○渡辺(美)
委員 これが実は問題なんですよ。これは結局よくあることなんです。よくあることというのは、たとえば納税者は無知ですから、いろいろ書いてあっても、ただ私の税金は百万円です。税金は高過ぎます。六十万ぐらいにまけてくださいということは言えるのですが、ともかくいつ通知を受け取ったとか、きょう出す日付を書かなければならぬということは忘れてしまう。忘れて出すというと、それは不適法だ。不適法なものは却下の条件になる。それで不適法なために却下をされれば、これは
審査請求をしても却下になるし、裁判所に持っていっても却下になる。内容は間違っていないのだけれども、
手続が間違ったばっかりにだめだ。これの一番いい例が
期間の問題ですね。
期間の経過したものは、これはまさにそのとおりになる、これは当然なんです。
法律がそうできておるのですからやむを得ないのです。しかし、やむを得ないといっておっては納税者にかわいそうだからこそ、そこで税調の答申でもそこの点は触れているのです。税調の簡素化部会の第三次答申のところで、「異議申立て」というところがございます。そこで
——ここは読み方がちょっとあいまいな文章になっておるのですが、結局はこういうことが書いてある。
異議申立てについては、現在、申立ての
趣旨
及び理由を記載した文書によってこれを行なう
ものとするほか、その審理・決定
手続について
も、
審査請求に関する規定が準用されている。
ところで、異議申立てについては、申立ての
趣旨及び理由が充分整理されていないような場
合にも、納税者の
税法に対する知識水準に応
じ、形式的
手続にこだわることなく見直し調査
に応ずる等、納税者の個別性に応じた審理を行
なう必要があると認められるので、その調査・
審理
手続については、細かい規定を設けない方
がよいであろう。ただし、異議申立ての事績を
明確にすることは、納税者及び
税務当局の双方
にとって必要であるので、異議申立ては文書に
よりこれを行なうべきであるとする従前の建前
はそのまま維持することとする。
また、異議申立てを審理するために必要な職
員の
権限については、その見直し調査的な性質
にかえりみ、特別の規定を設けず、各
税法の質
問検査権の規定によるものとする。
なお、異
議決定による不利益変更を認めない
ことについては、権利救済
制度の
趣旨から、今
後も、同様とする。
ここで一番問題なのは、主税局はこれをどう読んでいたか、この読み方。あまり「細かい規定を設けない方がよいであろう。」ということをどう読んだのか。「細かい規定」とは何なんだ。おそらく「細かい規定」というものを、
税務署のほうは記載要件だというのは、いままで準用になったものを明らかにここに出してきたんだから、これは別にこまかい規定をつくったわけではなくて、準用なんかではない、そのまま却下だぞということも言えましょう。それから補正命令のようなものについては、いままではちゃんと補正命令があった。今回は補正命令というものは、異議申し立てについてはなくなってしまった。たとえばいままではどういうふうなことをやっておったかというと
——この点は明らかに改悪なんです。これはどうしても直してもらわなければならぬ。いままでは異議申し立てをする場合には、
不服審査法が準用になっておりますから、たとえばいま言ったように、「
審査請求に係る処分」とか「
審査請求の
趣旨及び理由」とか、受け取った年月日とかなんとかいろいろ書けということが書いてある。ところが、たまたま書かないで出す人がある。そういう場合には「補正」という条項があって、「
審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは、」不適法で補正することができるというのは一体何ですか。不適法なものは補正できるわけがないと普通読むでしょう。
法律にかなわないものをどうして補正できるのだ。これはいま言ったように、たまたま更正決定の通知を受け取った日を書かなかった。これは
法律には書けといっておるのに書かない。だからこれは違法であるけれども、それは直せるわけだ。あとからでも直せる。そういうような「不適法であって補正することができるものであるときは、
審査庁は、相当の
期間を定めて、その補正を命じなければならない。」こういうことがいってあったわけです。したがって、いま言ったように、私が言ったようなことが、納税者は
税法の知識にうといから、いろいろ漏れておることが多い。それをたてにとってばさりと却下ということでは、この法案というものは非常にこれは後退をしたことになる。したがって、やはりこれはめんどうなようでも補正命令というものはきちんとつけさせる、あるいは補正命令をつけない場合は、やはりただ単に不適法なものは却下するというのではなくして、補正のできない、また補正をしない、そういう不適法なものは却下するというのならば、私は税調の答申の内容にも合うし、これは非常によろしいことだ、こういう所見を持っておるのでありますが、これに対する、
国税庁長官、
主税局長、どちらでもいいから、えらいほうの人から先に所見を述べてもらいたい。