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1969-04-11 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十一日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    赤澤 正道君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       太田 一夫君    河上 民雄君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         通商産業省企業         局立地公害部工         業用水課長   花岡 宗助君         自治大臣官房         参事官    佐々木喜久治君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君     ————————————— 四月十日  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する  請願(木部佳昭紹介)(第三六〇四号)  同(三木武夫紹介)(第三六〇五号)  同(柳田秀一紹介)(第三六〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 交付税法に関し、地方財政計画関連をいたしましてお尋ねをいたします。  最初に妙な話からいきますが、自治省次官は……。
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 自治省次官は間もなく来ます。いま大蔵委員会に入っておりますから。参事官がおりますから……。
  5. 太田一夫

    太田委員 それでは佐々木参事官お尋ねしましょうか。  ちょっと変なことをこのごろ聞いたのですけれども自治省のある有力なお方が、地方公共団体の長というのは雇われマダムと同じものだ、こういうことをおっしゃったということを聞いたのですが、何かそのようなことをお聞きになったことがございますか。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 私、寡聞にして存じません。
  7. 太田一夫

    太田委員 それはまたふしぎなことを聞くものでございますね。大蔵省主計局次長さんがおいでになっていらっしゃいますが、自治省の中に、県知事や市町村長というのは雇われマダムだという議論があるということをお聞きになったことがございますか。
  8. 相沢英之

    相沢政府委員 私いま初めて聞きました。
  9. 太田一夫

    太田委員 それじゃ「時の話題」ということで御提供申し上げておきますが、「地方公務員月報」一九六八年十二月号というのがございまして、もう四月も前に出たようでございますが、「時の話題」ということでございます。「地方公務員月報」の二二ページ、二三ページに出ておる。実はいいことが書いてあるのです。何か労使関係のことを公務員制度審議会の再開にポイントを置きまして、非常にこれに期待をかけていらっしゃるのでありますが、ここでこういうことをおっしゃっていらっしゃるのです。「公務員労働関係が民間に比べて不正常であることは事実として容認せざるを得ないところであり、このような事態に立ち至った原因として、ある人は、国や地方公共団体は、「つぶれない企業」であるから、労働者側は「会社をつぶすと同時に自分も失職する」という心配はないし、理事者側としても、いわば「雇われマダム的」事勿かれ主義に陥り易いと指摘しているが、残念ながらこのことを認めざるを得ないであろう。」こういうふうに表現されておるのです。実は、その雇われマダム的だと地方公共団体理事者を評されたことに対して、いささか反論が地方から出てまいりまして、「地方公務員月報」というのはどういうものであるかということで照会があったのであります。それに対して参議院においてわが党の和田委員大臣お尋ねしましたらば、これには自治省助成金を出しておるのだ、こういうことを言われておるのです。自治省助成金を出しておる刊行物の中に、知事さんや市町村長さん等は雇われマダムだ、こういうふうにおっしゃっていらっしゃることが書かかれておる。これは私ども今日の段階では逆にそのとおりじゃなかろうかと思っているのですけれども、こういうことは切めてだとおっしゃるから、いまさら初めてのことに感想を聞くのはどうかと思いますが、しかし、いま私が読み上げた文章から見て何か所感はありませんか、参事官
  10. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 おそらくその文章は、私企業との関係において、私企業収支そのものが、経営者なりその従業員に直ちに影響するということに対して、現在の公共団体のそうした単純に経理の面だけについての問題を対比するならばというような趣旨で書かれたものであろうというふうに考えられるわけであります。現在の地方公共団体の仕組みというものは決してそういうものではない、単に金だけの問題で考えるべきものではないというふうに考えるわけです。やはり地方公共団体の長並びにその職員というものは直接地域住民に対する責任を負っておるわけでありますから、そうした一部の調査だけをとらえて、単純に一般私企業と比較をするということは、私としましてはいかがなものであろうかというふうに考えるわけであります。
  11. 太田一夫

    太田委員 どうも私の見解と逆なんでありまして、佐々木参事官お話は、雇われマダム論を否定された立場に立っておるように思います。私はとれを肯定をしていまお尋ねをしておるわけです。  なるほどいいことを書いてあるというのです。これほど適切にいまの地方自治体と国との関係を表現した文章はない。実にこれは金科玉条、まさに金字塔を打ち立てたものと私は思いまして、これは終生拳々服膺して忘れないようにしていこうと思う。雇われマダムであるというのをあなたは否定されたが、ここに書いてある自治省のある有力な、天下に高名なある人は、雇われマダムとおっしゃる。私もそう思う。そこから交付税という問題が発展をしてくるということはよくわかるのです。六百九十億控えてしまったというこの理念がわかる。  じゃ、ちょっと伺いますが、これは相沢主計局次長さん、六百九十億をあなたのほうが控えたというのは、貸してくれとおっしゃったあの覚書は、あなたのほうの考え方じゃどういう考え方か。
  12. 相沢英之

    相沢政府委員 この六百九十億円を来年度の四十四年度交付税既定額から差し引きましてそれを後年度に繰り延べるということにいたしましたその理由は、すでにあるいは自治省からもお聞きと存じますが、私どもとしましては、来年度地方税また地方交付税増収が従来に見ないほど巨額なものとなる見込みであり、また、国の財政規模等との関連から申しますと、これに伴う地方財政需要増加を想定いたしましても、そこに若干のゆとりがあるのではないかと思われますので、恒常的な経費の支出というものが大部分を占めておりますところの地方団体にとっては、やはり年度間の財源調整をそこに考えることが適当ではないかというような考え方で、国、地方財政事情との関連から、四十四年度におきましては六百九十億円を引いていわばこれを後年度に繰り延べるというような措置をとったわけでございます。
  13. 太田一夫

    太田委員 非常に重要なことを聞きましたが、来年度四十五年度以降の経済見通しというのは非常に険悪であるということをおっしゃったように聞きましたが、そうなんでございますか。
  14. 相沢英之

    相沢政府委員 別に特にそういうことを申し上げるつもりではございません。昭和四十四年度における経済見通しを前提といたしますと、四十四年度地方税収地方交付税伸びというものが、従来になく巨額になり、今後四十五年度以降それほどの伸びが期待できるかどうかということはわかりませんが、少なくとも四十四年度みたいな大きな伸び考えることは無理なのじゃないかというような考え方を私どもとしては持っておるわけであります。
  15. 太田一夫

    太田委員 そうすると、大蔵省考え方から見ますと、税収伸びというものは四十四年度が最高でありまして、四十五年度以降とみに鈍化するおそれがあるので、そういう場合に備えて今度交付税を控えておきまして、そして将来伸びの鈍化した際の地方税収入の確保のために備えよう、こういうことだとおっしゃったと思うのですが、そういうことでございますか。
  16. 相沢英之

    相沢政府委員 それも一つの大きな理由でございます。先ほどちょっと答弁を落としましたが、昭和四十三年度において相当大幅な国税三税の増収があり、これに伴って交付税が約七百億円程度追加されるということが、当時この話の起きました際には両省の念頭にあったわけでございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 どうも歯切れが悪くなってきましたね。  それでは佐々木参事官、あなたはいまの大蔵省相沢主計局次長さんの御見解に対してどうお考えでございますか。
  18. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この予算編成の過程におきましては、地方財政実態認識について若干の意見の相違のありましたことは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、昭和四十四年度見通しを立てますならば、確かに交付税収入なりあるいは地方税収入なりにおいて相当増収が見込める状態にあるということはわかるわけでありますけれども、一面におきまして、地方団体行政水準というものがまだ相当低位にある。そういうことからして、できる限り行政水準の引き上げをしていかなければならない。そういう意味で、昭和四十四年度財政収支の面から見ますならば、財源の量というものは確かに増加しているわけでありますけれども、一面において、いま申しましたような事情から、昭和四十四年度財政収支はその見通しどおり確保していきたい、かような考え方に立っておったわけであります。  ただ、昭和四十三年度におきまして、いま相沢次長から御説明申し上げましたように相当額自然増収がある。この自然増収は本来ならば四十三年度精算分として昭和四十五年度に使用する形になるわけでありますが、これが昭和四十四年度に使用し得る状態になるならば、昭和四十四年度自体の財政収支は六百九十億を繰り延べましても、実質的には変わらない。こういうような認識のもとに六百九十億の措置をしたわけでございます。それに引き続きまして昭和四十三年度補正予算措置がとられ、私どもが期待しておったとおりの収支計画になってきたということが言えると思います。
  19. 太田一夫

    太田委員 そろばん玉の勘定のことを聞いておるわけじゃない。考え方の基本について、大蔵省自治省との間がぴたっと一致しておるかどうかということをお尋ねしておるわけです。来年度以降ある程度経済界経済情勢見通しが険悪となり、将来の税収伸びは期待しがたい状態があると考えられるので、この際六百九十億を控えるとおっしゃるならば、私はずばりそのつもりで聞きましょう。何も、貸したやつがまだ残ったのがあるから、それだけ貸したって同じじゃないか、そんな理屈は私は聞くわけにはいかない。
  20. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十五年度以降の税収入なり交付税収入見通しを現段階でつけるということは非常にむずかしかろうと思います。そういうことで、六百九十億の措置につきましても、昭和四十五年度法定額に六百九十億加算をする。それをさらに、地方財政状況等によりましては昭和四十六年度あるいは四十七年度までこれを繰り延べることができるというような規定をしておりますのは、やはりその間の見通しにつきまして、将来その時点におきまして弾力ある措置が取り得るようにということを考えたわけでございます。現在、四十五年度以降どういうふうな収支状況になるかということを、的確に見通しをつけて措置したわけではございません。
  21. 太田一夫

    太田委員 将来の見通しがないのに、弾力性だとか、四十五年度に六百九十億そのまま返すとか、それとも四十五年、四十六年、四十七年と三分割して返すとか、そういうどちらかを考えるとおっしゃるけれども、それは経済の上、税収見通しの上からそういう結論が出るのであって、それがまだわからないのに、三分割するかもしれないとか、あるいは四十五年度に・一括返すかもわからないとか、そういうことは出ないわけじゃないですか。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 六百九十億の四十五年度の繰り越しにつきましては、その方法として、昭和四十五年度全額法定額加算をするという方式と、四十五年度以降四十七年度までに繰り延べるということもあわせ考えておるということでございます。まだその間どちらの措置をとるかということにつきましては、現在の段階では的確な収支見通しは立たないわけでございます。やはりその時点になりまして、それらにつきましてどういう措置をとるかということをきめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 太田一夫

    太田委員 あなたと押し問答をするのは本意じゃない、そんな気がするけれども、きょうは財改局長がいらっしゃいませんし、大臣もいらっしゃいませんから、あなたそのかわりのつもりで、自治省を代表して発言をしていただけると思っているのです。それにふさわしい識見をあなた持っておるから十分だと思うのですが、四十五年度以降は非常に不景気になる、税収入は今年度からダウンする、その見通し濃いゆえに六百九十億控えておるんだ、景気調整だということならよくわかるということなんだ。そうでないならば、なぜ六百九十億控えたんですか。もう一ぺんそのことを聞かなければならないわけですね。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 御承知のように、昭和四十四年度の国の予算編成方針、あるいは経済見通し等から御承知いただけますように、国の経済見通しとしましては、昭和四十四年度財政運営姿勢として、景気に対しまして警戒的あるいは中立的に運営していくというような方針がとられておるわけでございます。こうした国の財政運営方針について、地方財政におきましても協力体制をとっていくというような考え方のもとに、いまのような措置がとられたわけであります。昭和四十五年度以降の収支状況につきまして、はたしてそれだけの財源落ち込みがあるかどうかというような点につきましては、まだ私どもも的確に見通しを申し上げるわけにはいかないわけであります。
  25. 太田一夫

    太田委員 財源落ち込みがなかったときには、伸びたときには六百九十億はどうなるのですか。
  26. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 財源落ち込みがなかった、あるいは収入増加があるというような事態になりましても、その程度によりその扱い方に差があるかと思います。その点は来年度予算編成段階におきましてさらに将来の、昭和四十五年度見通しを立てまして措置をきめてまいりたい、かように考えております。
  27. 太田一夫

    太田委員 来年のことを言えば鬼が笑うんだから、私は来年のことはわからぬでもいいと思うのですよ。わからないけれども心配だから取っておくというなら、それもわからぬわけじゃないですよ。何ということなしに勤倹貯蓄の精神が自治省にありまして、何ということなしに取っておきたくなったんなら、デパートの包み紙も、送ってきた小包のひもも、みんな丁寧にしわを延ばし整理してとっておきたいという人は幾らもあるわけですから、これは性格の問題、趣味の問題です。ということで六百九十億をとっておかれるのでございますか。そんな説明では説明にならぬでしょうね。だから、来年のことはわからぬ、わからぬとおっしゃるのは、わざとわからぬとおっしゃるような気がしてしようがない。実は想像をしておるけれども言えないのだ、そういうことですか。
  28. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 やはり、来年の収支につきまして的確な見通しを得るということは、私どもできるだけ早くそういう見通しは得たいと思うわけでありますが、現在の段階では無理であるというふうに考えております。
  29. 太田一夫

    太田委員 上村大蔵省政務次官おいでになりましたから、大臣にかわってお答えをいただきたいのでありますが、いま大蔵委員会におきましては、地方交付税特別会計法の一部改正案がかかっておりまして、その中に、いま議論しております六百九十億円を四十五年度以降に繰り延べるという改正があるわけでございます。地方自治体は私は非常に苦しんでおると思うし、財政需要は幾らあっても足らないというときだと思いますにかかわらず、本年度税収伸び一つ理由にいたしましてこれを控えられたということは、いかなる理念に基づくものでございましょうか、大蔵省の御見解をあらためて承っておきたい。
  30. 上村千一郎

    上村政府委員 太田先生もいろいろ御指摘をなさっておられますが、地方財政が好転はいたしましたけれども、これで十分だとかそんなような認識ではございませんでした。しかし、この四十四年度予算編成に際しまして、地方財政のほうが非常な大きな伸びがあるというふうに考えまして、そして現在の地方財政と国の財政におきまして、もう日本の経済事情その他を考えてみましても、総合的にいわゆるフィスカルポリシー考え方でひとつやっていく必要がある、こういうような考えのもとに六百九十億というのをいわば既定額から減らしておるわけです。そして四十五年度につきましては、ひとつそのときにまたあらためて立法措置をしながら御審議を賜わることにして、今回は六百九十億を引いた部分についてひとつ御了承を賜わりたい、こういうふうな考え方でございまして、昭和四十四年一月六日に大蔵大臣並びに自治大臣と御相談の上でやった、こういう次第でございます。
  31. 太田一夫

    太田委員 まじめなお話でございまして、間違いないことでございましょうね。それは、そういうことは私も思いますよ。しかし、佐々木さん、いまのお話の中からフィスカルポリシーということばが出てきたのですけれども、これは最近慣用語として使われておりますけれども一般国民の側から見るならば、これは中央政府のおぼしめしのとおりに財政上の操作をされて、それで地方住民生活が右に左にもてあそばれる政策のことをいうのだと思っていますよ。日本語に直したらどういうことですか。どういうふうにあなたのほうでは御説明をいただけますか。
  32. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 国がその年の国民経済の動向につきまして、どういうような経済政策をとっていくかということは、国が予算編成なりあるいは経済運営の態度をきめるにあたりまして、それぞれとられるわけでございます。そうした国の経済政策の行き方というものにつきまして、地方団体がその地方財政運営を通じて協力をしていくという体制は、地方としてもやはりとるべき姿であろうというふうに考えるわけであります。  ただ、地方団体行政というものが、そうした国の経済政策に直ちに同調し得る行政内容になっておるかどうかという点になりますと、その範囲は非常に狭い範囲にならざるを得ない。現在の財政運営実態から申しますならば、公共事業等の実施を通じて国の財政運営協力をしていくというような体制がとり得る程度でありまして、他の行政事務から見ますならば、やはり住民生活に非常に直結しておるというような行政性格からして、国の経済政策協力すべきであるというような基本的な姿勢をとってまいりましても、実際に同調し得る面は国の場合よりは相当狭い範囲行政分野に限られるものであろうというふうに考えております。
  33. 太田一夫

    太田委員 じゃ、フィスカルポルシーなんということば地方財政にとっては無縁のものである。入り込むとしたって非常に狭いものであるならば、これは無縁じゃありませんか。無縁ではないのですか。そのまま直接受けておるのですか。
  34. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 国の経済政策地方財政が無縁であるというふうには私ども考えておりません。そしてまた、国の経済運営というものが、考えておるとおり的確な運営ができますように地方団体としても協力すべきであるという基本的な姿勢は持っておるわけであります。ただ、実際問題として、その経済政策が及ぶ行政範囲というものは、国の場合よりは相当狭いということは考えざるを得ないわけであります。
  35. 太田一夫

    太田委員 昨日大臣お尋ねしたわけですが、お答えはまだあとでいただけるだろうと思うのですが、大蔵省が出ていらっしゃいますからお尋ねをいたします。  地方財政法第二条には、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」自律性をそこなうことはいけない、地方自治の本旨というものはここに生かされておると思いますが、大蔵省はそういうものはあまり研究したことはないのでございましょうか。
  36. 相沢英之

    相沢政府委員 地方財政法の第二条に申しております、地方公共団体自律性をそこなわず、また地方公共団体負担を転嫁するような施策を行なってはならないという趣旨は、地方団体としての財政運営自律性をそこなわないように、また国が施策をする場合に、地方公共団体負担を転嫁するようなことをしてはならないということを言っておるのでございまして、地方団体全体に対する財源付与の一形式である地方交付税の額につきまして、地方財政を担当しておりますところの自治省大蔵省とが協議いたしまして、今回のような財源調整措置をとるというようなことになりましても、地方財政法にいうところの地方団体財政運営自律性をそこなうとか、あるいは地方公共団体負担を転嫁するような施策をすることにはならないというふうに考えておるわけであります。
  37. 太田一夫

    太田委員 昨年度税収伸びから推測し、補正予算を組まれるという点から考えてみますならば、六百九十億は現行交付税の上に上乗せされるべきものと想像される。でございますから、それはおよそわかっている。ただ、予算編成というのは、三月末までに地方の各団体は終えなければならないわけです。そうでしょう。まあこの法律はまだきまっておりませんから、六百九十億は控えられるか控えられないかわからないけれども、本来いうならば、地方は当然自分のところの収入に属するものなりと考えておって間違いないじゃありませんか。それを、六百九十億という金は、こちらで両大臣が相談すれば控えておいたって別に違法性はないのだ、あたりまえだという考え方は、地方団体に対しては、あてがいぶちでやりなさい、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  38. 相沢英之

    相沢政府委員 その点は、四十四年度交付税につきましては、六百九十億円を減額してこれを後年度に繰り延べるという措置政府としてきめた時期は、四十四年度予算編成時でございますから、一月の初めでございます。したがいまして、そういった時期の点から申しますと、地方公共団体予算編成をする際には、十分このことは事前に了知することができる状態にあったと存じます。  それからなお、財源的な面でございますが、これは自治省答弁にもあったと存じますが、四十四年度交付税についての六百九十億円の減額措置は、四十三年度補正におきまして地方交付税がほぼ同額程度計上されるということを予定しておったというような関係がございまして、事実六百八十四億円を今回四十三年度交付税から四十四年度に繰り越すことにいたしております。したがいまして、ほぼ六百九十億円の減額と同程度のものが四十三年度から四十四年度に繰り越されておりますので、そういう財源の量の面からいきましても、地方団体予算編成に御迷惑をかけるというようなことにはなっていないと存じます。
  39. 太田一夫

    太田委員 御迷惑をかけることになっていないと思うとか、あるいは、事前に御了知いただいたものと思うとかおっしゃいますけれども地方自治の本旨というのは憲法に規定されておりまして、いまさらわれわれはこれに対していいとか悪いとかいう議論をする余地はない。地方自治の本旨からいうならば、地方団体が当然領有すべき財源地方団体が自由に使ってよろしいじゃありませんか。自由というと語弊がありますが、秩序ある使い方をしてよろしいじゃありませんか。六百九十億を控えるということは、少なくともこれだけはことしあなたのほうにいくべき金であるけれども、これは使ってはいけませんよ、こういうことでありますから、それはまさにおやじが子供に対して小づかいの制限をすることとよく似ておる。そこを私は申し上げておるのですが、大蔵省としては、これはしごく普通のやり方であるとお考えでございますか。
  40. 相沢英之

    相沢政府委員 地方交付税制度のたてまえから申しますと、現在におきましては国税三税の収入額に対して三二%の定率をもってその年の地方交付税の額というふうに定めておりますから、本来はその額について増減をするというのは予定してない。つまり今回のような措置は、また四十三年度にとられたような措置は異例に属することだと思います。
  41. 太田一夫

    太田委員 異例に属するとおっしゃればわからないことはない。では覚書の内容というものは、しばしばいわれておりますが、大蔵省においてもこの覚書というものは、実は異例な措置をしたことに対する覚書という考え方でありまして、今後そのようなことを繰り返すことはない、こういうふうに考えていらっしゃると思いましてよろしゅうございますか。
  42. 相沢英之

    相沢政府委員 私、多少答弁の舌足らずというようなところがあったかと思いますが、四十三年度及び四十四年度においてとられたような特例的な措置は、これはまさに異例な措置であると存じております。しかしながら、現在の地方交付税の制度を前提といたしまして、今後の国、地方財政運営考えてまいります場合に、やはり地方交付税の何らかの形における年度間の財源調整措置考える必要があるのではないかという点におきましては、自治省大蔵省両省の間におきましておおむね意見が一致いたしましたので、この交付税年度間の財源調整措置については、別途検討するということが、覚書にうたわれておるわけでございます。  その趣旨は、やはり地方税も、また国税三税に対して定率をもってリンクしておりますところの地方交付税も、その収入額が景気の動向にかなり敏感に影響されまして、地方税増収がある場合には、また地方交付税相当増加もある。また、逆に地方交付税が減るような事態においては地方税伸びも落ちる。したがいまして、地方団体は、その財源の面では、いわば景気の波を非常に強く受ける、収入面におきましてそういうような事態がございます。しかしながら、ただいま、これはしばしば言われておりますとおりに、地方団体の歳出面では、人件費が相当大きな割合を占めるとか、あるいは恒常的な、既定的な事業、事務が多いというような面がございまして、その歳出面はかなり固定的な面がある。そこで、その景気の波動を受ける歳入面と、それから固定的な面の多い歳出とをどういうふうに調整するかということになりますと、そこはやはりそういう景気の波動を受けるところの歳入面におきまして何らかの財源措置考える必要があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  地方税収入自体につきまして、年度間の財源調整措置を講ずることは、これは実際問題として国税の場合も同様でございますが、困難でございます。そうしますと、やはり国が地方に対する財源付与一つの大きなパイプとしての地方交付税の額におきまして、何らかの年度間の財源調整措置を講じたらいいのではないかというふうなことになるわけでございまして、そういう意味におきまして、覚書は別途地方交付税年度間調整の措置を検討するということをうたっておるわけでございます。
  43. 太田一夫

    太田委員 じゃ聞きますが、その根拠になる法律は何という法律で、その第何条を根拠にしておりますか。
  44. 相沢英之

    相沢政府委員 現行法にはそのような規定はございません。したがいまして、交付税についてそのような年度間の調整措置を講ずる場合には、別に法律の形をもちまして国会の御審議をいただくということになるかと存じます。
  45. 太田一夫

    太田委員 法律があれば、地方団体はそのつもりで心積もりをするでしょう。年度間調整があり得るということならば、地方財政計画であるとか、あるいは交付税法というものに対して非常な関心を持ちますよ。ないんだから、三二%をもって地方交付税とするとなっていれば、三二%かけておおよそこのくらい、昨年の伸びに対してどのくらい、そこでおのずから予算のめどがついてきますから、それもなるべく予算は大づかみではいけませんから、ある程度きびしく正しく編成しなければならぬという基本方針に基づいて年度内に予算編成し、四月一日から間に合わしておるわけです。根拠法がないのに、かってにちょっと横にやっておくということは、最初の議論に戻りますが、やはり地方理事者は雇われマダムですね。実施権はあるけれども、いわば経営の基本方針をきめる経営権というものがないわけです。雇われマダムということばは民間のことばだから、民間でいうなら総支配人である。県知事も市町村長も総支配人、そうして金主は中央政府である大蔵省である。その代理が覚書で見れば、大蔵大臣福田赳夫、自治大臣野田武夫、いまの場合は二人である。そういうことになるじゃないですか。容易ならざることであると思うのですが、いかがですか。
  46. 相沢英之

    相沢政府委員 まさに交付税制度のたてまえから申しますと、毎年度交付税は国税三税に対する定率をもって定められておるわけでございますから、その年々においてこれを動かすということは容易ならざることであると存じます。しかし、そこで四十三年度及び四十四年度についてこのような特例措置をとることにつきましては、当然交付税法の特例措置として国会の御審議を仰ぐことになっているわけでございまして、現在その法律がここで御審議を願っておるわけでございます。そのように法律の形でその特例措置について御了承を得て行なうということになっておりますので、交付税のたてまえから申しますと異例な措置でありますけれども、しかしながら、交付税制度そのものをこれよってそこなうというようなことにはならないというふうに存じております。  それから、先ほどお話のございました雇われマダム云々の点につきましては、地方団体財源面では、それぞれ地方税におきましても税率に基準があり、また税の種目も一応限られておりますし、また交付税は総額が法律できめられており、また配分方法等も地方交付税法等によってきめられておりますから、そういった面におきましては、地方団体の歳入面における弾力性というものは、その地方団体の首長の努力だけではなかなか得られるものではないと思いますが、そういうふうな与えられました財源範囲内においてその地方団体がこれをどのように配分し、それを執行していくかということは、まさにこれは地方自治に属することであると存じておりますので、どうも私ども、その雇われマダム云々のたとえは、あまり適当ではないのではないかというふうに存じております。
  47. 太田一夫

    太田委員 地方交付税法第六条は、その年度の三二%だけではないでしょう、交付税総額というのは……。
  48. 相沢英之

    相沢政府委員 ちょっと御質問の趣旨をのみ込みかねるのでございますが、第六条は、毎年度分として交付すべき交付税の総額は、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込み額の百分の三十二に相当する額に前年度以前において交付していない額を加算し云々というその規定はございます。
  49. 太田一夫

    太田委員 だから、前に六百八十四億が残っておったら、それを加算せなければいかぬじゃないですか。
  50. 相沢英之

    相沢政府委員 おっしゃる意味は、昭和四十三年度補正に計上いたしました交付税をどうするかということでございますが、それは当然昭和四十四年度地方交付税加算されることになるわけでございまして、ですから昭和四十四年の交付税昭和四十三年度のまだ交付していない交付税の額六百八十四億は加算されることになります。
  51. 太田一夫

    太田委員 だから、加算されるべきものが加算されないことになったわけだ。結論として六百九十億を控えて——そういうことが三二%をくずしたことであるし、前年からの繰り越し、交付残りがあるならば、交付残というものをつけ加えよ、上のせせよというこの規定にも違反することになるから、第六条違反じゃないか。だから別の法律でしたとおっしゃるけれども、問題は、第六条にぴったとあるのだから、これをそのとうりやってもらわなければ困る。それを、あなたのほうが、別だ、特例でやるというならば、特例をつくるという——それはことし初めてじゃない。景気調整の意味においてつくろうとするのだから、地方の各自治体というのは自主性がなくなってしまったじゃありませんかと聞いておる。その辺のところはどうですか。
  52. 相沢英之

    相沢政府委員 地方交付税法第六条の規定は、その当該年度分の地方交付税としてはその当該年度における国税三税の税収の百分の三十二に前年度以前において交付しなかった交付税加算するということになっておりますが、それは国税三税の決算が確定した後において加算されることになりますから、四十三年度の決算が確定した後において本来ならば交付税加算されることになる。つまり昭和四十五年度交付税に四十三年度の国税三税の自然増収に伴う交付税加算されることになるわけです。この地方交付税法の第六条の規定は、そのように、決算の結果国税三税の増減収があった場合に、それに伴う交付税加算または減額を規定しているものだというふうに承知しております。昭和四十三年度補正予算において計上した交付税のうち、六百八十四億円を昭和四十四年度交付税加算するということになっておりますのは、この規定に基づくものではないという解釈になっております。
  53. 太田一夫

    太田委員 財政課長が補足しなさい。その辺でちょっと彼に補足さしてください。
  54. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいまの交付税の制度におきましては、第六条の二項に書いてございます前年度以前の精算分の加減につきましては、決算の結果がわかった結果その加減をいたしますので、通常翌々年度に入るわけでございます。したがいまして、四十三年度の国税三税の自然増に伴います地方交付税の精算増は、特別の措置をせずにほっておきますならば、昭和四十五年度交付税加算になるわけでございます。それを今回四十三年度自然増収を引き当てに四十四年度交付税の六百九十億の減額繰り越しをいたしました結果、特に四十三年度の自然増分を四十四年度加算すべく特例法の御審議をいただいておるわけでございます。
  55. 太田一夫

    太田委員 交付税法改正案を見れば、特例措置は四十四年度に交付すべき交付税の総額の中から六百九十億を減額する、こういうふうになっているわけだから、これは即地方交付税法第二十条の「交付税の額の減額等の聴聞」という段階を経なければいかぬじゃありませんか。
  56. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  地方交付税法の第二十条の減額関係は、個々の地方団体についての減額の場合の措置であります。
  57. 太田一夫

    太田委員 そうすると、六百九十億を引いた場合と引かない場合、個々の団体交付税の額は変更がないのですか。みな変更があるでしょう。減る場合には聴聞をしなければならないという、なるべく聴聞をしてほしいという第二十条の規定ですね、向こうの合意の上にやりなさいということでしょう。かってにやっていいわけじゃないでしょう。少なくとも総体的に三千三百団体の六百九十億が減るのだから、聴聞するぐらいのことはやっていいじゃありませんか。いけませんか。それでなかったら委任状を取りなさい。
  58. 横手正

    ○横手説明員 第二十条の規定は、先ほどお答えいたしましたように、個々の団体につきまして個別の減額措置をするような場合を想定して置かれた規定でございます。今回の減額措置は、別途はっきりと今回の特例法で御審議願うことにいたしておるわけでございます。したがって、総額についての減額の可否については、この御審議を通じて決定されることになっております。    〔「そのとおりだ」と呼ぶ者あり〕
  59. 太田一夫

    太田委員 不規則発言の応援がありますからひとつ認めましょう。  それはあなたのおっしゃるとおりだ。だから小さなもので聴聞するということでしょう。大きなものになるとほったらかしだ。法律だ、特例だ、それは逆じゃありませんか。あなたたちは、法律というものを字句だとか何とかこまかく都合のいいように解釈するのでなくて、全体を通観すればいいわけだ。来年度の額を見ると、歯切れが悪い。全体を見るということはちょっとできがたいのではありませんか。
  60. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘のございました交付税の総額の変更でございますので、第六条の規定の特例といたしまして特に法律をもちまして御審議をいただいておる、こういうことでございまして、法律をもって御審議をいただくわけでございますから、もっとも国会の御意思を体して決定というかっこうになるものと心得ております。
  61. 太田一夫

    太田委員 それは、大蔵委員会にきょうからかかるといわれております特別会計法もそうでございますし、わが委員会におきます交付税でもそのようなことを書いてありますから、法律そのものがいま提案されておらないとは言わない。だが毎年やりそうなんですね。去年もやった。ことしもやった。それが先ほどの相沢主計局次長さんのお話じゃありませんが、大蔵省では、地方交付税年度間の財源調整を検討するというのは法律に根拠しておらないけれども、別にその法律をつくってやろうという——法律をつくることの好きな人はだれでしたね。ナポレオンですか。既存法体系というものに対する尊重度がいささか足らんじゃありませんか。わが言は法律なりということなんですか。首藤さん、あなたが幾ら頭がよくても、そういうことは言えないでしょう。財政局とか大蔵省というのはスズメだって頭を下げて通るというんだから。どうなんですか。そんな法律を、特例法、特例法ということではいかぬので、それなら地方交付税法改正、それから本来の地方財政法改正、そこまで踏み切らなければ、年度間の景気による調整なんということは、非常に法律無視の考え方だと私は思いますが、それはいかがですか。これは大蔵省自治省、両方から。
  62. 相沢英之

    相沢政府委員 確かに地方交付税の制度としまして、国税三税に対する定率で交付税の総額がきめられているのに、四十三年度、また引き続き四十四年度というふうに、特例ではございますが調整措置をするというのは、どうも地方交付税制度のたてまえからいって不適当ではないかというふうに私ども考えまして、そこで先ほど御答弁申し上げましたように、今後は地方交付税制度の一環としてそういう年度間の調整措置がとれるような仕組みを考えてみてはどうかということに両省の意見が一致いたしましたので、先ほど申し上げましたような覚書となったわけであります。その年度間の調整措置をどのような形でやっていくかということは、今後なお慎重に検討しなければならないというふうに存じております。
  63. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 今回の措置は、これまでいろいろ御説明申し上げましたように、現行の法律のもとにおきましては、地方団体地方交付税収入の見込みにつきまして予測し得る方法をもちまして措置したつもりでございます。すなわち、昭和四十三年度増収額というものは、財政課長から申し上げましたとおり、昭和四十五年度に入るべき収入であるというのが現在の法律のたてまえになっておるわけであります。これはいわば今回の補正予算措置によりましてこの自然増収を計上し、今回の特例法によりまして、これを四十四年度に使用し得る状態にいたそうとするわけでございますので、昭和四十四年度地方交付税の総額につきましては、地方団体の予測するとおりのものが計上されるというような状態になったわけでございます。  ただ、この措置は、御意見のございましたとおり、確かにいまの制度自体から見ますならば異例の措置でございます。そういう意味におきまして、現在の経済情勢からいたしますならば、やはり年度間の調整措置というものは必要というふうに考えますので、別途法律改正によりましてこうした年度間の調整措置ができますように、またいろいろ検討いたしまして改正法律案につきまして別途御審議を将来お願いいたす、こういうつもりでございます。
  64. 太田一夫

    太田委員 どうも満足すべき答弁ではないのですがね。この交付税については、交付税そのものの本質がつかみ金じゃないわけなんですね。地方団体に対してこれだけの銭をあげるから、この中でやりなさいというようなものじゃないでしょう。これは本来的には地方団体固有の財源であるということを自治省は言いながら、さてとなると、大蔵省がそばにいると、いや景気調整もあるし、財政見通しもあるし、来年度どうなるかわからないしという、そんな弱気を出していたのではたまらない。弱気を出すのは、地方自治体に対してはもう少し弱気を出さなければならないのに、地方自治体に対しては強気で、大蔵省に対しては弱気なんですから、向きが違うじゃないですか。方角が違うじゃないですか。  野田自治大臣がいらっしゃいましたから、きのう私がお尋ねしました六百九十億を渡さないということに対して、自治省としての統一見解お答えいただきたい。
  65. 野田武夫

    ○野田国務大臣 四十四年度地方交付税中、六百九十億円を減額繰り越しいたしました措置は、前にも御説明申しましたとおり、四十三年度地方交付税自然増収を引き当てに行なったものでありまして、明年度地方財政運営に支障を与えることがないよう配慮したものでございます。この点につきましては、四十三年、昨年度減額繰り越しとは相当事情が異なっているものでありまして、六百九十億の減額繰り越しは、あくまでも本年限りの特例である。さらに、これが必ずしも好ましいものとは私も思っておりません。したがって、今後はこのような措置を避けたいという方針で、財政当局とも大体理解し合ったことでございます。この意味におきまして、この六百九十億の繰り越しにつきましては、将来再びこのような措置はとらないという考え方を持っております。さらに、地方交付税年度間調整というものの措置は、これは検討してまいりたいと存じております。
  66. 太田一夫

    太田委員 大臣、あなたの言ったことは私はわからないな。こういうことは二度とやりません、気をつけます、今後はそういうことはやらないつもりでございます、避けます、とおっしゃって、さらに一番最後にちょっぴりと、年度間調整はまた検討したい。その年度間調整という問題は、同じことじゃありませんか。六百九十億も年度間調整、これは同じことを繰り返されるのです。年度間調整ということがなければいいのです。これはことし限りの措置でありまして、好ましいものとは思いません。今後は避ける方針でございます。これだけでちょんになっておればよろしいのです。けれども年度間調整は別途に考えるとおっしゃると、年度間調整というのは、本年度地方交付税の額が多いから、いささかこれを控えておきまして、翌年度以降にこれを繰り越しますという措置に相なる。そういうことでしょう。どうもあなたのお話はしり抜けになっているような気がしてしようがないのですが、いいのですか。
  67. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いや、太田さん、これは誤解があるといけませんからはっきりしておきますが、年度間調整は、いかにも財政当局と自治省がやるような御解釈があったものですから、それを特につけ加えておいたのですが、この年度間調整というものは、やはり自治省でもって自主的に考えていく。したがって、将来こういうことがあるからという前提を置いての話でございませんで、あの当時、この前の御質問がこれに触れたものですから、ただ申し上げただけであって、あくまでもこういう特別措置というものは、今後自治省としては財政当局の要望がありましてもこれに応じないという基本方針だけははっきりしておきたい、こう思っております。
  68. 太田一夫

    太田委員 まあ大臣、あなたのおっしゃる話わからぬわけじゃないわけです。わからぬわけじゃないですが、もう少し長いこと自治大臣やっていらっしゃった場合だと用語に誤りがないと思いますから、もう少し詳しく聞きたいのですがね。大臣におなりになって非常によく勉強していらっしゃって、交付税ということがよく頭の中にだいぶたたき込まれていらっしゃったと思うのですが、まだ若干たたき込まれ不足もあるような気もするわけです。  そこで、最高責任者としてあなたのいまのお考え方というものを私なりに解釈をしておきましょう。しかし、これはもうちょっと大蔵省自治省との間において、覚書をめぐる今後の扱いについては、統一見解的な見解をお出しいただく必要がある。自治省としては自治省サイドにおいて自治省としてのみ自主的に考え年度間調整を考えるとおっしゃるが、これの青写真が不明確であるという点から、私はもうちょっと時間をおとり願ってけっこうでございますから、別途何かわかりやすい御回答をいただくことにして、きょうはこれであなたの御回答を承っておきます。  そこで、これは佐々木参事官、あなた財政調整の話をなさいましたが、土地基金というのがあるでしょう。土地基金に六百億を回すのですね。六百億回すというけれども、不交付団体があるから、これは実質的に四百五十億だとかいうお話を、たしかどこかでだれかがお話しなさっていらっしゃったと思うのですが、土地開発基金、これは交付税で交付しますとあとで非常にむずかしい問題が起きやしませんか。こういう問題ですね。たとえば土地をそれで先行取得いたします。そうすると、ある程度値上がりになってきて、それは今度新しく何か事業を興す場合に、道路開発事業を興します場合には、事業費の中にはかなりの土地というものが値段で組み込まれていくと思う。すると、開発基金というものは特別会計のほうにその利潤を残して、開発基金のほうは元値を取り返すことができるわけです。自治体に売れば、今度は自治体のほうがその事業をおやりになる場合は、それぞれの地域によって違いますけれども、三分の二なり四分の三なりの事業費補助がつく補助事業になる場合がたくさんある。そうすると、その当該自治体にまたそれだけの補助金が入ってくることになる。そうじゃないのであって、そういう先行取得した土地がそのまま現物提供される場合には、その事業費というのは単に金利程度のものをもって事業費の中に繰り込まれるのか。原価で——原価といいますか、買値がそのまま繰り込まれるのか、そういう問題はよほど検討しておきませんと、将来補助金計算に大問題が起きると思いますが、その点はいかがですか。
  69. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在公共事業におきましては、それぞれ用地の先行取得をいたします場合に、将来の計画のもとに買われます土地につきましては、当然補助対象になるという措置がとられておりますので、その点の御心配はないものというふうに考えております。
  70. 太田一夫

    太田委員 補助対象になるのですね。  それじゃ大蔵省相沢さん、そういうふうにすると、これはあなたのほうは、いままでは起債でやっておったでしょう。四十二年度六十億、四十三年度百三十億という起債がワクとして設定されていた。今度初めて交付税でやってしまうのだから、交付税で一たん渡して買った土地を、もう一回時価に換算して補助費の対象にするなんというのは合理的じゃないじゃないですか。
  71. 相沢英之

    相沢政府委員 土地開発基金で買いました土地を補助対象から除外するということになればもちろんけっこうなことでございまして、われわれは歓迎いたします。しかし土地開発基金の性格は、回転資金でありますから、公共用地を先行取得いたしまして、それが具体的な事業となりますまでの間のいわばつなぎ資金的なものになるというふうに存じております。したがいまして、それが具体的に公共事業の対象になって、道路敷地あるいはその他のものとなる場合には、当然これは補助対象となるわけでございまして、そして補助対象となった場合に、それが従来までに要しました金利もこれに加算するということになっております。
  72. 太田一夫

    太田委員 今度はすごくものわかりのいい話になりましたね。あなたのほうは、ものわかりが悪くなったりよくなったりして、まさに春の天気のごとくこれは予測ができません。たとえば、いま交付税から土地基金を五百億出すでしょう。そして、それをまた来年度事業費に組み込みまして、たとえば七割ぐらいのものが補助になったとしたならば、三百五十億補助金がいきますよ。そうすると、それはつなぎ資金のような意味においてふやしていこうということになると、五百億プラス三百五十億、八百五十億がまたこの次の土地先行取得の資金になるわけです。そうすると、その八百五十億がまた七割、五百何十億ふえたというふうに、どんどんふえていくのじゃありませんか。そういうことになりませんか。
  73. 相沢英之

    相沢政府委員 かりに五百億の土地開発基金が設けられたとしますと、土地を取得すればそれは一応全部なくなるわけであります。したがいまして、後にその七割がかりに国庫の補助でくれば、三百五十億がその土地の処分代金としてそのファンドに入るわけですから、別に五百億に三百五十億が加わるわけでなくて、五百億の土地資金が土地代になり、なくなったものに対して三百五十億の補助が入るわけであります。ですから、加算して雪だるま式にふくれるということはないと思います。土地開発基金は回転資金ということになるわけですから、国の補助と、それから地方団体負担分があれば、当然その負担部分を合わせて回収されて、もとの土地開発基金の額になる、そういうような回転をするのだろうというふうに考えております。
  74. 太田一夫

    太田委員 ちょっと考え方が違うような気がするのです。私は、起債である場合と交付税である場合とは違うという気がするのです。起債ならいまの話はよくわかるのですが、交付税というのはもらった金ですからね、これは交付税で買っておいたものを運用をしていく、それで買った土地を運用するのですから、補助金がついたら補助金だけはさらに上のせされて土地基金に回り得るじゃありませんか。
  75. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 ただいまの土地基金でございますが、総額で申しますと、たとえば五百億という土地基金があります場合には、この五百億をもって一般会計から繰り出しいたしまして基金の設定をいたします。この五百億の金で買いました土地は、その土地が公共事業に供されます場合には一般会計にその五百億で売り渡されるわけです。したがいまして、土地代として支払いました五百億は、一般会計に五百億で売り渡すことによって、五百億円というものは回収されるという形になってまいります。それで、一般会計のほうではその五百億を出す場合に、三百五十億の国庫補助がありました場合には国庫補助三百五十億を受け入れる。さらに一般財源百五十億なら百五十億というものを足して事業費になるわけでございます。そういう意味でこの土地基金に一般会計が払います財源の内訳が、三百五十億プラス百五十億という形になるわけでございます。
  76. 太田一夫

    太田委員 正直そういう計算もありますね。もう一つ、不正直な計算があるでしょう。土地は一年に倍になる。そうすると、一億の土地を買いまして、翌年度には二億としてそれを事業費を見積もれば、七百億の補助金がつきますよ。そうじゃないですか。そういうことは歯どめしてあるのですか。
  77. 相沢英之

    相沢政府委員 そういうようなことにならないようにこの制度を設けたわけでございますから、つまりそのときの時価で買うのでしたら、土地を先行取得する意味はないわけでございます。二年前ないし三年前の取得したその価格でもって当該年度の公共事業が遂行できるという点に、この先行取得の意味があるのだろうと思います。ただし、その間に金利がかかれば、その金利分は当然補助対象といたしますというふうに考えております。
  78. 太田一夫

    太田委員 ということにならないと、地方団体が要領よくこれによってもうけるということになりますからね。地方団体に要領よくもうけさせないというあなたのほうの腹だということでもそれはいいのですよ。金利程度を見るというのは、その他はだめだよ、時価なんということは絶対認めないんだ、それならそれでいい。金利だけしか認めない。時価ということを認めるとそれはできるでしょう。幾らでもふえてしまう。  しかし、そこでもう一つ、先ほどの六百九十億に関連するわけですが、いままでの四十二年ごろ、六十億初めて先行取得の起債ワクの設定をいたしました当時、地方では待ってましたとばかりに注文が出た。申し込みがふえてきた。これはその当時六十億に対して約一千億だと評判をされておりましたが、それほど需要があるのに、いま普通交付税から四百五十億、不交付団体を入れれば六百億ですが、五百億や六百億や、一千億以下の数字を設定したということは、これは土地開発基金という制度はつくったにいたしましても、あまりにもスズメの涙のような気がする。さらに、これは来年度も再来年度もこれには積み重ねられていくのであるか。本年度限りと書いてあるような気がするのだが、それでは足らぬじゃありませんか。この点はどうですか。
  79. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在地方における公共用地の取得のための経費は確かに一千億をこえるような状態になっておるというふうに考えております。ただ、この用地取得費につきましては、土地開発基金だけではございませんで、さらに起債のワクにおきましても、先行取得債としての二百億を準備いたしております。さらに公営住宅あるいは学校用地等の購入につきましては、それぞれの起債ワクで措置をするということにいたしておりますので、地方の用地取得の需要にはできる限りこれに応じて財源措置をしていくつもりでございます。ただ、土地開発基金としてこれだけで用地購入に当たるということになりますと、やや不足をするわけでございます。私どもとしましては、明年度以降におきましても、明年度財政収支見通しが問題でございますけれども、私どもの希望としましては、この土地開発基金のワクは来年度も設けてふやしていきたい、こういう希望を持っております。
  80. 太田一夫

    太田委員 そういうことだったら、不交付団体とか交付団体ということは言わないで、全部これはやってもよさそうですね。全部出していいでしょう。全部出しますね。不交付団体はありますね、今度の場合。六百億全部基金出しますね。
  81. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 これは交付税法の法案にございますように、需要額計算をいたしまして交付するわけでございます。したがいまして、不交付団体には、これだけの財政需要があるという計算をしてなお収入が上回ります場合には、結果的には交付税は交付されない、こういう形になるわけでございます。
  82. 太田一夫

    太田委員 不交付団体といえば大都市に多い。じゃ大都市の、ちょっと飛躍してもいけませんから、もうついでに土地開発基金についてお尋ねいたしますが、二百億の起債は別にあるということになれば、不交付団体は起債にたよるということになろうかと思うのでありますが、大蔵省は当初地方債に反対したじゃありませんか。そんな起債は困るということで、自己資金でやりなさいということで、これをたしか交付税という邪道に押し込んだというふうに新聞が報じた。それは私は知りませんよ。真相はいかがですか。
  83. 相沢英之

    相沢政府委員 私どもは、やはり公共事業費に伴う財政負担もございますから、その財政負担をできるだけ軽減すると申しますか、公共事業費をできるだけ効率的に執行するためには、やはり土地取得費をできるだけ減らしたいということを前から考えておったのであります。と申しますのは、公共事業費の現在約一割程度が土地取得費になっておりますが、特に大都市における公共事業は、土地取得費の増高のために相当障害を受けておるという現状にあるわけでございます。したがいまして、できるだけ先行取得を奨励することによって、公共事業費を効率的に使いたいという気持ちを持っておりました。したがいまして、土地の先行取得債の話が、四十二年度予算でございましたか、自治省から要求がございましたときには、私どもとしては、できるだけこれを全部認め、かつ将来拡充していったらどうかということで、これは所管はわが省理財局でございますが、私どもはこれを相当応援をしたわけでございます。したがいまして、先行取得債をふやすということについて基本的にわれわれは反対ではございません。もちろんそれも伸ばしていったらいいと思いますが、しかし、やはり来年度のように若干でも地方財政計画上財源にゆとりがある場合には、地方団体一般財源もこの土地の取得資金につぎ込んだらどうだろうかということで、自治省にもこれはぜひ推進してほしいということを申し入ればいたしましたが、だからといって、先行取得債を押え込んでこちらのほうで考えたらどうかというふうに思ったことはございません。
  84. 太田一夫

    太田委員 じゃ、なるたけひとつ起債については、もっとゆるやかに所要の需要を満たしていただきたい。  そこで、佐々木さん、あなたは不交付団体には交付しないというお話がありましたが、いささか不交付団体に辛いのであります。今度の交付税法によれば、相当公営企業に対する繰り出し金も考えられておるようでありますけれども、大都市財政に対する配慮というものは、本年度あなたのほうではパーセントにして目標額を一〇にしたらどの辺まで本年度措置したつもりでいらっしゃいますか。
  85. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在大都市はすべて交付団体になっておりまして、おそらく交付税伸び一般市町村の伸びよりはさらに上回る財政需要伸びが計算されるものというふうに考えております。
  86. 太田一夫

    太田委員 したがって、大都市には全部いくということでございますね、土地基金。
  87. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 東京都が大都市の部類に入れるかどうか問題でございますが、東京都を除きまして大都市はすべて土地基金がまいります。
  88. 太田一夫

    太田委員 そうすると、県の場合、不交付団体である十万以上の市というのはどれくらいありますか。
  89. 横手正

    ○横手説明員 現在不交付団体は、市町村におきましては百二十四市町村ございます。ただ十万以上の団体を数えあげておりませんので、ちょっと見当がつきかねますが、二、三十市はあるのじゃないかと思います。あとで調べました上で御報告いたしたいと思います。
  90. 太田一夫

    太田委員 私の言いますのは、大体百五十億ぐらいが不交付団体向けだというふうにおっしゃったときがあったように聞きますから、それはどの程度の幾つぐらいの市なり県なりでございますかということを聞いたわけです。あるのでしょう、百五十億という数字が出ておるのだから。
  91. 横手正

    ○横手説明員 不交付団体に対しまして百五十億程度考えておりますが、そのうち五十億円は道府県分の不交付団体にかかる額と見ております。残り百億でございますが、今回の改正によりまして、先ほど申し上げました百二十四団体もかなり減少してまいるということもございまして、正確な見込みが立ちかねるわけでございまして、概算百億程度は必要ではなかろうか、こういう見込みで算入いたしておるわけでございます。
  92. 太田一夫

    太田委員 そうすると、十の県と百の市、これくらいに見ておってよろしいですか。
  93. 横手正

    ○横手説明員 十の県とおっしゃられましたが、四都府県でございます。それから百二十四市のうち少なくとも四、五十団体は交付団体へ移りかわるのではなかろうかというふうに思われます。したがいまして、七、八十市町村に対してこの程度というふうに考えておるわけでございます。
  94. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ちょっと関連して。先ほどの土地基金の問題につきまして二点ほどお聞きしたいと思うのですが、土地基金を設定して特別会計を設けて運用するわけですね。その場合に、土地を購入して来年度の、たとえば補助事業である街路事業で道路の整備をするという場合に、その取得した用地費は特別会計から一般会計が買い取るというかっこうになるのですか。
  95. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 ただいまお説のとおりでございます。
  96. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうすると、用地費と事業費とを含めて補助金の対象になる、こういうことですね。
  97. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 お説のとおりでございます。
  98. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それから、起債が二百億ございますね。この起債の二百億は特別会計の起債、こういうことになるわけですか。
  99. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 通常の場合、地方団体は特別会計を設定して事業を執行していると思います。その特別会計の起債になるというふうに考えてよろしいかと思います。
  100. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 先ほどの六百九十億に関連いたしまして、太田委員大蔵省との質疑応答がございましたが、私もこの機会に大蔵省に御見解をお聞きしたいと思うのです。  第一点は、今回の覚書で、交付税の税率の変更をしない、それから、貸し借りもしないということに決定をしたわけですが、先ほど政務次官からちょっとお話がございましたが、地方公共団体フィスカルポリシー協力をするというような発言だったと思いますが、間違いございませんでしょうか。
  101. 上村千一郎

    上村政府委員 先ほど太田先生の御質問の際に申し上げたとおりでございます。
  102. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この景気調整機能と交付税の率の問題、率の問題は四十四年度から問題になっておるわけでございます。あるいは昨年も問題になったかと思いますが、昨年は貸し借りの問題で、ことしも貸し借りの問題で解決をして、率の問題は動かさない、制度的に大きな改革のない限りはこれは動かさないということが明瞭になったと思うのであります。そういたしますと、景気調整機能を交付税に求めておられた大蔵省見解、もし景気調整機能を地方公共団体に、いわゆる地方財政に期待をしておるとするならば、景気調整機能を今後は大蔵省はどういうふうにお考えになっておるわけですか。どういう方法で地方公共団体協力を要請されることになるのか、その点お伺いいたしたい。
  103. 上村千一郎

    上村政府委員 実は、いま先生おっしゃったように、両大臣いろいろ御相談されて覚書ができた次第でございますが、その際に「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととする」、それで昭和四十三年度、四十四年度においてとらえた特別措置は今後避けるようにする。ですから、こういうのはいわゆる例外的な措置、こういう基本的な考え方があるわけでございます。でございまするけれども、先ほど自治大臣もおっしゃいましたが、「別途、地方交付税年度間調整の措置を検討する。」というようなことになったわけでございます。
  104. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私の御質問申し上げておるのは、年度間調整の問題がございましたのでそのほうから先にお尋ねしたいですが、先般の自治大臣の御答弁は、年度間調整の問題はあくまで自主的に自治省で行なわれるという御答弁であり、この点について間違いのないことを私どもも確約を得たわけであります。ただ、財政局長のほうの御答弁は、年度間調整を自治省で自主的に調整するという検討の結果、どういうふうな調整を行なわれるかという質問に対しましては、検討中だということで、私ども具体的にお話を聞くことができなかった。おそらく今後検討されると思うのであります。その検討につきましても私どもは聞きたいと思っておるわけでありますが、大蔵省に対しましては、自主的に調整されることについて財政局長は大蔵省に協議をするという御答弁がありました。これは特別会計が大蔵大臣自治大臣との共管事項になっておりますので、そういう形式的な意味の協議と私どもは了承したいわけなんです。自治省が自主的に調整されるということであるならば、年度間調整を自主的に調整することについて大蔵省相当御意見といいますか、自治省に対して自主的に調整されることについて形式的な協議と考えていいものか、あるいは、自主的にこれに対して大蔵省の意見を相当加味されるということなのか、その点はいかがでございましょうか、覚書のその点につきましてお伺いいたします。
  105. 相沢英之

    相沢政府委員 覚書には先ほど政務次官から答弁申し上げましたとおり「別途、地方交付税年度間調整の措置を検討する。」とだけ書いてございます。したがいまして、この年度間調整の措置はどのような内容のものであるかということにつきましては、全く今後の検討問題になっております。私ども自治省とは、この文章の解釈につきましても、私見ではございますが、おそらく同床異夢、呉越同舟のところもあろうかと思います。したがいまして、この年度間調整の措置交付税の金額の調整でやるか、交付税の特別会計の中で年度間の調整をするか、あるいは地方団体自分財源についてそのような措置をするか、その他その調整措置の内容については、私どもとしては今後の検討問題であるというふうに了解いたしております。自主的な調整措置であるという点は、それは地方自治のたてまえに即し、かつ地方の自主性をそこなわないという考え方のもとにこの年度間調整措置を検討すべきものであるという考え方を明らかにしたものであるというふうに考えております。
  106. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 きわめて微妙なる御答弁であって、どうもその点が重要な点だろうと思うのであります。地方公共団体は三千三百のきわめて複雑多岐でございますので、地方公共団体自体で年度間調整をやる必要があるとするならば、個々の団体でやるべきだということを私どもは主張したいのです。しかし、いまのお話ですと、自治団体が自主的に調整をされるという覚書の条項は、どうも大蔵省は、単なる協議ではなくて、ある程度まで相当の御意見があるというように感じ取れるわけですが、自治大臣、先般答弁をいただいて恐縮ですがもう一度御答弁願いたいと思います。
  107. 野田武夫

    ○野田国務大臣 地方交付税の税率の問題と、それから六百九十億の特別措置の問題がからんでまいりまして、あの当時折衝いたしたわけでございます。そこで、いま大蔵当局からも説明しましたとおり、地方交付税には触れない。これが第一段。それから特例措置は今後避ける。こういう一つの基本的な考え方をお互いに了承し合った。その際、今後の交付税経済成長の度合いにおいて相当進展する場合がある、これは経済成長のいかんによりますから……。
  108. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 関連質問でございますから、簡単に結論だけお願いしたい。
  109. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いや、そこを申しませんと、なかなか微妙なことでございますから、私も簡単に結論だけ申し上げると、せっかく大蔵当局の答弁もありますので……。そういうことですから、大体の大蔵当局の主張の出発点は、交付税が非常にかさんできたのだということ、そこで税率問題が出てきた。そこで、その二点が済みまして、結論は、そういう場合に、山本さんも御承知のとおり、それから大蔵大臣も、地方交付税地方財政の固有の財源であるということを明言いたしましたのはそこでありまして、したがって、この交付税に関する年度間調整というものは、固有の財源ということを大蔵当局は認めておりますから、したがって、当然一時的に自治省のほうで調整すべきものだ、それは私は裏づけできる、われわれもそうしたい、こう思っております。
  110. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、自治省における自主的な調整ということが許されるならば、自主的に調整をやる場合には極力これを尊重するという大蔵省のお考えでございますか。
  111. 上村千一郎

    上村政府委員 これはいろいろ微妙なということで先生も御了承賜わるかと思いますが、実は基本的なものの考え方が、大蔵と自治大臣も結局御一緒だろうと思うのです。ですから、大蔵省としましても、もちろん地方交付税は自治団体の固有の財源になるわけでございますから、大臣がおっしゃったようなふうでございますが、   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 しかしながら、実は国の財政地方財政というものを一貫的に考えながら、そうして景気調整なりその他いろいろな経済に対する作用なりを考えていく、こういう基本的な立場に立っておる、こういうわけでありましょうから、結局、自治大臣が申されたように、自主的にやられても、また大蔵省のほうもそれと一致するであろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、実はそこを先ほど相沢次長が言いましたように、あるいは同床異夢ということばがちょっと出たりしましたけれども、まあ、とにかく基本的な立場が一致しておるのですから、自治大臣が自主的におやりになりましても、それは大蔵の考えておるようなところにお行きになられるというような考え方に立っておるわけであります。
  112. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それでは時間の関係がありますので、その問題は保留いたしておきます。  そうしますと、結論だけお聞きしたいのですが、景気調整機能というものは依然として交付税年度間調整ということで大蔵省はお考えになっておるということであるかどうか。もう一点は、固有の財源としてお認めになったとするならば、大蔵省は毎年財政硬直化という問題で地方交付税がやり玉の一つにあがっておるわけであります。直接特別会計の中に繰り入れる、このお考えは実行されるのでしょうか、どうでしょうか。この二点だけお聞かせ願います。
  113. 相沢英之

    相沢政府委員 国がフィスカルポリシーを行ないます場合に、その方法といたしましては、公共事業費その他の経費の予算計上面あるいは執行面における調整もございますし、   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 また、地方に対する一般財源の同じような調整もあると思います。したがいまして、ただフィスカルポリシー地方に対する一般財源の付与だけで考えるということではないと思っております。そのフィスカルポリシーの一環としまして、地方に対する一般財源の付与の面においてしかるべき措置が必要なのではないかという考え方で、四十三年度あるいは四十四年度交付税の特例措置を行なわれたことは事実ではございますけれどもフィスカルポリシーは、ただそういう地方に対する一般財源の調整のみに期待しておるというわけではないと思っております。  それから、国の一般会計から交付税の特別会計に繰り入れる金額については、交付税法に定められている定率によって一般会計を通さないで直接に特別会計に繰り入れるということにつきましては、四十四年度予算の際にも、自治省からそのような考え方が私どもに示されたこともございます。しかしながら、われわれは、地方交付税はやはり国が地方に対して財政調整のための金として支出しているものであるというふうに考えておりますもので、これはあくまでも一般会計の歳出を通じて交付税の特別会計において配付すべきものであるというふうに考えております。
  114. 太田一夫

    太田委員 いまの山本委員からのお尋ねに対する御答弁、それから、先ほどの私の質問に対する御答弁等を総合いたしまして、われわれには意に満たない点、不十分な点、わからない点、たくさんあるわけです。あるいは答弁が矛盾があると考えております。したがって、本件について、交付税の明年度からのあり方についての御答弁等については、もう少し御検討の上、画一性あるお答えをいただきたい、こう思います。  一応そういう意味で私も打ち切っておりますので、満足しておるわけじゃない。特にフィスカルポリシーなんということに私は絶対反対であって、そんなこと言っておるから、いまの公営企業等に対して、ギャンブル収入の幾らとかをさき与えて若干の金利の低下をはかるなんというみみっちいことになるわけです。私は自治省も——自治省は何も地方公共団体の味方だとは私は最近は思っておらないから、この間までは味方であったが……。もう少し統一見解を明らかにしていただきたいのです。  そこで、次の質問に移りますが、いま申し上げましたギャンブル収入ですね。大蔵省はギャンブル収入についてどう考えていらっしゃるのですか。地方公営企業等に金利の引き下げをはかるためにギャンブル収入の何%かを吸い上げるという、こういう政策が本年度とられておるやに伺っておるわけでありますが、大蔵省はこれに対してどうお考えですか。
  115. 相沢英之

    相沢政府委員 地方公営企業の経理が交通会計等におきまして非常な危機にあるというふうなことからしまして、公営企業の対策をいろいろな面において講ずべきではないかということが前から議論になっておったわけであります。しかしながら、公営企業金融公庫の利下げ等につきましてもかなりな国の財政負担が必要となるというようなことなどがございまして、なかなか両省の間で話が進まなかったのでございますが、そのおりに、自治省から公営競技の売り上げ金の一部をさいて公営企業にこれを、どういう形かは今後の問題だけれども、それを拠出しまして、その拠出した金の運用益をもって公営企業に対する貸し付けの利率を下げたいという話が起こってきたわけでございます。  私ども、公営競技の収入地方団体が依存することにつきましては、従来もいろいろな面におきまして問題があることを承知しておりましたが、そういうような形で拠出をいたしまして、それが公営事業一般財政の健全化に役立つことであれば、これは一つ前進ではないかというふうに考えまして、これに協力するという体制をとっているわけでございます。
  116. 太田一夫

    太田委員 ギャンブル収入に対する見解というものは、大蔵省自治省も、いわば政府といたしましても、いまのお話しのような考え方で統一されておると考えてよろしいですか。心要なことだ、いいことだ、いわゆる是認しておるわけですね。
  117. 相沢英之

    相沢政府委員 公営競技自身につきまして、これは私個人の見解になるかもしれませんけれども、いろいろ問題があろうかとは存じております。しかしながら、現在の地方財政状況その他から考えますと、これを直ちに打ち切るというようなことになりますと、いろいろな面におきましてなお問題が発生するのではないか、したがいまして戦災都市その他の都市におきまして、財政上の必要から今後も公営競技を続ける必要はあるのじゃないかというふうに考えておりますが、その公営競技の存廃問題とは別に、公営競技に伴う収益の一部を公営企業金融公庫に拠出いたしまして、それを公営企業財政の健全化に役立てるということになれば、それはけっこうな話ではないかというふうに考えておるわけであります。
  118. 太田一夫

    太田委員 それはあなたの考え方として聞いておきましょう。金であるなら何でもいいという考え方、いささか三億円の犯人に似ておるじゃありませんか。だいじょうぶですか。  それで佐々木さん、あなたのほうはギャンブル収入は一体何%、幾ら公営企業の金利の引き下げに使うのですか。正確な数字をお知らせください。
  119. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 まだ案としましては最終的にまとまっておりません。大体売り上げの一%程度のものを当分の間拠出をしていただきたい、こういうふうに考えております。今後の売り上げの増加状況等によりましてあるいは数字が変動するかもしれませんけれども、私ども、大体今後十年間ぐらいで約二千億程度の原資が集まるものというふうに見込んでおります。
  120. 太田一夫

    太田委員 ギャンブル収入に対して一%程度の吸い上げを行ないたい。ギャンブルにたよるということはギャンブルに頭を下げることですから、ギャンブルそのものを否定するという根拠はないわけですね。  それから佐々木さん、あなたいつかテレビに出ていたが、なかなか男前であったし、あのときの対談も印象的であったのですが、何かギャンブルを今後奨励して、二つの市町村かふやしたというようなことをおっしゃっていらっしゃったんですが、施行市町村をふやしたんですか。
  121. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 公営競技につきましては、昭和三十六年に御承知のように公営競技調査会の答申をいただきまして、それがその後における政府の公営競技に対する基本的な方針になっておるわけでございます。現在公営競技を実施いたしております市町村は、いまの公営競技の規定によりまして、無期限にこの施行が認められておる団体と、期限をつけて認められておる団体とあるわけでございますが、期限をつけて認められております団体につきましては、現在一年ずつで期限の更新を行なっております。それで先般、この更新を必要とする市町村分につきましての更新を行なったわけでありますけれども、公営競技の実施団体につきましては、競輪につきましてたしか七団体、それからモーターボートの施行につきましてたしか五団体か六団体だったかと思います。そのくらいの施行の市町村をふやしております。一方におきまして、十二団体ばかりの団体がこの開催権の更新を申請しなかったのでございますが、これはある程度県の指導によりまして、たとえば岐阜県におきまして競輪の施行団体が二十団体ふえておるわけでございますが、これらは最近の災害復旧あるいは学校、農業構造改善事業等におきまして、ここ二、三年、従来の財政規模に比べて相当事業量がふえるというような見通しのある団体につきまして、その開催権を認めたわけでございます。もちろん、この開催にあたりましては、これらの市町村が組合を結成いたしまして、組合施行でその地域の競輪場の主催団体に加入をしていく形をとるわけでございますが、実質的には、この公営競技の収入の分け前にあずかる団体としての指定というような意味になるかと思います。そういうことで、特に財政需要のあります団体につきましては、この更新の機会に組合を結成して、この組合に加入をさせるというような形で開催権を認めるという方針をとっておるわけでございます。
  122. 太田一夫

    太田委員 大臣、ギャンブルということですね。東京都の美濃部知事がギャンブル廃止ということをおっしゃったらば、自治省のほうからは、何を言っているんだ、ギャンブルを廃止するような金があるなら、地方債でも返したらどうかとか、何とかかんとかけちをつけられたといううわさも流れておるわけでありますけれども、ギャンブルについては、警察においては今度警備的な警察官の配置はしないというようなことになってきたわけです。これは、一つは、将来だんだん規模を縮小し、本来あるべき姿にもっていこう。たとえば、犯罪の温床であるならば、犯罪をなくするために、開催日の制限をする。なるべく平日には開催をしないというようなことも考えたいということで、たしか当時予算委員会等において答弁がなされております。そういうように純化していこうというような傾向のあるときに、これがなるべく多くの収入をあげて、多くの収入をあげた中からあなたのほうが一%を吸い上げて、それを公営企業金融公庫の貸し出し金利の引き下げに使おう。十年間に二千億円ぐらいつくる予定だ。こういうことになると、ますますこれは奨励しなければなりませんね。ギャンブル奨励ということは、大臣としてはどうお考えですか。
  123. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私は、率直に申しますと、ギャンブルというものは奨励すべきものではない。いまお話しのとおり、できるだけこれを純化していくし、純化するというたてまえからいって、その結果これが縮小されるという傾向をたどることになることはちっともいけないとは思っておりません。ただ、これは御承知のとおり公営企業法でやっておりますのと——別に法律があるからいいというのじゃありませんが、従来の地方財政に対して相当な貢献をしたことはわれわれ認めざるを得ない。現在も土地によっては地方財政相当寄与している。これもわれわれはそのありのままの姿を認めざるを得ないのでございます。  そこで、私はこの前もお答えいたしたのでございますが、東京都知事がこれの開催をやめるというようなことでありましたが、私はその節も、これはもう執行部の考え方、また地域住民考え方、自由な考え方で、やめたいところはやめていい。しかし、いまも佐々木参事官が申しましたとおり、地方においてはもう少し続けてもらいたい、それから、さらに財政上の都合によっては新しい希望者も出てきておる状態でございまして、これらはやはり地方自治団体の現状に即して——いま行なっておりますからこれはやはり無視することはできないというので、今度新たなこれらの施行団体の取りきめをしたと思いますが、大局的に申しますと、ギャンブルそのものは決して好ましいものではない。奨励すべきものじゃない。地域住民の意向に従って、われわれはこれを尊重して、廃止するところはもちろん文句なく廃止されていい、こういう考え方を持っております。
  124. 太田一夫

    太田委員 過去のことは貢献したという点もあろうと思いますけれども、しがない国民の夢をいたずらにつもうというわけではありませんけれども、ギャンブルそのものに対して、これをさらに一そう奨励していこうという考え方自治省の中のどこかにあるとするならば、あなたの考え方といささか方向が違う。私はその点について非常に疑問を感じますけれども大臣お話しのように、奨励すべきものではない、純化すべきものであるという点については、大いにひとつ政策に反映していただきたい。そこで、大蔵省お尋ねしますが、国鉄に対して四百八億円の財政再建債の発行を認めたでしょう。それから、同時に本年度の支払い利息をたな上げし、その支払い利息に対する利息の補給を行なったでしょう。こういうように身軽にしておいて、大いに財政再建をしようと言っておるのですが、私どもから考えると、そんな程度のことでは国鉄の再建もできぬと思っておる。思ってはおりますが、地方公営企業なんかの場合においては、いまのギャンブルの一%、百億とか幾らというような程度で金利を六分五厘に下げるなんというのは、そんな末梢的な対策で立て直しはできるものじゃないでしょう。だから、これは全然別のワクの中に入った議論になっておりますけれども大蔵省いかがですか。思い切って公営企業財政再建債などを大幅に認め、十年間据え置きとか、二十年間据え置きとか、そして、その後において利子補給を考えるというような、何か抜本的な対策というものをこの際考えるべきじゃなかろうか。国鉄と地方公営企業との間の差別待遇が大蔵省にあるような気がしますが、この際ちょっと聞いておきたいと思います。
  125. 上村千一郎

    上村政府委員 太田先生も御指摘のように、公営企業の問題につきましては基本的に検討する時期に来ておるのであろうというお考え方につきましては、私どももそういうような感じを持っておるわけでございますが、いま具体的にどうというようなことは、まだ申し上げる段階にはなっていない、こう思うわけでございます。
  126. 相沢英之

    相沢政府委員 若干補足いたしますと、公営企業財政再建につきましては、御案内のとおり、財政再建のたあの再建債の発行、それから利子補給というものが現在も行なわれております。昭和四十一年度からでございますが、現在、百五十五事業、再建債で五百十六億円を許可いたしております。利子といたしましては、昭和四十二年度分として十二億二千九百万円を交付しておりますが、四十四年度も所要額を計上いたしております。  それから、さらに公営の、たとえば地下鉄事業につきましては、現在も運輸省の予算で地下高速鉄道建設費補助金というのが計上されております。四十四年度で営団の地下鉄分を含めまして六十三億一千三百万円、その他下水道、上水道等につきましても、それぞれ各省予算で補助が行なわれております。  また、地方債の面でもいろいろと配慮を行なっておりますし、また公営企業金融公庫の貸し付け利子につきましても、上水及び下水につきましては、一般の金利七分三厘に対して三厘下げの七分にするほか、償還期限の延長など、不十分ではございましょうけれども、できるだけの措置大蔵省としても考えているつもりでございます。
  127. 太田一夫

    太田委員 あなた、こまかいことをおっしゃったけれども、とにかく大都市が過密化してきたり、過疎地帯があらわれたり、そして人口の大都市集中があらわれたその基本というのは、あなたのほうの国土開発基本計画からきているのでしょう。してみるならば、そのしわ寄せを受けるところの住民並びに地方団体等につきましては、十分な配慮をなされなければならない。道路、港湾等の公共投資においては十分な配慮をなされておるにかかわらず、いまの公営企業というようなものや水道や国民健康保険等についてはそちらでかってにやれという態度じゃありませんか。たとえば今度の財政硬直下におけるあなたのほうのいろいろな計画を見ると、第三次防衛計画においては五カ年で二兆三千四百億円、海外援助費は五カ年で一兆八千億円、第五次道路整備五カ年計画では六兆六千億円、こういうふうに膨大な金額が見積もられておる。にかかわらず、過密過疎地帯等のそういう深刻化した地域に対する予算措置というものは何だかんだ入れて、起債まで入れても一千億そこそこ、こういうことでありましては、それはナショナルミニマムですかシビルミニマムであるか存じませんが、国民として維持すべき最低水準、市民として、住民として維持さるべき生活水準というものは確保できる道理はない、こう思うのです。いまの地方公営企業の利子だって十二億円交付した、一体十二億円というものは元金幾らに対する利息ですか。これを全額補給してよろしいじゃありませんか。今後は全額補給する、これが確約されるなら、私もあなたの、いまのあれもやったこれもやったということに対して、ああ、けっこうでございましたと言いましょう。いかがですか。
  128. 相沢英之

    相沢政府委員 公営企業の再建債利子補給金は、先ほど申し上げました十二億というのは昭和四十二年度の実績でございまして、昭和四十四年度予算では十七億一千百万円を計上いたしております。利子の補給金額は、三分五厘をこえるものにつきまして四分五厘を限度として補給するということになっております。
  129. 太田一夫

    太田委員 私はそんな小さいことを聞いておるわけではない。どんどんやりくりができなくなっているんだから、いまあなたのフィスカルポリシーなんというお考え方がかたくなりつつあるようですから、それによってどんなにあやつられたところでこれはしかたがない。政府がそういう政策をおとりになり、その政策に関する予算が国会を通過すれば、自由民主党とともに政府は責任をお持ちになっておやりになることですから、国民が困ったということは、その政府政策でありますから、それはやむを得ません。やむを得ないことであるけれども政策樹立にあたっては、いまたとえば過疎地帯に対しては学校統合というような問題がある。あるいは大都会におきましては、人口急増によって学校急増対策がある。いろいろなことが考えられておりますけれども、大都市周辺においては仮校舎、仮教室をつくってやっておるなんというのがずいぶんたくさんある。それから、地方においては、小中学校の統合問題が起きて、その非常な財政需要に困っておる。それからまた、大都市そのものが、人が多くて収入も多いようでありますけれども、なおかつ公害企業等においては、いまの話のように、ギャンブルから一%売り上げの頭をはねて、そうして将来十年間二千億くらいつくって、若干の借り入れ金の金利の補給に回したい、こういうことでございます。これは国鉄に対する態度と全然違うじゃありませんか。国鉄は運賃値上げが中心をなしておりますけれども、利子のたな上げによる利子の利子、これの補給というようなこまかい芸まで行なわれて、そうして、そういうような負担はさせない、こういうことがあるのですが、どうも地方団体に対するものになると、一ぺんに冷たくなってしまう。思い切って、必要な金は借りなさい、起債も認めましょう、公営企業金融公庫に対してもむずかしいことは言いません、幾らでも必要なら出資を認めましょう。そして、その所要財源については心配なし、あとで元金だけ返してくださればよろしいから、利子は全額補給しましょうというくらいな大手術をしない限り、これは何ともならぬと思うのですよ。私は、一番気に入らないのは、ギャンブル収入を使っておるということを言っておるわけなんですけれども自治省いかがですか、これは、佐々木さん。
  130. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在、公営企業金融公庫は、いわば地方団体の共同の市場公募債の募債機関になっているわけです。それで、この金利は、御承知のように政府保証債、表面利率七分三厘のものを市場で集めましてそれを貸し付けしておりますけれども、現在そうした発行費用なり事務費なりというものは国の出資でまかなっておるわけでありますが、これについてこれ以上金利を引き下げるということになりますと、現在の段階におきましては、地方団体がみずからの手でこの金利引き下げをはからなければならない情勢にあるわけでございます。そういうような意味で、私どもは、現在の段階におきましては、いわば地方団体からいたしますと一割強の団体が施行しております公営競技につきまして、その収入のうちから一部を全地方団体のために供出をしていただくということは、やはり非施行団体と施行団体との財政のバランス上から見ても、その措置としては適当ではないだろうか、こういうことを考えておるわけであります。もちろん、国のほうからこうした面につきましての財政措置があるということは望ましい姿ではありますけれども、ただ現在の公営企業考え方からいたします場合に、何もかも国のほうからの助成にまつということは、はたしていかがなものであろうかというような感じもいたします。  ただ、お話しのように、いろいろな社会経済情勢の変動に伴いまして、公営企業企業努力のみによってどうしてもやっていけないというような面が出てまいります場合には、それぞれの原因に応じた対策というものがとられるべきものであろうというふうに考えておるわけであります。その点につきましては、さらに私ども企業実態に応じました措置を検討を加えて研究してまいりたい、かように考えております。
  131. 太田一夫

    太田委員 それでは、佐々木さんちょっと伺いますが、新全国総合開発計画によれば、大型開発の構想があるわけですね。これは一年間に一兆ないし二兆五千億ぐらいの予算考えていらっしゃるように思うのでありますが、これは即在来の市町村というようなワクを越えて、日本政府が日本列島をこう改革したいという実に大胆放恣な計画から出たものです。これに対する財政需要というものを、いまあなたのおっしゃるように、一々めんどう見られないよ、何もかもめんどう見るわけにいかないとなれば、新全国総合開発計画の裏負担というものは、今後の地方財政に対しては非常に大きなものと見なければなりませんね。これは想像されておりますか、金額において。
  132. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 まだこの計画は策定段階でございまして、私どもこの内容につきましては数字的に確定しておるということはまだ聞いておらないわけであります。ただ、これからのいろいろな大きな計画につきましては、おそらく国がその責任において実施すべき分野もありましょうし、地方が分担をすべき部分もあるかと思います。そういう面につきましては、それぞれの事業の実態に応じた財政措置というものは当然考えていかなければならないというふうに思っております。
  133. 太田一夫

    太田委員 十分に財政措置考えるという考え方があるとするならば、大都市圏の交通体系の整備というのも新全国総合開発計画にはあるわけでありますから、これは即地下鉄を敷設しようが、あるいは高速度鉄道を敷こうが、ターミナルをつくろうが、駐車場をつくろうが、ともに相当大型の予算を必要とするものであります。それを、いま大蔵省相沢さんがおっしゃったように、運輸省から一〇%程度の補助金が出ておるから云々という、一〇%ということは百億の中の十億でありまして、残りのほうが多いわけでしょう。一〇%は自慢にならないわけだ。あれをふやそうとして、運輸省の鉄道監督局でありますか、運輸省が一生懸命に大蔵省に日参したけれども大蔵省のほうは、いやそれはもうだめだ、これまた横にかぶりを振られたわけでございまして、全然話にならなかった。その後新全国総合開発計画は、とにかくいまその方向に向けてすべてが動いていると見なければなりません。ならば、いまから公営企業なら公営企業の交通体系だけにしても、少なくともその輸送手段の建築物をつくるということ、これは地下トンネルであれ、地上の道であれ、それに対して相当思い切った助成をするのはあたりまえじゃありませんか。私は何も三分の二とか四分の三という数字を言うわけじゃありませんけれども、少なくともそういうのを地方の住民の負担によってやれ、その関係者の努力によって切り抜けろということは、ほったらかしサービスに相なる、そういうことだ。それでもって、やるべき金を、六百九十億余った余ったなんて、余っているはずはない。余っているはずはないのに六百九十億余ったというような言い方で控えてしまった。私は、それでは地方のほうはたまったものじゃない、こういう気がするのです。新全国総合開発計画というものは、具体的にいまこれが第一年度に入ったとか、第二年度に入ったということじゃないでしょうけれども、それに向かってすべてが再編成されていることは火を見るよりも明らかなことです。これは財政的な対策があっていいでしょう。今後の財政対策はだいじょうぶですね。
  134. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 ただいま一つの例を交通について申されたわけでありますけれども、先ほど申しました公営企業金融公庫の利率の引き下げという問題は、各公営企業全般を通じての問題になるわけでございます。また、その公営企業の中でも、たとえば地下鉄事業といったようなものを取り出してまいりますと、もうすでに御指摘のように、路面交通の行き詰まりから、大都市における交通網というものは地下にもぐらざるを得ない状態になってきておる。こういう観点から考えます場合に、実際の問題からいいましても、やはり国のほうとしての負担すべき分野もあるであろうというふうに考えるわけであります。私どもこうしたものについて若干の金利引き下げで対処しようというふうには考えておらないわけです。その事業の実質、性格に応じた財政対策は当然とるべきだというふうに考えているわけであります。それらにつきましては、今後これらの新全国総合開発計画等が具体化するにつれまして、私どもも適切な財政措置をとるべきであるというふうに考えているわけであります。
  135. 太田一夫

    太田委員 自治大臣、先ほどちょっと申し上げたのですが、過密対策も一千億くらいあるといえばあるのでありますけれども、これまた非常に対策費は足らない。それから、過疎対策に至ってはこれはどういうことでしょうね。市町村道整備改良くらいでございますか、あんまりいいことないじゃありませんか。もうちょっと過疎過密に対する現在の社会の改革の進行に伴うそのしわ寄せを受けたところに対する援助というものは、思い切った対策を立ててもらわなければならぬと思うのです。それで、いかがですか、過疎地帯の学校統合、これは小学校で三年間に二百校、中学校において三年間に二百五十一校、これだけ統合しなければならない。統合するにはこれはもうあとがたいへんなんです。その建築費もさることながら、さあ通学費だ、通学交通手段だ、いろいろなことがありますが、そういう問題もひとつきめこまかにめんどうを見てもらわなければならぬと思うのですが、大臣は過疎地帯の対策について、ことしの財政計画の中において一番重点は何に置いていらっしゃるのか。学校か道か、あるいは広域市町村圏か、何でございますか。
  136. 野田武夫

    ○野田国務大臣 これは太田さんの御指摘のとおり、日本全体の社会経済の推移によって行なわれたことで、全く過疎地帯というものの対策は政府としても相当重大に考えていかなければならぬ。これは私どもが直接お世話する自治省ですから、われわれが一番関心を持ちますが、政府全体といたしましても、この過疎地帯対策というものは、重要視しなければいかぬということは当然でございます。  そこで、今度の過疎地帯対策の重点はどこかということでございます。これは過疎地帯におきましても、いろいろ地域によりましてまた事情が異なっておりますが、一応私ども考えていることは、やはり人口が急減していく。そこで一地域ではなかなか行政の事務的にもその他においても欠陥が出てくるから、やはり一応の考え方の基本としては広域行政というものをまず立てて、そうして共同の力によって行政の水準を上げていく。そのためには、ただ行政の事務的とかあるいは行政の能率をあげるということの基本には、やはりいまお話しになりましたような一つ一つ事情を実際にくみ取っていく。学校の統合ももとよりでございます。それから、たとえばスクールバスをやる場合には、道が狭ければ効果がないということとか、あるいはその他の問題がありますが、もう一つ大事なことは、やはりそこにどういう産業政策を立てていくか、つまり経済政策を立てていくか、これを私は重点に考えなければいかぬと思っております。これもよく太田さんも御存じのとおり、地域地域でもって画一的にはやれないことでございますだけに、この問題の対策を非常にきちんとやっていくということにつきましては、よほどの努力を必要といたしております。現在この四十四年度財政計画でだいじょうぶかという御指摘がありますれば、決してこれは満足すべきではありませんが、そういうことを根拠にして、実際の手の届いた対策を立てて、一応私申しましたような方針でこの四十四年度財政を立てましたけれども、これらについてまた欠陥がございますれば、当然これは是正していかなくちゃいかぬ、こう考えております。
  137. 太田一夫

    太田委員 長い時間やりますと、だんだんと出席が減りまして、委員会の成立があぶなくなってきておるようです。私とあなたと二人でやるのならば、それはどこかでやっておればいいのであって、そういうわけにまいりません。そろそろ終わりますけれども、これはちょっとこまかい、いまの過疎地帯の話ですが、運輸省は過疎地帯の山間僻地等における人口の激減地域に対する交通機関確保のためのバス運行費補助というのをやっているのですが、自治省は、これは本年度交付税の中に入っているのですか。これは特交でおやりになるのですか。何でおやりになるのですか。
  138. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘の運行費補助の地元負担につきましては、特別交付税をもって適切な措置をいたしたい、こう考えております。
  139. 太田一夫

    太田委員 それは運輸省と同額でございますか。
  140. 首藤堯

    ○首藤説明員 お説のとおりでございます。
  141. 太田一夫

    太田委員 それからもう一つ、国民健康保険税についてお尋ねしますが、国民健康保険税は、給与所得のある方は前年度の住民税に対して課税されるのでございますか。これは国民健保に移りました場合に、前年度に住民税がありましたときにはその所得割住民税に対してかけられるようでありますから、そのために失業した者がたいへん困っておるという話もあるわけです。しかし私は、それはそれとして、このごろ非常に高いですね。国民健康保険の保険税が高くなりまして、一人当たり三千円以上も出さなくちゃならぬということはたいへんだと思いますし、そのために一般会計からの繰り出し金も相当の金額、一つの市町村で何千万ということになっておるでしょう。この三千万円、四千万円という繰り出し金をしなければならぬということについて、私は大蔵省にこの際お尋ねしたいのですが、事務費というのは全額国庫負担でございましたね。それが不完全補てんをされていたのでありますが、現在その不完全補てんをされておりましたために生じた累積赤字、これは解消しておるのですか。それとも、地方負担によって何とかやりくりされておるのでありますか。この点はいかがでありますか。
  142. 相沢英之

    相沢政府委員 国保の事務費の負担につきましては、毎年度予算折衝の際にその増額が特に強く要望されておりまして、私どもとしましても、できるだけこの問題につきましては配慮を払ってきたわけでございます。その国保の事務費の負担増額に伴う赤字の累積等の現状につきましては、ちょっと私もよく承知をしておりませんが、国保の赤字対策につきましては、事務費のみならず、いろいろ原因があろうかと思われますので、それらの実態につきましては、なお今後検討の上しかるべき措置が必要であろうというふうに存じております。
  143. 太田一夫

    太田委員 そのことはこう理解していいのですか。国保関係というのは非常に地方団体にとりましては重荷になっているわけですよ。私はあなたに国民健康保険のことだけ特に取り上げて申し上げるのは、たとえばそういうところに盲点がありまして地方では困っておるということ。だから財政的にゆとりがあるということは大間違いだということを申し上げておるわけでありまして、たとえば国保の事務費だけの負担でも、あれは全額負担であったのに、その全額は精算計算じゃありませんから、そのために不完全補てんになってしまって、赤字は超過負担の形をとってどんどん累積されておるはずです。そういうものを全額解消するくらいこの際おやりにならなかったらやるときがないじゃないですか。だから地方にまかしておいて、あなたのほうは何とかやりくりなさいよということではいささか人情がない話だ、こういうことです。
  144. 相沢英之

    相沢政府委員 国保の事務費につきましては、その負担実態を四十二年度に調査をいたしまして、そのうち超過負担と目される部分につきまして四十三年度以降三カ年間で解消するということにいたしまして、所要の財政措置をとっております。
  145. 太田一夫

    太田委員 それは具体的にどういう財政措置ですか。
  146. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 こまかな御指摘でございますが、本年度で申し上げますと、一人当たり三百四十円の単価につきまして一三・二%アップで三百八十五円の単価設定をいたしまして、国費は十分の十でございますから、所要額十八億三千万円の国費の予算の増額計上をいたしております。
  147. 太田一夫

    太田委員 これは四十二年度までの赤字については、来年度において累積赤字は全部解消し、四十三年度以降は赤字を生じていることはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。事務費だけですよ。
  148. 相沢英之

    相沢政府委員 これは地方団体のいわゆる超過負担の解消につきましては、四十三年度予算編成の際に、自治、大蔵両省で覚書を取りかわしておりますが、その備考に、今後——と申しますのは四十三年度以降でございます。今後三カ年間に超過負担の解消をはかるということになっておるのであります。そこで、国保の事務費の超過負担につきましても四十二年度に調査いたしましたが、その調査結果に基づきまして、超過負担のうち国の責任に期すべきものと認められるものにつきまして四十三年度以降三カ年間で解消するということになっております。したがいまして、その超過負担をおおむね三年で分けて、四十三、四、五年ですから、四十五年度になりますとこの事務費の超過負担が解消されることになるわけでございます。
  149. 太田一夫

    太田委員 覚書というものは常に問題を生ずるのですが、一ぺんこの際その覚書をあとで自治省ありましたら出してください。お願いをいたします。  御要望がありますので、私の質問はこれで終わります。
  150. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本会議散会後に再開をすることとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後三時十一分開議
  151. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所要のため出席がおくれますので、委員長の指名によりまして理事の私がその職務を行ないます。  質疑を続行いたします。依田圭五君。
  152. 依田圭五

    ○依田委員 給与改定についての財源をちょっと最初にお聞きしたいと思います。  これは大臣にお聞きしたいのですが、私の理解では、財政計画の一四ページですが、千二百五億円、これは去年のを平年度に直しただけですから問題ないとして、五%の分として五百九十七億、これがのっかっておる、こういうことになっておるわけですね。給与関係経費の(オ)ですね。そのうち、IIへきて追加財政需要でマイナス三百五十だ、これはどういうわけでマイナスになっておるか、まずこれからお聞きしたいと思います。
  153. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この追加財政需要のマイナス三百五十億、この数字は、昨年度はここの欄に給与改定見込み額分といたしまして七百五十億、それから災害等の追加需要といたしまして百億、合計八百五十億の経費が見積もられておったわけでございます。本年度の場合におきましては、ただいまお話のございましたように、給与改定財源につきまして約六百億を給与費のほうに振りかえ計上いたしまして、この欄の数字は災害関係経費並びに給与関係経費といたしまして約五百億を見積もりまして計上してございます。したがいまして昨年度の八百五十億と本年度の五百億、この差額の三百五十億を減の数字として立てたわけでございまして、この欄は増減だけ計上してございますので、こういうふうな数字になったわけでございます。
  154. 依田圭五

    ○依田委員 そこで、ことし必要な経費は大体どのくらいを予想いたしておりますか。まあことし完全実施ということを要求されておるわけですね。去年は一ケ月上げました。ことしの見通し、これは勧告が出てから十分それを尊重して考えたいという御答弁になると思うのですが、それらについて、たとえば完全実施の場合にはこういう財源が要る、それから昨年どおりであればこういう財源が要る、それから一カ月がんばった場合にはこれだけのお金が要る、こういうような試算があればここで明らかにしていただきたいと思います。
  155. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昨年度の場合と全く同様なベース改定が行なわれるということになりまと、昨年の場合には七月実施、七・九%アップということでございますので、そのとおりの勧告がもしあるということにいたしますと、一般財源ベースで九百五十億の所要額になるわけでございます。これが五月実施ということで昨年度の場合と同じ率でベース改定が行なわれるということになりますと、一般財源ベースで千二百億というものが所要財源として見込まれるわけでございます。
  156. 依田圭五

    ○依田委員 そうしますと、ちょっとお聞きするのですが、ここで追加財政需要のマイナス三百五十億は増減であるからというので、これはこの中で結果的には五百億ばかり計上しておる勘定になるわけですね。そこで五百九十七億と、この五百億の中から災害関係が昨年は百億ありました。八百五十億で百億あって、七百五十億が計上されておったわけですね。百億ということになると、ことしはどのくらい災害関係を見込んでおるか、これまた御答弁いただきたい。かりに百億と仮定しても、五百九十七億と四百億ですから九百九十七億一この程度しか現在この財政計画の中では見込まれておらない。昨年並みで千二百億要るということになると相当財源不足を来たすと思うが、どういうような措置をなさるのか、それを御答弁いただきたいと思います。
  157. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この財政計画で見込んでおります給与改定財源の見込みは、ただいまお述べになりましたように、給与改定費のほうにおきまして五百九十七億、それから追加財政需要として、この災害復旧関係の経費並びに給与費としまして、まるく五百億ということにいたしておりますが、これは昨年の場合と全く同様に実施をした場合というものを一応想定いたしまして、国の場合とほぼ同じ態度でこの財政需要額を見込んだわけでございます。ただ現在の段階におきましては、その勧告のベースが一体どの程度になるか、あるいはまたその実施の時期というものは全く見通しの立たない段階でございますので、昨年の場合と全く同じような計算をした場合には大体この程度財政需要が必要であろうということで見込んでおるわけであります。
  158. 依田圭五

    ○依田委員 去年は八百五十億のうち百億が災害で、七百五十億だった。それは前年度の四十二年度の額ですから、去年は一カ月上げました。ですから、七月に実施をしたわけですね。七月まで繰り上げた。ですから、百億ぐらいの数字がまた追加になっておるわけです。ことしは、それが平年度化してくるわけですね。それからさらに、来年また当然同じぐらいのアップがあるとすれば、これまた百億、正確には百七億ですか、そのぐらいの金額が必要になってくるわけです。そうしますと、私の考えでは、二百億近くは必要になってくる、こう思うのです。それから、政府のほうは、他の委員会で、ことしは無理だ、これは大臣が二、三日前の本会議答弁しておりました。ともかく総定員法のときの答弁でもしておりましたが、完全実施はことしは無理だが、四十五年には実施をしたい、できればことしじゅうにも完全実施の方向へ努力をしたいということを言っておりました。せめて昨年並みに一カ月上げると仮定しても、さらに百億以上要るわけです。約百十億近く要るわけです。そうしますと、三百二十億ぐらいの金がつかみで要るということになってくると、この財政計画の中では、少なくも去年並みでも約五十七億の不足を来たす、それから六月実施ならば百六十数億の不足を来たすと私は思うのですが、どうですか、それについて御答弁願いたい。
  159. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 ことしの給与改定の所要財源見込み額の計算におきましては、すでに昨年のベース改定が行なわれたという計算をいたしまして、すべて平年度計算に直しまして、これをもとにしてこのベース改定額を計算いたしております。したがいまして、昨年と全く同様なアップ率で七月実施ということになりますと、この金額で十分間に合うわけでございます。ただ、これが一カ月繰り上げということになりまして六月実施になりますと、期末手当分がまた所要額として出てまいります。六月実施の場合には、昨年の改定率と全く同じ率で一カ月繰り上がるということになりますと、約百七十億前後の一般財源が不足になるということになるわけでございますが、ただ、先ほど申しましたように、現在の段階におきましては、このアップ率の見通しはまだついておらないわけでございます。また、実施の時期等については未確定の状態にあるわけでございますから、この計画上としましては、昨年の場合と全く同じ計算をいたしまして、ただ基礎は、四十三年度の給与改定をいたしたあとの数字を用いまして所要額の計算をしておるということになっておるわけでございます。
  160. 依田圭五

    ○依田委員 ちょっと私理解できないので、もう一ぺん聞きますが、ことしも当然改定があるわけですね。さらにその改定率というものは、去年よりもっときびしい条件下に置かれていると私は思うのです。下期に不況でもくるのならいざ知らず、ともかく膨大な財政をやっておるわけですから、去年は四・八でやりましたが、ことしは公然と五%は上がると政府答弁しておるわけです。また五%をここに計上しておるわけですから、アップ分だけでも昨年よりもっと高くなる。しかし、昨年と同じと仮定しても百七億ぐらいの金額が要るではないか、それをやっぱり上のせしなければうそである、こういうように私は思うわけです。去年は一昨年のものにさらに七月分を、これは繰り上がったわけですから、別にあらためて一カ月分だけ追加しておるわけですよ。ですから、あなたのおっしゃるように九百九十七億では、ことしの財源では、とうていこれはアップ分が出てこないと私は思うのです。ですから、六月実施の場合には、一カ月分だけを私は言っておるのであって、ボーナス分は全然触れておらぬわけですよ。あなたのおっしゃるように百七十億かかるということになると、これはまたもつとたいへんな金額になってくる。言いかえれば、六月に上げることは全然考慮しておらぬということに私は理解せざるを得ない。ここにある予備費では、とうていこの財源には充当できない、不足だというように、最初から政府のほうは六月実施ということは全然考えておらぬというふうにも勘ぐって理解せざるを得ないと思うのですが、その辺の御答弁を願いたいと思います。
  161. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昨年の場合は、七月実施で、一般財源所要額が八百七十億でございます。そうしたベース改定を実施後の給与を基礎にいたしまして計算したわけでございますので、四十四年の場合に昨年と同じ改定率で七月実施をいたしました場合には、この数字で十分間に合うわけでございます。ただ、六月実施ということになりますと、六月の分は期末手当分を含むわけでございますので、この六月分に限り、一カ月分としましては約百七十億くらいの一般財源が要る、これは一月分の給与と期末手当分を合算をして百七十億の一般財源所要額が出てくるということになるわけでございます。ところが、これはあくまでも前提があって、昨年と同じベース改定の率でやったということを前提にした場合の数字でございます。
  162. 依田圭五

    ○依田委員 それでは、前段はいいとして、同僚議員にまた詰めてもらいますが、後段で、政府のほうは四十五年に完全実施をしたい、これは総定員法の答弁の中で大臣が言っておられることです。にもかかわらず、この予算の中で六月実施の片りんさえ——私は昨年でも足らないと思っております。しかし、いま質問事項がたくさんありますから、それはあなたの答弁を一応了解するとして、一昨年のベースアップ分を去年の七月に上げて、そしてことしは改定分だけでも百億以上の金が要る、それを上のせすると、これは不足を来たす、とうてい九百九十七億では足らないと私は思っております。  大臣に聞きたいのですが、総定員法の答弁の中で、おそくも四十五年を目途に完全実施をする、できればことしやりたい、こういうことを言っておられます。これについて、こういう膨大な財政欠陥を起こすのですが、人事院勧告を尊重するという姿勢とあわせて、もし六月実施が出ました場合にはどういうような処置をなさるのか、総予算主義との関連もありますし、御答弁願いたいと思います。
  163. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私は依田さんにざっくばらんに申し上げますが、この予算編成のときも注意をしたのです。政府は四十五年度では完全実施、四十四年度ははっきりいかない、私も大体そういう感触を持っております。これはできるだけひとつ完全実施に近づく、近づこうというのは、ほとんどみんなの考え方でございます。  そこで、どうして財政措置をするか、御承知のとおり今度の四十四年度、そして四十三年と四十二年の三年は、一カ月繰り上げということの前提でなく予算がつくられております。そこで、あの勧告に近い一カ月の繰り上げをやったのですが、そのときも、やはりどうして財政措置をするかということを打ち合わせまして、大体可能だというので、いろいろな財政の処理をいたしたのでございますが、これも、いまお話しのとおり、これは勧告のベースによりますが、同時にさらに一カ月繰り上げるということが、全然私どもは最初から予想しないことでもございませんが、これはやはり勧告を見なければいかぬし、それから地方公務員は大体国家公務員に準じてやっております関係上、やはり国家公務員に対する給与の姿勢考えなければならないというようなことで、とりあえず前年度と同じような一応の予算編成をやったのであります。もしかりに一カ月繰り上げた場合には、当然これは財政措置をするのでございます。技術的にどれをどう持ってくるかということを実は私からはっきりお答えできませんが、その点は私自身がその当時注意したことを覚えております。しかし、これは事務当局としてはこのつくり方は当然だと思う。まだ何ら政府姿勢がきまらぬ前に事務的にこれを処理するということ、これはまた間違ったやり方でございますから、いまとっておりますところの予算措置、たとえば予備費五百億を投ずる、こういうやり方というものは私は間違っていないと思います。はっきり申し上げておきます。一カ月繰り上げた場合の財政措置というものは、技術的な問題でございますが、当然これは措置をしなければならぬことでございます。ただ技術的な問題について、私があの金をこうするということは私自身ここでは御説明できませんが、腹がまえはそういう腹がまえでおります。
  164. 依田圭五

    ○依田委員 人事院は、人事院勧告を完全実施されなければならぬというたてまえにある機構ですから、それを当然尊重する。きまれば金は出さなければならぬ。しかし予算上、その金の出どころがない。また総合予算主義のたてまえからいろいろ補正予算その他は組まないということになれば、去年並みでも足らない。それは節減なり何なりでやっていくのかということも聞きたいのです。予備費から出すと言ったって財源がない。それから節減しろと言ったってそんなにかってにできるものじゃないということになりますれば、一体、その膨大な金額をどこから出すのか。やはりそのお見通しなくして、完全実施はします、きまればどこからかひねり出しますということでは、私は答弁にならぬと思うのですが、どうでしょうか。
  165. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この給与改定の実施時期の問題それからベースアップのアップ率の問題、この二つがかみ合ってその財源所要額が出てくるわけでありますけれども、この給与改善に必要な経費というものが、現在財政計画上、見積っております額を上回った場合におきましては、その上回った額の多寡によるわけでございますけれども、それほど大きいものでない場合におきましては、一般行政経費に包括計上されておりますこの五百億の一部をこれに充当するということも考えられまするし、またさらにその時点におきまして、地方税収入等の収入状況等もにらみ合わせまして、最終的には、場合によっては特別交付税措置ということも考えられるかと思いますが、その時点におきまして、地方団体におきまして、給与の支払い財源に不十分なことにならないように考えてまいりたいと思っております。
  166. 依田圭五

    ○依田委員 去年の資料にはだいぶ詳しく書いてあったのですが、ことしの資料にはちょっとないように私思うのでお聞きしますが、六月と、それから府県、市町村に分け、また不交付団体と交付団体に分け、国庫負担は別として、一体どのくらいの財源が要るかおわかりですか。
  167. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 給与改定の所要見込み額は、六月実施の場合におきまして、昨年どおりのアップ率という場合には、総額で一般財源ベースで千百二十四億という見込みでございます。この府県、市町村別の数字はまだ振り分けいたしておりません。昨年と同じように七月実施でやります場合の府県、市町村分の内訳だけがいま計算されておりますけれども、七月実施の場合は、先ほど申し上げましたように九百五十億でございますが、そのうち都道府県分が六百三十一億、市町村分が三百十九億、こういう数字でございます。交付、不交付の内訳はまだはっきり計算できておりません。
  168. 依田圭五

    ○依田委員 計算できていないということはどういうことなんですか。それでいいのですか。
  169. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 都道府県の場合におきましては、交付、不交付は大体動かないと思いますけれども、市町村分はこの交付、不交付団体がやや変動するかと思います。ただ昨年の交付、不交付ということで分けますと、現在手元に資料がございませんが、計算したものはあとで資料として提出したいと思います。
  170. 依田圭五

    ○依田委員 それは資料として要求しておきます。  その次に、これは大事な問題ですから、また同僚議員に詰めてもらいますが、その次の項目で、一般行政経費の国庫補助負担金を伴わない六百七十二億。これはその次の「ア」の一般行政経費の一千二十二億、それから追加財政需要の三百五十億を差し引いた六百七十二億。十四ページの「2」の単独の予算ですが、この六百七十二億、これを少し詳しくお聞きしたいと思います。  これは一体ことしと去年の増減、これについていまそこに数字がございますか。一般行政あるいはその他特定経費、追加需要、土地基金その他について資料がございますか。
  171. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答え申し上げます。  一般行政経費のほうは、昨年に対しまして、お手元の資料にございますように、一千二十二億の増になっております。この中には先ほどから議題になっております六百億円の土地開発基金、それから百億円の財政健全化資金の計上、この七百億が特別なものとして含まれております。したがいまして一般的な国庫補助金を伴わない一般行政費の増は、この七百億を差し引きました三百二十二億、こういうことになるわけでございます。この一般行政費の考え方は、国庫補助負担金を伴うものの対前年度増とか、そういうものを勘案をいたしまして、去年の計画計上の実額に一二・八%程度伸びを見込んで計上する、こういうような積算の基礎をもって計上したものでございます。したがいまして、この中で七百億、だけ特別なものが入っている、こういうことでございます。
  172. 依田圭五

    ○依田委員 この中にはたとえば健全化資金であるとか、特定経費があるわけですね。この内訳をひとつ答弁してください。
  173. 首藤堯

    ○首藤説明員 特定な経費といたしましては、いま申し上げました土地開発基金の六百億、それから財政健全化資金の積み立ての増百億、これはほぼ税外負担等の解消に充てる財源と、このように考えているわけでございます。そのほか中小企業の構造高度化のための貸付金の地方負担分でございますとか、それから万博関係の経費でございますとか、そのようなものが若干計上されておるわけでございます。
  174. 依田圭五

    ○依田委員 これは特定経費は四十三年には三百八十四億だったと思うのです。これがことしは若干増になっておるのですが、これは万博とそのほか——万博に一体どのくらい支出するのか、それから公社、公団への出資金が入っておるわけですが、その明細を聞かせていただきたいと思います。それから、健全化資金の中には超過負担や税外負担があるはずです。これを具体的に、四十四年度どのくらいの数字を見込んでおるのか明らかにしてもらいたい。増減だけではなくて、四十三年度は幾ら、四十四年度は幾ら、だからこういう金額がふえたのだということですね。増減だけ出ているのではさっぱりわからぬわけですよ。根っこのほうがわからぬ。ただ結果だけ出ておるので、われわれにはよくわからないのですね。ですから四十三年度と四十四年度の数字をあげていただいて、その結果として差し引きこれだけの増減があったのだという、それを健全化と特定経費に分けてここで読み上げていただきたい、積み立て金もあるはずですから、その明細を読んでいただきたいと思います。
  175. 首藤堯

    ○首藤説明員 ちょっといま手元に全部こまかいのを持ってまいっておりませんが、一部御指摘のありましたものにつきまして、手元に資料のありましたものだけ申し上げます。  万博関係に対します出資補助の関係は三十六億円、それから中小企業構造の高度化のための貸付金の地方負担分は百五十六億円、こういったものでございます。それから健全化資金につきましては前年まで七百五十億ここに計上がしてございまして、この中で超過負担に対します措置でございますとか、税外負担の解消措置でございますとか、そういうものが根っこに入っておったわけでございます。それでその概数は、根っこから申し上げますと、税外負担解消分が約二百七十億円、それに今回の百億円のうち約八十億円がまた税外負担の解消分としてこれに加わるかっこうでございます。それから超過負担に対しますもともとの地方負担分に対します財源措置として、これは従前どおり約三百億円、そのようなものがこの基礎に入っておりまして、健全化資金として七百五十億、この計上があったわけでございます。
  176. 依田圭五

    ○依田委員 これはまだ私のほうで申し上げておる資料に足らぬから、それも資料要求をしておきます。  それからギャンブルの問題ですが、これは大臣にお聞きしたいのですけれども、先ほどちょっと太田さんのほうに御答弁がありましたように、私も傍聴をしておったのですが、まあ好ましいことではないが何とか純化していきたい、こういう御答弁であったのですが、ただ先ほどからしばしば聞いておりますように、十年間に二千億円ということになりますと、これは実際は恒久化するということになるわけです。少なくもそれを前提としているように思うのですが、その点、まずその問題をもう一ぺんお聞きしたいのと、それから私の知っている範囲内では、自民党の政調では、現在一%ではない、四十四年度では〇・五なんだ、四十五年度で〇・八、四十六年度で一%に引き上げるんだ、こういうようなことをいま若干討議していて、ほぼそういう形でもって成案になるやに承っておるのですが、その見通しと、それから、これは機関が違うのだから結論が出なければ何も申し上げられませんという御答弁になると思いますが、そういう木で鼻をくくったような答弁でなくて、こういう問題は公営公庫なり公営企業なりに重大な影響がありますから、それらを含めて大臣に御答弁いただきたいと思います。
  177. 野田武夫

    ○野田国務大臣 先ほど太田さんのほうにお返事いたしましたとおり、私は基本的には好ましいものでない、前々から申し上げておるとおりです。しかし実情は、もう繰り返して申し上げるまでもなく、実際行なわれております地域によっては、これを廃止されることは、これは御自由に廃止されてもいいという態度をもって私臨んでおります。いまのいろいろ十年間の試算その他につきましては、これは事務当局から申し上げますが、実際お話しのとおり自民党の政調会でもいろいろ論議がかわされておりまして、最初の計画いたしました一%でもっていけるかどうかということは、いまの段階では実ははっきり申し上げかねる状態でございます。どうなりますか、これは別に木で鼻をくくったような返事でなくて、実際はちょっと流動いたしておるものですから、的確にこうなりますということは申し上げられませんが、いま依田さんの御指摘になったようにいろいろな論議がございまして、最後の結論には達しておりません。  その他の数字につきましては事務当局から申し上げることにいたします。
  178. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 ただいま大臣が申し上げましたとおり、最終的な結論を得ておる段階ではございませんが、この公営競技の売り上げから何がしかの金を公営公庫に供出をしていただくというような措置につきましては、私どももこれが積極的な奨励措置になるというようなことにならないように、その見積もり等につきましても十分検討を加えておるところでございます。この公営競技の存続いかんという問題は、単に財政上の問題だけではなしに、いろいろその他の社会的な問題からの考え方もありましょうし、その辺の判断は、地方団体がその存廃についてその意思を決定することになるわけでございますので、私どもの見積もりのしかたにつきましても、その辺の事情を十分検討しながら見積もってまいりたい、かように考えております。  また率の問題につきましては、原則的には大体一%というものを考えておるわけでございますが、ただ初年度におきましては、若干いわばこの激変緩和といいますか、そういうような措置が必要ではないだろうかということを考えております。  さらにまた関係所管省におきましては、この公営競技の競技場の施設改善といったようなことを強く要請しておる状況から見まして、この競技場を所有して実施をしておる団体等につきましては、そういう意味での施設改善費等も見込んで、負担率につきましてはある程度の暫定措置をとっていく必要があるのではないだろうかという意味で、それをどうすべきかということについても、目下いろいろ検討中でございます。
  179. 依田圭五

    ○依田委員 細郷さんがおいでになると——ことしの一月のたしか十三日か何かの全国総務部長会議か何かで、自治省にそういう会議がありましたときに細郷さんが演説をしておるというか、あいさつをしておるわけですね。その中で、今回の措置をもって均てん化問題、昨年から問題になっておりますこのギャンブルの利益の均てん化問題にはピリオドを打ちたいということをあいさつしておるわけですね。細郷さんはいませんのでこれは大臣に聞きたいのですが、そういう方針で今回ギャンブルの利益の一定を公庫のほうへ原資として入れ、公営企業に対して利率の引き下げに向けるというような措置考えられたのか、発想されたのかどうか、また、そういうことでほんとうに均てん化問題を終わらしたいと考えておるのかどうか、ひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。
  180. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ギャンブルの収益の均てん化というのは前から論議されておりますが、自治省としてはまだ最後の方針が煮詰まったものではございません。しかし、とりあえずこの措置をとりまして、これらを勘案いたしまして、つまり、もうある公営競技の実施が相当の期間続いておりますので、いろいろな論議が集中して、いわゆるその一つとして均てん化問題も出ております。いま御指摘になりました今度の公営競技の収益で公庫の金利を引き下げるために協力するから、均てん化は一切やめた、そういうことを財政局長がどこまで言ったか知りませんが、現実的にはいますぐ均てん化をやろうということではございませんが、これはしかしもう少し推移を見ませんと、私の立場からいたしますと、これですべてが解決だ、ここまで踏み切るのはどうかと思っております。しかし、一応はそういう考え方でこの四十四年度は処理しておると思っております。少し将来の推移を見ませんと、いまお話しのとおり東京都をはじめあっちこっちに廃止というところもございますし、どういうふうにこれが動いてまいりますか、依田さんも御指摘のとおり、先ほど太田さんのお話もありますし、だんだん公営競技の問題、それから収益の配分と申しますか、そういう問題も出てくるわけでありますが、いまのところは均てん化という考え方は持っておりません。おりませんが、それが終止符を打ったというほどはっきりした態度でもってこの問題に臨んでおるわけではございません。
  181. 依田圭五

    ○依田委員 どうももう少し歯切れのいい御答弁をいただきたいのですが、大体私こう思うのですよ。ギャンブルの利益というものは一定の歩合、たとえば、最近のパーセンテージは動いておるかもしれませんが、私の記憶では競輪の場合七五%を還元して、それで三%くらいですかを第一次、第二次の交付金か何かの形でもって競輪の団体に渡して、差額を地方団体の収益にして、それで地方団体財政援助にしようというようなことになっておるわけですね。その地方団体の収益というか、受け取り分から一%なり、どうきまりますか、いま自民党の中でももんでおるようですが、これを拠出をするということになって、それを公庫に回す。その原資を見返りとして二千億なら二千億を十年間に一とにかく十年間は競輪競馬を続けなければこれはどうにもならぬわけですね。十年計画を立てる。それで、これはあとで公庫のほうに聞きたいと思うのですが、関係大臣が、要するに地下鉄に対する公庫の支出を今度認めましたね、ああいった形でやっていこう、しかも、たとえば東京のように、公庫の融資を受ける予想の非常に高い公営企業といえば、これは大都市が多いわけですから、結局ギャンブルの収益を、地方団体の受け取り分を減らして、そして公営公庫をパイプとして再配分するということの中に、ギャンブルの恒久化、それから、同じ金を形を変えて受け取る——もちろん投資対象なり融資対象なりは、機構が違うのですから違うわけなんですが、結果的には、大づかみにいって、たとえば東京都のことしのギャンブルの収益は九十億前後だと私は覚えております。ちょうど九千億の一%、九十億。これは全国に分けてですが、特に大都市の過密地帯に対する融資が公庫の窓を通して多くなるわけです。何かそういうようなからくりといいますか、同じ金をそういうように使うひとつの機構いじりのように思えてならぬのですが、大臣の御答弁を願いたいと思います。
  182. 野田武夫

    ○野田国務大臣 そうあまり依田さんみたいに勘ぐられると非常に答弁に困るのですが、実際私は非常にすなおな感じでこの問題に取り組んでおるのです。これは事務当局は二千億という数字をあげておりますが、私は十年間ギャンブルの金を二千億使わなければ金利が引き下がらないなどということは、政治としてはそういうものではないと思うのです。御承知のとおり、これをやめてしまえばしかたがないのですから。たとえば政府がやめなさいといわなくても、地方団体がことごとく片っ端からやめてしまえば、どんなに政府が二千億という予算をつくったって、これはしようがないのです。それで先ほども御議論がありましたとおり、ここに大蔵省財政当局が来ておられますが、ひとつそういう問題はどうだというお話があったのは当然だと思うのです。だからその金は何かからくりして、ちょうど東京都の九十億とぶつかる、そんなことは実は私頭にないし、いま聞いて、なるほどそういうことも考えられるかと思ったのです。そこで公営企業公庫の金は大都市といままであまり、東京都にも関係なかったのが、今度地下鉄なんかに関係がありますが、それは依田さん、私はざっくばらんに申し上げるのであります。十年間に二千億なければ公営企業金融公庫をもっていけない、そういうことは、結局だんだんだんだん主催団体がやめてしまえば、きわめて不確定の財源なんですね。もっと露骨にいえば、いまはやっているから一%、九十億という金が見られますけれども、これがだんだん年々減ってまいりますと、一%というのが九十億にならぬ。年々収益が上がっているようですから、いろいろなあれでなるかもしれません。私はならぬとも言えません。しかし私は率直に申しまして、このお金が十年間二千億なければ公営金融公庫の金利が引き下がらない——これはコンクリートに考えて、これだけに十年間依存するということ、いまの試算としては事務当局もっともと私は思いますが、そういう考えでなくて、いますぐやめるのじゃなくて、相当この収益も上がっておるから、できるだけこれを一般的にひとつ公営企業のほうに使ったら、これも先ほど依田さんからお話がありました均てん化とかなんとかいうそういう理屈は別として、全体にこれを使うと地方団体が助かるのではないか。もう一つは、ここに大蔵財政当局がおられますけれども、私は大体公営業企公庫の金利が七分三厘とか七分というのは高過ぎると思うのです。最初私は言ったのです。実はこの予算編成のときに、こんな高い金利をどうするかということで、事務当局の諸君が苦労してくれたのです。こんな金でもって今日の公営企業を維持して、しかもそれに対する金融をやっておる公庫が、七分三厘なんという金を使っておって、それでもどうこう言うのはおかしいじゃないか。現に依田さんも御承知のとおり、各役所が持っておる金利でずいぶん安いのがありますよ、いろいろな意味において。だからそれからスタートして、それから発想したわけでありますから、二千億なければもう絶対将来だめだという考えは、私自身としてはもちろんですが、事務当局も、いま基礎計画ですからこれはお示しするのはあたりまえですが、そういう勘ぐられるような考えはないということだけはお答え申し上げておきます。
  183. 依田圭五

    ○依田委員 ここでちょっと聞きたいのは、公営公庫のことしの内容なんですが、ことし公営公庫のほうで予定しております融資ワクはいろいろあると思うのですが、大蔵のほうへだいぶ要求したらしいのですが、新しい貸し付け対象といいますか、そういうもので日の目を見たというか、実現に移されるのはどういう項目ですか。たとえば要求としては、公共用地の取得事業だとか市街地改造事業あるいはその他の二、三の要求があったようですが、実際はきまらなかったようですね。これらが全部埋没したというか、キャンセルになったようですね。間違いありませんか。
  184. 相沢英之

    相沢政府委員 公営企業金融公庫の融資対象等につきましては、直接は私どものほうの理財局の担当になっておりますが、私の承知いたしております範囲では、新しく融資対象をふやすということについては、現在公営企業金融公庫の融資対象となっておりません東京都その他の公募地方債を発行する地方団体の地下鉄等の公営企業を融資対象に加えるということ以外、ただいまおっしゃったようなものについて要求があったというふうには承知いたしておりません。
  185. 依田圭五

    ○依田委員 これは自治省に聞きますが、自治省財政担当の方、公営企業の問題について自治省側の要求は一体どういう内容だったのですか。私ここに資料として二、三点持っておりますが、大蔵との折衝過程の中においてまたも遠慮したというか、いろいろあると思うのです。ぜひ実現してほしかったのですがね。ギャンブルの問題も関係がありますし、御答弁願えませんか。
  186. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 事務的な折衝の段階でいま二、三の事業について話し合いがあったように記憶いたしておりますけれども、すぐ調べて経過についてお話し申し上げます。
  187. 依田圭五

    ○依田委員 公営企業の出資一つ取り上げても、要求は九億あったのですね。それが二億に減らされておるのです。その減らされた過程と、それから、二億認められましたが、これは一体何に使うのですか。これをどういうぐあいに、たとえば利子に充当するのか、それとも事務費か何かのあれに、これは出資ですから充当するのか、ちょっとそれを聞かしてもらいたいと思います。
  188. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 公庫の出資金は、現在この出資金を運用いたしまして、その運用益をもちまして、事務費並びに政府保証債の発行費用に充てて、結局貸し出し金利が市場公募いたしました資金と同率で貸し出しができるような措置をとっておるわけでございます。
  189. 依田圭五

    ○依田委員 どうしてこう要求をばっさりやっちゃって、そしてギャンブルのほうへ力を入れていくのか。美濃部さんに対して、知事、こんなものだったら借金返せ、起債のほうを減らせ、そっちに忙しいはずだというようなことを新聞紙上でずいぶん大きく報道されておるのですね。それから今度の制度。これはいわばもうギャンブル以外ではないと私たち思うのですがね。しかも私の知っている限りでは、公共用地の取得事業にもこれをやっていただきたい。市街地改造事業にも入れていただきたい。住宅用地の造成事業にもこの公庫を使ってもらいたい。その他二、三あります。これを全部否認されておるわけですね。こういうように虐待と言っては失礼ですけれども、軽く見て、そしてギャンブルのほうの問題だけに熱を入れるというのがよくわからぬのですがね。どういう発想のしかたなのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
  190. 相沢英之

    相沢政府委員 公営企業金融公庫の融資対象を、土地の先行取得その他に入れろという御要求のあったことを思い出しましたが、しかしこれは、たとえば公共用地の先行取得につきましては、すでに四十一年から一般地方債で認められていることでございますので、それを金額的にふやすという措置をとればいいではないかということで、これはそれぞれ両省相談の上で話がついたわけでございます。  それから融資の出資額を、当初九億円の要求を二億に削減したという点につきましては、これはかっては公営企業金融公庫に対する出資の運用益をもって公庫の貸し出し及び公庫債の金利との差額を補てんするという方式がとられたわけでありますけれども昭和四十二年度以来その金利差は、直接公庫に対する利子補給の形で埋めるということによりまして、出資はもっぱらその運用益をもって公営企業金融公庫の人件費、事務費その他のいわば運営費をまかなうに足るだけのものでいいではないかというふうに、これは他の金融公庫についても同様でございますけれども、そのように政府関係機関に対する出資の取り扱い方を変えたのでございます。したがいまして、当初要求の八、九億円の中には、正確に覚えておりませんが、公庫の貸し付け利率を下げるために必要な出資金の増額も含まれておったかと存じますので、私どもは従来の方針どおり、公庫の運営費をまかなうのに足るための出資金の増額ということで査定をしたわけであります。そのためといたしますと、二億円の出資は、どちらかといいますとまだ多いわけでありますけれども、従来の出資の金額等考えまして、四十四年度も二億円ということにしたわけでございます。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 依田圭五

    ○依田委員 それでは次に清掃関係の単位費用についてちょっと聞きますが、あまりに清掃の実情だけが問題がたくさんあるわけです。交付税ですから、特にひどいもので、ここで一例を申し上げて是正してもらいたいと思いますが、二万七千九十四円というお金では、作業員なり運転手はいまなかなか集まらぬですね。標準団体において、こういう金額でもって積算しておるわけです。これでよろしい、これでもって地方団体の最も固有事務の一つといわれる清掃事業に従事する者に対して、大体平均で四十歳、これはこれでよろしい、こういうふうにお考えになっておるのかどうか、ひとつ説明してもらいたいと思います。
  192. 横手正

    ○横手説明員 清掃費において積算いたしております人件費の単価の問題でございますが、従来からこの引き上げにつきましてはかなり努力も払ってまいっておるところでございます。ただこれで十分であるかどうか、いろいろ問題の点もあろうかと思います。今後ともそうした面は検討してまいりたいと思います。  なお、人件費の単価だけをとりますとそういう面がございますが、清掃費関係総体の需要領、こういうことになりますと相当大幅な引き上げ措置を従来からも続けてまいってきておりますので、個々の市町村につきましても、かなりの額が算定されておる、こういうような現状になっておろうかと思います。
  193. 依田圭五

    ○依田委員 あなたの知っておるあれで、全国の清掃の従業員の平均年齢は一体何歳ぐらいに押えていますか。
  194. 横手正

    ○横手説明員 ちょうどそうした詳しい資料を手元に持っておりませんのでなんですが、従来から一応厚生省の担当課とも相談いたしまして、いろいろ経費の充実につきましては努力をしてまいっておるわけであります。
  195. 依田圭五

    ○依田委員 これは厚生省だとか、それぞれ所管の本省でという責任の問題になりますと、ここでは一々、全部の地方行政ですから、お呼びして、労働省のことは労働省に、厚生省は厚生省へ聞かなければならなくなってくるわけですよ。そうではなくて、自治省がやはりイニシアをとってやってもらわなければ困るわけなんです。私の調査では平均年齢四十・三歳、大体三十歳以下の人は集まらぬのです、この清掃の仕事には。それで二万七千九十四円。これが一般職の平均賃金は三十六・五歳で四万一千五百八十九円。清掃は四十・三歳、三万三百十八円。とうていこんなことでは清掃の職員は集まらないということを私ははっきり言えると思うのですが、まずこれについて、ことしはこれでいいんだという積極的な理由をひとつはっきり聞かしてもらいたいと思います。
  196. 横手正

    ○横手説明員 交付税のこまかい積算の内容の点につきましては、いろいろと問題があろうかと存じます。そうした面の是正は、従来から取っ組んでまいっておるところでございます。どうも繰り返して申し上げるようで恐縮ですが、交付税におきましては、積算の単価自体が問題の場合もございますが、より市町村で問題になりますのは、財政需要額総額の問題だろうと思います。清掃費の経費の需要額総額につきましては、市町村の決算等から考えましても、相当高率の算入割合になっておるはずでございます。もちろん積算の単価がどうあってもよろしいというふうには毛頭考えていないわけでございます。今後とも実態等もよく検討いたしまして、改善すべきところは改善してまいりたいと思います。
  197. 依田圭五

    ○依田委員 それでは質問を続けますが、あなたは、全体としてはいいはずだ、それぞれの単位費用については、その積算の基礎については納得いかないでしょうけれども、全体としてはあれこれの金が行っているからいいんだ、こういうお話ですが、そんなことはないですよ。  それじゃもう一点聞きますが、定数の問題一つでも、これは目一ぱいというか、もうぎりぎりの定数しか認めておらぬのですね。十万の標準都市において認めておるのが現在九十九名ですね。これは都市センターの近代化研究会において、あの委員会ですか、答申しておるというか発表しておる数字が、昭和三十七年現在百十五名なんですね。労働組合のほうは、もっと大きなことを言っておりますよ。ここで二百四十三人なんて言っておりますが、これはともかくとして、客観的な学者あるいはそういうものを動員して出した数字でさえ、こういう数字なんです。それも昭和三十七年ですから七年前ですね。それをはかるに下回っておる。しかもこの中に補充員が入っておらぬ、要するに助手が入っておらぬ。ですからバキュームカーに作業員を乗っけて、あとは運転手一人でやって、そし標準都市でもって二十八台ないし二十九台ですか、これは詳しい数字を聞きたいんですが、所長とか課長もおって、結局一人の運転手がかぜを引くと車全体が休まざるを得ない、こういう実情ですね。これでよろしいんですか。
  198. 横手正

    ○横手説明員 ただいま職員数についての御指摘がございましたが、実は都市センターで調査いたしました市は、想定を交付税の標準団体以上の、実は十二種地というような多少種地の高いところに置いてございますので、その関係交付税上の積算の職員数との開きがございます。もうこれは御承知のとおりでございます。交付税のほうでは補正によりまして、種地の高いところはそれだけ職員数の増なり経費の増の割り増しの補正がかかるようになっております。これで置き直してまいりますと、ほぼ都市センターの調査の職員数に見合う人員が入るというような形になっておるわけでございます。
  199. 依田圭五

    ○依田委員 予備の作業員がないという点ですね、一人休んでも欠車にしなければならぬという点はどういうことになりますか。
  200. 横手正

    ○横手説明員 私どもの想定いたします収集車、これにつきましては、その休みの日も予定して見込むというような形にしております。年間毎日フルに各車が動いておるというような想定ではなしに、多少の余裕を持っております。そうしたところもありますので、いまのお話のような場合には、各地方団体においても、その範囲内でやれるものだというような一応の想定をいたしておるわけであります。
  201. 依田圭五

    ○依田委員 全体として締めに締め、ともかく気合いをかけていこうという姿勢はわからぬではないのですが、理詰めに考えていって、平均四十歳の人が二万七千円でよろしいんだ——また、三十歳以下の人は入ってこないこの業種の特異性があるわけですね。しかも二万七千円でよろしいんだ、やっていけるはずだ、二千数百カロリーとれるはずだ、こういうような考え方、あるいは助手は一切要らないんだ運転手はもう、けがもしなければかぜも引かないのだというお話ですね。これはどうも解せないのですよ。全国の都道府県で、一体公務員関係の自動車の事故率はどこが一番高いと御記憶ですか。ここなんですよ。清掃局なんですよ。どのくらいのパーセンテージになっておりますか、わかっておったら、自治省のほうでつかんでおったら——清掃を取り巻く諸条件の中に事故率があるのですよ。これは当然あなたのほうでこの種の法律をつくる場合に十分検討されて、どうしてこういう事故が発生をするのか、労働条件はどうなのか、それらを含めて検討された上であろうと思うから、その資料をひとつ発表していただきたいと思います。
  202. 横手正

    ○横手説明員 実は私どもも清掃車の事故率というのを特に調査いたしておりませんが、職員の災害等につきましては公務災害関係の経費を、それぞれ人件費において算入するという形のことを行なっております。  なお、交付税の積算の基礎といたしております標準団体は、あくまでも想定をいたしたところの団体でございます。現実の団体とはやはり相当の違いがございます。したがいまして、現実の団体行政と標準団体で想定しましたものとの間に、個々の団体との差ということになりますと、ある程度の差が出てまいろうかと思います。清掃費関係につきましても、御承知のようにこれはすべて交付税上は直営方式で算定するというようなかっこうで、実態とはかなりの違いがなきにしもあらずだと思います。私どもは、少なくとも個々の市町村の清掃費、その必要とする一般財源、これが十分配分されるような仕組み、そうしたことを念頭に置いて検討してまいっておるところでございます。
  203. 依田圭五

    ○依田委員 もう一つ例を申し上げたいのは、清掃に関してのごみの焼却場、これはいま百トンについてどのくらいの金を予算に補助単価として計上しておりますか。それから補助率ですね。清掃の焼却炉、標準都市におけるごみの焼却炉ですね。
  204. 横手正

    ○横手説明員 四十四年度からは、いまお話のございましたような施設関係、これはすべて投資的経費として扱うというかっこうで考えております。したがいまして、清掃費につきましても、それらの施設の改修費と、それから従来すでに設けられた施設にかかる地方債の元利償還相当分、あるいは今後新設されるものにかかる地方債の元利償還費の相当分、こうしたものも実は単位費用に算入することにいたしております。なお四十四年度からは、清掃費関係の投資的経費につきましては、事業費補正を適用するということも考えております。そうしたことによって交付経費のかなりの充実がはかれるもの、かように考えておるわけでございます。
  205. 依田圭五

    ○依田委員 どうもなかなか抽象的な表現で、私のようなアマチュアにはよくわからないのですが、千五百万円でしょう。違いますか。百トンについて千五百万円の四分の一の補助率じゃないですか。
  206. 横手正

    ○横手説明員 四十四年度におきましては、四十三年度とたてまえをかなり変えておりますので、清掃費につきましては、実は標準団体におきましては清掃施設の改修事業費といたしまして五百万円、それから地方債の元利償還相当分といたしまして三百万円、合わせて八百万円を単位費用の積算基礎の中に算入をいたしております。この場合、清掃施設の改修事業費といいますものは、一般的な改修に要する経費を見込んでおりますので、ちょっと御質問のような形の組み方にいたしていないわけでございます。ただ、交付単位費用の積算を行なっておりますが、事業費補正を適用することによりまして、個々の交付事業を行ないます団体に対する財源の保障の面は十分はかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  207. 依田圭五

    ○依田委員 十分めんどうを見たい、また見ているはずだという結論について御質問しておるので、二万七千円、これじゃ四十歳の作業員は、運転手はやっていけない。あとで公営企業の問題でも聞きたいと思うのですが、行政職(二)表に準じてやっていけという点について、ちょうどこれは関連いたしますから——非常に過重労働なんですよ。事故の七五%から八〇%までは、地方公務員の中で全部清掃の従業員なんです。なぜかくも高き事故率を起こさなければならぬかという点に、あなたのほうではどういう配慮をしてくれたのかという点についても重ねて聞きたいと思います。それから、二万七千円という金額が、現在それでよろしいのかどうかという点についても、最後にもう一ぺん聞きたいと思います。
  208. 横手正

    ○横手説明員 四十四年度におきましては、ごみ関係の収集車の増をはかりましたり、あるいは別途職員費の増も考慮して、職員も八人ほど増員する仕組みにいたしております。  なお、清掃費関係では、今回の措置で、おそらく明年度は一千億をこえる基準財政需要額になるものという見込みを立てております。このうち、先ほど焼却施設等の投資的経費のお話がございましたが、明年度はこれを百六十七億円ほど見込むという見方をいたしております。これに対しまして、地方団体の実際に必要といたします一般財源額、もちろん地方債で一部見ますので、残りの一般財源額でございますが、これが九十二億円程度の見込みでございます。これは補助事業にかかるもの、それと単独事業費を合わせての話でございますが、九十二億円程度の見込みでございます。したがいまして、実は投資的経費におきましてはかなりの算入過大になっております。ただ、これは、普通交付税の仕組みが、現実に清掃施設の建設をやっていようといまいと、一応ある程度の金は需要額としては計算をしてまいる、こういう仕組みになっておるのでこういう形になっておりますが、こうした算入額からいたしましても、それほど見劣りのするものではないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  209. 依田圭五

    ○依田委員 清掃も、またひとつあらためてお伺いしてみたいと思いますが、公営企業で二、三の点について聞いてみます。  賃金の三条件を、この前、四十三年の十一月十四日ですか、一応自治省側から提示して、その中に、一つは、一般会計から繰り入れてはならぬ、それから一つ行政職(二)表に準じてやってくれ、一つは合理化を進めろ、こういう話なんですが、行政職(二)表に準じてやれという、これについて特に質問をしたいと思うのですが、間違いありませんか。こういう三条件を提示したことについて、また、これに伴って指導をいたしておるということについて。
  210. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 個々の都市の財政再建計画の変更に際しまして、給与体系の合理化という点について、各都市の努力を求めたいということは申しております。
  211. 依田圭五

    ○依田委員 結局それでやれということでしょう。ともかく、行政職(二)表を標準として、それに準じて公営企業一般の労働者は賃金をきめなさい、それ以上は認めないぞ、そういうような方向で強力な指導をするのだ、こういうお考えなんでしょう。それを聞いておるんです。
  212. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 都市の交通事業につきまして、行政職(二)表をそのまま適用していくということについては必ずしも私ども考えておりませんで、ただ、現在の行政職(一)表、各都市が適用しております表そのものはいわゆる年功序列型になっておる。この点は現在の公営企業実態からいたしますならば、その職務の能率なりあるいは実際に企業に対する貢献度なりというものが必ずしも給与の上に明確にあらわれておらないという点におきまして、もっとこの給与体系については合理的な体系が考えられるのではないか。そういう意味におきまして、各都市とも十分その点について検討してまいりたいということを申しておるわけでございます。
  213. 依田圭五

    ○依田委員 結局あなたのほうの指導というのは、行政職(二)表によらなくてもよろしい、それはスタンダードにしなくてもよろしい、こういうことをはっきりこの席で言っていただけるわけですね。間違いないですね。私が聞いているのはだいぶ話が違うのですがね。
  214. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 行政職(二)表をそのまま適用するということではなしに、こういう給与体系もあり、あるいは行政(一)表の給与体系もあるわけでありますので、私どもの要望しておる点は、行政(一)表の行き方は現在の交通企業については適当ではない、むしろ行政(二)表的な考え方になるわけだけれども行政(二)表そのままの適用はこれまた企業実態から適当とは思われないので、この行政(二)表的な考え方のもとに適切な給与体系を組み立てるべきだという考え方を出しておるわけであります。
  215. 依田圭五

    ○依田委員 どうもその行政職(二)表は、全然地方公務員の公営企業の職員と条件が違う、こういうようにはっきり思っておるわけです。全然内容が違うのだ。その認識をひとつ自治省持ってもらいたいということと、その次に、これは大臣に聞きたいのですが、都市交通の一元化の問題について、最近何か読売に出たりして、だいぶ自治省が構想を練っておるということをちょっと聞いたのですが、また読ましてもらったのですが、それについて御答弁いただけますか。
  216. 野田武夫

    ○野田国務大臣 御承知のとおり大都市の交通の現状が、まことに困難な段階に入っております。これの対策としてはいろいろな手が必要だと思っております。特にこの予算編成でも相当力を入れておりましたけれども、まだなかなか成果をあげませんが、過密の大都市はできるだけ路面交通から地下に交通を求めたい。それには地下鉄の建設費が非常に高い。高く金がかかる。今度、公営企業金融公庫の対象にもやっと話がつきましたけれども、とてもいまの補助率では容易ではない。これは別のことでございますが、そういうことで、一つ一つ何とか解決しなければいかぬと思っております。そこで、この都市交通の統一というようなことも、これはただ行政上の事務的な考え方でやりましても、実態を伴わないといけませんから、やはり一つの構想ではないか。それはどういうふうに進んでいるか。まだ私はその成案をもちろん見ておりませんし、一つの着想としては、やはり複雑多岐にわたっている交通網と申しますか、これをもっと便利な、しかもみんな楽になるというのはたいへんむずかしいでしょうが、できるだけ便利なものにしていく。そういう意味でございますから、やはり実態に沿うて考えるべきことだと思っております。そこでいまお話しの都市交通の統一問題は、いまも述べましたとおり、重ねて申しますと、やはり一つの着想じゃないか、こう思っておりますが、いままだ成案を得ておりません。
  217. 依田圭五

    ○依田委員 これは大臣、前の赤澤さんのときには、この問題を若干提起してくれたのですよ。問題は、実はどういう一元化方式をとるのか、内容について、せっかくマスコミの上に乗ったので、私聞きたかったのですが、何ら成案もないし、そんな徴候も、話もない、困ったものだという御答弁では実は困るので、私の調査したのは、何かそれらしいにおいがするのではないか、自治省もこの一元化問題をほっておくのではなくて、幾らか骨折ってくれているのであろう、こういう前提に立って二、三関係機関を当たってみたのですが、やはりあなたの御答弁のように、たとえば陸上交通の調査室、これは総理府の中にあるのですが、ここでも議題にのぼっておらない。運輸省のほうでやっている運輸審議会、あるいはその他の民鉄関係でやっている委員会にも議題がのぼらない。それから赤澤大臣のときにこれを舞台にされたのですが、交通閣僚懇談会、これは運輸、建設、警察と自治でやっているわけです。この席、これを唯一の舞台としてだいぶはっぱをかけていただいた。それでようやく若干の機運が醸成されてきた。あれはつい二、三年前なんですね。もう野田さんになってからもだいぶたつので、新聞にも出たし、さぞかしと思ってきょうは期待をもってこの委員会に私は臨んだのですが、さらにその程度であるということになると、一体いつ——おそらく歴史上いまぐらい一元化の問題が緊急な問題として客観的な条件を持っているときはないと私は思うのですが、いつどういう形でこれに取り組んでいただけるのか。総定員法その他、人間をふやしたり首切ったりすることには一生懸命でありましても、現下重要な緊要の問題に対してこのようなみこしのあげ方では私は非常に心もとないのですが、その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  218. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私もその重要性は認めております。またその話が全然ないかと申しますと、出ております。出ておりますが、御承知のとおり、それは国鉄、私鉄、それから公営とか、おのおのこういう問題をからんでおりますが、これが一元化の方向にまいりますと、私もいまちょっと申しましたとおり、総合的な計画を立てる、そうなってまいりますと、一番好ましい状態は、一元化でもっていけば能率があがってくるし、また対策の立て方も楽であると思っております。各省間の連絡というものが話題には出ておりますが、実はこの点で成案を得るまでにはいっていないということを申しましたのですが、それはどういうふうにして統一していくか。それから、たとえばいまの地下鉄にいたしましても、やはり都営と高速度とかいろいろなものが錯綜いたしております。とりあえず私ども考えておることは、現状でできるだけのことをやる。当然いまお話しの交通政策の基本に関することは並行して考えなければならない。どこの計画にいたしましても、特に公営企業の問題は、私どものこれは当然手を施さなければならぬ問題でございますから、それに対しては相当熱を入れてやっておるつもりでおります。いまお示しになりました都市交通の総合的な計画というものの案をつくります場合には、非常に各省間の折衝、それからその地域の意見もまた入れなくちゃならぬことでありますので、簡単にそうはなかなかまいらないのが実情でございます。これは率直なところを申し上げる。しかしこれは私は、やはり基本的には当然そこまでいくべきですし、実はときどきそういう発言はいたしております。実を言うとそれであらわれてきたのだと思いますが、それが非常にむずかしいだけに、逃げるかというとそうではなくて、漸次やはり各省間の調整もつけまして、成案を得るようにつとめるということが必要だと私自身も痛感をいたしております。
  219. 依田圭五

    ○依田委員 それをひとつ努力してください。  繰り入れ金の問題について事務当局のほうに聞きたいのですが、ことし工業用水とそれから上水について若干の措置をいたしました。けっこうなことだと思います。ただ公営企業全般について負担区分をもう少し検討してもらって、これをこういうような形で繰り入れる問題を考慮してほしかった。それが工業用水——当然上水もあるのですが、工業用水を中心に今回立案されておるということについて、私ぜひとも聞いておかなければならぬと思っておるのですが、十七条の二に公費負担の問題が出ております。企業法が変わりましたのは三年前ですか、あれから一体若干の手直しなり何なりいたしてきておりますかどうか、これをまず聞きたいと思います。
  220. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 その後この負担区分の関係の政令の改正は行なっておりません。
  221. 依田圭五

    ○依田委員 これはおかしいと思うのですよね。もう三年間近く、社会情勢も変われば経済情勢も変わる、それなのに全然公費負担の問題について、負担区分の拡充なり——縮小ということもあり得ると思いますが、過密現象あるいは過疎現象を背景にして、これは単に公営企業だけの責任ではないということは当局のほうもよくおわかりだと思いますから、当然拡充の方向に向かって何らか措置があってしかるべきだ。それが全然ないということは、しかも今年に限り工業用水と、申しわけのように上水について若干の繰り出しをするということは私は理解できないのですが、重ねて質問いたします。
  222. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この負担区分の問題につきましては、お説のように、確かに経済情勢の変動に伴いましてこの原則的な考え方について修正を加えていくということは当然検討していいことであろうというふうに考えておりますが、まだ現在の段階におきましては、その規定について修正を加えるという成案は得ておらない段階でございます。
  223. 依田圭五

    ○依田委員 それではさらに聞きますが、これは八賃や九賃の問題とも関係があるのですが、この企業法の改正ですから昭和四十一年ですか、三年ほど前に当時華山さんがこの委員会大臣に質問いたしまして、速記録に残っておるのは、ともかく改正をするけれども、あくまでも労使の問題でもって解決、決定を見たことは尊重をする、労働協約権、団交権を十分に尊重していきたい、こういうことを明言されておるわけですよ。たとえば九賃問題でも、労使間においてはすでに管理者との間で大体妥結しておるのですよ。これを再建計画の上に乗せてプランを立ててくると、自治省のほうはこれをキャンセルする、これを認めないという形になっておるわけですね。これは私おかしいと思うのですよ。負担区分について何ら考慮を払わないで、工業用水だけ——質問を続けますが、工業用水だけを取り上げるというような姿勢の中から、かつて法改正のときの代表質問の答弁に矛盾するような指導のしかたを公営企業に対して行なっておる。これは一体どういうように説明していただけるのですか。
  224. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 企業職員について認められております団体交渉権なりあるいは労働協約締結権というものにつきまして、再建団体なるがゆえにこの権利が制約されるものではないわけでございます。これは法改正のとき以来私ども一貫して変わらないところでございます。この昭和四十三年度の給与改定の問題につきましては、まだ私ども財政再建計画の申し出もない段階でございます。また内協議につきましても、まだ何ら各都市からの話し合いはございません。そういう段階で、この給与改定問題が私どもと各都市との間において具体的な話し合いが行なわれたことはまだないわけでございます。私どもは各都市からの話し合いがあります場合には、それによりましてそれぞれの実情に応じた取り扱いをしてまいる、こういうつもりでございます。  なお工業用水の問題につきましては、これは先般の四十一年の公営企業法の改正の際に国庫補助対象になりました工業用水道事業につきまして再建計画の対象外に置かれた経緯がございまして、その後所管省との話し合いをいたしまして、いわば公営企業法に漏れておりましたところの実質的な再建計画をつくらせて財政の再建をはかろう、こういう趣旨のものでございます。これまで各事業についてとられました措置と同様な措置をとっていこう、こういう内容のものでございます。
  225. 依田圭五

    ○依田委員 まだ九賃についての話がないから全然考えておらぬと言うのですが、これは話もないわけですよ。八賃の解決でさえまだ先月片づいただけなんですね。これはおととしですかぐらいの話なんですね。当然一年も一年半も前に解決をしておらなければならない。他の団体においては全部当然のごとく解決をしておるわけです、これは人事院勧告に基づくものですから。それが公営企業なるがゆえに一年も一年半も延ばされて、ようやく先月ぐらいに二、三年前のものが片づいておる。これは去年のものをまだ組合が話を持ってこないといって考慮しておらないのだという答弁は、答弁にならぬと私は思うのですよ。もし来なかったら、なぜこっちのほうから話を持ちかけないのですか。これはもう時間が半年一年もたっているのだから早く話を持ってこい、当然そんなことは常識だと思うのですよ。そういうことに何らの配慮もせぬで、工業用水なり何なりを特に優遇するということが私はわからないのです。  若干工水のことについて聞きますが、工水の原価は、通産から来ていると思いますが、どのくらいになりますか。上水の原価、これは全国平均でどのくいになりますか。私も資料を持っておりますけれども、御答弁願えばそれを比較してみたいと思います。
  226. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十三年の給与改定につきましては、いま申しましたように各都市からの内協議の申し入れもない段階でございます。私どもも給与改定につきまして重大な関心を持っておりますので、すみやかに各都市の方針を私どもに提示をしてもらいたいということを、すでに申してございます。各都市が具体的に考え方がまとまり次第、内協議に参りたいということを申しております。まだ私ども具体的な内容については全く知らない段階でございます。
  227. 花岡宗助

    ○花岡説明員 お答え申し上げます。  現在のコストでございますが、工業用水道のコストは平均で大体六・七円くらいでございます。上水が二十八円くらいになっております。
  228. 依田圭五

    ○依田委員 立米当たり六円七十銭ということですか。
  229. 花岡宗助

    ○花岡説明員 はい。
  230. 依田圭五

    ○依田委員 上水は二十八円ですか。これはあまりひど過ぎると思うのですよ。どうしてこんなに差があるのか。
  231. 花岡宗助

    ○花岡説明員 御承知のとおり工業用水道につきましては、国のほうから建設に対しまして補助金が出ておりまして、現在二〇%ないし四〇%の国庫補助金が出ております。それからいまの料金は表面の料金でございまして、料金の組み立て方が違いまして、工業用水道につきましては責任水量制という料金をとっております。これは一日一万トンとかあるいは二万トンとか、実際に水を使っても使わなくてもそれだけの料金を支払うわけでございます。それが上水道の場合には実際に使った量に応じた料金になっておりますので、それに換算いたしますと、工水の表面料金の実際上は三倍近くなるということが申せるわけでございます。  それから実際にかかるコストの内容でございますが、御承知のように上水道の場合は各家庭に非常に多くの一種の毛細管的な配管がなされております。したがいまして、何万という数の家庭の場合と、百のオーダーの工場に太い管で配管されるという場合と、配水管の建設のコストも違う。それからさらに要求されます水の質が、上水道の場合は飲める水でございますが、工業用水道につきましては工場で使うところの水であるということで、施設につきましても、飲む水の上水道につきましてはろ過池がなければならない。ところが工業用水につきましては沈でん池だけでございまして、ろ過池の建設は必要でございません。これが実際上、ろ過池というのが浄水場の建設費の半分ぐらい占めるということになりますので、たとえば浄水場の建設費が三億かかるものであれば、その半分の一億五千万円ぐらいがろ過池にかかるわけでございますが、工業用水はこういった施設は要求されないという事態がございます。  それからさらに、水の需要のピークが、上水の場合は、たとえば夕げどきは各家庭が一度に使うということで、非常にピークがあるわけでございまして、実際の契約水量の五割増し程度の配管を要求される。配水池の場合は非常に違いまして、上水でございますと、八時間分の水をたくわえるだけの容量のものをつくらなければならない。ところが工業用水でございますれば、契約量を換算して二時間分の施設をつくればよい。そういった非常に時間的なピークが違う。そのほかのポンプの施設でございますとか、沈でん池の容量につきましても、上水であれば四時間分の容量が要求されるが、工業用水は三時間分の容量で済む。こういったことが非常に違うわけでございます。さらに経常費を比較いたしますと、上水の場合は各家庭からの集金であるとか維持管理であるとかいうことで、非常に人件費がかさみまして、工水の場合の大体十二倍ぐらいの人件費がかかっております。それから薬品費はたいした量ではございませんが、やはり工水の四倍の経費がかかっております。  それから申し忘れましたが、上水の場合は、火災に対します消防の水を供給しなければならぬということもございますので、それをピークの水の施設の計算の中で使っておるわけでございます。そういった事情で、表面の料金で比較するような差は実質的にはないということがあるわけでございます。
  232. 依田圭五

    ○依田委員 なかなか通産省の御答弁でもっともらしく聞こえるのですが、どうも納得できない。というのは、大体あなた、東京で四円五十銭で還元水を出しておりますよ。それから飲める水、利根川の水を五円五十銭で出しておる。あなたの六円七十銭という数字がどこから出たか、私もあとで調べてみますが、それが一点。  それから、あなたは薬品で消毒するというけれども、塩素なりで弗素消毒しておるわけですよ。それでどのくらいかかりますか。ゼロから〇コンマ以下ゼロが十ぐらいついて、そうして何万人と死ぬような毒薬をちょこっと入れるわけですよ。これは都の場合だったらそこの浄水場を見ればわかるわけで、そんなものは一袋もあれば何年分とあるわけで、それが六円と二十八円の差になってくるとは私は常識でも理解できない。それから工業用水だっていろいろ処置をしておるわけですよ。たとえば化学的な水は、繊維あたりが使うのは相当水準の高い水を使っておるはずです。  私は時間がありませんから一口に申し上げますが、工業用水と上水について一体どういうぐあいに公費の繰り出しをするのか、数字をおっしゃっていただきたい、それが一点。それから交通とか病院に対して従来持ち出しておる公費負担分、それから助成分、その財源、これを短時間でいいですから、要点だけここで明らかにしてもらいたいと思います。
  233. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 公営企業につきましての繰り出し金は、まず水道事業について申し上げますと、前年度五十四億円の繰り出しに対しまして、繰り出し額八十八億円を四十四年度見込んでおります。そのうち新しい考え方のものとしましては、上水道につきまして公料金対策の繰り出し、それから水源開発についての対策費と、広域化対策という三つの項目について新しい繰り出しを考えておるわけであります。それから工業用水につきましては全く新規の繰り出しを考慮したわけでございますが、その内容は先ほど申しましたように、地盤沈下対策のための工業用水と、新産工特地域のいわば先行投資、工業用水道につきまして財政再建計画がつくられます事業につきましてこの繰り出し額を計算いたしておりまして、この額が三十億でございます。それから交通事業につきましては、昨年度の繰り出し七十八億に対しまして四十四年度九十五億、それから病院事業につきましては昨年度百七十億の計画額に対しまして四十四年度百八十五億の計画額でございます。それから下水道事業につきましては、昨年度の三百五十二億に対しまして四十四年度六百六十九億を見込んでおるわけでございます。それから簡易水道事業が昨年の六億に対しまして八億、それから市場事業につきましては今年度新しく四億円の繰り出しを計画しております。そのほか財政再建企業に対する繰り出しといたしまして、昨年度二十六億の計画に対しまして本年度六十九億、大体以上がこの繰り出し額の大要でございます。  いま申し上げましたのは、全部一般財源の繰り出しでございます。そのほかに地方債による措置といたしまして、起債につきましてはそれぞれの地方債計画によりまして、それぞれの企業会計に必要な地方債の計画額が見積もられておるわけでございます。いま申し上げましたのは、この地方財政計画上、一般財源措置すべき額として計上したものでございます。
  234. 依田圭五

    ○依田委員 これを政府のほうからやるときには、普通交付税と特交財源とあるでしょう。たとえば交通を例にとって、あるいは病院でもいいのですが、特交財源のほうが私は多いと思うのですよ。それの現実の交付率ですね、それから計画の上にのせました額とが相当な差額があることを私ちょっと気がついたのですが、具体的な数字でもって四十三年度の病院なら病院、交通でもいいのですが、言っていただけませんか。
  235. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 まず、昭和四十三年度全般について申し上げますと、地方財政計画上、繰り出し金の計上額が六百八十六億円でございます。これに対して、交付税で実際に措置いたしました額が四百十億円ということになっております。これは基準財政収入額の計算が、御承知のとおり都道府県分につきましては八割、市町村分につきましては七割五分ということになっておるわけでございまして、この差額はそれぞれの地方団体実態に応じた独自の経費に充てるということになっておりますことと、それからこれらの公営企業につきまして、事業を行なっております団体の中には不交付団体もあるわけでございますが、その不交付団体におきましては財源超過額をもってその財源に充てるということになっております関係で、交付税の実際の措置額と財政計画額との間には相当な差があるということになるわけでございます。たとえば病院事業におきましては百七十億の計上額に対しまして、実際に措置いたしました交付税額が七十三億二千万、こういう数字になっております。
  236. 依田圭五

    ○依田委員 百七十億に対して七十三億ということになると、四割くらいですか、非常に少ない額しか交付になっておらない。そうしますと、たとえば都営交通一つとっても路面の軌道の撤去、あれは去年の額で私は十一億と記憶しておるのですが、そんな金額はどこかへ行ってしまうと思うのですよ。大体特交から回して、特交はワクがきまっておりますから、せっかく財政計画の上で公費負担だというようにきめられましても、決算をしてみると、実際にいまの病院の百七十億に対して七十三億であるというような数字が随所に出てくる。その病院も、あなたは四十三年度をおっしゃったけれども、四十二年度は百六十四億に対してわずか四十億しか出ていないはずだと私は思うのです。もっとひどい率になっておるわけです。二割五分、四分の一ぐらいしか出ておらない。たとえば都市交通の場合に、知事が管理者じゃないわけです。それぞれの所管の管理者がおるわけです。また、首長といいますか、それぞれの知事さんなり何なりになれば、大都市問題でも何でもたくさんに需要があるわけですから、つい忙しいほうに回って、たとえば東京の都市交通の路面の軌道の撤去の問題でも、十一億くらいの金しか来ない。来なければ、あなたのおっしゃるように自由財源から回したらよろしいじゃないか、しかし、自由財源のほうは管理者の責任ではないわけですね。決定権はないわけです。そうしますと、宙に浮いてしまうわけなんです。しかも労働組合あるいは団体に対しては、独立採算だから赤字を出してはならない、赤字を出した分については締めつけをする、再建計画の違反であるということになるわけですね。一体どこへしりを持っていったらよろしいのですか。しかも企業外の責任が無数にあるわけです。東京都の場合、月に一万台近い自動車がふえておる。この前の委員会で、税法の改正で道路譲与税その他を私が詰めていったときに、せっかくの自治省措置が、大阪で千メートルの道路を改良あるいは舗装するのにしか費用が当たらないという実情の中で、すべてそれが団体の責任である、公営企業の責任であるという規定のしかたをしているわけですよ。十七条の二の負担区分の問題も三年間全然手をつけておらない。しかも外貨は三十億ドルをこえる、技術革新はある、経済情勢は変わってくる。工業用水は六円に対して上水は二十八円だなんというアンバランスのなおその上に、三十億も金をやろうじゃないか。しかもそれについては全総計画がまだきまっておらない。との五月でなければきまらない。まだ第四次試案の段階で、新産都市方式は破綻しておるんですよ。そのコンクリートされない段階で、どんどん工業用水に対して、先行取得の施設については未利用水に対して三十億も金を出しておる。おかしいと思うのですがね。なぜ負担区分について考慮を払わないのですか。工業用水だけを優遇するのですか。上水もあるけれども、上水の五十五億は全部消火せんなんです。しかも特交を財源にすると、金は四分の一くらいしかいかない。地方公共団体の自由財源でまかなったらよろしかろう、しかし都市交一つとってみても、これは知事の権限であって管理者の責任ではないわけですよ。決定権はない、出てきた赤字は全部公営企業の責任であるという、その辺にどうも矛盾があると思うのですが、それらをまとめて御答弁を願いたいと思います。
  237. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 確かに東京都の場合におきましては、財政計画上見積もりましても、交付税措置になりますと超過財源に消されまして、実質的には地方交付税の配分が行なわれない、こういう結果になるわけでございます。この点は現在の東京都に配分されております地方税源によって措置してもらうという形になるわけでございます。  なお工業用水の問題につきましては、すでに交通事業なりあるいは水道事業、病院事業等でとられております再建措置と同様な措置を、他の企業についてとられております措置とのバランスから、この工業用水についてはとっていこうという考え方でございます。この工業用水につきましては、やはりそれぞれの地方団体からいわば財政の再建計画を出していただいて、その計画に従って措置していく、こういう考え方のものでございますので、他の企業との間においてアンバランスが生ずるということはないというふうに考えておるわけでございます。その他各事業につきましてのそれぞれの財政措置につきましては、私どもも、財政計画上考えておりますものにつきまして、その地方団体財政実態に応じて必要な交付税措置はとってまいる、こういうつもりでございます。いま申しましたように、不交付団体におきましては現実問題として超過財源のために消されて、交付税が実際的には交付されないということにはなるわけでございますが、その他の交付団体につきましては、十分その辺を、財政の実情に応じた措置をとってまいる所存でございます。
  238. 依田圭五

    ○依田委員 時間がありませんから、意見だけ言っておきますが、大体六円と二十八円なんという、六円でさえ——四円五十銭くらいが実情なんです。そういうような実情の中で、これは理解に苦しむ。しかも自治省は、これは何も自民党政府の言いなりになる必要はないのであって、もっと自主性を持って考えてもらいたい。この前、税法の改正のときに、私通産省を呼んで——非課税措置だけでもって何千億という特権を与えておるわけですね。しかも小さな、ガス税や電気税の課税最低限をしぶしぶとわずかばかり上げておる。こういう点からいって、今回、あなたは再建プランを立てさせるのだ、だから他の企業との関係は不公平ではないのだと言うけれども、そんなことは理屈であって、なぜ三十億も工業用水に対して出すのですか。それならそれでけっこうだ。しかし、上水に対して今度のやつは申しわけ程度であって、全部消火せんその他に回ってしまう。それもいい、けっこうですよ。負担区分の明確化なんですから、一つの前進だと私は思います。しからば、それをなぜ他の公営企業一般に対しても——これは東京だけじゃないのです。東京なんかよりもむしろ地方にたくさん問題があるのですから、他の六千近い公営企業一般に対して公費負担の問題を、三年もたっておるのですから、若干考慮してもおかしくはないのじゃないか。経済事情も変わっておるんだ。全然その必要性を認めないという姿勢がおかしいんだ。これはもっと私の先輩の同僚議員にさらに詰めてもらいたいと思います。  きょうは、以上をもって私の質問を終わります。
  239. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は、来たる十五日火曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会