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大出委員 この当時のいきさつが、ここに相当詳細なものが実はあるのです。この事の起こりは午前中に私が少し申し上げましたが、何とか日本の
公務員制度を守るILOの一七九号事件、これとの関連におけるドライヤーの調査
委員会の来日、これを
政府がお認めになった。冒頭に申し上げました提案等を、これについても善意でお受け取りになった。こういう中で与党の皆さんの中にILOに関する世話人会にいうのができたわけでございまして、世話人会の代表を倉石忠雄さんがおやりになった。私
どものほうにはILO条約批准対策特別
委員会というものができまして、この責任者に河野密さんがおなりになった。そして倉石さんと河野さんとの間で数度にわたる話し合いを行なってきました。私
どもも別に、いま衆議院の社会党におります山田耻目さん、私、これらが中心になりまして倉石さんとこまかい打ち合わせをずっと続けてきた。そこで三十二年に、
労働問題懇談会というものがございまして、前田多門さんがおやりになっていたわけですが、この中の条約小
委員会の小
委員長を石井照久さんがおやりになっていて、石井報告が出ているわけであります。この例にならって、
労働問題懇談会に類するものをこの際つくろうじゃないか、そうしないとILO条約は批准しなければならない段階にきておる。国内法を変えなければならない
政府の
意思がある。あるいは与党の
意思がある。それをめぐっていろいろと問題が出てきて、そうするとこれは信頼の回復どころではなく、ますますえらいことになってしまったのでは困るということで、労使間で相当もめるものを、
公務員制度審議会のような、あるいは
労働問題懇談会のようなものも入れて労使、公益三者が集まった形で、いままで
公務員制度調査会その他がありましたが三者ではない。したがって三者が入った形で、その中で論議をして
一つの結論を出してくるほうが
公務員制度というものを抜本的に考える上でいいのではないかということで、そこで労使
関係に関する問題とかいうことでなしに
労働関係、
関係ということばを使っての
基本に関する問題ということにしてとらえれば、中心に
労働三権等がありますが、包括的に全体が入る、こういうことでものごとを円満に進めていこうということで考えたことですよ。
労働省も大賛成で、当時考えておった。倉石さんは
労働大臣を何回もおやりになったのですが、倉石さんのほうからの提案の
一つ大きな問題があって
——きょう実は倉石さんに廊下で会いましたが、そういうふうにまとめるけれ
ども、
人事局というものをつくらしてくれぬかというのが倉石さんの英国流の
考え方です。私は英国へたまたま倉石さんがおいでになったすぐ
あとに行ったのですけれ
ども、調べてこられて、総理府に
人事局をつくりたいという倉石構想が当時あった。これは斎藤さんがよく知っております。そこで倉石さんからそのときに
人事局を何とかしてくれという
お話があり、一方
公務員制度が発足する。だから
人事局というものをつくることはつくって、走らせることはわがほうは待つから、何とか
人事局をつくらせてくれ、総合的な
人事行政を総理府がやる。そして国家
公務員について
人事院との権限はどうなるかという相談までして、そこで両方まとめようということになって、てっぺんのほうで倉石さんと河野さんでまとめた。そして中身のこまかい打ち合わせをしてまとめた案を発表したわけですよ。これは
労働省が五月十五日から相談を始めて、六月十二日の自社両党の折衝をもって実質的な窓口折衝が終了し、翌十三日に両党の幹事長、書記長会談が行なわれることになった。そして大体まとまった案を九月十二日に公にしたわけです。この案の中に
人事院の権限と
人事局の権限とからんでいるのです。
退職制度、
退職金、こういうものを取り上げて、ここにございます「国際
労働条約第八十七号批准史、
労働省編」という
労働省がこしらえたこの
労働省の資料の中に、いま私の申し上げた当時まとめた案が出ております。「
交渉による
改正点の要綱」ということで、この
改正点の要綱の中は三段に分かれております。
一つは
政府原案、
交渉を通じての
改正要綱、備考というふうに分けて、一番上の第十二、「
人事院の縮小及び
人事局の設置」というところに
人事院、
人事局の所管
事項を分けて、そして了解
事項を自社両党、総評、
政府がこういうように話し合いをして
人事局設置、
公務員制度審議会の設置、あわせて書いてある。この中で
公務員の
退職制度——午前中にあなたのほうがお答えになった中身からすると
離職の一形態だとおっしゃっている。
退職の一形態だということですね。そうでしょう。そうなると、その問題は簡単にかけなくていいのだという筋合いのものではない。あなたのほうは人がいろいろおかわりになる。あのときは佐久間さんがおやりになったでしょう。私も実際にいろいろやりとりをしている。そのことを安井謙さんは御存じだから、こんなになっているところではあるけれ
ども一応ものを言っておく必要があるということでおかけになった。最初反対があったけれ
ども、その趣旨をやっぱりすなおに生かしていただかなければならぬ筋合いだと思う。
特にもう一点つけ加えておきますが、ドライヤーの報告の中に、レポートは倉石案が出てから
あとにできたのですから、この
あとのほうからいきますと、何もあなたがさっきおっしゃったように
労働三権だ何だというものではない。まずこの中に管理職の範囲について、これも
公務員制度審議会で検討しなさいといっている。管理職の範囲についてドライヤー氏は「
公務員制度審議会によって検討されるべきことを勧告する。」と述べておる。二二〇二です。これはお読みになればわかります。こういうものも
審議会で
審議しろといっておる。そうかと思いますと、まだあるのです。在籍専従、こういうようなものについてもやはり
公務員制度審議会で検討しなさいというふうにいっておる。ドライヤー・レポートの中に幾つかあります。ですから、必ずしもあなたが
先ほどおっしゃったような解釈は、
公務員制度審議会が何をやるかということについて
規定はされていないわけです。できたいきさつは、いま私が申し上げたように、できるだけ労使のトラブルを避けていきたい。そしてドライヤーの報告がいっているように、どうも近代工業国家にふさわしくない、
法律のジャングルだというわけです。それが労使混乱の
一つの原因である、だから
公務員法体系というものを全体的に再検討する必要がある、簡素化する必要もあるといっておる。それらのものを
公務員制度審議会が受けていくということになる、こういう筋書きです。なるべくそうしていく、そのほうが信頼の回復、イニシアチブを
政府がとってということになっておるわけですから、その筋に乗せていくことになる、こういう理解です。したがって、大臣このあたりで、
先ほど来どうも
鎌田さんの発言を取り上げたり、森さんの発言を取り上げたり、行政
局長と、
先ほどうしろで聞いておった切りかえのところの話をしたり、いろいろやってきましたが、いずれもまだ詰まっていない。詰まっていないままであなた方は出そうとされる。いませっかく
公務員制度審議会をやっているのだから、ここへ
制度審議会の
委員に出てきてもらって
意見を聞いても
一つも悪くない。前田会長は、後刻の小
委員会で検討することになりましたと議事録に載っておる。したがって、私はやはりおかしなことにしないように、そこらのところをどう扱うかを、私は内閣
委員会におりまして、横から入ってきましたからあれですけれ
ども、
理事会で慎重に御検討いただいて、踏んづけて通るような式でこれから幾つも続くようなことに私はしたくないという気持ちがありますので、これはやはり何とか御相談をいただけないか。そうでなければ一々開き直って、議事をとめてなんということにしなければならなくなります。さっき一ぺんそういうことをやりましたから、何回もやりたくないので、そこらのところを大臣、御相談いただきたいのですが……。