○大石(八)
委員 お手元にお配りしてあります案文につきましては、いま
委員長からお話しのとおり、先般来、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党との間におきまして、それぞれ検討を続けておりましたところ、このほど意見の一致を見るに至りましたので、便宜私からその立案の趣旨及び内容の概要を御説明いたします。
本案は、各党の合意による成案でありますので、各位の御賛同を得て国会法第五十条の二の
規定により本
委員会提出の
法律案とし、その成立を希望いたす次第であります。
まず
法律案の全文でありますが、これはお手元に配付してあります印刷物によることとし、朗読を省略させていただきます。
次に、この
法律案を立案した理由を述べますと、この
法律案は、最近における急激な都市化現象及び
市町村の
人口の実態にかんがみ、市となるべき普通
地方公共団体の要件につきまして
特例を設けようとするものであります。
あらためて申し上げるまでもなく、現行の
地方自治法のもとにおきましては、
人口五万以上であって所定の都市的要件を備えることにより市制が認められることになっております。
しかしながら、市となるべき普通
地方公共団体の
人口要件は、
昭和二十九年六月に
改正されるまで長い間、三万以上であり、その後におきましても
昭和三十三年四月及び
昭和四十年三月にそれぞれ
人口が五万以下であっても、三万または四万以上であればこれを市とする旨の
特例が設けられたのであります。
市となるべき
人口の要件は、このような経緯を経て現在に至っているのでありますが、今日、全国の市の
人口の実態はどのようになっているかと申しますと、五百六十四市のうち、
人口五万未満のものが二百六十五市で四七%にのぼっているのであります。
しかも、三万未満で市を称しているところが二十六を数えている
状況であります。
他方、最近の社会変動に伴う
人口の都市集中と都市化現象により、
人口三万以上であって、都市的形態を備えた数多くの
町村の出現を見るに至っております。
このような
市町村の実態は、
市町村の区分のあり方について抜本的な検討を加え、新しい
市町村制度の確立をなすべきことを示しているのでありますが、今日のわが国の実態に即応した
市町村の区分の新しい基準がつくられるまで、それができぬというだけの理由で、その間、市昇格の
住民の要望を無視することは適当とは
考えられないのであります。
現に、これら比較的多数の
人口を有し、都市的要件を十分に備えております
町村におきましては、
人口五万以上の要件を満たすことはできないとしても、市を称して都市的施策の充実につとめていきたいとの期待を強く持っているのでありまして、これらの要請にこたえることも地方自治の本旨実現に資するゆえんであると存ぜられるのであります。
この
法律案は、このような
考え方に立脚して、この際、最近の
市町村の
人口の実態や
既存の市との均衡を考慮し、特に市街地的要素の強い
町村について、市となるべき普通
地方公共団体の
人口要件等につき
特例を設けようとするものであります。
次に、本案の内容について御説明申し上げます。
その第一は、
人口が五万未満であっても、三万をこえ、かつ特に都市的要件の備わっている
町村については、市と
町村の別に関する
制度の
改正が行なわれるまでの間で、
政令で定める期間中に申請がなされた場合は暫定
措置としてこれを市とすることができるものとすることであります。
その第二は、この
人口は、最近に行なわれた統計法の
規定による指定統計調査の結果による
人口とすることであります。
なお、本法の施行にあたりましては、本法制定の趣旨にかんがみ、都市的要件について、実情に即し、適切な配慮を行なうとともに、当該
町村の
人口の増加傾向に特に留意するよう要望いたしておきます。
以上がこの
法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞ全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げます。