただいて、あとまた適当な機会に、この問題は消防組織法との関係がありますから、詳しくお尋ねしなければならぬ点だろうと思うのですけれども……。
  48. 松島五郎

    松島説明員 これは現地の事情に応じて弾力的に考えていくべきものであって、何か一つの型があって、その型に何でもかんでもはめなければならぬというものではないと思います。特に消防というものは、救急も同じでございますけれども火災発生地点にある程度近いところに常に待機しているという状態が必要なわけでございますから、消防本部署だけが何十人という大部隊を備えるようになればそれで消防強化されたということにはならないと思います。やはり必要なところに分署を、場合によっては出張所というようなものをつくって、できるだけ現地に近いところで消火活動ができるような体制を一応備えつつ、さらにそれに対して本部なり何なりから応援体制がしけるというような配置をとるべきでありまして、それには、その広域市町村圏であろうと組合消防であろうと、要するに、その現地の実情を考慮しながら適正配置をしていくということが必要だというふうに考えております。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 随時状況に応じての体制を整える、広域市町村圏というものに機械的に対応するような組織にしない。現に四十一カ所指定された広域市町村圏には、大きなところは二つの市を含んで三十五万を越しているのですよ。弘前圏なんというのは、二つの市を含んで人口三十五万五千、少ないところは八万くらいのところがありますね。そういうことになりますと、長官おっしゃるようにかなり弾力的な運営をしませんと、広域市町村圏という形になりますと、消防力というのはたいへんなことになるのじゃないかと憂慮しておりますが、この辺はたいへん問題がありますから、もうその点だけを問題指摘にとどめておきたいと思います。  団のこともありましたが、第三番目に申し述べられたのが消防施設の拡充のことであります。私が指摘したいのは、六つのうち、この消防施設の拡充というのはたいへん重要でありますけれども、近代的な消防体制をつくり上げなければいかぬ、こういうことで長官があげられたのは、高層化に対応できる体制だ。それから別のところでこれと関連して言われたのは、地下街等の問題である。この程度の指摘にとどまっておるわけですね。そこで、私は三つの点について続けて質問しますから、お答えいただきたいと思うのです。  三十三年ですか、つくられました消防施設の基準というのが、これまた夢のような話ですね。もうすでに十年以上たっておりますけれども、あれは十年間で達成率というのは、おそらく一番整備されておるといわれる東京都消防庁でも、施設の点では、七割か七割五分くらいでしょう。人員配置は四割五分くらいでしょう。そういう状態ですよ。せっかくつくった施設基準というのは意味がないわけでありまして、もっとつくられたらばこれに積極的に取り組んで、この計画は非常に大切でありますから、少なくとも九割くらいは十年間に実現する、あるいはしなければならぬ。そうしてさらに、あれは三十三年ごろでありますから、近代に対応できるような基準というものをつくり上げなければならぬのじゃないか、こう私は思うのですが、この点が一点。  第二点は、高層化なり、あるいはことばにありませんでしたけれども、新建材、こういう問題についての建築基準法なり通産省なりとの関係において、消防法あるいは政令あるいは省令等のたいへんなギャップが依然としてあると私は思うのです。新しく四月一日施行の政令が出ましたけれども、まだまだたいへんなギャップがあります。そのギャップから大事が起こっておるわけですから、こういう問題について、あまり長官言いませんでしたから、ひとつお考えを承っておきたい。  けさのテレビ、一〇二でいっておりましたよ。東京には六十何年を周期として大地震が起こるのですね。大正十二年以降もうその周期に来ておる。いつ来るかわからぬ、そういう状態で、けさの一〇二でやっておりました。大地震があったときには、自動車はとまりなさい、それでなければたいへんなことになるというような意味のことを私は聞きましたが、この大地震対策というものもいろいろと発表されておりますけれども、まだまだその計画なり現実の指導というのが特に不足しておるのじゃないかと私は思うのです。  この三つの点についてお答えをいただきたい。
  50. 松島五郎

    松島説明員 消防力の基準と現状でございますけれども、御指摘のとおり、消防力の基準に現状はかなり遠いものがあるのでございまして、現在全国平均しまして、消防力の基準から申しますと、約六割程度という状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ消防力の基準に近づけるように今後とも施設充実をはかっていかなければならぬ、これは十分考えておるところでございます。ただ、この消防力の基準ができましたのが、たしか三十六年であったと思います。けれども、その当時予定しておりました消防機器の機能、ポンプの性能にいたしましても、かなり技術の進歩とともに向上をいたしておりますので、そういった点を計算の中にかりに入れるとすれば、現在、申しましたよりも若干消防力の基準としては進んでおるという面もございます。しかし、全体としては御指摘のとおりまだ低い状態でございますので、いま申し上げましたように、これについて、私はもうあらゆる努力をしても消防施設充実をはかっていきたい、かように考えております。  それともう一つは、消防力の基準そのものが、御指摘のとおり昭和三十六年以来もう十年に近い年月を経過しておりますが、その間に都市の構造も変わってきております。また、いろいろな産業関係の施設も変わってきておりますし、危険物と称せられるものも非常にふえてきております。したがいまして、そういった見地から、消防力の基準というものも、新しい世の中の動きに対応して改定をしていくべきではないかというふうにも考えられまして、これはただいま検討を進めておる段階でございます。  それから、高層化とか地下街、そういった問題等に関連をいたしまして、建築関係の法規なりあるいは通産関係の法規なりと消防関係のギャップがあるのではないかという御指摘でございます。これはそういうことのないように、常に建設省、通産省とも打ち合わせをし、協議をしながら進めてきておるところでございまして、ことしの春に行なわれました建築基準法施行令の改正にいたしましても、また前国会に提出されました建築基準法の改正にいたしましても、建設省と数次にわたる協議の上で、できるだけ消防的、防災的見地が取り入れられるように努力をしてきているのでございますが、御指摘のとおり、それぞれの行政の進める観点が違うという面もございまして、必ずしも全面的にこれで十分だというふうには言えない面もあろうかと思います。この点につきましては、私どもとしてはさらに努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、大震災対策についてのお尋ねがございましたが、学説によれば、関東地方には、古い記録から調べてみて、六十九年周期説と申しますか、そういったことで、大体関東震災級の地震が来るのではないかというふうにいわれておりますので——もちろんこれは経験的な数字から出したものでございまして、必ずしも六十九年でぴたり来るというわけではなく、その前後には十年前後のやはりゆとりを持ってものを考えなければならないものでございますので、そういう意味では御指摘のとおり東京も必ずしも安全ではない時代に入っているとも言えるわけでございます。  そういったことから、昨年来消防審議会に対しまして、大震火災に対する対策について諮問をいたしていろいろ御検討をいただいてきておるのでございます。消防審議会におかれましては、現在被害想定部会というものを設定をいたしまして、まず対策を立てますためには、関東震災級の地震がかりに現在来たとしたならばどの程度の被害が現状において起こるであろうかという、その被害の想定をまずいたしまして、その被害を防ぐためには次には何をすべきかという点に取り組んでいかなければならぬということで、まず被害想定部会というものを設定いたしましていろいろ検討をお願いしている段階でございます。  被害想定部会の作業も非常にむずかしい作業でございまして、たとえば震度六なら六という地震が来た場合に、現在の東京あるいは東京周辺の建物状況からいってどの程度の家屋が倒壊をするか、その倒壊に基づいてどの程度火災が発生をするか、その火災の発生に対して現在の消防力をもってしてどの程度の延焼防止ができ、どの程度の延焼防止ができないかというようなものを、次次と出してまいりまして、そういう結果に基づいて、しからば消防力をどう強化していくか、あるいは避難対策をどうすべきか、それと避難場所としてはどういうところが考えられるかというような問題、あるいはそういう地震が来た場合における公共施設なり——公共施設の中には、単に役所の建物だけではございません、水道、通信、電気というようなものも含まれるわけでございますけれども、そういったものはどの程度の被害が起きるか、その被害が都市機能なりあるいは住民生活にどういう影響を及ぼすかということをいろいろ検討していかなければなかなか結論が出ませんので、ただいま被害想定部会においてそういった方面の御検討をお願いしている段階でございます。それらの結論を待って私どもとしては対策を強力に進めていきたいというふうに考えております。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 被害想定といっても、近ごろはLPガスのボンベ等あって、爆弾が各家庭にあるわけですから、これはなかなか想定もできないと思う。私は、大地震が起こったら逃げるにもたいへんじゃないかと思うけれども、三十六計逃げるにしかずだと思うんだ。ですから、被害というのは想像も及ばないような、被害が被害を生んでいく、火災火災を生んでいくという事態になるのじゃないか。たいへん重要な問題だと思うんですね。ひとつ十分に対策を講じていただきたいと思う。  先ほど質問がありましたが、救急体制について二、三点質問したいのであります。  東名高速道路等ができましてたいへんな事故が起きている。けさのテレビでも、先ほどお話がありましたように、やがて死者が一万人になるだろう、昨年よりも一カ月早い、ことしは一万六千人をこすだろうと。交通戦争ということばが、けさの新聞によりますと交通大戦ということばに変わっているのですね、大きな戦争。もう交通戦争ということばをこえて、交通大戦争と、こういう大戦争になっておるわけです。  そこで、お尋ねしたい点は、高速道路救急体制ということについて、自治省、消防庁と道路公団との間で話し合いが行なわれておるようでありますけれども^残念ながら、どういう決着がついたのか私はまだ存じません。先ほど調査室の人にも聞いたのでありますけれども、まだ結論が出ておらぬようだと、こう言っております。工場に自衛消防があるように、公団が、高速道路をつくったらば、ミニマムの救急体制は自衛体制としてつくる義務をやはり負わすべきではないか。しかし、それでは足らぬでありましょうから、それよりも大きい交通災害事故等の場合は、その周辺の自治体消防救急業務に応援をする、こういうことでなければならないのであって、公団がやるのか、自治体消防がやるのか、それも県がやるのか、こんなような問題でなくて、まず一番大切なことは——各市町村もむろん協力しなければなりませんし、県も協力しなければなりませんが、道路を管理しておる公団自体が、最小限の自衛消防的な救急業務に対する自衛体制を整うべきだ、これが話の前提であって、それなくしては話をする意味がない、こういうふうに言ってもよろしいのじゃないかと思うのですが、この辺の経過なりお考えを承っておきたいと思うのであります。  それから第二点は、救急業務について市町村がとても金がかかってやれぬといった場合には、県が市町村と協議の上、広域的な立場からやってもいい、こういうふうに法律がなっております。現在これはどういうことになっているのか。たとえば市町村と協議して県のほうでこういう救急体制をやっているところがあるのかないのか。その実績はどうなのか。これはあるいは中沖さんが知っているかと思うのですが、第二点であります。  第三点は、最近救急患者の治療は健保でやらぬ、こういうことを言い出しているわけですね。医師会側がとてもいまの健保ではやれぬ、こういうことである。これはたいへんなことであります。いわゆる救急病院の問題があるわけでありますけれど、健保でやってくれぬということになりますとこれはたいへんであります。中には救急病院の指定を受けて過剰の治療をやって問題になったところもあるようでありますけれども、事人命に関する問題でありますから、この辺の問題ばどうなったのか。  この三点を救急体制についてひとつ承っておきたいと思う。
  52. 松島五郎

    松島説明員 高速道路の救急の問題につきましては、先ほど小濱先生の御質問にもお答えをいたしましたように、東名高速道路が全通いたしまして間もなく、あるいは前の日でありますか、事故がありまして、以来いろいろと関係各省間において検討が続けられてまいりました。従来の消防庁考え方につきましてはもう御承知のとおりでございますけれども、ただ今後高速道路がいなかにも延びていこうというような事態を前提として、現在のままでいいかどうかということがいろいろ検討されたわけでございますが、結論といたしましては、高速自動車道における救急業務のあり方については、今後日本道路公団が高速自動車における道路交通管理業務に合わせて一元的に処理する方向検討するというようなことになっておりまして、道路公団が第一次的に自衛救急という御指摘がございましたが、そういった考え方を前提にして道路公団がやっていくという方向で現在検討が進められております。もちろん、御指摘のとおり、これによって市町村が直ちに高速道路のことは一切知らないというわけのものではないと思います。もちろん必要の場合には市町村救急業務をやる。応援と申しますか、そういう形をとっていかなければならないわけでありますけれども、ともかく一応高速道路公団が第一次的にやるという方向検討が進められているということでございます。  それから第二点の、県が救急業務実施するという規定でございますけれども、「救急業務を行なつていない市町村の区域に係る高速自動車国道又は一般国道のうち交通事故により必要とされる救急業務が特に必要な区間として政令で定める区間について、」県が実施することになっております。現在そういうことで指定をされておりますのは、宮城県の一部にございます蔵王町、大河原町、柴田町、岩沼町、国道四号線のうちこの町村区域にかかるもの約二十五キロについて実施をいたしておりますが、一応県が実施することにいたしておりますけれども、具体的な事務は関係町村に委託をして実施をするという形で、経費はもちろん県が負担しておりますけれども、そういう形で実施しております。  自動車事故の問題について、健保で取り扱うか取り扱わないかという問題でございますけれども、これはどうも、現在でも救急業務というものはどこまでかということについていろいろ議論があるところでございまして、医師の免許を持たない救急隊員がかってに治療類似の行為をしてはいかぬというような問題もございまして、現在のところ、原則として、救急隊の業務は救急搬送ということに限られております。それから先の医療問題については、これは消防庁としては直接携わっていないということでございますので、健保の問題についてどうかという問題は、厚生省の問題ではなかろうかというふうに考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 長官消防法第一条には、消防の任務というのは人命、財産を守るということでしょう。あなた方は、災害消防団出動するのは消防法第一条に基づいて行くのであって、あとは規定はあまりないですよ。一条を無視すれば、あなた、火さえ消していれば消防の任務は終わるわけですよ。しかし、第一条にぴしゃっと人命、財産を守るというから、災害のとき出動するのでしょう、人命を守るという意味において。それは厚生省のことですよ、健保でやるかやらぬかということは。だけれども、それは厚生省に聞かなければいけませんけれども、あまりそっけないですよ、あなたのことばは。まあ、それだけ言っておきましょう。  ところで、いまの宮城県は委託ということでありますけれども、そうしますと、救急業務やっている職員というのは、市町村職員がやっているわけですね。それは常設消防ですか、何ですか、どういう身分なんですか。
  54. 中沖豊

    ○中沖説明員 宮城県の委託によります実施につきましては、長官からお話し申し上げましたように、柴田町に委託しております。したがいまして、柴田町が救急隊を持っておりますが、そこにおります職員は柴田町の消防吏員でございます。ただ、その採用につきましては、県の救急業務実施との関係もございますので、あらかじめ協議をするというような手続を行なっておるようでございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、その柴田町では、常設消防を持って救急隊員を持っているわけですね。そこでは交付税で財源の裏づけをされつつその柴田町プロパーの救急業務をやっている。それ以外のその差額か何かを県が委託費を出しているのですか、全額出しているのですか、どうなんですか、少しこまかい話なんだけれども
  56. 中沖豊

    ○中沖説明員 宮城県が委託費として交付いたしておりますものは、柴田町の救急隊員として採用いたしておりますところの人件費、それから救急隊の維持費でございます。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、人件費も出ている、維持費も出ているというと、柴田町とのかね合いはどうなっているのかね。
  58. 中沖豊

    ○中沖説明員 柴田町自体は政令による消防本部・署の義務指定を受けておりまして、消防本部・署を設置いたしております。したがいまして、火災の予防、警防、危険物の規制の仕事を行なっておりますが、救急業務につきましては、県の委託によって実施いたしております。そういう状況になっております。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 あとで詳しく聞きます。  その次に予防行政、これはたいへん大切でありますということで、「温泉・観光地の旅館・ホテルのいっせい点検の実施結果」いまいただいたのですが、これは新聞にも出ております。これを読んでみますと、私はたいへんさびしい思いがいたしました。そしてこの最後のほうの「温泉・観光地の旅館・ホテルのいっせい点検実施市町村一覧表」というところを見ますと、私の住んでおります福岡県なんというものは、これはたった一行しか書いていない。ほかのほうは非常に丁寧に響いてあるのですけれども、福岡県は一行。最後の注のところを見て、これは何が何だかわからないけれども、完全な調査でもなかったようだ。不完全な調査の中で調べた結果が、きわめて憂慮すべき事態にある、こういうことだけがわかったわけですが、私はこの報告書を見まして、長官、あなたは消防予防施設整備ということと、今日的な重要な課題というものは管理の問題だ、こうおっしゃっておりましたが、この調査に関する限りは、管理のことなどあなた心配せぬでもいいんですよ。いまのところは施設をまずつくらせるということが一番大切なことじゃないですか。完備した上で管理というものをどうするのか、さびついてどうなっているか、そういうことをやるべきであって、あまり取り越し苦労じゃないかと私は思いました。これが一点。  それから今度の政令でも問題になりましたが、消防法の十七条の二というやつが、これはいかぬやつですね、除外例はありますけれども、これは消防関係者に聞きますと、どだい十七条の二というのがやはり今日の原因なんだと言っています。たいへんなウイークポイントなんだ、こう言っております。ですから、十七条の二というものは、今日の段階では、その一部を二年間の猶予をして四十六年までにやればいいというのんきなことをやっている、その間にどんどん火災が起こっているのですから、これについてはもっと強い姿勢で臨まなければならぬのじゃないか。十七条の二というのが設けられたのが昭和三十五年ですか、そうなりますと、もう十七条の二というものは廃止して、ぴしゃっとやるべきですよ。それでなければ旅館等のあれはだめだ。ですから、管理のことは心配せぬで、まず予防施設、安全施設戦備ということに重点を置くべきである。管理については当然チェックしなければいかぬけれども、管理のことを心配して、施設整備の促進をおくらせるようなことがあってはならぬ。十七条の二、三、四、この辺の検討を今日では必要とするのではないかというように思っておりますが、いかがかということであります。
  60. 松島五郎

    松島説明員 御指摘のとおり、この旅館、ホテルの調査等から見ましても、消防用設備設置がなお不十分であるという状況がかなり児受けられるわけでございまして、これはここにも書いてございますが、引き続き指導を強化していきたいというふうに考えております。ただ、管理より整備ではないかというお話、私どもは、もう整備は済んだから管理だけだなどと言っておるわけではございません。せっかく整備をさせる以上は、整備させたものについては管理をもっと厳重にやっていかなければならぬのではないかという意味で申し上げておるわけでございます。  たとえば、ここにもいろいろな調査結果が出ておりますけれども、防火壁をつくりましても、防火戸とかあるいは防火シャッターの機能が悪いというようなものがかなりあるとか、あるいは防火戸、防火シャッターの付近にいろいろなものが置いてある、そのためにいざというときにじゃまになって何にもならぬ。せっかくつくっても何にもならないということがないように、せめてそこのところは、つくった以上はきちんとさせることが必要だという意味で申し上げたわけでございまして、御指摘のとおり、整備の不十分なところは、これからできるだけ早い機会に整備をさせていくように、さらに指導強化をしてまいりたいと思います。  それから第十七条の二以下の御指摘がございましたが、既存の建物についての設備等について除外をしている、あるいは猶予するという問題は、これは私どもできればそういうことはないのが望ましいのでございますが、ものによっては、建物の構造上、設置を義務づけるということは、建物をつくってしまったあとで言うというのが非常にむずかしいこともございます。そういうものについては、これはある程度やむを得ないのじゃないかというふうに考えておりますけれども、あとから付加し得るような設備等につきましては、だんだん十七条の二の適用除外をはずしていくというふうな方向で進めてきておるわけでございます。私どもも、できるだけそういうことで、どこへ行っても避難設備が整っておるというような状態が一日も早く実現していくように引き続き努力をしてまいりたいと思っております。   〔小委員長退席、塩川小委員長代理着席〕
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう考えで金をかけてつくったものが動かないというのは、これまたけしからぬことであります。しかし、長官のお考えは、施設整備が重点であって、そのつくったものがさびついて動かないとか、あるいは管理が悪くて動かないというようなことがないようにしたいというのは、これは当然の配慮ですから、お考えは了承します。  最後に、危険物行政でありますが、私はかねがね申し上げておったのでありますけれども消防法の危険物行政の基本というものは、別表が昭和十一年か、明治の初めからできたか知りませんけれども、あの別表を抜本的に改めなければだめだということを言っておるわけですけれども、ついぞこの別表は改めようともしませんし、あるいはする能力がないのかもしれませんけれども、これでは今日の危険物行政に、消防庁として対処できないのじゃないか、こう思うのです。ですから、別表については、もっと近代的な形で現状に即応できるような別表にすべきだ、こう思います。  最近の新聞によりますと、例の数年前に起こりましたそこの宝組の倉庫の送検がようやくきまった。池之坊満月城も起訴された。こういうふうに報道してあります。私は、たいへんおそきに失したのではないかと思う。消防法違反、倉庫法違反、こういうことでたいへんな事故を起こして、しかも貴重な常設消防消防士すらも、二十名に近い即死状態が起こった。たいへんな事件であるわけですね。そういう点で、たとえば宝組倉庫の爆発事故というのは、メチルエチルケトンパーオキサイドは別表にありはせぬじゃないですか。いまのLP問題だって、別表にありはせぬじゃないですか。最近、少し消防法を手直しして、通産省が主導権を握ったけれども、ちょっと書類を消防関係に見せるということだけでしょう。こんなばかなことで、とても危険物行政はやれませんよ。なわ張り争いもけっこうでありましょう、自分を高く保つ、自信を持つということはけっこうでありますけれども、やはりもち屋はもち屋というかっこうをとらなければならぬと思う。消防庁消防に関するもち屋でないというなら話は別ですよ。長官は、そんないじけた気持ちは持っていないと思うのだ。おれは消防に関してはもち屋なんだ、こういう自信を持っておると思うのですから、ひとつ別表に積極的に取り組んでいただきたい、こう思うのです。  もう一つの問題は、最近の読売新聞等にも書いてありましたけれども、たとえばニッケルカーボニルの爆発事故、この際には消防が行っても、会社の機密だということで消防は門のところから入れないのだね。私がかつてつとめておりました三井化学の大竹工場の爆発の場合もそうですよ。京葉地帯の爆発もそうですよ。消防は行くけれども、会社の機密があるから外部の人は入れません、こういうことなんですね。この辺にもたいへんな消防体制上のギャップがある。むろん一義的には自衛消防、そういうところはやるべきですよ。しかしどうにもならないような爆発なり火災になっておるわけですから、これはやはり専門的な消防の力を借りなければならぬ、こういう事態なんです。そういう問題についての体制が一向進んでいない。私は非常に憂慮しております。これからの行政というのは、私は、危険物行政ということが重要な柱になると思う。にもかかわらず、この点については、もう旧態依然たるものである。はなはだ残念に思っております。こういう点について、消防庁長官、どういう御決意でこれから対処していこうとするのか。新しい技術に対応する危険物行政をやっていくんだ、こう言っておりますけれども、現実に事故が起こって明らかになったそういう厚い壁を取り去らなければ、私は問題は解決しないと思うのですよ。これについてお尋ねをいたしたいと思う。
  62. 松島五郎

    松島説明員 危険物の問題につきまして、特に別表の改正の問題につきましては、御指摘のとおりかなり古いものでございまして、今日の時世に合わない点も多々あると考えております。消防審議会に危険物部会というのを設けまして、技術的な基準についていろいろ御検討をいただいております。成案を得次第改正に着手いたしたいというふうに考えております。  それから、工場火災の際におきます技術情報と申しますか、そういった面からの消防の活動に対する制約の問題、これはそういうことがあってはならない問題でございまして、そういうことが起きること自体がおかしい。それにはやはり、いざというときにそういうことになったのでは、いろいろと連絡の行き違いというようなものから、こう言った、ああ言ったというようなことが起きるのではないか。したがいまして、やはり市町村は、そういう工場のあるところでは、あらかじめ消防計画というようなものをしっかりと立てておいて、それには関係者との間にどういうふうに処理をするかということを事前に十分な打ち合わせをしておいて、そして出動体制をとるということがぜひ必要ではないかというふうに考えますので、そういった形で順次指導を強化してまいりたいと考えております。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 松島さんのその考えはいいと思うのですよ。最近の工場等のいわゆる機密問題というのは、消防の専門家、消防士が行っても、その機密というものが火消しに行ってわかるようなそんな簡単なものじゃないと私は思うのですね。ただその際に、火事どろのように、名をかりていって、そういう問題に苦しんでおる技術者が中にまぎれ込んでおりますと、これはもう一目見てその会社の機密がわかりまして、自分の悩んだところがヒントとして重大な機密というのがぱっと解けると、いわゆる機密が盗まれる、結果として漏れる、こういうことはあり得ると思うけれども消防法の施行令か省令によりますと、予防行政をやる資格者は、物理や化学のうんのうをきわめた大学卒業して博士課程でも経た人でなければならぬように規定には書いてありますけれども、実際の試験というのはそんなのじゃない。ですから、だいじょうぶですよ。あなたが言うように、平素予想されない事故でありますけれども、もし事故が起こった場合には、消防のこういう体制で必ず出動するという事前の打ち合わせをすれば、会社のほうも問題ないと私は思うのです。そういう必要ないと思いますけれども、まあそういうことで渋るとすれば、そういう配慮をしておくことは、長官のおことばどおり必要であろうと思う。これなくしては今日の重要な工場地帯等の火災から守れないのじゃないか、こう思いますので、危険物行政の重要な問題点としてひとつぜひ取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  私の質問したいことは以上です。
  64. 塩川正十郎

    ○塩川小委員長代理 門司亮君。
  65. 門司亮

    門司委員 それでは最初に、これは総括して——長老が五分間でとこう言いますから、五分間に節約をして聞いていきますが、この次の機会に消防法の改正を出す意思はございますか。いままでの質疑応答を聞いておりますと、かなり法の改正が必要と考えられるが、用意がありますか。
  66. 松島五郎

    松島説明員 消防法の改正で当面問題になりますのは、いま御指摘のございました危険物関係の問題がございます。これは、この次の国会までに結論が得られますならば、消防法の改正ということも考えなければならぬというふうに思っておりますが、そこのところは、いまのところ時間的に間に合うかどうかわかりかねるところでございます。
  67. 門司亮

    門司委員 そういう心もとないことではしょうがないと私は思うんだ。消防法の改正は、たとえばさっきちょっと細谷委員から話しましたけれども、神戸の満月城とかなんとかいう大きな旅館が焼けたでしょう。あれは神戸の消防局長から告発したけれども、検事局が取り上げなかったでしょう。いわゆる消防法違反というのは取り上げなかったでしょう。なぜ取り上げなかったか。これは事前に告発もしていなければ勧告もしていない。これが原因で、せっかく消防法違反として告発したんだが、それは検察庁が認めなかったという事実がある。こういうところは、いままでは行政指導でやっておった。やりなさいという文書も何もない。ただ行政指導だけでやっておったから、こういう結果が出て、あれだけたくさんの人を殺しても、消防法違反ではない、こういう結果は、検察庁はちゃんと認めておるし、その辺はやはり直しておく必要があるのじゃないですか。勧告は文書その他で厳重にやれということ、その後いろいろ言われているようでありますけれども、こういう点はやはりもう少し厳重にすべきではないか。いままで消防は警察と違って何かしらおとなしいようなたてまえをとっておるものだから、勧告ということを書いてあっても、それが文書による勧告なんということにはなっていない。行政指導だけでやっているからこういう結果が出ると私は思う。あれなどはもう少ししっかりしないと、とんでもないことになりはしないかということが考えられる。  そこで、どうしても法の五条であるとか、いま指摘された十七条の四であるとかいうようなところは改正の必要が出てくる。これはぜひひとつ考えてもらわないと、単に従来のしきたりで、行政上の指導だけで、そして事件が起こって消防法違反として告発したが、それが取り上げられなかったというようなことでは、これは消防の権威どこにあるかということになる。この辺は次の機会にはぜひひとつ消防法の改正を考えてもらいたい、こう思うのですが、さっきの話では非常に心もとない。  それと同じように、きょう報告されましたものでも、温泉旅館その他の欠陥についても、調査した中の大体八一%というのが何かしら問題があった、こういうんですね。こういうものは、法の改正をしてもう少し厳重にしておかぬと、事人命に関する問題ですから。いままでの火事は、あっても大体建築の材料が木だとか紙だとかいうことだったから、かなりたくさんの煙が出たからといって、煙にむせはしても、煙で窒息死するなんということは全然なかった。はってでも、手探りでも出られた。ところが、最近のは、建材が非常に化学製品化しておりますので、少しガスを吸えば、そこでまいってしまう。焼け死んだのよりも窒息死するほうが多いでしょう。こういうふうに変わっておりますから、法律の内容も、これに即応して改正していかないと、昔のただ火消しのものの見方で法律を見るということは誤りだと思うのです。ある意味においては少し過酷だと思っても、非常に厳重にしないと人命は守られない。そこで、さっきの法改正することを考えていないということについては、少し考えてもらいたいと思う。  それからもう一つ、最近において非常に起こったのは、先ほどもお話のありました例の危険物の取り扱い、この危険物の取り扱いについても、危険物を取り扱うことのできる人の免許証というのは、一ぺん渡せばそれは一生でしょう。化学製品がどんどん変わっていくとか、危険物の性格と性能、危険度というものはどんどん変わってきておる。にもかかわらず、十年前に取った免許証であろうが、五十年前に取った免許証であろうが、免許証は一生に一ぺん取ればいいというのは、全くナンセンスである。少なくとも、こういう時代の進化と様相が変わっておるについては、危険物の取り扱いに対する危許証も、やはり何年かで更新する、あるいは講習会をやるということで、現実に即した免許証の交付というものがなされなければならぬ。この辺の法改正はぜひしてもらいたいと思う。ところが、それは、さっき言ったように、法改正しないというのではどうにもならぬと思うのですが、この辺は一体どういうお考え方ですか。法改正をしてもう少し厳重にする必要がどうしても生まれてくると思うんだが、その辺をもう一ぺん、法改正するということである程度われわれに安心を与えていただかぬと、ここで議論しておっても始まらぬですよ。
  68. 松島五郎

    松島説明員 先生御指摘のありました問題はまことにごもっともでございますが、実は行政指導、行政指導ということで、従来は、法律上与えられた権限と申しますか、それも十分やっていなかったという面もむしろあるわけでございまして、たとえば旅館、ホテル等の消防施設が不十分であるというのに対しても、口頭でもって勧告するというような程度にとどまっていたというところにむしろ問題があったわけでございます。現在の法律でも、措置命令、いついつまでにこれをこうしなさいという命令を出せば、それに違反すれば消防法違反として罪を構成するわけでございます。御指摘になりました満月城の場合も、そういういわゆる正式の措置命令というのを法律上定められている手続に従ってやっていなかったというところにむしろ問題があるわけでございますから、御指摘の点もございますので、もちろん必要において法改正検討しなければなりませんが、少なくとも現在の法律に認められているところは厳正に執行するという体制をあわせて考慮していかなければならぬというふうに考えております。   〔塩川小委員長代理退席、小委員長着席〕  それから、なお危険物の取り扱い主任者の免許の問題でございますが、御指摘のとおり、日進月歩の科学の時代でございますから、前に受けた免許がいつまでも有効であるというのもどうかということは、御指摘のとおりでございます。この点につきましては、免許の更新という問題も検討いたしたいと思います。
  69. 門司亮

    門司委員 実際、いま何かはっきりしない、いまの法律でやれるのだというお話ですけれども、神戸の満月城などの問題は、あれは行政上の一つの瑕疵とみなされるというふうに、逆に消防庁は告発されますよ。だれかがやればやれますよ。明らかに瑕疵です。だから、その辺はもう、こういうことのないようにひとつ厳重にやってもらう。これは考え方によっては行政上の一つの瑕疵ですよ。逆に、人命損傷したということでだれか告発すれば、消防庁はやられる。そういう問題がありますので、ぜひ法改正に踏み切ってもらいたい。そうして、やはり現代に即したものにしていただきたいことをお願いしておきます。  最後にもう一つ高速道路の問題ですが、高速道路救急業務というのは、これは実地を見てまいりますと、ヘリコプター以外に方法はないですよ、おり口がないのですから。たとえば東名高速を見てごらんなさい。東京に一カ所出口がある。インターチェンジがあって、川崎、横浜、その次が厚木、その次が松田でしょう。その間の町村はどうするのです。いわゆる百キロの速度で走っておって、救急車といえどもUターンができない。横浜のインターチェンジのところで起こった事件でも、救急車へ積めば、厚木まで持っていかなければ病院へ入れられないですよ。厚木の出口でもし間違いがあったものなら、上りの場合、救急車は横浜のインターチェンジまで来なければ下におりられないですよ。そういうふうに道路自身ができているんしょう。そこで、結局いま実際にやっているのは、東京と川崎との間、あるいは川崎と横浜との間、横浜と厚木の間——川崎と横浜の間は川崎が下りを受け持ち、上りは、市町村の境界いかんにかかわらず横浜が責任を持つ、厚木までの間は、下りは横浜が責任を持つが、上りは厚木で責任を持ってもらいたい、こういう形になっている。そうすると、その間に市町村がたくさんあるけれども、これは、道路が上だけ走っているから、実際は市町村の地域内に事故が起こっているにかかわらず、入り口がないからいかんともしがたいということです。そういう特殊の地域、特殊のものだけしかこれには携われない、そういう不便がある。しかも、急速に片づけようとすれば、ヘリコプターがどうしても必要である。私は、消防庁がヘリコプターをこの際考えて——これは道路公団と費用の分担とかなんとかいう具体的な問題は別にいたしまして、そうした事件が起こったら、やはりヘリコプターがすぐ出動していってそれを直ちに片づけていくという方法を講ずる以外に、この高速道路に対する救急対策というものはないと私は思うのですよ。いまのままでは、実際かなわぬですよ。厚木で起こった事件は横浜が世話をしなければならぬ。横浜で起こった事件でも厚木に持っていかなければどうにもならぬという。だからこういう点はもう少し具体的に、やはり救急業務がこちらにあるのだが、これから先は厚生省に聞くのだ、道路公団に聞くのだというようなことじゃなくてやってもらわぬと、実際は間に合わないですよ。これは救急業務であろうと、交通事故であろうと、例の国民健康保険でやれることは事実であります。法律上はっきりそうなっている。ただ、特殊の治療が非常に必要だからその範囲でしかやれない、したがって、お医者さんがやらないということだけなんです。問題の解決はほかに私は方法があると思う。だから、ヘリコプターがなければ高速道路は全国的にたいへんだと思う。その辺はもう少し考えて法律の改正というようなことにひとつ踏み切ってもらって、そして救急業務についてもヘリコプターを一体どこが持つかというようなこともはっきりしてもらいたいと思うのですが、その辺の意見はどうなんでしょうか。
  70. 松島五郎

    松島説明員 先生御指摘のヘリコプターを使うという問題、これは実は私どももそう深い研究をしているわけではございませんが、いろいろ検討してみたことがございます。ただ日本の高速道路の場合は、御承知のとおりトンネルがかなり多いものですから、ヘリコプターを持ってまいりましても、トンネルの中にはちょっと入れないという問題もございます。それからもう一つは、一定の角度以上の坂道でございますとヘリコプターが着陸できないという技術的な問題もあるようでございます。それからさらに、ヘリコプターで患者を収容いたしましてそれを病院に持っていく場合に、ヘリコプターが着陸できる病院ということになりますと非常に数が限られてくるわけであります。そうしますと、そこに集中的に患者が入ってくるということになると、はたしてそれを収容できるかどうかというような問題もいろいろございまして、なお検討は続けておりますけれども、かなり技術的にも困難な面がございます。しかし、これから能率的にものを考えていくということになりますと、やはりそういったものも何らかの形で考慮しながら問題の解決をはかっていくということも一つ方策であろうというふうに考えております。
  71. 門司亮

    門司委員 どうもそういう答弁じゃ、実際ちょっと困るんだ。早くやめようと思ってもやめられぬですよ。この辺のことは、言うことはわかる、だれでもわかっている、ヘリコプターの着陸あるいは離陸の場所の要ることは、だれもわからぬ人はないと思う。それから、病院に収容し切れないということも、これは制度と設備の問題で解決すると思うのですよ。あなたがそういうことを言うなら、厳重にひとつ救急業務検討してごらんなさい。救急業務はその市町村の責任ですよ。しかし高速道路市町村に関係ありません。厳密に言えば、AならAの地点で事故が起こっても、その地点の市町村から救急車が上に上がることができますか。何が何んでも横浜、厚木の間はおりることも上がることもできやしない。間に幾つ村がありますか、勘定してごらんなさい。どれだけの村があるか。中に東京都も一つ入るかもしれない。横浜と厚木までの間に原町田というのがありますよ。原町田の地域で起こったら東京の救急車を頼めますか。それまで知らぬ顔ができますか。実際はやれないことなんですよ。消防法を読んでごらんなさい。あなたのほうがお詳しいだろうけれども、ちゃんと市町村の責任になっている、その当該市町村がやることになっているが、その地域で起こったからといってもこれはできないことなんです。大和市がその中に入るし綾瀬もその中に入るけれども、その市町村はできません。できないから、いまのように川崎と横浜の間は下りは川崎が受け持とう、上りを横浜が受け持ちましょうということで、現地ではやらないわけにいかない。他の市町村で起こった事故であることに間違いがない。ただしかし、そういう道路になっているんだから、やむを得ずそういうことで処置をしている。一方から上がったら必ず一方におりなければならぬ、こういうことになっている。非常に不便である。だから、可能な限りこれを迅速にやるためには、少なくともヘリコプターのようなものを利用する必要があると思う。  これ以上私は答弁を求めませんが、ひとつもう少しはっきりした考え方を持ってやってもらいたい。したがって、その辺の法の改正をぜひ取り扱ってもらわぬと、さっきの危険物などについても、法の改正をしてもらって、何年に一ぺんかは——自動車だってそうでしょう、自動車の運転手だってちゃんと更新することになっているのですから、そういうものはぜひ法律で書き直してもらいたい。その点をお願いをするというよりも、私のほうはお願いするのじゃなくて要求しておきます。ひとつお考えを願いたいと思います。
  72. 古屋亨

    古屋委員 これより懇談に入ります。      ————◇—————   〔午後零時三十八分懇談に入る〕   〔午後零時五十二分懇談を終わる〕      ————◇—————
  73. 古屋亨

    古屋委員長 これにて懇談を終わります。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会