○
依田委員 これは
自治省にお聞きするのですが、四百万円という補助金は、結局いま試験をやっているところを若干広げよう、一ヘクタール五十万でやっているようでありますから、それをもう少し広げようという
意味で補助金を出したにすぎないのです。私がここで
質問をしておりますのは、農業政策なんというぎょうぎょうしいものではないのです。大体島の消毒なんです。農業をする前提になる病害虫の消毒事項なんですね。これはどんな品種でもって
小笠原を
復興させるか、これは
復興計画の内容になる重要な問題だと思いますけれ
ども、それ以前に、何をつくるにしたって、あそこは二十三年間も放置されていたんですから、病害虫も駆除しないと、それはもう極端に言えば菜っぱ
一つ植えられないということになるわけですね。たとえばコミバエは、これは皮を通して産卵するために、ウジ虫が実を食べて食用に供せられなくなる。これが内地に入ってきたらたいへんな問題だ。あるいはアリモドキゾウムシはサツマイモに入ってサツマイモに穴をあけて中を食い荒らす。オガサワラミバエはかんきつ類、トマト等が全部やられてしまう。アフリカマイマイにしても、ほとんどの植物が葉を食べられてしまう。カイガラムシもヤシ科で同じだ。こういうふうにたくさんあるわけですよ。こういったものが内地へ入ってくるとたいへんなものなんだ。これは全部
アメリカとか豪州にあった病害虫で、まだ日本は処女地なんです。ですから、これを消毒をするということは農業政策の前提になる。これはだれが考えても無理のない話なんですね。むしろ
復興計画というものを考えようとして二十人の方が額を集めても、菜っぱ
一つ植えられないのだ。伝染病が一ぱいあるのだということになると、
復興計画は
一つも立案できないのですよ。
復興計画のカテゴリー以前の問題なんですよ。それに対して、ことしはもう
暫定法案が通ってから小一年になろうというのに、いまだに四百万
程度の補助金を実験
段階だとか、一ヘクタールでどうのとか言って
——いまやっておる一ヘクタール五十万円で
父島をやると約十二億二千七百万円、
母島が十億五千九百万円、これは全部ヘクタールに五十万円の単価をかけたわけですね。
硫黄島が十億九百五十万円。それで三十二億九千五百五十万円ですね。
小笠原全島をやると五十二億円という概算の数字が出るのです。せめてその一割の五億でも、あるいは
父島と
母島だけでも
——父島と
母島と一緒にやらぬと、ハエですからだめだと思うのですが、
硫黄島を除いて
父島と
母島だけでも少々無理をしても年次
計画を至急に立ててやらぬと、
復興計画の立てようがないと私は思います。
復興計画を立てようと思って相談したところが、まだ伝染病がしょうけつしてどうにもならぬということになると、話にも何にもならぬと思うのです。私がアマチュアだからそう思うのかもしれないけれ
ども、これは
自治省が予算当局ですから、農林省のほうからもっと大きな予算要求があって大蔵がそれを削ったのか、あるいは
自治省でどういうふうにして四百万円しか補助金を
——あまりにも少な過ぎる。農業と水産だというけれ
ども、農業がこのていたらくでは、お声がかりや法律はたくさんできましても、島の
開発は、これは相当先が長いんじゃないかということを心配するわけです。帰島者はもう首を長くして待っていますから、少し積極的な御
答弁を聞きたいと思います。