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1969-06-13 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十三日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       斎藤 寿夫君    渡海元三郎君       永山 忠則君    井岡 大治君       太田 一夫君    河上 民雄君       野口 忠夫君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         水産庁次長   藤村 弘毅君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         農林省農政局開         発課長     福島 嘉弥君         農林省農地局管         理部管理課長  柳井 昭司君         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  小笠原諸島復興特別措置法案内閣提出第五六  号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  小笠原諸島復興特別措置法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。依田圭五君。
  3. 依田圭五

    依田委員 それではきのうに引き続き、暫定法十二条による防衛施設庁告示問題について、若干継続質問をいたしたいと思います。  われわれしろうと立場から——資料あとで出るそうでありますから、資料を手にしないとよくわからないのですが、私が知っておる範囲内、また調べた範囲内におきまして質問いたしますが、一体、十二条の発動によって告示をして、一応権利留保をいたしたわけです。とりあえず土地を差し押えしたような形になっておるわけなんですが、これは個人所有者がわかっておるところが相当あるのじゃないか。法務省段階に話がいくかどうか知りませんが、当時の土地台帳その他が若干は残っておるなり何なりして、やみくもはともかくとして、全部公有地以外は、差し押えるというようなことをしなくても、その個人通知をするとか何か方法はなかったのか。その点がまず第一点。これは施設庁のほうへお聞きしたいと思います。
  4. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 個人所有地の問題でございますが、小笠原島が復帰になりましてから、この所有関係につきましては、東京法務局において登記の復活のための調査を現在進めております。聞くところによりますと、ことしの三月ごろで大体民公有地の七、八〇%くらいまではわかっておる。しかしながら、これはたとえば地番何番の土地がだれそれの土地であるという程度のことで、現地に落とした場合に、それが具体的にどの位置であり、どういう面積になるかというようなところまではわかっておらないようです。そこで、この調査が完了する見通しはいつかということも、私どものほうから再々照会しておりますけれども、最終的に現地に落とした場合に、それぞれの土地所有者所有区分がどうなるということがわかるのには、かなりまだ期間がかかるというようなお話のようです。  そこで、私どもとしましては、この暫定措置法告示しました土地が、現実にだれそれの土地が入っておるかというようなことは、まだ現在では明確でございませんので、所有者の方に通知するという段階にいっていない。要するに所有者の全体がわかり、この立ち会いを得なければ、境界が明確にならないというような問題が今後残されておる、このように聞いております。
  5. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、将来所有者から一応行政訴訟なり何なりを提起するということがあり得ると思うのですが、そういうときに、一体防衛庁はどういうような考え方で、これら原所有者に対して態度をおとりになるのか、その点を含めて質問いたします。
  6. 鶴崎敏

    鶴崎政府委員 この暫定法の趣旨によりますと、告示をすれば一応国あるいは地方公共団体使用権を取得するということになっておりますので、その告示した期間内は使用権がある。したがいまして、所有者がわかって、この所有者契約に応じないという場合でも法律的には使用権がある。しかしながら、私どもは、もちろん所有者が正確にわかりましたら、その本人にまず通知をする。そして、その所有者と話し合いの上で円満に契約に応じていただいて、それによって使用をしたい、このように考えております。
  7. 依田圭五

    依田委員 われわれは常識的に、アメリカが従来使っておったいろいろの施設、それを防衛庁が引き継いでその範囲内において、昨年の六月に暫定法十二条に基づく告示をいたしたものと理解をしておるのですが、それでなくて、従来アメリカが使っておった場所以上に広く防衛庁告示したという事実があるとするならば、どの程度のものか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
  8. 江藤淳雄

    江藤政府委員 現在自衛隊が使っておりまする防衛施設は、すべて従来米軍軍事施設として使っておった部分の一部分でございます。それ以上に別の土地を取得して防衛施設にしたものはございません。
  9. 依田圭五

    依田委員 アメリカが使っておったということばなんですがね、そういう意味じゃ非常に広くなるわけですね。硫黄島は島全体になるわけでありましょうし、多かれ少なかれ使っておったというカテゴリーの中に入ると思うのですよ。たとえば現地飛行機の陸揚げをするエプロンといいますか、揚陸地ですね、飛行機の港みたいなものですね。あの裏に、あの辺一帯大村地区アメリカ施設は、これは従来アメリカが使っておりました。宿舎や何かあったのですが、あのすぐそばにデパートができましたね、簡単なマーケットみたいなものが。その裏に昔の父島の支庁があって、その裏に大神宮山という山があって、その裏あたりですよ。何万坪かある。推定では百万坪くらいあるのじゃないかと思うのです。あの辺の平たん地は従来アメリカが使っておったのですか。
  10. 江藤淳雄

    江藤政府委員 御指摘のところは、おそらく現在自衛隊が使っております燃料施設並びに射撃場地区であろうと思います。これは従来から米軍がPOL、燃料貯蔵所並び射撃場として使っておった部分でございます。
  11. 依田圭五

    依田委員 そうしますと施政権があったわけですから、そういう意味においては小笠原は全部アメリカが使っておったわけですね。そういうような意味においてアメリカ軍が使っておったのじゃなくて、厳密な意味でもってそこに、何といいますか、ほんとうに使っておった場所以上には今回告示範囲は出ないということになるわけですか、そこをもう少し詳しく言ってくれませんか。
  12. 江藤淳雄

    江藤政府委員 従来米軍小笠原地方における防衛計画軍事施設として使用しておった施設区域の一部を自衛隊が使っておるということでございまして、それ以外の地区は現在自衛隊は使っておりません。
  13. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、きのうの御答弁で、五百万平米であるとか、あるいはたいへんな数が出ておるわけです。また一説には、硫黄島はほとんど全域に近いところ、平らなところはほとんど全部告示をしたということになっておるわけです。そうしますと、これから質問で触れてまいりたいと思うのですが、帰島計画あるいは東京都知事が立案して審議会にかけますいわゆる復興計画、これらの計画を立案していく上において、目ぼしいメーンストリートや重要な平たん地は、ほとんど防衛庁関係告示範囲内に入ってしまうということになると、残っているのは山だけだということになるわけですね。そういうようなことを、私は資料がないからこれこれとは言えませんけれども、私の知っている範囲内においても、たとえば大村地区は全部入る、それから飛行艇平たん地は入る、それから大神宮山の裏も全部入る。もう一つは突き当たりのほうのところは水産庁との間で話が出ているらしいのですが、防衛庁の原案としては相当強い要求をなされた、しかし一応それはきまらなかったというようないきさつがあるらしいのですが、非常にその点を心配して、いまここで法案が出されておりますけれども、この法案をわれわれが一生懸命に審議をしてやりましても、政府のほうで立てる帰島計画あるいは審議会をわずらわして自治大臣が決定します復興計画、これらは二つともほとんど骨抜きになる、全部自衛隊のほうへお願いをして、これこれの土地はひとつこちらで利用したいから払い下げてもらえないかとか、あるいは告示を解除してもらえないかとか、あなたのほうでは三年たてば権利はなくなるとおっしゃるのですが、三年たてば権利を全部白紙にするという意味で三年間という時期を区切ったわけではないでしょう。いずれ三年間のうちには法務省関係所有関係も明確になるであろう、ですから、ともかくつかみでもって民有地は必要なだけは押えておこう、こういうことで今回なさっておるわけですね。その総ヘクタールというか、三島の総平米、全部でたしか六百万平方キロぐらいしかありませんから、そのうち大体五分の一ぐらいに相当するのじゃないかと思っておるのですが、八割は山といわれておるのですから、二割五分を押えるということになれば平地は全部ということになりかねないわけです。そのマクロの数と告示の総坪数を、平米でけっこうでありますから、全部の数と、いま私が質問しております意味合いにおいて、われわれが心配しておるような角度からの御答弁をお願いいたしたいと思います。
  14. 江藤淳雄

    江藤政府委員 小笠原が返還になります際に、米軍が従来実施しておりました防衛の責任を自衛隊が肩がわりする、それに必要な施設はどの程度でいいかということにつきましては、政府部内におきましても関係省庁十分協議をしまして、現在告示しておるようなところを防衛施設として取得しておるのでございまして、たとえば、面積で申しますと、全島面積が約一万四百十三ヘクタールございますが、そのうち防衛庁が使っておりますのは六百七十五ヘクタールでございまして、全体の七%ということになっております。そのうちで特に硫黄関係が、飛行場がありますために非常に広く使っておりますが、これが全島面積二千十九ヘクタールのうち五百七十八ヘクタール、約二九%を使っております。それから南鳥島全島面積が百五十ヘクタールのうち防衛庁使用しているものが四十八ヘクタール、全体の三二%、それから父島関係は、全島面積二千四百五十四ヘクタールのうち四十九ヘクタール、一・九%を防衛庁使用しておるということでございます。ただ、硫黄島並びに南鳥島につきましては、従来から飛行場がございましたので、この飛行場防衛庁は現在使用しております。しかしながら、これはまだ現在民間航空等計画がございませんので、防衛庁が専用しているようなかっこうになっておりますが、将来民間航空等がここを使用されることになりました場合には、もちろん防衛庁共同使用で十分でございます。防衛庁が将来にわたってこれを独占しようという考えは持っておりません。
  15. 依田圭五

    依田委員 七%だというのですが、大体現地を見てもわかるように、ほとんど山なんですね。  これは自治省に聞きたいのですが、平らなところと山とは一体どのくらいの割合になっていますか。一体どのくらいからを山と言うのか私もよく知らぬのですけれども、海抜何とかいうのですか。説明書きには国有地が八割で、ほとんどは山でというように書いてあるわけですが……。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 山と平地区分というのはいますぐにはわかりませんが、この父島母島硫黄島等におきますところの従来の——これは昭和十一年の資料でございますけれども合計いたしまして一万三百十五ヘクタールの面積がある、そうしてその中で、いわゆる畑と宅地とが合わせまして二千百三十ヘクタールくらいでございます。それ以外は山林、原野、雑種地となっておりますが、そういう意味では山に近いものだと思います。簡単に考えますと、大体二割程度のとろが平らなところであって、従来から使っておったところである、こういうことになるのだろうと思います。
  17. 依田圭五

    依田委員 一万三百十五ヘクタールのうち二千百三十ヘクタールが畑だ、こういうようになるのですね。そうすると、この割合からいくと七%ということですか。一万三百十五ヘクタールに対する二千百三十ヘクタールですから、非常に零コンマ以下の……。
  18. 長野士郎

    長野政府委員 この資料の八ページを見ていただきますと、「終戦前における土地の概況」というのがございますが、私が先ほど申し上げましたのは、その一番最後の合計欄で申し上げたのでございまして、父島豊島列島母島列島、硫黄列島の合計面積が一万三百十五・三ヘクタール、これに対しまして、土地は畑として戦前二千百三十ヘクタールくらいのところが使われておったわけでございます。
  19. 依田圭五

    依田委員 パーセンテージでどのくらいになりますか。
  20. 長野士郎

    長野政府委員 大体二割弱になります。
  21. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、結局、しろうとがちょっと見ても、ほとんど山なんですよ。これは委員会が出かけますからよくわかると思うんですが、特に父島は山なんです。たとえば、運輸省来ておりますね。飛行場をどこへつくられますか、父島は。どこか飛行場をつくることができるような平らなところがありますか。
  22. 内村信行

    内村説明員 お答え申し上げます。  飛行場適地につきましては、かねがねから調査を実施いたしておるわけでございますが、現在まで考えられますところは、父島につきましては、二見湾の東側になる夜明山というところがございます。そこのところに大体千五百メートルくらいの滑走路がとれるだろうということ、それから母島の場合には、南崎というところがございます。そこに大体二千メートルくらい、いずれも南北方向に向けての滑走路でございます。その辺くらいが適地と考えられる唯一と申しますか、唯二と申しますか、そういうところでございます。と申しますのは、こちらから飛行機を飛ばします場合にはYS11A、ボーイング727あるいは737、こういうものが想定されるわけでございますけれども、足の長さ等から考えますと、それ以下のものは不適であると考えられます。そうしますと、どうしても千五百メートルないしは二千メートルの滑走路が必要になる。そういたしますと、現在の平地というところではこれは確保がむずかしい。と申しますのは、長さとともに、飛行機の障害になりますような物件がそばにございますと、これまた飛べませんので、そういうことから考えますと、非常に工事は難航すると思いますけれども、台地のほうの、ある程度山を切り谷を埋めてつくるということを考えざるを得ないというのが現状でございます。
  23. 依田圭五

    依田委員 夜明山標高一体どのくらいあって、父島の一番高い山はどのくらいありますか。  では、調べている間に質問を続けます。ともかく全島山で、その山の頂上に近いようなところに——それから費用あとで教えてください。なまやさしい費用じゃできないはずです。たいへんな費用がかかるのです。平たん地にちょっとアスファルトで——出ましたか答弁飛行場建設費用もついでに参考に聞きたいと思います。
  24. 内村信行

    内村説明員 夜明山標高は三百八メートルでございます。それから、父島で一番高いところが三百二十一メートル、なお、飛行場にいたします場合には、山の高いところを削るということになりますので、その場合の飛行場標高は大体二百四十メートルくらいと考えております。  それから、建設費用の点でございますけれども、いま申し上げましたように、山を削ったり埋めたりしますので、相当高額になると存じます。そういった点で、幾らぐらいということは、ただいまの段階ではまだ申し上げかねます。
  25. 依田圭五

    依田委員 大体五十億は最低かかるのじゃないかといわれておるのです。三百二十一メートルというのが父島で一番高い山です。これは三角みたいな山、槍ヶ岳みたいな山ですが、夜明山というのは三百八メートル、夜明山あたりが一番高いのです。それを六十メートルダウンさして、二百四十メートルのところに千五百メートルの滑走路を持った飛行場をつくるというわけですね。これは五十数億かかるのです。それ以外に適地がないわけなんです。従前使っておったのは八百メートル、昔は千三百メートルで、潮に洗われて五百メートル減って、いま残っているのは八百というわけです。これはほんとうに海岸ぶちのところにある。そこのところがちょっと平らなだけなんです。あと防衛庁のほうで告示なさった大村地区、あるいは飛行艇の上がっていくエプロンといいますか、その平たん地、あるいは大神宮山の周辺、貯蔵庫の予定地、あるいは防衛庁水産庁の間にいろいろ話が出ておると聞いておるあたり、これ以外はもう平らのところがないわけです。これは現地へ行けばすぐわかることなんです。飛行機の上から見れば一目でわかることでありますから、飛行場一つつくる余地がないということです。ですから、父島飛行場をつくるというのは一体いつの話になりますか。これは運輸省、この機会に関連ですから、あなたのほうじゃ東京都を督励して——飛行機なくしてこの近代の時代は過ごせないわけです。ジェット機なら一時間で行くわけです。プロペラ機でさえ三、四時間で行っちゃうのですから、この際運輸省は、これは東京都の力じゃできませんよ、たった一つ飛行場でも。結局、あとはヘリコプターか船でもって——簡単に硫黄島と言うけれども、二百五十キロ離れているわけですから、船なら一晩も二晩も泊まらなければ行けないわけです。母島にしたって六十キロくらい離れているのです。  あと野口さんが質問に触れられるそうですが、われわれは三島同時開発を要求した。にもかかわらず、いま開発中心父島重点主義なんです。なぜかといったら、二見湾のような立地条件父島しかないというわけです。硫黄島には船をくっつけることができない。母島はどうにもならぬジャングルだ。父島しか文明の光が現在達してない。だから父島重点父島だけをいま開発しようとしているわけです。その父島飛行場適地すらないというときに、この全島で二割、父島ではもっとパーセンテージは落ちると思いますけれども防衛庁告示でもってとりあえず先取特権みたいなものをここへつくった。あとは賃料を払ったり、訴訟を起こされた場合にはそれに応訴したりいろいろしていくのでありましょうが、これはできるだけ民主的な姿勢でやっていきたいという防衛庁の話であり、また将来帰島計画なり、あるいは復興計画立案段階では調整に応じたいというようなことを参事官言っておられるけれども、まあそれは防衛庁の将来の心がまえでございまして、私が言いたいのは、運輸省一体どうなんです。防衛庁のほうから土地をちょっともらったら飛行場ができるのじゃありませんか。父島に対して、大体いつごろつくってくれますか。それまではどうにもならぬ島ですよ。八人か何ぼしか乗れない自衛隊飛行機しか行けない。それも飛行艇しか行けないわけです。飛行艇というのは一ぺん海へおりるわけです。アメリカ司令官さえ海の中に飛び込んだというようなことがいわれておるくらいで、いまでさえ普通の飛行機と違って海へ入るわけですから、その点をもう少し運輸省立場から具体的な計画を含めて答弁してください。
  26. 内村信行

    内村説明員 小笠原につきましては、御承知のとおり、運輸省といたしましては、いわゆる気象業務だとか、そういったものは運輸省として直接やっておりますけれども小笠原振興計画につきましては、自治省のほうで総合的に計画を立てることになりまして、それによって自治省から予算を出しております。こういうたてまえになっておりますので、したがいまして、具体的にどういうことになるかということにつきましては、私ども運輸省としてはちょっと御答弁できかねるわけでございます。  ただ、技術的な御相談を申し上げまして、技術的にはいろいろ意見を申し上げておりますけれども、そういった意味では、先ほどから質問にお答えしているわけでありますが、飛行場につきましては、先ほども御指摘がありましたように、工事が相当困難でございます。したがって、工事費につきましては相当かかるかと存じます。
  27. 依田圭五

    依田委員 運輸省は技術的に困難だということを言われておるわけですけれども自治省は困難だろうが何だろうが、断固やっていく決意でしょうから、それを含めて具体的に御答弁願いたい。
  28. 長野士郎

    長野政府委員 私ども飛行場の問題につきましては、お話しがございましたように、今後の小笠原復興ということを考えますときに、どうしても飛行場というものをできるだけ早く計画をして実現につとめるということが絶対に必要だというふうに考えております。ただ、適地というようなことになりますと、いろいろ専門的な観点から御検討をお願いしておる最中でございますが、お話しがございました父島につきましては、私ども広さの関係はよくわかりませんけれども自衛隊の持っておる土地が開放されれば飛行場ができるというような関係には、しろうと論でございますが、なかなかならぬのじゃないか、そういう意味父島は山地がたいへん多くてなかなかやりにくいところだというふうな印象を一般的に受けております。その点で運輸省の専門的な御検討をいろいろお願いしているところでございます。
  29. 依田圭五

    依田委員 飛行場適地がどうとか、私も局長もアマチュアですから、そんなことも大事なんですが、それよりも私が質問しているのは、目ぼしい平らなところは全部防衛庁が一応告示をしてしまった。これについて、しかも一応土地関係なんかだって、昭和十九年の時点において土地台帳その他があっちこっちに相当保管されておって、個人所有者だってわかっておるだろうに、とにかく一応法に従って権利留保をしたというような点、私はそれらについて話を進めておるのでして、これは長野さんの立場からも、こういうようなことでは小笠原計画をこれから幾ら立ててもしようがないのじゃありませんか、どうですか。どういうようにやっていくのですか。平らのところはもうほとんどないのですから。
  30. 長野士郎

    長野政府委員 基地関係の問題と復興事業を立てます際の土地利用計画関係とは、直接は基地関係というものは復興事業からははずれておりますけれども土地利用という点でそういうことの接触といいますか、対象として重なり合うというようなことが起きることはぜひ避けなければいけない。そういう意味では、やはり今後の復興事業なり復興計画の前提になりますところの土地利用区分というようなものを中心にした事業計画審議会等で御審議を願うわけでございますが、そういう際に、そういう必要な調整はやはり関係機関と御協議の上でしていただかなければならぬだろう、こういうように思っております。
  31. 依田圭五

    依田委員 その復興計画なんですが、この法律の第十五条を読むと「帰島計画」という政府のほうでおつくりになりました新しいことばが突然ここへ出てまいるわけなんですが、この「帰島計画」とは一体何ものですか。これは租税関係特別措置法関連事項として「帰島計画」ということが出てまいったのですが、この「帰島計画」と審議会をわずらわしてつくります法の四条、東京都知事がやり、自治大臣が決定をいたします「復興計画」とは一体どういう関係になるのですか。どちらが基礎になり、どちらが先につくられたり、そういった点について具体的に説明していただきたいと思います。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 この帰島計画、「旧島民の帰島に関する計画」という点につきましては、帰島を円滑に実施いたしますために、復興事業の進捗状況なり、その受け入れ態勢なり、希望するところのり受け入れ態勢なりというものを考えていかなければならない、そういう意味では復興計画一つの前提でもありますし、一つの構成要素といいますか、重要な要素ということに相なるわけであります。  そこで、いってみますと、第三条の「復興計画」という中にありますところの「帰島を希望する旧島民の帰島の促進」というものがありますが、こういうものの基本的な考え方に基づきまして具体的に毎年度自治大臣が定める、こういうことになるわけでございます。  なぜこういうことをしたのだというお話になりますと、これは租税特別措置の関係がございまして、その租税特別措置の適用を受けさせたいというようなこととやや関連をいたしておりまして、そういう意味でやはり国の行政機関がつくる「帰島計画」でなければいかぬ。しかもそれは毎年度の具体的な「帰島計画」であるべきだというようなことでありまして、「復興計画」に基くものであります。もちろん、それを基礎にいたしておりますし、復興計画自体も重要な構成要素としておりますが、それを受けた毎年度の具体的な計画というものを立てる、こういうことにいたしておるわけであります。
  33. 依田圭五

    依田委員 立法技術上の問題ですから、私もアマチュアですからどうもよくわかりませんが、単に租税特別措置法上の必要から、どうしても国でもって「帰島計画」を「復興計画」の前提として、基本になる、前提になる計画として国のほうでつくらなければならない。そうしないと、租税特別措置法上調子がまずいという説明については、私も勉強不足でどうも納得がしかねるのですが、東京都知事に立案権は一この前委員会でさんざんこの問題について議論をした結果として、付帯条件があり、あるいは大臣答弁があり、一応立案権を与えた。しかし二十人の中に、一万人からになるのであろう島の自治体の代表者も入れずに、政府関係、要するに中央政府関係の専門家だけを二十人配して——もちろん政府の各省からは正式の代表が送られるでありましょう。その他学識経験者も送られるでしょうが、これらの人たちは決して島に住んでいる人でもなければ、島のほんとうに身近な問題を自分のはだで実感している人でもない。各種の調査や統計に従って発言をするような、いわゆる学識経験者が天下り的に任命されるわけであります。しかも、最後には大臣決裁権にこれはゆだねられておる。しかも、主要な目ぼしいところは防衛庁告示でもって押え込んでいる。全島の八割というものは山であります。平地はわずかに二割、その七%くらい、すなわち目ぼしいところはほとんど押えて、あとはわずかの畑か何かしか残っておらぬ。こういうような状態の中で帰島計画というものが出てまいりまして、これが大前提に、とば口になるんだ、これを政府がつくるんだ。その理由としては、特別措置との関係、減税措置との関係で、これはおそらくは家屋の譲渡所得税か、不動産の固定資産税か何かの関係でありましょうけれども、そうなりますと、これは一体どういうことになっていくのですか。重要な東京都の地方団体をがんじがらめにすると言うと言い過ぎかもしれませんけれども、何かこれでもかこれでもかというように法の構造でもって押え込んでいる。ところが、野田大臣から、それは勘ぐり過ぎだといつも言われておるが、心配するのです。  さらに、これと関連して一言聞きますが、これは機関事務ですか、固有事務ですか。この小笠原の行政というものは東京都の固有事務なんですか。それとも機関委任事務なんですか。これをひとつはっきりきめてくれませんか。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 この復興事業につきましての復興計画をつくる、こういう点につきましては、実態は都で実施する、あるいは小笠原村で実施する、そういう事業が主体を占めております関係からいたしますと、まあ国の責任というものを事業実施主体の事業を通じて行なうという意味では、国と都と地方団体というものは一致しておるというかっこうになるわけでございますけれども、法律的に考えますと、復興計画の作成というような点につきましては、国の仕事を東京都知事としてやっているというかっこうになるのだろうと思います。それからまた、同時に、復興事業の推進につきまして、市町村長とか関係機関、都知事も指揮監督権を持っておりますが、こういう体制と申すものも当然に都知事にそういうものが出てくるのではなくて、この復興特別措置法によって与えられるということでございまして、そういう関係一つの委任事務だという考え方が法律的には出てくるのだろうと思います。  事業の実施という問題になってまいりますと、これはそれぞれ、従来の都なり町村なりの事業分担が法律上ございますね。大体そういうものに従って行なう事業が多いわけでございます。そういう意味では事業そのものにつきましては、都の事業であり、村の事業であるものは、大部分そういうものになってくるだろうと思います。
  35. 依田圭五

    依田委員 機関委任事務なら小笠原の総合事務所長よりはむしろ東京都知事に委任すべきじゃないですか、その部分についてははっきり。固有事務ならばなんで自治大臣がこういう強固な指揮監督権をこの法文でもって残しておかなくちゃならないのですか。掌握しておかなくちゃならないのですか。一般的な地方団体の自治の範囲にまで自治大臣の監督権が及ぶような規定のしかたは、私は行き過ぎだと思うのですよ。機関委任事務ならはっきり東京都の知事に委任したらどうですか。総合事務所長なんというものに委任しないで、はっきり知事に、普通の府県と同じようにやらしたらどうですか。固有事務ならこれを侵害する必要はないじゃないですか。また、固有事務の範囲に入ったものまで含めて自治大臣に指揮監督権を与えたというこの法の構造はどういう意味なんですか。その真意はどこにあるのですか。
  36. 長野士郎

    長野政府委員 東京都知事にも復興特別措置法の十八条の二項によりまして、直接そういう権限を与えておるわけでございます。したがいまして、その点では自治大臣のそういう権限を、ここで規定するということになっておりますが、東京都知事にも同じようにこの十八条の二項におきましてそういう権限を与えておる。ただ、自治大臣関係のもので、東京都知事の指揮監督の及ばない機関に関係するような調整を必要とするような復興計画に基づく事業の実施につきまして、そういう問題も出てまいるわけでございます。それからまた、現地の国の各機関なり何なりとの間の調整ということの必要なものも出てまいるわけでございます。そういうものは、現地の実情に最も通じておりますところの総合事務所長に、自治大臣の権限を必要な場合には一部を委任することを考えた、これだけのことにすぎないのでございます。
  37. 依田圭五

    依田委員 帰島計画は、一体内容はどんな項目になっておるのですか。帰島計画の中に盛られる内容であります。帰島というからには、従来小笠原におった人だけを対象とするのか、それとも将来小笠原に対して何らかの形で貢献しようとする者は全部包含するのか、一体帰島計画に使っておる「帰島」とはどういう内容を盛ろうとお考えになっておりますか、具体的に聞きたいと思います。
  38. 長野士郎

    長野政府委員 まずこの法律の二条におきまして「旧島民」ということばを使っております。旧島民の帰島の促進という意味で旧島民ということばを使っております。この点について、この法律二条の二項におきまして、「昭和十九年三月三十一日に小笠原諸島に住所を有していた者」、こういうことで旧島民の範囲を一応は考えておるわけでございます。しかし、この十五条におきましては、「帰島に関する計画に基づき」という点は、旧島民ですけれども、「永住の目的をもって小笠原諸島の地域へ移住する者として政令で定めるもの」、こういっておりますのは、その範囲の中には旧島民の子孫でございますとか関係者、家族を構成しているようなもの、こういうものもふえておるわけでございますから、そういうものももちろん含めまして、帰島という関係を考えていくということにいたしておるわけでございます。現実としてはそれが最も妥当だということで、厳格な意味での旧島民より、ややその範囲を広げておる、こういうことが一つございます。  それから、もう一つは、毎年度、毎年度の帰島計画でございまして、具体的な内容を全部詰めておるわけじゃございませんが、先ほど来申し上げましたように、やはり帰島の人数といいますか、規模あるいは帰島先ごとにこれを考えていく、つまりそれは現地の受け入れ態勢との関連もございますけれども、そういう復興事業の進捗に見合いましての帰島の規模と帰島の先と、それから帰島の時期、そういうものを考えていかなければならない。また、場合によりますと、すぐ最終目的地と申しますか、最終永住地に帰島するというかっこうじゃなくて、一時は、何と申しますか、研修なりあるいは訓練なり知識なり技術というものを必要とするということも考えられますので、そういうようなところにまずは定着をいたしまして、それからさらに最終の目的地へ行く、こういうことも出てくるわけでございますが、そういうものを含めまして年々の計画というものを立ててまいりたい。これはしかし、すべて復興事業の中におきますところのその前提になります復興計画でも、帰島の促進の措置というものはきめられることになるわけでございます。そういうものに合わせましてもちろん考えていかなければならないわけでございますが、おおむねいま申し上げたようなことを根幹にいたしまして、帰島計画というものを考えていきたい、こう考えております。
  39. 依田圭五

    依田委員 帰島の対象とする人は、昭和十九年に住んでおった者、それからその子孫、将来への子孫あるいは現在内地で生まれた子供たちというような意味も含めるだろうと思うのですが、それ以外の者は対象としないのかどうか、ひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
  40. 長野士郎

    長野政府委員 その点につきましては、先ほども申し上げましたが、子孫というより、もちろん配偶者も入りますし、そういうことで、私どもとしては、厳密な旧島民の幅よりも、旧島民と生活を一体にしておったという関係のところで、ともに帰島するという関係者というものは当然この中に含めて考えるべきものだろうと思っております。
  41. 依田圭五

    依田委員 長野さん、聞きたいのは、そういう人たちだけですか、そういう配偶者とか子供とか、当然に帰島計画の中に入るべき人たちだけしか対象としないのか。全く第三者の、将来小笠原で働きたいとか、その開発に努力したいとか、いろいろあるわけですよ。小笠原だって、昔のように一万人だけじゃない、五万人にも十万人にもなるかもしれませんから、そういうような者も含めるのかどうかということです。
  42. 長野士郎

    長野政府委員 小笠原に参りまして新しく仕事につきたい、あるいはいろいろな事業を起こしたいというような人はこの中には入りません。もちろん、その中で旧島民であれば入りますけれども、そうでない関係の人はこの中には考えておりません。
  43. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、私聞きたいのは、復興計画のあるパートに、場所に、一部分に帰島計画が当然入るわけですよ。いまは島にはだれもいない。——だれもいないことはない、何百人かいるのでありましょうけれども、とにかくまだ一万人とかそうう数はないわけですから。戦前でも一万人、おそらくは将来はもっとふえるかもしれません。この中に入るわけですよ。ですから、復興計画と帰島計画とどこからどこまで接触するのか。相当重なり合うわけです。思い切って、帰島計画なんかよりも復興計画のほうが——学識経験者二十人もやっているのですから、そちらのほうにおまかせしたらどうですか。そうすれば、まだ少しは関係団体や学識経験者の意見もその中に入って、より広い視野で——政府の考え方が狭いというわけじゃありませんよ。しかし、手続上若干民主的な形式をとるじゃありませんか。どうですか。丁寧な手続になるじゃありませんか。それはできないのですか。
  44. 長野士郎

    長野政府委員 むしろ、いまお話しのありましたようなことで実際の計画は立てたいと思っております。もちろん、先ほど申し上げましたように、復興計画というものの基本の柱の一つは、やはり旧島民の帰島の問題でございます。したがいまして、そういう意味では、全く内容が同じと言ってはおかしいかも知れませんけれども、実際はうらはらにならない、同じ基盤の上でものを考えるべきものである、相互に矛盾することはあり得ないし、あらしてはならないことでございますから、私どもが毎年度の帰島計画を立てる場合には、もちろん、そういう実際の運用というものはぜひやっていきたいと思います。
  45. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、なおおかしくなるのですよ。矛盾してはならない、また矛盾せしめてはならない、毎年帰島計画をつくって、それと復興計画とは矛盾するものではないというのですが、帰島計画復興計画を制約するということになるおそれが多分にあると私は思うのです。復興計画の年次計画はけっこうですよ。しかし、帰島計画政府がつくる計画なるものは、やはりあれでしょう。ことしの年度を見るとしたって、当然将来の展望をそこに含めながら、ことしはこうするのだということを政府でおつくりになるわけでしょう。それが前提になってくれば、先ほどの御答弁であったように、前提の計画であるということになれば、東京都知事あるいは二十人の審議会の委員をわずらわして自治大臣が決裁になりますこの復興計画だって、これは政府がつくられた範囲内においてしか立案できないじゃありませんか。前のほうを押えられ、うしろは防衛庁告示され、そのまん中にサンドイッチみたいにはさまって、それがとば口で東京都知事が幾らかしゃべって、あとは二十人でこれを議論して、最後の決定権は自治大臣がお持ちになる。しかも東京都の地方団体だ。どうも小笠原に少し力を入れ過ぎて、その力が余ると、美濃部さんの言っているような平和の島であるとか、緑の島なんということにはならぬ、むしろそれに逆行するような現象が出てくるのではないか、東京都知事の意見などはほとんど無視されてくるのではないかということを具体的に心配するのですが、どうですか。
  46. 長野士郎

    長野政府委員 私は復興計画というものと帰島計画というものはもちろん不可分なものと考えておる。結局復興事業の進捗状況と見合わなければ具体的な帰島ということは行動を起こしようのないことでございます。そういう意味では帰島計画が先で復興計画あとだという議論も成り立つかもしれませんが、私どもはむしろ復興計画が先で帰島計画あとだ、こういうふうに考えるべきものだろうと思います。そういう意味で、どっちが先かということで議論をするというよりは、むしろ同じ考え方で復興計画も考え帰島計画も考える。つまり、それは復興計画というが、性質としては復興計画に基づく復興事業のほうが先行する、先行せざるを得ない。それでなければ帰島ということは起こり得ませんから。そういう意味復興計画に基づく復興事業、こういうものが先行した上で帰島計画というものは初めて成り立ち得る、こう考えるのが私は筋道だろうと思うわけであります。そういうことでございますから、帰島計画復興事業を規制する、乗り越えるということには、事柄の性質としてはならぬ、なるべきでもない、こう考えるわけでございまして、御心配のところは私はないのじゃないかというふうに思っております。
  47. 依田圭五

    依田委員 いや、心配があるんですよ。先ほど長野さんの御答弁で、復興計画と帰島計画とどういう関係にありますかと聞いたら、それは復興計画の前提をなす計画であります、それは政府がつくります、復計画東京都知事あるいは二十人の審議会をわずらわします、その復興計画の前提をなす計画でありますということを、これはあとで速記録を読んでもらえばわかるように、おっしゃているわけですよ。いいですか。ですから私、ここでもう一ぺんお聞きしたいのは、では復興計画をつくることはあくまでも自主的につくられて、それができ上がってあとで帰島計画をその範囲内においてつくってもよろしいのですか。それが第一点。  それから、帰島計画をやめて復興計画というものの中に入れるということについて、何かデメリットがあればそれをはっきりしていただきたいと思う。この二点をお伺いいたします。
  48. 長野士郎

    長野政府委員 先ほど私が申し上げたときに、どうもうまい話になっていないような言い方をしたということでございますが、実は、申しましたのは、私はこの復興計画というものの構想の一番大事な柱の一つが帰島の促進だということで、したがって、復興計画というものの実質の中の大きな柱の帰島の促進というものを踏まえながら、復興計画の年度割りとか事業というものは考えられるだろう、こういう事柄だけについて申し上げたつもりでございます。  そこで、いまお話しになっておるように、帰島計画というものはもちろん実際の、今度具体的な帰島でございます、毎年度、毎年度の帰島の問題でございますから、そうなってまいりますと、復興事業というものが先行をしておりまして、その先行した状況に応じて具体的な帰島というものを考えていく、こうなるわけでございます。したがって、そういう意味では、具体的な人の扱い、受け入れというものは、そういう事業の実施に見合わなければ実行できない問題でございますので、むしろそういう意味では、具体の毎年度の帰島というものは復興事業に続いて起きてくる問題だ、こういうようにお考えを願えればいいのじゃないかと思うわけであります。そういう意味では復興計画と毎年度の帰島計画というものが全然別個のものだとかなんとかいう必要は一つもないだろうと私は思います。  そこで、そういう復興事業の進捗と、あるいはそれによってできましたところの受け入れというものの状況を見合いながら、具体的の計画を立てるわけでございますから、そういう意味では全くこの両者というものは一致して考えてちっとも差しつかえないと私は思います。
  49. 依田圭五

    依田委員 その帰島計画をやめて、復興計画の中に盛らせるというわけにはいかないですか。
  50. 長野士郎

    長野政府委員 どうも制度的な形といたしましては、この十五条に書いてありますような帰島計画という形はやはり要るのじゃないかということでございますので、実質はもちろん合ってしまいますけれども、こういう形はいろんな適用関係を考えます場合にどうしても必要だという話し合いになっておるようでございます。
  51. 依田圭五

    依田委員 十二時に終わりたいと思って、いま急いでいるのですがね。これは十五条で突然に租税特別措置法との関係でこの帰島計画が顔を出したんですが、これはどうしても立法技術上、租税特別措置法というものとの関連のある場合は帰島計画なるものが必要であって、復興計画の中にこれを含めるというようなことは、現行法律上できないというようになっておるのですか。これは法制局かなんかに聞くべきなのでしょうけれども、それを含めて、いまの局長の御答弁は、内容がなくてどうもまずいらしいというようなことを隣から言われて御答弁になっておりますが、私はそんなことはないと思うのですよ。あなたがおっしゃるように、全然うらはらで同じようなものだというのなら、やめちゃって、せっかく二十人の方をわずらわすのですから一緒にやらしたらどうですか。そうたいしてむずかしい計画だとか複雑な計画だとかいうようなものじゃないのですよ。それをなぜ別に帰島計画なるものをつくって、そしてそれがあなたの御説明によると、前提になるのだというようなことになると、一生懸命苦労して二十人の委員にそれを委嘱したって、二十人の方おこりますよ。自分たちの裁量の範囲、議論する範囲がほとんどないじゃないかということになっちゃって、おこりますよ、これは。
  52. 長野士郎

    長野政府委員 実際上の扱いといたしましては、そういう毎年度の帰島計画につきましても、審議会の御意見でおきめいただくということは、ちっとも私どもかまわないと思います。ただ、なぜそれじゃがんばるのだというお話でございますけれども、どうもやはり制度には一応先例というのをどうしても考えていかなきゃならないということであるわけでございます。この関係資料にもございますが、二十八ページに租税特別措置法関係条文というものがございます。この租税特別措置法で口火を切れたその租税特別措置を引っぱってこようというわけで、これが国の行政機関が作成した計画に基づいて永住の目的をもって海外移住する者として政令で定めるもの、こういう新しい例ができておるわけでございます。そこで、やはりそういう例にならうということに、どうも制度上そういうことがありまして、国の行政機関が作成した帰島計画、こういうことで、租税特別措置を適用する、こういうことにいたさざるを得なかったという法制作成上の一つの理由から出てきておる、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  53. 依田圭五

    依田委員 もう一点、最初の質問と重複しますが、帰島計画復興計画範囲内においておつくりになりますか。それとも復興計画というものを諮問したり、あるいはそういった行動を起こす以前に帰島計画政府独自でおつくりになりますか。前後の問題を明らかにしていただきたい。
  54. 長野士郎

    長野政府委員 帰島計画復興計画範囲内で考えておる、こういうことになります。
  55. 依田圭五

    依田委員 最後に、農業政策について聞きたいのですが、島の復興を考える場合、一番重要なのは結局水産と農業なんですが、時間がありませんので水産のほうはともかく、農業のほうを聞きます。  前の暫定法段階で、結局いまは水産か農業かということで、運輸省は港湾、その他いろいろ水産庁が指導するでありましょうから、農業だけを聞きますと、一体どういうようになっていきますか、私の調査では膨大なお金がかかるわけですが、ことし四百万円で、あまりにも予算が少な過ぎるのですね。私の考えでは、最低限度五十二億ぐらいの金をかけないと、極端に言うとバナナ一本つくることができない。コミバエとかイモゾウムシとか非常に猛烈な病害虫がおって、全然できない。内地へ持ってくると内地の畑がだめになってしまう。こういうことでやるのですが、ことしの予算で補助金が四百万円しか出ておらない。五十二億円ぐらい必要な数字に対してあまりにも少な過ぎる。これは実験用のヘクタールを若干ふやしたという程度らしいのですが、非常に考え方が消極的だと思うのですよ。小笠原復興を水産と農業を二つの柱にしてこれからやっていくのだというような意気込みにしては、もちろん復興計画その他ができ上がったあとでじっくりと取り組むというように御答弁になるかもしれませんが、どうもその考え方が少し親切丁寧過ぎやしないか、ちょっと慎重過ぎやしないか、こう思いますので、時間がありませんから要点だけを御答弁願いたいと思います。
  56. 福島嘉弥

    ○福島説明員 ただいま先生がおっしゃられたように、非常に病害虫その他問題が多いわけでございます。現段階においては二十四年間の経験、実績の蓄積が全然ない地帯でございますので、この問題の解明ということは慎重を期さざるを得ないということでおるわけでございますが、諸般の問題については各種の面から問題を検討しておる状態で、今後の開発のやり方につきましては、この法案が通ったあと復興計画に基づいて問題を進めていくことになるかと思います。現段階におきましては、先ほど先生からお話しがありましたように、農林省単独の予算としては、植物防疫その他ごくわずかのもので、一括して自治省のほうで計上していただいたわけですが、段階的に申しますと、現在はむしろテスト段階というようなことではないか。東京都の試験地を中心にいろいろ経験を重ねていますが、これはあまり長い期間はできませんが、そういう経験に基づいて今後の諸般の施策を考えてまいりたいと考えております。
  57. 依田圭五

    依田委員 これは自治省にお聞きするのですが、四百万円という補助金は、結局いま試験をやっているところを若干広げよう、一ヘクタール五十万でやっているようでありますから、それをもう少し広げようという意味で補助金を出したにすぎないのです。私がここで質問をしておりますのは、農業政策なんというぎょうぎょうしいものではないのです。大体島の消毒なんです。農業をする前提になる病害虫の消毒事項なんですね。これはどんな品種でもって小笠原復興させるか、これは復興計画の内容になる重要な問題だと思いますけれども、それ以前に、何をつくるにしたって、あそこは二十三年間も放置されていたんですから、病害虫も駆除しないと、それはもう極端に言えば菜っぱ一つ植えられないということになるわけですね。たとえばコミバエは、これは皮を通して産卵するために、ウジ虫が実を食べて食用に供せられなくなる。これが内地に入ってきたらたいへんな問題だ。あるいはアリモドキゾウムシはサツマイモに入ってサツマイモに穴をあけて中を食い荒らす。オガサワラミバエはかんきつ類、トマト等が全部やられてしまう。アフリカマイマイにしても、ほとんどの植物が葉を食べられてしまう。カイガラムシもヤシ科で同じだ。こういうふうにたくさんあるわけですよ。こういったものが内地へ入ってくるとたいへんなものなんだ。これは全部アメリカとか豪州にあった病害虫で、まだ日本は処女地なんです。ですから、これを消毒をするということは農業政策の前提になる。これはだれが考えても無理のない話なんですね。むしろ復興計画というものを考えようとして二十人の方が額を集めても、菜っぱ一つ植えられないのだ。伝染病が一ぱいあるのだということになると、復興計画一つも立案できないのですよ。復興計画のカテゴリー以前の問題なんですよ。それに対して、ことしはもう暫定法案が通ってから小一年になろうというのに、いまだに四百万程度の補助金を実験段階だとか、一ヘクタールでどうのとか言って——いまやっておる一ヘクタール五十万円で父島をやると約十二億二千七百万円、母島が十億五千九百万円、これは全部ヘクタールに五十万円の単価をかけたわけですね。硫黄島が十億九百五十万円。それで三十二億九千五百五十万円ですね。小笠原全島をやると五十二億円という概算の数字が出るのです。せめてその一割の五億でも、あるいは父島母島だけでも——父島母島と一緒にやらぬと、ハエですからだめだと思うのですが、硫黄島を除いて父島母島だけでも少々無理をしても年次計画を至急に立ててやらぬと、復興計画の立てようがないと私は思います。復興計画を立てようと思って相談したところが、まだ伝染病がしょうけつしてどうにもならぬということになると、話にも何にもならぬと思うのです。私がアマチュアだからそう思うのかもしれないけれども、これは自治省が予算当局ですから、農林省のほうからもっと大きな予算要求があって大蔵がそれを削ったのか、あるいは自治省でどういうふうにして四百万円しか補助金を——あまりにも少な過ぎる。農業と水産だというけれども、農業がこのていたらくでは、お声がかりや法律はたくさんできましても、島の開発は、これは相当先が長いんじゃないかということを心配するわけです。帰島者はもう首を長くして待っていますから、少し積極的な御答弁を聞きたいと思います。
  58. 福島嘉弥

    ○福島説明員 自治省のお答えの前に、先ほどちょっと先生が病害虫防除の問題をおっしゃられたわけでございますが、農林省といたしましては、病害虫の発生密度をまず下げて、島内の自給ぐらいはできるようなことを第一として考えたい。それから、従来いろいろなところでやっておりますこういうような病害虫の完全防除ということは非常にむずかしい。農業治水をやろうというところの発生密度を下げて、できるだけ少なくしていきたいというようなことを考えておりますし、また、それをやるためには、病害虫がどういう形で一年間経過するかという状態をはっきりつかんで、どの段階で防除の手を打てば一番効率的かというようなことをまずとらえるのが第一であるということで、現在そういう調査をやっておる段階でございます。  それから、今後いろいろな農産物ができて、なおかつそういう心配がある場合に、たとえば、トマト、ポンカン、パパイヤ、こういうものにつきましては薫蒸をするということで、発生密度を下げた後において島外に出せる可能性があるんじゃないかというようなことで、現在調査をしたベースが大体結論が出た後にそういう対策、手を打ちたいというふうに考えております。
  59. 依田圭五

    依田委員 それじゃちょっと質問しますが、私は専門家じゃないからあまりわからぬ。いま実験をし、調査をして、そして病害虫が出る率を減らすとか、どういう方法がいいかを研究して、その結論が出てから取り組むのだというお話なんですね。これは農林省の技官なり技術屋としてはそういうことになるのでしょうけれども、簡単に言えば、一体調査はいつできるのですか。ことしじゅうに、この年度中にでも結論が出るのか。去年一ヘクタールやりましたね。今度四ヘクタールですか、四百万ですから若干ふやしましたね。しかし、それじゃこの予算を使い終わった来年の三月になったら結論が出るのか。そのときにも、やはり必要があれば実験をさらに続けて、病害虫発生についてのいろいろな研究データを集めて、何年か先にいよいよこれでよろしいという方針を農林省がきめて、そこでいよいよ大がかりに始めるのか。それが終わってからでなければ——一万人のうちほとんど大多数は農民なんです。農業でもって御飯を食べているわけです。あとは若干水産もありますけれども、この人たちの帰島を許すのか。それとも、そういうことに関係なく、どんどんこの人たちは帰して、そして母島でも父島でもどんどん定着させて、開墾なり耕作をさせることができるのか。一体、何をもって中心の品種として小笠原の農業政策の基本にするのか。その辺を含めて、あなたのほうではっきり見通しだけでも答えてもらわぬと、帰島計画にも復興計画にも——いま調査をして実験をしております、実験をしております結果が出るまではだめですということでは、どうも話にならぬと私は思うのですがね。
  60. 福島嘉弥

    ○福島説明員 いま一ヘクタールとか三ヘクタールとか、東京都でやっておりますのは作物の試験でございまして、病害虫の問題は各島にわたってどういう状態で散布し生息しておるか、そういう調査が対策を打つのにはまず必要かと思います。先生も御存じのとおりに、各島非常に交通不便でございますので、その調査がなかなか進みがたいという問題はございます。ただ、当面早く帰島される方を計画上できた場合には、その周辺の発生頻度を下げるなりなんなり、そういう手はなるべく早くしていきたい、こういうふうに考えております。
  61. 依田圭五

    依田委員 私、まだいろいろ聞きたいことがあるのですけれども、一応これで質問を終わります。
  62. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 野口忠夫君。
  63. 野口忠夫

    野口委員 時間がないそうですから、簡単に御質問します。  大臣にお聞きしたいのですが、小笠原復興について、暫定措置法段階では総理府でやったのですか。復興計画特別措置法の中では自治大臣に移っておるが、この辺の移り変わりについて、いかなる理由でそうなったか、大臣からひとつ。
  64. 野田武夫

    ○野田国務大臣 野口さんも御承知と思いますが、暫定法は総理府所管でやりまして、総理府で担当いたしております。今度は漸次この内容がわかりましたから、本格的な復興計画に入るというので今度この法案を出しまして御審議を願っている、こういうことでございます。
  65. 野口忠夫

    野口委員 大臣から、本格的になったからこちらに回ってきたんだ、こういうお話でございますけれども、総理府から自治省に移ってきたこの過程では、小笠原というもののあり方が、以前のあり方と現在のあり方と違う中で、本来的なものではやはり自治大臣のところに来たのではないか、こう考えるわけでありますけれども、いかがでございますか。
  66. 野田武夫

    ○野田国務大臣 御承知のとおり、小笠原復帰後、その行政のあり方をどうするとして、いろいろ意見がありましたから、これはどうしても東京都の行政区画に入るということがはっきりいたした。したがって、そういうことになればやはり自治省関係することでございます。私が言う本格的というのは、そういうような基礎において東京都の行政区域として当然これは自治省関係するということでこういう経過になっているわけでごいざます。
  67. 野口忠夫

    野口委員 東京都の中に入る、当然だと思います。ただ占領政策で占領されていたものが、三条の中で行なわれてきたその姿が、今回の返還で三条の中からはずされたことになって、いわば本来的にその地域は自治大臣のもとに来るべき立場があって、復興の問題については、暫定的な措置としては総理府がやってまいりましたが、いわば本来的な日本の領土に返ってきた。その領土が自治体の中に入っている。東京都に所属する。その意味自治大臣の中に入ってきている。何か総理府から特段にこちらに回したのではなくて、本来的にそういう自治大臣の管掌下に入る。そこにやはり今回の復興の総元締めである復興法を自治大臣がやるための基本的な姿勢というものを考えなければならぬのではないかというふうに思うわけでございます。何か暫定措置というものとこの復興計画というものとが——先ほど防衛庁のほうが、暫定措置の中ですでに十二条によって、ここは私どものものであると言い、こういう決定を公示した、そのことが新しい基本的な今度の計画の中でいいますと、はたして土地があるのかどうか、山ばかりではないか、依田委員先ほど質問のような、そういうことが暫定措置の中では生まれる可能性があったと思います。総理府は各省の連絡調整機関として、こうした中でありましたが、今回自治大臣にこのことがゆだねられましたことは、日本の国の力によって強制疎開をされ、アメリカによって帰ることができなくて、自分のうちをなくしてしまったような地域住民がひたすら待っている小笠原復興というものの中で、すでに行なわれました十二条の公示というようなものについて、将来復興計画をつくっていく中では、土地がない中では、まことにこれは競合してくるのではないかと思います。とかく一つのことをやるのに、各省が競合することによって生まれる国民の不便というようなものは、幾多指摘されておるわけでございますけれども、今回自治大臣が本格的な立場に立って持たれたという中で——先ほどから言われております十二条に基づく公示をしたことでございますから、これはここで幾ら聞いてもだめでございますけれども、こういうことについて、これから各省の上にあって指導をし、それを調整しながら、住民のために自治大臣としての職務を果たしていく中では、こういうことについては一体どういうふうにお考えになりますか。
  68. 野田武夫

    ○野田国務大臣 これは野口さんが指摘されたように、今度の復興計画は、御存じのとおり旧島民の帰島というのが一つの柱であります。それから復興という大きな任務を帯びた仕事になってまいります。その間でこの法律にもありますとおり審議会をつくる。この立案は東京都知事がやり、最後は自治大臣がこれを決裁と、こうなっておるのは御承知のとおり。そして、その中には当然この審議会にも各省の関係者が入る。また東京都知事が立案いたしますにつきましても、おそらく知事としては最善の配慮によって各省にそういう折衝がある。そういう経過からいたしまして、いまお話しのとおり暫定法でできたこと、これはいまさら野口さんが言われても、私が言っても、実際既成の事実でございますから、これをくつがえす——しかし、くつがえすということは、その法律をくつがえすのではなくて、そこに当然その調整の働きをしなくちゃならぬ。それからまた、いま御指摘防衛庁の問題が出ております。私も先ほどからの依田さんの御質問を聞いてずいぶんわかりましたけれども、いまの防衛庁が、おれはこういうふうにして暫定法でやったんだからおれに権利があるのだ、これを固執されるということは、われわれとしては、復興計画上そのままでいいのか悪いのか、まだ私はここで具体的に言えません。つまり防衛庁に関しての土地はどこがいい、これは今後の具体案ができるときのことでありますけれども、聞いてみますと、防衛庁復興計画に非常な重大な支障のあったようなものは相当弾力的に考えます——御存じのとおり、この暫定措置法十二条は五年でございますから、そのうち時日において法律上これは消滅するわけです。そういうことも勘案いたしまして、いま野口さんも私自身も同様な感じがありますのは、一つの既成事実だからというので固執されたら、これは全体の復興計画がなかなかうまくいかぬということを強く感じております。しかし、これは了解してもらえる。そこに私どもも、ことに自治省として調整役を働くが、都知事もひとつやってもらうし、こういう基本法がせっかくできますから、目標は同じですから、都知事も原案作成にあたって、もし協力を求められるなら、私は一緒にやるという気も持っておりますし、いま土地がどうだとかいうことは、私自身もまだ具体的に言えませんが、私の心がまえはそういう心がまえでやりたい、こう思っております。
  69. 野口忠夫

    野口委員 日本の法律の中で、固有名詞の土地の名前のついているものというのはあまりないと思います。たいがい法律の名前はもっと大きくマクロ的になっていると思いますが、奄美、小笠原というようなところはまことにこれ小さなものですし、ミクロ的です。この小笠原という問題は、しかし国として考えた場合には、小さな問題だとしているわけにはいかないと思います。これはいまから約四分の一世紀といわれるそうですけれども、それ以前におられたときには、相当豊かな、しあわせな生活をしておった。戦争があって強制疎開をされて、生まれてきた小笠原をどうにかせねばならぬという法律は、まことにミクロ的ではないかと私は考えるわけであります。しかもそのことが、住民自治の精神の上に立った地方自治の精神の中から生まれる、自治大臣がこれを所管するということになりますと、いわゆる暫定法で示されてきた一つのあり方というものから生まれる法律的な効果、こういうものが先行するということの中には、ともすると各省のなわ張り争い的なものもあるだろうし、ことに防衛庁の手合いは、私から言えば、あまりにも先走ってあと押しし過ぎて、やがてのときには発言を守ろうではないかというような意図が見えるように思うわけでございますが、このことをいまの住民自治の上に立って考えた場合には、土地のないところに防衛施設だけが大きくでき上がっていく。それは固執して譲らない。暫定法で守られている。それで押されてくるところは、帰っていこうとする島民の平たんな土地、豊がに生きようとする土地がなくなってしまうということになってくる。今回のこの復興計画の総元締めになる自治大臣は、少なくともこういうことについては、この住民のためにこん身の力を込めて、住民の一人一人のしあわせを守るという精神、その姿勢で小笠原というものを守り抜いていくのだ、こういうような基本的な態度を私は持っていただきたいと思うわけでございますが、御所見のほどをもう一度お聞きしたいと思うわけでございます。
  70. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま野口さんが言われましたとおり、二十数年間国家の犠牲になって旧島民諸君が非常に困難な目にあっておられる。そういう観点からして、また小笠原諸島はやはり日本の大事な地域である、こういうことから考えまして、自治省といたしましては、何とかして小笠原諸島の復興を積極的にはかりたい、こういう考え方から今回の復興特別措置法案を提案して御審議を願っておるわけでございます。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 しかも、繰り返しお話しがありました旧島民諸君が強制されて離島せざるを得なかったあの姿、その後の非常に困っておられる実情、並びにこれとうらはらに、旧島民諸君が非常に帰島の希望を持っておられる。そこで、先ほどから質疑が重ねられておりましたが、特に旧島民のお帰りになる方に対して租税上の特別措置も講ずる必要がある。これは私どもは当然と思っております。したがいまして、帰られる以上は、やはり生活というものを考えなければならない。ただ前の島に帰られても、そこで生活ができないような不親切なことでは、これは国としても非常に責任を持たなければならない。そこで復興計画というものを重点的にこの法案に取り上げたのでございます。いま野口さんが言われるとおり、従来の旧島民の犠牲、また帰島の熱意、これにこたえる国の施策、こういうことがないと、法律をつくっても意味をなさぬ。何のためにお互いに一生懸命やるかということはそこに目標がございます。したがって、暫定法の問題も出てまいりましたが、私は国全体として考える場合には、各役所のセクショナリズムによって何とかという段階よりもう一つ次元の高い政治的な意味が加えられるべきだと思う。先ほど依田委員からの御質問、私ずっと拝聴しておりました。私は、ああいう点からして非常に示唆を受けた点がございますが、私自身については、そういう強い腹がまえでもって対処したい、こう考えております。
  71. 野口忠夫

    野口委員 大臣の力強いお話を承りましてたいへん心強く思います。  ただ、もう一つ申し上げたいことは、この委員会の中でも大石さんからちょっと発言があったのですが、旧島民中心か産業発展中心か、この問題について、自治体がやっていく地域振興の中で重要なことは、やはりその地域に住んでいる住民が一番優先しなければならぬだろう。ともすると開発計画復興計画やあるいは道路開発というような問題が、住民の意思にさからって行なわれるような、上からの天下り的な力が強くなっている現状が数多く見られるのではないかというように思うわけでありますが、私は自治体の住民のしあわせのために行なわれる政治というものは、人間をむなしゅうしてはならないのだという考え方を持つべきだと思います。その意味では、いまいろいろ小笠原復興のために言われる産業の問題、交通の問題、運輸の問題等は、すべてそこに住むであろう地域住民のしあわせのために、産業の発展や振興が行なわれていくという考え方を、やはり大臣に失なわないでほしいと思うわけであります。そうでないと、既得権を持っている、かつて無理やり離されてしまった権利所有者の島民が、その権利よりも優先するものが生まれるというような事態があったのでは、日本に強制疎開された一万人の、その人々の人間としての心情を大事にしたことにならないのではないか。ともすればそういう形が、いまの日本の発展と復興の中に多く存在することをやはり指摘せざるを得ないわけでございますが、小笠原の場合においては特にそういう点を、いわば強制疎開をされて日本内地に疎開をしてきた者はどのくらい自分のふるさとに帰りたいかわからなかったわけでございますから、それらの人々が喜んで帰れるような、そういう方向での小笠原の産業の振興、道路の開発、こういうような観点の中でものを見ていただくことを大臣の姿勢としていただきたいというように思うわけでございますが、御所信はいかがでございましょうか。
  72. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私は全く同感であります。また、私の職責といいますか、それはそこに基本的な政治姿勢を持たなければいかぬと痛感しております。また、今日までいろいろの法案その他をずっと取り扱ってきましたが、これは私だけではなくて、自治省一体でございますが、そこにあらわれていると私は確信しております。それはいろいろ欠点もございます。御批判もあります。人のやることでございますからそういう点もございますが、姿勢としては一貫している。そこで今度の小笠原復興の特別措置も、まず根本的な目的として、やはり旧島民の帰島というのが大きな一つの柱となっております。これは全く野口さんの御指摘になりましたように、その柱を生かさなければいかぬ。そのために、さっきもちょっとお答えいたしましたが、租税特別措置法なんというものは、やはり旧島民を中心として考えていかなければならない。それから、同時に、その帰られたときの生活というものを、これも私お答えしたのですが、考えなければならぬ。その意味において産業、文化その他もそれを基本にして考えますが、やはりその土地で楽しく暮らせるようにという意味からすれば、旧島民諸君がお帰りになって、その土地で楽しくお暮らせるというために、土地の発展というのをどうしても計画をしなければいかぬ。つまり旧島民を中心として、その方々が安定した生活、楽しい生活を営むという、まずこれの復興計画をやるべきだ。同時に、これに関連して、小笠原島の発展、繁栄というものをまた次の目標とします。その場合には、いろんな違った人が来て、いろんな仕事を開発してくれるとか、違った施策をやる、これは私はかまわない。しかし、どこまでも島民の帰島というのが柱ですから、この方々の生活の安定ということをまず第一にわれわれは心にかけなければならぬ、こう考えております。
  73. 野口忠夫

    野口委員 私も、小笠原が返還されたということになったものですから、いろいろな話を聞くわけであります。何かそこには大きな利権があって、うまいぐあいにできるんじゃないかというようなことで考えるものもある。そこでは巨額の金もつぎ込まれるんじゃないか、あるいは法律によって国有地ども分け与えられるというような場合になりますと、いわば公共的な事業を営む者にということになってきますと、そういう意味では不安が残るわけであります。大臣に私は、そういうことではない、小笠原復興——私は、東京都知事美濃部さんが東京の近郊に何か緑の島があってもいいんじゃないかと言われた。この平和の島の中で生きる人にしてやるということがやはり大きなねらいでなければならぬと思います。要は、この住民が、いまわれわれの政治の中から、かつてはひどかったけれども、たいへんよくなったわいと、こう言われるような復興をこの際自治大臣に、これは本格的にということでまかされておるのでございますから、そこのところは根性を入れてお願いしたいと思ったのですが、先ほどからのお話しで、大臣はその点で進めるということでございますので……。予算でお聞きしたいのですが、内容ではございません、時間がありませんから。  ここでいう、参考に出ました予算は、これはいまある復興計画五カ年のうちの一年の予算になるのですかどうですかということです。
  74. 長野士郎

    長野政府委員 一年目になります。
  75. 野口忠夫

    野口委員 復興計画はこれからやっていくわけでございましょうけれども復興計画の中のものとこれとは一体どう合っていくのでございますか。
  76. 長野士郎

    長野政府委員 この予算につきましては、一応予算の時期というものもございますので、このものにつきましても、復興事業の一環でございますから、元来は復興計画ができまして、そうして審議会でおきめいただいたところのそれに基づくものでなければなりません。しかしながら、それは予算編成等と間に合いませんので、一応の額を一応こういう形で予算としては計上をしておる。しかし、具体的の問題になりますと、この五カ年計画復興の方向というものは、もちろん復興計画の基本として考えられる。そういうところでどういうものを取り上げていくか、それから当面どういうふうにするか、この内容は、もちろんそういう意味では一応概算をしておりますけれども復興計画の策定に伴いましてこれは調整されるのが当然でございます。そういう意味で、予算編成に間に合いませんので、一応こういう予算を計上さしていただいている、こういうことでございます。
  77. 野口忠夫

    野口委員 四十四年度か五年度が第一年目である、その第一年目の復興計画はまだやっていない、それに従ってやるんだというのですが、大体復興計画というものをやる第一年度というのはこの辺で終わろうとしているのではないんですか。これからやる復興計画というものについての年次事業ですね。これは都知事の権限で、都知事から一つ計画案が出て、自治大臣が認めて、実施計画が出てまいりましょうが、その実施計画について、この予算というものはこのくらいで第一年度はやるんだという考えでこれは出ているんではないですか。
  78. 長野士郎

    長野政府委員 いま申し上げましたように、この復興計画の全体の見通し、それから本年度の実施計画、全体の復興計画、こういうものがまだ確定していないところでございますからあれでございますけれども、同時に、この額につきましては、何さま現地が非常に離れたところでありまして、昨年来多少暫定的な事業も進めておりますが、受け入れ態勢その他の点からいいましても、おそらくはこの額は本年度に消化するということはたいへんな努力が必要ではなかろうかと思っております。これが、しかし、十分だという意味ではございませんけれどもあとあと年次計画の前提になりますところの実行計画というものは立てていただきまして、それによって必要な調整をしていく、こういうことでございます。
  79. 野口忠夫

    野口委員 そうすると、ほんとう意味復興計画に沿うた予算というのは四十五年からだ、四十四年ではなくて四十五年から始まる、五年計画のうちの一年だけはこれでやってしまって、次年度、あと四カ年の分をやっていく、こういうことですか。金額が大体六億でございますから、先ほどのマイマイ何とかというようなあれをやるだけでも五十億かかるというようなものでいくと、これが第一年度の予算としては若干少ないというように思われるわけですがね。復興対策費ですが、六億でしょう、各省のは別にして。
  80. 長野士郎

    長野政府委員 この中で一応予定と申しますか、予算的に考えておりますものは、復興計画の中には当然入ってくるだろう、復興事業としても当然取り入れられなければならないだろうと思われますものを一応見込んでおるわけでございます。したがいまして、その意味では、第一年度の事業ということに相なります。ですから、第二年度から始まるということではなくて、第一年度、本年度から始まります。しかしながら、そういう復興が定まりまして、事業実施ということになりますときまでには、ややこれからも時間がかかります。したがいまして、本年度のこの額が毎年度の額になるという意味ではございません。そういうこともある程度考えながら本年度の事業というものを考えておりますから、さらに来年度以降を含めまして実行計画としてはすっきりしたものにぜひしていただきたいと思っております。そこで、額のスタートしていきます、本格的と申しますか、そういう形としては、来年度からそういう形になるということではおっしゃるとおりだと思います。
  81. 野口忠夫

    野口委員 防衛庁ばかり悪口を言っては悪いのですけれども防衛庁のほうできめてやっているようですから……。この予算でいくと、各省予算の中では、防衛庁の予算は二億五千三百七十一万ですか、ですから復興対策費として自治省のこれから出す六億の金の約半分以上ですね。これを、小笠原をいま復興しようという中で、防衛庁はどかんと出しているのですね。三億五千万というのは、自治省の六億五千九百万からいいますと半分以上でございましょう。農林省も、厚生省も、文部省も、法務省も、みんなそれぞれ一億台であるときに、防衛庁は三億の金が出ているわけでございます。何かこれは、どうも先ほど自治大臣から、看板を建てたのはというような話もありましたが、予算面から見るとこれはもうやめないですね。島民が帰っていこうがいくまいが、とにかく防衛庁施設というものは、看板を建てたことによって既得権として守りながら進めていこうとするのが、もう予算としてあらわれているように思うわけでございます。これは防衛庁のほうはもうきめて出された予算であろうと思いますが、一応各省予算を分析してみて、何となく片手落ちで、帰島していこうとする一人一人の小笠原の旧島民の方が願っているものとは、まことに違った方向で予算化されているように思いますが、こうした点では、各省とも、ひとつ十分御検討を願わなければならぬのではないか。時間もありませんから、以上指摘だけしておきたいと思います。  それから最後に、農業問題について聞きたいのですが、何か今度の小笠原復興にあたって、農林省のとる態度というのは、かつて日本の国に存在しました地主というようなものを再び復活させるような方向で、農地法の適用を認めないで進められつつあるようでございますが、まことに国全体が一つの法律の中にありながら、特定の地域だけがその法律に当てはまらないというようなことになりますと、非常におかしなものだと思いますけれども、これについていかがでございますか。
  82. 柳井昭司

    ○柳井説明員 この点につきましては、暫定法段階におきましていろいろ御審議があったと思いますが、暫定法段階におきましては、第七条におきまして、農地法は当分の間適用しない、こういう形になっておるわけでございます。これは現在、そもそも小笠原におきましては、二十数年間にわたりまして、ギンネムが繁茂いたしましてまだ未墾地の状態でございまして、直ちに農地法を適用することはどうか、こう考えて七条の規定を置かれたのではないかと思うわけでございます。それで、今後復興計画等に基づきまして、農用地の造成が行なわれまして、そこで農業が確立するということになりますれば農地法が適用になる、こういうふうに、私たち考えておる次第でございます。
  83. 野口忠夫

    野口委員 ただいまの件ですが、未墾地だという考え方にほんとうになられるのでございましょうか。未墾地というのは、働かなければならないものが働かないで、怠けていたがために土地が荒れて農地でなくなってしまった、それが未墾地でしょう。しかし小笠原の場合は、怠けてそうなったのではなくて、いま行けば——私は行ったことがありませんから今度行ってきたいと思いますが、それはジャングルにおおわれて、ものすごい密林地帯になっているそうです、それだけを見れば。しかし、これを未墾地だと見る目ですね、いまから四分の一世紀前にあった事実というものを、生き残ったわれわれが忘れているわけにはいきません。そのままでいれば施行になったのですよ、農地法が。ところが、こちらに来たのが自分の意思じゃございません。国の意思によって疎開をして、早く帰って未墾地でなくしたいと思いながらも行くことができないで、アメリカに押えられてしまった。そういう中で、あなたのおっしゃる未墾地になってしまったために、全部のものが受けている法律的な一つの保護規定というものが、ここにだけはいま見られない。そしてやがてということになりますと、これはまたいろいろな問題を生んでくるだろうと思います。おそらく小笠原の旧島民の方は小笠原に行って、その未墾の土地をりっぱな田畑にするために、これから努力するだろうと思います。それが未墾地ではなくて、田畑としてこれが売買されるということになりますと、何か働かない土地所有者だけが利潤を得ていく、そういうことを与えてしまうことになりはしないか。だから、いまの場合において、これを未墾地であると認めないで、やはり農地法というものを施行して、いわゆる賃借権というものではなしに、農民の権利としてこれを守ってやるというようなことでいくことが、農林省の態度でなければならないと私は思うのです。だれに言われたのか、未墾地だということにしてしまったのですが、ほんとうに農林省は自分でしたのですか。農林省の役所もそう考えたのですか。それとも、そう考えたほうがいいではないかなどと助言されたのではないでしょうね。
  84. 柳井昭司

    ○柳井説明員 先生御指摘の点は、いわゆる耕作している者に対する保護という問題であろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、暫定法の十三条におきまして、昭和十九年の三月三十一日現在におきまして、賃借権等の耕作権を持っておりました者は、この施行後一年たちましてから、さらに一年以内におきまして、それを申し出ることによりまして特別賃借権が設定される。こういうふうなことになっておりますし、それから、すでに法施行日におきまして、さらに現存する耕作権等につきましても、それはいわゆる特別賃借権という形で、その二つを保護する、こういう形でございますので、少なくとも農業をやっていこうという意思と能力を持っておる者には、小笠原におきまして農業をやっていけるように私たちも努力してまいりたいと思います。
  85. 野口忠夫

    野口委員 時間がありませんからもう終わりますが、いま言う賃借権というのは民法の規定ですね。農地法という法律があるわけですから、それからはじき出していることについて申し上げているわけですから……。これは暫定措置法審議のときにもいろいろ質問があって、だいぶ苦しまれながら復興計画——これから生まれるこの中で、農林省としてもひとつ十分考えていきたいというような答弁もあるようですから、私も重ねてその点では、一つの法令のもとで、日本人が違った措置などを与えられないように、すべての者がその法の下で平等であるようにお考えのほどを強く要望しておきたいと思います。   〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 柳井昭司

    ○柳井説明員 先生御指摘の賃借権につきましては、暫定法の扱いにおきましても、契約の解除、解約等の制限あるいは登記なしに対抗力を持ち得るように、そういうような措置も講じておるわけでありますが、なお復興計画の運用段階におきまして、農用地造成事業が行なわれまして、農地として活用されるという段階になりますれば農地法の適用をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  87. 野口忠夫

    野口委員 私も小笠原は行っておりませんので、野田大臣から言わせると、資格がないと言われるかもしれません。しかし、近く現地に行くそうでございますから、みっちり見てまいりまして、またここでひとつ皆さんにいろいろお聞きしたり、御要望申し上げたりしたいと思いますので、本日はこれで終わりたいと思います。
  88. 鹿野彦吉

  89. 折小野良一

    ○折小野委員 この特別法につきましては、小笠原復興と帰島促進を目的として提案をされておる。これはこういうふうに書いてありますし、先ほど局長の御説明でもそういうような御説明がございました。ところが、昨日、各委員の質問に対します自治大臣の御答弁は、必ずしもそれに限定されたようなお話ではございません。むしろ小笠原は、現在完全に昔の形はなくなっているのだ、だから新たな小笠原をつくるまでこれを振興させるんだ、こういう感触の御答弁があったと記憶するわけでございます。そういう点からいたしますと、復興特別措置法とあるのでございますが、それよりか、むしろ最初から振興特別措置法というようなことにされるべきではないか、これはただ単にことばだけの問題ではございません。やはり今後仕事をやっていく上の精神の問題である、こういうふうに考えますが、その点について自治省のお考えをまずはっきりお伺いをいたしておきたいと思います。
  90. 砂田重民

    ○砂田政府委員 昨日大臣が御答弁をいたしました答弁内容から、折小野先生は、小笠原復興よりは振興というところまで大臣は考えているのではないか、こういう御趣旨の御質問であろうと思うのでありますが、大臣は昨日、非常に長期的な展望の上に立って答えておられたと思うのでございます。先ほどから御質問がありますような現状にある小笠原でございますから、小笠原をとりあえずのところはやはり復興計画を立てて復興をはかっていく。その復興計画を立てていきます中で、大臣がきのうおっしゃったような長期的な展望の上に立っての振興という意味も含めていけるかどうか、これはこれからの検討事項ではないかという感じがいたしております。そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  91. 折小野良一

    ○折小野委員 これも昨日の御答弁の中にもあったのでございますが、また、ただいまの政務次官の御答弁からいたしましても、私どもは、この復興計画がでるきだけ短期間にその目的を達成をする、すなわち、帰島計画中心にいたしましたいまおっしゃる復興、いわゆる狭義の復興、これをできるだけ早く完成をする、そうしてそのあとは地域の実情に即した地域の振興あるいは開発計画というものを地域中心に進めていく。もちろん、これに対する国の財政的な援助とかそういうものは必要であろうと思うのでありますが、そういうような形にしていただくことが至当じゃなかろうか。さきに奄美の振興計画がございましたけれども復興計画をだらだらとやって、そのあとでまた振興計画をだらだらとやっていくというようなことでなしに、その辺のけじめははっきりすべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるのでございますが、御意見をお伺いいたします。
  92. 砂田重民

    ○砂田政府委員 私も先生と同じ気持ちを持っております。自治省といたしましても、ただいま折小野先生のおっしゃったような心がまえで取り組んでまいりたい、かように考えております。
  93. 折小野良一

    ○折小野委員 そういうようなことでやっていきたいということでございますが、ただ一つだけちょっと確認をいたしておきたいと思います。  私は、振興段階に入って、地域振興計画あるいは地域の開発計画というのは自治体を中心にしてやっていく、それに対して、政府の財政的な援助は当然考慮すべきだ、こういうことを申し上げておるわけでございますから、将来の振興については国のペースでということでなしに、自治体ペースでということで申し上げておることをひとつ確認して、先に進みたいと思います。  前の住民あるいはその関係の方々の帰島でございますが、これは当面最も大切な問題であると思っております。この帰島の見通しでございますが、いただきました資料によりますと、それぞれ関係者の希望というものがとられております。しかし、これは現実の帰島ということになってまいりますと、必ずしもこのとおりにいくとは限らないと思いますし、いろいろの段階もあるんじゃなかろうかと思うのでございます。この中で、帰島を希望する人の数ともう帰島したくないという人の数というのは大体同じくらいの比率になっておるように考えられます。それはそれでけっこうなんでございますが、ただ小笠原の将来というものを考えました場合に、現在帰島を希望する人の構成と申しますか、その中で、ただ単に郷里に帰って余生を送ろう、こういう方々が多いのか、あるいは将来の小笠原の振興あるいは開発のために大いにやってやろうという若い人たちが多いのか、こういう点は今後の帰島促進について一つの大きな問題であろうと思うのでありますが、そういう点のめどというものはつけておいでになりますか。この資料の中では私ちょっとそれがはっきりうかがえなかったのでございますが、調査をされた皆さん方の感触としてはどうでございますか、お伺いいたします。
  94. 長野士郎

    長野政府委員 帰島についての考え方でございますが、帰島をしたいという人の中にもいろいろあるわけであります。無条件に帰島したい、何が何でも帰島したいと言われる方は相当おられますけれども、その方々はどちらかといいますと、昔小笠原におられまして、そうして小笠原のよさというか、忘れられないと言われるような方々、どちらかといえば高齢者の方に多いようでございます。それから、だんだんとどういう条件、どういう受け入れ態勢ができるのだというようなことをお考えになっている方がございます。そういう中には、そういうものがはっきりしてから帰りたいというのと、そういうものがはっきりした模様を見てきめたいというようなお考えの方、その中には少なくとも義務教育とか、そういう教育環境施設というようなものが整備されることが最低限必要だというようなお考えの方と、いろいろニュアンスが違うようでございます。しかし、全体として考えますと、明確に意思をきめておられるという方が必ずしもほとんど全部だというわけにはまいらないようでございます。そういう点がございまして、なおこれからもう少し旧島民の意向調査というものは続けてまいらなければならないというふうに考えております。  いまのところそういう意味で、どういう条件、受け入れ態勢というようなもののめどをつけてからという方が案外多いわけでございまして、帰る意思はあるけれどもというようなことがございますので、少し状況のはっきりしない点がありますから無理もないわけでありますけれども、なお調査を続けて考えていかなければならないと思っております。
  95. 折小野良一

    ○折小野委員 旧小笠原島民の帰島という問題は、いわば戦時補償的な意味もございますのでしょうから、帰りたいという人はできるだけ援助してすべて帰してあげる、これは当然なことだと思います。しかし、将来の小笠原というものを考えます場合には、やはりその地域の発展の基幹になるような人たちが多く帰ってくれることが望ましい、こういうことは当然考えてまいらなければなりませんし、そういうめどが立たないというのでありますならば、これはまた復興計画なり振興計画なりの立て方についても考えていかなければならないわけでございます。したがって、少なくも帰島希望者の年齢別構成と申しますか、こういうものでもありますともっと事情がわかると思うのでありますが、今後ひとつそういうような面について十分御調査をいただくなり、あるいはそれに基づいて十分なめどを立てていただくことが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えております。年齢別の構成というのはいまの資料の中ではございませんですね。
  96. 長野士郎

    長野政府委員 年齢別構成はいままだはっきりしておりません。これから調べることにしております。
  97. 折小野良一

    ○折小野委員 その点につきましては、後日お調べがつきましたらまた教えていただきたいと思います。  ところで、小笠原復興ないし将来の振興という問題は、ただ単に旧島民だけを対象にした計画というわけにはまいらないんじゃないかというふうに考えます。とりあえずの最も狭い意味における復興、こういう意味からいたしますと、旧島民だけを対象にしていろいろ考えるということは当然なことだと思います。しかし、将来を考えてみますと、それは旧島民だけでなしに、あの地域に渡って、あの地域の振興のために努力しよう、こういうような人たちが移ってくれることが大切な問題であろうというふうに考えるわけでございます。今後の復興計画を立てるにあたりまして、そういう面を考慮して計画をしていく、こういうふうにお考えになっておられるのですかどうですか。
  98. 長野士郎

    長野政府委員 旧島民の帰島というものは、復興計画の重要な柱になるわけでございますが、そういう意味では、当面の目標というものはどうしてもその希望に沿わなければならないと思います。しかし、同時に、お話しがございますように、長期にこれからの振興というものを考えながら、それに沿った意味での帰島のための措置なり準備なりというようなものも、そういうものに沿った形で考えなければならない。これは当然だと思います。したがいまして、この復興計画の中にありますところの産業基盤施設の整備でございますとか、生活環境施設の整備でございますとか、あるいは生産の基盤整備でございますとかいうものにつきましても、やはり長期的な考え方というものにも合致するということで当然考えていくべきだと思います。と申しますのは、帰島しました場合でも、いかなる産業がこれから適正な産業としてあの地域の特性を生かしながら十分やっていける、振興していく価値のあるものになるかということは、そこが戦前とはたいへん違っておるように思います。と申しますのは、旧来でございますと、生産に従事されております方の内訳を見ますと、農業と水産業が非常に多いわけでございますが、農業の多くの部分がいわゆる冬季に野菜を出すというような型が多かった。その生産額も多かったようであります。聞くところによりますと、冬に、あたたかい地帯でありますから、野菜ができる。これが販路が北海道から九州まで及んでおったというふうなことを聞いております。しかし最近は、そういう状況はほかの条件が非常に違ってまいっておりますので、同じようなわけにはまいらない。また同時に、害虫に非常に汚染されているというような問題がございまして、そういう意味でも、同じ農業にいたしましても、営農の形態といいますか、そういうものは変わってくるということにならざるを得ないんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、帰島される方を定着させるという意味も、また将来の小笠原諸島の産業のあり方というものと必然的に結びついてくるというふうに思うわけでございます。そこで、一番のいいことは、そういうことでございますので、将来への非常な意欲を持って取り組んでいただけるような人が旧島民の方から出てくるというような、お話しのございましたようなかっこうになれるような見通しがあって、その線に沿って復興事業が整えられていく、こういうことが一番いいのじゃないかと思います。  そういうふうなことで考えますと、農業のあり方とか水産業のあり方もずいぶんと変わってまいりますし、集落のつくり方も変わってくる、こういうことでございますので、復興計画では土地利用計画というものを基本にまず考えていくということになっておりますが、それは短期的な見方ではなくて、むしろある意味では、長期の見方に沿った土地利用計画というものを考える。その上で旧島民の帰島を定着させ生活を安定させる、こういうふうに考えていくべきものだろうと思っております。
  99. 折小野良一

    ○折小野委員 時間があまりありませんので、要点だけお尋ねいたします。  そこで、今後復興計画を立てていかれる上におきまして、いろいろな指標というものがあろうと思います。その中の一つといたしまして、人口は大体どれくらいになる、あるいはどれくらいにする、こういう点についてのめどといいますか指標というものはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  100. 長野士郎

    長野政府委員 これもたいへんむずかしい問題でございまして、いまでも関係の専門家の方にもいろいろ御意見を伺ったりしておるわけでございます。つまり戦前におきましては約八千人あの地域に居住しておったわけでございます。沿革から見ますと、だんだんと人口がふえていっておったという数字が出ております。したがいまして、戦前と同じ形態というものには、もちろん先ほど申し上げましたように、産業の選択とかいろいろなものが変わってまいりますからできないわけでございますけれども、むしろその意味で戦前の人口規模というものが一つの目安にはなる。戦前の農業経営を見ましても、経営規模は平均二ヘクタールぐらいになっておるようでございますから、そういうことから考えますと、それが小笠原における適正規模かどうか、もう少し調べてみなければわかりませんが、さしあたりの問題としても、戦前の人口ぐらいは当然受け入れ得るのではないかと考えております。新しい産業がさらにふえてまいりますれば、もっと許容可能といいますか、受け入れ可能になると思いますが、的確にはまだ推計いたしておりません。
  101. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな計画をやっていただくにつきましても、当然そういうふうな一つの指標というものが確立されなければならないと思います。しかし現実には、いろいろ調査をされておる段階だというふうに考えます。こういう点については、今後の計画の一番基礎になるものであろうと思いますが、的確な指標を、しかもできるだけ早く立てていただくことが今後の計画の促進に最も役立つものであろう、かように考えます。その点はひとつ十分御配慮願いたい。  それに関連をしましてですが、いろいろ計画が進められ、あるいは帰島する人たちもふえていくということになってまいりますと、そこにはいろいろな問題がまたあわせて出てまいるわけでございます。本土におきまして現在問題になっておりますものの反省と申しますか、そういうものもしてまいらなければならないわけでございます。先ほど答弁にありました土地利用計画、こういうものをやっていくにつきましても、やはりその前に地価の抑制策——値上がりの見通しというものが考えられるということでありますならば、あらかじめ地価の抑制というものもある程度考慮してまいりませんと、せっかく土地利用計画をつくりましても、それが現実には行なえないということになってしまいます。そういう点からいたしますと、小笠原の現状からいたしまして、こういうような基本的な問題については対処しやすい状態にあるというふうに考えるわけでございます。こういうような面についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  102. 長野士郎

    長野政府委員 地価の抑制ということはどこでも非常にむずかしいことでございますが、農地等につきましては交換分合等の特例を開いていただきまして、そうして農地を集団的に改良、改善を重ねていくということを考えたい。それから集落の形成につきましても、従前はどちらかといえば、ある場所に非常に密集したような形態をとっておるようでございますが、そういうものにつきましても、都市計画あるいは土地区画整理というようなことで、一つの適正な土地利用というものに役立つようなかっこうにしていきたいと思っております。直接の抑制策というかっこうにはなりませんが、同時に、非常にごく一部でありますけれども土地の投機的な動きもあるような話を聞いております。そこで、そういうものは早く買い上げてしまうというような御意見もあるようでございます。しかし、公用なりあるいは公共目的であれば、そういう土地の先行取得ということも可能でございますけれども、そういうもの以外にただ強制的に買い上げるということは、現在の法制上からも難点がございます。したがいまして、そういうことを考えますと、土地利用計画というものを早く立てまして、そうして集落形成でありますとか農地の整備でありますとかということを進めていく、それから、道路とか港湾とか公共施設というものをその中から確定をしていく、こういうことが一番適当な方法ではないだろうかと思っております。
  103. 折小野良一

    ○折小野委員 地価の抑制というような問題は、確かにいまの国内におきましては、一般的に非常にむずかしい問題でございます。しかし、小笠原の現状からいたしますと、現在のところ、荒れたまま、とにかく返ったばかりというような状態なんですから、これに対しましては特別な措置がとりやすい状況にあるわけであります。したがって、確かに国内ではやりにくいことであっても、小笠原であるならばやれるという面もあるわけでありまして、たとえば将来のブームというものが予想されるにいたしましても、少なくもいまの地価は安いわけであります。したがって、それをいまの制度の中でやり得る方法といたしますならば、いまおっしゃるように、できるだけ早く買い取っておく。それが将来公共用地であろうとなかろうと、その辺の考慮を多少いたしますならば、これはできないことではないわけであります。そういう点、特に基本的な問題につきましては、十分対策を講じていただきたい、こういうふうに考えます。  それからさらに、これも現在の小笠原の状況からくる問題でございますが、いろいろな規制の競合というものが今後出てくるわけでございます。具体的な例を申し上げますと、小笠原は将来観光地として発展するのであろうということが、ある面からは期待をされております。現在の自然が非常にいい自然であるということになりますならば、これはおそらく国立公園あるいは国定公園の指定地というようなことになってまいりましょう。たとえば国立公園で海中公園の指定というようなことになってまいりますと、これは漁業権との関係が出てまいります。それからまた、国有の山は別としまして、民有の山なんかありますと、伐採なんかの問題、所有権の規制という問題がある程度出てまいります。そういう基本的な問題は最初に調整をしておくということが大切なことじゃなかろうかと思います。まず漁業権を設定しておいて、その中に海中公園を指定するから、その漁業権の規制をやるのだというようなことになってまいりますと、そこにやはりいろいろな問題が出てまいりますので、そういう予想されるような問題につきましては、あらかじめ十分な調整、しかもできるだけ早い時期にそれをやっておくということが必要だと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  104. 長野士郎

    長野政府委員 おっしゃるとおりでございまして、この法律におきましても、特に自然とか文化財の保護というものは、一つの方向を考えます場合の項目として掲げておりますのも、そういう意味を含めまして、早くそういう地域を確定をする。むしろ保護をするということをぜひいたしたいということでやっております。一方、厚生省あるいは文部省におきましても、すでに相当調査が進んでおりまして、国立公園または国定公園に指定する、それからその一部を海中公園に指定する。透明度が非常に高いところだそうでございまして、何でも平均いたしまして水深二十六メートルか、透明度をはかる一つのものさしでたいへんいい地域だというふうに聞いております。それから植物とか生物とか景勝とかいうものも非常に特色があるものでございまして、そういうことは関係各省の間でも相当準備は進めていただいておりますが、復興計画におきましてもそういう面は早く確定をしていただいて保護につとめたいというように考えております。
  105. 折小野良一

    ○折小野委員 国立公園または国定公園につきましては、所管が厚生省でございますが、本日おいでいただいておりませんから……。しかし、こういう問題の全般的な調整につきましては、当然この法律ができました場合においては、自治省中心になってやられるわけでございましょう。ぜひひとつそういう調整を大局的な立場でやっていただきたいというふうに考えております。特に国立公園または国定公園の指定というような問題につきましては、この地域の将来の復興という問題がすでに目に見えておる、こういうふうに考えます。こういう点について早急にやっていただきたいと考えるわけでございますが、厚生省関係との連絡並びにその促進、こういった面について具体的にやっていただけますでしょうかどうでしょうか、はっきりお伺いをいたしたいと思います。
  106. 砂田重民

    ○砂田政府委員 先生おっしゃるように、小笠原の観光開発の問題は重要な問題でございます。私ども厚生省と積極的にこの問題を進めてまいりたい、こう考えております。
  107. 折小野良一

    ○折小野委員 もうすでに観光業者あたりがあの地域に非常に関心を持っておるということを私ども聞かされておるわけでございますが、一たん観光業者が入っていくということになってまいりますと、えてして自然の景観をこわすとか、あるいは文化財等をこわしてしまう、こういうような例があるわけであります。そういうことになったあとで規制をいたしましても、十分な効果があがらないというのが現実でございます。したがって、そういうようなことにならない前に十分な手を打っていっていただく、このことを特にお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、今後この島が復興する、あるいはいろいろな意味で振興されるということになってまいります場合に一番中心になりますのは、何といっても産業でございまして、従来の小笠原の産業と申しますと、これは農業と水産業にほとんど占められておるわけでございます。おそらく今後旧島民が帰っていく、そういう方々の多くも、農業なり水産業なりに従事していこう、こういうことであろうというふうに考えております。しかし、現在の小笠原の実態は非常な荒廃に帰しておるわけでございます。先ほど質問にもございましたように、病害虫の問題等もいろいろあろうというふうに考えるわけであります。しかし、今後農業あるいは水産業をこの地域の基幹産業として考えてみました場合において、やはりこれに対する見通しというものは当然立ててまいらなければなるまいと思っております。したがって、それは自給自足以上に、この地域の特性を生かして、どの程度の見通しが立てられるか、そういう点が最も大切であろうと思っておりますが、農林省、水産庁関係の方がお見えになっておりますから、今日までの御調査の結果から見まして、この地域における農業あるいは水産業の見通しというものにつきまして、簡単でけっこうでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  108. 福島嘉弥

    ○福島説明員 農業につきましては、従来の調査結果によりますと、先ほどお話しがございましたように、昔耕地であったところは、ギンネム等の木が非常におい茂ってジャングル化をしているという状態でございます。したがいまして、今後農業をやるという場合に、そういうところを切り開いて耕地化しなければならないという問題があります。それから、全般的に平たん地が少なくて、ほとんど傾斜地でございます。そういう傾斜地をどういう形でやっていくかという問題も出てまいると思います。さらに、気象条件から申しますと、熱帯と温帯の中間ぐらいというような条件のところのようでございまして、まあ熱帯作物も亜熱帯作物もどちらもできるという条件にはございますが、どちらにも適しかねるというような条件にもなりまして、作物の選択という問題が非常にむずかしい。さらに、かりに本土の市場をねらう作物ということを考えますと、市場への輸送なり鮮度の維持なりという観点も入れて作物を考えなければならないという問題になってまいるかと思います。それに加えまして、先ほどお話しのございますいろいろな害虫、内地にまだ発生してない害虫がおります。これを内地に入れないでいくという観点でいろいろな手を現在打っておるわけでございますが、そういうような立場でございますと、当面即座に考えられますのは、できるだけ作物生育の障害にならぬように、できるだけ病害を排除して、その島内消資の問題、あるいは先ほど先生がおっしゃいました観光的な面で人が行けば、観光客相手の需要を考えるというようなことも一つの方法ではないか。さらに、本土をねらう場合には、いろいろ植物防疫の進み方とかみ合わせまして作物を選定するということが必要ではないかというふうに、従来の調査の結果からは考えておるわけでございます。
  109. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産につきましては現在調査中でございますが、大ざっぱに申しますと、帰島を希望しております漁業者約二百名ぐらいありますが、それと現地の島民十四、五名が主としてあの近海の沿岸漁業に携わって、漁業が成り立つものと考えております。これも大ざっぱな見通しでございますが、底魚につきましてはオナガダイというようなものを中心にいたしまして、比較的高級なものは鮮魚で冷凍等で内地へ輸送いたしまして、トビウオ、ムロアジというものはくさや、むろぶし等に加工いたしまして内地に出荷したらいいんではないか。もう一つの考え方といたしましては、小笠原をカツオ、マグロ漁の前進基地といたしまして、補給並びに休養等の施設開発できるのではないかというふうに見通しをつけております。
  110. 折小野良一

    ○折小野委員 そこで、農業関係一つお尋ねいたしますが、農地になる可能性のあるところは、たとい旧島民の所有地であったにいたしましても、現在はいわゆるジャングルというような状態にまで荒れておるということでございますが、その土地に旧島民が帰ってそこで農業をしようといたします場合に、それには相当な経費もかかろうと思いますが、その土地について直ちに農耕ができる状態までして帰すのでしょうか。あるいは帰った住民がそれを農耕地にできるようにできるように資金の配慮という面をやろうとしておられるのでしょうか、いかがでございますか。
  111. 福島嘉弥

    ○福島説明員 農林省として現在の段階で考えておりますのは、農耕適地を、今後農業をやる場合には、集団的になるべく開発をしたい。それで、今回の法律にも、土地改良法の特例を設ける趣旨が入ってございますが、帰りたい農家の、農業をやろうとする方々の権利調整して、集団的な開懇をして、そこにいろいろな関連施設をつけていくという形で、計画的に帰島をしていただくというふうにしたいと考えておるわけですが、まだ帰島される方がどういうお考えを持っておるかその点必ずしも明確ではありませんので、そういうものの判明するとともに、帰島希望者の意思を十分くみ取って、具体的方策を考えてまいりたいというふうに思っております。
  112. 折小野良一

    ○折小野委員 帰島される方々の希望はもちろん大切なことだと思います。しかし、農林省におきましても、新しい農業という立場からいろいろな指導をしておられるわけです。営農そのものの改善という問題もありましょうし、あるいは農家の生活の面の改善ということもいろいろあろうと思います。せっかくこの際帰られる人が、新しい気持ちでやっていこう、こういうふうにされておる時期ですから、ただ単に昔に返るということでなしに、新しい時代の農業にふさわしい形を十分考慮していただいて、そうしてそれを関係の人たちと相談をして、そして生産生ももちろん上げなければなりませんでしょうし、また、一面からいきますと、あの地域は観光地域というようなことになってまいりますと、それにふさわしい観光農業というような方向等もいろいろ考えられるであろうと思っております。そういう面から特に新しい空気を注入して指導していただく、こういう面についてひとつ御配慮をお願いいたしたいというふうに考えますが、そういう点についてはまだ具体的なプランその他は立っておりませんか。
  113. 福島嘉弥

    ○福島説明員 先生のおっしゃったことと同じでございますが、農林省としましても、旧来の耕地は非常に分散的な傾斜地のところで手労働でやっておられたんじゃないかというふうに考えますので、今後農業をやる場合は、かなり機械化された生産性の高い農業を成立させていくということが必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。そのために集団的な耕地を造成して、そこで計画的に近代的農業を営めるような基盤を造成したいという考え方は持っておるわけでございます。
  114. 折小野良一

    ○折小野委員 最後に自治省のほうにお伺いいたしますが、現在返ってまいりました小笠原諸島は小笠原村ということになったわけでありますけれども、完全な自治体になる年次はいつごろというふうにお考えになっておられますか。
  115. 長野士郎

    長野政府委員 現在はまだ欧米系の人たちが二百人足らず、こちらから参りました主として官公庁の関係者が百人前後というようなかっこうでございます。そこで、結局いまの暫定措置法によりまして、昔五カ村ありましたのを、小笠原村ということで一応発足しておりますけれども、それはやはり相当数旧島民が帰島をいたしまして、ある程度自治体といわれるに近い社会の成立というものを考えた上でなければならないだろうと思います。私ども、この実現ということとの関係はまだはっきりわからないわけでございますが、一応この五カ年の間には旧島民の帰島希望者が帰りまして定着するというようなことはぜひ考えなければいけない。したがいまして、そのところのあたり、あるいはその以前、相当帰島したというところで、ほんとう小笠原村というものを考えていくようになるんじゃないだろうか。それがいつになるか、できれば三年ぐらいのところで考えたほうがいいんじゃないかと思っておりますけれども、そこのところは、帰島の実績とかみ合わしまして考えていかなければならぬ問題だと思います。
  116. 折小野良一

    ○折小野委員 実情はおっしゃるようなことだと思っております。しかし、一応これは一つ地方公共団体ということになっておるわけでございます。といたしますと、憲法九十五条の住民投票との関係、すなわち、一つ地方公共団体のみに適用される特別法については、その地方公共団体の住民の投票において過半数の同意が得られなければできないということ、これとの関係はどういうふうになっておるわけでございますか。
  117. 長野士郎

    長野政府委員 復興特別措置法は、概略申しますと、これによりまして地方団体の現在の制度に特例を開くというものではない。むしろ現在の地方団体というものを、一応小笠原村というのは一つのフィクションでございますけれども、それを前提にいたしまして、都でありますとか村でありますとかいうものの復興事業というものの進推をはかっていく。そういうものが実施主体になることが多いわけでございますが、その実施主体になりますその団体の事業の推進をはかっていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。その点では奄美群島の関係と同じような考え方であるということで、これは憲法九十五条の特別法ということで考えなくていいじゃないかというふうに思っております。
  118. 折小野良一

    ○折小野委員 実情はいろいろおっしゃっているようなことだと思いますし、いまおっしゃるようなことだろうと思うのです。しかし、法的に見るとおかしいんじゃございませんか。やはり小笠原村という一つの公共団体であることは間違いないのでありますし、そして、その村だけに適用される特別法であるということも間違いない。奄美の場合には村や市や町がたくさんあります。そういう面でここの場合とは多少違うんじゃございませんか。
  119. 長野士郎

    長野政府委員 むしろ小笠原村をつくりましたときに、問題は村のときの問題、すなわち暫定措置法のときの問題だということになるわけでございますが、小笠原に設置されました小笠原村というものは、ごくわずかな住民しかいないわけでございまして、村の実体というものは持っていない。つまり法律的に言いますと一つのフィクション——フィクションと申しますと少し語弊がございますけれども、いわゆる憲法にいいますところの村、地方公共団体にまではまだなっていないというような状態ということで、過渡期のものだというふうに考えられるわけであります。したがいまして、実体からいいますと、村になり切ったところからいまお話しのような問題が起きる。この点は前に大規模な公有水面の埋め立てということで大潟村というものを設置したという場合にも同じような考え方をとった前例が実はあるわけでございます。したがいまして、これからだんだんほんとうの村になりますと、その村にのみ適用される特別法ということになった場合には、住民投票という問題が起こるというような考え方で、暫定措置法の場合に、その問題をいまのような法制で小笠原村をつくった、こういうことになると思います。
  120. 折小野良一

    ○折小野委員 暫定措置法で村をつくったまでは私どもいいと思うのです。しかし、一応村ができてしまいますと、いまのような実体ということがあるんでございます。その村だけに適用される法律ということになってまいりますと、ここらはやはり法制上の何らかの措置というものが必要なんじゃないかと思うのであります。いまおっしゃるように、実質的に村になってからが憲法の適用があるんだとかなんとかいうようなことだけでもはっきりさしておかなければ、憲法と全然相反するというようなことではぐあいが悪いので、そういう面では実体でなしに法制的な措置というものが何らか必要なんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  121. 長野士郎

    長野政府委員 私がいま申し上げましたのは、小笠原村をつくるときの問題を申し上げたわけでございまして、この小笠原諸島の復興特別措置法ということになりますと、これはその地域の復興を考えておる立法ということでございまして、たまたま小笠原諸島の中には現在の法制下では小笠原村しかない。これはそのとおりでございますが、これはそれぞれの地域立法、奄美群島についての地域立法でありますとか、北海道開発のための地域立法でありますとか、法律上は同じ性質でございますから、この特別措置法自体が憲法九十五条の地方自治特別法だとは考えていないのでございます。
  122. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろおっしゃっておりますけれども、実はそのお話に私はなかなか納得がいたしかねるのであります。しかし、時間の関係もございますので、法制的な疑義はあとに残しておきまして、一応質疑は終わらしていただきます。      ————◇—————
  123. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 委員派遣の件についておはかりいたします。  本案については現地に委員を派遣し、審査の参考に資したいと存じます。つきましては、規則の定めるところにより、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣の日時及び派遣委員の選定などにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は来たる十七日火曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十八分散会