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1969-03-25 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十五日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       奧野 誠亮君    桂木 鉄夫君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    野口 忠夫君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君  出席政府委員         自治政務次官  砂田 重民君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         議     員 太田 一夫君         大蔵省主税局税         制第三課長   早田  肇君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部財         政課長     高橋 英雄君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         自治省税務局市         町村税課長   高橋 睦男君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十四日  地方税法等の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出衆法第二二号)  昭和四十二年度及び昭和四十三年度における地  方公務員等共済組合法規定による年金の額の  改定等に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八一号) 同月二十日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願石川次夫紹介)(第二三三四号)  同(江田三郎紹介)(第二三三五号)  同(大原亨紹介)(第二三三六号)  同(木原津與志君紹介)(第二三三七号)  同(佐野進紹介)(第二三三八号)  同外三件(柳田秀一紹介)(第二三三九号)  同外一件(山本政弘紹介)(第二三四〇号)  同外一件(山本弥之助紹介)(第二三四一  号)  同(加藤万吉紹介)(第二三四二号)  同外三件(美濃政市紹介)(第二四〇四号)  同(井上普方紹介)(第二四四二号)  同(斉藤正男紹介)(第二四四三号)  同(柴田健治紹介)(第二四四四号)  同外三件(平等文成紹介)(第二四四五号)  同(谷口善太郎紹介)(第二四七七号)  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する  請願鈴木一紹介)(第二三六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第五八号)  地方税法等の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出衆法第二二号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案及び太田一夫君外七名提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。     —————————————  地方税法等の一部を改正する法律案太田一夫君外七名提出)   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、太田一夫君外七名提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案について提出者から提案理由説明を聴取いたします。太田一夫君。
  4. 太田一夫

    太田議員 地方税法等の一部を改正する法律案提案理由の御説明を申し上げます。  ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案について、提案者を代表してその提案理由内容大要を御説明申し上げます。  地方税源とりわけ市町村税源充実強化ということは、シャウプ税制以来の課題でありますが、残念ながら今日においては、この問題の解決どころか、逆の方向にあるのであります。  すなわち、市町村税についてみますと、市町村歳入中に占める税収入の割合は、昭和二十六年度の四六%から、四十二年度には三七%に低下している状況にあります。これは主として、市町村税制税収入の安定に重点が置かれたため、今日の都市化現象に伴う動態的な財政需要に対応し得ないという税体系の仕組みに基因するものであります。  日本社会党は、最近における社会経済発展に即応する税体系を確立するため、国、都道府県市町村を通ずる税制のあり方について根本的に再検討を加え、早急に結論を出すべきであると主張し続けてきているのでありますが、今回の政府提案地方税法改正案では、何ら解決の糸口さえ見えないのであります。  他方、現在のような物価高のもとにおける税負担現状にかんがみ、国民生活を守るためには、大幅な地方税負担軽減につとめる必要があると考えております。昭和四十四年度の財政措置として、前年度に引き続き巨額の財源を国に貸し付けることになっておりますが、このような余裕があるならば、個人住民税等を中心とした地方税負担軽減合理化をはかるべきであると思うのであります。  したがいまして、この際、わが党は、憲法に保障する地方自治住民福祉を守る立場から基礎的地方団体である市町村税源充実をはかるとともに、大衆負担軽減を行なうため、当面、社会経済現状に照らし、特に緊急と認められる事項について所要の改正を行なうこととしたのであります。  以下順を追って地方税制改正の概要について御説明申し上げます。  まず、地方税法改正に関する事項について申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。  その一は個人についてでありまして、まず、住民税課税最低限につきましては、今回の政府案では約九万二千円引き上げられておりますが、所得税における課税最低限との差は依然として相当大きいのであります。かりに住民税所得税とではその性格上の相違もあり、課税最低限については必ずしも一致すべきものでないという論があるにしても、できる限り両税の格差を縮減するよう、具体的な計画のもとにその引き上げをはかる必要があると思うのであります。  したがいまして、昭和四十四年度以降三年間にわたって住民税課税最低限引き上げるため、基礎控除配偶者控除及び扶養控除の額を、四十四年度においてはそれぞれ三万円引き上げることとしております。なお、四十五年度及び四十六年度においてもそれぞれ二万円引き上げることを予定いたしておりまして、その結果、四十六年度における課税最低限は百五万円となる見込みであります。  また、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額については現行の六万円を十万円に引き上げることといたしております。  このほか、障害者未成年者老年者及び寡婦についての非課税の範囲を、年所得三十三万円まで拡大することといたしております。  さらに、中小事業者負担軽減合理化をはかるため、青色申告者専従者控除についていわゆる完全給与制をとるとともに、白色申告者専従者控除額現行の十一万円から二十万円に引き上げることといたしました。  次に、現行道府県民税所得割税率は、課税所得百五十万円以下二%、百五十万円以上四%という二段階比例税率的制度になっておりますが、低額所得者との負担の均衡をはかる見地から、税率を五段階に区分する超過累進税率制に改めることといたしております。  その二は、法人についてであります。  最近における企業発展は、都市特に大都市における公共施設充実に負う面が少なくないのみならず、公害その他の問題について、都市に多大の負担を及ぼしている実情にあるため、その負担をある程度企業に求めることは当然であると考えるのでありまして、住民税法人税割を、道府県民税にあっては現行の五・八%を一〇%に、市町村民税にあっては現行の八・九%を二〇%といたしております。  第二は、事業税についてであります。  事業税は本来二重課税的な性格を持つものであり、特に零細な個人事業者についてはその負担の過重に著しいものがあるのであります。したがいまして、将来、個人事業税は撤廃の方向検討を加える必要があるのでありますが、当面、所得税を納付するに至らない者に対する個人事業税解消をはかるため、事業主控除現行二十七万円から四十六万円に引き上げることといたしております。  また、中小事業者負担軽減合理化をはかるため、青色申告者専従者控除についていわゆる完全給与制を実施するとともに、白色申告者専従者控除額現行の十一万円から二十万円に引き上げることといたしました。  第三は、料理飲食等消費税についてであります。  都市あるいは観光地等における市町村行政負担は年々急増を示している反面、観光関係地財政収入は、市町村一に対し、府県二、国四という実情にかんがみ、その財源に充てるため、この際府県税である本税を市町村税とすることにいたしております。  次に、物価上昇等を勘案し、大衆負担軽減をはかるため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食免税点現行の千二百円から二千五百円に引き上げるとともに、飲食店等における免税点現行の六百円から千円に引き上げるほか、あらかじめ提供品目ごと料金を支払う飲食免税点現行の三百円から五百円に引き上げることにいたしております。  なお、料理飲食等消費税市町村移譲につきましては、課税事務を考慮して昭和四十五年度より適用することといたしております。  第四は、都市計画税についてであります。  都市計画税課税客体土地及び家屋となっておりますが、都市計画事業に伴う受益の度合いは、償却資産についても土地及び家屋と同様でありますので、都市計画税課税客体償却資産を加えることといたしております。  なお、都市計画税賦課期日は一月一日となっておりますので、この改正規定昭和四十五年度分より適用することといたしております。  次に、地方道路譲与税法改正に関する事項について申し上げます。  地方道路譲与税につきましては、大都市税源充実の一助に資するため、譲与基準として用いる道路の延長及び面積について道路の種類、幅員による道路種別等を考慮して、補正を加えることができることといたしております。  以上の改正により、昭和四十四年度においては、個人住民税におきましては差し引き千三百七十億円、個人事業税におきまして二百五十二億円、料理飲食等消費税におきまして三百八十六億円の減税となりますが、一方、法人税割改正に伴い、二千九百八十七億円の増収が見込まれますので、差し引き九百七十八億円の増収となります。  以上が地方税法等の一部を改正する法律案提案及びその大要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に、両案に対する質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 質問に入る前にお尋ねしたいのでありますが、四十四年度の「地方税に関する参考計数資料」というのを自治省税務局からいただいております。この資料には正誤表があるいはついておったのかしれませんけれども、たいへん重要な点でミスプリントではないかと思われる点がございます。それをまず確認をしていただきたいと思うのであります。  六三ページでありますが、「一般財源合計」とこう書いてございます。たとえば東京都の例をとりますと、市町村税計が一人当たり一万七千九百五円とありまして、交付税が千七百八十五円、地方譲与税なし、この合計が三千九百五十五円で、指数、全国平均一〇〇といたしますと四〇、こういう数字になっております。たいへんおかしいと思うのでありますが、これで正しいのですか。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 これは調べて、またあとお答えをさせていただきたいと思います。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 これは重要な計数で、毎年審議資料として出ておるものですよ。調べなくたってわかるでしょう。一般財源合計(A+B+C)、そして一万七千九百五円と千七百八十五円をプラスしたものが三千九百五十五円、こういうはずはないでしょう。これはもう税の配分なり交付税配分上非常に重要なものさしなんですね。調べるもくそもないですよ、これは。AプラスBプラスCというのは、小学校の算術ですよ。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 私、いまちょっと計算してみましたけれども、ちょっと間違っておるようでございますので、どこに間違いがあるか、なお調べまして御報告申し上げます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 これを見ますと、いま私は、東京の例をあげましたけれども、神奈川県の県下の市町村を例にとりましても、これも間違いでありますね。それから京都の例をとりましても、大阪の例をとりましても、兵庫の例をとりましても、これは全部間違いです。一つ二つミスプリントではないんですよ。表全部が間違いなんですね。これはたいへんですよ。同じ資料の「昭和四十二年度における道府県税収入等都道府県別所在状況」、これは大体正しいようでありますが、市町村のほうになりますとがらりと変わってきているんですね。これはもう明らかに間違いでありますから、調べるまでもないと思うんですよ。いま森岡課長は、どこかへ行きましたけれども、これは早急に正誤表を出していただきませんと——これはたいへん無責任な資料です。一カ所どころじゃないのです。これは重要な判断資料ですからね。しかも、いま太田委員から提案されました地方税法改正案、これはこの表の数字が重要な基礎になっておるわけですから、もう一度税務局長、はっきり答えてください。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 計算が間違っておるようでございますので、どこで間違いが起こったのか、ただいま調査いたしておりますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、後ほど間違いをはっきりして、正しい数値を出していただきたいと思います。  そこで、きょうは政務次官がいらっしゃいますから、冒頭お聞きしたいのですけれども参議院野田自治大臣は、質問に答えて、ことしは電気ガス税は不満足な改正であるけれども、来年は本格的にやるという答弁をなさっておりますね。これはどういう意味ですか。
  14. 砂田重民

    砂田政府委員 電気ガス税につきまして、ことし免税点引き上げを御承知のとおりに御審議をお願いしているところでございますが、国民生活の変化、そんなことも勘案をいたしまして、電気ガス税免税点あるいは税率等について来年度までにもう一ぺん検討をしてみたい、こういう意味大臣はおっしゃったのであろうと思います。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 ことしは免税点については、電気ガスそれぞれちょっぴり引き上げをしておりますね。これについて、こんなことではいかぬではないか、佐藤総理大臣は、公式の場で、これは悪税でありますと断言しておりますね。ところが、免税点引き上げだけで、審議の最中に、政府も自信のない税法改正案を出しているのだ。来年度は本格的にやりますというのは、いまのおことばですと、免税点税率と両方扱う、こういうお答えのようでありますが、税率免税点の両方を扱うという意味ですか。
  16. 砂田重民

    砂田政府委員 細谷先生も御承知のように、電気ガス税は、地方公共団体にとりまして現実問題として重要な税収がある税制でございます。ただ国民生活もたいへんな勢いで変ってまいってもおります。そういう意味合いから、地方公共団体財政事情国民生活の推移、こういうことをあわせてなお十分検討してみたい、こういう意味大臣答弁をなさったと思うのでございまして、ことしお願いしておりますこの改正が、確信が持てないとかそういう意味合いではなかろうと私は思うのです。いま来年は免税点税率双方を扱うのかという御質問がございましたが、私は、双方あわせて、自治省といたしましてはなお検討を続けたい、こういうことでございます。税率免税点双方とも来年度は扱うというところまでまだ実は決心ができておりません。検討させていただきたい、こういうことでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 それはおかしいですよ。総理大臣が悪税であります、こういうはっきりしたところの大前提を確認をして、それを受けて自治大臣が、ことしはちょびっとでありますけれども、来年は本格的にこの問題に取り組みます、こう言っているのですから、これは当然なこととして、免税点ばかりではなしに、税率の問題に触れる、そうしてそれは、検討したけれども何も出なかった、こういう筋のものではなくて、具体的な内容数字は別として、検討して、そうして本格的なものというのは、税率も来年度は必ず改正する、こういう約束をしたということ以外に常識的にこれは考えられませんよ。政務次官、そうでしょう。
  18. 砂田重民

    砂田政府委員 私といたしましては、まだ大臣からお指図を受けておりません。いま細谷先生がおっしゃいましたような、どんぴしゃり先生のおことばづかいのままのお気持ち大臣が御答弁なすったのか、非常に微妙なところだと思いますが、実は私自身まだ大臣からお指図を受けておりません。今年度御審議をお願いしておりますその改正免税点引き上げについて確信なしにやっているのかというお話がございましたので、そうではございませんで、四十四年度はこの程度の免税点引き上げが妥当ではないか、かように考えて御審議をお願いをしておりまして、来年度のことにつきましては、ただいま細谷先生お話でございましたけれども、直接私まだお指図を受けておりませんので、ちょっと私からは明確に、大臣のお気持ちはこうでございますということを、今日この場では御答弁しにくいのでございます。  ただ、方向といたしましては、免税点だけではなくて、税率の問題も一緒に検討をしたい、こういう気持ちを私どもは持っておりますことを、そのまま率直に申し上げたわけでございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 税務局長はそのとき同席していらっしゃったか。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 はい。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、政務次官は同席していらっしゃらなかったようですが、池田総理時代から、電気ガス税は悪税だ、悪税だと、こう言っているわけだ。そして二、三年続けて一%ずつ下げて、ここ四、五年になりますか、もう何も触れていないのですよ。歴代の総理大臣が、悪税だ、悪税だと言っている。去年の参議院あたりでも総理大臣が言っているのですね。佐藤総理はことしもまた言った。今度はそれを受けて自治大臣が言った。来年は抜本的な改正をいたしますと、こう言っているわけだ。税務局長はどういう決意なんですか。それは当然長い間の懸案で、池田総理時代から、毎年、毎年一%ずつ下げるというのが中断して、そして佐藤総理は、悪税だと言うだけで、あと免税点をちょこっとやって、そして、言ってみれば、特別措置産業用の電力のたいして新しくないものまで、これは電気料金がよけいかかるからという言い方で非課税にしているのですね。ずいぶん矛盾があるのですけれども税務局長、どうお考えですか。
  22. 松島五郎

    松島政府委員 私、大臣参議院予算委員会お話しになった点を承っておりましたが、大臣税率を下げるというおことばはお使いになりませんでした。来年度は税額が減るようにいたしたいという答弁をした次第でございます。それはどういうやり方でやるのか、私、ちょっと聞きながら、一体大臣はどういう方法でそういうことをお考えになっているのかなと、私自身そのときに考えたのでございますけれども大臣はそういう表現をお使いになったわけでございます。  なお、その問題はそれといたしまして、電気ガス税の問題につきましてはいろいろな御議論がございます。税金考えます場合には、私は常に税金というのは二つの面を持っていると考えております。一つは、納税者負担である、国民負担であるという面と、もう一つの面は、財政収入を調達するための手段であるという面でございます。納税者負担であるという面から申しますならば、いかなる税も、軽ければ軽いほどいいという一般原則はあると私は思います。しかしながら、他面において財政収入を得る手段であるということになりますと、もちろん納税者負担という面を考えなければなりませんけれども地方団体財政という面からの要請ということを同時に考えていかなければならないと思います。結局税法改正の問題というのは、その調和点をそのときそのときの状況に応じてどこに求めていくかということではないだろうかというふうに考えております。そういう意味で、今年度の税制改正にあたっては、この免税点引き上げという点に電気ガス税については私どもとしては調整点を求めた、こういう考え方でございます。  しかしながら、いま御指摘のありましたように、納税者負担という面からいえば、これはそれだけでものは片づいたというわけではございませんから、それは財政事情考えながら、将来ともできるものならば納税者負担軽減をはかっていくという基本的な方向というものは常に考えていかなければならないと思います。大臣のおっしゃったのもそういうお気持ちのあらわれではないかというふうに私ども考えております。ただ、現在提案をしております税法段階において、いますぐに来年こうする、ああするというふうに私どもはまだ検討が進んでいないということでございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 地方税法審議段階で、参議院答弁されたよりももっと後退した答弁を聞くようでは、審議は進みませんよ。参議院予算委員会において、たまたま電気ガス税が出たわけですね。そこではかなり進んだ答弁がなされた。いま政務次官なり税務局長お話を聞きますと、全然何も方向がない。具体性はともかくとして、何らの方向も示されておらぬ。こういうことになりますと、これは問題ですよ。これは、大臣が見えておりませんから、大臣に真偽のほどを聞かなければならないが、言ってみますと、電気ガス税地方の有力な財源であるということを自治大臣は前置きしておりますが、私も今日では有力な財源であるということを認めるにやぶさかじゃない。しかし、その税の性質なりあるいは現在の課税状況非課税状況等を見ますと、矛盾だらけですよ。そういうものに、何らかの具体性なしに、来年は抜本的にやります、こういうことで、その場のがれの答弁総理大臣なり自治大臣がするようでは困る。これはひとついずれ大臣が来てからでないとその真意がわかりませんから、その辺は保留しておきます。
  24. 鹿野彦吉

    鹿野委員 どうぞ。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、お尋ねいたしたい点は、三月十六日の新聞、それから二月末の新聞によりますと、現在市町村固定資産税なり住民税についてたいへんな超過課税というのがあります、この超過課税というのを四十四年度から三カ年計画解消する、そして解消をする地方団体に対しては特別交付税穴埋めをしてやる、こういう税務局長通達を出されましたか。
  26. 松島五郎

    松島政府委員 地方団体には解消するようにという通達を出しております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 その超過課税特別交付税穴埋めをしてやる、三カ年計画だという通達を出しているのでしょう。
  28. 松島五郎

    松島政府委員 特別交付税で全部穴埋めをするとは申しておりませんけれども、相当程度考慮する予定であるということは申し添えてあります。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞によりますと、特別交付税で二十億円穴埋めするといっている。四十二年度の参考計数資料を見ますと、市町村民税所得割におきまして超過課税をしておるところが千十六団体で、全市町村の三割というものが超過課税をしておるわけですね。その金額は、所得割で百二十五億円程度が四十三年度の決算見込みである、四十二年度の決算額は百二十八億円であると、こういうふうになっております。しかも最高限度の一・五倍まで取っているところが四百十六団体ある、こういうふうにこの資料は示しております。これを二十億円程度で穴埋めしてやるというのですか。あなたの通達によりますと、「超過課税解消または軽減を行なった市町村に対しては特別交付税において相当程度措置するものであること。」新聞によりますと「相当程度」というのは二十億円、こういうことになっているのです。二十億円というのははっきりしてないのですか。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 二十億円という数字は別にはっきりしておるわけではございません。と申しますのは、私どもは、できるならば三カ年間くらいの間に現在の超過課税というものをできるだけ解消していきたいという考え方をもって指導をいたしておりますけれども、来年度はたしてそのうちのどれだけがやれるものかという問題になりますと、いまいろいろ照会をしておりますけれども、現在の段階で確たる数字が出ておるわけではございません。  ただ、一応考えられますことは、単純に百三十億ばかりございますものが三年間で解消するとすれば、一年間平均四十億だ、こういうふうに一応の仮定をいたしますと、半分程度特別交付税で補てんをするということになりますれば二十億円程度という数字も出てくるわけでございますけれども、別にその数字を最初からきめてかかってこうしようというわけではございません。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 百二十七、八億円でありますから三カ年計画であると四十数億円、その半分程度というのでありますから二十億円程度というのですね。松島さんは税務局長でありますけれども、この種の、年度初めにはっきり予定しておるものを特別交付税に押しやるということはよろしいのですか。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 私どもは、超過課税軽減ないし解消の問題につきましては、何も今日に始まって言い出したわけではなくて、かねてから市町村のほうには、できるだけ軽減ないし解消をしていくように努力をしていただきたいということを要請してまいりました。しかし現実は、若干ずつは解消方向には向かっておりますものの、いま御指摘のございましたように、毎年七、八十町村くらいはやめておりますけれども、なお千以上残っておる、こういうことでございますので、この際何かもう少しくふうをしなくてはなかなか解消しないのではないかということを考えたわけでございます。そのためにどういう方法を講ずるかということをいろいろ検討いたしました結果、財政局とも相談をいたしまして、まあこういうやり方の是非についてはいろいろ考え方もあろうと思いますけれども、ともかく特別交付税である程度考えるということによってこの問題を促進していきたい、かような考え方をとったわけでございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 年度初めに予定しておるものを特別交付税でやるというのは、あなたも財政課長をやられたわけですからおわかりでしょう。本来ならばこれは例の三十九年ですか、一・五倍までとってよろしいというときに、標準税率というのは一であり、その一・五倍まで取っていい、——それをこしたものは普通交付税で措置をすべきですよ。この委員会でもずいぶん議論されたわけですね。ところが、一・五倍までは制限税率でありながら、そこまでは交付税で措置しないで、そしていままでほうってきたところに問題があるわけですね。おやりになるのならば、一・五ならば、三カ年計画ならばことしは一・三になったらそこまでは普通交付税穴埋めしてやろう、その次にはこうだ、三段階くらいで普通交付税でやるべきですよ。それが筋でしょう。特別交付税なんというのは、年度の初め、いまごろ予定されておらない災害等について見てやるものであります。そうでしょう。最近はどうも金額が多くなったものですから、八百億円とかなんかになった。ですから、どうも政治的に思いつきでという形でこれを利用しようとしておる。たとえば自治省の言うことを聞かなければ特別交付税は削るぞとか、こういうふうな武器に利用したり、どうも特別交付税の目的、性格を逸脱したやり方ではないかと私は思うのですよ。これは財政局長の問題かもしれませんけれども、しかし税務局のほうで三カ年計画解消するというような穴埋めを求めた筋合いからいきますと、これはやはり税務局長も責任があると思うのです。おかしいでしょう。本筋に戻ったらいかがですか。
  34. 松島五郎

    松島政府委員 超過課税をいたしております団体というのはいなかの市町村が比較的数にして多いというようなことから、そういう団体財政力が低いというところに一つの原因があるというふうに考えられますので、自治省といたしましては、そういうところの財政力を強化するために普通交付税をできるだけ傾斜的に配分をするというような方式をとって、それと並行して超過課税解消ということを呼びかけてまいったわけでございます。しかしながら、どうも実際の成績を見ますと、先ほども申し上げますように、だんだん減ってはきておりますけれども、その減り方がきわめて遅々たる感じがいたします。超過課税制度は申し上げるまでもないことでございますけれども財政上の特別の事情があるときに課税をすることができるという道を開いたものでございまして、これが固定化し慢性化するということは、制度本来の趣旨からも適当でないわけでございますので、私どもといたしましては、できるだけ超過課税解消することによっていわばその市町村財政の弾力性と申しますか、そういうものを確保していくことも必要ではないかということで、何度も申し上げますように、前々からそういう指導をし、かつ交付税配分にあたっても、できるだけ傾斜的な財源増額をはかりながらそれをできるようにしむけてきたつもりでございますけれども、現実はいま申し上げたようになかなか進まない。そういうことから、もっとストレートな方法ということでこういうようなことを今年度からやってはどうかという考え方をとったわけでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 ストレートでおやりになるというのなら、これは大体貧弱団体がやむを得ず一・五倍までかけておるわけですから、交付税が伸びた、伸びた、大蔵の方もいらっしゃるようですけれども交付税が国の財政硬直化の犯人だなんていわれておる。若干伸びたことは事実。そういう時期に、住民税は標準税率をこえておったものは一・五までの間は普通交付税の中で解決するというのが筋でしょう。そうでしょう。それをいまごろ特別交付税に求めるというのはこれはきわめて変則だろうと思うのですよ。やれないことないのですから、これから交付税審議をするのですから、政務次官、そう思わぬですか。何でも八百億円をこしたというので、適当に交付税地方自治団体を縛りつけようとしておる。特別交付税の目的、性格を逸脱しておりますよ。これはやはり普通交付税でおやりになるのが筋ですから、しかも局長がおっしゃったように、貧弱団体へ傾斜配分をしてやる、財源調整をしてやる、これが交付税の主目的なんでありますから、特別交付税なんということではなくて、普通交付税でこれは見てやるべきです。その方向ぐらいはここで出してもらわなければ、これはいままでがおかしいのですよ。どうですか。
  36. 砂田重民

    砂田政府委員 超過課税軽減あるいは解消の問題はだいぶ前からの問題でございます。何とかこれを平常の姿に戻したい、私どもそういう気持ちを非常に強く持っておりまして、先般の税務局長通達も、そういう意味合いから軽減解消のスピードが、先生承知のようにどうもおそいんですね。毎年七十市町村ずつぐらいしか減っていかないけれども、それがおそいですから、もう一度あらためて税務局長から通達を出したようなわけなんですが、やはりやめろ、やめろと言うだけではなくて、こういう超過課税をしております市町村財政事情、また理由もあるものでございますから、今回特交で一ぺん見たらどうか。どうも専門家の細谷先生の御意見でございますから、むしろしろうとの私にはたいへんむずかしい問題だと思うのですが、普通交付税でダイレクトに見るというのがちょっと困難なように、私にはそんな感じがするんです。  ただ、これから交付税の御審議をお願いするわけでございますが、超過課税をしなければならないような財政状態にある市町村、そういうところに普通交付税がやはり相当傾斜的な配分がされるはずでございますので、これもしんしゃくの材料に入れながら、超過課税の分を軽減をしたところ、あるいはやめたところ、こういうところを、普通交付税配分というものも見ながら特交であとを見ていきたい、このように考えておりますので、どうぞひとつこのやり方をさせていただきたいという感じがするのでございますが……。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官は副大臣ですからね。こういう公式の場でしろうとなんという形で逃げちゃいけませんよ。それはやっぱり責任ある答弁ですからね。技術的な点は担当の事務官でけっこうでありますけれども、行政上の決断、判断というのは、これはやはり大臣なり副大臣である政務次官の責任であります。  申し上げるまでもなく、貧弱団体は本来ならば百億円しか入らないものを百五十億円取っているわけです。百五十億円取るものとして基準財政収入額を七五%かけて計算するわけですから、当然基準財政需要額との差額というのは減ってくるわけです。これは当然百億円というのが標準税率でありますから百億円で計算すべきですよ。そうすると七十五億円しか入らぬ。基準財政需要額というのが百五十億円あるならば、その差額だけは交付税で裏づけをされる筋合いであるにもかかわらず、交付税が足らぬということで、当時確かに交付税が下り坂にありました。三十九年ぐらいですか、下り坂にあったので、一・五倍までは交付税で見ない、それをこしたものについて交付税考える、こういうことでありますから、まあその当時はやむを得ないにしても、今日この段階で、また特別交付税で問題を解決しようなんということは、これはよろしくない。そうしますと、もっと突き詰めて言いますが、三年間は特別交付税でやる。そうすると、全部超過課税というのはなくなったその段階では、一切普通交付税で見るということですか。それはそうせざるを得ぬでしょう。
  38. 松島五郎

    松島政府委員 現在の基準財政収入額の計算は、御承知のとおり超過課税をしていようとしていまいと、標準税率で計算したもので税を取っているものとして計算をしております。にもかかわらず、超過課税をしなければならないということは、ただいま御指摘のとおり、基準財政需要額が低いために普通交付税が十分もらえない、だから超過課税をするんだということに理論的にはなるわけでございます。そこで、先ほども申し上げますように、こういう貧弱団体に対する交付税が傾斜的に増額になりますように、基準財政需要額の増額をはかってきておるわけでございます。  ただ、個々の団体にとってみますと、そういう形で財源がふえましても、それはそれとしてということで、一たん超過課税を始めますとなかなか下げないというのが現状でございます。私はそれを固定化、慢性化と言っておるわけでございますが、そういう傾向がございます。また、地域的に寄り集まって相談をして、この地域はこのくらいの超過課税でいこうやということをきめてやっているのではないかと思われるほど、その地域に、たとえば一つの郡なり一つの県なりに集中的に超過課税が行なわれているという状況もございます。そういうような点から、私どもとしては、やはりここでは何かもう少し個別的なやり方でなければ問題が解決をしないのではないかという考え方を持ちましたので、もっと強力に超過課税軽減あるいは解消をしてもらいたい、ついては特別交付税でも相当程度の考慮をするということを申し上げておるわけでございます。  なお、三年なら三年たったら特別交付税を全く打ち切ってしまって全部普通交付税に切りかえるかという問題でございますが、普通交付税はもちろん年々そういう団体について傾斜的に増額になるような基準財政需要額の算定のしかたをしていかなければならぬということは御指摘のとおりでございますが、ただ特別交付税の問題につきましては、いま私どもとしては、たとえばことし標準税率に全部切りかえてしまったという団体があった場合に、今年度の減収額が五百万円あったとしてかりにその半分を補てんをしたといたしまして、来年は全然考えないということはなかなか踏み切れないのではないか。したがいまして、三年程度は多少率は下げていくにいたしましても、やはり考えていくということで解消をはかっていったほうが、よりすみやかに進むのではなかろうか、かように考えております。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に答えていないわけだ。個別的な指導をしなければいかぬので、三年程度解消期間は特別交付税で措置せざるを得ない、こういう判断に立ったわけですね。ただ、それが進んで、あなたのほうの希望どおり超過課税というのが解消されたならば、全部普通交付税で見てやるのでしょう、こう言っているわけです。
  40. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省の早田さんですか。企画庁がつくりました四十六年度までの経済社会発展計画というものが完全に破綻をいたしましたね。いまそれの修正作業に入っておりますね。破綻した原因は一体何ですか。
  42. 早田肇

    ○早田説明員 経済社会発展計画につきましては、確かに見通しにいろいろ問題がございまして修正せざるを得ない形になっておるわけでございますが、実は私直接担当しておりませんので、必ずしも明確にお答えできないわけでございますが、やはり経済見通しでございますから、いろいろ社会の発展、経済の伸展等もございます。その見通しにつきましていろいろ問題があったかと思います。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 一番問題は、民間設備投資がめちゃくちゃに伸びたということでしょう。そうでしょう。民間設備投資がめちゃくちゃに伸びたというのは、風が吹くとおけ屋がはやるなんという、そんな遠回しな言い方じゃなくて、法人企業の内部留保というのが非常に強力になったという証左じゃないですか。その原因は、諸外国と比べても、日本の法人課税が実質的に低きに失する、こういうことではないのでしょうか。あなたは税の専門家でございますから、税のサイドから見ても、そういうことは言えませんか。そういうお考えないですか。
  44. 早田肇

    ○早田説明員 確かに先生のおっしゃいましたように、わが国の法人税率は諸外国に比して数字で見ますと低くなっておることは事実でございます。たとえば、アメリカに比較いたしましても、あるいは西ドイツに比較いたしましても、フランスに比較いたしましても、表面税率も、実効税率もそれぞれわが国のほうが低くなっております。しかしながら、これはわが国の国際競争力をふやす、戦後の荒廃から立ち直ることの経済の発展を期するためには、この税率というものもそれなりの効果は非常にあったのではないかと思っておるわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 民間設備投資の異常な伸びに対しては効果があったでしょう。そのためにいろいろな社会的ひずみ、産業公害が生まれたというたいへんな害も出ておることは事実ですね。そうでしょう。あなた、御承知かどうか知りませんけれども、経済発展計画をつくる際の前提条件として、現在の法人税率を変えるということがあったことを御承知ですか。
  46. 早田肇

    ○早田説明員 たいへん恐縮でございますが、実はあまりそこら辺をつまびらかにいたしておりません。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 現在の法人税率というのは、三五を三七か八ぐらいにしろというのが前提であったんですね。それをやってないですよ、あなたのほうは。そういうことから、先ほど申し上げましたように、直接的にはやはり企業の内部留保というのはどんどんふえている。そして資本比率は低いのでありますけれども、どんどん設備投資の資金を企業が調達できるようになった。それが異常な設備投資の伸びと、経済社会発展計画がパンクした根本的な原因なんでありますね。そういう点で、法人税率がそういう前提で構想されておったのにパンクさせたというのは、大蔵省がその前提条件に取り組まなかった、こういうふうに申さなければならぬと私は思うんですよ。それをお認めになりますか。
  48. 早田肇

    ○早田説明員 その辺の経緯については、たいへんたびたびで恐縮でございますが、実はあまりつまびらかにしておりません。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 今度の予算編成の際に、経済成長の見通しは一四・四%であって、予算の規模は一五・八%になった。経済成長率を上回るのであるからこれはインフレーションだ、こういうふうな予算に対する批判も国会内においても、あるいは学者からも提起されたことは事実ですね。しかし、政府の経済見通しなんておおよそ当たったことがない。まるっきり見当違いの経済見通しというのがいままでの実績なんです。ですから私は、あの予算編成の前提になる経済見通しというのは、適当に国民の目をごまかして、予算の基礎はこれこれだということを示した単なる数字にすぎないんだ、こう思っておるわけです。ある学者あたりは、日本の経済社会を均衡ある発展をもたらすためには、ひずみを是正するためには、法人税をかなり大幅に上げて、そしてある程度設備投資を抑制しつつ社会資本の充実、その社会資本というのも、大企業の要請に基づく社会資本ではなくて、国民大衆の要請する社会資本の充実、そういうものに向けていかなければならぬと近代経済学者あたりも口をそろえて言っているでしょう。私はこの程度でもうこの議論はやめますけれども、これも税ですからあなたどう思いますか。
  50. 早田肇

    ○早田説明員 先生がただいまおっしゃいましたようなことは、議論としてあることは私も承知いたしております。しかしながら、法人税率を変更いたしますことにつきましては、企業にとりましても、それぞれ相当の問題でございますし、同時に、その影響は、日本経済全般にも及ぶものだと考えております。他面、現在の法人課税につきましては、課税のあり方につきましていろいろ問題のあることも事実でございまして、その点につきまして早急に検討をすべきではないかということもいわれておるわけでございます。したがいまして、それらの点につきましては、今後法人税負担というものがどの程度であるべきか、法人課税の問題はいかにあるべきか、こういうような問題を含めまして、税制調査会においても検討するということになっております。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 これ以上この議論はしません。  そこで、私が税の考え方について一つの問題提起をしたわけですが、具体的な問題として、青色申告者に対する専従者控除は四十三年度から完全給与制になりましたね。地方税も四十四年度から青色に対しては完全給与制をとろうとしております。この青色申告について完全給与制をとったために、現実に四十三年度の実績は平均どの程度の控除額になるお見通しなのか、これをお聞かせいただきたい。
  52. 早田肇

    ○早田説明員 四十三年分は先日の確定申告で締め切ったわけでございますが、大体におきまして年間三十万程度の控除額になろうと思います。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 年間三十万。税務局長、今度青色申告について完全給与制をとりますね。大体平均年三十万ぐらいと見積っておるのですか。
  54. 松島五郎

    松島政府委員 地方税の減収見込みとして算出いたしました基礎は三十万でございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 幅はどのくらいありますか。平均三十万でありますが、どのくらいの幅になりますか。
  56. 松島五郎

    松島政府委員 実はことしの四十三年分の所得から初めて所得税完全給与制をとることになりましたので、いま大蔵省のほうからお答えがございましたように、三月の確定申告がようやく締め切りになった段階でございますので、はっきりした数字はわかりませんが、一応その当時までの実態調査から、大体三十万平均ということで、私どもの収入見積りといたしましては、個々の団体ごとの収入見積もりを出すわけでございませんので、平均をとって三十万としたわけでございまして、上下がどのくらいの開きがあるかということは私どもつまびらかにいたしておりません。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 白色申告は国税の場合幾らですか。
  58. 松島五郎

    松島政府委員 国税の場合十五万でございまして、今回地方税もそれに合わせて十五万、こういうことでございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省にお尋ねしますが、国税が十五万になったのはいつですか。
  60. 早田肇

    ○早田説明員 四十三年分からでございます。四十二年が十四万二千五百円、四十三年が十五万円……。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 そうですか。
  62. 早田肇

    ○早田説明員 四十二年度十四万二千五百円と申しましたのは初年度分でございます。したがいまして、失礼いたしました、法律改正は四十二年でございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 それは四十一年の税調の答申に基づいたわけでしょう。税調の答申は幾らですか。
  64. 早田肇

    ○早田説明員 税調の答申と同じだと思います。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 税調が十四万という答申をしたのでしょう。税制改正要綱で十五万にしたのじゃないですか。
  66. 早田肇

    ○早田説明員 ちょっと、ただいま税調の答申持っておりません。至急調査いたします。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 私はちょっと調べてきたのですが、四十一年度の税制改正についての税調の答申には、白色申告者専従者控除の控除限度額を十四万円とする、こういうことでありましたけれども税制改正要綱で十五万に引き上げられて、一万円引き上げられて四十二年度から実施されておるはずですね。一体白色申告者専従者控除というのはどういう根拠に基づいて税調は十四万円という計算をなされたのですか。それはおわかりでしょう、基本的な問題ですから。
  68. 早田肇

    ○早田説明員 白色専従者控除は青色専従者控除と基本的に違いまして、青色専従者控除は現実に専従者に金額を支給いたしましたときに、それが必要経費となって落ちるわけでございます。白色専従者控除につきましては、一種の控除でございまして、現実に給与を支給するかしないかということとは別でございます。したがいまして、そのような点も含みまして、白色申告者課税軽減をはかるために引き上げを行なっておるのでございます。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 税調の答申の中には「最近における給与水準の状況等にかえりみ、個人事業所得者の負担の合理化を図るため、」白色申告者の云々と書いてある。ですから、給与水準の状況等考えて——それは白色と青色は違いますよ、違いますが、給与水準の状況、そういうものを考えて十四万とか十五万がきめられたわけですね。そうして青色の場合は四十三年度から完全給与制になったのです。完全給与制がとられたのですよ。白色の場合は四十二年が十五万になって、四十二年、四十三年、四十四年と三年間据え置かれていますよ。給与水準は変わっていますよ。税調の専従者控除を決定する基本というものを忘れてしまっているでしょう。あなたは白色と青色というのは違うと言っていますが、青色についての完全給与制というものは一種の恩恵ですよ。恩恵だけが優先して、完全給与制のもとに三十万の専従者控除が平均与えられているのに、片や三年も四年も十五万で、給与水準がどんどん変わっているのにほったらかしというのはどういうことですか。弱いものいじめじゃないですか、これは。弱いものいじめですよ。自治省は十一万円から四万円上げて十五万円にしよう、そうして所得税と合わせました。ほかの控除で所得税と合ったものないですよ。地方税にしわ寄せしているじゃないですか。大蔵省は白色のほうはほったらかして青色だけ完全給与制にする。四十三年度が三十万円なら、今度は三十五万円以上になるでしょう、給与が上がっておるのですから。自治省は去年四万円上げ、ことし四万円一気に上げておりますけれども、私が非常に奇妙に思うのは、自治省のこの数字もちょっとおかしい。大体が控除額の実例を見ますと、今度完全給与制になるわけでありますけれども、四十一年度の実績をとってみますと、青色のほうはぴしゃりと控除額に合っているんですよ、平均が。白色のほうは控除まで平均は至っていないのですよ。内輪です。今度の自治省資料を見ましても、どうなっているかというと、四十二年度はどうかといいますと、青色のほうは十二万円ですよ、十二万円ぴしゃっといっているんですよ。白色のほうは八万円なのに七万八千円しか平均が控除されていないのですよ。この辺も差別ですよ。私は大蔵省ばかりかと思ったが、自治省までやはり弱体である白色のほうを虐待しておる。しかも大蔵省が四年もほったらかしておるのを、自治省が今度は国税に右へならえして専従者控除を同額に持っていった。ほかに同額なんてありませんよ。だから白色専従者というものは、配偶者控除のほうが十七万円なんですから、そのほうが得ですよ。こんなばかげた税体系はないでしょう。専従者でありながら、配偶者のほうの控除をしてもらったほうが得である、こんな控除のしかたがありますか。これはひとつ大蔵省答えてください。
  70. 早田肇

    ○早田説明員 先生御指摘の点は、従前白色専従者は、青色専従者給与のような記帳を前提としてその給与の支払いの事実に対して控除を認める制度とは基本的に異なるということを先ほど申し上げたわけでございますが、白色専従者控除配偶者控除、これはどちらか選択することができるという制度を先般改めて現在のようなことになったわけであります。しかしながら、この点を改めました趣旨は、制度の簡素化ということが主体であったわけでございますが、確かに先生のおっしゃるような事態がその結果生じてきておる、したがいまして、その辺についても検討を進めておるわけでございます。かりに白色の専従者の控除額を配偶者控除額と同額、またはそれ以上といたしますと、基礎控除の額と同額、またはそれを上回るというようなことになりまして、どうもちょっと問題があるのではないかと考えるわけでございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 青色、白色、いずれもこれは中小企業が多いのですね。片や三十五万くらい四十四年度では専従者控除を受けようとしておる、片やその半分にも満たぬ十五万というもの、それはおかしいですよ。青色については一種の特典なんですよ。一種の特典が優先して、内容も質も違うのだという形で片づけられるところに問題があるのですよ。自治省はかなり思い切って、大蔵省は三年ばかりほったらかしてあったから、去年四万円、ことしは四万円という形で上げましたけれども税務局長、これではたまらぬですよ。あなたのほうは国税へ右へならえしたけれども、これでも差別ですよ。弱い者いじめですよ。そう思いませんか、政務次官
  72. 砂田重民

    砂田政府委員 税は安ければ安いほどいいという考えは私も持っております。専従者控除は、私、必ずしも恩典ばかりではないと思うのです。必要経費という角度からもやはり考えなければならないことで、これまた全国の中小企業の方の長年の間の御要望でございます。昨年国税が踏み切りましたので、地方税のほうも完全給与制を四十四年度からとることにいたしました。  白色と青色専従者控除のアンバランスといいますか、いろいろ議論があるところでございますけれども、四十四年度は十五万まで今回引き上げましたところが地方税としては妥当なところではないだろうか、このように考えます。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 そんなことを言ったって、それは答弁にならないですよ。それはおかしい。  そこで、税務局長にお尋ねしますが、私は、個人事業税というのは、これは佐藤総理じゃありませんけれども、悪税だ、二重課税だと思っています。こういうものは撤廃していくべきだ。先ほど太田委員が述べたとおりです。そこで、この悪税である個人事業税に対して、所得税を納めてない人で事業税を取られている人は何万人くらいおりますか。そして、その何万人のうち、青色と白色の割合はどのくらいになっておりますか。
  74. 松島五郎

    松島政府委員 事業税納税義務者のうち所得税を納めてない方が三十四万くらいというふうに見ております。
  75. 森岡敞

    森岡説明員 いま税務局長から申し上げました数字は、四十四年度の見込みでございますが、四十四年度の数字——確定的な数字ではございませんので、四十二年度の実績に基づいて申し上げますと、個人事業税の納税義務者数は、全部で約百七十七万五千人でございます。そのうち所得税の有資格と失格でございますが、所得税を納めていただいておる方が百三十九万人でございます。所得税を納めていない方が三十八万人という数字でございます。このうちの青と白の区分は、実は課税の実績をとっておりませんものですから、現在の資料では正確に割合はとっておりません。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 四十二年度の実績は、いま森岡課長がおっしゃられたとおりである。個人事業税を納めている人は百七十七万五千人、そのうち所得税欠格者が三十八万五千人。二二%ですね。ところが、それではその所得税の欠格者は所得額は幾らかといいますと、二二%の人数でありながらわずか全体の一二%の所得額なんですね。全体の所得額というのは一兆一千七百三十一億円、そのうち所得税欠格者というのは千四百七十一億円です。ですから十二%しかないんですね。人数が二二%おって、所得額は一二%しかないというのですから、これは大部分白色ですよ。これまた鶏みたいに搾取されているね。白色レグホンというのがあるが、鶏みたいにこれは搾取されているね。そうでしょう。この所得税欠格者というのはほとんどが白色の人だと思いますね。しかも、先ほど申し上げたように、専従者控除なんというのは国税では三年間据え置き、地方税が国税をある程度補佐して四万円上げた、こういうふうな状況なんであります。  そこで税務局長、先ほど大蔵省に聞いたら、やっぱりたいへんな設備投資の余力を持った大企業と、それから個人事業税ということで所得税を納めてないような事業者が、こういうふうに事業税を取られている。この事態は決して好ましい姿ではないと思うんですね。正しい姿ではないと私は思うのですよ。ですから、いま四万円上げたということについては、大蔵省よりもあなたのほうが、ずいぶん白色レグホンをかわいがっている姿を認めますけれども、これじゃだめだということですよ。思い切って、先ほど太田委員がやったように、これはやはり上げていただいて、少なくとも所得税を納めておらない人からは、当面、個人事業税なんという悪税は取らないようにすべきではないか、こう私は思うんです。太田委員改正案に大賛成なんですが、税務局長どうですか、言うことないでしょう。
  77. 松島五郎

    松島政府委員 所得税事業税とは課税標準の取り方が違いますので、前回河上委員の御質問にもお答えをいたしましたように、まれな例ではございますけれども事業税は納めるけれども逆に所得税を納めないという方もあり得るわけでございます。と申しますのは、所得税の場合は、かりに一人の方が仕事をやっておられると基礎控除だけでございますけれども事業税の場合は、事業主控除のほうが所得税基礎控除より高いというような事情もございまして、その控除の働き方が、所得税と逆に働くというような場合もございます。課税のしかたが違いますので、逆に所得税を納められない方でも事業税を納めていただくということもあり得るわけでございます。  ただ、御指摘になりました少額所得者の負担軽減という問題は、これは常に考えていかなければならない問題でございまして、いま御指摘のございましたような点も考慮いたしまして、白色専従者控除引き上げをいたしたわけでございます。先ほどお話がございましたように、白色専従者控除所得税失格者の課税所得額が、全体のうちの一割余にしかならないじゃないかというお話でございます。したがいまして、一人当たりの所得も非常に少ないということになりますので、今回行ないました白色専従者控除引き上げというのも、非常に大きくそういう方々に働いて減税になるというふうに考えておるわけでございます。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたのほうのこの資料府県税の各府県ごとの分布状況を見てみますと、これはやはり零細な人から取れるだけ取れ、いわゆる鶏扱いというのがよく出ている。北海道を例にとりますと、法人事業税は、北海道は、全国を一〇〇としますと、五二でありますけれども個人事業税は七八なんですよ。これは零細な人に過酷な税をしいている証拠ですね。東京都はどうかといいますと、二一九という法人事業税がありますが、個人事業税は一六二、これも同じ傾向を示していますね。大企業のあるところでは法人事業税は多いのですけれども財源の貧弱なところに行くほどにこのウエートが上がっていっております。日本で一番少ない法人事業税を取っているところは鹿児島県、これが全国の平均の五分の一しかない。ところが、個人事業税に至っては四八ですね。五分の一しか法人事業税はないところで、個人事業税は四八も取っているのですから、これを見ても、零細な人からよくも取ったものだ、よう鶏扱いをしたものだ。この計数ミスプリントじゃないようですから、そういうことになるでしょう。  そういうことでありますから、私は太田委員提案のように、とにかく一ぺんに廃止すべきなんだけれども、順を追ってこういう過酷なさか立ちした税は——不公平であることに問題があるわけですから、政務次官、そうですよ、よけい取られるとかなんとかじゃない、ひとしからざるところに問題があるのです。これはたいへんな不平等ですよ。これはひとつ改めなければならない。太田委員提案に大賛成です。これ以上聞きません。  そこで、次にもう一つ都道府県個人住民税は百五十万を境にして二段階比例税率でありますが、これはいつなったのですか。
  79. 松島五郎

    松島政府委員 三十七年の改正以後であったと記憶しております。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 三十七年、八年、九年、十年、十一、十二、十三、十四と、八年間にはたいへん物価が上がっていますよ。なるほど諸控除については手を加えましたけれども、依然として百五十万というのはどういうことですか。改める意思ないですか。八年間も百五十万を境にして、それ以下が二%、それ以上は四%なんという二段階。五千万も一億も所得のある人にも四%、こんな不合理な税体系はありませんよ。太田委員が言うように、かりに資源の再配分という所得税のような作用を期待しないにしても、これではあまりにも不合理じゃないかということを太田委員も言っておりました。そうでしょう。こんなばかげた、三十七年からいまだに手を加えない、これはおかしいと思う。そこで私は、やはり市町村民税と同様に、十三段階なんというのは一ぺんにいかぬにしても、少なくとも五、六段階にするのは当然なことであろう、実情に合うことであろう、こう私は思うのです。どうですか税務局長
  81. 松島五郎

    松島政府委員 住民税税率をどうすべきかという問題は、前回の御質問にもお答えをいたしましたように、課税最低限の問題とも密接な関連を持っていることは御承知のとおりでございます。ただいま御指摘のように、百五十万円で切っておりますけれども、百五十万円と申しますのは課税所得でございますから、各種の控除が上がってまいりますと、その控除を含めて百五十万円に達するまでの金額というのは控除の引き上げによって変わってくるわけでございまして、その意味で、昭和三十七年当時に設定されましたときとは、内容的に多少とも違ってきていると考えられます。それは別といたしまして、県民税の税率なり市町村民税税率をどういう構造にすべきかという問題については、二つ考え方があるわけでございまして、住民税のような税金というものは、むしろ所得税の前段階として、比例税率に近い段階でとって、それ以上の傾斜というものはもっぱら所得税でもってつけるべきである、こういう考え方があることは御承知のとおりでございます。また、他面においては、いま先生御指摘のように、それぞれの税ごとに累進度をもう少し強くすべきである、こういう議論もございます。いずれにいたしましても、税率を変えますということは、それぞれの負担者に対して非常に大きな影響もある問題でもございます。それは先ほどまた申し上げましたように、課税最低限の問題とも密接な関連を持っているわけでございます。そういう点から総合的に検討していかなければならない問題ではございますけれども、私どもといたしましては、どちらかといえばやはり住民税はできるだけフラットな税率のほうが、住民税性格から見て適しているのではないか。この点につきましては昭和三十九年かの税制調査会の答申にもそういう趣旨のことが述べられておりますけれども、そういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  82. 細谷治嘉

    細谷委員 都合のいいときは税制調査会の答申、都合の悪いときには所得水準を考えろという専従者控除のやつは忘れておる。これじゃだめですよ。あなたの考え二つの説を言ったのです。かりに二つの説があるということは事実にしても、それならば八年間毎年毎年六%も物価が上がっておる時期に、百五十万というのを動かされたらいいでしょう、二百五十万とかなんとか動かされたら。それも動かさぬで、八年前の百五十万で二段階というのを手も加えないでいくというのは、あなたの理論と実践は全く一致していませんよ。あなたはそういう考えじゃないと思うのだけれども、その説をおとりになるならば、二段階比例税率という説が正しいという説をとるならば、八年間動かしていないのはおかしいじゃないか。私どもはやはりある程度の数段階の、そして累進税率を採用すべきだ、こういうことを主張しておるわけです。あなたのこの表を見てもわかりますよ。これはそういう市町村個人住民税府県府県民税とが所得割が体系が違うものですから、どういうことになっているかというと、全国を一〇〇とした場合に、市町村のほうは、金持ち等がよけいおるだろうという都市のほうはわりあいに率が高いのです。府県のほうはどうかというと、貧乏人の多いところの府県のほう、いわゆる財源のない県のほうのウエートが高くなっております。このことはどういうことかというと、取ればいいんだ、財源がほしいから、貧乏人であろうと何であろうと、住民のいわゆる応益性に基づいて出してもらおうということで、応能なんということを忘れてしまってやっているんですね。それをあなたのこの統計は示していますよ。たいへん詳しい数字が出ているのですが、これを一々分析してみると、ぴしゃっと出ているのです。これは矛盾ですよ。政務次官政務次官に聞いてもあまり答弁ははっきりしないのですが、これはやはりお直しになったほうがいいと思うのですが、あくまでもこれは応益性でいくべきだ、こういう原則が主体なんだとおっしゃるならば、百五十万を八年間動かさないというのは不合理なんですから、動かすべきですよ。私どもはその説じゃなくて、数段階の累進税率をとるべきだ、所得税ほどじゃなくても、少なくとも累進税率をとるべきだ、こういうことで太田委員もそういう案を出しておりましたね。これは真剣に検討すべきです。いかがですか。
  83. 松島五郎

    松島政府委員 いま二段階税率であるために、比較的経済的に発展がおくれた府県の県民税が相対的に多くて、そうでない県のほうは相対的に少ない、市町村民税と姿が反対になっておるという御指摘でございますが、事実はそのとおりだと思います。と申しますことは、逆に課税最低限引き上げによって減税を一番大きく影響を受けると申しますか、地方団体側のほうからいえば減税の影響を受け、納税者としては減税されるのはどこかと申しますと、結局所得が幾らあろうとも、五万円なり十万円なりを課税対象外に引き去ることでございますから、いま申されましたいなかの県においてその影響を非常に強く受け、そうでない県は比較的少ないということにもなるわけであります。したがいまして、この問題をどういうふうに考えていくかということは、先ほども申しましたように、課税最低限をどうするかということとあわせて検討してまいるべきものだというふうに考えております。
  84. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの説とこの表は違うのですよ。課税最低限引き上げにもかかわらず、それ以上に百五十万を境に二段階税率というものが大きく響いておるものですから、比較的貧乏県のほうと裕福な県、財源のある県とを比べてみると、貧乏県のほうが比率は市町村民税より府県民税のほうが上がっておる。このことはどういうことかというと、貧乏人からよけい税金を取っているということじゃないですか。その原因は二段階比例税率によるのだ、基礎控除引き上げで税が減っていく、それ以上にこの方式が響いておるのだ、そういうものをあなたのほうの統計は示しておるのです。これはミスプリントじゃないようですから、正しいでしょう。あなたの分析はさかさまですよ。
  85. 松島五郎

    松島政府委員 比較的いなかの県でと申しますか、経済的に発展のおくれておる県で府県民税のウエートが高く、比較的経済的に発展しているところでウエートが低いということの事実を私は否定しているわけではございません。これは先生のおっしゃるとおりだと思います。  ただ、私の申し上げましたのは、そういう状態のもとにおいて課税最低限引き上げるということは、また逆にいえばどこに一番大きく影響するかというと、一番いなかの県に財政的に大きな影響を与えるということを申し上げただけでございます。
  86. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど太田委員提案では、ことしは一万円ずつしか課税最低限引き上げておらぬけれども、もうちょっと奮発したらどうかということで、自治省の案に三万円加えろ、課税最低限引き上げなさい、そうするといま言ったような問題点がある程度カバーされる、こういうことから太田委員の修正案というのは出ておるのですよ。政務次官、そういうふうにやらなければ——私がずっといままで言っておることは、貧乏人にのみ過酷なひとしからざる課税を強要しておるという体系になっておるわけですから、それを直していただきたい、こういうことから出ておるわけですから、政務次官、おわかりになったでしょう。
  87. 砂田重民

    砂田政府委員 細谷先生は、住民税所得税性格的に違っておりますことは御承知のとおりでございまして、またそれを前提にしてのお話でございますが、その住民税の持っております性格からいきますと、やはり一挙に先生のおっしゃるような比例税率をこの四十四年度から直ちに数段階に分けていくというふうなことは、これまた地方財源にも非常に大きな影響を与えるところでございます。やはり地方税の問題、いろいろな問題が起こっておるときでございまして、国税、地方税合わせての相当真剣な検討をなされなければ私は答えが出ないような感じがするのです。細谷先生の、累進税率を高くしていけという御議論も確かにあります。またある程度平均化した課税住民税の本来の姿であるという説もあるわけでございまして、ただ先生おっしゃるような所得の少ない人の課税をできるだけ安くしろという、そのお気持ちは十分私たちも理解いたしますし、当然持っておるところでございますから、これはひとつ、いま先生の御質問の最後のおことばにありました真剣に検討する題目だ、私もやはりそのとおりに考えますので、課税最低限の方式とあわせて真剣に検討させていただきたいと考えます。
  88. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、きょうはすぐお答えいただけないと思うのでありますけれども、大蔵省もいらっしゃるが、最近地方税が伸びた、交付税が伸びた、国よりも地方が裕福になった、こういうふうにしきりに攻撃をかけられておるわけですけれども、三十六、七年ごろまでは大体オプション1を採用しておった市町村は、課税最低限所得税と全く一致しておりましたね。それから七、八年の間に埋めても埋めることができない三十万円という課税最低限の差が依然として残っておるわけですね。この三十万円の差が、かりにオプション1を使って今日まで来たとするならば、地方税はこの予定よりも一体どのくらい減収になるのか、その資料を出していただきたい。四十三年度も四十四年度もみんな自前で減税しているでしょう。それまでは、減税をやった場合には必ず交付税率の引き上げとかなんとかというのをやってきましたね。四十三年度と四十四年度はかなり大幅な減税を地方団体は自前でやった。その自前でやった財源というのは、課税最低限の三十万という大きな隔たりがたいへん大きな柱になっていると思うのです。言ってみますと、零細な地方住民に応益性という名において犠牲を強要さして、その分で自前の減税をやっている、こういうふうに言っても差しつかえないと思うのです。かりに所得税と同じ課税最低限であったとするならば、この七、八年の間どういう減収になったのか、その資料をひとつ次のこの委員会までに出していただきたいと思いますが、よろしいですか。
  89. 松島五郎

    松島政府委員 かりにオプション1であったとしたならばというお話でございますけれども昭和三十九年あるいは四十年、二年間かかって課税方式の統一をしたわけでございますが、それ以前においてオプション1をとっていた市町村についてということでございますとまた話は別かもしれませんけれども、逆にそれ以外の市町村においてはオプション1でなくて、現在の課税方式に比べてもはるかに、何倍にもなるような負担をしていた事実もあるわけでございます。しかもそういう市町村は、先生の御指摘になっているような、いなかの貧弱な市町村において零細な所得者に非常に重い負担を求めていた、それをできるだけやめさせるという方向で調整をしてきたのが今日の課税方式であると考えます。したがいまして、単純にオプション1を全部とっていたとしたならばということで現在の制度ができ上がっているわけでございません。オプション1というもののほかに非常に重い負担があったということを前提にして、それを合理化するということで現在の制度ができ上がっておるわけでございますから、たまたま一部の市町村と申しますか、全体の市町村では二〇%程度の市町村だったと記憶しておりますが、その市町村でオプション1をとっていたから全部の市町村がとっていたものと仮定して現在と比べてどうかという資料は、私ども資料として一定の前提を置けばできないことはないと思いますけれども、それをもって重くなった、軽くなったという議論をしていただくための資料ということでございますならば、ちょっと不適当ではないかと私は考えます。
  90. 細谷治嘉

    細谷委員 おっしゃるように、三十九年にただし書き方式というのを全部本文方式に統一したわけですね。その際に減収補てん等の元利等を約三百億円程度見てやっていることは事実です。しかし、国税との遮断というのはその前に起こっているわけです。課税最低限の格差というのは三十六年くらいからつき始めているわけですね。そうでしょう。ですから私は申し上げているのです。途中でそういう経過がありましたけれども、たとえば課税最低限がそのまま所得税と同じような形できた場合にはどうなっているかという資料はおつくりできるはずですよ。
  91. 松島五郎

    松島政府委員 遮断ということをやってからというお話、ごもっともなお話でございますけれども、ただし書き方式をとっていたような市町村には、遮断そのものも実は無意味であったくらいの課税のしかたをしていたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、その点については先ほど私が申し上げたようなことが妥当するのではないかと思いますが、せっかくのことでございますので、幾つかの前提を置いてつくれということでございますが、できないということを申し上げているわけではございませんが、ただそのことによっていろいろ御判断をいただきます場合に、私どもとしてはそれでもっていまのものが直ちに重いのだというふうな御判断をいただくならば、それはあまり適当でないのではなかろうかということを申し上げているだけです。
  92. 細谷治嘉

    細谷委員 私が申し上げたいのは、わずか七、八年の間に所得税住民税との間に課税最低限で三十万円も差がつけられた。住民の怨嗟の的になっている。所得百十七万以下の人は所得税よりも住民税のほうがたいへん高い、こういうような状況であるわけですが、それが外形的に地方団体地方税も伸びて裕福になったと大蔵省から言われております。そして自前で減税をさせられております。自前でできることはけっこうでしょう。しかし、その背後にはやはり課税最低限を三十万円も置き去りにされた住民の過酷な負担というものがあって、表面上は非常に景気のいい自前の大幅減税なんというのをやっておるのだ、こういうことをとくと大蔵省も自治省も認識をしておいていただきたい、こういうことであります。そうでしょう、政務次官
  93. 砂田重民

    砂田政府委員 いまの細谷先生のお気持ちは私も十分理解できるところでございます。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、時間がありませんから次に進みます。  先ほど太田委員説明の中で、料理飲食等消費税についてさんざん、都市とか観光地にはし尿は置いていくわ、ごみくず、魚の骨は捨てていくわ、そして税金は一文も払わぬ、そして市町村がその清掃だけを担当している、言ってみますと、しりぬぐいしているのが全部市町村であるにかかわらず、財政収入は一である、府県がその二倍、国が四倍も入っておる、こういう御指摘がありました。せんだってあなた方の大先輩である三好さんをキャップとした清掃関係についてのぼう大な報告書が出ておりました。それを見ますと、都市とか観光地の税収というのは太田委員が言ったように一・二・四という割合をお認めになりますか。
  95. 松島五郎

    松島政府委員 先生の御質問の趣旨がどうも私によくのみ込めませんが、どこの都市も一で、どの県も二で、国はその都市に関する限りどこでも四だというふうになっておるということは、どうも私も確信を持ってお答えはできません。
  96. 細谷治嘉

    細谷委員 こんな厚い本がこの間出たのです。それにちゃんと書いてある。観光地の税収の利益は、市町村には一しか入らない、府県に二倍入る、国に四倍入る、表がちゃんとある、金額もある、大づかみに言えばそうなっている、そう太田委員言ったと思う。数字がありますよ。その数字はちょっと古いのですが、いまや観光ブームでありますから、私は一・二・四という比率はもっと開いておるのではないかと思うのです。そこで最近の数字をこの次資料として出してください。  そこで、一・二・四、今日ではもっとそれ以上開いておるだろうと思われるにかかわらず、しりぬぐいだけ市町村にやらせるのはおかしいじゃないでしょうか。ですから料理飲食等消費税というのはこれは市町村税にするのが筋じゃないでしょうか。そういう財源を与えてやらないから、観光地で火事が起こるとああいうたいへんな災害が起こっておるわけですね。税務局長、どうですか。
  97. 松島五郎

    松島政府委員 税金配分を県、市町村あるいは国の間でどうするかという問題は、いろいろな要素を考えていかなければならぬ問題と思います。したがいまして、単に観光地がそうであるから観光地以外でも取っております府県税をそのまま市町村税にすればいいということも、直ちに結論を出しかねるわけでございますが、ただ税金財政需要との結びつきがなるべく近いものであることが望ましいということは、一般的には言えると思います。  ただ、前にも申し上げましたように、税、特に財源としての税というものは必ずしも目的税ではございませんから、必ずある使途とある目的をもって結びつかなければいけないというわけのものではないと思います。全体の財政需要あるいは行政事務全体の配分ということと関連して検討さるべき問題でありまして、観光地がたまたまそうであるから市町村全般がそうであるべきだとか、府県税全般がそうでなければならぬとかいう結論を出すことには問題があるのではないかと考えます。
  98. 細谷治嘉

    細谷委員 その程度しか言えないと思うのですね。あなたのほうのこの資料を見ると、料飲税の全国平均を一〇〇といたしますと、その全国平均をこえておるのは、東京が二二四、神奈川が一〇二、石川県が、これは山中温泉とかなんとかありますから一七三、それから静岡県、熱海、伊東がありますから二〇五、愛知が一〇一、これは温泉があるというより都市でしょう、長島温泉がありますけれどもこれは都市だね。京都が一二二、大阪が一一九、和歌山が一五〇、白浜温泉です。鳥取が一一五、あとはみな一〇〇以下です。これを見ても、観光地は温泉とかなんとかいうものばかりです。あなたのほうの資料ですよ。そのしりぬぐいはみな観光地の市町村が、魚の骨やらいろんな——人間ですからし尿も放出します、たまったものじゃないですよ。これはおそらく市町村では取りにくい税だということであったかもしれないけれども、府県税課長、あなたは市町村税課にいらっしゃったこともあるので、そのことはわりあい公平に見ていらっしゃると思うのですよ。これはやはり筋を通したほうがよろしいのじゃないか、こう私は思います。政務次官、ひとつ明快な答弁を……。
  99. 砂田重民

    砂田政府委員 たいへん明快な答弁がしにくい問題でありまして、率直に申しまして、ただいま府県が持っております税、市町村が持っております税、それぞれ府県の税収というものは、府県がやらなければならない行政を完全に満たしているというような事情であればまた考えようもあるかと思いますが、府県がやらなければならない仕事と府県税収入市町村がやらなければならない責めを持っておる仕事と市町村税収入双方の割合をそれぞれ考えますと、現実問題として、いま府県が持っております税を取り上げて市町村に移すということは、なかなかむずかしいことでございます。したがって、いま細谷先生御指摘になりましたような観光地と料飲税の関係、こういうダイレクトなことではなく、やはり府県税市町村税、このアンバランスな問題を国税もからめてひとつ根本的に検討してみたい。その場のがれのことじゃなく、積極的な考え方を持っておりますということを前回も御答弁をいたしたのでございますが、料飲税と観光地を結びつけて、直ちにそれを市町村税等に移せということは、いますぐまだ私どもとしては決心しかねる点でございます。
  100. 細谷治嘉

    細谷委員 観光地、観光地と言うが、都市と観光地と料飲税とは、構造的に密接につながっておるものである。したがって、やはりそういう税は市町村に与えるべきではないか。そして府県にはまた別途税源考えてやってよろしいんじゃないか、こういうのが太田委員の先ほどの意見でありますし、私も全く同感であるということであります。  もう一つ都市計画税。あなたのほうもなかなかなんだけれども、いま都市計画の必要性というものは何から起こってきているかというと、これは土地の値上がりとかなんとかという問題じゃないのですよ。一番問題は、大法人等を中心とした償却資産等の活動によってこの都市計画費が膨大になってきているわけですね。でありますから、土地家屋とは性格が違うと言うけれども償却資産はいまや今日の意味においては、これはやはり目的税としての要素に入れるべきじゃないか、こういう提案がありました。私も大賛成であります。これをやれないというのはおかしいんであって、筋はそのとおりでしょう。私はどこかに妨害があるんじゃないか。租税がさか立ちしておる。どこかに陰があるんじゃないかという気さえ起こるのであります。自治省ではそんなお考えはないでしょう。最近新聞でもいろいろいわれておりますが、どうですか。都市計画税という目的税に、土地家屋ばかりでなくて入れる御意思はございますか。
  101. 松島五郎

    松島政府委員 都市計画税は、目的税といたしまして、都市計画事業によって受益を受ける者に負担をしてもらうというたてまえでございます。部市計画事業で利益を受けますものの一番大きなものは土地であろうと思います。なお、土地家屋は一体をなしておりますので、ここまで課税対象にされておるのが現状でございます。償却資産を加えるべきであるという御意見もございますが、償却資産となりますと、必ずしも土地家屋のように、直接的受益関係というものはそれほど明確でないという点には問題があると思います。なおまた、償却資産は必ずしも固定したものばかりではございません。たとえば汽車でありますとか、電車でありますとか、あるいは船舶でありますとか、そういう移動性の償却資産もございまして、これを全部都市計画税課税対象にするということは、技術的にも問題があるわけでございまして、そういう意味では、償却資産都市計画税課税対象に加えるということは適当でないという考えでおります。
  102. 細谷治嘉

    細谷委員 適当でないと言うけれども、建設省あたりでもそういう考えを持っておるのですよ。やがて四十五年に土地家屋の再評価をやって、そこでひとつしこたま固定資産税を取って、そして、償却資産といいますと個人は持たないんですから……。法人です。そういうところの圧力を避けようというようなお気持ちがあるんじゃないですか、筋書きに。現実面からいったって、性格面からいったって、いまや世論ですよ。これはそうお思いにならぬですか。もう一度あんた——あまりはっきり答えちゃって腹の中と少し違うのじゃないかな。
  103. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げたとおりでありまして、別に圧力がどうのこうのというようなことは考えておりません。
  104. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がきましたから終わりますが、最後にお尋ねしたいのでありますけれども、去年のこの地方行政委員会の決議の一項目に、都市的税目については来年度において具体的に措置する、四十四年度において具体的に措置する、そういう附帯決議がなされたわけですね。ところが、大臣のお経読みの中で何が出てきたかというと、道路譲与税で約束を果たしますときた。こんなばかな話はありませんよ。委員会の附帯決議を軽視しておるのじゃないですか。こんなばかな話はありませんよ。これは、ふえた分についてちょこっと手を加えた、こういうことでしょう。あなたのほうの統計を見ても、道路譲与税というものの配り方を見ますと、全国一は島根県、全国平均の二・七倍、鳥取県が二・〇六倍、こういうふうに譲与税をもらっておりますよ。こういう配分のしかた、ふえた分についてちょっと手を加える程度、そういうことで約束を果たせたと思うのですか。しかも、その約束を果たさぬで、後ほどまたこの委員会で議論するのでありますけれども、それを何で埋めるかといいますと交付税で……。みっちり投資的経費の交付税を配って歩く、こういう考えですね。地方交付税の一条の目的の一番は財源調整であります。目的というのはやはり貧弱団体に対する財源調整、そこに傾斜配分、合理的に配分してやるということであります。ところが、そういう都市的税目を埋めることができないものですから、交付税穴埋めしておる。こういう点においてはあなたは大蔵省のサポートをやったかと思うと、今度は交付税でこの税の体系をサポートしてもらおう、こういうふうにしか言えないと思うのですよ。しかも附帯決議があることでありますからまことに遺憾であります。そういう点では、先ほど太田委員提案のごとく、やはり都市に自主財源を、そして貧弱団体には交付税に基づいて——過疎問題も解決を迫られておりますから、交付税を重点的に傾斜配分しろという議論は、きわめて理路整然としておると私は思うのですが、税務局長、そう思いませんか。
  105. 松島五郎

    松島政府委員 附帯決議の御趣旨もございまして、道路譲与税の配分方法を変えようとするものでございまして、この変えることによって、島根県がどう、鳥取県がどうという御指摘がございましたが、これは当然全体変わってまいります。従来の安分率がそのまま島根県に該当するわけではございません。当然全体として変わってまいりますために、全体が変わって指定都市配分をできるだけ多くしたいという作業をいたしておるわけでございます。  なお、交付税と関連してのお尋ねがございましたが、基本的には、大都市あるいは市町村税源を強化することによって、できるだけ交付税によって調整されるというような団体が少ないほうが望ましいことは御指摘のとおりでございまして、私どももそういう方向で基本的には努力をしているつもりでございますけれども、現実の問題といたしましては、一挙にそこまで行き得ないといういろいろな事情がございますために、漸進的にそういうことに向かって進んでおる、こういうことでございます。
  106. 細谷治嘉

    細谷委員 やはり附帯決議は、法律が通ったらいい、そういうものではありませんから、十分に尊重して、大臣のいうあんなことでごまかしてはいけません。誠心誠意取り組むべきです。問題は残っておりますけれども、たいへんな問題ですから、きょうはこの程度にして、最後に一言質問しておきたい。  自治省は数年前に、国民が納める税金はいまは国が七、地方が三でありますね。そこで、国五、地方五ぐらいにして、そして、そういう前提に立って補助金等の大幅な整理、統合をやっていくべきではないか、こういう考えを持たれたわけですが、いまそういう考えをまだ堅持されていらっしゃるかどうか。  大蔵省にお尋ねいたしますが、たとえば、大阪市を例にとりますと、大阪市民が納める税金というのは大阪市の金庫に入るのはわずかに一一%程度であります。大阪府に入るのが大体二五%ぐらい。合わせて三六%ぐらいでしょう。その他は全部国に入っているわけですね。こういう姿がよろしいとお考えでございましょうかどうか、この点について両省の考えを率直にお尋ねしておきたいと思います。
  107. 松島五郎

    松島政府委員 国と地方団体との税源配分の基本的な考え方につきましては、少なくとも地方団体も半分程度は税金でまかなえるようにしていきたいという気持ちは変わりございません。ただ、その場合に、この税源府県市町村とに具体的にどう配分するか。特に、市町村配分をいたします場合には、市町村の格差というものがだんだん開いてきておりますので、すべての市町村について同じような割合でもって税源配分するということは、ほとんど不可能な状態になってきていることは御承知のとおりでございます。そういった問題もありますので、あの議論をいたしました当時は、抽象論と申しますか、一般論として、ともかく地方団体の自分でまかなう率と申しますか、それを五〇%という目標を立てたわけでございますが、さらにそれを具体化してまいりますためには、世の中もだいぶ変わってまいりましたので、いろいろくふうをしていかなければならぬ面もあろうかと思います。しかし、基本的な考え方としては、私どもも今後その方向で努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  108. 早田肇

    ○早田説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、基本的に地方の行政を行なうための経費が、地方の住民の納付する自主的な財源によってまかなわれるということは望ましい、この点は私どもも何ら異存はありません。しかしながら、現在の地方税制というものは、昭和二十五年のシャウプ勧告以来の制度でございますが、その後いろいろ社会経済情勢も伸展しておりまして、基本的にいろいろ問題の生じておる点もございます。特に過密過疎の問題もございます。また、そこからいろいろ問題が生じてくるところだと思うわけであります。現在の情勢を前提といたしますと、かりに地方団体に五という形に観念的にいたしましても、過密過疎の問題がございまして、財源が相当偏在すると思うわけでございます。したがいまして、その間の調整の措置を講ずるという必要もございます。したがいまして、基本的に先生のおっしゃる点に異存はございませんが、こういうような社会経済の変化も考え合わせ、また国、地方を通じます事務の配分、こういうようなことも十分検討いたしまして、慎重に検討を進めていくべき問題だと思っております。
  109. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど御指摘のございました地方税関係計数資料につきまして、御指摘の誤りがございましたので、私どもいま正誤表をつくっておりますから、正誤表を差し上げまして、その際に、間違いがどうして起こったのかということについても、あわせて説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。(「早く下さい」と呼ぶ者あり)いまやっておりますので、間に合えばきょうじゅうに提出いたしますが、間に合わなければ二十七日までお待ちいただきたいと思います。
  110. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は小濱新次君。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 住民生活に密着した非常に大事な税法審議でございますが、限られた時間内にということでございますので、努力して、これから若干政務次官並びに松島局長にお尋ねをしていきたいと思います。  私は、大都市に対する税財源の対策について最初にお尋ねしておきたいと思うのでありますが、前々から私もどうしてもふしぎにたえなかったわけでありますが、都市特に大都市がすべて交付税の交付団体になっている。これは税制のひずみに基因している、このように私は考えているわけでございますが、最近は大都市は、人口、生産、消費、すべてが集中しております。神奈川県あたりでは年間二十万人以上の人口増であります。横浜市でも十万以上増加しております。税負担の能力から見ても一番富んでいるという、そういう姿は明白でありますが、この一番豊かな大都市が国から交付税を受けなければならない。これはどういうわけなんであろうか。これは現行市町村税の仕組みに原因があると私ども考えておるわけでありますが、こういう機会でありますので、これについてどのように理解しておられるか、きょうは明確にお答えをいただきたいと思います。
  112. 松島五郎

    松島政府委員 大都市と一口に申しましても、ただいまお話のございました横浜市のような場合と大阪市のような場合、それぞれ事情が必ずしも同じでございません。横浜市のような場合には、御指摘のございましたように、人口が非常に急激な勢いで増加いたしております。ところが、大阪市の場合は、人口増加がきわめて少ないという状態でございまして、したがいまして、その都市の態様もいろいろでございます。そのいろいろな状態に従いまして原因も幾つか異なったものがあろうと考えられますが、共通して考えられる問題を申し上げますと、人口のふえているところも、あるいはふえていないところも、昼間人口というような形で人が入ってくるというようなことから、都市としての交通問題でございますとか、それに関連して都市改造でございますとか、そういった方面の経費が非常に増高してきているという問題が財政需要の面ではあろうかと思います。それに対応します収入の面では、それなりにそれぞれ税金も伸びてはおりますけれども、ただ固定資産税のようなものは比較的伸びが停滞をしているというようなことが言えるのではないか。そういった都市的施設の整備のための財政需要の著しい増高というものが一方にあり、一方においては税、特に税全体はそれほど強い伸びは示しておりませんけれども、なかんずく固定資産税の伸びが非常に停滞的であるというようなことからギャップが出てきて、それが大都市がすべて交付を受けるというような姿になってきておるのではないかというふうに考えておるわけです。
  113. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと御事情はありましょう。しかしながら、五大市と五大府県との交付基準額の比較でありますが、これはよくおわかりになっていると思いますけれども、四十二年度交付額あるいは四十三年度の交付額、五大市についてはどういうふうになっておりますか。  それから、それを対照する意味において、五府県の交付額、同じく四十二年度、四十三年度、これは五大市の存する府県でありますけれども、この交付額についても、これは比較表を見ますと驚くような数字が示されております。よくおわかりになっていると思うのでありますが、この内容をひとつお示しをいただきたいと思うことと、このバランスがこれでよいのか、このことについて、これも前からのつながりになりますので、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  114. 松島五郎

    松島政府委員 まず五大市について申し上げますと、横浜市が四十二年度二十八億円、四十三年度三十九億円、それぞれこれは交付税の交付基準額でございます。名古屋市が四十二年度八億円、四十三年度八億円、京都市が四十二年度三十七億円、四十三年度四十一億円、大阪市が四十二年度三十億円、四十三年度四十三億円、神戸市が四十二年度三十三億円、四十三年度四十六億円、北九州市が四十二年度三十二億円、四十三年度四十八億円でございまして、名古屋市を除きましてはいずれも交付基準額が増加いたしております。  これに対しまして、これらの市を包括しております府県について申し上げますと、まず神奈川県が四十二年度マイナス九十一億円、四十三年度マイナス百五十二億円、愛知県が四十二年度マイナス五十三億円、四十三年度マイナス百十八億円、京都府が四十二年度四十六億円、四十三年度四十億円の交付額でございます。大阪府は四十二年度マイナス百八億円、四十三年度マイナス百五十億円、兵庫県は四十二年度交付額六十九億円、四十三年度七十二億円、福岡県は四十二年度百八十四億円、四十三年度交付額二百七億円でございます。
  115. 小濱新次

    ○小濱委員 横浜市の場合には四十二年度は二十八億である。四十三年度は三十九億である。神奈川県の場合には四十二年度はマイナスの九十一億円、四十三年度はマイナス百五十二億円、自由に使える額が県にはこれだけある。で、いまいろいろと御説明を願いましたようなこういう収入超過額を示す数字がここに出てきておる。こういうことのバランスがこのままでいいのであろうかどうか、これはずっと続いてきておるわけです。県ではこのような収入の超過額あるいは交付額になって、そして指定都市が交付団体になっている、こういう仕組みがどうしても私はおかしいと思うわけです。このバランスについては何かお考えございませんか。
  116. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のような問題は確かにございますが、いま申し上げましたところからもおわかりいただけますように、指定都市を含んでおります県のすべてが交付団体であるというわけではございませんで、問題は神奈川県、愛知県と大阪府という三つの府県について起こっている現象でございます。したがいまして、この問題をどう考えるかという場合に、指定都市を中心にして考えますと、いまのような財源超過額のない団体であります京都府であるとか兵庫県あるいは福岡県についても同じように考えるのか、考えないのかというような問題も起こってくるわけでございまして、これ全部をうまいぐあいに調整をするということはなかなか困難な問題であろうというふうに考えております。
  117. 小濱新次

    ○小濱委員 これはやはり大きく着目をしていただいて、これが対策に努力してもらわなければならない、私はこう思いますので質問をしているわけでありますが、都市税制につきましては、税制調査会の長期答申にもございます、都道府県に比し市町村の歳入中に占める税収入の構成比が年々低下している、こういう実情をあげております。そこで市町村、特に都市税制充実を指摘している政府もこれを十分認識している、こういうふうに私どもは両面から見て考えているわけであります。結果的には、減税の犠牲を市町村に多く負わせているのではないか、何ら市町村税制充実を考慮していないのではないか。いまの答弁内容のように真剣に取り組んでいるとはどうしても理解しにくいような内面になっているわけであります。  そこで、四十四年度地方財政計画を見ましても、私のほうの調べですと、市町村税の伸びは一七%、これに比しまして道府県税は二三・一%、依然その格差は続いているわけであります。国、地方を通ずる税源配分がどうしても必要だと考えるわけでありますが、この点についてどうしても再検討しなければならない。その基本的な構想を練ってもらわなければならない。自治省考え方、そういう立場からもどういうふうにお考えになっておられますか。ひとつ局長さんからお答えいただきたいと思います。
  118. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のように最近市町村歳入中に占める市町村税の割合が年々低下をしてまいっておりますことは、私どもも非常に心配をしている問題でございます。できるだけこの問題を解決をいたしたいというふうに努力をしているわけでございまして、御承知のとおり昨年度の改正でも自動車取得税を創設さしていただいたのでございますが、この配分につきましては三分の二は市町村に交付するというような方法をとりまして、できるだけ市町村税源充実ということに意を用いているわけでございまして、今後ともこういうような方向で努力をいたしたいと考えております。  いま御指摘のございました道府県税市町村税の伸びは、形式上の道府県税市町村税の伸びでは御指摘のとおりでございまして、一二三・一と一一七・〇ということになっておりますけれども、先ほど申し上げました自動車取得税等の交付額の操作をいたして考えてみますと、実質収入の比較では一二二と一一八・四というふうに若干差が縮まっているということでございまして、私どもとしてはできる限り努力をこういう形でしてきておるわけでございます。今後ともそういう方向で努力をいたしたいと考えております。
  119. 小濱新次

    ○小濱委員 私のほうの資料によりますと、市町村税現状でありますが、市町村税は道府県税一に対し、昭和二十五年度のシャウプ勧告実施当初一・七倍であった。これは全国平均であります。昭和二十九年の地方税制の大改正により、道府県税が拡充された。それ以後道府県税が日本経済の高度成長に敏感に対応しながら順調な伸びを示しておるのに反し、市町村税は伸長性に乏しく、昭和三十九年度以降はその地位を逆転されてしまっている。これはいままでにもいろいろとお話がございました。しかしながら、このデータを見ますると、驚くような数字になっておるわけです。道府県税に対する市町村税の割合の推移でございますが、これは全国道府県税を一とした場合の全国市町村税の指数、これはいろいろ話がございました。二十五年度では一・七倍、三十年度には一・五九倍、三十五年度では一・一三倍、四十年度には〇・九八倍、四十一年度には〇・九四倍、こういう数字になっているのに対しまして、神奈川県税を一とした場合の横浜市税、これは指数でありますが、二十五年度は二・三倍になっておる。全国は平均一・七倍になっている。三十年度には一・四一倍、三十五年度には〇・九一倍、四十年度には〇・八九倍、四十一年度には〇・八五倍、こういうふうになっておる。  こういう数字が出てきておるわけですね。したがって、現在は割合の推移表に示されたとおり、低い割合の中で都市発展に対する持ち出しの苦境の中で戦っている。そういう自治体の姿になっております。二十五年度には二・三倍あった。いまは〇・八五だ。非常に大きな開きになっておる。この問題については、過去に幾多の論議がかわされた内容がたくさんございます。その問題点を少しお示していきたいと思いますが、こういう推移に対してはほんとうにおわかりになっていると思いますよ。よく政府はこの点も御認識をされていると思いますけれども、どうしてもここで抜本的改革を試みて努力していかない限り、この問題の解決策はないであろう、こう思うわけです。  これは、この間も横浜の市長がテレビでいろいろと話をしておられました。いままでにも話がございましたけれども、この税の配分について、国税と都道府県税、市町村税配分、この内容でありますが、私の手元にありまする内容は、四十二年度決算において示された内容は、これは六大市について申し上げますが、全国では六七・二と、こういう数字になっているようです。市全体では七三・二。国税は、横浜市の場合は七九を納めるわけです。名古屋の場合には七一・五、京都の場合には六七・五、大阪の場合には七一・九、神戸は七七・七、北九州は六四・五、こういうふうになっておる。これに対して、道府県税は全国が一七・三、市全体が一五・四。これは六大市全体であります。それから横浜の場合には一一・四、名古屋は一七・二、京都は一八・一、大阪は一六・七、神戸は一二・五、北九州は一七・八になっている。それから、市町村税が全国では一五・五になっている。この六市全体の市税としては一一・四になっている。横浜は驚くなかれ九・六であります。これは市税であります。それから名古屋が一一・三、京都が一四・四、大阪が一一・四、神戸は九・八、北九州が一七・七になっています。これは今度の改正によって非常にまた減収を見るわけでありますけれども、多少の努力をしていただいて改正をしてもらったとしても、こういう内容から、焼け石に水というようなそういう内容にあるのではないか。わずかばかりの改正案ではどうにもならない内容、この抜本策をどうしても考えていかなくちゃならない。住民の血税といわれるとうとい税金がこれだけしか市には還元されない。ということは、これは住民のためになっていないということになるかと思います。したがって、これはどうしても、この辺の内容もよく御存じであろうと思いますが、どうにもならない、そういう内容のようにも御説明の中からはよくうかがうことができますけれども、こういう内容でありますので、特段の配慮を払っていかない限り、この抜本策を講ずることはできないであろうと思うわけです。どうかひとつ、そういう点での内容に対して、よくおわかりになっていると思いますけれども、御答弁を局長からお願いしたい、こういうふうに思います。
  120. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のように、市町村税の伸びが非常に悪いということでございます。府県税とお比較になられましていろいろ御指摘がございましたが、県税の伸びは順調に伸びておりますけれども、それでは県税の伸びが異常に伸びているのかということになりますと、県の歳入の中に占めます税収入の割合というのは、昭和三十年ころから三〇%前後、一%くらいの幅で上下している程度でございまして、県税が非常に財政需要の増高に比べて伸び過ぎているという形では必ずしもございません。むしろ問題は、市町村税の伸びが財政需要の伸びに比べまして相対的に伸び悩んでいるというところに問題があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  その大きな原因は何かということでいろいろ考えておりますが、御指摘のように、県税には比較的経済の発展というものに即応して伸びていくような税金が多いということが第一の問題であろうと思いますけれども、それもいま申し上げましたように、そのために県税が非常に伸びて、歳入構成が非常によくなってきておるというわけではございません。むしろ市町村税の伸びが悪いというところに問題があるというふうに考えられますが、その市町村税の中で一番伸びていないのは何かと申しますと、やはりこれも御指摘のとおり固定資産税でございまして、昭和三十年を一〇〇といたしますと、市町村税全体では四三四、四・三倍の伸びになっておりますけれども、その中で固定資産税のうち土地の割合が一九五、二倍弱にしかなっていないというようなところにも一つの大きな原因があるのではないかというふうに考えられます。それだからといって、固定資産税をいますぐに上げることがいいか悪いかは、これはまた別な負担という面から考慮しなければならぬ重大な問題がございますけれども、原因としてはそういうようなところに一つの大きな原因があるのではないかというふうに考えられるわけでございまして、私どもはこういった点も考えながら、新しい税としてさらに住民の負担を求めることが可能なものがあるかどうか、あるいは国、地方を通ずる税源配分のあり方としてさらに市町村に適した税を充実する方法が何かあるのかどうかという問題についていろいろ検討を続けてきているわけでございまして、御指摘のような問題もございますので、市町村税充実という面についてはさらにもっと具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。
  121. 小濱新次

    ○小濱委員 いまのような税の配分内容で自治体で行政需要をまかなっていく、こういうことになっておるわけですよ。ところが、私はシャウプ税制以来のひずみと、どうしてもそう思わなくちゃならないことは、もう二十年間になるが、二十年間こういう姿でずっと推移が落ちてきている。このことに対して、国からか、都道府県からか、あるいはまた新税からか、やはり何か抜本策を講じていかなければならないであろう、こういうふうにいろいろとわれわれはわれわれなりに考えているわけですよ。いろいろと御答弁いただきましたけれども、そういう抱負といいますか、将来計画といいますか、そういうものをお持ちになっていたならば、ひとつこういう内容であります——よくおわかりになっていることでありますから、すでにお考えはまとまっているかと思いますけれども、そういう点での御答弁をもう一度局長からいただきたいと思います。
  122. 松島五郎

    松島政府委員 昭和二十五年の改正以来二十年間のひずみだという御指摘でございますけれども、少なくとも市町村税と県税との間について考えます限りは、昭和三十四、五年ごろまでは二十五年当時とそれほど大きな開きはなかったのでございますが、昭和三十四、五年ころから日本の景気が急上昇し始めましたころから大きな開きがだんだん出てきているというのが現状でございます。そのことを考えますと、やはり原因は、先ほども申し上げましたように、県税のほうは比較的経済の発展に追随していけるような税種が多かった。それに比較いたしまして市町村税のほうは比較的固定的な収入の税が多かったというところに原因があろうと思います。  そこで、これをどう改善するかということになりますと、多少変動性はありましても、経済の発展に即応していけるような税種というものを市町村税の中に取り入れるという方向で問題を考えていかなければならぬのではなかろうかというふうに考えておりますが、その一つのやり方として、昨年は自動車取得税というような、今後相当伸びるであろうという税の大部分を市町村に付与するというようないき方をとったわけでございます。今後ともそういった方向で問題を考えていきたいと思っております。
  123. 小濱新次

    ○小濱委員 それではひとつ、やむを得ませんので、本委員会において指定都市財政充実強化に関する附帯決議、これはもう局長が一番よく御存じのはずであります。これを私は五年間さかのぼって調べてみた。四十年三月十八日の本委員会での決議、この一項に出ているのはやっぱり住民税だ、二番目に出ているのが指定都市財政負担という問題、それからまた、同じく参議院においても税源の再配分地方財源の強化をはかること、こういう附帯決議がついております。それから、同じく最後には指定都市の問題が、「都市特に指定都市財政需要の増高に対処するため、税・財政制度を再検討し、独立税源充実その他必要な財源措置をすること。」これは参議院でありますけれども、こういう内容のものが、年々同じようなことが繰り返し繰り返し附帯決議になってついてきているわけです。これをずっと調べてみますと、五年間で十三回附帯決議がついている。税制に対して委員会での附帯決議がこれだけなされている。いろいろとこの問題については内容はお知りであろうと思うわけでありますけれども、特に一番最後の本委員会での附帯決議の中では、「大都市については、その財政の実態にかんがみ、税源充実検討して明年度において具体化に努めること。」このことについては明年度においてと、こう明示してある。ここまで同じ内容が繰り返されてきて、本委員会も業を煮やしたのでしょう、明年度とこうやった。ですから、この問題についても——大臣はかわっていくわけですね。その点も私は、これは政府・自民党のお考えでありますからやむを得ないとしても、これは局長がこの内容についてはすべて了解し、そしてまた努力を払ってもらいたい。こういう内容を示しながら、これの抜本策を講じていってもらわなければならないと思うのです。この附帯決議については国会軽視ではないかという声さえ出ておったわけであります。この点については局長さんはどういうふうにお考えになりますか。
  124. 松島五郎

    松島政府委員 御承知のとおり、毎国会のように、財源ないし税源充実につきまして附帯決議がつけられておることは承知いたしております。そういったことから、何度も繰り返して申し上げますように、何とかこの問題を解決をいたしたいということで、昨年は自動車取得税の創設をさしていただきまして、特に大都市のあるいは市町村道路財源充実をはかるという形で一歩前進をさせていただいたわけでございます。さらに本年度は、先ほど来いろいろ御指摘のございます道路譲与税につきまして配分方法を変更するということによって、大都市税源充実をはかるという努力をいたしておるわけでございます。附帯決議の趣旨につきましては十分私ども承知をいたしまして、現実に可能なものから実現をするべく努力をいたしておるところであります。
  125. 小濱新次

    ○小濱委員 自動車取得税の問題、それから地方道路譲与税の問題、それから本年度はもう一つ宅地開発税の創設、こういう問題も起こっております。しかし、この本年度の二項目について検討してみれば、実質上の財源強化とはなっておりませんよ。自治体へ行っていろいろと話を聞いてみれば、いろいろと事情があります。指定都市がすべて交付税の交付団体であるという現状からしても、どうしてもこの問題については納得できません。それから、宅地開発税の創設の問題にしても、いろいろと内容があります。こういう内容から私ども改正法案は結局大都市財政の強化は考慮されていない、こういう結論になるのではないか、今後真剣に大都市財源の強化をはかる考えは当然起こってこなければならない問題だと思います。この問題について真剣に考えてもらわなければなりませんが、今度の改正案内容についても、いまのような内容になっておりますが、どうしても今後また新しい方策を講じていかなければならないかと思うわけです。これからの見通しについては局長はどのようにお考えになっておられますか。これからの方策であります。
  126. 松島五郎

    松島政府委員 何回も附帯決議をいただきまして、私どもといたしましても、現実に可能なものはそのつど実現をするという方向で努力をいたしてきておるわけでございますけれども、いままでの御質問においてもしばしば御指摘がございますように、なお不十分であるという御批判をいただいておるわけでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、市町村税源充実と申しましても、方法は二つしかないわけであります。国なり府県なりの間で税源の再配分をして市町村税源を移譲するか、あるいは国民にもっと税負担を求めて、市町村にその税源を与えるかということでございます。しかしながら、後者の問題は、今日の国民負担状況から申しまして、軽々に行なうべき筋合いではないと考えられます。そういたしますと、あと考えられます問題は国、県、市町村を通ずる税源の再配分をどうやって実現していくかということになるわけでございます。この点は、私どもも機会あるごとにそういう方向でいろいろ検討はいたしておりますけれども、それぞれの団体のそれぞれの財政需要に充てるために国民税負担をお願いをしておるわけでございますので、自分のところは余っているのだというようなわけのものではございません。したがいまして、再配分をすると申しましても、なかなか簡単に右から左へといかないのが現状でございます。そういった点で今後の決意というふうにお尋ねになりましても、非常にむずかしい問題でございますけれども、しかし、とにもかくにも、市町村の税の状況はいろいろ御指摘のございますとおりでございますので、私どもとしては、ともかく機会を見て国、府県を通ずる税源配分という問題に取り組んでいかなければならぬというふうに考えているわけでございます。
  127. 小濱新次

    ○小濱委員 その方策だとか、実施の方法だとか、私どもとしてはいろいろ述べてきたような内容から推しても、当然この辺でもうかたい決意に立たなければならないだろう、こういうふうに考えているわけです。これは政務次官、いまお聞きのように非常に大きな問題でありますから、そしてまた、長い間この問題についてはこの委員会で、開かれるたびごとに論争の的になってきた問題です。附帯決議もいまのような姿でつけられてきた。そしてまた、附帯決議の内容がこうじゃないか、なぜ政府考えないのか、なぜ努力をしないのか、これだけしかやれなかったのか、こういうのを繰り返してきているわけです。そういう点で私どもとしては、ぜひとも一日も早くこれが実現をはかってもらいたいと心から念願するわけでありますけれども、先ほどもいろいろ聞いておりますと、政務次官も、四十四年度は真剣にということで何回となく力強い決意を述べられておる。非常に聞いておりましてわれわれもたよりにしているわけでありますが、きょうは大臣が残念ながら欠席であります。そういう立場からも、この問題については何らかの方策をここで考えるべきであるし、また実施方法等も示していかなければならないのではないか。もう大都市からはいつでも市長はそろってこの問題に対する要望事項を出してくる、そして陳情に来る。ここで御説明を毎回のように、私が来てから、いつの場合でもこないときはないくらいに、ここでくどくどと説明して、心から懇願をして帰っております。こういう姿からも、いまのような姿でことしもまたお茶を濁すような形に——これは言い過ぎかもしれませんけれども、このような状態ではもう大都市では納得していただけない。やはり抜本策を示すべきだ、そのときがきておると思うわけでありますが、ひとつ政務次官のお考えを聞かしていただきたい。
  128. 砂田重民

    砂田政府委員 実情先生御指摘の数字のとおりでございます。したがいまして、私どもも、府県税市町村税の格差がこれから将来の長期的な展望に立ってみてもなお現状よりも開くのではないか、こういうことも考えられますので、先生のおことばどおりに、抜本的にこれは自治省も決心をしなければならない、このように考えております。いままでたびたび附帯決議をおつけをいただきまして、附帯決議どおりに努力していないというおしかりもあるところでございますが、自治省といたしまして、毎年毎年、自動車取得税あるいは今回審議をお願いいたしております道路譲与税、まことに不十分という批判はもうあえてちょうだいをいたしますが、努力だけはわれわれは継続してまいっております。ただ、いままでも私ども検討の対象といたしましたのは法人税割の問題でありますとか、あるいは料飲税の問題等検討した点でございますが、こういった問題は、先生のおことばの中にありましたように、抜本的な改正と取り組まなければ結論の出ないことでございます。税務局長も御答弁をいたしましたとおりに、それじゃ府県の総収入の中の税収の割合というものが高いか。決してそうではございません。府県がやらなければならない仕事の総量と府県税収というものを比べてみました場合に、これまた十分の税収が府県にはあるということは申せません。数字が物語っております。したがいまして、どうしても私どもは、私が申し上げております抜本的なというのは、国税、府県税市町村税税源配分はこういった角度で検討をしなければなりませんだけに、それぞれの団体のそれぞれの御意見がございます。各界各層それぞれの御意見があるところでございます。抜本策でありますだけに、もうしばらく時間をちょうだいをいたしまして、私どもとしては、地方制度調査会あるいは税制調査会等の御意見も十分拝聴いたしながら、最後の決意をいたしますのは明らかにこれは自治省の責任でございますが、その自治省が最終的な決心をいたしますまで、いましばらく時間をちょうだいいたしまして、積極的な姿勢で検討さしていただきたい、このように考えているところでございます。
  129. 小濱新次

    ○小濱委員 政務次官からお答えいただいたわけでありますが、いつの御答弁の場合も、力強いお答えはいただけるわけでありますが、交代の期間が短いためにあとまで続かない。したがって、また同じことを繰り返していかなければならないような状態になってきておるわけです。いましばらくの時間をかしてもらいたいということでありますから、私はこまかくは追及いたしませんが、どうかひとつ誠意のあるところを示していただきたい、このようにお願いをしてこの問題は終わります。  それで局長にひとつ伺っておきたいのですが、やはり自治体の立場から、ちょっとこれは蛇足のようでありますけれども税制調査会の四十四年度の税制改正に関する答申の中に、たばこ専売納付金制度をたばこ消費税制度に切りかえることについていろいろと答申があったわけです。このことについていつの間にか立ち消えになってしまったわけであります。これはどういう理由なのか。この改正についての意見はどのように考えておられるのか、ひとつおわかりになっておればお答えをいただきたい。
  130. 松島五郎

    松島政府委員 たばこ消費税制度の問題につきましては、税制調査会でいろいろ御検討になった結果、国の場合に、現在の専売納付金制度をたばこ消費税制度に改めるべきである、こういう答申が出たのであります。そこで、国のほうがたばこ消費税制度に改めて、現在のような売り上げからコストを引き、さらに地方たばこ消費税額を引いて、残りを国に納めるという制度から、逆にたばこの売り上げの一定割合を地方と同じように税金としてとるというたてまえになってまいりますと、地方のたばこ消費税についてもある程度の調整が必要になってまいります。そこで、税制調査会の答申では、そういう場合には国のたばこ消費税制度と同様な制度にしたほうがいいのではないかという御答申をいただいたわけでございます。ところが、国のほうで、いまのたばこ専売納付金制度を消費税制度にするについては、いろいろまだ検討すべき問題があったようでございます。一つは、制度が変わりますと、いままでのように、売り上げから経費と地方たばこ消費税を引いた残りを納めるというのではなくて、税金だけはどうしても先に納めるということになりますと、公社の経営自体についてもいろいろな影響があらわれてまいります。その公社の経営についていろいろな影響があらわれてくるということをどういうふうに解決していくかという点について成案を得なかったようでございまして、そういうところから、国のほうでたばこ消費税制度を採用するというのを一応見送ったわけでございますので、地方たばこ消費税につきましても、その調整をする必要を現段階では認められませんので改正しなかった、こういうことでございます。
  131. 小濱新次

    ○小濱委員 次は、住民税についてお尋ねしたいのですが、四十年三月十八日、本委員会における附帯決議の中に、住民税軽減ということを非常に強く打ち出されております。それから四十一年の三月三十一日、参議院の附帯決議の中にも「住民税課税最低限については、経済情勢の推移、地方財政実情等を考慮しつつ引きつづき検討を加え、その引上げに努めること。」こういう内容のものであります。それから四十二年五月十八日、これは衆議院本委員会において、「住民税課税最低限については、大幅な引上げを行なうものとし、」こう書かれてあります。それから、参議院においても、同じく四十二年五月三十日には、住民税課税最低限の問題について附帯決議がついております。それから、四十三年の三月二十八日、本委員会において、やはりこの「住民税課税最低限については、住民生活の実態、所得税課税最低限の引上げ等を勘案し、引き続きその引上げに努めること。」こういう住民税課税最低限についての附帯決議がついております。それから、四十三年三月三十日、これも参議院において低所得者に対する住民税負担軽減、これは当然すべきであると書いてあります。この零細負担の配慮からの限度額の引き上げ、このことをどうしてもやってあげなければならない。物価高に追われております。また、隣では国鉄の運賃値上げをやっています。このことで、私鉄とのバランスを見たって、当然私鉄の値上げも起こってくるかもしれません。タクシーやあるいはバスの問題、物価の問題、こういうことから零細負担ということを大きく考えていかなくてはならないことであって、この住民税の問題については、これは数字もこまかく私調べてきたのでありますが、委員長からたっての時間の協力を求められておりますので、それはやめますが、先ほどは政務次官も、住民税については真剣に考えていきたい、あるいはまた自治大臣も、四十五年度前向きで検討していきたい、こういうふうにも言っておられるわけです。これは参議院予算委員会におきまして、四十五年度前向きで検討していきたい、こういうふうに言われているけれども、具体的には内容は何も示されていない。政務次官は真剣に考えていきたいと、こう四十四年度のことを述べておられます。これは、さきに局長からも住民税の問題については、このままではどうしても零細負担を取り除いてやることはできないということで、一考要するのではないか、こういうように考えるわけですが、局長の考えを先にお尋ねし、続いて次官のお考えをお伺いいたしたい。
  132. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまお話のございました附帯決議を尊重いたしまして、昭和四十三年度の税制改正におきましては、附帯決議で示されておりますような各種控除をおおむね一万円引き上げるという方向に沿って改正をいたしましたことは御承知のとおりでございます。昨年の三月につけられました附帯決議につきましても、私どもといたしましては、十分その趣旨に沿うよう今回また課税最低限引き上げることにいたしておるわけでございまして、附帯決議の御趣旨につきましては、できるだけ尊重いたしまして、今日まで対処してきているつもりでございます。明年度の問題についてでございますけれども、いま直ちに幾ら引き上げるというようなことをお答え申し上げる段階にはないわけでございますので、その点はお許しをいただきたいと思いますけれども、私ども気持ちといたしましては、昨年も実施をいたし、今年も実施をいたしたという実績をお認めいただきまして、今後の努力をさらに期待をしていただくと申しますか、また、私どももその方向で努力をいたしていきたいと考えております。
  133. 小濱新次

    ○小濱委員 これはやはり政務次官にもかたいお考えをぜひとも持ってもらわなければならない。で、この問題について、私どもとしては、どうしても標準世帯年収百万円までは免税にすべきことを党としては主張しております。このことについては、住民がいろいろと、住民税の話が出るたびごとに、住民税はほんとうに高いですよ、こういうことを言っております。われわれも一生懸命その世論を訴えていかなくちゃなりません。そうして対策をはかっていきたい、こう考えているわけですが、住民税はどうしても年収百万、所得税としては百三十万まで、いま国民生活が物価高で非常に圧迫を受けているという立場からも、一日も早くこの実現をすべきである、こういうように考えているわけです。それに対してはいろいろと問題もございますけれども現状では零細負担が非常に大きいので住民が困っているということからも、これは政務次官のお考えを聞いておきたい、こういうように思いますので、お願いしたいと思います。
  134. 砂田重民

    砂田政府委員 府県市町村に対します地域社会住民の行政需要というものは無限と言っていいかもしれません。それにこたえる仕事を片ややっていかなければならない、こういうこともかね合いの一つになってこようかと思いますが、住民税課税最低限につきましては、これはやはり国民生活の水準でありますから、地方財政状況等も勘案しながらも、できる限りの住民負担軽減方向で当然私どもも取り組んでいかなければならない、このように決意をいたしております。
  135. 小濱新次

    ○小濱委員 まことに残念でありますが、委員長にお願いしたいのですが、時間のようでありますので、これで質問を終わりたいと思います。まだいろいろと私のほうでも用意した問題もございます。あとで時間がいただけるようならば、ぜひ質問の時間を、わずかでもけっこうでありますのでいただきたい、このことをお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  136. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 承知しました。  次は、太田一夫君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  137. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 速記を始めて。
  138. 太田一夫

    太田委員 審議に協力を申し上げます。  最初に、宅地開発税につきまして自治省にお尋ねをいたしますが、うわさに聞きますというと、建設省と自由民主党との試案によりますと、私鉄の企業者及び農民などの土地所有者が土地区画整備事業を実施するときは、国及び地方公共団体から大量の無利子資金を貸し付けると同時に、公共施設の整備費については公共団体負担を多くする、こういう方針を基本とする住宅供給促進の考え方が固まっておるというように聞きましたが、ほんとうでございますか。
  139. 松島五郎

    松島政府委員 その点、そういう問題についての内容は詳しく聞いておりません。
  140. 太田一夫

    太田委員 三月十三日の新聞から承知したことでありますから、真偽のほどはわかりませんけれども、そういう方針がどこかにあると思う。そうして今度の地方税制の特例の中にも、長期所有の土地を売る場合の税金の特例措置、減免、短期の場合も同じく分離課税でありますから減免、こういうようなことが、載っておるにかかわらず、自治省はこの大勢に反して、宅地開発税を新設された。なぜ自治省のみが宅地開発税という、宅地を開発することを阻害するような税制をおつくりになったのか、その阻害しなければならない理由は何か、これをひとつお尋ねをいたします。
  141. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発を阻害するというようなことは全然考えておりません。むしろ私どもは、宅地開発と申しましても、家だけできれば宅地開発になるわけではございませんので、最小限度必要な関連の公共施設は必要でございますから、そういったものが整備されることによってさらに宅地開発が促進をされることを念願いたしておるものでございます。
  142. 太田一夫

    太田委員 しからば、あなたは、この辺に宅地を開発してほしいというときに、先に道路とか水道、下水をつくったらどうなんですか。それから開発させればいいじゃないですか。促進をはかるなら先おつくりなさい。
  143. 松島五郎

    松島政府委員 この宅地開発税を起こすにあたりましては、宅地開発が行なわれる地域として一定の地域をきめて、その地域内で宅地開発を行なう方に税金負担していただくわけでございますが、その場合には、いま御指摘のように、あらかじめ町村が道路等の整備をいたしてから宅地開発を行ないます場合ももちろんございますでしょうが、さらに宅地開発状況がどの程度進むかによってあるいは事業が若干おくれるという場合もあり得るかもわかりませんが、宅地開発税は、必ずその宅地開発が済んでしまってからあとで取るんだということではありません。
  144. 太田一夫

    太田委員 いままでは宅地開発をするときには税金を払わなかった人が、今度は少なくとも坪当たり千五、六百円も払うということは、宅地を取得し、それに住宅を建てようとする者に対する大きな金銭的な圧迫じゃありませんか。そういう心配はなかったのですか。
  145. 松島五郎

    松島政府委員 その点もいろいろ考慮、検討をいたしました。しかし、現実の問題といたしましては、現在行なわれておりますような宅地開発業者によります開発の場合等には、道路等の整備を行ないます経費は、実際問題としては、宅地開発業者にいろいろな形で市町村負担を現実にさせております。しかし、宅地開発業者が、それでは自分で負担をしているかというと、結局は宅地を買われる方に転嫁をしているというのが現状でございます。そういう点から申しますと、この税が起こされたから特に税負担がふえていくというようなものではないというふうに判断いたしたものでございます。
  146. 太田一夫

    太田委員 あなたたちは、庶民生活というものの実感がありますか。庶民というものは、もうちょっと、あなたたちの考えていらっしゃるような大規模宅地開発の中において区画を求め、家を建てるものじゃないのです。現在、都市計画法にいうところの市街化区域の中で宅地開発せんとする者にこれをかけるんでしょう。おそらく対象面積は非常に広いと見なければならない。その中には、三十坪の宅地に十坪の家を一軒だけ建てるという人があるでしょう。それも対象になるんでしょう。
  147. 松島五郎

    松島政府委員 対象になります。
  148. 太田一夫

    太田委員 いままではそれはかからなかったのに、どうしてそういうわずかなマイホーム主義と言っちゃなにですが、スイートホームを無理算段をして建てようという庶民の夢を、わざと——坪千五、六百円というのは大きな金ですね。三十坪といえば約五万円要るんでしょう。頭金をかろうじて払い、あとは住宅金融公庫その他から金融措置を受けて家を建てた方が、さらに五万円の宅地開発税をどこかから調達せんとすることは、これはたいへんな重圧じゃありませんか。
  149. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発業者が開発をいたしました土地を買う場合にも、いろいろな形で負担が転嫁されて、実質負担になっているということは先ほど申し上げたとおりでございます。そういう形で道路が整備されますときと、個々にお建てになる場合には全然道路なりあるいは公共施設負担をしなくてもいいということとは、私は関係がない問題ではなかろうかというふうに考えます。
  150. 太田一夫

    太田委員 宅地開発をする業者というのは、山林とか森林という安いものを開発するのですよ。そこには道はない。下水もない。確かにないですよ。けれども、一般の庶民というものは、いままでのわずか三十坪なら三十坪の土地を買ってそこに家を建てようとする者が多いのです。これは個人の場合を私は言っておるのですよ。しがない庶民がかろうじて金をくめんをして、それの十坪か十五坪の一軒の家を建てるというときに、あなたのほうは坪当たり千五、六百円も開発税を取るのか。取るとおっしゃるなら配慮がないじゃありませんか。それなら、山の中に坪千円や二千円のを買って一万円とか二万円でこれを売るというのは、不便なところですから総体的にこれは安いのですよ。しかし、都市のまん中において、すでに道路のあるそのそばに、田とか畑の農地があった。その三十坪を買って、一畝三十坪だから一畝ぐらいの農地を買って、それを宅地に転用して家を建てようとすると、いままで何も要らなかったのが、今度はそれに対して五万円の税金を払わなければならぬ。どうなんです。
  151. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発税の課税区域といたしましては、既成市街地のようなものは除くという考え方でございますので、すでに道路も、したがって下水もついておる。そういう中で宅地をお買いになるというような場合に、この税金課税対象になるということはないと考えております。
  152. 太田一夫

    太田委員 じゃ、念を押します。非常に安心をいたしました、ほんとうにそうならですよ。ほんとうにそうなら安心しますよ。今度新都市計画法によって市街化区域と指定されるところには、相当膨大な農地があるわけですが、農地を宅地に種目変更してそこに家を建てる場合に、この法律、自治省のこの考え方、法律の立法の精神は、そこに道があった場合には、市街地のまん中であった場合には、それは要らないんだ。山林とか、はるか郊外、離れたところに相当多額の金を使うような道路をつけなければならぬところに宅地をつくるような場合に、それが適用されるんだ、こういう趣旨に解してようございますか。
  153. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げましたように、既成市街地の中で家を建てられるという場合には、当然これは課税区域としては考えておりませんので、そういう場合には課税されない。ただ、その区域をどう定めるかということは、市街化区域の中で市町村の条例で定めるということでございまして、その場合、私ども考え方といたしましては、今後宅地化が進んでいくと思われる地域を、しかも、それも十年先に宅地になるというようなところじゃなくて、近々中に、あるいは現在進行しつつある、あるいは近い将来にそこが宅地になると考えられる地域を指定して、その地域の中で宅地開発を行なわれる方に課税をする、こういうことでございます。
  154. 太田一夫

    太田委員 だから、それはもっと具体的に——抽象論でおっしゃるからみんなにわかりにくい。私はたいへんなことだと思う。たとえば、いま私が例示しましたようなささやかなスイートホームを建てようとする人たちに、膨大な税金をかけることは忍びないと私は思う。宅地開発というのは、一軒や二軒を建てるものではないのだ。だから、農地を宅地に変えたらとたんに開発税がかかるなんという性質のものではありません。特に、そこに農道でもあれば、現在自動車が通っておる道があるならば、そこの農地を宅地に変えようが、家を建てようが、その対象にならないんだ、集団的な宅地を開発する場合に限定されると理解してよろしゅうございますか。
  155. 松島五郎

    松島政府委員 集団的な宅地が開発される場合だけではなくて、一軒でも場合によっては課税されることがあり得ると考えております。ただ、現在自分のうちの前にだけ道路があればそれでいいというわけには私はまいらぬと思います。やはりその地域全体として相互に宅地の開発が行なわれ得るような環境をつくり出していくということが必要でございますから、たまたま自分のうちの前だけ道路があればいいんだというわけにはまいらないと存じます。
  156. 太田一夫

    太田委員 だから、自分のいま家をつくろうとする農地は道路に面しておる。その道は簡易舗装されておる。そこには在来の悪水もあります。そばには幾多の空地もあります。そういうところを宅地に変える場合にはこれは関係ありませんね。
  157. 松島五郎

    松島政府委員 そういう地域も、全体としてその道路に隣接する、あるいはその道路に入ってくる横の道とか縦の道とかいうものをさらに整備して、その地域全体が宅地開発ができるような形でものを考えていかなければなりませんので、そういう地域として予定をされますならば、その地域に入ります限り、宅地開発税の対象になると考えております。ただ、その場合における経費は、すでにある道路の分は経費として必要はないわけでございますから、税率その他の面では変わってくるかと思います。
  158. 太田一夫

    太田委員 私の言いますのは、あなたのほうのこの立法の精神というのは、宅地を開発するが、道もなければ排水溝もない、排水路もない、そういうところに小排水路が要る、道が要るから、その道とか排水路の施設の費用に充てるために開発税を取るんだというならば、一応曲がりなりにもできておりさえすれば——農村地帯においては、宅地開発しても、いままでは農村地帯だ。今度は市街化区域の中に入って、そこに宅地を造成しようとするときに、自由にできるわけです、農業委員会の農地壊滅許可は要りませんから。その場合にもそういうのはかけるということはない、そういうことじゃありませんか。
  159. 松島五郎

    松島政府委員 そういう場合にもかかると思います。ただ、前に道路があるから、道路に面したうちだけは宅地開発税はかからない。すぐうしろのうちは、前の道路に出るまでにはまた道路をつけなければならぬから、うしろのうちにだけは税金をかける、こういうわけにはまいりませんから、やはりその地域全体として道路計画なり排水計画なりを立てた上で、該当するものは課税し、税金を納めていただく、こういうふうに考えております。
  160. 太田一夫

    太田委員 だから、あなたは庶民の生活を御存じないと言うのです。農地というものは、すでに宅地と同じような形でできておる。幾らでもある。それを宅地として変更して、いま集落に数軒住んでおる。こちらのところに一軒うちをつくる。これはまた便利なところで道に面しておる。つくる場合に宅地開発税を取らなければならぬという理由はない。その土地はすでに都市計画の区域になり、都市計画税を払っておるじゃありませんか。だから、小規模住宅にこれを規用する趣旨じゃないでしょうということを聞いておるわけです。
  161. 松島五郎

    松島政府委員 小規模とか大規模とかいう区別は考えておりません。いま申し上げましたように、一定の地域を対象として、そこに公共施設の整備をしていこう、そしてみんなが住みいい環境をお互いに協力し合ってつくっていこうということでございますから、自分だけ道路に面しているから税金を納めなくてもいいというわけには考えておりません。
  162. 太田一夫

    太田委員 だから、そこに簡易舗装された道がある。そばに自分所有の農地がある。これは市街化区域に入ってしまったから、それを宅地にして自分もそこに住みましょう、自分の子供を住ませたいというときに、将来うしろのほうに宅地ができるかもしれないし、うしろのほうの道はどうなるかわからないから、そのものが道路に面しておろうと、排水溝があろうと、そんなことは関係ない。そばに水道管もきておる。それも関係ない。取るんだということは、いままで取らぬでもいいところから取るんだから、いかに考えても悪税じゃありませんか。そんな冷酷非情な宅地開発税ですか。
  163. 松島五郎

    松島政府委員 たいへん具体的な場合の問題でございまして、そういう道路があった場合に、その道路を含めたその地域の宅地開発を市町村としては将来どういうふうにやっていくかという問題と関連して考えていかなければならないところであろうと思います。たまたま道路に面したところに——いなかに行きますとよくふんどし町というのがございまして、家が全部道路に面してせり出しておって、そのうしろにうちが建たないんだということでありますれば、おそらく市町村としても、そういう地域を宅地開発税の課税区域として指定することはないと思いますけれども、しかし、そこが一定の広がりをもって開発されるということになりますならば、やはりそのうしろにもそれぞれ道路、排水というものをつないでいかなければなりませんので、そういう計画のうちに入ってまいりますならば税金の対象になる、こういうふうに考えております。
  164. 太田一夫

    太田委員 ずいぶん私は具体的な話を聞いているけれども、ちっとも私の気持ちに合う税金じゃない。私はそんな小さなことを対象にしたものじゃないと思うのです。宅地開発業者が開発しっぱなしでは困るから、道をつくり、あるいは小公園をつくり、排水溝をつくらなければならぬということであろうと私は思った。  そういうことならちょっと聞きますが、いままで地目は宅地としてそこは存在していた。そこに今度相当高層のアパートをつくった。百世帯入るアパートをつくった。これは宅地の上にアパートをつくるんだから、いまの開発税の対象になりませんね。どんなに汚水を流そうが、どんなに人が出入りしようが、全然対象に入らぬ、宅地開発じゃないんだから。
  165. 松島五郎

    松島政府委員 すでに宅地としてなっておりますところは、あらためて宅地開発税は取りません。
  166. 太田一夫

    太田委員 だから矛盾だと言うのです。宅地として幾らでも空閑地が遊んでおるでしょう。そこに百世帯も入るような大きなアパートができて、汚水はどんどん出る。汚水の行きどころはないでしょう。いままで水は道の上を流れていた。そういうところは今度市街化区域の中に存在して、そこに百世帯も入るような大型アパートができたとすると、宅地開発税も何も新税はかからない。ところが、自分の持っている一畝、三十坪の畑地、それは道路に面していいところだ。そこにうちをつくろうとすると、これは宅地開発税の対象に入る。たった一軒、三人が住むだけの、あるいは夫婦二人が住むだけのスイートホームに宅地開発税をかける、これはどういうわけですか。
  167. 松島五郎

    松島政府委員 いま御指摘のありました問題は、大きいから小さいからという問題とは関係ないのではないかと思います。小さいうちでも、すでに宅地になったところに建てばかからないわけでございまして、それは大きい小さいという問題とは別の問題ではなかろうかと思います。
  168. 太田一夫

    太田委員 松島というのは大きいのもあり小さいのもあり、それで松島になっておる。あなた、大きい小さいは関係ないとおっしゃるが、松島にはかわりありません。しかし、その人の負担力が違う。また、あなたのほうのおっしゃるように、そこに道路を簡易舗装しなければならないとか、小公園をつくらなければいかぬとか、いわゆる空地を保存しなければいかぬとか、あるいは悪水を考えなければならぬというような条件にあるならば、既存の宅地といえども、そこに新たに大きなアパートができたら、何か開発税を取らなければ市がたまったものじゃないじゃありませんか。私はその辺がわからない。
  169. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 太田委員、これで中止しまして、またあとで継続して……。  本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後二時休憩      ————◇—————    午後四時二十七分開議
  170. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  その前に、資料の問題について森岡県税課長から説明をさせます。
  171. 森岡敞

    森岡説明員 午前中御指摘のございました「地方税に関する参考計数資料」に関して、おわびを申し上げて、訂正をさせていただきたいと存じます。  六二ページ及び六三ページでございますが、細谷委員から御指摘がございました点につきましては、地方交付税及び地方譲与線の六三ページのB欄及びC欄の全額が、資料を、それまでのA欄までの資料と別の資料をとりまして使いました関係で、この中に指定市分が含まれておりませんものをそのまま差し込んだという結果になっております。そこで、御指摘のありましたように、指数としても不合理な指数が出ておったわけでございますが、ここでその分を正しい形に置き直しまして張りつけましたものをお手元にお配りいたしました。  なお、重ねて恐縮でございますが、六二ページの三欄目の「その他の市町村税」という欄の数字でございますが、これも実は資料の取り方が少し不十分でございまして、間違っておりましたので、この際あわせて訂正させていただきます。  したがいまして、直りました部分は、六二ページの「その他の市町村税」の税額及び人口一人当たりの税額及び指数欄と、B欄の地方交付税、C欄の地方譲与税、最後の一般財源合計の人口一人当たり税額、指数、それぞれの欄につきまして訂正をさせていただいたわけでございます。  以上、おわび申し上げて、御訂正申し上げます。
  172. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 以上の説明、御了承願います。  それでは、太田一夫君。
  173. 太田一夫

    太田委員 引き続いてお尋ねをいたします。  先ほどのお尋ねは、私は宅地開発税につきましていささかふに落ちないのでお尋ねをいたしたのでありますが、どうも税務局長さんのお答えは理屈に合わないような気がしてしようがありません。重ねてお尋ねをいたしますが、それでは宅地開発税というのはどういう目的でお取りになるのでありますか。
  174. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発に伴いますいろいろな公共施設の整備が必要でございますので、その整備の費用の一部に充てますために課税をするものでございます。
  175. 太田一夫

    太田委員 だから、そういう費用を要しない場合は出さなくてもよろしいのだ、こういうことでございましょう。
  176. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発税の課税区域をきめます場合には、都市計画区域の中の現在宅地化が進行しております地域、あるいは近い将来に宅地化が見込まれます地域を指定をいたしまして、その地域内の公共施設の整備に関する計画をまず立てまして、その計画に従って、所要財源等を勘案いたしまして宅地開発税を課税する、こういうことでございますので、いまお話しのように、もう完全にそういう施設ができたところについては、指定もいたしませんし、また課税もいたさない、こういうことになろうと思います。
  177. 太田一夫

    太田委員 原則として、それではもう一回お尋ねしますが、今度の宅地開発税を徴収し得る都市というのは、どういう都市でございますか。どれくらいあるのですか。
  178. 松島五郎

    松島政府委員 都市計画法によります市街化区域の中で、さらに地域を指定して取るということになっておりますので、都市計画法上のいわゆる都市計画区域に指定されません市町村は当然取れないわけでございます。その都市計画法で指定をされた都市の中でも、東京のような例をとりますと、東京のうち、たとえば千代田区だとか中央区だとかいうようなところは、もちろんそういうことは考えられませんので、私どもとしては、現在宅地開発要綱というような形でいろいろ負担を求めておりますのが五十市町村ばかりございますので、大体その程度の市町村が、将来はこの宅地開発税に移行するのではなかろうかと考えておりますが、さらに、宅地開発税につきましてもいろいろむずかしい条件がつきますので、実際にさしあたってこの税を起こすであろうという市町村は、そのうちでごく限られたものではなかろうかと考えております。
  179. 太田一夫

    太田委員 大体五十市町村程度になるものといたしまして、しかし、五十市町村といいますけれども、今度の都市計画法の精神からいいまして、村が対象になるようなことはないと思う。そうすると、大体五十市でございますか。
  180. 松島五郎

    松島政府委員 今度の都市計画法では、必ずしも市だけに限らず、たとえば東京都の周辺でございますと埼玉県の福岡町とか、そういったところもおそらく、一部ないしは全部になるか、私詳しく存じませんが、指定されるのではなかろうかというふうに考えられますので、市だけということではないと考えております。
  181. 太田一夫

    太田委員 じゃ大都市周辺の町も入るといたしまして、これは五十ですから、あまり多くありませんね。全国で五十カ所程度とすれば、そう対象の市町村が多いわけではない。で、市街化区域と市街化調整区域に分けて、市街化区域とされた中においてさらに指定をされる、こういうことだと思います。  そこでお尋ねするのですが、そういう、条例に一切ゆだねておりますし、それからまた取りやすいから、取ろうとすれば、宅地として地目変更をすれば即開発税を取るということにならぬとは限らない。ですから、具体的に、いまおっしゃったように諸条件、宅地開発とそれに伴うところの公共的な施設の整備を要する区域としてあらかじめ指定された区域というふうに、極力この対象範囲が狭められるという指導をなさるわけでございますか。
  182. 松島五郎

    松島政府委員 先ほども申し上げましたように、公共施設の整備を必要とする区域というものをまずきめまして、その上で税を納めていただくわけでございまして、その区域を定めます以上は、市町村としては、当然その区域については公共施設の整備をしていかなければならぬという義務を同時に負うわけでございます。私どもといたしましては、そういう相互関係で、むやみに区域だけを広げて仕事をしないということにならないように配慮をしていくつもりでございます。
  183. 太田一夫

    太田委員 対象区域が狭められるということになれば、それはそこに小さな規模の宅地を造成する者もかかるということはわかるのでありますけれども、これは実際具体的にやってみると、私はずいぶん矛盾が出てくるような気がしてしようがない。特に大都市周辺の対象になる都市の市街化区域の中には、ある程度農村的な形態を持つ地域が入るにきまっているのでありますから、そういうところは全部対象になるといたしますと、これは無理が生ずる、矛盾が生ずる気がする。たとえば、いままでそこはやぶであった、雑種地のやぶであったところに家を建てた。かかりませんね、今度の場合。
  184. 松島五郎

    松島政府委員 その区域が市町村の条例で指定した区域内でございますと、家を建てれば課税の対象になります。
  185. 太田一夫

    太田委員 どうしてかかるのですか。
  186. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発というのは、この法律にも規定してございますように、区画形質を変更して宅地化を行なう者、あるいは転用によって宅地化を行なう者ということでございまして、山林を転用して宅地化を行なえば、それは課税の対象になるということでございます。
  187. 太田一夫

    太田委員 自分の家の隣のやぶを起こして、やぶの竹を切って、そこに自分のきょうだいなり家族を住まわせるために家を建てれば宅地開発税がかかるというのは、おかしいじゃありませんかと言うのです。
  188. 松島五郎

    松島政府委員 これは自分の土地を自分で宅地にしましょうとも、他人から買って自分の土地にして宅地にしましょうとも、結局は公共施設の整備ということが当然伴ってくるということを考えますならば、自分の土地を宅地化する場合も同様に取り扱うべきものではなかろうかというふうに考えております。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
  189. 太田一夫

    太田委員 だから私は、あなたたちの考えていらっしゃるのは、いささかしゃくし定木過ぎるお話が出るから心配するのです。もうちょっとこれは運用があってしかるべきだと思う。先ほどのように、広くあいておるところの宅地があった、そこはいままで雑草がおい茂っておった、みぞもなければ排水溝もない、そういうところに巨大なアパートをつくっても、それは宅地に建物をつくったのであるから開発税はかからない、これはしゃくし定木じゃありませんか。そして、何も形状を変更する必要がない自分の雑種地となっていたところに家をつくったら、それは四人家族、五人家族が住むような小さな家でも宅地開発税をかけられる。いわばそれは実態というものを非常に無視したところの形式論過ぎるような気がするのですが、そういう点を一々検討して、課税するなり課税しないなりということを判断する、そういう機能はこの条文にはございませんか。
  190. 松島五郎

    松島政府委員 いま御指摘のような問題は、個々の場合についていろいろ問題はあろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、市街化区域と申しましても、十年先を見越して市街地になるところということになっておりますので、そういう地域を全体として課税対象にいたしますと、   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 たまたま町のはずれといいますか、市街化区域に指定されましたところのはずれに一軒家ができたから課税されるというようなことになっては、御指摘のような問題もあろうかと考えまして、その市街化区域の中でも、一両年くらいの間に宅地化が確実に行なわれるという地域をまず限りまして、それについては市町村がまず公共施設の整備計画を立てて公共施設を整備をしていくのだという体制のもとで、その地域に家を建てられ、あるいは宅地開発をされる方に税金を納めていただく、こういうことにしているのでございまして、市街化区域というのが今後指定されるから、そこにできる家は何でも課税するというような考え方を持っているわけではございません。
  191. 太田一夫

    太田委員 課税をしなければならないのでなくして、課税をすることができるのでありますから、今後の運用はよろしきを得ないと、非常に矛盾が生ずると私は思う。そう思いますから、条例等を制定される場合に、あなたのほうの指導は現実に即するような具体的な指導をされるように、そういうきめこまかい指導というのがあってもいいのじゃないかと私は申し上げるのです。
  192. 松島五郎

    松島政府委員 税率等の届け出をしていただく際に、いろいろ、初めての税でもございますので、矛盾のないように指導はいたしたいと思いますが、その際に、先生も御指摘のような問題も含めて、無理のいかないような形でこの税が運用されるようにしていきたいと考えております。
  193. 太田一夫

    太田委員 それでは工場が建てられる場合も、同じようにこれは開発税がかかるのでございますね。
  194. 松島五郎

    松島政府委員 同様でございます。
  195. 太田一夫

    太田委員 私立学校の場合も、これは適用されるのでございますね。
  196. 松島五郎

    松島政府委員 そういう場合に、公益上必要があれば市町村は免除することができるようになっておりますので、これは地方税法の一般の原則に従って処理をすることは可能であると考えております。
  197. 太田一夫

    太田委員 公民館を地方の住民がつくりました場合にはいかがですか。
  198. 松島五郎

    松島政府委員 公民館はどう、私立学校はどう、公立学校はどうということを一々法律そのものには規定いたしておりませんが、御承知のとおり地方税法第六条で、公益上必要があれば課税を免除するという一般的規定がございますので、市町村実情に応じまして、そういった問題は課税をしないなり、あるいは軽減をするなりという方途は講ぜられると考えております。
  199. 太田一夫

    太田委員 したがって、集落が必要によって人の集まる集会場をつくるというようなことき、公共の用に供するごときものには、これはかけないということがあっても私はしかるべきだと思う。そういうことはここに書いてないけれども、どこにも書いてないけれども一般原則に照らしてそれが行なわれるということが可能であるならば、この条例が制定される場合には、十分そういうことに配慮がなされるということもわれわれは期待している。そういうことであるならばわかるのでありますが、工場用地はかかるのでございましたね。
  200. 松島五郎

    松島政府委員 はい。
  201. 太田一夫

    太田委員 工場用地などは、これは当然除外していただいちゃ困るのでありまして、非常にこういうものは対象として負担能力がございますから、それを除外されないように頼みます。  先ほど私が申し上げた、遊休宅地に大きなアパートをつくった場合に、どうして宅地開発税がかからないのですか。
  202. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発ということを、いつの段階で宅地開発と見るかという問題でございまして、宅地開発という以上は、現にもう宅地であるものをさらに開発するということになりますと、課税上非常に判定しにくい問題がいろいろと出てまいりますので、一応私どもは、現在宅地でない部分を宅地にするという、その段階を宅地開発という形で課税技術上押えるのが適当である、かような考え方でございます。
  203. 太田一夫

    太田委員 地方が条例で、それを開発と見なすという条例を入れることは差しつかえないでしょう。法違反じゃありませんね。
  204. 松島五郎

    松島政府委員 法律上は、宅地でない土地の区画形質を変更して宅地にすること、ないしは宅地に転用をするということになっておりますので、この範囲を出て判断をするということは不可能であろうと考えております。
  205. 太田一夫

    太田委員 具体的な例で言っておるわけです。具体的な例で、その場合には区画形質を変更することという法令に該当するのですか。
  206. 松島五郎

    松島政府委員 その場合は、一般的には該当しないと考えております。
  207. 太田一夫

    太田委員 だからしゃくし定木だと私は申し上げる。どこまでいってもしゃくし定木はなくならない。これはとにかく庶民の夢を踏みにじるようなことになって、たいへんだと私は思う。  そこで、宅地とは一体何でございますか。宅地というものの定義をこの際ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  208. 高橋英雄

    高橋説明員 この場合の宅地と申しますのは、固定資産税におきます宅地と同様と考えておりまして、不動産登記事務取扱手続準則にいいますところの「建物の敷地及びその維持もしくは効用を果すために必要な土地」というものを考えてございます。
  209. 太田一夫

    太田委員 それは登記の面からいいまして、登記上の名目は、どういう名前になると宅地とみなされますか。
  210. 松島五郎

    松島政府委員 登記上は、いま申し上げましたように、建物の敷地あるいは建物の効用を発揮させるための土地等をいう、ということになっております。登記上はいま申し上げたようなことでございます。
  211. 太田一夫

    太田委員 効用とかなんとか抽象的なことではちょっとわからないような気がするのですが、つまるところ、たとえば道路とか、河川敷とか、森林というものを除いたもの全部を宅地とわれわれは考うべきでありますか。
  212. 松島五郎

    松島政府委員 雑種地とか、あるいは山林、農地等がございますので、そういったものを除けば宅地だというのは、御指摘のとおりだと思います。
  213. 太田一夫

    太田委員 それでは、土地の区画形質を変更すること、これはモデルはどんなことでございますか。
  214. 松島五郎

    松島政府委員 たとえば農地の一部を区切りまして、そこに土盛りをするというようなことをいたしますならば、それは土地の区画形質の変更ということになろうかと思います。
  215. 太田一夫

    太田委員 そうすると、新市街化区域におきましては、地目変更をしなくても、埋め立てをすればかかるということでございますね。
  216. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  217. 太田一夫

    太田委員 それでは、条例によってスイートホームには宅地開発税をかけない、たとえば宅地何坪以内、建坪何坪以内のものはかけないという条例をきめた場合は別に差しつかえございませんね。
  218. 松島五郎

    松島政府委員 私どもは、一応そういう場合を予定いたしておりません。
  219. 鹿野彦吉

  220. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私も宅地開発税に関連して御質問いたしますが、先ほどの太田委員との議論を聞いておりますと、はっきりわからないわけでありますので、御質問いたしたいと思いますが、先ほど、現在宅地開発要綱によって五十あまりの市町村がすでに負担金というかっこうで実施をしておる、それを法制化するのだというふうな御答弁があったわけです。モデル地区を現実的にどういう順序で、どういう要綱で進めておられるか、要綱をあと資料として出していただきたいのでありますが、税務局長のほうから順序を、要綱がどういうふうな手続で、どういうふうな道順で進めていっているんだと、それをお話ししていただければ、この宅地開発税の実施状況というのが、あるいは将来の条例で規定する状況というものがある程度明らかになるのではないかと思いますので、まずそれをお聞きいたしたいと思います。
  221. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発要綱というふうな形で定めております事例が五十ばかりございますけれども、その全部が直ちに宅地開発税に移行するかどうかという点につきましては、私ども、現段階では必ずしも確実にそうなるという見通しは持っておりませんが、ただ、宅地開発要綱と申しましても、内容団体によって非常に大きな差がございます。ある団体では、学校までつくって提供すべきであるというようなことをきめているところもございますし、ある団体では、学校用地については時価の半額にして提供すべきだというようなことをきめておるところもございます。また、ある団体では、道路、下水等のほかに市役所の出張所をつくって出せとか、あるいは駐在所までつくって寄付しろとかいうようなことまできめておるところもございます。また、そういう現物提供できめておるところもございますが、その現物提供のほかに、一区画当たり何千円というような形で別途負担金をとっておるという事例もございます。その内容はまた資料でお出ししても差しつかえございませんが、それぞれの市町村によって内容は非常にまちまちでございまして、これがモデルだというようなものは必ずしもございません。
  222. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、ますます性格がわかりにくくなるわけですが、先ほどの御答弁の中では、現在の要綱で実施しておるものがおおむね宅地開発税を徴収するということになるだろうということでありましたのでお尋ねしたわけであります。  そういたしますと、現実にその要綱でやっておられます学校の土地までも含めてこの宅地税の対象になるか。自治省が指導なさろうとしておるのは、その宅地化される区域内の道路あるいは水路、場合によっては上水道といったような、先刻来の御答弁では、児童公園程度のものを含むのだというふうな御答弁がありましたが、大体指導上どういうふうなものをお考えになっておるのか、お聞かせ願います。
  223. 松島五郎

    松島政府委員 公共施設のほうは「道路、水路その他の公共施設で政令で定めるもの」というふうになっております。  前回資料でお示しをいたしましたように、道路につきましては都市計画事業の対象とならないような小さな道路、あるいは水路につきましては排水溝程度のもの、それからその他の公共施設といたしましては、公共空地として〇・五ヘクタール以下の——これは場所によって多少違いがあると思いますが、それ以下の児童公園的なものというようなもののみをその宅地開発税の対象事業としてやっておるのでございまして、いま宅地開発要綱によって学校の負担まで求めておるということ自体に、私どもは漸次是正をしていくべきものではないかというふうな考え方も他面持っておるわけでございます。したがいまして、宅地開発税になれば負担がふえるというよりも、むしろそういう意味では減ってくるという面もございますし、私どもはあまりいろいろな形で負担を求めるということ自体に問題があり、やはり宅地開発税というような形で一つの基準を置くことによって、現在求めている負担を一方においてはできるだけ規制をすると申しますか、市町村間の均衡のとれたものにしていくと同時に、市町村公共施設の整備をするための財源の一部を宅地開発税で負担していただく、こういう考え方でございます。
  224. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、納税義務者はどういうことになりましょうか。
  225. 松島五郎

    松島政府委員 納税義務者は宅地開発を行なう者でございまして、この場合宅地開発を行なう者といいますのは、現実に工事をやるという意味ではございません、請負業者ではございませんで、「権原に基づき」と書いてありますのは、所有権なりあるいは地上権なりを設定して、その者の意思によって宅地開発を行なう、こういうことでございます。
  226. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、宅地開発をする業者は当然対象になるわけですね。それから個人で、自分の所有の農地を宅地化するという場合も含まれるわけになりますね。
  227. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございますが、私ども実際に見ておりますと、業者がやります場合はもちろんでありますが、個人でやりますと申しましても、最近の実例を見ますと、土地を持っておられます農家が、自分の農地の一部を五戸なり六戸なり家を建てるという事例が非常に多いのでございまして、そういう場合にはもちろん課税の対象になります。
  228. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 宅地開発税を課する区域は、この条文によりますと、都市計画法の市街化区域のうち公共施設の整備が必要とされる地域で条例で定める区域ということになっておりますが、市町村では市街化区域の中を特定して、そのつど特定の区域をきめることに相なりましょうか、包括的に市街化区域になることが予想されるところをあらかじめ区域を指定しておくのか、どちらでありますか。
  229. 松島五郎

    松島政府委員 市街化区域は、御承知のとおり新しい都市計画法で十年間程度の間に優先的に市街化する区域、こういうことになっております。私どもといたしましては、十年も先に宅地化するであろうところに、いわば網をかけて税を納めていただくということは適当でないと考えておりますので、現実に宅地化が進行しておる地域ないしはここ一両年中に宅地化されることが確実であるという地域を限って、まずそこについて公共施設の整備計画を立てて——一日も早くそういう計画を立てませんと、あとになってまたいろいろと家をのけるとかなんとかということはたいへんむだな投資になりますので、そういう地域を限って、その地域で公共施設の整備を一方で進めると同時に、そこに入ってくる方に税を負担していただく、こういう考え方であります。
  230. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、宅地化が進行するという区域から順次区域を指定していくということになりますね。その場合の面積等はどうなるわけでございますか。
  231. 松島五郎

    松島政府委員 これは私ども調べましても、もう市町村によっていろいろでございまして、大体来年くらいはここまで来るだろうという予想は市町村としてはできますけれども、一律にその面積が十ヘクタールであるとかあるいは五ヘクタールであるとかということをあらかじめきめてまいるわけにまいりませんので、私どもといたしましては、この税を起こされます市町村につきましては、そういった見通しを十分つけていただきまして、適切な指導をしていきたいと考えております。
  232. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 新しい都市計画法では一定の面積以上、これは政令で定めることになっておりましょうか、政令で定める一定の面積以上は土地の開発、宅地の開発をいたします際に知事の認可を受けるということになっておりますね、そうしますと、そういうところは土地の開発が行なわれるということで、認可の際にいろいろな条件がわかって、それに関連いたしまして、どのくらいの公共施設の整備が必要であるかということが見当がつき、そのために宅地開発税の料金がおのずからきまってくると思うのでありますが、その認可を要しなくて、宅地開発業者が宅地の開発をやるというような場合の開発税のきめ方、そういう関連はどういうふうになってまいりますか。
  233. 松島五郎

    松島政府委員 認可をします場合には、市町村長に協議をするということになると思います。市町村としては、どう町づくりをしていくかという問題でございますから、やはり宅地開発がその町のどこにでも思いついたところにできればいいというわけのものではなくて、市町村としては、ここはこの一両年中に宅地開発が行なわれるべきである、あるいはここまでは近いうちにはまだ宅地開発を行なうべきでないという、やはり市町村自身計画があって、それに従って宅地開発を誘導していくということも市町村としては今日は必要ではなかろうかというふうに考えますので、いまの認可の問題等とも関連をいたしまして、そういうような方向市町村が持っていけるように私どもはしていきたいと考えております。
  234. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 現実に市街化区域を指定する際には、市町村としては、都市計画街路以外に細部にわたる道路ですね、これはある程度までこういう姿が望ましいという都市計画でなければならぬと思うのでありますが、都市計画街路、あるいはそこに通っております国道だとか県道とかあるいは従来の市道その他と関連いたしまして、宅地化するところの既存の都市計画路線、これは多額の経費を要するので都市計画事業としての指定を受け、補助金をもらって実施するということがいまの市町村現状であろうかと思うのであります。そういたしますと、そういう予定線も含めて、ある程度まで、一定の区域が宅地化するおそれがある場合に細部にわたる水路、既存の市街地との関連を考えながら、道路だとか都市計画街路に準ずるような道路、水路というものをあらかじめ計画を立てて、これを整備するためにはどのくらいの金がかかるという計算のもとにその区域を指定するということになるわけでございますか。
  235. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  236. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、私ども過去において経験があるわけでございますが、たまたまその農地の所有者の意向その他によって当然宅地化しなければならぬところが宅地化をしない、いわば、それを買収して宅地開発業者あるいはその農地の所有者が宅地化をするということをいたさない場合には、その指定と宅地開発税との関連は、私は一、二年じゃなくて、おくれると思うのですね。そうしますと、ある程度まで将来の理想的な町づくりから言いますと、そういう予定の宅地を私は相当つくっておかなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
  237. 松島五郎

    松島政府委員 市町村としては、先ほど申し上げましたように、二年くらいの間に宅地化が見込まれる地域というものを考えて、そこで計画を立てて、道路なり水路なり児童公園の配置なりというものを考えて地域の指定をし、また事業をやっていくわけでございますが、その中に、いまお話しのようにどうしてもおれは宅地にしたくないのだというような方が残ることはあり得ると思います。しかし、それをいま宅地化すべきであると強制する方法はございませんが、ただそれがそうなりましても、そこに将来宅地ができますならば、その地域である限りは、市町村が先に投資をして、あと税金をいただくという形で税の対象になる、こういうことでございます。
  238. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、私の御質問申し上げたように、ある程度まで急速に宅地化するかもわからぬと予想される地域を、市街化区域の中で幾つか、とりあえずその中の町づくりをして、計画を立てて指定をしておくということになりますね。
  239. 松島五郎

    松島政府委員 指定しておくわけでござますけれども、指定をしておくだけでは、家ができてきたときに、税金を納めていただいても、市町村が仕事をやらないで税金だけいただくというわけにはまいりませんので、指定する場合は、そのうちの一〇〇%ということにはまいりませんけれども、相当程度は一両年なり二年くらいの間に宅地化が進むであろうというところに指定する、こういうことでございますので、十年先に宅地化が進むということまでは考えておりません。
  240. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、指定をしておいて、そしてある程度まで、都市計画街路とまではいかないまでも、道路の整備、水路の整備を先行投資をしておいて、その経費を、宅地化するであろうという人が逐次宅地化するごとに、面積に応じて宅地開発税を徴収するという姿になりますか。
  241. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  242. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、宅地開発税というのは、私は地形その他によって、場合によってはその地域に都市計画街路というものをぶち込まなければならぬという計画もあるわけですね。これはもう早くから都市計画街路というのは、都市計画を樹立する際に十年先、二十年先を見越して、それを改定する必要があるにしても、先に控えておるわけですね。そういう場合に、都市計画街路がおくれる場合もありますね。そういう際の関連はどうなりますか。
  243. 松島五郎

    松島政府委員 都市計画街路がおくれる場合にどうなるかというお話でございますけれども都市計画街路までこの宅地開発税でもってまかなっていくということは考えておりません。また都市計画街路以外の街路につきましても、宅地開発税で全部まかなえるとは私ども考えておりません。税率のきめ方にもよりますけれども、私どもは必要経費の三分の一程度しか税金としては納めていただけない、負担の点を考えますと、それ以上は無理ではなかろうか。と申しますのは、最近この周辺でやっております宅地開発の実例を見てまいりまして、その実例から、大体最小限度の公共施設を整備するのにどのくらいの金がかかるか、また用地代を含めてどのくらい金がかかるかということを積算してみますと、少なくとも、平均しまして大体一平米千五百円程度、道路と排水路と小さな児童公園程度でかかっておるわけでございます。それを全部宅地開発をされる方に負担を求めることはなかなかむずかしい問題でございますので、せいぜい五百円程度が限度ではなかろうかというように考えますと、市町村としては、その残りの部分はやはり各市町村の経費をもって支弁をしていかなければならぬということになるわけでございます。いま都市計画街路の問題がございましたけれども都市計画街路まで対象にいたしておりませんから、その宅地開発税ですぐに都市計画街路まで同時に整備するということはむずかしいと思っておりますけれども、そういう地域については、やはり家ができていくのでありますから、都市計画街路も、都市計画税なりあるいは国庫補助なりを受けて必ず整備をしていくという努力を同時にしていただくよりほかにないのではないかと思っております。
  244. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 もう二、三点お聞きしたいと思いますが、そういたしますと、地形その他によりまして、その宅地開発税の額が多少変わってまいることがあり得るのではないかと思いますが、いかがですか。
  245. 松島五郎

    松島政府委員 地域によりまして宅地開発税は税率が変わってくると思います。と申しますのは、いま申し上げましたように、道路と、水路といいましても排水溝程度でございますから、あと児童公園というようなことを考えますと、ほとんど、実際の例を見ますと用地費が大部分でございます。用地費は御承知のとおりに場所によって非常に違うものでございますので、したがってこの経費も用地費によって左右されることでありますから、地域によってかなり相違がございます。相違がございますので、税負担もまたそれぞれ違ってくると思いますが、ただ相違があるからといって無制限に取るということになりますと、また負担をされる方の問題もございますので、最高いって五百円程度というふうに考えているわけでございます。
  246. 太田一夫

    太田委員 それじゃもうちょっとお尋ねしますが、これは本来宅地開発の定義が、宅地以外の土地の区画形質の変更と、宅地以外の土地の地目を宅地に変えること、この二つですから、たとえば工場あと地というような膨大な土地が残っております場合に、そこに団地をつくっても今度はかかりませんですね。かけようがないわけですね。
  247. 松島五郎

    松島政府委員 そういう場合にはかかりません。
  248. 太田一夫

    太田委員 これから道路をつくらねばならない、排水溝も設けなければならない、空地も設けなければならないが、そこだけは自由に分譲されても何とも手がつかない。片や新しく本法施行後、山林等の土地に小さなスイートホームをつくっても、いまの平米五百円ぐらいの開発税がかかる。私はその辺のところがどうも納得できないのですが、何かこれは魂胆があるような気がしてしようがない。  もう一つは、わずか五十市町村でしょう。その他の市町村でも、都市計画もやらなければならないでしょうし、宅地開発等の計画的な誘導もしなければならぬことが多いと思うのですが、そこはもう全然対象外ですわね。条例をつくるわけにはいきませんですね。
  249. 松島五郎

    松島政府委員 五十町村に限られるということを申し上げているわけではございません。現在宅地開発要綱というような形で、現実に宅地開発で類似の負担を求めているのが現在五十町村あるということを申し上げただけでございます。この税を行ない得る市町村は、市街化区域の指定されました市町村でございますと、そこでは起こせるわけでございますから、いまお話しのようなところが市街化区域の中に入るということになれば、現在やっております五十町村以外でもできる。やるかやらぬかはその市町村の任意でございますけれども、できることになっております。
  250. 太田一夫

    太田委員 市街化区域といって、都市計画法上の市街化区域をきめなくてもいい市町村、そういうのがたくさん出てくるのでしょう。
  251. 松島五郎

    松島政府委員 やはり都市計画法で市街化区域を定めていくという考え方は、最近におきます都市発展状況からして、住宅等がどんどんできていくという現実に即するように法体系を整えていきたいということであろうと思います。したがいまして、いま御指摘のようにどんどん家ができていくというようなところは、当然市街化区域の中に将来は入っていくのだというふうに考えております。
  252. 太田一夫

    太田委員 日本全国の各市町村についてお尋ねしているわけです。日本全国の各市町村において、それぞれどの市町村でも、宅地をつくられる、宅地開発が行なわれる場合においては公共投資を必要とするのじゃありませんか。
  253. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、宅地ができていけば、それに伴って公共投資は必要でございますけれども、この税の考えておりますのは、そういうことが非常に激しく進行しておるというところで、やはり環境を一日も早く整備しながら宅地開発を優遇していく必要がある、こういうところについて公共投資をしておるのでございまして、そういう意味から、同じ市街化区域の中でも全部を指定地域対象としていない、近々に宅地開発が進むというところだけを対象にしておるということであります。
  254. 太田一夫

    太田委員 何かしら、過密都市と申しますか、大都市財源を付与したという形を変形したものだというような気がするのですが、現在都市計画法によって市街化区域の大体の策定をいたしまして、県等にその承認を求めておる市町村というのは全国でおよそどれくらいございますか。
  255. 松島五郎

    松島政府委員 市街化区域の指定は、東京、大阪、名古屋の三大都市圏につきましては、ことしの九月ころまでに指定をしたいということで建設省は準備をされているようでございますが、その中にどれだけの市町村が入っているかということは、私どもいろいろ聞いておりますけれども、建設省もいろいろな問題があって内容を明らかにいたしておりませんので、具体的な町村名は承知いたしておりません。なおそれ以外の地域で人口十万以上のところは、来年度、昭和四十四年度三月までに指定したいということで検討しているわけでございます。
  256. 太田一夫

    太田委員 だから、そこまでわかっているのだから、それならば日本全国の市町村の中で、近き将来においてこの本法の宅地開発で適用を受けるであろうと推定された市町村の数はどれくらいになるだろうか、それはわかっているでしょう。先ほど五十——五十というのは違った数字だ、われわれはいささか幻惑させられたわけですね。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
  257. 松島五郎

    松島政府委員 現在宅地造成事業に関する法律がございまして、それの法律によりましては、宅地開発を行ないます場合、一定の規模の場合は知事の認可が必要だということになっております。その法律の適用を受けております市町村が、おそらく今後市街化区域に指定をされます場合には該当市町村になるのではないかというふうに予想されますが、その数は現在三百九十市町村でございます。
  258. 太田一夫

    太田委員 三百九十市町村以外にはそのような必要はありませんか。市街化区域の指定がなされるであろうという市町村、たとえば人口十万未満であっても同じことじゃありませんか。これは将来もやっぱり市街化区域という条件を絶対の条件とし、その他に及ぼさないということでございますね。
  259. 松島五郎

    松島政府委員 現段階では市街化区域に指定されます市町村以外のことは考えておりませんけれども、この税の実施状況を見て、さらにどう考えるかという問題は、またその段階検討をしなければならぬものだと考えております。
  260. 太田一夫

    太田委員 十万以上の市に限定をして、日本全国この宅地開発税が早晩かかるであろう、こういう予想で間違いございませんか。
  261. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど申し上げましたように、市町村としては税金だけ取ればいいという税金ではございませんので、どんな税金でもそうでございますけれども、特にこの税は公共施設の整備をするということと相関連しておりますので、市町村としてもそういう計画が立たない限りは、なかなか税を取るという体制にはならないと思います。したがいまして、いま申し上げましたように三百九十市町村がやがて全部取るであろうとか、あるいはそれ以外の市町村がどうなるかというような問題につきましては、もうしばらく様子を見ませんと、必ずそうなるんだ、三百九十市町村みんな取るのだというふうには私どもとしては考えておりません。
  262. 太田一夫

    太田委員 私は三百九十市町村みんな取るんだというふうに重点を置いているのではなくて、三百九十市町村以外のところに波及するということはあるのかないのかという点をお尋ねしているわけです。
  263. 松島五郎

    松島政府委員 三百九十市町村というのは、先ほど申し上げましたように、現在宅地造成事業法によって指定を受けておる市町村でございますから、新しい都市計画法の市街化区域になるであろう市町村とは必ずしも一致をしておりません。したがいまして、新しい都市計画法によって市街化区域に指定される市町村が三百九十市町村を上回ることもあるでしょうし、また下回ることもあるかもしれません。したがいまして、これ以外の市町村が取るとか取らないとかいうことは、法律上の範囲が必ずしも一致いたしませんのでちょっと断言いたしかねますが、私どもは一応現段階では、法律上の市街化区域の指定のない市町村考えておりませんので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  264. 太田一夫

    太田委員 市街化区域の指定がないところにそれをやることは考えていらっしゃらないということですね。それは即今後住宅地開発、団地造成というのが市街化区域の指定のないところに行く、その外側の市町村に行くということを誘発することになりませんか。
  265. 松島五郎

    松島政府委員 新しい都市計画法では、市街区化域と市街化調整区域というものが設けられまして、市街化区域以外のいわゆる市街化調整区域では、そういう宅地開発とか団地造成とかいうことは非常に制限されることになりますので、むしろそちらのほうの問題で、宅地開発税がそちらに市街地開発を追いやるということにはならないと考えております。
  266. 太田一夫

    太田委員 それは同じ市町村ではそうです。私は市街化調整区域に行くということを言っておるのではない。隣の市町村に行くのではないですか。そちらには市街化区域の指定がない。
  267. 松島五郎

    松島政府委員 どうも御趣旨がつかめないで、あるいは的確なお答えにならないかもしれませんが、少なくとも市街化の予想される地域だから市町村としては計画を立てて仕事をやっていく、この負担を求めるということでございまして、ほかの町村に行けば、何もその町村としては公共施設の整備をする必要性も起きてまいりませんし、税を課税する必要も起きてこないのではないかというふうに考えております。
  268. 太田一夫

    太田委員 どうも私はさっぱりわからなくなりましたね。市町村の中には人口数千の町村から一万、二万くらいの町村というのは、人口十万の市の周辺にはたくさんありますよ。そこへ行けば山林は安いということになれば、宅地はそちらに行くのじゃないですか。調整区域には行きませんよ、これはなかなかむずかしいから。いまの道路さえ開発できれば、そんなところは飛び越えますよ。時間的観念から言うならば、そういう宅地開発税のかからない土地を求めて住宅は浸透していくもの、スプロールされていくと私は見ている。あなたたちは、全国総合開発計画というものに対して何か的確な見通しというものをお持ちにならないようですが、これはよろしいですか。そういう市街化区域の中の条例によって指定された区域だけ、そういうことでよろしいですか。十分それを研究されておるのでしょうかね。建設省との間に意見調整、いかがですか。
  269. 松島五郎

    松島政府委員 住宅がどんどんできていく、そのために公共施設が必要だ、したがってまたそれを整備していかなければならぬ、こういうところにこの税金をかけるという問題があるわけでありまして、したがいまして、市街化区域の中でも近いうちに宅地化が予想される地域に限ってこの税を納めていただくという考え方でございます。したがいまして、それ以外の地域にどんどん家が逆に出ていくのではないかということになりますと、それは市街化区域をどう定めるかという問題としてむしろ検討さるべき点ではなかろうかというように考えております。
  270. 太田一夫

    太田委員 それでは税務局長お尋ねしますが、全国の市町村のすべてに対して市街化区域と調整区域とが区別されるのですか。
  271. 松島五郎

    松島政府委員 市街化区域と調整区域の指定されますのは市町村全部ではありません。
  272. 太田一夫

    太田委員 そうでしょう。そうすると指定されないところに宅地がどんどんできたときには、開発税を取らないでいいのですね。その市町村公共施設を必要としますよ。
  273. 松島五郎

    松島政府委員 そういう事態が起きますならば、それは市街化区域をどうきめるかという問題として検討されるべき問題だろうと考えております。
  274. 太田一夫

    太田委員 どうもわからなくなりました。松島という島はたくさんあるから、どこが本物やらにせ物やらわからないですが、弱りましたね。宅地開発税は暗礁に乗り上げたのですが、宅地が海に流れたということは聞いたことがないが、弱りましたね。都市計画法で市街化区域に指定される市町村については私は問題ないと思う。これはわかる。されないところに開発税がかからないから開発業者は行くんでしょう。その際には何も要らないですね、工場用地なんかね。パートタイムなどの労働力を求めて、ある程度マイクロバスを使って、何十キロと離れたところに工場をつくる。これは宅地に造成いたしましても、条件としては該当するけれども、残念ながら、その都市計画法何条による、こういうところではない。市ではない。何々村というところだ。そうすると、そこは相当道路をなおさなければならぬ、用排水路を整備しなければならない、いろいろなことが起きると思いますけれども、それでもこれをかけることができないという法律でしょうか。そういうことは予想はされていたのでありますか。
  275. 松島五郎

    松島政府委員 宅地開発の集中的に行なわれる地域というものを中心に考えて、その地域の公共施設を整備するため宅地開発税というものを考えておるわけでございまして、もちろんそういう地域外でも散発的に工場ができたり、住宅ができたりということはございます。ですけれども、それまでもこの税の対象として考えるということはしていないわけでございます。
  276. 太田一夫

    太田委員 局長さん、私はこれが悪税だというふうに初めから規定しているから、いささか意地の悪いことばかり言っておったのですが、都市化、いわゆる宅地開発的なことが行なわれた場合に、その受益者負担的な拠出を求めるという精神は、あなたたちお立てになった理屈はわかるが、しかし、具体的に適用する場合にはずいぶん矛盾撞着が出てくると思うから、そこでいろいろなことをお尋ねしたのですが、条例等のあなたたちのいろいろな御指導の中において、あまりめちゃくちゃな、小規模住宅に対して、その住宅ができたゆえに、公共的な施設をしなければならぬというような条件がないのにかけるということはないと思うのですよ。それは地方におきましては、農地というものをかりに宅地にかえるでしょう。その場合に宅地開発税だけではございません。埋め立てはするし、水利組合からは脱退しなければならないでしょう。それが何万とかかるでしょう。これはずいぶんたいへんなことなんです。そういうことですから、今度の都市計画法というのは、そこにある農地を宅地にするのが実に容易になるので、水利組合では脱退料を高くしてきたでしょう。目の玉の飛び出るほど高くしておる。何々用水組合から脱退する、そのためにその土地に対してどのくらい脱退料がかかるかということについて、何かあなたのほうで御検討になった材料がございますか。
  277. 松島五郎

    松島政府委員 土地改良区から農地がはずれていくことにどの程度の負担がかかるかという問題でございますが、これは、その土地改良区がどれだけの仕事をし、現在債務がどのくらい残っているかということと関連しまして、個々の土地改良区の実態によって違うと思います。一率にどこがどうだということは言えないかと思います。具体的にどこがどうこうという資料は持ち合わせておりません。
  278. 太田一夫

    太田委員 これはどこで調べるのでしょう。これは税金じゃないのですから、税務局で調べてくれということもおかしいのでしょうが、とにかく水利組合から水利のサービスを得ておるというので、田とか畑というのはそれぞれ組合費を負担しているわけです。それが脱退するとなると、向こう何年間の費用を弁償せよというような脱退条件で、土地を宅地にするには何万というものを出さなければならぬわけです。百坪あたりにしても——坪で言ってはなはだ恐縮ですが、わかりいいので百坪ぐらいのことを言っておきますが、少なくとも一万以下ということはない。二万、三万と出さなければならない。そんな金を出して、さらに宅地開発税。小さなスイートホームの夢を見ておる若い人たちに対しては、ずいぶん私は残念な制度だと思いますけれども、それが本来の目的じゃないのですから、私は適用についてはよほど親切な配慮を望みたいと思うのです。  あまりこのことで長く押し問答をやっておりますと、あすの朝になりそうですから、料理飲食税についてお尋ねいたします。  料理飲食税の中で、旅館の一泊の料金が千二百円であったのを千六百円となさった、この根拠は何でございますか。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  279. 松島五郎

    松島政府委員 旅館の宿泊料の水準は、国家公務員等に支給されます旅費、宿泊料等を水準にいたしましてきめたものでございます。
  280. 太田一夫

    太田委員 国家公務員の旅費とかなんとかいうものを基準にして免税点をきめるというのは、これは一般国民の宿泊の実態ということとかけ離れているわけですね。庶民と自治省は離れているのですか、どういうわけですか。自治省の下に県がある、県の下に市がある、市の下に町がある、町の下に村がある、この階級制があなたたちをそういう庶民生活と離してしまったのでしょうか。どうして千六百円なんというはんぱな数字が妥当であるなどということになるのでしょう。減税額を少なくする意味において千六百円にしたというなら、それはわからぬことはない。そろばんだまの問題だ。しかし、現在二千円で泊まれる旅館はないでしょう。少なくとも最低二千五百円だというのが実態じゃありませんか。そうしたら、二千五百円の実態というところにこの数字をお合わせになるべきだと思うが、どうしてそれが千六百円で終わったのでございましょう。どうしても二千五百円になりませんか。
  281. 森岡敞

    森岡説明員 先ほど局長から申し上げましたように、国家公務員の旅費等も参考にし、かつ旅館料金の推移等も見たわけでございますが、御承知のように四十一年度の税制改正免税点が千二百円に引き上げられました。その後の推移を交通公社等で調べてみますと、三十九年から四十二年までの協定料金と申しますか、その料金のアップ率が大体三割三分ぐらいでございます。そういうふうなことも考慮いたしまして、千二百円を千六百円に引き上げて、ほぼその料金のアップ率と合わせた、こういうことでございます。
  282. 太田一夫

    太田委員 まず外国の旅館などは十ドルをもって最低とするという点からいうと、三千六百円。日本の旅館においては素泊まり五ドルというのは一番安いところじゃありませんか。千八百円、食事なしですよ。食事つき二千五百円がぎりぎり一ぱいだと思うのです。公務員の旅費と合わせるということなら、それは何をかいわんやであって、旅費が上がったらこれも上がる、こういうことにただし書きかどこかにきめておいてもいいと思うのですね。将来これはどうするつもりですか。そうしますと、公務員の旅費が上がりましたときにはこれは上げますか。
  283. 松島五郎

    松島政府委員 公務員の旅費だけできめておるわけではございませんが、いま申し上げましたけれども、旅館料金の推移、あるいは公務員の旅費もいってみれば旅館料金の推移を反映してきまっていくわけでございますので、そういったものを基準にして検討いたしていきたいと考えております。
  284. 太田一夫

    太田委員 千六百円でお泊まりになった方、この中にいらっしゃいますか、実例があったら教えてください。どこの旅館が千六百円で泊めてくれますか。どこにありますか。
  285. 松島五郎

    松島政府委員 千六百円で泊まったことがあるかないかということでございますけれども、千二百円を千六百円に引き上げることによって減収額が生ずるということは、要するにそこまでの料金がないならば、減収額は本来生じないはずでございますが、私どもの計算によれば減収額が生ずるということになりますので、やはりその料金に該当する宿泊者がいるということを証明しているのではないかと思います。
  286. 太田一夫

    太田委員 ただで泊めていただけるところもあるのですから、それは私は何も千六百円のところは全然ないとは言わないですけれども、やはり大衆飲食に対する免税あるいは大衆的宿泊に対する免税というのは、善政ではありませんか。一体、大衆飲食を八百円としたのも私は不満であって、この前予算委員会でしたか、千円くらい出さないというと、ちょっと夕食らしい夕食を食べられないといったら、いや大衆飲食費というのは昼めしをさすのだ、ランチが八百円だという。ランチ代をもって免税点の標準にされていらっしゃるのですか。
  287. 松島五郎

    松島政府委員 私ども承知いたしております限りでは、飲食費の免税点のきまりました経緯は、大体昼めしに税金をかけるのは適当でないということでありますから、昼めし程度のものを標準にしてきまってきたというふうに了解をしております。ただ、それじゃ昼めしが八百円かということになりますと、今日物価高ではございますけれども、通常の昼めしならそんなにかからないのではないかというようにも考えております。したがいまして、六百円が八百円になったということで、単に昼めしだけという考え方は若干変わってきておるというふうに考えられます。
  288. 太田一夫

    太田委員 したがって八百円は腰だめの数字であって、別に科学的な根拠はないのだ、こういうことでございますか。
  289. 松島五郎

    松島政府委員 現在までの、いわゆる通常の飲食課税状況を見てまいりますと、大体千円までというのが税額としては非常に多いわけでございます。そういった点を考えますと、六百円から七百円ないし千円、この辺に現在課税されているものの大部分が集中をいたしておりますので、八百円に上げるということは相当の減税になる、かような判断から八百円にしたわけでございます。
  290. 太田一夫

    太田委員 これまた自治省が、少なくとも今日地方から見られておる評価というのは、相当強大な陣容を備えておるところの地方自治のりっぱな本山である、そのように見られておるわけですよ。そうでしょう、みんなお参りに来るのだから。だから、そういうところのあなたたちが、八百円は何も科学的根拠がない。それでも八百円にしても減税になるから八百円でも価値があるだろうというならば、ないよりましということでしょう。私は少なくとも、食事は昼めしだけの免税ということから脱皮しているのだから、夕食にまで及ぶのがほんとうだ、夕食ならば千円以下ということはない。この点を私は特に申し上げておきたいと思うのです。  それから、時間がないのでやめますけれども大都市財政の問題についてちょっと所信をお尋ねしておきたいと思います。先ほど細谷委員からありましたから、こまかいことは申しません。この間五大市のほうから、都市財源が不足しておるから、何とか税源を強化してくれという陳情、要望があったら、すぐにその指示をする。当該府県のほうから、いや大都市に対して、そんな特別税源の移譲をするようなことは何ら必要ないのだ。たとえば国道、府県道の管理を委託することについても、来年は十分措置してあったはずだ。だからその必要はないといって、今度はこれの打ち消しの陳情、要望が出てまいる。そうすると五大市のほうは、いやそういう言い方はない。府県税の伸びはかくかくのごとく大きいのであって、大都市財政需要はかくかくのごとく大きいのに税収が伸びない。したがって、これは何とかすみやかに措置してもらわなければ、この前の国会における附帯決議の精神にもとるではないかという強い御陳情がある。よくわかる話だと思うのでありますが、これをお互いに言い合っておることは私もあまり好まない。府県もある程度仕事をやっていただかなければならぬでしょう。大都市もやっていただかなければならぬでしょう。そこであなた方は、道路の譲与税の配分について補正を考慮されることによって一応の何か道をお開きになりましたが、来年は飛躍的に大都市財源充実するということについて一応用意がある、こういうことをおっしゃっていただけるかどうか、あれで終わりでございますとおっしゃるかどうか。
  291. 松島五郎

    松島政府委員 大都市税源の問題につきましては、ただいま先生からお話しのございましたように、また先ほどもお答えを申し上げましたように、考え方は二つだと思います。一つは、国民にもっと税金を納めていただいて、それを大都市に回して税源をふやすという考え方、もう一つは、国なり府県なりとの間で税源の再配分を行なって、国民の租税負担を強化させないような方向大都市税源について考えていくという、二通りの考え方があると思います。前者につきましては、やはり今日の国民負担状況から申しまして、そう軽々に行ない得ない点があります。後者の問題点になりますと、いま御指摘のございましたように、たとえば県と大都市ということになりますと、やはり利害関係が相反しますものですから、なかなか調整がつきにくいという問題がございます。国との間でも同じような問題があり得るかと思います。しかし、しばしば御質問いただいておりますように、大都市の問題、あるいは市町村全体の税収を強化するという問題につきましては、やはり重要な問題でございますので、私どもといたしましては、できるだけのくふうを今後とも続けていきたいというふうに考えております。
  292. 太田一夫

    太田委員 大都市財源の強化については前回の附帯決議の趣旨を尊重されて、すみやかに成案を得られて提案されることを望みます。特にこの四十四年度から新三カ年計画による交通安全施設整備事業計画によりますと、今度は地方単独事業、いわば全額地方負担による事業が非常にふえまして、おおむね五百億以上といわれておるのでありますが、こういうふうに地方にどんどん交通安全施設等の整備事業が単独事業として全額地方負担に押しつけられてまいりますと、その被害を受けるのは、ほとんど大都市だと思うのです。大都市を中心としたものです。ぜひその点の配慮については、十分御承知と思いますけれども、附帯決議の趣旨はあまり軽んじられないように十分尊重されることを希望しておきます。終わります。
  293. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に林百郎君。
  294. 林百郎

    ○林委員 国鉄関係の人、来ていますか。  最初に次官にお聞きしますが、鉄道の納付金ですね。鉄道の納付金が制定された趣旨については、自治省としてはどういうようにお考えになっていますか。
  295. 砂田重民

    砂田政府委員 通常の場合の固定資産税にかわるという理解で、国鉄の納付金制度を制定いたしました。
  296. 林百郎

    ○林委員 固定資産税にかわる制度として、こういう鉄道の施設というようなものについても一定の税金をかけるのだ、それが鉄道の納付金の制度の本来の趣旨だ、こういうわけですね。  運輸省ではそれについてどうお考えになっていますか。
  297. 高橋英雄

    高橋説明員 ただいま政務次官お答えになりましたと同じように考えております。
  298. 林百郎

    ○林委員 そうすると、このたび二十五億の納付金の軽減は、どうしてそういうことをするようになったわけですか。その原因はどうなんですか。
  299. 高橋英雄

    高橋説明員 国鉄の財政は御存じのように最近たいへんに窮迫をいたしております。にもかかわりませず、国鉄におきましては、その公共的な使命を達成するというために、昭和四十年以来、第三次長期計画によりまして通勤輸送等非常に多額の設備投資を行なっておりますが、こういった設備投資によりましてますます納付金がふえてまいりますというふうな状況にかんがみまして、来年度から国鉄の財政再建のために各般の措置がとられるということを契機といたしまして、納付金につきましても若干の軽減をお願いするということにいたした次第でございます。
  300. 林百郎

    ○林委員 この納付金制度を設けるときに、それからその後の審議の経過を見ますと、国鉄側としては、これは公共性を持った運輸事業をやっているのであるから、赤字が出るからといってその路線を廃止するわけにはいかないし、そういうことからいって、固定資産税と同じ性格を持つ納付金を賦課することは不当であるという意見をずっと一貫して述べていたのではないですか。きょうは何も地方行政委員会へ来たからといって、急に従来の態度を変えることもないと思います。あなた本気でそう考えておられるのか。いまおっしゃったように、これは固定資産税相当の性格のものだから、本来ならかけるべきものだ、こうあなたお考えになっているのですか。いままでとちょっと違うのじゃないですか。
  301. 高橋英雄

    高橋説明員 理論的には固定資産税にかわるものというふうに私ども一応考えておるわけでございますけれども、国鉄財政が非常に困っておるおりから軽減していただきたいというふうに従来からお願いしておったわけでございます。
  302. 林百郎

    ○林委員 昭和四十二年の十一月、国鉄の市町村納付金の廃止についての自治省に対する国鉄の意見というのが出ておるわけですけれども、これを見ますと、「国鉄事業は高度の公共的性格を有する事業であって、その使命達成のため輸送力の増強・大都市通勤輸送網の整備拡充・地域開発のための赤字線区の経営・安全輸送のための諸施設の整備を行なうとともに定期運賃等の巨額の割引をはじめ各種の公共負担を背負っている。」だから「国鉄の市町村納付金制度は、国鉄の公共的性格を考慮するならば廃止せらるべきである。」ということが述べられているわけですけれども、国鉄の小林常務が見えられていますが、これはそのとおりお考えになっているのですか。
  303. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま先生お読み上げになりましたように、国鉄といたしましては、先ほど高橋課長からも申し上げましたように、非常に最近におきます財政状態の逼迫、窮迫ということから、昨年の時点におきましては、やはり増加してまいります投資に伴いまして納付金が増高するというようなことから、本来的にその市町村納付金ができてまいりました当時のいろいろな諸般の情勢というものから考えまして、国鉄の使命及びそういった機能から見て、昨年といたしましては、ただいま先生お読み上げになりましたような主張をしてまいりました。それは事実でございます。
  304. 林百郎

    ○林委員 昨年まではそう言ってきて、ことしはどうなんですか。
  305. 小林正知

    ○小林説明員 納付金の本質論につきましては、これは税金であるのかどうかというような問題につきましては、いろいろこれはむずかしい問題でございまして、支払いをいたします私ども国鉄といたしましては、昨年においては税金かどうかという点について疑問を持った意見もあったわけでございますけれども、これは政府全体といたしまして有権的に解釈せられ、ただいま政務次官から御答弁がありましたような趣旨で、現在におきましてはやはり納付金という、固定資産税そのものではございませんけれども、それにわかるべきものということに解釈をいたしております。
  306. 林百郎

    ○林委員 ちょうど自治大臣がお見えになったのですけれども自治大臣は、ことし納付金を二十五億減らしてもいいということを御承知なさったのはどういう理由からですか。
  307. 野田武夫

    野田国務大臣 いま国鉄からもお答えがあったようですが、これは自治省としましては、いわゆる固定資産税の一環として今日まで納付金の性格考えておりました。これは御承知のとおり、国鉄の公共性にかんがみて、いろいろな減免の措置をとっております。そこで、今日国鉄が再建計画をやるというて、国鉄の地方自治団体に対する公共的な影響力といいますか、非常にこれも関連性の深いことでありますし、できればやはり国鉄は再建計画をりっぱに立てられて、そうしてその使命を果たされるということが一面また地方地域住民のためになる、こういうことから勘案しますとともに、私鉄関係に対する措置も同じような意味でいたしておりまするから、今回はそれらのものを勘案いたしまして、私鉄関係との関連の措置と同じような考え方で、総合的ないろいろな資料に基づいて、そして国鉄の再建にも役立つ、そうかといって地方財政に非常に大きな悪い影響を与えることは困るというので、御承知のとおり納付金の減額に踏み切った、こういうことでございます。
  308. 林百郎

    ○林委員 大臣、国鉄のほうはこう言っておるのですよ。国鉄の財政は赤字で非常に苦しいのだ。だから、本来固定資産税と同じような性格のものとして若干——そう割り切るわけにはいかないけれども固定資産税的な性格を持つ納付金だけれども、国鉄が赤字で非常に窮乏しておるので、地方財政のほうは、豊かだということば使いませんけれども地方財政のほうは余裕があると思うので、この際納めるべきものを二十五億ひとつ減免してもらいたいのだ、こう言っておるわけなんですよ。だから、二十五億減らした理由は、一つは、国鉄が赤字だ、もう一つのほうは、地方自治体にそれだけの余裕があるのだと言っておるのですけれども自治大臣はそれを認められて、国鉄のほうの赤字に対して、地方自治体のほうはそれだけの財政力があるから、二十五億まけてやってもまだ余力があるのだ、こういうふうにお考えになったのですか。
  309. 野田武夫

    野田国務大臣 これは経過的に申し上げますと、御承知のとおり前から、国鉄から四十三年度の予算編成でも、相当な納付金の減額といいますかの要求がありました。しかし、地方財政は決して豊かではない、したがって、国鉄の要望を直ちにいれるということは非常に財政上困難であるということ、これが大前提のたてまえであります。しかし一面、いま申しましたとおり、国鉄の再建計画が遂行されるということは、地域住民の生活にも非常に影響がございますから、やはりその公共性にかんがみまして、地方公共団体としても非常に豊かではないわけでありますが、これに対して何か一応の協力と申しますか、そういうことを考えざるを得ない。そこで相当な減額の要求もありましたけれども、現在の地方財政内容では、いまの納付金を大きく削減するということは、とてもいけない。この点は私どもとうてい応じられない。しかし先ほど申しましたとおり、豊かではありませんが、何とかやりくりをしてでも、地域住民の生活権を守るためには国鉄の運営というものをうまくやってもらわなければ困るという一面もありまして、同時に、私鉄関係で取り扱っております措置を一つの案として立てまして、そして二十五億という削減に踏み切ったのでございまして、これは決して地方財政が豊かだから、あり余った金だから幾らでもあげますという態度では全然ございませんで、いま申したとおり、国鉄が非常に苦境に立っておられるということと、いま一つは、これが再建できないと、やはりここに地域住民の交通その他に対する影響が非常にあるというので、何とかやりくりができるという範囲内で二十五億という数字が出てまいったのでございます。その点は、国鉄にも地方財政内容、われわれの態度もよく理解してもらっておる、こう思っております。
  310. 林百郎

    ○林委員 ちょっと大臣の言うことがよくわからないのですけれども、地域住民のことを考えるならば、国鉄の施設というような大きな施設の固定資産税をはずされるのではなくて、これは固定資産税と同機なものを国鉄から取ってやることが地域住民の利益になるのではないですか。大臣の言うように、これは国鉄も言っているのですけれども、国鉄は公共性があるのだ、したがって地域開発のための赤字区線の経営、安全輸送のための諸施設の整備を行なうのだというけれども、国鉄は今度三千百駅も廃止するというのでしょう。そうじゃないですか。それから、この国鉄の財政再建計画によりますと、こういうことをしておるのじゃないですか。両毛線では、すでに駅の廃止が進められている。六八年十月のダイヤ改正から、電化によるスピードアップを理由に、二十六駅あったうち十一駅を廃止している。北海道では、七百九十七駅のうち百六駅が残って、あとは全部六百何駅を廃止する。紀伊本線では九十八駅のうち残るのが三十二駅で、六十六駅廃止する。一方ノンストップのセメント、それから鉄鋼、化学製品、こういうような大量、定形、常時出荷の貨物に合った専用車を固定編成の定期列車にする。とういう計画を立てているわけでしょう。この北海道のごときは、七百何駅のうち六百幾つも廃止する。それはもう企業性に徹し切っているということじゃないですか。いままで国鉄は納付金に反対していた、それから公共性があるから、赤字路線も保持するのだ、こう言っておって、赤字路線は廃止するわ、駅は三千幾つも廃止していくわ、それなら法人と同じように固定資産税を納めたらいいじゃないか。もしあなたが公共性を主張するなら、赤字路線をかかえたままでいて、住民が反対している三千何駅の廃止をやめたらどうですか。どっちかにしなければならないじゃないですか。うまいことだけをやっていく、企業性は貫いていく、合理化はやっていく、公共性も貫いていく、大臣は何でそんな虫のいいことを承知するのですか。これは両方の答弁を求めます。
  311. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、林さんの意見に全く同感であります。つまり地域住民のしあわせというのが私の本務ですから、その意味合いにおいて、赤字路線の廃止については非常に意見を持っております。ことに私は、閣議の席上でも運輸大臣に向かって、赤字路線について、ただ一方的に赤字だから廃止するということは同意できない、ただ、その赤字路線を廃止する場合に、今度はそれにかわるもの、何か地域住民に不便を来たさないという条件が一つと、もう一つは、やはり地域住民がそのために困るのだから、ひとつ話し合いをしてもらって、地域住民がこれならという点にいけば、これは不要な赤字路線というものがありますから、承服することの基本的な考え方は反対じゃないけれども、現実において地域住民が困るということにはわれわれは同意できない。そこで運輸大臣答弁は、また国鉄総裁もしばしば予算委員会その他で言っておりますが、赤字路線を廃止する場合には、それにかわるべきいろいろな方法を講ずるのだ、必ずその地域住民と話し合って、その地域住民の理解と納得を得た上で廃止する、こういうことになっておりますから、私は、あなたのおっしゃるように、ただかってに廃止することを、そうですがと見ているわけにはいかない、こういう立場に立っております。
  312. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま御指摘がございました点につきましてお答えいたしますが、ただいま自治大臣から御答弁がございましたように、国鉄といたしましても、今後の財政を再建してまいります過程は、決して容易なものではないと実は覚悟している次第でございますが、その中で先生御指摘の赤字路線の問題につきましては、特に慎重にこれを進めるつもりにいたしております。現在、国鉄の中の計算によりましても、要するに計算上赤字が出ている、大部分が赤字路線になっているのが二百五十線程度ございます。しかし、これを赤字だからといいまして全部廃止するということは、もちろん国鉄の公共性に反することでございますし、そういう大それたことを考えているわけではございません。ただいま自治大臣も申されましたように、これを考えます場合には、最近におきます道路の整備あるいは自動車道の整備というように、他交通機関の整備によりまして、鉄道によりますよりも、むしろ自動車によるほうが国民経済的にいって非常に有利であるという観点に立ち、なおかつその上にお話のございましたような観点から、その地域にお住まいの方々の大きな意味における利便というもの、また冬季における道路交通等の阻害状況あるいは今後の地域開発の問題等々、また交通網といたしましてのその線区が占めております機能等にも十二分に留意をいたしまして、現在慎重に調査をいたしている次第でございまして、これを進めますにあたりましては、そういった調査に基づきつつ、また十二分に地元の関係の皆さま方ともお話し合いを進め、御納得をいただいた上で進めさせていただく、かような考え方に立っております。  その上に、またこの路線の廃止の問題は、国鉄総裁だけの一存でできる問題ではございませんで、国鉄が運輸大臣に申請をいたしまして、運輸省とされましては、また運輸審議会の議を経て御認可をいただくというような手続になっております。
  313. 林百郎

    ○林委員 大臣への質問は残っておりますが、それは途中で入れますので、この問題については、この程度で一応打ち切りたいと思いますが、事にもよりけりで、約五千駅のうち三千百駅というと、六割の駅が廃止か無人化されるというわけですね。一方、大きな企業の貨物輸送網づくりには、物資別適合輸送ということで、セメント、乗用車、鉄鋼、化学製品などの大量、定形、常時出荷の貨物に合った専用車を固定編成の定期列車として、発着地間をノンストップで運行する方式をとっている。たとえば、両毛線で新前橋駅に出て、高崎から一つ目の倉賀野でも、この貨物輸送基地の建設が進められている。さらに石油タンクのそばにタンク車が横づけされて、将来は国鉄のレールに沿った石油の輸送パイプも考えているとか、あるいはスバル、マツダ、ダイハツの自動車も車運車に次々積み込んで輸送するとか、こういうことを考えて、徹底的に企業に徹するというわけでしょう。これはまたあとで、国鉄の赤字なるものは私のほうでもう少し内容を聞いていきたいと思いますけれども、こういうことをやるならば、いままであなた方の主張された地域開発のための赤字線区の経営、安全輸送のための諸施設の整備なんということは、そのために本来納付金は反対だという抗弁はもうなくなっていると私は思うのです。徹底的に営利主義に徹するわけでしょう。それで五千駅のうちの三千百一駅を廃止するということですね。それでいて、公共性があるから、赤字線は守っているから納付金だけは反対だ、一文もかけるななんということを言ったって通らないことになってしまうのではないでしょうかね。どうでしょう。
  314. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま駅のお話が出ましたが、駅は、ただこれをそのままあるものを廃止してしまって、その地域の荷主さん、あるいはお乗りになるお客さんから全部足を奪ってしまうという意味ではございませんで、いろいろ先ほど来申し上げておりますように、最近におきます御承知のような道路交通等の整備というものに伴いまして、国内の交通体系というものもいろいろに変革を見てくる、かような趨勢にあるものと存じますが、そういった中におきまして、国鉄がはたして将来どういうような役割りをすべきかというような観点にも立ち、また運輸省のそういった意味におきます交通体系の形成についての御指導も仰ぎながら、国鉄としては与えられましたその公共的な使命というものを達成するようにつとめてまいりたい、かような考え方が基本的な考え方でございます。  また、数多くの貨物駅等を廃止するというような御指摘もございましたが、これは今後の財政の再建計画の中で具体的にいろいろ慎重に調査をしつつ検討する問題でございますとともに、また鉄道輸送というものは大きなパイプによりまして大量に、かつまた迅速に運ぶというところに鉄道輸送のメリットもあるかと存じますので、そういった機能が十二分に発揮されますように、また発展をし、整備をされてまいりました自動車輸送等、道路輸送等との結合輸送というものを積極的に進めることによりまして、地域あるいは国民経済全体にお役に立つ、かような共同結合輸送体制というものを推進してまいりたい、かような考え方に基づくものでございます。
  315. 林百郎

    ○林委員 山本委員から大臣に対する質問があるそうですから……。
  316. 鹿野彦吉

  317. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 地方税法の一部改正につきまして審議を進めてまいったのでございますが、自治大臣には参議院のほうの御答弁でこちらのほうに御出席になる機会がありませんでしたので、本日時間をさいていだだきましたので、総括的に大臣のお考えを承りたいと思います。  今回の地方税法改正によりまして約八百七十億の減税が行なわれたわけであります。その中で個人住民税の減税が大部分を占めておりまして七百十四億という減税になりまして、課税最低限も六十七万七千余円というように上がったわけでございます。これは国税であるところの所得税課税最低限と均衡をとったということが一応いえると思うのでありますが、今日所得税住民税につきましては、その性格も違っておるということがいわれるわけであります。現実に地方税の中の大宗を占めております住民税が、地域住民にとりまして過重であるといわれておりますことも、大臣十分御承知のことだと思います。したがいまして、私どもといたしましては、課税最低限所得税課税最低限に近づける努力をすべきではないかというふうな考えを持ちまして、社会党の提案をもちまして地方税法の一部改正の法案も提出しておるような次第でございます。これによりまして私どもといたしましては、本年度は七十五万五千円に引き上げまして、四十六年には百五万円という程度にまで引き上げました。所得税のほうにおきましては四十五年で百万円の課税最低限ということで政府は言明いたしておるわけであります。四十六年にはさらにその課税最低限引き上げられると思うのでありますが、私どもは逐次所得税との差を縮めていくべきである。本年度の引き上げによりまして差は昨年に比べまして縮まっておりません。そういう考えをもちまして改正案提案いたしておりますが、この課税最低限につきまして大臣のお考えを承りたいと思います。
  318. 野田武夫

    野田国務大臣 私は、ただいま山本さんのお話にありました社会党の税制改革案を拝聴いたしまして、実はしばしば予算委員会その他でもってお答え申し上げておりますが、何と申しましても住民税軽減するということは、これは率直に申しましてもう絶対の要請だと思っております。ことし最低額を引き上げましたけれども、これは決して私は満足いたしておりません。しかし御承知のとおり全体の減税額八百七十億のうちのその大宗はやはりこの住民税、いま御指摘の七百十四億というものは住民税でございます。これを所得税並みにもつていくべきだという御議論は、これまた私は必ずしも無理ではないと思っておりますが、いまちょうど山本さんからも御指摘のありましたように、税制調査会におきましても所得税と同じに扱わぬでもいい、これはやはり地域住民がお互いの地域づくりのためにわずかでも負担をしていって、そうして自分たちの生活を守ったらいいという趣旨も入っておるのだということでございますが、しかし私はそのことばをたてにとって、住民税の減税をこれ以上必要ないなんて毛頭考えておりません。ただし今度の税制改革におきましても、この点につきましては相当論議がございましたが、所得税も御承知のとおり十万円引き上げたので、その所得税並みに一応取り扱ったが、将来においてはできるだけ所得税の減免額に近づけたい。何年間かかるかということまで実は私ども考えの中に入っております。そこで目標といたしましては、いま社会党の御主張であります所得税に早く近づけよというこの趣旨は全く私どもも同感でございまして、できるだけ努力いたしたい、こう考えております。
  319. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 できるだけ、大臣のお約束もございましたので、そういう努力を願いたいと存じます。  なお、今日の過密過疎の現象に関連いたしまして、都市における行政需要が複雑多岐になっておる、これを早く解決をしないと快適な生活が保障されないということで、都市財政についての附帯決議を五十八国会でいたしたわけでございます。本年度の税制改正におきまして、都市財政充実という意味におきまして、地方道路譲与税におきまして応分の配慮をいただいておるわけでありますが、これだけでは、私どもの要望いたしました都市財政充実あるいは財源の確保という考え方とほど遠い財源でございまして、おそらくこの程度の財源では、十分に都市の行政需要を解決するわけにはまいらぬのではないか、かように考えるわけでございます。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 したがって、私どもそういう意味におきまして、今日地方税におきましても、所得税との関連あるいは府県民税、市町村民税との関連におきまして、一部手直しということでなくて、地方税制考え方を自治省では基本的にお考えになっても、おそきに失するということはあっても早きに失するということは決してない、これは早急にお考えを願いたいと思うのであります。とりあえず都市財源の確保ということにつきまして、大臣、どういうお考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  320. 野田武夫

    野田国務大臣 これも御指摘のとおり、大都市における最近の人口の稠密、産業の急激な集中、そのための都市開発のための財政需要というものは非常に増高いたしております。そこで四十三年度では自動車取得税、四十四年度にはいま御指摘のありました地方道路譲与税というこの税金によって多少のまかないをしようということにいたしておりますが、お話のとおり、これでとうてい今日の急激な過密都市財政需要に心配ないかというと、私はやはり御指摘のとおり、とうてい需要をまかなえないような状態ということは知っております。そこで一応四十三年、四十四年、相当の配慮はいたしましたけれども、とうていこれで満足はできませんので、さらに四十五年度におきましては積極的な構想を持ってまいりませんと、なかなかすべての計画の遂行なんてむずかしい。それからもう一つは国、地方を通ずる行政事務の配分なんかも当然考慮に入れなくてはならぬ、そういう考え方を持っております。
  321. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私、基本的な考え方は早急に手をつけていただくと同時に、ある程度英断的な手直しが必要ではないか、かように考えるわけでございます。今日府県税個人住民税所得割りにつきましては、二段階になっておるわけであります。百五十万を境に、以下二%、それ以上超過いたします場合は四%、これは今日の所得状況からいいましても、ある程度まで是正する必要があるのではないか。所得税市町村民税は累進税率でありますけれども府県民税もゆるやかな累進税率を採用する必要がある。少なくとも五段階ぐらいにいたしまして、百五十万をこえるところは減税をする、率を下げる、三%ぐらいにする、そうして最高六%ぐらいの五段階にして、府県財源を強化いたしますと同時に、大臣も御承知のとおり料理飲食税は今日府県税になっておるわけであります。これは都市財源として、私ども適当ではないか。しかも消防施設にいたしましても、上下水道の施設にいたしましても、あるいは都市計画にいたしましても、ほとんどの財源府県税となっております関係上、そういう町づくりの財源として適当であるものが市町村税になっていない。これは早晩市町村税に移すべきである。そして先ほどの住民税段階の是正をすることによって府県財源を確保する。さらに腰だめ的に私ども要望いたしたいことは、法人割りの関係でございます。今日、都市における法人は、今日の経済成長からいいまして、相当担税力があるというふうに私どもは見ておるわけでありまして、これは府県税市町村税も強化する必要がある、府県市町村を合わせまして、三五ぐらいに上げる必要があるのじゃないか、かように考えておるわけでありますが、こういう当面の問題によりまして、都市財源も確保できるし、あるいは府県市町村の関係が均衡のとれたものとして考えられる。すでに御承知のとおり、三十五年からずっと最近までの比較、これは自治省資料によりましても、市町村のほうは、交付税を除きまして、地方税が三十五年には四三%を占めておったというのが四十三年には三七%に低下をしておるという事実、これから見ましても、いかに市町村のほうが財源に苦しんでおるかということが明らかに示されておるのであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 これら都市財源の確保に関連いたしましての、全般的な手直しではございませんが、部分的な手直しにつきまして、どういうお考えを持っておるか、伺いたいと思います。
  322. 野田武夫

    野田国務大臣 今日府県税市町村税の関係、それから府県財政市町村財政、これは前とはだいぶん変わってまいりまして、相当市町村のほうが低下してきておることは御指摘のとおりでございます。そこで、いまおあげになりました税制上の措置といたしまして、たとえば住民税お話もございましたが、これはいろいろ意見がございまして、累進税の税率の問題、これを何段階にするか、やはり低い人はなるべく負担を軽くする、相当な高額者はもう少し累進税を高くしてもいいのじゃないかという議論も事実あります。しかし、やはりこの問題につきましての意見はたくさんありますが、一応これらの問題は、私どもといたしまして、税制調査会あたりの意見を聞きたい。決してわれわれは、それは間違っておるとは思いません。しかし、その意見を十分われわれは検討していきたい。いますぐ五段階とか何段階ということは、ちょっとお答えができませんのは、そこまでは踏み切れない段階でございます。  それから次の、法人税の問題でございますが、これは今日税制調査会において、法人税制のあり方ということについて根本的な検討がいま続けられております。そこで、これもお話しのように、総合的に検討して、いわゆる法人税のあり方を基本的に検討して、そしてその結論に基づいて、われわれは直していくところは直すという腹を持っております。繰り返して申しますが、いま税制調査会において根本問題を審議していただいておりますから、その結論を待っております。  それからもう一つは料飲税のお話でございましたが、料飲税の現行都道府県の税を市町村に移譲する、これはいわゆる地方団体の機能とか行政事務の配分というものを一緒に合わせて検討いたしませんと——実情はわかっております、それから相当の要望があることも知っておりますが、同時に都道府県のほうはこれに相当抵抗していることも事実でございまして、これらを勘案いたしますと、いま申しました地方団体の行政事務や機能というものをあわして検討いたしまして、これらの問題を処理したほうがいい、こう考えております。
  323. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いまの料飲税に関連いたしまして、今回の改正ではもう少し免税点を、八百円を千円くらいにお引き上げになる、あるいは従来の一〇%と一五%の税率を統一されるということはおやめになるという御意思はございませんか。
  324. 野田武夫

    野田国務大臣 これもしばしばお答えを申し上げておりますが、一五%を一〇%に統一したという、これはありのまま申しますと、いまの公給領収証による徴税というものが非常にあいまいもこでございまして、実態は非常に複雑でございます。それからある意味において、むしろこういう公給領収証の制度なんというものが、悪意か無意識かわかりませんが、きわめて不明朗な徴税方法でございまして、したがって、これはずっと前でございますが、先般入場税の問題もあわせて統一したのでございますが、決して高い料理において税率を引いたほうがいいというのではなくて、一本にして、そしてもう少し徴税方法を簡素にして、明朗な税源の取り方をやる、こういう考え方が基本でございますから、この点は私どもほんとうにそう思っております。  それから第二の免税点引き上げでございますが、これは御指摘どおり相当まだ引き上げ考えは、将来ですが、今度はできませんが、考えてもいいと思います。そこで宿泊料のほうは、これもいまの物価その他を考えまして、これは思い切ったというわけにはいきませんが、ある程度御趣旨に沿うた免税点引き上げをやった、こう考えております。
  325. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 極力そういうふうな配慮が大衆課税としての料飲税についてとるべき措置ではないかと考えておりますので、御配慮を願いたいと思います。  次に、電気ガス税につきましてお伺いいたしたいのでございますが、参議院予算委員会でございましたか、電気ガス税につきまして大臣は、あまりいい税ではないというふうな意味の御発言があったと思うのでありますが、今日市町村財源といたしましては、住民税あるいは固定資産税に次ぎまして、消費税としてたばこ消費税それから電気ガス税というのは、税の大宗をなしておるわけであります。おそらく市町村税の九〇%以上をこの四つで占めていると思うのであります。したがって八百億をこえる電気ガス税というのは、市町村につきましては財源としてはいわばいい税金であるといえるわけであります。ただ今日の消費生活あるいは物価の上昇から考えますと、電気ガス税は家庭用と営業用があると思うのでありますが、家庭用につきましては今回のようなわずかな免税点引き上げということではなくて、家庭生活のなくてはならない最小消費としての免税点を当然もう少し引き上げる必要があると私ども考えております。  なお営業用電気ガス税は、従来原料課税として業界のほうからあまりよくいわれていないわけでありまして、これについてはいろいろ議論の余地があろうかと思うのであります。しかし長年安定してきた税源でもあるわけであります。しかも産業政策の面から、相当伸びるべき電気ガス税が非常に多くの非課税措置をしておるわけですね。しかもその非課税措置を受けておる——鉱山あたりで使う電気ガスはある程度非課税にする必要がある。国内資産を開発するという意味において必要だろうと思いますが、大企業の電気等につきましては、すでに相当の配当もし、国際競争力にも十分耐え得る、また国内の産業としても十分成り立っておるというのを、単に経済政策上から市町村の苦しい財源の中から非課税にし、家庭用は十分な免税点になっていないということは、そこに非常に不合理なものがあるのではないか。したがって営業用の電気ガス税につきましては、もっと整理をしてもらう必要があるのではないか。そして独立して奨励とかあるいは政策的という目的の達成できたものは非課税措置からなくしていくという措置、いいば整理を考える必要があるのではないか、かように考えておるわけでありますが、悪税ということを言われ、将来どういうふうにこれに対処されるか、あるいはもし大臣考えでこれは逐次廃止をしていくということになりますれば、私ども、廃止の際に、八百億をこえる税源でもございますので、妥当なかわりの新しい税を当然考えていただかなければならない、かように考えておるわけであります。農村地帯におきましても、相当負担はあろうかと思いますけれども、そういう家庭用の問題を解決していきますれば、農村におきましても、いわば有力な財源になっておる、かように考えております。  大臣も御承知のとおり、今日都市財政的に困っておるという時代、農村におきましてはまだ困っておりまして、いただきました資料を見ましても、いわゆる担税力といいますか、鹿児島県は全国平均一〇〇として二八、確かに過密、過疎の現象があらわれておるというのは福岡県を除く九州各県、東北は宮城県を除く各県あるいは島根、鳥取、山梨というふうに、半数は五〇%以下の担税力、これは貧しい地帯というと語弊がありますけれども、当然生活水準の低い地帯で、そういうところの担税力は低いことは当然であるわけです。そうしたいろんな解決しなければならぬ面がありますけれども、余談になりましたけれども電気ガス税につきましての大臣の悪税と言われたお考え、あるいは営業用と家庭用と、市町村の税としてどういうふうに対処されるかということにつきましての御意見を承りたい。
  326. 野田武夫

    野田国務大臣 先に、ちょっと山本さんにお断わりいたしておきますが、私は電気ガス税を悪税とは申しておりません。ことばじりをつかまえるのではありませんが……。しかし、これは好ましくない。いま確かに消費生活から考えて電気税のごときは、これはもうできるだけひとつなくしたいということは、これは御同様、同じ考えであります。そこで私は、この電気ガス税というものは地域住民の生活そのものに大事なことであるから、できるだけ軽減したいというような考え方はしばしば申し上げております。そのやり方といたしまして、これはまだきまった、つまり役所でもってこういう案ができましたということを申し上げるのではございませんから、普通ならば適当にお答えしていいかと思いますが、しかし私はこれは非常に大事な税だと思いますから申し上げますが、いまの免税点引き上げる、あるいは税率考えるとか、これはいまのお話のとおり非常に大きな財源になっておりますから、一ぺんになくせといっても、理想論ではそうでございますが、地方財政現状から見ますと、電気ガス税を一ぺんになくすということはなかなか困難でございます。しかし、困難であるからこれに手をつけないということは、今日の家庭生活と申しますか、地域住民の皆さんの生活の経済的な影響力としてやはり一つの大きなウエートになっておりますから、いま申しますとおり、免税点はやはりもう少し引き上げる、あるいは税率考えたらいいのじゃないか、こういう構想のもとに、四十五年度におきましては計画を一ぺん立ててみたい、こう考えておる次第であります。
  327. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいま申しましたように、営業用の非課税の措置についての整理を急いでいただきますこと、そして家庭用につきましては免税点引き上げるということ、最後にこの電気ガス税というものに対する廃止という事態には、これ以上のかわり財源の御配慮を願いたいということを重ねて要望申し上げておきます。  なお、最後に二点だけお聞きしておきたいと思いますのは、一つは、先ほどから宅地開発税、本年は一応自治省のお見込みでも実施をする町村は少ないし、税収からいいましても一億そこそこの税収であるわけでありますが、これが庶民の住宅建設用地として効果があるのかどうかということ、あるいは町づくりについてどこまでスプロール化を防止する役割りを果たすかどうかという点、さらに地価の不当な値上がり、こういうことを助長するような逆の役割りをするのではないかという懸念もあるわけです。それらにつきまして十分指導といいますか、御配慮をお願い申し上げたいと思います。  なお、先ほど私申しました過疎地帯における超過課税の問題であります。これはいただきました資料によりましても、先ほど私が例示いたしました九州、東北のほうほど府県税市町村税合計したものが国税よりも多くなっておるわけであります。しかも府県税よりは市町村税が多い。このことは、超過課税によりまして何とか行政水準を最小限度維持しようという努力をしておるあらわれであるというふうにも私見ておるわけであります。これは何らかの措置によってこれを解消する御努力を願いたいということと、やはり五割増しということは、今日地方自治体のいろいろな自主性とか、あるいは自治体とはいうもののあまりにも広過ぎる制限税率でありますので、この標準税率と制限税率の幅を縮めるということも必要ではないだろうか、かように考えておるわけであります。この二点につきまして御答弁いただきたいと思います。
  328. 野田武夫

    野田国務大臣 宅地開発税は、結果において、いま山本さんの御指摘になったようなおそれが事実あります。しかし、そのおそれはありますが、今度私どもがこういうことを考えましたのは、いまの過密地帯の周辺なんか特にひどいんですが、住宅問題で苦しんでいるから非常に宅地造成が盛んになってきている。その場合に、いま現に、地域によりましては地方自治体が造成者に事実いろんな負担をかけております。それは相当な負担金とかあるいは土地を提供するとか、いろんな条件がございまして、それがつまり土地の価格にプラスアルファされておるということも相当顕著でございます。これを野放しにいたしますと、宅地造成者によってはこれをえたりかしこしとしてこの土地の値段に相当プラスするというふうななにがありますから、私どもの趣旨は、できるだけ住宅建設の方々に重い負担を与えないように。もう一つは、御承知のとおり、団地なんか別でございますが、かってに造成なさる方は、そのときには自分の歩く道もないところによくお建てになることもあるし、用排水なんかもない。これはどうしても地方自治体がめんどうをみなければならぬわけですから、相当これに対する建設費、行政費がかかるわけですから、これはひとつそういう造成者のほうから幾ぶんか負担してもらって、地方自治財政もそれにプラスして、できるだけ住みよい土地をつくりたい、こういうことでございます。これはまだ四十四年初めてやることでございまして、しかもこれは一回限りの税金でございますから、私は、いま山本さんの御指摘、決してそういうことはありませんと言い切れません。その点は十分勘案いたしまして、ひとつ綿密な指導をいたしていきたい、こう考えております。  それから超過課税の問題は、これはお話しのとおり五〇%なんというものもありますし、四十四年度からは、少なくとも三年ぐらいの計画でこれは解消するという計画は立てております。これは何と申しましても、実情から見まして、これは負担をしておられる自治体に対しては何とか手を差し伸べなければいかぬ。これは地域住民の負担というものは過酷であるというので、四十四年度からはこれの対策をいま練っておりまして、実施する段階に入っております。
  329. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 終わります。
  330. 林百郎

    ○林委員 それじゃまたもとに戻ります。  自治省にお尋ねしますが、国有財産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の第二条の六項ですね。国鉄に対しては、「日本国有鉄道は、その所有する固定資産のうち地方税法第三百四十八条第二項第二号の四及び第六号の四に掲げる固定資産に類するもので政令で定めるものについては、第二項の規定にかかわらず、市町村納付金を納付しない。」とありますね。これは一種の公共性を持ったということで減免しているものだと思うのですが、これは一体税金にするとどのぐらいの額なものですか。ここで一応国鉄に対しては、公共性のあるものに対しては減免しているわけですね。
  331. 山下稔

    ○山下説明員 交納付金法第二条第六項に定めております資産は、一つ大都市地域内におきますトンネルであり、一つは踏切道についてのものでございまして、このうちのトンネルにつきましては、大都市地域内に該当するものは現実にはまだ存在しておりませんので、したがって納付金を納付しない額というものも出ておらないわけであります。踏切道につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、詳しい数字は申し上げられませんが、額としてもあまり大きなものにはなっていないと思います。
  332. 林百郎

    ○林委員 額がないのだから、多いか少ないか論議の的にならないわけですけれども、いずれにしても二条の六項でこういう措置を講ぜられておるということですね。  それからもう一つ今度は、地方自治体の持っておる国鉄利用債というのは総額どのくらい持っておるのですか。
  333. 山下稔

    ○山下説明員 四十二年度末で現債額が四十二億になっております。
  334. 林百郎

    ○林委員 それは都道府県市町村全部合わせてですか。
  335. 山下稔

    ○山下説明員 都道府県市町村合わせての額でございます。
  336. 林百郎

    ○林委員 そこで今度は国鉄のほうにお聞きしますが、いずれにしても利用債を持たされておる。私はいまの額、少し少ないと思うのですけれども。  それから、先ほどの国有資産等所在市町村交付金に関する法律の二条の六項で、一定の施設については公共性があるということで固定資産税をかけないことになる。その上今度交付金を減らすということになっておるのですね。しかも今度は、いままで駅や鉄道があって、これは当該市町村としてはいろいろの利便を提供してきたと思う。むしろ受益者というのは国鉄だと思うのです。広い庭を提供する、路線を提供してやる、トンネルをつくってやる。それが今度は企業性ということを貫くことによって赤字路線を廃止することが検討され、駅が廃止あるいは無人化することが検討されておるということですが、これは地方の住民にとってはたいへんなことなんです。あなたは鉄道のかわりにバスに乗ればいいというけれども、バスというのは、これはまたバスの料金もかかるし、場合によっては自転車で二十分も三十分も走って汽車のとまる駅まで通わなければならないということで、これは地域の住民にとっては重大な影響を及ぼすわけなんです。  念のために聞いておきますけれども、いま国鉄の持っておる路線が何路線で、その赤字路線というのは幾つあるのですか。
  337. 小林正知

    ○小林説明員 現在、四十一年度の数字でちょっと恐縮でございますが、いわゆる線路名称をつけております線が二百四十二線だと思いますが、二百四十二線中、四十一年度の実績で、私どもの計算では黒字線が十四線、かように記憶しております。
  338. 林百郎

    ○林委員 二百四十幾路線のうちで黒字線が十四線、あとは赤字路線として検討の対象になるというふうに考えていいわけですか。
  339. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる鉄道の東海道線とかあるいは山手線とかいろいろ線路名称はついておりますが、その線路一線一線についての線路の数を申し上げました。赤字線は、そういった線路名称の区分に従いまして計算いたしますと、それは線区別の計算そのものについてはいろいろむずかしい問題があると思いますが、一応私どもの……。
  340. 林百郎

    ○林委員 検討の対象になるかどうかということを聞いておる。
  341. 小林正知

    ○小林説明員 私どものやっております計算によった数字でございます。  それで、いまお尋ねの二百四十二線から十四線引きますと、二百二十八線になると思いますが、二百二十八線が全部いわゆる道路にかわるべき輸送としてというようなことを国鉄は考えておるわけではありません。もちろんそういうことは考えておりません。その中で、特に社会施設全体として考えました場合に、自動車のほうが有利であるというように考えられる線の中で、また先ほど来申し上げておりますように、地域の住民の方々の利便の問題、将来の開発の問題等を総合的にそこで判断をいたしまして、その切りかえをするかどうかという判断をする、かような考え方でございます。
  342. 林百郎

    ○林委員 それから、先ほどの駅の無人化、廃止の問題につきましては、約五千駅中三千百ということについては、この昨年の九月四日に国鉄の諮問委員会から総裁に、廃止予定線とそれから無人駅にすべきだという意見書が出ているわけでしょう。出ていますね。そうすると、これは幾つになるわけですか。その意見書の中に出ておる無人化すべきものだというのと、それから廃止すべきだという路線は、何路線と何駅になっておりますか。
  343. 小林正知

    ○小林説明員 ただいまお尋ねの、昨年の九月に国鉄総裁の諮問機関としての諮問委員会から、審議の結果出されました意見書におきましては、線名といたしましては、検討すべき線として委員会の意見書にあがっておりますのは八十三線、約二千六百キロと記憶しております。なお、駅数につきましては、はっきりした数字は示していないと思いますが、ちょっと記憶にございません。
  344. 林百郎

    ○林委員 そこで、約半分、さっき言った路線名のあるのの半分が、赤字路線として検討すべきであるというように諮問委員会としては出ておる、こういうように聞いておいていいですか。その百五十線とか出ておるのは……。
  345. 小林正知

    ○小林説明員 先ほど二百二十八線と申し上げました。  なお、ただいま諮問委員会の意見書の中で出ておりますのは、八十三線でございます。
  346. 林百郎

    ○林委員 そこで、ちょっと国鉄問題について私のほうで少し突っ込んで聞きたいのですが、それは、地方行政と運輸委員会と本来なら合同審査をやるべきだったのですけれども、できなかったものですから、やむを得ずきょうあなたにお聞きするのですが、赤字赤字というのですけれども、赤字というのは、旅客部門と貨物部門と区別すれば、旅客部門は黒字じゃないのですか。——それでは年度をきめましょう、一九六四年で。ということは、運輸別損益が一九六四年しか発表されておらないわけですね、あと出ないのだから。これを基準にして、旅客と手小荷物あるいは郵便車、貨物でいいですけれども、この黒字と赤字の数字はどうなるのですか。
  347. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま先生昭和三十九年度をお尋ねと思いますが、ちょっと手元に三十九年の数字を持っておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、四十年で申し上げさしていただくことをお許しいただきたいと思います。  四十年の私どもの一応の計算によりますと、四十年におきましては、鉄道経営成績といたしましては、全体でおおむね千百億の赤字になっておりますが、うち旅客関係、これは新幹線、在来線含めてございますが約三百三十億、貨物でも七百六十億ばかり、かような計算になっております。
  348. 林百郎

    ○林委員 そうすると、貨物の赤字が旅客の赤字の倍、こう聞いておけばいいのですね、念のために……。あなたのほうが手持ちで持ってないというのは、あなたのほうが都合が悪いから持ってないと思うのですけれども、いまあなたが言われたのは昭和三十何年でしたかね。
  349. 小林正知

    ○小林説明員 四十年です。
  350. 林百郎

    ○林委員 三十九年だと旅客部門は三百四十五億の黒字、貨物部門が、貨物だけで四百五億の赤字、郵便車が五億の赤字、手小荷物が百四十六億の赤字になっているわけです。だから旅客は黒字なんです。そこで、同じ赤字が、貨物部門が旅客部門の倍だというのに、今度はどうして貨物部門の運賃を上げないのですか。赤を余分に出しているほうはそのままにして、黒字を出し、そして赤字が貨物の半分だというのに、そっちのほうをどうして一五%上げるのですか。
  351. 小林正知

    ○小林説明員 いまお尋ねの件でございますが、国鉄の運賃は全体といたしまして原価を償うようにということで運賃法のたてまえはなっておりまして、客貨別にこれを一応中の資料として分けて計算をいたしますと、ただいま先生おっしゃったような数字になるわけでございますが、かつて国鉄自体がいわゆる近代的な交通機関といたしまして国内の陸上輸送においていわばかなり大きな地位を、非常にことばは悪いのですが独占的な地位を占めておりましたときは別でございますが、最近のように、モータリゼーションの伸展によりまして非常にその辺の競争関係がはなはだしくなってまいりました。道路輸送、トラック等における非常な熾烈な競争の中にさらされておりまして、そういったことも一つあわせまして、国鉄自体の努力の不足ももちろんございまして反省はいたしておりますけれども、最近の収入の伸び悩みというようなことにつながっていると、かように考えております。したがいまして、こういった中でそういう独占でない、非常に自由競争といいますか、そういった熾烈な競争の中におきます運賃のきめ方というものにつきましては、いわゆる原価は、これは一つのものさしにはなろうかと考えますけれども、しかしながら全体を通じまして総括的に国鉄といたしましての経費が何とかまかなっていけるような運賃というものをきめていく、かような考え方によりまして、原価的に見ますと、ただいま御指摘がございましたように客貨の径庭はございますけれども、そういった考え方に立ってまた今回の運賃の改定をお願いしている次第でございますが、その場合におきましても、貨物は据え置きまして旅客運賃を上げるということも、そういった考え方によるものでございます。
  352. 林百郎

    ○林委員 何言っているのかちっともわからない。第一あなたのほうは運輸別損益表を昭和四十年から先、どうして発表しないのですか。発表しているのですか。しているならこの委員会資料として出してください。要するに旅客部門はどういう収益でもって、貨物収益はどういう収益になって、それが原価とどういう比率になっているかということが、これはあなた運輸別の損益が出てこなければ計算のしようがないでしょう。みんな非公開になっているわけでしょう。これはどういうわけですか。
  353. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま申し上げました四十年度は出していると思いますが、四十一年度は……(林委員「四十一年、四十二年、四十三年ですよ」と呼ぶ)四十三年はまだ年度の途中でございますから。四十一年度までは一応計算したものはございます。と申しますことは、四十一年度に原価計算のいろいろなやり方というものにつきまして、かつて十数年前からやってまいりました計算方式とかなりやり方も変わってまいりましたので、実態も変わってくるということから一部改善をする必要があるというようなことで、部外の学識経験者にもお願いをしまして原価計算方式についての御検討をいただきました。そういった作業によりまして、そういう原価計算の制度自体がある程度変わっております。そういった作業の関係上、原価計算そのものの作業がおくれてまいりまして、四十一年度はまだ表に出してない、かような結果でございます。
  354. 林百郎

    ○林委員 いずれにしても四十一年、四十二年、出てないわけですね。四十二年も出てないでしょう。
  355. 小林正知

    ○小林説明員 四十二年はまだいま作業をやっております。
  356. 林百郎

    ○林委員 四十三年が作業中ならわかるけれども、四十二年は去年です。四十一年はおととしですよ。それから運輸別の損益はもう三十九年から出てない、このように見ていますがね。いずれにしても、あなたの言うことを見ても、四十一、四十二は出てない。何か計算中だと、こう聞いておっていいですね。
  357. 小林正知

    ○小林説明員 四十一年度は計算は終わっております。四十二年はまだ済んでおりません。
  358. 林百郎

    ○林委員 それじゃこれ、この委員会資料として出していただけますか。
  359. 小林正知

    ○小林説明員 四十一年度は提出させていただきます。
  360. 林百郎

    ○林委員 そうすると一九六〇年から、わかるだけでいいのですけれども、旅客部門の原価と運賃の比率、貨物部門の原価と運賃の比率はどうなっていますか。私のほうの計算からいえば、旅客部門は運賃のほうが原価より高くなっている、貨物部門のほうは運賃が原価を割っている、こういう比率が出ていますが、そのとおりでしょう。
  361. 小林正知

    ○小林説明員 要するに原価と運賃収入との関係は、そういうかっこうになっていると思います。
  362. 林百郎

    ○林委員 そうすると、どう考えてもいままで黒字を出していた旅客部門、そうしてあなたは昭和三十九年だけの数字を出して、それでも貨物は七百何億の赤字、旅客は三百億だという倍もの赤字が出ている。原価の点からいっても、貨物のほうが原価を下回っている。旅客のほうは運賃のほうが原価を上回っている。それでどうして貨物だけ上げないのか。しかも貨物を利用しているのは、電気製品にしてもあるいは自動車部門にしても、ばく大な利益をあげているのですよ。そういうところからこそ運賃を取るべきじゃないですか。そうして収容人員の二六〇%、二八〇%、そんなものすごいラッシュアワーで苦しんでいる勤労者、しかもその人たちが国鉄の旅客部門の黒字のささえになっている。そこをまたまた上げるということは、だれが考えたって、この国鉄のやり方について不当だと思うと思いますけれども、どうして貨物部門をそんなにあたたかく扱うのですか。たとえば総武線なんか見ますと、収容人員のもう二八〇%なんですよ。小林さん、あなたにやにやして横を向いて話しておらぬで、二八〇%ですね、二八八%ですか。それから山手線、総武線、中央線、横須賀線、京浜、赤羽、横浜線は二六〇%。これは鉄道労働科学研究所の調査によればもう二六〇%をこえた乗客は手間がとれるばかりでなく、急激に疲労を増加してしまって、肉体的精神的消耗を招いて、単に通勤者個人の損失ばかりでなく、社会的な損失にもなる。こういう状態が山手、総武、中央、横須賀、京浜、赤羽、横浜ということになっているわけですね。この部門の運賃をまた上げるというわけでしょう、定期部門についても、旅客運賃についても。それで改善、改善というけれども、この方面の改善なんかちっともなされてないですね。去年の旅客運賃の定期代を上げるときだってそうでしょう。これは不合理じゃないですか。小林さん、そう思いませんか。だから共産党は、国鉄の運賃の上げ方が不当じゃないか。大きな企業には至れり尽くせりのサービスをしておりまして、圧倒的な多数の勤労者にはこんな過酷な、二六〇%か二八〇%の収容率を示すような運送のしかたをしている。しかもその人たちにまた今度は運賃を上げていくということは、いかにも過酷じゃないですか。そう思いませんか。
  363. 小林正知

    ○小林説明員 通勤輸送の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、非常な混雑で御迷惑をかけておるところでございますが、国鉄といたしましても、四十年から始めております第三次長期計画におきましては、通勤輸送というものには特に重点を置きまして、鋭意その混雑の緩和等につとめるということで今日まで進めてまいっております。ただいまの例としておあげになりました総武線の場合におきましても、東京から千葉の間約千数百億の投資をいたしまして、別線の複線、線増をするというような、基礎輸送力をそれにつけることによりまして、これに対処してまいる、かように措置をとっております。また常磐線あるいは中央線等につきましても、車両の増あるいは線路の増設ということに、大体都市の通勤関係におきまして七千億以上にわたる投資をする計画で、鋭意そういった工事をいま進めているところでございます。国鉄といたしましては、八両でございましたものを十両編成にいたし、また間隔も詰め、線増も鋭意いたしましてこの解消につとめておりますけれども、何ぶんにも非常な都市化現象、集中化、過密化ということに追いつきませんで、そういったことで非常にまだ混雑の状態が続いている。しかしながら、先般の四十三年の十月の改正におきましては、時刻改正をいたしましたこの時点におきましても、従前に比べまして、第三次長期計画として進めてまいりました工事が前期分だけ集大成いたしまして、かなりその辺の事情としては、もしほっといたならばどういうことになったかということと比べますと相当程度の改善を見ている、かように考えております。
  364. 林百郎

    ○林委員 あなたはそういうことを言いますが、今度の国鉄財政再建計画による約五兆二千億の使途を見ますと、東京、大阪中心の大都市通勤輸送の増強に五千五百億、それから山陽新幹線を中心とする都市間の旅客輸送、要するに新幹線に一兆二千六百億、それから貨物の合理化、それに八千百億で、国鉄再建計画の中で大都市通勤者に対する投資が一番少ないじゃないですか。やはり今度の計画の中心は、山陽新幹線を中心とする一兆二千億のこの投資じゃないですか。
  365. 小林正知

    ○小林説明員 ただいま先生御指摘のその数字は、財政再建推進会議において意見書に載っている数字かと存じますが、今後国鉄が、四十四年度をスタートにいたしまして再建計画に取り組んでいくわけでございますが、その間でいかなる規模でどういうような投資をするかということにつきましては、ただいまおっしゃいましたようなそういった意見書の趣旨を体しまして、内部でいま鋭意検討を進めているところでございます。その再建会議に取り上げられております趣旨は、通勤輸送対策というものにも十分の配慮をするということで、たしか、いま申されましたように、第三次長期計画の四十三年まで進めてまいりましたものにさらに五千五百億を投資するという計画になっておりまして、重点施策ということになっておるかと思います。さらに実際面といたしまして、特に東京首都圏の通勤輸送という問題については、これを在来線方式によってやります方法というものは物理的にも相当限界に参っておる、かように私どもとしては判断をいたしております。今後こういったますます増大する通勤輸送というもの、あるいは通学輸送というものがあるとするならば、それは別途に、再建会議の意見書においても述べられておりますように、通勤高速鉄道といったような首都圏の大きな別の新構想というようなものによって対処すべきではないか、かように考えております。そういったものに対しまする財源といたしましては、現在の窮迫しました国鉄の財政そのものからはとうてい不可能でございますから、その手当てといたしましては別途国全体として御配慮いただきたい、かような内容になっておるものでございます。
  366. 林百郎

    ○林委員 国鉄財政再建計画によりますと、今後の運賃総収入が約三兆三千億、今後二回ほどの値上げが予定されている。このことについてはどうお考えになっていますか。これで値上げがとまるわけじゃないので、今後これだけの三兆三千億の運賃収入をあげるためには約十年間に三回、今度も入れて三回だと思いますけれども、それは予定されているんでしょう。
  367. 高橋英雄

    高橋説明員 再建会議の意見書におきましては、一応参考といたしまして数字を発表いたしておりますけれども、再建会議の意見といたしましては、とりあえず再建期間中の初年度において実収の一〇%程度の値上げは必要があるが、その後についてはその後の物価の事情等を勘案して、必要があれば適時適切に行なうというような意見があります。ただ、試算表のほうにおきましては一応そういう、先生がおっしゃいましたように十年間三回上げるというような試算をして、利子のはね返りを含めまして三兆三千億という数字を出しておるわけでございます。政府のほう、それに国鉄といたしましても、今後の物価の事情あるいはその他の事情がいかになりますか、現在の時点でははっきりと推定しがたいものでございますので、現在の時点ではっきり二回上げるなり何回上げるというふうなことはきめておりません。
  368. 林百郎

    ○林委員 もちろん、今回のがまだ国会でこのような混乱を起こしているときに、もう二回上げるなんということがあなた言えるはずがないと思いますが、しかし計画自体、そうしなければ収拾のつかない計画になっているということを私は言っているわけです。  私はあと減価償却のしかた、それから利子負担の問題、それから国鉄が大きな企業の、たとえば国鉄の設備投資資金がそれぞれの企業の大きな需要、国内市場になっているというような問題、いろいろ問題を持っていますけれどもあと時間がないので、残念ながら質問ができないのですけれども、結局国鉄が赤字だ赤字だと言うけれども、償却の年限を普通の法人の償却年限よりは短くして、しかも、償却をするというけれども、償却したものはまた違う路線に持っていって利用できるというようなことから申しますと、これは相当の含み資産がある、こういうようにわれわれは考える。また金利も、他の会社以上の金利を払っているということですね。年間に、最近では一千億になっていますけれども、この金利の問題。これをもし公共性があるというならば、これは一時たな上げするということだって考えられるわけですね。それから投資関係も、人件費人件費というけれども、人件費の上がりはもう最近は横ばいになっていて、資材費のほうが上昇関係にあるということになると、結局国鉄は企業や金融の食いものにされているということがはっきりいえると思うのですね。その犠牲をいま言った二百八十何%収容率の、毎日毎日混んだ電車で通っている勤労者と、今後、計画によりますと十数万の合理化による一兆数千億の合理化というようなことも数字としては出ておりますけれども、とりあえずは五万の合理化で出ておりますけれども、結局は国鉄の労働者、それからああいうきびしい通勤条件の中で通勤しておる旅客の人たち、こういうところに大きくしわ寄せされていると思うのです。その上、今度は地方自治体へ二十五億の納付金も当然だというようなことですね。本来納めているほうがおかしいんだという言い方で二十五億頭をはねているということについては、これは、大臣がどんな話をしたか知りませんけれども地方自治体としては承服できないと思うのですよ。まあ、ここをきょうはよく国鉄の皆さんのほうにお話ししておきたいと思います。  さらに、赤字路線の廃止、駅の無人化、廃止ということになりますと、これはまた地方自治体の社会生活に非常に大きな影響を及ぼすわけです。だから、公共性に徹するなら、もっと徹底的に公共性に徹して、国民の支持を得るような国鉄になったらどうでしょうかね。黒字の出ている旅客部門はますます上げていって、赤字の多い貨物部門は料金をそのままに据え置いて、しかも貨物部門は原価を割るような料金で、旅客部門は原価を上回るような運賃だということでは、これは承知できないと思うのです。このことをよく考えていただきたい。これについての小林理事のお考えと、それから自治省としては、こういうように駅が廃止されるとか、それから赤字路線が廃止されるということになりますと、これは地域住民にとっては非常に大きな社会問題になると思うのですよ。急行がストップするような駅だけストップして、あとは自動車を利用しろときょうも言っているわけでしょう。自動車を利用しろと言ったって、時間の関係やいろいろで、結局、自転車でやるかあるいはオートバイか何かでやるかしなければならない。また、ノンストップになるから交通事故も起きてくるというような問題もある。こういう場合、地域住民が、この路線はぜひ維持してもらいたい、この駅はぜひ廃止しないでもらいたいというような要望が、これは地方自治体もひっくるめて、たとえば納付金の問題では、北は北海道から南は九州の各市町村自治体が反対の決議をしていますけれども、そういう、国鉄に対して地域住民の強い要望が出てきた場合に、駅の廃止の問題だとか無人化の問題、あるいは赤字路線の廃止の問題、自治省としてはどういう方針で臨むつもりですか、それを小林理事と次官にお尋ねをして、私の持ち時間がないので、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。
  369. 小林正知

    ○小林説明員 赤字路線の問題、道路輸送の転換の問題あるいは駅の問題等につきましては、これは先ほど来お答え申し上げておりますように、地方市町村をはじめ、地元の皆さま方には非常に大きな問題でございまして、国鉄としても軽々にこれを考えているわけではございません。先ほど来お話しいたしますような考え方、と申しますのは、単に赤字だ黒字だということだけで判断するのでなしに、その地域におきますその路線の持っている具体的な使命、さらに具体的なその輸送事情、また交通体系におきます地域としての意義というようなもの、また将来の開発計画というようなものも十二分に調査いたしまして、その上でよく地元の関係の自治団体の方々、地域住民の皆さま方と話をして、十分御納得の上で進めてまいりたい、かように考えております。  それから運賃の問題でございますが、先生御指摘の点、まあ、貨物は上げないで旅客を上げるのはけしからぬじゃないか。確かに運賃というものは、あるべき姿といたしましては、原価に順応いたしましてそれをちょうだいするというのが一つの理想の姿だと思います。しかしながら、現在におきます国鉄の貨物運賃制度というものは、過去のいろいろな沿革、経緯がございまして、いろいろ不合理な面が多々ございます。そういった面、さらに荷主さん、それぞれ荷物を託送されますお客さんにとりまして、必ずしも合理的な制度に現在なっていない面も多々ございます。そういった問題、さらにサービス上の問題といたしまして、現在の輸送需要にマッチいたしましたようなサービスも必ずしも行なわれていない等々の問題もございます。国鉄としましては、先ほど先生がお述べになりましたような数字の中にも、貨物輸送の近代化ということも投資を多くすることになっておりますので、そういった近代化を通じまして国民経済に裨益できるように、また需要にマッチしましたような輸送サービスを内容といたしまして、その運賃の客貨別の合理化というものについても十二分に配慮してまいりたい、かように考えております。
  370. 砂田重民

    砂田政府委員 赤字線あるいは駅の廃止の問題につきましては、林先生が御心配になっているようなことに国鉄がもしも考えているとしましたならば、自治省としても大問題でございます。ただケース・バイ・ケースで考えていると思います。たとえば先ほど先生お話にございました北海道なんかは、雪の問題を解決しないで、赤字線だからといってこれを道路にそう簡単にかえられるものではないということを国鉄自身が申しておりますのを聞いてもおります。私どもが苦しい地方財政の中から今回の納付金の若干の軽減をいたしましたのも、まさにそういう国鉄の公共性を買えばこそでございます。公共性に反するようなことがありましたならば、私どもとしては地域社会住民の意向を十分国鉄に反映させる、そういう努力をする決意をいたしております。
  371. 林百郎

    ○林委員 では、私はこれで終わります。
  372. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 門司君から発言を求められております。この際、これを許します。門司亮君。
  373. 門司亮

    ○門司委員 資料要求だけですが、せっかく資料をもらったのだけれども、わからぬところがあるのです。二六ページと、その次の二八ページの関係だけれども、二六ページに「地方税の税目別収入額およびその割合の推移」と書いてあって、二四ページからずっと推移がある。ここには都道府県税も市町村税も、いずれも「法定外普通税」と「旧法による税」と明確に書いてあるのですね。ところがその次の二八ページのほうにいくと、「地方税収入の税目別伸張率の推移」と書いてある。ここにくると、「法定外および旧法による税」と書いて、法定外普通税と旧法による税というものが一本に書いてある。これが私にはどうしてもわからない。御承知のように法定外普通税というのとそれから旧法による税というのは、税の性格が全然異なっておるのであります。これが合算されて書かれちゃって、こんな資料を寄こしてもらったって何が何だか私にはわからぬのです。だから、旧法によるものと、それから法定外普通税の数字を明確に二つだけ知らしてくれませんか。どうも資料をいろいろ見ておっても、ちっともこの辺がわからぬ。片方は明確に区分して書いてあって、片方は合算して書いてある。しかも税の性格はみんな違うのです。こういう資料は見ておってもあまりありがたくないのだ。そうして一番大きな問題になるのは法定外の普通税なんだ。いわゆる法律できめていない税金市町村でかってによけい取っているのがあるはずだ。それがこういうところに数字が全然出てない。こういう問題はひとつ分けて資料を出していただきたいということを、この際資料に要求いたしておきます。  そのほか、この資料についてははなはだ解せないところがたくさんあるのだ。これは明治二十四年からずっと税率が書いてあるけれども、戦争までの税の性格と戦後の税の性格というものは全然異なっているのです。明治時代からずっと戦争が終わるまでは、大体国税中心で付加税主義をとっておった。二十三年からこれをやめて、そうしておのおのの市町村も、都道府県も、国も、全部独立税というたてまえをとっている。一物一価の原則を厳守しているのだ。それがずっと一緒くたに全部書いてある。学者が研究するのには多少こういうものも必要かもしれないけれども、どうもしろうとがここで議論をするのには実際は当てはまらないのだ。その辺はそれでよろしいが、さっきの法定外普通税だけは明確に出してくれませんか。
  374. 松島五郎

    松島政府委員 法定外普通税と旧法による税収入の問題、御指摘がございましたが、各年度の税目別収入は御指摘のとおり二六ページないし二七ページに出ておりますが、各税の伸張率の推移につきましては一括して出してありますが、この点は御指摘のとおり内訳をつくりまして、資料として提出をさしていただきます。
  375. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時十九分散会      ————◇—————