運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-10-08 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年十月八日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥之助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    桂木 鉄夫君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    細谷 治嘉君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  委員外出席者         内閣官房長官 木村 俊夫君         総理府人事局長 栗山 廉平君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁交通局長 久保 卓也君         警察庁警備局長 川島 広守君         大蔵省主計局給         与課長     谷口  昇君         厚生大臣官房国         立公園部長   中村 一成君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君         林野庁林政部管         理課長     塩田 清隆君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         専  門  員 川合  武君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 官房長官がお見えでありますので、官房長官お尋ねいたしたいと思います。  八月二十七日、当地方行政委員会官房長官の御出席をいただきまして、人事院勧告をめぐる諸問題につきまして質疑を行ないました。その際、官房長官から次のような見解が述べられたわけであります。  その第一は、人事院勧告については、本年一月二十八日の給与関係七人委員会で、昭和四十五年には人事院勧告完全実施するという旨を決定した、また第六十一回通常国会におきましても、その趣旨政府側から答弁をいたしておる、ところで、昭和四十四年、本年の人事院勧告に対する態度はどうかといえば、これについては完全実施を目ざして最大限努力をしたい、しかし今後の税収の見通しあるいは災害発生状況等、いろいろ考慮すべき要素があるので、本年の扱いをどうするかということについては慎重に対処したい、こういう趣旨答弁だったと記憶をいたしております。  そこで、新聞で承りますと、本日福田大蔵大臣が帰国するようでございまして、福田大蔵大臣が帰国いたしました後において給与関係七人委員会を開催する等、人事院勧告に対する態度をこれからきめていくということのようでありますが、まずその人事院勧告に対する閣議決定の時期はおよそいつごろになるというようにスケジュールとしてはお考えでありますか。それをまずお尋ねいたしたいと思います。
  4. 木村俊夫

    木村説明員 人事院勧告の取り扱いについての政府の基本的な方針は、保利官房長官お答えしたことと、現時点においても少しも変わっておりません。その後二回給与関係閣僚会議を行ないまして、本年も人事院勧告実施について最大限努力を行ないつつあります。いまお話しのとおり、大蔵大臣海外出張をしております。帰りましたら、できるだけ早い機会に三回目の給与関係閣僚会議を開きまして、できるだけ早い機会政府としての方針を決定したい、こういう考えでございます。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 すでにきょうは十月の八日でありますが、そういたしますと、この閣議決定の時期は大体十月中には行なうあるいは十一月に入る、この点は一体どうですか。
  6. 木村俊夫

    木村説明員 先ほど申し上げましたとおり、現在の財政状態、また国際経済の動向もきわめて微妙でございますので、そういう諸般の事情を考慮いたしまして、最大限努力を行なうということで、きわめて慎重を要するということはもうお察しのとおりでございます。できるだけ早い機会に行ないたいという方針でおりますが、いまのところ、十月中になるか十一月にかかるか、まだ確かなお返事はいたしかねる状況でございます。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総務長官見えでございますからお尋ねしたいと思うのでございますが、最近の新聞を見ますと、いま官房長官からもお答えがありましたが、国際経済あるいは物価等いろいろな要素を検討しなければいかぬということのようでありますが、昨日の新聞等を拝見いたしますと、自民党内にある御意見ということで出ておりましたが、生産者米価の据え置きを決定した。そういうときに、公務員給与について一〇・二%というような引き上げをこの五月あるいは六月等において実施するということは、いろいろ問題があるというような議論もあるやに書かれてございました。しかし、私はそれはおかしいと思うのですが、もしそういう議論をするとするならば、たとえばこの公労協関係、これにつきましては、仲裁裁定完全実施ということをずっとやってきたわけです。現に本年度におきましてもそうであります。そうしますと、同じ公務員関係でも、公労協関係の賃上げを考える場合には、物価あるいは生産者米価ということについては無関係である、国家公務員地方公務員給与改定の際にはそういうことが考慮せられるということでは、私は筋が通らぬと思うのです。給与担当大臣として、総務長官としては、その点については明確な御見解をお持ちだと思うのですが、この点はいかがですか。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 給与勧告に対しましていろいろの意見のありますことにつきましては、ただいま仰せになりましたごとく、特に本年は昨年よりも多岐にわたった議論が出ておると思います。したがって、これを十分検討して結論を出したいと思いまするが、ただいま御質問給与担当という立場から申しますと、人事院勧告民間給与状況を見まして勧告されておりますので、私どもはできるだけ勧告趣旨を尊重いたしまして、そうしてこれを完全実施のほうへ努力してまいりたいと思っております。四十五年には実現するということを申しておりますが、しかし、現状現状でございますので、できる限り私ども改善のほうへ向かって努力をしてまいりたいと思っております。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、給与担当大臣としては、当然完全実施の方向でこれはやはり解決しなければならぬ、こういう御意思のように承りました。当然七人委員会でも、給与担当大臣として、こういう御発言をしていただけるものと御期待をするわけです。  自治大臣見えになりましたが、自治大臣は、かねがね総務長官当時から、この完全実施の問題につきましては非常に御熱意をお持ちだったわけでありますが、福田大蔵大臣がいよいよ帰りまして、七人委員会が開会されてこの問題を詰める、こういうスケジュールだと聞いておるわけでありますが、自治大臣としては、給与担当閣僚会議に出まして、一体どういう趣旨で御主張なさるつもりですか、従来どおり、当然完全実施すべきものと御主張されるものと期待しますが、いかがですか。
  10. 野田武夫

    野田国務大臣 いまお話し給与改定の問題は、人事院勧告に基づいて従来二回関係閣僚会議をやっておるわけであります。まだ結論は出ておりませんので、いま御指摘のような大蔵大臣が帰りましたあとで、直後になりますけれども話し合いをする。私は前にも言っておりましたとおり、少なくとも政府としては人事院勧告を尊重するというようなことを前から言っておりまするから、尊重するという意味は、いわゆるできるだけ人事院勧告の線に沿うた施策をやることだというように解釈しております。したがって、前々から、いま山口さんのお話しのように、できれば完全実施が一番望ましいという態度とまた自分心がまえをもって、前から、この佐藤内閣のときでなくて池田内閣総務長官のときも、そういう姿勢で当たっておった。今回も、私の政治姿勢といいますか、心がまえは変わっておりません。ただ御承知のとおり、この前の人事院勧告に基づいてのわれわれ関係閣僚話し合いが、少なくとも四十五年度からは完全実施するという申し合わせをいたしております。そういう前提でございますから、いわゆる大蔵大臣が帰りましたあと給与関係閣僚会議で、どういうふうに話し合いが進んでいくかわかりませんが、しかし、まあできるだけ、私も人事院勧告の線に沿うてやるのが当然だという考え方は変わっておりませんので、私としてはそういう主張を続けたいと思いますが、具体的になりますと、大蔵当局のほうから財源問題とか何か出てまいりますから、いまお話は、ただ自治大臣としてそういう主張を続けるかどうかというお尋ねでございますから、私としてはやはり私自身の平素の心がまえに沿うて、閣僚会議におきましては自分考え方を述べたい、こう思っております。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 財源問題につきましては、あとわが党の細谷委員からお尋ねがありますから、私はその点は触れないでお尋ねをしたいと思いますが、そうしますと、野田自治大臣床次総務長官も、かねがねの御主張どおり完全実施ということで主張されたい、こういうことだと思いますが、昨日の新聞等を見ますと、どうも財源関係等から七月実施になるのではないかというような観測の記事が出ております。私はそういうことではたいへん遺憾なことだと思います。  また、私ども勧告自体につきましても、過般佐藤人事院総裁を当委員会に呼びまして、いろいろ私のほうからもお尋ねをいたしたのでありますが、少なくとも期末手当に対して民間公務員の差が〇・一八カ月分あるのに、〇・一カ月分の勧告しかしていないということ、また住宅手当あるいは通勤手当等についても不備である、さらに問題なのは、初任給におきまして四千円以下しか上がらない諸君が相当ある。公労協初任給等考えた場合は、もっと初任給を引き上げなければいかぬ、少なくとも四千円以下のものにつきましては最低四千円まで引き上げるように改善をすべきだ、という主張を私どもは持っておりますが、それはそれといたしましてお尋ねをするわけですが、どうですか官房長官、それから総務長官、伝えられるような七月というようなことでは——これは、昭和四十五年には五月実施をすると繰り返し言われるんですね。昨年も、八月実施だったのを修正いたしまして七月になりました。本年七月ということでは全く前進にならない。誠意をもって完全実施努力したいという保利官房長官の御趣旨からいっても、七年実施などということでは、これは保利官房長官の御主張に合わない、こう思うわけです。少なくとも七月などということはないということくらいは、本日明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 木村俊夫

    木村説明員 いろいろ観測が行なわれておるようですが、七月実施説を含めて、まだ政府態度は決しておりません。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、七月の場合もあるかもしれないし、七月でない場合もあるかもしれないという、たいへん不明確なお答えになるかと思いますが、少なくとも昨年より前進しないということでは、これは誠意をもって完全実施努力するということにはならないと思うのです。総務長官いかがですか、この点は。
  14. 床次徳二

    床次国務大臣 私はかねがね国会のほうにお答え申し上げておりまするが、基本的な態度といたしまして、完全実施に向かって最善の努力をするということを申し上げておる。いまの段階におきましては、財政上いろいろの問題があることば承知しておりまするが、しかしその問題につきましては、もっともっと審議を詰めてまいらなければならないと考えておるのであります。したがって、私、いまの段階におきまして、七月実施でなければそれ以上のことはできない、あるいは七月実施はやらない、もう一歩引き上げるということだということをはっきり申し上げる立場には、そこまでは参っておりません。できるだけ改善のほうに向かって努力すべきは当然であります。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりますけれども勧告が出たのは八月十五日であります。したがいまして、すでに一カ月半以上時間が経過をいたしております。それからまた、人事院勧告実施の問題は、これはもう非常に古い問題でございまして、しかも繰り返し委員会で、あるいは国会議論になった問題であります。昨年、内閣委員会におきましても、地方行政委員会におきましても、この人事院勧告政府国会になされるわけでありますから、国会としては、この完全実施努力すべきであるという趣旨の決議もいたしておるわけであります。そういう問題でありますのに、いまなお小田原評定と申しますか、政府の明確なお答えが出ていないことは非常に残念に思います。  以上、繰り返しましても押し問答になりますから、これでやめますが、あと財政問題で細谷委員からお尋ねがありますので、これで終わりたいと思いますが、少なくとも昭和四十五年には五月実施をする、完全実施をするという政府方針がきまっており、しかも、本年も完全実施に向かって最大限努力をするというのが政府方針であるとするならば、少なくともその方針が現実のものとなりますように、強く要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  16. 鹿野彦吉

  17. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省はまだですか。
  18. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 間もなく来るそうです。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 少し話がさかさになりますけれども自治省財政当局に御質問しておきたいのです。  今度の人事院勧告についての財源でございますが、せんだっていただいた資料によりますと、人事院勧告完全実施するということになりますと、地方団体では千六百三十五億円の一般財源が必要である。かりに昨年並みの七月ということになりますと、千三百五億円の一般財源が必要である、こういうことでございますが、そのとおりですか。
  20. 長野士郎

    長野説明員 そのとおりでございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 これに対して昭和四十四年度の地方財政計画では、給与関係費の中の給与改善費として七百二十三億円。そのうち地方費が五百九十七億円、そのほかに一般行政費の中で国庫負担を伴わないものという項目の中で地方費総額四百億円、合計大体給与財源としては千百二十三億円、地方費において九百九十七億円が計画されておると考えられるわけでありますが、間違いございませんか。
  22. 森岡敞

    森岡説明員 地方費数字でございますが、給与改善費として給与関係経費の中にあげております五百九十七億円、それは御指摘のとおりでございますが、一般行政経費として中にあげておりますのは、三百五十億円でございまして、その辺の数字が、ちょっと先生の御指摘と五十億円ばかり違っております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 三百五十億円なんという数字はあがっていないでしょう。地方財政計画の中で三百五十億円というのは△ですよ。三百五十億円という数字はどこにもないのです。△の三百五十億円という数字があるわけですね。前年度に八百五十億円というのがあったわけだ。それに△三百五十億円でありますから、五百億円残っておるわけですよ。三百五十億なんという数字はどこにもありませんよ。はっきりしてください。
  24. 森岡敞

    森岡説明員 一般行政経費としてあげておりますのは、給与改善費の一部及びその他のものとして五百億円あげております。その中で、給与関係経費相当額は三百五十億円というふうに考えております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年八百五十億円というのを、一般行政費の中の国庫負担を伴わないものの中に追加需要額として計上をしたわけですね。そのうち、おおよそ百億円というのは災害等関係費であって、給与関係と予想しておるものは七百五十億円である、こういうのが説明であったわけですね。その中から今度は四十四年度の地方財政計画では、追加財政需要として△の三百五十億円なんですから、三百五十億円を——去年八百五十億円ですか、実質は給与関係七百五十億なんですよ。それから三百五十億引けば四百億じゃないですか。いつの間に三百五十億になったのですか。   〔委員長退席塩川委員長代理着席
  26. 森岡敞

    森岡説明員 五百億円と申しますのは、先ほど申しましたように、給与改善のための経費災害その他を合わせまして五百億円ということで、地方財政計画としては計画しております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、その五百億円——八百五十億円から三百五十億円引いた五百億円のうち、昨年のベースで考えれば百億円相当額災害関係ですよ。残りの四百億円というのが一応給与関係費に見込まれておったのではないかと、私は質問をしたわけです。それに対して、あなたのほうは、五百億円のうち、いや災害等で百五十億円で、実際の給与関係としては三百五十億しか見ておらぬというから、五十億円の食い違いが出てきておるから、はっきりしておるわけだ。どうなんです、去年と違うのですから。地方財政計画では単に三百五十億円△がついているだけなんですよ。
  28. 森岡敞

    森岡説明員 五百億円の中で、災害部分幾ら給与関係部分幾らというのは、地方財政計画の当初のものであって、御説明の際には明確に申し上げる中身をつくっておらなかったわけでございまして、全般的にその両方を合わせまして五百億円ということで、お答え申し上げました。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 全般的にそのとおりになっておりますが、昨年八百五十億円の内訳説明としては、百億円が災害等であります、七百五十億円というのが給与関係財源でありますと、この説明がそのまま延長されているはずですよ。これははっきりしているんだから……。いつの間にその五百億円というのか——あなたのほうで仕分けしていないと言いながら、さっきは仕分けしているじゃないですか。災害関係費が百五十億円、その残り三百五十億円か給与関係の費用です——あなたのほうでいつの間にか仕分けしている。そうやって昨年と食い違いが起きてくるのだ。去年のとおり書いて△三百五十億円であったから、ことさら当時質問をしなかったのであって、いまあなたのほうは、去年と違った方針で計上しているのだというおことばですから、あらためて質問しているわけですね。
  30. 森岡敞

    森岡説明員 昨年の災害の分というのは、一応百億円程度ということで御説明してまいったということでございますが、今年の災害分給与関係経費分との振り分けをどういうふうに見るかということについては、当初の際には明確に仕分けしてなかった、そういうことでございますので、いま御指摘のように、説明が違ってきておるということではないというふうに考えております。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 去年の説明とことしの説明で、いまの説明では五十億円の食い違いが出ておるから申し上げておるわけです。私のことばがわからない。去年七百五十億円程度給与関係費人事院勧告財源でありました。残りの百億円程度災害等追加需要に見込んでありました。そして込みで八百五十億円と計上したわけですね。今度は△の三百五十億円でありますから、残りは五百億円残っておるわけですね。その五百億円の内訳というのは、百億円くらいが災害関係追加需要だ、四百億円程度人事院勧告に対する財源考えるのが、去年からの流れで至当ではないか。それをあなたのほうは、いや五百億円のうち、百五十億円が災害関係だ、残りの三百五十億円が給与関係費だ、こういうふうに、去年と説明が変わっておりますし、今度の当初のときでも、地方財政計画にしても、おおよそ一千億円程度財源財政計画に計入してありますというので、あなたのことばを聞きますと、地方費としては、私が確認したのは九百九十七億円かという質問ですが、あなたのほうになりますと、九百四十七億円ということになるわけだ。その辺ちょっとはっきりしていただきたいのですが……。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 関連。私、昭和四十四年度の地方財政計画、それから交付税法改正、そこで給与問題について質問をいたしました。給与改善費として五百九十七億円。それから五百億のうち、昨年は災害百億だったから残りが四百億円、合計で九百九十七億円程度給与改定財源があるものと考えるがどうかということについて、そういう考え方も成り立つという趣旨答弁を当時していますよ。議事録を持ってきてもいいですが、私が質問して答弁いただいたことを記憶していますが、そういった地方財政計画、それから地方交付税法の一部改正の際の御答弁と、今回違った御答弁をされるということじゃ、これは困りますよ。
  33. 森岡敞

    森岡説明員 五百億円というのは、繰り返して申しますように、給与改善の分と災害の分とが含まれております。そこで災害の分を百億と見ました場合にはそういうことになろうか、こういう答弁ではなかったかと思います。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 山口さんの質問もありましたが、あと質問します。それでは一体、交付税では基準財政需要額幾ら計入したのですか。
  35. 森岡敞

    森岡説明員 九百五十億円計入してあります。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたのさっきの答弁だと、給与財源としては九百四十七億円しか見てないはずだよ。それを上回る財政需要額を計算したという例があるか。九百四十七億円しか必要ないのに、九百五十億円の基準財政需要額——わずか三億でありますけれども需要額が実際の経費と見積もられる額を上回って交付税を計算した例なんて聞かぬな。そんなに裕福なんですか。ですから、もう去年の流れどおり、九百九十七億円に対して九百五十億円の需要額の増を見たというならこれは数字はすぱっとするわけですよ。わずか五十億円だからあまりここで時間をかけたくないけれども、話が食い違ってくるからね、はっきりしたいと思っているんだ。そうでしょう。必要額を上回って交付税需要額を計算するなんて、そんな例はないはずだよ。だからこれは、あなたは財政課長になって間がないから、その辺のぴしゃっとした覚えがないだろうから、いままでの経過を踏まえれば、私の言うとおりなんだから、そのとおり確認しておいたほうが、それは交付税の計算も今度八月算定しましたからね。そこまで問題をさかのぼって論議しなければならぬ。そうなりますよ。ひとつ財政局長、あなたも最近なったばかりだけれども、はっきりしておいたほうがいいよ、これは。
  37. 長野士郎

    長野説明員 まあいろいろいきさつがおありのようでございますが、私が引き継ぎましたときには、九百五十億円ということで引き継ぎをいたしておりますから、九百五十億円ということで御了解を得たいと存じます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの九百五十億円というのは、交付税需要額に計入したものが九百五十億ということでしょう。
  39. 長野士郎

    長野説明員 そのとおりでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、財政計画上は当然なんですね。九百九十七億円という大体確認をしておいたほうがいいでしょう。同じさいふなんだから、こだわる必要はないですよ。いままでの経過が間違っているのだ。
  41. 長野士郎

    長野説明員 これは財政計画策定の際には、先ほどお話がございましたように、給与費として六百億、それから一般行政経費のうちに、いまお話のございます五百億のうちの三百五十億というものがその関係経費として策定をされておりますから、九百五十億、こういうふうになっておるのでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 あくまでもこだわって……。そうすると、必要経費以上に需要額を見た、こういうことになるわけだね。それはいままでの経過と違うんだ。山口さんの質問にもあったとおり、大体五百億のうちおよそ百億円というのが災害関係経費、四百億円というのが給与関係追加需要額、これが従来からの説明ですよ。大臣、私は半年ばかりの間に答弁が変わってくることは困るわけなんです。金額はどうせ財政計画に織り込まれて、九百五十億円が交付税の中で基準財政需要額に織り込まれたということについては一致しているわけですから、財政計画の中で幾ら見ているかということで、五十億円の食い違いが起こっている。そういう点、二人とも新しいものですから、従来の経過を御存じない。そこでこれだけはっきりしておいていただきたい、こう思うのです。
  43. 森岡敞

    森岡説明員 どうもはっきりとしませんで恐縮でございます。私はこういうふう鐘解しております。地方財政計画は、五百九十七億円の給与関係経費、それから一般行政経費といたしまして給与改善のための分、及び災害その他で五百億円、それを足しますと一千九十七億ということになります。そこで、その五百億の中身はどういうことかということにつきましては、たとえば昨年百億程度災害と見た、それを引っぱってまいりますと、四百億という御指摘のようなお話にもなるわけでございますけれども、その後交付税で計算いたしましたのは九百五十億円である、こういうふうに理解しております。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省あとで来たものですから、しかも給与課長で、税収等については、給与課長ではだめだよ。話が逆になったけれども、ことしの災害は去年よりも多いようでありますけれども、大体災害関係費はどのくらいと見込まれるのですか、地方財政計画の中で。さっきあなたは百五十億円と、しゃにむにこだわっているわけだね。大体追加需要額はどのくらいと見込んでいるのか。
  45. 森岡敞

    森岡説明員 災害関係の地方負担がどの程度になるかということは、まだ私ども各省の査定なりをまとめておる段階でございますので、いまのところ明確な数字は出ておりません。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、話をもとへ戻しまして、大蔵省に言います。  四十四年度の国の予算では、給与関係費は、五%の昨年並みの七月ということで、四百四十三億円計上しているわけですね。そのほかに予備費が九百億円あるわけですね。その予備費の中では、すでに二百二十五億円という米作特別奨励費かなんかというえたいの知れないものが出されておるわけですか、その他の予備費——先般新聞等によりますと、ことしは災害がかなり発生しているので、五百億円程度予備費を組むのではないか、こういうような記事もあるわけでありますが、現在のところどういうお見込みですか。
  47. 谷口昇

    ○谷口説明員 いま細谷先生が御質問のとおり、本年度予算の当初におきまして、五%、七月ということでもって御案内のとおり組んでおります。で、そのほかに公務員給与改善のために予備費があるのじゃないか、こういう御質問を含めてのお話だろうと思いますが、御案内のとおりに、予備費は、予見しがたい支出に充てるためということでございますので、必ずしも公務員給与改善のために幾ら予備費が組んであるとか、あるいは災害のために幾ら予備費が組んであるという性質のものでございませんが、込めまして九百億という数字が組んであること、御案内のとおりでございます。  そこで、いままでの災害の発生状況あるいは予備費の使用状況ということでお答えさしていただきますと、まず四十四年度の一般会計予備費の、現在、要するに十月八日現在でありますが、使用済み額は災害関係で八十三億、これは公共土木施設等ですでに支出いたしております。したがいまして、予備費の差し引き使用残額は八百十六億、こういう数字になると思います。  それで、今後の使用見込みでありますけれども、先ほど申しましたように、予備費の性質が、予見しがたい予算の支出に充てるという性格でございますので、われわれといたしましては、目下のところ、追加財政需要がどういう状況になっておるかということをまず考えておる次第でございます。  そこで、先ほどの公務員給与人事院勧告が出まして、それで、年度当初五%近く組んでおりますので、かりに七月ということで計算いたしました場合に、五百四十四億というものが、いまの四百四十三億にオンの形で、追加財政需要という形で出てくると思います。そのほか、災害が大体二百五十億前後と考えておりますけれども、それから先ほど先生のお話しのように、稲作特別対策事業二百二十五億がございますので、大体千億近い金になると思いますが、一方、これに対しまして、予備費の先ほど申しました数字のほかに、御案内と思いますけれども、すでに各省に御協力を願いまして節約の問題を進めたり、あるいは今後に見込まれます不用額というものでもって、先ほど申し上げました追加財政需要に対処していきたい、このように考えております。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁によりますと、予備費を充当したものは、現在災害の八十三億だけで、八百十六億円残っておる。ところが今後災害に対して予備費の充当がおよそ二百五十億円程度と予想され、すでに確定を見ておる稲作特別奨励費に二百二十五億円入れる。そうすると、あなたはもう七月実施という——さっき総務長官は、まだきまっておらぬと一点ばりでしたが、あなたはもう七月ときめておるわね。
  49. 谷口昇

    ○谷口説明員 かりに七月実施といたしてと申しますのは、五%、七月ということと関連がありますので……。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 かりに五百億といたしますと一千億だ。そうしますと節約を含めて——節約はいろいろ案があったようですが、新聞等によりますと、最終的には百億円程度でしょう。七%の三百億、三百億と予想しておったのですかどうですか。
  51. 谷口昇

    ○谷口説明員 その数字は、まだ実際に節約してみないとこれはわかりませんので、きょう現在では、ちょっとお答えいたしかねるところでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 節約ははっきり言わないわけだけれども、あなたのほうでは、新聞等を読むと七%くらいと考えたけれども、いやそれはいまの段階で、社会資本が不足だから、公共事業はしぼれぬぞとかいろいろやって、九月段階新聞等の報ずるところによると、百億くらいしか節約できないようだね。最初は二、三百億円だったようですが、そうすると千百億ですよ。予備費でやれるのですか。全部充当できるのですか。
  53. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど申しましたように、われわれのほうでは、現段階では節約額がどのくらいになるか、それはちょっとまだはっきりいたしません。しかしながら、予備費でまかなえるかどうかということは、今後の災害の発生状況とかその他見ていくわけでございますけれども、先ほど申しましたように、できるだけ現在の財政状況で処理をしていきたい、かように考えております。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 稲作の二百二十五億は、もう予備費で充当を確定しておるのじゃないですか。手続をしておるのじゃないですか。まだですか。
  55. 谷口昇

    ○谷口説明員 二百二十五億の問題につきましては、現在まだ、予備費で支出するということは、手続をとっておりません。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 従来の例からいきますと、四十二年度の予備費というのは六百億か七百億だったですね。四十三年度は予備費に人事院勧告財源等を五百億円程度見ることにして、千二百億円計上したわけですね。ところが、今度は四百四十三億円が給与関係費に入りましたけれども、予備費が三百億円減っておるわけですから、実質的には百四十三億円しか給与関係費の増は見ていないということですね。そういたしますと、予算規模もふえておるし、今度は二けたの勧告でありますから、もうあなた予備費が幾らになるかということを明らかにせぬでこの委員会を乗り切ろうとされているけれども、とても今度の予算でやれぬじゃないですか。はっきりしているじゃないですか。二百二十五億円も出すのだし、どうですか。
  57. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、われわれは現在の追加財政需要と、現在の予備費それから節約費用あるいはその他を見込みまして、できるだけ対処していきたい、かように考えております。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 できないことははっきりしているのだが、そこでひとつ違った面からお尋ねします。  ことしは私は寡聞にして、五兆七千億という当初予算に組んである税収が、どのくらいの自然増になるのか、どういうふうになるのかということは、ついぞ新聞には書かれていないわけですね。従来でありますと、もう七月くらいになりますと、当初予算に計上してある税収をどの程度上回るのかというようなことはたいていの新聞に出ている。この委員会でも、八月段階くらいで、かつて大蔵政務次官等にその見込みを聞いたことがあるわけですけれども、ことしは、寡聞にして、ついぞどのくらいの税収があるかということを書かれた新聞は、私は見ていない。察するところ、大蔵省が箝口令をしいて、一切この辺はノーコメントといっているのじゃないか。  そこでお尋ねしたい点は、一体四十四年度の税収は、予算に計上してある税収に対してどのくらいの自然増収が見込まれるのですか。あなた専門じゃないけれども、責任をもって来ているのだから、お答え願いたい。
  59. 谷口昇

    ○谷口説明員 四十四年度の自然増収につきましては、すでに八月末におきまして租税及び印紙収入状況が二兆三千十八億円でございます。これは予算額の五兆七千三百八十一億円に対しまして進捗割合は四〇・一%になっております。これは前年同月の対決算期の進捗割合に比べますと、一・一ほど上回っており、ほぼ順調の収入状況にある、こういうように考えております。しかし昨年の八月末当時の対当初進捗割合が四〇・九%という形になっておりまして、これを比べてみますと、二・一ほど昨年より上回っておる、こういう状況になっております。したがいまして、その幅は縮小しておる、こんな感じでございます。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 この「金融財政事情」という雑誌の九月号ですが、これによりますと、七月の租税及び印紙収入の実績というのは、予算に対して三一・〇%ですね。昨年の同期は三〇・三%なんですね。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、〇・七%ことしは伸びておるわけですね。とりわけ源泉分は三三・五%ですから、前年分と比べますと、一・五%上回っておるわけですね。特筆すべき点は、法人税が三六・三%で、去年の三三・三%を三%上回っておるわけですね。それから同じこの雑誌に「税収の進捗から揚超幅いちだんと増大」ということで、八月と九月の租税の収入見込みが書いてありますが、これは前年比、八月が一六%の増、九月が、見込みですけれども、一二四%と二四%の伸び、こういうようなことになっておるわけですね。そういたしますと、私はかなりの自然増収が期待されるのではないか、こう思いますので、どの程度なのか、もうこの段階ですから、おわかりでしょうから、ひとつお漏らしをいただきたいと思うのです。
  61. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど来の数字の点を申し上げるわけでございますけれども、税収の見通しというものは、実は毎年九月末決算の法人をある程度推計しませんと、これは、その年の状況が必ずしもわからないという形になるかと考えておりますが、いずれにいたしましても、本年度の収入状況につきましては、御案内のとおりに、九月末決算の法人といいますのは、実は十一月の申告が出てこないと正確にはわからないわけでございますけれども、この九月末決算の法人の申告状況とかそういったものは、いまの段階では、それぞれ未確定でございますので、われわれのほうでは、これを明確に推計するのは困難、かように現在では考えております。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 この間、やはりこの雑誌に、六月決算の会社の法人税の見込みが出ておりましたが、これもきわめて好調なんですね。  それではお尋ねいたしますが、ことしの予算の前提になっております経済の伸びは一四・四%でしょう。ことしは一体どのくらい伸びる見込みなんですか。お答え願いたい。
  63. 谷口昇

    ○谷口説明員 ことしの見込みにつきましては、私ちょっとお答えいたしかねる、そういう状況でございます。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省のエリート官僚と自他ともに——他はどうか知りませんが、自認しているあなたが、経済見通しをお答えいたしかねるという、そんなばかなことはないですよ。経済の見通しなんですよ。経済の見通しなんですよ。お答えできないのですか。この間、新聞に通産省なりあるいはいろいろなところで、四十四年度の経済見通しを発表いたしておりますね。通産省の見通しは一八・三で、政府の見通しの一四・四をかなり上回っているんですよ。どの新聞を見たって、大体一九%くらいというのが、四十四年度の経済見通し、そして実質の成長率というのは、政府の言っている名目成長率にほぼ一致する一三・三%になっている。だから、当初から名目一四・四、実質九・五というのは低過ぎるのじゃないか。これは、あらゆるところからこの問題は問題になったくらいで、あなたが見通しを——確定じゃなしに、見通しを聞いているのだから、答えられないというのはおかしい。全然わからぬのですか。
  65. 谷口昇

    ○谷口説明員 私としては、ちょっとお答えいたしかねます。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 五兆七千億という四十四年度の税収は、経済の伸びの一四・四というのが基礎になって算定されているのでしょう。そうでしょう。その伸びが一三・三——通産省の見込みが一三・三になっているのだから、税収の自然増は必至でしょう。どう言ったって、自然増収が二、三千億くらい出ているはずだ。だれが見たってそうですよ。いま一体あなたのほうでは、国の税の弾性値は幾らとつかんでいるのですか。今度の五兆七千億は、一四・四をはじき出すために弾性値は幾らと見てはじき出したのですか。——だめだ、だめだ、これが答えられないのじゃだめだ。委員部、税のほうを呼んでもらわなければ話にならないじゃないか。
  67. 谷口昇

    ○谷口説明員 実は、私専門家でございませんので、必ずしも正確に答えられるかどうかちょっと問題があると思いますが、現在のところ、主税局のほうにおきましては、弾性値をもとにして歳入見積もりをやっていないということでございまして、弾性値につきましては、主税局では計算をしていない、このようでございます。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 弾性値をもとに、弾性値だけで計算してないということは認めます。弾性値というのは非常に重要な見込みの指標になることは間違いないわけですね。大体国税の弾性値というのは一・四三ぐらいといわれておるわけです。そうしますと、経済の伸びが、一四・四の通産省の見通しどおり一八・三になりますと、相当税の自然増収はあるわけですね。いま昭和四十五年度の予算編成、八兆二千五百億という各省の要求に対してどう予算を編成するのかという形で、いま自治大臣——また例の交付税問題がやり玉に上がっているということは、いま盛んに新聞とか雑誌とかに出ていますね。その前に、あなた、一体四十四年度の税の収入はどのくらいになるのかという中間項がはっきりしない限りは、先のことは議論できないでしょう。ですから、あなた給与課長ですから、その辺のことばおわかりにならないかもしらぬけれども、税の自然増収というのは相当額ある。これは必至だろうと思うのです。それをひとつお答えいただきたいというのですが、あなたは正直に、知っていて知らんふりしているのだけれども、ときには、はっきりした数字があるのに、もうそれの何分の一ぐらいしか答えない良心的でない者もいるけれども、あなたはおそらく答えないつもりで、歯ぎしりしているのだろうけれども、どうなんですか、自然増収があるということぐらいは認めるでしょう。
  69. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど自然増収に関しまして御答弁申し上げましたようなことで、要するに九月末の法人が出てみないと、われわれのほうでは正確な推計をいたしかねるという状況でございますので、まだこの段階ではお答え申し上げられないということでございます。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長、残念ですが、給与課長ではこれ以上論議ができませんから、ひとつ次の委員会には専門的な担当の人に来ていただくように、特に委員長で御配慮をいただきたいと思います。
  71. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 承知しました。なお、ただいま政務次官をさがしておりますから、もし間に合えば、政務次官に出席していただきます。
  72. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、給与関係でストレートに補正予算なんというと、給与課長としては答えにくいだろうけれども、あなたのさっきのお答え等からいきますと、総合予算主義というのは去年もくずれたわけですけれども、ことしもやはり補正予算が必至だ、こういうふうにあなたの答えからは当然出てくるわけでありますが、これはいかがですか。
  73. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど申しましたように、現行の一般会計歳出予算額の範囲内でできるだけ対処するというのが現在の姿勢でございまして、補正予算を組むつもりはいまのところない、かように考えております。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省お尋ねしますが、大蔵省は補正予算を組むつもりはないと、こう言っているわけです。そうすると、国のほうもおそらく給与改定ができないでしょう。自治体もできませんね。あなたのさっきの答えのように、かなり足らぬわけです。千三百億要るのに、合わせて千百二十三億しか見ていないわけでありますから、千百二十三億から五十億減ったから、千七十三億、それしかないわけですね。実際は千三百億要るわけだから、二百二十億円ばかり七月で不足、完全実施の場合は千六百数十億要るわけですから、たいへんな不足になりますね。どうなさいますか。
  75. 長野士郎

    長野説明員 お話のように、財政計画との関係におきましては、そういうふうな給与改定のやり方によりましては、財源措置を必要とするという問題が出てまいります。これはそういう意味でありますが、国家公務員給与地方公務員給与等につきましては、国家公務員給与に準じて考えていくということになっております。したがいまして、国家公務員給与をきめる際に、どういうふうな措置を講じていくかということを考えまして、地方公務員給与改定はそれに準じて行なえるようにいたしたいと考えております。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 補正予算を組まぬということになると、金がないわけだ。地方公務員の場合は、補正予算を組んで、交付税でもいただかなければだめなんですね。去年は幸か不幸か、大体において地方財政計画で措置したのを、若干特別交付税等で寒冷地手当等を見てやって、あとは十数億円も地方に、おまえたち何とか持てというような形で押しつけて、何とかなりましたが、ことしはそうはいかぬですね。先ほど総務長官が、去年ほど問題が単純でないということばをはからずも言ったわけだ。財源上の問題というのはたいへん大きな問題になっている。その財源上の問題も、自然増収があることは、はっきりしている。総合予算主義でありますけれども、補正予算を組まなければならぬということも必至の情勢であります。そういう情勢で、いまはっきり言っておりませんけれども、やはりこれは責任を持って、従来に準じた形で、のっとった形で、財源措置を自治省としてはする決意である、このくらいのことをここで言ってください。そうしなければいかぬでしょう。
  77. 長野士郎

    長野説明員 いま申し上げましたとおり、給与改定につきましては、国に準じた措置が地方においてとれるようにいたしたいということでございますが、そのために必要な措置としてどういうことを考えていくべきかという問題については、これからいろいろ検討をしなければならぬと考えております。従来の給与改定につきましての措置はいろいろな方式があるようでございまして、ただいまお話しになりましたように、特別交付税でやるとかあるいは補正予算で措置をするとか、借り入れをやるとか節約をするとか、いろいろな方式があるようでございますから、これらの方式のいいものを組み合わせるとか組み合わせないとか、簡明にやるとかやらないとか、いろいろな問題が出てくると思いますが、要するに国がとりました給与改定の措置に準じて地方でもとれるような措置は、これは講じなければならない、こういうふうに考えております。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に要望だけしておきますが、同時に何とでもしてやるという長野財政局長の御答弁だと私は理解します。  そこで問題は、いかに努力をしても、今日の社会、経済情勢の中でどうにもならない、たとえば地方公営企業関係給与改定の問題もあります。地方公務員でございますから、ひとつこれも国家公務員に準じて実施できるように、特段の御配慮を要請をして、一応質問を終わっておきます。
  79. 鹿野彦吉

  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国家公安委員長にお尋ねをいたしたいと思います。  いま給与改定の問題を議論いたしておりましたが、現在の警察のたてまえからいけば、警視正以上は国家公務員、それから警視以下は地方公務員でございまして、警察全体の予算を考えましても、国費は一二%、八八%は自治体の財政でまかなわれていることは、国家公安委員会もよく御案内のとおりであります。したがいまして、警察職員の給与改定をいたします場合も、当然これは地方財政にどうあるべきかということを抜きにしては、荒木国家公安委員長、あなたの部下の警察官の職員の方々の給与改定もできない。そういう意味では、現在の警察の制度は都道府県警察を中心とした組織になっているということは、ひとつ給与改定の際にも十分念頭に置いていただきたいと思います。  さて、そこでお尋ねしたいのは、去る九月の十八日、警察法施行令の附録を改正いたしまして、警視庁に警視副総監を置くということにいたしたようでありますが、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。この警視副総監は、警察官の位でいけば当然警視監だと思います。常識的に私ども考えれば、警察長官、それから警視総監、それから警察庁の次長、次いで、警視副総監というものができれば警視副総監、こういうような序列になるのじゃないか、こう思うのでありますが、そういった身分のある方を、この警察法施行令の、しかも附録ですよ、警察法施行令の本文ではなくて——本文以下に附則がずっと書いてありますが、附則のあとに附録というのが書いてあります。この附録でもってこの副総監を置くということをきめるということは、手続的にいっても、私は非常に奇異に感ずるわけでありますが、なぜこのような措置をおとりになりましたか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  81. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 まあ、副総監は総監を助ける調整機能と申しますか、整理機能を分担させるということで、いわば警視庁でいえば警視総監と各部長の間にある職であって、法律で規定しておりますのは、警視総監とか本部長、ないしは警察長官というものを法律上の職としてさめておると理解いたしております。したがって、各本部長と同じような意味合いにおいて、附録の末尾に、警視庁には副総監を置くという趣旨で、そのことまで警視庁とも十分意見を交換しながら、政令の定める基準という意味で、附録に警視副総監を設置するということを表現いたした次第でございます。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいま公安委員長は、警視庁と相談をしながらやったと、こう言われておりますが、この場合東京都知事とはどのような具体的な御相談をされましたか、そのことをお尋ねいたしたいと思います。  それから、私先ほど申し上げたのでありますが、非常に身分の高い方のようであります、置くとするならば、ですね。当然警察庁の序列からいえば、道府県の本部長などよりはずっと上席の方ですね。そうでしょう。警察法を見ますと、警視総監及び各府県の本部長あるいは地方機関としての管区本部長、こういった方につきましては法律で規定をしてあるわけですね。ところが、この身分の低い人は法律で規定をしておりながら、それよりも身分の高い警視副総監については、警察法施行令のしかも附録でやるということは、私は筋が通らぬと思うのですな、そうでしょう。附録というのは、読んで字のごとく附録なんですから。この二つはいかがですか。
  83. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 一見御指摘のような気持ちもせぬではございませんが、制度論から申し上げれば、警視総監、各本部長あるいは管区局長という、対外的にも独立の機構の代表者として行動をする、いわば行政機関の長という立場にあるものだけを法律で定めるというのは、たてまえとしては、立法技術的には一貫しておる立て方かと思います。副総監というものは、表面に立ちまして警視庁部下四万人を率いて、対外的にも自己の名において行動するという立場でなくて、いわば補佐官であります。したがいまして、官そのものは警視監をもって充てるといたしましても、他の道府県の本部長も警視監があり、警視長という身分の人もあり、そこで警視監をもって充てる本部長はやはり同様の立て方でもって、各公安委員会の規則でもって規定するということになっておるかと思いますが、基本的な問題は別といたしまして、やはり行政組織の基本的な立て方からいきますれば、筋は通っておると私は思う。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 お答えが一つ足りませんね。警視庁と、副総監を置くことについていろいろ相談したということは言われた。ところが、先ほど申し上げたように、予算は、全警察の八八%は自治体が持っておるわけですね。ですから、警視庁を動かす場合の予算も、九割は……、東京都が支出をする経費が多いわけです。しかも警視副総監というものの任務を見ますと、警視総監を助けて、庁務を整理する職として副総監を置く、警視総監の代理をしてやることもあるでしょうから、警視庁の九割をまかなっている東京都知事と連絡することは、私は当然だと思うのです。そちらについての連絡は一体どうなっておるのかということですね。  それから、警察庁には次長さんがおりますね。この警察庁次長は、警察法の第十八条に(次長)というものがあって、「警察庁に、次長一人を置く。」「次長は、長官を助け、庁務を整理し、」云云と書いてある。同じ職じゃありませんか、警視副総監だって。ですから、身分からいっても、その役職からいっても、当然警察法で書くべきものである。警察法を改正して、置くなら置くという手続をとるべきである。しかるに附録とは何ぞや、こういうことなんですね。それはいかがですか。
  85. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 警視総監からは、事実上私も口頭で副総監を置くことの必要性を、陳情を受けたことがあります。文書でどうなっておるか、私も承知いたしません。美濃部都知事と私の間には、この問題については、今日まで一言も相談をしたことはございません。それは毛ぎらいしておるわけじゃございませんで、自治体警察とは申しますものの、経費の負担その他は、法律上直接法で知事部局で処理する、その負担のやり方は別途定められておる。警察行政それ自体としましては、東京都公安委員会が表面の制度上の相手方であります。東京都の公安委員長それ自体と私は接触は持っておりませんけれども、それを補佐すると申しますか、立場にある警視総監からは口頭で、これも何かついでのときではありましたけれども、公にその陳情を聞きました。事務的には、むろん警察長官以下の担当者との間に十分な話し合いは持たれておるはずでございます。そういうことでございまして、むしろ知事さんやら知事部局に、私の立場で直接法で公に接触しますことば、制度上は、これは制度を乱るものであろう、こういうふうな筋道であると心得ますので、ことさら接触はございませんでした。  それからさらに、警察庁の次長は法律できめておるのじゃないかというお説でございますけれども、これは私の理解によれば、各省庁に次官ないしは次長がございます。国家行政組織上の必要性から、次長まで法律上の職であり官である者として定めておることは、御承知のとおりと心得ます。一定の地位以上の者は国家公務員とするとなっておる。自治体警察ではございますが、全国的な視野から、このような一種のミックスしたような制度が適切であるという立て方で、警察法の改正以後そういう立て方にはなっておりますが、警視庁に次長に相当するような副総監を置くという課題は、先刻申し上げましたとおりの、一般の自治体警察の組織、機構の扱い方と同列に置いて措置をするということのほうが筋が通るであろうと申し上げたのも、その意味でございます。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 官房長さんお見えですから聞きますが、政令を改正して施行したのは九月十八日ですね。いまの国家公安委員会のお話ですと、警視総監とは話をしたが、都知事とは、毛ぎらいしたわけではないがというまくらことばがありましたが、話したことはない、こういうことですが、そうしますと、警察庁の部局としては、さっき言いましたように、警視庁の予算の九割は都が支出するのですから、大いに関係あると思うのですよ。しかも自治体警察、都道府県警察なんですから、地方自治のたてまえというものは十分尊重しなければいかぬ。そういう中で、一体いつ東京都知事、知事部局とは御連絡をし合ったのですか。
  87. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  ただいま先生から、いつ知事もしくは知事部局の機関といろいろ話をしたかということでございますが、これは警察庁といたしましては、先ほど大臣の御答弁にありますように、いたしておりません。しかしながら、御案内のように、東京都と東京都公安委員会という関係におきましては、私の知っております限りにおきましては、八月段階におきまして、知事を補佐されるいろいろな機関が最高機関からいろいろございますが、こういう方々にいろいろと申し上げて、また御意見も承っておった。最終的には、私の記憶しておることが間違いございませんければ、九月の十九日に警視総監が都知事と面会をいたしましてお話しを申し上げた、かように承知をいたしております。
  88. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、正式に警視総監から都知事にお話があったのは、政令が公布をされた翌日——政令公布が十八日ですね、そうしますと、翌日、事後承諾のようなかっこうで話があった、こういうことになりますね。  そこでお尋ねしたいのですけれども新聞にも都知事の談話といたしまして、都民の税金でまかなわれている警視庁の組織上の重大な変更が、国の一方的な意思により、政令の形で押しつけられるのは、地方自治にとっては大きな問題だ、強い不満の意をあらわしたということが報道されております。  そこで、この政令についてお尋ねしたいと思いますが、この「副総監一人を置くものとする。」という表現ですね。法律的には、副総監一人を置く、置くものとする、置くことができる、こう規定がいろいろあると思うのです。そうすると、置くものとするというのは、置かなければならぬというのと、置くことができるというものとの中間のような表現のように受け取るのですが、この場合、政令がこうなっても、置かねばならぬということとは違うわけですから、都として、都の事情によっては置く必要がないということを、条例提案権は知事にあるのですから、条例提案権のある知事がそう判断して、そして条例提案を、今回の場合はしたようでありますが、かりにしなかった場合にも強制力というものはない、かように考えるのでありますが、それでよろしゅうございますか。
  89. 富田朝彦

    ○富田説明員 最初に、事後承諾かというお話がございましたので、ちょっとその点に触れさせていただきたいと思います。なるほど、総監が正式に都知事に面会をいたしましたのは十九日であると記憶いたしておりますが、その以前に警視庁の関係各部長が、総監の命令を受けまして、副知事その他各機関にいろいろ御相談をいたしておりますので、私どもとしましては、正式には十九日でございますが、それ以前の段階において知事の耳に入っておったのではなかろうか、これは推察でございますが、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから、第二のお尋ねでございます、置くものとするということは、先生のお説のとおり、あるいは中間的なものではなかろうかと存じます。これは、ここにございますように、基準を示しておるというような意味において、そういう表現をとったものと一応は解しております。すでにこれは、美濃部都知事は、いろいろな事情を勘案されまして御提案になっておられますので、やや理論的にどうかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この副総監という職は、いわば地方機関の職でございますので、身分は高い警察官がつくという現実問題はございますけれども、地方機関の——地方といいますか、都道府県の内部組織に属することでございますので、政令を受けまして条例でかりに定めない、こういうことでございますならば、警察の組織が、一都あるいは一都道府県というものでいろいろ独自性はございますけれども、御案内のように警察の全国的な治安というような立場からいたしまして、その辺が、地方自治とそうしたものとの調整といいますか、手ごろな調整点というような意味合いにおきまして、かような職が提案されないということは、私どもは、やはり警察法のこういう形で定めておりまする趣旨に反するのではないか、したがいまして、まあ妥当性を場合によれば欠くことがあるのではなかろうか、こういうように考えております。
  90. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁は、警察法の第四十七条に「警視庁及び道府県警察本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。」、こういう条項があるからという趣旨で、そういう御答弁をされたのだろうと思いますが、荒木国家公安委員長にお尋ねしたいと思うのですが、私はそこが問題だと思うのです。  少なくとも、都道府県警察は自治体警察ですよね。そうして、経費についても八八%が地方財政でまかなわれておるという現状です。かつて警察官の五千人増員でも問題になりました、政令でもって各都道府県の定員をきめれば、それに従わなければならぬということでは、これは住民のコントロールというものが全くないではないか。今度の場合もそうですね。政令の附録というもので、警視副総監というものを置く意図についてはまたあとお尋ねしたいと思いますが、それはともかくとして、置くということを政令の附録でぽんと政府がきめる。これはいまのような御答弁でございますが、警察法四十七条によって、警察は国のコントロールというものもなければならぬから、どうしても置いてもらわなければいかぬ。そうなれば、もし警察法の改正で警視副総監を置くということを書くとするならば、少なくとも国権の最高機関たる国会議論をするわけでありますから、一般国民がこれに関与する場というものが与えられるでしょう。ところがその警察法は改正しない、附録でやる。そうすると今度は条例できめるわけでありますが、その場合の都道府県議会、いわばこの場合は都議会であります。都議会の場合も形式的には議論はあるようであります。しかしこれはもう基準だから従わなければならぬということで、いわば強制力のような形で、警察官の増員も都に押しつけられる、副総監を置くことも押しつけられるということは、私は国民のための警察、住民のコントロールというたてまえからいけばたいへんおかしいと思うのです。ですから、そういう全体を考えた場合に、副総監は少なくとも警察改正という形で措置すべきものではないか。附録で措置して、そうして警察法のたてまえを押し通すということになれば、議会の論議というものは非常に形骸化されたものにしかならぬじゃないか。そういうことでは、現在の警察法のたてまえ、都道府県警察のたてまえというものからいって、たいへん問題があるというふうに考えざるを得ない。大臣、いかがですか。
  91. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 別に自治体警察であるから、知事部局を覊束するようなことそれ自体が不当であるとは私は思いません。政令の定める基準によって運営せねばならないと、法律は政令に具体的な事項を委任しておる。それが政令の本文でありましょうとも附録でありましょうとも、法律との関係においては、法律の委任に基づいて、法律の趣旨を具体化するための制度を法律が認めているという意味においては、御指摘のようなかっこうに一見見えますけれども、各都道府県知事、知事部局はこの基準に基づいて、それぞれの公安委員会の要請があるならば、条例を提案する責任を課せられるものと思います。それでは自治の機能を害するじゃないかという点は、自治体でございますから、都道府県の議会が、住民の意思を代表して、その条例を合理的な何らかの理由によって、制定しないあるいは制定するという選択というか、自治体みずからの見識において判断する場は、条例をつくる関係において、さらにはそれに関連する予算の関係において、東京都ならば都民の意思は議会を通じて表明される、そういう立て方にしておるのが警察法の基本的な考えじゃないかと私は思います。完全自治体警察であったころもございましたが、それは実情に合わない。交通、通信その他の広域的な諸行政課題が、ことに警察課題がたくさんあるという現状に即して、自治体警察と国家全体の見地から見るところの調整機能ではありますけれども警察庁及び国家公安委員会にその機能を与えることが、自治体の住民のためにも、国民全体という立場からも、そのミックスされた状態が適切であるという法体制のもとに、いま警察は動いておるわけでありまして、したがって、法律の委任に基づく政令によって定められた基準には従わねばならない。国家、地方公安委員会はもちろんのこと、予算の関係、条例の関係においても、いま申し上げた趣旨においては知事部局も覊束されるものである、それが各地方議会でどう扱われるかはまた別個の問題である、そういうふうに理解することが適当な考えじゃないか、かように存じます。
  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではあれですから、最初に、まず副総監をなぜ置くかということをお尋ねしたいと思うのです。  本来、私は警察改正でやるべきだと思うのです。それを附録でやったということはたいへん遺憾だ。それじゃなぜ附録でやったのかということを推察いたしますと、結局当分国会が開かれる情勢にない。しかし警察はいま七〇年対策と称して、警視庁は三万六千人の警察官のうち、四十五歳以下二万人を動員する計画を立てているということを、前の委員会で私ども議論をいたしました。しかも本来警察で一番果たすべき刑事、それから防犯、この部を第二公安部、第三公安部というようなかっこうで編成がえをするというようなことも考えている。いま、三億円事件の犯人もつかまっておらぬときに、刑事部あるいは防犯部というものを公安部に編成がえをするということになれば、これはもうどろぼう天国になるじゃないかというようなことを、この前私は指摘いたしました。聞きましたら、全国で十七万の警察官がおる。それから四十五歳以下は全国で十万人おる。したがって、全国で十万人を動員する計画を立てておる、こういう話です。ですから警察本来の使命を忘れて、いま七〇年対策一本で対処しょうとしておる。その場合、首都である東京、その警視庁に副総監を置くということは治安上必要だ、こういうことだろうと思うのです。ところで国会で法律を改正するのは間に合わぬ。だから、附録ではかっこうが悪いけれども、七〇年対策の一環として、附録というかっこうで無理にこれを強行したというのが、私は真相ではないかと思うのです。そのことをお尋ねをいたしたいと思います。  さらに、本日の新聞を拝見いたしますと、知事と秦野警視総監の間で、四条件についてのいろんな議論がなされておるようであります。私は、少なくとも警視庁の予算の大半は、九割は都が見ている。国が見ているのはほとんどないわけです。そういう中で、知事として、重要な問題は事前に相談をしてくれとか、あるいは治安について知事に報告をしてくれとか、あるいは知事は公安委員の承認をするだけではなしに、今後重大問題については公安委員会出席をしたいとか、それから交通災害をなくすために都と警視庁の協力を強化するとか、こういうお気持ちを持つことは私は当然だと思う。そうではありませんか。ところがこういうことについて、いや、こういう金を出しているからいろいろ条件をつけることは間違いだというようなことを、秦野警視総監が述べておるようでありますが、少なくともこの都道府県警察、自治体警察、それから警察財政状況、こういうものを考えた場合に、副総監を置くことについては、政令を公布して一日後に、その事後承諾のようなかっこうで話をするというようなことではなしに、やはり事前に知事とも相談をされる。それから警察問題についても、できるだけ知事と警察当局との間で円満に話し合いをしていくということは当然ではないかと思うのです。私は、秦野警視総監の本日新聞に出ているような見解はきわめて遺憾だと思いますが、少なくとも荒木国家公安委員長が、政治家として大所高所に立ってものを考える場合に、こういう秦野警視総監のお考え方は遺憾だと、同じように思われると思います。その点の二つのお考え方をこの際聞いておきたいと思います。
  93. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 本来法律で定むべきものを、国会が開かれていない留守にうまいとこしてやろうなんという考えは毛頭ございません。先ほど来のお尋ねに対してお答え申し上げましたとおり、総監とか本部長とか、名実ともにその行政を国民に対し、外部に対し代表する立場の職は、たまたま官と一緒ではありますけれども、知事と一緒ではありますけれども、それは法律で定める。各警察本部の中の、あるいは警視庁の中の部局の定め方は、これこそ自治体警察立場に立って、それぞれの公安委員会の定める規則、内部規程に譲られておる、こういう立て方のもとに副総監を置く。かりに、いま別に考えておるわけじゃございませんけれども、他の府県に副本部長などという必要性が出てきた場合を仮定してみましても、それはやはり法律が政令に委任しておる。それを政令は附録ということで、各都道府県ごとに事情が違うはずでありますから、一々書き分けできないから、附録という便宜的な表現のしかたをしているにすぎない。軽視しているわけじゃないと私は理解しますが、その附録によって同じように処理する、こういうことが警察法ないしは自治体警察等、おっしゃるところのもろもろの法規等から見ましても、妥当であり、合法的なものであるという理解のもとに、政令を改正したような次第であります。  警視総監と美濃部都知事との間のやりとりの新聞記事は私も読みました。あの新聞記事なりに読みましても、別に不当なことではないと思います。ただ事実問題としましては、再々御指摘のように、東京都民のふところから出た税金、少なくとも都の歳入の中から人件費はまかなわれ、物件費もまかなわれるということは事実であります。そのことのゆえに、当然に警察の中央、地方の制度ないしは運営上の法律の基本線をひん曲げて、国家公安委員会に知事さんが出かけていくようなそんなお話やら、あらかじめ警視総監が報告しなければならぬなどということを制度論としておっしゃっておるとすれば、美濃部さんのほうがアウトだろうと思います。ただ実際問題としまして、予算を要求せにゃならぬ、あるいは今度の問題でも、条例の制定を知事には頼まなければならぬ、そういう立場から、都の公安委員会が正面の責任者と思いますが、実質的なその補佐役あるいは制度上も直接知事部局との接触の機能を持っておると思いますけれども、そういう事柄について、知事との御相談ないしは知事部局のいろんな指示に従うということはあり得ると思います。そういうこともありますから、制度論としては、条件などと開き直られれば、理論上はそれはおかしいと申し上げざるを得ませんけれども、実際問題としては、何も敵味方じゃあるまいし、一緒になって都民のために向こうが金を出し、あるいは条例をつくることを議会を通じて努力するという、その範囲で警察の問題についても都民へ奉仕する、その不離一体の立場を円満に遂行する意味において、警視総監が、美濃部さんから言われなくたって、十分の連絡をすることは、これは実際問題としては当然のことだと思います。それを、条件なんということを言われたかどうか知りませんけれども、そういうふうなしゃちほこばった課題としてならばいただけないことじゃなかろうか。真相そのものを知らないままで申し上げているので、ことばが過ぎた点があるかもしれませんが、その点はお許しをいただきますが、理論的には、制度論としては、筋としては、条件などというものじゃない。それは事実問題にまかさるべき課題、一種の政治課題とでも申しますか、法律論としてしゃちほこばった根拠があるのないのという問題でなしに、実際上は十分に連絡をして円滑な運営をされることは、警視総監といえども当然の職責に関連した態度でなければならぬ、かように思います。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これでやめますけれども、そうしますと、いまの御答弁を聞きますと、この条件というような形で伝えられておりますようなごくあたりまえな事柄、こういうものは、警視総監がみずから進んで知事と連絡をし合うなり話し合いをすべきものである。制度とは知事も言っていないと思うのです。大臣は制度というようなことを言いましたが、伝えられるような条件については、警視総監と知事との間で十分実質的に連絡し合うのが至当である、こういう御答弁だったと思いますが、私はやはりそういう気持ちで、あなたの管轄下にあるのだと思いますが、全国の、警視総監あるいは都道府県の本部長というものが、当該の知事部局と十分に円滑な連絡をとるように、これはやはり国家公安委員長として十分配慮いただくことが至当ではないか、かように思います。  それから、野田自治大臣がおりますから、私は一言申し上げたいのですが、従来は自治大臣国家公安委員長を兼ねるのがいわば常道でございました。私はこれはたいへん意味があると思う、都道府県警察、自治体警察なんですから。しかも繰り返し言いますように、警察経費というものは地方財政が八八%までまかなっている。こういう中で、大臣のうちだれを国家公安委員長に兼務させるかといえば、そういう意味では、行政管理庁長官よりは自治大臣国家公安委員長を兼ねることが、私は現在の警察法、警察の制度からいって妥当だと思う。そういうことがいままで繰り返されてきたように思います。私は意味があったと思うのです。今回、どういう意図か知りませんが、行政管理庁長官国家公安委員長を兼ねられました。あるいは荒木さんが警察に非常に向いているようなお顔をしているということもあったのだろうと思いますが、その点は私も知りませんが、少なくとも自治体警察、都道府県警察でありますから、地方自治のたてまえからいって、地方自治体の長と十分連絡をしてやることが至当である。制度の上からいってもそうだし、地方財政という面からいっても当然そうだ。そういう意味では、警察の運営については地方自治を十分尊重するというお考え方は、私は自治大臣にあるのじゃないかと思う。地方自治警察との関係について、自治大臣としてのお考えを聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 野田武夫

    野田国務大臣 山口さんから、自治大臣国家公安委員長を兼ねたらいいというお説ですが、これはひとつ総理大臣にお聞きになるように——どういうわけでしたか、私も、荒木国務大臣もおわかりにならぬと思いますから、お答えはできぬと思いますが、いまお話しの自治体警察と自治体の行政機関との関係ですね、これはいま公安委員長からもお答えがありましたとおり、やはりできるだけ話し合って、お互いに連絡をとってやる。そして警察行政のことにつきましても、できるだけ自治体と理解し合ってやる。これは私は非常にいいことだと思います。いま私は東京都のことは知りませんが、私、公安委員長の御意見は全く賛成でありまして、できるだけそういうふうにすべきだ、また、してもらいたいという感じがいたします。
  96. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 太田一夫君。  なお、ちょっと太田委員にお願いしておきます。荒木国務大臣は、きょう当初から、他に所用がありますので、十二時までということでありましたが、特に三十分だけ延期していただくことにしたわけでございますので、まことにすみませんが、十二時半までに質疑を終了していただくよう、お願いしておきます。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 できるだけ協力申し上げます。  先回の委員会におきまして、交通反則金制度に関連する点数制、これは即免停制度につながりますから、反則金制度を四十二年にきめ、このたび政令をもって点数制による免停制度を創設されたことに対して疑惑を感じまして、交通局長にお尋ねをいたしました。その際の御答弁が、四十二年に道交法を改正する当時の警察庁当局、公安委員長の御説明といささか背離いたしておりましたから、公安委員長として正式にあらためて、道交法の改正当時にやらなくて、今回政令でもって点数制を創設し、そして反則金制度と結びつけた理由についてお答えをいただきたいということをお願いしておきました。これについて公安委員長からお答えいただきたいと思います。
  98. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お尋ねに対して精密にはお答えいたしかねますが、あらかじめお許しをいただいておきます。  趣旨としましては、今度の十月一日から実施することになりましたいわゆる点数制、これはむろんそれ以前にはなかったことは申すまでもございませんが、反則金をとることそれ自体が一種の過料みたような性質のものかと心得ますが、それによって道交法違反を犯した運転者に対し、あるいは関係者に対して、警告を発するということに効果を嘱して、それを望んで反則金制度ができたものであります。その反則金を納めるという制度のときでも、道交法違反がありますれば、行政罰はあわせて科しておったと承知をいたします。程度によっての差はある程度あるといたしましても、たてまえは、反則金を出したから一切が行政処分の対象にならない、免許証の停止とか召し上げるなんということとはつながらないというたてまえじゃなくて、反則金は反則金、行政罰は行政罰として併科するというたてまえはそうであったと承知をいたしております。今度は十月一日からそれにプラス点数制というものが加わってきた。それはこの行政罰を科するにあたって、免許証の停止とかあるいは取り消しということをやるにいたしましても、反則金とともに、点数をずっとその情状に応じてあらかじめ予定しておきまして、十五点か何点かになればアウトだぞということで警告をしながら、反則金及び点数両面でもって、警告を発しながら事故を減少させ絶滅を期したい。同時に、あるときに至れば行政罰が取り消しとか停止とかいうことにつながりますよということで、それを全部あわせて、この交通戦争に対処するにはより効果的であろうということで新たな点数制が加わったものだ、かように心得ます。  具体的な事例も、私も疑問がありますから質問したこともありますが、部内で聞いてみましても、ものによってはいままでよりは違反者に対しては軽く行政罰が適用されるということもあり得るけれども、悪質の違反者に対してはいままでよりは厳重な行政罰が科せられるということで、軽重両面をあわせ考えながら、交通事故の減少、道交法違反の減少ないしは絶滅を期する方向へ活用しよう、こういう制度が今度十月一日から追加された、かように理解しておるわけでございます。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、私がお尋ねすることは、この前局長とずいぶんやったわけですが、私が納得ができなかったのは、当時立法の精神の御説明の中において、当時の国家公安委員長は藤枝さんでしたが、その御説明は、反則金というのは刑罰、行政罰ではない、反則金には行政罰は伴わないという御説明であった。それがあなたによると、それは当然つながる場合もあり得るんだという話になると、さらに違ってくる。  それからもう一つは、反則金は罰金ではありません、だから聴聞会とか交通裁判とかいう手続がなくて、納めればそれでよろしいものだということだった。ただ問題は、反則金を納めれば事が済むなら、駐車違反のところへ車を置いておいて駐車違反して、三千円ずつ納めていけばいいんじゃないかというやからをどうするかという問題がその当時から議論されていたけれども、それはドライバーの良心にまとうじゃないかというようなお話であった。ところがいまのお話を聞いてみますと、何か反則金を納めた者が免停になることはいままでの制度であり得たのだ、そういうようなお話でありますが、それはいささかこの前のときの、四十二年の改正当時の説明と違う。反則金は免停の制度はついておらない、これはあなたお確めの上のお話でございますか。
  100. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私もにわか勉強のぺいぺいですから、あなたほど正確にお答えし得ないおそれはございますけれども、私の理解によれば、反則金というのは刑罰ではむろんない。行政罰と通称される従来の概念とはちょっと違うかしらぬが、しかし一種の行政罰であるという理解に立たなければ説明は困難じゃなかろうか、かように思います。さらに反則金を納めてもなおかつ、たとえば免許証の停止、取り消しなどということにつながる意味において併科されることが、十月一日以前の道交法に基づいてもあり得たんだという具体的事例につきましては、事務当局からお答えさせていただきますが、私の乏しいにわかづくりの常識は、以上申し上げたことに尽きます。もし間違っておるところ、不足の点があれば、事務当局からひとつ補正し、補充していただきます。
  101. 久保卓也

    ○久保説明員 反則金のある場合に行政処分はないではないかというお話でございましたが、実は御承知のように、反則金を納めれば刑罰には処せられないということで、言うならば、従来軽微な犯罪といいますか、軽微な道交法違反について罪が問われておったものを、反則金という制度に変えたということであります。もちろんまだ刑罰の余地は残されておるわけでありますが、少なくとも反則金を納めれば刑罰は追及されないということであります。ところが、いま大臣もおっしゃいましたように、行政処分というのはそれとは別個の体系であることは申すまでもありません。したがいまして、刑罰に変えて反則金をという制度をとりましたから、行政処分という片方のほうはまだ残っておるわけであります。したがいまして反則金制度をとりましても、行政処分はそれぞれの態様に応じて行なわれるということになります。  なお前段の御質問にございました反則金制度を採用する場合の説明文といたしまして、先回も御質問になり、またただいまも御引用になった事柄は、違反な行為の大部分について、道路交通に具体的な危険を生じさせたものでない限り、道路交通秩序に違反する反則行為としてとらえるというような文案をさしまして、これは罪ではなくなったのではないかというような御批判もあったわけでありますが、この道路交通秩序に違反する反則行為という表現は、道路交通法違反のいろいろな態様の中で比較的軽微なもの、したがってそれは具体的に非常に悪質なあるいは危険な行為ではないけれども、交通秩序に反する行為であるというような性格づけをここで説明しておるということでありまして、これは道路交通法に違反する行為でないということをここでいっておるわけではございません。したがいまして、少し調べてまいりましたところが、昭和四十二年六月二十二日の地方行政委員会で、当時の藤枝国家公安委員長が提案理由において説明されました中で、「大量に発生している自動車等の運転者の道路交通法違反事件のうち、現認、明白、定型のものを迅速かつ合理的に処理するため、」云々ということになっております。つまり道交法違反の中ではっきりわかる定型的なものをとらえて、これを反則行為とするのだという御説明がなされておりますので、私ども考え方としては、性格づけの説明は前段に申されましたごとくであり、その実質的なことは、いま私が御説明申し上げたことで前後の矛盾はないものと考えております。
  102. 太田一夫

    ○太田委員 大臣にお尋ねしますが、昭和四十二年七月の当時、警察官というものは歩行者保護の役割りを果たすことであり、点数かせぎをやるべきではないという基本的な態度警察庁としてはまとめ、これを管下各都道府県警察に対して指示をなさったはずであります。その中に、一つの表現といたしまして、軽い交通違反については罰金をやめ、反省してもらうという趣旨のものだ、そういう意味から反則金制度をつくる、今後反則金制度の手引きというものもつくって遺憾なきを期する、こういう対策をおとりになったはずである。これは当時国会においても、片岡課長あたりからそういうような具体的なお話があって、われわれは、反則金は行政処分である免停につながらない、あるいは免許証の仮停止処分をつくったときも、これは人を死傷させたという重大な事故を伴った場合であって、反則金を適用するような軽いものではない、そういう場合は警察署長に仮停止二十日以内という専決権を与えることを、ここにおいて認めたわけです。ところが今度は比較的軽い点数制によって、持ち点によって一挙に無差別に画一的に免停処分をするということについては、これは反則金制度をおやりになった当時には、説明を必要とするのだ。説明がないままに今日おやりになることは、私は少なくとも政令の範疇に属するものではないのだろう、こういうふうに理解する。大臣、どうですか、当時の説明をもう少しあなたも御検討いただくことが必要なような気がするのですが。
  103. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私は、さっきお答え申し上げたように理解しておるわけでございます。反則金制度そのものは、金銭的な負担を伴うことによって、事故を起こした者に反省させるという効果に相当の重点を置いたねらいであったことは、当然だと存じます。それにプラス今度の点数制にしますことによって、行政処分がより合理的にと申しますか、軽いものは反則金と似たような効果を、一点とか二点つけられることによって、警戒信号を与える、それからだんだんと不用意が高じていけば免許証の取り消しにまでつながりますよという意味において、反則金とあわせて、事故を起こさないように運転者自身に警告を発するという意味において両立するものであり、むしろ補完的な機能が加わるわけですから、警察行政、交通行政、交通戦争に対処する警察立場からいいますれば、また事故を起こした側——反省心のない者は別としまして、反省する気持ちのある者には、より一そう効果をあげ、本人のためにも、事故を少なからしめ、社会一般にも、交通戦争といわれるような、無責任と思われるようなばかなことが減っていくという意味で効果的である、かように理解をいたしております。
  104. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、私は別に、悪質なものが、点数制を採用されて、その点数がある限界に達したときに自動的に免停になるということは、きびしい反省を求める態度であろうと思いますし、そのことをとやかく言うわけではない。いわば、罰としてとらえない、違反としても軽微な違反として、秩序罰として、その場で反省を求める意味において、三千円なり四千円なりの罰金を納めなさい、そうすればそれで終わりです、したがって免許証はよごれませんといって、当時きれいごとでつくられた反則金が、今日駐車禁止違反、一方交通違反、右折の指示違反、あるいは横断歩行者より少し早目に行ったからというような違反の積み重ねをほんの二、三回やれば、免停二十日とかいうことは、いかにもドライバーに対する重大な罰の加重だと思うのです。  だから、なぜそれならば、あのときに、八十八条の免停なら免停という条件の中に、明らかにそのことを書かなかったか、九十一条の免許の条件というところに、なぜそれを明らかにして、反則行為をしばしば繰り返し、反省の異なき者というようなことを入れなかったか。この中を見ますと、そういうような条件は入っておらない。重大な事故を起こせば、当然これは反則金の対象ではありません。だから、重大な悪質な事故を起こした者にこれを適用するというならわかる。これを私は申し上げておるのでありますが、大臣、所見はいかがですか。
  105. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大体いま申し上げたことの繰り返し以上のことをお答えする能力がございません。能力はございませんが、一般論としては、私は、私の申し上げていることは妥当なことであると自分では思っております。いまのお尋ねに関連して、もっと具体的にその合理性というか妥当性をお答え申し上げなければならぬわけですけれども、それは交通局長からひとつ答えさせていただきます。
  106. 太田一夫

    ○太田委員 その前にちょっと……。私が委員長とお約束した国家公安委員長に対する質問は三十分までです。したがって三十分は過ぎておりますから、約束を守りまして、きょうは公安委員長は退席してもらってよろしい。その能力がないとおっしゃったから、これ以上の押し問答をしてもしょうがない。公安委員長は退席してください。交通局長にもう少し聞きます。しかし私は、あらためて交通局長はいろいろな具体的な問題について公安委員長に報告されて、四十二年にわれわれに説明されたその処分の考え方と、今日の行政処分のやり方とが一致しておるという証明を出してもらわなければ困ると思うのです。あのときはあのときだ、このときはこのときだでは困ると思う。反則金制度による点数制度をつくり、それが免停制度につながるというこの制度は、少なくとも法改正を必要とするというのが私の見解なんです。大臣、そういうことなんです。突然政令でおやりになることは困る。突然と言ってははなはだ何ですが、当時説明がなかったのですから、それを私は申し上げておるのです。  交通局長に一、二お尋ねしておきますが、なお機会を見て、この運用に誤りなきを期せられないと、せっかく交通警察官は歩行者の味方であり、生命財産を守られるということで、地域によっては相当敬意を表されておるのに、これでは非常な不信感を買うことにもなるから、ひとつあとで慎重にまた御相談をしていただきたいと思うのです。公安委員長、お帰りになってよろしい。局長からひとつ……。
  107. 久保卓也

    ○久保説明員 先ほどお話しになりました点は了承いたしました。大臣にもとくと説明しておるつもりでありますが、一そう克明にやっていきたいと思います。  それから、ただ一点特に申し上げておきたいのは、従来の反則金がある前の時代、つまり直接に道交法違反で処罰を受ける時期、この時期は軽易な違反でありましてもやはり行政処分を受けておりました。たとえば信号違反、これはおそらく二点だろうと思いますけれども、これもすぐに行政処分を一回で受けておったというようなことで、反則金制度の以前は、軽易な違反もそのつど行政処分を受けております。ところで事務的に申しますと、四十一年度の予算から点数制度の予算が認められたそうでありますが、四十三年の十月ごろから、本年の十月の点数制度の発足を前提にいたしまして、つまり政令がそのころ改正されましたので、そのころから、ことしの十月からの行政処分との権衡を期するために、軽易な違反については一回だけで行政処分をするというようなことはないようにという基準を設けまして、昨年の十月以降は軽易な違反については行政処分をやっておらないということであります。その点だけちょっと申し上げておきたいと思います。
  108. 太田一夫

    ○太田委員 私も、きょうはあとまだ一人おありのようでありますから、長い質問をする時期のゆとりがありません。したがって私はあとに譲りますけれども、信号無視で、この前々回のころに免停処分がついていたというときには、少なくとも本人の意見を十分聞き、警察において十分調書をとり、そしてその中において悪質なら悪質と警察当局あるいは国家公安委員会の判断があって、その免停処分というものがなされておるのです。今度の反則金を納めるということは、少々、その本人の申し開き云々ということはないのであります。納めればよろしいんですよ、それは郵便局へ持っていけばよろしいんですよ、不服のある方だけはこれを拒否してくださいという話である。なるべく反則金は軽易なものについては指導を中心にするけれども、現実にある一定の形のものに対しては納めてもらわなければならない。信号無視なら、六千円なら六千円を納めてもらわなければなりません。そういう軽易なものを反則金の対象としてとらえたんでしょう。それなら免停につながりませんよ。つながるものは当然別の、反則金でない重大な事故としてとらえてもらわないと困る、そういう説明であった。それをいまあなたのおっしゃるように、昔はそうだったから、この反則金になってしばらくしてゆるくなったらまた昔に戻るというなら、反則金をやめて、一々書類を作製し、具体的に言うならば、交通課長の前までひとつお呼び出しをいただいて、どういうわけであった、こういうわけであった、本人の弁疏も聞いていただいて、しかる後において反則金なり何なり取ってください、それに戻せばいいでしょう。反則金といういと、簡単な問題で、それでザ・エンド、終息のはずであったのが、今度それを取らないということになれば、重大な制度の変改だと思う。だから法律改正を求める。法律改正が必要だ。法律改正によって点数制がつくられ、それによって免停処分が行なわれることがあっても、私は別にとやかくのことは言わない。法律に基づかないから、当時そういうことを予想しておらなかった。そういうあとに対して保留部分はなかった。あったならばそれを明らかにしてもらいたい。どこに説明があるか。当時の四十二年の法改正のときにその説明があったら、それを明らかにしてもらいたい。
  109. 久保卓也

    ○久保説明員 当事の反則金というのは、何度も申し上げまするように、刑罰の処分に対する代替手段であった。行政処分については触れておらない。つまり、行政処分は従来もその後も同じであるという思想のもとにやっておったわけです。したがいまして、刑罰とこの反則金制度の関連につきましては非常に説明が行なわれておりまするが、行政処分は全然従来とその後も変わらないというたてまえ——変わらないというのは、二つの制度がそのまま存続されるという意味で、説明がなされておらなかったものと考えます。  なお、ただいまの御質問の中で出ておりました反則金以前の軽易な違反につきまして、公安委員会意見を求める機会があると申されておりましたが、九十日以上の違反について、公安委員会の聴聞を受けるということでありますから、軽易な事件についてはそんなになりませんので、従来も、また反則金の場合も同じであります。  なおまた、反則金になりますると、具体的に切符をもらった警察官のみにしか意見が申せないかというと、そうではありませんで、もし不服であれば、当然交通反則通告センターに行って意見を述べる。それでなおまた不満であれば、裁判所で意見を述べるというように、その措置は十分に講じられておるというつもりであります。
  110. 太田一夫

    ○太田委員 重要なものは反則金の対象にしないという原則があるんです。重要でないから反則金でしょう。基本的な問題がある。重要なものは反則金でありませんよ。だから、反則金の対象としてとらえたものは軽易なものだ。それが免停につながる道理はありませんよ。免停まで処分するんだったら、行政罰を加重するんだったら、少なくとも署長のところまで事情を明らかにして、本人の弁疏の機会を与えてもらわないと困る。昔のやり方に戻ってもらわなければ困ります。だから反則金をつくったときの精神の説明は、軽微な非常に軽い反則行為というものに対して、この反則金を科すのであって、交通違反事件というように重く見ない軽易なもの、それは交通秩序に対するところの罰だというような意味に表明されていた。今度そういうことはあまり多過ぎて、これじゃ困るから、この際おきゅうをすえてやろうということになった。それならなぜ法改正をやらなかったか。私はここのところで時間がないからきょうは終わります。そういう点、なぜ法改正をされなかったか。先回の改正のときに、なぜそういう説明をしておかなかったか。説明しておかなくて、あとに残されたものをなくして、保留された部分はなかった。そういうものをつくられたのに、なぜ政令でやられたのか。この理由をこの際明らかにしてもらいたい。
  111. 久保卓也

    ○久保説明員 何度も申し上げますように、いまお話のように、軽易な違反だけを取り上げて反則制度といたしておる、この点は間違いないと思います。これも従来の軽易な刑罰に処せられていた者を、一々全部犯罪者として扱うことは、いうならば数百万件に及ぶ違反があるわけでありますから、国民総違反者ということになりかねない、総犯罪者ということになりかねない。そこで反則行為ということでその点は救おう。しかし行政処分というものはこれは懲罰ではありません。社会に対する危険を排除しょうという形であります。刑罰と全然別個の形であります。したがいまして、以前も軽易な違反であっても、先ほど申し上げたように、行政処分は受けておったわけであります。ですから、これは反則行為となりましても、刑罰の態様がそう変わっただけで、行政処分のほうは、従来と同じように軽易なものでも処分をされる。しかしながらそれではあまりに軽易なものがすぐに行政処分を受けるということではいけないのでありまして、累犯者になった場合に、行政処分をするということに合理化したいというふうに私ども考えております。
  112. 太田一夫

    ○太田委員 見解の相違はありますが、もうすでに本制度は実施されております。今後運用上の問題その他について、さらに警察の基本的な態度等については、国家公安委員長も、残念ながら十分その問題については検討していらっしゃらないとおっしゃった。少なくとも交通の問題は、久保さんにまかせっきりで、ほかの問題のほうを一生懸命やっていらっしゃるので、学生諸君が騒ぐんじゃないか。そういうことではありませんか。あなたも交通問題は大問題だということをもっと御進講申し上げて、ひとつ認識を新たにしてもらわなければ困るじゃありませんか。一億一千万の人に、全部これから免許証を持たせない運動をしたらどうですか。あなたも反則金がめんどくさいならば、もう免許証制度やめてしまいなさい。私はどうもふに落ちませんが、あらためて機会を持ちます。以上で終わります。
  113. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 小濱新次君。
  114. 小濱新次

    ○小濱委員 私は野田自治大臣、それから財政局長と厚生省関係の方にお尋ねするわけですが、最初に自治大臣に聞いていただきたいと思います。  地方自治体において最近起こっている最大の悩みは泄泥処理対策問題、この問題についてはどこへ行っても同じような訴えを聞くわけです。この問題については、化学処理場及び終末処理場から排泄される沈でん物、これは通常泄泥または汚泥、このようにいわれております。この汚泥焼却施設に対して、起債及び国庫補助があるらしいのですが、非常にわずかということから、もっとこの問題について大きく対象にすべきである、このように思うわけです。  そこで、概要を少し述べてみたいと思います。最終処理としては、圧縮をして熱をかけてよく燃えるようにする。焼却が最良の方法、このように理解されておるわけです。この優秀な焼却施設が日本では考究されていない。それゆえに、焼却した際のこの臭気による公害の発生が起こるわけです。これを燃やしたときのにおいはたとえようがない、こういうふうにいわれております。こういうことからも、この処理施設に対して何億という金がかかるのだそうですが、全国市町村の自治体でこの施設をするとするならたいへんな設備投資をしなくてはならないわけです。こういうわけで、自治体の財政負担の点いろいろの隘路があって、現下、自治体最大の悩みが起こっている、こういうことでございます。現在の処理方法としは、自治体では一部は海洋投棄をやっているところがある。これを集めて船に移して海洋投棄をやる。そして大部分は素掘りによって処理をしている。行ってまいりましたが、町のはじのほうに、大きな五百メートルぐらいの長いやつを掘って、まわりはトタンでぐるっと囲ってあります。こういうふうにしてそこへどんどんどんどんと流し込んでいるという処理方法がある。あとでまたいろいろとその事例も申し上げてみたいと思いますが、そういうことで飽和状態になっているわけです。この現実を自治省としてはどう理解しているのか、また今後これに対してどう対処しようとお考えになっておられるのか。これは近く大きな問題として起こってくることが予想されますので、ひとつ大臣のお考えを聞きながら、財政面については局長から、厚生省も関係がありますので、そういう立場から、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  115. 野田武夫

    野田国務大臣 小濱さんの御指摘になりました汚泥の処理施設の問題、おそらくそういうことが各自治体にあるし、またその処理のぐあいによっては、地域住民の人が臭気その他非常にお困りだ、私はそのとおりだと思っております。お示しになったことは、私はもうあちこちあると思います。また、実は今日までこれらの終末処理というものが一番たいへんなことでございまして、各自治体も相当設備に力を入れておりますが、いまお示しになったようなことで、まだまだいわゆる不完全である、これはどうしても完全な施設に持っていくというのが理想だし、また、現実そうすべきことだと思っております。これには相当の財政措置が要る。今日まで自治省といたしましてはできるだけの補助、起債をつけておりますが、現状からいたしますと、従来の程度財政措置では、いわゆるお示しになりましたようなりっぱな施設はでき上がらない。こういうこともわれわれ認めておりますので、これに対しましては、さらにひとつ実情に照らして、いろいろな施設関係の整備のために今後つとめなければならない、こう考えております。これらにつきましては財政措置の問題でございますから、財政局長からもひとつお答えしたいと思っております。
  116. 長野士郎

    長野説明員 お話しのとおりのようでございまして、終末処理の焼却施設あるいは脱水施設等の施設がなお整備が十分でないということは、御指摘のとおりのようでございます。むしろ海洋投棄とかいろいろな方法が依然として行なわれておるというような状況のようでございます。ただ、これに対しまして、規模もいろいろありますし、お話がございましたように、まだ技術的にも十分すぐれたものがなかなかわが国でできていないのですが、そういうことで、大規模なものにつきましては四〇%ぐらいの補助があるようでございます。その補助に見合う経費につきましては、起債を充ててやっていけるようにしておるように聞いております。それから規模の大小におきまして、中小の部につきましては、補助残の五〇%くらいの起債を見ておるというようなことになっておるようでありまして、全体として十分すぐれた施設が整備されておるかといえば、施設が十分でないということであります。なお今後も、主務官庁である関係各省と協議をいたしまして、充実につとめるなり十分指導をしてまいる、こういうことにいたしてまいりたいと思います。
  117. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま御指摘のように、し尿処理あるいは汚水処理をやりました結果生じました汚泥の処理につきましては、現在実際問題としてわれわれ非常に困っておるわけでございまして、ただいまの現状から申し上げますと、汚泥といたしまして排出される量が、現在各家庭から出てまいりますごみの約十倍にもなっておるわけでございまして、さらに今後公害問題として、汚水処理が普及すればするほど、またこの汚泥の発生量というものが多くなってまいるわけでございます。これらの汚泥の最終処分につきまして、現在われわれのほうでもいろいろ技術的な研究を行なっておるところでございます。  なお、この処理の体制につきまして、先日、日本都市センターのほうに研究委員会をつくっていただきまして、そこでいろいろ研究討議を行なっておるところでございますし、なお、厚生大臣の諮問機関といたしまして生活環境審議会がございますが、その審議会に対しましても、この処理体制の問題につきまして諮問を行なっており、現在審議中の段階でございます。
  118. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣にあらためてまたお尋ねいたします。  いまお聞きのように、この問題については非常に関心が薄いように思われるわけです。私どもが地方を回りましてその訴えを聞くわけですが、現地に行ってみますと、必ずその周辺の住民はたいへんな悩みを訴えてこられるわけです。町に行ってみますと、三町村くらいで金を出し合って施設をつくりますが、いろいろな反対があってなかなか利用ができない、そういう問題が起こっておるわけです。これは大臣もよくおわかりの地域のことでありますから、一、二例をお話しをしてみたいと思います。  これは小田原に起こった問題ですが、この小田原では、泄泥及び汚泥を投棄するために、隣の山手の南足柄町の三竹山という山を借りて処理をしてきた、捨てておった。そこで、またその流出を防ぐためにまわりにぐるっと防壁をつくって処理をしてきたわけですが、もうすでに長い間投棄されてきて、飽和状態になっておるわけです。この九月でございましたか、集中豪雨がございました。それでこの泄泥が一斉に流出を起こし、延長数百メートルにわたって山林に被害を与えた。これが山林に流れ込みますと、みな腐って枯れてしまうのだそうですね。そればかりでなく、水田に流れ込んでいったために、稲作に被害を与えて、これがまたすごい結果なんです。そしてまた、さらには数軒の井戸水が汚染されていったわけです。そしてその水は使用不能となっている、こういう例があるのですが、行ってみますると、長ぐつか何かはかないと、そこへ入っていけない、こういう状態のところがございました。  また箱根町ですが、芦之湯終末処理場というところがございますが、この付近に投棄した泄泥が国有地に流出をして被害を与えたわけです。それで箱根では目下防壁をつくって、ようやく被害の拡大を防いでいる、こういう状態になっております。  これは小田原で話を聞いたわけですが、小田原はどうやっているんだと聞いたところが、九月定例会で予算三千万円を計上した、来年は七千万円程度予算化して、そして三カ年計画で約一億五千万円、これで焼却施設を設置したい、こういうふうに言っておりました。この問題は全国自治体共通の重要な課題であろう、こういうふうに私は見るわけです。  そこで、全国的規模といたしましては、これはばく大な資本投下が必要になってくるわけです。こういうことからも早急に対策を講じなくてはならない、こう思うわけですけれども、何といってもこれは自治省がより理解を深めると同時に、現状をよく認識をして、そしてこれが対策に当たっていかなければならないであろう、こういうふうに思うわけです。こういうことからも、今後の考え方として、大臣からひとつもう一ぺん御見解をお聞かせいただきたい、このように思います。
  119. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいま小濱委員から実例をおあげになりまして、いかに終末処理の処理方法について、地域、地域で苦労しておられるか、また地域の皆さんが非常にお困りであるということを聞きまして、私は一々実例は知りませんけれども、全国的にそういう個所が相当あると想像されます。先ほどもお答えいたし、また財政局長からもお答えいたしましたとおり、この施設につきましては、関係役所は決して冷淡だとか軽視しているというわけではございませんが、また施設をなさる地方公共団体も、相当地方負担のあることでございまして、なかなかそこで、いままで御指摘のように、りっぱなものがあまりできていないという実情はよく理解できますが、今後は関係各省とも打ち合わせまして——これは実はいま小濱さんも御存じのとおり、場所からして困っている。私鎌倉に住んでいるのですが、これも何年かかって、終末処理場の問題はようやくある時点で話し合いがまとまるというので、もう地域、地域で、金の面もそうだし、場所の面もそうだし、いろいろな面で非常に困難があります。ことに今日はりっぱなものをつくろうといえば非常に金がかかるものですから、これはよくひとつ各自治団体の実情も把握いたしまして、しかし、地域としては当然これは善処しなくてはならぬ、また地域住民の生活にとっては非常に大きな問題であるということは、私は同感でございますから、今後一そう綿密な、いろんな実情調査なりをやりまして、しかるべき善処策を考えたい、また、関係各省とも打ち合わせを進めたい、こう考えております。
  120. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣はお忙しいようでございますので、お引き取り願ってけっこうであります。ありがとうございました。  長野局長にお尋ねしたいのですが、先ほど新しく着任をされた立場から、そういうふうに謙遜をなさったのではないかと思うのですが、非常に確信のない、何か力弱いお答えのように私は聞いたわけです。あれは私、ちょっと引き下がるわけにはいかない。何と言われたか、あなたよく御存じのとおりでありますが、そういうわけで、この問題についてはやはり財政局長として、今後各自治体にこの設備をするとするならば何千億という金がかかるのですよ、無関心ではいられない。その局長の御答弁としては、われ関せずというような、そのように聞いておりますというような答えじゃ、局長の答弁、私はうのみにするわけにはいかない。いま申し上げたことは、どこの町村へ行ったって、これは起こっているのですよ。この問題については、ひとつこれから大いに敏腕をふるってもらわなくてはならないわけですから、自治大臣からお答えをいただきましたけれども、もう一ぺん局長の決意のほども聞いておかなくてはなりませんので、お伺いしておきたいと思います。
  121. 長野士郎

    長野説明員 御指摘のとおりの実情だと私どもも想像はいたしております。結局いままでは、この終末処理、あるいはそういうものにつきましての施設というものも、ある意味では不十分なままでやってきたのが、これからだんだんと、それがそのままで維持できないというところへ差しかかってきておるのだろうと思います。そこで、そういうものとしての処置が当然これからの問題として大きく取り上げられてまいらなければならないし、またその施設整備についての措置を的確にとってまいらなければならないと、私どももそう思います。同時に、そういう意味では関係各省もあることでございますから、よく協議をいたしまして、そういう措置が前進するように、私どもぜひ努力をいたしたいと思っております。
  122. 小濱新次

    ○小濱委員 厚生省にもお聞きしておきたいのですが、この問題についてはいろいろな公害が起こっているわけでしょう。用水にしたって、河川にしたって、あるいは海岸にしたって、いろいろな問題が起こっておるわけです。住宅街の悪臭なんというものは、これはたとえようもないような変なにおい。このことについて、これはむしろ自治省よりか厚生省がもっと本腰を入れて対処しなくてはならない問題だと思うのです。  そこで、国庫補助という問題も、厚生省の機構として当然取り扱われなければならない問題として、この点については関心を持つべきだと思うのです。いまの御答弁を聞いておりますと、何かぐちを聞いているような一ほんとうに困っておるのでございます、これじゃ御答弁を願う必要は何もないわけです。私はぐちを聞きに来たのではない。これからの対策を、国民に訴えるくらいの決意を、代表して来られたわけですから、もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
  123. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま先生の御指摘のような問題、従前からわれわれも努力はいたしておるわけでございまして、すでに昭和三十八年から昭和四十二年まで第一次五カ年計画で、こういったものの施設整備を行なってまいったわけでございまして、ただいま昭和四十二年を初年度といたします第二次五カ年計画で施設整備を行なっておるわけでございまして、第二次五カ年計画の投資総額を千三百三十億という投資総額で閣議決定を願って、現在その計画を実施中でございますが、最近に至りまして、都市に対します人口の集中化が非常に激しくなってまいった関係上、それぞれの都市から排出されますそういった汚物の量が急激に増大してまいりますとともに、またそういった処分地の確保というものが非常に困難になってまいりまして、特にそういった汚物処理から生じてまいります公害問題というものが顕著になってまいったわけでございます。こういったものに対しまして、われわれといたしましては、さらにこういった経済発展に伴って生ずる問題といたしまして、昭和四十五年度からの第三次計画というようなものを現在計画中でございます。  なお、こういった施設を各市町村がつくります際に、われわれのほうといたしましては、現在のところ建設費の三分の一の補助を出しておるわけでございまして、残りの三分の二の七〇%を、自治省のほうにお願いいたしまして、これを起債で充当いたしておるような財政措置をとっておるところでございます。  なお、先ほど申しましたように、現在審議会において審議中でございますが、各市町村がそれぞれ独立してこういった事業を行なうということは、土地関係その他、先ほど先生御指摘のように、非常にむずかしい問題がございますので、できるだけこういった問題を広域的に処理していくような体制を今後整えてまいりたいと思っております。
  124. 小濱新次

    ○小濱委員 よろしくお願いいたします。  次に、もう一問御質問申し上げたいのですが、だいぶ時間も過ぎましたので、私は省略して要点だけをお伺いしますので、ひとつお答えのほうはしっかりとその内容をお示しいただきたいと思うわけです。  最初に厚生省。明治百年を記念して、厚生省で東海自然歩道、この計画を発表されましてからだいぶ経過があったわけです。この問題については多くの国民から非常な反響を呼んだわけでございますが、いろいろと新聞等を見てみますと、はるか道遠しとの声が出ておるわけです。この問題について、計画とその概要、今後の見通しについて、まず厚生省からお伺いしたいと思います。
  125. 中村一成

    ○中村説明員 東海自然歩道の構想と現在の状況お話し申し上げます。  東海自然歩道は、ただいま先生おっしゃいましたとおり、東京の高尾の国定公園から大阪の箕面の国定公園までの間を結びますところの歩道を整備いたしまして、国民の余暇のレクリエーションの一助にいたしたい、こういう構想でございます。厚生省といたしましては、関係の都府県と相談をいたしまして、大体歩道の概略を相談いたしまして策定をいたしております。総延長千三百五十キロでございます。このうちすでにもう道路がございますものが六百六十四キロ、それから改良を一部加えれば使える程度のものが三百十四キロ、そこで、道がないので道を整備する必要のものが三百七十一キロということでございます。私のほうといたしましては、本年すでに三カ所につきましてモデル的に歩道を整備いたしておりますが、明年四十五年から四十六、四十七の三カ年にわたりまして整備をばかりまして、完成いたしたいと思っております。  もちろん、これは全部東京から大阪まで一人の人が歩くということはあまりケースがないわけでありまして、適宜な場所を歩いてもらえばいいわけでありますから、全部できなくても、もちろん現在でも十分利用できるところは相当あるわけでございますし、完成の途中におきましても大いに御利用願いたい、こういうように考えております。
  126. 小濱新次

    ○小濱委員 時間がありませんので、少しはしょって申し上げます。次は林野庁にお尋ねいたします。自然休養林の制度の発足を見たわけでございますが、新たに自然休養林の計画をもうすでに進めていられるというふうに聞いておるわけですが、この問題についての具体的な目的と計画をお尋ねしたいと思います。
  127. 塩田清隆

    ○塩田説明員 自然休養林の趣旨等について御説明申し上げます。  近年における国民の生活水準の向上とか余暇の増大あるいは人口の都市への集中等に伴いまして、国民の自然の環境に対するレクリエーションの需要が年々増大をしておりまして、これに対応いたしまして観光関係事業が進出をしまして、自然の破壊とか無秩序な自然の利用が年々増加する傾向にございます。そこで、多くの観光レクリエーション資源を有します国有林といたしましては、このような情勢に対応いたしまして、自然の保護と利用を総合的かつ積極的に推進するため、昭和四十四年度から、国有林内に自然休養林を設けまして整備をはかることとしておるわけでございます。自然休養林は、森林を主体としました風景のすぐれている地域につきまして、自然を保護しながら国民の快適なレクリエーションの用に供しようとするものでございまして、昭和四十四年度におきましては十カ所指定いたしまして、現在整備中でございます。昭和四十五年度におきましては、予算の関係もございますが、さらに二十カ所程度指定をする予定にしておるわけでございます。
  128. 小濱新次

    ○小濱委員 開発と自然保護ということで大事な問題でありますけれども、この試みについてはわれわれは非常に興味を持っておるわけです。本にもその概要が書いてありますけれども、きょうは時間もありませんので、省略させていただきますが、おたくのほうの計画では、大蔵省考え方、自治体に直接負担はないのか、こういう問題が起こってくるだろうと思うわけですね。その点についてはどうですか、お答えできますか。
  129. 塩田清隆

    ○塩田説明員 先ほど御説明申し上げましたように、自然休養林は、林野庁の予算をもちまして林野庁が整備をするということでやっておるわけでございます。地方自治体等にも御協力をお願いするというような考えで推進しておるわけでございます。
  130. 小濱新次

    ○小濱委員 都市化が進めば進むほど、都会はますます殺風景になってまいります。生活に潤いがなくなっていくというんでしょうか、現地に行って、景観美というか、自然の風景を求める心が非常に強くなるわけですけれども、このような都会人に対して、これにこたえる措置をどうしても考えなければならないときがもうすでに来ていると思うわけです。こういう点について、厚生省、農林省ではいま伺ったような計画を進めているわけですが、自治省ももっと住民が身近に楽しめる施策を講ずる必要があろうと思うのです。この間も箱根の山へ行ってみたところが、非常に美しい山の一角がくずされておりました。山の美しさがもうなくなっておりまして、問題になって、何か作業中止というような事件まで起こっておるということでございますが、自治省の問題として、これはどうしても相提携して強力にこの問題を進めていかなくちゃならぬだろうと思うわけですが、自治省考え方はどうでしょうか。長野局長、ひとつ代表してお答えいただきたいと思います。
  131. 長野士郎

    長野説明員 いま具体的なお答えができませんが、お考えと、私どもも全く同じような気持ちを持っておるわけでございます。そういう自然の保護ということはあれでございますが、当然これから一そう考えていかなければならないと思います。しかし同時に、それは土地利用計画とか地域開発計画とか、いろんな問題、そういう意味での土地の利用の規制とか区分とかいうものの筋道をしっかりきめていただいて、それの上で、国なり県なり市町村なりがそういうものについてどういう役割りを果たすべきか、また民間のいろんな事業体もそれについてどういうような協力をすべきかというようなことを、やはりある程度秩序づけていただくということが早急に望まれるんじゃないだろうかというふうに思います。何でもかんでも自治体の責任ということになるのもこれはいかがかと思うわけでございまして、そういう意味で、そういう体系が整備されるにつれまして、当然に自治体として、協力するあるいは整備するということが必要な分野につきましては、十分できるようにしなければならぬだろうというふうに思います。
  132. 小濱新次

    ○小濱委員 交通局長にお尋ねしたいのですが、札幌で、道路を交通どめいたしまして、市民のいこいの場所として開放したそうであります。北海道で非常に喜んでおりましたが、そうしたら十日間で延べ七十五万人の人がこの道路へ来て楽しんだそうであります。  東京での子供の交通事故死を見てみますると、六月でしたか、昨年同期比二十一人増、こう書いてあった。本年は最悪の死亡率となるんだ、こういうふうにも書いてございましたが、その死亡率の時間帯を見てみますると、やっぱり四時前後が非常に多いのです。こういうことから、これはやはり警察としてもいろいろと計画を立てていただければ、この札幌に似たようないこいの場所が相当できるんじゃないか、こういうふうにわれわれは見るわけです。そういう点に対する局長の御見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  133. 久保卓也

    ○久保説明員 ただいまの御引例は旭川でありますが、旭川の駅前の道路につきまして、いわゆる買いもの道路としての開放については、警察も積極的に協力をいたしました。子供の遊び場及び買いもの道路として現在全国でやっておりますのが、遊戯道路で二百十九カ所、買いもの道路が三十一カ所になっております。そこで、この買いもの道路につきましては、従来とも各県で、人の出入りの非常に多いところということで実施いたしておりました。子供の遊戯道路といたしましてはなかなか決心がつかなかったのでありますけれども、先般の夏休み以降実施いたしております。当初夏休みだけのつもりでありましたが、非常に好評でありますので、全国に通達をいたしまして、子供の遊戯場所として適当な場所があれば、また迂回道路その他適当の条件を満たし、かつまた地元の要望が非常に強いようなところ、協力が得られるようなところについては、今後ずっとやってよろしいということで、現在各県は地元と相談しながら進めております。したがいまして私どもといたしましては、このモータリゼーションの中で市民生活が奪われるような事態について、今日の与えられた条件の中で幾らかでも救いの手を、交通警察の権限の中でやれるものについてはやってまいりたい、かように考えております。
  134. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど厚生省あるいはまた農林省関係で、東海自然歩道と休養林についてお話がございました。この問題と、警察の与えられた使命というものの内容とは若干違うと思うのです。本年最高の死亡率、そういうことから児童の死亡率を調べ、その事故現場を見てまいりますと、どうしてもいまのような内容が計画の中に起こってこなければならないと思うわけです。事故死を少なくしたいし、子供のいこいの場所も大いにつくっていきたいと思うし、もっと楽しい生活にみんなが恵まれていくような設備をわれわれはつくっていかなければならないと思うのです。ある場所で、おとうさんが子供を抱いて、道ばたにござを敷いて、子供とともどもに遊んでいるなごやかな姿がございましたけれども、ほんとうにそういう場所をつくってやりたいと思うわけです。局長もこれから大いに敏腕をふるってもらわなければならない立場にありますので、事故死という問題、いこいの場を与えていくという問題、こういう問題を前提にしたいろいろな新しい計画を立てながら、これはぜひひとつ一日も早く実現をはかっていただきたいと思うわけです。  たいへんおそくまでありがとうございました。以上で終わります。
  135. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会