○平林
委員 税法上における配偶者控除を受けられる収入限度額、これは十万円、
給与所得になると多少違ってくるわけでございます。これは
給与所得控除があるから最高限度額二十二万五千円。つまり、逆にいえば二十二万五千円の収入があれば配偶者控除を受けられないということになってくる。これが私の質問の
前提なんです。
そこで私は、
大蔵大臣に特に聞いてほしいと思うのでありますけれ
ども、現在わが国には家庭の主婦が非常に職場に進出しておることは、
御存じのとおりであります。最近私は、東京都の労働局がやりました実態調査を入手いたしました。これは
昭和四十四年三月の調査報告であります。つまり、ことしの三月の調査報告であります。なかなかりっぱな調査結果書をつくっています。私、これをみんな入手して、実は調べてみたわけであります。
東京都内における内職の就業及び希望世帯は約四十八万世帯あります。内職に従事する希望は現在はないけれ
ども、過去八年間、つまり
昭和三十五年以降就業の経験があるものを内職就業状況の浮動性の多いことを
考慮して加えますと、約七十万世帯あるわけであります。東京都内の世帯数は島嶼部を除いて約三百五十六万世帯でありますから、内職の関連世帯はおおよそ一九%をこえる、つまり五世帯に一世帯の割合を占めておるということがこの調査結果によって推定されておる。さらにこまかく就業しておる内職労働の状況を調べてみますと、今回の調査結果では、最も多い月収が一万円から一万六千円、これが二五・四三%を占めている。さらにこまかく図表を洗ってみますと、内職労働によっての収入は、八千円から一万円ぐらいの人が八・五%を占めている。一万円から一万六千円までの人がいま申し上げました二五・四%を占め、一万六千円以上が一〇%、合わせて四三・九%、約四四%が、先ほど申し上げました家庭の妻が所得があるといろいろな方面に影響が出てくるという世帯数になっている。
平均工賃の月収額を調べてみますと、約八千百円になっています。年間で
計算いたしますと九万七千二百円。そこで私は、これは四十三年の調査でありますから、ここ一年を出ずいたしまして、大体この水準は、
平均して九万七千二百円でありますから十万円をこえていくだろうと推定をしておるわけであります。しかも、その半数はすでにもうこえているわけです。したがって、税法上におきましては、この内職の収入を得ている家庭の主婦、東京都だけ例にとりましても、かなり多い世帯の家庭の主婦は、
給与所得の場合を除いて、やがて一年もたたないうちに配偶者控除が受けられなくなるという実態にあります。
それからもう
一つ、パートタイムの実情調査を同じように調べてみました。これも「パートタイム職業紹介職種別賃金調査結果」というものがまとまっておりますから、労働局に頼んで調べてみました。パートタイムの職業紹介職種別の賃金調査、これは四十三年の十月でありますけれ
ども、ここにはこういうことが書いてあります。「近年、家庭婦人層を中心とするパートタイマーの進出はめざましく、各企業ともこれまでのような
一般常用従業員の補助者的立場から、しだいに欠くことのできない労働力として、有効に活用しようとする気運が高まっています。」とまとめられております。私は、これは
現実だと思う。もちろんパートタイムといいましてもいろいろな区分がありまして、全日制雇用といって、普通八時間ではありますけれ
ども、
短期間に雇用されるもの。それから特定日制という雇用形態でありまして、特定の日だけ、たとえば火曜日とか木曜日とか土曜日だけ雇用されるもの。それから特定時制といいまして、通常の時間よりも短い時間勤務をする。パートタイムの雇用形態にはこういう三種類ありますけれ
ども、とにかくこういう状況が
一般化しておるということは争えない事実であります。特に通常の時間より短い時間勤務をするというのが本来のパートタイムの
一般的な傾向でございましょうけれ
ども、とにかくこれを調べてみますと、職業紹介所を通じて求人をした、人を求めたという延べ数は四十一万二千五百九十八人います。そのうち婦人は三十七万五千十四ですから、まずもう九十何%が家庭の主婦であるということがおわかりになると思う。これに対し実際に就業した人間は、延べ数で三十万六千百九十八名、そのうち婦人は二十七万八千三百九十名でありますから、つまり内職労働をやっている者の数も五世帯に一世帯の割合で東京都にはあるし、それから内職はしないけれ
ども、家庭を離れてパートタイムに出動しておる者が、職業紹介所の手を経たものでも大体就労だけで、婦人は二十七万八千三百九十人、これは東京都の調査でありますから、大阪、名古屋、仙台、各労働都市、大きな都市を
考えてみますと、かなり
相当な数がこういう形で、内職あるいはパートタイマーという形で家庭の主婦が出動しておることがわかるわけであります。
この収入はどのくらいあるかという点は、まだ東京都の労働局でもこまかい調査ができておりませんけれ
ども、私の推定では、内職の収入よりは多い。これは常識的に
考えられます。業種別に調べてみますと、大体一日、低いところで九百円、千円、千二百円、千五百円、多いところで千八百円というそれぞれの状態が出ておりますから、これをもし月収に
計算をいたしてみますと、内職収入よりはるかに大きい
平均的な月収が出てくるだろうと思っています。いま私は、特に東京都の労働局長にも頼みまして、この点はぜひひとつこまかく実態調査をやってほしいということを話をしてありまして、近くまとめられる努力をするというお話がございました。
そこで、私の言いたい点であります。つまり現在、家庭の主婦の内職あるいはパートタイムに出動する、こういういろいろな状況を見ますと、ただいま審議しておる
共済組合の場合は、先ほどお答えがありましたように、年間十二万八千円あれば扶養家族の取り扱いを受けられなくなる。
国家公務員の場合には配偶者
手当という
制度があるけれ
ども、これも十二万八千円で削られてしまう。税法上におきましては十万円で扶養控除を受けられなくなる。そうすれば扶養控除十七万円の適用を受けることができませんから、税金は――家庭の世帯主である人は、少なくとも五、六万円の
月給取りの人であれば年間三万や四万の減になってくる。家庭における妻が出動していってかせいでくる、少し限界を越えれば、税金は三、四万円重くなるというような因果
関係を持っておるわけでございまして、このことを
考えますと、やはりいま申し上げました扶養家族の取り扱いを受けなくなる収入額の十二万八千円、あれは
検討を要するのではないか。それから
国家公務員の配偶者
手当という
制度が、一定の基準を越えると、その支給が削られるという限度額が十二万八千円になっていますが、これは少し
検討する必要があるのではないか。特に問題の焦点は、税法上十万円に達すれば扶養家族の控除を受けられなくなる。
給与所得の場合には二十二万五千円でございますけれ
ども、しかし、先ほど申し上げました家庭の主婦のパートタイムの
平均月収等を
考えますというと、これは少し過酷に過ぎるのではないか。
そこで、この点について私は
大蔵大臣に、これは常識的な判断でございますけれ
ども、いかがなものでしょうか。こういう状態は改正する必要があるとお認めになりませんか。