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1969-03-20 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       奧野 誠亮君    桂木 鉄夫君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       井岡 大治君    太田 一夫君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         自治政務次官  砂田 重民君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)(参議院送付)  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第五八号)      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうは地方税法に関して特に大蔵省意見を一応ただしておきたいと思います。  私が大蔵省意見をただしたいと思いますことは、日本税法は、御承知のように、ことに地方税に関しては、二十五年のシャウプ勧告で大体基礎ができておりまして、そうしてそのときのシャウプ考え方は、御承知のように、法律で定めておるとおりに、地方公共団体基礎的団体市町村であるというたてまえをとって、したがって市町村にできるだけ固定した財源を与えたいというのが時のシャウプ考え方であったと思うのです。その考え方には誤りはなかったと私は思うのです。  その当時の税制状態を見てみますと、国、地方を通じて一番優位に置かれておったと考えられるのは市町村であります。府県税の一〇〇に対して一七〇という数字を持っております。ところがこれは、御承知のように固定した財源であって、したがって、確定財源を要求したために課税対象が固定したものになってきておる。流動性がなくなってきておる。ところが、その後の日本経済の発展が非常に急速度に伸びてまいりまして、したがって税の性格からいえば、不確定財源であるが、しかし経済に由来する税金のほうがよけいとれるような形になってきた。そこに理想と現実とのギャップができてきている。そうして、最近の市町村財政というものは、税制の面から見れば非常に貧弱であります。したがって、国、地方を通ずる根本的の税制改革の時期が一応来ておるのではないか。そういっても、また世の中がうんと不景気になるかもしれない。それはまたそのときの考え方があるかもしれませんが、しかし、どう考えても、二、三日前の新聞などを見てみると、二十年もたつと世界で一番大きな経済力を持つ国になるだろうということを書いてあるところを見ると、近い機会にそう国の経済が没落するとは考えられない。そうすると、この辺で国、地方を通ずる税制改革を一応行なう必要があると私は思う。そういうものに対する大蔵省見解をまず最初に聞いておきたいと思います。
  4. 上村千一郎

    上村政府委員 いま門司先生のおっしゃったとおり、シャウプ勧告の際におきましても、現在もそうですが、市町村財源というものにつきましては、むしろ伸長性といいましょうか、浮動性というよりもむしろ安定性を持った財源で確保していこうという考えであることは間違いございません。そういう意味から、現在の高度成長に伴いまして、たとえば法人事業税とかそういうようなものにつきましては急角度に伸びてきておる。こういうようなところで非常にアンバランスの観念が出てきておることは確かでございます。  この税制の問題につきましては、税制調査会などの答申がございまして、長期税制、あるいは目前としましては四十四年度の税制措置、いろんな意見が出ておりますが、先生おっしゃるように、現在、一回洗い直して考えてみる時期に到達しておるのではなかろうかというような認識を持っておるわけでございます。しかしながら、先生案内のように、税制というものにつきましては、税制自身の体質、体系というものがございますし、実はある程度長期計画を踏んまえながらやる必要もございますので、慎重な態度で臨むということはもちろん必要でございましょうから、税調などの御意見、あるいは大蔵省内部でも、いろいろ見解をまとめながらいま前向きに作業を進めておる、こういう実情でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 大蔵政務次官のせっかくの答弁でございますが、大蔵省がやられていること、考えられていることと、いまの答弁とは、いささか理念的に食い違いがあるように私感じます。  それはなぜかといいますと、ことしの地方財政計画を策定する以前における大蔵省態度であります。地方税については、交付税を減額しようというのが大蔵省態度であったと考えております。そうすると、いまの次官態度とは全く食い違うのであります。  交付税は、御承知のように一つ補完財源である。従来の経緯からいえば明らかに補完財源であります。いまは税という名前をつけましたから、地方固有財源だということばが当てはまるかなと思いますが、以前は交付税だった。その前は配付税だった。こういう経緯を持った税制でありますから、税という名前をつけたから固有財源だと、ことばの上では言えるかもしれませんが、これは明らかな調整財源であることは間違いない。ところが、いまの次官のおことばでは、この調整財源すら取り上げようということになれば、これは全く大蔵省のいまの答弁現実との食い違いです。  御承知のように、地方自治体の持っておる固有財源から来る確定財源というようなものが、非常に流動性のある今日の経済情勢から見てアンバランスのできていることは事実である。しかも、地方自治体、ことに市町村財源というのが非常に枯渇しておる。国がどんなにいろいろな施策を講ぜられましても、市町村財源が枯渇しておる現状においては、私は満足な国の政策は実行できないと言ったほうがよろしいと思います。むしろ、国が貧乏であっても、市町村が豊かな財政で、そして国民福祉現実行政を行なっていく姿こそ文化国家に望ましい態度ではないか。ところが、国のほうは財源を十分持っておって、そしていまのような答弁だけはするが、しかし実際は交付税を削ってしまえというような大蔵省内部意見があるということは、私は矛盾があると思う。そういう答弁で私はこれをよろしいと言うわけにまいりません。  それなら、ここでもう一つ聞いておきます。私は、きょう、次官は時間がないそうでありますから、意地悪くここへ長く引っぱろうとは考えておりません。もう一つ聞いておきますが、国のことしの財政といいますか、予算を編成されまする一つ基準として考えられたことは、国債はできるだけ少なくするというお考えであったことに間違いはない。ところが、地方借金は毎年毎年ふえているのです。国は従来借金をしないというのがドッジ・ラインの一つの大きな示唆であって、池田内閣当時は厳重にこれは守ってきたということが考えられる。ところが、地方は、だんだん、だんだんと、そのお金の足りないのは国が貸してあげるからというので借金政策にゆだねておる。私は、税制の改正をもう少し早くして、地方もやはり早くその税財源によるような形をとりたい。それこそがほんとう行政あり方だと考えておったが、そういかない。地方財政は今日税制によってまかなわれている部分はきわめて少ないのであって、二割自治だ、三割自治だ、まごまごすると一割自治だと悪口をいわれておる。そこで、大蔵省考え方はそういうことで、国の財政についてはできるだけ国債は少なくしていくが、地方債はふえてもいいという、この矛盾した考え方について、大蔵省のはっきりした答弁をひとつこの際聞いておきたいと思います。
  6. 上村千一郎

    上村政府委員 私は、先ほど門司先生にお答え申し上げましたのは、心がまえを言ったわけです。私も実は大蔵委員会その他で、いま申し上げておることを率直に申し上げておるわけでございまして、いまここでその場のことを申し上げておるわけではございません。  しかし、当面の財政の組み方というものにつきましては、これはまた別な考え方もございましょうし、また財政制度審議会などの報告などもあるわけでございまして、そういうものを踏んまえて四十四年度の予算など組んでいっておるわけでございますが、実はいま地方財源が十分であるというような考えを持つわけではございませんけれども、しかし四十四年度の全体の答弁編成に対しまして、地方と国と一体をなして一つ財政政策の目的を達する方向をとっていきたい、そういう点から考えるならば、いろいろと経済の見通し、あるいは地方財源増収見込みというものにつきまして、相当の伸びが四十四年度にはある、そういう点と、国の全体の財政の点を考えた場合において、六百九十億というものにつきまして、何も取り上げてしまうわけではございません。大蔵大臣も本会議答弁をいたしておりますし、いろいろと先生も御承知のとおり、今年度におきましては、これだけ減額した部分を差し上げて、そして、来年度以降これを従来の歩合いに上積みして交付していく、こういうふうな点でおるわけでございまして、決して地方財源がこれで十分だというわけでもございません。それかといって国の財源が十分だというわけでもない。そこを見合ってやったことでございまして、先ほど申し上げましたような基本的な大蔵省考え方というものは間違いない、こういうわけでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 あまりこだわらないでくださいよ。六百九十億なんという数字を私はいま聞いておるわけではありません。そんなものは、大蔵大臣はもう方々でいろいろ説明をし、話をされているようですけれども、これはもうむちゃなんですね、実際。もしあなた方がそういう御答弁をされるんなら、聞いておきたいと思いますが、国の予算は国の経済行政に基づく総括的の予算ですね。したがって、これは政策的な予算です。地方予算は、その地方地域における財政需要、その財政需要根定をなすものは、行政需要が今日どれだけふえておるか。ことに過密過疎という問題がいま出てきておる。一体大蔵省は何を基準地方財政は豊かであるといわれるのか。基準を示してもらいたい。今日地方町村から市道に至る道路状態を見てごらんなさい。どういう舗装の率になっているか。道路としての形態を備えておるか。下水の問題はどうなっているか。小学校教育の問題はどうなっているか。私は大蔵省に対してその点をひとつ資料で明確に示してもらいたい。大蔵省地方行政に対して、財政需要というよりもむしろ行政需要に対して、どれだけのお金が要るかということを、マスタープランをひとつこしらえてもらいたい。もしあなたのほうができないというなら——いま各市町村でこしらえておりますマスタープランをここへ持って来ることはきょうは遠慮いたしました。これはとてつもなく大きいものですから、示してもいいのですが……。地方自治体がいまマスタープランとして書いておるようなことを、たとえば下水にいたしましても、日本下水全国平均で六%から九%ぐらいしか進捗していないでしょう。これをここ五カ年間、十カ年間のうちに一〇〇%完成させるということになるとどれだけのお金が要るか。また、これが一〇〇%できなければ近代国家といえますか。近代都市といえますか。東京など見てごらんなさい。まだ二百万戸の便所がくみとりで海上投棄でしょう。これで一体世界で一番大きな都市であって、文化国家なんということがいえますか。一体政府は何をお考えになっているのですか。横浜に行っても同じことです。完全な下水道が一尺でもありますか。こういう非文化的、非文明的の地方行政財政関係から甘んじていなければならない。やろうとしてもやれないのである。ことにたくさんの人間の集まってくるとこに従っての子供教育の問題をどうするかということである。これも私はここではっきり申し上げておきますけれども、いままでの地方の大きな都市人口増社会増であります。ここにたくさんの人がくるということは、地方から集まっておったのである。しかし、ことしを中心にして、私はことしが大体初年度とは思いますが、ことしを初年度とすれば、これから自然増がふえてまいります。それは大体終戦後のベビーブームのときに生まれた人たちがもうぼつぼつ子供を産む時代になっております。どんどん都市に若い者が集中されてきておるのであるから、これから先の都市人口社会増でなくて、自然増がふえてくることが考えられる。そうなってまいりますと、教育の施設というものはだんだん拡大強化されなければならない。そういう問題を一体どういうふうにお考えになっておるのか。大蔵省全国小学校の、ことに過密都市教育のたとえば学校不足数、あるいは教室不足数というのをお調べになったことがございますか。こういうことを大蔵省ほんとうにお考えになって、いまのような御答弁をされるなら、大蔵省マスタープランをこの次の委員会まででけっこうですから出してごらんなさい。地方自治体というのは、そういうことで、国のほうは政策をお立てになって、そうして経済をこういうふうにやっていこう、貿易はこういうふうにしようというようなことで、政策に従ってやれるのですね。地方自治体はそうはいかぬのです。しかも、長い間こういう行政を怠っておりましたことによって非常に大きな問題をかもし出しておる。交通災害の問題にしても同じことでしょう。一体だれがどこでやるのです。だから、私は大蔵省のいまのような答弁を聞いていますと非常に不愉快である。大蔵省は、国家財政については考えておるかもしれないが、地方財政などは全く考えていない。あなた方御自身の住んでおいでになる土地を見てごらんなさい。東京にお住みになっておるなら、東京ほんとう近代都市としての構造を備えておるかどうか。三十六階がそこにあるかと思うと、あの下にはまだバラックがあるでしょう。これで近代都市といえますか。しかし、東京都はこういう問題の解決に当たらなければならない。人口がここ十年ばかりの間に百万人以上ふえている。横浜もすでに教室不足数は一千になっておる。千の教室を鉄筋コンクリートで建てるにはどれだけお金が要りますか。しかし、コンクリートにするわけにはいかない。やむを得ぬから学校の敷地も借地で、そうしてそこにプレハブの校舎を持ってきて教育せざるを得ない。これで一体教育国家なんて大きなことがいえますか。教育普及度日本世界中で一番高いなんて、なるほど子供学校に行っている率は一番高いかもしれない。しかし、内客はきわめて貧弱でしょう。こういう地方財政自身というものは、地方財政は単に財政というのではなくて、行政需要からくる財政需要であって、したがって行政需要考えないで、ただいままでこれだけあげていたから、ことしはこれでよろしいのだという大蔵省考え方は改めてもらいたいと思う。これを改める意思がございますか。
  8. 上村千一郎

    上村政府委員 もしいま先生がおっしゃったように、日本社会資本なりいわば福祉資本ということがいえるかどうかしりませんが、それが非常に立ちおくれておることは間違いないと思うのです。それは先生おっしゃるとおりだと思います。でございますが、結局、予算を編成するに際しまして、一つの限られた財源をどう配分していくかという問題でございまして、いま先生のおっしゃる点は十分私は留意すべきものだと思うのです。が、いろいろと各省とお打ち合わせをしながらいろいろとやっていくわけでございまして、先生も御案内のとおりかと思うわけでございます。が、いま申されておりまする点につきましては、私は十分留意していくべきものだ、こういうふうに思っております。
  9. 門司亮

    門司委員 留意されただけではどうにもならぬのですね。毎年そういう答弁を聞くのですよ。実際はここまでくると地方自治体はがまんができない事態まできておる。産業は非常に伸びておる、経済は非常に伸びておるとおっしゃるけれども、その経済をささえておる労働者のいこいの場所である家は足りないでしょう。これは一体だれが責任を負うのですか。直接の責任はやはり市町村ですね。自分のところに住んでおる住民の世話は市町村がしなければならないことは当然であります。子供教育も、さっき申し上げましたように、市町村がしなければならないことは当然である。遠隔の地から通おうとすれば、バスを通すということも、交通機関を整備するということも地方自治体責任であります。国は経済さえ発展すればそれでよろしいんだというけれども、しかも、資本主義の今日の社会において、経済が発展してもうけるのは資本家だけでしょう。その経済をささえている今日の労働者の生活の環境というものはいま申し上げたとおりであります。住宅を求めていこうとすれば、あるいは安い土地を求めようとすれば遠隔土地を求めなければならない。通勤に一時間も二時間もかかる、疲労度は非常に激しい、これは労働者個人の負担である。しかし、それを補う市町村行政の中からくる教育であり道路であり交通問題であるというようなことは当然市町村にかぶさってくる。下水の問題もかぶさってくる。だから、あまりにも国家中心主義予算編成をされて、住民福祉を全く忘れられた今日の大蔵省のものの考え方については、私はきわめて大きな不満を持っておりますが、そういう私のいま申し上げましたようなことを、一体大蔵省としては是認されますか、されませんか。
  10. 上村千一郎

    上村政府委員 ものの考え方につきましては、私は先生のおっしゃる点もよくわかるわけですし、これをどういうふうに予算面であらわしていくかということになりますが、とにかく社会資本なりその他福祉関係資本というものが日本においては非常に立ちおくれしておる。また、経済伸びからいって、それに比べて立ちおくれしている。これをどういうふうにするかということのものの考え方につきましては、大蔵当局としましても熱心に検討しておる、私はこう申し上げていいと思います。
  11. 門司亮

    門司委員 検討されておれば予算の中であらわれてこなければならぬ。先ほどお話がございましたから申し上げておきますが、六百九十億なんて、何でお取り上げになるのですか。自治省もまた自治省であって、これの配付の方法がどうとかこうとか言っているけれども、特別法をこしらえてもいいのですよ。法をこしらえて配付すれば、これは幾らでもできるのです。むずかしい仕事じゃない。四十五年でなければ使えないのだから、四十五年まで政府に貸しておこうというのは、自治省考え方は非常に間違っていると思う。自分のところが貧乏して困っておって、そうして金持ちのほうにお金を貸そうというのだから、これはずいぶん論理に合わない自治省考え方であり、大蔵省の横車だと思っていますが、そういうことはここで言うことはやめて、時間もございますまいから、その次に聞いておきたいと思いますことは、いまの地方財政を非常に苦しめております問題の一つとして、補助金の問題がある、あるいは政府出資金の問題がある、こういう問題についてもう少し徹底的に整理をするお考えはございませんか。
  12. 上村千一郎

    上村政府委員 いま先生のおっしゃったような点は、しばしば国会でもいろいろ御指摘を賜わっておりまして、これに前向きに取り組んでおりますが、具体的な問題につきましては、事務の者から御説明をさせていただきます。
  13. 門司亮

    門司委員 ちょっとこれは私から、ほんとうによけいなことを言うのですけれども、次官、時間がないとおっしゃっておりまするので、事務当局と私と渡り合っている時間があるかな。次官のほうでよろしいと言われるならば、事務当局にひとつ御答弁願いたいと思いますが……。
  14. 上村千一郎

    上村政府委員 詳細な、どの点がどの点まで整理をされ、どういうふうになったという数字があるわけでございますけれども、私はいま記憶いたしておりませんから、いずれ書面なりでも申し上げさせていただきます。
  15. 門司亮

    門司委員 私は、数字の問題をあなたから聞かなくたって、書いてある。そんなものはちゃんとわかるのですよ、去年どうなっておってことし補助金をどうしたかというようなことは。私は政治姿勢を聞いておるのであって、いまの地方財政を見てごらんなさい。国は借金を多少されておりますけれども、借金税金の何分の一ですか。地方のまかなっておりまする総体の予算というものは国とほとんど匹敵するようなことになっていますが、その中で税財源がどのくらいありますか。きわめてわずかな税財源、そうしてほとんどが国のやっかいにならなければならないのが借金しなきゃならぬということに大体なっている。こういう財政基礎的の——配分とは私は申し上げませんが、あり方について、国はもう少し姿勢を正すべきじゃないかということです。国が何でもかんでも税金をたくさん取り上げておいて、そうしてその中から幾らかずつ地方補助金をやって、いわゆる官僚統制に結びつけようとするものの考え方はやめてもらわなければならぬ。この補助金が明らかに官僚統制最大のパイプでしょう。地方自治体に全部補助金がなくなってごらんなさい、役所役人は困ると思いますよ。地方に幅がきかなくなってどうにもこうにもならなくなる。これは日本憲法のたてまえからいいますと少し間違いなんですね。九十二条には明らかに、地方政治地方住民によって行なえと書いてあるのです。政治は行なえと憲法に書いておるが、財政国家から与えられたものはきわめてわずかである。どうしても国に依存せざるを得ない。したがって、今日の陳情政治を見てごらんなさい。この浪費一体どのくらいあるか計算されたところがあるなら、自治省のほうからでもどっちでもいいのですが、いま地方公共団体補助金獲得のために、予算編成の前後、あるいは一年じゅう上京して、まあ私は全部が浪費とは申し上げませんが、浪費にひとしいお金をつかっているのがどれくらあるかということ、貧乏人はますます貧乏するようにちゃんと組んである、どこかで調べられたことがありますか。これは自治省で調べたことがありますか。あったらこの際はっきりしておいてもらいたい。いまの国と地方とのこういう財源配分関係からくる浪費がどのくらいあるかということ。
  16. 砂田重民

    砂田政府委員 そういう調査自治省でやったかどうかということは私つまびらかにいたしません。ただ、門司先生おっしゃいますあの予算編成の時期のああいう状態は、全く好ましくないことだと私は考えております。ああいう事態の起こりますことを、やめろやめろではなくて、やはり根源を解消しなければなかなかとまらない事態ではないか、このように考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 大蔵省中心として国の役人はあれを楽しんでいるんじゃないですか。大体、地方の県知事さんが頭を下げて頼みに来る、市長さんが頭を下げて頼みに来る、市会議員県会議員が頭を下げて頼みに来る、あるいは町村会議員が来る、地方ではいっぱしの先生といわれている人々がみな頭をぺこぺこ下げて、しかも十人も十五人もぞろぞろそろって役所に来ることを役人特権考えているのじゃないですか。その特権最大の原因は補助金でしょう。これからくる疑獄のあったことを御存じですか。役人に陳情するために費用を使って、それが暴露されておやめになった市長さんも、政府役人もおるでしょう。いわく、当時のその人の市会での答弁、なるほどこれだけ役人お金をつかいました、しかし補助金をこれだけいただいてまいりましたから市民に迷惑をかけてはおりません、というのがそのときの答弁ですよ。こういうものを助長するのはこの補助金でしょう。地方財政と国の財政との今日のこの大きなアンバランス地方はどうしても住民に迫られて仕事をやらなければならない。したがって背に腹はかえられない。政府役人に泣きついてでも補助金をいただいてこなければ仕事ができないという今日のあわれな地方自治体の姿ですよ。こじきと言うとおこられるかもしれませんけれども、物もらいに来ているから物ごいをしなければならないという今日の姿は見ていられないですよ、実際。それを平然として見ておって——もしできれば私はきょう総理大臣に来てもらってこの実情を聞きたいと思うのですけれども、国が平然としてこの実情を見ておる。そして、その悪い風習は年々ふえております。自治省も厳密に計算はしていないでしょうけれども、ごく大まかに計算をしてごらんなさい。三千幾つかある市町村に議員がどれだけいるか、その議員の諸君が一年に一回ずつ東京に出てくるとするとその費用がどれくらいかかるかということは、大してむずかしい勘定ではないと私は思う。一年に一回じゃないでしょう、まごまごすると一人の議員が一年に二回も三回も上京してこなければならぬ、何事をやるにしても、国に来て財源をもらっていって仕事をしなければならないという今日の日本行政というものは、憲法の趣旨に全く反した国の行政のいき方でしょう。そうして、財政によって国は牛耳ろうとする。また、日本の官僚国家をこしらえ上げようというのはここにあるのじゃないか。日本の官僚国家がもうすでにでき上がっておる。そのことは、もう一つつけ加えて言わしていただきますならば、地方にたくさんの天下りの官僚ができてくるということです。都道府県や市町村——自治省役人のいるところでこんなことを言うとおこられるかもしれませんが、できるだけ自治省から役人を迎えておったほうが、大きいパイプか小さいパイプかわからぬが、とにかくパイプが一つ通じるということ。県庁の土木関係の諸君は、建設省からだれか来てもらえば、そこに一つのパイプができるということになる。そしてだんだん昔の官僚統制と官僚行政に現在おちいりつつある。この際、財政を通じてそういう行政面までも改める必要があるのではないか。そのことのために、国、地方を通ずる一応の税制改革をこの際思い切ってやるべきではないかということを、私は結論として聞いておるわけであります。大体約束の時間になっておりますので、そう長くお引きとめはいたしませんが、これはどうお考えになりますか。
  18. 上村千一郎

    上村政府委員 私は門司先生のおっしゃることに同感でございまして、それで冒頭にそのことを申し上げたわけです。といいますのは、補助金特に小額の補助金の合理化というものについては、やるべきであるということは閣議決定もございます。その線で相当取っ組んでおるわけですが、現実の場合になかなかうまくいかない点も、率直に申し上げまして起きてきております。  それから、先ほど門司先生がおっしゃったように、地方財源というものにつきまして、安定した、固定したものを十分考えていく時期に入ってきておるのじゃなかろうか。こういうものとともに、シャウプ以来の地方税考え方におきまして、その当時は妥当したと思われますが、高度の経済成長下におきましては、非常にいろいろな考えさせられるアンバランスも出てきておる。だからこの際に、地方あるいは国を通じまして、基本的に一回考えてみる時期に立っておるであろう、こういうふうな姿勢なんでございます。何しろ先生も御案内のように、税制自身におきましては、大きにそれ自身一つの体系と申しましょうか、原理と申しましょうか、いろいろなものがございましたりして、これにつきましてはきわめて影響が大きくくるし、また公平の理論をどういうふうにしていくかというようないろいろな問題がございまして、慎重を要する点が非常にあるというようなことにもなりまして、どうもおしかりを賜わるような点が出てきておる。しかし、もうそうも言っておれぬ時期に来ておるのじゃなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。  それで、いま先生からいろいろとおしかりを賜わり、そして御指摘を賜わった。これは私どもはよく胸に体しておるわけでございますが、現実にやっていきますと、いろいろな問題が起きまして、きわめて歯切れの悪い結果を来たしておるという点をあからさまに申し上げておるわけでございます。
  19. 門司亮

    門司委員 もう少し詰めてお聞きいたしておきたいと思いますが、税制調査会に対して政府はそういう方針で諮問されますか。いままでの税制調査会に対する諮問事項というものの中に、そういうことがあまりはっきりしてないように見受ける。したがって、答申もそういうことがあまりはっきりしてない。当面の税制をどうするかということは書いてあるけれども、基本的なことはちっとも書いてない。そういうものの考え方で、今度は税制調査会に諮問をされるということに受け取っておいてよろしゅうございますか。
  20. 上村千一郎

    上村政府委員 具体的にどういう内容で、どういう文句でということは、いま煮詰まっておりませんから、ここではっきりしたことを申し上げることはできませんけれども、しかし、いま申し上げておる精神におきましては十分くんでいきたいというふうに思っておるわけであります。
  21. 門司亮

    門司委員 どうも安心ができないんだが、ほんとうにどこをとうするということか——実際、日本政治を見てごらんなさい。見られたものじゃないから。そして地方自治体が、村長さんにしても、知事さんにしても、市長さんにしても、何も東京に出てきて役人に頭を下げて、それも大臣にでもお会いになって話をするなら別ですけれども、課長さんや係長さんのところまて行って——地方に帰れば、公選されたりっぱな首長ですよ。私は、かなりりっぱな権威のある人だと思う。公選ですから、総理大臣よりある意味においては権威があるかもしれない。総理大臣は遺憾ながら公選じゃない。自民党の公選であるかもしれないが、国民の公選じゃない。形からいえば小さな村長さんも公選でございますから、その公選の、きわめて権威のある、また非常に重要な地位にある人が出てきて、役所の係長さんというと係長さんはまたおこるかもしれないが、しかし係長は係長であることに間違いがないのであって、一係までにも頭を下げて頼んで回らなければ自分の地域の行政が行なえないというこの情けない姿、これをあたかも助長するような財政配分のしかたというものについては、私はほんとうに残念というより憤りを感ずる。そして、これが何年も何年も、幾らやっても直らない。これにだんだん拍車をかけている。これはさっき申しましたように——今度は悪口をあまり言うなということで、あまり言わないつもりでおりますけれども、ある意味においては、役人というのは楽しんでいるのかもしれません。いまに村長が頭を下げておれのところに来る、どこそこの知事もおれのところに頭を下げて来ざるを得ないだろう、それでは、ほんとう日本の民主行政は行なえない。同時に住民の幸福にはならない。したがって、いまのような答弁でなくて——次官答弁としてはむずかしいだろうと思いますので、これ以上あなたに追及はいたしませんが、しかし大蔵省部内ではひとつそういうことをお考えになって、ほんとう住民の幸福のためにやられることが必要ではないか。それでなければ、何年後には世界で一番大きな経済力を持つ国になるなんて、どんなにいばってみたところで、国民一人一人の生活がいまのような状態ではいばれた筋合いではない。万国博覧会をやって、おいでになった諸君にどこを見せるか知りませんが、ほんとう日本の姿を見せてごらんなさい。実際、外国の人たちは驚くと思うのです。  最後に、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、予算編成の問題ですが、いろいろな問題で地方自治体が非常に困っておりますのは、国から来るお金が非常に多いものですから、結局それを受けて立って仕事をしなければならないという関係から、地方自治体は、始終いわれていることではありますけれども、当初予算は、ほとんど全部といっていいほど骨格予算しか組めないということである。そしてあとは補正予算でこれを事業予算として繰り返していく。したがって、地方自治体予算編成からくるいわゆる予算の審議というようなもの、これの執行に対する責任が非常にあいまいになってくる。したがって、国と地方との予算の年度を変える必要がありはしないかと私は思う。同じ年度でありますから、地方自治体はどれだけ補助金をもらえるか国会できまらなければわからない。四月の初めにならなければわからない。ところが、地方自治体も、四月一日から発足するのである。わからないうちに大体このくらいの見込みだということで予算が組まれる。ここにも陳情政治一つがあります。実例を申し上げてもよろしいのでありますが、ある自治体では、ある種の問題の予算をかなり大きく組んでどうにもならない。原因はどこにあるかというと、大体このくらいの補助金がくるという話を聞いたから、補助金はそういうふうに予算に計上いたしましたが、実際はそういうふうに補助金はもらえないから、さあたいへんだということで、結局お百度参りをしなければならぬ、こういう実例がないわけじゃございません。これはあらわれたのは一つか二つでありましょうけれども、実際はみんなそうだと思う。そこで国と地方との会計年度を変更するという御意思がおありになるかどうか。
  22. 上村千一郎

    上村政府委員 いま先生のおっしゃったような点は確かにあるわけでございますから、自治省ともいろいろ関係の深いことでございますので、よく相談しながら検討していきたいと思います。
  23. 門司亮

    門司委員 約束の時間が少し過ぎておりますので、私の質問はきょうはこれで終わります。
  24. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、暫時休憩いたします。   午前十一時十九分休憩      ————◇—————   午後零時三十五分開議
  25. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  26. 太田一夫

    ○太田委員 大臣にお尋ねいたすところでありますが、きょうは大臣よりもなお詳しい政府委員が御出席になっていらっしゃいますので、この際、地方自治法の一部改正という、いわば住民の基本的権利であり、わが国地方自治の本旨に基づくところの、その基本法である地方自治法の一部改正をなさるというその要点について一、二お尋ねをいたします。  最初にお尋ねいたしたいのは、順序を追ってお尋ねしますが、地方公共団体の処理すべき事務の例示に十七号を加えられまして「消費者の保護及び貯蓄の奨励」というのが入ったわけでありますが、これは一体いかなる所存に基づくものであるのか、何か今日の事態にかんがみまして緊急是正を要する何らかの根拠があるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  27. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 地方自治法の例示をしております事務は、御存じのように例示でございまして、地方自治体がおおむねどういう仕事をいたすかということを掲げているわけでございます。御承知のように最近いろいろ行政需要が新しく発生しまして、行政内容も複雑になってまいったわけでございます。特に、一つは消費者保護行政と申しますかにつきましては、四十一年にこれに関する基本法も成立をいたしたわけでございます。地方公共団体といたしましても、消費者保護行政について最近いろいろ心を砕いてやっておるわけでございます。  さらに、貯蓄の奨励の問題につきましても、御案内のように、この行政自身地方団体の仕事の中に逐次とけ込んできているわけでございます。そのように最近は住民の消費生活の安定に資するという面で各種の行政ができておりますが、この二つの行政につきましては、地方公共団体行政内容にすでにとけ込んでおります。これをさらに充実強化する必要がある、こういうような見地から例示の中に掲げた次第でございます。
  28. 太田一夫

    ○太田委員 それでは最初の消費者保護の件についてお尋ねいたしますが、四十一年に基本法が成立をいたしております。したがって、地方自治体の責務といたしまして消費者保護の施策を講じなければならない。それは具体的に申しますと、宮澤さん、市町村営のないしは県営のスーパーマーケット等を設置すべきであるということをここに織り込んだということでございますか。
  29. 砂田重民

    砂田政府委員 スーパーマーケットとは全く関係ございません。消費者保護行政というのは、御承知のように各省いろいろな、この法律で消費者行政をやっておるという法律をだいぶ以前から持っております。しかし、昨年ぐらいまで、各省ともこの法律で消費者保護行政をやっておりますということを言ってまいったのでございますけれども、たとえば農林省のJASの法律にいたしましても、制定がだいぶ古うございまして、企業と消費者と申しますか、企業保護と消費者保護、その重点がややもすれば企業保護のほうに片寄っていたような法律でございます。そういうものを、基本法が制定をいたしましたので、各省それぞれ整備をしていかなければならなくなってまいりました。ただ、その消費者と直接一番接触してまいりますのが地方公共団体でございますので、消費者の利益を守るための行政、あるいは苦情処理等の問題につきまして、府県が担当してやってまいらなければならない消費者保護行政というものが拡大して解釈されるようになってまいりました。そういう府県がやらなければならない責務を持った消費者保護行政、例を引いて申し上げますならば、いま太田先生はスーパーとおっしゃいましたけれども、そうではございませんで、通産省が昨年から補助をつけたりしております生活センター、あるいはその生活センターの中におきます各種の、消費者自身が商品テストをするための機械設備等、こういったものを各府県がそれぞれだんだん持ってやっていくようになってまいりました。そういう仕事をさすのでございまして、スーパーマーケットとは関係ございません。
  30. 太田一夫

    ○太田委員 消費者保護基本法の第三条には地方公共団体の責務がある。それは国の施策と相呼応いたしまして消費者の保護に関する施策を策定するということであり、同時に、これを実施する責務を負うのでありまして、一つの例としていま次官は生活センターというようなことをおっしゃのですが、ここでは、これをつくることによって物価が下がる、上がらないという保証はないわけなんです。いまで言うならば、秋田県の酒をそのまま団地に直送をして、何割か安い価格で消費者に直接売り渡すということのほうが消費者保護でございますね。それを認めることでございますか。
  31. 砂田重民

    砂田政府委員 太田先生も御承知かと思いますが、消費者保護基本法は、物価の引き下げにも役立っでございましょうけれども、商品価格の問題だけを対象にして定められた法律ではございません。消費者の四つの権利といわれます消費者のための主として家庭消費財の安全の問題、消費者が商品を選択いたします場合の情報の提供の問題、知識の問題、こういったことを消費者保護基本法は主として考えて、立法を四党で共同でされたものでございまして、いま先生のおっしゃったところまで一挙に——いまおっしゃったような新しい流通と申しますか、そういうことを直接取り上げて、それが府県の責務であるというところまでは、まだいろいろ議論もあるところでございので、はっきりそこまでの問題として煮詰まっているところではございません。
  32. 太田一夫

    ○太田委員 ただし、私はこれがここに掲げられることによって、やがて市町村営のスーパーマーケットから始まりまして、流通機構に手を加えるというところも出てこようと思います。それは差しつかえないことであるのかどうかということだけは、この際お答えをお願いしておきたいと思います。
  33. 砂田重民

    砂田政府委員 消費者保護基本法に書かれております消費者の役割りということもございます。それぞれの府県の中にあります、あいるは市町村なら市町村の中にありますような既存のそれぞれの消費者団体、この消費者団体というものはなかなか組織化しにくいものでございますけれども、横の懇談会等をあっせんをいたしまして、こういう方々の意見を府県でくみ上げまして、それぞれの企業あいるは企業団体との間で、太田先生のおっしゃった流通の問題までごあっせんをして、流通機構の新しい整備を進めていく、これも府県がこれからやってまいらなければならない消費者保護行政一つであると考えております。
  34. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、その問題はそれにとどめまして、貯蓄の奨励でありますが、貯蓄の奨励というのは単なる理念的なものでございますか、実行的なものでございますか、どちらでございましょうか。
  35. 長野士郎

    ○長野政府委員 貯蓄奨励は、従来からも県、市町村におきまして、その地域、地域で貯蓄に関するいろいろな民間の団体でございますとか、あるいは貯蓄推進のためのいろいろな組織等がありまして、そして地域住民の貯蓄奨励というものを県、市町村と共同してやっておったということが、実績もあるわけでございます。その意味の奨励的ないわばPRに近いようなことを中心にいたしまして、そういう奨励活動を自治体が積極的に活発な活動ができやすいようにしたい、こういうこともございまして、地方自治法の例示の中に入れることが適切ではないかということに相なりました。それで今回入れさせていただいたということでございます。
  36. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、ちょっと念のために聞いておきますが、それぞれ信用組合であるとか、あいるは金庫というところが、ことによって倒産をするというようなことがあって、その貯蓄した方が非常な被害をこうむった場合においては、奨励をした側の地方自治団体はそれを補てんをする責務を道義的にも実際的にも負うんだと思うのでございますが、大体そういう方向でございますか。
  37. 長野士郎

    ○長野政府委員 地方自治法の例示に貯蓄奨励という字を入れることは、一般的に広く、貯蓄をするのは地域住民の結局長期における生活の設計と申しますか、生活の安定と申しますか、そういう問題にも役に立つということでございますが、ただそれをどこの金融機関に入れるのがよろしいとかどうとかいうことまで、ここに規定した結果そういうことになるというわけのものでは私はないと思います。奨励にはいろいろな現実のやり方があると思いますけれども、こればかりにもせよ奨励でございまして、どこに預託をするのがこの貯蓄奨励の趣旨にかなうんだというような意味のことまで、この奨励というものが含んでおるとは私ども思っていないのであります。
  38. 太田一夫

    ○太田委員 あまり、わざわざここにこれだけまっ先に書いてあるから、大臣もまっ先にそのことをおっしゃたから、何か貯蓄の奨励をすることはインフレーションの被害も守ってやるということぐらいの具体性があることかと思ったら、そうでもなさそうで、まあ可もなく不可もないということでございますね。  その次の行政運営の基本構想でございますが、「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」これは具体的にどういうことですか。これを特に今回入れた理由は何ですか。どんなことでも議会にはからなければ、その理事者は何もできないということですか。
  39. 長野士郎

    ○長野政府委員 元来自治体といたしまして事務を処理するにあたりましては、行政運営の基本的な方針を立てまして、そして計画的にかつ総合的な行政を行なうということが大きな使命でございます。総合的にそういう運営をはかっていくということは当然の責務だというふうに考えられます。特にここに例示をさせていただいたのは、最近都市計画法でありますとか農業振興地域の整備に関する法律が国会にいま提案されておりますが、そういうものとかいうような、最近地域計画的な振興整備に関する法制が相次いで制定されましたり、あいるは制定されようとしているようなかっこうがございます。そういうような場合に、市町村の中でそういう計画を定めるということができてくるものが多いわけでございます。そういう場合に、やはり市町村としては、地方自治法では基礎的な地方団体という地位を与えておるわけでございますから、そういうものが基本的な構想を持っておって、そうして、そういう構想に即して具体の都市計画事業でありますとか、いろいろなものが自治法に即して行なわれるというような形で、現在の新しい都市計画法は、すでにそういう法制化を終えまして出発をしているわけでございます。そういうことがありますので、地方自治法はそういう意味の地方団体の運営の基本法という性格を持っておりますから、そういうものとうらはらといいますか、それを受けたような形といいますか、それの根元になるような形といいますか、そういうことでやはりこの際規定をさしていただくことが適切ではないか、こういうことなんでございます。これはしかし、法文も、これに即して行なうようにしなければならないというような規定のしかたをしておりまして、まあ法律の文句はいろいろな使い方がございますが、相なるべくはそういうことでやっていくのが、行政運営の基本としてのあり方としては正しい、こういう言い方にとどめておるわけでございます。
  40. 太田一夫

    ○太田委員 いままでとそう大きく変わらないが、新しい時代に新しい構想がどんどん法制等を基礎にいたしまして出てくるから、その場合に十分議会と連携を保って、基本法にのっとって努力するようにしてほしいということでございますね。わかりました。  それでは、次の点は、一定期間直接請求のための署名収集行為を禁止するという「政令で定める期間」というものがあるのですが、これは違憲の疑いがあるという意見が非常に強いのでありますけれども、違憲の疑いはないとお考えであるか。同時にまた、「政令で定める期間」というのはいかなる期間であるのか。国会が解散されたような場合においては、その期間というのはどういうふうになるのかという点につきましてお答えをいただきたい。
  41. 砂田重民

    砂田政府委員 私どもは、違憲でないという確信を実は持っております。それは、選挙というものもやはり憲法上重大な問題でございまして、住民の直接請求もまたこれ憲法上重大な問題でございますが、どうもこの二つの大事な問題がからみ合ってまぎらわしいようなことになりますことは、憲法上、この二つの重大問題双方ともがあやふやなものになってしまう、かえってそういうおそれを持つのでございまして、現在の公職選挙法上、特に選挙運動をできますのは、一定の選挙期間中でございます。現行法では、選挙運動中には戸別訪問はただいま一切許されておらないことは御承知のとおりでございます。ところが、一方、住民請求のほうは、請求代表者が街頭で署名をとることもございましょうが、住民各戸を訪問して署名を収集することが常態であります。そのために、選挙ごとに、選挙のごく近い期間にこれが行なわれました場合に、選挙運動と署名運動の間にまぎらわしい事態が生じまして、それぞれの大事なこの制度が正しい運用がされない、こういうおそれが多分にございますので、今日のような措置をとったわけでございます。私は、この二つの大事な問題が、りっぱに正しく行なわれますのには、こういう考え方をしてまいったほうがいいのではないか、このように考えるわけでございます。  政令の期間の問題でございますが、ただいま申し上げましたとおり、この二つの運動のまぎらわしい事態を避けたい、それを防ごうということにございますので、制限期間を設けますにつきましても、選挙運動の期間中及びそれに先立ちます最小限の期間とすべきことは当然でございまして、現在政令で定めようと考えております期間につきましては、任期満了に伴います選挙の場合は、任期満了前六十日に当たる日から選挙の期間までの間、その他の選挙の場合は当該選挙を行なうべき事由の生じました日から選挙の期日までの間、こういうふうに考えております。
  42. 太田一夫

    ○太田委員 直接請求というのは、実際間接民主主義を補うところの非常に基本的な問題だと思うのです。いま直接請求ができるのは、条例の制定改廃請求とか事務監査の請求、議会の解散請求、議員、長等の解職請求、こういう直接請求が認められておるのであります。これは選挙の方式による住民の間接民主主義的な参政だけでは不十分だという点を補ったものですが、それをどうしても禁止しなくちゃならないというのは、選挙の公正を期するというだけの意義でございますか。
  43. 砂田重民

    砂田政府委員 仰せのとおりでございます。
  44. 太田一夫

    ○太田委員 そういたしますと、本来ならば、ここに入れなくて、公職選挙法か何かそちらのほうに入れたらいいじゃないかという意見になってくるような気がしますが、それを公職選挙法のほうに入れないで、ここにお入れになった理由は何でございますか。
  45. 長野士郎

    ○長野政府委員 直接請求につきましては、いま御指摘のございました地方自治法の改正条文の第七十四条という規定がございますが、この第七十四条以下に直接請求の手続の定めがあるわけでございまして、その直接請求の手続を定めているのでございますから、一定期間署名収集を停止するということになりますと、それはやはり地方自治法の七十四条に改正規定として加えるということが、法律整理といたしましては適当だという内閣法制局の意見も一致いたしまして、ここに改正部分を加えさせていただきたい、こういうことでございます。
  46. 太田一夫

    ○太田委員 では、最後に一つだけお尋ねいたしますが、本法案の中におきまして、九十条に議員の定数の問題がありまして、そこの改正が一項加えられまして、「都にあっては、特別区の存する区域の人口を百五十万人で除して得た数を限度として条例でこれを増加することができる、ただし、百三十人をもって定限とする。」これをもっと具体的に言いますと、都の場合、おおむね何人になるのでございましょうか。
  47. 長野士郎

    ○長野政府委員 この改正案におきましては、この九十条のところにいまお読み上げになりました改正部分を加えることにしておりまして、それからこの法律の改正の附則におきまして、附則の二項というのを置きまして、改正後の自治法の九十条二項の規定の適用については、いまおあげになりました「特別区の存する区域の人口」というのを読みかえをいたしまして、「特別区の存する区域の人口として政令で定めるところにより自治大臣が推計して告示した人口」こういうことにしております。と申しますのは、その附則に書いておりますように、「この法律の施行後最初に行なわれる国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果が明らかとなるまでの間、」はそうだということにしております。それは、こういう東京のような人口変動の非常に著しい大都会におきまして、通常の場合でございますと、四十年の国勢調査を使わなければならないことに相なりますが、都の特殊性にかんがみまして、議会の議員の定数の増加を考えるという場合には、やはり今日の実態というものを踏まえて考えていくということが適当だということに考えられるわけでございます。そういうことで推計をすることに相なっておりますが、まだ私どもの正確な人口推計の方式が確定しておりませんけれども、私どもの試算におきましては九百十万内外ということに相なるだろうと思っております。そういうことでございますので、百五十万人で除して得た数は六人ということになるわけでございまして、百二十人プラス六人というのがいわゆるアッパーリミットでございます。都はその範囲内で条例で増加ができる、こういうことに相なるわけでございます。
  48. 太田一夫

    ○太田委員 わかりました。  この地方自治法を改正する法律案というのは、実はその他附則だとか、読みにくいのがいっぱいあるのですが、これは単に事務的な手続とか、現行行なわれておることとか、そういう小修正でありまして、別段、特段の意味を持つもの、地方自治に格段の影響を与えるような改正はございませんね。
  49. 長野士郎

    ○長野政府委員 関係資料の中に、先ほど御質問のございました事務の例示とそれから基本構想の問題がございます。それ以外に都議会の定数の問題と、そういうものが出ておりますが、あと条文がたくさんございますのは、要綱に書いてありますように、行政の合理化に関する事項でございます。行政の合理化に関する事項と申しますのは、行政改革三カ年計画におきまして、相なるべくは許認可事項、報告事項を整理しようということがございます。政府の方針といたしまして、関係法令の改正の際にそういうものを取り入れて実行しようということになっております。そういう意味でたくさん条文がございますが、それは、たとえて申しますと、従来市町村長が新たに生じた土地を確認した場合には、自治大臣へ報告するというようなことがございます。これを廃止することにいたしました。それから、市町村議会は議会の結果を府県知事に報告し、都府県議会は議会の結果を自治大臣に報告するという規定がございます。この報告を廃止することといたしました。あるいはまた、監査委員が監査の結果を議会に報告いたします。府県の場合は、その際に自治大臣にも報告するということになっておりますが、自治大臣への報告を廃止することにいたしました。それからまた、協議会その他の設置につきまして、議会委任事務によるものは許可が要るということになっております。その許可を廃止する、そういう事例でございます。むしろ行政の合理化、能率化ということに資したい、こういうことでございます。
  50. 太田一夫

    ○太田委員 終わります。
  51. 鹿野彦吉

  52. 折小野良一

    ○折小野委員 今度の改正案にありますリコールの制限でございますが、ただいま太田委員の質問に対して、違憲ではないというような御答弁がございました。直接請求にはいろいろございますが、特にその中におきまして、公務員の罷免に関する直接請求につきましては、これは憲法第十五条を受けておる制度であろう、こういうふうに思うのであります。といたしますと、これは選定することと罷免することと、両方とも同じ立場において国民固有の権利である、こういうふうに憲法十五条は規定をいたしておるわけでございます。こういう面から選挙のほうを立てて、そうして直接請求のほうの制限をする、こういうことが憲法の運用上正しいことであるというふうにお考えになっておるのかどうか、御意見をお聞かせいただきたい
  53. 砂田重民

    砂田政府委員 直接請求も、それから選挙も、憲法上の重要な民主主義のための基本的な問題でございます。どちらにウエートを置いてという考え方をするべきでないというふうに考えております。したがいまして、選挙も、また直接請求も、どちらもが実行されますときには、公正に行なわれることが最も望ましいことでございます。この双方の、選挙、直接請求、それぞれの運動が、変な形で入り乱れてまぎらわしい事態になることは、これは憲法で与えられた権利が公正に行使されているとは言いにくいことだろうと思います。そういう意味合いから、この二つの運動がまぎらわしい事態にならないように、そういう考え方で今回の法改正の御審議をお願いしているわけでございます。
  54. 折小野良一

    ○折小野委員 国民の権利の行使をまぎらわしい状態に置かないように、こういう御趣旨は一応の御趣旨としてわかるのです。といたしますと、同じ憲法の十六条に請願権というのがございます。請願のための署名運動というのも事実上行なわれるはずでございますが、片一方は規制をして、片一方は規制をしないというのはおかしいのではございませんか。
  55. 長野士郎

    ○長野政府委員 直接請求につきましては、これは地方自治法における制度でございます。そこで、地方自治法上の直接請求権の正しい行使と選挙との関係というものを、ただいま政務次官がお話しになりましたように、それぞれの権利行使はいずれも重要でありますから、それを公正な形で運用していくということのためにはこれは必要だということは、過去におきますところの類似の事例の中には、全部とは申しませんけれども私どもがいままで強く印象づけられておりますのは、特にこの二つが、中には乱用と思われるような形で行なわれているような実態があります。そこで、とりあえずこういうものについて一定の期間調節をするというくふうをすることが適当ではないかというふうに考えたわけであります。お話しのような、請願とかそういうものについての憲法上の活動、そういうものについてまで私どもはこれを及ぼしていこうとは考えておりません。
  56. 折小野良一

    ○折小野委員 実際上の運用の問題として、御趣旨のようなお考えは一応私どももわからないじゃございません。しかし、憲法上にきめられておりますような国民固有の権利をできるだけ正しい方向で伸ばすということが、やはり指導方針としては望ましいことだというふうに考えます。そういう面からいたしますと、むしろ現在規制をされておる選挙運動の中における戸別訪問、これを自由化して、そうしてそれぞれの立場において国民が固有の権利を行使する、もちろん公正に行使をする、そういう方向に進むべきが正しい方向じゃなかろうかというふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  57. 長野士郎

    ○長野政府委員 いまお話しのような御意見もあろうかと思います。戸別訪問は自由化しろというのは、いろいろな選挙運動の自由化の一つの重要な課題として議論になっていることは、私どもも承知いたしておるわけでございますが、現在の公職選挙法ではそういうふうになっていない、戸別訪問は禁止されておるわけでございます。  それから、直接請求につきましては、特に署名が要件になっておる。請願その他は必ずしも多数の署名というものが要件になっておることはないように存じております。そこで、一定数の署名を収集するということが自治法上の要件になっておるその署名を集める集め方にはいろいろありますけれども、従来行なわれております通常の方式は、請求代表者が各戸を訪問いたしまして、そうして署名集めを行なうというのが通常の状態のようになっております。そうしてまた、署名が法律上の要件でございますから、そうすることが当然ということに前提されるわけでございます。そういうことでございますので、おっしゃるその点が選挙の運動期間中、あるいはその前一定期間ということになりますと、現在の戸別訪問を禁止しているという選挙法上の趣旨とも非常に食い違った実態を呈することも事実でございます。同時に、このことが結局両方の権利行使というものに非常に混淆をきたす、ゆがみを与えているという状況も間々あるように思いますので、やはりそういうふうな整理をいたすべきが至当ではないかというふうに考えております。
  58. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな意見はあろうと思いますが、私自身は、やはり基本的には、こういう民主主義というのもをほんとうに正しく育てる、こういうような方向で努力をしていかなければならないと思っております。その過程におきましては、いろいろな問題もあろうと思いますが、しかし、それは一つ一つ克服していくことによって、はじめて完全に育っていくということでございます。その過程でいろいろな問題があるからといって、いたずらに制限を加えていく、このことは、やはり新しい民主主義の発展のために決してプラスにはならないのではなかろうかというふうに私ども考えます。この点については、考え方が違いますので、これ以上申し上げませんが、しからば近い将来において選挙法を改正いたしまして、戸別訪問を制限しない、こういうことになりました場合には、この自治法の直接請求の制限も撤廃されますかどうか、お伺いいたします。
  59. 長野士郎

    ○長野政府委員 戸別訪問が自由になった場合には状況が多少違ってくるではないかというお話は、私どももある程度そういうことが考えられると申しますか、条件が相当変わってくるということはいえるだろうと思います。ただ、この直接請求は、条例制定の直接請求、監査の直接請求、それからリコール、いわゆる解職、罷免の直接請求、これは大体公選職に多くつながった直接請求でございますが、そういうものの中には、当該選挙と非常に関係のある意味での直接請求が行なわれ、あるいは当該選挙と非常に関係のある意味での監査請求ということが行なわれるというようなことは間々あることでございます。そうなりますと、その点では、やはり直接請求の署名収集運動というものと選挙運動というものの間に混淆をきたすというような事態がやはりあるのではないか。これは、そこまでいったときにはいろいろ考えなければならない問題が御提議になりましたように確かにあると思います。しかし、現在のところは、直接請求につきましては、署名収集の運動のやり方というものはほとんど自由になっております。文書、図画も自由になっておりますから、その点も両方あわせて考えてみる必要があると思います。
  60. 折小野良一

    ○折小野委員 この問題については、一応終わります。  それから、行政の運営に際しての基本構想でございますが、これも一応けっこうなことだと私ども考えます。しかし、実際の運営を考えてみました場合には、基本構想を定めて、これに即して行なうようにしなければならない。その際には、議会の議決を得るということでございますが、これが議決のしっぱなし、構想のたてっぱなし、こういうことになるおそれはございませんか。そういう面についての何らかの規制とか、あるいは、より効率的にそれが行なわれるための指導とか、そういう面についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  61. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほども申し上げました地方団体が長期の見通しを立てまして、行政運営の基本を考える、そして、それに即していろいろな計画なり施策なりをやっていくということでございますから、いわゆる計画の立てっぱなしになるということは、私どもはぜひ避けなければなりませんし、これは当然避けるべきものであろうと思います。そういうことのないように、必要があれば指導もいたしてまいりたいと思います。
  62. 折小野良一

    ○折小野委員 現実には長期構想というものと、毎年毎年の事業計画というものは、必ずしも一致しないのであります。特に長期構想を立てます場合においては、やはりできるだけりっぱな計画を立てていきたい、あるいは意欲的なビジョンを盛り込んでいきたい、こういうようなことでやってまいります。しかし、現実にはなかなかそういうわけにはまいらない。長期構想を立てた初年度は、実際の予算計画とほとんど同じということになりましょうが、その翌年にはもう非常に大きく食い違ってしまっている。それが同じ議決を経たものとして両方行なわれているということは、決して行政を効率的にやるゆえんではないのでありまして、その辺の調整というのはある程度はかっておく必要があるのではないかというふうに考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
  63. 長野士郎

    ○長野政府委員 それもおっしゃるとおりでございます。そういう意味で、基本構想というものは、最近はもうそういう地域振興的な行政もずいぶん整備されてまいりましたので、逐次その基本構想との調和ということが必要になってまいりますから、当然調整されていくと思いますけれども、そういうことで御趣旨のようなかっこうで運営されていくようにぜひとも考えていきたいと思います。
  64. 折小野良一

    ○折小野委員 それはいいのですが、それを具体的に指導していただくということがなければ、現実にはお考えになっているようなふうには、事はなかなか進まないのであります。多くの場合において、せっかく立てた長期構想が何もならない、現実ときわめて遊離してしまったものになってしまう、こういうような事例は非常に多い。非常に多いというよりか、ほとんどそういうことになってしまう。そういうことで現実計画との調整というものを十分はかっていく、こういうことが大切なことだと思うのでございます。その点さらにお伺いいたしたいと思います。
  65. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 まさにお説のところが一番重要なところでございます。先ほどもおっしゃいましたように、長期構想を立てますが、同時に、実施計画的なものも立てるわけでございます。その際に、最近一部でも流行しておりますけれども、ローリングプランと申しますか、実施計画を中期的あるいは短期的な計画を立てるわけでございますけれども、それにつきましては、前年の実績に応じて三年くらいをめどに逐次計画を変えていく、こういうようなことで、長期構想に合いながら、しかも現実事態を踏まえた整備計画を行なっていくという手法もだいぶ目についてまいりました。私どもといたしましては、おっしゃいますように、構想の立てっぱなしでは全く意味がございませんので、そういう展望を試みながら、一歩一歩その展望に近づける実施計画について、ローリングプランの採用ということもあわせて指導していきたい、こういうように思います。
  66. 折小野良一

    ○折小野委員 この法律ではこまかい手法については、もちろん規定がないわけでございますので、これはそれぞれの公共団体がみずから考えるなり、あるいは、ただいまの御意見にございますような国からの指導というようなことでやるなりしてまいらなければならないわけでございます。非常に新しい考え方あるいはいい考え方、そういう考え方は出てくるのであります。しかし、それが実際のところ、考え方に終わってしまう、理想が理想に終わってしまう、こういうような現実が非常に多いのであります。ですから、いまおっしゃいましたような点につきましては、ひとつ今後の行政指導の面においてぜひしっかりやっていただきたい。また、そうでなければ、このような規定を自治法に設けましても、実際の効果はあがらない、こういうことになるわけでございます。私どもも長期構想のもとに毎年毎年の行政がより効率的に行なわれることを心から望んでおります。そういうような具体的な手だてというものをひとつ十分やっていただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  67. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 小濱新次君。
  68. 小濱新次

    ○小濱委員 地方自治法の一部を改正する法律案の要綱の中で、「第二議会等に関する事項」の第三番でありますが、「公職選挙法に定める選挙が行なわれる場合は、一定の期間、当該選挙の行なわれる地域では、直接請求のための署名を求めることができないものとすること。」きびしいものを感ずるわけでありますが、これは憲法違反にならないかどうかということを政務次官にお答えいただきたいと思います。
  69. 砂田重民

    砂田政府委員 憲法違反にならない確信を持って御審議をお願いをいたしております。  先ほども申し上げましたとおりに、民主主義の基本でございます憲法で定められました選挙、直接請求、このいずれに重点を置くというその比較バランスをするべきではないと私ども考えておりますだけに、この二つの権利的な制度が公正に運用されることは最も憲法を尊重するゆえんである、このように考えて、実はこういう提案をいたしたわけでございまして、この二つの運動が双方まぎらわしいことになりましては、大事な二つの憲法上の権利というものが傷つくことにも相なります。そういう意味合いから、こういう改正案を御審議をお願いしたわけでございます。どちらに重点を置いてというふうなことではなく、また、こういう制限を加えたからといって直接請求そのものを圧迫するとか、そういう考えは毛頭ございません。二つの制度が公正に運用されることを望んで、こういう改正を御審議をお願いしておるわけでございます。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいまの項目の中で、「一定の期間、」この一定の期間とはどのくらいの期間をいうのか。選挙期間というふうに解釈したいわけでありますけれども、その点についての御見解を承りたいと思います。
  71. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいまも申し上げましたとおりに、選挙のための運動と直接請求のための署名の収集行為との間にまぎらわしい事態が生じますのを防ごうという趣旨でございますので、そのための制限期間は選挙運動期間中及びそれに先立ちます最小限の期間にしなければならないと考えまして、ただいま政令で定めようと考えておりますのは、任期満了に伴います選挙につきましては任期満了前六十日に当たる日から選挙の期日までの間、その他の選挙の場合は当該選挙を行なうべき事由の生じました日から選挙の期日までの間、このように考えております。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいまお伺いしましてよく理解できるのでありますが、これを拡大解釈をして日にちを広げることはどうかという問題ですが、間違いございませんか。
  73. 砂田重民

    砂田政府委員 間違いございません。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、もう一つお伺いしたいのですが、第九十条の一部の改正によりまして、都議会のような特別区は百三十人をもって定限とする、こういうふうになっております。将来東京都のような人口増都市ができた場合、この特例法を適用することがあるのかどうか、政府の御見解として政務次官から最後にお伺いしたいと思います。
  75. 砂田重民

    砂田政府委員 東京都にこういう特例を今回考えましたのは、東京都の特異な状態を考慮してのことでございます。東京都の実情が、行政が他の府県あるいは市町村と異なることは小濱先生承知のとおりでございます。したがいまして、東京都のような特異な府県が将来もしも生じました場合には、またそのときに考えて見ることではないか、このように考えております。
  76. 小濱新次

    ○小濱委員 了解しました。これで終わります。
  77. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  78. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際、地方自治法の一部を改正する法律案に対し、林百郎君から修正案が提出されております。
  79. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 提出者から趣旨の説明を求めます。林百郎君。
  80. 林百郎

    ○林委員 私は、日本共産党を代表して質問や討論をいたしたいと思っておりましたが、時間の関係上、わが党の立場を明らかにするために、ただいま議題となっている地方自治法の一部を改正する法律案に対し、次の修正案を提案いたします。  すなわち、   地方自治法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   本則中第九十条の改正に関する部分以外の改正に関する部分を削る。   附則第五項を削る。  次に、提案の理由を説明いたします。  そもそも、ただいま議題となっている地方自治法の一部を改正する法律案は、その骨子は、一、東京都議会の議員定数の定限を従来の百二十名から百三十名とし、特別区の人口百五十万につき一名の議員の増を条例できめることを認めること。二、住民の基本的権利である直接請求権を、公職選挙法による選挙が行なわれる地域で政令で定める一定の期間これを禁止する。三、そのほか、いままで国会の議決を必要とした税関、税務署など国の地方行政機関の設置を、防衛庁や警察署などと同じく、国会の議決を必要としないものとして徴税の機構を強化する道が開かれております。四は、土地改良事業の分担金の徴収に滞納処分を設けて、事実上課税と同性格のものにする。五、地方自治法の第二条に、市町村は、その事務を処理するにあたって議会の議決を経て基本構想を定め、これに即して事務の処理を行なうようにしなければならないという一項を設けた点が主要な改正点であります。  そこで、東京都議会の議員定数の是正は、百三十名という定限はありますけれども、住民の意思を議会に反映する点で一定の民主的措置というべきものであって、わが党もこれに賛成であります。  しかし問題は、これと引きかえに住民の基本的権利である直接請求権を制限することは、憲法の第十五条の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」というものを侵害することが明らかであります。また、地方自治法第十二条の条例改廃請求権、監査請求権及び同法第十三条の議会の解散請求権、役員の解職請求権など、国民の基本的権利に対する重大な侵害であります。これはまた、さきの東京都議会や松山市議会、最近の前橋市議会などにおける、遺憾ながら自民党をはじめとする保守党系の議員の買収や不正や腐敗に対する民主勢力や住民の戦いの勝利など、リコール権、直接請求権などの権利をテコとした地方住民の戦いで全国的に発展していることをおそれて、これを抑圧しようとする策謀ではないか、こう言っても過言でないと考えられるわけであります。  また、百五十六条の七項の改正で、税関、税務署などの地方行政機関の設置について、防衛庁の機関や警察機関と同様、国会の議決を要しないものとしておることは、これは住民に対する課税あるいは徴税の機構を一そう強化することに道を開くものであります。  さらに、土地改良事業による受益者負担の名による分担金等の徴収について、地方税を例とする滞納処分の制度を設けることは、分担金を事実上の課税とするものであります。  さらに、第二条の改正による地方自治体に基本構想を策定させる問題でありますが、これは昨年政府によって成立させられ、六月から施行が予定されておる都市計画法、また今国会に提案が準備されておる都市再開発法に基づく大資本本位の都市開発を推進するために地方自治体をこれに奉仕させようとするものであって、これは、そのほかの点におきましても地方自治権に対する重大な侵害になると考えられるわけであります。  わが党は、東京都議会の定数是正については賛成するものでありますが、他方、以上述べたような国民の基本的権利や地方自治権に対する重大な侵害を内容とする本改正案に対しては、この際一切の反動的な便乗の修正を排除して、都民の民主的権利を確保するための都議会議員の定員を増員するこの部分を確立して、それ以外は一切削除する、こういう修正案を提案するわけであります。  何とぞ皆さんの御賛同を願います。
  81. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  82. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより地方自治法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。依田圭五君。
  83. 依田圭五

    ○依田委員 私は、日本社会党を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案に対し反対の討論をいたさんとするものであります。  本法案には、第七十四条に、公職選挙法に定める選挙が行なわれる場合に、政令で定める一定期間、当該選挙の行なわれる地域では直接請求を求めることができないという一項を加えられているのであります。これは地方自治の本旨にもとる憲法違反にかかわる重大な改悪であります。  およそ地方自治は団体自治住民自治の二つあり、とりわけ重要な住民自治の理念に照らし、その根本をゆさぶる改悪であります。憲法第九十二条に「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と明記されているのであります。民主的に選出せられました長または議員なども、時によってはその判断、行動に独断を必ずしも排除することはできないのでありまして、かかるときは直接民主主義の一形式たる住民の直接請求によって条例改廃、議会解散、長または議員その他の解職請求、事務の監査要求などできるようになっており、民主主義政治を担保する重要な制度であります。これを今回禁止することは憲法違反の措置であります。  反対の第二は、本来直接請求の署名禁止は、過去に一、二の選挙運動とまぎらわしい直接請求の署名運動があったからとして、直ちにこれを直接請求の禁止措置として法改正することは筋違いの飛躍であり、むしろ選挙運動の規制措置を再検討すれば足りるのであり、本条改正の取り扱いは当然公職選挙法改正に関する調査特別委員会で選挙法の検討問題として取り扱うべき性質のものであります。にもかかわらず、地方自治の擁護をたてまえとして、基本法たる地方自治法の中にこの種の禁止規定を盛ることは筋違いの議論といわなければならないのであります。  反対の第三は、現行の直接請求制度の運用の実際に徴してみれば、人口の多い府県、大都市などでは、法定署名数の収集は、期間の延長や手続の簡略化など規制を大幅にゆるめなければ所期の目的を達せられないので、かかる意味における改正の必要がむしろしばしば叫ばれてきておるのであります。先年の都議会の自主解散時におきましても問題になったごとく、大都市や府県の数十万、数百万の署名収集をわずか一、二カ月間に実行することは、実際問題といたしましても非常に困難であります。当時、地方公共団体の議会の解散に関する特例法の審議に当たりました当委員会の各党論議の中におきましても、超党派的に法定署名数の緩和、収集期間の改正などについて検討すべき事項が数多くあることを指摘せられておるのであります。  しかるに今回、これらの問題を一切等閑に付し、単に一、二の例を材料にこの基本的権利を否認するがごとき改悪は断じて許さるべきものではないのであります。  反対の第四は、政治的に見ましても、人口のドーナツ現象による都心部の人口過疎状態や、都の最近の特別区の行政の実態、またその首都としての制度上の特殊性にかんがみ、都議会で挙党一致要求してまいりました議員定数の特例に関する法改正にたまたま便乗して、関連のない重大改悪の署名禁止を盛ったことは、党利党略に堕するものであり、信義にもとるものであります。  以上、反対の主たる理由を申し上げまして、反対討論といたします。
  84. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、林百郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  85. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立少数。よって、林百郎君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  87. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 おはかりいたします。  ただいま議決されました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  89. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十六分散会