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1969-04-15 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十五日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 細田 吉藏君 理事 保岡 武久君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥久助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    赤澤 正道君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       吉川 久衛君    永山 忠則君       太田 一夫君    門司  亮君       有島 重武君    小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         議     員 山口 鶴男君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         厚生省社会局保         護課長     宮嶋  剛君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         建設省道路局路         政課道路交通管         理室長     加瀬 正蔵君         建設省道路局地         方道課長    中野 孝行君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省財政局交         付税課長    構手  正君     ————————————— 四月十五日 委員小濱新次君辞任につき、その補欠として有 島重武君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十一日  都道府県合併特例法案内閣提出第一〇一号)  (予) 同月十二日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願外一件(安宅常彦紹介)(第三七三  一号)  同(阿部昭吾紹介)(第三七三二号)  同(阿部哉君紹介)(第三七三三号)  同(赤路友藏紹介)(第三七三四号)  同(淡谷悠藏紹介)(第三七三五号)  同(井岡大治紹介)(第三七三六号)  同(井手以誠君紹介)(第三七三七号)  同(猪俣浩三紹介)(第三七三八号)  同(石川次夫紹介)(第三七三九号)  同(石田宥全君紹介)(第三七四〇号)  同(石野久男紹介)(第三七四一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三七四二号)  同(板川正吾紹介)(第三七四三号)  同(稻村隆一君紹介)(第三七四四号)  同(江田三郎紹介)(第三七四五号)  同(小川三男紹介)(第三七四六号)  同(大出俊紹介)(第三七四七号)  同(大柴滋夫紹介)(第三七四八号)  同(大原亨紹介)(第三七四九号)  同(岡田利春紹介)(第三七五〇号)  同(岡田春夫紹介)(第三七五一号)  同(岡本隆一紹介)(第三七五二号)  同(加藤勘十君紹介)(第三七五三号)  同(加藤清二紹介)(第三七五四号)  同(加藤万吉紹介)(第三七五五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三七五六号)  同(勝間田清一紹介)(第三七五七号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三七五八号)  同(金丸徳重紹介)(第三七五九号)  同(神近市子紹介)(第三七六〇号)  同(川崎寛治紹介)(第三七六一号)  同(川村継義紹介)(第三七六二号)  同(河上民雄紹介)(第三七六三号)  同(河野正紹介)(第三七六四号)  同(木原津與志君紹介)(第三七六五号)  同(北山愛郎紹介)(第三七六六号)  同(木原実紹介)(第三七六七号)  同(久保三郎紹介)(第三七六八号)  同(工藤良平紹介)(第三七六九号)  同(河野密紹介)(第三七七〇号)  同(楯兼次郎君紹介)(第三七七一号)  同(千葉佳男紹介)(第三七七二号)  同(戸叶里子紹介)(第三七七三号)  同(堂森芳夫紹介)(第三七七四号)  同(中井徳次郎紹介)(第三七七五号)  同(中澤茂一君紹介)(第三七七六号)  同(中嶋英夫紹介)(第三七七七号)  同(中村重光紹介)(第三七七八号)  同(永井勝次郎紹介)(第三七七九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三七八〇号)  同(成田知巳紹介)(第三七八一号)  同(野口忠夫紹介)(第三七八二号)  同(野間千代三君紹介)(第三七八三号)  同(芳賀貢紹介)(第三七八四号)  同(長谷川正三紹介)(第三七八五号)  同(畑和紹介)(第三七八六号)  同(華山親義紹介)(第三七八七号)  同(原茂紹介)(第三七八八号)  同(平岡忠次郎紹介)(第三七八九号)  同(平林剛紹介)(第三七九〇号)  同(広沢賢一紹介)(第三七九一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三七九二号)  同(帆足計紹介)(第三七九三号)  同(穗積七郎紹介)(第三七九四号)  同(細谷治嘉紹介)(第三七九五号)  同(堀昌雄紹介)(第三七九六号)  同(松前重義紹介)(第三七九七号)  同(松本七郎紹介)(第三七九八号)  同(三木喜夫紹介)(第三七九九号)  同(武藤山治紹介)(第三八〇〇号)  同(村山喜一紹介)(第三八〇一号)  同(森義視紹介)(第三八〇二号)  同(森本靖紹介)(第三八〇三号)  同(八百板正紹介)(第三八〇四号)  同(八木一男紹介)(第三八〇五号)  同外二件(山口鶴男紹介)(第三八〇六号)  同(山本幸一紹介)(第三八〇七号)  同(山本政弘紹介)(第三八〇八号)  同(広瀬秀吉君外一名紹介)(第三八〇九号)  同外一件(渡辺惣蔵紹介)(第三八一〇号)  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する  請願岡本隆一紹介)(第三八一一号)  同(島本虎三紹介)(第三八一二号)  同(菅波茂紹介)(第三八一三号)  同(藤井勝志紹介)(第三八一四号)  同(柳田秀一紹介)(第三八一五号)  同(山中吾郎紹介)(第三八一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営企業法の一部を改正する法律案太田  一夫君外七名提出衆法第二号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (太田一夫君外七名提出衆法第三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  太田一夫君外七名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案及び同公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。山口鶴男君。     —————————————  地方公営企業法の一部を改正する法律案  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)議員 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の二法案に関し、提出者を代表いたしまして、提案理由の概要を御説明申し上げます。  まず、私どもがこの二法案提出いたしました趣旨について申し上げます。  地方公営企業経営については、特に昭和三十六年以降その赤字は増大の一途をたどり、昭和四十一年度及び四十二年度における政府再建施策にもかかわらず、その赤字額は現在なお増大いたしている現状にあります。  昭和四十三年度末における地方公営企業不良債務額推計いたしますと、財政再建債を除いても、昭和四十二年度の一千二十億に、さらに二百四十億円程度増加して、総額一千二百六十二億円の多額にのぼり、政府財政再建対象事業に指定された水道交通ガス及び病院の四事業においてすら再建債を除いてなお約三百億円の不良債務をかかえている実情にあります。このことが、企業再建軌道に乗せることのできない原因の一つになっていることは明瞭であります。  また、地方公営企業施設建設等に必要な経費はほとんど高利の起債に依存し、その結果、昭和四十三年度末における水道交通ガスの三事業にかかる既往債のうち六分五厘をこえる高利債が約六千三百億円の膨大な額に達しております。  さらに、来年度の三事業にかかる新規債のうち六分五厘をこえる高利債が一千五百二十五億円と見込まれるのであります。  このように地方公営企業は、高利の一時借り入れ金等不良債務既往債並びに今後毎年予想される新規債等についての元利償還額は膨大な額にのぼり、地方公営企業経営を圧迫する要因となることが予想されるばかりか、現在すでに危機的状態にあると申さなければなりません。  しかるに、政府は、地方公営企業危機現状を正しく認識することなく、ひたすら従来の独立採算制にこだわり、受益者負担の名による使用料値上げによる大衆負担企業内合理化によって、その経営困難の犠牲をあげて経済成長の恩典を受けない公営企業労働者に転嫁し、一般公務員に準ずる給与の改善すら行なおうとしないのであります。  このような実情からは、労働者の協力も得られようはずはなく、地方公営企業再建はいよいよ困難をきわめるものと危惧されるのであります。  私どもは、以上申し述べました趣旨現状認識に立ちまして、地方公営企業公共性立場を守りながら、かつ、将来にわたる抜本的な再建策として今回ここに二つ法案提出いたしたのであります。  まず、地方公営企業法の一部を改正する法律案要旨を申し上げますと、  第一に、法適用事業範囲等につきましては、第一の種類といたしまして、住民生活に直結する性格水道軌道自動車運送地方鉄道及びガス事業決定いたしております。第二の種類といたしまして、住民生活に直接つながらないで他の営利企業を通じて間接的に住民生活につながる性格工業用水道及び電気事業を法定いたしまして、現行法における法定事業をその性格により二つに区分いたしたのであります。  なお、前記の法定事業以外の事業につきましては、条例で定めるものといたしております。  第二に、企業会計原則については、第一の種類事業はその性格から独立採算制によらないことといたし、第二の種類は、独立採算制を採用することといたした次第であります。  第三に、料金決定につきましては、第一種の事業は、原価を基礎といたしますが、「住民負担能力その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切な考慮を払つた妥当なもの」と規定いたしまして、第二の種類企業料金原則と区分いたしたのであります。  第四に、給与決定原則は、現行法では生計費等よりもその企業経営状況を中心として決定しておりますが、これを改正して、国の企業に従事する職員等と同様の給与決定原則によるものといたしております。  第五に、現行水道法においては、簡易水道事業を除く水道事業につきましては、昭和二十八年度以来、国庫補助対象となっておらないのであります。御承知のとおり水道事業につきましては、これまで大幅な料金値上げを行なっているにもかかわらず、現行制度のワク内ではとうていその経営健全化は不可能な実情にありますので、簡易水道事業とともに水道施設のみならず、増設、改造をも含めて国庫補助対象を拡大することといたしております。  以上の五点がそのおもなる要旨であります。  次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案要旨を申し述べます。  まず、公庫制度改正について申し上げますと、第一に、公営企業金融公庫地方公営企業に対する公庫として発足しておきながら、現行法では貸し付け対象事業については政令で限定されておりますので、地方公営企業のすべてに貸し付け対象を拡大するものといたしております。  第二に、政府出資額の増額とその明確化についてであります。現行規定によれば予算で定める追加出資額については法定されていないのであります。今回、これを改めて追加出資額を含む政府の実出資額をすべて法定して資本金明確化をはかることといたしております。  第三に、公庫借入制限についての規定の緩和についてであります。現行規定では公庫債発行に伴う前借り資金は短期のものに限定されておりますが、これを改正して、公庫は、長期についても借り入れをすることができることとするとともに、政府公庫に対して有利な条件で資金を貸し付けることができることといたしております。  次に、さきに述べました公営企業再建対策について申し上げますと、第一に、四十四年度において、公庫に対し、新たに、六百三十三億円を追加出資し、資本金を現在の三十三億を加え、六百六十六億円と法定いたしております。  第二に、附則において、公庫に対し、四十四年度に三十一億円の補給金を支給いたすことといたしております。この出資金及び補給金趣旨を申し上げます。  まず、四十二年度末における不良債務推計額は、千百三十八億円にのぼるのでありますが、政府は四十四年度において、公庫に対し、二百七億円の出資を行なうことにより再建団体(三百億円)に対しては年四分五厘、その他の団体(八百三十八億円)に対しては年六分五厘の企業債を認めることといたしております。  次に、四十三年度末における既往債推計は六千二百八十四億円でありますが、その二分の一相当額の三千百四十二億円については、三百四十二億円を出資することにより、残りの三千百四十二億円については総額二百五十億円、初年度二十五億円の補給金を交付することにより、年六分五厘、二十年の元金均等償還とすることといたしております。  さらに、四十四年度における新規債公庫引き受け推計額は千五百二十五億円でありますが、その二分の一相当額の七百六十三億円については、八十四億円を出資することにより、残りの七百六十三億円については総額九十二億円、初年度六億円の補給金を交付することにより年六分五厘、三十年の元金均等償還とすることといたしております。  以上集計いたしますと、四十四年度所要出資額は六百三十三億円、補給金は三十一億円となるのであります。  そのほか、地方公営企業法改正に伴う水道事業に対する国庫補助率を四分の一とみなし、昭和四十四年度において四百五十億円の補助額となります。  なお、昭和四十四年度予算で、地方公営企業金融公庫に対して二億の政府出資が認められましたので、この二億円の追加出資が行なわれました場合には、本案で予定いたしております前述の追加出資の六百三十三億円は六百三十一億円で足りることとなりますことを付言いたしておきます。  以上、両案についての提案理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 以上で両案に対する提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。折小野良一君。
  6. 折小野良一

    折小野委員 今回の地方交付税法改正につきまして一番問題の焦点になっておりますのは、いわゆる六百九十億の問題でございます。これに関する自治大臣並びに大蔵大臣覚書も御提示になっておるわけでございます。今日までいろいろ質問もございました。しかし、いままでありました質問とできるだけ重複しないようにして、まずこの問題から質問を申し上げたいと思っております。  この覚書の第一に、四十三年度、四十四年度とられたこのような特別措置につきましては、当分の間三二%という交付税率を変えない、こういうことが一つ原則になっております。ところで、この三二%によりまして、具体的な交付税総額と申しますか、これはその基本になります国税三税の伸び縮みによって変わってくるということがあるわけでございますが、おそらくこの覚書を作成された両大臣のお考えといたしましては、現在の経済好況が続くものである、そして三税の伸び相当程度続いていくということを前提にしてこの覚書をつくられた、こういうふうに私ども判断せざるを得ないのであります。  ところで、現在のこの経済界好況といいますのは、岩戸景気と並んでたいへん息の長い好況であるということがいわれております。しかし、最近はいわゆる景気のかげりというようなこともいわれてまいっておりますし、現在の好況がはたしていつまで続くのか、こういう点についてはいろいろ問題もあろうというふうに考えます。といたしますと、早晩あるいは不況がくるんではなかろうか、国税三税の伸びもあるいは縮まるんではなかろうか、そしてまた、地方財政も悪化する時期がくるんではなかろうか、こういうような懸念も全然ないとは言えないわけであります。そうした場合におきまして、当分の問この三二%の率を変えないということになってまいりますと、そうした際に、端的に言いますと、かえって大蔵省にこの覚書をたてにとられて、税率を上げない、あるいは税率の据え置きを押しつけられることになりはしないか、こういう懸念もないではないと思うのでありますが、そういう点についての自治大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  7. 野田武夫

    野田国務大臣 交付税についてのその当時の大蔵大臣との話し合いでございますが、これは折小野さんも御承知のとおり、従来から財政当局交付税率の三二%は少し率がよ過ぎる、何とか下げてくれ、というのは、ひとり四十四年度予算編成のときばかりでなくて、前から非常に要望してきておったことは御承知のとおりだと思います。  そこで、一応この三二%というのが適正な税率かどうかということは、厳密な立場から申しますと、検討の余地は私はあると思いますが、いまお示しになりましたとおり、四十四年度景気というものは、四十二年度景気を持続し得るという前提であったことは間違いございません。しかし将来景気がどこまで続くか、これはなかなか簡単にお答えできないことでございまして、政府といたしましては、この好景気といいますか、景気をいわゆる安定経済成長という立場からしてできるだけ続けていきたいという基本的な方針に基づいて、経済政策財政計画を立てているのでございます。私どもといたしましても、この景気がたちどころに不況になるということはそう心配要らぬだろう、しかし、これははっきりと何年度はどうなるかという見通しは困難でございます。したがって、いま前段に申しましたこの景気が続くという前提からして、数年前から三二%の税率引き下げたい、こういうことでありまして、その論点は焦点はどこかというと、地方財政相当豊かになってきているから、こういうことでございます。そこで、自治省といたしましては、決して地方財政は豊かではない、やや好転のきざしはあるけれども財政当局の見るように地方財政内容は豊富ではない、したがって、地方財政交付税というものは固有財源である、これをその景気のいかんによって、この景気がまた続くからという前提その他において税率引き下げるということは、これは交付税そのものに対する性格認識を異にしているんだ、これが両者の折衝の争点となったのでございます。  しかしながら、一方将来の不況というものが全然ないということは考えられませんから、この景気が続いて相当地方財政好転してくるとすれば、そこに年度間の調整は自主的にやるんだ。それは景気のいいときだから、相当金が入ったからみんな使ってよろしいというのではなくて、また、いまの折小野さんの御指摘のような不況時代が来るかもしらぬから、その問に処して財政調整をする必要がある、こういう意見の交換をしたのでございます。  そこで、今日の場合、三二%に対して財政当局は、当分の間は一切その税率引き下げの必要はない、同時に、本質的に交付税というものは地方財政固有財源であることを認める、こういう前提のもとにいまの税率の問題に触れないということになったのでございますから、いまのような御指摘の場合がないとも限りませんが、そこに私どもが申し上げております自主的な年度間の調整というものが必要じゃないか、こう考えております。したがって、不況の場合は、税率を引き上げる、引き下げないということは、そういう財政見通しと同時に、この交付税地方財政固有財源であるということを確立しておくという点からいたしまして、私と大蔵大臣覚書にその旨を明記しておいた次第でございます。
  8. 折小野良一

    折小野委員 私も実は三二%という交付税率がはたしていいのかどうか、そういう点をお聞きいたしたかったわけでありますが、大臣のほうからその点について、一応のお話がすでにございました。財政当局としてはこれを減らそうという意向がある。そしてまた、昨年来そういうような意向一般にも発表されております。その点は私どもも大体了解できるわけでございます。自治大臣としてのお立場からいたしますと、すなわち地方自治を主管される立場からいたしますと、現在の地方財政状況並びに国の財政の中における地方財政立場、そういう面から考えまして、三二%というこの税率はおおむね適当である、こういうふうに大臣としてはお考えになっておられるかどうか承りたい。
  9. 野田武夫

    野田国務大臣 いま申し上げましたように、財政当局認識が、地方財政内容がわれわれと相当違うものですから、相当より以上に好転したと見ております。私どもは、形の上ではやや好転のきざしがあるけれども内容においてはいわゆる著しく好転しておるとは思わない。財政需要がますます必要であるということが前提でございます。そこで、いま申しました固有財源である税率を上げたり下げたり常にやられますということは、地方財政計画性に非常に狂いが出てくる。そこで、この三二%がはたして適正かどうかということは、私はやはり厳密な意味においてこれは検討することも必要と思いますが、現在の情勢におきましては、この税率引き下げを拒否して、さらに財政当局の言ったように、引き下げを要望するということは固有財源と認めていない。ただ、国の財政事情によって交付税率を扱うということは、もう基本的にわれわれとは考え方が違うというのでございますから、一番大事なことは、まず地方財政においては、交付税というものは固有財源であるということをここに打ち立てる必要があるということが一点。と同時に、それに基づいて現行の三二%というものには当分の間手を触れない、こういう原則的な立場で、私はやはりこれが現在の地方財政を守る大事なことであると思って、この点について大蔵大臣と折衝いたしたのでございます。
  10. 折小野良一

    折小野委員 私ども、そういう立場における大臣の御努力に対しましては、これを多といたします。しかし、ここで考えられますことは、過去におきまして交付税率というのがだんだん上がってまいっております。また、それを上げていかなければ地方財政は立っていけなかった。なるほど今日ある程度、経済好況によりまして一応地方財源というものも豊かになった——とは決して言えないでございましょうが、ある程度好転をした、こういうような時期になっておるわけでございます。将来景気不況とかそういうようなことも当然考えられる。といたしました場合に、再び地方財政が非常に窮迫をいたしまして、交付税率を上げるというようなことでなければ何とも解決がつかない、そういうような事態が予想されないのかどうかということでございます。この覚書あるいは大臣の御答弁によりましても、そういう予想はお考えになっておらない、こういうふうに判断せざるを得ないわけでございます。しかし、過去の実績からいたしますと、やはりそういうような事情というものがいろいろあった。そういう事情が今後も全然ないということは考えられない。そうした場合において、むしろこの覚書をたてにとって、交付税率の据え置きを押しつけられるということが、今後の問題として残るんじゃなかろうかというふうに私ども思うわけでございます。  そういうような点から、まあこれは将来の問題でわからない問題ではございますが、将来そういう不測の事態が起こりましても、なおかつ、特に自治大臣といたしましては、地方財政を守っていかなければならぬという立場にあるわけでございますので、そういう際に、かえってこの覚書がマイナスになるというようなことになってはいけないと私ども考えております。そういう際に際して、もちろん大臣としては、一生懸命御努力になるであろうというふうに確信はいたしますが、その辺の御決意のほどをお伺いをいたしておきたいと思います。
  11. 野田武夫

    野田国務大臣 いまたびたび申し上げましたとおり、今度の処置は、絶対地方財政の充実をはかるべきだというたてまえで、この覚書の交換まで至ったのであります。地方財政が悪化する、それはいまお話しのとおり景気の動向によりますから、私も、そういうことがない、非常に不景気になることは絶対ないと言い切れないことも、これは先ほど申し上げたとおりです。したがって、今度の処置にあわせまして、将来不況の場合どうするかという御懸念でございます。これはごもっともでございますが、私は、今度の私のとった処置は、まあ私なりに地方財政を守ったつもりであります。これは見方によりましょうから、いろいろ御批判が理屈をつけるとありましょうが、私はそういう信念を持って当たっております。  第二は、たとえばいま大都市の財政が非常に苦しい、何か税源をひとつ国と地方の配分を新たに考えたらどうか、非常にいい御指示も受けております。だからまあ、この不況の場合においては、その税率をどうするかという、また現在の税源の国と地方の配分というようなことも、不況の場合はどう出てくるか。私は、交付税だけでもって地方財政を全部しょっていくこともできますまいし、そういう場合には、いろいろ国と地方の間の財政上の区分、配分というものが出てくる。そうして、あくまでも地方財政というものは守っていく、これは守らなければ、地方税というものの水準は現状よりも上がるはずはないし、また、現在における地方財政内容かち見ましても、今日よりも地方財政が悪化することは、これは重大なことでありますから、これはあくまでもあらゆる方法、あらゆる手段をもって地方財政を守っていく、そういう考え方を持っております。
  12. 折小野良一

    折小野委員 さらに、この覚書の中におきまして、第四項でございますが、ここでたばこ専売納付金の問題に触れておられます。これが将来消費税制度に移行するといった場合においても、地方たばこ消費税については、現在の収入が確保されるように、こういう覚書がございます。まあ私ども、現在の地方財政につきましては、これは今後の財政需要とも関連いたしますが、やはり基本的に抜本的な改正が必要である、そういう段階に来ておるんではないか、こういうふうに考えております。  そういう立場から見ました場合に、やはり国におきましても、いろいろそういう面の考慮がなされるであろうということは予測いたすわけでございますが、このたばこ専売納付金につきまして、ここに特別に覚書にお書きになったような事態というものが、具体的に現在予想されておりますのかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  13. 野田武夫

    野田国務大臣 詳しいことは政府委員から申すと思いますが、当時、予算編成にあたりまして、このたばこ専売納付金の問題というものは、やはり財政当局一つの案ができかかっておりまして、消費税に移行する、こういう意見があったことは事実でございます。その結果、消費税ということになった場合の地方財政に及ぼす影響というものは、やはり私たちとしては見のがしできないことでございます。税制改革を国がやられるということに、かれこれわれわれが一々干渉することもございませんが、かりにそういう場合がありましても、地方財政に実害を与えられては困ります。そこが、先ほど申しましたとおり、国の財政当局と私ども地方財政に対する認識が違っておりますから、その場合に、消費税に移された場合に、現在の収益が地方財政に及ぼす影響が、非常に変動してこれが悪影響を受けるということになりますと、これはいかなる税制改革その他のことが行なわれましても、基本的には地方財政を守るのが私の任務でございますから、まだこの税制度がはっきりしなかったときでございますが、そういう場合においても、われわれ地方財政を担当する者としては、地方財政に対する実益に変更がないように一応これはくぎをさしておいたほうがいい、こういうことでこの覚書をかわした次第でございます。
  14. 折小野良一

    折小野委員 大臣のそのお気持ちはよくわかります。しかし、私ども将来国と地方を通ずる税財政の改革がありました場合にも、このたばこ消費税というのは一つ焦点になるのじゃないかと実は私ども考えております。現在考えられますいろいろな税源について見てみました場合に、地方にふさわしい税源と申しますと、わりあい普遍的で、そして安定的な税源ということになりますと、やはりこのたばこ消費税あたりが最もそれにふさわしい税源じゃなかろうか、こういうことを考えます。したがって、今後地方財政事情が非常に緊迫化してまいりまして、国税から地方税に何か一つどうしても移譲しなければならぬという場合におきましては、現段階で、ほかを動かさないにいたしましても、まずたばこ専売納付金を地方に移譲するというようなことは、当然当面の一つの施策であろう、こういうふうに考えるわけでございますが、自治省といたしましては、将来の見通しを控えて、どういうふうにこういう問題についてお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  15. 細郷道一

    細郷政府委員 たばこ消費税は、現在ちょうど国の専売納付金と半々ぐらいに相なっております。一部には、この辺が一つの限度ではないかという議論もございます。しかし、いま御指摘のように、将来、国、地方を通じた税制をどう整えていくかという場合に、やはりたばこ消費税は地方税に非常に適格性を持っておるのじゃないかという気がいたします。したがいまして、将来もやはり議論になる税目であろう、かように考えております。  第四項に出ておりますことは、この覚書ができます当時に、大蔵省から、具体的に国の消費税制度にするので地方のたばこ消費税の税率を直すにあたって、一つの提案がございました。この提案が私どもの意に沿いませんでした。そこで、こういった四項の覚書を実はいたしたわけでございます。今年度については、この問題は一応見送られて消えたわけでございますが、将来きっと再燃するのじゃなかろうか。そのときには、こういう考え方もまた生きてくるのだろう、かように考えます。
  16. 折小野良一

    折小野委員 それから、やはりそれに関連をいたしまして、その次に、国鉄納付金についての一項がございます。これにつきましては、すでに地方税法等の一部改正で衆議院においては決定を見ておるわけでありますが、交納付金全般について考えました場合に、やはり基本的にはそれぞれの市町村の固有財源であります固定資産税に準ずべきものである、こういうふうに考えます。そういうような性格の交納付金の中で、ことしは国鉄納付金について国鉄の再建策のために税額を減らすというような措置が行なわれたわけでございます。しかし、本来、固定資産税に準ずべきものという性格からいたしますと、こういうような措置というのはおかしいわけであります。個人にいたしましても、あるいは会社法人にいたしましても、その経営のいかんによって固定資産税がどうこうされるということは本来あり得ない、こういうことでございます。したがって、ことし決定されたことにつきましては、もういまさら何ともいたし方ないわけでございますが、これが市町村の財源という面からいきまして相当な比重を占めておるわけでございます。そういう立場からいって、自治省といたしまして、交納付金制度に対する今後の考え方、あるいはまた今回の国鉄納付金に対してとられたような措置が今後もとられるのかどうか、そういうような事態があり得るのかどうか、あるいはこの交納付金制度というものを将来改正する、そういうような御意思があるかどうか、そういうような点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の国鉄交納付金については、御承知のように、固定資産税に対して私鉄事業等についての軽減措置、それとはずを合わせてやったわけでございます。その間、もとより国鉄の現在の事情といったようなことが動機になったことは、これはもう争えない事実だと思います。内容的には、私鉄に対する固定資産税にバランスをとる、こういう考え方でございます。  この交納付金制度を将来どう持っていくかということにつきましては、私ども、これはやはりこういう形で存続をしてまいりたい。固定資産税とは違った形での固定資産の所有形態の三公社あるいは国、地方団体、そういったようなものの持っております資産に対して地元市町村が何の収入もないということは、税体系から申しましても、あるいは市町村の経営から申しましても、適当ではないんじゃなかろうか。むしろ私どもは、そういう意味から、この交納付金は将来拡充する方向で検討すべきものだ、かように考えています。
  18. 折小野良一

    折小野委員 将来拡充する方向で検討されるということでございますが、実質的に一番問題がありますのは、その固定資産の評価の問題じゃなかろうかと思っております。特に現在の固定資産税制度は、実質的には評価という面に一番の問題がございます。ところが、この三公社、国、地方公共団体が持っております固定資産税につきましては、いわゆる帳簿価格でございますか、それ自体を評価した価格が基礎になっておる。ところが、それぞれの市町村におきます評価は、それなりの一定の基準というものが設けられて評価をされておる。しかも現在、評価について問題がある。評価を現実の価格に近づける、こういうような方向が考えられておるわけでございます。こういうような交納付金の対象になります固定資産の評価につきましても、そういう面について何かお考えになっておるところがございますか。
  19. 細郷道一

    細郷政府委員 これはやはり一つの研究問題だと思うのですが、固定資産税におきましても、償却資産に対するものについては、できるだけ簿価をとっていきたい、こういう考え方でいっております。したがって国鉄についても、そういう意味では簿価を——国鉄は御承知のように、ほとんど大部分が償却資産でございますから、そういう意味では簿価をとっていくということは、はずは合っていると私は思うのでございます。ただ、再評価とかいろいろな問題がございますし、古い資産もあるわけでございますので、そこらの点についてはなおバランスを合わせるように検討していくべき問題だ、かように考えます。
  20. 折小野良一

    折小野委員 それでは一応覚書に関する質問を終わります。  交付税全般についてでありますが、わが国の交付税制度はきわめて精妙巧緻、世界に冠たる制度であると、実はこういうふうに自画自賛されておるわけであります。それだけに非常にむずかしいのであります。私ども見ましても、はたしてこういうような算定によりまして、実際の行政効果がどれだけ期せられるのか。そういう面の判断が非常に困難なわけでございます。そういうような点から、もちろん公平をはかるという行政上の立場はよくわかるわけでございますが、もっともっとこの交付税制度というものを簡素、合理化する、こういうような方向は考えられないものですか。
  21. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税制度については、ある意味では二つの行政の方向があろうと思うのです。一つは、御指摘のできるだけ簡素、合理化していく。一つは行政の水準を保障するという角度から、ある程度これを精密にやっていかなければならない、こういう二つの方向があるだろうと思うのであります。  それをどういうふうに調整していくかということは、財源の多寡とも関係すると思うのであります。非常に財源の苦しいときと、多少財源的に余裕の出てきたとき、それによっても違うだろうと思います。その二つ調整しながら、交付税制度の本来の行政水準の保障というたてまえを貫いていくということがやはり必要ではなかろうかと私は思っております。今回、経常経費と投資経費を区分いたしまして、経常経費につきましては静態的な経費をとらえていく。投資的経費については動態的な経費に応じていけるようにしよう、こういう意味で区分をいたしました。  この区分をいたしましたことは、一見、費目的には繁雑に見えますけれども、実はこれによって将来の交付税の単位費用の計算の方法としては、やはり簡素化の方向もこれによって認めているのではなかろうか。具体的に申しますれば、将来は、経常経費は経常経費でまとめてしまう。投資的経費は、いろいろ内容その他がございますから、一本にまとめることは困難かもしれませんが、これをまた幾つかのグループにまとめていくというようなことも十分考えられるわけでございます。私どもまだ将来のそういった方向まできめておりませんけれども、そういうことも考慮しながらいこうという意味において、今回多少なりともいま御指摘になったような点を考慮に入れた改正をいたしたつもりでございます。
  22. 折小野良一

    折小野委員 たいへんけっこうなお考えだと思うのです。しかし、それが現実に自治省当局、特に関係の交付税でしたら、交付税関係の方々のマスターベーションに終わってしまっておるのではないか、こういう点を私ども懸念します。非常にいろいろな面を考えてやられる。ところが、それを地方団体自身がはたしてそのとおりに受け取っておるかどうかという問題多くの地方公共団体におきましては、その内容を十分承知しておりますのは担当のほんのわずかな人たちだけであります。ただ単に交付税伸びた、減った、多くなった、少なくなった、こういうような点だけが関心の的でありまして、こういうような考え方で行政の実態に即応するように算定されておるのだ、したがって、それに応じて地方の行財政をこういうように運用しなければならないのだ、そういう納得ずくの執行というものが現実になされていない恨みが多分にあるんじゃないか、そういうふうに考えるわけです。ですから私どもは、自治省の関係の皆さん方の善意を信頼いたします。そしてまた、それをできるだけ実現しようということでいろいろ御努力になっておることを高く評価するわけですが、希望いたしますのは、その気持ちがやはり自治行政の面にほんとうに生かされて初めてりっぱな行政というものが行なわれていくんじゃないだろうか。ところが、それがあまりにもむずかし過ぎるために、その意図が現実の自治行政の中に生かされない、こういう恨みが非常にある、こういうふうに私ども判断いたします。そういう立場からひとつ、もっと簡素、合理化していただきまして、どういう趣旨、どういう意図によって、こういう計算が行なわれておるのだということを、地方団体がよくわかって執行する、こういうようなことにならなければいけないのじゃなかろうか、こういうことを痛感をいたすわけでございます。今後について、自治省としてそういう面をどういうふうにお考えになっているかということをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 政府の各省は、法律または通達等を通じましてその行政の前進について地方に指導をいたします。その内容財政面に反映していこうというところに私ども交付税制度の算定方法があるわけでございまして、政府の各省が指導することに応じて私ども財源措置をしていく、こういうつもりで実はいろいろやっておるわけでございます。確かに御指摘のように、それが三千の団体に非常に不徹底であるという点もあろうかと思います。私どもの指導のしかたもずいぶん影響していると思います。機会あるごとにそういう指導につとめていきたいと思っておりますし、特に財政計画の策定の方針でありますとか、あるいは交付税改正の要綱でありますとかいうようなところには、そういうことも実は意図しながら毎年盛り込んでおるつもりです。なお一そうつとめてまいりたいと思っております。
  24. 折小野良一

    折小野委員 自治省はそういう立場でいろいろ努力いたしておられるわけでございますが、自治省以外の政府機関におきましては、自治省の意図どおりに指導が行なわれているかというと必ずしもそうじゃございません。場合によっては自治省内部においてさえ誤った指導が行なわれておる。実は先般、私は消防についてお尋ねをいたしました。大臣の施政方針の中においても、消防団員の給与を引き上げていくんだ、こういうようなお考えが出ておったわけであります。具体的にどういうふうな措置をとったかということにつきまして、消防庁は、それは交付税の中にこれこれ計算をして入れてあります、こういうことなんであります。しかし、交付税の算定の中に、たとえば団員の出動手当が一回何百円である、こういうふうに入れたといたしましても、それが現実に交付税という全体のワクの中に組み入れられて、そうして交付されました場合に、それであるから地方はそうせよということはできないわけであります。そういうような面につきましては、自治省の内部でさえだいぶ誤解もございますから誤った指導が行なわれる。ましてや自治省以外のところにおきましては、こういうものはちゃんと交付税に入れて交付したから、こういうような指導が地方団体に対して行なわれる、そういう面が非常に多いのであります。場合によっては、それが交付税の中に算定されたということを一つの弁解に使っておられる、こういう面もいろいろございます。  そういう面からいたしますと、地方団体自身に十分交付税についての趣旨認識せよということももちろんございますが、政府部内におきましても、交付税制度というものの本来の趣旨をよく認識して指導していただかなければならない、こういう面が多々あるような気がいたします。そういう点については一番中心になっておられる財政局長としてどういうふうにお考えになっておられますか。
  25. 細郷道一

    細郷政府委員 関係各省も最近非常に交付税の算定の仕組みを勉強されまして、新しい施策なり長期計画というようなものについてこれに織り込むようにという要請が毎年幾つも出てまいります。私どももできるだけ地方団体に共通的な行政経費でございますれば、各省の主張をいれてこれに織り込んでいくようにする、こういう行き方をとっております。あと各省が御指導いただくときに、交付税で見てあるからやりなさいという指導は、私はやはり自治体に対する指導としてはたして適当であるかどうか、議論のある点だろうと思っております。それも相当大きな方向の指導でございますれば私は適当だと思うのです。地方団体が何でも自分の好きなようなことをやればいいというのは私はやはり誤りだと思います。国の方向がどういう点にいま重点が動いておるかということを認識しながら地方団体がやってもらうことが必要だ、こう考えておりますので、そういう意味では私は賛成でございますが、あまりこまかい、特に人件費みたいなものでよくあるのですが、こまかいところに一人分が入ったとか入らぬとかいうことだけの指導に落ちますと、やや目的をそこなうのではないか。何の行政のために要るかということの御指導をいただくように、実は私は各省に申し上げておるのでございますが、多少不徹底な点もあろうかと思います。受け取る地方団体の側のほうの態度にも問題があろうと思います。よく気をつけてまいりたいと思います。
  26. 折小野良一

    折小野委員 私どもが簡素、合理化ということを申し上げるのは、特に交付税制度の本来の趣旨あるいはその内容につきましても、どのような意図によってやられておるかということがほんとうに正しく認識されるということが一番大切なことじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。したがって、そこにはいろいろな弊害めいた面も起こってまいっておるわけでございまして、かえって精妙巧緻である面だけをあまりにも強調をいたしますと、今度は地方団体がそれによってきわめて強く拘束される、むしろその精神というよりか形に拘束される、こういうようなことになってまいりまして、いわゆる特色のある行政、特色のある「街づくり」を阻害する、こういうような点も多々出てまいるのじゃなかろうか、こういうことを予測をいたします。したがって、できるだけ自治省考えておられるその精神をほんとうに理解してもらうということが一番大切なことじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  ところで、これは交付税の計算だけじゃありませんのですが、いろいろな行政に通じていることでありますが、あまりにも経済性というものを強調される、そうして人間性というものを疎外する、こういうような面が行政のいろいろな面にあらわれてきているのじゃなかろうか。精妙巧緻な算定の基礎をもっていろいろ計算されるこの交付税というものも、そういう面から見ますと、やはり何となく経済性というものをあまりにも強調し過ぎておる、こういうような気がしないでもないわけであります。たとえば、具体的な例で申しますと、道路の改修でございますが、道路の改修の優先順位というのは、通常の場合は、その道路を通る自動車の台数ではかられます。そういうような考え方でやってまいりますと、いわゆる産業道路、そして、形の上ではいわゆる国道というものが非常に優先的に改修が進みます。その反面において、市町村における住民が日常使う、私どもいわゆる生活道路とこういうふうに言いたいわけでありますが、そういう面の整備が非常におくれてくる、こういうようなことになってまいるのじゃなかろうかと思うのであります。そういう人間性をどういう形でつかまえるかということは非常にむずかしい問題であろうというふうに考えるわけでございますが、特に交付税のような地方財政を総括的に把握する、こういう立場におきましては、経済性ももちろん大切でございますが、やはり人間性をいろいろな面で把握することが特に必要なことじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。自治省の特に交付税についてのそういう面のお考えを承りたいと存じます。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃる点、よく私ども承知をいたしておる点でございます。道路の例でお話がございましたが、そういった方向をとるにはやはり「街づくり」といったような、それぞれの地方団体が将来の姿を想定した上での仕事の進め方ということがこれを救う方法ではなかろうか、私はかように考えるのでございます。一口に言えば非常にやさしいようでございますが、実はなかなかむずかしい問題だと思います。思いますけれども、私どもはそういったようなことを反面予想しながら、今回たとえば道路については、市町村道のいなかのほうにかなりよけいに流れるようにというような配慮を実はいたしております。どういう道路を順番にということの指導はなかなか一律的にはいたしかねますものですから、一にかかって計画的な施行という点を徹底させることによってその部分をカバーしていきたい、こういう気持ちでおります。
  28. 折小野良一

    折小野委員 それじゃ次に移ります。  今度の交付税法の改正の中で、やはり異論はあるところだと思いますが、特色のあるものは土地開発基金制度の創設ということだと思います。もちろんこれは何も創設ということでなしに、従来からやろうと思えばできたわけでございます。いずれにいたしましても、今日国から地方を通じます行政の中の一つの大きな隘路は土地対策ということでございますし、また、今日まで国の制度の中におきましても、この土地対策に対する的確な施策というものが行なわれていないのであります。一応今度のこの交付税の中で土地開発基金に対する財源付与というようなことが一つの契機になりまして、地方における土地問題というような面に一つの前進が示されるということになれば、私どもはたいへんけっこうなことだというふうに考えています。  ところで、この制度につきまして、御説明によりますと、臨時の措置としてというふうにお考えになっておるようでございます。この前からの質問に対する御答弁をお聞きいたしましても、それほど大きな確信を持っておられないように実は判断をいたすわけでございますが、この辺はそういうふうにあやふやと申しますか、そういうような状態でこれを今度お出しになったのでございましょうか、どうでしょうか、お伺いいたします。
  29. 細郷道一

    細郷政府委員 いまお話しのございましたように、やはり土地の取得問題がこれからの「街づくり」や「地域づくり」あるいは公共施設の整備の前提になるという考えで今回こういう措置をとったわけでございます。臨時の措置といたしましたことは、地方財政の全体的な状況というものも考慮をいたしてとりました措置でございますので、特に本年度の臨時の措置といたしたわけでございます。  私どもはこの背景になっております土地の必要性については、何か措置が要るのではなかろうか。いままではもっぱら地方債にたよっておったわけでございますが、しかし交付税の基準財政需要額をいろいろ算定する際に、地方債は単なる資金繰りでございますから、やはり財源措置というものをどこかに必要とするものがあるのじゃないだろうか。どういうふうな費目ごとに土地代というものを入れていったらいいのか、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。今回こういったようなやり方によって一応の一つの前進をしたつもりで実はやっておるわけであります。ことしはそういうことで、この法律案では本年度限りといたしておりますが、私は事情が許しますれば二、三年これを続けていってみたい、こういう気持ちでおります。
  30. 折小野良一

    折小野委員 実は、この問題につきましては、ことし限りとか、臨時とか、二、三年とか、そういうことではなしに、抜本的な対策を講ずべきじゃなかろうかというふうに考えます。  実は、これは単なる一例なんですが、昨年、私ついでがありましてストックホルムに行きました。ところが、あそこの都市計画についていろいろ聞いたのでございますが、ストックホルムの市の区域内の土地の九〇%は市有地であるということであります。日本の現在の都市の状態から考えまして、市の区域内の九〇%が市有地でありますならば都市計画は自由自在だ。そしてまた、土地の値上がりを防止する効果も非常に大きいのだ。それからまた、現在は大ストックホルム都市計画というものを実施しておりますが、その市の外に市の区域よりももっと大きな市有地を各所に確保いたしまして、ですからあそこでも東京と同じように町がだんだんふくれ上っていっておる。それに対する対策といたしまして、市の郊外にあります市有地を新しく基本的に造成をいたしまして、日本のようにとにかく家ができて、それから道路ができ、それから下水ができるというようなかっこうでなしに、ちゃんと一つの計画に基づいて都市計画を行なう。道路をつくって、下水をつくって、それから家をつくる、こういうようなかっこうで実に整然とした計画が進められておる。これはやはりこれだけの土地を確保しておるからだと思うのであります。それだけの土地を確保するということにつきましては、これはいろいろな問題があると考えるのでありますが、今日までこの政策を百年間続けてきたということ、私は、そのこと自体にはいろいろな見方もあろうし、いろいろな考え方もあろうと思っております。しかし、一つの政策を実行するために、一つの政策を効果あらしめるために、百年間努力を続けてきた。この点は私は学ぶべきじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  特に、日本の都市におきましては、現在過密の問題あるいは今後の都市化の問題いろいろ憂慮されております。この中でやはり土地に対する対策を確立するということが一番大切なことだ。現在疎外要因の一番大きなものがこの土地対策が行なわれてないということにあるだろうと思っております。国におきましてもだんだん関心を持ってこられつつあるわけでございますが、地方団体におきましても、もちろん土地に対する対策というものを推進しなければ、今後の町づくり都市づくりというものは、これは思うばかりで現実には一つも進まないというようなことで終わるのじゃなかろうかということを懸念をいたします。  そういう面からいたしますと、今度の土地開発基金につきましては、もちろんそれぞれいろいろな考え方もございましょうし、もっともっと改善すべき面もあるだろうと思いますが、少なくも土地政策を推進するという立場におきましては、確たる方針を堅持して、臨時的とか、あるいは二、三年でというようなことでなしに、ひとつ気長な政策の推進をお願いをいたしたいと思うのでございますが、これは特に大臣からひとつ御決意をお伺いいたしたいと思います。
  31. 野田武夫

    野田国務大臣 今度新たに土地開発基金を設けまして御審議を願っておるのでございますが、これはただいま折小野さんから御指摘のとおり、あらゆる社会形成の基本として、私は、今日の日本では土地問題というのはきわめて大きな解決すべき重要事項だと思っております。  そこで、今回この基金制度を設けたのでございますが、これは臨時的ということでございます。この制度でどこまでの効果があるか、どこまで効率的にこの基金制度を運営できるかということは、初めての試みでございますから検討すべきことだと思います。私は御意見は非常に傾聴すべき御意見として拝聴しております。その結果におきましては、私は十分検討して、そして、これはただ臨時的ではなくて、できるだけ長期的な計画の中に織り込むということになるかどうか、今回の措置によってひとつ検討してみたい。しかも御意見の点は十分われわれの考えるべき点を御指摘になっておる、こう考えております。
  32. 折小野良一

    折小野委員 この問題につきましては、もちろんいろいろな考え方もあろうと思っております。しかし、目先のいろいろな対策に追われておる現在の地方団体におきまして、やはり基本的なものはほんとうに気長に取り組んでいく、少なくも百年取り組んでいく、こういうようなことでなければほんとうの効果というものはあらわれないと私ども考えております。特に土地政策というような問題につきましては、一年とか二、三年とかでケリがつく問題では決してないのでございます。そしてまた、財政局長の御説明によりますと、今度の土地基金の財源だって、ふだんの公共用地の取得とほとんど同じくらいの金額、その範囲内にしかとどまらない、こういうような御説明でございます。それはなかなか一ぺんに目的を達成することはできません。しかし、これを積み上げることによって、やはり十分な効果があらわれてくるということでございますので、こういうような面につきましては、今後ひとつ十分気長な対策と指導をぜひお願いいたしておきたい、かように考えております。  それから、現在の地方財政の中で、社会経済の非常に大きな変動というのが一つの大きな問題になってまいっております。それが現象的にあらわれてまいりますのが、いわゆる過密ということであり、またその反面に、過疎という問題があるわけでございます。ところで、今度の地方交付税法の一部を改正する法律、この法案の中で大臣提案理由説明がございます。また、要綱がございます。この中で過密ということばが使われておりますが、過疎ということばは全然ない。これは何か意識して過疎というのを避けられたのか、あるいは過疎というのを後進地域というふうに変えられたのか、それはどのような意図があってお変えになったのか、その辺からまずお伺いをいたしたいと思います。
  33. 細郷道一

    細郷政府委員 過疎ということば、非常に多義的な要素がございます。私のほうでは特にそれを疎外するというつもりは毛頭ございませんが、その表現として後進地域という表現を使ったのであります。
  34. 折小野良一

    折小野委員 確かにこの要綱を見ますと過密地域における云々、そしてその次には後進地域における云々というふうに並べて書いてございまして、過疎ということばを後進というふうに改められたのだなと思うのでありますが、過疎というのと後進地域というのと必ずしも一様ではないのではないかというふうに考えるわけです。わざわざこういうふうに改めた——もちろんそれは過疎ということばの中には多義的ないろいろな要素というものが入っておろうと思うのであります。それを避けてあえて後進地域というふうにされたのには、ただ単に過疎が多義的であるからということでなしに、行政上何らかの目標を持っておられるのではなかろうかというふうに勘ぐりたくなるわけであります。その辺のところをもう少し御説明を願います。
  35. 細郷道一

    細郷政府委員 率直に言ってそれほど深い意図は持っておりません。現に財政計画の策定方針におきましても過疎地域における生活環境整備というような表現を実は使っておる。ただ財政計画の策定方針に使いました過疎地域は特に辺地債を意識をいたしまして実はそういう表現を使ったわけであります。辺地というのは過疎的な要素も持っておりますし、後進地域的な要素も実は持っております。そこで交付税提案理由の中では非常に広い意味に使ったつもりで後進地域ということばを使ったわけでございます。
  36. 折小野良一

    折小野委員 私は、過密地域ということばを一応認めておられる以上は、やはり過疎地域ということばのほうが常識的にいいのではなかろうかと思います。もちろん、その過疎ということばと後進地域ということばを厳密に比較して、どこがどうだというふうにはっきり判断をして言っておるわけではない。しかし、今日世間で都市化に伴う困った現象として片方に過密がある、その反面に過疎がある、こういうふうに私たちは大体判断をいたしておるわけであります。そしてまた、現在の過疎の問題というのは、確かにおっしゃるように多義的な、そしてそれが多義的であるところに問題がある。そして、ただ単に後進地域であるからそれを引き伸ばせばいいということだけでなしに、そのほかのいろいろな要素が含まれておるところにやはり過疎対策の重要性があるんじゃなかろうか。私どもはそういうふうに考えるわけでございます。こういう点については、ひとつ専門家である皆さんの今後十分御検討をいただきたいと思います。ですから私は、この質問ではさらに過疎ということばを使って御質問を申し上げたいと思います。  この過密と過疎なんですが、これのとらえ方に二つのとらえ方があると思うのであります。これは、過密化した状態、過疎化した状態、そのとらえ方と、過密化しつつある状態、過疎化しつつある状態、このとらえ方と二つのとらえ方があると思うのであります。行政上の対策といたしましては、そのどちらのほうに重点を置いて対策を講じようとなされているわけですか。
  37. 細郷道一

    細郷政府委員 過密と過疎とどっちを重点に置くかというのは、実はなかなかむずかしい問題でございまして、私ども自治省としましては、かねて申し上げておりますように、人口の異常な大都市集中を排除するように、地方をむしろ計画的につくり上げていくという基本的な考え方を持っておるのでございますから、そういう意味合いから申しますれば、過疎地域に対する手当てというほうが優先していいのかもしれませんというふうにも思われます。しかしながら、二面、過密の地帯におきましては、現実の問題として学校を建てるのにも困るし、清掃施設を整備するのにも困るという、もう間に合わないといった現状もございますものですから、過密に対しましても相当財政需要の算入ということをいたしたわけでございます。
  38. 折小野良一

    折小野委員 ただいまの御答弁は、実は私がお尋ねしたのとは違うのであります。私は、過密、過疎というものをそういうふうになっておる現実でとらえるのか、あるいは現在過密化しつつある、あるいは過疎化しつつある、こういう動きの中でとらえていくのかという点をお伺いをいたしたわけであります。特に、今日の大きな問題が、社会経済の変動ということでございまして、しかも、今日非常に動いておるわけであります。したがって、そういう中におきまして、行政といたしましては一つの対策としてどの面をとらえていくのがいいか、こういうことが特に問題になってくるであろうというふうに思うわけであります。すなわち、現在すでに過密化しているその過密の状態を直す、あるいは過疎化して後進地域になっておるその状態を直すというのか、あるいは、現在地方から大都会のほうへ人が動きつつある、こういう状態を何とかしようというのか、それによって対策の方向というものも違ってこようと思うのであります。したがって、そういう面のどちらに重点を置いておられるのか、こういうふうにお尋ねしたわけであります。
  39. 細郷道一

    細郷政府委員 私、取り違えて失礼いたしました。  結局、動態的な経費をどう把握していくかということになると思うのでございます。動態的な経費を把握するにあたっては、人口がどんどんふえていくところは、将来もこうやってふえていくだろうということを見通してこれを計算する方法がありますと、需要の算定がわりにうまくいく。反対に、減るほうは、将来も減っていくだろうというのを計算していけばやりやすくなるということでございますが、なかなかそこのところを、どの町はどれくらいにふえていくだろうというふうなことを一々やっておりますと、また交付税の算定の考え方からはずれてくるというようなこともあったりいたしまして、ある程度共通的な要素として、過密の地帯につきましては、人口のふえていく最近の趨勢を使ってそこの経費の算定をしていく、さらに進めて、大都市あるいは地方都市の中心となるような都市の周辺との社会経済圏のつながりを見て、昼間人口と夜間人口の差、移動の姿を数字的にとらえてこれを経費の算定に織り込んでいくというような行き方をとっておりますし、過疎のほうにつきましては、御承知のような人口が減っても、すぐ減らないような措置をとっていく、こういう行き方で実はいまやっておるのでございます。もっと動態的な将来の見通しということが把握できてまいりますと、そのほうが私は動態的経費の算定としては望ましいだろう、こう思っておりますが、なかなかそこまでまだ私ども考えも実はうまくまとまっていないわけでございます。  ただ、申し上げておきたいことは、私どもが提唱しております広域市町村圏といったような考え方は、将来地方におきます一つ地方団体を越えた圏域といったようなものについての計画をつくっていただくことによって、その計画を私どものいろいろな財源措置の面で、そういうものを織り込んでいくというような考え方を実はいま持っておるのでございます。そういったようなことも、いま御指摘の点をカバーする一つの方法じゃなかろうか、かように考えております。
  40. 折小野良一

    折小野委員 自治省とされて、地方財政というものを根本的にいろいろお考えになる上におきまして、今後の地方公共団体というものがどういうような形になるのか、あるいはどういうふうにしなければならないのか、そういう政策的な意図というものはないのでありましょうか。もっと説明をいたしますと、現在いろいろな予測を立てまして、そうしていろいろな政策を論ずる、こういうようなことがよく行なわれています。日本の都市化におきましても、将来は、七〇年段階におきましては、日本の人口の七割ないし八割が太平洋メガロポリスに集合するであろう、こういうような予測が一つ行なわれておる。これは結局地方公共団体という立場からいきますと、非常に大きな変化というものが予測される。はたしてそれがいいかどうか、そこにやはり一つの政策なり意図というものがなければならないのではなかろうかと思っておるわけであります。こういう傾向をすべて是認をして、そうしてそれはやむを得ないということでいろいろな対策を講ずる。ふえるところは、過密で少し金をやる、減るところは、困るであろうから少し金をやろう、こういうような対策をやっておられる、こういうような気がいたすわけでございますが、私どもはむしろそういうような今後の傾向というものがはたしていいかどうかという立場から、一つの政策意図を持って、こうすべきであるというような立場からいろいろな具体的な対策を講じていく、こういうことが必要じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、現在そういう動きに対して何らか政策的な意図を持ってやっておられるのか、そういうような意図はなくて、ただ動いていく社会経済の情勢に対しての、それぞれ手当てを講じていこうというようなことでありますのか、その辺をお聞きいたしたいわけであります。
  41. 細郷道一

    細郷政府委員 国土の全体の持っていき方をどうするかという点については、御承知の新総合開発計画といったものに実は期待をいたしておるわけでございます。その作成にあたっては、いま私どものほうからもいろいろ意見を言っておるわけでございます。意見を言っております点はいろいろございますが、骨子は、先ほど申し上げましたように、過度なる人口の集中を排除するように地方を育てていきたいということと、計画の基本になるものは下から積み上げたものでいってもらいたい、地方の市町村から積み上げたものでいくべきである、こういう考え方に立っておるのでございます。いずれ新全総ができますれば、それに符牒を合わせながら、地方の地域づくりの持っていき方をきめなければならぬと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、それにマッチするものとして、それを予想して実は広域市町村圏といったものの設定、あるいはそれの内容、計画といったようなものをつくるように、ことしは地方に呼びかけをいたしております。  現在の交付税の算定にあたりましては、その将来の方向に沿うようにやっているかとおっしゃられますと、その点はまだ十分でございません。むしろ対症療法的な部面がかなり多いのでございます。これは、どうしてもやはりいままでたどってまいりました地方財政状況からして、その対症療法すらも事を欠いておったといったような背景もあるわけでございまして、そういう点を今回は調査をいたして入れてまいったわけでございます。御指摘のような将来の方向づけにつきましては、いま申し上げましたようなことで、将来なお十分に検討して取り組んでいかなければならぬ、そのように考えております。
  42. 折小野良一

    折小野委員 新しい全国総合開発計画ができましたら、当然、その計画に沿ってやっていかれるということになるのでありましょうが、過去の実例を見てまいりましても、計画は計画、そうして世間の動きは動きというようなことで、計画と実際のこの社会の動きというのが非常に大きく開いてくるというのが現実の姿なんであります。今度新しい計画ができるからといって、それで直ちに効果があるというふうには私ども考えておりません。したがって、この計画を実効あらしめるためには、やはり個々の具体的な計画が実効をあげていかなければなりませんし、そうしてまた、それが実効をあげるためには、実効あがるような施策というものが具体的に行なわれなければならないわけであります。  それで、従来のそういうような面から考えてみますと、たいへん考え方はいい。しかし、それに対する対策がどうも十分でない。そういうことのために、結局、現実に押し流されていってしまう、こういうような例が非常に多かった、こういうふうに考えるわけであります。おそらく、今日の過疎あるいは過密というような問題が、新しい計画の中におきまして望ましい方向に是正されるというような形で施策が講じられなければならないということになるわけでございますが、これが単なる対症療法的なものでありました場合においては、結局、いつまでたっても現在の混乱はなくならない、こういうことになっていくわけでございましょう。したがって、今後の対策について、ひとつできるでけ効果的な計画を立てていただき、そうしてそれが具体的な実効があがるような重点的な施策をやっていただくということが、特に必要なことじゃなかろうかというように考えます。  ところで、何とかしなければならない現在の過疎地域でございますが、この交付税の計算におきましても、たとえば教育費の計算であるとか、農業行政費であるとか、また、今度新たにその他の産業の面につきましても特別に御配慮になっておるということでございます。しかし、はたしてそういうことで過疎の状態がなくなるであろうかというふうに考えますと、まあ、私ども感覚的に考えましても、なかなか過疎の状態をなくする、あるいは阻止するということに役立ちそうな気がしないわけであります。それをさらにいろいろ考えてみますと、現在、地方交付税のほうでいろいろ考えておられる対策というのは、普通の行政のルートに乗った、その線において何とか対処しよう、こういうことだと思うのでありますが、過疎の現実の問題というのは、必ずしも従来の行政のルートに乗らないような問題が当面の問題としていろいろあるように考えるわけであります。たとえば、人口が減ってまいっておりますので、従来バスが通っておった。ところが、採算が合わないので、そのバスが運行を停止しよう、あるいは回数を少なくしよう、こういうようなところから非常に住みにくい地域になってきておる。あるいは、お医者さんが成り立たなくてよそに出ていってしまったので、いわゆる無医村になった。したがって、なくなった人の死亡診断書をとるのでさえ、交通機関を使って相当遠いところまでお医者さんを呼びにいかなければならない、その経費だって決してばかにならない、こういうような問題がいろいろ出てまいります。いま申し上げましたのは一つ二つの例にすぎないのでありますが、こういうようなものは、過疎対策として非常に必要だというふうに考えましても、従来の行政という面からいきますと、全然そのルートに乗らない、こういう性格のものであります。したがって、こういうようなものが過疎の要因になっておるという点から考えますと、現在いろいろ交付税の面において御配慮いただいておりますこの過疎対策がはたして効果をあげ得るかどうか、こういう点について多分に疑問を感ぜざるを得ないわけであります。  こういうような点についてはいろいろ御検討になっておられますかどうか、あるいはそういう実態に対して何とか方途を講じよう、こういうようなお考えがありますかどうか、そういう点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  43. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおり、過疎対策というものは、単に財政の面で金が豊富にいけばよいというものだけではないだろうと思うのでございます。やはり行政の仕組み、たとえば行政の縦割り行政が非常な山奥までも及んでおるというようなことが、実は過疎から抜け出そうという意欲をそこなわせる一つの問題になっているんじゃないだろうか。私は、人口が減らなければいいんだというふうには考えていないのでございまして、人口が多少減っても、そこに住みよい土地ができればいいんじゃなかろうか。そういうところに対策の焦点が本来当てらるべきものじゃないか。先ほど御指摘のありましたバスの路線の問題にいたしましても、現在でございますと、やはりバスは、普通の都会におきますバスと同じような行政的指導と規制を受けているのでございまして、過疎の地帯でございますれば、それはもっと規制をゆるめて、住民になるべく多く使ってもらえるような仕組み、そういったようなことも私は過疎対策の問題として必要なんだろうというふうに思っております。結局は、やはりその地域の住民の住みよいところをつくるという意味において、所得の面でも所得水準を引き上げる。それには、そういう地域におきましても、単に生活環境施設だけでなく、産業的な施設についても整備をしていく必要がある。その産業的な施設を整備するにあたっても、生活環境施設をよくするにあたっても、一つの市町村の範囲内ではこれはなかなかむずかしいのではなかろうかというので、幾つかの市町村が中心地をつくっての広域市町村圏といったようなことがどうしてもこれから過疎地帯の問題に対する対策として必要なのじゃなかろうかというふうに考えているのでございまして、現在、交付税では、本年度もかなり過疎地帯については金額をほうり込んでおりますが、その中には、学校等はもとよりでございますが、単純に生活環境施設だけでなく、産業行政費的なものも今度かなり入れたわけでございまして、それはそういった意図としてお受け取りをいただきたいと思っております。なお、進んでは市町村圏計画といったようなものを将来取り込んでいく必要があるだろう、こう思っております。
  44. 折小野良一

    折小野委員 考え方は非常にけっこうだと思いますし、いろいろな施策を講じられること、これもまた非常にけっこうなことだと思っております。しかし、そういうようなことでやられる施策が何ら過疎対策に具体的に役立っていない、こういう現実を私どもはやはり見せつけられるわけであります。それは一つは、先ほど交付税の全般について申し上げました経済性と人間性というもの、こういう面にも関連をしてくるのじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。第一に、同じ行政をやっておりまして、県庁に出ていくにつきましても、多くの日時とそして金がかかるわけでございます。こういうような面はなかなか交付税の中でも計算もできませんし、それから、同じものを買うにいたしましても、当然辺地においてはものは高い。しかし、そういうものは何ら保障されていないのですから、低い所得の中で高いものを買っていかなければならぬ、二重に生活が困難になってくるということも当然なことだろうと思っております。そして、あるいは米という問題があります。それは米が一番農業の生産物として有利である、それはわかっておりましても、ああいう辺地あるいは山間僻地における米作農業というものは、それだけ多くの経費がかかっておる。多くの経費がかかっておりながら、買われるのはやはり同じ値段でしか買われていかない。いろいろな問題がありますが、これはただ単に全国共通の経済性という面から見ますと、確かに不当なものばかりであります。しかし、それがその地域に住む人にとって、そして、その地域の行政をやっていく上においてどうしてもなければならない、そういう面が解決されなければ、やはりその地域はいつまでたっても過疎から脱却できない、いわゆる、おっしゃる住みよい地域ということにはならないのじゃないだろうか、こういうふうに考えます。そういう面から私は特に過疎対策というような面につきましても、ただ単なる経済性という面からだけ数字をはじくというようなことではなしに、その地域の特殊性というものを考えて、その地域に住んでおる人というものを考え立場における対策というものが特に必要なのじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。いろいろな施策がございますが、現在のところ、過疎地域の特に市町村に対しまして、多少なりとも効果があっておる財政的なものといえば、これは交付税しかないわけであります。今後ともますます交付税の占める比重というものが大きくなっていく。その交付税の中においてそういう面の対策を十分御考慮いただくということが、過疎地域に対する対策として一番大切なことじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  45. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、単に経済性に徹しただけでは、私は地方は立っていかない、やはりそこにどういう住みよい環境をつくるか、「地域づくり」「街づくり」をするかということが、これを打ち破っていく方法であろう、そのための財源はできるだけ私ども交付税の上でめんどうを見る、あるいは起債の上でもめんどうを見るというようなことをすべきではなかろうか、こういう基本の方針を持っております。したがって、今回とられます過疎過密対策の財政需要額というものを見てまいりましても、過密の地帯におきましては人口一人当たり三千円ぐらい、過疎の地帯につきましては七千円ぐらいの計算に実はなっておるのでございまして、どの程度がいいかは議論のあるところでございますが、私どもは単純な経済性だけに立脚してやっているわけではないということは御了承いただきたいと思います。
  46. 折小野良一

    折小野委員 この交付税の過疎対策といたしましていろいろな項目があげてございますが、とりあえず過疎対策としては農業と学校と、それからその他の産業経済というものが今度加わったわけでありますが、過疎地域にふさわしい何か別個の項目というのを立てる必要があるのじゃございませんか。そういう面の検討はなさっておられませんか。
  47. 細郷道一

    細郷政府委員 いま特殊な項目というのは、実はそこまでの検討はいたしておりませんで、やはり過疎対策と申しましても、そこの地方団体の行政経費をどうまかなっていくのかということに私どもの使命がございますものですから、やはり行政経費を中心に、どの費目にもっとウエートを置くべきかというような考え方を実はいたしておるのでございます。そこで先ほど来おっしゃるような農業行政費、その他と、こういったような区分のしかたを実は算入をいたしております。  ただ、先ほども申し上げましたように、市町村圏計画といったようなものが出てまいりました暁には、いまのようなやり方に乗せることで十分充足できるのか、あるいは多少おっしゃるような特別なものを考えなければいけないのか、あるいは普通交付税でできない部分も特別交付税でめんどうを見るのか、いろいろな点についてはなお研究をしてみなければならない、こう思っております。
  48. 折小野良一

    折小野委員 市町村圏計画あるいは広域行政のいろいろな思想、これは確かに一つの方法だと思っております。しかし私は、それができたことによって現在の過疎が解決されるというふうにはなかなか考えられないのじゃなかろうかと思っております。一つの広域市町村圏ができますと、その中においてやはり過疎過密というような動きが出てくる。その中におきまして、おのずからところを得るということよりも、やはりその中におきまして中心に集まるという方向が出てくる、これもある程度必要なことだと思っております。しかし、そうした場合に、何と申しますか、それが行なえないところが結局脱落していってしまう。その脱落したものはこれはやむを得ない、こういうふうに考えるなら別なんでありますが、そういうような施策が必ずしも根本的な解決になるのでなしに、やはりそれぞれの圏内におきまして、あるいはそれぞれの施策の中におきましてこういうような問題がなお今後残っていく、こういうようなことを考えてまいらなければならないのじゃなかろうかというふうに考えます。もちろんこれは非常にむずかしい問題でございまして、一挙に解決するとか、あるいはこういう処方をすれば必ずそれがなおるとか、こういうものはなかろうというふうに考えるわけでございますが、現在の過疎地域の実態というものを考えました場合、何としてでもこういうような状態を何とか脱却するような方策が立てられなければならない、こういうふうに考えます。そういうような立場におきまして、その実態に即したできるだけの方策というものを講じていっていただきたい。特にこの交付税におきましては、そういう面について今後さらに一そうの御配慮をお願いいたしたい、かように考えます。  それから、最後に一つお伺いをいたしておきます。  それは国民健康保険の制度でございます。これは地方財政計画の中にもほとんど触れられておりませんし、交付税の基準財政需要額の中にももちろんこれは触れられていないわけでございます。ところが、現実の市町村におきましては、国保の運営というのは非常にむずかしい問題でありますし、今日非常に困難な問題をかかえております。また、住民にとって申しますならば、住民税よりか国保のほうが高いのだ、こういうようなことでございますし、ほとんど毎年毎年国保の税金は上がっていっている、こういうような実情でございます。したがって、これが特別会計であり、その特別会計というのは当然独立採算制を目標にして運営さるべきであるということは一応わかるのでございますが、今日の市町村の行財政の中において非常に重要な位置にあるこの国保の運営、特に財政の問題、住民負担の問題、こういうものをやはり地方自治の中でもっともっと検討さるべきじゃないか。もっと十分に把握さるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、地方財政あるいは交付税財政需要額、こういうものの算定の中で、こういうものを今後いろいろな立場から御検討になる御意思がございますかどうか、お伺いをいたします。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいま国保の中でも直診段階については、御承知のように交付税需要の中で見たり、あるいは特別交付税で処理をいたしたりしておりますが、いわゆるお尋ねの事業勘定のことだろうと思います。これについては、やはり社会保険制度であるという基本の考え方から、現在のところ交付税等で実はいたしておりません。これが社会保険に徹するのか、多少社会保障的な要素が入るのかといったような点については、なお議論の余地のある問題だと思います。  それから、さらに進んで国保の事業勘定の健全化という点につきましては、いま出ております赤字状況の原因が、一つには年度当初におきますその年度間の診療の数量の見込みが非常に立てにくいといったようなところから、それに伴う収入としての税あるいは保険税の適正な配分と申しますか徴収がむずかしいというようなことも一つ原因にあろうかと思いますが、何といっても基本はいま申し上げたような、今後こういった国保も含めた社会保険の制度をどう持っていくかといったような大きな問題にもぶつかっておりますので、将来はそういう大きな問題との取り組みにおいて問題を解決すべきではなかろうか、かように思っております。
  50. 折小野良一

    折小野委員 確かに今日の国民健康保険はいろいろな問題を含んでおります。これは医療制度の抜本的な対策にももちろん関連をいたしておりますし、わが国の社会保障制度あるいは社会保険制度、これの一環という立場からも重要な問題でございます。と同時に、地方自治一つの問題としても決してこれは軽いもので事が済むという問題ではないわけでございまして、今日の市町村のいろいろな問題の中で、この問題は非常に重要な位置を占めておる。また、これは独立採算制を維持する特別会計でやられているということでありましても、現実にはこの赤字の累積をどうするか。あるいは住民の負担をどうするか。あるいは、場合によっては一般会計からの繰り出しやむを得ないとか、いろいろな措置が一般会計との関連において生まれてまいっております。そういう面の苦悩というのが地方団体において行なわれておるわけでございまして、そういう面からいたしますと、やはり地方自治という立場においてこの国保の問題は十分関心を持ち、また検討もしていかなければならないのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。  この問題につきましては、地方交付税に直接関連があるわけではございませんが、今後の地方財政あるいは地方行政の問題といたしまして、さらにひとつ自治省としても十分な関心を持っていただきたい。特に地方団体はすべての行政について自治省意向というものを非常に考慮いたしておるわけでございますが、特に横の行政と縦の行政のいろいろな関連がございまして、その谷間で苦しみ、その谷間で場合によって泣く者は地方公共団体自体でございます。したがって、自治省におきましては、縦割り行政の政府機構の中におきましてもひとつ十分な連絡協調その他をやっていただきまして、地方の自治行政が円滑に、しかも少なくも住民の福祉を伸ばすという点において効果をあげていくようにお願いを申し上げたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  51. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は山口鶴男君。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本日まで各委員から昭和四十四年度地方財政計画及び地方交付税法をめぐります重要な課題につきまして御質問がございました。私は重複を避けまして幾つかの諸問題につきましてお尋ねをいたしたいと存じます。  最初にお尋ねをいたしたいことは、もう各委員も触れられましたが、覚書に関する問題でございます。大臣がおられませんから、大臣にはまたお見えになりましてからお尋ねしたいと思います。  この覚書年度調整につきましてはいろいろ御議論がございましたが、この覚書の第一項の冒頭に「当分の問、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととする」ということが書かれておるわけでございます。それで、先ほど折小野委員から、日本の景気の動向についても懸念があるではないかという趣旨の御発言がございました。イザナギ景気が四十数カ月続いたら、通産省等からかげりの現象が見られるというような御発言もありましたが、その後はまた昨日等、ダウ式平均株価が千九百円をこえるというようなことで、まだ当分このイザナギ景気は続くのではないかというようなこともいわれております。国際収支も三十五億ドルというようなわけでございまして、たいへん外貨準備もよろしいというようなことがいわれています。しかし、昭和四十年のあの不況考えてみますと、あの際も四十数カ月好況は続いた。しかし四十年に至りましてあのような不況がまいりました。そうして地方交付税率につきましても当初きめました二九・五%——これは率でありますから、国税三税が減収になった場合は当然この交付税の額が下がるということから、当時の永山自治大臣と福田大蔵大臣との間でいろいろな折衝があったことは私ども聞いておるわけでございます。大蔵省は、現在の日本の経済成長率がそのまま続くとすれば、やがてアメリカの所得水準を追い越すというような、きわめて楽観そのものの数中等も発表いたしておるわけでありますが、私たちは常識的に言って今日の日本の経済成長率がそのまま十年間もあるいは二十年間も持続をするというようなことは無理ではないだろうかという懸念も持っております。そういたしました場合に、万一不況がまいりました場合に、この覚書の第一項に「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしない」ということがかえって地方財政に対して大きな足かせになる、非常な障害になるということは当然考えられるのではないかと思うのでありますが、そういう点につきましては、この覚書を実質的に作成をする作業に当たったのは財政局長ではないかと思いますが、財政局長の御見解をひとつまず冒頭に承っておきたいと思います。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 この二年ほど地方財政がよくなったじゃないかというようなことから、交付税率引き下げの問題が出たわけでございます。そういう背景のもとにおいて覚書で、相互に求めない、こういう取りきめをいたしたわけでございます。したがって私どもは、この相互に求めないということは、制度的な改変等がございました場合はこれは別の問題である。それ以外の去年、おととし繰り返されたような事由で行なわれるような税率引き下げ、変更はしない、こういう考え方でございます。そうなりますと、今度逆に、いま御指摘のように、経済変動というものに対してどう対処していくか。政府が持っております長期の経済見通しは安定成長ということで考えられておりますけれども、何ぶんにも国際経済の影響等も受けますから、現実には波はあるだろう。その波に対処するために年度調整ということを考えていく必要があるのじゃなかろうか、こういう考え方でございます。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 特別の制度上の変革ですね。言いかえるならば、国と地方を通ずる税財政の再検討というようなことが行なわれた場合は別であるが、景気変動につきましては、そのためにこの年度調整ということを考えておるのだ、こういうような御答弁でございました。そうしますと、いまの局長の御答弁から推察をいたしますことは、いわば景気変動、不況が来たということではこの覚書によって交付税率の変更を求めることは不可能なんだ、これは年度調整でやるべき課題なんだ、こういうことのようであります。しかしそれは問題ではないでしょうか。私は交付制度ができましてから今日までの交付税率の推移を表で見てみました。昭和二十九年度におきましては二〇%ですね。三十年度が二二%、三十一年度が二五%、三十二年度が二六%、三十三年度二七・五%、三十四年度二八・五%、三十五年度におきましては二八・五%と臨時的な措置として〇・三%、これが昭和三十六年度も続きまして、昭和三十七年度になりまして二八・九%、三十八年度も二八・九%、三十九年度も、これは三年続きまして二八・九%、四十年度が二九・五%、四十一年度が三二%になりまして、昭和四十四年度まで四年間三二%が続いておるということです。そうしますと、二十九年から三十五年までは毎年おおむね一%ないし二%近い上昇がずっと続いておるわけですね。昭和三十五年、経済の高度成長期に入りましてからも、三十五年と三十六年の措置は同じでありますが、三十七年になりましてから、若干ではありますが上がっているわけであります。そうして三十七年から三十九年まで、これも好況を持続した年だと思いますが、この三年間は据え置きだ。四十年の不況になりましてから上がり、四十一年に三二%に上がった。以後四年間ずっと変わらないわけであります。  そうしますと、二十九年に交付税率制度ができてから今日まで、四年間交付税率が固定化したというのは初めてではないですか。その四年間続いた四年目において、当分の間、交付税率の変更を求めぬということをお約束された。したがって、今後さらに数年間にわたって交付税率は固定される。しかも従来は、不況の年には交付税率は上がっておるわけですね。しかし、いまの御答弁では、不況に対しては年度調整でやるのだということで、税率の変更は求めぬという自治省の態度。そうなればここ四年間、さらに数年間といえば七年も八年も同じ交付税率が続くという、いわば交付税率制度のもとでは異常な事態がくることを自治省はみずから承諾している。景気変動があった場合においても、それは年度調整でやるのであって、税率の変更は求めぬ、こういうことは今日までの交付税率の歴史を見れば全く異例のことといわなければならぬと思うのです。どうなんですか。自治省昭和四十一年以来——まあ四十一年以来というのはどうかと思いますが、四十四年度という時点に立ちまして、いままでと違ってずいぶんまたお人よしになったものだ、こういう感を持たざるを得ないのでありますが、この点はいかがでございますか。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 現行の行政制度あるいは負担区分制度、そういったものを前提といたしましてものを見るときに、やはり地方財源の総量というものをどう確保するかということが一つの問題だろうと思います。過去十年ほどにわたっていろいろ交付税率の変更はございましたが、その総量を満たすにあたって、あまりにもそれが不十分であるということが背景にあったと思います。それぞれの交付税率の変更には、国税三税の大幅な減税であるとか、住民税の非常な減税であるとか、いろいろそういった制度的なものがあった場合にのみ変更されておるわけでございますが、やはり背景にはそういったものの考え方があったのじゃないか。現在三二%になりまして、ではこの交付税の率というのは何%が正しいのかということになりますと、議論をすべき余地は十分ございますが、さて結論はなかなかむずかしい。そうなってまいりますと、多分にこういったものは実験的経験的な沿革というものも尊重しなければならない。そういうふうな考え方に立ちまして、かたがた地方財政がやや好転をしたと称して交付税率を下げるというようなことは、少なくとも筋の違う話ではないかということから、こういう覚書に実はなったわけであります。そういうので、当分の間相互にやるまいということは、いまお話しのように、地方に足りないときは要求するということでございますと、また従来のベースのようなやり方で、地方に足りたときは減らすのかという議論にもなるわけであります。そこで、一応の安定を税率の上で満たさせながら、その間の谷、山は年度調整でいこうじゃないか、こういう考え方でございますので、私は、今後いろいろ地方の行政制度あるいは国と地方の事務配分なり、あるいは負担区分なり、そういったようなもの、あるいは税制といったものが変わるときにはこれは別の問題だろうと思っておりますが、そうでない状態におきましては、一応ここ数年持ってきた経験値というもので安定をさせていこうじゃないか、こういう考え方でございます。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、四十年不況のようなある程度ドラスチックな事態が起きた場合、地方財政がたいへんな障害にぶつかったという経験を私どもは持っているわけです。政府の中におきましても、現在のイザナギ景気に対しましていろいろな面からの懸念、いろいろな発言というものが起きている現状であります。そうした場合に、いまの局長の御答弁のように、経済変動については一切年度調整でよろしいんだということを言い切ることは危険ではないかと思うのです。しかも年度調整につきましては、自治大臣財政局長から御答弁がありましたように、あくまでも自主調整自治省自体としてはいくのだというお考えを示しておられますが、必ずしも大蔵政務次官なり相沢主計局次長の御見解というものは自治省の言い分どおりではなかったやに伺っておるのであります。そういったことを考えてまいりますと、いまの局長のような御答弁、しかも昭和四十一年以来四年間同一の交付税率が続いたという歴史は、今日までの交付税の歴史の中にないわけですから、その変革のつどには局長が指摘されたようないろいろな理由があることも私は承知はいたしておりますが、とにかくそういうことで三年以上同一の交付税率が続いたということはいまだかつてない、今回が初めてなのですからね。そういう歴史的な経過を踏まえました場合におきましては、やはり景気の変動については年度調整だけで対処するのだというふうに言い切ることについては、私としてはやはり懸念があるのではないかという疑問を出さざるを得ないのであります。大臣おられませんが、政務次官、いかがですか。
  57. 砂田重民

    ○砂田政府委員 先生の御懸念、私伺っておりましてごもっともな点も十分あると思うのでありますが、たてまえといたしましては、ただいま財政局長が御答弁いたしましたとおりでございます。ただ、四十年の非常に異常な不景気と申しますか、そういう事態を前提にしてのお話でございましたが、先生がただいま御指摘になりました覚書は、そういう異常な事態を前提にはいたしておりません。通常の景気変動の上がり下がりがカーブで描かれることは当然考えられますので、そういう事態に対しましては、財政局長がお答えいたしましたように、年度調整でいくべき筋合いのものである、そういうたてまえを覚書にしたものでありまして、非常に異常な事態のときには、また当然それに対して別の方法も考えなければならない、このように私は考えております。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、四年間同一の交付税率が続いたということは初めてなんでありまして、しかも今後、当分の間これが続くということになれば、本来であるならば毎年あるいは二年おき等に交付税率が上がってきた歴史から見れば、実質的には交付税率が落ちたと同じ効果を来たすことになるということになるわけでございまして、そういった問題点があるということを私はこの際御指摘を申し上げておきたいと思う次第であります。  それから、繰り返し御議論になりました例の昭和四十三年度における補正予算におきまして、七百三十六億円の交付税が組まれました。調整戻しを五十二億支出をいたしまして、六百八十四億円を四十四年度に繰り越しをいたしました問題であります。私は、この点につきましては、理事会等でも指摘をいたしたのでありますが、一応本委員会におきましても私の考え方をこの際明らかにいたしておきたいと思います。  交付税につきましては、四月、六月、九月、十一月にそれぞれ四分の一ずつを支払う形になっておりますね。四月、六月は概算払い、九月におきましては、決定いたしました交付税額から概算払いで支出をいたしました額を控除いたしまして、その額の二分の一を支出する。十一月につきましても同様な額を支出をする。二月には特交ということになっておりますが、問題は、今回の交付税法を国会に提案をなされますのが、いかなる理由か知りませんが、たいへんおくれているということを私は指摘をいたしました。従来の例から見まして少しおそいのではないかということの指摘をいたしたのでありますが、その結果、法律の審議の順序等によりまして、交付税の審議に入りましたのが先週であります。その際に、他の法律案を先議したほうがいいんじゃないかという御意見もあったのでございますが、その際私は、結局この繰り越しました六百八十四億、これが法律の附則に書いてあるわけでありますから、当然三月三十一日までにこの交付税法が議決をされるという、そういう事態を来たすようにすることが最もいいのではないか。自治省が今回の法律案を提案いたしまして、附則の中にこの六百八十四億を四十四年度に繰り越すということを出しております以上は、これはもう少し早目に国会に提案をいたしまして、そうしてこの六百八十四億円を繰り越すということも含めて、三月三十一日までに国会の議決が終わるという配慮をすることが、交付税法をこの形で提案をするならば、自治省としてはとるべき態度ではなかったか、かように私は思うわけであります。本来ならばこれが三月三十一日までに通らなければ私はおかしいと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり三月三十一日までに通ることが望ましいことだと考えております。私ども内容がそういうものを含んでおりますだけに、できるだけ早く御提案申し上げたいと努力いたししたわけでございますが、何ぶんにも国の予算ができましてから後各省との折衝その他を経て、二月の下旬に御提案を申し上げたようなわけでございます。内容的に申せばいま御指摘のとおりであろうと思います。
  60. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 記録を調べましたら、提出をされたのが二月二十八日ですね。二月二十八日に国会に提案をされ、本会議でわが党の山本弥之助議員が質疑をいたしましたのが三月十八日、これはやはり国会でもたくさんの法律が出てまいるわけでありますから、何も国会がなまけておって本会議趣旨説明がおくれたということではないと思うのです。したがいまして、そもそもこの附則の規定をここに織り込んでおりますね。附則の六項に書いてあるわけでありますが、こういうものをつけた法律案を提案する以上は、私はもう少しこれにつきましては、自治省としても三月三十一日までに国会が議決できるようなそういった時間的配慮をして提案をすべきじゃなかったかと思うのですが、どういうわけで、こういう附則の六項というものがありながら、この提出時期がかようにおくれましたのか、重ねてひとつお答えをいただきたいと思います。
  61. 細郷道一

    細郷政府委員 国庫予算の編成が終りまして後、各省との間のそれぞれの行政経費についての需要あるいは単位費用の見方、そういったものの折衝もございましたし、あるいは地方に交付される補助金の内容を全部精査をするといったようなこともございましたので、先ほど申し上げたような時期に御提案申し上げるのが実は精一ぱいであったわけでございます。こういった事例はそうたびたび繰り返されることは好ましくないことは私も十分承知をいたしております。何ぶんにも今年度の場合、こういう特別措置をいたしております関係もございますので、ひとつその点を十分御了承いただいて、何とぞ御審議をお願いいたしたいと思います。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 従来にもこういう例はありましたですね。しかし、従来は大体十二月に食管制度あるいは公務員の給与改定、災害対策等で補正予算を国会に提案し、その際に交付税につきましても当然補正がなされまして、これを明年度に繰り越すというようなことは、いわば十二月の臨時国会で議決をしてまいったと思うのです。したがって、従来のあり方は、こういう繰り越す問題は少なくとも三月三十一日までに処理をするという形で行なわれてきたと思うのですね。今回補正なし予算というようなことを言ったせいかどうかわかりませんけれども、しかし現実には補正予算は組まれたわけであります。そういう意味で、いままでは少なくとも繰り越しについては三月三十一日までに議決するような手続をとってきた。今回とらなかったというのは、私はやはり問題じゃないかと思うのです。従来はちゃんとそういう手続をとってきた。今回なぜおとりにならなかったのか。とるとすれば私は方法はあったんじゃないかと思うのですね。交付税法を切り離して、別途に提案をしてその部分の議決を求めるとか、方法は私は幾らもあったのじゃないかと思うのですが、あえてそういうことをおやりにならなかった御意図というのは一体どういうことでございますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  63. 細郷道一

    細郷政府委員 それほど別に深い意図があっていたしたわけではございませんで、事実に沿って措置をいたそうということからこういう結果になったわけでございます。御承知のように、四十四年度地方交付税総額につきましては、四十三年度に補正予算が組まれるということが前提で措置がとられておるといったようなことがございました。その補正予算の提案が、ことしといいますか四十三年度は、年度当初以来の議論で御承知のように、非常におくれたりいたしたというような関係がございましてこういうことになったわけでございます。あくまでも特別な意図を持ってしたのではございませんで、事実に従って措置をしたというふうに御理解いただきたいと思います。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣大蔵大臣との覚書が締結されたのは一月六日ですね。このときに額はまだ確定していなかったと思うのですが、六百九十億円相当の金額を四十三年度から四十四年度に繰り越すということはすでに明確になっておったと私は思うのです。そうでしょう。たまたま額の確定がなされたのは、昭和四十三年度の補正予算が提案をされた時点で明確になったということだろうと思いますが、とすれば、その補正予算が提案をされ、議決をされるとすれば、その時点で交付税法の一部改正等で別途に切り離して提案をして、三月三十一日までにこの繰り越しの議決を求める手続を自治省はやろうと思えばできたんじゃないですか。なぜそういうことをおやりにならなかったのか。しかも、一月六日にはそういう事態が起こることは、金額の確定は別として、明確になっておったわけです。それでありながら、なおかつそのような措置をおとりにならず、言いかえるならば、国会軽視だろうと思うのですね。自治省は最近国会を軽視する方針をおとりになったんですか。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 別に軽視する方針をとっておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、事実に従って措置をいたしました結果、こういうことになったわけでございます。確かに一月六日の両大臣覚書には自然増収を引き当てにするということはさまっておりました。また、その自然増収額が補正予算の形で出るということに根拠を持って、四十四年度の当初予算総額の減額をしたわけでございますので、そこは私ども自治省立場としては、どうしても一体に問題を解決しなければ、むしろ地方財政を守ろうという立場に立ち切れないのではないかといったような事情がございましたものですから、こういう結果になったわけでございます。
  66. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣がお見えになりませんでしたから財政局長にお尋ねをしておったんですが、大臣がお見えになりましたからお尋ねをしたいと思うのです。  一月六日に覚書をかわされましたですね。この時点で六百九十億に見合う額が昭和四十三年度の補正の交付税として組まれるということはもう明確になっておったと思うのです。金額が確定いたしましたのは、昭和四十三年度の補正予算が提案をされる時点で明確になったと思うのです。そのときに六百八十四億ということになったと思うのでありますが、結局この法律の附則の六項に昭和四十三年度から六百八十四億を昭和四十四年度に繰り越すのだということが書かれておるわけですね。繰り越しでありますから、こういうものをつけておる法律である以上、当然三月三十一日までに議決を終わるようにしなければ私は筋が通らぬと思うのです。年度が終わってから繰り越すなんということをきめたってたいへんおかしいわけでありますから、そこで、交付税法を提案するのが自治省としてはおそ過ぎたんじゃないかということを指摘をいたしました。財政局長のほうから、当初予算が確定をいたしまして、補助金等の精査をやりましてから出すと、どうしても財政計画を確定し、交付税法を出すのは、二月の二十八日ぐらいにならざるを得ないというような技術的な御答弁があったわけです。そこで私は、そういう技術的な問題があるとすればそれはおきまして、交付税法の中に、附則に六項を書き入れたわけでありますが、それとは別に、この六百八十四億は確定した段階で交付税法の一部を改正する法律案を別途に切り離して提案をして、そうして三月三十一日までにこの繰り越しの議決が両院で通過をするような配慮をすべきではなかったのか、そうでなければ何か国会軽視のそしりを免れぬじゃないかということをお尋ねしてきたわけであります。大臣としての御見解を承りたいと思います。
  67. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、大体、大蔵大臣との覚書交換につきましては、実はもう飾り気なく、ざっくばらんにしばしばお答えしておりまして、当時の情勢は、いま山口さんも御指摘のとおり、大体金額は、打ち明ければ、おおよそわかっておりました。  それから、もう一つ申し上げますと、実は、われわれの任務は、地方財政を守ること、これにいわゆる悪影響を与えないことだということがたてまえでございましたから、当初は、四十三年度の、つまり自然増収ということでなくてのいろいろな交渉を、実は打ち明けますと受けました。しかし、それは、その結果、地方財政に影響を来たす。これもたびたびお尋ねになりましたし、また御意見も承っておりますが、四十三年度と同じようなやり方はこれは絶対に容認できない、こういういきさつがございまして、しばしば折衝の結果、結局、四十三年度の自然増収を目当てにしてやってはどうか。そこで、その自然増収を目当てにしてやるということになれば、これをもう私らは、山口さんも御承知のとおり、四十三年度の自然増収だから四十五年度ほか使えない、こういうことでございます。しかし、それでもこの六百九十億という金が、四十三年度の自然増収ということは明瞭であるが、少なくとも、さらに確認する必要があるというようなことで、補正の問題が、実は私、大蔵大臣と話し合いまして、補正ということになれば、私はしろうとであまりよくわかりませんが、一応のわれわれの見通しもついて確実になるから、補正予算を組むかどうか実はここまで立ち入ったんです。ところが、大蔵当局は、いまここで補正を組むという明言はできない。しかし、やむを得ない場合もあるかもしれない。これは、私は、大蔵当局の言うのもわかりまして、そういういきさつでございましたから、大体の見通しをつけまして、あの覚書のとおりのことを行なったのでございますが、いま財政局長が申しましたとおり、交付税法を提案する前に、いろんな技術的な時間がかかることも、私今度予算編成を見てよくわかりました。そこで、いまそういう御意見のとおりが、筋が正しいとか正しくないとかという意見を私は申し上げるのではございませんが、いま山口さんがおっしゃった国会軽視ということは毛頭考えないことでございまして、まあ事実のありのままを申し上げますとそうでございまして、おそらくいま財政局長がお答えいたしましたとおり、交付税法の提案というものはどうしても二月末という見通しでございましたから、そういう技術的なことで実はこの法律改正がおくれたんじゃないかと私は解釈いたしております。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 技術的に言えば、交付税及び譲与税配付金特別会計法の第九条ですか、あそこに繰り越しの規定がありますね。あれがあるから、三月三十一日までにこの法律が通らぬでもさしつかえないんだ、どうせ自治省はこういうような御見解なんだろうと思うのです。しかし、私は、確かに交付税及び譲与税配付金特別会計法に、その年度で使い切れなかったものは翌年度に繰り越すことができるという規定がありましても、しかし、やはり交付税法で六項に繰り越しの規定をつけておるわけなんですからね。とすれば、この繰り越しの規定だけは交付税法と切り離してでも、三月三十一日までに議決を終了することができるようなそういう手だてを講ずることが、私は真に国会の審議権を尊重することになるのではないか、かように思ってお尋ねをいたしたのであります。この点はいかがでしょうか。
  69. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、いま山口さんの御意見、われわれとしても十分考えられたことだと思います。私は、もっと率直に言えば、技術的なことがそこまで気がつかなかったのは、私不明ですが、いまの御意見も、確かに三月三十一日までにそれが予算編成と一緒に出てくるというようにすべきがまあ正しいやり方だと思いますが、しかし、一面、言いのがれではございませんが、どうせこの繰り越しのこともできるということでありまして、これは便法というと非常に何ですが、どうせ交付税法の一部改正の提案をするときだからということで、まあその点を考慮して今度の法案に一緒に提案したものと思っております。今後こういう場合が——いまの貸し借りなんか別でございますが、そういう特別の事情があります場合は、私はやはり十分考慮すべきことじゃないか、こう思っております。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもいまの大臣の御答弁を聞きますと、大臣とすれば、私が申したような手続をとるのが当然だと思った。ところが、財政局長並びに財政課長大臣を補佐すべきスタッフの方が、そういうことを十分大臣に御連絡しなかったために、そういうぐあいの悪い形になったととれる御答弁があったのですが、この点はひとつ局長、課長さんのほうで十分御注意をいただきたいと思うのです。  私は、こういうようなことを繰り返し申しますのは、本年度景気はどうなるかということでありますが、私は、将来はあるいは四十年度のような不況があるかもしれない、そういう懸念があることを申しましたが、昭和四十四年度年度に関する限りは、やはりある程度景気現状で推移するのではないだろうかという感じがいたします。そういたしますと、それで、ことしは昨年に引き続いて総合予算主義、補正予算は組まぬのだ、こういうたてまえでおられるようでありますが、しかし、必ずしもそういう政府の御意図で推移するかどうかわかりません。現に四十三年度のそういった補正なし予算政府の御方針というものはくずれたわけでございまして、補正予算を組んだわけであります。とすれば、昭和四十四年度末においてまた補正予算を組むという事態が起きるかもしれない。そうした場合は、当然国税三税の伸びに従って交付税も補正が出てくる。そうした場合、この処理を一体どうするのか。また、四十四年度予算でやったように、その相当分を国に貸すというようなことをするのか。あるいはこの補正見返りでもって相当額を貸すということになれば、この補正分が当然次年度に繰り越すというような操作をするのではないか。また、そうした場合、今回のように交付税法にくっつけてこれを出すということになれば、本年度と同じような、三月三十一日までにその議決が終わらぬという、いわば国会軽視と同じような事態が起こるのではないかということを懸念をいたしましたからお尋ねをいたしたわけです。局長、どうですか。四十四年度末にはもうこういうようなことは絶対せぬということはお約束できますか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 まだ四十四年度始まったばかりでございますので、年度間をそこまで見通すことはちょっといま困難でございます。しかし、年度問にいろいろな、われわれがいま予想しないような事態が起こるかもしません。そういった事態が起こりましたときには、いま御意見のありました点も入れて、適切な判断をしていきたいと考えております。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、この際率直に御忠告を申し上げておきますが、四十四年度末において補正予算を組むような事態が起きました場合、交付税補正分見返りでもって昭和四十五年度予算におきましてまた地方が国に貸すというようなことは、これはまあ万々ないだろうとは思いますが、そういうことは絶対なさらぬように、この際私ども党としての要望を申し上げておきたいと思う次第でございます。  そこで、次にお尋ねしたいのは、土地開発基金の六百億の問題でありますが、ずばり言って、これは交付税法違反ではないかと私は思うのです。交付税法第三条の二項を拝見いたしますと、「国は、交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」こう書いてありますね。ところが、どうなんですか。この土地基金につきましては、条件をつけたりその使途を制限はしていないのでしょうかということであります。調査室からいただきました資料を拝見いたしましたら、自治省は二月十七日に各都道府県知事、指定都市市長あてに財政局長の名前をもって「土地開発基金等の設置について」という通達を出しておられますね。それから、さらに御親切に、土地開発基金条例準則案なるものをおつくりになりましてお示しをしておるようであります。そうしますと、六百億交付税から——これも形としてはたいへんおかしいわけでございまして、交付税一般の単位費用とは別に、これは法律案にも書いてあったようでありますが、附則の三項、こういう形で都市開発基金の交付税につきましては別に書いてありますね。そうして、財政局長の名前をもってこういう通達を出し、準則もつくっているということになれば、これは明らかに交付税に対して条件をつけてその使途を制限している、こういうふうに思わないほうがどうかしているんじゃないかと思うのです。どうなんでしょうか。大臣、いかがですか。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 第三条の第二項の規定には違反をしていないと考えております。二月十七日に出しました通達は、土地開発基金というものを設置してはどうですかという指導の一般的な通達でございます。こういうものを出します時期を、あるいは法案がちゃんと通ったあとで出したらいいじゃないかという御意見ごもっともだと思っております。ただ、実は本年度、土地開発基金をこういう形で措置をするにあたりましては、昨年の夏以来、建設省においても別途新都計法の規定による土地基金というものについていろいろ予算要求もしておりましたし、地方にも呼びかけをいたしておりました。そういったことがございまして、結論的には建設省とも話し合いまして、地方団体にこの土地取得についての措置が二途に出ないようにという話し合いのもとでこういうことをいたしたわけでございます。そういう意味合いから早目に出したほうが適当じゃなかろうかというふうに考えて実は出したものでございます。しいて申しますならば、ここに、財源の措置を交付税から一部についてはする予定であるということが、あるいはお目ざわりの点があるのかもしれないと思いますが、私どもとして、交付税措置をするのは、その額だけを必ず積みなさいというような考えは毛頭持っておりませんし、年度末に予算を締めてみたならば、あるいは四十三年度において自然増収が思ったよりは出てきたといった場合にもこの土地開発基金に積んでもらうこと、一向否定をしておりません。また、不交付団体の問題もございますし、そういったようなこともあったりいたしまして、こういった一般的な指導通達を出したわけでございます。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、また角度を変えてお尋ねいたしますが、この六百億円交付税で措置いたします場合に、対象団体はどういうことになるのですか。交付団体、不交付団体はどうなるのか。それから人口十万以上の市ということになっていますが、それは交付、不交付にかかわらずすべて見るのか。都道府県の場合も、交付、不交付にかかわらずこれは見るのか。それから十万以下の市及び町村におきましても、大都市周辺の地域につきましてはやはり考慮するようでありますが、これは一体どういう地域に交付しようとしているのか、この点はどうなんですか。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 ここの附則で書いてございます土地開発基金費の費目につきましては、標準団体につきまして県の場合には五億円、市の場合には一億円ということを基礎に、ここに人口一人当ての額を出してあるわけでございます。これをもとにいたしまして、大体人口では県は全部の県、それから指定市、それから人口で市についてはおおむね十万以上の市、こう考えておりますが、さらに土地の先行取得が非常に緊急であろうと考えられます大都市周辺等につきましては、都市圏補正を使いまして、周辺の市町村にこの需要額が乗るようにした。したがいまして、周辺におきましては必ずしも人口十万なくても、東京なら東京の例で言えば、東京との間に社会経済的な一体性が非常にあるという地域の関係市町村にこの需要額を算定するようにいたしたいと考え、需要額で算定をいたしますから、もう御承知のとおりに、不交付団体については交付税としては実際にはいかないということになろうと思います。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、人口十万の市でもいいですが、あるいは大都市周辺の市町村でもいいですが、そういう形で交付団体の場合、交付税がこの附則の三項に基づいて交付されますね。そうした場合、その市町村が土地基金をつくらぬで、この交付税を他の費用に充ててしまったということをした場合、一体どういうことになるのでしょうか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 別に制裁等の規定はございません。それは先ほど申し上げたように使途を制限しておるわけではございません。しかし、私どもいままで各地方団体あるいは知事会、市長会、そういうところへ当たってみますと、やはりどこの地方団体でも、土地の先行取得には頭を悩ましておりますので、私の承知しております限りのほとんどの地方団体でこれを実際に設置するのではなかろうか、こういうふうに見ております。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もしかりに、この経費を交付した場合に、土地開発基金をつくらぬだったというところに制裁を加えるということになれば、これは明らかに交付税法第三条二項にいう使途を制限しあるいは条件をつけたということになるわけだから、それは自治省としては大いに指導監督してつくらしたいところだが、いかぬとは言えない、こういうことだろうと思うのです。そういう意味で、からくもこの交付税法第三条第二項の規定に違反しないようなことで自治省としては済ませようとしておられるというふうに思うわけでありますが、私が現にそう言いましても、財政局長、問わず語りに申しましたように、現在の道府県、市町村、自治省がこういう形で交付税を交付するんだ、ついてはこれは土地開発基金に充てるためにこういうふうに使ってくださいというような準則を示せば、やはりこれはもう自治省の権威をおそれまして、各地方団体は右へならえする、そういう傾向に現在の地方団体はいっている。言うならば中央集権的な傾向が顕著になっていると思うのです。ですから、それだけに、いま局長が言いましたように、いろいろ御答弁はなされましても、現実には、交付税法第三条第二項にいうところの条件をつけ、使途を制限している、現実にはそうなる。そうではないのですか。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げたとおりでございまして、交付税法に違反はしていないと考えております。ほとんどの地方団体が土地の先行取得について、どうしたらいいだろうかということで頭が一ぱいでございます。そういう意味からこの土地開発基金費を財政需要に織り込んで、反面、土地開発基金を設置したらいいだろうという指導は、私はむしろ盛り上がってきた要望ではないか、こういうふうに思っております。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうことはけっこうです。  それでは、さらにこの土地開発基金については違った角度からまたお尋ねしようと思いますが、おおむね時間がまいりましたので、このあとに続行させていただきます。
  81. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ————◇—————    午後三時三十二分開議
  82. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  83. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本会議前に、今回の土地開発基金の六百億円、これは交付税法第三条二項違反である、こういう趣旨から質疑を行なってきたわけでありますが、もう一度確認いたしますが、財政局長は、この交付税法第三条二項の違反にならないためにも、自治省が附則三項によって土地開発基金費を各地方団体に交付するわけでありますが、交付いたしました資金を、当該自治体は、これは条件はついていないという観点から自由にお使いになっても、自治省としては文句は言わない、これははっきりいたすわけですね。
  84. 細郷道一

    細郷政府委員 別に拘束力はありません。
  85. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう御答弁でありますが、現実には、財政局長の通達をもって各地方団体に土地開発基金を設定することを自治省としては指導しておられる。しかも、法律が通過いたす前にきわめて手ぎわよくこの通達を出しておられる。この点については、たいへん申しわけないというような局長の御答弁もあったんでありますが、どうも自治省は、法律もまだ出ぬうちに先走ってこういう通達を出す。以前にも当委員会で、この通達行政が問題になりました。東京都に対して、自治省はじめ各省が約一万にのぼる通達を出している、まさに現在の政府各省は通達をたいへん乱発をし過ぎる、こういうことが問題になったわけでありますが、財政局長、どうですか。こういった法律も通らぬうちに通達を出すということは、先ほどもどうもいかがかというお話がありましたが、今後はこういうことは注意をいたしますか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 先般の通達は、地方自治法の「基金を設けることができる。」という一般的な規定に基づいて、基金を設ける指導通達をいたしたわけでございます。私は、必ずしも法律違反だとは考えておりません。しかし、法律に根拠のあるようなものについて、事前に通達をするということは慎むべきことだと考えております。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは、地方自治法に「基金を設けることができる。」という規定があることは承知していますよ。しかし、土地開発基金という形での通達でしょう。そうしてこの交付税法の中に、土地開発基金という単位費用を設けるということが附則に書いてあるんじゃないですか。だれが考えたって、これは一体のものだと思うのがあたりまえじゃないですか。これを、いろいろ理屈をつけまして、それは別なものだと言いましても、これはサギとカラスを一緒にするようなものであって、これはだれが考えても、私は、精緻巧緻な地方財政計画の中心にあります財政局長さんの御答弁とは受け取れぬのですが、いかがですか。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、土地基金につきましては、建設省の新都計法による規定によって設けることもできることになっておりまして、その方法でいくのか、こういった一般的な行き方でいくのか、いろいろ昨年来やっておったわけでございます。まあ結論的には、こういう形におさまりました。地方団体も、どういう行き方をとったがいいかというようなことをずいぶん聞いてまいったのでございまして、会議なんかをいたしましても、常に出ておった問題でもございますので、むしろそういうことを建設省との問で十分話し合って統一した指導をしたほうがいいではなかろうかというような考え方からいたしたのでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、わりに普通の場合よりは早い時期にああいう通達をいたしたわけでございます。あの中で、財源措置をしてあることについては、先ほども私が申し上げましたように、御議論がある点だろうと思います。そういうところについては、よく将来慎重に考えてまいりたいと思います。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、さっきもお答えになったように、地方自治法にも基金の規定があるからというような、そういう言いわけはなさらぬほうがいいと思うのですよ。通達の中にも、財源措置云々ということばもあって、確かにこの交付税法の通らぬ前にこの通達を出すことは申しわけないと、すなおに言ったらどうなんですか。その自治法云々といいますが、自治法の中に土地基金なんて書いてあるわけじゃないでしょう。ただ「基金を設けることができる。」と、こういうことでしょう。それだったら、財政措置云々ということは別個になるんじゃないですか。だから、自治省は、そういうつまらぬ言いわけはせぬで、法律が通過する前に通達を出したことは申しわけないと、すなおにおっしゃっていただきたいと思うのですよ。そうじゃないですか。そうでなかったら、財政措置云々というのはおかしいじゃないですか。それはその分は取り消して、再通達し直したらいいじゃないですか。どっちかにしてください。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 先般出しました通達は、自治法の一般原則によります基金制度、それを土地開発基金に活用する旨の指導をいたしました。その時期等について御議論がございますが、すでに申し上げましたように、都計法との関係もございますものですから、通達の中でも、府県、指定市の基金にあっては、都計法八十四条の土地基金の性格も持ち込んで、いわばわが省と建設省との間で統一的な見解による指導をするという意味で、指導の通達をいたしたのでございます。まさに調整的な役割りを果たしておるということでございます。その前段の、いろいろ地方交付税によって措置する予定であるというところがあるいは御議論になっておる点かと思いますが、この点につきましては、私どもも今後こういうやり方について十分慎重に考えてまいりたい、かように思っております。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その前段にも「必要な財源の一部を地方交付税により措置する予定である。」と書いてありますね。また「記」としましても、(4)に「基金の積立金の財源の一部にあてるための地方交付税の措置要領については、別途通知する」こういうのがあるわけですから、一体のものであることはわかるわけですね。  大臣、参りましたから確認しておきたいと思うのですが、地方交付税法の附則三項に基づいて土地基金を設けるために、自治省におきましては二月十七日に財政局長の名前をもって各都道府県知事、指定市の市長に通達を出しております。しかし、まだ交付税法が国会を通らないのに通達だけは先に出す。さっき私議論したでしょう。三月三十一日に附則六項でもって六百八十四億繰り越すわけですね。本来ならば三十一日までに議決を要しなければならぬ。そのために交付税法の提出は早目にすることが望ましいじゃないかという議論を私はいたしました。そういうほうはゆっくりしておって、通達のほうだけはぽんと先に出す。だれが考えたって筋が通らぬじゃないですか。大臣交付税法に関係ある通達を出す場合は、やはり法律が通過してから通達はお出しになるように、この辺はひとつ厳にけじめをつけていただきたいと思うのですが、大臣の御所信を承りたいと思います。
  92. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいまの質疑を拝聴しておりますと、山口さんの御意見を十分局長も理解したようでございまして、今後は慎重にやりますと申しておりますし、私もそうやるべきだ、今後はやはり十分注意して、これらのことについて疑義がないようにすべきだ、こう考えております。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国会の審議にかかわるものはゆっくり、国会に関係のない通達は先走って出すという妙な習慣だけは、今後ひとつ十分改めていただきますようにお願いを申し上げておきます。  次に、交付税から六百億を充てました法律的な問題は議論いたしました。繰り返しになりますからやめます。ただ、私は百歩を譲って、交付税でもってこういうものを措置するといたしまするならば、もっと方法があったのではないかと思うのです。財政局長に聞きますが、なぜこの六百八十四億を繰り越したのですか。本来ならば四十三年度に交付したらいいじゃないですか。なぜこれを繰り越したのですか。その理由を伺いたい。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 何ぶんにも年度末に相当多額の補正で交付税交付金が出たわけであります。これを調整戻しに充てた分は別といたしまして、それ以外のものについて配分をするということになりますと、算定のし直しをするというような問題が起こるわけでございます。実際問題としてできないと思います。さらに、かりにそれができたといたしましても、おそらく受け取った地方団体は、年度内にこれを財源として使用することが困難でありましょう。みな繰り越しをしただろうと思うのであります。そういったような諸般の事情考えまして、今回こういう措置をお願いしておるわけであります。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わかりました。その限りの御答弁はけっこうだと思います。そういう事情は了解をいたしましょう。  とすれば、六百八十四億というものが現に四十三年度に出たわけです。普通の単位費用を改定して交付をするというにはいとまがない。といたしますならば、財政局長が言うように、長い問自治団体の間で土地基金を設けていただいたらどうかという議論もあったというならば、昭和四十三年度の六百八十四億を、地方交付税法の一部改正でその際に提案をして、そしてここに附則の三項にありますような土地開発基金費というものを設けて、これを地方に配分をする、こういうことなら私はできたはずじゃないかと思うのです。これは技術的にいったって、やろうと思えばできるですね。そうじゃないですか。そういうことをやっておけば、昭和四十四年度においてこれは見返りの六百九十億を地方から国に貸すなどというよけいなことをせぬで済んだはずだと思うのです。ですからこの六百億の土地基金を交付税でもって措置して設けたいというお考えならば、なぜ昭和四十三年度に——現に金がある、しかし他の単位費用を改定して交付をするのには非常に技術的に問題がある、そうなればなぜこれを四十三年度で措置しなかったのか、この点はいかがでしょうか。筋の通った話じゃないかと思うのですがね。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度に補正で六百数十億が出るということが前提で六百九十億問題がきまっておりますので、そちらのほうがむしろセットになっておったわけでございまして、先ほど申し上げましたように、この法案としてもそういう事実に沿った提案のしかたをしているということでございます。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあそういうセットだったというのが現実の姿でしょう。しかし私は、自治省がしばしばいっておるように、交付税地方財源である、こういうたてまえを貫き通すということであるならば、私がいま申したような方法は一つの方法ではなかったかと思うのです。そうでなくて、六百八十四億、見返りに六百九十億貸したという姿勢は、すでに自治省がしばしばいっておる地方交付税地方独自の財源であって、そして地方財政には国の財政のようにいわば景気調整政策というものを持ち込むべきでない、こういうような主張をみずからやはり撤回をしたということにならざるを得ないのじゃないか。自治省が従来から言っておる主張を貫き通すとするならば、私がいま申し上げたようなことをすることこそが、従来の自治省の、あるいは細郷さんが新聞に大論文を発表されましたが、あの大論文の趣旨に沿うならば、そうやることが至当ではなかったか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 確かにおっしゃる行き方も一つの方法だろうと思います。実際問題として今回の四十三年度の補正は、もう二月の末に補正予算が計上になっております。それをにわかに土地開発基金にそれだけを充てるというふうなことは、やはり地方団体の間にあらかじめどういう方向でいくかぐらいのことは私ども連絡をしておきませんと、意図が徹しない問題がございますので、私はそういう意味で先ほどセット論を申し上げたわけですが、セットされたものの中から土地開発基金というものを需要として見ていこう、こういう行き方をとったわけでございます。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもその点はあまり納得できません。しかし、各省の方においでいただいておりますので、あまりお待たせすることはいかがかと思いますから、質問をほかのほうへ向けようと思います。  私は、このあと、今回の交付税制度一つの問題点であります交付税の単位費用を経常経費と投資的経費に分類をいたしました問題、それからまた本年度交付税の全体計画、そして特に給与改定の財源の問題、それから過疎、過密の問題等につきまして議論をいたしたいと思いますが、こちらは自治省中心の問題でありますし、厚生省、通産省、農林省、建設省お見えでありますから、そちらの関係のほうを先にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  まず、建設省の方がお見えでありますからお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、自治省で、地方団体における公共施設水準の現状というのをおまとめになりまして発表をせられました。私もそれを拝見いたしました。自治省としては非常に力作だと思って、この点はひとつ敬意を表してもいいんじゃないかと思います。  そこで、お尋ねをいたしたいと思いますのは橋梁の現状です。これを見ますと、国道の場合はほとんど改良、舗装が進められておるわけでありますが、一般国道の場合は改良率が七〇・六%、舗装率が六七・六%、非常に改善をせられておりますが、これに対しまして主要地方道、一般府県道、それから市町村道、こうなってまいりますと、改良率もたいへん悪いし、舗装率も悪いわけであります。私は、この点はこれ以上問題にしようとは思わないのであります。  そこで、私自身も車に乗って方々旅行することがあるわけでありますが、その際に非常に奇異に感じますのは、府県道、それから市町村道にかかっております橋梁の中で荷重制限の橋梁、こういうものが非常に多いですね。あるいは交通どめになっておる橋梁、交通不能橋梁、こういうものが非常に多いわけであります。この資料を拝見いたしますと、府県道の中で荷重制限をいたしております橋梁の比率が八・二%、交通不能橋梁の比率が一・三%と出ております。市町村に至りましては、荷重制限をいたしております橋梁の比率が一四・一%、交通不能橋梁は実に二四・九%、非常な高さに達しておるわけであります。しかもその割合が漸次低下しつつあれば問題ないと私は思うのでありますが、昭和四十一年と四十二年を比較いたしますと、市町村道でありますが、どうなっておるかといいますと、四十一年末では、交通不能橋梁が二五・七%であったものが二四・九%これは〇・八%改善されているからまだいい。ところが荷重制限の橋梁の比率に至っては、四十一年度末が一三・八%、四十二年度末は一四・一%先ほどの数字でありますが、〇・三%悪くなっておるのですね。  この荷重制限につきましても、私はこれくらい無責任なものはないと思うのです。三トンが制限だとか五トンが制限だなんて書いてありますが、そういうもので制限しておるというのは国民に対してたいへん無責任なものじゃないかと思う。建設省の方がお見えでありますが、こういった荷重制限というものについて一体どうお考えでありますのか。それから、その比率が市町村道においては高まっている。ちなみに府県道を調べてみましたら、府県道では四十一年度末の荷重制限橋梁が一・六%、四十二年度末が八・二%と、これは六・六%も府県が悪くなっておるのですね。こういうことでは非常に遺憾だと私は思うのでありますが、特に府県道に対して責任をお持ちの地方道課長さんですか、参事官もお見えでありますが、こういった交通制限というものについて建設省はどう考えておるのか。これが改善でなくてむしろ悪くなっておるということについてどういうお考えを持っておりますのか、お尋ねをいたしたい。
  100. 中野孝行

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございましたように、地方道については重量制限あるいは荷重制限の橋梁が非常に多うございます。いまの、数字が逐年ふえていく、こういうのはちょっと奇異な感じがいたしますが、県道につきましては、路線認定については建設省のほうでチェックしておりますので、県道はそうむちゃにふえるわけはございません。市町村道については認定の基準というものがございませんで、これは地方の市町村の議会を通して管理者が認定すればできるわけでございまして、次々に未改修の道路がふえていく、こういう関係もあるかと思います。  それからもう一つ、木橋の場合は、年数がたちますと制限してなかった橋梁も逐次制限していく。こういった関係で、毎年チェックしている時点において制限がふえていく、こういうことも考えられますが、橋梁につきましては、道路局としましても極力制限荷重、制限中の橋梁をなくしていくような方向で補助政策をとっているわけでございます。特に長大橋梁、交通量の多いものから逐次やっております。ただ市町村道につきましては、補助を取り上げましてまだ年限も浅うございますので、それほど事業費が伸びておりませんが、今年度も橋梁につきましては、特に重点的に整備を進めていく、こういう方針で進めております。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の方もおられるわけですから、自治省が出しました公共施設水準の現状というのは、決していいかげんな数字でないということは、自治省財源課長さんですか、交付税課長さんおられますが、それはそうでしょうね。当然正確な数字を積算してお出しになったのだろうと思うのですが、いかがですか。
  102. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいまごらんになっていらっしゃいます公共施設水準の現状の調査は、指導課で調査をいたしましたものでございまして、四十二年度状況地方団体から取り寄せまして集計をいたしたものでございます。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう意味で、自治省の指導課を通じて市町村から直接資料を出してもらった正確な数字だということですね。都道府県についても同様だと思います。そうしますと、先ほどお答えがありましたが、市町村道についても府県道についても、この荷重制限橋の比率というものは高まっている、これが現状なんですね。少なくともこの地方道に対して、建設省も補助金を出したりいたしまして責任もあるわけでございますし、特に私お尋ねしたい点でお答えがなかったのですが、地方道を管理しておられる建設省として、こういった荷重制限というのは、これはまさに責任転嫁じゃないですか。通る人に対して三トン荷重制限と書いておけば、それ以上の人間が通って事故を起こしたって、それは私ども知りませんというような、そういう無責任な方法というものは、道路についてはあり得ないと私は思うのですね。こういった荷重制限をするということは、国民に対してきわめて無責任なやり方だと思うのですが、これに対する御見解は一体どういうことなんですか。
  104. 中野孝行

    ○中野説明員 いま御質問ございましたように、荷重制限の橋の数がふえてきた、こう、いうことは、木橋が年数がたってきて制限をしなければならぬようになった、こういうことでございまして、木橋の数からいきますと、逐次かけかえてまいっておりますので、古いものは逐次永久橋化していっているということは事実でございます。しかし一方、木橋で古くなったものがまた荷重制限の中に入ってくる、こういうふうな状態でございまして、現在、整備が進んでいきますれば、これがだんだん減っていく、こういうことになるわけでございます。いま御質問ございましたように、道路のサービスという点からいきますれば、橋梁の重量制限ということは国民に対してきわめてよくないことでございますが、予算伸びと整備の状態あるいは需要とのバランスが現在とれておりません。明らかに危険であるものについては、道路法によって危険でないようにこれを制限して通ってもらう。これは過渡的な問題でございますが、本来の考え方としましては、早く永久橋にして安全に通ってもらうようにするのが、ただいま御質問ありましたように、今後の行政の姿だと思います。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 道路法によって荷重制限をすることができるわけですね。それでは伺いますが、よく県道、市町村道でもそうですが、頭上注意というのがあります。がけがくずれてきて石が落ちそうだ。頭上注意、何々県、何々市と書いてある。私はこのくらい無責任なものはないと思うのです。みんな上を向いて幾ら注意して通ったって、危険というものはあるでしょうから、注意しなさいという看板を出しただけで放置するのは、これまた無責任だと思うのですが、道路法上は、こういった頭上注意というのは放置してもよろしいことになっておるのですか。そういうことはよろしいことになっておるのですか。
  106. 中野孝行

    ○中野説明員 頭上注意というものは道路法上にはございません。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ないわけですね。落石注意とか頭上注意、ないのをやっておることに対して、道路法というのは建設省が管理しておられるのでしょうが、一体どういう対処のしかたをしておられるのですか。そういう道路法にないおかしな言いわけ的な制限みたいなことをやっておるという現状、これを一体どう改善しようとしておられるのですか。
  108. 中野孝行

    ○中野説明員 これは道路法上の制限行為としてはそういうものはないわけでございますが、従来通っている道路を厳格に交通をとめるということは、地方の利用者のためにもなかなか困るというふうな問題で、注意して通れば、さしあたっては事故がないであろうというふうなものは、道路管理者としてそういう指導的な標識を立ててやっている例は非常にございます。本来ならばこれを完全に整備して、安全な道路にして通すのが管理者としては当然の責任でございますけれども、何ぶん膨大な道路延長でございまして予算が伴いませんので、便宜的にそういうことをやっているのが実情でございます。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一般国道で、落石注意というのもあるだろうと思うのですね。そうした場合に、落石があって事故を起こす。かつて天竜川だったですか、同じようなことがありましたが、こういうものでそういう事故が起こった場合の管理者の責任というのは、どういうことになるのですか。賠償その他の面からいって、国家賠償法ですか。
  110. 加瀬正蔵

    ○加瀬説明員 ただいまの落石による事故につきましては、現在裁判が係争中のものがございます。これにつきましては、地裁、高裁の判断では、一応道路管理者の責任であるという判決がございます。ただ私どもも、そういう判決もございました関係上、現在危険個所の点検を国道については一斉に行ないまして、現在六百十八カ所の直ちに措置を要する危険個所につきましては、四十四年度に四十三億円ほどの予算化をいたしましてすぐにでも直そう、そういう措置をとろうと考えております。また、そういう個所で異常気象等によりまして落石等が予想されるというような場所につきましては、事前に人命の損傷がないうちに通行規制をするような措置について、道路局長通達を出して、現在検討中でございます。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地方道でそういう落石事故があった場合、一体どういうことになるのか。その点に対して自治省は、こういうものこそ通達を出して私は指導すべきではないかと思うのです。地方道は現に荷重制限橋梁の比率が非常に高まっているということは自治省もお調べになっているようでありますが、荷重制限のことはまたお尋ねするとして、こういった落石注意といったものはずいぶんあると思うのですが、こういうものは一体自治省として、管理者である都道府県並びに市町村についてはいかなる御指導をなされておりますか。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 私のほうは、そういった施設水準がまだ十分でないというところから、今回の道路、特に市町村道についての財源措置をよけいにいたしておるわけであります。市町村道に財源措置を例年よりも余分にしておるということについては、十分徹底させたいと思っておりますし、またその使途につきましても、それぞれ市町村が自分の域内でどこが最も緊急であるか、その場合には市町村長の判断は、いろいろ行政上の判断もございましょうし、将来の町づくりの判断もございましょうし、あるいは御指摘のような安全といったような判断もございましょう。いろいろなものを角度にして当該市町村がきめてやっていただく、こういうふうにお願いをしたい、こう思っております。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 荷重制限橋の場合、この荷重制限の橋がこわれて落ちたという場合——国道の場合ですね、国道にそういうのがあったかどうかわかりませんが、あった場合、その責任は一体どういうことになりますか。
  114. 加瀬正蔵

    ○加瀬説明員 構造計算をいたしまして、荷重制限をしている橋梁につきまして、その制限を明らかに越えて通行した車両が落ちた場合には、通行車の責任ということになっております。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現実に府県道、市町村道等で、木橋があって荷重制限していますね。こういう場合は、いまお答えあったように精密な計算をやって、そうして制限したものとは私どもは受け取らないのですが、それはどうですか。新しい永久橋その他で、これはどの程度の制限だというのは、これは計算上、構造上、私は出てくると思うのです。ところが年数を経た木橋などというものについては、これはそういった計算というものは不可能でしょう。
  116. 中野孝行

    ○中野説明員 一応、県道程度では、毎年調査をいたしまして、仮定のもとに計算をいたしまして、木材がどの程度腐っているということで制限荷重をきめているのが通例でございますが、市町村道につきましては、一々計算はしていないようなところもあるかと思います。長い間の経験で判断してやっておるというのが通例ではないかと思います。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 経験でやっておるということになれば、たとえば五トン制限と書いておっても、四トン半で橋がこわれて云々ということも起き得るわけですね。そうですね。私は自治省にお尋ねしたいのですが、いまのようなことになるわけでありますが、自治省としては、こういった荷重制限橋梁がふえておるという実態は認めておるわけですね。財源措置は今年度財政計画で、道路関係予算はふやした、こういうわけでありますが、それもいいでしょう。しかし都道府県、市町村のお世話をする自治省としては、事人命に関する荷重制限橋梁というものがふえて、しかも市町村の場合はそういった計算その他の測定をやった上での精密な荷重制限ではないという実態がある、そうした場合に、当然その以内でもって事故を起こす場合もあり得る、そういうことも当然私は想定をしなければいかぬと思うのです。こういった荷重制限橋梁が多くなったという数字をあげるだけでなしに、いま私が申し上げたような事故対策、こういうものについては、一体自治省、どう責任をもって対処しておられるのですか。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども、できるだけ施設水準を引き上げて、事故が未然に防止できるようにしたいということで、特に財源の面でそういう措置をいたしておるわけであります。半面、やはり各関係省庁におきましても、それぞれの行政に沿って御指導をいただけるものと期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、どこの町村のどの橋をというようなことは、やはりそれぞれの団体の中でも私は十分議論されている問題でなかろうかと考えますので、そういう点におまかせをしてまいりたいと思います。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうことでございまして、自治省がせっかく公共施設水準の現状というものをおまとめになりました以上は、自治体側の責任は、まず当該住民の生命、財産を守るということが自治体の基本的な任務になっているわけでありますから、ただそういう任務だけであって財源を与えぬ、これに対して何ら具体的な御指導もされぬということであっては私はいかぬと思いますので、今年度におきましては市町村道の財源充実について御努力をいただいたことは認めるわけでありますが、しかし現にこういった制限橋梁あるいは落石注意というような道路が非常にあるという中で、よりひとつ住民の生命、財産を守るための自治体の十分な施策が十分可能でありますように御努力をいただきたいと思うのです。そうすれば六百九十億を国に貸すというようなゆとりは、どうですか、財政局長さん、私はないんじゃないかと思いますが、そういう点、私どもの見解を申し上げまして、この道路の問題につきましては一応おいておきたいと思います。  それから次に、厚生省の宮嶋保護課長さんがお見えでありますからお尋ねしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、地方自治体の第一義的な義務は、当該地域の住民の生命、財産を守っていくということに一番の基本があるわけであります。そういう中で地方自治体は、決して財政が楽になったわけではありません。地方財政好転をしたというような議論は、私は誤りであると思うのですが、しかもそういう中で、たとえば建設事業は幾らか控えても、とりあえず当該地域の住民のしあわせを守るために、いろいろなくふうをいたしまして福祉行政を進めているという自治体は相当数多くあるわけであります。最近、議会で何々宣言都市というような議決をする自治体があるわけでありますが、交通安全都市宣言というのをやるところもあります。わが都市においては福祉行政を第一に置くという意味で、福祉行政宣言都市というような自治体もあるわけであります。こういう中で、たとえば最近交通地獄が激化いたしております。交通事故でおとうさんやおかあさんがおなくなりになった、いわば交通遺児というものが多数発生いたしております。こういった交通遺児に対しまして手当を支給する、あるいは心身障害児に対しまして自治体独自で手当を支給をする、あるいはお年寄りの方々に対して老人手当を支給する、いわば善政をしいておる自治体が数多くあるわけであります。ところがこれらの諸手当が、生活保護法でいきますと収入と認定されるために、結局被保護世帯におきましては保護費から、いま私が申し上げたような交通遺児手当でありますとかあるいは重症心身障害児の手当でありますとか、こういうものを差し引かれる。こういうきわめて過酷な行政が行なわれているということが問題になっておるようであります。せっかく自治体がこういった福祉行政に努力しようといたしておるときに、厚生省が、この法律の規定によるものとは思いますけれども、こういった過酷な行政をしくということに対して、これは一般国民としても、あるいは関係の自治体の方々にとっても、非常に割り切れぬ思いがしていることは事実であろうと思うのです。こういったものを前向きに検討するお気持ちはあるんですか。
  120. 宮嶋剛

    ○宮嶋説明員 ただいま先生の御指摘がございましたように、昨年来、特に四十四年度を迎えまして、地方公共団体がいわば新しい形の社会福祉施策と申しますか、そういう一つの方法として、地方公共団体独自の年金あるいは手当、そういう名称で重症心身障害者とかあるいは母子世帯とか、そういういわば社会的に恵まれない方たちに対して新しい形の制度を打ち出したということが目につきます。特に四十四年度を迎えて、そういう新しい制度をつくる市町村が多うございます。まさに先生御指摘のとおり、そのことと生活保護法とのつなぎ目、そこがどうも生活保護行政の持っております現在の基準というものが対応できてない。そのためにとかくの論議を呼んでおるわけでございます。私ども厚生省といたしまして、私が生活保護のほうの担当の課長でございますが、いいますならば、まさに先生がおっしゃいましたように、これらの新しい社会福祉のための地方公共団体の施策に対して、私ども厚生行政をあずかる者といたしまして前向きに対応するということは当然でございまして、現在問題になっております生活保護法とのからみにつきましても、一言弁解させていただきますならば、こういう新しい形の制度というものが出始めましたのは、繰り返しになりますけれども、ここ一両年の間ににわかにクローズアップしたわけでございます。たまたま生活保護の基準につきましては、年々歳々国民の生活のレベルは上がってまいります、国民の生活意識なりあるいは生活態様も変わってまいります、それに対応しながら生活保護基準というものは年々上がっており、また内容も改善されつつありますけれども、あまりにもにわかにこういう施策が出てまいりましたために、私ども、どうも対応できてないという面があろうかと思うので、そういう意味におきまして実はいま作業を急いでおります。まさに前向きにこの問題に取っ組むということで、一日も早くこのことについての省としての見解を示すということで目下作業をいたしております。前向きにやっております。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 前向きに御検討中ということでありますが、そのために自治体では、生活保護世帯に先ほど申し上げた福祉手当を支給すると、結局生活保護費から差し引かれるということになるということで、支給の対象から生活保護世帯をはずすというような策をとっておるところもあるようです。そうなりますと、これはますます格差が開く形になりまして、福祉手当のいわば趣旨からいきましても非常な矛盾ではないかということにならざるを得ないと思うのです。前向きに御検討と言いましたが、結局月々の手当ということになると、どうも現在の法の上からいってぐあいが悪い、ある程度これをまとめて臨時給的なものとしていけば、そういった支給の方法で創意くふうを加えれば、何とかこの生活保護法の対象からこれは除き得るのではないかということで御検討しておるやにも聞いておるわけでありますが、そのとおりでございますか。
  122. 宮嶋剛

    ○宮嶋説明員 私ども検討いたしておりますのは、まさにその月々出る手当というものを対象に検討しております。臨時に出るものにつきましては、実は当該地縁社会におきまして、盆暮れとかあるいは敬老の日とかあるいは子供の日とまとめてお金をお出しになるという習慣と申しますか、やり方は、在来ともあったわけでございます。そこら付近は現在生活保護法で十分対処できております。そして今日の問題は、いいますならば、そういう臨時ではない、まとめてではない、月々出す、月々の生活費をささえる手当なのでありますけれども、そういう月々のものをどうするかということについて現在検討しております。  なお、つけ足しますけれども、私ども一日も早く結論を出そう、すでに本年度に入りましたけれども、何とか四月一ぱいにはめどをつける、そうすれば新年度の保護費の支給につきまして初めから問に合うということになるわけでございます。そういう気持ちで検討を進めております。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのお話ですと、月々の手当に対して、この福祉手当についての自治体の趣旨が何とか生かされるように四月中にめどをつけたい、こういう御答弁でございました。  そこで私は自治省に申し上げたいのでありますが、せっかく自治体がそういった福祉行政に、ない金をしぼって努力しておられる、そういう善意というものをやはり生かすことが必要だと思いますし、また自治省としましては、そういった自治体の立場に立って、その善意が生かされるように努力されるのが適当だと思うのです。厚生省でも四月中にめどをおつけになるということだそうでありますから、ぜひとも四月中に自治省としても厚生省と御協議をいただきまして、自治体の善意が生かされるような方向への御努力をいただきたいと思いますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
  124. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、いま山口さんの言われる地方団体における善意、福祉行政といいますか、これらにつきましては、まあ団体によっては乏しい中からもやはり地域住民の不幸を少しでも救いたい、こういう気持ちでこの福祉事業に当たっているところもあると思っております。やはり地方団体の行なっております福祉行政が厚生省の方針とマッチして、ひとつうまく運営されるようにもちろん希望するものであります。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 保護課長さん、けっこうです。ひとつ十分配慮ある御検討をいただきたいと思います。  そこで今度は厚生省の公害関係の方にお尋ねをいたしたいと思いますが、最近、公害につきまして、国も騒音規制法を制定され、あるいは大気汚染防止法を制定され、水質保全法がすでにできておりまして、公害関係につきましてはいろいろと取り組みをしておられる。また本国会にも被害者の救済に関する法律案、さらには紛争処理に関する法律案等も提案されましたが、不十分であるということで、わが党は党としての対案も提出をいたしまして、いま産業公害特別委員会で議論をされておるやに聞いております。一方自治体の側におきましても、公害対策につきましては、それぞれ各府県におきまして、あるいは都市におきまして公害防止条例を制定いたしまして、独自の取り組みも行なっているところでございます。また昭和四十三年度地方財政白書を拝見いたしましても、自治体として相当な経費を投入いたしまして公害対策に当たっておられる。都道府県、市町村合わせまして百十六億円ほど公害対策費も計上されているということが、決算の状況を見ましても出ているわけでございます。そして特に大気汚染につきましては亜硫酸ガスの基準が問題になっているわけでありますが、国といたしましては、亜硫酸ガスの環境基準につきましては、一応「年間を通じて、一時間値が〇・二PPM以下である時間数が、総時間数に対し、九九%以上維持される」ということにいたしまして、これを三年以内に達成したいということのようであります。  ところが、自治体としまして、たとえば東京にいたしましてもあるいは横浜にいたしましても、あるいはその他の都市にいたしましても、現状住民の公害によるところの被害というものを見た場合に、三年というゆうちょうな形でこの環境基準をしくということでは、これはとても待ってはいられぬ、国の公害行政は手ぬるい、いわば自治体独自でこの規制をしてまいりたいという形がそれぞれの地域にあらわれておると思うのであります。こういった自治体が住民立場に立ちまして、国の公害行政に対してより強い規制を実施したいということで努力をいたしていることにつきまして、公害を担当いたしております厚生省の方といたしましてはどういう御見解を持っておられますか、その点をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
  126. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いまお話のございました地方自治体が国よりもきびしい規制をしようとしていることに対しどう考えておるかという御質問でございますが、これにつきましては、たとえば電力というようなものをつくる場合に、私どもは自治体と事業側とが協定をして、両方合意の上で、そのきびしい条件をもって新しいものができるということは非常にけっこうなことだ、こういうふうに思っております。ただこれはあくまでも協定ベースのことでございまして、両者が合意をしてやられておるということでございまして、法律上の基準ではございません。法律上の基準でしたら罰則がかかりますが、協定の場合にはそうではないということでございまして、その辺の違いだけはやはり明らかにしておく必要があるのじゃないだろうか、そのように私ども考えております。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 確かにお答えのとおりだろうと思います。東京都におきまして美濃部都知事が東電との間に協定をいたしまして、そうしてミナスの石油のような低硫黄の石油を使うように協定をする、公害防止の協定を東電と東京都の間で結ぶ、こういった形で住民の暮らしを守るということにつきましては、厚生省といたしましても、たいへんその点はけっこうだという御見解のようであります。  私、自治省にお尋ねしたいと思うのでありますが、いま厚生省の御見解もあるわけでありますが、自治体としていわば事前防止という観点で公害防止協定を結んで、そうして国のきめました亜硫酸ガスの環境基準よりもより清浄な大気にするような自治体としての努力、こういうものこそ細郷さん、通達を出しても大いに御指導されるのがいいのじゃないかと私は思います。通達もいろいろあると思うのです。善悪あるだろうと思うのですが、大臣どうでしょうか。ただいま私が申し上げたような趣旨につきまして、自治体の積極的な努力を自治省としても大いに進めていく、こういうことは当然しかるべきではないかと思うのでありますが、御見解を承りたいと思います。
  128. 野田武夫

    野田国務大臣 自治体が、より積極的に自分の地域の公害について進んで対策を立てるということは、まことにけっこうなことだと思います。ことに厚生省の方針もいまお聞きのとおりでございます。協定その他の方法でありますれば、厚生省としても、やはり公害問題の対策に非常に心を配っておられるのでありますから、その点は賛成されるということですね。私どもといたしましては、いまの山口さんの御趣旨は同感でありますし、また進んでやったほうがいい、こう思っております。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、通産省の立地公害部長さんがお見えのようでありますから、お尋ねをしたいと思うのでありますが、自治体がそういった住民の生命を守る、住民のしあわせを守る、こういう観点から企業との間に協定を結びまして、より進んだ公害防止に努力をしておられる、こういうわけでありますが、ただ、その場合に問題はこれらの企業。この煙突は一体どの程度の硫黄分を含む油を燃して、また一日の消費量は一体どのくらいで、そうして煙突から出ますところの排出の亜硫酸ガスの濃度はどのくらいか、こういうようなことにつきまして、ある程度実情を押えたいという気持は当然出てくるだろうと私は思うのです。しかしまた、そういうことにつきましては、自治体が立ち入って検査をするというわけにはまいらぬ。通産省はそれぞれの立場からこれらの実態を調査する権限をお持ちであるといたしますと、自治体としては、通産省がお調べになりました具体的な各企業の生産の状況なり、あるいはその有毒ガスの排出の状況なり、こういうものをひとつ見せていただきたい、そういう資料を提示をしていただきたい、こういう希望を持つことも当然ではないかと私は思うのです。現にそういう希望を通産省のほうに申し出ている自治体もあるのではないかと思いますが、そういうものに対して、通産省としてはどう対処されるお気持ちでありますか。自治体が前向きに自主的に公害対策に取り組むという、そういう意味からいって、当然通産省としてもお考えいただかなければならぬ問題だと私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  130. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 最初に私から御説明申し上げたいことは、公害関係の法律がいろいろございますが、大気汚染防止法にいたしましても、騒音規制法にいたしましても、工場、事業場に対する報告聴取並びに立ち入り検査の権限は、全部都道府県知事にまかされておるわけであります。したがいまして、先生のおっしゃる自治体、すなわち都道府県知事は、先生のおっしゃった亜硫酸ガスの濃度はどのくらいとか、あるいは燃料の消費量はどのくらいというようなことは報告を聴取することもできますし、それから必要な場合においては立ち入り検査ができることに相なっておるわけでございまして、むしろ通産省よりはこまかい個別の事業所については知っているわけでございますし、また、法のたてまえからいいましても、現場の監督は、それぞれの法律に基づきまして都道府県知事にまかされておるわけでございますから、むしろ、みずからそういう亜硫酸ガスの濃度なり何なりということは知ってもらわなければならぬというのが実情であると思います。  一般的にはそういうことでございますけれども、なお必要があれば、通産省としてもいろいろ御協力申し上げたいと思うわけであります。それぞれの法律、規制法、たとえば大気汚染防止法であれば、二十八条におきまして、都道府県知事がこの目的を達するために必要であるという場合には、関係行政機関にいろいろ協力を求めるとか、資料を求めるとかいう規定もございますので、通産省といたしましては必要な協力は十分いたすつもりでございます。たえまえといたしましては、都道府県知事が全部報告聴取並びに検査の権限があるわけであります。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 失礼いたしました。私のほうで自治体というふうに総括して言いましたが、この場合私が申し上げましたのは市町村という場合です。  それで、特に指定都市につきましては、都道府県とほぼ同じような、いろいろな意味で権限を持っているわけでありますが、この大気汚染防止法に関しまする限りにおきましては、いま部長から御説明いただきましたような都道府県知事の権限、これが都道府県知事どまりでありまして、指定都市の市長というものにつきましてはまかされていないように考えるわけであります。したがいまして、この公害が大きく問題になるところといえば、当然これは、東京都の場合は都知事がいわば旧東京市長を兼ねているような形でありますから問題はありませんが、横浜市あるいは名古屋市、あるいは大阪市、神戸市、さらには北九州市、いずれも指定都市でありますが、こういうところは公害としてはやはり一番問題の多い地域だと思うのですね。といたしまするならば、こういった指定市の市長につきましては、都道府県知事と同じような権限を与えていくということが制度の上からいって必要ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、法律上はそうなっていない。やはりその点は一つの矛盾ではないかと思うのでありますが、その点、厚生省としても、いわばこれは法律を改善していく、これが一つだろうと思います。それから運用の中で、特に指定都市の市長に対しては都道府県知事が十分連絡をするように運営上の指導をするということも一つの方法だろうと思いますが、この点、指定市というのはいわば公害の非常に激しい地域である、こういう実情を踏まえまして、ひとつお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  132. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 たとえば大気汚染防止法の例をとりますというと、三十一条によりまして、「この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長に委任することができる。」という規定がございまして、それに基づきまして、ほとんど大部分の都道府県知事の権限は横浜市外約十ばかりの市に委任されておりまして、その市の名前をあげますと、横浜、川崎、新潟、名古屋、大阪、堺、神戸、尼崎、姫路、北九州、大牟田、なおその後一、二加わったと思いますが、そういうような、いわば先生の御心配になるような公害の相当激しいような、しかも大きい市には権限が委任されています。ただ、それ以外の小さいところは委任されていないのが実情でございます。それは都道府県知事がしかるべく市と連絡をとるなり指導するなりしなければならぬと思います。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 権限の点はわかりました。また、指定都市をはじめといたしまして、いわば指定都市以外の川崎等の市に対しましても、この場合の三十一条の政令で定める市として権限を委任しておられるという点につきましては了解をいたします。ところで、そこで私奇異に感ずるのでありますが、横浜の地区におきましてこの亜硫酸ガスの汚染対策を進めていく場合に、三年間に、先ほど申し上げましたような環境基準を実施していくというたてまえで一応の改善対策が立てられておるようでありますが、この問題をめぐりまして、通産省が横浜地域の工場に対して調査をされた。ところが、その調査結果を横浜市のほうからひとつ十分内容を知らせてほしい、こういう趣旨の要望が出ておるわけでありますが、通産省のほうとしては、企業の機密に関する問題については公表しないということを企業の側と約束しておるので、すべての内容を市に報告することはできぬ、こういうようなことを言っておられると聞いておるわけであります。市にしてみれば、何も各企業の高度な機密事項を知りたいというような意図で、私は通産省に対してそういう要望を述べているのではないと思うのです。公害に関係するところのいわば基礎資料、こういうものについてその内容を知らせてほしい、こういうのがこの横浜市の率直な希望ではないかと思うのでありますが、そういうものがすべてこの企業の秘密——かつて当委員会でも消防の際に問題になったわけでありますが、火事が起きた、そこへ消防が行こうとしたら、いや、私の企業のこれはノーハウであって、企業秘密であるので入ることはお断わりしますというようなことで、この消火作業に対して非常な差しつかえがあったということが当委員会で消防との関係で問題になりました。同じような意味で、この企業秘密ということによって公害対策、特に自治体が積極的に公害対策に取り組みたいという善意がそこなわれるというようなことであってはたいへん遺憾じゃないかと私は思うのでありますが、その点はいかがなのですか。
  134. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 本件につきましては、先般産業公害特別委員会でも御説明申し上げましたが、若干誤解があるのでございまして、その後横浜市とも何回も打ち合わせをいたしまして、御了承を得ているというのが現状でございます。経緯を申し上げますと、先般新聞等に出ましたのは、いわばこの横浜、川崎地区の総合事前調査の第一次改善案というようなものでございまして、これは今後さらにその結果を風洞実験したりいろいろいたしまして、さらに第二次の調査をやる。場合によりますと、従来の同種調査の経験からいうと第三次、第四次というようなことをやりまして、最終的にファイナルな結果が出るわけでございます。私どもといたしましては、あと半年ぐらいありましたらいま申し上げましたファイナルな調査結果が出るわけでありまして、出ました暁におきましては、先ほど申し上げましたように、横浜市にしても川崎市にしても政令市でございまして、具体的な監督をやっているわけですから、まさにその結果の監督なり——監督と申しますかあるいはアフターケアと申しますか、そういうものは横浜、川崎がまさに中心となって現実にやっていただこうと思っているわけでございまして、いまのところはほんの手をつけた段階であったものですからそういうような話が出たわけでございますが、その点につきましても十分横浜市なりとお話し申し上げまして、御了解を得ていると私どもは思っております。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の行政局の方がおられませんのであれですが、この大気汚染防止法にいたしましても、それから騒音規制法にいたしましても、さらにそれの基本であります公害対策基本法の制定の際におきましても、自治省とすれば、現に自治体が公害対策を進めている、そういう意味で、できる限り自治体のいわば自主性というものを尊重する立場で公害基本法も制定されるべきであるし、またこれに関係する大気汚染防止法にいたしましても、騒音規制法にいたしましても、あるいは現在国会にかかっております救済に関する法律あるいは紛争処理の法律等につきましても同じ態度で対処されたのではないかと思うのです。私はやはりこの公害につきましても、第一義的には住民の生活を守る意味で自治体ができる限り積極的に対処をしていく、そういう意味で自治体としても百十数億の公害対策の予算を現に支出をして努力もしておられる。そういうことがあります以上、この公害対策の問題につきまして、自治体と関係省庁との間に意見の相違等がありました場合は、当然自治省としてはできる限り自治体の立場が尊重されるように対処すべきでないかと思うのでありますが、一応考え方について大臣の御見解を承っておきたいと思うのです。
  136. 野田武夫

    野田国務大臣 これは御意見のように、自治体はみずからを守るという意味で一番切実な問題でございますから、その大気汚染でも騒音の公害につきましても一番実態を身に感じている。そういう意味におきまして、やはり自主的に自分を守る、公害から自分たちを守っていこうという考え方でありますので、自治省といたしましてもできるだけのこれに対しての財政措置もいたしたいのはお話しのとおりでございますが、当然厚生省も、また一番関係の深い通産省の公害対策のお考え方も、やはり自治体の意見というものを、またその実態というものを十分連絡をとっておやりになっているものだと私は思っております。いろいろなことが起こりました場合は、これは自治体と関係各省との間の話し合い、これがそのときによっていろいろ複雑になった場合は、やはり私は自治体のみずからを守る地域住民意向というものを十分参酌して、ひとつ尊重していただきたい、そういう気持ちには全く同感でございます。
  137. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 財政局長にお尋ねしたいと思うのですが、公害対策について、昭和四十二年決算で都道府県が三十六億円、市町村が八十億円、合計で百十六億円を使っているわけですが、こういった公害対策の経費について、基準財政需要額の中では一体どういう費目で、どういう形で見ておられるのでしょうか。そういうものは一切見ておられないのですか。見ていないとすれば私は怠慢だと思うのですがね。
  138. 構手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  公害対策関係の経費は、現在基準財政需要額は「その他の諸費」において算入いたしております。算入額は、四十四年度見込み額は道府県分においておおむね八億、市町村分において四億、合わせて十二億円でございます。なお交付税上は、一般の公害対策関係の事務費を算入いたしておる次第でございます。
  139. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、都道府県でいけば「六 その他の行政費」のうちの三項の「その他の諸費」、この中で見ておる。それから市町村の場合でいけば、これも「六 その他の行政費」のうち「4 その他の諸費」の中で見ている。そして昭和四十四年度の基準財政需要額でいけば、都道府県が八億であって市町村が四億ということで了解してよろしいわけですね。——そうしますと、現実に昭和四十二年度の決算で都道府県が三十六億、市町村のほうが多くて八十億現に支出しているわけですね。そういった実情、それからさらに公害というものが、現に自治体で取り組むべき非常に重要な課題であるということは、まさに国民の声になっているのじゃないでしょうか。そういうときに、お答えがございましたように、都道府県がわずか八億、それから市町村の場合はさらに少なくて四億ということでは、これは自治省は、通産省に向かって、自治体の公害対策の線に沿って努力をしていただきたいというような、そういった大きな顔はできぬ立場じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。こういったものこそ積極的に基準財政需要額に算入をしていくという決意が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。自治省がこんなことでは、公害対策にならぬですよ。こんなことでは、これは自治省の公害だ。
  140. 細郷道一

    細郷政府委員 一口に公害対策といいましても、現実の施設は緑地公園であったり、あるいは下水道等によるものであったり、あるいは都市計画によるものであったり、いろいろいたしております。したがいまして、公害対策という費目を交付税の需要算定の上に立てた場合に、どの範囲のものをいうかということが技術的になかなかむずかしいと思っております。各地方団体が、公害対策ということで、いま申し上げたようないろいろな施設をやっていく、そういったものが決算上に実はあらわれておるわけでございまして、必ずしも私どもは、その数字を公害対策という名で処置しなければならぬかどうかということは、財政需要額の現在の算定上なかなかむずかしいことだと思っております。ただ起債につきましては、下水その他の起債は、それぞれの費目で見ますが、その他一般的な単独事業の起債の中で公害対策、たとえば公害防止事業団から金の融通を受けて緑地帯をつくる、現にどこかの公害地帯にも起こりましたが、そういった場合に、村負担の起債を受ける、こういうようなことはいたしております。
  141. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 公害一般というのが全体の一四・七%、これは都道府県、市町村を通じてですね。大気汚染については一七・六%、水質汚濁については一七・七%、騒音及び振動については四六・一%、地盤沈下については三・九%、いわば、緑地でありますとかそういった公害一般のものとは別に大気汚染、水質汚濁、騒音及び振動、地盤沈下という具体的な公害対策について、それぞれその経費が使われているという決算の状況が出ておるわけでしょう。とすれば、ただいまの財政局長の御答弁では、いかにも消極的だと思うのです、巧緻、精緻な地方財政計画を看板にしておられるわけなのですから。いまや国民をあげて、公害については非常に関心が強いのではないですか。また自治体も公害対策については、それぞれ真剣にタッチしようとしておられる。とするならば、この公害対策の経費を基準財政需要額にやはり相当算入をしなければ、これは巧緻、精緻な地方財政計画とは、交付税とは言えぬじゃないですか。大臣、どうですか。明年度におきましては、ひとつ基準財政需要額の中に公害対策の経費を相当額やはり算入をする、前進させるという御決意はございませんか。それからさらに、特別交付税八百数十億円、ことしは非常に多いわけですね。とするならば、特別交付税等について、これを本年度においてはある程度考慮をするということぐらいは、私はなすべきではないかと思うのでありますが、その点、いかがでございましょうか。
  142. 野田武夫

    野田国務大臣 いま財政局長がお答えしましたとおり、四十四年度で計上しているのは、いわゆる事務費として出ているわけであります。四十二年度には、お示しになりました都道府県、市町村の公害関係費としては百十六億出ておりますが、これはいままでの財政計画の中に公害というものが、その費目ずばりそのまま入らないで、いろいろな意味において地方団体が当面している公害防止、排除に相当費用を使っておったと思っております。したがって、これらは当然自治省といたしましても、いままで公害に費消した地方公共団体実情はよく知っているわけでありますから、それに別に反対をしていることでもございませんから、いずれにしても、これはこれだけ使っているのですから——さらに金が要ると思います、ざっくばらんに言って。また大事なことでございますが、それをどういうふうに基準財政需要額に入れるか、これはもう技術的なことでございまして、いま局長が申しましたとおり、やはり緑地を一つつくるのも、これは公害対策の一つであり、またその他いろいろ地方公共団体の公害対策の施設というものが、汚水の場合は河川をどうするとかいろいろな問題が出てくると思っておりますが、これを特別に基準財政需要額に入れるかどうかは別でありまして、これは積極的に取り組んでいくべきものではありますが、これは技術的な問題ですから、ここでどうするということは申し上げられません。しかし私は、いまのお話の筋はわかっております。また財政当局もよく理解しているものと思っております。
  143. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ひとつ明年度の基準財政需要額の算定にあたっては、公害対策を十分織り込むように自治省も努力していただきたいと思います。国の予算でも、公害対策の技術員の方を佐蔵総理はさっぱり認めなかったということが、本会議の議論の中でも問題になりましたが、それと同じような轍を自治省が踏むようなことであっては、私は遺憾だと思うのです。  そこで、さらに具体的にお伺いしたいと思いますが、橋本公害部長さんが来ておられますが、カドミウムの汚染の問題についてだいぶ議論をしました。今度厚生省見解が出まして、長崎県の対島、群馬県の安中、宮城県の鶯沢につきましては、要観察地域ということになったわけであります。さらに安中につきましては、排煙の調査が不十分であるということから、さらにその欠陥を補うための調査も行なうということになっているわけであります。  そこで問題になりますのは、こういったカドミウムで汚染された地域、あるいは昔のことを言うと、渡良瀬川の鉱毒等によって群馬県、栃木県の農地が汚染をされておりますが、こういうところの農地に対して、地域住民の人にしてみれば、固定資産税を減免してもらいたいという希望を持つことは、私は当然だと思います。そういう意味におきまして、いわば公害によって汚染された農地の固定資産税の減免については、当然その見返りとして自治省は特別交付税で見るくらいの決意を持っていると思うのですが、その点、財政局長いかがでしょうか。
  144. 細郷道一

    細郷政府委員 その辺の事情をつまびらかにしておりませんので、よく研究します。
  145. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 相当被害がある。厚生省におきましても、これは要観察地域なりあるいは被害の地域だ——神通川におきましては、これはもう汚染地域であることは明瞭ですね。そうした場合に、当該地方自治団体が固定資産税をこれだけ減免しているという実績があれば、これは特別交付税で見る、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。
  146. 細郷道一

    細郷政府委員 どういうふうに固定資産税が減免されているのか、また減免するにしてもどういうしかたをするのか、減免すべきものであるのかないのか、いろいろ議論があると思います。よく研究してみたいと思います。
  147. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は農林省あるいは厚生省等が、現実に被害状況は調査しておるわけでしょうから、そういった厚生省あるいは農林省、あるいは渡良瀬川の鉱毒の場合は経企庁が担当省でやっておるわけでありますが、そういった官庁と十分連絡をとって、いわば思いやりある対処をするというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  148. 細郷道一

    細郷政府委員 関係各省また事務当局と、よく調べてみたいと思います。
  149. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 やっぱり大臣、どうでしょうか、こういった公害で明らかに汚染されて収穫が非常に減っておるということが顕著である、農林省あるいは各省においてもその状況はある程度お認めになる、自治体もそういう実情に立って軽減を現にやったというところは、いま公害対策がこれほどいわれておるときに、自治体としてはそういった地域では固定資産税を減免するのが私はあたりまえだと思うのです。そうした場合には局長も十分検討するということでありますから、大臣、政治的な立場でもそういうものはやっぱり減免すべきであると思うのですが、政治的な立場に立った御見解をひとつ承りたいと思います。
  150. 野田武夫

    野田国務大臣 そういういまのお話のような場合、ことに自治体が固定資産税を減免していることも明らかになって、その事情がいまの御指摘のような事情でございますれば、これは自治省としても当然考えなければならぬことだ、こう考えております。
  151. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 農林省の方にお尋ねしたいのですが、現に昨年渡良瀬川の鉱毒地域につきましては水質基準ができまして、そしてこの鉱毒を除去する対策というものも一応できたわけですね。そしてこの渡良瀬川の主要な地点における水質基準をきめますと同時に、すでに汚染された農地を改善するために土地改良事業を行なうことになっておりますね。それからカドミウムで問題になっております安中でも、あるいは大分県の奥獄川におきましても土地改良事業を行なっております。安中の場合は農林省の基盤整備の事業として土地改良事業をやっておるわけでありますが、国と県が七割を負担し、当該市が一割を負担し、あとの二割が受益者負担というかっこうになっておるのです。私は、公害対策のために天地がえしをする、土地改良事業をする、こうした場合は当然これは受益者負担というものはあるべきでない、これは国なり自治体なり企業というものが当然責任を負うべきものである、かように考えるわけです。  去る五十八通常国会で、私は当時の宮澤経企庁長官にこのことを質問をいたしました。宮澤長官も、確かに御指摘のとおりだ、公害対策の土地改良事業受益者負担はおかしい、当然これは企業なりあるいは国、自治体がその点については措置すべきである、その方向で前向きの検討をしたい、こういう御答弁もされておるわけでありますが、この土地改良の仕事につきまして携わっておられます農林省の立場としては、こういった公害対策の土地改良事業に対する受益者負担、これについてはどうお考えでありますか、お尋ねをいたします。
  152. 井元光一

    ○井元説明員 公害対策事業につきまして現行の補助率をそのまま適用するということは、確かにおっしゃるとおり問題が多いわけであります。農林省といたしましては、公害対策事業というのは実はこの名前のとおりの解釈です。終戦後の自然河川の硫黄だとかあるいはSO4だとかあるいは亜鉛だとか、こういう自然の流水に対する処置として鉱毒対策事業をやっております。最近公害対策基本法が制定されまして、これに対する対策はどういうふうにすべきかというのは現在まだ調査中でございまして、これをどの程度の補助率でやったらいいかということは目下検討中でございます。したがって、現在までに、あるいは最近やっております事業というものは、現在行なわれておる農林省の事業のうちでできるだけ高率補助の事業費で便宜上やっておる事業でございます。
  153. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その高率補助で便宜上やっておるというものについては、どういう負担区分でありますか。
  154. 井元光一

    ○井元説明員 現在は施設に対する補助率は六五%でございます。それから一般農地は五〇%でございます。
  155. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでもなおかつ受益者負担はあると思うのですが、その場合はどのくらいになりますか。
  156. 井元光一

    ○井元説明員 現在継続中の事業を六地区ほど調べてみました。これに対しましては宮城県の振子沢、山形の蔵王、長野県の西部、高岡、それから愛媛県の別子第二、群馬県は安中、これを合計いたしますと六地区、この六地区のうち、国はいま申し上げましたとおり六五と五〇、こういう補助率になっておりますが、県のほうは三五%、二五%、一七・五%、一七・五%、三%、こういう補助率になっております。市町村のほうは負担が全然ないところが三カ所、それから一〇%、一七・五%、四七%、こういうふうな補助率になっております。それから地元の、その他という地元負担のほうは、長野県の西部だけが一七・五%の負担、その他はございません。
  157. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今後私は、こういった公害対策に伴う土地改良事業というものはさらに増加をしてくると思うのですね。御答弁ありましたような自然的なSO4、硫酸イオンですね、あるいは亜鉛、銅こういうもののほかに今後カドミウム、あるいは今後予想されるものとしましては水銀等の重金属、さらには硫酸イオンばかりではなしに、場合によっては塩素イオンの場合もあるかもしれませんし、きょうの新聞を見ますと、下水道の中に水硫化ソーダが流れ込んで、片や酸が流れ込んだために亜硫酸ガスが発生したり、あるいは青酸の化合物が流れ込んだ、片や酸が流れ込んだために亜硫酸ガスが発生してなくなったというような事態も起きておりますね。いろいろな形で公害というものが今後増加すると私は思うのです。そうした場合に、当然これに伴う農地の保全を一体どうするのか、土地改良をどうするかということは、ますます今後ふえてくる問題だろうと私は思うのですね。それについては農林省としても明確な見解というものを持つべきである、政府としてきちんとした見解を出すべきであると私は思うのです。その中心は、あくまでも公害に対する土地改良については受益者負担はあるべきでないというこの原則は、私は守るべきだと思うのですね。その他の経費を一体国が持つか県が持つか、国庫がどのくらい持つかということは議論があると私は思いますが、少なくとも受益者負担はあるべきでない、これだけは貫かなければいかぬと思うのですが、そういうことで農林省としては検討し、近く見解を出すというふうに了解をいたしてよろしゅうございますか。
  158. 井元光一

    ○井元説明員 おっしゃるとおり、公害につきましては公害対策基本法というものができました。この事業の実施につきましては、たてまえとしては国、県、事業者というものの責任があるわけでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃるような趣旨でできるだけ今後検討してまいりたいと思っております。
  159. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 検討してまいるということでありますから、これはいつまでも検討するということでなしに、明確にひとつ考え方を出していただきたいと思います。
  160. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は明後十七日木曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会