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1969-08-01 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年八月一日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    桂木 鉄夫君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       渡海元三郎君    永山 忠則君       山中 貞則君    太田 一夫君       河上 民雄君    野口 忠夫君       細谷 治嘉君    依田 圭吾君       門司  亮君    小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君  出席政府委員         中部圏開発整備         本部次長    小林 忠雄君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         自治政務次官  砂田 重民君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省財政局長 細郷 道一君         議     員 山中 貞則君         経済企画庁総合         開発局参事官  島村 忠男君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         林野庁指導部長 松本 守雄君  委員外出席者         通商産業省公益         事業局原子力発         電課長     大町  朴君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     大久保一男君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 菅川  薫君         建設省道路局次         長       多治見高雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三三号)(参議  院送付)  過疎地域対策特別措置法案山中貞則君外十六  名提出衆法第四八号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  山中貞則君外十六名提出にかかる過疎地域対策特別措置法案、及び内閣提出にかかる首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫
  3. 太田一夫

    太田委員 私は主として、中部圏開発に関する財政上の特別措置法、この法案に関係をして、過疎問題をあわせてお尋ねをいたします。  自治省お尋ねをいたしますが、本改正案によって、中部圏内のいかなる地域のいかなる事業に対して財政上の援助措置がとられるのであるか、この具体的な内容を総括してお答えをいただきたいと思います。
  4. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の改正法によりまして、現在の首都圏近畿圏の財特法と同じような扱いがされるわけでございます。その財政上の引き上げ措置対象になります事業といたしましては、県としては住宅、それから道路港湾河川公園漁港、こういったようなものでございます。それから市町村につきましても、住宅道路、下水、小中学校、幼稚園ごみ処理保育所、それから市町村長指定した河川改良港湾公園中央卸売り市場、こういったものが対象になります。そして、御承知のように、その特例のしかたは、県分につきましては起債充当率引き上げ、それに伴います利子補給、それから市町村分につきましては、標準負担量を勘案して、補助率引き上げ、こういう形でございます。
  5. 太田一夫

    太田委員 さらに自治省お尋ねをいたしますが、いまお話しになりましたところの県の行ないます対象事業は、公営住宅改良住宅道路港湾河川都市公園漁港等のものであるとおっしゃいました。それから、市町村の行ないますところの対象事業は、道路、下水道、幼稚園保育所あるいは清掃施設河川港湾都市公園卸売り市場等でありまして、その他にも住宅が入ると思いますが、こういう生活環境基盤ないしは産業開発基盤、こういうものを対象として、起債をつけ、あるいはまた補助率を高めるというのでありますが、この対象区域というのは、県とか市町村というそういう分け方じゃなくして、地域的に区別しますと、どういうことになりますか。
  6. 細郷道一

    細郷政府委員 中部圏におきましては、都市整備区域と、都市開発区域に関係する区域の県、地方団体でございます。
  7. 太田一夫

    太田委員 この際、中部圏本部の方にお尋ねをいたしますが、中部圏というのは、そうすると財政上の特別措置として扱う場合に、幾つに分かれておるわけですか。
  8. 小林忠雄

    小林政府委員 中部圏開発整備法によりますと、中部圏の特別の地域指定と申しますものは、都市整備区域都市開発区域及び保全区域の三種類ございますが、今回財政援助特例対象になりますのは、都市整備区域都市開発区域でございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 そうすると、中部圏三つということになりますか。都市開発区域とそれから都市整備区域保全区域と、こういうぐあいに区域三つに分かれるということでございますか。
  10. 小林忠雄

    小林政府委員 ただいま申しました都市整備区域都市開発区域保全区域は、中部圏の中で特に政策対象として特別な扱いをする地域でございまして、それ以外のいわゆる白地地域相当あるわけでございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 これは自治大臣お尋ねしてみたいと思いますが、中部圏開発整備法に基づいて今度のこの財政上の特別措置法がつくられ、また今度中部圏がそれに入ることになったのでありますが、中部圏というものは、第一条に目的があって、「中部圏開発及び整備に関する総合的な計画を策定し、」こうあるわけです。そこで中部圏といいましたところで、それぞれ自治権を持っている地域でありまして、別にこれは第三の世界ではないわけなんです。そうすると、その中部圏というものの開発であり整備であるというのに、いまのお話を聞きますと、都市整備区域という密集して人間の住んでおる名古屋市のごときところと、その他高岡、富山福井とか長野とかあるいは浜松付近とか、そういうように都市中心としてさらにこれから都市的態様を帯びさせようとする都市開発区域、これともう一つは、木が多くて、山が多くて、人間の住んでおる率の少ない自然公園的な保全区域、この三つ区域として分けられて、その中の自然保全区域を除きました都市として人間のすでに過密的に住んでおるところにいろいろな事業を行ないます場合に、財政上の援助をするというのです。これは即、区域指定を受けても、保全区域という自然公園的なところ、国立公園県立公園等地域というのは何ら財政上の援助対象にならない。それからもう一つ、いま小林次長のおっしゃった三つ区域以外の第四の区域というのがある。これは白地に何とも書いてない区域であります。この区域には何ら指定もなければ、ほったらかしでありまして、いまの中部圏開発整備法では、何ら開発対象にならないのでありますが、こういう何か片手落ちのような法律を基礎にして、あなたのほうは財政上の援助措置をきめようとなされるのでありますけれども、なぜそのような片手落ち措置をおとりになったのでありましょうか。何か中部圏開発整備法の第一条と矛盾するような気がいたしますので、御所見をこの際承っておきます。
  12. 野田武夫

    野田国務大臣 中部圏開発区域、いわゆる指定区域以外は、一向財政援助もないし、片手落ちじゃないか。これは御承知のとおり、首都圏近畿圏、おのおの今日まで地域開発拠点としてあげられております。その中に中部圏というものもやはり開発をすべきだ、われわれもそう思っております。そこでそれに対しては、首都圏近畿圏と同じような開発に対する財政的な援助をしたい。その他の指定以外はどうなるかというお尋ねでございますが、これは決して中部圏指定以外は全然手を触れないというような考え方は持っておりません。おのおのその地域の特性、またその地域における実態を把握いたしまして、指定地域指定地域としての振興計画をはかるし、指定以外の地域につきましては、その実態に応じて適当な開発計画に沿うような振興策を講じる必要がある、こう考えております。
  13. 太田一夫

    太田委員 事務当局のほうでよろしいから、いまの大臣の説明をもう少ししろうとにわかりやすく解明してください。  それは中部圏というものの中には白地のところがたくさんあるけれども、そういうところの開発についても、これは指定区域外であっても同じように準じて扱うんだ、こういう意味であるのかどうか。であるとするならば、その対象は先ほど細郷局長のおっしゃったような対象であるのかどうか、その点をひとつ解明していただけませんか。
  14. 小林忠雄

    小林政府委員 中部圏基本開発整備計画というのによりますと、中部圏開発考え方でございますが、ただいまのような三つ地域分けをいたしまして開発を進めるといいますのは、実は首都圏計画近畿圏計画、その流れをくんだ一つの制度でございます。もともと首都圏計画におきましては、既成市街地近郷整備地帯市街地開発区域、こういう三種類の地域分けをしたのがもとになっておるわけでありますが、このまたもとになります考え方は、英国のロンドン計画に範をとったといわれておりますが、いわば大都市対策から発しておりまして、大都市の過密を押えるというところと、それからその周辺人口が集まってきますところを整備する、それから積極的に人口周辺へ定着させる地域、それから自然を保護する地域、こういうように三つに分けて政策をやってくるというのがもとになっておるわけでございます。  そこで中部圏の全体の構想でございますが、この中部圏の全体の構想のうちの、土地利用一つ計画がこの三つ区域でございます。その土地利用もとになりますものは、中部圏全体の人口及び産業の配分がどのようになるかということでございます。この際に、一体経済構造高度化社会構造の変化につれまして、人口集中する地域と、それから人口が漸次減少する地域というのが実態にあるわけでございます。こういう問題が過密、過疎の問題を生んでおるわけでございまして、中部圏地域指定と申しますものは、中部圏全域の過密、過疎対策というように考えてもいいんではないか。総体としまして、昨日企画庁のほうからも、新全国総合開発計画についてお話がございましたように、全国的に申しましても、農業就業人口が現在よりも半分くらいに昭和六十年にはなるであろう。その際には、日本全体で申しますと、市街地面積が、現在ございます市街地面積の約倍になるであろうということが推定されておるわけでございます。中部圏におきましても同様の現象がございまして、農業就業人口がやはり今後十年なり十五年間には減少が継続をする。したがってそういう人口は、何らかの都市的な産業に従業するわけでございますから、全体として都市人口がふえる。したがって農山村地域から、都市地域人口集中をするという実勢は、これは認めなければいけないだろう、こういう前提に立ちまして、それでは農村から出てまいります人口をどのような地域で受けとめるのが、中部圏全体の開発に適当であろうかということになるわけでございますが、これをほうっておきますと、従来の傾向で申しますと、とかく大都市地域集中をするわけでございます。そこでそういう大都市地域につきましては、放置しておくと非常に人口集中をいたしまして、生活環境が悪くなるという問題がございますので、都市整備区域、これは名古屋市を中心とします半径四十キロの地域でございますが、こういう地域は、放置しておきますと人口の、産業集中によりまして、東京大阪の二の舞いをする。したがって予防的に公共施設整備土地利用計画の確立によりまして、土地利用の混乱を避けようというのが都市整備区域目的でございます。  それから一方、ほうっておきますと、東京大阪名古屋に出てまいります人口を、それぞれの地方開発拠点で受けとめようというのが都市開発区域でございます。それで、その場合に人間の全然住んでおらない、無人荒野ニュータウンをつくっていくというのが一つ考え方でございますが、どうも従来の新産都市実績とか、あるいはその他の実績によりましても、全然現在都市的な集積のないところに開発地域指定いたしましても、実際投資もなかなかこれに伴わないし、人口産業を誘致するということも、実際そういうことはなかなか困難である。世界の実験的ないろいろな実勢によりましても、やはり無人荒野ニュータウンをつくるということは、なかなか成功しないわけでございまして、やはり過去において相当集積のありますところに、先行的な基盤整備をすることによりまして、大都市にじかに人口が流出するのを、それぞれの地域に食いとめるというのが都市開発区域考え方でございます。そうすることが実は周辺のいわば白地部分に対して開発波及効果を及ぼす、全体としまして白地部分開発にも役に立つ、こういうのが区域指定考え方基本になっております。  御参考までに申し上げますと、現在の中部圏指定をしております都市開発区域土地整備区域は、面積的に申しますと、中部圏全域の約二〇%弱でございますが、中部圏は御承知のように、中部山岳地帯というのが非常に広い面積を占めておりまして、人間の住まないところが約七割強ございます。したがって人間の住めるところはきわめて限られておりまして、したがって、現在指定しております都市整備区域都市開発区域は、人口的に申しますと中部圏全域の約七割強を占めております。残り白地部分でございますが、白地部分保全区域として保全すべきところが相当面積を占めております。現在指定しております保全区域国立公園国定公園あるいは県立公園というようなものの指定がされているか、または近く指定されるようなところで、かなりしぼられているわけでございますが、われわれといたしましては、将来、中部山岳地帯保全区域というのはもっと広い範囲に拡大をして自然を保全する必要があるのじゃないかと考えておりますが、それ以外のところにつきましては、相当部分が低開発地域工業開発促進法あるいは山村振興法等の、いわば都市的でない地域開発の立法で相当カバーをされております。さらに、現在御審議になっております過疎地域法律などが、かりに現在の形で中部圏指定をされるといたしますと、白地部分というのはきわめて限られた部分しか残らない。したがって中部圏開発は、都市開発区域都市整備区域は、現在の人口移動現象に対応いたしまして、都市的な整備をはかっていこうということにむしろ重点がございます。残り部分につきまして、保全区域外のものについては、すでに各種の他の法令による手当てがされているので、そういうようなものによりまして財政措置をしていくのが適当であろうかと考えております。
  15. 太田一夫

    太田委員 私は非常にこの基本的な点において疑問を感ずるのでお尋ねしておるのですが、これは中部圏本部からお答えいただければ、現行法体系の中における法律の許容された範囲における御計画でございましょうから、都市整備区域開発区域と、この二つの区域に対してのみ財政的な援助をするのだ、していただくのだ、その計画は、計画はこうこうであり対象事業はこうであるということになると思うんです。ですから、小林さんのほうからお答えいただけばそういうことになる。だから、どんなにあなたがじょうずに説明していただいても、その白地部分、いわば区域指定を受けないところの、除外された区分というのは、少なくとも三割なら三割の人が住んでおられる、三割の人口が、中部圏に住んでおるその部分が全然この対象から除外されておるとすると、それは私が最初大臣お尋ねした、中部圏というのはそういう幾つかに分かれた異民族の住んでおるようなところでございますかと聞いておる。中部圏一つなら、白地のところがあるはずがないわけです、財政援助をしないなんてところが。中部圏というのはそんなところですか。確かにいまお話しのように、人間が住んでいないところがあるというお話ですから、まさに月世界の静かの海のようなところだろうと思うのですが、そういうような言い方をすれば、中部圏開発というものは臨海工業地帯開発計画ということになるじゃありませんか。あなたは閣議のほうで国務大臣として、あるいは自治大臣として、どうですか、野田さん、そういう中部圏の広大な地域財政援助対象とする場合に、三割の人口は疎外するということに対して何か抵抗はありませんか、よろしいですか、所見をひとつ……。
  16. 野田武夫

    野田国務大臣 太田さんの指摘される中部圏内白地といいますか、その三割住んでいるところをどうするか。これはもちろん、この三割の住んでいるところを無視するという考え方があっては・いけませんし、またやっておりません。そこで、いま小林次長から言いますとおり、中部圏の、今度開発地域整備地域指定された区域内の財政援助でございますが、同時にその残された部分と申しますか。区域外部分に対しましては、やはりその地域の状態、地域実態に応じていろいろの、たとえば山村振興とか僻地対策とか、いろいろなものがございます。今度出る、先ほど小林次長から言っておりました過疎対策等のいろいろの対策を講じて、これらの残された方々に対しましても、できるだけの行政上の推進をするし、これに伴ってやはり財政的処置も考えなくちゃならぬ、これが政府としての方針でございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 私は、大臣、まことにあなたの御答弁、聞きようによっては非常に配慮されておるようでありますが、実は現行法の中における山村振興法とか、あるいは辺地と目されるところの振興対策とかいうもの以外に、新たなる中部欄としての財政措置援助処置というものはないということ、こういうことをあなたはおっしゃったと思うのでありますから、これはまつ正面から見るというと、あなたはこの中部圏法では開発除外区域だということを認められる。もう一つの立場からおっしゃると、あなたは中部圏のその三割の人、人口にして約五百万の人が住んでおるところのその地域に対しては、決して疎外をしておらないのだと言う、何らかのできるだけの援助がしたいということを最初もおっしゃる。私は、それは受け取り方によっては、何か考えておるようだが、実は何もないのだというように理解せざるを得ない。けれども中部圏開発整備法というのは、中部圏開発整備でしょう。だから中部圏とはどこでしょう、中部圏とはどこですか。大臣、ちょっと聞きますが、どこですか、中部圏というのは。ちょっと聞いておきたい。
  18. 小林忠雄

    小林政府委員 中部圏開発整備法第二条によりますと、「「中部圏」とは、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県及び滋賀県の区域を一体とした広域」ということになっております。
  19. 太田一夫

    太田委員 その開発ならば、富山石川福井長野岐阜静岡愛知三重及び滋賀県の区域、これを全部合わせたものを中部圏というならば、中部圏開発整備に対するところの財政援助は、その中部圏という全地域に対して適用されるものでしょう。これは中部圏区域というのは、確かに山間僻地も漏れなく書いてあります。書いてあるが、区域指定から除外されていて、何らこれに対する援助がない、財政的な助成もない、これは私は奇怪千万だと思うので申し上げるのです。そうでしょう。この中部圏の八割の地域過疎地帯、準過疎地帯、最も大きな過疎地帯、そういう過疎地帯に対しては何らの開発の手段が及ばない、たまたまあるとするなら、そこを通らなければならない鉄道道路が通るだけだということになると、中部圏開発整備法ではなくして、中部圏の中の一部の都市開発整備法ということに相なるわけです。だから財政局長からお答えありましたように、対象とされる事業道路とか学校とか保育所とか、いろいろありますけれども、いいこと言っていても、それは都市区域でしょう、山村僻地に及ばない。それはどうするのだというと、それは知らないから、山中さんのほうの何らかの案でお茶を潤していてくれないか、そういうことでしょうか、一緒に審議するということは。はなはだ冷淡な案であるというのでありますが、自治省の御答弁を聞きたいのは、たまたま現在近畿圏首都圏との整備事業計画に対する財政援助のいろいろなかさ上げ、その他特例措置がそういうふうに都市区域指定のところに限定されておりますので、実はそれでは不本意であるけれども、いまのところしかたがないから、これだけやっておるのでございます、こういうことなら、またそれなりにわからないことはない。そこのところの関連を私はお尋ねしておるわけです。
  20. 小林忠雄

    小林政府委員 自治省からも御答弁があるかと思いますが、私のほうに関係した点がございますので、先ほどの答弁を補足さしていただきたいと思います。  中部圏計画というのは、中部圏全域対象としました計画でございまして、基本開発整備計画は、区域指定のあるところ以外についても、全般的に計画が定まっているわけでございます。この都市整備区域都市開発区域は、そのうちでも特に中部圏全域開発をいかなる手法によってやっていくのが適当であろうかという場合に、全般にまんべんなく開発をするということよりも、やはり拠点的なところに集中して力を入れていくのが現段階においては適当であろうということできまっているわけでございます。と申しますのは、中部圏開発基本計画昭和六十年を目標にしておるわけでございますが、現在問題になっております都市整備区域都市開発区域開発の具体的な建設計画は、これは昭和五十五年を目標にしてやっております。それに対する財政援助措置は、首都圏近畿圏と並べて、一応昭和五十年を対象にしているわけでございます。  そこで、現在、それでは焦眉の急を要するのは何であるか、特に公共団体に対しまして何らかの援助措置をする焦眉の急は何であるかということを中部圏全域から考えました場合に、昭和六十年におきます中部圏の総人口は現在より五百五十万人増加すると考えられておりますが、その場合、都市人口が、昭和六十年におきまして千七百万、その他の地域が五百万と推定されております。その場合、この都市人口千七百万人という想定は、昭和四十年から昭和六十年までに増加いたします五百五十万人がすべて都市整備区域都市開発区域においてふえる。もちろんその社会増自然増、全部差し引きした結果でございますが、差し引きしまして、結局今後十五年間にふえる人口は、中部圏全域で見ますと、都市整備区域都市開発区域においてふえるということになるわけでございます。そこで、これだけの五百五十万人の人口を受け入れますためには、市街地面積にいたしまして、全国的に見ましても、現在の倍の市街地が要るということでございまして、これは日本の歴史始まって以来の形成されております市街地面積と同じ面積をあと十年間あるいは十五年間に整備をしていかなければならないということでございまして、これは西欧の諸国が約一世紀くらいかかって達成しました都市化を、僅々四分の一世紀程度においてしなければならないという日本特異現象であろうかと思います。そこで、やはり財政的に一番問題になりますのは、この十五年間に五百五十万人を受け入れるということの市街地整備というのが財政的に一番問題ではないか、こういう考え方に立っているわけでございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 自治省からお答えいただきたい。あなたのほうの財政援助特別措置法というのは、いままでできておりました法律の一部改正でありますから、できたときから問題になっておると思うのでありますが、この母法である開発整備法の精神からいうならば、区域指定区域の特定の事業にのみ補助を適用するということは、法の精神からいったらいささか逸脱したものじゃありませんか。逸脱というよりは、法の精神に沿わないものじゃありませんか。中部圏開発のためのいろいろな事業計画中部圏開発のためのその事業計画に対するあなたのほうの財政上の特別措置、こういうことになるならば、一部区域だけを対象とするということは、これは羊頭狗肉であると私は思うのです。何か法の精神を逸脱をしておる、曲げておる、こういう感じがしますが、どうなんですか。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいま小林次長から御答弁申し上げましたように、中部圏開発構想というものを前提にいたしまして、それの手助けとなる財政上の措置をどういうふうにとったらいいか、いろいろこれがとられます過程におきましては、首都圏近畿圏中部圏は違うのだ、違うから別途の手法を用いるべきじゃないかという議論もわれわれの内部ではいろいろございました。ございましたけれども、それではどういった新しい手法がつくれるのかといってみましても、やはり中部圏首都圏近畿圏と同じように、ある指定した地域内にいろいろな事業集中することによって圏域全体に波及効果を与える、そういう点においては共通の要素が非常に大きい、こう見まして、近畿圏首都圏の財特法をそのまま中部圏にも適用を広げよう、こういう考え方に立ったものでございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、こまかく見てまいりますれば、いろいろな議論があろうかと思います。しかしながら大筋におきまして、先ほど申し上げたような考え方でこういう法律案を御提案申し上げた次第でございます。
  23. 太田一夫

    太田委員 東京大阪はあまりにも中心都市人口が多過ぎるから近郊を整備しなければならぬ、その精神を中部圏にもこれを適用いたしまして、ほぼ同じような考え方になっておりますけれども、五百万人よけい受けようということは、大阪並びに東京の過密度を緩和するというのが目的だとも書いてある。五百万人来るのを受けとめるのが中部圏だから。それならちょっと聞きますが、日本の国の人口配置計画というのは一体どういうことになっているのか、これは経済企画庁からお答えいただきたいのですが、全国総合開発計画によってそういう人口配置計画というのはあると思うのです。中部圏に五百万人、都市中心に配置するという計画なんですか。
  24. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 お答え申し上げます。  全国総合開発計画において、人口の配置計画というような形のものはございませんが、昨日も御説明をいたしましたように、七つのブロック別にそれぞれの開発基本構想を描いておりますが、その前提として、七つのブロック別に生産所得人口がどうなるかというようなことを地域計量モデルを使いまして試算をしましたものを掲げてございます。  それでちょっと御説明をいたしますと、中部圏につきましては、昭和四十年の人口が千六百四十九万人となっておりますが、この計画で書いておりますパターン一、これは現在の趨勢がそのまま伸びていった場合、三十年代の趨勢延長の場合でございますが、その場合には二千二百五十万、それからこの計画で志向しておりますようなかなり遠隔地に資金の投入が重点が置かれるというかっこうになりました場合が二千五十万というくらいの推計になっております。ほかのブロックについても同じようになっておりまして、全体としてはきのう御説明を申しましたように、昭和四十年が約一億でございますが、六十年の人口は一億二千万人と見込んでおります。
  25. 太田一夫

    太田委員 経済企画庁のほうにもうちょっと詳しくお尋ねしますが、いまの人口配置の、あるいは人口流動の予想と申しますか、その人口流動の予想から見ると、中部圏のどちらのほうに人口はどの程度集中するのであろうという、そういう予測があるのですか。
  26. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この御説明申しました数字は、七つのブロックを単位として、全国的な形での地域計量モデルというものをつくってやっておりまして、したがいまして、この内容をさらに、たとえば東海、北陸というように分けた数字は出ておりません。
  27. 太田一夫

    太田委員 そうすると、これはやっぱり一つ政府としての国土開発の総合計画に関連をしたものでなくちゃならぬと思いますから、そういうたてまえでお尋ねをいたしますが、農山村地帯の振興ということは、全国総合開発計画にもあれば中部圏開発整備計画の中にもそれがある。それは即産業基盤の整備生活環境施設の整備、こういうようなことばでそれぞれのところに出ておるのですが、一体そういう農山村におけるところの生活環境整備ないしは産業振興基盤整備というのは、これはいま出されております財政援助対象にならない事業であるということになるならば、それは全国総合開発計画の中に吸収されて、全然別の立法によってそれの促進をはかるというたてまえであるのでありますか。それとも中部圏基本開発整備計画の中において同時にやるのであるか。その辺の時間的なかね合いですね、農山村等の振興計画というものの時間的なかね合いはどうなっておりますか。まず中部圏都市区域整備して、その次にやるのですか。それとも、そうじゃなくして、それは全国総合開発計画ができたんだから、近く新たなる振興法ができる、その中にこれは入れるのであるか。時間的な予定ですね、これがありましたら、ひとつお答えをいただきたい。
  28. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま、小林次長からも御説明がありましたように、中部圏開発整備計画、これはもう昨年できておりまして、それによって中部圏開発整備が進められるわけでございますが、特に農山村部等につきましては、これは、こういう大都市圏域とそれ以外の圏域というような考え方ではなくて、たとえば山村振興法でありますとか、昨日来問題になっております過疎地域の問題でありますとか、あるいは僻地の整備とか、こういう形で、いわば全国をとらえて対策がとられておる。さらにこの新全総計画に基づきまして農山村部の環境保全、整備等の問題も、これからまた実施しなければなりません。その一つの手段としては、今国会で成立をいたしました農業振興地域整備に関する法律、こういうことによりまして施策が行なわれていくということになろうと思いますが、ブロック法と、いま御指摘のようなこういう特定の地域をつかまえてやっておる法律というものの体系が、確かに御指摘のように若干場合によっては体系がとれてない場合も幾つか出てきておりますので、そういった点も含めまして、きのう申しましたように、地域開発制度の全般の検討をいま進めておるところでございます。しかし現在ありますこの法律あるいは制度によりましても、農山村部につきましては、ただいま申しましたようにそれぞれの施策が進められるようになっておる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  29. 太田一夫

    太田委員 官房長官がおいでになりましたから、ちょっと総理にかわってお答えいただきたいので、一問だけのお尋ねいたしますが、いま中部圏開発整備に関するいろいろな事業、たとえばそれは道路であり、住宅であり、港湾であり、通信機械であり、そういうものの整備に関して財政上の特例措置を適用しようという法律の審議をいたしておるのです。そこで中部圏というのは、幅広いこの各県の地域に対しまして区域指定して、名古屋中心とする都市整備区域というところと、それからその他の地方の三重県とか静岡県、富山・高岡地区とか、あるいは長野地区とか高山地区とか、そういうところの都市開発区域、こういう区域は全地域では二割しかないわけですが、二割という地域面積に対して、そこに道路港湾あるいは住宅、下水道、保育所とか、こまかいものまで含めて財政援助対象にしようとする。ところが八割の地域、五百万くらいの人口が住んでおる地域というのが除外されてしまって、何らこれは援助対象にならない。ところが全国総合開発計画にも、中部圏開発整備計画にも、農山村における産業振興の諸施策並びに生活環境整備計画というものも推進をはかると書いてあるのに、なぜその地域指定の除外されたところに財政援助の方法がないのか、措置がないのか、なぜまたそういうところは八割の広大な土地を中部圏という概念から除外してしまったのか。いささかこれは理解に苦しむというお尋ねを、いま、しておるわけですが、官房長官として、内閣としてどうお考えになるか。これは総理大臣事業計画をなさるのでしょう。この中部圏開発計画事業は、総理大臣がやりなさる責任者ですから、かわってお答えをいただきたい。
  30. 保利茂

    ○保利国務大臣 中部圏開発計画でございますが、大体今日全国的に見られます過疎、過密の現象を見ましても、一方においては過疎現象を生む反面におきましては、拠点都市と申しますか、そういうところへだんだん集中といいますか過密現象を来たしつつある。そこで中部圏におきましても、そういう各地の拠点都市、現状から判断いたしまして、いままでのような秩序のない町がいた、ずらにでき上がるということでなしに、そういうところをそういうところで開発計画を確立して、しかもそれは地元住民の方々の意思を反映する形で計画を立てて、そして計画的な都市づくり、都市環境を整備してまいりたい。あわせてその都市環境が整備せられることによって周辺地域も向上されていく。どうも詳しいことは忘れた——と言ってははなはだ申しわけありませんけれども、ありていに申しまして、この開発計画を策定するにあたりましては、地元の意向に基づきまして、大体中部圏開発は地元の意向を反映して立てるというたてまえになっておるものでございますから、各県とも十分連絡をとりまして開発計画を策定いたしておるわけでございます。ただ同じ地域で、たとえば、ことに松木とか諏訪とかいうようなところは新産都市指定も受けております。また、山村地域振興でございますか、そういう指定を受けているところもあるし、問題は要するに、この都市政策といたしまして、どうしても都市集中のこの現象に対応して秩序ある開発都市環境を整備してまいるというところにあると私は承知いたしております。したがって、あるいはいろいろと十分でなかったかもしれませんけれども、私といたしましてはできるだけ地元の御意向を尊重し、そして御納得をいただいて、指定を総理大臣からしていただいたというようないきさつになっておるわけであります。それではその他の地域はどうするのだ、これはもう当然のことながら、もろもろの諸施設を強力に行なってまいるということは当然のことだと考えております。
  31. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、山来弥之助君の質疑を許します。山本君。
  32. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 官房長官も御承知のように、昭和三十五年以降の年率一〇%をこえる経済の高度成長は、各分野に大きなひずみを生じているわけでありますが、ことに地域的にはわが国の国土を太平洋ベルト地帯と、北海道、東北あるいは日本海沿岸、四国、九州というふうに大きく二分いたしまして、そして過密過疎の状況といいますか、人口と企業が太平洋ベルト地帯に集中すると同時に、残り地域過疎現象が生じておるということになっておりますことは御承知のとおりでございます。国土総合開発計画におきましても、昭和三十七年以降あるいは新産都市、工特地域というふうに拠点開発方式によりまして企業と人口の分散をはかる、あるいは地域間の所得の格差を解消するという方針で推移をしてまいられたわけであります。ある程度その成果を私ども認めるわけでありますが、しかしなおかっこの過密過疎地域がさらに拡大しておるということはひとしく認めるところであり、これの解消はきわめて困難な問題であるというふうに政府自身も御認識になっておられるようであります。したがいまして、本年五月三十日に決定を見ました新全国総合開発計画におきましてもこの点を重視せられまして、これを根本的に解消するということを基本方針としてもろもろの方策を打ち出しておるというふうな実態であるわけであります。このことに関連いたしまして、時間もございませんので、官房長官に四点についてお伺いいたしたいと思います。  第一点は、今日二つに分かれてまいります地域の過密対策としては、これは現実に人口と企業の集中によりまして行き詰まりを見ており、さらに首都圏中部圏近畿圏というふうなそれぞれ特別な法律によりまして政府の施策を進めておりますと同時に、新しい立法、たとえば都市計画法、都市開発法あるいは公害防止法あるいは住宅対策というふうに、大きく政府の打たれておる対策は主としてこの地域集中する政策であるわけでありまして、そのことが他の地域に及ばないというわけではありませんが、公共投資の姿で打ち出されておりますのは主として過密地帯の対策であると言って過言ではないと私は思うのであります。したがって、私は、残りの広い地域にわたる、しかもこれらの地域についての人口の減少率を極力防止するというたてまえにおきましても、また国土及び資源を活用するというたてまえにおきましても、政府は責任をもって今日過疎対策の立法を、議員立法にまかせるというびほう策ではなくて、政府みずから各省の十分な協力のもとに早急に立法措置を講ずべきであるというふうに考えておるわけであります。すでに新総計画におきましても——従来のときときにおける地域開発立法が、あるいは政府の提案となり、あるいは議員立法となって出されたわけでありますが、それ自体は私は効果を発揮しておると思います。しかしときどきの応急立法の部分を含む立法も多いわけでありまして、今日統一性を欠き、根本的に再検討する時期にあることは、新総計画の中にも明らかに明示しておられるわけであります。私は、明示をするだけではなくて、早急に政府の責任においていわば過疎対策に関する立法を——人口の流出あるいは流出を防止する産業地帯、ことにその地帯は農業中心として将来の発展を期さなければならないという地域でありますので、農業の抜本的な新しい体制のもとに、いわば再開発という産業政策を加味しながら総合的な立法を早急にしなければならぬ、こういうふうに考えますが、この点についての官房長官の御所見を承りたいと思います。  第二点は、この立法は早急に来年度あたり政府がとり得ないということでありまするならば、いま提案せられております自民党の議員立法につきましては、いろいろ御相談もしておるわけでありますが、私どもはこの趣旨に沿うて、協力的な態度をもって、この法案の成立につきましても協力をすることにやぶさかではございません。しかしあくまでそれは応急対症的な立法でございますので、基本的姿勢としては、政府が責任をもって抜本的な立法を促進するという前提でなければならないというふうに考えております。なお、これらの立法措置は、官房長官も御承知のとおり、すでに今回の国会ももう会期末になっておりますし、ことに参議院の状況等を考えますると、あるいはさらに私どもが協力体制のもとに話し合いを進めるにしても、きわめて時間が足らないわけでございまして、あるいは継続審議という事態に立ち至るかもわからぬと思うのであります。しかしあくまで私どもは、政府の姿勢を前提といたしまして、協力するという気持ちは十分持っておるわけでありますので、継続審議の過程におきまして十分意思の疎通をはかりながら、次期国会には成立を期するという心組みをいたしておるわけであります。したがって来年度予算におきましてはそういう前提のもとに——私は、今回の議員立法は来年度予算に備えるという意味もあるわけでありまして、むしろそのほうに重点が置かれておるという印象を持っておるわけであります。したがって、そういう事態に立ち至りまするならば、政府といたしまして、その前提のもとに来年度予算の要求あるいは成立についての御配慮をされるのかどうかということにつきましてお伺いいたしたいと存じます。  第三点は、そういう関連を考えまするならば、私どもは、大体全体的に過疎地域であるというふうな地域におきましては、その中における市町村単位に過疎対策を講じます場合には、多少無理がありましても、広くその市町村を拾い上げておく。いわば過疎現象の残留住民のための応急対策ということと同時に、多少将来救いがたい状況になる市町村を、前向きの姿勢で、過疎現象が深刻になることを防止するという意味におきましても、広く過疎市町村を救い上げるべきではないか、それについての財源はたいして増額にはならない、私はかように考えておるわけであります。そういう方針でこの法案をつくるべきであるというふうに考えておりますが、それにつきましての官房長官の御所見をお伺いいたしたい。  それから第四点は、今日、市町村生活環境整備は、総合開発計画でもうたってありますように、極力ナショナルミニマムを維持するということに重点を置いておるようであります。これらはあくまでも第二次圏を通じてのことではなくて、まず第一次圏の市町村単位に最小限度の生活環境の国民的水準を維持するというたてまえを堅持しなければならない、かように考えておりますが、官房長官の御所見をお伺いいたしたいと思います。  以上の四点につきましてのお考えをお聞きいたしたいと思います。
  33. 保利茂

    ○保利国務大臣 山本委員のお話のように、いま、経済成長に伴う日本の姿の移り変わりと申しましょうか、変貌過程は、非常な勢いでまだ進行している過程にある。その中で、全体の国土の有効的な利用、過密対策等、より以上にやはりこの過疎対策というものを考えていかなければならない。  取り上げられております各問題については、私は、考え方としてはほとんど同じ考えを抱いております。と申しますのは、たとえば一例を公共事業にとられまして、過密地帯に集中しておるじゃないか——私は、自民党の考えでもそうだと思うのですけれども、今日の僻地農村を考えてみましても、この僻地農村の農産物が有効に効率的に、大消費地と申しますか、過密地帯に流通関係が円滑にまいる、そういうことになりますれば、そこの僻地農村においても、農村の経済条件、都市消費者の生活条件というものに非常な改善が伴うであろう。それを妨げておるものは何であるか。第一はやっぱり道路じゃないか。ほんとうになめらかな道路網が敷かれるというようなことになりますれば、こわれやすい、いたみやすい生鮮食料、野菜、そういうものがとにかくきわめて短時間のうちに大消費地に運ばれてくる。それで初めてそこに過疎、僻地農村の生産条件といいますか生活条件といいますか、これが改善されてくる。都市生活者の福祉を考えます上からいきましても、僻地農村というものは、互いに円滑な交流が行なわれるように、やはり公共事業というものはそういう意味で、むしろ全国の道路網が一日も早く整備されるということがきわめて大事じゃないかということを強く考えておる一員でございます。そういう点でも、これは政府内におきましても異論のあるところではございませんと思いますし、ひとつ努力をしてまいりたいと思っております。  それから、そういう過密、過疎の現状に照らして、いろいろの地域立法が持たれておる。これはもう御案内のように、宮澤前企画庁長官がこの席でもって訴えておられたように、この各種の地域立法が食い違いを起こさないように、バランスを失しないように、ひとつ総合的に一ぺん考え直さなければならないところへきているんじゃないか。私も同感でございます。しかし、そういう意味で政府の準備がおくれているということはまことに申しわけないと思っておりますが、今回自民党の有力な方々によって提案されております過疎法案につきましては、この立案過程で直接政府が関与しておるわけじゃございませんけれども、政府との間には意見の疎隔はございませんのでございますから、山本さんのお話しのようにひとつ御協力をいただいて、そうしてまたこの御審議過程でよりよいものをつくっていただければさらにけっこうだと考えておる次第でございます。なおかつ、これをもってまだ足らぬというようなところがありますれば、これはもちろん手直しもしなければなりませんでしょうし、それは国会側でも手直しを考えていただけることだと思います。しかし、いずれにしても、本法案が皆さんの御協力によって成立するということを私ども期待申し上げておる次第でございます。  第三点と第四点につきましては、私、ちょっと、問題のおっしゃるところがどこだったかと思いますが、はなはだ恐縮ですけれども……。
  34. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 過疎地帯指定するということについて、それは、ある程度まで過疎を前向きに考える場合には、条件を緩和すべきではないかということです。
  35. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはちょっと私は……。これはもちろん自治大臣がおられますから、十分検討されることだと思いますから、その点ひとつお許しいただきたいと思います。
  36. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、折小野良一君の発言を許します。折小野君。
  37. 折小野良一

    ○折小野委員 時間の関係もございますので、一つだけお尋ねをいたしたいと思います。  現在、過疎中部圏の審議が行なわれているわけですが、これはいわば過密と過疎の問題でございます。こういう問題につきまして、従来政策的にいろいろとられております問題は、地域住民の生活環境整備ということでございます。これはもちろんきわめて大切なことであるというふうに私ども考えております、それに対するいろいろな対策が講ぜられること、また当然なことだと思います。しかし、基本的な問題が忘れられておるのじゃなかろうか、あるいは、忘れられておるとまでは言わないにいたしましても、軽視されておるのじゃなかろうか。過疎と過密という現象が生じます一番根本の原因は、やはりそこに所得の格差が起こるということなんであります。その所得というのは当然産業から出てまいります。ということになりますと、過疎、過密の問題の基本的な問題は、根本的な問題はやはり産業政策にある、こういうふうに考えるのでございます。ところが、今日までの諸立法は、そういう面について適切な施策というものがほとんど行なわれておりません。もちろん、自由主義経済の今日、これに対する政策というものは非常にむずかしいと思います。しかし、昨年の五十八国会でございましたか、これは目的は別であったのではございますが、産業の適正配置に対する法案というのが出ました。これはもちろん廃案になりました。しかし、一歩を進めまして、わが国全体の産業の再編成というようなものを基本的に考えてまいりませんならば、今日の過密もあるいは過疎も根本的には解決しないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういう点から、政府として、今後基本的な問題としての産業政策に取り組む、こういう御意向がありますかどうか、その点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  38. 保利茂

    ○保利国務大臣 新全国総合開発計画の目ざしておりますところも、大体ただいま御指摘になりましたような現象をとらえまして、その反省、分折をいたしてああいうものを出しているわけです。これはもうただいまお話しのように、よく御理解のように、自由主義経済社会でございますから、強制的に、おまえの工場はあそこへ持っていけというわけにいかぬのでございますが、ただこういうことは考えられるのじゃないかと思います。世論の動向、国民の関心が公害問題というものを非常に大きくこの対策を要請しております上からいっても、一つの工場がかりに過疎地帯に持っていかれるにしても、その工場だけで動くというものではなしに、多くのやはり関連した中で発展していくのだと思うのでございます。しかし、そういうことから考えてみまして、一つは公害対策の上からして、だんだん過密地帯への集中というものは、政府の施策というよりも、そういうふうな時代的な要請がこれを許さなくなる。したがって、だんだん公害問題を起こさない地域へのいろいろな工場、企業の進出ということはもう期待していい時期になってきておるのじゃないか。それにはやはりそれを誘導するというか促進するというか、先ほどは農村のことを申しましたけれども、やはり交通が円滑に行なわれるようになる、それがやはり基本じゃないかと考えております。関連したたとえば親工場と子工場が、交通が容易になりますと、これはいやでも公害問題や何かやっかいなことを起こすようなことなしに地方へ出ていく、こういうふうに馴致していくべきではないか、私はそういうふうに、これははなはだ幼稚な考えであるかもしれませんけれども、そういうことをはかって、できるだけ企業あるいはもろもろの産業が広く国土全体の上にふえんしていくように誘導する施策を講ずる。どうも強権的に、おまえはあっちへ行けというわけにはまいらぬわけで、そういう心がけで施策を講じていくべきじゃないか、私はこう考えております。
  39. 折小野良一

    ○折小野委員 終わります。
  40. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して小濱新次君の発言を許します。
  41. 小濱新次

    ○小濱委員 長官に二点だけお伺いしたいと思います。  いろいろ過疎問題については、審議を進めるに従って非常に問題の多いことがわかってまいります。私は、時間の制約がございますので、簡単に二点だけ基本的なお考え方をお聞かせいただきたいと思います。  農業の荒廃はそのまま国家の荒廃につながる、こういうふうに聞いておりますが、農業に対して、いまだに政府の明確なビジョンが示されていない、ここに大きな問題が残されていると思うわけであります。こういうことに対して、ひとつ政府考え方をお伺いいたしたいと思います。  もう一つは、過疎対策を進める上において大きな問題は、やりその地帯に取り残された、あるいは残らざるを得なかった高齢者への配慮及び対策でございますが、御存じのように、日本の総人口の一〇・五%が六十歳以上の高齢者である、こういうようにいわれております。また、不名誉なことでありますが、老人の自殺者、自殺をしていく人が、世界で女子は第一位になっているそうであります。男子は第七位になっている。こういう記録がございますが、こういう点で、やはり今度の過疎問題の審議を進めていく上において、私は、どうしても老人対策ということも大きく取り上げていかなくてはならないであろう、かように思うわけでございますが、政府考え方をこの二点についてお述べをいただきたいと思います。
  42. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはそれぞれ主管者もおられますから、いささかどうも私の個人的な考え方に片寄るかもしれませんけれども、私は、こうあってほしいと思っておりますのは、僻地地帯を私実際回ってみまして感じますことは、あっちに三軒、こっちに五軒あるいは十軒というように集落が散在をしておる、そして小さな規模のもとに零細な農業を営んでおられる。そこで農村の振興、農業の発展というものをどういうふうに考えていくか。お話しのように、だんだん優秀な労働力が都市産業集中して、ことばは悪うございますけれども、農村には劣悪労働力しか残っていない、こういうふうな状態。そこで考えますのは、三軒、五軒といったような小部落——私はもうそろそろ大胆に集落の再編成と申しましょうか、それが行なわれて、そしてたとえば農耕に出かけるにしましても、農道等が整備されて、相当のところまでは簡単に農作業に出られるような施設が持たれる、そうして編成される集落には相当の教養施設も文化施設もあるいは娯楽施設等も営まれて、もちろん一番御心配になっておられます老人の福祉については老人福祉センターといったようなものを持つ。そうして相当広域な農村が、一つの集落にそういう諸施設が持たれて、そしてこれもいいことか悪いことかわかりませんけれども、とにかく農村の労働力というものはそれだけ激減していっておる傾向ですし、現在ささえているのは、いまお話しのようにかなり労働力としては弱い労働力が今日の農村をささえておるということから考えてみまして、それではそれが五年先、十年先までもつのかということになりますと、人間でございますから、これはそういうものはいつか消えていく。そうすると、そこにまた非常に大きな分解過程が生じていくのではないか、そういうことに今日から備えて手を考えていかなければいかぬのじゃないだろうか、私はそういう考えで、いろいろこういうかってなことを申し上げては申しわけございませんけれども、そういう気持ちでこの過疎問題とは取り組む一つ考え方が必要じゃないだろうかと私は考えております。
  43. 小濱新次

    ○小濱委員 農業に対するビジョンは……。
  44. 保利茂

    ○保利国務大臣 これは農業基本法が一つ大きくございます。その農業基本法の立法の精神が今日の農村の実情からどう生かされていくか。いまあなたも御心配のように、私も心配しておりますように、いまかろうじてお年寄りあるいは留守を守っておられる奥さん方のそういう労働力によってささえられているわけでございます。これが一体いつまで続くのだということを描きつつ、そして農業基本法の精神を生かしていくように持っていかなければならぬじゃないか。これは大体農林大臣のほうにお聞きをいただかないと、私がかってなことを申しても、これはいかがかと思いますけれども、しかし、とにかくそういう日本の経済の変貌に応じて農業をどう位置づけしていくかということが御心配の点であろうかと考えるわけでございます。私は、やはり日本のこういった地勢からいいましても、島国でございますから、できるだけ自給政策を、少なくとも食糧の自給政策というものを基本的にとっていかなければならないと強く考えておる一人でございますから、そういう上で、しかも今後の農業労働力の趨勢等とよく見合って考えていかなければならぬじゃないか。ただいま総合農政を進めてまいりますのに、私が承知いたしておりますところでは、農政審議会におきましてもそういう点においてかなり検討を進めていただいておる。九月か十月ごろには一つ政府の指針となるべき答申が得られるのじゃないかというように、期待をいたして、そういうことで善処さしていただきたいと考えております。
  45. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、山口鶴男君の発言を許します。
  46. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいま保利官房長官から、集落再編成についてきわめて意欲的な御答弁がございました。私ども非常に意を強うしておるわけでございますが、実は山中さんの御努力によりますこの立法に対しまして、野党で話し合いをいたしまして、できれば集落再編成並びに民間の交通事業に対する援助、これにつきましては補助の道を開き得る法律改正をやったらどうかという話が進んでおるわけであります。現状の集落再編成につきましては、経済企画庁におきまして毎年一カ所ずつモデル地区として指定をいたしまして、六千万円の予算でこれをやっておりますが、現実の補助は二カ年間で、一年一千万、次の年一千万ですから、合計二千万円を補助として出しておるわけであります。これは一年一カ所でありますから、きわめて対象となる地域が少ないわけであります。せっかくこの過疎立法ができるという段階で、私ども、先ほど申し上げたような法律改正も実は与野党の間で話し合っておるわけでありますが、そうした場合、せっかくいま官房長官が集落再編成については非常に意欲的な御答弁をせられたわけでありますから、もしかりに私どもの手によって修正が実現した場合、経企庁が毎年一カ所を補助をしておるというような状態でなしに、より積極的な官房長官の意図する方針が実現するように御努力をいただけることができるのかどうか、この点をひとつお答えをいただきたいと思う次第であります。
  47. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は山中さんから提案されておりますこの法案が、各党の御協力によって、よりよきものとして成立することを心から願っております。そしてただいまお話しの点につきましては、もうやはりそういうところに力を入れていかなければならぬじゃないかとほんとうに考えておりますから、私としてはできるだけ努力をいたすことを申し上げてお答えといたしておきます。
  48. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 きょうは実は総理大臣にお見えをいただきたいと思ってお願いしたのでございますが、残念ながら総理大臣多用でございまして、かわりに保利官房長官にお見えをいただいたわけであります。ただいまの御答弁は、政府としての方針としてお取り組みいただける、こういうふうに了解いたしたいと存じますが、よろしゅうございますね。
  49. 保利茂

    ○保利国務大臣 そこはひとつ、あまりかたく締められますと私もちょっとこれは身動きがつきませんのでございますが、とにかく任にありまする以上は、私はできるだけ政府の全体の方針として取り組んでいくように持っていきたいと思っております。
  50. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 十二時五十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ————◇—————    午後一時開議
  51. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。太田一夫君。
  52. 太田一夫

    太田委員 中部圏開発法に関連いたしまして、お尋ねをいたします。  これは中部圏開発整備本部がお出しになりました「中部圏基本開発整備計画」なる書類によりますと、第五ページに、「第一編基本方針」の中に、「新しい時代の地域開発の課題は、国民経済の能率的発展をそこなうことなく、当面する地域格差問題、過密問題および過疎問題に対処し、もって国土の均衡ある発展をはかることにある。」こう申しつつ、その次六ページにありますが、「今後地域格差、過密および過疎対策を要すべき地域が多く、それはそのままわが国の地域政策の命題につながるものである。この意味において中部圏は、わが国土の均衡ある発展を促進するために効果的な国家的政策地域であるということができる。」こうあります。そうして七ページに、「第五節計画目標」というところにはさらに具体化しまして、「この計画は、国家的視野に立脚し、人口および産業の適正な配置をはかることにより、都市および農山漁村の効率的な開発をすすめ、首都、近畿両圏との分担関係および交流関係を重視しつつ、わが国で屈指の成長力の高い地域にふさわしい産業基盤の強化と生活基盤の整備を促進し、もって中部圏の均衡ある発展と住民福祉の向上をはかることを目標とする。この場合、中部圏は、その自然的、地理的、諸条件により都市化地域、農山漁村地域、山岳地域等をもつきわめて多面的性格の地域であるので、その開発整備にあたっては、交通通信施設の整備をはかることが重要である。」以下云々とありますがごとくに、この基本計画というものの考え方は、先ほど来私が、若干押し問答に類しますけれども、全地域の二割のみの、ほんのわずかの臨海、人口密集地帯の開発計画だけではない、中部圏という九つの県の全地域を総合して国土総合開発計画の一翼をになう開発計画を行なうのだということが明らかになっておる。それなのにどうして八割の地域をほうり出してしまったのか。八割の地域の中には保全区域というのがある。保全区域というのは御承知のとおりに国立公園県立公園とか、あるいは緑の地域でございますとか、そういうところが各地にありますが、この保全区域を設定されたことは私も非常に意義あることと思う。揖斐伊吹区域とか、白山区域とか、あるいは中部山岳区域とか、あるいは中央アルプス区域とか、八ケ岳中信高原区域とか、富士伊豆区域——富士伊豆区域は二つありますが、そういうところとか、伊勢志摩区域あるいは赤目青山区域、こういうのは非常に大自然の景観そのままをいまだに持っておりますし、将来とも日本国民が、わが自然を愛する最も適切な地域としてこれを活用していくということは望ましいことだ。だからそういう保全区域というものをあわせ、そうしてまたその他の全然区域指定をされない区域をもあわせて開発するというのがここに書いてあるし、そうでなくちゃならぬと思う。これは開発整備法の本来の目的であるにかかわらず、それに対する各種の助成ということは、起債にしろ補助にしろ、それを入れない。それならば五百万の除外された人たちは生活環境整備も何一つ進まない、あるいは自分の生活をさざえるところの収入を確保することのできるであろう産業誘致、開発というような仕事も進まない、いわばほったらかしであるということに対してはどうしてもわからない。これについて、この際本部長官である建設大臣からお答えをいただきたい。
  53. 小林忠雄

    小林政府委員 中部圏基本開発整備計画についてのお尋ねでございますが、中部圏開発整備基本構想というのは八ページ以下に書いてあるわけであります。それによりますと、中部圏が今後どうなっていくか、八ページの下から三行目以下に将来のことが書いてございますが、まず「工業集積を一段と高めながら第三次産業の発展をたどり、同時に、重要な農業地帯としての地位を確保」するというように書いてあるわけでございます。  そこでいまお話しの発展の方向を裏づけるものとしまして、人口規模及び配分の問題があるわけでございますが、それの基本的な考え方が一一ページの中ごろ辺以下に書いてあるわけでございます。「経済構造高度化社会構造の変化につれて、人口集中する地域人口漸減地域の現われてくる実態を認めながら、中部圏の均衡ある発展をはかるためには、大都市においては、人口の著しい集中をさけて合理的な都市機能の発揮につとめ、地方拠点都市および地方都市においては、それぞれ背後の農山漁村を含めながら今後発展する交通通信体系によって農山漁村と都市地域との連携を強めつつ適地適産の産業の振興と配置をはかり、全体として適正な人口規模の維持につとめる」というのが基本的な考え方でございまして、経済構造高度化社会構造の変化につれまして人口の向都性向、都市集中という現象は一応前提として認める、その上で中部圏の均衡ある発展をはかるためにはどのようにするかということが基本考え方になっております。  そこで、このような視点に立脚しまして、人口の規模及び配置についての想定が一一ページから一ページにかけて書いてあるわけでございまして、先ほどちょっとお答えいたしましたように、昭和四十年の総人口千六百五十万が昭和六十年までに五百五十万増加をする、その際、都市地域とその他の地域人口を分析すると、都市地域が千七百万、すなわち五百五十万の増がすべて都市地域において起こるということになっております。「この人口予測は、中部圏における第二次産業の発展性がきわめて高く、第三次産業も相対的に高まる」、こういう想定に基づいているわけでございます。この段階におきましては首都圏、阪神の過密抑制政策中部圏計画が次第に効を奏して、大都市及び大都市周辺部における過密が避けられると同時に、積極的開発地域における産業発展に伴って人口増が進み、各地域の一次産業も発展して、農山漁村地域においても次第に人口の適正規模が実現されるというように書いてあります。これは現在人口産業間の移動が非常に有史以来の規模をもってなだれ的に行なわれている最中でございまして、ちょうどこの想定しております昭和六十年ごろには一応都市及び人口社会増が定着を見るであろうというように基本的には考えておるわけでございます。  そこで、いまの都市区域指定考え方でございますが、これは拠点開発考え方によるわけでございます。で、この区域指定考え方につきましては、三九ページの第二編の「区域指定に関する事項」というところに、考え方が書いてございますが、それによりますと、結局この区域指定をやることによりまして人口産業の配置が適正に行なわれる、その際、農林漁業への波及効果を大ならしめるように配慮する、こういうように考えておるわけでございます。すなわち、これらの地域へ五百五十万の人間が新たに移動をする、これに入れものをつくるわけでございますが、この入れものをつくるためには、きわめて短期間に巨額の投資が要る、したがって、それらの公共団体における現在の財政力では一挙にこれを引き受けることができないので、もちろん、人口増、産業集中によりまして将来税収の伸びというのが当然考えられますので、その際均衡がとれるわけでございますが、当面、この十五年間に五百五十万の入れものをつくるということに対しまして財政援助が必要である、このように考えておるわけでございます。
  54. 太田一夫

    太田委員 中部圏本部事務当局から幾ら答えてもらったって私はしかたがないと思うのだ。大体、新全国総合開発計画においても過疎地帯の問題が取り上げられておるわけです。中部圏整備計画そのものの中にも過疎地帯の問題が取り上げられておる。それから、それと似合うような表現が法律の中にもあるわけです。にもかかわらず、五百万の人口というものが何ら財政援助の特典を受けないでほっておかれるということはどういうことかと聞いているのです。
  55. 小林忠雄

    小林政府委員 ただいまも申しましたように、当面十年、十五年間に急激な人口移動が起きるわけでございまして、今後十年、十五年間にはとかく入れものを整備するということが一番急務であるということで、一応年限を切りまして、これらの地域に対する財政援助公共団体に対してしようというのが今回の趣旨でございます。それ以外の地域につきましては、この基本計画全般について触れておるわけでございまして、これらの地域については、もちろん第一義的にはそれぞれ各省の縦割りの公共投資あるいは産業基盤投資が行なわれることは当然ではございますが、これらの公共団体財政に対する援助措置というのは、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、その相当部分がそれ以外の振興山村あるいは低開発というような指定になっておるところが非常に多いわけでございます。たとえば愛知県などについて考えてみますと、都市整備区域以外の市町村は、一村を除いて全部振興山村に現在指定をされておるように聞いておりますので、その振興山村というものと都市整備区域あるいは都市開発区域というのは本来相いれない形のものでございますので、当面そういうようなものにつきましては、振興山村あるいは低開発というような形の一般的な財政問題につきましては、そのような対処をするのが適当じゃないかと思います。
  56. 太田一夫

    太田委員 この中部圏開発整備法というのは総理府の所管でございますね。総理府長官にお尋ねいたしますが、この本法、財政援助もとになる開発整備法というのは、東京大阪からあふれてくる五百万の人たちを収容する器がないから、その器を整備するために今度の財政特別措置法がつくられたり整備法がつくられたのでございますか。
  57. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 太田委員、総理府からだれも来ておりませんから、どなたか……。あなたの御要求の中に入っておりません。
  58. 太田一夫

    太田委員 じゃ閣僚の一人である自治大臣から。どういう意味ですか、あなたはわかっておるでしょう。
  59. 野田武夫

    野田国務大臣 この中部圏財政処置は、よそからあふれてくる五百万の人を迎える場所をつくるためかという、私はそうではない。その地域開発が進んでくれば、何もよそからあふれくるのを待っている場所をつくるんじゃなくて、おのずからその産業開発その他について必要な人間が入ってくる、決して迎える場所をつくるというような考え方ではない、こう思っています。
  60. 太田一夫

    太田委員 そうだと思うのです。それで、あなたのおっしゃることがおそらくその立法の趣旨であるし、現在でもそういうふうに一同理解していると思うのです。ところが、さてこれを具体的に実施する段階になると、方便的に整備区域とか開発区域とかいうものをつくって区域指定というのを行なって、その区域指定が漏れた八割の土地に住む人というものはほったらかしになっておるのが現状である。だから、中部圏開発法の精神にもこれは違背することであるし、それから同時に、全国総合開発計画中部圏開発基本構想という中に書いてあることとも相反しますし、それから中部圏開発整備本部がつくりました開発整備計画の中に書いてある各所の生活環境整備とか農山漁村振興とかというような問題、社会福祉の向上という命題以下に記述されている事項とは道が違うから、私は、そこで財政援助対象大都市とその周辺拠点都市のみに限られるということに対しては、立法上何か問題があるんじゃないか、こういうことを言っているわけです。そこだけはそれだけのことをするけれども、その他のところにも何かするという考え方があるのなら、単に山村振興法というようなけちな問題じゃなくて、新しい時代の中部圏開発という基本構想に沿う対策が何かあるというのなら、大蔵省でも建設省でも何省でもいいから、この際一ぺん発表してもらいたい。あるのならいいけれども、なければ、こんなえこひいきの不均衡な法律はないと私は思うのですが、その点いかがですか。
  61. 小林忠雄

    小林政府委員 中部圏開発は、もちろん中部圏全域対象とするわけでございます。中部圏全域をどのような戦略的な手法で開発していくことが今後十年、十五年の間に最も効果的であるかという手法としまして拠点開発方式、これは新産業都市、工業整備特別地域その他各種の地域開発立法においてとられている手法でございまして、この考え方は、結局開発の手法として、そういうようなところを開発することがその他の地域に対して波及効果を及ぼしていく上において一番効率的な方法である、こういうようなことでこういうような法律ができているわけでございます。
  62. 太田一夫

    太田委員 自治大臣、あなたは参議院におきまして、わが党の委員のたしか和田さんだと思いますが、の質問に対して、四月三日こういうことをおっしゃっていらっしゃる。首都圏整備計画による事業実績は資料として出します。これは和田さんから、こういう整備計画をつくっても格差が拡大するばかりじゃないかというお尋ねがあって、それに対して、あなたはいろいろお答えののち、首都圏整備計画による事業実績は資料として出しますとお答えになりましたが、これは資料として出ておるのでございますか。出ていたらちょっと御説明いただきたい。
  63. 野田武夫

    野田国務大臣 ちょっとお答えしますが、首都圏の本部から来ておりましたから、資料の問題は首都圏整備本部からお答えしたと思いますが、私は、なるべく出したがいいというようなことを言ったことを覚えております。私のほうじゃないものですから……。出すと言っていました。その間のことは首都圏のほうにひとつ聞いてみましょう。——首都圏整備本部から直接和田さんのほうに資料を持っていったそうです。
  64. 太田一夫

    太田委員 これは事務当局でもよろしいけれども、その資料の内容というのは大ざっぱにいってどんなようなことが書いてあったのでしょう。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 首都圏の方がおられませんので、私かわりに、承知している範囲で申し上げますが、首都圏近畿圏それぞれの四十二、四十三年度の国庫補助額の実績額と、中部圏に対します財政援助見込み額、四十四年度事業に対応するものというのを資料を差し上げたと聞いております。
  66. 太田一夫

    太田委員 その程度しかないでしょう。結果的に事業計画というのが策定されておらないというのが、参議院における本法審議の中における重要な問題であった。事業計画がなぜ策定されないのかという点については、内閣総理大臣そのものの責任問題があるんじゃないかとさえ和田さんから言われていたのであります。事業計画そのものができたとか、できぬとか、できつつある過程にあるということについてとやかく議論しようとは思いません。それは参議院の段階の議論の中で明らかになっておりますし、努力をされるということですから、けっこうでしょう。やむを得ないことだ。しかし、それは中部圏開発法も——地域開発法というのは議員立法であった。議員立法というものは政府当局によってだんだん狭められて、実施の段階になるとお金を出し惜しむものなりという一つの悪い型がある。私は今度の過疎立法についても、山中さんここにいらっしゃってはなはだ恐縮ですが、これもまたそういうことになるんじゃなかろうか。議員立法に対する政府の取り組みというものはいつも、何ですか、一歩も二歩もうしろに下がって、そして先のほうでわずかに触れておるだけということがありますから心配するのですが、中部圏がまさにそれだ。中部圏開発整備法というのは実にりっぱでしょう。これはだれが見たってりっぱです。ところが、それに対してさて実施する段階になると、区域指定に取りついて、区域指定という中でも、保全区域というのがある。保全区域というのを全然抜きにして、これまた対象にならないですね。同じ区域といっても、保全というのは地図の上に薄みどりに塗られただけなんです。金は全然出ないです。補助の特例もない。起債特例もない。それで、都市整備区域都市開発区域、太平洋岸と日本海岸と、それから内陸の若干の部面におけるところの拠点都市と、大都市に対する社会的ないろいろな基盤整備の補助にしかすぎないのである。私はそういう点を片手落ちだと言っておる。開発整備法の趣旨にそむく、こう言っておるわけです。細郷さん、お立ちになったついでに聞きますが、四十四年から五十年の間の七年間に、県分として大体こういう開発起債と認められる起債が二百六十億、市町村に対する補助のかさ上げ四十億ないし五十億という御答弁をなさっていらっしゃったようでありますが、この数字というのは大体そんな程度でございますか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和五十年までの見込みでございますが、中部圏債が二百六十億ないし二百七十億くらい、そのうちかさ上げ分が約百二十億、それから市町村分としての補助のかさ上げが四、五十億程度、こう見込んでおります。
  68. 太田一夫

    太田委員 でございますから、四十四年度分だけとすれば、中部圏の全体の起債は三十一億、補助のかさ上げ五億という程度にしかならないのでありまして、まことにスズメの涙のような助成である。私は、助成が少ないということについてとやかく言うわけじゃなくて、少なければ少ないで、お互いに少ないのをがまんし合って、なお大きくすることを求めるような態勢であるならいいが、中部圏の中に行きますと、指定に漏れた地域はおこっているわけですね。自治省であるのか建設省であるのか、内閣であるのか総理府であるのか知らないけれども、なぜおれのところを指定しないのか、指定しようという声は多かったのでありますが、それをみな断わってしまった。先ほど保利官房長官はおっしゃったでしょう。地方住民なり自治団体の意向を尊重して、そういう区域指定とか事業計画は定めるものでございます。だったら都市開発区域として県のほうから希望が出ておったものは全部入れたらどうですか。なぜそれを削ったのですか。削った理由を聞きたい。
  69. 小林忠雄

    小林政府委員 都市整備区域及び都市開発区域等の指定につきましては、基本整備計画の第二編で、一定の指定の要件が基本計画できまっているわけでございます。これは抽象的に書いてございますが、それを指定するにあたりまして関係省とも協議をいたしまして、これはもちろん関係県も入れて協議したわけでございますが、これに一定の数字を入れた基準をつくりまして、その基準によりまして指定したわけでございます。もちろん広ければ広いほどいいわけでございますが、それでは区域を限って投資をする、財政援助をするという趣旨に必ずしも沿わないわけでありますので、その基準に合ったところを拾ったわけでござますが、その際もちろん関係省とも協議をいたしまして、その中に他の種のいろいろな区域指定がすでにあるわけでございますので、その区域指定との調整をどうするかというのが一つ問題でございます。いま追加の指定をしてもらいたいというのが地方側の、地元の市町村等であるのは承知しておりますが、これは大部分が低開発地域とかあるいは振興山村に現に指定されている、あるいは近く指定をされる予定であるとか、あるいは保全区域指定をするほうが適当であるとかいうところが非常に多いわけでございます。これは経済企画庁とも相談いたしまして、相矛盾する地域指定をするのは適当でないので、場所によりましては地元の市町村に相談をいたしまして、どちらをとるかということを県を通じて相談をいたしました結果、いろいろ意見がございましたけれども、当面低開発でいこう、あるいは当面振興山村でいったほうがいいといったような希望もございまして、そういうような希望も参酌をして地域指定をしたわけでございます。
  70. 太田一夫

    太田委員 経済企画庁の宮崎総合開発局長さんにお尋ねいたしますが、いまのような答弁で、中部圏のいまの指定漏れの地域については、山村振興法なら山村振興法をとるか、それとも都市開発区域に入れてもらうか、どちらがいいか、二者択一の選択を迫った結果、山村振興法なら山村振興法のほうに私のほうは入れておいてもらいますとか、あるいは新産都市のほうだけでいきますとかいうことになったということでありますが、あなたのほうの全国総合開発計画もまたそういうことですか。もしそうであるとするならば、中部圏開発整備区域の中に、あなたのほうが新たに法律をつくる必要は何もなくなってくるし、首都圏近畿圏も同じことでありまして、あなたのほうが全国総合開発計画の網の目の中に、新たなる振興計画を立てる余地というものはもうなくなると思うのでございますが、どうでございますか。
  71. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘の点でございますが、確かに中部圏開発整備法というこの法律のたてまえが、先ほどから小林次長も御説明をいたしておりますように、結局この中部圏区域内における都市開発拠点指定して、それについて整備計画の実施をはかっていく、こういうたてまえでございますので、たとえば、都市開発区域山村振興区域というようなものが重複をするということになりますと、その重複した部分都市開発をやるのか、山村振興をやるのかというような、非常に開発政策上も相矛盾する場合が出てくるわけでございまして、そういうところについては、たとえば山村振興として、山村振興地域としてやったほうが適当であると思われるものは、そういうことで進めていただく。あるいは低開発工業地帯ということで指定が行なわれているところもございますが、こういうところについては、それなりに財政措置もとられておりますし、特例もあるわけでございますが、これもやはりそういった形でもっていってもらうというようなことで、若干そういった調整をいたしております。全体として、私どもが今度の新しい総合開発計画で、日本国土全体の有効活用ということを言っておりますが、その中において、中部圏も非常に重要な地域になります。そこで、全総計画と、こういった中部圏開発整備計画というようなものの関係は、十分整合性をとられたものとして実際の事業が実施されなければならないわけでございまして、その辺につきましては、この中部圏開発整備計画の策定段階におきまして、私ども十分御相談に乗りまして、全総計画考え方と全く一致した方向でこれはつくっていただいておる、こういうふうに確信をいたしております。新しく今後法律的な措置を講ずる場合に、いまのような問題がどうなるかということは、確かに御指摘のように一部問題もあろうかと思います。つまり、ブロック整備計画による措置と、それから全国の特定の地域対象として実施する措置、たとえば山村振興も低開発工業地帯もそうでございます。こういったものとの関係が、いままでのとおりでいいかどうかということは、御指摘のように若干問題が残っておると私ども考えております。それが全総計画の最後に書きました、地域開発の制度について、この際全般的に再検討してみたいということを書いてある趣旨でもございまして、きのうも御説明申し上げましたように、いま関係各省、いろいろと御協力を願いまして、勉強を進めておる最中というわけでございますが、私は、この中部圏開発整備計画に基づく今回の財政措置の問題は、これは首都圏近畿圏と同じような措置で、同じような考え方でこれをやっておるわけでございまして、これなりに一貫した、十分意味のある措置である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 太田一夫

    太田委員 まあ工場がくるであろう、勤労者、労働者がたくさん集中するであろう、都市人口がふえるであろう、周辺相当人口が過密になっていくであろうというようなところに、道路とか住宅とか下水とか公園とか云々ということは、こんなものはちょっと頭の痛い人に仁丹を飲ませる程度の効果でございましょうから、いとやすい対策ですね。最もせっぱ詰まったことを申しますか、当然やらなければならぬことの一部だけなんですから、その程度でお茶を濁しておいて、中部圏開発だ、中部圏開発だというから、中部圏という名が泣くぞというのですよね。だったら中部圏という名をはずしてもらいたい。五百万の人たちをなぜ助成措置の圏外に置いておくのかということは、幾らおっしゃったってぼくは納得できない。山村振興法でやるのがいいか、こちらがいいかなんて、そんな話があったはずがない。私はそういうたてまえが、私どもの考えておるたてまえと皆さんのお考えになっているたてまえとが違うので、これはもう議論は食い違いだと思うのです。私は承知できない。八割の土地がほったらかしになっておるということは承知できない。  じゃ区域指定をしますが、保全区域にはいかなる助成措置があるのでありますか。
  73. 小林忠雄

    小林政府委員 保全区域内の市町村に対する保全区域としての財政援助措置の問題は、現在制度としてございません。
  74. 太田一夫

    太田委員 したがって、これは都市開発区域整備区域以外には助成が行かぬということです。大臣としては自治大臣しかおいでになりませんが、あなたはそれが中部圏開発の本来の行き方であるとお考えですか。はっきり一ぺん答えてください。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 保全区域につきましては、一応中部圏計画で、こういう地域をそういうふうにしようということをきめておるわけであります。具体的に保全区域保全区域のようにするにどうするかということは、まだ今後に残っておる問題でございます。したがいまして、いま近畿圏におきましても、首都圏の場合におきましても、保全区域についてどういう財政上の措置をするかということはいまきめていないわけでございます。私どもは、非常に大ざっぱに考えますれば、保全区域というのはむしろなるべくそのままにしておくというような気持ちもずいぶん強く出るべき地域ではなかろうかというふうにも考えられるわけであります。また半面、そこをなるべく緑地なら緑地をそのままにしてとっておこうというような場合に、かりにそれを地方公共団体が買収をするというようなことも考えられるかと思います。もし、そういうような具体的な事例がございますれば、私どもは現行法範囲内におきましても、たとえば地方債によって土地を取得するというようなことを認めていく方法もあろうかと思っております。
  76. 太田一夫

    太田委員 伊豆の保全区域というのは、熱海も入れば伊東、熱川、下田、修善寺、みな入るわけですね。そのままほうっておきたいというと、どうするのですか。旅館の設置も、そういうふうな観光施設等も、しばらくの間もうストップさせたほうがいいということですね。そのままほうっておくということはどういうことですか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 いまも申し上げましたように、保全区域保全区域のようにするに、具体的にどうするかということは、なお今後に残っておる問題でございます。私が先ほど、そういった考え方もあるであろうということを申し上げただけでございます。
  78. 太田一夫

    太田委員 そのままほうっておこうとしたらば、どうも伊豆半島はだいぶ俗化してくるから、俗化しないように起債か何かをつけて、そうして何か対策を講じよう、その起債の方法があるとおっしゃった。保全区域には起債という配慮があるということなら、それはいいでしょうね。  じゃ運輸省についでに伺いますが、観光ルートの設定というのが盛んに中部圏開発整備計画の中に出てまいりますが、観光ルートの設定というのは、いまの保全区域というものを中心とした地域に多く考えられることであると思うのですが、それはどういうことなんですか。地図の上に、これが中央アルプス観光地であるということを宣伝することであるのか、何かそこに投資をすることであるのか、これはどういうことですか。
  79. 小林忠雄

    小林政府委員 運輸省が見えてないようでございますから……。  保全区域の性格でございますが、中部圏開発法及びそれに基づきます基本計画によりまして、保全区域といたしましては三種類考えておるわけでございます。一つは「すぐれた自然景観を有し、観光およびレクリエーションに供するために観光資源等を計画的に保全し、または開発する必要があると認められる相当規模の広さの地域であること。」二番目が「都市整備区域内またはその周辺であって、市街地の無秩序な拡大の防止、生活環境の保全または住民のレクリエーションのために、相当規模の広さの近郊緑地を確保する必要があると認められる地域」三番目といたしましては、「とくに重要な文化財である建造物、史跡、埋蔵物等をそれらをとりまく自然環境と一体として保全する必要があると認められる地域」こういう三種類ございます。それで、中部圏の今回の保全区域は、この三つのうちの第一番目のものについてだけとりあえず指定をしたわけでございまして、第二番目、第三番目のものについてはまだ指定をしておらないわけでございます。第一番目のものにつきましても、現在自然公園法で指定がなされているところまたは近く指定が予定されているようなところだけをとりあえず指定したわけでございまして、この第一番目のものにつきましても、さらに指定を拡大する必要があるのじゃないかと考えております。特に中部山岳地帯と申しますのは、単に中部圏の住民だけでなくて、日本全体の都市化がますます進み、それから将来余暇時間が多くなる、さらにモータリゼーションによりまして住民の余暇時間の活用が広域的になる、こういうことを考えますと、中部山岳地帯というのは全国民の宝として保全をし、開発をする必要がある地域であろうと私は思っております。  それで、それの保全の手法及び財政上の問題は、実は今後の課題としてわれわれ研究をしまして、早急に結論を得て、さらに施策をいたしたいと思っておりますが、首都圏近畿圏等におきましては、先ほど申しました三つ保全区域のうちの第二番目の保全区域と第三番目のものがある程度行なわれております。これは第二番目は大都市近郊の緑地の保全でございまして、これは東京大阪等の首都圏近畿圏等の既成市街地におきましては非常に過密の弊害がひどいということから考えられたことでございます。それから第三番目の文化財の問題につきましては、歴史的風土の保存法というので京都、奈良あるいは首都圏におきましては鎌倉が指定をされておりますが、いずれにいたしましても、保全区域は二面においてどこを保存し、どこを開発するかということが問題になるわけでありまして、その場合、保存をするということになりますとどうしても開発の制限をいたす必要があるわけでございます。現在は自然公園法で指定されているところにつきましては一定の開発が規制されているわけでございますが、とにかく保全のためにはどうしても制限が伴う。その場合、国有地、公有地につきましては問題がないわけでございますが、民有地につきまして強度の私権を制限をした場合に、これが無補償ではたしていいかどうかというような問題が一つあるわけでございます。そこで都市近郊につきましては、非常に地価の値上がりその他がございますので、単に制限をしつばなしでは土地所有者に対して非常に気の毒であるということから、土地所有者から買い取りの請求がありました場合には公共団体でこれを買い取る、これに対して高率の国庫補助をするという制度が、ただいま申しました保全区域の二番目三番目につきましては、首都圏近畿圏で制度として確立しているわけでございます。  中部圏についてこういう必要があるかどうかということは、今後の検討問題でございますが、しかし中部圏で一番必要なことば、何と申しましても第一番目の日本アルプスを中心とする山岳地帯の保全でございまして、こういうようなものについて権利制限を何らかするということ自体が非常に問題でございますし、その権利制限をした場合に、これに対し補償または買い取りをするということもまた非常に大問題でございますので、今後の問題として検討いたしたいと思います。  ただその観光開発の面におきまして、先ほど御質問の観光ルートの設定とかあるいは観光施設の公的な整備というものについて、地方公共団体に非常に大きな負担がかかるということになりますれば、これについて何らかの財政措置は、将来の問題として検討しなければいかぬと考えております。
  80. 太田一夫

    太田委員 自治省お尋ねしますが、いまのお話のごとく自然公園を推持しないしは観光ルートの形成ないしはその諸施設の整備ということになるならば、地方自治体に相当財政的負担がかかるであろう、その際には何らか考えなければならぬと思うと、こういうことでありますが、そういうことに対して、財政特別措置をつくることについての御意見はいかがですか。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 何ぶんにもまだ具体的な中身に入っておりませんので、その検討の結果を見て適切な措置を考えたらよろしい、こう思っております。
  82. 太田一夫

    太田委員 中身を見てから考えるとおっしゃるなら、それじゃもう一ぺんもとへ戻る。しかし、とにかくよそのほうがやるからそれを中部圏もやるということなら、ちょぼちょば政策ならそれでもいいでしょう、中身を見てからお考えになるというなら。  ちょっと聞きますが、中部圏ほど、八割の広大なる地域に五百万の人口が住み、それが山村振興とか僻地振興くらいの程度にほったらかされておるということについて、あなたは内容を見れば、それはこの際ほっとくわけにはいかぬだろう、何らかの特別措置を講じなければならぬと独自に思うということになるはずだと思うのですね。これも御検討いただいて、将来中部圏開発の本部からいろいろなことを言ってきましたときに、この八割の広大なる土地に五百万の人口がいる、その人たちの生活基盤の整備のいろいろな事業に対して特段の財政援助をするということは考えられますね。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 中部圏の中で財特法のかからない白地部分があることはそのとおりでございますが、しかしこの白地部分は別に中部圏だけにあるわけではございませんで、首都圏近畿圏では同じようなものがあるわけでございまして、さらに首都圏近畿圏中部圏を除いた各地は全部そういう状態にあるわけでございます。むしろ私ども今回この法案の御審議をいただいておりますのは、中部圏というもの自体について、先ほど来中部圏のほうからお答え申し上げておりますような中部圏構想というものがあるわけでございまして、それを財政的にいかに伸ばしていったらいいだろうかという観点に立って、いわば都市整備区域あるいは都市開発区域に対する財特法の適用を考えておるわけでございまして、この法律ができたからといって別に他の財政上のいろいろな措置を全然考えないというわけではございませんで、私どもも別途、現在ございます法律あるいはただいま御審議をいただいております過疎法案、こういったものもあわせながら、なお将来の方向としていろいろ検討してまいりたい、かように考えております。
  84. 太田一夫

    太田委員 これは経済企画庁、あなたのほうの新全国総合開発計画案の八〇ページを見ますると、大規模な流通業務団地及びニュータウン等を周辺部に建設をすると書いてありますね。これは「建設する。」とはっきりしていますよ。だからこういうのは中部圏開発計画にはないが、あなたのほうにはこういう新しい開発計画をお立てになりましたか、これは独自におやりになることでありますか、中部圏開発計画の中でやらせられるのでありますか、どちらですか。
  85. 島村忠男

    ○島村説明員 局長が所用があって、私、かわりましてお答え申し上げますが、ただいまの御質問、中部圏を除いているというつもりはもちろんございません。
  86. 太田一夫

    太田委員 島村さん、あなた来てすぐでわからなければあとにしてもいいけれども、簡単なことなんだから、もうちょっとはっきり言っていただかないといけないです。それは八〇ページの上から四行目と五行目にあるでしょう。名古屋周辺に大規模な流通業務団地とニュータウンを建設するとあるから、それは中部圏開発整備計画にないけれども、あなたのほうが独自でおやりになるのですか、あるいはこれは経済企画庁教書であって、それは中部圏整備本部に対して、こういうふうにおれは考えるからやりなさいよといわれるのであるか、これは宣言であるのかと聞いておる。
  87. 小林忠雄

    小林政府委員 ただいまの御質問は、新全国総合開発計画の第二部のブロック別の開発構想の第五の「中部圏開発基本構想」の中のことであろうかと思います。これは主として名古屋及びその周辺整備の問題であろうかと思います。この問題につきましては、経済企画庁と中部圏と十分お打ち合わせをして書いたわけでございますし、したがって、中部圏開発基本整備計画名古屋のところにも書いてあるわけでございます。この考え方は、現在過密と申しますけれども、その過密の弊害はどういう点に一番あらわれているかと申しますと、一つ都市内における交通混雑、それから通勤難というような問題、あるいは住宅不足というのが一番顕著な問題でございます。そこでその対策としましては、大都市の中にどうしてもなければならないものはしかたありませんけれども、必ずしも大都市の都心部になくていいものはその周辺に疎開をすることによって、交通量を減らし、人口を疎開させるということになっておりますので、第一次的には、必ずしも町の中になくてもいいような工場を外に出す。その次には、現在問屋でありますとか倉庫でありますとか、トラックターミナルというようなものが市街地中心部にあるわけでございます。こういうものが市街地中心部にありますために、大型の貨物自動車が町のまん中まで一ぺん入ってきて、そこで小型の集配車に荷物を積みかえて、また町の中に散っていく、そういう二重の構造が都市内の交通を非常に混雑さしておる、さらに大型車が都心部に入ることによりまして各種の公害を来たしている。したがって、そういうような問屋、倉庫、トラックターミナルのたぐいは、都市周辺に強力な外郭の環状線をつくりまして、その外郭環状線と放射的に結ぶ外からの主要な道路との交点付近に流通の団地をつくることによって、貨物の集配をその地点で食いとめる。したがって、その分だけ都市内の交通を減らすということに目的があるわけでございます。そういうことで、具体的には名古屋の第二環状線の周辺に数カ所そういう業務団地をつくるというのが中部圏構想で考えられているわけでございます。ニュータウンの問題につきましては、高蔵寺の団地というのが現に行なわれておりますが、そういうようなものをさらに名古屋周辺幾つかつくっていく、こういうことでございます。
  88. 太田一夫

    太田委員 そういう点が経済企画庁とあなたのほうとはだいぶ食い違っておるわけです。高蔵寺の団地はニュータウンじゃありませんよ。とにかくその新全国総合開発計画中部圏開発計画とは十分一致しておらない。しかも八割の地域を占める広大なる地域に対して五百万の人を住まわせながら、この純然たる過疎地帯と、またそれにほぼ準ずるような地域に対しまして何らの財政援助は在来以上にしないなんという感じを与えることは、私はまことにまずいと思う。もらうほうは感じが悪いじゃありませんか。岐阜県の藤橋村なんというところは八百三人しかおらない。愛知県でも富山村は四百二十八人の人口、こういう同じ名古屋周辺において一つの村に八百三人だの四百二十八人だのという、こんな小さな貧弱な過疎地帯——過疎地帯といっても、人口が減って少なくなったのじゃありませんよ。もともと少ない。そこが徐々に減っている。だから人口が一平方メートルに何名以内が過疎地帯だということにしなければ、人口が減るから過疎地帯なんというばかなことはないでしょう。人口が減るというのは、もとはたくさんおったということだが、もともと少ない。島根県の布施村は八百七十三人、愛媛県の魚島村は九百三十一人、鹿児島県の三島村は八百五十五人、秋田県の大潟村は二百九十一人、この秋田県の大潟村の二百九十一人が一番少ないようでありますけれども、こういう非常に少ない地域が全国にあるのだから、それに対して過疎立法というのが出てきたと思うのです。過疎立法が出てきたと思うのでありますけれども、中部圏の中には、はなやかな名古屋とかあるいは日本海側のほうの工業都市等の場合は別にしまして、まん中に保全区域があるかのごとくにまことに貧弱な村がありまして、そこの住民は非常な悲境に立たされておる。そういう人をやはり何か救うという方針がどこかに出てこなければいけない。だから第九条あたりに区域指定するなら、その区域指定されないところにもどうするのだとか、区域指定されないところは、たとえば総合開発区域というふうに指定するとかいうようなことをしないと、私は今後地域総合開発という趣旨には合わぬと思うのです。  そこで、ニュータウンのことを聞いたけれども、ニュタータウンといった以上は、一切の都市の機能を備えたものでなければいけない。単なる住宅があるというなら、それはベッドタウンといわれておる単に住むだけの団地です。そんなものを幾らつくってみたって始まらない。  そこで、私は押し問答になって悪いけれども、自治大臣お帰りになるようですから、私の質問はちょっとあとに譲りまして、済みませんが自治大臣にもう一回お答えしてもらいたい。  大臣中部圏というものは議員立法である。今度過疎立法もおやりになりますから、お互いにわれわれも中部圏のほうには賛成した。賛成してこれをつくった。つくった以上は、全地域中部一つなりという概念でこれをつくったのですよ。ところがあなたのほうは、さてやる場合になって、予算をやる場合になって、中部三つなり四つなりに分けてしまった。こういうふうに差別をしたということはいかぬ。過疎立法の必要ある今日でありますから、ひとつあなたのほうでは過疎立法、広域市町村構想もありますがごとくに、この際そういうところにも何らかの新たなる措置をしなければならぬという御決意は私は十分あると思うのです。その御決意をひとつ伺っておきたいと思うのです。過疎立法をやろう——あなたのほうの広域市町村圏というのはたいへんな金がかかるでしょう。広域市町村圏をおやりになるところは、いまの岐阜県の高山地区は、高山の町だけは都市開発区域ですね。ところがその周辺の飛騨古川を中心とするところの岐阜県のこの開発計画を見ますと、広域市町村計画区域というのはいわば白いところですね。何にもないところなのです。そこにあなたのほうは調査費をつけ、そしていろいろなことに対して特別の援助をして、これをやろうとするのでしょう。それは全国ネットワークだから全部埋めてしまうとおっしゃる。おれのほうで中部圏は広域市町村で埋めるよとおっしゃるならば、それは一つの方法として納得しましょう。  それから能登半島の七尾というところはほったらかしになっておるが、七尾を中心とする石川県の開発計画というものは、これまた全然白いところで、何も援助対象にならないところが、今度広域市町村圏としてあなたのほうが御認定になったところに入っておる。こういうように、広域市町村圏をお考えになったあなたのほうが若干進歩しておるのではないかしらと思う。広域市町村圏に文句を言っているのではない。  青森の例を見ると一割が国費、起債が二割、県が二割四分の一、あとは全部四四%か四五%を当該市町村が持たなければならぬ。青森県の一つの例によりますと、全部で九十四億からの事業費が見積もられておりますけれども、そういうたいへんな金がかかる開発をやらなければならぬところは、みなあなたの背負ったところだ。開発計画から除外されたところなのだ。だから中部圏開発計画に対してあなたのほうは文句を言ってもらわなければいかぬと思うのですね。中部圏の五百万の人口自治省で救いなさい、そういうことであるならば、中部圏開発という都市だけのことであるならば、これは中部圏と言わないで、中部圏内に所在する新都市開発整備法くらいに名前を変えないと名と実と合いません。ですから、そういう点について、過疎地域の人たちに対するあなたの御見解をもう一ぺん聞いておきたい。広域市町村圏の構想とあわせて何かやりますよというなら、やりますよと言っていただきたい。
  89. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいままでの太田さんの御心配になっている中部圏内白地といいますか、圏内の指定になっていない区域の問題はどうするか、私もお聞きしておって非常に御心配の趣旨は理解ができます。そういう欠陥がやはりあちこちあると思うのです。これはいままで各所管庁からお答えいたしておりますとおり、いろいろな地域開発計画に入っているところもありますし、また新全国総合開発の中で今後占める地域もございましょうし、政府全体としてそういうものはどうでもいいという考えは毛頭ないということは御理解願えると思っております。  そこで、いまお話しになりました、たとえば広域市町村圏の問題、これはもう御指摘のとおり、一番目ざすところはどこにあるかというと、今度提案されておりますこの過疎対策と同じような主眼でございまして、今日までどうしても日の当たらない、なかなか自分一人でやっていけないという公共団体に対し、やはり広域市町村圏というものを立てて、そして今日まで財政上のことばかりでなくて全体において施策が乏しかった地域を包含してやりたいというのがねらいでございまして、今回中部圏市町村財政援助も、自治省としてはこの開発計画を進めていけば公共団体財政の負担が相当多くなるから、これを助けていかなければならぬという趣旨で、中部圏の今度の整備計画に対して自治省が御提案いたしまして御審議を願っているのでございます。お話しのとおり、足らないところが相当あることはもう事実でございます。全国を見まして、万全なんて毛頭思っておりません。次々にそういう問題が指摘される。むしろ私は、こういう論議を通じてそういう意見が活発に出てくることが政府の施策の上に非常に参考になる、ひとり広域市町村圏ができたからそれでだいじょうぶだというのではありませんが、将来におきましていろいろな施策を講じてこれらに対して処理していかなければならぬ、また当然それが政府の責任だ、こう考えております。
  90. 太田一夫

    太田委員 わかりました。そういうふうに考えていただかないと、単に近畿圏がこうだとか、首都圏がこうであったから中部圏もこうだということには相ならぬと思う。中部圏の立法の趣旨がいささか違っているし、実情が違うのですから、その実情を踏まえて前進をしてもらいたいということを強く望むわけです。  私があまり長い時間やると、隣のほうの政党から非常に注文がついて、あまりやると困るよという話ですから早くやめます。やめますが、お許しをいただいてもうちょっとだけ今度具体的な問題について各省にお尋ねをさせていただきます。少し時間が長くなって悪いかもしれませんが、そのために第一委員室に、涼しいところにかえていただいたと思うのですが、中部圏のためにしんぼうしてください、お願いいたします。中部圏日本人が住んでいるのだから、あまりひどいことを言わないで。  それでは建設省にお尋ねをいたします。先ほど保利官房長官が、過疎対策中心道路政策だということをおっしゃった。そういう説をなす学者もたくさんあるのです。過疎対策中心道路政策です。それで今度のこの対象になります事業項目も、県の起債対象にも道があり、市町村対象にも道がありということで、道路ということが実は非常に大事にされておるのであります。そこでちょっと聞きますが、この整備計画という本部でつくりました計画書を見ますと、南北という関係ですね。中部圏の東西、それから日本海のほうも東西、東西道というのは鉄道、新幹線ないしは自動車道で相当整備されているようですが、南北というのが疎外されているような気がする。南北の交通というものを完備いたしませんと、実は中部圏一つなりというスローガンというのは無に帰すると思うのです。その点いかがですか。
  91. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  中部圏の中におきましては特に東海と北陸の一体化という問題が強く主張されておるわけでありまして、特に東海北陸横断自動車道、これはすでに相当な調査費をかけまして、おおむねもう四十四年度におきましては調査が終わろうとしておるような段階でございまして、こういうような道路網の整備をはかりまして一体化を進めてまいりたい、こういう考え方で進めております。
  92. 太田一夫

    太田委員 渡辺政務次官にもう少しお尋ねしますが、東海北陸自動車道というのはいささかこれは片寄った地域と言ってはなんですけれども、全体を潤すというわけにまいらないと思いますから、もう少し静岡県に寄ったほうも、あるいは中央もあってしかるべきだと思うのですが、そういう道路計画はどうなっておるのですか。
  93. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  これは中部圏だけではないわけでありますが、現在、道路整備五カ年計画によりまして高速道路、国道、地方道合わせまして六兆六千億道路網を進めておりますが、最近の経済事情並びにいまお話しのような、特に中部圏整備を進めるというような意味におきましても、まず当面必要な問題は道路網の整備でございますから、これをさらに拡充強化いたしまして、新しい道路整備を進めてまいりたい、こういう考え方を持っております。その一つとしていま東海北陸自動車道のことを申し上げたのでありますが、もちろん、これのみではないわけでありますから、七千六百キロの高速道路網というものをすでに計画をいたしまして、それぞれ調査あるいは検討を促進いたしておる、こういう段階でございますし、東西のみでなく、あばら骨といいますか、いわゆる南北線、こういうものにつきましても、今後順次これを進めてまいりたい、こういう考え方でございます。
  94. 太田一夫

    太田委員 東海道一号線というものを拡幅するということは、この四十三ページの「施設計画」の道路網の中に説明がありますが、これは全面的改築といったところで若干無理じゃないかと思いますけれども、そうでなくて、さらに中部圏一つという意味において日本海側と太平洋側とを結ぶところの道というのは、新たなる基本計画があってもいいんじゃないか、こういう気がするのです。ところが、あまりそういうことはないのでございますね。ただ清水から甲府へ行く道、豊橋からあるいは浜松から飯田に行く道、あるいはそれが延長されて長浜まで行く道の整備はされるとありますが、渡辺さんのお話にそれが入っていませんでしたが、これは印象にないのですか。
  95. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。お話しのような路線は、それぞれ調査を進めたりあるいは検討をいたしておりますが、中部圏の当面する最も大きな南北線というのは東海北陸自動車道ではないか、こういうことで申し上げたわけであります。  なお、詳しい問題につきましては、道路局からも来ておりますから、御説明をさせたいと思います。
  96. 太田一夫

    太田委員 そうですね。東海北陸自動車道というのは長い間の懸案ですから、これはけっこうです。そういう南北の道が開発されませんと、中部一つなどということはできませんし、また南北幹線道路が数多く開発されることによって、いまの、これは小林さんあたりが非常に粗末にしていらっしゃる空白地帯の五百万の人を救うことになるわけです。建設大臣はきょうはいらっしゃらないが、建設大臣、本部長官がいらっしゃったら文句を言いたいところだが、同じ屋根の下の同じ部屋にいらっしゃるのだから、本部長官としていささか南北道の交通網の整備は不十分だということを、それがあったということをお伝えいただきたいと思う。  ついでに鉄道のことを聞きます。  鉄道のほうは、幹線の複線化、電化、ディーゼル化あるいは北回り新幹線、東海道第二新幹線というようなものの整備がはかられておりますけれども、残念ながら身延線、飯田線、大糸線、越美線、七尾線というような地域開発一つの大きな骨格である既存の鉄道線に対する整備あるいは強化という問題が全然書いてない。こういうことは中部圏開発基本計画の中には盛り得られないものであるのかどうか、また別にこれは整備をする方針であるのかどうか、これは運輸省からでもいいからお答えをいただきたい。
  97. 大久保一男

    ○大久保説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたような線区につきましても、別に放置しておるわけではございませんで、旅客並びに貨物の輸送需要の状態に合わせまして、それぞれ整備を進めつつあるところでございます。
  98. 太田一夫

    太田委員 当節は運輸省にしっかりしてもらわなければならぬことば、それ八十三線、二千七百キロ廃止するとかなんだとか、すぐにそろばん勘定で線の存廃がきめられるのであります。ところが開発ということになれば先行投資ですよ。開発ということに関係するその基幹的な交通、通信の施設というのは何だといえば、片一方には道路であり片一方には鉄道なんです、内陸は。その鉄道というものが、今度の場合は非常に粗略にされておりまして、東海道線とか中央線とか北陸本線とかあるいは高山本線がかろうじて入るというように、そういう本線に限って整備対象と相なるのでありまして、これが本線以外のものといえば、岡多線とか伊東線とか湖西線とか篠ノ井線、これに限られておるのであります。その他の地方の開発鉄道というのは一切例外だ。これはあなたのことばでいうと、何か貨客の状況に応ずるということは、あまり乗らなければ、いわば営業係数が悪ければその線路は取っ払うのだ、こういうことでございますか。
  99. 大久保一男

    ○大久保説明員 先生御承知のように、国鉄財政は非常に窮迫しておりまして、これを何とかしなければいかぬということで、先般運賃の改定も行なわれましたし、国の財政援助も行なわれたわけでございます。そういういろいろ財政援助とかあるいは国民の理解、御協力による運賃改定とかいったようなものを原資にいたしまして、旅客貨物の需要に応じたいろいろな要望を満たしていかければならない、限られたワクの中で効率的にこの金を使っていかなければならぬというようなこともあるわけでございまして、そういうような点を総合的に勘案、判断いたしまして整備を進めておる次第でございます。
  100. 太田一夫

    太田委員 これは運輸省に答えていただく必要はない、あなたのほうはどうも開発には関心がないようですから。  この間、参議院において野田大臣は、このごろなかなかいいことをおっしゃるのでありまして、能登線というようなものを廃止するということは考えておらない、もう廃止させない、私は思うと  いうふうにおっしゃったのでありまして、これは地方の人たちが、さすがに長年のキャリアを持つ野田さんはえらいと言ってほめておりますが、こういう地方開発ということを考える立場の者と、その効率を考える者とは違う。いまの大久保さん、あなたはまさに国鉄の経営担当理事さんか何かの話のようでありますが、一国の輸送計画、交通計画というものはもう少し理想がなくちゃならぬと思うのです。  経済企画庁のほうにお尋ねいたしますが、全国総合開発計画にもそういう道路あるいは鉄道の問題が出てくると思うのでありますけれども、そういう相当長距離、その地方の中心のローカル線——これはローカル線というとはなはだなんですが、身延線、飯田線というのはローカル線とは違うのですけれども、東海道線、中央線を結んで。こういうような鉄道は強化することはあれ、これを廃止するとは考えられないと思うのでありますが、やはりそろばん勘定できめるということに御賛成でございましょうか。
  101. 島村忠男

    ○島村説明員 お答えいたします。  ただいま運輸省のほうからも御答弁があったわけですけれども、企画庁の今回の全国総合開発計画を策定するにあたりまして、交通体系の問題、特にただいま先生もおっしゃいましたけれども、ローカル線というような問題、これにつきましても非常に論議が行なわれたわけでございますけれども、結論的に申し上げますと、私ども、単に赤字であるから廃止するということでは非常に困る問題が多々あると思っております。ただその中で、むしろ道路等に切りかえたほうが全体的に見てよいではないかというところもあろうかと思いますので、そういう地域につきましてのレールの廃止、道路への転換というようなことは、これはまあ必要なことであろうと思っております。ただ、全面的に赤字であるから廃止というようなことは、企画庁としては、この計画の中でも考えてはまいらなかったつもりでございます。
  102. 太田一夫

    太田委員 そういうお考えはよくわかります。それは理解ができますから、ひとつその計画で閣議等におきまして自治大臣と協力して、山間僻地の唯一の交通機関を奪わないようにやっていただきたい。これは運輸大臣いらっしゃれば運輸大臣に尋ねたいのでありますが、きょうは運輸大臣いらっしゃいませんから、ひとつこれはまた後日に譲りますけれども、そういう点は私は重大問題だと思う。国鉄がそろばん勘定に立脚することはわかるが、運輸省は国家的な政策を出してもらわねば困るのであります。  そこで、山間地のそういう産業開発基盤整備というのは、道路鉄道。そこで地域格差の問題というのは常に、この中部圏でも全国総合開発にも出てくるわけでありますから、地域格差の解消問題、これはだれも異存がないところなんです。これは全部一致しておりながら、その方法論に問題があるわけです。念のために、過疎立法が行なわれております山中さんの案では、市町村道を県道とみなして、その改良等の事業は県が行なうというようなことが書いてあるのでありますが、こういう山間地におきますところの、過疎地におきますところの道路、その市町村道の道路というのは、規模はどれくらいの規模を想定されておるか。幅員なら幅員ですね、あるいはそれは舗装すべきものであるか。特に幅員はどれくらいの幅員の道路市町村道から県の改築にゆだねるものとして想定されておるか。これは御本人でも建設省でもいいのですが……。
  103. 山中貞則

    山中(貞)議員 やっと私に質問してくださいました。たいへんありがとうございます。  この過疎地域対策特別措置法で考えておりますところの、本来市町村計画の策定されるべき道路のうち、都道府県知事がその指定された市町村市町村計画に協力して講じようとする措置としての市町村道というものは県道規格のものでありまして、都道府県知事が判断をいたしまして、市町村自体の計画よりかもう少し広域的な観念を持つ道路、あるいは市町村の中の計画でありましても基幹集落等の連絡において、県から見ても、これは県のほうでして差し上げるべきが至当であると判断されるような道路等を、県が特別に道路管理者の市町村長を越えて県の事業としてこれを行なうその路線について、建設省が承認いたしました道路と、協議しながら事業を行ないまして、事業が終わりましたならば、その道路は直ちに、また完了いたしましたときに市町村に、本来の管理者にお返しをいたすわけでありますから、後の維持管理その他は一義的に市町村が負うわけであります。財政的な措置といたしましては、都道府県がそれを行ないまする際には、本来都道府県の道路で行なうべきものが一ぱいある中で、それをこの法律のためにやるわけでありますから、特別の措置といたしまして、公共事業補助率特例であるいわゆる補助率かさ上げの対象事業としてその道路を認めましょうという措置をいたしておるわけでございます。
  104. 太田一夫

    太田委員 非常によくわかる御説明でした。あなたのいまのお答えに対して、それでは建設省のほうから、県道規格のものという、その県道規格というものの具体的な条件をひとつお示しをいただきたいと思います。
  105. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  ただいまお答えがありましたように、われわれのほうといたしましても、過疎地帯における主要な集落と集落を結ぶ路線、あるいは主要な集落と重要な公共建物、たとえば役場とか学校等を結ぶ路線というものを一応考えておりますが、県道規格といいますか、そういった過疎地域の基幹的な道路ということで考えますと、まだ今後具体的に検討いたす問題はたくさんございますが、一応二車線以上のりっぱなものになるかと考えております。
  106. 太田一夫

    太田委員 二車線以上、ずいぶん広い道でないといけないわけですが、過疎地帯にそんな大きな道が要るのですか。
  107. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  まだ今後検討する点はたくさんございますけれども、一番基幹的な路線はそういった路線になろうかと考えておりますが、集落と集落の大きさその他によって、最低一車線は通れる道路になろうかと存じます。
  108. 太田一夫

    太田委員 そうですね、最低一車線ですね。一車線の四メートル道路というのを県道とみなしてつくるということがあっても私はいいと思うのですよ。よほどこれは数多くつくらなければいけないということであって、大きなものをつくれば金がかかるから、そのために、とても一部にしか適用されないような気がしてしようがないから、その点をちょっと心配したわけですが、基準に準じておやりになるということについてとやかくのことは申しませんが……。  それではその次にお尋ねしたいのは、運輸省、いらっしゃいましたついでにお尋ねしておきますが、空港関係の問題ですが、空港は、名古屋空港以外にちっとも空港のことが中部圏計画の中に出てまいりませんが、どうして今日の空港というのはそういうふうにあまり重大視されないのか。地方の開発のための空港という政策はもうちょっとはっきりしておらないといけないと思うのですよ。一体どのくらいあるのです。
  109. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 太田委員にちょっと申し上げますが、空港関係の担当官が来ておりませんから、あとでまたあなたに御回答申し上げるようにさせましょう。
  110. 太田一夫

    太田委員 それではこれは本部の小林さんから、整備計画に関連してお答えしてください。どうして名古屋空港以外に空港整備の具体的な計画というものを明示されておらないのか。
  111. 小林忠雄

    小林政府委員 問題は二つあるかと思いますが、一つは国内線の空港と、それから国際線の空港と、二つあるわけでございます。中部圏に国際線の空港が要るかどうかという問題は、基本計画をつくりました際にもいろいろ問題がございまして、その際十分な結論を得ませんでしたので、国際線については必ずしもはっきり書いておりませんけれども、このたびの新全国総合開発計画におきましても、中部圏においても国際空港を整備するということが、中部圏開発構想という中に出ておるわけでございます。しかし、どこにそれではつくるかということは今後の問題でございますので、具体的なことは書いてないわけでございます。  それから国内線の問題につきましては、「名古屋空港等」と書いてございますのは、新たにどこかに空港をつくるということではございませんで、既存の小松とか富山とかあるいは松本というような既存の空港についての整備を考えているわけでございます。
  112. 太田一夫

    太田委員 中部圏開発ということになれば、国際空港ということ以外に、小牧、富山、松本、福井、小松等の空港を考えるのは当然だと思うのです。これが明示されていないのが不満だということを私は申し上げているのです。  その次にお尋ねしたいのは、通産省にお尋ねをいたしますが、この計画の中に原子力発電所の問題が出てくるわけですね。原子力発電所をつくるという計画はありますけれども、これは私ども平和利用として別に問題はないけれども、現在は非常に公害問題が心配されて、各地において反対運動が起きるだろうと想像されるのでありますが、この公害を絶滅せしめる方法というのは発見されておるのでありますか。
  113. 大町朴

    ○大町説明員 御説明いたします。  現在、原子力発電所の建設にあたりましては安全問題を非常に重視いたしておりまして、これは御承知かと思いますが、原子力発電所の申請が出てまいりますと、原子力委員会、さらにその下の原子炉安全専門審査会で十分詳しい厳密な検討をなされて、それで安全であるということが確認されたものについてだけ設置の許可がおりるわけでございます。  それから、公害とおっしゃいましたけれども、原子力発電所の場合はいわゆる公害ということでございませんで、しいて問題になるといたしますと、放射能の問題があるかと思います。これにつきましては、総理大臣の諮問機関といたしまして放射線審議会というのがございます。そこに放射線関係の専門の先生方が集まっておられまして、ここで放射線に関する基準というようなものを審議していただいておるわけでございます。ここで審議していただきましてきめられたものをそれぞれ基準という形でやっておりまして、この基準は厳格に守らせることになっておりますので、放射能に関する限り、原子力の平和利用に関する限り、絶対に公害という問題は生じないということを確信しております。
  114. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 太田委員にちょっと申し上げます。  実は上村大蔵政務次官が時間の都合上非常に先を急いでおります。先ほどからそのような御意思がありまして非常に腰がなにしておりますから、上村政務次官に質疑を先にしていただきたいことをお願いいたします。
  115. 太田一夫

    太田委員 過疎対策の問題に関連をするわけですから、中部圏開発過疎とあわせて大蔵省当局にお尋ねするわけです。それは、過疎対策には非常に金がかかるわけですね。そのために山中さんの試案によりましても、たとえば一般の原住民——原住民というとおかしいですが、そこに長く住んでいたい人たちの建物が古いために改造しなきゃならぬとか、他に移転して改築せにやならぬというような、そういう補助が出てこない。それから一般的な、先ほどの二車線程度の規模に合うりっぱな道ならば、これは町村道を県道とみなしてつくってもらえるわけでありますが、そんな道を部落じゅう張りめぐらすわけにいきませんから、いわゆる部落の部落道、町道、村道というものの整備相当はからなければならぬ。その道も、少なくとも自動車が通れる道にしませんと、せっかくりっぱな道ができても、その道を使って自分の家から自動車で近くの工場に働きに出るということはできない。そうすると、町村道というものの整備というものが、町村独自の単独事業というてはいささか問題はあるかもしれませんが、相当やらなきやならぬでありましょう。またそこに青少年を居住させようとするならば、いわば楽しみというものを与えなければならぬということを考えるならば、ある程度スーパーとか物を買うことのできるお店というものも、共同なり公営なり農業組合経営なり、いろいろな形によって相当つくらなければならぬだろうと思う。同時に、いろいろな意味において集まるところの集会所とか、あるいはまた屋外の運動場とかいうものも入り用でありましょう。またその付近の住民が共同してパートタイムを活用して何か収入を得ようとするならば共同作業場が必要だ。そうなれば今度は水も要るだろうから水道も引かなければならぬ。田には用水路もつくらなければならぬということになりますが、そういう問題についての助成がいまの山中さんの中には出てこない。それから工場を誘致する、これは手内職の組み立てとか部品製作の分工場をつくろうとしても、工場そのものに、過疎対策として特段の援助があるわけでもない。また過疎地域の公共機関であるバス等における維持関係の特別の補助も考えられておらぬ。  こんなようなことから考えてまいりますと、部落を新たにつくり、そこにたくさんの人を定着させて、そして住んでおる喜びを感じさせるためには非常に金が要る。それは先ほど私が広域市町村圏でちょっと申し上げたぐらいすごい金が要るのでありますが、大蔵省としては、今後過疎対策ないしは中部圏開発も含めまして、そういう過疎地域の諸事業に対するところの財政援助ということに対しては、何らか特段の配慮をするとか特段の考慮をするというようなかまえがあるかどうか、これは気持ちです。きょうは秋吉さんもいらっしゃるが、地方財政というと、とかく地方の町村は金持ちだ金持ちだといって——相沢さんもいらっしゃるので、相沢さんから答えていただければいいと思いますけれども、どうも大蔵省の見解というのは、地方は富裕だというんですね。認識が少し間違っているので、私も間違わないように、度を矯正しためがねを持ってこなければならぬと思いますが、どうも地方の町村の財政力というものは貧弱だ。疎過対策をそういう財政力でやろうとしたらたいへんだ。山中さんの案というものはしぼりにしぼったもので、大事な問題だけにしぼってある。それでもなおあなたのほうは起債だとか、補助は二分の一を三分の一にするとかいってけちくさい。こういう点を私は非常に心配するのでありますが、過疎地帯に対する御配慮、あるいは特別の考慮、特別の措置がありますかどうですかという点について、次官なり主計官なりからお答えをいただきたい。
  116. 上村千一郎

    ○上村政府委員 いま太田先生からいろいろ御意見が述べられたわけでございますが、財政当局としましても、現在この過疎対策というものが非常に重要であるということは認識をいたしておるわけでございます。なお、先ほどの道路問題につきましても、この地域開発におきまして、道路整備拡充というものが重要な要因をなしておるという認識も財政当局は持っておるわけでございます。  それで、過疎の問題につきまして財政当局の心がまえはどうかという問題につきましては、これはいずれ過疎の立法というものが行なわれた場合におきまして、これに基づき、なお当然配慮すべきものは何が何でも配慮しなければならず、そうでない部分につきましては、具体的な計画というものが立案されるでしょうから、所官の官庁からのお申し出に対しまして積極的に取り組んでいこう、こういう考えでございます。  なお、道路関係につきましては、先生も御承知のとおり、四十二年度を初年度といたします道路整備五カ年計画がございますけれども、四十四年度現在におきまして四七・五%しかできておりません。今後の、あと残された部分にしますれば、前年度の伸び率が一三・五%ぐらいでないと所期の目的が達せられないということになりますと、これは当然現段階におきまして、どういうふうに道路の問題につきまして対策を練るかということが具体的な問題になってくると思うのでございます。こういう問題につきまして具体的な案が出てまいりますれば、財政当局としましても、いろいろな立場で前向きに検討していきたい、こういうふうな心がまえでございます。
  117. 太田一夫

    太田委員 一つの例でございますが、たとえば一つの広域市町村圏というものをつくるということのために約百億近いものが要るとすれば、いま自治省の考えております五十くらいのところにも五千億という事業費が要るわけなんです。そのようなことから考えますと、全国をネットワークすれば何兆円、すごい金が要るのでありますけれども、過疎対策というのは非常な金のかかるものでありますから、金を惜しんでは過疎対策はできないし、中途はんぱでは、私はやっぱり定着しないと思う。そういう点についてもう一回、相沢さん、あなたは久しぶりに出ていらっしゃったんですが、いかがですか、そういう市町村に対して、地方単独事業で何でもおやりなさい、では気の毒だと思うので、何か御理解あるお考えでもおありでしょうか。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
  118. 相沢英之

    ○相沢政府委員 私は、こういう、特別に地域指定して、それに対して他の地域とは違う手厚い財政措置をするという考え方に基づく施策は、少なくとも、その地域に対して他の地域とは異なる特別な措置をするという前提で考える限り、できるだけその対象とする範囲は狭く、かつ、その対策というものは重点的であるべきであるというふうに考えております。したがいまして、もしそれを全部に及ぼすということであるならば、何らそれは特別な対策にならぬわけでございますから、それは一般的な地方に対する財源措置になってしまうわけであります。したがいまして、こういう特殊地域の立法というものはそういう線で考えていくべきものではないかというふうに考えております。
  119. 太田一夫

    太田委員 それが相沢さん、この中部圏開発整備計画の中にあり、今度の財政上の特例措置にもあるのでありまして、それを、先ほどから何回か、そうじゃいかぬですよと、中部一つじゃなくて、中部は四つだということになっては困ると言っておる。いろいろと各地の過疎地帯というものは問題になっておりますけれども、いろいろ態様が違いますから、いわゆる過疎地域と目される地域、一平方キロメートル以内に何人くらいしか住んでおらない、その何人というところが私は一つのめどと思いますが、そういう地域に対しましては、相当思い切った援助をしなければ、生活環境整備そのものができないのです。ですから、いまあなたのおっしゃるように、集中投資ということはわかりますよ。集中投資が一番効果があることはわかるが、それは経済の原則であり、株式会社の経営方針ならそれでよろしいのでありますが、国家の財政としては、一応そういう精神を織り込みながら、現在救うべき人たちに対しては、重点的な投資を怠らないようにしていただきたいと思うわけです。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕  時間の関係がありまして、私は最後に農林省と林野庁とにお尋ねをしておきます。  中部圏整備計画というと、農業関係と林業関係というのは、北陸地方、中部内陸地方、太平洋ベルト地帯とに分けて、それぞれずいぶんあるのです。食糧生産基地として北陸を高める、あるいはまた観光も考え、そしてその他養蚕業とかあるいは花卉の類というものの生産力を高める、こういうことやら、あるいは能登半島には大畜産場をつくるとか、大規模牧畜を行なうとかいうようなことが書いてあるのでありますけれども、これに対して今度のこの財政関係の特例措置法では、何らそれを援助するという方策はありません。それから林業においては林道整備とかあるいは造林の面積拡大等が中部内陸地帯においてうたわれておるのでありますけれども、これまたそれに対して援助の方法はありませんから、これは農林省としては中部地方の開発計画は、農林省独自の、既存の法体系の中における援助しかできないということであるのでありますか。見解をお尋ねしておきたいと思います。
  120. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  農林省といたしましては、従来いわゆる米生産に重点を置いて政策を進めてまいりましたが、最近の急激なる農業事情の変化に伴いまして、現在農政審議会等にお願いいたしまして、米作中心主義だけでなくて、新たにいわゆる畜産あるいは果樹振興、さらに林野も含めまして、農業における総合的な展開を考えておる次第でございます。特にこの中部圏のためだけでなくて、全国的な立場で現在検討を進めておりまして、その中で、今後政策の進展に伴いましてそれぞれの地域に最も合致しまた農業政策を展開してまいりたい、こう思っております。
  121. 太田一夫

    太田委員 終わります。
  122. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、山本弥之助君から発言を求められております。これを許します。山本君。
  123. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 簡潔に、大蔵省に二点だけ御質問申し上げます。  一点は、山中さんの労作である過疎地域対策特別措置法でございますが、この点は私どもも協力するという体制で、ただいま話し合いを進めておるわけでありますが、会期末でもありますし、参議院の審議が終了するかどうかということに疑問を持っておるわけでありますけれども、政府提案につきましては、法案とこれに関連する財源は、同じ国会におきまして通過しておるのが通例のように考えておりますので、私ども、もし継続審議になりますようなことがありましても、大蔵省としては十分予算の措置につきましては御配慮願いたいということが第一点でございます。  それから第二点につきましては、ただいま政務次官からは、過疎地域につきましては非常に御配慮願えるような、非常に御理解があるような御答弁がありましたので、私どもは安心をいたしておるわけでありますが、今回の過疎対策につきましても、いわゆる地方自治体の存立を脅す程度の過疎に対する対策ではなくて、やがてはそうなるであろうという地域を事前に救い上げるということが必要である、いわばボーダーラインをある程度まで拡大するということが必要である、こういうふうに考えておるわけであります。財源的にも、たいした財源には私はならないと考えております。ことにこの立法は過疎債が中心をなしておりますので、そういう意味におきまして、おそらく補助負担についてはそう心配をなさるような増額にはならない。そのことが地域住民のその村の振興につき、あるいは人口が減少いたしましてもその発展をはかるという意欲をかき立てる、いわば地方自治の精神に基づいて住民自治が強化されるというふうに考えておりまして、政治的には非常に意味が深いと私ども考えておりますので、その点につきまして、御理解のある政務次官からの御答弁をお願いいたしたいと思います。  なおこの機会に、建設省の政務次官にお聞きいたしたいと思いますが、おそらく道路の五カ年計画も来年度あたりから改定の時期に相なろうかと思います。しかし全国総合開発計画におきましては、全国ネットワークが重要な柱、このことが過密過疎解消の柱になっておるというふうに私ども了解をいたしておるわけであります。そういたしますと、この全国ネットワークの幹線高速道路あるいはこれに関連する重要な高速道路につきましては、過密地帯、たとえば東北、九州というような地帯の国道の整備におきましても、一〇〇%舗装が完了したといいましても九〇何%かで、何%かの残りは東北や九州にしわ寄せされておるというのが従来の実例でございますので、この点の配慮を十分お願いを申し上げたい。場合によっては、これから開発を予定せられておるこれらの地域都市化に対応する都市計画、あるいはすでに農業基盤整備が補助金のもとに農民の負担において完了しておる地域が新しくまた計画を変更しなければならないということに当面することは、財政的に貧弱なこれらの東北、九州の地域としては耐えがたい負担ではないか。したがってそういう点を、むしろ極端なことを申し上げれば、青森や鹿児島から先に、先行して工事にかかられるというふうな配慮があってしかるべきではないか。そうしなければ、せっかく整備せられました基盤整備は、高架で実施を願わなければならないということになりますので、この点の御所見を承りたいと思います。  それから第二点は、地方生活圏の関係で、過疎地帯の集落を結ぶ道路整備につきまして、全国的に何カ所か調査をされておると思うのです。この調査は自治省の広域市町村圏の調査と食い違っておることはまことに残念だと思いますけれども、そういうふうにいままで建設省が配慮していなかった問題との取っ組み、いわば集落の再編成に関連いたしまして末端の道路整備をはかるということについての配慮は、私は非常に敬意を払っておるわけでありまして、ぜひこれはそういう手法を他の部落にも拡大でき、建設省の技術をもって、あるいはいろいろな見地から、各地域がそういう配慮のもと道路整備の効率化をはかるという配慮を願いたいと思うのであります。ただいまの質問にもあったとおり、集落の再編成と関連しての道路整備することに関連いたしまして、山中試案のただいま審議しております法案についても、そういうことについて県が肩がわりをするということが内容になっておるわけでありますが、この点について、道路の五カ年計画の改定の際には、そういう問題はややもすれば県の財政に関連して個所が減らされたり、あるいは軽視される心配が出てくるのではないかということを心配いたしておりますので、別ワクその他でぜひ確保を願うというような配慮を願いたいと考えております。  それから第三点は、集落の再編成に関連いたしまして、公営住宅等——私は作業所その他は通作体制ということになると思いますので、おそらく耕地に作業所その他農具の置き場とかいうものは共同作業所として設置していくものと思い、住宅として部落の再編成に建設されるのではないかということが想像されますけれども、一般の公営住宅とは多少家族の構成その他で異なってくるのではなかろうか。その辺の農村住宅の規模とか、それがどういうふうに農村に向くいわゆる改良住宅であるかということについての検討を願うということが必要じゃないか。そしてそれにつきましては規模その他が多少変わってまいりますので、しかも場合によっては特定の人を入居させるという事態に相なろうかと思いますので、その公営住宅につきましては、他の一般の公営住宅と同様な補助金その他の配慮を願いたい。これによりまして集落の再編成もある程度まで、あるいは再編成といわないまでも移転というようなことが可能になってくるのではなかろうか、こういうふうな点が考えられますので、以上の三点につきましてお伺いいたします。
  124. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。
  126. 上村千一郎

    ○上村政府委員 山本先生の私に対するお尋ねは二点かと思います。  ただいま御審議されておられます過疎法案において指定されない、その対象になっていない地域であって、しかもそれに近づいておる、またそうなるであろうというものに対してどういう財政措置を考えるかということが一点だと思います。この点につきましては、先生も御案内のように、予算措置法律に基づくか、あるいは法律の裏づけを前提といたしまして財政措置をいたすことになりますので、そういう事態が起きました際におきましては、財政当局としまして検討させていただくということにいたしたいと思います。  それから第二点につきましては、現在御審議賜わっておりまする過疎法案につきまして、この状態でいくと継続審議になりはしないだろうか。政府立法につきましては大体財政措置がされておるけれども、こういう場合において、現在において財政措置というものが考えられていないが、成立した場合どうであろうかということかと思いますが、成立いたしますれば、たとえば来年度にならなくとも、立法自身におきまして要求されまするところの財政措置というものにつきましては、それが所管官庁から御要望が出てきた場合におきましては、もちろんこれに対しまして措置をいたしていく考えであります。来年につきましては、この経過を見まして考えていきたい、こう思っておるわけです。
  127. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  高速道路の建設等につきまして、過疎地帯の問題を優先的に考えてやれというような意味の御発言でございます。申し上げるまでもございませんが、高速道路日本全体の開発ということを考えておりますから、過疎問題だけを重点として考えるわけにはいかないと思います。ただ、現在考えておりまする高速道路網の計画の中におきましても、相当過疎地帯をむしろ選んで通過をしておるような計画がございます。同時に、高速道路によりまして過疎地帯相当開発を進めるということも事実であると思いますから、そういう点につきましても考慮を払うように注意をいたしたい、かように考えております。  それから広域行政と生活圏の問題は必ずしも一致はいたしておりませんが、十分緊密な連絡をとりまして有効適切に進めてまいりたいというふうに考えますし、なお現在考えておりまする、まだ全く検討の段階でございますが、十兆円道路整備五カ年計画というものも検討いたしておるわけであります。当然、その段階におきましては地方道というようなものが相当充実をしてくるというふうに考えられますから、お話しのように、過疎地域の振興ということにつきましては十分考慮いたしまして進めてまいりたいというふうに考えております。  第三点の公営住宅の問題につきましては、今回の振興法の中においてもいろいろ配慮されておるわけでございますが、すでに現在の五カ年計画はあと一年を残しておるだけでございまして、住宅宅地審議会等の検討もおおむね終わりつつある段階でございますから、今後の住宅問題全体の中におきまして農村、漁村の住宅というものにつきましては十分配慮するという方向で、検討を加えるようにいたしたいと思います。
  128. 鹿野彦吉

  129. 折小野良一

    ○折小野委員 建設政務次官のほうで何か御用事がおありだそうでございますから先に御質問いたします。  過疎対策といたしまして道路が必要だ。道路を何とかしなければ過疎対策はできないということはすべての関係者が異口同音に言うことなのであります。しかし、そういうふうにいわれながら、なかなか過疎地域道路というものはよくなってまいりません。それといいますのも、従来建設省で考えておられます道路整備の順位と申しますか、いわゆる優先順位を考えていろいろやられる。あるいは一定の認証基準に基づいてやっていかれる。そういうやり方が過疎地域道路整備につながってこないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。特に従来道路整備等につきまして、常に経済効果というものを中心にして考えてこられたということになってまいりますと、いつまでたっても過疎地域道路には及ばないというのが現状じゃなかろうかと思っております。今日過疎地域の問題が非常に重要な問題になっておりますし、これらの地域開発するについて、当面何としてでも道路を早くやってもらいたい、こういうことになってまいりますと、従来とっておられる建設省の経済効果第一主義の方針というものをある程度変えていただかなければ何ともならないのじゃないかというふうに考えるわけであります。こういう点について建設省のお考え、あるいは今後の対策がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  130. 渡辺栄一

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  ただいま道路整備について経済効果に走り過ぎておるのではないかというようなお話でございますが、われわれは非常に貴重な国税を使いまして道路整備を進めるのでありますから、当然最小限度の費用をもって最大の効果をあげるということは、これは今後におきましても堅持せねばならぬ基本方針であると思っております。ただ、問題は価値判断の問題でありまして、現在過疎化が非常に急激に進んでおる段階におきましては、過疎問題を優先的に考えたいということで、今回は過疎地域の振興法案まで準備をされておるわけでございますから、そういうような点に関しまして十分配慮をいたしまして道路整備を進めてまいりたい。特に御承知のように、いままでにおきましても、奥地産業開発道路であるとか、あるいは市町村整備の中におきましては、山村振興指定地域道路等はほとんど七〇%近い分野を占めておったわけでありますが、今回の過疎対策といたしまして建設省におきましては生活圏構想ということを考えておりますので、生活圏の整備あるいは産業基盤の整備というようなことに重点を置きまして、地方道整備等につきましては十分考慮をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  131. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは時間の関係もございますので、まず具体的な面から御質問申し上げたいと思います。  過疎地域対策特別措置法案につきましてまず提案者にお伺いをいたしたいと思います。  過疎地域の振興につきまして財政上の特別措置、これがいろいろ述べられておるわけでございますが、原案の第八条、第九条に述べられておる補助の対象になる事業は、従来の行政のルールに乗るそういうような事業でございます。しかし、過疎地域のいろいろな実態から考えてみますと、今後新たに従来の行政ルールには乗らない、しかしながら過疎地域を振興するためにはどうしても必要な事業である、そしてそれはやはり国の助成によってそれを振興することが特に必要だ、こういうふうに考えられるような具体的な問題がいろいろあります場合に、それも今後できるだけ補助対象にして、そして過疎地域の振興をはかっていく、こういうことが必要になってくるのじゃなかろうか、そういうふうに考えます。そういう点から、私どもは、この二カ条に続いて過疎地域の振興のために必要と認めるような事業がありました場合には、それは政令で定める基準によって一定の補助対象にすることができる、こういうような規定を一カ条設けることが必要じゃなかろうかというふうに感ずるわけでございますが、提案者としての御意見をお伺いしたいと思います。
  132. 山中貞則

    山中(貞)議員 昨日古屋委員の質問に対して概略お答えいたしましたが、この特例補助の問題につきましては、他の地域立法の中で特別に——理由なくとは言いませんが、引き上げられているものであって、過疎地域指定をされました町村においては、当然そのレベルまではいかなければならないと思われるものを重点的に取り上げました。なお、その中で学校につきましては、過疎の特殊性の人口減による児童数減少のための統合ということを中心にいたしたということも説明をいたしました。それらの事柄を越えて今回の過疎地域対策特別措置法による指定を受けました町村——私としては、それぞれの町村に自主的な、ローカル性のたっぷりあるものを持ち上げてもらいたいと念願をいたしておりますが、そのローカル性の中でも普遍的なものであって、過疎地域であるがためにのみの要因でもってこの際補助の道を開くか、もしくは既存の補助を手厚くするというような問題が今後の論議の過程等においてありまする場合、あるいは各党間の折衝等において具体的になりました場合においては、何らかの考慮をする余地があるのではないかと思っております。  しかしながら、たとえば過疎対策の終点、すなわち、いろいろなことをやってみたけれども、やはり住む人が逐次減っていって、最後は小さい生活圏と思われる集落の維持ができない。そこで再編成をやらなければならないという場合には、現在は町村によるあと地の買い上げ運用、借り上げ委託、そういうものを農地法で考え、そして移り住む住宅につきましては、一義的には市町村公営住宅をもって貸し付けもしくは分譲を希望する者は分譲する。ただし、分譲いたしました場合には、元利償還の五七%を見ます際に、分譲価格だけは控除して残りを見ることにいたしておりますが、そのような反面におきまして、農業者が対象の大多数でありましょうから、農業者というものは、ともすれば公営住宅では、規格的に集中してつくられるきらいのありまするものにはなかなか入りたがらないでありましょうし、また、自分たちの希望する農業経営の一番いい立地に自分の居住の本拠を定めようとするでありましょう。また、住宅といっても、ただ住む家だけを農家は考えておりません。畜舎、農機具小屋、そういうものを自分たちの住居とセットした意識を持っていることは間違いないと思います。  そこで、本法の附則におきまして、異例でありますけれども、住宅金融公庫法の一部改正をいたしました。現在では据え置き期間は原則として個人の住宅にはないことになっておりまして、かろうじて、自分の意思に反してある日突然に住居変更を余儀なくされる災害の場合において認められておりまする三年の据え置き期間というものはございますが、これを今回の場合にも準用いたしまして、原則据え置きなし十九年の償還に対しまして、三年据え置き二十一年償還の制度を設けております。これは集落再編成に応じた結果は出るといたしましても、応ずる過程において市町村なり役場担当の者どもが行きまして、地域住民と数回、数十回の話し合いをいたさなければ、先祖伝来生まれつき死につきいたしてまいりました墓のある居住地を離れる気にはなかなかならないというのが常識でありましょう。そのときに移っていただくということになります場合は、最後に了承したといっても、半分は、町長さんもあんなにおっしゃることだから、あるいは部落で何回も相談をしたことだからというので、意識の上では半分は自分の意に反し、逆に言うと強制的な感じを持ちながら移ることになるであろう。そこで、そのような配慮もいたしまして、三年据え置きということを特別に建設省と相談をいたしまして、この法律の附則で新事例としてここにその道を開いたという配慮はいたしております。しかしながら、この集落再編成の仕事そのものを集落再編成事業と認定をし、たとえば都市計画法に基づく都市計画事業のごとく、これに対して何分の一かの国の補助をやるという道につきましては、現在そういうことがどのような形で行なわれていくものやら、あるいは集落再編成の条項を今回の法律の中に設けてありますけれども、はたして全国何カ町、何カ地区がこれに応じて具体的にどのような形で再編成に乗ってくるものやら、全く前途がわからないわけであります。先ほど私は終点と申しましたが、部落の再編成みたいなことをしないように、あるいはしないで済むように、すべての事柄を仕組んでおりますけれども、最終的にそれをせざるを得ない場合ということにおいては、集落の再編成ということを考えております。  そこで、集落再編成事業とはかくのごとき事業であって、このような規模のもとに何戸以上であって、どのような事業の内容を含むものであるという概念をはっきり持つことができませんので、この事業というものの概念がはっきりいたしませんと、それに対しまして補助を幾らやるということについては、たいへんむずかしい問題があると思います。したがってこの問題は、政令において云々という含みのある表現の中にあるいは考えておいてもいいかと思いますが、自動的に直ちにこれが本法律の制定後の政令で、集落再編成事業ということで補助率を幾らということの明定は困難ではなかろうか。これが逐次事業が進捗いたしてまいりまして、二、三年の経過を見て、なるほどこれは地方において、しかも普遍的な企画のもとに行なわれ得る事業であることの実態が明らかになりましたならば、これは私どもの手において再び相談をいたしまして、政府のほうでこれを法律の中に正式に盛り込んで、事業の補助の対象にするなり、あるいはわれわれが相談をいたしまして政令として措置をさせるなり、いずれ後になりましてその確定がなされなければならない性格のものであろうと考えます。  いま一つは、ただいま御質問の折小野君のほうで御提案をいただきまして検討いたしておりまする問題に関連をいたします交通確保の問題について、私鉄、私バス等の問題についての町村の負担の問題ですが、極端なところは、採算のみでもって路線を廃止しようという民営企業に対して、年間二百万とか百万とかいう民間に対する補助までいたしまして、路線を廃止しないでくれというお願いをしている現状があるぐらいでございますから、それに対しまして国が何らかの措置をしなければならぬだろうということを考えまして、この法律に関しまする限りは、赤字路線等において廃止されてしまった町村、あるいは役場までしか路線がなくなってしまっておる町村、そのようなところは道路運送事業法の許認可の対象として、公営企業ではないけれども、市町村が、たとえば現在あるスクールバスなり患者輸送バス等を多目的に運営をして、村民の有料運送の用に供してもそれを許可いたしますという条項を入れておりまするし、また、その間において小規模な白タクの運用等も町村がやることを認めることにいたしております。  これに対して、しからばそれを運用した場合には、民営の専門の事業家がやっても赤字になる地域なんたから、町村がやっても当然赤字になるであろう。それに対して補助の道が書いてないではないかということが当然言われると思うのでありますが、私、実はそこまで法律を整えたいと念願をいたしまして作業をしてみました。しかしながら、市町村長さんがたとえば運輸省の許可をおとりになりまして、そのような性格の多目的なバスを運用されると、必ず赤字も出るでありましょう。しかしながら、その赤字を補助対象として、たとえば二分の一の補助をするということをきめる場合に、一体その赤字はどういう性質の範囲内の赤字として受けとめるかという問題がたいへんむずかしゅうございます。たとえば、町村長さんはみんな地域の選挙で選ばれたりっぱな方でありますが、逆に選挙で選ばれただけに、そういうような法律で許された運行をいたしますときに、料金その他の問題については、地域住民からたいへん感謝されるような運用に専念されるだろうと思うのです。ですから、常識的に言うと、民営路線ならばとてもそんな料金で車を走らせることはできないはずの低料金で、村民が、おらが村長はいいぞ、任期が来たらもう一ぺん再選しようではないかということを意識に持つような低料金の運行をやって不必要な赤字を出すかもしれませんし、あるいは町村会議員さんなり、あるいは役場の官吏なり、あるいはひょっとしたら選挙民を何らかの部落の責任者などに任命して、それに全部パスを発行するなどということも実はあり得ないことではないわけであります。そこで、運輸省が責任省でありますから、責任省としてそのようなことをチェックすることを法律に書けるかということを相談をいたしてみましたが、人の心の問題になりますので、どうしてもそれを法律で書くことができませんということで、したがってその歯どめがないとすれば、国が二分の一持つんだから、どんどん赤字は出しちゃっていいじゃないかということにうっかり運用がまいりますと、私どもが善意をもって好意的に特例を認めましたバスの運用というものが安易に流れる可能性があります。そこで、私といたしましては、法律には、市町村がそのようなことを行なうことについてのみ認める法律をつくってありますが、大蔵省との話し合いで、この問題に関しまして政令である程度の基準を定めまして、たとえば民営路線であるならばこれ以上の料金はとっておるはずである、そしてその料金以上のものが現実に徴収されておる、あるいは町議会の議決を経ておるとかいろいろなことがありましょうから、それらのものに関連をいたしました、推定される政令で定めました範囲の赤字について予算補助をやるにやぶさかではない。その道は、現在運輸省のほうで四千七百万国庫補助分として計上されておりまするような性格のものでもって、予算補助をこの過疎の町村の運行いたしまするバス等については考慮いたしますという確約を得ておるわけでございまして、これは予算編成のときの話であり、またこの法律に基づいて何カ町がはたしてこれらのバスの運行を開始するものやら、そこらのところが不明でございまするので、これらも後の問題になろうかと考えますが、事例が出てまいりますると予算補助の対象にはいたす予定でございます。  これはこの法律の原案で考えておるところでございますが、それを一歩前進をいたしまして、現在私鉄とかバスとかを廃止してもらわないために、町村が年間百万とか二百万とか議会の議決を経て予算上の支出をして、その運行をかろうじて保っておるようなところにつきましては、運行回数その他がはたしてどの程度町民に貢献してくれておるのか、効果はどうなのか、運行しておるといっても朝と夕方一回ずつだけだ、それも対象なのか、こういうようないろいろな問題がありますが、要するに公的な機関である市町村長が町議会の御承認を経て予算支出をしておるという場合には、若干の配慮をなしたいと考えておりますが、これらの問題も、法律による政令に根拠がなければ出せないというならば、場合によっては、それらの点は、ただいま御指摘の条項のあとに一項目つけ加えることはやぶさかではないと考えております。
  133. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまいろいろお話しをいただきましたが、最後の交通確保の問題につきましては、原案の十四条にも規定がされておるわけでございます。交通機関が全然なくなったといった場合に、この十四条によりまして町村民の足を確保する、これは最後の措置としてきわめて必要なことだというふうに考えます。しかし、現在バスが運行しておるところにおきましては、現在の状態でそれが続くということのほうが一番望ましいんじゃなかろうか。バスの運行がとまるということになりますと、そのことが結局過疎地域の住民に及ぼす影響というものもございます。過疎過疎を生むというような心理的な影響面も考慮いたしますならば、できるだけ現在のバスの運行が確保される、続く、こういうことが一番必要なことじゃなかろうかと思っております。  それから、このバスの問題は、ただ単に過疎地域の町村内の交通をどうするということでなしに、むしろよその地域のおもな町との連絡を保つ、こういう点が一番重要な問題じゃないかと思います。たとえば村内の交通を確保するならば、そのバスがなくなったにいたしましても、村内において村が経営するバスの運行、自動車の運行、こういうものがあれば十分その目的は達成するわけでございますが、しかしこの足の問題で一番大切だということは、過疎地域がたとえば県庁の所在地とつながっておるということ、この足が確保されておるということ、こういうことが一番大切な問題だと思っております。  今日交通機関がだんだん発達をいたしまして、いわゆる時間距離というものが非常に短縮されてまいりました。と同時に、今度は非常に遠隔な、いまの過疎になりつつある地域における時間距離というものは比較的に遠くなってきつつあります。日本全体から考えますと、いわゆる時間距離の非常に短縮されるところとそうでないところとの間の差がますます広くなってまいります。山間僻地を陸の孤島といいますけれども、いわゆる過疎地域日本の離島化してしまう、あるいはむしろ日本から離れていってしまう、こういうような現状になってまいることが憂慮される、こういう事態もあるわけでございます。そういう面からいたしまして、この交通の問題は、ただ単にその地域内の部落を結ぶというような考え方だけでなしに、おもな町とつなぐ、あるいは文化の中心とつなぐといいますか、そういう意味も非常に大きいというふうに考えます。そういう点から見ますと、やはり現在一定の路線が通っておりますその路線は、通常の場合それを確保するということが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えておりますので、私どももそういう面について特別の配慮をぜひこの際していただくことが必要なことじゃなかろうかと思っております。  ところで、本年度運輸省におきまして、辺地あるいは過疎地域、こういう地域のバスの運行を確保するための対策を講じておられるわけでございますが、これにつきましていろいろな基準をもってやっておられるというふうに考えるのでございますが、現在考えておられる過疎地域の運行確保のための対策、これに基づく補助の基準、そういう面をひとつお知らせをいただきたいと思います。
  134. 山中貞則

    山中(貞)議員 運輸省のことしの予算からの補助の配付の基準、それにつきましては運輸省から説明があると思いますが、ただいま御指摘になりましたことの中で、この法律でいっておりますのは、その町村の中に民営の路線がありましても、その路線の以外の地域を運行する場合には、旅客自動車運送業の許可を与える、こういうことになっておりますから、たとえば一本通っていても、そのほかのところは町村が運行することもできますし、役場までしか来ていなければ、それ以遠のところはこの法律で運行できるということになるわけであります。  それから、なお、町村内のところだけはそういうことだろうけれども、やはり過疎地域は町村としては個々であるけれども、大体地域としてはつながる現象にある、それはそのとおりだと思いますが、ただ指定を受ける町村、指定を受けない町村ありますので、私最初この法律の中で、運輸大臣はということをまくらに置きまして、過疎地域の路線を、廃止の申請が出た場合には、当該過疎町村の関係知事の意見を聞いてこれをしなければならないという運輸大臣の許認可事項をまともに書いたのです。運輸省も、それをこの法律で書かれることばどうかということですけれども、一応やむを得ないという返事をもらいました。しかし、やはりこの法律の過程には、主管を自治大臣にいたしておりますので、この法律で運輸大臣はこうせいということを書くことは、私自身が少しこだわるところがありましたので、運輸省とむしろ運用の面においてこういうふうにできないかという相談をいたしましたら、運輸省のほうでは、法律に書かれなくとも、自分たちは、今日過疎地域の赤字バスの廃止の問題がたいへんうるさいので、これを何とかしなければならぬと考えておる、したがって、現在それを手続としての廃止申請等が出る場合に、その都道府県知事を構成員とする協議会みたいなものを地方ごとにつくるつもりであって、知事の強硬な御意見等を無視して廃止とかなんとかということのないようにしたいと考えておるし、それを実行するつもりだ、こう言っておりましたので、この法律の中に、運輸大臣は知事の意見を聞いてからきめろということだけは法律として書かなかったといういきさつがございます。
  135. 菅川薫

    ○菅川説明員 お答えいたします。  現在過疎地域に対するバスに対する補助といたしましては、離島辺地のバス車両の購入費の補助金、これが二千二百九十万二千円計上されております。そのほかに、離島辺地のほか過疎地域を含めましてバス路線の維持補助金というのを四千七百八十万一千円計上いたしております。離島辺地のバス車両購入費補助金のほうにつきましては、補助の要件といたしまして、バス部門で営業損、全事業で経常損を計上していること、それから保有車両数が七十五両以下、それから老朽した車を代替するという趣旨がございますので、平均車齢が五年以上であること、それから競合するバス路線がない、これが唯一の交通機関であるというようなものを選ぶということで、そういう点を要件として車両購入費補助金を計上いたしております。  それから、離島辺地及び過疎地域におけるバス路線の運行の維持費に関する補助金につきましては、補助対象事業者が全事業で経常損、バス部門で営業損を計上しているという要件のほかに、われわれとしては、一定の公共的な不採算、不採算ではあるけれども、その地域の交通の維持のためにどうしても必要な路線であるという認定をするという意味におきまして、公共不採算路線という概念を設けまして、公共不採算路線における運送収入が償却前の運行費に達してない、結局償却費というのはおもに車両の償却費になるわけですが、これは別にいま申し上げました車両購入費補助金があるということも含めまして、この運行費補助のほうの補助対象にいたします経費については、償却前運行費という概念を用いまして、運送収入がその償却前の運行費にも達していない、それからまた、それが他にほかのバス路線とかあるいは鉄軌道がないということで、これが唯一の公共交通機関であるということ、それから乗車密度が一応五人以上十人以下ということで一定の乗車密度があること、それからキロ程があまり短いものでないこと、というような要件を設けまして補助対象の路線を選び、経費の補助額を積算いたします。  言い落としましたが、車両購入費補助金につきましては、車両購入価格の三分の一、それから路線の運行維持費補助につきましては、先ほどの償却前運行費のほうから一応人件費を除きましてその残余の二分の一を補助するというような考えでやっております。
  136. 折小野良一

    ○折小野委員 現在計画されておる事業の基準をいろいろお話しいただいたのですが、その場合、全事業で経営損を計上しておる、それから乗り合いバス部門で損失を計上しておる、こうした場合が条件であって、その場合だけに一定の助成をしようということなんですね。
  137. 菅川薫

    ○菅川説明員 さようでございます。
  138. 折小野良一

    ○折小野委員 過疎対策という立場からいきますと、それでは十分じゃないわけなんです。その会社が損をしようと、損をすまいと、それは過疎地域にとっては問題じゃありませんで、その過疎地域の交通が確保されるということがやはり一番大切なことですから、そういうような問題につきましては、私どもこの過疎対策に関連をして期待いたしておりますのは、その会社が赤字であるから、赤字でないからということでなくて、その地域を走るバスが、赤字のためにあるいは間引きされたり、なくされたり、そういうふうに足が取られるのが困るのだ、あくまでも過疎地域の住民の立場からいってその足を確保いたしたい、こういう考え方なんです。ですから、こういう点では、いま運輸省が考えておられるのと多少違った考え方——また運輸省の考え方では、全般的に見ますと、人口の減少率五%以上ということを考えておられるようでございますが、この法律では一〇%以上ということになってまいります。したがってこの対象市町村については、さらに一そう特別な措置を講ずるというようなことでもいいのかと思いますが、いずれにいたしましても、考え方中心は、過疎地域の足を確保する、その会社が赤字であるかどうかということに関係なしに足を確保する、そういうところに主眼を置いた対策をぜひ考慮すべきである、こういうふうに考えるわけであります。  ところで、具体的に私が考えた案といたしまして、ひとついろいろ検討いただきたいと思うのですが、この法律によって過疎地域というふうにきめられる市町村につきまして、その市町村が住民のために必要であるというふうに考えた場合、この交通の確保については、知事に対して申請をすることができる、知事はその問題についてバス会社その他といろいろ調整をはかる、そうしてそれを確保するために、ある程度の助成が必要であるというふうに認めた場合については、国がこれに対して二分の一程度の助成をする必要があるかどうか、それから対象とするかどうか、その面の基準につきましては政令で一定の基準を定める、そしてまた、こういう場合について県も一定の過疎対策としての助成をすることができる、こういうような形において必要とする交通の確保をはかるというような具体的な方策によって、特に過疎地域の足を確保するという、そういう立場からの対策を具体的に講ずべきであろう、こういうふうに考えるのでございますが、提案者の御意見をお伺いしたいと思います。
  139. 山中貞則

    山中(貞)議員 一つの方式ではたしかにあると思いますが、御承知のように、この法律がもし通りますと、自治大臣指定をしたりなどする行為を待たないで、二つの基準条件に合致した町村は、過疎対策事業を行なえる町村に指定されたと同じ事業行為を行なうわけですから、自動的に権利としてそれを持つわけです。したがって、僻地とかあるいは過疎地帯とかいうものと、この法律がいう過疎指定町村というものとは必ずしも一致しない。その地域全体が過疎地帯であることは認めますけれども、しかしながら、その中で指定をされる町村の行政区画というものは飛び飛びになるであろうということはまた予想できるところであります。その場合に、過疎地帯全体としてとらえることは可能でありますが、指定をされた町村内の運行されたことによる赤字というものをどのようにとらえるかということはたいへんむずかしい問題であろうと思います。したがって、その町村の運行に関する赤字は幾らであるか、バス会社にいっても、その町村まで行っておりた人もあろうし、町村から出て乗っていってまたよその過疎指定町村でないところでおりる人もありましょうし、路線はずっと一貫して通っておりますが、過疎地域を通ったり通らなかったりする路線になるわけであります。指定町村を通ったり通らなかったりすることになりますから、その計算のしかたは非常にむずかしかろうと思います。したがって、その一つ考え方というものは、そういうことででも考えてあげなければならないのじゃないかという状態にあることは私も認めます。したがって、それらの問題につきましては、今後この法律ができましたあとに、全国のそのような地帯が指定をされた町村のみというわけにもなかなかまいらぬと思いまするし、バスもまた一つの村だけ走らせて、隣の村はそういうめんどうを見ていけないから、隣の村だけ廃止するというわけにもいかないような性質のものでありましょうし、本質的には、たとえば先生の県などは一県一企業がバスを持っておりますね。そうすると、ほとんど公共性の高い私企業である。しかも、その路線の許可をとるときには、もし——これに宮崎県のことを言っているのではありませんが、どこのバス会社にしても、自分たちが路線を申請してやるときにはたいへん熱心にその許可を願い、あるいは競合するところがあればそれを押しのけてでも自分がその路線を獲得したいという願望のもとに保持し得ているのが現在の運行路線であると思う。そうすると、モラルの上から言って、私企業が採算のとれそうなときには必死になって路線を申請しておいて、どうも調子が悪くなってきたというときには、公共性を無視して、自分のそろばんだけでどんどんやめていくという私企業のモラルの問題というものはきびしく責められなければならない、あるいは批判を覚悟しなければならない姿勢ではないかと思うのです。したがって、そのときに、都道府県の広域自治体の責任者である知事、政治家でもある知事というものが、その当該都道府県内における、そのような私企業といえども公共性の高い運行者、すなわちその地域においては相当な社会的な経済的な指導者であり、地位の高い良識を持った人と思うのが常識でありましょうから、それらの人に対して、知事のあるべき姿においての、法律に関係はなくても、積極的な助言なりあるいは注意なり、勧告なりというものがなされて、また、それを経営者が受けるべきモラルを今日では持っているのではなかろうかと私はばく然と考えておりますから、あまり安易に、自分のところは赤字ですから廃止します、そんなことをしてもらっては困る、それでは補助をくださいよというようなことには、原則的にはなるべく考えを持っていかないようにしていかなければならないのではないかと考えております。
  140. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに、おっしゃるような事情がいろいろあろうと思うのです。しかし、何といっても過疎地域——これは過疎地域だけじゃないかもしれません。しかし、少なくとも過疎地域において足を確保するということは、これは非常に重要なことでして、それが単に一企業のモラルの問題だけで現実に問題が解決するとも思いません。したがって、そういう面においては、場合によっては助成その他もあっていいのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、私企業でありますから、そういうことがなくて足が確保できるならばそれはそれに越したことはない。また、いずれにせよ、何とか足を確保するための方法だけは具体的にとるべきであろう、こういうことでいま申し上げておるわけであります。  提案者のほうでもいろいろ考えておられるようでございますが、また具体的には、法律が制定されまして、さらに細部については政府のほうでいろいろと立案されるということにもなろうと思いますが、いずれにいたしましても、過疎地域の足の確保は、きわめて重要な過疎対策一つの柱であろう、私はそう考えますので、この点については十分な、しかも具体的な配慮をぜひお願いいたしておきたい、こういうふうに考えております。  それから、過疎に限りませんですが、地域開発に関しましてはいろいろな法律制度がたくさんございます。その中にありまして、関係の市町村ははたしてどの方針に沿ってどういうふうにやったらいいのかということで右往左往する、そういう状況がいろいろあるのでありますが、経済企画庁からお見えのようでございますからちょっとお伺いいたしますが、わが国の開発立法というものは、ある時期におきましては資源開発という立場で、そしてある時期におきましては拠点開発という立場で、そして今日では大型プロジェクト、これによる総合開発というようなことがいろいろ考えられておるのでございますが、このようにいろい違った理念をもとにして立てられた立法というのが今日そのまま残っておるのであります。こういうような状態ではほんとうの意味の調和のとれたわが国全体の総合開発というものがはたしてできるのかどうか、こういう点に多分に疑問を感ずるわけでございますが、こういう面についてひとつ理念をすっきりさせ、しかも現在ありますいろいろな開発立法の統合整理をするということが今日非常に必要なことではなかろうかと思うのでございますが、経済企画庁としてはどういうふうに考えておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
  141. 島村忠男

    ○島村説明員 お答えいたしますが、非常に重大な問題だと思っております。今回の全国総合開発計画の第三部と申しますか、そのところで今後の新しい制度の問題に若干言及をいたしております。その中でただいまおっしゃられました諸法令の一つの整理の問題、新しい方向の探索を織り込んだ新しい体制の問題を実は提案いたしておるわけでございます。具体的にはまだ熟果するところまでまいっておりませんけれども、おっしゃられますように、いろいろ昔ある役割りを果たして、今日ではもはや少し意味が薄れたというものも多々あると思っております。  大きく分けますと、ブロック立法というのがかなりございます。これが一つのタイプだと思っておりますが、そのほかに特別地域と申しますかに関する特別の法律相当ございます。これらのものを一体どうするかということでございますが、どちらかというと、どの法律もある一側面だけをとらえておるという法律が多いようでございます。これからの社会を目ざしてのことでございますから、非常に複合、多元的な社会像を描かなければならぬと思いますので、その統合といいますか、すっきりしたとおっしゃいましたけれども、それをこれからつくってみてはどうかという、ただいまその問題にいろいろの端摩憶測がございますけれども、内部的にでございますが、ただいまようやく取りかかっておるというような段階でございます。  ただ、願うところは、先ほどおっしゃいましたけれども、すっきりしたところへ持っていきたいものである、将来の社会に役立つ内容を持ったものにしたいということを考えております。
  142. 山中貞則

    山中(貞)議員 ちょっと私から……。  総合計画官庁としての企画庁の名誉のために一言私からこの法律作成の過程についてのお話を申し上げておきますが、新全国総合開発計画の閣議決定のあとに、この新たなる地域立法の一つと思われる過疎地域対策特別措置法をつくることになりましたものでありますから、経企庁といたしましては、正式な役所の態度といたしまして、閣議決定のこの種の法律に対する見解は、明らかに今後整理統合して、各種ばらばらの——そのことについては目的を持っておるけれども、全国的な考え方のまとまりの上に立っていないと思われる地域立法を統合していく立場にあります。そういう考え方で閣議決定をいたしております。したがって、今回のこのような性格の立法を新たにされることについては、企画庁としては賛成できないという相当強硬にしてかつ長時間の抵抗がございました。これは、私は役所の姿勢としてはもっともだと思ったのでありますが、しかしながら、今日の既存の立法、もしくは今後経企庁が考えていく整理統合の新しい換骨奪胎したものが生まれるとしても、人口流出という現象をとらえた法律というものはありませんし、生まれてくる可能性もない。したがって、この際は、人口がたいへん過度に流出した、いわゆる過疎現象に落ち込んでおる地域については何かをしてあげなければならぬという緊急性にこたえるために、その原則はわかりますけれども、どうしてもこれを立法せざるを得ないということにおいて、半分強制的に了承させたという経過がございますので、決して姿勢の不一致ということはございませんから、念のために申し上げておきます。
  143. 折小野良一

    ○折小野委員 最後に、一つお願いをいたしておきたいと思いますが、特に開発立法は各省に関連をいたしております。したがって、縦割り行政をやっております政府各機関の調整というものが非常に大切なことになってまいると思います。この過疎対策特別措置法につきましては、自治省がこれを調整するということになっておりますが、自治省としましては、その他いろいろな立法が、やはり市町村に関係いたすものが非常に多いのでございますが、そういう面を十分調整していただきまして、そうしてその効果があがるように十分にらんでいっていただくことが必要ではなかろうかというふうに考えるわけであります。  具体的な一つの例を申し上げますと、非常に声だけは大きかったのでございますが、新産都市というものができた。ところが、それが今日失敗であったとかなんとかいろいろいわれておりますが、これに対する扱いというのはきわめて冷ややかな気がいたします。したがって、これに対する助成も——助成というものは、その仕事をやるためにその年度に助成が来るならば効果がある。ところが、それが翌年ということになる、そうしてさらに最近では、ところによりますとそれが二年おくれというような形でしか来ないというようなことで、関係の市町村が困っておるというような事態なんかも出てまいっておるわけであります。こういう面は、それぞれの市町村財政運営にもいろいろ関係することでありますが、これらの面は今後自治省において、自治省という立場における調整と申しますか、そういう意味においても十分ひとつ考慮していただくようにお願いをしておきたいと思います。  これで終わります。
  144. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して門司亮君の発言を許します。門司君。
  145. 門司亮

    ○門司委員 きょうは総理に来ていただいてと思いましたけれども、この法案は、私がなぜ総理に来ていただいてということは、法律が多過ぎるのです。読むなと言いますから読みませんが、国土開発関係法令の一覧表がありますが、これを全部見てみますと法律が百一あります。この法律がどう作用しておるか、どうなっておるか、この資料を全部出してもらいたい。これは私は読みませんから、一々聞くのをやめますから。あなたのほうでわかっておるはずだから、政府がこれがわからなければどうかしておる。昭和二十五年にできた国土総合開発以下百一の法律についての今日までの経過報告、どれだけ国が金を使ったか、地方がどれだけ金を使ったか、この法律が全部生きておれば今日のような問題は起こらぬはずです。よろしゅうございますか。——これをやっておいてください。読んでもいいですけれども、施行令まで書いておるが、施行令までここで読めと言えば読んでもいいが、これをぜひひとつ資料として出してもらいたい。そうしないとこの種の法案の審議はできません、だれが何と言っても。百一もずっと総合開発法律があって、そうしてそれがまたこれで中部圏を起こす、こういうことでしょう。場当たり、場当たりの法律をこしらえて——さっきの企画庁の答弁を聞いてみると、それを総合して何とかとおっしゃっておりますから、ちょうどいい幸いですから、どういうことをお考えになっておるか、どういう規模になっておるか、さっき言いました法律施行に伴う効果と国の財政、地方の財政がどれだけかかったかということを、この法案の審議を終わるまでにぜひひとつ出してもらいたい、そうしないと私は次の質問を進めるわけにいかない。  最初に、総理大臣がおいでにならないで、そうして官房長官がおいでになりますと——私が話を聞いておりますと、政府のものの考え方というものがきわめて原始的であります。地方の自治体がどうしてできたかということのお話をされておる。人間の住む条件というものはどういうものであったかという話をまずされておる。人間の住む条件の一つとしては道路が先にできるのは当然であります。人は足で歩くのですから、そこで道路を求める。その道路周辺にずっと集落ができていくのは当然であります。これは原始的なものの考え方ですね。いまの時代に、お月さまに人が行こうという時代に、ここで地方の集落のできた原因が道路が先でございますなんという、そういう説教を聞くことは考えていなかった。砂漠に行っても、どんな大陸に行っても、まず人間が先に通って、そしてその要所、要所に集落ができてくる。水があるとか、あるいは距離的に休まなければならぬとか、泊まらなければならぬとかいうところに集落ができた。これが今日の社会の集落形成の最も初歩的の、紀元前何年ぐらいからあったかわかりませんが、そのころからあったことです。そういうことを頭に描いて、道路さえあればそれでいいのだというお考えを政府がお持ちになる限りは、こういう百一の法律があっても、これは満足にできないと私は思う。これはもう少しあるかもしれませんけれども、私の調査しておるのでは、昭和四十一年四月十八日の改令第百二十二号まででありまして、資料としましては昭和四十四年度版地域開発小六法その他によるものでありますから、大体これはみんなそちらにあるはずです。これはここにちやんと書いてある。地域開発小六法というものがあるはずです。これはうそでもなければ何でもない。現在残っておる法律ですから、ひとつ全部書いてもらいたい。私はそういう立場でここで一つだけ聞いて、そしてあとは資料で、その後の質問に譲っておきたいと思います。  一番最初にできた、昭和二十五年度にできました国土総合開発法の第二条の一項、これに何を書いておるかというと、これだけきょうここで読んでおきますが、「土地、水その他の天然資源の利用に関する事項」、「水害、風害その他の災害の防除に関する事項」、「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」、「産業の適正な立地に関する事項」、「電力、運輸、通信その他の重要な公共的施設の規模及び配置並びに文化、厚生及び観光に関する資源の保護、施設の規模及び配置に関する事項」、こう書いてあります。これがこの法律の二条の一項に書かれた具体的に指示した案件であります。これを読んでみますと、ほとんど全部網羅しておるのですね。ところが、この法律がどういうふうにそれでは今日まで動いたかということをごく簡単に考えてみますと、この法律は、制定以来かなりの地方公共団体が、こういう法律ができた当時はちょうどインフレの時期であり、それから地方の行政ではちょうど税制改革のある前の年であります。シャウプが来ておる時期でありまして、日本の地方行政にとってきわめて大きな転換期であったわけであります。したがって、各地方の公共団体は、この法律ができたということでかなりたくさんな地方団体がおのおの計画を立てたり、あるいは一、二県まとまって計画を立てたりした事実がたくさんございます。しかし、それが一つとして実行されていないといっていいほどこの法律は今日役立っておらない。二十五年にできて、そして今日までこの法律が生きているのであります。そして網羅的にこう書いてある。しかし、地方の自治体がこれに基づいて計画を立ててみたが、一つは財源がない、思うようにいかない。それからもう一つの大きな理由としては、一体全国計画なのか、あるいはこれを広域的にやってよろしいのか、その位置づけがきわめてあいまいである。こういうことから、かなり地方の自治体では、努力をしてみたが、ほとんどこれが効果を呼んでいないというのが現状であります。したがって、これらの問題に対して、政府のどなたからでもよろしゅうございますが、ひとつ政府のほんとうの気持ちをこの際はっきりしてもらいたい。
  146. 島村忠男

    ○島村説明員 先ほど資料の御要求がございました。これは早く整備いたしまして御報告さしていただきたいと思います。  それから、国土総合開発法が二十五年以来何をしてきたかということでございますが、これは、ごくかいつまんで申し上げますと、制定以来当初約十カ年間におきましては、この法律の第二条の第六項に「特定地域総合開発計画」というのがございますが、これは文字どおり後進地域の特定開発を行なったわけでございまして、特別の助成というよりは、各省間の事業の総合調整をやりまして、相当精力的にこれは進めてまいりまして、現在特定地域事業はほとんど完了ということになっております。これは一つの当時におけるメリットでございまして、特に要点といたしましては、当時の事情から、食糧の増産、電力の開発、国土保全ということが非常に叫ばれた時代でございまして、この三つが柱になりまして、相当の成績をあげてまいったと思っております。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 それに続きましては、この法律の姉妹法となります新産都市、いわゆる拠点開発の作業を進めてまいったわけでございます。これもあまり成果があがっていないというお話でございますけれども、徐々にあがりつつあると見ております。大体いま非常に見込み薄と言われた地域におきましても、昭和五十年度ごろにはかなりの成果をあげるのではないかというふうに見ております。  それで、ただいま全国総合開発計画が第二段階として出てまいるわけでございますが、これからどうするのかということでございますけれども、特に多数の法令に関係いたしましてどのような考え方があるかと申しますと、この国土総合開発法も、二十五年という時代の背景から実は内容が少し古くなっているのではないかということがございます。それで新しい時代に即応するような内容にいたしたいというふうに考えております。  それから、法令の整理等につきましても、これはこの際ひとつ積極的に考えてまいりたい。ただ百の法令をすべて一つにしてしまうというわけにも実はいかないだろうと思っております。特定の目的を持った法律というものがかなり効果的に働いている例もございます。一、二の例を申し上げてみますと、離島振興法というような法律がございますけれども、これなどはかなり強力に効果をあげつつあるのではないか。ほかの例は省略いたしますけれども、かなり働いている法律もございますので、特別法といいながら、そういうものまで全部何かに突っ込んでしまうということがいいか悪いかという問題はあると思っておりますが、相当大幅な統合整理をして、新しい目標を織り込んだものにひとつ再編成をしてみたらどうか。また、冒頭に申し上げましたように、この国土総合開発法自体もこれは相当考え直さなければならぬだろうと思っております。
  147. 門司亮

    ○門司委員 いま聞きましたが、私ども個々の法律がどう動いているかということについて多少の考えもありますけれども、とにかく法律が多過ぎるのではないですか。法律を読んでごらんなさい。悪口を言えばイモづる式開発法案というのですな。イモづるのようにこれはずっとつながっている。北海道がやったから次に東北をやった。年度別に調べてみなさい。北から——北が昭和二十五年に始まって、ずっとできて、一番最後が中部圏昭和四十一年ということになっている。そうして近畿が三十八年になっておりますな。それから九州、四国、中国、北陸地方、こう書いてあるでしょう。日本全国こういう開発法がある。その中にさっきお話のあった拠点開発としての低開発地域だとか、あるいは新産都市の建設だとか、あるいは工業整備特別地域促進の法律だとか、こういう拠点法律もある。しかし、これは迷惑をするのはだれかというのですね。これだけ法律が錯綜しておりまして、地方の自治体ですよ。あなた方は法律さえこしらえればそれで済むでしょう。それでいいでしょう。これを実行に移して、地域の住民の福祉を向上させていこうとするのは、地域社会を受け持っておる都道府県知事あるいは市町村長である。私は、今度の中部圏開発にいたしましても、いまの過疎立法にいたしましても、日本の地方行政というのは、憲法にさからってこういう法律をたくさんこしらえて、がんじがらめに国から押えつけられて、国の意向によらなければ地方はにっちもさっちも動かぬようにしているという、いわゆる管理行政に戻そうとするきわめて悪らつな官僚のものの考え方だ、こう私は見ないわけにはまいりません。いまでもそうでしょう。建設省の出しておるものを、先ほど細谷君からかなり熱心に聞かれておりました。私もそばで答弁を聞いておったのでありますが、受けるのは一つですよ。この百一の法律を省別に分けてごらんなさい。どのくらいあるか申し上げてみましょうか。省から来るものが全部一つにまとまってくる。それを受けた市町村は一体どうすればいいのです。そこへ何をこしらえたって効果はないということです。今日の過疎過密も、これはだれがこしらえたのです。資本主義政党としての自民党を中心とする政府が、産業開発だけに力を注いだからこういうように人間が集まってきたのです。どんなものをこしらえても、どんなに施設をやっても、人間は食べるものがなければ生きてはいけません。そこで食糧のあるところ、食べていけるところ、ここに集まるのは当然であります。どんなものをこしらえてみたところで、どんなに道路をきれいにしてみたところで、学校をどんなにきれいにコンクリートで建ててみたところで、どんなに地方施設を行なってまいりましても、そこで生活ができないということになれば、必然的に動くでしょう。生活のできるところに行くにきまっている。しかも、それを調整することのためにはこうしたたくさんの法律がある。これが満足に動いていないということであります。従来、自分たちの行政上の一つの大きな課題であるべき国民の福祉行政をどうするかという課題を忘れて、そうしていたずらに、こういうことばを使えば言い過ぎかもしれませんが、資本家に奉仕することのみにきゅうきゅうとしておって、過疎地域をどうするということが問題になってくるその前に首都圏整備をしなければならない、どこをどうしなければいけないといって、行政上の負担は地方の自治体には非常にたくさんかかっておる。私は、今日の納税の関係から見て、いまほど地方の自治体の住民が税金を納めておれば、本来ならば、もう少し地方の自治体はこういうことをしなくてもいいように社会施設ができているはずです。ところでそれができていないでしょう。市町村などは、納めた税金のわずかに二・九%しかもらっていない。府県にいたしましてもわずかに三・三%でしょう。あとの一二・七%はどこが取っているのです。国が取っているでしょう。そうして、その国の取ったお金が、交付税だとかあるいは補助金だとかというような官僚の手による分配方式によって地方にこれが配分されておる。それを大蔵大臣は、税金だけでは少ないかもしれませんが、国から行っている補助金その他があるから、こうおっしゃるのだが、これらすべてが官僚の手によってあんばいされている。過疎立法においても同じことでしょう。足らないところは交付税でまかなうと言うが、交付税は地方自治体全体の国有の財源であって、その中から、政府の施策の失敗によってそれが特別に分けられる地域があるということになれば、当然もらわなければならないはずのところへいかないということにならざるを得ないのである。補助金を出す、あるいは過疎地帯に対しては起債を認める——これは借金でしょう。いまでさえどうにもこうにもならない過疎地域に、借金をしょわせてだれが払うのですか。どうして払えるのですか。これは政府の施策の失敗ですから、いわゆる高度成長政策という、所得倍増という、これから来る社会のひずみを、あたかも地方の自然発生的に出たかのような印象を与えて、そうして法律を次から次へとつくらなければならない。最後に、どうにもこうにもならないから、御苦労を願って、そうして過疎を何とかしなければならないという、それが焦眉の急だということになっておる。ここまで追い詰めたのは諸君のせいでしょう。だから、これ以上私は質問をいたしませんが、あとこれが全部出てから内容について一つ一つ御説明を求めることにいたしますので、百一実は法律だけであるのでありまして、これに基づく政令がかなりたくさんありますが、その政令までここでやかましいことを言うことはないかもしれませんが、政令に基づいてのお話は、皆さんのほうから出た材料と政令との関係をさらに調査して、それから私は質問をすることにいたしますので、きょうはこれ以上聞いたところで、どうにも、総理大臣もおいでになりませんし、幾ら私がここで力んでどなってみたところで、たいしたものが引き出せそうもありませんので、これ以上聞きませんが、一つ繰り返して申し上げておきますが、以上申し上げましたあなたのほうの手になるいわゆる開発六法に書いてある法律をひとつ全部まとめていただいて、それがどういうふうに作用してどうしたのか、地方の持ち出しがどれだけあったか、政府の持ち出しがどれだけになっておるか、その効果がどうあるのかということを聞かなければ、この法律は審議できません。事実上幾つ法律をつくればいいのですか。そうして、だんだん縛りつけてしまって、政府の命令を聞かなければ、政府の言うとおりにならなければ、地方の自治体はにっちもさっちも動かぬようにして、管理行政に戻そうとする、憲法違反を行なおうとする、最も悪い役人のくせであると考えておる。ほんとうにあなた方が国の役人であって、そうして地方の住民のために——地方の住民というから何かあなた方と縁の遠いような気がするかもしれぬけれども、これは国民ですよ。全部日本の国民ですから、あなた方は国と地方と違っているように考えておるかもしれぬが、国民と役人は違っている人種だと考えておるかもしれぬが、そうではないのでありますから、ぜひひとつ要求した資料を速急に出してもらいたい。そうして、もしそれが調べてないということになれば、この法律はそれが来るまで審議する必要はない、審議しても始まらぬと考える。それこそもう一つ上に重なるもの、たいした役に立たぬものを重ねるようなものである。こう憎まれ口をきいておきます。  どうかひとつ早く私の要求したものを、あしたでもあさってでもいいから出してもらいたい。あなたのほうには手があるのだから。別に秘密の文書を持ってきたわけではない。これは、先ほど申し上げたように、開発六法にちゃんと書いてあるから間違いないと思います。それではきょうはこれで終わります。
  148. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 小濱新次君。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 最後になりましたので、私は、過疎問題に対する重要な問題を何点か、提案者であられます山中議員にお尋ねしたいと思います。  その第一は、今度の法案の中で最も焦点になる問題といわれておりますが、その問題についてはまた後刻に譲ることといたしまして、私は、過疎地域の認定から見て、人口減、財政力、この両面からワクをはめたことは、法案の資格すれすれの地域に新たに過疎現象を促進する危険があると思います。こういう点で、どう線が引かれようとも、やがてはそういうすれすれの地域の問題が起こってくることが感じられるわけでありますが、この点に対する提案者としての考え方をまずお伺いしたいと思います。
  150. 山中貞則

    山中(貞)議員 御指摘のとおりでありますが、しかし、かといって基準なしでやるというわけにもいきません。そこで、基準すれすれで、問題は落っこちたところのことだろうと思います。落っこちたところは、確かにこの法案が通りますと、四十五年度予算からの恩典にはずれます。そうすると、過疎の勢いを少しでも食いとめようとするその歯どめに対して、援助してもらえないわけでありますから、したがって、それが、やがてはまた五年間の一〇%台の流出率の町村に入ってくるおそれがございます。したがって、四十五年度に行なわれる予定の国勢調査の結果を、きのうも申し上げましたように、コンピューター等駆使いたしまして、六カ月以内等にはじき出しました結果は、三十五年から四十年の一〇%でございますから、四十年から四十五年の間にこの法律では一〇%に入っていなかった町村であって、四十五年調査の結果は一〇%をこえましたというところは、これを翌年から拾い上げていけるようにしたい。五十年についても、同じようにやっていきたいということを申し上げてありますが、私どもとしては、それらのたとえば一〇%に及ばざる九%台の町村が一〇%に落ちてくることを期待はしておりません。しかし、一〇%台に落っこちてしまったらこの法律でやりますということを申し上げておるにすぎないのでありまして、それを、どこまでいったらその限界がなくなるかということを、たとえば七・五にいきましても七・四以下がやはり同じ現象になりますから、やはり逐年これを国勢調査のたびごとに拾い上げていく努力をする。そして拾い上げられたところは、その内容によって、少しでもそのような現象がとどまっていく。とどまったら、一〇%以下になったからといって、この法律からほうり出しませんということを申し上げたのはそういうつもりでございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点お伺いいたしますが、この過疎の認定が、集落単位でなく、市町村単位になっていること。これは東京都下の奥多摩町のような、その中心部の人口増で町全体がふえる状態にあれば、幾らこの辺地集落の人口減が大きくても、この法案の恩恵に浴さない、こういうわけになると思います。こういう点も、いろいろと問題がございますが、この点についての考え方もお聞きしておきたいと思います。
  152. 山中貞則

    山中(貞)議員 これまたそのような現象があることは、基準ではじき出してみまして、私どもあらためてなるほどと思うような点がございました。たとえば、常識上は、離島振興の対象となっておる町村等、あるいは山村振興対象町村等もそうでありましょうが、本来、人間の住む環境としては、やはり劣弱な環境、あまり恵まれた環境でないところの地域だろうと想像できます。したがって、それらのところが人口流出現象に当然まつ先にほとんど全部乗ってくるものだろうとばく然と考えておったのでございますが、三十年から三十五年の人口流出率の一〇%以内と、財政力指数等をもってかりにはじいてみましても、わずか三十六町村しか出てまいりませんでした。ということは、人口流出現象はやはり三十五、六年ごろから今日までに至る期間において顕著となってきた。いわゆる経済構造の変化に伴う人口流出であったということをはっきり認識させられたわけです。そのかわり、問題はただいま東京都下の例をとられましたが、それより顕著な例として、離島全体があまりいい環境でないのにもかかわらず、どの離島群の中にも中心の市が大体ございますが、そういうところの人口はおおむねふえております。ということは、大体離島からみな本土に出るのでありますけれども、その離島から本土に出る前に、離島の中で、僻地の離島からさらに中心の離島の町のほうにひとまず集まるという傾向をそこに示されておると私は見たわけでありまして、これらのところは、人口流出の比率だけでもってはたしてこの法律対象から除いていいものかどうか。しかしながら、数字は冷酷なものであるということで、ずいぶん私も考えましたけれども、やはり離島の中で顕著に人口のふえておるところが一、二町村必ず出てくる、これは離島から外に出ようにも出れない人たちの吹きだまりみたいに、離島の中では何とか一番暮らしやすいところに行っているんだなという、悲痛なといいますか、まことに気の毒な現状を発見をいたしておりますが、かといって、これだけに別な基準を当てはめるということもできませんので、やはり数字の冷酷さにまかせて、人口流出率一〇%以上ということにせざるを得なかったということでございます。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 提案者の御意見よくわかるのですが、先ほども御答弁の中に、学校問題の中での集落の統合という問題のお話がちょっと出ておりました。いまお話にありましたように、必ずその全体の中でこの集落があるわけです。そういう事例はたくさんございますが、私どもにまのあたりに見せられた一つの例があるのですが、これは一つの町でありました。山の上に千人からの人が住んでおりました。過疎現象でだんだんと若い人が都会に流出してまいります。そういう点で都会に世帯を持つ人が多くなってまいりました。したがって、学校の生徒数がだんだん減ってくるわけです。そこで、その中心部の考え方としては、学校の統合問題が起こってきた。県のほうに廃校手続を出した。そうして、中心部とその山の上とえらいあつれきができて、リコール問題まで起こって、途中で一ぺん中止いたしましたけれども、また再び再燃いたしまして、リコール問題等々、その最終決定が最近下るという段階まできてしまっている、そういう問題があります。そういう点でただ統合ということもできない事情があるわけです。といって、そのまま分校扱いにしておけば、わずかな生徒数で相当の先生が担当していかなくちゃならぬ。そういういろいろな面の不足もできるわけです。そこで、やはりいまの御答弁の中にもございましたけれども、いろいろな事情があって、やむを得ない、今回はこういう姿で一応打ち出してみた、こういうことですが、私は具体的に内容を調べてみれば、相当数その集落問題が起こっているところが考えられるわけです。という点で、この点ももう一度提案者として考えていただかなくちゃなりませんし、これからの考えも持っておいていただかなければならぬ、こういうふうに思いますので、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  154. 山中貞則

    山中(貞)議員 集落再編成の困難なことであろうということは先ほど申し上げました。ことに農山漁村の方々は、容易なことでは、ちっとやそっとのことでは、自分の長年住みなれたところを、たとえ隣の部落といえども、あるいは山の上から下のふもとにおりることといえども、あるいは川一つ越すのでも、非常に心理的な抵抗感と、住んでいるところへの愛着感がある。したがって、集落再編成事業というものはどういうふうな形態で、どの程度に起こるであろうかは全く予測できないところであるという感じを持っておることは先ほど申し上げました。  学校統合の問題につきましては、これは人口が減っていきますと、出生率が減る、児童が減る、そうすると独立の学校規模を維持するにどうにもならない。少ない生徒数になっていく。そこで町村の設置責任者としての長として、これをどうしても適正規模の学校の形に統合せざるを得ないだろうということで、その措置はいたしてございますが、問題は、町村のそういう学校の適正規模を維持するために統合されてしまった、しかし部落はおっしゃるとおり山の上に残ってしまっておる。そうすると、罪もない生徒たち、いたいけな子供たちが、いままで十分で行けた学校が、一時間もかけてそこに通わなければならないという——義務教育はどのような場所に住んでも、どのような職業の家の子であっても、全く平等の待遇を受けるべきものが義務教育でありましょう。そうすると、そこに学校統合という、ことばの上では国がめんどうを見るようなことになっておりますが、児童たちは気の毒じゃないかという点が確かに私はあると思います。その際に、当然町村長さん方は、それらの地区の就学児童の通学の便に資するためにスクールバスを購入して、補助をもらって、補助残については、今回の過疎債を対象にいたしますが、子供たちには罪がない。親が減ったから子供も減った。しかし、残っておる子供たちは、少なくともバスで学校に連れていって、連れて帰ってあげるぐらいのサービスをなさったほうがよろしい。そのためには配慮をいたしておりますということで、罪もない子供たちが、学校統合によって犠牲をしいられるようなことのないよう考えておるつもりでございます。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども老人対策で御質問しておきましたが、今度の市町村計画に基づいて行なう事業の中で、老人福祉政策があまり強調されていないように、あるいはまたどの項目にそのことが織り込んであるのか、ちょっとこの老人対策についての御意見もこの際伺っておきたいと思います。
  156. 山中貞則

    山中(貞)議員 過疎現象の進展に伴って、一番私どもがおそれなければならないことは、老齢化に伴っての出生率の低下であろう。そうすると、一方においては老齢人口は、死亡率の増加につながりますから、きのうも申したのでありますが、出生率と死亡率というものがデッドクロスするようなカーブを描くようにすることは、最大限避けなければならぬ。しかしながら、現実の姿としては、やはり老人層が多くなれば、それだけ老人の生活環境というものにも配慮がなされなければならないであろうということは、まさにそのとおりであります。老人という文字をこの法律の中に使ってございませんが、そのようなことを配慮いたしまして、過疎債の中の「公民館その他の集会施設」と書いてありまする中で、老人福祉施設というようなものについては当然その対象にするつもりでございます。ただ、一方に老人を収容いたします老人福祉センター、そういうものは、これは国庫補助の対象としてございますが、これははっきりいって養老院でございますから、過疎地帯であるからといって、一つの村で養老院をどんどんつくりなさいというには、現状はやはり養老院というような規模での過疎町村が、四、五カ町村相談をして、何か公営企業あるいは一部事務組合的なかっこうで、企業のような形態でもつくりませんと、建物はつくってあげるけれども、老人ホームに入る人は数としては私はたいへん少ないだろうと思うのです。そこで、そのようなことは特掲することは避けまして、過疎債の中の「その他の集会施設」の中で、老人福祉施設は当然この対象といたしますつもりでおります。しかし、法律上、老人ということばが全くないということも、確かにある意味では客観的に見て手落ちがあるような感じがいたしますので、そういうことが必要であるならば、公民館、老人福祉施設その他の集会施設というふうな中に、文章を追加してもよろしいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 農村地域にりっぱな建物をつくったから、老人対策がそれで完全かというとそうではございません。それはそのとおりでございます。この過疎地帯の老人生活の実態をいろいろと調べてみますと、現状に甘んじて、そしてあきらめ切った、そういう生活の老人が非常に多いようであります。働けるだけ三ちゃん農業で田畑へ出て働き、働けなくなくなるというと、うちで留守番、あるいはお勝手仕事、それから物の運び、そういうことで孫守りしたりして生活しているようです。こういう人たちが、数軒散在しておるようなそういう地域のことじゃなくして、もっと集団生活している部落にたくさんの老人がいるわけです。私のほうの調べですと、昨年だけでも六十歳以上は三十六万人いる。全人口の中でふえておる。総人口の中で六十歳以上は一〇・五%になっておる。そこで非常に老人の事故も多い。事件も多い。自殺をしていく人も多い。こういう事件からの死亡者が多い。こういうことから、老後保障、あるいはまた老後の楽しみを与えてあげるような、そういう何らかの考人対策を考えてやるべきではないか。希望を与えてやる、そういうことの内面がぜひほしいなというふうに私どもは考えておるわけです。そういう点でお尋ねしたいわけでありますが、ぜひひとつ、これからの問題でありましょうけれども、そういう問題も含んで、ぜひ協力をしていっていただきたい、こういうように思うわけですが、もう一ぺんこの点についてのお考えを聞かしていただきたい。
  158. 山中貞則

    山中(貞)議員 私がこの法律で考えておると申しました老人福祉施設は、過疎町村に関する限りは、いまおっしゃったような意味を考えておるのでありまして、養老院にほうり込むというようなものよりか、むしろ老人福祉施設といたしまして、そこにみんなが集まって、お年寄りの方々が、少なくとも半日やそこらの時間をそこで過ごすにふさわしい娯楽的な意味も加えた集会施設にしたいものだという念願を持っておりまして、そのような施設であるということを前提に、大体政府とも打ち合わせ済みのものであります。しかし、全体的に日本の農山漁村の老齢人口の、外に出ようにも出られないままそこで人生を終わる人人の老後に対する政策は、単に社会福祉事業政策のみにとどまらず、国政全般の上から、非常に大きな問題として今後検討していかなければならぬと考えます。もちろん、現在でも老齢年金その他があるわけでありますが、現実には、いま私どものところで農業者年金制度というものを検討いたしております。これも私が責任者としていま作業いたしておりますが、なかなか農業者の老後を、どのような年金制度で、ささやかな国のプレゼントができるものかどうか。それが年金制度の仕組みにどのように乗れるものかどうか、たいへんむずかしい、理論的なもしくは現実的な問題を含んでおりまして、頭を悩ましておりますが、この過疎対策の配慮をすることはもちろんのこと、やはり政府全体が、あるいは政治全体が、日本の平均年齢の延びていくことに伴う、老齢人口の増加に対する政策というものを、そうそうのんびりしておれない。抜本的な姿勢で取り組んでいかなければ、老人天国にするか、老人地獄にしてしまうか、これは政治家の課題であり、政治の要請される課題であろうと考えております。過疎法の中では、なかなかそのような規模の全体的な老人対策を、これでどうするということにはなかなかすぐには講ぜられない内容のものであろうと判断をいたしております。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 乗合自動車の運行の確保については、先ほど折小野委員のほうから詳しく御質問がありましたので避けますが、赤字だからといって、わずかの本数しか運行していない。二時間、三時間置き、あるいは午前あるいは昼、夕方、三本ぐらいしか通っていない地域も私どものほうにあるわけです。こういう問題の対策をぜひともやっていかなければならない。これは、この過疎問題としては大きな一つの課題であろうと思っておりますが、この点については先ほど御答弁がありましたのでよくわかりました。  そこでもう一つ過疎地域で悩みの一つに医療制度の問題がございます。この間も小笠原へ行ってまいりましたところ、一人のお医者さんが単身であの地へ行っておりました。そして三カ月間くらいで交代だそうであります。住民としてはそれでは困るという声もございました。これについて、離島問題ではございませんけれども、この過疎問題について無医村のことについての政府基本的な考え方、これもこの提案者としては大事な一つの課題であろうと思うわけですが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  160. 山中貞則

    山中(貞)議員 御指摘のとおり、この問題は過疎地域の人々の生活環境あるいは住んでおる、ふだんの人間としての病気あるいはけがその他のふだんにつきまとう不安に対する措置として、非常に大きなウエートを置いて議論をしたつもりでございます。振り返って、今日の無医地区もしくは過疎地域、離島その他を含めた医療の実態を見ますると、責任体制が——厚生省がもちろん責任者でありますが、それらに対する諸種の補助予算とかあるいはその他の予算を確保し、それに対する——国立病院は直接でありますけれども、大体都道府県に補助予算その他を流してまいりまして、そしてそれらの僻地医療なり無医地区等の医療の第一義の受けとめる責任者が、実は市町村長さんという形に現在は体制としてなっておるようであります。そこで、現状から見ますと、なるほど診療所を補助もしいろいろな援助もしておるといいますが、市町村長さんは地域住民のために診療所を設置して、その診療所にクモの巣が張らないようにお医者さんがしょっ中おってくれるように、来てくれるようにということで、知事さんのところに陳情したりあるいは県立病院その他に一生懸命汗をふき回ってみても、なかなかその診療所にお医者さんが定着してくれない。いま小笠原の例をおっしゃいましたが、三カ月交代くらいでお医者さんが行ってくれればまだありがたいのでありまして、実はクモの巣の張っておるところが多い。このようなことを今回はこの法律で踏まえまして、無医地区対策というのは過疎地域だけの問題ではないのでありますけれども、せめてその先べんを、この過疎立法の機会をとらえまして、この法律で、過疎地域に対する医療対策措置の第一義の責任者は国の次に都道府県知事であるという規定をいたしました。これは、知事会あたりは、過疎立法をしてくれというようなことを言っておられましたが、まさか自分たちに、こういう過疎地域の診療確保の責任者として計画策定、実施を——診療所設置あるいは周辺の医療機関の協力義務、そういうものまで最終的に——国が二分の一めんどう見るということが書いてありますけれども、責任者は知事さんだということを法律に書かれようとは夢思わなかったらしいのであります。  このような法律をやった場合に現象としてどういうことになるかといいますと、たとえば都道府県議会でいままでは無医地区の医療確保対策という議論は、全般的な議論として知事の責任としての議論はなされていなかったと思うのでありますが、これからは県会の本会議なりあるいは所管の衛生委員会その他において、この過疎対策立法がなされてすでに二年となる、ところが本県下の無医地区は依然としてこのような状態であるが、一体知事は何をなしたか、知事はこの法律に基づく義務をどのように遂行してきたか、今後どうするのか、という具体的な議論の根拠となり、知事はまたそれに対して、法律に定められたことについて自分が何をなしたか、あるいは何をなすべきかについて、行政責任者としての答えを出さなければならぬということに法律でなると思います。そうすると、いままで知事さんにはお願いに行っておりましたこれらの市町村長さんは、知事さんに対して要請する立場になります。何とかしていただきたい、知事さん、この法律の名によってあなたに責任があるではありませんかという、大きな変化を期待し得ると私は思うのであります。  ただ、問題は、ここでもこの措置でもって無医地区なりなんなりのお医者さんを確保できますかということを言われますと、これは私はたいへんむずかしい問題であると答えざるを得ないと思うのです。と申しますのは、お医者さんが無医地区に行きたがらない、僻地に行ってくれない理由は何だというと、表面は子供の教育とかなんとかおっしゃっております。あるいはまた、研究が足りないようになるとかおっしゃっておりますけれども、お医者さんという職業は、私どもの日本の今日の社会構造の中では、やはり高級と申しますか、ハイソサエティー、上流階級の生活なり地位を持っておられる方々が大部分であります。したがって、教養、文化等も高い人たちである。それらの人々が、現在開業もしくは居住しておる地区の非常に恵まれた環境と申しますか、その地域内の比較的いい環境から、そのようなお医者さんの社会的地位を保とうにも保てない、いわゆる医は仁術なりで全くそのことのみに終始せざるを得ない環境に、人道的な立場からのみでどんどん行ってもらうような現象が現在あるかというと、これがはなはだ遺憾ながら困難な状態に置かれておるのが日本の現状ではなかろうか。ただ、この現状をお医者さんに命令をして——国かお医者さんにしたわけでもありませんから、命令してあそこに行きなさいということもできませんし、知事さんもまた、御協力をお願いしますといっても、それを行けということは命令できない。自由に自分の資力でもって開業されたいわゆる自由営業でありますから、そこのところを法律でどのように整えてみましても、お医者さんがそれで完全に無医地区に全部配置されるかといったら、私はそのことはわかりません。できればそういうふうに願いたい。そういうふうになるためには、国も県も今回は積極的にやりましょうという体制をつくりましたということしか言えないのではなかろうかと実は考えておる次第でございます。全国に無医地区がまだたくさん残っておりますが、それらの地区にこの法律が少しでもささえになって、お医者さんが充足できる体制になればたいへんありがたいことだと思うわけであります。ただ私、この法律の文章を医療の確保といたしました。それは診療所の設置、医師の確保というだけでは、今日、住民の医療に対する考え方に沿っておるか、はなはだ疑問な点がございます。たとえば村に診療所があってお医者さんがいらっしゃるのだけれども、ところが最近道路がたいへんりっぱに整備されてきて、自家用自動車なりバスなりで、昔はたいへん遠いところだった、相当大きな人口の専門開業医みたいな人の一ぱいおるようなところまで近くなった。そうすると、せっかく村に診療所があって常時お医者さんがいても、あのお医者さんは内科しか知らないんじゃないかというようなことで、どうしても自動車で町のお医者さんのところに、産婦人科は産婦人科、外科は外科、それぞれやはりよりよき診療を求めて、今度はお医者さんを患者が選ぶ、住民が選ぶという傾向に、だんだん質の問題に実はなりつつあるような気もいたしておるわけでありまして、その意味で、診療所と医師の確保、これが一義的でありますけれども、やはり地域住民の診療行為をささえるものは、今度は通信とかあるいは交通とか、そういうみんなが医療を選択できるというような方向にも御援助することが妥当な措置じゃないかと考えて、それらのことも医療行為の中では配慮しておるつもりでございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 次に出かせぎ問題対策でございますが、人口流出対策ですね、出さない対策、あるいはまた出てしまってからの事後の対策、提案者としてはどちらを主体に考えておられ、これからどういう御計画を持っておられますか、お答えいただきたいと思います。
  162. 山中貞則

    山中(貞)議員 出かせぎ対策をこの過疎法だけで云々することもできませんが、指定の基準としての出かせぎ地区を何らかの基準として取り入れることはできないかということは、昨日相当時間をかけて議論をいたしましたので、たしか聞いておられたと思いますからその点は省略をいたしたいと思います。  問題は、なるべく身近なところにそういう兼業収入の道を得られるような方法を講ずることは、たとえば百人東京まで出かせぎに行く予定が、すぐ近くにできれば、村内に六十人の雇用人口を持つ企業が来たということで、少なくともその百人のうちの五十人ぐらいは、わざわざ東京まで行かぬでも、兼業収入の道がすぐ近くにあるならばということで、あるいは踏みとどまる人々も出てくるのではないかということを考えまして、この法律は低開発地域工業開発促進法みたいに工場その他を誘致する思想は持っておりませんが、しかし租税特別措置法特例、すなわち租税特別措置法はその他の一般法でもって税法の規定をするということは原則としてございませんが、この法律では附則で租税特別措置法そのものを直しておりまして、事業用資産の買いかえの特例を、この地域に工場等が進出する場合、これは確かに流出、出かせぎの人々の足が、その村内もしくは近くに兼業収入の道として与えることに効果があるわけだから、この法律の附則で事業用資産の買いかえの特例対象地域といたしますということが入れてあります。それから特別償却の特例も認めてございます。そして地方税におきましても、非課税もしくは不均一課税についての交付税の措置は、市町村長の判断にゆだねて、企業受け入れの体制に資するように配慮をしておるつもりでございまして、さしあたりの立場としては、この法律の立場としては、流出人口を食いとめるというような人為的なこと、あるいは出かせぎ者をストップさせるという人為的なことはできないけれども、それが少しでも足並みがゆるやかになる、勢いがゆるやかになるような手助けになる道だけはあけておくという気持ちで、本法の附則によって税法の改正をいたしておるようなわけでございます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 農林省関係にお尋ねいたしますが、おいでになりましょうか。  農業問題ですが、先ほども国のビジョンがないというところに大きな農業産業のおくれがあるのだということの御質問を申し上げたわけですが、これは先ほどの官房長官のお話ですと、その問題は農林省のほうでいろいろと計画を立てているということでした。また農政審議会で九月ごろいろいろな答えが出るという話もしておられました。そういうことで、この出かせぎ問題についてはいろいろとお考えをお持ちになっていられると思いますが、出かせぎをしなくても済むように、これは大きな問題ですが、農政の確立を一日も早く樹立しなければならない、こういうように思うわけです。出かせぎに行く人たちのいろいろな事情もあろうかと思うわけです。どういうふうにお考えになっておられますか。
  164. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  日本農業だけではございませんで、世界的に、農林省で調べましたところ、農業の持つ本来的な性格で、いわゆる夏作といいますか、太陽の非常に豊富なときには農作業ができますが、冬の間は農業ができないということで、世界的に何らかの形で農業以外の兼業収入を得る方法が農業では行なわれているようであります。特に日本の場合におきまして、南北に国土が存在する関係で、特に東北、北陸地区のいわゆる米作単作地帯というところでは、何らかの形で、やはり冬の間遊んでいるわけにはいきませんので、出かせぎをせざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに農林省としては理解しております。したがいまして、今後の農業のあり方といたしましても、農民のあり方といたしましても、やはり兼業収入を含めて、いわゆる農家としての所得の増大をはかっていくのが当然ではなかろうか。農業だけということになりますと、冬場の間はなかなか所得は確保しにくいということも考えられますので、そういうふうに想定している次第でございます。  ただ問題は、ただいま御質問がありましたように、出かせぎという形の、農村から都市へ出かけていって、冬の間半年ほど出かせぎという形態がいいのか、それとも在宅通勤というようなかっこうで近郊に新しい兼業所得の場所を得られるのがいいのか、この辺につきまして現在最終的な理論的な分析を、農政審議会の先生方に答申をお願いいたしている次第でございます。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点お伺いしたいのですが、離農者の保護ですね、いまのままではますます老齢化するばかりでございます。こういう問題と、それから後継者の育成問題、まあ私も農家の出身でありますから——非常に嫁の来手がない。この間も三十二歳の青年が十九歳の娘さんと結婚いたしました。それは親から納得させられて、そして農家へかたづいてきた、こういうこともあるわけですが、後継者の育成ということもこれは大きく取り上げていかなくちゃならない問題だし、それから、離農者の保護ということ、それから、出かせぎ農民の保護という問題、いろいろございますが、こういう問題に対する考え方、あるいはまた、これからの計画等がありましたらひとつお示しいただきたいと思います。
  166. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の点でございますが、終戦直後から今日までの農林省がとってまいりました政策は、一つのポイントに食糧増産という大きな命題がございまして、何が何でも自給度の向上という形で実施してきた次第でございますが、一方、戦後とりました農地改革によりまして、その経営規模を平均七反前後ということで実施してきた次第でございますが、今後このような世界的な経済の中に入っていく過程で、日本農業の経営規模が非常に零細であるということからしますと、今後自立農家として農林省が育成していくのにあまりにも困難であるということから、最近の新しい観点に立ちまして、今回この国会にもお願いしておりますが、農地法の改正も含めまして、今後自立できるような経営規模の拡大を極力推し進めまして、農地法が通りますれば、それに続く諸立法措置、諸施策が整備されていくことになると思いますが、それと相並行いたしまして、先ほど山中先生のほうからもお話がございましたが、経営規模の拡大に伴いまして、当然一方では零細な農家、あるいは農業よりも新しい次の職業のほうに転換するという方も出てまいりますし、また一方では、老齢化された方が、農業はなかなか持っていきにくいというような方もございますので、そういう方々が円満に今後生活できるように、いわゆる農業者年金制度等も検討の対象といたしまして、いわゆる離農後も安心して生活ができるとともに、後継者に対しましても、新しい農業、後継者にいわゆる経営権を早く移譲しまして、若い人が近代的な農業を営める道を開いてまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 次に建設省。道路問題についてはいろいろとお話がございました。先日参考人がいろいろと発言をしておられましたが、その中で、長野県知事のお話の中で、総合対策を立てている立場からのお話で、道路計画が完成していけば過疎問題はほぼ解決できる、七、八〇%までは可能である、こういうふうに言っておられました。そのあとで、道路五カ年計画では予算面と計画面で疑問がある。このように述べておられるわけです。この点についての疑問はたれもただしませんでしたけれども、これは建設省並びに大蔵省の問題にかかっているのではないか、このように私は考えておったわけでありますが、きょうはいろいろな御都合で、要求しておった方々がお帰りになってしまいましたので、ひとつ建設省の多治見次長さんからこの問題に対する御答弁をいただきたいと思います。
  168. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ちょっと御質問の趣旨がはっきり理解できない点があったと思いますが、長野県知事の御発言も実は伺っておりませんので推測になろうかと思いますけれども、計画と実施に疑問があるというお話だというふうに承りましたが、多分達成率の問題ではないかと思います。現在整備五カ年計画第三年目の事業を実施中でございますが、このうち第三年目までに全体といたしまして達成率が五〇%でございましたので、残り二年の間に相当努力をしなければ達成はむずかしいというのが現在の状態でございますので、その点を御指摘になったのではないかと考えます。われわれといたしましては、残り二年間にできるだけ努力を重ねまして、この五カ年計画を完全に達成いたしたいということで、目下努力している段階でございます。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点お尋ねしたいのです。  経済社会の発展と産業構造の変化によって開発の理念は質的に相当変わっていると思う。各種の開発立法が乱立して一体性に欠けている、私どもはこういうふうに見ているわけです。したがって、国土総合開発法は今日ではその役割りを果たしていない状態である。いろいろの問題がいわれておりますけれども、先ほども門司委員のほうからいろいろと発言がございました。道路五カ年計画も四五%までしか進んでいない。この辺で抜本策を考えなければならないということですが、こういういろいろな点を総合して、長野県の知事は疑問である、このように言ったのだと思う。ですから、この辺ではっきりと考え方を述べておきませんと、この問題に対する答弁はなされておりませんよ。もう一ぺんお答えいただきたい。
  170. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  道路整備五カ年計画は、先ほど申し上げましたように、ただいま三年目の事業を実施している段階でございますが、これはきめられました計画に基づいて事業内容を決定して逐次実施いたしているわけでございまして、事業実施の内容につきまして、そのときどきの情勢の変化といいますか、条件の変化によってこれに適応するような実施のしかたをするという点につきましては、十分配慮してやっているつもりでございます。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと御質問申し上げましたが、最後に政務次官にお尋ねしたい。  この過疎対策における最大の課題は、こうした現状の中で新しい町づくり、村づくりの具体的対策の進め方、あり方が最も大切であろうと思うわけです。地方自治を預かる立場から非常に大きな課題が今度また課せられるわけであります。こういう点でひとつ政務次官としてのこれからのこの法案に対する心がまえといいますか、考え方について伺っておきたいと思います。
  172. 砂田重民

    ○砂田政府委員 この法案の御趣旨につきましては、私どももまことに時宜を得た法案であるというように理解をいたしておりますし、過疎対策はいろいろ政府がやってまいりましたけれども、至らない点がいろいろあるわけであります。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 こういう観点から、この法律が成立いたしました暁には、十分の熱意を持って取り組んでまいりますが、いま小濱先生おっしゃいましたいろいろな町づくりと申しますか、そういった計画も、この法案の中に書かれておりますように、市町村ごとに住民参加の形で計画が府県、自治省と出てまいるわけでありますから、そういう住民参加の形でできてくる計画でありますだけに、私どもは一つの新しい行き方として強力に各種施策を遂行してまいり、十分この法案の趣旨を体してやってまいるという決意をいたしております。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、提案者である山中議員にお尋ねしたいのです。  過疎対策のすみやかな樹立が要望されております。わが党といたしましても協力は惜しまないものでございますが、いろいろと国会の模様等からこの見通しがちょっと危ぶまれるような状態になってきたわけですが、提案者といたしまして、この法案成立の見通し等、どういうふうにお考えになっておりますか、最後にひとつお尋ねして結論といたしたいと思います。
  174. 山中貞則

    山中(貞)議員 参議院の状態がよく把握できておりません。大学立法とその他の——いままで使われたことのない生活法案ということばが使われておりますが、国民生活に関連の深い法案という意味でしょう、そういうものと二者択一みたいなことに参議院でなるのかならないのか、そこらのところが少しわかりませんが、私といたしましては、この過疎地域対策特別措置法案だけが、参議院の全体の状況いかんにかかわらず一つだけ通っていくというような安易な見通しも持っておりません。しかし、全部とは言わなくとも、国民生活に密接な関連のある法案が通る環境がありますならば、各党御相談をいたしまして、たとえば来週の月曜日にも本会議開かれますから、それまでの間、参議院の推移を見つつ、各党間の意見を調整しつつ、もし見通しが立てば直ちに衆議院の本会議を通していただいて、参議院に送付して、最終日の十二時まででもいいから、この法律を待望しておる全国の八百近い町村の要望に四十五年度予算からこたえてあげたいという気持ちで一ばいでございます。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 よくわかりました。  以上をもって私の質問を終わります。
  176. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 鹿野彦吉君。
  177. 鹿野彦吉

    鹿野委員 過疎問題はまことに重大な問題で、こうした際に山中議員が非常な情熱をもって取り組まれた御努力に対して心から敬意を表します。こうしたことから私もわずかの時間皆さんのお許しを得て質疑をさしていただき、問題のあり方を浮き彫りさしてみたい、こう思っているわけでございます。  この委員会においてある議員から、過疎対策は過密対策であり、過密対策過疎対策である、こういうことばの表現がありましたが、このことについて山中議員はどのようにお考えになりますか、承りたいと思います。
  178. 山中貞則

    山中(貞)議員 私はそう思いません。過密現象というものが確かに生まれております。その裏に起こった現象として過疎現象というものが起こっておるのであろうと思います。しかしながら、私は今回過疎対策の立法化を担当いたしてずいぶん苦労いたしました。その過程で考えたのでありますが、過密というものが先に起こって過疎現象というものがあとで論じられたことは間違いのない話でありますけれども、しからば、過密に対してはいろんなことがなされているようであります。あるいは地下鉄から下水道から公害からいろんなことがあるようでありますけれども、はたして国が政策としてこれが過密対策であるというような法的な根拠を持った、まとまった思想のもとに整然として体系づけられた過密対策というものができておるのであろうか、私は非常に疑問に思いました。したがって、たいへん不満足なようで、足らないところも多い過疎地域対策特別措置法案でありますけれども、この法律をつくり終えたとき、わが党は政府・与党でありますから第一義的に国民に対して責任を負う党でありますから、少なくとも政府、わが党は直ちに過密対策の立法について、既存の諸施策も含めてそれを体系づけ、理論づけ、そして大都市中心とする対策をすみやかに講ずる必要がある、これが怠られていて過疎措置が先に行ってしまったとういうふうな感懐を私は抱いたのであります。したがって、過疎対策をやったからそれが過密対策につながるとは思いませんし、過密対策がなされたから過疎対策がそれで能事終われりとするものではない。むしろ過密対策というものは、過疎対策以前の人間が住む環境の問題として焦眉の急であった。それがいまだになされていないことは政府並びにわが党の怠慢である、私はそのように判断をいたしております。
  179. 鹿野彦吉

    鹿野委員 ありがとうございます。ただ問題は、私はこのように考えるのですが、過疎対策を実施することによって過密現象がなくなる、過密対策にもなる、しかし過密対策は何ら過疎対策に影響をもたらさないで、過密対策の効果はますます過密現象を起こすことによって弊害を助長する、このように考えるわけです。そういうことでございますから、私は何よりも優先してこの過疎対策というものがそれほど重大なものである、こういう立場に立ってこの問題をながめておるわけでございますが、ただ、問題といたしまして、日本の経済の高度成長ということがよくいわれますが、こうした成長の過程にあって、どのような問題でも、たとえば米価の問題でもよろしいし、物価の問題でもよろしいし、過疎の問題でもよろしいし、過密の問題でもよろしい。何か掘り下げていけば全部同じ問題に到達するわけだけれども、何か残念ながら、こうした根本的なつかまえ方に不十分な点がある、このように常日ごろ考えているわけですが、今回山中議員が、情熱を持ってこの問題と取り組んでいただきました過程にあって、根本的な問題に取り組もうという意欲を持たれたけれども、ある力にぶつかってどうしてもこれが実現できなかったために、この一応の対応政策というものにあきらめを持たれたのか、それとも、最初から対応策というものを目ざして進まれたのか、その辺のところの実情をお聞かせ願いたいと思うのです。
  180. 山中貞則

    山中(貞)議員 この法案にこぎつけまするまでのあらゆるデータを集めて検討を開始いたしましてから、その過程におきまして、自分がこうしたいと思ったけれどもできなかった、あるいは強い抵抗があって実現することができなかったというものは全然ございません。
  181. 鹿野彦吉

    鹿野委員 そうすると、私は山中議員にお願いをいたしたい問題が出てくるわけでございます。過疎現象解決のために対応的な施策をすればするほど、一時的なびほう策をやればやるほど、根本的な問題の解決にほど遠くなる問題が出てくると思うのです。先ほど門司委員から、百一の法案がこの地域開発に関連するものとして成立いたしておるという発言がございましたが、やはり過疎問題の解決のためには、そうした問題を全体的にながめながら、これを解決しながら、この問題と取り組む必要があるのじゃなかろうか。ただ人口の減少という地域的な地帯に対して救済策としてやるというこのことは、決して排斥するものではございませんけれども、ただそのことだけに満足してしまえばなお一そう弊害が残っていく、こういうふうに考えられるものでございますから、私は自由民主党の中にあっても山中議員のごとく鋭い感覚と情熱を持たれた人々が少ないと常日ごろ認識いたしておりますがために、そのような点から、せっかくこうしたことに着眼をしていただきました以上、お互いにやはりこの問題の解決のために努力をしてみたいものだと思っておるものですから実はお伺いをいたすわけでございますが、こうしたことについてのお考えを聞かしていただければと思います。
  182. 山中貞則

    山中(貞)議員 委員長でありますから、しかも私たちの党では正式な機関を全部経て決定したものでありますので、たいへん遠慮をしてものを言っておられると思います。そこでずばり申し上げて、単純な数字だけの——数字と言っては語弊があるかもしれませんが、二つの基準だけで町村が指定された場合に、地域の特殊性とか昔から持っておる体質とかというものが原因であって、当然現象としてはそれらの地域対象にしていいはずと常識的に思われる地帯が漏れておる、あるいは指定された結果をずっと日本列島ながめてみて、片寄った傾向があるのではないかというような御指摘をしたいお気持ちがあるのではないかと思います。したがって、委員長のそういう高邁なる遠慮をされた御意見を、私のほうで率直に問題点をいただくことにいたしまして、私も確かにどこどこの地区に重点を置いてこの措置をやろうというような考えは終始持っておりませんでした。基準をつくり上げまして、該当町村数を調べ、その該当地域を調べていきまするうちに、東北六県を中心とする地帯が考えられておるような、常識から見ては少し少なきに失するのではないかという数の問題が確かに浮かび上がってきたのであります。また予想もしていなかった地帯、たとえば広島とか岡山等の、今日まで低開発地域とも、あるいは後進県ともいわれていなかった地域の中において、ベルトライン沿いに強力な吸収力のために離村していった人々が案外多いんだ。広島県でまさか四十をこえる町村が出ようとは私も予想しておりませんでした。しかしながら、これは結果的に出た数字でありまして、そのようなことは永続的に変わらない現象なのであろうかと考えまして、国勢調査の中間調査というものがないものでありますから、私のほうで一応住民登録人口の減少という、これは若干正確さを欠くものでありますけれども、手がかりにはなる数字をもとに推計をいたしてみたわけであります。その結果、国勢調査の現在とっておりまする原点となる四十年以降明らかになっておりまする四十三年までの住民登録の人口減少率というものが出てまいります。その傾向をずっと四十五年まで引き伸ばして見ますると、全国の対象町村が全市町村数に対応して指定される比率が三二・二%になります。これは平均でございます。この平均に対まして、北海道はいまでも七百七十六のうちの七十一が対象になりますから、これは圧倒的に高いわけですけれども、その他の東北、いわゆる六県といわれているところをとってみますと、四十五年、すなわち来年の国勢調査で予想される結果で、入ってくるであろう町村を推計いたしましたパーセンテージは、福島県が三六・七%に達する市町村指定になるであろう。山形県が三一・八、秋田県が三一・九、宮城県が三二・四、岩手県が二八・六、青森は一九・六でありまして、これはちょっとよくわかりませんが、こういう数字になるようでございます。これはあくまでも趨勢値として引き伸ばしてみて予想をしたわけでございます。そうすると、おおむね三〇%台に乗っかっておるわけでございまして、全国平均の三二・二の平均指数にほぼ近い、前後する数字のところに東北六県も乗っかってくるというふうに趨勢としては察知できるわけであります。しかし、これはあくまでも国勢調査の正確な人口に関する統計の結果が出ませんと、確定はもちろんいたさないわけでありますが、関東近県あるいは中部その他については、特別な県を除きましては、やはり二〇%台以下にとどまる現象にやむを得ずなるようでございます。しかし、特例として、この関東近県でも、千葉県が、たぶん千葉県内の工業地帯等の新規の建設等によりまして起こる現象でありましょうが、四十五年度を推計しますと、顕著に違った傾向を示しまして、三四・八%に千葉県は達するであろうというようなことが、ちょっと異様な事態として趨勢として見られるわけであります。そのようなことを考えまして、これで足りるとは思いませんが、東北の人口流出は、兼業収入の道を出かせぎによって求めるという長い間のそういう習慣と申しますか、体質の結果、今回の指定においては、おそらく御指摘されるであろう、数が少なかったと思われますが、四十五年の推計を見ますと、どうやら東北六県においても、やはりそれが逐次恒久的な人口流出のほうにつながっていきつつあるようである。これは私は好ましいことだと思っておりません。望まいことであるとは断じて思いませんが、少なくともそういう傾向が四十年から先に非常に顕著に出てくるということは、東北地方の持っておりました体質というものが、人口流出の現象として四、五年おくれであらわれてきつつあるというふうに判断できるのではないか。国勢調査からいえば、五年取り残されるではないかという印象にもなりますが、予算措置は四十五年から行なわれるわけでありまして、国勢調査は四十五年に行なわれるわけでありますから、この対策がそうずれて、東北地方とだけは言いませんが、将来乗っかってくるはずのところが五年もおくれるというようなことにはならないんじゃないか。おくれても、一年ないし一年半ぐらいで全国の正常なるレベルの平均値ぐらいまでのところには手が届くようであるというふうに一応推測してみたわけであります。  自分はそういう質問をしておらぬのに、おまえはかってにそういう答弁をするとはけしからぬとおっしゃるならば、委員長の立場を察した私の好意的な分析表であるので、けしからぬならけしからぬなりでお聞き捨てを願いたいと思います。
  183. 鹿野彦吉

    鹿野委員 山中議員が推測していただきました御好意、まことにありがとうございますが、私は実はそうじゃないのです。私は東北出身でございますから、東北の議員団、知事団、それらの人々はこのことについて、元来過疎であるべきところの東北地帯に対する対策が欠けているじゃないか、こういう意見が非常にもっぱらでございます。民主政治というたてまえからいって、私も地元関係としては非常な関心を持っております。しかし、この席にあって私はあなたに御質問いたしたいと思ったのは、全然そのような小さい立場からではなく、この過疎問題こそ日本全体の大問題として、あなたのようなすぐれた人がここに取り組まれたことに対して、私は敬意を表しますとともに、この問題について少し掘り下げてみたいと考えたからにほかならないのでございます。  私も時間をあまり費やすわけにはいきませんので、あなたと全く同じ立場にある党内のことでございますから、別にお話しする機会を持ちたいと思いますが、私といたしましては、現在自由民主党に与えられたところの責任は非常に大きいんじゃなかろうか。その非常に大きな責任を遂行していくために、国民のある人々から誤解を受けて、そのために自由民主党が信用を失うようなことがあったならば、それは悔いを千載に残すようなことになるのじゃなかろうか。ですから、誤解を受けないような、自由民主党の政策そのものを国民にわかってもらうような努力をお互いしなければならぬのじゃないか。こういうような立場に立って、この問題に対して発言をいたしております。たとえば米価問題一つとりましても、矛盾きわまる現体制です。どこから手をつけたらいいかわからないということになりましょう。また、貿易の自由化という点から、日本経済が発展をすればするほど、あらゆる外国から——これはアメリカからだけじゃありません、あらゆる外国から、日本の農産物の自由化、輸入の自由化という問題も要請を受けることも必至になりましょう。そうしたことに対する対応策そのもの自体も、あるいはまた日本経済の中において、実は労働力が余ってしようがないのに労働力不足の現象がいま生じております。これはどこにあるか。一番端的にこれが帰一するところのものは、過疎問題の解決さえ済めばあらゆる問題が解決してくる、こういうような考えを実は持っておりますために、そうしてまた、私の考えとしては、一時的なびほう策、対応策をやればやるほど、根本的な対策がだんだんおくれていくということを認識するがために、私は、一応びほう策としてのものは好ましきものではあるけれども、なおその底に存在するところの、より多くの困難を大きくするというこの問題と取り組まなくちゃならぬ。これを山中議員がどのように把握されておってくださるか。このようなことに対してお聞きをいたしたいと思ったわけでございますので、私は決してことばだけではございません。あなたに御質問いたしましたのは、そうした小さな立場でなく、お互いに、ともに国会議員として、この過疎問題こそそのような覚悟でやらなくちゃならぬ。ただ、私ははっきり申しますと、現在の自由民主党が官僚に完全にゆだねて、ほんとうの政治家としての政治が行なわれていないところに私はこの欠陥を認識いたしておるものでございますから、あなたのようなすぐれた人が、大きな壁にぶつかったかどうかということをお聞きいたしたのも、私はあえてそのことに触れたかったからであります。あまり多言を必要といたしません。あなたの非常にまじめな、そして真摯なこともよくわかりましたし、今後お互いに時間をつくりあって、でき得べくんば、私も何かと御指導願えればと思っております。この問題を中心として、過疎対策のために、繰り返して申しますが、過密対策は必要ないのであって、過疎対策をやることによって過密状態も解消してくるというふうに私は考えておりますことを申し上げ、山中議員の御好意によって質問がちょっと違った方向にいきましたから、私も要らざることをちょっとしゃべったようでございますが、どうぞ、今度の問題は今度の問題として、根本的な問題について何かと御指導をお願い申し上げまして、私の質疑を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  184. 山中貞則

    山中(貞)議員 ちょっと一言。冗談じみて問われもしないことを答えたことをかんべんしてくれと言いましたが、今度はほんとうに、委員長の高邁なる気持ちをそんたくすることができないで、要らざる答弁をいたしましたことを——参考になれば幸いでございますが、心からおわびを申し上げます。  その他の日本の置かれた国際環境あるいは農政の基本的な曲がりかどに立った政府、わが党の使命というものの御指摘は一々ごもっともでございます。官僚に云々というお話もございましたが、私の今回の法律案に関する限り、議員立法でまさにおちいりがちな、役所に作業してもらって名前だけ議員の名前で出すというようなことが全くございませんでした。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 国会議員が、立法小委員の連中が連日相談いたしまして、役所に協力を求めましたのは必要な資料の提供でございまして、選択から方向から性格づけから法文のていさいから全部議員自体のみの手によったものであるということをここではっきり申し上げまして、今後は、できるならば立法府というものは、与野党を通じまして、野党提案でもみごとな法律ができ上がってきて、わが党が全会一致の賛成ができるようなものま、をた、わが党といえども、自分たちがつくった法律だから野党なんかどうでもいいんだということでなく、政治家がみなひとしく党派、思想を越えて評価できるような法律が次々と生まれることを私は将来に向かって、自分もそうでありますが、期待を持っております。  この法律につきましても、一応手続としては山中貞則君外何名提出という形でここの委員会に提案をわずらわしておりますが、これは思想にも党派にも関係のない、むしろそれを越えた大問題をいまここでやろうとしておるわけでありますから、決して自分たちが努力してつくったのだという手柄顔をするつもりはありませんし、その手柄を自分でおさめようとも全く思っておりません。このことは、ただ便宜上私どもが作業したのでありまして、これは国会の各党派、思想を越え得るものでありますから、越えたものとして、この法律が世の中に全員の拍手をもって送り出されていくことこそ作成者たる私の心から念願するところでございます。  以上です。(拍手)
  185. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  次回は来たる四日月曜日正午から理事会、午後零時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会