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1969-08-01 第61回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十四年二月五日(水曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十一日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       大村 襄治君    奥野 誠亮君       倉成  正君    河野 洋平君       西岡 武夫君    村上信二郎君       毛利 松平君    吉田 重延君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       平林  剛君    広沢 賢一君       竹本 孫一君    広沢 直樹君 二月二十一日  吉田重延君が委員長指名で、小委員長選任  された。     ――――――――――――― 八月一日  小委員長吉田重延君同日小委員長辞任につき、  その補欠として倉成正君が委員長指名小委  員長選任された。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十四年八月一日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席小委員    小委員長 倉成  正君       木野 晴夫君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    広沢 賢一君       堀  昌雄君    竹本 孫一君       中野  明君  出席政府委員         大蔵省証券局長         心得      坂野 常和君  小委員外出席者         大蔵委員長   田中 正巳君         大 蔵 委 員 渡辺美智雄君         大 蔵 委 員 田中 昭二君         参  考  人         (東京証券取引         所副理事長)  田口 真二君         参  考  人         (日本共同証券         株式会社取締役         社長)     三森良二郎君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 八月一日  小委員広沢賢一君及び広沢直樹君二月二十四日  委員辞任につき、その補欠として広沢賢一君及  び中野明君が委員長指名で小委員選任され  た。 同日  小委員西岡武夫君及び村上信二郎君三月一日委  員辞任につき、その補欠として西岡武夫君及び  村上信二郎君が委員長指名で小委員選任さ  れた。 同日  小委員大村襄治君三月四日委員辞任につき、そ  の補欠として大村襄治君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員佐藤觀次郎君三月七日委員辞任につき、  その補欠として佐藤觀次郎君が委員長指名で  小委員選任された。 同日  小委員河野洋平君三月十七日委員辞任につき、  その補欠として木野晴夫君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員奥野誠亮君五月二十七日委員辞任につき、  その補欠として奥野誠亮君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員平林剛君七月一日委員辞任につき、その  補欠として堀昌雄君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員木野晴夫君及び堀昌雄君同日小委員辞任  につき、その補欠として河野洋平君及び平林剛  君が委員長指名で小委員選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として東京証券取引所理事長田口真二君、日本共同証券株式会社社長三森良二郎君が御出席になっております。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  3. 只松祐治

    只松小委員 いろいろお聞きしたいことがたくさんありますが、時間の制約もございますので、できるだけ取りまとめた質問をしたいと思いますので、ひとつお答えもそういうふうにしていただきたいと思います。  まず最初に、現在の証券市場について、東証の方から、現況についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  4. 田口真二

    田口参考人 それでは、いま只松先生から、証券界の最近の現状について話せというお話でございますので、簡単に申し上げます。  最初に、本年の株式市況についての御説明を簡単に申し上げます。  株価動向でございますが、東証株価指数、これは今度発表いたしました指数でいたしますと、一三〇・六二という指数で本年はスタートしたのでございますが、大きく見ますと、六月上旬まで上昇いたしまして、それ以後、いま下降に転じております。その間波動を描いて現在に至ったのでございますが、昨日の株価は一四五・二五、本日は、けさほど少しばかり強含みでございます。これを年初に比べますと、比率におきまして九・五二%上昇いたしておりまして、本年のピークは六月九日の一五九・三九という指数になっておりまして、年初に比べまして比率として二〇・二%上昇ということを示しております。このピーク時に比べまして比率で八・九%低い水準になっておるわけでございます。  売買高動きをちょっと申し上げますと、やはり増減の波がございまして、これは全体で申し上げますと、一部、二部合計いたしますと、月別一日平均売買高にいたしまして、一月に一億七千八百万株、二月が一億二千七百万株、飛ばしまして、多い月は五月でございますが、二億三千百万株、七月は減りまして一億株、こういったような推移をたどっております。売買高も、こういったように多少多いときと少ないときとの、月によって違うような状態でございます。  このように本年の株価売買高推移はやや変動的ではございますが、このような市況がどういった背景でなったかと申しますと、御承知のとおり、国際収支の好調と各企業収益増加見込みとか、あるいは外国人投資増加、あるいは国際通貨不安、あるいは海外の高金利、それから政策当局の警戒的な景気判断、いろいろな材料で、強弱おのおの材料が流動的に交錯いたしまして、市況も基本的にはこれら諸要因を反映いたしまして、先ほど申し上げたような株価にも売買高にもあらわれておるようなわけでございます。  特に株式市場動きにおいて目立ちますところを申し上げますと、その一つ小型株の値動きが相当ございました。これは当取引所が新しく発表いたしました指数で、資本金規模別株価指数がございまして、これで見ますと、年初からピーク時まで上昇率は、大型株、これは資本金百億以上のものでございまして、これにつきましては一八・六%、それから中型株、これは百億から三十億の資本金会社の株でございますが、二二・一%、これに対しまして小型株、これは三十億円未満のわりあい小型会社の株でございまして、これの上昇率は二九・六%、こういうふうに小型株が高いという現象が見られております。また、ピーク時からの今度値下がり率も、大型株は九%、中型株は一一%に対しまして、小型株は十三%、やはり大きな動きになっておるということでございます。  年初に千円台の株というのは一銘柄ございましたが、五月末には九銘柄増加いたしました。そして、これら千円台のものほとんどが資本金三十億円未満小型株でございまして、株価水準を高めました小型株動き株価変動の振幅を深くしたという一要因となっておるわけでございます。たとえばソニーとかパイオニアとか大和ハウスとか、こういったような電機関連株あるいは住宅関連株、こういったものがそういった銘柄に入っておるわけでございます。  その第二といたしましては、外人投資増加でございまして、これは海外での日本経済成長性に対する信頼が高まってまいりましたことを背景にいたしまして、外国人投資家のわが国の株式への投資というものが四十二年度から増加いたしまして、四十三年度にこれが急増いたしまして、日本銀行の認可額で見ますと、五億九千八百万ドル、四十二年度の四・七倍に達しております。それからさらに四十四年度に入りまして、四月に一億三千三百万ドル、五月が一億八千万ドルというように増勢が続いておりますが、これが最近、多少減少の段階に入っておるというような、これは市況の関係もございまして減っております。株式市場国際化はすでに始まっておるということだと思うわけでございます。  このような外国人投資増加市場規模との対比で見ますと、外国人売買株数の全体の取引所の総売買高に占める比率は、二%かあるいは三%程度ではございます。が、外国人投資家、特に主力である機関投資家日本会社企業利益成長性を重視いたしました投資尺度でもって、ある限られた銘柄への集中投資傾向があるということでございまして、これに同調して国内投資家取引もやはり活発化いたしまして、いわゆる外人買いというようなことが、市場に比較的大きな影響を与えたことは事実でございます。  証券取引所の任務といたしましては、申すまでもなく、公正な価格形成と円滑な流通ということをはかることでございますが、これらの株価動きにつきまして、取引所におきましては、内容等について常に注意いたしておりまして、その市況の変化に対して状態を見守っておりまして、そのときどき、適宜適切な措置をとるようにつとめておりますが、この点年初から現在までにとりました二、三の措置について申し上げたいと思います。  取引所におきましては、四月七日から四月二十六日までに会員証券会社に対しまして、大和ハウス、資生堂といったような株式十二銘柄につきまして、売買内容報告を求めております。これは、いま申しましたような売買内容を、どうなっておるかということを調査、検討するために報告をとりまして、内容を検討したわけでありまして、機に応じまして適切な措置がとれるようにというようなことで売買監理の一そうの強化充実のためにこういった措置をとったわけでございます。  それから、また五月には市況動きにちょっと過熱化動きがあると思われましたので、上旬、下旬の二回にわたりまして、五月の六日には十銘柄、五月の三十日には十七銘柄信用取引委託保証金の従来四〇%でありましたものを六〇%に引き上げまして規制措置を実施いたしたわけでございます。これは六月の十九日に、市況推移によりましてこれを解除いたしました。この措置は、取引所が過度の投機に偏することのないようにこれを防ぐためでございまして、投資家に冷静慎重な態度投資に臨んでいただきたいという意味での警戒的な措置でございます。  ところで、東京証券取引所では七月一日から、御承知と思いますが、新しい株価指数を発表いたしておりますが、この指数は、簡単に御説明いたしますが、新指数の名称は東証株価指数とこう申しております。これは市場第一部の全銘柄を対象にいたしておりまして、従来のダウと申しますと二百二十五銘柄でございましたが、これは全銘柄に対して時価総額を基準にした指数でございます。これまでのダウというものは当分一年間ぐらいは発表いたしますけれども、今後は新指数に準拠してやりたい、こう思っておるわけでございまして、皆さんに御理解願うように極力PRにつとめております。これにつきましては、従来のダウが多少とも誤解があるというようなこともございますし、それから長年、二十四年以来使った指数でございますが、倍率が十三倍というようなことで、いかにも指数が過大に株価動きを表示するかのごとくに誤解を生ずる面もございますので、今度の新しい指数を出したわけでございます。特に今度は上場株式数を加味いたしまして、しかも全銘柄でございまして、それに先ほど申し上げました大型中型小型も出しておりますし、それから二十七業種、種類によりましても別々にいたしておるというような新しいやり方をいたしまして、これを発表いたしておるわけでございます。  最後に申し上げたいのは、証券市場の課題と申しまして、これから円滑な流通市場を育成することになお努力するとともに、発行市場の面においてもこれを極力育成してまいらなければならないわけでございます。証券市場の健全な発展のためには、まだなすべきことも非常に多いと思うのでございますけれども、国会皆さま方にも御理解願いまして、いろいろ御協力願いたいと思うわけでございます。  簡単でございますが、現況の御報告を申し上げます。
  5. 只松祐治

    只松小委員 いま概要をお話しいただきましたが、特に近ごろの証券市場状況を私たちしろうとが見ておりますと、ほんとう意味の産業の資金調達の場ではなくて、むしろ投機市場化していく傾向というものが非常に強いのではないか。例をあげればこれは切りがありませんけれども、外人投資を見ましても、これもこの前福田大蔵大臣といろいろ論戦をしたのですが、日本の株を買いに来た、国際的評価が高まった、そういう面を見ればプラスの面と見れないこともないと思うのですね。しかし現在では、外人投資が非常に急激に減ってきておりますね。先週あたりの出来高は七、八千万株に落ち込んでいるのではないですか。七、八千万株というのは、これは山一証券が倒産いたしましたときに、山一証券をどう再建していくかという問題が国会でもいろいろ論議をされました。私たちもしたわけです。そのときに最低やっぱり八千万株ぐらいの出来高がないと――それでも五年か六年かの長期計画、それが急速に上向いてきたことは同慶の至りですけれども、またいまこれが八千万株、先週は七千五百万株ぐらいの出来高にしかなっておらない。これは出来高だけからの面でございますけれども、そういうものを見ましても、これは別な面でいうならば、国民がほとんど株式市場に寄りついてきておらない。このことは健全な意味国民からの資金調達の場になっておらない。一部の投資家がもてあそんでいると言っては言い過ぎかもしれませんが、とにかくそういう人たち投機の場になっている。こういう傾向を私たちが非常に強く印象を受けるわけです。そういうことじゃない、いやきわめて健全な市場である、こういうふうにお考えでございますか、そういう点についていかがです。
  6. 田口真二

    田口参考人 いま最近の株式動きについて申し上げましたところが、先生から投機的な面が非常に大きいのじゃないかという御懸念でございますけれども、ある意味においてはやはり投機的な面が私はかなり入っておるんじゃないかということも考えられると思うのでございます。株式というものは、御承知のとおり株価変動いたしますと、そこに需給があらわれるものでございまして、なぜ出来高の少ないとき投資家が出てこないかというような面はどなたも思うのでございますけれども、株式投資をする方は、やはりこれは利回り本位で買われる方と、あるいはキャピタルゲインを求められる方の両方あるわけでございまして、株価変動すると需要と供給がすぐにあらわれてくる。そこに拍車をかけて、株価がある程度上昇すべきものがそれ以上に上がる、あるいは下がるときにそれ以上下がるというようなことも、確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう面が今回の相場にあらわれたかと申しますと、やはり私はある程度あらわれたといわざるを得ないと思うのでございます。  それで、これはやはり実物の売買につきまして、ここで安いから買おう、高いから売ろうという実需の売買でございましたら、これはどうするわけにもいかないわけでございますけれども、これに対してはいろいろ投資態度に対して慎重にやってくれということをしばしば理事長からも投資家皆さんお話ししておるわけでございます。また投機取引の面、御承知のいま信用取引というものがございまして、この面においてはただいま御報告申し上げたとおり、あるいはその株価変動率が多いとかあるいは回転率が多いとか、あるいは急激な上昇をする、急激な下落をする、こういったような場合には、私のほうであるいは銘柄別にこの動きはおかしいというときに、市場におきましての売買変動が非常に大きいのは何によってかということを把握いたしたいということから、報告銘柄ということをとるわけでございます。それより前に一つございますのは、一日に大きな値幅で動く場合には値をストップさせる、それで時間をかけて値段の継続性を維持していこうという方法もございますが、いまの報告銘柄をとりましてその銘柄実態を把握する。その実態を把握した結果、これに対してある程度規制を行なうべきかというときに、証拠金率引き上げあるいは証拠金に関する担保率引き上げというようなものも銘柄別にも行ないます。  それから全体の状態過熱状態ということになりますと、これは全部の信用取引先に、証拠金率を上げるというような処置もとっておりまして、現在証拠金大蔵省では、法律では三〇%まであるわけでございますが、いま理事長権限によりまして証拠金は四〇%にいたしております。これは現在そのまま据え置きになっておりまして、これもその事態によっては上げる場合もあるし、また鎮静して投機もこの程度ならというときにはこれを解除する、こういうような処置をただいまとっております。
  7. 只松祐治

    只松小委員 いろいろな面から見ないと、一面からだけ見たって、それは株式市場などを論ずるわけにいかないわけですから、いま私は先週の出来高を言ったわけですが、値上げの幅を見ましても、特定の銘柄については五十円、百円というような大幅なものが上がったり下がったり、現実にしているわけですね。こういうものは庶民的な感覚から見れば、一般投資家という感覚から見れば、とても寄りつけるものではないのですね。連日買っていたのがばーんと百円下がった、あるいは上がった、こういうのではとにかくおっかないから証券市場に寄りつくまい、こういう傾向も私はあると思うのです。  そういうものをいろいろ見てまいりまして、昨年はまあまあ、野村証券のように純利益が五十億もある。あらゆるものを取り去ってもなお五十億の積み立てをする。あるいは保有組合解散資金等合わせますとほかに百十何億も積み立てをする。合わせて百七十億ぐらい野村証券なんかもうかっていますね。ほかの会社もそういうことで、山一なんかもおかげで立ち直っておる。こういう傾向が見られるわけです。あとで共同証券なり保有組合のことも順次聞いていきたいと思いますが、といって、皆さん方お聞きになりますから私だけ聞くわけにいきませんが、こうやってもうかっておるときは、いわばかってにする、もうけほうだい。しかし、いまのような状態で、少し経済かげり現象が出てきたり、そういう状況が出てきますと、また再び四、五年前に――いまのような七千五百万株程度のものがいつまで続くかわかりませんが、続いて株式市場が落ち込んでしまった、またいま言うようにあまりにも値幅動きが大きい、国民が寄りつかない、こういうことになってまいりますと、私は必ずしも第二の山一事件、あるいはいま和光ですか、大井証券事件が起きないとも限らないと思うのですね。そういうときになるとすぐ、政府は何しているんだ、国会は何しているんだ、ひとつ助けなければいかぬというようなことで泣き込んできて日銀の特融を受ける。そのときはそれで助かって、一番安いときに買うわけですから、これはそれ以上損はない。それでもうけ出したら、今度はおれらも幾らか出資しておったのだからその分け前はみんなおれらのものだ、おれらがかってにどう使おうとかってほうだいじゃないか、君らが、国会やら大蔵省が何がたがた言うか、こういう態度であってはいかぬかと思うのですね。しかし、現状の、保有組合共同証券のこの処理状況やなんか見ると、私はそれにほぼ近い傾向が出てきているのではないかと思う。しかも、いま言いますように、もう少し経済かげり現象等が出てくると、山一までいかなくても、そういう近い現象が出てこないとも限らない。  こういうことを考えますと、証券業界というものは、外人買いが少し出てきたからぐらいであまりちょうちんつけたり振り上げないで、もう少し堅実なほんとう意味国民証券投資市場として育成をしていく、こういうことが私は一番肝心ではないかと思う。そういう面から見ると、どうも近ごろの証券市場というものは、まあ賭博場みたいな形になってしまっているのではないか、こういう印象を私たちしろうとは近ごろ非常に強く受けるわけです。いや、そんなことはない、りっぱなものだ、このとおりで間違いはなくて再びあなたたちのお世話になるようなことはございません、こういう自信を持ってお答えができますか。それとも、やはりもう少し自分たちが自制をすべきだ、こういうお考えでございますか。
  8. 田口真二

    田口参考人 いま先生のいろいろこれからの将来のことについての御指示がございまして、私も同感なんでございますけれども、いまの株価投機的かどうかということは、私も先ほど多少投機的だということを申し上げました。いま株式を買うにつきまして、その尺度につきましていろいろ新しい見方がございまして、いわゆる株価収益率というような新しいものさしで買っておる。これも私は一つものさしだとは思うのでございますけれども、これは日本経済が成長するという段階においては、むろん各企業成長率が高くなっていくのは当然と思いますけれども、それをどこまで見るかというところに投機的の見方が入ってくるのじゃないかというので、このものさしのはかり方が非常にむずかしいわけでございまして、それらの見方によってこれがより投機的に動くという場合があり得るわけでございます。  なお、証券会社につきましては、きょうは大蔵省の方もお見えでございますけれども、私も三十九年、四十年の経験をいたしましたが、いま先生おっしゃるようなことがもう二度とあってはいけないということでございまして、この点につきましては、証券会社もいま免許制にもなりましたし、それから、いわゆる商品有価証券手持ちを減らすという方針で大蔵省でも御指導願っているように承っておりますが、そういったことでそういったショックを受けぬような体制に早く証券会社がなるということを取引所としてもむろん希望いたしておりますし、会員業者に対しても常にそういったことについての注意をいたしております。これは証券会社のビヘービアの問題でございますけれども、従来三十九年、四十年に起こりました事故は、御承知のとおり証券会社に運用預かりというのがございまして、この運用預かりの乱用から商品有価証券手持ち増加というようなことが結局ああいったことになったので、まあ投資信託の問題とあわせまして、そういった不況に際会いたしまして問題が起きたわけでございます。今後はおそらくそういうことはないというふうに私は思っております。この点は大蔵省の御指導のほうもひとつお聞き願いたいと思うのでございます。
  9. 只松祐治

    只松小委員 まあ運用預かりが主たる原因だ、こういうお話、私は必ずしもそうとは思いません。ただきょうは皆さん方論戦する機会じゃありませんから、論戦はいたしません。それにしても、ピーク時に二千七百六十億あった運用預かりがいまなおかつ五百億近い四百八十四億円あるわけですね。少なくはなってきておりますけれども、まだこういう問題というのが全部解決されたわけではないと思うのです。まあ私はそういう問題も、運用預かりだけとは思いませんけれども、そういう面もまだ残っておる。  時間がありませんから次に問題を進めて、せっかく共同証券の方もおいでいただいておりますので、お尋ねをしたいと思います。  この前、福田大蔵大臣とこれも話したら、いままで大蔵省年内にとにかく共同証券解散したいということをたびたび言明をされてきたわけですが、この前の委員会で突然、どうもいろいろなことで年内解散はむずかしいようだ、こういうお話があったわけでございます。私はまことにけしからぬと思う。大臣なり証券局としても、とにかく年内解散、できるだけ早期解散ということをたびたび国会言明をしながら、金融筋や何かの都合で今度は年内解散はしない、それもまだ赤字が出ておったり、いまから大幅な損失が見込まれるというなら別ですけれども、保有組合でもばく大な利潤を生んでおる、共同証券現状のまま解散しても百五十億前後の利益が出る、こういう前提にありながら、なおかつ解散をしない。いまも一番冒頭にお述べになりましたけれども、あまり心配したようなお話はありませんでした。いい面だけ見ると、日本経済は世界で第二位になった、成長率は第一位だ、外人投資家もこうやってどんどん来て、とにかく日本の産業界なり証券界は信用が深まった、高まった、こうやってPRされるかと思えば、事、共同証券やそういう問題になってまいりますと、いや実はこういうことで困って、年内解散できないのだとかなんとか、泣き言といいますか、自分の都合のいいことをおっしゃる。大会社ですし、いま自民党の政府ですから、これに直結された皆さん方ですから、そういうことを言ってかってに通るわけですが、中小企業や零細企業でこんなことを言って銀行に金を借りに行ったり、あるいは何か取引したり、とてもじゃありませんが、通りやしませんよ。だから一言で言うならば、証券会社なり大企業の横暴、こういうところにも私は日本の資本主義がもっと反省しなければならないところがあると思う。しかし、そういうお説教みたいな話をしてもしようがありませんから、私はただそういう点だけを申し上げておきます。  共同証券はいかなる理由があるにしろ、これだけ、特にたとえばさっき野村の一例を話しましたけれども、昨年度百七十億からとにかく積み立てをしておる、こういう段階においてなおかつこれを解散をしていかないということは、当初からの目的がずっと変われば別として、初め福田大蔵大臣が、とにかくしばらくの間――ここにも堀委員がお見えになっておりますが、一生懸命私たちが問題にしました。とにかくたな上げだ、塩づけだ、もう株式市場が回復すればすぐにでもこれは凍結を解除するんだ、こういうことを繰り返し述べておきながら、今日現在放出してもなおかつ百五十億の利益が見積もられながらしない。私はたいへんけしからぬと思っておる。こういう点についていかがお考えですか。
  10. 三森良二郎

    ○三森参考人 ただいま只松委員から御質問がありました。何か一般的な御説明をいたしましょうか、いまの御質問についての回答をいたしましょうか、どちらがよろしゅうございますか。
  11. 只松祐治

    只松小委員 質問だけでいいです。
  12. 三森良二郎

    ○三森参考人 ただいまの御質問は、証券市場としてもそうですが、しかも私のほうにも相当利益が出ておるにもかかわらず、なお株式を早急にひとつ処分して解散ができないのは何ゆえか、こういうふうな御質問と伺ったのでございます。  私どもの数字を若干申し上げますると、市場が盛況を呈するようになりましてから極力売却も促進してまいりました。七月三十日までの売却を見ますると、二千七十五億の売却を実施いたしておる次第でございます。これは最初買い入れましたものの四分の三強でございます。現在残っておりますものは、簿価にいたしまして四百八十四億、買い入れ額の四分の一弱、こういうふうな数字に相なっておるような次第でございます。昨年以来、かなり売却額をふやし、処理につとめてまいったのでございまするが、最近になりますと実は多少情勢が変わってきたことは、皆さんも御承知のとおりかと思うのでございます。  その主たる状況を申し上げますると、私のほうが処理をいたします場合に、市場で売れるものは市場で売る、なおまた機関投資家等に無理なくはめ得るものははめ込む、こういうふうな態度で進んでまいったのでございまするが、昨年あたりの金融機関その他の機関投資家状況を見ますると、保有組合並びにうちの放出のいわゆる持ち込みと申しまするか、それに基づく保有がきわめて大きく増加いたしております。金融機関と保険会社との株式保有額の数字を見ましても、ことしの三月には二兆三千億、これは四十年三月と比べますと倍以上になっております。こういうふうな状況に見られるのでございます。こういうふうに一口で申せば、かなり金融機関としては腹一ぱいな保有高になった、こういうことも言い得るんじゃなかろうかと思います。加えまして、ことしになりましてから、最近の金融情勢は御承知のとおりのような情勢に相なってまいりました。この機関投資家に対しまするはめ込みは、最近になって非常に困難になってきた、こういう一つ状況でございます。  したがいまして、当面としますると、私どもの処理は、主としまして一般投資家、いわゆる市場取引に依存せざるを得ない、かように考えておるのでございますが、最近の市況を見ますると、先ほど田口理事長からいろいろ御説明がありましたように、必ずしも一律に非常に状況がよくなっておるわけではございません。いわゆる値がさ株とか人気株とか、こういうものに市場の盛況が負うところが多いと存ずるのでございますが、現在私のほうとしては、若干そういうものも過去に持っておりましたけれども、そういうものは大体極力処理してまいりまして、現在いわゆる市場人気のあるというふうな銘柄は、私のほうの保有から見まするとおそらく二割――これはどこまでが人気があるかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございまするけれども、二割、多くて三割までに達しない、こういうふうな状況でございます。その他のものにつきましては、いわゆる市況全体としては非常に盛況を呈しておるようでございますけれども、取引も非常にりょうりょうたるものである、こういうふうな状況でございます。もちろんこれは、人気のない銘柄につきましても、私どもとしては決して処理を怠っているわけではないのでございます。ただ、大きくこれを売ることはなかなかむずかしい、こういうふうな状況でございまして、当社の多く持っておりますいわゆる大型株につきましては、かなり市況が低迷の状況である、こういうふうな原因によってきておるのでございまして、最近の一カ月の売却高は大体五、六十億、こんなようなことになっておるわけでございます。  私どもとしましては、今後も引き続き、市場の実勢に応じ、売れるものは売るということで売却に極力つとめてまいりたいと思うのでございまするが、いま申しましたように、なかなかむずかしい状況もあるのでございます。その辺のところを十分考えながら、ひとつ漸次処理の方向に進んでいきたい、かように考えておる次第でございます。先ほど田口理事長からもお話がございましたように、市況状況というものが非常に変化が多い。五月に比べますと七月の取引高も半分以下になっておる、こういうふうな状況もありまして、なかなかはっきりした先行きの計画というものを私どもは立てにくい。したがって、いつまでにこういたしますということをここでお約束することはなかなかむずかしいと思いますが、ただ私どもとしては、できるだけそういう方向につとめてまいりたい、かように考えております。
  13. 只松祐治

    只松小委員 そうすると、具体的には一つのめどは年内か年明けかということにあるわけですが、年内解散することは事務的にむずかしい、こうおっしゃるわけですか。それとも、努力次第によっては年内にできる、こういうふうにお考えですか。どうですか。
  14. 三森良二郎

    ○三森参考人 ただい年内に処理できるかどうかという御質問でありますが、私どもとしては、ひとつ株の無理のない処理につとめてまいりたいと存ずるのでございますが、ただ、いま申しましたように、市況が非常に激変しますし、また、先ほど申しました機関投資家状況もございまして、はっきりどうも、いつまでということはなかなか申し上げにくいのでございまするが、場合によっては、どうも年を越すということもあり得る。しかし、いま何もそれを予定をきめている次第ではございませんということだけを申し上げておきます。
  15. 只松祐治

    只松小委員 あなたとここであんまり詰めた話をしたってあれだけれども、一応目標をことし一ぱいならことし一ぱいにして解散をしていこうとか、ことしの暮れがはずれますと、また一月といったって一月が三月になり、五月になり、来年一ぱいになったり、そのうちにまた状況も変わってくる。さっき言ったように、かげり現象でも出てくると、これは将来またどうなるかわからぬから、ひとつ共同証券を置いておいて、何かのときに活用しよう、こういう考えも出てくるかもしれませんし、いろいろなことがあるだろうが、しかし、そういうことはやはり証券業界にとっては、私たちは必ずしも、高い目あるいは長期的な観点からして、いいことではないと思うのです。やはりそういうものは、清算すべきものは清算をしておいて、そして健全な証券市場を発展させていく、多少無理があってもやはりしていくというのが、ほんとう国民の信頼をつないでいく道であるし、皆さん方のやはり努力の方向だろうと思う。人間ですから、できるだけこれは安易な方向をたどりたいのは人情ですけれども、やはりそういうものを置いていつまででもそこにおんぶしていくというのはよくない。あなたたちだけでなくて、大蔵省当局、証券当局もそうですけれども、これは努力すべきだろうと思う。  そういうことと関連しまして、さっきもちょっと出しましたけれども、保有組合の利潤にいたしましても、借りるときは、主として保有組合の場合市中銀行ですが、それでも日銀のサゼスチョンなり裏づけ、あるいは日銀の特融も入っている。共同証券の場合はほとんど日銀の特融、あるいは山一証券は二百八十二億というほとんど日銀の特融、こういう状況の中で落ち込んだときの救済が行なわれている。ところが、立ち直ってきてもうけると、利潤が出てくると、これは、まあ多少はいろいろな財団をつくったり何かしておいでになりますけれども、持ち分に応じて各証券会社に配分をしていく、まあいわば自分らがかってに使う、こういうことであってはならない。ずばり言うならば、日銀から借りた分の、日銀特融の分でもうけの出た分ぐらいは、育英事業団に寄付するなり、そのもの全部、私は国家に税金に納めろとまでは申しませんけれども、自分たちのものだけではなくて、そのお金というものはこれは国民が出したのですから、国家によって救われたのはやはり国民に返すべきが当然ですよ。自分たちがもうけたのだから自分たちがかってに使う、それは多少の名目はありますよ、証券市場の育成だとか長期的な安定のためとかなんとかおっしゃっているけれども、そうでなくて、第一義的に国家から救われておるのなら国家に返していく、こういうやはり謙虚な気持ち、あるいはそれは謙虚というよりあたりまえだと私たちは思うのです。どこの中小企業なりなんなりにそういうことをしてくれるところがありますか。そういうところには一つもしないで、自分たちがもうけたからかってに使う、私はこれはある意味ではでたらめ主義だと思う。こういうところでなりあるいは証券局でもそういうことを言わなければ、だれが国民皆さん方に向かってそういうことを言いますか。  きょうは参考人としておいでいただいたのに、おしかりを言うようなことばになって相済まないけれども、しかし、こういう席ででも皆さん方に私たち国民の代表として言わなければ、こういうことは皆さん方の耳に達することはないのです。皆さん方としては、いや、もうけたのだし、おれたちが幾らか出資したのだ、そのことは市銀から借りたのだからかってにおれたちが使っていいのだ、こういうのはあんまり反省したようなお考えじゃないと思うのです。だから、もう少しそういう証券市場の全般的なことから始まって、それで再び山一なりこういうことが絶対にないと断言して、皆さん方が、いやそれはそれで今度はかってに使うのだとおっしゃるならば、それはまたそれで話は別になりますけれども、私は、いまの状況やなんか見ておって、必ずしもそうではないような気がする。あるいはそういうときだけとにかく国家や国民にすがって特融を頼む、しかしもうけたら自分らがかってに使う、こういうことでは国民はなかなかおさまらないと思う。私たちのところにもいろいろそういう投書が来たり訴えがやはりありますよ。そういう点については、ぜひもう一つ別途お考えをいただいて――きょうは保有組合の方おいでいただいておりません、保有組合はすでに解散しておりますけれども、共同証券の立場からも、あるいは東証の方もおいでになっておりますが、ひとつ今後の保有組合の金の使い方も、まだ全部が全部がっちりときまったわけではありませんから、そういう面等についてもひとつ十分御再考をいただきたいと思う。  ほかの方も御質問があるそうですから、一応これで私の質問を終わりたいと思います。
  16. 倉成正

  17. 広沢賢一

    広沢(賢)小委員 一番初めに大きな問題からお聞きしたいと思うのです。  大蔵省の最近二、三年の方針は、金融再編成でも出ているのですが、基本方針として出しているのは、たとえば金融の正常化、効率化――正常化とよく言っていますが、直接金融に切りかえなければいけないということは何回も繰り返されているのです。ところが実際を見ると、間接金融の部分にやはりずっと重点が置かれておる。オーバーローンの問題もあるし、設備投資が強気で日銀ははらはらしている。企業内容から見ると、自己資本が非常に低下しているのですね。一七%を割っているかという状況の中だと、やはり学者からも、大蔵省の方針としても、年がら年じゅう直接金融に重点を置かなければいかぬ、それを育成しなければいかぬと言っていながら、全然そんなことは改まっていない。これはよそのいろんな国と比較すると、たとえば多くの会社内容なんか比較すると、外国人なんかびっくりしちゃうと思うのですね。よく株をじゃんじゃん買うと思うのですがね。そういう状態は高度成長だから許されるけれども、今後の長い経済から見、やっぱり一応堅実な見方から見ると困るんじゃないか。そうするとつまり直接金融、いわゆる証券市場の育成のために、もしくは自立するために、金融再編成にもからんでいろいろとこうしなければならぬという御意見があると思うのですね。最近の新聞では、利子の非課税の問題で銀行界が盛んに働きかけている。それについては非常に大きく新聞に一ぱい出ているのでありますが、ところが私は、利子、配当ともに公平にしなければいかぬという説なんですよ。だから両方ともやめろと言うのですが、しかし、利子だけ優遇すればこれは間接金融をずっと助長する。銀行界の声ばかりが大きくて、証券のほうの声が小さいような感じがします。  そこで、いまの時点で時価発行なんかありますけれども、どういうように――たとえば利子体系の是正、利子の弾力化、こんなのを幾ら言ったって、口だけで論争だけしていて実際に出てこないのですが、こういう問題についてどういう点が障害なのか、どういう点を打開しなければならないかということがおありになると思うのです。それをひとつお聞きしておきたいということが一つ。  それから第二番目に、西ドイツのマルクの切り上げというものが、西ドイツの総選挙の九月ごろにどういうふうになるかということが新聞では盛んに書いてある。もちろんこれがずっと表面に出てくれば、やはりポンド、それからフラン、ドル、いろんな危機に波及していく。そうすると通貨不安対策というものが絶対に必要なのですが、株式市場のほうへはどういうように影響すると見ているか。それについて対策があったらいろいろと聞かしていただきたいと思うのです。  以上二つ、田口さんにお願いいたします。
  18. 田口真二

    田口参考人 ただいまの最初の金融の正常化と自己資本の充実との関係、それから利子と配当の税金の問題というようなことの御質問と承りましたけれども、私どもの証券界といたしましては、いま利子、配当の税につきましてはやはり先生のおっしゃるとおり平等に扱っていただきたいということでございまして、マネーフローの面からいきましても、そういった場合に違った処置をとられますと、やはり従来の終戦後からの金融のあり方と申しますか、日本経済の成長をつくるまでの段階での金融に重点を置かれた――これは終戦後はやむを得ないと思いますけれども、ここまで経済が発達した現在におきましては、やはり自己資本の充実というものがありませんと、先ほども御指摘がありました将来の国際経済に入った場合の変動に対して、企業がたえ得るかという問題を私ども非常に心配しておるわけであります。これは先生のおっしゃるとおり、かなり自己資本が減っておる。これは私ども取引所で見ましても、自己資本が少ないということのために、かえって株式市場変動率まで大きくしてくるのではないかということを私は思うわけでありまして、会社の主要資本というものは相当銀行借り入れによって動いておる。むろん内部蓄積もございますけれども、株式の占める率が非常に少ない。その資本によって稼働した利益というものが多いときには株式資本に対して非常に比重が多いわけですが、悪いときには借金だけの金利の負担というものがどこまでもかかってくるということになりますと、株式資本金に対する影響というものが非常に大きいのではないか。そういう場合には、いいときにはいわゆる高利益をあげる、悪いときには非常に悪くなるということで、これも株価形成上に非常にフラクチュエーションを多くする原因をここに内蔵しておるのではないかということからいたしますと、会社経営からいたしましても、健全性が維持されるかという問題があるわけでありまして、こういった意味におきましても、自己資本をもっと充実していただきたい、こう思うわけでありまして、私どもも配当課税につきましてはいろいろその理由を付してお願いしておるわけでございます。  最初の点につきましてはそういったようなことでございますが、第二番目の御質問でございますけれども、この秋に西独の選挙が終わりまして、あるいは西独のマルク切り上げというようなこともうわさされておりますが、こういったような国際通貨の動揺に対しましては、やはり資本というものは非常に憶病なものでございますので、通貨価値の変動に対しては非常に敏感に影響する。これは日本そのものの円に対してはむろん金がございまするし、むしろそれに対しては円が強いといういまの現状でありますが、やはり外国の通貨に対する問題は日本の通貨に対しても何らかの影響があるということで、株価に対しても非常に敏感に影響するのではないか、私はそう思っております。
  19. 広沢賢一

    広沢(賢)小委員 そこのところで、株価に敏感に影響するというのが一つあるのですが、どういうように影響するのか、しろうとですからわからないのです。外人投資がいま御説明があったとおりですけれども、最近減っておるというのですが、これは今後どういう傾向になっていくかですね。やはり高金利が頭打ちになりそうだとか、それからさっき言った通貨変動の問題とかいうことがからんで、外人投資がどういうふうになっていくかという外人投資のいろいろな内容についてお聞きしたいと思いますし、それから、むしろ通貨変動があったときには、これはと思って人気が集中するのか、それとも相当いろいろと先行き不安ということで株価に悪い影響を与えるのか、その問題についてもう少し具体的にお聞きしたいと思います。
  20. 田口真二

    田口参考人 どうも私、取引所の立場で株価の趨勢がどうかということはちょっと具体的に先生お答え申し上げにくいのでございますけれども、敏感にといいますのは、株価にどこまで敏感にあらわれるかということは、これは現象的な面でわかりませんけれども、やはり国際的の通貨の不安、ヨーロッパが不安だということになりますと、日本は円が安定しておるということになりますれば、やはり日本円に対しての投資はふえてくるんじゃないか。これがかえって日本株式市場を強含みに持っていくという影響はあろうと思います。そういったような影響でございまして、いまの金利の問題、これもやはり国際金利の問題といまの通貨の問題とはまあ同一のようなものでございます。そういった影響が外人投資家の面にあらわれてくる。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、最近におきましては外人投資が減っております。六月まではふえましたが、七月からは減っております。これはやはり、この外国人投資の金がホットマネーであるかどうかということは、非常にむずかしい議論がございます。機関投資家も買っておりますので、必ずしもホットマネーとも言えないと思いますけれども、株式というものは、御承知のとおり、やはり先ほども申し上げましたが、株価がいいときには需要が出てくるというような動きがございます。それからもう一つは、値上がりをすればこれは資本を一応金にかえておこう、株式はこういうような性格のものでございまして、いわゆるホットマネーでない金が入っても、株価上昇率いかんによっては、これはまた金に還元される性格のものが株式投資に入ってまいりますから、やはり外人投資といえども、そういったような長期投資のつもりでも、株価がある程度上がれば、これは利を入れて売却する。そういったような変動がございますので、今後の通貨不安に対しては、そういったような意味で、どちらに通貨不安が出てまいりますか、そういったようなことがありとすれば、やはり外人投資の動向についてもいろいろの変化が私はあるんじゃないか、こう思うわけでございます。
  21. 広沢賢一

    広沢(賢)小委員 大体そういうことだろうと思います。  もう一つ、先ほど直接金融を重要視しなければならぬという問題で、これはただ単に税制上の問題ばかりを政府に要請しても――私たちは、それは公平にやらなければいかぬということは同意見です。しかし、公平に全部なくしてしまえという意見が出てきますから、法人税の改革の問題から始まりまして。そこで、そうするとみずからの努力として、たとえば時価発行の問題がいま考えられておりますわね。ところが、これもことばだけで、これからこれをどういうふうに発展していくのか、ちょっとまだためらいぎみが各方面にあると思うのですがね。この時価発行をやっていくとか、それから転換社債というものがありますが、ああいう問題について、どれだけ現実的に取り組めるのか。口だけ、こう理論的なことじゃなくて、実際は、見通しとしてはどうなのかということをお聞きしたいと思います。
  22. 田口真二

    田口参考人 いま、時価発行の問題が御指摘ございましたけれども、御承知のとおり、日本では従来額面発行という長い歴史をたどっておりますので、株価を決定するんでも、いままでは額面発行という、今後の増資はどのくらいかということを織り込んでこの株価の算定をしてきたわけでございますけれども、この時価発行の制度というもの、これも非常にいい制度であります。ただこの時価発行につきまして、いままでの長い額面発行の慣例から、これを一ぺんに切りかえるというわけにはまいりませんで、やはりこれは徐々にそういった実績を積んでいくということがいいんじゃないかと思うのでございまして、転換社債も同じでございますけれども、そういった意味におきまして、本年、時価発行は御承知のとおり、日本楽器あるいはパイオニアとかアルプスとかいうようなことがございましたが、こういったような時価発行の実績を積んで、順次こういったものを投資家になれていただくということが必要じゃないか。  ただ、時価発行につきましては、御承知のように、時価の算定が非常にむずかしいわけでございまして、これは非常に私は慎重にやらなければならないものだと思います。これがもし投資家に対して迷惑をかけるような結果になりますと、せっかく時価発行といういい慣行をつくろうと思っても、これはなかなかむずかしい。時価発行の価格については、ただいま非常に――先ほど市況について申し上げましたが、非常に変動の多いときであるだけに、その価格の決定というものは非常に慎重にやらなければならない。これが株価が非常に安定して一つの基準と申しますか、安定的なところに線ができますればいいのでありますけれども、価格についても、非常にフラクチュエートが本年もございましたので、価格の決定については、やはり慎重にやらなければならない。これは私個人でそう思っておるわけでございまして、そういったことで順次育成していくのがいいじゃないか、こう思う次第でございます。
  23. 広沢賢一

    広沢(賢)小委員 大体わかりましたが、そうすると、全体として、いまのは通貨不安とかその他のいろいろな動きとかで、むしろ日本はそう影響は受けないのだという、むしろいい影響があるのではないかというような感じに受け取れるのですがね。いま諸外国は大体株価が停滞し、下がるような傾向がありますけれども、そうしますとやはり――これはあまり先行きの見通しなんか議論しておるわけじゃないですが、日本経済として、さっき只松さんが言ったけれども、かげりの問題が出ていますし、それから日銀としては設備投資が非常に強気過ぎるということでいろいろ心配しているような状態があります。だからいい要素ばかりではなくて、万々歳ではなくて、いろいろとそういう問題をずっと見ていった場合に、やはり経済として堅実な見方、堅実な方向をとらなければならぬと思うのです。  いま言われました時価発行、それから転換社債の問題でも、税制の問題でも、いろいろと自己資本の比率が低下している、そういう状況の中で間接金融重点ではいけないのだということを言われましたけれども、何かちょっと迫力が足りないような感じがするのですがね。いろいろな学者の人がずいぶん苦心していろいろ出していますね。したがって、もう少しまとめて、いまの時点で、金融再編成の議論が、大体来年の三月ぐらいに終わってしまうと思うのですが、そういう場合に、それに向けてどういうように日本の金融のしかたを――理論的にいえば、だれが見ても、いまの間接金融重点でオーバーローンのやり方、これは将来うまくいかなくなる。それはお認めになったんだから、そうするともうちょっと迫力のある、証券界としては公社債の市場、これは発育不全ですからこの間間とか、金利体系の問題とか、全部まとめて、やはり大蔵省国会にいろいろ御要求をなさる、そういうものをつくる気はございますか。(発言する者あり)それでは、この問題は来週月曜日の金融小委員会で詰めていきます。  私の質問は、これで終わります。
  24. 倉成正

  25. 堀昌雄

    ○堀小委員 ちょっといまのお話に関連をしたことだけ伺っておきたいのですが、共同証券は四百八十四億現在残っておる。最近の月間は五、六十億ぐらいのペースで売っていらっしゃる。だんだんと売りにくいものがうしろにたまってきているのではないのか。ですから初めのほうの五、六十億、おしまいのほうの五、六十億、これは金額は同じだと思いますが、ずっと二千何百億売ってきた過程では、いまの残っておるのは非常に売りにくい。裏返していうと、少しディスカウントしてでもしなければ処理がしにくいようなものがたまってきているとすると、それを利益が出るまで待とうということになると、これはさっきちょっと只松君が伺ったことにも関連するんですが、時期の問題というのは非常に不確定になりますね。だから私は、やはりどっかに時期をきめまして、いま六十億ベースでいくとすると、四百八十億なら八カ月だ。そうすると、来年の三月の終わりには、六十億ベースなら終わりになる。そういう何らかの時期を策定をしないと、だんだん売れにくいものばかり残ってくると、六十億ベースが、次は三十億ベースになり、二十億ベースになりかねないんじゃないかという感じがするんですが、共同証券としては、いまの五、六十億ベースというのは、売りにくいものも売りやすいものも含めて、そういう平均ベースで今後も売っていかれるのか、売れるものから売っていって、最後に売れないものが残るのか、そこらの取り扱いはどうなのか、ちょっと伺いたいのです。
  26. 三森良二郎

    ○三森参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  先ほども申し上げましたように、だんだん人気のない銘柄が多くなっていくことは事実でございます。そこで、漸次売りにくくなってくるのではないか、これも傾向としては言えると思います。ただ、申し上げますことは、利益が出ないものを売り控えていることはございません。相当売却損も出しております。ですから、そういうものにつきましては、利益が出ないから売らぬことは絶対にございませんということを申し上げておきます。同じように売ります。ただ、あまり無理をして売りますと、かえって変なところに悪影響が出ますから、その点は差し控えなければなりません。ただ、ここに利益があるかないかということは、実は全く無関心で出しておる次第でございます。  いつまでに売ることをきめよう、そういうふうにしたほうがいいじゃないかというお話でございます。どうも、それは御意見としては確かにあると思いますけれども、私自身、いろいろ過去何年間かずっとやってまいりまして、堀委員にもかつてしばしば申し上げたこともあると思うのでございますが、一定の時期を限って計画的にやるということは、実際の問題として、いいかげんな答えを申し上げることはできますけれども、私としては、そういうことを申し上げるのは皆さまをミスリードするということで、なるべく避けたいと思いますが、どうもそういう見地からほんとう考えております。先ほど申しましたように、そういうように努力していることは、これは実績もあることでございますけれども、ただ、一定の期間、いつまでにということをちょっと私としていま申し上げかねる、かようにひとつ御了解願いたいと思います。  それから、ちょっと委員長にお尋ねいたしますが、先ほど只松委員から私のほうにお話がございました。これは御意見のようで御質問でなかったようでございますが、この問題につきましては、若干、私どものほうも申し上げておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  27. 倉成正

    倉成委員長 どうぞ。
  28. 三森良二郎

    ○三森参考人 先ほどは、何かうちの巨額な利益を株主なり何なりがかってに取ろうとしているかのごとき御印象のように私はお聞きをいたしました。これはどうも、私といたしましては、ちょっときょう意外に思ったのでございまして、再考しろというようなお話でございましたが、何も初めから利益を全部どこかに分散してしまうということは考えておりませんということをはっきり申し上げておきたいと思います。もちろん、この出資者は、それぞれコストのかかっている金を出しているものでございますから、コストをカバーすることは、これは当然のことだと思いますけれども、それ以上、巨額な利益をそれぞれ分けるということじゃなくて、私は、やはりこれは全体的立場から考えるべき問題だと思います。まだ株主との最終的な打ち合わせを了しておりませんけれども、私自身はそう思っておりますし、それから、株主もおそらくそうだと私は思うのでございます。  それで、その問題につきましては、株式売却後のうちのあり方をどういうふうにしたらいいかということと関連して、利益の処分のことを一括して考えていかなければならぬ問題だ、かように考えておりますが、その場合、世上にはいろいろ議論があるようでございます。私どもいろいろ研究もしておるのでございますが、ただ、私としていま申し上げることは、そうした利益は、設立の趣旨にもかんがみまして、一部のものの利益になるということは極力避けたい。国民経済全体の立場から考えまして、どうしたら最も有効適切な活用方法であるか、こういう見地から私は考えてまいりたい。今後そういう問題につきましてはそれぞれ、御承知のとおり、私どもの関係も相当多うございますので、各方面とも十分打ち合わせをし、協議をして、そうして最も妥当とする案を得たい、かように考えておるわけでございます。只松委員、いまおいでになりませんけれども、ひとつそれだけ申し上げて、適当な方法でまた只松委員にもお伝えしていただければたいへんしあわせだと思います。
  29. 堀昌雄

    ○堀小委員 さっき伺っておりまして、これまで機関投資家、まあ金融機関にかなり入った。金融機関も御承知のように、ポジション指導もだいぶ強化をされておりますし、金融もかなりタイトになりつつある状況からしますと、おそらく機関投資家が今後皆さんのほうからあまり買わないんじゃないか。これからおそらく資金はかなり繁忙になるというのがいまの日本経済の情勢だと思いますね。そうすると、今度は、市場売りということになってくるわけですね。非常にむずかしいものが残っている市場売り。しかし、要するに金利が上がってくるということは、これは裏返せば、証券市場は軟化するということに連なってくる、一般現象としまして。スペキュレーターの部分は別ですが、一般部分については、当然金利が上がるということは相対的に株価が低くなるということは一般のルールです。非常にこれから先条件が悪くなってくるわけですね。ですから、私も何も何月にしなさいと言っているんじゃないですけれども、やはりある程度、もう解散が近くに来ておりますから、あまり消極的になっていただくと、何というか、情勢がよくなるときはいいですよ。しかし、一般的に見て、ちょっと私は、必ずしも今後の証券市場が非常によくなるかというと、そういう一部の銘柄のスペキュレーションはいいかもしれませんが、全体として必ずしもそんなによくならないんじゃないか、金融全体なり日本経済全体なりの状況からして、そういう感じがするものですから、ちょっと気になるんですね。年内である必要は私はちっともないと思うし、また、無理をして市場の軟化を促進すること必ずしもいいと思いませんから、私は無理をしなさいということではないのですが、むずかしい情勢、それで消極的になれば非常に長くかかることになりかねないという感じがちょっとするんですよ。ですから、そこらは三森さんのほうでは、そういう情勢もあるけれども、まあかなり決意をして、そういう情勢の中でもちろん変動がありますからね、その変動を十分考えながら処理をして、なるべくすみやかに解散に持っていけるかどうかですね。そこについての三森さんのお考えをひとつちょっと承っておきたい。
  30. 三森良二郎

    ○三森参考人 ただいま、たいへん私どもの処理のむずかしさについて御理解のあるお話がございましたが、私どもとしては、決して消極的になっておる意味じゃございません。それははっきり申し上げておきます。  それからまた、別の考え方からしまして、少しあるいは楽観的かもしれませんが、私は、市場でいま人気がなくても、これはまた人気の変動ということもあり得ることであります。必ずしもいつまでも――極端な言い方をすれば非常に悪いものなら別として、そういうものは私どもあまり持っておりませんから、必ずしも消極的でありません。今後人気の変動ということもあり得る、これも期待しております。  それからまた、金融情勢につきましても、これは私、最近はどうもあまり詳しくありませんから的確なことは申し上げかねますが、これもまた、いまの情勢がいつまでも続くということも必ずしも予定しなくてもいいんじゃないか。かように考えますと、いつになるかということは、先ほど申し上げましたように、ちょっとはっきり申し上げかねますけれども、私ども処理ができないという問題じゃない、かように考え、われわれもまた努力してまいりたい、かように考えます。  それから、ちょっともう一つ、さっきの只松委員のことについて、申し上げたいことを落としましたのですが、あの中で、何か保有組合と私のほうのことにつきまして、私のほうが全額日本銀行の借り入れ金を受けているような、私の聞き違いかもしれませんけれども、そんなような印象を受けました。これは実は逆だと思います。私のほうは、日本銀行から借りましたものは六百七十数億円であります。市中銀行から千億借りて、資本金が三百億、こういう資金構成になっておりまして、むしろ市中融資のほうが多い。こういう点で、これはちょっと誤解ではなかろうか。私の聞き違いかも存じませんが、ちょっとそれだけ申し上げておきます。
  31. 堀昌雄

    ○堀小委員 お考えはわかりましたから、ひとつできるだけ早く解散ができるように努力をしていただきたいと思います。  田口さんに少しお伺いいたしますけれども、東証の新指数が出まして、私は実はこの考え方に賛成なんです。賛成なんですけれども、御承知のように、東証指数に必ずしも賛成でない諸君もいろいろと散見をしておる。確かにスペキュレーションをやる人たちにとってみると、あの動きではどうも何だかぬるま湯の中に入っているようで、ちっともぴんとこないじゃないか。旧ダウだと二十円とか三十円とか上がると、上がったなとか下がったなという感じがするというような声も出ておるわけですね。私が非常に心配しますのは、ある時期を限って旧ダウはもうお出しにならないというふうに聞いておるわけですが、大体正確にはいつまで旧ダウが発表されるのでしょうか。
  32. 田口真二

    田口参考人 新指数でございますが、新指数皆さんがのみ込むにはなかなか時間もかかるわけでございまして、ダウとのかけ橋と申しますか、やはり相当期間にわたって両方を発表いたしませんと、長年、二十四年からやっておりますので、移りにくいんじゃないかということで、ちょうど七月一日に発表いたしましたから、それから一年間ぐらい発表いたしまして、そのときの様子を見てきめようじゃないかということにいまなっております。いまおっしゃるとおり、ダウのほうでは一日に三十ポイント、四十ポイントというような上げ下げを発表になりますと、何かこれがより以上投機的な観念が入りまして、そういう意味からでも新指数を早く皆さんに利用していただきたい、こういうふうに希望いたしております。
  33. 堀昌雄

    ○堀小委員 これは大蔵省にも聞いておいてもらいたいのですが、いまのは旧ダウですが、新ダウというのはいつから発表になったのですか。大体でけっこうです。
  34. 田口真二

    田口参考人 新ダウ昭和三十二、三年――ちょっと忘れておりますけれども、あれは御承知のとおり旧ダウとほとんど同じことなんでございまして、そのやった時点をただ変えただけでございますので、動きは同じ動きをしておるわけです。ただ、歴史が古いか新しいかということで、あれをやったときには実はPRも足りませんでしたし、いまから考えますと、旧ダウ一本でもよかったじゃないか、むしろいまの指数を早く実施したほうがよかったんじゃないか、いまはそう思っておる次第でございます。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は旧ダウと新ダウの関係なんですが、結局新ダウを発表しても今日もまだ出ておりますね。旧ダウ、新ダウというのは、新聞を見ておるとたしか出ておると思うのですが、新指数と旧ダウがまたああいうことになってしまうと、私は非常に意味がないと思うのです。今度新指数を出されて、株式市場の健全な発達のためには私はこのほうがいい、こう思うのですが、これを十分PRをしていただき、いまの関連づけの中で、どこかで旧ダウは必ず発表しないという時期が来ないと、二年やりますと、私だめだと思うのですよ。もう旧ダウを発表しなくするということは不可能になって、三本立てに旧ダウ、新ダウ、新指数なんということになりますと、結局あとの二つの新ダウ、新指数は死んじまって、依然として旧ダウだけが残るということになる可能性が非常に強いと私は思うのです。  これはひとつ大蔵省でも考えてもらって――どちらがいいかという問題にはいろいろ関連する向きによって関係がありましょう。ありましょうが、しかし、私はこの証券市場の問題を最近もずっと見ておりますけれども、けさですか、和光証券が調べたんでも、個人株主がだんだん減る方向だといっている。個人株主がだんだん減るということは、少なくともさっき広沢君が言いました間接金融から直接金融へということは口で言うだけで、実態は逆向しつつあるということだと私は思います。ですから、やはり健全な投資家を育成することが証券業の任務であって、スペキュレーターの活躍だけがその場であるということであれば、結局これは直接投資の問題とは結びつかないことになるおそれがある。証取法の改正の基本的な考えは決してスペキュレーターを育成することを目的としていないわけですから、その点については、そういう人たちに多少不便があっても、正しい証券業の発展の方向に役立つ指数をある程度勇気をもってけじめをつける処置をしていかなければ、日本の証券業というものの将来は、口では幾ら直接投資といっても、結局間接投資が依然として横行して、われわれの考えておるようなバランスのとれた状態にならないのではないか、こう思いますので、指数の問題は部分的なようですけれども、投資家に対するかまえといいますか、そういう面では非常に重要なファクターを含んでおると思いますので、取引所のほうでは何とか一年間努力をしていただいて、また同時に、きょうは協会長も見えていませんけれども、協会長にもひとつ坂野さんのほうから、国会側の考えとしてはそういう方向にあるということによって、協会側としてもできるだけそういう方向に努力していただいて、でき得れば一年間をもって旧ダウを廃止するという方向で処理をしてもらいたい、こう思うのですが、大蔵省考え方もちょっと承っておきたいと思います。
  36. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 指数問題は、実は取引所でももう一年越しに検討してきた問題でございます。その検討の一番根っこになります考え方は、いま先生のおっしゃいましたように、あまりにも投機的な証券市場がある、そしてそれをあらわすような指数というものにやはり問題があるのではないかという基本的意識を持っております。したがいまして、この指数採用につきまして、大蔵省は全面的に賛成でございます。同時に、旧指数は、少なくとも取引所の発表としてはできるだけ早い機会にやめるという体制をとりたいというふうに考えております。
  37. 田口真二

    田口参考人 先ほど御質問のございました新ダウでございますけれども、これは先般七月一日から発表をやりました。  それから新指数と旧ダウとの関係、新ダウと旧ダウとの関係でございますけれども、私は、今度の新指数は新ダウとの関係は全然別だと思っております。それだけの自信を持っておるわけでございまして、この指数は、もう先生には御承知のとおりでございますけれども、ああいうふうに業種別にも資本金別にも出しておりますので、指数としてはかなり完備した指数じゃないかと思います。この指数で発足いたしましたのは去年の一月からを基準にいたしておりますので、これからの投資家には非常に便利な指数じゃないかと私は思いまして、これは全国の証券会社のいわゆる第一線に働いておりますセールスマンにもよくしみ込ませるように、私のほうでもPRいたしております。幸いにして言論機関のほうでも非常に協力的でございまして、今度の指数はむろん育つだろうというような御批判もいただいておるわけでございまして、私ども、先生の御激励をいただきましたので、一生懸命やりたいと思っております。
  38. 堀昌雄

    ○堀小委員 証券局長にもう一つ、さっき広沢君から伺った時価発行の問題ですけれども、時価発行の価格決定のルールが何かあるようですが、それを最初にちょっと説明してもらいたいと思います。
  39. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 まだルールというほどきちっとしたものができ上がっているわけではございませんけれども、いままでの幾つかの事例から見ますと、大体発行日前一週間程度の時価をとりまして、その平均価格より若干下回った価格――下回る金額というものは大体一〇%ないし一五%程度というようなところで決定されておる事例が多いようでございます。
  40. 堀昌雄

    ○堀小委員 取引所のほうに伺いたいのですけれども、私も大体さように心得ておるのですが、一〇%か一五%、発行日よりディスカウントする、ここに私実は問題があると思うのです。本来の正確な価格が正常な形で――さっきお触れになりましたけれども、変動が多いからとおっしゃっておるように、正常な価格が動いているならば、何も一〇%、一五%ディスカウントすることはなくて、発行日の価格で発行すればいいわけですから、いいのですが、それを一〇%か一五%ディスカウントするということは、フラクチュエーションがかなりある、そこで、その発行日に一〇%か一五%にディスカウントしておかないと、先へいったら下がる可能性があるから、不測の不利益を株主に与えてはならないという配慮だと思うのですが、この点、最近のようにわりにフラクチュエーションが多いとき、そうしてまた、きわめて資本金の小さい会社が時価発行しておるという状態、それから証券会社がやや幹事争いといいますか、少しそういう過当競争的な様相があらわれておるような感じがするというような点から、どうも私は、この際は時価発行をやるのに必ずしも適切な時期でないという判断を実はしておるわけです。たまたま日本楽器の場合には、時価発行をしましたあと、少し全体としての上昇がありましたから、今日振り返ってみて、日本楽器の問題は、当時はいろいろ問題がありましたけれども、やや少ないと思うのですが、その後にあるアルプスをはじめ各種の銘柄については、どうもちょっと値動きが大き過ぎる時期でそういうことをやるということは、時価発行という制度をこれから一つの軌道に乗せるというためにはマイナス要因のほうが少し多過ぎるのじゃないだろうか、少し慎重な取り扱いが必要なのではないかという気持ちがしておるのですが、取引所としてはどういうふうに見ておいでになりますか。
  41. 田口真二

    田口参考人 私も先ほどちょっとその問題に触れて申し上げましたけれども、時価発行の制度を育成するということは、私はいいことだと思っております。ただ、いま堀先生のおっしゃったとおり、価格の決定ということは、私も先ほど申し上げましたが、これは非常にむずかしいのじゃないか。これには将来投資家に対して悔いを残さないというような方式でやってほしい、これは私個人の希望でもございます。特に私も先ほど申し上げましたが、やはりいま投機的な要素もあるいは入った相場であると私は認めざるを得ないと思います。そういったことはやむを得ないといたしましても、そういった時期において、わずかの期間の平均でその時価に近いところで発行するということに将来悔いを残さないようにしてほしいというのが私の希望でございまして、やはりこういったような価格変動期にはそういったようなものも慎重にやっていただきたい。いまおっしゃったとおり、特に小型株に多いわけでございますから、小型株につきましては、先ほど御説明したように、変動率も非常に多いわけでございますから、なおさら慎重にすべきじゃないかと私も思うわけです。こういう機会には、むしろ株の変動期でございますが、転換社債のほうにでも努力をしたほうがいいのじゃないか。両方努力も必要でございますけれども、あるいは転換社債というのはまだなじみもございませんので、こういったものを努力する必要があるのじゃないか。特に証券会社につきましては、こういったことについての幹事争いなんということは、これはもうないようにしていただきたいというのが、取引所としても希望いたしております。
  42. 堀昌雄

    ○堀小委員 証券局としてどうかひとつ、将来私は時価発行というものが相当大きなウエートを占める時期が来ると思います。思いますけれども、何といってもこれまでは少なくとも増資部分を含めて株価が形成をされてきておるという流れの中で、特に最近のようなスペキュレーションが盛んに行なわれておるというふうにわれわれ判断しておるような時期に、そういう処置が行なわれて、結局その人たちがまずい目にあったために、時価発行というものは危険なことだという印象を大衆に与えることは、私は制度の問題としては非常にまずいのじゃないかと思いますので、特にひとつ関係幹事会社になるところに慎重にやってもらいたいことと、ちょうどこれは田口さんと私、だいぶ論争したことがあるわけですが、保有組合が組み入れるときの価格の問題ですね。  実は私はあのとき前一カ月、少なくとも前一カ月の平均価格という話をいたしておりましたら、途中で何か前一週間とかいうことになりかけて、いろいろ私申し上げたことがあるわけですが、このいまの前一週間というのは、少なくともこういう時期には少しこれを伸ばすべきではないのか。ある程度の長さが広がってくれば、フラクチュエーションが平均化されますから、できるだけこれを少し伸ばさせる方向で安定した価格ということが時価発行の目安になるということに、ひとつ証券局としては指導してもらいたいと思うのです。できれば、例のプライス・アーニングズ・レイショが高いからなどという新しい発想だけにかかわって、成長性があるという自信がある企業がやるのでありましょうけれども、あまり先走らないほうが、結局私はその企業にとっても長期的にはいいのじゃないか。もしあとで非常に株価でも下がりましたときには、その株に対する信頼感というものは非常に薄れて、せっかくの資金供給の手段である増資そのものが、その企業について将来にわたってマイナスを残すようなことになることは、成長性のある企業であればあるほどに、私は問題は大きくはね返るのじゃないかと思いますので、そこらを含めて、十分ひとつ指導を時価発行については強力にやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  43. 倉成正

  44. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 田口さんにちょっとお尋ねするのですが、最近外人投資家が非常に多いということが言われておるわけです。そこでこれが株価をつり上げているという話があるのですが、実際外国人投資状況、それからこれからの傾向はどうなるかということを、簡単でけっこうですから、大体常識の中でけっこうですからひとつ……。
  45. 田口真二

    田口参考人 先ほどもちょっと御説明の中に入れておきましたけれども、昨年から外人投資のあれが順次ふえてまいりまして、本年に入って非常に多くなったわけでございますけれども、これらは一つは、日本経済を見直したということと、日本の円も強いということからも、日本に入っております。外人投資買い方が、先ほども申し上げましたけれども、いわゆるいままでの利回り観念からでなく、株価収益率という面からも買っておる。これは外国でそういった投資のしかたをやっておりますので、そういうような新しい観念で買っておるということもこれは事実でございますし、ただこの問題はいまの時価発行の問題とも関係ございますけれども、株価収益率だけで買えるかどうかということになりますと、これは投資側の考え方でございますけれども、これはいろいろ考え方がございますけれども、成長性をどこまで買うかということもむずかしいわけでございます。外人投資については、そういう新しい角度から買っておるという点もございます。  それからもう一つは、外人が買ったからということで、それを人気にして買うという面があれば、それは非常に好ましくないことでございますけれども、やはり投資家の心理といたしましては、外国からの買いがあったということになると、これに対して、多少それに追随して買ってくるという面は、これはある程度は避けられないかと思うのでございまして、そういうものもあるのじゃないかと思います。そういう投資態度ということは非常に好ましくない態度でございまして、外人投資家投資家としてのサイドで自分の研究で買っておるのでございますから、日本投資家日本投資家としての態度で、やはり自己の責任で自己の判断で買っていただきたい、われわれは常にそれを希望しておるわけでございます。
  46. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 もう一点田口さんにお尋ねしたいのですが、これは将来のためにいま税制調査会で問題になっておる利子配当課税の問題ですね。それで、これは国会はあと五日でおしまいですから将来のことですが、あなた方の取引所のほうでどういうふうにお考えになっておるのか。それから問題になる銀行利子課税問題、この関連して二つの問題をどういうふうにお考えになっておるのか、これも簡単でけっこうですから、ひとつ将来の参考のためにお尋ねしたい。
  47. 田口真二

    田口参考人 配当課税につきましては、これは証券業協会のほうが主体になっていまお願いしておるわけでございます。私は取引所の立場でございますので、広い投資家の希望としても、私は取引所としてもこれを希望しておるわけでございますけれども、いまの配当課税についての特別措置はひとつ資本が蓄積される段階においてしばらくの間このままやっていただきたいという強い希望を持っておるわけでございます。
  48. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 関連して銀行利子の問題はどういうふうにお考えになっているのですか、あなたの御意見だけでけっこうです。
  49. 田口真二

    田口参考人 どうも銀行利子の問題を私がここでお話し申し上げるのは非常に差しさわりがございますけれども……(佐藤(觀)小委員田口個人でいいです」と呼ぶ)田口個人と申し上げましても、あまり田口個人と受け取らないでございましょうので、これは先生お許しを願いたいと思います。
  50. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 時間がありませんから、もう一点坂野さんにちょっとお尋ねしたいのです。  実は広瀬さんがおやめになって、その後局長が空席になっておるわけですが、いま御承知のように、株価はああいうような状態ですから心配ないですけれども、上がるときは静かですけれども、下がってくると、大蔵省証券局、何をやっているというような問題が非常に起きると思うのです。そこで、いま一体投資家保護のためにどういう処置をやっておられるのか。これも簡単でけっこうですから、そのことだけちょっとお尋ねしておきます。
  51. 坂野常和

    ○坂野(常)政府委員 まず株式市場につきましては、ただい東証のほうからもお話がありましたけれども、この跛行相場といわれる市況に対して十分注意して一般投資家が不当の被害をこうむらないような、そういう配慮もしております。具体的には、取引所でもそういう監督をしてもらっておりますし、また各証券会社の営業態度を非常にやかましく言っておるわけでございます。  それから二番目に、証券会社の問題でございますが、これは御承知のように、ここ二年間たいへんに好況が続きまして収益も上がってまいったのでございますが、過去の経験もございまして、株式市況いかんによってはたいへん大きな損害も出るようなそういう仕組みになっておりますので、内部留保を十分厚くいたしまして今後とも健全経営を続けていくように、かなりきびしく監督いたしておるわけでございます。  一方、またいま非常に不振といわれております公社債市場の問題につきましても、流通市場が少しでも機能するように諸種の流通金融等も考えてまいりましたし、また最近、気配交換センターのごときものもつくりまして、やや流通市場を少しでも動くようにというようなことを考えております。  また、公社債の発行市場につきましても、ことし、昨年二回にわたりまして、わずかながら発行条件の改定等もございました。公社債市場も若干ながら進歩の過程にあるかと思います。
  52. 倉成正

    倉成委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。  御退席いただいてけっこうでございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会