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1969-03-07 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月七日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    小渕 恵三君       岡崎 英城君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       山口シヅエ君    井岡 大治君       太田 一夫君    川崎 寛治君       河上 民雄君    野口 忠夫君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席政府委員         自治政務次官  砂田 重民君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         農林省蚕糸園芸         局総務課長   山下 一郎君         農林水産技術会         議事務局研究参         事官      川井 一之君         水産庁調査研究         部調査官    林  知夫君         運輸省海運局参         事官      須賀貞之助君         自治省行政局振         興課長     遠藤 文夫君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 三月七日  委員桂木鉄夫君及び河上民雄辞任につき、そ  の補欠として小渕恵三君及び川崎寛治君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員小渕恵三君及び川崎寛治辞任につき、そ  の補欠として桂木鉄夫君及び河上民雄君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関する請願安宅常彦紹介)(第一五八六号)  同(石田宥全君紹介)(第一五八七号)  同(稻村隆一君紹介)(第一五八八号)  同(小川三男紹介)(第一五八九号)  同(大柴滋夫紹介)(第一五九〇号)  同(岡本隆一紹介)(第一五九一号)  同(川崎寛治紹介)(第一五九二号)  同(川村継義紹介)(第一五九三号)  同(河上民雄紹介)(第一五九四号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第一五九五号)  同(只松祐治紹介)(第一五九六号)  同(中井徳次郎紹介)(第一五九七号)  同(中村重光紹介)(第一五九八号)  同(長谷川正三紹介)(第一五九九号)  同(堀昌雄紹介)(第一六〇〇号)  同(三木喜夫紹介)(第一六〇一号)  同(村山喜一紹介)(第一六〇二号)  同(森義視紹介)(第一六〇三号)  同(森本靖紹介)(第一六〇四号)  同(久保田鶴松紹介)(第一六〇五号)  同(井上普方紹介)(第一六七七号)  同(石野久男紹介)(第一六七八号)  同(伊賀定盛紹介)(第一六七九号)  同(猪俣浩三紹介)(第一六八〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一六八一号)  同(板川正吾紹介)(第一六八二号)  同(枝村要作紹介)(第一六八三号)  同(太田一夫紹介)(第一六八四号)  同(唐橋東紹介)(第一六八五号)  同(木原実紹介)(第一六八六号)  同(栗林三郎紹介)(第一六八七号)  同(小林信一紹介)(第一六八八号)  同(神門至馬夫君紹介)(第一六八九号)  同(佐々栄三郎紹介)(第一六九〇号)  同(下平正一紹介)(第一六九一号)  同(中谷鉄也紹介)(第一六九二号)  同(浜田光人紹介)(第一六九三号)  同(柳田秀一紹介)(第一六九四号)  同(依田圭五君紹介)(第一六九五号)  同(井上泉紹介)(第一七三八号)  同(大原亨紹介)(第一七三九号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一七四〇号)  同(華山親義紹介)(第一七四一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一七四二号)  住居表示に関する請願(林百郎君紹介)(第一六七六号)  ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する請願田畑金光紹介)(第一七四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月六日  社会保険等関係職員地方自治体職員身分変更に関する陳情書(第一七六号)  三沢市に対する基地交付金増額に関する陳情書(第一九一号)  点字による直接請求の署名に関する陳情書(第一九二号)  地方公共団体超過負担解消に関する陳情書(第一九三号)  地方税における青色事業専従者完全給与制実施に関する陳情書(第一九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)      ――――◇―――――
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 きのう、振興計画の内容の第二条と六条の関係で、六条の二項の一に「奄美群島における産業振興のため必要な試験研究施設整備事業」これをどういうようにやったか、こういう私のお尋ねに対して、長野さんは、農林水産土地改良蚕糸、こういうようなものをやったというようにお答えいただいたのですが、間違いありませんね。
  4. 長野士郎

    長野政府委員 どういう試験研究機関があるかというふうなお尋ねと思いまして、いま奄美群島にございます主として県の試験研究機関でございますが、それを申し上げたわけでございますが、御指摘になりましたように、奄美群島試験研究施設整備につきまして、復興事業振興事業両方施設整備を行なっている状況を簡単に御説明申し上げますと、農業試験場大島支場というのがございますが、これは復興事業におきまして土地購入、それから一般施設試験用施設土地改良等を行ない、さらに振興事業におきまして機械化農業センター家畜飼育経営改善施設特殊病害虫対策施設ライシメーター等を備えつけました。それか林業指導所につきましては、復興事業におきまして土地購入と建物、研究施設等を整えました。それから水産試験場大島分場は、復興事業におきまして指導船の建造、実験標本室沿岸調査船熱帯魚飼育施設加工場及び漁具倉庫等について施設整備をいたしました。
  5. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、農林水産試験設備重点を置いた、こういうように理解していいですか。
  6. 長野士郎

    長野政府委員 法律に書いておりますように、施設整備ということが中心になると思われますので、そういう施設整備重点を置いたわけであります。
  7. 井岡大治

    井岡委員 第一条の本文との関係そういようにはなっていない。少なくとも施設をつくる以上は、その施設から得た成果住民に施す、それが私はやはり振興だと思うのですが、その点どうなんです。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 全体としてはまさにそのとおりでございますが、国が助成をいたしまして整備いたします事業の中に、御指摘のございました六条の二項で特記しております整備事業関係をいまは申し上げたわけであります。もちろん施設整備をいたすのは、整備だけでとどまるものではございません。御指摘のようにその施設によりまして、これは県の試験場でございますが、試験研究を行ないまして、その成果奄美群島復興及び振興、主として農林水産業関係でございますけれども、それに成果があうわれるようにする、これはもう当然のことでございます。
  9. 井岡大治

    井岡委員 私は国の問題と県の問題とについては分けて考えたいと思っておるのです。しかしこのことはあとお尋ねをしたいと思う。いずれにしても、復興事業にしたって振興事業にしたって、その成果というものが住民に与えられて初めて振興事業であり、措置法であると私は思うのです。ですから、この間から局長お話を聞いていると、こういうようにやりました、やりましたという話ばかりで、いままで三百八十億からの金を使っておる、これから二百八十億を使う、それじゃ私はほんとうの第一条の目的とはおよそ縁遠いものになってしまうと思う。そういうように思いませんか。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 国としてどういう事業を行なったかということについては、こういう事業を行なったということを申し上げるわけでございます。その成果法律制度上期待しておるほどにあがっておるかということになりますと、当初は五カ年計画で大体所期の目的は達せられると思って努力をいたしたつもりでございますが、なおまだ群島経済の自立が十分でない、そしてなおその間に本土経済成長もございますし、このままほうっておけば格差が開くおそれもあるということでございますので、さらに五カ年延長さしていただきまして目標達成努力したいということでございます。したがいまして、現在までのところ十分いままでの制度法律が期待したほどの目標まで達成してないということは、御指摘のとおりだと思います。
  11. 井岡大治

    井岡委員 私はあなたを、どういうのですか、いやがらせを言ったりとっちめたりという気持ちで言っているんじゃないのです。奄美大島という群島が長い間放置されておった、ようやく二十九年から返還されて、復興しなければいけない、そして本土住民との生活格差というものをなくしよう、こういう意味で私は法律がつくられたんだと思うのです。そうであるとするならば、つぎ込んだ予算がどのように成果をあげておるかを管理あるいは指導をするのが役所じゃないですか。そう思いませんか。十一条に「振興計画に基づく事業予算に関する見積り及び予算執行に関する国の事務は、自治省において掌理する。」この「掌理」というのは、あなたはどう解釈しているのですか。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 この十一条は、振興計画に基づきますところの予算の見積もりなり予算執行という、国の関係、これはほうっておきますと各省にまたがる事業が入るわけでございます。これを総合的に、いわゆる奄美方式と申しますか、一括方式ということで、それは自治省でつかさどって実施する、こういうことでございます。
  13. 井岡大治

    井岡委員 そうでしょう。自治省指導する、執行する、こういうことでしょう。そうすると執行したものがどのように成果があがっておるかということを、私はここで発表されてしかるべきだと思うのです。それはいままで発表されておりますけれども、私はそれは基本的な第一条の目的に必ずしもはずれておるとは思いませんけれども、少なくともよほど第一条というものとの——基礎的なものだ、こういうふうに、私はいいように解釈しましょう。ですからあらためて五カ年を延長するんだというようにお考えになった、こういうように理解していいですよ。いいですが、少なくとも第六条の二項で、あなたは予算をほとんど県にまかせ切りなんです。少なくともこの施設研究とか整備というものは、私は、単に県にまかしただけで事足れりとは思わない。ですから法律も、後段を読みましょうか。「予算の範囲内で、その全部又は一部を補助することができる。」と書いてある。開発をするということであれば、またその開発研究しあるいは試験をする、その成果というものを住民に得せしめるということであるとするならば、私は単に研究であってはいけないと思う。だから県にまかしてはいけないと思う。そう思いませんか。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 御指摘の点のお話意味は私もよくわかりますが、奄美群島復興計画あるいは経済計画につきまして、自治省としてももちろん責任があるわけでございます。また鹿児島県、市町村相提携してこれを行なうということで、試験研究施設につきましては、そこで振興事業なり復興事業目標としておりますものを達成いたしますために、施設整備だけにとどまるものではもちろんございません。これについての試験研究目的でございますし、またその得られました新しい技術なり手法というものか住民に普及していかなければならない、これは当然のことでございます。その点につきましては自治省としては、正直に申しましてこれは県の農業行政の一環として振興計画に従ってやってくれということでやっておることであることはそのとおりでございます。私どもにも多少の印象気持ち意見はあるのでございますが、いままで大島支場がやっておりますものを見ますと、さっき申しましたような施設との関連もございまして、特殊病害虫調査でございますとか、飼料作物試験あるいは水稲の品種選定試験黄菜品種選定試験、バレイショの肥料の試験、あるいはポンカンのすあがりの実態調査、あるいはサトウキビの矮化病というのですか、その試験をいたす。あるいは糖業試験揚につきましてはサトウキビ栽培試験あるいは機械化試験病害虫試験施肥試験林業指導所におきましては種苗の生産とか配布、技術研究、普及、シイタケの品種とか土壌の検査とか、成果のほどにつきましては御指摘の点は確かにあると思いますが、とにかくそういう形で努力関係機関みな一生懸命いたしておる。十分でないという御指摘は、私も実はそういう印象を大いに感じております。
  15. 井岡大治

    井岡委員 感じておるということですかう、あえてその問題をさらに追及しようとは私は思いませんけれども、あなた方は少し七条にこだわり過ぎていると思う。盛んに審議会審議会、こういう答弁がこの間かう出ておった。七条にこだわり過ぎておる。あなた方はそれだけさいそが豊かじゃないと思うのですよ。出して、あとは自由にやりなさいというほど、自治省はさいふが豊かじゃないと思うのです。もしそうだとするならば、私は自治省行政指導というものについてまた別の考え方を持ちます。そうでしょう。かなりきびしいでしょう。そう思いませんか。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 おっしゃいますとおり、さいふは決して豊かじゃございません。予算できびしい統制を受けております。したがいまして、振興事業にいたしましても、この振興計画に乗りました事業だけで完成するというわけではございません。これに県の一般行政かう入ってきます行政的な投資あるいは経費、あるいは市町村のそういう行政かう入ってくるものあるいは団体のそういう活動、あるいは民間の活動、こういうものが全部一つ復興事業振興事業に結びつくということがもちろん必要だと考えております。そういう意味で、試験場につきましては、施設整備は国が助成をいたしまして、そして技術者あるいは研究テーマ、こういうものにつきましては県が一般試験場という観点と、それから奄美振興事業、それかう亜熱帯の特殊な気象、土壌に合う、そういう関係試験研究技術向上というものをやる、こういうことで両々相まっていくという体制でございまして、決して私どうのほうが全部やれるというものでもございません。御了承をいただきたいと思います。
  17. 井岡大治

    井岡委員 そこのところに私とあなたの考えの違いがあるのですよ。私は法律の一条というものはそういうものじゃないじゃないですかと、こう言っている。法律の一条を一ぺん読んでみてください。奄美群島という特別の地域に対して特別の振興措置を講ずるのがこの目的じゃないのですか。そうだとすると、県というものを主体にしてものを考えるのでなくて、奄美群島というものを主体にして考える、それがこの法律の発想じゃないのですか。そう思いませんか。
  18. 長野士郎

    長野政府委員 もちろんそのとおりでございまして、奄美主要産業育成振興をはかりまして、住民生活の安定をするということでございますけれども行政手法として、国がどれだけのものを分担をし、市町村がどれだけのものを分担し、府県がどれだけのものを分担し、そうして結局は住民のそういう生活安定というものの目的行政の側面から手助けをし応援をしていくかという一つ手法として、この場合は振興計画の案を知事が作成をして提出をするというような形になっておりますのは、現在の行政技術なり能力なり、いろいろな観点からいいまして、やはり総合開発的なことになりますと、奄美群島全体を一応とらまえまして考えていくということになると、県で一つの原案をつくっていくという体制をとらざるを得ない。それから国と結びつき、市町村なり住民と結びつく、こういうことでございます。したがって住民が直接の活動あるいはそういう自力復興についての直接の主役であるということは先生指摘のとおりでございますけれども行政を展開していく手続なり段取り、手法というものがそういう形をとっておる、こういうことに御了解をいただきたいと思うのでございます。
  19. 井岡大治

    井岡委員 ここで論議をしていても始まりませんから、じゃ一つだけ聞きます。鹿児島県庁の中で奄美群島に対する所管をする課というのは何ですか。
  20. 長野士郎

    長野政府委員 離島振興課という課がありまして、そこで奄美群島振興事業についての所管をいたしております。
  21. 井岡大治

    井岡委員 ですから私は言っているのですよ。あなたはきのうも、太田さんか山口さんか言ったら、離島振興ということで一般的普遍的に、九州にはたくさんな島がありますからなんて、ぬけぬけと言っておいでになる。少なくとも特別措置としてつくった法律のためには、少なくともこれを担任をし専任をするという機構でない限り、あなた方は監査しようとしたって監査をできない、指導しようとしたって指導できない、結局は向こうにまかしてしまう、そういうことになるのですよ。そう思いませんか。そうしたら、おそらくこれを扱っているのは離島振興課の係でしょう。そこが一切の決裁権を持っていますか。どうです、それは。
  22. 長野士郎

    長野政府委員 鹿児島県の行政組織としまして、離島振興課というのは、鹿児島県も非常に離島の多いところでございますから、鹿児島県政としては非常にウエートのかかっておる重要なセクションだと私ども思っております。その中でも、私どもから見るからということもあると思いますけれども奄美群島につきましては、特別なこういう総合的な振興事業として一元的な一括方式ということでやっておりますから、離島振興課の中でもむしろウエート奄美振興のほうにかかっておるといってもいいような状況だと私思っています。
  23. 井岡大治

    井岡委員 そんな押し問答をしてもしかたがない。じゃ離島振興課の課員は何人ですか。一般論じゃだめですよ。
  24. 長野士郎

    長野政府委員 離島振興課は十二人であります。その中で係員だけでいいますと、奄美振興係が五人でございまして、他の離島関係が四人でございます。
  25. 井岡大治

    井岡委員 そこで問題は、私はあらためてこの点については次官お願いをしたいと思うのです。いまお聞きになられたように、少なくとも特別措置法をつくって、そしてそのために特別の予算を組んでおやりになる。そうであるとすれば、この法律による受益というものが住民一帯に及ぼされるように考えていくのが私は行政だと思うのです。事務的に考えていけば、県庁の中にあって組織がこうなっておってと、それで済みますけれども、私はそれじゃ政治じゃないと思うのです。政治というものはやはりもっと大所高所から法律に基づいてやっていく、こういうふうに考えるのですが、そういう意味で、ぜひこの点について次官の十分御配慮をお願いをしておきたい、こう思います。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 いま県の組織ということでお話がございましたので、離島振興課のことを申し上げたのでございますが、実は奄美につきましては鹿児島県は奄美支庁というのを持っております。そして奄美支庁職員は百六十七人おります。百六十七人と申しますのは、復興事業以来地方事務官として、現在は県の吏員に切りかわっておりますけれども奄美振興事業にもっぱら取り組んでおりますものが、全体としては三百人くらいおりますが、百六十七人の現地の相当大きな機構を持っておりまして、実質上はそのところで計画の基本的なデータ、それから実施の実際の手順というものの責任を負っております。それを離島振興課で受けとめましてそれが自治省関係を持つ、こういうかっこうでやっておりまして、私どもとしましては、相当大きなウエートをかけて振興事業にはまっこうから取り組んでおるというふうに考えていただいていいんじゃないかと思っております。
  27. 井岡大治

    井岡委員 どうしてもあなたは私とけんかしたくなるのですね。ちょっと待ってください。次官のほうはあとで聞きます。私とけんかしようというのだったら私はやりますよ。  じゃもう一つ聞きます。県の予算は何ぼですか。鹿児島県の全体予算は何ぼですか。そしていままで奄美群島に使った国庫かう出しておる金、これはどのくらいのウエートを持っていますか。あなたがそういうことを言うのだったうそこまでいきます。私は言いたくないからもうこのくらいでやめておこうと思っていたのですが、そこまで言うのだったらいきますよ。
  28. 長野士郎

    長野政府委員 鹿児島県の規模は大体七百億ぐらいあるわけでございます。鹿児島県から奄美群島に入っております金というものにつきましての全体ははっきりいたしませんが、四十年の計算でございますと、いろいろなものを合わせまして大体八十五、六億というものが入っております。
  29. 井岡大治

    井岡委員 そこで、先ほど言うように、私はこの問題をほじくり出してどうしようというのでなくて、どうしたらこの法律に基づいて支出した国の金がその住民に喜んでもうえるか、そのことを考えての質問ですかう、あえてこれ以上私は言おうと思いません。思いませんけれども、やはりあなたの考え方には少し事務的な考え方があるんじゃないか。少なくとも問題は、法律それ自体が政治的に取り扱った法律ですかう、これは刑法のような法律じゃないのです。右を歩いてはいかぬというのを右を歩いた、それだけのものじゃないのですよ。どうしたら本土住民との格差というものをなくせるかということで特別措置法というものをつくっているわけです。ですからその法律に基づいた措置というものをどのように管理監督をし指導していくかということが私は行政責任者としての責任じゃないか、こう思うのです。そう思いませんか。ですからもうこの話はやめます。  そこで、次官ひとつお願いいたします。
  30. 砂田重民

    砂田政府委員 井岡先生から奄美試験研究機関が不活発であって住民福祉に役立っていない、これを例に引かれまして、奄美振興の問題は鹿児島県まかせにしておいてはいかぬという御意見でありますが、私も自治省へ参りまして奄美関係の話を役所から聞いてみましても、井岡先生が受けられますような感じを受けないものでもございません。ただこの法律も、これはへ理屈を言うわけではございませんが、鹿児島大島郡の振興目的にいたしております。やはり地方自治という角度から考えました場合に、自治省としての口出しはどこまでが許されるのか、どこまでは積極的にしなければいけないのか、いろいろ法律でもきまっておるところでもありましょうけれども政治判断が必要なことであろうと思います。いま井岡先生一つの例に引かれました試験研究機関の不活発の状態は、私も同じ感じを受けます。こういうことにつきましてはひとつ積極的に自治省口出しをさせていただきたい。またそういうふうにしてまいりたい。農林省の協力も得ましてそういう方向で積極的に口出しをしてまいる、そういう政治判断でやってまいる、とう考えます。
  31. 井岡大治

    井岡委員 そこで、農林省はお見えになっていますか。——いまお聞きのとおり、いろいろな試験場土地改良とかなんとかをおやりになった、こういうことですが、あの土地で、改良した後どういうものが作物として適当か、こういうことを発表されましたか、あるいはそういうように指導されましたか。ただ研究だけですか。この点ひとつ……。
  32. 川井一之

    川井説明員 農林省技術会議仕事といたしましては、やはり産業開発のために必要な技術の確立をはかるといろ問題につきまして、国及び都道府県が協同して仕事を進めておるわけであります。ただいまいろいろお話がございました関連におきまして、農林水産関係の最近における研究の動きを若干御説明いたしたいと思います。  奄美群島農林水産関係試験研究指導助成につきましては、鹿児島県に対する指導助成の重要な一環として行なっておる状況でございます。先ほども御説明がございましたように、振興特別措置法の施行に伴いまして鹿児島県の大島支場の設置が行なわれたわけでありますが、さらにそのほか、家畜の飼育の経営改善の施設とか土地病害虫の対策の施設あるいは機械化の農業センターというようないろいろな施設が行なわれております。それと並行いたしまして各種の試験研究指導助成が行なわれているような状況であります。農業関係といたしましては、たとえばポンカンとかパパイヤというようなものがございますが、これには地元にミカンコミバエという害虫がございます。この防除が非常に重要な問題になっておりまして、これにつきましては国の研究機関、特に九州の農業試験場が協力いたしまして薫蒸による防除という技術を一応確立して現場に普及いたしております。その結果ポンカンとかパパイヤというもののミカンコミバエの防除はかなり効果があがっているということで、それらが内地に送られるというような状況にもなってきておるようであります。さらにこのミカンコミバエにつきましては、最近でございますけれども、ある化学誘引物質、化学成分でもってミカンコミバエの雄を吸引するわけであります。そういう雄を吸引する物質をヘリコプターでまきまして、それで雄を集めて一ぺんに殺してしまう。これは非常に新しい技術でございますけれども、最近この新しい技術を現地に適用できるかどうかという試験も行なわれております。  それから畜産関係につきましては、今後やはり当地帯の振興の重要な柱ということでございまして、この肉畜につきましては、飼料資源というものをどういうふうに拡大していくかということが今後の振興を進める上に非常に重要でございますが、試験研究関係につきましては、特にああいう亜熱帯地方で夏場乾燥するというところでは、やはり南方に強い牧草類あるいは飼料作物というものの導入をはかりまして、それを現場に適用していくということが非常に重要でございますので、そういう研究指導しておる。それからまたサトウキビのかすを畜産の飼料に使う。これも資源の有効利用といろところから非常に重要な問題でございますので、そういう関連の試験もいろいろ指導が行なわれておるということでございます。  それからサトウキビ、これは現地の産業開発一つの柱でございまして、これにつきましては第一の問題は、優良品種をいかに育成するかという問題がございます。現在これにつきましては国の九州農業試験場支場が種子島にございまして、ここで亜熱帯あるいは熱帯その他外国かう優良な系統を導入いたしまして、そういうものをもとにして優良な品種をいま育成してございますが、そこで育成したものを現地に適用できるかどうかというような問題は、糖業分場のほうへ協力をお願いしながらやっております。最近はNCO三一〇とかあるいは三七六とか、幾つかの優良な系統が一応系統適応性検定試験としては出てきております。これが実用にいくかどうかいま研究者の間で検討している最中でございます。それからさらに今後経営の規模の拡大をはかりますと、そういうサトウキビの作業を非常に省力的あるいは機械的にしていくための技術が非常に重要になっていくということで、現在大型のトラクターだとかあるいはサトウキビを刈り払う機械あるいは葉をとる脱棄機、そういうようなやや大型の機械の導入の試験というものも協力、指導を行なっております。さらに除草剤というようなものの試験も行なっている。それからテッポウユリにつきましては、同じく機械利用ということで球根の省力栽培という問題がございますが、こういうものにつきましても、現地の試験研究機関がこういう問題と取り組むということにつきましては、農林省としてもできるだけ御協力申し上げたいという気持ちでございます。  それから林業関係につきましては、奄美群島の森林の生産力調査及びあの地区の郷土樹種でございます琉球松というものが非常に重要でございますが、こういうものを更新する技術というものの試験研究を、一応昭和四十一年かう四カ年計画ということで林業指導所に委託して実施をしていただいてございます。  さらに水産関係でございますけれども、水産関係につきましては、水産庁の西海区水産研究所が県の水産試験場指導いたしまして、あの奄美群島一帯の海産資源と申しますか、イワシ、アジ、サバ、スルメ、こういった資源の調査、それからこういう資源の変動につきましての漁況予報というような事業を進めることにつきまして、いろいろ必要な協力、指導というものを行なっておりまして、こういう資料、情報が現地の漁業の振興に役立つように努力しておるような状況でございます。  大体いままで行なってきております概要を御説明申し上げました。
  33. 井岡大治

    井岡委員 私は、六条の問題と同時に、ここで考えなければいけないのは、いま国の政治の中の大きなウエートを占めておる沖繩の問題と、この亜熱帯産業振興の問題、これは関連をしないで、切り離して考えるわけにはいかないと思うのです。次官奄美のほうにお行きになったようですが、私も何回か寄せてもらいました。同時に沖繩も何回か行きました。沖繩に行って、あるいは奄美に行って一番先に言われることは、もっと完備をした大がかりな水産試験場農業試験場、こういうものをぜひひとつやってもらいたい。これが総じて言われることばであります。したがっていま日本の亜熱帯産業というんですか、亜熱帯農業に対する問題が少しおくれているんじゃないか。ですからせっかく延長をされる時期に、そういうことを頭の中に入れて、この研究というものにもう少し身を入れてみたらどうだろうか、こういうような気がしてならないのです。この点ひとつ次官にお伺いをしておきたいと思います。
  34. 砂田重民

    砂田政府委員 農業試験場、水産試験場等をもっと大がかりなものにして、いわゆる亜熱帯農業についての試験研究ということでございますが、いまの施設、これから整備してまいります施設を大がかりなものにするという井岡先生の御要望のその規模と少し懸隔はあるかもしれませんけれども、私はいまの施設そのものと、それを動かす人との関係にもまだ問題があるような気がするのでございます。むしろ当面私どもがやらなければならないことは、先ほどのお話のように鹿児島県まかせにしないで、ほんとうに亜熱帯農業と取り組もうという意欲のある人が鹿児島県から行ってくれているかどうか、まずそれが重大な問題ではないかと思うのですが、そういうことも配慮をいたしながら、先生お話しの線に従いまして検討をさせていただきたい、かように考えます。
  35. 井岡大治

    井岡委員 次にお尋ねをしたいと思うのですが、この間かうつむぎの話が盛んに出ておりました。あそこで蚕が何回卵を産むか御存じですか。蚕は何回かえるか御存じですか。
  36. 山下一郎

    ○山下説明員 あそこは御承知のようにあったかいところでございまして、大体三月の初めから養蚕をやりまして、年間五回ぐらいは十分に飼育できます。
  37. 井岡大治

    井岡委員 しかし現実に五回やっていますか。やっていないでしょう。三回しかやってないでしょう。それだったら主産業としての役割りというものは果たせない。いわゆる亜熱帯という特殊な条件の中で蚕が五回かえるとあなた言うけれども、五回かえるというのであれば、その人たちがどういうようにしてこれをやるか、そういうことを指導しなければならぬのですよ。私はそこを聞いているのです。三回しかやらぬと言っているの  ですかう。
  38. 山下一郎

    ○山下説明員 奄美大島の養蚕は現在非常に規模が小そうございまして、養蚕をやる農家戸数は大体八百戸ぐらいございますが、桑園が約百ヘクタールということで非常に小規模でございまして、現状ではこれを分割して回数を多くやるとますます生産性が下がるという実態にあるのだろうと思います。そういうことで、農家の知恵でそうフルに養蚕をやられないというような現状でございますが、桑園が内地のような桑園の形式のものがわりあい少のうございまして、家屋敷とか畑の周囲に立ち木で街路樹みたいなかっこうになっておりまして、これをとるのにも非常に骨が折れるということで、そういうことかう回数がわりあい少ない実態にあるのだろうと思いますが、しかし最近内地、鹿児島本土と同じような養蚕がだんだん芽ばえておりまして、根刈り形式の桑園を形成するものが少しずつ多くなりつつございます。特に県営開拓パイロット事業で現在やっております農家は、大体一戸当たりで桑園に換算しますと十アールちょっとくらいでございますが、六十二戸の養蚕農家が五十九ヘクタール桑園を四十四年度と四十五年度に造成しようということで、計画は進んでいるように聞いておりますので、こういうような養蚕農家が育ってきますと、かなり生産性の高い養蚕もできるようになるのではないかと思っております。
  39. 井岡大治

    井岡委員 言われるとおりなんですが、あそこの土質なり、それから台風、そういうことから、いまそうやっておりますけれども土地改良をしてあそこに若干の手を加えれば桑は育つということはわかっているのですよ。現に育っているのですかう、それをさらに育てればいいということはわかるわけです。そうだった場合、あそこで、なるほど織物それ自体も必要でしょうけれども、蚕が五回かえるということは、五回の繭をとればいいわけです。そして地場産業としてつむぎをどうするかということと繭をどうするかということを、これは分離すればいいわけです。そうすると、あそこで大きな共同桑園をこしらえて、そしてやるというような指導、こういうようなものが私はできると思うのです。現地に行って、私は一晩泊まって話をしました。そうすると、そういうようにやっていただければ、そういう指導ができ、私たち——その人たちの言うことですよ。私たちだけでものを考えると、どうしたって家の近所隣だけしかものが考えられない。そのために、五回かえるということは知っておりながら五回をなにすることができない。それを大きな一つの桑園、五戸なり十戸なりの一つの共同桑園としてつくる、そしてそれをやる、そういうように考えて、繭と織物というもの、つむぎというものを分離して考えられるというようなことがあったら非常にいいんですな。しかし、私たちが幾ら言ってもそれはできません、こういうのが住民の方々の声です。一晩泊まって、そこで話をしてごらんなさい。ぼくは泡盛飲まされもって三時まで話をしましたがね。そういうようにやるのが私はやっぱり振興事業への、同時にそういうのが一つは亜熱帯産業、農業への足がかりになると思うのです。  きょうは、いま私は沖繩のことを言おうと思いませんけれども一つだけ例をとります。これはできたということですかう、非常にけっこうですが、専門員と行って——あれだけたくさんなパイナップルができる、かん詰めにするために皮をむく、その皮を処理するのに困っておいでになる。そこで私は、五年前に行ったときに、この皮は飼料になりませんかと言った。鶏とか豚とか牛のえさになりませんかと言ったら、なりますと、こう言う。しかし乾燥をするために、乾燥場をつくるために金がかかる、それができない、こういうことでした。そこで、私は提案をしてきたのです。それは本土のいわゆる飼料会社が半分株を持つ、それから現地のそういう工場なり農園者が半分を持つ、そして合弁会社をこしらえなさい。そして、そこで乾燥会社をつけてやりなさい。こんなにいま本土のほうは飼料がなくて困っているのです。こういうように言って話をしました。私は、そういうように奄美の特産の中でいろいろ研究をしていくと、そういうものが幾つか出てくるだろうと思うのです。そういうものを積極的に開発をして、いわゆる地場産業というものを盛り上げていく、こういうように考えるほうがいいんじゃないですか。鹿児島のほうに、少しお蚕さんのことを考えるようになったから、そういうのができてきたかうといって待っているんでなくて、いわゆる特産としてつむぎが大きなウエートを占めておるんなら、そのことに対してやはり助成をしていく、あるいは助言をしていく、こういうことが必要じゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  40. 山下一郎

    ○山下説明員 いまの開拓。パイロットで非常に大規模な養蚕をやろうとしておりますのは、奄美本島の大和村という村で、奄美群島の中にそういうものが計画されているわけであります。ただ、あの土地でできます大島つむぎというのは現在約十九万五千反くらいございまして、それに要します糸は約百トン余り必要でございます。ところが、現在の島内で生産される繭は非常にわずかでございまして、これからできる糸は約四トンくらい。そういう意味では、できるだけよけいつくることが必要であるということはわかるのでございますけれども、現在では生産性が非常に低いので、いま申し上げましたような、非常に規模の大きい本格的な養蚕を農家がやろうという意欲が高まってきますと、だんだんと生産力がふえてくるのではないかというふうに思っております。
  41. 井岡大治

    井岡委員 まだいろいろありますけれども、時間がないようですから言っておきます。  これはすでに本土の人が目をつけていますよ。私にそれを言ってきた人がありますよ。あそこに行って、桑を植えて五回繭をとれば——いま絹の需要というものが国内で非常に上がっておることは皆さん御存じのとおりです。着物ブームが出てきている。需要が高まってきている。それで、やりたい、どうだろうか、今度あなたが行くときに連れていってくれ、こう言った人がありますよ。それを、そういうように本土から行って荒うすのでなく、地場産業として指導するということが本土との格差をなくすることだ、私はこういうように言っているのです。やらなかったらやりますよ。いま言ったパイナップルの問題だって、その皮の飼料の問題だって、いま日本本土の大資本が乗り込んでいって荒らしているじゃないですか。そいうことをするから、あの人たちは、おれraはまたこうだ、みんなこういうことになってしまうのです。なぜその地場を振興さしていってやるように考えてやらないか、私はそう思うのです。このことだけ言っておきます。  それからもう一つ、今度はもう最後に入りますが、水産で、イワシとサバと……。
  42. 川井一之

    川井説明員 一応イワシ、アジ、サバ、ヨコワ、ビンナガ、カツオ、バショウカジキ、トビウオ、こういうものにつきまして漁況予報を出しております。
  43. 井岡大治

    井岡委員 いま言われたアジ、漁業としてそこで養殖はできますか。
  44. 林知夫

    ○林説明員 養殖ということになりますと、いろいろその他の立地条件がかうんでまいります。特にいま盛んに内地等で行なわれております種帯大量生産にいたしましても、それによって養殖をするというようなことのためには相当の施設、それから電気その他の動力、そういったものが必要であります。それから、かなり高度の技術者が必要であります。現状においては、奄美大島ということではなくて、あの周辺の南のほうの重要魚種について、たとえばブリなんかがその典型でございますが、そういった種苗の量産化を何とかはかりたいという形での努力が、主として瀬戸内海栽培漁業センター、長崎県水産試験場その他を通じて、そういう施設を通じて有能な技術者のいるところを中心としていま鋭意進められている、こういう状況でございます。
  45. 井岡大治

    井岡委員 それは研究されただけで、発表されましたか。
  46. 林知夫

    ○林説明員 逐次学会等において発表されております。
  47. 井岡大治

    井岡委員 いわゆる流通の問題と関連をしてかなり大がかりな金をかけなければいけない、こういうことはわかります。わかりますけれども、少なくとも現在、生鮮食料品の本土内における価格が非常に上がってきている。いまほとんど沿岸漁業でなくて遠洋漁業ばかりやっているわけですね。沿海においてそういうものができるとするならばやはり国として考えるべきだと思うのです。特に私は、あそこはクルマエビの産地としては水がきれいだから非常にいいのじゃないか、こういうように思うのですが、そういう研究をしたことはありますか。
  48. 林知夫

    ○林説明員 まだこの奄美大島の実地について実施をするということについてはやっておりません。しかし、鹿児島県においては最近クルマエビの、いま申し上げました量産技術をもとにいたしまして、現在その大量の放流をやった場合にどれだけそれが地元の漁業に寄与するかということを、いわばテストパイロット的に実施をしております。いまのところ、クルマエビの養殖、放流事業ということ自体が、現在まで全国的なテスト段階でございますので、それらがある程度の成果が認められるということになりますと、各地においてそれらがどういう適地において実施されるかというようなことが逐次検討されるようになる、かように考えております。
  49. 井岡大治

    井岡委員 これで終わりますけれども、いずれにいたしましても亜熱帯水産なり農業として、今後わが国に足らないものが、開発をすることによってかなり豊富だと私は考えるのです。もちろんそれは一ぺんに、きょういってあしたというわけにはいきませんけれども、少なくとも五年間延長して四十九年までこの法律をさらに有効にしようといろのであれば、単に二百八十億使うとか三百億使うというだけで、こうやってこうやってというだけでなくて、将来展望のあるものを考えていくべきではないか、私はそれが政治だと思うのです。十年、二十年先のことを考えないで、きょうのこと、あしたのことを考えておるだけでは私は政治ではないと思うのです。それだったら事務官だってやれますよ。少なくとも国会でこの法律の論議をするというのであれば、そういろ立場で実は問題を処理していただきたい、こういうように思います。  まだ少し御質問申し上げようと思っておりましたけれども、時間がないようですからやめます。いずれにしてもまた時間をお願いしてやめます。
  50. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 小渕忠二君。
  51. 小渕恵三

    小渕委員 私は、ただいま提案になっております奄美群島振興特別措置法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして若干の御質疑を申し上げたいと思います。すでに各委員の方々から適切な御質疑もあったのでありますが、御指摘をされなかった二点の問題について質問をいたしてみたいと思います。  私はことしの正月に、国会から派遣をされました沖繩調査団の一員として沖繩に参りましたが、その帰路、二十日、二十一日、二十二日、三日間にわたりまして徳之島三カ村、木島市町村行政官庁をお尋ねいたしまして、いろいろの問題についてお話を承ってまいったのであります。  私が参りましたのは、将来沖繩が本土復帰をされました段階におきましては、いずれの機会、沖繩振興特別措置法というようなものが制定されるやも知れませんので、そういった段階にあっては、過年十五カ年間にわたって奄美群島におきましては、開発振興特別措置法並びに現在の振興特別措置法が成立をいたしましてそれに伴ってもろもろの行政がされてこられ、したがってそこに出てきました成果というものを明確に拝見をし、これを分析しておくということも非常に大切なことであろうということで私は参ったわけであります。  そこで、御質問申し上げたいのは、そのときにいろいろ議論になりました沖繩との関係でございまして、沖繩と奄美との関係は非常に緊密な人的な交流もあるようでありまして、私も那覇港から徳之島亀徳港まで実は船便を利用して参ったのでありますが、この間の乗客の数も非常に多いようでありまして、非常に往来が激しいという感じがいたしたわけであります。ところが、奄美の人たちに聞いてみますと、渡航の点でまだ非常に不自由な点もあるし、いってみると、東京から沖繩に参ります手続と同じ手続をいたしませんと沖繩に渡航できない、こういうような現段階のようでございます。そこで、これを何らか改善していただきまして、数次にわたる渡航が非常に行なわれる地域でありますので、もっと簡便な方法がないかということの御指摘をいただいたのでありますが、この点に関しましては、かねて来総理府の特連局としてもいろいろの措置を講じておると承っておりますが、この間の状況並びに現段階における相手方との交渉のいきさつについてまず御質問申し上げます。
  52. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お尋ねの点でございますが、私も実は去年十月奄美に参りまして、そういう地元の方の非常に不便であるというお話を承って帰りまして、何とかいい方法はないかということで検討していたのでございますが、いまの制度でまいりますと、一回限りの身分証明書というのと、それから何回も使える身分証明書、この二つの種類があるわけでございます。それで、さしあたっての問題といたしましては、まず本土政府が出す身分証明書につきましては何回も使える、数次のものを活用するということを行政指導していきたい。それはすでに現地のほうにもそういう指導の話を持ち込んでおります。そういうことでございますので、これから奄美の方が沖繩に行かれる場合は数次の身分証明書の申請という形で出てくるだろうというふうに思っております。  ただ問題は、アメリカのほうの入域許可がございまして、この入域許可につきまして、数次の入域許可がもうえるかという点につきまして、ちょっと不明の点があるわけでございます。現在アメリカ側と何回か会議を開いておりますので、そのつど連絡いたしまして、慎重に検討をしてもらうように申し入れております。  実際問題として、どの程度数次の入域許可の必要があるのか、あるいはどういう方に数次の入域許可をしたらいいのかというような点について、まだ具体的にその話が詰まっていないわけでございます。しかし何といいましても、緊急入域をしなければならないということもありますので、その点につきましては、米民政府との間の電話連絡で十分間に合うようしているわけでございます。したがって、数次渡航身分証明書を持って行きますれば、緊急入域につきましては、アメリカ側との間で電話で話が通じるように、すでに話をしております。そういうことで、さしあたっての問題といたしましては、渡航の手続きの簡素化はやっていきたい、そういうふうに思っております。
  53. 小渕恵三

    小渕委員 そういたしますと、当方といたしましては、奄美の方々に数次のパスポートを所持することを行政的に指導しつつ相手方との交渉をはかっていく、こういうことであろうと思います。いずれ沖繩が本土復帰されればすべての問題は解消されるわけでありますが、当面やはり往来の最も激しいこうした地域の方々に、最も便宜をはかられまするように、相手方との折衝をさらに押し盗められることを希望いたしておきます。  それから、沖繩の問題につきましてもう一点。今度奄美から参りまして、沖繩でいろいろ事業その他やっておられる方が相当おられるわけです。ところが、こうした方々が、身分的に幾ぶん沖繩において差別といってはおかしいのでありますが、沖繩県民と同じような扱いにならない点も二、三あるわけです。この点については、詳細についてはまだ個条的に私把握をいたしておりませんが、幾つかそういうようなことがあるそうであります。したがって、これは琉球の問題であろうと思いますし、またその他の問題もあろうかと思いまするけれども、これにつきましても、向こう側と折衝しまして、事業を行なう場合とか、その他いろいろの点について、同じ扱いができるように相手方にも申し入れその他やっておいていただきたいと思います。この点についていかがでしょうか。
  54. 加藤泰守

    ○加藤説明員 沖繩在住の奄美出身の方々は、法律の扱いといたしましては、いわゆる永住許可を与えられた方、それから半永住の扱いを受けた方、それから一時的な滞在者、こういうふうに分けられると思います。一時的な滞在者の方は別といたしまして、永住者の扱いの方、半永住者の扱いの方、この両者につきまして考えますと、永住者の数は、私のほうで調べておりまする数字によりますと、千五百人くらいでございます。それから半永住が五千四百名くらいでございますので、半永住のほうが非常に多いわけでございます。  そういうことで、半永住の方々の扱いということがやはり問題になるわけでございますが、この点につきましては、昨年あたりから非常に現地の沖繩のほうの扱いが、本土と沖繩の一体化ということにかうみまして、この扱いをなくそうという方向に動いているわけでございまして、そのあらわれといたしまして、昨年行なわれた選挙におきましては、選挙権を本土の人も——これは奄美の方に限らず、本土籍の人すべてについてでございますが、琉球籍の人も同じように三カ月の在琉ということを条件にいたしまして選挙権を認めるというような法律が、向こうで立法されております。そういうことで参政権につきましては、ほぼ同一になったわけでございますが、問題は経済活動にからんでの問題であろうと思います。  経済問題にからんでの問題といたしましては、従来外国人の投資につきましての制限として、布令による制限というものがございましたが、去年八月に立法院で、いわゆる外資法というものを議員立法の形で制定されたわけでございます。この法律におきましては、半永住の扱いの方も、永住の扱いの方も、琉球籍の方と同じように扱う、そういうことになっております。ただ、この法律は、ずっとUSCARとの間で話がつかないままできたわけでございますが、きのうあたりの報道によりますと、主席はこの法律の施行規則といいますか、施行期日をきめる規則を制定した、こういうことでございます。これは、この三月十二日から施行する、こういうことでございます。  ただ、USCARとしては、ややこれに対して異論があるようで、この布令のほうを廃止するという措置をとらないと、外資法との関係がちょっと問題になるわけであります。そういう問題で、まだ問題は残っておりますけれども、議員立法の扱いとしましては、そういう形で、少なくとも半永住の方も含めて、沖繩籍の方と同じように、奄美の方は外人投資法の関係では、むしろ琉球籍と同じように扱うという形になると思います。  ただ、土地の取得につきましては、これはまだそういうところまでいっておりませんので、この問題は残っておると思いますが、それ以外の経済活動につきましては、いま申し上げますようなことで、ほぼ琉球籍の方と同じような扱いになっているのではないか、これは法令的にでございますが、実際の扱いといたしましてはいろいろあるかと思いますが、法制的にはそういえるのではないか。ただし、いま申し上げました実際の扱い等の問題につきましては、もちろんこれからわれわれも十分その点を琉球政府とも話し合って、その扱いが実際問題として法令の扱いと同じになるように努力をしたいと思います。
  55. 小渕恵三

    小渕委員 これはおしなべて、すべて本土の人たちの沖繩に対する投資の問題にも関係があるわけでありますし、また、この問題を申し上げますと、奄美の資本が向こうへ移動するということで、あるいは好ましいことか好ましくないことか、なかなかむずかしい点もあろうかと思いますが、しかし、向こうの外資法というのは大型の投資を制限するというようなことでいろいろあるわけです。ところが、奄美から行くのは石油資本の投資をするというような大型ではありません。ほんとうに親戚とか、そういう方々と共同して経営しよう、こういった程度のものですかう、布令とのかね合いもあろうかと思いますけれども、現地の人たちの要望に沿えるように、今後米民政府との折衝その他を繰り返していただきたいという御要望だけ申し上げておきます。  それから、先ほど井岡委員のほうからも御指摘がありましたが、沖繩と奄美というのは、非常に気候的にも類似するところが多いわけです。そこで、現地に行って聞いてみますと、沖繩県のほうからも農業視察団等が参りまして、キビの栽培の問題等お互いに協力してやろうというようなことで接触もあると承っております。したがって、これは奄美群島振興ではありまするけれども、沖繩県との緊密な連絡、協調を保っていけるように、そのことが沖繩のためにも奄美のためにもなるということでありますれば、これは自治省だとか総理府だとかいうておらないで、緊密な連絡協調をお互いの省庁でとり合っていただきたいということを、両省庁にお願いをして沖繩の問題はこれでやめます。  次に、申し上げたいのは、現在、奄美におきまして、聞いてみますると、物価が非常に高い。本土に比べて、ものによっては二、三割高いというものがあります。そこで、その原因をいろいろ聞いてみますると、先般来いろいろ議論されておりましたように、電力の問題とか、その他幾つかの問題が指摘されると思うのです。その中で、私はひとつ海運関係の運賃の問題、これについて少しくお聞きいたしてみたいと思うわけです。  そこで、私の発想では、たとえば郵便料金などにいたしましても、奄美から東京にはがき、封書その他を出しましても、全国一律でありまするから、七円とか十五円とかという料命でこれが配達をされる、こういうことです。しかしながら、おそらく実費から考えますると、ほかの短距離の運送に引き比べて、相当金がかかっておるのではないかというふうに考えるわけです。そこで、郵便に関しては、いま言うように、日本国家のいずれの地域におきましても、統一料金で配達がされる、こういうことです。そこで、この発想をさらにふえんしてみますると、運賃などにつきましても、本州その他におきましては、日本国有鉄道がその責任を持って同一距離においては同一料金で運送しておる、こういう考え方です。したがって、もしこの郵便料金と同じような考え方をふえんして考えますると、これはレールが敷いてありませんけれども鹿児島奄美、それから沖繩の那覇、これは書ってみれば県庁所在地を結ぶところの幹線です。ですからこういう幹線においては、その運送料金につきましても、国有鉄道がしておるようないろいろな負担がされないものかという考え方をしてみたのです。しかしながら、これは現実問題、法律上調べてみましても、そういうことは不可能なことはよくわかります。しかしながら、いずれにいたしましても、鹿児島−那覇間、かりにこれが陸上であるとするならば、道路法の第五条によれば、「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路」については一級国道と認め、その建設についてはすべて国がこれをまかなう、こういうぐらいの国家的な財政措置がされておるということです。これは陸上ではありませんし、レールが敷けるわけではありません。ものの考え方としてそういう考えが取り入れられないかということを実は考えてみたわけです。しかし、これは法律上はむずかしいことであります。したがって、そうであるとするなれば、現在行なわれておりまする民間の運送事業に対してそうした事業を適切に指導し、その事業体が地元の住民のためにどのくらいの利便をはかっておるかという点について、さらに考慮を及ぼすべきではないかという気がいたしております。  そこで、現時点においては、奄美については離島航路整備法という法律によっていろいろな財政的な措置を行なっておると思いまするけれども、これがほんとうに生きてこないと、いま出ておる法律ども、この法律目的をより一そう達するためにも、前段申し上げた法律その他が生きてこなければならぬという気がいたしておるわけであります。  そこで、お尋ね申し上げたいのは、現在奄美関係で運輸省といたしましては、この航路についての補助金について、どういう措置がなされておるかお伺いをいたしたいと思います。
  56. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  現在奄美関係の定期航路を担当しております事業者は、全部で六つでございます。この中には、神戸かう沖繩へ参ります途中で寄ります関西汽船等も含まれております。そのほか、鹿児島かう奄美島内というものもございます。そういうことで六つあるわけでございます。このうち四事業体、市町村も入っておるわけでございますが、四事業体には、三千二百五十五万円の予算を現在要求しおりまして、これは離島航路補助三億二百万円の総額の中の一割以上を占めておるわけでございます。  なお、奄美関係につきまして、先生がおっしゃられましたように、定期航路の貨物運賃につきましては、認可運賃じゃございませんで届け出制でございまして、むしろ自由運賃に近いというようなかっこうであるわけでございますが、われわれといたしましても、離島の実情を考えまして、できるだけこれを低位に押えるように行政指導をしておるわけでございます。なおさらに一そう努力したいと思っておりますが、補助金の面におきましても相当努力しておるつもりでございます。
  57. 小渕恵三

    小渕委員 いただきました資料によりますと、四十四年度でも奄美関係として四つの航路といいますか、そうしたものに対しての補助金が一部ついておるようであります。  そこで、私が申し上げたいのは、幹線、たとえば鹿児島−名瀬、こういうところについてはいま申し上げた補助金がついておうないわけです。これはお聞きいたしますると、この航路については相当黒字幅が出ておる。したがって、赤字補てんという意味合いで補助金は出るのだというようなお考えがあろうかと思うのですが、私がこの離島航路整備法を読んで見る限りにおきましては、赤字補てんということは書いてないのですね。したがって、私が当初申し上げた発想かう言いますると、最も大切な鹿児島−名瀬間の運賃につきまして、特に貨物運賃について黒字であっても補助をすることによって、奄美における物価高というものを幾分なりとも低減させる道が見出せないか、こういうことを考えるのですが、これは法律の読み方を間出雇えておるのか、ちょっとその辺御答弁いただきたいと思います。
  58. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先生のおっしゃいましたように、法律上は可能でありますが、資金の関係で運用上そういうことになっておるわけでございます。
  59. 小渕恵三

    小渕委員 この離島航路整備法の一条には、いずれにいたしましても、「離島航路事業に関する国の特別の助成措置を定めることにより、離島航路の維持及び改善を図り、もって民生の安定及び向上に資することを目的とする。」と目的が書いてあるわけです。したがって、もちろん赤字補てんという意味もこれは考えなければいかぬと思いますが、最も大切な幹線であり、くどいように申し上げるけれども鹿児島−那覇間というものは国道に値する最も幹線として考えられる、言ってみれば東京−大阪の間の名古屋のところが名瀬と考えれば、この間の運賃料金によって奄美の物価高というものが起こっておる大きな原因の一つになっておるとするなれば、この辺も考慮する余地がないかというのが私の主張であります。  そこで、かなり黒字幅が出ておるという点です。これを聞いてみますと、お客が非常にふえてきた、観光地としても焦点を浴びてきたので、そういう面からかなり収益があがっておるのだ、こういうことです。しかもこれは民営でありますので、今日までの企業努力とかいろいろな点でこれは努力してきたと思うのです。したがって、この努力してきて利益が出てまいりました場合には、これを貨物のほうに幾ぶん転嫁して、貨物料金の引き下げとか、そういうものに向けることができないか。これも法律上はそういうことはできないように書いてありますけれども、これは運輸省としての行政的な指導によってそういうことができないかということをお伺いいたしておきたいと思います。
  60. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先生のおっしゃいましたように、補助金につきましてはそういろ運用上のゆえをもちまして現在補助金を出していないということになっておるわけでございますが、なお、黒が出ておるか赤が出ておるかということと関係なしに、政府から船舶整備公団を通じまして低利長期の貸し付け金をいたしまして——貸し付け金と申しますか、七割の共有というかっこうで貸し付け金よりももっと有利な条件で船舶を建造しておるわけでございまして、四十二年におきましても千五百トン型の船がこの整備公団によりまして建造され、また二千トン型の船が現在船舶整備公団のほうに申し込み中であるというふうに聞いておるわけでございまして、財政融資という方面からこれの援助をしておるわけでございます。  なお、先生からお話がありました旅客、観光客の増加によりまして利益が非常に出た場合に、これを貨物に転嫁することができるかどうか、こういうお尋ねでございますが、これは法律上別に特にこれができるということは書いてございませんですが、われわれとしてはそういう方向で行政指導をほかのほうでもしておるわけでございます。
  61. 小渕恵三

    小渕委員 船をつくるときに金を貸そうじゃないか、こういうことで考えていこうということだろうと思います。  そこで、もう一点でありますが、いままでは船をつくる場合には財投か何かの金を回しまして、それが六分五厘で、船をつくる人には七分ということで〇・五の利子補給をしておる。それから法律にも十二条かに利子補給という制度考えておる。そういう精神が入っておるようですが、そういう点については考えておられないわけでしょうか。
  62. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 現在のところそういうことは考えておりません。
  63. 小渕恵三

    小渕委員 このいただきました参考資料によりますと、復興特別措置法の段階におきましては、航路補助ということが出ているのです。それから今度の措置のほうにはそれがだんだん消えてきておるわけであります。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、現在奄美における生活をより高度化していくためには、物価の問題を非常に考慮しなければならないと考えますると、それに対して海上輸送の点について及ぼす影響が非常に大きいわけでありまするので、この点についてもさらに十二分な検討をされるように期待をいたしておきます。  時間が参りましたので、これで二点お伺いをいたしたわけでありまするけれども、まあ私ども現地に行ってまいりまして、多くの、行政を行なっておられる直接の担当者並びに青年やまた有識者の人と話し合いをしてみますると、今度の法律がいよいよもって特別措置としては最後ではないかというような気持ちもいたしております。したがって、これから五カ年の間に——これがかりに成立するといたしますると、その間非常に現地としてもみずから立つの意欲を示してこなければならぬというようなことを言っておられました。こうした法律がほんとうに生きてくるためには、何といっても現地の人たちが自立する気持ちを満々と持っていかなければならないことは当然でありますが、同時に、こうした法律によって適正な指導が行なわれて、国費が十二分に活用されるようにわれわれも期待をしておるわけであります。現地に行ってみて、昔のことはよくわかりませんが、感ずるところは、社会資本の面その他については、過去十五カ年政府としてやってこられたことは決してむだでないという気がいたしております。しかしながら、二、三の点については、われわれもう少し思慮を深めて適切に対処しなければならぬという点も見受けられないでもありません。  昨日、山口議員の質疑に対しまして、自治大臣といたしましても、これまでやってこられたことについては、反省すべき点は大いに反省をして、これからの五カ年について、この法律に基づくもろもろの措置がより生かされていくことを期待しておるという御答弁もありましたが、ぜひそうしたところを十二分の反省の上に立って行政的な指導をされることを期待をいたしておるわけであります。  最後に、政務次官、その点について御意見を承りまして、私の質疑を終わります。
  64. 砂田重民

    砂田政府委員 ただいま離島航路の補助金のお話がございましたが、幹線でも、鹿児島−名瀬−喜界という航路には補助金が出ていると思います。運輸省といたしましても予算のワクの中で考えているでございましょうが、私どももより一そうの努力をしてまいりたいと思います。基本的にはただいま小渕先生おっしゃいました、昨日大臣が御答弁をいたしましたように、過去十年間の復興計画、五年間の振興計画、新たに御審議をいただいております法律に基づきますこれからの五カ年計画、過去十五年間の計画を十分反省をいたしまして、新たな気持ちで取り組んでまいる決意をいたしております。
  65. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 林百郎君。
  66. 林百郎

    ○林委員 長野さんはおりませんか。——それでは初めに次官お尋ねします。  提案理由の説明の中に「奄美群島をめぐる諸条件は依然としてきびしく、住民生活水準はなお本土との間に相当の格差があるのみならず、この間におけるわが国経済の発展は著しいものがあるのであります。」こういう説明があるわけですね。この「住民生活水準はなお本土との間に相当の格差がある」というのは、具体的にはどういうことですか。
  67. 砂田重民

    砂田政府委員 数字を政府委員から……。
  68. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 生活水準をどのような形でつかむかということはいろいろ御意見があるかと思いますけれども、一番端的にいわれております所得水準でつかみまして、昭和四十一年の数字でございますが、一人当たりの所得は鹿児島県民の所得に比較いたしまして八二・一%ということでございますので、そういう面から見ましても費消される生活水準自体も相当差がある、かように考えてよろしいのではないかと思います。
  69. 林百郎

    ○林委員 国民所得対比は幾らですか、
  70. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 国民所得に対しまし一、同じく四十一年で四七・七%でございます。
  71. 林百郎

    ○林委員 そうすると、半分以下だというように理解していいわけですね。
  72. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 所得は一人当たりに見ますと、国民平均の半分までまだ及んでいないということでございます。
  73. 林百郎

    ○林委員 これは方々に島があるわけですけれども、農民の経営耕地面積は平均して幾らですか。
  74. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 奄美も島によって違いますが、平均で大体〇・六ヘクタールでございます。
  75. 林百郎

    ○林委員 〇・六ヘクタールですけれども、農家戸数の中で〇・五ヘクタール以下が圧倒的に多いように見えるのですけれども、これはあなたのほうからいただいた資料ですけれども、これを見ますと、奄美群島の農家数が二万六千四百十三戸のうち、半分の一万三千六百四十九の農家は〇・五ヘクタール以下と書いてありますが、そう理解していいですか。要するに農家戸数の半分ぐらいは五反以下と、こう見ていいですか。
  76. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 資料にも差し上げてありますように、農家戸数全体で見ますと、もちろんこれは専兼業の農家がございますが、全体におきまして二万六千のうち一万三千ですから、やはり約半分ぐらいが五反以下ということになるわけでございます。
  77. 林百郎

    ○林委員 それから奄美の農家一戸当たりの所得は日本全体の農家の所得のどのくらいになるわけですか。
  78. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 これは年によって若干差がありますが、一番新しい四十一年の数字ですと、県本土が農家一戸当たり二十二万五千八百五十二円、奄美が二十二万七千六百七十一円、全国が三十六万八千二十五円ということになっております。
  79. 林百郎

    ○林委員 そうすると、七割ということになりますか。
  80. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 鹿児島県とは大体同じところにいっておりまして、全国よりは十万以上少ないということになります。
  81. 林百郎

    ○林委員 そこで、次官お尋ねしますが、奄美が国民の平均所得の半分以下ということですね。どうしてこういうことになったとお考えになりますか。政府はどう考えておりますか。
  82. 砂田重民

    砂田政府委員 いろいろケースを出してのお尋ねでございますが、二十九年の日本に復帰をいたしましたときの一人当たり国民所得対比の数字を見ますと、大体四〇%ぐらいでございます。それを十五年間かかってやっと一人当たり国民所得対比五〇%近くまでは何とか持ってまいったわけでございますが、どうしてそうなったかということにつきましては、やはりあの島の立地条件と申しますか、さらにもっと昔のことを言いますならば、琉球の支配下にあった、あるいは薩摩藩の支配下にあった、そういう歴史的な古い背景を持って、やはりそういうことが依然として続いて、特に立地条件といいますか、鹿児島から非常に遠隔の地にある立地的な条件も一つ非常に大きな原因ではないか、こういうふうに考えております。
  83. 林百郎

    ○林委員 どうも薩摩藩の責任までいきますと——まあそれはないとは私も言いませんけれども、また琉球支配というようなところまでいけばたいへんさかのぼるわけですが、そこでこれに対して振興策を講ずるというのですけれども、そういう施策を政府がとるようになってからも、国民所得対比というのはあまり改善されてないという状態です。県民の所得については若干の前進がありますが、しかし三十九年に比べるとまた落ちておるという状態です。  そこで、いろいろの考え方があると思うのですけれども、そういう中でまだ改善の状態が、県民一人当たりの所得やいろいろ出てこないのに、今度のこの一部改正を見ますと、国の補助は軒並みに率がずっと下がっているわけなんですね。これはもう言うまでもないのです。これはどういうわけなんでしょうか。まだまだ下げてもいいという条件は出ておらないのじゃないでしょうか。
  84. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 今回の計画策定にあたりましては、過去十五カ年の実施状況等を考えまして、ある程度補助率の調整をしたわけでございますが、その理由は、一つには従来復興ないし振興事業が相当推進されまして、ある程度の整備ができてきたという見地から、特にほかの離島と申しますか、そういうもの等を見まして、特に差を設けなくてもやっていけるのじゃないかというような状態になったものもございますし、それからもう一つは、復帰直後におきましては、鹿児島県の財政事情という見地から特に手厚く高率補助を適用したというようなものもございますので、現在の段階において、そのような点につきまして十五カ年間もやってきた現状におきましては若干の調整を加えたというものもございます。もちろん、逆にほかの補助制度との関係でもって軒並み下がっているということもございましたが、ほかの制度との関連において特に必要あるものと認めるものにつきましては、補助率を上げたというものもないわけではございません。そういう全体的な見地から行なったわけでございますが、特に補助率を検討するにあたりましては、補助率の変更の及ぼす影響が、実は県に対する事業の補助の場合と、地元市町村住民に対する補助の場合とで与える影響が違うわけでございますので、私どもとしましては、努力方針といたしましてはできるだけ地元住民市町村の負担の増大というものは少なくするようには配意したつもりでございます。
  85. 林百郎

    ○林委員 あなた、調整調整と言いますが、ほとんど下げることのできる条件を補助率の中につくってきているんじゃないですか。たとえば、いままで十分の十だったものが十分の十から十分の九だとか、あるいは十分の九から十分の八、それから道路などは十分の九から十分の六・五と、要するに調整という名を借りて、いままでよりも下限をもっと下げてもいいような条件、そういうものをしたのが圧倒的に今度の改正じゃないですか。ことに民生に影響を及ぼすような、たとえば文教施設あるいは環境衛生、社会福祉施設というようなものはそういうことになっているんじゃないですか。
  86. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 先ほども申しましたように、市町村関係につきましては、補助率につきましては極力地元の負担が増高しないように配意したつもりでございますが、御存じのように小中学校につきましては、復興当時から非常に重点的に整備を進めまして、だいぶ進んでまいりましたので、現在の段階におきましては、この程度でも今後の、何といいますか、整備に支障はなかろう、かような考え方でこの補助率を改定したという状況でございます。
  87. 林百郎

    ○林委員 そこに一つの問題点があると思います。  それから、やはり島民の生活の民度といいますか、それを向上してやる、所得を改善してやるということは奄美群島振興の基本であって、それは奄美に行ってみれば、アメリカの建てたりっぱな、まるで目をそばだてるような学校がところどころありますよ。しかし、そういう中で、はだしで歩いている子供もいれば、あるいはガラス窓のない、土壁になっているような学校がありますよ。だから、この奄美群島振興というのが、ほんの一握りの道路やあるいは空港ができたからといって振興になったとはいえないのです。どうしてこの国民の所得に比べて半分以下という島民の所得を増大させるかということがこれの基本だと思うのですね。それがなくして奄美群島の真の振興はないと思うのですけれども、これについては、これは次官ではちょっと荷が重い答弁だと思いますが、政府の重要な政策ですが、いないからしようがないですが、どうお考えになりますか。
  88. 砂田重民

    砂田政府委員 たいへん荷の重い御質問でございます。ただ、私考えますのに、島民の所得を上げていくいろいろな手だてが、産業振興をさせるそのものに直接的なお手伝いをするという問題と、産業振興のために必要な、産業振興自体の基盤になる港湾、道路、その他の公共施設というものに対する助成と申しますか、援助と申しますか、これまでの十五年間というものは、私ずっと数字を見てまいりますと、やはりそういった産業基盤整備のほうに重点が置かれてきたような感じがいたします。いわば復帰当時と申しますか、あるいは復興計画を十年間やったその時点でも、内地から参ります三千トン級の船の接岸できる港一つなく、飛行場一つなかったという状態から、先生御承知の、今日のようなところまでは、そういった産業基盤整備事業はやはりある程度の実績と効果をあげてまいっております。産業そのものの振興による住民の所得の向上というのは、まさにこれからの一番の重点である、こういうふうに考えておりますので、産業基盤の整備がここまで実を結んできた、これからも御期待をいただいていいのではないか、私はこういうふうに考えております。
  89. 林百郎

    ○林委員 その産業基盤の利益がだれに均てんするかということが私は問題だと思うのですが、これは私のほうの結論を先に出して押しつけるつもりはありません。  そこで、電力事業についてお尋ねしたいのです。あそこの電力は九州電力が入り込んでいるのですか、どうですか。
  90. 長野士郎

    長野政府委員 大島電力というのがありまして、それが経営しておりますが、ほかに公営電気で四カ所やっております。
  91. 林百郎

    ○林委員 そうすると、九州電力とはそれらの会社は合併しておりませんか。
  92. 長野士郎

    長野政府委員 まだ合併いたしておりません。
  93. 林百郎

    ○林委員 将来合併の計画はあるのですか。
  94. 長野士郎

    長野政府委員 かねてからこの電力問題は懸案になっておりまして、いままで大島電力につきましても、電力施設整備につとめてまいったわけでございます。復興事業振興事業を通じまして、電力の施設整備とか、発電量を増加するようなことはいたしてまいりました。それが、今後におきましては、まずこの公営電気を大島電力に合併をするということを手がけまして、その次に大島電力と九州電力との統合ということをぜひいたしたいというふうに考え関係の方面と協議中でございます。
  95. 林百郎

    ○林委員 そこで、電力料金、これはこまかい話で恐縮ですが、一般家庭用の電気料金と工業用の電気料金の比率はわかりますか。こまかいことでもしわからなければ、私のほうの調査を申し上げますが、そうすると、電力料金が本土の電力料金と比べると、何倍になっているかわかりますか。それもわかりませんか。
  96. 長野士郎

    長野政府委員 電力料金、定額と従量制とあるわけでありますが、大体大島電力の場合におきまして、九州電力と比較をいたしました場合には、定額制におきまして大体七割二分くらい高い、それから、従量制でやりました場合には九割程度高い、約二倍近く電力料金が高い、こういうことになっております。
  97. 林百郎

    ○林委員 次官、だから国民所得が本土の半分以下で、電力料金は本土の二倍では、こういう点を直さないことにはどうにもならぬことじゃないでしょうかね。  それから大島つむぎについてもそうですね。やはり鹿児島県自体の企業が中心になって、そこで市場を操作するものですから、そのしわ寄せがいつも大島つむぎのほうにいってしまって、この大島つむぎの生産の統計を見ましても、やはり伸びていないですね。戦前の昭和十六年に二十三万反だったのがいまは十九万反、若干改善の方向へはいっていますけれども、まだまだ戦前のところまでもいっていないという状態ですね。こういうことで、要するに本土の経済の利益が中心になって奄美が犠牲にされるという要因が非常に多い。要するに、差別というのですか、先ほど同僚議員から、差別されている、差別されているというお話がありましたが、そこが非常に重要な問題点の一つだと思います。  それから、製糖会社についても、これもこの奄美の重要な産業の一つですけれども自治省からいただいた資料の一二ページにあります。これらの製糖会社と大日本製糖との関係はどうなっていますか、そういう資本は入っていませんか。
  98. 長野士郎

    長野政府委員 製糖会社につきましては、おおむね本土の製糖会社の系列になっておるそうでございますから、おっしゃいますような資本は入っておると思います。
  99. 林百郎

    ○林委員 念のために聞きますが、わかる方でいいですが、一二ページに製糖会社の会社名が六社ありますけれども、この資本の系列はどうなっていますか。わからなければいいですよ、わかりませんか。
  100. 長野士郎

    長野政府委員 詳細にはわかりかねますが、一番初めに富国製糖というのがございます。こういうのは大日本製糖の系統だというふうに聞いております。
  101. 林百郎

    ○林委員 もう時間が来ているのですが、もう五分いいですか。——では、結論を申し上げます。  結局、私はこう思うのです。あそこは御承知のとおり農業生産としてはサトウキビとカンショが中心だと思うのですけれども、こういう大きな本土の製糖会社の資本がずっと入ってきて、そして、これはあなたも先ほど言われましたように、薩摩藩でもそういうことをしたのですけれども、農民のサトウキビを安く買いたたいて、生産農民の経営がほとんど成り立たないようになっている。薩摩のころは、サトウキビを農民がかってに切れば首を切るというほどのきびしい規制を受けて、それで薩摩藩の財政の基礎があそこから一つは出ていたわけですね。それが依然として、今度は大きな資本が入ってきて、形はそんな封建的なことはやりませんけれども、やはり安く買いたたいて、農業経営が成り立たないようになっている。だから、ここではやはり農民に対して生産費を償うような価格でサトウキビを買ってやって——買ってやるというのは、価格支持の方向で考えてやるということが必要だと思うのです。  それから、あそこの労働者の賃金を見ますと、これも非常に安いわけですね。本土の労働者の賃金のおそらく七割以下ぐらいだ、こまかい数字はわかりませんけれども。ですから、そういう賃金に対しても、やはり最低の賃金はこの水準にするということを地方自治体なり、あるいは支庁ですか、そういうところがある一定の基準をきめて、これ以下で働かさせてはならないというような、ある程度の行政的な規制をするというようなことをして、これは自由主義的な方向でまかしておくと非常に差別の状態になっておりますので、国の民主的な行政的な規制が必要じゃないか。農業生産にとっても、労働者の賃金にとっても、それから公共料金、電力料金等についても必要だと思うのです。そういう方向をとりながらこの金を使わないと、この金が九州電力だとかあるいは製糖会社だとか、そういう大きな資本のための基盤整備に均てんされて、本土の国民所得の半分以下、四割七、八分というような、こういう低い所得に置かれている島民の民度を上げるということに均てんしない危険があるんじゃないか。ここを根本的に政府は考えてみる必要があるのではないかというように私は考えますが、その点の政府の見解を、これも次官には少し荷が重くてあれですけれども、大臣がおらないので、あなたにお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 砂田重民

    砂田政府委員 どうも重ねて荷の重い御質問をお受けいたしましたが、私はそういった政府の計画性を持ってやっていくという御趣旨は同感でございます。ただ、何ざま、先ほどもお話し申し上げたようなそういう伝統の中で生きてきた奄美でございますから、地元に大きな資本がございません。したがって、製糖会社が、内地資本が出ていっていることも、これはやむを得ないいまの状態だと思います。薩摩藩当時のような搾取をいまの農民がきれているとは私は考えません。内地資本は出てはおりますけれども、やはり近代的な経営が行なわれている。そこにサトウキビによる収益も、スピードは早くはありませんけれども、だんだん伸びてきている。これは確信をしていいことではないかと思います。ただ、林先生おっしゃいます電力、つむぎ、製糖、そういったことにつきまして、やはり政府としても一つ計画性を持っていく、企業利益と住民利益の一致点を見つけるという角度から、これからも政府は計画を立てるものは責任を持って計画を立ててまいりたい、このように考えております。
  103. 林百郎

    ○林委員 私は質問はこれで終わりますが、あと意見を簡単に……。  私が行ってみたときには、子供たちははだしで歩いているし、一クラスの中で七人か八人の子供が一つのクレヨンをお互いに使う、学校にはガラスの窓もなければ何もない、これがいまから七、八年前の状態だった。農業経営も、いま言ったように、半分の農家が五反歩以下という状態です。これはやはり農民が自主的に共同化して発展する方向を見てやる、こういう零細農民、それかう低賃金の労働者、そしてはくげたやくつもない子供、数人が一つのクレヨンを使っている、こういうところの民度を上げるということへどうしても重点を置かなければ——そのことが真の奄美振興であり、そのためには、あなたの言われるように、大きな資本を導入することによって近代化するのではなくて、そういう島民の自主的な発展の方向を政府が援助してやるということが基本のように思いまして、私は次官考えにはどうも賛成できないのですけれども、将来政府は、そういう点へ重大な関心を持つ必要があるのではないか、こういうふうに思います。  これは私の意見ですが、これで私の質問を終わります。
  104. 鹿野彦吉

  105. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 たいへん時間が制約されておるようでありますので、要領よくお尋ねしたいと思います。  いろいろ専門の皆さん方かうお尋ねがあると思いますので、まずガリオアの問題についてひとつ基本的な点で詰めてみたいと思うのです。そのことは、つまりガリオア、エロアの資金というのは、アメリカが施政権者であるときの金ですね。だかう現在、国の債権ということで日本政府がその債権を譲渡されて、いま取り立てをやっておる。しかし、本来直接占領者として、施政権者として使った資金である。そこで、ガリオアの債権を譲渡をして信用基金に入れられた内訳というもの、つまり、これが救済の形で出たものはないのか、あるいは何かの補償の形で出たものはないのか、直接の融資であったのかというふうな債権の中身について、具体的にアメリカ側かう受け取るときに明うかであったのかどうか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  106. 長野士郎

    長野政府委員 奄美群島が復帰しましたときに、日本と米国との協定で引き継いだ債権でございますけれども、その債権は、まあ先生お話は、債権といいながう、その中にはもうくれてしまうべきものもあったんではないかというお話ではなかろうかと思いますが、これはガリオア物資代等につきまして、どういう扱いをするかということについては、いろいろ扱いのしかたがあるということもいえるのかもしれませんが、しかし、やはりガリオア物資代というものにつきましても、そういう点ではその物資の補給をしまして、それについて、それは贈与でなくて、一般住民はお金を払って受け取っておる。その代金は、アメリカ側の債権として当然に返還すべきものというふうな取りきめになっておったように私ども思います。  それかう、ほかの復興金融基金、つまり住宅の資金でございますが、この住宅資金も、結局そのもとになりましたのは、琉球の軍政府がいろいろな援助物資等で返還を受けて基金をつくったというようなことの経緯はあるかもしれないと思いますけれども、琉球政府の復興金融基金として、その資金を住民に貸しつけます場合には、これは住宅資金でありますとか、あるいは営農の資金でありますとか、そういうふうにいたしまして、償還期限があります契約によりましてつくりました債権でございますかう、そういう意味では、全部償還すべき債権としてでき上がっておる、私どもはそういうふうに思っております。
  107. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 つまり、その施政権者のものを日本政府が受け取ったわけでしょう。ですから、日本の国民の納税者にかかわる債権とは違うわけですね。債権をアメリカ側かう譲渡されたんだけれども、これは本来国の債権としての債務者に対する——国も納税者の責任による債権ではない、つまり、納税にかかわっておるものではないということは明らかですね。その点いかがですか。
  108. 長野士郎

    長野政府委員 その辺になりますと、私どもも御質問が非常に専門的になりましてよくわかりませんようなところもございますが、結局国民の税金からでき上がった意味での債権ではないと私は思います。内地本土の場合も、いわゆる見返り物資とか、見返り物資の資金を基礎にいたしまして、国内の産業復興のために使ったというような関係のものに似た、そういうかっこうの債権であったろうと思います。
  109. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、アメリカから譲渡された、それを日本の政府が譲り受けて、それを債権として取り立てる、こういうわけでしょう。債務者のほうとの間の話し合いは何もないという経過ですね。そして、一般的には一括して債権として扱われておる。このことは、やはり非常に問題だと思うのです。だから、いろいろな問題がいま出てきておる、こういうふうに思います。だから、つまり債務者との関係、返還協定に基づいた日本政府とアメリカ政府との間の話し合いはあった。しかし、借り主である債務者との間の問題はない、そういうことになるわけですよ。  それじゃ、ここで私は結論にいきましょう。議論をしていきますと長くなりますかう結論を言いますが、いろいろと措置をされるという。生活保護者程度とか段階を設けて、弁済についても免除等の措置をいろいろ検討されるということがここで答弁されているというふうに聞いているわけです。私は直接聞いておりませんが、聞いております。  そこで問題は、いま言ったそういう性格からするならば、返済について、本来は延滞利子を免除すべきだと思うのです。延滞利子については、これは絶対免除ということが出てしかるべきなんです。どうですか。
  110. 長野士郎

    長野政府委員 債権者のほうだけがお互いに債権譲渡をしただけで、債務者は知らなかったじゃないかというお話でございますけれども、実は債務者は知っておるわけです。それは知っておりますかう、たとえばガリオア物資代については、債権確認時にクレームの申し立てがある。それから、当然移転するということで、法律上は通告の必要がないというように解されておることは、大阪の地裁の判決も出ておるわけでありますけれども、事実問題としましては、債権確認時に債務者に通告をいたしておりますし、これは当然大蔵省のほうでいたしております。それから、基金に移りましたときには、基金かう三十一年の四月に通告が行なわれております。ですから、その点ではこれはあまりあれでございますけれども、債務者が知らなかったということではないと思います。  ただ、延滞利息の関係でありますが、それだから延滞利息はというお話でございますが、これはガリオア物資代には関係がなくて、例の復金の貸し付け金、これは復金のころに貸し付けました約束契約がございまして、それに五分、六分、七分という三種類の利息があるのでありますが、期限内に払わないというような場合には、履行期限を延滞いたしました場合には二倍の延滞利息をつけるということがありまして、そこで延滞利息がつく。ですから、形式論になりますと、延滞利息も当然つくという約束になっておるわけです。ただ、現実の問題あるいはその後の状況その他を考えました場合に、最初は債務者が二千人ぐらいであった。現在は千人ぐらいになっておる。つまり完済をされた人が千人、延滞利息だけがまだ払ってないというお方が、その中で五百人ばかりあるわけです。元本がまだ未払いという方が五百人ぐらい、こういうことでございまして、どういいますか、全体の均衡の問題もございます。それから事実問題として、徴収したものは群馬の産業の振興あるいは民生の安定に還元していくということでございますので、その点と、それから実際の実態とを考慮しなければいけない。かつまた、そういう意味振興法にも第十条の三に九項というのがございまして、そういう債権についての債務者の履行が著しく困難となった場合には、やはり十分考えることができるという規定もあるわけでございます。形式論はいま申したとおりでございますけれども、実態の問題といたしまして、やはりいろいろ均衡その他もありますけれども、債務者の実態かう考えて考慮するということは、しかるべき適切な考慮は払うべきじゃなかろうかというふうに考えております。
  111. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、その債権を引き継いで、三十年の九月に奄美群島信用保証協会ができましたですね。このときには、信用補完だけを事業内容にしておりましたですね。それが三十四年の復興信用基金に編成がえをしましてから事業融資ということが行なわれるようになりました。これは自治省が直接監督ということになるのですか。大蔵省の指導になるわけですか。  そこで、先ほど林委員からも、所得水準が四七・七%だというお話もありました。それらは第一次の復興計画以来、これまでの復興計画なり、それから十カ年計画振興計画という計画全体を一ぺん徹底的に洗う必要があると思います。これは私が非常に関心を持ちますことは、私は本土鹿児島ですし、参議院選挙のときもかわりにしょっちゅう立ち会い演説等にも行っておりますから、現地もある程度回っておるわけです。  そうしますと、この復興信用保証協会は最初信用補完だけだった。それがあと事業になるわけですが、なぜ最初から——先ほどの林委員の質問に対する政府委員の御答弁にも、薩摩以来蓄積がないのだということを言われたわけでしょう。そして第一次の復興計画に入ったときも、資本の蓄積の問題は計画の中に非常に大きな問題として取り上げられてきた。それにもかかわらず、この信用保証協会は信用補完だけに終わって事業に入らなかった。なぜか。なぜ最初の三十年のときから事業融資というふうなものができる方向に持っていけなかったのか。これは過去の問題になりますが、私は、今後沖繩返還という場合にも、またいろんな問題が沖繩でも出てくると思うのです。だから、この点を少し詰めておきたいと思います。その点はなぜ二段に分けたか。
  112. 長野士郎

    長野政府委員 そのころの事情につきましては、確かにお尋ねのようなところがございますが、ちょっとはっきりいたしませんけれども、当時は、いわゆる承継債権はまだ承継債権そのものでございまして、回収とかそういうことにまでは一つも入ってないというようなことと、それから、何と申しましても、資金ワクその他につきましても、そういう意味での制約が非常にありました。そういう上で、しかしとりあえず奄美のお役に立てる方向として何かないかといえば、まあ信用保証業務としてなら相当活用できるというようなことで、まずそこかうやっていこうということになったのではないかと思います。
  113. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、第一次復興計画に返りまして、先ほどの指摘の点にもかかってくるのだけれども、昭和九−十一年の国民生活水準というものに基本を置いた、そうして年度計画できたわけです。ところが、第一次で終わらぬで二次までかかったわけですね。十カ年でようやくそとまで行った。そのことがもう出発点においてすでに今日の四七・七%ということを招来をすることになる原因があるわけです。そこで、つまりこういう非常に離れた、分離されておったところの地域というものに対する国の統治行為の結果受けておった住民の被害、それを直していくということについて、九−十一年のそのことを計画はずっと固執しているわけですよ。だから、何%達成率、何%達成率ということでいくわけだけれども、それは九—十一年のその水準に持っていくことが計画なんです。本土側の国の経済が成長していくということは目標に入らぬわけでしょう。そのことがやはりこういう結果になってきた。私はこれをどうこうと言いません。その点は、現在から振り返ってみて、この立て方は間違っていた、こう思いますが、その点、計画の立て方、復興のしかた、つまり本土側の経済成長率というものを入れて、それは当然に修正をしていく、その点についての根本的な反省があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  114. 長野士郎

    長野政府委員 復興当初のころのことは私は多少はっきりしない点もございますけれども、たしか私どもの聞いておりますところでは、最初に復興事業計画いたしましたときに、戦前の水準まで早く復興したいというようなことで初めやったわけでございます。ただ、そのときにも、何と申しますか、非常に遠いところでございます。港一つ十分整備されてないというような状況がございまして、当初が非常に出おくれております。それは、そういう意味の資材、あるいはそういう技術、あるいは労務というようなものの供給に非常に不便を感じまして、れんが一つつくれないという状況でございましたので、セメントかう何かう全部運んでいく。建設資材あるいは機械その他を全部——もちろん港一つ十分でないというかっこうでございましたから非常におくれました。そういうことがございまして、また同時に、御指摘のとおり、本土の経済の成長というものが非常に急速に伸びていくということがその上にかぶさってきているということは確かにございます。そういう点で戦前の水準に復帰いたしましたときには、正直いいまして本土のほうはさらに先のほうへ行っているということが起きているわけでございます。その点は非常に反省をいたしております。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 したがいまして、今度の改定計画につきましても、目標年次におきまして今度は県民所得に対しまして九四・一%に達成したいということを言っておりますが、その際の九四・一%の場合の県民一人当たりの所得は現在は十七万一千百九十八円でございますけれども、四十八年には鹿児島県の県民一人当たりの所得もやはり伸びる、七三%くらい伸びるであろうということで、二十九万七千二百三十四円というものに対して九四・一%というようなものを考えていきたい。今度はその伸びというものをある程度見ながらそういうかっこうで目標を達成するような意味計画をつくってまいりたい、こう考えております。
  115. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間が非常に制約されていますかう、次にはそれでは、今度の第二次の振興計画がありますね。これが五年後どういう結果になるか、あるいは本土側の経済成長とのいろいろな関係もありますね。しかし、いまの奄美の経済の過去のものを見ても、結局復興事業というのがささえてきている。これがかろうじて過疎問題というものも、本土の僻地、離島というか、九州各県におけるそれよりもむしろささえてきているという役割りを果たしてきていると思うのです。そうすると、第二次の振興計画が終わってもし振興事業がなくなったということになったら、ここで四十一年度の移出入を見ても移入二百四億に対して移出百四億、そうすると赤字九十六億ということになっておる。そうすると、それをささえておるのは振興事業費であるし、交付金であるし、県の支出金である、こういうことになっていますね。そういういまの奄美の経済の姿というものが、第二次の振興計画の中で、つまりいまの問題が解消できる方向にいくと見ておるのか、なおかつそのささえがなければがぐんと落ちて、つまり過疎問題というものが非常に致命的な問題として出てぐる可能性はないのか、その点をどうお考えですか。
  116. 長野士郎

    長野政府委員 お話しのとおりでございまして、この移出入の百億の差というものが、一体自立経済ということになればほんとうに達成できるかという問題は確かにございます。したがいまして、その場合に、この振興事業成果といたしまして、移出入の差を非常に縮めていくということは、私どもぜひできる限り達成をいたしたいと思いますが、振興事業だけでささえているというわけではございません。この寄与率は大体一七、八%にはなっておると思います。そこでそういう点を今後融資その他をまぜまして、どういうふうに維持していくかという五カ年後の問題がありますが、私どもとしては、少なくとも普通の離島並みと申しますか、離島並み程度のささえというものはまだ今後も要るだろうという感じはしております。そこまでには少なくとも上げていきたいというようなつもりでおります。
  117. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 さっき電力の問題も出ましたが、これは私予算の分科会で通産大臣等にも質問いたしてまいりました。そこで四公営が四十七年に大島電力にというこのプロセス自体が非常におそいと思うのです。それは九州電力全体の問題等とも関連をして追及してまいったのでありますけれども、しかし、一応いまのスケジュールがそういうことになっておるとしましたならば、自治省として四十七年に、つまり次の九州電力への吸収の出発点になし得るかどうか、その指導をどういうふうにお考えになっておるか。つまりそこからまたあらためて考え直しましょうということではなくて、四公営を大島電力が四十七年に吸収したときには、次の九州電力というつながりになし得るかどうかということを、そしてそれをしてもういたい、こういうふうに思うのです。
  118. 砂田重民

    砂田政府委員 いまの川崎先生お話は、四公営を四十七年までに大島電力に合併をさせる、その先の九州電力との話をおくらしてはならぬぞというお話であったと思うのですが、四十七年には四公営を合併した大島電力が九州電力に合併をする、そういう計画で実は四公営企業等にも辺地債その他も考慮して、そこの間のスケジュールがおくれないようにそういう措置自治省としてはとってまいる、こういうことであります。
  119. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 通産省よりもたいへん積極的でよろしいと思います。九州電力自体は正直のところもっと姿勢はおくれていると思います。私はいまの次官の答弁は政府の正式の御答弁としてそういうふうにぴしっとやってもらうように御期待をいたしたい、こういうふうに思います。  次に、海中公園の問題ですが、特に私は沖繩の施政権の返還を考えますと、沖繩も含めまして、この海中公園というのは相当大々的に開発をしてもういたい、こう思います。その点についていかがでありますか。
  120. 砂田重民

    砂田政府委員 これは御承知のように、自然公園法の改定をまちまして、奄美の適当な場所にぜひ設けたい、こう考えております。どういうふうな施設をしたらいいかというふうなこともただいま、自然公園法の改正はございませんけれども研究に着手をいたしております。また、奄美の中でどこが一番適切であるかということもただいま検討しております。
  121. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 沖繩との関係は……。
  122. 砂田重民

    砂田政府委員 私どもでは沖繩海中公園のことについてはまだ別に何ら研究しておりません。
  123. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは沖繩を自治省が担当するかどうか、総理府から移るかどうかという問題が一つその前にあろうと思います。しかし、これは奄美大島が突然復帰をして準備ができなかったのだというふうなことがあのときの第一次復興計画の反省としていわれておるけれども、そういうことがまた沖繩でどうのこうのいわれてはならぬと思うのです。だから国土総合開発計画の中の奄美の位置づけ、これらも時間があれば詰めたかったのであります。それから沖繩との関係、これらを自治省としてもひとつ十分に検討願いたいと思います。  最後に一つ。これは私は参議院選挙の立ち会いにはいつも、あそこは離島のせいもあるのですが、かわりに行っておるのです。ところが衆議院選挙はないのです。公選法並びに政令で特例の地域に置かれております。しかし、現地は非常に——ここに保岡先生お見えでありますけれども、熱心に立ち会い演説を要望しておる、こういうわけであります。二月十三日、鹿児局県の選管もそれをきめて自治省に上げたというふうに聞いております。それから各奄美市町村長も非常に要望をいたしております。特例を設けたときの交通機関の状況等からいたしますならば、今日においてはその点はもう十分なし得るのではないか、こう思います。ですから、奄美大島における衆議院選挙の立ち会い等についても、ひとつ公選法の改正、政令の改正ということを次の選挙に間に合うようにやってもらいたい。このことを最後にお尋ねして、終わります。
  124. 砂田重民

    砂田政府委員 保岡先生と始終お話しをしておりながら、どうも奄美の衆議院選挙に立ち会い演説がないということを私はうかつにも知りませんで、いま初めて伺ったのでありますが、重大な問題でありますので、ひとつ前向きに検討さしていただきたいと思います。
  125. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  126. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 太田一夫君。
  127. 太田一夫

    太田委員 なるべく短い時間にしたいと思います。  いろいろ同僚議員等かうお尋ねされまして、奄美の新しい振興計画というのは実はたいへんな内容を持っておることを痛感したのですが、そこで具体的な問題をひとつお尋ねをして、ほんとうに偽らざる方向を明らかにしてもらいたい。  それは、林業に対する今度の新たなる復興計画は、事業費およそ十九億七千三百万円、そのような大型の事業計画をもちまして、そうして林業に対する振興をやろうというのでありますが、すでに十五カ年計画において二十四億円の事業費を投下されておりますから、合わせまして四十五億程度のものが林業開発振興のために費やされたことになる。しかも林業の関係人口というのは、御報告書によりますと六百三十一人、全郡民に占めるパーセンテージ〇・八%とある。どうしてそういうわずか〇・八%に対してそのような膨大な資金が投ぜられるのか、その論理をお尋ねしたい。
  128. 長野士郎

    長野政府委員 林業につきましては、林業を専業としております人口は、お話しのとおり非常に少ないのでございますが、奄美の林業というのは特殊な用材、たとえば鉄道のまくら木等に使いますような用材も古来かうだいぶあるようでございますけれども、最近は何と申しますか、パルプ用材のチップにいたす——たとえば大和村とか宇検村というようなところがございますが、そういうところは公有林が非常に多うございまして、それが雑木林でございます。その雑木林をパルプ用材のチップと申しますか、そういうものとして一応切りまして、そのあとにいわゆる琉球松を植える、そういうことでこの人工林率を非常に高めていきたい。琉球松の栽培というものがまた市町村の財政の基礎あるいはそういう意味の所得の増大に非常に役に立つというようなことで、林種転換と申しますか、そういうことをやっておるのでございます。したがいまして、それと治山治水といいますか、そういうものと相関連しておりますので、今後の問題としてやはり林業の振興開発ということは必要じゃないかと考えております。
  129. 太田一夫

    太田委員 それは特殊用材があるかうとおっしゃったのですが、奄美の山というのは、私は実際調べたわけじゃありませんけれども、特定の資本家が所有しておるのがその木のはえておる山でしょう。それを御存じなんですか。島民の経済の振興というんじゃなくして、特定の人の経済の振興につながってそれが使われていくのではないか。それはお調べになっていらっしゃいますか。
  130. 長野士郎

    長野政府委員 奄美群島におきますところの森林の面積は全体で七万四千百三十六ヘクタールということになっておりまして、その中に、県有林が千七百八十三ヘクタール、市町村有林が二万六千三十二ヘクタール、それから私有林が四万六千三百二十一ヘクタールで、私有林が全体の半分以上を占めております。  お話しの、この私有林の中に特定の山持ちがおるんじゃないかといろお話でございますが、私も特定な山持ちがおるという話は聞いております。
  131. 太田一夫

    太田委員 それでどうですか。それでいいのですか。
  132. 長野士郎

    長野政府委員 特定の山持ちのために利益をはかっているというようなことではないかというお尋ねかと思いますが、私どもはそういうこととしてものを考えておるわけではございませんで、やはりチップ材とか特殊な用材とかそれから琉球松に対する転換とかいうようなことは——琉球松は林間放牧というようなこともできるそうでございまして、そういう意味で大和村とか宇検村では非常に力を入れておる問題であります。そういうものも全体と関連いたしまして、林道の開発あるいは造林促進の対策をやはり続けてやってまいりたい、こう考えております。特に大島木島は耕地が非常に少のうございまして、山地と申しますか、山が非常に多いところでございます。特に一人当たりの農耕地の面積も非常に少のうございまして、大和、宇検、住用村などという村々は山ばかりと言ってもいいようなところでございます。そういうところの林道あるいは林種の転換とか用材の開発とかいうことは、奥地でございますが、たいへん必要なことじゃないかと思っております。
  133. 太田一夫

    太田委員 私は、いまの十五年間二十四億円、さらに五カ年間十九億円というのはあまりにも多過ぎる、しかもいまの民有林を持つ特定の山持ち、いわば山持ちといわれる人のためにはかるんではないとおっしゃったから、その人のためにはかってなければけっこうですけれども、その点ははっきりしてください。民生向上のために、島民の経済発展のためになるというなら、木を植えるとかなんとかいうことはすぐに金になるわけじゃありませんから、とやかくのことは申しませんけれども、どうもそういううわさというものはいいうわさじゃない。特定な山持ちのために相はかったものではないということはあなたのほうで確言できますか。約束できますか。
  134. 長野士郎

    長野政府委員 特定の山持ちのためにはかったというつもりはもちろんございません。琉球松は二十年くらいで木になれるそうでございまして、そういう意味で新しい林種転換というのがいま私ども非常に進んでおるように聞いております。私どもが行ってまいりましたときには、琉球松はずいぶん普及をいたしておりました。それが今後奄美の林産を進める、あるいは所得を増す上では非常にいいことじゃないだろうかと考えております。
  135. 太田一夫

    太田委員 私が言いますのは、わずか六百三十一人しか林業関係の従事者がないという、人口比〇・八%、そこに何だかんだで四十五億の投資は多過ぎるというのです。幾ら考えたって、先行投資にしては多過ぎるじゃありませんか。どれだけいままで島民の経済を潤しましたか。これは全然統計が報告されておりません。そこで、それではちょっと伺いますが、林道そのものというものは、一体どういう人に工事を請け負わせておりますか。
  136. 長野士郎

    長野政府委員 林道は、事業主体はおおむね市町村でございます。市町村といたしましては、地元の建設業者に請け負わせていると思います。
  137. 太田一夫

    太田委員 私は、その開発というのはとかく資金というものが潤沢でありますかう、そういう建設事業とかいうようなものには、非常に多くの利欲の深い者がたかり寄ってくるものと考えておるわけです。それに対する、あなたのほうのチェックする監査機構というのは完備しておるのかどうか。むだ金になっておるということは、私はたいへんだと思う。その点はいかがですか。
  138. 長野士郎

    長野政府委員 こういう事業施設につきましては、それだけ投資をするわけでございますかう、その意味事業実施は非常に厳格に、正しい筋道を通ったようなやり方でなければならぬことは当然であります。この点につきましては、市、町、村、県、国——国としては会計検査院がしばしば現地におもむきまして検査をしております。現にその検査院の検査の結果、指摘を受けたこともございます。
  139. 太田一夫

    太田委員 それじゃ具体的に聞きますが、奄美島民の所得というのは、大体において本土の平均の半分だというお答えでありました。したがって、工事単価というのは安いですね。
  140. 長野士郎

    長野政府委員 工事単価は必ずしも安いようには聞いておりません。
  141. 太田一夫

    太田委員 その理由と、実情について御存じの点がありましたら、どうして高いのかということを御説明いただきたい。
  142. 長野士郎

    長野政府委員 私も詳しいことは知りませんが、建設省の統一単価というものがありますことと、それから資材等につきましては、なお現地で調達できるものばかりでございません。セメント等は全部こちらから、輸入と申しては語弊がありますけれども、輸入するわけでございまして、そういうものには運賃等が加算をされますので、工事単価としてはむしろ相当高いものにつくというふうに聞いております。
  143. 太田一夫

    太田委員 聞いているじゃないのです。あなたのほうはこの新五カ年計画というものを、大体ここで素案が発表されているわけでございますね。これは素案でございましょうね。これを見ますと、林業を、私は何も山に木を植えるということを目のかたきにしているわけじゃない。いいです。ただし、工事費の中には、いままでの林業開発費は、道をつくるほうに相当つぎ込まれていると思うのです、林道の建設費に。そうすると、それはあなたのように、セメントが高いかう本土の工事より高い高いということは言いわけにならぬじゃないですか。実際はほとんど人夫賃というのが中心でしょう。一人を幾うで計算されているか。本土と同じ水準であるのか。建設省の標準単価で計算して請け負わしておるのか。現実には幾ら払っておるのか、そういうことをお調べになったことがありますか。
  144. 長野士郎

    長野政府委員 工事費の労賃の単価等につきましては、いまここに詳細な資料の持ち合わせがございませんので、後ほど資料を調べて御報告申し上げますが、先ほど申し上げましたのは工事一般について申し上げたわけでございますが、要するに資材とかそういうものにつきましては、むしろ一般的にいえば割り高につくということを申し上げたわけでございます。
  145. 太田一夫

    太田委員 林道というようなものをつくる場合に、セメントが高いかう本土より割り高というあなたの説明、これは一般工事としておっしゃったとすれば訂正して聞いてもけっこうですけれども、おかしいですよ。だから、あなたたちは、新たに五カ年計画で二百四十八億も投じようというのに、積算の基礎であるところのそういう問題にメスが入れられておらない。どうして島民の生活がよくならないのかという点についてメスが加えられておらない。これじゃ二百四十八億というのは、われわれはああけっこうでございますねと言えますか。どうでしょう。
  146. 長野士郎

    長野政府委員 予算につきましては、これは建設省の統一単価で積算をいたしましてはじいた数字でございますので、その上でなければ国の予算としてはでき上がらぬというかっこうになっておりますので、御了承を願えるんじゃないかと思うのであります。  林道につきましては、これは特に本島につきましては、林道は森林資源の開発という面もございますが、島内の交通——むしろ交通が非常に便の悪いところでございまして、そういう意味で、この循環道路あるいはそれに接続する道路という意味も非常に持っておる。私どもも、そういう交通路の確保という意味でも非常に重要だと考えて、林道には相当力を入れてまいったのであります。そういう事情もあわせて御了解いただければと思うのでございます。
  147. 太田一夫

    太田委員 それは山間地の交通の大事なサービスになっておると思うのです、林道というのはどこでもそうなんですかう。だから林道そのものは私も否定しない。けれども、二百四十八億新たに投じようというときに、あなたのほうの積算の基礎である単価というのが、たとえば労務賃などに至っては建設省の統一単価ではじいたんだということは無責任じゃないかと言うのです。それだったら、これだけのものが、公共的な工事が行なわれておるとするならば、少なくとも島民の所得というのはもっと大幅に上がってくるはずですよ、十五年間に。やはり安い単価しか払われておらないんじゃありませんか。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  148. 長野士郎

    長野政府委員 人口の就業比におきましても、過去かう比べますと、建設事業等につきまして、非常に人口の就業割合というものが伸びております。そういうことはお話しのとおり、公共事業によりますところの建設事業が非常に多く行なわれることによりまして、そういうところの就業者がふえたということに直接的な影響を相当与えたろうと思います。  この二百四十八億全体の問題でございますが、これにつきましては、いま申し上げましたように、それぞれの地域ごとにきめられましたいわゆる統一単価を使って積算をしておりますので、全国一本というわけではないようでありますけれども、その地域地域に応じた建設省のつくりました統一単価によって積算をしております。
  149. 太田一夫

    太田委員 統一単価ならセメントは特別割り高じゃないでしょう。統一単価でやったというのは実勢単価じゃないのだから、セメントが特別高いかう工事費が高くなるというようなことはないでしょう。統一単価だから変わらないのじゃないですか。
  150. 長野士郎

    長野政府委員 どうもその辺になりますと私もよくわかりません。正直申しましてわかりませんが、地域によって資材費その他についてもいろいろ基準があるようでございますかうそういう意味で積算をしておるということになります。たとえば非常な離島、僻地でございますと、一定の割合を増していくということも考えられておるようでございます。そういう意味でなるべく実態に合うように考えられておると思います。予算とそれから実際の工事費との関係ではぴたっと適合するのが一番いいわけでありますけれども、その点はそのときの、同じ島でありましても、工事個所によりましてまたそこで条件が違うというようなことは出てくるわけでありまして、そういう意味では一般のほかの場所と比べては割り高になるということが言えるようであります。
  151. 太田一夫

    太田委員 私は復興計画ですからすみやかにやってほしいと思う。そうすれば人夫は引っぱりだこですね。そういうことになるならば高い人夫賃でいいじゃありませんか。何もそんなことを私は否定するというわけではない。本土並みの賃金というものを支給する、それは工賃単価として積算されていいと思う。セメントが高いなら、鉄材が高いならその高いものが加算されてけっこうだ。同時に運搬賃も、それは不便なところでしょうから当然高いでしょう。適正利潤もいいでしょう。しかしそれをチェックしてありますかということを聞いておるわけです。これはたまたま林道のほうで聞いておりますけれども、ほかの公共工事にすばらしくたくさん投下されておるでしょう。いままでも投下されておるし、これからも投下されようとしておる。たとえば道路、橋梁等はいままでに五十七億投ぜられ、さらに三十七億投ぜられておる。百億近い金がかかってますね。そういうところの積算の基礎というものに対してメスを入れておかないと、せっかくのこの振興計画がどうやら——向こうは非常にシロアリが多いそうでありますけれども、シロアリによって食い荒されるということになったうたいへんだ。その辺を心配するのです。それをチェックできますか、監査できますかということを最初にお尋ねしておったのですが、単に統一単価でやったということも私はわからぬわけじゃないのです。方便として、目標ですからわからぬわけではありませんけれども、もう少しきびしくていいんじゃないでしょうか、単価そのものに。いかがですか。
  152. 長野士郎

    長野政府委員 どうもおっしゃることがよく私はわからないのでありますけれども予算の積算は非常にきびしくできております。それから予算執行につきましても、ここではただ総額で表示してありますけれども予算執行は通常の公共事業実施と同じ手続によりまして執行するわけでございます。それぞれがチェックするところではチェックするということでやっておるわけでございます。
  153. 太田一夫

    太田委員 それは信じましょう。  それでは一つだけほんとうに具体的に答えてください。道路工事の労務賃は一人一日幾らですか。
  154. 長野士郎

    長野政府委員 具体的な設計図を見ればわかりますけれども、現実にその点につきましてはただいまここに資料を持ち合わしておりませんので、あとで御報告させていただきたいと思います。
  155. 太田一夫

    太田委員 私はあとで、そのことは既存の工事についてはどうだったかということの一つのあなたのほうの調査の結果もお知うせいただきたいし、この計画の中に組まれておるその労務賃は一日一人幾らであるか、男は幾ら、女は幾ら、そういうことは明らかにならなければいけないと思うのですよ。それが一番大事なことじゃありませんか。それが非常に高い見積もりをされておるが、支払いのほうは非常に低く支払われておるということがあるとするならば、だれがもうけるのか、建設業者だけじゃありませんか。損するのはだれですか、国民とあなたのほうのこの予算を出す、ごまかされて出す人が、いきさか道化じみてくるわけですね。私はそこのところを言っているわけです。ひとつ出してください。  それからもう一つ。そこでずっと聞いております間、いままでの問答の中からふしぎになったことは、先ほど私のほうの井岡委員かう桑と繭の関係、養蚕関係お尋ねになりましたけれども、養蚕というのは人口、戸数がここ五、六年の間にどんどんどんどん減っておるわけですね。三十七年に二千百四十六戸ありましたのが三十八年には若干減り、三十九年には約五百戸減って千六百五十六戸、四十一年度には八百二戸と大幅に減ってしまっておるわけですね。したがって、桑園のほうも、桑畑のほうも三十七年に百人十七ヘクタールが四十一年には百四十七ヘクタールと四十ヘクタール減っておるわけですかう、繭のほうも三十三トンが二十三トンに減っておるわけですね。それであなたのほうは、今度の振興計画の中には養蚕というのは全然ないですね。字が抜けちゃったね。もう見捨てるのですかということを聞きたい。
  156. 長野士郎

    長野政府委員 養蚕につきましてはお示しのような状況があります。これにつきまして蚕業関係の今後のあり方をどういうふうにするかということにつきましては、農林省その他でもいろいろ検討をしていただいておる最中でございます。今度の振興事業の中には、一応蚕業の生産対策といたしまして桑園あるいは稚蚕の飼育等につきましては、信用基金の融資によって、実施主体団体をもってそういうものを行ないたいというふうに計画をしております。
  157. 太田一夫

    太田委員 農林省研究していただくのはいいと思うのですが、振興計画という素案の中には方向性があっていいと思うのですね。私は、その方向性に桑の木はそいでしまいなさい、養蚕農家は減りなさい、こういう方向が感じ取られてしようがないわけです。これはもっともっと振興すべきじゃありませんか。いままで十五年間に三千九百万円養蚕のために出されただけでしょう。後期五カ年計画にはゼロじゃありませんか。そういう貧乏な人に対する、何か第一次産業の基礎的な営々として働いておる人に対しては、何ら振興計画の恩典がない、そこのところをお尋ねします。
  158. 長野士郎

    長野政府委員 農業の協業化の促進費の中には、養蚕というふうに特記をいたしておりませんけれども、そういう蚕業関係事業が入っております。それは、蚕業生産対策として団体に融資してやる。桑園五十ヘクタール、稚蚕八棟、壮蚕二百セット、乾繭四棟、その他の事業といたしまして一億一千百九十万円というものを一応融資事業として考えるというものも入れておるわけでありまして、将来の方向というほど強いものになっておるかというお話でございますと、正直に申しましてそれほどにはなっていないかと思います。
  159. 太田一夫

    太田委員 そこが、私は心配なのです。学校をさらにつくろうとか、飛行場をつくろうとか、道をつくろうとか、高校をつくろうとか、船をつくろうなどというのもいいじゃありませんか。賛成しますよ、そのことに対しては。賛成する。しかし、どうして養蚕振興だけは前期十カ年計画に三千九百万円計上された以外には、後期五カ年計画はゼロ、今度もゼロとは、あまりにも情ない。それは即大島つむぎ振興計画というものの破綻ではありませんか。つながらない。  桑の木を植える。お蚕が桑の葉を食べて糸を出す。その糸を今度は絹糸にいたしましてそれを織る。染める。それかう出荷してどこかうか店頭に並べられるということになるわけですかう、これはサトウキビのほうは相当手厚く考えられておりますけれども大島つむぎかうもとへ戻っていった養蚕ということに対しては非常に冷たくなった。そこが合わないですね。やる気があるなら、ぼくは後期、新五カ年計画を変更してもらいたい。明らかに明示してもういたい。ないならないで、ここで養蚕業界つぶれろと言ってもういたい。それならはっきりしますよ。
  160. 長野士郎

    長野政府委員 養蚕につきましては過去にもいろいろな事業が行なわれたことは何回かございます。現在までにいろいろ試行錯誤いたしておるのでございまして、そういう意味で決して養蚕について——非常に新しい経営をやっていくというふうに見通しがつきますれば、振興計画の中にも相当強く打ち出すことはできると思います。その関係につきましては、ただいまのところはそれほどの整った計画ということにまで至っていないのは事実でございます。それは過去の経験、先ほど御指摘がありましたように養蚕事業についてはそれに従事する人がどんどん減ってきていっているというような状況は、この住民のどういうものに重点を置きたいかという意欲の問題にも非常に関係がございまして、そういうものとの調節の中で今後養蚕の関係の近代化が進められれば、それはもちろん私どもも大いに進めてまいりたいと思います。
  161. 太田一夫

    太田委員 あまり時間のないときに私は押し問答しておっても始まらぬ、こう思いますかう、私はできるだけそれを避けて通りたいと思うけれども、とにかく大島つむぎの振興をはかるというのは地場産業振興としていいことだと思いますし、最近東京都あたりでは相当高級品がよく売れておるし、それだけの技術を持っているのですかう、これはできるだけ振興せねばならぬ。そのためには一貫的な振興計画をおつくりになって桑畑もたくさんつくろう。それから養蚕も糸価安定をはかりながら盛大にやってほしい。そして、それによって農家経済の向上をはかりつつ、それが大島つむぎの生産の振興につながるように配慮されてしかるべきではないかと思う。  そこで、いまの養蚕業に対する振興政策はないという点について私はもう非常に不満である、幾度も説明なさいますけれども。これが変えられるものなら明言をしてもういたい。  それからもう一つ大島つむぎの詐取事件で一昨日お尋ねいたしまして、御答弁がありました。あれは一つの思惑のはずれですね、こちらの生産農家としてみれば。中間搾取が多過ぎるかう、生産者が直接販売をやってみようとしたわけだ。ところが、初めのうちはもうけさせてくれた。きちきちと金もくれた、手形も落してくれたから。しまいにひっかかっちゃった。それで元も子もなくなったわけだから、それに参加しなかった、最初指をくわえておった人は、ひどい目にあったなと横目で見てにやっとしていらっしゃるだろうと思うが、やはりこれは流通機構の問題の欠陥ですね。だから奄美でできた大島つむぎはその協同組合なら協同組合で、どういうふうに指導されていらっしゃるのかわからないが、そこの協同組合かうでなければ買えないという方針を確立されていいじゃないですか。協同組合育成という項目が最初ありましたね。ところが二十九年かう三十三年の五カ年間にもこれの事業費ゼロ、それから三十八年までの五カ年間もゼロ、後期、この間の三十九年かう四十三年まででございますが、初めて六千人百万ついた。今度はそこに二千万円がつけられておりますが、この協同組合振興というのはそういうところに力を入れるべきじゃないかと私は思うのです。それでそこの大島つむぎ生産協同組合とか、その組合を通じなければ買えないのだ、そして生産者には必ず現金で、現金でなければ取引しないというようなきちっとしたものにしてしまえば、そんな倒産だとかなんとかいうようなことは避けられますよ。それから同時に生産者の利益も相当上がってくると思うのです。その方面も手抜かりですね。
  162. 長野士郎

    長野政府委員 大島つむぎにつきまして協同組合を通じて全部販売とかそういうことをやったらいいじゃないかといういまのお話ですが、現在協同組合としてやっておりますのは、この前も申し上げましたが、そこまで実はいっておりません。品質の維持のための検査が中心になっておるようでございまして、協同組合としてはそういう方式を非常に望んでおるようでございますけれども、生産者の間でそのところの一致した歩調がなかなかとりにくいという事情があるようでございます。今後も、おっしゃいますような方向で体制が強化されることは、私どもは非常にいいことだと思います。
  163. 太田一夫

    太田委員 それじゃ念を押しますが、私はきょうこの程度でとめますが、三つの問題点だけにしておきます。  今後、いまの実態を調べ、そしてその請負賃金の中に占める労務費の現状というものに、これは過去のものを一応参考としていただき、今後この中にある積算の基礎というのは本土並みでございます、建設省の統一労賃です、統一レートですということをあなたのほうが保証してくださるか。桑園とかいわば養蚕業の振興は必ずこの中に、どこか変えてでもやりますということを明言をしてくださるか。つむぎの販売については二度とそういう詐欺にかからないように、生産者の手取りがたたかれないように、必ず生産、販売の協同組合をつくって、その流通販売機構に対して一応の前進をするように指導することを約束してくださるか。そういう点について私は明確な御答弁を承っておきたいのです。
  164. 長野士郎

    長野政府委員 この予算の積算におきまするところの労務費その他の事業の積算でございますが、これは奄美だけ特別に安くするとか、そういうようなことで考えておるわけではございません。要するに、そういう意味では建設省の地域別の統一単価で計上いたしております。  それから養蚕の関係のことでございますが、島民の中でそういう養蚕を近代化して盛大にやりたいという意欲が出てきます場合におきましては、私ども振興事業の中にそれを十分取り入れて積極的に伸ばすようにやっていきたいと考えます。  つむぎの問題につきましても、そういう流通機構整備というものについて今後力を入れろというお話のように全体として承りますが、私どもも県と共同いたしまして振興事業を通じてできるだけのことはぜひ御趣旨に沿ってやっていきたいと考えます。
  165. 太田一夫

    太田委員 長野局長の御答弁はわからないではない。あとの二つはよくわかりましたが、労務賃の統一標準価格というのは、積算の基礎としてそれを使っておるというふうに考えられてしょうがない、いまのお話の中でも。実効賃金としてお支払いなさいますか。
  166. 長野士郎

    長野政府委員 これは労賃をこれだけ必ず入れろ入れるなという議論になりますとかなりむずかしい問題になると思います。これは失対事業とかそういう問題でございますと、一つのあれがきまっておるわけでありましょうが、これは入札でございますし、労務者を何人使うか、その単価はどうであるかというようなことにつきましては、競争入札の結果出てくる問題だと私は思います。
  167. 太田一夫

    太田委員 競争入札の結果出てきた労務賃を見て、統一価格よりも安かったら事業費そのものは圧縮されてきますね。それから同時に、実際は統一価格はあなたのほうの手のうちがわかり過ぎておるかう、入札の価格がわかり過ぎておるじゃありませんか。これは競争入札とは書いてないじゃないですか、そういうことなら。およそ入札ということになれば、談合ということを考えれば別として、談合がないものとして見るならば、できるだけ頭をしぼって、そして安い値段で落札をはかるのが常識ですが、予算がこれだけあるならとれだけ取っておこう、払うほうはどうせみんな所得が少ないのだから、サトウキビつくったって何だって安いのだから、労務債もこの程度だということで、本土の何割というような賃金が払われていく。とするならば、それは不当な単価ということになりますね、請負単価というものが。請負事業費というものに問題が起きてくるわけです。ここのところを、私は何もあなたのほうがお支払いになるわけじゃないかう、あなたが支払うということは言わないけれども、そういう点においても、不当に高い復興資金を出して実際は島民が何ももうからなくて、中間だけでもうかってしまうということを私は非常におそれるわけです。それは監査権というものはどうなっておるか知りませんけれども、これは僻地でも山村でもそうですが、とかくそういうところというのはすぐそばに土木事務所があったって、完全な竣工検査はできないですよ。ましてや、奄美はそう厳重にやれるというふうにも思いませんし、ことに場合によっては急がなければならないですかう、五カ年間にこれだけ使うとすれば、寛大だろうと思うのですよ。だから労務賃においては本土並みに払われるものなりとわれわれが理解し、政府の復興計画を立案なさった皆さん方もそう理解しておると理解してよろしいのか。
  168. 長野士郎

    長野政府委員 どうも先生のおっしゃる意味が私は正直申しましてよくわかりません。と申しますことは、予算予算で通常一般の積算でいたすわけでございます。それから工事につきましては一応の見積もり予定価格というものはございます。それもそういう積算があるわけでございますけれども、それに対しまして、工事の種類もありまするが、入札に付するということでございまして、そうしてその額が幾うということで、最低入札者なら最低入札者、これは契約のときにちゃんとどういう仕組みでするということがきまっておりますかう、最低価格の者と契約するなら契約をする。それで仕事のでき上がりというものが、請負ではございましょうが、注文どおりのものができるかできないかでございます。したがいまして、予算が百万円ということでありました場合に、入札価格が九十万円であれば、私どもは百万円払うはずがございません。九十万円しか払わないのでございます。そうしますと、あとの十万円は予算の残として残りますか、あるいはその事業をさらに十万円分伸ばすという方向で使いますか、そういうことになるわけでございます。そうしてその工事を請け負いました者の中で労賃が幾らになっておるかという問題になりますと、これはそれぞれの労働需給の関係によりましておよそ値打ちというものはきまっていくということになるわけでありまして、それを幾らにしなければならないというふうなことで、奄美の工事だけは特にそういう注文をいたせという御注文がございますれば、今後の新しい問題として承らなければいけないと思います。私は、奄美もよそも同じように、公共事業とかこういう工事をいたすときには同じような仕組みでいたしておるということで御理解いただかないといたし方ないと思います。そうしてまた、奄美群島でも失業対策事業その他あるわけでございますかう、もし不当に賃金が安いとかなんとかいうことになりますれば、そういうものに人夫として応じていく人はいないということになることも当然だろうと思うのであります。  そこで、何か、百万円で請け負ったのに請負業者が九十万円ということで十万円かすめやしないかということでありますと、そういうことは、入札をますます適正にいたさなければならぬと思いますけれども、そういう事業執行なり契約の締結というものを一般事業と同じように厳正に行なっていく、これは必要でございますが、そこかう先のことは一般事業と同じように考えて私どもはやっていくということでいいのではなかろうか。特に奄美についてだけは、本土並みの労賃を必ず確保するように注文をいたせということでございますと、これは別個の新しいお話として承って検討しなければならない、こういうことになるだろうと思うのであります。
  169. 太田一夫

    太田委員 私は百万円のものを九十万円で落札することの議論をしておるわけじゃない。それは九十万円でやろうと、百万円の予算のやつが百十万円になるかもしれませんが、それは落札した価格でけっこうです。ただ私が申し上げておりますのは、こちらのほうでは、人夫賃というのは本土並みの単価を積算にお使いになっていらっしゃるが、ほんとうに奄美の労務者は本土並みに受け取っておりますかということを聞いているわけです。それは同じ値段にしておいて、実際には猛烈に安い単価で払っておるとするならば、やはりそういう見積もりというのはいけませんですね、正しくないでしょう。一人二千円としておいて、払うほうは千円だったときに。いかがですか。
  170. 長野士郎

    長野政府委員 予算の積算につきましては統一単価を使いますが、実際の工事に出しますときには、それぞれの工事ごとに、契約に付しますこちら側として予定価格というものは一応予定をいたしております。そうして請負業者に対しまして入札をさせるわけでございます。その、こちらで見積もりますときの単価としては、お話しのような単価をやはりそういう労賃その他については使っておる場合もございましょうし、その場所におけるそのときの労賃はもっと高いということもございましょうし、あるいは安くていけるはずだということもあるかもしれません。そういうことで予定価格ができておりますかう、これはだれにも見せませんが、入札したあとで予定価格を開いてみまして、そうしてそれとどうかということを標準にしながら入札者をきめていく、こういうことになるわけでございまして、それから先というのは、今度は現実にそうやってでき上がりました契約の中で、実際に請負業者が人夫なり労賃として一人当たりその場所における一日の労賃というものを幾ら払ったかという事実の問題になりますれば、これは具体的な個所につきまして事業の実績を調べまして御報告申し上げることにさせていただきたいと思います。
  171. 太田一夫

    太田委員 そこなんです。見積もり書というのは、私は克明にしさいに点検されなければいけないと思うんですね。検討されて適正なこれは見積もりであるというところがなくちゃならぬと思う。ですから、見積もり価格が安いかういいというわけにいかぬですね。ですから単に安いというだけではいかないと思う。見積もり書の点検、検討なさる場合に、労務賃の項というのはどうなっておるか、たとえば本土並みの単価が計上されておるのに、実際は本土並みなんかもらっておる人は一人もないんだ、五割か六割しかもらっておらないということになれば、労務賃をさらに引き下げて安い見積もり価格に変えていくべきである。もし普通に払うかう高いということなうば、セメント代が高いから高くなるでいいじゃないですか。そこのところの公正な請負工事の遂行を私は望んでおるわけでございまして、そのためにもあまり労務賃をたたいてしまって、貧乏だかう幾うでも来るだろうということで、外に出かせぎに行くことのできない人たちをむやみやたらに低賃金でたたくことはいけない、この思想から出ておるわけです。ですからいままでの労務賃は幾らか、いままで幾らでやってきたのか、奄美復興計画に使われた幾多の工事の労務賃は一人一日幾らであったか、これは実際のものをひとつお示しいただきたいのです。終わります。
  172. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際委員長からちょっと発言しておきます。  本日まで審議されました奄美群島振興法改正案について、各委員から熱心に論議されたことについては、大いに意義があることと思います。ことに所得が少ないのに物価が高いというような現象を中心として、現地にあってはいろいろの矛盾があると思われるようなことから、保岡委員小渕委員、その他社会党、民社党、公明党、共産党の各委員からの建設的な発言があったものと思います。ことに井岡委員の発言中、いまいまのことだけに手をつけることなく、五年先、十年先のことを考えた施策が講ぜられるべきであるという、この発言はまことに重大であって、私も全く同感を覚えるものでございます。  どうぞ自治省にあっては、大臣、次官局長、その他非常なる人材がそろっておるこの際でございますから、こうしたことに十分御認識を持っていただいて、この法案がきまった後においても休むことなく、前向きの施策が積極的に講ぜられるように、委員長として十分要望しておきます。よろしくお願いします。  次回は来たる十一日火曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十七分散会