○林委員 私は、
日本共産党を代表して質問や討論をいたしたいと思っておりましたが、時間の
関係上、わが党の立場を明らかにするために、ただいま議題となっている
地方自治法の一部を改正する
法律案に対し、次の修正案を提案いたします。
すなわち、
地方自治法の一部を改正する
法律案の一部を次のように修正する。
本則中第九十条の改正に関する
部分以外の改正に関する
部分を削る。
附則第五項を削る。
次に、提案の理由を
説明いたします。
そもそも、ただいま議題となっている
地方自治法の一部を改正する
法律案は、その骨子は、一、
東京都議会の議員定数の定限を従来の百二十名から百三十名とし、特別区の
人口百五十万につき一名の議員の増を条例できめることを認めること。二、
住民の基本的権利である直接請求権を、公職選挙法による選挙が行なわれる地域で政令で定める一定の期間これを禁止する。三、そのほか、いままで国会の議決を必要とした税関、税務署など国の
地方行政機関の設置を、防衛庁や警察署などと同じく、国会の議決を必要としないものとして徴税の機構を強化する道が開かれております。四は、
土地改良事業の分担金の徴収に滞納処分を設けて、事実上課税と同性格のものにする。五、
地方自治法の第二条に、
市町村は、その
事務を処理するにあたって議会の議決を経て基本構想を定め、これに即して
事務の処理を行なうようにしなければならないという一項を設けた点が主要な改正点であります。
そこで、
東京都議会の議員定数の是正は、百三十名という定限はありますけれども、
住民の意思を議会に反映する点で一定の民主的措置というべきものであって、わが党もこれに賛成であります。
しかし問題は、これと引きかえに
住民の基本的権利である直接請求権を制限することは、
憲法の第十五条の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民
固有の権利である。」というものを侵害することが明らかであります。また、
地方自治法第十二条の条例改廃請求権、監査請求権及び同法第十三条の議会の解散請求権、役員の解職請求権など、国民の基本的権利に対する重大な侵害であります。これはまた、さきの
東京都議会や松山市議会、最近の前橋市議会などにおける、遺憾ながら自民党をはじめとする保守党系の議員の買収や不正や腐敗に対する民主勢力や
住民の戦いの勝利など、リコール権、直接請求権などの権利をテコとした
地方住民の戦いで
全国的に発展していることをおそれて、これを抑圧しようとする策謀ではないか、こう言っても過言でないと
考えられるわけであります。
また、百五十六条の七項の改正で、税関、税務署などの
地方行政機関の設置について、防衛庁の機関や警察機関と同様、国会の議決を要しないものとしておることは、これは
住民に対する課税あるいは徴税の機構を一そう強化することに道を開くものであります。
さらに、
土地改良事業による受益者負担の名による分担金等の徴収について、
地方税を例とする滞納処分の制度を設けることは、分担金を事実上の課税とするものであります。
さらに、第二条の改正による
地方自治体に基本構想を策定させる問題でありますが、これは昨年
政府によって成立させられ、六月から施行が予定されておる
都市計画法、また今国会に提案が準備されておる
都市再開発法に基づく大
資本本位の
都市開発を推進するために
地方自治体をこれに奉仕させようとするものであって、これは、そのほかの点におきましても
地方自治権に対する重大な侵害になると
考えられるわけであります。
わが党は、
東京都議会の定数是正については賛成するものでありますが、他方、以上述べたような国民の基本的権利や
地方自治権に対する重大な侵害を内容とする本改正案に対しては、この際一切の反動的な便乗の修正を排除して、都民の民主的権利を確保するための都議
会議員の定員を増員するこの
部分を確立して、それ以外は一切削除する、こういう修正案を提案するわけであります。
何とぞ皆さんの御賛同を願います。