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1969-04-18 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十八日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       加藤 六月君    桂木 鉄夫君       斎藤 寿夫君    塚田  徹君       渡海元三郎君    永山 忠則君       村上  勇君    山口 敏夫君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         警察庁長官官房         会計課長    渡部 正郎君         警察庁交通局長 久保 卓也君         警察庁警備局長 川島 広守君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         運輸大臣官房参         事官      水野節比古君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     宇津木 巌君         運輸省自動車局         業務部長    渋谷 正敏君         建設省道路局路         政課長     小林 幸雄君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省財政局公         営企業第一課長 小田 恵堆君     ————————————— 四月十八日  委員赤澤正道君、奧野誠亮君、亀山孝一君、吉  川久衛君及び野口忠夫辞任につき、その補欠  として山口敏夫君、塚田徹君、加藤六月渡海  元三郎君及び安井吉典君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員加藤六月君、塚田徹君、渡海元三郎君、山  口敏夫君及び安井吉典辞任につき、その補欠  として亀山孝一君、奧野誠亮君、吉川久衛君、  赤澤正道君及び野口忠夫君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 四月十八日  首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三三号)(参議  院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 政府にお尋ねしたいのであります。  地方交付税の審議をしておるわけですが、地方交付税基本的な性格についてはもうすでに本国会でも本委員会でいろいろ議論されておるのでありますけれども、もう一度承りたいと思います。
  4. 細郷道一

    細郷政府委員 地方交付税は、地方団体が自主的に事務を処理するための、あるいは行政を執行するための財源保障し、そうして各地方団体間の自主財源均衡化をはかる、こういう使命をもって設けられておる制度であります。
  5. 河上民雄

    河上委員 いまの局長お話では、目的といいますか、柱は二つあるようでありますけれども、そのうちどちらに重きを置くというふうにお考えになっておられますか。
  6. 細郷道一

    細郷政府委員 どちらということもなく、二つ一体でありましょうが、その基本を流れますものは、地方団体独立性を尊重するというのが基本にあるわけであります。それの具体的な方法等は、保障をしながら均衡化をはかっていく、こういうことだろうと思います。
  7. 河上民雄

    河上委員 先般、山本議員との質疑応答の中で、どちらかといえば調整機能よりも計画的な運営の保障機能のほうを重視されているような印象を受ける御発言があったわけでございますが、ほぼそう受け取ってよろしゅうございますか。
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう考え方でございます。
  9. 河上民雄

    河上委員 そこで、私ども受ける感じでございますけれども、この地方交付税という制度が発足した当初は、どちらかといえば調整機能重きを置いておったのが、最近は、両者の調和をはかりつつということもあろうと思いますけれども保障機能のほうにやや傾斜してきているというような感じがするのであります。そこでこれは、平衡交付金制度から交付税に移行した直後、これについてどういう議論がなされていたかということを少し顧みてみたいと思うのであります。  昭和三十年の七月でありますけれども、第二十二国会衆議院地方行政委員会会議録を見ますと、次のような議論が行なわれておるのであります。それは門司亮委員後藤博政府委員との間にかわされた討論であります。門司委員は、いまは民社党ですけれども、このときは社会党でおられたわけです。自治省のほうもまだそのときは総理府自治庁であったようでございます。参考のためにいまこれをちょっと読んでみたいと思います。門司委員交付税性格について質問したのに対して、後藤政府委員は、「私ども交付税地方団体独立財源であるが、地方税よりも独立性の薄いところの独立財源である。同時にそれは調整財源であるという考え方をしております。交付金と違います点は、交付金は毎年度の財政計画基礎にいたしまして、調整をする調整財源である。ところが交付税は長期にわたって調整をするところの性格を持ったものである、こういうふうに考えております。」これに対して門司委員が、「性格がきわめてあいまいでありますが、問題は地方財政に及ぼす影響がきわめて重大でありますので、その辺の性格を私ははっきりしておきたいと思う。今の御答弁だと、調整財源であるというような考え方の方が強いようであります。」こういうふうに聞いておられるのであります。それに対して後藤政府委員は、「本質は今申しましたように独立財源であるが、地方税よりも自主性が薄いところの独立財源である、こういうように考えております。ただ機能調整財源的な機能を主としてやる、こういう点で機能調整財源的なものでありますから、その機能の面で不合理な点を直していくというのが交付税法の改正としては出ておるわけであります。」云々と書いてありまして、機能は、調整財源的な機能を主としてするということがはっきりと述べられておるのでございます。どうも交付税が発足した直後の議論というものを顧みますと、いま局長があげられた二つ機能のうち、別々に明瞭に分けられるものではないかもしれませんけれども調整機能のほうに重点を置いたものであるというような御答弁がありますが、その後年月の経過とともに変わったのか、あるいは細郷局長自身のそういうお考えであるのか、その点をお伺いしたい。
  10. 細郷道一

    細郷政府委員 調整財源ということば意味にもよると思います。財源調整ということばをどういうふうに使うか、税の自主財源である独立税の少ないところによけいにいく、多いところにはやらない、こういう意味調整というならば、これは、私はいまも昔もちっとも変わっていないと思います。私どもが申しますのは、自主財源がないところによけい交付税がいく、これはあたりまえのことだと思っております。その際に、どの程度まで自主財源交付税とを加えて行政水準保障するかというところが、一つ問題があるんだろうと思うのでございます。御承知のように、交付金の前には配付税制度時代がございました。配付税制度時代には、税金が、独立財源が多いところには反比例をし、そこの需要の多いところには正比例をするという両方の要素を使って、いまからいえば非常に荒っぽい配分のしかたをいたしました。したがいまして、当時は東京とか大阪とかいう、いまでいう不交付団体に当たるようなところにも配付税が行ったわけでございます。しかし平衡交付金以後は、地方団体財源を与える場合に、どういう程度に与えるかということを目途に、行政費目ごと計算をして、その額まで自主財源がないところには交付税がいくんだ、その結果は当然、その保障の度合いは、税金が少ないところには行政水準が低くていいというのではなくして、ここにも行政水準をよそ並みに確保しようというやり方保障という線が非常に強く出てまいったわけであります。したがいまして、保障財源調整財源か、どちらかに一義的に割り切るのは、私はこの制度の趣旨からして適当でないんじゃなかろうか、そういう意味先ほど来申し上げておるわけでございますが、その財源調整をし、あるいは保障をするにあたっては、まず保障をどこまでするかということの結果、財源調整機能を果たしていく、こういう考え方でございまして、私はそう当時と変わっていないと考えます。
  11. 河上民雄

    河上委員 変わっていないというように言われたのですけれども、明らかにトーンというものは変わってきておるというふうに思わざるを得ない。一義的に分けることはできないという点では、私も同意見でありますけれども、明らかに昭和三十年の議事録と、昭和四十四年の議事録との間には、政府答弁トーンというものはずいぶん変わってきておるということは否定できないんじゃないかと思うのです。いま細郷局長は、荒っぽく配付するのではなくて、精緻な基準に基づいて交付税算定基準をきめていくんだ、こういうようなところに交付税法一つの特色があるというふうに強調されたのでありますけれども、精緻なという話は、先年来よくここで出てくるのでありますけれども、精緻なわりに、六百九十億くらいあっちへいったり、こっちへいったり、かなり荒っぽく大きな金が動いておるのは事実だと思うのです。精緻なというお話でありますけれども、最近の傾向としては、交付税というものが地方自治体にとっては、かなり補助金的な性格を持ってきておるように受け取られておるのでありまして、私はこういう際、あらためて初心に返るべきじゃないかというように感ずるのであります。平衡交付金のときは、東京のようなところも受けておったというようなことを言われまして、交付税法体系のもとにおける違った姿を強調されようとされたのでありますが、一体現在、都道府県の中で、不交付団体はどのくらいでありますか。また市町村それぞれについて、あらためて数字を教えていただきたい。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度で、府県東京都を加えまして四つ、市町村が特別区を除いて百二十三団体でございます。
  13. 河上民雄

    河上委員 私の調べたところによりますと、昭和四十三年度は不交付団体が四で、市町村のうち、大都市は一しかありません。ほかは全部交付団体になっております。都市は五百五十八のうち、不交付団体は六十しかございません。町村は二千七百三十四のうち五十三しかないのであります。大都市のほとんどが、東京を除いて全部交付団体であるという姿は、先ほど言われたことばとは実態がだいぶずれているんじゃないか、別に不交付団体が多いというように言われたわけではありませんけれども大都市さえ交付税法の対象になっておるというこの姿は、やはり健全ではないというようにお考えでございましょうか。
  14. 細郷道一

    細郷政府委員 大都市が不交付でないのは健全でない、これもまた一義的にきめられない問題だろうと思います。私ども将来を考えてみますれば、やはり自治体の中心は市町村、特に都市であるということから、都市相当数が不交付になるような財政構造を持つことが、私は将来として望ましいのではないかという気持ちは持っております。持っておりますが、現行制度のもとで、大都市交付になったから直ちに非常に不健全だというわけにはいかないのではなかろうか、と申しますことは、やはり社会経済動きに応じまして、大都市に住んでいた人が周辺都市に住むようになるといったような状況もございますし、大都市にはもう工場ができなくなって、周辺にできるようになるといったような状況がございますので、それに応じてむしろ交付税制度は非常に機動的に動いていく、こういうふうに見ております。もちろん、そういった税制がいいかどうか、こういう議論になれば、これは財政構造基本の問題でございますから、私はこれについては十分議論余地があるというふうに思います。
  15. 河上民雄

    河上委員 それでは大臣にお伺いいたしますけれども、六大都市というか、東京を入れまして七大都市考えまして、それが東京を除いて全部交付団体であるというような姿は、できるだけ避けたほうがいいというふうにお考えになりませんですか。すでになってしまったことはしようがないとして、今後やはりこういうことはあまり望ましい姿ではないとお考えになりませんですか。
  16. 野田武夫

    野田国務大臣 いま御指摘のとおり、大都市交付団体、これはできるならば、各団体が自主的な財源を持ってその行政水準を上げることができれば一番理想的と思いますけれども実情は必ずしもそれに沿うておりません。その場合にはまた交付税機能というものはそういうところへ働かしてもいいし、それは究極の理想はやはり自主的の財源を確立していくということでございますが、なかなか困難なことでございますから、一つ一つ団体の内容を分析してまいりますと、交付団体現状、必ずしも適合しないものもあると思っております。そこは一般論としては、おのおのの自主的の財源があって、きちんと自分でやっていけば、これは一番理想的ですが、やはり一つ実情を把握して検討すべきものじゃないか、こう思っております。
  17. 河上民雄

    河上委員 それでは、交付税法が実施されたのは昭和二十九年でございましょうか、実際には三十年ごろから軌道に乗ったと考えてみたいと思うのですけれども昭和三十年度を一つの例にとって考えてみますると、都道府県四十六のうち不交付団体は三、ところが大都市の場合は、六あるうち五までは不交付団体である。つまり、交付団体はわずか一にすぎなかった。それから都市になりますと、四百八十三のうち不交付団体は九十六、約二〇%になるわけです。町村の場合は四千七百十六のうち、不交付団体が二百五十九ございます。それと四十三年度の現状とを比較しますと、全体として不交付団体が減ってきておる。大都市の場合は一番顕著でございまして、七のうち不交付団体一つしかない。これは東京を入れますのでちょっとあれでございますが、それから都市の場合について考えてみましても、五百五十八のうち不交付団体は六十でありまして、パーセンテージでいいますと大体一〇%にしかならない。昭和三十年のときは不交付団体は二〇%ありましたものが、四十三年度は一〇%にダウンしておる、こういうような数字を示しておる。さらに町村になりますと二千七百三十四のうち不交付団体は五十三しかない。ほとんどがもう交付団体になってしまっておる。こういう場合、不交付から交付団体になるということを、交付団体へ転落するという表現がよく使われるのでありますが、この表現が適当であるかどうか、また議論がありましょうけれども、しかし地方交付税が実施されて十三年間にこういうような傾向があらわれているという事実は、やはりこれは非常に大きな問題ではないかと、こう思うのでございます。地方交付税あるいは地方税全体の体制の上に一つの欠陥がある結果ではないか、こういうふうに推測せざるを得ないのでありますけれども大臣の御見解を承りたいと思います。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 かつて不交付であったものが交付になるという傾向がある、それに対してどうなのかということがお話の骨子かと思います。先ほど調整保障かといった問題がございましたが、私は、やはり財政需要に対する財源充足状況によって少しずつそこにニュアンスが動いてくるのではないか、かつての時代義務費をまかなうに財源が足りるか足りないかといった時代には、保障においよりもむしろ調整においが強かった、それがだんだん充足状況が改善されてまいりまして、これは日本経済の発展の結果だと思いますが、改善されることによって保障する限度がだんだん上がってきた、義務的な経費以外に投資的経費についても保障をしていこうということから、保障のほうが強く見えるようになってきた、こういった問題があろうと思うのでございます。同様に、それは裏から申せば、従来は保障しておりました経費が非常に義務的なものに限られておったのが、だんだん他の投資的な住民のための行政事業にも保障をしてくるようになったために、交付団体になってきた。税制自体が動いておれば別問題でございましょうけれども税制が同じ体系のもとでございますと、そういうふうな動きをしておるのではなかろうか。したがいまして、先ほども申し上げましたように、将来望ましい財源構成をどうしたらいいかということについては、私は検討の余地があると思います。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席〕 特に大都市なんかの問題は、単に大都市税財政対策をどうするかということ以外に、いわゆる大都市問題というものは何であろうか、広域化要請もございますし、権限の集中化要請もございましょうし、そういったような広い角度で検討する必要があるのじゃないか。したがいまして、現行制度のもとで不交付団体交付団体になることは、必ずしも私はいまの税財政制度の運用を誤っているということではないだろうと思うのであります。しかし、大都市等の問題については、いま申し上げますように、いろいろないわゆる大都市問題というのをかかえおりますので、この問題については、私ども地方制度調査会等で今後引き続いて真剣な御討議をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
  19. 河上民雄

    河上委員 この問題は非常に重要で、抽象的な議論のように見えて、実は長い時間的なものさしで考えますと、地方自治の将来にとって非常に重要な意味合いを持っていることだと思うのであります。いま局長は、義務的経費を見るだけではなくて、地方交付税としては投資的な経費も見るようになってきたことが、当初議論いたしました調整機能保障機能かという問題について、どうも最近の政府保障機能のほうに力点を置いているのではないかという私の最初の疑問に対する一つ説明をされたように受け取ったわけであります。細郷局長自身、やはり政府保障機能のほうに重点を移してきている、少なくともそちらにいままでよりも重点を置くようになったということを認められたように受け取ったのでありますが、そうなってきた説明として、いまそういうふうに言われたのではないかと思うのであります。  そこでちょっと伺いますけれども、最近交付税体系の中に、もう三、四年前かあるいは四、五年くらい前からだと思いますけれども事業費補正というような考え方がかなり出てきているように思うのであります。これが時代要請にこたえたものであるか、それとも地方交付税本質をゆがめる一つのファクターになっていくのかということは非常に重要な問題じゃないか、こう思うのであります。一体事業費補正というのはどういう観点からなされているのか、また、その実態を二、三の例で示していただきたいと思います。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 たとえば道路財政需要に対しては、道路面積でありますとか延長でありますとかいうものを基礎にいたしまして需要測定をいたします。主として経常経費面積、それから投資的経費延長によって測定をいたします。その測定をいたすにあたりましては、全体としてどれくらいの水準に引き上げるには幾ら要るかということを頭に置いて単位費用をつくるわけであります。ところが、現実行政はどういうふうになっておるかといいますと、たとえば大規模公共事業がある団体にきた。そうしたときに、その裏負担をまかなうのに、いま申し上げました道路費需要額だけではとてもまかなえない。まかなえない部分は、じゃ地方債にたよるかというのが実は従来の考え方であります。地方債でやったらいい。償還は長いことかかってやる。しかし、財源充足状況がだんだん上がってまいります際には、あえて地方債によらないで、その年の一般財源でこれをまかなう方法があるのじゃないか。そこで公共事業地方負担額と、その地方負担の額がそこの道路財政需要額をこえる部分、要するに大規模公共事業を引き受けてきた分については、そのこえる部分について事業費補正という形で需要を上積みをしていく、こういうやり方をとっておるのでございます。交付税というものを非常に冷たく見て、ある尺度で計算をして、もう地方団体全部に、この中であなた自分でまかないなさいというのも一つの行き方だと思っております。私は将来、だいぶ先のことでございましょうけれども、そういった行き方で税制もよくなって、都市の半分ぐらいが不交付団体になるというふうな状態のときには、私はそれでもいいんじゃないかと思っております。しかし現実には国民の税負担の関係もございまして、なかなかそうまいりません。そういたしますと、公共事業をやりたくても自分のところでかかえ切れないので、大きな仕事をみすみすのがす、それは開発をおくらすことになるという団体に対して、そこを助けていって、そうして仕事ができるようにしたらどうだろうかという考え方から、事業費補正というものを取り入れたわけでございます。したがって事業費補正を入れると、いかにも補助金追随じゃないか、あるいはあまりにも実態を追っかけ過ぎて理想がないじゃないか、いろいろな御批判があるだろうと思うのであります。私はやはり財源充足状況によって、少しずつそういう点を直していきながら実態を見ていくということが必要ではなかろうか、こういう考え方事業費補正をやっておるわけであります。
  21. 河上民雄

    河上委員 それでは、地方交付税の中で占める事業費補正というのは、たいへんあたたかい行政であるというような一面を持っているようなことになりまして、もしそれがほんとうであるならば、たいへんけっこうなことであると思うのでありますけれども、この事業費補正というのは全体で大体どのくらい見込んでおるのか、伺いたいと思います。
  22. 横手正

    横手説明員 昭和四十四年度の見込み額は、道府県分においておおむね七百億、市町村分において約六百四十億考えております。
  23. 河上民雄

    河上委員 それでは、そのうち、先ほど規模公共事業というようなことばが出てまいりましたけれども、国の事業に対する、いわば俗に言えば協力という部分と、単独事業費に対する補正部分とのおおむねの割合を教えていただけますか。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げた数字のうちで、河川、港湾道路それから下水といったようなものが大きな金額を占めております。これらには補助単独の区分が、ちょっといま決しかねておりますが、両方入っております。比較的単独の多いのは、下水あるいは清掃といったような事業単独のウエートが高いということでございます。
  25. 河上民雄

    河上委員 それはちょっと数字は出せませんか。技術的に不可能なんですか。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり公共事業配分と個所づけがきまりませんと、公共事業分について出てまいりませんものですから、いまの段階では全体をくるめた見込み数字を申し上げたわけであります。
  27. 河上民雄

    河上委員 それじゃ最近の例でもわかりませんですか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 事業費補正の適用は、今回わりに大幅に広げたわけでありまして、従来は府県のほうの道路に一番最初に始めたものであります。道路につきましては、これは大部分補助事業でございます。ことしの見込みで申しますと、道路橋梁費府県分が百七十五億考えておりますが、これはおそらくほとんどが補助事業あるいは直轄事業になると思います。
  29. 河上民雄

    河上委員 そこで伺うわけですけれども事業費補正というのは、それで一応実績はけっこうだと認めた場合にも——いま道路お話が出ましたけれども、いま道路の改良率とか舗装率が極端に低いのは実は市町村道だと思います。事業費補正というものの適用が国道や県道に限られて、最も緊急な市町村道にはむしろ認められない、そういう規定があるかどうか知りませんけれども、実際としてそうなっておるのじゃないかというふうに思うのですが、もしそうだとすると、事業費補正そのものが、先ほどあたたかい行政一つのあらわれであるというふうにおっしゃったのでありますけれども地方としてはやはり単独事業をやる場合にはなかなかもらえない、しかし国の事業に協力すればもらえるということで、国の事業に協力させる誘導的な役割を果たす結果になりはしないか、これを取り入れた自治省の意図のいかんにかかわらず、そういう結果になりはしないかというおそれを抱くわけでございますが、いかがですか。
  30. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほどもちょっと申しましたように、補助追随というそしりがないだろうかということ、私どももそれは認めております。しかし現実には相当の補助事業があるわけでございまして、それは補助追随がけしからぬということで何もめんどうを見なければ、開発のために大きな公共事業をやろうというところには財源がないということになるわけであります。そこで私どもは、先ほど申し上げました遠い将来は別として、当面の問題としては、こういう行き方をとることによってそういう団体に対しても財源措置をしていこう、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  なお、道路お話がございましたが、単独事業につきましては今回、道路単独事業を従来よりも約五割増し、財政計画上から申しますと、地方道の単独事業は従来二千億程度でございましたが、三千百億ほど投入をいたしております。
  31. 河上民雄

    河上委員 いまの道路の話でございますけれども地方道というと、大体その内訳はどういうふうになりますか。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 府県道及び市町村道でございますが、府県道につきましては各府県が開発計画を持っておりまして、その計画に盛られた道路事業費を基礎に算入をいたしました。市町村道につきましては計画というわけにはまいりませんでしたので、全体として舗装率、改良率を従来のテンポの五割増し上げたいということから財源を投入してございます。
  33. 河上民雄

    河上委員 いまの市町村道というのは政令指定都市も入ってですか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 政令指定都市ももちろん入っております。
  35. 河上民雄

    河上委員 いま市町村道の改良率、舗装率のテンポを五割増しくらい高めるようにしたということですが、この市町村道の改良率、舗装率はまだ非常に低位にあることは、局長はだれより御存じだと思います。過去十年くらいを振り返ってみましても、国道、県道の改良率、舗装率はかなり改善のあとが見られるわけですけれども市町村道だけがほとんど昔のままとなっているのでありまして、そういう意味からいって、五割増しというのはどのくらいのテンポを意味するのか伺いたい。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 三千百億ほど地方道の単独事業財源措置を考えておるということを申し上げました。その中で、府県市町村の割合は大体一対二と申しますか、府県が九百七十億円ぐらい、市町村が二千百億円というふうになっております。そこで改良のテンポは、従来の措置でまいりますと、舗装、改良を含めましてせいぜい年に一%くらいしか延長に対して上がっておりませんでした。それを今回はこの措置で一・五%は上げられるということを実は期待をいたしております。道路五カ年計画の単独事業の従来のテンポですと、さっき申し上げたようにせいぜい一%、舗装などは〇・七%くらいしか上がらないというような状況であったのを、この際引き上げてみたわけでございます。
  37. 河上民雄

    河上委員 五割増しというとたいへん大きな感じでありますけれども、前よりよくなることはたいへんけっこうですけれども、やはり一・五%というのは、これから先かなり期間がかかるかと思うのであります。やはり全体として事業費補正が、先ほど局長も認められたように、それはたとえ善意から出たにしても、結果として国の事業に対する協力態勢を促進する誘導的な役割りを果たすということは否定できないと思うのでございまして、先ほど言ったようにあたたかい行政というならば、単独事業のほうに対してももう少し見るべきではないかという気がするのであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 ことに道路に関しましては、市町村道にもう少し格段の努力を向けないと、一・五%くらいのアップ率ではなかなか百年河清を待つような感がいなめないわけです。国道、県道の場合はかなり早いスピードで、これは比較の問題でありますけれども、改善されてきたことは認めるにやぶさかでないのでありますが、どうも市町村道がそれとの比較においていかにも見捨てられているという感じを強くするのですけれども、これは今後もこの程度のアップ率で進まれるおつもりですか。それとももう少し、近い将来さらに何かこういうことでもしてみたいというようなお考えはございませんか。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 ことしやろうとする五割増しの計画を進めてまいりますと、五カ年計画の単独事業の繰り上げ施行ができることになっております。したがいまして、私は次の五カ年計画を改定する際には、こうやった四十四年度の措置の結果等も見て、単独事業について次の五カ年計画でさらに飛躍できるような目標を立てたい、こういう気持ちを持っております。もちろん市町村道は御承知のように八十三万キロもございまして、市町村道に認定する基準が従来確立しておりませんでしたために、市町村によってまちまちでございます。ウサギ道のようなものも市町村道になっておるかと思えば、反対に農道のほうがりっぱであるというところもございます。そういった問題もございますので、八十三万キロの道路を全部改良することが望ましいとは思いますが、少なくとも社会経済の進歩のテンポから見て、全部を改良するというよりは、もっと重点的にやるものがあるのではないかということも考えておりまして、その辺はどういう将来の目標を立てたらいいかは、実はいま建設当局ともいろいろ相談をいたしております。将来とも、こういった引き上げていったものをさらに伸ばしてまいりたいという気持ちでおります。
  39. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁はわれわれよく記憶しておきたいと思うのです。いまの数字について、市町村道の延長が少し違っているようでございますけれども、これは公式の場ですから、もし誤っておれば訂正して確認していただきたい。
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 私、八十三万キロと申し上げたのはちょっと古いようですが、新しいので市町村道は八十五万キロでございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 関連。自治省のお役人の方がお書きになっているこの「地方財政」、原稿料をどのくらいおかせぎになっているか知りませんが、指導課でつくられたと称する「地方団体における公共施設水準現状」を見ますと、八八ページに「道路の現況」とございまして、昭和四十二年度末現在の市町村延長は九十五万三千七百四十九キロである。そして改良済み延長は十一万五千五百八十八キロメートル、改良率は一二・一%、舗装済み延長はわずか四万三千五十七キロメートル、舗装率四・五%にとどまり云々と書いてあるじゃないですか。自治省の出しておられる数字ですよ、この九十五万三千七百四十九キロというのは。こういう基礎的な数字が十二万キロも違ったのでは困るじゃないですか。
  42. 細郷道一

    細郷政府委員 正直に申しまして、市町村道の実態というものはそういうものなんでございます。道路の台帳の整備が十分行なわれておりません。そこで私がいま八十五万キロと申し上げましたのは、地方財政白書で調べたものでございます。この公共施設水準調べも実はやったのでございますけれども数字はそういうふうに九十五万キロと出てまいりました。私どもは、それはどうも合わないからといっても、全国三千の団体を突合するよりは、むしろこの「地方財政」に書いてありますのは、施設の水準の度合いを見たというところに重点を置いておりましたので、実はあえて違っておる数字をそのまま出したわけでございます。したがいまして、いま私がお答え申し上げました八十五万キロというのは、従来から白書に出ております数字を申し上げたわけでございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これは重大な御答弁だと思うのですよ。いずれも、少なくとも自治省が国民の税金を使って調査費を出して御調査になっている数字だろうと思うのですね。それがそういうふうに食い違う。食い違うのがすなわち市町村道の実態だなどということを言っておられますが、それじゃこの地方交付税法の一部を改正する法律案単位費用一体どういうことになるのですか。この市町村の土木費の単位費用道路橋梁費経常経費投資的経費に分けまして、経常経費道路面積一平方メートルにつき二十三円、それから投資的経費道路延長一メートルにつき五十九円になっているでしょう。この場合の道路延長一体どうなんですか。九十五万キロを使うのですか、八十三万キロですか、またあとで訂正された八十五万キロを使うのですか。道路がそういう状態で、道路面積一平方メートルにつきなんということが一体どうやって計算できるのですか。これははっきりした答弁をいただかなければ交付税の審議はできませんよ。
  44. 横手正

    横手説明員 交付税上に用いております測定単位の数値のとり方でございますが、道路延長の場合は、当該年度の四月一日現在における道路台帳に記載されておる道路基礎にしてとるというかっこうにいたしております。なお、財政白書によって調べます場合も道路台帳によって調べることにいたしますので、測定単位の補正での数値におきましては大体八十五万キロメートルになっております。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おかしいですね。道路台帳によって調べた……。指導課おりますか。私は、指導課も道路台帳で調べたのじゃないかと思うのですが、一体何で調べたのですか。市町村にある道路台帳は一つでしょう。その集計のしかたでもって十二万キロも長さが延びたり縮んだり、こんな無責任なことで精緻巧緻な地方財政だなんて言えますか。一割以上違っているじゃないですか。
  46. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども、私が実態はこういうふうですと申し上げたのはまさにこのことでありまして、指導課の調べのときにも、いわゆる道路法上の市町村道のつもりで調査をいたしましたが、集計をいたしたらこういうふうに出てまいったのでございます。おそらく農道なども入っての数字が出たのじゃなかろうかと思うのでございます。私どもも、この際は道路だけを調べたわけでございませんで、各種の施設を、ここにあげてございますように調べたものでございますから、これはこれとして集計しましたまま実は発表いたしたわけであります。あやふやな数字なら発表しなければいいではないかという御議論もあろうかと思います。確かにその点は私どもももう少し慎重に扱うべきであったかと思うのでありますけれども、ただ、これによって出てまいりました施設の水準状況というようなことがこの調査のときの目標でもございましたものですから、大体の傾向を見るのにはこれも一つの役に立とうということで、実はあえてそのまま出したわけでございます。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうことじゃ困ると思うのですね。自治省がみんな別々な課を持っておって、基礎的な市町村道の延長にすら統一の見解がないというようなことでは、自治省は全く支離滅裂ではないかということになろうかと思うのですね。大臣おられませんで、政務次官おられますが、自治省内部で市町村道、しかもこれは交付税単位費用積算の重大な要素になっているものであります。これが自治省内部の課によって、一割以上もの膨大な差異が出ておるというようなことでは困ると思うのです。自治省として、こういったように内部ですら統一した数字が出ぬというのはたいへん無責任だと思いますので、その点、次官としての責任あるお立場からの御答弁をいただきたいと思うのです。  それから委員長にお願いしておきますが、あとでまた指導課の見解を承りたいと思いますから、指導課長を呼んでいただきたい。
  48. 砂田重民

    ○砂田政府委員 正確を期さなければなりません。交付税の関係のほうは、これは出てきた実際の数字をとるわけでございますから、八十五万キロでやっているわけでございます。交付税関係は八十五万キロ一本にしぼってやっているわけでございます。指導課の論文と申しますか、この数字はどういうふうに指導課が算出した数字か、私まだ聞いておりませんけれども、私は直接指導課を取り調べて明確にさせたいと思います。ただ、重ねて申しますが、正確を期さなければなりません。交付税の関係のことは、これは出てまいりました実態でございます。これは八十五万キロ、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 出てきた実態がおかしいというのですよ。これは指導課長が来るまで保留しましょう。
  50. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税測定単位の数値としては、道路台帳に記載された道路延長なり面積、こういうことできめておるわけでございます。それは四月一日でやります。それで積算をいたしまして、従来もそれをあとで監査をして、実際に合ってないときにはこれを是正をするというような、交付税では錯誤によって増減をあとでいたしております。その際に交付税のいろいろな測定単位の数値を検査をいたします。実は道路が一番間違いが多いのでございます。道路は幅員別の延長をとってあるわけでございますが、それの幅員が改良されると直ってくる。その際に、別の幅員のところにその延長部分を入れていくべきものでございますけれども、その手続がなかなかできていないといったようなこともございまして、実は会計検査院からもしばしば指摘をされておるので、私ども実はやっきになっているのです。やっきになっておるのですが、現実にそういう事態が起こっておりますので、錯誤というようなことで、交付税の公平を期してまいりたい、こういうふうに思っております。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁も私は重要だと思うのですが、まあ道路が一番錯誤が多い。あと錯誤の多いものがあるようなお話ですが、一体道路以外に、道路は八十五万キロと九十五万キロ、一割以上違っておるわけですが、その他の測定単位で会計検査院から指摘されて錯誤のあります数値というものは、そのほかに一体何があるのですか。
  52. 横手正

    横手説明員 道路以外におきましてかなり錯誤の件数の目立ちますのは、実は港湾の施設の数値でございます。これは道府県におきましては、海岸保全施設の延長と港湾施設の延長のとり方を問々間違える団体、県が多く見受けられます。
  53. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 依田圭五君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。依田圭五君。
  54. 依田圭五

    ○依田委員 局長に聞きますが、われわれは一応道路の舗装率を非常に重要に考えてきたわけです。いま質問で明らかになったのですが、従来建設省のほうでは、八十三という数字をことしも公式にとっておるわけです。八十三万キロの延長で五カ年計画で、五年目には市町村道の舗装率が四・七%になる、五年間の努力で一%上がるというのが建設省の公式な答弁なのですね。これは私がこの前税法の譲与税のときに、関連しまして五カ年計画を質問しましたときにそういう答弁が出ておるわけであります。きょう聞きますと、約十万キロの差が出ておるわけであります。そうしますと、昨年出しました自動車取得税、これで平年度五百二十五億ですか、昨年が七月実施でもって三百七十億くらいですか、こういうような膨大な金をわざわざ、われわれのほうで反対をしましたあの議案を押し通しまして、財源としてやっておるわけです。そういうような、また今年は傾斜配分をするのだとか、譲与税を改正をするという形でもって、地方道に対する大きな援助なり支出をするのだということで、自治省だいぶいきばっておるわけです。いま聞きますと十万キロも差がある。八十三万に対して、きょうは八十五万と訂正をされましたが、八十五万と九十五万となると十万キロも差があるわけですね。五カ年計画で五年目の成果が、全体で舗装率が一%ぐらいしか上がらないのです。一年ごとにはその五分の一しか上がらない、〇・二%ぐらいしか上がらないのですね。それなのに十万キロという数字はこれは一〇%、年限にするとこれは五十カ年計画ですか、いまの五カ年計画、六兆六千億のこの計画を十回ぐらい重ねないと、この数字の誤差というものを埋めることができないのです。これはたいへんな問題だと私は思うので、それを一体どういうようにお考えになっておるか。自動車取得税のたいへんな税収もありますし、これはたくさんの人に迷惑をかけている。また交付税やその他の市町村に対するいろいろな問題があります。これらについて全部関連をしてくる。その基礎になる数字のつかみが簡単に十万キロも違うということになったら、自治省一体市町村道に対するデータのとり方の統一指導についてどういうことをやっておるのですか、これをひとつ局長から御答弁を願いたいと思います。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 この施設水準の九十五万キロと出てきたこれも、普通の道路法の道路という考えで実は照会をいたしたわけです。これは単純に照会したものをとっただけでございます。それを集計したものでございます。したがって、建設省がいつも言っておりますあれを私ども基礎に使っております。道路現況調査でございます。あれと違いますので、これはこの中身をよく検討してみる必要があるということは、私ども先ほど申し上げたように率直に認めておるわけでございます。  ただこの差は、先ほど申し上げましたように、いわば市町村道、特にその市町村道のうちでも大都市、中小都市、こういう区分が従来はなかったのでございますが、こういう調査によって大体こういう傾向——この数字がぴったり正しいものかどうかということは、いま申し上げましたように議論があるのでございますが、こういう傾向が出てまいりましたということで、実はこのまま発表させていただいたわけです。私どももこれがいいという確証を実は持っておりませんし、これについては検討の余地があろうと思います。  それから別個、譲与税の配分でありますとかあるいは交付税道路費の算定は、四月一日現在で各市町村自分のところの道路台帳に載った面積延長をそのまま自分計算をして載せてもらうようになっております。それにつきましては、地方団体が間違いなくやってくれるものという前提で私どもはその数字を使っておるわけですが、それもときには間違いがあるものですから、何年に一ぺんか、ある団体について、順ぐりに回りましてそれを一回チェックをいたします。チェックをいたして、間違っておるものは錯誤として処理をする、こういう行き方をとっておるのでございまして、この九十五万キロが出たから、これをすぐ交付税測定単位に使うという考えは全然持っておりません。
  56. 依田圭五

    ○依田委員 施設水準の発表として、白書は非常に公式なものですから、それによって決算の結果を見たり、また将来への財政計画基礎にするわけです。これをわれわれは非常に重大に考えておるわけです。これの分析によって一切の方針が立つもの、こういうように前提しておるわけです。ですから白書に載せるものはすべて自治省が統一見解でもって全国市町村に対して統一指導をしているもの、その上に、道路とは一体何であるか、市道とは何であるか、県道とは何であるか、幅員とは何であるかということを三千市町村に対して統一指導をしておるもの、その前提に立って出てきた報告なりデータというものが集大成されて白書を形成しておるもの、その分析の中から国家財政地方財政も出してきて、来年はどういうぐあいに税調をわずらわして税法を改正して、どういうぐあいに財政のやりくりをしていくか、すべてそういうように考えるわけでしょう。六兆六千億の五カ年計画というものも、そういう前提に立って組み立てられてきたものでしょう。四十二年から五カ年間でやっておるわけですね。もうすでに終わりに近ずいておるわけだ。私はこの六兆六千億という膨大な金を使いながら、全国市町村道の舗装率はわずかに一%以下であるという点に、一人の国民として非常に疑問を持つのです。五%ぐらいの東京でも、毎月一万台も自動車がふえておるのです。戦前五万台、いま百四十万台以上ふえておる。細谷委員の質問じゃないけれども、バスの面積とマイカーの面積とは一体どうなんだということで、二十倍もかかるのだということですから、幾ら一生懸命税金道路施設にかけても、この自動車の問題は片づかないのですよ。そういうような重大な時期に、この次の五カ年計画、その次の五カ年計画を立てなければならぬ、そういうようなときに、基礎になるデータとして簡単に十万キロも違ったのでは、これは五カ年計画で十二回分ですよ。五カ年計画で舗装率が一%しかないのですよ。八十三万キロないし九十五万キロというのだから、その一%だったらわずか八千キロ、大体つかみで一万キロですよ。それが十万キロだったら十年分ですよ。こんなに違って一体何の計画を立てることができるのですか。私は理解できないですね。一体道路とは何ですか。一年に一ぺんしか通らないような木こりの道路あるいはいなかのあぜ道、こういうものが道路なんだ、人間の通る道というのはすべて道路の概念に入るということでもって、市町村道は非常に幅の広い、概念内容の大きいものであることはわかる。わかるけれども、いやしくも自治省市町村を通して統一指導をする場合には、道路とはこういうものだ、延長とはこういうものだ、測定単位はこういうものを使うのだ、単位費用にはこういうものを使うのだ、だからたとえ一メートルでもかってな水増しはできないし、また必要なものはちゃんと測定需要に入れて、単位需要に入れて、市町村に迷惑をかけぬようにやります、だから精緻巧緻の分析が使われておるのじゃありませんか。私は十万キロも簡単に公式の文書の発表が違うということについては了解できないのです。これはもう一ぺん重ねて御答弁願います。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税では、おっしゃるように正確なものでなければならないということで、この交付税法の規定に基づきまして省令を定め、道路面積については四月一日現在の、道路法に規定する道路台帳に記載された道路、こういうことできめてあるわけでございます。道路法の道路台帳にどういうあれをするかということは、これは建設当局が指導をいたしておりますので、私どももそれをならって、それによって見ていくわけでございます。  そこで、いまここに出てまいりました公共施設水準現状、これは私どもは内部の資料として実はとったものでございます。財政白書に載っておるものと違いまして、これは政府が公表しておりますから別ですが、これは実は私ども仕事の参考に内部資料としてとったものでございます。とったものでございますから、そういう意味では、むしろ外部に発表をしないでわれわれだけで中身をよく検討していったほうがよかったのかもしれないという気もいたします。事実そういうことも内部で議論いたしたのでございます。こういう施設水準現状の調べをしろと実は私が非常に強く主張して、去年初めてやったわけです。と申しますことは、やはり年々一体どれくらい住民のための施設水準が全国的に上がっているかということを知りたい、それにはそういうものが要るじゃないかというので、従来の仕事に加えて、プラスアルファでこの仕事をさせたわけであります。そのときに事務の担当者は、これをとったら必ず数字が関係省と違いますよ、あとで必ずトラブルを起こすからやめようじゃないかという議論がたくさんあったのです。あったのですけれども、私はあえてこの各施設を通じて一応とってみようじゃないかというので実はとらせたわけでございます。とった結果は、まさに食い違いが出たわけでございます。したがって、これは内部でわれわれしまっておけばよかったかと思うのですけれども、しかしまあいま施設水準の問題がいろいろやかましいときでもありますので、それを承知で実はあえて出したわけでございます。あえて出しましたが、この数字をもとに交付税の算定をしようなどということをいま考えておるわけではございませんで、よく私どもも内容を検討していかなければならない、こう思っております。そういう意味では、これを公表してしまったことは、あるいは私の軽率であったかもしれません。今後資料については十分気をつけてまいりたいと思います。
  58. 依田圭五

    ○依田委員 私が質問しているのは、局長、話の趣旨が違うのですよ。あなたは公表したことが悪かった、公表しないほうがよかったのではないか、こういうような姿勢の答弁をなさっておるけれども、そんなことはわれわれ納税者の立場からはナンセンスですよ。話にならないです。何でも公表してもらわなければ困る。何でもガラス張りにしてもらわなければ困るのですよ。市町村からどのような報告がこようとも、あるいは自治省がそれに対してまたどのような指導をするか、これは逐一報告をしてもらわなければ困るのです。ただその報告の中に、そこには全国に自治省を通しての統一指導が盛り込まれてなくちゃならない。自治省の解釈がなくちゃならないのです。それが建設省とどう違おうと、運輸省とどう違おうと、それは当然閣議を中心に、所管の省の中において統一した数字を合わせてもらわなければ困るのです。しかもその数字は客観的な批判にたえる数字でなくてはならぬ。これはデモクラシーの政治ですから、市町村のほうから申告をしてきたり報告をしてくれば、もちろんそれは主たる報告になるわけです。しかしそれがまちまちであれば、自治省のほうから調査員を派遣してそれに対して見解の相違や考え方の相違や理解の間違いを正しまして、そしてその報告を是正するなり、足らないところはそれをふやすなり減らすなりしてやるべきなんです。局長お話だと、どうも公表すべき数字じゃないものをしたんだ、自治省はていねいにやったんだ、こういうようなお話は、私たち納税者の立場からは聞けないですね。納得できないです。そんなことだと、もっと話はむずかしくなると思うのです。もっと話はむずかしくなります。それじゃ一体市町村のほうから来た数字、これを基礎にあなた方は行政をやるのですか。それともあなた方の判定によって——市町村に対して数字を多くの場合押しつけるというと語弊がありますが、相当に指導の面でもって市町村に対して認定したり判定したり、いろいろ切ったり、ふやしたり、裁定したり、やっておるではありませんか。どっちが一体本来の行政であり、また自治省の任務なんですか。都合のいいときには相手方の報告をそのとおり取り上げてみたり、悪いときにはこちらでもって適当に判断をして切ってみたり、そういうことになるわけじゃありませんか。もちろん市町村道ということになれば客観的な水準がある、スタンダードがある。その定義に当てはまった道路がやはり道路であり、それが基準であり、日本の政府一つですから、一つのデータというものが各官庁を支配し、それによって積算され、それによって財政が運用をされていくと私たちは素朴に考えるわけです。それと違った数字が公式の機関から来た場合には、それを自治省の統一見解で解釈をして国民の前に明らかにすべきもの、その第一が白書である、私はそう思っております。ですからこの白書を分析することによって、過去の結果もわかるし将来の方針も立つもの、それによって来年の税制も変わる、それに対して納税者は協力をする、それで国がやっていけるのだと思っておるわけです。自治省の、これは発表したほうが都合がいいとか、これは発表しないほうが都合がいいとか、そういう考え方は全然話にならぬと私は思うのですが、まずその点から局長答弁を重ねて要求します。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 私のほうは、先ほど来申し上げておりますように、いま先生がおっしゃったように道路というものは客観的にきまっておる、道路法によって認定をされたもので、道路台帳に登載されたものときまっておりますから、それによって当然市町村から報告が集まってくるもの、こう考えておるわけでございまして、そこに何らの指導をしておるわけではございません。これは指導といえば、むしろ建設省当局がなさるべきことだろうと思っております。集めてみたらば、その結果こういう数字が単に累積をしてこう出たわけでございまして、この数字自体は、先ほどからたびたび申し上げておりますように、私ども参考の資料に実はとったわけです。数字が違うから、じゃあ全部中身を検討した上で扱えばいい、こう私ども思っておるのでございます。しかし、施設の水準現状ということが非常にやかましい問題でございますので、私はあえて各施設も入れて実は出したわけでございます。その点の善意はひとつ御信頼をいただきたいと思います。私どもは、この数字を出したからといって、これによって九十五万キロの道路が正しいんだというふうな考えは毛頭持っておりません。少なくともいままで建設省がやっております道路現況調査によって出た数字基礎にいたしておりまして、行政を進める上にも、いろいろな将来のデータをつくる上にも、それをもとにいたしております。したがって、その態度をいま変えようとは思っておりません。ただ、こういったものが出ましたので、私どももよく中身を研究してみなければならないだろうということを率直に申し上げておるわけでございます。
  60. 依田圭五

    ○依田委員 そうすると自治省は、各市町村に対していろいろの報告を求めたり提出をさしたりしておるわけですね。その場合、出てきたものを何らの批判も加えずに、ただそのデータとして集計だけして公式文書に載せたりしておるのですか。私たちは、そういうことはちょっと理解できないですよ。また市町村に対する味方は自治省ですよ。建設省じゃない。確かに道路という問題を所管しておる一番中心になる官庁は建設省かもしれませんけれども市町村が、市町村として自分たちの道路を運営したり何かしている立場から、これに対して密着した関係を持っておるのは自治省なんです。俗にいえば、市町村に対する、市町村道に対する大きな味方が自治省なんです。むしろ自治省は、市町村のほうから九十五万キロという数字の報告があったならば、その立場に立って建設省に対して文句を言ったらどうですか。われわれが理解しておる道路というものは九十五万キロあるぞ、建設省はどういう標準でもって道路をやっておるか、はっきり説明しろということを閣内で話をしてもらいたいと思うのですよ。すべて建設省の報告に従ってやっているんだということになると、六兆六千億の基準になる数字を、私たちは九十五万キロ、建設省は八十三万キロといっておる、これでさえ疑いたくなるのです。オウム返しに言っておるんじゃないか、ほんとうに市町村の報告というものとは違うじゃないか、十万キロ以上の差があるじゃないか、それを自治省のほうは力をもって押えつけているんじゃないかというようなところまで勘ぐりたくなる気持ちを持たざるを得ないわけなんですよ。ですから、確かに局長の言うように、市町村からあった報告を機械的に取り上げたんだ、その善意は信頼をしてくれ。それは信頼します。しかし、われわれ納税者が官庁に対して期待するものは、そんな善意じゃないですよ。官庁という専門家がもっとそれを分析して、これを指導するような立場から、責任のある数字を公式文書に載せてもらいたいという面から言っておるわけです。河上君の質問に対して関連で、あまり長くなっても失礼でありますから、この問題は保留いたしまして、私も勉強いたしますし、さらに詰めて、御答弁をまた後日いただきたいと思います。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の統一見解を出してください。
  62. 細郷道一

    細郷政府委員 たびたび申し上げておりますように、この九十五万キロという数字については今後十分検討を加えてみたいと思います。これをもってすぐこれが正しいんだというには、私どももそれだけの自信がございませんから、よく調べさせていただきたいと思います。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は保留しておきますから。
  64. 河上民雄

    河上委員 いまの質問、答弁の中で一つ気になるのは、錯誤がけっこうあるというお話でしたが、道路あるいは港湾で錯誤があった場合、自治省ではどういう処置をとっているのか。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税法の規定によりまして、錯誤がありましたときには次の計算のときに、錯誤で小さく出たものは正しいものに直し、大きく出たものは減額をする、こういう措置をいたしております。
  66. 河上民雄

    河上委員 部内では——部内ということばは悪いですが、各省問でもお互いに他の省の統計を信用していろいろ計画を立てているわけですが、そういういろいろな影響があるわけですね。そういうことに対して、はあ間違っていましたというだけで済んでいるのかどうか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 それぞれ測定単位の数値は何をもとに計算するかということは法定されております。道路についていえば道路台帳でございます。したがいまして道路台帳について、あるAならAという町に行って、昭和四十三年四月一日現在の報告された道路台帳をもとに、こちらも一回成規の手続で計算いたすわけであります。そうした場合に、計算の違いがございますればそれを是正するという行き方をとっております。すべての数値の測定については、何を基礎にするかということがみな法律で定められておりますから、それぞれそれに従ってやるわけでございます。
  68. 河上民雄

    河上委員 いまの問題は、当事者の一人がまだ来ていないようなので、関連質問された方々から後ほどあらためて御質問があろうと思いますが、印象を一言でいえば、交付税はたいへん精緻な、世界に冠たる精緻な制度であるということでありますけれども、何か建物の、議事堂でいえば、尖塔のあたりはきわめて精緻にできているけれども、土台のほうはきわめてあいまいな話になっておるような感じがいたしますので、そういう疑念を深めることのないように、ひとつその辺ははっきり良心的に検討していただきたいと思います。  私の次に伺いたいことは、交付税は、ことにことしになりましてから計画的事業費算入方式というようなことばが使われておりますけれども、これにつきまして、これはどういうことをねらいとし、実際にはどういうふうにやっているのか、例をあげてちょっと御説明いただきたいと思います。
  69. 横手正

    横手説明員 従来は、投資的経費の算定にあたりましては、減価償却費算入方式というのが古くから使われておったわけでございます。ただ、この方式によりますと、非常に現状維持性が強いといいますか、静態的な性格が非常に強かったわけでございます。したがいまして、最近の社会、経済の変動に伴います地方団体財政需要を的確に算入するというには不向きな面が見られます。ここ数年来、投資的経費の算定方法の動態化について検討を進めてまいっておったわけでございますが、四十四年度におきましては、この減価償却算入方式というのをやめまして、事業費算入方式という行き方をとっております。この事業費方式といいますものは、標準団体における標準的な事業費を単位費用の積算に織り込みまして、これに基づきまして、また基準財政需要額の総額の面におきましては、地方財政計画に計上されております投資的経費の関係事業費の総額、あるいは国の長期計画の地方負担額、あるいは国の予算額、こうしたものを考えながら算入をしてまいるという行き方をとっております。こういう行き方をとりますと、ほぼ総額の面におきましては各事業ごとに十分な財源保障的な行き方ができてまいることになります。  なお、事業費算入方式の頭へ計画的ということばを使っております。これは個々の事業ごとにできる限り長期計画的なものを想定いたしまして、数年先の行政水準の目標というものを見きわめながら、その長期計画に基づく当該年度の事業費分、これが基準財政需要額に算入されるように考えてまいる、こういう意味合いから計画的ということばを使っておるわけでございます。
  70. 河上民雄

    河上委員 いまのお話で、おおむねこの新しいことば意味がわかるのでありますけれども、全体の印象からいいますと、各地方団体事業費というものを計算する基礎というのは一体何なのだろうか。一つのポリシーとして中央の事業計画といいますか、そういうものが主導的な役割りを果たして、それとの関連で各地方事業費というものが算入されてくるのじゃないかという感じもちょっと受けたのであります。あるいは間違いであるかもわかりませんが、どうも中央の主観で行なわれる危険性が非常に強いのじゃないかということと、それからこれは過去のことでなく、しかも先ほどお話があったように、動態的な要請にこたえようとするものであるということになりますと、過去の経験から割り出した客観的な数字というものはなかなかつかみにくいのじゃないかと思うのです。そうなりますと、将来の計画というものをつかむ場合の基礎ですね、簡単にいえば統計ですが、一体どういうものを使うおつもりなのか。いままでのお話ですと、大体過去のいろいろな経験から割り出していって、たとえば学校ならこれだけ要るとか、橋梁ならこれだけ要るとか、道路ならこれだけ要るとかいうことでいけたと思うのですけれども、計画的というか将来のこと、ことにいま、過去においては考えられなかったような問題だけれども、将来は非常に大きな問題になるということを予想するとするならば、一体その事業費を算入する場合の基礎というものは何を使われるおつもりなのか、その点についていかがでございますか。
  71. 横手正

    横手説明員 例をあげて御説明いたしましたほうがおわかりやすいかと思います。たとえば道路関係経費でございますと、道路整備五カ年計画というのがございます。本年度は、地方財政計画上は市町村道に重点を置きまして多少繰り上げて整備するという経費が加わっておりますが、そうした長期計画のございますものは、この長期計画に基づいて四十四年度の事業費分を算入するということを目安にいたしております。あるいは学校関係をとらえて申しますと、高等学校関係につきましても文部省のほうで公立文教施設の整備計画というのがございますが、私どものほうもこれを参考といたしまして、校舎の不足面積はおおむね十カ年間で解消することにいたしたい、また危険校舎は、五カ年間で解消いたしたい、こういうような目標を立てまして、それを解消するために必要とする四十四年度の事業費総額をどの程度であるかを見込みまして、その額が基準財政需要額に算入されるように算定してまいっておるわけでございます。したがいまして、そのような長期計画なりあるいは長期の目標水準を立てまして当該年度に必要とする事業費を算入する、こういう行き方をいたしております。
  72. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと何かまだはっきりしないのですけれども一体動態的な——交付税が動態化したのが特徴だというようなことをしきりとキャッチフレーズで言われるのですけれども、動態化したという場合に、いままでの経験でわかるものもかなりありますけれども、いままでの経験ではわからない要素もかなりあると思うのですね。そういう場合に、一体算入基礎といいますか積算の基礎というのは何を使っておるのか。そういう点はいまの御説明ではまだちっともはっきりしません。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 私もあるいは取り違えておるかもしれませんが、人口がふえていく都市がある。そのふえていく度合いを将来どう見ていくか。あるいは昼夜間人口が出入りをしておる。夜間人口より昼間人口が多い。それをどういうふうに把握していくか。それによって行政施設の規模も違うのじゃないか、こういうことではないかと思うのですが、それに対しましては私どももなかなか将来、五年後にある市がどれくらいになるだろうかという予想をつけることは非常にむずかしいわけでございます。現在とっておりますのは、たとえば人口の急増の補正ということになりますれば、ここの交付税でとっております人口は従来国調人口をとっておりますが、五年ごとになるわけです。五年たたないと新しい人口がとれないということではいけないというので、毎年の住民登録で動いていく姿をとらえて、その傾向によって急増するほうの施設については上積みしていく。  それからもう一つは、都市は、一つ都市だけで職住一致の生活ができるわけでございませんから、都市圏というものを当然つくります。そこで従来は市町村との間の昼夜間人口の出入りの度合いによって、これを幾つかの段階に分類をして、そして割り増しをしていく、こういうようなやり方をとっておるわけでございます。さらにその団体が将来の人口増に備えて、たとえば清掃の施設、し尿処理槽の大きいのをつくる、あるいは広い街路をつくるといったような場合に、どかっとある都市地方負担がふえてまいりますから、その地方負担に対処するためには事業費補正というものでそれをカバーしていくというような、いま行き方でございます。  なお、将来のやり方については、私どもも現在に満足しておるわけではございませんので、研究したいと思っております。
  74. 河上民雄

    河上委員 いまの御説明で、少しく計画的事業費算入方式というものの全貌がわかってきたように思うのでありますが、いままでの御説明の中で一つ欠けておるのは、たとえばそうしたいわば新しい町づくりをするというような考え方だと思うのです。その場合に、地方の声を聞くというようなことはないんですね。中央で、町というものはこういうものであるべきだというような一つのパターンを地方に押しつけていくというような感じを受けるのですが、こういうものをやる場合に、地方のそれぞれの公共団体から何か意見をお聞きになっているようなことはございますか。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 地方の声を聞くという、まあどういう御質問の趣旨かあれですが、私は地方団体に将来計画があったら、その計画をなるべく取り込んでいきたいという考え方をとっております。しかし現在地方でいろいろ立てております計画は、マスタープランはあっても、具体的な事業別プランというものはなかなかないというのが実情でございます。計画、計画ということはずいぶん騒がれておりますけれども現実にはそういう実情でございます。具体的にことしはどの道路、ことしはどの施設というところまでなかなかできていないのでございます。したがいまして、そのとり方には非常なむずかしさがあるわけです。ただ先ほどもちょっと申し上げましたように、私ども、今回府県道路につきましては、府県の持っております開発計画をデータに、この需要に織り込む基礎をつくりました。それからことしは市町村圏というものの計画をつくるように依頼をしようと思っております。これが出てまいりましたならば、またそれもそのとき考えていきたいということで、だんだんやってまいりたいと思います。
  76. 河上民雄

    河上委員 いまのお話ですと、どうも地方というのはあまり信用できないというような感じを持っておられるとすれば、これは非常に重大なことで、やはり各地方都市あるいは地方公共団体のそれぞれの独自な構想というものをなるべく外側から助成していくという、そういう姿勢が必要じゃないかと思うのでありますが、計画的算入方式というものがことしから導入されていくといたしました場合に、五年たち十年たちましたときに、中央に主導権があるのか、地方独自の構想を中央が生かして育てていくという姿勢を持つのかということによって、非常に年月がたった場合には日本というものは違ってくるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。こういうものを入れること自体はけっこうでございますけれども、何かよきにつけあしきにつけ、中央の主感でこういう問題を処理するということはいかがかと思うのでありまして、やや抽象的でありますけれども、こういう姿勢の問題というのはかなり重要であると思いますので、私は特にその点を要望しておきたいと思うのであります。  いま、動態化している、そこに今度の交付税法一つの内容上の特色があるというようなことを言われましたけれども、いま日本の大きな問題は公害問題であります。公害対策こそ地方行政一つの大きな仕事になっていると思うのでありますが、交付税の中では公害対策というのはどの程度見ておるのか。公害対策に地方公共団体が実際に使った費用と、それから交付税の中で見ている額とのギャップというものがあるはずなんでありますけれども、これは実際はどうなっているのですか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 きのうもほかの委員の方の同じ御質問にお答えを申し上げたばかりでございますが、交付税需要としてはただいま事務費を中心に見ておりまして、昨年までは六億でございましたが、今年は約倍の十二億にいたしました。そのほか事務費系統のものは特別交付税でも見ております。事業費の部分につきましては、公害対策と申しましても、公害対策事業という特別な事業があるわけではございませんで、下水路をつくったり、工業用水道をつくったり、清掃施設をつくったり、街路を広げたり、緑地をつくったりというような、大体都市計画的な事業が多うございます。それを公害事業費だということに取りまとめるには非常にむずかしさがございますものですから、現在は公害事業費というものを財政需要の中の項目としては立てておりません。ただ地方団体が大規模な公害事業をやりたいという場合には、その地方負担について地方債重点的に認めていくという行き方をとっております。
  78. 河上民雄

    河上委員 たいへんプアな内容だというふうに思うのです。  それでは、公害で悩まされているような都市あるいは公害の発生の危険にさらされている、いわば飽和状態にある都市から、公害対策費として要求されている特別交付税の額というのは全国でどのくらいになっておりますか。この前の厚生省の発表によりますと、大気汚染だけで不合格、いわゆる環境基準に合格しなかった都市が全国で二十二もあるのですね。そういうような都市は、当然公害対策費を特別交付税で見てくれという要求をしてきていると思うのです。いまの状況では事務費しか見られないのだという御答弁かもしれませんけれども、各地方からあがってきている数字があるはずです。それの合算はどのくらいになるか、教えていただきたいと思います。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 いまちょっと昨年の申請額を手元に持っておりませんが、先般の特別交付税では約六億処理をいたしました。
  80. 河上民雄

    河上委員 それは実際に出した額が六億ですね。私が伺っているのは、地方公共団体がぜひこれだけほしいといって申請している額の統計ですよ。——いまなければ、これは資料要求したいと思うのですが、委員長、よろしくお願いいたします。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども実は公害対策事業全部は申請を受けておりません。特別交付税で要求するところもありましょうし、ないところもございます。いま手元にありませんが、あとで調べてお届けしたいと思います。
  82. 河上民雄

    河上委員 御承知のとおり、昭和四十二年以降、もちろんそれ以前からでございますが、公害対策基本法ができまして、それに引き続きいろいろな公害関係法が出ているわけです。たとえば油による海水汚濁防止法、こういうものが出ますと、バラスト水などの処理のために、大きな港のあるところでは処理施設をしなければならない。もちろん国庫補助は出るわけですけれども、そういうような問題が起きますし、また環境基準というものが発表されて、その汚染状態を絶えず調べなければならぬということになりますと測定機を設けなければならない。そうするとその費用というものが要るわけですね。そういう公害関係法規が地方公共団体に義務づけている仕事に伴う費用というものがあるのでありますけれども自治省のサイドでこれをどのように把握しておられるか。どういうものが法律上必要であり、それには機械の設備費あるいは人件費というものがどの程度要るというふうに考えておられるか。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 法律上どの程度要るかということは、主管の厚生省の判断にまつわけでございまして、先ほど申しました交付税財政需要額に入れておりますのは、厚生省とも相談をいたした結果でございますが、府県の標準団体で機械器具費は百三十五万五千円、それから試験研究の委託費が百五十万円、人件費は吏員七人、雇員一人ということで八百六十万円、そのほか事務費が百二十万円、合計千二百六十九万五千円を見ております。市分の標準団体につきましては、やはり事務費系統のものでございますが、七十一万一千円を見ております。
  84. 河上民雄

    河上委員 各地方の陳情などを見ますると、大都市だけではなく、富山県のような、いわゆる大人口の県でない、むしろ過疎的な地方でも公害問題というのは起こっておるわけでして、公害行政に対する財政措置についてのいろいろな要望がたくさんわれわれのところにもきておるわけです。で、どうでございますか、財政局長、こういう問題をもう少し制度化する必要があるとお考えにならないですか。現在公害問題が起こっている地方で、住民の不満とか要望の最先端に直面しておるのは地方の公共団体です。御承知のとおり昭和四十一年では、公害苦情の受理件数というのは二万五百二件、処理件数が一万五千六百八十六件、非常な数にのぼっておるわけです。四十二年になりますと、受理件数は二万七千五百八十八件となっておりまして、処理件数は一万九千五十七件。受理件数では三割五分増しであるし、処理件数では二割一分増しである。こういうふうに年々公害に対する苦情というものは多くなっておるし、また地方の公共団体としてはやらないわけにいかないので、それが全部地方公共団体の負担になっておるのであります。いまの数字自治省の官房で調べで見たわけでありますけれども、こういうものをどういうところへ持ち込んでおるかということを調べてみますと、やはり市町村が圧倒的に多い。大体市町村が半分以上を占めておるのであります。こういうような状態でありますので、いま日本の社会で一番大きな問題である公害問題に対して地方行政のサイドから対処するためには、いまのようなプアな対策、財政的な措置ではやっていけないのじゃないかというふうにだれでも思うのであります。いま局長が言われたように、現在では人件費が大部分と思いますけれども、事務費しか見られないというような状態であるとのことで、これは何とかしなければならぬと思うのですが、どうでございますか。地方行政の立場からも、こういう公害問題の解決に協力する意思はおありになりませんか。
  85. 細郷道一

    細郷政府委員 大いにあるわけでございまして、地方団体が苦労しておりますだけに、私どもも何か確立した財源措置があったほうがいいのじゃないかというふうに思っております。
  86. 河上民雄

    河上委員 いま公害問題が起こりましたときに、大都会ならばまだそれに対処する、一応のスタッフというものがいないわけではないのでありますけれども地方の小都市などにいきますと、公害問題が起こっても対処する行政官が全くいないわけであります。きょうは行政局長お見えになっておりませんけれども自治省では公害担当官みたいなものが、まあどういうカテゴリーでくくるかは多少問題がありますが、日本全国でどれぐらいの公害担当官がいるというふうに把握しておられますか。
  87. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと私手元に数字を持っておりませんので、後刻御連絡申し上げたいと思います。
  88. 河上民雄

    河上委員 厚生省では、地方自治体の公害職員というものは大体四百八十一名いるということをいっております。その中で、単に公害課に属するというだけではなくて、化学的な知識を持っている専門家が何人ぐらいいるかということは、全然捕捉ができないようであります。一応四百八十一人いるという答えでありますけれども自治省のほうでも大体そういうふうにとらえておられますか。
  89. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっといま私手元に数字がございませんので、御了承いただきたいと思います。
  90. 河上民雄

    河上委員 この前日本へ来られたロブソン教授がイギリスの例などをあげておられるのですけれども、イギリスでは公害源に対する立ち入り権を有して、大体三年間専門的な訓練を受けた資格のある者が数千人全国にいて、その活躍によって公害問題に対してようやく対処しているというような数字を述べておられるのです。そうして単に金を出すだけでなく、そういうものが非常に重要だということを言っておられるのでありますが、自治省としても地方自治体に対して、もう少し公害担当官を増員するような方向で指導していただきたいと思うのです。これについて何か計画はおありでございますか。
  91. 細郷道一

    細郷政府委員 よく主管の厚生省とも相談をしたいと思いますが、今回は財政措置として、先ほど申し上げたとおり、標準団体で従来の六人を二人ふやして、八人ということにいたしたわけでございます。
  92. 河上民雄

    河上委員 いまの計画は、おそらく現状程度の公害の規模というものを前提としておられるのであると思うのですけれども、これから予想もしないような公害の規模に広がる危険性があると思うのです。これは自治省も厚生省と相談してきめていただきたいと思うのですが、御承知のとおり、重油の消費量一つをとってみても、昭和三十年を一〇〇といたしますと、昭和三十九年は七〇〇にふくれ上がっている。しかも今度は、将来の見通しになりますと、昭和四十一年を一といたしますと、昭和五十年で二・三倍、昭和六十年になると四倍になるというのですね。ですから、おそらく昭和三十年から考えますと、もう三十数倍に重油消費量というものはふくれ上がると思うのです。それだけ亜硫酸ガスというものはまき散らされる。亜硫酸ガスの量もふえるわけですし、何か革命的な脱硫技術でも発見されない限りは、たいへんなことになると思うのでありますが、こういうものに対処するためには、単に上から金を流すだけではだめなのであって、地方自治体に有力なスタッフを数多くそろえるということ以外に方法はないのじゃないか、こう思うのでありまして、そういう意味で、これは厚生省が主管ではありますけれども自治省も人員の配置の点で、この点にもっと留意をしていただきたいと思うのです。いま全国都道府県で公害の専門部課を持っておるのは何県くらいですか。また地方自治体その他の市町村で公害の専門部課を持っているのはどのくらいございますか。それから都道府県市町村で条例を持っておるのは、それぞれどのくらいでございましょうか。
  93. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年七月十五日現在で、公害専門部課を持っている都道府県が二十二、部課はないが、これに相当する係等の組織を持っているものが十二でございます。それから市町村につきましては、課の組織を持っているものが三十五市一町、係の組織を持っているものが六十一市十五町一村、こういうことでございます。
  94. 河上民雄

    河上委員 これで十分とお考えですか、それとももっとふやしたほうがいい、あるいはふえていくというような見通しなどについて、いかがでございますか。実は兵庫県などでも、ことしから公害課を、一つだったのを一課、二課というふうにふやしたりしております。生活部というような名前で、それを統括しておるようでございますけれども、そういうような県がありまして、充実の方向に向かっていることは事実でありますが、思いがけないいなかでも、公害問題がたくさん起こっておりまして、そういうところへ行きますと、今度は計画課長あたりの方が、もう全くしろうとで、目を白黒させてあたふたとしているというのが実情のようでありますので、私はそこで自治省にお願いしたいのでありますけれども、公害問題について専門家の行政官といいますか、地方行政官というものをもっと急速にふやす必要があるのじゃないか、そういう意味でこの前、実は厚生大臣にもお願いしたのでありますけれども、国立の公衆衛生院ですか、何かああいうところで細々ながらスタッフを養成しているようでありますが、ああいうようなところで地方自治体のスタッフを三カ月とか、あるいは一年とか半年とか期間を限って、ごく初歩的なことだけでも習得できるように研修に出すというようなことも考えてみる必要があるのではないかと思うのであります。そういう点につきまして自治省のお考え——いま大臣は来られたばかりですので、政務次官いかがでございますか。
  95. 砂田重民

    ○砂田政府委員 公害の関係の担当者は、私はまだ各地方公共団体とも充実をしていくべき筋合いのものだ、このように考えております。自治省の姿勢といたしましても、先ほど河上先生もお話しの、兵庫県が生活部という新しい部を設ける。公害の問題、消費者問題というような従来の各部にまたがるような行政重点に、こういう部にまとめていく。自治省といたしましても、積極的に賛成をいたしました。これをもってしても、公害問題を将来充実させていきたい気持ちでおります自治省のお考えはおくみとり願いたいと思います。
  96. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議
  97. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河上民雄君。
  98. 河上民雄

    河上委員 少し清掃関係のことでお伺いしたいと思うのであります。  現在の下水道の普及率、また処理が行なわれている比率が非常に低いということは、きのうの本会議門司委員も指摘しておられたんですが、私もまたそれに言及したのですけれども現状をまずお伺いしたいと思います。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 公共下水道の普及率は、市街地面積に対しまして二一・一%でございます。なお人口集中地区面積で見ますと二四・六%、こういうことでございます。
  100. 河上民雄

    河上委員 いまいわゆる都市化現象で、東京近辺などのスプロール化という流行語で呼ばれているような現象、つまり市街地の急速な無秩序な拡大が見られるわけですけれども、私がある資料で調べたところによりますと、下水道の普及の速度の五倍ぐらいの速さで市街地のほうが伸びておるというふうに聞いているわけでありますが、自治省においてはこういう関係についてどのようにとらえておられるか、伺いたいと思います。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように市街地面積の伸びが速いために、なかなか市街地面積に対する整備率が上がらないという状況でございます。これにつきましては、建設省でつくられました四十二年度から四十六年度までの五カ年計画というもので、一応四十六年度末の市街地面積を六千九百十ヘクタールに見積もり、かつ市街地人口を六千五百六十万人、こういう見積もりのもとに整備率を三二・五%に引き上げたい、こういう五カ年計画があるわけでございますので、一応これによって、四十六年までにこの率に到達するには単年度どれだけやればいいかということで四十四年度の措置をいたしたものでございます。
  102. 河上民雄

    河上委員 私どもがちょっとそこで懸念しますのは、下水道の普及が非常におくれておる。いろいろな形で未処理のまま排水、放水されるということの結果として、河川や海水がよごされる。その結果、いままでの海水浴の好適の場所と見られていたようなところもだめになっていくというようなことが、夏になりますと、そのたびごとに新聞で話題になるのですが、このたび、そういうことに備えまして水質保全法を、単に工場排水だけでなく、都市排水までその範囲に、対象に入れようというようなことで改正がなされようとしているのでありますが、自治省のほうでは、そういう水質保全法の改正に備えてこの未処理の排水の問題、それからもう一つは、し尿を清掃という形で集めて回収しているわけですけれども、最終的にそれをどこへ持っていくかということになりますが、一般には海上に投棄されるというようなことがかなり行なわれているやに聞いているわけですが、この水質保全法の改正にタイアップしてこういうし尿処理の問題ですね、その方式、これについて自治省では新しい対応ということを考えておられるのかどうか、お伺いしたいのであります。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 極力し尿の衛生処理、これをふやしていきたいという考え方に立っております。今回私ども需要の見積もりにあたりましては、し尿の衛生処理率——もちろん特別清掃地域内のことでございますが、衛生処理率を四十六年度には全部に普及できるようにということで、その間の単純年率を出しまして、それだけの処置を今度織り込んでみた、こういうことでございます。
  104. 河上民雄

    河上委員 たとえばし尿の海上投棄ですね。これは昔ならいざ知らず、現在非常に問題になってきているのですが、これは現状では、おもなる市だけでけっこうですけれども、海上投棄について、東京はやっているということでありますが、その他の地区の状況、それから今後水質保全法の改正に伴って、これに対応するために自治省として何か適当な指導をなされるおつもりかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  105. 細郷道一

    細郷政府委員 清掃施設の処理についてはもっぱら衛生処理が必要と考えておりますので、具体的には公共下水道の整備それからし尿消化槽の整備、それに重点が置かれるべきものだと考えております。したがいまして、し尿処理の衛生処理率を四十六年度には特別清掃地域全体に及ぶようにということで財源措置をいたしておりますが、具体的に個別の市町村の指導にあたりましては厚生省とも連絡をとって、ものによっては起債等の財源措置も必要でございますので、それぞれ個別の問題として財政措置をするようにいたしております。
  106. 河上民雄

    河上委員 し尿処理の問題は、御承知のとおり化学肥料の普及によって農村ではもうほとんど使わなくなったということから、新たな問題としていま登場しているのじゃないかと思うのでありますが、同じように地方自治体にとって大きな問題になるであろうと思われるのは、産業廃棄物と普通いわれているものなんであります。たとえばいま都市再開発をやりまして、市の中心部の都市改造をやりますと、当然瓦れきとかそういうものがたくさん出るわけですけれども、そういうものの処理というものは非常に大きな難問になってきている。それから公害対策でありますけれども、降下ばいじんを少なくするために集じん機を取りつけるよう義務づけますと、それが今度は集めたものを、たとえば電気掃除機でやってそこにたまったごみをどこに捨てるのかという問題と同じように、集じん機で集められた廃物の処理が今後大きな問題になるのじゃないかと思うのです。いまのところ、私がいろいろ調べてみますと、結局そうしたものは適当にどこか海に捨てたり、適当に埋め立てにしたりしているようなんですけれども、将来これが必ず大きな問題となるのであります。こういう問題について、清掃関係といえばこれは地方行政の大きな問題でありますけれども自治省では、し尿処理の問題と並んで、こういう産業廃棄物といわれる新しい問題についてそろそろ、といってももう手おくれだという感がありますけれども考えていただかなければいかぬと思うのであります。先ほど来、ことしの地方交付税の特色は動態化したことにあるということを言われておるのでありますけれども、こういう要素をどのように今後織り込んでいかれるおつもりか、伺いたいと思います。
  107. 細郷道一

    細郷政府委員 ごみ処理については、これも四十六年までに特別清掃地区についての衛生処理ができますようにということで、本年度分を実は財政措置をいたしたわけでございます。ただ、ごみ処理については、いろいろ地方団体の集まりであります六団体、特に市長会都市センター等でも、実はごみ処理の内容がどんどん変わっていくことについていま研究をしているわけであります。御承知のように、ごみの分量自体は生活水準が上がるにつれてふえるわけでございます。さらにいまおっしゃったような、非常な消費ブームに影響をされて廃棄物というものが出てまいるわけであります。そういったようなものを公共団体がすべて処置しなければならないかどうかという点につきましては、これは将来の問題でございますが、非常に問題があると思うのでございます。日常生活から出てくるとは申しながらも、毎日繰り返されて出てくるものではないような廃棄物、こういうものについてはどういうふうに地方団体が対処したらいいのか、これはやはり研究の問題だと思うのでございます。これは必ずしも地方団体がやらなくても、現に御承知のように、そろばんに合うものについてはそのような会社もあるわけでございまして、廃棄物だけを集めてスクラップ化していく会社もあるわけでございます。その辺はなおよくそういうグループの方々の研究に待ちたい、かように思っております。
  108. 河上民雄

    河上委員 産業廃棄物については、大阪府が全国に先がけて画期的な調査をやっておられるのですけれども、それを見ますと、大体家庭のごみ、従来の清掃関係の仕事の対象であったごみ、それの四倍から十倍ぐらいの産業廃棄物が出てくるということでございまして、おそらくこれは東京でもそうじゃないかと思うのです。いま言われたのでありますが、それについて一体これはだれが責任を持つかということは問題だというようなお話でしたが、清掃法では、そういう産業廃棄物というのは新たなものですね、つまり家庭ごみ以外のものについて市町村長の責任はどのように規定されておるのか伺いたい。
  109. 細郷道一

    細郷政府委員 清掃法は御承知のように、「汚物を衛生的に処理し、生活環境を清潔にすることにより、公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」という法律でございまして、そこでいいます「「汚物」とは、ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿及び犬、ねこ、ねずみ等の死体をいう。」こういうことになっておるわけでございます。こういった清掃法によるごみ、燃えがら、汚泥その他のものに、最近新しく出てまいります廃棄物が含まれるかどうかということは、私は主管省でございませんのでよく厚生省当局にも聞いてみなければわからないのでありますが、少なくとも法律の条文を離れまして、現実問題として市長会都市センター等で地方団体の長が集まっていただいて議論になっておる点は、まさしくいまおっしゃったような、ごみの種類の多様化にどう対処するかという議論にあるわけでありまして、そういう意味で、法律問題もさることながら、そういった現実の問題についてどう処理をするかということは、先ほど申し上げましたように今後の研究問題ではなかろうか、かように考えております。
  110. 河上民雄

    河上委員 その点につきましては、ひとつ厚生省と早急に連絡をとって、しかるべき体制を確立していただきたいと思うのであります。  アメリカの例を見ますると、アメリカのような大きな国でも廃棄物処理にたいへん困っているようでございますが、こういうものの処理のために、やはりアメリカの一つ方法として、自治体で経営する処理場に各企業が運んで、ある程度の手数料を払って処理をしているようでございます。何か、企業と自治体と国と、三者の関係につきまして一つの方針というものを確立し、また制度というものを確立していただきたいと思うのでありますが、ひとつ自治省のお考えといいますか、今後の方針をもう一度確認したいと思います。
  111. 細郷道一

    細郷政府委員 何ぶんにも新しい問題でございますので、よく関係省に申し伝えて検討を促したいと思います。
  112. 河上民雄

    河上委員 なおこれに関連して、いわゆる清掃法というものがそういう新しい事態に即応し得るものかどうかという問題もあると思うのでございますけれども、それも含めてお考えいただきたいと思います。これは一つの例でありますけれども、要するに、いま地方自治体で取り扱わなければならない問題というのは非常に多様化して、その中でもこの公害問題というのは予想しがたい問題をはらんでいるわけですので、地方交付税の動態化ということは非常にけっこうな面もあるわけでありますが、それが単なるうたい文句でなく、もう少し公害行政というものを一つ制度の上に乗せるように、非常にむずかしいことは私もよく承知しておりますけれども、ひとつ一そうの御努力を願わなければならないと思うのです。国でやらなければならない仕事も非常に多いわけですが、同時に地方公共団体が一番この公害を受ける住民に直結しているわけでありますので、ひとつそういう点を考えて、それが地方財政の面にも反映するように御努力いただきたいと思います。ひとつ大臣からこの点についても御決意を承りたいと思います。
  113. 野田武夫

    野田国務大臣 公害問題は、これは前からもあったのですが、ことに最近急速に大きな社会問題となっております。これは何といっても地域住民にとっては生活の上で非常に悪い影響をもつものでございますので、国でもこの問題を非常に大きく取り上げております。しかしいま御指摘のように、これはやはり地方自治体の地域住民の生活の問題でございますから、私はやはり自治省としても積極的な取り組みをする、同時にこれはやはり相当財政上の負担がかかりますので、これらにつきましてもわれわれは相当考慮すべきものだ、こう考えております。
  114. 河上民雄

    河上委員 大臣から力強いおことばをいただいてうれしく思いますけれども現実には地方公共団体はすでにいろいろ仕事を始めておりますので、できたら公害関係の費用というものは交付税の中で、特別交付税で、さらには普通交付税で見ていただくように、そういう方向で今後の御努力をいただきたいと思います。局長ひとつお考えを……。
  115. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、事務的な経費はわりに算定がしやすいわけですが、投資的事業は、各団体で公害対策という名目でいろいろな事業をやっているものですから、これをまとめてうまく織り込んでいくのが非常にむずかしいわけです。しかし関係の都市計画あるいは下水、そういった需要を伸ばすことはやはり間接に公害対策のための経費を伸ばしている、私はこういうふうに考えております。もしよいお知恵でもございましたら教えていただいて、なお研究をしてみたいと思います。  なお、先ほどお答えを留保いたしました府県の公害担当官の数でございますが、厚生省の調べによりますと、ばい煙規制職員として四十二年十二月現在で四百八十一人ということでございます。なお、公害の関係で、私ども特別交付税をきめる前にいろいろ陳情書や要望書が出てまいりました。正規のものもございますれば、そうでないものもありますが、これを単純に集めてみましたら四十七億二千五百万円でございます。
  116. 河上民雄

    河上委員 どうもありがとうございました。それじゃ、今後の公害行政に対する自治省としてのサイドからの積極的な姿勢と行動を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  117. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 山口君より関連質問の申し出があります。これを許します。山口鶴男君。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 指導課長お見えでありますからお尋ねをいたしますが、指導課でまとめましたこの「公共施設水準現状」、道路の現況につきまして、昭和四十二年度末現在の市町村延長は九十五万三千七百四十九キロメートル、こうなっております。ところが一方国会に提出をされました「地方財政状況」、いわゆる地方財政白書でありますが、それの三百五十九ページを見ますと、市町村延長は八十五万三千七百四十九キロ、ちょうど十万キロずばり違っておるわけであります。それから府県道は十二万八百五十キロ、これに対して地方財政白書の府県道は、主要地方道とそれから一般都道府県道等合計が十二万八百四十九キロ、これは一キロ違っているだけですからいいですよ。片や一キロしか違わないのでありますが、片や十万キロ違っておる。ためしに橋梁を調べてみましたら、橋梁の数は市町村道それから延長につきましてもずばり一致しているのが、市町村延長については十万キロ違う。橋梁の数は同じわけですから、橋梁の数が一致しておって道路延長では違うなんということは、私は同じ市町村道路台帳をもととした計算としては非常におかしいと思うのですよ。(「活字が違ったのじゃないか」と呼ぶ者あり)活字が違ったのじゃないかと思って私は今度はパーセンテージを見ましたら、パーセンテージも違っておるのですよ。ですからこれはミスプリントで八十五万のものを九十五万に書いたのじゃない。これはパーセントが違っていますから、ミスプリントでないことは明らかなんですね。ですから道路延長では十万キロずばり違っておって、府県道では一キロしか違わない。ところが橋梁に至っては、橋梁の数それから橋梁の延長まで市町村においてはずばり一致している。しかも同じ財政局の中の交付税課の調べた数字と、同じ財政局の中の指導課で調べた数字が違う。しかも財政局長さんの名前は細郷道一である。道は同一でなければならぬですよ。こういうことでは私は非常に遺憾だと思う。大臣どうですか。同じ自治省財政局長、それから財政局の中の課によってこう数字が違っている。しかもいま市町村道の改良を進めなければならぬということがまさに国民の声となっておるときに、同じ局内の課によって十万キロも数字が違う。こういうことがあってよろしいと思いますか。私はやはり自治省内部の規律を、大臣もっとはかっていただかなければならぬと思うのです。しかもこの道路延長は、重要な交付税単位費用配分数字になっておるわけです。これが十万も違ったら、これは財政計画を直さなければならぬですよ。私はかつて奥野さんが財政局長のころ、たまたま府県会議員の数の算定を間違えておりまして、間違いを認めたわけです。ところが一億以内の金額だったもんですから、幸いなことに財政計画数字を直さぬで済んだ。一億以内でありまして財政計画自体は直さぬで済みましたので御了承いただきたいということで、了承いたしました経験があります。今度の場合、十万キロ違えば財政計画が大きく狂うわけですから、こういうことでは困ると思うのです。ひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思うのです。
  119. 細郷道一

    細郷政府委員 白書の関係は、御承知のように決算をとります際にいろいろな資料をあわせてとっております。これにつきましてはかなり長期間検収等をいたしまして、私どもも精査をいたしてその結果を公表いたしております。ところがこの水準調査のほうは、先ほども申し上げましたように、これは全く私の発想で、実はことし初めて試験的にやったものでございます。そういう意味合いで、これはこれで別にとったものですから、私は、本来ならば同じように出てきてもいいだろうと実は思っているのでございますけれども先ほど来申し上げておりますように、数字が少し違うわけでございます。違いますものですから、おかしいということはわれわれもよく承知をいたしておったのでございますけれども、単純に、市町村、全国三千幾つからの集まったものをそのまま集計したために、どこがどういうふうに違うかということについては、なお精査を加えなければならないと思っております。そういう意味合いにおいて、同じ私の局内で二様の数字が出て、まことに私も恐縮に存じておるわけでございますが、そういった経緯を御了承いただきまして、なお私どもとしても精査検討を加えてまいりたい、かように思っております。
  120. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、地方交付税配分いたします場合に、最も基礎的な数字であり、その基礎的な数字が、府県道等におきましては差が一キロですから、これはいいといたしましても、市町村においては十万キロです。十万キロちょうど違っている。橋梁の数等は一致しているわけですから、これはどういうところで十万キロ違ったのかわかりませんけれども、とにかく明確に違っているわけです。一割以上違っておるわけです。しかも、そういうものが自治省のお役人の手によって発表されているわけです。片や財政白書が発表されているわけですが、国民は、一体何が正しいのか、非常な疑惑を持つことは当然だと思うのです。しかも交付税配分というきわめて重要な要素がある基礎的の数字が違うということでは、私は、国民が自治省というものを信用しなくなるということも当然ではないかと思うのです。大臣といたしましての所信をお伺いいたしまして、関連質問を終わりたいと思います。
  121. 野田武夫

    野田国務大臣 いま山口さん御指摘の点を聞き取りまして、実は局長にもこの場でただしておりますので、いろいろ事務的な数字計算において、事務的な理由もございましょうが、しかし、それは別といたしまして、同じ役所で取り扱った、しかもいま山口さんのおっしゃったとおり交付の対象になるような重要な資料でございます。これが違っておることはまことに申しわけないと私は思っております。  そこで、どうすればいいかということは、結局先ほど局長が申しましたように、行政施設水準現状を調べるということで、局長としては念を入れてやった調べで、今度初めてやったそうでございます。そこで数字が違ってきたと申しますから、これはその点は深くおわびいたしますと同時に、すぐ精査いたしまして結論を出したいと思っております。当然出すべきでございますから、御了承を願います。私どものほうですぐやりますから、その点で御了承願いたいと思います。
  122. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 林百郎君。
  123. 林百郎

    ○林委員 私、最初大臣に、一月六日付で大蔵大臣と取りかわした覚書についてお尋ねしたいと思います。ということは、実は昨年の十二月十八日にこのことを予想しまして、あなたに当委員会で質問しているのですよ。それに対してあなたは、「地方交付税というのは、これは地方財政の固有の財源という立場をとっております。したがって、国でいう財政硬直化というものとのつながりはない。」こうおっしゃって、そして再び四百五十億の際の覚書のようなことは繰り返さないということを、ここであなたは答弁しているのです。これは細郷さんもそういう趣旨で答弁されているわけです。あなたの答弁はあとでまた引用しますが、こういうことを繰り返していきますと、これは実質的には三二%の切り下げ、三二%の交付税税率の切り下げと同じことになる危険があるわけです。それで私は、これは非常に重要だと思うので大臣に聞きたいのですが、あなたと大蔵大臣がこういう覚書をとりかわして、そうして、当然地方自治体に交付されるべき交付税交付金を削減するという、こういう権限は地方財政法のどこかにあるのですか。大臣、その根拠をお示し願いたいと思います。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税法で、交付税は国税三税の三二%ということをきめております。そこで、こういった今回のような措置はそれに対する特例をなすわけでございますので、法律によって御審議をいただく、こういう手続をとっておるわけでございます。
  125. 林百郎

    ○林委員 いや、その法律をつくる前に大臣がこういう覚書をつくっちゃって、そうしてその覚書を法制化するわけなんで、法制化より行政的な行為が先行しているわけですよ。だから、その権限を聞いているわけです。どこにそういう権限があるのですか。
  126. 野田武夫

    野田国務大臣 これはどういう権限でということですが、つまり、行政上、役所同士でいろいろ約束することがあり得るのでございますが、しかし、それはやはり法律の根拠がなければいけませんから、当然それに基づいて法案を提出して御審議を願うというのが当然のことでございますから、ただいま交付税法の一部改正の法律案を出しまして御審議を願っておる次第でございます。
  127. 林百郎

    ○林委員 大臣が、昨年の十二月十八日の私の質問で、さっき読みましたように、地方交付税というのは、これは地方財政の固有の財源だ、地方財政の固有の財源を、大臣が、大蔵大臣と覚書で、六百九十億ことしは頭をはねますという、こういう契約をできるのは、大臣に権限がなければならない。これは本来なら固有の地方自治体に交付されるべき地方自治体の期待権、そういう権限が確立されているのを、そういう地方自治体に何らの意思も問うことなくして、大臣が先に大蔵大臣とこういう話をきめてしまうということはどういうことなんでしょうか。どういう権限でそういうことができるのでしょうか。
  128. 野田武夫

    野田国務大臣 いま申し上げましたとおり、その権限ということよりも、この予算編成にあたってお互い話し合いまして約束をいたしました。しかし、それはやはり法律上の根拠がなければできないことでございますから、それに基づいて新たに法案を出しまして御審議を願う、こういう段取りをいたしております。
  129. 林百郎

    ○林委員 地方交付税法の四条を見ますと、地方交付税に関する大臣の権限が規定されていると思うのです。地方交付税法の四条に「自治大臣の権限と責任」とあるわけですが、参考までにこれを読んでみますと、「自治大臣は、この法律を実施するため、左に掲げる権限と責任とを有する。」とあって、「毎年度分として交付すべき交付税の総額を見積ること。」「各地方団体交付すべき交付税の額を決定し、及びこれを交付すること。」こういうことがあるわけですね。だから、見積もって、各地方団体交付すべき交付税の額を決定する。ところが、これを受けて六条に、交付税の総額は三税の百分の三十二、こういうふうにきまっているわけですね。だから、大臣は、地方交付税法によってきめられたその年々の、第六条による交付税の総額を決定し、そうしてそれを交付する責任があるのであって、そこから頭をはねていいなんという権限は、地方交付税法の四条の中には出てこないわけなんですが、あなた越権の行為をしているということになりませんか、これは。それは法律を先につくって、法律でこうなったから、その法律に委任された権限で私はこうしますというならわかりますけれども国会でまだ審議もされない、法律もきまらないのに、大臣が個人的にそういう取りきめをしてしまうということは、これは越権じゃないですか。
  130. 野田武夫

    野田国務大臣 行政上の措置といたしまして——交付税のいまの法律上の権限、責任、第四条で明らかでございますが、行政のいろいろな運行上、そのやった行為について法律の根拠をつくるために、事後におい法律を提案してお願いするということも必ずしも絶無とはいえない。私としては、私の責任でやりましたから、この法案の改正を出しまして、そうして御審議を願い、その結果、私の行為というものは法律上根拠を与えていただく、こういうことでございます。
  131. 林百郎

    ○林委員 何だかよくわからないのですがね、大臣の言っていること。細郷さんは、私の質問に対してこう言っているのですね。四十三年度の四百五十億のような形で繰り返しませんかという私の問いに対して、あなた、はいと答えているのですね。これは昨年の暮れに、延長した国会の当委員会で、こういう気配があるということをわれわれは察知したものですから、先手を打って、あなた方に腹をきめさせなければならないと思って質問したわけです。そのときに、あなたは繰り返しません、はいと答えていますが、これはどういう心境であったのですか。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 そのときは御激励をいただいたもとの思い、私自身も去年と全く同じことはやるまいという考えでございました。ことしの行き方は御承知のように、形の上では当初予算の減額という形をとっておりますが、内容的には昨年と違うことは、るるここで申し上げたとおりでございます。
  133. 林百郎

    ○林委員 実質的には昨年と変わらないので、形の上で違っているというだけじゃないのですか。それよりも、もっと危険なことは、四百五十億の場合は三年間に百五十億ずつ返していくとはっきりきめられているわけでしょう。ところが、ことしの覚書を見ますと、これはあなた御承知のとおりに、来年度幾ら返すかということははっきりしていないわけです。四十六年度、四十七年度に繰り延べして加算することができると書いてある。これはむしろ昨年の四百五十億よりは、もっと危険な要素、地方財政には危険な要素を含んでおるといってよろしいのではないですか。どうですか細郷さん、必ず来年なら来年になったら返すとか、あるいは四十六年度、四十七年度に延びるとすれば、どういう形でやるとか、そういうことがどうしてはっきり数字の上で示されないのですか。これを見ますと、「上記の金額は昭和四十五年度の地方交付税の既定額に加算する。但し、地方財政の情況等により、当該加算額の一部を昭和四十六年度及び四十七年度に繰り延べて加算することができる。」これではどうなるかわからないじゃないですか。四百五十億の場合は百五十億とはっきりしているのですけれども……。だからあなたの言うように、形の上では昨年と変わりないが、実質は昨年と変わっています。要するに昭和四十三年度の自然増の中から繰り出したものがあるから、それを入れれば四十四年度の財政計画の中にはプラスマイナスの影響がないということをあなたは言おうとしているのだと思いますけれども、しかし、それは実質的には四十四年度に響いてくるのです。それは実際に金がいつおりてくるにしても、四十四年度の交付税交付金の中から頭をはねることは間違いない。しかもその返還については、何らの具体的めどもついていないということになれば、私は実質的には、四百五十億円よりはもっと危険な取りきめをしておる、こう思わざるを得ないのですが、どうですか。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 覚書は、いま御指摘のとおりの表現になっております。今回御審議いただいております法律案の附則の五項におきまして、四十四年度分にあっては六百九十億円を減額した額とし、四十五年度分にあっては六百九十億円を加算した額とする、原則は四十五年度にその同額が加算されると書いてあります。ただし、地方財政状況等に応じ、その額を四十六年度あるいは四十七年度の総額に加えることができる、その場合には刑に法律で定める、こういう書き方をいたしておるのでございます。その点におきましては、四十五年度に原則としては六百九十億を加算していくんだという考え方が書いてあるわけでございます。
  135. 林百郎

    ○林委員 それはわかっています、書いてあるから。それじゃ私たちは絶対に承服し、認めるわけにいきません。これは覚書なり、また本法改正案の中にもあるのですけれども、四十六年度、四十七年度に繰り延べして加算することができる。「地方財政の情況等により、」これはどういう場合のことをいうのですか。これは大臣自分がつくった覚書ですから、まず大臣にお聞きいたしたい。どういうつもりで書いたのですか。
  136. 野田武夫

    野田国務大臣 これはその当時の覚書にも書いてあります。またしばしば申し上げておりますとおり、地方財政を健全化しなくてはいけない、充実することはもとよりであります。そのためには地方自治体の財政状況考えて、自主的な年度間調整をする場合がある、こういう考え方基本でございます。それに応じて地方財政現状を見てお乗せをしたい、こう考えております。
  137. 林百郎

    ○林委員 何だかちっともわからないですよ。あなた自分で書いた覚書でしょう。要するに、原則として四十五年度に返すけれども地方財政状況等によって四十六年、四十七年に繰り延べして加算するとあるけれども、四十六年、四十七年に繰り延べる地方財政状況というのはどういう状況であるとあなたは考えて、この覚書をつくられたかと言っているのですよ。どういう状況の場合には繰り延べるのですか。
  138. 野田武夫

    野田国務大臣 つまり四十五年度の地方財政需要、それと地方交付税の総額がどのくらいか、それから地方税がどのくらいの額になるか、これを大体地方財政基本的な自主財源として考えていく。もちろんこれには補助の額も入りますけれども。したがって、そういうことから見て、四十五年度で地方財政需要額をどこまで満たしたらいいか、その場合にどうしても全額それを満たすというときは、四十五年度へいって満たす。しかし、そのいわゆる年度間の調整を必要として、これを四十六年、四十七年までに返してもらって、ちょうど地方財政需要額に満たしていける、こういうときには四十六年、四十七年と二年間繰り延べる、その年度において残額を加算する、こういう考え方でございます。
  139. 林百郎

    ○林委員 あなたは常に、地方財政は決して豊かにはなっておらない、したがって地方財政が中央財政に協力するということについてもこれは限界があるのだ、単独事業や、いろいろやりたいこともやらなんでいるから、いわゆる黒字と称するものが出たにしても、それは実際やるべきことをやってないからなんで、地方自治体がみずからやりたいこと、単独事業をやり、そして地域住民に十分地方自治体としての奉仕をするということになれば、財政的にはいま非常に不十分さがあるのだということを一貫して言っていたわけでしょう。それを、貸した六百九十億を返せと言わないほど地方財政に余裕のある事態というのは、どういうことなんですか。自治大臣自身がそういうことを考えておいでになるのですか。
  140. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、林さんが言われたとおり、地方財政は決して豊かではない。したがって四十五年度でもって地方財政を満たす財源として、やはり四十五年度に全額を加算する、そういう見通しをすべきだ。しかし、私どもがよく言っております自主的な年度間調整というものがありますから、その時点におい財源財政需要とをにらみ合わせてどうするか。しかし、いずれにしても今日の地方財政では、四百五十億円みたいに百五十億ずつ返すということでなくて、四十五年度でやはり一度に加算すべき事態が当然予想されると思ったから、法律の中にもそういうことを明記してあります。
  141. 林百郎

    ○林委員 幾ら聞いておってもわかりませんので、次へ移ります。  大蔵省の秋吉さん見えていますね。この覚書を御存じでしょう。ここに、覚書の第一項、さっき大臣も幾度か言っているのですが、「別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」とありますね。これはどういうことだとお考えになっていますか。
  142. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 過去におきまして、いろいろ交付税率の問題につきまして大蔵省と自治省の両当局の間におい議論があることにつきましては御案内のとおりでございまして、今後はそういった交付税率の変更の問題についての議論よりも、むしろ、地方交付税の年度間調整について検討を要する問題があるのじゃないか。と申しますのは、地方交付税が現在三税に基づいておる形になっておりますから、どうしても景気の動向に応じまして激しい変動を生ずる仕組みになっておるわけでございます。これにつきましてはいろいろな面から、やはり地方財政の長期的な健全化という面からいたしましても、その他いろいろな面からいたしましても、問題のあるところでございまして、そういったきわめて常識的な考え方のもとにおいて、この地方交付税の年度間調整について検討いたしたい、こういうことでございます。
  143. 林百郎

    ○林委員 そうすると大蔵省の事務当局の考え方は、要するに三税に対する三二%、この交付税交付金ですね、この全体について国の財政情勢やあるいは地方財政の歳入の伸びや、いろいろ勘案してこれを調整していく、こういうお考えなんですね。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないと言ったって、そう答えているじゃないか。
  144. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 先ほど申し上げましたように、年度間調整についての常識的な考え方があるのでありまして、これをいかなる形において、どういう方法で年度間調整の目的を果たすかということについては、今後自治省と私のほうで十分検討いたしたいということで、したがいまして具体的な内容というものはまだ持ち合わせていないわけで、今後検討いたしたい、こういうことでございます。
  145. 林百郎

    ○林委員 そうすると年度間調整というのは、国の財政とのにらみ合わせでの年度間調整ということですか、はっきりいえば。
  146. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 それはいろいろの見方があろうかと思います。もちろん地方財政自身における長期にわたる健全化という面からくる年度間調整という見方もありましょう。それからまた、先ほど国と地方を通ずる財政運営の面からの年度間調整という御指摘もございました。それからまた景気の動向等にらみ合わした景気調整機能からくる年度間調整、このいろいろな意味の年度間調整があるわけでございまして、どれということでなしに、そういった年度間調整についてひとつ総合的に今後自治省との間において大蔵省といたしましては検討いたしたい、こういう考え方でございます。
  147. 林百郎

    ○林委員 大臣、ひとつあなたの考えを述べていただきたい。このあなたの書いた覚書の中にある別途年度間調整の措置というのは、どういう措置ですか。
  148. 野田武夫

    野田国務大臣 それはしばしば申し上げておりますとおり、地方財政状況を見て自治省が自主的に財政状況を判断し、その上において自主的に調整していく、こういうことでございます。
  149. 林百郎

    ○林委員 自主的に何を調整するのですか、交付税交付金調整していくというのですか、何を調整するのですか。
  150. 野田武夫

    野田国務大臣 つまり地方財政は御承知のとおり交付金地方税、国家の補助、こういうものが総合的に地方財政基本になっておりますが、やはり財政状況によりましては、特に地方税が伸びるか下がるか、これは景気の動向によって相当変更があります。われわれはまだ将来相当地方税は伸びていくと思っております。同時に交付税も御承知のとおり景気の動向によって、そのときの国税三税の税金でございますから、相当の変更があるわけであります。これらを勘案して、そのときの財政事情を見て、つまり相当その年によって財政需要を満たし、さらに必要なときはすべてそれを使う。財政事情によっては、その年地方財政に入った金を全部使う、これは当然のことですが、しかしいまわれわれの考えておることは、地方財政の健全化という立場からすれば、相当な余裕のあるときはこれをたくわえて、余裕のない場合も予想されるから、その場合にはそれをつまり調節していく、そういうふうな財源一つの運営をやっていこう、そうしてできるだけ地方財政の健全化をはかろう、こういうことでございますから、その意味における年度間調整をやろう、こういうことです。
  151. 林百郎

    ○林委員 そうすると特別会計か何かでも設けて、そこへ交付税交付金をプールしておいて、そこで三二%ずつ取るけれども、あるときは全部やったり、あるときはやらなかったり、そういう会計にするということですか。それでいいですか。
  152. 野田武夫

    野田国務大臣 私は実は、林さんの言われるとおり、これは特別会計にしたいと思っております。大体あなたの構想と同じですが、これは要するに四十四年度におきましては——あなたも知っておられるとおり、毎年毎年税率を引き下げてくれというのが大蔵当局の希望でございます。これはできないということから出て、しかも交付税は固有の財源である。きのうの委員会でも、大蔵大臣がここに出席した場合に御質問がありまして、これに対して、地方交付税地方財政の固有の財源でありますという明快な答えをやはりいたしております。この取り扱いにつきましては、私も林さんと同じように、これはどうしてもやはり特別会計に持っていきたい、こう思っておりまして、今後ひとつ大蔵当局とも話し合って検討したい、こういう考え方を持っております。
  153. 林百郎

    ○林委員 言うまでもなく、各地方自治体が、それぞれの年の剰余金があれば来年度に繰り越したり、そういう年度間調整は各自治体は独自でやっておるわけです。これはいまの法制の中でもできることでしょう。そういうことでなくて、あなたの考えとしては、交付税交付金は特別会計にして、地方財政全体のにらみ合わせから、それをあるときには全額渡したり、あるときは余裕があるからといってチェックしておいたり、そうしてそこを安全弁にして地方財政の運営をはかっていく、こういう考え方ですか。あなたはそういう考え方ですか。もう一度はっきり答えてください。
  154. 野田武夫

    野田国務大臣 つまり、大体考え方としてはそういうふうですが、具体的にそれをどう持っていくかということは、これから検討していきたいと思っております。まだ具体的なものはでき上がりませんから……。
  155. 林百郎

    ○林委員 どうもおかしな答弁になってきたですな。  大蔵省、それでいいですか、いまの自治大臣考えで。
  156. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 年度間調整の段階につきましては、いろいろ段階があろうかと思います。また、いろいろの角度からこれをながめた場合には、いろいろな問題がありますが、まず一つは、一般会計から交付税及び譲与税特別会計の繰り入れの際における年度間調整、それが一段階あります。それからもう一つは、特別会計の段階においての年度間調整、それからただいま御指摘のございましたように、地方公共団体の末端の各団体ごとにおける年度間調整、この三段階があると思いますが、いずれの年度間調整の問題として解決するかということにつきましては、今後の検討問題でございます。
  157. 林百郎

    ○林委員 どうもおかしいですけれども、ぼくは、年度間調整というのは、地方自治体が独自の財源をそれぞれ調整する権限がありますから、そのことを言っていると思えば、大蔵省のほうは、何か国の一般財政との間で調整をしていくという意見であったり、あるいは自治大臣は特別会計構想を発表されたりしているわけですね。これは非常に重要な問題だと思うのですよ。自治大臣の言うようなこと、大臣がことしの財政はこうだといって、当然、地方自治体にやらなければならない金をチェックして、会計のほうへプールしておいて、それを安全弁にして使うなんということは、それこそ自治大臣にそんな権限あるんですか。どうも、それはできないはずですがね。
  158. 野田武夫

    野田国務大臣 つまり私の考えは、あなたのおっしゃる特別会計をつくるかということと、それから先ほど言われた、自治体がおのおのの自主的な調整をする、そこでいま検討いたしておりますが、私は、もちろん特別会計をつくるということになりますと、これにいろいろ関連いたしてまいりまして、そういう問題についてまた法律なんかということも考えますが、いまの段階ではそういうことを検討している。どれが一番——私のねらいは、地方財政が常に脅かされないで、安全で、しかも健全に持っていくことが私の使命でありますから、やり方は、それはみんなお互いに論議をし合って、一番いい方法をとる。だから、一つの案としてはそういう特別会計の案がある。しかし、いま検討している。それでなければいかぬということでもないし、つまり目的はもうはっきりしておりますから、どうして地方交付税を——これは、きのう大蔵大臣山口さんに答弁しておるように、固有の財源だということを明瞭にお答えいたしております。しかし、その固有の財源を、つまり覚書によって、今後当分の間は税率に触れない、これはきのうも発言しておりますけれども、いろんな特殊の事情が起こらぬ以外は、これはもう税率に触れない、そこまで固めてきたわけです。この後は、この固有の財源をどう有効に、効率的に、しかも地方財政の健全化のために使うかということが、自治省をはじめみんなの考えることであるから、それに対していろいろの案が出てくると思います。林さんの言われるような案がよかったらそれをやる。あなたが地方財政に渡せと言うなら、それはまた一つの案であろう。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 何もここで私は固執することはない。一つの案として、特別会計案というものは前からありますから、特別会計案をつくれば、それをどうするか、特別会計をどう運用するか、こういうことが一つの大きな問題だと私は思うのです。だから、根本的には、特別会計をつくって、そこでもってすることにきめたということでなくて、そういうことも一つの案であるし、同時に、現在のとおり、地方自治団体が自主的に調整するということが、これが一番地方財政の健全化のために、いわゆる自主調整をやったがいい、こういうことになれば、それがいいし、しかし、いずれにしても、基本的な、交付税をどうしても固有の財源であるということに確立するためには、一つの特別会計にほうり込んでおいたほうがいい、安全だという意見が、非常に今日までいろいろな論議があったのでございますから、その特別会計でチェックする、チェックしないは第二の問題であって、できればそうしたいというのが自治省でも前から希望していることでございます。だから、その運営については、それはここでもってまだ検討中でございますから、どの方法が一番地方財政の健全化のためにいいかということを考えるのが私は当然のことじゃないか、こう思っております。
  159. 林百郎

    ○林委員 大臣のおっしゃるように、地方交付税がやはり自治体独自の財源である、したがって、自治体の自主性によってこれは運用されるべきものだというお考えだとすれば、何でこの覚書で大蔵大臣との間にそんなことを取りかわししなければいけないのですか。それはあなたの独自の権限で、何も大蔵大臣からあれこれ言われることはないでしょう。あなたが大蔵大臣との間でこういう覚書をつくったということは、やはり三二%の交付税交付金全体を国の財政との間でそれぞれ調整をし合うということをお約束したんじゃないですか。そうでなければあなた、こんなあたりまえなことを何で大蔵大臣と覚書を取りかわさなければならないのですか。(「確認だよ」と呼ぶ者あり)確認なんて、何も大蔵大臣から確認してもらう問題でないじゃないですか、こんなもの。なおわからないですよ。
  160. 野田武夫

    野田国務大臣 どうも私は、あなたの御質問の趣旨がわかりませんが、いままで地方交付税は、つまり国税の三税からこっちに入ってくる金であるということで、大蔵当局は、これは国の財政の情勢によっては、まあことしはうんと税金が入るから少し税率を下げたらどうだ、これが大蔵省の何年か続いた意見であるし、現に四十四年度の予算編成でもそういうことが申し込みがあった。そこで、交付税基本的な地方財政の固有の財源ということが固まっていなかったんです。そこで、これはどうしても固めなくちゃいかぬということが一つと、それから、その大蔵省の主張というものは、いまお話もありましたとおり、国のつまり景気の動向によって相当左右されてくる。したがって、その意味において、交付税に対しても調整を加えてもいいんじゃないかという意見も大蔵省にある。それじゃ違う。これは固有の財源である。しかし、地方財政の健全化のためには、地方自治体が自主的に判断して調整するということもはっきりしております。こういうことなんです。だから、私は、よけいなことをしたのじゃなくて、これは税率の安定約束に伴うて、さらにその安定した固有財源は今後地方財政の健全化というためにはどうしていくか、それは自主的に調整したがいいだろう、こういう考え方であります。
  161. 林百郎

    ○林委員 細郷さん、あなたの考えをちょっと述べてください。この覚書の、「別途地方交付税の年度間調整」、あなたはどういう意味にとっておりますか。
  162. 細郷道一

    細郷政府委員 先般来お答えしておりますように、地方財政の計画的な長期的見通しの上に立って、必要あれば年度間調整をしたい、そういった考え方のもとでこれから具体案は検討することでありまして、中身についてどういうということは申し上げかねますが、先ほど大臣が申し上げておりますように、自主的な立場で年度間調整ができる方法考えたい、こう思っております。
  163. 林百郎

    ○林委員 私の質問に対して、あなたもそういう答弁をこの前、昨年の十二月にしているのです。「いまの段階では具体的な話にあがっておりませんで、やはり財政制度審議会等で非常な議論があったところであります。この点については、私どもは、地方団体の自主的な年度間調整ということによって処理すべきものであろう、こう考えております。」   〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 「地方団体の自主的な年度間調整」とあなた言っているのですよ。そうすると、地方団体の自主的な年度間調整をするというのに、どうして大蔵大臣との間に覚書を自治大臣がかわさなければならないのかというのがわからないのです。これはもういまもこういう制度はあるし、このことは地方自治体はやっているわけなんですから。それをどうして覚書でかわさなければならないのか。これはやはり大蔵省側の答弁しているように、いろいろの段階が考えられる。その一つの中には、それは地方団体の年度間調整ということもあるかもしれませんけれども、国の財政との関係での年度間調整ということも考えられる、あるいは自治大臣の言うような特別会計構想というようなものもあるということで、あなたが私に答弁したこととまた事態が違う事態になっているじゃないですか。大蔵省の考え、それから自治大臣考えは、あなたが私に言った「地方団体の自主的な年度間調整」という構想が一つ考えであっても、この覚書の中にある年度間調整というのはそればかりでないということを各関係者が答弁していますが、どうですか。
  164. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、やはり地方財政も以前と違って、どのようにして住民の要望する行政施設水準を引き上げていくかということに重点を置くべき時期に来ておると思います。そういった場合に、いろいろな施設の水準引き上げについて、その年その年の財源状況だけで行き当たりばったりにやるよりは、やはり長期的な見通しのもとに計画的にやることが必要じゃなかろうか、財源総量について、そういう配慮のもとに年度間調整ということも必要なことがあるだろう、こういう考え方に立ってこの問題に当たってまいりたいと思っております。
  165. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたの言われた「地方団体の自主的な年度間調整」というのは、きょうのあなたの答弁を聞いてみると、それは従来も行なわれた地方団体の独自の自主的な年度間調整ばかりではなくて、たとえば特別会計というような構想で調整をする、あるいは国の財政との関係で調整していくという、地方自治体から一つ上の次元での調整という構想になってきているわけですか。
  166. 細郷道一

    細郷政府委員 個々の団体が年度間調整するということは当然のことでございまして、これを私は否定しようとは思っておりません。私のいま申し上げておりますのは、さらに地方財政全体といたしまして、たとえば道路にいたしましてもそれぞれ施設水準が低い、これをどこまで上げていくかということについてはやはり一つのめどを持ったほうがいいのじゃないだろうか、めどのもとに、それぞれの団体がそこの行政に応じて、そのめどどおりでなくても、それ以上にやったり少なくやったり、あるいはその年によって、災害があったので年度間調整をするという、個々の団体の年度間調整は従来どおりあってもかまわないと思うのですが、私は全体として少なくともこの地方財政、相当大きな財政規模でございますので、その中に住民の求める水準を計画的に、長期的な見通しの上に立ってだんだんと手配を、財源措置をしていくことも私は考えていい時期じゃないだろうかというような気持ちを申し上げておるわけでございます。
  167. 林百郎

    ○林委員 もっと具体的にお聞きしますが、そういうあなたの構想、財政上の制度としてはどういう制度であなたのいま言った構想が行なわれていくということなんですか。要するに大蔵省側の年度間調整というのは、少なくともここ二、三年の年度間調整ということになれば、四百五十億の借り上げ、六百九十億の借り上げ、少なくとも地方財政財政力が総体的に伸びてきたから、財政硬直のおりから、中央財政から地方財政へ援助を求むるという形で年度問調整が行なわれている。まあ自治大臣は特別会計構想をもって、それでそこを安全弁にして運用していきたいと言っている。あなたのいまのお考え財政的な制度として運用する場合はどういう制度になるのですか、もう少し具体的に説明していただきたい。
  168. 細郷道一

    細郷政府委員 どういう制度がいいか、それを実は検討いたしておるわけでございます。かつて、御承知のように配付税時代には、前年の配付税総額の一割超はやめる、一割減は補てんをする、こういったような調整制度が法定されておりました。そういったことも私はやはり年度間調整の際には参考にすべきものだと思っておりますが、けさほど来出ておりますような財源保障というような考え方に立ちますと、それに加えてやはり長期的な計画的運営の財源をどう年度間調整をしながらはかっていくかという必要があろうか、こういうふうに思って、そういう角度で研究すべきだろう、こう思っております。
  169. 林百郎

    ○林委員 それはまだ少なくともあなたの——これはあなたが最高の政治責任者でないのですけれども、あなたの構想自体がまだ制度的にも固まっておらないのに、何で自治大臣が大蔵大臣と覚書でそういうことを書かなければならないのですか、いまの段階で。そんなことはもう少しコンクリートしてからやってもいいことでしょう。少なくとも自治大臣と大蔵大臣が覚書で年度間調整を検討するという以上は、もう少し具体的な直接的な影響があるから覚書でこういう条項を入れたわけでしょう。何であなたこういうことを入れたと思いますか。そんな雲をつかみたいな、具体的にまだ制度も何ら考えておらない、少なくとも自治省の事務的には財政の最高責任者が、まだどうやっていいか制度的にもわかりませんなんていうことを、どうして大臣同士がここで覚書としてかわさなければならないのですか。どういう事情があったんですか。あなたが見たところではどうなんですか。これは大臣がやったんだから私は知りませんと言えばそれまでですが。
  170. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう年度問調整措置を検討したらいいじゃないかということで、検討するというお約束をしたわけでございます。
  171. 林百郎

    ○林委員 いいじゃないかという程度で覚書をかわすなら、幾らでもあるじゃないですか、これいいじゃないかあれいいじゃないかということで、大蔵大臣と自治大臣との間で覚書でやるとすれば。特にあなた地方財政の運営について五項目ですよ、五項目にしぼったのですよ。しかもそれぞれが非常に具体的な問題ですよ、国鉄の納付金の問題にしても、たばこ専売納付金の問題にしても、あるいは六百九十億の借り上げの問題にしても。その中でうたわれているのが、いいじゃないか、そんなこと検討してみようじゃないか、いずれ何とかやろうなんということで、覚書をかわすんですか。これだけは非常に雲をつかむような話だが、いいじゃないかということでやったというんですか、自治大臣。まことに驚いた大臣同士だと思いますが、それでいいんですか。
  172. 野田武夫

    野田国務大臣 大蔵大臣がきのうここでお答えいたしましたことでおわかりと思いますが、やはりいま大蔵省の政府委員からお答えがあったように、大蔵省は大体私と覚書を交換するその時点までは、いろいろ景気の動向によってやはり国も地方調整しなくちゃいけない、まあ年度間の調整その他についての考えがあったと私は思っております。これはこの際、地方財政を守る私どもとしては、この間のことをはっきりしなければいかぬ。それにはまず、これは先ほどもう何べんもお話ししたことでありますが、いまの税率の問題その他、具体的にたとえばたばこの消費税の問題でも、これを専売益金でなくてたばこ消費税にする場合は、地方にいままで入っておったたばこ収益の額が減ってはいけない、いかなる手直しでも、これを消費税に持っていっても、いままで入っておった金はそのまま地方に入るようにしよう、まあその他いろいろ約束したのでございます。そこで、つまり税率と固有の財源ということは、いま申しましたとおり、おそらく国会にも初めて大蔵大臣は言明したと思いますが、そういう考え方が——固有の財源であるかどうかということが、大蔵当局にはなかなか今日まできまらなかった。これは事実であります。そこで私も、おそらく林さんにもお答えしたと思いますが、私は最初から地方交付税地方財政の固有の財源である、この立場を堅持するということでずっと一貫してまいりましたから、その点でこれは固める。今後は一切税率の問題も触れない。それで大蔵省は、調整はいろいろ考えておられますかしれませんけれども、つまり年度間調整は私のほうでやるんだ、こういう気持ちでそういう覚書に入れて、それに従って、いま財政局長が申しましたとおり、これを地方自治団体におい調整する。特別会計は別に調整機関としてつくるわけじゃございません。私の言う特別会計というものは、税率を確保した以上は、当然大蔵省も、大体三税の三二%は地方にいくものだということが確定したのでございますから、これはその当時、委員会のほうからのいろいろその点についての御希望も私聞いておりますから、特別会計に持っていったほうが一番安全だ——別に年度間調整をするために特別会計を設けるというのじゃございません。当時から私は、できるだけこれは特別会計に持っていくべきだということは、臨時国会でも予算委員会で私はしばしば自治省考え方を明白にいたしております。だから、その特別会計に持っていくということが税率の確保であるし、交付税地方財政の固有の財源であることを、さらに形式においても、実質においてもきめるには、特別会計にいったほうが一番いいんだ、これが私どもの一貫した考え方で、そういうお答えをずっとやっております。  調整ができるから、そこでやるような案も考えることもあるかもしれませんし、何もそこでやらぬほうがいい、やはり地方団体において年度間調整がいいといえば、私はただ地方財源を守りさえすればいいんですから、これを健全化し充実するのが私の使命ですから、何も一々技術的なことに拘泥しようとは思っておりません。  特別会計というのは、当時もうほとんどの委員からの御希望でありましたから、私もそれをやりたいと思っておりましたから、この際はまず税率の確立、それから交付税が固有財源であるということを明確に握ってしまう、そのあとは技術的の問題であって、特別会計にしなくてもしても、固有の財源である以上は入ってきます。しかし、さらに特別会計をつくったほうが実質的にも形式的にも、また運用上も都合がいいということなら特別会計ということを一つ考えていい、こういうことです。これは当時の、いろいろな委員会の空気その他をごらんになると非常に明瞭にわかってくると思っております。
  173. 林百郎

    ○林委員 この問題は、いつまでやっておってもこの問題だけで時間がかかりますが、決して税率を下げさせないといいますが、当分の間、相互に、変更を求めることをしないということで、これは自分の覚書に書いてあるわけですね。当分の間だけですから、また、あなたもいつまで大臣をやっていられるかどうかわからないわけで、この覚書はあなたが大臣である間だけの効力ではなかろうかという心配もあるわけです。  そこで、あなたのいう特別会計構想でいって、もしそこにプールをして一定の余裕が出てきたということになれば、今度は一般財政のほうから、特別会計にある程度余裕を持つようになっているから、三二%をひとつこの際三〇%にしてもらえないかとか、あるいはそこから借り入れをしてくれないかとか、その特別会計と一般財政との間のそれこそ年度間調整、そういうことは考えられませんか。これで私はこの問題の質問を終わりますが……
  174. 野田武夫

    野田国務大臣 林さん、いろいろ勘ぐって、先のことがどうなるかといえば、いろいろ理屈はつきましょうが、私の姿勢というか、自治省の姿勢というものが、この交付税は固有の財源であって、大蔵省は一切この税率問題には触れないという原則を立てて——これは覚書ばかりでなくて、大蔵大臣は二回か三回委員会で明瞭に答えて、また、きのうはこの地方行政委員会でさらに確認し、さらにはっきりとお答えいたしております。  そこで、特別会計の意見というものは、これはつまり地方財政を御心配願う皆さんの異口同音のお気持ちがここに出てきておったことも事実であります。私も、なるほど税率が確立するせぬということは一番大事であるが、同時にこれは、特別会計にいくことがやはり地方団体から考えても非常に安心するだろうし、まあそういう特別会計ができればけっこうだ。いまの時点におきましては、必ずしも特別会計ができなくても、三二%に触れない、これは固有の財源だということを大蔵当局の最高責任者が明言いたしておりますから、私どもはやはりそれを信頼する以外にありません。私はもちろん二年も三年も——何年やるか、そんなことはあなたの御存じのとおり、続けてやるというようなことは考えられませんけれども、しかしまあ、おそらく地方交付税始まって初めて、大蔵大臣として固有の財源だということの明瞭な答弁をしたと思います。私はそれを信頼しております。  そこで、必ずしもそれが特別会計をつくらなければ税率があぶないとかいうことは——税率があぶないというところに特別会計ができたんです。その話は林さんよく知っておられると思う。しかし、税率が固まって、触れないとなれば、ここで一応疑問のある特別会計はつくらぬほうがいいということになれば何もつくらぬでいいし、一つのどういうことを考えるかということから、さらにこれをコンクリートするためには、特別会計をつくったがいいかもしれぬという、さらに財政の健全化とか安全化ということを考えての意見でございます。そこで、将来いろいろなことがあるんじゃないかという御心配は、それは地方財政を思ってくださる、こういうものは非常にありがたいのですが、両大臣が正式にいわゆる覚書を交換した上に、さらに地方行政委員会に出向いてそこまで明確な答弁をしている、私がいままで言っておったことについて、完全にそれを通してくれたというのですから、それ以上いろいろ疑っておりますと切りがないことであります。  もう一つ繰り返して申しますが、今後は年度間調整自治省が自主的にやるということ、これもきのうの大蔵大臣の発言にも出ております。はっきりと自主的にやることであります。それ以上疑いますと、これは人間のことですから切りがないことでございますが、私どもの姿勢というものは一貫して貫きたい、こう考えております。
  175. 林百郎

    ○林委員 それでは次の問題に移っていきますが、これは大臣でなくていいのですけれども、四十二年度のならば数字が出ていると思いますが、四十二年度の基準財政需要額が幾らであったか、決算額が幾らであったか、その数字が出ていますか。
  176. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度の決算額は五兆九千二百六十三億、歳入の面の決算額であります。それから四十二年度の普通交付税基準財政需要額は二兆四千百九十一億四千百万円でございます。
  177. 林百郎

    ○林委員 そうすると、これは交付税基準財政需要額が二兆四千億若干、それから決算額は五兆九千億何ぼということになりますと、約倍以上になっていますね。これはどういうことを意味しているわけでありますか。実際は単位費用実情に合わせるというけれども、そこの矛盾がこういう数字で出ている、こういっていいんじゃないですか。だから基準財政需要額計算したものの倍以上のものを実際は必要としている、こういう数字と見ていいんじゃないですか。どうでしょうか。
  178. 細郷道一

    細郷政府委員 基準財政需要額保障いたしますのは特定財源を除いた一般財源相当額でございます、いま申し上げたような。
  179. 林百郎

    ○林委員 じゃ、基準財政需要額で見た特定財源のその決算額はどうなっておりますか。
  180. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度の歳入決算で見ますと、都道府県一般財源の計が一兆八千八百五十二億円、それから市町村分一般財源の計が一兆三千十四億でございます。したがいまして、合計いたしますと一般財源は三兆一千億余りになります。これは歳入の一般財源決算でございますが、基準財政需要額先ほど申し上げたように二兆四千億、こういうことでございます。
  181. 林百郎

    ○林委員 そうすると、約七千億近くのものが、これは地方自治体が基準財政需要額では足りないということで、みずからの財源で埋めていた、こう見ていいですね。これは基準財政需要額部分の決算を聞いているわけですから。
  182. 細郷道一

    細郷政府委員 一般財源は、いま申し上げましたように三兆一千億余りございますが、交付税の算定の際は、御承知のように地方税につきましては八割あるいは七割五分を算入いたすわけでございます。したがいまして、需要として出てまいりますときには、交付税額プラス税収の八割ないし七割というものが需要に反映をいたすわけでございます。ところが、当初見込みで税収見積もりをいたしましても、年度途中で税収自身が自然増収することがございます。特に四十二年度は税収が非常に自然増収いたしております。そういった結果、決算は三兆一千億になっておるのに対してやや需要のほうが小さ目になる、結果的にそうなるということでございます。
  183. 林百郎

    ○林委員 いまの計数を、いずれにしても基準財政需要額をこちらは言っているわけですからね。補助金、助成金のほうのことじゃないのですから。要するに、自治省が見た基準財政需要額に対して、実際は幾らかかっていたんだという計数をここから出そうとして、いまあなたに私は聞いているわけなんですから、その観点の数字が出てこないとまずいわけです。
  184. 細郷道一

    細郷政府委員 基準財政需要額の決算額という観念はないわけでございまして、それを比べようといたしますと、地方団体がいろいろな歳出をやりましたときのその財源のうちの一般財源分をもって基準財政需要額と比較するのが一番近い数字かと思います。それでまいりますと、いま申し上げたように一般財源は三兆一千億、基準財政需要額は二兆四千億でございます。その間約七千億開いておりますが、基準財政需要額計算するときには、地方税については府県八割、市町村七割五分で計算をいたしますので、その分だけを引いてみないといけないと思います。そういう考え方で申しますと、これは府県市町村分けて計算するといいわけでございますが、三兆一千億の中には地方税が二兆一千億ございます。大体これの七割五分、両方通算して七割六、七分になるだろうと思いますが、その計算でまいりますと、これが一兆五、六千億になると思います、基準財政需要額に見合うべきものは。それに交付税、譲与税を加えますと二兆五、六千億になろうかと思います。したがって基準財政需要額で二兆四千億見ましたが、それが結果において決算上から逆に見ると二兆五、六千億の需要額を見てもよかったじゃないかということになろうかと思います。ただし、その差は年度の途中で生じた自然増収分でございますので、交付税のほうは当初のほうに算入をいたしますから、その分だけが追加の財源となって地方団体で使われておる、こういうふうに見ることができると思います。
  185. 林百郎

    ○林委員 財源がどういうところから出たかは別として、単位費用をその実情に合わせるという立場から計算した基準財政需要額と実際の決算額との問では相当の開きがある。それは自然増があったからそれで埋めている。それは、たまたま自然増があったから埋めたかどうか知りませんけれども、あるいは超過負担になっているかもしれない。  そこで私、これは一例を申しますと、長崎市の道路数字が、私のほうの陳情に出ていたのですけれども、維持補修は算定されたものと決算を比較すると、決算を一〇〇とすると基準財政需要額として算定された額はその三四%しか計算されてない、こういう数字が出ているわけですね。だから、実際はその三・一、二倍かかっている。さらに延長分に至ると、算定された額は決算額の一三%で、約七・四倍の実際の費用がかかっている。これは長崎市の市道についてこういう数字が出ておるわけですけれども自治省としては、こういう事態について事実をどう把握しているか、あるいはこういう矛盾についてどう考えているか、自治省考えを聞きたいと思うのです。
  186. 細郷道一

    細郷政府委員 道路費は、御承知のように府県はおおむね財政需要額ととんとんの使い方をいたしております。市町村道路費については、従来から需要額は少し小さ過ぎたわけでございます。しかし、いまお話しのように、三分の一というのは私はあるいは特定財源も入っての比較じゃないかと思いますが、少し小さ過ぎるように思います。少し需要額が小さいとは思いますが、せめて七割か八割はあろうかと思いますが、もちろん一般論でございますから、個別には特殊なその年の事情があったかもしれません。そこで、そういう意味で今回は市町村道路需要額を実はふやしていっておるわけであります。
  187. 林百郎

    ○林委員 そこで、道路問題が出たのでお聞きしますが、市町村道の整備状況で、改良率と舗装率はそれぞれ何%になっていますか。数字がわかりますか。
  188. 細郷道一

    細郷政府委員 白書にも載っておりますが、四十二年度末で市町村道は舗装が五%、改良が  一三・五%でございます。
  189. 林百郎

    ○林委員 そこで四十二年度中に支出した市町村道路の改良費はどのくらいで舗装費はどれくらいだかわかりますか。
  190. 細郷道一

    細郷政府委員 市町村道で、四十二年度中は改良で三百三十三億、舗装で三百九十八億でございます。
  191. 林百郎

    ○林委員 そうすると、改良費で約三百三十億、舗装費で約四百億ですね。それで改良された率は何%ですか。それから舗装された率は約何%ですか。これも出ているはずですね。私のほうにも数字があります。
  192. 細郷道一

    細郷政府委員 改良率は〇・五%、舗装率は〇・七%上がりました。
  193. 林百郎

    ○林委員 そうすると、市町村道の改良率を一%高めるには三百三十億の約二倍の金額。それから舗装率を一%高めるには、〇・七%で四百億ですから約六百億の財源が必要だ。そうなりますと、これを五〇%、結局半分まで舗装するには一体どれぐらいの財源が必要になってくるわけですか、改良と舗装で。
  194. 細郷道一

    細郷政府委員 五〇%まで高めるとした場合は二兆六千億ということでございます。
  195. 林百郎

    ○林委員 これは数字のことですから、お互いに知っている数字を聞き合ってもしようがないから、もう私のほうで結論を言います。  結局、改良率を五〇%にするには、いま一二%ですから三八%高めなければならない。そうすると、一%について七百億ですから、二兆六千六百億ですね。それから舗装率はいま五%ですから、五〇%にするには四五%高めなければならない。一%六百億ですから二兆七千億。そうすると、両方で五兆三千六百億という金額が出てくるわけですね、一%ずつ高めて五〇%にするのですから。そうすると、四十二年度の改良費、舗装費が七百三十億ですから、五兆三千六百億を七百三十億で割りますと、七十年から八十年という数字が出てくるわけですね。だから市町村道の五〇%を改良、舗装するにしても約一世紀近くの年代がこのままではかかる。こういう中から、地方財政が豊かだとか豊かでないとか——豊かでないというのは私たちの立場ですが、そういう問題がこれ一つからでも出てくると思うわけです。したがって本年度の改良率と舗装率は幾らで、これをどのくらいの予算と見ていますか。
  196. 細郷道一

    細郷政府委員 今年度は二千百億ほど計上いたしました。これによりまして改良率が一%、舗装率が一・五%上がることを期待しております。
  197. 林百郎

    ○林委員 結局改良率で一三%前後、舗装率で五・何%になる、そういう考えでいるということですね。地方財政実情がその一つでもわかりました。  その次に、非常に簡単なことから聞いていきますが、土地基金の問題です。これは問題点だけ聞いていきたいと思うのですけれども、当分の間地方交付税で見る、この当分の間というのはいつまでのことをいって、当分の間が過ぎるとどうなるのですか。どういう構想をお待ちですか。
  198. 細郷道一

    細郷政府委員 今回御提案申し上げておりますのは、四十四年度だけ臨時の単位費用で見たい、こういうことでございますが、私どもの気持ちとしては、少なくとも二、三年はこれを続けてまいりたいと思っております。
  199. 林百郎

    ○林委員 これは都道府県に分けると、大体多いところはどのくらいになって、少ないところはどのくらいになるのですか。それから、市町村もわかったら数字を出してもらいたい。市町村まで無理なら市だけでもいいです。多いところと少ないところ。
  200. 細郷道一

    細郷政府委員 府県は、標準的な県で五億円ぐらいを考えております。したがいまして、人口の非常に小さい数十万のところですと三億かそこらになるのじゃないか。それから市でございますが、十万人のところが標準団体になっていますが、これは一億円ということで一応単位費用を組んでおります。人口が八十万くらいあれば四億くらいになるのじゃなかろうか。大体そういう見当でございます。
  201. 林百郎

    ○林委員 これは非常に常識的ではっきりしているように思うことなんですけれども答弁を求めたいのですが、そうしますと、一都道府県で三億から五、六億くらいで、それを全部使って土地を先行取得するといっても、坪何十万というようなところでは知れたものでしょう。それを両三年見るというのですけれども、実際これでいま公共団体あるいは地方自治体が土地の先行取得を必要とするものの財源として間に合うのかどうなのか、あるいは、これをケルン、核にしてもっと財源が集まるようなそういう構想があるのか。私はそんなものじゃとてもとても、考えだけは非常に広大な考えを持っていても、財源的には意味がないように思うのですけれども、それはどうですか。
  202. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおり、ことしだけで十分だとはもちろん私思っておりません。初めてこういうことをするわけでございます。そこで非常に慎重な扱いとして、ことし限りということで一応法案はお願いをしておりますが、先ほど申し上げたように二、三年続けてみたいと思うのです。しかし反面、そういうことを続けながら、将来の公共用地の需要をどれくらいに見ていくかということも、実はあわせて研究したいと思っております。現在でも建設省あたりでいろいろ荒っぽい計算をしておるものもございます。そういったものもこれをやるときには参考の資料にしていろいろ考えたんですが、なかなかまだ地価のつかみ方がむずかしいものですから、きめ手が出なかったままに実は初年度を踏み出したというわけでございます。そういう意味で、だんだんとこれに手直しを加えてまいりたいと思います。
  203. 林百郎

    ○林委員 それにしても、かりに三十万の土地で三億円とすると千坪になりますか、という程度で、どうもこれだけでは意味がないと思います。  そこで、いま御承知のとおり開発公社というのがあるわけですね。この開発公社と土地開発基金との関係についてはどういうふうに考えておりますか。これとはどういう関係になると思いますか。
  204. 細郷道一

    細郷政府委員 現在ございます他の土地の先行取得の機関なり資金源というものは、私はこれをすぐ断ち切らずにそのままにしておきたい。むしろそういうのと何本立てかでさしあたってはいってもらうということで、開発公社等を持っているものについても、私のほうでこの土地基金ができたからどうこうということは指導しないつもりでおります。
  205. 林百郎

    ○林委員 御承知のとおり、開発公社は、自治体が出資をし、人事も深いつながりを持つ、そういう地方公社が非常に多いわけです。ことにその中でも用地取得、造成を目的とする開発公社が非常に多くなっておるわけです。この中には民間の資金も入っているわけです。  そこで、この土地開発基金について自治省のほうも、将来は一般会計の剰余金や基金の運用から生まれる収益を投入して、基金のワクを広げていくという一応の説明はしているようですね。しかし、これは地方財政状況から見て、全くその保障がないので、これは結局この基金がいろいろの関係で民間とも関係を持ち、地方自治体と人的なつながりを持つ開発公社とのいろいろの因縁関係が出てくるということは考えられませんか、この基金の運用関係が。
  206. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっとお尋ねのねらいがよくわかりませんが、基金の運用管理は地方団体みずからがやるということでございますので、開発公社とは直接関係が出てこないと思います。
  207. 林百郎

    ○林委員 そうすると、土地開発基金を開発公社が借り受ける、要するに土地開発基金の運用を開発公社を通じて自治体のイニシアで行なう、そういうことも考えられるんじゃないですか。そうすると、この基金と開発公社とのいろいろの因縁関係がそこから生まれてくるんじゃないか。ところが、開発公社というのは、これはいま一番各自治体で伏魔殿になっておるわけですね。そこへの資金源としてこれが流入されていかないだろうかということを私は質問しておるわけです。
  208. 細郷道一

    細郷政府委員 基金の運用にあたってどういうことをやるかということは、地方団体の自主的な判断にまかせたいと思っておりますが、私どもとしては、開発公社等にその資金を貸し付けたり、あるいはそこに委託をすることも差しつかえないと思っております。  ただ、先ほど御指摘のありましたように、今回のこの程度の措置ですと、なかなかそこまでの余裕があるいは実際にないんじゃなかろうかという気がいたします。
  209. 林百郎

    ○林委員 いま私も申しましたように、この土地開発公社というのは、いま地方自治体で非常に伏魔殿といわれるほどいろいろの問題が起きている組織なんですけれども、これとの関係を、大事な税金を原資とする交付税で流れ込むということについては、自治省としても、あるいは地方自治体としても考えていかなければならない問題ではないかというふうにわれわれ心配されるのですけれども、それはどうですか。
  210. 細郷道一

    細郷政府委員 その辺は問題がないようによく私どもも気をつけてまいりたいと思います。
  211. 林百郎

    ○林委員 最後に、投資的経費経常経費との区分けの問題ですが、これは同僚議員からも質問があったのですけれども交付税法の三条二項との関係については、自治省としてはどういうように考えていますか。
  212. 細郷道一

    細郷政府委員 投資的経費経常経費を区分いたしましたのは、算定の技術的便宜あるいは簡素化ということをねらいにいたしたものでございまして、従来ありました単位費用の内容を分けたにすぎないわけでございます。したがいまして、特に御指摘の第三条第二項には何ら抵触しないものと思います。
  213. 林百郎

    ○林委員 そうすると、一つの指標としてこういう区分けをしているのであって、必ずそのとおりにこれが使われなければならないという、交付税法三条二項の条件または使途の制限というのにはこれは当たらない、こういう説明ですか。
  214. 細郷道一

    細郷政府委員 そのとおりでございます。
  215. 林百郎

    ○林委員 そこで、これは都市計画費ですけれども、これも私のほうも資料を持っています。そちらも持っているかもしれませんが、昭和四十三年度の都市計画費の消費的経費投資的経費、人口一人当たり幾らになっていますか。わかりませんか。これは前からそういう計算をしているわけですか。
  216. 横手正

    横手説明員 昨年度におきましては、実は現在消費的経費投資的経費の区分けをした資料を持ち合わせておりませんので、それらを合わせました都市計画区域における人口一人当たりの額を申し上げますと、百八十三円でございます。
  217. 林百郎

    ○林委員 百八十三円までわかっていたら、わかっているはずだと思いますが、消費的経費が六十三円、投資的経費が百十九円、これを四十四年度の都市計画と比較してみますと経常経費が七十五円、投資的経費が百八十二円で、増加率で見ますと、経常経費が一九%増、投資的経費が五三%増で、少なくともこれは、都市計画費に関する限り投資的経費が非常に増加率が強いわけですね。したがって、この財政計画の中での投資的経費に非常に重点がかかっている。ここへ非常に重点を入れようとしてこういう区分けをし、そしてそれを指標とする、その方向へ持っていくということが自治省考えではないだろうか。これは、いろいろの、都市計画法あるいは再開発法等の関係もあって、いま国の重点的政策はそこへいっているわけですね。その性格については私たち独自の考えがあるのですけれども、そういう方向へいくのじゃないですか。非常に投資的経費重点がかかってきている。これはどういうわけでしょう。
  218. 細郷道一

    細郷政府委員 今回経常と投資と分けましたのは、経常経費は年度ごとにそう激しい変動がない経費でございますので、その部分経常経費として別個に抽出したほうがむしろ計算も間違いないし、それから単位費用としてみましても、いままでの単位費用には経常、投資と両方入っていたわけでございまして、投資は年々非常に変動的な経費でございます。しかもこれから投資の事業を伸ばしたい、こういうふうに思っておりますので、投資的経費部分は別個に抜き出すほうが、交付税の算定上も合理性を持つだろうという考えでやったわけでございます。
  219. 林百郎

    ○林委員 そうすると、念のために聞きますが、保健衛生費の経常経費投資的経費の区分けがどうなっているか、わかればそれを示していただきたいのです。もしわからなければ、人口一人当たり四十三年度と四十四年度でどのような増加率を示していますか。もし経常経費投資的経費で増加率がわかれば示してもらいたいし、かからなければ一人当たりでけっこうです。
  220. 細郷道一

    細郷政府委員 県分の衛生費で見てまいりますと、四十三年度は投資、経常を含めまして五百二十一億円、それが四十四年度は経常と投資に分けまして、経常部分が五百七十七億円になっております。この投資部分につきまして保健所みたいなものがございますが、それはその他の行政費の中の投資的事業というところに含めて今度計算をいたすようにしております。したがいまして、その他の諸費で人口による部分は四百五円、面積によりますものは六万二千五百八十円ということでございます。
  221. 林百郎

    ○林委員 そうすると、人口一人当たりの増加率ですね、都市計画法のほうは四〇%増になっていますが、保健衛生費は、両方合わせたものは一人当たり幾らの増になっていますか。
  222. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年の単位費用、いわゆる人口一人当たりですが、単位費用と比べますと、衛生費という費目で見ますと一〇・七%の伸びでございます。
  223. 林百郎

    ○林委員 衛生費が一〇・七%、都市計画費は四〇・四%、こういう数字が出ているわけです。そういう観点からいきますと今度のこの区分けのしかたは、結局建設関係では、政府考えている大きな企業への地域投資あるいは開発投資としての都市計画法あるいは都市開発計画へ投資するため地方財政をその方向へ導こうとする。農業行政では、政府考えている農業政策、たとえば農地法の改正というような方向へ地方財政運用を持っていく。地方交付税法の三条二項には触れないけれども、指標としてこういう区分けをするのだということは、やはり国の国土計画に地方自治体の財政を寄り添わしていくということを財政的にも考え、したがって地方自治体の独自の見解における単独事業、本来の地方自治体の自主的な事業が非常に制限されることになりませんか。財政の面でも、自治省のほうはこうやって経常経費投資的経費、それで投資的経費はずっと伸び率をふやしていく。それから、保健衛生費は都市計画費に比べると伸び率が四分の一程度だ、そういう全体の性格から見ていくと、やはり国の大きな行政目的に地方自治体の財政運営の指標としてその方向へ導いていくということになると、財政面からも地方自治体の自主性単独事業への意欲というものを制限することになるように思うのですが、この点は、私これでこの問題は質問を終わりたいと思うので、自治大臣どう思いますか。
  224. 細郷道一

    細郷政府委員 その前に、恐縮ですがちょっと数字のことですから……。  投資的経費を充実したいということは、おっしゃるとおりそういうねらいにしておりますが、その中でも実は単独事業についてかなりふやしておるわけでございます。市町村道あるいは下水、清掃、したがって単位費用のこのお配りした資料を見ていただきましても、たとえば市町村道の延長単位費用は四三・九%、都市計画の単位費用は四〇%、そういった伸びを示しております。また社会福祉費等につきましても五七・五%、あるいは農業行政に三〇%といったような伸ばし方を実はしておるのでございまして、投資的事業にウエートをかけつつあるということは確かに御指摘のとおりですが、その中でも単独事業に特に力を入れたい、こういう気持ちでやっております。
  225. 林百郎

    ○林委員 これで私質問を終わります。自治省はそういうことを言っていますが、その単独事業なるものが実質的に単独事業ではなくして、国の施策として行なわれる。たとえば道路行政一つ見ても、幹線道路を中心としての道路投資ということなんですね。あるいは国道事業裏負担需要を満たすための、いわゆる形の上では単独事業ですけれども、そういった方向へ地方自治体の建設行政を持っていく一つのてこにこれがなるように思うのですが、その点自治大臣どうですか。確かに自治省細郷さんの言うような説明をしていることも私知っていますよ。
  226. 野田武夫

    野田国務大臣 林さんもよく御存じのとおりで、単独事業に相当重点を置いていることは、自治省の方針としてもそうですが、いま林さんの御指摘になられておる場所も現実にあるかと思っております。私ども考え方は、地方地域の住民の皆さんがどれを一番早くやってもらいたいか、どれを一番早くやりたいかというところを自主的に判断していただく。それに私ども自治省のこれらの計画を当てはめていこう、それに対して単独事業、この自治省考え方は林さんずっと前から御承知のとおりです。いま申しましたように、地方団体の自主的な判断に沿うて、計画を添えていくというのが基本だ、こう思っております。
  227. 林百郎

    ○林委員 だから、形の上では単独事業という形になっておるけれども、実質的には地域住民が何を望んでいるかという名のもとに、国の国土開発計画、国の高速縦貫自動車道路計画に寄り添う方向へ地方自治体の道路行政を持っていく、そういうことのために、財政的にも自治省のほうが上のほうから指導を強化していく、これがその一つのてこになるのじゃないか。地方自治体はやはり独自の単独事業をやりたいという考えを持っているので、それを育成する方向には今度の経常経費投資的経費を区分するというやり方はプラスにならないのじゃないか、こういうように私たち考えているわけです。これは時間がもうありませんから答弁はけっこうです。  最後に一つ。これは私のほうが質問する機会がなかったので……。地方財政計画の中で警察費の占める割合というのは非常に重大ですし、国の財政から直接地方の警察行政に費用もいっているわけなんで、これはわれわれもいまの日本の警察行政がどうあるかということについては重大な関心を持たざるを得ないわけです。その中の一つの岡山大学の問題に、時間がありませんからそのものずばりで入ってまいりますけれども、この問題について新聞紙の報ずるところによると、事の起きたのは今月の十二日の午前六時に行なわれたのでありまするが、十二日の午前二時半から五時までの間に暴力学生のほうは強制捜査があるということを事前に察知して、六時に強制捜査が行なわれたにもかかわらず、二時半から五時までの間に、宣伝カーを繰り出して学校周辺を、警察の手入れがあるから応援を頼むと言ってふれ回っている。
  228. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと休憩いたします。    午後五時三分休憩      ————◇—————    午後五時五分開議
  229. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 それでは再開いたします。林百郎君。
  230. 林百郎

    ○林委員 そういうわけで、非常にわれわれの貴重な税金が警察行政には使われているわけです。三月七日付の新聞にも出ているのですが、そういう厳正な警察権の行使がされなければならないのに、近ごろ事大学の暴力学生の事前の取り締まり規制というようなことに対して情報がどんどん漏れる、それに何らの効果も発揮しない、から振りだ。たとえば「”カラ振り続き”、大あわて」というような、これは新聞の見出しですけれども、たとえばそれが警視庁の警備部長の話だと、内部から漏れたという疑いが強い、このために関係者などの調査をし直すことにしたが、それも実際的にはなかなかむずかしく困っている、これでは取り締まりにならぬじゃないですか。そして、これで非常に貴重な警察行政費が使われておるということではしめしがつかないと思いますが、これについてはどう考えておりますか。  続いて、いまの問題にからんで岡山大学のことを言い出したのですが、六時ごろ捜査に行くというのに、二時半から五時ごろまで宣伝カーまで出して、警察が来るから周囲の人たちに応援を頼む、応援を頼む、そうして行ってみれば十分準備をしてバリケードも築いておる、石も用意しておる。こういうところに警察が行くということは、これは何か内部を通じてでなければそんな情報がわかるはずがないのじゃないでしょうか。現に新聞もそういうことが書いてあるわけですね。これを警備局長、どういうふうにお考えになりますか。われわれは地方財政についていま審議をしておりますし、国民の国税や地方税金の大きな部分が警察行政に使われておるわけですから、こういうむだなことのためにばく大な費用が使われておるということはわれわれ許すわけにいかない。そういう観点から聞いておるわけです。
  231. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいま新聞等を引用されてのお尋ねでございますが、御承知のとおり最近各種の大学紛争が多発いたしておりまして、これに対します警察の措置、ことに強制捜査を行ないます場合、一般的に申し上げまして相当数の警察官を事前に動員をし、事前にいろいろな準備をいたさなければなりません。さらにまた、事柄が大学にかかわる問題でもございますので、当然のこととして学校より立ち会いを事前に求めなければなりません。そういうこともあります。岡山県の場合には、御承知のとおり限られた警察官ですから、およそ六百名以上に当たる警察官を動員するわけでございますから、ほとんど管下各警察から動員しなければならない、そういう問題もございます。さらに、申し上げましたように、事前に学校側とも緊密な連絡をとる必要もございます。したがって、非常に関連する関係者が、数におきましても相当多数にのぼらざるを得ないわけであります。したがいまして、さように御趣旨のようなことが、これまで間々起こっておるわけでございますけれども、それに対しましては、その後警視庁の管内等におきましても、いろいろとくふういたし、特に学生たちは機動隊の隊舎周辺に、事前に偵察員を出して、機動隊の動向を偵察をするとか、相手方はいろいろと手をめぐらしておるようであります。そういうことを踏んまえまして、わがほうといたしましては、事前に粗漏のないように、最近特にいろいろ配備のくふうをいたしておる次第でございます。  今回の岡山大学の場合に即して申しますならば、御指摘のございましたように、当日の早朝から大学に立てこもっておりました百数十名の学生が東門と西門の両門にバリケードを構築をする、あるいはまた工事現場から石を運ぶ、あるいはまた、付近の側溝あるいは敷石等をはがしてこれを用意をするというようなことがございましたことは、これは御指摘のとおりでございますが、わがほうといたしましては、午前五時過ぎに捜査に着手をした、こういうふうな経緯でございまして、これは指摘されましたようなことで、過去の経験を十分生かして、今後そのようなことのないように努力してまいりたい、こういうような考えでございます。
  232. 林百郎

    ○林委員 渡部会計課長にお尋ねしますが、その六百人くらいの警察官を、そういうような機動隊を導入するというには、それに要する費用というのは一体どれくらいかかるのですか。
  233. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 それはケースによって非常に違いますけれども、普通所要の経費として考えられますのは、旅費が支給されるような距離を動く場合の旅費でございます。それが大体主体でございます。
  234. 林百郎

    ○林委員 だから、かりに六百人くらいの——いまの話によっても岡山大学で六百人くらい警察官が動員された。当日、そのためにいろいろな動きがあるから、あるいはそれで察知されたかもしれないがというお話があったのですが、それがどのくらいの費用がかかるものか、一回そういう動員をするのに。
  235. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 岡山の事件につきましては、経費がどのくらいかかったかという計算をまだいたしておりませんので、ちょっとお答えしかねますけれども、六百人を動員したら大体どのくらいかかるかというお話でございますが、たとえば非常に大きな署が近くにございまして、ほとんど旅費を支給することなく、その管内で活動するというような状況の場合には、ほとんど費用というものはかかりませんし、非常に小さい県で、六百人と申しましても、遠くから連れてこなければならないという場合は費用がかかるわけでございますので、ちょっといま一律に、平均してこのくらいはかかるということは、数字としては申し上げかねる状況でございます。
  236. 林百郎

    ○林委員 では具体的にお聞きしますが、六日の日に、やはり六百五十人くらいの警察官、これは警視庁の制服警官、これが午後十一時に——ふだんは午前にやるのですけれども、この日は特別に午後にやったわけですね。明大、中大、早大、三大学内の四カ所を一斉に捜査した。ところが、特別にその日は午後十一時にやったというのに黒板には、「本日(11時)ガサ有り、すぐ出よ」とちゃんと黒板にも書いてあるわけですね。そしてもぬけのから。ところが、動員された警察官は、制、私服合わせて六百八十人ですか、この六日の日のもぬけのからのところに行ったという六百八十人ですか、これは一体どのくらいの費用がかかるのですか。これは東京の六日の日のことですよ。
  237. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 ちょっとその資料を持っておりませんので、警視庁で六日の日に幾らかかったかということは、いますぐにはお答えしかねます。
  238. 林百郎

    ○林委員 じゃ普通東京で——これはもうよその遠いところじゃないのです。神田の明大、中大、早大——早大は神田じゃないですけれども、こういうところで六百人近くの警察官を動員すればどのくらいの費用がかかるか、あなた、会計課長でしょう、私は財政のことを聞かなければいけないので一生懸命あなたに聞いているのだ。あなたが答えなければ私の質問はできなくなってしまうのですよ。
  239. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 これは、費用と申しましても、考え方がいろいろございますので、たとえばそこに出動した者の給与も含めるかどうかということもございますし、普通の場合には、機動隊ですと、たとえば旅費というものが使われておりますが、それを出動のための費用と考えるかどうかということもございますし、それから、夜になると超過勤務というものもございますので、幾らそのためにがかったかという費用の算定はむずかしいわけでございます。たとえば、ガスを使いますればガスの費用、使わなければその費用は要らない。ただ、警視庁の場合ですと、非常に機動隊が近くにおりますので、出動したために特別にかかる額というのはそう多くはないはずでございます。
  240. 林百郎

    ○林委員 御承知のとおりに、あなた知っていると思いますが、地方自治体で負担する警察費と、国で直接出す、つまり警視庁が直接出す費用とがあって、国から直接援助する資金——予算の執行官は都道府県の部長がやっているわけですね。だからこれは地方行政としても重大な関心を持たざるを得ないわけです。それで、あなたの記憶の中に具体的にあるもので、いつの動員はどのくらいかかったか、当時の費用をひとつ言ってみてください。何にも知らぬということはないでしょう。あなた会計課長でしょう。
  241. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 そういう資料は準備をしておりませんので、何の経費で何にかかったということは、ちょっとお答えしかねますけれども、いま御指摘のとおりに、警察の費用は全額国費で支弁されるものもございますし、都道府県単独で支弁するものもございますし、補助金の対象になっている額もございます。いろいろありますが、たとえば警備出動の場合なんかに国の費用としてかかりますものには、先ほどから申し上げております旅費がございます。また、写真をとりますフィルム等の費用もかかるわけでございますけれども……。
  242. 林百郎

    ○林委員 そういうこまかいことまで聞いているのではないのです。昭和四十三年度、あるいは四十三年度がなかったら四十二年度でもいいのですが、機動隊が出動したために使った費用は、全部都道府県と国と合わせて幾らなのか、それがわからないなら都道府県が幾らか、国が幾らか、四十三年度でわかればいいし、それがわからなかったら四十二年度は幾らですか。会計課長で何の数字も言えないということはないでしょう。決算もわからないのですか。
  243. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 一番普通にかかりますのは旅費でございますけれども、それについてちょっと申し上げますと、昭和四十二年度に機動隊の出動に要した旅費が、これは全国でございますが、二十六億四千万ほどになっております。
  244. 林百郎

    ○林委員 それは都道府県だけですか、国から出した費用も合わせてですか。
  245. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 ちょっと、先ほど申し上げたことを先に訂正させていただきますが、機動隊の出動と申し上げましたのは間違いでございまして、活動旅費全部の額でございます。
  246. 林百郎

    ○林委員 それは国のほうから都道府県へ出している金なんですか、それとも都道府県独自の警察の活動費も入れてですか。
  247. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 国が出している金だけでございます。
  248. 林百郎

    ○林委員 そうすると、都道府県独自の費用は総計どのくらいになりますか。
  249. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  250. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。
  251. 林百郎

    ○林委員 委員長にもお願いしたいのですが、警察関係は予算関係となると全然答弁をしないのですよ。資料も提供しなければ説明もしないのです。全く横暴だと思うのです。しかし、あなた警察庁の会計課長でしょう。それが全国で一体警察の活動費がどれだけかかっているぐらいのことを国会説明できなくてどうなるのですか。意識的にあなた方は答弁しないんじゃないか。そういうように思われますが、委員長のせっかくの御指示ですから、私それに従って、資料として出してください。  最後に、川島警備局長にお聞きしますが、そういうようにばく大な金が要るわけなんですよ。それが新聞にすらこういうように皮肉られるような、「”カラ振り”続き、大あわて」、「もぬけのカラ」だとか、「事前に情報もれ」だとか、こういっているわけですよ。これはあなたの言うように、相当人員の警察官を動員するからそれで漏れるんだろうと言うのですが、そうでなくて、警視庁の下稲葉警備部長の話だと、これは東京ですけれども、「六日夜の例は内部からもれたという疑いが強い。」と言っているのですよ。これは暴力学生と警察とがパイプが通じているということじゃないですか。これは警視庁の警備部長がそう言っているのですよ。これは内部から漏れるよりほか漏れるはずがないと言っておる。外の騒ぎから察知したというのじゃないのです。これはどうお考えになりますか。
  252. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 この新聞記事につきましては、下稲葉警備部長から直接そのキャップに対して申しておりませんので、厳重に抗議を申し込んだ経緯もございますので、そのように御了解をいただきたいと思います。
  253. 林百郎

    ○林委員 その点だけ確めますが、私がいま読んだのは、三月七日の読売に警視庁の下稲葉警備部長がそう談話しています。内部総点検……。じゃ、この新聞記事はうそだったんで、読売新聞に抗議したのですか。はっきり言ってください。
  254. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 下稲葉警備部長はそういうことを言った覚えは全くない。でありますから警視庁の読売新聞のキャップに対して、これは間違いであるということを申し入れております。
  255. 林百郎

    ○林委員 じゃ、読売新聞は何と答えているのですか。それを聞かしてください。事は新聞社の記事の真否に関する重要な問題ですから、国会としても聞き捨てなりませんから……。読売新聞は何といったのですか。答えてください。
  256. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。  正確に聞いておりませんけれども、おそらく上司のところで話し合いがあったんじゃないかと思います。
  257. 林百郎

    ○林委員 それじゃ、それも資料として——川島さん、あんたえらい横ばっかり向いているが、こっちを向いてください。それも、事は重要ですから、一新聞社の真否に関する重大な問題ですから、私にその資料を提供してください。読売新聞はどういう回答をしたか。  私、時間がありませんから、これで私の質問を終わります。
  258. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は、井岡大治君。  速記をやめてください。   〔速記中止〕
  259. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めてください。
  260. 井岡大治

    ○井岡委員 きのう同僚の細谷委員が、公営企業に対して交付税法の対象になるのではないか、こういう御質問に対して、財政局長は、これは非常に小さい部分であるから、やっておるところとやっておらないところがあるので、交付税法の対象にならない、こういう御答弁がありました。私は交付税法の対象になる、こういう立場から御質問を申し上げたいと思うのです。  なぜかと申しますと、これは公営企業を営むにあたって、その基本法律というのは地方自治法であると思うのです。同時にこれは、昨年から変わっておりますけれども、大正八年の都市計画法の第一条目的に、都市計画の事業というのは、「交通、衛生」これこれと書いてあるわけです。そうしてここ四、五年前までは、都市計画事業とはどういうものだということで、交通、ガス、電気、水道、このようにずっと事業として項目が列挙されておったわけであります。この点は財政局長も御存じのとおりだと思います。そして、地方公営企業法第十七条の三にこう書いてあるわけです。「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」こう書いてあるわけです。したがって、これは単に地方公営企業法という独立した法律でなくて、少なくとも地方自治法あるいは財政法、あるいは都市計画法に依拠して、そして公営企業法というものができておる、こういうように理解をしたいのです。この点についてまず大臣から聞きたい。
  261. 野田武夫

    野田国務大臣 現在でも、御承知のとおり、公営企業に一般会計から出しておるのもございます。私はいまのお話を承りまして、現在の公営企業の財政状況もわかっておりますし、現にいま申しますとおり、出しておるところもありますというのですから、この際なるべく広義に解釈といいますか、私、事務的にわかりませんから、どの法律でどうやれという御意見があって、一々明快にお答えできませんが、広義に解釈して、財政事情に見合わして検討したらいいんじゃないかという気がいたします。これだけお答えしておきます。
  262. 井岡大治

    ○井岡委員 現在でも出しておるから将来も——今日の一般公営企業は非常に窮屈なと申しますよりは、どう申しますか、四苦八苦しておる。こういう状態であるから、でき得るならば地方公営企業というワクだけでなしに、地方自治、住民の福祉という立場からこの問題を処理をしていい、こういうように理解していいですか。——大臣御理解いただいたようですから、そこでひとつ財政局長にお伺いをするわけですが、簡単に尋ねますから、簡単に答えてください。  四十年、四十一年に公営企業の都市交通の再建整備法案をつくられて、そしてこれによって再建をさすのだ、こういうお考えだった。しかもこれは当事者もそういうように考えておった。ところが、その後のいろいろな状況から困難になった。これはきのうの細谷君に対する御答弁であったわけですが、そういうように理解していいですか。
  263. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業をめぐる外部的条件は漸次変わってきていると思います。
  264. 井岡大治

    ○井岡委員 外部事情が変わってきているということであれば、極端な言い方をすると、最初考えた再建法による再建というものは破算をした、こういうように理解していいですか。
  265. 細郷道一

    細郷政府委員 なかなかむずかしい点があろうと思いますが、まだ私はそこまで結論を出すには早いと思います。
  266. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、なるほど一般的には再建案を出しておる団体、それから自主再建、いろいろありますから、いま早い、これはわかります。しかし、部分的にはとうてい不可能だ、こういうように理解する団体がある、こういうように理解していいですか。
  267. 細郷道一

    細郷政府委員 いま私どもの見ている範囲では、まだとうてい不可能というのは見当たらない状況でございます。
  268. 井岡大治

    ○井岡委員 具体的な例を言います。  そういたしますと、あの再建案は路面電車の赤字を、不良債務を、バス事業によって再建をする、こういう考え方であったと思うのですが、間違いありませんか。
  269. 細郷道一

    細郷政府委員 赤字を生む電車をやめてバスに転換していく、その過程において再建をしていこう、こういうことでございます。
  270. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、運輸省自動車局、だれか来ていますかね。では聞きますが、いま一般乗客の、どこの何でもいいです。全体でもいいです。たとえば東京なら東京をとってもいいですし、横浜をとってもいいです。全体でもいいですが、普通料金を支払っておる乗客、それから割引料金による乗客、言いかえて申し上げますと、定期券を持っておる乗客との比率というのはどういうことになっていますか。
  271. 水野節比古

    ○水野説明員 それは鉄道ではなくてバスでございますか。
  272. 井岡大治

    ○井岡委員 バスでも鉄道でもどっちでもいい。みんななべて一緒です。
  273. 水野節比古

    ○水野説明員 ちょっといま調べます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席
  274. 水野節比古

    ○水野説明員 あまりはっきりしませんですが、私鉄の例を申し上げますと、定期が六〇%で定期以外が四〇%でございます。
  275. 井岡大治

    ○井岡委員 わざわざ私鉄の統計をおとりになったのは私は賢明だと思います。これは都市交通である場合はおそらく二割五分と七割五分になっておるはずです。調べてください。しかし、それはあとでよろしいです。  ところで、バスでも電車でも、あの割引をする。一生懸命調べたのです。道路運送法、地方鉄道法、軌道法を調べたのですが、どこにも割引のことが書いてないのです。これを割引をしておるのはどういう理由で割引をしておるか。知らなかったら私言いますよ。
  276. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 私、あいにく運賃関係を所管いたしておりませんので、また……。
  277. 井岡大治

    ○井岡委員 あまりそう残しますと、私もきょう終わろうと思いますけれども終われなくなりますよ。いいですか。せっかく理事の皆さんが何とかしてこれを早く上げようということでおきめになったようですから協力しようと思っておるけれども、これも知らぬ、あれも知らぬということになると、これは審議になりません。私は初めから言っておるのです。いわゆる交付税交付金の対象になる、こういう立場から質問します、こう言って明らかにしておるのですから……。  それでは、これはどこの法令でもないのです。政令であなた方がおやりになっておるのです。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  沿革を申し上げますと、昭和十七年、戦争が激しくなってきて、乗務員の要員あるいは改札の要員が不足をしたために、定期券制度というものを全交通機関に適用する。それまでは私鉄、国鉄にはありました。ありましたけれども、わずかに二割ないし二割二分程度の割引であったわけです。それが戦時中、軍の要請に基づいて、政府は、定期券は将来は三割でとまるだろう、一般乗客は七割、これであるならば定期券をここで発行して、そうして軍需生産に協力をさせる、そういう立場から、学生に対しては九割、多いのでありますと九割八分、一般工員については七割二分の割引をきめて業者に押しつけたのです。これがいまなお延々として続いている。若干の修正はされましたけれども、依然として運輸省はこのことを守っておるはずであります。間違いありませんか。
  278. 宇津木巌

    ○宇津木説明員 ただいま運賃関係の担当者に連絡いたしまして、さっそく参上させるようにいたします。
  279. 井岡大治

    ○井岡委員 いまの割引というのは、いわゆる法令によらないで政令の意思によって、政府の意思によって行なわれておるわけです。そうして、私は極端な話をしますが、会社は工員に対して定期券を一括購入をいたします。あるいは役所も通勤手当というのがあるはずです。これは個々に渡すのでなくて現物支給という形において渡しております。会社の場合は、それは営業経費として落とされておるわけであります。税の対象になっておりません。これが公営企業あるいは陸上交通にみんなしわ寄せをされておるわけです。そこからくる収入減はだれが責任を持つのですか。この点大臣聞かしてください。
  280. 野田武夫

    野田国務大臣 それは、当時の国策といいますか政策でやっていたのです。それがいま続いているのですから、だれの責任かといっても、それは経営者もこれを了承してやっているのでしょうから、政治的な責任は別ですけれども、実際の責任といいますとやはり簡単に言い切れない、いろいろ責任の所在があると思います。はっきりしたどうという、あなたの御期待の答えでないかもしれませんが、これはむずかしいことです。
  281. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほど申し上げましたように、当時においては三割、七割という割合で了承をしたわけです。それが変転をしてきて今日では全くさかさまになっているわけです。したがって、いつの場合においてもこの定期券の改定については、料金改定の際、事業主、いわゆる経営者、企業者、こういうところから必ず出るはずです。国鉄もまた出しておるのはそのゆえんです。しかし、依然としてこのことについては運輸省は一向に考慮をしようとしない。若干変わっております。そのはずです。ここに大きな原因が一つあるわけです。したがって私たちは、これは国鉄総裁も私たちと同じことを言い出しました。公共負担だ。いわゆる国の政策による割引であるから当然国が持つべきである。学生に対する割引は文教政策からくる割引です。通勤定期に対する割引は産業政策からくる割引です。あるいはこれが今日では物価政策にかわっておるのでしょう。そこに問題があるということを考えれば、いわゆる公共負担というものに対する責めを考えなければいけないと思うのです。考えませんか。
  282. 細郷道一

    細郷政府委員 確かにそういった問題があるのだろうと思います。かつてはそういった行き方で経営がやれた時代もあったわけでございますので、その辺は確かにひとつ時代の変わりということを意識せざるを得ないと思います。ただ、それをどこの責任でどう処理するかということは検討を要する問題だと思います。
  283. 井岡大治

    ○井岡委員 細郷さんらしい最後のだめ押しをしたと思うのです。経営の変遷からくるものは認めた、ここまではいいですね。これは私とあなたと一緒ですね。そうだとすると、だれの責任だということ、この責任はすべて政府の責任だ、とは私は言おうとしておりません。ここに公営企業というものの特質があると思うのです。特に公営企業はもうけなくたっていいわけですから。ペイすればいいわけです。国鉄だってそうです。ペイすればいいんです。金をもうけてどうしようということにはならぬ。そういうように考えてくると、私は全部が国の責任だとは言わないけれども、今日、いわゆる収入源である料金収入というものが十分でない、そのために経営が非常に困難になったとするならば、このことは真剣に考える時期が来ておるのじゃないか、こう言っているわけです。この点はどうですか。
  284. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、その推移はよく認識をいたしております。   〔「定期券値上げ賛成論だろう」と呼ぶ者あり〕
  285. 井岡大治

    ○井岡委員 私は定期券値上げ賛成とか反対とかという論議はまだしようと思っていないのです。ただ、国の政策として、あるいは会社がみんな負担をしているのです。皆さんも通勤手当をもらっておいでになるわけなんです。その通勤手当は、手当としてもらったら税の対象になるから、あなたのところはどこですかということでもらっておいでになるはずです。そうして買ってきて、こういうようになっているはず。そうでしょう。間違っていますか。お聞かせをいただきたい。
  286. 小田恵堆

    ○小田説明員 ただいまの公務員につきましては、現金支給になっております。
  287. 井岡大治

    ○井岡委員 現金支給になっているけれども、それは税の対象になっていますか。
  288. 小田恵堆

    ○小田説明員 一定額で課税対象からはずしてあります。
  289. 井岡大治

    ○井岡委員 一定額は入らないでしょう。ですから、入らないという分もやはりその負担のしわ寄せは企業者が受けているわけですよ。そうじゃないですか。
  290. 小田恵堆

    ○小田説明員 企業者が受けているという御質問の御趣旨がよくわかりませんけれども……。
  291. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほど申し上げたように、一回乗れば、通常であれば幾らという、得べき条件をいわゆる契約をしているわけです。国民に公示をして契約をしておるわけです。ですから、運賃の公示はしなければいけないと法律できめてあるわけです。法律できめて官報に載せて公示をしているわけです。これは国民との契約を結んでいるわけです。ところが、それより安い額で乗るわけです。安い額で乗るということは、その経営がそれだけ圧迫を受ける、こういうことになりませんか。
  292. 小田恵堆

    ○小田説明員 定期の割引の問題につきましては、先ほど財政局長がお答えしたとおりでございますけれども、通勤手当の問題といまの問題とは直接関連しないと思います。
  293. 井岡大治

    ○井岡委員 通勤手当と定期券の問題とは違うというような言い方をするのはおよそ人をばかにした言い方ですよ。じゃあなた方は、家が役所の隣であっても通勤手当もらいますか、聞きます。
  294. 小田恵堆

    ○小田説明員 通勤手当は一定の距離以上の者に対して支給されております。
  295. 井岡大治

    ○井岡委員 一定の距離以上ということは交通機関を利用するから通勤手当という手当があるのですよ。それを通勤手当と通勤パスとは違うというような答弁のしかたというものは全く人をばかにした答弁ですよ。そういう答弁はやめたほうがいいですよ。そんなこと言うと、私はからんでいきますよ。からまないように話をしようと言っているものを、からますのですよ、あなたは。どうなんですか。
  296. 細郷道一

    細郷政府委員 役所の通勤手当は、御承知のように実費を原則にしておりますから、実費の範囲内で支給し、最高は打ちどめにいたしております。
  297. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから私は、いまの経営の大きな負担というのはいわゆる定期券にある、こういうように理解をして差しつかえない、こう思うのですが、この点間違いありませんか。
  298. 細郷道一

    細郷政府委員 確かにその問題はあると思うのです。したがって、先ほども申し上げたように、やはり研究すべき問題だと思います。単に公営企業だけの問題でなくて、全般的に研究すべき問題だと思います。
  299. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、私も公営企業だけだとは言っておりません。だからそちらに聞いているのですが、そちらのほうは答弁をしないものですから……。
  300. 水野節比古

    ○水野説明員 直接担当いたしておりませんのですが、ただいまの御質問、定期券の問題でございます。お話しのとおり、非常に定期の割引率が高いということは事実でございます。国鉄につきましては相当努力をいたしまして、先ほどお話しになりましたように変わっておるはずでございます。なお、私鉄その他につきましても、それらの事態を踏まえまして、今後のいろいろな運賃制度その他につきまして、そういう線でわれわれとして研究いたしております。そういう方向で今後とも研究いたしてまいりたいと思っております。
  301. 井岡大治

    ○井岡委員 道路運送法を一ぺん読んでみましょうか。簡単に言うと、自動車営業というものは料金はその企業が採算のとれるものでなければならない、そういうように書いてあるのです。採算割れをしておる、そうすると、これは明らかに道路運送法の違反なんです、採算を割っているのですから。あなたのところは、たとえばいわゆるトラックの表示価格、東京−大阪間の定期便は何ぼだという表示価格を要求するでしょう。道路運送法にはトラックとかバスとかと分けてないのです。自動車の料金はと書いてあるのです。運送事業の料金はと書いてある。そして表示をするでしょう、表示をして、ダンピングやった会社に対しては、あなたのところは営業停止をやるでしょう。お尋ねします。
  302. 水野節比古

    ○水野説明員 道路運送法の料金問題でございますが、バスにつきましては一定額の定額制の認可をいたしておりますが、トラックにつきましては一定の差のある、上下に少し幅を持たせた料金を認可いたしております。そこで、トラックにつきましては、ダンピングの問題はただいま御発言のとおりでございますが、それにつきましては、私どもとして実態を調査いたしまして、営業停止、認可取り消しその他の行政処分をやっておるわけであります。
  303. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、一ぺん戻りますが、割引率をきめたのは全乗客の三割だということできめたのです。あなたは私鉄の例を出して私に答弁されました。だから私は私鉄を持ち出したのはたいへん賢明な策だといって笑ったのです。それでも定期が六割で一般が四割と、こういうのです。初めは定期が三割で一般が七割で割引率をきめたのです。これがいまさかさまになっているわけです。そうすると、ダンピングをしている、こう言って差しつかえないのです。  そこであなた方は、じゃ採算がとれているじゃないか、そのとれているためにどういうことをやっているか、これは運輸省ですから言いますけれども、私鉄の話をされたから私鉄の話をします。私鉄の経営者は沿線の宅地開発をし、あるいはいろいろなことをやって客を集めて、そうしてようやくやっている。これが私鉄の経営ですよ。国鉄はそれができないから赤字でぱっと手をあげているのです。これはいわゆる都内交通ではできないのです。それはそうでしょう。東京都交通局が住宅を建てて、そしてその客をここへ入れるのだ、そんなことができますか。私鉄はできても東京都交通局はできないのです。横浜交通局はできないのです。ここのところの違いというものを運輸省はどのように指導しているのですか。運輸省の指導というのは、そういうところに何らのものを考えたことが一つもない。そうして、公営企業がやれないのなら私鉄がやります、いま都内のバスを私鉄のどこがやりますか、朝と晩とだけ乗って昼はからっぽで走っているようなところを。しかもバスの都内キロ数というのは、法定キロは二十九キロです。あなたのところはいまも変えてないでしょう。二十九キロそのままでしょう。ところが、現実に走っているのは朝の六時の一番から走っているから、十二キロとか十三キロという平均が出ておりますけれども、ラッシュのときには七キロか八キロしか走っていませんよ。そう思いませんか。あなた方毎日乗ってごらんなさい。
  304. 水野節比古

    ○水野説明員 東京都内におきますバスの平均走行キロは大体十三・九キロという数字になっております。
  305. 井岡大治

    ○井岡委員 それは一日の平均ですよ。ラッシュのときと言っているじゃないですか。しかも、いま都市の再編成といえば申しわけありませんけれども都市はほとんどドーナツ型になっているのです。したがって、どこの都市でも通勤通学だけしか利用されておらないのです。しかも、そのときはどれもこれも一挙に出てくるわけです。ですから、あなた方は時間差通勤を要請なさっておいででしょう。そうと違うのですか。
  306. 水野節比古

    ○水野説明員 市内のバス輸送につきましては、ただいまおっしゃいましたように、時差通勤その他を総理府を通じまして強力にお願いをいたしております。また、市内におけるバスがスムーズに運転できますように、これは私どもだけではもちろんできないことでございますけれども、混雑緩和のためにバスの優先通行、その他バスターミナルの建設、その他いろいろ関係方面と折衝してなんとかそれを実現いたすように努力中でございます。
  307. 井岡大治

    ○井岡委員 そんな、言うだけではだめですよ。昭和六十五年になったら自動車の数は何ぼになるとあなた方踏んでおいでになるのですか。
  308. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 突然でございますので数字がございませんけれども昭和六十年はぼう大なる車両数となると思います。
  309. 井岡大治

    ○井岡委員 渋谷さん、あなた御存じのとおり、これは一週間前に載っていた記事ですよ。一週間前には六人に一人とこういっていますよ。  余談になりますけれども、世界の都市政策、都市計画というのは二〇〇六年を目途にした都市計画を立てない限りだめだ。これは世界の定説ですよ。そのときには、日本でも四人に一台の割の自動車になる、こういっていますよ。これは定説ですよ。したがって、いま規制をやる。私は規制に賛成です。しかし、警察庁の交通局長、あなた方の規制の考え方というのをひとつ先に聞かしてください。
  310. 久保卓也

    ○久保政府委員 その中でも特に問題になりますのは都市交通であろうと思いますが、現在の状況では、交通の安全と渋滞に対する規制ということが主眼点になります。そこで、主要な幹線につきましては一方交通、それから駐停車禁止、右折禁止というものを強力に推進してまいりたい、これは東京と大阪を中心にして現在やっております。  さらに、将来の問題といたしましては、車種別あるいは用途別の車の乗り入れの制限の問題あるいは賦課金の問題などが検討の対象となるだろうと考えますけれども、その前の段階で規制を強行する一方、追い出される車の駐車場がありませんから、現在中止をしているパーキングメーター制度を採用して一部駐車場を確保する形をとると同時に、私の個人的見解ではありますが、パーキングメーターの料金を上げて賦課金にかえて、それで乗り入れをある程度セーブするということも考えられないだろうかということで検討してみたいと考えている次第でございます。
  311. 井岡大治

    ○井岡委員 パーキング制の問題だけでいわゆる大衆輸送といわれる乗客輸送が円滑にいくとは思わないのです。ですから、あなた方は運輸省とお話をなさって、自動車ターミナルをこしらえるように強力に主張されたはずです。そうじゃないですか、お伺いします。
  312. 久保卓也

    ○久保政府委員 そのとおりです。
  313. 井岡大治

    ○井岡委員 パーキング制をかりに強化をしたとしても、パーキングを幾らやってみても、何時から何時まで一切の自動車は通してはいけない、遠慮すべきだ、ここまでいくのであればそれは可能だと思います。ですから、きのう細谷委員が言っておりましたように、ある市長が、自動車の運行規制を市長にまかしていただけるというのであれば十分この点はやり得る、こういうことを言っておられるのも私はうべなるかなと思います。このように自動車というものはそう簡単にどうにもならないものです。これは世界の歴史でわかっていることなんです。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席〕 ただ一時的にこうやったというだけにしか、いわゆる自己満足にしかすぎないのです。あなた方が一生懸命事故防止をやっておいでになりますけれども、毎日毎日自動車の、たとえば道交法の改正をおやりになって、これだったら自動車の事故件数は少なくなる、こういってあなた方は説明をされたはずであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、去年とことし、おととしと去年を比べた場合、やはりふえている。これはハンドルが自由に回る限り、そうあなた方が考えるようにはならない。しかし私は、それは全くむだだとは言っておらないのです。それだけでは解決しない。こう言っているのです。ですから、少なくとも私は、今日の都市交通の経営難というものは、単にこれは、細郷さんもきのうは、客が減ったんだ、こういうような簡単なことを言っておられましたけれども、私はそうじゃないと思う。都市の構造からくる乗客の減だ、こういうように考えるのが正しいと思うのです。渋谷さん、そう思いませんか。
  314. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 運輸省といたしましては、大衆輸送機関を優先にすべきであるという見地から、バス輸送の優先通行について各省といろいろ折衝している次第でございます。
  315. 井岡大治

    ○井岡委員 私の聞いているのは、私は大衆輸送優先ということは大いに賛成です、こう言っているのです。けれども、それだけで私は都市が経営しておる公営企業のバスの収入が上がるとは思われないのです。幾分は上がるでしょう。これで立ち直るとは思われないのです。これは都市の構造の変化からくる経営難だ、こういうように理解するのが正しいのと違いますか、こう聞いているのです。どうですか。
  316. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 経営の要素は支出と収入と両方あると思いますが、運輸省といたしましては、その収入面をできるだけ確保しようということでやっておる次第であります。
  317. 井岡大治

    ○井岡委員 どうもかみ合わないな。あなたが来たら、かみ合うことになっているのですが……。  私の言っているのは、いまの公営企業、これはどこでも一緒です。国鉄でもそうでしょう。私鉄でもそうです。通勤通学のお客さんが主であって、昼間に乗るお客さんは少なくなった。これが一番大きな原因だ。これは都市の構造の変化によるものだ、こういうように言っておるわけです。そうと違いますか、こう聞いているのです。それをあなたは、収入をふやすように努力いたします——その話は次の段階です。
  318. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 都市の構造という意味はいろいろ解釈できますけれども、われわれといたしましては、モータリゼーションの発達ということに大きな原因があろうかと思いますが、そういった面については、できるだけバスの優先通行を各省において検討されて、バス輸送を優先的に確保するということに重点があるかと思います。
  319. 井岡大治

    ○井岡委員 どうもかみ合いませんけれども、それじゃ、あなたのバス優先の具体的な案を聞かしてください。
  320. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 現在総理府にお願いして検討していただいておりますのは、まず第一に、構造的な、施設的な面からいいまして、道路の拡幅、駅前広場の拡張といった施設の面の方策が一つと、それから交通規制的な面からいいまして、右折通行をバスだけに優先してもらいたい。そういった施設面、規制面においていろいろ要望いたしまして、現在総理府において取りまとめを願っておる次第であります。
  321. 井岡大治

    ○井岡委員 都市の改造、駅前広場を大きくするとか、あるいは道路の拡幅をやる、口では言えますけれども、そう簡単にできますか。あなたの考えで、それは何年後に私たちの考えどおりにできます、こういう自信がありますか。
  322. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 先生のおっしゃるとおり、運輸省の所管事務につきましては、ただいまの理想を実現するためには非常に少ない権限でございますので、ただいま申し上げましたとおり、総理府にお願いいたしまして、関係各省の権限をできるだけ働かしてもらいたい、かように思う次第でございます。
  323. 井岡大治

    ○井岡委員 それをやっておったって毎日毎日赤字を出しているのですよ。それを赤字を少なくするためにできるだけそういうようにしたいというなら話はわかりますよ。しかし、それは長い期間をかけなければできないですよ。運輸省だけの問題じゃない、あなたが言われるとおりです。政府だって、都市の改造ということになると、これは建設省と自治省と一緒になるんでしょうけれども細郷さん、そう簡単にはできないですね。
  324. 細郷道一

    細郷政府委員 公営交通を含めて都市交通の問題はいろんな要素にくるまれておるわけでありまして、なかなか一言にして言いにくいものがございますが、さっきおっしゃるように、都市構造の変化というのは確かに大きな要素だと考えております。
  325. 井岡大治

    ○井岡委員 いわゆる都市構造の変化から経営基盤が弱くなった、これはひとつお認めになったわけです。同時に、これは渋谷さん、さいぜんあなたに聞いたらわからないという話でしたが、バスの割引率は通勤通学を分けてどのくらいになっていますか。
  326. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 はなはだ失礼ですけれども、ほんとうに正確な数字を持ち合わせておりませんので、通勤と通学に分けまして、通勤はおおむね三割ないし四割、通学は五割五分程度だと、はなはだ失礼でございますが……。
  327. 井岡大治

    ○井岡委員 通学が五割五分、それは違いますよ。
  328. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 訂正させていただきます。通勤は二割ないし三割引きです。通学は四割程度でございます。
  329. 井岡大治

    ○井岡委員 通学は四割で通勤は二割五分、間違いありませんね。
  330. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 間違いございません。
  331. 井岡大治

    ○井岡委員 では、私は少しこの点については異議があります。間違っております。国鉄が割引率をこの前直して通勤は六割五分になったはずです。ですから、それは違います。  それでは、こんなことでごたごたやっておったのでは話が進みませんから、協力するという意味で次にいきましょう。  先ほどからお尋ねをいたしておりますように、公営企業の経営難の大きな原因というのは、非常に割引率が高くて、しかも一般乗客が少なくなった。ここからくる経営難、これも一つの大きな原因だ。それから都市構造の変化に伴って昼間のお客さんがなくなった。皆さん御存じのとおりです。大きなあの電車を昼見てごらんなさい。三人か五人で走っているはずです。大きなバスだってそのとおりです。ここにきたらいわゆる交通規制の問題になるわけですが、昔は、バスは一区間に客が常に五人乗っておればその経営はできるといわれたのです。これは昭和三十四年の統計です。もちろん人件費あるいはその他いろいろな問題がかさんできておりますから、私はいまも五人だということを言おうとは思いません。思いませんけれども、少なくとも常時十人乗っておれば経営ができたのです。ところが、今日常時十人は乗っておらない。ここに問題があるのです。これは都市構造の変化に伴うものだ。こういうように大別して二つになると思うのです。  そこで、次に私はこの問題からさらに進んでお尋ねをします。建設省の路政課長さんお見えですね。私は六、七年前に名古屋の地下鉄の問題であなたのところからたいへんなことを聞いたのです。名古屋の地下鉄は地方鉄道法による営業であります、認可であります、免許であります。ところが、大阪と東京の営団は地方軌道法による営業であります。免許であります。そして、名古屋の駅につなぐためにあの道路の下を掘らしてもらいたいと言ったときに、あなたのところの道路局長から、道路の下は私の監督権であります、地方鉄道法によって営業する名古屋の地下鉄を通すわけにはいきません、こういう御答弁をいただいたのです。そこで私は、ばかなことを言うものじゃない、それじゃあなた方は、地球のまん中までおれのところの占有権だ、最近よくいう領海権だ、こういうことになるのかと言ったら、大臣が、その点はわかりました、十分運輸省と話をして解決をします。そして解決をしたのです。  そこで、私はあなたにお尋ねをするのですが、いまもその考え方に間違いがないかどうか。
  332. 小林幸雄

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  地下鉄は、現在大阪の場合は軌道法で通っておるわけであります。その他のものは地方鉄道法の免許になっております。そこで、地方鉄道法で免許になりました地下鉄につきましては、地方鉄道法四条ただし書きによりまして、建設大臣道路の占用につきまして許可をしております。
  333. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、地方鉄道法による地下鉄は、依然として前と同じ考え方だ、こういうのですね。これは私が次に大蔵省に聞くのにたいへん重要なことがあるから、あなたにはっきり聞いておかなければいかぬ。
  334. 小林幸雄

    ○小林説明員 前と同じとおっしゃいますと、どういうことでありましょうか。
  335. 井岡大治

    ○井岡委員 地下鉄の下はおれのところの管轄だという……。
  336. 小林幸雄

    ○小林説明員 道路の管理権の問題でございますが、地球のまん中まで、あるいはその上空は途中まで、飛行機の飛んでおるところまで道路の管理権が及ぶということにはならないと思いますが、やはり上空、地下につきましていろいろな構造物ができるというふうな問題になってまいりますと、工事中の問題も含めまして、またその後の管理の面でも、あるいは補修の面でも、道路に対するさまざまな影響がある場合が多いわけでございまして、その限りにおきまして、道路管理者といたしましてはこれに全然無関心ではあり得ない。その限度におきまして、一応私どものほうの道路の占用、あるいはいま申し上げましたような地方鉄道法四条ただし書き、こういうようなことで御相談をいただくようになっておるわけでございます。
  337. 井岡大治

    ○井岡委員 それはあなたのところは許可をすればいいのでしょう、地方鉄道法は。
  338. 小林幸雄

    ○小林説明員 地方鉄道法によりまして免許されましたものにつきましては、四条ただし書きによる主務大臣の許可を断わった例はございません。
  339. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、大蔵省お見えになっておりますね。地下鉄の建設について運輸省と大蔵省と自治省大臣の間に覚書がかわされて、昭和四十五年度から前向きでこの問題に取り組む、こういうようになっておるわけです。いま私がなぜそれを質問するかと申しますと、現在の都市交通は、単に都市交通のワクだけではいまの交通としての使命を果たすことができないのです。したがってこの問題は、私は別の角度で話をしますが、相互乗り入れをやるわけです。相互乗り入れをするためには、たとえば軌道法でしておきますと、現在の既設の路線が入ってくるときに非常に問題があるわけです。そういうことで、大阪を除いてはほとんど地方鉄道法によってやっておいでになるわけです。将来これは神戸あるいは京都もおやりになるでしょう。その人々の御意見を私は聞きました。全部鉄道法。横浜も今度は鉄道法で認めたはずです。その場合、いま自治省が言っておいでになる、建設というものに金がかかるからというだけの理由であればこれはいいわけですが、そうでなくて、道路のかわりだという立場からこれを掘っていくという場合、その鉄道法によるものと同様の措置を講ずるかどうか、この点を聞かしていただきたい。
  340. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まずこれは道路と見るか見ないかという問題が先決する問題かと思います。したがって、本件の問題は、実体はやはり道路であるということの認定をするかどうか、もしこれは建設省のほうで道路ということであれば、ガソリン税を使うとかいろいろな問題があろうかと思いますが、まず建設省のほうの御意向も聞いた上でないと……(井岡委員「でないと言えませんか」と呼ぶ)と思います。
  341. 井岡大治

    ○井岡委員 じゃ、大臣に聞いておきますが、こういう問題が起こってくるのです。ですから、あの覚書の点については十分注意をなさっておいでにならないと、これは大臣が、おれはここまで非常にがんばってやって来年は何としても地方自治体に喜んでもらおう、そうしてそのことが国益になるんだ、こういうようにお考えになっておっても、ここのところはなかなかうまいこといかないのです。ですから、この点は十分覚えておいてください。  そこで、道路局路政課長にお聞きしますが、先に軌道ができておって、そうしてそれに伴って町ができてきた、道路をそこにつけなければいけない、こういう場合がたくさんあるわけです。そして、それがいま撤去されておるわけです。そして財産の中にはそれは資産としてあるわけです。いわゆる民間の場合はこれはどうされますか。
  342. 小林幸雄

    ○小林説明員 ただいまの御質問で、鉄道ということでございますが、軌道法による軌道の場合について申し上げますと、これは公営企業あるいは民営を問わず同様の問題でございますが、軌道経営者が自分で敷地を取得しまして鉄道を敷設した場合に、これは無償で道路の敷地とすることができるということになっておるわけでございます。ただし、これは必ずただで取り上げなければならぬということではございません、できるということになっております。
  343. 井岡大治

    ○井岡委員 無償であなたのほうは取り上げることができる、こうなっているけれども、必ずしもそれにはこだわらない、こういうふうに理解していいわけですね。
  344. 小林幸雄

    ○小林説明員 御承知のように、軌道は地方鉄道と違いまして、道路補助交通機関というふうな考え方ででき上がっておるわけでございます。そこで、軌道法による特許がありますと、制度上は、これにつきましてはさまざまな道路法の例外的な措置といたしまして、その恩典といいますか、便宜をはからってあるわけでございます。たとえば特許がございますと道路法上の占用の許可があったものとみなされて所要の手続を要しない、こういうような、あるいは占用料につきましては命令で定めることになっておるわけでございますけれども、これは立法当時から、軌道経営の実情にかんがみて、しばらくは取らないというふうないきさつがあったわけでありまして、現在に至るまでなおいまだに制定されていないわけでございます。占用料も免除というふうな一、二の例もあるわけでございます。まあ補助交通機関ということでございますので、この敷地については、道路管理者が道路の管理を一体として行なわなければならぬ、こういうようなことで、必要がある場合には無償で敷地とすることができるというふうになっておるわけでございますが、同時に、この場合には維持修繕費等は道路管理者のほうで負担する、こういうふうな了解をしております。必ずしもただで取らなくてもいいとまで積極的に言えるかどうかちょっと問題がございますが、これは国の場合等の直轄国道等について考えますと、無償で敷地となすことができるものにつきまして、特に金を出してこれを買うというふうなことは相当問題があろうと思います。
  345. 井岡大治

    ○井岡委員 あなた、先につけておったんですよ。あとからつけて、あなたの言う占用権というのと違うのです。先につけておったわけです。そこにあなたのほうがひっつけてきたわけです。依然として台帳には資産として残っておるわけです。この場合あなたはどうするかと、こういうわけです。これは私有地ですよ。
  346. 小林幸雄

    ○小林説明員 御承知のように、軌道は原則として道路に敷設することになっておるわけでございます。軌道法の軌道はこれは原則として道路に敷設すべしということになっておりまして、例外的に道路じゃないところに敷設される場合もございますけれども、それはむしろ例外の場合でございます。ただいま申し上げておりまするような事例は、軌道法のたてまえからいきますときわめて例外的な場合でございまして、したがいまして、大部分道路の敷地に入っておる。いまおっしゃいますような、全く道路も何もないところに大部分の軌道が特許されて、それに若干道路が乗っかってしまうというふうな例があるいはあったのかもしれません。私よく存じませんが、この場合やはり軌道法の規定がそのまま働きますので、そこで財産権を取得するわけじゃございませんので、道路管理の必要上管理権を行使できる、こういうふうに考えております。
  347. 井岡大治

    ○井岡委員 もっと具体的に言いましょう。阪神電車は軌道法でやっているんです。あれがやめて、そして道路にする、こういう場合にはどうします。
  348. 小林幸雄

    ○小林説明員 阪神電鉄の場合につきましても、私どものほうで敷地につきましてそれだけの理由で金を払うということは考えておりません。
  349. 井岡大治

    ○井岡委員 むちゃ言っちゃいけないですよ。軌道法でやるか鉄道法でやるかというのは、そのときの経営者の——いまでこそこうはっきりしてますが、三十年、四十年、七十年も前の話で、これは明らかになっていないわけです。ただ都市のまん中に入っていくということで、軌道法でなければいけないということであなたのほうの運輸省、当時の鉄道省はしているわけです。それをあなた方は、金は払いませんなんて、そういうむちゃなことを言っちゃいけませんよ。
  350. 小林幸雄

    ○小林説明員 ただいま御質問の阪神電鉄の例でございますが、これは道路に軌道を敷設するために、道路の幅が狭い。そこで少し広げなくちゃいかん、こういうことで敷地を電鉄会社が買収しまして、それを道路敷地にしている、こういう例でございます。これは軌道法以前の軌道取扱条例時代の問題だと思います。これによりますと、このような場合でもこの敷地は道路の敷地になる、こういうふうなことになっておりますので、この当時から道路管理者が管理しております道路区域でございますので、あらためて権原を取得するためにまた金を払う必要はない、こういうことでございます。
  351. 井岡大治

    ○井岡委員 この問題は、私はかなり論争したいと思うのです。たとえば、具体的に言いましょう。大阪交通局は三月三十一日でやめたのです。自分の私有財産が三十四万坪あるわけです。これは道路の上を走ったんじゃなくて、自分のところが先につくって、そしてあとから道路を引っつけてきたわけです。そして橋梁が三十あるわけです。これも交通局の資金でもってなにをやっている。昭和四十一年度の試算で、財産として登記をしてなにしているのは千六百億です。これは昭和四十一年です。ですから、今日ではもっと上がっているでしょう。そのうち大阪市の市道を併設しておるのが九百億。したがって、これは細郷さんは御存じのはずです。八賃のときにこれはなにしたことになっています。府道が四百五十億、国道が三百億、これだけあるわけです。しかもこれは都市の構造の変化に伴って、あるいはいろんな要因によって、いま経営ができなくなって、これはやめていったわけです。しかも、そのために大阪市交通局をはじめとしたこういう大きな都市の交通局は全く経営ができないのです。極端に言うと——私はあえてその職従業員のことは言おうとは思いませんけれども、いまだ皆さんがいただいておる九賃といわれるものが支給されておらないのです。したがって、こういう問題を真剣に考えてやるというゆとりがない限り——都合のいいときは、おまえらここに道路をこしらえろ、そしておまえらこうやれ、ここはおまえら通るのだから橋をこしらえろ。橋をこしらえさしたのはあなた方ですよ。橋をつくらしておいて、そして、おれは知らぬのだ。こういうことが通るということになると、これこそ正直者がばかを見るということだと思うのです。  私は、この問題については、あなたとさらにもう少しやりたいと思いますが、いま理事さんのほうから、もう早うやめろと言う。ですから、私は、きょうはこの点については保留します。  そこで問題は、細郷さんお聞きのとおりなんです。地下鉄建設の世界各国の例というのは、皆さんも御存じのはずです。ベルリンが地下鉄をこしらえたのは道路のかわりだというので、ガソリン一ガロンについて、邦貨に直して当時の金で十銭ずつ取っていったでしょう。そして地下鉄を掘ったのです。ロンドンは地下鉄をつくらなければ、とうてい道路を持っていくことができないというので、これは国が金を出したのです。ニューヨークでもどこでもそうです。したがって、こういうように考えてみると、今日の都市交通というものは、単に独立採算だということによって処理をするということはむずかしいんじゃないかと私は思うのです。この点を大臣に聞いて、そして次の問題に入りたいと私は思いますけれども、きょうはやめます、全く皆さんまじめに答弁してくれませんから。大臣聞かしてください。
  352. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、いまの都市交通のお話を承りまして、特にベルリン、ロンドン——私もこの問この本を読んで非常に示唆を受けております。私、これはいまのお話のお答えになるかならぬか知りませんが、これは実は井岡さんにこっちから提示したいと思うのですが、実はこの都市交通を、いまわれわれはこれはやります。きのうも細谷さんに申しましたとおり、地下鉄問題、私はこの四十四年度予算編成のときにはがんばってみたのですが、四十五年になりました。それはがんばりまして、実現しましてもどこまでいけるかという気が、いまのお話を聞いておってします。しかし、がんばるつもりです。しかし、われわれは、われわれの責任を転嫁するわけではありませんから、そのつもりでお聞きを願いたいのですが、この都市交通というものは、自治省とかまた運輸省とか警察の交通とか、そんな段階じゃないと私は思うのです。私は最近しみじみそう思った。ここに古屋さんもおりますが、総理府に交通のいろんな何かまとめた本部をつくっております。私も総理府におりましたから知っておりますが、もう少し——いまの時点ではありませんが、井岡さんのお話を聞いておって、これはお答えにならぬという前提で申し上げるのですが、これはもう少し、この段階になると政府全体で考えなければいかぬ。(「抜本策を講じなければいかぬ」と呼ぶ者あり)だから、そういう感じをいたして井岡さんの言うことは痛切に感じております。この地下鉄の問題、私も予算編成のときに聞きましたが、トンネルを一メートル掘るのにたいへんな、ちょっとしたことで何十億かかるような工事。だからこれがつまり自治省の責任で、また運輸省の補助金が出ておりますが、そんなことでやれない事態に入ってきたんじゃないかと思うのです。だから、その意味においては、私がきょうはお答えにならぬというのはその意味です。しみじみ感じております。たとえばこの都市交通に対して、自治省が精一ぱいの力をふるいまして、公営企業にどうせいというようなことも、それはたいへんなことだと思うんです。だから私は、自治省に負担させられた任務だけはどこまでも責任をもってやろうと思いますけれども、そういうことを痛感しているということをお答えしておきます。  いろいろ具体的なことは、財政局長もおりますが、私はやはり一生懸命これをやらなければ、こう行き詰まった、つまり大都市の市民の生活を見まして、こんな状態まで入って、これは非常に激動したものですから無理もないと思うのです。急激な変動が行なわれて、人口稠密になっておりますから、かれこれいままでのことは言いませんけれども、現時点においては、もうここでもって抜本的な考え、いま井岡さんがおっしゃったことをやらなければいかぬのじゃないか。私一人でやろうというのではありません。そういうことはできませんが、そういう感じを深くしております。
  353. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、最後に細郷さんに言っておきますが、私は先ほど申し上げましたように、再建策というものは必ずしも私は破算をしたとは思わないとおっしゃっておいでになりますけれども、私は、いまの再建策では再建ができない、このことだけは細郷さんもお認めになったと思うのです。したがって私は、いま再建策を出すからどうなる、出さないからどうなるということではなくて、大臣も根本的に考えよう、こういうことでございますから、いままでのメンツをほかして問題の処理に当たってもらう、こういうことにならないものだろうか、私はこのことをひとつお尋ねをいたします。  そのためには私は一つの提案をします。不良債務というもの、これは全部地下鉄に持っていってはいかないと思うのです。したがって不良債務というものは、国鉄がいまかかっておりますが、いわゆるたな上げをやっておりますが、これをたな上げをして、そうして出世払いにする、こういうかっこう。それから地下鉄の公債というものが、私は七年というような償還年限をきめることは間違いだと思うのです。地下鉄の耐用年数は六十年から七十年という何ですが、法定は四十五年でしょう。したがって、地下鉄というのは十五年しないとペイしないといわれているのです。せめて私は三十年という何をやらない限り、これはできないのです。それをこの際考えてやる。そうしない限り、私は地下鉄をやらなければいけないけれども、地下鉄が掘れない。そうしてますます産業混乱が起こって、大きな経済混乱が起こってくる、こう私は思うのです。そういうことで、細郷さん考えていただきたい、こう思うのです。  同時に、私は最後に言います。委員長、できれば、私はこの委員会に小委員会をつくって、真剣に、政府の責任であるとか、あるいはだれの責任というのでなくて、われわれいわゆる国の政治をあずかっておる者がみずからこれを探求をして、そしていいほうに導いていく、こういうようにしたい。そのために小委員会を設けるように理事会でおはかりいただくことをお願いをして、若干残っておりますが、まだ私続いてやろうとは思いませんけれども、二十二日ですか、関連質問のときに若干質問させていただきたい、こういうふうに思います。
  354. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 井岡委員の意思をよく承っておきます。  次回は来たる二十二日火曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十三分散会