○
石田(幸)
委員 大臣に申し上げたいのでございますけれ
ども、私、復金に行きまして、契約書はどうなっているのか見ました。その契約書はいわゆる元金と利息の定め、これは年五分、六分、七分になっております。これが延滞なされた場合には、その倍額、一割、一割二分、一割四分、こういう延滞の利息の取りきめは、特約事項の中にありました。しかし、その中には、いま申し上げました割賦返済に対する特約事項というのはないわけです。したがって、借りたほうは、まさかそういった割賦返済についての延滞利息がつくなんてことは毛頭思っておらぬわけですね。明らかにこれは貸し出しをしたときの銀行側の手落ちがあるわけです。説明がされておらぬのですから……。ですからそれは十五万借りれば延滞利息は、
あと全部返済をしたときに延滞利息は十三万くる。何で私は延滞利息まで払わなければならぬのか、こういうような不満があるわけです。契約書を見ましたけれ
ども、割賦返済について何もうたっておらぬわけです。こういう事情を十分この問題の処理にあたってお
考えいただきたいと思います。それから、いろんなケースがありますけれ
ども、たとえばある床屋さんが米軍から金を借りてお店をつくった。ところが、有名な名瀬の大火が二度ばかりございまして、そのときに焼けてしまったわけです。三十年の大火のときは、最初銀行と貸借
関係を結んだときには、保険の取りきめがございました。保険がついておったわけです。ところが、日本政府に
償還するにあたって、琉球銀行から手を離れておりますね。その間に火事にあっちゃったものですから、保険をつけられないわけです。保険をつけられないために、火事にあって、そのまま借金が現在その人の負担になっておる。こういうケースがあるわけですね。
それからまた同じようなケースで、なお今度保証人がその債務を引き受けなければならないということで——保証人になったそれが悪いといえばそうかもしれませんけれ
ども、全然保険金をかけていなかった、家は焼けちゃって、その分について保証人が長い間かかって返しておる、こういうような実情もあります。確かに、当時借りた人たちの
状況は、
生活レベルもわりに高いような方のようでありました。しかし、元名瀬市の
議長をやっていたような人も、いまでは老齢になって、奥さんは脊髄カリエス、自分は中気なんかで、一年中外に出られない、
生活保護を受けておる。とてもとても払える
状態ではないという
状況がたくさんございました。私は、ここに読み上げれば、そういう問題が幾つも出てくるわけです。これはともかくとしまして、そういう事情について、私は地元の声を特に申し上げておきたかったわけです。特にこういう不満が出ています。日本に復帰したために私たちは要らざる借金を負ってしまった。米軍当時のときには順調に返しておったが、日本政府になったために五百数十日間も債務というものを放置されておって、返さなくてもいいと思っていたのが今回のこの事件によって返済しなければならぬ。われわれは損害をこうむっておる。損害をこうむっておるばかりでなく、
あとの
生活がたいへんだ、こういう感覚だということを申し上げておきたいと思うのです。
それから、ガリオア物資等の減免等については、
昭和二十九年三月二十一日で、当時の琉球軍政府の傘下にあったときに、沖繩、宮古、それから八重山、この三つの島々に対する漁連に対しては、アメリカ軍はクレームの申請について認めたわけです。ところが、大島漁連については、日本に復帰することがきまっておるのだからといって、ここではそういった約定が行なわれなかった。その後の
状況は、
現地の琉球軍政府との手紙の交換の様子なんかをいろいろ拝見しますと、もし
奄美群島が日本に復帰しなかったならば、琉球
群島の政府の協同組合部は、調査報告によって、回収不能の勘定については減額しただろう、こういうような手紙も来ておるということです。そういうようなことから、
奄美大島の方々は非常に不満を持っております。ただ、何といっても金を借りなければ商売もできない、そういうような人がほとんどでございまして、復金の意思といいますか、意向といいますか、そういうものを極度におそれてだれも言わなかりたのです。現に非常に乏しい
生活費の中から弁済している人もいます。向こうの常務あたりは、きびしい取り立てをしていませんと言っておるが、かなりの人は、もしこれが払われなかったならば、おまえさんの家は差し押える、競売だと、来るたびにおどかしておる。そういうことから、だれも口を結んで窮状を訴える人がないわけです。そういうところに私は現在の信用基金というものが、業務のやり方、指導のしかたにおいて、非常に冷酷むざんに行なわれておるということを私は考慮していただきたい。この問題について今後十分指導をしていかなければ、かえって
復興のために設けた基金が、
住民感情を悪くし、
住民の
生活を圧迫する、そういうような結果になりかねないということについて、今後どう指導されていくのか、この点だけを伺っておきたい。