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1969-04-08 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月八日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥之助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    赤澤 正道君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       永山 忠則君    井岡 大治君       太田 一夫君    河上 民雄君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    有島 重武君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         自治政務次官  砂田 重民君         自治省財政局長 細郷 道一君     ――――――――――――― 四月八日  委員小濱新次君及び樋上新一君辞任につき、そ  の補欠として有島重武君及び大野潔君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月四日  ドライブインにおける酒類販売禁止に関する  請願外二件(井手以誠君紹介)(第三〇〇一  号)  同(池田禎治紹介)(第三一一五号)  同(福田赳夫紹介)(第三一一六号)  同外一件(藤本孝雄紹介)(第三一一七号)  同(三池信紹介)(第三一一八号)  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願佐々栄三郎紹介)(第三〇〇二  号)  同(華山親義紹介)(第三〇〇三号)  同(斉藤正男紹介)(第三一二〇号)  同(安宅常彦紹介)(第三二〇一号)  同(後藤俊男紹介)(第三二〇二号)  都営交通の職員に対するベースアップ完全実施  に関する請願佐野進紹介)(第三一一九  号)  料理飲食等消費税の減免に関する請願八田貞  義君紹介)(第三一二一号) 同月七日  ドライブインにおける酒類販売禁止に関する  請願外六件(赤澤正道紹介)(第三二八一  号)  同(田川誠一紹介)(第三二八二号)  同外二件(大坪保雄紹介)(第三三五八号)  同(河野洋平紹介)(第三三五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月七日  過疎地域の振興に関する陳情書  (第  二二一号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書  (第  二六三号)  過疎対策特別法早期制定に関する陳情書  (第二七九号)  広域市町村圏地域計画に関する陳情書  (第二八〇号)  町村財政充実強化に関する陳情書  (第二八一号)  町村議会議決権強化に関する陳情書  (第二八二号)  地方公務員定年制等に関する陳情書  (第二八三号)  消防施設整備促進に関する陳情書  (第三二一号)  地方財政確立に関する陳情書  (第三二二号)  地方税における青色事業専従者完全給与制実施  に関する陳情書外一件  (第三二三号)  公共用地先行取得事業債町村適用等に関す  る陳情書  (第三二四号)  料理飲食等消費税の一律課税反対に関する陳情  書  (第三二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)      ――――◇―――――
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石八治君。
  3. 大石八治

    大石(八)委員 野田大臣にお伺いいたしますが、昨年の予算編成で、四百五十億円を国へ貸せるというような措置をとったわけですが、その措置のことにつきまして、その後の委員会等で、もうそういうやり方はやらないという考え方を示されたわけですが、本年度、形は違うけれども、六百九十億円を政府に貸せるという措置をとったわけでありますが、これをあえてやった理由についてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 野田武夫

    野田国務大臣 四十三年度やりました大蔵省自治省特別措置でありますが、これは、お話しのとおり、今後かような措置はとらないということを言っておりましたが、さらに四十四年度で、いま御指摘の六百九十億の同じような措置をとったじゃないかという御意見でございますが、実は、同じ特別措置をいたしましたことは、形においてそうでございますが、内容的に異なるものがあります。それは、当初、財政当局から、四十三年度でとったような形の要望があったことは事実でございますが、これは私としては受け入れることはできない。すなわち、四十四年度財政措置影響があるということは一切私としては承認しがたい、こういう態度をとりました。そのときに、いろいろのいきさつがございましたが、結局において、四十三年度自然増収において——当時、大体七百数十億の自然増収地方財政にも含まれるということは大体の見通しがつきましたので、四十四年度財政影響がないという前提において、その四十三年度自然増収の額の範囲ならば——これは御承知のとおり、四十三年度自然増収は、交付税制度に基づきまして四十五年度ほか使えないということが明らかでございますから、四十四年度財政影響がなければ、つまり国財政計画に協力してもよろしい。しかし、四十三年度と違って、今度の六百九十億円は、いま申しました四十五年度ほか使えないいわゆる七百数十億円の自然増収が見込まれる、その範囲ならば一応考慮していい、こういう前提で、四十三年度、四十四年度にとりましたこの貸したとか貸すとかいうようなことにつきましては、内容においては、私は、今度四十四年度とりました措置は四十三年度とは違う、迷惑をしない、こういう前提でやったのでございます。
  5. 大石八治

    大石(八)委員 それは、補正予算を組むという問題が出てきたので、事実上において四十三年度配分をしたくてもそれだけの金に相当する算定基準なりその他の問題の処理をし直さなければならぬという、実質的にそういうことでなかなかできない問題もあって、したがって繰り越しが予想されるということの上に、初めて私は、この問題は事実上まあ実害がないという形でできてくるんだろうと思うのですけれども補正予算がないということであれば、いまのようなことはできなかったはずのものだろうと思うのです。その点につきましては、実はあまりそこの事情を長く聞いていてもつまらないので、省略をいたしたいと思うのです。  実は、必ずしも満足しているわけではない。ところが、そのことをやるときに、覚書大蔵大臣自治大臣の間にかわされたわけであります。それで、聞きたいことが一ぱいありますけれども、そのうち一、二だけに限定したいと思うのですが、その第一項で、当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととするとともに、昭和四十三及び四十四年度においてとられた特例措置を今後は避けるようにすることとし、別途、地方交付税年度間調整措置検討する。ということを、大蔵大臣自治大臣の間で覚書が交換されているわけであります。前段のほうの四十三年あるいは四十四年にとったようなやり方はもう今後は避けるということでありますが、別途、地方交付税年度間調整措置検討するということが覚書で交換された。この別途、地方交付税年度間調整措置検討する——いま検討段階かもしれませんけれども、このことについて自治大臣はどういうふうなお考えでこの年度間調整措置検討するというふうにお考えなのか、その点をひとつお伺いしたいわけであります。
  6. 野田武夫

    野田国務大臣 大蔵大臣と私との覚書内容は、文書できわめて簡単に出ておりますが、その内容の一部を御説明いたしますと、第一に、当時、その前から財政当局が常に主張してきたのは、地方交付税税率の引き下げをまず要求してまいったのでございます。これは申し上げなかったのですが、それは拒否した。そこで、いまお示しの、地方交付税については今後当分の間は触れない、これはいつも委員各位からも非常な強い御意見があるとおり、地方交付税というものは地方財政固有財源であるという筋を通すべきだというのが私の基本的な考え方でございますから、一貫してその主張を続けました。そこで、当分の間は地方交付税の問題についてはお互いに触れない、さらに、ごく最近に至って大蔵大臣も、地方交付税地方財政固有財源であるということをある委員会で私の目の前で明言いたしておるのでございますが、そういういきさつからいたしまして、一切地方交付税税率に触れないとしてきた場合に、当然これは今後の措置といたしまして、その年度によっては、たとえば四十三年度自然増収七百数十億、これは今後の財政事情によって変わりますが、それをただ大蔵省考え方大蔵大臣考え方でもって左右されるということは、たとえば、もっと露骨に申しますと、地方に金が行き過ぎる、少しこれを調整したほうがいいなんという考え方をされることはもってのほかでございまして、地方財政というのはますます充実確立、健全化していかなければならない。そのたてまえから、そういうことがありました場合におきましては、年度間調整は自主的にやるのだ、それが必要な場合が起こってくる、こういう意味でございまして、年度間調整というものは、財政当局の指示によってやるのではなくて、地方財政立場から自主的にやる、こういう立場年度間調整ということばを使ったのでございます。これは今後のいろいろ地方財政運営にあたりましては必要な措置ではないか、こう考えております。
  7. 大石八治

    大石(八)委員 これは、税率変更は、当分の間、相互に求めない。私は、当分の間というのは、あるいは行政事務の再配分とか、その他画期的な事業量の移転、移動というようなことになれば当然事情が変わってくるわけですから、そういうような制度的な変更がない間ば求めないという意味にもとれると思う。それに加えて、四十三年度及び四十四年度にやったようなやり方はやらない、つまり貸し借りはいたしませんということですね、ざっくばらんに言えば。そうなりますと、今度は年度間調整ということは自治省側の問題である。私も実は、主税というものは景気によって非常に伸びたり縮んだりする性格のものである。これからの景気というものがどういうふうな変化をするかわかりませんけれども伸びっ切りのときで交付税算定要素を規定しますと、今度は縮んだ場合に問題が起きるので、こちらの側において年度間調整をするという必要が今後出てくる。従来はあるいはそういうことを考えてもよかったのじゃないかと思うのですが、その自主的に年度間調整をいたしますということを大蔵省との間に覚書を交換したというのは、何となく年度間調整大蔵との間にもあるのですというふうにこの覚書だけだととられないこともない。しかし、四十三年、四十四年のようなやり方は今後避けます——避けるという意味もどういう意味かわからぬが、避けますといっているので、そうだとすれば、この年度間調整というのは、自治省側自分たちの中でやるのです、自主的な判断に基づいてやりますということは、自主的な判断に基づいて、ことしは銭が余りそうだからお貸ししてもよろしいですよという意味を含めた自主的判断ではなくて、こちら側の間でリザーブをしたり、あるいはそれから出していくような意味のことでなければならぬというふうに考えるわけですが、この点をお伺いしたいのであります。
  8. 野田武夫

    野田国務大臣 いま大石委員の御指摘のとおり、今後の地方交付税のあり方と申しますか、これは財政当局はこの税率に対しては一切タッチしない、こうなってまいりますと、今日のような経済事情が続く、また、これが伸びる、また、いま御指摘のとおり、これが低目になる、いろんな事情が起こってくると思います。そこで実は地方交付税税率に当分の間財政当局が触れないという前提を受けて、しからば、触れないが、今度の財政当局要望は、相当自然増収が大きく見積もられるから、地方財政相当余裕が出てくるのだ、したがって、四十四年度はこういう特別措置をしてもらっても、そう地方財政には影響がないだろうという考え方のようです、基本は。それは違うのだ。第一、地方財政というものは、ますます充実の必要がある。したがって、地方交付税率には一切触れてもらっちゃ困る、これはわれわれの固有財源であるから、こういうものを、一々そのときによって多過ぎるとか少な過ぎるということを財政当局から言われるということは間違っている。したがって、そういういろんな場合があることを想定するから、いまお話しのとおり、非常に伸び率が高いという場合は、これは自主的に調整していく。また、伸び率が低い場合はどうするか、こういう場合もあるから、それは財政当局が一々指示されちゃ困る。そういうことは自主的にやることであるから、これは確認しておこう。あなたのほうから、地方財政が今度は少し増して少し余裕があるじゃないかとかないとかいうことを一々指示されることは困るから、そういう調整は自主的にやる。つまり地方財政余裕があるからそうしたいという前提があったから、それは違うのだということと、そういう場合は私のほうで自主的にやるということ、財政当局は一切そういうことに触れないということを確認しよう、こういう意味において年度間調整という文句をこの中に入れたのでありまして、これはあくまでも民主的にやるというたてまえで、折衝の段階でいわゆる理解し合った、こういうことでございます。
  9. 大石八治

    大石(八)委員 税率に触れないということと、四十三年度、四十四年度にやったような借り貸しは避ける、まあこれもやらないということばでいいと思う。やらないというふうになると、自主的という問題をはずしても、大蔵省自治省の間で一体どういうことで年度間調整が一いま大臣大蔵との間のことではないと言いますけれども、ほかにどういう方法年度間調整財政当局との間にやる方法があるかないか私はわかりません。しかも、そういう大蔵との間の年度間調整ではないというふうに考えていいものですか、その点をもう一度お伺いしたい。
  10. 野田武夫

    野田国務大臣 それは大蔵省自治省との関係じゃございません。国全体の地方財政立場から自主的に年度間調整をやる、こういう方針でございます。
  11. 大石八治

    大石(八)委員 少し質問にすぱりと出てこないところがあるわけですが、それじゃ財政局長に伺います。  財政局長事務担当者として年度間調整というものを考える場合には、一体どういう計画といいますか、考え方をしているのか、その点を、いま野田大臣にお伺いしたのと同様な問題と、年度間調整をする具体的なやり方といいますか、そういう点について検討中でありましょうから、最終結論ではないにしても、どういうことがあり得るのか、ちょっと忘れましたが、地方制度調査会かどこかのほうでも、こういうふうな方法でというようなこともちょっと出ておりますが、その点について財政局長に一度質問したい。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 どういう方法でやるか、ただいま検討中でございますので、結論めいたことは申し上げかねますが、ただ私ども、ここ数年の交付税の成り行きを見ておりましても、非常に伸びが悪くて借り入れをして手当てをした年もございます。それからまた、昨年、ことしのように、かなり大幅に伸びた年もある。なるべく経済を安定的に成長さしていけばそういう心配はないと思うのでございますが、何ぶんにも国際情勢等いろいろございますので、やはり変動はあるものと考えていかなければならない。そうした場合にどういうことをするか、自治体それぞれが年度間調整をする、これはもう当然現在でもやっておるわけであります。先ほどもお触れになりましたように、交付税配分の基礎といったような問題もございますものですから、全体として年度間の調整をしていく、こういうふうに実は思っておるわけでありますが、具体的にどういう基準をもってやるか、たとえばかつての配付税時代には上下一割、前年と比べて一割以上伸びたらその分はとる、あるいは逆に少ない場合にはそれを取りくずす、こういったような制度も実はあったわけでございます。交付税制度になります際にも、年度間調整措置を入れるべきじゃないかというような経過も実は経ておるわけであります。  私どもがいまこういうふうに考えたいと思っております点は、地方財政自体をやはり計画的に運営をしてまいりたい。たとえば行政施設水準を引き上げるにいたしましても、五年後にはどういうところに持っていこうといったような考え方を除々に取り入れていきたいと思っております。そういった長期的な計画を一方でつくりながら、それに対して財源伸びがどうなっていくかということを考慮して年度間調整考えてみてはどうだろうかというような考えでただいま検討をいたしております。
  13. 大石八治

    大石(八)委員 そういうふうな考え方をしますと、ますますもって自主的という大田のいう考え方は、相手方との間においての自主的ではない、自分の中における自走的というふうに解釈をしなければ、五カ年という一つの一定という考え方伸びを見ていく場合の進度といいますか、そういうものに、財源のむらによってカバーすることができないと思うのです。リザーブするときはつまり財源的な余裕のあるときでありますから、その原資をいわゆる国のほうに渡すという場合であれば、その実際上にやろうとするやり方は私はできにくいのじゃないかと思う。その点についてもう一回、この年度間調整についての自治大臣としての立場、そういうものをぜひ明確にしてもらいたいと思うわけであります。
  14. 野田武夫

    野田国務大臣 先ほどもお答え申しましたとおり、いま御意見のあったいわゆる貸し借りの問題は今後やらないということを前提にいたしております。  それから第二は、地方交付税税率には財政当局は今後当分の間触れない。これはあくまでも地方財政固有財源として認める。  第三は、いま財政局長も申しました、私もお答えしたと思いますが、地方交付税が国の経済の推移によりまして相当変化することもあるわけで、相当伸びる場合を仮定いたしますと、これはやはりいまの行政計画性から考えて、その場合はこれをリザーブしておく。そうしてまた、経済情勢が悪化した場合に、財政上に相当影響がある場合はこれを調整してそれにてん補していくとかいろいろな方法をとって、少なくとも五カ年計画地方行政水準変動が起こらないようにしたい、こういう意味からして、その財政上の措置も、この計画影響がないような財政計画を立てていくのが一番好ましい状態であります。したがって、その年度によっての、つまり交付税の量、その他また増減によってこれらのものについては自主的に調整していって、今後の行政水準計画的に遂行するのが大裏なことだ。それを基本としてそう考えたらいいというので、あくまでも、しばしばお答えしておりますとおり、この年度間調整というものは自主的に調整していって、計画の遂行に支障のないような財政計画をつくっていきたい、こういう考えでございます。
  15. 大石八治

    大石(八)委員 その点をちょっと整理いたしますと、税率には触れません、貸し借りもいたしませんということであれば、いわゆる原資というものは確立されてくることだと私は思うのです。ここで野田大臣大蔵大臣の間に交換した覚書年度間調整というのは、今度は一歩下がって、私ども年度調整をいたしますから、景気が悪い年になって、交付税率ががたんと落ちたときもおねだりはいたしません、交付税率を三三%なり三四%に上げてくれというふうに直ちには申し上げません、内部的に年度間調整の中でそういう問題を解決していきますという、私は、極端に言えば決意を表明されたというふうに解釈しなければならぬ。借り貸しはしない、税率には触れないということであれば、両大臣の間に書いた覚書というものはそういう意味解釈されるというふうに思われるのですが、整理して、いまの私の見解はそのとおりと思ってよろしいのでしょうか。
  16. 野田武夫

    野田国務大臣 大体、大石委員の御解釈方針でわれわれはいきたいと思っております。
  17. 大石八治

    大石(八)委員 今度は六百九十億というものを、ことばはどうでもいいですけれども、貸せるという形にした。それで、それは四十五年度交付税に加算するということばが書いてある。しかし、そのところに、地方財政状況により、四十六年度、四十七年度に繰り延べてやることができるというふうに書いてある。このところの意味は、実は補正予算でなくて自然増収をそのままやるとすれば、ずばり四十五年度に欠けないで入ってくるものですね、これは。その四十五年度に入ってくるものを、地方財政状況により繰り延べることができるということが出ているのは、まあ覚書に書いてある第一段の原則からいうと、第三項のところに当該加算額の一部を四十六、四十七年度に繰り延べることができるというふうに書いてあるところに多少私はひっかかりがある。そうでなければ、四十五年度に全額ぴたり入るものが、補正予算を組んだので四十四年度に入ることになった。性格としては四十五年度にぴしゃり入ってくるものであるが、そういうことになる。そして、しかも借り貸しはいたしませんという文章からいくと、これはそのときにやったのですから一ほんとうは年度間調整を四十六年、四十七年に財政当局との間にするということに、地方財政状況によって年度間調整をやりますということが実はあるわけです。私はそう思う。しかしこれは、このことを両大臣がやるときの段階ですから、あるいはやむを得ないかと思うのですけれども、この原則のほうは、四十五年度にぴしゃりと全額受け取ることが、私はこの覚書の第一項の精神からいえば、分割しないでいくことのほうがたてまえの上ではいいんじゃないかというふうに思いますが、ここで四十五、六、七年に繰り延べることもできるというふうな表現になっている点について、少し御説明をいただきたい。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 精算でございますが、四十五年に出るわけでございますので四十五年に加算するという考え方を出しておるのであります。ただ地方財政状況等によって四十六年、四十七年にその一部を繰り延べることもできる、その際はまた法律でおはかりをいたしたい、こう考えております。その考えは、先ほど年度間調整のときの考えで申し上げましたように、やはり地方財政計画的運営という見地からこれを判断してまいりたい、かように考えております。
  19. 大石八治

    大石(八)委員 私は、これはこの日に一項、二項、三項をやったんだからやむを得ないという感じが少しいたしますが、第一項の年度間調整というものは、大蔵自治の間にやるという意味ではないのだという気持ちであれば、第三項において、法律上今度出ていますから、やむを得ないといえばやむを得ないのですけれども、これは一種の借り貸しではないが、繰り延べの問題になって、大蔵自治省の間の年度間調整になるという感じが実はいたします。これはこの日にやっているのだから私はやむを得ないと思いますが、今後の場合は第一項の精神でやってもらわなければならないというふうに、何となく——第一項できめながら第三項でその原則と矛盾しているような感じを受けないわけではない。これは法律で書いてあることですから別個でありましょうけれども、多少そういうような感じがしている点を実は訴えておきたいと思うのです。  そこで今度は、今度の改正の重点というところの説明がありますので、その点をお伺いしたいと思うのです。  大臣提案理由説明の二ページ目に、特に今度は「経常経費投資的経費の区分を明確化し、とくに投資的経費については、動態的な財政需要算定を強化する」ということばが出ております。いままで財政局長は、日本の交付税法は世界に冠たるものだ、それはその精緻の上で冠たるものだというような——私は確かに精緻とは思いますが、簡単にいって静態的に現象をとらえている。静態的にとらえる点においては精緻であるが、地方財政なり市町村の仕事の動態といいますか、動く状態、動かしたい状態というもののとらえ方において欠陥があるという点においては、地方交付税法にはある意味では性格上やむを得ない点があったと思う。しかし、今度その点を特にとらえて「動態的な財政需要算定を強化する」ということをうたっておりますから、この点について一体どういうふうに動態的に、動こうとするものをとらえてあげようとしておるのか、少し具体的に説明をお願いいたしたいと思います。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 経常と投資を従来はくるめて単位費用をきめておりました。それに補正係数をかけてまいりますと、経常費につきましても、投資費につきましても、同じような補正がかかってくることになるわけであります。一方、経費の内容を見てまいりますと、経常的な経費はわりに静態的なものであります。投資のほうは動態的でもあるし、それからまた、団体によって非常に変動的な経費でございますから、今回両方をむしろ単位費用としては区分をして、経常経費は静態的把握につとめていく、片方は動態的把握につとめていくというふうにいたしたいといのがねらいでございます。地方団体の側から見ましても、これが分かれることによりまして、需要の見積もりを自分たちのほうでやることもやりやすくなってくるというようなことを考慮いたしておるのでございます。
  21. 大石八治

    大石(八)委員 その点はひとつぜひやっていただきたい点であります。私は、過密過疎現象というものも一つの動態的現象で、今度の中で交付税算定という問題で行なわれる点があるのではないかと思うのですけれども、それらもこの動態的の要素の中のかなり重要なものの一部ではないか。必ずしもそういう現象だけが動態とは思いません。建設事業というようなものが一つの動態的なものであろうと思うのですが、しかし過密過疎現象というものも非常な動きの現象であります。特にこの点についての考慮は今度の交付税法の改正で検討されておるかどうかお伺いいたしたい。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 今回は過密地帯及びそれを取り巻く周辺の人口急増地帯、それから過疎の地帯につきまして、それぞれ抽出ではございますが、実態調査をいたしました。その結果を参酌いたしまして、どういう費目に問題が残っているかというようなことを検討いたしまして、人口急増地帯でございますれば教育費でありますとか、あるいは清掃費、それに道路、こういったようなものに重点を置き、過疎地帯でございますれば農業構造の改善でありますとか、あるいは教育費の問題でありますとか、そういったようなものに重点を置いてそれぞれの費目に手当てをいたしたのでございます。財政計画上も、そのそれぞれにつきまして計画計上いたしました結果、人口急増対策としましては、昨年は三百六十七億の計画計上でございましたものを、今回約倍増の七百二十億というものを計上してまいりました。また、過疎につきましても、財政計画上は昨年は府県、市町村を通じて二百九十五億でございましたのを、今回四百五億にふやすという措置をとり、それをそれぞれ交付税あるいは地方債等で財源の手当てをしてまいりたい、かように考えております。
  23. 大石八治

    大石(八)委員 この四十四年度交付税の全体計画の中の表を見ますと、都道府県と市町村と比べると、基準財政需要額の増加率というのが市町村に非常に多くなってきておる。金が非常に要るようになっているという数字もあるわけでございますが、都道府県に比べて市町村基準財政需要額が非常に強く伸びているわけであります。この内容は想像されるわけでありますけれども、その点について内容はどうなのか。しかもその伸びてきている財政需要に対して、その原因があるわけであります。それに対して、今度は交付税配分というものをどういうふうに意識的に行なわれたか、その点についてお伺いいたします。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 お配りをいたしました資料の四ページに、対前年の増加額の配分表が載っております。それでごらんをいただきますとおわかりいただけると思いますが、給与費、一般行政費等につきましては、従来と同じような計数で処置いたしております。投資的経費については、公共事業等の国の事業も含めまして、投資的経費を組んでおります。あと、土地開発基金、過密対策、後進地対策、その他といったふうにそれぞれ配分をいたしたわけでありますが、ただいまも申し上げましたように、現在府県と市町村の間では、市町村行政の需要が非常に高まってきておるし、かつ緊急性を示しておるわけでございます。反面、収入の面におきましては、府県税のほうが伸びがよろしいといったようなことがございます。そういったようなことから、結果においては、今回ふえる普通交付税、特別事業債償還交付金も入れて二千六百二十五億の三分の二も市町村のほうへ流れていくという見込みを立てておるのでございます。
  25. 大石八治

    大石(八)委員 この表の中で、実は市町村の部分につきまして調べますと、基準財政需要額の増加は、交付団体で二千六百億、収入額の増加は九百五十億、これはもちろん交付団体ですから対象になるわけですが、不交付団体の需要額の増加額は七百八十七億、それに対して基準財政収入額の増加額は五百二十五億、需要増加額に対して収入増加額が足りない現象が出ている。したがって、これは一つ一つの市町村に当てはめれば、不交付団体を続ける団体もあると思うけれども、これらの計数から言えば、何らかの市町村が交付団体に脱落する——脱落するという言い方がいいかどうかわかりませんが、計数としてはそういう形になっているのじゃないか。しかもこの交付団体、不交付団体の別は四十三年度、八月現在の区分だというふうにいわれております。したがって、不交付団体の変化というものが私はあるだろうというふうに考えられます。そのこと自体は、反面、市町村というものがいかに弾力性のない財政の中で困難になっているかという表現でもあろうかと思うのですけれども、その推移が想像されるので、それらの点について少し説明してもらいたいし、いまは不交付団体であるが、実は四十四年度では交付団体になるというような顕著な市なんかがあるのじゃないか。そこらについて説明の材料があればお伺いいたしたいと思うのです。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 確かに不交付団体から交付団体へ転化するものが相当出ると思っております。現在市町村で約百二十ほど不交付の団体がございますが、私どもの見込みではこれの半分近くは交付団体に転化するのではなかろうか、こういう見込みを立てておりまして、その分につきましては、この表で申しますと、「その他」の「その他」というところの交付団体の欄に百七億予備をとっておりまして、この中でその分を見込んでまいりたい、かように考えております。
  27. 大石八治

    大石(八)委員 従来交付団体である中で不交付団体になるものも市町村によってはあると思うのですが、それらの予測はありますか。そればないですか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 交付から不交付に転化するというのは、市町村の場合には非常にケースが少ないだろうと思います。と申しますのは、年々非常に変動する収入は何かといいますと、法人税割が大きいわけでございます。市町村でございますと、非常に片寄った工場があって、たとえば一つなら一つの大きな工場があって、それに依存しているようなところにそういう例が多少出てまいると思いますけれども、不交付から交付に変わるのに比べますれば、ほとんど数は少ないのではなかろうかと思っております。
  29. 大石八治

    大石(八)委員 われわれは、前回からもその都市税制、特に大都市税制ということで委員会のいろいろの論議もあるし主張もあるわけですが、私自体必ずしも大都市税制、指定市だけの問題ではない。いま聞きますと、その半数近くが交付団体になるという現象は、いまの税利で現状をそのまま維持していいものではない、それを交付税でカバーするということだけでいいのかどうかという感じが実際いたすわけでありまして、それらの点は、大臣、交付金との関係もあるわけでありますが、都市税制という問題を全体的にぜひ、いままでも言っていることでありますが、さらにひとつ突き進んで検討をいたしたい点でございます。
  30. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいまの質疑の経過を見ましても、御指摘のように不交付団体から交付団体に多数落ち込んでいかないかという、少なくともこれはいま御指摘の都市政策、ことに都市の財源、それから大都市の税制、これらも関連いたしまして、これは十分検討すべき段階に入ってきていると思っております。自治省といたしましても、この点を、現実にあらわれてもきている事態でございますから、その意味において都市税制について取り組んでいきたい、こう思っております。
  31. 大石八治

    大石(八)委員 あと二点であります。  今度は土地開発基金というものを交付税制度の中に取り入れたわけでありますが、何となく感じが、土地基金制度交付税で発足させるというのは、時代的な考え方でいえば私は一つの前進だと思うのですけれども、土地基金制度というものを交付税算定の形にすると、善悪は別としまして、何か交付税にひもつきになるといいますか、人口十万以上の市町村及び都道府県には土地開発基金というものをつくって、そうして交付税の対象にしていく、しかも自治省からも事前通達も出ていることであります。私はこのことがいいとか悪いとかいう意味ではないのでありますが、何か少し、交付税はひもつきでないという一つのものがあると思うので、それとこのこととは少しなじまないという感じがおおい切れないような、実はそういう感触があるわけであります。その点は一体どうなんだろうかと思いますが……。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 土地開発基金は、御承知のように、自治法で基金を設けることができるという一般的な規定がございます。それによって各団体でやったらどうでしょうか、実はこういう指導を一般的にしておるわけでございます。現に名前は違っておっても、そういう基金を持っている団体もあるわけでございます。私のほうも別に名称をどうでなければならぬというようなことは考えておりません。今回特に指導に乗り出すということは、先ほど来たびたび申し上げておりますような地方財政計画的運営、それはやはり「街づくり」「地域づくり」といったような将来の姿を持った上での計画的運営という方向に持っていきたい。そうして、多少恵まれた自然増収をその計画達成のために最も有効的に使ってもらいたいという指導を強くしようとしておる際でございますので、やはり公共用地の取得ということ自身が、将来の「街づくり」「地域づくり」にとっては何といっても基本になる。そういうことを最も機動的に時宜に適した措置で運用できる方法ということになりますと、私は一つ一つ予算にかけておりますよりは、やはり基金というようなものを持って機動的に運用するほうがいいんじゃなかろうかという感じから、自治法によります基金制度についての指導を実は一般的にいたしておるのでございます。現に四十三年度中につくったところもございます。  財源手当てのほうにつきましては、用地費というものをどういう形で交付税算定をしていくかという問題が実はあるわけでございます。用地費というものを、償却のない土地でございますので、これを一体どうやって財源に見ていったらいいだろうか、ことに年度ごとにどういうふうに見ていったらいいのか。用地費はすべて起債でやるという必要は私はないと思うのであります。やはり一般財源考えることだってあってよろしい。そういうふうに考えてまいりますと、本来ならば、交付税でございますから、いままでの行き方でいえば、たとえば都市計画費あるいは道路費といったようなものにそれぞれ用地費というものを配分して入れていくというのが本筋なのかもしれません。しかし事業の分量と用地費の分量というものは必ずしも比例するわけではございませんし、かたがた、先ほど申し上げましたように、将来の「街づくり」というようなことの基礎のための公共用地の先行取得の財源ということで、今回こういった積み立て金に充てられる財源についての財源措置をしたということでございます。したがいまして、これは交付税をひもつきに使用するというようなものでは私はないと思うのであります。
  33. 大石八治

    大石(八)委員 その場合、私は、交付税はひもつきではありませんけれども、いま多くの府県なり市町村が実際の必要に迫られてそういう態度をとってきておることに対して、財政需要として見ていくということで、現状がそういうものをやり始めて、たくさん出てきているのですから、必ずしもこれが絶対いかぬとは思わないのですが、しかしそのことからいうと、ことしは十万都市以上というのですが、その必要度というものは必ずしも十万都市ばかりに限らない。十万以下の市町村でも、当然同じ需要という問題に、実は必要にかられていると思うのです。したがって、その次は十万都市以下についてもこの制度考えていくかどうかという問題が一つと、それから、一体この土地基金制度の項目は暫定なのかどうなのか。ある程度までそういう基金積みをさせたら、この制度としては一応引き揚げるといいますか、そういう暫定的なものであろうという感じも多少いたしておるわけです、積み立てというような形のものでありましょうから。その十万以下のものについても配慮を続けるということであるのか。それから、暫定的だと考えているのか。そうだとすれば、それはどの程度の年数を考えているか。以上の点をお伺いしたい。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 十万がいいか悪いか、これはいろいろ議論のあるところであります。私ども、いままでの先行取得の地方債の実際の運営状況等からも見まして、一応十万程度ということで踏み切ったわけでございます。十万以下がだから要らないというわけではございませんで、もちろん必要なところもあろうと思います。その辺につきましては、ことしの実際の運営状況等をよく見た上で検討をしてまいりたい。さしあたって明年度はどうかということになりますれば、別途先行用地の取得起債も二百億用意いたしております。そういうものとのからみ合わせによって、緊急なものについては措置していきたい、こういうふうに思っております。  それから、この土地開発基金費の項目は、本年度限りの臨時措置ということで法案をお願いいたしております。この土地開発基金の積み立てというものを一体幾らぐらいにしたらいいのかということについても実はいろいろ検討してみたわけでございますが、なかなかきめ手がない。建設省あたりでは十年間に七兆円ぐらい要るというような見積もりも立てております。しかし、私どもとしても、これぐらいがいいのだという、まだそこまで到達をいたしておりませんものですから、さしあたって本年は十万程度の市で少なくとも一億、府県ならば四、五億というようなことで考えてまいりまして、実は六百億という措置考えたわけでございます。  明年以降どこまで続けるかは、いま申し上げましたようなどの程度までやったらいいかということを少し勉強さしていただきたいと思っておりますが、私は、財政事情が許しますならば二年あるいは三年程度続けてみたい、こういう希望を持っております。
  35. 大石八治

    大石(八)委員 多少そこに、普通交付税の中でなじむものかどうかという感じもうっすら残るわけでありますが、私は事の善悪については申し上げない。私は法律論はあまり好きじゃないほうですからあれですが、運用の上でこの問題はさらに検討する事項というふうに期待をいたしておきたいと思うのです。  最後に超過負担の問題を、例の三カ年計画その他というので、大蔵なんかで調べたもので、それは一応三カ年計画で解消する、それについては交付税についても何らかの措置考えるというようでありますが、その後、なお何か数項目について大蔵省との間に共同調査を始めておるものがたしかあると思うのですが、その超過負担の問題を少し説明をしていただきたいと思います。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年は警察施設整備費を含め五つの費目について調査をいたしました。その結果、超過負担率は六三・六%出てまいりまして、そのうち……
  37. 大石八治

    大石(八)委員 その五つの項目を言ってください。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 警察施設整備費補助金、統計調査事務委託費、職業訓練費補助金、農業委員会費補助金、保育所措置費補助金。その六三・六%の超過負担のうち四〇・五%は単独で処置すべきもの、こういう考えで、残りについてそれぞれその一部を処置いたしたわけでございます。これによりまして前年四十二年度に調査をいたしました六費目と合わせて十一費目について詳細な調査をいたしました。大体この程度の調査によって他のものは類似のものとして類推できるのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。その結果、本年度三百十二億円の超過負担の解消措置をいたしました。
  39. 大石八治

    大石(八)委員 その第二次の五費目も三カ年計画で解消するという形ですか。
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 一応そういうふうに考えております。
  41. 大石八治

    大石(八)委員 終わります。
  42. 鹿野彦吉

  43. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の地方交付税法の一部改正におきまして六百九十億円の特例措置が講ぜられておるわけでありますが、この点につきましては、十八枚目の本会議大臣のお考えをお聞きしたわけであります。また、ただいま大石委員からもいろいろ御質問があったわけでありますが、きわめて重要な問題でございますので、重複のきらいはあろうかと思いますが、私からももう少し大臣のお考えをお聞きいたしたいと存じます。  実は交付税の中からさいて、四十三年度におきましても四百五十億を国に地方公共団体から貸すという措置をいたしたわけでありますが、この措置が行なわれましたのは大蔵大臣は水田さんであり、また自治大臣先ほどまでおられました赤澤さんであったわけであります。この点につきましては昨年の本会議におきまして同僚、先輩の細谷議員からも各大臣に御質問を申し上げたわけでありますが、これに対しまして、大蔵大臣自治大臣も明らかにこういう特例措置は本年度限りであるという御答弁があったわけであります。国会の本会議におきましてそういうはっきりした御答弁をなすったわけでありますが、今度の国会におきましては、従来からそうでありましたように、大蔵大臣は福田さんにかわり、自治大臣野田さんにおかわりになったわけであります。私は、大臣が一年ごとにほとんどおかわりになるということ自体、国政の遂行上支障があるのではないかということを痛感しておったわけであります。昨年の本会議大蔵自治、責任ある大臣が御答弁になったことが、一年後にはそれが白紙に戻りまして、再び同じような措置をとられる、こういう事態に対しまして、自治大臣は国務大臣でもございますし、また閣僚として佐藤内閣のもとに一貫して政治を進めておられると思いますが、まず大臣として、そういう国会に対してはっきり答弁せられたことが一年後に変更になるということに対しまして、大臣としてどういうふうにお考えになりますか。その基本的な大臣としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  44. 野田武夫

    野田国務大臣 山本さんの御指摘になりました前年度の場合の処置について、今後なるべくとらないということ、これらにつきまして、四十四年度においてこの特別措置があらわれてきた。私は、基本的には、山本さん御指摘のように、やはり国会においてそういう発言をし、その態度を明示いたしました以上は、政治的におきましてはこういうことを再びとるということは好ましくないし、やはり避くべきことだ、政治的にまに国会関係における政府の態度といたしましても好ましいことではないという考え方は、私も大体同感でございます。
  45. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私なぜお聞きするかというと、自治大臣大蔵大臣との覚書交換ということは、これは内部的な事情ではあろうかと思いますけれども、それが一応国会で覚書のかっこうで正式に答弁になるということは、対国会の関係になると思うのです。それが一年後に変更になるということは、来年また大臣がかわらないということは保証されていないわけであります。また、かりに大臣がかわったといたしましても、覚書精神は生かされなければならぬと思うのであります。一年後に覚書が無視されるということ、あるいは国会の答弁が変更になる、著しい情勢の変化のない限りは変更になるということでありまするならば、私どもが今回の覚書についていろいろ質問をし、また大臣の確たる答弁をいただくということがありましても、来年またこの覚書変更になって新しい覚書がつくられる。昨年はこうでございましたが、ことしはこうでございますというふうに、国会軽視とまでは言わないにいたしましても、同じ情勢のもとに毎年変わっていくということは、覚書の保証といいますか、それがいつでも白紙に返されるというふうな印象を受けるわけでありまして、今後、今回の覚書について質問をし、また大臣の答弁をいただくといたしましても、それらの問題がどう保証されるのか、いわばずっと生かされていくというのかどうなのかということを、これは地方自治体の将来にとりましてもきわめて重要な問題でございますので、重ねて、現自治大臣とされても、また現大蔵大臣、あるいは将来の大蔵大臣も、著しい情勢の変更のない限りは、今回の覚書は必ず保証されるのだ、守られていくのだ、国会に対する答弁というものは尊重されていくのだということになりますのかどうか、御所見を承りたいと思います。
  46. 野田武夫

    野田国務大臣 非常に重要な問題でございまして、私も山本さんの御意見、傾聴いたしております。また、政治の筋といたしましても、これは簡単に取り扱うべきことでなくて、やはり政府と国会の関係、さらに基本的な地方財政の問題に大きな影響を持っているものでございますから、単なるその場限りのお答えを申し上げるということは私としてはできないのでございます。ここにこのときの大蔵大臣と私の折衝の内容がございます。それはいまここにその結果があらわれてきたのでございます。第一は、これは一々これには書いてございませんが、前大蔵大臣と前自治大臣の申し合わせを国会に表明されて、今後はこういう措置はとらない、できるだけ避けるという返事がその当時あったということも私は知っております。決してこれは知らずにやったことではございません。それが第一点。  第二点は、一番基本的な問題である地方財政確立ということが私の任務でございますから、この二つの観点から覚書を交換したわけでございます。  第一の問題につきまして、その間の多少の事情を申し上げますと、御承知のとおり、財政当局から要望のありました交付税税率の問題が出てまいりました。これは事実でございます。それと同時に、それがかなわなければ、やはり財政硬直化というたてまえから国のいわゆる予算編成に協力を求めたいというので、次の税率の問題が私の協議いたしました結果としてあらわれてきたので、最初からこの措置をとるように大蔵当局から言ってきたのじゃありません。そこで、その点はこの覚書に書いてありますとおり、税率に触れないということは御承知のとおりであります。  第二の問題として、四十三年でとられた措置と同様な措置をとるということはどうか。だんだんこれを煮詰めてまいりまして、四十三年と同様の貸し借りという金の性質——貸し借りの形は別でございますが、性質のものならば私は拒否する。それは地方財政影響のある金を、また四十三年と同じような措置はできない。それから、その当時の大臣も、今後やらないということを言ったということを聞いておるから、再び同じような手を打つということは私としてはできないのだと拒否いたしました。そこで、そのときいろいろな措置として、しかし国の財政立場からして、予算編成ということでございますから、これはやはり政府一体のもちろん国の財政でございますから考えなければならぬから、そこでざっくばらんに申し上げますと、それは財政硬直化で予算編成に非常に支障を来たすならば、地方財政としてのできる協力はしてもよろしい。決して地方財政が協力しないというたてまえではないのだ。そこで一つの案とか二つの案を出しまして、たとえば、これはいいか悪いか別でございますが、案をざっくばらんに申し上げますと、つまり繰り上げ償還その他の方法でやったらどうか。一切四十年三度と同様の措置はごめんこうむる、こういうことが出てまいりました。  そこで、いろいろやっているうちに出てまいりましたのが四十三年度自然増収の問題であります。その自然増収は、大体そろばんをはじいてみますると、その当時の予算編成のときに一応の推算ができまして、七百数十億は地方交付税としての自然増収が見られるということが折衝中に大体明らかになってまいりました。そこで、その結果、これは大蔵大臣は私にはっきりいわゆる確答はいたしませんでしたが、実は私の要求は、ここに書いてありませんが、自然増収が七百数十億見込まれるならば、ひとつ補正を組むか組まぬか、補正を組むという前提があれば考えていい、こういうことが私の条件でございました、打ち明けますと。しかし、その当時は、まだ大蔵当局も補正を組むという明言はできませんでしたが、一応私の感触はそういう筋にいくのだろう。もう一つは、山本さんにこの前も申し上げましたとおり、四十三年度自然増収は御承知のとおり七百数十億出てきても、これは四十五年度しか使えない、こういうことがあるから、四十四年度地方財政には影響ないということが確認される。  ただ、もう一つ、私もっと露骨に申し上げますと、当然これは補正で出てこなければいかぬ。しばしば私は財政当局と折衝いたしまして、別にこの覚書に出ておりませんが、確認の、つまり全面的に大蔵当局が承認したんじゃございませんが、地方財政を守る私としては、諸般の情勢を勘案いたしまして、一応そのような状態が出てくるんだろうという推定を私はいたしておりましたが、これは別に大蔵当局と直接約束したことではございません。  そこで、いま山本さんの御指摘のとおり、これを毎年繰り返すということは、この前もそういうことを政府としては国会に申し上げておるし、また私が最初申し上げました好ましいことでないという前提で、次々にこの問題の処理を、こういう事態にならないようにやってみましたが、結論は大体、基本的な問題として四十四年度地方財政には影響ないという見通しを私立てたものでございますから、それらを勘案いたしまして、やむを得ざる措置と申しますか、私としては不本意な措置でございましたのは事実でございますが、今後はやらないということをさらに再確認しよう。第一に、地方交付税税率に触れないということ、と同時に、今後こういう特別措置はやらないということを、ひとつ覚書で明言しなさい。そこまでいかなければ、地方財政確立のために、また国会に対してわれわれ政府の態度としても申しわけない。だから今度は、はっきりと覚書でそれをやってもらいたい。こういうことで、私は、御指摘のように、こういうことを次々やるということは好ましくないという考え方をいまでも持っております。
  47. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 四十三年度補正予算の増額が、四十五年度にあらわれてくるという問題につきましては、これはいろいろ意見の分かれるところだと思うのでございますが、昨年の例も、たしか交付税の特別会計におきましては、二百五十億でしたか預金部資金から借り入れて、これを配分したという例もあるわけです。七百数十億の財源があるということになりますると、特別会計としても来年度交付税配分におきまして、直ちに借り入れ金の措置ということも私は可能になってくるんじゃないか。だから、それは四十五年度に返す——これはあとてまた申し上げますけれども、四十五年だからいま貸しておけばいいんだということの理由にはならないと私は考えるわけです。問題は、昨年、今年度限りという国会に対する言明に対して同じあやまちをおかすということは、今回、野田自治大臣がかわされました覚書、これも国会におきましてそれに関連するいろいろな言明をなさり、また委員会におきましても十分審議を尽くされると思うのでありますが、いずれにいたしましても、一年後に保障されないような覚書は重大な意味を持たぬということになるのではないかということを私は心配をするわけであります。したがって、野田大臣予算編成の折衝における御苦心、御苦衷につきましては、あらゆる機会にお聞きをいたしておりますのでわかるわけであります。しかし、地方自治体の将来を考えますと、政治の姿がそういうことであってはならないのだ。私は地方自治体に対する認識が政府としてまだ足りない。いわば佐藤内閣の地方自治体をどう育成していくかということが明瞭になっておりまするならば、国会における言明というものはあくまで尊重せらるべきである。多少地方自治体の財政が好転しているというようなことによって、地方自治をどう育成していくか、あるいはこれを盛り育てていくかということが翌年度直ちにぐらつくというようなことは、いわば地方自治体に対する内閣の信念を疑わざるを得ないというふうな感じもするわけであります。したがって、少し強く大臣を責めるわけでありますけれども、そのことは、今回の覚書を、将来にこれが十分生かされるのだという意味におきましても、私はこれを代々の自治大臣なり大蔵大臣が守っていただくということが保障されるのかどうか、その点をもう一回お聞かせいただきたいと思います。
  48. 野田武夫

    野田国務大臣 御意見をお聞きしまして、私自身全く同感でございます。それはなぜそう申し上げるかというと、私は参議院の予算委員会かと思っておりますが、地方財政の好転という問題が出てまいりましたときに、私の前に大蔵大臣からいろいろな御説明がありましたあとで、これは別に政府全体——私も政府の一員でございますから、財政当局地方財政に対する認識が違うのだということを私はっきり申しました。だから私は、いま山本さんの御指摘になったことを、別におことばのとおり申し上げるのではなくて、私自身がそういう発言をいたしております。そこで自分としての、つまり自治大臣としての地方財政に対する認識と大蔵当局の認識が違うのだ、そこで好転と——ややそういうきざしは見えるけれども、豊かではないという議論を私はっきりいたしたことがございます。この国会でもそうでございます。  そこで第二に、私はこういう場合でございますから申し上げますが、従来予算折衝の段階におきましても、大蔵大臣からは交付税税率の引き下げの要望がございました。これは内部のことでございますが打ち明けて申します。そこで、この覚書で、当分税率に触れないとなりましたが、私どもの一貫した主張というものは、地方交付税地方財政の国有の財源であるということが最初からの一貫した主張でございまして、これは国有の財源としては最初どうも認めていなかったと思うのは、税率の引き下げを要望するところにあるのですから、私は認識の違いだ、そこでその結果、この予算編成覚書の結果、先ほどもちょっと大石委員にお答えしましたが、大蔵大臣も私と同席いたしました委員会で、地方交付税地方財政固有財源でありますという答弁をいたしました。私はまあ覚書を交換した効果はあったなとほっとしておりました。打ち明けたことを申します。  それから第三に、自主年度間調整というものが出ております。これは自主的にやるということは先ほどからお答えいたしておりますが、こういうことからいたしまして、まず覚書の最初に今後こういう貸したり借りたりということをやらないということをうたっておりますが、こういう面からして、つまり今後交付税というものは地方財政固有財源であるということを認めたということが一つと、第二には、自主的に年度間調整をするということからいたしまして、これは今後二度も三度も四度も大蔵当局が国の予算をつくるために、便宜上地方財政に手を入れて特別措置の要求をするなんということは、私はもう、もしも要求しましてもこれは拒絶する理由が出てまいっておりますが、あり得ないと、私自身はそうかたく信じております。しかし、これは、御指摘のとおり、この前にもそういうことがあったりしたんじゃないかというおことば、それは返すことばはございませんが、私自身は、今度はこの大蔵大臣との予算折衝は、いわゆる地方財政の根本的な確立の重大な岐路だと考えましたので、私も相当強い態度で地方財政を守らなきゃいかぬというか、これは当然の任務でございますから何もどうということはございませんが、できるだけの努力を重ねた次第でございまして、いま御指摘のとおり、覚書の初めに、今後こういうことをやらないということを申しましたのは、当然大蔵当局も理解してくれた、私自身はそう信じております。政府全体としても、この問題は十分理解し認識した、私自身はそう考えております。
  49. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、今回の覚書はある程度権威のあるもので、将来にわたって保障されておる、来年度また覚書を蒸し返しをするということはないのだということを大臣は、政治節操の問題からいいましても、はっきりそういうふうに了承してよろしゅうございますね。  そこで、昨年の貸し借りがことしも蒸し返されたということにつきましては、すでに大臣の答弁もいただいておるわけでありますけれども、すでにくどくどと大臣の御説明を聞きましたように、地方交付税性格なり、あるいは今日の日本の経済景気調整といいますか、そういう問題、それにどう地方行政が協力する、それと、地方財政の現状ということについて昨年話が煮詰まっていなかったのだ。いろいろほかにもありましょうけれども、この同じようなおも立った問題についての三点が、昨年覚書交換の段階においてはっきり大蔵省も認識をし、政府としてもこの点について本年度限りと言い切る段階において、その基礎的な論議といいますか、この三点について話が煮詰まっていなかったということが、今回さらにこの問題が再燃するというきっかけになったと思うのであります。そのうちの一点の地方交付税性格につきましては、自治大臣みずからがお話しになりましたように、また、私も大蔵大臣の口からも、これは地方自治体の固有財源であるということの言明を聞いておりますので、この点につきましては問題はないというふうに考えます。  ただ、地方財政が国の経済政策である景気調整機能に協力するかどうかという点、これと、地方財政が国より好転といいますか、国との関係におきましてある程度まで余裕が出てきた。これは確かに余裕が出てきたということは私ども認めておるわけであります。それがほんとうの地方自治を推進する上の余裕であるかどうかということにつきましては、これは議論の分かれるところであり、大蔵省の認識がまだまだ足らないのではないか、しかも国と地方財政との関連におきまして、いわば諮問機関があるわけですね。大臣も御承知のとおり、大蔵省の諮問機関として財政制度審議会があり、自治省の諮問機関といたしましては地方財政審議会あるいは地方制度調査会があり、これを両方に諮問いたしますと、財政制度審議会は大蔵省の期待するような答申になり、地方財政審議会あるいは地方制度調査会自治省なりあるいは地方自治体の期待するような答申になって、国と地方団体が、地方財政計画にもございますように、同一基調のもとに国民の福利増進をはかっていくというたてまえでありまするならば、これらを早く意見調整をしておきませんと、いつまでもこの問題は、いわゆる景気調整の問題にいたしましても、あるいは国と地方との財政関係、この問題がいつも論議の対象になり、先ほど大石委員も言われましたように、私どもの特に要望しておる、将来にわたりまして自主財源を中心とする地方財政確立をはかるというような問題がいつまでもびほう的な措置で終わり、根本的な制度の改正ということがおくれていく原因にもなろうかと思うのであります。この覚書作成の段階に至るまでのあとの二点の論議ですね、この論議がはたして十分煮詰まったものになっておるのかどうなのか、それが今回の覚書が将来にわたって守られていくという基礎になるのではないか、かように私考えますが、折衝の過程におきまして、特に景気調整機能に地方財政が協力するかどうか、あるいは地方財政の現状をとう認識しておるのか、——これは主として大蔵省側の認識あるいはその背景にあるところの財政制度審議会の関係者、これらとの関連におきましてどういうふうに話が煮詰まったのか、そこまでに至ります現状につきましてのお話をお聞かせ願いたいと思います。
  50. 野田武夫

    野田国務大臣 予算編成期によく行なわれる国の財政地方財政の関係、これは折衝の経過におきまして非常にいろいろな意見が出ておりますが、たとえばいま御指摘になりました財政制度審議会また地方制度調査会また地方財政審議会、こういうものとの意見というものがはたして調整できているかどうか。もちろんこれは背景ですが、大蔵省自治省のほうが、露骨に申しますとそういう話し合いがどこまでいっているか、私は非常に大事なことをお聞き願ったと思っておりますが、たとえば景気調整の問題も実は予算編成期に出てまいりました。そこで国は経済の伸長率をどの程度に押えるとか、あるいは過熱状態はどうか、あるいは財政の硬直化、いろいろなものが出てまいりました。したがって、地方財政も国のこういう景気調整と同じ歩調でいっていいかどうかということなのでございますが、これは私はおのずから使命があるんだとその当時も話したのでございます。国の経済政策と地方における経済財政政策とおのずから道行きがある。たとえば景気調整にいたしましても、地方財政におきましては、その負担しているところは、たとえば中小企業というようなもの、こういうことから考えまして、国の志向する景気調整地方考えなければならぬ景気調整というものは、一体としてはなかなかむずかしい点が多いのじゃないか、私はこう思っております。これらにつきましても、これは当然大事なことでございますから、やはり重要な討議をやって一応の方向をきめる、それから、たとえば行政面におきましても、御承知のとおり、いま私どもはできるだけ行政の簡素化とか行政の改革に向きたい。できれば零細な補助金なんかはやめてもらって自主的にやりたい。あるいは行政の区分、財政の国と地方配分というものを原則的に討議して一応の目標をつくりませんと、やはりいまの御指摘のようないろいろな問題が起こってくる。しかし、今日の段階でそれが明瞭になっておるかどうかと申しますと、遺憾ながらまだはっきりいたしておりません。これはざっくばらんに申し上げますが、たとえば補助金整理の問題でも、行政の区分の問題でも、いろいろ出ておりますが、われわれの希望するのと国全体の考え——大体考えは一致しておりますけれども、実行の上において非常にまちまちであり、実現しない点が多い。非常に遺憾に思っております。私は、こういうものはひとつ根本的に討議、検討して、そして一応の目標を立てる必要がある、こう痛感いたしております。
  51. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、いわゆる景気調整機能の問題あるいは地方財政の現状認識の問題等については、覚書作成の段階まで、まだ大蔵省自治省との間におきましては一致を見ていない点があるというふうなことでございましょうか。
  52. 野田武夫

    野田国務大臣 いま私が御説明しましたのは、大蔵省自治省意見が一致していないということではございません。政府全体の動きの中で、大蔵省自治省だけではやれないことがたくさんございます。これは財政面でもそうでございますし、また行政面でもそうでございます。ただ、大蔵省は、いろいろの経過を説明した場合に、その点については相当理解したということを私は認識いたしております。そこでこういう覚書に出た、こういう経過でございます。
  53. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 主として事務的折衝をなさいました財政局長さんから、大蔵省との間でどの程度までそういった事務的な煮詰め方をなさったのかお聞かせ願いたい。
  54. 細郷道一

    細郷政府委員 私も長いこと地方財政問題で大蔵省と折衝を繰り返しております。以前に比べてずいぶん認識が高まってきた。高まるばかりでなく、非常に考え方の一致する面も多くなってまいりました。やはり、地方で単独事業とわれわれ呼んでおりますようなものについてもっと伸ばすべきものがあるのじゃないか、あるいは補助金などについてももっと整理をしていくべきものがあるのではないかというようなことについては、実はかなりの一致を見ておると思っております。しかしながら、やはり国は国庫財政というものの角度でどうしても分析をし主張をいたします。私どももまた地方財政という立場で主張をし分析をするということからくる相違は、どうもそれぞれの役所の立場としてある程度はやむを得ないのじゃないか。また、そうあって大いに議論をするところに前進があるのではなかろうかという気がいたしております。全般的に申しますれば、かなり認識の相違の幅は狭まった。私どももまた、国の財政事情等につきましてもだんだんに勉強をしていくべきじゃなかろうか、かように考えております。
  55. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 地方財政という観点からも、国の財政地方財政との関連を明瞭にしておくことは必要だと思うのですが、地方自治体の問題を考えてみました場合に、いまの経済成長といわれるこういった時代に、国の経済政策が先行いたしまして、地方自治体が経済政策に追従するというふうな傾向が出てまいりますと、本来住民自治でその地域の住民の生活環境あるいは健康、これらの問題にどう対処していくかという本質の問題になってくると私は思うのです。公害の問題もそうでございますし、すべて地方自治体の首長は全部地域の住民の生活あるいは健康、そういったことを行策の第一次的な問題として考えておるわけであります。もっとも豊かな生活をする経済生活の保障ということがなければならぬので、いわば経済生活の向上ということも、当然国の経済発展と関連いたしまして地域住民にとっては重要な問題でありますが、しかし、それがややもすると住民のいろいろな生活環境を犠牲にして、財政制度審議会の方々の一部で考えておられるように、適当に地方自治体を繰作しようとする、本質を離れて考えていこうというような傾向に出てまいることをおそれるのでありまして、その意味からいきましても、予算編成期の短期間のうちに一応決着をつけなければならぬということもあろうかと思うのでありますが、自治省として十分主張なさる肝心なことが、ある程度で妥協せざるを得ないという結果になると思うのであります。したがって、常に自治大臣財政局長も、財政を通じて地方自治体の使命といいますか、性格というものについてのPRを十分していただかなければならぬ。すでに地方制度調査会には今後の府県制度のあり方あるいは市町村のあり方等についても御諮問になっておられるようでありますけれども、そういうところで煮詰まった自治体の問題を、その裏打ちとしての地方財政で国との関係をはっきりしていただきませんと、好むと好まざるとにかかわらず、さらに予算編成期におきまして覚書精神が生かされないような妥協をせざるを得ない。これは同じ内閣の中でありますので、とにかく予算編成を終わらなければならぬというせっぱ詰まった時期に制約をされて、大臣の御意思に反したような結果になることが将来もあり得るのではないかということを私は懸念いたしますので、くどくどと申し上げたわけであります。本年度は、地方交付税性格だけは、大蔵大臣固有財源だということは言明されているが、村上事務次官あたりは依然として固有財源だということについての了承はしておらぬと思うのであります。それだけは了承した。しかしあとの問題につきましても、あらゆる角度から地方自治体の実態あるいはあり方、あるいはそれに関連いたしましての地方財政、これをどうぞ御主張願いたいと思います。そういたしませんと、行政監理委員会でございますかの答申になっております国、地方を通じての事務配分とこれに対する財源配分、さらに私ども地方税制のときに論議をいたしましたように、今日大都市をはじめ中都市が財源に困っておる問題が早期に解決しないで、こういう交付税が少し多く行き過ぎるとかなんとかいう問題で中途はんぱに終わってしまう、根本的な問題が解決しない、その促進にならないということになりますので、十分その点を推進願いたいということをお願いいたしておきます。  そこで、すでに尽きてはおると思いますけれども、この覚書内容につきましてもさらに大臣の明快な御回答をいただきたいと思うのでありますが、「当分の間」という問題は、先ほど大石委員からも御質問されたわけでありますが、これは将来国と地方との行政事務あるいはそれの裏打ちとしての財政問題のいわゆる基本的な改革のあるまではという意味だということを、本会議でも自治大臣からも大蔵大臣からも御答弁をいただいておるわけであります。これは間違いないわけでございますね。
  56. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、ただいま前段にお述べになりました地方財政に対しての非常な御熱意に対してむしろ感謝しております。私、いつまで自治大臣かわかりませんけれども、少なくとも来年度予算編成にはタッチするわけでございますから、その点十分心得ます。私はひとつそういう信念でやりたいと思っておりますから、その点いろいろ御指導やら御鞭撻をお願いしておきます。必ずやります。  それから、第二の「当分の間」の問題は、そのとおりでございまして、これは少なくとも根本的に、国の財政地方財政計画と申しますか、そういうものがきまれば、これはまたそのときの改革案の内容によっては変動がある。というのは、それは現在の地方財政に対する、つまり交付税というものは、先ほど山本さんもお話しのとおり、大蔵省もこれは固有財源として認めますということを、腹をきめたのですから、いろんな変革がある場合は、これは計画政府全体でやる場合、地方財政計画、国の財政計画、それに関連する地方財政とのいろんな検討、こういう場合は、これは変革の場合でございますから……。しかし私どもは、あくまでもこの地方財政確立ということは、もう当然われわれの大きな任務でございますから、いまの「当分の間」ということばは、私どもがしばしばお答えいたしておりますような意味でございますから、私は不安なく地方財政は当面この実態を堅持していく、さらにこれを確立していきたい、こう考えております。
  57. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、昭和四十三年度、四十四年度にとられた特別措置を今後は避けると、こう多少字句が穏やかになっておりますね。これはこういう措置はしないということに了承してよろしゅうございますね。
  58. 野田武夫

    野田国務大臣 しばしば申しますとおり、そのとおりでございます。
  59. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、先ほど御答弁をいただいたようでありますけれども地方交付税年度間調整措置検討するという問題でありますけれども、これはまだ検討段階でございますと、大体の腹案は先ほど細郷財政局長からもお聞きしたわけでございますが、まだ固まらないわけでございますか。
  60. 細郷道一

    細郷政府委員 なかなか重要なことでございまして、目下検討中でございます。
  61. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大臣がしばしばお話しになりました、大蔵省の干渉を受けないで、これは自主調整をやるのだという基本姿勢だけはさまっておるわけですね。
  62. 野田武夫

    野田国務大臣 そのとおりでございます。
  63. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、本会議でも御質問申し上げましたけれども、自主調整ということになりますと、大蔵省交付税だとか地方道路譲与税——これは地方財政審議会ですか地方制度調査会ですか、強く答申の中にもあったと思うのでありますが、そういう特別会計の中に直ちに繰り入れるということについては、お話し合いはついておりますか。
  64. 野田武夫

    野田国務大臣 その特別会計に直接入れるという話はまだついておりません。ついておりませんが、私は特別会計に入れることは、技術的なことはけっこうだと思いますが、それよりも根本的なことをきめたらいいということからその措置をいたしたのでございまして、まだ特別会計に直接入れるという話はついておりません。
  65. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それがついておりませんと、大蔵省のPRする、国の財政の硬直化は地方団体に対する交付税だということが、常に一項目加わることになるのじゃございませんか。そこまで大臣が確信をもって自主調整をすると言うからには、やはり答申の線に沿い、あるいは地方公共団体が安心するように、国の税収に入らずに直ちに特別会計に入るということで、自主調整が将来にわたって可能になるわけではないでしょうか。
  66. 野田武夫

    野田国務大臣 私が先ほどお答え申しましたとおり、第一に、地方交付税地方財政固有財源という位置づけといいますか、これを確認させる、これが私が先ほど申しましたうちに、地方財政に対する大蔵当局の認識がわれわれと違うのだということを言ったのはその点でございます。  そこで問題は、地方交付税というものの大蔵省考え方というものが、何かしらんよけいに出てくるともったいないようなことになったり、何かそれをうまく取り上げよう、ざっくばらんなところそういうことなんです。そこで、実を言うと、固有財源ということは、予算編成でもなかなかこれがまとまらなかったのです。私はその一本やりでいったのです。そこで、固有財源であることが確認できますと、これはまず特別会計に入れる前提といいますか、一つの技術的な問題が出てきますが、私は基本的なことをきめたいと同時に、それだけではいけない。だから当分の間この税率については触れない。固有財源であると同時に、税率も当然今日の税率は妥当なものである、こう認めなければいかぬ。常に税率の問題が出てきますから、だから二つの考え方大蔵当局に確認させることが必要だ、こう思いまして、先ほど申しました経過をたどったのでございまして、大蔵当局もこれに対しては、従来はそう別に認識が違ったのじゃないのでしょうけれども、便宜主義にやっていたのかもしれませんが、一応私どもの主張をいれて確認した。  そこで、その当時私も、交付税は特別会計で処理したほうがはっきりするんだ、だからそれでいくべきだということをしばしば申しました。しかし、それの基本的な問題がきまりませんと、ことに税率なんかの問題でいつまでもがたがたしておっては、いかに特別会計ができましても、これは地方財政に非常に大きな影響がある、私はこう思いましたので、まず基本をきめておいたほうがいい、そちらに主力を注いだわけでございますから、今後特別会計の問題も十分私ども考えまして、ひとつこの特別会計の措置をできればそういうことにしたい、こう考えておりますが、そのときはいま申しましたような事情でございまして、はっきりした確約はいたしませんでした。
  67. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 先ほど財政局長大石委員への答弁で、交付税の前年度伸び一割前後によって調整をやるというようなお話をされましたね。何か腹案があるのじゃないですか。
  68. 細郷道一

    細郷政府委員 前の配付税制度時代に、一割前後——一割こえれば留保し、それに足りないときはそこまで持っていこう、こういう制度が実はあったわけでございますが、そのことを引用したものでございまして、別にそういう腹案は持っておりません。
  69. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただ、ここまで大蔵省との関係において年度間調整措置をする。これは先ほど大石委員の質問にもございましたが、自治省年度間の調整を自主的におやりになるということであれば、最初の、交付税の率の変更をしない、相互にしないということと関連して出てきたことかと思いますけれども、実際覚書の中に、自主的にやるとすれば、むしろ蛇足のような感じがして、いわば財政硬直化のPRにしないのだ、いわゆる特別会計に直接入れるのだというような覚書になるべきだと私は思うのですけれども、どうもその辺が少しもやもやとして、将来に問題を残しているような感じがいたします。この検討をするということは、自主調整ということであるならば、自主調整を含めて、そういう基本姿勢を含めて大蔵省とさらに具体的な問題について話し合うということなんですか。あるいは自治省だけで年度間の調整方針をきめ得るものなのか、どうでしょうか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税率理由なく上げ下げすることはしないという覚書になっておりますので、そうなってまいりますと、交付税の額は、非常に伸びることもあろうし、伸びが足りないこともあるんじゃないかというようなことから、別途年度間調整考える、こういうことでございまして、話し合いの結果書いたものでございますから、そう字句が、いわゆる正確と申しますか、理にぴしゃり合っているというわけじゃない。やはり大臣間の話し合いでございます。いろいろ出てきた話をまとめた、こういうことでございます。  それで、検討するということでございますので、私どももいまどういう方法がいいか、先ほど大石委員にお答えしたような構想のもとでいま検討いたしておるわけでございます。成案を得られますれば、これはやはり大蔵省とも相談をしたいと思っております。何ぶんにも相当大きな交付税という額を、形の上でございましょうが、国庫予算の中に占めているわけでございます。ということから見まして、当然相談をすべきだろうと考えております。
  71. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大臣も自主調整ということを強調せられておりますので、事務的にも自主調整精神が貫かれるように相談なさることは、いろいろ自治省大蔵省との関係は緊密な連携をとるべきであるということも、私は了承いたします。しかし、相談の結果、自主調整精神まで失うことのないように、これはしっかり腹を据えて財政当局に折衝をしていただきたい。大臣の意思を体してしっかりおやりになるように、これは間違いのない事務折衝を期待をいたします。  そこで、基本的な問題が解決するまで税率変更はないということになりますと、地方財政計画性格は多少変わってくるんじゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  72. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと御質問の意味がわかりませんが、私は変わってこないと思います。むしろ変えないという前提のもとに地方財政計画の長期的な見通しが逆に立てられるんじゃないかというふうに思っております。
  73. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私の申し上げたいのは、従来の地方財政計画は、いわば非常に地方団体が窮乏いたしておったということから、交付税の率等につきましても、どう折衝するか、あるいは国の経済変動、あるいはそのときの税制、あるいは財政等によりまして影響を受ける地方団体の財源をいかに確保するかということについて、大蔵省と折衝する地方公共団体三千幾つの全体の一つの目安として作成し、これは地方財政がどうであるか、あるいは国の財政との関係がどうであるかということについての、自治大蔵両省の地方財政についてどう見るかということの一つの目安にもなった。地方公共団体が、そのおのおのの団体が財政運営上の当該年度の目安を立てることも当然であるかと思いますけれども、そういうことに相当の意味があったんじゃないかと思うのでありますが、税率変更はないということになると、当然国の財政事情等も留意しながら、いわば本来の地方税と自主財源である交付税を一体として、今後三千幾つの公共団体がどう住民のためにその自治体の運営をするかということについて、私は大蔵省というよりもむしろ地方自治相互間の財政配分ということに重点が移っていくんじゃないかというような感じがいたしますが、この考え方はいかがでしょうか。
  74. 細郷道一

    細郷政府委員 率が一応安定するということになりますと、そこに出てくるだろう自然増収額というものは予期できるわけでございます。その自然増収額をどういう使途に充てるべく考えていくか、それが計画的にできるようになるのじゃないか。一年一年ということでなく、三年を見通すとか、あるいは五年を見通してやっていくことができるんじゃないか。そうした場合に、先ほども申し上げましたように、たとえば道路の水準というのをどの程度まで三年なり五年でやっていったらいいだろうかという目標をつくるということも可能になってくるんじゃないか。そういう長期的、計画的な見通しの上に立って年度間の調整をするというようなことを私ども考えておるわけでございます。
  75. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 年度間調整の問題もさることながら、地方財政計画に対する見通しといいますか、対大蔵省との関係において、地方自治体のいわばことばが適切でないかと思いますけれども、代弁として自治省に御努力願っていたという考え方が、一定の見通しのついた——根本的な制度の改正がない限りは現行制度の多少手直しになるでしょうけれども、まず変わらない、地方税制と地方交付税の率の三二%、これが一つ財源としてはっきりするわけですね。それを交付税配分の確保において、三千有余の地方公共団体、これはいろいろ事情が違うわけでございますが、それにどう適切に配分するかということに重点が移らないのかという質問をしたわけです。
  76. 細郷道一

    細郷政府委員 率直に言ってそういう面も出てまいると思います。ただ、地方財政計画自体は、地方財源の総量をどう確保するか、またどういう施策に財源配分をするかという意味での値打ちといいますか、そういう使命というものはやはり依然として大きなものであろうと考えております。
  77. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大体そういう面もあるというふうに御認識のようですが、そうなりますと、今後の問題として、複雑多岐な地方公共団体の相互配分ということが非常に重要になってくる。これが配分についての方策を誤りますと、地方公共団体は、本会議でも申し上げましたように、国の政策と同一基調をとることについては、基本的な姿勢としては、私はそういえると思いますけれども、地域住民の側にどう立つかということとのかね合いにおきまして、国のある経済政策その他によってこれが配分されるというおそれ、それに従っていくとなりますと、ややもすると住民の側に立たぬということは言い過書かもわかりませんが、配分自治省——国会審議におきまして私ども法律改正で十分その点を審議しなければならぬと思うのでありますけれども、そういうふうないわば一つの政策、それが正しいか正しくないかは別といたしまして、一つの政策に従って交付税配分ということが行なわれるような傾向になっていくという懸念があると思うのですが、いかがですか。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  78. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申しましたように、現在要望されております行政需要というものがどこにあるのかということについて、十分な洞察をもって私はそれに対処していくべきである、かように考えております。
  79. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いままでも交付税配分につきましては、改正のつどもろもろの地方公共団体の要望というものをあらゆる角度から検討をして改正に御努力を願ったと思います。思いますが、あるワクで交付税という相当伸び財源を含めての配分をするということになりますと、現実的に配分に関連する前提として、この方針にもございます地方の特性を生かした「街づくり」「地域づくり」ということをいっておるとするならば、国全体としてこういうことをやるのだ、あるいは道路の整備をするのだということとも関連いたしますけれども、その地域の特性を財政計画に極力反映させるということをいままで以上に積極的にしていただかないと、ややもするとこの交付税配分を誤るようなことがありますと、地方公共団体というのはある一定の方向に引っぱられる、見捨てられる団体も出てくるというふうな不安が私どもあるわけです。その意味におきまして、地方制度調査会があり、その中には地方公共団体の代表者も入って十分審議を尽くしておると思うのでありますが、やはり今後の過程におきましては、いわば地方公共団体の意見をある程度まで取り入れるという何らかの方法考える必要があるのではないか。もう一つ、できるだけそういった特性を生かす実情を独断的でなく把握する、その意味におきまして、私どもこの前過密地域あるいは過疎地域についての御調査を願ったので、実態は十分おわかりになっていると思うのであります。机上でいたしておりますと、それぞれの団体の首長が、これもやりたい、あれもやりたいという中でどう悩んでおるかということ、まじめに首長が考え、議員が考える場合に、それはいろいろな悩みがあると思うのですよ。ただ、この地方公共団体をはっきりさせておきませんと、交付税配分を多く受けよう、あるいは補助金の配分を多く受けようということになりますと、その地域の住民に即した行政よりも、むしろ補助金なり交付税を多く取るということに地方自治体が重点を置くということになりますと、地方自治体は住民のための方向を誤るというふうな感じがいたすわけであります。したがって、実情把握の上に交付税配分も十分お考え願いたいということと、それからもう一つは、何らかそういう地方意見交付税配分において、いわば法律の改正案を出す以前において常に十分吸い上げるということに御努力願わなければならぬ、かように思いますが……。
  80. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども、いままでも地方のそういった声と申しますか、要望を取り入れることを非常に熱心にやったつもりでございます。三千幾つございますから、必ずしも全部が全部というわけにはいかないかと思いますけれども交付税措置になじむようなものについては極力そういうことをやってまいったつもりでおりますが、今後は、御指摘のように確かに地方団体が地域的に特性を生かしていくという時期に当たっておりますので、さらにそういうものの把握につとめてまいりたい、こう思います。
  81. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 まだまだ申し上げたいことがございますが、この問題はいずれまた同僚議員からも御質問があろうかと思いますので、こういう措置につきましては、私はやはり本年は避けるべきであったという意見を強く申し述べまして打ち切りにいたしたいと思います。  次に、先ほどもお話に出ました土地開発基金の問題でございますが、これは端的に言いまして、特定の団体を指定いたしまして配分するということは、交付税の本質に反するのではございませんか。
  82. 細郷道一

    細郷政府委員 特定の団体を指定してという考えではございません。財源措置をするにあたりましては、交付税制度に十分溶け込ましてやっておるわけでございます。ただ、先ほども申しましたように、全地方団体に配分することの公平さは満足できても、それがまた逆に実態的にどこまでマッチするかというような問題もございましたので、私ども年度はおおむね十万人程度の団体を入れればよろしい、こういうふうにいたしたわけでございます。
  83. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 公共用地の先行投資ということについては、私どもかつて強く主張したわけなんでありますが、いろいろ財政上の問題だとか、あるいは法規に照らして補助金の問題についてなかなかめんどうな御指示をいただいたわけであります。本来なればもう数年前に、この公共用地の先行投資につきましては地方公共団体で手をつけているところもあるわけでありますが、私どもは、財政局長の言われる、赤字を出してもやはり土地の先行獲得はやるべきだ、どうしても必要なところは確保すべきだということをいたしますと、これは赤字だからどうのこうのといって起債を減らすぞ、あるいは特交を減らすぞというような御指示をいただいたこともあるわけであります。交付税の本質からいいまして、こういった先行投資それ自体が必要であるにいたしましても、府県あるいは十万以上の都市、あるいは大都市の周辺というふうに、ある団体に、これは本年度限りということからいっても、おそらく多少交付税の本質に反するという気持ちがおありになったのではないかと思うのでありますが、あるいは必要な公共団体にできるだけ配分しないでという考え方もあったのではないかと思いますけれども、六百億という金をそういった特定団体に配分するということは、そのこと自体は必要であっても、これはどうも交付税の本質に反しておる、こういうふうに私は考えます。
  84. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもは別に交付税の本質をゆるがすようなことは考えておりません。一体、土地取得の財源はどういう措置のしかたをするかということは、実はいままでいろいろ研究したのですが、なかなか成案が得られなかった。いままでは大体、先ほどお話のありましたような先行取得債ということでわずかにしのいできたわけでありますが、少なくとも長期的な「街づくり」を考える場合には、いつでも最もいい時期に割り安の値段で土地が取得できる、あるいはその代替地が取得できるというような仕組みが不可欠なんじゃないかと私は思うのです。じゃそういったようなものを交付税財源措置をしていくと、一般財源での財源措置をしようと思うとどういうやり方があるか。土地を使うものは、学校の建物もございます、あるいは道路等のものもございますし、公園等もあるわけでございます。学校のようなものの用地費について毎年少しずつ見ていくというような財源措置では、実際には実はマッチしないわけでございます。したがっていろいろ土地についての財源措置が要らないというなら別でありますが、これもあってもいいということになりますと、私は今回御提案申し上げておる方法は一つの方法じゃなかろうか、こう思っておるのでございまして、財源措置の形が一つの費目でまとまったがゆえに交付税の本質に合わないというようなものではないだろう、こういうふうに思っております。
  85. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういう必要がありますならば、なぜ六百九十億というものを国に貸して、そしてこういうものを加味するのをあわせて今回お出しになったかということなんですね。本来その年度地方公共団体の財政調整なりあるいは財政保障ということがたてまえなんですね。特定の団体に将来にわたる先行取得に芝交付税——公共団体としては十分な交付税がきていないと考えておる団体も多いわけでありまして、市議会を見ても、市長会を見ても、三二%の率を上げてくれという要求をしている現状なん冷すね。その三二%の率が妥当であるかどうかはともかくといたしまして、そういうことを痛感しておるのが地方団体の現状なわけなんですね。そういう中である団体に将来にわたる先行取得、それに交付税を使って操作をする財源を付与するということは、ちょっと私ども交付税の本質に反し、行き過ぎではないか。交付税はいま調整機能から財政保障機能のほうに移りつつあるような感じがいたしますが、自治省のほうではどちらに重点を置いてお考えになっているのでございますか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり交付税は保障機能を強く持っているもの、こういうふうに思っております。
  87. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、現在では貧弱団体にどういう税制をいたしましても普遍的な自主財源ということは期待できないと私は思っているわけでありますが、それを補完する意味におきまして貧弱団体に交付税財政調整をする機能というものは無視できない、かように考えておったのでありますが、現状では財政の保障をするということに重点を置いて、いわゆる貧弱団体に対する調整機能ということはあまり考えておられないわけですか。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 どの程度の水準行政を保障するかということから、結果において税の少ないところには調整された財源としてたくさんいくと、こういうふうに思っております。
  89. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、将来の地方税の改革についてはどういうふうにお考えになるわけですか。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 自主財源としての地方税がどれくらいあればよいか、これはいろいろ議論のあるところでございますが、私どもも現状よりはもっと自主財源をふやしたほうがいいんじゃないか。私は個人的には補助金をやめてでも自主財源をふやしたほうがいいんじゃないかというくらいに実は思っております。ただ、どういう形の税制が普遍的にいけるかということについては、非常にむずかしい問題があるわけでございまして、将来現行税体系のワクの中での税源移譲等が行なわれるといたしましても、私はやはりいなかの町村に税金がふえるということは非常にむずかしいだろうと思います。したがって、そういう地方に対しては交付税がたくさん流れるようにするという考え方に立つべきだろうと思っております。
  91. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、先ほどのお話にもございましたように、不交付団体がだんだん交付団体になっておるという実態は、確かに現状から言いますと財政保障機能に移りつつあるということが明瞭になっておるわけでありますけれども、しかし、将来の税制のたてまえからいきますと、やはり財源のあるところは自主財源で将来の税制改正の一つの柱にし、財政保障機能を調整機能のほうに交付税考えていくという方向になるのではないでしょうか。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 財源調整ということば意味があると思うのでありますが、税が少ないところには調整的にたくさん交付税がいく、こういう意味であれば私は財源調整が行なわれる、こういうふうに思います。もっともっと行なわれるべきだろうと思います。ただ、その場合に、昔配付税時代にありましたように、税収に反比例してやるといったような単純なことでございますと、東京都のような不交付団体にもいくようになるわけでございます。現在は、交付税制度のもとでは、御承知のようにどの程度の行政水準をどこの団体にも保障するか、それに足らない部分を交付税でいこう、こういう考え方でやっておるわけでございます。お尋ねの財源調整がそういう意味でございますれば、おっしゃるとおりだろうと思います。
  93. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私どもはそういう意味で申し上げたわけでありますが、そういたしますと、その機能を発揮させるということから考えても、現状におきましては、ある程度各公共団体の一定の行政水準に不足している場合は、大都市といえども交付税配分の対象にするということは私はやむを得ないと思うのであります。しかし、ある程度まで将来の税制が、財源のあるところは自主財源でその団体の財源の一つの大きな柱にするという考え方がありまするならば、政策的な問題を強く現状の財政保障機能に加えて打ち出していくことはやはり交付税性格に反する。しかも特定の団体を指定して、そして交付税でたとえば土地の先行取得等を措置する。これはそういうことを必要と認めておる団体は自主的に基金を設けることもいいでしょうし、あるいは起債も二百億あるわけでありますので、その二百億の起債で基金を造成していくということもいいと思うのであります。それを特に交付税の対象として、すでに十一条で配分したものに上積みして特定団体に配分をするというあり方は、少し交付税性格からいくと政策を加味し過ぎるというような感じがいたします。しかも従来いろいろ公共団体でやっております開発公社、これなんかも活用できると思うのです。こういう先行投資をいたします土地開発基金を設置するようなところは、おそらく開発公社というものは相当できておるのではないか。それをなぜ活用されないのかという疑問が一つ。もう一つは、開発公社においてすら、いずれ何らかの機会におきまして、場合によりましては、私なりほかの委員から、開発公社のあり方につきましての御質問をいたしたいと思っておりますけれども、この開発公社のあり方自体も、今日いろいろ汚職につながり、あるいは市民並びに議会の監視を十分受けないということからくる弊害も出ておるところもあるわけであります。そういう実態の上に、さらに屋上屋を重ねるような制度を設けるということも、私は交付税性格と合わせて適当ではないという感じがするのであります。  先行投資そのものを私ども無視するのではないのであります。むしろ、自治省でもお考えになったかと思うのでありますが、もっと思い切ってこういう土地開発基金というものを整備して、そして、それから地方公共団体が融資が受けられるような体制もお考えになる必要があるのではないかというふうなことも考えられますし、さらに、今日の土地政策というものは、全く国としての方針も打ち出されていない現状にあります。私ども考えております先買制度をある程度まで強化する。そうすると公共団体は買わざるを得ないということになりますと、そういう制度と並行いたしまして、ある程度の資金が必要になってくる。いわば先行取得の意味におきまして、いまほしくないのだけれども、その土地は将来要るところなんだ、しかも所有者はこれを売りたいから、公共団体に対する先買制度というものが確立しておれば買わざるを得ないので、基金を設けてこれを買うということになりますと、土地の買収につきましてもあまり弊害はない。そういう制度によっての先行取得の弊害は生じないと私は思うのであります。いま土地開発業者その他が盛んに土地開発をやっておるときに、こういう制度で公共団体が相競合いたしましてやりますと、これはおそらく公団が地価のつり上げをはかったと同じような、いたずらに地価をつり上げる操作をすることになりはしないかという不安もあるわけであります。そういたしますと、機構の上積みをすること、しかも従来の機構についてもいろいろな弊害がぼつぼつ出てきておる。さらには、土地政策が貧困であるために、公共団体がややもすれば土地ブローカーとの関連においてさらに不正の起こる心配がある、あるいは地価のつり上げの結果を招来する場合もあり得るということ、基本的にはそういうことによって特定の団体に財源を付与しないで、もっと低利の金を融資を受けられるような機構、そういう必要のある団体はいまの先行取得の起債ワクの拡大ということでも解決できるのではないか。こういうふうにいろいろな点から考えますと、土地の先行投資そのものは必要でありますが、自治省がそういう制度を設けて慫慂することによって、特定の財源を得られるというので、公共団体は必ずもうける。もうければ土地を何とかして買わなければならぬということで、弊害のみ出て、その効果を十分発揮し得ないというふうに私は考えるわけでありますが、政務次官、どういうふうにお考えになりますか。
  94. 砂田重民

    ○砂田政府委員 やはり経済発展は社会構造の変化をもたらしておりますことは山本先生御承知のとおりでございます。地域社会住民の生活環境にも大きな変化をもたらしてまいっておりますし、きわめて近い将来の変化もまた予測されるところであります。そういったことから、先ほどから山本先生御議論の、税制による自主財源の確保、これも必要なことでございますが、やはり交付税としても手をこまねいているべきではない。地方交付税本来の目的から逸脱しない範囲では、やはりこういう手だては大いにとっていくべきじゃないだろうか。今回考えましたこの措置を御審議を願っておるところでございますが、そういった意味合いから、交付税本来の目的から逸脱しているとは実は私は考えておりません。  なお、山本先生御心配のような懸念も確かに一面においてはあるかと思うのでありますけれども、必ずしもそういう悪い現象ばかりが出てくるのではない。やはり将来、地域社会住民の生活環境の変化に対応しなければならない新しい行政需要と申しますか、行政水準の引き上げと申しますか、こういうことに対処しての一番やっかいな問題の土地の先行取得に十分これは役立っていける制度ではないか、このように私は考えております。
  95. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いずれ過疎地帯の問題でお話ししたいと思うのでありますけれども、今日医療費が増高いたしまして、自治省の報告にもございますが、医療費が増高している中で、しかもお医者さんがいなくなっている地域が出てきている。そういうところはどうするかというと、事前の健康管理ということが必要になってくると思うのであります。病気になっても見てもらう医者がいない、売薬で済ましてしまうということになれば、病気が大事に至らぬ事前の健康管理としての保健婦の役割りは大きいですね。行政簡素化はそういう保健婦の人員の削減、旅費の削減、そういうこともやろうとしておるわけなんですね。地方の実態、各公共団体の実態というものはさまざまである上に、地方財政計画でも、政務次官十分おわかりになっておりますように、国の行政簡素化、人員管理に関連いたしまして、必要やむを得ないものを除きましては、補助金で設置しております人件費というものも削減のうき目を見ているのであります。必要な事務費も削減を受けておる。自治省で御奨励になっておりますごみの処理も、し尿の処理も、あるいは庁舎のエレベーターガールも、病院の給食婦も、北九州市の合理化というものは徹底したもののようでございます。これは全部下請に出したらどうか。人件費をできるだけ節約する。節約できない人件費があるのですね。せめて保健婦のようなものはむしろ増員しなければならない。今日、中都市におきましても、厚生省の設置基準の保健婦を置けないわけです。人が確保できないということもあるようであります。やはり人件費の増高につながるという観念がどうしてもつきまとうものですから、保健婦もある程度までゆとりのある市におきましても、基準どおりの保健婦は置けない。しかし、置かなければならない地域も相当ある。そういうものは、一つの大きな財政計画のワクで整理をするのだ、これは節約をして協力しなければいかぬといいながら、一方で、ある程度まで公共団体が資金さえあればやり得るものを、あるいは配分になりました交付税、あるいはその財政の中で先行取得が必要であるのでどんどん基金を設けてやれということであればそれはやり得るのですね。そのやり得るものに対して、さらに特定の財源——一方、健康なり生命にも関するような大きな問題は押えられているのですね。そういう一つの政策といいますか、そういう政策上の配分交付税に大きく加味するということにつきましては、交付税性格を逸脱しているということがはっきり言えるのではないか、私どもかように考えますが、もう一度政務次官のお考えを伺いたいと思います。
  96. 砂田重民

    ○砂田政府委員 先ほど申し上げましたように、社会構造の変化、過疎に対しますいろいろな手だて、過密に対するいろいろな手だて、引き上げていかなければならない行政水準の緩急の度合いがだんだん変わってきているような気がいたします。また、なおしばらくこういう変化は続いていくのではないかという気がいたしております。そういう意味合いから、先ほど財政局長もお答えをいたしましたような、過疎に対しては過疎に対しての重点的な傾斜配分、過密に対しては過密に対しての重点的な傾斜配分、過密に対しては過密に対する重点的な傾斜配分、双方それぞれ考えていかなければならないことでございます。この土地区分につきましても、過密対策の一つであると私ども考えておるところでありますが、やはり人口十万以上に考えられる、あるいは大都市並びにその周辺に考えられてまいります土地の問題という一つの壁を、どうしても地方公共団体に突き破ってもらわなければならない。そういう意味合いからとりました措置でございます。何か片手落ちに、一部だけにとか、あるいは過疎のほうを全く忘れているとか、そういうことではございません。社会構造の変化に伴って出てまいりました地域社会住民の変化を、一つ一つ打ち破ってまいらなければなりません。その一つの措置地方交付税本来の目的を逸脱しているというところまでは私は考えておりません。
  97. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この予定をしておられる対象団体で、そういう公共用地を買われる金額として年間どのくらいでございましょうか。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 どれくらいの土地が買われているかというのを四十二年度で見てまいりますと、全体で先行投資として三千七百七十ヘクタールでございます。府県、指定市でそのうち二千六百二十四ヘクタール、残りが市町村ということでございます。それらに対しましては、例の先行取得の起債でありますとか、あるいは公営住宅や義務教育のワクの中での用地費の起債でありますとかいったようなことのほか、一般財源等でもこれが買われておるのが実態でございます。今回配分しようとします団体だけについての調査は、まだこの中から抜き出しておりませんけれども、大体そういうところにいま申し上げた実績の数字は片寄っておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  99. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大体金額についてどれくらいか計算つきませんか。いまのお話の点でけっこうですが、該当地区、大体私も同じようなものだと思うのですけれども、三千七百七十ヘクタール……。
  100. 細郷道一

    細郷政府委員 この三千七百七十ヘクタールの金額の累計は実はしておりません。と申しますのは、起債等は額で出てまいりますけれども、一般財源等が出てまいらないものですから、全部の額を出しておりません。おりませんが、私どもこれを見てみますと、大体千億近くのお金でこれが調達されているのではなかろうか、こういう見通しを持っております。
  101. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、やはり起債の財源とかその他で考慮すべきであって、後年度にわたる公共用地について、おそらく私は財源配分をしますと、当該年度の土地を公共に充当される可能性が十分あるのではないかと思うのです。基金を積み立てておかないと、わずか六百億くらいでは当該年度の用地にも充当せられる、あるいは来年度にまで手を伸ばすということになりますと、相当な資金が必要になるのじゃないか。そういたしますと、そういうふうな一つの政策を打ち出すというのではなしに、なぜこれを起債に求めるか、あるいは他の適当な過密対策として打ち出すか、一定の団体だけに、いわゆる政策目的だけに特定をして財源を付与するということは、交付税性格財政保障のほうにだんだん移行してきているところにも問題があると思いますけれども、事業をやっている団体ほど交付税の対象になり得る。また国の政策で補助事業その他が推進されれば、その推進する事業を行なう団体のみが交付税の対象にもなるという傾向が強まってまいると思うのであります。その中でさらにそいう団体に対しまして、団体を指定し、一たん算定した交付税の上積みとして、こういう先行取得の基金を交付税の中からひもつきで交付するというあり方は、どう考えましてもこれは交付税性格に反するという印象が強いわけであります。これは何とか考え直していただきたい、かように思います。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げました数字から見ましても、総体で交付、不交付を入れて六百億というのは、政策というほど大きな額では実はないわけでございます。いま御指摘がございましたように、この程度では当年度の用地だけでも一ぱいになってしまうのではないか、こういう御議論もあろうと思います。ただ、私どもは、せっかく私ども考え方を取り入れて基金を各府県、市がつくっていく場合には、そういう長期的な見方に立っての土地の取得に、いわゆるほんとうの先行取得にこれが当てられるように実は強く期待をいたしております。この土地開発基金ができましても、別途地方債の先行取得債は二百億ございますし、それにはそれなりのまたワク外債ということも年度運営の過程には考えられると思います。それから公営住宅等につきましては、用地費について公営住宅の費目に起債が入っている。義務教育も同様に入っておるのであります。そういうようなものによって当年度あるいは次年度くらいのところまではなるべく調達をしていく。長期的な観点に立っての運営はこれによるようにしていきたい、こういう考え方でございます。
  103. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 どうも意見がかみ合わないようでございますけれども、私、冒頭に覚書に関連して申し上げましたように、今後交付税というものが率も変更にならないということになりまして、地方税交付税を大きな柱にしていく地方公共団体が、その中で自主的に運営していかなければならないという体制になってくるわけであります。そのときの自主的運営ということは、国と同一基調に立つにいたしましても、地方自治体の側から見ますと、国の政策とある場合には矛盾する問題も出てくる。したがって、あくまでこれの配分につきましては、それぞれの団体がそれぞれの地域住民のための地方自治確立しなければならぬ。そのための財源配分は慎重に願いたいということを申し上げたのです。おそらくそういう御配慮を願うものと思いますけれども、こういったある限られた団体に一定の金額を別ワクとして配分するというようなことが出てまいりますと、今後これと同じような政策的な意味を持つというためには、細郷さんは金額が少ない、こういうお話でありましたけれども、国が無理やりに国の減税と国債の減額のために、地方公共団体から六百九十億という金を借り上げたのですけれども、国の立場からいうと、六百九十億というのは、本年度の予算の操作からいうとどうにでもなるわけなのです。それだけ六百九十億を国が借り上げたということの中にも、私は何となしに地方公共団体に対する認識不足——目に見えないでしなければならない仕事がある。それは地方公共団体の特性を尊重すればするほど、その団体の実情から言えばやらなければならない。補助事業でなくても、あるいは余分の財源がかかっても、やらなければならないという仕事というものが必ずあるが、そういうものは画一的に地方交付税の対象に取り上げられない。あるいは政策的にも対象として取り上げられない部分が相当残っているのではないかということが想像されるときに、こういうふうに前年の処理ではなくて、将来にわたる先行取得の財源まで特定の団体を指定して配分するということは、これは交付税配分からいっても不適性だ。やはりそういうことが必要であるならば、当該団体は、ある程度他の仕事を犠牲にしても、先行取得ということをやるべきではないか。あり余っている金ではない。まだまだ各団体としては不足をしておる財政の中で、そういう特定財源を、少額とはいいながら政策的に本年度から配慮するということは、どうも私はふに落ちない。皆さん方にも、交付税の対象にならないというお考えがあればこそ、附則の三項で、一応算定した中に上積みして、これこれの団体には交付するのだというような異例の措置をとられているのです。そういうことから見ましても、これは異例の措置としておやりになっている。しかも、本年度限りというふうな文句がついておるわけですけれども先ほどお話を承りますと、二、三年は継続してやりたいということのようですけれども、異例の措置ばあまりおとりにならないほうがよろしい。先行取得それ自体は必要なんだけれども、先行取得をしなければならないというところに追い詰められる土地に対する一つの政策、だから地方公共団体が、やはりその地方公共団体のためにそういう土地政策に関連して財源が必要であるというときに初めてこういう制度を入れてもいいのではないか。いろいろなプラスの面があると同時にマイナスの面も出てくるような制度を、ある特定府県と、それから十万以上の都市とはいいながら、それを通達で慫慂しながら、財源を付与しますぞ、こういう制度を設けなさいというふうなあり方は、交付税配分をなさるという立場からいくと、私は適当ではないというふうに考えます。もう一度政務次官の御答弁をお願いします。
  104. 砂田重民

    ○砂田政府委員 考え方基本は、山本先生とちっとも変わったところはないように考えるのです。ただいまの山本先生の御議論を承っておりましても、考え方としてはちっとも変わったところは私どもはございません。ただ、いま特定団体のみに何か特別の措置のような御意見がございましたが、これはやはり過疎対策として交付税を傾斜配分してまいります対象が、これまたすべての市町村ではございませんで、やはり過疎地帯としての特徴を持った市町村、いわば一つの——これはおことばを使わせていただいてどうも失礼ですが、いわば過疎的な性格を持った特定団体ということに相なるだろうと思います。  今回の土地基金につきましても、過密的な性格を持った府県であり、市である、そういう意味合いでありますならば、特定ということが言えないことはないかと思いますけれども、いま交付税というものの本来的な性格につきましては、実は山本先生と私ども何ら意見が変わるところはございませんで、この措置交付税本来の目的を全く逸脱してしまっているとはどうしても私どもには考えられないところでございます。
  105. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 政務次官の言われる過密との比較あるいは過疎との比較では——過疎は本年度特別に増額になりましたのは百億足らずですね。補助事業一般の大部分は過密対策ですよ。道路にいたしましても、下水道にいたしましても、清掃にいたしましても、港湾にいたしましても、都市河川の治水にいたしましても、これはすべて過密対策なんですね。そのほかにもいろいろあれしている。それで市町村道の整備で一%舗装を上げろ、あるいは改良を一・五%上げろといいましても、公共団体に回る一%、一・五%というのはほとんどないのではないか。いわば今日補助事業そのものが、過疎よりも過密対策に重点を置いている。それは現実に仕事があるからです。それにどう対処するかということが今日の補助政策なんです。過疎の場合はわずかに百億足らずの増額であり、人口が減れば交付税の金額も減る。それをどう防いでやろうかという措置なんですね。そういうのと比較にならないほど——財政計画全般を見ますと、大部分が過密対策、こういうことを言い切っていいのではないか。したがって過疎対策の比較においてではない。その上にさらにそういう過密対策を特別に別ワクで考える必要はない。それはそれで過密対策の中にお入れ願えばいいのです。本質に反するようなことをさらに上乗せする必要はない。事業の必要性は十分わかっているので、必要なところはそれをやればいい。あるいは地価の暴騰を来たすようなところは控え目にして、うまく公共用地を確保することに努力すればいい。それを、土地基金を設ければそれに対して交付税をあげますぞということによって、特定の団体にそれを慫慂するような、政策を強要するようなあり方に対して、私は適当でないということを申し上げているわけです。
  106. 砂田重民

    ○砂田政府委員 私は過密と過疎の金額的な比較の意味で申し上げたわけではないのでございまして、先生からある特定の団体というお話がございましたから、その基本的な考え方のことを私は先ほどお答え申し上げたのであって、金額で申し上げたのでは決してございません。たびたび申すようでございますが、やはり社会構造の変化というものが地域社会住民の生活環境まで変えてまいっておりますので、それに対するそれぞれの地方団体の行政水準の上げ方というものについて、やはり過疎は過疎なりに、あるいは過密は過密なりに、それぞれ傾斜配分考えてまいらなければならないところでございます。さらに、地域社会住民の生活環境の変化、構造の変化というものの見通しがある程度先まで立つような状態でございますので、それに対処して、交付税範囲を逸脱しない範囲での一つの手だてとして有効に働いていくのではないか、このように私は考えております。
  107. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次回は明後十日木曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会