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野田国務大臣 非常に重要な問題でございまして、私も山本さんの御
意見、傾聴いたしております。また、政治の筋といたしましても、これは簡単に取り扱うべきことでなくて、やはり
政府と国会の関係、さらに
基本的な
地方財政の問題に大きな
影響を持っているものでございますから、単なるその場限りのお答えを申し上げるということは私としてはできないのでございます。ここにこのときの
大蔵大臣と私の折衝の
内容がございます。それはいまここにその結果があらわれてきたのでございます。第一は、これは一々これには書いてございませんが、前
大蔵大臣と前
自治大臣の申し合わせを国会に表明されて、今後はこういう
措置はとらない、できるだけ避けるという返事がその当時あったということも私は知っております。決してこれは知らずにやったことではございません。それが第一点。
第二点は、一番
基本的な問題である
地方財政の
確立ということが私の任務でございますから、この二つの観点から
覚書を交換したわけでございます。
第一の問題につきまして、その間の多少の
事情を申し上げますと、御承知のとおり、
財政当局から
要望のありました
交付税の
税率の問題が出てまいりました。これは事実でございます。それと同時に、それがかなわなければ、やはり
財政硬直化というたてまえから国のいわゆる
予算編成に協力を求めたいというので、次の
税率の問題が私の協議いたしました結果としてあらわれてきたので、最初からこの
措置をとるように
大蔵当局から言ってきたのじゃありません。そこで、その点はこの
覚書に書いてありますとおり、
税率に触れないということは御承知のとおりであります。
第二の問題として、四十三年でとられた
措置と同様な
措置をとるということはどうか。だんだんこれを煮詰めてまいりまして、四十三年と同様の
貸し借りという金の性質
——貸し借りの形は別でございますが、性質のものならば私は拒否する。それは
地方財政に
影響のある金を、また四十三年と同じような
措置はできない。それから、その当時の
大臣も、今後やらないということを言ったということを聞いておるから、再び同じような手を打つということは私としてはできないのだと拒否いたしました。そこで、そのときいろいろな
措置として、しかし国の
財政の
立場からして、
予算編成ということでございますから、これはやはり
政府一体のもちろん国の
財政でございますから
考えなければならぬから、そこでざっくばらんに申し上げますと、それは
財政硬直化で
予算編成に非常に支障を来たすならば、
地方財政としてのできる協力はしてもよろしい。決して
地方財政が協力しないというたてまえではないのだ。そこで一つの案とか二つの案を出しまして、たとえば、これはいいか悪いか別でございますが、案をざっくばらんに申し上げますと、つまり繰り上げ償還その他の
方法でやったらどうか。一切四十年三度と同様の
措置はごめんこうむる、こういうことが出てまいりました。
そこで、いろいろやっているうちに出てまいりましたのが四十三
年度の
自然増収の問題であります。その
自然増収は、大体そろばんをはじいてみますると、その当時の
予算編成のときに一応の推算ができまして、七百数十億は
地方交付税としての
自然増収が見られるということが折衝中に大体明らかになってまいりました。そこで、その結果、これは
大蔵大臣は私にはっきりいわゆる確答はいたしませんでしたが、実は私の要求は、ここに書いてありませんが、
自然増収が七百数十億見込まれるならば、ひとつ補正を組むか組まぬか、補正を組むという
前提があれば
考えていい、こういうことが私の条件でございました、打ち明けますと。しかし、その当時は、まだ
大蔵当局も補正を組むという明言はできませんでしたが、一応私の感触はそういう筋にいくのだろう。もう一つは、山本さんにこの前も申し上げましたとおり、四十三
年度の
自然増収は御承知のとおり七百数十億出てきても、これは四十五
年度しか使えない、こういうことがあるから、四十四
年度の
地方財政には
影響ないということが確認される。
ただ、もう一つ、私もっと露骨に申し上げますと、当然これは補正で出てこなければいかぬ。しばしば私は
財政当局と折衝いたしまして、別にこの
覚書に出ておりませんが、確認の、つまり全面的に
大蔵当局が承認したんじゃございませんが、
地方財政を守る私としては、諸般の情勢を勘案いたしまして、一応そのような状態が出てくるんだろうという推定を私はいたしておりましたが、これは別に
大蔵当局と直接約束したことではございません。
そこで、いま山本さんの御
指摘のとおり、これを毎年繰り返すということは、この前もそういうことを
政府としては国会に申し上げておるし、また私が最初申し上げました好ましいことでないという
前提で、次々にこの問題の処理を、こういう事態にならないようにやってみましたが、結論は大体、
基本的な問題として四十四
年度の
地方財政には
影響ないという見通しを私立てたものでございますから、それらを勘案いたしまして、やむを得ざる
措置と申しますか、私としては不本意な
措置でございましたのは事実でございますが、今後はやらないということをさらに再確認しよう。第一に、
地方交付税の
税率に触れないということ、と同時に、今後こういう
特別措置はやらないということを、ひとつ
覚書で明言しなさい。そこまでいかなければ、
地方財政の
確立のために、また国会に対してわれわれ
政府の態度としても申しわけない。だから今度は、はっきりと
覚書でそれをやってもらいたい。こういうことで、私は、御
指摘のように、こういうことを次々やるということは好ましくないという
考え方をいまでも持っております。