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1969-04-22 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十二日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 細田 吉藏君 理事 保岡 武久君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥之助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    赤澤 正道君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       吉川 久衛君    斎藤 寿夫君       渡海元三郎君    永山 忠則君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    野口 忠夫君       安井 吉典君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君     ————————————— 四月二十二日  委員村上勇君及び細谷治嘉辞任につき、その  補欠として渡海元三郎君及び安井吉典君が議長  の指名で委員に選任された。 同日  委員安井吉典辞任につき、その補欠として細  谷治嘉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願安宅常彦紹介)(第四四七六号)  同(阿部昭吾紹介)(第四四七七号)  同(阿部助哉君紹介)(第四四七八号)  同(赤路友藏紹介)(第四四七九号)  同(淡谷悠藏紹介)(第四四八〇号)  同(井岡大治紹介)(第四四八一号)  同外一件(井手以誠君紹介)(第四四八二号)  同(猪俣浩三紹介)(第四四八三号)  同(石川次夫紹介)(第四四八四号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第四四八五号)  同(石野久男紹介)(第四四八六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四四八七号)  同外一件(板川正吾紹介)(第四四八八号)  同外一件(稻村隆一君紹介)(第四四八九号)  同(江田三郎紹介)(第四四九〇号)  同(小川三男紹介)(第四四九一号)  同(大出俊紹介)(第四四九二号)  同(大柴滋夫紹介)(第四四九三号)  同(大原亨紹介)(第四四九四号)  同(岡田利春紹介)(第四四九五号)  同(岡田春夫紹介)(第四四九六号)  同(岡本隆一紹介)(第四四九七号)  同(加藤勘十君紹介)(第四四九八号)  同(加藤清二紹介)(第四四九九号)  同(加藤万吉紹介)(第四五〇〇号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四五〇一号)  同(勝間田清一紹介)(第四五〇二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四五〇三号)  同(金丸徳重紹介)(第四五〇四号)  同(神近市子紹介)(第四五〇五号)  同外二件(唐橋東紹介)(第四五〇六号)  同外二件(田邊誠紹介)(第四五〇七号)  同(林百郎君紹介)(第四五〇八号)  同(畑和紹介)(第四五〇九号)  同(平等文成紹介)(第四五一〇号)  同外二件(山口鶴男紹介)(第四五一一  号)  同(山田耻目君紹介)(第四五一二号)  同(山中吾郎紹介)(第四五一三号)  同外一件(米田東吾紹介)(第四五一四  号)  同(井上普方紹介)(第四六四六号)  同外三件(太田一夫紹介)(第四六四七  号)  同(神門至馬夫君紹介)(第四六四八号)  同(阪上安太郎紹介)(第四六四九号)  同(實川清之紹介)(第四六五〇号)  同(島上善五郎紹介)(第四六五一号)  同(島本虎三紹介)(第四六五二号)  同(下平正一紹介)(第四六五三号)  同(田中武夫紹介)(第四六五四号)  同(田邊誠紹介)(第四六五五号)  同(田原春次紹介)(第四六五六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四六五七号)  同(高田富之紹介)(第四六五八号)  同(只松祐治紹介)(第四六五九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四六六〇号)  同(千葉佳男紹介)(第四六六一号)  同(戸叶里子紹介)(第四六六二号)  同(堂森芳夫紹介)(第四六六三号)  同(中井徳次郎紹介)(第四六六四号)  同(中澤茂一紹介)(第四六六五号)  同(中嶋英夫紹介)(第四六六六号)  同(中村重光紹介)(第四六六七号)  同(永井勝次郎紹介)(第四六六八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四六六九号)  同(成田知巳紹介)(第四六七〇号)  同(野口忠夫紹介)(第四六七一号)  同(野間千代三君紹介)(第四六七二号)  同(芳賀貢紹介)(第四六七三号)  同(長谷川正三紹介)(第四六七四号)  同(畑和紹介)(第四六七五号)  同(華山親義紹介)(第四六七六号)  同(原茂紹介)(第四六七七号)  同(平岡忠次郎紹介)(第四六七八号)  同外一件(平林剛紹介)(第四六七九号)  同(広沢賢一紹介)(第四六八〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四六八一号)  同(八木昇紹介)(第四六八二号)  同(安井吉典紹介)(第四六八三号)  同外二件(柳田秀一紹介)(第四六八四号)  同(山内広紹介)(第四六八五号)  同(山崎始男紹介)(第四六八六号)  同(山花秀雄紹介)(第四六八七号)  同外一件(渡辺芳男紹介)(第四六八八号)  同(米内山義一郎紹介)(第四六八九号)  ゴルフ場に係る娯楽施設利用税交付率引上げ  に関する請願植木庚子郎君紹介)(第四五一  五号)  同外二件(金丸信紹介)(第四五一六号)  同(小宮山重四郎紹介)(第四五一七号)  同(古内広雄紹介)(第四五一八号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第四六三八号)  同外三件(倉成正紹介)(第四六三九号)  同(久野忠治紹介)(第四六四〇号)  同(進藤一馬紹介)(第四六四一号)  同外三件(中村寅太紹介)(第四六四二号)  同外一件(福家俊一紹介)(第四六四三号)  同(三池信紹介)(第四六四四号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第四六四五号)  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する  請願藏内修治紹介)(第四五一九号) 同月二十一日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願外一件(井上普方紹介)(第四七四  八号)  同(川村継義紹介)(第四七四九号)  同(河上民雄紹介)(第四七五〇号)  同(河野正紹介)(第四七五一号)  同(木原津與志君紹介)(第四七五二号)  同(木原実紹介)(第四七五三号)  同(北山愛郎紹介)(第四七五四号)  同外一件(久保三郎紹介)(第四七五五  号)  同(久保田鶴松紹介)(第四七五六号)  同(栗林三郎紹介)(第四七五七号)  同(黒田寿男紹介)(第四七五八号)  同(小林信一紹介)(第四七五九号)  同外一件(小松幹紹介)(第四七六〇号)  同(兒玉末男紹介)(第四七六一号)  同(河野密紹介)(第四七六二号)  同外一件(佐々木更三君紹介)(第四七六三  号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第四七六四号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第四七六五  号)  同(佐野進紹介)(第四七六六号)  同(阪上安太郎紹介)(第四七六七号)  同(實川清之紹介)(第四七六八号)  同(島上善五郎紹介)(第四七六九号)  同(島本虎三紹介)(第四七七〇号)  同(下平正一紹介)(第四七七一号)  同(田中武夫紹介)(第四七七二号)  同外一件(田邊誠紹介)(第四七七三号)  同(田原春次紹介)(第四七七四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四七七五号)  同(高田富之紹介)(第四七七六号)  同(只松祐治紹介)(第四七七七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四七七八号)  同(千葉佳男紹介)(第四七七九号)  同(戸叶里子紹介)(第四七八〇号)  同(堂森芳夫紹介)(第四七八一号)  同(中井徳次郎紹介)(第四七八二号)  同(中澤茂一紹介)(第四七八三号)  同(中嶋英夫紹介)(第四七八四号)  同外二件(中谷鉄也紹介)(第四七八五  号)  同(中村重光紹介)(第四七八六号)  同(永井勝次郎紹介)(第四七八七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四七八八号)  同(成田知巳紹介)(第四七八九号)  同(野口忠夫紹介)(第四七九〇号)  同(野間千代三君紹介)(第四七九一号)  同(芳賀貢紹介)(第四七九二号)  同外一件(長谷川正三紹介)(第四七九三  号)  同(畑和紹介)(第四七九四号)  同(華山親義紹介)(第四七九五号)  同(原茂紹介)(第四七九六号)  ゴルフ場に係る娯楽施設利用税交付率引上  げに関する請願有田喜一紹介)(第四七  九七号)  同外二件(浦野幸男紹介)(第四七九八  号)  同(大野市郎紹介)(第四七九九号)  同外一件(始関伊平紹介)(第四八〇〇  号)  同(中垣國男紹介)(第四八〇一号)  同(中曽根康弘紹介)(第四八〇二号)  同外三件(早川崇紹介)(第四八〇三号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四八〇四号)  同外一件(安倍晋太郎紹介)(第四九二八  号)  同外一件(愛知揆一君紹介)(第四九二九  号)  同外一件(木部佳昭紹介)(第四九三〇  号)  同外一件(古内広雄紹介)(第四九三一  号)  同外四件(中村寅太紹介)(第四九三二  号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第四九三三  号)  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関す  る請願伊藤宗一紹介)(第四八〇五号)  同外一件(小澤太郎紹介)(第四九二六号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四九二七号)  地方自治体臨時非常勤職員正規職員化等に  関する請願太田一夫紹介)(第四八〇六  号)  同外一件(後藤俊男紹介)(第四八〇七号)  同外二件(矢尾喜三郎紹介)(第四八〇八  号)  同外九件(依田圭五君紹介)(第四八〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 久しぶりにこの委員会で質問をさせてもらうものですから、十分時間をとっていただけるものだと思ってだいぶ資料を持ってきたのですが、残念ながら十分時間をいただけないそうであります。  ただ、今度の地方交付税法改正法案は、なるほど総ワクはふえているようには見えますが、六百九十億円を頭を削る、そういうふうな仕組みで総ワクそのもののとり方にも問題がありますと同時に、その自治体への配分方式についても多分に問題があります。ですからこの法案審議については、意見のある人はどんどん意見を吐くし、質疑も十分するというような運びにしていただくのが本筋ではないかと思います。  理事会のほうもさっきちょっとのぞかせていただいたのですが、やはり全体的な内容の解明が十分できるような仕組みをとる形でやっていただかないと、どうも運輸委員会で無謀な質疑打ち切りが行なわれたのと同じような方式を導入されては私は困ると思います。運輸委員会をああいうようにした理事の人が、地方行政委員会で同じような形でやられるということでは困ると思います。その点ひとつ委員長に善処をお願いを申し上げておきたいと思います。その理事の構成の問題については少し私も意見があるわけでありますが、これは野党にしてみれば、この間の運輸委員会のああいうふうな質疑打ち切りというのは、議会制民主主義の破壊だし、耐えられぬものだと考えているわけです。そういうような同じ考え方で理事発言をし運営をされたら私は困ると思います。これは委員長、どうでしょうか。
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、委員長から答弁いたします。  ただいまの安井委員発言に対しまして、委員長として一言申し上げたいのです。確かにあらゆる法案について十分なる審議の時間を持つことは望ましいことでございます。しかしながら、会期中に割り当てられた審議日数から換算いたしますと、この交付税に入る時期において審議日数は約二十一日くらいきりなかったわけでございますから、この重要なる交付税法案と、それから問題となりますことが予想される地方公務員定年制に対するこの両法案に多くの時間がとられるということになると、他の法案が数多くありますので、最大限かけても、ここに十日の審議日数をかけることが最大限と思われますので、そのことを議題として御提案を申し上げた次第でございました。  それで十日、あとの残りで残余予算関係法案その他重要なる法案審議するについては、非常にぎりぎりの線になりますから、十日案というものを御提案申し上げた。当時社会党さんはこのことに反対を表明されたわけでありました。私は強行するという気持ちはなかったのですが、後ほど民社党さん、公明党さんが主として仲に入られて、この十日案というものをあらためてひとつ考えてみようじゃないかというようなことになったわけでございます。もちろん、また公明党さんもそのことに大いなる賛意を表され、相談いたしたわけです。その結果、十日の中で、この交付税法案は五日では無理だから六日にしようじゃないか。そうすれば、六日になれば定年制の問題は四日案となる、こういうようなことに対して、ことに林委員から四日では無理だ、こういうような発言が実はありまして、そうして、そうした中にお互いに了解をいたしながらこの交付税法案審議に入ったというのが、安井さん、実情でございます。  その間、実は先週の金曜日で予定の六日になるわけでございましたが、その間における一日が、本会議の終了後、五時半に終わればひとつ審議をいたしましょう、このようなことで一応の話し合いがなされておったのでございます。本会議が五時五分から十分の間に終了いたしましたので、当然審議に入っていただけるものと思っておったのでございますが、これに対して、きょうは審議をやめようというようなことでございました。それで、安井さんの御主張のように、私もできる限り多くの時間をかけて審議を尽くしたい、こういうようなことから、それには日が六日間と切られているのだから、六日間の中で九時までも十時までも、場合によったら十二時までも御苦労願って、お互い審議しようじゃないかということも考え、その線に沿うて努力いたしてまいったわけでございましたが、その日はやめよう、こういうことで、やめなければ半日だけということにしてほしいというから、私はやめるよりは、半日というふうになっても、貴重なる審議時間を、やはり皆さんの御意見を詳細に発表していただきますためには妥当だと考えましたので、独断——これには与党理事諸君からは非常な不賛成の声があったのですが、私は独断で、けっこうです、こういうことで半日の計算にいたしまして審議をお願いし、無事その日は六時半まで審議をお願いして終わったというような実情をもってまいりました。そうしたことからいたしまして、きょう、半日分の午前中、こういうようなことで十二時までに終わっていただきたい。あと法案がいろいろと控えておりますので、そのようなことで、いままでは時間の制限をあまりやらなかったのですが、きょうはひとつそういうようなことで御協力願いたいということで、たまたま最も造詣の深い安井さんの御意見を拝聴する時間に制限をしなくてはならなくなったということは、まことに申しわけない、残念なことですが、また、これには安井さんの個人的な問題から、過日北海道に帰らなければならないというようなことのために、きょうはやめて、そうしてというようなことになったわけでございますので、まことに申しわけありませんが、この点を御了承くださいまして、きょうは午前中に上げるような方向をたどっていただき、そして残余法案については、また理事会を開いてあらためて御相談を申し上げる。  繰り返して申しますが、私は、民主政治はできる限り少数党の方々の意見も十分お聞きしながら、最後には多数の意見に従ってものごとをきめていくという、このことのルールを守っていきたいと当初から考え、ここに民主政治の秩序があり、また発展があるものと考えております。私の至らざるところは、どうぞひとつ何かと教えていただいて、よろしく御協力くださることをお願い申し上げるものであります。時間もたちますから審議に入っていただくことをお願いいたします。よろしくどうぞ。
  5. 林百郎

    林委員 関連。委員長がしばしば言われております、きょうも言われましたけれども、交付税法の一部改正といわゆる定年制法をからめて、その二法案を十回の審議で上げたいというのは、それは委員長の希望として出たわけであって、われわれがその両法案を十回の審議で上げるということを承知したはずはないのであります。ただ、交付税法の一部改正を先にやるとすれば、十回のうちの五回と五回では無理だから、少なくとも六回は必要でしょう。こう言っておるわけであって、もう委員長は、われわれが十回というワクをのんでしまって、それから六回引けばあと四回で、地方公務員法の一部改正が当然審議を終了する約束をしてしまったような、そういう意味のことをおっしゃっておるが、これははなはだ心外だと思うんですよ。これは委員長人格からいっても、そのようなことは是正をしていただきたいと思う。われわれは、少なくとも交付税の一部改正は、五回では無理だから六回にしましょう。しかし定年制に至っては四回とか五回とかいうようなワクをここでのむわけにはいきませんということをはっきり言ったはずであります。  それから、きょうも私は委員長にどういう御心境かただしたいと思いますが、少なくとも野党の四党が反対する法案を本会議緊急上程をする、このことの委員長のお立場もあるから、きょう交付税の一部改正を本会議にかけるために野党は協力しましょう、そう言っておるわけなんですから、野党がそのように委員長に協力するならば、定年制趣旨説明くらいは二十四日に延ばして、二十四日からはっきりと趣旨説明から質疑に入るという形のほうがいいのではないでしょうか。そうでなければ、いままで野党が協力したことが全部御破算になるんじゃないか、こうわれわれは建設的な意見を言っておるのであります。それを委員長は、どうしても十二時というワクをきめてしまって、十二時、十二時、そうして十二時過ぎたら定年制趣旨説明をどうしても強行したいというようなことのようでございますから、これは委員長のお口で言うことと実際の考えておることとは食い違うと思うのですよ。だから私は、十二時以後に理事会をお開きになって御相談くださるのはいいけれども、やはり野党の協力も委員長は大局的な立場からくみ取って——委員長ですから、自民党の委員長ではないんですよ。この委員会には野党もあるわけですから、与党野党のそれぞれの立場をお考えになって、そして円満に委員会の遂行をお考えになることが必要だと思うのです。  なお、十回を六回と四回に分けることをすでに野党側がのんでおるような意味での御発言は、これは訂正していただきたい。委員長人格にかかわることですから、訂正していただきたい。そういう意味での御発言でないならばけっこうですがね。私たちの立場も……。
  6. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 よく承りまして、いろいろこれに対するお話もありますが、あらためてそうしたことは理事会においてよくお話を承ることにいたしますから、一応審議を進めることにいたしたいと思います。
  7. 安井吉典

    安井委員 いま委員長の御発言の中で、いろいろありますが、なるほど私も、金曜日でしたか北海道に帰りましたけれども、これはいわゆる金帰火来というやつではありませんで、江田書記長と一緒の北海道一区と五区の遊説なんで、自分の選挙区には行っておりません。全国遊説の班としていまやっているわけであります。ですからその点はっきり申し上げたいということが一つ。  それからもう一つは、私がさっき申し上げたのは、私も初めて来て初めて理事会をちょっとのぞいたのですが、運輸委員会のあの暴挙をリードされた細田理事が、この委員会を同じような形でリードするのではないかという危惧を抱くわけです。まだそこまでいっているかどうかわかりませんが、その点私は非常に心配になりました。その点を率直に申し上げて、これはあすでもあさってでも、理事会等の際にさらにもう少し御検討を願っておきたいと思います。  それからまた、民主主義ルールとして少数党意見をあくまでもよく聞くのがルール、こういう委員長の御発言は全くそのとおりだと思います。ですから、これからの法案審議の中でも——きょうはもう終わりが一応約束されているからしかたないにいたしましても、今後の法案審議の中で、委員長としてそのおことばを守るような運営をひとつしていただきたいと思います。
  8. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 はい。
  9. 安井吉典

    安井委員 問題はたくさんありますが、初めに産炭地の財政問題をちょっと伺っておきたいと思います。いわゆる石炭問題で産炭地激動が続いているわけであります。政府も新しい対策を出して、衆議院も二法案を議決しているわけでありますが、自治体財政がこの産炭地激動の中でたいへん苦労をしております。産炭地自治体のほうでは、特に特別交付税等措置を強く要請してきているわけでありますが、四十三年度においてどれくらい措置されたのか、それからひとつ伺っておきたいと思います。
  10. 野田武夫

    野田国務大臣 ちょっと、数字ですから政府委員から申し上げます。
  11. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度の普通交付税その他の算入は御存じのとおりでございます。特別交付税におきましては三十八億八千百万円でございます。
  12. 安井吉典

    安井委員 そのうちいわゆる産炭地特別需要に向けられた分はどれくらいですか。
  13. 細郷道一

    細郷政府委員 これは、御承知のように、いずれも産炭地特殊事情を反映しての措置でございますが、その中で炭鉱離職者対策、失対事業、鉱害復旧鉱業市町村振興ボタ山対策石炭対策終閉山水道対策特殊鉱害ポンプ、そういったようなものが大部分でございます。
  14. 安井吉典

    安井委員 いまの三十八億八千百万円のうちの産炭地特別需要向けの金額、それを伺っているわけです。たしか四十二年度は三十億円ぐらいでしたね。そのうち十三億円ぐらいがストレートにそれに向いた分だというふうに聞いておりますが、それに当たる分は計算できないのですか。
  15. 細郷道一

    細郷政府委員 産炭地対策として、私はこれは産炭地特殊事情に対して見たものが全部だと考えておりますが、この中でたとえば生活保護、これは御承知のように普通の標準よりも多い場合に措置をする、それが七億二千七百万円でございます。それから要保護児童措置、これが一億四千九百万円でございますから、しいて申すならばそれ以外は事業的なもの、こういうふうに御理解いただいていいかと思います。なお、このほかに地方債措置をいたしておりまして、四十三年度では三十五億円の措置をいたしております。
  16. 安井吉典

    安井委員 四十四年度の地方交付税は総ワクがふえるわけでありますから、当然特別地方交付税もふえる、こういうことになろうと思います。したがって、産炭地に対する配分もふえていくということになろうと思うのでありますが、特殊な構想をお持ちですか。
  17. 細郷道一

    細郷政府委員 今回新しい石炭対策ができました。これを機会に地元団体において振興計画をつくっていただいて、その計画の達成のために私どもも財源措置をしてまいりたい、かように考えております。その点につきましては、政府においても今回十億円の産炭地市町村交付金というのを予算に計上いたしております。その配分も、まだ配分の方法は具体的に最終決定を見ておりませんが、いま私ども通産省とも打ち合わせ中でございますが、これを前向きの事業に充てたいと考えております。さらに、振興計画を達成するために、必要でありますれば地方債特別交付税等においても、私のほうとしても最大限の努力をしたい、かように考えております。
  18. 安井吉典

    安井委員 いまおっしゃった新しくできた産炭地振興市町村交付金でありますが、その交付の要領についてはいまなお御検討中だというのでありますが、山に残っている人たちの生活の保障等を中心にした形に使われるべきだと思います。通産省あるいは自治省におきまして、あまり変なひもをつけると効果がそこなわれるおそれがありますので、その点どうでしょう。
  19. 細郷道一

    細郷政府委員 あまり細分化してやるということは、私も反対でございます。できるだけ包括的に配分ができるようにしたい。ただ、その配分にあたっての基準をどういうふうにするかということについては、まだ最終的な結論を得ておりません。
  20. 安井吉典

    安井委員 もう一つこれで確認をしておきたいわけでありますが、この交付金が地方交付税配分に影響があるようになっては困ると私は思います。これはせっかく設けられた地方財政措置であり、四十三年度の産炭地市町村の特交要望額は百二十九億円というふうに私聞いておるわけですが、それに対して三十八億円余りしか現実には支出になっていないわけです。だから、十億円の交付金ができたからといって普通交付税あるいは特別交付税が減らされるということでは困ると思うわけでありますが、その点はっきりしたお考えを伺っておきたいと思います。
  21. 細郷道一

    細郷政府委員 産炭地は非常につらい運営をやらざるを得ない事情にございますので、私どももできるだけ応援をしたいという趣旨から今回の十億円は外ワクでやるように考えております。
  22. 安井吉典

    安井委員 その点はっきり確認をしておきたいわけであります。  次に、人事院の勧告による地方財政措置でありますが、昭和四十四年度におきまして人事院がどのような勧告をするのか、これはまだわからないわけですが、一応政府は国家公務員に対する措置を四十四年度当初予算の中に組み入れられております。同様に、地方財政計画の御説明の中にも、地方公務員分が措置されているという御説明でありましたが、この交付税の中に具体的にどういうふうな形で財源が置かれているのか、それをひとつ伺います。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年と同様な方法で基準財政需要額の各費目にそれぞれ算入いたしておりまして、その総額は九百五十億円でございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 自治体がそれぞれ予算を組む場合に、その分はどういうふうにして組んでおくように指導をされているのか。それからまた、九百五十億円の根拠はどうなのか。それをひとつ伺います。
  25. 細郷道一

    細郷政府委員 自治体ではこれだけの追加財政需要額に対する財源措置をしてございますので、これに相当する財源を基礎に留保しておくように一般的には指導いたしております。  それから、この基礎は本年度と同様な、本年度といいますのは四十三年度、四十三年度におきます給与改定と同程度のものが同じ期間と申しますか、要するに七月で来た場合に見込まれる額が九百五十億円、こういうことでございます。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ちょっと関連して。そうしますと、はっきりお尋ねしたいと思いますが、この地方財政計画の一四ページ「第四 歳出の概要」の中におきまして、一般行政経費がございます。この中に給与と災害を含めて五百億円計上してある。これとは別個に「給与関係経費」「(オ)給与改善措置に必要な経費の増」、ここに総額として七百二十三億、地方費として五百九十七億ございますが、この五百九十七億プラス先ほど申し上げた五百億の中から三百五十三億を引き当てにすれば合計九百五十億円ということになるわけです。そしてこの九百五十億円は昨年同様と申しますから、八%の人事院勧告が出ました場合に七月から実施するに必要な経費である。さらにまた、具体的に言いますならば、給与改善措置に必要な経費の増五百九十七億は、国家公務員の給与改善措置と同様に五%の人事院勧告がなされた場合に七月から実施するに必要な経費である。しかし、これでは不十分だからというので、三%分を結局一般行政経費の中に組み込んで九百五十億円、かように理解してよろしいわけでございますか、具体的にお答えいただきます。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 大体おっしゃったとおりだと思いますが、財政計画上は、給与費の部分に五百九十七億一般財源で措置をいたしておりまして、その残り部分は災害等の年内の追加需要と合わせて五百億、こういうふうに考えております。分けましたのは国に準じた措置をとったというだけでございます。交付税上は、昨年同様いま御指摘のありましたように、前年度と同じ程度のものが行なわれるという前提のもとに九百五十億円を措置したわけでございます。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昨年は八百五十億その他の行政経費に組みまして、このうち給与改善が七百五十億、そうして災害が百億、こういうことでございましたね。したがって、昨年災害で見た経費と同様ということを考えますならば、五百九十七億円に四百億円をプラスして九百九十七億円というものが給与改定に引き当てる財源として見ることも可能だ、こう思うのでありますが、その点はいかがですか。
  29. 細郷道一

    細郷政府委員 追加財政需要をどの程度見るかということになるのだろうと思います。前段の給与費は前年程度という計算でございます。これはさまってくる数字でございます。あと追加財政需要にどの程度見たらいいかというのを、一応百億程度見るか、百五十億程度見るか、これは財政計画をつくる過程においての財源の問題もございます。今回は、そういう意味では予備費と申しますか、追加財政需要引き当ての五百億と給与として見込んでおります五百九十七億、ざっと六百億合わせて措置がなされておるもの、こういうふうに御理解いただければよろしいと思います。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、九百五十億と見ることも可能であるけれども、場合によっては九百九十七億という見方も可能だ。問題はどの程度の勧告が出て、その際、政府がどう扱うかということにかかわってくることだと思います。  そこで、自治大臣にお尋ねしたいのは、昨年十月七日、一〇・八のストライキを前にいたしまして、政府の給与関係七人委員会は、八月実施はやむを得ないが、昭和四十四年度は完全実施に努力する旨を確認をされたわけであります。また、六十臨時国会の中でも、四党の国対委員長会談の中で、自民党におきましては、次年度より完全実施に努力する、言いかえるならば四十四年度は完全実施に努力するということを確認をいたしたことは自治大臣も御存じだろうと思うのであります。しかも野田自治大臣は、かつて総理府長官を歴任せられまして、みずから給与問題につきましては専任の大臣としてお取り組みになりました御経験もお持ちであります。そういう中で、第六十臨時国会の中で当委員会で議論をいたしました際にも、自治大臣は、人事院勧告は尊重すべきである、完全実施すべきものである、こういう趣旨の御答弁をいただいておるわけであります。といたしまするならば、昭和四十四年度の人事院勧告に対する自治大臣としての所信をひとつこの際承っておきたいと思うのであります。
  31. 野田武夫

    野田国務大臣 これは給与に関する関係閣僚会議の際にもいろいろな意見が出ましたし、四党の国会対策委員長の会談内容は私よく知りません。しかし、私は、山口さんの御意見のように、人事院の勧告を受けた政府といたしましては、やはり人事院の勧告を尊重するというたてまえが一番正しい政治の姿勢だと私はいまでも思っております。  そこで、四十四年度にどうするかということでありますが、先般の給与に関する閣僚会議の席上でもその点を私は主張いたしました。  ただ、私だけでなくて、関係大臣の中でも主張している人があります。そこで四十四年度の給与の改定にあたりましては、人事院の勧告を待たねば、ここではっきり私も明言することはできませんが、しかし、かねて申し上げましたとおり、やはり人事院の勧告を尊重するという姿勢をもって私は対処したいということを自分でもいま心がまえを持っております。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣の御答弁よくわかります。人事院勧告が出てみなければ、どの程度の勧告であるかは明らかでないわけです。しかし、現在進められております春闘の中では、昨年より高い相場が出ておるわけでございますから、当然人事院勧告も、その春闘相場を反映して昨年よりは高い勧告が出てくる、かように考えることが私は常識的ではないかと思います。しかし、その点は仮定でありますから、これ以上は議論いたしません。  問題は、先ほど財政局長からお話しがありましたのによれば、八%、七月ということであります。これでは、率はともかくといたしまして、七月ということでは、これは人事院勧告の尊重、完全実施ということにはならぬわけであります。昨年の場合も七百五十億の財源措置がございましたが、一応その閣議決定では、当時の国家公務員五百億、地方公務員七百五十億の予算のワクはございましたが、努力をいたしまして、当初の八月実施から七月実施へ一歩前進をいたしたのであります。そういうことを考えますと、今年は九百五十億ないし九百九十七億ということでありますが、私はやはりそういったことにはとらわれぬで、昨年もワクを越えて、自治体あるいは政府がやりくりをいたしまして一カ月前進をさしたわけでありますから、本年八%、七月実施の予算は計上されておりましても、それはそれとして、あくまでも人事院勧告の完全実施に向かって努力し、それを完全実施することが、私は政府の責任ではないかと思うのです。また、自治大臣としても、かねがねそういった御見解を漏らしておるわけでございますから、そういった予算の計上額は別として、自治大臣としての人事院勧告実施に対する御決意を重ねてひとつお聞かせをいただきたいと思う。
  33. 野田武夫

    野田国務大臣 昨年度は、いま山口さんのお話しのとおり、一カ月繰り上げました。その財源につきましては、国も地方財政のほうも相当のやりくりをいたしました。そこで今度財政局長からお答えいたしました九百五十億の給与に対する財源措計画でございますが、私は、先ほど申しましたとおり、人事院勧告を尊重するというのは完全実施ということになります。これを実現するように努力したいという考え方をいまでも持っております。その際において、どういう人事院勧告があらわれてくるか、また政府全体がそれについてどういう措置をするか、これは私ひとりでここで申し上げるわけにいきません。私はできるだけ完全実施の実現に努力したいという考え方はいまでも変わっておりません。したがって、その際の財源措置につきましては、これはもうその結果によりましては、やはりこの前の、つまり四十三年度でやりましたようないろいろの措置をいたしまして、これに対してその線に沿うての処理するということは当然だと思っております。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではこれで終わりますが、特に自治大臣の責任は地方公務員が中心でありますが、同じような意味で公営企業に働く職員、これも地方公務員であることには変わりがないわけであります。そういう意味で、地方公務員は国家公務員に準ずる、そうしてまた、公営企業職員は当然地方公務員でありますからこれに準ずるというのが私はたてまえであろうと思うのです。その点の御見解を最後に承っておきたいと思います。
  35. 野田武夫

    野田国務大臣 これもしばしばお答えいたしておりますとおり、公営企業に従事する方々の給与、これは私も十分理解を持っております。ただこの際、この前もお答えいたしましたとおり、まあ公営企業によりましては再建団体もあることでございますし、これらのことについて、この前の、企業の責任者との間にいろいろのお約束といいますか、お互いの努力目標を、その際協定といいますか、お約束した、そこまでいっております。したがって、公営企業は、御存じのとおり企業でございまして、また、たてまえからすればこれは独立採算制に基づいてこれらの問題を解決すべきであります。現実において私はこれをたてにとってそうすべしということを主張するものではございませんが、たてまえはたてまえでございますし、また、先般の公営企業の責任者と自治省の間でいろいろの御相談をしまして、そうして労使間においての努力する内容についても話し合ったことでございますから、やはり、一面労使間でもひとつこの話し合いに基づいて努力をしていただくと同時に、また、その情勢によって、自治省といたしましても、その結果を待って考えるべきことは考える、こういうことがなくては——公営企業は企業という原則だけはやはりひとつ認めていきたい。しかし、原則があるから、ただ何でもかんでも自治省はほうっておくんだというようなことは、私としてはしたくないのですが、労使間の努力だけは何かであらわしていただきたい。これが私の一貫して申し上げている点でございまして、いろいろの点において、今後のことにつきましては、十分自治省としても考慮したい、こう考えております。
  36. 安井吉典

    安井委員 人事院勧告の問題については、毎年のいまごろは、完全実施をいたしますという、まあそういうことばで、秋から冬にかけては、財源がありませんでいたし方ありませんでしたという答えが出る。これは過去十年間続いた年中行事なんですよ。初めはそう出て終わりはこうなるという、そればっかりを十年間続けてきて、そのことが国家公務員や地方公務員の諸君をはなはだ激怒させています。そういう実態で私はどうもいまの大臣の御答弁は年中行事の初めの部分の答弁だけをいまされているような気がするのですよ。それでは困るのです。あくまで初心忘るべからずで、最後までそのお気持ちで通していただかなければならぬと思いますが、どうですか。
  37. 野田武夫

    野田国務大臣 私は安井さんが、せっかくおっしゃいますが、私は違うのです。一貫して努力しております。そんないいかげんな、その場限りの話は、私という人間はしたくないのです。現に実行して、ことに先ほど山口さんからお話が出ました、私が総務長官時代も、ほんとうにいろいろなことで、わずかですよ、一カ月ですが、これも私は非常に努力をした。この前の給与関係の閣僚会議でも、完全実施にどうしても努力していかなければならぬというかたい私の何といいますか、政治的な考え方なんです。今度も、四十四年度から完全実施いたしますということは、これは私だけでは言えないことです。これは事実です。いろいろな財政当局の意向もありましょう。しかし、努力するということにつきましては私は必ず努力する。完全実施をいたしますということは、私の立場で言明できませんですから、努力することは間違いなく努力したいと思っております。
  38. 安井吉典

    安井委員 完全実施できるという約束ができるのは、これはやはり総理大臣ですか。自治大臣もだめだし、総理府総務長官もだめだし、だれに答えをもらえばいいのでしょうかね、完全実施は。
  39. 野田武夫

    野田国務大臣 これは、御承知のとおり、関係閣僚会議がありまして、そこで結論を出すのでありますから、おのおのはその点において努力する。しかし、大体の傾向として四十四年度ではたしてそれが完全に実施ができるかということを私に言明せいということは、これは少し無理なことでございまして、私は地方公務員の関係でございますが、給与関係は、人事院の勧告は国家公務員に対する勧告、地方公務員はこれに準じてやる、これがいまの給与に対する政府の原則的な姿勢であります。したがって、私が四十四年度で実施いたしますと申しましても、国家公務員がどうなるか。しかしながら、何と申しますか、最善の努力をするということは、多少いろいろ事情を勘案して申すことでありまして、努力するということは、四十四年度の給与の問題の解決にあたりましても、その熱意をもって当たりたいと私が申し上げても、これは国家公務員のほうもございますし、私に、そう約束したからとおっしゃっても、これは安井さんも百も御承知のとおり、私一人がここで約束してもできるものではないのです。私は積極的に熱意をもってこれに当たるということだけはここではっきり御答弁いたしておきます。
  40. 安井吉典

    安井委員 閣僚会議の中の有力メンバーとして、特に国家公務員より地方公務員のほうが多いわけでありますから、ひとつその信念を貫いていただきたいということをいまは申し上げるよりほかないのですが、そのあとになって、主張はしたのだがだめだったというふうなことにならないような御努力をお願いいたしたいわけです。
  41. 野田武夫

    野田国務大臣 わかりました。
  42. 安井吉典

    安井委員 同じ地方公務員でも、地方公営企業に働いている職員のほうは、これは自治大臣限りで処理できる分野がわりあい多いわけですね。つまり地方交付税というふうなものにも一応は表向き関係はないし、ですからそのほうに少し移してまいりたいと思います。  社会党は、全国の公害の実態を調べるために公害総点検運動として全国の二十三の県をいままで党幹部が団長になって出てまいりまして調べてきております。さらにまた、地方公営企業の今日の危機の段階で、とりあえず都市交通の実態を調べるためにそういう調べる運動も始めていて、ついこの間も問題の深刻な横浜市の交通、京都市の交通、大阪市の交通、この三つを現地で見てまいりました。これは、さらに今後ずっと続けていくわけでありますが、私はそういう公害や都市交通等の問題点の中から拾いまして、時間が十分ありませんがお伺いをしていきたいと思うのです。いま話が給与のことに出たわけで、それからひとつ進めていきたいと思います。  昨年の賃金のベースアップが一般公務員については暮れの財政措置でケリがついても、地方公営企業に働く人たちのものは非常におくれておる。とりわけ都市交通で働く人たちの分が極端におくれている。こういう実態はこの委員会でもしばしば取り上げられて、この間も細谷委員がだいぶ質問したそうでありますから、私はできるだけ重複を避けたいと思います。その際に大臣は、現在の地方公営企業法にもある種の行き詰まりがきておるということもお認めになったし、さらにまた、賃金の問題も前向きで解決しなければいけないというふうな御趣旨の御答弁もあったというふうに聞くわけでありますが、私も地方公営企業制度調査会の答申を受けて、先年改正されたいまの改正地方公企法に基づく財政再建措置、それはもう現状に対応できないのではないかというふうに見るわけであります。あの中の財政再建対策が行なわれました。それまでの赤字のたな上げが行なわれ、さらにそれに対する利子補給というふうな仕組みでありました。その再建計画を立てまして自治省は自治体の合理化を迫まりました。交通でもワンマンカーがどんどん進んでいくとか、あるいは路線撤去だとか、そういうふうな日本の交通制度の上からいえば、非常にドラスチックな施策さえ行なわれてきています。しかし、現実には赤字が減らないわけですね。さらにどんどん増大しているわけです。私はいまの財政再建措置というものを根本的に再検討すべき時期にきているのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  43. 野田武夫

    野田国務大臣 私も先般の細谷委員の詳細な御意見と御提案その他を拝聴しまして、また各地方公営企業の内容も調べてみました。いま安井さんの御指摘になる特に都市交通関係、これらをつぶさにいろいろ内容を検討してみました。結論においては、大体私は安井さんと同感なんです。これはこのままで財政再建計画を行なう場合に、将来の見通しはどうかというと、私もきわめて悲観的なんです。したがって、悲感的ということと同様に、この際やはり何らかの再建計画に対するいわゆる再検討と申しますか、この段階に来ておると私自身も認めております。また、これは手をつけなくてはならないのではないか、こういう感じを深くいたしております。大体の現在の公営企業に対する安井さんのお考えに私も同感だとお答えする以外にちょっと——この際、だいじょうぶだとかどうだとかいうことよりは、むしろあなたの御意見に近い考えを私は持っております。
  44. 安井吉典

    安井委員 私はこの間京都を見てきたわけですけれども、京都市の交通は四十年度末に赤字が二十二億円、そのうち不良債務が十四億円です。ところが、財政再建措置が行なわれて、路面電車の撤去だとか合理化だとか、そういうふうなものが行なわれた四十三年度において、つまり三年前に二十二億円であった赤字が五十九億円にふえております。それから不良債務も十四億だったのが四十九億円にふえています。これは横浜市でも大阪市でも同じことではないかと思うわけですよ。  ただ、そこで明らかなのは、こういう再建計画があるから、そこで働く職員のベースアップはしてはいけませんという指導、これは職員のベースアップだけが赤字のもとならわかるわけですよ。そういうこともわかりますけれども、路面交通の渋帯、それが料金収入を減らしている。そういうふうなのはもう不可抗力的なんですよ。不可抗力というと大げさかもしれませんけれども、少なくも京都の市長や京都の交通事業やあるいは京都の市民の責任ではないはずです。どんどん赤字が出てくる。赤字が出てきてしようがないから、それで料金の値上げをして赤字を埋めなさい、あるいは従業員のベースアップをやめなさい、こういう指導は、私はどうしても受け取れないと思うのです。その点、どうでしょうか。
  45. 野田武夫

    野田国務大臣 一般論としては、私は安井さんの御意見は理解ができます。また、先ほどお答えいたしましたとおり、現在の公営企業の財政再建計画では、将来この解決はとうてい困難であることも、私、はっきり感じております。ただ給与の問題でございますが、これも一応、同じ地方公務員という立場からいたしまして、公営企業が赤字であるから、そのために給与に対しては犠牲になる、こういうことは決して好ましいことではないのでございます。しかし、先ほども申しましたとおり、この前、公営企業に従事される方々の給与に対して、財政再建計画に基づいていろいろの条件というものを話し合いをして、ひとつできるだけ労使間で再建計画に従うような方法をとってください。同時に、自治省としても十分考えますということをお約束しているわけですから、私は、やはり労使間のそれに対する努力を一応やっていただきたい。そのときは約束したけれども、全然やらないということではなくて、これは企業責任者としても、またいわゆる労使両方の方々も一応努力をしていただきたい。その努力がどこまで実を結ぶか、またそれが不可能か可能か、ここで私はやはり自治省として考えるべき点に到達するのではないか。だからこれは、むげに全部一〇〇%やらなければどうだというかた苦しい意見を申し上げているわけではございません。実は、なぜそういうことを申し上げるかというと、それは決して抽象論じゃありません。実際私も当たってみたのです。しかし、一向その努力のあとが見えぬし、ひとつもう少し真剣に熱意をもってやってみてください、私どもはこういう希望を出しております。だからその点は、私のお答えが非常に抽象論になっておりますけれども、実は私自身は、いろいろの対案を考えなくてはならぬ、しかしその前提として、どうしても労使間でひとつ努力をしていただいて、その結果を伺ってみたい、こう考えております。
  46. 安井吉典

    安井委員 労使間の話ということでありますが、地方公営企業法の改正法案審議の際にこの委員会で確認をされているのは、再建計画と労使間の団体交渉や団体協約とどっちが効力が先なのかという点については、たしか、これは労働基本権の問題でありますから、労使間の話し合いというのが優先しますということを確認しているはずです。これはそうですね、財政局長。
  47. 細郷道一

    細郷政府委員 労働基本権は尊重するということでございます。
  48. 安井吉典

    安井委員 だから私は、労使間で話がつけばベースアップをいたします、それなら自治省は、はいそうですかというので許可する、何かそれでごく簡単に問題は処理されるような気がするわけです。だから、何か計画を持ってこいと言われるのはそのことかもしれません。ところが、自治省が強制されているのは、その財政再建が、その都市におけるそれが成り立つようなことを前提にしながらならいいというか、そういうような仕組みなわけです。ところが、いまでもどんどん赤字がふえているわけです、先ほど申し上げたような理由で。赤字がどんどんふえていて、対策は全くないわけですよ。路面電車を撤去するという自治省の指導です。しかし路面電車を撤去すれば、すぐ簡単に財源が浮いてくるようなそんなばかげた仕組みではないわけですよ。ですから、そういうふうな仕組みの中で、理事者側に案を立てて持ってこい、持ってきたら相談に乗るといってやるくらい妙な指導はないと私は思います。これは現実論ですから、財政局長でもけっこうです。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 基本権は尊重するということになっております。ただ、再建企業は、長いことやってまいりました結果赤字が出て、それを何とか再建しようじゃないかという環境にあるわけでございます。その環境にありますこと自身は、労使双方きびしく認識をしていくべきではなかろうか、かように考えるわけでございます。企業がもうつぶれかかるというようなときに、ベースアップだけは堂々と走るというのもいかがかと私どもは思うわけでございまして、そういう意味合いにおいて、やはりそこは労使双方ともそういった環境にあることを認識して御議論をしていただくことを私どもとしては指導しておるわけでございます。
  50. 安井吉典

    安井委員 水道と交通との違いは、水道は全体の経理内容において資本費が非常に大きいわけです。ところが、交通は賃金部分が多いわけです。これは事業の性格から当然そうなります。しかし、自治省の統計で見ても、料金収入に対する給与費の割合というものは、年々幾らかずつ下がってきています。ところで、その赤字の原因というのは、従業員の給与だけに原因があるならこれはわかりますよ。それはそこだけに問題をしわ寄せして処理しようというのなら、これはわからないでもありませんけれども、しかし問題は、今日置かれている都市交通の現状、路面電車のスピードは全く出ない。東京でも、都電が一ころは時速十七キロから十八キロ、二十キロ近くで走っていたのが、いまは十一キロ台、この間仙台で調べてみたら、九キロ台の電車のスピードのところもあります。それはすべていまの政府の政策の中から出てきた問題で、特定の仙台市なり京都市なり東京都の責任じゃないわけですよ。それをただ赤字があるからベースアップはできないのだということだけではなしに、ここでやはり政府考え直してもらわなければいかぬわけです。なぜなら、いまの交通事業の赤字が少なくなるように、少なくもですよ、できればなくなるようなそういう制度なり対策なりを講ずるのが先決ではないですか。問題を従業員だけになすりつけて処理しようというのが私はおかしいと思うわけです。たとえば水道には、今度料金適正化のための措置について、一般会計からの繰り入れを認めましたよね。あとでまた水道の問題もお聞きしたいと思いますけれども、そういうふうな措置を新しくつくられた。いわゆる負担区分明確化というふうな問題についての対策がぼつぼつ出始めてきているわけであります。社会党はこういったのをいわゆる独算制の打破という言い方で表現をしているわけでありますが、幾らか出てきた。それからまた、国庫補助の側面でも、水道は幾らかふえてきました。二十億円余り出てきました。しかし、この水道の国庫補助にしても、工業用水道のほうは今度七十四億円もついているわけですね。工業用水道を使っている会社は、自治省の財政白書によりますと全国で二千二百社ですよ。それに七十四億円。人間の飲む水道は、同じ財政白書に七千万人と書いてあります。七千万人の人間の飲む水道のほうは二十億円で、これもやっとこすっとこ。三年前七億円だったのですからね。それがやっと二十億円まできました。しかし、工業用水道のほうはますます伸びて七十四億円、しかも昭和四十六年度までこれだけ金を出すのだから料金は上げるなよという指導が行き届いているわけですよ。私はこんなばかげた政治のあり方なんというのはあるものじゃないと思うのですよ。それは、工業用水道について自民党の議員連盟がずいぶん活躍されるということもあるかもしれませんけれども、そんなことで政治の方向がねじ曲げられてはいかぬと思います。特にこの交通の問題についてほとんど対策らしいものはないわけですね。きょうも赤澤前自治大臣もおられるし、細郷財政局長等も、路面交通の渋滞の問題で去年だいぶ活動されたのは私も知っておりますけれども、しかし、何も実ってはいないじゃないですか。何にもなっていませんよ。全くゼロですよ。私はそれらの人たちの御努力には敬意を表しますけれども、政府自体の姿勢というものはなっておらぬですよ。しかもこの交通の施設に対する交付税措置などというものは全くない。私は、もう少し財政再建計画を練り直してこいというのなら、その前に政府として、われわれのほうで交付税でこう見てやるんだとか、あるいは路面渋滞の対策としてはバスや電車というふうな大量交通については、いつもすいすい行けるような仕組みをつくってやるんだとか、これをやるのだから従業員の皆さん少しがまんをしなさい。これなら話はわかりますよ。どうですか、大臣。
  51. 野田武夫

    野田国務大臣 都市交通、特にいま重点的にお取り上げになっておりますが、私も先ほどから申しますとおり、このまま放置してはとても財政計画が立っていくものじゃないし、立ちにくいということはよくわかります。そこで、いまのたとえば電車のスピードその他について、これも全くそのとおりでございまして、先般来から当委員会においてもずいぶん論議があります。これら総合的にいわゆる再検討の段階にもう直面していると私は思っております。いままでずいぶん努力を重ねてこられたのでございますけれども、思うように実っていないという御意見でございまして、そういうのが基礎となって、今日は私どもは強力にこういう問題の解決に当たる姿勢が出てくる。そして、いままでの努力がむだではなかった、こう思っております。  そこで、これと同様にベースアップの問題でございますが、私もこの公営企業に従事している方方の立場その他は十分理解ができますけれども、何と申しましても、法律上も公営企業が企業であるということから発足し、さらにそのための財政再建計画も生まれております。決して賃金のみによって赤字になるなんということは、私も全然そう考えておりません。いろいろな環境の事情、また今日までの都市交通の社会経済の推移に伴うての対策というものが非常に欠けておった、これはもう十分認めます。そこで、単に給与だけの問題で赤字を解消できるともこれは当然考えられないことでございまして、私は先ほど申し上げましたとおり、理解はできますが、また何かの一つの打開策を講ずる。大きな問題ではございますが、労使間において相当努力されるというお約束は、いまの給与体系その他についてもはり考慮する余地が全然ないかというと、私はある点においては考慮する余地があるんじゃないか。そういうことにつきましても、やはり労使間でもって、いかにしてこの問題を解決するかということについて真剣な努力をしていただきたい。私の仄聞するところによりますと、努力をしておられるか知りませんが、お約束に従うて都市交通の責任者と自治省の事務当局との折衝というものがほとんどいままでない。これは私が結論をここまでこなければいかぬとかいいとかいうことは、その時点においてお互いに話し合ったらいいことであって、最初から全然約束したことを無視して、ただ給与だけを別ワクとして扱えということも、必ずしも当を得たことじゃないし、そういうことと相まって解決を見出す。最後は、お互いに善意でもってこの問題を取り扱う必要がある、こう思っておりまするから、安井さんのおっしゃるように、給与だけでもって赤字の問題じゃないのだ。ベースアップしたから赤字——これはベースアップすれば相当赤字が出てまいりましょうけれども、それが今日まで財政の行き詰まりの主要な原因だとは私もとっておりません。あらゆる条件をやはり解決していかなければ、なかなか今日の公営企業の財政計画は立っていかないことも十分存じております。しかし、特にいまお取り上げになりましたベースアップの問題につきましては、これは前に自治省と公営企業の経営者側との話し合いといいますか、相談ができておりますから、これでもってやはり熱意をもって話を一歩進めてもらいたい。その結果、どうするかということは、これはお互いにひとつその状態を勘案して解決の方向に前進する一歩を進んでいくというのが常識ではないか、私はこう思っておるのであります。したがって、いろいろなこういうことができなければどうだというような条件がかりに出てくるにいたしましても、不可能なことはできないと思います。これはまた希望とか要望とかいうものは出てまいりましょうけれども、これはお互いにそうです。自治省の要望を満たせない場合があるし、また経営者側の要望も満たせない場合、お互いのことがございますから、そこは話し合いでもって善意にひとつ解決するようにやっていくほうがいいんじゃないか、こう考えております。
  52. 安井吉典

    安井委員 自治体の側からあまり折衝もないと言われる。あるいは労使の間でもっと話し合えと言われる。これは労使で鼻血を出して話し合っても解決できませんよ。労使の問題ももちろんあるかもしれません。しかし、それは大部分は政府の責任ですよ。政府対策を講じなければやりようがないと私は思うのですよ。  そこで、ひとつ財政局長に伺っておきたいと思うのですが、地方公営企業法による負担区分明確化の政令改正を地方公付税法改正に伴って当然やらなくてはならぬと思うのですが、その案はできていますか。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 目下検討中でございますが、政令改正によらないでできるのではなかろうかと思っております。
  54. 安井吉典

    安井委員 政令改正によらないという意味は、交付税では、たとえば水道の場合の交付税配分がふえますね。その分は普通交付税でおやりになるのか、特別交付税でおやりになるのか。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 普通交付税でできるものは普通交付税で、特別交付税によるものは特別交付税、両方でやりたいと思います。
  56. 安井吉典

    安井委員 たとえば高料金水道対策に対する繰り入れ、これは何ですか。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 これは特別交付税でやりたいと思います。
  58. 安井吉典

    安井委員 その議論はもう少しあとにしましょう。  いま交通を主体にしてやっているものですからあとにいたしますが、したがって、交通の問題については新しい繰り入れ措置というのはないのですか。あるいは新しく行なわれるものはどんな措置がありますか。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 交通につきましては、現在一般会計が持ったらいいだろうというものは軌道の撤去及び路面の復旧、それから地下鉄企業債の利子負担、それのまた出資分、こういうものを考えております。
  60. 安井吉典

    安井委員 一つ具体的な提案でありますが、路面電車を撤去するわけですね。大阪ではついになくなりました。川崎でもチンチン電車がなくなりました。東京でもだんだんなくなっていく。ところが、電車の音は消えるが赤字は残るわけです。その赤字は一体どうするのですか。企業そのものは残るのです。地下鉄に移っていくにいたしましても、あるいはまたバス事業が残っていくにしても、そのバスの料金なり地下鉄の料金のコストの中にすでに消えてしまった路面電車の赤字も含めた運賃改定を——これはきょう運輸省来ていないのですけれども、政府としてお認めになることはできるのかどうかということです。どうでしょう。
  61. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、都市交通はやはりいろいろな種類の交通事業、バス、電車、トロリー、地下鉄、こういったようなものを総合的にやることによって住民の足を確保し、また経営も全体としてバランスのとれたものにしていくということが一番望ましいのではないかと思います。御承知のように、かつては電車の黒字でバスの赤字をカバーしていた時代もあるわけで、いまはそういった時代が変わりまして、地下鉄が今後の立て役者になるのだろうと思いますが、地下鉄につきましては、私ども、その財政基盤となる国庫の援助措置というものが、まだ御承知のようなことで十分と思っておりませんものですから、それを再建区分からはずしたわけでございます。それについてはもうすでにたびたび議論がございますように、この実現に引き続いて努力をしておりますが、そういったようなものを見ました段階において、いま御提案のような問題についても考えていく必要があるのではなかろうか、こういう気持ちを持っております。しろし、私どもいろいろ市電の撤去と、その赤字のあとがどういうふうに処理されるのか、これらについては、資産の清算等も全部いたしてみないとわかりません。必ず赤字になるのか、資産を全部整理してみたらそうでないのか、そういったような問題もございますから、それはそれとしてよく研究をした上で、私ども先ほど申し上げたものとからんで対策を立てたい、かように思っております。
  62. 安井吉典

    安井委員 いまの御答弁を聞いておりますと、どうも地下鉄ができたら国庫補助がつくので、そのころになったらいま残った赤字も解消できるだろう、こういうことのようでありますが、現実の地下鉄は、いまのような運輸省方式の利子補給では、大阪の計算でもキロ当たり四十億円も五十億円も、あるいは六十億円くらいかかっておるわけですから、一区間計算してみると料金は二百六十六円くらいになります。二百六十六円です。それを実際は三十円で乗せておるわけです。一区間二百六十六円の地下鉄を出したってだれも乗る人はおりません。三十円で乗せておる。だから、いまの撤去された路面電車の赤字を地下鉄の料金体系の中で解消するなどということは、私は思いもよらないことだと思います。そうだとすると、いまの細郷局長のお話では、料金体系ではなしに国庫負担措置ができることによって赤字が解消できるのだ、こういうふうにとれるわけです。つまり、いまの路面電車の撤去の費用等については、あるいは路面電車の赤字については、地下鉄の料金ではなしに国庫負担で最後は解消してやるのだ、いますぐにはいかないけれども。こういうふうに私は受け取れるわけですけれども、その点どうですか。
  63. 細郷道一

    細郷政府委員 実はそう直接的に申し上げたわけではございません。やはり地下鉄も含めた総合経営ということが必要じゃなかろうか。かたがた地下鉄については、その負担措置といいますか、援助措置というものについて努力をいたしております。そういうようなものが整った段階において都市交通全体を見て、どういう措置が必要であるかを考えていきたい、こういう意味でございます。
  64. 安井吉典

    安井委員 地下鉄の計画がまだなくて——たとえば京都の場合は地下鉄の計画はこれからです。いまのところは路面電車の撤去の代替はバスです。そういうことになると、バス事業でこれから返していかなければいかぬわけです。それともバス事業にも特別な国庫補助でもされるのかどうかです。そういう意味合いからすれば、バスそのものが行き詰まっておるのですから、路面電車の赤字などというものはどうしようもないじゃないですか。バスで返せるとか地下鉄がつくまでお待ちなさいとか、それまでベースアップも待ちなさいだとか、私はそういうことは少し乱暴な議論ではないかと思うわけです。もう少し現状をしっかりおつかみになって対策が講ぜらるべきで、具体的な問題としていまの路面電車の撤去によって残された累積赤字、そういったようなものは特別な別ワクの調整交付金だとかそういうふうな措置ができればそれに越したことはないし、少なくとも地方交付税の中で措置するというような道も考えればあるのではないか、私はそういうふうに思うわけです。どうでしょう。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 そのことにつきましては、先ほどもお答えしましたように、検討に値する問題だと思っております。ただ都市交通の行き方として、一つ一つだけを検討していいものかどうかという点がございますので、地下鉄の問題とも並行してものを考えようじゃないか、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。
  66. 安井吉典

    安井委員 どうもきょうのところは検討に値する問題だという評価を置かれるだけのようでありますが、しかしこの問題は、地方交付税だけで全部措置できるかどうか、これは私はわかりません。しかし、そういうものについての検討がなければおかしいと思うのですが、現実にはそういう資料をお持ちですか、幾らくらいかかって、どれくらい残りそうだということ。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 まだ概算しかできないわけですから、正確な数字を各市からとっておるわけではございません。しかし、いま見てみますと、全部資産を清算をすると赤字の出ない市もあろうと思っております。
  68. 安井吉典

    安井委員 長野行政局長が社労のほうに行かれるそうですから、その前にちょっとだけ問題を切りかえて伺っておきたいと思います。  公害対策の問題で、地方自治法上の扱いでもう少し公害ということばを法律の中に明記する必要があるのではないかということなんです。現実には各都道府県や市町村へ出てまいりますと、多く公害課だとか公害係だとか、そういうような窓口の一元化がはかられていますが、自治省はどういうふうな指導をされていますか。
  69. 長野士郎

    ○長野政府委員 御指摘のように、公害につきましては、各県、市町村とも非常に深い関心を持っております。最近はいろいろ組織をつくっておりますが、現在のところ、まだ公害行政全体の——全体といっては変ですけれども、国、企業、地方との三者の関係がまだ必ずしも明らかになっていないという面があるように思いますので、そういうものをまず見届けました上で、公害行政についての地方団体の関与のしかたというものを考えていくべきではなかろうかということであります。
  70. 安井吉典

    安井委員 今度の地方交付税措置での普通交付税の計上額、それから特別交付税のほうは、これは昨年、四十三年度の実績よりほか方法がないと思いますけれども、どうなっていますか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 これもしばしばお答えを申し上げておりますが、四十四年度の普通交付税においては、公害については事務費について措置をいたしまして、その総額は十二億、昨年の約二倍でございます。それから、この間の特別交付税においては、約六億の措置をいたしました。これも主として器械器具といったような、いわば事務費と申しますか、事業費の一部ではございますが、そういう種類のものでございます。そのほか公害対策といたしましては、いろいろ都市施設をつくるのがあるわけでございます。たとえば下水をつくるとか、あるいは緑地をつくるとか、街路を拡張するとか、いろいろあるわけでございますが、これは、それぞれについて、今回それぞれ費目を増強いたしておりまして、それによってまかなっていく。なお、大規模なものをどかっとやるときは、地方債で重点な的措置をしたい、こう思っております。
  72. 安井吉典

    安井委員 これは全国市議会議長会の調べなんですけれども、尼崎市の場合は、三十一年度ごろは四万円ぐらいの計上であったのが、四十三年度になると一億三千三百万円、それから四日市の場合は、三十五年度ごろは、公害対策費用が百四十九万八千円、四十二年度になったら公害課の人員は課長以下十一名、計上額は二億一千二百万円、これは私どもたくさんあちこち歩いていますから、みんな資料がありますけれども、どこの県へ行っても、それはもう問題にならないですね。いまの公害の問題への自治体の取り組みと、それから自治省の財政あるいは行政的な指導の実態とは非常なちぐはぐがあるということを知るわけであります。ですから、いまの自治法の規定の中にも、第二条第三項に例示規定がありますが、あの中に入れる必要があるのではないか。第一号、第二号、第六号、第七号、第八号というふうにいろいろ関連のありそうな規定があります。ありますけれども、そのものずばりという規定がないわけですね。たとえば第七号には、騒音防止ということばが入っています。それももちろん重大でありますけれども、今日一番公害として問題になりまするのは、大気汚染防止あるいは水質汚濁防止でしょう。こういうようなことばがないこと自体が、自治体のほうと政府のほうとのギャップができているということではないかと思うわけですが、どうでしょうか。もし少し御検討になるお気持ちはありませんか。
  73. 長野士郎

    ○長野政府委員 御指摘の点につきましては、先ほどから申し上げたとおりでございまして、私どもも検討をいたしております。ただ、私どもが心配いたしますことは、現在の地方自治法の中に入れるということについては、私どももそういう気持ちで検討はいたしておりますが、現在、企業と国と自治体との間におきますところの公害に対する責任というものが、まだ必ずしも明確なかっこうになっていないのじゃないかという気持ちを持っております。そういうときに、自治法の中に例示いたしますと、公害の責任が全部自治体の責任という形になってくるおそれがないだろうかというような点も、やはりもう少し検討して考えていくことがいいのではないかということもありまして、さらに検討を加え——もちろん前向きに検討を加えていかなければならない、こう考えております。
  74. 安井吉典

    安井委員 現実に中央の政府がきちっと対応をしておればいいんですよ。していないものだから、自治体のほうがどんどん対策を講じていかなければならなくなる。それから現実の自治体の仕事の中では、公害の窓口がばらばらのものだから困るという苦情が集まる。中央の政府のほうが、厚生省だとか通産省だとか企画庁だとか建設省だとか自治省だとか農林省というふうに、もう分野がまちまちなんですね。だから、いつになっても公害全体の白書といったようなものを明らかにする機会がないわけですよ。みなそれぞれこまかな分野はあるけれども、全体のものが出ておりません。自治省も去年お調べになったようでありますけれども、あれは私は決して全貌ではないと思います。そういうことからいって、自治体のほうがどんどん先に問題の解決をやろうという努力をしているのを、ただ単にそばで手をこまねいているということでは私は困ると思います。これもひとつ長野さんの宿題にして御検討おきを願っておきたいと思います。  同時に、いまの公害財政の問題についても、財政局のほうで交付税措置の内容をもう少し検討していただくことが必要ではないかと思います。私のほうでいろいろ調べてみましても、公害対策に対する機材費、こういったようなものは、これまた全く交付税の対象にされてきておりません。都道府県も市町村も、それぞれが対策を持っているわけですね。それができておりません。あるいはまた公害に対する人件費もどんどん膨張しておりますが、そういう現実に対して少しも対策が講じられておりません。こういう問題への対応というのが必要だと思いますが、これはひとつ大臣からお答え願いましょう。
  75. 野田武夫

    野田国務大臣 公害は地方の地域住民の直接の災害でございますので、当然自治省としては重大な関心を持っております。しかし同時に、これはやはり国の施策も必要でありますが、いま政府委員からお答えいたしましたとおり、国、地方、または企業者の関連で事を処理すべき性質のものでございます。いま御指摘の点につきましては、やはり今日まで公害対策は十分ではございませんから、今後十分検討することにいたします。
  76. 安井吉典

    安井委員 長野行政局長がお急ぎだそうですから、ちょっと間に入れて、あとでまた必要に応じてお戻りを願って質問を続けたいと思います。  それはそれとして、地方公営企業のほうは、あと私は特に申し上げたいのは、路面渋滞に対する対策をもっと積極的に講ずべきではないかということ。さらに路面電車については、これもやはり当然料金値上げの問題が出てくるわけですね。料金値上げの問題が出てくる場合に対しても、水道の料金の値上げを押えるための交付税措置があるのだとすれば、交通についても同様な措置があってもよいのではないか、こう思うのですが、その点どうですか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 水道につきましては、各地方団体が自主的に料金をきめられる仕組みになっております。交通はそうでございませんものですから、すぐ右へならえというわけにはいかぬのじゃないかと思います。
  78. 安井吉典

    安井委員 つまり政府が関与してきめるわけですね。それだけに料金の値上げが出たら政府はチェックする力をお持ちです。水道料金はそれを持っていない。したがって料金の値上げを押えるというその前提として、一般会計からの繰り入れを認めていくという仕組みは水道よりもむしろ筋が通るのではないかと私は思うのですが、どうですか。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 交通事業については、もう先般来たびたび御議論がございましたように、いろいろ都市環境の変化に伴う問題がございますものですから、やはりそういう問題についての検討をまず進めるべきであろう、こう思っております。
  80. 安井吉典

    安井委員 お気持ちだけでは困るわけであります。ひとつその点、完全に対策が講ぜられるような仕組みをとるべきである。それがなくて、政府がやるべきことをやらぬでおいて、またもとへ戻るわけですけれども、賃金を押えるというふうな筋は私は通らぬと思います。国鉄の赤字もこれはひどいわけですね。そのために政府は特別な運賃法の改正と、それから再建特別措置法を提案をして、審議半ばにして打ち切ってまでその措置を講じようとして、いま問題は参議院にあるわけです。これはさっきも、細田理事がそこにいますけれども、その問題の処理についての不満を私は申し上げたとおりであります。ところが、国鉄の場合は赤字がひどくて、合理化の問題もその中にあります。しかし、あの中に国庫による借りかえ、その借りかえ債の利子を国がまた負担をするというそういう仕組みがあるが、あの中には今後一切ベースアップはしないという考え方は国鉄の再建の中にありますか。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 私も詳細に中身は承知しておりませんが、給与の見方は、生産力向上に吸収されるものに見合って給与をきめるというふうに聞いております。
  82. 安井吉典

    安井委員 しかし、団体交渉というものが優先されることは相変わらず確認されていますよ。ことしでももう仲裁裁定のところまでいきましょうよ。いけばこれは処理しないわけにいかぬでしょう。そういうふうな仕組みの中で、国鉄のほうはそうなんだが、都市交通のほうはこれはそうはいきません。これでは私は困るわけであります。  あとの門司さんがいま見えましたので、質問は譲りたいと思いますが、きょうはまだ公営ギャンブルの問題だとか、ここにたくさん積んであるのですけれども、そこには入れませんでした。特に地方公営企業の問題につきましては、基本的な解決の責任は政府にある。政府自体があくまでも問題を解決しようという意思と責任を持って努力をする、それこそが先決であり、そういうことを前提にして労使間の話が進む、その結果を、再建計画の改定とかそういうような形で処理をする、私はこれが筋道ではないかと思うわけです。もちろん私どもは、根本的にいまの公営企業法そのものを改めなくちゃいけない、財政金融制度そのものを改めなくちゃいけないということで法案を出しています。しかし、それが通らないまでも、私がいま申し上げたような政府の責任において処理するということ、これができれば私は当面の問題は解決ができるのではないかと思うわけでありますが、どうでしょう。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来しばしば応答のございましたように、政府としても都市交通の将来につきましては、どういうふうにしたらいいかということについて慎重な検討を進めたい、こういう考え方でございます。
  84. 安井吉典

    安井委員 それは将来の問題としては社会党も提案していますよ。政府にもそれはもちろん期待はいたしますけれども、現実をどうするかということですよ。現実の解決のためには、当面の政府が責任を持った財政措置について意思を示さない限り、これはなかなか地方そのものにまかせようといったってできませんよ。私はそのことを伺っているわけです。どうです、自治大臣。
  85. 野田武夫

    野田国務大臣 当面の問題として、公営企業全般の財政問題をどうするかということ、これは重大なことでございまして、たとえば先ほど財政局長のお答えしたとおり、地下鉄の問題でも、これは地方財政だけで処理しようという考えは持っておりません。当然国の施策を伴わなくちゃならぬ。だから、地方財政計画で今日の公僕企業の全般をまかなっていって、いまおっしゃった路面電車の問題を一つとらえましても、このかかえている赤字をバス、地下鉄にしょわせていっていいかという、こういうことも私はなかなか困難だと思うのです。ですから、現実にどうするか。たとえばいまの安井さんのお話は、交付税でもってみんな埋めて楽にしてやれ、そうすればあとは賃金なんか問題じゃないじゃないかという議論ですが、私はもっと根本的な問題——そんな当面の問題よりも、私どもの考えることは、基本的にはやはり安井さんの御意見は非常に尊重すべき御意見だと思います。そこにはやはり地方財政だけでやれることは十分やりますが、同時に、国会全体も考える、これでなければいかないと思うのです。だから、これらの問題につきましては、私は真剣にひとつ検討してみたい、こう考えております。
  86. 安井吉典

    安井委員 それではこれでやめますけれども、いまの御答弁程度ではこの深刻な事態の解決にならぬと私は思います。したがって、さらに時期をあらためて別な機会に質問を続けさせていただきたいことをお願いを申し上げて、これで終わります。
  87. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は門司亮君。
  88. 門司亮

    ○門司委員 委員会が非常に急がれているようでありまして、したがって時間が非常に少ない、こういうようなお達しでございますので、十分に意に尽くすわけにいかないかと思います。  最初に聞いておきたいと思いますことは、例の六百九十億が特例で繰り延ばされたと、こういうことであります。これは実は非常に大きな問題をはらんでおりまして、当然地方の自治体に配付さるべきものが配付されないということが一つありますが、同時に、法律のたてまえから申し上げますと、一応自治省で言っておりますように、四十三年度に余った分は四十四年度には使えないんだ。したがってこれは四十五年度しか使えないんだから、一年間は政府が使っておってもよろしい、こういう解釈だと私は思います。それでこういう処置がとられたんだと思います。したがって、これを前段で解釈をいたしますと、とんでもないことだということが言える。四十三年度に何も配付できないことはない。配付する意思さえあれば、特例をおこしらえになればいいのであって、いわゆる現行法で四十四年度に使えないというんなら、それを使おうとするなら特例を一体なぜ認めなかったかということです。特例をこしらえれば、これは何も四十四年度に配付したからといってちっとも差しつかえない。また、四十三年度に間に合うとか間に合わぬとか言っておりましたけれども、これはむずかしい仕事ではありませんし、事務的にやればよろしいことであって、それはおかしいと思う。  しかし、そういう議論はいままで繰り返されておりますので、前段の議論はいたしません。しかし、取りかわされた文書の中で私がどうしても納得いかないのは、四十五年度にお返しになるというならば、これは法律どおりでありますから、間違っておるとはいっても、曲がりなりに一応政府の言い分が立つかもしれない。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 しかし、その後、これを分割して払うということが大臣限りでできるかどうかということであります。地方自治体の固有の財源でありますものが、大臣の権限で分割して支払うことができるかどうかということ、そこまでいくと、私は特例も少し行き過ぎではないかと思う。この点は、大臣はどうお考えになりますか。私は、どう考えてもその点は納得いかない。
  89. 野田武夫

    野田国務大臣 この特例措置の取り扱いですが、これは原則的に四十五年度で加算するという原則でございます。ただ、そこに加えましたのは、いわゆる年度間調整ということばが出てまいりまして、これはもちろん地方自治団体の意見を尊重してやることでございますが、そういう年度間調整ということと多少関連がございまして、たてまえとしては、門司さんが言われましたが、私どもの考え方は、四十五年度で全部加算する、こう考えております。
  90. 門司亮

    ○門司委員 四十五年度で払うということが一応たてまえになって、払えないときには四十六年、四十七年という、ぴしゃりと年度まで御丁寧に書いてある。しかしこの問題は、大臣のきわめて大きな越権であって、地方自治体に対する財政上のきわめて大きな干渉だと思うのです。当然、地方に配付されなければならぬものを、大臣の権限で年度間調整で都合が悪ければ延ばしていいなんてことができますかどうか。これは法制局長官に来てもらってこれから相談しなければ、私の納得いかない問題であります。委員長どうしますかね。私は大臣の答弁だけでは承知するわけにはいかぬ。法律のたてまえをこれほど大きくくずされてはならぬ。ところが、大臣はよく御存じだと思うのですが、交付税法の中の二十条を読んでごらんなさい。二十条には、これとは事柄は違いますが、地方自治体でいろいろな問題があって、そして従来のたてまえからこれを変えなければならぬ、いわゆる法律的にはっきりいうならば、この法律の二十条の二項あるいは三項、四項だと私記憶いたしております。その辺のことがあった場合には一応聴聞をしろ、実際の意見を聞け、こういうふうに書いてある。もし大臣がこういう処置をおとりになるとすれば、少なくとも地方六団体の意見くらいお聞きになって処置をされるということが——他省の役人の解釈どおりに、それとこれとは違うと言うかもしれないが、交付税の中に二十条を設けて、そして十条ないし十五条の問題について相談をしなさいというような万全の策を講じておるということは、地方の財源を尊重するからである。地方自治体を尊重するがゆえにこういう法律ができておるのであります。ところが、いま申し上げましたように、当然の地方自治体の財源であるべきものを大臣限りでこれが処置されるということを六団体がちっとも知っておらないというようなことでは、地方団体の財政の問題を中心として考えますときに、この税法については、どうしてもそこはだれが何といっても納得がいかない。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、法制上こういう法律が有効であるか無効であるかということは一応確かめる必要があるのではないかと私は思う。これはほんとうのことですよ。これをどういうふうにあなたのほうでは解釈されるか。
  91. 野田武夫

    野田国務大臣 いま私、門司さんにお答えしたとおり、四十五年度でもちろんこれは加算する。原則です。次には四十六年、七年、財政の事情ということを書いておりますが、私、冒頭にお答えしたとおり、地方の自治体意見を聞いた上で、その財政事情によっては四十六年、七年ということにする場合がある。そういう考え方を持っておりますということを私は冒頭お答えしたのでありますが、やはり門司さんの御指摘のように、地方自治体の意思を無視してかってにやろうという考え方ではございません。
  92. 門司亮

    ○門司委員 かってにやる意思はございませんと言ったところで、法律はちゃんとできちゃっている。あるいは実施の段階になって聞けばよろしいというようなお考えかもしれないけれども、それではちょっと無理があるんですね。やはり前段でこれをお聞きになって、地方の自治体に聞き合わせるということが、この法律のたてまえからいけば当然じゃないか。要するに、二十条は援用すべきじゃないか。総体的の考え方としては援用すべきじゃないかという考え方が私にはある。したがって、いまの大臣の御答弁で私承認するわけにまいりません。法律自体の解釈の問題でありますから、委員長にお願いして、法制局長官かだれか来ていただいて——こういう法律をこしらえたのは内閣の法制局に責任がないとは申し上げませんので、長官の意思を明確にしていただきたい。そうすることによらなければ、この法律は私どもここで通すわけにいかない。反対するしないは別の問題であります。法の内容が悪ければわれわれ法案には反対いたしますが、しかし法律自体が法律に違反しているというようなものを、ここで審議させられてはこっちがかなわぬのでありまして、そこまで私ども遠慮するわけにはまいりません。したがってこの問題は、私の質問が終わりますまでに法制局長官かだれか来ていただきたい。もしおいでがなければそれまで待っております。しかし、法制局長官がおいでになるまでの間、私はここですわってじっとしているわけにはまいりませんので、少し妥協して話は進めてもいいかと思います。  この税法の中で私が聞いておきたいと思いますのは……。(「それは財政局長でいいだろう。法制局ははっきりしているのだ」と呼ぶ者あり)非常に大きな疑義がある。ちょっといま雑音が少し入っておりますけれども、私は法制局を通っていることはよく知っている。法制局を通らない法律はない。だから法制局に来ていただきたい。自治省の意見は大臣に聞いておりますので、私は大臣の御答弁で満足するわけにはまいりませんから、法の番人である法制局長官なり法制局の人に来てもらって、それで無理ではあるが違法でないという……。(「時間がない」と呼ぶ者あり)時間があるとかないとかいうことではありません。時間はきょう一日ありますし、あしたもありますし、会期は五月二十五日まであるはずでありますから、国会において時間がないからといって、法を曲げてこれを通そうなんということは、国会議員の態度としてきわめて奇怪だと私は思う。やはり法律は法律らしく、疑義のあるものは疑義を解明してやらなければ困る。(「それは門司先生、理事会があるんだから、理事会で言ってもらわなければ困るよ」と呼ぶ者あり)
  93. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと速記中止。   〔速記中止〕
  94. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めてください。門司君。
  95. 門司亮

    ○門司委員 その次に私は聞いておきたいと思いますことは、この法律のたてまえ上、最近の交付税の算定その他についてどういう処置をとられたかということであります。これは事務的な問題でありますから財政局長でよろしいと思いますが、法律のたてまえからいきますと、一体、交付税自身というものの算定の基礎となるべきものは、財政需要額と収入額とのアンバランスを埋めるということになっているが、その算定をする基礎になるものは、何といっても町村からの積み上げ方式であるということがこの法律のたてまえであることは間違いない。だから十九条が設けてあるのです。十九条を読んでごらんなさい。ちゃんと書いてある。ここに罰則があるのだ。地方がもしうそを言ってよけいとったときにはこれを罰するという規定が設けてある。こう厳重になっている。ところが、交付税法ができてから今日まで、私はおそらく地方の自治体からの積み上げ方式というようなものが考えられたことはないと思うのですが、もしそういうものがたとえ何年度でもあったとすればこの際お示しを願いたいと思うのだが、私はおそらくないと思う。そういうところに、先ほどから申し上げておりますような、大臣限りでこういう処置ができるというような錯覚が出てきやしないかと私は思う。この法律のたてまえ自身というものは、あくまでも地方の自治体の自主性に基づいてその足りないところを補ってやっていくという調整財源であるということに間違いない。しかし、それの一応の目安というか、そうは申しましても、妥協していえば、そうは言ってもなかなかそうはいかぬじゃないかというようなことで、一応の目安というようなものがきめられる形になっておって、そうして自治省でこれをあんばいしていることは事実でありますが、そこはこの法律の妥協点が一つあるわけであります。しかし、先ほど前段で申し上げましたようなことが大臣限りでやれるということになりますと、いささか法のたてまえに戻って議論をしないと、今日のようなあやまちをおかすと思います。したがって、ぜひひとつ積み上げ方式がどういう形で、地方の自治体がこれでよろしいと言ったのかどうかということができているのかどうか。私は、そうしないと、どう考えても、この法律をずっと読んでおって、いままでずっと見ておるのでありますけれども、いままではいろいろなことがあったけれども、いままで黙って過ごしてきて、これでなければやれないんだなというようなことで見てきましたけれども、今度のようなことを大臣がかってにされるというようなことになると、少しもとに戻って議論をしなければならぬというような羽目に追い込まれてしまう。法律は、さっき申し上げましたように、ちゃんと自主申告になっておるということがたてまえである。したがって、十九条の罰則が設けられておる。いまのような形でずっと調べられるなら、おそらく罰則なんか要りやしない。十九条なんか、こんな目ざわりな条文は削ったほうがよろしい。これは実際目ざわりな条文ですよ。その辺自治省のほうではどういう処置をいままでとられたことがあるかないか。あるかないかということだけでよろしゅうございますから、もし御返事が願えるならばひとつしていただきたいと思います。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 いままでこれによって行なわれた例はございません。
  97. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことだと思います。事実上なかなかむずかしい仕事である。そこで、その実例はないということになりますれば、それでまあそれ以上追及しても私は始まらぬと思うが、なければないでいい。しかし、法のたてまえで罰則まで設けておる、厳重に法律ができておるということは、あくまでもこの法律の交付の算定が基礎になるべきものは、地方の自治体が自主的に財政需要額と収入額とのアンバランスがこうなっておりますということを申告されて、そして初めてその上で配分をしていくというたてまえになっておるということは、法律のたてまえ上明確であります。しかし、それがそのとおりに実行されていないということも、きわめて遺憾なことでありますが、今日まで過ごしてきておりますので、それをここで取り戻してもとに戻せということには私はなかなかいかないと思います。  そこで、問題になってまいりますのは、この法律の中でずっと見てまいりますと、交付の対象にする項目といいますか、法律用語では何といっておりますか、たとえば経費の種類であるとか測定の単位というようなことを書いておりますが、経費の種類というのがだんだんふえてきておるということですね。これは地方の様態が変わってまいりますので、当然こういうものがあり得ると私は考える。だから、これについて別に制限が法律的にあるわけでも何でもございませんので、よろしいかと考えております。  ただ、問題になってまいりますのは、地方の自治体の現状が非常に大きく変わっております。財政需要を非常に大きく要求しなければならないように変わってきておるときに、これに十分に対応するだけのものがあるかどうかということが一つと、それからもう一つ考えていただきたいと思いますことは、これは大臣に一応お聞きをしておきたいと思いますが、これはあくまでも形は調整財源ですね。そこで、実際からいいますと、地方の自治体が今後伸びていこうとする財政需要にはこれは入らないわけですね。たとえば道路にいたしましても、どれだけ延長があって、そして舗装がどれだけある、あるいは補修にどれだけのお金がかかるというような見積もりだけしか書いてないのですね。あとこれを拡幅するとか、あるいは舗装を延ばすとかいうような費用はここに見られないはずなんですね。したがってこの財源というものは、どこまでも補正財源であることは間違いがない。ところが、地方の最近の需要というものは、補正財源も必要であるが、実際の問題は、伸びるところにお金がたくさん要るということなんですね。それを多少補正しているのが人口であるとかというもので補正をされておるようであります。人口がだんだんふえてくるようでありますから、学校の教室の数がふえたとか、あるいはクラスがふえたとか、多少そういうようにはなっておるようでございますが、これはとてもやはりあとを追いかける仕事であって、将来の考え方ではない。  同時に、この中で私ども非常に遺憾に考えておりますのは、最近において大都市で急速に伸びておりますようなところでは、私の住んでおります横浜の例を一つ申し上げますと、教室の不足数は約一千教室といわれております。これはないわけじゃありません。二十年、三十年あるいは五十年もたった古い校舎があったり、プレハブの校舎があったり、仮教室でやっておりますから。しかし、こういうものがほんとうの教室になるにはどれだけお金がかかるかということは、この算定の方式ではどうしても出てこないのであります。そうなってまいりますと、結局これはどこまでいっても補正財源、そこに私はこの税法を論議いたします場合にお互い考える必要がありはしないかということであります。そういう態容補正がどこかでなされておるかどうかということであります。農業あるいは中小企業というようなものの補正についても、農業改良事業でどう補正するというようなことが書いてありますけれども、実際のそういう問題についての数値というものは、この法律の中からは出てこない。しかし現実には、そういう問題が地方では非常に大きな問題である。そのかみ合わせを一体どういう形で求めていくかということであります。私がこういうことを聞きますのも、さっきの六百九十億に戻るわけであります。もし六百九十億の金が、特例の法律をこしらえて、そして四十四年度に配付される、あるいは四十三年度の補正で少し時期的にはずれるといたしましても、特例法で配付されるということになれば、私はそれらの問題がやはりそこに十分使えるという形が出てきやしないかということであります。それでこういう少し回りくどいような話をするわけでありますが、この交付税の本来の使命と現状とのマッチをどこでさせるかということが私は大きな問題であると思う。しかも、いままで算定した基準によってこれだけ余ったからこれはよけいなお金だというような考え方を持たれるということは非常に迷惑です。六百九十億あっても足りないことは足りないのであります。政府考え方が、いかにもよけいなお金だというような考え方がそこから私は生まれておるのではないかと考えられる。したがって、地方の行政の事実認識といたしまして、大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その点をこの際伺っておきたいと思います。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 大臣のお答えの前にちょっと私から申し上げます。  私どもは地方交付税によって各地方団体の行政の水準を保障していきたいという気持ちを強く持っておるわけでありまして、どの程度に保障するかということについて、国が考えておりますことと地方の個々の団体が考えておりますこととは必ずしも一致しないかもしれません。しかし、その点については、やはり国民の租税負担といったようなことも入れて、その水準の度合いを考えていこうというふうに思っておるわけであります。いまお話の出ました人口のふえていくようなところの将来需要というようなものについてどう把握しているか。これは先生も御承知のとおり、なかなかむずかしい問題でありますが、私どもも鋭意研究努力をいたしまして、いまの仕組みで申しますれば人口の急増補正でありますとか、交通量の多いことによります補正でありますとか、あるいは事業費の補正というようなことによってそういった要請にこたえていくという努力をいたしておるわけでございます。
  99. 門司亮

    ○門司委員 大臣はどうですか。
  100. 野田武夫

    野田国務大臣 いまの門司さんのお話しのとおり、交付税配分は調整という法律上の目的——確かにどんどん伸びていく地方行政の財源措置とのからみ合いといいますか、これらをどう処置していくかということは大きな問題だと思っております。何しろ地方財政の需要が非常に高まってまいりますので、いまのお話しの財政上の調整の問題、これは今後十分検討すべき問題と思いますが、いままでのやり方としては、いま財政局長が申しましたように、人口増加対策の補正とかその他のほうにこの配分考えておるわけであります。これはやはり今後この調整の意味をどう基礎的に検討していくかということは十分考慮してまいりたい、こう思っております。
  101. 門司亮

    ○門司委員 そこで、時間も制約されておりますし、法制局もおいでになると思いますので、二、三突っ込んだ話をお聞きしておきたいと思います。  御承知のように、大臣の説明書の中にありますが、過疎地帯のことだと思いますけれども、後進地域ということばが使われております。しかし、ここでも実際問題としていろいろのことを書かれておりますけれども、実態をもう少しはっきり見きわめる必要がありはしないかということであります。それは人口はだんだん減っていく、租税収入はだんだんなくなってくるが、さっき申し上げましたように、だからといって昔のままでよろしいかというとそうはいかないのですね。やはり非常に近代化した生活を要求いたしております国の現状からして、人口は減っていくが、減ってきた人口は昔のままでよろしいのだ、生活の向上などはよろしいのだというわけに私はいかぬと思うのですね。そこにもこの過疎地帯に対する配慮というものが当然行なわれなければならない。最近の過疎地帯で、私は遠いところのことはよくわかりませんが、神奈川県におるから神奈川県の問題を一つだけ出してみましても、たとえば、大臣よく御存じだと思いますが、愛甲郡の清川村、これは神奈川県でたった一つの村であります。ここの札掛、いわゆる丹沢に登る途中でありますが、ここに清川村の緑学校の分教場である丹沢分校という学校があります。これはいま生徒が三人おります。小学校の生徒が二人、中学校の生徒が一人おる。ところが、先生はどうしても三人要るというのです。何で三人要るのだと聞いてみたら、小学校はどっちでもいいのだが、中学校は専門の学科があるので、生徒は一人でも先生は二人いなければぐあいが悪いというのです。そうすると、生徒一人に先生を二人雇っておかなければならない。下の緑まで通わせられないかと言ったら、二十キロありますので、スクールバスをやるのはたいへんでございますし、下宿屋をさがすのでも、中学校一年の子供を他人の家に預けるということもたいへんでございます。高等学校だけは他人に全部預けて下宿をさせておりますけれどもという話を村の人はしておるわけですね。これは、一方で日本で一番大きく伸びている横浜市を持ちながら、一方では神奈川県の中にそういうものがあるということであって、こういう村にもやはり文化の波、文化の光というものは当然当てなければなりませんし、当たるはずである。そうすると、人間が減ったからといって、これがこうなっておるからといっただけで解決のつくものではない。先ほどから申し上げておりますような要素が当然考えられてくる。  そこで、さっきからおこってばかりおりますけれども、お金を来年か再来年あたり、あるいはその次あたりでよろしいというのはけしからぬと私が言うのはそういうことであります。できるだけ早くこういう問題に手当てをするということは、今日のこの測定単位の基準をもう少し変える必要がありはしないかということであります。時間がございませんので、一つ一つは申し上げませんが、そういう過疎地帯をどうするかというような問題、あるいはこの中で私が一番遺憾に考えておるのは消防であります。消防は人口で切られておる。消防は人口で切ることも一つの方法かもしれない。しかし、今日の消防の実態というものは、人口で割り出すような、昔のような平面的な家屋ではないはずであります。家屋は高層化してきておる。しかも建材はきわめて可燃性のものが多くて、火事があれば必ず死人を出すということに大体なっておる。そういうときに、消防の測定単位を人口だけできめていくというようなことでよろしいかどうかということであります。これは小さい問題であります。全体からいえば大きな問題じゃないかもしれません。しかし、これについては、地方の自治体の高層建築はどうなっておるかというような問題が当然ここに加味されてこないと——これは消防の問題のときにも私は議論をして、消防予算はちっとも財政計画に載ってないじゃないかという議論をしたら、人口で配分をいたしますから、交付税に織り込んであるからというのが政府の答弁でしょう。あなた方はそう言ったのだ。だから、人口で織り込んでいるというなら、これだけ増したことだけでよろしいかどうか、そういう点はひとつ配慮する必要がありはしませんか。そうしないとなかなかうまくいかない。  それからもう一つの問題は、自治省がごく最近指令を出しております。三万以上の市に対する救急業務の強制といいますか義務づけであります。これにしても、三万の小さな市——と言うとおこるかもしれませんが、小さいことは小さいのでありますけれども、小さな市で救急業務をやるということになってまいりますと、これは実際はたいへんな仕事だと私は思うのですよ。救急業務をやったって、病院がなければどうにもなりませんし、自動車を買ったって、自動車を買っただけでは動きませんし、やはりそこには動かす人が必要になってまいります。しかし、交通災害は都心からだんだん郊外へ郊外へと伸びていることは事実であります。そういう問題について、救急業務も消防の関係でありますが、私は具体的に、この案の内容からいえば問題が残っていやしないかということがどうしても考えられる。この点について当局はどういうふうにお考えになっておるか。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 消防費の測定単位を何にしたらいいか、おっしゃるように、いろいろ社会情勢の変化で考えなければいけない点があると思っております。昔は、御承知のように火を使うのは人間だというような考え方、そういった素朴な考え方から、人口割りがいいであろう、こういうことであります。しかし、それじゃ人口以外にどういう要素がいいのかといっても、これもなかなか名案が実は出てこないというのが現状でございますので、人口を基礎にしながら補正を使うことによってそれを補っていきたい、こういう考え方でやっております。
  103. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁であろうかと思いますが、あげ足をとるようでありますけれども、補正だとおっしゃるけれども、補正は役人の裁量が入るのです。私はそういうことをあまり好かないのですよ、実際は。態容補正は態容補正で、全体にずっとやるならけっこうですけれども、一つ一つ補正していくというのは、どうしてもそこに役人の意見が入らざるを得ないということになります。限られた財源を分けるのですから、入らざるを得ない。そうなると、地方の自治体はあまりいい感じもしないでしょうし、私は困ると思うのです。これは財政計画のときに私が質問したら、そういうことであなたは逃げたから、きょうはここで聞いたのでありますが、どうもあのときに逃げたようなことと多少違うらしいですね。消防費はちっとも増額してないじゃないかと言ったら、それは交付税で見ております、こう言っておりましたけれども、どうも交付税ではあまり見てないようであります。そういう遁辞で逃げたことについてこれ以上追及しようとは私は考えません。  そのほかの問題として、交付税全体について、法制局の諸君が来るまで、そう長い時間ではないと思いますので、聞いておきたいと思いますが、以上、申し上げましたようなことについて、いろいろな問題がございまして、この態容補正について、あるいはこの補正係数について、再検討を要する時期が私はきておると思う。いわゆる過密過疎というような問題を中心にして考えてまいりますと、財政需要は非常にふえておりまするし、それから規模も非常に大きくなっておる。ことに、財政の面からいえば、片寄った税収になりつつある。ある地域においてはたくさんの税収がまとまるような形をとり、ある地域においてはどうにもならない地域等ができております。したがって、地方行政全体についてかなり大きな変動期がきておる。これに対応するためには、こういう一つの行き方ではなくて、やはりこの問題の配分の方法について根本的に、一応この辺で改正をする必要がありはしないかということを私は率直に考えるのですが、これに対する大臣のお考えをひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 補正については、おっしゃるようにいろいろ影響があるわけでございます。補正のしかたについては、私どももほんとうに常々検討を加えておるのでございまして、今回も種地のとり方を合理化したり、あるいは都市圏補正を拡大し、あるいは事業費補正の適用範囲をふやしたり、いろいろな面で水準の保持を実はねらっておるわけでございます。もちろん、私どもなお研究をしなければならない点が多分にあろうと思います。引き続いて十分検討をいたしてまいりたいと思っております。
  105. 門司亮

    ○門司委員 私がなぜそういう質問をするかといいますのは、これを見てごらんなさい、段階補正、密度補正、態容補正及び寒冷補正などということで、補正がたくさん書いてあるのです。これはどうしても一つのさじかげんになる危険性を実は持っておるのであって、したがって、官僚行政がこういうところから締めつけていくという弊害が生じてくる一つの原因だと思います。したがって、そういう問題は、やはり交付税については基本的に考え直してもらいたい。  いま法制局の第三部長の荒井さんが見えたようでありまするから、お聞きしておきたいと思いますが、いま私が聞いておりますのは、今度の国会に出ております地方交付税の問題について、御承知のように例の当然四十三年度に配付されなければならなかった分から、総額七百三十六億でありまするか、それくらいあったわけでありますが、そのうちの一部の六百九十億が、大蔵大臣と自治大臣との間の調整で、四十四年度にこれを国が使う。平たく言えばそうでありまするが、使うようになっております。そうして、その後の処置としては、四十五年度からお返しをする。それはそうはっきり書いてあれば、法律的にはたいした問題ではないと思う。行政的にはけしからぬと思うのだけれども、法律的には別にたいした問題にならないと思う。ところが、その後に、四十五年に払えなれば、四十六年、四十七年にまたがって払ってもいいような条文——条文というか取りかわした文書になっているわけであります。ところが、私の解釈では、このお金は当然四十三年度に配分さるべき性質のものであるが、行政的に技術的に四十三年度分として配付するということは困難だということ。したがってこれは四十三年度分の剰余財源だということになれば、四十四年度に使えない。当然これは四十五年度に繰り越さるべき性質のものである。どうせ使えないならば、たな上げしておくよりも大蔵省が借りて使ったほうがよろしいという、財政の融通の関係からの考え方だと思います。これは法律的にそれだけ考えますれば、さようでございますかということを言えるのでありますが、前段に申し上げましたように、あとで払ってもよろしいということになりますと、自治大臣と大蔵大臣の権限で——当然地方の自治体が交付さるべきものが交付されないでよろしいという法律が一体できるかどうかということであります。これはかなりやっかいな問題だと私は思います。  なお、内容を言えば、御承知のように、交付税法の二十条にも、法律のたてまえ上そういうことについてもかなり厳重な規定がある。ここには法律の十条並びに十五条が書かれておりまするが、当然配付すべきものはやはり配付するということがあるのであって、そういう繰り延べなどというようなことは、いままで私ども法律を書く場合に考えていなかったと思うのです。ただ、十条にある、十五条にある、二十条にあるということを考えて、二十条で一応押えるという形はとってまいりました。したがって、今度の処置についても、一応二十条を援用する必要を考えてくると、大臣の職権というものはいささか行き過ぎではないかという解釈を私はするのですが、法律をおつくりになった法制局はどうお考えになっているか伺いたい。
  106. 荒井勇

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  この措置につきまして、自治大臣と大蔵大臣との間で覚書が交換されておって、それによってきめられるのはおかしいではないかという点でございますけれども、その覚書は、政府の中における方針をきめたので、それに基づいて——もちろんそれは、国会の法律の形による議決があって初めてそれが実行に移されるということでございまして、大臣限りの権限でそういうことを決定するというか、最終的なものとしてきめるような権能はないはずであると考えております。  それから、地方交付税法の第二十条の規定を援用されまして、この規定の趣旨からいってどうかというお尋ねでございましたけれども、その第二十条第一項では、地方交付税法の「第十条第三項及び第四項、第十五条第二項及び第三項並びに前二条に規定する措置をとる場合において必要があると認めるときは、」と書いてありまして、それは個々の地方公共団体について、普通交付税の額を決定するとか、あるいは特別交付税の額を決定するという場合に、その特別の措置をとるその対象とする関係地方公共団体について聴聞することができるという規定で、国会の法律の定めとして、一般的な制度としてきめられるというような問題が必ずしもこの二十条の規定の適用そのものの対象になるというふうには考えておりません。
  107. 門司亮

    ○門司委員 何も二十条がそのまま適用するとは書いてない。二十条自身そう書いてないのだから。十条にも十五条にもそう書いてないのであります。地方の自治体に対する交付税を交付する取り扱いとしては、一応厳重なこういう措置を講じて、地方の自治体としての自主性というものを非常に大きく認めているのであります。交付税だけからいっても、御承知のように、この交付税の算定の基礎というものは何も自治省がこしらえるのでなく、実際の法律のたてまえからいえば、地方自治体からの積み上げ方式になっておる。したがって、さっきもお話が出ましたが、十九条に罰則がある。地方自治体がうそを言ったときにはということがちゃんと書いてある。そういう法律全体の態様から見てまいりますと、当然地方の自治体に配付されるべきお金が、大臣と大臣との間で——一体あの協約がよろしいかどうかということである。それは法律をつくれば何でもできるということなら——イギリスのことばにも、法律は、男を女にすることはできないが、そのほかのことは何でもやれるということばがありますから、何でもできるかもしれない。しかし、何でもできるからといって、法が法を曲げるような法律をつくることは、私はいささかどうかと考える。この点を聞いておるのであって、学問的にそれは法律をつくれば何でもできるのだからとおっしゃれば、これは何をか言わんやでありまして、それ以上議論の余地はない。しかし、私の考えとしては、二十条にそういう規定を設けておる趣旨からいえば、今度の処置は、少なくとも六団体、いわゆる都道府県知事あるいは市町村長、あるいはおのおの議会の団体がございますので、それらの諸君にお聞きになるか、あるいは地方制度調査会に諮問でもされて、そうして一応のそういう処置がとられた上なら、これはあるいは考えられるかもしれない。しかし、何のことはない、大蔵大臣と自治大臣との間で取りかわして、さあおまえたち、これを承認しろといって出されたって、私たちそれをなかなか承認するわけにいかない。その辺のいきさつを私はもう少し法制局に聞きたいのでありまして、法制局のいまの答弁のようなことになってまいりますと、一体地方財政と地方の自主性というものはどうなりますか。大蔵大臣は、交付税は地方の自治体の固有の財源であるということをはっきり言っておりますよ。地方の自治体の固有の財源が、当然配付されるべきときに配付されないで、大臣の意思によって年度を変えても配付することができるということになりますと、これは地方自治の財政上の大きな侵害だと私は思う。こういう侵害があってもよろしいかということです。これは地方の自治行政に対する財政上の大きな侵害だと私は思いますが、そうお考えになりませんか。
  108. 荒井勇

    ○荒井政府委員 地方交付税のこういう特例を定めるにあたりましては、地方交付税実情をよく考えざるを得ないということでございまして、年度の終わり近くになりまして補正予算が提出された。それで国税三税の増収というものが出てきまして、それに対する三二%の地方交付税というものが法律上当然に出てくるわけでございますけれども、それが、これは自治省のほうからるる御説明申し上げたと思いますけれども、期間の関係もございますし、また、その予算の決定の背景には、そういう補正予算が組まれる可能性があり、それによって地方交付税の増が出てくる。それを見合いにといいますか、引き当てにしてこの六百九十億を中心にした措置考えようということで、それは補正の要因がなかりせば四十五年度以降地方交付税として交付されるその財源に当たるものだというような実情がございまして、今回のような法案をお願いすることになったと思いますが、その場合に、実質的に関係地方公共団体の意見をよく聞く機会を持たれるべきではなかったかという門司先生の御指摘の点は、私どもも心の中にしみて感じますが、実質的に大蔵省との間の予算折衝の過程で、交付税の税率の引き下げであるとか、各種の措置が対案として出されておって、それに対して最善の案だということで、実質的には関係団体等もやむを得ざるものとして了承されるだろうというような自治省の御判断のもとにおやりになったやむを得ない措置ではないかというふうに考えておりますが、先生の御趣旨の点はまことにごもっともだと思っております。
  109. 門司亮

    ○門司委員 これは、問題は、内容については第三部長の言われるように私どもあらかじめ承知はしております。それから、同時にまた第三部長の言ったように、補正予算が組まれれば、これは四十五年度にまた繰り延べられることになることは当然でありまして、それならそれでよろしい。同時に、この交換文書の中に、四十五年度に返すというなら、これはどうせ一年たな上げになるのだから——前段はありますよ。私どもから言わせるならば、そんなことはない、特例をこしらえて、四十四年度に配付してもいいし、四十三年度の分に加えて出してもいいじゃないかという。事務当局は、それは無理だ、行政上というよりも事務的に無理だというような答弁をするだろうと思います、期間が非常に短いので。しかし、それはそれといたしまして、四十五年度にこれを返すというなら、一応の筋が、あまりはっきり通ったのではないけれども、少し曲がりくねったくらいで、どうせ使えないお金なんだから政府が使ってもいいじゃないかというようなことが一応考えられます。しかし、内容を見てみますと、四十五年度に払わなければ六年か七年に払ってもいいようなことが書いてありますので、そうなってくると、地方の自主財源というものを法律によって曲げて国が取り上げるということはこの際許されないことでありまして、私は、この問題について、委員長をはじめここにおいでになる自民党の各位も、地方自治体の財政をどうするということをお考えになれば、大臣の行為が少し越権だとお考えになると思う。もし私の意見に賛成ができないという人があれば実際はおかしいと思っておるのです。私は、固有の財源ですから、固有の財源であるものを、大臣の一存で配付ができないなんということはあり得べからざることだと思う。だからこの点は、法制局のいまのお話ではありますけれども、ひとつこの際、大臣にあらためて大蔵大臣と折衝し直して、そこを削っておいでなさいということも、非常にむずかしい相談かもしれませんが、実際問題としてはそうしていただかないと、私ども目をつぶって通すわけにいかない。地方の自治体はお金が足りなくて困っておるのだから、そのときに、たな上げするぞ、約束がこうだからといって、大蔵大臣が、いや四十五年度に返さなくてもいいように約束はできておるのだから、三分の一ずつ返すということになると、地方の自治体に申しわけがないのです。この点について法制局の見解は——これ以上時間がありませんので、私は無理には申し上げませんが、先ほどのお話のように、当然これは撤回されて、そのお約束をここでひとつ、大まけにまけても四十五年度には返すというふうに大臣から御答弁が願えれば、私ども納得するというか、法案自身に賛成はいたしませんけれども、そう私は小言を言わなくてもよろしいのじゃないかという気がいたしますが、このままでそこの答弁がないということになると、委員会は三日でも四日でも続けて開いて、大蔵大臣にここへ来てもらって大蔵大臣の意見を聞かないと、なかなかそういうわけにいかぬと思うのですよ。
  110. 野田武夫

    野田国務大臣 門司さんの御意見、よく傾聴しました。私が先ほど申しましたとおり、諸般の事情はもう十分おわかりでございますから、かれこれ説明いたしませんが、地方財政を守るという点においては、私一生懸命やったつもりで、あの六百九十億円は、いま御指摘のとおり、それは特例をつくれば別ですが、四十三年度は使えるが四十四年度はあの金は遊ぶのだということは、これは実際問題です。それから四十四年度は影響がないということを大体確かめまして、それから四十三年度の自然増収も七百数十億だ。その以内ならば一年間遊ぶ、これはいまの御指摘のとおりです。  そこで、先ほどもお答えいたしましたが、私はやはり地方財政の現状を見ますと、どうしても四十五年度で全額加算してもらうということは、私最善の努力をし、これはがんばってこの点の実現をしたい、こう考えております。したがって、分割という場合はこれはまた法律を出さなくてはならぬ問題でございますから、そういう場合はもちろん法律の御審議になるわけですが、私のいまの心がまえは、やはり四十五年度でもって全額加算するように強く折衝するし、また、それを実現させたいという強い腹がまえを持っております。この点で御了承を願いたいと思います。
  111. 門司亮

    ○門司委員 大臣の一応の決意のほどがうかがわれたのでございますが、なお、私としては念のために大蔵大臣にこの点をひとつ聞いておかぬと、大蔵大臣なかなか強いですからね。そういうことで、いまの大臣の決意——決意というよりも、そう言われることが当然でありまして、とにかくけっこうでございます、七年でもけっこうだということを大臣言われるはずがないですから、当然の御答弁をされたと私は考えております。この問題は、ひとつ委員長はじめ皆さん方に、先ほどから申し上げておりますように、ほんとうに考えていただきませんと、こういう実例ができてきて、そして地方の財政が全く政府当局の思うように牛耳られるというようなことになりますと、地方の自治体の自主性も何もなくなってしまうのですね。地方の自治体自治体といいますけれども、行政だとかいろいろなことをいいますけれども、もとはやはり財政ですから、財政がなければどんなにりこうなことを言ったってきれいな町もできませんし、仕事はできないはずであります。地方がたよりにするのは財政なんです。したがって、財政についてはぜひこういう点をほんとうにひとつ配慮してもらいたい。私ども野党でありますから、地方にそれほど大きな責任を負わなくてもいいかもしれませんけれども、しかし地方の自治体実情を見てまいりますと、必ずしもこれでよろしいという——お金はあるのだけれども、それはやれないよということは言えないわけでありまして、四十五年度までたな上げするということは、法律のたてまえ上一応解釈もできますし、どうせ配付できないものは使えない金だから、大蔵省が使ってもいいじゃないかという議論は、一応成り立つかもしれない。しかし四十五年度には必ずこれを全額地方に配付してもらうということを、何らの支障なくやってもらいたいというのでありまして、私が大蔵大臣にぜひひとつ詰めておきたいと思いますことは、大蔵省というのはいろいろなことを言うところでありまして、財政がこれだけ伸びてきたから交付税の税率さえ減らそうなんて考えているところでありますから、取ってしまったらなかなかおいそれと返さぬと思う。この六百九十億をつけてごらんなさい、こんなに伸びてしまうじゃないか、地方の財政が伸び過ぎて、放漫になって、むだ使いをするからというようなわけのわからぬ理屈をつけて、必ずじゃまをするのは火を見るよりも明らかです。このことを私は非常に憂うるのでありまして、いまの大臣のおことばをぜひ実行していただきたい。  これについてはひとつ委員長も、委員長としてこの問題の処理をされるわけでありますから、大蔵大臣等についても、御迷惑ではございましょうが、しかし、委員会としてのというよりも、むしろ大臣の御意向を、御迷惑でも大蔵大臣にひとつ伝えていただきますことを私はお願いをする次第でございます。これは少し筋違いのようではありますけれども、大蔵大臣ここに見えませんので、そういう形でぜひひとつ処置をしてもらいたいということを申し上げまして、あと討論その他があるようでありますが、この点について私はただ大臣の答弁をお聞きしたいというだけであって、決して、納得しているものではございません。こういう悪例を残すということは、地方の自治体に対してはきわめて気の毒なことである、とるべき処置ではないということでありまして、これをまた法制局も、さっきのようなことで、法律さえこしらえれば何でもいいのだということをやられると、法制局弱いかもしれないけれども、こういうものをこしらえてくれと頼まれれば、少しぐらい曲がっておっても、くねっておっても、それに合わせておつくりになるという、職掌柄私はそういうこともあろうと思いますが、私は地方の自治体の問題については、そういうことを少し考えていただきたいことを、ここに強く——私は警告とまでは申し上げませんが、お話しをいたしまして、一応私の質問をこれで終わりますが、ひとつぜひ委員長にも、繰り返して申し上げますが、御配慮を願いたいと思います。
  112. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 承知いたしました。門司委員の意思を、よく自治大臣と協力して大蔵大臣にお伝えすることにいたします。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  113. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより地方交付税法の一部を改正する法律案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  114. 塩川正十郎

    ○塩川委員 私は、自由民主党を代表し、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し賛成するものであります。  今回の法案の内容について主として議論となったところを検討いたしますと、第一に、地方交付税の総額については六百九十億円が減額され、翌年度に繰り越されることとされておりますが、これに対しては、昭和四十三年度の自然増収額のうち六百八十四億円を昭和四十四年度に繰り越しをされているので、本年度の地方財政の運営には支障がなく、また、このような措置は、今後においてはこれを行なわないものとされているので、今回の措置はやむを得ないものと考えます。  第二に、地方行政施設の水準向上については、最近における社会経済の進展に対処するため急を要する問題でありますが、本年度においては過疎過密対策を含め、街づくり、地域開発のための事業の実施に対する財源措置が積極的に講じられておりますので、地方財政の立場から見て適切なる措置であると考えられます。  また、公共用地の先行取得を推進するため、土地開発基金の設置のための財源措置が講じられていますが、公共用地の確保が地方行政のみならず地方財政にとって大きな問題であることを考えるとき、まことに時宜を得た対策であると思うのであります。  さらに、公営企業の経営基盤を強化するため一般会計からの所要の繰り入れを増強していることも適切な措置であると考えます。  しかしながら、街づくり、地域開発の事業を計画的に実施するためには、今後とも一そう財源措置を充実していく必要があると思われますので、今後さらに一そう積極的に所要の措置を講ずるよう希望するものであります。  以上をもって本案に対し賛成の意を表するものであります。
  115. 鹿野彦吉

  116. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案反対いたすものであります。  以下その理由を申し述べます。  まず第一は、地方交付税の総額の特例でございます。この点に関しましては、昭和四十三年度の地方交付税改正の際に論議を尽くしたわけでありますが、四百五十億を国に貸し付けるという特例に対しまして、将来の地方財政の根幹に触れる問題であり、きわめて重要な問題であるとして、その不当を追及いたしたわけでありますが、この点は本年度限りであるという大臣の言明がありましたにもかかわらず、本年度重ねて六百九十億を国に貸し付けるという不当をおかしたのでございます。この点は容認できないところでございます。地方交付税は、本来地方公共団体の地方自治を尊重しながらその財源を確保するたてまえであり、常に地方交付税は地方公共団体の側に立っての論議がなされたのでございますが、昨年、本年と引き続き国に貸し付けるという措置は、国の立場において地方交付税を論議される危険性を大きくはらんでおるわけでございまして、われわれはこの点断じて容認できないのでございます。  第二の理由は、土地開発基金の特例でございます。附則におきまして土地開発基金を設けまして、団体を指定し、またその目的を指定いたしまして、一部の地方自治体配分をするということは、地方交付税法の大きな違法であるとわれわれは考えるものでございます。今日地方公共団体の大部分は、土地の先行取得につきましてその必要性を認めておるわけでございますが、しかしながら、交付税法を侵かしてまで特定の団体に交付するということは、地方交付税の本質を離れ、政策的に地方交付税配分を行なうおそれがあるわけでございまして、われわれは今回の改正の第三項につきましては強くその削除を要求するものでございます。  第三は、地方交付税の補助金的性格化を深めてきたということでございます。今回の改正におきまして、経常経費と投資的経費を明確化いたしまして、動態的に地方自治体の実態を把握し、それに対して財源を付与するという努力をするということは、かりに必要であるといたしましても、今日の道路計画をはじめといたしまして、多くの生産基盤の整備に重点を置き、生活基盤の住民に密着をした施策の充実をはからなければならないときにおきまして、この長期計画にのみ重点を置き、それの財政を保障するという体制を強化してまいりますことは、多くの地方自治体の実態の把握にかえって欠くる点が出てまいるのではないかと考えるものでございます。私どもは、この交付税の性格につきまして、あくまで地方税制の根本的な改革と関連いたしまして、地方自治体の実態に即応する配分につとめなければならないと存じておるのでございます。  第四は、過密過疎対策でございます。過密対策につきましては、自治省の調査によりまして、当面人口の急増地帯につきましては今後三カ年にその必要とする公共事業の充実に交付税改正によりまして措置することが可能になっておるのでございますけれども、過疎地帯につきましては、将来の圏域行政を拡充することによりましてそれらの問題を根本的に解決をつけるという考え方に立ちまして、十分なる配慮がなされていないわけでございます。今日、政府の怠慢による医療保障の抜本的改正のごときもいまだ解決を見ていないのでございます。今日過疎地帯における自治体がその医療機関並びに国民健康保険の実施につきまして非常に苦慮しておる点等も、今回の過疎対策では解決を見ていないわけでありまして、本年度におきましては、過疎対策の財源配分につきまして傾斜配分を強化しなければならないと存じておるわけでありますが、これらも全く不十分な措置しかなされていないのでございます。  第五に、公営企業でございますが、この点につきましても毎年論議をされておるわけでありますが、多くの地方公営企業は公益性と独立採算制のワクの中でその運営に苦慮し、赤字は逐年増加をしておるわけであります。これらについて抜本的な改正の糸口を見出すということは緊急のことでございます。いたずらに公営企業に従事する公務員に対しまして、賃金の上昇を抑圧するということのみでは解決を見ない、この重要な問題につきまして十分な配慮がなされていないわけであります。  第六に、行政簡素化に関連いたしまして、本来都道府県警察であるべき警察官の増員につきましては、国の施策によりまして十分な配慮がなされておるわけであります。一方、他の地域住民に密接をすべき職員につきましては、国の方針と同一基調のもとに地方公務員の削減を強化してまいっておるわけであります。したがって、必要な保健婦その他の職員につきましても、画一にその人員の削減の措置がとられておるわけでありまして、これらにつきましては、地域住民の社会福祉のために十分配慮すべきであったにもかかわらず、その措置が講ぜられていないのでございます。  以上、おもな点につきまして反対の理由を申し上げましたが、今回の地方交付税法の一部改正は、真に地方自治体の希望する線に沿った改正がなされていないということは明瞭でありますので、強く反対をいたすものでございます。
  117. 鹿野彦吉

  118. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案について、反対の討論をいたします。  本年度の地方交付税法の一部改正に関連をいたしまして最も大きな問題となっておりますのは、自治大臣と大蔵大臣との間にかわされました覚書に基づいて、昨年度に引き続き、昭和四十三年度の交付税の自然増収の中から六百九十億円を昭和四十四年度国の財源として使用する措置がとられていることであります。この問題は、国の財政の硬直化の打開策と、これに関連しての地方財政好転論から出たものでございますが、地方自治の確立と地方住民の福祉の向上、特に社会経済の激動する情勢の中にあって、新しい方向を模索しつつある地方自治体立場からいたしまして、私どもは地方交付税についてのこのような措置に対しまして全面的に反対せざるを得ないのであります。  覚書によりますと、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討することを条件として、三二%の交付税率を当分の間これを固定し、今後このような措置を避けることとされたのでありますが、都市化の進行の中で過密の進行はきわめて多額の財政需要を発生させ、一方、過疎は過疎を生んで、これまた特殊の財政需要を生んでおる事態からいたしますと、今日地方の財源をより一そう充実させなければならない時期にあると申すべきであります。私どもはかねて、このような社会経済の激動に伴う地方行財政の根本的な改革を主張しているのでありますが、現段階におきましても、地方固有の財源を国に貸し付けることの不当はもちろん、あるいは交付税率の固定化が、将来の景気の動向によっては、むしろ地方の財源を充実すべきであるという今後の事態に憂慮すべき禍根を残すものといわざるを得ないのであります。したがって、交付税制度そのものにつきましても、地方税制を含む地方財政制度全般について検討すべき転機にきていると思うのであります。  第一に、現在の交付税制度は、その基本的な性格におきましても、すでに財政調整的機能を果たすべきものから財源保障的な機能を果たすべきもの、こういうふうに変わってきていることであります。したがって、第二には、それはより動態的に地方行政の現実に即応すべきものとならなければならないのであります。もちろん今回の改正におきましても一応の改善は見られるとは申しますものの、あまりにも繁雑かつ細部にわたり過ぎて、かえって重点的な効率化を阻害するものとなっているのであります。第三に、このことは地方自治の本旨に即した特色のある地方行政、特色のある街づくりに取り組むべき地方自治体の本来のあり方をむしろためてしまって、いわゆる中央集権的な地方行政への移行の道をつくる結果となっております。第四に、すべての施策をその経済性を重視するのあまり、人間性疎外の地方行政を押しつけることとなり、特に第五に、交付税制度で最も配慮されなければならない過疎対策につきまして、真にその根源に触れる対策となり得ないこととなっているのであります。  私どもは、これらの諸点につきまして、地方財政制度の根本的な改革の中で、地方交付税制度の再検討を行ない、激動しつつある地方自治体の実態とその将来に即応したものとしての抜本的な改善を心から期待いたすものであります。  私どもは、このような趣旨からいたしまして、今回の地方交付税法の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたすものであります。
  119. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は小濱新次君。
  120. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、公明党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対して、反対意見を表明するものであります。  その第一の理由は、地方交付税から国の一般会計へ六百九十億円貸し付けたことであります。この貸し付けは四十三年度限りであると言明しながら、本年度またしても政府は約束に反する同様な措置をとったことは、まことに遺憾であり、国民の不信を招くものであります。しかも、地方財政は四苦八苦しております。また、借金によりかろうじてささえられているにすぎず、決して地方財政は楽になっていないのが実情であります。その上、やらねばならぬ緊急事業は山積しております。その二、三の例をあげれば、市町村道の改良及び舗装にしても、下水道施設、ごみの処理等、いずれも地方公共団体の公共施設水準はきわめて劣悪な状態であります。したがって、地域住民の生活基盤の整備促進についての要望を満たすには、あまりにもほど遠い感じを受けるのであります。このような観点からすれば、今回の貸し付け措置は全く納得がいかないのであります。  第二の理由は過密対策であります。都市、特に大都市になるに従い、その流入人口は年々増加の一途をたどり、もはや過密の限界に達しているのであります。本来財源の豊かな指定都市ですら、膨大な財政需要に対応できなくなり、全部地方交付税の交付団体に転落している状態であります。しかるに、四十四年度における政府の税制改正も、わずかに地方道路譲与税の配分基準の改正に終わっているのであります。このようなこそくな手段だけではまさに焼け石に水であります。政府はすみやかに過密対策の財政需要に対して、都市、特に大都市の財源対策をはかるべきであると思うのであります。  第三の理由は、公害対策であります。最近特に産業の集中及び交通の混雑による都市公害が顕著になっております。公害立法も促進されているが、住民の悩みは一そう深くなり、市町村は公害対策にほとんど対処できずに困っている現状であります。政府は公害対策費について独立の項目を設け、実情に沿った補正を行なう等、積極的にその財源対策につとめるべきであると思うのであります。  第四は、都市の中小河川対策についてであります。爆発的に進行する土地の開発、都市化の波は、ここを流域とする各河川に洪水時の流量の増加、沿川の過密化に伴う被害の増大等の問題を引き起こし、これら都市河川の改修促進が声を大にして叫ばれている現状であります。また、人口密度の高い流域を流れる河川の浄化対策は、都市環境整備の一環としてその必要性が一そう痛感されているのであります。しかるに地方交付税の都市の中小河川改修等の経費については、水流の延長が短いにもかかわらず流域の人口は非常に多く、単位当たりの改修費が高くなっているのです。人口密度による補正を考える等、政府は積極的にこれが事業費対策を講ずべきであると思うのであります。  第五は過疎対策であります。過疎といわれる地域では、年々人口減少によりバス路線の廃止、学校統合に伴う寄宿舎あるいはスクールバスの問題、また医療に関しては、医者の不足と国民健康保険の赤字、さらには消防団の不足と、それに伴い婦人も動員されるところも発生しております。そして、年々村はさびれていく一方であります。しかるに、今回の交付税改正で幾ぶん財源措置はされているが、これでは焼け石に水で、抜本的に過疎振興の総合立法を行なうとともに、過疎地域に対しては交付税の思い切った傾斜配分等を行なうべきであります。  第六は、市町村道についてであります。国の道路五カ年計画の発表により、市町村道においても重点が置かれ、これに伴って地方負担も増大するので、交付税において市町村道の単独事業等についての補正を行なうなどして、十分な財政措置を講ずべきであると思うのであります。  第七は、土地取得に要する財政需要についてであります。土地開発基金等の設置について、地方団体が所要財源の一部を基準財政需要額に算入するため、昭和四十四年度において臨時措置として設けるとありますが、算入の対象となる地方団体は、先行取得の必要性から、臨時措置ではなく長期的に財源対策を講じ、総合的かつ効果的な運用により、事業の積極的な推進をはかるべきであると思うのであります。  その第八は、基地所在市町村の財源対策についてであります。御承知のとおり、基地所在市町村の財政需要は最近特に多くなっております。しかるに、現在の基地交付金の対象資産から、ドル資産並びに米軍及び自衛隊の資産の一部が除かれ、また、米軍人等についての自動車税は特例措置で大幅に減額されるなど、きわめて不合理な実情にあります。政府はすみやかに、基地所在市町村の財政需要を的確に把握して、基地交付金及び交付税において十分な財源措置を行なうべきであります。  その他、現下の地方公営企業の抜本的な再建対策について、昨年附帯決議が付されたにかかわらず、ほとんど見るべき対策が現在のところないのであります。  以上の点につき、政府原案ではきわめて不十分でありますので、公明党は今回の地方交付税法の一部を改正する法律案に対して反対するものであります。
  121. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は林百郎君。
  122. 林百郎

    林委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案反対の討論をいたします。  第一に、これは各野党委員がすでに触れておる点でありますけれども、このたび、国は、昭和四十三年度に引き続いて、四十四年度においても、地方交付税六百九十億を借り受け、これを四十五年度に返済する、ただし地方財政の事情によっては、四十六、四十七年度までに分割返済するということについてであります。この点であります。  現在、地方団体の公共施設や事業の水準は、自治省が発表したところによっても、市町村道の改良率は二二・一%、舗装率は実に四・五%という状態であります。また、下水道の普及率は人口集中地区面積の二四%、し尿処理の四〇%は海洋投棄、その他の公営住宅、保育所等の施設は、住民の要求に大きくかけ離れたものであります。たとえば市町村道の改良率、舗装率をともにかりに五〇%まで高めるにしましても、現在の事業量で見ますと、七十年から八十年もかかるという状態であります。このような現状は、いささかも地方財政富裕論が成り立つ余地のないことを明らかに示しております。  それにもかかわらず、今回再び六百九十億を国に貸したという事実は、これがどういう形にしろ、国のいう地方財政好転論を事実上自治大臣が認めたことであります。また、地方団体固有の財源である地方交付税を、国の都合で減額調整をするというものであって、これは地方交付税制度の原則を一方的に踏みにじったものであります。しかも地方交付税法に定められた自治大臣の権限を明らかに踏みはずして取りかわした大蔵大臣との覚書の第一項の中で、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討すると約束しております。また、特別会計を設けて地方財政の長期的、計画的な運営をはかることも必要であるということを自治大臣が本委員会において答弁しておるところを見ましても、地方交付税が地方団体固有の財源であるという従来の基本的立場をくずしておるといって差しつかえないと思います。現行の地方交付税制度は、言うまでもなく地方団体固有の財源であって、これを自治大臣と大蔵大臣の覚書でこの基本的な立場をくずすわけにはいかないのであります。このたびの改正は、この現行の地方交付税制度を根本的に変質させ、国の財政に従属させる道を一そう大きく切り開いたものといわざるを得ません。これが反対の第一の理由であります。  第二に、基準財政需要額の算定が、都市化に伴います基盤整備事業や、いわゆる総合農政による農業基盤整備事業等、国の施策にあわせまして重点的に算定されている点であります。また、費目ごとの基準財政需要額について、それを経常的経費と投資的経費の区分を明らかにするということによって、一般財源であるべき地方交付税に対して、すでに財政運営の指標を示すものとしての国からのひもつきの役割りを高め、地方団体の財政運営に対する政府の干渉を一そう強めようとすることであります。たとえば都市計画費の単位費用は、昭和四十三年度に比べて四〇・四%の増になっているにもかかわらず、住民の生活に直接影響を与える衛生費はわずか一〇・七%の増にすぎません。しかも、この都市計画費の投資的経費をさらに見ますと、四十三年度に比べまして投資的経費は五三%の増となっております。このように投資的経費に重点が置かれております。また、その他土木費でも街路事業費、土地区画整理事業費、流域下水道事業費、農業行政費で農業基盤整備事業、あるいは林野行政費において治山造林事業等、その他都市計画費等に事業費補正を適用しておるのであります。これらのことを見ますと、すでに港湾、道路などの国の事業計画による直轄事業、その他補助を伴う事業に対する地方団体の負担分を基準財政需要額の中に算入して事業費補正を行なって、幹線道路等、いわゆる産業基盤の強化という国の施策に合わせて地方財政が運営されるように仕組まれておるわけであります。そうして、一般財源であるべき地方交付税も、間接的に支出に条件がつけられ、単独事業を地方自治体が独自で行なう余裕はほとんどなくなっておるような状態であります。  今回の改正は、単独事業を伸ばすということが一応言われておりますけれども、事実を見ますと、新都市計画法、都市再開発法、農地法改正等による都市過密化に伴う大企業の市場支配の矛盾を解決するための新たな国土開発あるいは都市再開発の要請にこたえるために、地方財政をこれに奉仕する方向へ重点的な方針が置かれておるわけであります。同時に、地方財政運営の指標としての役割りを高めるといって、経常的経費と投資的経費を区分して、有形、無形の政府の干渉を強めようとしておるわけであります。この運営によっては、一般財源としての地方交付税が事実上、補助金等国庫支出金的な性格をますます濃厚にし、その方向に変質されておると言って過言でないと思います。こういう意味で、本来地方自治体の独自の運用にまかされるべき交付税が、このように国庫支出金的な性格に変質されるという点で、これは地方自治に対する重大な干渉であるという意味で、私たちは第二にこの法案反対するわけであります。  第三に、土地開発基金でありますが、土地開発基金は、都道府県、指定都市、人口十万人以上の市及び都市周辺の特定の市町村を対象として、その財源は、地方交付税需要額に算入するものでありますが、これはすでに述べましたとおり、新都市計画法に基づく土地基金制度に対する財源的な措置でありまして、これは大企業に奉仕するための街づくりと大規模開発事業に利益をもたらす事業に地方団体を奉仕させようとするものであります。さらに、重要な問題は、地方団体固有の財源であり、一般財源である地方交付税の使途にあらかじめひもをつけ、政府の干渉を一段と強めることを示すものであります。このことは、財政の健全化と称して留保資金あるいは地方公務員労働者の給与改定費、あるいは国鉄納付金二十五億円の減額措置等々とともに、あらかじめ使途についてひもをつけているということと同じでありまして、これは明らかに国の都市開発、国の都市計画、これに仕えるための財源的な措置であるということを、同じく土地開発基金についても言うことができると思います。一連のこれらの事実は、明らかに地方自治体の固有の財源であるべき交付税に、重大な中央からの制限が加えられていると言って差しつかえないと思います。  以上、明らかにしましたように、今回の地方交付税法改正が、政府のいう街づくり、地域づくりの政策を地方交付税の中に組み入れて、地方団体固有の財源に対する政府の干渉を一そう強めるとともに、まさに地域住民の負担で街づくり、地域づくりを進めようとするものであります。  このことは、四十四年度の地方財政計画を見れば一そう明らかになります。たとえば、歳出の構成を見ますと、投資的経費が最大の三七%を占めて、金額にして実に二兆四千五百三十億円を計上しております。その内訳を見ますと、国庫補助を伴う公共事業から単独事業に、特に市町村道と下水道事業に重点が置かれております。これは、一つには地方財政好転説と、いわゆる地域づくりの宣伝で、国庫補助事業の整理と合理化をはかることであり、もう一つは、高度成長政策による地域経済社会の激しい変化による矛盾によってやらなければならなくなっておる事業を、政府のひもつきによって政府干渉を強めながら、市町村の自前でやらせようとするものであります。特別事業費の前年度比五一・六%の伸びはこのことを示しておると思います。したがって、市町村道の改良、舗装にしても、これは幹線道との連絡に重点が置かれ、市町村民が真に要求している独自の道路の改修等が実現する保障は全くないようなわけであります。一方、それに反して人件費と一般行政費とは圧縮され、他方、警察職員は五千名も増員しながら、一般職員のほうを見ますと、定員の合理化で約八千三百名の削減を計画しております。行政需要増による自然増を差し引いても実質四千五百名の削減を一般職員には行ない、警察官の増員を一方では計画しておるわけであります。このように、定年制の法制化がすでに財政の面からもはっきりと出てきておると思うわけであります。  結局、政府は、いわゆる街づくり、地域づくりを推進するために、地方団体固有の財源である地方交付税に土地開発基金等のひもをつけ、また、財政運営の指標を示すと称して投資的経費、経常的経費との区分をつけて、有形無形の政府干渉を強め、地方交付税制度を国庫支出金的な性質に変えようとしておるわけであります。このような意図を持った地方交付税の国庫支出金化をはかる本法案に対しては、わが党は賛成できない次第であります。  最後に、地方団体の財政自主権を確立し、われわれは地方交付税が地方団体固有の財源であることを保障するとともに、地方団体が地域住民の要求に即応した行政需要にこたえる財政需要額の適正な算定を自主的に行なうことを基本とする地方交付税制度の地域住民の要求にこたえ、地方自治体の固有の財源としての地方交付税制度の民主化を要求いたしまして、私の反対討論を終わります。
  123. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  124. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  125. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、保岡武久君、山口鶴男君、折小野良一君及び小濱新次君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。保岡武久君。
  126. 保岡武久

    ○保岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表し、地方交付税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方財政の現状にかんがみ、左の諸点に留意すべきである。  一 地方交付税の年度間調整が行なわれる場合は、地方自治の本旨にのつとり、地方公共団体の自主的運営がそこなわれないよう配慮すること。  二 地方交付税制度の趣旨にてらし、過疎地域に対しては、地方交付税配分等を通じてその財政措置を一層強化すること。  三 公害対策の現状にかんがみ、地方公共団体が行なうべき事項についての財政需要を地方交付税に十分反映するよう検討すること。  四 土地取得に要する財政需要については、臨時措置でなく長期的な財源対策の確立に努めるとともに、条件をつけその使途を制限するような指導を行なわないこと。  五 地方債については、政府資金の充実をはかるとともに、地方公営企業における国庫補助制度を拡充し、借換債を拡大するほか、公営企業金融公庫については、出資金を大幅に増額する等その機能の充実強化に努めること。 右決議する。  以上であります。何とぞ皆さまの御賛同をお願いいたします。
  127. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  128. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立総員。よって、保岡武久君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。野田自治大臣。
  129. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して善処いたします。     —————————————
  130. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  132. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕