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1969-07-04 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月四日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君    理事 渡辺美智雄君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       奧野 誠亮君    木野 晴夫君       正示啓次郎君    辻  寛一君       中村 寅太君    坊  秀男君       本名  武君    村上信二郎君       山中 貞則君    吉田 重延君       阿部 助哉君    久保田鶴松君       佐藤觀次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       河村  勝君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君  委員外出席者         大蔵省主計局給         与課長     相原 三郎君         参  考  人         (国家公務員共         済組合連合会理         事長)     中尾 博之君         専  門  員 抜井 光三君 七月三日  委員大村襄治君、河野洋平君及び西岡武夫君辞  任につき、その補欠として小泉純也君宇都宮  徳馬君及び宮澤喜一君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員宇都宮徳馬君、小泉純也君及び宮澤喜一君  辞任につき、その補欠として河野洋平君、大村  襄治君及び西岡武夫君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十二年度及び昭和四十三年度における旧  令による共済組合等からの年金受給者のための  特別措置法等規定による年金の額の改定に関  する法律等の一部を改正する法律案内閣提出  第五〇号)  昭和四十二年度及び昭和四十三年度における公  共企業体職員等共済組合法規定する共済組合  が支給する年金の額の改定に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第八八号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(広瀬秀吉君外十一名提出衆法第三四号)  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(広瀬秀吉君外十一名提出衆法第三五号)  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する  法律案広瀬秀吉君外十一名提出衆法第三六  号)      ――――◇―――――
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和四十二年度及び昭和四十三年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度及び昭和四十三年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案並び広瀬秀吉君外十一名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  以上の五法律案について、本日、国家公務員共済組合連合会理事長中尾博之君に、参考人として委員会出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中正巳

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 田中正巳

    田中委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
  5. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 大蔵大臣はまだいないわけですね。順序を変えまして、まず長期給付所要財源率の問題からお聞きしたいと思います。  御承知のとおり、所要財源率は五年ごとに再計算されるから、その五年間で、脱退差損、それからベースアップが当初の計算に入っていなかったために不足するものが生まれる、また、平均寿命も延びて給付年数が長くなり、所要財源不足するという状態が生まれますけれども、大体その不足額はどのくらいになっているか。それからそれはどういう傾向であるか。三十四年以降三、四年間ですね、ベースアップに伴って一年に百億円以上のベース伸びている、三十九年にかなりの数字にのぼるということがいわれておりますが、それについてお聞きしたいと思います。
  6. 海堀洋平

    海堀政府委員 ちょうど五年ごと財源率の再計算の時期に当たりまして、今度ことしの十月に、いよいよ掛け金財源率の再計算を行なうことになっておるのでございますが、現在の予想によりますと、現時点での財源率計算は現在のままでいいと存ずるのでございますが、給与改定等に基づきますいわゆる過去勤務債務につきまして財源率を多少上げなければいかぬというふうな事態が出ると予想されております。その場合には、ほんとうは掛け金率そのものをそれに応じて上げるということになるわけでございますが、掛け金率を上げるということは組合員負担にも関連する問題でございますので、現在のところ、その処理につきましては掛け金率を修正しないで、利差益予定利回りの五・五を上回る運用益等によりましてこれを充足してまいりたいというふうに考えております。
  7. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 対策よりも一番重要な問題は、大体五百五十億円くらい不足しているのじゃなかろうかといわれていますが、それはどうか。それからベースアップがあり、どんどん物価が毎年平均五%ずつ上がるということになっていますから、そうすると最近三、四年間は一年に百億円以上のベース伸びているじゃないか。そうすると将来はこれは相当伸びを示していくのじゃないかということについて、まず数字をお伺いしたいと思います。
  8. 相原三郎

    相原説明員 数字の問題ですから私からお答えいたします。  連合会計算によりますと、不足積み立て金は五百四十八億ということになっております。
  9. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 その内訳と、それからそれは今後ずっと伸びていくのでしょう。たとえば三、四年間でもって、さっき私が言ったとおり、相当伸びがだんだん激しくなってくる。そうすると、将来も相当伸びるのじゃないか。そうすると、もう平準保険料方式は破綻するのじゃないかというような心配が生まれていますが、どうですか。
  10. 相原三郎

    相原説明員 数字内訳を申します。ベースアップによる不足とそれから脱退分とを合計しますと、約六百億でございます。それから利差益を引きました数字が、いまお話ししました五百四十八億ということになります。
  11. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうしますと、これは利差益利息相当分をまかなっていくというようなことは、今後進んでいくにつれてうまくいかなくなってくるのじゃなかろうかという心配があって、これは将来制度の上からたいへんな問題になる。そういう心配があるのですかないのですか。
  12. 海堀洋平

    海堀政府委員 制度の上から申しますと、やはり五カ年ごとに再計算いたしまして、現在積み立て金不足がある程度出ているという事態を、利差益でそれの積み立て不足分の要するに利子不足といいますか、それだけはまかなっていける。したがって、今後さらにその事態が、過去勤務債務財源不足というものが大きくなりました際には、あるいは掛け金率を上げていただくという事態も必要になろうかと思いますが、それはそのときの保険数理計算をいたしまして、その時点で妥当な対策検討するということになろうかと存じます。
  13. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 海堀さんはもう単刀直入に結論に出てきましたけれども、三者負担でやっていけば――これはスライドの際も大問題になりますが、三者負担でやっていくと掛け金率が上がるのじゃなかろうかということで、これは非常に大問題になっていることは御承知のとおりだと思うのです。そうすると、掛け金率は上がることも予想したような言い方ですが、これは政府の重大な食言行為ではないかと思うのです。それをひとつお聞きしたいと思います。  まず第一番目に、三十四年当時、この制度がいろいろ議論された、非常に集中して議論されたときに、担当の大蔵省給与課長さんだった岸本さんが、三者負担は無理じゃなかろうかという個人的な考えから、これは「公務員年金読本」という本にはっきり書いてありますが、ちょっと読み上げますと、「まず、公務員年金のレベルが一般民間と比較して妥当なものであるかどうか、また、それに対する公務員負担がその経済能力に耐えるものであるかどうかということが」「責任準備金不足が生じた場合、誰の負担でそれに対処させるかという問題」のときに非常に疑問だというのですね。そう書いてあるのです。「退職後に一般民間なみの生活も保障できず、また、公務員経済能力を越える負担を強制してまで、保険制度の原則を貫くということは、実際問題としてはできる筋合いのものではありますまい。」こういうはっきりとした言い方をしているわけです。まず、これにお答え願いたいと思います。
  14. 海堀洋平

    海堀政府委員 御存じのように、社会保険制度というものは、公務員につきましては共済組合、それから民間社会保険につきましては厚生年金制度というものが、ほかに国民年金もございますが、比較すべきものは厚生年金制度じゃなかろうかと存じます。厚生年金制度におきましては、御存じのように勤務しました期間のそれぞれの標準報酬というものを基礎にいたしまして年金額計算している。しかるに共済制度におきましては、非現業におきましてはやめる前三カ年というものをとり、さらに公企体共済組合ごときは最後の報酬をもって年金計算基礎としている。そこに相当制度の厚さというものに違いがあるわけでございます。したがいまして、過去勤務債務についての財源不足というようなことも、そういった手厚い制度、要するに厚生年金制度に比較して手厚い制度から出てくる部面が多分にあるわけでございます。これはやはり、それぞれの人たち積み立てといいますか、いわゆる積み立て方式だけではなくて、世代を通じました、要するにある程度世代を越えた相互負担というふうな考え方を取り入れて処理するということもまたやむを得ないのではなかろうかというふうに考えられます。
  15. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、現在の組合員が過去の組合員費用負担しなければならぬということをはっきり言っておるわけですね。これについて当時の給与課長さんがそういう見解を述べている。社会党の横川正市さんがやはりあの当時の佐藤大蔵大臣に質問しています。三十四年四月二十七日の速記録を読みますと、佐藤大蔵大臣もやはり海堀さんの御意見と御返事はちょっと違うのですな。それで「この料率の問題と給付の内容でバランスをとるんだと言ってしまえば味もそっけもなくなりましょう。その点はそういう事態に当面したときに、十分理解ある処置をとるように今も御意見が述べられましたから、私どもその点十分記憶にとどめまして、今後対処して参るようにいたしたい」当時の佐藤大蔵大臣はこう言っておるのですね。そうすると、いま福田大蔵大臣のずっと順序になってきたのですが、それで重要なことは、そのあとの参議院の内閣委員会で、三十四年四月二十八日の附帯決議があるのです。その附帯決議では、八項ですが、「ベースアップにより赤字の生じた場合、公務員負担が過重とならぬよう配慮する。」というはっきりした附帯決議があるのです。これは海堀さん御存じですか。
  16. 海堀洋平

    海堀政府委員 その附帯決議そのものは私いま伺ったわけでございますが、そういった種類の附帯決議はたびたびいただいておりますし、私どもも五年ごとの再計算の場合に、その時点で勤務します公務員長期給付に対する負担ができるだけ上がらないで処理ができるような方途が見出せれば、それはそういう方向でできるだけ考慮はしたいという気持ちには変わりありません。ただ、必ず掛け金率を上げないで処理ができるのだ、あるいはするのだということは申し上げかねる次第でございます。
  17. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 掛け金率を上げないで処理する方法は幾らでもあるわけです。その一つ方法は、いつも言われるように、厚生年金は二〇%国庫負担になったのだから、それに応じて共済組合のほうも二〇%国庫負担にすれば非常にうまく好転するのですが、それについて海堀さんはどう思いますか。
  18. 海堀洋平

    海堀政府委員 それは給付水準との関連がございますので、単にパーセンテージだけで議論することはいかがかと存じます。現在共済組合におきましては一五%でございますが、給付水準自体が先ほど申し上げましたように、公務員共済年金制度厚生年金制度には差がございますので、もしそれを、どちらに比較して申したらいいのか、たとえば共済制度と同じ給付をするとした場合におきます厚年に対する負担割合というものを計算しますと、大体今度の二万円年金にしましても一二、三%というところになるのじゃなかろうか。要するに、被保険者に対してもし国家が一定の額で負担しているといたしますと、厚生年金よりも共済年金のほうがまだまだ手厚い国庫負担をしているというふうに御理解いただきたいと存じます。
  19. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そこで、大蔵大臣に重要な問題についてお伺いしたいのですが、いま厚生年金よりか共済のほうがいろいろ手厚いと言っておりますが、現実一つ例をとります。  これは厚生省の公務員で四十二歳、行(一)四等級号俸、十七年五カ月つとめた人ですよ。現在月給が六万五千円、その人がやめた場合退職金が百十二万円、年金の一時金が九十六万円、合計して税込み二百万円。ところが、この人のかけた掛け金は、現在の時点でいいますと、共済組合短期で千八百七十二円、長期で二千七百四十六円、合計四千六百十八円毎月引かれているわけです。これは物価が上がったとか、長期短期の別を除いて、きわめて単純化して、庶民の素朴な感覚で見ますと、月々四千六百十八円をかけていて、それがよそのワリコーやなんかで利息計算します。大体七分で計算してもけっこうです。それでこの十七年間大切につとめ上げた年数計算しますと、ほぼ百万円、複利計算をしたらもっとになりますね。百万円は返してもらえるはずなんです。そうしますと、ここで一時金のほうが九十六万円ですから、これを充ててもいいし、退職金が百十二万円ですからこれを充ててもいいですが、ほぼ見合っております。これを引きますね、これは自分がかけた金だから返してもらう、複利計算してやったらもっと高くなるが、返してもらう。というと、二十年近くつとめていて百十二万円もらうということなんです。二十年一年懸命つとめた、ほとんど半生つとめていまして――高級官僚の方のように次々といい会社へ行くということはないのです。二十年近くつとめて百十二万円、これじゃどうにもならない。中小企業に働いている人、問屋の番頭さんなんか、何てばかばかしい、飛び出しちゃえということが、国で一番大切な仕事をしている公務員の場合にはこういう形になるわけです。  そうすると、掛け金をかけて、それは返してもらって、あと百十二万円というのじゃ、これはとてもじゃないけれども、恵まれているとか手厚いとか言えないと思いますが、大蔵大臣どうでしょう。
  20. 海堀洋平

    海堀政府委員 先生前提で一点どうかと思われる点は、短期給付掛け金というものは大体医療でございますが、これはたぶんその方も、本人も御家族も、その期間共済によって――全然病気をしなかった場合を仮定して考えることは論理的には非常におかしいのではないか、したがいまして、まずその短期掛け金は、そのくらいの人でございましたら、医療費との関係ではプラスに出ているのではないか、これは平均的なことで出ておりますので、その分はまず除いていただいて複利計算をしていただかなければならないのではなかろうかと存じます。  長期の一時金につきましては、もちろん本人のかけた分は五分五厘の複利計算いたしております。それから国が負担しているもの、すなわち公経済の主体としての国並びに使用者としての国が負担している分は、二分の一はやはり複利計算したもの、それが一時金の基礎となっておるわけでございます。ただその場合に、共済制度でございますので、やはり共済年金期間までつとめた人との関係では、一時金をもらう人のほうが多少不利になっているということは言えるかと存じますが、その一時金自身が非常に非合理だということではなかろうか、あるいはその体系上その年金をもらう方と一時金をもらう方とのバランスというものがどうあるべきかというふうなことは検討すべき課題かと存じますが、かけた分が返らないのだというふうなことにはなっておらないことは、もう先生とっくに御承知のことと存じます。非常に低いじゃないかという議論は、やはりこれは給与からある掛け金をかけていくという場合に、やはり給付負担バランスをどこに置くかということで現在の共済制度考えられているという点で、掛け金をもっと出してもっと給付を厚くしてもいいではないかという議論も成り立ち得ると思っております。
  21. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 掛け金を上げてというのはよけいなことでして、庶民感覚からいいますと、会社へつとめていても同じですが、病気をされると会社は困る、ですから国も困る、そうすると、国とか会社とか、そういう立場から見ても、病気をされてはかなわないから、ちゃんとそういう健康の配慮をする。これは両方なんですね。その当人にとってのしあわせばかりでなく、両方なんだから、庶民感覚からいうと、短期長期全体で毎月四千六百十八円かけているのだから、やめた場合に、それを返してもらって、ほかに百万円しか退職金がないというんだったら、これはもう民間の大きな会社から比べたら――ことに失礼ですけれども主計局次長クラスでどのくらいですか、五百万円ぐらいだろうといわれていますね。そうすると、大きな会社で二十年つとめて重役さんが退職したときに、大きな会社でなくても、ちっちゃな信用金庫や何かの人でも一千万、二千万と、ちゃんとそういうのがくると思うのです。そういうことを考えますと、今度は下の行(一)四等級号俸くらいの人だったら、これはとてもじゃないけど、百万円というのでは頭にきちゃうのです。だから、いろいろこまかいことの理屈は抜きにして、大蔵大臣、いまの公務員老後手当その他については、これは十分ではないとお考えになりませんか、どうですか。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 勤労者老後の問題ということは、これからわれわれが当面する大きな問題だろう、こういうふうに考えておるわけです。そういうようなことで、各種の制度の問題、これはバランスをとりながら考えていかなければならぬが、いま御指摘の一つのケースですね、十七年というんじゃまだ老後とも何ともいえない段階で、二十五年、三十年あるいは三十五年という際にどういうふうになりますか、いま、私も数字を持っておりませんけれども、どうも十七年というところじゃ感触が出てこないような感じがするのです。しかし、ことに国家公務員は大事な職務を執行しているのですから、老後の問題というものについては、私は重大な関心を持っております。
  23. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 十七年とか二十年じゃちょっとわからぬと言われますが、そうすると、今度は、五十五歳で退職した場合には、これは六、七〇%もらえるということになりますけれどもあと物価が年々五%ずつ上がるのですね。十年たつと五〇%、半分ですね。貨幣減価が起きるということになりますと、これはこれでまた全然いまの経済政策のもとではもう立ち行きません。  それで、広瀬委員スライド制の問題を非常にお聞きしましたけれども、これは重大な問題だと思いますが、大蔵大臣いかがですか。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは、問題は物価の問題から起こるわけで、とにかく物価問題を克服していくということが最優先の問題である、こういうふうに考えるわけであります。しかし、現実の問題とすると、なかなかこれはそう簡単な問題じゃない。そこで、受くべき額が実質的にその価値を保証される、こういうような観点から、どういうふうにすればいいかということをただいま検討中なんです。御心配の点につきましてはいま努力をしておる最中である、かように御了承願います。
  25. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 物価の問題は重大だとおっしゃいますが、重ねて言うとあれですけれども物価安定推進会議のあれでは、五%はもうこれはやむを得ないのだという言い方をしておるし、政府の方針は、経済成長率は一〇%だ、こう言っているわけですから、みんなそれで気をよくしたと思ったら、一〇%は大体消費者物価五%に見合うわけですから、そうすると、それがずっと続くという政府の基本的な方向がきまっているということになると、これは目下考慮中だ、考慮中だと言いますけれども、大体恩給審議会で答申があって、それで四十五年度を目標に、四十四年度にはその前提の一本化、公務員賃金との格差是正措置を完了ということになっている。その後、もうこれは期限が来ているときに、公的年金制度調整連絡会議でいろいろ検討中だと言うのです。いつか、いつかとずっと待っているのですが、四十三年七月と言い、四十四年三月と答弁しているわけです。というと、この間の公的年金制度調整連絡会議で、ずっと議論したりなんかしてさんざっぱらやっているのですが、健康保険特例法の問題と同じです。抜本改正を二年間でやる、二年間でやると言って何にもやらなかったのと同じで、いつまでたっても、これはどうなるんだという意見がみんなあると思うのです。一体この連絡会議でどのくらいのことをやっているのかということをみんな聞きたいと思うのです。大体、公務員は三年間の平均でいろいろ基準をきめる、公共企業体最終年限できめる、これは最終年限できめるのはあたりまえな話で、それでその議論がかかっていると思うのです。ところが、それをどっちにするかきまってない。その問題を含めまして、この議論は一体どうなっているのかお聞きしたいと思うのですが、海堀さんどうですか。
  26. 海堀洋平

    海堀政府委員 社会保険制度は、現在、公務員あるいは公企体、それから一般民間の被用者、それから国民年金でカバーされる自営業者といいますか、それぞれ制度が別になっておりまして、これをいかに調整するかということは非常にむずかしい問題でございます。  で、この調整連絡会議は四十二年七月六日に総理府に設置いたしまして、各般の問題につきまして努力いたしておりますが、ただいま御質問がございましたスライド制等につきましてもいろいろ検討しておりますけれども、これが費用負担あるいはやり方というようなものにつきましても各般議論がございまして、まだ確とした結論を得るまでには至らないで、現在鋭意検討を続けている次第でございます。
  27. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それじゃ答弁にならないと思うのです。私が聞いたのは、公務員公共企業体のあれでもって、レベルダウンして公務員のほうにしわ寄せするんじゃないか、そんなことになったらたいへんですから、それでレベルダウンしないでそういうことをするのか。  それからもう一つは、三者負担制というのは大問題になると思うのです。結局たいへんな問題ですが、スライド制方向に国として努力する、そのかわりに掛け金は毎月の月給からばりばり――先ほど給与課長さんが言われたように、能力を越えた限度でばりばりやられたら、とてもじゃないけれど、これは改悪になってしまう。そういう方向がどうなるだろうかということで、三者負担制がここでもまた問題になる。その点について具体的にお聞きしたいと思うのですが、どうでしょう。   〔委員長退席倉成委員長代理着席
  28. 海堀洋平

    海堀政府委員 いまのスライド制の問題でございますが、年金の実質価値を維持していきたいということは非常に重要な課題であると存じます。ただ、年金の受給者だけが自動的に他の事情、他の施策と関連なしにそういう恩典を享受し得ることにすることについても、またいろいろと問題があろうかと存じます。さらに、先生のお話にもございましたまうに、それをだれがどのようにして負担するかということについては、さらに困難な問題があるわけでございます。それぞれの立場から意見を出し合いまして、現在鋭意検討をいたしております。結論を得るまでにはまだ至っていないわけでございます。
  29. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 まだ全然納得しないのですがね、具体的な答弁はないのです。  大蔵大臣にお聞きしますけれども、そうすると、いま私が御質問した中で、物価は今後五%とというのじゃなくてせめて二%だとか三%だとか、こういうことについての大蔵大臣のお話をお聞きして、私は、消費者物価は毎年五%があたりまえだというような感触に受け取れたのですが、そういう見通しなのか、それとも五%を断固としてだんだんと縮めていくんだ、そういう返事がなければこの問題は重大な問題になるのです。その点についてどうですか。
  30. 福田赳夫

    福田国務大臣 広沢さんはいま五%、これが政府の目標のようなことをおっしゃいますが、そういうことじゃありませんです。これは四十四年度は五%以内を目途とする、こういうのですが、それ以降においては物価はだんだんと下げる方向に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけです。いま経済社会発展計画というものも再検討をしておる最中ですが、その間物価の問題をどう考えるか、こういうことは非常に大問題なのですが、これを五%でもう安心しておるのだというような考え方はどこにもありません。何とかしてこれを克服していきたい。これからの問題をいろいろ経済はかかえておるわけでございますが、その第一の問題は何といっても物価問題です。公害問題あり、また過密、過疎の問題あり、いろいろあります。それらとともに最も重大な問題は物価の問題だ、こういうことでこれからの経済政策考えていきたい、こういうのですから、さように御了承願います。五%、これでいくんだなんという考えはどこにもありませんから、はっきり申し上げさせていただきます。
  31. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうしますと、消費者物価が五%上がるというのはよくないのだ、こういうふうに受け取れますね。それでは、いま具体策はなかったのですが、ことしだって五%にプラス、運賃の値上げや何かはあの計算の中には含まれていませんからね。まあ資本主義社会だからどのくらいにするといったってそういかないけれども大蔵大臣として、五%がいけないのだったら、それじゃ大体どのくらいまで下げればいいんだという、そういう努力目標はあるはずでしょう。それでなければいろいろな計算、具体的政策は整いませんが、それについてはどうなのですか。
  32. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは経済成長の高さと非常に大きな関連があるのです。そればかりじゃありません。企業、特におくれている中小企業、農村、そういうところの近代化、合理化、こういう問題とも強く結びついている問題でありますが、とにかく一つは成長の高さと非常に関連がある。その高さをどの辺に求めるかというような点ですね。それから、近代化、合理化というようなコスト要因の面でどれくらいな成果をあげ得るかということとも密着する問題なのです。そういうようなことを総合的に見当をつけて、そうして物価水準というものが出てくるわけなのでありますが、それらを一体どうするか。それから賃金問題も物価問題に非常に大きく相関的に関係してくる、これは御否定はなさらぬと思います。これは関連は非常にあると思います。  とにかく、いま長期な展望につきましては、経済社会発展計画をどういうふうに位置づけするか、こういうことで検討しておりますが、しかし、物価の問題は下げる方向に持っていきたいということだけは、はっきりひとつ申し上げさせていただきます。
  33. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 あまり物価問題には入りませんけれども、賃金のほうに責任があるようなことで、御否定なさらないだろうということですが、そう言われると、やはり物価問題は一番重要なのは財政金融政策であろうし、最近の関心は、財政金融政策に非常に重点の置かれたのはアメリカの中の意見でも出てきておりますから、やはり物価問題について五%はいけないのだとすれば、財政金融政策の面で相当いろいろ努力しなければいかぬと思うのです。大きな企業では、これはもちろん賃金が物価上昇の原因ではない、これは大蔵大臣は認めますね。大きな企業ではそうである。中小企業、農業の面でいろいろ問題がある。この間朝日新聞の「声」の欄で、大企業の消費財、自動車とかそういうものばかり、どんどん設備投資に注ぎ込んで、一番大切な食、住に金が回ってこない、だから非人間的な生活環境と消費者物価の値上がりを招くといって、財政経済の根本的な問題もそこに提起しているのです。  そういう問題を加味して本論に戻りますが、五%がいけないので何とかして下げるというのですが、その下げる方法が具体的に見当たらない場合に、大体世の中の人は五%ずつ上がるという計算でやっております。これは私の主観的なあれではなくて、いろいろな経済雑誌を見たって何見たってそういうことが全部書いてあるのです。今度の発展計画でどういうふうになるか、これは私、よく見たいと思うのですが、そうしますと問題が出てくるのは、もとに戻して、スライド制をとったら三者負担ということで掛け金相当重くなると思うのですが、それについての、たとえば五%であるという見通しでどのくらいまで、ずっとやったら限度が来るかということを主計局では計算をされているのですか。それともいろいろの連絡会議や何かがあるから、そういうところで計算をして対策を立てているのか、どうでしょう。
  34. 海堀洋平

    海堀政府委員 もちろんスライド制といいますか、ある程度年金の実質価値を維持する場合に、過去にやめられて現在年金を支給されている方々についてどの程度の額が必要かというようなことは、それぞれの仮定を置いて計算をしております。そしてその額がどの程度か、あるいはどのように負担さるべきかというようなことで、いろいろと議論をしているわけでございますが、毎年五%上がるというふうな仮定を置いて長期にわたって計算をしたというふうなことはございません。
  35. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると全然隠しているのか、それともこの二、三年間連絡会議議論をしているとかなんとかいうことで、もう全く任務を果たしていないといったらいいと思うのです。もうほんとうに財源率の再計算の問題でも、利子の差との相殺というのはこれは暫定措置なんです。それがますます行き詰まってどうにもならぬようになってくる。将来どうなっていくのだ、三者負担になってきて掛け金が重くなるのではないかという危惧の念があって、それでごたごたしていて、いろいろ基本的な問題がきまらない。その上、さらにまたスライド制の問題が国会で決議され、いろいろやっていて、何年もずっと議論していてスライド制計算しないというのは、私たちには全く考えつかないのです。頭脳優秀な見通しのきく大蔵省の主計局として、ふだん何をやっているのだということになるけれども、どうでしょう。
  36. 海堀洋平

    海堀政府委員 現実的にはそういった方式を検討するとともに、現在御提案いたしておりますように、恩給の改定に準拠いたしまして、現に年金を受給している人の改定をここに御提案をしているわけでございます。これは現在のベースまでには来ていないと思いますが、相当程度の改定を現在御提案をし、これにつきまして、いわゆる恩給期間は別といたしまして、共済期間につきましては、こういう負担財源率計算するということで、国庫負担考えて、それに現在の掛け金負担考えまして、ここに過去の年金の受給者の年金改定現実に御提案しているわけです。とともに、それを今後どういうふうに持っていくかということを将来の方向として御提案して研究しているわけでございますので、現実にその年金額改定をとめておきまして、ただ漫然と将来の方針を議論しているわけではございませんで、現実にここに二〇%を四四・八%に変えるということを御提案しつつ他方で検討をいたしているわけでございます。  その点、非常にむずかしい問題でございますので、将来どういうふうな形で持っていくかということについて慎重に検討しているわけでございまして、現実年金受給者の立場はやはり現実にこの法案によって解決していきたいというのが、現在の政府の立場でございます。
  37. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 今度出た法律の改正については、それは恩給追従のその場その場の改定で追っかけているわけですよ。問題は、私は追っかけていることを言っているのではないのです。これは始終繰り返さなければならぬ。そのたびに、時の差でもって損する人も出てくる。それ以上に問題は、この制度は今後破綻するのじゃないか。財源率計算でもだんだん赤字額がかさんでくるのではなかろうか。そうすると、もういままでのびほう策の利差益を差し引くというやり方はとれないのじゃないかといわれているのですよ。その上またスライド制でもってやろうなんということを考えたらば、この二つの問題をプラスした場合には、根本的なことを考えないと、やはり三者負担に持っていかれるのじゃないかという不安があるのです。これが重大な問題で解決してない。解決してないで毎年ずっと繰り越されて、最後に健康保険特例法みたいにぼかっと掛け金負担のほうにしわ寄せされる、そういうことになったら困るのじゃないかというのがみんなの不安なんだから、その点をお聞きしているのです。  もう一つお聞きしますが、ここに、御存じだと思いますが、「長期給付制度の基本的な諸問題について」というので、共済組合連盟業務調査会の委員長さんに長期給付専門委員会委員長堀込さんが報告をしている文書は御存じだと思うのです。これはもう一回読み上げますけれども、三番目に「給与改定及び支給額改定の追加費用について」という問題です。いまの問題ですね。「現行法においては、給与改定による現在職員の不足責任準備金負担は明文化されていないので、これによる組合の不足財源は何等措置されていない。将来の給与改定は、国の経済政策に左右される問題であり、」つまり五%アップですね。五%ずつずつと消費者物価が上がる。「使用者給与政策の問題であるから、あらかじめ財源計算上織り込むことは不可能であり、」と書いてあるのです。私たちが見れば、計算することもできるのですよ。「もし、これを五年ごとの再計算によって財源率に加えるものとするならば、将来の職員が過去の職員のための不足財源負担することになり、職員の負担の均衡を保つため平準保険料式によって算定した掛金を徴収するこの制度の根底をくつがえすものである。」   〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕 否定的ですね。「一方、積立金の運用については極めて厳重な規制を加えているので、組合自体で、この不足財源を獲得すべき方法はない。」いいですか。「従って、給与改定による組合の追加費用は国及び使用者負担すべきものと考える。」国及び使用者ですよ。掛け金増額とはここに書いてないのです。それから「年金受給者に対する年金額改定については、任意制度でなく強制保険である公的年金制度である以上、退職時に有する経済的価値が将来にわたって確保されるのでなければ年金制度の価値は極めて薄い」大蔵大臣、そう言っているのです。「すなわち、貨幣価値の変動に対応して改定することによって老後の生活保障が確保される。従って、物価水準に対応して改定されなければならない。」これが御承知のとおりスライド制ですね。「これに要する不足財源は前記と同様の趣旨によって国及び使用者負担すべきものと考える。」これは労働組合の発表したやつではないのですよ。ちゃんとした御承知のとおり「共済新報」に載っておるし、共済組合連盟でやっておる。これはお互いに大蔵省の給与課長クラスの方、各省の給与課長の方が集まったりなんかして、十分討議した問題であろうと思うのです。  そうすると、一番初めの佐藤大蔵大臣の答弁、それから参議院の内閣委員会附帯決議――いつも附帯決議がついていますが、そういうものに沿っていまこれがきちっと出ているのだから、三者負担、三者負担なんといっていつも大蔵省が連合会をおどかすということはいけないと思うのです。年がら年じゅうそれがずっと不安の一つ原因をかもしていると思います。ここまではっきり言っているのです。三者負担でいいと言っているのは大蔵省だけなんです。おそらく主計局次長も本心はやはりこれはちょっと無理じゃなかろうかと思っているのだろうと思うのです。役目上いろいろ考えざるを得ないということだろうと思うのです。そうすると、さっき私が言った国庫負担の率を厚生年金のように増額しなければいけないのじゃないか。経済は高度成長しているし、法人税の負担は、大きな会社はイギリスと並んで世界一安いのですから、利子配当の問題がきょうの新聞に出ていますけれども、ああいうものを断固としてやれば、公務員のこの問題は解決すると思うのですよ。  そういう点で、大蔵大臣は、やはり三者負担というように簡単に大蔵省が始終言っていることについて、これはやはり混乱を起こすということで、佐藤さんに次いでひとつ前向きにこの問題の処理考えなければいかぬと思いますが、大蔵大臣、どうでしょう。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 年金受給者の実質価値を維持しよう、こういう努力をいたしておるわけで、その際問題になるのが、いま御指摘の財源問題であります。財源をどうするか、これが非常にむずかしい問題でありますので、わざわざ連絡協議会まで設けて、国政全体の中における共済年金制度のあり方はどうだ、こういう検討をいたしておるわけなんです。三者負担ということを非常に排撃されるようでありますが、考え方とすると、筋は三者負担という筋でいいのだと思います。ただ、そのやり方に非常にむずかしい問題もあるし、ことにスライド制ということになると、これは非常に大きな問題で、経済政策の根幹に触れる問題なんで、これはよほど慎重にやらなければならぬというのがただいまの考え方でございます。
  39. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 三者負担が筋だと言うけれども、筋じゃないのですよ。いままで私ずっと、繰り返してお話し申し上げますけれども、いま例にとった公務員でも、短期長期と合わせれば四千六百十八円の負担なんです。この人は六万円で、加給がありますから七万四千円にしても、所得税、地方税が六千二百九十円だから全部で一万円負担しているのです。それで宿舎や何かいろいろ配慮されればいいけれども、宿舎の問題なんかあったらぎりぎりですよ、これは。それをまたさらにふやすというのは負担能力を越えてしまう。そうすると三者負担、三者負担と言うけれども、毎日毎日の公務員の生活を脅かしているような形で問題を解決したってしようがないです。それだったらばどのくらいの財源がかかるのかわからぬけれども所要財源についてのいろいろの資料要求したいと思うのです。それについて国が厚生年金と同じ二〇%に一五%を引き上げる。国のほうはそのくらいの程度のことはしたって、私はこのほうが筋が通っていると思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 厚生年金が二〇で共済組合が一五だ、これについてはいま事務当局から説明しますが、とにかく三者負担という原則ですね、これは私は原則として尊重しなければならない考え方である、こういうふうに考えておるのです。ただ、公務員の現在の生活を維持し、しかも老後の定安をはかるこの基本的な考え方、これをどういうふうにするか。老後問題というのは公務員ばかりではないのです、これはもうあらゆる国民にとってこれから大きな問題になってくる。ことに経済がこう成長する、その摩擦として多少の物価の上昇というような現象も起こるかもしれない。そういう際にどういうふうな考え方をとるか、これは非常に大きな問題なんで、政府全体としてもこれに大きく取り組んでいく、こういう考え方を持っておるのでありますが、しかし、これはなかなかむずかしい問題であるというので、臨時応急の措置としてただいま御提案申し上げているような対策を要する、こういう見解に立っているわけであります。
  41. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 あとでまた聞きますから。  確かに私の質問のしかたがまずいものだからあれですが、つまり、三者負担というのは筋だと大蔵大臣が言われるのは、結局公務員勤労者だからやっぱり負担しなければならぬという意味では筋なんですが、私の言っているのは、一般論ではなくて特殊の、具体的ないまの問題ですからね。そういう点からいうと、大蔵省が三者負担といっている言い方が非常にみんなに不安を起こしているのです。公務員共済全体に不安を起こしているのは何かといったらば、三者負担を公平というのではなくて悪い比率ですな、悪い比率でもって一方的に――国はうんとお金を持っている。ところが、公務員個々の人たちはわずかな月給である。そこらが同じ比率ですぽっとくるということについては、これはとてもじゃないけれどもひどいものだという意味の三者負担だと思うのですよ。だからやはり公務員のほうはほんの少なく、ちょっぴり百円くらいとか国の負担は大きくするということでも、これはやっぱり三者負担なんです。これは実情に沿った合理的な三者負担なんです。  そういう点についての財源をいろいろ検討しなければいかぬですね。この率にしたらどのくらい、この率にしたらどのくらいということを親切に検討したものを公に出して、それではこうだこうだといえば、それではこのくらいの財源ならジェット機一機節約したら二十億円だから出るじゃないかとか、いろいろな内容が出てくると思うのです。そういう点について主計局のほうでちゃんと計算した資料や何かはあるのですか、そういうものは討論の素材になっているのですかということをお聞きしたいと思います。
  42. 海堀洋平

    海堀政府委員 前に厚年制度につきましてのお話、要するに厚年においては社会保険の主体としての国が二〇%やっているではないか、共済については一五%しか持っていないではないかというお話でございましたが、これは先ほどお答えいたしましたように、給付水準は、厚生年金制度におきましては、今回いわゆる二万円年金に引き上げられましても、現在の共済年金制度のいろいろな考え方がありますし、またそれぞれの層によって違うかと思いますが、大体六〇%ないし七〇%程度の給付水準でなかろうかと存じます。したがいまして、共済組合の一五%の給付というのに対してその二〇%の給付は、現実的に共済と比べます場合には一二%ないし一四%程度の国の負担だというふうに考えていただきたいと思います。したがいまして、それぞれの被保険者に対する国家助成の額を絶対額でとった場合には、やはり共済組合に対する社会保険の主体としての国の負担は大きくなっておるというふうにお考えいただきたいと存じます。  それから、先ほどいわゆるベースアップあるいはすでに年金を受給しておる人たち改定に伴いまして要する追加費用につきまして、三者負担の原則をとることは非常におかしいではないか、あるいは組合員に無用の不安を与えているではないかという御質疑の点でございますが、現在の社会保険制度自体、基本的には積み立て方式をとっておるわけでございます。しかしながら、長期にわたるこういった社会保険でございますので、ある程度賦課方式的な考え方を加味して、同じ職域で過去に勤務した人のものをある程度現在現実に働いておる人が見、さらにその人たちがやめた場合には将来続く世代がそれの費用の一部を負担するということも、決して社会保険制度としてはおかしいのだということにはならないのではなかろうか。それはやはり積み立て方式というものを基本にしながら、ある程度そういったことを加味していくということは、経済が伸展し、現実につとめておる人たち給与も上がっていっておるわけでございますから、そういった異なった世代がお互いに同一職場におることによる負担を過去の人に対してとり、また、自分の将来の負担を将来の世代の人にしていただくということも、決しておかしくはないのではなかろうかというふうに考えております。
  43. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 もう時間になりましたけれども、いまの御答弁では物価値上げの責任がどっかにいっちゃっておるんですね。物価値上げの責任は政府の政策にあるのです。国の責任です。いわば国の責任というか政府の政策にある。責任はそこにあるんだったらば、ただ現在、将来お互いにかばい合って掛け金を高くしてひいひい言っておることはない。それは国が物価を上げておるのだから、やはり国がそれに伴ういろいろな問題、赤字の問題、その他の問題については十分責任をとらなければいけない。それが同じ比率でもってやるということでは、これはもう自分たちでかぶってしまうという、公務員がそれぞれかぶる、毎月毎月の月給袋でかぶるということになるから、それはよくないと私は思うのです。けさの新聞で、国税庁の課長補佐の奥さんが子供がそこひになったからというので一家心中してしまったという記事が出ております。つまり、それだけ非常に将来の不安というものを持っておると思うのです。いや、これは個別的だ、こういうことでは済まされないと思うのです。民間と比べると、先ほど私が具体的に言ったとおり、中小企業の問屋の番頭さんでも、二十年つとめて百万円じゃ、これはばかばかしいということですよ。大企業にとってはなおさら。民間会社の重役ですら、五百万円だったら、とてもじゃないけれども退職金といえない。そうすると、公務員共済の問題を手厚くしたからといったって、だれもけしからぬとは言わないです。議員の歳費値上げについては文句を言う人でも、公務員のこの問題については文句を言わないと思うのです。国の大切な仕事をしていて、営利事業やなんかでもっての副収入はないはずです。そうすれば、やはり十分手厚く考えるというのは当然だと思う。したがって、いま私がお聞きしましたところでは、所要財源率の問題も片づかないで、それでだんだん累積する赤字をいままでの利差益の相殺方式じゃだめだ、もう破綻するといわれているので、今度スライドをやるやるといったって、とてもじゃないけれども十分な対案だって出てきませんよ。  それですから大蔵大臣、特にこの問題について本格的に、これは長年の懸案なんだから、国会の決議は始終行なわれているのですから、私はお願いしたいと思うのです。具体的に民間のいろいろの会社、大企業とか、大もうけして人を殺すような排気ガスやなんか一ぱい振りまいている利潤一方の自動車会社とかその他、こういうところと比べて、公務員共済退職年金、こういうものは低いと大蔵大臣はお考えになるかどうか。お考えになると思うのですが、そうしたら抜本的には、物価が恒常的に上がっているとき、公的年金スライド制の問題についてまずいろいろ本格的に取り組む。もう取り組みは終わっちゃって結論は出ているはずです。その二点の問題についてお伺いして、あと所要財源については主計局にいろいろと、こうした場合はどうだ、こうした場合はどうだということで、具体的に資料要求しまして、それに基づいてお互いにいい制度をつくるために努力したいと思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いします。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は、要するに今日のつとめ人の生活と老後の生活の水準のバランスをどういうふうにするか、こういう問題だと思うのですね。その際、物価問題というのが非常にこの問題の解決をむずかしくする要因です。それからもう一つは、財源をどういうふうに調整するか、こういう問題があるわけであります。とにかく今日の生活をどの水準にとったならば老後の生活の安定が十分にいくかということがその中心の課題、つまり解くべき命題である、こういうふうに考えておるわけなんです。そう考えると、これは非常にむずかしい問題なんで、いま申し上げているとおり連絡協議会までつくりまして検討いたしておる、こういうことなんですが、すみやかにその検討を進めたい、かように考えます。
  45. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 公と民間と比べて、退職金や何かの点では恵まれていますか、恵まれてないか。
  46. 海堀洋平

    海堀政府委員 社会保険としての厚生年金共済年金とを比較いたしますと、給付水準におきましては、先ほど申し上げましたように、今回の厚生年金法の改正後におきましてもなお公務員のほうがいい。大体公務員給付水準、要するに共済年金給付水準を一〇〇といたしますと、厚生年金給付水準は六〇%ないし七〇%程度であろうと考えます。  それから退職金につきましては、公務員退職金民間平均的なるものをとって定められたと考えられます。したがいまして、非常に収益の高い企業等に比べますとあるいは低いかと存じますが、民間におきましても必ずしもそういいところばかりではございませんので、公務員給与と同様に、退職金規定もほぼ民間平均的なところにあるものというふうに考えております。
  47. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それは庶民感覚からいっておかしいですよね。だからこれはまたあらためて、十分いろいろな材料を中心にして議論したいと思います。  以上で終わります。
  48. 田中正巳

    田中委員長 ただいま参考人として、国家公務員共済組合連合会理事長中尾博之君が御出席になりました。  質疑を続行いたします。平林剛君。
  49. 平林剛

    ○平林委員 きょう私は、国家公務員共済組合連合会の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思ったのでありますけれども、その前にもう一つの問題を先にやらしてもらいたいと思っております。その間、参考人にはしばらくお待ちをいただきたいと思う次第です。大蔵大臣にも、これから私が展開する質問を少し聞いておいてもらいたいと思っておるわけでありますが、とりあえず質問を始めます。  国家公務員共済組合あるいは一般公共企業体共済組合に加盟をしておる組合員の扶養家族に対する取り扱い、これは何か特段の定めがあるのでしょうか。つまり、組合員共済組合員証をもらいますね、その組合員証の中には本人並びにその扶養家族の名前が書かれておるわけでありますが、特に配偶者の場合、ある程度一定の収入があると扶養家族の取り扱いを受けなくなるというような限度といいますか、収入金額の限度というものがきめられているのですか、どういう実情になっていますか、それをまず伺わしていただきたいと思います。
  50. 海堀洋平

    海堀政府委員 年間の収入が十二万八千円を限度といたしまして、それ以上の収入がある場合には被扶養者というふうには認定しないということになっております。
  51. 平林剛

    ○平林委員 年間十二万八千円までの所得がある間は扶養家族の取り扱いを受けるが、それをこえると扶養家族の取り扱いを受けることができないという実情であるということがわかりました。  国民健康保険のほうはどうなっていますか。国民健康保険も同じように一般の国民が健康保険に加入をする。そうすると、その保険証の中には世帯主である本人、家族とありますが、家庭の主婦がもし年間に一定の収入があれば、健康保険給付、これが扶養家族として取り扱われなくなる、こういう限度額があると思うのですが、それはきょう厚生省が来てないからちょっとわからぬが、大蔵省あたりに答えていただきたい。
  52. 海堀洋平

    海堀政府委員 御存じのように、国家公務員共済組合の場合の短期給付は、私なら私というものの俸給についてかけまして、それは扶養家族が何人あるから俸給に対して幾らというのではございませんので、私が十人被扶養家族を持っておりましても、私の俸給に対してかけます。被扶養家族の範囲は、先ほど申し上げましたように、妻は年間十二万八千円以上所得がある場合には被扶養者の範囲に入れない。国民健康保険はそれぞれの人たちが、たとえば七人家族がございますと、七人が被保険者になるわけでございます。したがって、家族が二人の場合と七人の場合はおのずから保険料が違ってくるわけでございます。そこで、そういう保険でございますので、妻も被保険者として保険料を納めまして、被保険者として給付を受けるという形でございますので、その点、所得制限はもちろんございませんが、これは保険のやり方、性格上、そういう形で出てきているというふうに考えていいのじゃなかろうかと存じます。
  53. 平林剛

    ○平林委員 私の承知しておるところと少し見解が違いますが、時間が忙しいから次の問題に移ります。  国家公務員には配偶者手当制度がありますね。この場合はやはり妻が一定の所得があると配偶者手当がもらえなくなる。その一定の所得の限度額というのは幾らになっていますか。
  54. 海堀洋平

    海堀政府委員 先ほどと同じように、十二万八千円でございます。
  55. 平林剛

    ○平林委員 主税局来ていますか。――税法上におきましては、配偶者控除を受けられる収入は、現在幾らになっておるのですか。
  56. 細見卓

    ○細見政府委員 お答え申し上げます。  この場合、二種類ございまして、一般に資産所得というようなものでありますと五万円でありますし、給与所得の場合は、四十二年から十万円になっております。その場合十万円といいますのは、給与所得控除後の十万円ですから、収入金額に直しますと二十二万五千円ということになるわけです。
  57. 平林剛

    ○平林委員 税法上における配偶者控除を受けられる収入限度額、これは十万円、給与所得になると多少違ってくるわけでございます。これは給与所得控除があるから最高限度額二十二万五千円。つまり、逆にいえば二十二万五千円の収入があれば配偶者控除を受けられないということになってくる。これが私の質問の前提なんです。  そこで私は、大蔵大臣に特に聞いてほしいと思うのでありますけれども、現在わが国には家庭の主婦が非常に職場に進出しておることは、御存じのとおりであります。最近私は、東京都の労働局がやりました実態調査を入手いたしました。これは昭和四十四年三月の調査報告であります。つまり、ことしの三月の調査報告であります。なかなかりっぱな調査結果書をつくっています。私、これをみんな入手して、実は調べてみたわけであります。  東京都内における内職の就業及び希望世帯は約四十八万世帯あります。内職に従事する希望は現在はないけれども、過去八年間、つまり昭和三十五年以降就業の経験があるものを内職就業状況の浮動性の多いことを考慮して加えますと、約七十万世帯あるわけであります。東京都内の世帯数は島嶼部を除いて約三百五十六万世帯でありますから、内職の関連世帯はおおよそ一九%をこえる、つまり五世帯に一世帯の割合を占めておるということがこの調査結果によって推定されておる。さらにこまかく就業しておる内職労働の状況を調べてみますと、今回の調査結果では、最も多い月収が一万円から一万六千円、これが二五・四三%を占めている。さらにこまかく図表を洗ってみますと、内職労働によっての収入は、八千円から一万円ぐらいの人が八・五%を占めている。一万円から一万六千円までの人がいま申し上げました二五・四%を占め、一万六千円以上が一〇%、合わせて四三・九%、約四四%が、先ほど申し上げました家庭の妻が所得があるといろいろな方面に影響が出てくるという世帯数になっている。平均工賃の月収額を調べてみますと、約八千百円になっています。年間で計算いたしますと九万七千二百円。そこで私は、これは四十三年の調査でありますから、ここ一年を出ずいたしまして、大体この水準は、平均して九万七千二百円でありますから十万円をこえていくだろうと推定をしておるわけであります。しかも、その半数はすでにもうこえているわけです。したがって、税法上におきましては、この内職の収入を得ている家庭の主婦、東京都だけ例にとりましても、かなり多い世帯の家庭の主婦は、給与所得の場合を除いて、やがて一年もたたないうちに配偶者控除が受けられなくなるという実態にあります。  それからもう一つ、パートタイムの実情調査を同じように調べてみました。これも「パートタイム職業紹介職種別賃金調査結果」というものがまとまっておりますから、労働局に頼んで調べてみました。パートタイムの職業紹介職種別の賃金調査、これは四十三年の十月でありますけれども、ここにはこういうことが書いてあります。「近年、家庭婦人層を中心とするパートタイマーの進出はめざましく、各企業ともこれまでのような一般常用従業員の補助者的立場から、しだいに欠くことのできない労働力として、有効に活用しようとする気運が高まっています。」とまとめられております。私は、これは現実だと思う。もちろんパートタイムといいましてもいろいろな区分がありまして、全日制雇用といって、普通八時間ではありますけれども短期間に雇用されるもの。それから特定日制という雇用形態でありまして、特定の日だけ、たとえば火曜日とか木曜日とか土曜日だけ雇用されるもの。それから特定時制といいまして、通常の時間よりも短い時間勤務をする。パートタイムの雇用形態にはこういう三種類ありますけれども、とにかくこういう状況が一般化しておるということは争えない事実であります。特に通常の時間より短い時間勤務をするというのが本来のパートタイムの一般的な傾向でございましょうけれども、とにかくこれを調べてみますと、職業紹介所を通じて求人をした、人を求めたという延べ数は四十一万二千五百九十八人います。そのうち婦人は三十七万五千十四ですから、まずもう九十何%が家庭の主婦であるということがおわかりになると思う。これに対し実際に就業した人間は、延べ数で三十万六千百九十八名、そのうち婦人は二十七万八千三百九十名でありますから、つまり内職労働をやっている者の数も五世帯に一世帯の割合で東京都にはあるし、それから内職はしないけれども、家庭を離れてパートタイムに出動しておる者が、職業紹介所の手を経たものでも大体就労だけで、婦人は二十七万八千三百九十人、これは東京都の調査でありますから、大阪、名古屋、仙台、各労働都市、大きな都市を考えてみますと、かなり相当な数がこういう形で、内職あるいはパートタイマーという形で家庭の主婦が出動しておることがわかるわけであります。  この収入はどのくらいあるかという点は、まだ東京都の労働局でもこまかい調査ができておりませんけれども、私の推定では、内職の収入よりは多い。これは常識的に考えられます。業種別に調べてみますと、大体一日、低いところで九百円、千円、千二百円、千五百円、多いところで千八百円というそれぞれの状態が出ておりますから、これをもし月収に計算をいたしてみますと、内職収入よりはるかに大きい平均的な月収が出てくるだろうと思っています。いま私は、特に東京都の労働局長にも頼みまして、この点はぜひひとつこまかく実態調査をやってほしいということを話をしてありまして、近くまとめられる努力をするというお話がございました。  そこで、私の言いたい点であります。つまり現在、家庭の主婦の内職あるいはパートタイムに出動する、こういういろいろな状況を見ますと、ただいま審議しておる共済組合の場合は、先ほどお答えがありましたように、年間十二万八千円あれば扶養家族の取り扱いを受けられなくなる。国家公務員の場合には配偶者手当という制度があるけれども、これも十二万八千円で削られてしまう。税法上におきましては十万円で扶養控除を受けられなくなる。そうすれば扶養控除十七万円の適用を受けることができませんから、税金は――家庭の世帯主である人は、少なくとも五、六万円の月給取りの人であれば年間三万や四万の減になってくる。家庭における妻が出動していってかせいでくる、少し限界を越えれば、税金は三、四万円重くなるというような因果関係を持っておるわけでございまして、このことを考えますと、やはりいま申し上げました扶養家族の取り扱いを受けなくなる収入額の十二万八千円、あれは検討を要するのではないか。それから国家公務員の配偶者手当という制度が、一定の基準を越えると、その支給が削られるという限度額が十二万八千円になっていますが、これは少し検討する必要があるのではないか。特に問題の焦点は、税法上十万円に達すれば扶養家族の控除を受けられなくなる。給与所得の場合には二十二万五千円でございますけれども、しかし、先ほど申し上げました家庭の主婦のパートタイムの平均月収等を考えますというと、これは少し過酷に過ぎるのではないか。  そこで、この点について私は大蔵大臣に、これは常識的な判断でございますけれども、いかがなものでしょうか。こういう状態は改正する必要があるとお認めになりませんか。
  58. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま東京都の労働局の調査から立論をされておりますが、これは広く全国的に見る必要があるのだろうと思います。そういうようなことでございますから、とにかく問題を平林さんが提起されておりますから、検討します。
  59. 平林剛

    ○平林委員 これは私は、いずれまた税制調査会にもひとつ検討を要請したいと思っておりますし、私自身も税の執行の小委員会出席をいたしましてなお詰めてみたいと思います。ただ大蔵省、専門的にいえば、配当控除の場合には五万円、そして一般の所得の場合には十万円、このバランスがあるというお話をしばしば言われるのでありますけれども、ほんとうは時間があれば国税庁にも、その五万円を基礎にして十万円がバランスがとれておるという理論は当たらないということを申し上げたいのでありますが、参考人もお見えですから、きょうは割愛をします。  それから大臣、私がもう一つ言いたい点は、たとえば二十二万五千円の限度額を一万円でもこえると十七万円の配偶者控除がなくなっちゃうという制度はどうも不合理でございますから、私はこれについてはいささか自分の試案を持っておりますが、大臣も検討したいというお話でございますから、きょうはこれ以上申し上げず別の機会に譲りますが、ぜひひとつ真剣に検討し、来年はこれが改善されることを強く希望いたしまして次の問題に移ります。  さて、次に私は国家公務員共済組合連合会の運営につきまして、参考人にいろいろ御意見を承ってまいりたいと思います。  第五十八国会におきまして、当委員会昭和四十三年五月十七日、法案審議にあたりまして附帯決議を付しました。この第二項にこういう条項があります。「国家公務員共済組合連合会の運営については、加入組合員の意向が評議員会に充分反映できる方途につき具体化を進めること。」という附帯決議をつけました。大蔵大臣はこの附帯決議に対しまして、御趣旨を尊重して措置いたしますということになっております。一年経過しております。監督当局またその責任者である大蔵大臣は、この附帯決議第二項につきまして、具体的にどういう御措置をなさったか、大臣がこまかいところまでおわかりにならなければ関係当局からその具体的措置についてひとつ御報告いただきたいと思います。
  60. 海堀洋平

    海堀政府委員 たびたび連合会の運営につきまして附帯決議をいただいているわけでございますが、共済組合連合会自体は法律あるいは定款に基づきまして仕事をしておりますので、その法律、定款の許す範囲内におきましてできる限り組合員の意向を聞くということで、現在いわゆる連合運審というものを事実上設けておりまして、これによりまして組合員の意向をできるだけ連合会の事業運営に反映するようつとめておる次第でございます。
  61. 平林剛

    ○平林委員 私のいま聞き間違いかどうかわかりませんが、共済組合連合会に対しましていろいろな相談をして、共済組合運営審議会を実質上設けて、その努力をしておるというふうに聞きましたが、間違いありませんか。
  62. 海堀洋平

    海堀政府委員 連合運営審議会でございます。協議会でございませんで審議会でございます。事実上これは設けて運営しているわけでございます。
  63. 平林剛

    ○平林委員 そこで、参考人にお伺いいたしますけれども、いま大蔵省はお聞きのとおりの答弁をしております。ところが、私の手元には、これと違う状態になっておるというお話がきておるわけであります。つまり、いまお話しのような共済組合の運営審議会というものに、労使代表一名からなる運営協議会の構想が事実上ついておるという大蔵省の答弁に対しまして、実際にはそれが否定をされておる、否認をされておるという話を私は聞いておるわけです。中尾理事長いかがでしょうか。これを否認をしておるという説がございまして、私はその意味で、国会の附帯決議とあなたが実際に行なっている場合とが違うんでないかということで御意見を聞かしてもらいたいと思って、おいでをいただいたわけですが、いかがですか。
  64. 中尾博之

    中尾参考人 ただいま承っておりますと、大体どちらのおっしゃることもそのとおりでございまして、ちょっとそこのところの関係を私から申し上げますとおわかりいただけるかと思います。  附帯決議をちょうだいいたしまして、その附帯決議は、評議員会に会員の意向を反映せしめるというような趣旨の附帯決議でございまするが、その方法については別に表面にはうたわれておりません。ただ御提案の御説明がございまして、その御説明によりますと、今井構想、運営協議会というものも一案である、あるいは一つ考え方であるという御趣旨の御説明がございました。したがいまして、必ずしもそれにこだわる、ほかのものがあり得ないという御趣旨の御決議ではないように拝察されます。事実、この御決議をいただきます前に私も参考人としてお呼び出しをちょうだいいたしまして、そのときにちょうどいまの運営協議会案なるものが問題になっておる最中でございまして、そこで、速記録にも残っておりますが、ただいま御当局のほうから御説明がございましたように、その運営協議会案なるものは、現行の制度の運用によってこれを遂行するという線では少し無理がある、その範囲内でこれを運営していくということは無理であるというのが私の見たところでございましたので、その趣旨を申し上げました。  そういうようないきさつがございまして、ただいま実際にやっておりますところ、それからいま御当局のほうから御説明がございましたところを申し上げますと、その今井構想の運営協議会案なるものではございません。それはまだ行なわれておらないのでございます。現在行なわれておりまするのは、連合運審ということばで申しております。  それはどういうことかと申しますと、一番最近の状況を申し上げますならば、それは各単位共済組合――各省各庁の単位で置かれておりまする単位共済組合に、組合の運営についての諮問機関といたしまして運営審議会というものがございます。審議会の委員というのは、その共済組合を管理いたしておりまする本部長から指名をされまして、その中には職員団体の推薦による者もございます。そうでない方もございます。そういう方々で構成されまするところの運営審議会というものがこれは法令上の制度としてございます。当連合会は連合体でございますので、そういうようなことで運営されておりまするところの単位共済組合の、今度は主管の課長さんが事実上なっておりますが、評議員に任命されまして、評議員会というものが一番大事な、何と申しますか執行部に対する立法部といいますか、批判機関といいますか、要するに諮問機関ではございますが、大事な機関になっております。ところが、これには会員の方の、特に職員団体のほうを母体とする方は直接にはお出にならないという形になっております。そこで、その単位共済組合の運審から考えまして、そこに出ておられる方々を、職員の組合のほうを母体として出てこられました方とそれからそうでないほうの方と一名ずつ、二名ずつをお集まりいただきまして、それでその各共済組合の運営審議会の委員の集まった全体の運営審議会というような意味で連合運審というものを催しまして、それで同じような目的を達するべくつとめておるところでございます。もちろん単位共済組合の運審は法令上のものでございまして、権限等も明瞭でありますが、連合運審のほうはそういうわけではございません。評議員会の権限と明瞭に抵触いたしますから、そういうことでなく運営が行なわれております。  実際に運営が行なわれておるところを申し上げまするならば、たとえば先般来大問題でございました長期給付掛け金問題、これは各公務員にとりましては、天引きになるものでございまして、非常に大事な案件でございます。その案件につきましては、そこで相当の論議が行なわれました。なお、ここの発案によりまして、主管者側といいますか、各単位共済組合を主管しておる側の方と、それから職員団体のほうに責任を持っておられる、母体を持っておられる方々と、当連合会の専門の者が集まりまして、三者の特別な機関を設けて、現在もそれの検討を進めていこう、私のほうも申しておりまするし、職員団体の方もそういうことの御意向、これを進めていこうというようなことになっておるのが一例でございます。  そのほか、時期によりまして、事業計画、予算、これは大体同じ時期に取り扱われますが、それからごく最近でございますと決算、そういうような重要な案件につきましては、評議員会に私が提案をいたしまして説明をいたします。それから事務的ないろいろな資料も要求され、その説明もあり、質疑応答もあり、その中には単なる疑問点というようなものの解明のほかに、前向きないろいろな議論があることは当然でございますが、それらと全く同じ形でもう一回連合運審というところに問題を出しまして、そしてこれを論議をいただいておりますし、それから御注意といいますか警告といいますか、そういうようなものもちょうだいをいたしておるというのが実情でございます。  したがって、御質問にございましたところの、行なわれておらないというのは、運営協議会という中で伝えられた案でございまして、それからいま行なわれておると言いましたのは、私がただいま申し上げましたような連合運審という形のものでございます。現行の連合運審はいろいろな形で従来から多少行なわれておったものでございますが、それが内部の話し合い。それから、あるいは内部で話し合いのつかないこともあります。そういうようなときには、ただいまは総評の組織の中と伺っておりまするが、私ども関係の組織がおありでございまして、そこの事務局長の方が御中心になられまして、私どもに加盟いたしておりまする共済組合に対応いたしまするところの職員団体の方々の集団交渉、団交と申しましょうか、そういうようなものが行なわれ、さらにその理事会的なものが行なわれるということで、表裏から円滑にお話し合いが行なわれておるというのが実情でございます。
  65. 平林剛

    ○平林委員 私は、こまかい運営はあまりよく承知しておりませんけれども、少なくとも国会で議決をいたしました附帯決議というのは、加入組合員の意向が評議員会に十分反映できる方途について具体化を進めなさいとあるわけでありまして、加入組合員の大多数はいわば職員、ことばをかえていえば労働者、そうした人たちの意向が十分反映できる体制をつくれというのが国会における議決であります。それがどういうものに当たるか当たらないかということは、こまかいことは別でありますが、ただはっきり言えることは、今井試案という構想には、これに参加をするものは組合側から一名、主管者側のほうからも一名、こういうもので、いわば労使といいますか、経営者のものと加入組合員の大多数を代表する職員の代表とで構成する。いわば観念的にいえば労使の代表で構成するというのが今井試案の骨子になっている。これに対しかなり時間がたちましたが、四十年の三月、この大蔵委員会で私どもの武藤議員が質問したのに対し、大蔵省の給与課長、当時は秋吉さんでありましたけれども、「評議員会にかける前に、組合員意見を十分聞くために運営審議会委員の労、使が代表する二名による協議会の方法考えられる。」こういうふうにいわばそれを肯定しておるわけであります。ところが、いまいろいろむずかしい話をされたけれども、私は、そこにやはり何か違ったものがあるんじゃないかという感じを受ける。同じものだとはっきり言えるかどうか。もし同じ気持ちのものであるならば、なぜ私がここでこの問題をとらえてあなたに御意見を聞かねばならぬか。また、そういうような声が聞こえてくるのかという点は、あなたどうお考えになりますか。どこかにうまくいっていないという要素があるんじゃないですかということを私は聞きたいわけであります。もしあなたが、国会の決議に大体沿うてそういう趣旨でやっておるというならば、問題は起きてこないはずである。問題が起きてきているのはなぜか。どこかに何か欠けるものがあるんじゃないか。私はよくわからないから、これは従来の労使代表構想が否定された形で、少なくとも共済組合連合会も各組合、組合員があっての連合会であるのに、実質的には労働者側の参加という体制がこわされているというところに問題があるんじゃないですか。いかがでしょうか、その点は。
  66. 中尾博之

    中尾参考人 その点は、私は実はさようにはいまのところ考えておらないのでございますが、御注意があれば、なお反省いたすべき点は何ぼでも私は反省するつもりです。それは御決議の線に沿って反省いたしたいと思いますが、実情はそういうことではないので、いまの共済組合制度は単位共済がありまして、私どものほうは連合会というものをお預かりしておりますが、これは各単位共済組合のほうで御任命になります評議員会というものが法律上の制度で、これが私ども執行部と申しますか、これと並びまして権限をすでに分け取っております。したがって、これに正面から抵触しないで事実上これに対して影響を与えるものを考えなければならないというのが実際の運用の方法であります。その範囲内で処理するのが、前の今井協議会案では表面には出ていないのですが、それをつくりました機会におきまする論議の過程におきまして記録がございまして、これは事実上評議員会を眠らしちゃうという案になっておりましたので、そこのところで私も非常に困ったのであります。実際問題といたしましては労使、これはもちろんでございますが、労使と申しましても、共済組合側の評議員会のほうへ出てまいりますのは大体使のほうが出てくるわけですから、したがって残されたものは労であります。したがって、この労を中心に考えなければ問題にならないのであります。  そういうことから実際問題として連合運審というものが開かれておりまするが、労のほうは全部御出席になります。それから使のほうは必ずしも全員が御出席になるというわけではなくて、二十組合ございますが、そのうち三分の二ぐらい出るときもあるし、もっと少ないときもあるというような状況で非常に浮動であります。労のほうは全部出る。それから御発言はほとんど労の方ばかりです。それに対して私は、実際問題として全部の時間をそれにかけていろいろお答えをいたしておるわけであります。それからそこでもって御論議がありました問題につきましては、御了解を得ました事項もございまするし、それからなお御不満を残した事項ももちろんございます。それからもうしょうがない、しかし、そういうことはこれから気をつけろという意味の御注意のことばをいただく案件もあるわけであります。それらの問題はすべてこの評議員会の席上に私が御披露をいたします。従来評議員会には傍聴人も入っておるのが例でございまして、それらのことは、私が妙なことを言ったり手を抜いたりあるいはニュアンスを変えたりするというようなことがありますと非常にトラブルが起きます。したがって、私も細心の注意を払いまして、客観的にその事実をお伝えして、その上で評議員の方々の御判断をさらに願っておるというようなことで、私といたしましては、運営上現在の制度でできるだけは努力をいたしておるつもりでございます。  現段階におきまする運用におきましては、過去においてはいろいろ運用上の問題がありました。たとえば普通の単位運審は主管者側が議長になっておるのです。ところが、連合連審のほうはどうするかということが二、三カ月来の問題になっておりまして、最近はこれは労使共同運営ということでありますが、事実上全部その話のつきました最初の連合運審では、職員組織のほうを母体とする方々にやっていただきましたが、共同ではございますというようなことで話が円滑に行なわれておるというのが現状の実情でございます。  ただ何ぶんにも制度として決定したものでございません。したがって、今後の運用といいますか運用ぶりというものは、これはきわめて大切な問題であると存じます。幸いだだいまのところ相当議論もあります。いろいろな問題につきまして議論もあるのですが、その議論というものは明々白白のうちに堂々と公開の席で行なわれておりまして、私も申し上げることは申し上げるし、それから承ることは承りますし、それでいろいろな案も協議いたしますし、それについて両者きわめて身を入れてこれを何とかして共同でいくといいますか、円滑に効果のあるような雰囲気で運営されておるように私は心得ております。  なお、今後の問題につきましては、そういうふうにいろいろ努力すべき点があることはよくわかっております。何ぶんにも共済制度というものはいろいろむずかしい複雑な制度を持つものでありますので、私のほうがお引き受けいたしております面は、一にも二にも公務員の方々の福祉の増進ということを通しましていろいろな目的を通すわけなんです。したがって、それをお使いになる方々の御意見というものはきわめて貴重なものであり、御決議もちょうだいいたしておりまするが、御決議を待つまでもなく、私といたしましてはその点は非常に大事に考えていたしておるつもりでございまするし、今後とも努力をいたして気をつけてまいりたいと思っております。
  67. 平林剛

    ○平林委員 いずれにいたしましても、私ども承知しておることは、ただいま中尾さんの附帯決議に対する運用については、民主化の否認と受け取られていることは事実です。これはあなたのお気持ちがどうであろうとも、民主化の否認と受け取られておるし、また、中尾さんになってから労働者側の参加という体制が実質的にこわされたという批判が強いことも事実であります。その点は、先ほどのことばじりをとらえるわけではありませんが、附帯決議には共済組合運営協議会のような方法でやれとは書いてない、こうおっしゃいましたけれども、逆にいえば、いまのような連合運営審議会ということでやれとも書いてないのです。私はこんなことばじりを言うのではない。あなたのお話を承りましたけれども、実態は逆な批判もかなり強いということを考えますと、やはり運営に当たりましては、どうか国会でつけた意思というものを十分に反映するように御努力を願いたいということを申し上げておきたいと思うのであります。  同時に、ただいまお話しの中にもちょっとありましたけれども、もう一つは、評議員会が形骸化したのではないかという批判もあるのです。なぜかというと、連合会の非常勤理事昭和四十三年の改選期から各省の官房長クラスになったというふうに聞いておるわけであります。従来は加入共済組合の担当課長ぐらいがなっておったものが、今度は官房長クラスが出てきた。そうなると、評議員会のほうに出てくる者はいわばそれの下僚です。さっきあなた、お話がありましたが、評議員会のほうは主として使である、つまり使用者側のほうであるということをちょっとお話しになりましたけれども、そうなると、評議員会に出てくるのは、どちらかというと厚生管理官だとか会計課長だとかというような方、いわゆる使の代表が出てくるわけでありますが、非常勤理事が全部官房長クラスということになると、そこできめられたものを変更したり議論をしたりするということは職制上非常に困難になるのではないか。先ほど、共済組合連合会の運営にいろいろな職員、組合の代表の意見を反映させるときのお答えの中にもありましたが、従来の今井構想と変えたのは評議員会を眠らせるというようなこともあったのでというお話がございましたけれども、逆に眠るどころか、実際には文句をあまり言えない、変更も加えられないというような形になっているという批判があるのですけれども、これはどうなんですか。
  68. 中尾博之

    中尾参考人 内部のことですから、あまり詳しく申し上げてもまた誤解を抜くといけませんから気をつけて申し上げますが、私は実情に即して責任をもって御答弁しておりますので、どうぞさようお聞きいただきたいのでありますが、私といたしましてはさように考えておりません。それからそういう御批判の出る向きのあることも私はよく承知をいたしております。しかし、これは連合会にとりましてたいへん大事な問題でございますので、ちょうどいい機会でございますのでお聞き取りいただきたいのでございます。  当連合会も実は単位共済組合というものがございまして、それから長期給付をやっております関係上、膨大な金がたまります。現在のところ始めて十年でございます。しかし、将来はたいへんな金になります。もうすでに現在でも毎年五百億程度が積み立て段階にあるのでございます。実績といたしましてすでに三千億をこえる積み立て金になりました。政府関係機関といたしましては、新規の原資で五百億を処理する、それから三千億の累積資産を管理するということは実はたいへんなことでございます。しかも、これがサービス機関を経営いたしておるわけです。もちろんその五百億というものを、全部ではない、三分の一は財投協力、それから三分の一は公務員に対する還元貸し付けになっておるのが実情です。残りが公務員に対する何らかの形の施設になっておりますが、しかし、いずれにしてもたいへんなものです。設備にしても百カ所をこえます。従業員の方々は一万人をこえます。それはもし中央で不適当なことをやりますと――大きな取引もございます。それらの点はやはり相当慎重に大事なものとして取り扱わなければいけないものでございます。これが政府関係機関等の事業でございますると、それぞれ所管省というものが政策を持ち、事業計画をきめ、それを執行する段階で大体運営されてまいるのでございます。ところが、私のほうはお金と方針とが法律上きめられておりまして、そうして立案段階から私のところでやらなければならぬというようなことになっております。実際問題としては、立案の技術的なものは私どもでいたします。それから一切の取り扱いに対する公正を期するという大事な責任は私のところで負いますが、その企画のもとといいますか、その大事な点はどういう点でどういう方向に持っていくかということは、連合会である関係上、単位共済組合の御意向に沿うというのが、これが一番大事なことなんです。したがって、いかにして単位共済組合の御意向をつかむかということが一番大事なことです。現在までのところでは残念ながら、単位共済組合というのは代表者が大臣、それから本部長が次官、次官が事務方の一番のあれになっております。ところが、その関心はきわめて薄いのです。これはそれぞれ仕事をなさっておるお忙しい方々でありますから、どうしてもほとんど関心をお持ちにならない。どうしても担当課長さん以下の方方がこれに関与されるようなことになります。  そういうようなことで、どうしても共済事業に対する――それだけ大事なものにすでになっております。今後もっと大事なものになると思います。それに対してもっと関心を全体として各省が持っていただきたい、上級の職員も持っていただきたい。仕事をするのも大事でございますが、仕事をするのは職員であります。その職員の能率に一番関係する、それから生活の基盤にも一番関係することなので一番大事なことでありますから、私は、その点をもう少し高いレベルの人がこれにタッチしていただきたい、タッチするということで、実は非常勤理事、監事を一格上げまして、また従来もう一つの面としては、連合会は事務組織がほとんどございませんので、実は下級の各省の職員が相当個別の取引にも関与するような状況がございました。その結果、職員団体のほうからも御注意を受けるというような事案も発生いたしております。  それらの点から、官房長クラスに非常勤の役員さんをお願いしたので、これは輪番でございまして一年間でかわります。なるべく方々の省の方に関心を持っていただく。しかし、忙しい方であり、非常勤ですから、私ども常勤と同じような意味において案件を処理し判断をする妥当性はありません。これは組織としての方をお願いしているような形ですから、結局はその部下の方がみんなやっていただかなければだめなんです。したがって、重要なる案件をお願いします節は、ことにこの事業に重大な関係がありますような節はいきなり役員会にかけるようなことは私はいたしておりません。評議員会にいきなりかけることもいたしておりません。評議員の方々と、その担当官の方方と私は個別に一人一人お話しをいたしまして、御意見の最大公約数を集めて立案をし、それを皆さんにおはかりしておるというのが実情で、これは私が最近健康をだいぶ回復してまいりましたので始めましたのですが、すでに数カ月来、評議員の懇話会というものを毎月開催いたしております。それから事業計画や決算につきましては、それをさらに広くやりまして、懇話会の場合には毎月五、六人の評議員の方とお話し合いをして、私は同じ話題で約一週間これをお話し合いをするのです。それからそれで結論が出た問題を手続に乗せて評議員会なり何なりにかけます。評議員会にかけるに至らなかった案件でも、御相談いたしておるわけであります。それから事業計画、決算の問題は、前後十日ないし二十日をかけまして、一回ないし二回にわたりまして個別に十分に御相談を申し上げまして、そして御意見があるところを、連合体ですから集約いたしまして、それぞれの御意見のあった向きも全部各組合に連絡をいたしまして、その手間は相当かかるのですが、実際問題としてそういうことでやっております。したがって、ある程度単位共済組合の皆さん方が実質的に御心配をいただいて御意見を出していただけるような体制になっております。
  69. 平林剛

    ○平林委員 私が問わんとすることをひとつ的確に答えてほしいのです。気持ちはわかります。気持ちはわかりますが、問わない点をいろいろ御説明なさっておりますけれども、私の言っておるのは、官房長という仕事は忙しいではないか。その官房長が、共済組合連合会の事業をはじめいろいろの問題を十分協議し、責任をもって事に当たれるのかどうかという点、そこに私は問題があると思うのですよ。そしてそれが非常勤の理事になって理事会に加わるということになれば、評議員会に出てくるのはみんなその下僚なんだから文句を言えなくなって、かえってあなたがいまるる述べている目的に反するような結果になりませんかということを言っておるわけだ。気持ちはわかりますよ。しかし、結果としてあらわれた形としては、あべこべになってはいませんかということを私は言っておるわけです。  あなたはいまあとでこまかくいろいろなことを言っておりますけれども、それでは、連合会の機関紙の共済組合の新聞の発行停止、事実上の廃刊の問題は、理事長は理事会にもはからぬでやったという批判があるのですよ。あなたは、これも理事会をやっていますとか言われましたけれども連合会の機関紙の共済組合新聞の事実上の廃刊は、これは事業計画の変更でもあるし重要な事項であるのに、なぜ理事会にはかってやらなかったかという声もあるわけなんです。  ですから、私がいま問わんとしておりますのは、多くの用事を持っている官房長クラスが、共済組合連合会の事業をはじめいろいろとこまかい問題について十分議論し、責任をもって事に当たれるかどうか。確かに上部機関だから頼みたい点、お金の点は、またあなた別個に理事長として頼みに行けばいいのですよ。この非常勤理事に加えたということは、どうも私はあなたの意図とは全く反対の方向に行く心配をかえってしておる。批判がないところにはかえって問題が起きてくるかもしれない。官房長は忙しいからそこまで責任はとれないということになったらどうしますか。私はその点を聞きたいのです。ほかのことはまたあとでお聞きしますが、いかがでしょうか。そして、たとえば理事会の開催状況はどうなんですか。定例日があってやっていることですか。官房長クラスを加えたことによって、いまの目的を達し得るような状況になっていますか。こういう点が私のお尋ねしたい点です。
  70. 中尾博之

    中尾参考人 いろいろ御注意がおりました。お聞きいたすべき点も私は多々あると思って拝承しておりますので、いたずらに弁解をしてこの場をごまかそうというつもりはありませんから、実情をよく聞いていただきたいのです。  定例日を持ってやっておりません。ただ毎月一回必ず開いております。定例日が設けられないのは、これは官房長が、やはり国会もありますし、各省を主宰してもおりますし、大体において次官会議の日と同じ時間くらいが一番あいているのです。そういう時期を選びましてやることを原則にいたしております。確かにお忙しいという点は、官房長クラスをお願いするということに対する一番の弱点です。これは私もよくわかっております。にもかかわらず、やはり官房長クラスにお願いしたいと思っているのは、先ほど申し上げたような趣旨からです。官房長クラスで先にきまる案件をきめて評議員会にかけるのではぐあいが悪いのは、おっしゃるとおりであると思います。そこで、これは最近その制度を始めましてからは、官房長クラスでこういうものはやりません。案件等もそこでもっていきなりきめるようなことはいたしません。こういう段取りで各省と十分相談をして、その上で評議員会に提案する。そういう段取りで、むしろ御了承を得ます内容につきましては、その部下のほうの方々で全体的に御検討がありますから、それをそれぞれ承ってやることにいたしたいと思いますということで御了承を得まして、そうして計らっておるというふうに私も気をつかっております。しかし、何しろ役所というところは上下の差別といいますか、組織のきびしいところですので、いろいろの思惑もあるいは働くかとも思います。したがって、御注意の点はたいへん重要な御教示と私は存じますので、拳々服膺いたしまして誤りのないようにいたしたいと思っております。
  71. 平林剛

    ○平林委員 そこで、私は、もう一つ、この点は特に今後の検討を待ちますけれども連合会機関紙の共済組合新聞の発行停止をしたという理由は何でしょう。この計画の変更を理事会にはからないでやったという批判がございますけれども、これはどういうふうにお考えになっていますか、この点をひとつ御説明いただきたい。
  72. 中尾博之

    中尾参考人 共済組合新聞は歴史の長いものでございまして、いままでやっておりましたが、ちょうど私が参りました前後から連合会の収支の様相がだいぶ変わってまいりまして、非常な赤字になったのです。初めのうちは努力をいたしましたし、連合会というのは経営については相当努力する習慣もございましてやってまいりましたが、ちょうど去年になりまして、おととしの決算で明らかになったのですが、去年の事業計画でももうすでにあぶない、なかなか赤字以外の計画が組めなかったのです。ところが、その前提になっていたおととしの見込みがさらに大きな赤字になりまして決算にあらわれました。そこで、実際問題として財政上これが維持できなくなったというのが実情でございます。ほかに理由はございません。  ただ、何しろ私のほうは資金の運用でやっておりまして、福祉事業をやるということ、それが直接なものですから、したがって、そのほうで赤字が出るということは、まだこれは何とかしてやっていかなければなりませんが、その福祉事業のまたもう一つ外のいろいろな評論その他の意見交換の場であります。私はそういうものが共済制度についてあることは非常にけっこうなことだと思いますが、それをやるとなると、単位共済といってもたいへんでしょうし、まあ連合会あたりである程度共通の舞台を余裕があればしつらえるということは、私も便宜に適したことであるとも思います。必ずしも大きな共済組合連合会ばかりではありませんけれども連合会も大口の一つではありますから、ことに、いろいろ御議論の多い向きのホワイトカラーのこまかい組合を持ったところでもございませんのでけっこうだと思いますが、そういうところで事実上財政上の理由でその発行ができなくなったというのが実情でございます。これらにつきましては、いまの連合会運審、これらの場からも強い御批判がございます。それらを私は正面から、これはまじめな問題として受けとめておるわけでございます。
  73. 平林剛

    ○平林委員 国会では附帯決議をいたしましたことは、しばしば申し上げました。「加入組合員の意向が評議員会に充分反映できる方途につき具体化を進めること。」これは評議員会だけに限りません。全般にどういう運営がされているか、組合員は共通の財産として絶えず考えていかなければなりませんし、意見が多い。そういうものを民主的に運営する役柄が、私は理事長さん、あなたの肩にもあると思うのです。ところが、いま赤字が理由だと言うけれども、何十億、何百億という赤字ならいざしらず、どの程度の赤字があったか知りません。しかし、従来は少なくとも編集委員ども労働者、職員代表の人たちが編集委員として何名か送られていって、これがやられていたわけです。それがとにかく編集委員会にも意見交換することなく、四十三年度の予算では発刊の費用も組んでいたのにもかかわらず、あなたの判断でこれが中止をされる。ここに問題がある。すなわち、ことばをかえていえば、連合会が民主化の方向に背を向けているといわなければならぬ。この附帯決議の趣旨に背を向けていこうとしている傾向と批判されてもやむを得ない形があらわれている。  同時に、あなたは赤字以外ほかに何もない、こう言うけれども、実質的には、さっき私が指摘いたしました運営協議会の設置を運営審議会にかえていったことで、労使という色彩をなくしていくというねらいが一つあると同じように、この機関紙の発行停止にも、つまり組合員代表が参加していく広報活動はなくすという方向になりはしないか、こういうふうに見られてもやむを得ないじゃないですか。それは国会で、この組合員、いろいろな問題、連合会という雲の上のことですから、十分いろいろな角度からやるようなものがあったほうがよろしいという、前回の事件その他の環境を見てきめたことを、またここであなたはお金を理由にして、そうしたものをふさごうとしているというふうにとれる。私は、その点はやはり一連の問題として、ひとつ御検討なり御反省なりをいただかなければならぬと思うのです。  いま、これも運営審議会にはからなかったんじゃないか、あるいはまた理事会にもはからなかったんじゃないかという点については、お答えがありませんでしたけれども、御感想をひとつ承りたい。
  74. 中尾博之

    中尾参考人 ただいま申し上げましたように、昨年度からの赤字が膨大なるものになりまして、最初のうちは二億とか三億というようなものでありました。それがだんだんふくれてまいりまして、その累積の額だけでも十七億というような状態になっておるようなわけで、これに対しては非常に私も実は困っておる。それから、どうしたらよろしいかということに日夜苦慮いたしておるわけですが、一方では事業主側の御援助をちょうだいしたいというようなこともやっておりますし、私どもも経営をなるべく合理化していかなければならないということもやっておる、これが事実でございます。そういう論議の問題じゃなくて、事実上それを発刊するお金がなくなったというのが実情でございます。  この点は、しかしいまもお話がございましたが、主として意味のあるところとしては、お話のような点もありますが、共済制度に対する評論の場としての一つの伝統があるのです。その意味のものは、私は非常に評価しておるつもりです。なぜかというと、共済組合というのは御承知のようなもので、それ自身としてはあまり社団的なものでもないし、財団的なものでもないし、それ自体の意思を集約する確たる制度も持っておりません。事務管理的に、官側がそれをやっておる式のものでありまして、法律の規制がきわめて大きいですから、裁量の余地が少ない、そういうものでございます。これをどう持っていくかということは、主として立法段階が非常に大事なわけです。そのときに妥当性のある発言権のある方といえば、これはまさに職員団体の方々と、それから使用者側の方々、これが十分な御議論があってしかるべき問題でありまして、それらの点については、私は曇りのある判断をいたしておるつもりは決してないのでございます。それからのものが正確にかみ合いまして、そして十分に御議論があれば、必ずいい制度になると私は確信しております。したがって、それらについて、連合会も直接の目的にはないのですけれども、協力ができれば有意義なことであるということは、万々承知をいたしております。しかし、現実にいま私は、御指摘のような誤解を受けておる。それから現実に糾弾されておりますから、決して大きなことを言うつもりはございません。まことに遺憾な状態にあると存じます。御注意の点は私もよくわかります。なお努力いたしてまいりたいと思います。
  75. 平林剛

    ○平林委員 お約束の時間が一時でございましたから、私はこれで話をしぼりますけれども、なお共済組合連盟から脱退をされたということについても、その脱退を理事会にはからずに、理事長がおやりになったということはどういうことであるか。また、本部機構の拡充に伴いまして、職員の待遇などにつきましても、何かいろいろな批判がございまして、私ども承知しておるわけであります。そういう点で、いま理事長さんもお話しになったように、かなりそういう面におきまして、十分話し合わなくてはならぬ点があるということを自覚されておると思いますから、ここではあまり時間もありませんから、私こまかく追及はしませんけれども、非常に私は残念に思っております。今井さんも私は昔から承知しておりまして、なかなか官僚としては骨のある、ある意味では強情な人でございましたが、中尾さんも大体それに輪をかけて、負けないくらいな御性格であると漏れ承っておるわけでございます。病気をなさってしばらくあれしたから、その間にいろいろな問題もあったでしょうから、それぞれの行き違いの点などもあったかもしれません。幸い御病気も回復したわけでありますから、こうした点は、私は、どうかひとつ、国会でこうした問題が取り上げられないように、あなたもしっかりやってもらいたいと思うのであります。特に共済組合連合会はいろいろな意味で、いま本委員会におきまして法案の審議が行なわれておりますように、かなり国家的にもあるいは国民の福祉関係としても、重要な役割りを占めておるわけでありますから、それだけにこの中心がしっかりしてくれないと、私どもとしても一般の人の期待にこたえることはできぬだろうと思う。  それから、いまお話しのように、何しろたくさんの財産を預かり、資産を持っておるわけでありますから、その運用については、私がきょう指摘しましたように、評議員会の、少なくとも形骸化と極端に言わないにいたしましても、そういう批判のあるところは十分頭に入れてひとつやってもらいたいということであります。  それから、もちろんたくさん集まると議論は多いと思いますけれども、ひとつそこは、あなたはうまく民主的におやりになっていただきたいということを希望しておきたいと思うのであります。  なお、私のきょうまだ残された問題については、いずれ委員長を通じて、連合会に資料の提出を求めまして、こうした問題につきまして、少し私自身も審査をいたしたいと思っておりますから、さようにおとりはからいをお願いいたしたいと思うのであります。それを条件にいたしまして、きょうはこれで私の質問を終わることにいたします。
  76. 田中正巳

    田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は、この程度にとどめ、次回は、来たる八日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時九分散会