運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-07-08 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月八日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       阿部 喜元君    青木 正久君       大村 襄治君    亀山 孝一君       吉川 久衛君    斎藤 寿夫君       渡海元三郎君    永山 忠則君       水野  清君    山村新治郎君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    實川 清之君       野口 忠夫君    細谷 治嘉君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         運 輸 大 臣 原田  憲君         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         警察庁警備局公         安第一課長   三井  脩君         農林省農地局建         設部調査官   福澤 達一君         運輸省航空局監         理部長     川上 親人君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  高橋 淳二君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  米川 健夫君     ――――――――――――― 七月八日  委員岡崎英城君、桂木鉄夫君及び依田圭五君辞  任につき、その補欠として阿部喜元君、大村襄  治君及び實川清之君が議長指名委員選任  された。 同日  委員阿部喜元君、大村襄治君及び實川清之君辞  任につき、その補欠として岡崎英城君、桂木鉄  夫君及び依田圭五君が議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第五七号)      ――――◇―――――
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。實川清之君。
  3. 實川清之

    實川委員 先週の金曜日の質問の続きをさしていただきます。  私、せんだっても申し上げましたように、飛行場南側のいわば騒音地域におるわけですが、したがって、きょうはその騒音の問題について若干お伺いいたしたいと思います。  公団住民に配りましたパンフレッドによると、騒音はたいしたことはない、こういうようなことが書いてございましたが、この騒音の強さと、それから広さ、これは高さによって音の影響する範囲は非常に違ってくると思いますが、これをひとつ運輸省方々にお伺いいたしたいと思います。
  4. 丸居幹一

    丸居説明員 騒音測定は非常にむずかしゅうございまして、実際この飛行場で飛んでみないとほんとうにしっかりした測定はできないのじゃないかと思いますけれども、一応、羽田で以前に音響学会にお願いして測定したのをそのまま当てはめてみたらどうなるかというふうな概略のことで申させていただきますと、滑走路が四千メートルございますので、四千メートル滑走いたしますときに、出発点がもうすでに四千メートル距離がございますので、短い滑走路よりは、滑走路末端からはかりました場合は騒音は少ないと思いますが、そういう計算でこれを当てはめてみますと、滑走路末端から三キロの地点で九十ホン程度ではないか。それから五キロから五・五キロくらいのあたりで八十ホン程度ではないかというふうに推定をいたしております。幅は大体〇・八キロから一キロくらいのところで九十ホン、それから一・二キロ近辺で八十ホンくらい程度であろうというように思います。
  5. 實川清之

    實川委員 これはまだ飛んでないからはっきりしたことはわからぬと言うけれども、ごもっともなお話なんですが、しかし現地の諸君が一番気にしている点も、実はいろいろいわれているけれども公団側によると、たいしたことはないし、それから社会党の代議士の話を聞くと、とてもたいへんらしいというので迷っているのが実際は現地住民の偽らざる姿だろうと思うのです。したがって、これは運輸省としても、これだけのものを持ってくる以上は、やはり相当はっきりとしたものを持ってこられて、そしてその明確な土台の上に立って対策というものをお考え願わないと、いつまでたってもこの問題、住民に対する安心を与えるほんとう意味対策は立てられないのじゃないか。騒音があるということは、公団パンフレッドのように、なければこれにこしたことはないんです。何もわれわれ飛行場の問題でことさらに反対をしたり、あるいは地域住民反対する必要もないわけで、騒ぐために騒いでいるわけではない。ほんとうに困るだろう、困るんだが、どうもあまり真剣に考えてもらえない、ここにやはり住民の不満があるわけです。  しかし、せんだって来いろいろ御答弁を聞いておりますが、確実のところは言えないということなんで、おわかりにならないとすれば、これ以上この問題を申し上げてもしかたがないと思いますが、私の町は芝山町ですが、同じ騒音地帯でも東京から千葉に寄ったほうの、つまり国道五十一号線、東関東道路ですか、あるいはまた東京と結ぶ鉄道、そういうような方面に接近した、あるいはそういう出入り口になっております成田市の場合と、それから騒音の、ちょうど反対側のいわば日陰になった部分、これが芝山町ですが、これは同じ飛行場の問題を考える場合でも、被害程度が全然違うんですね。音の高さはかりに同じでございましても、その他の条件というものはまるっきり違う。端的に申し上げますと、成田寄りのほうではすでに地価値上がりの状態を見ましても、もうとほうもない数字が出ているわけです。ところが、その反対側の私の町へ来ると、地価はほとんど値上がりがない、動きがないということは事実でしょう。そういうことになりますと、その一つの例を見ましても、空港をはさんで南と北では非常にこの影響が違う。この点は、やはり運輸省なり公団はしっかり私は頭に入れて対策を立ててもらいたい、これが南側住民としての私の要望したい点です。それで、いろいろ空港の問題が出ました当初は、地域住民に甘い幻想を与えるような話もあったのですが、だんだん今日になると、ほとんど対策らしい対策はないといっても間違いじゃないと私は思います。  それで、その前にまずお伺いしたいのは、一体騒音地域というのは滑走路前方千二百メートルですか二キロですか、それから滑走路中心から左右六百メートルという地域騒音区域だというぐあいに考えられておるようですが、いまあなたのお話を聞いても、五・五キロ地点というと、大体四千の滑走路末端から起算いたしまして、芝山町の一番遠いところの部分、旧二川の小池のあたりまで及ぶだろうと思います。それがさらに二千五百と横風の三本の滑走路ができますと、芝山町全域は最低八十ホン以上の騒音の中に入ると思うのですが、しかも騒音地域として考えられているというのは二キロと左右六百ということになりますと、その他の地域は一体どういうことになるのか。かりに二キロ半のところ、これは少なくともあなたのおっしゃった点でも九十何ホンという地帯ですね。そういう地帯でも騒音地域に入れない、したがって対策は何も考えてやれない、うるさくてもがまんしろ、こういうことになるわけですが、この点についてはどうなんですか。
  6. 丸居幹一

    丸居説明員 音の大きさで一応想定されるものはさっき申し上げたとおりでございますが、私がいまのところではもう一つ明確でないと申し上げましたのは、ここは、たとえば学校等に対する騒音は七十ホン以上、実際はかってみましてその時点においてあれば、たとえば防音工事を施すとか、あるいは八十ホン以上だったらもう少し程度の高い防音工事を施すとか、九十ホン以上ですともう少し高い防音工事を施すとか、こういう騒音防止法グレードがつくってございますので、したがいまして、たとえばここに発着いたします機種等関係ございますので、たとえば同じ距離でありましても、いなかの飛行場でありますと、そういうようなのが一回ぐらい大きな音をたてましても規定に達しない。しかしこれは国際空港で、かなりひんぱんに飛びますので、実際その時点において騒音測定しまして、ここは九十ホン以上だから何級の防音工事を施すというふうにきめなければならぬものですから、そういう点で非常に音は、実際はかってみないと防音工事を施すグレードもわからないというふうな意味で、そういうように申し上げましたので、大体いま発表いたしましたのは、前に音響学会にお願いして羽田測定をいたしましたものをここへ持ってまいりましたので、そう大きな狂いはないんじゃないか、概略つかむのには参考になるという意味で申し上げましたのです。それからまたその土地には東京大阪でつくっておりますような騒音対策委員会というものを、地元の方も入っていただいてつくりまして、それでいろいろそういった騒音測定の結果等もあわせて対策を講じていきたいというふうに考えております。  それから、いま最後にお尋ねになりました二キロ、六百の範囲外でございますけれども、これは畑地かんがいを五・五キロと幅一・二キロの間において実施することにいたしております。もちろん、この間も御質問がありましたように、畑地かんがいをしたら音が少なくなるのかということはございますけれども騒音からくる被害意識を多少とも緩和していただくという趣旨でその対策を講じておるわけでございますが、実際にここに飛行場が設置せられまして、騒音測定した結果、騒音対策委員会等でいろいろ検討していただきまして、騒音につきましては、できるだけわれわれも前向きの線で考えたいというふうに思ってはおりますのですけれども、ただいまの決定は、騒音防止法との関連もありまして、二キロ、六百に広げるということもかなり大きな努力であったわけでございますので、何とかそういう趣旨で御了承いただきたいと思います。
  7. 實川清之

    實川委員 この点はあとでまた将来問題になるのじゃないかと思うので、政務次官にお伺いをしたいのですが、先ほども申し上げましたし、またいま丸居さんからもお話がございましたが、いま一応騒音区域というのは滑走路前方二キロ、それから滑走路中心から左右六百メートル、この区域騒音区域と指定されているというか、考えられているわけです。それで、いまの質問の御返事にもあったのですが、必ずしもその区域だけがうるさいわけではない。先ほどの御答弁によっても、とにかく三キロで九十ホン、それから五・五キロで八十ホンと非常にうるさいのですね。したがって、その滑走路前方二キロ、左右六百メートルというのは、私から言わせると、これは非常にあいまいなものだと思うのです。騒音区域を何キロ以上ときめるのならば、これは話は一応わかるのですが、距離できめている。しかし、さっきのお話もございましたように、飛ぶ飛行機のあれ、それから回数の問題、そういうものによって、同じ地域であっても音が違ってくるということになりますと、二キロ離れて、その五百メートル先のところは全然かまわない、すげなくいえば、そういう声も出てくるわけです。そうしますと、これは将来実際に飛行機が飛ぶ段階になりますと必ず問題になりますので、私のほうとしては、騒音実情に応じて対策は考えてもらいたい、必ずしもこの二キロ、六百メートルという区域にはこだわらない、こういうぐあいにしてもらいたいと思うのですが、運輸省としてはどうなんでしょうか。
  8. 丸居幹一

    丸居説明員 ただいま運輸政務次官おりませんので、私からもう一度お答えさせていただきたいと思いますけれども、二キロ、六百を騒音地域とおっしゃいましたのですが、実は騒音地域の中でも、それはわれわれとして非常に思い切った処置をとる範囲、つまり土地がそこにありまして、わしはここに住めぬからよそへ移りたい、したがって立ちのき補償をくれ、それから土地を買い上げてくれ、こういうふうにおっしゃるところを補償をする場所、それが二キロ、六百でございます。これは一応特定をいたしておきませんと、騒音はいまのところ、飛行機が大きくなりましてジェット化されてから大きくなったのでございますが、非常に世界的にやはりこの点は問題になりまして、どうしてもジェット機の騒音を低くしなくちゃいかぬというので、ICAOにおきまして、これを一定以下の騒音に押えるように、騒音証明を発行する制度をいま検討しておるような段階でございます。それからまた航空機製造会社におきましても、騒音の低い飛行機を金がかかってもいいからつくろうということで、そういうエンジンをいま開発しておる途中でございます。現にジャンボジェット等は、DC8という現在飛んでおりますところの一番大きな飛行機の三倍ほど人が乗るわけでございますけれども、音はいまのDC8と同じ程度あるいはそれ以下であるというふうに会社は発表しておるような状況でございます。したがいまして、大きさが三倍になるけれども音は同じだというふうに、エンジンについて非常にくふうをいたしております。そういうことでありますので、必ずしも将来音が大きくなっていきっぱなしだというふうにはわれわれは考えておりません。一応そういった土地の買い取り、その他思い切った処置をとりますときは、その地域を確定いたしておきませんと、音が低くなったらどうしてくれるんだ、音が高くなったらどうしてくれるんだ、そこで簡単に動かすわけにまいらぬものですから、二キロ、六百につきましてはそういうことをいたしておるわけでございます。  それから、騒音地域というのは必ずしも二キロ、六百でございませんので、先ほど申し上げましたように、たとえば学校に対する防音工事範囲とか、あるいは病院に対する防音工事範囲、幼稚園に対する防音工事範囲というのは、騒音防止法が、騒音測定の結果によって一日どの程度だったらどうするというふうに規定いたしておりますので、これはそっちのほうで防音工事を施していくというふうに分かれておるのでございますが、思い切った処置をとるほうにつきましては、一応そういった場所を特定する必要が実はありましたものですから、そういうふうに特定されておりますので、方法が違っておりますけれども、二つともそういう意味がありますので、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  9. 實川清之

    實川委員 これから音の出ない飛行機や垂直に飛び立つ飛行機ができた場合は別にしまして、いまの飛行機土台に私は考えていただきたいし、それから東京あたりで考えている騒音というのは大体五十ホン程度が基準になっているんじゃないかと思うのですが、この場合もそれから三十ホンも上がっておるし、九十ホンになると倍近い音なんですね。そうすると、これはこの区域できめられて固定されるということは、現地側としては困るわけです。実際飛んでみたら非常な音をあげた、しかし二キロ、六百の範囲外だということになりますと、これは救済しがたいわけです。したがって、これは何とかもう少し弾力的に考えて、必要があればそれに応じた対策をとる、あるいは救済策を考えるということにならないと、現地側はとうてい納得できないと思うのです。特に私の町は、先ほど申し上げたように、一番遠いところでもなお八十ホン以上の騒音が予定されているわけです。したがって、この問題についてはひとつさらに検討してもらいたい、こういうぐあいに考えております。  それから、先ほど対策委員会の問題が出ましたが、これはもうおつくりになっているのですか。まだつくってないように私は思いますが、つくるとするならば、これは地元代表者みたいな人も委員の中に加えるように私は覚えておったのですが、その委員構成と、それからその委員会は一体どういう仕事をするのか、それについてお伺いしたいと思います。
  10. 丸居幹一

    丸居説明員 東京大阪とも、騒音対策委員会構成メンバー地元住民代表者、それから関係地方公共団体航空会社及び航空局の出先がございますが、そこの職員で構成いたしておりますが、これにかわりまして、新空港の場合は公団から人が出まして、ただいま申し上げましたような関係者で設立する予定をいたしております。
  11. 實川清之

    實川委員 対策委員会のほうはこれからやるんでしょうが、もしつくるなら、いまのうちにつくって、やはりじっくり両者で話し合ってみたら、かえって意義があるのじゃないかと私は思うのです。騒音地域についてのいろいろの施策があるように聞いておりますけれども、具体的にいうと、どういう対策をお考えになっておるのか、これをひとつ、特に芝山地域についてお伺いしたい。
  12. 今井栄文

    今井参考人 特に私ども芝山地域についての今後のいろいろな問題に一番関心を持っておるわけでございますが、芝山地域につきましては、特に伊丹大阪国際空港におきまして、伊丹側敷地の大部分を提供しながら、しかも空港への入り口が裏側になるというようなことで、従来問題になっておりまして、私自身運輸省におった当時、その問題とも取り組んでおりました関係上、新空港仕事をやっております現在では、そういうふうな体験からいたしましても、今後の芝山町というものは絶対に空港裏側にならないというような観点から、非常に強い関心を持っておるわけでございます。  そこで、総括的に申し上げますと、私どもは、芝山町というものが空港南側として、先ほど先生が御心配になっておられるように、空港の北側のほう、国道五十一号線沿いの地域と違わないように、でき得る限り芝山自身空港とともに発展するというふうな施策を講ずる必要があるということを痛感いたしております。その点につきましては、公団並びに県で特に芝山町を対象にして集中的にいろいろな施策を考えておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、道路の問題でございます。これは前の委員会のときに私から先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、国際空港としては異例な、一般道路というものを空港のまん中を抜けまして、芝山町から国道五十一号線並びに東関東自動車道に接続するというふうな措置をとりました。これは空港をめぐる他の関連の部落あるいは町村にはない問題でございまして、芝山町から直接一般道空港の中を通り抜けて国道五十一号線、東関東自動車道に接続する、そういう意味におきまして、成田あるいはまた東京方面への時間が非常に短縮されるということは、公団自体仕事として、芝山町を決して空港裏側にしないという決意のあらわれでございます。現に、私どもはそういう設計をいたしておるわけでございます。それからまた、さらに、空港によって分断されます県道八日市場-佐倉線、これにつきましては県とも相談をいたしまして、芝山町を通って成田-両国線に連絡するようにつけかえる。それからまた、町道につきましても同様でございますが、芝山町を通る町道につきましては非常に数がございますので、ここで一々名前は申し上げませんけれども、相当多くの町道につきましての路線を改良舗装をするというふうな計画を立てております。したがいまして、道路関係につきましては、東京その他との連絡につきましても、また芝山自体町道改良につきましても、私どもとしては具体的な計画を持って町当局と御相談をしたい、かように考えております。  それからまた、空港汚水芝山のほうに流れないように、これは従来の委員会でしばしば御説明いたしておりますが、空港汚水をあげて印旛沼の流域下水道に処理するということで、芝山町のほうに汚水関係の御迷惑はおかけしない。それからまた、工事中の雨水等につきましては、完全なる貯水池を設けまして、芝山方面に対する水害防止についての措置を講ずる。それから、全般的に空港雨水根本名川を改修して放流することになりますけれども高谷川水系につきましても、その水害を防止するための適切な措置町当局と御相談をしてやっていきたい。  それからまた、騒音問題については、先ほど丸居飛行場部長から詳しい説明があったわけでございますけれども、私ども芝山町におきましては、特に学校教育という面については重点を置きまして、岩山小学校芝山中学校あるいはまた芝山小学校、その第一分校、二川の保育園、あるいはまた菱田小学校千代田小学校、こういうふうなものについては十分な防音改築等措置を講じたい。それから、いま先生質問のございました騒音対策委員会でございますが、これについては、ぜひ芝山町の代表方々にも入っていただきたい。  それから今後の空港の営業あるいはまた空港を取りまく営農関係でございますけれども、これにつきましても、先生も御承知のように、芝山にはりっぱな丸朝農協というものがございまして、全国的な市場を持って活躍しておられるわけでございますけれども、新しい空港は、さらにまた野菜あるいはまた畜産関係というふうなもので、大量の消費についてのマーケットができるわけでございます。これは単に空港だけではなしに、空港を囲繞する各種の工場、会社住宅というふうなものが大きなマーケットになるわけでございまして、こういったマーケットは、現在の丸朝農協活躍ぶりから見て必ずしも必要ないかもわかりませんけれども、われわれどもとしてはぜひそういったふうな面でも御活用を願いたい。  さらに、新空港にはいろいろ関連する事業がございます。こういうふうなところで芝山町の方々事業をおやりになり、あるいはまた子弟の職場として空港並びに空港関連産業を選ぶということでございますならば、私どもとしては積極的に御援助御支援をいたしたい、かように考えております。現在まででも、すでに富里あるいはまた成田におきましては、敷地内の方々あるいはまた代替地を提供された方々につきまして、私どもは親身になって御相談に応じて、現在相当な成果をあげておるという実情でございます。  それからまた、現にすでに県におきましては、工業団地あるいはまた住宅団地などを芝山町に計画中でございまして、一部すでに実施の段階にあるものもございます、これはもう先生もすでに御存じだと思いますが、工業団地等の造成につきましては、すでに具体的な段階に入っておるわけでございます。  それからもう一つは、先ほど空港を通ずる一般道路というものを芝山町に通ずるということを申しましたが、芝山町の仁王尊あるいは有名なはにわを中心とする芝山古墳等、そういうふうなものにつきましては、そこを通って九十九里とも結ぶ大きな観光道路というものを開発するという計画県当局でも考えておるわけでございます。したがいまして、空港中心にしまして、芝山町が裏側になるというふうなことは、私どもは全く考えてもおりませんし、それからまた、できるだけそういったふうな面の住民方々の危惧を一掃するという意味で、空港周辺市町村対策の中でも、特に私ども芝山対策というものに非常な力を入れておるわけでございます。  以上でございます。
  13. 實川清之

    實川委員 いま総裁から、芝山町は決して日陰にはならないというお話がございましたが、そうなれば非常にけっこうなんです。けっこうなんだが、いまお話を聞いていますと、お話のようになるかどうかというのは非常に疑問だと私は思います。  まず順序で聞いていきますが、そうすると空港のまん中を通す道路というのは、二千五百と四千と、二つの滑走路のまん中を通すのですか。そうなると横風用の下をくぐらないと通らないわけですね。そうすると地下道をつくらなければいけないということになるかどうか、これが一つ。  それから八日市場線あるいは成東線ですか、県道が二本ありますが、これはどこかへつけかえる道路をつくらなければならないのは当然のことだと思うのですけれども、つけかえると、その道路二本のうちのどれを空港のまん中を通す道路に結びつけるわけですか。つまり八日市場線かあるいは三里塚-松尾、あの間の線か、どっちの線を飛行場のまん中を通すとおっしゃる道路へ結ぶのか。それから八日市場線は、さっきのお話ですと、あれからどこか芝山町を通って右へ迂回するのか左へ迂回するのかよくわからぬのですが、回り道をしてどこかへ出るようになるのだろうと思うのです。その道筋はどういうことになるか。  地下道の話は最初からいろいろちらほら話としては聞いておったのですが、責任者の口から聞くのは実は初めてなんです。地下道でないと五十一号線あるいは東関東道路には結べないと私はしろうと考えに考えるのですが、この辺ひとつもう少しはっきりおっしゃっていただきたい。
  14. 今井栄文

    今井参考人 空港を結ぶ一般道路でございますが、これにつきましては、現在私どもの考えておりますのは四千メートル滑走路並びに二千五百メートル滑走路の中間を通りますというよりは、ちょうど御料牧場の東南端のごく近くに現在八日市場線が通っておるわけでございます。三里塚カントリークラブの東側になるわけでございますけれども、これを先ほど申し上げましたように芝山町を通って成東線につけかえをするということでございますが、空港を通って一般道路として五十一号線に結ぶ道路としましては、現在考えておりますのは、四千メートル滑走路末端の東のほうの、ちょうど空港敷地の東南の角になるわけでございますけれども、この現在ある八日市場線が空港敷地に接続する部分から、この付近から北へ上がっていく。それで、私どもB地区と申しておりますが、この地区の周辺を北に上がりまして地下道で横風用滑走路をくぐりまして、場内で一たん表へ出て、それから空港へ入ってくる一般道路につながる、こういう形になるわけでございます。  それから、先ほど八日市場線のつけかえがどの辺になるかということでございますが、これは現在県と私どものほうといろいろ検討いたしておりまして、町当局の御意向等も伺った上で最終的にはルート並びにこの県道への接続地点というものを確定いたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 實川清之

    實川委員 現在の八日市場線の東側を通って横風用と交わる点は地下道にする、また地上へ上がっていって五十一号までは東関東道路と結ぶ、こうおっしゃるのですが、そうするとターミナルビルのできるあたり、下をまた通るのですか。
  16. 今井栄文

    今井参考人 ターミナルビルディングの前が一般道路として空港に入る道路になっております。これは地下ではございません。したがいましてそこへ抜けて出てくる、こういう形になるわけでありまして、東京方面なりあるいはまた空港の北側から一般車両が入ってくる道路へ直接結びつける、こういう形になるわけであります。
  17. 實川清之

    實川委員 それから排水の問題は、いまの資料を見た範囲では、鹿島川を通って印旛沼へいく、こういう道を使うようですが、いまのお話ですと高谷川も使う場合がある、こういうようなお話でございますが、これは大体多古町と芝山町の間、あの谷間のほうですか、それともあれは栗山川ですか、高谷川の上流になるかあるいは作田川の上流になるか、どっちなんですか。
  18. 今井栄文

    今井参考人 空港の排水につきましては汚水関係とそれから雨水関係があるわけでございますけれども汚水につきましては、先ほど申し上げましたように空港敷地汚水は全部印旛沼の流域下水道に流して処理する。それから雨水につきましては根本名川あるいは取香川その他のほうの河川を改修いたしまして、地下パイプによりまして空港の中の雨水は全部根本名水系のほうに放流する、こういうことでございます。したがいまして私どもは現在、空港自体として、芝山町に汚水あるいはまた雨水が流出するということは避けるというたてまえをとっておるのです。ただ問題は、そういうふうにした場合に高谷水系がどういうふうな影響を受けるかという問題があると思うのです。むしろこれは直接高谷川へ水を流すということではなくて、高谷川がどういう影響を受けるか、これに対する対策を考えていく必要がある、こういうふうに申し上げたわけです。
  19. 實川清之

    實川委員 それから営農関係のほうはあと回しにしまして、空港関連産業とか関連事業とか、よくそういうことばを聞くのですが、これは具体的にはどういう産業なのですか、その内容をおっしゃってください。
  20. 今井栄文

    今井参考人 空港につきましては、御承知のように羽田でも非常にたくさんの種類の営業がございまして、私どもとしてはそういった種類のあらゆる事業について、地元方々が十分やれるし、かつまた御希望を持っておるというふうなものについてはあっせんするというたてまえで今日まできておるわけですが、どういう事業があるかと申しますと、航空関係のいろいろな運送事業であるとか、あるいは整備事業であるとか、燃料の供給事業であるとか、あるいはまた旅客貨物の取り扱いに関する事業であるとか、ホテル、銀行というふうなものは別といたしましても、飛行場全般の清掃関係であるとか、あるいはまた空港の中にいろいろつくられますターミナルビルディングその他のビル清掃の関係であるとか、それ以外にハイヤー、タクシーあるいはまたガソリンスタンドというふうなものもございますし、それからまた地元方々が十分やっていけるのではないかという仕事の中には、数万人の膨大な従業員が空港の中で働くことになるわけでございますので、そういうふうな従業員用の一般食堂、あるいはまたいろいろのたくさんなクリーニング関係仕事が出てくるのではないか、あるいはまた印刷関係であるとか、あるいは理髪関係であるとか、あるいはまたみやげものの売店であるとか、あるいは花屋というふうなものが、空港は御承知のように空港自体一つの町のような関係になるわけでございますので、一般の都市に必要な各種の事業というものは空港の中でいろいろ行なわれておるわけでございまして、現在そういうふうな事業の幾つかをお選びになってすでに設立準備をし、また設立を現に行なっておられる方々もおるわけでございます。こういうふうなものに芝山町の方々もぜひ御参加を願いたいということでございます。  それからもう一つは、それはいろいろな事業がございますけれども、それ以外に空港の中ではたくさんな雑貨関係あるいはまた畜産関係、あるいはまた農産品の関係というふうなものの需要が多くなりますので、先ほども申し上げましたように、そういったところへひとつ芝山町のほうからもぜひ商品を供給するルートをつくっていただけたらと、かように考えております。
  21. 實川清之

    實川委員 それから団地のお話がございましたが、それは多分向井の鍛造屋団地というのですか、あれのお話だろうと思うのですが、あれは何かすでに来なくなったとかということを聞いたのですがね。条件が非常に悪いからというので、鍛造屋のほうから断わられたという話を聞いておるのです。そうすると、そういうことになるのじゃないかと思うのですがね。交通も不便だし、不便なわりに地価は高いです。それから労働力だってそうだぶついて幾らでも低廉な労働力を豊富に集めるというわけにはいかないし、あそこに工業団地が特に進出をしなければならない条件というのはほとんどないのですよ。もともと飛行場問題が――鍛造屋団地の反当六十万、それからあと十万わけのわからぬ金が出るのだそうですが、七十万ですね。大体あれと似たような地帯で、ほかでさがせばもっと安く入るのですね、三十万とか四十万。いまではあすこへわざわざ来て、飛行機騒音のうるさいところで、水の便もあまりない、労働力もあまり潤沢ではない、交通の便もよくないというところをことさらに選んでくる工業家というのはわりあい少ないのじゃないかと思うのですが、よほど奇特な人で、飛行場によほど興味を持っている人でなくちゃ、そういう例の鍛造屋団地が逃げたという結果になるのじゃないかと思うのです。  それで、裏側にならないという中で一番大きな、私初めてお聞きしたのですが、空港の中を通して北側と結ぶ、これがほんとうに実現すれば多少緩和をされると思います。しかし何といっても、私は飛行機の発着の専門家でないからわからぬけれども、おそらく海のほうに向かって飛び立つことが非常に多いのではないかと思います。そうなると、滑走路の向きから申しましても、騒音の真下は芝山町がほとんど全部引き受けることになりますので、そういううるさいところに、いままで先祖代々住んでいた人が土地や家屋敷を売って逃げ出している中で、外からわざわざ来てここへ住むという人がはたしてあるかどうか。裏側にならないかどうかというと、貫通道路が一本できたといたしましても、それによって芝山町がひなたになるということは考えられません。それから飛行場に外国から来られた諸君は、大体日本のまん中に用事があって来るという人が多いと思います。観光に来ても、一たん東京なりどこかに落ちついて、それから観光のプログラムを実施すると思うのです。そうなると、これも芝山町に用はないのです。みやげものとかいろいろおっしゃるけれども、まさか落花生を買いにアメリカから来るわけではないし、そういたしますと、裏側ということは、日陰地帯になるということは依然として芝山町の場合に当てはまる、こういうぐあいに考えております。  そこで営農の場合、畑地かんがいをお考えになっているが、一体飛行場畑地かんがいとがどういうぐあいに結びつくのか。飛行機騒音の真下に入っていますから、迷惑を受けるから罪滅ぼしにひとつ畑地かんがいでもやってやろう、そして反対運動に少し水をかけてやろう、こういうお考えなら話はわかります。しかし飛行場の建設と営農の問題とは私は関係がないと思いますし、それから畑地かんがいをやって農家の所得を多くするということは、あなたのおっしゃるように、もし芝山町が空港ができたために裏側になって日陰者にならないということならば、そういうものをことさらやらなくてもその地域は開発され、発展して、ほっておいても生活ができることになる。これはどうも論理的に矛盾しているのではないか、こういう感じがいたします。したがって営農と空港建設とはどういう関係があるのか、特に畑地かんがいについてお伺いいたしたいと思います。
  22. 今井栄文

    今井参考人 私ども空港公団関係者としましては、農政関係の事柄はあまり詳しく存じ上げないわけでございますけれども空港畑地かんがいとの関係は、先ほど行場部長からもちょっと触れましたように、それによって騒音が減少するわけでも何でもないということはこれは当然なことでございまして、ただ、空港中心として全体の周辺の方が安心して生活ができるような環境をつくっていこうというのが四十一年の七月四日位置決定の際の、確認決定の地元に対する公約になっておるわけでございまして、したがって政府自体がこの畑地かんがいというものを全体の周辺の区域についてきめましたのもそういうような御趣旨であろうと私は思います。畑地かんがいは必ずしも南側だけにするわけでございませんので、御希望に応じまして、空港全体を取り巻く大体周辺五キロの範囲においてこれを実施するということになっておるわけでございます。畑地かんがい等が現在芝山町にはたしてどの程度必要であるかという点についての知識は持ち合わせておりませんけれども、さらに芝山町の農業をやっていかれる方々が新しい蔬菜その他の需要に応ずるような体制を整備するというふうな面でも、それからまたたくさんなマーケットは持っておるわけでございますけれども空港中心とする新しい大きな需要に対して生産品を提供する安定したマーケットになり得るということだけは言えるのではないか、そういう意味において畑地かんがいというものが新しい農産品に対する一つの供給体制の近代化という意味で大きな役割りを果たすのではないか、かように考えておるわけでございます。したがいまして、直接畑地かんがいというものが騒音と結びつくわけではございませんけれども空港というものを中心として周辺の土地を近代化し、それから住民の将来の生活をよりよくするという趣旨に出たものと私は考えておるわけでございます。先ほど工場誘致の問題等についての先生の御批判が出ましたけれども、その点については、現状どうなっておるかという点は私つまびらかにいたしておりませんけれども、県や公団が、芝山町を決して空港裏側にしないという非常に強い姿勢でいろいろな施策を考えておるという気持ちはおくみ取りいただけるのではないか、かように考えております。
  23. 實川清之

    實川委員 それから畑かんの問題ですが、これは、見ますと、滑走路前方五・五キロ、左右一・二キロ、この範囲の畑に畑かんをやる、こういう計画のようです。この地域に畑かんをおやりになる。どういうような畑かんのやり方をするか。たとえば利根川から水を引いてかけるのか、あるいは地下水をくみ上げてやる畑かんのやり方もございますし、それから圃場の中に水路をつくって、その水をうねの間にずっとまく方式、それからスプリンクラーを使ってやる方式と、いろいろやり方がございますが、どういうやり方をお考えになっているか、ひとつそれをお伺いいたします。
  24. 今井栄文

    今井参考人 農林省から専門の方がお見えになっておりますので、お答えしたいと思います。
  25. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの畑地かんがいお話でございますけれども、現在考えております計画は、利根川から水をポンプアップいたしまして地域内にこれを導入いたし、それによりまして末端まで、パイプによりまして畑地かんがいをするという構想を持っております。
  26. 實川清之

    實川委員 それは反当どのくらいの金がかかりますか。それから、かかる金の経費の負担区分はどういうことになりますか。
  27. 福澤達一

    ○福澤説明員 この計画はまだ今後――構想をもとにいたしました内容でございまして、国は四十四年度におきまして調査を実施いたしまして、それからこの事業計画を決定しようとする段階でございます。したがいまして、多少その内容につきましては確実ではございませんが、現在の段階での構想を申し上げますと、十アール当たり農民負担は二万円少しくらい出る予定の内容になっております。
  28. 實川清之

    實川委員 農民の負担が二万円とすると、これはもとは一体幾らかかるのですか。全体幾らで、その中で農民負担は幾ら……。
  29. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの構想で申し上げますと、総事業費八十五億、受益面積を一応現在の段階では四千三百ヘクタールと見ておりますので、そういう観点から十アール当たりの事業費を出してみますと、十九万八千円となるわけでございます。
  30. 實川清之

    實川委員 そうすると、これは普通の畑かんと同じように、土地改良区を設定して、それでやることになるのでしょうね。
  31. 福澤達一

    ○福澤説明員 先生おっしゃるとおり、土地改良法に基づきまして土地改良区を設定して、土地改良事業としてやる予定でございます。
  32. 實川清之

    實川委員 そうしますと、あなた方のほうで農民のためにというお考えでお考えくださる、それで反当約二十万円かかるところを受益者負担は二万円でかんべんしてやる、まあ十分の一ですね。非常に手厚い保護なんですが、その保護を受けても、農民はそういうものはやりたくない、こう考えればできないわけですね、土地改良事業のたてまえからいいまして。もし農民が希望しなかったらどうするかということが一つ。  それからもう一つは、いま土地改良、畑かんなんかをやりまして、水をくみ上げて、それでやっているところ、たくさんあります。ところが経費負けしてこれはとてもやり切れないというので、せっかくやったのを放棄している事例がたくさんあるのです。もちろんこれは畑かんをやった場合とやらない場合では、収量は違います。違いますが、たくさんものがとれたって、売りどころがなかったり、適正な価格が保証されてなければ、これはだめなんですね。これはまたいままでのやり方は、こういう手厚い保護がないから多少事情は違いますけれども、そのために非常に負債を背負う、毎年度高い水の代金を払わなければならない、こういうことで、あちこちに畑地かんがいをやりまして、放棄している例がたくさんあるのです。そういうような現況から見ますと、はたして農民はいまの状況下において畑地かんがいを希望しているかどうか、こういう問題があるのです。あなた方は希望していると思われるからこういうことをプランしたのだろうと思うのですけれども、私の見たところでは、必ずしもこれは農民は希望しない。借金を背負って高い水を買うような、こういうものはやりたくない。いま、御存じでしょうけれども、ビニールを使って簡単に畑かんと同じような効果をあげているのです。私は実はきのう村に帰って何人か農民を集めて、衆議院でこういう機会を与えられているから、君たち言い分があったら聞かしてくれ、それから疑問点があれば聞いてくるから。そこでこの問題がたまたま出たのですが、いまさらそんなものをやる者はありませんよ、一昔前の考え方だといって百姓に笑われたのです。現に水田でつくる稲を、ビニールを使って畑でつくっているのです。農林省で米がじゃまになって困るとおっしゃっているけれども、どんどん畑で農林一号とかいろいろな水稲を栽培しているのです。反当収量大体八俵近くあるのです。畑とすれば非常に収益性が高いわけですね。そういうぐあいに技術が進んできておりますから、私は、いろいろな借金を背負ったり、高い水代を払う畑かんというものは、必ずしも農民は飛びついてこない、こう考えております。この点、農林省ではどうお考えになりますか。
  33. 福澤達一

    ○福澤説明員 先ほど申しましたように土地改良法に基づく仕事でございますので、当然受益者のほうの申請を必要といたします。したがいまして、そういう仕事はやりたくないというかりに農民のほうから声が出ておりますならば、この事業は成立しないことになります。また畑地かんがい事業につきましては、県の当局におきましても、あの地域一帯、北総、東総を含めまして、畑地自体にかんがいをしたいという要望が非常に強く出ておりまして、そういう意味の調査を農林省にも依頼がきておるわけでございます。そういう全体の希望を体しまして、農林省といたしましては、あの畑地地帯一帯に対する農業用水というものを送り込みたい、それによりましてその地域の農業を振興していくことが適当であるというように考えております。
  34. 實川清之

    實川委員 これはひとつあとで農林省でビニール栽培、もう少し勉強していただきたいと思います。  それから、農林省がこういうようなたくさんの金を使って地域の農民の生活を御心配になっていただくことは非常にありがたいのですが、もしほんとうに農業というものをお考えになるならば、別の考え方があったんじゃないかと私は思うのです、畑かんといったようなこういう形でなくて。この飛行場ができまして飛行機がどんどん発着すると、騒音が激しくなる、とても一定の地域は満足な生活ができないという形が出てくる心配が多分にございます。そうなった場合にどうするか。まあ本人の申し出によって家屋とか土地は買ってくれますね。用地は大体同じ条件で買ってくれるということを聞いておりますが、買ってもらっても、それでほかに転職をしても十分生活の道が立たないということになると、最小限度住まいだけでも引っ越そう、といって土地はかついでいくわけにいかないし、置いていかなければならないということになると、一種の出耕作みたいな形が出るわけです。住宅は一里離れるか二キロ離れるかわかりませんけれども、とにかく一定の騒音からある程度逃げまして、そこに住まいをかまえて、耕地には通いで出耕作をやるという形の農業を考えますと、これはとても普通の農業をやったって採算とれない現況ですから、そんな出耕作なんかやったら、とてもこれは採算が合わないのです。といって土地を手放す、あるいは放棄するわけにいかぬから、何とかその土地を活用しなければならないということが当然起こってまいります。その場合の対策というものが一つもないのですよ。それで農民に向かって、団地が来ておまえたちの生活はりっぱになる、道路がよくなる、職業訓練所ができる、何だかんだいろいろ言っておりますけれどもほんとうに百姓をやりたいという農民に対する配慮というものが全然ない。私たちあるいは地元の連中から言わせると、こういう点がやっぱりぴんとこない最大の理由です。ほんとうに農民のことを考えてない。そういう場合の対策というのは、やはり具体的に盛り込まれて、八十五億でできるかどうかは別問題といたしまして、少なくともそういう展望を早く持つべきだ。この問題が、成田空港の問題が出たとき、友納知事に私は言ったのですが、七月四日に行って受けてくる、承諾してくるということだから、それはもう少し考えたほうがいいのではないか、断われという意味じゃないが、少し考えて十分対策を練ったほうがいいんじゃないか、その話のついでにこの問題が出たのですよ。したがって、この営農対策というものは、ほんとう意味では、私たちから言うと的はずれだ。こういうことで農民が納得するわけはないのです。丸朝の諸君なんか、これは百姓することに非常に熱心な連中です。現在反対同盟に閉じこもっておる諸君も、ほとんど全部これは本百姓です。それでいわゆる条件賛成派、公団側を喜ばしたあの諸君は惰農、小農で、農業から逃げ出そうとしておる諸君なんです。それでその先頭に立っておる諸君なんか、名前はあげないが、札つきの連中ですよ。地元の中から見れば、ほんとうにまじめにこつこつと百姓をやっておる諸君は百姓をやりたいのです。それをやらせるような回答をあなた方は出していないのです。そこに私はあなた方のやり方の不徹底さ、不まじめさ、不親切さというものがあると思う。これが紛争のもとです。何も話をしないのだ。この間も言ったように、いきなりぽかんと横っつらを引っぱたいて、文句あるなら腕でこいと機動隊を連れてきて、ぶんなぐって引っぱっていくのでしょう。こういうようなやり方をやっておるから、公団に対する、あるいは県、国に対する不信感というものがとことん強くなってしまう。きょうの私の質問、これを地元の連中が議事録で見たら腹が立つでしょう、おまえ条件派の言い分じゃないかと。それを承知の上で私は言っているのですけれども、そういう点、政府の考え方がどだい間違っておる。ただ飛行場をつくりさえすればどんな犠牲が出てもいいということじゃないと思う。国策として国家的な必要から飛行場をつくるということはわかります。しかし、たまたまその地域に当たった連中だけが犠牲をまるじょいする必要はないのです。国家的な必要なら、国家的な立場から全体がひとしくその犠牲を負えばいい。具体的にはそれ相応の対策を立ててやればいいのです。そういうことを何にもやらない。何とか地蔵を建てるとか、団地ができるとか、あるいはまた芝山町、現在人口八千何がしが二万何千の地方小都市ができるとか、できもしない幻想をばらまいて、そうして農民の間に分裂抗争を持ち込んで、言うこと聞かないなら腕ずくだ、これで話がわかるわけがないのです。これは農林省のあなたに言ってもしようがないが、営農に一つの例をとってもこれは問題ですよ。私は、少なくとも農民の立場をほんとうに考えてくださるなら、もう少し百姓をやりたいその諸君の納得できるような営農対策を企画すべきですよ。これはまあ私の意見です。  それから、これは丸居さんにお伺いしたいのですが、あの地帯は大体十二月から三月ごろまで、土地によって事情が違いますが、非常に蒙古風が吹くのですよ、季節風が。猛烈に砂ぼこりを巻き上げるのです。火山灰土ですから非常に軽いのですね。それでちょっとでも強い風が吹くと、五メートル先の人間が見えないくらいひどくなるときもあります。そうすると、飛行場用地として不適当ではないか。それで、年間どのくらいあるか私も調査はいたしておりませんが、私たちの経験によると相当ひどい南西の風あるいは西風ですね、これもひどいやつが吹くわけです。そのときは飛行機は私は発着できないと思うのですがね。それで農民の中には畑地かんがいをやるのは、そのほこりを押えるためにこういう施設をするんだ、こういうような皮肉な見方をしている連中もいないわけじゃないのです、実際はそんなことはないと思いますけれども。それほどあそこは風が強くて砂ぼこりが立つのです。そういうようなことも計算に入っているのですか。
  35. 丸居幹一

    丸居説明員 ちょっと私ただいまそのデータを手元に持っておりませんのですが、当時あの近辺を選びますときに、やはりその問題は実は承知をいたしておりまして、いま先生御心配いただきますような心配を実はしたのでございますが、当時気象庁の調査をもとにいたしまして、山の高いところあたりは非常に霧がございますし、それから羽田あたりでもかなりスモッグは多うございます。その程度の回数ではないかというふうに判断をして、その点につきましては、ただいまのところでは羽田はカテゴリー1という無線施設の程度になっておりますが、こちらはカテゴリー2から、できれば3くらいのところまで持っていって、そうしてそういったときにも着陸できるという機械装置を整備する予定をいたしておりまして、そういうことによって克服ができてくるのじゃないかというふうに判断を下した次第でございます。
  36. 實川清之

    實川委員 話があっちこっちいたしますが、大体この周辺整備事業というのは、これは補助率を引き上げて地元負担を軽くするといったようなことじゃなしに、むしろ飛行場ができるためにそういう施設を当然つくらなければならない、あるいはその結果としてやらなければならない。さっきの道路の問題にしても、いまある県道が役に立たない、機能が果たせなくなる、したがって当然つけかえをしなければならない。ちょうどこれは舗装道路を電電公社の連中が電話のケーブルを埋設するために掘り返す、そのあとまた埋め戻して舗装して返すわけですね。そういうたてまえになっておるのです。それと同じことで、飛行場ができるために道路がこわれたり、あるいは学校が役に立たなくなったり、いろいろするわけですから、これは全部国がやるべき仕事だと思うのです。たとえばさっきの畑地かんがいにしても、これも農民に迷惑をかけるから、その罪減ぼしでこういうことをやってただで使わせる、こういうことなら若干事情が違ってくる。それを、しかも受益者負担をとって、農民から希望がなければやらないというような、私はどうもこの問題の扱い方自体が、国家的な必要で、希望もしない、むしろ反対をしている農民に押しつけている。こういう仕事をやる場合に、補助金を上げてやるということより、むしろ賠償するという形のほうが本筋じゃないか、こういうぐあいに考えておりますが、これは自治省の関係になるかどうか。私は農民に犠牲をしいるのだから、その償いを国がするのだ、賠償だ、こういうぐあいにやりたい、したがって全額国が負担すべきだというぐあいに考えておるのですが、どうなんですか。
  37. 砂田重民

    ○砂田政府委員 空港周辺の事業全体のことでの問題といたしましては、御承知のようにそれぞれの事業がいろいろな性格を持っております。公団あるいは国が全額負担しなければならない事業もございますし、先生御承知の流域下水道のように、従来から千葉県が持っておられました計画に乗ったというふうなものもございます。こういったものにつきましては、原因者としての公団が負担すべきものは負担をし、また空港と直接の関連のない流域下水道の使い方もあるわけでございますから、そういったところについては地元にも御負担を願うというふうに、それぞれ事業によっていろいろ性格が異なっておりまして、財政的な措置もそれぞれ異なった措置をとっておるわけでございます。したがって周辺事業計画といたしましては、この法律の性格が、そういうことから空港の機能を維持し、地元に対する被害救済にも役立ち、さらに積極的に地域開発にも役立つ、こういう三本柱と申しますか、そういう性格を持った財政援助法でございます。いま先生がおっしゃいました営農の関係、これは先ほどから農林省、公団等から御答弁がございましたが、高率の特別の補助をいたしますけれども、やはり土地改良の現行制度の性格からいたしまして、若干の地元負担が残ることはやむを得ないのではないだろうか。ただこれから実際に事業を行なってまいります場合に、ただやむを得ないといってほっておく気持ちは実は推進本部にもないようでございまして、水資源開発公団あるいは地元関係各省庁、それから地元方々、十分協議をいたしながらこの事業を実施していく、そういう方針を推進本部としても持っておるように私どもも承っております。
  38. 實川清之

    實川委員 それから総裁にお伺いしますが、引き続いて農業をやりたいという諸君には代替地をあっせんするということになっておるようです。この代替地の、買収された用地内の農民でいいのですが、隣接地は別としまして、代替地が要らないという農民はどのくらいあったのですか、あるいは代替地をもらいたいという農民、両方数をひとつお示しいただきたいと思います。
  39. 今井栄文

    今井参考人 御承知のように、代替地につきましては、現在御料牧場の残地を除きまして、ほとんど全部造成すべきところは造成を終わったわけでございますが、現在代替地が要らないというので出ていかれたという方はごくわずかでございます。これはもう元来が農業自体敷地の中で営んでおられた方ではなくして、商売をやっておられた方でございまして、これは県のあっせん等によりまして千葉市内あるいは他の新しいニュータウン等において新しく営業をやりたいというふうなことで、用地を早く出ていかれた方でございます。したがいまして、敷地の中に大体全体で八百名の地主がおりまして、そのうちの約七割以上買収をいたしたわけでございます。だからもうすでに六百人近い方々土地をお売りいただくことに御同意をいただいて、現に支払い等について仕事を進めておるわけでございますけれども、その中で代替地が要らないということで出ていかれた方々はせいぜい十数名程度ではないか、かように考えております。
  40. 實川清之

    實川委員 それで代替地はどことどこに設定されるのですか。地名と、面積がわかれば面積もひとつ教えていただきたい。
  41. 今井栄文

    今井参考人 代替地は、大きく言いますと成田市、富里村それから若干は芝山、こういうふうなところに偏在するわけでございますが、成田市につきましては、県有地といたしましては県の畜産試験場それから種鶏種豚場、この二カ所でございます。それからさらに富里村に県有林がございまして、御承知のように県有林の人たちもすでにお移りいただいておるわけでございます。県有地の場所としてはこういうふうな三カ所でございます。それから国有地といたしましては、御料牧場の残地がございまして、これが全体として九十七ヘクタールばかり、約百ヘクタール近くございます。したがいまして県有地の三カ所、国有地の残地合わせまして約二百ヘクタール。それ以外が民有代替地でございまして、これは主として成田市、富里村、先ほど申し上げましたように芝山にも若干ございますが、全体で合わせて約三百ヘクタールでございます。三百ヘクタールのうちで造成を要するものは必ずしも全部ではございませんで、国有地その他も合わせまして、五百ヘクタールの中で二百五十ヘクタールぐらいが造成を要するわけでございます。  それから先生がおっしゃいました場所でございますが、富里につきましては、これは八街に若干入っておりますけれども、朝日地区と実ノロ、両国沖、宮内、それから葉山がございます。それから成田市に入りましては、これは昔ゴルフ場だったのですけれども空港の東側にございます鍋店、並木町、それから三里塚にも若干ございます。そういうふうに大体空港の南西方向に集中いたしておる、こういう状況でございます。
  42. 實川清之

    實川委員 この土地の取得価格はどのくらいですか、買い上げた値段は。
  43. 今井栄文

    今井参考人 これは場所によって違うのでございますけれども、富里村の代替地の買収価格は、これは県でお買い上げを願ったわけでございますが、反当たり七十万円、それから成田市内の分につきましては反当たり八十万円、こういうことでございます。
  44. 實川清之

    實川委員 民有地、県、公有地ですか、これは合わせて五百ヘクタールで、その中のこれに対する配分はもうきまったのですか。
  45. 今井栄文

    今井参考人 配分につきましては、件数といたしまして、四百五十三戸につきましてはすでに配分をいたしておるわけでございまして、現に折衝いたしておりますのが三十九件ばかりございます。それから先ほど私が配分不要ということで、金銭のみで解決してほしいということで、これは先ほど申し上げましたように本来農業をやっておられなかった方々が主だったと思いますが、配分不要ということで代替地を放棄された方々が六十七名おります。私、十数名と申しましたが、他の数字との記憶違いでございますので、この際訂正させていただきたいと思います。ですから、全体ですでに配分済みのものが四百五十三世帯、かように……。
  46. 實川清之

    實川委員 配分の際の値段と、それから何か私の聞いたのでは、いままでの耕地面積が二町以下が五反ですか、その区分けははっきりしていないのですが、二町以上が一町歩とか、そういう段階的に配分の面積をきめたようですが、その点ちょっと。
  47. 今井栄文

    今井参考人 おっしゃるように、二町以上につきましては配分は一応七反五畝ということになっております。ただ問題は、前の委員会でも御説明申し上げましたように、各個人のいろいろな要望を特に地域的に、それぞれの条件派の方々に分かれてお出しいただいたわけでございますけれども、ほとんどこれが成田市の御料牧場残地並びに県有地、あるいはまた富里でも比較的成田に近い葉山地区、こういうふうなところに集中いたしました関係上、むしろ団体のほうの方の中で分け方について県と相談して最終的にきめたのでございまして、そういうふうな面積を私ども押しつけたのではございません。要するに希望の土地に住みたいということで、それぞれに、先ほど申し上げましたように用意された代替地にみな入れるような形で面積が配分されたわけでございまして、したがいまして、この二町以上、七反五畝ということになっております。それから五反から二町未満という方々には五反、それから三反以上五反未満の土地をお持ちの方については二反五畝、それから三反未満の方々に対しましては、これは主として宅地として御使用になっておられたわけでございますので、宅地分として〇・七反、こういうものを一応希望の集中したところについての配分面積にいたしたわけでございます。したがいまして、現在でも、比較的離れておっても営農一本でいきたい、こういう方々に対しては大体御希望どおりの面積を配分いたしたわけでございまして、富里の県有地等につきまして先生御存じのような状態になっておるわけでございます。
  48. 實川清之

    實川委員 これだと、引き続いて農業をやりたいということで代替地を求めたのでしょうが、実際面積的に営農としては成り立たないのですね。高度の集約栽培をやれば七反五畝でもやれないことはないかもしれないけれども、普通、あの辺の惰農では七反五畝ぐらいではとても食べられないのです。これは実際は一応いままでの土地公団に売って、またもう一回値上がりしたところで売り種をつかみたいというのが本腹じゃないかと思うのです。これはそういう連中だからそれでいいと思うのですけれども、将来を考える場合は、こういう数字では営農は引き続いてやれない。これだけはひとつ農林省もお考え願いたいのです。  それから、払い下げ価格はまだきまっていないようにも聞いているのですが、どのくらいでおきめになったのですか。
  49. 今井栄文

    今井参考人 委員会でたびたび御質問がある問題でございます。私どもと県のお約束では、代替地の売り渡し価格は反当たり畑を基準にいたしまして九十万ということになっております。ただ、畑を基準にして反当たり九十万といえば、敷地内でお売りになった値段よりは若干余剰が出るというふうな形でお譲りしよう、これは将来の生活設計等の問題もございますので、そういうことでございますが、最終的に地域的な格差をつけるかどうか、先ほど申し上げましたように、成田のごく近くに代替地を求められた方々、それから富里の県有地のようなやや離れたところに畑地として求められた方々、そういう方々について地域的な格差を設けたほうがいいのではないか、それからまた宅地は、御承知のように敷地の中では私どもは反当たり二百万円で買っているわけでございます。したがって宅地として造成した部分については九十万ということではなくて、やはり相当高くお譲りしてもいいのではないかというような、地目別の格差というものもつける必要があるのではないか、かように考えておりまして、具体的には地目別に最終的に決定をいたしております。
  50. 實川清之

    實川委員 ちょっと聞き落としたので、話が逆戻りしますが、騒音地帯で本人の希望があった場合は移転料を支払われる、それから土地を用地内と同じ価格で買い取りされるということは間違いないですか。
  51. 今井栄文

    今井参考人 間違いございません。
  52. 實川清之

    實川委員 その移転料というのは、用地内とこれは若干違うのじゃないですか。それから、用地内の宅地の中にあった庭石から樹木から一応算定をして、全部ひっくるめて買われたようでありますが、騒音地帯で本人の希望によって立ちのく場合は同じようにやはりやるのですか。
  53. 今井栄文

    今井参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、敷地の中では庭石から井戸からあるいは庭木、一切のものを計算しまして総合的な補償価格を出したわけでございます。騒音地区において私どもが御希望により宅地並びにその中の施設を買い取る場合には、全く同じように補償いたす、こういうふうに考えております。
  54. 實川清之

    實川委員 いまの代替地としては大体五百ヘクタール準備して、すでに四百五十三でしたかが配分済みだ。そうすると、あと四、五十ヘクタールしか残っていないのですけれども、これからもし公団の軍門に下って、ひとつ用地買収してくれというような申し出があったこれからの諸君に対しては、そういう点はどうなんですか、代替地やなんかのあっせんは。
  55. 今井栄文

    今井参考人 先ほど説明申し上げましたように、全体として五百ヘクタールあるわけでございますが、その中で配分がすでに終わりましたのは、これは大体全部の方々にもうすでに配分を終わったわけでございますけれども、まだ実は百六十ヘクタールばかり、富里の特に南の地区、芝山地区にも約三十町歩程度のものがあるわけでございまして、全体でまだ百六十一町歩ばかり残っているわけです。今後、反対された方々で、代替地によってはできるというふうなお話もございますれば、そういうふうな現在残っている百六十ヘクタールのうちでお話し合いをしていただくか、あるいはまたそういうところでなくて別途大きなところがほしいんだというふうなお話がございますれば、県と一緒になりまして、そういうところでもって代替地を求めるように私どもとしても努力していきたい、こういうふうに思っております。
  56. 實川清之

    實川委員 その際はひとつよろしくお願いしますが、参考資料を見ますと、千葉県知事が空港周辺整備事業ですか、この計画書を自治大臣に提出をして、自治大臣がそれを関係各省に伝える、そして各省で千葉県知事の作成した事業計画を検討して採択するもの、採択しないものとに区分をされるようですが、この事業計画書というのは千葉県知事からすでに出ているんでしょうね。これは自治省どうですか。
  57. 砂田重民

    ○砂田政府委員 御審議願っておりますこの法案が成立をいたしましてから、この法律に基づいて千葉県知事が御提出になるわけでございます。
  58. 實川清之

    實川委員 しかし、正式の形としてはこの法律がきまらなければそういう順序がきまってこないわけですが、具体的にはもう出て、それが印刷物になっているんでしょう。
  59. 砂田重民

    ○砂田政府委員 具体的には、事業内容について実施本部で関係省庁と地元市町村の御意向も持たれての千葉県が御一緒になって、煮詰まっているわけでございます。
  60. 實川清之

    實川委員 そうすると、この書類に書いてあるのは、将来多少の変更はあっても、根本的にひっくり返るということはないわけですね。
  61. 砂田重民

    ○砂田政府委員 大筋に変更はないと思います。
  62. 實川清之

    實川委員 その内容については私どもとしては、いろいろもうすでにほかの同僚議員の諸君が質問したと思いますので、私は主として騒音関係――最初から申し上げたように騒音地区でございますので、これについては先ほどもちょっと触れましたように、ほとんど対策らしいものはないと私は考えておるわけです。公団なり県なり国では相当のものを考えている、こういうことで、だいぶ食い違っておるわけですが、地元に住んであそこで今後百姓をやろうと考えている諸君からいきますと、あの騒音地区では、これでは満足できないということなんです。それで具体的な案があるかというならば、ないわけでもございませんが、きょう私はその談判に来たのではございませんので申し上げませんが、先ほど申し上げたように反対同盟でいまでも戦っている諸君は、これは連中のことばではございません、私のことばですが、やはり一番農業に熱心な連中で、やはり今後もやっていきたいということなんです。それにどうこたえてやるかが問題のポイントである、こういうぐあいに私は考えます。したがって、知事から出たものがここに出たとすれば、知事の出し方が少し的はずれじゃないか、こういうぐあいに考えますが、いずれにしましても、一番最初に質問申し上げたように、現状ではなかなか空港の建設は総裁の考えているように順調には進まないんじゃないか、今後相当の波乱があるし、それから犠牲も出てくるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがって、ほんとう総裁、話し合いでやる、これはいまからでも決しておそくはないと思いますが、これにはやはり誠意をもって、ペテンやごまかしではなしに、ほんとうのところを腹を打ち割って話さないと、ここまで相互の不信感が強くなっておりますから、ちょっとやそっとのことではなかなかその壁は破れないじゃないか。特に総裁は、反対のために反対をしている者に対しては国権を使ってでも収用するとか、いろいろお話がございますけれども、私たちのようなものがやっておるとすれば、これは反対のための反対といわれてもしかたがないが、祖先伝来の土地を追われる、あるいは住めなくなる、そういう諸君が反対をするのは、反対のための反対と片づけるのはこれは酷だと私は思う。かりに土地収用法を適用するといたしましても、これは一応憲法で保障されておる所有権を侵害することになりますし、非常の場合を除いてはこういう法律は適用すべきものではないと思う。したがって、こういうような非常に強い法律を適用する場合は、その他のあらゆる方法を講じてなおかつ話が通じないという場合のみ許さるべきもので、こういう法律があるからもう気やすく、ちょっと言っても聞かないやつはやっつけてしまえ、これではむしろ憲法の精神に反するのではないか、こういうぐあいに私は考えております。土地収用法を適用するとはおっしゃってないが、反対するための反対者にはやむを得ないというような考え方もあるのですが、その反対のための反対者がかりに反対同盟の中心になっておる役員の諸君といったようなことであるとすれば、私はこれは間違いだと思います。いずれにいたしましても、空港が建設されるためにはなお十分話し合いの余地も残っておると私は判断しております。従来はそういうことが一切なされなかった、そこに今日の対立が生まれたのだ、こういうぐあいに考えております。そういう意味で、建設省あるいは公団側においても、いままでのやり方について深く反省をしていただきたい。このことを私は最後に意見として申し上げて、私の質問を終わります。
  63. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、太田君の質疑を許します。
  64. 太田一夫

    ○太田委員 ただいまの御質問関連して二点だけお尋ねをしたいことがある。最初は騒音の問題でありますから、これは空港公団総裁にお尋ね申し上げます。  この間、参考人として川上副知事がおいでになりまして当委員会におきましてお話しになりました考え方でありますが、それによりますと、六月二十五日に、騒音について、特に超音速旅客機SSTの問題につきましてこうおっしゃった。通常のジェット機並みに下げることができるから心配ないと考えております、それはそのように騒音を消す研究開発がアメリカにおいてなされておるという話でございますから、そう考えておりますというお話でした。したがって、SSTが就航いたしましたときに通常のジェット機並みの騒音であるならば、現在皆さんのお考えになっていらっしゃいます騒音地帯とか移転とか補償ということも一応の理屈になります。SSTとなったときには、これはこの範囲が猛烈に広がるわけでありますから、それが同じことになるかならないか、これは重大なポイントだと思いますが、御見解はいかがでございますか。
  65. 今井栄文

    今井参考人 これはむしろ運輸省航空局のほうからのお答えが適当かと存じますが、私の伺った範囲だけでお答えをいたしたいと思います。  SSTについては現在開発中でございますけれども、これはアメリカの航空当局も、製作会社に対しまして一定の製作上の条件を考えておるわけでございます。その条件を満たさなかった場合には、耐空証明その他の飛行上必要とする政府の許可がおりないというふうに私どもは伺っております。したがいまして、SSTの性能上の騒音問題につきましては、アメリカ政府の製作会社に対するそういうきびしい条件というものが充足されなければ飛ばないというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。現実にまだSST自体が飛びませんので、私どもとしては具体的にそれについて多く言うことはできませんけれども、一応飛行機を製作する場合には、やはり政府からいろいろな意味で厳重な条件が出されるわけでございますので、その条件を満たすために、現在製作会社としては全力をあげて開発研究をやっておる、こういうふうに判断いたしております。  それからなおSSTでございますが、SSTの一番の特徴というのは、御承知のように、音速をこえる、マッハ二ないし三のスピードでもって上空を飛ぶということでございますが、成田の場合を考えてみますと、この前も飛行場部長答弁いたしましたように、日本は何ぶんにも陸地が狭いわけでございますので、アメリカ大陸と違いまして、飛行機は上がりますと、すぐ洋上へ出てしまうというふうな形になるわけでございます。SSTがいわゆるSSTとしての音速以上の巡航速度で飛ぶ時点と申しますのは、日本の場合では必ず洋上へ出てからということになるわけでございます。飛行機が離陸する場合に、スピードがそう出るわけでもございませんし、上昇中ももちろんでございます。巡航速度に入って初めてこれは二万メートルないし三万メートルという高度になると思いますけれども、こういう高度になって初めて超音速のスピードになるわけでございます。着陸する場合にも同様でございまして、これは一般ジェット機が着陸する場合とすべてにおきまして何ら異ならない、エンジンをしぼっておりてくるわけでございます。したがいまして、私はSSTの騒音というものが、現存するDC8とかあるいはボーイング707、こういうふうな大型旅客機の騒音以上になるというふうには現在考えておりません。これは千葉県の副知事が言ったとおりであろうと思います。
  66. 太田一夫

    ○太田委員 いまの今井総裁のおっしゃったお答えは、副知事のお考え方を側面から保証されたことであると思います。太平洋の上においてどんな大きな騒音を発しても、これはわれわれとして文句言いません。しかしコンコードはすでに開発されて、世界の人の目の前にあらわれておるわけでございますから、私どもは、そのデータがないとはいえないと思うのです。そこで運輸省にこの際お尋ねというよりお願いをしておきますが、午後の委員会までにSSTの、ここにも二つ資料が出ておりますから、マッハ二・二のコンコードあるいはボーイング二七〇七のマッハ二・七、両機とも二・二とか二・七とか、非常に最大速度は大きゅうございますから、こういう超音速旅客機が就航いたしました場合、現在空港がとっておるように、空港滑走路を側面が一・二キロとか、先端から三キロ以内をもって騒音地区とするというこの結論というのは正しいのかどうか、これをひとつ資料でお出しをいただけないかと思うのです。どういうことによって、どういう上昇角度があるから、その滑走路の離着陸の方向にいる住民各位にも心配がないのかどうか、この点を科学的に御証明になったものがあるとしたらお出しいただきたい。わからないというなら全然お出しいただかなくてもけっこうです。  それからもう一つ今井さんにお尋ねしますが、学校の防音、病院の防音、住宅の防音、こういうふうにそれぞれ考えられておると思いますが、学校については、防音装置について、全額地元負担させないで装置をするとおっしゃいましたが、学校騒音はそれによって七十五ホン程度であると聞いておるのですが、それではいささか騒々し過ぎやしないか。それからもう一つは、防音装置をいたしまして、夏冬とも冷暖房といたしましても、この運営維持管理費というのは全部市町村当局に負担させるというのは、いかなる見解によるのであるか。それから医療施設の場合でありますが、医療施設は三十五ホン程度でないと、心音を聞いたり脈搏を聞いたりすることは困難だと思うのですが、周辺の医院、診療所、病院等においては、この飛行場ができてから、どの程度の、何ホン程度騒音が想像されておるのかどうか。私は三十五ホンが基準になるのだと思いますが、何ホンまではいいと思っておるとか、あるいはこの程度しか成田市の医院あるいは病院には騒音は及ぼさないと思うという点について、これは午後にお答えをいただきたい。それから住宅においては四十ホン、学校も四十ホンというのが一つの常識線であると思うのでありますが、それについて、住宅は百二十一戸が対象になっておるようでありますが、その他のところは何ホン以上にはならないという、この保証があると思うのです。その何ホンという限界について、現行のジェット機の場合にどうか。将来も同じなら現行と同じことでありますが、現行のジェット機が離着陸するものとして、特に離陸の場合の騒音、最高騒音について、午後でよろしいからお答えをいただきたい。(「いま答えたら……」と呼ぶ者あり)運輸省相談の上で答弁してもらいたい。あちらこちらと答弁が違っていては困るから、わかればいいけれども……。  それからもう一つは――みなお急ぎのようですから、私は質問だけしておく。もう一つは警察の話で、公安委員長いらっしゃいませんが、砂田次官にお尋ねしておきますから、あなたがとりはからって、午後に一括して責任を持って御答弁いただきたいのですが、いまも實川さんからお話がありまして、なるほどちょっとおれらは無理なことを考えておるなということがおわかりになったと思いますが、この間スイカ畑で機動隊と乱闘がありました。どういう人との乱闘か知りませんが、スイカ畑ですから、スイカの苗をみんな荒らされるわけです。荒らされましたところが、これに対しまして、条件派に対しましては補償をいたしましたが、反対派に対しましては全然補償がありません。そしてその際に、ぐずぐず言う者には、ど百姓ということで警棒でたたいたりして、だいぶお百姓さんも怒っておるのであります。そこでやむを得ずそこの中に入ったかどうか知りませんが、青々としておるから気持ちがよかったから乱闘したのかもしれませんが、とにかく補償反対派に出さぬ、こういうことはどういう根拠に基づくのか。  もう一つは、スイカ畑に入っておる警官を見とがめました所有者が、あなたは私の畑に入っては困るじゃないかと言ったら、その人は、その携帯されておる警棒でなぐられて、その上ポケットに石を入れられて、おまえが石を投げたからおれが入ったんだとあとから擬装をした。こういう切々たる訴えもありましたが、どうして警察官はそういう現地の切実な農民の反対に対して理解を示そうとしなくて、まさに敵としてこれをなぐったり蹴飛ばしたりするのであるか。こういうことでは住民の安寧秩序、生活を守られないではありませんか。  それからもう一つは、非常に空地があります。空地がありますから、空地の条件派は家を撤去いたしまして、空地になっておるところに、から井戸もあれば、じんあいの堆積によるところのにおいとか、あるいはまたハエとか蚊の発生もありますから、そこを片づけようとして入ると、公団当局は、これはおれのほうの所有権のあるところだから入っては相ならぬ、こういうことを言い、一たび入れば、警察官が来て、不法侵入としてこれをなぐるとか引っぱるとか、そういうことでトラブルを起こすそうであります。そういうことは、これは事実あったのかどうか。これは私のほうは事実その人たちから聞いたのでございますが、あったとすれば、そのように激発主義の今度の警察官の態度というのは、住民を向こうに回して、力ずくでこの問題を解決しようとする意思のあらわれとしか見えませんけれども、少なくとも實川さんもおっしゃったが、なぜ話し合いで、もう少し気持ちをなだめて、その人たちの気持ちになるような気持ちで事を運ばないのであるか。警察官はどちらの味方であるかわからなくなる、こういうふうに思いますので、これは国家公安委員長にお尋ねするのが本来でありますが、手続を省略いたしまして、住民を守る立場から、自治省当局の責任ある御回答をこの際いただいておきたい。これはお調べをいただいて、午後しかるべき時間にお答えいただくことにして、あとは昼食時間のおきめがあるそうでありますから、私の質問はもう少しあるのですが、これで終わります。よろしくお願いいたします。
  67. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して、細谷君の発言を許します。
  68. 細谷治嘉

    ○細谷委員 午後資料を出される際に――移転者がおりますね。大体においてかなりの金が入りまして移転していきますと、まあ経験のないような商売をやりますから、たいてい失敗している、ダムの移転等でですね。ここでもそういう話を聞くのであります。そういう買収されて移転した人が現にどのくらいで、どういう仕事をして、成功、失敗した人もあるそうでありますが、その辺の資料を出していただけませんか。
  69. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 資料は出すようにしてください。  本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――    午後四時三十七分開議
  70. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  71. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在私どもは新東京国際空港周辺整備に関する法律案を審議いたしているわけでありますが、この法律のもとは成田地区に新東京国際空港をつくるということが基本になりまして、私どもがいま審議いたしている周辺整備に関する法律が問題になるわけであります。  ところで、当委員会で原田運輸大臣あるいは航空局長、こういう人たちの出席を求めまして、新東京国際空港の性格について議論をいたしたわけでありますが、特にこの点は安保条約第六条並びにこれに伴う岸・ハーター交換公文、さらには地位協定、こういうものと関係をいたす問題でありますので、特に外務大臣の御出席をお願いをいたしたわけでありますが、本日外務省百周年記念式か何かおありだそうでありまして、忙しいそうでありますので、こちらも端的にお尋ねいたしますからお答えいただきたいと思う次第であります。  まず新東京国際空港は一切軍事目的には使わない、そういう要請があった場合は断固拒否をいたしますというのが前中曽根運輸大臣の御答弁だったわけであります。ところが、その後議論をいたしますと、地位協定第五条に基づくところのいわゆるMACのチャーター機あるいは米軍用機の技術的な離着陸、テクニカルランディングあるいは燃料補給という形で、現在の羽田国際空港に対しましてはまさに継続的に離着陸をしているということが明らかになり、しかも、このような状態は成田の新国際空港ができました場合も、これを拒否するということは条約上できぬということが問題になってまいったのであります。  そこで、問題は、安保条約六条、地位協定二条に基づくいわば施設及び区域、通常のことばで軍事基地と申しますが、これには一切使用するようなことはいたしません、こういっているわけであります。で、内閣委員会における愛知外務大臣の御答弁も、地位協定の二十五条によって合同委員会でこの問題を論議することになるから、日本政府としてはいわば地位協定二条の施設及び区域の使用というものは認めないのだ、こういうことを言っておられるようであります。この点は当委員会においても御確認をいただけますか、それがまず第一であります。
  72. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 さきに内閣委員会で本件に関して答弁申し上げましたことはただいま御指摘のとおりでございます。
  73. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 安保条約六条、地位協定二条にいうところの施設及び区域、いわゆる軍事基地としては日本政府としてはこれを認めない、こういう方針だということでありますが、これだけでは問題は解消いたさないわけであります。地位協定の第五条の問題が残るわけでございます。地位協定第五条によりますと「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」、いわばアメリカに対して権利を与えておる、こういう規定があるわけでございます。  この場合問題は、こういう形で現在の羽田飛行場につきましては施設及び区域ではない、しかし、先ほど私が申し上げた地位協定の五条に基づいて、昭和四十二年におきましては、MACのチャーター機が実に四千四百五十二回羽田に離着陸をしている。米軍の軍用機も六十二回離着陸をしている。合計いたしますと四千五百十四回、昭和四十二年においては米軍用機並びに合衆国の管理のもとに運航される飛行機が離着陸をしているということになると思うのです。四十三年におきましては若干減りましたが、MACのチャーター機が三千八百四十二回、米軍の軍用機が少しふえまして六十六回、合計三千九百八回離着陸をしている。名目は技術的な離着陸、テクニカルランディングあるいは燃料補給といっておりますが、まさに継続的に離着陸をしている状況は、いま私が申し上げた数字でおわかりだと思うのです。  成田に新国際空港ができました場合、現在の羽田空港と同じようなMACのチャーター機なり米軍用機なり、こういうものの離着陸というものは、これは一体どういうことになるのですか。これも地位協定二十五条に基づく合同委員会で一切拒否する、こういう政府の御態度でございますか。それは拒否できぬ、離着陸はやむを得ぬ、羽田と同じような状態が成田にも起こる、こういうことなのでございますか。この点ひとつ明確にお答えをいただきたいと存じます。
  74. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、この点については、根本的な趣旨と申しますか、それから御説明しなければならないと思いますが、本来米軍機は横田その他のいわゆる提供された施設・区域を使用すべきものであって、民間空港の使用については、その機能に支障を生じせしめないように措置しなければならないものである、これが原則だと思います。同時に、特に新東京国際空港というものは世界的な民間航空界の発展に対処するために純粋の民間空港として整備するというのがたてまえでもありますし、その性格でもございますから、その本来の機能を尊重してこれに障害を生ずることのないように措置するのが政府として当然の態度である、こういうふうに考えます。したがいまして、どうしても米軍機がある例外的な場合に使いたいということがありますれば、これは地位協定二十五条等の関係もありますから、合同委員会等によって協議しなければならないので、アメリカ側が一方的にこれができることではございません。したがいまして、さような場合におきましては、十分日本側の立場というものをそういう委員会等において主張し、合意に基づいてきわめて例外的な場合に使用されることがあるかもしれませんけれども、いま申しましたように、たてまえはあくまでも新国際空港というものは純粋の民間空港の性格である、これを十分尊重して、その性格に合うような運用をしてまいらなければならない、かように存じております。
  75. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地位協定二十五条に基づく日米合同委員会において、新東京国際空港はいわば民間の飛行場として設置したものであるから、特別な場合を除いては極力米軍機ないしはMACのチャーター機の離着陸はないように努力をする。しかし、地位協定二十五条というものもあり、さらには地位協定五条一項があるわけでありますから、これは条約上拒否することはできないと思うのです。要はなるべく少なくしようというだけの話じゃありませんか、いまの話を総合すれば。
  76. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、よく御案内のように、条約上の権利義務の問題と実際上の運用の問題とは十分さい然と区別して考えなければならない。条約論からいって、地位協定第五条の趣旨はどういうことであるか、こういうことを突き詰めて、条約論だけに終始すれば米軍が権利を持っておるのだとも言えましょうが、しかし、実際の運用にあたりましては、ただいま私が申しましたような性格の問題でございますから、合同委員会を通じて十分にわがほうといいますか日本側の立場というものは確保することができるし、また、そういうふうに運用しなければならない。米軍が人道的あるいはその他の理由によって使用させてもらいたいということがあった場合に、条約論としては拒否できない。反射的にこれは権利であるということも言えましょう。しかし、こういう問題につきましては、本質と相互理解の上に立って運用する、そのことが大事なことでありますので、いま申しましたようなふうに政府としては考え、かつさように実施していく、かように考えておるわけであります。
  77. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 運輸大臣が見えておられますからお尋ねしますが、過般の地方行政委員会におきまして私がこの問題を議論いたしました際は、大臣お見えになりませんで、村山政務次官が当委員会に出席をされまして手塚航空局長とお二人で御答弁をされたのですが、結局運輸省としても民間の飛行場として成田飛行場を設置するのであるから、極力この民間の専用の飛行場として運営をしたい。しかし、飛行場に余裕があり、しかもまた、条約の性格からいっても、これはやはり米軍にこの権利というものがある。しかも技術的な着陸であるとか燃料補給、こういう名目で来られたときにはこれは拒否するということはできない。数は羽田のように多くは認めたくはないけれども成田の場合にもある程度そういうものは予想せられるのだ、こういう御答弁だったわけです。  外務大臣のお話では、条約上の問題と、それからまた実際上の運用上の問題に分けてお答えになっておるのですが、肝心の運輸政務次官のほうで、認める場合もあり得るという答弁をしておるわけなんでありまして、この点運輸大臣としてはこの問題の本部長でもあるわけですが、一体どういうお考えなんですか。
  78. 原田憲

    ○原田国務大臣 村山君の答弁を私まだ速記録を読んでおりませんが、私自身が、小川三男君の質問がありまして、軍事目的で使用するんだということを私が言ったというように新聞で発表された。それは私の本意ではありませんで、そのときは、委員会で、まさにその終わる寸前に突然小川さんが立って私に、伊丹飛行場の例を引いて、こういうことがあったと尋ねられたので、私がそういうことを答えた。それと同じようなことを村山君が言っておるのではないかと私は思うのですが、その後内閣委員会で淡谷さんからもしばしば質問を受け、その他の方々からも同様の、いま山口さんがおっしゃっておるような質問を受けておるわけでございますが、これは政府として統一しておりまして、愛知外務大臣がいまおっしゃったとおりでございまして、私も同様に考えております。  成田空港は新しい日本の国際空港をつくるのであって、これはもう純然たる民間航空飛行場をつくっていく、こういうたてまえであります。ただ、日本の国が現在結ばれておる条約上ということから論議をしますと、いま外務大臣が言われたようなこと、あなたがおっしゃっておるようなことは論ずることはできますけれども、私どもは実際上はそれは考えておらないくらいな考えで、これはもう純然たる民間の航空に使っていこう、こういう考えで進めていこう。ではどうしていくんだという場合には、具体的には、いま羽田でも行なっておりますが、――実際にはまだ羽田にもチャーター機が来ています。しかしこれは、前より交渉によって減らしていったという、こういう事実があるのでございますから、そういうことによってやっていきたい、こういうように考えております。
  79. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 減らすか減らさぬかということではなくて、MACのチャーター機については、これは拒否して認めないんだ、認めるのか認めないか、こういうことを私どもは尋ねておるわけでございます。  村山政務次官は次のように答えております。「燃料補給のためであるとか、あるいは天候のために着陸するということでありますれば、地位協定上も認められていることでございますから、現在の羽田空港の場合と同様に拒否するわけにはまいらぬだろう、こういうことを申し上げているわけでございます。」もうはっきり言っておるのですよ。ですから、このときは運輸省代表して村山次官がお答えになっておるわけです。愛知外務大臣も、条約上は拒否できない、しかし実際上はできるだけ民間専用の空港としての趣旨は守りたい、こう言っておるのですが、それではMACのチャーター機の技術的着陸あるいは燃料補給というものは一切拒否するのかというと、どうもことばを濁してはっきりお答えにならぬ。大臣のことばもそうですね。一体この成田の場合は、条約上のことは別として、とにかく地位協定の二十五条による日米合同委員会もあるんだから、技術的着陸であろうと、あるいは燃料補給であろうと、一切これは認めないという方針を貫くのか貫かぬのか、この点を外務大臣、運輸大臣お二人で明確にひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  80. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この地位協定の第五条第一項に基づく米軍機のわが国の――これは一般論ですけれども、民間空港への出入は、地位協定の第二条に基づいて提供された米軍の施設・区域の使用とはその性格を全然異にするわけでございますから、無条件に何でも認められるものではないことを私指摘して申し上げておるわけでございます。米軍機の出入が民間機の本来の機能に障害を生ぜしめるようなことのないように、協定の二十五条に基づいて、そういう要請があります場合は、合同委員会における協議によってアメリカ側と十分調整をしなければならない。そうして、そういう場合におけるわれわれ日本政府の態度としては、先ほどから申しておりますように、成田空港の場合においては、特に世界の航空界の現状、日本の空港の使用状況等からいたしまして、純粋にこれが民間の空港であらねばならないという趣旨をあくまで尊重して運用していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  81. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その気持ちはわかるのですよ。政治論として、できるだけ民間の純粋の飛行場として使っていきたい。それから、地位協定の二条の施設及び区域とは違って、地位協定五条一項によるところのいわば入港料、着陸料を課さないで出入できる。これは権利を認めているわけですよね。ですがこれは、無制限に米軍が使用できるものではない。それはわかりますよ。問題は、そういうことでありますから、この成田については一切――羽田が現在、あれも民間の飛行場でしょう、ところが、現実には米軍機ないしMACのチャーター機が離着陸をしている。これは地位協定五条一項によってやむを得ず認めているという形になっておるわけですね。ですから、成田の場合は、羽田とは違って、地位協定五条一項はあるけれども、一切これを認めないのか、認める場合もあり得るのか、その点はっきりしていただかなくては、政府としてはできるだけそういうことはやりたくないと言っても、ほんとうに認めるのか認めないのか、明確なお答えがなければこれは困ると思うのです。その点が問題なんですから、そこをひとつはっきりお答えをいただきたいと思う。
  82. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、先ほどもお答えいたしましたことを繰り返すことになるのですが、地位協定上絶対に認められないのかということであると、そうではないのでありまして、条約上のいわば権利が米軍側にあるということが、私は条約論としては言えると思います。しかし、それに対して、二十五条、合同委員会の活用によりまして政府としての考え方を貫徹することに最善の努力をしたい、こう言っているわけでございます。条約論として絶対に拒否ができないのかとおっしゃるならば、いや絶対に拒否することは条約上はできません、使用を許すこともあり得るとお答えをいたす、これが従来からの政府の一貫した態度です。しかし、条約論からいえばそうでありましょうけれども、新たにつくられる、国民的期待によって純粋の民間空港でありたいとだれしもが念願する空港につきましては、成田の場合におきましては、そういう事態が起こらないように、政府として最善の努力をいたしましょう、こういうことを申し上げておるわけです。
  83. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最善の努力をする。したけれども、技術的着陸や燃料補給という万やむを得ないものは認めざるを得ない、条約もある、ということでは困るわけなんです。  それでは、運輸大臣に聞きましょう。あなたの部下である政務次官は、さっき私が申し上げたように、「燃料補給のためであるとか、あるいは天候のために着陸するということでありますれば、地位協定上も認められていることでございますから、現在の羽田空港の場合と同様に拒否するわけにはまいらぬだろう、こういうことを申し上げている」、こうはっきり答えているわけです。ですから、村山政務次官の場合は、純粋な民間の飛行場でありたいと国民も願っている、しかし従来のようなテクニカルランディングとか燃料補給というものであれば、これは羽田と同じように認めざるを得ないのだ、こういうことを言っているのですね。村山政務次官のこの答弁は、どうですか、運輸大臣、間違いなんですか、正確なんですか。どっちですか。
  84. 原田憲

    ○原田国務大臣 村山君が答えているということ、私が受けておったら、やはりいま愛知大臣が言っておられることを言っておると思う。条約にのっとった権利としてこれは得られるのだと――アメリカ側だったらそうでしょう。そういうふうなほうへウエートを置いて議論をいたしますと、いまあなたがおっしゃっておるようになると私は思うのです。しかし、これはまだ飛行場ができてないのです。飛行場がこれから――いま、羽田はできていますが、向こうはできてないのです。これからできてくるのは、わがほうの純然たる民間航空としてやっていくのです。あなたのほうにそういう条約上の権利があるか知らぬが、これはできるだけそういうことは避けてもらいたい、こういうことを交渉することによって努力をする、こういうことをいま愛知大臣が言っておられる。私は、村山君のいまの答弁のそこだけをとらえていると、許しているんじゃないかという、許すということを言っているじゃないかという、それをふえんしていくと同じことになる、こういうように受け取りました。
  85. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 できるだけ努力をしたいというお話は、どうも歯切れがあまりよくないですね。ですから、形を変えて聞きますが、たとえば安保条約によりまして米軍が日本の基地を使える。条約でいえばいわば施設及び区域ですね。ところが、岸・ハーターの交換公文によって、たとえば核兵器については、これは事前協議を歯どめにして、本土内には持ち込ませないのが佐藤内閣のいわば政策ですね。同じような意味で、条約上は、成田飛行場に対して、この地位協定五条によって、米軍機ないしはMACのチャーター機が離着陸する権利というものを米軍が持っておる。しかし、佐藤内閣の政策としては、この成田については、米軍機ないしはMACのチャーター機は一歩も入れさせないのだ、こういうことがはっきり言えますか。そういう意味で、お考え方はどうなんですか。
  86. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いまのお尋ねは、ちょっといままでの議論とまた少し範囲が違うかと思いますけれども、安保条約の第六条の事前協議ということと、いま問題になっておりますことは、私は違うと思います。(山口(鶴)委員「それはわかりますよ」と呼ぶ)違うということをお認めいただいておりますから、そこで本件の論議になりますと、二条と五条との関係で一種の、私がいま運輸大臣ともども申し上げているように、政府の態度が成田空港についてはこういうことであるというのならば、五条においてアメリカは権利を持っているかもしらぬけれども、それを留保する事前協議のようなものをつくったらどうかということも含めてのお尋ねのように聞こえますけれども、しかし、核兵器の持ち込みであるとか、あるいは日本が施設・区域として安保条約において提供したところから戦闘作戦行動に出かけていくとかということとは違いますので、こういう点について、二十五条の合同委員会という歯どめもございますしいたしますから、この二条と五条の関係で事前協議条項というものをわざわざつくるにも私は及ばないと思いますし、これは運用上十分御趣旨に沿うように運用できるもの、かように考えております。
  87. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣、そういう意味で私はお尋ねしたのじゃないのです。この二条、五条の問題は、いわば事前協議の対象にしろと言ったのではないのでありまして、問題は、核兵器の持ち込みについては、佐藤内閣の政策として、これは事前協議の歯どめもあるから拒否をしておる。したがって、地位協定五条についても、地位協定二十五条の日米合同委員会という歯どめがあるわけですよね。これを歯どめとして、佐藤内閣が続く限りは、成田飛行場については、MACのチャーター機、米軍機は入れません、核兵器と同じような政策的な意味で、条約上は別だけれども、拒否をするのだという二とがお約束できますかと、こういう意味でお尋ねをしたわけです。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうもその辺になりますと、少し私の意見も違うかもしれませんけれども、りっぱな飛行場がございまして、そして米軍機が何らかの必要によって、それにはいろいろのことも観念的には想定されると思いますけれども、いわゆるテクニカルランディングを、目の前にそういう飛行場があっても絶対にさせないというところまで押え込まなくてもいいのじゃなかろうか、こういう私気持ちがいたすわけです、率直に申しまして。したがいまして、核兵器とかあるいは出撃戦闘作戦行動とは違いまして、そこまで押え込んで歯どめ的な法制上のことをやらなくてもいいというのは先ほど申しましたとおりですし、それから、そこまで私が言質を差し上げるところまでいかなくても、われわれの気持ちは十分御理解いただけるのじゃなかろうか、かように考えますが、しかし、先ほど来、われわれこうして二人でそろって同じことを申し上げておるわけでございますから、佐藤内閣がいつまで続くか、われわれがいつまでこういう地位におるかわかりませんけれども、まあ、私どもがこうしております限りは、ここで誠実にお答えしていることは誠実に私はやってまいりたい、かように存じております。
  89. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまの外務大臣のおことばは、やっぱり私は本音を言ったのだろうと思うのです。テクニカルランディングというような場合、しかもりっぱな飛行場がある成田ですね、技術的な問題でどうしても着陸しなければならぬという場合に、これは拒否するということまでここで明確なお答えはできないということは、制限はしたいけれども羽田のように一年に四千回も三千回も離着陸をする、これほど数が多くては困る、したがって数は制限したいけれども、しかし成田についても離着陸は当然――当然ということじゃ御不満かと思いますから、言い直せば、政府としては離着陸をしないように最善を尽くすが、しかし、場合によっては離着陸もあり得るんだ、こういうことを申しておるんだと思います。手塚航空局長も当委員会で同じことを言っております。われわれはこれを制限的に扱いたい、かように考えておりますと。制限的に扱うということは、数は減らすけれども、しかし、これは離着陸はあり得るのだということを言っておるわけです。ですから、そういう意味では、ただいまの外務大臣の御答弁で私はよくわかりました。条約上は拒否はできない、しかし、事実上の離着陸はないように最善の努力はいたしたい、しかし、事テクニカルランディングあるいは燃料補給という緊急のものであれば、これは拒否するというようなことを明確に出すわけにはまいらぬのだ、いわば制限的に扱うのだということになるわけですな。どうですか外務大臣。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そこのところは、そうやってことばのあやのことになりますと、なかなかデリケートでございますけれども、私はむしろ冒頭から申し上げておりますように、特に成田空港につきましては、こういうふうな環境や条件のもとにつくられる純粋の民間空港であるわけでございますから、その性格をお互いに全力を尽くして育て上げていこう、こういう気持ちで本件に対処すべきではないか、私はかように存ずるわけでございます。その気持ちで事に当たっていけば、結論として御趣旨のこととなるのではなかろうか、また、そういうふうにしたいというふうに考えております。
  91. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 問題は、いま羽田がふくそうしているということもありますが、いわば滑走路が短いということもあって、SST等ジャンボジェットが就航するという現代の航空機の情勢に羽田では対応できない、したがって、新時代のジェット機が離着陸できるような飛行場成田につくりたい、これが政府の御方針だと思うのです。同じように、旅客機がかように進歩をすれば輸送機自体もこれまた同じように進歩をするわけですね。いまアメリカのロッキード社が開発しているファンジェット輸送機ロッキードC5A、これは兵士が七百人も乗れて、車両は百台も空輸できるというきわめて大きな輸送機だそうであります。こういうものが次々開発されるということになれば、これは羽田では離着陸できぬ、当然滑走路が四千メートルあるものでなければ離着陸できぬ、こういう時代が来るんじゃないですか。これは数年ならずして来ると思うのです。そうした場合、MACのチャーター機はいまよりも大型になるでしょう。大型になった場合に、これは羽田ではとてもじゃないが離着陸できぬ、そうなれば、この羽田と同じように、成田飛行場を使わしてくれ、こういうことにならざるを得ないと思うのですよ。しかも、外務大臣が言われたように、断固拒否するということばでは確言できない、最善の努力を尽くす、こういうことなんです。そうなった場合に、成田飛行場しかMACのチャーター機が降りられません、こういう状態になったのでは、もう羽田と同じような状態が早晩くることは明らかじゃないですか。その点運輸大臣、いかがですか。
  92. 原田憲

    ○原田国務大臣 非常に技術的なお話でございますから、これについては、不満足でありますれば政府委員から答弁させますが、いまお話しのロッキード式のL509型は……。
  93. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 外務大臣が帰るそうですから、ちょっと答弁を保留してもらって、あとで聞きます。
  94. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して門司亮君の質疑を許します。
  95. 門司亮

    ○門司委員 いま答弁を聞いておりまして、私、ちょっとふに落ちないところがあるものですから、一言だけお聞きしたいと思います。  いまの大臣の御答弁は、常識的には一応そういうことが考えられます。しかし、米軍が日本の民間空港を使うということには経緯がありまして、御承知のように岡崎大臣とアチソンとの間の交換公文というのが一つございます。これは占領中アメリカ軍が使っておった施設等については、例の安全保障条約ができた後においてもこれを使わせるかどうかということが、その当時の記録を読んでみますと書いてあります。それに対して外務大臣はこう答えております。従来占領軍であったからということで自由に使わしておったものについては順次整理していく方針だ、そしてこの協定に基づいて明確に貸与した基地を使わせるのだということを当時の安保条約改定期の委員会で藤山外務大臣が答弁をされております。そう考えてまいりますと、なるほど岡崎さんとアチソン氏との間の交換公文は生きているかもしれない。しかし、私どもはこれはもうすでに死文のものであって、あの当時において羽田空港などはすでに軍が自由に使っておったのですから、そうしてあれを民間に切りかえたのですから、したがって慣例あるいは慣習ということで整理するという答弁はされておりますけれども、十分な整理がされていないのじゃないか。そのときの整理をするという藤山外務大臣の答弁は、やはりそういうものをなくするという意思があったのではないかというふうに私は推測できます。  そういう経緯を考えてみますと、今度の空港は新しいものであって、そういうアメリカさんのかつての軍隊とは何らの因果関係はないのであります。したがって、地位協定がありましても、これについては日本の政府はき然とした態度をとれるのではないか。そういう言いがかりは何もない。ほんとうに新しいものだという立場からすれば、大臣はもう少し歯切れのいい答弁ができるのじゃないかと考えるのですけれども、この辺はどうなんですか。
  96. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私も先ほどから申し上げておりますように、いまの門司委員お話は私もよく理解できるところでございまして、その点は先ほどからしばしば申しておりますように、成田空港につきましては、新しく国民的な輿望をになってできる民間の空港でございますから、純粋の民間空港として十分の機能が発揮できるようにしたいというのが政府の立場でございます。ただ、地位協定を改定しない限りは、条約論、法律論から言えば、向こうが欲すればその相談には応じて、場合によって許すことがあり得るということは残しておかなければならないだろう、こういうわけでございますから、その点は御理解をいただきたいと思います。  なお、お尋ねの範囲外になろうかと思いますけれども、御承知のように安保条約の運用につきましては、明日もまた協議会もございますけれども、つい最近におきましても、太田の飛行場の返還というようなことも具体的にでき上がっているようなわけでございますから、いま御意見がございましたような点につきましては、私どもも十分胸に入れてこれから善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  97. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほど答弁をはしょらせるようなかっこうになりましたので、ひとつ正確にお願いいたします。
  98. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま申し上げましたように、山口さんはロッキード式のL509型というのは滑走路が長く要るから羽田ではだめじゃないか、こういうお話でございましたが、いま私の手元にある資料では、三千メートルの滑走路でそれはいける、こういうことでございます。  なお、足らざるところは、専門的な問題でございますから政府委員からお答えさせます。
  99. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私が指摘しましたロッキードC5Aですか、これについては三千メートルあるいは横田の三千三百メートルの滑走路で何とかなるというような御答弁をさきの地方行政委員会でもいたしております。しかし、かりにこのロッキードC5Aが三千三百メートルでも可能だということでありましても、逐次航空機が大型化し、しかも高速化していくのは天下の大勢でしょう。そうなれば当然これを上回る大きさの輸送機も開発せられるであろう。現に民間航空についても同じような意味で開発されているわけですから。そうした場合には、羽田ではもうとてもじゃないがだめだ、四千メートルの成田空港を使わなければ離着陸できぬということは早晩考えられるのではないか。そうなれば、ただいまの言明からいってもMACのチャーター機、新しい大型のチャーター機は成田へということにならざるを得ないのじゃないですかということを聞いておるわけですよ。ただ単にロッキードC5Aに限定してのことを私聞いているわけじゃないのです。
  100. 原田憲

    ○原田国務大臣 現在の航空界でこれから新しい飛行機ができてくるが、まあ四千メートルの滑走路があれば今後十年ぐらいはだいじょうぶだということで、いま最も新しい成田空港滑走路もそれだけのものをとっておる、こういうことでございまして、私は、これからの飛行機の勝負は音をどうするかという問題と、長い距離がなければ飛ぶことができないということから脱却していこうというふうに、これは私しろうとですけれども、技術的に向いてくるのじゃないかと考えております。ただ、飛行機の数がふえてくることだけは、需要がふえますから間違いのない傾向であろう。それを緩和するためにジャンボジェット機というような、一ぺんにたくさんな旅客を運べる飛行機を開発してきた。それは滑走路ができるだけ長くない、音もいまよりも低いくらいの飛行機を技術的に開発していくということであろう、こういうことでありますから、いまの羽田飛行場だけでは足りない。これはもう当然のことで、いまおっしゃっているような新しい成田空港をつくっておるのであります。この飛行機の性能からくるところの、いま山口さんのおっしゃっていることは少し私了解することができないのですが、これは非常に専門的なことでありますから、先ほど言いましたように政府委員から答弁をさせます。
  101. 川上親人

    ○川上説明員 先ほど先生引例いたしておられましたロッキードC5Aというタイプのものにつきましては、大体七百人以上の旅客を運ぶ大型機でございますが、その離陸距離につきましては、先ほど運輸大臣おっしゃられましたように、大体三千百メートルで、羽田は三千百以上ございますので十分使えるという状況でございます。  また、ロッキード式のものとほぼ対応する、近い将来に使われると思われる民間航空機としてボーイング747というのがございます。これは明年二月以降羽田において現実に使われていくと予想されているものでございます。パンアメリカンが来年の二月くらいになりますと羽田に乗り入れてくると予想されておるのでございます。日本航空におきましても、明年度は三機購入する計画がございまして、三、四、五のそれぞれの月におきまして羽田に入ってまいります。これは羽田を使用することになってまいります。したがいまして、747クラスでございますと十分羽田で使えますし、また現在提供しております横田基地の滑走路が三千三百ございますので横田の基地を使うことが十分に可能であろうと思っております。
  102. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ボーイング747をあげてお答えになりましたが、しかしあれでしょう、航空機の発達によってボーイング二七〇七型機ですか、SSTというのも近く就航するわけですが、そうすれば輸送機も同じような形で進歩発展するだろう。そうなれば当然羽田では間に合わなくなって、成田も使わしてくれということにならざるを得ないではないかということを指摘いたしたわけであります。将来のことだからわからぬというようなことをお答えになられては困りますから、これはこれ以上――時間の関係もありますから、そういった考え方だけ申し上げておきたいと思います。  そこで、条約局長さんがおられるようですからお尋ねしたいと思うのですが、地位協定の五条第二項ですね、これを見ますと――成田のことはしばらくおきましょう。羽田の場合で私お尋ねしますからお答えいただきたいと思うのですが、現に羽田には一年間四千機あるいは三千機というようなMACのチャーター機が離着陸をしています。そういった地位協定五条一項で施設及び区域以外に離着陸した航空機が、地位協定五条の二項に従って今度は米軍が管理しているいわば軍事基地ですね、施設及び区域に出入りすることができるわけですね。だから、一たん羽田におりまして、それから横田へ行く、あるいは立川へ行くということは自由なわけですね。そうなれば当然将来成田の問題にも関係してくると思うのですが、現実には羽田の場合においてはそういうことがなし得るということになるんですね。
  103. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 現在の羽田の状態はそのとおりだと思います。
  104. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それから、さらに聞きますが、羽田におりたMACのチャーター機が、日本以外の国ですね、たとえば沖繩――現在沖繩は日本の施政権下にありません、残念ながら。したがって羽田におりた、それから沖繩の嘉手納におり、それからベトナムへ行くということは、これは当然条約上可能なわけですね。
  105. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 戦闘作戦行動その他の問題がひっかからない限りはそういうことはできると思います。
  106. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 しかし、羽田から嘉手納へ行って、嘉手納から戦闘作戦行動に出たということになれば、これはどうしようもないのでしょう。
  107. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 そのとおりでございます。
  108. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういう意味で、結局成田にMACのチャーター機がたまたま技術的着陸でおりた、それから日本以外の国へ行った、それから戦闘作戦行動に入った、ということはこれは条約上あり得るのだということを私はこの際指摘しておきたいと思うのです。  それから、さらにこのMACのチャーター機で米軍ないしは米軍の家族の人たちが来ますね、それから施設及び区域へ移動する、こうした場合の旅券及び査証、それから検疫、こういう問題は一体どうなるのですか。
  109. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 いまのような場合には、地位協定の九条の規定に従いまして通常の手続によって出入することになります。
  110. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地位協定九条によって、ただいま私が指摘したような場合は、通常の旅券あるいは査証、検疫を受けることなく出入ができる。私はそうなった場合に問題だと思うのは、王子の野戦病院が問題になります。あの野戦病院にベトナム等でたとえば伝染病にかかった病人が立川あるいは横田に運ばれてくる、そういう病人の方が王子の野戦病院に入院をする、地域では心配だ、こういうことになるわけですが、同じような意味で、それが羽田なら羽田成田なら成田というところに一たんおりる、それから国内の施設及び区域に移る、そうして野戦病院に入る、こういうようなことが日本の旅券及び査証、検疫ということを抜きにして行なわれるということになれば、私は成田住民の人たちが、そういう中で非常に不安を持つのはやむを得ないと思うのですね。(発言する者あり)こちらのほうで大臣云々なんて言っておりますが、大臣がおる予定で質問をしているのに、大臣がいなくなってしまったんだから、大臣がいなければ質問はやめだと言いたいのですけれども、その辺はがまんして、条約局長、アメリカ局長のほうに代行で質問しているのですから、そういうつもりでひとつ答弁してください。
  111. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 施設・区域ないしは日本の民間空港に出入する場合には、協定上の免除を得た者はその免除された手続によってやる。免除を受けていない者は、たとえば羽田なり横田に入る場合には、羽田なり横田にあるわが国の出入国管理あるいは税関の手続を経て入国するわけでございます。それから、いまの検疫の問題につきましても、これはわが国の厚生当局と米軍当局との間で手続をきめまして、その手続に従ってやっているわけでございます。
  112. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 しかし、あれじゃないですか。一九五二年五月の日米合同委員会の米軍の構成員、軍属、家族の出入国に関する合意事項というのがありますね。これを見れば、検疫については合衆国軍隊に提供している施設・水域に入る船舶等は日本側で検疫を受けることなく、この検疫済証を交付すること、こうなっているじゃありませんか。ですから結局、成田なら成田羽田にしてもいい、羽田なら羽田におりて、そうして地位協定五条の二項によって米軍の管理する施設及び区域に移動した。移動して中に入って、いま言った米軍の構成員、軍属、家族の出入国に関する合意事項によって検疫については適用除外だ、こういうことになってしまうじゃないですか。これは一体合意事項との関係はどうなんですか。
  113. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 いまの米軍とわがほうの厚生当局との間の取りきめによって、たしかその場合には米軍の行なった検疫の結果を確認してわがほうの検疫を済ましたものとして扱う、こういう取りきめになっていることだと思いますが、そういう取りきめによって施設・区域に入る場合には行なっているわけでございます。施設・区域外については通常の検疫ということで出入するわけでございます。
  114. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だから私が指摘したような場合は米軍が検疫をするから心配はない、こういうことですね。そういう形の中であれじゃないですか。しばしば国会でも議論になったと思うのですが、朝鮮戦争の際あるいはベトナム戦争の場合でも、米軍の死体が国内に運ばれてこの死体処理が行なわれたというようなことすらあったじゃないですか。これは米軍がそういった意味では検疫をやるから日本政府はせぬでもいいのだということになると思うのです、いまの御答弁では。しかし、現実には、日本政府が検疫なら検疫をきちっとやるというのならば、これは日本人として防疫の関係から安心もできますが、一切そういうものはアメリカさんにおまかせいたしたということになれば、これは王子野戦病院その他にしても、伝染病その他の関係で国民が心配することは当然じゃないですか。しかもその場合、地位協定二条第一項にいうところの施設及び区域ではない。いわば羽田国際空港あるいは将来は成田国際空港というものがそのワンステップ、いわば土台になるということが問題ではないか、こう指摘しているわけです。それもやむを得ないというような局長の御答弁ですから、そういう心配があり得るんだということを、私はこの際申し上げておきたいと思うのです。  それから、次にお尋ねいたしたいのは、村山政務次官も、こういったMACのチャーター機、軍用機が羽田におりる場合には、飛行プランを出すだけで、地位協定に基づく航空法の特例法に従って検査権がないんだ。したがって、MACのチャーター機なり軍用機が羽田に離着陸しているが、一体何を積んでいるかということについて検査ができませんのです、こう言っておるのです。条約上、そういうことになるんじゃないですか。日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律という、きわめて長ったらしい法律ですね。これで航空法の適用除外があるわけですな。したがって検査権はない、こういうことになるわけですね。
  115. 原田憲

    ○原田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  116. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そこで、私が問題だと思いますのは、どういう条項が適用除外になっておるのかということをずっと調べてみました。そういたしますと、航空法の第十一条、二十条第一項、二十八条第一項、第二項、第三十四条第二項、第百二十六条第二項、第百二十七条、それから第百二十八条、百三十一条、こういうものが適用除外になっておりますね。したがって、第百二十六条第二項によって、先ほど私が聞いたように、いわばアメリカから飛んできて羽田におりる、羽田から嘉手納なら嘉手納に行く、そうして嘉手納から今度はベトナムの戦闘目的のために飛び立っていくということについては、先ほど申し上げた長ったらしい特例法によって航空法の第百二十六条第二項が適用除外されているというところから、戦闘目的、軍事目的のためには国際空港は使わせませんと、中曽根前運輸大臣あるいは原田運輸大臣はしばしばお答えになっておるのですが、現実に私が申し上げたようなことが起こり得るんじゃないですか。どうですか、運輸大臣。
  117. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほどからのアメリカ局長との質疑を聞いておりましても、あなたのおっしゃっておることも全然ないということがいえないということであるということを指摘されておるようでございますが、私のほうは、羽田に離着陸しておるところの米軍機あるいはMACチャーター機が戦闘作戦行動のために羽田を使用するというようなことは、先ほどから出ております地位協定の第五条で予測しておらないところでございますし、また現実に羽田をそのような目的に使用したという例を知らないわけでございます。
  118. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 しかし大臣、百二十六条第二項の適用除外ですよ。どういうものが除外になっておるかというと、外国籍の航空機の「本邦外から出発して本邦内に到達する航行」「本邦内から出発して本邦外に到達する航行」「本邦外から出発して着陸することなしに本邦を通過し、本邦外に到達する航行」、これは本来ならば運輸大臣の許可制です。それが適用除外で、運輸大臣の許可はけっこうだということになっておる。ですから、本邦外から本邦内へ、言いかえればアメリカから羽田へMACのチャーター機がおりてきた。それから本邦から本邦外へ――残念ながら沖繩はいま施政権がない、その嘉手納に行く。それから嘉手納は安保条約六条の例の交換公文、戦闘目的云々という事前協議の対象外であるから、飛び立っていくことは御自由だということになっておるんじゃないですか。ですから、この特例法で百二十六条の第二項を適用除外したことは、明らかにアメリカからMACのチャーター機が羽田におりる、将来は成田におりるかもしれない。そうして本邦外の基地へ行って、そこから戦闘目的のために飛び立つということは条約上できるんだということをお認めになるでしょう。そうでなかったら、この特例法を改正して百二十六条第二項の適用除外をやめたらいいのですよ。
  119. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 条約のほうの関係がございますので、私からお答えいたします。  安保条約の六条で米軍に許与している施設・区域、これは軍事目的のためにできているわけでございますが、ここでこの施設・区域の使用に関してどういうふうな形で制約を加えるかというのが事前協議の交換公文だと思います。地位協定としてはほかの、いわゆる軍事目的以外の便宜供与というような意味で五条一項というものを考えておりますものですから――いわゆる軍事目的といいますか、戦闘目的と申したほうがよろしいかもしれません、そういう形での使用ということをきめております。五条一項と申しますのは、いわゆる軍事目的の使用というのをもともと考えていない条項というふうに考えております。したがって、もしここから戦闘作戦行動が行なわれたということになれば、これはむしろ安保条約、地位協定という系統の法形式の中の予定してない一つの事態でございますから、もっぱらそのもとのいわゆる主権国としての日本の権利が出てまいりまして、当然日本の許可を得てやらなくちゃならないというふうになるのではないかと思います。国際法的に申しますならばそうじゃないかと思います。
  120. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますとあれですか。百二十六条第二項が特例法にある。したがって、先ほど私が言ったように、アメリカから日本へ、日本からまた外国へというのが一切運輸大臣の許可なしに航行できるわけですね。ですから、それが沖繩の嘉手納なら嘉手納に行った、あるいは日本からたとえばアメリカが施政権を持っている他の軍事基地へ行った。そうしてそこから戦闘作戦行動に移るということについては、日本政府としては拒否できるということなんですか。
  121. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 先ほどの御設定が羽田あるいは成田と申しますか、とにかく民間飛行場から直接に戦闘作戦行動を行なうという御設定だと思いましたので、私そういうふうにお答えいたしましたけれども、いわゆる民間飛行場からほかの基地に移る、これは別に禁じておりません。
  122. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ですから、私の聞いておるのは、アメリカからMACのチャーター機が羽田に飛んできて、羽田から嘉手納へ行って、そこから戦闘作戦行動に移るという場合は、結局羽田に途中おりるということについては日本政府は拒否できないんだ、そういう意味ではきわめて危険な戦闘作戦行動の一つのステップ台に羽田なら羽田が現に使われている。同じような意味成田についても使われる可能性があるという危険性を私は指摘したわけです。そういう意味でよろしいわけですね、私の言っていることは。
  123. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 そういう意味ではいわゆる条約上これを禁じておるものではございません。
  124. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いま一問でやめようと思いますが、同じような意味で百二十八条を適用除外しておりますね。航空法の百二十八条は、軍需品輸送の禁止条項です。これが適用除外されているじゃありませんか。そうしますと、結局地位協定五条によって離着陸できるMACのチャーター機は、軍需品を積んできても差しつかえないのだということになるわけですね。運輸大臣、特例法の上から言えばそうでしょう。
  125. 原田憲

    ○原田国務大臣 お説のとおりであります。
  126. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういう意味では、私は、羽田にもマスコミの人たちも行っておるわけでありますが、現に軍需品等が堂々MACのチャーター機によって羽田に離着陸する場合がある。同じような意味で、この特例法が変わらぬ限り、大臣が言ったように拒否はできないわけでありますから、軍需品の輸送についてもしかりに、地位協定五条一項によって緊急着陸、テクニカルランディングあるいは燃料補給ということで――完全に拒否するというなら別でありますが、完全拒否はできない、おりないように最善の努力をするという程度のことなんでありますから、そういう意味では、成田飛行場に、この空港法のいわば特例法ですね、これによって軍需品がおりる場合もあり得るということが条約上はあるのだということを、私どもは指摘をいたしたいと思うのです。  そういう意味で、最後に運輸大臣にお伺いしたいと思うのですが、軍事目的には使わないということをいろいろ言っております。しかし条約上はしり抜けじゃないですか。地位協定五条一項についても二項についてもそうじゃないですか。地位協定九条の問題についてもそうじゃないですか。しかも、特例法の指摘をいたしまするならば、とにかく局長も認めたように、アメリカから日本の民間の飛行場におりる、そうして沖繩へ行って軍事目的のために飛び立つこともできるし、それから軍需品についても、日本の民間の飛行場におりる場合もあり得るのだ。こういうことでは、大臣なりあるいは今井総裁が、いや成田飛行場はこれは民間のものですと言いましても、現実に軍事目的のために使われることは条約上あり得る。しかも、政府もこれを断固拒否するという強い姿勢がない。最善を尽くしてそういうことのないようにしましょうという、いわばへっぴり腰、及び腰の態度でしか言ってないじゃありませんか。そういう意味では、私が今日まで指摘してきた、軍事目的に使われる場合があるという、そういった危険性というものは、これは十分根拠のある問題だということを、私はこの際最後に強調いたしまして私の質問を終わっておきたいと思います。
  127. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 警察庁の三井課長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三井公安第一課長。(発言する者あり)静粛に願います。
  128. 三井脩

    ○三井説明員 先刻太田委員から質問がございましたことを保留いたしておりますので、この点についてお答えを申し上げます。  まず第一点につきましては、昨年の夏起こりました事案でございますが、御存じのように、昨年の四月から七月にかけまして多数の事案が発生いたしております。これにつきましては、御存じのように三派系の全学連があの地区を解放地区として反対闘争を盛り上げるということで、各種の事案を敢行いたしました。これにつきましては、警察におきましても、警察官の常駐その他の方法によって事案の防止並びに取り締まりについて鋭意努力したわけでございます。  御質問の第一点は、その際警察官が畑等に立ち入って荒らしたのではないかという点でございますが、不法事案が多数発生いたしておりますので、これに対する制止あるいは被疑者の逮捕等の際に、畑地等に立ち入ったことがあるわけでございます。この点につきましては、警察官の正当な職務執行行為によって若干の被害等が生じたかもしれないと思うわけでございますけれども、この点につきましてはいわば法律上は警察官の正当な職務執行行為でございますので、特に補償というような問題は法律上は起こらないわけでございます。しかしながら、その状況等によりましては、警察といたしましては、地方公共団体その他関係機関と連絡をとりながら、できるだけお見舞いその他の措置について遺憾のないようにしてまいりたいということで措置をいたしておるわけでございます。  次に、自分の畑の中に立ち入った警察官を制止したところが検挙されたということでございますけれども、これは七月の事案であると承知いたします。多数の学生その他の人たちが警察官あるいは公団関係職員の業務に対しまして投石等で抵抗、妨害をいたした事案が発生いたしております。この際、畑の中から投石した人、この被疑者を立ち入って逮捕したというようなことがありますので、逮捕行為として法律上認められた立ち入り行為をいたしたということでございます。また敷地その他につきまして、古井戸等いろいろと危険なものについて措置をしておるかというような点につきましては、現地を調査いたしまして、その結果発見いたしました不要の古井戸その他につきましては、現地公団事務当局とも連絡いたしまして、これについてはさっそく埋め立てをいたし、危険のないようにしておるということでございまして、本日現在ではもうすでにそういうものは一カ所も残っておらないというように報告を受けておる次第であります。  以上でございます。
  129. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっとお尋ねしますが、最後の古井戸の件ですね。古井戸の件は、いわばあき地になりました宅地あと、それに対しまして現地の人たちは、子供たちの遊び場になっているから、非常にあぶないということを言ったのですが、なかなか色よい返事をしなかった。いまでは一つも残っておらないと言うが、最後に完了したのはではいつの日に全部埋め立てが完了しておるのですか。
  130. 今井栄文

    今井参考人 だんだん立ちのきがふえてまいるに従って、特に最近でございますが、夏休みを迎えまして子供たちがあぶないという声が現実にございまして、警察からいまお話のございましたように、警察のほうでも御心配をされたわけでございます。これは私さっそく現地に指示をいたしまして、全体の数では井戸が三十二でございます。これは完全に井戸のワクをはずしたのもございますし、井戸ワクが完全についているのもございましたが、全部で三十二。それから地下サイロあるいは便所というふうなところで若干穴があいている部分が二十三、全体で合計五十五カ所ございました。これにつきまして、私どもとしては、七月三日から作業を開始いたしまして、七月三日一日で二十七カ所、七月四日で二十六カ所、それから二つばかり残りましたのを七月七日に、これはあまり危険のない状況であったようでございますが、念のため七月七日に最後の二つを埋め終わりまして、全体の五十五個の安全確保の措置をとったのでございまして、御質問の最終日はいつかという点につきましては、七月七日でございます。これ二つだけ残っておったのであります。
  131. 太田一夫

    ○太田委員 四十四年ですね。今井さんから、いわば七月七日といえばきのうのことでございます。ようやく終わったというのですが、これもこういうことがやかましくなってからにわかにやったということについては、私どものほうは釈然としませんが、おやりになることは、気がつかれるならば、あやまちはすみやかに改めるということでけっこうだと思うのです。ですからそういう点について、公団当局もえこじになって、農民に、おまえたちは反対派だから何も聞いてやらない、おまえたちの言うことは一切耳をかさぬぞという、対立条件をきびしくするということになりますと、ものは解決しませんから、ぜひひとつその点についてはいまの精神でおやりいただき、残された堆肥とかハエとかカの発生源についても処分に相なりますようにお願いをいたします。  それから、警察のほうは、先ほどおっしゃった中に私ちょっと気になることがあるのですが、職務執行行為であるから補償問題は起こらないが、状況によってはお見舞いをしたという点でありますけれども、これは条件派には補償して、賛成しない反対者には補償しなかったというのは、状況によってというような説明でこれを解釈するのにはいささか無理があるような客観的な事実があるわけなんです。条件派、いわば賛成派にはなぜ補償をし、反対派にはなぜ補償しないのか、そういうことに気がついていらっしゃったかどうか、この点をお尋ねいたします。
  132. 三井脩

    ○三井説明員 御指摘の点につきましては、私たちはその警察官が立ち入ったためにあるいは踏み荒らされたといったような被害の状況に応じまして、その状況を公団あるいは地方公共団体等に御連絡を申し上げ、いろいろ御協力をお願いいたしたいというような態度で措置をしてまいっておりますが、ただいまの反対派、賛成派というようなその区別の点につきましては報告を受けておりません。
  133. 太田一夫

    ○太田委員 こういうふうに解釈してよろしいですか。おっしゃることがむずかしくてわからないけれども、状況によってはお見舞いするということは、ある程度荒らされて被害が軽微でなかったものについてはお見舞いをするということで、相手が男であるとか女であるとか、何々町に属するとか、その人の政治信条が何だということには関係がないのだということで、気の毒な人たちにはみな補償するという方針であった、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  134. 三井脩

    ○三井説明員 被害程度、つまり軽微であるかどうか、こういうことが中心でございまして、もっぱら私たちはその程度によって関係の向きに御連絡を申し上げるということでございます。
  135. 太田一夫

    ○太田委員 ですから、この点については、政治信条、国籍あるいはその人の態度とかいうものに関係なく、ひとつ同じような立場で、警察の持つ不偏不党、厳正中立の立場でおやりいただきたいと思う。  それから、これはあなたのおっしゃったことにいささか問題があるのですけれども、スイカ畑に入っている警察官を小川という人がとがめたのでありますが、あなた何で私のスイカ畑にないしょで入ったのですか、無断で入ったのですか、そう言うわけであります。一たん公団所有地に入ればとやかく申されるのに、私のところへあなたがかってに入るとは何事かと言ったときに、警棒でなぐって――常に土百姓ということばをお使いになるそうでありますが、たまには感情的に、この土百姓ということばが出るかもしれないが、警察庁としては、その気持ちを察して、土百姓とかてめえたちとかいうことばを絶対使わない、こういうことをひとつお誓いをいただきたいと思うのですが、その点いかがですか。あなたのほうから指導してもらわないとだめですよ。千葉県の警察か警視庁か知りませんが、どうなんです。
  136. 三井脩

    ○三井説明員 ただいまの具体的な事件は、たしか五月二十七日の事案であったかと思うわけでございますが、その点につきましては、私たちのほうでも詳細調査いたしました。ただいま御指摘のようなことばづかいをしたかどうかについては、私ども調査の結果必ずしも明らかになっておりませんけれども、そういうような点につきましては、私たちの警備活動の現場におきまして、特に無用の刺激を与える不謹慎なことばづかいがないようにかねがね注意をいたしておるところでございますが、ただいま御指摘もございましたので、なお一そうその点については注意してまいりたいと思います。
  137. 太田一夫

    ○太田委員 用語集というものは、これはつとめて皆さん教育の場においてじっくり教え込んでいただきたい。なるべくエレガントなことばを使っていただきたい。よろしゅうございますね。
  138. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 先刻の細谷委員の資料要求に関して今井参考人から発言を求められておりますので、この際、これを許します。今井参考人
  139. 今井栄文

    今井参考人 午前中の委員会で細谷先生から、敷地内の立ちのいた方々がどういうふうな状況になっておるか、その資料を示すようにというふうなお話がございましたので、御報告を申し上げたいと思います。  現在敷地の中で公団が引き渡しを受けました件数は百四十二件ございます。面積といたしましては、民有地全体の面積の約六分の一に当たります百六ヘクタールでございまして、この中ですでに移転いたしましたものが二十九件ございます。  代替地に移りました状況につきましては、現在代替地に移って農業並びに兼業をやっておられる方々が十九件ございます。これはもう完全に移ってそちらで生活を営んでおられる方々でございまして、目下家を建築しておられる方が七十五件ございます。したがいまして、敷地内の方々全体で九十四世帯の方々が現在すでに新築を終わり、御移転を終わり、あるいはまた新築をいたしておるという状況でございます。  それから、その後、家を売った方々がどういうふうにしておられるかという点でございますが、これについては、先生が御心配になっておられるような、新しい商売について失敗をいたしておるという事例は現在ないようでございます。たとえて申しますと、新しく移転された方々で新しい仕事に従事しておられる方々が全体で十数人おられますが、具体的にお名前あるいは商売を申し上げるのは、時間の関係上必ずしも適当でないと思いますので、一、二例をあげて申し上げますと、ある方は千葉市に行って食料品店をやっておる、ある方は新しい京成の団地である勝田台の団地で食堂をやっておられる、また、別に移られて養鶏をやっておられる、あるいはまた、農業兼養豚を新しく移った千葉市でやっておられるという方々も数名おられますが、全体にそういった方々の現在の生活状況は非常によろしいようでございます。そういうお話を県のほうからも実は承っておるわけであります。したがいまして、敷地の中には借金で困って、補償金を債権者から取り立てを食っておるというような例も、二あるようでございますけれども、全体としてはいま申し上げましたように、新しく移っていった方々はきわめて順調な新しい生活設計を行なっておるというのが現況でございます。
  140. 細谷治嘉

    ○細谷委員 たいへん雑音がありましたから、今井さんの貴重な御答弁を聞き落としておる点があるわけですけれども、いまの御答弁、せんじ詰めて言いますと、移転者にはほとんど失敗がない、ただ一、二件若干問題があるそうだ。それから、移転者というのはみんな成功をしておる、こういうふうにきわめて楽観的な御答弁をいただいたわけでありますけれども、御答弁の内容を聞きますと、必ずしも確認をされておらぬようでありますね。  そこで、一、二件という、失敗した例というのはどんな例ですか。
  141. 今井栄文

    今井参考人 失敗した例というのは、新しい商売をやるために失敗したというよりは、これはたくさんの方々土地をお売りいただいたわけですから、これはまあ全般の社会的な傾向の中でもそういう事例はあると思うのですけれども、たとえば、借金をして、借金のカタに、まあ家屋の所有権をめぐってごたごたがあるとか、そういうふうな例でございます。しかし、それはごくわずかでございまして、農地並びに宅地を売って外に出られた方々についての失敗例というものは、私どもとしては全然報告を受けていないというのが現況でございます。
  142. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その代替地が大体希望の三分の一ぐらいしかいっていないんでしょう。まあ、全部とは申しませんけども、そういう例もあるんでしょう。そういうために、いままでのように農業専業でやれないものですから、ほかのほうに転業した。しろうとでありますからどうにもならぬ。借金ということばがありますけれども、借金というのはそういうところから起こったんじゃないんですか。何も、補償していただいたその補償のワク内で新しく農業を始めるとか、そういうことであればいいわけで、借金するというのはどういうことなんですか。縮小されるんで困るので、借金をして何とか恒久的な生活のめどを立てたい、こういうことから借金ということが起こったんであって、原因は買収というところから借金というのは起こっているんじゃないですか。違いますか。
  143. 今井栄文

    今井参考人 私のことばが不足で、先生の誤解を招いたようではなはだ申しわけないと思うのですが、いまの借金というのは、敷地内全体の中の方々の中には、前からの借金で家その他につきましての完全な権利の行使ができないということで、公団に対して土地を売っても、その金をとられてしまうからということで、実はまだ未買収になっておるというふうな事例でございまして、私ども土地を売った方々で、外へ出られた方々がそういうふうな借金で苦しんでおるという、そういうことでは全然ございません。私が申し上げました一、二の例と申しますのは、すでに借金をしょっておりまして、その関係で、公団に対してそっくり土地を渡して、私どものほうから支払いを受けるということがなかなかできにくいという事情の方が一、二ある。こういうふうな意味で御理解を願えれば幸いだと思います。
  144. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま私は、一、二というのは、あまり適切な例じゃありませんけれども、しばしばあることは、農業をやっている人が商いをやる。商売人になろうとして、とてもそれはできませんから、それで事業が失敗した。あるいは、ちょっと小金を持ったんで、よくダムの補償などでは、二号さんを持って家庭の破壊をしたとか、そういう例も聞くわけですけれども、そういうものじゃなくて、いまあなたの言った一、二件というのは、もともと借金があったために、金をもらうとその借金のほうにとられちゃうからというようなことで、公団とは直接に関係のない、好ましくない例の一、二だと、こういうことなんですか。
  145. 今井栄文

    今井参考人 そのとおりでございます。
  146. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、もう文字どおり、その例というのは、公団の知ったことじゃない、公団が買収したというのが原因じゃないんだから、あとの移転というのは、すべて順調に、失敗はもうゼロで、きわめて前途有望な形で移転されていっておる、将来は前途洋々である、こういうふうに確認してよろしいわけですね。
  147. 今井栄文

    今井参考人 将来の問題でございますので、いまここで私がすべて手放しで楽観的に、将来とも万々歳だというふうなお答えはなかなかできにくいと思います。ただ、いま私がお答えいたしましたのは、現在移っておられる方々について、先生は、調査をしないでとおっしゃいましたが、私のほうでは、全部その後の生計の追跡をやっておるわけでございます。その結果出た報告書によりますと、先ほど申し上げましたように――何なら先生に差し上げてよろしいのですけれども、その資料によりますれば、全部成功しておる、失敗して困っているのはおらないというような報告を受けている。しかし将来、それはみんな個人個人のあれがございますので、どういうことになりますか、私どもとしては、現在のところでは、失敗例というものは報告を受けておらない、かようなことでございます。
  148. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは、私にその資料を出していいというのですが、いまのところは、間違いなく、御答弁からいきますと、きわめて順調である、前途は、いまの状況からいけばまあ心配は要らないんだ、洋々たるとは言わぬけれどもね。  そこでひとつ、その証拠の意味で、私だけ資料をもらってもしようがないから、後ほど委員長を経由して詳細な資料を全員に配付していただきたい。
  149. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 門司亮君。
  150. 門司亮

    ○門司委員 私は、この法案を審議いたします過程で、ずっと答弁を拝聴し、さらに会議録等を見せていただいたのでありますが、まだ多少ふに落ちないところがありますので、お聞きをしておきたいと思うのであります。  それは、この案の内容に触れます前にひとつ運輸大臣から正確な御答弁を願っておきたいと思いますことは、同僚の折小野委員からお尋ねのありましたときに、当局は、十年しか持たないという、こういう答弁が明確にされております。そうすると、日本の航空行政というのは一体どうなるかということであります。これも御承知のように、約十年かかる、四十八年に完成するのでありますから最初手をつけたのは三十七年ですから。そうすると、いまここでこういう論議をいたしておりますが、これはもう何だか、われわれが審議するにいたしましても、おかしなものであって、あと十年後しか使えないということであれば、十年後はどうなるかということです。これは何か航空行政についての確固とした方針が一体ございますか。そうしませんと、われわれは何のために議論しているのかちっともわからない。この辺をひとつ運輸大臣から明らかにしておいていただきたい。
  151. 原田憲

    ○原田国務大臣 新空港の供用を開始して十年程度しか使えないというお話を聞くのでございますが、このことについて明らかにしておきたいと思いますことは、新東京国際空港におきまして、離着陸の処理能力は、大体年間に約二十六万回。同空港に発着する航空機の離着陸の回数がこの回数に達するのが、新空港の供用開始からおおむね十年以降になるというように見込まれております。したがって、新空港は十年以上航空輸送事業の増加に耐えられるものでございますが、新空港がその能力の限界に達する時点以降ということになりますと、これはいまの羽田も、それから新空港も、それによってだめになるのではなしに、その飛行場としての能力は十分発揮して、それ以上の時点はどうするか、こういうことでございますが、これはいま全総計画の中にもありますように、構想事項として今後その時点において別途考慮する、こういう考えを持っておるということを明らかにいたしておきたいと思います。
  152. 門司亮

    ○門司委員 これは、いまお聞きをいたしましたように、具体的にどうなるか、この際非常に心配しますのは、航空関係については、将来飛行機も大型になるでしょうし、ひんぱんに来るようになるでしょうし、それからもう一つは、日本のアジアにおける地位、少なくとも日本は航空行政に対してはアジアにおけるターミナルというような形をとるべきではないかということであります。そういたしますと、いまのようなお考えでは、とてもそれにこたえることはできない。だから、もしいまの大臣のような御答弁だとすれば、われわれここでこういうものに口角泡を飛ばして三十時間もやったといわれておりますけれども、議論しておってもこれは何にもなりはしないのですね。一体、政府の構想はどうなんです。私はそういう考え方を実は持っておるわけであります。アジアにおける航空のターミナルはやはり日本に設置されることが、地理的条件から考えましても当然だと考える。そうすると、少なくともどんなに短く見ても、半世紀や一世紀くらいはこれならだいじょうぶだというようなことでなければ、国際的に有利な地位を占めるわけにはいかないと思うのですね。
  153. 原田憲

    ○原田国務大臣 門司さんの御構想は、私はそのとおりであろうと思います。したがいまして、構想ということについては、日本がアジアの中心としてやっていくための準備ということをしなければなりませんが、先ほども山口さんの御質問の中で少し答えたのでございますが、航空機の能力というもの、技術革新の非常に早い時代の能力というものを勘案いたしますときに、十年後に大体確実に見込まれるところで現在の計画というものを推進してまいっておるのでございますから、それ以後の問題につきまして十分抜本的な対策、これは飛行場だけでなしに、乗員の養成対策、あるいは航空保安体制、すべての問題を中心にして、その時点におけるところの体制というものを考えていかなければならぬ、この構想を生かしていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、さしずめいまの羽田の状態でございますから、これは四十六年にはどうしても成田の新しい空港を持っていかなければならぬ、こういう態度でいっております。御了解を賜わりたいと思います。
  154. 門司亮

    ○門司委員 どうもはっきりしたビジョンがないようでありまして、私ども非常に遺憾に考えております。なぜ私どもがそう言うかと申しますと、この空港はすでに拡張ができないといわれておりますね。そういう答弁があったのです。拡張ができないということになりますと、これはほんとうにどうにもならないものである。それから、この空港の位置等についても、どうお考えになっているか知りませんが、私どもから考えてまいりますと、必ずしも適当な地所ではないように考えられる。世界の空港の状態を、詳しいものでありませんが一わたり見てまいりますと、新東京国際空港は、面積も一番狭いし、都心までの距離は一番長い。条件としてはどこから見ても一番悪いですよ。  そこで、さっきから申し上げておりますように、ほんとうにひとつ考えてもらいませんと、世界の主要な空港をずっと調べてみましても、今度の新東京国際空港から都心までは六十六キロと書いてあるでしょう。その次に遠いと考えられておりますアメリカのダレス空港、ワシントンの空港でありますが、これですら四十七キロ、あれはかなり遠いような気がするのでありますが、四十七キロです。近いところは、ごく短いのはアムステルダムの空港であって十三キロしかない。こういうようなことですから、空港と都心との間というものをもう少し考える必要がなかったかと思う。アメリカから三時間か五時間で飛んで来るのに、こちらへ来て一時間もかからなければ都心に行けないということは、航空行政として非常な誤りだと思うのですよ。したがって、空港の位置について、ほんとうに考えられなかったのかということであります。しかし、いまからそんなことを申し上げましても、あそこにきめられておやりになっているのでやむを得ないことだと思いますが、同時に、空港の広さにいたしましても、ほんとうに小さいのであって、わずかに三百十八万坪でしょう。さっき申し上げましたダレス空港は千二百万坪持っているのですよ。約四倍も持っております。こういうことで一体――あと十年もつとかもたないとかいわれておりますけれども空港自身非常に大きな誤りをおかしているのではないかという気がいたすのであります。したがって、運輸省としては、こういうことに対して、そうではないという何か御答弁ができますか。六十六キロという距離はかなり遠いと思うのですよ。しかもこれは高速道路と鉄道でしょう。ほかの空港を全部調べてみましても、高速道路を使っているのは、ニューヨークのケネディ空港が高速道路を一部使っておりますが、あとはほとんど全部といっていいほどフリーウェーになっている。したがって、道路がこういう状態では、土地の人は、この空港ができたからといって必ずしも利益がないということでありまして、こういう面から考えてまいりますと、どう考えても、この法律によって近郊の人に補助金の割合をよけい出すとか書かれておりますけれども地域の人の受けられる利益というものはかなり少ないのではないかという考え方がある。道路をつけてまいりますと、道路の利用率というものは非常に低いのでありますから、こういう点に対して一体運輸大臣はどうお考えになっておりますか、もう一度聞いておきたいと思います。
  155. 原田憲

    ○原田国務大臣 アジアのターミナルにふさわしい理想的な飛行場をつくるべきではなかったかという御意見に対しましては、御意見は御意見として承っておきますが、いまも門司委員がおっしゃったとおり、今日ではこの飛行場を推進いたしまして早く開設をいたしまして供用開始をしないと、アジアの現在におきますターミナルとしての役目を果たし得ないということでございますので、目下鋭意努力をいたして関係法案の御審議を願っておるところでございます。この関係法案では十分ではないのではないかという御意見でございますが、この二ともできるだけのことを尽くしまして――この飛行場があることによって弊害が起こることも事実でございます。それに対応して地元がよくなるようにということで、全力をあげておるのがいま御審議をお願いしておる法案であるというように御了解賜わりたいのでございます。
  156. 門司亮

    ○門司委員 他のことはもう少しあとで聞きたいと思いますが、この空港で一年に大体どのくらいのお客さんがおりる予定ですか。
  157. 原田憲

    ○原田国務大臣 これは非常に具体的な数字でございますから、政府委員から答弁さしていただきます。
  158. 丸居幹一

    丸居説明員 四十六年の供用開始時点で二百七十万人程度、五十一年で七百二十万程度と推定をいたしております。
  159. 門司亮

    ○門司委員 いまの数字から見ますと、さっき申し上げましたニューヨークの空港の約半分に達しないですね。ニューヨークは千八百万人ですね。一体こういう姿でよろしいかどうか。ローマですら五百万人、これは昨年の十二月の統計でありますが、こういうふうにちゃんと書かれておる。これでは世界の主要な空港の利用度から考えると非常に低いわけであります。最初二百七十万人といったところで、ほんとうにどこの国でもそういうのはほとんどないといっていいくらいであります。こういうことを考えてまいりますと、実際上の問題としてこの空港が果たす役割りというのは、形の上からいっても、実際上からいっても、そう大きなものではない。私、さっき申し上げましたように、アジアの空港のターミナルとなるべきだ、大臣もそういうことをお答えになったようでありますが、それにふさわしいものではないと私は考えておる。将来日本が何といってもアジアのかなめとなろうとすることになりますと、もう少し十分なものがなければならぬと思います。  時間も何か委員長からだいぶ制約をするようにレポートが来ておりますので、あまり長く申し上げることもいかがかと思います。  そこでもう一つ二つ運輸大臣に聞いておきたいと思いますが、将来の運輸行政の中で、航空行政はかなり大きなウエートを占めることになろうと思います。従来のような形であってはならないと思いますが、運輸行政に対するこれの一元化というものについて何かお考えがございますか。時間がございませんから、私は具体的に率直に申し上げておきますが、たとえば英国では御承知のように航空省がちゃんとできておりますね。そのほかに航空省を持っておるのはオーストラリアが持っておりますし、ブラジルが持っております。それから、フランスが実は公共事業運輸省との中に置いておるようでございます。こういう形をとっておるのを見ますと、世界の今後の趨勢というのは、航空行政については、単に運輸省の中における一部門ということでなくして、新しい時代に即応することのために、こうした航空省を持っておる事例が世界の主要国の中にかなりあるわけでありますが、運輸大臣、こういうことをどうお考えになりますか。
  160. 原田憲

    ○原田国務大臣 お話のように、国際的な問題もさることながら、国内におきましても航空事業関係はどんどん伸びていっております。国内航空の旅客輸送の需要を見ましても、ここ十年間に約十四倍となっております。本年度は一千万をこえるものと思われるのでございます。この増加傾向は当分続くものと考えられまして、昭和五十年度には現在の三倍以上の輸送量。航空貨物については年率四〇%程度の伸び率を示しておりまして、昭和五十年度には輸送量は現在の十倍程度に達すると推定されるのでございます。これらに対応していくために、いまのお話のように、従来も航空庁を設置してはどうかというような話も出ておったわけでございます。先ほど十年後の問題についてお答えを申し上げましたが、航空機による大量輸送時代に備えまして、空港整備の促進、乗員養成体制の拡充、航空保安体制の強化等につきまして抜本的な対策を推進していくためには、航空行政の組織を拡充していく必要があるという考えは持っております。従来から、地方航空局の設置等によりまして充実につとめておるのでございますが、今後とも航空行政組織の充実について慎重に検討していきたい、このように考えております。
  161. 門司亮

    ○門司委員 政府はよく抜本的ということばをお使いになる。何でも抜本的だと言うが、何が抜本的だかちっともわからぬのであります。抜本的ということばの意味すらはっきりしないように感じとれるわけであります。そう言っておればよろしいんだということであってはならないと思います。したがって、冒頭に申し上げましたように、あと寿命が十年しかないということが明らかになって、拡張はできないのだということが明らかになっておるわけであります。そういう場合には、少なくともいまのような、抜本的にこれから考えるというようなことの必要はもうないんじゃないか。一体、将来の航空がどうなるかというぐらいのことは皆さんおわかりになっているはずである。航空だけでなくて、将来は宇宙計画まで立てなければならぬようになるでしょう。単に飛行機だけの問題でなくなりやしませんか。そういう非常に大きな変化を来たしておりますときに、十年しか使えない、あとは抜本的に検討いたしますというような、不見識ということばを使えば大臣からおしかりを受けようかと思いますが、私どもとしてはきわめて奇怪に感ずるわけでありまして、少なくとも日本の将来の航空行政を担当される大臣といたしましては、率直に聞いておきますが、次の航空の抜本的という問題でなくて、たとえばどの辺にどういうものをこしらえることができるのではないかということの構想でもございますか。もしおありならこの際発表していただきたいと思います。
  162. 原田憲

    ○原田国務大臣 国際空港の具体的問題に関しましては、いま成田の問題をお願いいたしておりますが、私ども政府、経済企画庁が発表いたしております全国総合開発計画の中では、新しく関西に国際空港を建設するということを飛行場としては発表いたしております。これは飛行場だけの問題として申し上げておきます。
  163. 門司亮

    ○門司委員 いま関西のほうだという御答弁がございましたが、それ以上深くここで追及しようとは考えておりません。しかし、それの規模、それから、同時に、大体これが十年しか使えなければ、あと十一年目から困るわけでありますから、十一年目ごろにそれが完成されて使用できるような具体案でもございますか。
  164. 原田憲

    ○原田国務大臣 ほかに北海道地方にも国際空港をつくらねばという構想はございます。具体的なものはそれ以外にいまのところございません。
  165. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、これは法案と少し離れたような形で質問いたしておりますけれども、私どもこの問題について、どうも日本の航空行政についてはどうなるんだかまだほんとうに見当のつかないようなことで、これは政府に何と言ってもどうしようもないと思います。もう少し政府は考えていただけませんか。航空だけでなく、宇宙関係までもかなり考えなければならないような時代になっておる。ことに日本は非常に国土が狭いのでありますから、国土の狭い日本に大きな飛行場をつくらなければならない。同時に、周辺に非常に大きな被害を及ぼすものであることに間違いがないのでありますので、単に関西だとか、あるいは北海道だとかいうことでなくして、少なくとも航空を考える場合には、この空港にしても、東京湾を埋めたらどうかという構想がかなりあったはずであります。これは自由に広い土地を使えるということと、できるだけ航空公害を少なくするということが一つのたてまえでなければならない。そして、住民に迷惑をかけないということが国の一つの方針でなければならない。ところが、この空港は逆にいっているから、問題がうんと出て、どうにもならないことになっておる。私は必ずしも、ワシントンのような大きなもの、あるいはニューヨークのような大きなものをこしらえろとは、日本の国土の関係からいえばなかなか言いにくいのであるが、しかし、なければ十年後どうにもならなくなってくる。したがって、ここでもう一度はっきり聞いておきますが、新しい構想については、これと同じような形でいまの陸地を利用されるのか、あるいは埋め立てというような新しい方針で、航空公害をできるだけ少なくするという方針で進まれるのか、その辺をもう一度聞いておきたいと思います。
  166. 原田憲

    ○原田国務大臣 今後の飛行機というものがどうなっていくかということについて、科学技術の進歩がいまおっしゃるように月まで到達する人間の能力でございますから、どこの国でもいま騒音というものが一番問題になっております。ロンドンにおきましても、第三空港をつくるということに反対というような空気が出てきております。したがいまして、これから飛行場をつくるときに、いわゆる公害という問題を無視してつくるわけにいかない。そういう点から、御指摘のようなことは十分考慮を払っていかなければならぬことは言をまたないと思いますが、それだけみなが公害をこうむるものに対する科学技術による克服というものがどれほど進むかということも、また私は問題になってくると思うのであります。したがいまして、現在の時点におきまして、門司さんのおっしゃるように、今後の飛行場をつくるときには十分そういうところに留意をするということは当然でございますが、なお一そう研究に研究を重ねて、安全と公害というものに対するところの科学技術の改良促進ということもあわせて処していきたい、このように考える次第でございます。
  167. 門司亮

    ○門司委員 まあ、こういう議論をしておると切りがないのでありますが……。  それから、結論として申し上げておきますが、今度の空港についてはできたものをどうするかということについての問題は別にいたしまして、私どもとしては、ずさんだ、と言うとおこられるかもしれませんが、日本の航空行政の上からいけば、私はきわめてずさんである――ということばが悪ければ幼稚だということばを使ってもよろしいかと思うのです。もう少し国ははっきりした態度で将来の航空行政というものを行なってもらいませんと、これはまごまごしていると日本の将来にかなり大きな影響を及ぼす問題になりはしないかということが考えられるから私は申し上げておるのであります。  それからもう一つ、ここで運輸大臣に聞いておきたいと思いますことは、この法律をお出しになっておる――これは私は自治省の主管でないと考えておったのだが、自治省が引き受けられておいでになるから、自治大臣にお聞きしたほうがよろしいか、そんな気もしますけれども、運輸大臣に聞いておきたいと思いますことは、新空港に対する周辺の整備は一体行政の範囲からいけばどこが担当すべきですかね。これは当然、空港をこしらえる一つの付帯要件だということを考えてまいりますと、運輸省の所管になるほうがよろしいのじゃないかと考える。何か、自治省が引き受けてくれるものですから、どうも話がつじつまが合わないようであって、自治省はわからぬのですね。航空は自分の仕事じゃないものですから。そこで、運輸省のほうで空港の周辺整備に対するものを考えていただくということのほうが私は当てはまるのじゃないかということを考える。しかし、これについて答弁を求めるとまた長くなりますから求めませんが、私はそういう意見から考えてまいりますと、この法案の内容になっておりますいろいろな仕事について、費用の面について従来よりもよけいに補助金を出すというようなことで頭をなでられたように考えておりますが、これが空港ができることのための付帯要件であるとすれば、この費用は全額やはり運輸省が支出すべきものだということを考えたほうがよろしいのじゃないかと考えるのですが、その点は運輸大臣どうですかね。
  168. 原田憲

    ○原田国務大臣 この法律のことについては私が答えなくてもいいように仰せられましたが、まあ簡単に答えますと、これは関連事業でございまして、この大部分が地方公共団体が行なう事業でございます。それから各省庁に関連する事業でございます。それから、この法律の目的は、地方公共団体に対する特別の財政措置を目的としたものでございますから自治省にお願いをした、こういうことでございます。これらのことは飛行場にどうしても要るというなら運輸省が予算を取って、そして出すべきものではないか、こういうお尋ねでございますが、この飛行場をつくるために運輸省関連事業の予算を取ってそうしてやる、こういうような形は非常に問題が多い。幾多の問題が関連をしてきまずから、やはりこの際は、このようなまことに自治省に対しては御迷惑かと思いますけれども、国の事業としてお願いをしていく、こういうぐあいに御了解を願いたいと思います。
  169. 門司亮

    ○門司委員 どうもいまの御答弁ですけれども、これは地方の自治体にはほとんど影響がないんですよ。何も空港ができなかったからといって地方の自治体がどうなるものでもない。地方の自治体はいままでどおりやっていけばそれでよろしいのだ。それで、空港ができましても、空港自体というものが地方の自治体にどれだけのプラスになるかということです。これは実際から考えていただかなければならない。この空港のできることによって、地方の公共団体が迷惑をする面のほうが利益をする面よりも多いのであります。そう考えてまいりますと、何といってもこれはやはり運輸省が全額を出していただいてやらぬと、地方の自治体はどうにもならぬのですよ。これは地方の自治体が要求したものじゃないのでありますから……。  私の聞いておりますのは、一体これはどこの仕事かということであります。いまのお話によりますと、方々に影響するからといいますが、方々になど影響しはしない。これは地方の地元の町村に影響するだけなんです。そして地元の町村はどれだけ利益があるかといいますと、何もないのですよ。あるものは飛行機が上がったりおりたりしてうるさいだけである。それから、道路ができて、いままで楽に相手方のほうに行けておったのが、ちょん切られて一回り回らなければいけないというような不便がたくさんある。だから、結局は、この問題の処理は、私はどうしても運輸省がすべきだ、これを何か自治省に持ってきて、そして何か地方の公共団体の利益が多少あるかのような形で、必然的に地方の公共団体がやらなければならぬ仕事が出てくる、それを援助をしてあげるんだということでこれを自治省に押しつけてきたということについては、私はどう考えてもふに落ちないのです。運輸省のいまのような大臣の御答弁では私どもは納得できないのであります。  そこで、自治大臣に聞いておきますが、自治大臣として、この空港のできたことのために、地方の公共団体がどれだけプラスになるとお考えになるかということです。
  170. 野田武夫

    ○野田国務大臣 新空港を建設する理由は、もうおそらく運輸大臣その他関係のほうからお話し申し上げたかと思います。いま門司さんも言っておりましたとおり、日本のアジアにおける地位から申しましても、御説のとおり日本に空港のターミナルをつくるくらいの気魄を持つべきである、全く同感でございます。ことに、それと同様に、最近の飛行機のいろいろな意味における速度、それから形とかいうものが非常に進んでまいりまして、現在の羽田国際空港ではとてもまかないきれない。どうしてもここに日本としても、また航空機の今日の発達のぐあいから見ても、これに対処する必要があるというところで新空港をつくる必要があるということになったことは、もう十分門司さんも御了解願えると思っておるのであります。したがって、この地域の利益のために成田地方に持ってきたということでなくして、やはり大きな一つの国家的、民族的な使命をしょっておるわけでございますが、今度成田地方にその建設が計画された、こうなりますと、いま門司さんもお話しになりますとおり、自治省といたしましては、何と申しても地方公共団体に迷惑をかけるということはあくまでこれは防がなくちゃならない。また、それに対しての処置は十分考慮して、地域住民のこれによる犠牲その他については、これをあくまで補償していかねばならぬ。同時に、これは一つのいわゆる国家的使命、また現実の日本の置かれている地位から考えて、こういう建設が行なわれる以上は、この地域方々が――いま申しますような、門司さんが指摘されるように、何も地域が最初から歓迎してやってないことも、これはよくわかっていることでございます。それはしかし非常な理解と、また地域方々に対する御迷惑をかけないようにと、長い間、公団はじめいろんな関係筋から非常な御努力をなさいました。また、地域住民の方も、いろいろと今日までの経過を見ますと、相当な理解を持っていただいた。そこで、いわゆる建設にかかったのでありますが、そういたしますと、自治省といたしましては、この周辺地域方々関係において、これに関連する公共施設の整備というものをどうしても計画的にやらなければならない。これはひとり空港のためにやるということだけでなくて、いわゆる地域の実態を見ますると、やはりこれはどの公共団体に対しても、あらゆる意味において公共施設の整備を計画的に総合的に進める必要がある、こういう考えでございます。御承知のとおり、それに対して財政負担も相当額になることが予想されますために、財政上の特別措置を講ずる、また同時に、ただ財政上の特別措置を講ずるばかりでなくて、できますならば、この地方公共団体の今後の開発にも役立つような考えを持つべきだ、そうしてその地域公共団体のためになるような方策を講ずる必要がある、こういう考えのもとにこのいわゆる特別措置に関する法律案の提案をしたのでございます。  なぜ自治省がこれを引き受けたかということなんですが、いま申し上げたことと、ことにいま運輸大臣がお答えしておりましたが、空港に関する事業の大部分は、もちろん地方公共団体が行なう事業でありますと同時に、各役所に関連する事業があることも事実でございます。そこで国と地方公共団体の連絡調整に当たり、地方財政を担当する自治省といたしましては、どうしてもこれは引き受けなくてはならぬ。そうでなければ、どうも私ども、地方公共団体がただ一つ財政上の措置をしてもらったがいいとか、補償したらいいとかというもので突っ放してはいけない。これはあとあとまでも自治省が、やはり地域公共団体の、何といいますか、お世話をしなければならぬ、こういうこともございまして自治省がお引き受けしたということでございまして、これは運輸省でもって一括予算をおとりになっておやりになることもけっこうですが、それだけ現実の建設に関連することだけやっていただいて、あとはおれのほうは関係がないということになりますと、自治省といたしましては、これはまことに不本意でございまして、できるだけ地方公共団体の将来も考えて差し上げなくちゃならぬ、こういうことで自治省がお引き受けした、こういうことでございます。
  171. 門司亮

    ○門司委員 非常に時間がおそくなっておりますし、皆さんいろいろお話しになっておりますから、最後に、ほんとうに考えていただきたいと思いますことは、先ほどのどなたかの質問に対する答弁を聞いていましても、飛行機が非常にやかましい。騒音に対する学校の施設なんということについては一級とか二級とかあるということで、それにマッチしたい、こういう御答弁があったように私は聞いておりますが、これも一体どういうことになりますか。現実には一級だといいましても、九〇%しか補償しないでしょう。一〇%は地元持ちですよ。防音装置をする小学校一つ建てるには何億かかります。かりにこれが一つ学校に五億かかるとすれば、その一〇%の五千万円は地方の自治体の負担ですよ。国はそういうことをしているでしょう。二級になって七五%しか国は出さぬでしょう。これが規定です。そうするとどうなります。地方の自治体の負担というのは非常に大きな形が出てくるわけであります。だから私は心配しているのである。運輸省は一体こういう問題についてどういう処置をされるのか。私は、いま国のやっておるのは――最初は大蔵省はそんなことを言ってなかった。最初は、たとえば基地周辺の学校に対しても全額国庫の負担でやるという方針である。しかし、一応全額負担でやるかわりには、旧校舎というようなものをおまえのほうで買い取れ。その値段は大体一割ぐらいだということで、従来からそういう妙な慣例があって、そして最近はほとんど九割、一割ということに、法律できめたわけではないと思うのですが、慣習上そういうことになっておる。かりにそういたしますと、この空港ができて一級になるか二級になるかということは、大体いまから想像つきますけれども地元の非常に大きな負担というものは、これ以外にも出てくるわけであります。だから、そういうことを私ども心配するから、こういう問題については、たとえば同じ騒音に対しまする処置についても、いまのアメリカさんのいる基地についてはこれは施設庁がやっているでしょう。そうして、あと足りないところを起債にするとかなんとかというようなことも、主としてこれは施設庁がやっているはずでありますし、自治省はあまり関係してないはずであります。  私は、こういうことを考えてまいりますと、何も地元関係があるから自治省がやらなければならぬということもありませんし、建設省の仕事にしても、農林省の仕事にしても、地方の自治体に関係のある仕事がたくさんある。それを何も自治省が全部引き受けているわけではないのであります。私はそういう心配があるので聞いているのでありまして、これは、そうすると、たとえば防音装置のような問題を学校でやるとすれば――やらなければならぬ学校ができる、あるいは移転しなければならない学校ができる、そういう場合は、全部これは運輸省でなくて、自治省の責任においておやりになるのか。仕事自身運輸省仕事ですよ。
  172. 丸居幹一

    丸居説明員 防音工事につきましては、従来あります飛行場については運輸省が施設しております。この新空港のほうは公団が担当いたします。防音の工事そのものは補助金は十分の十でございます。改築をいたします場合には、先生のおっしゃるとおりに十分の九でございますが、これはやはり改築をする場合は鉄筋コンクリートになるとかなんとかということでございますので、その利益があとに残るという考え方でございまして、これは防衛施設庁で行なっておるものも、そういうふうに基準は同じようにわれわれのほうもしておるわけでございます。
  173. 門司亮

    ○門司委員 私は防音装置といま俗に言っておりますのは、大体一級のことなんですね。鉄筋コンクリートでなければほんとうの防音はできないですね。それから、防音をしますと、地方の自治体はまた金がかかるのです。暖房しなければならない、あるいはクーラーをつけなければならぬ。経費がかかるのです。ただ木造に防音装置をやるということになると、これは完全には使えないのですね。場所がそういう遠いところでときどきしか来ないのだから間は窓をあけてよろしいのだというなら別の話、そういうところにごく簡単な防音装置をやっておる学校もないわけではございません。しかし、大部分学校では、ほとんど全部といっていいほど改築していることは事実であります。そうなければならぬはずであります。そうやりましても、地方の自治体は普通の学校よりも経費がかかるわけであります。夏の暑いときに全部締め切って授業をやるわけにいかない。どうしてもクーラーをつけなければならぬ。私はそういうことを心配するから、こういう問題をやろうとするには、これは自治省が引き受けるべきものではなくて、主管省である運輸省が引き受ける。そうしてそういうものに対処していくということが、話もしやすいし、筋道も通ると私は思うから聞いておるのであります。  大臣はいま周辺のことだからというようなお話がございましたけれども、私の聞いているのはそういうことであって、将来必ずそういう問題が起こるということである。だから主管は、あくまでもこういう問題をお出しになる場合は、やはり運輸省の予算でそういうものをとっておいていただきませんと、自治省がこれを引き受けるわけにはなかなかいかない。自治省の仕事では全然ないはずだ。そういうことを私は考えますので聞いておるのでありまして、これ以上答弁を求めてもしかたがないと思いますけれども、何か御意見があれば、自治大臣でも、運輸大臣からでもひとつ御答弁願っておきたいと思います。――意見がないということは、それ以上質問してもしようがないと思いますけれども、こういう問題については、そういうことをほんとうにひとつ考えておいてもらいたい。そうしませんと、地元ほんとうに迷惑です。空港ができて一体どれだけ利益がありますか。損するだけなんです。これで地方の自治体が発展するとはどう考えても考えられません。どこの空港に行っても、空港ができたから地域が発展したなんというのはありやしません。したがって、こういう将来の問題として必ず大きな財政的の負担を地方の自治体にかけると私は思うので、最後に念を押しておきたいと思いますが、この超過負担や何かの面については特に自治大臣なりあるいは運輸大臣のほうでめんどうが見ていただけるかどうかということを、最後にひとつお聞きをいたしておきたい。
  174. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま門司さんの御指摘されました問題ですが、私も十分そういう懸念があります。ことにいま最後に言われた超過負担というような問題、われわれにも相当予想されるわけであります。これらに対しましては、自治省といたしましては、そのいわゆる超過負担が予想されるという前提において十分善処しなくちゃならぬということは、いまからお互いに考えておるところでございます。できるだけ地方公共団体の負担が重くならないように積極的に考えたい、こう思っております。
  175. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 関連して細谷君の質疑を許します。細谷君。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、せんだっての私の質問で大臣いらっしゃいませんでしたから保留しておった点でありますが、いまの門司委員質問に対して、自治省がこの法案を引き受けることになった理由というのは、空港をつくること、それに関連して将来の総合的な計画、開発、こういうことも必要なので、いわゆる総合調整の役割りをになってこの法律を自治省が持つことになったのだ、こういうおことばですが、そのとおりですか。
  177. 野田武夫

    ○野田国務大臣 そのとおりです。
  178. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ところが、大臣、そうなりますと、この法案そのものについては問題がありますよ。この法案の第二条の一項では「千葉県知事は、新東京国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の整備に関する計画の案を作成し、これを自治大臣に提出しなければならない。この場合において、千葉県知事は、あらかじめ、関係市町村の長の意見をきかなければならない。」こう書いてあるわけです。そして第二条の四項にいきますと、「自治大臣及び次条第一項の主務大臣は、空港周辺地域整備計画の案に基づき、協議により空港周辺地域整備計画を決定する。」自治大臣が主人公じゃないですか。この法律の主人公ですよ。総合調整の役割りでやるというどころではないのですよ、これは。千葉県知事は案を作成することだけです。その千葉県知事は、あらかじめ案を作成する場合には関係市町村長の意見を聞きなさい――意見を聞けばいいのですね。作成したものの決定権はどこへ行くのかといいますと、自治大臣が決定するんですよ。主人公ですよ。ですから、いみじくも運輸大臣もおっしゃっておりますが、この空港は国の必要性に応じてつくったんだ、大臣も門司委員質問に、アジアのターミナルとしての役割り、これは国がやらなければいかぬことでしょうと、大臣も同じことを言っている。運輸大臣もそうおっしゃった。そういうことから新東京国際空港をつくられるのでしょう。それによって周辺市町村が関連工事をやらなければならぬわけであるのですから、門司さんが言うように、当然これは国の責任でやらなければならぬわけですね。それはいいのですけれども、これはどうかというと、財政負担についての援助の特例なんでありますから、県や市町村はやりなさいよ、その決定はおれがしてやるのだ、おまえのところは案を作成してくるだけだ、これはそういう法律ですよ。一体どこが主人公なんですか。国は、おれがやらなければならぬからこういう国際空港をつくるのだ、周辺の地域はおまえたち金を出してやりなさい、ちょっぴり財政特例法で援助してあげましょう、しかしその決定は国がしたとおりやるのですよ、こういうことでしょう。まるっきり人の金で、人の金というよりも自治大臣の配下にある県や市町村に金をつかませて、国の責任を転嫁しているようなものですよ、この法律は。これはたいへんな問題です。ところが、大臣、この間この委員会で可決されました小笠原の場合は、これは国が東京都と協議して、そうして大臣が決定することになっているんですよ。これもたいへん問題になったんです。今度のような、大臣が言うように、将来の開発等も含めて――いままでたくさんの開発立法がありますけれども、開発立法の場合には、県知事が計画をつくってきた場合には自治大臣が承認をする、こういうことですよ。これがいままでの開発立法の例です。県知事がつくるのは、市町村長と協議の上、県知事が案をつくって、そして自治大臣がそれを承認するというのですよ。一応決定権は、主人公は県知事にあったんだ。自治体にあったのです。今度は主人公は自治大臣ですよ。自治大臣ばかりではなくて、ここに書いてありますが、「自治大臣及び次条第一項の主務大臣は、空港周辺地域整備計画の案に基づき、協議により空港周辺地域整備計画を決定する。」というのですから、運輸大臣とも協議するんでしょう。少なくとも政府が決定するわけですよ。金はおまえたち出しなさいよ、ちょっぴり援助はしますよ、こういう法律ですよ。小笠原の場合には、構成には問題がありましても、復興審議会というものの意見を聞かなければならぬということが書いてあるのですよ。これは何にも書いてないのです。自治大臣が中心関係大臣と協議してきめる。復興審議会も何もないのです。奄美もそうですよ。奄美の振興審議会という民主的な機関が一応あるのですよ。それがここでは何にもないのです。運輸大臣なり自治大臣が先ほど門司委員に対して答えた基本姿勢と、この法律は違うのです。これは問題があります。自治権の侵害ですよ。どうですか。
  179. 野田武夫

    ○野田国務大臣 今回のこの新空港法案におきましては、つまり空港周辺地域整備計画をだれが立てるかというと、知事が原案を作成するということになっております。国のほうでなくて、地方公共団体の長がこれを作成する、そうしてその案に基づいて自治大臣が関係省庁と協議の上で決定する、こういうたてまえになっております。それで整備計画に盛り込まれるべき空港関連事業、これは御承知のとおり空港全体には何も私は決定権はない。関連事業、つまり公共団体における関連事業でございますから、その関連事業につきましては、これまですでに新空港建設実施本部を設けまして、そうして関係市町村の意向も踏まえ、千葉県及び関係省庁の間に十分協議を積み重ねた結果が、この事実上決定を見ているものでございます。いわばこれらの事実上決定いたしました諸事業を、国が全体を見て、何と申しますか、オーソライズすることによって、地元に対して国が関連事業の実施を約束すること、及び関連事業のうち必要なものにつきましては特例を設けて財政援助をやる。こうここにいうところの決定と申しますのは、地元の県や市町村が自分の責任で行なう事業につきまして、国が事業の執行に関与したり、またこれをチェックするという意味はもちろんございません。国が地元の原案をもとに地域の整備計画を決定するという法令上の型は特に本法独得のものではなくて、従来も首都圏整備法や近畿圏整備法においても例のあることは御存じのとおりだと思っております。そういう意味におきまして、これは小笠原その他と違うんじゃないかということでございますが、つまりこれは、この関連の地方公共団体の一番の関連者である千葉県、その千葉県知事がすでに市町村の意向をはかり、諸官庁と折衝いたしまして案をつくるのでございまして、これがすでに、ある意味においては形の変わった審議会みたいな形――別にそういう形はございません、これは実際御指摘のとおり。ありませんが、手続上におきましては、そういう積み重ねたいろいろな交渉、折衝、それから地元の意向、これらを総合してつくるのは国ではなくて千葉県知事がつくる、こういうことでございまして、もうつくるときに、すでにいま申し上げましたところの空港の整備すべてをやっておりますところの本部と申しますか、空港建設の本部、この実施本部においてこれらを総合的に千葉県と連絡してやっている。その結果を持ってまいったのでございますから、国の施策を押しつけてこうやれというような、細谷さんお考えのようですが、私どもの姿勢といたしましては、国から押しつけてやるのでなくて、やはり地元の責任者においてつくってもらう。ちょうど、小笠原においては都知事のつくられた案、この関連事業においては千葉県知事のつくられた案、こういうものをわれわれは踏まえてそれに対して措置をする、こういうことでございまして、決して国からかれこれの指図をしたり、ことに自治省といたしましては、さっき申しましたとおり、われわれはあくまでも地元方々に御迷惑をかけないように、負担を軽くしたいというのが本旨でございますから、そういう意向でかかっておるのでございます。
  180. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、ことばはずいぶん丁寧で長々しくお答えいただいたんですけれども、私の質問に対して中身は何にもないですよ。大臣は、オーソライズした――大臣はこの前いらっしゃいませんでしたが、私は質問したのですが、市町村長の意見を聞いて知事が作成した、そして関係閣僚と協議の上自治大臣が決定するわけだが、その間に十分に議は尽くされておる、こう言っています。そうして十分な困らぬような財政援助とおっしゃっていますけれども、実は地元のほうで、対象事業に十二項目を選んでほしい、それには最低限こういう補助率を出してほしい、こういう最低としての千葉県知事と市町村長の要求というのがあったわけです。それがこの法律ではたった六項目になったわけですよ。補助率も削っておるのですよ。言ってみますと、大蔵省あるいは自治省との予算の折衝の中で、地元の、十二項目を事業の対象にしてほしい、そして補助率はこうしていただきたいということを完全に――完全にというか、ほとんど大部分ぶった切って、そしてオーソライズしたと言うのは、こんなオーソライズはありませんよ。言ってみれば、自治大臣が決定することがオーソライズされたのであって、知事が決定したことはオーソライズされておらぬという、どうも大臣らしくない考えが頭の中にあるのじゃないか。さんざん地元の要望を値切っておいて、そしてこの法律ができてわずかに三十億円足らずの財政援助を十年間にやるというのですよ。額面は二十七億でしょう。それに若干の、何か知りませんけれども考えてやるものがありますから、合わせますと三十億足らずですよ。それを十年間にやることによって、がんじがらめに、自治大臣が決定した事業をしりをたたいてやらせるというのですから、これは文字通り千葉県の自治体としての自治権もないでしょう、市町村の自治権もないでしょう、こう申さなければなりませんよ。私は大臣、この部分は改むべきだと思いますね。(発言する者あり)雑音はやめてください。どうですか大臣、それをあなたがきめるといって、そしていろんな意見を盛り上げて積み上げてきてオーソライズしたのだと言うのですけれども、実態はそうなっていないのですから、どうお思いですか。
  181. 野田武夫

    ○野田国務大臣 経過の内容、これはまたいろいろあったことと思っておりますが、結論から申しますと、いずれにいたしましても、いま私が申しましたとおり、千葉県知事の作成したものを踏まえて決定するのでございまして、その間に、千葉県知事としては大体の地元の意向も聞きましたし、また要求のうちの無理からぬものは取り上げておると思います。私は経過を詳しく存じませんが、いろんなことがあったことは想像できます。しかし、千葉県知事としては、一応この程度ならばまあ地元においても関連事業を遂行するによかろうということで作成してきた案、それに対して私、自治大臣として関係各省とまた協議し、そして大体この千葉県知事の作成した案をわれわれは決定して遂行しようという腹がまえでございまして、たとえばいろんな条件として十二ですかあったのを六つにした――いろんなことを細谷さんは非常に詳しいから御存じで、私はよく存じませんが、最後には千葉県知事は大体この程度で妥当だ、こういう認識をもって案を作成してきたものだ、こう私は解釈いたしております。
  182. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最後に、千葉県知事が了承したと言うけれども、それは参考人で来たときそう言っていましたが、それはあなたの権力による押えつけであって、形だけのオーソライズですよ。ですから私は、やはり自治体の総合的な必要がありますから、知事が案をつくって、そして自治大臣が関係各省と協議の上それを承認するという従来の開発立法の形、そういうことならいいですけれども、これはひどいですよ、門司さんが言われるまでもなく。あらゆる負担というものが自治体に起こってくる。事業主体は自治体でしょう。それを自治大臣が決定するなんということはおかしいですよ。大臣、工場誘致の問題で自治体の財政が破綻したという例も多々ありましょう。今度の空港でも、私は、たとえば成田市等の財政事情というのはたいへんなことになるのではないか、こう思います。それはどうやられるかわかりませんけれども、この法律のおそらく四条で何とかやろう、こういうことでお逃げになるのじゃないかと思いますけれども、特にこのことによって市町村がたいへんな深手を負わないように、特別な配慮をお願いしなければいけませんけれども、この法律の体系については、両大臣のことば、姿勢からいってどうしても了承できない。これは自治権の侵害です。これは直していただかなければならぬ。私は、せいぜい自治大臣はその案を承認する、こういう程度のものでなければ従来の開発立法と合わない、こういうことを強く申し上げて、きょうは終わります。
  183. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 井岡大治君。
  184. 井岡大治

    ○井岡委員 もう時間がございませんから、簡単に運輸大臣にお尋ねをいたします。門司さんが、私がお尋ねしたいことをほとんど申されましたので、大臣に一つだけ聞いておきたいと思います。  この騒音の問題はいろいろいわれておりますけれども、大臣は特に伊丹空港のお近くですから、騒音の公害というものがどういうものだということをよく御存じのはずだと私は思います。そこでこの法案は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、この法律に準拠してその騒音被害補償をおやりになる、こういうように考えていいですか。
  185. 原田憲

    ○原田国務大臣 あの法律に基づきまして、この場合は空港公団が行なう、こういうことでございます。
  186. 井岡大治

    ○井岡委員 それはちょっと違うのじゃないですか。いわゆる公団が建設する、騒音防止の設備をするのは公団がやるのであって、騒音による被害、この補償は国がやる、こういうことでなければならぬと思うのですが、そうと違いますか。
  187. 丸居幹一

    丸居説明員 御指摘のように、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の中に、「「特定飛行場」とは、」ということを書いておりまして、特定飛行場を特定しておるわけでございますが、その中に「新東京国際空港」という項がございまして、それでこの「特定飛行場の設置者及び使用者の責務」ということで、先生がさっきおっしゃったような対策を講ずるのでございまして、国にかわって公団が――東京大阪の両飛行場は設置管理者が国なわけです。ちょうどその同じ立場に公団が立ちますので、この飛行場騒音防止法に関する処置も、設置管理者である公団がするということに法律上なっております。
  188. 井岡大治

    ○井岡委員 私が言っておるのは、騒音防止のための設備、それは公団がやるのでしょう。この法律をよく読んでごらんなさい。第二条、「定義」、「この法律において「特定飛行場」とは、運輸大臣が設置する公共用飛行場であつて、当該飛行場における航空機の離陸又は着陸のひん繁な実施により生ずる騒音等による障害が著しいと認めて政令で指定するもの及び新東京国際空港をいう。」それから第十六条に、「新東京国際空港に係る第十条の規定による損失の補償については、当事者間の協議により定める。協議がととのわないとき、又は協議することができないときは、当事者は、運輸大臣の裁定を申請することができる。」そしてずっと書いてあるのですよ。だから当面、設備それ自体については公団がやるのでしょう。ところが、設備がしてなくて、たとえば芝山の場合、こういう場合は一軒一軒設備をして回るわけにはいかないですよ。そうだとするならば、その補償を要求するわけですよ。これは国がやるのでしょう。公団がやるのですか。公団はつくってしまったらしまいでしょう。そうと違うのですか。
  189. 丸居幹一

    丸居説明員 第十条に「損失の補償」という項がございまして、特定飛行場の設置者は、その損失を補償するということになっておりますので、公団があくまでもやるわけでございます。この定義の第二条で、「この法律において「特定飛行場」とは、」というのがありまして、「運輸大臣が設置する公共用飛行場で」云々とありますのは、ただいま政令で指定しておるのは東京大阪の両空港でございます。「及び新東京国際空港をいう。」ということになっておりまして、特定飛行場に新東京国際空港はなっておるわけでございます。この特定飛行場の設置管理者がその損失を補償するということになっておりますので、東京大阪、現在あります両空港は設置管理者が国でございますので国でやりますけれども、新しい飛行場の設置管理者は公団でございますので、公団があくまでもその補償までやるということになっております。
  190. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、これは私はたいへんなことだと思うのです、公団としては。これはあとで聞きますが、騒音というのは一日で消えるものじゃないですね。これから永久に騒音はあるわけですよ。私はこれを聞こうと思っておった。ということは、一年ずつ補償をしていくのか、それとも固めてやるのか、ここらの問題があると思う。公団は建設公団であるから、建設が終わってしまうと公団それ自体はなくなるのじゃないですか。
  191. 丸居幹一

    丸居説明員 公団は、建設が終わりましたら、引き続きまして運営管理をいたすことになっております。それですから、ずっとこの飛行場が続く限り残るはずでございますので、この補償の第十条の項は、たてまえとしましては、毎年毎年補償をするというのが大体の前提でございます。しかし、いろいろむずかしい問題がございまして、一挙に補償する場合もございますが、たてまえは毎年毎年やります。しかし、毎年行ないましても、さっき申し上げましたように公団がずっと残りますので、公団でやれるように思います。
  192. 井岡大治

    ○井岡委員 わかりました。じゃ、そういうことで、この問題は大臣にもうこれ以上聞きませんから、この次の機会に譲ることにいたします。  十条に基づく補償はどういうような方法をおとりになるのですか。いわゆる補償の方法です。
  193. 今井栄文

    今井参考人 従来私どもとしてまだ正式なこういうふうな事態についての補償規定は実はできておらないのでございますけれども、事柄としては農耕損害補償といいますか、飛行機が離陸あるいは着陸するというような場合の騒音によって農耕が阻害される、具体的にどういうふうなケースがあり得るか、どの程度の損害が起こり得るかというふうなことを今後十分検討したいと思っております。私どもはそれによって生ずる経済上の損失に対して、公団規定をつくりましてその基準に従って補償する、こういうようなことになっております。
  194. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、少なくともこれを交渉をしていこうというのであれば、これからつくるというのでなくて、やはりこういうようにつくってこういうものだということを見せない限り、ただつくるんだ、つくるんだ、補償しますよ、補償しますよだけでは問題は解決しないと思うのです。ですから、早急につくっていただきたいと思いますが、どうですか。
  195. 今井栄文

    今井参考人 御趣旨に従いましてできるだけ早く私どもとしても規定を検討したいと思います。
  196. 井岡大治

    ○井岡委員 それからもう一つ。この間からじっと今井さんのお話を聞いているのですが、今井さんは航空局長だったですから、飛行場周辺に三万都市ができるとか、十万都市ができるとかいうようなお話をなさっているのを聞いて、およそ今井さんらしくないお話をなさっている、そんなことはできっこないのに、あたかもできるような幻想を持たしておいでになる。世界の飛行場の中で、飛行場の周辺に町なんかできているところがありますか。わずかにあるのはパリだけでしょう。そういううそを言っちゃいけないと思うのです。あなた、局長だったんだから、世界の飛行場がどこにどういうのがあるかということはよくわかっている。そういううそを言ってごまかさないようにしていただきたい。空航を整備をするというのならわかりますよ。その周辺に人口が密集してくるようなものの言い方というのは、およそナンセンスですよ。ですからそのことは直していただきたい。
  197. 今井栄文

    今井参考人 いま先生のおっしゃるお話でございますが、私、うそをついておるというふうなことではないのでございまして、滑走路の進入表面につきましては、先生大阪空港をよく御存じだから特に私申し上げる必要はないのですけれども騒音の非常に激しい直下においては都市ができるというふうなことはあり得ないのじゃないかと思います。  ただ成田計画いたしておりますのは、御承知のように北総台地は従来主として農業をやっておりました関係上、ほとんど産業らしい産業はないということ、それからまた、空港に従事する人間が、羽田でも現在一万人以上の人間が常時従事いたしておるわけでございまして、やはりこういった人たちが空港の周辺にどうしても住まなければならないという問題があるわけです。  それから、それに伴いまして、理髪関係とかクリーニングとか印刷だとか、空港で働く人たちのために、あるいはまた空港に必要な事業のために、いろいろな事業が興ってくるということも、これまた間違いのないことだろうと思います。  それから、都市の問題でございますけれども、現在千葉県が計画いたしております成田ニュータウン、これは空港滑走路の進行方向からは西のほうに相当隔たっておりまして、そこに六万都市をつくって空港に勤務する人たち、あるいはまた空港関連産業に勤務する人たちがそこに永住する、こういうふうな形になるのじゃないかと思いますが、こういうことは、見通しとしては私必ずしも間違っていないのじゃないかというふうな気がいたします。  ただ、先生がおっしゃるように、進入方向の直下に人家が密集する、こういうふうなことはあり得ない、かように考えております。
  198. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、あそこの土地は、関東ローム層というのですか、火山灰ですね。ボーリングしてあの層が何ぼくらいあるのですか。
  199. 今井栄文

    今井参考人 関東ロームの問題につきましては、たびたびお話が出ておるわけでございますが、私どもの調査によりますと、御承知のように北総台地は平均標高約四十メートルというふうな平坦な台地でございまして、それに高さ約二十メートル程度の谷地田が樹枝状に入り組んでおるというふうなことでございます。それから、この台地部につきましては、基盤層として成田砂層が全域にわたりまして約数十メートル以上の厚さで分布いたしておりまして、台地部はこの砂層上に下末吉ローム層、その上に立川あるいは武蔵野ローム層というような、いわゆる関東ローム層が四ないし六メートルの厚さで堆積いたしておるわけでございます。工事につきましては、私どもとしては、技術的な調査の結果、十分土工がやり得るという検討の結果が出ておるわけでございますが、私専門家ではございません。ちょうど幸い工務担当の高橋理事が来ておりますので、簡単に説明させます。
  200. 高橋淳二

    ○高橋参考人 ただいまの御質問に対しまして、少し専門的な見地から申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、関東ロームというのは非常にてこずる土質でございまして、すでに東名高速の工事におきまして、この困難性のためにかなり研究されたわけでございます。それで結論的に申しますと、あの土質はこね回すと非常に悪い土質である。特に削りまして、それを運搬して、たとえば築堤をするというようにこね回しますと非常に強度が落ちるわけです。それらまた、こね回した土に雨が降るということになると施工ができないというような二とがございまして、確かに困難性がございます。ただ、地山のままでそれを削って使いますと意外にしっかりしたものであるということもわかってまいったわけであります。  それで今度の成田空港といたしましては、表層をできるだけ薄く削りまして、場所によりまして一メートルないし二、三メートルという程度になると思いますけれども、これを削りまして、その土は、滑走路あるいは誘導路等の大事な部分でない谷地田に捨てる。そして滑走路、誘導路等の大事な工作物の下はいい土を持ってまいりまして、いわゆる区域外から、山砂でありますけれども、山砂を持ってまいりまして、それを十分突き固めて築堤をするということを考えておるわけでございます。したがいまして、かなり大量の砂を外から運び入れなければならぬという問題もございますけれども、数量的に申しますと百二、三十立米というものは運び込まなければならぬという問題があるわけでございます。しかし、それを除きましてはさほど困難性はないというように私たちは考えておるわけでございます。
  201. 井岡大治

    ○井岡委員 百三十万立米ぐらいで済みますか。
  202. 高橋淳二

    ○高橋参考人 大体一番使います部分としましては、先ほどうちの総裁から申し上げましたように、四千メートル滑走路の北の駒井野の付近の谷地田でございまして、これは全部を埋めますのに約二百五十万立方メートルほど要るわけでございます。ただし、そのうち滑走路あるいは誘導路直下の重要な部分についての盛り土だけを良質の土砂でやりますので、それについてはほぼ百三十万立方メートル程度あれば済むというぐあいに考えております。
  203. 井岡大治

    ○井岡委員 滑走路は三つでしょう。一つじゃないですね。二千五百メートルと三千二百メートルと四千メートルと三つでしょう。それだけできますか。
  204. 高橋淳二

    ○高橋参考人 ただいま申しました百三十万立方メートルというのは、四千メートル滑走路中心とした第一期の目標でございまして、そのほかにもちろん御指摘のように三千二百メートルあるいは二千五百メートルの分がございます。これにつきましては、やはり相当大量の土砂が要るというぐあいに考えております。
  205. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると約三百万立米、こう考えていいですね。どこから取るのですか。
  206. 高橋淳二

    ○高橋参考人 百三十万立方メートルにつきましては、幸い空港周辺にかなり良質の山砂がございまして、場所は数カ所にわたって取り得るものと考えております。
  207. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、もう一つだけ聞いておきますが、立ち入り検査をしなければいけないと思うんですね、買収の場合。あれは告示を必要としますね。しませんか。
  208. 今井栄文

    今井参考人 おっしゃるとおり、最初の敷地内の調査につきましては、これは公団自体の告示というよりはむしろ県に告示をお願いする、こういうたてまえでございまして、県のほうからそういうふうな措置をしていただきます。
  209. 井岡大治

    ○井岡委員 この前、三本の立ち入りをやったときは朝方やったわけですね。立ち入り調査をする場合は日の出から日没まで、しかもするということを五日前に通知をしなければいかぬですね。
  210. 今井栄文

    今井参考人 私が県の告示が要ると申しましたのは、前に私どもがその土地空港の予定地として決定するというふうな趣旨で告示をしていただいたんです。これは法律的に言いますと、公団発足の年の暮れでしたか、その翌年早々でしたか、千葉で正式に公聴会等も二回やっておるわけでございます。いま先生のおっしゃる意味が、もし土地収用法による立ち入り調査の告示という意味でございましたら、現在私どもはまだ土地収用法の事業認定の申請をいたしておらないわけでございますから、収用法に基づく告示というものは現在ないわけであります。
  211. 井岡大治

    ○井岡委員 収用をかけるかけない、これはいろいろ問題があるだろうと思います。あると思いますが、問題の解決はなかなかそう簡単にはいかないと思うんです。そうすると、もし収用をかけるとするならば、いま言うように告示しますか。
  212. 今井栄文

    今井参考人 これは当然に県にお願いして告示するということになるわけでございます。
  213. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、この間からの話を聞いておりますとたいへん問題がこじれてくる。何か決死隊とかなんとかいう話も出ております。私、あそこへ何回か行きまして、そういうことになってくるとこれはたいへんだと思うんです。あなたが予定されている四十六年までに完成をするかといったら、私はおそらくできないんじゃないかと思う。したがって、どのようにしたら具体的に解決をするか、いま確信がありますか。
  214. 今井栄文

    今井参考人 私は、委員会でいつも同じような御答弁を申し上げておるのですけれども敷地の中には現在約七十五名程度ですか、約八十ヘクタールの反対派の方々土地があるわけです。私どもの都合で申しますと、第一期工事区域、西側の半分については、そういう現に農地を持って反対しておられる方というのは非常にわずか、しかも工事上あまり支障がないということでございまして、主として第二期工事区域におられるわけでございます。先生も御存じだと思います。それでほんとうに農地を愛するという意味で、空港反対しておられる方が相当多いと思います。そういう方々に対しては、あくまでも今後やはり私どもとしては説得に努力するということで、現在もやっておるわけでございます。代替地につきましても私ども用意した代替地百六十五ヘクタールばかり、現在まだ未配分で残っておるわけでございます。そういうふうなところについて、反対派の方々個々と実は折衝もいたしておるわけでございます。すでにもう最近では十数名の方々が、大体ここならよかろうというふうなことで、私どものほうの立場を御理解いただいておるというふうな結果も実は出てまいっておるわけでございまして、私ども敷地内の農民の方々に対しましては、やはりあくまでも力強く説得をし、それからまた、それらの方々がかりに御了解いただいた場合でも、前に賛成した方々と一切の件について何ら差別をしない、こういうたてまえで努力いたしたいと思っております。
  215. 井岡大治

    ○井岡委員 その四千メートルだけをこしらえても、私は飛行場としては役に立たないと思うんですね。やはり二千五百メートルと三千二百メートルですか、これを同時にこしらえなければ、私は飛行場としては役に立たない、こう思うんです。それだけにこの問題はたいへんだろうと思うんです。したがって、私はこれで質問をやめますけれども、いずれにしてもあそこの飛行場というのは、そう簡単なものじゃない。地層から考えてもたいへんな問題がある。それから、関連のいろいろな施設をつくる、いろいろ言っておいでになりますけれども、それらについて一つも準備が進んでおらない。水道にしたって、下水にしたって、ここにやります、ここにやりますだけです。これじゃ、私はほんとうにやる気があるのかないのか疑いたくなる。そういうものを整備をしていって初めて――こういうようになるんですよということを見せないで、ここへ絵をかいたやつをこのようになるんですと言ってみても、私は開発にはならないと思う。そういうことについてお気づきになりませんか。
  216. 今井栄文

    今井参考人 先生おっしゃるとおり、四千メートル一本で飛行場が完成するわけではございませんので、先ほど来申し上げておりますとおり、現在私どもは全体で七割以上の用地買収を終わったわけでございますけれども、残っておる反対派の方々に対しては、心から誠意をもって説得を続けておるというのが現状でございます。これは主として二期工事関連する部分方々でございます。したがいまして、私どもは全体をつくるというたてまえから現在反対派の方々に接触をいたしておるわけでございます。  それから、何もしておらないというふうなお話でございますけれども、そうではないと私は確信いたしております。公団は、地元方々の離職対策あるいは就職対策等につきましては、相当の成果をあげておりますし、また関連事業として一番大きな根本名川の改修であるとか、流域下水道問題あるいは新しい道路の建設関係、すべての仕事が現在施行を始めた段階でございまして、私ども空港の完成と相まって、そういうふうな施設ができ上がるということを関係の省の方々のおことばで確信をいたしておるわけでございます。
  217. 井岡大治

    ○井岡委員 たとえば、あそこの国鉄の操車場、駅はあのままではどうにもならないはずです。しかもあの踏切というのは、あのままにして幾らやってみたってどうにもならない。したがって、あそこは立体にするとかなんとかの方法を考えなければいかぬと思う。しかもそれはすぐ裏が大きな機関庫ですから、立体にしたとしても、どこかに持っていかなければならない。そういうことについて国鉄と折衝された経緯がありますか。
  218. 今井栄文

    今井参考人 先生のおっしゃるのは国鉄の成田駅の関係だろうと思いますが、これは成田駅のみならず、私どもが骨材として使用する砕石の輸送につきましては、すべて関連のある地方の鉄道管理局との間に十分な打ち合わせを実はやっておるわけでございます。これは先般国鉄と公団との間に資材の輸送につきましての協定ができ上がりまして、その線に沿って国鉄当局が現在各管下の鉄道管理局にその指示をいたしておるわけでございまして、成田駅につきましては成田駅の改修がまだあるわけでございます。それからヤードの拡張があるわけでございます。それから、そこから専用線を敷きまして、成田市の地先の土屋まで鉄道で資材を持っていく、そこに資材置き場をつくるわけでございますが、これは十万平米の用地の借地につきまして、地主さん方の大体の了解を得まして、現在すでに土盛りをいたして資材置き場の建設に着手いたしておるという段階でございます。先生おっしゃるように、陸橋等のいろいろな問題はありますが、そういった面につきましても、十分国鉄並びに関係の千葉鉄道管理局との間に打ち合わせをいたしまして、千葉鉄道管理局のほうで現在具体的に計画をお立てになって、もうすでに施行する段階になっております。
  219. 井岡大治

    ○井岡委員 話をされておるようですが、実際の問題を検討すると、あそこの踏切は通れないでしょう。あそこを通ろうと思ったら――少なくとも自動車で運ぶというのもありました。いまのあの踏切のままだと、多いときだと三十分から四十分くらいかかるのですよ、これは御存じのはずだと思います。しかも一方交通です。したがって、あそこの問題を先に解決しなければ、幾ら輸送だけ考えてみてもできないのじゃないか、そこらの問題を一体どう考えますか。
  220. 今井栄文

    今井参考人 非常に具体的な問題でございますけれども、これにつきましては、私どものほうの担当の者と国鉄の直接これを御担当になる千葉鉄道管理局との間で技術的なお話し合いも十分詰めておるわけでございますが、もうすでに設計もでき上がっておるわけでございます。その点は、先生御心配なようでございますけれども、私は事務的あるいはまた技術的にはそういった問題の方策は考えておられるのではないか、かように考えます。
  221. 井岡大治

    ○井岡委員 それじゃこれで終わりますけれども、いずれにしても私は、門司さんが言われておりましたから重ねて言おうとは思いませんけれども、いわゆる飛行場としては、あそこを建設するというのにはあまりにも犠牲が大き過ぎる。同時に、これは同じように言っておいでになりましたけれども、当該の市町村、県にははなはだ大きな迷惑だと私は思うのです。したがって、それらの迷惑を取り除くために格段の努力をしてもらわないと、なかなかうまくいかないのじゃないか、私はこういうように思います。  これで終わります。
  222. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 丸居飛行場部長から発言を求められております。この際、これを許します。丸居説明員
  223. 丸居幹一

    丸居説明員 先ほど太田先生から資料提出の御要求がございましたコンコード出発時の飛行高度につきましてちょっと御説明を申し上げます。  コンコードにつきましては、現在のDC8、727よりも上昇率がよろしゅうございまして、スタート後少し早くから滑走路から離陸するようにいたします。それでこの間の二十七キロ地点でこれを合わせてみますと、DC8が二千四百メートルの高度に達するのに対しまして、コンコードは二千五百メートルの高度に達します。これは上昇率でございますが、この着陸につきましては、先日お出しいたしましたDC8の着陸カーブと同じでございます。それはなぜかと申しますと、ILSを伝っておりてまいりますので、おりかけの角度は、この間提出のDC8と同じでございますが、これは出発時の高度だけをとってまいったわけでございます。  それからコンコードの音でございますけれども、最近われわれがキャッチいたしました情報では、DC8よりも音が低い、しかし、なおこの製造会社では、この音をもう少し小さくしようということで鋭意努力中だというふうに聞いております。  以上説明を終わります。
  224. 太田一夫

    ○太田委員 一つお尋ねしますけれども、いまの御説明は、超音速飛行機になりましても、いまのジェットと同じ、ないしはそれ以上性能がよくて、騒音については問題がないという御説明のように受け取れます。ですから、私は時間がないから余分なことは聞きませんけれどもDC8を基準として騒音がいろいろはかられ、それによって騒音区域がきめられ、それによって騒音対策をされる施設がきまったならば、今度コンコード等の超音速機が就航いたしましたときも、DC8以上の騒音を発することはないという前提であり、これがもしそれ以上の騒音を発することに相なるならば、この計画は基本的に変えるのだ、こういうことに了解しておいてよろしいかということを今井さんにお尋ねします。騒音に責任を持てますかと聞いておるのです。
  225. 今井栄文

    今井参考人 騒音防止法というのは、先生がおっしゃるように、現在の機種また想定される機種を念頭に置いて考えられております関係上、非常に騒音の大きなものが出てくるというふうなことになった場合、当然再検討されるべきではないか。私は法律の所管をしているわけではございませんけれども公団の立場からすれば当然そうしていただかなければならないというふうに考えております。
  226. 太田一夫

    ○太田委員 運輸省の飛行場部長いらっしゃいますが、学校等にいろいろおやりになる防音工事、これは学校には何ホン以下、それから病院は何ホン以下、住宅は何ホン以下を保証されるのでありますか。これを簡潔にこの際答えておいていただきたいと思います。
  227. 丸居幹一

    丸居説明員 学校につきましては六十五ホン以下になるように工事をするわけでございます。それから病院につきましてもそういうことでございます。
  228. 太田一夫

    ○太田委員 どなたからお答えいただいてもよろしいのですが、学校は最高六十五ホン、病院も六十五ホン以下とするというお話であります。六十五ホンということは、少なくともわれわれから考えますと、電車か何かに乗っておる騒音と同じように考えられますけれども、それで病気の診断ができるのか。できるというどなたか専門家からの証言があったのか。それから、学校のほうは、確かに六十五ホンならば授業に差しつかえない、生徒の教育に差しつかえないと確証する証言はどこからとられておるのか。もし証言があったとするならば、それはどこであったのか、これを答えられる人があったら答えてください。
  229. 今井栄文

    今井参考人 私からお答え申し上げますが、そういった根拠が出ました私どもの考え方は、これは昭和三十三年の調べでございますが、防衛施設庁が東京都下の病院について全部調べております。その際の騒音が大体六十五ホンから七十ホンということで、大体これでいけるのではないか、防衛庁自体、これは公報で公に発表いたしております。  それから、現実に成田自体について、一体町の騒音がどうかということでございますが、成田市街地については、現在町の騒音そのものは六十ホンないし七十ホンということになっております。したがいまして、これは防衛施設庁の見解でございますが、大体六十五ホンから七十ホンという間であれば、日常の生活に支障はないというふうな一応の結論を出しております。それから、これは昭和三十三年の調べでございますけれども、現在は御承知のように窓ワクにサッシ等が非常に使われておるという関係で、室内の騒音そのものは、従来かりに六十五ホンであったものはさらにそれより低くなっておるというふうに考えております。
  230. 太田一夫

    ○太田委員 私ども非常に心配するのは、学校の生徒が講義が十分聞こえないというようなことがあったときにはどうするか。六十五ホンというと相当騒音がありますから、拡声機を使うことも場合によってはあり得ると思うのです。それで、病院の場合を私一番心配するのですが、病院などで六十五ホンというのは、現在成田市内が六十五ホンないし七十ホンぐらいの騒音だからそれくらいいいだろう、ちょうどマッチしておるという考え方では――これは夜通しやられるわけですから、しかも六十五ホンで医者が聴診器を使えるか使えないか、大問題だと思うのですが、あなたのほうは、防衛施設庁の基準をお使いになって、いいだろうということであるならば、実施してみて、もしも苦情が出たときにはこれに何らかの改良をする、何か対策を講ずるということについては御用意があるのでございますか。
  231. 今井栄文

    今井参考人 おっしゃるとおりでございまして、そのために私ども地元方々も含めまして騒音対策委員会というものをできるだけ早く設けていきたい。その騒音対策委員会において、これは羽田においても同様でございますけれども、いろいろな要望が出て実は実現したケースもございます。そういったところで皆さんの御意見をまとめまして、公団がパイプになって政府に対してその施策の実現を要望する、こういうふうな形で今後対処していきたい、かように考えております。
  232. 太田一夫

    ○太田委員 それはわかりましたけれども騒音が一番問題のときにいささか手抜かりのような気がします。  最後に、飛行場部長さん、何かコンコードは上昇率五十分の一だとかつてあなたは言われておりましたが、この図でほんとうに間違いないのですね。それからDC8の場合は上昇率十分の一と言われておりましたが、図を見ますとそれとこれはまさに相似形の上昇率を持っておりますから、五十分の一、十分の一というかつての言われておることとだいぶ違うので私どもちょっと不審に思っておりましたけれども、この構造図については間違いございませんですね。
  233. 丸居幹一

    丸居説明員 ごく最近の資料が手持ちにございませんで、日航に問い合わせまして一番新しい資料でもってこれは作成いたしましたので、間違いないものと思います。
  234. 太田一夫

    ○太田委員 じゃ念のため、ここにポイントがあります。十キロ、二十キロ、二十七キロのところのコンコードの騒音を何ホンと推定されておるかを最後にお聞きしておきます。
  235. 丸居幹一

    丸居説明員 ちょっと二十キロ以上のところはただいま持ち合わせておりませんが、十キロのところは七十五ホン程度だと思います。それから、いまの情報では、コンコードはもう少し音を下げたいということで、いまエンジンそのものについても改良を加えておるそうでございますので、これが直ちにコンコードの騒音度というものではない、もう少し下がるのではないかと思います。
  236. 太田一夫

    ○太田委員 二十キロ、二十七キロではどのくらいになるのですか。
  237. 丸居幹一

    丸居説明員 いま私持ち合わせてないので……。
  238. 太田一夫

    ○太田委員 マッハというのは最初からマッハ二というわけにいかぬでしょう。上がるほどスピードが大きくなってくるでしょう。だから騒音が大きくなるのじゃないですか。
  239. 丸居幹一

    丸居説明員 失礼いたしました。二十キロ以上と申し上げましたが、以下の五キロのところでございます。これは八十ホンから八十五ホン程度だと思います。
  240. 太田一夫

    ○太田委員 それは上昇する場合でしょう。
  241. 丸居幹一

    丸居説明員 上昇の場合です。
  242. 太田一夫

    ○太田委員 おりるときはどうですか。――まあ、わからなければわからないでけっこうです。
  243. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は明後十日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十九分散会