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1969-02-25 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月二十五日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 山口 鶴男君 理事 山本弥之助君    理事 折小野良一君       青木 正久君    奧野 誠亮君       桂木 鉄夫君    亀山 孝一君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    野口 忠夫君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁刑事局長 内海  倫君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         警察庁警備局長 川島 広守君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 二月二十二日  委員石田幸四郎君辞任につき、その補欠として  大野潔君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十五日  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第二号) 同月二十一日  過疎地域振興法制定に関する請願井出一太郎  君紹介)(第八七五号)  同(小川平二紹介)(第八七六号)  同(小沢貞孝紹介)(第八七七号)  同(吉川久衛紹介)(第八七八号)  同(倉石忠雄紹介)(第八七九号)  同(小坂善太郎紹介)(第八八〇号)  同(下平正一紹介)(第八八一号)  同(中澤茂一紹介)(第八八二号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第八八三号)  同(原茂紹介)(第八八四号)  同(平等文成紹介)(第八八五号)  地方事務官制度廃止に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第八八六号)  同(下平正一紹介)(第八八七号)  同(中澤茂一紹介)(第八八八号)  同(原茂紹介)(第八八九号)  同(平等文成紹介)(第八九〇号)  地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関  する請願井岡大治紹介)(第一〇六六号)  同(戸叶里子紹介)(第一〇六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十日  地方交付税率引下げ反対に関する陳情書外二  十一件  (第六号)  同外二十一件  (第八九号)  地方交付税率引下げ反対等に関する陳情書  (第七号)  同(第九二号)  国鉄納付金廃止反対に関する陳情書外三件  (第八号)  同外七件(  第九三号)  地方行政合理化推進等に関する陳情書  (第九号)  電気、ガス税の全廃に関する陳情書  (第一〇号)  同外四件  (第九  六号)  地方公営企業財政援助に関する陳情書  (第一一号)  地方税における青色事業専従者完全給与制実施  に関する陳情書外一件  (第一二号)  同外五件  (第九七号)  交通警察官増員に関する陳情書  (第一三号)  地方財政の確立に関する陳情書  (第一四号)  新築住宅に対する固定資産税減額措置緩和等  に関する陳情書(第  一五号)  地方団体職員設置費国庫補助打切り反対に関す  る陳情書(第一六  号)  上水道に対する起債わく拡大等に関する陳情書  (第一八号)  同  (第一〇三号)  租税特別措置に伴う地方公共団体減収補てん  に関する陳情書  (第一  九号)  国有林所在市町村に対する交付金増額等に関す  る陳情書  (第二〇号)  学生の暴力行為に対する治安強化に関する陳情  書(第九〇号)  映画広告物の審査に関する陳情書  (第九一号)  地方公共団体超過負担解消に関する陳情書外  三件(第九  四号)  停年退職者に対する住民税等軽減に関する陳情  書(第九五号)  警察職員増員に関する陳情書  (第九八号)  地方財源確保に関する陳情書  (第一〇〇号)  地方公営企業法の一部改正に関する陳情書  (第一〇一号)  点字による直接請求の署名に関する陳情書  (第一〇二号)  地方公務員法における職員組合在籍専従の制限  緩和に関する陳情書  (第一〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び消防に関する件  警察に関する件      ――――◇―――――
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きわめて簡単に大臣所信表明についてだけの質問ですが、最初に、これに触れない前に聞いておきたいと思いますことは、警察官増員が計画されているようですが、それの配分はどういうふうにされるのか、内容を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 五千人の増員を予定しておるわけでございますが、その一つは、機動隊増強二千五百人、うち警視庁二千人、神奈川埼玉千葉の三県に合計五百人、二つ目は、警備事件捜査要員増強のために一千人、三つ目には、外勤警察体制の整備のために一千五百人、以上合計五千人でございます。  なお、もっと小分けをしました配分計画政府委員から申し上げさせていただきます。
  5. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 いま大臣からお答えしたとおりでございますが、機動隊以外の千人の公安捜査員につきましては、警視庁、大阪その他大府県中心配分を計画しております。それから外勤の千五百名につきましては、若干配分のない県が出ますけれども首都圏近畿圏中心配分計画を進めております。
  6. 門司亮

    門司委員 この配分を一応拝見いたしますと、大臣の説明の中にあります、国民生活を守ることのためのいろいろな犯罪等についての対象と離れたいわゆる機動隊が必要だというのは、これはもう明確に、露骨に言えば七〇年を一応考えた処置といっても私は差しつかえがないと思う。東京中心とした神奈川千葉埼玉であります限りは、そういうことが言えようかと思います。  それから、公安関係でありますが、これも大都市と大府県ということになりますと、おおよそ今日の産業の中枢地帯、言いかえれば、労働運動あるいは社会運動の非常に盛んな場所における思想関係警察官だと言っても差しつかえがないと思います。残りの千五百人だけが今日の社会情勢に即応した警察官増員だというように解釈しても私は差しつかえないと考えておりますが、大体そういうことですか。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 いま申し上げた数字だけを別個に取り上げての御批判数字的な御批判はあるいはあり得るかと思いますが、増員しました意味は、何も一九七〇年、昭和四十五年ということを浮き彫りにして、それを対象考えたわけではございません。警察国民に対する責任は、毎度申し上げることですけれども、何も昭和四十五年で終わるわけじゃございませんで、もしそれ集団暴力まかり通る現実の懸念が、四十五年よりは四十六年、七年、八年と増大していくことがおそれられるとすればもっとふやしていかねばならぬ。ふやすことによって国民の期待にこたえるという責任を果たす課題として一般に考えておるのでありまして、別に来年度も再来年度も具体的に増員する予定をいま持っているわけじゃ毛頭ございませんけれども、ものの考え方としては、何も一九七〇年だけを対象に、いま御指摘のような気持ち増員計画を御審議願っているわけじゃございません。  大体、警察関係中央地方を通じます十六万人何がしという人員だけから一応見てみますと、警備警察のための要員機動隊中心としました要員は、ほかの交通戦争に対処すべき課題ないしは刑事警察、さらには青少年の補導等に比べまして、全体の人員配分比率から申しますとむしろ比率は低下しておる傾向でございます。したがって、警備だけに重点を置いて、その他のことにはことさら関心を寄せていないというつもりは毛頭ございませんことを申し添えさせていただきます。
  8. 門司亮

    門司委員 大臣答弁ではございますが、警察行政というものがどういうものであるかということについては、すでに大臣も御承知のことだと私は思います。  それからもう一つ突っ込んで聞いておきたいのは、御承知のように、現在の警察制度は一応府県警察というたてまえをとっております。したがって、直接の治安責任都道府県にその根拠を求めることが私は必要だと思う。したがって、今回の増員について、いま配分されようとする都道府県との話し合い一体どういうことになっているのか。私は、この点は、いまちょうど地方議会予算審議の時間になっておりまして、いろいろ議論されておることだと思います。しかし、国がこういう形で、押しつけてくる——ことばはあるいは当たらぬかもしれないが、地方から見れば何も地方要請したわけじゃない、しかし、地方公共団体は、御承知のように、外国人に至るまで、住民生命財産を守らなければならない、地方社会秩序を保持しなければならないということは自治法にこれは明確に書いてある。このうち自治法の第二条は憲法に由来するものでありまして、御承知のように、地方自治行政というものが、従来の国家行政の一端でなくして、やはり地方はあるいは地方政府と申し上げても差しつかえないほど憲法上の権限を与えられておる。したがって、自治法にああいう規定を設けまして、そうして住民生活住民の権利に直接関連するものについては、地方自治体がこれを守らなければならない。また、これが唯一の仕事になっておる。したがって、私はここで聞きたいのは、そういう意味地方要請にこたえてこういうことをきめられたのか。もしきめられたとすれば、いつの警察部長会議等においてこういうことが考えられたのかということであります。私は、この点は特に今日の警察のあり方についてひとつ十分に大臣にも検討していただきませんと、国家目的のためにいろいろなことを地方自治体がしなければならないことは当然であります。しかし、その内容は、政党政治であります限りにおいては、いまの内閣は、だれが何と言っても保守政権であり、資本主義政権であると申し上げても差しつかえない。資本主義経済がどういう経済であって、国民にどういう影響を及ぼしておるかということは、ここで申し上げるまでもなく御存じのことだと思う。警察制度というものはあくまでもこういう国の支配のもとに警察が動かされてはならないということで、自治警察が発足したことは御承知のとおりであります。そうして、これを地方自治警察として大体市町村警察というたてまえにおいて発足した日本警察制度が、昭和二十九年に現在のような、名前は府県警察であるが、大体警察署長までは国家公務員であるというような形に変えられてしまっておる。言うならば、頭、いわゆる首脳部国家公務員であって、働く者だけ、手足ということばを使うのはどうかと思いますが、手足だけは地方公務員、そうしてこれの負担自治法に書いてある形から言えば、当然地方自治体がその負担をしなければならないことはあたりまえだ、それでこれを負担させられる。私はそういうことを考えてまいりますと、警察法自体についても多少のお尋ねもしたいのでありますが、きょうはそういう時間もございませんので、この点だけにしぼってお話しを申し上げますが、さっきも申し上げましたように、配分される地方警察行政の状態と、さらにそういうことがどこから上がってきたかというようなこと等もひとつ考えていただきませんと、国民の間に私はかなり不信感があろうと思う。たとえば、東京都にいたしましても、美濃部さんは必要がないというようなことを言われておるが、しかし、美濃部さんといえども東京都知事でありますから、自治法に定めておる東京都民生活を守り、東京都の社会秩序を保持するということは、美濃部さんの当然の責任でなければならない。そのためにどれだけの警察官が必要であるかということについては、美濃部さん自身がお考えになり、あるいは東京都議会がこれを考える問題であります。したがって国の立場から見られるものと、地方立場から要求をするといいますか、見まする場合において、調和がとれていなければ、警察官増員を認めるとか認めないとかいうような問題が当然地方に起こってくるわけであります。私はこのことは、警察行政の上において非常に嘆かわしいことだと考えておる。あくまでも住民生命財産を守り、社会秩序を保持しなければならないという警察制度において、増員が是であるか否であるかというようなことで、国と地方団体との間に意見が違っておるということは、これは警察行政に対する最も慎しむべきことである。非常に遺憾に考えておる。したがって、さっき申し上げておりますように、どういう要請があってこういう結果になったのか。もしその点が明らかにされるなら、ひとつこの機会にしておいていただきたいと思います。
  9. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 警察というものが自治体警察を基本にして、国との関連も同時にあって、その間の相互関係がいかなる理解に立って運営さるべきか。昭和二十八年でございましたか九年でございましたか、警察法改正されて以後、現行法に基づいていかにあるべきかということについては、質問者門司さんのほうがお詳しいくらいで、かれこれ申し上げることはないと思いますが、私の理解しておりますことはどういうことかということを、一応レクチュアを受けながら承知しております限りのことを便宜申し上げさせていただきます。  警察事務の執行の主体である都道府県警察都道府県機関として設置されるものであることは御指摘のとおりであります。そして、都道府県が処理する警察事務は、地方自治法上は御指摘のとおり第二条第二項に規定されておりますが、警察管理運営は、現実問題としてだんだんと広域にわたる要素が濃くなってまいっておりまして、統一的な処理を要するものとしまして、同条の第五項により都道府県が行なうべきものと規定されております。  しかしながら都道府県治安は、一都道府県内部の問題にとどまらず、いまも申し上げましたとおり、国全体としての治安に影響するところがきわめて大きうございますので、この事務を処理するための組織、定員、人事、予算、一定の範囲における警察庁指揮監督権限等につきましては、特別法である警察法において都道府県の他の機関とは異なった種々の特例が設けられていることは御承知のとおりであります。  警察の処理する事務すなわち責務についても警察法第二条でさらに具体的に規定されておりまして、この責務を果たすために、警察は常に社会情勢治安情勢の変化に適切に対処し、各般の警察活動を遂行して、治安の万全を期しているところでございます。警察地方自治法第二条の事務を処理していないとか国家警察化しているというふうには毛頭理解しておりませんし、現実もそういう運営はなされていないものと理解いたしておる次第であります。  なお、警察官増員問題についてお触れになりましたが、具体的には、さらに要すれば政府委員から補足してもらいますけれども、この問題につきましては、あらためて個別に各都道府県意向を徴していることはございませんけれども、常日ごろの各都道府県知事部局公安委員警察本部長などとの接触を通じまして、その意向理解しているところであり、また、蛇足を添えますれば、警察官定員政令で定める基準に従わなければならないと警察法上定められておりまして、この趣旨は、警察の職務の特殊性から見まして、全国的に均衡のとれた警察機能を維持するために、警察官都道府県別構成を国の定める基準に従って保たせる必要があることを示していると存じます。警察庁としましては、このような観点から、全国的視野に立って機動隊増員必要性を判断し、今回提案申し上げておるような次第でございます。
  10. 門司亮

    門司委員 型どおりのお話だと思いますが、私がこういうことを聞きますのは、今度の増員は、千五百人を除いて三千五百人というのが結局思想関係に関連した増員だと見ても、私は差しつかえがないと思う。わが国の公安行政がそんなに乱れておるかどうかということです。  それからもう一つは、機動隊をと言われておりますが、由来、警察行政というものは、そのとき、そのときのこう薬ばりみたような警察行政であってはならないということであります。露骨に言ってまいりますと、この大臣所信表明にも書いてありますように、大学その他で非常に悪いことをする、あばれる連中がおって困るからこれを何とかしなければならないことはわかります。しかし、これが対象だとするならば、これは例示的なものだと私は思います。警察行政のある限り、国のある限り、大学生はいまのようなあばれ方はしない。七〇年は来年一年であります。何か今度の警察官増員のイメージというものは、はなはだ私どもには解せない。そういうこう薬ばり的のもので一体よろしいかということであります。  ことにいま警察官教養考えられて、先ごろもピストルの暴発事件等について本委員会でも議論がございました。これらを見てまいりますと、やはり教養にはかなり慎重な態度で、かなりの時間をかけなければ一人前の警察官にはなりにくいと思う。警察官という仕事は、ただ単に取り締まりさえすればいいんだというんでなくして、やはり国民を善導していこうとする一つの大きな課題を持っております。その警察官増員が、来年の七〇年、あるいはいま現実に起こっておる大学の問題だからこういうふうにしなければならないということは、あまりにも近視眼的ではないか。いまの警察法から見てまいりましても、何も全国警察官東京に動員されないという理屈はどこにもない。動員しようと思えばどこにでも動員できる。動かすことができるのであります。  こういうふうに私考えてまいりますと、何だか今度の警察官増員というのは思想的な背景があるような気がする、そうして一時しのぎのような気がする。むしろこの際、警察考えなければなりませんことは、一体交通警察をどうするかということであります。日本でいま一番大きな被害を端的に——思想的の問題は別にいたしまして、与えているのは交通災害です。ここで千五百人のおまわりさんをふやすといたしましても、各府県に割り当てますと幾らになりますか。あるいは、かりに千五百人を各府県に全部割り当てても一体どのくらいの数字になるか。年々ふえております交通対策に対する警察官の役目というのは非常に大きなものである。同時に、私どもが見てまいりますと、これは端的に言って、大体警察官の立っているところには交通事故は比較的少ないのであります。しかし、警察官があの交通の非常なふくそうしたところに長く立っておるというわけにはいかない。排気ガスでおそらく二時間か三時間立っておれば、それ以上は立っていられないでしょう。いまの日本現実の姿の中から見てまいります場合に、やはりこういう問題を警察一つの大きな目安として、増員をしていくということが考えられないわけではない。元来警察行政というのは、外から見た治安の非常に落ちついておるときこそ忙しいのであります。気持ちの上ではそれのほうがうるさいのであります。大学であばれておる、人殺しがたくさんある、あるいは列車を爆破しようなんというとんでもないやつが出てくる。こういうようなことがございます。しかし、これらの問題は、いずれもその時代における一つの衝撃であって、警察行政全体を通じたものではないと私は考える。しかし、ちょうど太田君も見えておりますので、これ以上私の時間をとるわけにはまいらぬかと思いますが、最後にもう一言だけ聞いておきたいと思いますことは、今度の増員について、先ほどお話しのように、各府県等に打ち合わしておらない、あるいは公安委員会その他の会議で多少話は出たかとも存じますが、こういう態度が、政令で定めてあるから国できめれば、地方自治体はいやおうなしにこれを受け入れるんだという一つの見方は、事治安に関するから私は大目に見て、私どもこれに反対でありますけれども、大まかに考えて国の責任なんだ、犯罪というのはすべて国の一応の責任であり、また、いろいろの問題について国が知らぬというわけにはいかないというような、国家中央集権的の一つのものの考え方からきた法律だといたしましても、地方自治体は、これを財政的に負担しなければならない。だとするならば、やはり地方自治体に対して増員の可否、あるいは増員程度等が常時検討され、話し合いがされて、そうして日本全体の治安行政というものをどうするかということを、国家が一方的に見るのじゃなくして、定める必要がありはしないかと考えております。したがって、そういう意味における警察法改正はお考えになりませんか。
  11. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 最後警察法改正考えるかどうかという御質問に対しましては、私一個といたしましては、ただいまのところ、警察法そのもの改正するという考えは持っておりません。今後さらに事態の推移等を勘案しながら、御指摘のようなことが、私どもの側の立場に立ちましても必要ありとした場合は別といたしまして、ただいまはそういう考えは持っておりませんことをお答えさせていただきます。  なお、講釈めいたことは無用でございますが、さっきも申し上げましたように、現在の法律に基づく警察の使命というか守備範囲は、何もお話しのように思想問題にまで立ち入ってかれこれ行動するなどということは絶対に許されない。刑法事犯をはじめとしまして不法事犯がありますときに、あるいはそういうおそれが顕著であるときに、これを予防し制圧するということによって、国民の平和な生活に奉仕するという、いわば消極行政の域をいささかも脱しない立場が基本的な態度だと私は心得ております。法もまたそれを命じておると理解いたしておりますことを申し添えさせていただきます。  なお、お説のとおり、常時地方公安委員会ないしは警察本部長等中央警察庁が意思を疎通し合いながら、ともに地方地方なりの他の都道府県との均衡のとれた治安対策がとられ、かつまた全国的視野に立っての十分の理解と信頼を維持しながら、警察責任中央地方いわば一体となるような気持ち運営し、国民に対する責任を果たしていくべきだというお説であったかと思いますが、その点はむろん同感でありますし、従来もそういう考えに立って警察庁は行動しておったものと考えておる次第であります。
  12. 門司亮

    門司委員 これでやめますが、私はいまの大臣答弁の中で一つふに落ちないのがありますから、もう一度確かめておきますが、いま大臣は、いろいろお話しになりましたけれども、この増員比率を見てみますと、外勤が千五百人で公安警察が千人ですね。ここがどうしても私にはふに落ちない。もしほんとうに警察思想関係その他については調査も何もしないのだ、知らないのだとおっしゃるなら、あるいはいまの大学の問題を中心としたいろいろの問題が私はこれから起ころうかと思いますが、これらの問題についていち早くこれをキャッチしておきたいというようなことのために、予防警察というようなたてまえにおける公安関係が必要だというようなことをあるいはおっしゃるかもしれない。あるいはそういう意味かもしれない。しかし、数字の上から言いますと、いまの交通災害その他諸犯罪がたくさんできておりますね。子供のいたずらから、青少年の非行というような社会悪が非常にふえております現実の中で、外勤が千五百人で公安関係警察官が千人という比率は、どう考えても私は納得ができない。特殊の使命を持ち、特殊の行動をしておる警察官をどうしてふやさなければならないか。そして国民がほんとうに自分たちの生命を守り、自分たちの社会秩序を保持していこうとする今日、起こりつつありますいろいろな社会悪に対して、あまりにも数字比率が悪過ぎやしませんか。さっき言いましたように、千五百人を四十六都道府県で割ってごらんなさい、幾らになりますか。この点はどう考えてもふに落ちない。大臣のいまの御答弁は、これ以上追及はいたしませんが、もし大臣にしてこの比率考えられた基礎があるなら、ひとつこの際示していただきたい。
  13. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先刻も申し上げましたが、警備警察にことさら重点を置いていくという、言いかえれば、警備警察以外を軽んじながら警備警察だけに重点を置くという意思は毛頭ございません。集団暴力まかり通るような風潮は残念しごくのことでありまして、大学生ともあろうものが、最高学府といわれる大学の場で、見るに見かねるようなああいうばかげたことを行なっておることは、国民とともに遺憾に思います。大学みずからが、あんなばかなことが起こらないように、自主的に管理運営権と責任に基づいて善処さるべきことを私は常に期待しておるわけですが、遺憾ながら現実はだらしがないの一言に尽きる。この状態が続きます限りは、国民のために、住民のために、バリケードを築いたり、あるいは商店のショーウインドーをぶち破ったりするなどというようなむちゃなことが事前に予防されますように、かりに不幸にしてそういうことが起こりましても、警察責任においてこれを排除するということは、法律上当然警察にしょわされた民主憲法に基づいて要求される職責だと心得ておるにすぎないのであります。特に軽視しておるわけじゃないということを、あらゆる角度から立証を、私の能力では困難ではございますが、先刻もちょっと触れましたように、たとえば警備及び機動隊員の定員だけで、比率をちょっと御参考までに申し上げてみますと、昭和三十四年、十年前、警察官の員数、定員の中に占めます警備機動隊員の定員比率は、昭和三十四年が一八・七%、四十年が一六・五%、四十三年が一五・五%ということでございまして、交通戦争あるいは一般の刑事警察等、御指摘のとおり国民、庶民に直接する警察の果たすべき責任課題があることは、私も常識的には心得ておる次第でございますが、機動隊を数年続けて増員しましたことも御案内のとおりでありますけれども、それにいたしましても、総定員の中に占めます比率というものは、そう増加の傾向でなくて、むしろ減少傾向の比率にあるくらいである。しかも、一方におきましては、先刻触れましたような事柄が不幸にして起こりつつある。現実にそれがある限りは、これを予防し、排除する責任警察に課せられておるのでございますから、それを果たさねばならないので、最小限度の増員を御要望申し上げておるにすぎないのであります。  くどくなっておそれ入りますが、お許しをいただきまして、一月十八日、例の安田講堂の騒ぎで出動しました警察官八千五百人、警視庁の中でやりくりをいたしましてそれだけを配置いたしました。その留守に神田方面ではある程度出動がおくれざるを得ない事態を招来いたしました。警視庁の総定員は三万五、六千かと記憶しますが、八千五百人をみずから動員するにつきましては、まあ一割五分ぐらいの刑事警察ないしは交通警察あるいは外勤警察官等をピックアップしながらそれだけの員数をそろえざるを得ない。それは反面、御指摘のような、東京都民に直接する不法事案等治安関係において手薄になる。交通関係にも手薄になり、外勤要員も手薄になった。一時的ではございますが、そういう無理をしなければ、現にあるところの大学騒ぎに対する警察責任を果たせないという実情にあるわけでございまして、そういう意味から申し上げましても御指摘のように、ことさら警備警察だけを念頭に置いて、かれこれその場限りのことをやっていくという考えではないことを申し添えさしていただきたいと思います。
  14. 門司亮

    門司委員 いま大臣からお話があったようでございますが、私の聞いておりますのは、警察行政の中で、いまのように大学問題があったからといって、これには私は異論があります。警察行政というのは、その時期を得るか得ないかということが、効果的には非常に大きな結果を生むのであります。どんなにたくさんの警察力を持っておっても、ちょっと出動の時期を誤れば効果はないのであります。どんな少数でありましても、適宜その時期を得れば、治安の確保はそうむずかしい問題ではない、拡大されないはずであります。私は、今回の大学の問題で、警察の出動その他が時期を得たかどうかということをここで議論する時間はありませんので議論はいたしませんが、事態が大きくできておるからといって、それを一つの口実というような形で警察行政が行なわれるということは、私は非常に遺憾に考えております。  問題の焦点は、やはり警察のあるべき姿というものが大事であって、いかにして事犯を大きくしないかということが警察仕事であって、大学の問題についても、巷間よく伝えられておりますように、去年の暮れのうちにもし警察官の出動があって、ああいうとりでをこしらえない前に除去されておったならば、ああいう問題にはならなかったであろうということはだれでも考えていることです。どうにもならなくなって、警察権力によってこれを排除しようといういき方は、警察の本来の姿ではない。警察の本来の姿というのは、私が言うよりもあなたのほうが御存じだと思いますけれども、いかにして事犯をなくするかということである。最小限度にとどめるかということである。したがってその時期であります。増員したからといって、これで万全だとは言えぬと私は思います。あなたもこれで保証はされないと思いますよ。来年の安保闘争がどんなふうに展開されるか、あるいは相手があることだからわかりません。しかし、これだけ増員したから安心だとはあなたにも言えないと思います。私どももこれを認めたからといってそれでよろしいとは考えておりません。たよりにするのは警察のそうした機動力と相マッチした時期を得た行動だと私は考えております。したがって、いまのような御答弁だけで警察官増員をされるということについては、もう少し時間があれば、そういう問題を掘り下げて私はお聞きしたいのでありますけれども、きょうは時間もございませんから、一応この程度で質問はいたしませんが、どう考えても増員配分のしかたについては、多少一般警察をおろそかにしたような形がありはしないかという気がするのでありますが、この点だけは大臣、気にとめていただきたいと思います。
  15. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 御答弁申し上げる必要がないという仰せのようでございますが、ちょっと蛇足を添えさしていただきたいと思います。  なるほど東大の問題につきまして、御指摘のように警察機動隊が出かけていったのがおそ過ぎたのじゃないかという御批判はあり得ると思います。むろん大学は治外法権の場ではございませんので、そこに不法事案がありますならば、なるべくすみやかに出かけていってこれを予防し、制圧するという当然の責任の座にあることは、原則的にまさにそうでございますけれども現実問題といたしますと、たとえば安田講堂の不法占拠に対して、大河内さん時代に、警察機動隊出てくれと言われて排除しましたが、また翌日再封鎖された。これではたいへんだというので、大学当局は管理責任者としての行動はとりませんでした。それでもなおかつ、出かけていけばいける法律上の根拠はあるとは思いますけれども、実際は、ただ混乱がエスカレートすることがおそれられる面もございまして、去年の一月以降のことですけれども、慎重であったようであります。これはある意味においては具体事案に関しましては、国民に対する責任上そういう配慮があってしかるべきものであったであろう、かように思うわけであります。  私が特に遺憾に思いますのは、御案内のとおり、刑事訴訟法によれば、公務員は不法行為がそこにあったならば、これを告発せねばならないという義務づけをされておると理解しておりますが、例を東大にとりますれば、この一両年八千五百人もの教職員がおりながら、一人として刑事訴訟法上要求されるところの国民に対する責任、あるいは大学全体に対する責任行動であるべき不法事案の告発ということをしない。それが大学の自治だと考えたような間違った考えが横行しておった。そういうこともございまして、警察責任を果たすのに結果的に見れば時期を失した、おそ過ぎたなどの御批判のあり得ることはさよう考えますけれども、はなはだ遺憾な事柄であり、協力がなければなかなか警察責任を果たす効果を期待できない現実の悩みもあわせて御理解をいただきたい、かように思うのであります。  さらに蛇足ながら、くどくなっておそれいりますが、お許しいただきますけれども、衆議院の予算委員会で民社党の方の御質問の中にもあったと思いますが、大学生は大学に入ったからゲバ棒をふるうようなことをにわかに覚えてやるのじゃない。小、中、高の教育の場を通じ、あるいは家庭教育との関連、あるいは社会環境等の諸条件が一緒になって、あんな無責任な、大学生にあるまじき暴力をはじめとする刑法事犯をあえてするということになるのであって、大学生になるまでの教育も重大であり、社会教育も重大であり、家庭のしつけも重大であるという御指摘がありましたが、私も同感であります。  それと同時に、東大を例にとれば、さっき申し上げた八千名以上の、国民の血税で給与を支給されておるところの大学執行部をはじめとして、そこの数千人の者が、先刻申し上げたような当然の法治国において、特に国立大学の公務員としてなすべきことをなさないということも手伝って、大学騒ぎがいろいろな姿をとってエスカレートするような状況にある相当の原因が私はそこにあると思う。ですから、門司さん御指摘のように、そういうこともあわせまして、警察だけで治安能力を発揮さえすれば大学騒ぎがおさまるものとは毛頭存じておりません。大学の暴力騒ぎをはじめ、左翼であろうと右翼であろうと、集団暴力をはじめとする不法行為がありますならば、警察機動隊というものは残念ながらふやしていかなければならない。それがないとするならば、警察機動隊はほかの刑事警察あるいは交通警察方面に転用さるべきもの、機動隊としてはゼロであってもよろしい、そういう性格のものだと理解いたしておることを申し添えさしていただきます。
  16. 門司亮

    門司委員 大臣からそういう答弁を聞いておりますと、だんだん長くなって弱りますけれども大臣はそういうことを言われますけれども大学にしても、日本法律の中にも御存じのように凶器を持つ集合罪というのがありますね。大学の中にゲバ棒があったり、そういうものではないのですよ。あれは外から持ち込んだのに違いはない。そのときに取り締まれば取り締まれるわけでしょう。大学の中に入っているわけでもなんでもない。凶器を持って集合した罪はいつか佐賀でありましたか、ばく徒の連中が集まってそういうことをやったので、新しくこしらえた法律ですけれども、取り締まろうとすればほかにも方法はあるわけですね。ところが、そういう問題をそっと見のがしておいて——見のがしておくと言うとまたおこられるかもしれませんけれども、等閑に付しておいて、学生がやるからといっても一般の人と違いはない。どう違っておるか。構内に入って勉強するところの大学の生徒と外にいるところの学生は、人間が違うはずはないはずだ。また、一般の人と違うはずもないはずだ。凶器の集合は取り締まる法律が別個にできている。その法律をどっかで適用されたことがありますか。ほとんどないと私は思います。  こういうことを議論をしておりますと、だんだん発展していって長くなります。だから大臣の説明は聞かないつもりでおりましたけれども大臣がそういう発言をするとまた言わなければならない。官公吏が告発しなくても、だれでも取締まれるし、これ以上申し上げると太田さんの質問時間に差しつかえると思いますので、これ以上聞きませんが、もう少し警察官の配備にしても、国民の納得のいく線でしていただきませんと、私は将来の警察行政について非常におそれるのであります。そうして負担地方自治体がしなければなりません。五百人割り当ててみなさい。これは神奈川県に二百何十人か来るはずになっているでしょう。神奈川県会はきょうあす予算の審議を始めるわけですが、これを審議しないわけにはいかない。そういう形の警察行政に対しては、私はひとつ民主的にこの際やっていただきたい。そうして、増員するにしても、減員するにしても、地方自治体警察であるということを忘れないでいただきたい。このことを大臣に申し上げて質問を終わります。
  17. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次は、太田一夫君。
  18. 太田一夫

    太田委員 荒木国務大臣所信表明の各項につきましていささかお尋ねをいたします。  最初にお尋ねしたいことは、この間静岡県の袋井市のヤマハレース場におけるところのレーサーの死亡事故、福沢さんという青年が惨死をいたしました事故が起きているのでありますが、こういうものは公安委員長としてあなたはどういうふうに理解をしていらっしゃいますか。一つの事件でございますが、殺人事件であったのか、過失であったのか、何ですか。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 その事故の原因等具体的に理解いたしておりませんので、公安委員長という職責の立場からはっきりお答え申し上げかねることをお許しいただきますが、ただ、少なくとも人一人が自動車で、非常に珍しい妙なケースかと思いますが、惨死をいたしましたこと、生命が奪われた意味において残念には思いますが、私の立場からはっきりしたことを申し上げかねることをお許しをいただきます。  なお、政府委員から要すれば補足的に申し上げさせていただきたいと思います。  うろ覚えのことでお許しをいただきますが、あの問題が起きまして、新聞にもいろいろ書かれておったことも、私も読んでばく然と承知をいたしております。メーカーとの関係で何か変なことがあるのではないかというふうな説もあるやに承知いたしておりますが、そういうことのあるなしにかかわらず、警察庁自体としても関心を持ちまして、再調査と申しましょうか、そういうことで捜査しつつあるといういまの状況かと心得ております。
  20. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御指摘の事案についての捜査状況でございますが、事件の起こりました二月十二日の午前十一時五十分ごろ、静岡県の磐田警察署の袋井幹部警察官派出所にテスト責任者でありますトヨタ自動車会社の技術部長代理から電話がありまして、事故の届出があったわけでございますが、これによりまして、新聞にも出ておりますが、在署中の捜査主任ら三名が病院の医師と一緒に看護婦を同行いたしまして、午後雰時三十分ごろ現場に便乗いたしまして、午後三時四十分ごろまでの間に、目撃者等からの事情聴取、死体の検視、現場の実況見分等を行ない、一応の捜査を遂げたわけでございますが、その結果、一応テスト管理、車両の点検、装備、コース管理、関係者等に業務上過失致死罪の成立する余地は少ないと認められましたけれども、引き続き関係者の取り調べ、技術的な面の検討等をさらに捜査を続行しておる段階でございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 私は、袋井市における磐田署管内でございますか、その事故はまだこの間、ほんの発生したばかりでございますから、それは調査中でいいんです。四十三年、昨年の一月に起きました畑井君というレーサーの事故死は、これもやはりベールにおおわれたまま、原因不明のままに相なっておりますが、これは明らかに究明がされておりますか。だれか答えてください。
  22. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 政府委員からお答え申し上げさせます。
  23. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 ただいまの事案につきまして、私からお答えいたしましても——これは内部的なことでございますが、刑事局の系統で捜査しておりますが、その結果をお伝えしたわけでございます。あとの御指摘の事案につきまして、私承知しておりませんので、この場でお答えいたしかねる次第でございます。
  24. 太田一夫

    太田委員 私は、袋井のテストコースにおける福沢君の死亡について、いわば交通関係の事故としてお調べになっておるということなら、交通局長の御答弁でけっこうでありますが、一体これはどこの所管に属することであるか。業務上過失致死傷というような容疑に問われる筋があるとするならば、あなたのほうではないわけですから、別のほうからお答えをいただかなければなりません。けれども、私は公安委員長にお尋ねをいたしたいことは、一年前にそういうような事故死があったんです。ところがそれはなかなか現場に立ち入り検査することが十分でなかったように新聞等で報道しておりました。また今度も同じようなことが繰り返されておりますから、人命の尊重という立場で私はこれをとらえて見ると、いわば自動車が一つの凶器になりつつあるという世間の表現というものをそのまま受け取らざるを得ないような気がする。そうすると、ゲバ棒もさることながら、自動車もやはり重要な焦点になってきておらなければなりません。そういうことに対して、大臣は何らかの御指示をなさったか、御関心をお持ちであるのか、お尋ねをしておるわけです。
  25. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 一種の凶器化した自動車の現状を遺憾に思うものの一人でありまして、同時に、いま御指摘のような角度から、いかなる事故といえども原因究明をいたしまして、同じような事故が起らないようにという角度から十分の調査、捜査等をいたすべきものと思います。交通事故という角度以外に、刑事警察的な角度からも関心を持ちまして、再調査をしつつある、こういうふうに理解をいたしておることを先刻も申し上げましたけれども、重ねて申し添えさしていただきます。
  26. 太田一夫

    太田委員 個人名ははばかりますけれども、最近芸能関係等の有名人による暴走事故というのがあとを絶ちません。どんなにきびしく飲酒運転の禁酒を呼びかけていても、こういうものがなくならない。それで片っ端から大事故が起きて、みずからも負傷いたしますが、相手方をも相当大きく痛めしめておるわけです。こういうことは、いまの交通事故の状態から見ますると、今後拡大発展をして犯罪ならざる犯罪のごときものが続発する危険があると思うのです。ですから、そういう傾向に対して、ことしは新しい内閣公安委員長として、警察庁の諸機能を十分活用される場合において、重点は、単に警備だとか、公安だとかいうことでなくて、もともと素朴な個人の身体、生命財産の安全を守るという、こういうところに立ち返って、何かあなたの重点施策もほしいと思うのですが、御所見はいかがですか。
  27. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 同感でございます。
  28. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、公安委員長は、いま一日にどれくらいの人が交通事故で死に、どれくらいの人が負傷しておると御理解でございますか。
  29. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 昨年の暮れに交通事故でなくなりました人が、レコードを破ってしまったという残念なレコードができ上がったことを承知いたしております。ですから、一万五千人近い死者でございますから、三百六十五分の一万五千、暗算ですぐには出てきませんけれども、それくらいの一日の交通事故死が年間発生しておる。まことに遺憾なことだと存じております。
  30. 太田一夫

    太田委員 これは大ざっぱな一年間の数字でございますが、交通局長さん、あなたから補足してください。一日に何人とかあるいは一時間に何人とか、そういうもっと国民にわかりやすい数字はございませんですか。
  31. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 交通事故の死亡事故につきまして、一日換算いたしますと、昨年の死者につきましては、一日平均三十九名でございます。それから負傷者の数が二千二百六十二名強でございます。件数にいたしますと一日千七百三十五件という数字になっております。
  32. 太田一夫

    太田委員 最近の傾向では一日四十八人、一時間に二人というのが通説でございます。時間に二人の方がなくなっておる。当委員会が十時半から始まったとするならば、いま十二時でございますから一時間半、すなわち三人がすでになくなっておると想像しなければなりません。そういうときに臨んで、公安委員長の所信として本年度の一番重点を置かれるものの中に、交通の安全というような問題が入っておらなければならないと思ったんですが、昨年はたしか一番重点が交通安全の問題であった。大臣がかわりましたから私はとやかくのことを申しませんが、今度荒木さんになりますと、いわば武装学生等に対する取り締まりというような、そういうことが中心に変わっておるわけです。私はときがときでありますから、昨年はそういう大学問題がなかったときですから、別にあなたがそうお感じになったことをとやかく言うつもりはございませんけれども、一時間に二人もなくなりつつある交通事故に対し、これをどうして絶滅をするかというこの問題と真剣に取り組む心がまえはおありになってもいいと思うのですが、同感だとおっしゃったのですけれども、どうして学生問題が第一になっちゃったんですか。
  33. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 所信表明で申し上げました順序をとらえておっしゃれば、そんなふうに見えることは残念ですけれども、実質的には、交通戦争といわれる、望しくないことですけれども交通事故中心とした交通取り締まりが重大であることは、人並みには心得ておるつもりであります。  所信表明でも申し上げたと思いますが、本年度で終わります三カ年計画をさらに三カ年更新いたしまして、それに対応する国の予算措置、金額的にはそう多くはございませんけれども、実質的には前の三カ年計画にもうちょっと上回る程度の計画内容を含めまして、三カ年計画に取り組む閣議の決定も先日行なったような次第でございまして、御指摘のように、ことさら交通問題を軽視しておるなどという気持ちは毛頭ございませんことを御理解いただきたいと思います。
  34. 太田一夫

    太田委員 それでは、まあことばの順序が、どちらが先に言ったからどちらがどうだということでなくて、先後とか、そういう軽重の別は発言の順序に関係ないということに理解しますが、青少年対策というものにお触れになっておりませんが、ことし青少年対策というのはどうなったんでございますか。
  35. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ことさら触れておりませんが、青少年の補導ということの重要さも私なりには理解しておるつもりでございます。予算面に特別にきわ立って計上していませんけれども、少なくとも、従来同様の重点と関心を寄せた青少年補導をやっていくつもりでおります。
  36. 太田一夫

    太田委員 青少年対策は青少年補導でございますか。
  37. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 取り締まりもございましょうし、それを未然に防止する意味における補導、あるいは再犯と申しますか、再び同じ虞犯、事犯にかかわらないように指導していくという両面があることは当然のことと存じます。
  38. 太田一夫

    太田委員 いささかもの足りないですね。青少年対策は、補導であるとか虞犯少年の補導というようなことをお考えになっていらっしゃるように思いますが、そういうものでなくして、もう少し大きなものがあるんじゃありませんか。だれかそこにいないんですか、答えられる人は。なぜ、抜いたのか。まあ、普通に、在来どおりと大臣はおっしゃるのだから、在来どおりおやりになると理解してもよろしゅうございますけれどもことばにないから、念のためにお尋ねしておりますが、まあ、補導とか指導ということだけでは、あまりにも直接的でありまして、局限された対策でございますね。
  39. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 それは環境の諸条件の整備もございましょうし、さかのぼれば、私は教育の問題でもあると思います。家庭そのものにも責任がある課題として受けとめらるべきであり、あるいは社会問題という角度からの一般社会の協力、あるいは具体的な環境条件の、青少年が道を誤るであろうような諸条件の排除という、総合的な、警察庁だけではまかない切れない各種の条件が整わないことには、これをゼロにするという目標には到達し得ない課題だと存ずるのでありまして、内閣におきましても、そういう角度から、関係省庁をすぐって、青少年問題に取り組んでおるということ、その一翼をにないます意味合いにおいて私は理解し、以上のことを申し上げたような次第であります。
  40. 太田一夫

    太田委員 有害な社会環境の浄化、ということに留意していただきまして、特にその実現のために努力をするという方針があってしかるべきだと思っておりました。これは一年や二年で変わることじゃありませんし、ことしは、あなたがおっしゃらなかったからといって、まさかそういう思想が抜けておるとは思いませんけれども、非常に大事なことでありますから、この社会環境の浄化問題については、おっしゃるように、前以上に、昨年より以上にひとつ心がけていただきたい。  内海刑事局長おいでになっていらっしゃいますから、あわせて、刑事局長でも大臣でもどちらでもいいですからお尋ねいたしますが、ここでも最初に書いてありますが、おっしゃいましたところのあなたのほうの御方針では、そういう破壊的暴力行為の厳正な取り締まりという点に重点を置いて、警察官増員警察装備の充実という問題を帰納していらっしゃるのでありましたが、その次に、犯罪問題というのをお述べになりまして、拳銃の連続射殺事件、あるいは金融機関に対する強盗事件というようなものが非常に発生しておるから、これに対し、続発防止に特段の努力を傾注するようにおっしゃいました。私は、特に警察本来の目的である、個人の生命、身体、財産の安全のために尽くすという大理想というのは、これは犯罪防止、犯罪が発生したらすみやかにこれを明らかに摘発してその犯人を逮捕するというところまでいかないと世人は安心しない。  内海局長にお尋ねいたしますが、三億円の犯人だとか連続ピストル射殺事件というようなものが時間がたっても一向に逮捕されない、解決されないということは、いかなることであるのか。前回の公安委員長もあまりそういう方面のことには金を回さない。今度の公安委員長もそういう方面には予算を回さぬ。どうも手が出ないということで、一向に犯人があがらないのか。それとも犯人がりこう過ぎたのかどうかということです。その経過並びに御所見を承っておきたい。
  41. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 政府委員からお答えさせていただきます。
  42. 内海倫

    ○内海政府委員 連続ピストル射殺事件あるいは三億円事件、いずれもかなりの日数を経ながら、いまだに犯人を検挙するに至っていないという点は、たいへん私ども、世人に不安を残したままいまだに解消し得ず申しわけないと思っております。  この二つの事件、まずピストル射殺事件について申し上げますと、この事件が発生しまして以来、私どもは、たいへん大げさなことばですけれども国民の不安を除くために、警察の威信にかけてもこれは逮捕しなければいけないということで、その捜査に投入しております人員においても、あるいは捜査のために要する経費におきましても、あるいは各警察の保有する機動力、通信力の活用につきましても、在来に倍するような力を入れて、現在もこれを継続いたしておるのでありまして、捜査責任者としまして、そういう面における点は十分に私どもはつぎ込んでおるつもりでおります。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 にもかかわらず、いまだに犯人を検挙し得ないということの一、二の例を申し上げれば、まず、ピストル事件として、東京、京都、さらに函館、名古屋というふうに四カ所にわたって犯罪を犯しておるにかかわらず、ほとんどその遺留物というふうなものが何もない。あるいは、それを見かけておる者が、現在までわかっておるところでは、京都における被害者が死ぬまぎわに残したことば以外はほとんどはっきりしたものを認めておらない。しかも、今日のような自動車、列車あるいは飛行機、船、すべての交通機関がきわめて便利に利用できるような状態、こういう諸条件のもとにおきましての犯罪捜査でありますので、全国的な捜査網を張ってはおりますけれども、容易にこれを捕捉し得ないという状況にあるわけです。私どもは、何も現在の社会構造なりあるいは交通状態なりにその罪を着せて、われわれの捜査の不十分をのがれるつもりはございませんけれども、しかしながら、非常にむずかしい犯罪の起こり方であるということだけはお認めを願いたい。全力をあげて今後も捜査を継続して、たとえどんなに長くかかりましても必ず犯人を検挙いたしたい、こういう決意でおります。  三億円の事件につきましては、警視庁がいまなお全力をあげてその捜査に当たっております。まあ、私どもが見ましても、あの事件は発生直後に検挙されるものという大きな期待を持っておりましたけれども、だんだん捜査が長引き、さらに犯罪の状況を見てみますと、これも先ほど申しましたように、とにかく犯行現場を脱出した以降においては、ほとんどどこにでも逃走でき、潜伏できるというふうな条件がありますだけに、捜査は非常に困難をきわめております。しかし、これもとり得というふうな印象を与えてはたいへんでございますから、これまた警視庁も関東近県協力いたしまして、何としても犯人を検挙いたしたい、こういうことで努力をいたしております。いずれにしましても、私どもは現在の警察の捜査面における持っておる全能力を投入いたしまして捜査に当たっておる次第でございます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 太田一夫

    太田委員 私はあなたの決意、いわば石にかじりついてもさがし出すぞとおっしゃった気持ち国民は同感をし、その気持ちをありがたく感謝すると思うのでありますが、石にかじりついてもほんとうに検挙していただきたいと思うのです。しかし、時代は科学と技術の時代に移っておるわけでありますから、第一線の刑事さんたちもたいへんと思いますけれども、いまのように交番から機動隊に回されて、交番がからになるとか、手薄になるとか、どうとかこうとかいうことによって、どうも捜査網というものがあちらこちら破れておるのではないか。ゲバルトに対してあまりにも注意がいき過ぎて、関心が集まり過ぎておる、そちらの犯罪の捜査のほうは破れ破れて八方破れの網でございますということになっておるのではなかろうかという心配がありますが、その心配は不要でございますか。
  44. 内海倫

    ○内海政府委員 御承知のように、いろいろ他の事件が起こっておりますけれども、先ほど申しましたように、警察の全機能をきわめて有機的に、そうして機動的に活用をいたし得る、そういう組織でございますから、たとえ一方におきまして、警備事件が起こっておりましても、われわれの行なうそういう刑事犯罪の捜査というものには何らの支障を来たさないだけの充実した捜査網と捜査展開を実施いたしております。
  45. 太田一夫

    太田委員 そうすると、念のために伺いますが、内海刑事局長の立場から見まして、現行捜査網、捜査陣容というのは、あなたが自信をもって答えられるくらいの内容の充実したものである、予算も十分である、したがって、それを縦横に駆使して国民の期待にこたえて、そういう凶悪犯罪は必ずあげてみせる、こういうことでございますか。
  46. 内海倫

    ○内海政府委員 予算が十分、あるいは人員が十分ということは、現在の警察の保有する人員、現在警察が使用し得る予算範囲内の問題において申し上げておるところでございます。さらに欲を言い、さらに完ぺきを期するならば、より多くの人員とより多くの経費とより多くの装備が望ましいことはもとより申すまでもございませんが、そういうふうなことは、現実的には今日われわれが現に保有する人員、現に保有する装備、現に警察が使用を許されておる予算範囲においての問題でございます。その限りにおきましては、こういうふうな重要事件を私どもが捜査するのに非常に不足を感ずることがないような努力をお互いにいたしましてやっておるところでございます。私は、刑事捜査の責任者といたしまして、そうした与えられた条件のもとにおいて全力をあげてその捜査に当たっておりますし、今後ともそういう捜査を展開いたしたいと考えております。
  47. 太田一夫

    太田委員 これは刑事局長のほうにお尋ねしたほうがいいと思いますが、第一線の刑事さんたちは、しからば十二分なる給与を受けて後顧の憂いなくやっていらっしゃるのですか。何か伝えられるところによると、くたくたになってしまって、給与も不十分である、全く損なめぐり合わせであるけれども、これが天職となればしかたがないというような気持ちで動いていらっしゃるという話もあるわけですが、その点はいかがですか。
  48. 内海倫

    ○内海政府委員 多数おる警察官でございますから、あるいはそういうふうな不平を言う人も私全くないとは思いません。しかしながら、一般的に考えまして、刑事警察に従事しておる刑事諸君は、その職務の大事というものを身にしみ込ませておりますから、全力をあげて、しかもその職務に大いなる情熱を感じて努力をいたしておる。私どもはそれに報いるに、先ほども言いましたように、与えられておる予算の限りにおいて努力をして報いておるつもりでおります。
  49. 太田一夫

    太田委員 刑事警察に必要な経費というものは、昨年度に比べてことしは幾ら予算上ふえたのですか。
  50. 内海倫

    ○内海政府委員 いま私手元に数字を持ちませんので、会計当局のほうで調べました上でお答えいたします。申しわけありませんが、前年度との比較の数字は持っておりませんが、私の承知しております限りでは、年々刑事警察に与えられる予算は増額いたしております。それがどのくらいかという数字は、ちょっといま手元にございませんが、増額はいたしております。
  51. 太田一夫

    太田委員 私は門司さんが十分おっしゃったあとだから、そうしいて同じことを聞こうとは思いませんけれども大臣、機動力の増強をするためには十五億円の増額が認められておりますが、刑事警察には一千万円の増額しかないわけですね。そういうようにあなたのほうの資料はなっておるわけなんです。第一線の刑事諸君が寝食を忘れて苦労していらっしゃるに報いるのにあまりにも薄いのじゃなかろうか。これは日常のいわば待遇問題が薄いということと、その昇進の道も狭いのじゃなかろうか。何か張り合いを持たせなければ、誇りを持たせなければいけないと思うのが、そういう点について何の御感想もありませんか。
  52. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 御指摘の点については、私も明確に輪郭をはっきりしてお答えする能力はいまのところございませんけれども気持ちの上では御指摘のような点があるであろう。だとするならば、幾らかでも、漸進的にでもいいから、それを充実するという責任が私にもあるだろう、こういうふうに感じます。具体化な根拠をもって申し上げかねることをお許しをいただきますけれども、聞きますると、警察官の勤務時間、むろん超勤手当は出ておりましょうけれども、昼夜を分かたず努力しておる。その平均勤務時間は他の公務員に比べてかなり高いのだと聞かされておるのでありまして、そういう一点だけから見ましても、仕事の質——量もさることながら、質の点でもっと国民的御理解を背景に給与の実質的充実をはかる課題がそこにあるであろう、さように感じております。
  53. 太田一夫

    太田委員 そう思うのです。そう感じていただければけっこうでありますが、実際警察予算の重点も、姿勢の重点も、ともに本来の素朴な警察精神に戻っていただきたいと思うのです。  これはいろんな現象がございます。現象があるから、この間までは交通警察官というのが肩で風を切っていた。いまはちょっと変わりまして、公安警察でないとだめだ、警備警察のほうにそれが移っていっておる、こういうこともいわれております。それで、交通警察は二の次だよ、こう考えてみると、そうなると荒木大臣もあまりどうも交通警察のことについての激しい意思の御表明というものが感じられなかったような気がする。  そこで私は、一番大事な刑事警察の元締めである局長もきょうは来ていらっしゃいますけれども、犯人の検挙ができなかったからけしからぬと申しておるわけじゃない。しかし、備えというものは、断固としていかなる犯罪が起きても、暴力犯罪も、知能犯も、ともにこれは検挙してみせるというかまえがなくてはならぬと思うのです。科学警察の充実もその意味において大事であると思うのです。あるいはまた、第一線に従う刑事さんたちの待遇、労働条件というものも十分な配慮がなされなければいけないと思う。昇進の道もまた考えられなければならぬと思う。こういうことを申し上げておるわけです。内海さん、それに対する所見と、最初私がちょっとお尋ねしたのですが、四十三年の一月に畑井君というレーサーがR−三八〇のテスト中に死んだということがありましたね。これは業務上過失致死というような事件にはならかったのでございますか。これもあわせてお答えいただきたい。
  54. 内海倫

    ○内海政府委員 最初にレーサーのほうの御説明を申し上げます。  結論から言いますと、業務上過失は認定できませんでした。  概要を御説明申し上げますと、日時は四十三年の一月二十二日の午後二時ごろ、場所は北多摩郡村山町の日産自動車村山工場内のテストコース、テストドライバーは畑井英雄君、二十二歳。状況を申し上げますと、日産の試作車であるR−三八〇、四輪のスポーツカーでございますが、これが試作テストの走行前の慣熟走行、要するにならし走行をやっておりますうちに、直線コースにおきまして左にカーブし、ガードレールに衝突して土手下に転落、炎上し、畑井君は全身火傷を負って死亡、こういう状況でございます。  所轄の立川警察署におきまして、関係者が直ちに臨場して実況見分をいたしましたが、警視庁の科学検査所におきましても車体の検証等を克明に行ないました結果、左前の車輪がパンクしたためと確認されるに至りました。さらに裏づけ捜査をいたしましたが、結局関係者に過失責任を認めることは困難であると判断いたしまして、昭和四十三年の六月十五日にそういう結論を出しまして、被疑者不詳ということで事故そのものは一応検察庁のほうに送りましたが、警察の判断としては過失責任は認めない、こういうことでございます。  それから、その前の刑事警察の問題等に関する御質問でございますが、いろいろ刑事警察に対する御理解ある御意見をいただきまして、私ども非常に感謝いたしております。  お説のように、日本治安という面におきまして、一方において、最近いろいろ起こっておりますような各種警備事案も真剣に警察として解決しなければならない問題でありますが、同時に、一人一人の市民生活の安全を確保していくことも、警察のきわめて大事な任務である。私どもはその面の責任をにないまして、すべてをあげてその面の治安の確保、市民生活の安全ということに努力をいたしております。今後におきましても、そういうことに欠くることのない、あるいは市民の期待を裏切ることのない犯罪の防止、あるいは起こった犯罪の検挙に全力をあげて努力をいたしたい所存でございます。  同時にまた、そういう任務に従事しております刑事等の待遇改善あるいはその身分の面における優遇というふうなことについても、すでに三十八年以来いろいろな対策を考え、優遇あるいは昇進というふうなことも考えてまいっておりますが、現在におきましても、私ども人事当局者とともにいろいろ研究いたしまして、そういう面における待遇改善、あるいは警察という一つの階級をもってできておる社会でございますから、そういう面における優遇もできるだけ考えたいということで、いろいろ案を検討いたしております。そういう面も、単に案の検討にとどまらず、その実現につとめたいと考えております。
  55. 太田一夫

    太田委員 第一線の刑事さんたちに対して十分な待遇の改善を考えよう、あるいは将来のコースについて栄進の道も開くことを考えよう、御検討に相なるということに対して私も賛成いたします。第一線の苦しい犯罪捜査に従事する方々に失望や暗い気持ちを与えないようにしていただきたいと思います。それはことしは要望です。来年ひとつ実現してください。  そこで最初の、昨年の一月に畑井青年が惨死をいたしました理由というのが、タイヤがパンクしてガードレールにぶつかって下に飛び出したということです。おそらくそのときのスピードというものは相当なスピードであったと思うのですが、最近の新聞に出ておるのはそれと同じじゃありませんか。「R−三八〇のエンジンをそのまま搭載した二〇〇〇GT−R登場」「走る閃光」とある。いわばちょっとしたハンドルの操作の誤りによって、スピードが高くなればそういう異常な事故が起きるということが考えられる。これは予測できないことでございますが、パンクということでそういうことになるとするならば、そのような必然的に事故死につながるような車の公道上における走行というのは、私は禁止していかなければならないと思うのです。鈴木局長、交通局長としてどうなんですか。危険性はないのでございますか。見てみると、これだけ売りに出されておりますよ。どうなんですか。
  56. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 太田先生御承知のように、自動車の走行速度につきましては、道路上におきます走行速度につきましては、道路の状況に応じまして、高速道路であれば百キロまでは出してもよろしい。その他市街地は五十キロとか四十キロとか、いろいろ道路の状況に応じて最高速度の制限をしておる。その制限をすることによって事故を防止するという考え方から、私ども交通規制が行なわれておるわけでございます。
  57. 太田一夫

    太田委員 では、あなたに伺いますが、制限されたスピード以上のスピードで走っておる車、制限速度を超過した車が見つかった場合には、必ずそれをとめられますか。責任を持ってそれをストップを命ぜられますか。
  58. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御承知のように、非常に広大なたくさんの道路の中にたくさんの車が走っておりまして、私ども警察官が、スピード違反につきまして、目が必ずしも届いておらないことがあるこれは事実だと思いますが、現認をいたしまして、技術的にその違反を摘発できるという場合には、できるだけやるという考え方で進んでおるわけでございます。
  59. 太田一夫

    太田委員 だから私は申し上げておる。学生の暴力に対しては、非常な機動力の強化ないしは人間の増員等によって、十分な備えがなされた今度の予算であり、方針でありますけれども交通という問題や、あるいは犯罪捜査という問題に対しては、あまり注意が向けられておらないのではないか。ここは五十キロと書いてある、制限しておるのだから五十キロ以上飛ばすことはなかろう、高速道路は百キロと書いてあるから百キロ以上飛ばすことはなかろうという前提であなたはものを申されておりますから、もしそれを現認すれば、それを規制するよとおっしゃる。では、東名高速道路で何キロごとに一人ずつ交通警察官が配置されておりますか。何か基準でもあるのですか。
  60. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 東名高速道路におきましても、格別の基準はございませんけれども、高速道路につきましては、それぞれ高速道路の警ら隊を重要なポイントに置いておりまして、その警ら隊がパトロールをして、そういう違反の摘発に当たるということになっておるわけでございます。  その問題はそういうことでございますけれども、私ども交通事故を防止するという観点から、警察立場といたしまして、違反の取り締まりをやっておりますけれども、事故防止というものは、やはりドライバーなり歩行者なり、要するに道路利用者の安全意識というものに期待する面も非常に多いのでございまして、何でもかんでも取り締まる、取り締まるためには全警察官を動員してまでもやるというところまでは、警察全体の仕事考えますと、必ずしもそういうことにはまいらないわけでございまして、あるいは太田先生ごらんになりまして、そういう点に若干欠ける点があるというふうにお考えかもしれませんけれども、私どもは、取り締まり一辺倒で事故が防止できるというふうには必ずしも考えておりません。しかし、違反があれば取り締まるということは、私ども責務でもありますし、また、取り締まることによって、ドライバーが安全運転を心がけるということも十分期待できるわけでございますから、警察仕事には、先生御指摘のようにいろいろな仕事があるわけでございますが、その中で、交通警察運営というものを効果的にやっていくということを考えておる次第であります。
  61. 太田一夫

    太田委員 いわば取り締まり当局としての責任はそれでのがれることはできるでしょう。できるだけのことをおやりになれば、制度ができておるのだから。その制度を無視して、規制を無視して、百キロ以上のスピードで、二百キロなら二百キロ、高性能で二百キロまで走れるという車ですから、二百キロで走ったといたします。死亡しても、けがをしても、自分だけの責任でとどまればいいですよ。相手を死傷させることがあるでしょう。だから、車対車の正面衝突なんて悲惨なものですよ。だったら、殺人の凶器にかわるようなものに対しては規制を加えることは当然じゃありませんか。銃砲刀剣類等所持取締法というものがあるでしょう。スズメを撃つ空気銃でも、無断で持っておってはいけないというときに、二百キロ走ったら、前輪がパンクして、ひっくり返ってしまって、どんなことになるかわからないという自動車を、そのまま販売されるのを認めておくということはおかしいじゃありませんか。どうですか。
  62. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 自動車の最高性能の問題につきましては、私からにわかにお答えすることはできませんけれども、現在の段階では、つまり最高の速度は百キロまで出せるという——日本の場合にはそういうふうになっておる。安全にそういう速度が出せる性能という観点から技術的にいろいろ検討されていると思うのでありまして、その販売の問題はともかくといたしまして、私どもは、路上に出た場合に、その路上の路面の状況に応じまして、先ほど申しましたような最高速度の制限を加えて規制をしていく。その取り締まりが必ずしも十分行なわれておらないじゃないかという御指摘ではありましたけれども、私どものほうも、必ずしも十分行なわれているとは思いません。この問題につきましては、安全教育の面からも問題を考えねばなりませんし、安全施設の面からもいろいろ考えなければなりません。指導、取り締まりの面からも考えていくということで、交通事故防止の問題は、そういう政府の施策と一緒になりまして、道路利用者の安全意識にまつという点が非常に多いのでございまして、一体となって事故防止に努力するということでなければならぬと思うのであります。
  63. 太田一夫

    太田委員 あなたは、販売の問題はさておくとおっしゃったのでありますが、私は、銃砲刀剣類等所持取締法との関係においてお尋ねしているわけであります。銃砲刀剣は、古美術であるといっても、先祖伝来の古美術的な名刀を床の間に置いておこうとしても、許可がなければこれは持っておるわけにはいかない。ましてや道路上持ち運びもできないでしょう。非常にこれはきびしいのでありまして、あなたのほうは、凶器である場合においては、ピストルの所持は認めない。これはあぶないから認めないのですよ。だったら、自動車はあぶないじゃありませんか。あぶなくないですか。先ほど内海局長がおっしゃったように、前輪の左側のタイヤが一つパンクしただけで、その車はガードレールにぶつかり、土手の下に転落して死んだじゃありませんか。相手の車にぶつかれば、相手はもろにいってしまいます。これはあぶなくないですか。
  64. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 自動車も、使用いかんによっては、いわゆる走る凶器というふうに俗語でいわれておりますけれども、そういう意味では凶器になるおそれがあるわけであります。その凶器になるおそれがありますので、いろいろな規制を加えておるわけでございまして、性能上の問題につきましては、運輸省のほうで保安上の技術基準をきめております。その観点から別に検討さるべき問題だと思っております。
  65. 太田一夫

    太田委員 相手の責任に転嫁する——転嫁するといっては何ですが、運輸省が所管する法律に関係することであるから、性能の問題は当方の関知するところにあらずとおっしゃればそうかもしれませんね。それはまあそれでいいです、そういう考えなら。では、ピストルとか刀を持つのも自由にしたらどうですか。内海さんのほうで困るわけです、いろいろな犯罪が起きるから。そうでしょう。だったら自動車も、へたをすると、あまりにも異常な性能の車、いわゆるスピードのたくさん出る車というものは、一たびそれの使用を誤れば殺人凶器と化す。ピストルと同じじゃありませんか。あぶないじゃありませんか。刑事局長、よろしいですか、そういうのは。あなたのほうで御検討になったことがありますか、それでよろしいとか、ちょっとこれは何か考えなければいけないとか。三億円のほうがなかなか見つからぬからたいへんと思いますが、自動車の凶器論ということについてはいかがですか。
  66. 内海倫

    ○内海政府委員 私も長らく交通警察でやっておりましたから、いろいろ考えるところがございますが、ただいま交通局長が御答弁しましたように、自動車というものは、人を輸送し、運行することを目的にした用具でございますから、その存在自体は十分認めなければならないし、スピードもまたある程度は必要でございましょう。先ほどの例示のピストル、刀剣のごとく、本来人を殺傷する目的があるかどうかは別といたしましても、殺傷する性能がほとんどである用具とは、おのずから別途に考えてしかるべきだと思います。もしまた、自動車がそういう形で凶器に使われるものであれば、私ども刑事警察立場では、遠慮会釈なくこれを捜査の対象にいたします。
  67. 太田一夫

    太田委員 凶器として使われれば捜査の対象になる。刑事事犯が発生すれば、そういうことでございましょうけれども、私どもの申し上げておるのは、荒木大臣のおっしゃった所信表明の中には、交通取り締まりというのは確かにありますし、そのことの順序優劣ということは、どちらに重点を置いてあるかということについてとやかくのことを申さないで、素直にとれば、交通取り締まりをする、安全施設を整備する、いいでしょう、それはけっこうです。しかし、いまテストコースにおきましてあたら前途有為な青年が死んだ。一年前にも同じことがあった。それが高スピードに挑戦をして死んだ。そこのところをひとつ考えてみる必要がある。あなたたちの指導、取り締まりというのですか、警察行政というのですか、それが時代の進歩におくれをとっていきはしないかということを私は憂うる。だから、百キロをもってハイウェーの最高スピードとすれば、当面これは百二十キロなら百二十キロくらいの性能をもって最高上限とするのが常識ではございませんか。なぜ二百キロのスピードを認めておかなければならないのか。それを野放しにしておけば、前のタイヤがパンクすれば同じ事故が起きることはわかっているのであります。しかも、深夜などにおきましては、ずいぶん交通警察官も少なくなりますから、おもしろいから、ひとつ性能の限りをためしてやれというようなとこで、テストコースが都内やあるいは近郊のあらゆる道において実現しまして、そこでそのような早い車で走るとなったら、こわくてしょうがないですよ。だから、時代に即応する交通行政、時代の先端を行くくらいの警察行政でしかるべきだと思う。個人の生命、身体、財産を守るという本来の任務は、はたして生かされておるのですかどうですかという点について、私は重点を置いてお尋ねしておるわけです。交通局長は、公安委員会の速度制限標識を立てておけば、それでいいんだとおっしゃるけれども、それではどうもあまり後世名局長とはいわれないですよ。何か斬新なアイディアを出したらどうですか。交通安全施設なんというのはどこか陰に隠れちゃいますよ。交通の時代は終わった。もういまは警備の時代、公安の時代です。どうですか。
  68. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 事故防止につきましては、この数年来政府において、警察も含めましていろいろな対策を講じておるにもかかわらず、事故が減らないということはまことに遺憾でございますが、その間にいろいろ名案はないかということで、私どももいつも頭を痛めておるわけでございます。先生の御指摘のような点も含めまして、今後何とかうまい案を出して、事故防止に寄与するように努力いたしたいと思います。
  69. 太田一夫

    太田委員 これは運輸省とも関連がありますから、運輸行政と関連して、ぜひひとつ十分新時代に即応する施策を立てるために御検討をお願いしたい。  そういう点から言いまして、大臣、あなたの所信表明の中の交通渋滞を解消するということですが、最近は日本の脊梁山脈の南側というものは非常な交通渋滞地区になりましたが、この交通渋滞を緩和する対策について、こう考えるという意欲が抜けちゃってますね。ことしはもうそういうことはお手あげでございますか。
  70. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 太田さんの完全に御納得のいく御答弁は申しかねますけれども、渋滞しておる状態を、何とか既存の条件下にスムーズにはかすという使命も一面あろうかと思いますが、同時に、自動車が多くなる、道路の幅員は既存の状態である、だから道路の幅員を広げ、立体交差をもっとふやしていくなどということがなければ、渋滞は根本的には解決できないというふうに思うわけでございまして、これもやはり責任のがれするわけじゃございませんが、内閣として、関係省庁が本気で総合的に取り組んでいくということに、問題の焦点は総合的にはしぼられるんじゃなかろうか、かように私は思うのでございます。
  71. 太田一夫

    太田委員 道路交通法というのは、あなたのほうでやっていらっしゃるわけでありますから、警察庁そのものというのは、交通の渋滞緩和の対策に対して、積極的な使命を負っていらっしゃると思うのです。それは他のほうとの関係もあります。運輸省は運輸省として考えるでしょう。建設省は建設省として考えるでしょうけれども警察庁警察庁として、道交法の中心的なところとして中心的な使命を持つあなたとして、それは考えなくちゃいけないじゃないですか。道路は建設省だ、車の登録は運輸省だ、だから運輸省と建設省で何とかやってくれるだろう。それからまた、総理府あたりで何か考えてくれるであろうということでは、ちょっと警察庁として弱いんじゃありませんか。
  72. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 さっき申し上げましたのは、私ども守備範囲外のことはそれぞれの省庁が考えてくれるであろうということでございませんで、それぞれの持ち場、持ち場で渋滞の問題だけを取り上げましても、なすべきことがあるはずというのを、相互連絡しながら問題点をクローズアップしつつ、具体的にそれを解決していくということが必要であろうという意味合いで申し上げたのであります。警察の担当すべき範囲内におきましても、専門的にはいろいろとお答えする内容があると思います。たとえば、うろ覚えですが、暮れから正月にかけての交通渋滞必至であるという情勢下におきましては、たとえば甲州街道その他の渋滞のひどいところには臨時的に特別に交通規制をやるということで急場をしのいだかと存じますが、同時に、信号機にいたしましても、私は毎朝大原交差点から甲州街道を来ますけれども、せっかく立体交差したけれども、COガスの被害は以前よりひどくなって、渋滞の状況が起こる。その一つの原因は、これは交通局長に陳情するというのは行き過ぎますけれども、あれは何といいますか、系統式の信号機があるかとは思うのだが、その操作が実情に合っていないんじゃなかろうか。護衛官と二人で車の中で雑談しつつ来ておりますが、そういうふうなことも、対症療法的に、その現場、現場に適応するような具体的措置も必要でございましょうし、その他専門家に聞かぬとわからないこともあろうかと思いますが、私ども責任範囲内においてはできるだけの努力はむろんいたします。それが心がまえであるべきだ。先刻申し上げましたようなことも、単によそにおっつけて能事終われりという気持ちじゃ毛頭ございません。
  73. 太田一夫

    太田委員 そうお考えくださればわかりますが、警察庁としてやれる範囲が幾つかあるでしょう。たとえば一方通行、右とか左への曲がるのを禁止する、規制するというやり方、あるいは駐車の禁止、夜間といわず昼間といわず許容しない、全部禁止して道路の面積をフルに道路交通のために使う、あるいは車間間隔を適正に保たせる指導をパトカーが行なう、幾多あるでしょう。そういう交通渋滞を緩和する対策で具体的にやらなければならぬものは幾多あるのでありますから、その機能を発揮してやってもらいたいと私は思う。市民、県民、そういう地方住民警察に対して一番信頼しておるのは何かといえば、警察官が催涙弾で安田講堂の学生を降伏させたということに対しては、そうたいして拍手しておるわけじゃない。だからこれで夜安心して寝れると言っているわけではないのですよ。内海刑事局長が非常に円満な顔をして、人間的な慈愛深い顔をして、犯罪予防と犯罪検挙のためにがんばっていらっしゃるという点が明らかになれば、非常に国民は安心する。県民、市民は安心する。鈴木さんが道交法をきちっと守って、そしてできるだけ道路の安全のために、交通の安全のために努力することをおっしゃって、具体的に交通警察官が、取り締まりじゃございませんね、指導という点に重点を置いて——これはたしかこの間反則金をやるときに、今後取り締まりを重点でなく、指導を重点にするとおっしゃったはずです。指導をやればいいのです。その味のあることをやっていらっしゃると、わりあいに市民は安心するのですよ。あの交通巡査というのは実にいいな、ものがわかるというのがあちらこちらにいますと、警察官に対する親しみがわいてくるのです。そうでないと、住民と離れちゃって、水と油の警察官であり、水と油の関係の住民ということになっては困るでしょう。日本の国の治安なんか守れませんよ。民心から離れちゃってどうやって警察行政ができますか。そういう意味において、力で何もかも解決していこうという方向でなくして、もう少し人間の道の警察官というものになってほしいと思う。そういう施策がこの中に盛られていなければいかぬと思う。どうも責任回避の話ばっかりになって私は残念だと思うのですが、長官どうですか。昔は赤鬼、青鬼という悪いやつがあって、それを桃太郎が征伐したのですが、桃太郎というのは犬、サル、キジみんなついていくだけの徳望があったのですね。何かそういうように悪い者に向かっていく警察官に、国民がすべてついていくというくらいの警察にならなければいかぬじゃないですか。あなたが桃太郎精神を体得しておやりになることは私は大事だと思う。強いばかりが公安委員長でない、私はそう思うのですが、御感想はいかがですか。
  74. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 おっしゃるような意味合いでは、人相は変ですけれども、心がまえとしましては人後に落ちない気持ちは持っております。ただし、むろん不徳はみずからを顧みて修繕していかなければなりますまいし、また、拝命しまして早々でございますから、認識不足の点もございましょうことは、勉強することによって補わしていただく、そういう心がまえで暴力をはじめとする不法行為そのものが、民主主義そのものの根底をゆるがすことでありますから、断じて許さない。国民のために、法の命ずるところに従って、その範囲内において忠実に実行するということも当然ですし、御指摘のような交通警察の使命、あるいは刑事警察の使命といたしましても、さらに青少年対策にいたしましても、仰せのとおりの心がまえで、足らざるを憂えながら努力することこそが私の使命でなければならぬ、かように自分自身には言い聞かしておるつもりでございます。
  75. 太田一夫

    太田委員 これで私も終わりますけれども、荒木公安委員長は人相的に得する、損するということもありますけれども、とかく新聞記者諸君が非常に豪傑のように書いてくれますので、国民というものは、今度はえらい人が国家公安委員長になっちゃったぞ、これじゃみんな片っ端からたたきのめされるんじゃないかという点を心配しておりますから、桃太郎精神でやっていただきたいということを私は申し上げておるのです。ひとつ国民に愛される警察ということで、これはそれによって貫かれておるということで私は読みたい。ぜひ御配慮あらんことをお願いいたします。
  76. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 この際暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後三時二十七分開議
  77. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、せんだって行なわれました自治大臣国家公安委員長の所信表明について、若干質問をいたしたいのであります。  その前に御質問いたしたい点は、昭和四十四年度の地方財政計画はいつできるのか、これをひとつはっきり示していただきたいと思います。
  79. 野田武夫

    ○野田国務大臣 今月末までにでき上がることになっております。
  80. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今月末というのは二月の二十八日ということでございますか。
  81. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ええ。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 昨年は何日でございましたか。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 二月二十三日でございました。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 昨年は二月の二十三日といいますと、ことしはすでに五日間おくれております。おととしは何日でしたか。
  85. 細郷道一

    細郷政府委員 おととしはちょっといま記憶がございませんが、大同小異であったと思います。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この地方財政計画は国の予算と密接な関係を持っておりますので、予算委員会の総括質問が行なわれる段階で出していただきたい、完成しないまでもその骨格を示していただきたい、こういうことは常に予算委員会でも取り上げられておった問題でありますが、今年は残念ながら二月二十八日ということであります。地方団体予算というのは、新聞等によりますと、すでに府県段階等の予算は、近傍の都道府県等もほぼきまってまいっております、予算が編成されております。その予算の編成の基礎というのは、自治省が策定する地方財政計画にある、こういうふうに申さなければならぬ。そうでなければ一片の計画ではつまらぬわけでありますから、こういうふうにおくれることは、これはもうほんとうに地方財政計画の意義を失うものだと申さなければならぬのであります。地方にとっては、指導的な立場にある自治省としては、こうまでおくれるとはたいへんな問題だと私は思うのであります。一体、どういうことで大臣、こんなにおくれたのですか。
  87. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いまの細谷さんの御意見のように、地方公共団体の財政計画に重大な影響があることはよくわかっております。ことさらにおくらしたのではございません。その間の事情について、いま事務当局から御説明いたします。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、財政計画の際は、歳入の見積もりを確定させないと計画ができないわけであります。本年度の場合、一つは、国庫補助金の額の、各省からの収支が非常に手間どりまして、途中で多少計算の誤りなどがございましたりいたしまして、少しおくれました。あとは、地方税法の確定が多少おくれたといったような事情がございまして、昨年よりはわずかにおくれておりますが、大体例年二月の下旬ごろに出す、こういうようなことでございまして、今後も気をつけてまいらなければならぬ、かように考えております。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ことしの国の予算がきまったのは十四日の午前中ですよ。正式なおさらいの閣議は十四日の午後三時か四時に開かれたのでありますけれども、大体もう十四日の午前六時のところではほぼ閣議で決定されて、四十四年度の国の予算というものができたのですね。去年も大体同じ日でしょう。それがこの重要な段階——わずか五日ということではありませんよ、二十三日が二十八日になったというのは。これはたいへんなおくれであります。そうしますと、いまの財政局長のおことばで、国庫補助金のつき合わせ、こういうものの最後数字を固めるのに時間がかかるということはわかります。それと、それに対して若干の誤りがあった、こういうことでおくれたと言うけれども、それだけではこれはおくれになりませんよ。何か去年と違った原因があるのでしょう。違った原因をあげてください。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、事柄の内容として違ったことはございません。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 事柄の内容に違ったことはないと言うけれども大臣、去年は税収なんというのはもう二月の十五日ぐらいには確定しておったのですよ。ことしは確定していますか。新聞等によりますと、料飲税で行ったり来たりしておる。いまもまだ地方税法というのは出ないでしょう。それで歳入も固まらないでしょう。国庫補助金の問題じゃないでしょう。明らかに去年と状況は違っておるでしょう。どうしてそうなったんですか。
  92. 野田武夫

    ○野田国務大臣 まあ、ことさらにいろいろな特別の事情というものはありませんで、いま財政局長が申しましたように、国庫補助金のほうは各所に関係がありますし、そういうことがきまってまいりませんと、基本的な面の財政計画が立たないわけであります。ずいぶん事務当局も気にいたしまして急いでおりましたけれども、結果において数日おくれに、これは私もまことに遺憾に思っております。しかし、事情に特別なことがあったのじゃないかということですが、特別な問題があって、その事情のために延びたということではございません。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは事情の特別なものはない、まあそれはそうでしょうけれども、去年は地方税法なんてそんなにもつれておりませんでしたよ。そうでしょう。私はあとで、どうせ法律が出てくるからきょうはあまり触れようとは思いませんけれども、たとえば料理等飲食税三千円以上のものが一五%であるのを全部一割、一〇%にしてしまえ、ところが、大衆的な料飲である免税点を六百円、こういうものは据え置いた、そういうことできまっておったところが、総理のツルの一声で大蔵大臣も自治大臣もあわててまた二百円免税点を引き上げた、こういうようないきさつもあるでしょう。これがやはり地方税財源が固まらなかった理由の一つだろうと私は思うのです。  もう一つは、いまだに地方税法が出ておらない、料飲税は固まったようでありますけれども、まだほかに固まってないんでしょう。固まっておらなければ、閣議決定がなされておらぬとすれば、あるいは閣議決定がなされたけれどもどこかで揺れておる、こういうことになるとすれば、これは税も固まらぬでしょう。地方財政計画ができないことはそこにあるのであって、国庫補助金のおくれじゃないでしょう。いま私はちょっとメモをもらったんですけれども大臣、四十年度は二月の十二日に地方財政計画はできているのです。四十一年度は二月の十一日ですよ。四十三年が先ほどお答えになった二十三日です。ですから、言ってみますと二月の十二日とか十一日というのは、これはもう予算の総括質問の段階で地方財政計画が明らかになったということですね。去年もおそ過ぎた。そしてことしは二月の二十八日、こういうことでありますから、私は、そういうところに問題があるのでしょう、そういうことだと思うのです。これはもうはっきりそういうところで、党内のことなどが、あるいは閣議でもたもたしているのか、あるいはどこでもたもたしているのか知りませんけれども予算関連法案というのは早く出せ、早く出せ、こういうことであったのでしょう。二月の三十日ぐらいまでには全部の予算関係法案を出すというのは与党の幹事長ですら言ったことでしょう。それがまだ閣議決定していないというのですから、地方財政計画が出っこないのはあたりまえですよ。これはたいへん問題だと思うのです。大臣責任があると思うのです、こういうものがおくれたのは。ことばは適切じゃありませんけれども、そういう問題についてどうも右往左往したんじゃないですか。こういうところに私は根本原因がある、こう申さなければならぬと思うのであります。大臣のひとつ率直なお答えを聞きたいと思うのです。
  94. 野田武夫

    ○野田国務大臣 地方税の問題で何か右往左往したのじゃないか、そういうことが原因じゃないかということですが、右往左往ということでなくて、やはり地方税というのはなかなか地方住民に非常に影響があることでございますし、地方財政そのものにも直接影響がある。相当慎重に検討したことは事実ですが、特別これでもって問題を起こしてどうということではなくて、事務的な手続からしてめどを大体今月二十七、八日に置くということで、この前もある委員会において、予算委員会だったですか、お答えをしたのですが、まあ大体事務的に月末まで——これはいまお話しのとおり、なるべく早くきめて地方公共団体にもこの計画を示すということは、これはもう大事なことで、細谷さんのおっしゃることは無理からぬことと思いますけれども、そういうことで特別、中でもって党との関係とか、政府部内において非常に政治問題化したということではありませんで、四、五日ちょっと手間どったということでございます。その点において確かに時間的に数日おくれたことはまことに遺憾に思っております。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣から遺憾の意が表されたんですけれども、山口理事から関連質問があるそうであります。  そこで、ここまでおくれてまいりますと、地方団体一体どうやって予算を編成したのですか。参考になるべき地方財政計画というのは二月二十八日。それから予算の編成といっても、最後の仕上げというのは、地方財政計画が出なければいかんともしがたい。いかんともしがたいと私が申し上げるのはどういうことかと申しますと、いま地方税法でもとめているのは、新しい税目を設けるか設けないかということでもめているんでしょう。金額がどういうふうに扱われるかは別といたしまして、予算の骨に関係する問題なんですね。そういうことになりますと、ただ単にそのくらいの数字は、規模としては、国の予算が六兆七千三百九十五億でありますから、地方財政計画もおそらく六兆七千億前後になるだろうと私は想像しているのでありますけれども、その中の数億円ぐらいだから、あるいは数十億円ぐらいだから、数字としては問題ないなんという——かつて自治大臣がそういうことを言って国会であやまったこともあるのですけれども、そういうことではいかぬのであって、数字は小さくとも、きちんとすることはきちんとしなければならぬということになるのですから、いってみますと予算の最終的な仕上げができない、こういうことになるわけでありますけれども、それはどうやって指導させておるのですか、お伺いします。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 地方との間に、実はいろいろ個別の連絡というような問題もございます。それから、昨年来、四十四年度の地方財政の方向づけとしてはこういった点に重点を置いてやっていただきたいといったようなことも伝えてやっておるわけですが、具体的には先般一月の末に全国総務部長会議をいたしました際、来年度の地方財政の重点となる要領をお話しをいたしまして、そういうことによってそれぞれの団体で来年度の方向づけを御了承いただいてやっていただく、こういうことでございます。
  97. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 山口鶴男君の関連質問を許します。
  98. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣、ただいま地方財政計画の問題について細谷委員からいろいろお尋ねがありましたが、大臣のお答えを聞いておりましたら、決して政治的配慮その他で地方財政計画をおくらしているのではない、そういうようなことは一切いたさない、こういうお話でございました。  それならそれでお尋ねしたいのでありますが、奄美群島振興法を閣議決定いたしたのは幾日だったですか。
  99. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 二月七日ではなかったかと思います。
  100. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ついでに聞きますが、国会に提出をされたのはいつですか。
  101. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 たぶん二月の十八日くらいではなかったかと思います。
  102. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 閣議決定が二月の七日でしょう。それから国会に提出されたのが二月の十八日、約十日間かかってますね。奄美群島振興法というのは、どれほど膨大な、一メートルも厚さがある法律案かと思って私見ましたら、そんなことはないですよ。厚さはせいぜい一ミリくらいな法案です。それが約十日間も閣議決定されたまま国会に提出されないということは、大臣これは政治的な配慮じゃないのですか、いかがですか。
  103. 野田武夫

    ○野田国務大臣 国会提出法案の取り扱いでございますが、これは役所といたしましては、まず閣議の決定を待って正式に提出する段取りです。これは政治的な配慮とかなんとかいうことよりも、やはり法案の提出でございますから、やはり国会対策委員とか運営委員とかというものがございまして、それと打ち合わせてやっております。これを十八日に出したのは、これは特別な政治的配慮があれば一カ月も二カ月も握ることがありますが、その間いろんな国会運営の事情で提出の時期を打ち合わせておったということでございまして、これも特別深い政治的意味はなかったと私は了解しています。
  104. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、深い政治的な意味はないが、深くない意味での政治的配慮はあるということですか。これは、先ほどの前言は取り消していただきたいと思うのですね。政治的配慮云云ということは取り消していただかなければならない。その証拠に、国際空港に関する法律案、これも予算関係法案です。小笠原復興法案も予算関係法案ですね。閣議決定されたのは二十一日でしょう。いまなお国会には出ていないじゃないですか。どういうのですか。本年度の自治省関係の法律案というものは、深い政治的意味はないのかどうか知りませんけれども、浅い意味の、普通の意味での政治的配慮が大いにあったと見えまして、すべて軒並みに閣議決定が行なわれたあとなかなか国会に出されていない。これでは大臣、だれが考えてもこれは深い政治的な意図があるとしか思いませんですよ、幾ら大臣がそういうお話をされても。いかがなんですか。
  105. 野田武夫

    ○野田国務大臣 山口さんの御指摘、多少法案の提出のおくれている点はございますが、政治的配慮と申しますか、手続の問題、それから国会対策の扱い、議運の交渉とかというので、事務的には一生懸命、早くきまったものは出したいという熱意を持っておりますけれども、そこがなかなか国会の運営上——それが山口さんのおっしゃる政治的配慮であるかどうかは別としまして、従来もよくあることでございまして——これがいいというわけじゃありません。私はあなたに抗弁して、かれこれ弁解して言うのじゃありませんが、それが深い政治的配慮かどうか、そこまで深く私は考えていないのです。きまったものは早く出す、これは当然の姿勢だと思っております。
  106. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 関連質問ですからこれでやめたいと思いますが、地方税法も本日閣議できめたわけでしょう。そうすれば、細谷委員指摘するように、地方税の税収幾らとういことが固まらなければ閣議決定されるはずはない。そういうことならば当然私はきまっていると思うのですね。これはもう歳入の関係も明確になっている。ただ、本日の木村官房長官の話は、閣議決定したけれども、これから党内調整をやるというようなことを言って議運で問題になり、官房長官はそれをお取り消しになりました。したがって、閣議決定をされた以上、地方税については、まさに内閣の意思はきまったわけです。計数もきまっただろうと思うのです。したがって、そうでなくても地方財政計画は非常におくれておるわけです。従来の例からいって、二月の上旬とはいきませんけれども、中旬の早い機会に出てきたわけでありますから、これがこうおくれたということについては私どもきわめて遺憾に思います。さらに深い政治的な意図云々という話もございました。従来は、閣議決定をされておりながらなかなか国会に出なかったという例はいままでありません。特に本年になりまして、しかも自治省関係の法律について特にこういう傾向が目立っているということは、私ははっきり指摘を申し上げたいと思うのです。そのことは大臣も否定できないと思います。自治省が深い政治的意図か浅い意図か知りませんけれども、とにかくそういう意図であるならば、われわれとしても、自治省は本年はそういうつもりなんだということで考えざるを得ないと思うのです。以上御答弁はけっこうでありますから、ことしは従来と非常に変わった扱いをやっている、そういうことでは困りますということを申し上げておきたいと思います。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、きょうの閣議で、地方税法がきまったということでありますが、先ほどの私の質問に対しまして、予算の編成のしかたについては、おそらく一月三十日に招集されました全国都道府県の総務部長会議、あるいは指定市の財政局長会議で示されたいわゆる財政課長内簡、こういうもので予算をつくれ、こういうことで御指示になったと思うのです。いまの財政局長のお話ですと、その後の変化の推移というのは何であったか知りませんけれども、逐次地方団体には知らして、万遺漏なきを期しているということでありますが、お尋ねしたい点は、おっしゃった点は、一月三十日の全国総務部長会議、指定市の財政局長会議で示された内簡をおっしゃるのか、それが一つ。  もう一つは、ついででありますから、二十八日には出されるそうでありますから、四十四年度の地方財政計画は、いま私は六兆七千億前後であろうと申し上げたわけでありますが、おおよその——毛の長さはともかくとして、もう牛の体重くらいはきまっていると思うのですよ。ですからその辺の規模、その規模の中には、ちょっと後に質問しますいろいろな条件というのが一、二あるでしょうけれども、その問題は別として、どのくらいの規模になるのか、この辺もひとつあわせてお答えをいただきたいと思います。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 地方団体の連絡の方法については、例年課長内簡を出しております。したがいまして、本年も同じことをいたしております。  なお、財政計画というものが、先ほど御指摘のございましたような地方団体地方財政運営の指針であるということに重点を置きますれば、実はこまかい数字はどうでもいいので、大きな荒っぽい計画でもいいのかもしれません。しかし反面、ここずっと取り扱いがぴたっとした数字で計画をつくっているといったようなこともございますものですから、正式な印刷物になって出ますのは、多少いつもおくれておるということでございますので、地方団体が財政運営をいたしますのに、財政計画の一寸一厘まで全部要るというわけでもないと思いますので、その辺のところは、例年繰り返されることであまりいいことかどうかわかりませんが、私どもはいろいろな方法によって伝えておる、こういうことでございます。  なお、地方財政計画の国会への提出につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、不明確な点がございましたので、明確に申し上げますと、昭和四十三年度は二月二十三日に閣議の了承をして、三月五日に提出をいたしております。それから四十二年は、これは特殊な、選挙の年であったと思いますが、三月三十一日に閣議了承をして同日提出をいたしております。それから四十一年は二月二十五日に国会提出をいたしております。四十年は三月十九日に国会提出をしておる、こういうような状況でございます。  それから、大体の輪郭はどうかということにつきましては、六兆七千三百億ちょっと、四百億足らずということでございます。伸び率にいたしまして大体一八・五%くらい、こういうような輪郭でございます。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体輪郭としては六兆七千三百億強、四百億まではいっておらぬ。そうしますと、規模としては、国の予算が六兆七千三百九十五億七千四百万円でありますから、ほぼ国の予算と規模は匹敵する、こういうふうに理解しておいてよろしいわけですね。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 大体そういうことでございます。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題はこの程度にいたしまして、次にお尋ねいたしたい点は、大臣、今度の国の予算を編成するにあたりまして、問題として三つ出てきたわけですね。一つ地方財政と国の財政との問題、第二番目は食管会計、第三番目は国鉄の再建問題、こういうものが当初に予算編成上の大きな問題点ということであげられましたね。そして六日の日に自治大臣と大蔵大臣との間で覚書が取りかわされたように伺っておる。そこでお尋ねしたい点は、今度の予算編成を通じて、自治大臣は幾つ大蔵大臣あるいはその他の関係閣僚との間で覚書を結ばれたのか、その覚書の数と、その内容を、ひとつこの際担当者に朗読さしていただきたいと思う。
  112. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま政府委員が朗読しますから……。
  113. 細郷道一

    細郷政府委員 四十四年度の地方財政の大ワクに関しまして、大臣名での覚書は私の承知しておりますところでは二つでございます。  一つは、先ほどお話に出ておりました大蔵大臣との間の交付税に関するものでございます。いま一つは、公営地下鉄の補助金の問題につきましての自治大臣、大蔵大臣、運輸大臣、この三者の間の覚書、この二つでございます。
  114. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、財政局長は大臣権限範囲の一部分しか担当してないのです。財政局長が覚えているのは二つ覚書があるというのですが、大臣権限はもっと広いですわね。二つですか。
  115. 野田武夫

    ○野田国務大臣 そのとおりです。二つです。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、たいへん恐縮でありますけれども、その覚書について、いまの財政局長の答弁は不十分だと思う。第二番目の公営企業等についての覚書については、大体結論ははっきりしておりませんけれども、おっしゃられたとおりだと思うのです。大蔵大臣と結んだのは交付税だけじゃないでしょう。数項目にわたっているわけですよ、大臣。ですから、文章は、その二つの覚書は後ほど委員会に資料として出していただきますが、公営企業に関するものは二点だけしかないわけですから、これも結論が出ていないのですけれども、大蔵大臣との一月六日の覚書というのはたいへん重要な内容を持っておりますから、大臣、どれとどれとどういうものを含んでおるということをちょっと申されて、あとは資料で提出していただきたいと思います。
  117. 野田武夫

    ○野田国務大臣 この覚書の字句全部はあとで資料で提出します。その覚書を結んだ事由と申しますか、これは一応資料の説明みたいに私から申し上げておきます。  実は、細谷さんも御承知のことと思いますが、地方財政が相当豊かである、豊かではない、これが大蔵大臣と私の意見の相違でございます。大蔵大臣は相当豊かになった、私は財政需要はますます多くて決して豊かではない。これがこの覚書をかわすもとでございます。  そこで、まず財政当局から要求のありましたのは交付税率を引き下げるという、これは来年度の予算編成のときばかりでなくて、前からもそういう財政当局に希望があったことも御承知のとおりだと思います。私は第一項目でこの交付税の問題を取り上げたのでございますが、交付税は地方の固有の財源であって、地方財政は、多少の好転であるということばを使えば、悪いときから比べれば一応そういうきざしはあるが、決して豊かではない。したがって地方財政の確立はますます要請されることであって、また、われわれ自治省当局としては、やはり地方財政の充実確立ということは、地方行政水準を上げる前の絶対的の条件であるから、その固有の財源である地方交付税の税率を引き下げるということは同意しかねる。これが第一点でございます。  第二点は、その場合において、地方財政において考える固有の財源である地方交付税が、やはり経済の動向によって相当変わってくるというのは、景気のいいときは相当税金がある、景気が悪くなれば税金が少なくなる、非常に変動がある。そこで、税率とは違った意味で交付税の年度間調整、これはしかし国がする調整は困る、やはり自主的に年度間の調整というものはする必要がある。こういうことが二点でございます。  次には、これも御承知だと思いますが、申し上げますと、財政硬直化という理由で、どうしても地方財政のうちの計画の中から七百五十億の金を、これは貸し借りになりますから、ことばはいろいろありますが、貸してくれという要求があったことは事実であります。私は四十二年度にもそういうことが行なわれて、しかもこれは三年間で払うということになったからいいけれども、ただ、交付税の引き下げは、問題は別にして、地方財政から七百五十億の融通をしてもらいたいということも、これは同意しかねる。できません。しかし、国の予算を編成するにおいては、やはり各役所ともやはりできれば協力することは、これは政府のたてまえから協力を惜しむものではない。しかし、現実地方財政を脅かされるような方法によっての要望は一切お断わりだ、こういうたてまえをとっております。  そこで、だんだん話し合いました結果、その当時、四十三年度の自然増収が相当ある。御承知のとおりいま二千四百億、大体いま二千四百億か三百億か知りませんが、一応相当な額が自然増収で予想される。そこで、それが予算編成の末期でございまして、その自然増収が補正になれば別ですが、そのままで出てまいりますと、この金は四十五年度に繰り越される。四十四年度では使えない。そこで、自然増収ということはもう大体わかっておりましたから、また大体の想定する額もわかっておりました。七百億以上あるだろう。そこで、この四十五年度でなければ使えない自然増収、これが四十五年度に充当される交付税として増額されるということが前提になれば、その自然増収の額をめどにして、その限度内ならば考えてよろしい、ということは、これはことばをかえて申しますと、この処置は四十四年度の地方財政計画には影響がない、こういうことからいたしまして、そうして、この七百五十億ということは、はたして四十三年度の自然増収があるかないかは不明でございますが、大体七百十億か二十億まではわかっております。七百億以下六百九十億の線で、一応この四十四年度の地方財政に影響がないというめどをつけまして、特例の措置をすることを政府はきめたのでございます。そのことがここに出ております。  それから、全部資料をお出しいたしますから、あとでまたお尋ねがあるといけませんが、当時たばこ消費税制度というものが出てくるというようなことでございましたから、消費税になりますと、いままで地方財政の中に占めておったたばこ専売納付金に影響があってはいけない。したがって、これはやはり大蔵大臣に一本くぎをさしておきませんと地方財政に影響があると思いましたから、この点を、もしたばこ消費税制度に制度が変わっても、地方たばこ消費税については、現行の制度のもとに得らるべき収入額が将来も確保されるよう税率を定める。これはいまのたばこ納付金を少なくとも下回っては困る、こういう心配がございましたから、この点も大蔵当局に折衝いたしました。  それから、ここにもう一つありますが、国鉄納付金について云々という問題が出てまいりました。これは大蔵省から要請されて、そして大蔵省の要望に従って国鉄納付金を免除するとかあるいはどうするということは、これは困るというようなことで意見が合いませんで、結局これは大蔵省はタッチしない。まあそれは自治、運輸両大臣でもってこれを定める、こういうことでございまして、一応の私の考え方といたしましては、いやしくも地方財政を脅かされるようなことは一切困るというので、ことに問題の固有の財源としてわれわれが考えております地方交付税の税率の変更については、当分の間、大蔵当局、つまり財政当局は触れないということを、まずもってきめてもらわぬと、その後の折衝は困るということで、この覚書にそういうものがあらわれております。大体の基本的な考え方はいま私が申し述べたようで、地方財政に悪い影響を与えることについては一切同意しないというたてまえからこの覚書を作成したのでございますから、あとで資料をごらんになると、私の大臣折衝いたしました気持ちを御理解願えるかと、こう思っております。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま大臣から詳細な経過をお聞きしたわけですけれども、その中で財源調整ということばが出ましたね。その調整というのは、国と地方との間の調整を意味するものではない、こういうおことばでした。確かに、自治省は昨年の暮れごろに地方交付税率の引き下げというのが大蔵省あたりから、かなりの大きな声としてあがってきたときに、第一に交付税率は引き下げることはできない、反対である、地方財政は大蔵省が言うように出世してはおらぬ、だから交付税率は引き下げることはできない、こうおっしゃったですね。もう一つは、交付税というのは地方団体の固有の財源なんだから、これは何も一般会計に交付税を入れないで、三二%はダイレクトに特別会計に入れなさい、こういう主張をなさったですね。現に第十三次地方制度調査会の昭和四十四年度の地方税財政対策についてという昨年の暮れの答申の中でもそれが書かれてあるのを私は記憶しております。言ってみますと、地方制度調査会の答申も、自治省のかねての主張というものを裏づけて答申がなされたわけでありますけれども、その重要な柱であるダイレクトに特別会計に入れるなんというのは、覚書の中にどこにも書いてないのですね。そうして、この調整というのは、国と地方との間でも調整を行なうのだ、自治省のほうは、いやこれは地方団体だけの年度間調整だ、こうおっしゃっておった自治省の主張というのは覚書に関する限りは通っておりませんね。大臣所信表明の中でもそう書いてありませんね。読んでみましょうか。「地方財政の健全な運営を確保し、地方交付税率を安定させる見地から、昭和四十三年度の地方交付税の自然増収額を引き当てに昭和四十四年度の額から六百九十億円を減額して、これを昭和四十五年度以降の財源として繰り越すことといたす所存であります。」こういっているんだから、国との関係はきわめて明瞭であります。覚書を見てみますと、大蔵大臣と自治大臣の覚書の中で、第一項は、別途地方交付税の年度問調整の措置を検討します、こういっているんですから、大蔵大臣と自治大臣と二人の覚書の中でいっているんで、二人でその調整を検討しようということでしょう。そうでしょう。第三項では、この六百九十億円は四十五年度の地方交付税の既定額に加算すると書いてあります。ただし、地方財政の状況等により当該加算額の一部を昭和四十六年度及び四十七年度に繰り延べて加算することができるというのですから、これも協議しましょうということでしょう。何ですかこれは。あなた方の言った二つなんというのはこっぱみじんに破れちゃっているじゃないですか。特別会計にダイレクトにいくなんということはなかったですよ。しかも、この覚書の中では、大臣がどうおっしゃろうと、この覚書を日本語で読む限りは、地方交付税特別会計におけるものじゃないですよ。国と地方との間の調整ということでしょう。これははっきり出ておりますよ。自治省の従来の主張、固有財源というのは、せんだっての予算委員会での大蔵大臣答弁で、地方交付税というのは地方団体の固有の財源であるということを認めました。その限りにおいては、いや固有財源じゃないのだ、こう言っておった大蔵省も、大蔵大臣自体が、固有財源として認めたんですから、その辺は進歩でありますけれども、それを裏づける具体的な問題としての特別会計へダイレクトにやるのだ、これは年度問調整をするとすれば、自治体だけの年度間調整なんだという主張はこっぱみじんに破れているじゃありませんか。これはどういうことなんですか。自治省の主張は完全に何にも姿はないですよ。これはたいへん重要な点でありますから、もうその第一項の前文で、ここ当分の間は、双方、交付税率は上げたり下げたりは主張しませんと言いますけれども、その内容は形骸化しているじゃありませんか。どうなんですか。
  119. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いまたいへん細谷さんからおしかりを受けたのですが、私の考え方とはだいぶ違う。それは、第一、特別会計に入れるということは私ども主張しております。今後もその方針でいきたいと思います。第一、もう問題は、特別会計に入れるという前に、地方交付税の税率の引き下げということに重点を置いて財政当局がきたことは御存じのとおりだと思います。  そこで、この交付税というものは、われわれはあくまでも地方の固有の財源だ、これで数回大蔵大臣とやり合ったんですが、その結果、まず、特別会計に入れるという考え方はいまでも変わっておりませんが、いずれにしても、もう税率問題には触れなさんな、固有の財源を侵すものじゃない、こういうことで、これはちょっと大蔵大臣も返事ができなかったので、私は、そのことをきめなければ一切の折衝に応じない。だから私が、大臣折衝で、七回か八回か私は大蔵大臣と会っておりますが、私は守ったつもりでおります。おしかり、御注意はありがたくお受けいたしますけれども、私自身としては、相当地方財政を守ったつもりでおります。  そこで、それがストレートに財源として確保できない、これはもうそのとおりでありますが、まずその根本の税率の問題というものが私は一番大きな問題だ。それが一応のめどをつけて、いまお話しのとおり、大蔵大臣が固有の財源と認めるという前提をつけておいて、それから、その取り扱いは、つまり一般会計でなく特別会計に入れるという方法がいい、こう私は考えまして、これは非常に重大な財政の措置の問題でございますが、その当時は、ただいたずらにこちらの言うことばかり——これは大臣折衝でございますから、なかなか一方的な、言うことを聞いていきませんから、私は、その根本をきめておかなければならぬ。いやしくも税率に手をつけるという考え方は、将来、これはいろんな方法によって財政当局が地方財政を脅かすおそれがあるというので、この点は相当困難を生じましたけれども、私は、この点が解決しなければ、むしろ一般会計に入れるよりか特別会計に入れることがもっと重大な基本的の問題だと思って、私は折衝に当たったつもりでおります。  そこで、いまお話しの、しからばこのままでいいかというと、私は、あくまでもこれは一般会計でなく特別会計からストレートに地方財政に入ってくる、これはもう私の希望でありますし、また、御注意のとおり努力したいと思っております。  それから、調整問題でございますが、年度間調整ということは、これは大蔵省はどういう考えを持つか知りませんが、私は大蔵大臣の前でも、しばしば予算委員会その他でもって、年度間調整は自主的にやるんだということを明言いたしております。一歩も退いておりません。  この書き方はどうだという、これはまあことばでございますから、書き方に不備があったということを御指摘になれば、決して私もかれこれ——細谷さんの御意見を非常に傾聴いたしますけれども、私の信念というものは変わっておりません。したがって、予算委員会なんかで、大蔵当局のおる前で、私自身は、自主的に調整をやるんだ、また、そうでなければ地方財政というものは健全化なりません。国の支配によって、国の圧力によって、一々年度間の調整を地方に圧力をかけてやられるということでどうして健全化ができるかと思っておりますから、私は、あくまでもこれを、自主的な年度間調整を貫きたい、私自身はそう考えており、また、貫きたいと思っております。  そういうことでございますから、御注意は非常にありがたいのでございますが、私は、ただ大蔵省に行ってすべてなくなった、お前らの主張は全部ないじゃないかという御批評でございますが、御批評は甘んじて受けますけれども、私のつまり地方財政に対する信念としては、ちっとも後退していないつもりで自分ではおりますから、御理解を願いたいと思います。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、私はああいう空気の中において、就任早々の大臣がたいへん努力したことは認めます。それは認めますよ。認めますけれども大臣、あなたは、基本は守り抜いたと言いますけれども、私の見解は、六百九十億円という数字の争いに終止して、基本は大蔵省にとられたんだ、こういうふうに私は理解しておるのですよ。あなたがおっしゃるように、ダイレクトに特別会計にいくという主張をしたけれども、今度できなかった。これは、まあなかなかむずかしい問題でありますから、あるいはできなかったかもしれませんが、少なくとも自主的な調整をしなければ、これは地方団体はどうにもならぬのだ、こういう見解にお立ちであるとするならば、私は、この第一項の「別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」なんていうことは、両大臣の覚書の中で要らぬですよ。これからはしばらく交付税率は双方上げたり下げたりはもの申さぬようにしようや。四十三年度限りと言っておった特別措置も、国会でも約束しておったのだけれども、四十四年度もまたぞろ強引にやられたからやむを得ない。まあ、「限り」と言っておったのですけれども、「限り」と言っておったのを、また四十四年度もやったのですから、私はそこを強く言いたいのです。まあできてしまったことですからあまり申しませんけれども、四十四年度及び四十三年度においてとられた措置は今後避ける。もう四十三年度限りだと言って、四十四年度またやったのですから、もう三度やらぬということをはっきりして、「別途」なんていう字句は要らぬですよ。  それから、さらに二項にも、いろいろ文章どおり読みますと問題がありますが、いまの基本の問題は三項ですね。六百九十億円の返し方は、四十五年度に一ぺんに返すか、あるいは、都合によってはというその都合は「地方財政の状況等により当該加算額の一部を昭和四十六年度及び四十七年度」の三年にしてもいいというんだ。「地方財政の状況等により」というようなことを何も大蔵省に言わせる必要はないでしょう。自主調整というのですから、こんな文章は要らぬでしょう。もっとはっきり言えば「上記の金額は四十五年度の地方交付税の既定額に加算する。」一ぺんに返すことができないんなら、四十五年度、四十六年度、四十七年度に等分加算していってよろしい。昨年の四百五十億円は、等分ということがぴしゃりと書いてあったでしょう。百五十億円ずつ返しますよ、それを加算して交付してよろしいと書いてあったんですから、ぴしゃりと書いたほうがいいですよ、六百九十億円は。三年でもいいですよ。はっきり二百三十億円ずつ三年で返しますと明文化をやって「地方財政の状況等により」なんていう、こんなあいまいな字句を使うところに、私は、大臣がどう言おうとも、客観的に、この二人の大臣の間で論争し、二人の間で結ばれたこの字句は、明らかに自治大臣が基本をとられて、そうして現実に六百九十億円というのを四十三年度予算から引いて、一兆三千三百三十三億円という覚えやすい数字にあなたは押えつけられた。そうして補正予算は組んでやろう。そうして、それがほんとうなら、四十五年度だからというわけで、それが加われば実害はないじゃないか、こういうことで数字でごまかされた。地方団体に当然くるべきものをあんたに配ってやったんだ、本来なら四十五年しか配らないんだから、そういう見合い額としてそれを使って配ってやったのだから、実害はないじやないかと言うけれども、金の問題じゃないのですよ。それは銭この問題じゃないですよ。いま問題の交付税というものは固有のものなんだ。固有のものであるからには、こうしなさい、こうしなさいと言って、自治省の主張というのは全面的に後退したと申さなければならぬ。ですから覚書を二人で結んだのでありますから、なにですが、私が確認したいことは、この字句は実効のないものです、自分の考えとしては。これが将来このままで生かされたらたいへんです。こんな一項の末尾の別途どうのこうのとか、ただし書き以下の「地方財政の状況等により」こんな字句は実質的にないものと同様でありますということを、この委員会でひとつ大臣からはっきり申していただきたい、こう思うのです。いまさら二人で結んだ一月六日の覚書を、過去にさかのぼってここで削りますとは言えないでしょうけれども、実効のないものですとはっきりおっしゃっていただきたい。
  121. 野田武夫

    ○野田国務大臣 細谷さんの御心配、非常にもっともだと思いますが、私がこの覚書をつくりましたのは、いま御指摘になりました年度問調整、私の考え方はもちろん自主的な年度問調整である。もっとも、そのときに応じて、状況によって、これはやはり税収の関係でございまして、非常に多額の自然増収があったりなんかしますと、相当多くの地方交付税が入ってくる。損気が悪いときは少なくなる。これはきまったことでございます。従来もそういう交付税が思うようにいかぬで借金してやったという実例もございます。  そこで、ただいたずらに、金が入ったからみな地方財政に配って使えというような考え方は、私は地方財政の健全化のためにとらない。そこで、これと関連いたしましてこの年度間調整ということは自主的にやりますから、その年度の地方財政内容によってこの六百九十億は、四十五年度で非常に困ってくれば一ぺんにもらう。  しかし、地方財政に相当余裕が、余裕といいますか、配分のぐあいを見まして、入ってくる金の都合を見て、年度間調整をやろうということでございますから、そこでそれと関連いたしまして、この年度間調整と四十五年度の地方財政の状況によって、あと二年延ばしてもよかろうと私は考えたので、別に後退したつもりもありませんし、大蔵省にやっつけられたという感じはいまでも持っておりません。しかし、御心配のようでございますから、私は私のつまり政治的信念に基づいてこれを基本といたしまして、そういう意味において、この覚書を作成したのでございまするから、あくまでも貫きたい、こう思っております。しかし、御注意は非常にいい御注意だと思います。また、今後の財政当局に対する折衝その他において十分注意したいと思っております。
  122. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣の決意のほどはお聞きしましたけれども、財政局長、あなたは、この文書は起案したのじゃないかと思いますけれども大臣はこれを削るというのじゃないのですが、「地方財政の状況等」と「等」とわざわざつけている。その「等」というのには、国の財政状況というのを含んでいるんでしょう。それでなければ、何も「等」なんというこんな字句は要らぬです。大臣は削らぬと言うのだけれども、自主的にやるというなら、何も「地方財政の状況により」でいいでしょう。自主調整するのですから。大臣はそうおっしゃっているのですから。「等」というのは、どうもこの覚書全体を見ますと、まさか国の財政の状況というのは書けないから、「地方財政の状況等」と、「等」というのは実際は国の財政の状況、硬直化の状況だ、こういう意味じゃないですか。そうじゃないですか。
  123. 細郷道一

    細郷政府委員 「地方財政の状況」というのが出ておりますから、これが主体であることは間違いない。「等」という意味はいろいろあろうかと思いますが、私ども考えておりますのは、やはり景気の伸縮というようなことも重要な問題じゃないか、こう考えております。
  124. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうして問題が新しく出てきたわけだな。いまの「等」というのは景気の問題だ、フィスカルポリシーの問題だ。フィスカルポリシーの問題ということは、国の都合によりということでしょう。「等」というのは、これはたいへんな意味を持っているということですね。「地方財政の状況」だけでいいはずです、年度問調整を自主的にやるというんだったら。その「等」というのは、景気の問題を含んでいるというのならば、景気の問題についてのあなた方の主張というのは従来どういうことですか。国のフィスカルポリシーについては妨害はしないけれども現実地方財政というものはフィスカルポリシーのワク内で動くべきものじゃない。協力はいたしましょうが、協力したってたいしたものじゃない。もっとはっきり言うと、国のフィスカルポリシーと無縁のものである、あなた方はそういう観点に立っているでしょう。そういう無縁なものであると言っておった国の政策、経済の見通し、景気の見通し、言ってみますとフィスカルポリシー、フィスカルポリシーは何かといいますと国の政策ですよ。経済政策、財政政策ですよ。そういうものが「等」に含まれているというのならば、これはやはり大臣、どう見ても、いまは大臣が自主的とおっしゃっておっても、今年度の地方財政運営の中において、あるいは次の予算編成の中において、これはたいへんな爆弾をかかえておる、私はこういうふうに申し上げざるを得ないと思うのです。私は、こんな「等」も含んだ、いろんな問題を含んでおるこういう文章を入れること自体が、自治大臣がどう所信の表明をされようと、これはたいへん基本的な点で大蔵省に一歩譲ったんだ、こういうふうに理解しなければいかぬ。しかも、くしくも財政局長は「等」という形で私の心配を裏づけた、そういわざるを得ないのです。大臣もう一度、この「等」はたいへんな意味ですよ。
  125. 細郷道一

    細郷政府委員 大臣がお答えになる前に、私から申し上げます。  フィスカルポリシーということば自身、よく言われますけれども、実はあまりわからないのです。わからないのですが、それはさておきまして、地方団体が自主的に地方財政の調整をする場合に、全然景気を無視してやっていいのかというと、私はそうではないと思うのです。押しつけられてやることはよくない。しかし、自分だけでやるという場合に、あれはもう全然われわれの関係のないことであるというのは多少行き過ぎじゃないでしょうか。したがいまして、大臣の申し上げておる気持ちとその点は変わりない、こう見ております。
  126. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ただいま財政局長がお答えしましたように、この「等」ということがどういう内容を含んでいるか、こういう覚書その他公文書なんかでよく「等」ということを使ってありますが、これはいろいろ使い方もございましょう。しかして、いま財政局長が申しましたとおり、景気調整という面からいたしましても、地方の財政の運営にあたりまして、やはり国の姿勢と全然反したことはやれない。これは常識でよくわかっております。しかし、いま財政局長が申しますとおり、何も国の指令でやるとか国の指導によってこうせいというようなことをやるとかいうんじゃなくて、やはり一つの国全体の経済政策が立ちますと、これまた同時に財政政策も立ってまいりますから、それがよりよく国民全体の経済にプラスするのだ、国全体の財政計画にプラスし、またそれが産業政策にもいいことだということになりますと、地方地方なりにやはり国のような大きな景気調整はできませんけれども、一応それを考慮してやはり地方財政運営についても心がけるというのはやってもいいことじゃないかと私は思っております。  ただ、私は、この際申し上げておきますが、地方財政の状況と申しますのは、これは端的にそのとおりでありますから、私はがんばっているのですが、非常に税収がふえたときとか足りぬということがありますから、そこで年度間調整をしておいて、足りないからすぐ借金しないでいいように一応調整しておく。相当多いからかってにこれを配分して使ってしまえということも差し控えたい、やはり健全化をはかるべきだという観点から、今度の予算編成に対して臨む施政方針をきめたものでございますから、これは別に私としては他意はないのですが、そう突き詰めてお話しになりますと、なるほどそういうことも今後注意しなければならないと考えておりますが、いま財政局長が申しますとおり、国の圧力によるとか、国の威力に脅かされてやるということがありますれば、これは覚書は少し違っておると思いますが、私は私の所信によってやりましたことでございますから、その点はいろいろ御疑問もありましょうけれども、ひとつ私ども考え方をすなおに御理解いただければ非常にしあわせだと思っております。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、大臣の努力をすなおに評価し、大臣ことばをすなおにお聞きしておりますだけに、非常な心配があるし、基本線がゆれておるところを私は心配いたしておるわけです。ですから、大臣ことばはどうあろうとも、基本的には非常な重大な後退をしておる、あるいは将来そういう後退を招来する、こういうふうに考えておりますから、私はしつこく申し上げているわけなんです。ですから、そういう点では、やはり大臣地方財政を守る以外にないわけですから、そういう意味で私は納得はしません。大臣にたいへん失礼なことばではありますけれども、警告を申し上げておきます。  そこで、お尋ねいたしたいのです。せんだっての補正予算が通りまして七百三十五億円、正確に言いますと七百三十五億八千三百万円ですか、きょうの新聞によりますと、大臣が本会議答弁されましたように、おおよそ五十二億円の四十三年度の調整戻しをなされましたね。調整戻しをしました。これはすでに計算済みであります。そうなりますと、七百三十五億円引く五十二億円、六百八十数億円というものは、本来ならば四十三年度に地方団体に交付してやらなければならないのでありますが、これは大臣が言う年度間調整という意味なんですか、あるいはいま年度末で事務が届かぬからこれは先に送ると、こういうことなんですか、どっちなんでしょう。
  128. 細郷道一

    細郷政府委員 本年度内には事実上事務的に間に合いません。それで来年度に繰り越しをいたしますが、来年当初予算から相当額を、六百九十億を減額して再来年に送っておりますから、実態的には年度間調整という意味もある、こういうことでございます。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 実態的には年度間調整だ。これに書いてあるように、年度間調整措置というのは自主的な年度間調整であります。それはこれから検討しますということですから、まだ年度間調整じゃなくて、結果としては年度間調整になるのですが、事務的な問題から出ているのであります。結果としては年度間調整ということになるでしょう。そういう意味でしょう。
  130. 細郷道一

    細郷政府委員 結局両方なんですが、本年度もし補正予算が組まれなければ、四十五年度に精算で出てくるわけの金でございます。それが他の理由によって補正予算が組まれましたので、本年度に出てまいりました。本年度に出てまいりましたが、実際問題として本年度に配ることができないからこれを繰り越しをする。しかし、もし補正予算が組まれなければ、四十五年度にしか出ないものであるから、その間四十四年度にそれを国が使っている、こういうことでございます。したがいまして、本年度の六百九十億を実質的には四十五年度以降に送るということでございます。私は、その間においては明年度の地方財政の財源措置としては一応めどが立ちましたので、やはり年度間調整ということが言えると思います。ただ、覚書にございます年度間調整というのは、もう少し進んだ姿で年度間調整措置というものを考えていくべきじゃなかろうか。ここ数年の地方交付税の推移を見てまいりますと、地方交付税自体がその年の財政をまかなうに足りなくて借り入れをしたこともございます。これからまた、今回のような、あるいは去年やりましたような減額繰り延べという措置をとったこともございます。なかなか日本経済の将来の見通しというものが、御承知のようにむずかしいものでございますものですから、今後年度間調整ということを地方財政自体の上で考えてみることは十分検討の価値があるんじゃないだろうか。その際に、あわせてやはり地方財政というものをできるだけ計画化していきたい。私どもは年度間を通じて計画化していくことにつとめていかなければならぬと思っておりますから、そういった面とにらみ合わせて年度間調整をするということを別途に検討しよう、こういう考え方でございます。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 細郷さん、ぼくはすなおに聞いているのです。ことばじりとか、あげ足をとろうという形でなくてすなおに聞いているのですから、すなおにお答えいただけばいいわけだ。いまはっきりしたことは、覚書の第一項に基づく年度間調整じゃないのだ、まあ言ってみれば、事務的にいま配れといったって、単位費用からやり直さねばいかぬのだから、とてもできません。そういうことで五十二億の調整戻しはもう計算されておるのですから戻しました。これは筋ですね。しかし、その他のやつは事務的な関係でそうなったのであって、結果としては年度間調整みたいになっている。この前もやったことがあるのですね。昭和三十九年か何かに百三十億円程度のものを繰り越したという例があるのですから、それはすなおに答えて、あんまり用心深く答えぬでもいいんですよ。  そこで、この程度にしまして、私は大臣所信表明を拝見いたしまして、大きく分けますと、先ほどお聞きしました六兆七千三百億程度の地方財政計画の骨組みというのは、第一は地方税の減税である、第二は地方交付税の特例なんだ、第三が「街づくり」、「地域づくり」の事業を計画的、重点的に実施するのだ、第四は地方公営企業の経営の基盤を強化するのだ、この四つが、結局地方財政計画の柱になるんではないかと思うのですが、これ以外に、大臣、ございますか。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 大体その四つの柱でございます。  なお、財政計画の規模を、私先ほど間違えて申し上げたかと思いますが、六兆六千三百何十億でございます。一八・五%の増でございます。
  133. 細谷治嘉

    ○細谷委員 またそれは、話が違ってくると長引くんだ。私も、手帳を取り出さなきゃいかぬ。それは、六百八十八億か何かのいまの問題の次年度に繰り越された分、それを加えての規模ですか。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 繰り越しての規模でございます。
  135. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六兆六千三百億、その規模の問題が出ちゃったから、私は推算したのですが、地方税の伸び、譲与税の伸び、交付税の伸び、特別事業債の伸び、交通安全対策費の伸び、国庫支出金の伸び、地方債の伸び、使用料、手数料の伸び、雑収入等の伸び、そういうものを推計をしてみますと、それだけで六兆六千三百億円くらいになるんですよ。そうしますと、六百八十数億円というのがそれにことし加わるわけですから、それが六兆七千億程度の規模になると思うのです。ですから私は、その条件が一、二あるが、こう規模を申し上げておった。一八・五というのは六兆六千三百億程度が一八・五であって、六百幾らを加えますとそうならないんだ。さっき私は一八・五と聞いて見のがしておったんだけれども、一千億変えてきたものですから……。大臣、どうもその辺の数字がはっきりしませんが、おかしいですよ、これは。そんな規模にならぬですが、あくまでもそれでいいんならいいですよ。あなたの言うのがほんとだろうから。
  136. 細郷道一

    細郷政府委員 去年が五兆六千億でございました。一八・五%で六兆六千三百数十億になります。それで、いまいろいろおっしゃって六百八十余億繰り越したからふえるじゃないかと言われますが、ただ、御承知のように、地方交付税は昨年借り入れを特別会計でいたしました。その分は逆に二百五十億減るわけでございます。そういう関係もございますものですから、予算に本年度計上されました交付税の額から約三百十五億円は、実際に交付できる財政計画の数字としては落ちた数字になります。その辺のところも入りまして先ほど申し上げたような規模になる、こういうことでございます。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おっしゃったことも私は加味して推算してみたのですが、まあ数字の違いは、二十八日に出るそうですから、これはこのくらいにしておきます。  大体四つの柱だ、こういうことでありますが、その四つの柱についてひとつお伺いしていきたいと思うのです。  私は、この四つの柱のうち、それぞれ問題がありますけれども、減税問題「街づくり」、「地域づくり」、地方公営企業経営基盤の強化、これで、交付税の特例はもう先ほど来議論したのですから、住民税——税の問題は地方税のときにまたゆっくりやらしていただきます。「街づくり」、「地域づくり」という点と地方公営企業の経営基盤の強化という点について、これから少しお尋ねしていきたいと思います。  大臣所信表明の冒頭に、戦後二十余年の間、着々とその歩を地方自治行政は進めて国勢の進展に大きく寄与してまいりました。けれども、現状は、地域住民の各種の要請にこたえられるだけの行政水準を確保するには不十分で、新しい行政需要も数多く発生しております。こう書いてあります。  そこで、私はお尋ねしたいのですが、着々とその歩を進めたと、こう大臣は自画自賛しておるのでありますけれども、それなら大臣が描いておる行政水準というものは一体どういうものなんでしょうか。まあナショナルミニマムとかシビルミニマムとか、こうおっしゃいますが、その辺にある程度のものがなければ、ちょっと、それを確保するには不十分だとか、あるいは新しい行政需要が出てきているというんですけれども、何を尺度にやるのか、これは大臣、一番基本ですわね。憲法上の問題もあるわけですよ。それがお答えできるならばお聞きしますけれども、それはおそらく一国の大臣でありますから、この辺のことはある程度頭に描いて行政水準ということばをお使いになったのではないかと私思うので、一番出発点でありますからお聞きしている。
  138. 野田武夫

    ○野田国務大臣 私の所信表明にもありますとおり、一歩一歩、歩を進めておりますが、いまお話しのとおり、地方行政の水準というものは思うように上がっていない。と申しますのは、これは実際問題としまして、地方行政の目標は何といっても地域住民のいわゆる経済的な向上とか、文化面の施設による文化政策、あるいは教育問題もあります。また、公共事業その他多く含んでおります。これはもう申すまでもなく、全国的に見てみますと、何しろ三千有余の地方公共団体でございまして、まだまだその水準が、特にアンバランスの点が多いし、どこまでいけば地方行政の水準が到達するかということは、これはいまの経済社会の進み方でございますし、その目標はどこまでいけばいいかということ、これはなかなか大きな問題で、近く政府が新しい全国総合開発計画を立てるのもそういう点にあると思っております。特に新しい行政上の要請として考えるのは、過密地帯とか過疎地帯というものは顕著な行政上の複雑な何といいますか、思い切った手を入れなければとても解決できない。そういうことでございますから、まだ水準ということよりも、いまそこに申し述べておりますとおり、地方行政の需要というものは、そういう意味におきましてまだ地ならしもできない。ことに次々に新たな生活問題が起こってくるし、これらをどう解決していくかということは、もう目睫に迫った大きな課題だと思っております。いろいろの企画は持っておるようでございますが、私はいろいろな大きな計画もさることながら、現実の問題にぶつかって、そしていま地域住民が困っていること、また難渋していること、こういう問題を、地味ではあっても一歩一歩解決する方向に向かっていくのが私どものとるべき手じゃないかと思う。同時に、並行して、長期計画も立てることも必要ですし、したがって「街づくり」、「地域づくり」というのは、これは三千有余の地方公共団体一つの目標を定めて、ここまで一緒にやるということでなくて——これは非常にアンバランスでございます。地域差がひどいのです。こういうところを直してすみやかにひとつ地ならしだけでもしたい。一方また、いま言いました応急措置がたくさんある。こういうところを私の頭に描いて、そうしてそれにぶつかっていきたい、こういう考え方であります。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは前後を読みますと、社会経済的諸条件の変動に即応するとか、すみやかに適切な方策を検討するとか、地方自治の進展と住民福祉の向上に万全を期するとか、こういうことを所信表明の中でおっしゃるにしては、いまのおことばですと、行政水準というのは、やや形容詞的な、雲をつかむような話で、そしていまのお話では、新しい全国総合開発計画もつくられようとしておる。そして経済社会発展計画もつくり直されようとしておる、こういうことをあなたはおっしゃっているのですよ。私は、そこにたいへんな問題点があると思う。大臣、あなたの部下の財政局長は、いまの交付税制度というものは、その巧緻な点、精緻な点では世界に冠たるものだ、こう言っているのですよ。それほどの交付税制度を握っておる自治省が、交付税を計算するのは、需要額ですよ。そうなると、これは行政水準というものを握っておらなければ、世界に冠たる精緻、巧緻な交付税なんというのは、一体何を目標にしてつくっているのか。現に私は、最近出ました経済評論という雑誌、三月号ですが、これにある人が「転機に立つ地方交付税制度」という論文を書いております。これには、いま私が心配していることがいみじくも具体的に指摘されている。残念ですが、それ以上申し上げませんが、それならもうあんまり精緻、巧緻だとかなんとかいうことばはあなたもお使いにならぬほうがいいし、部下にも使わせないがいいのじゃないか。少なくとも、私がお願いしたいのは、こうおっしゃる以上はやはり過疎、過密等、社会経済情勢等の激変があると思いますけれども、やはり自治省の行政目標ということは、こういうような行政目標を描いているんだと、こういうことを出していただけませんと、これは一つも前向きじゃない。  そこであなたは、こういう問題を進める行政制度として、都道府県合併特例法というものについては、前の大臣よりもはるかにエスカレートしておりますね。たいへんなエスカレーションですよ。それは、地方に行った場合には放言かもしれませんけれども、九州は二つだとか、東京はこうだとかいう形で、ずいぶんエスカレートした都道府県合併論をぶっていらっしゃいますよ。そうでしょう。新聞記事を私は持ってきておりませんけれども、最近ひんぱんに、この都道府県合併論を前提としたところの、前の大臣よりもはるかにエスカレートした構想をお持ちのようであります。  そこで私は、この問題に入る前に、地方自治でありますから、ひとつ下のほうから申し上げたい。  広域市町村圏というのをあなたはお考えになっているのですね。これはあなたが構想されたのじゃなくて、その前からあるわけです。一体、この広域市町村圏というのは、経済企画庁が最近出しました第四次の新全総計画でも描いております広域生活圏とどこがどう違うのか。それから、建設省が描いております地方生活圏構想とどこがどういうふうに違うのか、これをひとつはっきりしていただきたい。
  140. 野田武夫

    ○野田国務大臣 広域市町村圏というのは、これはやはり地方の広域行政からきているのですが、これは、いまお示しになりました広域生活圏とどこが違うかというと、大体の構想はそう違うものじゃない、こう考えております。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、「日常生活圏を広域市町村圏として把握し、」こういうことが書いてあります。あなたは先ほど、新全総計画というものを持ち出しましたが、経済企画庁の新しい全国総合開発を推進するためには、広域生活圏というものと、それから国と府県との間に位するブロック的な一つ機関とが必要なんだ、これが新全総計画の推進機関なんだ、こう書いてあるのですよ。これは地方制度にとってたいへんな問題を投げかけておるわけですから、ひとつこれとどこがどう違うのか、伺いたい。  それから、建設省が出しております地方生活圏構想というものが、これは各省なわ張り争いでありまして、私がずばり言いますと、あなたが言っているから、おそらく、新全総計画に書いてある広域生活圏に比較的近いものじゃないか、さっきのおことばでこういう気がしたわけですけれども、この三つの区別をしておきませんと、現在のような縦割り行政の弊害をまともにかぶっている私ども住民としては、この辺出発点をはっきりしていただきませんと、前にもうしろにも、どうにも身動きできませんわ。はっきりしてくださいよ。現に、二月十七日の新聞によりますと、建設省は、全国に百五十程度の地方生活圏構想というものをパイロットとして選びたい、四十四年度は新庄など七個所を選んで道路を重点にやろうというのですよ。道路を重点にやろうということが数日前の新聞に出ているのですよ。だから、これがどの程度違うのか。同じならば同じでいいですよ。ちょっとはっきりしていただかぬとどうにもならぬ。
  142. 長野士郎

    ○長野政府委員 いまお話しがありました広域市町村圏の考え方と、建設省あるいは経済企画庁で言っております広域生活圏、経済企画庁がその開発計画で用いております名前は広域生活圏というのであります。建設省は何か地方生活圏とか、そういうようなことばを使っておりますが、それぞれの趣旨について述べておりますところを見ておりますと、その点では、この広域市町村圏と趣旨においては同じようなものを基礎にしておるということは言っていいのじゃないだろうかと思います。  そこで、こういうものをそれぞれのところがいろいろな構想を出して、がたがたやっていいか悪いかということになりますと、なるべく調子をそろえまして、一つの体系としても矛盾のないものにいたしてまいりたいと思いますが、ただ、自治省が構想しております広域市町村圏はあくまでも市町村という地方自治体が、日常の社会経済生活圏域の非常な拡大に応じまして、そういう実態に対応するために、いわば相互に、いわゆる共同処理と申しますか、そういう意味での地域、圏域の開発整備の構想を立てまして、そうして広域的な事業を推進することによりまして、市町村の自治の基礎を固め、あるいは住民によりよきサービスをしていくという考え方をこの構想で受けとめようとしておるわけであります。その点では、地方自治という方向でものを考える。ただ、交通通信網を整備するというだけでなくて、そういう圏域というものに着目をして、地方団体相互間の協力体制と申しますか、共同処理というものを進めていこうということを眼目にしております。この点がほかのところではそれほどはっきりあらわれておるかどうかという点は、なお調整の余地があろうかと思います。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まだ何を言っているのかわからないのだけれども、広域市町村圏というものと、地方財政計画の重要な柱になります「街づくり」、「地域づくり」というのはどういう関係をもっている  のでしょうか。
  144. 細郷道一

    細郷政府委員 「街づくり」、「地域づくり」と  いうのは非常にわかりやすくいったものでありまして、いろいろな種類の計画があろうと思います。したがって、広域市町村の計画もできますればそれに含めてまいりたい、こう考えております。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この経済評論という、これは普通の雑誌ですが、この論文に、大阪市立大学の吉岡健次という人が、「実は、この地域づくり、街づくりこそ、現在、国が力を入れている新全国総合開発計画の基礎づくりを意味するものだからである。」こう書いております。ことはちょうど一致するわけです。なるほど、言ってみますと、広域市町村圏というものを打ち出した、これは建設省と、あるいは企画庁と若干違うかもわからぬけれども、大体新全国総合開発計画の土台づくりだ、こういうようなことなんですね。そういたしまして、それが「街づくり」、「地域づくり」と同じ場合もあるし、あるいは違う場合もある、こういうおことばであります。そうして、それが発展いたしまして、都道府県合併である。しかし、全総計画にそれは結びつくわけでありますから、都道府県の合併を飛び越えて新全総計画、国と現在の府県との間にある、道州制ということばは適当じゃありませんから、ブロック的な機関、そういうものが描かれておる「地域づくり」、「街づくり」、広域市町村圏そして都道府県合併というのが、実は、平清盛じゃありませんけれども、それは衣であって、その下にはがんとしたよろいであるブロック機関というものを考えておるのです。こういうことだ。大臣がしきりにエスカレーションしている真意はそこに帰結すると私は思うのでありますが、大臣、どうなんですか。
  146. 野田武夫

    ○野田国務大臣 細谷さんの府県合併の問題ですが、「地域づくり」、「街づくり」、広域市町村圏構想、いまお話の広域生活圏、経済圏、もちろん広域行政と申しますか、これは今日の変動した経済社会の情勢から見て必要だと思っております。  しかし、私の言う府県合併というものは、府県合併ということばを使うと、私の考え方等については誤解があると思いますが、細谷さんは、お聞きしていると、道州制で持っていくべきだというような構想があるんじゃないか、これは、今度の経済企画庁の新しい全国総合開発計画も、そういう何か一貫した感じがあるんじゃないかという御心配、私は少し違うのです。私は、いろいろの情勢を見まして、いまの府県というものが、もう七十年、八十年前にできた行政区域でありまして、いろいろな問題で共同でやれば非常に行政が進むのに、そこに先ほど御指摘になりましたように、国等にも事実ありますが、やはりセクショナリズムというものがあります。これは私認めます。そういう意味で何か隣の県とおれの県と独立国みたいに考えちゃって、いろいろな行政において、共同作業をやれば明らかにもっとスムーズにいくようなことがいかない点が、これは今日あらわれた事態ではなくて前から認められます。そこで、そういう地域は、何もどの県だどこだということにこだわらないで、目的は地域住民の福祉と生活を守ることだから、行政区域によって行政水準が上がらないという弊害があったら、それはためたらいい。したがって、これは当然われわれがかれこれ指導することでなくて、地方行政の執行部の担当者はわかると思うのです。  たとえば水の問題を取り上げましても、隣の県が権利を持っていて使えない。私は、これは名前は出しませんけれども、最近のことでございますが、ある県においては、建設省に、財政上の都合で二級河川を一級河川にしてくれという運動がありました。しかし、ものによっては一級河川にしては困るという県もあったのです。それはどことは言いません。  そういう考え方は何かというと、やはり国でかってにやられては困る。これは私はわかります。国の権力とか圧力によってやるということでなくて、こういうのもやはり隣県との関係なんですね。話し合っていけばいいじゃないかという気が私はするのです。そういうことからして、これはいたずらに古い行政区域に立てこもって——それは自分の担当している都道府県をりっぱにしようという熱意はわかりますが、もっと広い視野に立って、ほんとうに地域の住民のためにはどうやればいいかということを考える段階に来ているのではないか。したがって、これはどの県が隣だから一緒になれとか、決して中央から指導すべきことではなく、自主的に判断しておやりになったらどうだというようなことを私はひしひしと感じているのであります。  だから、都道府県合併法案がかりに出まして、かりに通過いたします。これはそういう場合の一つの用意としておくことはいいし、何もこれを自治省が奨励して、あの県とあの県とこうこうだからやれなんていうことは、これは基本的に地方行政ですから、自主的にやることですから、自主的にお互いに話し合ってやればいい。これは先ほど参議院でも御質問がありまして、共同体でいったらいいじゃないか、けっこうですと私は言うのです。何も合併しなくてもいいのです。私の気持ちはそうなんです。何も合併しなきゃできないということじゃないのです。合併したくなければしなくてもいいから、共同の自治対象を持っていく、こういうことも私の考え方からすると成り立つわけですから、だから府県合併したいということがあれば、これは私は用意しておく。どちらでもいいのです。府県小合併をエスカレートしろとおっしゃいますけれども、私はいまそのことを非常に痛感しているのです。だから地域の発展と住民の福祉のために必要なところは、やはり広域行政をやったらいい。過疎地帯ができている、そこにお医者さん一人も雇えないという、こういう場合には、やはり広域行政のもとにあってお互いに助け合う。細谷さん誤解しておっしゃっていると思いますが、私は何も強制してやる、あるいは道州制がどう、そんなことではなく、基本的には実情に応じて、そうしてまず問題は地域住民のしあわせ、地域住民生活を守るというところから、そういう広域行政の必要な場合があるんじゃないか、こう考えております。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が誤解していると言うのですが、大臣がどこかで語ったのでしょうけれども、九州に西日本新聞というのがある。その二月十一日に、九州は二つのブロックに、こういうことをあなたは言っているのです。そうして、その県をどことどこを合併する構想かといいますと、福岡、佐賀、長崎、そうして南のほうは熊本、鹿児島、宮崎。ところが大分が落ちているのですよ。あなたの談話の中では……。新聞が落としたのかもしれませんけれども、それは誤解ですよ。それはあなたのちょっとした頭の働きで大分を落としたのであって、そういうものを誤解というのであって、私が質問しておるのに対してあなたは答えていない。「地域づくり」、「街づくり」という地方財政計画の重要な柱というものと、広域市町村圏という構想がどういう関係を持っておるのか。その広域市町村圏というものと、あなたが出しておる都道府県合併というのと、新全総計画というものに描かれておるブロック的な推進機関というのはどういう関係を持っているのか、これについてお答えいただければいいのであって、都道府県合併の問題については、法律はあなた出すというのですから、そのときでいいのです。私はこの関係を聞いておる。現にあなたのところの官房長が新国土開発論という、非常に学会でも評価されておるりっぱな本を出されております。これは非常に評価されておる。官房長が書いておる新国土開発論というのを見ますと、もはや県というのは雲散霧消するのですよ。そうして市町村圏というこの圏というのが生きてくるのです。そういう構想を描いている。圏が違う。そういうことも描かれておりますから、あなたはまともに答えていただかなければいかぬ。  それから、ことしのあなたのところの機関誌ですか、「地方財政」という雑誌があります。その巻頭言に学習院大学の恒松という教授が書いています。この広域市町村圏についての考え方を書いてある。これはあなたのほうの意見についてあまり反対するような学者なら巻頭言には頼まぬでしょう。最近の各官庁というのはずるくなって、どうも批判的な学者はオミットしようという形なんです。学習院大学の恒松教授に頼んで、「地方財政」の巻頭言に書いてもらったんでしょう。その巻頭言の中に、この広域市町村圏について批判しております。幾つかの点がありますけれども一つ申し上げますと、日常住民生活圏というものと広域行政というのを言っています。これは振興政策であります。経済界が要求しているのです。産業界が要求しておるのです。そういう振興政策と結びつけてこの広域市町村圏というのは考えられておるのじゃないないか。しかもこの広域市町村圏というのは法律出さぬということらしいですけれども、これは私は地方制度調査会で詳しく自治省の構想を承ったところによりますと、その県の開発計画というものは、知事の認可を得なければいかぬのですよ。知事の認可を得るというのは、県がつくった、知事がつくった総合開発計画のワク内でなければなればならぬでありましょう。県の総合開発はどこから出てきたかといいますと、これは国の開発計画、言ってみれば、いまできようとする新全総計画であります。新全総計画にのっとってつくられた県の計画、それのワク内でつくられる広域市町村です。それを推進する「地域づくり」、「街づくり」ということでありますから、これが府県のワク内で地方自治というものはたいへんな脅威を受けるであろう、こういうふうに恒松教授は言っております。本来こういう広域市町村の構想というものがあるならば、当然なこととして、現在の府県の県境、明治二十一年時代にできた県境というものが排除されなければ、広域市町村圏なんてできっこない、こう学者が指摘しておりますよ。宮澤さんの新国土開発論を読んでも、あなたのほうの機関誌の「地方財政」の巻頭言を読んでも、これは一連のものなんです。広域市町村圏というものと新全総計画というものは完全に一連のものである。そしてそれが「地域づくり」「街づくり」という地方財政計画の柱になって、柱になるからには、交付税が重点的にそこに傾斜配分されようと考えられておるのではないか。これが地方財政計画、単位費用の改定の問題にかかってくるわけですから、これはそのときに詳しく質問しますけれども、これは一連のものであって、大臣、大分県を落として言ったとかなんとかというそんな問題じゃなくて、地方自治地方制度の根幹に触れておる問題をあなたがおっしゃっておるから、私はここで問題を整理したいと思っておる。ですから、あなたのさっきの答弁では、とてもこれは納得できない。そうおっしゃったらいいじゃないですか。これはもう間違いなく一連のものなんです。そうすればあなたと私の議論がかみ合うのです。それをとぼけて、ほんとうにここで熊本のほうで物語りしておるような答弁をいただいてもかみ合わぬのです。どうですか大臣。私もいろいろ聞きたいのですが、五時半になりますから……。それから、さらにこの「地域づくり」、「街づくり」、そういうものに関連してくるいろいろな問題等も聞きたいのです。
  148. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いま企画庁の立案しておる新全国総合開発と「街づくり」、「地域づくり」と一連の関連がある。これは全国の新しい開発計画といいますか、地方自治に関連かないことはありません。これは関連があります。しかし構想の基本は、企画庁がいま各役所の意見も聞いておるようですが、私のほうは自治省としての立場で、われわれどういうものを持ってきますか、まだはっきり全貌がわかっておりませんから批判もできませんけれども、私は、先ほど申しましたとおり、地域住民の福祉とか、あるいは生活を守るために必要な場合は、やはり行政区画等その他にこだわってはいけないという考え方でありまして、私どものほうの官房長がどういう意見を持っておるか、どこの学者がどういう意見を持っておるか、これは自由でございます。また、その人たちの考えというものは、やはりわれわれ地方行政、または国全体の政治をやります場合に参考にすることは必要でございましょうが、自治省として官房長の意見に従うてやっておるわけではございませんから、意見はどんどん発表したらいい。そのかわり自分の構想を世間に訴えることも、どこの学者の方でも、役人の方でも、社会人でも、政治家でも、これは自由でございます。だから細谷さんが、官房長がそういう意見を持っておる、どこの教授がそういう意見を持っておるということで、私どもの構想がそれによって変更する、あるいはそれによって全部指導されてやっておる。そういうことは私自身が感じておりませんから、したがって全総計画のブロック機関、どうも私どもがいう府県合併の案が出ることを考えておるのですが、だいぶん構想が違うのじゃないかという感じがいたします。関連はありません。これは先ほどお示しになったブロック機関なんということになってきますと、さっき道州制のにおいがあるのじゃないかということを——これもどういう構想を練っておりますかわかりません。しかし、私ども考え方とは、また直接それが一貫してそういう連帯性を持ってまいるということは、事実において今日ございませんから、ひとつ今後いろいろ検討いたしてみますが、いまのところそういう事実は全然ございません。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その事実はないと言ったって、これ以上の議論はしませんが、大臣、私が思い違いしているのじゃないか、こういうふうにとられては——私は一貫して、しかも私が考えることを裏づける——何も公式のものじゃないでしょう、官房長は自分の考えていることを率直に本に書いたのでしょうし、それは「地方財政」という雑誌の巻頭言として恒松教授が書いたのですから、何もそれがあなたの考えだと言っているわけじゃない。しかし、私が申しておることと同じような学者の見解もありますし、また、今日のこの地方制度というもののあるべき姿というもの、宮澤官房長が本に書いたような構想もあるのだ、こういうことから、むしろ私の意見を裏づけるものではないか、こういうことでありますから、あなたが誤解だなんということで片づけられては困る。あなたも私も、憲法で保障しておる地方自治というもの、これは住民の幸福のためになされなければならない、住民が主人公なんだ、こういう考えに立っているということは、お互いに確認し合えると思うのですけれども、私からいいますと、どうも大臣のここに言われている所信というのは、実は住民の福祉だという名のもとに新全総計画を推進する、言ってみますと、いまたいへんずばり言いますと、資本の要請に応じて地方財政をも動員しようというさかさまの姿勢に大臣があるのじゃないか、そういう所信表明がなされておるのじゃないか、こういうふうに私は見ております。  そこで、ちょうど五時半になってしまいましたから——これは七ページあるわけですよ。(「定足数不足」と呼ぶ者あり)定数も不足なようだし、まだ私は三ページまでしかいってないので……。やめますか。実は今度は第三の「街づくり」、「地域づくり」、それに関連しておる土地開発基金というものの構想なり性格なり、それから「地方公営企業の経営の基盤を強化」とおっしゃっておるけれども、実は何にもないじゃないか。こういう点なり、あるいは後段のほうの地方税制なり交付税というものの連関とか、あるいは磐梯の火災の問題とか、いろいろお聞きしたわけですけれども、うちの理事が、もう定数成立しておらぬからこの辺で打ち切っておこうや、こういう命令がありましたから、きょうはここで、ちょうど五時半になりましたから質問を打ち切って——終わっておりませんよ、委員長。きょうは一応ここで中断しておきたいと思います。定数不足ですよ。そのためですよ。
  150. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ちょっと細谷さんに、大事なことですからお答えいたしておきますが、この「街づくり」、「地域づくり」、これが新全国総合開発計画の一環だということの中に、何かこれが経済人の動きによってその背景があって云々というおことばがありましたが、私は就任以来、経済人からこれを進めてくれという話を聞いたこともありません。私は純真な気持ちでかかっておりますので、どうぞその点はひとつ御了解願いたいと思っております。新総合開発計画というものは新たに出てきた問題でございまして、広域行政というものは、最近各役所が言い出しておりますけれども、前から自治省が言っておったようなことでございますから、そういうところはひとつ御了解を願いたいと思っております。
  151. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は明後二十七日木曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十六分散会