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1969-03-14 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十四年三月十四日(金曜日) 午前九時三十四分
開議
出席委員
委員長
鹿野
彦吉君
理事
大石 八治君
理事
古屋 亨君
理事
細田 吉藏君
理事
保岡
武久
君
理事
山口
鶴男
君
理事
山本弥之助
君
理事
折小野良一
君 青木 正久君
大村
襄治
君
岡崎
英城
君
奧野
誠亮
君 桂木 鉄夫君 亀山 孝一君 吉川 久衛君 斎藤 寿夫君
渡海元三郎
君 永山 忠則君
村上
勇君
山口シズエ
君
山下
元利
君 井岡 大治君 太田 一夫君 河上 民雄君 野口 忠夫君 細谷
治嘉
君 依田 圭五君 門司 亮君 小濱
新次
君 林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣
野田
武夫君
出席政府委員
自治政務次官
砂田 重民君
自治省税務局長
松島
五郎君
委員外
の
出席者
大蔵省主税局税
制第三
課長
早田 肇君
建設省道路局道
路総務課長
北川 博正君
自治省財政局交
付税課長
横手 正君
自治省税務局
府
県税課長
森岡 敞君
自治省税務局
市
町村税課長
高橋 睦男君 専 門 員
越村安太郎
君
—————————————
三月十四日
委員岡崎英城
君、
奧野誠亮
君及び
村上勇
君
辞任
につき、その
補欠
として
山下元利
君、
渡海
元三 郎君及び
大村襄治
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。 同日
委員大村襄治
君、
渡海元三郎
君及び
山下元利
君
辞任
につき、その
補欠
として
村上勇
君、
奥野誠
亮君及び
岡崎英城
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。
—————————————
三月十四日
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第七五号)(予) 同月十一日 ドライブインにおける酒類の
販売禁止
に関する
請願
(
遠藤三郎
君
紹介
)(第一七九二号) 同(
木村武雄
君
紹介
)(第一七九三号) 同(
西村直己
君
紹介
)(第一九一一号)
住居表示
に関する
法律廃止
に関する
請願
(林百 郎君
紹介
)(第一七九四号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
奄美群島振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第三一号)
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五八号) ————◇—————
鹿野彦吉
1
○
鹿野委員長
これより
会議
を開きます。
奄美群島振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
本案
に対する質疑は終局いたしました。
—————————————
鹿野彦吉
2
○
鹿野委員長
これより
討論
に入るのでありますが、別に
討論
の
申し出
もありませんので、直ちに採決いたします。
本案
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
鹿野彦吉
3
○
鹿野委員長
起立総員
。よって、
本案
は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————
鹿野彦吉
4
○
鹿野委員長
この際、
保岡武久
君、
山口鶴男
君、
折小野良一
君及び小
濱新次
君から四派共同をもって、ただいま議決いたしました
法律案
に対して
附帯決議
を付すべしとの
動議
が
提出
されております。 この際、本
動議
を
議題
とし、その
趣旨説明
を求めます。
保岡武久
君。
保岡武久
5
○
保岡委員
私は、この際、自由民主党、
日本社会党
、
民主社会党
及び公明党の四党を代表し、
奄美群島振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、次の
附帯決議
を付したいと思います。 案文の朗読により、
趣旨説明
にかえさせていただきます。
奄美群島振興特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、
振興計画
の目標とする
自立経済
の達成及び
住民福祉
の向上を図るため、特に左の諸点について積極的な
施策
を講ずべきである。 一、
振興計画
の五箇年
延長
に当っては、
長期的展望
のもとに
群島経済
の
自立的発展
の
基礎
を確立し、
群島民
と
鹿児島県民
との
所得
の格差を解消することを目途として、
産業基盤施設
の
整備
及び
産業振興
に重点を置いた有効にして適切な
施策
を推進すること。 二、
奄美群島
における
電力料金
は、本土に比し著しく高
料金
となっているので、
政府関係各省
及び
鹿児島
県は、相協力して、速やかに現在の
電力機構
の
合理化
、
近代化
の
措置
を講じ、高
料金
の解消を図ること。 三、
奄美群島振興信用基金
に国から出資されている
承継債権
に係る
ガリオア物資代
及び
復興金融基金貸付金
については、現地の実状に即し、緊急に適切な処置を講ずること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ
皆さま方
の御賛同をお願いいたします。
鹿野彦吉
6
○
鹿野委員長
本
動議
について採決いたします。 本
動議
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
鹿野彦吉
7
○
鹿野委員長
起立総員
。よって、
保岡武久
君外三名
提出
の
動議
のごとく
附帯決議
を付することに決しました。 この際、
野田自治大臣
から発言を求められておりますので、これを許します。
野田自治大臣
。
野田武夫
8
○
野田国務大臣
政府
といたしましては、ただいまの
附帯決議
の御
趣旨
を十分尊重いたしまして、
奄美群島
の
振興
のため、なお一そうの努力をいたす所存でございます。
—————————————
鹿野彦吉
9
○
鹿野委員長
おはかりいたします。 ただいま議決いたしました
本案
に対する
委員会報告書
の
作成等
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鹿野彦吉
10
○
鹿野委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔
報告書
は附録に
掲載
〕 ————◇—————
鹿野彦吉
11
○
鹿野委員長
内閣提出
にかかる
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
野田自治大臣
。
—————————————
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
野田武夫
12
○
野田国務大臣
ただいま
議題
となりました
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
について、その
提案
の
理由
と内容の
大要
を御
説明
申し上げます。
地方税
につきましては、
地方財政
の
状況
を考慮しつつ、極力
負担
の
軽減合理化
をはかってまいったのでありますが、なお、
個人
の
住民税等
については、
負担
の現状にかんがみ、その
軽減
につとめる必要があると考えております。
明年度
の
地方税制
の
改正
にあたりましては、このような
状況
を考慮いたしまして、
住民税
の
課税最低限
の
引き上げ
、
青色申告者
の
専従者控除
にかかる
完全給与制
の実施、
白色申告者
の
専従者控除
の
引き上げ等
を中心として可及的に
地方税負担
の
軽減合理化
をはかることとしたのであります。このほか、
市町村
が
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設
の
整備
に要する
費用
に充てるため、
目的税
として、
宅地開発税
を課することができる道を開くとともに、
大都市
の
税源充実
に資するための
地方道路譲与税
の
譲与基準
の
合理化
及び
日本国有鉄道
の
納付
する
市町村納付金
の
軽減
をはかることとし、
所要
の
改正
を行なうこととしたのであります。 次に、以下順を追って
地方税制
の
改正
の概要について御
説明
申し上げます。 第一は、
地方税法
の
改正
に関する
事項
であります。 その一は、
道府県民税
及び
市町村民税
についてであります。
個人
の
道府県民税
及び
市町村民税
につきましては、
住民負担
の
軽減
をはかるため、
課税最低限
の
引き上げ
を行なうこととし、昨年の
所得税法
の
改正
に伴う
給与所得控除
の
引き上げ
のほか、
基礎控除
、
配偶者控除
及び
扶養控除
の額をそれぞれ一万円
引き上げ
ることといたしました。また
障害者控除
、
老年者控除
、
寡婦控除
及び
勤労学生控除
の額についても、一万円ずつ
引き上げ
ることといたしたのであります。 このほか、
障害者
、
未成年者
、
老年者
及び
寡婦
についての
非課税
の
範囲
を、
年所得
三十万円まで拡大することとしております。 また、
中小事業者
の
負担
の
軽減合理化
をはかるため、
青色申告者
の
専従者控除
についていわゆる
完全給与制
を実施するとともに、
白色申告者
の
専従者控除額
を四万円
引き上げ
ることといたしました。 なお、
給与所得
にかかる
道府県民税
及び
市町村民税
の
特別徴収
については、
納税者
の
負担感
の緩和をはかるため、六月から翌年五月までの十二回に分割して行なうことといたしました。 このほか、
土地税制
の改善をはかるため
国税
において、
譲渡所得
に対する
課税
の
特例措置
が設けられたのに対応し、
土地等
の
譲渡所得
に対する
住民税
の
課税
についてもこれに準じ、
個人
が五年をこえて保有している
土地等
の
譲与所得
については
土地
の供給の促進に資するため、
分離比例税率
による
課税
を行なうこととするとともに、
個人
の
保有期間
五年以内の
土地等
及び
昭和
四十四年一月一日以降に
取得
した
土地等
の
譲渡所得
については
土地
の
投機的需要
を抑制する等のため
現行負担
を上回る高率の
課税
を行なうことといたしました。 その二は、
事業税
についてであります。
個人事業税
につきましても、
中小事業者
の
負担
の
軽減合理化
をはかるため、
青色申告者
の
専従者控除
についていわゆる
完全給与制
を実施するとともに、
白色申告者
の
専従者控除額
を四万円
引き上げ
ることといたしました。 その三は、
不動産取得税
についてであります。
不動産取得税
につきましては、
都市計画
において定められた
地下駐車場
を
取得
した場合における
不動産取得税
について
課税標準
の
特例
を設ける等
負担
の
軽減合理化
をはかることとするほか、
入り会い林野整備等
による
土地
の
取得
に対する
不動産取得税
の
課税標準
の
特例
の
適用期限
を
延長
することといたしました。 その四は、
料理飲食等消費税
についてであります。
料理飲食等消費税
につきましては、
負担
の
軽減
をはかるため、
旅館
における
宿泊
及びこれに伴う
飲食
の
免税点
を千六百円に
引き上げ
るとともに、
飲食店等
における
飲食
の
免税点
を八百円に
引き上げ
ることとし、また、あらかじめ
提供品目ごと
に
料金
を支払う
飲食
の
免税点
を四百円に
引き上げ
ることといたしました。また、
料理飲食等消費税
を簡素
合理化
して
課税
の
適正化
をはかるために、
税率
を一〇パーセントに統一することといたしました。 その五は、
固定資産税
についてであります。
固定資産税
につきましては、砂利の採取に伴う災害の
防止
、ばい煙の処理または騒音の
防止
の用に供する特定の
償却資産
について
課税標準
の
特例
を設ける等
負担
の
軽減合理化
をはかることとするほか、
外航船舶
に対する
固定資産税
の
非課税措置
の
適用期限
並びに
新築住宅
及び
新築中高層耐火建築住宅
に対する
固定資産税
の
軽減措置
の
期限
をそれぞれ
延長
することといたしました。 その六は、
電気ガス税
についてであります。
電気ガス税
につきましては、
電気
に対する
電気ガス税
の
免税点
を五百円に、
ガス
に対する
電気ガス税
の
免税点
を千円に
引き上げ
て
負担
の
軽減
をはかることといたしました。また、紙の製造に使用する
電気
に対して課する
電気ガス税
の
税率
を
一定期間
百分の四にするほか、
綿紡績糸等
に対する
軽減税率
の
適用期限
を
延長
する等の
措置
を講ずることといたしました。 その七は、
自動車取得税
についてであります。
自動車取得税
につきましては、
負担
の
軽減
をはかるため、その
免税点
を十五万円に
引き上げ
ることといたしました。 その八は、
宅地開発税
についてであります。
大都市
及びその近郊の
市町村
においては、
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設等
の
整備
に要する
費用
に充てるため
負担金等
を課している事例が増加してきておりますが、
負担
の
合理化
をはかるため、次の要領により、
市町村
は、
目的税
として
宅地開発税
を課することができる道を開くことといたしました。
宅地開発税
は、
都市計画法
に
規定
する市街化区域のうち
公共施設
の
整備
が必要とされる地域として
条例
で定める区域内で
宅地開発
を行なう者に対し、
宅地
の
面積
を
課税標準
として課することとしております。また、その
税率
は、
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設
の
整備
に要する
費用
、
当該公共施設
による受益の
状況等
を参酌して
条例
で定めるものとし、当分の間、
宅地開発税
の
税率
を定めるにあたっては、あらかじめ
当該税率
その他
自治省令
で定める
事項
を
自治大臣
に届け出なければならないものといたしました。 なお、
宅地開発税
の
納税義務者
が
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設
またはその用に供する
土地
で
政令
で定めるものを
市町村
に無償で譲渡する場合においては、
宅地開発税
を免除し、または還付するものといたしております。 その九は、
日本万国博覧会
の
開催
に伴う
特例
についてであります。
日本万国博覧会
の
開催
に伴う
特例措置
として、
昭和
四十五年中における外客の
宿泊
及びこれに伴う
飲食
に対しては、
料理飲食等消費税
を課さないこととするほか、
博覧会
の用に供する
施設
に対する
不動産取得税
及び
固定資産税
を
非課税
とする等の
措置
を講ずることといたしました。 以上のほか、
国税
においてとられる
措置
と対応して、
不服申し立て
の
期間
を六十日に
延長
することとするとともに
申告納付
または
申告納入
にかかる
地方税
について
更正
の
請求制度
を設けることとし、これに関連して
還付加算金
の
計算期間
の
始期
に関する
規定
について
所要
の
整備
を行なうことといたしました。 このほか、
所得税法
の
改正
に伴う
関係規定
の
整備等所要
の
規定
の
整備
を行なっております。 第二は、
地方道路譲与税法
の
改正
に関する
事項
であります。
地方道路譲与税
につきましては、
大都市
の
税源
の
充実
に資するため、
譲与基準
として用いる
道路
の
延長
及び
面積
について、
道路
の種類、幅員による
道路
の
種別等
を考慮して、補正を加えることができることといたしました。 第三は、
国有資産等所在市町村交付金
及び
納付金
に関する
法律
の
改正
に関する
事項
であります。
日本国有鉄道
にかかる
市町村納付金
につきましては、
日本国有鉄道
が
通勤輸送
、
幹線輸送
の増強のため実施する
設備投資
に伴う
納付金
の
負担
の
増高
を緩和するため、
一定期間
内に新設された
路線設備等
にかかる
納付金
について、
所要
の
軽減措置
を講ずることといたしました。 以上の
改正
により
昭和
四十四年度においては、
個人住民税
におきまして七百十四億円、
個人事業税
におきまして六十五億円、
自動車取得税
その他におきまして七十五億円、
国有資産等所在市町村交付金
及び
納付金
におきまして二十五億円、合計八百七十九億円の減税を行なうことになりますが、一方
宅地開発税
の創設及び
国税
の
改正
に伴い九億円の増収が見込まれますので、差し引き八百七十億円の減収となります。 以上が
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及びその
大要
であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
鹿野彦吉
13
○
鹿野委員長
以上で
提案理由
の
説明
は終わりました。 次に、
補足説明
を聴取いたします。
松島税務局長
。
松島五郎
14
○
松島政府委員
補足説明
を申し上げます。 お手元にお配りしてございます資料の
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
の
新旧対照表
によって御
説明
を申し上げます。 まず、総則の
改正
について
説明
をいたします。 三ページ、第十五条の九第二項の
改正
は、
徴収猶予
または
換価猶予
の
期間
を経過した後においても、本税を
納付
または
納入
しなかったことについてやむを得ない
理由
があると認められます場合には、そのやむを得ない
理由
がやんだ日までの
期間延滞金
を免除することができるようにしようとする
改正
でございます。 また、第十五条の九第三項の
改正
は、滞納にかかる
地方団体
の
徴収金
について差し押えがなされておる場合または担保の
提供
がされております場合には、その
期間
にかかる
延滞金
について
日歩
四銭を
日歩
二銭に
軽減
することができるものとしたことであります。 次に四ページ、第十七条の四第一項の
改正
は、
申告納付
または
申告納入
にかかる
地方税
について、今回一般的に
更正
の
請求制度
を設け、その
請求期間
を一年間としたことに関連いたしまして、
還付加算金
の
計算期間
の
始期
について
所要
の
整備
を行なうことにいたしました。すなわち、
還付加算金
の
計算
の
始期
は、第一号によりまして
更正
、
決定
、
賦課決定等
により確定した
地方団体
の
徴収金
にかかる過
納金
につきましては、
納付
または
納入
のあった日といたします。 それから第二号で、
更正
の
請求
に基づく
更正
により確定した
地方税
にかかる過
納金
については、
更正
の
請求
の翌日から起算いたしまして三カ月を経過する日と
更正
の翌日から起算して一カ月を経過する日とのいずれか早い日といたしております。 また、第三号では、
申告
または
修正申告
により確定した
所得税額
の
更正
に基づいて行なわれた
賦課決定
により
納付
すべき額が減少した
住民税所得割
または
個人事業税
にかかる過
納金
につきましては、
所得税
の
更正
の
通知
の翌日から起算して一カ月を経過する日といたしております。 第四号では、以上三号の過
納金
以外の
地方団体
の
徴収金
にかかる過
納金
または誤
納金
につきましては、
過誤納
となった日として
政令
で定める日の翌日から起算して一カ月を経過する日といたしておるのでございます。 次に、七ページ、第十七条の五第三項の
改正
は、
住民税法人税割
及び
法人事業税
について、
分割基準
の
修正
に基づく
更正
、
決定等
につきましては、増額の場合におきましても減額の場合と同様に五カ年間これを行なうことができることに改めております。 次は、八ページの第十九条の四の
改正
は、
地方税
にかかる
不服申し立て
期間
は、
現行
は三十日となっておりますが、これを
行政不服審査法
のたてまえによることといたしまして、六十日に
延長
することにいたしましたので、
現行
の
行政不服審査法
に対する
特例規定
であります十九条の三の
規定
を削除しようとするものでございます。 同じく八ページの第十九条の七の
改正
は、
不服申し立て
期間
中における差し押え
財産
の
換価
は、
現行法
上その
財産
の価額が著しく減少するおそれがあるときに限られておりますけれども、
不服申し立て
人から
申し出
があった場合においては
換価
ができることとしたものであります。 次に、九ページの第二十条の九の三第一項の
改正
は、現在
法人事業税
についてのみ設けられております
更正
の
請求
の
制度
を、
申告納付
または
納入
にかかる
地方税全般
について設けることとして、
更正
の
請求
ができます
期間
を一年間とすることにしたものでございます。 次は、一二ページ、第二十条の九の四の
改正
は、本税の一部が
納付
または
納入
されております場合における
納付
または
納入
があった日以後の
期間
にかかる
延滞金
の
計算
の
基礎
となる
税額
は、
当該納付
または
納入
のあった
税額
を控除した残りの金額であることを明確にすることとしたものでございます。 次は、
道府県民税
の
改正
について御
説明
申し上げます。 一三ページ、第二十四条の五の
改正
は、
障害者
、
未成年者
、
老年者
または
寡婦
の
非課税限度
を、
現行
二十八万円から三十万円に
引き上げ
るものでございます。 次は一四ページ、第三十二条第三項の
改正
は、
青色専従者給与
につきましてのいわゆる
完全給与制
を採用することとする
改正
でございます。 一五ページ、第三十二条第四項の
改正
は、
白色申告者
の
専従者控除
の額を
現行
十一万円から十五万円に
引き上げ
ることとしたものでございます。 次は一八ページ、第三十四条第一項第五号の
改正
は、
生命保険料控除
の
範囲
に次の
掛け金
を加えることとしたものであります。すなわち、その一は、
心身障害者
に関して
地方公共団体
が実施する
共済制度
にかかる
契約
の
掛け金
でございます。この
制度
は、
心身障害者
の
保護者
から
地方公共団体
に
納付
された
掛け金
を原資といたしまして、
地方公共団体
が
加入者
を被
保険者
とする
生命保険契約
を結び、
加入者
の
死亡等
の事故による
保険金
を
基金
として積み立てまして、
障害者
の生存中
扶養年金
を支払う
制度
でございます。その二は、
適格退職年金契約
に基づく
従業員
の
掛け金
について、
所得税
と同様の
取り扱い
をすることとしたものであります。 次は、一八ページから一九ページにかけまして、第三十四条第一項第六号から第九号までの
改正
は、
障害者控除
、
老年者控除
、
寡婦控除
及び
勤労学生控除
の額をそれぞれ一万円ずつ
引き上げ
七万円とすることといたしております。なお、これに伴いまして
特別障害者控除額
を九万円に
引き上げ
ております。 一九ページの第三十四条第一項第十号の
改正
は、
配偶者控除額
を
現行
九万円から十万円に、同じく第十一号の
改正
は、
扶養控除額
を
現行
五万円から六万円に、同じく第三十四条第二項の
改正
は、
基礎控除額
を
現行
十一万円から十二万円に
引き上げ
ることとしているものでございます。 次は二〇ページ、第四十二条第三項の
改正
は、
住民税
の
特別徴収税額
を十二回
徴収
とすることに関連いたしまして、五月中に
納付
または
納入
があったものについての
道府県
への
払い込み期限
につきまして
特例
を設けることとしたものでございます。 次は二三ページ、五十三条の二の
改正
は、従来
法人
の
事業税
については、
法人税
の
更正
があった場合、
事業税
について
更正
の
請求
をすることができることとされておりましたが、この
制度
を
法人
の
道府県民税
についても設けることとして、その
請求期間
を
法人税
の
通知
があった日から二カ月以内としたものでございます。 次に、
事業税
について御
説明
申し上げます。 二五ページから二六ページにかけまして、第七十二条の十七第二項の
改正
は、
青色専従者
につきまして
住民税
と同様、
完全給与制
を採用することに伴うものであります。 二六ページの第七十二条の十七第三項の
改正
は、
白色専従者
について、その
控除限度額
を十一万円から十五万円に
引き上げ
る等、
所得税
の
取り扱い
と一致させることに伴う
改正
でございます。 次は三一ページ、第七十二条の三十三の二の
改正
は、
課税標準
または
税額
に
計算誤り等
があった場合には、
申告期限
から二カ月以内に
限り更正
の
請求
ができることとされておりましたが、今回一般的な
更正
の
請求制度
を設けることといたしましたので、従来の第一項の
規定
を削除することとしたものでございます。 三三ページ、第七十二条の四十及び第七十二条の五十の
改正
は、
道府県知事
が
法人税
について
更正
または
決定
の
請求
をした場合において、
税務官署
が三カ月以内に
更正
または
決定
をしないときは、上級の
税務官署
に再び
更正
または
決定
の
請求
をするとともに、その旨を
自治大臣
に
報告
することとされておりましたが、
行政事務
の
簡素化
の見地から、
自治大臣
に対する
報告
を廃止することにしたものでございます。 次に、
不動産取得税
について
説明
いたします。 三五ベージ、第七十三条の二第二項の
改正
は、従来、
年金福祉事業団等
から
公的資金
の貸し付けを受けて
住宅
を新築し、これを六カ月以内に
従業員
に譲渡する場合の
事業主
の
取得
に対しては、
不動産取得税
を課さないこととしておりましたが、今回、この対象を拡大をいたしまして、
事業主
が
従業員
に譲渡する
住宅
を新築し、これを六カ月以内に譲渡したときは、
事業主
に対しては、すべて
不動産取得税
を課さないことにするものとしたものでございます。 次は三六ページ、第七十三条の十四第十二項は、
都市計画
において定められた
路外駐車場
の
公共性
を考慮いたしまして、
地下駐車場
を
取得
した場合における
不動産取得税
の
課税標準
を価格の二分の一の額とすることとしたものであります。 三六ページから三七ページにかけまして、第百十四条の四第一項の
改正
は、
飲食店等
における
飲食
の
免税点
を六百円から八百円に
引き上げ
ることにし、第二項ではあらかじめ
提供品目ごと
に
料金
を支払ういわゆる
チケット食堂
におきます
飲食
の
免税点
を三百円から四百円に
引き上げ
ることといたしております。 三七ページ、第百十四条の五の
改正
は、
旅館
における
宿泊
及びこれに伴う
飲食
の
免税点
を千二百円から千六百円に
引き上げ
ることにし、同じく三七ページ、第百十五条は、
税率
を百分の十に統一することにしたものであります。 三八ページ、第百十六条の
改正
は、
料理飲食等消費税
の適正な賦課
徴収
を確保するため、
法人
等が
宿泊
、
飲食
等にかかる経費を支出している場合には、当該
法人
等に対しまして質問検査権を行使し得る旨を明確にすることにいたしたものでございます。 次は、
市町村民税
でございます。
市町村民税
の
改正
は、
障害者
等に対する
非課税
範囲
、各種控除額の
引き上げ
、
専従者控除
制度
の
改正
等は、
道府県民税
の
改正
で御
説明
申し上げましたことと同様でありますので、その他の
改正
点についてのみ
説明
をいたします。 四六ページ、第三百二十一条の二第三項の
改正
は、
延滞金
の
計算期間
についての控除
期間
を設けることにしたものでございます。 四九ページ、第三百二十一条の五の
改正
は、
給与所得
者についての
特別徴収
は、六月から翌年五月までの十二回に分割して行なうことに改め、均等割のみの
特別徴収
については、一括
徴収
ができることといたしております。 五〇ページ、第三百二十一条の五の二の
改正
は、
特別徴収
の回数の
改正
に伴いまして、小規模事業所の納期の
特例
を従来の五カ月ごとを六カ月ごとに改めることにいたしております。 次は、
固定資産税
について御
説明
申し上げます。 五三ページ、第三百四十八条第二項第十九号の二の
改正
は、新たに労働災害
防止
協会の鉱山保安センターを
非課税
とすることとし、また同条同項第二十七号は、鉄道建設公団が鉄道
施設
の建設の用に供するため
取得
した
土地
で、
日本国有鉄道
に対し無償で貸し付けることとなるものについて
非課税
とすることといたしております。 五五ページ、第三百四十九条の三第二十二項は、
都市計画
において定められた
地下駐車場
について、五年間その
課税標準
は価格の二分の一の額とすることとし、また同条第二十三項は、砂利採取に伴う汚水処理
施設
、ばい煙処理
施設
及び騒音
防止
施設
についての
課税標準
を価格の二分の一とすることといたしております。 次は、
電気ガス税
でございます。 五七ページ、第四百八十九条第一項第二十二号の五の
改正
は、従来三年間の
期限
つき
非課税
品目でありました酢酸を
期限
の定めのない
非課税
品目とするものであります。 同じく五七ページ、第四百九十条の二第一項の
改正
は、
電気ガス税
の
免税点
を
電気
については五百円、
ガス
については千円に
引き上げ
るものであります。 次は、
自動車取得税
であります。五八ページ、第六百九十九条の九の
改正
は、
自動車取得税
の
免税点
を十万円から十五万円に
引き上げ
るものであります。 次は、軽油引取税の
徴収猶予
でございます。 五八ページの第七百条の二十一の
改正
は、従来
特別徴収
義務者が
徴収猶予
の
申し出
をするときは、必ず担保を
提供
しなければならないものとされておりましたが、今回これを、
政令
で定める要件に該当して担保を徴する必要がないと認めるときは担保を徴しないで軽油引取税の
徴収猶予
をすることができることといたしました。 次は、
宅地開発税
でございます。六〇ページの第七百三条の三でございますが、第一に、本税は、
宅地開発
に伴い必要となる
道路
、水路その他の
公共施設
で
政令
で定めるものの
整備
に要する
費用
に充てるための
目的税
でありますが、本税を課するかどうかは
市町村
が
条例
によって定めることといたしております。
道路
、水路その他の
公共施設
で
政令
で定めるものといたしましては、
都市計画
事業の対象とされていないような
道路
、排水溝、公共空地として児童遊園地のような
宅地開発
に直接関連する必要最小限の
公共施設
を予定いたしております。 第二に、本税は、
都市計画法
に
規定
する市街化区域のうち
公共施設
の
整備
が必要とされる地域として
条例
で定める区域内で
宅地開発
を行なう者に対し、
宅地
の
面積
を
課税標準
として課するものとしております。すなわち、本税は、市街化区域全体について課するものでなく、
宅地開発
が著しく進行している地域またはそれが予想される地域で、
宅地
化に伴いまして最小限度の
公共施設
が必要とされる区域に限って
課税
し得るものといたしております。
納税義務者
は、当該地域において所有権、地上権等、権原に基づいて
宅地開発
を行なう者であります。 第三に、
宅地開発税
の
税率
は、
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設
の
整備
に要する
費用
、
当該公共施設
による受益の
状況等
を参酌して
条例
で定めるものとしておりますが、法附則第三十三条の
規定
によって、当分の間、
宅地開発税
の
税率
を定めるにあたっては、あらかじめ
当該税率
その他
自治省令
で定める
事項
を
自治大臣
に届け出なければならないものとしております。
税率
について、定率または定額で定めなかったのは、
宅地開発
に伴う
公共施設
の
費用
は、立地条件によってかなりの差がありますため、一律の
税率
とすることは、かえって実情に即さないものがあると考えられたからでございます。したがって、当分の間、
税率
の
決定
、変更については
自治大臣
への届け出を求めることといたしまして、
税率
の届け出にあたっては、
自治省令
で定める
事項
として、当該
課税
区域にかかる
公共施設
の
整備
についての計画等をも
提出
を求め、実情に即する助言指導をいたしてまいりたいと考えております。 第四には、
宅地開発税
の
納税義務者
が
宅地開発
に伴い必要となる
公共施設
またはその用に供する
土地
で
政令
で定めるものを無償で譲渡する場合その他
政令
で定める場合には、
宅地開発税
を免除し、すでに
宅地開発税
が
納付
されているときは還付し、またみずから
公共施設
を
整備
する旨の
申し出
があったときは、
徴収
を猶予することができるものとしております。すなわち、
宅地開発
を行なう者が、
市町村
の定める
公共施設
の
整備
に関する計画に適合するような
公共施設
をみずから
整備
し、これを
市町村
に
提供
する場合には本税を免除することとしているものであります。 次に、本法附則について御
説明
いたします。六四ページからでございます。 従来、本法附則は、すべて項をもって
規定
をされておりましたが、今回これを条に改めることとし、この機会に
一定期間
設けられていた
特例
的
規定
等で、その
期間
がすでに経過したもの等について必要な整理を行なうこととしております。 次に、実体的
改正
の部分について申し上げます。 七一ページ、第六十四項は、
外航船舶
に対する
固定資産税
の
非課税
の
措置
の
適用期限
を
昭和
四十六年度まで
延長
しようとするものでございます。 次に、七二ページ、第六十五項は、
新築住宅
に対する
固定資産税
の
軽減措置
の
期限
を
延長
し、
昭和
五十年一月一日までの間に新築されたものに適用することとし、また、七三ページ、第六十六項は、
新築中高層耐火建築住宅
に対する
固定資産税
の
軽減措置
の
期限
を
延長
し、
昭和
五十年一月一日までの間に新築されたものについて適用することとしようとするものでございます。 次は、七四ページ、第六十七項は、
綿紡績糸等
に対します
電気ガス税
の
軽減税率
の
適用期限
を
昭和
四十七年五月三十一日まで
延長
しようとするものでございます。 七五ページ、第九十三項は、入会林野
整備
等による
土地
の
取得
に対し、不動
取得
税の
課税
特例
期限
を
昭和
四十六年三月三十一日まで
延長
しようとするものでございます。 七五ページ。第九十七項は、紙の製造に使用する
電気
に対して課する
電気ガス税
の
税率
を、
昭和
四十四年六月一日から
昭和
四十七年五月三十一日までの間百分の四とすることにしたことでございます。 七六ページから七九ページまでの附則第三十二条は、
日本万国博覧会
の
開催
に伴う
特例措置
を定めたものでございます。その内容は、
昭和
四十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間における外客の
宿泊
及びこれに伴う
飲食
に対しては料理
飲食
税を課さないこととするほか、
博覧会
の用に供する
施設
に対する
不動産取得税
及び
固定資産税
を
非課税
とする等の
措置
を講ずることといたしております。 次は、七九ベージでございます。附則第三十四条及び第三十五条の
規定
は、
土地等
の
譲渡所得
にかかる
住民税
の
課税
についての
特例
を
規定
したものでございます。 まず第三十四条は、長期
譲渡所得
にかかる
道府県民税
及び
市町村民税
の
課税
の
特例
を定めたものでございます。すなわち、
昭和
四十五年から
昭和
五十年までの間における
保有期間
が五年をこえる
個人
の長期保有
土地
、建物等の
譲渡所得
につきましては、他の
所得
と区分をいたしまして、
昭和
四十五年、四十六年中の譲渡分は
道府県民税
一・三%、
市町村民税
二・七%、
昭和
四十七、四十八年中の譲渡分は
道府県民税
一・六%、
市町村民税
三・四%、
昭和
四十九年、五十年中の譲渡分は
道府県民税
二%、
市町村民税
四%の比例
税率
を適用して
課税
することといたしております。 八三ページの第三十五条の
改正
は、短期
譲渡所得
に対する
課税
の
特例
を定めたものでございます。すなわち、
保有期間
が五年以下の
個人
の短期保有
土地
、建物等または
個人
が
昭和
四十四年一月一日以降に
取得
したこれらの資産の譲渡に対する
譲渡所得
につきましては、他の
所得
と区分し、
道府県民税
は
譲渡所得
の四%相当額、
市町村民税
は
譲渡所得
の八%相当額か、その
譲渡所得
を他の
所得
に加算して通常の
課税
を行なうこととした場合における
税額
の一一〇%相当額かのどちらか高い
税額
によって
課税
することとしております。 なお、以上の
改正
に関連いたしまして、賦課制限額は一般の
所得
についての
課税標準
の八〇%と
課税
短期
譲渡所得
金額の八八%との合計額によって判定することといたしております。 なお、
改正
法附則第十五条におきまして、以上の長期
譲渡所得
及び短期
譲渡所得
の
課税
の
特例
は、
昭和
四十四年中の譲渡について租税特別
措置
法による
所得税
の
特例
を選択した場合には、
昭和
四十五年度の
住民税
につきましても適用することといたしておりますほか、
保有期間
が三年をこえる
譲渡所得
を長期
譲渡所得
とみなすという経過
措置
につきましては、
所得税
に準ずることといたしております。 次は、
地方道路譲与税法
の
改正
でございます。八六ページ、第二条は、
地方道路譲与税
の
譲与基準
として用いる
道路
の
延長
及び
面積
につきまして、
道路
の種類、幅員による
道路
の
種別等
を考慮して補正することができることといたしますとともに、これに関連いたしまして地方交付税の収入超過団体に譲与すべき譲与税の額については、前年度に譲与された譲与額に一定の率を乗じて得た額を限度とすることといたしております。 次は、
国有資産等所在市町村交付金
及び
納付金
に関する
法律
の
改正
であります。八八ページから九二ページまでにわたっておりますが、その内容は、
日本国有鉄道
の
昭和
四十年四月一日から
昭和
四十七年三月三十一日までの間に
取得
した線路設備、車両等の固定資産にかかる
納付金
につきまして、
現行
の、価格の二分の一の額を算定標準額としております
制度
に加えまして、地方鉄道に対する
固定資産税
の
特例措置
と同様の
軽減措置
を講ずることとしたのでございます。 以上でございます。
鹿野彦吉
15
○
鹿野委員長
以上で
補足説明
は終わりました。
—————————————
鹿野彦吉
16
○
鹿野委員長
速記中止。 〔速記中止〕
鹿野彦吉
17
○
鹿野委員長
速記を始めてください。 質疑の
申し出
がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
古屋亨
18
○古屋
委員
私は
提案
されております
地方税
改正
の法案につきまして、順次お伺いをいたすものでございます。 まず第一に、
地方税制
のあり方と申しますか、基本を考えるにあたりましての根本的な問題につきまして御意見をお伺いしたいと思うのであります。 申すまでもなく、住民生活に密着、密接いたしました地方行政が
地方団体
の責任におきまして円滑に行なわれ、住民の負託にこたえることができるようにすることを税の根本として配意しなければならないと思うのでありますが、税制調査会の長期答申の中でも、このような観点から、地方行政に必要な財源はでき得る限り住民が
地方団体
に対して直接
負担
する
地方税
によることが望ましいということが述べられておるのであります。特に、
市町村
は
基礎
的な自治団体として住民の福祉の向上に直接結びついた行政を実施する団体でありますから、その税制は、住民が直接
負担
する直接税を中心といたしまして、これに適当な間接税を補完的に配するという形が適切であると思われるのであります。
地方税制
につきまして種々の改革意見はありますけれども、このような考え方の基本は、今後ともこれを続けていくべきであると考えておるのでありますが、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。
砂田重民
19
○砂田
政府
委員
御意見のとおりでございまして、
基礎
的な自治団体としての
市町村
の性格から考えましても、住民が直接
負担
をいたします直接税を中心とした構成が望ましいと考えられます。このような意味におきまして、
住民税
、
固定資産税
、このような直接税を基本といたします
現行
の
市町村
税制というものが自治のたてまえに即したものというべきでございまして、今後
市町村
税制を検討いたしますにつきましても、基本的にはただいまの税制の仕組みをこのまま持ってまいりたい、このように考えております。
古屋亨
20
○古屋
委員
根本の第二の問題でございますが、最近
市町村
税収入の伸長率が鈍化してきておりますることから、
市町村
財源を
充実
しようというような要請が非常に強いのでございます。確かに、
市町村
税源
の
充実
は
地方税制
の当面する重要な問題でございますが、税制調査会の答申にもございますが、最近の十カ年における都
道府県
及び
市町村
の歳入のうちで占めておりまする税収入の構成比率は、都
道府県
におきましてはおおむね三〇%程度で推移しておるのでありますが、
市町村
におきましては、
昭和
三十二年度において四六%、これがだんだんだんだん低下してまいりまして、四十一年度においては三六%になっております。また、
市町村
税の収入
状況
を見まするときに、三十一年度から四十二年度までの間、税収入全体では四・三四倍の伸長率を示しておるのでございますが、
固定資産税
の伸長率は三・三五倍にしかすぎないのであります。しかも
土地
に対する
固定資産税
収入は、地価の著しい上昇があるにもかかわらず、わずかに一・九五倍にしかなっていない。このようなことが
市町村
税収入の伸びが鈍化してまいりました一つの原因とも考えられるのでございますが、
市町村
税制のあり方を検討するにあたりましては、
固定資産税
、特に
土地
に対する
固定資産税
にいろいろ問題があると思われるのでございます。のみならず、今後
地方税制
につきましては、
住民税
の減税など
所得
に対する
負担
の
軽減
の要請にこたえようと努力することが必要であると考えられるのであります。 こういう観点からいたしまして、
住民税
の減税を行ないながら
市町村
財源を確保していきますためにも、資産
課税
であります
固定資産税
については、その
充実
をはかっていくことがぜひとも必要ではないかと考えるのであります。わが国の税制上に占めます
固定資産税
のウエートは、外国の
財産
課税
の比重に比べてかなり低いとも承っておるのであります。そういうような点から、税制全般を通ずる
負担
の
合理化
という見地からも、
固定資産税
負担
の
適正化
をはかるべきではないかと考えておるのでございますが、この点に対する御意見を承っておきたいと思います。
砂田重民
21
○砂田
政府
委員
古屋先生のおっしゃいますように、
市町村
税収入と
国税
また
道府県
税収入の伸長がちょっとバランスを失してきておる、大問題であると考えております。真剣に考えてまいらなければならないところでございますが、ただいまお話しのございました
固定資産税
の伸びが少ないことがやはり非常に大きな一つの原因になっておるだろうと思います。これは
昭和
三十八年まで御承知のように地価の実態に即した評価がえが行なわれずにまいりまして、三十九年に評価がえをいたしましたけれども、やはりこれも
負担
激変の緩和の
措置
をとってまいっております。そういうところに一つの大きな原因があろうかと考えております。これは
負担
調整
措置
が悪いという意味ではございません。現実問題として、そういう
措置
が
市町村
税の収入の伸びをあまり伸ばしていない原因になっているという現実の問題でございます。そこで、次の基準年度が
昭和
四十五年になるわけでございますが、やはり四十五年は、適正な評価がえを行ないますとともに、
固定資産税
の
適正化
を確保する一つの大事な年であろう、このように考えております。 いまお話しのございましたわが国の税制中の
固定資産税
と諸外国の同じような性格を持ちます
財産
税、これはやはりわが国の
固定資産税
というものが諸外国に比べますと低いところにある、こういう数字が統計上は出ております。今後税制全般を通じます
負担
のバランスを考慮しながら
固定資産税
負担
の
適正化
をはかっていきたい、このように考えております。
古屋亨
22
○古屋
委員
次に、過疎過密の問題でございますが、最近におきまする人口あるいは産業の都市集中に伴いまして、
大都市
あるいはその周辺
市町村
におきましては過密状態に達しまして、都市再開発のための財政需要の増加はきわめて著しいものが見受けられるのでございます。他面、僻地農山村におきましては、過疎といわれる現象が発生いたしまして、必要最小限の財政需要をまかなうための財政力の確保も非常にむずかしい。いろいろな問題が生じております。こういう問題を全般的に解決していきますためには、もちろん税制のみでなく、総合的な
地方財政
措置
を講じて、地域ごとの要請にこたえていくことが必要であると思われるのでございます。このような観点からいたしまして、税制上の
措置
といたしましては都市
税源
の
充実
、ただいま陳情がございましたし、また昨年の当
委員会
における
附帯決議
にも出ておるのでありますが、都市
税源
の
充実
強化をはかることを中心にいたしまして検討を加えていかなければならない。他面、過疎地域におきましては、交付税の傾斜配分等の
措置
を講ずることによりまして、
所要
財源の確保をはかるべきものと考えておるのでありますが、この過疎過密の問題につき、まして、過密地帯における都市
税源
の
充実
強化の問題過疎地域における交付税の傾斜配分というような点につきましてお考えをお伺いしたいと思います。
砂田重民
23
○砂田
政府
委員
過密過疎の問題は、今日の
地方団体
が当面をいたします最大の問題の一つでございます。お説のように、税制上の
措置
だけで足りるものでもございません。財政上の適切な
措置
がとられることが必要でありますことは御指摘のとおりでございまして、税制上の
措置
といたしましては、ただいまも
大都市
の御陳情がございましたが、社会環境、経済環境の変化から都市
整備
推進というものが緊急の要務になっておりまして、財政需要が著しくふえてまいっております。こういう現状にかんがみまして今後とも都市に対します税制の
充実
をはかる、積極的にそういう姿勢で臨んでまいりたい、このように考えております。
古屋亨
24
○古屋
委員
いまの都市財源と申しますか、
大都市
の
税源充実
は別途伺うことにいたしまして、一般的問題につきましてもう一つだけお伺いしておきたいと思います。
地方税
と
国税
との関連、あるいは
住民税
と
所得税
との問題におきましてそれぞれ基本理念に差がありますことは存じておるのでありますが、大体最近の世論の動向を勘案いたしますと、
国税
、
地方税
を通ずる合理的なあり方の検討ということもきわめて必要だと思いますが、この点の考え方をお伺いしたいと思います。 たとえば、ことしの一月二十九日に発表されました国民生活研究所、これは経済企画庁の外郭団体のように聞いておりますが、「都民のレジャーと生活意識調査」を見ましても、税金問題につきましては、いまの生活に満足している人を含めまして全体の八五%が税金が高過ぎるという批判をしているのでありますが、特に強い批判を漏らしておりますのは、この
報告
によると、主婦であり、サラリーマン、商人という順であるのでございます。こういうような点で国と地方を通じた全体の租税体系の中で
地方税
をどういうふうに位置づけるか、ひとつこの辺で十分検討する必要があると思うのでありますが、この点につきまして政務次官の自治省としての御見解を承れれば幸いと思います。
砂田重民
25
○砂田
政府
委員
たいへんむずかしい御質問でございますが、どうも私が考えますのに、
国税
、
地方税
あわせて総合的に税制の問題は根本的に再検討をしなければいけない時期に来ているのではないか、実はこういう感じを私は持つわけでございまして、国と地方との事務分担、あるいは府県と
市町村
との事務配分の問題、こういう問題もからんでまいりますけれども、経済社会の発展と申しますか、産業構造の変化と申しますか、こういったことにどうも税制が若干おくれをとっているような感じを持っております。非常に重要な問題でございますので、やはり地方
制度
調査会あるいは税調、こういう場でのいろいろな論議をお願いしなければなりません。自治省といたしましても、
地方税
に関しまして、いま古屋先生御指摘の問題について、地方
制度
調査会等にただいま諮問を出しまして御検討をお願いしている段階でございます。
古屋亨
26
○古屋
委員
個別的問題に入りまして、まず第一は
住民税
の
課税最低限
の
引き上げ
の問題に関連いたしましてお伺いいたすのでございますが、
住民税
の
課税最低限
の問題につきましては、昨年の本
委員会
の
附帯決議
にございますが、今回の
住民税
の減税によりまして
昭和
四十三年度に引き続き
課税最低限
の
引き上げ
が行なわれることになるのでございますが、
所得税
につきましては、
昭和
四十五年には百万円に
引き上げ
ようという目標を掲げておるのであります。それとの比較で、それぞれ立場が違っておる点はよくわかるのでありますが、
住民税
の
課税最低限
をもっと
引き上げ
るべきであるという意見もあるのでございますが、これについてどのようにお考えであるか。特に四十四年度の
地方財政
につきましては、交付税を六百九十億円減額いたしまして四十五年度以降に繰り延べることとされておるのでございますが、このような
措置
をとる余裕があるならば、
住民税等
の大幅減税をもっと行なうべきではないかという意見もあるのでございまして、この点につきまして本年二月十一日の日本経済新聞は、この調査室の資料の一三ページを見ましても、「
地方財政
事情をみると四十三年度に引き続き四十四年も少なからぬ財源を国に貸しつけることになっている。国に貸しつけるような財源があるなら
個人住民税
の
負担
軽減
をもっと大きくということになぜできぬのであろうか。」というように述べておるのでございますが、この点につきましてまずお伺いいたしたいと思います。
砂田重民
27
○砂田
政府
委員
二点のお尋ねでございましたが、初めのほうの
住民税
の
課税最低限
につきましては、やはり
地方財政
に及ぼす影響を考慮いたしながら検討しなければなりませんので、これから先どうするかという長期的な具体的な目標を明確にお示し申し上げるのは非常に困難なことでございます。しかしながら、税制調査会の長期答申にもございますように、国民生活水準の推移、
所得税
の
課税最低限
とのバランスの問題、
地方財政
の
状況等
を総合的に考慮いたしまして、今後も
課税最低限
の
引き上げ
については積極的な姿勢で検討してまいらなければならない、かように考えております。 第二点のいわゆる六百九十億の問題でございますが、これは四十三年度の自然増収を引き当てになされたものでございまして、四十四年度の
地方財政
に影響を与えない
範囲
内で行なわれた
措置
でございます。したがいまして、このことをもって
明年度
の
地方財政
が余裕があるというふうには実は言いがたい。そういう受け取り方をされると実は困るのでございまして、四十三年度の自然増収を引き当てに四十四年度の
地方財政
に影響を及ぼさないその
範囲
でとった
措置
でございます。
住民負担
の
軽減
、
合理化
ということは、今後とも
地方財政
の
状況
を勘案いたしながら、先ほど申し上げましたように、積極的な姿勢で検討を続けてまいりたい、かように考えております。
古屋亨
28
○古屋
委員
ただいまの
住民税
の減税が
市町村
財政に与える影響はかなり大きいものと考えるのでございますが、
大都市
とその他の
市町村
で影響の度合いはどのように考えておられますか。特に財政力の乏しい農山村におきましては、減税によりまして財政に大きな影響を受ける
市町村
もある。こういう点についての御見解をお伺いしたいと思います。
松島五郎
29
○
松島政府委員
御指摘のとおり、
住民税
の
課税最低限
の
引き上げ
によります減税の影響は、
地方財政
全体としての問題等もございますけれども、個々の団体に与える影響というものも考えていかなければならないところでございまして、特に今日のような状態では、個々の団体に与える影響というのはかなり違った姿で出てきているのでございます。
昭和
四十三年度にも
課税最低限
の
引き上げ
をいたしましたが、その結果を見ますと、
住民税所得割
の
納税義務者
数について見ますと、四十二年度に比較いたしまして、
大都市
は大体
納税義務者
数は横ばいでございます。その他の
市町村
においては、
市町村
のうちの半分くらいが
納税義務者
が減っているということでございます。こういうような結果が四十三年度の減税について出ておりますので、それに引き続く四十四年度の
措置
がとられようとしているわけでございますので、その影響も都市よりは地方に相当大きなものがあるのではないかというふうに考えております。このような過疎地帯と申しますか、というような
市町村
に対しまする減税の影響につきましては、先ほど政務次官からお話がございましたように、地方交付税の配分等を通じまして十分な
措置
を講じていく必要があるというふうに考えております。
古屋亨
30
○古屋
委員
住民税
の累進
税率
の問題について次にお伺いいたしますが、
所得税
の累進
税率
は今回緩和されて
提案
されておるのでありますが、
住民税
の累進
税率
は、三十七年以来据え置きのままと承っておるのであります。この点につきまして、これは三月十一日の「官庁速報」というのを見ますると、自治省は、中・低
所得
階層を中心に
市町村民税
所得
割の累進
税率
を長期的観点から手直しする具体的検討に着手するというようなことが書いてあるのでございまして、これによりますると、自治省としましては「これまでとってきた
住民税
減税方式である
課税最低限
(
免税点
)の
引き上げ
が納税人口の減少をもたらし、“
負担
分任”という
住民税
の性格と矛盾してきているとして、累進
税率
緩和による税
負担
の
軽減
を考えているものである。一方、
所得税
が
課税最低限
引き上げ
のほかに
税率
緩和の方針を強く打ち出しているかめ、それに合わせようとのねらいもあり、四十弄年度以降、
住民税
にとってこの問題が大きく脚半を浴びるものとみられる。」というような文章でございまして、「同省としては
住民税
減税は今後とも実施していく方針に変わりないが、
課税最低限
引き上げ
だけにたよっていては
負担
を分任しあうという
住民税
の性格が薄れることになるので、今後は中・低
所得
階層を中心とした
市町村民税
の累進
税率
の緩和と
課税最低限
の
引き上げ
の二本立てで減税する意向を固めたものである。同省は累進
税率
の緩和にあたっては、重税感のとくに強いサラリーマンについて標準世帯の年収が百五十万円程度以下の中・低
所得
階層に重点を置くことにしている。その場合、府県民税
所得
割の標準
税率
である百五十万円以下二%、それを越える金額は四%という二段構えの比例
税率
も再検討の対象となろう。」というような官庁速報の記事を見たのでありますが、こういうような点につきまして、具体的検討に着手したものであるかどうか。それは事実であるか。事実であれば、その内容はいま申し上げたのと同じか、あるいは違うかという点について、ひとつ税務局長からお伺いしたいと思います。
松島五郎
31
○
松島政府委員
住民税
の
税率
のあり方につきましては、たしか
昭和
三十九年の税制調査会の答申では、
住民税
は
所得税
のような
所得
の再分配機能というものを強く持つ税とは異なるのであるから、やはり累進度を緩和すべきであるという御意見が出されております。しかしながら、これに対しまして、一方、
課税最低限
の
引き上げ
とか、そういうことによって
住民税
の低
所得
者に対する減税をすべきであり、その分は高額
所得
者に対する
負担
をもっと求めることによって解決すべきであるという観点から、累進度をもっと高めるべきであるという御意見もあるところでございます。このようにいろいろ考え方があるわけでございまして、それと
課税最低限
というものも
税率
とは無関係ではございません。
課税最低限
を
引き上げ
るということは、やはり
税率
と関連をして、ある場合には累進的効果を強め、あるときには緩和するというような働きもするわけでございます。私どもといたしましては、いまここでお示しがありましたような検討をしておるというような具体的内容までまだ入っておりませんけれども、常に
課税最低限
の問題、
税率
の問題というのは一体のものとして、私どもの任務としては常々検討しておるものでございますが、いまお示しのありましたように、来年度具体的にどうするという段階までまだ至っておらない状態でございます。
古屋亨
32
○古屋
委員
その問題はまだ議論がありますが、次に、
住民税
の超過
負担
の解消の問題につきましては、三月九日の朝日新聞でも、超過
課税
の解消というような点を述べられておりますが、この点についてどういう方策を考えられておるか。また、いまこういうふうに持っていきたいという御意見がありますればひとつお伺いをいたしたいと思います。
松島五郎
33
○
松島政府委員
住民税
の超過
税率
の問題につきましては、かねてから御指摘をいただいておる問題でございまして、私どもも極力その解消をするよう
市町村
に対して指導を続けておるところでございます。現在は、
昭和
四十三年四月一日現在で、全国三千二百九十の
市町村
のうちで千十六
市町村
の超過
課税
を行なっております。しかし、これを二、三年前から見てまいりますと、毎年大体七、八十団体くらいずつ減っております。また、最高限まで
課税
をしております団体も恒年同数程度減ってきております。しかしながら、私どもは、ただ一般的指導だけではなかなか問題が解消いたしませんので、来年度はぜひ大幅にこの解消をはかっていきたいということで、先日もこの解消方について府県並びに
市町村
に対しましてその方向で処理をするよう指導の通達を出してきたところでございます。その結果、ただいままで入っております
報告
によりますと、来年度は二百八十四くらいの
市町村
が超過
税率
の解消ないしは引き下げに進みたいという
報告
を受け取っております。従来のペースに比べればかなり大幅に前進を見てきておるように思われます。引き続きこの方面に向かって努力をいたしてまいりたいと考えております。
古屋亨
34
○古屋
委員
次に、
大都市
の
税源充実
の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、昨年度の本
委員会
の
附帯決議
の第三項におきまして、
税源
の
充実
を検討して
明年度
においてその具体化につとめるということになっております。したがいまして、いろんな点からそれを見てお伺いしたいと思うのでありますが、
大都市
におきまする非常な人口増加、集中化に伴いまして、都市再開発を進めるための財政需要が増加する傾向が見られるのでございますが、人口の都市集中は、
大都市
はもちろんでありますが、周辺の
市町村
にも波及しておりまして、その結果、周辺
市町村
においても財政需要が増大をしております。このような
状況
から、
大都市
及びその周辺
市町村
を含めた圏域全体の財政需要に即応した税財政
制度
を総合的に考える必要があると思いますが、まず最初にその点についてお伺いをいたしたいと思います。
砂田重民
35
○砂田
政府
委員
大都市
の税問題は大問題でございますが、お説のように、やはり
大都市
並びにその周辺
市町村
あわせ考えていかなければならないと思います。ただ一つの悩みの種と申しますか、一口に
大都市
と申しましても、たとえば、先ほど御陳情のありました
政令
指定都市の中にもそれぞれ実態が非常に違っております。人口増加の問題にいたしましても、非常に伸びている
大都市
とあまり伸びてない
大都市
、昼間人口、夜間人口というものの出入りが全く逆現象にあるような大阪市と横浜市、また税収の伸びにいたしましても、名古屋、横浜のような
地方税
の伸びが非常に大きいところと、京都や、残念ながらわが神戸市のごとく非常に伸びないところ、非常に実態が違っておりまして、その周辺都市の事情もまたそれぞれ様相が違っております。それを一律に
大都市
税制という取り上げ方で、どう持っていったらいいかということが一つの難点でございます。ただいま古屋先生のお説のとおり、
大都市
だけで考えるのは、今日の現状からいたしますとちょっと不合理であろうと思います。
大都市
及びその周辺
市町村
を含めた圏域全体の財政需要に即応した税制、こういう角度から検討をしてまいりたい。これは私どもといたしましては、きわめて積極的な姿勢で取り組みたい、このように考えております。
古屋亨
36
○古屋
委員
政務次官の非常な御熱意を伺うことができるのでありますが、
大都市
におきましては、周辺
市町村
からの通勤人口というのがどんどんふえてまいります。これが当該都市の財政需要の増加をもたらしておる一つの原因であるということもわかるのでありまして、税制につきましても、
現行
のような住所地中心の税制というものから、たとえば流通税あるいは消費税というようなものを拡充するとか、あるいは入市税といったような
税源
を考えるべきではないかという意見もあるのでありまして、こういう点につきましてどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
松島五郎
37
○
松島政府委員
御承知のとおり、現在の
市町村
税制は直接税中心主義の税制でございます。この点は、先ほど御質問にもございましたように地方自治というものと税制というものとを一体として考えます場合には、やはり住民の直接
地方団体
に対して
負担
する税というものを基本にするということが、地方自治との関係で一つの行き方ではないかというふうに考えるのでございますが、いま御指摘のございました昼夜間人口というようなことばにおいて表現されますように、通勤着人口というものが非常にふえてまいりました。住所地はないが、昼間働きに来る人たちのために生ずる財政需要というものを税制の上でどうまかなっていくかという問題が、やはり今後検討の対象にならなければならない点であろうと思います。 そういう面から
大都市
には——通勤人口といえばその働く場所は結局今日では大きな企業である。したがって、
法人
課税
を強化すべきである。あるいはまた、住所地中心では、いまのような通勤者によって財政需要をまかなう税制というものは考えられないので、その通勤者が通勤地において行為をすることについて
課税
をするというような道を開けば、そこに一つの
税源
が得られるのではないか、こういう意味で消費税というものが考えられないかという問題がいろいろ提起されておるわけでございます。 そのうちの
法人
課税
の問題につきまして、私どもはいろいろ検討いたしておりますが、何ぶんにも
法人
に対する
課税
は、御承知のとおり
国税
における
法人税
、
地方税
における府県税としての
事業税
、県民税、
市町村
における
市町村民税
というふうにいろいろな税があるわけでございまして、それら全体をどう調整していくかという
法人
課税
あるいは企業
課税
全体の問題として解決をはかっていかなければならない点もございますので、これらについては、いま御承知のとおり税制調査会において
法人
課税
の基本的なあり力についていろいろ検討が行なわれておりますので、その問題の一環として私どもも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。 また、消費税、流通税の問題につきましても、確かに一つの考え方ではあるだろうと思いますけれども、それでは具体的にどんな税金が考えられるかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございまして、いまここに新しい税金衣起こすということもそう簡単にできる問題ではございません。方向といたしましては、そういったことも念頭に置きながら、今後の税制を検討する一つの基本的な考え方として進んでいきたいとは考えておりますが、いま具体的にどの税をどうするというところにまでまだ至っていない段階でございます。 なお、入市税の御指摘がございましたが、これも諸外国の実例等を調べてみますと、結局勤務節
市町村
において一種の
所得
課税
をいたしますと、住所地
市町村
においてはその分を調整するというような形で、いわば
負担
が倍加される、あるいは二重になるということのないような形で行なわれているようでございますが、そういう形のものであるということになれば、今日の日本の状態で、たとえば大阪市において入市税を取るから豊中市においてその分を減らすというようなことがはたして可能かどうかということになりますと、非常にむずかしい問題でございまして、いまにわかにそういう税制を考えるということは困難ではないかというふうに考えております。
古屋亨
38
○古屋
委員
観点を変えまして、その問題につきまして、
大都市
におきましては街路、下水道いわゆる
都市計画
事業の実施のために非常に大きな財政需要の増加が見られるのでございまして、
目的税
であります
都市計画
税の制限
税率
の
引き上げ
という問題について、その財源の
充実
をはかるべきであるというような意見もあります。税制調査会の長期答申におきましてもそういうような答申がなされておるのであります。この点についてのお考えをお伺いしたいことと、もう一つは、
大都市
における財政需要の増加の中心は、
都市計画
のための街路事業を中心とする
道路
整備
費が相当大きいものと考えておるのでありまして、今回の
改正
におきましては、
地方道路譲与税
の
譲与基準
を
合理化
して、
大都市
の
道路
財源の
充実
をはかるということになっておりますが、その内容はどういうふうに考えられておるか、その点もあわせてお伺いしたい。
松島五郎
39
○
松島政府委員
都市計画
税の制限
税率
を
引き上げ
るべきだということは、かねてから都市
整備
の財源
充実
の見地からいわれている意見でございまして、また、税制調査会におきましても、都市税制ないしは長期税制の観点からそういう御答申があったようでございます。ただ、
明年度
の問題としてこの問題を考えるということになりますと、御承知のとおり
負担
調整
措置
が
昭和
四十三年までの
措置
とされておりまして、来年度からは新しい評価額によってそのまま
課税
をされるということにもなっておりますので、
負担
の
増高
というような面も考え合わせまして、来年度の問題としては、
都市計画
等の
税源
税率
引き上げ
ということは取り上げなかったわけでございます。 次に、御指摘のございました
道路
譲与税の配分方法の
改正
につきましては、
大都市
におきます
道路
財源の
充実
をはかっていきますために、現在の
譲与基準
は、御承知のとおり
道路
の
面積
と
延長
とを単純に用いて配分をいたしておりますけれども、これにつきまして補正を加えることができるようにいたしたい。この補正の具体的な方法といたしましては、
道路
の種類、幅員による
道路
の種別というようなものを基準にいたしまして
自治省令
で定めるというようなことを
改正
案で考えておるわけでございまして、具体的にそれをどういうふうにするかということになりますと、できるだけ
道路
交通の実態というものが反映されるような補正方法によって
大都市
の
道路
財源の
充実
をはかろう、こういう方向で考えたいと思っておるわけであります。
古屋亨
40
○古屋
委員
大都市
の問題は、
附帯決議
では、先ほど申し上げましたように、
税源
の
充実
を検討して、
明年度
において具体化につとめることということに相なっておるのでございますが、非常にむずかしい問題でありますが、いろいろ検討の段階はありますけれども、放任を許さない事態に立ち至っておりますので、ひとつこの点についての一そうの、何といいますか、早急な計画実現、計画の実施という点につきまして
政府
の特段なる御配慮をお願いいたしまして、次の問題に移ります。 次は、いわゆる最近における
土地
関連の問題についてお伺いいたしますが、地価の高騰ということは、経済問題以上に社会的な問題を生み出しておるのでございます。すみやかな解決が強く要請されておるのでありますが、今回の
土地等
の
譲渡所得
に対する
課税
の
特例
が設けられておりますが、
土地
問題については税制にどのような役割りを果たさせようとしておるのか、その点をまず第一にお伺いしたいと思います。 〔
委員長
退席、
保岡委員
長代理着席〕
松島五郎
41
○
松島政府委員
土地
問題の解決ということは、御指摘のとおり非常に重大な問題でございますが、税制でもって
土地
の問題がすべて解決するというわけにはいかないと私は思います。税制というのは、ときによってはプラスに働くこともあると同時に、同じ
制度
が場合によってはマイナスに働くという場合もないわけではございません。
土地
政策を税制だけでやるというわけにまいりませんし、やはり
土地
政策は
土地
政策それ自体として確立をし、その一環として税制が補完的な役目をなすというのが
土地税制
のあり方ではないかというふうに考えておるのでございますが、さしあたり
土地
問題が重要な問題であることにかんがみまして、今回の
改正
では、一方においては
土地
の供給を促進するという見地から、長期に保有をされていた方が住
宅地
等に
土地
を
提供
する場合に、これをしやすいようにするために税
負担
を
軽減
する。一方、短期に保有しているという
土地
については、いわゆる投機売買を抑制するという見地から重課をする、こういうようなことによって
土地
問題の解決の一端に資したいという考え方を持っておるわけでございます。 なお、保有
課税
の
適正化
をはかることが
土地
問題の解決にも非常に大きな役割りをするということが指摘されておりますが、今日、保有
課税
と申しますと主として
固定資産税
でございますが、ただ
固定資産税
につきましては、一部値上がりをしている地域だけの問題でなくて、日本全国にわたって
負担
している税金でもございますので、
土地
問題という面からだけ
固定資産税
を考えるというわけにもまいらぬところもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今日の
状況
から申しますと、固定資産の評価の
適正化
をはかっていくということが必要なことでございますので、四十四年の評価にあたりましては、その方向で努力したいと考えておる次第でございます。
古屋亨
42
○古屋
委員
ただいま
固定資産税
の
負担
あるいは評価がえについての御意見、また四十五年においての考え方を伺ったのでございますが、これに関連して、いわゆる地価値上がりを待ちつつあるというような遊休
土地等
につきまして、空閑地税とかそういうものをつくる考えはあるかないか、どういうふうに検討されておるか、お伺いしたいと思います。
松島五郎
43
○
松島政府委員
土地
対策を推進するという見地から、いわゆる空閑地税あるいは未利用税というような税金をつくって、遊ばしている人に非常に重い税金をかけることによって、
土地
の利用を促進するというような方向をとるべきであるという御意見は、各方面にあることでございます。税制調査会におきましても、この点についてはいろいろな角度からずいぶん検討が行なわれたのでございます。 しかし、この
制度
はそういう面から申しますと、確かに有効な
制度
であり考え方であると思うのでございますが、そのためには
課税
技術上解決しなければならぬいろいろな問題もございます。まず第一番目に何が遊休
土地
であり、何が未利用の
土地
であるかというような問題をまず解決しなければなりませんが、そのためには
土地
の利用計画なりあるいは
土地
の利用規制というものが先行いたしませんと、税法だけで、この
土地
が遊休地であるとか、この
土地
が空閑地であるとかいうことは確定しがたい問題がございます。また、一面におきまして、現在の
土地
台帳なり家屋台帳の法的な構成から申しますと、家と
土地
とが必ずしも台帳上結びついておりませんので、
課税
技術の上で非常に困難な問題もございます。 そういった面をいろいろ解決をしていきませんとなりませんので、税制調査会では、一つの考え方ではあるけれども、いまにわかにこれを実施するということは非常に問題が多いので、引き続き積極的に検討するというふうなことになっておるわけでございます。私どもも、税制調査会の今後の審議の経過あるいは
土地
利用に関する
制度
の推移というようなものを考えながら、この問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。
古屋亨
44
○古屋
委員
先ほど
土地
の評価がえについての話がございましたが、
固定資産税
を課する場合の基準となりまする評価がえを来年一月一日現在で全国的に行なうこととなりまして、その実施計画を定めて地方に通達したというふうに聞いておるのでございます。評価がえは三十九年以来六年ぶりの大がかりなものでございますために、地価高騰の激しい
大都市
周辺ではかなりの
引き上げ
が予想されております。また、
固定資産税
を主要財源といたします
市町村
では、新しい評価による税増収をねらっておりまして、
現行
の
負担
軽減措置
や
土地税制
のあり方とも関連いたしまして、来年度の
地方税
を検討する大きな問題点となることが予想されておるのでありますが、こういうような通達の内容、あるいは評価の方針につきまして御
説明
願いたいと思います。
松島五郎
45
○
松島政府委員
通達のほうは全く技術的なものでございまして、今後
土地
の評価を進めてまいりますための手順を示したものであります。 まず、こまかくなりますが、評価をいたします場合には、大体
状況
の似たような
土地
を一ブロックといたしまして、その中には標準地というようなものを設定いたしまして、その標準地の価格を評定をいたしまして、その評定を標準地相互で今度広い
範囲
で均衡をとりながら進めていく、こういうような形をとっておりますので、まず
状況
類似をした地区というのが、この前評価をいたしましたときとずいぶん変わってきておる面もございますので、その点を再調整をする。前のときにはA地区とB地区とがほぼ同じであったといたしましても、その後に駅ができまして発展をしたり、一方はそのままになっておるという場合に、A地区とB地区とを同じように評価することは適当でございませんので、そういう意味で
状況
類似地区の区分というものをこの際洗い直すというようなことをまず第一段階としてやり、第二段階としては、その中で基準地、標準地というようなものをとって評価をするわけでございますが、その基準地、標準地が前にきめたものがはたして適当であったかどうかということを検討して、場合によっては選定がえをする。そして、その基準地なり標準地なりの値段を出すために必要な売買実例というようなものを収集をする、こういうようなことを第二段階としてやります。そして第三段階としては、基準地、標準地についての売買実例価格というものを
基礎
としてまず適正な評価をしてみて、
市町村
の中でそれらの基準地なり標準地の相互間の均衡をとるようにする、さらに今度は、
市町村
間の均衡をとるために府県の段階で調整をする、さらに府県の段階で調整をしたものを、今度は全国的に自治省において調整をするというような手続と申しますか、スケジュールを定めて指示をいたしたものでございます。 なお、四十五年度はどういう方針で評価がえをしていくかということでございますが、これは一口に申し上げますと、できるだけ適正な評価をするということに尽きるのでございますが、この適正な評価とは何かということでございますが、やはり最近の地価の動きというものを見ながら、全国的に均衡のとれた評価を実施していくということになろうと思います。なお、その評価の結果につきましては、御指摘のとおり、最近の情勢から申しますと、かなりの値上がりというものも予想されるわけでございまして、それを税
負担
にどう反映さしていくかという問題につきましては、税制調査会でも、その評価の
状況
に応じて適切な
負担
調整
措置
を講じながら調整をはかる必要があるという指摘もなされておりますので、私どもといたしましては、これから先、評価の進行に伴いまして評価の
状況
を見ながら、どういう
負担
調整
措置
を講ずるのが一番適当かということを検討してまいりたいと考えております。
古屋亨
46
○古屋
委員
次に、料飲税の問題についてお伺いいたします。 これについてはいろいろの批判もあるのでございまして、二月十五日の産業経済新聞におきましては、「
税率
の一本化は高額
飲食
に対する減税であり、一人三千円を越える
飲食
は一般庶民にはほとんど縁がなく、一部の人に限られる。……
国税
における社用消費抑制のための交際費
課税
の強化に逆行する
措置
である」というような批判も出、また一月十二日の毎日新聞には「
地方財政
に料飲税の減税財源があるならば、まず
住民税
の減税を充てるべきではないか。……たとえ料飲税減税にまで手をひろげるとしても、
税率
の一本化より
免税点
を千円程度まで
引き上げ
るべきではないか。」というような意見も出ておるのでありますが、この料飲税の
免税点
の
引き上げ
、その点に関連いたしまして、一体公給領収証を受け取るようにといった程度の宣伝で効果があがると考えておられるか。ほんとうに真剣にこれをとるためにどういうような方策を考えられておるか。結局、料飲税
課税
の実態は、
政府
としてこの際料飲税の
徴収
確保に努力を払う、この努力は一体どういうことをされるのか。いままでの点ではとてもこれは確保できないと思うのでありますが、いろいろの批判に対しても、あるいは
徴収
確保の点についてどういうような
措置
を考えられておるか。特にあとの点についてお伺いしたいと思います。
松島五郎
47
○
松島政府委員
公給領収証
制度
の励行ということは、私どもあらゆる努力を払ってやっておるところでございますが、
国税
当局とも連絡をしながら、
法人税
の調査等において、私製領収証等による消費の多額のものについては、通報をしてもらってさらに調査をするというようなこともやってきたわけでございます。なかなか御指摘のとおり実績があがっていない面もございますので、今回は直接経費支出者であります
法人
に対しても調査ができるような道を開きたいということで
改正
案を考えております。従来も納税義務があると認められる者に対しては質問検査権を行使することができたのでございますけれども、ただ、この点については
法律
上多少の疑義がございました。と申しますのは、
納税義務者
は税法上は行為をした者ということになっておりますので、会社の所用でお客さんを接待したという場合にも、
法律
上予定されています
納税義務者
はその行為をした者であるということに解釈上なるというような点から、その行為をさせて経費を支払うものにまで質問検査権が及ぶかどうかという点に疑義もあったわけでございます。そこで今回は、そういう場合には経費を支出するものにも質問検査権を行使することができるようにいたしました。これによって直接の経費
負担
者であります
法人
等について調査をし得る道を開き、いままでもそういうことをやっていなかったわけではございませんが、多少いま申しましたような疑問の点がございましたのを、今回の
改正
案では明確にすることによって、経費支払い者に対する調査を厳重に行なっていくということによって、
徴収
を確保するというような要件を
整備
したわけでございます。
古屋亨
48
○古屋
委員
ひとつ政務次官から、
免税点
の
引き上げ
あるいは今後のあり方あるいは
税率
の統一というような問題について御意見をお伺いしたいと思います。
砂田重民
49
○砂田
政府
委員
料飲税の
免税点
の問題は、こういう
免税点
の
制度
を創設いたしますときに、昼めし代まで税金をかけるのは文字どおり大衆に非常に過酷な
負担
をかけるものではないか、こういうことで料飲税の
免税点
というものがスタートをしたのであろうと思います。しかし、この料飲税の
免税点
というものについての
納税義務者
であるところの
納税者
の側の理解が、私はだんだん変わってきていると思うのです。昼めしということで考えれば、
現行
の六百円程度が妥当の金額ではないか。しかし、そういう昼めし程度にはもう料飲税をかけないというふうな性格を持った料飲税の
免税点
であるというふうにはこのごろは考えられなくて、端的に申し上げますならば、若い勤労者が会社のつとめの帰りにおでんを食べて一本つける、その程度のものはもう大衆のあたりまえの慰安ではないか、そこまで税金をかけるのはどうかというふうな考え方に料飲税
免税点
というものの性格が変わってきたと思うのです。 〔
保岡委員
長代理退席、
委員長
着席〕 そういう観点から大衆
負担
を
軽減
をする、そういうことにこたえなければならないということで、今回二百円の
免税点
の
引き上げ
を考えまして御審議をお願いをしているような次第でございます。やはりこれは物価の動向、そういった社会環境、国民生活の変化等に応じまして考えていかなければならぬもの、このように考えております。
古屋亨
50
○古屋
委員
次に、
電気ガス税
について簡単にお伺いいたします。
電気ガス税
は伸長性と普遍性に富んだ税であり、
市町村
にとっては有力な自主財源であるのでございます。本税について大幅な減税を行なうことにつきましては、
市町村
財政に及ぼす影響は大きいものと考えられるのでございますが、同時に、他面消費者の
負担
の
軽減
をはかるという見地から、
税率
の引き下げを考えるべきであるという意見も多いのでございます。この点につきましての見解をお伺いしたいと思います。
松島五郎
51
○
松島政府委員
電気ガス税
の問題につきましては、御承知のとおり
昭和
三十七年から毎年一%程度下げてきたわけでございますが、今回の
改正
でも、わずかではございますが
免税点
の
引き上げ
をし、できるだけ
負担
の
軽減
をしていきたいと考えておるわけでございます。ただ、ただいまも御指摘がございましたように、この税金は
市町村
の有力な自主財源ということになっておりますので、最近
市町村
税の伸びが停滞をしておりますおりから、大幅な減税を行なうということには大きな困難があるわけでございます。しかし、一面において、これまた御指摘がございましたように、
負担
軽減
の要請も強い税でもございますので、今後はできるだけそういった方向で検討を進めていきたいというふうに考えております。
古屋亨
52
○古屋
委員
いろいろ聞きたいことがあるのですが、急ぎますので、次に
自動車取得税
の問題についてお伺いいたしますが、
昭和
四十三年度は創設当初のことでありまして、その見積もりが過小ではないかというような議論もありましたが、
自動車取得税
についての現在までの
課税
の実績、収入の
状況
はどうなっているかということを第一にお伺いしたいと思います。 それから、
免税点
につきましては、昨年十万円の
免税点
が設けられたのでございますが、
附帯決議
におきまして、
明年度
においては
免税点
を
引き上げ
るということの
附帯決議
が付されまして、今回の
改正
法案におきましては
免税点
を十五万円に
引き上げ
ることにされておりますが、どの程度の
負担
軽減
をはかることになるか、この点を第二にお伺いしたい。 同じく
附帯決議
におきまして、「下肢又は体幹が不自由であるため、身体
障害者
手帳又は戦傷病者手帳の交付を受けている者が自ら運転するために
取得
する自動車に係る
自動車取得税
については、都
道府県
において減免
措置
を講ずるよう適切な配慮をすること。」という
附帯決議
があるのでありますが、この点について自治省はどのような
措置
を講ぜられたか。 以上三点についてお伺いをいたしたい。
松島五郎
53
○
松島政府委員
昭和
四十三年度の
自動車取得税
の収入見込み額につきましては、新車につきましては
課税
見込み台数三百十四万台を
基礎
といたしまして算定をし、また中古車につきましては百三十万台を
基礎
にして算定をいたしまして一応三百九十五億円という見積もりを立てたわけでございます。昨年の十二月末におきます
自動車取得税
の収入額は約二百五十億円でございます。これを
基礎
といたしまして今後の分を推定いたしますと、大体本年度の収入見込み額は、先ほど申し上げました三百九十五億円ないしはそれを若干上回る程度の収入が得られるのではないかというふうに考えております。なお、
徴収
率も各方面の御協力を得まして十二月末では九四%程度まで上がってきております。 次に、
免税点
の問題でございますが、
自動車取得税
の
免税点
では、さきの国会で当
委員会
の
附帯決議
がございましたが、私どもといたしましてはその
附帯決議
の
趣旨
を体しまして、中古車に対する
課税
の問題等も検討しながら今回十五万円に
引き上げ
ることといたしたものでございます。これによりまして中古車の
取得
件数の七五%程度が
免税点
以下になる、こういうふうに考えております。したがいまして、中古車で
課税
されるものは
取得
件数のうちの四分の一程度になるものと見込んでおります。これによります減
税額
は約十九億円でございます。 それから身体
障害者
のうちの下肢または体幹不自由者で歩行が困難である者が所有してみずから運転する自動車に対する
課税
を免除するべきであるという
附帯決議
の問題につきましては、都
道府県
に対しましてそのような通達を指導いたしまして、現在のところ各都
道府県
もその通達の
趣旨
に従って
課税
免除の
措置
を講じているという
状況
でございます。
古屋亨
54
○古屋
委員
宅地開発税
について数点お伺いをいたしたいと思います。 この調査室の資料の三一ページにありますように、二月十日の東京新聞におきましては、「税新設の緊急性は認められない。この税を新設すれば、該当
市町村
はきそって
課税
に踏み切ろう。
宅地開発
業者が
課税
額を地価に転嫁させることも目にみえているので地価上昇につながる。これと
土地
への投機を抑制して地価の安定を図るとともに
宅地
供給をふやさせる目的で
改正
される
土地税制
とは調和しない。」あるいは二月三日の日本経済新聞では「
宅地開発税
を租税体系のなかでどう位置づけるかである。
現行
地方税
のなかに、
都市計画
税がある。そのうえに
宅地開発税
では明らかに重複であろう。」というような批判もいろいろ出ているのでございます。 それで私がお伺いしたい第一点は、この税の創設が地価の値上がりを招来するおそれがあるという意見についての御意見を伺いたい。 第二点は、
都市計画
税のほかに
宅地開発税
を重ねて課することは
負担
が重複するのではないかという意見についての考え方 第三点は、
公共施設
の
整備
が円滑に進まないならば、結局、税は
徴収
されてもそれに見合う
市町村
の
公共施設
の
整備
がなされないということになるのではないかというような点。 それから、
宅地開発税
の
税率
は
市町村
の
条例
で定められることになっておるのでありますが、大体自治省の見通しております税収入はどのくらいあるか。それから、法定しない
理由
というのをもう一度お伺いしたい。 それから、
市町村
は
宅地開発税
を起こすことによりまして学校その他広
範囲
の
公共施設
の
負担
を求めることになり、
負担
が過重ではないかというような意見、あわせて、先ほど税務局長から
説明
がありました
政令
、
自治省令
に譲っている点につきまして、その
政令
、
自治省令
の内容、そういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
松島五郎
55
○
松島政府委員
第一点のこの税を起こすことが地価の騰貴をもたらすのではないかという御質問でございますが、この税は
宅地開発
に伴って必要最小限度の
公共施設
をするというために
負担
を求めようとするものでございます。現実の問題といたしまして、
宅地開発
と申しましても、家だけできればいいというわけでございませんし、やはり人が住むためには、良好な環境
整備
というものが同時に伴わなければならないわけでございます。そのために、現実の問題といたしましては、
宅地開発
業者等に対しまして、
道路
をつくれ、橋をつくれ、あるいは児童公園をつくれというようなことで
負担
が求められてきているという現状でございます。それでは
宅地開発
業者はその
負担
を自分のふところ勘定でしているかと申しますと、結局は買う人に転嫁されてきているのが現実であろうと考えるのでございます。そういう意味で、私どもはむしろこの際、この税によって
市町村
が責任をもって環境
施設
を
整備
していく、そのために幾ばくかの
負担
を求めるということでございますので、そのことが直ちに地価の騰貴につながっていくというような性質のものではないというふうに考えております。 第二点は、
都市計画
税との二重
負担
になるのではないかというお尋ねでございますが、御承知のとおり、現在
都市計画
税の対象となっております
都市計画
事業と申しましても、この
宅地開発税
で予定をいたしておりますような身のまわりの
道路
、公共
道路
あるいは排水路というようなこまかいものにまで及んでいないのが現状でございまして、そういう意味で
都市計画
税でもって全部の
道路
なり何なりが
整備
されているわけでもございません。したがいまして、私どもはむしろ
都市計画
税の対象となるような大きなものを考えておるのではなく、それ以下の身のまわりの
施設
ということで考えておりますので、必ずしも二重
負担
ということにはならないというふうに考えております。 第三点は、税を取っても、
公共施設
の
整備
がそれに伴わなければ、結局、税の取られっぱなしと申しますか、そういう形になるのではないかというお尋ねでございますが、そういった点をも配慮いたしまして、そういうことがないように、
都市計画
区域の中でもさらに
条例
で
公共施設
の
整備
を必要とする区域を定めるということによって、その地域内だけで
課税
をする。逆に申しますと、その地域では
市町村
がそういった
公共施設
の
整備
をしますという前提のもとに、
市町村
の
施設
の
整備
と税
負担
というものが相関連するような仕組みでもって考えられたわけでございます。 なお、
税率
につきましては、届け出の際、
自治省令
で定める
事項
を届け出を求めることにいたしておりますが、その際には、あわせてその地域の
公共施設
の
整備
に関する計画というようなものも求めまして、いま御指摘になりましたようなことの起こらないように、よく指導してまいりたいと考えております。 なお、
税率
を一定の額なりあるいは一定の率で定めなかった
理由
といたしましては、先ほど
補足説明
でも申し上げましたが、ただいま予定しております
公共施設
と申しますのは、その
宅地
周辺の
道路
、排水路、児童公園程度の区域というようなものでございます。そのようなものといたしますと、そのうちでも大部分が
道路
になりますが、その
道路
の区域というものは、私どもの実態調査によりますと、大部分が用地費でございます。ところが、用地費は、御承知のとおり場所によって非常に差がございますので、一律の
税率
あるいは一定額の
税率
というようなことになりますと、必ずしも実態に合わないという問題がございますので、そういった点を考慮して、
税率
の法定をしなかった、こういうわけでございます。 さらに、第五点といたしまして、こういう税を起こすことになれば、学校その他のケースについてまでこの税の
負担
を求めるのではないかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、
公共施設
として
政令
で予定しておりますものは、一定規模以下の
道路
、それから排水溝と申しますか、そういったもの、それから児童公園程度の区域というもののみに限定をいたしたいと考えております。学校とかそういう
施設
は、この税の対象として含ませないという考え方でございますので、この税によってそういう学校までの経費を
負担
させるというような過大なものになるようなことがないようにいたしたいと考えております。
古屋亨
56
○古屋
委員
終わります。
鹿野彦吉
57
○
鹿野委員長
次に、依田圭五君。
依田圭五
58
○依田
委員
それではまず政務次官に御質問をいたします。 ことしも六百九十億ですか、大蔵のほうから要求されて出すことになった。
地方財政
は好転してきているということを大蔵のほうで言っておるんですね。われわれはそういう認識を持っておらない。次官はどういうようなお考えをお持ちですか。まずその点から伺っておきたいと思います。
砂田重民
59
○砂田
政府
委員
地方財政
は、過去の統計的な数字を見てみましても、相当な
充実
をされてきたということは言えると思うのです。しかしながら、各
地方公共団体
が地域社会住民にこたえてやらなければならない行政サービス水準というものを、これまた統計的に比較をしてみますと、国道と地方道との
整備
の
状況
を比較検討してみましたときに、私は
地方財政
というものが完全に豊かになったという理解はいたしておりません。
依田圭五
60
○依田
委員
きのう参議院の予算
委員会
で、
野田
大臣は、
電気ガス税
はもう
免税点
を上げた。私はこれはあとで触れますが、そういうような末梢的な
措置
でなしに、もっと抜本的な、
電気ガス税
も、
地方財政
の実情に応じて、悪税であるからこれを検討したい、こういうことを言っておりますね。これは大臣のおっしゃったことでありますから、自治省としても文字どおり受けとめて、来年はその方針に従ってやっていくとわれわれは理解しておりますが、もう一ぺんここで確認をいたしておきたいと思います。
砂田重民
61
○砂田
政府
委員
大臣がきのう参議院の予算
委員会
で御答弁しました思想は、
自治大臣
としての公式の場所での御意見でございますから、私どももそのとおりに受けとめております。いま依田先生おっしゃいましたとおりに、
地方財政
の実情に応じて検討してまいる、こういうことでございます。
依田圭五
62
○依田
委員
地方財政
の実情ということになると、あまりにも幅が広過ぎて、せっかくの大臣のああいう発言が骨抜きにされるわけですね。ここに大臣がおいでになれば直接聞きたいのですが、おられないからあなたに聞くのですが、
電気ガス税
が悪税であるということは、何度も総理も言っておられる。しかも
地方財政
はことしも六百九十億円貸しておるわけです。これは決して自治省は大蔵省に押しまくられた、押し切られたというようなことを私は考えておりません。比較的に好転をしたのだという政務次官の御答弁で、その点にわれわれは問題があると思っておるのです。好転しておらない。いろいろの点で
市町村
は非常に困っております。
大都市
に至っては、シャウプ税制の——先ほどの陳情者の方がおっしゃったように、シャウプのときには、府県税に対して二倍に近い収入があった。最近は半分ぐらいに減っておるわけです。極端な困窮状態にある。また、地方債もふえておる。財政の潜在的な要求に対してもこれを押えておる。こういうような情勢の中で、大蔵から要求されて、やはりことしも六百九十億円も出す、こういうような情勢の中で
野田
大臣は、
電気ガス税
は、総理も言っておるように、天下の悪税であるから、零細需要家に対してもこれ以上の悪税はないからやめたいという総理の意向を受けて、参議院の予算
委員会
で言っておられるわけです。ですから、文字どおり、そのことばに偽りなく、来年はその作業に入っていただけるものとわれわれは理解をしてこの
地方税法
の審議に——やはりことしも
電気ガス税
の
免税点
の
引き上げ
その他が入っておりますから——入っていきたいと思っておるのです。その点を明確にしていただいて、大臣のおっしゃっておることと、それから、これとの関連の各責任者の方といいますか、自治省の幹部の方がおっしゃることと違うなどということでは、この
地方税法
の審議に入るわけにはいかぬわけですから、明確にしていただきたいと思います。
砂田重民
63
○砂田
政府
委員
大臣が参議院の予算
委員会
でお述べになりましたとおりでございまして、私、速記録を見ておりませんけれども、大臣から参議院の予算
委員会
の終わりましたあと伺ったところでは、
電気ガス税
については、依田先生がおっしゃったような思想でお答えをしておいた、四十五年も
税額
を減らしていくという方向で前向きに検討していきたいのだ、こういうふうに大臣が御答弁になったそうでございますが、私ども自治省全体、大臣の予算
委員会
での御答弁そのままに受け取って、その姿勢でやっていくことにいたしております。
依田圭五
64
○依田
委員
それでは、さらにその点について、これは税務局長にお尋ねするのですが、
電気ガス税
の減税の問題につきましては、あるいはこの廃止の問題につきましては、
免税点
の
引き上げ
と各種特別
措置
の問題がありますが、それらの関連について、われわれは、大臣は零細需要家の大衆の立場に立って、
電気ガス税
の撤廃に踏み切った発言をきのうは予算
委員会
でなさっておるのですが、税務局長はどういうように具体的に、その意向を受けられて
明年度
この特別
措置
、それから
免税点
の
引き上げ
——大臣はこういうことを言っております、
免税点
の
引き上げ
なんというこそくな手段はもうとらない、もっと抜本的に、総理の意向を受けてこの悪税の撤廃に向かいたいということを予算
委員会
で言っております。この点についての御答弁を願いたいと思います。
松島五郎
65
○
松島政府委員
零細
負担
の排除ということを考えます場合に、やり方としてどういうやり方が一番いいかという点のお尋ねかと存じますが、零細
負担
の排除ということから申しますと、むしろ
免税点
の
引き上げ
をすることが零細
負担
の排除ではないかというふうにも考えられます。
電気
、
ガス
の消費と申しましても、ごく零細な消費の方もあれば、相当量消費される方もあるわけでございますから、
税率
を引き下げるということになれば、非常にたくさんの
電気
を消費される方も同じように
軽減
される。しかし、零細
負担
だけを排除するということであれば、
免税点
を
引き上げ
るほうがより合理的であるという考え方もできるかと思います。また、特別
措置
の問題につきましては、かねてからいろいろ御指摘のあるところでございまして、私どももできるだけ整理をしたいという方向で努力をいたしておりますけれども、これにつきましては、一ころ特別
措置
が無限に広がるような形勢にあったときに、やはりそこに一つの歯どめがなければいかぬということで、製品コストの中に占めます
電気
料金
の割合が五%以上であるものをとるというような方針を立てて今日まできておるのですが、その実態が変わりませんものですから、なかなか整理がつかないという
状況
でございます。しかし、この点につきましては、私どもは、そのときそのときの
状況
に応じまして、やはり洗いがえと申しますか、そういうこともしながら
合理化
をはかっていきたいというふうに考えております。 なお、参議院の予算
委員会
におきます大臣の御答弁に関連してのお尋ねでございますが、確かに大臣は、
電気ガス税
について来年度は
軽減
の方向を考えたいということを申されましたが、その具体的なやり方までお話があったとは私、承っておりませんので、今後の問題として私どもはいろいろな観点から検討をいたしてまいりたいと思っております。
依田圭五
66
○依田
委員
私は財政が好転したかどうかという問題や、
課税最低限
その他基本的な、今度の税制
改正
の一番大きな項目について御質問して、若干
電気ガス税
も後半触れたいとは思っておったのですが、たまたまこの問題が出てまいりましたので、それについてなお、二、三の点をお聞きしたいと思います。 夫婦子供三人、いわゆる標準世帯において、
電気
は一体どのくらいかかるのですか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
松島五郎
67
○
松島政府委員
どのくらいの消費であれば
免税点
になるかという資料はただいま持っておりますけれども、夫婦子供三人で大体どのくらい
電気
料がかかっているかという資料はただいま持ち合わせませんので、後ほど調べてお答えさせていただきたいと思います。
依田圭五
68
○依田
委員
それでは、四百円の
免税点
では一体どういうことになるのですか。
松島五郎
69
○
松島政府委員
契約
種別が従量電灯乙十アンペアというので、使用可能電力量二十一キロワットアワーでございまして、これは一応の想定でございますが、具体的に一日に蛍光灯二十ワット二時間、三十ワット一時間三十分、四十ワット五時間三十分、テレビ二時間、洗たく機三十分、その他アイロン等の使用を含めまして、一日当たり使用量六百八十八ワットという程度は四百円に該当すると思います。
依田圭五
70
○依田
委員
それではさらに聞きますが、標準世帯についてはわからないということでありますから、
課税最低限
から私も若干考えながら御質問しますけれども、
課税最低限
が、今度十万円上げて六十二万三千七百幾らになったわけであります。これは大蔵省に聞くのですが、この
課税最低限
というのは、基準生計費は一体現在どのくらいになっておりますか、四十四年度の推計でけっこうです。
早田肇
71
○早田
説明
員 ただいま御指摘になりました基準生計費でございますが、この基準生計費は、実は
所得税
の
課税最低限
がまだ低かった四十年におきまして、それが生計費との関連においてどの程度の高さを占めているかということを検討するために、それとの対比もございまして試算いたしました。その後いわゆる
課税最低限
を
所得税
につきましては相当上げてございます。これは毎年夫婦子三人の世帯で十万円程度上げておりますが、片や消費者物価指数等の傾向は大体五%ぐらいでございまして、現在においてこれを対比して検討してみるまでのこともないということで、この二年ほど全く大蔵省としては
計算
してございません。
依田圭五
72
○依田
委員
ちょっとおかしいですよ、あなた。検討してみるまでもないなんて、荒っぽく鎧袖一触みたいに片づけられたって困るんですよ、そんなことは。大蔵当局が基準生計費をやらなくなったのは、これは秋吉さんのほうからひとつはっきりその政治的な背景なり何なりを——これは無理ですか。そうすると
課長
さんのほうの所管ですか。
早田肇
73
○早田
説明
員 はい。
依田圭五
74
○依田
委員
それではあなたは、必要ないからやらないのだとかなんとか言っておるのですが、もうちょっと詳しく言ってください。それでは答弁になりませんよ。
早田肇
75
○早田
説明
員 四十年に、一番初めに大蔵省としまして基準生計費というものを
計算
いたしました。その場合には、通常の世帯が必要といたします食糧費をもとにいたしまして、それでエンゲル係数で逆算いたしまして、夫婦子三人の世帯についてどの程度の生計費となるかということを試算したわけでございます。そしてその額と
課税最低限
との検討において、どういう程度のウエートを占めておるかということを試算したわけでございます。その際に出ました数字が、
所得税
の
課税最低限
が五十四万四千二百五十九円でございます。その際の大蔵省の試算の基準生計費が五十三万五千六百九十六円。そして四十一年度にまた試算をいたしましたが、その際には食糧費のもとになります献立等については前年と同様にいたしました。それを当年度の物価指数で概算いたしまして、それにさらにエンゲル係数で割り返しまして、四十一年度の基準生計費を出したわけでございます。ただいま申し上げましたように、この
計算
は世帯により、人により、あるいは地方によりましていろいろ違うわけでございます。これが具体的にどの程度妥当するかということも問題があるかと思います。一応
課税最低限
と基準生計費というものを比較いたしまして、
課税最低限
の適否を検討してみておったわけでございます。しかし、四十年の
課税最低限
を一〇〇といたしますと、夫婦子三人につきましては毎年十万円程度の
課税最低限
の
引き上げ
を行なっておりまして、四十四年度におきましては
課税最低限
が九十一万五百十八円まで達するわけでございます。片や、いまの
計算
方法でいたしますと、消費者物価指数のはね返りだけがウエートで出てまいります。したがいまして、消費者物価指数で見ますと、
昭和
四十年を一〇〇といたしますと、ちょっと正確でございませんが、大体一二〇ぐらいの物価指数になるかと思います。
課税最低限
のほうの
引き上げ
を非常に大幅に行なっておりますので、
課税最低限
のほうがはるかに高くなる。したがって、一昨年以来、大蔵省で基準生計費というものを
計算
することをやめておるわけでございます。
依田圭五
76
○依田
委員
それは大蔵はやめておるかもしれない。大蔵の
課税最低限
は九十一万にことしなっているわけですよ。ただ大蔵というのは、予算編成の大本山というのか、ともかく中心のところであって、特にあなたのところは主税局なんです。金が入ってくるところですから、予算を配分するわけだ。ですから各省庁に対するスタンダードをやっぱりあなたのほうで出していただかなければならぬと思うのですよ。そうでなければ、自治省にも基準生計費のようなものがあるのかどうか。またここであらためて税務局長に私は聞かなければならぬ。大蔵のほうは九十一万になったから、それはよろしいのですよ。あなたがおっしゃるように必要ないかもしれぬ。しかし自治省のほうの
課税最低限
はまだ相変らず六十一万前後、六十二万なんですね。
電気ガス税
の
免税点
の
引き上げ
に伴って標準世帯五人というものが一体どうなるんだ。この最低の家族の生活費に
電気ガス税
がかかるかかからぬか。それが
野田
大臣のきのうの発言に関連して、
電気ガス税
をどうするかという問題にやっぱり関係があるわけなんですよ。 そこで、保護世帯の保護基準は一体どのくらいの金額になっておるか。大蔵が全体予算をきめるときの基準生計費は、一体どのくらいになっておるか。人事院が官民格差をやる標準生計費は、一体どのくらいの数字が出ておるか。それから自治省の
課税最低限
は一体妥当であるかどうかという問題。それにかかる
電気ガス税
は一体どうなんだというのかはっきりしてこなければ——
電気ガス税
の二つの問題である、一つは大衆
課税
、一つは大企業に対する
非課税措置
、この二つの問題を考えていかなければ、
野田
大臣の問題を
松島
さんに来年どう考えていただくかということを、われわれは言うわけにいかなくなってくるわけですよ。 そこで、さらにその問題を詰めていきますが、私の試算では——私こういうことは専門じゃありませんから、これはずさんかもしれませんが、あなたの大蔵のほうの
昭和
四十年ですか、最終の試算があるわけです。その試算を四十一年の物価指数、これは
政府
発表ですが五・四です。それから四十年の一日当たりの一これは大蔵省で発表した生計費ですよ。これは一番最終の生計費が、一日の食費が百八十六円七十八銭なんですよ。それに四十一年の消費者物価指数の上昇五・一%、これは大蔵のほうからの数字です。また四十二年は、四・五%をやってエンゲル係数で返ると、一日の生計費が二百五円二十四銭になるのですね。これをエンゲル係数で割り返す。そうしますと、五人世帯で六十三万七千七百七十八円という数字が出るのです。これは四十二年現在です。四十三年へいって、四十三年中の物価上昇率は五・四%。これは大蔵省の発表です。これは
政府
予算の四十三年度の実績見込みの決算のあれです。それから問題はことしなんです。ことし五%と総理は言っておる。はたして五%でおさまるかどうか。これは
政府
が出して問題になり、隣の部屋でやっておる鉄道の運賃の一五%一つ取り上げたって、とても五%でもどうなるものじゃない。かりに五%としても一体どういう数字になるかというと、四十二年の六十三万七千七百七十八円を割り返してくると、それにエンゲル係数の割り返し七十万六千七十四円、四捨五入して七十一万という基準生計費が出るのです。大蔵省のほうは、単に自分のところは九十一万になったからもう用はないのだと言わないで、これは自治省も
課税最低限
をやっておるのだし、労働省もいろいろやっておるのだし、いろいろ関係があるのだから、国政に関係のあることは大蔵省が中心になるのだから、やはり親切にことしも基準生計費を
計算
してもらえば、七十一万という数字が出てくるわけですね。七十一万なければ、五人世帯はやっていけないのですよ。 それじゃ
松島
さんに聞きますけれども、生活保護世帯の数字は一体どういうことになっているのですか。
松島五郎
77
○
松島政府委員
四十四年度の基準はまだ出ておりませんが、四十三年度の、これは東京における夫婦子三人の世帯で四十五万五千六百円になっております。予算全体は約一三%伸びておるようでございますから、かりに一三%伸びたといたしますと、五十万程度のものになるのではないかというふうに考えております。
依田圭五
78
○依田
委員
五十万、私の試算とほぼ合うわけなんですが、一級地は非常に高いですが、それで全国平均をとって、保護世帯でさえ約五十万ですね。五人世帯で大蔵のほうの基準生計費の推計は七十一万なんです。国の
所得税
の
課税最低限
の地方の最低限には三十万円近い差があるわけなんですね。ことし六十二万ですね。まだ
地方税
が非常に重税である、非常な
負担
になっておるということで、この数字からももっともっと
引き上げ
を思い切ってやってもらわなければならないのではないかと私は思うわけなんです。 そこで、先ほど言ってきた五人世帯で、あなたのおっしゃるように四百円の
電気
料ですね、これで一体やっていけますか。たとえば二十ワットの蛍光灯が二時間——二十ワットの蛍光灯というのは、一体どういうところに使いますか。玄関であるとか、あるいはトイレットであるとか、これであんた本を読んだら、とたんに近視が進みますよ。それから三十ワットで一時間半、茶の間とか台所につけるとして、一時間半しかつけられぬという理屈になるのです。テレビで二時間。二時間以上見てはならない。いまどんな最低の生活でも、テレビがここまで普及してきて一体これで間に合いますか。一つ一つ聞いていっても時間をとってしかたがありませんが、
松島
さん、あなたのおっしゃった五人世帯で、四百円でやっていけるかどうかをここで御
説明
願いたいと思います。
松島五郎
79
○
松島政府委員
電気ガス税
の
免税点
は、いま御指摘のような事情もございまして、いま五百円に
引き上げ
る。もちろん五百円に
引き上げ
たから、五人世帯で十分やっていけるものであるとは考えておりません。ただ
電気ガス税
の
免税点
と、一般的な五人の標準世帯の生活水準というものとをイコールにして考えるべきかどうかということについては問題もあるのではないか。私どもといたしましては、
電気ガス税
の
免税点
は最小限度この程度のものということで五百円程度、こういうことで考えたわけでございまして、五人世帯ならば
免税点
に全部該当するというところを必ずしも考えて
免税点
をきめているわけではないわけでございますので、そこの辺は御指摘のとおりに食い違いがあろうかと思います。
依田圭五
80
○依田
委員
それじゃさらに聞きますが、どういう
理由
で百円上げたのですか。百円を上げた積極的な
理由
をここでおっしゃってください。
松島五郎
81
○
松島政府委員
前年度の四百円で
免税点
以下になります世帯数と申しますか、需要家数は大体一一%程度でございます。
免税点
を
引き上げ
ませんと、消費量の増加ももっぱらございますので、
免税点
対象戸数が減っていくという問題もございましたので五百円に
引き上げ
たわけでございまして、五百円に
引き上げ
まして大体一三%程度の免税解消ということになろうと考えております。
依田圭五
82
○依田
委員
それじゃ
松島
さん、百円という目安はごろがいいとかいうんじゃなくて、大体税金が入ってくる、要するに高くなれば需要者の各家庭は遠慮するわけですよ。節約して消すわけだ。ですから税金の入り方が少ない。利用戸数が少なくなるから、利用時間ですか、
電気
の単位は何か知りませんけれども、それでカーブを描いて接点になる一番税金の増収が確保できる線が百円だということですか。
松島五郎
83
○
松島政府委員
そういう
趣旨
ではございません。いま申し上げましたように、
電気
の使用量というものも、従来
免税点
以下であったような家庭でも
電気
の消費量がおのずからふえてきているという実態にある程度即するようにしようということでございまして、この
免税点
を上げたら税収入がよけいあがるということをねらったということは全然考えておりません。
依田圭五
84
○依田
委員
私たちは、税金をきめるときには、スタンダードはそうたくさんないと思うのですよ。一つは最低の家庭に対して、
電気
のような独占的な、代替性のない、こういうものについては、もう生きている限りどうしてもやっかいになるわけですから、こういうのは
課税最低限
、生活保護なら五十万、あなたの主張では五人世帯で五十二万、大蔵の試算で基準生計費では七十一万円のこの最低生活の世帯に
電気
税のようなものがかからないとかかかるということで大衆
課税
の問題が出てきて、悪税だとかないとか議論が出てくると思うのです。もう一つは、これは
市町村
の税金ですから、税収確保の面で一番
負担
を少なくしてなおかつその税収が確保できるという、その二つのカーブを描いた接点に求めるということしかないと思うのですよ。それでなければ、目の子でもって大体ごろのいいところで押えようじゃないかということになってしまう。あなたの場合には一体どうして百円というものがきまったかをはっきりここで、どういう理論に従い、どういう数字に従ってここであなたが決意をしたかをはっきり
説明
してもらいたいと思います。
松島五郎
85
○
松島政府委員
先ほど申し上げましたように、従来の免税対象戸数というものが、総需要家のうちで二%程度は免税されていた。それらの方々も
電気
の使用量がだんだん上がっていくことによって免税対象からはずれている。しかし、従来免税されていた程度の方々には依然として免税をすることが適当ではないかという点を考えますと、百円
引き上げ
ることによって一三%程度の免税対象戸数になります。もちろん、そこで一一%が一三%になるのは数字が違うではないかという御指摘があるいはあろうかと思いますけれども、ぴしゃっと合わせるためには八十五円とか八十八円とかいう数字になるのかもしれませんが、そこは切りのいいところにしたということでございます。
依田圭五
86
○依田
委員
総理大臣は、この
電気ガス税
は悪税だということをもう何度言われましたか。私の記憶だけでも二度や三度じゃないわけです。その意向を受けて、自治省は
電気ガス税
の
免税点
を
引き上げ
るときに考えていただきたいというように思うのですが、どうもいまの考えでは、あなたのおっしゃる百円だけでは私はそういう
趣旨
に沿った減税というか、
免税点
の
引き上げ
にはならぬように思うのです。重ねて質問します。
松島五郎
87
○
松島政府委員
私どもといたしましては、
地方財政
で、
電気ガス税
というのは、御承知のとおりすべての
市町村
に普遍的にある税収入でもございますので、できるだけ税収入を確保したいという気持ちを持っていることは事実でございます。ただ、一方においては、やはり
電気ガス税
の減免をはかるべきだという強い要請もあるわけでございますので、その辺の調整点として、さしあたって、少なくとも前年よりも消費の内容はかりに向上があったとしても、
免税点
の対象になるのが減らないようにしたいということで、先ほど来申し上げておりますように百円
引き上げ
をした、こういうわけでございます。
依田圭五
88
○依田
委員
くどいようですが、では
松島
さん聞きますが、あなたは標準五人世帯に対する
電気
の消費量はそこに数字がないわけですね。何とかならぬですか。そういう数字がなければ、
課税最低限
も何もわれわれここで議論——
電気
のような重要な、しかもあなた、税法でこの
免税点
を
引き上げ
る点の
提案
者なんですから、せめて標準世帯——三人だ四人だ、子供が十人あるというところまで私は一々聞きません。ただ、百円だけじゃなくて、標準世帯の必要
電気
量ぐらいは東電か何かに聞いて、全国のトータルなり何なりあるはずですがね。
松島五郎
89
○
松島政府委員
ちょっといま御指摘の正確な資料を持ち合わせておりませんが、総理府の統計局で調べました家計調査によりますと、大体
電気
ガス
代が千六百四十一円になっておりますので、この場合の可処分
所得
が月額八万円程度でございますから、二%程度でございます。これは
電気
と
ガス
と合わせたもので千六百四十一円という数字が出ております。
依田圭五
90
○依田
委員
そうすると、
電気
と
ガス
をどういうふうに割り振るかもあれですが、半々にしても
免税点
よりだいぶ高くなるのじゃありませんか。
松島五郎
91
○
松島政府委員
今度
免税点
を
電気
を五百円、
ガス
を千円にいたしますと、この数字だけで見ますと千五百円ということで、千六百円にほぼ近い数字にはなろうと思いますけれども、なおこの資料の見方につきまして、私ちょっといま急に見たものですから、正確であるかどうかなお調べさしていただきます。
依田圭五
92
○依田
委員
それは総理府の統計局でしょう。統計局の統計をいろいろ批判しちゃ悪いけれども、毎年それは
報告
を出したりしますが、全くつかみの数字であって、厳密な意味においてこういう席でどこまで議論の対象になるか、その問題もあると思いますが、まあいいです。それはとにかく、
松島
さんに御意見を聞きます。それは標準世帯に必要な
電気
量に対して税金をかけることはいいか悪いか。これはむしろ政策的な問題ですから、政務次官にも御意見を聞きたいのですが、五人の標準世帯に
電気
税をかけるということは——片や
地方団体
の
税源
の確保という使命がありますが、減収になる分は何らかの形で減収補てんすればいいのであって、悪税だと総理が言っておられるこの税金を、相変わらず標準世帯にもかける、現に税務局長のお話ではそれより高いわけですから、そういうことについてはいいことか悪いことか、それについての御意見をここでちょっと聞いておきたいと思います。
砂田重民
93
○砂田
政府
委員
いまの
松島
局長がお答えいたしました数字は、どうも本人も不確かなようでございますが、通常常識的に申しまして、五人の標準世帯に必要な
電気
量と申しますか、そういうものを
計算
してみて、
電気
税の
免税点
がそれよりも下にあるということは好ましいこととは思いません。
依田圭五
94
○依田
委員
電気
のことですから関連してお聞きいたしますが、
非課税
品目がたくさんにあるわけなんです。これは製造原価の五%オーバーしたものは
法律
によってこれをするということになっておりますが、この
非課税
の減収総額は一体どのぐらいになりますか。
松島五郎
95
○
松島政府委員
非課税
のうちで、たとえば石炭でありますとか、鉄でありますとか、そういったものの製造のために使います
電気
で
非課税
になっておるものの分が二百三十五億円でございます。それから、なおそのほかに特殊な用途免税といたしまして、たとえば鉄軌道用の
電気
でございますとか、製氷用の
電気
でございますとか、農業用の
電気
でございますとか、あるいは水道用の
電気
でございますとか、そういうもので免税になっておりますのは五十六億円ございます。合わせまして三百七億円
非課税
になっております。
依田圭五
96
○依田
委員
三百七億ですか。それならちょっと聞きますが、
地方税
全体で、
国税
の
非課税
によってのはね返りの減収、それから
地方税
自体の
非課税措置
の全品種の総額は合計してどのくらいになりますか。
松島五郎
97
○
松島政府委員
国税
の特別
措置
によりまして
地方税
に影響して減収になりますものが
昭和
四十四年度の見込み額で千八十九億円でございます。
地方税
独自で
非課税措置
を講じております分で減収になります分が千百三十二億円、合わせまして二千二百二十一億円の見込みでございます。
依田圭五
98
○依田
委員
要するに、
地方税
の
国税
はね返りの
非課税
と
地方税
自体の
非課税
の総額が二千二百億ですね。さっきおっしゃった三百幾らとかいう数字は、これは
電気
だけの数字ですか。
松島五郎
99
○
松島政府委員
電気
だけの数字でございます。
依田圭五
100
○依田
委員
それでは聞きますが、ことし
電気ガス税
の法
改正
に関連して酢酸を新たに追加して免税にするようであります。それに関連してお聞きしますが、これは通産省とあなた方自治省の関係でこの問題をきめておられるようでありますが、私の知っている限りでは、最近非常にたくさんふえてきておる。そして、いま言ったように、二千億円近い——まあ半分は
国税
のはね返りだから、これは大蔵省のほうの関係としましても、一千億以上の減収になっておる。さっき言ったように、保護世帯あるいは基準世帯、あなたのほうの
課税最低限
の家庭にも
電気
税を取りながら、片方では一千億以上の大企業に対する減税をやっていくということについて、
松島
局長としてはハッスルしてもらって、何か大なたをふるってもらう必要があるのじゃないか。そうすれば、とりもなおさず
市町村
の税収もふえることだし、また、あなたのほうは、
市町村
の税収が減ることを心配して大衆
課税
的な性格のこの
電気
税に対して手をつけにくいような姿勢を何か私は感ずるわけなんですが、この特別
措置
だけでも一千億以上あるじゃありませんか。ことしも酢酸をふやしました。一体どういう
理由
でふやしたのか、よく聞きたいと思うのですが、酢酸のみならず、いままで一体どのくらい数がふえてきたのですか。また、いつからこれが始まったのか、そういう点からお聞きしたいと思います。
松島五郎
101
○
松島政府委員
電気ガス税
の
非課税
は、
地方税法
ができてからずっと、重要な
基礎
産業で
電気
料金
の製品コストの中に占めます割合の高いものを
非課税
の扱いにしてまいっておりまして、御指摘のとおり、新しい技術等が開発されるに伴いまして、さらにまた新しい製品ができてまいりますことに伴いましてふえてきているわけでございます。私ども先ほど申し上げましたように、こういうものにつきましてはできるだけ一定の時期に洗いがえと申しますか、再検討をいたしまして、整理すべきものは整理したいということで進んでまいっておりますけれども、なかなか
状況
が変わらないものを落とすというわけにもまいりませんために、毎年少しずつふえてきているということは御指摘のとおりでございます。 それから、
非課税
につきまして一千億もというお話がございますが、確かに私どももこういった特別
措置
がふえてまいりますことは、
負担
の公平という面からいっても適当ではないというふうに考えております。できるだけ整理をいたしたいという方向で進んでおりますけれども、事態はむしろ反対の方向に進むような傾向がございまして、あるものが入っておるのだから、それとの均衡上入れるべきだ、こういう議論が常に繰り返されるというようなことで、なかなか整理が思うように進んでないということは御指摘のとおりでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、できるだけ機会を見て整理すべきものは整理していくという基本的な態度を堅持して今後とも検討いたしてまいりたい、かように考えております。
依田圭五
102
○依田
委員
毎年、五%の原価ですね、この原価が五%以上かかっておるということが条件なんですが、それともう一つの条件であるところの重要品目であるという点に関し、自治省は審査をするため相手方から毎年レポートをとっておりますか。
松島五郎
103
○
松島政府委員
ここ二、三年来は、もう毎年整理をすべきものは整理をするという方向で必要なデータをとって検討いたしております。
依田圭五
104
○依田
委員
それではお願いをすれば毎年のやつを出していただけますか。
松島五郎
105
○
松島政府委員
数字が、たとえば八%とか九%、あるいは十何%というものについては、どうも私申し上げるのが不十分でございましたが、必ずしも毎年やってないようでございますが、一応いままでそろえてありますデータにつきましては、
整備
をいたしまして
提出
いたします。
依田圭五
106
○依田
委員
整備
をして
提出
するなんて、質問に対する答弁になりませんよ。毎年は出ていないのです、局長。毎年出ているようなことをあなたはおっしゃっているけれども、出ていないのです。これは無理なんです、出すのは。ですから、数字が出せますかと言うと、それは出せるなんて言えない。それは無理ないのです。それはせいぜい二年ごとにも出ていないのです。これは税調で検討しなさいと言われた年に出して、そしてたくさんふやして少し減らしているのです。 一つ一つ聞いていってもいいのですけれども、とても時間がありませんから、私のほうで若干言いますが、ものすごくふえているのですね。どうしてこんなにふやすのです。
昭和
二十三年のころは、この
制度
ができたのは
昭和
二十三年ですが、わずか十七しかなかったのです。それが
昭和
三十五年までに九十二にふえちゃったんですね。もちろん毎年税調からうるさく言われたときにちょっと落としていますが、それは十ふやして一つぐらい落としていますよ。現在は百二十八です。 これについて、私、自治省に聞きたいのですが、この技術革新の時代に、こんな重要産業が
昭和
二十三年から二十年間全然変わらない。それから原価の中に
電気
料の占める。パーセンテージが五%を動かない。五%以上ということで、以下になることはない。アルミニウムのように、電解過程ですごく電力を使う場合は別です。そうじゃないところがたくさんあるわけです。それを
地方税
の責任者である
松島
さんがもう少し目を光らせて、うるさく言っておるという経過がなくてはうそだと私は思うのです。あればこの席で積極的に御発言していただいて、こういうことをやっているということを言ってくれませんか。私が通産と自治省で担当に聞いた
範囲
内では全く心配なんですよ。心もとないのです。一方は
市町村
財政を擁護するのが自治省の立場だというので、大衆
料金
である
電気ガス税
の
免税点
は全くちびちびと
引き上げ
て、大蔵大臣が、あるいは総理大臣が、
自治大臣
が、幾ら公式の席上で言おうとも、そんなことはあまり——おれにはおれの意見があるというような御答弁をいただきながらこういうものになると、通産に対する関係があるのか、あんまり大なたをふるったり、やっているというような痕跡が認められないのですがね。 ここで私がこのことについて、一々この点はどうだ、この点はどうだと言っても時間ばかりかかりますから、むしろ局長のほうから、自分はこうしているのだということがあったらこの席で言ってください。
松島五郎
107
○
松島政府委員
御指摘の点については、私ども努力をいたしておるつもりでございまして、
昭和
四十四年度の
改正
にあたりましても、通産省との間に必要な資料の
提出
を求めまして再検討をしてまいっているわけでございます。 ただ、御指摘がございましたように、だんだんふえておりますのは、この
非課税
品目をごらんいただいてもおわかりいただけますけれども、次々に新しい製品ができ、あるいは新しい技術の開発がされるということで、品目はどうしてもふえていくという傾向がございます。私どもは、一つふやすと一つ減らすというようなことでいけないものかということで努力いたしておりますけれども、いま申し上げましたように、一定の基準に該当するものを落とすというわけにもなかなかいかない事情もございますので、結果的にはふえておるということになるわけでございまして、この点につきましては、御指摘のございますように、今後とも努力いたしてまいりたいと考えております。
依田圭五
108
○依田
委員
たとえば硫黄ですが、
昭和
三十六年に硫黄があれになって以来、最近の硫黄の生産量は違っているでしょう。まして小笠原が返ってきてから。硫黄島は全島硫黄ですよ。どこでも硫黄がぶつぶつ吹き出しているのですよ。硫黄島株式会社という大きな会社があって、硫黄島全島をほとんど所有しているのです。硫黄一つとっても、メーカーの数、採掘業者の数、あるいは硫黄の採取の技術革新、あるいは小笠原返還に伴い硫黄生産の技術も変わるし、量も変わる。なのにこれに対して検討もことしできてはいないというのはどういうわけですか。あとベンゾールであるとか、アルコールであるとか、ケトンであるとか、モリブデンであるとか、ポリプロピレンとか、たくさんあります。こういうものは最近の花形産業であって、一体そんなに保護に値しますか。どの会社だってものすごい利益をあげて配当しているじゃありませんか。
松島五郎
109
○
松島政府委員
硫黄について御指摘がございましたが、硫黄は毎年度調べておりまして、
昭和
四十年度で
電気
料金
の比率が五・八%、四十一年度は五・二%、四十二年度で五・六%ということでございますので、これを除外の対象にしなかったという実情でございます。
依田圭五
110
○依田
委員
さらに聞きますが、
松島
さん、この五%というのは一体どういう
理由
できまり、五%をちょっと上へ行ってもいけないのか、下へ行ってもいけないのか、それが一点。まだ二、三ありますが、まずその点から聞きます。
松島五郎
111
○
松島政府委員
五%の問題は、
電気ガス税
をこういう産業用のものについて
非課税
にするという要望が非常に強く次々に出てまいりまして、こういった問題をどう取り扱うかについて税制調査会でいろいろ御審議いただきました結果、やはり一つの基準が必要だということで、生産費中に占める
電気
料金
の割合が五%以上であるというものについて、特別
措置
の対象にするということが適当ではないかという御意見もございましたので、そこで五%というものを一つの基準にしてきたわけでございます。五%をこえたもの、あるいは下回った四・九%はどうか、五・一%はどうかというお尋ねでございますが、私どもは、少なくとも新たに
非課税
品目に加えます場合には、五%をこえないようなものを入れるということはいたしておりません。
依田圭五
112
○依田
委員
製造原価とは一体何であって、本社経費を含むのかどうかですね。いわゆる一般管理費を含むかどうか、製造原価の定義。それからもう一つは、どういう機関が査定をして、そうしてこの業界は五%を割るんだ、五%以上かかっているんだという立証をどういうところでするのか。 時間の関係がありますからもう一つ関連して聞きます。それは、税調の答申では、新しいものは三年間だといっております。三年たってことしは酢酸を永久化しました。永久化しなければならぬ
理由
があるのかどうか、一体どこがそんな永久化する判定を下すのか、これを聞きたいと思います。
松島五郎
113
○
松島政府委員
計算
の方法につきましては、市
町村税課長
からお答えをさせることを御了承いただきたいと思います。
高橋睦男
114
○高橋
説明
員 製造原価でございますけれども、売り上げ金額から利益だとか販売費、一般管理費、そういうものを除きまして
計算
をする、こういうことになってございます。 それで、製造原価中に含まれるおもなものといたしましては、原材料費、それから労務賃、工場にかかるところの減価償却費、電力費、人件費、物件費等が含まれておる、こういうふうになってございます。 審査の過程というものはどういうふうに行なわれるかということでございますが、私のほうに
申し出
がある場合もありますけれども、大部分が通産省のほうに
申し出
があるわけでございます。どういう産業について
電力料金
の生産コストに占める比率がこういうことになったから審査をしてくれ、こういう
申し出
がありまして、私どものほうと通産省のほうの両方で審査をする、こういうことになってございます。 審査の方法でございますけれども、大体実態調査と、それからほかにいろいろ電力統計だとか諸種の産業統計がございますので、そういう統計等を突き合わせながら審査をする。場合によってはその産業所在地の
市町村
などに詳しく調べてもらう、こういうようなことでやってございます。
依田圭五
115
○依田
委員
これは局長に聞くのですが、
市町村
に頼んで調査してもらったり、いわゆる産業調査の一般統計ですか、総理府か何かでやっている、各戸に配布したり各業界に配布したりして形式的に毎年やっておりますね、国勢調査の一環か何かで。ああいうものを
基礎
にしてやるのですか。われわれは当然工業技術院とかなんとか、何か信頼できる技術者の集まりの
政府
機関に委託をして、そしてそういうことの判定をするのかと思っておるのですが、どうなんですか。
松島五郎
116
○
松島政府委員
資料につきましてはできるだけいろいろなものを集めながら審査をするということでございます。いま申し上げましたように、通産省におきます実態調査あるいは各種の統計資料、これも指定統計等になっておるものもございますので、そういうものとかを利用して調査をいたしております。工業技術院の調査ということでございますけれども、私ども、いま工業技術院というのはそういうことができるかどうか詳しく存じておりませんが、できるだけ各方面の資料を集めて、だれかがこう言ったからこうだというようなことにならないような配慮はいたしておるつもりでございます。
依田圭五
117
○依田
委員
さらに詰めて聞きますが、調査のしかたですね。一体これは個々の企業に対してこちらから立ち入って聞くのですか。
報告
を求めるのですか。それとも業界からやるのですか。業界でやる場合には、全業界からとるのですか、それをひとつ聞きたいと思います。
松島五郎
118
○
松島政府委員
同じ業種につきましては、できるだけたくさんの企業からの資料等を集めまして調査をいたしておりますけれども、ただ、ものによりまして全部にわたるということが困難なものもございます。たとえば、その中にたくさんの中小企業が含まれているというような場合、その全業体について調査をするということも不可能なものもございますので、そういったものにつきましてはサンプル調査にならざるを得ないというものもございます。
依田圭五
119
○依田
委員
そうすると、五%以上原価構成の中にあるということは、個々の企業でなしに、業界の全体といいますか——サンプル調査によりましても業界の数字になるわけですか。
松島五郎
120
○
松島政府委員
業界というのは、何か業者団体という意味でございますと、必ずしも私どもはそういう形ではやっておりませんけれども、たとえば鉄なら鉄の業者を業界というならば、できるだけたくさんのところから資料をとっております。
依田圭五
121
○依
委員
鉄は幾つもメーカーがありませんけれども、ことし通産の間でもって紙関係は七%の
税率
を五%にして、それを四に三年間しますね、きょうの
法律
で
改正
案が出ていますね。紙などはともかく無数にあると思うのですよ。大は王子三社をはじめ大
昭和
とかありますけれども、小に至っては家内工業まで、紙をすいているところがあると思うのですよ。そういうのは一体、五%をその紙製造工程の中においてオーバーしているという判定は、どういうようにしてどういう数字を根拠に客観性をわれわれは信頼していいかどうかはっきり言ってください。
松島五郎
122
○
松島政府委員
紙のようなものは、御指摘のとおり非常に小さい業者も含まれておりますので、私どもといたしましては、できるだけたくさんの統計から一応全体の大勢が判断できる程度の資料を集めて判定をいたしております。
依田圭五
123
○依田
委員
局長は答弁がうまいから、たくさんの資料からとかなんとか、常に概念のはっきりしないことばをお使いになって答弁なさる。まあそれでいいですよ。いいですが、私の調査した
範囲
内ではそんなものじゃないですよ。あなた、さっきレポートを出すとおっしゃった。じゃ出してくれますねと言ったら、それはできないわけですよ、出ていないのだから。そういうことではわれわれは、きょうは何もこんなこまかなことを言う必要はないのですよ。
課税最低限
にしても、あるいは
地方団体
はいいのか、
地方団体
は富裕なのか、あるいはどうなのか、肯定しているのかどらかということを私は冒頭に聞いているわけなんです。そういう問題について自治省は、絶えず
市町村
財政を強化するとか、あるいは国に抵抗しても、大蔵に抵抗しても、通産に抵抗しても、
地方団体
を守るのだという、そういうお立場にあるし、われわれ地方行政
委員会
は、そういうことで全面的に当局を信頼いたしておるわけであります。そういうことで二兆九千億ですか、この膨大な税金を取る
地方税法
の七百七十カ条の
改正
点についてあなたが責任者として
提案
をなさったから、五日か六日の質問で、私も貴重な時間を本らっているわけでが、そこでわれわれは審議できませんよ。私はここで百点ばかり、一番先にやれと
理事
から言われたから準備したのですが、一番うしろのほうの一つに入っておるのですよ。
電気ガス税
なんて言っては悪いけれども、一番うしろの——もうほとんど時間がきておるわけですよ。あとはあなたを信頼をしてこの法案を通す以外にわれわれとして方法がないわけです。 そこで聞くのですが、どうも、この特別
措置
についてはいろいろ問題が多い。特別
措置
総額一千百三十二億の中で、たった二種類の
電気
に関する特別
措置
について質問をしているのです。しかもなお、その二種類のうちの一つの百五十七億円と、先ほど局長の指摘されたものについてお聞きしておるわけです。それをだんだんお聞きしていくと、どうも釈然としない点がたくさんに出てくるわけですね。率直に言って、こういう問題は
課長
さんにおまかせしてあるのですか、それとも税務局長さんが自分でこのフェノールとかベンゾール、トルオール、キシロール、これがどうだとかいって一々文句つけていって、これに対して強い指導をなさるのですか。なさるということになれば、われわれはそれを信頼したいし、おまかせということになると、とてもこれだけでは——質問時間をいただきましてやらないと、われわれの職責が立たないので、審査の実際を言ってください。
松島五郎
124
○
松島政府委員
私どもの仕事をする仕方の問題でございますけれども、新しいものをどうするか、あるいは、いままであったものをどうするとかいうときには、私、少なくとも全局内における責任者として十分私の責任において判断をし、整理すべきものは整理する、あるいは新たに加えるべきものは加えるという審査をしておるつもりでございます。
依田圭五
125
○依田
委員
つもりでございますで終わってしまうからしかたがないのですが、それでは聞きますが、業界のレポートによるところの製造原価の
報告
を信頼をして、それが五%を割らない以上は適用を続けていくということにこれはなるわけですね。たとえば紙ならば紙の抽出をやっていくわけです。これはたとえば王子三社のような大会社の
電気
の使用量というものは比較的に非常に
合理化
されておるわけですね。これは五%未満になるかもしれません。三%か二%かもしれませんでしょう。零細な家内工業の場合には、五%どころではない、七%にも八%にも一〇%にもなるかもしれません。こういうようなときに、資本主義の原則に従って、企業の利益の保障を税制がするということについては、これは私はどうもおかしいと思うのですが、局長、その辺をどういうふうにお考えになりますか。
松島五郎
126
○
松島政府委員
私ども大企業の利益の擁護を税制上しようという基本的な気持ちを持っておるわけではございません。ただ、日本の産業政策等の面から、
電気ガス税
を、一定のものについて
非課税
すべきだというようなものについて、それがどれまで入り、どれまで入れないかという問題について、できるだけ客観的な資料を集め、検討して問題を処理していく、こういうことをしているつもりでございます。なお、
電気ガス税
についてまあ主として大企業に該当するようなものを
非課税
にすること自体についていろいろ問題があるわけでございますが、それについては、一方においては、原料に対する
課税
であるというような意見もあるわけでございます。そういう意見が正しいかどうかについては、これまたいろいろな角度からも、反対意見ももちろんございます。私どももそういったことも念頭に置きながら、できるだけ公正な処理をしてきているつもりでございますし、また、今後ともそういう努力を続けていきたいと考えております。
依田圭五
127
○依田
委員
新規に酢酸がことし入った。もう一つフェノールが何か時限的に入っておりまして永久化されたような例があるようですね。こういうようなのは、一体三年間
非課税
の
措置
をして、そしてそれが相当な成果をおさめたならば撤廃をすべきだ、私は、税調の答申はそういうようになっていると思うのですが、今回それを永久化していくということは、一体どういうことになるんですか。
松島五郎
128
○
松島政府委員
この三年間の
期間
を設けてやっていますのは、新しい技術なり新しい製品なりについて、一応それができました段階で、
電気
料金
の比重等を見て
非課税
の
取り扱い
をするわけでございますけれども、新しい製品でございますので、その
電気
料金
のコスト中に占める割合というのは、はたして三年間同じ状態であるかどうかということについて、長い間の資料というようなものもございませんために、一応三年間だけの
期限
を切って、その三年間を経過した時点においてもう一度再検討して、五%をこえているかどうかということを見きわめた上で、恒久的な
非課税
にするか、
非課税
品目からはずすかということで、三年間の
期限
をつけてやっているわけでございます。今回新たに加えました酢酸につきましては、そういった面からの検討をいたしました結果、恒久的な
非課税
品目に該当するものとして加えることにしたわけでございます。
依田圭五
129
○依田
委員
判定の基準に五%と、それから重要性という問題がありますが、
昭和
二十三年ごろにはわずかに十七しかなかったものが、三十五年に九十五にふえたわけですね。そして、まあ申しわけのように三つだけ落としておるわけです。それから、三十六年には十九ふえて、これまた五つだけ減らしておるわけですね。それから三十七年には十五ふやして二つだけ減らしておる。三十九年には四つふやして、四つくらいだから減らすほうはいいだろうというので、これはゼロ。それから四十年は六つと六つ。四十一年は一つふやして酢酸を入れた。それから四十三年に四つだ。合計百二十八で、減らしたほうは一割、こういうことになっておるのですね。産業界は無数に業種があるので、重要度というものは、国際情勢や、あるいは輸出入の関係や、国内の技術革新や、いろいろな点からどんどん変わっていると私は思うのですよ。それから、それが占める製造原価に対する比率だって変わっていると思うのです。それなのに、二十年間に大体一割減らして九割ふやしておる。それで、十七の業種が百二十八にふえておる。これから二十年たったら千をこすということになるのじゃありませんか。もうこの辺で、一ぺん自治省が通産に対してひとつ一本がちんと、もう二十年もたっておるのだから、技術革新も出たろう、重要性も相対的に変わっただろう、五%も相対的にダウンしたろうということで、一ぺん総ざらいをして、やめちゃったらどうですか。御意見を聞きたいと思います。
松島五郎
130
○
松島政府委員
まあ、私どももできるだけ整理する方向で努力はいたしたいと思いますけれども、御指摘のように、全部いまやめてしまえということにつきましては、いまの段階で、直ちにそういう方向でというお答えをいたすことは、私としてはできませんことをお許しをいただきたいと思います。
依田圭五
131
○依田
委員
それでは、その話ばかりやっているわけにはいきませんから、次に進みます。 最初に戻りまして、減税規模なんですが、非常に超過
課税
をしておる団体が多いわけですね。これの
住民税
あるいは
法人税
その他おもなものの数をちょっと教えていただきたいのですつどのくらいの団体が超過
課税
をしておるか。
松島五郎
132
○
松島政府委員
市町村民税
の超過
課税
をやっております団体は、
昭和
四十三年度で千十六団体でございます。それから
法人
の均等割の超過
課税
をやっております団体が、同じく
昭和
四十三年度で九百二十八団体でございます。
法人税
割で超過
課税
をやっております団体が、
昭和
四十三年度で千六百二十一でございます。それから
固定資産税
で超過
課税
をやっております団体が四十三年度で千九でございます。 府県民税については超過団体はございません。
依田圭五
133
○依田
委員
それから、制限
税率
に目一ぱいですね、制限
税率
が五〇%のところもあるいはあると思います。二五%ぐらいのところもあると思いますが、これに目一ぱいやっておる団体は、どのくらい
地方団体
でありますか。
松島五郎
134
○
松島政府委員
住民税
では一・五倍まで——これが最高でございますが、四百十六団体でございます。
固定資産税
では二・一の団体が十八団体でございます。
依田圭五
135
○依田
委員
個人住民税
では、四百十六団体が目一ぱいの超過
課税
をやっているのじゃありませんか。
固定資産税
なんかもどうですか。目一ぱいの団体があると思いますが、しかもその団体が、たとえば
住民税
や
法人税
割あるいは
固定資産税
の三つの制限
税率
目一ぱいの超過
課税
をダブらしている団体は一体どのくらいあるか。これはたいへんな重税になっているわけです。
森岡敞
136
○森岡
説明
員 お答えいたします。 先ほど局長から申し上げました数字とほぼ同じでございますが、
住民税所得割
で一・四倍、四割増しから五割増しまでの団体が四百十六
市町村
でございます。でございますので、五割増しが四百十六
市町村
ということではございません。それから
固定資産税
について申しますと、先ほど申しましたように二・一%の限度一ぱいは十八団体でございますが、一・八%から二・一%というその段階の団体は百四十八
市町村
、こういうことでございます。 なお、
市町村民税
と
固定資産税
とダブリで超過
課税
をしている
市町村
、この調査はいまのところ精査いたしておりませんので、数字は手元にございません。
依田圭五
137
○依田
委員
そうすると、これは
課長
でけっこうですけれども、一・四から一・五というと、もう最高ですね。これは制限
税率
目一ぱいですから〇・一%しか違わないんだから、それが四百十六
市町村
ある。ダブっているのはおわかりでないというわけですね。しかも一本一本の超過団体からいくと約三千以上の団体になるわけですね。
住民税
で一千十六でしたか、
法人税
割が千六百二十一ですか、
固定資産税
が千九ですか、こういうような超過
課税
の実情というものを一体どういうようにお考えになりますか。
松島五郎
138
○
松島政府委員
超過
課税
の
制度
は、自治団体として特別な財政事情がありました場合に住民に
負担
を求める道を開こうという
制度
でございまして、現在までの超過
課税
制度
の運用を見てまいりますと、必ずしも法の意図している運用がなされていないのではないかという点を私どもとしては非常に心配をいたしておるのでございます。結局一たん超過
課税
をいたしますと、そこに固定して慢性化していくという傾向がないわけではございません。そこで私どもは、できるだけこういう状態を改善をいたしたいということで従来から指導をいたしてきております。ただ単に減らせというだけでは、なかなか——それでも先ほど古屋先生の御質問にお答えいたしましたように、毎年、
住民税
について申しますと、超過
課税
団体が七十団体くらいずつ減ってきております。また最高
課税
をしておりますところも、同じ程度の減少をしてきておりますけれども、まだ、ただいま申しましたように千以上の団体が超過
課税
をしておるというような状態でございますので、私どもといたしましては、できるだけ早くこれを少なくしていきたい、あるいは解消していきたいということで、今年度と申しますか、今回新たに関係府県、
市町村
に対しまして強力な指導をすることにいたしておるのでございます。そういうことで、最近とりました調査では、四十四年度以降では超過
課税
を解消いたしたいという見込み数がかなりふえてきているように思います。いま御指摘のございました一・四から一・五までの団体でも、約四十団体くらいはこの際解消をしていきたいという
報告
もまいっております。これは一部の
報告
でございますので、まだ全部の集計ができておりませんけれども、私どもとしては、引き続きこの方向に向かって強力な指導をしてまいりたいと思っております。
依田圭五
139
○依田
委員
ちょっと聞きますが、今回の
課税最低限
だとか、あるいは大蔵にお金を貸すとかいうようなことに関連して、われわれはどうも
地方税
は非常に高い、こういう考えを持っておるのですが、外国と比較して、税務局長のあれで、一体、日本の
地方税
は安いんだというようにお考えになっておるのか、その点を参考までにここで聞いておきたい。
松島五郎
140
○
松島政府委員
税金はもう私が申し上げるまでもなく先生よく御存じのとおり、その
所得
なり収入と相対的な問題でございまして、月収一万円の人の二〇%と百万円の人の二〇%とはおのずから——かりに
負担
率は同じであっても、税
負担感
としては違うわけでございます。したがいまして、外国との比較と申しましても、そういった国民
所得
水準というものを抜きにして単に税
負担
率だけで比較をしても、ほんとうに重いのか軽いのかということはなかなか出にくいと考えております。ただ、一応の目安といたしまして、国民
所得
に対します税
負担
率というような面だけをかりにとってまいりますと、日本の場合は
国税
、
地方税
を合わせまして大体一九・六%程度、そのうちで
地方税
は六・三%程度でございますので、外国における租税
負担
率というものはもっと高いと思います。ただ、それはいま申し上げましたように、全く形式的な比較でございまして、
所得
水準というものを考えなければ、ほんとうの意味の
負担
率は出ないわけでございます。そういった点から考えれば、日本の
所得
水準というのが、
個人
所得
にすれば世界で二十番目とかいわれますようにかなり低いところにございますので、そういう意味での
負担
はなお相当重いものがあるのではないかというふうに考えております。
依田圭五
141
○依田
委員
私もアマチュアだからよくわからぬのですが、日本の状態とは少し違うような数字を二、三私参考までに拾ってみたのですが、たとえばイギリスや西ドイツ、フランスには
住民税
が一応ないんですね。イギリスの
所得税
の最低基準は九百十三ポンドだというので、これは七十八万八千八百三十二円という数字が、ポンド当たり八百四円換算で出ております。西ドイツは九千七百八十マルク、八十八万二百円。フランスが一万六千四十二フランだというので、これを七十二円の換算で百十六万九千七百八十三円、百十七万円、
課税最低限
が出ておりますね。しかも
地方税
はなしということになっておるようです。アメリカは、さっき局長も言うように生活水準が違いますが、三百六十円で換算しまして三千七百ドル、百三十三万二千円ですね、
国税
が。そしておもしろいことには
地方税
が百九十一万、カリフォルニアで。あと砂漠のほうの州は実情はどうなっておるか、若干高いかもしれませんが、ともかく百九十一万。
地方税
が日本の約三倍、
納税者
から言えば安いということですね。
課税最低限
が高いということです。また
国税
と
地方税
の
課税最低限
を比べると、国のほうよりも
地方税
の
課税最低限
のほうが高い。ちょうど日本と逆になっておるわけですね。世界は広いですから、先進国の中でも逆の現象を起こしておるところもあると思いますけれども、私がちょっと拾ってきた数字だけでも、日本の三十万円から違う
国税
と
地方税
、しかも保護世帯あるいは基準生計費等を勘案しまして、
電気ガス税
なんかもかけられる。そういうような生活一ぱいの暮らしをしておる家庭に対して
住民税
がやはり相当な重税になっておる、こういうことを私は言いたいのですが、局長の御意見はどうなんですか。
松島五郎
142
○
松島政府委員
外国との租税の比較ということはなかなかむずかしい問題でございまして、
地方税
をとってみますと、アメリカのようなところは
所得
課税
よりもむむしろ
財産
課税
のウエートが非常に高いとか、あるいはイギリスの場合でございますと、
地方税
はゼロというようなこともございまして、なかなか実際の
負担
がほんとうにどうなのかということの比較をすることは非常にむずかしいわけでございます。 ただ、いま御指摘のございましたような点から考えますと、夫婦子三人の日本の
所得税
の場合は九十一万円、
住民税
の場合は六十二万三千円、それに対しましてイギリス、西ドイツはその前後にほぼ位しておるというような関係もございます。しかし、
所得
水準ということになりますと、やはりイギリスと日本、あるいは西ドイツと日本ではかなり違っておる面がございます。なかなかいま仰せのように、一律には高い、重いということを比較することが非常にむずかしいというのが実際ではなかろうか、こういうふうに考えております。
依田圭五
143
○依田
委員
それじゃ、こまかな問題ですけれども、今度
所得税
について青色の
完全給与制
を
所得税
並みに導入したというので、十七万円を一応完全給与にしたと思うのですが、
国税
の場合は二十四万円くらいからしたので、若干そこにギャップがあるわけなんですが、これに対する減収補てんはどういうように考えておりますか。
松島五郎
144
○
松島政府委員
御指摘のとおり、本年度までの
専従者控除
の限度額は十七万円でありました。これを
完全給与制
としますとかなり上がるであろうということが予想されております。これの減収補てんをどうするかということでございますけれども、この青色を
完全給与制
にしましたことと関連をしまして、白色の十一万円を十五万円、
所得税
並みに
引き上げ
たということと相関連しておりますが、そのことによる減収額は、
住民税
、
事業税
を合わせまして百五十七億円を見込んでおります。かなりの減税ではございますけれども、現在の段階では、来年度の
地方税
の自然増、あるいは交付税全体の増という
地方財政
全体の中でこの問題を処置をしていくというふうに考えております。
依田圭五
145
○依田
委員
私、もう時間がありませんから、ここに柴田次官の、藤田武夫教授の還暦記念出版の論文集に「転機に立つ
地方財政
」という論文があるのですよ。これを読ましていただいたのですが、自治省の現役の次官が、いまこそ転機に立つ
地方財政
は抜本策を講じなければいかぬ。その
理由
としては、過疎過密が深化しておるとか、あるいは若年労働者が極端に不足しておるとか、あるいはここに書いてありますように、公債発行政策が出て、実際言って、地方に対するはね返りの期待できないような公債政策が導入されたとか、いろいろ
理由
をあげております。
地方財政
の動態化であるとか、いまこそそのチャンスだ、矛盾がいっぱいあるということを書いていますね。現役の次官が、
松島
さんの上におられましてこのような論文を去年の十月ですか、書いておられるわけですね。そういうような認識の上にお立ちになっておられるにもかかわらず、六千億近い自然増収がありながらその一割しか減税に回さぬとか、あるいは、大蔵省がまたことしとられた覚書を読むと、残高が非常にあるから、もうこの辺で大蔵との間でひとつ新しい調整
制度
をつくろうじゃないか、これはまあ交付税の問題でありましょうが、そういうようなことを覚書そのものが提起しておるじゃありませんか。去年もことしも、これはこういうことになると、当然来年は、三年も続いたんだからひとつお互いにいいときには出し合って金のやりくりをしようじゃないかという
制度
——税制そのものはとっておいて、シャウプ以来の大衆
課税
的な性格を温存しておいて、それで
大都市
の例で言うように——シャウプが
市町村
税の独立や、あるいは
市町村
の尊重をうたい出したときには府県税の倍あった。ことしは、さっき陳情に来た人の持ってきた資料を見ましても、府県税の半分になっちゃっておる。それが
大都市
が赤字になっておる。こういうようなときに、租税特別
措置
に手をつければ一千億以上の金が出るにもかかわらず、そっちのほうは毎年レポートを出させることもしないで、そして
市町村
の税収が減るからというので、総理も
野田
大臣も言っておるのに、
松島
さん、なかなかいい返事をこの
委員会
でしないということでは、とうてい——私、
理事
から言われましたので、まだ時間をかけていろいろ問題を、料飲税、あるいは
自動車取得税
、あるいは
大都市
税制、
道路
整備
五カ年計画との関係、
土地税制
、十二回払い、こういったような質問点をここに準備しておりますが、あとに譲りますけれども、皆さんの現役の次官が言っておるように、ことしこそはその転換点だ、またチャンスなんだ、やればできるんだ、ことしこそは
地方財政
を強化する最後のチャンスではないかというように私は思うのですが、これに対して今回
地方税法
の
改正
を御
提案
なさった責任者としてひとつ——これは全部一々厚い税法を限りある時間で審議はできません。大方は信頼していく以外にないのでありまして、質問点はないかといえば、まだこれだけ資料が私の手元にあって、時間をいただかなければならぬわけなんですが、ひとつお答えをいただきまして、きょうの質問を打ち切りたいと思います。
砂田重民
146
○砂田
政府
委員
私も柴田次官が書いたその論文を読みましたが、
地方財政
の大転換期にあると思います。そういう意味合いから、依田先生のお話にありました覚書の点等につきましても、地方交付税というものを確保するということもまた考えたわけでございますから、年度間調整につきましても、これからこれは財政当局とも話し合ってまいることでありますが、あくまでも自主的な
地方財政
の確立という立場で私どもは財政当局と年度間調整の確立をはかっていきたい、こういう決心をしております。 税につきましては、総額八百七十億という減税は、
地方財政
の現状からいたしますとこれは相当な規模でございます。交付税のあり方、自然増収、そういうものを総合的に検討いたしまして、四十四年度としてはこの程度のことが妥当なんではないか、こう考えて御
提案
をいたしておるような次第でございます。
依田圭五
147
○依田
委員
それじゃ質問をあとにいたしまして……。
鹿野彦吉
148
○
鹿野委員長
この際、暫時休憩いたします。 午後一時十八分休憩 ————◇————— 午後四時六分
開議
鹿野彦吉
149
○
鹿野委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。依田圭五君。
依田圭五
150
○依田
委員
土地
の税制について、また
宅地開発税
について簡単に質問いたします。 今度の税制が
住宅
政策の抑制にならないかという点を非常に心配しておるわけです。
市町村
の財政がこれによって潤っていくということについては、
委員会
の立場からも非常にけっこうだと思うのですが、抑制にならないかという点について、抑制にはならないんだという御答弁があるのならば、ぜひ聞きたいと思うのですが……。
松島五郎
151
○
松島政府委員
宅地開発税
を起こすということを考えました経緯は、最近
宅地開発
に伴いましていろいろな
負担
金とかあるいは現物
負担
とかいう事例がふえてまいってきております。これは、
宅地開発
と申しましても家だけできればそれでいいというわけにはまいりませんので、どうしても最低限度の環境の
整備
ということが相伴ってまいりませんと、せっかく
宅地開発
をいたしましても住むに値する環境にならないわけでございます。そういったことから、
市町村
では
宅地開発
をする方々に対して、あるいは
道路
とかそういった
公共施設
をつくって
提供
してもらいたいとか、あるいは
負担
金を出してもらいたいとかいうことが現実に行なわれてきているわけでございます。それらの
負担
は、先ほども申し上げましたが、
宅地開発
業者が自分で
負担
をするというよりは、一応形の上では一たん自分で
負担
をいたしますけれども、結局は分譲価格に転嫁されていっておるというのが現実の姿でなかろうかと思うのでございます。私どもはこういう事態に対して、やはり
負担
を求めなければならないという現実は考えながらも、その
負担
はできるだけ公正、適正なものであることが必要だというふうに考えるのでございまして、そういった意味から、いまいろいろな形で求めております
負担
関係につきまして、税金という形をとることによって、やはり
市町村
の議会の審議等を通じまして
負担
の調整ということがおのずからできていくということを考えますならば、むしろそのほうが
宅地開発
を円滑に進めていきます上に資するところが大きいのではないか、かように考えておるわけでございます。そういうことで、特にこのために
負担
が重くなるというようなことを考えておるわけでございませんので、御指摘のように
宅地開発
の障害になるというふうなことはないと確信いたしております。
依田圭五
152
○依田
委員
税率
はどうしてきめるのですか、それが一点と、それから
公共施設
は
政令
内容に移しておりますが、どういうような基準で
政令
内容をつくろうとお考えになっておるか、その二点について御質問いたします。
松島五郎
153
○
松島政府委員
税率
につきましては、一定の額あるいは一定の率でもってきめることが適当ではないかというようなこともいろいろ検討いたしたのでございますが、この
宅地開発
に伴います
施設
として私どもが考えておりますのは、
政令
の内容についてお尋ねがございましたが、
都市計画
の対象とならない程度の
宅地
内の
道路
、それに伴います排水溝並びに児童公園程度の公共空地というような、大体いまのところこの三つを中心に考えております。要するに
宅地
の周辺の
施設
と申しますか、身の回りの
施設
ということを最小限度考えておるわけでございます。 ところで、こういったものを
公共施設
として取り上げますことになりますと、大部分が
道路
の経費になるのではないかというふうに考えられます。
道路
の経費と申しましても、そのまた大部分が用地費であるというのが従来の例でございます。用地費ということになりますと、御案内のとおり場所によって非常にその価格が違うわけでございますので、一律の
税率
をきめますことはかえって実情に合わない、それだけの必要のないところもその
税率
で
課税
するという問題が起きても、かえって
負担
の不公平ということにもなりますので、そこで
法律
では、
公共施設
の
整備
に要する
費用
、受益の程度等を考慮して定めるということにいたしました。ただそういう定め方になりますと、あまりにもばく然としておるのではないかという問題もございますので、この税は新税でもございますので、当分の間は
自治大臣
に
税率
の設定、変更については届け出を求めることといたしておりまして、その届け出をあらかじめしていただきまして、その際に
公共施設
の
整備
に要する
費用
あるいは
整備
計画というようなものを出していただきまして、適正な
税率
にするように指導をいたしてまいりたいと考えております。 なお、この税を起こすことができるという
法律
改正
をいたしましても、現実にこの税を起こすという
市町村
はおそらく
大都市
周辺のごく限られた
市町村
であるというふうに考えられまして、全国的にこれをやるというわけのものでもございませんので、いま申し上げましたように個別指導をしていくほうがかえって実情に即するのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
依田圭五
154
○依田
委員
政務次官にお聞きしたいのですが、新国総計画がまだ第四次答申段階でコンクリートされておらぬですね。これは第五次までいかぬと閣議に持ち込める段階までいかない。従来のいわゆる新産都市方式、拠点開発方式なるものが一応うまくいかなくて、そして新しいブロックごとにやる、縦貫
道路
をぶち抜いてやろうとする新しい総合開発計画がいませっかく練られておるわけです。そういう問題と、それからこれは建設
委員会
のほうで議論になっておるのですが、調整区域と市街化区域、これらに関する
政令
がもう間もなく、六月ですが、出ようとしておるわけですね。そういう前夜にあって、まだそれらの重要な都市改造の問題がはっきりしないのに、去年に引き続いて、またことし新しい税金をおつくりになるという点について、私は少し、新税づくりが熱心なのはいいけれども、熱心過ぎやしないかという点からも心配するのですが、政務次官、御答弁願います。
砂田重民
155
○砂田
政府
委員
先ほど税務局長からお答えをいたしましたように、この
宅地開発税
を
徴収
して、それを使う目的というものはきわめて小規模な公共事業に限って考えております。国総等できまってまいりますような幹線
道路
でありますとか、そういうことを考えているのではございません。したがいまして国総の答えが出るのを待てという必要はなかろうと考えたわけでございます。 それから新
都市計画法
に基づきます調整区域等の
政令
はこれからでございますけれども、その市街化区域の中である特定部分について
市町村
が区域をきめてまいることになろうと思いますので、これまた新
都市計画法
の調整区域あるいは市街化区域等の
政令
を待たなければ、こういったきわめて小規模の
宅地
環境
整備
のためのふえてきております需要、それをまかなっていくための税収入、こういうことの実現に、いま依田先生のおっしゃったようなことを待たなければならないとは考えなかったわけで、四十四年度から発足をしたい、このように考えております。
依田圭五
156
○依田
委員
二十二、三兆円ですか、向こう十年間に、市街化区域と市街化抑制区域を分けて、市街化区域には投入をしていく、こういう大きなプランがあって、それをこの秋からスタートをさせよう、六
大都市
には十月までにそれを実現させよう、他の
市町村
も年末までにはそれをやれということがもう出ておるわけですね。そういう中で、この環境
施設
の
整備
内容もまださだかでないというようなもの、小さな規模の——小さなもの小さなものというけれども、これは市街化区域の中に
市町村
長がきめるわけですからね。市街化区域そのものは県知事がきめるわけですね。だから、もしこの税が地方にとって都合がいいということになって、市街化区域の中でほとんどどの
市町村
もこれを援用するようになりますと、決して簡単な問題ではないと私は思うのです。ですから、
都市計画
税を強化するとか、あるいは
固定資産税
の評価の制限を一応緩和するなり撤廃するとか、まだいろいろありますね。そういうような手が残っておるにもかかわらず、そういうことをしないで、この新税の創設に踏み切ったという点についてよく納得ができないのですが、あらためてその点を御答弁願いたいと思います。
松島五郎
157
○
松島政府委員
市街化区域の設定につきましては、新
都市計画法
によって六月ないし今年末までに逐次指定をされていくということにつきましては、私どももそういう方向であることを伺っております。ただ新
都市計画法
によります市街化区域を設定したら、あすからその地域が全部
整備
されるかと申しますと、なかなかそうはいかないと考えます。 この
宅地開発税
で考えておりますことは、先ほど来何度も申しますように、現実にどんどん
宅地
が広がっていっている、その環境を一日も早く
整備
をしていきませんと、せっかく
住宅
をつくって住まわれようとする方の日常生活にも不便を来たすというようなことでは、国民生活の面から望ましいことではございませんので、少なくとも最小限度の身の回りの
公共施設
は整えられるようにしていきたいという
趣旨
でございます。もちろん、御指摘のございましたような
都市計画
税あるいは
固定資産税
というような財源もこういったものに充当していくことを考えなければならないわけでございますけれども、何と申しましても、家ができることに伴いますいわば初度的な経費でございますので、その一部はやはり
宅地開発
を行なう方々に
負担
をしていただくことが公平の原則にも合うのではないか。もちろんこの税を起こすからと申しましても、この税でいま申し上げましたような
施設
が全部まかない得るというところまで考えてはおりません。おそらく現実に必要とします経費の一部しか
宅地開発税
ではまかない得ないと思います。そのほかにさらに
宅地開発
が進みますことによりまして、学校の建設でございますとかあるいはその他大きな
公共施設
の
整備
というものは、
市町村
としては当然やっていかなければならないわけでございまして、これに
宅地開発税
を充てるということを考えておるわけでもございません。したがって、そういった経費についての財源というものもまた別個に考えていかなければならぬと思います。そういった面には、やはり
宅地
ができますことによって
固定資産税
もある程度は上がってまいりましょうし、御指摘のありましたような
都市計画
税もとれますでしょうけれども、やはりそういう、もっと大きな経費にも充ててまいらなければなりませんから、いま申し上げましたような身の回りの
公共施設
についても
宅地開発税
でまかなわれるのはその一部でございますので、残った部分については、やはり
市町村
の一般財源として、いま申し上げましたような
都市計画
税なり
固定資産税
なりを充当していかなければならぬ場面も生ずると考えるのであります。そういう意味でこの
宅地開発税
というものを考えている、こういうわけでございます。
依田圭五
158
○依田
委員
では、もっとこまかく聞きますが、これは税金を納めた人の周辺をやるというようなぐあいにはいかない。言いかえれば単位ごとに
都市計画
を
市町村
できめて、そこでやるわけですからね、適用区域を。ですから、
納税者
のほうは、自分が金を納めたのにちっとも
道路
が直らないじゃないか。
市町村
のほうは一定の年次計画でもってやっていく。そういうような点については、具体的には
納税者
のそういった、そのために納める税金と、実際にそれがはね返って自分のところができ上がる時期とについてズレがあるのは、一体どういうふうに指導するのですか。
松島五郎
159
○
松島政府委員
この点につきましては、
都市計画法
による市街化区域のうちで、さらに
公共施設
の
整備
を必要とする地域として
市町村
が
条例
で区域を定めて、その区域内において税を納めてもらう、こういうことにいたしておるわけでございます。御案内のとおり、
都市計画法
によります市街化区域は、おおむね十年間程度に都市化する地域を目標にして
施設
する、こういうことになっておりますので、そういう長い将来を見通しての事業でございますので、いまお話しのような、十年先にならなければ、税金だけは取って、
公共施設
を
整備
してもらえないじゃないかというような問題もございます。そこで、その地域の中でさらに地域をしぼる、こういうことにいたしたわけでございます。その考え方は、現在すでに
宅地
化が進行しつつある、あるいはごく近い将来、年数にいたしますと、地域によっても違うと思いますけれども、二、三年のうちにそこの地帯は家でもって満たされるであろうというような地域を
市町村
の
条例
でもってまず指定をいたしまして、それに伴いまして、その
市町村
で
公共施設
の
整備
計画を立てて、そして税を納めていただくと同時に
施設
の
整備
をはかっていく、こういうふうにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。税金だけとって十年先に
施設
をするというような形のものでは御指摘のような問題が起きますので、そういうことにならないようにいたしたいという考えでございます。
依田圭五
160
○依田
委員
松島
さん、だいぶあなたのほうで、原案ができてから
整備
の段階に持ち込んだところが難航を重ねて、結局は還元方式と
徴収猶予
の形が出てきた。マスコミは、せっかくあなたのその意気込んだ新税の基本構想が骨抜きになった、こういうことを言うのですが、いわれるように還付方式と延納ですか、延滞ですか、それによってこれは骨抜きになっておるのですか。
松島五郎
161
○
松島政府委員
公共施設
を
整備
するための財源を得るということでございますけれども、今日の
宅地開発
の実態を見ますと、相当の規模の
宅地開発
をいたします場合には、どうしても
宅地開発
業者としてはその区域内の
道路
なり若干の
公共施設
を
整備
しなければならない、また現実にしているというのが実情でございます。そういう場合に、さらに税金をもう一度
課税
をすることになりますと、二重の
負担
にもなります。その
負担
は結局
宅地
を買う方に転嫁をしていくという問題もございますので、二重
負担
にならないように調整をしなければならぬということは当初から考えていたところでございまして、そういう意味で、
市町村
の計画しているような
施設
に適合する
公共施設
をみずから
整備
する者に対しては税を免除する。また、すでに納めた場合には、そういう
施設
ができたら返してあげます、あるいはまた、みずから
整備
するからもうちょっと待ってもらいたいという場合には、
徴収
猶余をするという
規定
は設けましたけれども、その
趣旨
はいま申し上げたことでございますので、それによってこの税の内容が骨抜きになるということはないと考えております。
依田圭五
162
○依田
委員
それでは、この新税の財源は二億三千万幾らというように記憶しておるのですが、一体どういうファクターですか、積算
基礎
によってこの数字が出てきたかを明らかにしてもらいたいと思います。
松島五郎
163
○
松島政府委員
内訳につきましては、後ほど
課長
から
説明
させることをお許しいただきたいと思いますが、考え方といたしましては、何度も申し上げますように、この税は課することができるという道を開くということでございますので、現実に来年度どの町村がこの税をどこで
課税
をするかということを推定することは非常に困難でございます。そこで、私どもといたしましては、従来いろいろな形で
負担
金とかそういうものを取っていました
市町村
が、おそらく今度はこういう税金に一部変わるであろう。ただし、この
法律
ができましてからも、準備その他の関係もございますので、来年すぐやれるかどうかという点もまだ多少問題があろうかと思いますけれども、そういった点を見込みまして一応の推定をいたしたものでございます。 内容につきましては、
課長
から
説明
させていただくことをお許し願います。
高橋睦男
164
○高橋
説明
員 来年度の見通し、見込みにつきまして御
説明
申し上げますと、大体
市町村
の数にいたしまして十カ町村ぐらいが
宅地開発税
を採用するのではなかろうか、こういうことで考えまして、それの
宅地開発
の実施見込み
面積
が百十八ヘクタールということでございます。ただし、この中には、現物の
提供
によりまして、先ほど御
説明
申し上げましたように、税が免除をされるという場合があろうということを想定いたしまして、それで出ました五十九ヘクタールの
面積
につきまして、一平米四百円の税金で掛けましたものに、
徴収
率と、それから大体十月ごろから実施ができるのではなかろうかという見込みで、一億四千四百万という見込みを立てたものとなっています。
依田圭五
165
○依田
委員
これは、
課長
さん、
個人
と業者では一体どういうつかみ方をしているのです。どっちが多いのですか。
高橋睦男
166
○高橋
説明
員
個人
と業者という区別はちょっとむずかしいかと思うのでございますけれども、大体現物の
提供
によりまして
課税
が免除されるというものが、いわゆる大きな業者の行なうものに該当する、こう考えておるわけでございます。
依田圭五
167
○依田
委員
平米四百円ということになると、坪当たり千六百円ぐらいになると思いますね。そんなにたくさん金をかけて——それは、あなた、最高の制限額なんですか。それとも、どういうことなんですか。二億三千万ですね。ともかく、造成なんか二千円かなにかでできるところはたくさんあるわけですね。造成費一ぱいくらいの税金を取ることになりかねないのですが、その点はどうなんですか。
松島五郎
168
○
松島政府委員
いま申し上げましたのは、一応平均的なところを、まあ四百円くらいというふうに見込んだわけでございまして、私どもが東京近辺で
宅地開発
が行なわれておりますところについて若干の実態調査をいたしましたところによりますと、
道路
、排水溝程度の
公共施設
を
整備
するといたしまして、その
費用
が、用地費を含めまして大体これは平均千五百円程度一平米当たりかかっております。そこで、一平米千五百円と申しますと、一坪にいたしますと五千円程度になるわけでございまして、それだけの
負担
を税として求めるということは
納税者
の方にとってもたいへんな
負担
でございますので、私どもは現在の指導方針といたしましては、最高でも一平米当たり五百円をこえないような指導をいたしていきたいと考えております。したがいまして、ただいまお尋ねのように、用地費その他が非常に低廉につきますところには、その割合で
税率
を低くしていっていただくように指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。一応積算といたしましては、平均四百円という数字をとって積算をしてあるということでございます。
依田圭五
169
○依田
委員
これは最終需要者といいますか、
土地
を買おうとする人に転嫁されてくるわけですね。ですから局長に聞きたいのは、この
制度
は、八王子であるとか横浜であるとか、十ぐらいのところが、金やものでもってそういう
負担
転嫁をやっておるので、それを統一するというか、そういう面からこの税の発想が起こったのか、それともあなたのほうでこういうようなものをつくらぬことには、
市町村
の
公共施設
のあれができないという意味で始めたものか、その点をはっきりしてくれませんか。
松島五郎
170
○
松島政府委員
ただいまお尋ねの点は、両面相関連している問題でございます。現在
宅地開発
要綱というような形で、
宅地開発
を行ないます方にいろいろな形で
負担
を求めている
市町村
が五十をこえる数になってきておりまして、これはどんどんふえていく傾向にございます。こういうような
負担
の内容を見てまいりますと、それぞれの団体によって非常にまちまちでございます。なぜそういう
負担
を求めることになってきたかと申しますと、結局
宅地
ができましても関連の
公共施設
ができなければ
宅地
としての効用を果たし得ないというところから、
市町村
としては
宅地開発
を行なう方にそういう
負担
を求めることになってきたのだと考えられます。したがいまして、
市町村
としては、簡単に申しますならば、そういう財政需要があるから
負担
を求めてきているのだ、こういうことだろうと思います。 そこで私どもこの問題を考えますためには、まずそういう財政需要に
市町村
が対応し得るような財源
措置
を一面において考えていかなければならないのではないだろうかということが第一点でございます。と同時に、現在そういう形で、そういう必要性から
負担
を求めるに至ったといたしましても、その
負担
の内容がいま申し上げましたようにきわめて区々であるということになりますと、
負担
をされる方の公平という問題も起こってくるわけでございまして、そういう点からは、やはり
負担
のあり方について逆に規制をしていくことも必要ではないか、こういう両面を考えまして、それには税という形をとることによって、同じ
負担
を求めるにしても、
市町村
の議会の審議なりを経て求めていくほうがより
適正化
が期せられるのではないか、かように考えているわけでございます。
依田圭五
171
○依田
委員
税務局長のように、税の神さまみたいな人だから私聞くのですが、一体いま
地方税
は幾つあるのですか。
松島五郎
172
○
松島政府委員
府県税として取っておりますのが普通税で十一、
目的税
で三でございます。合わせまして十四税目でございます。
市町村
税として
課税
をいたしておりますものが、普通税で法定税目で七つ、それから
目的税
で今回の
宅地開発税
を含めまして四つでございます。合わせまして十一でございます。
依田圭五
173
○依田
委員
そうすると二十五あるわけですね。あなたがこれほど情熱をもって出しておるのだから、これはどうしても通るでありましょうし、二十五あるわけだ。
国税
は二十八あるんですよ。そうしますと五十三になるわけですね。全く税金でがんじがらめになっているわけですね。しかも去年、
自動車取得税
をあなたがおつくりになって、これまた平年度五百何十億、六百億近い税金がいま出ておるわけです。これもガソリン税でいいじゃないかということをわれわれは去年もこの
委員会
で言ったことがあるのです。今度のこの税だって、ぜいぜいいまサンプルに出したのは十カ町だというのですね。適用されるであろうところがぜいぜいその程度であって、多くても五十団体ぐらいだろう、こう言われておるのですね、そうしたら、
固定資産税
の制限撤廃なり
都市計画
税なり、何らかの方法でやればいいので、その上にまた税金を——国かようやく建設
委員会
を中心に何とか
住宅
建設五カ年計画を、いま七割くらいしかいっておりませんから、来年一年ぐらいで達成しようということで力を入れておるときに、片やマイホームの持ち家
制度
をチェックするであろう、最終的には
土地
の需要者に転嫁されるであろう新税をおつくりになる。自治省ぐらい権限の強いところなら、十や幾つかの
地方団体
がやっていることなんか、一ぺん一声どなればみんなやめるじゃありませんか。何であなた方は去年に引き続きことしも新税をつくらなければならぬか。全く苛斂誅求というか、六十に近い税金で、
納税者
のほうはもうたいへんだと私は思うのですが、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
松島五郎
174
○
松島政府委員
御指摘のとおり非常にたくさんの税目がございますことは
納税者
には非常な重税感を与えることでございまして、私どもも税制を考える場合には十分その点についての配慮をしていかなければならないことはもちろんだと考えております。ただ、六十と申しましても、それぞれの
納税者
にすべての税金が必ずしも同時にかかるわけじゃございませんので、その辺は、いま御指摘のあります
宅地開発税
にいたしましても、いなかに住んでおられる方にかかるわけでもございませんし、また東京の町のまん中に住んでおられる方にかかるわけでもございません。それぞれ対象によってどの税がかかるかということがきまってくるわけでございます。そういうわけで、この税が創設されたからといって、何か非常にたくさんの税を全国民が
負担
をするという形には必ずしもならないと思いますけれども、ただ何と申しましても税金のことでございますので、数が多いということは何となく重税感と申しますか、そういうものもあることは事実でございます。今後ともその辺につきましては十分私どもも配慮をしていきたいと考えております。
依田圭五
175
○依田
委員
いなかの人にかかるんじゃないとか全体にかかるんじゃないとかというお話ですけれども、結局そういうような考え方はぼくら納得できないのですよ。全体にかかる必要やむを得ざる税金ならば、国は、成り立たないのですから、新税でも何でもしかたがないと思うのですよ。ただ、現在十団体とか、多くても五十団体ぐらいにしか適用にならぬ、しかも
土地
の造成に悪影響を与えるような税金を新税としてうたって、この複雑な税体系の中に、さらに専門家でもわからぬような形の中に屋上屋を架すということ——それは税務局長なんかは専門家ですから頭の中で、あの税はあの税、この税はこの税とさい然としているかもしれませんけれども、
納税者
にすれば同じことなんですよ。また一つ税金がふえたわい、こういうことなんです。
自動車取得税
のときでも、何でガソリンでやらぬのか、自動車を使う人と自動車の
道路
に与える損傷のパーセンテージとは合わないんだから、ガソリン税を上げればいいじゃないか、それを若干手直しすればいいじゃないか。今度だって、あなたが目的としておる横浜とか八王子の周辺の若干のものは、
土地税制
の一環なんだから、他のほうを少し手かげんすれば、どうにでもこの程度の、二億か何かの金ぐらい出てくるじゃありませんか。それをまた新しい税金をつくって、全国にかかるんじゃないとか、あらゆる階層にかかるんじゃないからかまわないのだということを言ったって、あなた六十種類の税金を
納税者
がみんな知っていますか。それじゃ私困ると思うのですが、これは政務次官からひとつ御答弁願いたいと思うのです。
砂田重民
176
○砂田
政府
委員
確かに
地方税
におきまして税目がたいへん多いことは、ただいま税務局長が御答弁したとおりでございます。よほど慎重に検討しなければならないことは、基本的には全く先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、先ほども依田先生は、せっかく建設省で新
都市計画
をつくって、ああいう
整備
をやろうとしているときではないかとおっしゃるのですが、こういった特に
大都市
に比較的近いところと申しますか、そういうところの
市町村
に集中して新たな
宅地開発
が非常に傾斜的に激しくなっております。そしてそういった新たな
宅地開発
に伴って生ずる新たな
負担
というものにやはり
市町村
が対処してまいらなければなりません。
都市計画
新法が施行をされまして、
都市計画
事業というものが進んでまいる、それに伴っての新しい
宅地開発
でその周辺の最小限の環境
整備
、これがやはり
都市計画法
で定める
都市計画
事業にはずれている小規模のものが
市町村
の新しい
負担
になってまいります。いろいろの先生の御意見でございますけれども、全く環境
整備
がされていないところで新たに開発された
宅地
と、少なくとも、最小限度ではあっても環境
整備
のできた
宅地
、その間の差というものは当然あってしかるべきであろう、そういう意味合いから、やはりそれが直接的に
宅地
の値段をつり上げる、あるいは
納税者
に新たな
負担
を与えるというふうには実は受け取っておらないのでございます。環境の
整備
された
宅地
を確保していきたい、こういう考え方から、新しく起こってまいりますそういう
負担
に対して、
市町村
にそれだけの力だけは持たせていきたい、こういう考え方でございます。
依田圭五
177
○依田
委員
それは見解の相違であるということになれば、何をか言わんやですけれども……。 次に、税制について若干聞きます。それは、今度
所得税
の長期保有と短期保有についていろいろの増税
措置
あるいは減税
措置
をやっております。
地方税
もそれにならっておるのですが、これは四十五—四十六、四十七—四十八、四十九—五十年の三段階にして、長期保有の
土地
を処分した場合は減税
措置
、それから短期保有を増加する、こういうことになっておりますが、これは百分の四と百分の八に相当する金額に上げるのだという法
改正
の内容でありますが、これは、こういうぐあいに長期保有の
土地
を減税するとどのくらいのあれが出て、
土地
を手放す、分離
課税
の比例方式にしたのだから、税金が安いから
土地
を手放す、それから短期保有のほうは、これは増税になるから抑制効果がどのくらいある、どのくらいの人が遠慮するであろう、こういうことについて、減収、増収の数字と、それから、それが一体どのくらいの差があるか、そして抑制効果にどういう影響を与えるかについて、これは政務次官でなくて、局長に御答弁をいただきたいと思います。
松島五郎
178
○
松島政府委員
まことに申しわけございませんが、こういう税制の
措置
を講じたら、すぐにこれだけの
土地
が大量に供給される、あるいはすぐにこれだけの
土地
のいわゆる投機売買が抑制されるということは、これはなかなか推定をする方法がないわけでございまして、私どもも
所得税
にならって同じような方式をとっておりますけれども、ただいま御質問のございましたように、具体的にこれによって幾らの
土地
の供給が促進され、幾らの
土地
の短期売買が抑制されるかというような資料を持ち合わせておりません。
依田圭五
179
○依田
委員
その資料はないというのは、ここへ持ってきていないという意味なんですか。
松島五郎
180
○
松島政府委員
いま申し上げましたように、全くの予測と申しますか、
納税者
がどう反応するかという問題でございますので、これはちょっと資料のつくり方が——用がないと申しますか、そういうことで資料の準備がないということでございます。
依田圭五
181
○依田
委員
これは局長、おかしいと思うのですよ。これだけの大きな
税率
の変更をやっておるわけですから。
所得税
のほうで大蔵が独自の判断でどのようなきめ方をしようとも、それは大蔵の段階でございます。ただ
地方税
の段階で上げたり下げたりする場合には、当然一つの政治目的を持っておるわけですね。それは過疎、過密の問題を片づけるとか、あるいは
都市計画
をどうするとか、
住宅
建設をどうするとか、それによって、こういうような弊害があるから、こういう
制度
をやったならばこういう抑制効果があるだろうというふうに、初めと終わりがある程度展望されて、その中で
税率
がきまって、そしてそれに単位をかけて、減収なり増収がきまって、その差がきまって、そしてあなたのところへ書類がきて決裁をするのではないかと私は思うのです。たくさんの調査機能を持ちながら、そういう点について全然何も数字がないというのは、私はアマチュアだからよくわからぬが、納得がいかないのですが、そういうものなんですか。
松島五郎
182
○
松島政府委員
これは先ほども申し上げましたように、こういう
制度
をとったら、機械的に
土地
所有者がそういう形で反応を示すというわけにまいりませんので、たとえば現在、これだけの税金を納めている人が、
税率
を下げればこれだけ少なくなる、こういうものとちょっと性質が違いますものですから、推計の方法がなかなかないわけでございます。そういう意味で資料を持っていない、こう申し上げているわけでございます。
依田圭五
183
○依田
委員
さらに聞きますが、一方では税金を上げて、一方では税金を下げたわけですから、減収額と増収額は全く同じじゃないかと思いますが、その見通しはどうですか。
松島五郎
184
○
松島政府委員
その減収額が幾らになるか増収額が幾らになるかという問題でございますが、これは先生が御指摘になりましたように、これによって、たとえば長期
譲渡所得
の場合には幾ら
土地
が売られるようになるか、それを
現行法
で取れば幾らになり、新しい
法律
によって取れば幾らになる、したがって、その分は減収が幾らになるのか、あるいは逆に短期の場合には、これによってどれだけの売買が抑制されるか、
現行法
でかりにそういう抑制効果のない状態で売られたら幾らの税収が上がり、抑制されたら幾らの税収が減るかという問題をあわせて考えなければならないわけでございまして、結局、
基礎
は、このようなやり方をすれば、どの程度売買の促進になり、あるいは売買の抑制ができるかという見通しがなければ、税収の増減も出てこないわけでございますが、いま申し上げましたように、これによって幾ら供給が増加するか、あるいは供給が抑制されるかということを推定することは困難でございます。したがいまして、増減収につきましても、そういう意味で幾らという数字は出ていないわけでございます。
依田圭五
185
○依田
委員
それでは増収、減収のバランスをとらしているという意味ですか。どういうことなんですか。
地方税
に対する影響があるわけでしょう。その場合に、それに対する減収補てんなり何なりしなければならぬわけでしょう。その場合、これは収支とんとんというふうに考えているのですか。
松島五郎
186
○
松島政府委員
長期
譲渡所得
の場合は、長期保有
土地
が、この税制によってなるべく供給がふえるということが望ましいわけでございます。そういう意味からいえば、それについては税を
軽減
するわけでございますから、
軽減
された
税額
が多ければ多いほど目的が達せられる、こういうことになります。短期
譲渡所得
は、逆に短期譲渡を抑制しようというわけでございますから、税金をよけい取ろうというわけでございます。それもまたなるべく抑制されて、税金をよけい取ることが少なければ少ないほど目的を達するということにもなるわけでございます。そういう意味では、減収が多いほどある意味ではこの今回の税制
改正
の目的が達せられるということにもなると思いますけれども、それは一体幾らだということになりますと、先ほど申し上げましたように
土地
所有者のこの税制に対する反応のしかたというものを正確に把握することは現段階ではなかなか困難でございますので、したがいまして一応税間
計算
の上では、増減収というものを見ないという考え方で
計算
をいたしております。
依田圭五
187
○依田
委員
私、減収が多くなると
地方団体
は影響を受けると思うのですよ。その点が一点。 それからもう一つ、これは十三段階ありましたものがダウンされておるわけですね。ですから、特定の大きな譲渡益が予定されておるのがない場合には、その特定の村はたいへんな減収になると思うのです。
税率
が
改正
になっておるわけですから。頭を下げておるわけですから。十三段階になって、累進性が強いものを比例
税率
に変えて四、五、六となっておるわけですから、その場合そういうことは統計上すぐ推定できるわけなんで、現実に統計上推定しなくても、そういう特定の村に対してどういう救済方法をお考えになっておるのですか。
松島五郎
188
○
松島政府委員
たとえば長期保有
土地
につきまして
税率
を下げなかったならば売らなかったであろうという前提をとりますと、売らなかったならば
譲渡所得
は生じませんので、税収入はその村としてはゼロであった。少なくともその
譲渡所得
に関する限りゼロであった。今度はこういう
軽減税率
を適用したことによって売るであろうという推定をいたしますと、
税率
はなるほど下がりましたけれども、そのかわりに収入は入ってくるということもいえるわけでございまして、その辺を、
税率
は下げなかったけれども売るであろうという推定をして、さらに
税率
を下げたから売ったものが幾ら
軽減
になったかという比較をいたしますことは、実際問題としてなかなか困難なことでございます。したがいまして、いまお話しのような点は、逆にこういう税制をとらなかったならば
土地
を持っている方が売らなかっただろう、売らなければ
譲渡所得
は生じませんから、
譲渡所得
を生じなければ税収入は本来なかったということもいえるわけでございまして、したがってこれによって大きな減収が起こるということはむしろないのではないかというふうにも考えられます。
依田圭五
189
○依田
委員
十三段階ですから、一番極端な場合は、普通ならば一番高いところが一四%取られておるわけですね。期待できるわけです。税収入になるわけです。それが今度の
特例措置
でもって比例
税率
になりましたから、最高でも六%に下がるわけですね。そうするとそれだけ減収になるじゃありませんか。
松島五郎
190
○
松島政府委員
この
制度
は、いままで売らぬで持ちこたえておると申しますか、持っている人に売っていただきますが、こういうために
税率
を下げようというわけでございますから、むしろ十三段階の
税率
の最高
税率
がそのまま残っておるとすれば、まあやっぱり売らぬでおこう、こういうことになった場合を考えますと、その場合は税収入はゼロだ、こういうことになるわけでございます。そこのところは、いやいずれにしたって売る予定になっていたのだ、売る予定になっていたのだからこんなことをやらなくても、あるいは十三段階の最高の
税率
一四%ですか、
課税
されようとも、来年はその人に売ったはずだ、こういう推定に立ちますならば、いまお話しのとおりこの比例
税率
とその最高
税率
がかりに適用されるとすれば、その差額だけは税収入としては減ってくる、こういうことになります。その辺は実際問題として売られる方の心理の問題にもなってまいりますので、どっちだったのだと聞くわけにも、なかなか具体的な問題としてはいかないのではなかろうか。私どもとしましては、やはり従来の
税率
であれば売っても税金にみな取られてしまう。みなということはございませんが、大部分取られるから売らないでおこう、したがって
市町村
の側からいえば税収入がなかったであろう。ところが
税率
を安くしたのならそれじゃ売ろうかということによって、税金としてはむしろ入ってくる側に向かうのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
依田圭五
191
○依田
委員
基本になるこういう
制度
をつくったら、
土地
をよけいに売ろうとする人がどういう見通しに立つか、あるいは買おうとする人がどのくらいの抑制効果を受けるかというような点についての試算がある程度ないと、それはわからぬのだ、ともかく利益を受ける
地方団体
もあるし、えらい損をする、減収になる
地方団体
もあるのだ、しかしそれは人の心理だから、所有者の心理だからわからぬというような言い方では、どうも最後まで納得ができないのですが、これは同僚のもっとベテランの
諸君
にやっていただくとして、時間もありませんので、私はその次の課題に入りたいと思います。二、三まだ予定しておりますが、はしょって一、二点だけで質問を終わりたいと思います。 それは今度の
大都市
の税制の問題なのですが、今度
地方道路譲与税
の配分の方法を変える。この配分方法を変えることによって、全国の
市町村
の八十四万キロといわれておる全部ですけれども、
道路
を一つ例にとれば、
道路
がどの程度
整備
されて、その中で
大都市
ではどの程度
整備
されていくかということについて試算をなさったことありますか。あればひとつ教えてもらいたいと思います。
松島五郎
192
○
松島政府委員
道路
譲与税の配分方法を変えるという問題は、現在の
道路
譲与税として予算に計上されております額の
範囲
内において、いわば
大都市
に傾斜がつくように配分方法を変えようという考え方でございます。したがいまして、
大都市
に配分をよけいにいたしますと、総額の
範囲
内でそういう操作をいたしますので、その他の団体においては相対的に減収をするという結果になるわけでございまして、このこと自体によって特に全体の
道路
水準が上がるとか下がるとかいう問題には必ずしもならないと考えております。もちろん前年に比べまして、自然増収がございますから、その分は
道路
事業費の増加によってせられることは当然でございますけれども、ただ考え方としては、
大都市
に配分方法を変えてよけいいくようにするからということは、同時にほかの団体の分がある程度減るということになりますので、全体の水準がそれによって動くというわけではございません。ただ
大都市
だけについてみますならば、配分方法を変えて財源を強化するわけでございますから、
大都市
の
道路
事業というものはある程度進むのではなかろうか。ただそれが何%どうなるということになりますと、ちょっと私どもも試算をいたしかねますけれども、大体私どもはいま
道路
譲与税の配分方法の変更によりまして、
大都市
に対しまして前年度に比べて三十億を下らない額が増加するようなことを考えております。したがいまして、現在
大都市
に交付されております
道路
譲与税の額は、四十二年度で十六億円程度でございますから、かなりの増額になる見込みでございますので、これによって
大都市
の
道路
整備
というものは相当進められるようになるのではないか、かように考えております。
依田圭五
193
○依田
委員
大都市
問題はもう何年も前から騒がれて、昨年は具体的に、ことし片づけてもらいたい、来年度、
昭和
四十四年度において片づけてもらいたい、こういうことを具体的に
附帯決議
をつけておるわけですね。それを受けられて局長のほうでいろいろ作業なさって、今度の譲与税の配分方式を
大都市
に傾斜配分できるように手直しされよう、こういう
趣旨
だと思うのですが、それは間違いありませんか。
松島五郎
194
○
松島政府委員
そのように考えております。
依田圭五
195
○依田
委員
それについて、三十億というものを六団体で割ってごらんなさい。五億円くらいじゃありませんか。ぼくは三十億という積算でさえもちょっと疑問に思っておるのですがね。百億出てくると——その前に配分方式は、数式はもう
決定
になっておりますか。これは
政令
なり省令なりで御発表になるのでしょうけれども、もうすでにこの予算をつくられる段階でコンクリートされて関係者の間では了解済みと思うのですが、きまっておったらその数式を発表してください。
松島五郎
196
○
松島政府委員
まだ
法律
が通らないうちから
自治省令
の中身をきわめてしまうというわけにはまいりませんので、私どもといたしましては一応の考え方を持って試算はいたしておりますけれども、これが最終的にきまったという段階ではございません。考え方といたしましては、
道路
の交通量をできるだけ配分基準に反映させますために、
道路
の種類というふうなものをある程度考えたい。それから
道路
当たりの人口というようなものを考えて、要するて人口秘密なところほど
道路
財政需要も高いわけでございますので、そういった方向で試算をいたしておるわけでございます。 なお、三十億程度ふえたのでは一市当たり五億円程度ではないかという御指摘でございますが、まさにその程度の額ではございますが、従来の配分額が十六億円程度でございましたことに比較いたしますと、この際約二倍ふやしまして、三倍程度になるわけでございまして、私どもとしてはかなり傾斜的な配分方法をとるというつもりで作業をいたしておるつもりでございます。
依田圭五
197
○依田
委員
局長、そういう言い方は少し無理ですよ。去年の衆議院の
附帯決議
というのは数回目ですよ。しかも具体的にきめておるわけです。 〔
委員長
退席、大石(八)
委員長
代理着席〕 それに対して、それにこたえる
措置
が今度の譲与税の配分方式だということは納得がいかないですね。私もアマチュアで頭も悪いけれども、牽強付会と言っちゃ失礼だけれども、そういうずいぶん無理な押しつけの話は私はとても通らぬと思います。大体
自動車取得税
だって、今度十九億の減収になるわけでしょう、十五万円に上げるから。そうすると、それが
大都市
分になおはね返ってくるわけでしょう。それだって減収として受け収めなくちゃならない。それから、まだ
法律
が通らない前に数式をきめるわけにいかぬから、省令内容をきめるわけにいかぬから遠慮しておるというのですけれども、そんなことは当然試算されて、そしていろいろ持ち回った上でもって
法律
が確定してくるわけでしょう。閣議に出すわけでしょう。そういう段階のものでもいいからどうかと私は申し上げているのでありまして、私の考えでは三十億なんていかないと思うのですよ。現に
自動車取得税
の十九億の
大都市
にはね返る四、五億の金を除いたって、三十億にいきませんよ。その中から差し引かなければならぬじゃありませんか。そうすると二十五億か六億、ぜいぜい三十億を頭に取ってもその程度。それを六団体で割ってごらんなさい、一つが何億になりますか。
道路
の舗装
費用
に換算して——これは建設省に聞きたいのだが、五億引くと二十五億、その二十五億を六で割って、それで
大都市
の
道路
が舗装と改良でどのくらいできますか、どうぞひとつ御答弁願いたいと思います。
北川博正
198
○北川
説明
員 いまおっしゃるように、総体で二十五、六億の数字でいきますと、改良と舗装とに分けまして考えますと、せいぜい改良で十キロ程度、舗装で十二キロ程度、それを六で割りますと、一キロ強ぐらいという数字になるのじゃないかと思います。
依田圭五
199
○依田
委員
局長、一キロちょっとだそうですよ、千メートル。指定都市の単位都市といいますか、一つの町で、大阪なら大阪、北九州なら北九州で、千メートル
道路
の改良なり舗装ができれば、
大都市
問題が片づいたことになるのですか。
松島五郎
200
○
松島政府委員
道路
譲与税の配分方法で
大都市
問題がすべて解決をしたというふうに考えているわけではございません。少なくともできるものから手をつけていきたいということで、さしあたって
道路
譲与税の配分方法を変更しようというわけでございます。なお、来年度の自然増収が
道路
譲与税全体で百億程度でございますので、そのうちで三十億をこえる額が
大都市
にふえるということは、私どもとしてはかなりの——絶対額はいま御指摘になりましたように必ずしも大きいというわけにはまいりませんけれども、相対的な割合からいえばかなり大きなものではなかろうかと考えております。 なお、
自動車取得税
を
免税点
引き上げ
によって減税する影響もあるではないかというお尋ねがございましたが、これはもちろん減税をいたしますならば
大都市
にも影響を及ぼすことは御指摘のとおりでございます。ただ、
自動車取得税
は今年度は七月から実施をいたしました関係上、三百九十五億円の収入見込みでございましたが、来年は六百五十億円程度になる見込みでございますので、その方面の増収もかなりございますので、総体としては昨年よりもはるかに
大都市
分につきましてもふえる見込みでございます。
依田圭五
201
○依田
委員
だめですよ、局長さん、そんなことを言っちゃ答弁になりませんよ。
自動車取得税
というものは去年からつくったのだが、六兆六千億円の、国がつくった四十六年までの
道路
五カ年計画の一環の中で、一般
道路
が三兆五千五百億円、有料
道路
が一兆八千億円、地方単独が一兆一千億円、こういうようにきめられて、地方単独の一兆一千億の原資として五年間で二千五百億、正確に言えば徴税費が百億ですから二千六百億、すなわち一兆一千億のうちで二千五百億手取り入ってくるのですよ。それについてことし、平年度化されたから満額お金が入ってくるわけで、去年は七月より実施ですから非常に少ない。平年度は当然五百二十何億なんですよ。徴税費を入れて五百五十五億だ。だからそれを引けば五百数億入るのです。入って当然なんですよ。入って六兆六千億円の五カ年計画が執行できるのですよ。それを、それが入ってくるからよろしいのだなんて、もう既定の計画の中にインクルードされておるものを——平年度化されたからふえてくるのですね、それを取り上げて、それが原資になるなんて、千メートルしか直らぬじゃありませんか。いま建設省のほうで言っておるでしょう。二十数億を六カ所で割れば、改良と舗装に直して千数百メートルだと言っておるじゃありませんか、その点どうなんですか。
松島五郎
202
○
松島政府委員
私どもでいま、指定都市から、来年度の
道路
関係経費がどの程度予算に計上されているか調べておりますが、四十三年度には
道路
関係経費が国道、府県道分で二百二十億程度でございますが、現在までに集計したところによりますと、四十四年度では二百五十六億程度の額になっております。これを
基礎
といたしまして、今回の
道路
譲与税の配分方式の変更、あるいは当然だとは御指摘がございましたが、
自動車取得税
等の自然増収をも加えますと、従来都
道府県
道、国道の事業費に対します目的財源の充当率が五五%程度でございましたものが、おそらく七〇%近くになるのではないかというふうに考えております。もちろんこれで問題がすべて解消しているというわけではございませんけれども、私どもといたしましては、とにもかくにも現在において講じ得る
措置
は具体的に一つでも二つでもとっていきたい、こういうことで
道路
譲与税の配分方法についての
改正
を考えておる、こういうことでございます。
依田圭五
203
○依田
委員
われわれは去年せっかく各党全部で全会一致でつけました
附帯決議
を、しかも具体的に四十四年度で解決してもらいたいと書きまして、ことしこそはと思って期待しておったわけです。千メートルや千数百メートルの改良率や舗装率のアップということで、一体指定都市の自動車の増加率、これをどういうように御理解になっているか知りませんが、私、東京だけしか知りませんけれども、毎月七、八千台ふえておるのですね。小一万ふえておるのです。それを、自動車の占有する
面積
を四平米にしたって、かけたら、ものすごい
道路
が必要になるわけです。八十四万キロも
市町村
道があって、その舗装率は五%以下なんですね。こういう現実でもって、
大都市
問題は
道路
だけじゃありませんが、せめて
道路
ぐらいはことしは解決をしてもらいたいというような気持ちがあったと思うのです。それに対するお答えとしてはまことに話にならぬ対策である。こんなものは
大都市
政策でも何んでもないと思うのですが、あなたのほうはできるだけのことをしていくのだ。まあぼつぼつやっていくのだ。そうすると、われわれとしてはまたことしも去年と同じように、あの
附帯決議
をそのまま文章を写して、もう一ぺんくっつけてやっていく。来年度には具体的に解決してもらいたい、こういうようなことを何回か繰り返していくようなことに相なるわけですが、局長ひとつ、その点どういうような御意見ですか。
松島五郎
204
○
松島政府委員
道路
財源の問題でございますが、
道路
財源と申しましても、特定財源であります
道路
譲与税なりあるいは軽油引取税、交付金だけで五
大都市
ないしは六
大都市
の事業が行なわれているわけでは必ずしもございません。こんなことは申し上げるまでもなく御承知でございますけれども、国庫補助等もございます。国道の場合は国庫補助は四分の三でございますか、あるいは街路事業の場合は三分の二というような補助がございますので、実際の三十億はその二倍ないし三倍に働いていくわけでもございますから、私はやはり三十億をこえる財源の増強というものは、かなり
大都市
の財政にも貢献し得るものと考えております。もちろん何度も申し上げますように、これだけで
大都市
問題が解決するというふうに申し上げているわけではございません。私どもといたしましては、今後も引き続き具体的方策が考えられる限り努力をいたしてまいりたいと考えております。
太田一夫
205
○太田
委員
ちょっと関連して。
大都市
財源の話ですが、自画自賛のように見えますが、
道路
譲与税を少し補正したからいいじゃないかというお話ですけれども、今度建設省の所管である交通安全
施設
等
整備
促進法でしたか、この
法律
の正確な名前を忘れましたが、今度新たに三カ年計画が立てられるのでありますが、その際に、
自動車取得税
並びに交通反則金を原資として交通安全
施設
というものを地方単独でおやりなさい、いわゆる補助対象からはずす、補助事業にはしない、こういうことになりましたね。 〔大石(八)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 これはあなたのほうは御了承済みでございますか。
松島五郎
206
○
松島政府委員
交通安全対策特別交付金の問題は、私ども直接所管をいたしておりませんのでお答えできかねますが、
自動車取得税
につきましては、これは
道路
の
費用
に充てることになっておりますので、
道路
の一部をなしますたとえばガードレールをつくるというようなもの、これは
道路
じゃないのだから
自動車取得税
の対象にしないというわけにはまいりませんので、そういう意味で、
自動車取得税
も場合によってはそういった
施設
に充当し得るものというふうに考えております。
太田一夫
207
○太田
委員
歩道をつくるというのは補助事業にしよう。しかしガードレール、それから防護さくあるいは標識、交差点のすみ切りというような事業は全部地方単独でやりなさい、こういうことになった。その金額は、ここに資料を持っておりませんのではなはだ恐縮でありますが、相当多額にのぼる地方単独事業、それも法案ができて、今度建設省の建設
委員会
でなくて、交通安全対策特別
委員会
のほうへ付託されておるというようなわけです。ですから、これは
大都市
の財源という問題と無縁のものではなくて、
大都市
は非常に安全
施設
を
整備
しなければなりません。ですから少々
自動車取得税
がふえるとか、反則金がふえるとかいうことがあるからといって、交通安全
施設
を
整備
しなさい、
大都市
の
道路
改良もやりなさい、それから
大都市
として必要とする各種の財源にも充てなさいというようなことは、これはとても間に合わないのではないでしょうか。だから私がお尋ねしたいのは、交通安全対策の地方単独事業としてはずされたものの財源をあなたのほうは御了承済みであったのか、地方単独の事業として
負担
するものの財源を御了承済みであったのか、そこをお尋ねしておきたい。
松島五郎
208
○
松島政府委員
そういう形で私どもまだ御相談を受けた記憶はございませんが、ただ
自動車取得税
にいたしましても
道路
の目的財源でございますから、
道路
の目的財源という
範囲
内に限られる限りは、これを安全
施設
だから絶対使ってはならぬというわけにまいらないのではなかろうかというふうに考えます。もちろん、ただいま御指摘のございましたように、安全
施設
の
整備
でありますとか、あるいは
道路
の改良事業でございますとか、
道路
に関する経費は
増高
の一途をたどっておりますので、これについての財源を強化するという方向はもちろん考えていかなければならぬと思いますけれども、そのことが直ちに現在の
自動車取得税
のようなものを安全
施設
のいかなる部分にも充ててはならないということにはならないというふうに考えております。
太田一夫
209
○太田
委員
いや、私の言うのは、この
取得
税を安全
施設
に充ててはいけないということを言っているわけじゃないのですよ。そのことは当初から了解済みのことで、当然のことですからいいですよ。いままでは補助事業であったのが全部地方単独事業になった。補助金がなくなってしまうのだから地方持ち出し分が多くなるじゃないか。その割合に反則金がふえておりませんね。ことしの予算では反則金はあまりふえない、予想以下です。
取得
税はふえるかということも、最近の自動車登録の状態から見ると頭打ちに近いでしょう。伸びが少ないですよ。中古車の五万円の
免税点
の
引き上げ
が相当数ひっかかるから、ほとんど大多数これによって免税になってしまうという点を考えると、交通安全
施設
等に地方単独事業として出す
費用
というものは足らないのではないか、まかない切れないのではないか、一般財源から相当出さなければならないのじゃないかということをお伺いしておるわけです。ですから、
負担
区分の原案作成にあたっては大蔵、建設、自治の間では完全な意見の一致があったのですか、それを聞いておるのです。
松島五郎
210
○
松島政府委員
その点については、私のほうの財政局がいろいろ協議をいたしておると思いますので、後日財政局長からお答えさしていただきたいと思います。
太田一夫
211
○太田
委員
そうすると税務局長、あなたは
大都市
財源拡充のためだとか、地方の住民の
負担
の均衡をはかるとか、いろいろなことばがありましたが、財政と無関係に税制というのは
改正
されているのですか。そんなものではない。税制と無縁のものではないですよ。これは一緒じゃありませんか。不可分のものでしょう。あなたが大ワクの中で作業をされたということなら、きょう大臣のかわりに次官が来ていらっしゃるから、次官から総体的な考え方を承っておきたい。財政のことは知らない、補助金がくるこないなんて、そんなことは知らない、こちらはこちらだけで減らしたいものは減らすのだ、ふやしたいものはふやすのだということではないと思うのですが、どうですか。
松島五郎
212
○
松島政府委員
私の申し上げましたのは、そういう意味で申し上げたのではございません。
大都市
の財源あるいは
市町村
の
道路
目的財源というような問題については、もちろん私どもその強化
充実
に努力をいたしておりまするけれども、ただいま御指摘になりました交通安全
施設
についての財源をどうするかということになりますと、単に
自動車取得税
だけの問題でございませんで、一般財源としての交付税なりあるいはその他の財源というものも当然考えられるべきものでございますので、その辺につきましては財政局長からお答えをさしていただきたい、こう申し上げたわけでございます。
横手正
213
○横手
説明
員 交通安全
施設
の
整備
事業計画について御
説明
申し上げまするが、
昭和
四十四年度から三カ年の新しい三カ年計画が策定される予定になっております。といいますのは、国庫補助事業につきましては一応
道路
管理者分並びに公安
委員会
分合わせまして約七百五十億円きまっておりますが、単独事業につきましては、
地方団体
の実施計画の
報告
を待ちまして総額をきめてまいりたい、こういうことになっております。 なお、四十四年度におきましては、とりあえず
道路
管理者分の単独事業費はおおむね三カ年間に三百億、それから公安
委員会
分はおおむね百億程度あるものと一応見込みまして、それぞれ三分の一程度の単独事業を見込んでおります。 それからなお反則金関係ですが、これは四十四年度百十七億円見込んでおりますが、これはこの三カ年計画のワク外で考えてまいる、こういう予定になっております。それから、本来の交通安全
施設
の
整備
三カ年計画に伴います地方
負担
でございますが、これは交付税の基準財政需要額で算入する、こういう
措置
を考えております。
太田一夫
214
○太田
委員
財政当局がいらっしゃるなら、もうちょっと伺いたいのですが、基準財政需要額に入れたって、不交付団体なら何ら意味をなさない。だから、いま
大都市
財源の問題に起因して私はお尋ねしているわけですから、
大都市
がそういう需要にこたえられないというような貧弱な財政になっちゃ困るから、税務、財務の両方の担当者は十分な連絡の上で、
負担
するところは
負担
をする、減税するところは減税する、見積もるところは見積もるということになっているだろうということをお尋ねしているわけですね。百三十億の地方単独事業というのは補助対象にならない。全部持ち出しだ。そのほかにまた七百五十億の半分というのはおそらく地方で
負担
しなければならないでしょう。そういうことも考えると、そういう需要にこたえられる
大都市
財源というものの確認があるでしょうか。特に
大都市
の財政で三十億ふやしたからだいじょうぶという話に対して疑問を持ったわけですね。その点もう一度。
横手正
215
○横手
説明
員
明年度
の
道路
整備
関係の財源
措置
でございますが、実は
明年度
の地方
負担
額は、補助、直轄関係におきましては都
道府県
、
市町村
合わせまして千九百億余り、単独事業につきましては三千二百七十億円余り、合計いたしまして五千百億程度の地方
負担
が予想されるわけでございます。これにつきまして財源といたしましては、軽油引取税でございますとかあるいは
自動車取得税
、交付金あるいは
都市計画
税の一部、地方債、こうしたものを財源として充てておりますが、基準財政需要額におきましても
明年度
は大幅な増額を見込む予定にいたしております。なお
大都市
分を取り上げてみますと、
明年度
は補助、単独合わせまして、地方
負担
総額でございますが、おおむね五百億余りになろうかと思われます。四十三年度と比較いたしますと百五十億円余りふえてまいる、こういうかっこうになってまいります。この財源
措置
でございますが、基準財政需要額においてもちろんこれに見合っただけの財源
措置
を講じますとともに、その他の特定財源の伸び、これをもって十分充てられる見込みでございます。
依田圭五
216
○依田
委員
最後に一点、これは政務次官にお聞きします。 料飲税と十二カ月払いに関連をしてお聞きするのですが、料飲税を税調が答申しておらぬですね。答申しておらぬのに、国民のたいへんな不評を買って、あえてこういう手直しをするということは私どうも納得できないのですが、税調の答申を一体どういうように理解したらよろしいか。税調の答申はできるだけ尊重する、それにないようなものは、あまりかわったことはできるだけ遠慮する、こういうのが基本姿勢であると私は思っているのです。またその種のことを総理も税調に行ってあいさつをして——私は速記録を読んでおりませんが、言っておると思うのです。答申にないものをこういうぐあいに度胸よく、料飲税の一本化と、お題目はともかくとして、
税率
を引き下げて特定の階層に対して保護を与える。 もう一点は、十二カ月にするといっても一体メリットは何か。トータルはちっとも税金は下がっておりません。ただ単に重税感を緩和するために十カ月を十二カ月にするんだ、こういうような政策はあまり長く繰り返すと、だんだんに信頼を落とすのではないか、こう思うのですが、あまりにもこそくな方法じゃないか。なぜもっと生活保護費——午前中から私が言っておりますように、あるいは基準生計費、
課税最低限
に三十万円くらいの格差のある
地方税
の重税、こういったものになぜ手を回してもらえないのか。三十三億の減収になる、そういうものをこんなところで考えないで、ひとつ他のほうから考えてはどうだ、こういうように思うのですが、何か選挙減税だとか圧力減税だとか、私はあえて言いませんけれども、御答弁をいただきたいと思います。
砂田重民
217
○砂田
政府
委員
料飲税の問題につきましては、特に
税率
のことのお尋ねであろうと思いますが、税制調査会から御答申をいただきましたものを、税調の御意見を尊重して忠実に実行していくという基本的な考えは、私も全くそのとおりに承知をいたしております。ただ、税制調査会から答申のなかったものにつきましても、懸念
事項
等について不合理なまま長い間続いているようなものにつきましては、やはりこの機会に
改正
をさせていただきたい、こう考えたわけでございます。一部特定の階層と申しますか、そういうところだけに対する減税という考え方で私どもございません。御承知のように、料飲税の二つの
税率
があるということは、徴税技術上たいへん不合理な状態が長い間続いてきております。二つの
税率
があるということがむしろ不公平をさえもたらしている。また御承知のような非常にいいかげんな公給領収証の扱いということの一つの原因にもなってきておる。こういう不合理を何とか解決したい、これは自治省の長い間の懸案
事項
でございましたので、そういう
合理化
をはかってまいりたいという考え方から
税率
の一本化を今回御審議をいただくわけでございます。 それからもう一つ、十二カ月の問題でございます。これはもちろん八百七十億のワクの中に入れてはおりません。このことをもって私どもは減税、減税と申しておりません。何か、十二カ月に割って
徴収
いたしますことがごまかしであるというふうなおことばがございました。おことばを返すようでたいへん失礼ではありますけれども、私どもはこれを減税とは決して申してもおりませんし、そういうふうにも考えてもおりません。ただ一回、四十四年度でこれの
改正
ができましたならば、それであとそのまま、そのとおり続いてまいるわけでございます。やはり
納税者
の側からする
負担感
というものを緩和する
措置
というものが決してマイナスの
措置
ではないであろう、私はこういうふうに考えるわけでございます。
依田圭五
218
○依田
委員
何も十二カ月が減税にならぬからという意味で私も申し上げておるのではないのです。確かにメリットはあると思います。ともかく四月、五月は
地方税
はない。六月になると急にふえる。しかしある意味において、そういう税の
負担
のしかたは、四月、五月は、たとえば子供が入学するとかなんとかで家計も
負担
がふえるときだという意味で——いまの子供は社会科でもってたいへんなところを教えておりますからね。レベルは高いわけです。ですから全体をこまかく切ったから一カ月の
負担
が軽くなった。これは重税感の緩和ということが——重税とは言わないけれども、重税感の緩和ということが必ずスローガンにうたってあると思うのですよ。ですから、メリットがないとは言わぬ。しかし、それほどの力を入れてやるほどのことでもなかろう。六月以降確かに税金が高い。
地方税
は高い、そういう考えを持つのは確かです。しかし四月、五月はないのですから減るのですよ。だから、この問題、もう少し突っ込んでいけばボーナスにも手をつけなければならない、前年度の
課税
方式にも手をつけなければならぬという問題も発生するでしょう。こういう問題を、料飲税に手をつけるというような重大な法
改正
と一緒に並べてお出しになる、こういうことが私は解せないのですよ。もし料飲税に対してどうしても手をつけるというならば、なぜ税調なりに諮問するなり何なりして、全国の学識経験者を時の
政府
が委嘱をして、衆知を集めておるのですから、そういう機関にこれを訴えて、日本の料飲体系なるものが一体いかにあるべきかということを、一年ぐらいおいてもやればいいじゃありませんか。そういうことをやらずに、税調にないものをどんどん時の
政府
が必要に応じて、これは
提案
権があるわけですから、何をやってもかまわぬわけですが、そういうことを、国民全体の不信を買って——マスコミにおいて読売が一々何を言っておる、毎日が日経が産経がどういつでおるということを私は言いません、ここに資料がありますけれども。ほめておるところは一つもない。それを時の
政府
があえてそういうことをやる。せめて税調の答申の裏づけでもあればいいとぼくは思うんですよ。都合のいいところはどんどん諮問する、そうでないことは抜き打ちにやる、こういうことでは、今回御
提案
になりました法の
改正
の内容についても、私の割り当ての時間はオーバーしておりますから、これ以上遠慮しますけれども、とても納得ができない、こう思うわけなんです。最後に御意見を聞きまして私の質問を終わりたいと思います。
砂田重民
219
○砂田
政府
委員
先ほども申し上げましたように、税制調査会というものの権威は十分承知をいたしております。ただ、料飲税の
税率
一本化は、自治省といたしましてもあるいはまた各府県といたしましても、長年の間の懸案
事項
でございまして、これはくろうとの依田先生よく御承知のことでございますが、徴税事務の係のほうは長い間苦労を重ねてまいってきておりますので、そういうことからこれを
合理化
をしたい、それだけの考えで実は御
提案
申し上げたようなことでございます。
依田圭五
220
○依田
委員
じゃ、これで終わります。
鹿野彦吉
221
○
鹿野委員長
次回は、来たる十八日火曜日午前十時から
理事
会、十時三十分から
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十四分散会