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1969-04-17 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十七日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    赤澤 正道君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       吉川 久衛君    斎藤 寿夫君       永山 忠則君    村上  勇君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    細谷 治嘉君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   玉田 茂芳君         運輸大臣官房政         策計画官    人見 敏正君         自治大臣官房調         査官      本江 滋二君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君     ————————————— 四月十六日 委員有島重武君辞任につき、その補欠として小 濱新次君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十五日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願久保田鶴松紹介)(第三九一一  号)  同(栗林三郎紹介)(第三九一二号)  同(黒田寿男紹介)(第三九一三号)  同(小林信一紹介)(第三九一四号)  同(小松幹紹介)(第三九一五号)  同(兒玉末男紹介)(第三九一六号)  同(佐々木更三君紹介)(第三九一七号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三九一八号)  同(佐野憲治紹介)(第三九一九号)  同(佐野進紹介)(第三九二〇号)  同(阪上安太郎紹介)(第三九二一号)  同(實川清之紹介)(第三九二二号)  同(島上善五郎紹介)(第三九二三号)  同(島本虎三紹介)(第三九二四号)  同(下平正一紹介)(第三九二五号)  同外三件(田邊誠紹介)(第三九二六号)  同(田中武夫紹介)(第三九二七号)  同(田原春次紹介)(第三九二八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三九二九号)  同(高田富之紹介)(第三九三〇号)  同(只松祐治紹介)(第三九三一号)  同(山本弥之助紹介)(第三九三二号)  同(伊賀定盛紹介)(第四〇八三号)  同(江田三郎紹介)(第四〇八四号)  同(小川三男紹介)(第四〇八五号)  同(大出俊紹介)(第四〇八六号)  同(大柴滋夫紹介)(第四〇八七号)  同(大原亨紹介)(第四〇八八号)  同(岡田利春紹介)(第四〇八九号)  同(岡田春夫紹介)(第四〇九〇号)  同(岡本隆一紹介)(第四〇九一号)  同(加藤勘十君紹介)(第四〇九二号)  同(加藤清二紹介)(第四〇九三号)  同(加藤万吉紹介)(第四〇九四号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四〇九五号)  同(勝間田清一紹介)(第四〇九六号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四〇九七号)  同(金丸徳重紹介)(第四〇九八号)  同(神近市子紹介)(第四〇九九号)  同(川崎寛治紹介)(第四一〇〇号)  同(川村継義紹介)(第四一〇一号)  同(河上民雄紹介)(第四一〇二号同)  同(河野正紹介)(第四一〇三号)  同(木原津與志君紹介)(第四一〇四号)  同(木原実紹介)(第四一〇五号)  同(北山愛郎紹介)(第四一〇六号)  同(斉藤正男紹介)(第四一〇七号)  同(高田富之紹介)(第四一〇八号)  ドライブインにおける酒類販売禁止に関する  請願河上民雄紹介)(第三九三三号)  同(松浦周太郎紹介)(第三九三四号)  同(谷口善太郎紹介)(第四〇七九号)  同外三件(八木昇紹介)(第四〇八〇号)  ゴルフ場に係る娯楽施設利用税交付率引上げ  に関する請願外一件(臼井莊一君紹介)(第四  〇八一号)  同外一件(羽田武嗣郎紹介)(第四〇八二  号) 同月十六日  ゴルフ場に係る娯楽施設利用税交付率引上げ  に関する請願外二件(丹羽喬四郎紹介)(第  四一八一号)  同外一件(西岡武夫紹介)(第四一八二号)  同(植木庚子郎君紹介)(第四三六〇号)  同外三件(福田篤泰紹介)(第四三六一号)  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願外一件(安宅常彦紹介)(第四二四  七号)  同外一件(阿部昭吾紹介)(第四二四八号)  同外一件(阿部哉君紹介)(第四二四九号)  同外一件(赤路友藏紹介)(第四二五〇号)  同外一件(淡谷悠藏紹介)(第四二五一号)  同外一件(井岡大治紹介)(第四二五二号)  同(井手以誠君紹介)(第四二五三号)  同外一件(猪俣浩三紹介)(第四二五四号)  同外一件(石川次夫紹介)(第四二五五号)  同(石田宥全君紹介)(第四二五六号)  同外一件(石野久男紹介)(第四二五七号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四二五八号)  同(小川三男紹介)(第四二五九号)  同(板川正吾紹介)(第四二六〇号)  同(稻村隆一君紹介)(第四二六一号)  同(江田三郎紹介)(第四二六二号)  同(大出俊紹介)(第四二六三号)  同(大柴滋夫紹介)(第四二六四号)  同(大原亨紹介)(第四二六五号)  同(岡田利春紹介)(第四二六六号)  同(岡田春夫紹介)(第四二六七号)  同(岡本隆一紹介)(第四二六八号)  同(加藤勘十君紹介)(第四二六九号)  同(加藤清二紹介)(第四二七〇号)  同(加藤万吉紹介)(第四二七一号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四二七二号)  同(勝間田清二紹介)(第四二七三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四二七四号)  同(金丸徳重紹介)(第四二七五号)  同(神近市子紹介)(第四二七六号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第四二七七号)  同(川村継義紹介)(第四二七八号)  同(河上民雄紹介)(第四二七九号)  同(河野正紹介)(第四二八〇号)  同(木原津與志君紹介)(第四二八一号)  同(木原実紹介)(第四二八二号)  同(北山愛郎紹介)(第四二八三号)  同外二件(久保三郎紹介)(第四二八四号)  同外一件(久保田鶴松紹介)(第四二八五  号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第四二八六号)  同外一件(黒田寿男紹介)(第四二八七号)  同外一件(小林信一紹介)(第四二八八号)  同外一件(小松幹紹介)(第四二八九号)  同外一件(兒玉末男紹介)(第四二九〇号)  同外一件(河野密紹介)(第四二九一号)  同外一件(神門至馬夫君紹介)(第四二九二  号)  同外一件(佐々木更三君紹介)(第四二九三  号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第四二九四  号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第四二九五号)  同外一件(佐野進紹介)(第四二九六号)  同(阪上安太郎紹介)(第四二九七号)  同(實川清之紹介)(第四二九八号)  同(柴田健治紹介)(第四二九九号)  同(島上善五郎紹介)(第四三〇〇号)  同(島本虎三紹介)(第四三〇一号)  同(下平正一紹介)(第四三〇二号)  同(田中武夫紹介)(第四三〇三号)  同(田邊誠紹介)(第四三〇四号)  同(田原春次紹介)(第四三〇五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四三〇六号)  同(只松祐治紹介)(第四三〇七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四三〇八号)  同(千葉佳男紹介)(第四三〇九号)  同(戸叶里子紹介)(第四三一〇号)  同(堂森芳夫紹介)(第四三一一号)  同(内藤良平紹介)(第四三一二号)  同(中井徳次郎紹介)(第四三一三号)  同(中澤茂一紹介)(第四三一四号)  同(中嶋英夫紹介)(第四三一五号)  同(中谷鉄也紹介)(第四三一六号)  同(中村重光紹介)(第四三一七号)  同(永井勝次郎紹介)(第四三一八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四三一九号)  同(成田知巳紹介)(第四三二〇号)  同(野口忠夫紹介)(第四三二一号)  同(野間千代三君紹介)(第四三二二号)  同(芳賀貢紹介)(第四三二三号)  同(長谷川正三紹介)(第四三二四号)  同(畑和紹介)(第四三二五号)  同(華山親義紹介)(第四三二六号)  同外一件(原茂紹介)(第四三二七号)  同外一件(平岡忠次郎紹介)(第四三二八  号)  同(平林剛紹介)(第四三二九号)  同(広沢賢一紹介)(第四三三〇号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第四三三一号)  同外一件(福岡義登紹介)(第四三三二号)  同外一件(穗積七郎紹介)(第四三三三号)  同外一件(帆足計紹介)(第四三三四号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第四三三五号)  同外一件(堀昌雄紹介)(第四三三六号)  同外一件(松前重義紹介)(第四三三七号)  同外一件(松本七郎紹介)(第四三三八号)  同外一件(三木喜夫紹介)(第四三三九号)  同外一件(武藤山治紹介)(第四三四〇号)  同外一件(村山喜一紹介)(第四三四一号)  同外一件(森義視紹介)(第四三四二号)  同外一件(森本靖紹介)(第四三四三号)  同外一件(八木一男紹介)(第四三四四号)  同外一件(八木昇紹介)(第四三四五号)  同外一件(八百板正紹介)(第四三四六号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第四三四七号)  同外一件(安井吉典紹介)(第四三四八号)  同外一件(山内広紹介)(第四三四九号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第四三五〇号)  同外一件(山崎始男紹介)(第四三五一号)  同外一件(山田耻目君紹介)(第四三五二号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第四三五三号)  同外一件(山花秀雄紹介)(第四三五四号)  同外一件(山本幸一紹介)(第四三五五号)  同外一件(山本政弘紹介)(第四三五六号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第四三五七  号)  同(米内山義一郎紹介)(第四三五八号)  ドライブインにおける酒類販売禁止に関する  請願外一件(前尾繁三郎紹介)(第四三五九  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 地方交付税法、さらにこれに関連する地方財政計画について大臣あるいは政府委員に御質問したいのでありますが、あるいはすでに質問した点と若干重複する点があるかと思いますけれども、できるだけそれを避けたいと思います。  まずお尋ねいたしたい点は、地方財政計画なり地方交付税法の一部を改正するにあたって、他から何らかのアクションがあったかどうか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  4. 野田武夫

    野田国務大臣 御質問の要旨そのままで、何か特別のことはないと思いますけれども財政計画地方交付税法の改正にあたりまして、何ら他からのアクションはありません。どういう御意思かわかりませんが、私自身としてはそういうことは全然触れておりません。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、最近発行されました「都道府県展望」という全国知事会が出しております四月号の「地方財政計画地方財政」を拝見いたしますと、やはり明らかに大蔵省等から圧力があったんではないか、こういうふうに看取される記事が、自治省自体人たちが書いた文章の中で、あるいは毎日新聞社政治部畠中という人がいらっしゃいますが、その人の「地方財政計画をよんで思うこと」こういう文章を読みますと、明らかに感じられるのであります。ないですか、細郷さん、どうです。
  6. 細郷道一

    細郷政府委員 大臣のお答えしたとおりでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣がお答えしたとおりということでありますが、今度の地方財政計画というのは、六兆六千三百九十七億でありまして、前年比一八・五、こういうことになっておりまして、国の予算の前年比一五・八%の伸びを上回って、まあ大型計画だというふうにいわれておりますし、大蔵省あたりでは、この地方財政計画を批評してジャブジャブ計画だ、こういうふうにいっているそうであります。何がジャブジャブか知りませんけれども、ここに書いてあるのです。ところで一八・五という伸びでありますけれども、私が従来の地方財政計画の作成の方向から見ますと、もう少し規模が大きくなるべきものではないかと思うのであります。ところが六兆六千三百九十七億という規模になったわけでありますけれども、どこがどう押えられたのか、どこが四十三年度までの計画と違っておるのか、まずこれを説明していただきたいと思うのです。
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 特別に従来と違ったところは、私どもないと思っております。ただ、従来雑収入の計算におきまして、歳入歳出素通り予算をどう見るかという問題がございまして、この分についてことしは一部はずしました。それが多少違うといえば違う点かもしれませんけれども、他に特別御指摘のような点は思い当たりません。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 中小企業関係等トンネル予算というのを、これは素通りでありますから、これははずされたということでありますが、この雑収は今度の計画では二・九%しか伸びておらないのですね。従来の計画では一割ないし一割五分伸びていっているわけですね。これは規模としてかなり違ってくるんですね、そうでしょう。どうしてこんなに急に、中小企業振興対策の二百億かそこらの金をはずしただけで、従来一〇%か一五%程度伸びておったものが二・九になったのですか。これは作為的じゃないですか。
  10. 細郷道一

    細郷政府委員 財政計画というものをどういう役割りに重点を置くかという問題が一つあるのだろうと思いますが、御承知のように年度内回収資金による貸し付け金につきましては、中小企業だけでなくて、農業関係にもあるわけでございますが、それは財源的にそれだけのものを食うわけではなくして、年度の当初に貸し付け歳出で出し、年度末に回収するというので雑収入にきているという、年度内資金繰りの問題でもございますので、従来からこれをどういうふうに財政計画に盛り込むのがいいのか、実はいろいろ私どもも議論をしておった点でございます。今回そういうものにつきまして歳入歳出からそれぞれはずしましたので、その面は先ほど申し上げましたように従来と違っておるところでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 これはあまり議論しても実がないからさっと通りますけれども、私は、いまおっしゃったようなことではなくて、やはり規模について作為的であった、これは大蔵省等圧力規模を小さく見せるためにこうしたんではないか、こう思うのです。  そこで、もう一つ私は証拠がある。だからアクションがあったという証拠。これはやはりこの雑誌に、そこにいらっしゃる首藤さんがお書きになっているわけですが、土地開発基金という制度ができるわけですけれども、その「公共用地先行取得」という中にこう書いてあります。「各般の事業実施隘路となっている土地取得を促進するとともに、地方財政歳出によって内国需要過度刺激を与えないための配慮からのものであることは前述のとおりである。」と書いてあります。土地取得というのが事業実施隘路になっているということは、これは自治省発想としてわからぬでもないのでありますが、地方財政歳出によって内国需要過度刺激を与えるという、財政課長大蔵大臣みたいなことを書いているのですね。これはどこから出たんですか。フィスカルポリシーにはなじまないのだ、こういっている人が、ここでは内国需要過度刺激を与えないようにと、国の景気政策まで文章に書いてあるのです。これはどういうことですか。アクションがあったんでしょう。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 アクションというのがどういう意味でおっしゃっているのかわかりませんが、先ほどの問題にしましても、土地開発基金にしましても、これは最初から私ども発想でございます。国庫当局は常に地方財政につきましては自治省と違った立場、対立的な立場をとっておりますから、私ども発想でも、国庫当局の目から見てそれなりの解釈をするということは私はあろうと思うのであります。逆なことも私どもにもあるわけでございまして、そのこと自体は、どういうアクションがあったかというような問題とは私はやや違うと思うのであります。  土地開発基金につきましては、私どもも昨年来、先般のこの委員会でもお答えをいたしたところでございますが、建設省におきまして土地基金というものをいろいろ考えている、この行き方に対しまして、私どもは、土地取得することは都計法による土地取得だけではない、もっと広範なものがあるというところから、包括的な開発基金制度がいいだろうという主張を実はずっとしてきておったわけであります。そこでそれをどの程度にするかということでいろいろ検討を加えました結果、六百億ということにいたしたわけでございます。これは土地開発基金というものの財政需要額を見込んで、これが各団体においてそれぞれ自分の資金もあればそれに足して積むこともありましょうし、あるいはこのとおり積めないこともあろうかと思いますが、そのお金年度内に必ず支出されるお金になるかどうかという点は、実はこれは各団体にまかせておるわけであります。したがいまして、これを積むことによって、年度内にこれから支出をしてはいけないということを私どもいうわけでもございませんし、またこれをこえて積んで、それを支出することも一向かまわないということでございまして、いまの文章を私も実は読んでおりませんけれども、お読み上げになったところを見ますと、そういう意味では、そういう見方もできるというようなことを言外ににおわして書いたのではないか、私はそういうふうに解釈します。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 この畠中という毎日新聞の政治部の方が書いたわけです。最初からそういう構想だった、こう書いてあるわけですよ。「自治省は当初は四百億円を予定していた土地開発基金を六百億円にふくらませ、留保資金百億円も追加した。地方財政の圧縮に成功しなかった大蔵省の申入れをこれで聞き入れた“格好”である。」こう書いてあるのです。アクションがあったでしょう、あなたがどうやろうとしたって。みずからあなたのところの財政課長大蔵大臣のようなことを言わざるを得ない。そうしてこの新聞記者がちゃんとこう書いているのだ。最初は四百億円の構想だった、最初から考えておった。これは建設省だって土地開発基金というものを考えた、自治法にもある、考えておらなかったとは申しません。しかし四百億円が六百億円になったということもちゃんとこれに書いてある。そしてそれは大蔵省申し入れをこれで聞き入れたかっこうでお茶を濁した、こうなっているのですよ。こう書いてあるのですよ、これに。大臣、幾つかの例をあげたのですがね。やっぱりアクションというものは大きな問題ですから、大臣御存じないはずはないですよ。あったとおっしゃったほうがいいのじゃないですか。おれは奮闘してきたのだとおっしゃったほうが大臣の値打ちが上がるのじゃないでしょうかね。
  14. 細郷道一

    細郷政府委員 いまお読み上げになった記事土地開発基金最初四百億であったのが六百億にふえた、大蔵省圧迫でふえた——大蔵省地方財政を削りたいと思っておりますから、いままでの行き方からすれば、圧迫でふえるなんということは私はないと思います。土地開発基金は、私ども去年の秋ごろに実際四百億くらい考えておりましたが、その後地方税の増収や地方交付税自然増がだんだん大きくつかめるようになってまいりました。それからもう一方におきましては、開発基金を設けるための財源措置をする場合に、ただ設ければいいというのではなくして、やはり府県の段階であれば少なくとも四、五億は要るだろう、都市も十万都市で一億以下では、どうも開発基金を設けるというほどのものではないのではないかということから、これは現実的な判断でございますが、そういうことを考えて積んでまいりますと、やはりどうしても六百億くらい要るわけでございます。そういったようなことから、秋ごろにはまさに四百億くらい——最初私は、一般財源でそんなに持てないだろうということで、一部は地方債とも考えておったわけです。しかし、その後の税の収入の増加状況あるいはいま申し上げた基金の額といったようなことから六百億にいたしたわけでございます。むしろ大蔵省は、財政支出がどんな形のものであれ、なるべく縮めたいという気持ちはあったかと思いますが、大蔵省土地開発基金をふやしなさいなんということは何もないのです。いまの記事は、大蔵省とうちとがことごとに対立をしておりますので、その間をお書きになったかと思いますけれども土地開発基金につきましてはそういう経緯をたどってまいったわけでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 あなた時間的な推移をながめてごらんなさい。自治大臣大蔵大臣の覚え書きができたのは六回目の交渉の末の一月六日ですよ、土地開発基金というものができたのは。もうそこで交付税ワクがきまっちゃたのですよ。地方財政計画ワクはきまっちゃったのですよ。そこで何が起こったかといいますと、景気刺激しないようにしてほしいという要望が起こってきたわけだ。それはもういみじくも首藤課長が告白しているわけだ。大蔵大臣の代弁をしているわけですから。内国需要過度刺激を与えないようにという、景気政策まで織り込んだわけだ。そこで、ひもつきで、地方が自主的に活用することのできない金をふやせ、こういう大蔵省からの圧力があったのでしょう。圧力ということばが悪ければ、そういう主張が出てきたのでしょう。それを受けて、四百億円を六百億円にふやしましょう、地方がかってに使わないようにいたしましょう。それは山口質問で、地方交付税法三条二項にあるけれども、それは地方が最終的には自主的にきめることですと言っておりますが、自治省はそうはさせないでしょう。この場ではそういうふうにつくろいますけれども、そうはせぬでしょう。そんなことをやったら、おそらく江戸のかたきを長崎ででもやりかねないでしょう。そこで大蔵省申し入れをこれで聞き入れたかっこうをとったわけですね。そうでしょう。景気政策に協力したのでしょう。フィスカルポリシーになじまない、大蔵とはきびしく対立しておる、こう言っておりますけれども、原則的には大蔵省のいうことをみんなのんじゃったじゃないですか。原則的にはみんなのんじゃっているでしょう。大臣、そうじゃないですか。
  16. 野田武夫

    野田国務大臣 私、実はそのお読み上げになった内容を知らないし、御意見聞いて初めて——大蔵省からアクションがあったのではないか、最初質問が何かそういうものがあるんじゃないかとおっしゃったのですが、私は全然知らないのです。というのは、私は第一、大蔵大臣としばしば折衝して、それはいろいろ御批判はございますが、私としては地方財政を守りたいという一念で折衝したわけで、結果論的な御批判は、御質問もあったことですから別といたしまして、そのときは私は大蔵大臣から一度も景気調整の話は受けておりません。これが第一です。  それから第二は、秋といえば私の就任前ですが、開発基金の四百億円の話も実はいま初めて聞いたのです。もっとざっくばらんにいうと、土地開発基金の六百億円をどういうふうに配分するか、都道府県が五億ぐらい、十万都市に一億、私はこんなみみっちい金をどうするかと思ったのです。いま都道府県全体でございますが、ことに大都市周辺なんというものは、御承知のとおり五億や十億得たってなかなか簡単に土地先行取得はできぬ。しかしこれだけで買うわけじゃありません。それは団体のいろいろな財源その他ですし、非常にいいことだと思っております。したがって六百億が財政事情からして一応最大限だろうが、少しは役に立つだろう、またいいことだろう、こう思ったのです。むしろ私は、もし金があったら六百億をもう少しふやしておいて——何といったって公共事業をやるのに土地問題は、われわれ自分が住んでいる団体のやり方を見ておっても、ほんとうに公共事業をやりたいといったって土地が年々上がっていくし、できるだけ先行取得しておいたほうがいい。これは常識です。だから四百億を六百億にしたのは事務的にどういう経過かわかりませんが、私自身の感触からいえば、六百億でも、別にこれは景気調整に合わしてふやすという意味ではなくて、現実の問題として、これはやはりいいことだと思ったから、できるならもっと金があるといいなという感触を受けたほどでありまして、何も四百億の案が六百億と、二百億を重ねたのを景気調整にどうこうして、大蔵省アクションによってというのは、実は私自身が意外に感じておるのです。いろいろ書いてあるそうですけれども、それは新聞社の人もいろいろ情報をとってやったのでしょうが、自治省をあずかっておる私が基本的な話を聞いておりますところによりますと、財政局長からの説明でも、大蔵省の希望はここにありますとか、景気調整に同調してもらいたいというからこうしますということは、一句半言も聞いていないので、実はびっくりしておるのです。事務的のことをいろいろ事務当局で折衝いたしております。いろいろお互い意見を話し合っておることがあるかもしれない。これは否定しませんが、基本方針として、今度立てました自治省財政計画というものは全然そういう感じを持たないで、別に大蔵省と連絡して、一々大蔵省の意向を聞いてやったというようなことは、私に関する限り全然ありません。また財政局長も、それはいろいろありましょう、やはり事務的の仲間ですから。しかし、もしそういうことで事実相当圧力を感じておりますならば、実は大蔵省からこういう要求があるということを真正面から当然局長は私に報告すべきですが、——これもいろいろのことを聞いておることは私は否定しません。事務的のことはいろいろありましょう。しかし、そういう大蔵省の希望とか、あるいは大蔵省の調整策に同調してやるというような、そういうような考え方は一切財政計画の立案にあたって触れないで局長もやっておりますから、私はほんとうにそういうアクションはないと、こうお答えせざるを得ないのです。これは事実ですから御了承願いたい。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣は否定なさるのですけれども、私がいま言うのは、あなたのところの責任ある課長の文章にも、公共事業等を推進するために土地の問題、用地取得の問題というのがあるのだ、だから土地開発基金をつくるのだ、こういう理由のほかに、内国需要の抑制、こういう重要な柱があるのだということをお書きになっておる。本人がいらっしゃいますけれども、本人に聞かぬでもいい。書いてあるのです。活字になっているのですから。それから畠中さんという毎日新聞の政治部の方も書いていらっしゃる。内外ともにアクションがあったということをこれは書いてあるのですから、もう大臣がどう否定なさろうと、私はやはり客観的にはあったのだといわざるを得ないのです。  そこで私は、この土地開発基金については、すでに山口委員等から詳しく質問がされておりますから、この内容、質的の問題等についてはこれ以上触れませんが、ずばりひとつ大臣にお聞きしたいのです。  この土地開発基金というのは、そういういきさつも含めて、やはり地方交付税というものの質的なたいへんな変貌をもたらすものです。これはどうしても三条二項に違反するのです。ですから、これはひとつおやめになったらいかがでしょうか。まだ法案審議中でありますから。配り方は幾らでもあるのです。そう私は思うのですが、いかがですか。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 先般も先生にお答えをいたしました。三条二項違反とは私ども考えていません。  それからもう一つは、やはりいま土地取得するということは、地方団体都市計画をやったり、あるいは地域計画をやったりする上において最も必要なものである。それらに対しましてどういう財源措置をしたらいいか。私はいままでは、先行取得につきましてはおおむね起債ということでやっておりました。しかし起債だけでいいものかどうか。私はやはり土地取得することによって施設ができるということになりますれば、何か土地代についての財源をめんどう見てやるべきではないか。交付税の基準財政需要額の中におきましても、どういう見方をするかというのは、実はかねてから私どもの検討事項であったわけであります。学校の用地は学校教育費に、道路の用地は道路費に見る、そういう見方もあるのだろうと思います。しかし事は先行取得ということになってまいりますと、学校の分あるいは道路の分というようなことがまだきまらないし、またそれの代替地を求めるということもあるわけでございますので、こういう行き方をとったものでございます。別にこれによって条件をつけ、使途を制限するという考えは毛頭ございません。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 三条二項に違反していないのだということですが、政策的にも矛盾があると思うのだよ。四十四年度から公営住宅の用地は補助をつけません、起債でやりなさい、こういうことをしておきながら、一方では土地先行取得については交付税で。六百億の需要額の増としても、これは私はたいへん矛盾していると思うのです。政策に一貫性がないと思うのだ。言ってみまとす、大蔵省も、土地なんというのはこれは不動産で、そんなものに国の補助金をやるのはおかしいという主張もしているわけだから、大蔵省のねらいというのは、土地開発基金という名のもとに景気調整に協力させよう、こういうねらいで、それに全く乗って、しかも三条二項違反の疑いの濃厚なこういうことをあえてしたということでありまして、私はこれは修正すべき重要な点であろうと思うのです。大臣これだけ言っておきます。  そこでもう一つ。「地方財政の状況」という、いわゆる地方財政白書というのが発表されたのでありますが、その十八ページに「最近の地方財政の傾向と課題」という題名があって、十九ページに「このような状勢にかんがみ、上に述べたような財政の長期的計画的運営を図る見地から、地方財政における財源の年度間にわたる配分について慎重な考慮を払うことも必要であると考えられる。」とある。大蔵大臣自治大臣の間でまだこれから検討しようやということになっているのに、もう自分のほうでは先回りして書いている。これは話はきまったのですか。これは大臣に聞きたい。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 年度調整の方法につきましてはなお検討をいたしておりますが、結論はついておりません。
  21. 野田武夫

    野田国務大臣 いや大蔵大臣との折衝経過はそのままでございまして、私はそのままの信念で今後の財政計画を立てたいと思っております。したがって、何らの変化はございません。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしたら何もこの「地方財政の傾向と課題」という自治省の発表に、「地方財政における財源の年度間にわたる配分について慎重な考慮を払うことも必要である」なんということを書く必要はないでしょう。こういう問題が覚え書きで問題になったというぐらいの問題提起ならいいけれども自治省みずから必要だということを認めているでしょう。話し合いも何もないじゃないですか。
  23. 野田武夫

    野田国務大臣 たびたびお答えいたしておりますが、「配分について慎重な考慮」ということばは、おそらく私の大蔵大臣との折衝の結果に基づいて、その真意をあらわしたと思う。つまり年度間調整をやる、それは自主的にやるんだ、一切それは大蔵省の指示でやるんではない、こういう柱を立てておりまするから、それを説明するために書いたんじゃないかと思っております。したがって、ことさらにその後の方針や計画を変更したものではない、こう私は思っております。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 この文章を読みますと、地方財政における財源の年度間にわたる配分について慎重な考慮を払うことが必要だと自治省は結論を出しているわけですから、おっしゃったように、この中では自主的な調整なんだといっておりますけれども、国と地方との間の調整というのは排除するということは一つも書いてありません。そうでしょう。国と地方との間の調整も含めて、地方だけの年度間調整ということもあるでしょうが、国と地方との間の年度間調整四百五十億、四十四年度の六百九十億、これもこの中で解決できる問題ですね。そうでしょう。一体全体、大臣が言う自主的に管理するというのは、これはどういうことですか、自主的な調整というのは。
  25. 野田武夫

    野田国務大臣 これはこの前もお答え申し上げましたとおり、いわゆる景気の動向、経済成長の関係で、やはり国税の収入というのは相当差がございまして、非常にいいときと非常に悪いときとある、これはもういままでの実績によっても明らかでございます。その地方財政の必要額というものは、やはり地方行政の需要に相当するものだ。これをその年度で相当な国税の額があがった場合に、やはりそのときの需要と照らして、あるいは一部セーブして次の年度にこれを回す、あるいはそのときの景気、不景気によっての長期計画をひとつ立てる、こういう場合があるということを想定するわけで、決してこれから毎年やるということでなくて、そういう想定のもとに、その年度間の調整が必要な場合には自主的にやるんだというんで、その年度の状態に応じまして財政計画を立てたらいい、こういう考え方でございまして、国と相談をして調整をやるというのとは全然異なっております。したがっていまのその文章は、読み方によっては、細谷さんのおっしゃるとおり、いやそれは国と地方のことだということに解釈できるというような御解釈があるかもしれませんが、私どもの真意はそういうことでございまして、何も一々国と話し合って調整をしようなんということは毛頭考えておりません。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 それならこの文章には、覚え書きにすらもペンディングになった問題でありまするから、地方財政における財源の自主的な年度間にわたる調整配分というようなものを書くべきですよ。書いてないですよ、これは。どうにでもとれるんです。ですから、私はこの文章を、これはたいへんな問題だ、どうことばで言おうと、大臣みずからが大蔵省の軍門に下っているでしなう。ペンディングされている問題を、しかも白書で堂々とそれを認めるなんてけしからぬ。  そこで大臣、あなたの言う自主的管理というのはこれは間違いですよ。自治省なり地方団体は、自主的管理というのは、そういう形で理解してないですよ。大蔵省交付税の率の問題が争われたときに、大蔵省が、国のほうが困ったときには地方が協力してくれ、地方が困ったときには国が協力してやる、そういう年度間の調整であって、現に六百九十億円というものを国に貸すことになったわけですけれども、その当時、自治省はどういうことを主張しておったかというと、交付税の本来の性格からいって、三千三百にも及ぶ地方公共団体交付税を配ってやって、その地方公共団体がみずから自主的に管理すべきであって、自治省が自主的に年度間調整するなんということは主張してないですよ。しかも、申し上げておきますけれども自治省の自主的管理はたいへんなこと——六百九十億円貸してやった、こういうことも問題でありますが、四十三年度の補正で出てきました六百八十四億というのは、本来ならば三月三十一日までに四十三年度分として配らなければいけないのが法律上のたてまえでしょう。それが何らの法律上の措置なしに、かってに年度を越えてしまっているじゃないですか。これは厳密に言うと法律違反ですよ。そんなことをかってにやっている自治省に、自主的管理でございますといってやられたら、地方団体計画的な財政運営はできませんよ。地方団体主張というのは、自主的管理というのは、三千三百もある地方団体がみずからやります、現にやっておるでしょう。財源が余った場合には積み立てしておりますよ。そうして困ったときにはそれを取りくずしておりますよ。それが自治省大蔵省に対する主張だったんですよ。いつの間にか、大蔵省に対する自治省主張が変わってますよ。これはどういうことなんですか。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 私はやはり地方財政を運営していく上で一つの転機にきているのではないか、こういうふうに考えております。いままでの地方財政は御承知のように非常に窮屈でございまして、そうしてその年の生活費にもことを欠く、公共事業の裏負担あるいは給与費のような義務費、そういうようなものにも財源が足りないというようなことの実は繰り返しであったわけでございます。しかし、いま例にあげておられますこの白書にもございますように、最近やや日本経済の向上から自然増収に多少恵まれるようになってまいりました。しかし、恵まれておりますが、同時に将来の経済見通しというものが、国が立てておりますごとく安定成長でずっといけるかどうか。そうぜひいきたいものだと私も思っておるのでございますが、現実に、はたしてそういうふうにいけるであろうか。ここ数年の体験を見てみますと、いまおあげになりました白書のお読みになりましたところに、図面があがっておりますように、ここ十年ほどの一般財源自然増収の伸び縮みというのは、非常に大きな波を書いてあるグラフを載せておるわけでございます。そういう現実にもぶつかってきて体験をしておるわけでございます。こういった波を描きながらも日本経済は発展をしていく。そうした場合に、その発展した経済によります財源をもって地方財政をできるだけ計画的に運営をしてまいりたい。常に財政計画的運営でなければならぬと思いますが、特に将来街づくりをする、地域づくりをする、これはやはり計画でございますから、それを財政面からもバックアップしていきたい。そのためにはやはり全体としての財源の伸び縮みに対応できるような方法を考えていいんじゃなかろうか、こういうことを基本に思っておるわけでございまして、それは自主的という意味は、いろいろことばのとりょうがあるかとも思いますが、私は少なくともそういった地方財政を今後長期的見通しの上に立って計画的に運営をしていくという、そういう立場から年度間調整というものは考えてもいいんじゃなかろうかという意味でこの白書には書いてあるわけでございます。したがいまして、もちろん、こういうことも考えていいだろうというところまででございまして、中身については先ほど申し上げたようにまだきめておりません。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省大蔵省に対する主張は、本来地方団体がみずから自主的に年度間の調整等は行うべきである、現にそういうふうに指導してきたのでしょう。六団体もそういうことに主張しておりますね。これはそのとおりでしょう。自治省もそういう主張でしょう。そういうことのほかにまた大臣の言う意味、いまあなたの答えというのは、自治省みずからが管理します、場合によってはことしのように法律違反的なこともあえてして適当に調整する、こういうことなんですか。これはやらぬがいいですよ、たてまえとして。やるのなら法律でぴしゃっとやるべきですよ。政務次官、主張がだんだん変わってきているわけですよ、自治省主張が。そしてみずから地方財政フィスカルポリシーワク内に売り込んでおる臼交付税は二五%伸びましたと、量が多ければいいのだ、質の問題などどうでもいいのだ、こういう形になっておる、たいへんな変貌を遂げようとする。財政局長がいみじくも言うように、いまや交付税は一つの段階にきておる、その点はたいへんな変貌を遂げようとしておる、こういう時期にありますから私は申し上げている。ですから自主的な管理なんということは、当初の考えを捨てておらないのかどうか、大蔵省ときびしくこの問題について話し合ったときの態度は変わっておらぬのかどうか、六団体の考えと同じ考えに立つのかどうか、この点を聞いているわけですよ。
  29. 細郷道一

    細郷政府委員 個々の団体が自主的に年度間調整をすることはあたりまえのことだと思っております。私ども、別にそれにかえて総額の年度間調整をやろうという考えは毛頭持っておりません。ただ私は財政計画でこれから六団体を指導していくにあたって、お金があったら何でもあなたお使いなさい、いいようにお使いなさいという行き方がいいのか、あるいは計画的に、たとえば道路にいたしましても、将来はこういうところまで道路を改良していきたい、それには年々これくらいのお金が要るといったような考え方を入れていくのがいいか、私はそこは大いに議論をすべき余地のある点だと思っております。私はどちらかといえばこういう際にはそういった計画的見通した立った上で財源の調整を考えていいのではなかろうかという気持ちを持っておるわけでございまして、従来から主張しておったものにさらに加えて、計画的な運営指導のためにいいのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 思っておるということでありますから、私はとやかく言ったって、あなたがそう思っているのだからしようがない。それならやっぱり法律どおり守ってくださいよ。政務次官、法律どおりやってないのですから、法律どおり守っていただきたい。これははっきりあなたから答えていただきたい。
  31. 砂田重民

    ○砂田政府委員 いま御審議を願っております交付税の一部改正、この法律に基づいていろいろ計画を立ててやってまいったわけで、先生が法律違反だとおっしゃるのは、私、先ほど御質問の途中で入ってきて前の話を伺っておりませんでしたけれども予算の成立の時期と交付税法の成立の時期の問題をおっしゃっているのではないか、それは私聞き違っておるかもしれませんが、そういう意味合いだといたしますならば、私どももやはり予算の成立の時期と交付税法の成立の時期と、同じ時期であることが一番望ましいことだと思います。ただ一月の末にただいま御審議を願っておりますこの法律案を提出いたしましたけれども、現実問題として三月中の予算の成立、三月中の本改正案の成立ということがなかなかむずかしゅうございます。同一国会中ということで従来も御了解いただいているように考えます。そういうようにひとつ御了解いただきたいと思います。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 だれも了解していないのですよ。繰り越しするなら繰り越しするような措置をとればいい。予算の成立と関係はございません。三月三十一日、四月一日というのは年度がかわってくるわけですから、繰り越しの措置をとらなければいかぬのですよ。ことしのように、補正が従来のように暮れの段階でやられませんと事実上困るという事務的な問題はありましょう。ですからそれは翌年度に繰り越さなければならぬ。今度の場合はそれに二重にかぎがかかって、覚え書きの内容にまで立ち至ってかぎがかかっている問題がありますけれども、それにしても六百八十四億円というのは繰り越すのだ、こういう措置だけを三月末にとるというのがあたりまえです。措置をしない限りは——法律の中にそれが書いてあるからそれでいいではないかというが、もう四月ですよ、雪は降っていますけれどもサクラの花は散ったのですよ。もう年度は変わっているのですよ。これは法律違反です。こんなことはやってはいかぬですよ。今後は絶対におやりにならぬように、法律の番人である政府みずからがこういうことをやってはいかぬと思うのです。そして国民にはちょっとしたことでもすぐ、やれ刑法違反だとかあるいは公務員法違反だとかいうことを押しつけておりますのに、みずからこんなことをやっておったらよろしくないです。それだけはともかく申し上げて、今後そういうことのないようにお願いしたいと思います。  財政局長、基準財政収入額というのはどういうふうに計算なさるのですか。
  33. 細郷道一

    細郷政府委員 それぞれの団体におきまして、標準税率あるいは一定税率によった場合に通常得られるであろう収入を諸般のデータのもとに計算をしております。こういうことでございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしてその得られるであろう税収に対して都道府県は百分の八十、市町村は百分の七十五、これは地方交付税法十四条できまっておりますね。都道府県は八十になっておりますか、市町村は七十五になっておりますか、御質問いたします。
  35. 細郷道一

    細郷政府委員 通常得らるべき収入、得られるであろう収入というほうが正確かもしれません。その収入のそれぞれいま八割あるいは七割、これで算定をいたしております。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 算定するということは、先ほど御質問して、地方交付税法十四条に書いてありますから、そう算定したものが法律の八〇、七五ということになっておるかなってないか、事実を聞いているわけです。
  37. 細郷道一

    細郷政府委員 基準財政収入額を算定するにあたっては八割、七割で計算をいたしております。もしお尋ねが、現実の実績と違うのではないかということであれば、これは違いがあると思います。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 実績と違った場合にはどうなりますか。
  39. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、法人関係につきましては精算制度をとっております。その他のものにつきましては、この収入を基礎に交付税の算定を行なうということでございます。各団体を通じまして、実績と非常に違っておるということでございますれば、私どもの算定方法に問題があるであろうというので検討して、また合理化をする、直していくというようなやり方をとっております。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 交付税課長いらっしゃいますね。四十一年度、四十二年度、四十三年度は一体——実際の税収と違った場合調整する、こう財政局長は言っておるのですから、実際の税収と基準財政収入額との関係はどうなっておりますか。わかりますか。
  41. 横手正

    ○横手説明員 毎年度、翌年度の基準財政収入額の見込みを立てるにあたりましては、一応各税日ごとに、できる限りその税収入の各団体ごとの見込み額につきましても検討を行なっております。ただ基準財政収入額の算定にあたりましても、かなり客観性という面を重視いたしております関係上、現実の地方団体の税の決算額とは相違するものもございます。特に問題が現在残されておりますものには不動産取得税等の問題がございますが、やはりこうしたものにつきましても、各団体の決算額をとることはどうかという面もございますので、こうした開きのあるような税目につきましては、決算見込み額と基準財政収入額の配分額との差額につきましては、一部特別交付税において措置するというようなことを行なっておる税目も二、三ございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 これは精緻、巧緻世界に冠たるものだというのですから、ミクロの積み上げはマクロでありますから、マクロでちょっと試算してみたのです。こういう結果になっておるのですね。四十一年度、都道府県の場合は基準財政収入額が六千九百五十億円、税収決算額が九千八百六十八億円。その比率は七〇・五です。四十二年度はどうかといいますと、基準財政収入額は道府県の場合八千六百六十八億円、税収額は一兆二千百九十九億円、七一%です。八〇%ということになりますと、おおよそ九%ないし九・五%違うわけであります。そうしますと、交付税にはね返ってくるのは、四十一年度においてはおおよそ九百億円ぐらい、四十二年度においては千二百億円ぐらいの差額が出てくるわけですね。一方市町村を見てみますと、基準財政収入額が四十一年度において五千八百八十三億円、税収決算額が七千八百十八億円、七五・五%であります。四十二年度は基準財政収入額は六千九百二億円、税収額が九千二百九十六億円、七四・五%であります。そうしますと、市町村の場合の基準財政収入額というのは、法律が期待しておる百分の七十五にほぼ合っております。道府県の場合は七〇・五とか七一なんですから、これは過小見積もりじゃないですか。これは過小見積もりですよ。これは一体どういうことなんですか。
  43. 横手正

    ○横手説明員 ただいま先生マクロの計算でお話しございましたが、御承知のように、法人関係税につきましては、翌年度精算の措置が行なわれております。したがいまして、当該年度の道府県税の額と当該年度の基準財政収入額の面ではかなりの差異が見られるわけでございます。ただ、道府県税におきまして多少過小算定ぎみになっておりますものが、先ほど御説明申し上げました不動産取得税の関係あるいは料理飲食等消費税の関係、こういったものにおきまして多少過小算定ぎみになっております。と申しますのは、これらがいずれも通常地方団体が収入でき得る額を算定するということにいたしておりまして、決算額を基礎にいたしておりませんものですから、個々の団体ごとの額を見ますと、かなりの幅が見られる、こういう状況にございますので、地方税計画によります満度の額を基礎にした収入見込み額を各団体ごとに配分いたしますと、団体によりましては非常に過大算定になるおそれが出てまいります。そうしたようなことがございますので、多少の調整を行なっておる次第でございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 答弁にならぬ。参考のために基準財政需要額歳出決算額を見てみますと、道府県、市町村の場合は、四十一年度、四十二年度いずれもおおよそ三九%前後なんです。これはあなたの言うように一致しているのですよ。その年にはでこぼこがあるというのですけれども、調整しているのなら、基準財政需要額と決算額との比率というのは都道府県も市町村もほとんど同じなのに、基準財政収入額については百分の八十であるものが、道府県では二カ年を通じて百分の七十一である。市町村の場合は、百分の七十五であるものが百分の七十四・五から百分の七十五・五の間。これはおかしいじゃないですか。基準財政収入額は少なく見積もれば見積もるほど交付税がよけいくるのですよ、差し引き計算ですから。おかしいですよ。精緻、巧緻じゃないじゃないですか。世界に冠たる精緻、巧緻なんて言っておりますけれども、どこが精緻、巧緻なんだ。これははっきりしてください。
  45. 細郷道一

    細郷政府委員 いま交付税課長からお答え申し上げましたように、基準収入額については税目ごとに算定いたします。昔は税目ごとに年度当初で算定したら、そのままで実はやっておったのでございますが、現実に見てまいりますと、法人関係の税におきまして非常に各地方団体が実際と基準収入の間にアンバランスができたわけでございます。そこで、いま御指摘のように、収入額を小さく見積もられたところには交付税がよけいいく、逆に大きく見積もられたところには少なくいく、にもかかわらず実際には反対に税収が入っている、こういった場合がございましたので、これを改めまして、法人の関係税につきましては精算主義をとったわけでございます。したがいまして当初の算定に使いますときには、当初算定に間に合う範囲で一番最近の月までの実際の税収額をとりまして、それから後の、年度内の後の月につきましては、それを基礎にして財政計画の収入額に合わせてこれを算定をする、こういう行き方をやっております。それが翌年になってまいりますと、その見積もりをした部分が実績として出てまいりますから、今度はその、実積と前の年に見積もったものとの過不足を基準収入で精算をいたします。実際に合わせるわけでございます。そういうことによって順次その収入見積もりと実際の違いを精算によって是正をしておるわけでございます。その場合に、いまお話のございましたように府県の基準収入率が総額から見れば小さいじゃないかというお話、それは順ぐりにいま申し上げたように精算をいたしておきますから、翌年においてその残った部分が精算をされて直っていく、また自然増収があるとその分の率が下がる、こういうかっこうでございまして、こういうことを繰り返すことによりまして、常に自然増収ばかりあるわけでございません。自然減の年もあるわけでございます。そういうときにまたもとへ戻ってくる。府県と市町村の間は翌年度に精算する結果、府県の基準収入がふえてまいりまして、そのふえた分だけ交付税が市町村のほうへ流れていく、こういう行き方でございますから、仕組みとしましては、これは実際をとります関係上多少のタイムラグはございますが、仕組みとしては公平にいくように考えておる、こういうことでございます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 それはことばはそのとおりです。しかし事実が二年連続——四十三年度はまだ税収がわかっていませんから私は出しておりませんけれども、二年連続道府県は七一%、市町村はちょうど百分の七十五相当額に出ているということ。言ってみますと、都道府県については私は一%くらいの誤差であればものを言わないですよ。一割近く違うのですから、これは直接交付税に響いてくるわけですから、金額にして一千億円以上の開きがくるわけです。私は道府県とかあるいは市町村がどうのこうのということを言っているのじゃないのです。交付税のあり方として、一方基準財政収入が道府県において過小評価されておる。市町村については適正に把握されておる。そういうことになりますと、交付税の不合理な傾斜配分というのが結果として起こってきている、こういうことを私は申し上げている。こんなことではいかぬじゃないか。
  47. 細郷道一

    細郷政府委員 私はそれは税目の性質によると思います。市町村の場合は、御承知のように市町村税が年度間に非常に変動するようなものは何かといいますと、法人税割が一番大きいわけです。あとの税目は、所得割は前年の所得を使いますから、当初算定の際にほぼ実態に合うものがいける。固定資産税は評価額でやっておりますから、これも実態に合うものがいける。あと諸税ございますが、電気ガス税等、多少変動はございます。市町村税は結局そういった法人税割が一番変動要素を持っている。ところが府県税は、もう御説明するまでもないように、法人事業税と法人税割と両方あるわけです。しかも法人事業税が相当大きな額、こういったことがございまして、いまの仕組みに実はなったわけでございます。府県税には法人関係以外にもし、たとえば最近では自動車税でありますとか不動産取得税でありますとかというものは、税収の見込み自身をつくるのに非常にむずかしいものでございますが、それにも最近は自然増収が大きく出ております。そういう関係がございますので、いま府県、市町村の実際の決算と基準財政収入額を基礎に割りがえしたものを比較されて、割合が低い、要するに基準率を下回っているということでございましたが、それは翌年に精算をして直した基準収入よりもさらに自然増があったためにそういうことになった。したがいまして、これはずっと長い目で見ていただきますと、両方の府県税と市町村税の税目の種類の違いからくるものは、これは私もある程度やむを得ないと思っております。交付税の理屈からいえば、見積もりを客観的なデータによってしたものはそのままでいいじゃないかというのが本来の理屈だろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、それではあまりに法人関係税の動きが激しいというので直しておるわけであります。そういうようなことでございますので、それは年度の終わりに交付税をきめますればそういうことはある程度防げるかと思いますが、いまのように夏に当初算定をするということになりますと、こういったところが一つの行き方ではなかろうかと思っております。もちろん個々の税目の算定については、もっともっと私どもも研究をしなければならないものはあろうと思いますが、仕組みとしましてはいま申し上げたようなことでございます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 これは答弁にならないのです。私は、結果として府県の基準財政収入額というものがきわめて過小に把握されておる。その結果、府県に不合理な形で交付税が傾斜配分をされておるかっこうになっておる。それは年度間調整するのだ、税収が把握できないというけれども、実績は百分の八十であるものが百分の七十一にしかなっていないのですから、これはおかしいですよ。  そこでもう一つ、別の面から交付税の今度の全体計画を見ますと、都道府県の場合には基準財政需要額が交付団体で二千百三十一億円伸びて、収入額が千百五十六億円の伸びでありますから、差し引き九百七十五億円の交付税がいく、こういう勘定になっております。道府県の不交付団体の場合、四つしかありませんけれども、基準財政需要額の増加が六百六十二億であります。収入額はこれの倍に近い千百六十四億円の増である、こういうことになっております。したがって基準財政収入額が五百二億円の超過、こういうことになっております。一方、市町村をとってみますと、交付団体の欄では基準財政需要額の増が二千六百億円、収入額の増が九百五十億円、したがって千六百五十億円の交付税を配分する、こういうことになっております。ところが、ふしぎなことには、不交付団体はどうかといいますと、市町村の場合には基準財政需要額が七百八十七億円ふえておるのに、収入額は五百二十五億円しかふえておりません。したがって二百六十二億円という、不交付団体の欄においても市町村の場合には大幅な財源不足という結果になっております。ところが、実際の交付税では、これは無視しておる。無視して、市町村の交付団体の不足額千六百五十億円は交付税として出しましょう、道府県には九百七十五億円を出しましょう、こういうことになっております。  ところで、私は最近の推移をながめてみたわけですが、道府県の不交付団体というのは、収入額は年々年々需要額との格差を広げていっております。市町村の場合には年々年々、不交付団体の場合、マクロ的に言いますと、需要額のほうが伸びるかわりに収入額が伸びませんから、逆転しているわけですね。そうでしょう。そうしますと、市町村の不交付という欄は、何が一体不交付団体なんですか。個々の問題をまた持ち出すでしょうが、マクロ的に言えば、これは二百六十二億円の基準財政需要額の上回りがあるのですから、不交付団体じゃないじゃないですか。こんなばかな全体計画がありますか。さっきの基準財政収入額の過少評価、こういう問題と関連して、全体計画でもこういう不合理が出てきておる。これは一体どういうことなんですか。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 お配りしたこの資料の四ページ、これをごらんになっての御質疑と思いますが、その注にございますように、「交付、不交付の別は、昭和四三年度の区分による。」こういうことが書いてございます。四十四年度はこの交付、不交付の団体の区分が変わると思います。これも先般この委員会でお答えを申し上げたわけでございますが、一般の市町村では、四十三年度は百二十三の団体が不交付団体になっておりますが、四十四年度は、私どもの見通しとしましても、このうち相当数、半分ぐらいが交付に転ずると考えております。そういう見込みでございますので、この表は、ことしの姿としては、この表ではちょっと読み取りにくい点があろうと思います。しかし便宜、交付、不交付は個別の問題でございますから、昨年の区分によって分けたものでございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 個々の問題に話をすりかえてもらうことは困るわけです。全体計画の姿を見てみれば、都道府県の場合には、全体として交付、不交付突きまぜますと、二千七百九十三億円の基準財政需要額の増に対して二千三百二十億円の収入額の増でありますから、四百七十三億円道府県の突っ込みでは財源不足ということになるわけだ。四百七十三億円が突っ込みでは不足ということになります。市町村の場合はどうかといいますと、全体として三千三百八十七億円の基準財政需要額の増加に対して、収入額は千四百七十五億円しかないのでありますから、差し引き千九百十二億円というものが不足ということになるわけです。にもかかわらず、この全体計画の中では千九百十二億円の不突合がある。基準財政需要額が収入額を上回っている市町村に対しては、千六百五十億円の交付税しかやりませんぞ、道府県に対しては四百七十三億円の不突合しかないのに、九百七十五億円の交付税を配りますぞ、おかしいでしょう、これは。本来ならば千九百十二億円と四百七十三億円の割合で分けてやるのが正しいのでしょう。そうでしょう。それが交付税の精神でしょう、マクロでは。ところが、不交付だけの欄で不突合分を見て、そうして配ろうとするからこうなっているのですよ。そういう形で全部計算して、単位費用とか補正とか加えていって——個々の異動はありましょう。出たり入ったりがありましょう。百二十ばかりの市町村が今度は半分ぐらいに減るかもしれない。こういうことは起こってくるでしょうが、全体計画ではきわめて不合理でしょう。筋が通らない。政務次官、おかしいとは思わないですか。お答え願います。
  51. 横手正

    ○横手説明員 ただいまのお手元の表は、注にも書いておろうかと思いますが、交付、不交付の別は、昨年の八月決定の交付、不交付の別によっております。ということは、四十四年度の交付、不交付団体のこまかい区分けが現段階では不可能でございますので、とりあえずそうした区分分けを行なっております。したがいまして、御疑問のような点が出てまいるわけでございますが、市町村の不交付団体にありましては、実は特殊な要素がございます。一つは東京都の特別区でございますが、これは実は東京都と特別区合わせて一本算定にいたしますが、この表では都分は道府県分に、特別区分は市町村の不交付団体扱いになっております。そうした関係もございまして、この表の需要額と収入額の差引額はかなり大きい額になっております。ただ、四十四年度におきまして不交付団体から交付団体にどの程度移り変わるかということにつきまして私ども検討いたしましたが、百二十三団体現在ございますが、約五、六十団体移り変わるのじゃなかろうか、こういう見込みを立てた次第でございます  そこで、実は四十三年度におきましても四十九団体、不交付団体から交付団体に移り変わっております。そのための交付税の所要額といいますか、これら四十九団体の財源不足額は実は十八億円でございます。したがいまして、四十四年度において五、六十団体移り変わるといたしまして、どの程度の見込額を立てるかが一応問題になったわけでございますが、四十三年度の不交付団体から、四十四年度におきまして交付団体に移り変わりそうな団体が、かなり財政規模の大きい団体が含まれておりましたものですから、約五十億円交付税のほうでふえてまいるのじゃなかろうかというふうに見込みまして、実は、この全体計画の市町村の交付団体の欄の「その他」の欄のほうへ実は計上いたしております。  おっしゃいますように、交付、不交付の区分分けが一応形の上だけに終わっているという点はございますけれども、一応そうしたことを行なっておりますので、差し引き交付基準額の道府県分の見込みあるいは市町村分の見込み、これはおおむねこの程度におさまってくるのじゃなかろうか、こういうふうな見込を立てておる次第でございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 技術的なことを私は聞いているのじゃないのだ。全体計画をおかしいじゃないかと言っているのだ。単位費用の決定とか補正のやり方等いろいろ問題がありますけれども、そういう前提に立って計算していきますと、都道府県の場合には四百七十三億円の交付税上の不足財源が生じておる、市町村は千九百十二億円の不足財源が生じておるにもかかわらず、交付税の実際の配分というのは、市町村には千六百五十億円である、都道府県には九百七十五億円配ります、この全体計画はおかしいじゃないか、こう言っているわけだ。おかしいですよ、これは。千九百十二対四百七十三という割合ならこれはいいでしょう。その前提である単位費用とかなんとか合理的である、補正等も合理的に行なわれた、こういう形で積み上げたものがこういう形であるとしますと、あなたのほうの前提を信用しますと、この割合で分けてやらなければおかしいじゃないかと言っているのです。府県をよけいかわいがり過ぎているじゃないか、収入のほうで甘く見てやって、またここでこういうことはおかしいじゃないか、こう言っているわけだ。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 毎年この表をこういった形で出しておりますので、先生もよく御存じのことかと思うのですが、計の欄の差し引きで計算しようということになりますと、不交付団体から超過財源を取り上げなければできないということでございます。御承知のように、不交付団体の超過財源は、計画において財源が不足する団体だけに交付税を交付するという仕組みでございますから、この欄にございますように交付団体の需要と収入の差額について交付税の増加額を充てる、こういう行き方でございます。計の欄でごらんいただくことは交付税制度の趣旨からして適当でない、こういうふうに私は思います。  府県と市町村の配分につきましては、先ほど来、府県のほうへ交付税が寄っているのではないかというお説だと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、基準収入につきましては精算の結果、基準収入額に精算増が入ってまいりますから、その分だけ、府県にいく交付税が町村のほうへ流れていくということで調整をしております。タイムラグがありますことは、技術的に現在はやむを得ないのではないかと思っております。  それから増加額が府県と市町村にどうかということでございますが、いままででございますと、交付税の増加額、いわゆるこの欄で言えば交付基準額の増加額というのは、府県のほうが常に半分以上であったわけでございます。数年前は常に二対一という状況でございましたが、昨今、税収の問題もございますし、それから需要の算定のしかたも影響いたしまして、今回は逆転をいたしまして、このように二千六百億のうちの千六百億までが市町村にいくということで、私どもとしては市町村に需要を非常によけいに見込んできておる、現在の市町村行政の必要性というものを取り入れておるというふうに考えております。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 現在は市町村行政の重要性を取り入れておると、たいへん大きく出たわけですが、いままでは市町村は眠ってまいりましたがということが裏にあるわけですね。それはそうでしょう。そういうことですよ。これは私は増の問題だけを比較したのですが、論より証拠ですよ。横手課長も、それはおまえは増加の分だけ、基準財政需要額の増加の部分と収入額の増加の部分だけを比べているからそういう議論になるのじゃないか、根っこのほうを比べてくれ、こういうふうにおっしゃるだろうと思うのです。根っこのほうを調べてみますとこういうことになる。道府県の四十三年度における不交付分の基準財政需要額は三千九百六十九億円、収入額が四千七百六億円であります。千十億円の超過であります。一方、市町村の四十三年度の不交付分はどうなっているかというと、基準財政需要額は増加じゃないですよ。根っこの基準財政需要額は二千八百十五億円、これに対して収入額は二千八百七十四億円でありますから、なるほど五十九億円ばかり。都道府県は一千十億円ですよ。市町村の場合はわずか五十九億円しか超過してないですよ。それが四十四年度に、今度の全体計画の基準財政需要額と収入額の伸びを加えた四十三年度の八月算定ではどうなるだろうかということを推算してみますと、今度は市町村の不交付分は二百六十二億円も不足してくるわけですよ。ですから、個々の問題は別ですよ、マクロ的には、いまやもう全市町村は完全に交付団体の実態になっておる、こういうことを証明しておるのです。これは根っこのほうをやればもっとはっきりしてくる、こういうことなんですよ。おかしいと思わないですか。私は都道府県が憎いとか、市町村を重要だというふうに財政課長のように思ってない。財政課長はいみじくも、市町村はいままでは軽視してきたが、ことしは重点を置いてきた、こうおっしゃっている。しかし現に交付税は四十三年度においては全体として幾らかというと、都道府県に六二、三%いっておるでしょう。市町村に対しては三七、八%ですよ。四十三年度は市町村に重点を置いたというけれども、私の推算では、全体の普通交付税の五八%くらいは府県にいく。四二、三%くらいしか市町村にいかない。逆転しておりませんよ。なるほど四十四年度の点については確かに逆転しましたけれども、全体としては逆転しない。若干格差が縮まったというにすぎないのです。全体計画としてはおかしいでしょう。いまや、例外を除けば、すべての市町村が交付団体である。現に代表的な都市である指定市というものがまたずらり交付団体になっておるじゃないですか。おかしいですよ。この全体計画はどう見ても不合理です。これは直してもらいたい。どうですか。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 いままでは市町村は眠っていた、そうではございませんで、やはり地方財政の状況がそれほど苦しかった。交付税の需要で見込むものはやはり義務的経費を第一に、御承知のように府県にはたくさんの給与費があるわけであります。その給与費をめぐって、市町村の需要を伸ばすということもできなかったわけであります。そういう関係で、いままでは財源の余裕がございませんで府県のほうに片寄っていた。多少財源の自然増収が出てまいりましたこの際に、行政水準の引き上げに力を入れたいということから実は思い切って市町村に回しておるわけでございます。この全体計画がいろいろ御議論があるようでございますが、交付、不交付の区分というものは、これはどうしても個別の問題の積み上げでございますから、交付、不交付を突っ込みで、全体計画で需要と収入が合うようにするためには、不交付団体の超過財源を取り上げて交付団体に回さなければならないということでございまして、これは国税制度の仕組みの根本にかかる問題であります。その点は御理解いただきたいと考えております。  それから、市町村が大部分は交付なんだ、私もそうだろうと思います。ことしは、先ほど申し上げましたように、四十三年度百二十幾つの不交付団体、そのうちおそらく半分くらいは交付に転化する。そういたしますと三千数百の市町村のうちで五十か六十が不交付という、ほとんどが交付団体になるだろう、こういうふうに考えております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 この全体計画は、府県に人件費等あるからというが、自治省が一番憎んでいるのは給与関係費ですね。ところが現実には府県には給与費があるから、いままで交付税をよけい配った。市町村にも給与費はあるのですよ。財政上の構成比は府県が上でしょうけれども、あるのですよ。それは理屈にならないですよ、あなた。市町村だって職員がおって動かしておるのですよ。現に地方財政計画では、私は前にも申し上げましたけれども、従来四割くらいあった給与関係費というのは、今日では三三%か四%に落ちてきているでしょう。四十四年度などははっきり落ちてきているでしょう。七%くらい給与関係費というのは削られておるのですよ。ですから、そういう今日までの地方財政計画なり等の推移をながめればはっきりしているわけです。それはあなた理屈にならぬのであって、この全体計画はおかしい。交付税の配り方はいまや精緻巧緻でも何でもない。単にきまりのないわざで、ぞうきんダンスをやっているようなものだ。そうですよ、わざをかけるようなふりして、そうしてむずかしいやつを表面上並べ立てて、裏のほうは空洞化している、形骸化しておる、こういうことをしみじみ感じます。いまや交付税制度は、技術的に精緻巧緻かもしらぬけれども、本質はすでに失われておる、そういう転期に来ているのだ、こういうふうに申し上げなきゃならぬと思うのですよ。  そこで、さっき超過の問題が出ました。交付税法二十一条、東京都の特例ですね。都の特例をあなた取り上げているでしょう。あなたのほうの計算によりますと、東京都と——東京都というのは都制でありますから、大阪府と大阪市というものとは違います。そこで二十三区というのがそれぞれの自治体だというふうに仮定していきますと、東京都には四十一年度において大体百五十八億円くらいの交付税をやらなければいかぬ、四十二年度には百五十九億円の交付税をやらなければいかぬ、こういう勘定になるのですよ。たまたま二十一条で都の特例という形で一本算定しているものですから、都のほうの財源が余ってきていますから、それでならしておる。大阪府と大阪市という形の形態をとっていれば、百五十億円くらい東京都はもらえたはずですよ。これは少し不公平じゃないですか。交付税法二十一条なんてこれは不公平ですよ。今日指定市は財政難にあえいでいる。片や指定市所在の府県というのはわりあいに裕福だ。あり余っているなんて言っていませんよ。わりあい裕福だ。ところが東京都もそういう実態なのですから、都制をしいている都の特例という形でそれにならしてしまっているのですから、本来ならば百数十億円の交付税がいっておらなければいかぬ、そういうことですよ。それをやっていない。これは私は東京都にやれということよりも、不公平じゃないかと言っているのだ、二十一条なんというのをわざわざ設けて。これはどうなのですか。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 東京都につきましては御承知のように二十三区プラス三多摩、島嶼につきましては府県的制度、それから二十三区の部分については府県と大都市を合わせた性格を持っておる、こういうことでございまして、そのゆえに東京都と二十三区、特別区との関係は他の府県、市町村に見られない特別な関係があるわけでございます。御承知のように、通常の市で申しますれば保健所の行政でありますとか、あるいは清掃の事務でありますとか、あるいは消防行政でありますとか、こういったようなものにつきましては普通の市なら市がやっているわけでございますが、二十三区の区域内においてはこれは都が所管をいたしております。それから逆に税制につきましても、市町村民税の法人分あるいは固定資産税。普通の市町村でございますれば、あるいは他の大都市でございますれば、市が徴収をすべき税金を都が徴収をいたしておるのでございます。したがいまして東京都というものは、都と特別区の間の配分につきまして、他の府県と市町村と違った特殊な事情にございます。それをどういうふうに算定したらばいいか。私ども交付税法、ここにございますように特別区の部分につきましては大都市としての計算をいたします。したがいまして、大都市がやっておりますいま申し上げた清掃でありますとか消防ということは特別区の計算に入ってくる、それから逆に税収につきましても大都市と同じような計算をしておる、こういうことで交付税の計算は出てまいります。ところが現実の都はまさに特殊の性格で、その両方を通じて行政が入り組んでおる、税制も入り組んでおる、その上、都区調整交付金という制度を設けまして、ある特別区からは金を吸い上げて他の特別区に金を渡しておる、こういったような、自分の中でもそういう調整をいたしておりますものですから、東京につきましては都分とそれから特別区分で算定されましたものを合計した結果によって都に交付税の交付をする——現実には不交付ですからいたしておりませんが、そういうようなことでやっておるのでございまして、私はやはり東京都の特殊性から考えられた一つの仕組みである、かように考えております。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 東京都と二十三区というものについては、地方自治法上定められておる税財源の配分等も道府県と市町村との関係とは違った形において配分が行なわれておる。しかし交付税については、二十三区については指定市というような形で基準財政需要額、収入額というものを計算をしていく、それから都については道府県と同様に基準財政需要額、収入額を計算していく、そうして出たものについてはそれぞれの基準財政需要額を合計する、収入額を合計する、そうしてその差額だというから何にももらえない。ところが、大阪府等の形になりますと、府という形で算定をする、大阪市という形で算定をする。市のほうは基準財政需要額のほうが収入額を上回りますから交付団体であります。二十三区も、同様に計算しますと百数十億円の財源不足を生ずる。そうしますと、法律の二十一条に、そういうふうに計算するという「都等の特例」という規定がありますけれども、この規定は不公平じゃないか。大阪と同じように計算したらいいじゃないか。現にあなたのほうでは何かの制度を改正しようとする、都道府県合併等をやろうとすると、三つの県なら三つの県が一緒になりますと従来の交付税は減額しないように保障するなんということを法律にぴしゃっと書いているでしょう。二十一条の「都等の特例は」おかしいです。不公平です。都のほうに逆交付税みたいな調整交付税があることは知っております。それがあるからといっても、国との関係は別問題ですよ。これはおかしいじゃないですか。国民は平等の原則によって税金を納めている。法のもとには平等である。でありますから「都等の特例」なんてことはやめて、やるべきものはおやりになったほうが交付税の原則として正しい。もしそれでいかぬということになれば、現在の交付税制度は局長のおっしゃるように転換期にきておる、私どもはいまや交付税制度はたいへんに変貌しつつある、こう言っているのでありますから、抜本的に交付税も含め、税財源も含め、シャウプ勧告、そういう点にまでさかのぼって問題をながめてみなければいかぬじゃないかと思うのです。現行制度のもとにおいてこの二十一条というのは不公平だ、私はこう言っている。これはおかしいですよ。そして警官をふやすということになれば、ばっさりと東京都に持っていく。交付税がいかぬものですから、何か知りませんけれどもつかみ金でぱっとやるとか、こんなおかしなことは許されないと思うのですよ。政務次官、大臣おりませんけれども、こんなのがあるのですよ。これはおかしいですよ。おかしく思わないですか。二十一条を廃止するか、あるいは全体的な問題について再検討しなければいかぬです。東京都民が承知しませんよ。おまへのほうは道府県税のほうに余裕があるから、赤字の二十三区のほうはそれで埋めてやれ、こういっておる。大阪のほうとかなんとかについては、府県のほうは超過財源は法律上いかんともしがたいからほうっておきます、市のほうには交付税をやります、こういっているのですよ。これはおかしいですよ。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 たびたび申し上げますように、都は全く特別な団体でございますので、形式とそういった実態とどう調整するかという問題は、私は研究の余地はあると思います。あると思いますが、都と特別区の間に財政的には調整交付金という制度が認められておるものですから、それをどこまで取り入れるかということになりますと、また都自身の自主性の問題にもなろうかと思います。現状におきましてはこういった行き方をとっておりますが、かりに都の実態に合わして、先ほど申し上げましたように、行政を普通のところなら市がやっているのを都がやっているのだという、そういう実態。それからさらに、御承知のように特別区の職員は都の職員が配属されておりまして、特別区は七割方が都の職員であるわけです。部費で持っておるわけです。そういった実態に合わせて四十三年度の基準財政需要額、収入額をそれぞれに計算いたしてみますと、都分は十九億の超過、特別区分は八十三億の超過ということで、やはり実態に全く合わせてみてもそういうふうな計算が出るわけでございます。そういったことがございますので、私どもも、それは形式的に公平か不公平か、議論の余地はあろうかと思いますが、何しろ都の特殊性ということを考えてまいりますと、現行の行き方でいいのではなかろうかと一応考えております。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 二十一条、「都等の特例」と書いてあるのです。これはまあいいのではないかと、こうおっしゃっていますけれども、今国会、この委員会が始まる際に奥野委員から質問があって、人口五十万をこせば指定市になるのだ、こういうのが規定ですが、指定市などはふやすつもりはないとおっしゃる。都というのは日本に一つしかないわけだ。ところが、都というのは何も東京都に限ったことじゃなくて、一般的なものなんだ、こういうことを言っておいでになる。しかし、そういうことから言うならば、都になったから不公平が起こらないように——あなた方が自分のやりたいときは、府県合併なんというときには交付税が減らないようになんて配慮しているでしょう。都になったって減らないように配慮してやらなければ、だれも都になりませんよ。都というのは地方行政上にいいからこういうことを設けたのでしょう、私はそう思いませんけれども。にもかかわらず、この二十一条の規定なんというのはおかしいですよ。政務次官お答えにならぬですが、これは二十一条を削るか、あるいは現在の税財政制度交付税制度あるいは事務再配分等、全般的な抜本的な総合的な検討をして直すか、いずれかの方法をとらなければならぬと思うのですよ。いかがですか。
  61. 砂田重民

    ○砂田政府委員 お話を承っておりまして、都と特別区の関係、現在の都と特別区の行政の区分の問題等、先生御承知のとおりでございます。先生が都とおっしゃる意味は、そういうものを含めてのお話でございます。それを大阪府、大阪市の関係に直接当てはめて、それと比べてみるというのは、私はおことばを返すようですが、ちょっと御無理があるような感じがいたします。ただ、細谷先生おっしゃいますところのシャウプ勧告までもう一ぺん戻って根本的な検討を加えるべきだということにつきましては、交付税というもののいまのあり方は転換期にきておるというふうにわれわれも考えておるところでございますから、そういう意味合いから、都と特別区のただいまの行政のあり方という問題も含めて根本的な検討を加えてみる、これは私どももやらなければならないことだ、このように考えております。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 大阪でも、御存じでしょう、都制問題という議論が起こっておるでしょう。しかし都制をしいたら交付税が減っちゃうのですから、いままで大阪市の分としてもらっておったものはなくなっちゃうのでしょう、大阪府のほうから埋めますから。そんなことであなた、都制なんということにはなりっこないでしょう。東京だけに、都制というのは一般的なものなんだ、何も東京都に限ったものじゃないのだ、だから東京都についての法律をこの問地方自治法の一部改正でやったけれども、これは憲法九十五条に抵触しないのだ、こう都合のいいときにはやっておって、そして都合の悪いときは現行法からあたりまえであって、東京都といまの大阪府、大阪市とを比べるのはおかしい、議論も、これはやはり遁辞ですよ、そうじゃないですか。ですから次官、まともに答えてもらわなければいかぬです。それは抜本的な検討をするのは一つの考えだろう、こうおっしゃいます。現在の制度を是認する限りにおいては、二十一条は削ったほうがいいです。まあ、あとでいろいろ質問したいのですけれども、そういう形で交付税を配ることがいいか悪いかは別問題です。現行の交付税制度である限りにおいては、これは配ってやるのが公平というものじゃないか、こう私は言っている。そうでしょう。二十一条を削るか、あるいは抜本的に改正の方向をとるのか、いずれかでなければ、このままではいかぬじゃないか。
  63. 砂田重民

    ○砂田政府委員 現在の東京都とそれから二十三特別区の事務の配分のいまの姿、それぞれの財政の姿、こういうことを考えてみますと、私はいまの現行法が先生おっしゃるようにそんなにはなはだしい不公平を見ているというふうには実はとりません。したがって、交付税の問題を議論いたしますときも、先ほどお答えをいたしましたが、都といって先生がおっしゃいますその都のことばの中に含まれている意味合いは、現在の都と特別区のそれぞれの財政の仕組みと申しますか、事務の配分のあり方と申しますか、そういうものを含めての都という御議論だと思いますが、したがって、そういう都と特別区のいまの現在の姿をそのまま大阪府、大阪市にはめて考えてみるのはちょっと御無理な点があるのじゃないだろうか、そういう意味に私は受け取ったわけなんです。したがって、大阪府、市がそれぞれの——都制の問題もお話しになりましたけれども、いまの東京都の現状でございますとか、東京都、特別区、それぞれの財政のあり方、事務の配分のあり方、こういうことも大阪としては検討をなさっておられるところだろうと思うわけであります。したがって交付税が、今日の現行法でいまの東京都の現状に当てはめて考えるならば、それほど私は不公平だと実は考えません。むしろそういう議論をいたしてまいりますならば、いまの都と特別区とのこの現状のままでいいかどうか、そういうことも含めて、細谷先生おっしゃったシャウプの勧告のあの思想までに返っていって一ぺん検討してみる、これはやらなければならないことだ、こういうふうに考えております。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 なかなか私の問いにお答えいただけない。私は、現行二十一条というのはこれは問題がありますよと——現在地方制度調査会でもこういう問題が論議されておるわけですよ。まあいずれどういう形になるか、制度調査会等からも出てくるでしょうから、きょうのところはこの程度にしておきます。  大臣、私は大臣不在中に、あなたがおつくりになった四十四年度交付税の全体計画というのも、もう完全に行き詰まっちゃって破綻をしておるんだ、こういうこと、あるいは現在のたとえば都に対する特例等にも問題があるんだという点、あるいは都道府県の基準財政収入額のほうが見積もりが甘過ぎるぞ、どう言いわけしようが、都道府県に、現行制度の中でも一千億円程度、市町村と比べますとその基準財政収入額の見積もりの甘さから傾斜配分が行なわれておりますよ、これは不合理じゃないか、このことはもうすでに、今日の交付税制度は抜本的に検討し直さなければならぬところにきているのだ、もう交付税の限界というのがびしゃっときているのだ、こういうことを申し上げたわけです。おらぬで残念だったのですが、ひとつ十分に御検討をいただきたいと思います。  そこで今度は、交付税全体の配り方の形式の問題をひとつお伺いしたいと思うのでありますが、その前に、大臣がいらっしゃっておりますから、今度の地方財政計画では給与関係経費は構成比で、幾らになっておるか、投資的経費が構成比で幾らになっておりますか。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 お配りいたしてございます「地方財政計画の説明」の中の五ページにあがっておりますが、五ページの後段の歳出で、給与関係経費が構成比で三三%、投資的経費が三七%でございます。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 十年前の三十四年ごろは幾らになっておりますか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 これは三十五年について申し上げますと、給与関係経費は三九%、それから投資的経費は三〇・八%でございます。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 ずっと流れを見てみますと、給与関係費というのは地方財政計画で三十一年から三十五年くらいまでは三九から四一くらいのパーセントの構成比であったわけですね。一方、投資的経費というのはまあ二五%くらいから二八、九%くらいだったわけですね、いまのお答えのとおり。ところが昨今、四十四年度はどうかといいますと、給与関係費が三三%でございますから、おおむね構成比は七%程度落ちました。そして投資的経費は三七%でありますから、おおむね九%程度伸びました。このことがどういうことを意味するのでございましょうか。ほかのほうはあまり変わってませんよ。地方税も大体四〇くらいでございます。これはもうずっと連綿として四〇%前後でございます。ことしは四二でございますけれども、大体四〇%前後でございます。交付税がことしは二一%であります。そういたしますと、九%ばかり投資的経費が伸びたというのは、結果としては給与費を七%ぶった切った、交付税が二%ばかり伸びた、合わせて九%で投資的経費の伸びをまかなっておる。言ってみますと人件費を削り取って、そして投資的経費につぎ込んでおる、こういう結論が地方財政計画の構成の流れの中から明瞭にくみ取れるわけでありますけれども大臣はどうお考えですか。
  69. 野田武夫

    野田国務大臣 人件費を削って投資のほうに向けたという——私は人件費を削るということばは私自身がふに落ちないことでして、これは給与という体制で、これに対する財源というものは、まあ私が、これをかってに自治省が削って、いわゆる自治省地方団体圧力をかけてそれをどうこうという、そういうことはあり得ないことでございます。同時に投資の財源がふえた、これは御承知のとおり、非常にいままで押えに押えた地方の仕事の量がふえてきているし、できるだけこれも、財源によっては、いままでだいぶん不自由している団体が多いのでございますから、できるときの財源の配分がそれをまかなえれば、できるだけふやしてやりたい。これもまた私は当然のことだと思っております。これはやはり財政需要が非常にふえてきた、こう考えるのでございまして、ことさら給与、人件費を押えて、これを投資のほうに回したということではございません。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 ことさらに意識的にはやっていらっしゃらぬでしょう。また大臣は十年前からずっと自治大臣であったわけではないですけれども大臣のおことばはわかります。お気持ちはわかります。しかし、結果として、私がいま大づかみに申し上げましたように、投資的経費が九%程度十年前より伸びておるということ、これは構成比として間違いないことです。構成比の問題でありますから、財政需要がどうのこうのという問題じゃありません。そして交付税が二%か三%伸びておる。給与関係費が七%ばかり落ちている。給与関係費を七%節約して、交付税伸びの二、三%加えれば、そっくりそのまま投資的経費が九%か一〇%出てくるでしょう。結果としてそうなっているじゃないですか。大臣、あなたが意識しようとしまいと、そうなっているのです。ですから、あなたは御存じないかもしれませんけれども、いままで自治省はずいぶん給与費というのを目のかたきにしておったのです。現にそうでしょう。私は法律の内容はよく存じませんけれども、いまもまた目のかたきにして何か法律が出ているじゃないですか。そうでしょう。ですから、あなたが意識しようとしまいと、十年間の流れを見てみますと、これはぴっしゃり出てくる。こんな姿勢でよろしいですか、大臣。意識しないなら、こういう結果が出てきているところに私は一つの問題点がある、こう思うのです。
  71. 野田武夫

    野田国務大臣 私は細谷さんの御意見、非常に傾聴しております。そういう傾向があるということは直さなければいかぬ。今度の財政計画では、やはり給与費の伸びに比べて財源がふえた。そこで、給与費のほうに圧力をかけて、そしてその給与費の財源をもって投資的経費に持っていったというような、いろいろなパーセンテージをお示しになると、いろいろ理論がつきましょうが、私は大体財政計画の基本というのは、私も今度は相当聞いておりますが、給与費に圧力をかけようなんということは一ぺんも省議で聞いたこともないし、またおそらく私の考えるほど——考えるほどというとおかしいのですが、実態が給与費の伸びに比べて財源がふえてきたんだ。そこでその財源を、いままで不自由しておったような投資的経費のほうに回すということでこの財政計画を立てたと私は承知しております。また、御指摘のような自治省の態度が、給与費をなるべく押えようという姿勢は私はないと思いますが、あればこれを是正する、こういう考えを持っております。
  72. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、私の意見というよりもむしろ地方財政計画の数字をたどって、きわめて客観的に、きわめて合理的な数字をもとにして申し上げておるわけですから、これは細谷の偏見だとか、細谷の意見だなんということじゃございません。きわめて客観的にものを申し上げているのですから、客観的なものは大臣としても受け取らざるを得ないのじゃないかと私は思うのです。そこで大臣、論より証拠、四十四年度地方財政計画の構成比は、いま局長がお答えしたように、給与関係費は三三%、投資的経費は三七%であります。四十三年度から四十四年度に、地方財政計画伸びております。全体としては一八・五でありますが、その伸びの内容は、いわゆる一兆三百四十六億円という金額上の増加を来たしておるわけですが、そのふえた一兆三百四十六億円という構造を見てみますと、大臣、どうあろうとこれは大臣の任期中のことで、あなたがつくったのですから、これはのがれられないでしょう。これもまたおれは知らないなんと言うかもしれない。これはもっと激しいですよ。申し上げましょう。給与関係費は、一兆三百四十六億円という増加額の構成の中で、たった二八%ですよ。むろん一般行政費の中に若干今年度の給与改定等の財源が含まれておりますが、それはありますが、給与関係費として組まれたものは、全体の構成比は三三%でありますけれども、ことしの財政計画伸びの構成を見てみますと、二八%しか給与関係費はないのです。一方、全体が三七%でございますけれども、投資的経費は幾ら伸びたかというと、構成比四四%でございます。七%伸びておるのですよ。大臣、これはあなたがつくったんですから、これはおれは知らぬというわけにはいかぬです、十年前までのことは別にして。こうなっていますよ。あなたが意識するとしないにかかわらず、あなた自体がおやりになっておることでしょう。これはひとつ大臣……。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 結局構成比だけでどうこうということは、私ちょっと言いにくいことじゃないかと思うのですが、給与関係費の構成比が下がったということは、給与費も年々伸びておりますが、それ以上に国民経済の発展で財源が伸びてきたということであろうと思います。その結果、相対的に給与費の構成比が下がって、投資的経費がふえた。四十四年度にふえました一兆円の内訳につきましては、お配りしてあります資料の一四ページにもございます。いまあげられましたように、給与費については二千八百八十一億増に相なっています。これはそこにございますように、内訳として昨年の給与改定の平年度分、それから昇給による増、それに人員の増、それから給与改善措置に必要な経費のおそらく一部になるでありましょうが、その増、それから定員合理化による減、そういったようなものを全部加えまして計算をいたしたものでございまして、昨年、四十三年度においてとりましたのと同じ態度をとってやっておるということでございます。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 同じ態度ということでありますけれども、それはことしはいろいろ伸びたが、投資的経費重点だ。地方財政計画の柱といいますと、大臣も趣旨説明を述べた際に、地域づくり、街づくりを進めるのですというのが一つの柱、もう一つは地方公営企業の経営基盤の強化をやることです、これが第二の柱でありますね。なるほど公営企業繰り出し金については、構成比は地方財政計画全体の中では二%でありますけれども伸びは四・五になっておりますから、言ってみますと、倍以上伸びている。これはたいへんな伸びであります。それで四十一年ごろ、いわゆる地方財政が四十年、四十一年というのはたいへんへっ込んだ年でありますけれども、構造は依然として同じような形で推移してきているわけですね。私はここに問題があろうと思うのですよ。ですから当面は、口は便利なものであって、どうにでも国会でごまかしていけばいい、こういう形で御答弁なさっておりますけれども、この地方財政計画の構造上の変化ということは私は非常に重要な問題である、こう指摘せざるを得ないのであります。大臣、どうですか。
  75. 野田武夫

    野田国務大臣 特に給与費の問題をお取り上げのようでありますが、これは伸び率が他の経費に比べて低い、特にその点を御指摘のようでございますが、私の考えでは、地方公務員の給与につきましては、これは従来とっておる姿勢をもちろんくずさないし、またこれに対する措置としては、構造上のパーセンテージからいえば、ほかの経費に比べて低いということですが、給与そのもの、人件費そのものについては、これは私どもはもちろんなおざりにしてないし、四十三年度と同様な基準で一応これを計画、これまた予備費にも相当考えておりますが、人事院の勧告によって国家公務員の給与が上がるとなれば、これは当然準じてやりますし、これらにつきましては万手落ちのないようなことの心がまえを持っております。したがって構造上の率によって人件費を非常に軽視しているという、この数字でいろいろ出てまいりましょうが、先ほど財政局長が申しましたとおり、全体の財政伸びが給与費に当てはまる伸びよりも高くなった場合、これはパーセンテージから御指摘になりますればそういう率が出てまいりましょうけれども、給与費全体に対しての考え方というものはわれわれ全く軽視していない。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 むしろ非常に重要視している。また四十三年度もその姿勢をとったのでございますが、人事院勧告に基づいていろいろの折衝があり、最後に一カ月問さらに繰り上げたときの財源措置も手落ちなくやっておりますし、その点、構造上の率によって給与関係の経費を軽く見ているという御注意がございますが、私は支障なくこの措置ができる、またすべきだというたてまえでございます。したがって、繰り返して申しますが、ほかの経費に比べてその給与費の率が上がってないんだということだけで御指摘になりますことは、私どもの考え方を御理解を願えばわかってくると思いますが、決して給与費を軽視しているというようなことは毛頭考えておりません。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、大臣が給与費について重大な関心を持っていらっしゃるということは認めます。しかし、いままでの歴史的な推移あるいは今度の伸び等の構造的な変化を一そう助長する内容、そういう点を見ますと、大臣のことばはともかくとして、大臣の意図と違った方向に地方財政が動いていくのではないか、こういう心配がございますので、特にこの点については大臣に——これは私はもう事業をやるなということを申し上げておるわけじゃありません。事業のために人件費を削るということはよろしくないぞ、しかも現に、いままでの歴史的な推移から見るとそれ以外考えられないような推移をたどっておりますし、現にまたそれと考えられるようなものもあるものですから、特に大臣に、失礼な話でありますけれども、注意を喚起していただきたい、こういうことで一つ申し上げたわけです。  そこで今度の交付税制度の中で、この投資的経費等についてかなり重点的な配分が行なわれることも、当然地方財政計画の表と裏でありますから、そうなるわけでありますけれども、この中で一つお尋ねしておきたい点は、一体過疎と過密ということについて、大臣は政治的立場からどういうふうにこれを受け取っておるのか、どういうふうに対処していかなければならぬのか、こういう点についてひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕  特に私は地方財政計画を持ち出してお尋ねいたしておるのは、交付税制度だけでは問題は片づかないのであって、先ほど来申し上げておりますように、税財源の問題あるいは交付税制度の問題、国の補助金等を含めた政治の姿勢の問題、そういうものが総合的に関係、連関をしておるわけであります。今度の地方財政計画なり交付税制度の中で過密対策、過疎対策という名前が出てきておるのでありますが、どういうふうにしてこれに取り組もうとしていらっしゃるのか。私は結論だけ申し上げますと、交付税というのは、交付税法第一条にありますように、もともと財源調整であります。本来この交付税制度の起こりというのは、税源で貧弱なところは過酷な税をかけなければできませんものですから、やはり税はひとつ公平にかけていこうということから、この交付税制度というのは、いまは名前は違って、変遷してきておりますけれども、生まれたいきさつからいっても、その重点というのは税財源の調整ということでなければならぬと思うのですね。税財源の付与、いわゆる財源の増強、こういうことよりも、貧弱団体に対する税財源の調整をやっていくのだ、こういうことが重点でなければならぬと思う。そういう点では交付税は過疎対策、人口急減地区に対して重点的に配分してやらなければならぬものだ、こう私は思うのであります。これについて大臣のお考えをお尋ねしたい。
  77. 野田武夫

    野田国務大臣 この地方交付税の本来の目的といいますか、使命と申しますか、いろいろこれは御意見がございましたが、帰するところは、地方団体が自主的に独立性を強化することを目的としてやはり財政計画を立てなくちゃならぬ。その場合に、特に地方行政の計画的な運営を保障するということが法律に出ております。それが地方交付税の質についての論議というよりも、目的がそういう目的でございます。もとより、お示しのように地方税によってまかなえない日本の地方団体の現状、これに対して特に地方交付税というものが出てきたのであります。したがって、その地方交付税の配分というものは特別な任務を持っているわけでございます。ところが、この過密、過疎地帯の対策、財政計画でございますが、たとえば過密地帯というものは、これは急速な人口激増地帯であります。なかなか通り一ぺんの財政処置ではまかなえないということは、これは事実でございます。これくらい激動している社会、経済の推移でございますから、いろんな手当てをしなくちゃならぬことは当然でございます。これはひとり地方団体の——行政は自主的にやりますけれども財政処置としては、国として考えますのにはやはり全体的に、いろいろな税のことにつきましても、やはり地方税の配分とか、そういうものまで検討を続けなくちゃいけないかと思っております。したがって、これらの問題は今後残された重大な問題でございますが、特にいまお話のありました過疎、過密、ことに過疎という問題、これまた非常に大きな現象でございまして、とうてい普通の考え方の街づくり、地方づくりというものではできない、やはり過疎対策というものはひとつ大きな特別の施策を必要とする、これももう御存じのとおりでございます。したがって、いわゆる当時の交付税法をつくったときの考え方でもって一貫していま交付税の取り扱いをしていいかという御意見は、私は、やはりその時代に応じ、その社会、経済の推移に応じて交付税等は考えなくちゃならぬと思っております。  そこで、今度の財政計画におきましても、その意味におきまして、過疎、過密地帯に対しては相当重点的に取り扱っているつもりでおりますが、しかし、それでもってこれが完全にいくか、財政上の不安がなくていけるかということになりますと、まだなかなか容易でない点も相当残されておりますが、いまお話しになりました過疎、過密地帯に対して重点的に取り扱うべきだという御意見は、私もごもっともだと思っております。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 過密、過疎というのは、現象的に見ますと、これは表と裏だ、こういうふうにいわれておりますけれども、私は、政治的には表と裏という形で過密問題、過疎問題というものを論ずるのは間違いである、こう思っておるのです。本来、過密問題というのが起こったのは、何といってもやはり高度経済成長政策というものの結果として起こっておるわけです。その過密地帯については、産業公害とかあるいは交通渋滞とか、いろいろな問題が起こってまいっておりますけれども、過疎地帯というのは完全な被害者です。全くデメリットばかりです。メリットなど一つもない。そうなりますと、私は、政治的には過疎対策というのはきわめて重要な問題として取り組まなければならぬ問題ではないか、こう思うのですが、私の考えは間違っているでしょうか。
  79. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、細谷さんの意見、そのとおりだと思っております。私もそう感じております。たとえば、よけいなことを申すようですが、高度経済成長政策というものが、ひずみが出たということばがその当時使われておりました。いわゆるそのひずみの一番顕著なものが、この過疎地帯なんかにあらわれたと思っております。  そこで、いろいろ政府として、過密地帯をどうして防ぐか、過密にならないようにしようかというので、たとえば東京中心なら首都圏整備法なんかつくってやりましたけれども、なかなかこれは、その立法と実際が伴わなかったのも、もう細谷さんが十分御存じのとおりでありまして、いろいろ対策は、政府は決してほったらかしにしてはおりませんで、ことに過密地域に対する対策は数年前から、これは過密対策としてやるのじゃなくて、人口のバランス、それから産業の分散とか、いろいろなことに手を打っております。新産都市がどう、工特がどうということはもう百も御存じのとおりでありますけれども、これは事実においては、その企図していること、実際そのとおりあらわれておりません。これは私も率直に認めます。そこで、いま過密、過疎地帯というものは、一自治省の問題とか、あるいは地方財政の問題とか、地方行政の問題ということばかりでなくて、事実もう大きな政治問題になっております。細谷さんの御意見どおり、私は、やはりこの過密地帯、過疎地帯は大きな政治問題として取り組んでいかなければならぬ、こう感じております。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 ところが大臣、私の考え方に一応同感の意を表されたのですが、今度の交付税の需要額の増をどういうふうに見ておるかといいますと、市町村に対して大体三百五十億の基準財政需要額の増加を見込んでおりますね。その内訳は、人口急増に対して七十億ですか、それから、いわゆる都市構想というのが、これは県庁所在地らしいですが、その周辺ということで二百八十億、合計三百五十億見ておりますね。これはけっこうなことでありますが、これでは過密対策というのはやはり焼け石に水だと思うのですよ。ところが、私はむしろ政治的にはもっと重点を置くべきだと考えられる、また大臣もそうおっしゃっておられる過疎対策については、一体幾ら見ておるかといいますと、道府県、市町村を通じて二百十億円であります。これは過密対策の半分ですよ。これは焼け石に水という形容詞にもならぬです。(「二階から目薬だ」と呼ぶ者あり)二階から目薬だという不規則発言もありますけれども、これではそれこそ二階から目薬にも当たらぬかもしれぬ。これを一体どう思うのですか。考え方として、過疎と過密という問題を対置してとらえるならば、しかも人口急減補正というのはすでに数年前から行なわれておる。人口急増補正というのも行なわれておりますけれども、言ってみますと、産炭地関係等も含めまして、人口急減補正のほうが早く起こった歴史的な経過があるのですね。にもかかわらず、今日の段階においては過疎対策は全くなっちゃおらぬ。どうお思いでしょうか。土地開発基金という形に、まあこれもおそらく都市対策でしょう、こういうのに交付税法の精神をおかして金をつけるというよりか、こういうところにおつけになったほうがよろしいんじゃないでしょうか。現に自治省は昨年、人口急増地区、人口急減地区についての詳しい調査をなさったでしょう。人口急増地区にも問題がある、急減地区にも問題がある、そういうことで、こういうことを前置きして、こういう交付税の配分方式がとられようとしておるわけですけれども、私はこれはよろしくないと思うのです。ただそのかば焼きのにおいをかがしたようなものじゃないですか。これは大臣のお考えをお聞きしたい。
  81. 野田武夫

    野田国務大臣 その過疎地帯に対しての財政の手当てが非常に乏しい。私は決して違いますとも言いません。しかしいろいろ過疎対策の仕事の内容を見ますと、過疎対策の財源はひとり交付税だけにたよるわけにはいきません。交付税はその一部として考える、他の面からして過疎対策の計画を進めていく、こういう考えでございますから交付税の額は、それはお示しのように決してだいじょうぶだという財政の額でございませんが、やはり交付税はその部分的な負担をしているのでございます。いろいろな手を用いて過疎対策をやるということでございますから、決してこれでもって足れり、交付税だけでうんと出せ、これでやれというような——できればよけいにやったほうがいいのでしょうが、いま申しますとおり、交付税はその対策の財政の一部をまかなうのだというたてまえでございます。今後は、やはりこれらについてはさらに積極的に考えなければならぬ、こう思っております。
  82. 細谷治嘉

    細谷委員 これは過疎対策については、大臣、これはウナギのかば焼きのにおいをかがせるようなものですから、片や土地開発基金なんというたいへんなごちそうをところどころに出そうと、こんな交付税制度はおかしいですよ。過疎はたいへんな問題なんです。この問題も私はもう少し聞きたいわけですが、過疎の話が出たので、この議場もちょっと過疎になったわけですけれども、腹の中も過疎になったからひとつ私はここで一応終わって、あとでまた地方公営企業の問題、特に都市交通あるいは病院問題、そういう問題について引き続いて質問をしたいと思うのです。(「もう二時間半もやったんだからいいよ」と呼ぶ者あり)時間のことを言うけれども、成立してないのを、遠慮して、私は協力してやっておったんですよ、きょうは。だからここで一応終わります。
  83. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ————◇—————    午後五時十七分開議
  84. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 午前中に引き続いて、交付税の配分の方向と申しますか、性格、そういうものについて大臣に若干お尋ねしたいと思うのでございます。  今度の交付税は全体計画の中で過密対策と過疎対策、こういうものについてそれぞれ基準財政需要額の増加が見込まれておるのでありますけれども、過疎対策にはわずかに二百十億円、交付団体分としては二百六億円、過密対策については四百二十億円、交付団体分としては三百億円、こういうふうに考えられておるわけでありますけれども、この過密対策と過疎対策を見てみますと、今日の過密問題、過疎問題に取り組む姿勢としては焼け石に水ではないか、さらに過疎対策というものが過密対策と比べますときわめて冷遇されておるのではないか、こういうことを指摘いたしたわけです。これについて財政局長、これで妥当とお思いですか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 今回、過密対策、過疎対策として需要額に織り込みましたものは、それぞれ昨年実は抽出調査を、実態調査をいたしまして、その結果によったものでございます。過密につきましては抽出調査の結果、人口の急増に対応するために緊急に必要とする施設、たとえば学校といったようなものに追われて、ほかの投資事業がおくれを来たしておるといったようなことがわかりましたので、そのおくれ分を取り戻していきたい。このテンポでいけば、調べた結果からいきますと、三年くらいで追いつけるのじゃなかろうかという角度から財源措置をいたしました。それから、過疎のほうにつきましては、これも実態調査をいたしました結果、教育費その他につきまして、過疎の状況に照らして財政的にも十分でないと考えられましたので、それを入れましたことと、さらに農業、産業、行政費についてこれを加えることにいたしたわけでございます。もちろん、これだけで私どもは過疎や過密対策が十分であるとは考えておりませんし、過疎過密には財政上の問題以外の問題もいろいろ含まれておりますので、なお今後広くそういうものについても検討を加えていかなければならない、かように考えております。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 これについて、これ以上申しませんけれども、私は地方財政計画に盛られておる過疎対策、あるいは過密対策、それを裏づけようとされております交付税、いずれを見ましても、きわめて不十分であると同時に、過疎と過密に対する対策が片手落ちである、アンバランスである、こういうふうに申し上げざるを得ないと思うのです。そこで大臣、これを手直しなさるおつもりはございませんか。
  88. 野田武夫

    野田国務大臣 この過密対策、過疎対策の財源措置でございますが、これはもう細谷さんのおっしゃるとおり、これで十分なんて毛頭考えておりません。財政需要が相当必要だということもよくわかっております。しかし、四十四年度では、相当重点的に取り扱ったのは間違いないと思っておりますが、しかし、その配分の上において、もう少し考えたらいいじゃないかという御忠告です。私はわかりますけれども、一応過密対策でも増加分として四百二十七億増加いたしております、昨年に比べてですが。過疎対策もこれはもうお示しのとおりでございます。当然財政処置も大事なことでございますが、いろいろの対策も立てなければなりませんし、今後やはりそういうことを根拠にして、将来ともそういう考え方でできるだけの財政処置はもちろん、その他の行政措置も考えていきたい。いまこれをすぐ修正するようにという非常に強い御忠告でございますが、私どもといたしましては、相当重点的に取り扱っておるつもりでありますから、いまのところこの配分でひとつやっていきたい、こう思っております。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、私はお尋ねしたいと思うが、今度の交付税では、先ほど来指摘した点と関連するわけでありますけれども、この投資的経費というものを動態的に把握していきたい、こういうことを目ざしておるわけですね。動態的に把握するという具体的な内容はどういう方向ですか。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 投資的経費は人口がふえるにつれてふえていく、将来ふえていくだろうということを見通してこれを見積もっておくということが一番望ましいだろうと思います。反面、投資的経費は、同じ団体でも年々変動いたします。非常に規模が大きい団体ですとそれほどでございませんが、普通は、ことしはある施設をする、来年はまた別の施設をする、そういうことで変動もございます。したがいまして、そういう点に対応するものとして、私どもは一つは都市圏補正といったものを大幅に取り入れてまいりたい。それから人口の急増補正も従来からいたしております。これもやっていく。それから、事業費補正ということもやってまいりたい。従来よりもその費目を市町村に広めまして大幅にやってまいりたい。こういう行き方を考えております。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 都市圏補正とかいろいろ出ましたけれども、今度の投資的経費を動態的につかんでいくという一つの柱は、計画的事業費算入方式を全面的に導入したことでしょう。この計画的事業費算入方式というのは、たとえば国がきめた道路五カ年計画、治山治水五カ年計画、港湾整備計画等等のほかにまだ何かありますか。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 道路、河川、治山治水、それから港湾、それから文教、それに清掃、下水、そういったようなものでございます。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 この方式をとりますと、国の計画ワク内で計画をする。発表されたものはむろんのこと、発表されないで各省できめられた計画、そういうものにのっとって交付税が配られるわけでありますから、文字どおり地方交付税というのは国の計画の中にぺたっとはまってしまいますね。   〔委員長退席、大石(八)委員代理着席〕 フィスカルポリシーという国の経済政策、それから出てくるもろもろの計画予算ワク内に地方財政というのは完全にはまっていくと思うのでありますけれども大臣いかがですか。
  94. 野田武夫

    野田国務大臣 ぴたっと国の景気調整に基づく財政計画にはまるということですが、先ほど来しばしば申し上げておりますとおり、国の財政計画地方財政計画とは、公共事業その他には大体一致するものもございますが、おのずからまた地方の負担する公共事業その他の問題がありますので、ぴたっと一致してそこにはまっていくというようなことはいえないのじゃないか、こう思っております。その点において、先ほど申しましたように、自主的に当然考えて計画し、実施しなければならないところが相当たくさん残っておりますから、細谷さんが先ほどからお示しになった国の景気調整に乗って、何でもかんでも地方でやりたいこともがまんしてやらぬ、そういうような考え方は全然私どもは持っておりません。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 これは調査室からの資料でありますけれども計画的事業費算入方式というものはどういうものかについて若干の解説があるのです。「これまで、投資的経費算定の最も原則的なものは、減価償却算入方式であった。しかし、この減価償却算入方式の算定に用いる耐用年数は、」云々として「不合理な面も含んでいた。」そこで減価償却算入方式をやめて、計画的事業費算入方式というものを導入した。「この計画的事業費算入方式は、閣議で決められた「道路整備五カ年計画」等を基礎としている事業費についてはすでに単位費用の積算に用いられているところであり、今回の改正では、それ以外のものについても各省の整備目標等を参考にして、単位費用の積算に用られることとなった」、こういうことでありますから、政府の方針に全く基づいて交付税が計算される、こういうことになるわけですね。言ってみますと、交付税というのはいよいよ三条二項の性格からはずれまして、国の補助金的な性格をきわめて濃くしていっておる。国のフィスカルポリシーというのは地方財政にはなじまないというのが自治省の従来からの主張でありますけれども、事実上はそれをなげうって、フィスカルポリシーの中にみずから飛び込んでいる、その中に組み入れようとしておる、交付税を補助金的性格に大きく飛躍させていこう、これじゃないのですか。大臣どうなんですか。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税制度は、交付税法の一条にもございますように、行政施設の水準を保障するという制度であるわけであります。それで、どの程度にこれを保障していくかということについては、やはり長期計画的なものを持ってやっていくことが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、今回長期計画ものにつきましては閣議決定になるものもございますし、そうでない、各省の考えております将来展望、それも入れております。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 各省の考えておりますものは各省限りで現在の段階では考えられておって、政府決定になっていないというところには、むしろ国の財政当局との財政的な話の調整がまだ十分できていないというところもあるわけでございまして、そういったものにつきましても、それが地方の単独事業として果たす役割りの大きいそういう部分の大きいものについては、進んで実は今回入れたわけであります。また、政府が決定をいたしましたものについても、たとえば道路のように、道路の単独事業のごときは、それを本年度だけについて見ればそれを上回るものを実は入れておるのでございます。したがいまして、必ずしもおっしゃるようにフィスカルポリシーにぴったりという意味ではなくて、むしろ私はいままで地方の住民が要望していたものについて十分な手当てができなかったものについて、今回進んでこれをやっておるというふうに実は考えております。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣大臣のお考えを聞きたいわけです。この計画的事業費算入方式というのを全面的に取り入れることになりますと、交付税というのはいよいよ補助金的な性格を濃くするのではないか。国と地方との間に六百九十億円のやりとりをした。残った分の配り方というのも、国の計画ワク内で、それにのっとって配分をしていく、フィスカルポリシーに何といおうと事実上協力する。そして、その計画にのっとってやりさえすれば交付税がよけいくる、これは補助金的な性格をいよいよ濃くしているわけですね。ですから、交付税はいま重要な転機に直面しておる、こういうことがいわれると思うのであります。今度の地方財政計画も、あるいは交付税も、「地域づくり」「街づくり」というのが重要な柱になっております。いま四つばかりあげておりますけれども、自前でかつてない大幅な地方税の減税をしましたというのが一つであります。  第二番目は、この「地域づくり」「街づくり」を一生懸命やるのだというこれであります。この「地域づくり」「街づくり」というのは、言ってみますと、広域市町村圏の地ならしの仕事である、広域市町村圏というのは、やがて新全国総合開発計画につながっていく、これはこういうことになるわけですね。そうなってまいりますと、この交付税の配分方式はいよいよもって補助金的な性格を濃くして、そして地方自治体は、地方自治の本旨にのっとって動くのではなくて、国の意思によって動いていかなければにっちもさっちもいかぬ、交付税ももらえないというかっこうになってまいると思うのでありますけれども、いかがですか。
  98. 野田武夫

    野田国務大臣 いろいろ御意見が出ておりますが、私は繰り返して言っておるとおり、今度財政計画を立てる前にも、事実国の意向を一々聞いて立てたことはない。それから、国の仕事、地方の仕事といいますけれども、やはり国の計画というものがございますから、これに合うものもあるし、また、合わせても悪くないものもあるし、また、自主的にやろうというものはまた別にやってもよろしいし、これは国の意思と全然違ったことをやらなければ交付税をやる、その場合にこれが補助の性格を持ち得るということは、私はそういうふうに考えない。それは国の意思に合致する場合もありますし、また、国のやるかやらぬかわからぬことをこっちが自主的にやり、たまたま国のやるところに一致したからそこに交付税が出た、だからそれは補助の性質だという割り切り方は、私自身は持たないのです。これは御批判はいろいろありましょうが、御意見ですから、それが間違っているとか間違っていないとかいうことを私は言うのではありません。  そこで、交付税を私もずっと見ておりますが、各地方団体でこうやりたいということを計画してきておるようであります。ですから、こちらから地方団体はこうやるべし、そうすれば交付税をつける、そういうやり方は一つも聞いておりません。大体、自主的に、いま新しい計画、継続の事業とか、いろいろなものに、各都道府県でも、市町村なんかもそうでしょうが、大体地方公共団体計画というものは、国がこうやるから地方団体はこういう仕事をすべしという通達とか指導をやって財政計画を立てた覚えは私には全然ないのですから、どうもそれはだんだん御批判があれば、そういう御意見もあるでしょうけれども、いま私は聞いておって、私自身がどうも自分の方針がそうでないものですから……。  それから、これが国の補助だという考えは、それは国の仕事にたまたま一致しているから、方針に近いものをやるから補助だ、こういうことになれば、これは交付税であろうが——地方税の使い方もそうでしょう、地方税は自分で使うわけですから。しかし、先ほどお示しになりましたいろんな方式のお話がございましたが、それはいろいろ事務的には根拠は知っておりましょう。私自身今度の財政計画をつくりまして、省議なんかで聞きまして、いろいろそこでもって討議をいたしておりましたが、その際は、国はこういうことをやりたいから、あの県にこういうことをやるように助言しようとか指導しようということは、一度も聞いたことはございませんから、実はなるほどそういう意見もあるものかなあと思って拝聴しているわけです。実を言うと私は責任者ですから、そういう国の意向に従うて、そうして交付税の配分をやっているということは私は全然そういう感じを持っておりませんから、現実において、四十四年度の配分におきましては、そういう考えで配分したということではないということを、特にひとつ細谷さんに申し上げておきたいと思います。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、私の主張に対して少し誤解があるのです。私は、国の財政計画に賛成だとか反対だとか——私は反対ですが、そういう財政政策があるから格差が進んでおるのだ、過疎過密が進んでおるのだ、言ってみれば高度経済成長政策というのが格差を助長し、人間疎外が生まれたんだ、公害が生まれたんだ、こういう観点、こういう立場に立っていまものを言っているのじゃないのですよ。自治省の考えというのは、国がフィスカルポリシーを推進しておる場合に、地方財政というのはそれになじまないんだ、こういうふうに一貫して主張してまいったわけですね。そういう観点からいきますと、長期計画算入方式というのは、そう言っておりながら、みずからフィスカルポリシーの中に飛び込んでいっておるやり方ではないか、こういうことを事実の前に立って私は申し上げているのですよ。これは大臣、もうどなたも、平清盛ですらも、むすこの前ではよろいを法衣で隠そうとしたのですよ。いままでフィスカルポリシーとなじまないとおっしゃっている自治省の人が、はい、私から飛び込んでいきましたと、だれもそんなことを言うばかはおりませんよ。しかし、ちゃんと事実はそうやっているじゃないか、それを私は心配しているのだ。問題はやはり地方自治の本旨をどう達成していくのか、地方の自主的な財政運営をどう指導、援助、発展さしていくかというのが自治省のたてまえであって、その限りにおいては、フィスカルポリシー地方財政はなじまないんだ、この主張は正しいと思うのですよ。そう言っておりながらみずから飛び込んでいっているじゃないか、こういうことを私は言っているのです。最初からイデオロギーで、国の経済政策だからこうだという形でものを言っているのじゃないのですよ。従来からのあなた方の主張に基づいて私は一貫してないものがあるじゃないかということを指摘しているわけなんです。どうなんですか。
  100. 野田武夫

    野田国務大臣 細谷さん、私の答弁をあるいは誤解しておられる。私は決してあなたの意見を違っているとか違わぬとか——私は率直な話をしているのです。いまの政府の財政計画に私がマッチしてやるのかとあなたが言われても、私はそうじゃないのですよ。あなたの前段に、要らぬことかもしれぬけれども、確かに過密地帯とか過疎地帯のもとはやはり高度経済成長政策のひずみということばがありました。私はやはりそういう影響があると認めているのです。だから、何もその点はイデオロギーで、認めることはお互い政治家ですから、そんなことをここで言い合うことは——私は認めておるのです。しかし、それは別です。いまの内閣は、これも批判があるかもしれませんけれども、安定経済成長でいきたいと盛んに言っておりますが、これは私も認めておる。その点はちっともあなたの意見にどうということはないが、ただ財政計画の編成といいますか、これに対してあなたの御指摘になるように、地方財政というものは地方の行政水準を高める特別な自主的な目標を持っておるから、そこで国の経済成長になじまない。偶然なじんだようなことがあらわれてくることがあるかもしれません、これは世の中のことですから。しかし、基本的にはやはりなじまないで、自主的な計画、自主的な施行をやる、こういうことで四十四年度財政計画におきましても、理論的にそうなったかならぬか、実は私はそういうことで争うということではないのです。現実私が省議とかなんとか開いた場合、いろいろな財政計画をし交付税の配分をするときに、国の景気調整がこうだからということで私は意見を私の幕僚から聞いていないのです。やはり各県おのおの自主的に、もちろん不交付団体は別ですが、交付団体はどういう計画をしておる、それにはこうしなければいかぬというようなことはしてない、自主的な判断によってやっておる。私もそう信じておるのです。だから、理論的にいろいろ、細谷さんは非常にその点エキスパートだからでございましょうが、国のそういう注意すべきことは注意いたしますが、少なくとも四十四年度交付税の配分にあたりましては、あくまでも自主的な姿勢を私ども持っておったということは偽りないことですから、それだけ率直に申し上げておる点でございます。
  101. 細谷治嘉

    細谷委員 この点私は大臣に、地方交付税の性格というものがたいへんな転機に来ておると思いますので、特にこの点を強く申し上げておるわけです。  そこで私は、次に移らせていただくのですが、地方財政計画のいま一つの柱は、地方公営企業の経営基盤の強化ということでございますね。ところで、今度の地方財政計画では千百四十八億円ということでありますから、かなり大幅な繰り入れをやったわけです。ところでひとつお尋ねしておきたいことは、この「都道府県展望」というところの一五ページに公営企業繰り出し金についてこう書いてございます。「具体的な財源措置は、下水道を除いては普通交付税で措置することが困難であるので、当分の間は特別交付税等によって措置されることとなろう。」こういうふうに書いてございます。これは首藤さんの準論文でしょう。今日地方交付税が検討されておる段階において、千百四十八億円のうちで大体下水道といいますと六百六十九億円でありますから、これは普通交付税で措置するけれども、その他は特別交付税で措置するというのですから、おおむね六百億程度はそれで措置するということですね。特交で考えようということです。特交なんてのをこんなことできめるなんて筋が通ってないじゃないですか。大臣いかがです。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業をやっております団体と、やってない団体がございます。そこで、公営企業に対する繰り出し金につきましては、やっていない団体にその需要を算定するのもいかがか、こう考えるわけでございまして、いわゆる普遍的な経費でないものにつきましては、普通交付税の算定において、その需要の捕捉が困難であるということで、特別交付税という考え方に立っておるものでございます。
  103. 細谷治嘉

    細谷委員 普遍的な経費でない——先ほど私が質問いたしました都市圏補正というのがありますね、去年は指定市と札幌と福岡ぐらいでしょう。ことしはおおむね県庁所在地とその周辺についてやるわけでしょう。そういうものに対して、二百七十億円か八十億円程度の基準財政需要額の増額を見込んでおる。普遍的じゃないでしょう、これは。全国津々浦々まで及ぶものじゃないでしょう。公営企業だって、合わせれば全部で六千もあるのですよ。相当普遍的なものですよ。水道を一つ例にとったって、いまや水道の普及率というのは九〇%でしょう。普遍的だとか普遍的でないなんということで、これを入れぬなんておかしいでしょう。   〔「土地基金だって同じじゃないか、そうなれば」と呼ぶ者あり〕
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 都市圏補正を適用します費目は、市町村で申しますれば、どこの市町村にもある行政費目でございます。その費目につきまして、特にそこの都市の経済構造が高い、いわゆる二種、三種の経済構造が高い、あるいは人口集中地区の人口が多い、そういうようなことをもとにいたしまして補正をしたり、あるいは昼間夜間の人口の出入りの度合いで段階をつけて考えるわけでございますから、これはその行政自体がそれぞれの団体に共通的にあるものについてでございます。公営企業につきましては、水道のようにほとんどの団体で行なわれている普遍的なものについて普通交付税で処置をいたしますときには、たとえば水道については消火せんに要する経費といったものは一般会計負担ということに負担区分が定めてございます。したがいまして、そういうものについては、消防経費を算定する際に算入をいたしております。しかし、公営企業の中には、病院をやっている団体もあれば、やってない団体もある。あるいは交通事業にいたしましても、やっている団体もやっていない団体もある。そういうふうに、都市圏補正を適用いたします費目と違って、その団体で全然やっていないというようなものについては、負担区分による繰り出し金に対する財源措置は普通交付税として必要がない。そこで、特定の団体になるものですから、いまの行き方で、技術的にやむなく特別交付税という方法によっている、こういう考え方でございます。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど不規則発言もあったように、普遍的でない一番の見本は土地開発基金ですよ。これは普遍的じゃないでしょう。あなたのほうで適当に基準をつくって、そして御丁寧に条例の準則までつくって示しておるのでしょう。あなたの通達も出ているでしょう。それには特別補正という形で単位費用もぴしゃっときめた。今度の場合は下水道を除いたって、下水道の工事をやっている地方団体の数よりも、上水道をやっている自治体の数、病院をやっている数、工水、あるいは交通事業をやっている自治体の数のほうが多いでしょう。下水道の数なんてそんなに多くはないですよ。これだけは普通交付税で計入して、残りの半分、六百億円程度は、土地開発基金の六百億円はやったけれども、特別交付税というのは一体どういうことですか。特別交付税というのは、そもそも年度の途中で予測されない事態、災害等が起こった場合、万一の場合に備えて、百分の六だけキープしてあるものですよ。それをあらかじめ法律が審議されている年度の初めにこれを特別交付税でやるなんていうのでは、精緻巧緻な交付税もないでしょう。
  106. 細郷道一

    細郷政府委員 下水道は特に先般、昨年でございましたか、法改正で市町村の需要を算定する際に、下水道費というものを特別に取り出して立てました。したがいまして、そういうところから下水道はそのまま普通交付税に算入をいたしております。  それから土地開発基金のお話もございました。土地開発基金については、市町村分にあっては人口十万の団体、あるいは道府県分にあっては人口百七十七万の標準団体につきまして、御提案申し上げておりますような単位費用をそれぞれきめ、それをさらに各団体の経済構造あるいは集中地区人口の占める度合いといったようなもので補正をいたしまして、やってまいりたいと考えております。その際に、全部の三千団体にこれを配分するということも、私は確かに一つの考えだと思っております。しかし、三千の団体に全部配分したということで満足するのあまり、人口の少ないところにはわずか何万というような配分になるというような問題もございます。土地開発基金につきましては、先般来申し上げているようなやり方をやっておるわけでございます。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問は、開発基金については午前中の質問で、大体山口質問もあったし、私はそれ以上言わなかったわけだ。私が申し上げたいのは、土地開発基金等については特例補正でございますということで単位費用を設けた。三千三百ばかりのうちの一割に満つるか満たないぐらいのものに土地開発基金を配ろうとしているのに、それは普遍的であって、そしてこの下水道も普遍的であって、その他の水道とか工水、交通、病院、それから市場、簡易水道、こういうものは普遍的でない、だから特別交付税に押し込んだんだ、こういうやり方は、精緻巧緻な交付税の道からはずれておるのではないか。もっと筋の通った配り方でなくちゃいかぬじゃないか。本来特別交付税というのは年度の当初において予測することのできないことがありますから、そういうものについて百分の六だけキープするものじゃないか。おおむね八百三十三億円キープするわけですね。おかしいですよ、これは。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業につきましては、御承知のように独立採算のたてまえをとっております。それに対して、負担区分というものを定めて、一般会計がその一部を持つ、こういう行き方をとっておるわけでございます。これは先生御承知のとおりでございます。その場合に、その種類の公営企業をやっていない団体については、一般会計で負担をする義務がないわけでございます。もしそういう団体が普遍的になってまいりますれば、これは共通に財源措置をしたらいいと思うのです。したがいまして、水道のようなものは、先ほど申し上げたように、消防経費を見ておるというような行き方をとっておるわけでございます。したがいまして、そういった特定の団体にのみ公営企業がある場合にはじめて一般会計の負担区分の財源措置が必要だ。これは負担区分を法律、政令できめておるわけでございますから義務になるわけでございます。その団体に対しては、どうしてもその財源を保障すべきものだろう、こう考えております。それが特定の団体でありますがゆえに、私ども技術的にそこを全部網羅して捕捉することができませんので、やむなく特別交付税にいたしておる、こういう考え方でございます。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 これは私の質問に答えてないわけです。私が質問をしているのは、土地開発基金などが普遍性があって、下水道が普遍性があって、なぜ簡易水道とか上水道とか病院などは普遍性がないのか。そういう取り扱いを交付税でやっているのか、こういう点を質問しているわけですよ。私は内容のところを議論しているわけじゃないのです。そうしますと、交付税の問題については、これは特別交付税の性格からまた逸脱するじゃないか。今度は申しませんけれども、大体において数年前のことでありますけれども、特別交付税の総額が四百億円ぐらいになった際に、この委員会の席上で、前の財政局長であるいまの次官が——議事録もちゃんと残っていますよ、今日の段階では特別交付税というのが非常に額がふえてきたので、百分の九十四という現行の普通交付税ワクを九十五か六くらいにして、そしてきちんとルールに基づいて交付税というのは計算されることが地方財政計画的に運営されるゆえんであるから、百分の六という特別交付税ワクをお減らしになったらどうですか、こういうことをお聞きしましたところが、そういう段階に来ているのです、こういうふうに当時の財政局長は答えたのです。ところが、細郷さんが局長になってからどうなったかというと、あなたが局長になってから五百億円とか六百億円だ。四十三年度は六百数十億円、四十二年度は五百数十億円、今度は八百三十三億円になったのですよ。柴田さんが財政局長の時代の倍になったのです。それでもあなたは何と言うかというと、特別交付税は多々ますます弁ず、こう言っているのです。多々ますます弁ずということばか、こういうことを考えてイージーなやり方をしようという考えから、逆に言いますと、計画性を持たない形で特別交付金で逃げ込んでいってしまおう、こういうことになるのではないかということを私は心配しているのです。ですから、当分の間は特別交付税でやるということですから、いやこれは特別交付税でやるというのはちょっとおかしいぞ、本来ならこれは普通交付税でやらなければいかぬのだ、こういうふうにお考えになったのでしょう、書いた首藤課長は、わざわざ当分の間と書いてあるのですから。それにしても、これは普通交付税で、普遍性がないからどうのこうのということではおかしいですよ。これははっきりと千百四十八億円、それも公営企業が独立採算制とかなんとかではなくて、負担区分の原則に基づいてこれだけは一般会計から入れていきましょう、その裏づけを交付税でやってやりましょうという形でやったわけですから、大臣、これは当然交付税は配ってやるべきですよ、ぴしゃっとルールに基づいて。つかみだと地方団体が思うようなことではなくて、計画的に財政運営ができるように、普通交付税で処理してやるべきです。それをあくまでも逃げるのはどうもおかしいですよ。大臣、お答え願います。
  110. 野田武夫

    野田国務大臣 公営企業の財政の内容から、できるだけ公営企業の財政を保持したいというか、財政の内容を少しでも健全化の方向に持っていこうという、これはもちろん基本的な考え方なんで、それがいま技術的なことで——私も実は細谷さんの御意見を承っております。私は遺憾ながらそういう法規的な問題を明快にお答えすることのできないことを残念に思いますが、非常に傾聴しました。しかし、ここにいまお話のありますとおり、当分の間ということを書いてあるというおことばでございます。また、ただ一つ、いまつかみ金をやった、こういうことですが、これは特交でもやはりその計画はちゃんとしております。決していいかげんにこれだけ余っておるからぶち込もうとか、そういうことをやっておりませんが、しかし基本的な問題は、私は細谷さんの御意見をいままでお聞きしておりまして——そこで、ここに局長もいろいろ申し上げておりますが、技術的の問題でございますから、私は十分検討します。私がここに明快に御返事できないのはそういう意味ですから、御了解願って、十分検討するということでひとつ御了承願います。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、十分検討するということはいいですけれども、これは技術的な問題じゃないですよ。普通交付税と特別交付税のあるべき性格をくずしてはよろしくない。こういう単なる技術的な問題じゃないわけです。  そこで、首藤さんがちょうどいらっしゃいますから、この当分の間というのはどういう意味でお書きになったのですか。一年ということですか。ことしは間に合わぬから、当分の間というのは来年度からやるということですか、どうなんですか。
  112. 首藤堯

    首藤説明員 普通交付税に算入いたします技術的な問題がまさにございますので、そういう点が解明できますまで当分の間、こういう意味でございます。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 よくわからぬ。一般会計からあれに入ってくるのは千百四十八億円で、よくわかっておるのですよ。ですから、当分の間というのは、時間的な問題があるから、ことし一年でございます、それを当分の間というあれでやったのだ、それならわかるのだ。それにまた普遍性があるとかないとか変なことばが加わってきてしまうと話がこんがらがるわけだ。事務的に時間が間に合わなかった。当分の間とこの論文には書いてありますけれども、大体ことしは覚書とかなんとか書いておって間に合わなかったので、来年からはぴしっと交付税でやるべきものはやります、こういうふうにならなければならぬと思うのです。大臣、そうでしょう。
  114. 野田武夫

    野田国務大臣 私、先ほどもお答えしましたように、私が技術的と申しましたのは、決してあなたの御意見が技術的な問題で出ているのではなくて、基本的な問題だということはよくわかります。ただ、まあこれがいま首藤課長からはっきりお答えできなかったのは、あれはやはり当分の間というのは、基本的なことで、技術的ということではありませんが、一応これはどうしても計上しておかなければならぬ、これだけ金が要るんだ。そこでいろいろなにした結果、特交のほうの金をひとつ、それは技術的なことですが、あなたのおっしゃるのは、基本的な問題で、技術的な問題を論じておられるということではございません。そこで、いま当分の間ということばが出ましたが、当分の間というのは当然時間的ななにを考慮しております。私が、十分検討しますと申しましたのは、そういう意味も実は入っております。これはやはり疑義のないように、交付税におきまして特交というものの区分は明確にすべきものだということは、これは非常に私の頭に入りました。そこで、十分検討するということは、私がここでもってすぐあなたにお答えできないのは、いろいろな事情も聞きますが、しかし立論の根拠というのは、私は細谷さんの根拠はなるほどそうだと思って実は先ほどから傾聴いたしておりました。やはり筋の通ったほうにひとつ来年度から持っていきたい、私はそう考えております。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣の気持ちはわかりますけれども大臣、六百億円の特例の土地開発基金を配るあれがあるのならば、こういう地方財政計画の重要な柱になっておる地方公営企業の経営基盤の強化というのが柱なんですから、これこそ計画的に運営できるように普通交付税でやるべきであって、来年の二月にならなければ幾らもらえるかわからぬなんという特別交付税でやるべき筋のものではないんですよ。当分の間というのは、私はこれは今回ひとつ修正していただきたいと思いますが、大臣は少なくともことし一年やってくれぬか、こういう善意の回答のようでありますから、ひとつ問題を残して次に移っていきたいと思います。  そこで、地方財政計画の一つの柱としての公営企業の経営基盤の強化、その経営基盤の強化として、ことしの予算が編成されるまでに何を一体自治省は柱として選んでおったかといいますと、地方債の質の改善ですよ。去年の九月ぐらいから一生懸命地方債の質の改善を主張しておった。そして当時の担当の課長あたりは、全国水道大会等では、来年見ておってごらんなさい、地方債の質の改善は断固としてやります、こういうふうにあいさつをしております。ところが、驚いたことには、大臣、今度の地方債計画を見ますと一向に改善されておりませんね。これは一体どういうことですか。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 地方債の質の改善につきましては、一つは良質というか低利の資金をふやすということがございます。そこで、私どももその点につきましては、公営企業金融公庫の貸し出し金利を引き下げたい、こう考えておりまして、目下鋭意その成案を急いでおる、こういう段階でございます。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 今度の四十四年度地方財政計画というのは、なるほど要求の段階では低利の政府資金、質のいいものを六九%ということでしたが、できたものはなんですか、五九%じゃないですか。四十三年度と同じですよ。そうして今度の資金コストを見てみますと、四十四年度は全部上がっておりますね。なるほど公営企業債だけは、柱になっていますからちょっと気がとがめたんでしょう。一毛八糸ぐらい資金コストが下がっておるようでありますが、ほかのものは全部上がってしまっているんですよ、大臣。これでは宣伝と事実とはあんまり合っていないじゃないでしょうか。私は公営企業の経営基盤の強化の重要な柱の一つは、長期低利の地方債を必要量確保することでなければならぬと思うのですよ。それがこのていたらくですよ。みんな資金コストが上がってしまっている。これじゃ、これは確かに若干去年よりも一般会計からの繰り入れ額をふやしただけで何にもなりません。これではどこに一体経営基盤の強化を具体化しているのです。お答え願います。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 経営基盤の強化はいろいろな方法があろうと思いますが、今回私どもが考えておりますのは、すでにいま御議論のございました一般会計からする繰り出し金の増額、これは大体昨年度の倍ぐらい実は出しております。そのほかは資金コストを引き下げたいというので、公営公庫の貸し出しの資金コストを引き下げたいという考えのもとに、ただいま私のほうも成案を得べく努力をいたしております。こういうことでございます。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 成案を得べくということですが、これはおそらくギャンブルの話でしょう。この間の新聞を読みますと、地方団体からたいへん反対を受けて、何かことしは半年分、そうして〇・五%ということで、九十億円が半分になったようでありますが、まだ法律を出すに至っておらぬ。これについては、私は大臣の所信表明の際に、地方財政法という法律で処理することは問題がありますよ、それぞれの事業法でおやりになるならやらなければならぬと思いますよと。しかし、ギャンブルそのものにスタートから問題があるわけでありますけれども、こんなギャンブルの——地方団体の収益の中からおっ取って、公営企業金融公庫の金利を五厘引き下げようなんということならば、まず国が範を示すべきでしょう。模範を示すべきですよ。一昨日ですか山口委員が私どもの法案の提案をいたしました。公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、それは、現在七分三厘ぐらいというたいへん高利な資金でありますから、それを政府資金並みの六分五厘にしてもらおうや、そのためにはひとつ六百三十三億円程度の政府の出資を、できたら一年ですけれども、三年ぐらいのうちにやってもらおうや、残りの半分ぐらいはひとつ年間三十数億円の利子補給でやっていけば、ぴしゃっと六分五厘の長期、安定した資金が確保されるのでありますから、そうしようや、こういう提案をしております。ねらいは同じでありますけれども、模範を示さぬで、しかも変なところに財源を求めておる。どぶに財源を求めたとは私は申しません。しかし、大臣、これでは地方からおっ取ってきて、公営企業金融公庫の資金量をふやそう、金利を引き下げようなんというのは、これはあまり感心したことではないと思うのです。いかがですか。
  120. 野田武夫

    野田国務大臣 まあ、公営ギャンブルの金を持ってきて、公営企業金融公庫の金利の引き下げをやるのは感心しない。一番基本的な考え方は、何とかして公営企業の財政を少しでもよくしよう、だれが見ても、どうも七分三厘という金融公庫の金利というのは高過ぎる。そこでいろいろ金利の引き下げに頭を使ったのでございますが、なかなか資金繰り、財源というものは困難でございます。しかし公営企業そのものの財政というものはゆるがせにできない、そういうことで、従来公営競技の収益というものはいろいろな地方財政にもその他にも相当使われておったし、年々非常に収益が上がってくるから、ひとつその収益の一部でも、こういう公営企業が非常に苦しんでいるときに助けてもらえば、公営企業金融公庫の金利の引き下げにそれを持っていけば役立つのではないか、こういう考えで、これが絶対名案であるとか、これ以外ありませんという、そこまで私も言い切れませんが、しかしお互いひとつそこで助け合う——というとおかしいけれども、公営競技も非常に収益が伸びておりますから、その金を、わずかですからひとつそれを出してもらって、一番困窮のどん底に入り込もうとしている公営企業の財政を少し補てんしてほしいというのでございます。  そこで、公営ギャンブルの金がどうこうということになりますと、これは金の本質論になりますから、これまた御批判があっても私は決して無理なことではないと思いますけれども、たてまえといたしましては、公営競技の実収が上がっていくというところに何か協力してもらいたい、こういうたてまえでございますから、何とかこれがまとまればけっこうだ、そしていま細谷さんの御指摘になるように、長期低利の金が公営企業に入ってくるようにしたいということでございます。これに対して、いろいろ金そのものについての御批判は別でございますが、大体のわれわれの考え方のもとというものはそういうことでございますから、これは今後また広く御審議を願うことになると思いますが、ひとつ御理解いただければ非常にけっこうだと思います。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、それはその段階でまた意見も申し上げたいと思いますけれども、少なくとも一%であれ〇・五%であれ、これは地方団体の金なんです。収入なんですよ。それをピンはねるわけですから、これはやはりリーダーシップを持っておる自治省のやるべき筋ではない。しかもこととしは、何と三十三億のものに、財投からたったの二億円加えて三十五億円という公営企業金融公庫の資本金にしたにすぎない。これではどうもならぬですよ。しかも公営企業金融公庫というのは、大蔵省からの圧力があって、金融機関として資金を集めることができない。資本金はないわ、資金を集めることはできないというのですから、それならばそれで資本金を大幅にふやしていただく。そして国のほうも、一生懸命やったけれども、なおひとつ地方のほうも、何らかの形で努力してくれぬか、これなら話がわかりますよ。それだけ申し上げておきたいと思います。  そこで大臣が、地方公営企業の経営基盤の強化で地方債の質の改善をはかろうということが思うとおりいかなかった、ギャンブルのことに飛びついた。飛びついた気持ちはわかります。大蔵省からみな振られちゃったのですから、おぼれる者わらですよ。その気持ちもわかります。その気持ちもわかりますけれども……。  それでは、大蔵大臣が見えたからかわります。
  122. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 大蔵大臣が出席されましたので、この際大蔵、自治両大臣に対する質疑を行ないます。  つきましては、大蔵大臣は御承知のとおり三十分の時間きりありませんので、約束に従いましてあらかじめ御承知の上に質疑をお願いいたします。山口鶴男君。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本日地方財政白書をめぐる論議が本会議でございました。特に二十年、終始一貫地方行政委員会に籍を置きまして、まさに地方財政確立のために献身的な御努力をされてこられました門司議員が、どうも総理大臣並びに大蔵大臣は当地方行政委員会への出席が少な過ぎるのではないか、こういうお尋ねをいたしたのであります。大蔵大臣は、直ちに本日出席をする予定ですと、こうお答えになりましたが、ともかく国の予算が六兆七千億、それから地方財政計画も六兆六千億、まさに国の一般会計の予算規模地方財政規模とは同じわけです。それだけ地方財政の公経済の中に占める位置というものは大きいと思うのですね。したがいまして、私は、やはり大蔵大臣はもう少し地方行政委員会に、今回一回出るというようなことでなしに、当委員会の要請がありました場合は、ひとつ御協力をいただきたい、それをまずお尋ねをいたしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  124. 福田赳夫

    福田国務大臣 地方財政問題はまことに重大でありまして、形式的な規模は中央財政と似たり寄ったりというか、実質的にはむしろ地方財政のほうがはるかに大きいわけなのです。そういうようなことで、私どもも多大の関心を持っておるのでありまして、今後ともひとつできるだけ御教示にあずかりたい。私も参ります。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵大臣の御公約でありますから、ひとつ今後十分守っていただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、本会議でも論議のございました地方財政好転論であります。大蔵省の側は、しばしば地方財政は好転をした、そうして、国も景気調整政策をとらなければならぬのだから、地方財政もこれにひとつ協力をしてくれというようなことを申しておるようであります。そして、昭和四十四年度予算編成にあたりましても、交付税率を一・五%下げてくれぬかとか、あるいは約七百億円にのぼる補助金を整理したいとか、さらには七百五十億円程度国に貸してくれないかというようないろいろなやりとりがございまして、覚書ができた、こう私ども承知をいたしておるわけでありますが、門司委員が具体的な例をあげていろいろ指摘をされました。大蔵大臣と私は選挙区が同じであります。したがって、たとえば群馬の多野郡の上野村でありますとか、中里村でありますとか、非常な過疎地域も、大臣も知っておるし私も承知しておるつもりであります。そういう中で、それではそういう地域の地方行政の水準が十分であるかといえば、これは大臣も十分御承知だろうと思いますが、十分でないことはお認めになると思います。  それからまた、東京都の例をあげて門司委員がいろいろ指摘をされましたが、たとえばし尿の衛生処理率というものは、完全な意味での下水道処理率というのは五・一%ですよ。日本全体の現状は五・一%です。それからごみにつきましても、非衛生処理率が五九・五%、衛生処理率は四〇・五%しかございません。こういう状態。そういう中で大蔵大臣地方財政が好転をしたということは、こういった地方財政の実態を見た場合やはり問題がある、私はかように思うのです。大臣は数字をあげまして税収がこう伸びたとかいうことを言われました。しかし地方税はどうですか。国税は所得税で課税最低限が九十一万円ですね、五人世帯。ところが、住民税は六十二万円、今度約十万円上がりましたね。しかし、課税標準を越えまして超過課税をやっている団体が相当あります。これが実に三百億円近く超過課税を自治体は実施せざるを得ない状況です。そういうものを考えた場合に、私はこの際、大蔵官僚が言っております地方財政の好転論というものは引っ込めていただきたい。少なくとも大臣としては、そうではない御認識に立っておられると思いますが、この点はいかがでありましょうか。
  126. 福田赳夫

    福田国務大臣 大蔵官僚ばかりじゃありません。私も好転論です。それは、これは前に比べるとたいへんよくなってきているじゃありませんか、こういうことを言っておるのです。ただ、日本は国づくりが全体として立ちおくれています。その側面はやはり社会資本の充実、これが先進諸国に比べると何十年というくらいおくれているんじゃあるまいかと思います。そういうふうなことを見まするときに、中央においても地方においても財政需要はどのくらい必要なのか、考えるとおそろしくなるような気がします。ですから、国でも地方でも財政事情が十分だというふうには決して私は思いませんけれども、以前に比べますとよくなっておる、こういうふうに考えて好転に転じたということなのでありまして、決して、これでいいんだ、そういうような考え方を持っておるわけじゃございません。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、社会資本の充実が日本は非常におくれているということは大臣お認めになりましたね。わが国でも、地方自治体が、たとえばし尿の処理にしましても、ごみの収集にいたしましても、その他教育施設あるいは過疎過密対策等、いろいろな意味で住民サービスがきわめて不徹底である、住民の生活環境を守るということについてもきわめて貧弱な状態にある、こういうことはお認めになるわけですね。
  128. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、大きく見てみまして日本の国はたいへんよくなってきた。よくなってきたが、これはその年その年の所得状態、つまり国全体の生産状態がよくなってきた。ところが、非常に問題がありますのは、蓄積というものが諸外国に比べるとないのです。家庭においてしかり。特に社会資本ですね。つまりわれわれをめぐる生活環境の整いというものが非常なおくれであります。私ははっきりそういうふうな認識に立って今後の財政金融政策を指導していきたい、そういうことであります。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 社会資本が非常におくれている、そのために地方財政がより今後の住民サービスの仕事をたくさんやっていかなきゃならぬ、こういうことについては、大臣も私の申し上げたことについては了承ということでよろしいわけですね。
  130. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはそのとおりであります。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間がありませんからあと簡単にお尋ねをいたします。  覚書を一月六日にかわされましたね。ここで、「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしない」ということが書いてございますが、これについては予算委員会でも、本会議でも大臣は、「当分の間」とは、これは国、地方を通ずる行財政を改革をするというときまではというのが「当分の間」という意味であるという趣旨の御答弁をされておられるわけでありますが、そのとおりでありますか。
  132. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのとおりですが、なお正確に言いますれば、中央、地方の行政配分を根本的にやり直すという時期まで、こういう意味であります。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 交付税率が四年間も一定率で続いたというのは今回が初めてなんですよ。いままでは毎年毎年交付税率は上がってきました。長いときでも三年間据え置かれたのが一番長い期間なんですね。したがって、四年間据え置かれて今後当分の間据え置くということは、決して地方財政をよくしていく、地方財政を充実をしていくということにはならぬということだけは、私はこの際大臣に申し上げておきたいと思うのです。  それから「昭和四十三年及び四十四年度においてとられた特例措置を今後は避ける」こう書いてありますね。昨年は四百五十億、ことしは六百九十億、こういうことはしないというわけですね。
  134. 福田赳夫

    福田国務大臣 さようであります。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、「別途、地方交付税年度間調整の措置を検討する。」こう書いてあるわけでありますが、これは一体どういう意味なのですか。
  136. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほど山口さんも指摘されたように、地方財政の国におけるウエート、これは非常に高いものです。これがどういう動きをするかということが日本の経済全体の動きに影響がある、そういうようなことを考えながら地方財政の運営にも当たらなければならぬだろう、そういうことを考えまするときに、その財源が非常に豊富な自治体もあれば、また、落ち込んで、四十年でありましたか、国のほうから援助しなければならぬというような事態もできてくるわけであります。そういう点の調整をやらなければならぬ、こういうふうに考えますので……。そういうことであります。
  137. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 結局、四十三年、四十四年の措置ということになれば、地方が国に四百五十億、六百九十億をいわば貸したということですね。そういうことはしないということになれば、国と地方との間の財源調整というものはこれはあり得ない。当然自治体がそれぞれの立場に立ってこの年度間調整をするとか、あるいは自治省が自主的にこの調整をするとかいう方法しか考えられないわけでありますが、そのとおりでございますか。
  138. 福田赳夫

    福田国務大臣 交付税についてはそのとおりだと思います。つまり、まだ補助金だとかいろいろな形で中央、地方錯綜しておりますから、いろいろの問題があると思いますけれども交付税についてはそのとおりだと思います。
  139. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は、そこに相沢主計局次長が首を振っておりますが、相沢主計局次長がこちらで答弁をいたしましたときには、きわめて不明確な答弁をいたしました。自治大臣と主計局次長の考え方がたいへん違っておったわけでありますが、いまの大臣の御答弁は、少なくとも自治大臣がお答えになりました、自治省の自主調整という意味では両大臣間の御見解は一致しておるという点で理解をいたします。  最後に、お尋ねしたいのでありますが、地方交付税についてはこれは地方独自の財源である、こう私ども考えております。大臣もこの点につきましては、従来大蔵省の方々はなかなかそういうことを言いたがらなかったのでありますが、福田大蔵大臣は、予算委員会でその点は明確に御見解をお述べになったと聞いておるわけでありますが、地方交付税地方独自の財源と大蔵大臣もお考えであるかどうか、その点を最後に承っておきたいと思います。
  140. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ、地方団体は数多くあるわけでございまするので、その財源調整というようなことをねらいまして交付税があるわけでありますが、しかし、この交付税が、国税三税を対象にし、その三二%ということになっておる、これは法律でもきまっておるのです。それはもうどうしても地方にいかなければならぬ金です。そういう意味において、この金は地方自治団体の権利のある金なんです。そういう意味において、固有の財源であり、また、自主財源である、こう言ってさしつかえないと思います。
  141. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ちょっと、まだ時間があるようですから、もう一問お尋ねしたいと思うのですが、まあ、交付税率を変更するかどうかということは、これは四十四年度予算をめぐっての大きな議論になったと聞いておるのでありますが、三二%という税率につきましては、これはひとつ大臣も十分絶えず念頭に置いていただきたい、これはお願いを申し上げておきます。  いま一つ、自治大臣大蔵大臣、これには運輸大臣もお入りでありますが、覚書をかわされましたですね、地下鉄の問題に関して。私どもは、前前から、隧道部分ではなくて、いわば地下鉄工事の工事費に対して三分の二国が補助すべきである、こういうことを主張いたしまして政府に要請をいたしてきたわけでありますが、そういう中で、今回三大臣の覚書で、一応、昭和四十五年度からこれについては十分意を用いてやっていくという趣旨の覚書をかわされたわけでありますが、内容は隧道部分だけの三分の二ということをお考えのようでありますが、これをある程度、地下鉄工事全般というところまで広げて、四十五年度から実施をするというお気持ちはございませんでしょうか。
  142. 福田赳夫

    福田国務大臣 あの覚書は、やがて自動車ラッシュですね、路面交通というものが非常に困難な状態になるのじゃないか。そういうことを考えますと、地下鉄の都市交通における任務が重大化してくるんじゃないか。そういう先々の見通しに立つとき、まあ、地下鉄というものを進めなければならぬ。ところが、これは金がかかるんですね。これは自治団体なかなかしょい切れぬかもしらぬ。そこで、これはいままでの考え方よりは、地下鉄という、そういう将来の展望に立って、重要な地位にある交通機関に対しまして、国はいままでと違った援助方式を考えなければならぬだろうということからああいう覚書ができたわけなんでありまして、その具体的内容は、まあ国会が済んでからひとつ自治大臣、運輸大臣と相談したいと思っております。具体的な構想というものはまだ申し上げる段階になっておりません。
  143. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、従来の一〇・五%補助というようなきわめて不完全な措置でなしに、いま大臣が言われたような都市交通の現状から見て、どうしても地下鉄にこれからの都市交通は頼らざるを得ない。そういう場合の抜本的な対策をぜひともひとつ確立していただきたい。お願いを申し上げます。  特に、地方公営企業、わけても都市交通が、昭和四十二年度におきまして九百十二億も不良債務をかかえておるという状況です。しかも、これは決して理事者が悪いとか、そこに働く労働者が悪いというのではなくて、結局、過密化現象、都市交通のいわば非常なラッシュですね。そういうものから必然的に起こった現象だと思うのです。したがいまして、当然これは国として都市交通に対しましては相当援助と申しますか、一面、大量輸送優先の原則を立てるとかということも一つの方法だろうと思いますが、やはり何といっても、企業ないしは労働者の責任ということよりは、そういった過密現象によって、いわば自然的に発生した事由によって都市交通が非常な困難な状況に立っておるわけでありますから、この地下鉄の三分の二の問題以外に、この都市交通、地方公営企業の問題につきましては、ひとつ積極的な取り組みを要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  144. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は、小濱新次君。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 大蔵大臣に、時間をいただきましたので二、三点ぜひともお伺いしたいのです。  先ほども自治大臣が本会議場で言われたのですが、公営ギャンブルは住民の意思によって廃止する、こういう方向だということをおっしゃったんですが、年間の売り上げが約一兆円近い金になるわけです。自治体の財源としては約九百億ぐらいしかならぬ。非常に社会悪が起こっているわけですが、これはもう大蔵大臣がひとつ腹をきめれば、それくらいの社会悪の一掃には、約千億くらいの金なんですから、何とかこれは決断すれば解決のできる問題だと思うのです。いままでこの問題については、もうずいぶん、戦後二十年近くたってまいりましたし、もう所期の目的は達成しておりますし、廃止の方向ということはあらゆる機会に言われてきたのですが、この委員会ではわれわれの納得するような回答が得られないわけです。きょうは、幸い機会を得ましたので、ひとつそういう問題についての、これは大蔵大臣としては常に脳裏にある問題だと思いますので、ぜひとも御方針をお聞かせいただきたいと思います。
  146. 福田赳夫

    福田国務大臣 なかなかむずかしい問題かと思いますが、まあ人間は、大体、どなたでもと申し上げたらどうも言い過ぎかもしれませんけれども、多数の人には、射幸心というか、そういう傾向があるんじゃないでしょうか。あれを、そういう人間本来の性向というものを、何か法律、強権で押える、こういうことをいたした場合に、一体どういう現象になってくるであろうか、こういうことを考えますです。まあ、押えても押え切れない。こういうことで、地下でまたいろんなギャンブルが行なわれる。こういうことを考えまするときに、何としても政府としては、いま行なわれておる公営ギャンブル、これは弊害面を認めないではありませんが、その弊害面についてこれを矯正をしていく。そうして、この人間性のほとばしりというものを誘導していくという考え方でいまとらえておるわけなんでありますが、その弊害面の是正ということは、これはほんとうに真剣に取り組まなければならぬ問題かと思いますが、しかし、さればといって、これを廃止しちゃったら一体どうなるだろうかということもまた深刻に考えざるを得ない、これがただいまの私の心境でございます。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 ぜひひとつ聞いていただきたいと思っておったんです。先ほども申し上げましたように、年間の入場者が約一億近く、一兆円近い金が売り上げとしてあがっている。年々上昇していくんですね。どういうことになるであろうか、この辺で何とかこれは終止符を打たなければ、社会悪がこれ以上ふえては相ならぬ。世界にもこういうケースはありませんし、わが日本だけの問題でございますから、これはやはり政府の大きな責任である、こう思いまして、きょうは機会を得てお尋ねしたわけです。政府の考え方としてはわかりました。  それから、もう一つは、先ほどもお話が出たのですが、六百九十億の問題、これは大臣は臨時異常の処置である、絶対にやらぬ、こういうふうに本会議場で言われたように私聞いております。そのとおりであると私は確信をいたしますが、実は私どもは純真な立場からどうしても憂いを持つわけですが、この前は、四十三年度にやはりそういうことばがあったが、四十四年度にまたこういう姿であらわれてきた。最高機関の本会議で約束されたことに反するような結果になってしまったことは、国民に対して不信を買うものではないか。言うならば、国会軽視とか、いろいろそういうことばも使われておりますが、非常にわれわれは憂いを持つわけであります。この問題については、どういうふうにお考えになりましょうか。
  148. 福田赳夫

    福田国務大臣 昨年、自治大臣大蔵大臣が、もう今後はしないんだというふうに言明をされた。それが今回反復されたわけであります。やむにやまれずということで、私のほうから提案を申し上げて自治大臣の御了承を願ったわけでございますが、まあ自治大臣もおっしゃっておるし、私もはっきり申し上げておるのですが、もうこれで終止符を打ちたい。この考え方は二つ目的があったのです。一つは中央、地方の財源調整、こういう問題です。それからもう一つは、交付税年度間調整、つまり地方財政をならすというような意味であります。この二つの目的があったわけでございますが、中央、地方の調整の手段として、四十三年、四十四年方式はやらぬ、こういうふうに申し上げておるのです。あと、残るのは年度間調整の問題です。先ほど山口さんからもこれについてお話がありましたが、これは非常に重大な問題でありますから、まあ何とかいい方法を作案をしなきゃならぬ、こういうふうに考えておるのです。自主的にもちろんこれは自治省のやることでありますが、それは私のほうも国の財務を統括する、こういう立場にあるので、相談には十分あずかります。そうして、この後日本国全体の経済があやまちなく運営されるという方向に努力していきたい、かように考えております。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 過密対策で先ほども質問があったのですが、大都市の財源対策、これは先ほど大臣は、せっかく勉強中だ、いましばらく時間をかしてもらいたいというようにおっしゃったように私は聞いておったのですが、この委員会でもその法案が出るたびごとに——私は附帯決議の内容をずっとたどってみたのです、十年くらい前まで。毎年衆参でその大都市財源対策についての附帯決議がついてまいりました。これもこの委員会ではいつも論議の的になるわけでありますが、大臣は、せっかく勉強中だ、しばらく時間をかせということでありますが、そういう委員会のいきさつについてもよく知っていただきたいと思いますし、それから、やはり早急に対策を練らなきゃならない幾多の問題点が先ほど並べられましたけれども、そういう事態が起こっておりますので、この点については、ひとつしばらく時間をかせということですが、そのしばらくということがいつまでという意味になるかわかりませんけれども、これには最大限努力をしていただいて、そしてその附帯決議の皆さん方の意思が一日も早く実現されるようにしていただきたい、こう願うわけですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  150. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま政府におきましては、全国にわたって今後国土開発をどういうふうにするかということを検討中で、もうかなりのところまで検討が進んでおるのです。いつこれを政府案として決定できますか、まだそこまでは申し上げることはできませんけれども、もう第一次案、第二次案、第三次案と、ずいぶんその作業が進行いたしておるわけなんです。その間におきまして過密過疎の両面にわたっての対策、これは非常に大きな問題になってくるだろうと思います。そういうことで、とにかく経済発展のテンポが早いものですから、計画を立てましても、なかなかそのとおりにいかない。ほんとうに社会発展計画も実際と遊離するというような状態になりましたが、今度は長い展望のもとに過密過疎というようなことをよく踏んまえまして、なるべくこれはひとつ現実と合うような施策を立案したい、かように考えておるのでありまして、せっかく努力をしておるところであります。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 力ある大臣と私ども聞いておりますが、そういう点から非常に期待を寄せておるわけです。その力は、意味が違いますけれども……。私どもの知っておる都市においても四年間でもう人口急増が倍以上になっておる。そういうところも非常に多いわけです。どうかいま大臣の言われましたように、ぜひともひとつ努力を払っていただきたい、このようにお願いしたと思います。  それから、最後にもう一つお伺いしたいのですが、これは私どもやはり関係があるのですが、基地交付金の問題なんです。自治省の要求いたしました資産の対象物、これがこちらで要求したのは四十二億円要求したとあります。にもかかわらず、大蔵省のほうでは、結果においては二十六億円にしてしまった。これは先ほど何か本会議質問がございましたけれども、この飛行場の建物とか工作物をどうしてこういうものの対象に大蔵省ではされなかったのであるか。自治省のほうでは、対象物について要求をしたけれども、削られた理由が対象物にならぬということであった、こういうふうに聞いたのですが、この点いかがでございましょうか。
  152. 福田赳夫

    福田国務大臣 大蔵省といたしましては、基地交付金については、まあ気を使ったつもりなんです。しかし、皆さんからごらんになると、どうもしみったれているなというようなお感じかと思いますが、とにかく各省から膨大な要請があるわけなんです。それぞれ理由がある。それをみんな予算に盛り込むというわけにはまいらぬものですから、そういうようなことがおもな理由で、二十六億円でしたか、ということに御了承を願ったわけなんでございます。なお、各省別とか、そういうようなことの配慮も多少はあるかと思いますが、主たる理由は、各省の需要に、限られた財源ではとても応じ切れぬ、そこでごしんぼうを願うのだ、こういうことであります。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に一言……。いまの基地の問題にいたしましても、それから過密にいたしましても、過疎にしても、非常にこの委員会で論争の的になるほど問題が多うございます。ぜひひとつ大蔵大臣、これから深い、理解ある措置を心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  154. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 細谷治嘉君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  155. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。
  156. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長にお尋ねしますが、いま大蔵大臣に対する山口委員質問で、高速鉄道すなわち地下鉄というのは、国の大幅な助成等がなければ立っていかないんだ、こういう前提に基づいて三大臣の覚書が締結されたんだ。その内容は、いまのところまだ固まっておらぬけれども、国会が済んだら内容を固めたいというお話でした。このことは、都市鉄道というのは、いまのような企業債方式では独立採算制が守れない、不可能なんだ、こういうことを政府自体が確認したんだと思うのですよ。これはどうなんですか。
  157. 細郷道一

    細郷政府委員 地下鉄については、最近の情勢の変化から、確かにいわゆる受益者負担、料金転嫁だけではできないという問題がございましたので、かねてから、先ほど来申し上げるようなことを私ども主張し、来年はぜひ実現するようにいたしたい、かように考えております。
  158. 細谷治嘉

    細谷委員 来年は来年はということで、あなたのほうも三年ぐらい予算要求して実現しなかったわけですね。独立採算制が現行制度の中でできないのに、独立採算制をしかも古典的きわまる独立採算制を押しつけるというのはどういうわけですか。
  159. 細郷道一

    細郷政府委員 地下鉄についてはそういった問題がございますので、私どもも検討事項としてずっと持ってきておるわけでございます。したがいまして、今後の地下鉄に対する援助措置、それと並行いたしまして考えてまいりたい、こう思っております。
  160. 細谷治嘉

    細谷委員 地下鉄に対する援助ということでありますが、あなたのほうが一応試算したところでは、都市交通の問題として解決するためには、道路と同じように、構造物については三分の二程度を国から助成しなければならぬ。これが大前提になっているのでありますが、それは確認されますか。
  161. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもは、そういう提案をいたしておったわけでございます。今後関係省の間で相談をいたしますときには、その案を基礎にしてよく協議を遂げたい、かように思います。
  162. 細谷治嘉

    細谷委員 この間私は大阪の地下鉄を見たのでありますけれども、いまのままでいきますと、四十六年度末には六百億円の赤字、資本費のほうで二千億円の赤字になるというんですね。こういうことでありますから、地下鉄については積極的な、大幅な助成をしなければならぬ、こう私は思っております。幸い財政局長から、大体そういう方向で述べられましたから、これはひとつ確認をしておきたいと思います。  そこで、路面電車の問題でありますが、路面電車はなぜ経営が赤字になったんでございましょうか。
  163. 細郷道一

    細郷政府委員 いろんな要素があると思いますが、一口にいえば乗客が減ったということだろうと思います。
  164. 細谷治嘉

    細谷委員 なぜ乗客が減ったんですか。
  165. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり他にかわるべき乗りものを利用する人がふえたということであろうと思います。
  166. 細谷治嘉

    細谷委員 他に乗るべき乗りものがふえただけで路面電車の乗客が減ったんじゃないですよ。あなた、もっと厳格に言ってもらわなければいかぬ。路面電車の乗客が減ったというのは、都市交通のラッシュのために電車が走れなくなっちゃったんですよ。乗っていても用事が足らないんですよ。電車をやっている企業にその解決を求めることができますか。それで独立採算を求めることができますか。それを強要することができますか。
  167. 細郷道一

    細郷政府委員 そういったいろいろな情勢が反映をしていくわけでございますので、電車を撤去してバスにこれを取りかえていくという行き方をいまとっておるわけでございます。しかし、私どもも、こういった情勢の動きというものについては、十分関心を持って検討を加えていきたい、こう思います。
  168. 細谷治嘉

    細谷委員 いま東京の電車は時速十一・何がししか走れないんですね。ある人が試算しました。かりにいまの東京の電車が時速一キロふやすことができますと、それだけお客がふえてくるわけでしょう。自動車もどんどん走れるわけです。そうしますと、いろいろな過程の複雑な要素がありますけれども、大体において年間十一億円の増収が期待できると、こういっております。これをあなた信用できますか。
  169. 細郷道一

    細郷政府委員 私、その数字は承知しておりませんが、スピードが上がればいまよりお客がふえるだろうというふうに考えます。ただ、電車のお客が減ったことは、私はスピードが落ちたということだけではないと思います。やはり自分の思うところから思うところへ車では行くことができるといったような問題もあろうかと思いますので、その計算を見せていただければ、私のほうもよく検討いたしたいと思います。
  170. 細谷治嘉

    細谷委員 あまり時間がありませんから言いませんが、東京の路面電車というものをかりに現在よりも時速一キロふやすことができればおおよそ十一億円程度、現在未解決の九賃問題も一気に片づく、こういう計算が成り立つわけですね。路面電車というのは、専門家がおりますけれども、時速十八キロか十九キロぐらいというので大体設計されておるわけですね。ですから、本来そのぐらい走れるようになればいいわけであって、大阪の例をとりますと、三十七年をピークといたしまして、その四、五年前は年間六%ぐらいずつ料金収入が上がってきたのですけれども、だんだんその料金収入の伸びが悪くなって、三十六年から七年では一%ぐらいになって、それからずっと赤字で、今日では毎年毎年一二%ぐらいずつ料金収入が落ちているのですね。その原因は何かということになりますと、十一キロではものの役に立たぬということですよ。  そこで、あなたはそれをバスに切りかえたらいいと言うわけだ。バスに切りかえたら、御堂筋を一体バスはどのくらいの速度で走れると思いますか。御存じですか。警察の方、わかっておったら答えてください。
  171. 玉田茂芳

    ○玉田説明員 バスのほうも、一般の車両交通のスピードと関連いたしまして、現在走行速度が低下していることは事実でございます。ただ、バス路線の交通規制につきましては、特に現在重点的に種々の規制を実施いたしておりまして、特に東京におきましてはクリアウエー作戦と称しておりますが、バスの通行量の大きいときに当たります朝夕のラッシュアワーにおきまして、右折禁止、駐停車禁止といった規制を全面的に強化いたしまして、これがやはり相当の効果をあげておるという実情でございます。ただ、現在実施しております路線はごく一部でございますので、これをさらに主要な幹線道路全体に広げて、バスを含めた全体の交通の流れを改善したいと考えております。
  172. 細谷治嘉

    細谷委員 局長、路面電車をはずしてバスに切りかえたらいいとあなたは言うが、バスは時速七・五キロしか走れないのですよ。七・五キロしか走れないでバスを独立採算でやれなんて言ったってだめですよ。そうなってまいりますと、電車は独立採算ができない、バスのほうもできない。地下鉄はといいますと、一文の補助なしに、利子のついた借金で、一キロメートル四十億から六十億かかるというのだったら、都市交通はどこにいけばいいのですか。
  173. 細郷道一

    細郷政府委員 都市交通の将来をどうしたらいいかというのはなかなか大きな問題でございまして、私どもも幅広くこれを考えなければいけないと思っております。ただ、いま御議論のございました点、あれもだめ、これもだめということになりますと、そもそも都市交通全体をも否定するというようなことになるわけでございます。少なくとも一方では交通企業というものが成り立っている面もあるわけでございます。かたがた、都市公営交通につきましては、御承知のように過去におきます累積の赤字を再建すべく、いま再建計画をやっておる。非常に苦労なことであろうと私は思っております。それだけに、国としても応援のできます分は応援をし、また、一般会計において負担すべきものは負担をしていくような行き方で、一応再建計画をつくっていまやっておるわけでございます。なお、いろいろと情勢が動いております。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 日々動いておるといってもいいくらい動いておりますので、私どももその情勢はよく見きわめながら対処するように検討していきたいと思っております。
  174. 細谷治嘉

    細谷委員 答弁にならないですよ。電車は十一キロしか走れない。バスは七・五キロしか走れない。それじゃ地下にもぐろうかとすると、六十億円も一キロにかかる。その金は補助もないし、利子のついた金を借りなければならない。こういう都市交通をつかまえて独立採算をいきなさい、こういうことを言っているのはどだい無理でしょう。  そこで私は、解決方法を、一つの方向として教えるとは言わぬけれども、一つあると思うのです。一つの方法です。運輸省おりますね。六十人乗りのバスは道路をどのくらい占有しますか。その六十人乗りのバスにかわって、自家用車等に一人ないし二人乗って走っていく場合、一体それがどのくらい道路を占有することになりますか。
  175. 人見敏正

    ○人見説明員 ただいまの御質問でございますが、実は私、六十人乗りのバスの容量等に関しましてこまかい御説明がちょっとできかねるのでございます。ただ、きわめて大ざっぱに申し上げますと、確かに自家用車というのは道路占有の面が非常に大きい。だから、ある面において経済的に非効率であるということは確かでございます。私ども実はこの都市交通に関しまして、いろいろと関係各省等々と協議しておるわけでございますが、何といってもただいまの路面電車並びにバスにおきましても、道路の渋滞が非常に大きな原因となって阻害されておるということでございます。たとえば何とかバスのような大量輸送機関を優先通行できるような措置はとれないものかと検討いたしておるところであります。
  176. 細谷治嘉

    細谷委員 私は教わってきたのですけれども、大体六十人乗りのバスは道路を二十五平方メートル占有するわけです。大阪の場合ですと、自動車一台について平均一五人だそうです。そうしますと、バス一台に対して四十台の自動車が必要なんですね。それがどのくらい道路を占有するかといいますと、三百二十平方メートルですよ。バスの十倍以上も道路を占有するわけですね。いまあなたは、こういうことなので大衆輸送を確保するためにはある程度そういう自家用車等の乗り入れを規制しなければならないとおっしゃいましたが、やる気がございますか。
  177. 人見敏正

    ○人見説明員 ただいまの路面交通の緩和の問題でございますが、まずバスのようないわゆる大量輸送機関というものの優先通行を何とか確保できる方法はないか、それからもう一つは、自家用車等の抑制でございまして、これにつきましては、たとえば自家用車を抑制いたしました場合に、当然に業務交通等においてもかなりの支障が生ずるおそれがございますので、何といってもこれは慎重に利益、不利益等をよく考え、関係者の方々ともよく相談いたしまして、納得ずくでやっていかなければならないと思っております。
  178. 細谷治嘉

    細谷委員 関係者に相談しますといっても、東京でも大阪でも全然動けないようになっているのですよ。大阪のほうは府警がやっているんでしょう。ラッシュ時にはトラック等の大型のものは交通規制をしているわけですよ。この交通規制をさらにもう一段エスカレーションするというのですけれども、どうも警察の考え方としますと、一方交通というかっこうで、大衆輸送も自家用車もへったくれもない、何もかもみんな規制しちゃえという形をとるようでありますが、こんなんじゃだめですよ。やはりラッシュ時における交通規制というものは、大衆輸送等を重点的にやらなければならぬと思うのですが、交通規制をやるとすれば、そういう原則に立っておやりになるかどうか、確認しておきます。
  179. 玉田茂芳

    ○玉田説明員 現在の交通規制の根拠は、道路交通法によりまして円滑をはかるための交通規制をやっておるわけでございますが、いまおっしゃいましたような輸送の効率というようなものに基づきました規制ということについては、現在の道交法ではやることに非常に疑問があるということでございます。現在やっております車種別の規制は、大阪におきましては五トン、それから東京におきましては七トン半以上の大型車を、一部の路線において通行を禁止しておりますが、これはそれぞれその車種によります円滑の阻害あるいは危険性というようなものに基づきました理由によりまして実施しておるわけでございます。いま先生の御意見のように、輸送の効率を考えた実施ということになりますと、現在の道交法では非常に疑問があるところでございまして、将来の都市交通問題の課題といたしまして現在検討を加えておる次第でございます。
  180. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長さん、お聞きのとおりであります。これから交通規制はいたしましょう、検討を加えましょうということであります。ある市長から私は聞いたのでありますけれども、路面電車の赤字を克服する道は、もし市長に大衆輸送優先の交通規制権を与えてくれるならば黒字にしてみせます、こう言っておりますよ。それを運輸省とか交通局で、やる意思はないのですよ。検討してみますと言うだけですよ。そういう条件の中で、なおかつ都市交通についてあなたは古典的な独立採算制を押しつけるつもりなんですか。
  181. 細郷道一

    細郷政府委員 私はやはり公営企業は独立採算がたてまえだと思っております。ただ、たびたび申し上げておりますように、いろいろ外部的な事情によってそれがむずかしいものについては、負担区分の改善合理化というようなもので対処してまいりたい、こういう基本の考え方で絶えず検討を続けておるわけでございます。先ほどお話に出ておりました交通規制の問題も、すでに御承知のように、昨年の秋、都市交通の問題から端を発しまして交通規制問題が出ました。そうして、その問題につきましては、現地において具体的にやるべき事柄が大部分でございましたので、関係都市においてそのための協議会をつくって、そこで現実に一つ一つやっていただいているわけでございまして、まだなかなか私も十分だと思っておりません。実は督励をいたしておるのでありますが、中には、それによってバスだけの右折禁止が解除されるとか、あるいは先ほどおあげになりました、ある時間内のトラックの通行をとめるとかというような問題も出ておりまして、これからはなおバス路線の再編成といったような問題も爼上にのぼってくる、こういうふうに考えております。
  182. 細谷治嘉

    細谷委員 これも私に対する答弁にならないのですよ。ただことばがつづられたというだけなんですね。私は細郷さん、なかなか言いにくいかもしれぬけれども、あなたは名前は細い郷でありますけれども、鹿児島の西郷さんにも負けぬようなしんの太さと太っ腹だ、そして、かみそりのような切れ味を持っているというもっぱらの定評があるのです。私はずっと理由を並べ立てていったところからいきますと、都市交通が立っていく道は、もはや運輸省なり警察が、あるいはそれができなければ市長に大衆輸送を優先した交通規制権を与える、あるいは運輸省なり警察がそれをやる。それができないならば独立採算制を押しつけるという条件はもはやないわけですよ。それをしも、まだ公営企業というのは独立採算制がたてまえであります、法律もそう書いてあります——できっこない、現実不可能なことを押しつける。そして、どういうことかというならば、料金を上げようとしますと、運輸省が許可権を持っていますからできません。許可権を持っていますからね、これは。ですから、何になるかというと、そこに働いている人たち地方公務員だけれども、給料を上げるな、ベースアップはするな、これが落ちじゃないですか、結論は。こんなばかなことはないのでありまして、あなたらしく、組織的なぴしゃっと結論が出ているはずですから、私はきわめて常識的に具体的にお聞きしているのですからお答えいただきたいと思うのですが、答えますか。
  183. 細郷道一

    細郷政府委員 独立採算がたてまえであることは私変わらないと思っております。ただ、いろいろな四囲の情勢から、それだけにたよることができない部分がある、そういう部分については、これを漸次改善をしながらやっていくということが必要であろう、こういう考え方でございまして、またそういった基本の考えのもとにいろいろやっておるわけでございます。やった成果がないじゃないか、こういう御議論もあろうかと思います。私も十分できているとは思っておりません。したがいまして、ますます関係省とも連絡を密にしながらこれをやっていかなければならない、こう思っております。
  184. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、十分やってないということは認めましたけれども、十分なんていうことばはおっしゃらぬがいいですよ。食えもしないようなウナギの頭の先くらいを自治省がやってやったという程度にすぎないでしょう、午前中からの質問で。  そこで、私は質問をしたいのでありますけれども、そういう客観情勢のもとにありながら、あなたのほうは独立採算をたてまえにするかどうか知りませんけれども、いろいろな問題点がありますね。大阪は路面電車は四十三年で廃止したんですよ。たくさん赤字が残っております。これから路面電車をどんどん廃止していこうとするんですね。その路面電車の負債をバスとか地下鉄に持て、こうやっているでしょう。こんなばかなことはないですよ。もう路面電車は破産したから店じまいしているわけでしょう。それに、これから借金で立っていけそうもないような地下鉄にその負債を持たせたり、バスのほうに持たせよう、そうすると運輸省のほうは、バスの料金というのは、人のことは世話要らぬ、バスの料金は適正にバスだけが立っていくような料金を決定すればいいのだということで、負債など持とうとしません。そういう料金決定はしませんよ。それなのに、やめていくやつのあれをよたよたしているほかのものに持たせるなんていう、これもおかしいと思う。  もう一つ、再建債という形でこの間発行しました。そのとき私が大阪で聞いたところで奇妙に思ったのは、大阪では百五十六億円の不良債務があったのですよ。その不良債務に対して再建債を幾ら認めたかというと百十六億円です。四十億円削ってありますよ。どうして削ったかということを聞きましたら、当時地下鉄のほうに余剰金が四十億あったから、プールして削ったんだ、こう言う。こんなばかなことで再建できますか。再建できない条件のもとに、さらに重荷を載せようなんという考えですから、これはできっこないですよ。ですから、いってみますと、不良債務を再建債に切りかえたけれども、当時千二百億円あった不良債務を、たった五百五十億円くらいしか切りかえてないのですから、大阪の例が示したとおり。しかも、これから死んでいく、廃業していく路面電車の負債を、それ自体立っていけないようなバスとか地下鉄に持たせようとすること——これは国鉄のように、めどが立つまでたな上げされたらどうですか。国鉄もやっているのですよ。たな上げなさったらどうですか。これは可能かどうか、お考えいただけるかどうか。  それから、その再建債の発行なんというのもまずいのでありますから、そういう不良債務というのは、もっと安定した資金に切りかえてやるべきです。再建団体でも今日三百億円くらいあるでしょう。切りかえてやるべきですよ。借りかえ債というのがあるでしょう。首切りのときに、そういうところには借りかえ債をしこたま出しておるけれども、こういうときには出さないでしょう。これはおかしいですよ。この二つをお答え願います。
  185. 細郷道一

    細郷政府委員 再建計画をつくりますときには、地下鉄事業については、例の国庫補助の問題もございまして、除外をいたしました。したがいまして、最初の予定した再建債の額、それを下回っておることは、もうすでにたびたびここでも申し上げ、御承知のとおりであります。   〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 この再建計画をどうやってやっていくか、実は再建計画をつくりました当初は一応七年あるいは八年、これでやっていけるという見通しに立ってやったものでございます。その点は関係の都市におきましても、議会その他で十分御審議をいただいた結果、そうなったわけでございます。しかし、あまりにも周辺の外部条件が急激に動いておりますから、その再建計画を昨年変更いたしまして、いわゆる乗車人員の料金収入の是正というようなことをいたしております。  なお、私どもとして、これに対してどう手を打っていくべきかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、十分検討してまいりたい、かように考えております。
  186. 細谷治嘉

    細谷委員 十分検討してまいりたいと言うが、私は具体的な提案をしているわけです。つぶれていく、廃止されていく路面電車の負債というのは、バス事業とか地下鉄の事業のほうにかぶせないで、なかなか立っていく見込みのないそういうものにかぶせないで、それは国鉄のようにしばらくたな上げするという方途を講ずることはできないのか。現に再建団体の中でも、不良債務がおおよそ三百億円程度あるわけですから、年度の初めに借りて、ころがしていって、年度の末に返す、その翌日また借りる、そして利子も高い、こういうものがあるわけですから、これはひとつ借りかえ債等で安定した長期の、計画的に元利が償還できるようなものにしてやるべきではないか、この二つの問題提起をしているのです。いかがですか。
  187. 細郷道一

    細郷政府委員 御提案のあった件について、私ども検討するにやぶさかでございませんが、同時に、再建計画を遂行していく上においては、企業内における合理化努力というものが全然できないものかどうかというようなことも、私は並行して検討していくべきものと考えております。
  188. 細谷治嘉

    細谷委員 企業内の合理化努力はしなければならぬ。私も否定しません。いかに企業内の努力をしていっても、今日の都市の実態というのが、努力して走ろうとしても走れないのです。つくろうとすれば、ばく大な金がかかる。こういう実態なんですから、企業内の努力の問題よりももっと大きな問題というのが客観的に存在している。企業外に存在している。そういう要因を取り除かなければならぬということから私は議論を始めているわけです。ですから、はぐらかしちゃいかぬ。私は問題提起した。二つです。  あなたお答えにならぬものですから、さらにお聞きしたいのでありますけれども、今日の公営企業法の中で、再建団体に対する再建債については、三分五厘をこえたものについては利子補給をすることになっているわけですよ。ところが、あの法律ができる際に、政令というものがあったのですが、大体において二十二、三億から二十五億ぐらいの利子補給が必要だろう、こうおっしゃっておりましたけれども、現実には十八億ぐらいでしょう。政令でしこたましぼってますよ。なぜ再建しようとして一生懸命やっているところを、そんなに利子補給のところまでいじめて、政令でしぼらなければいかぬのですか。法律は、三分五厘をこえて八分まで、その範囲の利子補給をしてもいいということになっているのです。政令でしこたましぼったでしょう。どうしてこんなことをしているのですか。これもひとつお答えをいただきたい。
  189. 細郷道一

    細郷政府委員 法律では、三分五厘超八分までの間について政令できめる、こういうことでございまして、政令は、御承知のように段階区分によってこれを定めておるものでございます。政令をきめるにあたりましては、国庫当局ともずいぶん議論をいたしまして、もっと苛烈な案の提案もございましたけれども、折衝の結果、ああいうものにいたしたわけでございます。この政令によってきめました利子補給というものを前提にして、先ほど申し上げましたように再建計画をつくったわけでございます。当時はこれで何とかやっていけるであろう。もちろん再建計画ですから、私は非常にゆったりできるものであろうとは毛頭思っておりません。まあ何とかこれでいけるであろうということでつくったわけですが、その後、先ほど申し上げましたように情勢も非常に動いてきております。そこで、それらに対してどういうふうに対処していくべきかということにつきましては、やはり再建計画自体の執行の過程における企業内の努力等とも並行しながら私ども十分検討していきたい、かように思っております。
  190. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣が来ておりませんから、都市交通の問題については、大臣にお聞きします。  もう一つ、病院のことについてお聞きしたいのです。去年の十二月十九日に参議院で、北九州市の病院問題について和田静夫君から質問があったわけです。私はその議事録を読んで、細郷さんえらいことを言ったものだな、こういうことを感じました。細郷さんこう言っているのです。「私どもは、委託先が別に公益法人でなければならないとは考えておりません。どういう会社に委託するのが最も有利であり、かつ能率的であり、かつ健全な食事ができるかということであろうと思っております。」こういう答弁をしておりますと、一見これがきわめて常識的なようでありますけれども、社会労働委員会なりこの委員会で論議された問題は全く無視されております。あなたは忘れてしまっておるのですよ。公益法人にしなければならないというのはだれが一体答えたか。厚生大臣が答えたのです。それはどういうことからなったかといいますと、北九州市が地方公営企業の再建団体の準用団体になろうとして条例で二百数十名の首を切ったわけです。そして、給食関係は一切民間に委託をさせたわけです。ところが、民間に委託をさせますと、給食というのは医療の一部なんであります。医療法違反になってくるのであります。この医療法違反を避けようとしますと、職業安定法違反という事実が起こってまいったのであります。そこで、給食関係というのは医療法上民間委託はできない。直接やるか、公益法人でやるかという形で、最終的には社会党の河野正委員と厚生大臣との間の質疑で明確になっておるのです。それをあなた、細郷さん、委託先がどうである、そんなもの問題でないのだ。能率さえよければいいのだということになると、医療法の問題とか職安法の問題なんか忘れてしまっている答弁ですよ、どういうことなんですか。
  191. 細郷道一

    細郷政府委員 すでに昨年たびたびここでも御審議をいただいたことでございますから、詳細なる経緯を重ねて申し上げることは避けますが、確かに医療法の問題あるいは職安法の問題等がございました。関係の厚生省、労働省とも十分打ち合わせをいたしまして、違法でない方法はこういう方法であるということで、委託契約の内容をきめたわけでございます。委託契約自体はそういうことでございましたが、その委託先を何にするかということについては、厚生省側は、直接やるかあるいは公益法人にやることが望ましいので、そういう指導をしたい、こういうことをたしか申し上げておると思います。私ども、厚生省のそういう指導の方針を別にじゃましようとかいうようなことは毛頭思っておりません。思っておりませんが、北九州の病院自体は、委託先をきめる場合に、公益法人ならばどんな条件でもいいというものであってはいけない。少なくとも再建をする非常の事態でありますから、最も合理的、能率的にいける方法を選ぶべきである、こういう考え方を申し上げたわけでございます。
  192. 細谷治嘉

    細谷委員 能率的であろうと何であろうと、ここでも問題になり、社会労働委員会でも問題になって、そしてあなたがそれを強引にやってしまったわけですね、北九州市は。そこでまた社会労働委員会で問題になって、そして厚生大臣は、いまの自民党の国対委員長である園田さんであります。その園田厚生大臣河野正議員の質問に答えて、医療法の趣旨からも病院の直営が当然である。「万やむを得ず委託する場合といえども、その内容の適正を期するためにも、しかも給食が医療の一部であるという本質からも、その委託先が本来営利を目的とするものではなくて、公益法人であることが適当である」こういうふうに答えて、しかも書類が河野正議員に渡っているのです。そういう形で来ておって、そして、仄聞するところによりますと、一年以内に必ず公益法人にすると答えているのですが、いまだに公益法人になっておりません。そして、この給食の下請会社の幹部は、去年来たいへんに問題になった米ぬか油のカネミの社長がやっているということですよ。こういうことで医療が守れますか。あなた知っているはずですよ。それをただ単に、委託先が公益法人でなければならぬとは考えていません、どこの会社に委託しようが、能率的で有利でありさえすればいいんだという、そんな答弁は了承できませんよ。その問の経過を御存じの、あの経過に参加しましたあなたの答弁は、これはまことにけしからぬ。
  193. 細郷道一

    細郷政府委員 私がそういう御答弁を申し上げました四十三年十二月十九日の参議院の地方行政委員会では、私にお尋ねのあるすぐ直前に、厚生政務次官が質問者にお答えをいたしまして、「給食の内容というのが、お話にありましたとおり、やはり医療の一部であるということから考えましても、重要な問題であるし、それから公益法人としての業務のあり方、サービスのあり方など、そういうことなども考えまして、公益法人移行に伴う諸問題について数次にわたって検討中でございます。厚生省といたしましても十分な指導をいたしまして、そうして一日も早くこれが実現するようにと現にやっております。」こういうお答えもなされておるのでございます。厚生省がそういう御指導をなさいますことについては、私どももその点についてはいきさつも承知しておりますので、私どもも十分それを理解しておるわけでございます。そういうことからあれでございますが、同時に、先ほど申し上げましたように、公益法人が望ましいけれども、公益法人でなければならぬというわけではございませんし、現にあの地区にはまだ公益法人がないわけでございまして、そういったようなことから考えまして、現在は御承知の関係の三つか四つの会社に委託をいたしておる、こういうことでございます。  なお、例の米ぬか油事件の社長は、別会社の人と私は聞いております。
  194. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの、これは粟山秀さんの前に、この議事録に書いてあります。私はここで質問しましたから、河野正議員と厚生大臣のやりとりのその当時の議事録も見せていただいたし、どういうふうに質問するからどういうふうに答弁するということを、理事会で詰めての大臣の答弁なんですよ。ただ単に質問をさっとして、さっと答えたのではないのです。理事会で詰めた上で、了承のもとに質問が行なわれ、答弁が行なわれた内容なんです。その内容が、いま申し上げたように、医療法の趣旨から、病院の給食は直営がほんとうである、しかし万やむを得ない場合でも、最低限公益法人である、こういうことになっておるにかかわらず、去年の三月から今日まで一年以上になっているのに、依然としてやろうともせぬし、そのままの姿、そして十二月十九日の質問で、諸問題は数次にわたって検討中であります……(「文句を言う先が違うよ」と呼ぶ者あり)文句を言うんじゃないのですよ。そうなんですよ。自治省の認識がおかしいですよ。
  195. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来申し上げておりますように、厚生省の指導方針を私どもじゃましようとは思っておりません。ただ、再建をいたします際には、私どもはやはり再建をする側に立っての考え方というものも必要だと思うのであります。医療法その他につきましては、委託契約の内容について十分関係省で詰めて、合法的なものということによって契約が結ばれる、こういうことでございます。  なお、現に北九州の地区には公益法人の給食会社がまだございませんございませんものですから、かりに厚生省が指導をなさいましても、現実にそこにやっていただくことはできない。昨年給食委託先をきめまして、一年たって再入札を、今度入札のし直しをしまして、多少会社がかわりました。しかし、その際も、公益法人自身がございませんものですからそういうことになっておるわけでございます。北九州市も十分厚生省の考え方も承知をし、公営企業再建計画をやる心がまえも十分考えて処置をしておるもの、かように考えております。
  196. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたは、去年の五十八国会で問題になったことでよく御存じである。こうなった場合には職業安定法違反になる、こういう場合には医療法違反になる、こういうことが、この委員会でも、社会労働委員会でも議論されまして、そうして自治省としては、厚生省と労働省との話し合い、それを受けて立っていこう、措置していこう、こういうことになっているわけです。にもかかわらず、委託先が何であろうと、安くて能率的であればいいんだ。医療法の問題なり、そういうものをわきまえておらないですよ。ですから、いってみますと、いわゆる病院のもうかるようなかっこうにさえなればどうなったっていい、医療法を無視しようが、職安法を無視しようが、かまわないんだ、こういうような態度の答弁だと理解せざるを得ぬでしょう。知っているあなたとしては、きわめてこれは不用意な答弁ですよ。
  197. 細郷道一

    細郷政府委員 たびたび申し上げますように、医療法、職安法との抵触関係がないような契約内容でやるということについて、関係三省の間で当時一致をいたしております。その線に沿って委託をいたした、こういうことでございます。
  198. 細谷治嘉

    細谷委員 それから三者で打ち合わしたところで、くどくなりますけれども、最終的には厚生大臣が、公益法人にしなければならぬ、下請になって、民間になって、そこでまた問題が起こって、公益法人にしなければならぬ、こういうことになったんですよ。直営から直接に民営に移っちゃったんですよ。それではいかぬというわけでこういう答弁が出てきておるわけですよ、三月二十六日。その辺の経過からいきますと、もうすでに一年余を経過しているわけですから実現しておらなければならぬと思うのでありますけれども、去年と全然進んでない。しかも、あの経過というのは全く踏みにじられておる、こう申さなければならぬ。
  199. 細郷道一

    細郷政府委員 どうも、たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますが、厚生省としては、当時医療法にどう抵触するか、あるいは労働省は、職安法にどう抵触するかという問題がございましたので、関係三省集まりまして、法制的に違法でない内容の委託契約をつくる。したがって、委託をする場合には、そういった違法性のない契約によってやるということに実はぎまったわけでございます。そのとおりに現地ではいたしております。ただ厚生省が、指導の方針として、公益法人でやることが望ましいんだ、こういう指導の方針を打ち出されております。私どもはその指導の方針を別にどうこうとは申しておりませんが、現に現地におきましてはまだ公益法人による給食会社はございません。   〔「社労の問題だ」と呼ぶ者あり〕
  200. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ社労だという不規則発言がありますから、この辺のあれは社労でしょう。しかしこれは、こういう問題があるということだけはひとつ残しておきます。  大臣、あなたの不在の際に、都市交通問題について財政局長に問いただした点では、いろいろと自治省としては努力をしておるけれども、いろいろな企業外の条件等もあって、今日の公営企業というのはなかなか立ちいかないような事態にきておる、こういうことであります。立ちいかないけれども、なお独立採算制は守りますと、これが財政局長の答弁であります。これでよろしいかどうか。立っていかぬのに独立採算なんて、こんな矛盾したことばないですよ。ただ抽象的に、いまも努力し、今後も努力していきます、これだけの話です。  私が問題提起をいたしました。路面電車等をやめていきますとばく大な赤字がそこに残っておるが、その赤字をただでさえ経営困難なバスなり地下鉄にかぶせるのは、これはもうますますいかぬことではないか。ですから、国鉄にやったように一時これはたな上げをする、こういう方途を講じなければならぬと思うがどうか、これが一つでありますが、残念ながらこれについては答弁がないのであります。  第二番目は、不良債務を再建債で肩がわりしたのでありますけれども、これがきわめて不十分であります。いってみますと、他の企業剰余金等があるからというわけで削っております。不十分が起こっております。それではせっかくの再建が実現しないのでありますから、その不良債務は現在の再建団体でおよそ三百億円程度あると見込まれるわけですが、これはひとつ借りかえ債等で計画的に運営の中において処理できるように切りかえていくべきではないか、これが第二であります。  第三番目は、再建債に対する利子補給は、法律の原則が三分五厘超八分までの利子補給となっておりますけれども、いろいろとランクを設けまして、実際の利子補給というのは、当時法律を審議した際に予想された額よりもかなり下回っておるので、この政令を改める意思はないかどうか、こういう問題点についてお聞きしたのでありますけれども、これについてもお答えがないのであります。  以上、四つの点をあなたのいらっしゃらぬときに財政局長から聞いたのでありますが、一番最初についてはきわめて不合理な答弁、あとの三つについてはお答えがないのであります。大臣からお聞きしたい。
  201. 野田武夫

    野田国務大臣 これは私も最近公営企業ことに都市交通、このままほっておいたら、再建団体になっておっても、いつこれがほんとうに再建するかということは、私も事実疑問に思ってきました。ただ、いまのつまり財政措置とか、法律も再建法とかいろいろありますが、このままほっておいて、このままでもっていまの再建計画とか法律の根拠によってだけやっておってもなかなかこれは困難だと、私自身が実を言うと認識しているのです。これは財政局長がそこまでいろんなことは御答弁を控えたのは、私は局長の立場はよくわかります。また、われわれはそれを検討はしておりますが、成案を得ておるわけではありません。実は私的なことではございますが、ずいぶんお聞きしておりまして、私も内容について多少理解しております。たとえば路面電車の持っておったいままでの借金を、そのままいまのバスとかいろんなものに引き継いでいく。なかなかこれを返すということは、何年かかって返す、どういう方法で返すということは、事実問題として非常にむずかしいのです。私はそれはわかります。というのは、これは公営企業という立場だから、いままでいろいろ政府の援助政策もやっておりますし、また、援助しようと思っております。しかし、一般的に常識的に考えますと、これはたな上げするようにするかせぬかということは、きょうは私はお答えできませんのは、私だけ考えましても、これは政府全体で考えることになりますから、自治大臣がこう言うということは、ちょっと私差し控えたいと思いますが、私の気持ちは、何かの措置を講じなければ、路面電車でしょった債務をそのままつけ加えておってこれが払えるようになるかというと、どういう方法で払えるかということは、私も事実非常にむずかしいと思っております。その点におきましては、いま御指摘のございましたたな上げ論なんというものは、一つの意見としてやはり考えるべきだと思います。私がするしないということを言う段階ではございません。私一人で言ったってできないことですから、口先だけで大きいことを言ったってそれはできません。しかし私は、それは一つの御意見だと思います。しかし、これをどうするかということは、これは政府全体で——全体というと何ですが、これはいろいろな関係もございますから言いませんが、その問題は確かに、これは何とかなろうとか、また、ただむずかしいと口先だけで言ったっていかぬから、これはいろんな具体案を十分考えなくちゃならぬことに当面してきたのじゃないか、こう思っております。  それから、不良債務の再建債の借りかえ債はどうだ、それからもう一つ、いまの再建債の利子補給の問題、これはやはり総合的に——それがいま細谷さんがおっしゃったことが一々そのままいけるかどうか知らぬが、このままの体制で地方公営企業の財政の健全化とか再建計画のなんということは、もう行き詰まっていることは事実でございます。これはだれが何といっても、どうこれを分析して切開していくか、どう対策を立てるかということが、これはひとり自治省だけでなくて、一般のみんなが、ことに非常に関心のある方々が、いろいろ検討していただきたい問題だと私は思う。これは私は痛切に感じております。  そこで、いまやり方としますれば、一般会計でこれの負担を多少改善する、こういう方法もありましょう。しかしそれでは足りぬ。はたして一般会計でどこまで繰り出していくかというようなこともございますし、やはりこれも限度があると思いますから、根本的なことを検討する段階にきているのじゃないか。  それから地下鉄は御承知のとおり、もう私もしばしばお答えしておりますとおり、先ほど大蔵大臣もここでお答えいたしておりましたが、実はこれは御存じだと思いますが、いまの地下鉄の国の補助ではだめだ、そんなことを言っておって——これはもう私よりも御存じですから申し上げる必要もありませんが、これは皆さん、大体与野党ほとんど意見が一致しています。路面から地下鉄をつくるのは、地下に道路をつくることじゃないかという一貫した御議論、これは当然ですよ。だから予算編成には、いま運輸省の関係で補助が出ていますけれども、それはだめだ。自治省としては、とてもそんなことを言っておったって地下鉄の建設はできないというのでがんばったのです、打ち明けますと。いろいろ言いませんけれども、私はそのとき、結局あの覚書というものは、今度はどうしてもいかぬから、四十五年から考えるからと言うから、それじゃひとつここに確証を握りたいと、実はあれは自治省主張したのです。いろいろいきさつは言いませんが、私は相当熱意を持っております。しかし、いまの具体案を、細谷さんの御提案は、一々どうということは私きょうは控えさせていただきたい。しかし、このままの状態で、たとえば地下鉄の補助をどうする、また一般会計から繰り出しをどうするというだけで、はたしていけるかというと、なかなかこれも困難、やはり基本的なことを検討する段階にしているのじゃないかということを私も痛感いたしております。これらにつきまして、具体案をどうせいとお尋ねになるかもしれませんが、具体案までいくまでに、実はいままで長い間いわれたことでございましょうが、事務当局といたしましては、やはり答えようがありません。私は助けるのじゃありませんが、財政局長にこの案をどうするかと言われてもこれは無理であります。しかし、ほうっておきますと——ここで基本的なことをやらなければ、地方公営企業というものはこのままでほうっておいて、何かかんかこう薬ばりでいきましても、ほんとうに行き詰まると私は思う。しかし、同時に、これは私の立場から言えば、その当事者も、経営者のほうも、労使ともに真剣に考えていただくということは当然のことでございますから、そういうことをほったらかしてはいけませんが、これは一緒になって、どうすればいいかということにもうきておる段階だということを、私は形式的なお答えじゃありません、ほんとうに自分でも痛感しておる節がございますから、これだけお答えしておきます。
  202. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、かなり熱意のある御答弁をいただいたのですが、私は、たな上げしたらどうかという問題は、たとえば大阪の事情を聞きますと、いま大臣が言ったように、大阪の場合はかなり早くから地下鉄をやっております。自治省予算要求したように、三分の二の、これからの建設に対する国の補助等の手当てが実現し、既往の分について元利等について三分の二程度のものを補給していただくということであれば、十年したら大体地下鉄はペイするようになります。その暁には、たな上げしておる路面電車の負債を何とか処理できると思います。こういう明るい見通しなんだ。明るい見通しを実現する努力は私は否定いたしませんけれども、現実にはなかなか実現してない、こういうことでありますし、これから路面電車をやる、これから地下鉄をやろうとしておるところもありますし、すでに地下鉄は相当やっておるところもありますけれども、そういう前提条件を整えていただかなければならぬのでありますから、それは赤字のやつは、ほかのバスが残っていればバスにしょわせろ、地下鉄にしょわせろなんといったって、それ自体が一人歩きできないのに、荷物をしょわされてもだめなんですから、これは大臣がっちりがんばっていただきたい。  そこで、大臣がいらっしゃいませんでしたから、警察庁と運輸省が来ておるのですけれども、これも的確な答弁がない。大衆輸送車を優先的に運行できるようにしていただけば、電車でもバスでも、時速十一キロとか十二キロというのが、経済速度で走れるわけです。そうしますと相当の増収が期待できるわけですね。現に大阪は昭和三十七年くらいは路面電車は大体十四、五キロくらいで走っておった。そのときの収入よりも現在は十一、二キロしか走れませんから一二%も料金収入が落ちておるわけですね。こういうことですから、やはり交通規制をやらなければならぬ。ある市長は、もし大衆輸送優先という形での交通規制が市長の権限としてやれるならば、バス事業あるいは路面電車を黒字にすることができますと言ったのを私は聞いております。それほど交通規制も重要な問題になっておりますが、残念ながら運輸省も警察庁もいい答えが出ません。警察庁では、大阪等ではやっておりますけれども、なかなか運輸省が本ちゃんのほうがやらぬものですから機械的になります。大衆輸送優先という形がなかなかとれない、こういうところに問題があろうと思うのですが、ひとつこの点は、大臣は閣議において、今日までの累積赤字は都市交通政策の不在というところの蓄積がこうなったわけですから、ひとつその解決に一歩を踏み出す意味において、閣議でがんばっていただきたい。この交通規制の問題もこれを強く要請しておきたいと思う。  そこで、最後になりますが、大臣にお聞きしたいのであります。そういう条件の中で、現実に、客観的に、独立採算が不可能な条件のもとに置かれておるにかかわらず、独立採算を強要する。金がなければ経営の状況で公営企業法三十八条によってベースアップはできないじゃないか、ベースアップしたいならば再建計画を持ってこい、こういう形でありますために、公務員についてはすでに昨年の七月から実施されている人事院勧告のベースアップが都市交通にはいまだに実現いたしておりません。そればかりじゃなく、水道等も現実に実現していないところもあります。昨日大臣たいへん御配慮いただいたようでありますが、きょうはこういう問題を含めて統一行動が行なわれておると聞いております。しかも、今日の物価高の中において、鉄鋼は五千三百円、実質的には七千円をこえるだろうといわれるベース改定が行なわれようとしておりますし、電気労連は七千円の回答が出されようとしておる。ところによっては一万円をこえている回答も出ておるという中において、都市交通労働者だけが地方公務員でありながら人事院勧告によるベース改定をいまだに受けておらぬということは、これは私は許すことのできない状態ではないかと思います。今度、八月にもまた人事院勧告があることは必至でありましょう。現に地方財政計画交付税でもそれを予定して計画されておるわけであります。そういう時期でありますから、人事院勧告がなされるまでにこの九賃の問題、去年の四十三年度の分については、ひとつ大臣も、そういう状態であるのを一方的に地方公務員、いわゆる企業職員に押しつけるのではなくて、解決のめどを一日も早くつけていただきたい、こう思うのであります。これについて、この席で大臣の所信のほどを承って私の質問を終わっておきたいと思う。
  203. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、細谷さんの御主張、非常によく理解できると思います。お話しのとおり九賃から改定していない。また今度八月に出てくる。一般の人は上がっても公営企業関係だから給料のベースアップができない。これは基本として独立採算制だから、やはり経営内でもって給与の財源をまかなえ、これは一通りの筋なんです。しかし、それはお話しのとおり、筋だけ通してものを言えば簡単ですが、事実は私も、実際他の一般の職員と比べて公営企業の労働者が一年も二年もその問題でがたがたして、ベースアップもできないという状態は、何といいますか、実際上の問題としてやはり何とかめどをつけて解決してやるべきじゃないかと私は深く思っております。  これは私的に関することでございますからここでは避けたいと思いますが、この間、ある大都市の執行部の人とお会いいたしました。その話のときも、何かひとつお互いに考えようじゃないか。そこでだんだん調べてみますると、細谷さんは、八賃のとき以来のいろいろな交渉のあった経過は十分御承知のとおりですが、そのときに自治省財政を担当している者と、いわゆる公営企業の都市交通の管理している責任者といいますか、いろいろ折衝した結果、まあひとつ公営企業の企業体制について考慮しよう——もう内容なんかあなた十分御承知ですから説明しませんが、こういう約束をした。そこで、その約束はどうなっているかと聞くと、その約束は一向成案を得ていない。もっと進んで申しますと、そこにある都市の交通局長も来ておられましたから、君はそういう約束があったら、ひとつどんどん自治省の財務の責任者と話し合ってみたらどうか。そうして、どこまで煮詰まるか、それが全部思うようにいかぬ場合もあるでしょう、人の仕事だから。いままで折衝しましたかと聞いたところが、形式的に一度はしたけれども、その後は何も折衝していないということが明らかになったので、私は、その都市の執行部の責任者も、両方ともにそうかと言うて、それは困る、そこでもう少し緊密に接触しなさい。ただ、自治省に来て、何とかしてくれということはわかるけれども、そういう約束をしたならば、約束に沿うて一応お互いに案を持ち寄るとか、ここまでやったけれどもできないとか——もちろんなかなか完全なものはできるはずはないことは、これは常識的に思うけれども、約束に対する努力だけは見せてもらいたい、こういう希望を私は述べたのです。それはよくわかると当の市長も言っておりました。  そこで私は、それを言い出すと、またいろいろ折衝の前に影響が悪くなりますから言いませんけれども、やはり約束したら——これはここだけは言っていいと思うのです。それがつまり百点満点をとるほどの成案を出すことは困難です。困難だけれども、何十点でもいいから、その何十点までの話を煮詰めて、どうしてもつかなければつかないでいいから、煮詰めるだけの努力はお互いにしてほしい。そこで私どものお互いの知恵を出し合おうじゃないかというのが私の実は態度なんです。自治省はこうすべきだというお話はわかりますけれども、やはり事務当局といたしましても、決していいかげんに取り扱っているのではございません。そこまで私がただしましたところが、一向作業もできていないし、接触もない。形だけのあいさつぐらいしたかもしれません。これはいやなことでしょう、なかなかむずかしいことでしょうが、しかし努力だけは重ねてもらいたい。その結果によって、その成否にかかわらず、われわれはひとつみんな苦労して考えてみようじゃないかということまで私は実は申したのでございまして、いま内容を、だれがどうしたということをここでは避けます。避けますが、私はそういう気持ちを自分では持っておりますから、そのままのことを申し上げるのでありまして、ほかの者はみんな上がっているのに、同じところにつとめている片一方が、公営企業であるためにベースアップができないというようなことは、決して正しいことでもないし、またいいことでもない。できるだけそういうことは解決してやるべきじゃないかという私は気持ちを持っております。私はその問題についてはわりに積極的に考えたのです。そこでそこまでただしたのです。だから、きょう私はここで細谷さんの御満足のいくようなお返事ができないかもしれませんが、その忠告と私の希望だけは関係の方々に申し上げておきました。  それからまた、一つの御提案もありました。どういうふうに扱うか、それもここで申しますと、せっかく何とか私も結論を得たいという気持ちがありますから、何かあまり露骨に申しますとこれまた影響しますと悪いですから……。この私の気持ちは決して抽象的な、おざなりの返事をしているつもりはございませんが、実態は、あまり詳しく御説明しますとせっかく一つの案も出ておりますから、またその案もいいか悪いかいま検討しているときでもありますから、私の気持ちの一端を申し述べますが、そういう情勢で、私自身が何とかめどをつけたいという気持ちで、しかもそれは決していいかげんな、おざなりなことではできないという感じを持っておりますから、ひとつ御了承願えれば、私は非常にけっこうだと思っております。
  204. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣のおことばで、やはり企業職員に九賃をやらないということは正しいことでもないし、いいことでもない、こういうようなおことばがありましたが、そういうお気持ちで大臣が対処されるようでありますから、大臣のお気持ちを了として私の質問を終わります。
  205. 野田武夫

    野田国務大臣 ちょっと、そこでいまことばを言われるといけないから……。  正しいというのじゃなくて、いいことじゃないということにしておいていただきたい。法律で、独立採算やっておりますからね、経営を。しかし、いいことじゃないということは同じことですから、あとでまた、かりに——なかなか公の席上で、やると言いますと、じゃ不正なことをやっているじゃないか……。正しいとか正しくないという私の言います表現は、いいことじゃない、できるだけ解決したいということでございますから、どうぞその気持ちを御理解願います。
  206. 細谷治嘉

    細谷委員 私がいま確認したことばは、何も私がつくったことばじゃないんですよ。大臣の言ったことばそのまま表現したんですから……。
  207. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 小濱新次君。   〔「議事進行、理事会を開いてください」と呼び、その他発言する者あり〕
  208. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、暫時休憩いたします。その時間は二十分といたしまして、そして再開をいたします。    午後八時二十六分休憩      ————◇—————    午後八時五十九分開議
  209. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小濱新次君。
  210. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、地方税法及び地方財政について、野田自治大臣、それから細郷局長、その他の方に御質問を申し上げたいと思います。基本的なことでありますので、重複する問題になりますけれども、ひとつお尋ねをしていきたいと思います。  これは自治大臣にお願いしたいのですが、昨年の本会議並びに地方行政委員会における大臣答弁においては、国に四百五十億円貸し付けることは四十三年度限りの措置であって、今後は絶対に行なわないと述べておられますが、今回また六百九十億円の貸し付け措置を講じて、国会の本会議における約束に反することは、全く国会軽視であり、国民の信を失う結果となると思う、こういうふうに私どもは考えるわけであります。そこで、この問題については党を代表する立場でありますので、もう一ぺん基本的な問題として大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  211. 野田武夫

    野田国務大臣 四十四年度でとりました六百九十億の特別措置は、四十三年度で行ないました特例措置とは内容を異にいたしておりまして、たびたびお答えいたしますとおり、四十三年度自然増収を目当てとして、その限度内でこの特例措置をとったわけでございます。したがって、大蔵大臣と私と覚書を交換いたしまして、今後はこの措置をとらないとはっきりお互い約束をいたしました。先ほど大蔵大臣もこの席に参りまして、同様なお約束をしてお答えした次第でございます。
  212. 小濱新次

    ○小濱委員 覚書については、交付税の貸借は今後絶対に行なわない、こういうふうに約束されました。私どもも確信ある御回答をいただきましたからそのように信じたいと思いますが、前例がありますので、ちょっと心配な点もあるわけです。そして再度大臣からのかたい決意をお聞きいたしましたので、この点についてはそのように信じてまいりたいと思います。  次に、交付税の基準財政需要額の算定についてお伺いしていきたいと思います。  現在の基準財政需要額の算定における市町村の標準団体は人口十万人である。しかし大は何百万人も有する指定都市をはじめ、小は二千、三千の村に至るまで、同じものさしでもって算定することは、たとえそれが各種の補正があったとしても、激変しつつある大都市、中都市の実情に即した措置とは考えられないが、これについてどういうふうにお考えになられますか。たとえば現在の標準団体の人口規模は十万人であるけれども、これを人口規模に応じて大都市、中都市、小都市、町村の四段階くらいに分ける必要があると思いますが、この点については、自治省では今後検討する考えはございませんか、お伺いしたいと思います。
  213. 細郷道一

    細郷政府委員 この問題はかねてから私どもも研究すべき問題と考えて、実はいろいろ研究いたしたのでございますが、なかなかこれという成案は得られないままに今日に至っておるわけであります。しかし複雑な社会情勢等もございますので、なおよく研究をしてまいりたいと思います。
  214. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは私もどんどんはしょってやっていきたいと思いますけれども、答弁はひとつ誠意ある内容を極力努力をしてお示しいただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。  次に、財政需要額の算定上の人口急増補正、まあ県なら県だけ、市なら市だけ、町村なら町村だけの、一つの地方団体内における人口の移動による人口の急増については適用されない。しかし、最近の都市周辺地域への人口の移動、いわゆるドーナツ化現象を生じ、学校、道路、下水等の設備を行なわれなければならないという実情になっております。現行の人口急増補正をさらに細分化して、たとえば県内の都市の人口増と農村の人口減少を相殺されて何の補正も行なわれないことになるのではないか。指定都市においても同様の状態にあるが、区を単位としての人口急増補正を行なう必要があると思うのでございます。この辺はどうでございましょうか。
  215. 細郷道一

    細郷政府委員 行政区ごとに分けて行なってはどうかという御意見だと思います。それも私は一つの考えと思いますが、何ぶんにも行政区ごとにどういう仕事を市からおろしていくかといったような問題については、各市の行き方にまかせられておるのでございまして、そういった面から、これを一律的な計算方法をするということはなかなか困難があるわけでございます。しかし私どもは、大都市につきましてはそういった大都市におきます人口の膨張の状況、あるいは昼夜間人口の差といったようなものを考慮に入れるほか、たとえば道路等につきましては交通量による補正といったようなことによって、できるだけその実態を参酌した財政需要額の計算方法につとめておるわけでございます。
  216. 小濱新次

    ○小濱委員 実態をつかむことは当然でございます。次に入ります。  従来の都市圏補正の改正によりまして、たとえばですが、現在横浜とか相模原、それから厚木、大和等の市町村は、概略でよいから、従来よりもどの程度補正によって増加されるか、その金額が不明であるならば、従来よりも何%増額される見込みであるか、この点おわかりになりませんか。
  217. 細郷道一

    細郷政府委員 お尋ねの団体ごとの需要額は、ちょっといまの段階ではお答えいたしかねます。ただ、考え方は、御承知のように、都市圏補正を今回昨年よりもさらに進めてまいっておりますので、いま御指摘のございました市もそれに入るものと考えております。したがいまして、財政需要額は一般的には市町村は二二%ぐらいの伸びであろうと思いますが、お尋ねのようなところはそれを上回る伸びをする見込みでございます。
  218. 小濱新次

    ○小濱委員 これは要求しておきますが、後ほどでけっこうでありますので、いまの横浜と相模原、厚木と大和、この内容がおわかりになりましたならば、この委員会まで提出をしていただきたいと思います。お願いします。  次に入りますが、次は都市公害問題でございます。各地方団体は、公害対策のため四十二年決算では府県は三十六億円、市町村は八十億円、計百十六億円の決算となっております。そこで四十三、四十四年度においてはどのくらい支出される見込みであるか、この点もひとつお示しいただきたいと思います。
  219. 細郷道一

    細郷政府委員 公害につきましては、主として事務費について普通交付税で算定をしております。昨年は府県、市町村を通じて約六億程度でございましたが、今回は倍の十二億程度になる見込みでございます。  なお、そのほか特殊な地帯におきまして公害のための器械あるいは測定器といったような特殊なものを購入する団体もございますので、そういうものにつきましては特別交付税で措置をしてまいりたい、こう思っております。  それから、投資的な事業につきましては、実は公害対策事業と申しましても各団体ごとにいろいろございます。道路を拡幅するのもございましょうし、緑地を設けるのもございましょう。あるいは下水その他を設けるものもございまして、それらを公害対策としてまとめてやることは、現在の段階でそのバラエティーの点から見て非常にむずかしい点がございます。したがいまして、私どもは、先般来申し上げておりますように、そういった都市計画事業費につきましては今回かなり需要をふやしております。  なお、別途公害対策として仕事を行ないます場合に、その団体につきましては地方債を認めることによって措置をしてまいりたい、かように考えております。
  220. 小濱新次

    ○小濱委員 最近特に各都市とも公害の発生が顕著になっておるわけでございます。公害立法も促進されております。市町村は公害対策に現在たいへんな悩みを持っているわけでございます。そこで、交付税においても公害対策の経費を十分に織り込むべきだと思うのでございますが、いろいろといま説明がございましたけれども、現在普通交付税と特交でどの程度見ているのか、いま示された数字がこの中にあるのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  221. 細郷道一

    細郷政府委員 四十四年度は、いま申し上げましたように、普通交付税では、事務費につきまして全体で十二億、なおそのほか特殊の測定器等を設けますものにつきましては特別交付税で見てまいりたいと思っております。
  222. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点伺いますが、現在は公害対策費を独立の項目を設けていないように聞いております。公害対策費を設けて実情に沿った補正を行なう、こういう必要が当然起こっていると思うわけでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  223. 細郷道一

    細郷政府委員 公害対策事業費というものがどういう内容のものであるのかというのが各団体によっていろいろでございます。緑地を設けたいというところもございましょうし、下水路を完備することによってそれの対策としていくといったふうにいろいろございますものですから、これをまとめることがはたしてうまく需要測定上いけるのか、われわれいまの段階では多少疑問があるわけでございます。しかし、公害につきましては、いろいろの問題もございますので、私どもも起債等でかなりこれの手当てをいたしております。
  224. 小濱新次

    ○小濱委員 自治体でどこへ行っても公害のないという都市はない、こう言っても間違いでないと思います。そのくらい起こっておるわけです。ところが、この間の決算でも私は本会議質問したのですけれども、公害検査官等のわずかな七名くらいの人の要求もけっているような政府の態度、いま局長の言われました御答弁のなかでも——いまはもう全国的にこの問題は起こっておりますので、ひとつ内容をよく把握されて、そして手おくれにならない、あとでもの笑いにならないように、私どもとしては努力をしていかなければならない、こういう立場から局長のこれからの奮起を特にお願いしたいと思うわけであります。  次に参ります。  都市の中小河川についてお伺いいたしますが、交付税では現在都市の中小河川改修等の経費をどの費目で、どのくらいの総額を、どのような方法で措置しておられますか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  225. 細郷道一

    細郷政府委員 今回、市町村のその他の行政費の需要を測定する項目がございます。その中で特に都市河川というものを意識いたしまして十二億ほど需要を見込んでおります。
  226. 小濱新次

    ○小濱委員 ある小さな河川でありますけれども計画決定をされた、それから事業決定もされた、それから予算決定も一部された、ところが、その河川は二十年もかかっているそうです。こういう問題もこの過密都市には非常に多いわけです。こういう点でどうしてもこの問題をやはり真剣に取り組んでいかなければならない一つの問題点であろう、こういうふうに思います。  次に、またその問題についてもう一つお伺いいたしますが、都市の中小河川は水流の延長が短いにかかわらず流域の人口は非常に多く、単位当たりの改修費が高くなっておる。よって延長のみでなく、人口密度による補正を考えなければ、的確な財政需要は補正されないことになるのではないか、この点についてはいかがでございましょうか。
  227. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう点もございますので、今回の人口集中地区の人口の比率というものを面積の要素の中に入れてまいりたい、かように考えております。
  228. 小濱新次

    ○小濱委員 これも地域によって私どもがよく見ることでありますけれども、たとえば神戸は裏が山になっておる。したがって川の源が浅いわけです、非常に距離が短いわけです、奥が浅いものですから、どうしてもいまの単位当たりの改修費という問題が起こってくる、こういうことから、この問題については、やはり人口密度ということが最近は問題にされなければならない。こういう現象が起こっておりますので、この点についても御答弁いただきましたが、一そうの努力をお願いしたいと思います。  次に、今度は市町村道についてであります。現在の交付税では、市町村道について補助事業、あるいは単独事業の事業費補正は行なわれているのかどうか。行なわれていないとするならば、どういう理由からか。この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  229. 細郷道一

    細郷政府委員 いままでは市町村道について事業費補正はいたしておりませんでしたが、今回五大市と申しますか、指定市の国府県道については事業費補正を適用するようにいたすつもりでおります。その他の市町村道一般について事業費補正をやるかどうかにつきましては、何ぶんにも市町村道に対します補助の実態がきわめて小規模でございます。額的にもわずかでございますので、それをかりにいまの段階で適用するといたしましても、その効果は非常に限られたもので、わずかなものになるのではなかろうかということで、今回はいたしておりません。
  230. 小濱新次

    ○小濱委員 関連してもう一点お伺いいたしますが、今後道路五カ年計画も市町村道にも重点が置かれるようになりました。そして、これに伴って地方負担もこれは当然増大することが予想されるわけであります。今後、市町村道についても事業費補正を行なって、十分な財政措置を講ずべきである、こう思うわけであります。とにかく、御存じのように、道路には金がかかるわけです。まず下水をやらなければならない。それからそれに伴ういろいろな諸経費が重なります。そういう点で事業費補正ということは自治省として十分考えてやらなければならない、そういうふうに特に感じますので、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  231. 細郷道一

    細郷政府委員 今回は市町村道については従来よりも少なくとも五割増しの財源措置をいたしました。したがって、それによって市町村道の改良度合いも、いままでのテンポよりは進むものと期待をいたしております。事業費補正の適用につきましては、市町村道に対する補助制度の状況ども見合って、よく検討してまいりたいと思っております。  なお、街路につきましては現在事業費補正を行なっております。
  232. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、基地交付金についてお尋ねいたします。  自治省は四十四年度幾ら要求し、幾らにきまったのか、この点はいかがでございましょう。
  233. 山下稔

    ○山下説明員 四十四年度は四十二億円要求いたしまして二十六億円に決定いたしました。
  234. 小濱新次

    ○小濱委員 四十二億円の交付金要求額の積算の根拠を教えてもらいたいと思います。
  235. 山下稔

    ○山下説明員 交付金の対象になります資産価格を三千億と見積もりまして、その百分の一・四を乗じた額、四十二億の要求をいたしたわけでございます。
  236. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの説明の積算で、飛行場、演習場の建物及び工作物、またドル施設は入っておりますか。
  237. 山下稔

    ○山下説明員 御指摘の飛行場、演習場の建物、工作物は要求いたしましたが、米ドル資産は要求しておりません。
  238. 小濱新次

    ○小濱委員 それはどういうわけですか。
  239. 山下稔

    ○山下説明員 ただいいま基地交付金の対象になっておらない資産にはこのほか幾つかのものがございますが、とりあえず、私どもといたしましては、緊急を要することと考えるものを取り上げて要求いたしました。  米ドル資産についても検討はいたしておりますが、今回は一応見送ったわけでございます。
  240. 小濱新次

    ○小濱委員 今回は見送った。そうすると来年度は検討する、こういうことになりますか。
  241. 山下稔

    ○山下説明員 御承知のとおり、基地交付金は、国有資産を米軍に提供している場合に、それを対象として交付するという趣旨が基本になっております。ところが、米ドル資産は、合衆国が自分の資金で購入した資産でございますので、国有資産の提供と若干性格の異なる点がございます。しかし、私どもといたしましては、基本的に性格は若干異なりますけれども、やはり同性質のものとしてできれば入れてまいりたいと思っております。そうした基本的な性格の点も考慮しながら、今後の問題として検討してまいりたいというふうに考えております。
  242. 小濱新次

    ○小濱委員 国有財産台帳に登録される約六十億円にのぼるドル支弁の財産、こう聞いております。並びに自衛隊関係の資産が算定の基礎に含まれていない、こういうことですが、この点についてはどういうふうになりますか。
  243. 山下稔

    ○山下説明員 現在交付金の対象になっております資産の中で、自衛隊が使用しているものにつきましても一部対象になっております。たとえば飛行場、演習場の土地、弾薬庫、燃料庫等につきましては、自衛隊のものについても対象になっております。  なお、現在対象になっておりません自衛隊の施設のうちで、自衛隊の使用いたします港湾施設につきましては、四十四年度予算要求において要求をいたしたのでありますが、結果的には入っておりません。
  244. 小濱新次

    ○小濱委員 対象資産から除かれているといわれる米軍の資産、これは幾らになりますか。  それから、自衛隊の資産は幾らになりますか。この点おわかりでしょうか。
  245. 山下稔

    ○山下説明員 自衛隊の資産のうちで、現在対象からはずれておりまして、四十四年度予算要求をいたしましたものは、自衛隊の使用いたします港湾施設でございますが、この額は五十三億円でございます。  それから、米ドル資産は五百五十三億円ございますが、先ほども申し上げましたように、これは予算要求をいたしておりません。
  246. 小濱新次

    ○小濱委員 自衛隊はわかりませんか。
  247. 山下稔

    ○山下説明員 自衛隊の全資産価格につきましてはただいま持ち合わせがございませんが、先ほど申し上げましたように、港湾施設として四十四年度要求をいたしたものは五十三億円でございます。
  248. 小濱新次

    ○小濱委員 算定の基礎に含まれていない、こういう点がいまあげられたわけですけれども、基地をかかえて地方自治体の需要額が非常に最近多くなっているわけですね。基地をかかえて悩んでいる。これは基地公害ですけれども、その問題については数限りない問題があります。この需要額が最近特に多い。この問題についての対策は、局長のほうはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  249. 細郷道一

    細郷政府委員 基地の財政需要に対してどう措置するかということにつきましては、実は私どもも研究をいたしておりますが、基地の態様がいろいろでございますので、なかなかうまい案が出てまいりません。そこで、さしあたりましては、基地の市町村が何か施設をするという場合には地方債を重点的に充てていきたい、こういう考えを持っております。なお、特別交付税におきましても、基地について配慮をいたしております。
  250. 小濱新次

    ○小濱委員 次は自動車税についてお尋ねいたしますが、米軍人、軍属、その家族の自動車税、この問題についてですが、この税額は、軽四で日本人の納める税額は四千五百円、アメリカでは六百円になっていますね。自動二輪車、これは日本では二千五百円がアメリカでは六百円。バイク50ccは日本人は千五百円、アメリカ側は三百円。一番多い普通乗用車、これについては私のほうの調べですと、5ナンバー、これは年間一万八千円から二万一千円になっていますが、アメリカ側は三千円。3ナンバーは、日本側は三万円、アメリカ側は九千三百円、こういう数字になっているわけでございます。このようにアメリカ側は非常に安くなっている。車は非常に大きいし、また重量がありまして、道路のいたむ率も非常に多いわけですけれども、こういう車がこういう税金しか払われていない。日本人はその六倍も八倍も税金を払っている、これはどういうわけでございましょうか、その根拠についてひとつ。——この点についてはおわかりになりませんか。
  251. 細郷道一

    細郷政府委員 担当が違うようです。
  252. 小濱新次

    ○小濱委員 では野田大臣、その点はもう御存じのように、大臣はアメリカ軍人、軍属、家族の状態はよくおわかりになっているとおりであります。この自動車の課税率がばかに開きがあるのですね。それだけ自治体の収入が少ないわけです。持ち出しが多いわけです。そういう点で、どうしてこう安く見積もっておられるのか、それはどういうわけか、その根拠がおわかりになればということなんですが、どなたも関係が違いますので御答弁がないようでありますから、ひとつ……。
  253. 細郷道一

    細郷政府委員 アメリカとの協定によりまして、米軍人の所得、財産については課税できないことになっております。ただ、自動車につきましては、道路使用の損傷度合いということで課税をすることができるようになっています。その点がございますので、一般の自動車税とは税率に差があるわけでございます。
  254. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ日米合同委員会が交渉するようにもなっているようでありますが、その結果の先方の言い分も聞きたいと思ったわけです。また、今後の見通しについてもお尋ねしたいと思ったのですが、関係の方が参っていないようでありますので、これは局長、御答弁いただけるでしょうか。
  255. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、自動車税には本来の財産価値に対するもののほか、損傷度合いということもあわせて税率をきめておるわけでございますが、いま申し上げましたように、米軍につきましては、財産課税部分を除いた点について課税をする、こういう行き方をとっておるのでございます。従来も、自動車税の税率が変わりましたときには、たとえば上がりましたときには、そのつど米軍側とそれをもとにして折衝をいたして改定をいたしてきているものでございます。
  256. 小濱新次

    ○小濱委員 それでは局長にお尋ねいたしますが、基地交付金の配分基準はどういうふうになっておりましょうか。
  257. 山下稔

    ○山下説明員 基地交付金の総額を八割分と二割分とに分けて、八割分につきましては提供資産の価額に案分して交付をいたしております。二割分につきましては、資産の種類、用途並びに市町村の財政需要等を考慮して配分をいたしております。
  258. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一つお尋ねいたしますが、四十三年度の市町村別の配分の実態、これをひとつ示していただきたいと思います。
  259. 山下稔

    ○山下説明員 四十三年度分は総額十九億円でございまして、このうち八割分相当額が十五億二千万円になるわけでございますが、実は財政力を考慮いたしまして、不交付団体の財源超過額の多い団体につきましてはその分を一部減額をいたしております関係で、八割分が十四億三千五百万円となり、残りの二割分が四億六千五百円万、合計十九億円ということになっております。
  260. 小濱新次

    ○小濱委員 町村別の配分の実態ですよ。
  261. 山下稔

    ○山下説明員 基地交付金の配分を受けている団体は、市町村数は二百七十二ございます。二百七十二団体別の額を申し上げることにいたしましょうか。——これは後ほどまた資料として提出させていただきいと思います。
  262. 小濱新次

    ○小濱委員 やむを得ません。これは資料として後ほど御提出をお願いしたいと思います。  いまの問題ですが、国有財産台帳登録資産の評価額に基づいて配分されておるわけですけれども、この対象資産は五年ごとに評価がえになる、このように聞いているわけです。これは年によって地価上昇率には大きな開きがあるわけです。更新ごとに差額をますます深めているような現象があるわけです。そういうわけで算定基準上の不満がある、こういう声も聞いているわけですが、この基地交付金の増額について自治省の見解を、これは局長だと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  263. 細郷道一

    細郷政府委員 基地交付金につきましては、固定資産税の代替であるという考えのもとに従来からその増額をはかってまいったわけでございます。先ほどお答えがありましたように、本年はそういう意味で四十二億の要求でございましたが、二十六億ということで、まだ全部達成できておりません。しかし、やはり私どもはそういった基本の考えで今後も増額を要求してまいりたいと思っております。
  264. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、私は奄美群島のガリオアの物資代の問題について少しお伺いしたいと思います。  この問当委員会からの要求に基づいて琉球復興金融基金貸付金債権管理要領(案)というものが四十四年三月三十一日付で提出をされました。新聞等に先に報道されていて、委員会に提出がおくれたわけですが、この内容非常にこまかく示されているわけです。この問題について、この書類をどういうふうに運用されるのか、この取り扱いについてお伺いをしておきたいと思いますが、これはどなたでしょうか。
  265. 野田武夫

    野田国務大臣 これは三月三十一日に決定したのですが、取り扱いにつきましてはいま事務当局から御説明します。これは全く委員会の御要望に従って、小濱さんも非常に熱心に復興基金の債権償還の規模を訴えられまして、私どもすみやかにひとつこの成案をつくりたいとお約束しました。その後直ちに着手いたしまして大蔵省とも折衝いたしました。できるだけ委員の皆さまの御要望に沿うように、自治省でも大蔵省に実情を言いまして、大体の成案を得ました。これからこの取り扱いについての御説明を申し上げますが、今日までの事態から考えまして、私どもは、やはり債権の取り立てが無理なものはやめたがよろしい、しかし、そのときに漸次その内容に従ってあんばいしようということで取り扱ったものでございます。いまその取り扱いの点について事務当局から御説明申し上げます。
  266. 小濱新次

    ○小濱委員 厳密な調査の結果、こういう内容のものが出たと思います。この問題については、現地の関係する人たちは家族を入れて約四万人といわれておる。この調査の結果を現地ではどれほど期待をしておったかわからぬわけです。この問題について、私どもも当委員会の責任の立場から内容を聞いておきたいと思うわけですが、どのような調査を進められたのか、調査内容について御説明いただきたいと思います。
  267. 本江滋二

    ○本江説明員 お答えいたします。  調査につきましては、これは現地にございます奄美群島振興信用基金といいますか、向こうが調査をいたしました資料等をもとにいたしまして、債権管理法等の趣旨をも照らし合わせまして、これはガリオア、エロアと通常申しておりますけれども、これは復金の区分だけでありまして、いわゆる現地において精密な調査を要する、あるいはガリオア物資代の問題につきましては、現地調査の結果を見なければなりませんので、その分ではなくて、復金の債権について基金が調査をいたしましたものを、国の債権の管理の基本になっております債権管理法等の精神と照らし合わせましてこういう案をつくったわけでございます。
  268. 小濱新次

    ○小濱委員 今度の内容を私どもつぶさに検討してみました。生活保護程度のものとその他の若干のものが項目にあがっておりますが、こういう内容では私どもが期待しておったこととは違うわけであります。この内容では救われない。内容が非常に辛過ぎるというふうに私どもは解釈したわけでありますが、このことについて大体いかほど減免になる計算であったか、おわかりでしょうか。
  269. 本江滋二

    ○本江説明員 幾らくらい減免になるかどうかという御質問でございますけれども、これは実は目下基金のほうが要綱を持って帰りまして、一枚一枚原簿について当たっておる段階でございます。そういう問題が一つと、それから、この要綱の中にございますけれども、引き続き何年以上生活保護であるとか、あるいは引き続き何年以上市町村民税の最低基準の限度にあるものというような基準になっておる部分がございますので、債務者の今後の資力の動向ということによって決定される要素もございます。そういうわけで、正確な数字は現在のところお答えできませんけれども、およその推定をいたしてみますと、大体七、八千万から一億程度の幅を持っておりますが、その程度になりはしないかという推定をいたしております。
  270. 小濱新次

    ○小濱委員 よく短い時間にできたと思うわけです。それについて私どもが分科会、委員会質問を始めますと同時に、すでに今度のような内容の救済方法がとられるということは、もうすでに聞いておった。そういう立場からそのとおりのものが出てきてしまった。ですから、それはどなたがそういう話をしておったかということは申し上げませんけれども、そういうことがあった。努力は認められますけれども、先ほど言われた信用基金の努力によって固められた今度の案の内容、こういうふうに説明がありましたけれども、聞くところによりますと、生活の低い対象を調査したらしい、そういうふうに私どもは聞いているわけです。その点については何か御答弁がございましょうか。
  271. 本江滋二

    ○本江説明員 お答えいたします。  基金のほうで調査をいたしまして、数字がまいりましたものは、御指摘のように、どちらかといえば低目のものもございました。それでこの案に入っておりますものは、基金が当初考えておりましたものよりも相当基準が上がっておると申しますか、減免の範囲が広がっておるということは、その比較上いえるのじゃないかと考えております。
  272. 小濱新次

    ○小濱委員 基金だけに依頼をして、たよってできたということになると、私は問題があると思うのです。それはどういうことかというと、信用基金の責任者の方々は、権力といいますか、非常に現地ではすぐれた……   〔大石(八)委員「力の強い」と呼ぶ〕
  273. 小濱新次

    ○小濱委員 大石さんの言われるとおり、そういう理事長のようであります。前は知事もされたとか、そういう権力をお持ちになっておられる立場から、いろいろ問題があるやに聞いているわけです。この人ににらまれるというと、奄美では新しい事業は興せない、こういうふうにも私のほうには報告が入っている。その事例もあります。そういうことで資金が出なくなるということで、現地では泣き寝入りをしている、そういう声もあるわけです。私は、いまの御答弁のように、ここだけを対象に資料をつくったということになると、これはやはり適切な実態調査の結果ではない、こういうふうに考えざるを得ない。こういう点では、ひとつ私は一度この理事長を、非常に大きな問題を審議しておる当委員会でありますから、参考人として喚問したらどうか、こういうふうにも考えているわけですが、これは自治省としてはどういうふうにお考えになっておりましょう。
  274. 野田武夫

    野田国務大臣 実は、いま小濱さんがお話しのとおり、委員会、分科会等において、これは与野党を問わず、皆さんからの非常な御要望でございまして、少し時間的に迫っておりましたけれども、私ども大蔵省を促しまして、この案の作成を急いだのでございます。これは当時早くやれということでしたから、しかも時間まで切って指定されましたので、私、承知しました、やりましょうというので、これの作成に取りかかったのであります。現地の内容も相当把握し、また実態をつかんで、いろんな資料を用いてやったのでございまして、基本には、いわゆる無理に取り立てても気の毒だ、取れない方にいつまでも債務を背負わして、何かしらひけ目を感じさせるということは、これはその方の日常生活にも非常な悪い影響がある。何とかしてこういう方をほっとさして差し上げたい。取れないというものをただ債権債務の法律関係でしばるというようなことは、実際の政治としてもどうかと思う。そういう意味で私は係りに指令を出したのでありますが、その結果この案ができて、これは決して小濱さんの言われるように、御要望に全部沿えなかったかもしれませんが、なるべく早くやることと、率直に申しますと、もう払えないような人を追いかけていかぬということが基本でございましたから、こういう案を示して、大蔵省とも折衝し、大蔵省の了解を得ましてこの案ができたのであります。  そこで、理事長云々ということでございますが、これはもちろん役所でやることでございませんで、国会の方々の御意見できまることでございまして、かれこれ申すことではございませんが、これらにつきましては、相当実際を調べまして、なるべく実情に沿うようにいたしたのでございます。多少の御不満はあるかもしれませんけれども、われわれのやった姿勢については、十分御理解を願いたい、こう思っております。
  275. 小濱新次

    ○小濱委員 せっかく大臣の御答弁がありましたので、大臣に少しお尋ねしたいのですが、これは二月二十七日の予算第三分科会における会議録であります。わが党の石田議員のこの問題に対する質問で、野田国務大臣の御答弁でございます。その要点を少し申し上げますが、「実情をよく御存じの石田さんの御意見、私非常に傾聴しましたが、これは日本に返って十五年にもなるし、終戦後二十数年たって、まだこういうアメリカ関係の債権債務というものが地域住民に直接つながっているということ、これは私は政治的に考えましても何とか解決すべきものであると思っております。」こういうふうな大臣の力強い御答弁があったわけです。  なお、だいぶ時間も過ぎましたので、もう一、二申し上げますが、次に大臣はこのようにおっしゃっておられます。「これはどうしても救済しなければいかぬ。救済するかどうか検討するというのでなくて、一歩進んで、救済しなければいかぬ、こう感じております。だから繰り返して申しますが、大蔵大臣とも私まず話します。それから役所の事務当局にも検討さして、やはり少なくともほんとうに困っておる低所得者の方が早くひとつ——これは何か方法はないかというようなことを非常に感じておりますから、そういう意味において、私、検討したいということは、そうしたいということに検討します。」こう大臣は非常に力強くおっしゃっておられるわけです。  最後に、もう一点申し上げますが、「いまの石田さんのお話、それはそのとおりです。やはり政治というものはそこに思いやりというものがなければりっぱなものができません。これはそのとおりです。」思いやり深い政治、こういうことで大臣の力強い御答弁がこの中にはたくさん出ております。こういうことから、心から期待をしているわけです。ほんとうに総予算の中からはわずかな金で大ぜいの人が救済されるわけです。この問題については、復帰されてからもう十五年もたっている。そうしてその間、過酷な取り立てにもう泣きくずれてきた、あるいはここにもてんまつ書が届いておりますが、その一人々々のてんまつ書を読みますと、これはもう泣かずにはいられないような内容のものがたくさんございます。こういうことから、この辺で何とか大臣の英断がほしいわけであります。その期待された内容が、ただいまお示しいたしましたような案の内容であったことを私どもは非常に落胆しているわけであります。大臣いかがでございましょう。この点について大臣の御所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  276. 野田武夫

    野田国務大臣 私はいまお読みになりました私の答弁はそのとおりでございます。自分でもそのとおり実行いたしたつもりでおります。直ちに大蔵大臣とも話し合いました。事務当局にも指示いたしまして、そうして、次のどこかの委員会では、少なくともいつごろかということでしたから、三月末までくらいには何らかの案をつくるようにやりましょうと言うて、事務当局も非常に時間が短かったにかかわらず一生懸命やってくれました。  そこで、案の内容に一部御不満があるということでございますが、これは私はいろいろな御希望を全部満たし得たとは申しませんが、困っておられる方を少なくともひとつ救うことをやってくれ、それから、もちろん法律上は完全な債権債務になっておりまするから、つまり償還能力のある方、これは何もそこまで救うことはない、それから前にすでに債務を弁済しておられる方が相当ありますから、これもまた不公平を来たしてはいかぬ、こういうことも勘案しなければなりません。しかし、実情に負担能力がない困っておられる方を、そこまで追っかけてやるということについては、私はしばしば繰り返して申しますとおり、政治的に考えても、また実際の面から考えても、それはできるだけの救済をすべきだ、こういう方針で事務当局に指示し、大蔵当局とも話し合ったのでございます。その点は十分ひとつ御理解を願いたいと思っております。
  277. 小濱新次

    ○小濱委員 返すのは債務者でございます。言うならば奄美の方々は戦争犠牲者、こういうふうにも考えられるわけであります。そうして、いろいろと戦災をこうむって財産を失ってきた。そのあといろいろないきさつがあって、現在この問題で非常に多くの人が悩んでいる。これは私どもはどうしても、いまの示された救済方法の内容をもっと広げていかなくちゃならない。そうして、あたたかいおもいやり深い、大臣の言われたその政治力というものでこの問題の解決に当たってやらなければならない。それについては、これはもう大蔵大臣自治大臣、こういうことでありますけれども自治大臣の決意いかんによってきまる問題だと私ども期待しているわけであります。どうかそういう点で一そう努力をしていただきたい、このようにお願いしたいと思います。  最後に、お尋ねしたいことは、この書類であります。これはこのまま有効になっていくのかどうか。これは案でありますが、これがいつごろ実施されるようになるのか。これはこれから当委員会で検討されて、あるいは現地視察という声もありますけれども、そういう現地視察が終わったあとでその内容がまた検討されて、そして最終的にでき上がっていくものであるかどうか、この点を一ぺん伺っておきたいと思います。
  278. 本江滋二

    ○本江説明員 お答えいたします。  奄美群島振興特別措置法の規定によりますと、国が出資いたしました債権につきましては、基金自治大臣大蔵大臣の認可を得てその減免を行なうことができることになっておるわけでございます。そこで、ここにお示しいたしております要綱は、これは自治大臣大蔵大臣とそれから基金の三者が相談いたしましてまとめたものでございます。したがいまして、これが有効に発効するためには、基金自治大臣大蔵大臣に対しましてこの要綱に従った申請書を出してまいる。それを自治大臣大蔵大臣が認可をいたします。そこで初めて発効するわけでございまして、目下基金はこれを持ち帰りまして申請を出してくるという段階になっているわけでございまして、これが発効は四十四年度からというふうに考えておるわけでございます。
  279. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に重大な発言がいまあったわけでありますが、基金のほうから申請が出てくる。この内容が出てくるが、これを大蔵、自治両大臣ですかが検討を加える余地はもうないわけですね。検討して出したものが今度は申請の形で信用基金のほうからこっちへ戻ってくる、こちらで受理してそれを認可すれば、そのままこれは有効になっていく、こういうことになるのですね。これは大臣、非常に大事な発言であると思うのであります。この問題については、現地にも復金基金債務者救済対策委員会、こういうものがあるわけですが、ここへは全然話はないそうです。これは私会長に会いました。現地に行っても、ほんとうに保護生活者という低い生活程度の人たちに何人か会っただけで、そうしてそういう関係のところには全然行ってない。大蔵省からも人が行ったそうですけれども、それも五分か十分ちょっと話しただけで、さようならと言って帰ってきてしまった。こういう内容のものが、言うならば実態調査がなってないような内容のものがそのまま有効になっていくということは、私どもとしてはどうしても納得できないと思う。このままこれが有効になっていくのならば、本委員会の現地視察なんというのは無用になるのではないか、こういうふうにも考えておるわけです。ですから、前々から努力をして、現地にも視察に行こう、そうして現地のなまの声を聞こう、そうして、よりよい対策を講じていこう、これが本委員会の精神であります。そういうことがもう何も用いられないような結果でこれが有効になってしまうようないまの発言を聞いたわけでありますが、これは自治大臣いかがでございましょう。この問題についてどういうふうにお考えになりましょうか。やはりこれを強行されますか。
  280. 野田武夫

    野田国務大臣 これは皆さんの御意見をなるべく多く聞くことも必要でございますが、要するに現在の債権債務の実態は、もう法律上権利義務がきまっておることでございます。これをどこまで解消していくかということでございますから、一人一人全部債務を解消するということになりますれば、これは一人一人の債務者にもお会いしなければなりません。これは小濱さんもよく御了解願えると思いますが、要するに復興資金でいろいろ仕事をしておられる方もあるし、また、家をつくってそれに住んでおられる方もありましょうしまた、住む家がなくなった方もありましょうし、複雑でございます。とりあえず私どもの考え方は、この前の御意見を拝聴しておりますと、債務の返済能力のない者に対して非常にしつこく請求して、次々に利子がかさんでくる、追徴金がくるというふうなことで、とてもそれには応じられないという、何と申しますか、きわめて気の毒な状態が続いているのだ、こういうお話でございましたから、とにかく、もう返済能力のない方にはこれはひとつ免除してあげたらいいのじゃないか。それで、これをやりますには、やはり大蔵当局も、国の財産でございますからなかなかそう簡単にまいりませんし、また、振興基金の責任者も、自分たちの持っている債権を取り立てるのでございますから、いろいろな理屈もございましょうが、結論は、皆さんの御熱意によって、委員会その他によってお示しになりました皆さんの、このお気の毒な方々をひとつ救済したいという御意思に沿うて、私も、それはそのとおりだと思って、いろいろ手続をとったのでございます。  そこで、とりあえず、この案をつくりまして、大蔵当局の理解も得、また、振興基金の幹部とも話し合って、一応この案をまとめたのでございまして、事務当局もなかなかよく熱心にやってくれました。しかし、内容が御満足いかないという点も私もわかります。これはできるだけ広範囲にやるのがけっこうでございますが、まあしかし、現時点におきましては、一応将来、これが三年も五年も先でどうなるかということもございますから、これを一ぺんやったらあとの問題は何ら手を触れる必要はないという、そういうことではなくて、やはり現実的に見まして、やるべきことはもちろん私やりますが、一応この時点におきましては、ひとつこの案でもって一応の、何と申しますか、成案としてこれをわれわれは認めたのでございます。その点は十分ひとつ御了承を願いたい、こう思っております。
  281. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣の努力されたこともよくわかります。しかし、まだ本委員会としても結論は出ていない、こういう内容でもありますし、いま私が重大な発言だと言ったことは、向こうの信用基金理事長からこちらに申請書が届く、受理する、それを返送すれば、それでこれが有効になるということなんですね。そういう形でこれが有効になっていくことを、私どもとしてはどうしても納得できないわけですね。まだ委員会で現地視察にも行こうと言っておるのですから。それでまだ、この問題についても、新聞発表を見てびっくりして要求したところが、出てきたような内容ですから、委員会としては軽視されているような形にもなってきた、こういうことで、やはり大臣にも、向こうの申請書がきたならば、よくひとつ本委員会にはかっていただき、そして最終的な措置をおとりはからいをしていただくようになれば、またわれわれも考えることもできると思いますけれども、私ども全然知らない間に、こういうさなかにそういう形で申請書が戻されるということは、非常に何か現地の人に申しわけないような、済まぬような気がするわけです。そういう点で、納得するような説明もし、そして、理解の上でこの問題が一応何らかの形で、とにかくこういう方法で実施されるのだ、こういうことになっていけば、現地の人もうなずかれるのじゃないか、こういうように考えるわけですが、いまの形で努力してつくったものだから、このまま認めてくれということですけれども、どうしても私どもは納得できないわけです。この点もう一ぺんお答えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  282. 野田武夫

    野田国務大臣 これは、手続問題は法律上そういうことができるという、また、そうしなくちゃならぬように減免のことは規定されております。それに従うてやったまででございますから、別に委員会にかけてすべきことはどうだということよりも、私は、むしろ軽視よりも非常に重視したつもりであります。私は、これは委員会で御意見を拝聴して、これに基づいてやった。それで、手続上は当然、この基金のほうから申請がきまして、これを両大臣が認める。これが手続上の原則なんです。これは、そこにはほかにはどうも手続ができないわけです。だから、要するにこれは、もう一つ案ができたら最後までこれでもっていくんだということでなくて、やはり実情が次々に起こってまいりますれば、これはもう十分検討をしていい余地がありますから、とりあえず私は、むしろ小濱さんのおっしゃる軽視どころではなくて、非常に重要視して、しかも早くやったがいいというので、いっもなかなか、これはまあどこの——役所ばかりじゃありませんが、いろんなことをやっておりますと、まあ承知しました、何とか考えますというようなことで、半年、一年すぐぐずぐずするのでございますから、これだけは早くやろう、全くお気の毒だと思って実は馬力をかけてやったつもりでございます。むしろ非常に重視して約束を履行したつもりであります。そこで、これが最終じゃなくて、これは将来どうしてもこれだけではいかぬ、まだ手を加える必要がある。それは、検討する余地が十分ありますから、これは何もこれをもって、復興基金の問題はこれでおしまいというわけではございませんから、とりあえず、そういう困った方をお助けしようというわけでございますから、将来については十分検討することはお約束いたしておきます。
  283. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、山口君より関連して質問したいとの申し出があります。これを許します。山口鶴男君。
  284. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 このガリオアの問題は、当委員会でも議論をされました。大臣、ただいま御答弁いただいたように、非常に努力をいただいたことは私も多といたします。ただ、私どもとすれば、小濱委員も言われましたように、当委員会にこの案が示される以前にすでに外部のほうに報道されていたということについては、私ども国会軽視ではないかという点で遺憾に思っております。その点と、それから、さらに私ども委員会では、近く奄美に対しては調査にも行こうということに理事会としても話ができておるわけであります。したがいまして、私どもが現地に参りまして、そうして現地の実情等十分お聞きをいたしまして、手続的には大臣の御答弁わかります。基金のほうから申請が出てきて、大蔵、自治両大臣がこの確認をする、認めるという手続は、この法律でもってよくわかるわけでありますが、しかしこの案は、最終案ではなくて、検討していいと大臣は言われているわけですね。したがって、わが地方行政委員会が奄美等にも現地調査に参りまして、現地の実情も聞きまして、さらに当委員会でいろいろ議論をすると思います。そうして実情にもし合わぬところがあれば、十分私どもの調査結果の意見等を自治省にくんでいただいて、そうして検討すべきことは検討していくという御態度がありますかどうか、その点を聞いておきたいと思うわけでございます。
  285. 野田武夫

    野田国務大臣 この案が、委員会にお示しする前に外部に漏れたということでございます。これはまことに恐縮です。これは注意いたしますが、今度、奄美のほうに御視察に行かれるということでございますが、まあ、これは奄美全体の復興基金のことだけでもありますまいから、いろいろ御視察願ったら、結果についていろいろ示唆を得たい、私どものほうでひとつ御希望申し上げておきますが、私は、将来検討するということばを使いましたが、いまの時点では一応最低線でこれをやる。これは山口さんもよく御存じと思いますが、何もこれをつくったから来年何もできないという意味ではございません。また、法律改正と違いまして、これはそうむずかしい手続にならないものでございます。とりあえずここまで大蔵、自治の事務当局が一生懸命にやったことでございますから、一応これで実施いたしまして、次に当然考えていいことなんです。実情はこうだとなればまた考える。これはもういままでやらなかったことを一応手をつけたのでありますから、山口さん、これをやったから次は全然手をつけぬなどという、そんなお考えは全然必要ありません。必要を見て、なるほどこれはこうだということがあれば、またいろいろ対案をつくることは当然のことだと思います。しかし、現時点で一応これだけ両事務当局も熱心に現地にも行ったりなんかしてやっておりますし、私、大蔵大臣とも折衝いたしております。繰り返しますが、ほんとうに困っておられ、最後の償還の能力のない方まで一応はずそうというのが主眼で、まだ今後いろいろ残されておると思いますし、将来十分検討いたします。御視察になったら、ぜひその実態を詳しく皆さんから承りたいと思っております。
  286. 保岡武久

    ○保岡委員 関連して。私は現地の者でございますので事情はよくわかっておるわけでございますが、ここまで自治省でいろいろと研究されて、いよいよ実施に移すという御努力に対しては非常に感謝いたしております。ただ、これは一つの原則でございまして、これに基づいて基金が現地の実情に応じて、なるだけ寛大といっては語弊がありますが、住民の感情というものを参酌して、そして申請をしてくるその段階において、いまお話のあったようなことはだいぶん緩和されてくるのではなかろうかと、私は現地の実情を知っているだけに期待しております。ただ、債権が十五年も古びておりますので、返すということについてやはり心理的ないろいろなつらさを感ずる点があると思います。そういうときにはまた償還の方法等について、たとえば十カ年賦にするとか、何かそういう償還がしやすいようなこともあわせ考えてくださるというようなこと等が必要じゃないかということを私感ずるのでございます。大体原則としてこの程度まで進んでこられたのは、現地の事情を十分御参酌になっておる結果じゃないだろうかというように考えておりますが、ただ、いろいろな団体等もありますので、団体等は団体としてまたいろいろな要望もありましょうと思うので、そういう点は、やはり現地において信用基金がしっかりする、事情を聞いてそれに対処するというような心がまえが基金にも必要じゃないか。私は、この前ちょっと郷里に戻りましたので、基金理事長にも、とにかく今度はひとつ勇気を持ってこの問題に対処してくれということを強く言ってまいっております。  そういう意味合いにおきまして、現地から申請の来る、また自治省大蔵省でそれを審査する段階において、相当いまお話のあったようなこと等も実現し得るのじゃないだろうかというように私は考えておる次第でありますが、そういう一つの含みをお願いしておきたいと思います。
  287. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいまの保岡さんの御指摘になりました、これはやはりできるだけわれわれも、皆さんの御熱意によってこの案ができたわけでございますが、これが最善の案とは思っておらぬということは私先ほど申し上げましたが、とりあえず早いほうがいい、これはまた半年、一年、研究、研究、調査、調査と言っておったら何にもならなくなるということで、お約束どおり急いでやったのでございます。そこで、いまの保岡さんの御意見のように、やはりいろいろ事情があろうと思いますから、その個々のケースに応じまして十分役所もまた大蔵省とも連絡をいたして勘案することにいたしまして、できるだけ円滑にいくようにいたしたい、こう思っております。
  288. 小濱新次

    ○小濱委員 石田委員の関連質問を残しまして、私の質問をこれで終わります。
  289. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は明十八日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後十時二十五分散会