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1969-07-04 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第49号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月四日(金曜日)委員長指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方公営企業に関する小委員       大石 八治君    岡崎 英城君       塩川正十郎君    古屋  亨君       細田 吉藏君    保岡 武久君       井岡 大治君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    折小野良一君       小濱 新次君  地方公営企業に関する小委員長                 細田 吉藏君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十四年七月四日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    桂木 鉄夫君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       渡海元三郎君    永山 忠則君       水野  清君    山村新治郎君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       太田 一夫君    實川 清之君       野口 忠夫君    細谷 治嘉君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     安田  寛君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  金井 直照君         外務省アメリカ         局安全保障課長 松原  進君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 斉藤 整督君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         運輸省航空局監         理部長     川上 親人君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   勝目久二郎君         建設省計画局技         術調査官    南部 三郎君         自治省財政局指         導課長     亀谷 礼次君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  高橋 淳二君     ――――――――――――― 七月四日  委員河上民雄君、依田圭五君及び小川新一郎君  辞任につき、その補欠として寛川清之君、淡谷  悠藏君及び大野潔君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員淡谷悠藏君及び寛川清之辞任につき、そ  の補欠として依田圭五君及び河上民雄君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第五七号)      ――――◇―――――
  2. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質議を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  3. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 たいへんだびたび地方行政委員会の席をおかりしまして申しわけないのでありますが、国際空港建設は日本としても非常に大がかりなことで、従来政府のやった仕事の中で、閣議決定をして一押しに押していって、途中でどうしてもそれまでやった仕事が全部むだになったという例が幾多見られるのでありまして、もしこの空港がそういうことになりますと、これは多分に国損を招くことになる。今井総裁は、反対者がいるからできないのだということをたびたびおっしゃいますけれども反対者が出るような欠点がどこかにある、反対者が出なければならないような反省すべき点がやはり政府のほうにもあったと思う。これは、今井総裁、あなたも政府の職にあるのですから、それに忠実にやるのはけっこうですけれども、これはやはり政府としての責任問題になってくるのです。先般この委員会でも申しましたが、妙義山のあと始末、これなども現実にかなりな国損を招いている。総裁、この間内閣委員会等で私半ば追及しておきましたが、関財局のあなたのほうに対する立ち木払い下げですね、これなども、額はたいしたことはないかもしれないけれども、やはり一つ国損を招いたといわざるを得ない。これは、この前関財のほうから明確な御答弁がなかったので、きょうはあの払い下げのいきさつをひとつ大蔵省のほうからお聞きしたいと思うのです。
  4. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 現在の三里塚牧場にございます中で代替敷地予定しております立木の一部を空港公団随意契約払い下げたわけでございますが、これは公団空港整備をなさっていかれます場合に、現在そこに耕作者がおりまして、どうしても代替用地卒提供しなければならない、それが進みませんと空港建設も進捗しないということで、代替地立木を早く切って、できるだけ代替地の造成を促進したいというふうな御要望もあったわけでございます。これを国が直接競争入札して売り払うということも一つの方法でございますけれども、やはり空港整備を担当なさっておられる公団が直接その処理をなさったほうが、円滑に迅速に進むのではないかということで、かつまた、空港公団随意契約払い下げるということにつきましては、法的にも支障がございませんので、そのような措置をとったわけでございます。
  5. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 その公団払い下げをしてからどうなったか、御存じですか。
  6. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 公団払い下げいたしましてから、公団のほうで売却されまして、公団には国から四十三年十一月三十日に二千万で払い下げたわけでございますが、それが公団のほうで十二月十三日に入札して、二千三百万ほどで入札されたというふうに聞いております。
  7. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 公団が二千万円で払い下げを受けた。十三日後にはこれを二千三百万で転売している。何かこの払い下げには三百万ほど費用がかかっているのですか。私は、空港公団というのは、立ち木を売ってもうけなくてもいい団体だと思っている。わずか十三日のうちに――全然手を触れてないでしょう。立ち木を、植えたままで、伐採から何から全部買い受けた者がやっていますね。そして国有財産払い下げておいて、わずか十三日持っているだけで三百万円の利益を取得したということは、どうも私には、国有財産管理としては受け取れないものがある。何か理由ございますか。
  8. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 国の払い下げ価格公団入札いたしました価格との間に確かに三百万ほど差があるわけでございますが、国が随意契約払い下げますときには、適正価格と申しますか、一般的な市価と申しますか、そういうものを予想いたしまして、それで売却したわけでございますが、入札となりますと、そこにいろいろな需給要因が加わりまして、それよりも高く評価する人もあれば、また低く評価する人もあろうかと思います。それで、結果といたしましてそのような評価をする人があったということでございまして、国としては一応二千万は適正価格評価をして売り払ったものというふうに考えておるわけでございます。
  9. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 国有財産私有財産より以上に大事にしなければならないのはもちろんのことでしょう。あなた方はその番人ですな。あなた方のものじゃないのです。しかし、前には国有財産にするために妙義の山を、坪当たり二、三百円の単価のものを千二百円で買っている。これは普通の民間人だったらやれないことです。今度も、実際の需要者があるかないかも見きわめないで、わずか十三日後に三百万といったような、ある意味では国損を招いたというのは、国有財産に対するところの責任感があまりにも薄いんじゃないですか。あなたのほうは関財じゃないだろうけれども関財国有財産管理をするのが本職でしょう。空港公団は別に物を売るのが専門じゃない。国際空港をつくるのが専門公団ですから、そのいわば副業的なものでも十三日あとには三百万というものはちゃんともうかるのに、専門関財がその見通しもつかず、また、そういうふうな手数もかけないで、いたずらに中間の、公団とはっきり申し上げますが、三百万円かせがせたという形は、私はどうも納得がいかないのです。一体公団は、どのような必要があってこの立ち木取得したのですか。立ち木じゃなくて、その下の地面のほうに目的があったのでしょう。いわば立ち木を撤去したらそれでよろしい、私はこう思うのですが、大蔵省どうお考えでございますか。
  10. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 ただいまおっしゃいましたように公団立ち木を必要としているわけではないわけでございますが、新空港をつくります過程におきまして、代替農地のあっせんもしなければならない、そういった関係がございまして、代替農地の上にある立ち木処理というものも一つ空港整備関連のある仕事であるというふうに私ども考えまして、空港公団に売り払ったわけでございます。
  11. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 立ち木の存在した場所はいつ宮内庁財産から国有普通財産に変わったんですか。
  12. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 四十三年の十一月十六日でございます。
  13. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 ではこの空港問題が起こってから普通財産になったんですね。公団がその下総御料牧場空港の工事に使うということをはっきり決定するのはいつになるんですか。まだきまっていないでしょう。栃木御料牧場はつくったようですけれども交換の法的な基礎となるべき法律案がまだ通っていないでしょう。あなた方のほうは、法律案が通ることを予想してあらかじめ一切の措置をなさるのですか。
  14. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 ただいま新しい牧場をつくるための法的な手当てができていないではないかというお話のようでございますが、これは昨日参議院の内閣委員会を通ったわけでございます。それは別といたしまして、私のほうで新しい牧場取得契約をし、また、それを進めておるということは、新しい牧場にするための財産、物の取得はすでに予算国庫債務負担行為で認められておる。宮内庁設置法というものは、その物に牧場としての機能を与えるものである。したがって、もちろんこの物の取得機能取得というものが相まって初めて完全なものとなるわけでございますけれども、物の取得につきましては予算でそういう権能が認められておるということで契約をいたし、また、その実施を進めているわけでございます。
  15. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 物と申しましても、これは農耕地ですよ。栃木県のあの農耕地公団取得した法的な根拠はどこにあったと思いますか。公団農耕地を本来は所有できないでしょう。それが今度はできている。これは一体どこにあるとあなた方理解していますか。
  16. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 公団高根沢農地取得されましたにつきましては、農地法関係省令でございましたか、それを改正いたしまして取得できるような措置をとった上でやっておるようでございます。
  17. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 成田空港をつくるために、公団農耕地取得させるために施行規則の一カ条を追加しただけでしょう。そして交換の問題が出てきた。交換法的基礎はきのう通ったかもしれませんが、あなた方が払い下げをした四十三年の十一月三十日にはまだこの法案提出さえされていない。それで、この法案が通っても通らなくても、下総牧場交換になるということが予想できましたか。予算が通ったかもしらぬけれども関係法令が通る前にどんどん仕事を先行させるところに最近の乱れがある。最もいい例です。万一この法案が通らなかったらどうなさるのです。交換できないじゃないですか。なぜ一体先ばしって国有財産などを簡単に処分されるのです。これは普通財産に返すことはしかたがない。宮内庁が要らぬというのだからいいけれども、それをあらかじめ、交換する前に地上物取得公団に許したなんということは、国有財産管理上大きな失態と思いませんか。それを失態と思わないほどあなた方は国有財産に対する責任感が麻痺しているのですか。あえて伺いたい。
  18. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 私が先ほど申しましたように、現在取得しておりますのは物としての牧場施設でございまして、これは国庫債務負担行為三里塚牧場にかわる施設として高根沢にそういう施設取得することができるということが書いてありまして、あくまでもそういう施設予算に基づいて取得してよろしいのであるというように解釈しておるわけでございます。
  19. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 逆に立ち木取得は何によったのです。下総牧場の一部の国有財産に編入された土地から出てきた立ち木随意契約払い下げを受ける権限はどこから生じたのです。
  20. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 立ち木につきましては、公団空港施設を早く整備するには農民代替地を早く造成する必要がある、そういう公団の御要請にも基づきまして、これは公団付帯事業として公団が行なってもよい事業であると考えまして払い下げたわけでございます。
  21. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 これはあくまでも宮内庁法が通って、栃木県の新しい牧場下総牧場との交換が可能になった上での話でしょう。あなた方は、法律の通る通らないということをあらかじめ予想してその権限を認めるわけですか。これは公団だからかっこうがつくものの、まだはっきりした権限のない者がこんなことをしたら疑獄になりますよ。その機関が公団だからしあわせだった。一体どういうふうな根拠があって、公団は、下総牧場を移転することができるという御認定なんです。予算さえ通れば、あと関係法令一切通らなくても、どんどん仕事を進めることができるならば、私は法律案なんか審議する必要はないと思う。予算使用についてはっきりした根拠を与えるための法令の審査なんでしょう。それを全然考えないで、おっつけそうなるだろうぐらいで――二千万というと国民にしてみればやはり大きな財産ですね。それをぽんぽんとあなた方の裁量だけで随意契約でやってしまって、公団に十三日間で三百万円もうけさすなんということは許せないじゃないですか。はっきり答えてください。何の根拠があって公団にそういうものを与えたのですか。
  22. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 公団立ち木払い下げました根拠につきましては、これは公団が新空港をおつくりになる場合の関連事業一つであるというふうに考えたわけでございまして、また会計法の上から見ましても、公団随意契約払い下げるということにつきましては制約もございませんので、そのようにしたわけでございます。
  23. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 関連事業法案をいまここでやっているわけですね。これは別な関連事業だ。しかし、限定して考えますと、宮内庁法が通って初めて下総牧場栃木牧場交換ができるのでしょう。公団がやったのは、あらかじめ下総牧場周辺代替地をつくる。あそこは下総牧場の一角でしょう。この代替地一体どこに与えようというのですか、あなたの考えでは。
  24. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 これは農民代替地として分配するわけでございますが、その事業は県がおやりになるというふうに聞いております。
  25. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 県がやるのだからあなたのほうではあらかじめそれを認めた。しかし、問題を返しますが、その際一般入札者の参加は認めなかったわけですか。公団はこれを競争入札したと言っていますよ。公団でさえ自分で必要のない立ち木をただそこから取り払うための払い下げ入札でやっている。国有財産管理をすべきあなたのほうでそれができなかったのですか。関係を持ったからというだけで公団随意契約でやるというのは、どうも私は納得がいかないのですがね。何か話し合いがあったのですか。
  26. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 もちろん、理論的には一般競争入札でやるということも考えられるわけでございますが、それを円滑にいたしますためには随契払い下げたほうがいいのじゃないか。たとえば、入札いたしまして落札者が早急に立ち木を切らなかった場合、代執行とかそういう問題が出てくるわけでございますが、そういう予算措置もいたしておりませんので、円滑にいかない。そういうふうなことを考えますと、やはりこれは公団でやっていただいたほうが円滑にいくのではないかというふうに考えたわけでございます。
  27. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 いろいろ手続がやっかいだから簡単なほうをとっただけですね、あなたのほうは。簡単なほうをとっただけで三百万という国損を招いておる。これは認められますね。ちょっと骨惜しみしただけで三百万円の国の財産を失った、そう見てよろしいですか。
  28. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 骨惜しみをしたということではございませんが、その一定の期間内に立ち木現実に取り除くには、国が入札いたしまして最高落札者がもしその木を切ってくれなかったら国としては非常に代執行がしにくい。そういう場合に、公団でございますと、予算制約その他につきましてももう少し機動的に動けるのではないか。それによって、木を撤去するというのが目的でございますから、その目的により沿えるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  29. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 どうも納得がいかぬ御答弁ですな。どうも公団というものの悪さがそこから出てくるのです。国でやったのでは万事窮屈仕事がはかどらないから、多少あっちを曲げこっちを曲げても、公社公団ならいいだろうという、そういうところにいまの公団法欠点があるのです。その欠点を巧みに利用したのがいまの空港公団じゃないですか。  今井総裁にお聞きしますが、この立ち木はすぐ伐採されましたか。
  30. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 先ほど大蔵省理財局のほうからいろいろお話しがあったのですが、私どもはこの立ち木宮内庁から払い下げを受けまして、それから手続を整えて直ちに伐採入札をいたした、こういうことでございます。
  31. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 いや、私の聞いているのは、いま理財局のほうから、これを払い下げしたあとに撤去しないかもしれないから、公団のほうがやりやすいと思ってそういうことをやったと言われたのですが、直ちにこの立ち木伐採されましたか、撤去されましたか、それを聞いているのです。
  32. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 直ちに伐採に取りかかりまして、予定どおり伐採を終わりました。
  33. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 別段支障はなかったようですな。公団ならばそれができた。あなたのほうではできないだろうと考えるのは、これは予測相違ですな。予測相違国損を招きましたね。これは確かめておきます。予測相違公団は得をし、国は損をした。公団と国との関係ですから、親類づき合いみたいなものかもしれませんが、これが一般の業者だったらどうなりますか。国有財産にからむさまざまな問題というのはこういう形なんです。国有財産だから売るときは安く売る。買った人がこれを売るときは高く売る。ここにいつでも国有財産にまつわる問題が発生しているじゃないですか。国と公団の間でそういうことができたとすれば、これはもっと悪質ですよ。そう思いませんか。あなたたち、そういうふうな手続をとることがむずかしくてやっかいで、それを回避するために、この案件については三百万の国損を招いたことをはっきり認めなさいよ。
  34. 斉藤説明員(斉藤整督)

    斉藤説明員 先ほど申しましたように、国が財産払い下げます場合には適正な対価でなければならないということを言っておるわけでございますが、その適正な対価というものと、それから一般の市場に出した場合に、それより高い価格で買う人は絶対ないかどうかということは、必ずしも一致しない場合があろうかと思います。本件の場合におきましても、これは入札でございますから、もちろん国の売り払い価格よりも高く買った人もあるわけでございますが、また低く評価する人もございまして、そういったところを総合しました価格というのが適正な対価だというふうに私たちは解釈しておるわけでございまして、結果としてそういう入札者がおったから国損を招いたというようなことにつきましては、必ずしもそうは言えないのではないかと私は思っております。
  35. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 しかし、あなたのほうは適当だと思ったかもしれないけれども公団のほうは三百万円得しましたね。これだけは認めますな。この利得は何によって生じたかというと、適正価格よりも安く払い下げを受けたからでしょう。これは明らかに、あなた方が何と強弁されようとも、今日の国並びに公団というものの妙な関係なんです。予算のことを非常に問題にしますけれども総裁、この三百万円は予算的にはどう措置をされますか。
  36. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 三百万円というのは、大蔵省から譲り受けました値段が、先ほど御答弁がございましたように約二千万円、正確に言いますと一千九百四十四万一千四百円、それに竹の五千六百円を加えまして総額で一千九百四十四万七千円でございますが、これを入札いたしまして――入札という制度は最高値の方に落とすのは当然でございます。したがって、三百万円ばかり高い方が落札したということになるわけでございますが、その三百万円というのは当然公団雑収入として入ってくるわけでございます。これは別に得をしたとかなんとかいうことではなくて、かりに私ども政府から出資を受けました金にいたしましても、それを支払う時期までは当然銀行預金をいたすわけでございまして、銀行預金利子というふうなものもやはり公団雑収入に入ってくるわけでございます。これは入札制度というものがある以上は当然の帰結であろう、こういうふうに考えております。
  37. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 あなたは三百万円くらいと簡単に考えますけれども、それは公団予算が大きいからなんです。一体公団発足以来今日まで実際に使った予算幾らになっていますか。
  38. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 公団が使いました金額でございますが、四十一年度に発足いたしまして、四十一年度は発足当初でございますので、まだ事業がそれほど活発に動いておらなかったわけでございます。全体で用地買収空港施設建設関係、これは主として設計あるいは調査等の金であろうと思います。それから、いま先生の御質問にございます代替御料牧場のおおむね事務費調査費等でございます。それからまた、公団自体一般管理費全体でございまして、これが四十一年度に全体で四億九千二百万円、それから、昭和四十二年度にやや活発に動き出しまして十八億五千三百万円、それから四十三年度に用地買収相当進んでまいりまして、用地費が主でございますけれども、六十六億九千四百万円、四十三年度一ぱいで九十億三千九百万円というものを現在使っておるわけでございます。四十四年度に相当大きく使用するという形になろうかと思います。
  39. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 四十四年度の予算幾らになっております。
  40. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 四十四年度の予算でございますが、政府出資、これは一般会計からでございますが、四十億円、それから財政融資、これは主として政府引き受け債でございますが、八十億円、それから、先ほど、四十三年度までの使用額を申し上げましたが、若干繰り越しが予想されまして、これが約三十億円ということで、全体で現金ベースで百五十億円、それから、さらに四十四年度の国庫債務負担というふうな形で百億円計上いたしておりまして、四十四年度の公団予算は合計で二百五十億円、こういうことになっております。
  41. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 伺いますと、繰り越しが三十億円四十四年度に回っておるようでありますが、これは不用額になったのですかね。何によって三十億の繰り越しができたのか。予算は、一般予算だと、単年度予算ですから繰り越し相当むずかしい。三十億というのは、大体この場合に比べますとかなりな率になりますが、これくらいの見込み違いは何によって生じたのでありますか。
  42. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 これは見込み違いということではございませんので、主として用地買収予定が必ずしも私どもが希望したとおりにいかなかった。これはもう衆議院の内閣委員会等でも御説明申し上げましたように、用地買収相当進んでおりますけれども、まだ全体の七割程度。私どもとしては一〇〇%買いたいということで予算はいただいておったわけでございますけれども、それが七割何分というようなところで四十三年度を結了いたしたわけでございます。そういう意味で、用地費を主として三十億円ばかり繰り越しになりますけれども、これは私どもとしては四十四年度に十分消化できる、かように考えております。
  43. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 公団仕事で、一番最初にやらなければならない仕事、また、完全にやらなければならないのは用地取得なんじゃないですか。用地取得が完全にできなければ空港のできる見込みはありませんよ。特に空港というのは、私がしばしば言っておるとおり、七割買ったとか八割買ったとかじゃ完成しないのですよ。大事な一角に障害がありますと、九割九分できてもできないのが滑走路の現実の姿なんです。あなたは見込み違いじゃないと言うけれども、三十億の金が用地買収などのために残ったとすれば、はっきりした見込み違いじゃないですか。用地買収は思ったとおりできなくても見込み違いでないという詭弁は、これはちょっといただけないですがね。どう思いますか。
  44. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 通例の大きな公共事業につきましては、工事費等につきましても、あるいはまた用地費等につきましても、若干の繰り越しがあることは間々存在するのではないか、かように考えておるのでありまして、私どもとしては、政府の御指示によりまして、何としても用地は大部分は四十三年度中に取得しようということで努力してまいったのでございますけれども、全体としては七割何分で終了というのが現状でございます。しかしながら、第一期工事区間約五百ヘクタールにつきましては、民有地につきまして八七%程度をすでに買収を終わっておるわけでございます。
  45. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 あなたは、用地買収ができない最大の原因は何だと思います。私は非常に残念なのは、総裁答弁の中に、反対者がいるからこれができないのだといつでもおっしゃる。イデオロギーの相違みたいなことを言いますよ。しかし、初めからこの成田空港というものは、地元との深い話し合いなしに遂行されてきた仕事なんです。ですからあなたは、政府の命令を受けてやるという意気込みはわかるけれども政府の命令があり権力さえ握っておれば、地元がどう出ようと、どんな反対があろうと、押し切ってしまうといったような姿勢では、ほんとうに空港はできないですよ。実際想像もできないような事件が起こりますよ。その点を一体どう認識されておるのか。今度内閣委員会宮内庁法案を、通したか通ったかこれはわかりませんが、通ったと言う。その場合、問題は宮内庁関係あってくるのです。一歩誤ったらかなり深刻な事態が出るという危機感を、総裁はさっぱり持っていないようである。この前の委員会でもあなたははっきり言っている。一坪の地主なんかに対しては公然と収用法を適用するとかなんか言っている。反対した者は全部権力に訴えて排除しようという姿勢の中に、私は成田空港問題の深刻さがあると思うのですが、総裁一体どう考えておられるか。
  46. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 私は、各委員会で繰り返し繰り返し御答弁申し上げておりますとおり、現在敷地の中に農地を持っておられる反対の方々に対して、土地収用法によって強制的に土地を取り上げるなどということは、一言も申したことはございません。あくまでも、こういった耕作をしておられる地主の方々に対しましては、しんぼう強く説得を続けていく。それからまた、そういう方々がお移りになっていく代替地等につきましても、われわれは現在調査をいたしておるような状況でございまして、現にすでに、反対しておられる方々の中でも、代替地によって御了解をしていただいている向きもだんだん出てまいってきておるような状況でございまして、私どもは、先生がおっしゃるように、一般農民の方々から強制的に土地を取り上げるというふうな姿勢ではございません。できるだけ、あくまでもしんぼう強く説得していく、こういうことが私どもの態度でございます。
  47. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 ただしとこの間おっしゃったでしょう。そこまではやらないけれども、一坪地主なんというものは、これは事の性質上収用してやるんだとはっきりおっしゃったじゃないですか。つまり、反対する者は、その手段のいかんにかかわらずやはり反対するのだから、やっつけてしまおうという思想なんでしょう。これはここにいられる委員なんかも一坪地主になっています。この空港ができたらとんでもない災害が起こるかもしれないのですよ。起こることを心配しておられるからです。それに対して、あなた、き然として、強制収用をやるというのは依然としていまも変わっておりませんか。反対する者は、ただ反対するのではなくて、反対する理由があるのです。たとえば、いまの四千メートルのあの滑走路一本で使用しようという構想、百里基地との関係、ブルー14との関係、羽田との関係、マスタープランそのものについても幾多の疑点がある。これは私が言うのではなくて運輸省がはっきり言っているのですよ。その反対を聞きもしないで、ただ閣議決定したのだから、予算もついたのだからやるのだという総裁の姿勢なら、それはそれでわれわれ考えますがね。あなたどう考える。
  48. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 先ほどから申し上げておりますとおり、敷地内の反対派の方々に対しましては、しんぼう強く説得を続けていくというのが私どもの姿勢でございます。
  49. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 敷地外の、影響をする範囲の反対はどうなさいます。
  50. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 敷地外の反対というのにもいろいろあると思いますけれども、私ども一番関心を持っておるのは、やはり空港の南の芝山町の関係でございます。かように考えておりまして、芝山町につきましては、やはり騒音関係から反対をしておられる方々が主流であろうと思います。こういうふうな方々に対しましては、でき得る限りの騒音対策を講ずると同時に、その方々が安心して今後生活が立っていき、かつその地域が地域的に発展していくというふうな地域開発を含めまして、県と協力をしてそういう反対の方々に私どもとしてはしんぼう強く説得を今後とも続けていく、こういうことでございます。
  51. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 新都市計画についての構想も進んでおるように聞いておりますが、空港周辺の新都市計画はどのように進行していますか。これはあなたでわからなければ関係者に言ってもらいたい。
  52. 勝目説明員(勝目久二郎)

    ○勝目説明員 空港関係いたしまして当然空港従業員のための施設というものが必要になるということは、当初から予定されておったわけでございます。当初の地元対策の閣議決定の中にもございますが、新都市建設の計画を立てるのだということになっております。それに基づきまして空港関連事業といたしまして、県におかれましてこの計画を立てられまして、現在それが進行中でございます。成田市の西北のほう、現在の成田市街の西北の丘陵地帯に約五百ヘクタールの規模でもって人口六万人という新都市を建設するということで、用地買収もすでに着手され、大体七割程度はすでに進んでおるように聞いております。
  53. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 その計画と騒音の関係、あるいはその他基地による――基地と私は言いますけれども空港によるさまざまな公害等の関係は考慮を払われておりますか。いろいろ問題が起こっているのですが、その問題点を把握しておられたらお聞きしたい。私から言うよりもあなたのほうから率直に、この隘路をお話し願ったほうがいいと思う。
  54. 勝目説明員(勝目久二郎)

    ○勝目説明員 新空港の騒音との関係でございますが、もともと新空港の計画を立てる際に、現在の成田市の市街地については騒音公害が起きないようにという配慮でもって計画が決定されているわけでございます。さらに今度の新都市につきましては、現在の成田市の旧市街地よりも空港からは遠ざかる方向に計画をされておりますので、騒音公害が新都市について起こるということは考えておりません。
  55. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 それじゃ、成田市の中からも、だいぶ移転者が出るわけですね。あの町はあのままにしておいて、新しいそういう植民地をおつくりになるのか。騒音が起こらないと言うけれども、あの周辺で起こらないわけはないのです。飛行機のエンジンの音を消さない限りは騒音は起こります。さまざまな公害は起こりますよ。それを全然切り離したところに新都市をつくって、一体古い成田の市街はどうなるか。どうお考えですか。
  56. 勝目説明員(勝目久二郎)

    ○勝目説明員 現在の成田市の市街につきましては、先ほども申し上げましたように、騒音公害が起きないようにということで新空港の滑走路等の位置、方角等がきまったわけでございます。成田の市街地が騒音のために移転をせざるを得ないようなことになるとは考えておりません。  それから、新都市への移転者が出るかどうかというお話でございましたが、これは移転者ということではなくて、先ほど申し上げました六万人の人口の中には、空港関連以外に、成田市がさらに都市化するというようなものの、オーバーフローするものを受け入れるということは考えておるわけでございます。しかし、繰り返しでございますが、騒音のために移転することについて、それを受け入れるということで新都市が計画されたわけではございません。
  57. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 そこでお伺いしますが、現在の四千メートル一本の空港というものは、長い将来までもてないことはわかっているでしょう。横風用のものもできますね。補助滑走路もできますね。しかも近い将来、さらにもう一段の拡張をしなければ、この空港は意味を失うということさえいわれておる。その場合、いまの計画に何か相矛盾するものは生じませんか。現在のままならこれでいいだろうけれども、あのままではとてもだめだといわれておる。その点はいかがです。
  58. 勝目説明員(勝目久二郎)

    ○勝目説明員 当初四千メートルの滑走路一本でもって供用開始をするわけでございます。その後につきましては、これは先生も御存じのように、二千五百メートルの並行滑走路一本、それから三千二百メートルの横風用滑走路一本ということで、合計滑走路三本をもって運用するという予定でいるわけでございます。当初四千メートルの滑走路一本だけの場合の成田市に与える騒音の影響が、追加してできる横風用滑走路、それから並行滑走路のもう一本というものによって倍加するか、あるいは相当な影響の変化が起こるかということでございますが、いずれもそれらあとからできる滑走路によって起きる騒音の影響が、成田市街に対しましてふえるというふうなことは考えておりません。
  59. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 自治大臣にお聞き願いたいわけです。あとの大臣はきょうはお見えになりませんので、閣僚の一人としてあなたにはっきりと御見解を伺っておきたいのですが、成田空港は国にとっても非常に大きな事業で、国際空港だけに全世界に与える影響も大きいし、これまた行き方いかんによっては国際不信を招かないとも限らないとわれわれは考えております。  特に、現在どうなるかわからぬというアメリカの専用空路のブルー14があり、羽田の使用問題があり、さらにまた、この空港がこのままでいいか悪いかというマスタープランそのものに対する幾多の問題点も、むしろ私は役所の内部で出ているのではないかと思う。使用にいたしましても、四千メートル一本でやるのだといいますが、私はやはり横風の危険なんか考えた場合、使うわけにはいかない。現にまた起こっているでしょう。横風にあおられて落ちた事故があるでしょう。どのように安全性を説かれても、現実にそういう事件が起こっている限りは、かなり慎重にこのマスタープランについても考えなければいかぬと思う。まだお答え願っておりませんが、百里の空港との関係ども今後微妙なものが生じてくると思うのです。運輸省の印刷物の中にも書いてある。将来百里の基地との間の問題が生ずるだろう――あなた頭かしげるのならお見せしてもいいのですよ。あなたのほうで書いたものにある。これはさまざまな技術上、運用上の問題があるでしょうけれども、これは慎重に考慮しませんと、とても立ち木払い下げばかりではない、国費のむだを生ずることは目に見えている。やはり国有財産を扱うものであり、同時にまた、国費を多分に、何百億という国費を使うのですから、慎重の上にも慎重を重ねなければならない。  特にこの問題の核をなす用地取得については、まだまだ現地における問題は解決できないと思う。その解決ができないままに、どんどん仕事のほうだけ進行させて、いやおうなしに押え込もうとする姿勢をとるならば、まさに国民的な対立を生むことは必至なのです。そういう姿勢のもとに、まことに思わしからざる事態の発生も憂慮される。その意味で、やはり十分なる配慮を、この際内閣としてもお考えを願いませんと、事が重大なだけに、いざというときは、単なる一省、一官庁の責任では済まないような事態も起きるのではないかと私はあえてはっきり予告しておきたい。  特に百里との関係や、マスタープランについては航空局長がお留守だそうでございますから、これは内閣委員会等関係もございますが、お帰りになってからこのマスタープランについて、少し技術的な問題について詰めていきたいと思う。これはいろいろ閣議決定も急がれてやられたようですが、この成田空港閣議決定自身の中に、大きな今日の悩みが発生したと思うのです。幾ら何でも地元の大きな反対、あれくらいの抵抗があれば、なかなかこれだけの大仕事は完成できない。そういうことを十分内閣としてもお考えを願いまして、この問題をもっと抜本的に考察する必要があると私は思うのですが、大臣のお考えをお聞きしておきたい。一歩間違いますと、大きな国損になりますし、つくった飛行場が使えなかったなんという醜態をさらしたら、これは国家的な大きな損失になりますから、その点についての大臣の御見解を伺いたい。
  60. 野田国務大臣(野田武夫)

    ○野田国務大臣 御指摘がありましたように、成田新空港は、これは日本全体、また将来の日本のあらゆる問題をはらんでおる大きな使命を持っているわけです。したがって政府は、できるだけこの空港の計画の実施を急いでやりたいといって全力を傾倒しておるところでありまして、いま淡谷さんの御心配のように、この空港がもし将来中途はんぱで使えない、またいろいろな事情で使えないというようなことになれば、これはたいへんなことでございます。  私は、一々運輸省の計画とか、どの役所の計画ということは第二の問題でございまして、国全体、これは政府だけでなくて、やはり国民全体の非常に大きな問題に影響する、こう思っております。したがって私自身も、このマスタープランがはたして完全かどうかという批判はできません。打ち明けると、私自身考えございませんから、いまこれはどうかということはお答えできませんが、一応責任省が責任を持ってやっておることでございますから信用しております。  ただ、その間に、いましばしばおことばにもありましたとおり、この空港建設にあたりまして、いろいろ困難を伴っておることも知っております。そこで、そういういろいろなことを配慮いたしまして、これだけの大事業であり、また同時に、今日の時勢からいたしまして、成田の空港というものは絶対必要な空港であるということも私、認識いたしておりますが、それだけにいま淡谷さんの御心配のようなことが起こるおそれがあるとすれば、ぜひともこれを解消するように万全の努力をするし、また、いろいろな点におきまして、この空港建設にあたりましては、十分な配慮を加えることが必要だ。それは痛感いたしております。これらにつきましては、いま鋭意公団を中心として国全体の力を合わせてやっておりますが、この上とも御注意のようなことがないように、政府全体といたしましても十分な配慮を加えるべきものである、こう感じております。
  61. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 大臣、おっしゃるように、私たちもやはり国際空港の必要性は認めております。ですから、ただ反対せんがために反対をしているのではありません。事が大きいだけに、地元との関係、マスタープランの関係、いろいろ疑惑が生じますので反対をしているわけであります。はっきり申しまして、それを反対、賛成ではっきり割り切ってしまって、ひた向きにばく進ずるならば、私はでき上がる空港のためにも、これはとってはならぬ態度だと思うのであります。したがって、閣議などにおきまして、もし話が出ましたら、大臣からもその点をはっきり話されて、慎重なる態度をもって臨むことが将来のためにいいと思います。  あとは航空局長が帰ってきてからまた質問をしたいと思いますので、きょうはこの程度で私の質問を保留いたしたいと思います。
  62. 野田国務大臣(野田武夫)

    ○野田国務大臣 いま淡谷さんの御注意の中に、新しい空港の設立は、何と申しますか、当然必要だということをお認め願っていることと同時に、それだけにこの問題の実施にあたって、また建設の進め方にあたって十分配慮すべきだということにつきましては、淡谷さんのおことばを必ず関係の機関に伝えておきます。
  63. 淡谷委員(淡谷悠藏)

    淡谷委員 ではこれで一応終わります。
  64. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 林百郎君。
  65. 林委員(林百郎)

    ○林委員 防衛庁と外務省の方に伺いたいと思ったのですが、まだ見えませんので、大臣がいらっしゃいますから先にお伺いしたいと思います。  いま審議しております新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案ですけれども、これで大体国はどのくらいの財政上の支出になるのですか、大まかにいって。これは大臣おわかりですか。
  66. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 本法によりますもので二十八億見込んでおります。
  67. 林委員(林百郎)

    ○林委員 公団今井さんにお尋ねしますが、空港施設のための総費用は大体どのくらい見ておるのですか。
  68. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 第一期工事、第二期工事全体でどのくらいになるかというような点につきましては、まだ具体的に金額がきまっておりませんので、明確にはできませんが、第一期工事、四千メートル滑走路、それからターミナルビルディング、それに必要な貨物ターミナル、それから保安施設、あるいはまた若干の整備施設、要するに昭和四十六年度に空港の供用開始になるまでに、私どもがこのくらいかかるのではないかというふうに考えております全体の金額は、約一千億前後というふうに考えております。
  69. 林委員(林百郎)

    ○林委員 一千億のうち、空港設置のために立ちのきをしなければならないとか、あるいは代替地を求めなければならないとか、そういう農民あるいは空港設置のために犠牲になる人たちの補償の費用というのは、どのくらいになるわけですか。
  70. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 全体の用地費でございますが、御承知のように、敷地の中には六百七十ヘクタールの民有地があるわけでございまして、それを畑につきましては反当たり百四十万円、それから山林原野につきましては百十五万、宅地につきましては二百万、水田につきましては百五十三万というふうな値段でお買い上げいたしておるわけでございますけれども、全体といたしまして、土地並びに建物等の補償金額、これは約百七億五千二百万円程度ではないか、かように考えております。
  71. 林委員(林百郎)

    ○林委員 では細郷さんでけっこうですが、二十八億が本法による国の財政負担ですが、そのほか地方が負担する負担費用のうちで、県市町村は独自でどのくらいの負担になるのですか。これは本法による国の特別措置の費用が二十八億ですね。どうなるのですか。
  72. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 全体事業の中で地元負担を伴いますものが、事業費として四百三十三億でございます。そのうちで国並びに空港公団が負担するものが現行法でまいりますと、二百六十億ございます。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕  したがいまして、残りの百七十三億が現行制度による地方負担額になります。その中で県分が七十八億、それから市町村分が五十六億、その他が三十八億、合計百七十三億でございます。これに対しまして、この特例法が成立施行ということになりますと、地方の負担が二十八億軽減をされる、こういうことでございます。
  73. 林委員(林百郎)

    ○林委員 二十八億軽減というのは、県市町村全部入れてですか。
  74. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 県市町村全部入れてでございます。それで県分としては、形式的に計算しますと、約二十億、市町村分が残り、こういうことでございます。
  75. 林委員(林百郎)

    ○林委員 国務大臣としての野田さんにちょっとお聞きしたいのですけれども、これはいまから三年前の六月十日に、中村運輸大臣が、横田など米軍の基地を民間航空機に開放するよう、アメリカ政府に要請してみたいという言明をかつてしておる。御承知のとおりこれだけの、公団自体としても約一千億近く、それから国や公団関連事業費負担が二百六十億、市町村としても現行法でいえば五十六億、これは若干本法によって減少されますけれども相当大きな負担になるわけですね。これで済むという保証はないわけなんで、とりあえず現段階での国会に対する政府側の答弁としてこういう数字が出されておるわけです。こういうばく大な費用を出して、国際空港をつくらなくてはならないということの前に、御承知のとおりに、ここには横田もありますし、座間、厚木等の基地もあります。あるいは入間川の自衛隊の航空基地もあるわけですけれども、こういうようなものを返還してもらうとか、そういう折衝というものは政府は全然しないで、ここは手をつけなくて、新国際空港をつくるということに政府の方針としては考えられておるわけなんですか。かつて自民党の政府が、一応横田などの米軍基地を、民間航空機に開放するように要請してみるということの言明は、その後どうなったのですか。
  76. 野田国務大臣(野田武夫)

    ○野田国務大臣 中村運輸大臣がそういうことをお答えしておるそうですが、おそらくその当時の運輸大臣としては、できるだけ横田基地その他が適地であるかどうか、また、適地である場合には、米軍基地の関係でございますから、折衝しなければいかぬこともわかっております。おそらくどの基地が一番適地であったかということ、私詳細知りません。また、その間、おそらくひとり基地だけでなくて、ほかの地域の候補地も出たようですが、結局はその間の折衝はどの程度にやったか、どこを一番いいと思ってやったかということは、私つまびらかにいたしておりませんが、できるだけ国費を使わないで新しい空港をつくりたいということは、これは当然考えることですから、いろいろな考えをいたしまして、またいろいろ折衝もいたしたと想像いたしますし、いま林さんがおっしゃるとおり、できるだけ国費を使わないでこの新空港は、先ほど淡谷さんにお答えいたしましたとおり、私は絶対必要だと思っておりますから、その基本的な考え方でもって、中村運輸大臣のときに相当な考慮をめぐらしたと思っております。しかし、その結果は、どうしてもいろいろな事情において、また、これだけの大きな空港でございますから、ただ候補地がたくさんありましても、それがマスタープランに合うか合わぬかということになってまいりますから、非常に苦労されたものと思っております。その経過の実際を私よく存じませんが、考え方としては、林さんがおっしゃるとおり、できるだけ金を使わないで、いいところがあればそれを活用したいという方針でおやりになったんだろうと思いますが、その結果は、結局はいろいろな事情で、それが困難であって、今日の成田地方が大体の適地であるということからこの計画ができた、こう考えております。
  77. 林委員(林百郎)

    ○林委員 一九六六年の六月十日付で、中村運輸大臣が、横田などの米軍基地を民間航空機に開放するようアメリカ政府に要請してみる、こういう言明がしてあるわけです。続いて日米貿易経済合同委員会があって、佐藤総理とラスク国務長官の会談の機会もここで持てたわけなんですけれども、自治大臣の答弁によると、中村運輸大臣がしたと思うとか、たぶんいろいろ手配をし、苦心をなさったんではなかろうかというようなことですけれども一体、責任を持って一度でもアメリカにそういうことを交渉されたことがあるのかどうか。ということは、御承知のとおり、羽田も日米安保条約あるいは地位協定等によって、オフィシャルな用途で使わせると言われれば、これは入港料または着陸料を課さないで出入りすることができるということになっているわけであります。まあ、羽田があのように混乱してきている原因は、いろいろありますけれども一つは、ベトナムの戦乱に直接間接関係したアメリカの航空機が羽田に、まあ、公な目的で運航されるという申し入れがあれば使わせなければならないということも、一つの混乱の原因だと思うのですね。  それから、御承知のとおり、この東京の周辺には、アメリカの航空基地がありまして、その上空はいろいろのアメリカ専用の空路の壁がある。そういう事情のもとに、いまばく大な国費を投じ、そうして農民の大きな反対の中で、あえてこの空港をつくらなければならないという理由の中には、アメリカが、われわれから見れば、広大な航空基地を東京周辺に持っていて、それはそれで確保していながら、さらに羽田にもオフィシャルな目的で使わせろというようなことを言ってくる。これは地位協定で、そういう要求があれば使わせなければならない。さらに、いろいろなアメリカ専用の空港がある。今度また、かりに、成田に空港ができるかどうかわかりませんが、これもあと詳しく外務省や防衛庁に聞きたいと思いますけれども、地位協定に基づいてアメリカ側が使用を申し込んでくれば、これも使わせなければならない。そうすると、それは日本の国のために全然使われないということは私は言わないけれども一つは、アメリカの都合のために国民がこのような大きな犠牲を受けてつくらなければならないということにもなるので、したがって私は、自民党の政府が、アメリカ側に交渉してみるということを公然と運輸大臣が言っているんだから、それはどうなったのか。しかも、その直後に日米貿易経済合同委員会もあって、佐藤総理もラスク国務長官に話そうと思えば話す機会があったんだから、その結果を国民の前に明らかにして、そうして新国際空港について、政府の方針を国民の前に披瀝することが政府の当然の責任だと思うのですけれども、いま自治大臣の答弁を聞きますと、まあ、御存じか御存じでないか知りませんが、とても国民が納得するような交渉をアメリカ側にしたとは考えられない答弁なんですね。あなたは、自民党の幹部でもあるし、今度は国務大臣の一人でもあるんですから、何かそういうことを、責任を持って国会で答弁するようなことを聞いておられるんですか。
  78. 野田国務大臣(野田武夫)

    ○野田国務大臣 林さんのいまの中村運輸大臣の話、佐藤・ラスク会談のときどうかという、その出たことをあなたにいいかげんな返事をしたくないんで、内容をつぶさに知らなければ正直に知らないと言ったほうがいい。ただ問題は、私の、これは新空港に対する考え方が――アメリカとベトナムというようなおことばがだいぶ出たようでございますけれども、これは林さんの御解釈で別ですが、いまの羽田の空港でも、とても今後の大型化、ことに超音速のああいう、一日一日構造も大きくなるし、またスピードも非常に早くなってくるし、いろんな意味において、それを受け入れる空港というのが日本にはないから、これは国際的の立場もあるし、日本全体の国の成長からしても当然必要だ、こういうことで、いろいろの考察をめぐらして、その結果、羽田ではとてもまだそれに対応するだけの空港の設備ができない。いろんなことは私も聞いております。  そこで、いまのお話でございますが、その当時の事情も、ここにちょうど運輸省の空港のほうの係の部長も来ておりますから、大体のことは知っておられると思いますから、そのほうからひとつお答えしたほうが正確じゃないかと思いますから、そういたします。
  79. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 ちょっと資料を持ち合わせませんので、詳しい話はいたしかねますが、先ほど御質問のありましたように、中村運輸大臣もそういうことを申されまして、そのあとでやはり米軍のほうに交渉をしたはずでございます。それで、当時――現在米軍は立川、横田、厚木の三つの飛行場を使っておるわけでございますが、そのうちのいずれかを日本側に返還することができないかという、そういう線でもって交渉をいたしました。当時の米側の回答は、これらの三飛行場はいずれも米軍のために使用しており、将来も使用するので、返還することができないという経緯であったと私は記憶しております。  それから、もう一つつけ加えて私から申し上げたいのでありますけれども、この三つの飛行場のうち一つでもという交渉をしたわけでございますが、それに対してそういう返事でございますが、しかし、この三飛行場は非常に隣接いたしておりまして、これをもし民間の飛行場に使うとすれば、民間航空というのは絶対安全という安全の点について非常に重点を置いておりますので、この三飛行場の一つを使わしてもらったのでは、管制の点で非常に難点があるということもありまして、そういう点等も勘案して、当時どこか他の適当な、管制のやりやすい場所が必要だというわけで、成田のほうに着目したように記憶いたしております。
  80. 林委員(林百郎)

    ○林委員 それじゃ、運輸省関係にお尋ねしますが、ここ数年間でもいいですし、あるいはデータの確定したものでいいですけれども、羽田の空港をアメリカ側が地位協定の五条に基づいて使用の申し込みをしてきた回数、あるいは飛行機の機数、あるいは入港料、着陸料、もし計算すればどのくらいになるのか、それはおわかりですか。
  81. 川上説明員(川上親人)

    ○川上説明員 羽田に着陸いたしました米軍機あるいは米軍用機としてのいわゆるMACチャーター機、この両方含めますと、四十二年におきまして羽田における離着陸回数が四千五百十四機でございます。この時点におきまして東京国際空港における航空機の総離着陸数が十一万一千四百五十四機でございまして、全体の大体四%ということでございます。四十三年にまいりまして、米軍機、MACチャーター機を含めまして離着陸いたしました回数は三千九百八機でございます。この時点におきます全使用機数は十二万六千五十八機でございまして、この中に占める米軍機またはMACチャーター機のパーセンテージは大体三・一%になるわけでございます。ただこれは米軍機及びMACチャーター機については入港料あるいは着陸料を課さないで出入港することが認められておりますために、入港料、着陸料というものは全然取っておりません。したがいまして、これがもし取るならばどのくらいの額であるかということは、ただいま手元にそういった資料がございません。
  82. 林委員(林百郎)

    ○林委員 全着陸飛行機の四%あるいは三・一%といいますけれども、アメリカ側は横田なりあるいは立川なり、あるいは厚木なり、座間なり、こういうところに広大な自分の基地を持っていながら、しかもあのように混雑している羽田へさらに割り込んでくるということを考えなければ、わずか何%だったということだけでこの地位協定の五条に基づくアメリカ側の公用機の羽田空港使用評価というのは私はできないと思うわけなんですね。  そこで、お尋ねしますが、これは防衛庁でもいいのですけれども、こういう首都を取り囲む周辺に米軍の航空基地がずっとあるわけですけれども、これが上空の空路については、やはりアメリカの飛行機が専用できるような、優先的に使用できるようなルート、そういうものがあるわけですか。いわゆるブルーラインだとか、あるいはグリーンラインだとか、あるいはレッドラインだとか、こういうものはあるのですか。
  83. 川上説明員(川上親人)

    ○川上説明員 関東空域におきまして、先生御存じのように、横田あるいは立川、入間、厚木というふうな米軍基地がございますので、その空港に離着陸する米軍機が専用する空路があるかという御質問かと思いますが、現在航空路は運輸省告示におきまして告示されている航空路でございます。一般の民間航空機も同時に使っている空路でございます。米軍だけのために専用させている空路というのは現在はございません。
  84. 林委員(林百郎)

    ○林委員 そうすると、たとえばブルー14、こう普通いわれておりますね。こういうのは民間機も自由に入るのですか。それともアメリカの飛行機が優先的に使用できるルートとして確立されているのですか。
  85. 川上説明員(川上親人)

    ○川上説明員 いまお話しのございましたブルー14でございますが、これは先ほど申し上げました四つの空港が羽田の西側のほうに南北に四つ並んでおるわけでございますが、その滑走路もまた風向きの関係で南北にそれぞれ向いております。その空港に進入あるいは出発するために占領時代に米軍が設置した空路であったわけでございます。しかし、昭和二十七年に航空法が施行されますと同時に、管制に関する協定をいたしまして、それに基づいて航空法に基づく一般の航空路として運輸省告示におきまして航空路として指定をされております。この航空路におきましては、現実使用状態につきましては、確かに米軍機が、あるいは自衛隊機もお使いになっているようでございますが、四つの空港に離着陸するという割合が多うございますけれども、しかしこのルートは、また太平洋から日本海に至る一つの南北の支線となっております航空路でもございます。民間航空が航空用に使うということは一向差しつかえないわけでございます。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕  それからまた、先ほどこのブルー14というのが一つの壁になっているのじゃないかというような御指摘があったと思いますが、民間航空機が羽田から出発いたしますものが西側に出ていくという場合に、従前ブルー14は一つの壁であって横切れない、だから専用になっているのではないかというような、そういう角度からの御指摘ではないかと思うのでございますけれども、確かにブルー14の西側――ブルー14そのものは一般の航空用として設定された航空路でございまして、決して米軍専用のものではございませんことは先ほど申し上げたとおりでありまして、その西側の空域に四つの米軍に提供しました飛行場に離着陸いたします飛行機の数が非常に多い。またその周辺上空、丹沢とブルー14との間の空域におきまして自衛隊機並びに米軍機の訓練機数もかなりある。そういうことであの空域はかなり混雑した空域でございます。その空域の中に羽田を出発するものが西側に出ていくときには突っ込むことになるわけでございまして、飛行機と飛行機との間の異常接近ということをできるだけ避けさせるという立場から、実際には横切ることが技術的に不可能であったわけでございますが、最近レーダー施設の完備、性能向上によりまして、このブルー14の横切りにつきましては二つ大きな穴をあけてございます。  一つはすでに御承知かと思いますが、羽田から出る方法といたしまして、一度出まして羽田の東を回って、もう一回羽田上空で一万フィートの高度にいたしましてブルー14の上を一万五千フィートで越えていくという、われわれそれをリバーサルルートと言っておりますけれども、このルートはすでに以前に設定されております。これは横田のレーダー並びに羽田のレーダーによりまして十分監視施設の安全性が確保されているわけであります。  また、最近におきまして、羽田を出発いたしまして浜松に直行するための一つの大きな穴があけてございます。これは羽田と横田のレーダーによる管制能力が非常に向上いたしまして、しかもその監視が非常に正確に行なわれるということにおきまして、航空機のセパレーションが確実にできるようになりました関係でそういうことが可能になり、現在羽田を出発いたしております航空機の西側に参りますものが八割ブルー14の上の直行ルートを通過している状況でございます。
  86. 林委員(林百郎)

    ○林委員 理論的な考え方と現実とはやはり区別しなければならない。私たち現実のことを心配して質問しているのです。あなたはたとえばブルー14に二つの穴をあけて通過するような方法も考えているということは、事実上はそこが一つの壁になっておる。しかし、それがあまりに国内航空の支障にもなるので穴をあけたということば、あなた自身のことばの中からそのことが出ているのです。それを聞いているわけですけれども、それじゃお聞きしますが、最初国際空港を富里につくろうとしたのが三里塚に変えられましたね。これはもちろん富里に反対運動があったということも一つの要因ですけれども、しかし富里から三里塚に移ったのは、ブルー14とかあるいは横田エリアだとか、そういうような米軍専用の航空路との関係で、立地条件としては三里塚が有利だ、そういうこともあって富里から三里塚に移ったのじゃないですか。だから、首都東京都の周辺上空をアメリカの基地が取り巻いていて、そこに事実上の壁ができているということが一つの新しい国際空港をつくる上の立地条件からいっても、どうしても考慮しなければならない重要なファクターになっているんじゃないか。何かあなた、ばかに軽いようなことを言っていますけれども、アメリカとの関係がそんな軽いものと見ていいんですか。
  87. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 富里から成田のほうへ移ったときにブルー14に関係があったかなかったかというお話ですが、これは富里につくりましてもブルー14との関係は差しつかえないという、こちらで管制の関係のほうで詰めた結果、富里も一つの候補地になったわけでございます。  ただ、成田のほうへ移しましたのは、やはり富里ですと、ほとんど全部が民有地を買収しなければならぬ。成田ですと、御料牧場という国有地がある。それから県有林がかなりございまして、民有地をあまり買収しなくても済むというような背景がございまして、それで成田のほうに変更になった次第でございます。
  88. 林委員(林百郎)

    ○林委員 あなたのほうはそういう説明でしょうが、私のほうとしては、やはりここにブルー14に沿って横田エリアがある。広大な空域が米軍の事実上の専用管制区域になっているということですね。こういうことが一つのファクターになって――もちろん全部じゃないですけれども、三里塚のほうが有利だということになったということも、私のほうは重要なファクターだったと考えています。この点はこの点で、あなたのほうがそういう答弁ならその答弁で次に進んでいきたいと思うのです。私のほうは承知するわけにいきませんけれどもね。  そこで、かりにここでいま成田に国際空港ができたとしても――これは外務省の関係になりますか、地位協定の五条によって公の目的で運航される航空機が入港、着陸を要求してきた場合は、自由に出入を許さなければならない、こういうことは当然でしょうね。自由という意味は、入港料、着陸料を課さなくてということですね。
  89. 松原説明員(松原進)

    ○松原説明員 地位協定第五条第一項の規定がございますので、先生御指摘のとおり、成田空港ができました場合には、ただいまの「公の目的」をもってここに米軍機が出入いたしたい、こういうときに、これを絶対に拒否するということはできないというのが地位協定のたてまえでございます。ただ、ただいま先生、自由にと申されましたけれども、地位協定の五条で米軍機が日本の飛行場を使いますのは、いわば地位協定の第二条で米軍に施設区域として提供しております飛行場とは性格を異にした使い方でございまして、軍用のために無制限に使うということであれば、これは当然第二条の規定によって施設区域として提供されるべき筋合いでございまして、成田空港についてはそのようなことは毛頭考えておりません。第五条によって成田空港を使うというのは、必ずしも全く自由に使うという意味ではございません。
  90. 林委員(林百郎)

    ○林委員 全く自由でなければどういうことなんですか。断わることができるというのですか。五条に基づいて「公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」のだから、これはやはり申し出があれば断わるわけにいかないということじゃないですか。それで提供された施設じゃないのですけれども、しかし地位協定の五条によれば、そのような飛行場はそのような使用が許されているんじゃないですか。
  91. 松原説明員(松原進)

    ○松原説明員 先生もおっしゃいましたように、施設区域として提供しております場合と、第五条によって米軍機が使います場合には、おのずからそこに性格の相違があるわけでございます。と申しますのは、たとえば第五条の規定によりまして民間航空に使用されている飛行場を米軍機が使用するという場合に、その使用の態様が、民間飛行場としての機能を阻害するような形で行なわれるとかいうことは、先ほど来の地位協定第五条なりあるいは地位協定第二条の規定の趣旨から申しまして、こういうふうな民間飛行場の機能を阻害するような形で使われるということは予想されていないわけでございます。そういう意味で米軍機が全く自由に成田空港使用できるのだということにはならない、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  92. 林委員(林百郎)

    ○林委員 それでは運輸省にお聞きしますが、羽田空港を地位協定五条で使用する申し出があったとき、運輸省のほうで、民間空港の混雑する現況からいって、お断わりしますと言って断わったことがありますか。
  93. 川上説明員(川上親人)

    ○川上説明員 羽田におきましては、先ほども御説明申し上げましたとおりに、現実に四千五百回あるいは三千九百回というふうに使われております。しかし、その使われ方の態様といいますのは、先ほど外務省からも御答弁ございましたように、戦闘目的あるいは軍事基地としてこれを使っているというのではなくて、単なるテクニカルランディングと申しますか、羽田における燃料補給あるいは天候不良の場合のいわば不時着的な使用という形で使われている。実際にそのような羽田の使い方を見ておりますと、そういう形で使われているわけであります。
  94. 林委員(林百郎)

    ○林委員 それは外務省や運輸省がそういう弁解をなさるのはわかりますが、一年に四千五百十四機というのは、一日に十二、三回ですよ。それが単なるテクニカルランディングあるいは緊急避難だということだけで――一日に十回も緊急避難してくるのでしょう。これは明らかに直接戦闘的な目的でないにしても、軍需物資だとか、あるいはベトナムの戦争に直接間接関係がある人だとか、そういうことが予想されるのじゃないですか。それはそれでいいですよ。あなたのほうに言ったって、まさかあなた方が飛行機の中を調べたわけでもないでしょうし、アメリカ側からテクニカルランディングだと言われれば、ああそうですかということで、いや私のほうは、いま羽田のほうは非常な繁雑な状態にありますから、一応調べさせてもらいますということを一度も言ったことがないのですからいいですよ。  そこで、防衛庁の方にお聞きしますが、これは一つの異常な事態の場合のことを論理的に聞いておきたいのですが、たとえば自衛隊法の百三条ですね、これはおわかりでしょうか。それから、自治法の別表第三の五の四にもあるわけなんです。要するに、「自衛際が防衛出動を命ぜられたときに、「輸送を業とする者に対して防衛庁長官等の指定した業務に従事すること」を命ずるとあるのですが、これはもちろん国際空港関係も、この規定の適用がこういう事態の場合には受ける、こう解釈していいのでしょう。
  95. 安田説明員(安田寛)

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  自衛隊法百三条には御指摘のような条文がございまして、国家緊急の事態、防衛出動の事態におきましては、輸送を業とする者に対して従事命令を発することができるような規定がございます。ただ、これはあくまでも防衛出動、つまり日本が外部から武力攻撃を受けているという緊急非常の事態でございまして、かつまた、それにつきましては、現在政令で定める細目規定がございませんので、理論的にはそう申し上げられるという程度でございます。
  96. 林委員(林百郎)

    ○林委員 条項があるから聞いておるわけなんで、それを受けて自治法の別表第三の五の四の規定にもそれがあります。これは自治法のほうですから、てれも当然うらはらになった条項で、これも適用になるんだというように解釈していいですね。
  97. 安田説明員(安田寛)

    ○安田説明員 自治法の規定は、自衛隊法を目録的に述べただけであって、うらはらになっておるだけであります。それ自身が実体法ではございません。
  98. 林委員(林百郎)

    ○林委員 わかりました。だから、理論的とはいえ、軍事的な使用の道も開かれているということは言い得ると思うのですね。したがって、国際空港に対する反対運動の中に、そういうことを考慮して、これが米軍に使用される道もある、あるいは万一の場合には自衛隊に使用される道も――いまの答弁では論理的だといっておりますけれども、しかし、論理的だけで現実にないことなら、何も条文にそんなことを書いておく必要がないと思う。そういう事態が考えられるので条文に明記してあると思うのです。だから、反対運動の中にそういう声があるということを十分皆さんは心しておかなければならないと思うわけです。  私のほうは防衛庁と外務省関係は、それでけっこうです。あと自治省に聞きたいと思います。  自治省にお聞きしたいのですけれども国際空港整備財政措置としての本法案について、私どもはいろいろ資料を調査してみたんですけれども関連市町村がこの周辺整備のために必要とする予算は、本法によって負担軽減を行なっても、私のほうの計算ですと約四十九億七千九百万円、これは関連市町村の歳入の約二・七倍になるという数字が出ております。先ほどの細郷さんの答弁は、これは県やいろいろ入れての数字ですから、この数字が出てきませんけれども関連市町村だけで、この整備のための現行負担額から本法の特別措置による負担軽減を差し引いてもなお四十九億近くの負担がある。これは関連市町村の歳入の二・七倍だという数字が出てくるのですが、これはどうですか。
  99. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 おっしゃるとおり、市町村は現行法で五十六億、それに本法によります軽減が約七億ほどございますから、本法適用後は四十九億ぐらいになるわけでございます。それでその財政的な影響は、それぞれの市町村ごとに見てまいらなければならないと思いますが、それにつきましては、先般御要求のございましたこの資料によりまして、年次別にそれぞれの推計をいたしまして、その負担が可能であるかどうかということをごらんをいただいておるわけでございます。したがいまして、私どもが今後におきます一般財源の伸び、それから特に成田市におきましては人口増加による財源の伸び、そういうものを基礎といたしまして、これらの関連事業を行ないます場合の所要額、それを差し引いてまいりますと、私どもとしましては、これは何とかいけるのではなかろうか、こういうふうに見ておるわけです。
  100. 林委員(林百郎)

    ○林委員 何とかいけるんじゃなかろうかというような答弁なんですけれども、千葉県を見ますと、軽減した財政負担で約二十七億、これは千葉県の四十二年度の普通建設費の約一割程度になっておりますが、それはそれでいいですか。これはあなたのほうから出された資料で調べたんですが、県分です。
  101. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 千葉県につきましては、現行法によりますと七十八億の地方負担が見込まれますが、そのうち本法によって約二十億軽減になります。したがいまして、そのとおり計算をいたしますと、七十八億のところが五十八億で済む、こういうことでございます。ただ、これにつきましては、先般参考人からの意見聴取の際お聞き取りをいただいたかと思いますが、県自身は地元とのいきさつあるいは地元負担というのを考慮いたしまして、軽減されました分を必ずしも全部県が吸収するわけではなく、いろいろ地元の負担軽減のためにそれを配慮するというふうに伺っております。
  102. 林委員(林百郎)

    ○林委員 五十八億ということになりますと、この自治省の資料による財政状況の千葉県の現状からいいますと、四十二年度の決算額の普通建設事業費が約二百七十八億ですから、その二割相当になると思うのです。これは関係市町村にしても相当の大きな財政負担額になると思う。私たちがこの法案に賛成することのできない大きな理由の一つはここにあるわけなんですけれども、これは本法で軽減してなおこの負担なんですから、決して本法で問題が解決するわけではない。ましてや地元で大きな反対の運動があっているわけなんですから、この関連市町村の歳入の二・七倍にも該当するような四十九億の財政負担、あるいは千葉県の五十八億というような負担は、自治省としては将来どうするお考えなんですか。
  103. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 七十八億のうち二十億が軽減になりますから、そのとおり全部県が吸収するといたしますと五十八億の地方負担になるわけであります。それを御承知のように大体五十年度をめどにして実行してまいりますので、その間、多少年度によって消長があろうかと思いますが、年度ごとに見てまいりますと、単純平均で十億程度になるわけであります。これらにつきましては、私どもは千葉県の財政の今後の推移というものを見てまいりますと、御承知のように千葉県はいま全国の中でも非常に上り坂にある県でございまして、財政力指数等も年々相当上がっておるわけでございます。そういったようなことを考慮に入れてまいりますと、私は千葉県としてこの程度の負担はこなせるものと考えております。   〔山口(鶴)委員「やれっこない」と呼ぶ〕
  104. 林委員(林百郎)

    ○林委員 上り坂と言いますが、上り坂ということは支出もまた上り坂になることなんですよ。だから、国際空港という、この関連事業としての負担が特に単年度十億、算術的に割ってみてもそういう負担になるので、これは千葉県としては大きな金になるのじゃないか。いままた山口さんからも発言があったのですけれども関連市町村の四十九億、これも上り坂だ、上り坂だということだけで、単純にあなたのようにそう言い切れないのじゃないですか。これについてはどういうようにお考えですか。これも上り坂で解決するのですか。
  105. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 市町村分につきましては、県とは地域の広狭の関係で多少違うと思います。率直に言って、市町村分の中でも成田市がやはり新都市をかかえるという問題、空港に一番近いといったような問題から、財政の負担は相当大きくなるということは私どもも認めております。  そこで、この前資料としても差し上げましたように、今後の伸びと負担というものを見てまいったわけでございます。あれによりますれば、先ほども申し上げましたように、私は決して楽にいけるとは思っておりません。しかし、将来やはり成田市自身もそれだけの計画的な新都市ができる。そうして、そこに計画的な人の吸収ができる、そういったような利点もございます。そういうようなことを考えてまいりますと、私は、成田市としてもできるだけの努力をして、これを進めていけるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  反面、私どももそういう一応の見通しを持っておりますけれども、やはり成田市自体の財政状態も年々よく見てまいりまして、私どもも応援のできる範囲では応援をして達成につとめたい、かように考えております。
  106. 林委員(林百郎)

    ○林委員 今井さんにちょっとお尋ねしますが、自治省の資料の中で「土地改良事業」というのがありまして、「騒音地区」というのがあるのですが、これが二十四億ですけれども、騒音地区の土地改良事業というのはどういう性格のものですか。
  107. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 騒音地区の土地改良事業というのは、これは空港公団の所管というよりは、むしろ関連事業関係で農林省の所管になると思いますけれども……。
  108. 林委員(林百郎)

    ○林委員 いや、「騒音地区」とあるから、騒音とはどういうことかと聞いているのです。騒音地区だから土地改良をしなければならないということは、どういうことなのか。そんなに土地改良事業までやらなければ騒音に対処できないような地区が発生するのかどうか。私はそう思っていますがね。そういうことかどうかと聞いているのです。
  109. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 私が聞きましたところでは、空港周辺約五キロの地域内におきまして畑地かんがいを実施する、こういうことでございます。従来の粗放農業からできるだけ近代的な高級蔬菜の生産というようなものに転換を進めていく、こういうような意味だと理解いたしております。
  110. 林委員(林百郎)

    ○林委員 だから、騒音地区だから何でやらなければいけないか、空で音がするから土地改良をしなければならないということはどういうことかと聞いているのですよ。
  111. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 騒音の問題でございますけれども、先生のおっしゃるとおり、畑地かんがいをしてその下でやって騒音が減少するということはないと私は思います。そこで騒音規制法ということで、一番最初に最もきついところは騒音規制法を適用いたしまして、まず滑走路の末端から八百メーターにつきましては用地を買い上げていこう。それから千三百メーターにつきましては立ちのき補償等で見てこいう。したがいまして、簡単に言いますと、滑走路の末端から千三百メーター、それから中心線から横へ四百六十五メーター、この間につきましては、家があれば家の立ちのきを補償しよう。それから農地については買い上げてこいう。それが騒音規制法で、これは東京、大阪、両空港にも適用があるわけでございますが、それ以外に、新空港は何といいましてもわが国最初の大空港でございますし、着陸する飛行機も自然大型になってまいります。もう少し幅を広げまして滑走路方向につきましては二キロメーター、横幅につきましてはいま言いました滑走路の中心線から六百メーター、その範囲内については農地の買い取り請求があっに場合はそれを買い取りしていく、こういったことがほんとうの意味の騒音対策であろうかと思います。しかし、それ以外に、ただいま言いましたように土地改良事業というのは多少違うのでございまして、現実に生ずる損失を補償するというものでは実はないのでございます。ただ、ある程度以上の騒音の発生が予想されます地域について、畑地かんがい施設等を設置して農業収入の増大をはかりまして、騒音公害による迷惑を緩和しようとする施策であると言ったらよろしいのでしょうか、そういう意味で畑地かんがいをやるということなのでございます。
  112. 林委員(林百郎)

    ○林委員 いままでわりあいに科学的な答弁をしていると思っていた公団が、突如として非科学的なことを言い出して、私にはわからないのですけれども、どうして畑をつくれば騒音が緩和されるのかちっともわからないのですね。その点はそれでいいです、質問の主点じゃないのですから。しかし、この自治省の資料で見ますと二十四億の負担があるわけですね。土地改良事業ということになりますと、これは当然農民負担が出てくるわけです。全額国あるいは公共団体の負担の土地事業じゃないと思うのですけれどもね。騒音地区に対して慰謝の意味で土地改良をしてやるのはいいけれども、しかし農民が負担したのでは泣きっつらにハチになるのじゃないですか、騒音はくるわ、自分の費用で土地改良をしなければならぬわで。
  113. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 土地改良につきましての農民負担は、「その他」というところで、いわゆる土地改良区、俗に農民の負担といわれるわけですが、本法によりましてもやはり多少の負担が制度的に残ってまいるわけでございます。それらの点につきましては国庫負担率を引き上げております。その分だけ事業主体の負担が軽減される。それを県当局ではさらに地元の負担軽減のほうへ回していきたい、こういうようなお気持ちを持っておられるようでございます。そういうようなことを見てまいりますと、私はやはりこの「その他」の二十四億円の負担も相当程度軽減されるのではなかろうかというふうに考えております。
  114. 林委員(林百郎)

    ○林委員 相当程度というのは具体的にどうなるのですか。先ほどの私の質問にもありますように、滑走路の近接地域で上が騒音で耐えられない。そこで畑作か何かにする。それなのにまたこれだけのばく大な費用を持たなければならないというところに問題があると思うのですね。おそらくこれは移転したりいろいろした農民ではないかと思うわけです。いまも私これをよく見ますと、国の負担や県の負担のほかに「その他」とあるから、「その他」というのは当然農民負担のことを表示していると思うのですけれども、これが二十四億だとすると、これをどのように減らすのですか。そして「その他」のところは幾らになるのですか。
  115. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 土地改良事業の国庫負担率を引き上げておりますので、その分だけは、御承知のように、県の主体事業につきましては県の負担が下がるわけでございます。土地改良事業は、御承知のように県がその分を地元とどういうふうに分けるかという問題があるわけでございます。先ほども申し上げましたように、県の意向でまいりますと、その分を、いままでのいきさつ等もございまして、農民負担と申しますか、いわゆる「その他」、土地改良区負担を切り下げるほうに実質的に回すように伺っております。で、どの程度になるかは、これは県のおきめになることでございますからわかりませんが、かりに国の負担率を引き上げて浮いた分を全部土地改良区に回すといたしますと、二十四億というところは十億円ということになるわけでございます。
  116. 林委員(林百郎)

    ○林委員 それは細郷さん、仮定でそうなればということでね。本法は国や県や市町村の負担をどのように軽減するかということであって、農民の負担をどう軽減させるかということではないわけですから、国や県も、国が四十五億、県が十五億となれば、本法による軽減分を農民の二十四億のほうに十四億も回すということは考えられないことですね。だからこれはたいへんなことになると思うのですよ。しかも、おそらくその土地改良事業関係する農民というのは、本来の自分の耕作地を手放した人たちで、そちらのほうからの負担と合わせて土地改良事業の負担を負わなければならぬことになるのじゃないか、こういうように思うわけです。この点も、あなたはかりに国や県が最大限の好意を示して土地改良の農民負担のほうに回せばということなんですけれども、それは何の保証もないということなんで、細郷さん、ここで必ずそうさせますと約束できますか。
  117. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 何ぶんにも県の御決定になることでございますから、私からお約束というのはいささか越権だと思います。  ただ、先般参考人の方から先生方に対して資料提供がございまして、それで土地改良事業についての負担区分についての県の特例法適用後の考え方が一応数字で出ておりますので、それで見てまいりますと、国の負担率アップによる軽減分は全部地元に回るようにこの表が出ておりますので、おそらくそういうふうにしていかれるのではなかろうかと私は思っております。
  118. 林委員(林百郎)

    ○林委員 その点はここであなたも確約はできないし、保証もないわけですけれども、その次に、この成田ニュータウンの問題、これもこの資料によって私のほうで計算してみますと、成田ニュータウンの建設について、地区内下水道の負担、要するに地元負担は八〇%を新都市が負担する。ごみ焼却場は九三%、公民館は九四%、保育所は八九%、幼稚園は八一%、小学校は七三%、中学校は六九%、消防は六一%、これは成田ニュータウンが、いま私が申し上げましたような施設については以上のような負担分になると思うのですが、そうですか。
  119. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 この前御提出申し上げました資料にございますように、現行の制度によります負担は、たとえば地区内下水道は、いまお話がありましたが、十七億七千五百万円。差し上げた資料にあるとおりでございます。ただ、その中で、本法の対象になっております施設、それから首都圏の財政援助の対象になる施設というものもございますものですから、それらのものも勘案して、成田市におきます財政の見通しについては、先般年度別に差し上げた資料によっております。
  120. 林委員(林百郎)

    ○林委員 そうすると、成田ニュータウンの計画に基づいて、これはニュータウン構想というのはまだコンクリートしてないわけですけれども、この成田ニュータウンの整備計画に基づく負担というのは総額どのくらいの額になるのですか。私のほうの計算だと四十三億五千二百万円という数字が出てますが、そうですか。ニュータウン建設のために地元が負担する、あるいはニュータウン自体が負担する費用ですね。
  121. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 この前差し上げました資料の二九ページに「新都市(成田ニュータウン)」というところ以降にあるわけでございます。そこでそれをもとにいたしまして成田市の一般財源がどのくらい要るであろうか、財特法も首都圏整備法も適用した後において幾ら要るであろうかというのが、別途「空港関連事業負担額等の状況(推計)」として差し上げた資料にあるわけでございます。その成田市分については、御承知のようにこれらの事業を負担するのには五十一年度までに市として一般財源所要額が三十三億四千七百万円、こういうふうに見ております。
  122. 林委員(林百郎)

    ○林委員 私のほうの計算ですと四十三億に相なります。かりに、それじゃ細郷さんのおっしゃるとおりとして、同じ資料の成田市の四十一年度の決算を見ますと、七億五千二百万円という数字が出ておるわけですけれども、これは四十一年度の成田市の決算ですね。そうすると、いまあなたのおっしゃるのでもこの四倍くらいのものが成田ニュータウンのための負担になるわけですけれども、そういうことになるわけですか、四年から五年近くの分が。
  123. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 全体としては四十四年度から五十一年度までに三十三億四千七百万円成田市に一般財源の負担が要る、こう見ております。それをずっと年度別に見てまいりますと、たとえば四十四年度は九千百万、四十五年度はやや大きくなりまして六億百万、四十六年度は五億二千五百万、そういうようなことで、最初の間五億ないし六億、それから四十八年度以降は四億ちょっと、また五十年度に、最後の年になりますが、六億四千七百万、こういうふうに一般財源が要るであろう、こう見ております。  それに対して現行のルールによります起債額としては、その下欄に書いてありますように、全年度を通じまして二十二億三千九百万円の起債を充てる。それの元利償還が五十一年度までで六億六百万円。したがいまして、一般財源の純所要額は全体としては十七億一千四百万円。そこでそれが投資的経費に回せる一般財源をどのくらいに見るか。いろいろ見方があるわけでございますが、成田市と類似の団体でありますと、一般財源から投資的事業に二五%は回せる、こういうようなことを見てまいりますと、私は先ほど申し上げましたように何とかやっていけるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
  124. 林委員(林百郎)

    ○林委員 起債といってもそれは負担になるわけで、借金になるわけですが、成田市の決算額を見ますと、自治省で提供しているのだけで見ましても四十一年が七億五千万、四十二年が八億二千万、それにニュータウンだけでそれだけの、毎年毎年五億から六億近くの負担をしょっていく。それは起債が二十億になるかもしれませんけれども、しかし決算額を自治省で四十二年しか資料として出してないので、私たちはそれを資料に言うのですが、四十二年度の決算が八億の市ですから、そんな膨大な費用を成田市が負担していく。それは財政的に大きな負担になるのじゃないですか。場合によっては、そのことのために再建団体に落ち込むような危険はありませんか。
  125. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 四十一年度あるいは四十二年度の決算規模は、七億あるいは八億程度になっております。四十二年度分の各市の決算については厚い資料の三六ページに載っております。それでいきますと、四十二年度、八億二千五百万、こうなっております。もとより成田市はこれから人口の増というものが膨大になるわけでございますから、それらに伴いまして一般財源の増加ということは当然見込める問題だ、こう考えております。  そこで、私ども決算の数字のうちで特に考えなければいけない問題は、この一般財源のうちで投資的な経費にどれくらい回せるだろうかという検討が一番大事かと思っておるわけでございます。それでまいりますと、二五%程度が回せるということから、先ほど申し上げておるような数字になるわけでございます。
  126. 林委員(林百郎)

    ○林委員 財政規模が八億程度のところが、ニュータウンのために起債が二十二億になるということは、まあ起債だからということを言われておりますけれども、これは結局借金になるわけですから、成田市としては大きな負担になる。若干の本法による措置では、将来非常に不安な要因を残すことになるのじゃないかというふうに私は思うわけです。この問題は、将来を見ることによって、細郷さんの見通しが正しかったか、私の見通しが正しかったか証明されると思います。  そこで、今度は代替地の問題と代替地の用水の問題でまだ問題が若干残っておりますので、その二点を聞いておきたいと思います。  代替地の問題ですけれども、先ほど公団のほうから民有地六百七十ヘクタール、これは最小限度のことで、さっき言ったように、騒音の被害とかなんとかというところを入れれば、人によっては五千ヘクタールくらいの規模のものが確保されなければならないのじゃないかと言う人もありますけれども、最小限度公団の言うとおり六百七十ヘクタールの代替地が必要だ。ことに農地としての代替地が必要だという五百ヘクタール程度のものを考えてみますと、ここにいろいろの問題が出てくるのですが、政府の買い上げは一反歩――私たち反のほうがわかりいいので、一反歩どのくらいで買い上げるつもりなのですか。たとえば水田ならばどのくらいですか、あるいは畑地でもけっこうです。
  127. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 代替地につきましては、先生御指摘のように、五百ヘクタールを一応予定いたしておるわけでございます。そのうちの民有地につきまして、約三百ヘクタールでございますが、これはすでに県のほうで――空港公団用地取得できませんので、県にお願いをいたしまして、主として畑あるいは宅地でございますが、こういったものを用意いたしていただいたわけでございますが、これは地域によって若干差等がございまして、富里村で取得いたしました代替地は一反歩七十万円、成田市内で取得いたしたものが反当たり八十万円、こういうことですでに手配済みでございます。
  128. 林委員(林百郎)

    ○林委員 ところが、公団並びに国が考えている代替地としての払い下げは、造成費もあるので反当九十万円程度で払い下げるようになるのじゃないかというのですけれども、そうなると、買い上げの費用より払い下げ代替地取得する費用のほうがオーバーすることになりませんか。
  129. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 代替地は、先ほど申しましたように県が取得しまして、県が開発公社を通じて造成をいたしておるわけでございます。県とそれから市内から代替地に移られる方との話し合いで、もちろん公団も協議を受けておりますが、畑を基準にいたしまして反当たり九十万円ということでお約束ができておるわけでございます。  それで、いま先生のおっしゃる取得費と造成費を加えますと九十万円というふうな値段をオーバーするのではないか、こういうふうな意味の御質問かと思いますけれども、これにつきましては、私どもは、田畑九十万という一応の基準にはなっておりますけれども、現在県のほうと御相談中でございますが、地目別の格差をつけるべきかどうかという問題があるわけでございます。で、私どもは、敷地の中では宅地は反当たり二百万で地主の方々から買っておるわけでございまして、したがって代替地における宅地分というものの値段をどうきめるかという問題もあるわけでございます。それからさらに、成田市内の代替地の売り渡し価格、それからまた富里の、空港から非常に離れた南のほうの地域の払い下げ価格、こういうものは若干地域格差というふうなものも設けるべきではないかというふうにいたしまして、本来なら取得費プラス造成費というものをもって農民の方々からお金をいただくことになるわけでございますけれども、全体として県が取得、造成をして、その総額が回収したお金とどうバランスするかという点についての最終的の計算は、現在はまだできておりません。
  130. 林委員(林百郎)

    ○林委員 現地からのいろいろな話を聞いてみますと、これは反対の人たちもありますし、条件派の人たち、いろいろな要因がありますけれども、しかし最大公約数として不安を持っているのは、反対派の人も条件派の人も、将来の見通しが非常に不安だということがもう最大だと思うのですね。その中で、自治体としては、いま私が質問したような点が問題です。また、農民にとってはいま私が聞いたような代替地の問題が大きな不安の要因になっていると思うのですね。さらに、いま言った取得費、払い下げ費と買い上げ費との逆ざやの問題と、一体どこが代替地かという、代替地がまだ具体的に示されておらない。そしてまた、小規模の、たとえば二町歩以下から五反歩――二町歩と五反とではあまりかけ離れがありますが、たとえば五反未満の土地を持っておる人などが一体営農が保障されるかどうかという、この具体的に代替地がどこかという問題と、かりに五反歩の農地の農業経営を保障されるかどうかということについて非常に不安を持っている。これは条件派の人たちもというか、反対の組織に入らない人たちも、このことが不安で、もうこれは実質的には反対している。無理もないと思うわけです。これはどういうようになっておるのですか。
  131. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 先ほど私御説明申し上げましたように、敷地の中の民有地は全体で六百七十ヘクタール、それでいま私どもが用意しました代替地は五百ヘクタールばかりあるわけでございまして、先生がおっしゃるように二町歩以上提供した方々に対して成田周辺では配分面積は七・五反、こういうことになっておるわけでございます。なぜこういうふうになったかといいますと、条件派の方々が中心でございますけれども、新空港対策部落協議会、それから新空港対策地権者会、この二つが条件派の大きな主流でございますけれども、これらの方々と協議の上で、特に畜産試験場のあとであるとか、あるいはまた種鶏種豚場のあとであるとか、あるいは御料牧場の残地であるとか、それからまた、その辺にある昔のゴルフ場あとであるとか、鍋店地区と申しますか、こういうふうなところにつきましては、比較的空港に近接しておる。騒音についての心配もあまりないというふうなことで、ここに希望が実は殺到いたしたわけであります。この殺到した希望をどう措置するかということで、お話し合いの上で、それでは二町以上の方々には七反五畝、こういうふうな形に、これは完全な了解のもとにでき上がったのでございまして、これについて御不満があるというふうな話は、私どもは現在聞いておりません。  それから、あくまで将来純農でいくんだというふうな方々に対しましては、御希望のとおりの面積を配分いたしております。現に富里の県有林等へ入られた方々は、お一人で二町、三町というふうな代替地取得いたされまして、すでにもう昨年の秋から麦の作付をやっておるというふうなことでございます。  それから、いま先生のおっしゃるように、二反五畝もらって一体どうなるんだというふうなお話でございますが、二反五畝を配分いたします農家は、敷地の中で三反以上、五反未満を持っておられた方々に対して二・五反、こういうことになっておるわけでございます。これは私ども専門ではございませんが、今後のあの周辺のいわゆる農業政策と申しますか、そういうふうな観点ではやはり従来の落花生、サトイモ、あるいはまたスイカというふうなものの生産から、高度な蔬菜農業というふうなことで、新しくでき上がるニュータウンであるとか、あるいは公務員、公団職員の住宅であるとか、あるいはまた空港への勤務者であるとかというふうなものに、そういうものを提供するというふうな形で農業を進めていったらどうかというのが県の考え方のようでございます。
  132. 林委員(林百郎)

    ○林委員 その代替地の五百ヘクタールのうち、印旛沼の干拓地もその中に入れられている。そうですが、違いますか。
  133. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 入っておりません。
  134. 林委員(林百郎)

    ○林委員 入ってない。しかし、地元の農民からいえば、代替地五百ヘクタールのうち、代替地として考えられているところに印旛沼の干拓地がある。これは特に沼の中心地に近い部分で干拓で堆積した土の下のアシなどが腐敗によって沈下がひどいことが予想されて、これから八年から十年ぐらいは水田としても使えないだろう。しかも国の財政措置関連で、所有権も八年間は農民のものにならないといわれているということで、これに非常に不安を持っているんですけれども、印旛沼の干拓地が全然この代替地として考慮されていないと聞いておいていいんですか。
  135. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 代替地として考慮されていないということではなくて、私が先ほど申し上げました用意した五百ヘクタールの中には入っていない、こういうことでございます。さらに、印旛の干拓地を御希望される方々にはそこを代替地として提供してもよろしいというのが県の御意向でございます。これにプラスされる、こういうふうにお考えになっていいと思います。
  136. 林委員(林百郎)

    ○林委員 あなたのほうの準備している五百ヘクタールというのは特定できますか。それを資料として提供してください。
  137. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 特定できまずから、資料として提出いたします。
  138. 林委員(林百郎)

    ○林委員 じゃあ、その五百ヘクタールのほかに、印旛沼の干拓地が用意されたというのはどういう意味ですか。
  139. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 これは県のほうの地元対策でございまして、水田耕作を希望される方々に対しては、特に現在空港建設に反対しておられる方々も含めて、印旛に干拓水田ができるので、御希望者に対してはこれを配分しよう、こういうのが県の意向でございます。
  140. 林委員(林百郎)

    ○林委員 私のほうの調査によれば、これも代替地一つの候補として準備されているのだ。しかし、それはとうていここ八年から十年くらいは水田としては使えないものだ。それが代替地として、あるいは、あなたは県で用意しておって、希望者には空港関係農民に提供する土地だと言っていますけれども、その辺は言い方が若干微妙ですけれども、とてもこれは水田としては使用できないような状態だということがいわれておるわけですね。  もう一つ、用水計画ですけれども公団空港建設のために地下水を大量にくみ上げている、これが一つ。それから用地内の御料牧場あとの森林をもう伐採をしている。それから用地外の御料牧場あとの森林を伐採している。県有林の伐採も行なっている。これも代替地にするためですね。これらによって、水源が非常に枯渇されていること、これらの森林は本来保安林としての役割りを果たしていたのに、これが乱伐されているので、地域住民には重大な影響を与えている、こういう観点からいっても、空港をこの地域に設置することについては、とうてい賛成できないという強い声があるわけですけれども、これはどうですか。
  141. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 先生がおっしゃるように、現在空港公団が工事のために井戸をどんどん掘っておるというふうな事実はあまりないのではないか。というのは、まだ敷地内の工事は始めておりませんので、現在成田市の土屋地先に約十万平米の資材置場を建設中でございます。したがって、敷地内の工事のために用水をくみ上げておるというふうな事実は現在ないと思います。  なお、森林の伐採につきましては、先ほど淡谷先生の御質問に対する大蔵省答弁いろいろありましたが、御料牧場の残地の中で一番西側に位する根本名地区、この地区を宮内庁のほうで牧場の用途を廃止をいたしまして、これは将来農民の方々が代替地として移っていかれる部分でございますので、その部分はこれを造成する必要がございますので、公団払い下げを受けて伐木をした、こういう事実はございます。現在敷地内の伐木は私どもの手では少なくともやっておりません。
  142. 林委員(林百郎)

    ○林委員 これで終わります。  公団が説明しているんですよ。あなた知っているかどうか知りませんが、水がなくなるから用水計画をつくらなければならないということを、あなたのほうが説明して歩いているんですよ。それではなぜ水がなくなるのかと農民のほうから聞くと、これこれこれこれこういうことをしなければならないから、だから水が足りなくなるから用水計画をしなければならないのだ、こういうことを言っているわけなんです。だから、用水計画も自治省提供の設備計画の中にちゃんとあるわけです。常識的に考えたって、空港をつくる限り、地下水をくみ揚げて固めなければならないし、コンクリートしなければならないし、御料牧場あとの木も切らなければならないわけでしょう。これはあの地域のかんがい、排水用の大事な保安林になっておるわけですから、これは農民の言うほうがあたりまえじゃないですか。あなたが水の心配は全然ないなんと言ったって、これは農業の経験のない方が、ここでただ説明しているだけであって、農民の側からいえば、用水についてことに畑地やたんぼを入れまして四千町歩近くの用水計画がどうなるかということを心配しているわけでしょう。そんな心配がないとあなたここで言えますか。絶対将来水の心配はかけないとあなた保証できるのですか。
  143. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 そのために今度の空港関連事業につきましても、大きなアイテムとして用水対策が立てられておるわけでございます。私どもは地元の農民の方々の用水に、われわれ自身が原因になって御迷惑をかけるというようなことをしないために、政府にお願いして空港関連の用水計画を立てていただいておるわけでございます。
  144. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 本会議散会後に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十六分開議
  145. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  146. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 せんだって参考人の方に私が三つばかりの資料を要求しておったわけでありますが、すでに二週間近くなるのですが、まだ資料が届いておらないのです。どうなったのでしょうか…。  新東京国際空港の問題についてはいろいろな問題点が出ておるわけでありますが、私はできるだけ重複を避けまして、主として法案に直接関係するものについて若干質問をしたいと思うのであります。  最初にお尋ねしたいのでありますが、この法案はどういう経過を経てでき上がったのか、これをひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  147. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 お答えをいたします。  閣議決定によりまして場所の決定がなされました。また、その際、推進本部を運輸省に置きまして、関係各省庁並びに千葉県がみんな参加をしての推進本部で事業をだんだん煮詰めてまいりました。関連事業というものの骨格が判明をしてまいりました。その過程で関係市町村の御意見、御要望は、千葉県が代表して表明なさったわけであります。そうやって詰めてまいりました事業につきまして、特別の補助率等を、推進本部で、千葉県当局がそれぞれ千葉県並びに市町村の意見を代表いたしまして個々の関係省庁との補助率の詰めをやってまいりました。そういう経過を経てこの法案が作成をされたものでございます。
  148. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 大づかみの経過は政務次官のおっしゃるとおりだと思います。その間にどういう変遷があったか、いろいろな折衝、話し合い等が行なわれたでしょう。千葉県なりあるいは地元市町村なり、あるいは推進本部なり、あるいは予算を通じての大蔵折衝なり、そして最終結論としてこういうものが出てきたわけでありますが、どういう変遷、変化がこの法案そのものについて起こったのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  149. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 たいへん幅広い質問でございまして、たとえて申し上げますならば、先般、先生が参考人の御意見をお聞き取りになりまして、千葉県の副知事さんが、千葉県として政府に要望したそれの資料を出せというふうなお話でございます。千葉県の御要望と今回の法案の中身、自治省から先生方に差し上げました参考資料の数字の変わってきているようなところを御説明申し上げれば、ただいま先生の御質問の御趣旨に合ってくるのではないかと思いますので、事務当局からその数字等もあげながら御説明をさせたいと思います。
  150. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 御承知のように、地元から、特に千葉県から、いろいろ要望が実施本部に対して出されまして、おのおのの事業につきましてそれそれ事業ごとに関係省とも相談をいたし、そして補助率のかさ上げというようなことをきめてまいったわけでございます。
  151. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 たいへん幅広い質問で的確な答弁が得られないので残念でありますけれども、私は昨年の十一月十六日の新聞記事をたまたま持っております。その内容と今度出された法案とには非常に大きな隔たりがあると思うのでありますが、いかがですか。
  152. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 いま御指摘のその新聞記事というのを実は私承知をいたしておりません。ちょっとその差を申し上げることはできないのでございます。
  153. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 自治省の事務当局の責任者は御存じないというのでありますから、それではちょっと新聞のところを読んでみますと、「自治省は十五日、」というのでありますから四十三年十一月十五日であります。「「新東京国際空港周辺整備のための財政上の特別措置等に関する法律案」をまとめ、各省庁との折衝を始めた。同法案は 1特別財政措置による周辺整備の期間を四十四――五十三年度まで十カ年とする 2千葉県知事は関係市町村長の意見を聞いて「新東京国際空港周辺整備事業計画」を作る 3特別財政措置の対象事業は道路、上下水道、学校など十二施設で、国庫補助率は道路、河川改修を全額国庫補助とするなど、大半の施設が既存の特別財政措置法による補助率を上回る――などが骨子である。」こういうふうに書いてありまして、その法律案の内容が一条から五条までずっとそのまま出ております。でありますから、今度の法律案とほぼ骨格は同じなんですね。しかし内容はたいへんな隔たりがあるわけですよ。こう書いてあるのですけれども、自治省は御存じないですか。
  154. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 私はその記事は存じておりません。私の記憶によりますと、十一月のそのころ――十六日とおっしゃいましたけれども、そのころにまだ私どもの中ではそこまでまとまっていなかったという記憶がございます。少なくとも十二月に入ってからと記憶しております。
  155. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 四十三年の十二月二十一日に「「新空港周辺整備法案」もめる」「高率補助に反対」「起債、利子補給を主張」「大蔵省」、こういう新聞の見出しがあるわけですね。いま財政局長がおっしゃったのはそれでしょう。しかし、その前に自治省の態度というのがこの新聞にぴしゃっと出ておるわけですよ。あとで詳しく条文を追って質問をしたいと思う。ですから何でもかんでも新聞の記事はおれは知らぬということでは話にならないですね。そして、最後に、現在出されている法案と大体同じものが四十四年の二月一日、「高率補助が前面に」「一〇年間で三〇億」「今国会へ提出」という見出しで出ているわけです。新聞の経過はそうなっておるのです。まるきり知らない――言ってみますと、ことしの二月一日の新聞に出たこの内容程度のことしか御存じない、こういうことですね。政務次官、そうなっているのですよ。週刊誌じゃないんだから……。
  156. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 私の承知している範囲でお答えをいたしますが、私が自治省に参りましたのは十二月の初めでございます。いま先生、四十三年十一月十五日にきめたということを十六日付の新聞の記事で見たというお話でございますが、私が十二月の初めに空港のことを事務当局に聞きましたときには、そういった内容のことはまだ固まっておりませんでした。私が直接空港の問題がどうなっているかということを聞いて、まだそこまで固まってないという返事を事務当局から自分で受けましたので、これは事実であろうと思います。もっとも省内にいろいろな考えがあったでございましょうけれども、自治省としてそこまで固まったものは十二月初めにはまだございませんでした。先ほど先生がおっしゃった、財政当局が高率補助に反対している、そういう段階――先ほどお答えをいたしました推進本部を中心としての県並びに市町村に対します財政特別措置の中身につきまして、それは自治省と大蔵省、あるいは建設省と大蔵省、農林省と大蔵省、そういう個々の折衝がありました段階で、ある時期には財政当局は財政当局としての立場からの、いま先生がお話しになったような、そういう意見も事実ございました。いろいろ真剣に議論をいたしました結果まとまったのが今回の法案でございます。その途中の段階では先生おっしゃったようないろいろな議論があったわけです。それは事実でございます。いまおっしゃいました十一月の中旬ごろには、これはまだそこまで固めたものは自治省としてございませんでしたことは御理解をいただきたいと思います。
  157. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 それでは少し具体的にお聞きいたします。  この法案の第一条は、十一月十六日の日本経済新聞に出されておる記事と内容は変わっておりません。ところが、第二条はたいへんな変わりようです。当時の新聞にはこの第二条が第三条と、こういう形になっております。今度の法案の第二条というのが――小笠原の際にも問題になった点でありますけれども、二条一項で関係市町村の長の意見を聞かなければならぬと千葉県知事に義務づけておるわけですね。そして千葉県知事は、その事業計画というものを二項に基づきまして作成して自治大臣に提出しなければならない。提出するだけですね。そして、二条四項で、自治大臣及び次条第一項の主務大臣は、その計画案に基づいて協議した上で、空港周辺地域整備計画を決定する、こういうふうになっておるのですね。ところが、当時の自治省の案なるものは、千葉県知事は、市町村長の意見を聞いて周辺整備事業計画をつくり、自治大臣の承認を受けなければならぬ。自治大臣の決定じゃないんですね、承認ですよ。この場合には知事はまとめ役ですよ。この場合に、小笠原と違って、厳然と市町村自治体も存在するのですよ。でありますから、これはたいへんな違いですね。昨年の十一月に自治省が考えたという案と、今度の法案の第二条の内容というのはうんと違うのです。基本的な姿勢が違う。どういうことなんですか、これは。金のかかる問題じゃないんだ。これは空港に国がどういう姿勢で取り組むか、こういうものを示しておるわけですね。ひとつ政務次官の御答弁を得たい。
  158. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 さっきも申し上げたのですが、十一月中旬という時期には、いわゆる自治省案というものはまだ固まっておりませんでした。これはひとつそういうふうに御了承をいただきたいのでございます。  今回提案をいたしまして御審議をいただいております法案を固めますまでに相当の日時を要しまして、いろいろな議論がございましたけれども、私どもといたしましては、空港関連して各市町村の行ないます事業というものは、やはりあれだけ大がかりな空港を三里塚のあの場所に決定いたしまして、それ相応の財政負担を千葉県並びに市町村にかけるわけでございますから、この関連事業に国の特別の財政援助をいたしますとともに、その事業の実施につきまして国が約束をする、むしろそういう意味合いのほうに重点を置いて考えてきたわけでございます。事業実施が円滑に、完ぺきに行なえるような、そういう責任を国みずからが持っていく、こういう姿勢を貫いていきたい、こういう考え方からこの第二条の条文が政府内で決定いたしまして、提案をしたのでございます。
  159. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 去年の十一月に自治省案というものはなかった、こういう一点ばりですけれども、そんなばかなことはないですよ。一体、政務次官、この事業はだれがやるのですか。新東京国際空港は国の事業なんですか、県もやる仕事ですか、市町村もやる事業ですか、一体だれが主体になるのですか。
  160. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 空港関連事業は国も公団も県も市町村も、それぞれの事業関連事業ではあるわけでございます。
  161. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 県もやるのでしょう。市町村もやるのでしょう。市町村はなけなしの金をつぎ込まされて、計画は自治大臣が決定するわけでしょう。その案というのはどこから出てくるかといいますと、知事が市町村長の意見を聞くのですよ。市町村長は、ただ知事に意見を聞かれるだけですよ。市町村長のそういう意見をまとめて知事が作成をして――トンネルですよね。そして大臣が決定をするわけでしょう。あるいは主管大臣が決定をする。国の事業ならともかく、市町村でも金を出すのでしょう。こんなことが許されますか。ほかにそんな法律の例がありますか。あるならあげてください。きのうあがりました小笠原、これは復興審議会というある程度の機関をつくっておりますよ。その意見を聞いた上で、自治大臣が決定するようになっています。これはいま東京都なんで、市町村として完全な自治体としての機能をまだ発揮しておりませんから、たいへんな議論があったところですよ。奄美の場合では、「鹿児島県知事は、振興計画の案を作成し、自治大臣に提出するものとする。」そうして、第三条の二項は「自治大臣は、前項の振興計画の案に基き、奄美群島振興審議会の審議を経て、振興計画を決定する。」ということになっています。これくらいの例ですよ。あと地域開発関係の補助率の引き上げ、たとえば離島の問題、あるいは辺地の問題、こういう補助率の引き上げ、それから新産と工特その他のいわゆる補助率のかさ上げの問題、いろいろありますけれども、そんなふうに書いたものはありませんよ。関連事業ですから、公団もやるのでしょうけれども、何もこんなものを置くことはないのですよ。ですから私は、原案の三条、周辺整備事業計画をつくり、自治大臣の承認を受けなければならぬ。承認を受けるということは、主体的には県知事がつくるのですよ。県知事は市町村長の意見をよく聞きなさい、こういうことですね。ずっと地域関係法律を見ますと、知事がそういう計画をつくるときには、市町村長と協議をしなければならぬ。そして、できたものについては、自治大臣に出したら、自治大臣は承認権だけですよ、決定権はないですよ。いままでのを全部私はずっと見ましたけれども、これはたいへんな問題ですよ。補助じゃないですよ。国の事業みたいなかっこうでしょう。どうお思いです。これは自治権の侵害だと思いますから、こんなことは許されないと思うのですよ。ですから、お聞きしているわけです。
  162. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 国から何か関連事業を押しつけるとか、そういう気持ちは毛頭ございません。むしろ関連事業がりっぱに、円滑に行なわれることについて、国が責任を持たなければならない。関係の千葉県並びに関係市町村の意見を十分取り入れてきまってまいりました。推進本部で練りに練ってきまってまいりました事業が、確実に円滑に遂行される、そういう約束を地元に対して国としてはっきりしていくのだ、先生の御心配になることと、ちょうどその裏のことを、私申し上げるかもしれませんけれども、私ども考えとしましては、そういう考え方から法案の作成をしたわけでございます。また関係市町村と千葉県の間で、これまた千葉県からの強圧的な事業の押しつけというようなことも、ただいままで推進本部でいろいろ協議をしてまいりました結果、そういう心配は毛頭ございません。十分意思の疎通をはかっております。この御審議をいただいております法案の趣旨というものは、先生が御懸念のような考え方ではなくて、むしろ事業推進を国がはっきり地元に対して約束申し上げる、その国の責任を明らかにした、そういう心持ちで書かれたものでございます。そういうふうにひとつ私どもの意図するところを御了承をいただきたいと思うのでございます。
  163. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 これは国の決意を示したんだと言うけれども、この法律の書き方では、それはだめだということです。地方自治体が事業をやるのに、公共的な施設をやるのに、周辺整備をやるのに、市町村長が意見を聞かれたまま、知事はそれをまとめて――そして奄美とか小笠原の場合は、それぞれ復興なり振興審議会というのが、一応表面的には民主的な形、各界各層を網羅した形のそういうものの意見を聞いて、そして、そういう人たちはまた、自治大臣に意見を述べる、こういうことが保障された中において自治大臣に決定権が与えられておりますが、これは何にもないですよ。ですから私は、原案の三条の自治大臣の承認権等についても、まだ問題があると思うのですけれども、それを今度は全く自治大臣と主管大臣の一方的な決定権、こんな自治権侵害はありませんよ。これは自治省のお役人ともあろうものが、こんなむちゃくちゃな自治権侵害の字句を使うことはいかぬですよ。これは、言ってみますと、十一月段階における三条の承認権ということであれば、まあ従来の地域開発立法等の精神をくんだ形でうたわれておりますから、まあまあ、あるいはということが言えるかもしれませんけれども、これではとてもだめですね。一体どこでどうなったのですか。十一月にそんなものなかったというのですけれども、活字があるのですから……。大蔵も金のことなら反対しますけれども、こんなことは言わぬでしょう。どこでどうなったのですか、明らかにしていただきたい。
  164. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 たびたび先生の御意見を、私が何かおことばを返すような御答弁を申し上げて申しわけないのですが、関連事業の内容というものが、国も行ない、公団も行ない、県、市町村も行なう事業がそれぞれあるわけでございます。その中に、国、公団の行ないます事業もまた相当量あるわけでございます。それから、関連事業というものは、その事業の内容は地元千葉県も出席をずっと続けてなさいました。推進本部で事実上進めてまっいたその関連事業でございます。千葉県が関係市町村の御意見、御要望も十分反映もなさって、推進本部でいろいろ検討をした結果固まってきた内容の関連事業でございます。そのきまってまいりました関連事業を、先ほどもお答えをいたしましたように、この法律でオーソライズする、国がはっきり千葉県並びに関係市町村に円滑な推進をお約束する、こういう趣旨から書かれた第二条でございまして、この第二条の解釈の先生の御懸念も、地方自治体の側に立っての御心配であろうと思いますが、先ほど先生の御議論のようなお考えで御批判をいただいたわけでございますが、この第二条の解釈も、私どもといたしましては、先ほどからお答え申しておりますように、推進本部の中におきまして、それぞれの関係省庁が熱心に検討もし、研究もしてくれたわけでございますが、特に自治省は関係市町村、千葉県、こういうように地方公共団体の側に立っての活躍もしてまいりました。そういう地方公共団体の立場に立っての自治省は、先ほどからお答えいたしましたような事業の円滑な推進をお約束する、オーソライズする、そういう意味合いから、この第二条を私どもはこういう表現にしたわけでございます。私どもも真剣に、いま申し上げた趣旨を今後とも守っていく決心をいたしておりますので、どうか御理解をいただきたいと思うのでございます。
  165. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 政務次官、自治大臣が決定するとオーソライズされる、県知事がつくったらオーソライズされぬ、市町村においておや、こういうお考えですか。そんなばかなことはないでしょう、オーソライズというのは。
  166. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 そういうふうにお答えしたのではございませんで、自治大臣が決定をすることによって、この推進本部で決定された関連事業を国がオーソライズをするということを申し上げたわけでございます。
  167. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 自治大臣が承認するということだけではオーソライズされないのですか。従来の法律は、それではオーソライズされてないのですか。後進地なりあるいはいろいろな低開発地とか山村漁村とかいろいろなものはオーソライズされてないのですか。これはほとんど全部承認ですよ。作成権は総合的に知事が持っている。その場合に、知事は関係市町村の意見を聞くのじゃないのです、協議をした上で開発振興計画をつくる。そうして自治大臣の承認を求めなければならぬ。これをオーソライズされているのでしょう。これだけオーソライズされているということはおかしいですよ。この事業というのは、やるのは県や市町村がやるのでしょう。政務次官のことばでは、まあこの際はそれ以外答えられないかもしれぬけれども、それはおかしいですよ。それは自治権侵害ですよ。
  168. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 先ほども関連事業の内容をちょっと申し上げましたが、国の行ないます関連事業もございます。公団の行ないます関連事業もございます。ただいま先生のおっしゃった千葉県、関係市町村の行ないます関連事業もございます。関連事業事業主体がそういうふうに分かれておりますので、国の直轄事業等につきましては、これは千葉県知事が決定するわけにはまいらないところでございます。したがいまして、国、公団、県、市町村の行ないますそれぞれの関連事業をまとめて国がオーソライズをするということを申し上げたわけでございます。さらに、それでは承認事項というものはオーソライズされないかとおっしゃいましたが、そんなことではございませんで、この関連事業は、関連事業そのものが――関連事業計画が実施計画でございます。そういう意味合いから、この関連事業そのものが即実施計画、こういう考え方から、その計画そのものの円滑な実施を、国といたしまして関係県、市町村にオーソライズする、約束をしていく、こういう考え方を私どもはしているわけでございまして、先生のおっしゃるような、自治権侵害とか、強圧的に上から関連事業を押しつけるとか、そういう気持ちの毛頭ないことは、これは実施本部で関連事業の煮詰まり方が非常に意思の疎通がうまくいきながら行なってまいりましたことでも、私どもといたしましては、われわれが地方公共団体の側に立って関係省庁をともに説得をする場面もございましたし、この行き方で十分千葉県、市町村の意見を反映しながらやっていける、そういう確信のもとにこの御審議をお願いしておるわけでございます。
  169. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 まだ納得できないですよ。政務次官、地方自治法の、国との関係なり、あるいは自治体の長等の場合に、これは自治大臣または都道府県知事はと、こういううたい方が多いのですよ。ですから、こういう計画については総合的でなければならぬし、斉合性も保たれておらなければならぬ、これはわかります。しかし、あえて意見を聞き、作成し、決定は自治大臣だぞ、主管大臣だぞ、こういう書き方は、これは現在の自治法の精神、憲法の精神から離れた昔のオーソライズのしかたですよ。おやりになるのは県や市町村でしょう。国の直轄事業もあるし、公団のやるものもありますよ。そういうものと、問題がやはりほとんど大部分が千葉県に関係する問題なんですから、千葉県知事が関係市町村なりその他の関係地方公共団体などとも打ち合わせて、そうして総合的な整備計画をつくって、自治大臣が承認する、こういうのが従来の立法の形式じゃないか、こう私は申し上げているのですよ。  あとでまた質問しますけれども、鼻くそ程度の補助金を出しておいて、そうしてオーソライズは文書だけでオーソライズしている。言ってみると、からとは申しませんけれども、ほとんど空に近いような財政の特例をやっておいて、そうして全部の権限を握ってしまう。中央集権化をしようという傾向というものがきわめて端的に出ておる法案だと思うのですよ。そう思わないですか。
  170. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 私は、いろいろ今後もそういう地域の開発計画というものも出てまいると思いますが、それをどういうふうに国と地元の地方団体の間で斉合性を保っていくか、いろいろむずかしい問題があるだろうと思います。それがこの法案では、いわばそういう意味では特定の地域にこういう飛行場ができるといったような特殊なケースの問題であります。普通の地域開発というだけでもございませんで、空港ができるし、また、それに関連して地域開発も行なわれる、財政上の特例もする、そういったようないろいろからみ合っているケースでございます。したがいまして、これはどういう形で、国にも保障をしてもらえ、地方団体もそれをやっていけるようにするかという形式は、私はいろいろな方法が考えられるのだろうと思います。それが今回は、これはいろいろ各省その他とも議論をし、また実施本部には地元当局も参画をいたしておりまして、実施本部においても議論をしてこういう形をとったわけでございます。ある意味では、そういう点で今回できますこの計画は、もう実施本部で実態的には相当練り上げられたものがこの計画という形で出ている、こういうふうに見ることもできるわけでございまして、そういうことから各省――自治大臣及び次条第一項というのは、次条によりましてかさ上げの補助を行なう事業の主管庁、こういうことでございます。これとこの事業についてはかさ上げをするという、大臣がそれを事業ごとに具体的に認めていく、こういう仕組みにもなっておるわけでございまして、この仕事一般的な財政援助のかさ上げ――財政力にスライドしたかさ上げ援助法と違いまして、個々の事業ごとにかさ上げ率をきめていくといったようなことから、主管大臣の考え方というのも計画決定に反映されなければならない、こういうようなことでこういう「決定」ということばを使ったわけでございます。私どもとして、これによって地元の意向を全く無視して独走しようという考えは毛頭ございませんし、また、そんなことをして空港建設ができるものでもないと実は私ども考えておるわけでございます。
  171. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 財政局長のおっしゃった、各事業ごとに補助率のかさ上げが行なわれる、だから、中央の自治大臣が握らなければならぬのだ、これはおかしいですよ。いままでのいろいろな法律、そういうものを見ましても、これはもう計画を決定するというのは、ほとんど全部は、各省にそれぞれ予算が配賦されております。補助率の引き上げなり、各省がみんな予算を持っているのですよ。そうしてけっこうやっていっているじゃないですか。ここにきて、小笠原でもあれだけ問題になった、これは自治法の点からいっても問題があるのではないかと参考人まで述べた問題、それを、今度はもっとエスカレーションして、審議会等も何もない形で、関係の大臣だけが協議して決定をしてしまうというのですから、これはもうオールマイティじゃないですか。それは、いままでのいろいろな経過で、そういう計画というものは積み上げられてきているのだ、こうおっしゃいますけれども、この法律の文章のうたい方はだめですよ。小笠原でもあんなに問題になったんだから……。まあ、大臣がおりませんから、その程度にこれはしておきます。  そこで、次にお尋ねしたいのでありますが、この三条で「国の負担又は補助の割合の特例」というのがございます。そして、それは別表できめられておるわけですが、昨年の十一月十六日に、自治省案なるものとして新聞に出たものと、国の負担割合というのとはずいぶん違っておりますね。その前に、この第二条の二項の一号、「道路」というのは変わっておりません。これはそのとおりであります。その次に「公園または緑地」というのがあるんですよ。これが落とされております。それから自治省の原案には「河川」というのがあるんですよ。これも落とされております。それから生活環境施設の中で下水道等が上がってきておりますが、「水道または下水道」と、こうなっているのですよ。それから教育施設だけではなくて、「教育施設または厚生施設」となっているんですよ。幼稚園、そういうものも入るようになっております。高等学校も入る。公民館も入る。こういうふうに十二項目が六項目になっているんだね。ずいぶん変わっておりますね。どういう尺度でこういうふうになったんですか。これほど無理して、地元にあんなに騒ぎを呼び起こさして、そしてしゃにむにでも、警察権力の力までかりてつくろうとする。そして、こういう法律を出しておりますけれども、地元に対してのものは何もないじゃないですか。十年間たったの二十七億、それだけでしょう。それがこの法律の内容でしよう。どうして変わったんですか政務次官、十一月のこの自治省案というものと。
  172. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 実施本部で、どの範囲を関連事業に取り上げるかというような過程で、いろいろな議論があったことは事実でございますが、十一月十六日に、いまおっしゃる姿で自治省案として議論したということは、先ほど来申し上げるように、私は承知していないのでございます。したがいまして、それと比較してということですと、どうもお答えにならないわけですが、ただ地元は、いろいろなものを、もし高率補助でいくならば高率補助の対象にしてほしいと、あらゆる事業をみなあげて要望があったと思います。  それから、一方、財政力を勘案したかさ上げ法でいくということになりますと、首都圏法の適用を受ける地帯でございますから、それよりもさらに上げるようなことを考えなければならない、こういったようなことで、その間いろいろな方法についての議論があったことは、これはもう確かでございます。確かでございますが、いまおっしゃったように、どことどこが初め入って、どことどこが落ちた、そういうような案の形での議論ではございませんでした。私どもが、いろいろ具体的な個々の事業についての補助率をきめるにあたっての考え方は、先般もこの委員会で申し上げましたように、関連事業というものには、やはり事実問題として多少の濃淡の差があるだろう、こう考えるわけでございます。先ほど来、いろいろ飛行場の関連事業だから、全部国がやるべきだというような御議論もございましたけれども、もし計画を正確に分けるならば、空港建設事業関連事業を全く別個の計画にするということは考えられると思うのでございますが、それを一つにして、空港のでき上がる時期に合わせて地元のいろいろな関連事業をやろう、こういった意味で計画を政府段階できめるような形を実はとっているわけでございますが、個々の事業につきましても、そういった面から事業分量の大きいもの、あるいは他のかさ上げ法の実例等を見てまいりまして、一つ一つ検討をいたしたわけでございます。したがいまして、他のいろいろなかさ上げ法と比べて、別にこの内容は遜色はないだろう、私はこういうふうに思っております。
  173. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 こういうふうに新聞は書いているんですよ。これは何もかも知らぬ存ぜぬとおっしゃっているから、この記事を申し上げるのだが、県では、「地元要求ほぼ入れる」「千葉県案どおり早期実現望む」、ですから、自治省案というものは、自治省がかってに考えたものではない。千葉県案というものは相当いれられてあるわけですね。新聞はこういうふうに書いております。県では――千葉県ですね。「県では新羅の反対運動が根強く、用地買収が思うように進まないのは、周辺住民の生活環境の整備を約束した新空港関連事業に対する国の態度があいまいだったことも大きな原因だとみており、予定通り四十六年四月に一番機を飛ばすためにも、自治省案通り成立させることがぜひ必要だとして、今後関係各省庁との調整段階で内容的に後退しないことを強く望んでいる。」ほぼそういう案に沿うてこの自治省案というものがつくられたわけですね。そう書いてあります。それが十二項目あげられたものが、いつの間にか千葉県側、地元の意見というものが無視されて六項目になった。十一月十六日の段階からその次の十二月二十一日、一カ月ばかり過ぎますと、あとでお尋ねいたしたいのでありますが、新聞に書いてあるのを読みますと、「自治省案に最も難色をみせているのは大蔵省で、財政援助の方法として高率補助だけにたよるのではなく、首都圏の近郊整備地帯および都市開発区域で実施しているような起債に対する利子補給などの手法を取り入れるべきだと主張している。」これを大蔵省が主張したかどうか、大蔵省も見えておるでしょうからお聞きしたいと思います。  それから、大蔵省や経済企画庁でも、政府が最近打ち出した特定地域に対する各種補助金を整理する方針に逆行する、こういう意味で、企画庁も大蔵省に同調したと書いてありますが、事実かどうか、それからさらに、道路建設に対する特別補助は、道路整備五カ年計画の体系にひびを入れかねない、ということで、千葉県の要望、自治省の案を建設省が反対したと書いてあります。それから、その次に、農林省は、あまりの補助率アップは現行の土地改良事業と不均衡をもたらすから反対だ、こういうふうに主張したと書いてあります。文部省はさすが、教育施設はほかの施設と切り離して、特別扱いにすべきだ、と自治省案を支持しておる、こういうふうに書いてあるのですよ。そして、千葉県では、自治省案は新空港を受け入れる地元側の最低条件としてこれ以上後退しないでできるだけ早く特別法が成立することを望んでいる。だから友納知事は一生懸命運動しておる、とこう結んであります。そうであろうと思うのですよ。大蔵省、それから農林省、建設省いらっしゃって――あるいは文部省は来てないかもしれぬけれども一体、これについて、地元の意見を無視したように新聞に書いてあるんですが、そういうふうに行動なすったかどうか、各省からお答えいただきたいと思います。
  174. 井上説明員(井上幸夫)

    ○井上説明員 この問題に関しまして、いろいろ各省協議の上でやられましたものでございまして、おっしゃるように、十一月でありましたか、十二月でありましたか、こまかい日にちのことは現在覚えておりませんけれども、いろいろ各省集まっての折衝がございました。その場で、大蔵省は自分の意見を申し上げたことも事実でございます。どういう意見を申し上げたかは、法案提出前の政府段階の関係でございますので、それをここで申し上げることは御容赦願いたいと思います。
  175. 南部説明員(南部三郎)

    ○南部説明員 実施本部ができまして以来、関連に関します私どものほうの道路関係のことにつきましては、相当の月日いろいろ関係者、千葉県と協議しましたわけでございますけれども、いま先生お読みになりました道路整備緊急措置法の体系を乱すものであるからという記事につきましては、どういう趣旨でそのように書いておるのか、私どものほうはよく存じませんけれども、そういう趣旨で反対をいたしたつもりはございません。
  176. 井元説明員(井元光一)

    ○井元説明員 正直に申し上げますと、私のほうは自治省や大蔵省よりもむしろ低い目に補助率を望んだわけです。結論としては、自治省、大蔵省の案で私のほうが出したよりもわずか高い補助率でございます。
  177. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 いま各省からそれぞれお答えがあったわけでございますが、実施本部でずいぶん何回か議論していただいたわけです。その際は、やはり空港の重要性、あるいは地元に与える影響といったようなことから、多分に地元の県の要望を基礎にいろいろ議論をいたしたことは事実でございます。したがいまして、先ほども私申し上げましたように、非常に広範な事業について補助率を上げるといったようなこと、あるいはどこまでも、できるだけ広く関連事業に入れるというような地元の御要望をもとに議論いたしましたので、その過程ではいろいろな元気のいい議論もあったと思いますし、まあ、この種の立法ができるまでには、それぞれ最初は各省も非常にきついことを言って、だんだんとこうお互いが理解し合っていくというようなことも間々ありがちなことでございますので、新聞に、いまお読みになったことが、一つ一つがそのとおりだということは、ちょっと私も記憶がございませんで申し上げかねますけれども、いろいろな議論があったことは事実でございますが、結果がこういうかっこうになっておるわけでございます。
  178. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 細郷さんのことばには、たいへんな問題を言っていますよ。さっき新聞に言ったように、自治省の案に盛られた内容が千葉県の最低のものである。なぜ最低かといいますと、さらに新聞に書いてある。「自治省案は県が考えていた内容にほぼ近いもので、対象事業として県の案からもれているのは新空港および成田ニュータウン向けの上下水道事業と成田ニュータウンの学校施設の一部ぐらいのもの。」こういうことですよ、ですから県は、自治省案にもっと上回っておったわけですね。そうでしょう。新空港及び成田ニュータウン向けの上下水道事業についてはひとつ対象事業に入れてもらいたい。ニュータウンの学校施設についても入れてもらいたい。これをはずされた。しかし、まあ対象事業なり補助率等は十一月十五日の自治省案で最低のものである、こういうふうに了承しておると書いてあるのですよ。いまのところでは、何のことはない、そんなものはありませんでした。政務次官、これは県の希望どおりの法案じゃないということはお認めになるんですね。あなたのほうの財政局長の話の過程においては、元気のいい話もありましたなんという、これはもう自治体をなめた話ですよ。これだけの国際空港をつくろうといって県がやっておるのに、補助率をここまで引き上げてくれ、これは最低でございますよというのを、これは千葉県知事や成田の市長が元気のいいはったりを言ったんだ、こういうような理解でものごとを考えたらたいへんですよ。このことばは取り消してもらわなければいかぬ。
  179. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 私、元気のいいと申し上げましたのは、各省が、いろいろ事業の範囲をどこまでとるか、あるいは補助率をどうするかについては、いろいろ元気のいい議論も出た、こういうことを申し上げたわけでございまして、別に地元が元気がいい、そういう意味で申し上げたわけではございません。誤解のないようにお願い申し上げます。
  180. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 元気のいい話ではなくて、国の仕事に協力をするためには、自治体としてはこれがぎりぎりであります。ここまでやっていただかなければ、困難な事業を完成することはできません、こういうことで要望したわけでしょう。それを受けて自治省が十一月十五日に自治省案というのをまとめたんでしょう。そういうまとめた段階において、大蔵省から反対があった、あるいは各省からそれぞれの意見が出た、そうして、とうとうここまで、ノーズロになって後退して法案提出されたということでしょう。そうじゃないですか。(「ノーズロじゃないよ」と呼ぶ者あり)ノーズロですよ。十二項目のうち六項目ですから、五十点ですよ。進級するには六十点以上でないと進級できないですよ。政務次官、これはノーズロですよ。どうです。
  181. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 先ほどからたびたび十一月十六日付の新聞記事が問題になるのですが、先生のいまおっしゃいました千葉県の要望と違うものが出たじゃないか――私どもが伺っております千葉県の最終的な御要望というのは、四十三年九月に千葉県がまとめられたものでございます。十一月十六日のその新聞記事のように、千葉県と十分話を煮詰め終っていたのならば、その十一月中旬ごろに、いわゆる自治省案というものができていたかもしれませんが、そうではございませんで、最終的に推進本部においての各省並びに千葉県との御一緒の検討、そのあと各省並びに千葉県相互の間のいろんな検討、そういうものがだんだん煮詰まってまいりまして、自治省として千葉県と最終的に御相談をいたしましたのは二月に入ってでございます。千葉県の御要望のいろんな計画等がその段階で計画変更等もしていただいたということは事実でございます。それを、どう申しますか、着工の時期を変えるとか、千葉県の御要望に対して強圧的に、千葉県の御要望と全く違う、けしからぬ――千葉県側の大きな財政負担を伴うような結果にはなっておりません。二月に入りましてから、千葉県と自治省とは最終的な御相談をいたしましてまとめ上げたものが、今回の法案になったわけであります。
  182. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 これはやっぱりノーズロだと思うのですよ。千葉県が要望したということは、四十三年の九月に要望があったということはお認めになったんですから、ちょうど十一月ぐらいに自治省の基本的な考え方というのは、地元の要望に沿うて案ができたという新聞記事は知らぬということでありますが、否定なさらぬのですから、時期的にもそういうふうにまとめたのでしょう。それによりますと、こう書いてある。別表ですよ。道路については、県の場合は、この法案は四分の三――四分の三なんていうのはこれは通常補助ですよ。これは何も随喜の涙を流す、そんなものじゃないですよ。千葉県は十分の八で要求したのでしょう。自治省もそれにオーケーを与えたのでしょう。道路については、市町村が十分の八じゃなくて十分の十、それから都市公園法による公園の新設等については、現行三分の一の補助を十分の五、二分の一にする。河川法に基づく河川に関する改良事業等については、これはたいへんな金がかかるわけですね。四分の三という現行のものを十分の十。これが自治省がまとめた案だというのだ。地元が最低として要求したものです。生活環境施設については、下水道、これは十分の六ないし十分の八、これが地元の最低の要求です。清掃法では二分の一ということになっているのですよ。それから上水道も……。教育施設については、これは学校教育についての義務教育関係だけでありますが、小中学校については三分の二というのがこの法案でありますが、十分の八。学校教育法による幼稚園については三分の一を三分の二、高等学校については三分の一を十分の六、公民館については四分の一を三分の二とここに書いてある。消防施設については三分の一でありますが、これを三分の二にするという法案でありますが、これは十分の八というのが地元の要求。それから土地改良等は、これはずいぶんがんばられたようでありますが、十分の七ないし十分の十。こういう形で自治省のやつはまとめられておるわけです。この法案の内容の補助率を見ますと、通常のものにちょろっとインクを落としたようなものじゃないですか。何もあらへんです。ウナギのかば焼きのにおいだけで……。しっぽか頭のほうだけをとっつけた法律にすぎないですよ、地元から見ると。そうじゃないですか。こういうふうに政務次官、変わっていっておるのですよ。これでは一体、自治省というのは何のために地元の意見を聞いたのか、そして最終的におれが決定するんだ、おまえ言うこと聞け、においぐらいかがしてやる、こんな態度でしょう。その中において、あとでまた質問しますけれども、自治体はなけなしの金をつぎ込んで、ほかの事業をストップしてやらなければこれに対応できない、こういう状態にいまなろうとしておるのですよ。どうお思いになるのですか、御答弁いただきたい。
  183. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 高率補助にいたします場合に、どの程度の率にするか、いろいろ議論のあるところでございます。ただ関連事業として行なわれるものにつきましては、地元として、将来も末長くその施設を使うといったようなことを考えてまいりますと、私はやはり全額国庫負担と申しますか、十分の十という補助率は避けるべきではなかろうか、こう考えるのでございます。現在でも辺地でも起債を起こして、辺地債は今回上げていただいて八割でございます。離島振興法等におきましても八割ぐらい、そういったようなことでございまして、公共事業の後進地域のかさ上げでも、最高四分の一引き上げ。地方が行ないます仕事で十分の十というのは、かつて御承知のように災害国庫負担全額の時代ですでに経験済みでございます。そういったようなことを考えまして、私どもは現在のあちこちの高率補助の例等比べまして、私は地元の力も見ながら、この辺でいけるんだろう、こういう判断をいたしたわけでございます。
  184. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 いまの財政局長の答弁によりますと、地元の意見を聞いて、自治省みずからが、あるいは財政局長みずからが、おことばを返すようでありますけれども、元気のよいはったりで折衝に臨んだにすぎないのだ。一定の見解、こうしなければならぬ、こういうことはお持ちにならなかった。すべては大臣が決定権を持つのだ。地元はそれにはいはいとついてくればいいのだ。十年間に二十七億円という金はもらえるのだからありがたいと思って随喜の涙を流しなさい、こういう態度であったということですね。そうでしょう。
  185. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 どうも、そういう気持ちは毛頭持っておりませんで、やはり相当の大事業で地元にもいろいろな意味で迷惑もかかる、しかしこの際、地元としても多少将来に残るような仕事もしておきたい、そういったような事情を考えてやったつもりでございます。したがいまして、この法律にもございますように、第四条で、国は、必要があると認めるときには財政上金融上の援助を与える、こういったような規定も入っておるのでございまして、今後の推移を見ながら、そういう面での国としての責任を果たしていかなければならぬだろう、かように考えております。
  186. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 きょう私のところにいただいた「新国際空港関連事業に伴う成田市財政計画の概要」という一枚の表と、数日前にもらいました「年度別空港関連事業負担額等の状況(推計)」、そして成田市その他の関係市町村の推計がありますが、だいぶ数字が変わってきておりますが、これはどういうことなんですか。
  187. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 結論的に申しますと、多少の数字の動きがございますが、大綱においては一致していると見ております。一つ一つを見てまいりますと、たとえば関連事業を行ないますに要する一般財源の所要額という欄は、これは端数だけの問題で、変わっておりません。その次の起債額も同様でございます。その下の元利償還額は、多少借り入れ時期等の見方で少しの違いが出ております。したがいましてそれらについて、関連事業についての一般財源純所要額というものについては、いま申し上げた差が少し出ておる程度でございます。それから一般財源の見方については、むしろ両者の見方にそれほど大きな違いはないわけでありまして、年次別に見てまいりますと、成田市がお出しになったほうが多少一般財源が多いという年も中にはございます。それから、一般財源の中から投資的経費に充当できるもの、その割合について実は私ども一般財源のうちの二割五分と類似団体並みに見て押えたわけでございますが、地元はさらにこれをもうちょっと上げて二割七分五厘は一般財源を投資事業に投入できる、こういうような数字を出しておられるわけでございます。したがいまして、最後の差し引き欄も少しずつ違ってきておる、こういうことでございます。
  188. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そうしますと、こちらは成田市の出した資料だ、この前のは自治省の推計である、こういうことですね。
  189. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 前回差し上げましたのは、私のほうで推計をいたしましたが、その基礎となります年度別等は千葉県の資料をそのまま使わしていただいております。
  190. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そこで、お尋ねしたいのですが、この表あるいはせんだっていただいた自治省の表というのは、一定のルールに基づいてつくられたのですか。たとえば、詳しいことは別といたしまして、一般財源の充当が〇・二五かと思うと〇・二七五ということが、細部の点では違いがありますけれども、たとえば起債の充当額、起債額、こういうものは何かルールがあってこういう数字が出てきたのですか。
  191. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 備考にも書いてございますように、起債については現在の事業ごとの充当率というものをそのまま使って出してございます。それから、一般財源のうちから投資事業に充てる割合につきましては、成田市と類似の規模の団体で大体二割五分程度を充てております。そういったところから二割五分というのを出したわけであります。
  192. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私は、この表というのは非常に作為的だと思うのですよ。四十五年を例にとりますと、一般財源所要額が六億ばかり、起債は四億三千万円であります。一般財源は八億ございます。八億の成田市の財政のところに四億三千万になんなんとする起債を充当するという、そんな例がありますか。五割こしてますね。
  193. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 ここで行ないます関連事業の性質上、現在許される普通の充当率による計算をいたしております。したがいまして、これは一般財源だけの計算でございますが、当然国庫補助分もありましょうし、その他特定財源もあると思います。これだけの仕事をするわけでございますから、やはり財政規模がふくれてまいるのはこれはやむを得ないことだろう、こういうように思っております。
  194. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私が一定のルールがありますかとお尋ねしたのでありますが、それは実績によるのだ、こういうことであります。大ざっぱに見てみますと、四十五年の起債額というのは、一般財源に対して五四%成田市に起債をやるというのです。その翌年四十六年は一般財源十二億四千万に対して三億二千万の起債を許可するというのですから二六%、四十七年度も二六%、四十八年度が一二%、四十九年度が一二%、五十年度が一六%、こういうことになっておるのですね。ことしの地方財政計画によりますと、一般財源と起債との割合というのは七%ばかりですよ。こんなむちゃくちゃな起債の承認ができますか。しかも何かノールールですよ。これはルールがあるんなら――こんな一般財源に対して半分以上も起債を承認する。そうしてだんだん減っております。だんだん減っていって、事業ごとに一般ルールに基づく起債額が――あと法律の第四条ですか、特別の配慮もあるようでありますけれども、これがそうなるのだとおっしゃるならば、具体的な明細を、積算された基礎をひとつ出してください。これじゃ私はわからぬです。
  195. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 それぞれ事業の内容によって現行充当率に充てたものでございますから、基礎はあるわけでございます。  ただ、ここでごらんをいただきますとおわかりのように、空港自体が時間を限られた仕事でございます。それに合わせるために関連事業をやるということでございますから、その間年度を越えた資金繰り、こういうものは現行制度ではやはり起債によらざるを得ないと私は思います。特に成田市の場合は、将来人口もふえてまいるわけでございます。それだけ力もできてまいると思います。そういうようなことを考えてまいりますと、起債でこぶのようになりますけれども、いま先生がお読みになりましたように、四十五、六年あたりは非常にきつく、起債が多くなりますが、だんだんに減ってまいる、こういうようなことでございますので、私はこういうやり方をやって差しつかえないものと考えております。
  196. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 財政局長、あなたのところで昨年過密地帯についての調査を行なったでしょう。その過密地帯に対する調査にはどういう結果が出ておるか。人口がふえることによる財政需要額と、ふえることによる財政収入額というのを比べてみると、はるかに人口増加による財政需要額のほうが大きいのだ。ですから、人口がふえるということについては、財政が豊かになるのではなくて、財政が窮乏するのだというのがあなた方の去年の調査でしょう。あなたのいまのことば、何とおっしゃっているのですか、人口がふえるから力もつくだろう。この場合、私が質問しておるのは財政の問題ですよ。財政の力がつくのですか。去年の調査とはまるっきり逆じゃないですか。
  197. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 昨年過密について調査をいたしまして、過密地帯ではいろいろ一般行政施設の水準に対するしわ寄せがあるということが財政的にわかりました。わかりましたので、その点を是正すべく本年の財政計画並びに交付税計算において、それぞれおおむね三分の一程度措置をいたしたわけであります。したがいまして、私どももこういう人口の急増地帯にはそれなりの財政措置をやっていかなければならないという考え方のもとでやって、こういう成田市の場合等も見てまいりたい、こういうふうに考えております。
  198. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私がお聞きしているのは、あなたが人口がふえると財政的な力がつくとおっしゃったから、それは去年のあなたのほうの調査と逆じゃないか、こういうふうに私はいま申し上げているのですよ。質問が先に進んでいないのだ。あなたのことばが、去年の調査と逆のことをおっしゃっているから、私はそれを明らかにしようと言うのです。
  199. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 私が中間を省略して申し上げたことに原因があると思いますが、人口がふえて財政力がつくということは、私どもは人口の急増する団体の財政の圧力の度合いというものを調査をいたしまして、それに手直しすべく交付税の需要計算等をことしやろうとしておるわけでございます。したがいまして、そういうことを続けていくつもりでございますので、財政需要額としては大きくなる。税収はあるいはそう伸びなくても、その場合には一般財源としては伸びていく、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  200. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 一般財源は伸びるでしょう。しかし財政には力がつかぬというのが昨年の自治省の調査の結論であるということを、私はあなたのほうの調査した結果に基づいて申し上げているのです。  そこで政務次官、その辺おっしゃっていますがね、力がつくということで。この場合は出たとこ勝負、きょうの五時までに答えておけば、それであとは済むのだから適当にごまかしておけばいいやということでは済まされないのです。ところで、どう力がつこうと、投資的経費に投入可能な一般財源に対して、自治省から出た数字によりますと、四十五年度は八七%を空港関連事業につぎ込まねばいかぬわけですよ。四十六年度は七六%つぎ込まなければならぬですよ。四十七年度は七三%つぎ込まなければならぬ。四十八年度は五九%つぎ込まなければならぬですよ。四十九年度はやや軽くなりまして四一%つぎ込まなければならぬ。五十年度は三〇%つぎ込まなければならぬということで、この十年間に、この成田市の資料を見ましても、四十三億ばかり投資的経費に充当可能な一般財源がありますが、そのうち十七億円をつぎ込まなければならないということですね。これは四〇%をこします。こんなことでニュータウンやなんかできるのですか。この間私は成田市に行ったのですが、まあ私どもが小学校に行っているころと町並みは変わりませんね。あまり変わってません。その成田市がほんとになけなしの金を四十五年度は八七%も空港関連整備に使って、市が立っていきますか。これは計算だけですよ。超過負担も起こってくるでしょう。不可能じゃないでしょうか。いかがですか、政務次官。
  201. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 数字のことはまた後ほど事務当局からもお答えいたさせますが、先生おっしゃるように、成田市はやはり空港建設のタイミングから申しまして、ある年度においては相当負担が多いわけであります。ただそれによって、先生もおっしゃる成田市本来の空港関連以外の事業が行なえない、そういう事態にならないような措置をすることが、また自治省の責任でございますから、法四条に基づきましてそれぞれの善処をしてまいる、こういう考えであります。  なお、一言つけ加えますならば、成田空港の問題がきょうの五時で終わると思っておりません。事業はまだ何年も続くわけでございますから、当然先生方の監督、監視を受けながら私ども仕事をしてまいるわけであります。そういう態度で終始していきたい、かように考えております。
  202. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そんなきわめて美辞麗句をおっしゃられても、できないですよ、政務次官、財政局長。投資的経費に投入可能な一般財源のうち、八割も九割も空港周辺に投入できますか。佐々木参事官、指導課長、そんな指導ができますか。そんな指導してないでしょう。そんなことができませんよ、八割も九割も。十年間四〇%を空港整備につぎ込んで、そうしてニュータウンもつくらなければいかぬ、上水道も引いてやらなければいかぬ、こんなことできますか。不可能をあなた方やらせようとしているのでしょう、この法律は。どだいあなた、現実性ないじゃないですか、この法律は。財政局長、あなた方は北海道の釧路の工場誘致奨励条例というものが裁判ざたになったことは御存じでしょう。最近京都の近くの宇治市でもめておるということを御存じですか。どなたか知っていますか。工場誘致奨励条例をめぐってたいへんもめているんですよ、債務負担行為の問題をめぐって。財政局長御存じないようですが、だれか知っている人あったらお答えいただきたい。
  203. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 釧路はよく伺っておりますが、宇治の件は承知しておりません。
  204. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 指導課長知っているだろう。
  205. 亀谷説明員(亀谷礼次)

    ○亀谷説明員 局長と同様でございます。宇治のほうの問題につきましては、たいへん恐縮でございますが、私も承知しておりません。
  206. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 宇治の問題というのは、工場誘致奨励条例の問題をめぐって議会が満場一致でその条例廃止の議決をしたんだそうです。ところが、廃止の議決をしましてから半年か一年たったら債務負担行為の議決をしてしまったわけだね。どういう風の吹き回しか、どういうアクションかリアクションがあったか知りませんけれども、そうなってしまった。これはたいへんな問題ですよ、自治体として。工場誘致奨励条例というのが依然として大きな問題になっていると同様に、これも関係あるんですよ。空港誘致で無理する、工場誘致で無理する、そういうことによって財政が破綻してくる、それがいままでの例でしょう。またぞろ繰り返させるということでしょう。ちょっと電話で聞いてくださいよ。指導課長ともあろうものが知らぬということはおかしいですよ。たった三千三百くらいの市町村でしょう。問題のあるところは私ぐらいでも知っているのだから、あなた方知っていないはずはないですよ。政務次官、御存じないですか。わりあいに近いでしょう。
  207. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 私はまだ宇治の問題について聞いておりません。
  208. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 宇治の問題は聞いておりませんけれども、宇治とか倉敷とか、釧路もそうでありますけれども、工場誘致等をめぐっていろいろ無理をした、それがたたって財政上の問題にはねかえる。そういう問題からいろいろな問題が現に出てきておるわけですね。成田も全く同様じゃないですか。この場合は決定権は自治省ですよ。私どもがこの数字を見ましても、言ってみますと、たいへん失礼でありますけれども、自治省のもこの成田から出たのも県がつくったそうでありますから、おそらく若干数字が違ったのでしょう。若干数字を違えて出したわけですけれども、これは十分連絡とって出しているのでしょうがね。この表を見ても、成田市の例をとっても不可能ということです、財政的に。財政的に不可能ということがこれははっきり出ている。私はいまこの数字に基づいて申し上げましたけれども、残念ながら成田市から出たこの資料も、それから自治省から出た資料も、適当に数字を合わせて差し引きが三角にならないように起債で調整した。ですから、とてつもないような、地方財政計画の筋からいきますと考えられないような起債の認証まで数字に出てきておる。しかも、そういうつくり上げたこの表でありながら、その表を読んだだけでも、この事業はできないじゃないかという結論以外に出ないじゃないか、こう私は申し上げているのですよ。それを成田市長の意見を聞いて千葉県知事が作成したやつを自治大臣が決定した。さあやれ、さあやれという形でやってまいりますと、成田市の自治権侵害どころか、成田市はそのオーソライズされたものに惑わされてたいへんなことになること必定じゃないか、こういうことを私は申し上げているのです。この表ではきわめて意識的につじつまを合わせて、私どもがちょっと差し引き、FマイナスDというのが十年間で二十六億ばかり出るから、これならやれそうじゃないか、こういうことで数字をつくり上げた。ごまかしておいて、近く法律を通してしまえば、あとはもうそれで力で押し通せばいい、こういうのがありありと出ているじゃないですか。私はそれを心配するんですよ。自治体としての自治権を侵害され、さんざん赤字になって動きがとれないようになったときにぽんと捨て去られる。何かみたいなものですよ、これは。どうですか、政務次官。
  209. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 細谷先生のおことばではございますが、何かみたいなものではございませんで、また先ほどのお話しのノーズロでもございません。成田市の意向も千葉県が十分反映をいたしまして、成田市としても財政的な計算を立てられ、そういう意向が推進本部で十分検討されたわけであります。国の側が押えつけたことではなくて、成田市並びに千葉県の意向というものが十分推進本部でも討議をされた結果でき上がったものでございます。自治省といたしましても、確かに成田市がタイミングの上から何年かの間大きな負担をしなければなりませんけれども、先ほど先生八十数%まで出さなければならぬではないかというお話がございましたが、先ほど私もお答えをいたしましたように、空港関連事業のために成田市が空港関連事業以外の、民生その他のお金に困らないようなそういう措置はやはり私どもが配慮をしてまいるのが、自治省の当然の責務でございます。そういうことから、法四条に基づいてそういう配慮をしてまいる、こう考えておる次第でございます。
  210. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 参考人がもの言ったからもう質問するなと言うやじ馬もあります。私はずばり言って、これはもう、心配でならぬを通り越して不可能です。そういうことです。  そこで、いまも政務次官おっしゃったわけですが、第四条は何か麻薬でもあるんですか。薬があるんですか。さじかげんでやるんですか。この第四条は「財政上及び金融上の援助を与える」、何に基づいてやるのですか。
  211. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 たとえば、地元で行ないます事業に対しては補助を優先割り当てをする、あるいは地方債の資金をあっせんをする、あるいは交付税でできるだけの応援をするとか、そういうようなことが考えられると思っております。
  212. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 交付税で応援するというのはどういうことですか。つかみ金をぽんとかばんに入れてやるということですか。どういうことですか。
  213. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 大都市の周辺、特に人口の急増する団体に対します交付税の需要計算は、御承知のように、年々御審議をいただいておりますように、いろいろ苦心をして新しい知恵をしぼっておるわけでございます。私どもは、やはりそういう考え方は続けてまいりたいと思います。  それで、たとえば、一つの例を申し上げましても、人口急増団体に対する補正といったような場合、成田市につきましては、この計画どおりですと相当人口が急増するんじゃないか、そういったことも反映することができましょうし、また、いろいろ継ぎ足しあるいは関連の目に見えない単独事業といったようなこともあろうかと思います。そういったものについては、特別交付税で措置をするということも考えられると思っております。
  214. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私は、ルールがありますかありませんかということを聞いているわけですよ、第四条というのは。「この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。」と、こう書いてあるんですがね。何かルールをおつくりになるんですか、おつくりにならぬのですか。私がいままで、この別表に基づいてやられたものによりますと、まあ千葉県の例も分析したいわけですけれども、成田市の例をとっても、だめじゃないか、これはたいへんなことに成田市を追いやりますよ、不可能じゃないか、こう言っているわけですが、その場合は第四条でやりますと、この間もあなた、だれかの質問で答えましたね、特別交付税とか。それならば、赤字の部分については、八割なら八割というのを特別交付税でやりますなんということをはっきり言ってもらえば成田市も安心するですよ。こんなことではどうにもならぬです。これはできっこないでしょう。何か金融で、赤字になったら、それは起債で上げますよ、そうしてその元利は全部見て上げますよとかなんとかいうことを、政令できめるなり、法律で書いておかなければ、これだけではどうにもならぬですよ。これは前者の例が工場誘致でありますから、これも言ってしまえば、工場誘致みたいなものですよ。どういうことなんですか。ルールあるんですか。政令できめるんですか。
  215. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 ただいま政令できめることは考えておりません。ただ、財政でございますから、特にこういう時間を切られた仕事、しかも、空港建設のテンポというものも考えて行なわれる仕事でございますから、やはり年々の動きというものは十分私ども注意して見てまいりたいと思っております。これによって無用なしわ寄せがないようにつとめてまいりたい、かように思っています。
  216. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 政令はつくる意思はない、しかし、何らかの特別なことは考えてやる、ということになると、私は頭が悪いから、どういうことをするのかわからぬ。政務次官、どうなさるんですか。政令はつくりませんよ、しかし、やれるように何とかしてやると、こうおっしゃるんですから、特別交付税とか、いろんなことでやるというのですから、何かうまい手あるんですか。
  217. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、ある時間を切られた仕事と、それに関連する仕事、それから人口の入りぐあいと、いろんな要素があるわけでございますから、やはりその年その年の財政状態というものを端的に見ていく必要があると思います。したがいまして、一がいにルール的なものによってのみ解決されるとは、私は実は思っていないのでございまして、そういう点で、個別に処理してまいったほうがむしろ実態に合うだろう、こういうふうに思っています。
  218. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 別の処理ということは、いまでは正確に見通しできないから、ある段階で具体的になってきた場合には、あらためて必要な政令等も出さなければならぬでしょう。適当に自治省でやるのですか。
  219. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 まあ政令ということは実はいま考えておりません。何分にも財政現実的なその年その年の問題でもあるわけでございますから、よく実態を見ながら、われわれもいろいろな方法を考えていかなければならぬ。しかも、その内容は必ずしも自治省だけの問題ではないと思います。たとえば補助金ということでありますれば、ほかの省にもお願いしなければいかぬ。そういうふうなことも含めまして、第四条で国の責務というべきものを書いあるわけでございます。   〔「お手並み拝見だよ」と呼ぶ者あり〕
  220. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 私は、お手並み拝見という不規則発言がございますが、お手並み拝見なら法律などつくらぬでいいんだ。一生懸命になつて質問する必要はないんだ。ですから、必要が起こった場合には、法律を改正するとか、四条を受けての政令をつくるとか、そういうことをやらなければ、さじかげんはおれのところにまかしてくれ、こういうことじゃだめじゃないか。はっきり見通しはわかっているんですから、政務次官、どうですか。
  221. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 私どもは、財政局長が御答弁をいたしましたように、普通交付税、特交並びに地方債等で足らざるところを見ていけるんじゃないか、このように考えているのでございまして、先ほどからどうも細谷先生、真剣に御議論でございますが、これは不可能じゃないかという御議論でございます。私どもは、実は不可能とは考えておりません。その年その年の財政の実情を見まして、財政需要に基づく配慮をしてまいるのが私どもの責務だということをわれわれは考えているわけでございます。財政局長の答弁のとおりに、ただいま政令ということは考えておりませんが、普通交付税、特交、地方債等で、これは成田市に迷惑をかけることのない措置ができる、こういう見通しのもとに考えたのでございます。
  222. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 まあとにかく、地元の要望はネグっておいて、そうしてその上で、できっこもないと考えられるようなもの、それをおやりになるんなら何とかしてやらにゃいかぬじゃないかと言いますと、必要があれば適当なまじないをしますと、こういうことで、これはもう、この法律は私はたいへんな法律だということを確認せざるを得ません。  念のために、確認をするために、さらに、一体、三条の二項なんというのは適用するあれがありますか。対象事業が違うということから、あるいは補助率がかさ上げによって上回るという、そんな例がありますか。
  223. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 首都圏の財特法の適用があるかどうかということでございますが、私どもいま、これも見込みでございますが、県につきましては十二億ぐらいの起債並びにその利子補給、それから市町村についてはごく一部についての補助のかさ上げというものを見込んでおるわけでございます。
  224. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 どのくらいの金額が見込まれますか。
  225. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 いま見込んでおりますのは、起債で約十二億、利子補給で一億、補助のかさ上げで一億、こういうふうになっております。
  226. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そうすると、補助のかさ上げで一億、利子補給で一億、その二億というのは、二十七億とどういう関係になりますか。
  227. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 二十八億の本法の適用によるかさ上げ以外のものとして、それがいくわけでございます。
  228. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そうしますと、大体二十九億ばかりということですね。別ワクということですね。
  229. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 そうです。
  230. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 そうすると、あなたは全部新聞はうそだうそだと言うけれども、新聞はおよそ三十億ということで、これはこれで正しいんじゃないですか。新聞は正しいことが書いてあるよ。あなたは新聞はうそっぱち、うそっぱちと言うけれども、ちゃんと見出しに書いてありますよ。  そこで、時間も来て、先輩にいろいろ言われるんですが、私は、政務次官、この間行ってみました。私は、空港そのものについてすでに質問がいろいろな角度からされておりますから、あえてその問題には触れなかったのでありますけれども、私が特に気にかかる点は、やはりたいへんな騒音になるんではないか、こういう点、あるいはたいへんな交通上の混乱というのが起こるんではないか、こういう点も想像するにかたくありません。ですから、ひとつどうですか、ジェット機でも千メートルくらい上をびゅうんと飛ばす実験をしたら。おやりになる意思ありませんか。
  231. 砂田政府委員(砂田重民)

    ○砂田政府委員 どうも自治省で検討する事柄でないような気持ちがするわけです。運輸省なり公団なりで御検討になるべき筋合いのものではないかと思います。
  232. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 公団、どうですか。運輸省は……。実験してみるのはいいでしょう、実験は。
  233. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 この前申し上げたかもしれませんが、先生がおっしゃるように、私は飛行場の騒音というのは、かなり大きな騒音が、飛行機も大きうございますから、出ると思います。そこで、この前お話しいたしましたことですが、騒音防止法という法律をつくっていただきまして、予算もおいおいつけていただきまして、その対策を大阪、東京、両国際空港においてはわずかながら講じつつあるわけでございますが、この新空港につきましても、もちろんその法律の適用があるのでございまして、これは滑走路の前方千三百メートルについては、とにかく立ちのき補償をするということでございます。それから、これは大空港でございますから、入ってくる飛行機も大型の飛行機が多いと思いますので、その程度ではなお足らないかもしれない。そこで、飛行場につきましては、二キロ、六百――滑走路前面二キロメートル、横幅については六百メートルの範囲において土地の買い取り請求ができるようにしてございます。  それから騒音防止法の関係でございますが、これは学校、それから病院等につきましては、それらの防音工事を施します場合は十割補助を出すことになってございますので、そういう対策を講じまして、騒音の迷惑をなるべく少な目にしていきたいということにつとめておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
  234. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 先輩がしきりにやじりますから、終わりますが、ただ、終わるというよりも、私は、二条の自治大臣の決定というものについてはたいへん問題がありますから、この点については保留をして、自治大臣に質問をしたいと思います。
  235. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 けっこうです。
  236. 細谷委員(細谷治嘉)

    細谷委員 それから、騒音等の問題については、私は専門家じゃありませんけれども、たいへん心配しております。いずれにしても、私が質問したおもなる点は二点でありますけれども財政上の点もどうしても納得できない。適当に、ウナギのようにぬらりくらりと、においもかがせぬで逃げ回っておる、こういう感じはまことに残念でありますが、大臣に対する質問だけを留保しまして、きょうは終わります。
  237. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 関連して、山口君に質疑を許します。山口鶴男君。
  238. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 ただいまの細谷さんの質問に関連してですけれども、SSTについてはこの前資料でいただきましたが、その燃料の搭載量すら明確な数字が出ていなかったわけですね。したがいまして、結局そういう燃料の搭載量すら明確でない新しい機種の飛行機が一体どの程度の具体的な騒音を出すのかということは、これは何ホンであるかということは明確じゃないのじゃないですか。この前、小川委員が提起をいたしまして、資料を出しましたね。あそこに三つばかりの飛行機の資料が出ておったと思いますが、そのうちに、たしか一つの機種については燃料の搭載量はまだはっきりしていないというのもあったわけでありまして、したがって、現在就航しておる飛行機、ジェットがこの騒音でもって何ホンというようなことを言われても、現実に成田の飛行場ができて、そしてSSTなり、新しい機種の大きなジェット機が入ってくる、そうした場合の騒音が具体的にどうなるかということは、やはり明確でないのじゃないですか。とすれば、先ほどの細谷さんのような御懸念というものは当然あってしかるべきだと思う。まだ燃料の搭載量すらわからぬような機種に対して、何ホン以下であるというようなことが言えるとは私は思えぬのですが、そういう点は一体どうなんでしょうか。
  239. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 この間出しました資料の中に、燃料の搭載量が不明と書いてありましたのは、アメリカで開発しておりますSSTについての話でございまして、これは先生おっしゃるとおりに、あれはもうおそらくきまったのじゃないかと思いますけれども、当時最初の開発計画は、可変翼でもって開発しておりまして、そのときは一応はっきりしておったのでありますが、その可変翼を固定翼にかえて開発することに変わりましたので――燃料の搭載だけについては未定でございました。そして、前によこしました資料から、燃料搭載量が不明ということで連絡がございましたので、不明と書いたままここに出しました。それくらい不明なんじゃないかというお話でございますが、私は、現段階におきましては、あのときに書いて出しました資料以外のことは不明でございますし、またあれなんかもいよいよでき上がりまして、実験飛行をしたり、そのときにまたはかったり、いろいろしました結果、多少の数字に変更があるというふうにも考えます。  しかし、また騒音の問題につきまして現在わかっておりますのは、ジャンボジェット747までのことはほぼわかっておるわけなんです。これは現在試験飛行をして飛び回っておりますので、どの程度の騒音であるかということはほぼ見当がついております。それと、連絡によりますと、現在のDC8より大きくはないという情報をわれわれは受けておるわけでございます。大体飛行機は大きくなりますと音が大きくなっていくわけでございますが、現在のDC8よりも三倍ほど大きくなりますが、この747が現在飛んでおります8よりも音は大きくないという情報を得ておりますので、これは非常に明るい情報というふうにわれわれは考えておるわけでございます。それからSSTの製造過程におきまして、アメリカのFAAから、騒音については現在よりも大きくならぬようにという、非常にきつく条件をつけておるそうでございますので、現在の8よりも大きくない騒音のSSTができ上がってくるんじゃないかと思っておりますけれども、これはまだ全然でき上がっておりませんから、それについては私、口幅ったいことを申し上げる資格はないのでございますけれども、現在までにでき上がっております747につきましては、ただいまのところ、さっき申し上げたとおりの情報でございます。
  240. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 ですから、ダグラスDC8ですか、あるいはボーイング707型、そういったものよりも大きくないだろうというようなお話ですけれども、しかし常職的に考えても、大型のジェット機になればなるほど当然エンジンの出力も大きいだろうと思うのです。エンジンの出力が大きくなれば、これは正比例するかあるいはその二乗に正比例するのか、その辺私詳しく知りませんけれども、やはり音自体も大きくなるのが常識的じゃないかと思うのですね。そういう意味で、やはり地域住民の人たちの心配もあるだろうと思うのですが、その意味で、あなたのほうも現在入手し得る飛行機の、千メートルなら千メートル、千六百メートルなら千六百メートルあるいは二キロなら二キロ、三キロなら三キロ、そういう離れた地域における騒音と、それからまた、そういったすでに就航している飛行機の出力と、それから今後予想されるSSTその他の大型のジェット機の出力、こういうものを資料としていただきたいと思うのです。そうなればある程度の類推は可能だろうと思います。まだ完成していない、就航していない飛行機に対して、これは従来の就航している飛行機よりも音は大きくならないだろうというような、だろうという程度の話では、やはり現地の住民は納得しない。そういう意味で、細谷先生の言われた実験をやってみるということも一つの大きな提案だと思いますが、少なくとも確信のないものを類推ぐらいでお話しいただくということでは困るわけでございまして、ひとつ入手し得る正確な資料というものをできるだけ出していただく、そして私どもが判断をする根拠というものを与えていただく、このことを要求をいたしておきましょう。
  241. 丸居説明員(丸居幹一)

    丸居説明員 承知いたしました。
  242. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 實川清之君。
  243. 實川委員(實川清之)

    ○實川委員 私は、実はほかの委員会からおじゃまをするわけですが、私は、三里塚国際空港の滑走路の鼻っ先に生まれました。四千メートル滑走路のちょうど三キロぐらい先になりますか、したがって、私の生まれた地帯一体空港絶対反対ということで過去三年間戦ってきているわけです。そういうような関係で、私も地元の問題でございますので、いろいろ地元の農民の声を取り次ぎたい、あるいはまた地元の農民が疑問に思っている点をかわっていろいろお聞きしたい、こう考えております。  まず最初、公団総裁にお伺いいたしたいと思いますが、実はただいまこの委員会に入りましてこの資料をもらったような関係で、直接議題となっておる点についてはまだ不勉強で、先ほどもらったばかりでまだ目を通しておりません。したがって、きょうは時間の関係もございますから、一般的なことについてお伺いをいたしたい、かように考えております。  最初に、地元の諸君が一番心配をいたしておりますのは、公団側からいけば、そんなばかなことはないのだということになるかもしれませんが、いまのような状態で、はたして飛行場ができるだろうかということをまじめに考えている者もあります。あるいはまた反対運動をやっておる諸君に対しまして、おまえたち幾らさか立ちをして反対運動をやってみたって、結局は国の仕事だからつくられてしまうのだという考え方。もちろん私の町、出生地の芝山町は、人口八千何がしかの小さな町ですが、それが二つの旧町村が合併していまの芝山町になったのですが、飛行場から遠いほうの旧二川村のほうでは、空港問題について反対運動が比較的弱いわけです、これは御承知のとおり。それから飛行場に接近した旧千代田村、私はそこで生まれたのですが、旧千代田のほうはほとんど全区域あげて反対だ。もちろんその中に若干の脱落者はございますが、それじゃ空港問題に反対の態度の比較的弱い二川地域の諸君に聞いてみても、飛行場は賛成なのかというと、ああいううっとうしいものは来てもらいたくない。ただ千代田の連中のように、向こうはち巻きで、忙しい百姓仕事をほったらかしてドラムかん一つでかけ出したくはない、あるいはまた機動隊と取っ組み合いを演じて、そういうけんかもやりたくない。しかし反対だということには、ほとんど町全体あげて変わりはないだろうと思います。私たち見ておりまして、そういうような地域住民の考え方あるいはまた飛行場問題に重大な関心を払っておりますし、事実またいろいろ利害関係もきわめて大きいわけです。それでいま申し上げたように、飛行場ははたしてできるだろうか、この点について公団総裁の御決意をまずお伺いいたしたいと思います。
  244. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 新空港は完全にでき上がるという決意でおります。
  245. 實川委員(實川清之)

    ○實川委員 総裁も御案内のとおり、地元では大小のトラブルがしょっちゅう、最近はあまりありませんが、起きているわけです。しかもまだ用地買収に最終的に同意を与えていない者が約三〇%近くあるわけですが、しかも公団総裁以下お歴々が非常に努力をされておりますが、反対同盟まだ健在である。こういう中で、非常な紛争がいま起きておるわけです。その紛争最中に飛行場ができるものかどうか。私の考え方では、紛争が何らかの形で大体終息しなければ、飛行場の建設は事実上できないのではないか。紛争の中でしいてやろうと思えば、これは非常に大きな問題になるわけですし、非常な犠牲が出るかもしれない。そういうことはよもや公団総裁としてはなさるまいと考えておりますが、そうするとこの現在起こっておるごたごた、紛争を解決する御自信がおありになるのですか。
  246. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 おっしゃるように、反対運動そのものに対しては、私どもとしては非常な関心を持っております。それからまた反対されておられる方々、心から土地を愛するということで反対をしておられる方々に対しては、非常な同情を私どもとしても持っておるわけでございますし、その心情は十分御理解申し上げておるわけでございます。反対運動の二つの流れと申しますか、一つは、敷地の中において土地を所有して反対しておられる、これは先生も御承知のように天神峰あるいは東峰、古込、木ノ根というふうな二千五百メートルあるいは三千二百メートル滑走路にまたがるいわゆる第二工事区域地区の方々でございます。もう一つの大きな潮流は、先生の御出身地であります芝山町、空港予定地の南側に所在しておりますところでございます。この方々は、空港にかかるところはほんのわずかでございますけれども、やはり飛行機の騒音というようなものに対する非常な不安を持っておられるということだろうと思います。私どもとしては、やはり反対運動というものの存在につきましては十分な関心を持っておりますと申し上げたわけでございますけれども、今後はそういう意味で現在反対しておられる方々に対しまして、航空機の騒音についてもやはり、先ほど飛行場部長から申し上げましたような政府の施策あるいはまた県、公団等の行ないますいろいろな施策というふうなものとあわせまして今後強力に御理解をいただくように私どもとしては努力をしていきたい、かように考えておるのでございます。もちろん単に御理解いただくということだけではなしに、また県と一緒になりまして芝山町全体の方々が将来ともにやはり繁栄していくというふうな意味の発展策というものを今後考えて、地元の方々の共感を得るという点についても努力を傾けていきたいかように考えております。
  247. 實川委員(實川清之)

    ○實川委員 お話としましては、私どもぜひそうしていただきたいと考えております。あなた方がほんとうに地元の空港用地内あるいは騒音地帯、その地帯を問わず、地元の連中に納得をしてもらって飛行場をつくりたい、また事実上そうしなければできないと私は思っていますが、いままで一体公団なり運輸省なり、それらの方面で地元の説得にどれだけのことをなさったか。口では、委員会での質疑応答の中におきまして、あるいはその他聞きましても、公式には、説得をして理解をさせて協力させるのだ、こういうことをおっしゃっているわけですが、過去三年の間に一体公団なりその他の関係者が地元民に対してどれだけ誠意を持って説得に当たったか、あるいはまた富里から急遽成田に変更になったその前後の経緯から今日までまとまった話というものは、私たちは一回も聞いてないんです。新聞や何かでいろいろうそ八百あるいはほんとう八百、いろいろなことを聞いておりますけれども、それらのものを通じましてわれわれは計画のアウトラインはわかりますが、とにかく直接責任ある立場の人たちから、こういう飛行場をつくるのだ、こういう目的でこういう飛行場をつくるのだ、その規模はこうで、それに対する住民に対する対策はどうするか、あるいは騒音自体に対してはこういたしますというようなことは、ほとんどわれわれは聞いてないわけです。お互いが揣摩憶測といいますか、たぶんこうだろうというようなことで今日まできているのですね。それで、そう言うと、地元には暴力団みたいのがいて、あぶなくて現地に入れないから、こういうことをたぶんおっしゃられるだろうと思います。友納知事とこの問題で話し合った際にも、現地にぜひ入って住民の諸君と話し合いたい、しかし、だいじょうぶだろうかというような話があった。それはわれわれが責任を持って暴力行為その他はやらせない、話してもらいたい、こういうことをこの問題の提起された当初に言ったのですが、とうとう来なかったわけです。来なかったから、地元住民のほうが県庁へ押しかけて、ガラスを割ったとかなぐったとか、いろいろごたごたがあって、逮捕者を出したりなんかいたしておりますが、とにかくわれわれが責任を持ってあなたのからだを守るから、ひとつ現地へ来て地元住民とじっくり話してもらいたい、あるいは計画の概要を話してもらいたい、こういうことを何回か繰り返して言っておりますが、とうとう今日まで来ていないわけです。公団総裁もおいでになっていない。それで選挙や何かにはおいでになるのですね、これはあなたじゃないが。この間、私の町の町長選挙のときなんかは、友納知事なんかは、危険をおかして――命をかけて来ているのかどうか知りませんが、選挙には来ている。で、空港の問題には来ていない。こういうのは私は誠意があるとは受け取れないのです。あなた方が極力話をして理解させる、こうおっしゃるけれども、これは単なる口頭禅であって、やる気はない、こういうぐあいに現地の諸君は判断していますよ。それであなた方の選ぶ道は、機動隊を使って腕ずくで屈服させよう、いままで過去三年間のあなた方のおやりになったことは全部これに尽きている。あるいは腕ずくで強引に押えつけるか、あるいは非常にきたない方法だが、━━━━あるいは利益誘導、いろいろのきたない方法で反対同盟の戦列を切りくずす、こういうことをやっておるわけです。(「それは重大な発言だ。━━━━は言い過ぎだ」と呼ぶ者あり)それはあとでまた話しますから……。  したがって、そういうぐあいにことごとに現地住民の考えない、あるいはまた一番望まないやり方で、あなた方は対しておられる。もちろんあなた方にも言い分はあるでしょう。集まればすぐ暴力行為を起こす。いろいろ問題があったわけですから、そのあなた方の意見もわからぬことはないけれども、しかしそもそも最初から話し合いというものは全然持たれていないのです。これに対してあなたはどうお考えになるのですか。
  248. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 私どもが反対同盟の方々と直接お会いしていろいろ話をしないというふうなお話でございますが、実は私自身のことでございますけれども、反対同盟の委員長並びに副委員長と直接お話し合いをする機会も持たしていただきました。それからまた反対同盟の多くの方々とも直接お会いをいたしたこともございます。しかし大ぜいの方々とお会いしたときには、これはいろいろこちらの立場を御説明してお話し合いをするというふうな雰囲気にはなかなかなれないのは、先生がよく御存じのところだと思います。したがいまして、私どものほうといたしましても、現在成田の分室を中心にしまして、芝山町の方々とも十分な接触を保っておるのが現状でございますけれども、私自身にいたしましても、すでにそういうふうな体験を数回やっておるわけでございます。それから私どもは、実はもう当初から芝山町に対しては非常な関心を持っておりまして、空港の設計をやる際にも、特に監督官庁にもお願いをいたしまして、芝山町がちょうど空港の南側に当たるために、芝山町から空港を抜けて国道五十一号あるいはまた東関東自動車道に通ずる空港の中の一般道路というものを私どもが計画いたしましたのも、まさに芝山町の方々の都心への距離を近くするための措置でございまして、これは私どものほんの気持ちの一端でございます。これは地方自治体でございますので、県当局がまた芝山町につきましての対策はいろいろ考えておられるわけでございますが私ども、及ばずながら千葉県に御協力を申し上げて、芝山町の今後の発展については全力をあげるつもりでおりますが、ただ遺憾なことには、従来何も話し合いがないということでございますけれども、私ども、実は「新空港だより」とかその他のパンフレット等につきまして、極力航空機のあらゆる問題につきまして、それからまた新空港建設につきましてのいろいろな問題につきまして文書を出しておるわけであります。これは敷地内、敷地外を問わず、もちろん芝山町は私どもの主たる対象でございますから出しておりますけれども、ほとんど読んでおられない。というのは、反対同盟の組織が非常に強固であった関係もあると思います。皆さんのところに渡るか渡らないかというふうな段階において集めて燃やしてしまうというふうな話も、実は私どもは聞いておるわけでございます。私どもとしては、はなはだ残念に思っております。実は最近も、これは反対同盟に所属される方々でございますけれども、私どものところへお見えになりまして、私どもが当初から出しておりますいろいろな資料を出したら、ああ、こういうものがあったのかと非常に喜んで、それを一組くれということでお持ち帰りになったことも実はございます。私は今日まで非常な努力を傾けてまいりましたが、これはあくまでも空港をつくる便宜の上で芝山にどうこうということではございません。やはり新空港ができ、周辺が開発されるということになってまいりますと、これは一つの歴史の流れと申しますか、当然やはり空港建設で芝山町自体も大きく変わっていくんじゃないかというふうな感じがいたします。もちろんあそこは蔬菜関係につきましては日本でも有数な組合がありまして、りっぱな農産物を生産しておられるところでありますけれども、やはり近代化の波というふうなものが徐々に押し寄せてくるということはやむを得ない。それに対して芝山町はどうあるべきかという問題についても、県のほうでも、すでに芝山町の開発なりあるいは芝山町の未来図というふうな形で、芝山町に対して、県としてはこういう施策をやりたいんだという呼びかけを実はいままでもしてまいっておるわけでございます。最近、先生もおそらく御存じだろうと思いますが、芝山町の内部におきましても、若干やはり流動的な面が出てきたように私どもは感じておりますので、なお今後も全力を傾けて御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思います。
  249. 實川委員(實川清之)

    ○實川委員 総裁のお話ですと、反対同盟の幹部とお話しになった、あるいはまたいろいろ書類等も送っておるが、読んでいるかどうか、その点ははっきりしてない、あるいはその他、反対同盟の人たちといろいろな形でお会いしているというお話でございますが、おそらく正式のルートを通じて正式の形で会合されているんじゃないと私は思います。それは、たとえば運輸省に押しかけたときに、あなたもおいでになっておったそのとき会ったとか、そういったような形の会い方は別といたしまして、かりに成田なり千葉なりでお会いになったことは、あるいはあるかもしれませんが、私、一つ一つの具体的な事情はわかりませんけれども、これはどうも、おそらくやみルートによってお会いになった、そういうことじゃないかと思うのです。それから書類をいろいろ届けたけれども、はたして地元民に届いておるかどうかということ、書類自体に私のほうからいわせるといろいろ言い分があるのですが、書類を届けても、それを読んでいるかどうかわからない、これは反対同盟の指導としては、おそらくそういうものは見るなということをやっているだろうと思います。そういうぐあいに、書類を届けてもそれが正当に受け取り人に到達して読まれない、あるいは読まないということになるには、それ相応の不信感というものが極度に高じているということですね。文書を出してもそれを読まない、すぐ捨てちゃう。公団に対する不信感というものは地元住民には非常に強いですよ、率直に申し上げまして。なぜそれはそういう不信感が高まってきたのか、強くなったか、やはりそれ相当の理由があるわけです。これは一朝一夕に――それは、いまでこそあの連中、ゲバ棒まがいのことをやるかもしれませんが、最初からそんな乱暴な百姓でもなければ何でもなかった。世間一般の普通の百姓ですよ。その諸君が今日まで追い込められて、さんざんいためられて、そして腹の底から怒り切っている。だからそういう不信感というものが出てきたんです。それを、書類をやっても読まない、読まないからかってにしろ、これでは私は説得したことにならないと思う。やはり公団総裁なり運輸大臣なり航空局長なり、そういう責任のある諸君が現地に行って、やみ取り引きで会うのではなくして、公々然と大衆の前にあらわれて、あなた方の考え方、あなた方の計画、そして住民に対する対策というようなものをお話しになれば、まさかオオカミやライオンの集団じゃないですから、人間のことばは通ずるはずです。そういうことを何もいままでおやりになっていない。たとえば、いまこちらの理事さんが非常に御立腹になっているから、それは私も――ということばは取り消してもよろしゅうございますが、この間も芝山町議会が二十五日か、あったんです。議会が終わって、そのとき、あとで一ぱいやろうということで、だれが先に口火を切ったか私はわかりませんが、それから利根川沿岸の、ある料理屋へ行って飲んだんですね。これは賛成、反対ひっくるめてです。町会議員はいたのは全部だったそうです。都合の悪い人はいなかったんでしょう。そうしたら公団の副総裁がお見えになったり、それから根本という課長ですか部長ですか、もと県警にいた人、あの人も来ておったということで、一ぱい食わされたということで反対同盟の幹部は席をけって帰っちまったんです。これなんかも、それは人格者の山本さんのことだから悪意はないといえばそうも受け取りたいのですが、しかしいまの時点で町会議員をわざわざ利根川ふちまで招待して飲ませる、何らの意図なしとはわれわれは受け取れない。山本さんと私どもの町会議員の、しかも反対同盟の諸君なんかはつき合いがないのですから、一回自宅訪問したことがあるそうですけれども、個人的な交渉はない。私のほうから利根川ふちまでは大体六、七里あるでしょう。そういうところに招待をされて一ぱいごちそうになることはない。事実そういうことがあるのですよ。それで、これは真意はわかりませんよ、どういうことをおっしゃったか、条件賛成になれ、一ぱい飲ませるから、そんなくだらぬことはまさか言わないでしょう、ただ飲ましたのでしょうが、これはつい先月の二十五日です。十日たっているかたっていないかです。それで、そういうことが今日の段階になると不信をかえってエスカレートすることになるのですよ。むしろこの際は、多少の無理があっても表門から正々堂々とあなた方の所信なり決意をやはり披瀝して、真実を訴えて住民の協力を求めなければ、いつまでたってもこの不信感、この対立感情、そしてそれを土台とする紛争というものは終局を見ないと私は思うのですよ。それをあなた方おやりになる決意ございますか。肉体上のことにつきましては私が責任を持ちます。
  250. 今井参考人(今井栄文)

    今井参考人 先ほどの前段の件でございますが、これは山本さんの名誉のためにも私からはっきり事実を御本人からの報告を申し上げておきます。違うようでしたら、御本人に聞いていただけばわかります。これは別に公団の副総裁が御招待をしたわけでも何でもございません。芝山町の町議会が終わった日に、おそらく町長さんが御主催で、皆さんの了解を得て――利根川べりといいますけれども、これは山本さんの郷里であります小見川町へ行かれたわけです。そこで慰労の宴を町議会そのものがおやりになったわけでございまして、また山本さんにしてみれば、長いことあそこで御存じのように町長をやっておられました。おそらく御本人としては、現在空港公団総裁ということになっておりますけれども、町長を長く小見川でやっておられたということで御あいさつに出たわけでございます。その際に、山本さんのお話では、別にそういう意図で私に言ったわけじゃございませんが、やはりみんなきちっと会費を払っておられたということを言ったようでございます。私どもが御招待を申し上げたわけでも何でもないというふうに報告を受けております。  それから後段の問題でございますが、先生がそういうふうに芝山の連中と公式に会う機会をつくるから、ひとつそこでゆっくり懇談したらどうかというお話でございますが、まことにけっこうなお話でございます。もしそういう機会がありますれば、私どもとしては喜んで責任者が参っていろいろお話し合いをいたす機会をつくっていただきたい。ただその場において怒声罵声を浴びて帰るということだけでなしに、芝山町の方々のお話もわれわれはゆっくりお伺いするし、またわれわれの話もゆっくり聞いていただける、つまりお互いに腹を割り胸襟を開いて話し合えるという場をつくっていただくということでなければ、私どもとしてはただ騒ぎを起こしにいくだけでは何にもならない。従来私どもが若干そういう点で逡巡いたしておりましたのは、行くことは差しつかえないのでございます、ただ騒ぎを起こし怒声罵声を浴びて帰る、場合によっては警察の力を借りるというようなことを懸念してのことでございますので、先ほど私が申しましたように、芝山町自体についてもいろんな動きが出てまいっておるようでございますが、今後私どもはますますよくなるんじゃないかという一つの見通しを持っております。こういう一つの機会をとらえて、先生がいま言ったように、私どもの話、また芝山町の方々の話、お互いに胸襟を開いて話し合える場をつくっていただけるならば、われわれはほんとうに喜んでいつでも参上いたしたい、かように考えております。
  251. 實川委員(實川清之)

    ○實川委員 それではちょっとあなたのおっしゃったことと違うので、くやしいから申し上げますが、芝山町の町会議員が、議会が終わったからといって一ぱい飲みに小見川に自発的に行くことはないですよ。それは副総裁のことですから、まさか私の言ったことをそうだとは言えないでしょうが、常識的に考えて、小見川とわれわれとはほとんど経済的にも文化的にも交流はないのです。したがって、そんなところに高い自動車賃をかけて行くわけがない。ただ山本さんをとっちめるのは私としても困るから、そういうことであなたのお話は私受け取れない。それで議員のほうに話をしたというが、話はなかったです。話がないのですよ。それで金を出したとか割り勘で払ったとか払わないということは、われわれみんな政治屋ですから、選挙のときにいろいろな酒の飲み方をやりますが、これはその道で苦労されている諸君だから、みんな知っているはずです。したがって、きょうは私は時間が来たようですからこれでやめますが、またひとつ次回にお願いいたします。
  252. 鹿野委員長(鹿野彦吉)

    鹿野委員長 實川清之君の発言中、不穏当な個所がありましたら速記録を調べまして委員長において処置いたします。  次回は来たる八日火曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会