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1969-06-25 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月二十五日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       伊藤宗一郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    木野 晴夫君       笹山茂太郎君    田村  元君       地崎宇三郎君    辻  寛一君       坊  秀男君    本名  武君       村上信二郎君    山中 貞則君       吉田 重延君    阿部 助哉君       佐藤觀次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       春日 一幸君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         国税庁長官   亀徳 正之君  委員外出席者         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月二十四日  国税不服審判所設置反対に関する請願田代文  久君紹介)(第九〇四七号)  退職公務員医療制度に関する請願宮澤喜一  君紹介)(第九〇四八号)  同(鈴木善幸紹介)(第九一一八号)  租税特別措置法の一部改正に関する請願(植木  庚子郎紹介)(第九〇八九号)  同(木野晴夫紹介)(第九〇九〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第九〇九一号)  同(小坂善太郎紹介)(第九〇九二号)  同(砂田重民紹介)(第九〇九三号)  同(永田亮一紹介)(第九〇九四号)  同(増田甲子七君紹介)(第九〇九五号)  同(三原朝雄紹介)(第九〇九六号)  同(大平正芳紹介)(第九一一九号)  同(小渕恵三紹介)(第九一二〇号)  同(鈴木善幸紹介)(第九一二一号)  同(塚田徹紹介)(第九一二二号)  同(鴨田宗一紹介)(第九二八三号)  同(倉成正紹介)(第九二八四号)  同(始関伊平紹介)(第九二八五号)  同(渡海元三郎紹介)(第九二八六号)  同(坊秀男君外一名紹介)(第九二八七号)  音楽等入場税撤廃に関する請願佐々木良作  君紹介)(第九一一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国税通則法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)  国税審判法案広瀬秀吉君外十一名提出衆法  第四号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出国税審判法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国税庁長官に、最初に税務調査の問題で若干質問をしてみたいと思います。これは東京税理士会アンケート調査をやった結果なのでありますが、現況調査事後調査循環調査事前調査、こういうように分けまして、事前通知があったかなかったか、それから調査内容はどういうことであったか、それからその結果どういうことになったかというようなことなどを内容とするものです。  いま私が問題にしようとするのは、税理士法第二条におけるいわゆる税務代理人、これと関係をして、こういう調査段階代理人である税理士に対する通知というものについてどういうお考えを持っておるのか。このことはやはり税務に非常に暗い、商売は非常に熱心で一生懸命やっているけれども、どうも帳簿の記帳や、さらにそれを課税標準をどういうぐあいに算定していくかという税務の問題になったらまるきりだめだというような人がかなり納税大衆に多いわけであります。そういう場合に、あらゆる税務関係調査において、何を聞かれても、その商売のことはわかるけれども、数字のことになるとさっぱりだというような人たちなんかの場合に、税理士法があってちゃんと税務代理ができるのだということが法定されて、そういう代理人を通じてそういう調査をやるというのが、これは正式に法律代理人資格を与え、認めておるという立場では当然ではないかという気がするし、そういうことがやはり、納税者税務行政に対してえらい不信感を持ったり、必要以上におそろしがったり、俗にいう泣く子と税務官吏には勝てないとかという、税務署全般税務行政全般に対する不信のあらわれというようなことにも結びつく大きな原因にもなる。とにかく税務署というのはこわいものだというような税務署に対する不信と、むしろ恐怖というようなものが起こる原因にもなりかねない。そういった場合に、やはり正式に法で認められている租税専門家である税理士というような人たち代理人になっている場合には、その人たちについて調査をするということがやはり非常に重要な問題だろうと思うわけです。  そういう点からいいまして、この現況調査事前通知税理士にあったというのが二百七十九件、なかったというのが圧倒的に多くて二千五百四十七件だ。事後調査でも四百五十一件、千七百九十七件というように、ない場合が非常に多い。それから循環調査で二百四十一件、四百八十三件、事前調査三百五十九件、七百三十六件、あとから読んだ数字はないということであります。したがって、こういう現実であるということに対して長官は、税理士代理人資格とその関係において、この問題について一体どういうようにお考えになっておられるか。
  4. 亀徳正之

    亀徳政府委員 この税理士への通知法律の上では本人通知いたしますときには税理士にも通知するようにということに相なっておるわけでございます。したがって、要するにこの税務調査のときに事前にいついつ行きますといった場合には税理士通知するというたてまえで、事前に予告して調査に行くかどうかという問題と関連してくるかと思います。まあ基本的な方向といたしましては、やはりあまり記帳しておらない方に、大体基本的にはそうおかしいことがないと思われるような方の場合には、やはり基本的には事前通知する。したがって、税理士の方にも通知して調査に行くという件数が今後ふえていっていいじゃないか。  ただ、いろいろな申告状況その他から見てどうもおかしい、率直に申して若干こちらも相当疑いを持ってかかる場合は、また、そういう場合にはえてして納税者の方もたとえば税理士の人に伝票その他の整理を依頼しても、大きな一部分を抜いて、それから特定なものだけやって、これで整理してくれといっているケースもあるので、税理士の方自身が全く真実を知らされていないというケースが残念ながらまだあるわけでございます。それで、そういう疑いがあります場合には、率直に申して事前通知しないで行くケースがございます。また事実、そういうことで相当の事実をつかんでくることがあり得るわけです。  ただ問題は、私は、だからといって全体を疑ってかかるという態度はいけないのではないか。私は、基本的にはやはりそういう件数がどんどん少なくなって、事前に前触れして行きますぞということで、こちらとしても堂々と調査に行くということが、いまおっしゃったような件数が、私もちょっとその数字を承知いたしておりませんのでございますが、もしも先生のおっしゃいましたことが事実でございますと、もう少しその通知件数がやはりふえるべきだ、かように考えています。ただ、現況調査その他で若干疑いを持って臨む場合には、率直に申して事前通知しない場合が多いのではないか、かように考えております。しかし、気持ちというか、方向というか、それはやはり事前通知していく方向になるべきだし、また私は、さらにことばを重ねて言わしていただけば、税理士公認会計士とこういういわゆる会計人水準がもっともっと高まって、アメリカあたりでは公認会計士オーケーと言ったものは万事オーケーとなっているような慣行まで確立しておりますが、そういうところまでやはり会計人水準も高まってもらう。双方相まってそういう慣行が逐次拡大することを願っておりますし、私のほうもそういう方向指導していきたい、かように考えております。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現況調査事後調査循環調査事前調査、大体この四つでございますね、調査の種類というものを区分けをしてみれば。この性格と申しますか、税務行政における目的といいますか、そういうものについておおよそのことはわかりますが、一応権威ある説明をこの際伺っておきたい。
  6. 亀徳正之

    亀徳政府委員 環循調査と申しますのは、やはり率直に申して、現在の調査人員とそれから納税対象者との関係から、非常に法人数が多うございますので、なかなか全部回るわけにいかない。しかし、残念ながらやはり接触を持っておきませんとだんだん申告水準が佐くなるという傾向もございますので、ある程度余裕がある限り三年に一度、四年に一度くらいはやはり接触を保つようにということで、循環調査の場合にはむしろそういう必ず非違がありそうだということで行くわけではございません。しかし、そういう接触を持つ間にいろいろな事実を発見することはございますが、そういうものでございます。  それから、事後調査と申しますのは、大体申告、特に青色法人につきましては原則として事前よりも事後調査が多いわけでございますが、いろいろ申告書を検討いたしまして、どうもほかの同業者の申告水準、その業種の業況、そういうものから照らし合わせて非常に申告水準が低いではないか、それは特殊なやはりいろいろな事情があれば、個別の事情を説明していただけば納得できるわけですが、そういう事情がわからないまま、ともかく水準が低いという場合には、事後調査対象に選定いたしまして調査するというふうな仕組みでやっております。事後調査の場合には必ずそこに非違があるとにらんでかかるわけではございませんが、何らか調査の選定の対象になる理由なり考え方をもって調査するものであります。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現況調査、それから事前調査、これについて触れられなかったのですが……。
  8. 亀徳正之

    亀徳政府委員 事前調査は、主として個人の白色の方であまり帳簿も整理されておらない、それで規模がうんと小さい人は問題にいたしておりませんが、やはり帳簿も整備されておりませんので、その年間の事業の実態はある程度把握しておかなければいかぬ。たとえば、例が夜間営業でございますと、大体客の入りがどのくらい、いすが幾つぐらいあってお客はどのくらい入っているだろうかという実態をある程度やはりつかんでおきませんと業況がわからない。そういった場合に、事前にある程度その業況なり何なりをつかんでおきたいということでやるものでございます。  現況調査は、いま説明申しました範疇とは若干その意味では次元が違う話でございますが、むしろやり方からくる一つの類型みたいな、事前事後循環という概念とはちょっと違った角度の話でございます。これが率直に申していろいろ話題を提供しておる話でございますが、若干これはおかしさがあるのではないかと疑いを持ってかかっている場合でございますが、若干抜き打ち的に現況なりいろいろな業況把握したいというときに、いきなり出かけていくものでございまして、先ほど先生の御指摘になった資料にもございますように、現況調査の場合に事前通知なり何なりのあれがない、むしろ行ってから、税理士の方が飛んでこられるということがまたあるのではないか、かような状況でございます。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 先ほど御答弁がありましたが、税理士業務は、税理士法の第二条の一項一号に書いてありますように、「申告、申請、不服申立て、過誤納税金の還付の請求その他の事項(訴訟を除く。)につき代理すること。(以下この事務を「税務代理という。)」こういうようになっております。たとえば申告ということになりますれば、申告書をつくるための一切の課税要件事実というものは、絶えず税務代理をする人ですから把握をしていなければならないし、ほとんどそういう人たちにまかせてしまっている。帳面だけ、その出入りの数字を、仕入れ、売り掛けあるいは現金売りというようなものを準備はしている、しかしそれ以上課税要件事実というものをどう整理するかというようなことについては、もう一切税理士さんにおまかせという形が非常に多いケースであることはお認めになるだろうと思います。そういうときに、その本人のところへだけ行って、まかせてある代理人がいないでどうだこうだとやられることは、非常に心理的な圧迫にもなるし、また、納税者自身も非常な戸惑いを感ずるし、一方において税理士法というものがあって、そういうものが正式に法律で認められているにもかかわらず、その人を抜きにして本人にやっていくということに非常に問題があるだろうと思うのです。したがって、どうしてもやはり現況調査なんかでは何かあるぞということで行くのだから、そういう専門家はいないほうがいいという気持ちはあるかもしれぬけれども、税理士というものを認めて、各段階における税務代理ができるのだということを、ここに申告段階からずっと書いてあるわけです。そういうものを抜きにして、いわゆる抜き打ちにやるのだという考え方は、やはり私は、何といっても上の御都合権力で税金というものは徴収するのだというお気持ちが非常に強過ぎるのではないかと思うわけです。  今日の納税というのは権力的に、昔の封建領主のように権力でさらってくる、略奪同様にして収奪してくるというようなことではもはやないだろうと思うのですね。だからそういう点から考えて、いまではやはりお互い納得づくで納めるものは出しましょうという気持ち、そういう理解と協力というような気持の中で、民主的な今日の国家社会においてはスムーズな税務行政の実があげられるということが当然だと思うのです。そういうような点からいうならば、もっとそういう人を活用し、そして直接的に、全く法律に暗くて、帳簿に暗くてわからないような納税者についても、代理人を選んであれば、その人についていろいろ調査をするという方向にもうそろそろ切りかえていっていいのじゃないか。そうだとするならば、この現況調査なんかにしても事前通知をした例もあるのですね。二千八百二十六件のうち二千五百四十七件が通知をしてない、しかし二百七十九件は通知をしてある。通知をしてあれば大体代理人に来てもらって一緒に立ち会うということにもなるだろうと思うのです。だからこういうような数字というものは、それじゃなぜこの二百七十九件だけを通知したのだというようなこともかえって疑問になる。これは特別にめんどうを見てやろう、あまりいじめちゃかわいそうだからという特別な配慮があったかどうかというようなことまでせんさくせざるを得ないようなことになる。だから、こういうような場合には、あらゆる調査というものは——犯罪国犯法にかかるような場合には、もちろん事前に行きますよといって一切の準備をさせるというようなことはない。犯罪捜査については職権主義というのは当然でありますけれども、犯罪ではないという面から、犯罪捜査とは違うということが税法にもちゃんと書いてある。質問、検査とか調査とかいうのは犯罪捜査として与えられた権限ではないのだぞということが厳としてきまっているわけです。だからそういう立場からいっても、もっと事前通知を強化して、よほどのことがない限り、原則としてはもう事前通知をして、資格のある代理人の付してあるところはちゃんと代理人にも来てもらって、そこで調査するというようなことが当然だろうと思うのです。  先ほど、前向きで検討されるようなことでありましたけれども、そういう点について原則として出す、特別な、事前通知を出したらもう一切だめになるのだ、調査もできない、何もできないというようなことでも予想されない限りは、平穏に調査ができるという場合であったならば、原則として出すというようなところまでいけないものですか。
  10. 亀徳正之

    亀徳政府委員 先ほど申し上げましたように、やはり通知するほうをふやしたいということでやっておることは事実でございます。それから、率直に申して、やはり小さいところでは、先生おっしゃったように、ある程度税理士にまかせっぱなしで、ともかく税理士の人に来てもらわぬとよくわからぬ。したがって、調査の上でも手間ひまかかるというケースもありまして、調査都合からいっても来てもらわなければ困るというようなケースもいろいろあるわけでございます。やはりこれはどうもおかしいとねらった場合は、率直に申してそういうわけにはまいらぬのですが、一般の問題がない循環調査とか事後調査は極力事前通知して行く態勢を整えていきたい、ふやしていきたい、かように考えております。  ただ、われわれの日常ぶつかっている悩みをこの際御披露したいのですが、税理士の、いろいろな使用人とかをたくさん使っておって、資格がない人がいろいろ間違った指導をした文句とかなんとかいうのもまたいろいろ耳に入ってくるケースでございます。やはり税理士方々会計事務としての認識をしっかり持って、自分の責任できっちり処理する、そのかわりおかしなところがあったら税理士法処分を受けるということで、こういった面の秩序も一そう改善される必要があるのではないか、両々あわせてこういったよき慣行を確立していきたい。  われわれも、先生御案内のように、最近サラリーマン・ユニオンその他のあれで、営業面なり法人なりの点で非常に漏れがあるのじゃないかということで、片やたいへん突つかれておるわけで、そういった実態把握というのはなかなか困難な要因がございまして、万事きれいごとでは相済まない要因もあるわけで、その中での基本的なかまえは、やはりまじめに帳簿をつけている人、それはもちろん能力がなければ税理士の力をかりていいわけでございます。かりながらも、やはり基本的には、あらゆる伝票を、三分の一を抜かすとかそういうことなしに全部渡して整理される、そういうまじめなかまえの納税者の方を一人でも多く、また、そういう方は、循環調査のときに抜き打ちでやる必要はさらさらないわけでございまして、やはりそういった納税者を一人でもふやすということが税務行政の基本ではないか。また、そういう方々をふやすということは、同時に事前通知もどんどんふやし得るわけでございまして、そういう方向で、力強く改善の道を進んでいきたい、かように考えております。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 お話はよくわかりましたが、どうもやはり長官のお答えによりますと、税理士の中にもおかしな態度をとったり、もぐり的なことをやって税務行政を乱すような者がいるというような印象を受けざるを得ないわけですが、そういう、税理士法処分をされるような非違行為を行なうというような税理士年間どのくらいおりますか。かなりの数に及ぶのですか。それと、税理士の質の向上ということに対して、税理士法という一つ法律がちゃんとあって、しかも、これは国税庁大蔵省の管理のもとに税理士会というようなものもちゃんと登録されて、しっかりした団体になっておるわけです。そういう会における自主規制なり、あるいは国税庁指導のしかたなり、こういうようなものについて、税理士という、税理士法によっていろいろメリットもきちっときめられておる、そういうものでありながらおかしな者があるということに対して、どういう改善の努力とそれから方策を持っておられるのか、そこらの点についても明らかにしていただきたい。
  12. 亀徳正之

    亀徳政府委員 なかなか全般があれでございますので、処分するときには相当きびしく処分いたします。極端なことをいいますと、業務を全く禁止する、それから業務の停止、一カ月から一年に及びまして停止いたしておる、相当きついものでございますから。現在の段階では一罰百戒的な感じで処理いたしております。現在、三十一年ごろから——それまであまり数が多いのでとても手が及ばなかったのですが、逐次三十一年ごろからやり出しまして、今日まで業務禁止等をしておりますのは通計百八十件ございます。しかし、こういった問題は、ただ処分すればいい、それだけではいきませんので、御存じのように税理士会がございます。税理士会その他を通じまして常々注意をいたすとともに、税務署単位にそれぞれの会合がございますから、税務署長を通じてそういういろいろな会合を持つ機会に、常にそういう点に注意をいたしておるようなわけでございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣せっかくお見えでございますが、いまの問題ですね、調査の場合に事前通知というようなものがない、したがって税理士が立ち会う件数というのは非常に少ないというようなことから、不必要なまでの、冒頭に申し上げたように、税務署はこわいんだ。それで現実の問題としても、第一線の税務官吏の中には、あなたはこういうことに答えなければかかる罰条がありますよと、一々全部こういう罰金に処せられるんですというようなことを告げながらやる。しかも、チンプンカンプンでわからぬような人に対してみんなそういうことをやるというような人もある。そういうような場合に、より高度な専門的知識を受けて、その人の税務代理を正式に法的資格を持ってやっている人たち一緒に立ち会う、これはもちろん公正な税務執行に資するための協力をするという立場においても、そういう人たちを立ち会わせて調査をする機会というものを多くすることが、やはり不必要な問題を起こさせないような民主的行政の実をあげることにもなるだろう。したがって、いま前向きに、できるだけ両々相まって通知件数をふやしていくというようなことを長官も言われたわけなんですが、これはもうよほどの例外、よほどの悪質な、事前通知したらすっかり対抗措置を整えて、あるいはまた、実力配置までして阻止するというような場合でもなければ、事前通知というものを出して、正しく受け答えができるような準備をちゃんとさせていける、こういうふうな方向というようなものに向かっていくことが当然だと思うのです。その点について、税理士というものが税務代理人になっている場合に、その人に立ち会わせないでかってに調査をして、おどかすところは適当におどかしていってしまうというようなやり方というものを少なくするためにも、できる限り通知の活用をもっとふやす、税務代理人税理士の立ち会いの上での調査というような件数を画期的にふやすという、私は当然そうだろうと思うのですが、そういうことについての大臣の御見解をこの際お聞かせいただきたい。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 税理士制度というものはだんだん定着化してまいりまして、納税者税務署との間に立ちまして非常に重要な役割りを果たすようになってきた、こう見ております。この上とも税理士という制度が円滑な税務行政に活用されるようにということは、国税庁が基本的な考え方として持っておるわけです。たまには税理士が入って混乱するような事例もありますけれども、大体において、大勢とすると、税理士というものは非常に公正な税務執行ということに協力してくださる、こういうような傾向になってきておると思いますので、いま広瀬さんのお話のような点はとくと今後とも前向きで配意していきたい、かように考えております。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ぜひひとつ、この面は少なくともことしは去年よりも改善されたという実績をあげていただくように、絶えず税理士会から納税者に対するアンケート調査をしたらまだこういう状況だというような苦情があまり出ないように、これは両々相まってということもたいへんけっこうなことですから、そのことも一面ばかりじゃなしに、その両方をやっていただきたい、そういうように思うわけです。  次に質問を移しますが、これは前からも何人かの人たち質問をしたわけですが、私ども党としては、国税審判法の提案をこの委員会にしておるわけです。それで、租税に関する紛争について、納税者の真の権利を実現するために審判機関の独立、第三者的な地位の確保ということが当然要請される。そこで、これは主税局長がだれのときでしたか、質問に対しまして、行政行為を批判する独立の行政機関というものを設置するのは、行政組織の上から見て異例であるという答弁をなさっている。私どもの出している法案では、これは、総理府に準司法的な独立性の非常に強い第三者機関として国税審判庁を置く、こういうことになるわけであります。したがって、それはもう権利救済の立場に立って、租税行政上の処分庁の行為に対して、そういう性格の中で準司法的な審理の手続をとって批判をし、審判をし、裁決を出すということになるわけです。  お説のように、そういう行政機関を置くというのは異例のことだと言われるわけですが、たとえば人事院があるわけです。人事院の中に、国家公務員等に対する処遇あるいは職員に対する不利益処分が行なわれた場合に、違法であるとして審査の請求が行なわれる準司法機関として、公平局ですか、処分庁の行為を批判する機関があるわけであります。また、土地調整委員会は総理府の外局として設置されている。たとえば鉱業権の設定の出願に対して通商産業局長がこれを不許可とした場合でも、それと異なる裁決をちゃんとやれるわけですね。そういうものがやっぱりあるわけです。そうだとするならば、これはあえて異とするに足りない。もうすでにそういう前例もあることではないかということであります。行政組織法上私どもが出しておる審判庁を総理府に設ける——行政処分に対して同じ行政の系列全体の中でそれを批判し、異なった裁決をする準司法的な立場でやることはほかにもそういう例がある。とするならば、やはりこの国税審判庁というものもあえてそういう組織に移行しても、何ら法理論的にあるいは行政組織上異とするに足りないものであり、当然そういうものがあっていいのだという前例もあることだからということに私ども考えるわけですが、いまでもその点同じような見解ですか。
  16. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 私が、行政行為一般を批判する第三者機関的なものは日本の実例法ではあり得ない——あり得ないじゃなくて、異例であると申し上げたのは、人事院の場合は、国家公務員という特殊な、特別な権力関係の中で、しかも人事院というものが総理府の中で内閣の人事というものについて幾つかの権限を持っているわけであります。国家公務員制度の中で実は内閣全体の権限の配分として人事院が権利を持っている。私が申したのは、最終の権限を持っているものの範囲内においてはいろいろ行政的な批判行為というものがあり得る、しかし、行政行為について最終の権限を持っているものを越えて、他の第三者が批判をするというのは異例ではないかということを申し上げたわけであります。  土地調査委員会にいたしましても、これは土地に関する権利関係を調整するということでございまして、行政庁と個人の間の行政行為に対する争いを裁定するという性格のものではない。これはもちろんそういう考え方で行政行為に対して常に第三者機関を置いて監視をするという制度も、これは不可能なことだと私は思わない。ただ、日本の実態はそういうものをとっていない。それを最も典型的にあらわすものとしては、行政裁判所というようなものができて、不当な行政行為について常に第三者機関がその最終権限を持つ行政庁の上に立って判断をするという制度は、戦前ではとっておったわけでありますし、大陸法系の国ではそういうものがあるわけでありますけれども、現在の日本のあり方としてはそういう行政裁判的なものはやめて、そういういわば行政行為の権限ある当局のやったことに対する法律的な批判は、司法制度にゆだねるというのがいまの立場だと思います。  そういう意味で、その中間的に準司法機関を設けるかどうかということにつきましては、税制調査会も大いに検討はしたわけでございます。今度の社会党案もそういう意味では私は不可能だと言っておるわけではないのでございますが、そこまで徹底をするとすれば、日本の行政組織の中で一つの行政行為が行なわれた場合に、その最高の権限を持っているものから完全に離れた第三者が批判をするということになると、行政部内に一つの行政行為に対する解釈が二つあり得るということ、もっと詰めていえば、行政行為についての行政判断は行政の段階でも最終的であり得ないというあり方、これはまた一つ考えられると思いますが、それがはたしていいのかどうか。そこまで行けば、社会党案にありますように、国税庁長官が解釈権として譲れないという場合に裁判所に出訴するというのは不徹底である。むしろ行政機関は、法律的判断で第三者との間で紛争を起こしたならば、第三者的機関で必ず裁定してしまう、それには絶対に服さなければならぬという制度が必要になるかと思います。そうなると準司法機関と申しましても、完全な司法判断になってまいりますから、そこでその場合にはその手続は司法手続に非常に接近してくる。したがって、司法裁判所のような第一審級は省略して第二審級に直接つなぐというような法制がとられてくるのが当然じゃないだろうか。そこまで日本の制度を大きく転回することがいまの段階でできるだろうかどうかということがいろいろ問題になりまして、税制調査会としては、いまの実定法全体の体系としてはそこまでまだなかなか行き得ないのではないか。準司法機関自身も、そういう行政行為に対する第三者の批判機関としての意味でなくて、公正取引委員会とかああいうような行政機能を準司法的な方法によって執行する、そしてそれを直接高等裁判所に結びつけるというような意味の準司法機関的なものも、証券取引委員会にしろ証券処理調整協議会にしろ、戦後むしろ縮小されておるのが実情であります。そういう実定法の秩序の中では異例であるという判断を下し、またそれを乗り越えて、いますぐそういう準司法機関からさらに思い切って第一審省略の制度をとれるかということは、現実的には非常にむずかしいというのが税制調査会の判断であります。そういう意味で私は異例と申し上げたのでありまして、制度として不可能だということでは決してないのでございます。  ただ、制度としてこれが日本の行政全体に対する救済制度、行政部内においても第三者的なもので最終権限を越えてすべて批判するという制度ができるとなると、これは理論的にいえば昔の行政裁判所のようなものが一つ出現してくるのではないか。そしてその場合に、それが最終審でなくてさらに司法審につながれるということであれば、それは憲法にも違反しないと思います。それにはやはりかなり長い改革といいますか、行政制度全体の大問題であるのではないか。確かにそれは行政執行者とそれに対する救済者と全部分けてしまうという考え方も将来あり得るかもしれない。ただ、現実にはそれはあまりにも離れ過ぎているのではないか、そういう意味で申し上げたのでございます。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 前よりはかなり明確になったと思うのですが、法制局第三部長来ておられますか。——いまの問題について、行政組織法上、私どもが提案を本委員会にいたしました国税審判庁を総理府に設置をする、こういうものと、人事院が国家公務員に対する不利益処分等について公平委員会というようなもので、たとえばある官庁においてある職員を懲戒処分にした、これがけしからぬということで公平委員会に異議申し立てがあるというような場合に、それを取り消すことも法律上できるたてまえになっている。それからいま引例いたしました土地調整委員会というものも、総理府の外局であることに間違いない。そうして地方通産局長がやった鉱業権に対する処分等について異なる裁決をすることができる。これと本質的に異なるものではないはずですね。  したがって、行政組織の面からいっても、こういう私どもが出しているものが非常に異例であるということにはならぬだろうと私は思うし、また特に租税事案というものに対する国民の不満がかなり多い。特に権力徴税的な要素といいますか、そういうものがあって、国民の納税者の権利が必ずしも十分に救済される保障がないというところから、私どもがそういうものを出すということについて、行政組織法上非常に問題だというような点があれば見解を述べていただきたいと思います。
  18. 荒井勇

    ○荒井政府委員 人事院が国家公務員の苦情処理あるいは公平行政というような面を所管しているのは、人事院が国家公務員法の施行について原則的には全般的な責任を負っている。これが一昨年でしたかの改正で一部の権限が内閣総理大臣ということで、総理府人事局のほうに移っておりますけれども、その特定の部分を除いた残りは人事院自身が包括的に最終権限を持つ機関だとして決定をされている。その制度からおのずから出てくる。それは、税務行政について国税庁長官というものがその責任を負っているというようなものと同じような立場でそこは考え得ると思います。  それからもう一つの土地調整委員会につきましては、それをなぜ総理府に所属さしたかという点で考えますと、それは鉱業法的な観点、つまり通商産業大臣的な立場だけでその土地に関するいろいろな権利の調整というものがはかれない。それは観光資源をどう保持するかとか、あるいは文化財、史跡等に当たるものについてどう対処するかとか、いわば通産、厚生、文部、運輸、各省の行政に所管する。それの調整をはかるための機関ということで、特定の通産省だけには置けない、厚生省だけには置けない、運輸省だけには置けないというような意味で、各省共通的な行政目的をその中に含有しているというか、含んでいるということでそれは総理府に置かれるということになっているのであります。  国税の賦課徴収事務というようなものは、そういう意味の各省共管行政というものではない。その利害の調整をはかるためにどこに属させるかという場合に、属させようがないから総理府に属させるといったような意味で調整機関を総理府に置くというものではなくて、それはまさに大蔵大臣がその省の権限としては持ち、それが大蔵大臣から外局の長官である国税庁長官というものに全く法律上委任をされて、そこで完全に執行しているという体制であって、各省行政共管的であるからどこにも属させ得ないという意味で総理府に持っていくというような性格のものではなく、それはその責任のあるところにおいて、行政不服審査法に書いておりますように、正しい行政の執行をはかる、権利の救済をはかると同時に、正しい法の実現を期するということをするほうがベターではないか。総理府というところに何でもかんでも持っていくということが国家行政機構の能率的な運営というためにいいかといいますと、いわば総理府が掃きだめ的になると申しますと語弊があるかもしれませんが、そういう傾向はあります。それがほんとうに能率的な行政の執行という面に役立つものであるかどうか、それからまた、それが行政の最終責任者の責任を重からしめるということになるかどうかというような点で若干問題はあるんじゃないかというふうに考えます。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いろいろお話しになったけれども、どうも私どもにはぴんとこないわけで、それは法制局の立場というものは内閣に対する法律顧問的な存在だということから、それ以上は出られないのかもしれないけれども、いずれにしても先ほど主税局長の答弁の中にも、行政行為に対してはやっぱり行政組織全体の中で、一つの問題はそのワク内も解決したいという考え方が非常に強いと思うのです。その前提になるのは、やはり法権力というものは正しいものなんだ、法権力に誤りないのだというむしろ非常に前時代的なといっていいような考えの裏づけというものが、その中に無意識のうちに働いているのではないかと思うわけです。そういうものが現実納税者の国民大衆の中からいろんな意味での問題点を投げかけられて批判にさらされている。そういう考え方自体がいいのか悪いのかということが今日深刻に、特に税務行政の場合にきわ立って不満がうっせきし爆発し、私どもが審判法案というようなものを——いわゆる悪いことばでいえば同じ穴のムジナ論、行政系列の中で、処分をしたものを今度はその上級庁が見直しをして自己反省をするという程度の系列、そういう発想、こういうものにはもはや国民の納税義務者の権利というものが救済できないところに来ている。こういう現実というものは、いまの法制局第三部長のような考え方ではやはり処理できない。いろいろ組織上問題はあるにしてもそういうものになっている。すでに人事院でもこういうものがある・土地調整委員会、それぞれ申し述べられた点もありますけれども、私どもは決して異例なものではないという考え方の上に、しかも行政の中においても準司法的な立場をとって、行政の過誤というもの、あるいは不公正な処分というようなものに対して、より一そう具体的に租税正義の実現をはかれるような独立した第三者機関というものを税務行政全体の中で、あるいはそれ以上にワクを広げた行政全体の中での機関がそういう準司法的な性格を持ってやることについて、ちっとも抵抗を感じないし、そのことに踏み切ることが新しい時代の要請に即応する行政機関のあり方であるし、行政組織法というようなものもやはり時代の変転に従ってその形を変えていくということがなければ進歩というものがないはずだと思うわけであります。  したがって、そういう点からもう一つ伺いたいわけですけれども、租税法学者といわれている東大の金子教授も、現状との関係においてまだそこまでは行かない、いまいろんな克服すべき条件というようなものも必ず多くあるし、整備しなければならない条件もある。だから一気に国税審判庁まで行けないでも、しかし両案は、国税通則法における国税不服審判庁というものと、この社会党案というものは接続している関係にある、そういう表現もされている。そういうような点について、どうしてもあくまで行政組織法上の基本的な立場といいますか、そういう立場からわが党のこういう構想というものは相いれないものだという、きわめて異例なものなんだという御見解なのか、これはある段階というかそういう条件の整備というようなものがあればむしろ行政組織法全体の進歩という中において望ましい方向というものなのか、そこらのところの見解を主税局長、第三部長、両者から答弁をしていただきたい。
  20. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いま御指摘がございましたように、行政法学者の所論としては、いろいろ実際学説としてございます。準司法機関的なものをつくるべきだということを言っておる方もあります。問題は、立法論、さらに理想論というものとの隔たりの問題もある。私が申しておりますのは、日本の実定法としての秩序というものを変えていく理念的なものがまだわが行政法の中にはないのではないか、その点で非常な飛躍にはなるということを一つ申し上げているわけであります。  それからもう一つ申し上げたいのは、いまの行政不服審査法の考え方なり一般の行政法的な考え方から申しますと、行政における権利救済制度というのは、行政の適正な執行による人民の権利の保障という意味から、司法判断を待つ前に、少なくとも行政段階において過誤なきを期そうということが一つ基礎にあると思うのでございます。そういう意味では、行政の最終監督者まで争訟が持ち込まれて、そこで最終的な統一をはかって権利救済が行なわれるというのが現在の実定法の姿だと思います。わが税法におきましては、その点で一歩前進したと私は思うのでございますが、その際にできるだけ判断を客観的にするために、第三者機関的なものを置こうということで協議団というものを置いたわけでございますが、それで結局においてなおあまり効果を発揮しないのではないか。この間御指摘がございましたように、八千件の未決のうち六千件は協議団がすでに済んでおるのに局長決裁が済まない。局長決裁が済まないというのは、結局主管部の意見がまとまらないからであるというような実情が世間の批判を受けている。せっかく民主的な客観的な制度を取り入れても同じ穴のムジナではないかという批判が、一歩前進したがためにそこに生まれた一つの矛盾であると思います。  そこで、この一歩前進したものをさらに究極まで推し進めるとすれば、裁決権の独立ということで、行政最高責任者の中ではありますけれども、その行政最高責任者の権限を思い切って分化して、裁決権については特定の機関を設けてそれにあくまで専決をさせる。最終に一般の秩序、つまり法令の解釈等において改めるべきところ、あるいは具体的事件に適用することが不適当という判断をしたときに最終責任者との調整をはかる。しかも、その段階においても第三者機関の意見を取り入れて適正な判断を行なうという意味では、私は、いまの実定法秩序としては最も極限まで行ったものだと思います。そういう意味では、金子教授が社会党案と接続しておるという意味は、その機能的な面をとらえて、まさに三者的な判断が九五%まで事実認定を含めれば行なわれるという意味で機能的には接続をしておると言ったことは私は事実だと思います。  つまり、今度の制度が実現いたしますと、日本の行政争訟について最後の大きな踏み切りができるかできないかというときの大きなかけ橋になる。こういう制度ができていなくて、いきなり準司法機関的な解決というものを行政組織の中へ持ち込めるかというと、現実論としてはなかなかむずかしかろう。こういう制度ができて、第三者機関の機能が発揮されて、そこに信頼が置かれるときに初めて行政行為の批判というものが第三者においても可能である。進んでいえば、一般的な行政裁判所的なものも、それが最終審である司法裁判所の、極端にいえば最高裁につながる、あるいは高等裁判所につながるという条件が熟成してくるのではないかということが金子先生の言われたところであろう、かように考えるわけでございます。
  21. 荒井勇

    ○荒井政府委員 国税に関する権利救済のあるべき将来の姿として準司法機関というようなものを考えるということは、確かに考え得る問題ではございまして、それが憲法上認められないというような問題でもございませんし、それは権利救済上より望ましい姿であるというふうな考え方は十分可能であると思います。  ただ、それを今度総理府に所属させるということとの関連でございますけれども、臨時行政調査会がかつて答申を出しておりますが、その臨時行政調査会の行政機構の将来の姿についての考え方というものは、総理府については国の行政の総合調整機能というものを強めるという方向考えるべきだ。各省の個々の行政にわたるような問題、各省行政に還元できるようなものを何でもかんでも総理府にくっつけるということは好ましくないので、現に付属機関として各省審議会が三十幾つ、四十もあるけれども、それは各省行政に還元し得る分野がかなりたくさんあるのではないか。あるいは恩給局というものが年金行政の一部を所管しておるけれども、それは社会保険年金というようなものと一元的に運用する省のほうに帰属させることを考えたらどうかというようなことを言っておりまして、総理府が各省行政と重複的に機能が営まれるということは好ましくないということを基本線としては打ち出しておるわけでございます。  そういう点から考えますと、この臨時行政調査会の考え方の方には非常に妥当する面はあると考えられますので、将来準司法機関というようなものを考えるにいたしましても、社会保険審査会はこれもまた厚生省に置かないで総理府に置いたほうがいいではないか、労働保険はどうだとかいろいろなことを言いますと、では、何でもかんでも総理府に置くのが最善の行政組織論になるかといえば、必ずしもそうはならないのじゃないかということを臨調答申というようなものにかんがみましても考えるわけでございます。
  22. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ここで論争しておれば切りがないことですから、次に移りたいと思いますが、いずれにしても、新しい制度をより望ましいということが考えられる場合に、勇断をもってしなければなかなか新しい制度というものは取り入れられない、こういうことはあるわけであります。徐々にいろいろな諸条件の整備の中でということが、官僚の立場においては当然そういう気持ちになるわけでありますが、新しいいい制度を取り入れる際にはある程度勇断というようなものは必要だということをどうぞひとつお忘れのないようにしていただきたいと思うのです。現行法制の新しい展開、新しい進歩——租税における最大の問題点は、やはり納税者の権利救済が最も不十分である。常に権力があまりにも前面に出過ぎて、納税者大衆の権利というものを抑圧し、その中で不満を醸成しておるという問題点であろうと思います。そういうようなものに対して画期的な救済の制度を設けようという場合には、ある程度勇断をふるって全力をそういう立場であげるというかまえがなければ、これはおざなりの改革になってしまうということで、権利救済の面が幾らも前進を見られなかった、所期の目標というものはなかなか達せられぬということにやはりなるだろうと思うわけであります。したがって、そういうことでお考えをさらに深め、前向きに検討していただくようにお願いをいたしたいと思うわけであります。  そこで、訴願前置の問題、これも何人かの同僚議員によっていろいろなことが言われてまいりました。しかし、訴願前置が必要だということの理由としては、一つは、先ほど主税局長が答弁されたように、行政における瑕疵といいますか、間違った行為というのはその行政系列の中でやはりなるべくは片づけたいという気持が一つある。それから租税事件というのは、非常に大量的であり、反復的であり、回帰的とでも言うのですか、そういうものであって、しかも租税の争いにおいて一番多いのは租税要件事実、なかんずく課税標準に対する算定の問題、確定の問題というのが非常に争われる事案が多いということ、こういうことからいえば、むしろ裁判所になじまないといいますか、そういう租税事案が裁判所に初手から持ち込まれるということは非常に問題でもある、かえって非能率にもなる、権利救済にならないといういろいろな理由があったわけであります。しかし、これはそれとして受け入れたにしても、やはり国税庁長官の通達あるいは法令の解釈というようなものが最初から問題になっておるという場合に、原処分庁である税務署とか、あるいは今度改正をしても行政系列の中での、その国税庁長官の指揮下にある不服審判所というような中では、これがなかなかよき解決が得られないということもありますし、しかもそういう場合に、最初から課税要件事実の非常にむずかしい、複雑な、技術的な問題というものでない場合には、これはやはり当然に法令の解釈だとか、通達の解釈が問題になっているという場合に、そういう行政系列の中で異議申し立てをやるとか、あるいは審査請求をやるとか、そういうようなものはたいした意味がない、そういうわけですね。したがって、そういう場合には、やはり納税者の選択によって、これは最初からそういう事案の場合には出訴してもいいんだ、前置をする合理的な理由というものは、そういう場合にはないのではないかということが、当然考えられるわけであります。この点について、そういうような形で分けるにしても、選択の自由というものがあっていいのではないかと思うのですが、どうしても訴願前置というようなものを置かざるを得ない——いま私が申し上げたように、最初から法令の解釈が問題になっている、あるいは国税庁長官の通達が問題になっている、通達の解釈が問題になっているというような場合に、それを出した国税庁長官の指揮下にある不服審判所をつくってみたって、それは何の役にも立たない。そこへ審査請求を出したところで、それはむしろ無用の長物ではないか。それならば最初からそういうものについては、裁判所に出訴できるというようなことにしてもいいのではないか。どうしても訴願前置というものを税務行政という中で置かざるを得ない理由、そこまで私が言っても訴願前置の理由があるんだという、その見解はどういうものでございますか。
  23. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは非常にむずかしい問題だと思いますが、その通達の解釈に問題があるということが、簡単に割り切れるという前提でございますと、これはかなり問題があるところだと思います。しかし、通達の解釈と申しましても、実際は課税要件事実との結びつきにおいて、はたして通達が適当かどうかという問題があるのでございます。通達の解釈を抽象的に問題にするという事案というのは、ほとんどないということになりますし、もしかりにそれが誤って出訴をしたという場合に、その関係は通達の当否を争うものではないと認定されますと、今度は訴願前置に反したものとして却下を受けてしまう、訴訟要件を欠くという結果になってしまうという問題があります。それだけに、明確でない問題であるということが一つの難点だと思います。  また、訴願前置という制度が、前々から申し上げておりますように、こういう大量の処分であり、また直接の法律判断よりも、圧倒的に事実判断が多い。したがって、事実判断の段階で片づくものが非常に多いというものでありまして、これがそのまま裁判所に出し得るということになった場合には、現在でももうすでに訴訟事件については手が回りかねておる全般の司法制度に、非常な影響を及ぼすおそれがある。そういうことになりますと、制度全般の立て方としては、まだ訴願前置をはずす時期ではないのではないかということだと思うのであります。  今回の改正では、まず第一に、異議申し立ての段階で、合意によるみなす審査請求というものがございます。これは国税局長、税務署長に異議申し立てがなされた場合に、それが審査請求に適する。つまり事実問題ではどうも両方話し合っても、たいした問題はない。やはりこれは通達が問題ではないか、そういう場合には、もう直接審査請求にいたしましょうということで、合意によって異議申し立てからすぐに審査請求に移れる制度をつくりました。  審査請求の段階では、ただいま御指摘がございましたように、通達に反する問題については、意味がないではないかということでございましたが、それが今回の改正の非常に大きな眼目で、国税不服審判所では、通達に反する決定ができるのだ、これが真実に即するのだとなれば、通達を適用しないで、あるいは通達に反して解決ができる。それを国税庁長官が最終的な責任者として、是認をするという場合は問題はないけれども、それが全体の通達の秩序として困るというときには、拒否ができるけれども、その拒否のためには第三者が、完全な第三者といっていいと思いますが、審査会の議を経て、議に基づいて、議を尊重して、それに基づいていわば決定を下すという制度にしたわけでございますから、そういう意味で、通達自身の問題が法律判断であるか、事実判断であるかというところから問題があるだけに、むしろ行政部内の解決を合理的にすることによって、全体の行政事件の解決のシステムをあまり乱さないほうがいいのではないか。通達が必ずしも法律解釈だけであるかどうかという点は、また問題があるわけです。たとえば会計についての点などは、通達自身が事実問題を書いておる場合がたくさんあるわけです。そういうことから申しますと、通達に反する、反しないというような問題も、完全に事実関係と結びついておるのがたくさんございます。しかし、それは異議申し立ての段階を通らなくても、審査請求の段階で直接やればいい問題だという場合には、みなす審査によって異議申し立てを飛ばすことができるという制度を今回入れております。それによって、私は無用な手続を経るという結果にはならない、かように信じておるわけでございます。
  24. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題は議論をすると切りがないので、時間も十二時までに終わってくれというようなことですので、ちょっと時間が延びると思いますが、次の質問に移ります。  質問、検査の問題が非常に何かと問題を起こすものであるし、この委員会においても、今度の法改正をめぐってかなり議論をされたところであります。その中で、私、違った角度から問題を提起して、見解を承りたいのですが、弁護士あるいは公認会計士あるいは税理士、そのほかにも医師なども、いわゆる職務上知り得た秘密を守る、守秘義務というようなものが、それぞれの法律で定められておるわけであります。この国税通則法の一部改正において、たとえば税理士あるいは公認会計士の人が代理人としてこの審判手続に参加をする、審査手続に参加をするという場合に、きのう同僚の渡辺議員から、具体的な例で渡辺商店ということで出されました。そういう場合に、その渡辺商店で、幾ら仕入れの不足があった、あるいは経費を幾ら落しておった。しかもその仕入れ先の毛利商店というところがそれを言わなかった。ところが、公認会計士なり税理士が、その両方に関係をしておる者であった。職務上彼は知り得たはずである。毛利商店の内容も知っておる、あるいは渡辺商店の内容も知っておる。こういうような場合に、職務上知り得た秘密を言わなければならないかどうか。依頼人の所得調査に対して行使される税務職員の質問検査権の及び得る範囲と、その人たちがそのことについて職務上知り得た秘密として言わなかったということの関係はどういうことになるのか。守秘義務というのはやはりこの際そういう点ではっきりさせておかないとまずい結果になるのではないか。それぞれの弁護士法なり公認会計士法なり税理士法なり、あるいは医師法——医師はこの際は関係ありませんけれども、あるいは関係ある場合もあるかもしれない。そういうところで守秘義務が規定されている。それと質問検査権との抵触する場面が出てくる。そういった場合にこの守秘義務を貫徹することができるのかどうか。これは当然そうあるべきだと思うのですが、その点について法制局の見解並びに主税局長なり国税庁長官も、その点どういうようにお考えになるか伺いたい。
  25. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 各職業について特別に守秘義務が定めてあることは御指摘のとおりであります。この守秘義務につきまして、刑事訴訟法においても業務上の秘密と押収という規定がございまして、一定の場合に拒否ができるような規定がございます。問題は、守秘義務の対象となる秘密が何だということであると思います。税法におきましては所得に関係する諸計算、取引の記録その他は本来秘密というものではないはずであります。納税義務を完遂するためには、自分の所得について、それを明らかにし、それについて納税をなすべき義務があるわけでございますが、個人的な秘密がそれにからんでいる場合に、個人的な秘密を開示する必要はございませんけれども、所得計算の基礎になる帳簿、記録、取引の証票等を開示する義務がある。したがって、質問検査権というものが認められ、それに対する罰則があるということは、納税者としてはそれだけのものを受忍する義務がある、それを開示することが納税義務の一つの派生義務であるというところにあると思うわけでございます。したがいまして、守秘義務の場合におきましても、それらの事実を職業上知っておるといたしましても、それは本来秘密ではない、秘密として保護法益があるものではないということになりますと、その限界では守秘義務は解除されるものと解すべきものでございます。もちろんそれがたとえば個人的な一定の支出をした人がある女性である、それがどういう関係にあるかというところまでは、これは秘密に属する問題でございますから、それを開示する義務は当然ないと思いますけれども、それを支出したという事実については秘密というものはあり得ないというように考えられるわけでありますが、なお法制局のほうの意見も聞きたいと思います。
  26. 亀徳正之

    亀徳政府委員 私も主税局長と同様に考えております。
  27. 荒井勇

    ○荒井政府委員 たとえば税理士法の五十四条で「税理士の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。」ということを書いておりますが、そこにも書いてありますように、正当な理由がなくて他に漏らすということはいけないのだということで、それは法律の規定に基づきまして質問検査権というものが明確に定められている。その法律に基づく質問検査権の行使の結果として答えるということはもちろん正当な理由でございまして、そういうような業法の中で書いている守秘義務の対象ではないということが第一点でございます。  それから、しからば税務職員が職務上所得計算に関連して非常に個人の秘密にわたるようなものを知り得る立場になるではないか、税務計算上必要な限度において、いわば所得計算的な部分だけを質問検査するということで、どういう関係者なりどういう依頼者との間でどういう支出をしましたとか、どういうサービスをしましたという内容を聞くのではなくて、所得計算、金銭的な収支がどうなったかということを聞くのでございますけれども、関連して知り得るという問題があるとすれば、それはたとえば所得税法の二百四十三条で見ますと、「所得税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知ることのできた秘密を漏らし又は盗用したときは、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」ということで、それがさらに他の社会に流出するということは法律をもって厳に抑制している。そういうことで制度的には担保されているのだというふうに考えております。
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間がありませんので次の問題に移ります。  青色申告の理由付記の問題でありますが、所得税法百五十五条の二項、法人税法百三十条の二項に「理由を附記しなければならない。」という規定が更正決定等についてあるわけでありますが、この理由付記というのはどういう趣旨に基づくものですか。まずそれから……。
  29. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは第一項と関連をすると思いますけれども、青色申告者は所定の帳簿を備えつけることを申し出まして、その所定の帳簿によって所得計算のでき得る道を確保しているわけでございます。したがいまして、そういう所定の帳簿、記録を持つ者に対しましては、税務官庁といたしましてもその帳簿、記録等を調べた上でなければ更正することができないということにいたしておるわけでございます。その帳簿、記録が誤っておるというときに初めて更正をする。したがいまして、その場合には理由を明らかにすることを税務官庁のほうに義務づける。いわば納税者のほうが所得について一種の証拠を提出しているわけでございますから、それに対応して、税務署のほうは理由を明らかにするということをいたしますと同時に、いわば青色申告というものをより助長する一つの恩典という意味も含んでいたように思います。シャウプ税制当時はそれが青色申告の恩典の一つに数えられておりました。そういう趣旨であるかと思います。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 長官にお伺いしたいのですが、この更正の理由付記の問題について、三十四年十一月六日、当時の北島長官時代に出した通達というのはいまでも生きておるわけですか。その後変更がありましたか。
  31. 亀徳正之

    亀徳政府委員 その通達は生きております。
  32. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現在も生きておるとするならば・この通達を読んでみますと、かなり詳細に理由を付記しなければならない通達の内容がいろいろこまかく出ておりますが、「更正の理由は、その者の青色申告書提出を認められている所得について更正する場合はもちろん、青色申告書提出を認められていない所得または所得控除、税額の計算などについて更正する場合も、これを記載すること。」こういう条項がありますね。そのほかこまかい問題点についても、「更正の理由の記載は、納税者の計算にかかる収入金額または必要経費につき、どのような収入または経費をどのように加算または減算することによってその更正がされるに至ったかについて、その加算または減算した収入または経費の科目ごとに、まず、その科目名と加算または減算した金額とを掲げ、次に、その加算または減算した金額の算定の根基を順次記載する形式により行なうものとすること。」あるいは「科目は、原則として損益科目により記載すること。」「収入または経費を加算または減算した根基は、具体的事実に応じ、納税者に理解しやすいことを旨として、納税者の計算に誤りがあることを認めた具体的根拠をできるだけ事実と計数とを掲げつつ、実証的に記載すること。」など、そのほかかなり詳しく納税者にわかりやすくということでいわれておるわけですが、このとおり現在実行されておりますか。
  33. 亀徳正之

    亀徳政府委員 非常に個別の事案が違いますから、そのとおりとおっしゃってもなかなかあれですが、その通達にも書いてございますように、その通達の示しようは、一応ある課税事実を想定いたしまして、こういうような事実の場合にはこういうふうに書きなさいということで、考え方なり何なりを、先生も御指摘のように、極力納税者の方によくわかるように書きなさいという注意をいたしております。それでいろいろ若干の精疎の差はございましょうが、そういう考え方指導いたしておるわけでございます。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのことを確認いたしておきます。  そこで、この前も質問をしたわけですけれども、「更正の理由は、」中略しまして、「青色申告書提出を認められていない所得または所得控除、税額の計算などについて更正する場合もこれを記載すること。」こういうことがあるのです。「青色申告書提出を認められていない」というのは、これは白色申告を意味しますか。
  35. 亀徳正之

    亀徳政府委員 その意味は、青色申告をいたしますときに、やはり事業所得——いろいろな所得がございます。普通ならば事業所得、私は事業所得について青色申告いたします。所得税でございますと、所得の種類ごとというのも妙でございますが、大体事業所得について青色申告いたします。青色申告をやられた方について、たとえば山林を売ったとか、それで山林所得については青色申告を別にしておらないという場合に、山林所得あるいは譲渡所得について問題がかりにあった、また、そうしてそこについてやはり更正を打つというような場合には、その人が事業所得について総体にともかく青色申告しようという人であれば、それ以外の所得の山林所得、譲渡所得については青色申告しておりませんけれども、その分についてもやはり同じような気持ちで更正の理由の付記をするようになさい、こういう意味でございます。全体が白色の場合ということではございません。
  36. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 所得税法の百四十三条で「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。」ということで、非経常的な所得については青色申告ということはないわけでございます。そこで青色の本来の更正決定につきましては、「税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正をする場合には、その居住者の帳簿書類を調査し、その調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。」ということにしておりまして、第二項で「税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない。」ここで青色申告書提出すべき所得は限定してございますが、青色申告書にかかる更正につきましては総所得金額というものを前提にいたしております。したがいまして、青色申告書提出する所得でなくても、更正をする場合には理由を付記するのが妥当であるという解釈でやっておるわけでございます。青色申告対象にならない所得についても理由を付記するという解釈をとっておるのでございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、やはり依然として青色申告を認められておる人だけに限られるという趣旨には変わりないわけですね。この通達の青色申告書提出を認められていない所得または所得控除というような、以下続きますが……。
  38. 亀徳正之

    亀徳政府委員 基本的には大体事業所得……。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 白色の問題もこれでやったという趣旨ではないということですね。
  40. 亀徳正之

    亀徳政府委員 そういう趣旨ではございません。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題は私が前回の質問でやったことでありますが、私は白色にも当然理由を付記して何らおかしい点はないではないか、また、ふぐあいな点もないではないかという所論を展開したわけでありますが、きょうこれをまた蒸し返しますと長くなりますので、時間もありませんからやめます。  もう一つ、これは法制局の見解もお聞きしたいわけですが、まだ判決も下級審の段階で分かれておりますが、原処分あるいは更正処分決定の際に理由付記が不十分でありあるいはきわめて不備であったということで再調査あるいは審査決定をやったという場合に、そこで完全な理由が述べられるというようなことがあれば、それはその理由付記についての瑕疵が治癒されたという判決があると同時に、しかしあくまで、更正決定をした段階で理由付記がきわめて不備であったという場合には、理由付記を怠ったということで、その処分は後の段階があっても、再調査なりあるいは審査決定の段階で補正をしたとしても、その原処分というものの違法性というものは治癒されることがないのだという判決、二つの判決が出ているわけであります。この点については私どもは、やはり税務当局がこれだけの通達を出しておきながら、これにぴしっと従って全部理由付記がされておるならば、こういう事件だって提起されるはずもないことだと思うのです。それがなおかつこういうものが出てくるところに、末端における税務行政権力性というか、そういうものがどうしてもあるからいいかげんな、納税者が納得できない、簡単なわけのかからぬ理由だけで済ますというようなこともあろうと思うのです。したがって、この判決というものも私どもはむしろ、あとから審査決定なり再調査というものが出された段階で、いや実はこうだったというようなことをやらないで、最初から納税者がわかるような、納税者に理解されるような完全な理由付記というものがなさるべきだと思うのです。  したがって、この判決の評価についても、私どもはいわば後者の治癒されることがないぞという強制をすることが、これはもう国税庁みずからがそういう気持ちになることが必要だろうと思うのです。この判決の評価についてどうこうではないけれども、一応その下級審の判決についてまだ最高裁のあれが出ていないということであっても、これはいわゆる行政の自己反省というような点から見ても、当然こういう両判決が下級審で出たということを踏まえて、もう処置さるべきところは処置されるということが望ましいと思うのですが、この点国税庁長官の御意見を伺っておきたいと思うわけです。
  42. 亀徳正之

    亀徳政府委員 本来、青色の更正理由の付記について若干懇切丁寧な通達を出しました原因は、実は率直に申しまして青色の更正につきまして理由付記が、これは前回にも御答弁いたしましたが、非常に数が多い、相当込んだ時期でございまして、非常に簡潔過ぎて最高裁で二度負けるとか、いろいろこういう点が争われるという事態にも相なりまして、国税庁として若干詳し過ぎるような通達を出したわけでございます。ただいまの先生の御質問も、その事件が何年の分になっておりましょうか。訴訟がだいぶおくれておるものですから、その通達後の事案かどうかちょっと心配いたしまして、先生にお聞きするのは逆かもしれませんが、何年の——そのあとでございますか。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あとです。
  44. 亀徳正之

    亀徳政府委員 通達が出まして、実施がなかなか行き届かなかった点があろうかと思いますが、それは先生おっしゃいますように、治癒論でやる前にそういう訴訟が出ないということ、やはりそれだけの通達を出したということは、そういう訴訟が出るまでもなく、前に更正の理由をちゃんとやっていれば訴訟は出ない、またそういうふうにやるべきだ、かように考えております。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのことをきちんとひとつ確認しておいてください。この通達は現に生きているというのですから、この通達の趣旨に従ってほんとうに納税者が異議申し立てをする、あるいは更正決定をした理由というものが、確実に納税者に理解のできるように十分な条件を整えた措置がそれぞれ処分庁においてとられるように、これがきちんと実効をあげるように措置をしていただきたい、このことを確認いたしておきます。  時間がありませんので、あと一、二質問をいたしますが、簡潔にお答えをいただきたいと思うわけであります。  前に長官は、原処分処分担当官が異議申し立ての担当官にまたなるという事態は、数の少ない税務署なんかでは間々あり得ることだいうこともお認めになって、そういうこともだんだんこれからないようにしたい、その上級職者等でやりたいということをおっしゃったわけでありますが、少なくとも原処分をするときに担当をした担当官が異議段階でまた同じ担当官になるということは、これは絶対に——絶対にとまではいかないにしても、ほとんどない、そういうことはしないということは、これは幾ら小さな税務署でもやりようによってはやれることだと思うのです、その心がまえがありさえすれば。だから、このことだけはなくしていただきたいということを申し上げたのでございますが、いかがでございましょうか。
  46. 亀徳正之

    亀徳政府委員 これは毎々申し上げましたように、この法案の性質とは別個に直ちにやはり、異議の申し立てがあった、実際自分の調査したものじゃなしに別な人に調べさせるということにいたしたいと思っておりますし、すでにそういうふうに通達を出して指示いたしております。私は前々から若干そういうふうにしたいという感じで申し上げましたが、私の記憶違いでございまして、すでに通達を出して指示いたしておりますので、先生の御質問に関連して明確に答弁さしていただきます。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 たいへんけっこうなことであります。  次に、今日、税法学者等からも事前通知制度というものをつくったらどうかというような提案もなされておるわけであります。課税処分をする場合、事前にその内容納税者通知するということがとれないかどうか。こうなりますと、かなり異議申し立て事案というものも減少する、税制簡素化にとっても、また権利救済にとっても非常にいい制度ではないかと思うのですが、これについてのお考えはどうですか。
  48. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 確かに税務署側が調査をいたしまして、納税者にここは間違っておると言ったときに、隠れた理由がいろいろあり得る場合もございましょう。したがいまして、納税者と話し合うことによってより真実が深められるという意味では、現在も法人調査とか、また所得税の調査におきましても、そういう点の話し合いをしておることは事実でございます。ただ、これを制度的に義務づけると申しますか、制度的にいたしますと、一方においてはその意思表示というものにある程度の効果を持たせませんと、納税者としては不安であるわけであります。これぐらいだろう、じゃいいだろうと言っているうちに、またあれは違っておったということになっては困るのであります。そういう意味では日本の官庁制度から申しますと、これが官庁のほうのきまった意思であるぞということを示す方法が更正という姿になってしまっているわけであります。  アメリカでは事前通告に似たような制度ができておりまして、いわゆる三十日レターというものを担当者の名前で出すわけであります。これは英米法系の行政と大陸法系と違うところだと私は思うのでございますが、英米法系では、そういう個々の権限のある者が権限を行使して意思決定ができるという制度をとっておりますので、そういう意味では、三十日レターというのは、日本で翻訳をし直しますと第一次の更正である、次の九十日レターというものは、いわばそれに対する異議の決定であるという形をとっているように思うのでございます。九十日レターの場合には、いわゆる日本で協議団と訳しましたコンフェリーというものがそれに関与いたしております。  そういう意味で、実際上制度として立てるとなると、日本の制度からいうとちょっとむずかしい点がございますけれども、事実上そういう誤りがないように、話が事前にわかれば問題がなかったのにというように、調査段階ではこういうことはどうだということをよく連絡し合ってやるようにはいたしております。その点で将来の問題として、そこら辺の法律制度をどうするかというような研究問題だとは思いますけれども、現在の段階でもその趣旨は生かして、妥協課税におちいらない範囲で相手方の立場というものをできるだけ反映させた決定をするように努力はいたしておるわけでございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはやはり税務行政の民主化という問題、権利救済という問題とも重要なかかわりのある問題だし、むしろ税務当局からいっても税制簡素化の一環でもあろうと思うわけであります。そういう点でぜひひとつ真剣に検討をしていただきたいと思います。  それから、この不服申し立てと徴収との関係でありますが、わが党案では、昨日も質疑応答をいたしましたように、特段の理由がない場合に——特段の理由というのは、繰り上げ請求の事由に該当する場合であるとか、明白に差し押えをのがれるためにのみ理由がないのに審判請求を出した、こういうことが明らかである場合を除いては、この権利救済を求める者が差し押えを免れて権利救済の手続を進行させることができる、こういうことに当然すべきだろうと私は思うのです。その問題について青色三年というような、たとえば過去の実績においてもきちんとした納税義務を果たしてきたというような条件を一つ加えてもけっこうかと思うのですが、それだけの救済というものをやることはいささかも税務行政を停滞させ、あるいは予定された国家歳入を渋滞させ、歳入欠陥を生ずるというようなことにはならぬだろうと私は思うのです。やはりそういう明確な、これはもう救済するに値しないという事由がある場合を除いては、青色申告三年ということに限定をしてもいいと思うのですが、そういう特段の理由のない場合は、審判請求人、審査請求人の申し出によって、担保を提供するというようなことなしに——担保を提供するという場合はまた別に条項としてあっていいけれども、それなしにも認めることができる、こういうことにいくことがやはり権利救済の道で、不服審判所をつくったということは、いままでよりは少なくとも一歩前進だという立場をとられる国税当局としても、主税当局としても、その程度のところはやはり認めていいのじゃないか、こういうように考えます。その点についていかがでございますか。
  50. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 政府原案におきましては、いまの一般の行政の原則でございます行政の公定力という点から、不服があっても執行を停止しないという原則はとったわけで、社会党案と同じでございます。必要がある場合には職権または申し立てによって徴収猶予ということを原処分庁の長に対して命ずるという形をとりました。徴収猶予ということは、その猶予をいたしました段階からあとの手続を進めないわけでございますから、通常差し押えまで参りますのは、決定をして督促状を発布し、さらに催告的な行為を重ねた上で最終的に差し押えをするのが普通でございますので、異議申し立てをした段階では差し押えを普通はいたしておりません。したがいまして、徴収猶予ということをいたす場合には、原則として差し押えを免れるという結果になると思います。  なお、一般的に他の行政行為等と比べて特色のある点は、異議申し立て等がございました場合には、差し押えをしても最終の公売処分はやらない、やってはならないという押えがつけてございます。そういう意味で、政府原案といたしましては、その納税者の申し立てがあり、またあるいは職権でも、これは無理だというものは審判所長の請求によって税務官庁が徴収猶予をする、これは義務づけておりますので、その点はかなり国税審判所の運用によりましては目的を達し得るのではないかと思います。  青色申告の問題につきましては、実はこれは青色申告の育成という立場から、シャウプ勧告以来、青色申告者が異議申し立てをいたしました場合には、自動的に執行停止をするという規定があったわけでございますが、昭和三十七年の国税通則法の制定の際に、税制調査会でいろいろ検討いたしました結果、そのときに、いま申し上げました最終公売は許さないという規定を入れたことと関連いたしまして、白色と青色との違いは、課税標準の決定ということについては差をつける問題があるだろう。しかし、徴収を執行停止するかしないかという基準としては理由がないのではないか、この際はむしろ一般的に最終処分である公売処分の禁止を規定することによって一般論に戻るべきではないかということがございましたので、その制度をやめてしまったという経緯がございます。今後、いまの制度、いまの青色申告のあり方といたしましては、国税庁におきましてはできるだけ青色申告をふやすという方向をとると同時に、また、青色申告の要件等も簡単にいたしまして、できるだけ青色申告書提出し得る状況に持っていこう、そういう意味では青色と白色というものがだんだん合一していくという方向をとっておりますので、その場合にこれをどう評価するかという問題があるかと思います。この際に、それを青色申告にまたもう一回復活させるかどうか、その点はやはり一つの問題であろうかと思います。いまの制度としても国税審判所が十分にこの制度を生かしてくれれば、私は納税者の権利救済としての実をあげ得るものであるというふうに考えるわけでございます。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題も議論をするとだいぶ長くなりますからなんですが、アメリカの制度では二つの方法があるようであります。いずれにしても権利救済という立場を土台に置いて考える場合には、納税者納税しないで不服、また争訟、審査請求ということができるのだということのたてまえを貫徹する、そして処分確定後に納税する、それには当然一般的な加算税というようなものは私どもそれを否定しようとは思わないわけです。そういうものがあるのだということになれば、これは差し押えされることによって商業なんかの場合に、あるいは商業でなくても工業の場合でも、非常に取引上の回復しがたい損害を受ける場合がある。もうとても利息を払うということにかえられないという、そういうようなことで差し押えということも進行してしまう。換価処分はしないにしても差し押えされたということになると、これはたいへんな回復しがたい信用失墜という事態を招くということになる。一方において権利救済という立場納税をしないで、納税額が確定しないから納税しないということを貫徹させながら、しかしいずれ確定するのですから、それほど長期にはならないわけです。しかもその間における利息相当のものは加算税として払うのだというたてまえをとれば、きのうも質疑応答で申し上げたように、繰り上げ請求の事由に該当する、あるいはほんとうに明白に審査請求の理由がないと見るのだという場合には当然除くのだということを前提として私ども法案にも実は書いておるわけですが、そういう場合はこのことをもう一歩進めて考えていいのではないかという気持を強く持つわけであります。そういう点についてもひとつさらに前向きに検討をする用意がございますか、この点をひとつ。
  52. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 お示しの考え方というのも、十分に私はよくわかります。ただ、明白に理由がないかどうかという判断というものは、なかなかむずかしい点があるわけでございまして、一番この問題になりましたのは、乱訴の弊というものを防ぐ意味では社会党案は非常に慎重にしてございます。それも確かにそうだと思うのでございますが、明らかに審査請求の理由がなくて執行停止だけをねらっておるというものを排除することが、実際上なかなか判定しにくい点がありはしないか、これを実務上さらに検討してみる必要があるのではないかと思うのでございます。  実は、これもよけいなことを申して恐縮でございますが、いま、ある税理士の営業停止処分についての訴訟があるわけでございますが、これはすでに一審、二審と負けておりまして、もう明白といっていい問題なのでございますが、税理士法では処分が確定するまでは効果は発生しないわけでございますから、最高裁が終わるまでは営業停止にはならない。実は私がまだ総務課長をしておった時分でございますから、すでに十年、せっかく営業停止処分というものを決定しながら、十年問いまだに営業停止の効果が生じないというような事態もあるわけでございます。  それは少し極端な例でございますけれども、納税者の税金を納める徴収猶予をするという問題は、非常に極端に気の毒な場合はこれは当然徴収猶予という手がございますので、いわば実際の運用においては程度の差にとどまるかと思います。しかし、その点実行上徴収猶予の認定をする場合に、いわば社会党案に盛られておるようなことを頭に置きながら実行してみる。それからさらに一歩進んでそういうところまで踏み切るということも将来の問題として考え得る問題だと私は思います。今後の徴収の実行上で十分検討してもらいたい、私はかように考えます。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 十分ひとつ検討をしていただきたいと思います。  最後に、法制局に伺いたいのですが、今度の国税通則法の改正で不服審判所ができる、いままでよりは一歩前進だという議論もあるわけでありますが、その中で一番気になる問題は、一歩前進だとはいっても必ずしもそうならないのではないかという議論が出るのは、この不服審判所が国税庁長官通達に拘束されずに裁決することができるというたてまえにはなっているけれども、しかし、従来の通達と異なる解釈をするとき、また将来の先例になるというような裁決を出すという場合には国税庁長官の指示を受けなければならない、審査会に国税庁長官はその指示を出す場合に意見を求めるのだ、その意見を求めた場合に「その意見を尊重して」という原案になっているわけです。そういう法的構成がとられる場合に、「その議決を尊重する」あるいは「その議決により」あるいは「その議決に基づいて」という表現、そういうようなものがいろいろ段階があるわけであります。ことばの表現でありますが、これは実際は非常に大きな意義をそれぞれ持つわけであります。一番その議決に忠実であるということで国税庁長官の意思決定が行なわれるのだというのは、その審査会の「議決により」ということなのか、「議決に基づいて」ということなのか、あるいは「議決を尊重して」ということなのか、その三つの使い分け、その中で国税庁長官に対してきちっと審査会の議決を守るのだという義務づけをするのに、一番近い表現はどれなのでございますか。その三つを、いまあげた中で順序をつけて一、二、三と言って下さい。
  54. 荒井勇

    ○荒井政府委員 三つの中では、いつか春日委員の御質問にもお答えしましたけれども、法令用語としては「議により」というのが一番強いのでございますが、ただ行政法規の例としては、めったにないということで、私ども記憶しているのは、たとえば皇室典範の第十七条、第十八条で、摂政の順位というものが法律できまっている、この摂政の順位を変更しようというようなきわめて重要な事項が、その議を「尊重して」だとか、「議に基づいて」というのではなくて、その皇室会議の議そのものによって摂政の順位の変更をするのだという、きわめて重大な場合に限って使われておりまして、一般行政法規についてはほとんど記憶がないというようなものでございます。  それからその次はどうかといえば、常識論としては「議に基づき」というタイプであると思います。ただこの九十九条第二項は、その「議に付し、」ということと「意見を尊重して」ということを重ねて書いてある。昨日でしたかもお答えいたしましたけれども、「その議に付さなければならない」とか、「議を経なければならない」とだけ書きっ放している法令もある。その場合には付しさえすればいいのだということでなくて、付して、その審議の内容を十分に参酌して行政処分をしなさいという意思が当然その中に入っているわけであります。それに重ねまして、「議に付し、」ということだけでも意味が入っているほかに、さらに「その意見を尊重して」ということを書いておりますから、これも決して弱いものではない。「基づいて」というようなものと甲乙ないものだというふうに考えております。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これで終わりますが、そうは言っても、「尊重し」という場合には、やはり何といっても、いままでの法律でこの種のものができる、そうしてその議決を尊重しなければならないとか、そういうことがあったけれども、これはあくまでたてまえからいえば、諮問機関のような形であるという立場にあるわけですから、その場合に「尊重して」ということで、なかなか尊重されないという事例が非常に多い。したがってその場合に、長官の裁量の幅というものが、「尊重」というばく然とした表現では非常に多いのではないか、それに従わない場合がかなり出てくる可能性があるのではないかということが考えられるわけです。その裁量の幅を狭めていくという立場、その議決があったならば、それがストレートに大体いく、こういうようなものを担保する表現としては、やはり「尊重」よりも「議決に基づいて」——「議により」ということはほかにもあまり例がない。皇室典範だけだということでありますから、それは別といたしましても、「基づいて」というような書き方のほうがよりその面は担保される、こういうように理解してよろしゅうございますね。
  56. 荒井勇

    ○荒井政府委員 まあ、そうお考えになっても、別にそれで私どもどうこうということを申し上げるわけではございませんが、たとえば原子力委員会設置法では、内閣総理大臣が原子力に関する行政なり施策をやるという場合に、原子力委員会の議決を尊重してこれをしなければならぬというようなことを書いてはおりますけれども、いままで内閣総理大臣が原子力に関する政策の決定等をなさる場合に、原子力委員会の議決というものと離れておやりになったということはないように聞いておりますし、その「尊重」というものも、まさに法律に書かれれば、そのとおり尊重されるのだと思います。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に国税庁長官に伺いますが、「尊重」ということばが、いまの原案では使われているわけですが、これについてどういうようにお考えですか。いまの第三部長の答弁と同じように考えられますか。
  58. 亀徳正之

    亀徳政府委員 法律用語についての解釈論は専門の方におまかせして、私自身気持ちは、「議に付し、尊重しなければならない。」と書かれようと「議に基づいて」と書かれようと、全く同じように審査会の意見を尊重していくという気持ちでおります。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で終わります。
  60. 田中正巳

    田中委員長 この際、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後三時開議
  61. 田中正巳

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。只松祐治君。
  62. 只松祐治

    ○只松委員 この通則法につきましては、すでに長時間各委員から大局的にあるいは部分的にこまかい質疑がなされてきました。しかし、国民にとってきわめて重要な法案でありますから、まだ時間が許せば質疑の時間というものは必要ですし、こまかい論議もまだ幾らでもできると思うのです。しかし私は、きょうはいままで大体なされましたようなことは一応避けまして、まだ詰める必要のある問題だけは、若干重ねての問題になりますが、お聞きいたしたいと思います。  この論議を通じて久しぶりに税制の問題について本格的な論議が当委員会で行なわれたわけであります。帰するところ、この税制の問題は、そのときどきの権力のあり方というものときわめて密接な関係があるわけであります。昔はいわゆる税金や何かのことを上納、こういわれておりました。上納制度、幕府や領主に対して上納をする。いまは上納ではなくて、税制の原則申告制度であります。申告というのは上納と全く対比して、結局国民が自分自身だけではなかなか生活が営めないわけですから、昔は部落の夫役等もありましたが、いまでもところによっては部落は夫役というものがある。市町村あるいは県、国、こういう自治体、国家、こういう社会生活を営むのに、よりいい自分の生活を営むために、みずからその財産に応じて所得の一部を拠出する、これが大体現代の社会における税金であり納税制度である、すなわち税制である。大臣も大体そういうふうにお考えでございましょうか、大臣の御所見をお聞きいたします。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 人は一人で生活するわけにはいかないのであります。みずからの生活のほかに共同で社会を、国を形成して生活の維持向上をはかる。その社会、国家の維持発展のために家計費の中から何がしかを拠出する、これが租税の本質だ、かように考えております。
  64. 只松祐治

    ○只松委員 したがって、いわゆる上納する、上からいわゆる統治する、上から、お上が国民の上にあって統治して、それに対して納付させる、上納させるという昔の考え方と違って、いまおっしゃったように、みずから納めるものだ、こういうふうに理解しておきたいと思います。大臣もそのようにおっしゃったと思います。  そういたしますと、ここで私は一番身近な一つの具体的な例をちょっとお話しして大臣にお聞きしたいと思います。いま私が、上納というのは違うのだ、統治するのとはいまの民主主義社会は違うのだ、こう言いました。  話はちょっと変えまして、大臣がいま大臣室においでになる。それで吉國主税局長といろいろとお話しになっておる、こういう仮定をいたします。そこに国税庁長官なりあるいはだれかつかつかと入ってきまして、あるいは吉國さんの主税局の総務課長が入ってきて、大臣には目もくれない、吉國主税局長と話してわあわあして、大臣が幾ら話をしておってもへもくれない。そしてとにかくさっと出ていった。この国税庁長官はなかなか勇気があるわい。おれが大臣だけれども、おれのことはへもかませない。福田がそばにおっても意に介しない、なかなか勇猛果敢な国税庁長官だ。こういう者にまかしておけば国税庁、国税行政はうまくいくだろう、おれはもう安心していいわ。なかなか信頼の置ける部下だ、こういうふうにお感じになりますか。それとも、こんな破廉恥な、おれの前でとにかく礼儀も何もわきまえないような、こういう者が、いま言ったような民主的な納税制度のもとにおいて国税庁長官やあるいは国税局長やなんかにおったのでは、国民はたいへんな迷惑を受ける。受けるだけでなくて、こういうのが国税庁を支配しておったのでは、これは国民から信頼を失って納税制度は瓦解していく。これは首を取っかえなければだめだろう。どういうふうにお考えになりますか、御所見をお聞きしたい。
  65. 福田赳夫

    福田国務大臣 非常にむずかしい問題を御提示でございますが、これはその場の現象だけでそういう判断ができるものではありません。これは下地がちゃんといろいろあるのです。いろいろ総合勘案して結論を出すべきものであって、その場の一挙手一動だけで論ずべきものではないだろう、かように考えます。
  66. 只松祐治

    ○只松委員 福田さんにしてはえらい忍耐強いといいますか、ある意味では部下思いといいますか、えらい慎重な発言ですが、そういう、私が多少福田さんという大臣に限った、あるいは名指した話になりましたが、一般論として、主人がそこのうちの個室でお客さんと相対しているのにそういうことをやるのは、いま大臣がおっしゃったようにきわめてむずかしい話ですか。それとも、それはやはり何といっても失礼な、礼儀をわきまえない——まあ、一般はそう思いますが、大臣はそう思わなくて、やはり個々のケースなり何なり見なければ、大臣が幾ら吉國さんと話したって大臣に一言も断わりなく、主人に一言も断わりなく、わあわあ言って引き揚げていっても、その場その場のケースだ、こういうふうにお考えになりますか。一般常識はどうですか。
  67. 福田赳夫

    福田国務大臣 もう少し現場の描写を具体的に目に映るようにやってもらわぬと、判断がちょっといたしかねます。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 一般論でいいです。
  69. 福田赳夫

    福田国務大臣 一般的にいえば、やはり官吏というものは、特に大衆に接する公務員というものは、これはもう親切、懇切を旨として、いやしくも権力をかさに着て大衆に不快感を与えるというようなことがあっては相ならぬ。そういう意味からいって、儀礼等につきましても、これは特に注意をしなければならぬ立場にある、かように考えます。
  70. 只松祐治

    ○只松委員 これはいま福田さんを例にとりましたから、いまを時めく大蔵大臣、次期総裁、総理をうわさされる福田さんに対して無礼、失礼をした場合のことはあれしまして、これは実は私が少し前に経験した話なんですよ。私が税務署に行って少し話をしておったら、そこに税務署の人がつかつか入ってきて、そういうことがあった。私が福田さんをあえて例にとり、私のことを例にとったのは、福田さんというのはいまを時めく大蔵大臣ですね。この人にそれだけのことをやることは蛮勇であるかあるいは何であるかということをちょっと聞いたのですが、事埼玉や何かで代議士の只松といえば大体はその辺の人が知っていますね。顔は知らぬ人は一ぱいあるでしょうけれども、知っておりますし、よしんば知らなくても、普通の場合は、たとえば県知事室であるとかあるいは警察の署長さんであるとか、ほかのところへ行った場合には、ノックして入ってくるなり、あるいは入ってきて、ああ代議士ですかとかいって、そのお客さんにへもくれない、そういうことというのは少なくとも私は見聞したこともありません。通常起こり得べきことではない。ところが、私は少し前税務署でそういう目にあったわけです。というのは、福田さんでさえも、そういう目にあわれたことないといいますが、あわれたらたいへんなことですよ。私でさえも事税務署でそういう目に合う。これを私が出したのは、ことほどさように、私でさえもそういうふうに、通常では警察署でもあるいは県庁の県知事室や市役所の市長室でも、そういうことは起こり得べきことではない。その起こり得べきことでないのが税務署で起こる。現に起こったのです。このくらい税務署というのは権力機構の一端をになっておる、税務署態度なりそういうものはきわめて強いということを私はまず冒頭に申し上げたい。福田さんなんかおいでになるときは、それは大臣が来るというのでぱっと掃除してちゃんとして待っているからあれでしょうが、私たちはときどきとことこ行くのですよ。そして私たちでさえもそうですから、一般の国民が税務署に行った場合に、警察以上にどれだけいろいろ心配や憂慮をして、ある意味ではおそれておるか。普通でそうですね。  ところが、このずっと問題になりましたこれは、いずれにしても若干の落ち度があるから、幾ら言い分があっても落ち度があるから救済を求めてくる話を、ずっと二カ月近くも不服審査の問題はやってきたわけです。で、何にもならない。いわゆる一般の納税者でもそうです。私たちのように一定の権力を付与されておる国会議員が行っても、そういう態度に接するということが現実の問題ですね。福田さんがバッジをおとりになったり何かして税務署へおいでになってごらんなさい。まず似たり寄ったりの目にあいますよ。しかし片一方は、何とかして一銭でも税金を安く、こう思っている側の国民ですから、一般のあきんどのような態度をしろとは言いませんけれども、しかし、あまりにも一般の社会常識とかけ離れた常識というものが税務署内外に通用しておる。この実態をよく見ておかないと、ずっと今日まで国税不服審査についての論議がなされたのがまともに理解できないだろうと思う。そういう意味も含めて私は、私の質疑に入る前に、一番近くあった例をお話し申し上げた。国税庁長官はこのことはもうつとに知っておることです。大臣にあらためて私はお話を申し上げました。そのことをひとつよく御理解をいただきたい。  ここのところにもたくさんこういう事例、不服審査の国税庁が取り扱った事例、あるいはここで異議申請を出した事例、あるいはそういうことの結果自殺に追い込まれた人の事例、こういうのがたくさんあります。時間があれば私はこういう事例を一々取り上げまして、そして別なことばでいえば、相当強い徴税行政が行なわれておるということの立証をし、これだけでも私は質問したいと思うのです。しかし、せっかくこういうものをひとつ取り上げてくれといって納税者の方がお持ちになりましたけれども、時間もありませんし、私はこれは触れません。触れませんけれども、私がいま、私みずからのことが一番皆さんの方にも実感が移るだろうと思って私のことを取り上げましたけれども、いまの徴税行政というものは、そういう実態にあるということを十分ひとつ御認識を、ある意味ではあらためて認識をしていただきたいと思うのです。そんなことはないだろう、たまたまあなたがそういう目にあったのだろうという程度でしたら、ここにもたくさん事例がありますから、私はここに幾つかの事例をあげて質問をしたいと思います。なかなかお答えしにくい大臣立場ではあるかと思いますが、そういう点をお認めいただけますか、どうでしょうか。
  71. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、権力を持っておる者は、つまり公務員というものは大衆に接する場合において、特に応待ぶりにつきまして気をつけていかなければならぬ、かように存じます。  私は、よく税務署の署長なんかに書を頼まれる。そのときいろいろなことを書きますが、一つ、威あって猛からず、こういうふうに書きます。これは論語に、子いわく、威あって猛からず、こういうのがありますが、つまり公務員というもののあり方を教えさとした名文句だ、こういうふうに思いますが、そういう精神でいかなければならぬ。端正でなければならぬ。公務員は公務員らしくなければならぬ。しかし、国民に接するその態度はきわめて柔軟な親切な思いやりのある態度でなければならぬ、かように存じます。
  72. 只松祐治

    ○只松委員 次に、これはたびたび論議されましたけれども、この国税不服審査というのは、いわゆる国民の身体上の問題ではなくて、財産権の問題の救済が主たる目的である、こういうことは御承知のところだし、すでにいろいろ論議がなされました。したがって、いわゆる徴税行政、一般の税務行政とはおのずから異なってくるということだろうと思う。社会党が出しておる対案、あるいは社会党の各委員がずっと繰り返し申し述べましたこともそういうことであります。皆さん方のほうは、これはあとでお聞きしますが、原則としては私たちの主張をお認めに大体なった。ただ、いまの段階ではこれを実行に移すという意味からどうだろうか。特にたとえば、参考人のほとんどの人、参考人を招致したときも東大の金子教授等も、社会党案を決して悪いというのではない、しかし立法過程としてこういうものが必要だろう、こういうことをお話しになりました。一般の徴税行政、その徴税行政の結果あるいは余波として出てくるこういう救済問題というものを、私はおのずから分けて考える必要があるのではないか。しかし、一般の考えは社会党案も一応認めておられますようにおわかりになっておりますけれども、ずっと答弁を聞いておりますと、いわゆる徴税行政と同じといいますか、徴税行政の一環として、あるいはむしろ一環は一環なんでありますが、税務行政を行なうために、その中における同じ次元の問題としてこの問題を税務当局がとらえ過ぎてはいないだろうか。おのずから徴税行政とその結果から出てくる救済措置というものは別個のものであらねばならぬ、こういうふうに私は思います。社会党案というのはそういう立場から出てきておるわけでございますけれども、この点に関して私はいろいろ聞いておりますと、やはりそこのワクの中で絶対逃がしてはならぬのだ、あとで修正案の話や何か出てくると思いますが、そういう過程を見ても、事務当局の方にはそういう考え方が強いように思いますが、大臣はいかがお考えですか。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまわれわれが当面しておる問題、つまり行政処分の矯正措置、こういう問題なんです。ですから行政処分の反省、矯正という問題は行政処分と別個の問題だという考え方をとりますと、またいろいろ違った面が出てくるのじゃないかと思うのです。只松さんなんかの御提案のような節々も自然そこから出てくるのじゃないかと思いますが、要するに、これは行政処分そのものの反省であり、また、そのものの矯正措置であるという見解なんです。そのワク内において、司法案件に移るその前段階として、そういう行政段階の問題としてこれを片づけておこう、こういう基本的な考え方に立っておるわけであります。
  74. 只松祐治

    ○只松委員 大きく考えればそういうことだろうと思います。しかし、ずっと論議を聞いておりますと、あまりにもそれが強過ぎはしないだろうか。私たち社会党案がいいというのは、さっきから言っておるように、参考人の方は、原則はやはり独自性のあるものが必要だ、特にそれを救済するという立場に立てば、その救済機関というのは独自性のあるものが必要だ、といっていまの協議団から一挙にそこに移る——審判官なり何なり、いろいろな制度上こういう過程を通っていくのはやむを得ないのじゃないかということも金子さんはおっしゃっておりましたね。だから私たちは、一歩譲っても金子さんのような意見だと思いますし、社会党はもっとずばりと審判法案を出してきておる。そこらに私は、社会党側の意見と皆さん方の意見との食い違いがあるように思うのです。これで各委員質問は終わって、あと修正案なり附帯決議ということになっていくわけですけれども、長時間論議が行なわれてきましたけれども、そういう私たちの趣旨というものをあらためてぜひひとつお考えいただきまして、これだけで附帯決議も出てくると思いますが、完全なものではありませんし、論議が今日で一応衆議院段階では終わりましても、参議院、あるいは衆参でこの案が通りましても、やはりこの案の施行をめぐって今後いろいろ問題が出てくるわけでございますから、ぜひひとつそういう点について銘記していただきまして、今後この案の前進のためにも、そういう立場をぜひ貫いて——貫くといいますか、考えていっていただきたいと思います。そういうことを前提といたしまして、具体的に若干の問題について質疑を進めてまいりたいと思います。  いま最後に申しましたような立場から、私たちは準司法裁判所的な法案を提出しておるわけでございます。それに対して皆さん方は、国税通則法の一部改正案をお出しになっておるわけでございますが、今後私たちが言っておるような法案の実現のために努力される意思があるかどうかということをこの際ひとつ大臣から明確に聞いておきたいと思います。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの段階といたしましては、いま御提案申し上げておる法案が最も現実的で最も効率をあげる、かように考えておりますが、これは要するに制度ですから、やってみなければわからぬ。やってみて不都合の点があるというような際には、これをまた修正する、改善をするということにつきましては、大いに前向きで努力していきたい、かように考えております。
  76. 只松祐治

    ○只松委員 やってみなければわからぬというようなことでなくて、この法案はもちろんいまからできるわけですから、いまからできるこの法案を前にして、すぐそういう技術的な面のみから新しい法案をつくるということは言えないと思いますが、参考人のときおいでになりませんでしたが、参考人なり各委員の意見をずっと聞いていると、たとえば主税局長あたりでも、この原案そのものを究極的なものであるとか、あるいは完全なものであるとかいうようなことは一つも答弁には出てきていないわけですね。したがって、いわゆるもっと次元の高い角度から見て、この案は案として、現在皆さん方がお出しになっておる案を現在正しいとお思いになる、しかし、この案が三年後になりますか五年後になりますか十年後になりますか、これは議会の勢力関係その他とも関係してくるわけでございましょうが、とにかく準司法裁判所的な——この型にはアメリカのような型もあるし、西ドイツのような型もあるでしょうし、いろいろあるだろうと思いますけれども、これを踏まえた上で準司法裁判所的なものに前進させていく。これはいまから各党の間で附帯決議の話し合いが進められるわけですが、私がいまから若干話をするのは、附帯決議なり修正案件として出てくるであろうことを、当局側にそのお考えをただすわけでございます。そういうことを踏まえて私は聞いておるわけですが、そういう努力をする御意思がありますかどうか。当局側に意思がないのに、院内で附帯決議だけつけましても、これは効果が半減をいたします。そういう意味を含んで重ねてひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 御提案の議案は、ささいというか、技術的な点なんかにつきましていろいろ御意見がありましたが、これを修正するというようなことは別といたしまして、考え方の基本といたしましては、いまの税務行政の実情等から見まして最も現実的であり、かつ実効をあげ得る制度である、かように考えておるのであります。ただ、これをやってみていろいろ不都合が出てきたというような際におきましては、またこれに対して反省を行ない、また、これを改善するということにつきましては、決してやぶさかな態度はとりません。前向きにこれが改善ということには一応意を払っていきたい、かように考えております。
  78. 只松祐治

    ○只松委員 もちろん政府当局ですから、現在の法案にとらわれてお答えになるのは当然だと思いますけれども、この法案の角度からだけではなくて、一歩次元の高いといいますか、長期的な展望に立って、私たちが繰り返し申しましたことをひとつよくお考えいただきまして、いわゆる第三者機関的なものに対して努力する意思があるかないか、ぜひ、ひとつ今後の一歩前進を踏まえてそういうほうへ行っていただきたい。私たちは一挙にということを言っているわけですが、少なくとも私たちの立場を一歩譲りましても、そういうほうへ行っていただきたい。主税局長なりあるいは参考人なりにはもう大体そういう意見をいただいております。私はここでいわば総締めくくりというような形でやっているわけですから、重ねて責任者としての大臣のお考えを聞いておきたい、こういうことであります。
  79. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回、国税不服審判所法案を提出いたしたのも、これは協議団という制度に対する反省、是正の措置なんです。協議団ができるときには、協議団という制度が一番いいのじゃないかというふうに考えられたが、やってみると、また客観情勢も変わってくる、そういうような際にあれでいいかという反省が起こってくるわけなんです。同様に、いま私どもはこの制度が最善と考えておりますが、環境の変化等から、これをまた修正する必要があるじゃないかというような事態になりますればこれを修正する、これにちゅうちょするものではございません。こういう権利回復、国民の権利を擁護する、こういうことについてはどこが一番最善な制度であるかということをにらみながら、常日ごろ心がけていきたい、そういう心がまえでございます。
  80. 只松祐治

    ○只松委員 次に、私たち社会党は、総理大臣のもとに大蔵省とは別個にこの審判所を置くことを提案しておるわけでございます。しかし、この修正案をめぐりまして、いろんな動きの中からそれを一歩後退いたしまして、少なくとも長官と同等の立場で、具体的には大蔵大臣の任命のもとに審判所長あるいは審判官等を置くべきである、こういうことで私たちは最低限の論議を行なってきたわけでございます。これはいま各党の間に、まだ話し合いが行なわれておる段階ではありますけれども、大蔵大臣といたしましては、いま前段として私が質問いたしましたように、そういうお気持ちであるならば、少なくとも学識者、たとえば長官の任命ということにとどまることがありましても、大蔵大臣の任命と同じように、いわゆる国税庁長官に一任しないで、これは具体的な法案審査までは進むひまはないかと思いますが、人事の問題で、たとえば審判所長は長官の任命ですが、大臣の承認を得る、こういうことになっておる。したがって、私たちはまだ今後もその話し合いを続けたいと思いますが、大臣におかれましては、少なくともやはり自分が任命した自分の直轄のもとにあるんだ、こういうお気持ちで、いままでただ単に長官やあるいは局長のもとにあった協議団とは違うんだ、こういうお気持ちでひとつこの問題に取り組んでいただきたいと思うのですが、そういうお考えがあるかどうか……。
  81. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの点については、全面的にそういうふうに考えております。できる限り運用においては独立性を保持するように、また大蔵大臣のもとにある機構であるというふうに考えていきたい、かように御了承願いたいと思います。
  82. 只松祐治

    ○只松委員 したがって、この法案には審査委員長官の任命になっておりますが、私たちは当然に国税庁長官と通達の審議を対等に行なうこの審査委員に対しては、大蔵大臣の任命にすべきである、こういうことを繰り返し主張してきておる。あるいはどなたかにすでにそういうお答えになったかどうか、私はまだ聞いておりませんが、大体各党の話し合いはそういうところで進んできておりますが、審査委員大臣の任命にする御意思がありますか、どうですか。
  83. 福田赳夫

    福田国務大臣 審査委員の任命を大蔵大臣任命とする、この点につきましては、ここでもしばしば皆さんから論ぜられたところであります。まあ、各党の意見がそういうふうな方向だということでありますれば、私どもも別に異存を申し立てることはないと思います。
  84. 只松祐治

    ○只松委員 そういうふうに大臣任命にするということになれば、よけいに権威がつきまして、いろんな優秀な方が得られると思いますが、その場合に民間人——といいましても、あまり個々の名前を言わないほうがいいのですが、昔はやはり大蔵省においでになった、あるいは税務行政に携わっておられた、こういう方だけれども、いまは民間人である、こういう方があると思います。したがって私たちは、やはりできるだけそういう人も避けて、純粋の民間人にすべきである、こういう考え方を持っておるわけでございますが、ひとつこれは大臣というよりも事務当局のほうがあるいは適当かと思いますが、この民間人の採用の基準なりあるいはそういうお考え方について、ここで若干聞いておきたいと思います。
  85. 亀徳正之

    亀徳政府委員 当然、毎々御答弁申し上げておりますように、学識、特に国税の関係に学識の深い方々をできるだけ民間からも任命するように努力したい、かように考えております。
  86. 只松祐治

    ○只松委員 いま「民間からも」というおことばがあったのですね。そこいらを私たちは懸念をしておるわけで、ことばじりをそうとらえるわけではありませんけれども、民間人を任命する、まあ官僚もあり得るかしれないということならあれですが、むしろ大蔵省出身や何かの官僚出身で、民間からもするというのでは、これはたいへん心もとない。そういうことで私は心配して聞いておる。したがって、内容についてどういう人々を——実際上当たってみないとなかなかむずかしいかしれませんけれども、もうやがて皆さん方としては発足するつもりでしょうから、まあ当たっておられるかどうかあれですが、およその心づもりを……。民間からもというのでは全く心もとない。ひとつ人選についての具体的な心づもりを聞いておきたい。
  87. 亀徳正之

    亀徳政府委員 率直に申して、法案が通りませんうちにそういうことを具体的に考えることは問題だと思います。それは避けたいと思います。しかし、もしも成立いたしましたならば、「も」というのは、税調の答申の中に民間からもとありましたので、つい「も」と申し上げたのでありますが、ただ、先生御案内のように、なかなか、具体的にはほかの兼職は禁ぜられますし——失礼いたしました。審判官じゃないですね、たいへんどうも……。  審査会の委員は、「も」じゃありませんでやはり極力——ただ、税に学識の深い方でないとその点は困ると思いますが、しかし同時に、税ばかりじゃない、やはり事業経営とかそういう面で長年の経験のある方、そういう角度からまたあらためて税の姿をながめて、これでいいだろうかという判断もまた必要でないか。したがいまして、特に審査会の委員の方につきましては、先生御案内のように、やはり広く、そういう税の問題は国民全般の問題でございますから、これはむしろわれわれ、税の経験者ばかり集めてどうこうということは避けたい。いずれにしろ、この人選については、これはむしろ大臣も場合によれば大臣任命ということもいま御答弁になりましたように、まあそれはどうなろうと、やはり大臣と十分御相談し、われわれの意見を申し上げ、いろいろそういう面で人選いたしまして、大臣の御判断をいただきまして決定いたしたい。もっぱらいま先生がおっしゃったような考え方で人選したいと考えております。
  88. 只松祐治

    ○只松委員 いま大臣のほうから、各党一致するならば大臣任命になってもいいとか、いたしかたがないというお答えがあったわけです。それを前提としてあなたに対して、吉國君でもいいのですが、聞いておるわけです。いわば国税庁長官に対して対等になる。いま大臣のお答えどおりになりますと、審査委員が今度の改正案で対等になるわけですね。そうなってくると、確かに大臣任命で対等になるけれども、主税局で人選するか国税庁で人選するかは別として、福田大蔵大臣のもとで直接するわけではないでしょうから、当然あなたたちがする。せっかく大臣任命になっても人選はあなたたちが具体的にして、これはどうもおれの言うことを聞きそうもないからどけておけ——そう言ってはなんだけれども、松隈さんならいいだろうからというような形でこういう人ばかり任命されたのでは、大臣任命の実質的な意義がなくなることになるわけですね。あの人も学識経験者ですよ。だけれども、あなたたちとはなかなか懇意な人ですから、こういう前国税庁長官、前主税局長、前何とかという人ばかりを学識経験者ということで並べられたのでは意義がなくなる。具体的に言うならばこういうことを言っておるわけです。したがって、そういうことではなくて、純粋に税理士さんであるとか、青色申告会の人であるとか、弁護士さんであるとか、あるいは中小企業者の税に精通した人であるとか、こういう人たちをひとつぜひ選んでいただきたい。そういうことを含んで、詰めですからあまり私はこまかいことを言わずに、大まかなことだけぽんぽんとやっておるわけですから、その点を含んでぜひ民間の人を登用していただきたい。その人まできまっていないでしょうけれども、そういうことの心づもりはどうかということをお尋ねしているわけです。
  89. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 政府の原案におきましては、大臣の承認を得て国税庁長官の任命ということになっておりますが、御指摘のように、もしも大蔵大臣の任命ということに改められるような事態になりますと、任命権者は大蔵大臣でございます。任命権者の補佐をいたしますのは当然官房長になります。そういう意味でもし変わったとすれば、主税局や国税庁が専断的に選任をするなんということは考えられないことでございます。もちろん税の関係でございますから、そういう事態になりましても私どもの意見を徴されることはあると思います。  もちろん御承知のように、この審査会は一方において非常に広範な知識、経験、高い識見をお持ちになる方が必要である。同時に、専門的な知識もこなせる方であることが一番望ましいのであろうかと思います。そういう意味では、何と申しましても長らく税を扱っていた人で、しかもその中でずば抜けて人格、識見の高い人を排斥するわけにもいかないと思いますので、そういう人が入ることもあり得ると思いますし、また民間で同時に人格、識見も十分であって、しかもみずから税を経験しておられる方の中にも、今度は逆にいわゆる専門家でなくても、税についての高い判断力をお持ちの方もあると思います。そういう意味で、いわばこの十人の委員については相当のバラエティーを持ちながら、同時に人格、識見の高いということは何といっても共通のものでなければならぬと思いますが、そういう専門知識に対してもこなし得る能力のある方というのが抽象的な基準ではないだろうかと私どもはひそかに考えておるわけでございます。
  90. 只松祐治

    ○只松委員 まあ院内なり野党の意見まで聞けとは申しませんけれども、せっかく大臣任命になることならば、ひとつその点は十分配慮してりっぱな人選をしていただきたい。  その場合に、次に問題になってまいりますのは、審査会で正しい判断がなされたとする場合に、当然に国税庁長官と対立した見解が示されるという場合もある。議を経て、「尊重して」というような形になっているわけでございますけれども、そういうことになれば、それにふさわしく国税庁長官は議決に基づいた判断をしなければならない、こういうことを私たちは強く要望するわけでありますけれども、国税庁長官はそういう点についてひとつ、そういう覚悟といいますか、そういう議決を、あるいは修正すれば修正点を十分尊重して実施するというお考えでございますか。
  91. 亀徳正之

    亀徳政府委員 いまおっしゃいました点はたいへん大切な点でございまして、「議に付し、その意見を尊重して」と書かれようと、「議決に基づいて」と書かれようと、私の気持ちとしては変わらないと申しますか、それだけの経験のある人たちがそのほうがいいではないかという意見を出されましたときにはそれに従っていく、また、そのためには既存の通達を改めていくというふうに処理したい、かように考えております。
  92. 只松祐治

    ○只松委員 法制局かどこか見えておりますか。——ひとつ参考までにお聞きしておきたいと思うのですが、こういう議決がなされた場合にそれを「尊重して」あるいは「議決に基づき」あるいは「議決により」こういういろいろことばの使い方があるわけでございますが、それはどのように異なり、どういう効力を持つか、ひとつここでお聞きをしておきたいと思います。
  93. 荒井勇

    ○荒井政府委員 これまで春日委員あるいは午前中広瀬委員の御質問に対してお答えしたとおりでございますけれども、その「議により」というのは、議決そのものによってということであって、行政法規としては例は少ない。まあ例としては、午前中も申し上げましたけれども、皇室典範の中で摂政の順位を変える、法定されておりますけれども、それが特段のやむを得ない事情で変更するという場合に「皇室会議の議により」というようなことを書いてありますけれども、そういうような場合ということであります。  それから、その「議決に基づき」というのは、その議決を基礎としてということになりまして、恣意的にこれを変更するということは許さないという意味になります。  それから「その意見を尊重して」というのは、たとえば原子力委員会設置法というようなもので、内閣総理大臣が原子力に関する施策をきめるという場合には、原子力委員会の決定を尊重しなければいかぬというふうに書かれておりますけれども、そういうような立法例で、いまの例でいいますと、内閣総理大臣が原子力委員会の決定というものを尊重しないでやるということはなさっておらないということで、尊重するというのはまさに法律で書かれたとおりのことである。これも恣意的にその議決の内容をとらないで、ゆがめるというようなことは許されないという意味であるという点で、その「議決に基づき」というのと非常に実質的には近いという感じではございます。
  94. 只松祐治

    ○只松委員 こういう法律用語をパーセンテージであらわしたり科学的にするのはなかなか容易じゃないと思いますが、「より」は一〇〇%だ、「基づき」は九〇%だ、「尊重する」とは七、八〇%だとかいろいろあると思うのです。科学的なデータというものや何かは少ないと思いますが、およその感触はどういうことでございますか。
  95. 荒井勇

    ○荒井政府委員 法律が期待するとおりに合議体の機関がその意思決定をし、独任制の機関がその処分をするということでありますれば、すなわち合議制の機関の議決の内容が合理的であるという場合であれば、この三者はいずれも実質的には同じだと思います。
  96. 只松祐治

    ○只松委員 次に、私たちが要求をしておる独自性の一つの柱として、審判所長あるいは審判官の大臣任命ということを強く要望をしておるわけであります。行政機構上の問題というようなことでなかなか了承をされにくいわけでございますが、しかし私たちは、これも各委員から繰り返し述べましたように、たとえば出発のときに若干の独自性を持っておりましょうとも、これが三年なり五年なりずっとたちますと、だんだん国税庁長官の掌握のもとにきて、独自性というものがなくなってくるんじゃないか。それがさらに副審判官やあるいは一般職員に至っては、人事の交流というものがそこでずっと行なわれてまいりますから、さらにそういうものについて独自性というものがなくなってくる、こういうことを懸念をしておるわけです。いまから若干論議する問題を、ここですぐ即答を求めるのもどうかと思いますので、その点についての即答は求めませんが、どういうふうに具体的に、たとえば任命当時の身分、給与、あるいは資格、今後の採用、こういう問題について独自性を保っていくか、努力をしようとするか、そういう点について、これもだいぶん聞いておりますので、重ねてということになりますが、聞いておきたい。
  97. 亀徳正之

    亀徳政府委員 答申にございますように、所長以下を特別職にする考え方もございましたのですが、必ずしも数が多くないというために、むしろ実質的に高い給料を差し上げるような仕組みにしたほうがより実質的ではないかということで、前回堀先生の御質問の際にも申し上げましたように、一番筆頭の所長は指定職、人によっては指定の甲となし得る。たぶん東京になると思いますが、東京の首席審判官も指定職にするという、二つ指定職のポストをもらっておる。またちょうど国税局長と同格のポスト、行政(一)の一等級というものを十一、予算的に認めてもらっておるということでもおわかりになりますように、現在与えられておる俸給体制の中では実は最善の努力というのも言い過ぎかもしれませんが、できる限りの努力をしたつもりでございます。  なお、こういった処遇の問題につきましては、やはり今後またさらに努力しなければいかぬ面があろうかと思いますが、引き続きその面でも努力していきたい、かように考えております。
  98. 只松祐治

    ○只松委員 これもいまからのことでございますが、不服審判所の組織及び運営に関する事項は、いままで省令でございましたが、そういう独自性を私たちは考慮いたしまして、できるだけ政令にしていただくように話し合いを進めております。したがって、ほんとうはこの政令の内容といいますか、いま抽象的にお答えになりましたが、私たちは提示を受けた上で論議したいという気持ちがあったわけですが、いよいよ大詰めで、そこまでのものは出ておりませんけれども、何らかの形でこの政令について国会側に御相談なり、あるいは参考にお出しになるなり、そういう気持ちがありますか。どうですか。
  99. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 従来の慣例といたしましては、政令を出しました際、必ず御説明申し上げるということをやってまいったわけでございます。今回の政令につきまして、政令案要綱的なものは、法案を通過させていただいたあとでも、間に合いませんでも、まだ参議院にある間でもひとつ御説明させていただきたい、かように思いますが、政令か省令かという問題は、この間私が申し上げましたように、実は立法技術の問題でございます。法律に非常に詳しいことを書いたために、軽微であるという判断で、省令、政令いずれにするかということは、やはり立法技術の問題で、とちらがという問題でもない、かように私どもは思っております。
  100. 只松祐治

    ○只松委員 ひとつぜひ、要綱の段階でけっこうでございますから……。ある意味では、一部改正ということになっておりますけれども、新法といえば新法みたいな今度の法案でございますから、ぜひそれの政令をお見せいただきたいと思います。  それから次に、これも私たちが強く要望いたしておりました、申請や異議を申し立てたりしたことによる差別の禁止、これは皆さんのいれるところと容易にならないようでございますけれども、私たちは、確かに国税庁側のメンツといいますか、そういう面は全然ないとは申しませんけれども、もう少しそういうところはフランクに考えて、一番最初言いましたように、救済機関ですから、やはりできるだけ救済が行なわれる、別の意味では侵害が少なくて済むということのためには、私はあまりメンツや何かにとらわれないで入れておかれたほうがいい、国民の側から見てももちろん入れておいたほうがいいと思いますけれども、そんなに差しつかえますか。特にこれは国税庁長官に聞いておきたい。
  101. 亀徳正之

    亀徳政府委員 法律の規定に入れるかどうか、それは法律の規定に入れるべき筋合いのものではないので、やはり要は先生方のあれも、事実上そういうことでないということがより重大なポイントでございまして、われわれは今後発足にあたりまして、これは具体的な指示は所長ということになりましょうが、それから異議の申し立てば当然国税庁所管でございますし、不服審判所もすべて所管ではございますが、不服を申し立てたから不利にするとか、そういうことはやはり絶対あってはならないことでございます。  ちなみに、この間堀先生の質疑の過程を通じまして、異議の申し立てをしたところで、わりと納税者の言い分を聞く件数が多いじゃないか、ずさんではないかということの、反面おしかりをこうむりましたけれども、反面言いますれば、やはり異議の申し立てをされればすなおに、間違いは間違いとして聞いて直すという姿を示しているものではないか、かように私は考えるものでありまして、今後ともやはり異議の申し立て、審査請求をやったからどうこうというべき筋合いのものでは決してございませんので、そういう点は特に今後とも執行注意してまいりたい。また、従来もそういうことはないと信じたいのでございますが、そういう点についてはなお一そう十分注意をいたしていきたい、かように考えております。
  102. 只松祐治

    ○只松委員 これは、皆さん方はないとおっしゃるし、国民の側はあるというわけです。しかし、異議申し立てしたもの半分が国税庁側の誤りが認められておる、こういう結果が出た。これはあとでちょっと地方税法や何かのことに関連して聞きたいと思うのですが、そこらは国民の側と意見が分かれるところです。  それからもう一つ、それならば、国民の側が故意、重大なる過失というのはもちろんでございますが、そうでなくても、国民が、何らかの形で税務署の非が認められた場合には、一時的にしろ財産権が侵害されておった。侵害とおっしゃるか何と言うかは別にして、やはりある程度不利益な状態をこうむっているということなんですね。国民の側が不利益な状態をこうむっておっても、こうむらした税務職員の側は特別の訴えでもない限りは一つも罰則の適用がない、こういうことだろうと思うのです。私は、ほんとうに差別事項に設けないとするならば、別な意味でもう少し明らかに職員の故意あるいは重大なる過失、こういうものによる国家賠償義務あるいは職員の処罰義務規定というものに設ける必要があるだろう。ほんとうはあとから聞こうと思ったのですが、言い出しましたから聞きますが、そういう面につきましてどういうふうにお考えでございましょうか。
  103. 亀徳正之

    亀徳政府委員 たいへんむずかしい御質問だと思います。やはりいろいろ調査の若干の行き過ぎ、あるいは間違えてよけいな額に更正した、異議の申し立ての段階で直すということで、納税者立場はいま救っておるわけですが、それを直ちに懲罰だ、減俸だということに結びつけていいかどうか、これはやはりいろいろ問題があると思います。故意に納税者に私の恨みでどうこうということがあってはこれはもう決していけませんが、善意でやはり真剣に署員が努力していて、それはたまには間違いがあろうかと思います。それでその間違いを直ちにそれが処分対象だという考え方はかえって問題ではなかろうか。むしろそういう方面からチェックするのではございませんで、どうしてもやはり成績主義といいますか、少しでも一件でも増差を出したい、実調率も上げながら同時に増差も出したいというような機械的な指導——不正を発見する立場においてよけいしたほうが有能な人間と見られる。また事実有能な一面がございますが、そういった指導がもしも機械的に過ぎますと、いろいろな弊害が出てくる場合もあるのじゃないか。むしろ真実の的確な把握にまた逆に欠けるところがあるのではないか。だから、むしろそういうような機械的な指導というものを避ける。ただ増差が出なかったからおまえだめじゃないかというような指導のしかたをなくしていくということがより重要なことではなかろうか。そういう点について、私としては常に機械的なそういう指導ということはやはり間違いが多いということを、最近会議等で私は口をすっぱくして言っておるのでございますが、そういう方向から指導していくことがより重要なことではないか。やはり増差を出して間違ったからすぐ処分だということになりますと、だれももうみんなほんとうに、出たものもいいわいいわということにもなりかねない。極端な場合には、もちろん国家賠償法によって規定される問題もございますけれども、ほんとうにまじめに調査に臨んで、若干やはり納税者の方も帳簿もないというような状況、あるいはつげ落としがあっての調査ということになりますと、やはり間違いもあろうか。その間違いを一々処分という問題に結びつけるということは、かえって弊害があるのではないか。  むしろ私、先ほど申しましたようなことで、基本はまじめな納税者を一人でもふやすということ、そしてともかく疑ってかかるという気持ちを避けるということが一番基本ではないか、かように考えております。
  104. 只松祐治

    ○只松委員 長官のお気持ちはよくわかります。気持ちはわかりますが、たとえば人身事故の場合には、「職権ヲ濫用シ人ヲ逮捕又ハ監禁シタルトキハ六月以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」こういうことや国家賠償法がありますね。こういう人身上の問題とはおのずから異なりますけれども、ある人によっては、強くやられた場合に、会社を倒産させたり、会社倒産の前に差し押えで営業が不振になったり何したりいろいろな事態が出てきているのを、私たちもその事実を知っております。確かにそういう人は少ないと思いますけれども、私はあまり自分の事例は引かないほうがいいと思いますけれども、私もそういうことは幾つか聞いておりますし、知っておるわけなんですよ。そうすると、たとえばあるところに調査に来て、ちょっと隠されたらすぐ逮捕だ逮捕だと言っておどかした税務職員もある。逮捕状も何もとっちゃいません。にもかかわらず、そこへ来て逮捕するぞ逮捕するぞと言っておる職員もあるのですよ。片一方は税法も何も知りませんから、ほんとうに警察官と同じように逮捕するのかと思う。少し知っている人なら、逮捕状を持ってきてないのに何をぬかすか、このやろうということになるが、これは相当な故意だと思う。さもなければ重大な過失だ。それは財産権の侵害まではまだ及んでいないにしても、そういう脅迫をしておいて次に強制捜査するということになると、相当な故意とか重大な過失——逮捕状を持たないで逮捕すると言うのは故意だな。そういうのがあるのですよ。ここではあれでしょうが、あとで教えてもいいです。そういう事態がある。ほんとうは個々の事例をあげて、検察庁か警察庁を呼んで、人身の故意の逮捕その他の件数なりそれによる処罰を全部ここで言ってもらって、それに基づいて国税庁側はどうですかと聞こうと思って、私はある程度資料まで用意したのですが、そこまでやるのはどうかと思ってやらないわけです。やはりある程度あるわけです。  したがって、そういうことを考えた場合に、納税者の場合は寸分も抜かりなく皆さん方のほうではひっかけてくる。だから、懲役まではどうかと思いますけれども、何らかの形で、納税者側も制裁規定を入れるならば、職員の側にも、制裁までいかなくても訓示規定くらいは入れておったほうが私はいいような気がします。それでは税金がなかなか取れぬ、徴税事務が停滞するというふうに思われるかもしれぬが、私は必ずしもそうは思わない。そうするとやはり国民側もある程度納得してくれる。私は常に言うように、納得する行政、そういう意味で青色申告というものも、今度皆さん方がお出しになった「税務行政二十年のあゆみ」というのをごらんになるとおわかりのように、五年前まではほとんど青色申告をふやさないでむしろ減らしてきましたね。私はそのときも常にやはり納得する税務行政をすべきじゃないか、青色申告をふやしなさい、少しくらいだまされても、やはり青色申告をつけてやっておるとそんなにだまそうという考えもなくなってくるから、相互信頼の上に立った近代税務行政をすべきじゃないかということを強く要望した。私が言ったから青色申告をふやされたとは申しませんけれども、とにかくそのころまで国税庁側は大体青色申告もあまりふやさない。そのデータを見ても少し減っておる、こういう事態が出てきた。私は強く民主的な近代的な税務行政というもの、その一つとして青色申告をある程度大目に見なさい、少しくらいだまされてもいいじゃないか、これから順次よくなっていきますよ、こういうことを言ったわけですが、決して逆の効果は出ていないと私は思う。そういうことで、皆さん方はとかく差別規定を入れたりそういう立場からおっしゃるけれども、決してそうではなくて、国民の側は、やはり安心して納得する皆さん方の税務行政というものを望んでいる。したがって、そこいらはあまりこわがらないで、逆にこわもてしないで、私が言っているようなことも、なるほどだというふうにお考えになって、そういうふうに何らか入れていいような気がする、この差別禁止事項に開しての問題でございますから。ほんとうはまだ私は多少刑事事件と関連して聞こうと思ったのですが、ここまででやめておきます。積極的な発言を要請しておきたい。
  105. 亀徳正之

    亀徳政府委員 私は、処分まではということを申し上げたので、常に国税庁税務執行運営方針の一番トップに書いてありますのは、やはり納税者に親しみやすいといいますか、近づきやすい税務署にする。率直に申して、ほんとうに調査のうまい人は、決して乱暴なことばを吐いたりいたしておりませんので、むしろ未熟な者が、いろいろ現況調査その他で若干きつ目のことを言って、いろいろ御迷惑をかけておる。事実私も調べられた納税者の方から、いきなり私の自宅へ強烈な電話をかけられて、どなり込まれたり、いろいろしておりますので、そういう状況を私は全く知らないというわけではございません。また、そういう点の調査上の態度、特にわれわれは、いろんな権限を持っているだけに、そういう態度は十分き然たるところを持っていながら、やわらかく、そして努力するように、常々注意いたしておるところでございます。また、今後とも強くその点は要請していきたい、かように考えております。
  106. 只松祐治

    ○只松委員 次に、今度の不服審査の要領は、大体書面審査が中心といいますか、重点的になっておるようです。これは一面いい面もありますが、またしろうとといいますか、それほど税務行政に通暁しておらない方々にとっては、たいへん難解な、あるいは煩雑の面もあるし、あるいはだれか税理士さんか、弁護士さんか、代理人に頼まなければできない、こういう弊害を多く生ずるだろう。  そこで、これも大体御理解をいただいたようでございますが、できるだけ私たちは納税者側に立つ口頭主義を取り入れたらいいんじゃないか、こういうことでいろいろ私の意見を述べてまいりました。ひとつぜひこの際口頭主義というものを採用する、必要なものは、もちろん書類審査で、書類の提出の必要もございましょうけれども、納税者の便宜をはかって口頭主義でいく、こういうことにぜひひとつ御努力をいただきたいと思います。これは長官から……。
  107. 亀徳正之

    亀徳政府委員 従来といえども、やはり必ず書面でなければいかぬということで、ぎしぎしやっておらないわけでございますが、なかなか納税者の方も十分知識を持っておられない。また、申請書に若干の不備があるというような事例もいろいろございますが、やはりそこは基本的な間違いでない限りは、口頭でむしろ逆にこちらからこういう点が不備だから、こういうふうに直しなさいというふうにやるのが筋でございますし、また、われわれの指導といたしましては、法文の問題、いろいろございましょうが、実際の指導といたしましては、やはり救済の問題でございますから、納税者に親切にしてあげるということを基本に考えたいということでございます。
  108. 只松祐治

    ○只松委員 まだ聞けば、問題点はたくさんございますが、若干国税の問題はここでおきまして、地方税との関係をちょっと聞いておきたいと思うのです。  社会党案が通過いたしますか、政府並びに修正案が通過いたしますか、これはいまからわかりませんが、とにかくいずれにしても現在の協議団制度が改正される法案ができる見通しになってまいりました。そういたしますと、国税においては納税者の不満の声、不服審査というものがある程度前進をいたしてまいります。ところが、地方税は依然としてそのままで、同じ憲法のもとにおいて、国税と府県民税、市町村民税という、税の内容は多少異なりますけれども、同じ税金が、片方はある程度救済をされていく。ところが、地方税は旧態依然として一向救済の措置がない、あるいはその措置が前進しない。こういうことであってはある面では違憲問題も出てくるでしょうし、行政庁としては、自治省のたいへん職務怠慢といいますか、そういうそしりが出てくるだろうと思う。この国税の不服審査の問題のこういう前進にかんがみまして、自治省はどういうお考えを持っておるか、聞いてみたいと思います。
  109. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたします。  御指摘の地方税の不服審査問題につきましても、税制調査会で国税の不服審査制度を審議される際に、あわせて検討がなされたわけでございます。ただ、地方税につきましては、御案内のように、都道府県、市町村の長が、不服審査の決定をいままでやってまいっております。いわば一審級制でございます。また国税のように、協議団という制度を別に設けておることもございませんで、かなり違った形になっておった。いま一つの問題は、都道府県、市町村が各個に課税権を持ちまして、課税事務を行なっておるという形でございますので、国税不服審判所のような形での、不服審査機構をつくるということについては、かなりむずかしい問題があるのではないか。  こういうふうなことで、税理調査会の答申では、現在の市町村長、都道府県の知事の行ないます不服審査及び決定の機構は改めないで、むしろその運用を円滑にかつ合理的にやって、納税者の不服審査に遺憾のないようにするほうが望ましい、こういう御答申になっておるわけでございます。私どももその答申を受けまして種々検討いたしました結果、その線に沿いまして進めてまいりたい、こういうふうに現段階では考えておるわけでございます。
  110. 只松祐治

    ○只松委員 どういうふうに進めてまいりたいか、その内容一つもわからないのですが、どのくらい異議申し立てなり不服審査の申し立てが現在ございますか。
  111. 森岡敞

    ○森岡説明員 昭和四十一年度の実績で申しますと、都道府県の税の関係では、新規に発生いたしました不服申し立て件数が二千四百七十八件でございます。市町村はこれに比べまして多うございまして、一万八千四百九十五件、こういう形になっております。ただ、私どもこの調査をとります際に、都道府県の場合には、かなり正確にとったわけでございますが、市町村の場合には、調査のとり方に若干問題がございまして、正確な不服申し立てに限定された件数になっておるものかどうかやや疑問でございます。
  112. 只松祐治

    ○只松委員 いまちょっとお聞きしましても、約二万件をこしますね。地方自治体の税の不平不満というのは、表面に出てきたものだけで二万件をこしておるわけです。国税でも今回若干進歩しましても、同じ穴のムジナということを言っておるわけですが、地方自治体の場合は、さらに同じ穴のムジナどころではない。全く同一の人間が、市町村長なり都道府県の知事が裁定を下しておる。こういうことは私はたいへん奇々怪々なことだと思う。やはり国税がある程度こうやって前向きの形で問題に取り組んでくるならば、ちょうど昨年から国税の青色申告が完全給与制になった、本年から今度は地方税も青色申告は完全給与制になった。こういうことで、これは国税、地方税の別なく、当然に国民の財産権の侵害、税金に対する救済というものが正しく行なわれなければならぬ。ほんとうはこれも法制局や何かの考えも聞きたいと思いますが、時間がありませんから私はきょうはそこまでしません。ひとつ大蔵大臣、これは国の財政をつかさどるという面から、国税のほうは曲がりなりにもここまで来た、地方税のほうは依然として二万件からこえて不平不満が出てきておるけれども、せいぜい行政不服審査ですかの機関に訴訟をしなければ方法がない、こういう状態では私は将来問題が出るだろうと思う。そういうことで社会党案にもそこのところがちょっと足りないところがあると思うのですが、私はそういう意味からも租税審判所及び納税裁判所みたいなものが、やはり地方税、国税一本にした税の不服というものを何らかの形で取り扱うところが将来必要になるだろう、こういうふうに思うのです。将来のことはそれといたしまして、やはり地方税も国全体の財政を所管する、歳入を所管する大蔵大臣として、これは何とかしなければならないというお考えはお持ちだろうと思いますが、ひとつここで御所見を聞いておきたい。
  113. 福田赳夫

    福田国務大臣 地方税はその性質上国税のようにというわけにはなかなかいかぬかと思いますが、考え方は同じでなければならぬ。納税者の権利を擁護する、こういうたてまえは堅持していかなければならぬと思います。あなたの御意見につきましては野田自治大臣にとくと申し上げることにいたします。
  114. 只松祐治

    ○只松委員 これもすぐ準用ということもどうかと思いますが、国税不服審判法が今度成立するとそれも地方税へも準用していく、どういう形で準用してまいりますか、法案そのものを準用するのかそういうものに似たようなものをつくっていくのか、別個の法案をつくるのか、いろいろ問題があると思いますが、とにかく何らかの形でこれに準用することをすべきではないかと思いますが、自治省当局、それから財政所管としての大蔵大臣のお考えを聞いておきたい。
  115. 森岡敞

    ○森岡説明員 ただいま申し上げました地方税について非常にむずかしい問題があると申しましたのは、機構の問題について申し上げたわけでございますが、不服申し立ての手続あるいは期間、処理方法などにつきまして、国税通則法とほぼ同様の規定を地方税法の総則に設けておりまして、今回の国税通則法の改正に対応して改正いたしております。ですから、そういう手続面での不服審査の対応のしかたは国税と同じように考えているわけでございます。  それから、いま一つ若干つけ加えさせていただきたいと思いますが、やはり不服審査の場合、一番問題になりますのは課税標準の問題だと思いますが、固定資産税につきまして、御承知のように評価審査委員会というものがございまして、これはいわば第三者機関的な形で処理いたしております。それから住民税、事業税が大きな税目でございますが、これは課税所得の計算は国税の例によっておりますので、そういうふうな点もあわせながら考えていきたい、こういうふうなことでございます。
  116. 只松祐治

    ○只松委員 大臣の前にちょっと……。  その程度のことはわかっておるのです。時間がないから論議しないだけです。そうじゃなくて、こうやって国税不服審判法が今度、ぼくが大前提に言ったように、社会党案が通るか政府案が通るかということを言ったように、要するに協議団制度からずっと前向きのものがここで通るわけです。いまでも十分ではない。それがさらに今度は地方税のほうは不服に対する処理が国税から数段おくれてくるわけですね。いいですか。したがって、今度国税不服審判所の法案が通過するならば、それに準じたようにしなければならないのではないか、こういうことです。いわゆる地方税法関係の不服や異議や何かの申し立てについても、もっと前向きの姿勢で取り組まなければならないのではないか、こういうことを言っておるわけです。現段階だけを言っておるのではない。だから言うならば、現在あるこの法案を改むべきではないか、こういうことを言っておるのです。これは来年になるか、再来年になるか。現状のままで提出することは、これは同じ憲法のもとにおいて、国税と地方税というものは多少異なりますけれども、さっきから税の本質を論議いたしましたように、財産権が侵害されたり裁判権の侵害になってくる。それの救済制度面に片手落ちがあってはならない。国税と地方税のアンバランスがあってはならない。時間がありませんから詳しく言いませんけれども、ぜひひとつそういう面で前向きの姿で地方税の救済問題についても取り組んでいただきたい。またこれは地方行政委員会でやりますが、私たちのほうの税制小委員会にも出てきてもらってまた論議するから別といたしまして、きょうは時間がありませんからこれ以上は言いませんが、ぜひそういう抜本問題に取り組んでもらうように自治省に要望をしておきます。  それから、大蔵大臣に全体の責任者としてのお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
  117. 福田赳夫

    福田国務大臣 只松委員の御所見ごもっともな点とも考えられますので、これは自治大臣によく考えていただくようにいたします。
  118. 只松祐治

    ○只松委員 まだいろいろ質問する事項が残っておりますが、理事懇その他の運営の関係もあるようですから、一応ここで質問を中断いたしたいと思います。
  119. 田中正巳

    田中委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後四時二十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕